2011年12月31日

年末のごあいさつ 2011


おかげさまで私のお話ブログも2度目の年の瀬を迎えることになりました。
これで約一年半。
自分でも、よくつづいているな、って思います。
私のつたないお話を読みに来てくださっている皆様、本当にありがとうございます。

グーグルさんの解析によると、この一年半での訪問数は約9万3千、ページビュー数が約67万、ユニークユーザーが約2万となっていました。
海外在住の方々からも多くのアクセスをいただいているようです。
なんだかすごい!
私のお話は、長くなってしまうものが多いので、読まれるほうも大変と思うのに、この大きな数字はとても嬉しいです。

ちなみに、一番たくさん見ていただいた単独ページは、相変わらず「お医者さんごっこと私 01」、次が「ランジェリーショップ 01」、以下「グノシエンヌなトルコ石 01」、「図書室で待ちぼうけ 01」、「第二次性徴期と私 01」 の順でした。

今年はいろいろと大変なことがおきた中、私のブログにアクセスしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
私のつたないお話を読んで、少しでも楽しく明るい気持ちになっていただけたらな、と思っています。

最近パソコンを買い換えて、まだ使いかたがよくわからず、お話を書く時間をあまり作ることが出来なくて、この数週間、ブログの更新が滞りがちなってしまい申し訳ありませんでした。
お正月のお休みにゆっくりお勉強して、年明けからまた、まったりペースでつづけていこうと思っています。
来年も、おひまなときに、そういえばあのお話のつづきはどうなったかな?なんて思い出していただける程度に、おつきあいいただけたら嬉しいです。

私のブログを読みに来ていただいている皆様。
私のブログにリンクしていただいているサイトオーナーの皆様。
そして、コメントや拍手を送ってくださる皆様。
本年は、本当にありがとうございました。
来年も、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

来る年が皆様にとって、幸い多き楽しい一年となりますように。
ありったけの愛と祈りを込めて。

31/12/2011 NAOKO-M

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2011年12月24日

ピアノにまつわるエトセトラ 23

 私の舌が積極果敢に動くにつれて、ゆうこ先生の舌は段々おとなしくなっていきました。
 私の舌がゆうこ先生の歯や歯茎を舐めあげ、喉の奥まで侵入しようとすると、ゆうこ先生の舌は、口中にぐったり身を横たえてされるがまま、たまに私がゆうこ先生の舌にちょっかいを出すと、途端に元気を取り戻してクネクネ絡んできました。

 ゆうこ先生のからだもダランと力が抜けて、私にしなだれかかるように身を任せていました。
 ゆうこ先生のからだ全体が、このからだをもうどうにでもしてっ!って訴えかけていました。

 私の両腕だけがしっかりとゆうこ先生のからだを抱え込み、背中に回した両手のひらでゆうこ先生のスベスベな背中を落ち着き無く撫ぜまわしました。
 二人の上半身がぴったりとくっついて、ゆうこ先生のやわらかなおっぱいに私のおっぱいを思い切り押しつけました。
 お口が塞がれているので、性的に興奮されてているゆうこ先生の荒くて熱い呼吸がお鼻から、私の鼻の下あたりを激しくくすぐっていました。

 しばらくのあいだ、ゆうこ先生のお口の中を貪欲に堪能してから、不意にふりほどくようにからだを離して立ち上がりました。
 離れた二つの唇からよだれがダラーッと垂れて、私もゆうこ先生も、口の周りからおっぱいの裾野にかけてベトベトでした。

「はぁ、はぁ…先生がそんなにおっしゃるなら、これから私が先生をたっぷり虐めてさしあげます」

 口元と胸元のよだれを傍らのタオルで拭いて息を整え、つとめて冷たい声でゆうこ先生に言いました。
 私の心の中にサディスティックな欲求がどんどん膨らんでいました。
 ゆうこ先生の綺麗なお顔を、羞恥と苦痛と悦びで、いやらしーく歪ませてみたい、って心の底から思いました。

「は、はい…よ、よろしくお願いしますぅ」

 ゆうこ先生は、毛布の上に正座の形で座り直しました。
 その頭を深々と毛布に擦りつけるように下げてから、お顔を上げて私を見つめてきます。

 私はその正面で丸裸で、腰に両手をあててゆうこ先生を見下ろしていました。
 ゆうこ先生の視線が私の顔からずーーと下がっていって、私の薄い茂みのあたりで動きを止めました。

「なにをじろじろ人のからだを見つめているんですか?本当にいやらしい先生ですね」

 私の頭の中は、やよい先生たちとのプレイや、ゆうこ先生にお借りした小説からのシーンなどを思い出し、エス的に振舞うにはどんなふうにすればいいのか、というデータの検索と収集にフル回転していました。

 ゆうこ先生が放り投げたバスローブを拾って再び羽織り、ウエストの紐を緩く締めながらゆうこ先生の前に立ちました。
 ゆうこ先生は正座のまま、お顔だけ上げて私を見上げています。

「まず先生には、お仕置きを受けてもらいます」

 ゆうこ先生の長い睫毛がパチンて動きました。

「先生はなぜ、ストッキングを脱いでしまったのですか?」

「あ、そ、それは…さっき直子さまのお洋服を洗濯したとき、お風呂場で濡れてしまったので、それで…」

「私はそれは脱がないように、って言ったはずですよね?脱いでいい、という許可を出した覚えもありません」

「あ、ご、ごめんなさい…」

ゆうこ先生が小声で謝りつつうなだれました。

「それに、あのいやらしい水着もいつの間にか脱げちゃっているじゃないですか?私に奉仕するどさくさに紛れて、ご自分で脱ぎましたね?今は正真正銘のオールヌードじゃないですか」

「ご、ごめんなさい…」

「先生みたいなヘンタイさんには、中途半端に脱げかけてるみたいな、だらしない、ふしだらな格好が一番似合う、って言いましたよね?私」

「は、はい…」

「そんなに裸になりたいんですか?そんなにそのいやらしいからだを見せびらかせたいんですか?」

「え、いいえ、そんな、見せびらかせるだなんて…」

「だからお仕置きです」

 ゆうこ先生はうつむいたまま、からだを小さくモジモジ動かしていました。
 尖った乳首がプルプル本気で震えています。

「お仕置きと言えば、やっぱりお尻叩きの刑ですよね?先生、お好きでしょ?」

「え、いえ、そんな…」

「嘘をついてはいけません!お尻叩き、って聞いた途端に、先生の首筋から肩まで真っ赤になっちゃったじゃないですか?」

 その場にしゃがんでゆうこ先生と同じ目線の高さになり、ゆうこ先生の顎に手をかけてお顔を上げさせました。
 ゆうこ先生の瞳はトロンと潤み、唇を半開きにして私をじっと見つめてきました。

 その半開きの唇に軽く自分の唇を重ねてから、少し乱暴にゆうこ先生の右肩を押しました。
 後ろ手をついて倒れ込むのを防ぐゆうこ先生。

「はい。それじゃあその場で四つん這いになってください。お尻を私のほうに高く突き出して」

「あっ、は、はい…」

 ゆうこ先生はいったん横座りになってから両手を毛布につき、そのままからだを反転させて四つん這いになりました。
 私のほうに形のよい真っ白なヒップが突き出されました。

 すぼめたお口のようなお尻の穴から、真下へ縦一直線に走る無毛なワレメまで、丸見えでした。
 私はそれを眺めながらパチンって、軽くゆうこ先生の右の尻たぶを叩きました。

「ああんっ、いやんっ!」

「いやんっ!じゃないでしょう?何を今さら羞じらっているんですか?それに先生みたいな人の四つん這いは、そうじゃないでしょう?」

 私は先生のお顔のほうにまわり、両腕を突っ張らせているゆうこ先生の両肩を下方向へ強く押しました。

「先生みたいな虐められたがりドマゾなヘンタイさんの四つん這いは、お顔でからだを支えるんです。ほら、両手をどけて、その綺麗なお顔を毛布に擦りつけなさい」

 ゆうこ先生の両腕を多少強引に両脇へ掃うと、ゆうこ先生の両肩が毛布につき、首が捻じ曲がって右頬が毛布にへばりつきました。
 その分、お尻がより高く突き上がります。

「そうそう。とてもお似合いですよ、先生。それでこそ視せたがりのヘンタイマゾ女です」

 ゆうこ先生の豊満なおっぱいも毛布に押しつけられてひしゃげていました。
 私は、再びゆうこ先生のお尻のほうにまわりました。

「ほら、もっと両脚を広げてください。よく視えないじゃないですか?」

 言いながら両手で、ゆうこ先生の毛布についた両膝を左右へ大きく拡げさせました。

「あぅーんっ!」

 ゆうこ先生の悩ましいお声は、毛布にお顔が埋まっているせいで淫靡にくぐもっていました。

 私の目の前にハート型をさかさまにしたような形のいいお尻が、無防備に突き出されていました。

「うわー、すごい眺めですよ?先生のオマンコのスジがパックリ割れて、ピンクでヒダヒダグジュグジュな粘膜の中身まで視えています」

 わざとお下品な言葉を選んで言っている自分の科白にまで、ゾクゾク感じてしまいます。

「先生さっき、ご自分のオマンコはお年のわりにキレイだ、なんていばってましたよね?それならもっともっとよーく見せてください」
「ほら、先生の両手、だらんとしてておヒマそうだから、ご自分の手をお尻にまわして、左右に大きく拡げてみてくださいよ、ご自分のオマンコを」

「えっ?そ、そんな…恥ずかしい…」

 私はまた軽くパチンとゆうこ先生のお尻を叩きます。

「だって先生、視て欲しいのでしょう?視られちゃうのがお好きなんでしょう?視られるといやらしいオマンコが興奮しちゃうんですよね?」

 ゆうこ先生の右手を取って、ご自分の右太腿の付け根辺りにあてがわさせました。

「ほら、左手はご自分で、さっさとやってくださいっ!」

 今度は左の尻たぶをパチン。
 ゆうこ先生の左手がおずおずとご自分の女性器に伸びてきて、左腿裏付け根あたりをつかみました。

「はい、それでは、せーの、で左右に押し拡げるんですよ?中の中、ヘンタイオマンコの奥の奥まで私に晒すように」

「…は、はいぃ…」

「いいですか?せ-のっ!」

 私の号令でゆうこ先生の両手に力が入り、両腿の付け根周辺の皮膚が左右に引っぱられました。
 少しだけ開いていた亀裂がガバッと大きく広がりました。

 菱形っぽい楕円形に開かれたその中は、ピンク色の粘膜質が液体にまみれてテラテラきらめき、本当にとても綺麗でした
 内部のヒダヒダ具合は私よりも格段に複雑みたい。

「うわー。先生、こんなに開いちゃってますよ。すごいです。なんだか中がヒクヒク動いちゃっていますよ?」

「ああん、いやん!」

「お尻の穴も広がっちゃってます。シワシワが伸びちゃって、でも本当にキレイな肛門ですね」

「ああん、は、恥ずかしいぃ…」

「へー、先生でも恥ずかしいんですか?でもオマンコを拡げているの、ご自分の手ですよ?ご自分で淫乱女性器の中身を私に見せびらかせているのですよ?」

「いや、言わないで・・・ああんっ!」

 ゆうこ先生は、ご自分の指先が白くなるほど力を込めて、これでもかとご自分の秘部を押し拡げていました。

「恥ずかしいけれど気持ちいいんですよね?先生は。こういう屈辱的な格好をするのがお好きなんですよね?」

「ああん、そ、それは…」

 ゆうこ先生は、お尻だけ高く突き上げた四つん這いで、からだをウネウネくねらせて身悶えられています。
 それでもご自分のアソコを押し広げている両手は決して離しませんでした。

「これから私が20回、ゆうこ先生のお尻にお仕置きをします。先生はぶたれるたびに、わたしのオマンコもっとよく視て、とおねだりしてください」
「それが先生の本心なんですから、ご自分に正直になりましょう、ね?」

「は、はいぃ、わかりましたぁぁんっ!」

 ゆうこ先生の甘ったるいお声のお返事にコーフンしながら私は、ゆうこ先生のお尻を打ち据えるために大きく右手をバックスイングしました。


ピアノにまつわるエトセトラ 24

2011年12月17日

ピアノにまつわるエトセトラ 22

 丸裸で誰かのお顔の上にまたがる…
 普通の女の子だったらそんなの恥ずかしすぎて、尻込みしちゃう行為でしょう。
 でも私は、その言葉を聞いてゾクゾクッと淫らに感じてしまい、期待に胸がときめきました。

 なぜって私はすでに、その行為を体験していたから。
 やよい先生のお顔にまたがったり、やよい先生にまたがられたり。
 そのときの喩えようも無い嬉し恥ずかしな気持ち良さの記憶が全身によみがえりました。

 立ち上がった私は、ゆっくりとゆうこ先生のお顔のほうに移動しました。
 寝そべっているゆうこ先生のからだと反対の向き、すなわちお尻をゆうこ先生のお顔に向けてから左脚を少し上げ、ゆうこ先生のお顔をまたいで立ちました。

 私のアソコ、真下からゆうこ先生に見つめられている…
 振り向きながら見下ろすと、ゆうこ先生の綺麗な瞳が爛々と輝いていました。

 得も言われぬ恥ずかしさに痺れるように震えつつ、ゆっくりと両膝を曲げていきました。
 濡れそぼりながらもなんとか閉じていた私の下のお口が、徐々に開きつつあるはずです。

 唇が開いて中身が空気に触れた感覚がしました。
 よだれが垂れちゃったりしないかな?
 ゆうこ先生は、そんな様子を真下からじーっと視ているのだろうな?
 ああんっ、恥ずかし過ぎるぅ…

 そんなことを考えながら腰を落としていき、とうとう野球のキャッチャーさんみたいな姿勢になりました。
 私のアソコがちょうどゆうこ先生のお口にくるようにすると、私のお尻の穴はゆうこ先生のお鼻のあたり。
 これだけ股を広げていると、お尻の穴もけっこう広がっちゃっているはず。
 ゆうこ先生から丸見えだろうけれど、イヤな臭いもしちゃったら…
 思う間もなくアソコをペロンと舐められました。

「はうんっ!」

 思わず大きな声が出て、腰がビクンって跳ね上がりました。
 反動でゆうこ先生のお顔を押しつぶすみたいに私のお尻が着地します。

「んぐうぅ」

 ゆうこ先生はくぐもったお声をあげながらも、舌を私のアソコの中にねじ込んできました。

「ああんっ!んんーーっ!」

 ゆうこ先生の舌、けっこう長いんだ…
 アソコの中や、莢がめくれて顔を出してるおマメちゃんまで、ベロベロ舐めまわしてくださいます。

「んっ、んっ、んーーっ」

 私はジャンプする寸前のカエルさんみたいに腰を小刻みに上下して、より気持ちのいい場所にゆうこ先生の舌があたるように調節していました。

「直子さまの愛液、マン汁、甘辛くてすっごく美味しいっ!」

 私が少し腰を浮かせたとき、ゆうこ先生のくぐもったお声が聞こえてきました。
 ジュルジュルジュルジュル、ワザとおおげさに音をたてて啜っているみたい。
 その音のいやらしさに、私はどんどんコーフンしちゃいます。

「直子さまのアヌスも可愛いです。お魚みたいにお口パクパクヒクヒクしています」

 お尻の穴をツルンと舐められました。

「あんっ!イヤンっ!」

「もっと押し付けてください!直子さまのオマンコをゆうこの口に押し付けて、窒息するくらい押しつけてくださいっ!」

 そのお声にお応えするべく、私はしゃがんだ両膝を毛布に落として膝立ちになり、より腰を低く落としてアソコをゆうこ先生の顔面に押し付けました。

 私の股下で、ゆうこ先生の舌がベロベロジュルジュルと私のアソコを悦ばせてくださっています。
 私の目の前には、より近くなったゆうこ先生の綺麗なおからだ。
 おっぱいから下の部分がスラーッと眼前に横たわっていました。

 相変わらずピンッと真上を指しているえっちな乳首。
 ちょっと手を伸ばせば触れることが出来ます。
 ええぃ、さわっちゃえ!

 そう思って腕を伸ばそうとしたとき、ゆうこ先生の両腕がにゅうっと上に上がり、一足早く私のおっぱいを手探りで掴みました。

「ああんっ!」

 私の大きな声に、ゆうこ先生の舌の動きがますます活発化しました。
 ゆうこ先生の左手には私の左おっぱい、右手には右おっぱいがしっかり掴まれ、強く弱くやさしく揉みしだいてくれています。
 ときどき親指の爪で、硬くなっている乳首をコリコリひっかいてくれます。

「あっふぅーーーんっ!」
「あんっ!あんっ!うぅーーーんんっ!」

 私はどんどん昂ぶっていき、腰が知らずにウネウネ上下していました。

「あっ、そこ、そこそこっ!」

 私の上半身がどんどん前のめりなって、自分の顔がゆうこ先生のツルツルなアソコのほうへと近づいていきました。

「あ、いいですぅ、先生、もっと、もっとぉー」

 いつしか私は膝立ちの四つん這いで、ゆうこ先生の股間に自分の顔を埋めていました。
 両手にゆうこ先生の両腿を持って左右に大きく拡げ、開いたワレメの中をペロペロ舐めていました。

 ゆうこ先生の中はサーモンピンクですっごく綺麗。
 ひだひだもご自分で言うだけあって、黒ずみも無くまさしく可憐な花弁のよう。
 おシルもしょっぱめで美味しい!

 ゆうこ先生は上体を上げ気味にして私のお尻の穴付近をベロベロしつつ、下から右手の指を2本、私の中に侵入してかき回してきました。
 左腕は私の背中にまわして、手のひらがやさしい愛撫をくれています。

「ああん、直子さまのお肌、スベスベで気持ちいいっ。やっぱり十代の若さにはかなわないのかー」
「直子さま?気持ちいいのですか?ここはどうですか?ほら、こんなにクリトリスがピッカピカ!」

「あふんっ!そっこはだめんですっ…そ、そこは…もっと、もっとぉーっ」

「ほら、イっていいのですよ、イっていいんです、ここは?これは?」

「ああーーんっ、んっ、んっ、ふーっ…」

 ゆうこ先生の10本のお指のピッチが上がり、私のゆうこ先生へのサービスはお休みがち。

「はらー、ここですよね?ここがいいのでしょう?ね?イってイって、ほらぁ?」

「あんっ、だめっ、いいっ、だめっ、だめっ、いいぃーーーっ!」

 いつしか私は全身の力が抜けて、ゆうこ先生の陵辱に身を任せていました。
 両腕もとっくに力が抜けて毛布の上にダランと放り出されているので、私の顔はゆうこ先生の股間に埋まったまま、左右からゆうこ先生のウネウネ悶えるやわらかな太股に、強く弱く挟まれていました。

「あーーっ、いい、いい、いいーーっ」

 お顔が私のアソコの下敷きになっているゆうこ先生は、舌で、指で、手のひらで、私の中とその周辺、そしておっぱい、乳首まで、たくさんたくさん蹂躙してくださいました。

「あーっ、あーーっ、いいいですぅ、うーーんっうぬーーっ!」

 身悶えながらときどき自分のからだに力が戻り、キュッと硬直して、そのたびに気持ち良さのレベルがどんどん上がっていきました。
 目をギューッとつぶって、自分がどんどん高みへ昇ってゆくのをイメージしていました。

 頭上では、可愛らしい天使たちが羽ばたきながらクルクル回って、早くおいでーって私を呼んでいました。
 もうすぐ、もうすぐ、もう、すぐ…

「うううううっ、いいいいいいくぅぅぅぅーぅ、んーんっ!!!」

私の全身がビクビクンって震えて硬直し、ガクガクンと2、3回跳ねました。
頭の中が真っ白になって、すさまじい快感が全身を駆け抜けました。

「ああぁぁぁうううんっ、、ぅぅぅ…」

 気持ち良さがいつまでも収まらず、自分の口から洩れるうめき声が止められませんでした。

 目を開けると、生温かいものに包まれていました。
 これは、誰かの体温。

 ゆうこ先生がお尻を毛布につけて座っていて、その腿の上に私のお尻がありました。
 ゆうこ先生は赤ちゃんを抱くように私の背中を横抱きにして、覆いかぶさるようにぴったりと上半身を密着させていました。

「あっ!ゆうこ先生…」

「おかえりー。すごく気持ち良かったみたいですねー?」

 私の右おっぱいとゆうこ先生の左おっぱいが重なって、互いの乳首が肌にめり込んでいました。
 ああん、気持ちいい…
 思った瞬間、ゆうこ先生の唇が私のそれに重なりました。

 んっ!
 ゆうこ先生の唇は、初めはルージュの甘い味がして、それから舌が侵入してきて、ゆうこ先生の唾液の、もっと甘い味がしました。

 ゆうこ先生の長い舌で私の口中が嬲られました。
 うぐっ!
 私の喉の奥まで届きそうな長い舌の愛撫。
 気持ち良すぎて涙が出そう。

「直子さま、すごく気持ち良さそうでした…うらやましいです…」

 長い口づけの後、顎を濡らすよだれもそのままに、ゆうこ先生がおねだりするみたいに甘ったるく、私の耳元にささやいてきました。

「これで少しは落ち着いたのではなくて?今度はゆうこがされたいこと、してくださいますよね?ねっ直子さまっ?」

 ゆうこ先生の媚びに満ち溢れたお顔。
 上目遣いの甘えたご表情。
 快楽への期待に爛々と輝く淫らな瞳。
 いつまでも萎えることを知らない尖った乳首。

 ゆうこ先生って、本当にいやらしくてヘンタイな、ドすけべマゾさんなんだなー…
 さっきまでの昂ぶった性欲を抑え切れず全開にして身悶えてしまったはしたない自分をすっごく高い棚の上に上げて、こんな感想が心をよぎりました。

 自分の欲望がひと段落したことで余裕が出来たのでしょう、心からエス役になりきれそうな気がしていました。
 ドすけべゆうこ先生の、この綺麗なからだを好きなように虐めていい権限を今、私は持っているのです。

 こんなにナイスバディでカッコよくて、セクシーで、おやさしいけれど、どうしようもなくふしだらな美しい年上のマゾ女性を、とことん辱めてみたい…
 私のえっちな知的好奇心、言うなれば痴的好奇心がムクムクと湧き上がっていました。

 私のされたいことがゆうこ先生もされたいこと。
 まず手始めに、再び唇を重ねてきたゆうこ先生のお口の中に、勇んで私は自分の舌を勢い良くねじ込みました。


ピアノにまつわるエトセトラ 23

2011年12月11日

ピアノにまつわるエトセトラ 21

「わたしの自慰行為はいつも、おっぱいを激しく虐めるところから始まります」
 
 ゆうこ先生が自らの両手で左右のおっぱいをムギューッとわしづかみました。

 右手で右おっぱい、左手で左おっぱい。
 柔らかそうなおっぱいのお肉に、さっきまでピアノの鍵盤の上を軽やかに踊っていた、しなやかな10本の指が気持ち良さそうにめり込んでいます。
 
 形の良いポッテリした豊満なおっぱいが無残に歪みます。
 つかんだその手は、そのまませわしなく開け閉めを始め、弾力のあるお肉を乱暴に揉みしだき始めました。

「ああ~んっ」
 
 ゆうこ先生のお顔も悩ましく歪み、半開きの唇から淫らなお声が洩れ始めます。

「ああああ、うぅうぅぅ…んーっ」

 極小紐水着を着けたままの乳房にめりこむ左右の手。
 手のひらに隠れて乳首は見えませんが、あれだけ激しく揉みしだいていたら、あんな小さな布片はまたたく間に本来の用途からはずれてしまっていることでしょう。
 ゆうこ先生のM字に開いている両脚の距離も、おっぱいを揉みしだくスピードが上がるにつれてウネウネ身悶えて、ジリジリ広がっていきました。

「ああんっ!こ、こうやって揉んでいると、ゆうこのおっぱいがどんどん熱を持ってきて、ち、乳首が石みたいに硬くなって、ますますビンカンに感じるようになってしまうんです…」
 
 おっぱいを嬲る手は休めずに、ゆうこ先生はお顔を上げて、挑むように私の顔を見つめてきました。

「わ、わたし、おおぬきゆうこ29才は、自分の乳首を虐めるのが大好きなんですぅ。んんーっ!ほら、直子さま、ご覧いただけますか?」
 
 ゆうこ先生の両手が左右のおっぱいを下乳から持ち上げるような形に変わり、おっぱいの頂上部が見えるようになりました。

 思ったとおり、涙型の小布片は脇のほうにはずれて、痛そうなくらいに尖った乳首が私のほうを向いていました。

「直子さまぁ、ゆうこの乳首、どうですかぁ?」
 
 トロンとした目つきで媚びるように問いかけてきました。

「あ、あの、す、すっごくキレイです…」
 
 あまりにエロティックな迫力に素直な感想を言ってしまう私。
 途端にゆうこ先生のお顔がつまらなそうに曇りました。

 あ、そうだった!
 私はエス役だったっけ…
 あわてて言い直しました。

「でも、よくそんなにツンツンに勃てられるものですね?私に見られているのが、そんなに嬉しいのですか?」
 
 わざと冷たい顔をつくりました。
 途端にゆうこ先生のお顔が嬉しそうにパーッとほころびました。

「あーんっ…そ、そうなんです。ゆうこは誰かに視られていると燃えちゃう、ヘンタイ女なんです」

「そのえっちな乳首、どのくらい伸びるもんなんですか?ちょっと引っぱってみてください」

「あ、は、はい…」
 
 ゆうこ先生の両手指先が左右それぞれに乳首をつまみ、自らギューッと手前に引っぱりました。
 おっぱいのフォルムが円錐のように尖ります。

「あっあ~~~んっ!」

 一際淫らに響くゆうこ先生の嬌声。

「うわー。すっごく伸びるんですねー。さすが、ヘンタイを自認する先生だけありますね。ドすけべそのものです」

「あっ、あっ、あっーん!」
 
 ゆうこ先生は、乳首を引っぱったり潰したり、こねくり回してしばらく身悶えていました。
 首の裏で結んだ紐ビキニのストラップはとっくに解け、ゆうこ先生のおっぱいの上で汗に貼り付いてブラブラ揺れていました。

「直子さま?このブラジャー、外してもいいですか?」
 
 今は両手でおっぱいからお腹の辺りまでをせわしなく撫で回しているゆうこ先生が、甘えたお声で聞いてきます。

「だめです。先生みたいなヘンタイさんは、そういう中途半端な、だらしのない格好のほうがお似合いです」
 
 答えながらも、ゆうこ先生が放つあまりにえっち過ぎるオーラに我慢出来ず、右手をバスローブの中に潜り込ませていました。

「直子さま?今度は性器を、ゆうこのいやらしいマンコを見てください」
 
 ゆうこ先生の左手は、相変わらずおっぱいを撫で回し、乳首をつまんだり引っぱったりしていました。
 
 その一方で、おっぱいから離れた右手がお腹をすべり、120度くらいに大きくM字に拡げられた両脚が交わる部分を、しきりに撫でさすっていました。
 その部分を覆っていた小さなベージュの布地は、今は完全にか細い一本の紐となり、股縄のように下の唇に食い込んでいました。

「ゆ、ゆうこのマンコは、年の割りにはキレイな、はずなんです、あまり黒ずんでもいなし、ビラビラもはみ出していないし…」
「ぜひ、ぜひ近寄って、じっくり観察してくださいぃ、直子さまぁーーっ!」
 
 ゆうこ先生が、背中を反らせブリッジをするように腰の部分だけを高く浮かせて、私にその部分を突き出してきました。

「はしたない先生ですね?自分から女性器を突き出して、キレイなんです、なんて自慢するなんて、よっぽど自信があるのですね?それほど言うのなら、じっくり視せてもらいます」
 
 右手をバスローブに突っ込んだまま私は席を立ち、毛布の上に乗って、ゆうこ先生が広げている両膝のあいだに膝立ちになりました。
 それを待っていたかのように、ゆうこ先生が上半身を起こしました。

 ゆうこ先生の左手がやっとおっぱいを離れ、腰骨に食い込んでいる紐ビキニのストラップにかかりました。

「ちょっと待ってくださいね、先生。このいやらしい紐パンツも脱いではだめですよ。恥ずかしいワレメが覗くくらいのところまでずり下げるだけですからね?ドすけべな先生にはそういう格好がお似合いなのですから」
「は、はいぃ。知っていますぅ、わかっていますぅ」
 
 ゆうこ先生は、私に言われたとおり、紐状のビキニをワレメぎりぎりまでずり下げて手を止めました。

 ゆうこ先生の無毛なアソコが私のすぐ目の前にありました。
 白くてキメの細かい肌が透明の液体を纏ってピカピカ輝いています。
 
 そのあたり全体がすごく熱を持っているみたいで、ホカホカ湯気まで見えそうなほど。
 同時に何とも言えない、喩えるならクセの強いチーズにも似た、私にも大いに身に覚えのある淫靡な匂いが私の鼻腔を襲いました。
 それを視て、嗅いで、もうどうにもこうにもがまん出来なくなってしまいました。

 ゆうこ先生のこのお肌に触れたい。
 その豊満なおっぱいをわしづかみしたい。
 この濡れそぼったオマンコに指を突っ込んでかき回してみたい。
 もうがまん出来ませんでした。

 バスローブに潜り込ませていた私の右手が躊躇無く、自分の一番敏感な場所をさすり始めていました。

「あ~んっ!」
 
 バスローブの紐が解けてはだけて、前が露になるのもかまわずに、私の左手は自分のおっぱいを求めていました。
 目の端に、ゆうこ先生が少々呆気にとられたような表情をしているのが見えました。

「直子ちゃん?なんで自分で慰めちゃっているの?」
 
 ゆうこ先生のお声が聞こえてきましたが、私はすでに自分の快楽に夢中でした。
 右手の人差し指と中指が中へ潜り込ませ、親指の腹でクリトリスを執拗に撫ぜ回していました。

「あーっ、あーっ、あ~んっ」

 すると突然、柔らかくていい匂いのする熱を持ったかたまりに、正面から上半身をやんわりと抱きすくめられました。

「あっ!?」
 
 驚いて指の動きが止まる私。

 膝立ちになった私の顔のところに、ゆうこ先生の首筋がありました。
 ゆうこ先生も膝立ちになっていました。
 ピンッと張った乳首の先が私の右おっぱい上の皮膚に食い込んでいました。

「直子ちゃんが自分でする必要なんてぜんぜん無いのよ。そんなこと全部、わたしがやってあげるから…早く言ってくれたらよかったのに」
 
 ゆうこ先生の掠れ気味なおやさしいささやきが、私の右耳をくすぐりました。

 私を抱き寄せていたゆうこ先生のからだがゆっくりと離れました。
 そのついで、という感じで私のバスローブの前が全開になり、間を置かずに私の背中側に滑り落ちました。
 
 丸裸になった私。
 ゆうこ先生が腕を伸ばし、膝立ちの私の背後に落ちた白い布のかたまりを拾い、ピアノのほうへポーンと投げ捨てました。
 腕を振ったとき、ゆうこ先生のおっぱいがプルルンと激しく揺れました。

 ゆうこ先生と向かい合います。
 ゆうこ先生は、お尻をついてM字に戻り、上半身を起こした姿勢。
 私は膝立ちのまま。
 ゆうこ先生の熱い視線が下から私の全身に注がれます。
 私も、どこも隠さずに応えます。

「直子ちゃん、綺麗なカラダ・・・」
 
 おっぱいやアソコに突き刺さるような視線を感じて、私もどんどん気持ち良くなってきました。

「ドマゾのゆうこが精一杯、ご奉仕させていただきます。ご主人様にご奉仕するのは、セイドレイのお務めですから」
 
 私を見つめてニッコリ笑ったゆうこ先生は、あらためて毛布の上に仰向けに寝そべりました。
 私は、その足元で膝立ちのまま、横たわるゆうこ先生の肢体をしげしげと見つめました。

 額にうっすらと浮かんだ汗と上気した悩ましくも美しいお顔。
 白いお肌が火照りを纏い、全体的に淡いピンク色に染まったナイスバディな全身。
 たわわなおっぱいの下のあたりにだらしなくまとわりついている紐状のブラ。
 無毛なアソコは丸出し。
 
 太腿の途中でよじれている、かつてソコを隠していた紐状のボトム。
 中途半端によじれて肌にへばりついている布片に、陵辱の後、なんていう言葉が浮かんでくるような、すっごく刺激的かつ扇情的な眺めでした。

「直子さま、ゆうこの顔にまたがってください」
 
 寝そべっているゆうこ先生からお声がかかりました。

「お尻をゆうこの頭のほうに向けて、おトイレのときみたいにわたしの顔におまたがりください」


ピアノにまつわるエトセトラ 22

2011年12月10日

ピアノにまつわるエトセトラ 20

 バスルームは狭くも広くもないごく普通のユニットバスで、脱衣所の一角に洗濯機が置いてありました。

「本当にごめんなさいね。透明な飲み物だったから、ブラウスにシミにはならないと思うけれど…」
「さ、早く脱いで。とりあえずつけ置き洗いしちゃうから」

 ゆうこ先生がバスルームに入り、洗い場でタライにぬるま湯を溜めながらおっしゃいました。

 着けているのかわからないくらいの紐ビキニなゆうこ先生が、背中を向けてタライの前にしゃがみ込んでいました。
 小さく丸まったゆうこ先生の裸の背中に、背骨がうっすらとセクシーに浮き出ています。
 
 綺麗な女性が半裸姿で日常的な作業をしているのって、なんだかたまらなくエロティック…
 そんなことを思いつつ、スカートとブラウスをゆっくり、モジモジしながら脱ぎました。

「あーあ!ブラまで濡れちゃっているじゃない?本当にごめんなさいね」
 
 私の下着姿をしげしげと眺めていたゆうこ先生が、軽く私のブラカップに触れて大げさなお声をあげました。

「それもついでに洗っちゃいましょう」
 
 おっしゃりながら洗濯機の横の物入れみたいなところをガサゴソしています。

「ほら、これを羽織って」
 
 純白のタオル地みたいなバスローブを差し出してくださいました。

「ブラを取るところを見られるのが恥ずかしかったら、それを羽織ってから後ろ向きになって取ればいいからね」
 
 ゆうこ先生の熱いまなざしが私の胸元を見つめてきます。
 私は、正直に言えば、ゆうこ先生の目の前で、ゆうこ先生に見られながらブラをはずしたい気持ちでした。
 
 私がエス役なプレイをしていたことなどすっかり忘れて、ここで裸になる、という状況に私のエム心が盛大に疼き始めていました。
 でも、そうしてしまうとこれからのプレイのバランスが崩れてしまうかもしれないこともわかっていました。

 結局何も言わずに一回コクンと小さくうなずいて、袖を通さずにガウンを羽織り、ゆうこ先生に背中を向けました。
 ブラのホックをはずしてブラを取ってから、あらためてガウンの両袖に腕を通しました。
 
 私の乳首はもうこれ以上ないほどツンツン。
 バスローブの前を合わせると、裏のパイル地のザラザラにふたつの硬くなった乳首が擦れて、ゾクゾクッと感じてしまいました。

「ついでだから、ショーツも洗っちゃいましょうか?」
 
 いつの間にか私の背後に来ていたゆうこ先生が、私の右肩に顎を乗せて、耳元に息を吹きかけるようにささやいてきました。

「んんっ!」
 
 ビクン!
 再び盛大に感じてしまう私。
 またまたショーツのクロッチにおツユがジワリ染み出てしまいました。

 もう!ゆうこ先生のイジワル…
 私のエム心がまたまたザワザワ騒ぎ始めます。
 
 スパークリングワインではない液体で濡らしてしまっている私の恥ずかしいショーツ。
 ここで脱いでしまって、その恥ずかしいシミをゆうこ先生にぜひ見てもらいたい…
 もう一度黙ってコクンとうなずいた私は、バスローブの中に両手を入れ、思い切ってショーツを一気に足元まで下げました。

 私が差し出したブラとショーツを受け取ったゆうこ先生は、それらをすぐにタライには浸さず、右手に握ったまま私を見つめてニッと笑いました。

「本当に申し訳ございません。こんなところで直子さまがお洋服を脱ぐハメになってしまって。わたしはお洗濯をちゃっちゃとすませるので、直子さまはさっきのソファーに戻ってくつろいでいてください」
「飲み物は冷蔵庫にまだたくさん入っていますから、どうぞお好きなのを」
 
 それからゆうこ先生は、わたしのショーツを丸まってるまま、ご自分のお鼻のところに持っていっき、クンクン匂いを嗅いだあと、うっとりしたお顔で目をつぶりました。
 それを見た途端、カーッと全身が熱くなり、またまたキュンキュン感じてしまいました。

「せ、先生!戻ってきたら、今の粗相についても、いっぱいお仕置きを受けてもらいますからねっ!」
 
 感じてしまった自分をごまかすみたいに、ワザと怒った顔を作ってゆうこ先生に言い放ち、私はそそくさとバスルームを後にしました。

 まだ所々濡れているソファーやテーブルをフキンでキレイに拭い、グラスと銀盆をキッチンへ片付けてからソファーに腰掛けました。

 思わぬ展開で今私は、このバスローブの下は全裸です。
 お部屋をうろうろ歩いても、なんだか心もとない感じ。
 紐がほどけたら、前がはだけたら、たちまち裸んぼ。
 
 その上、ここは自分のお部屋ではなく、大好きなゆうこ先生のお家。
 なのに、こんなえっちな格好になっちゃった私。
 非日常な状況に、どんどんどんどんムラムラが高まってきます。

 今このお部屋にいるもう一人の人、ゆうこ先生も、着けていないも同然な紐ビキニ姿。
 もうすぐ私の目の前に戻ってくるでしょう。
 そして私たちは、やろうと思えば今すぐにでも、お互いの素肌のあらゆる部分に手を這わせて、むさぼり合うことが出来るのです。
 
 私のワクワクは最高潮。
 これからゆうこ先生にオナニーをやらせて、恥ずかしい姿をいっぱいさせて、それからそれから…
 考えているうちに自然と両腕が動き、バスローブの紐を緩め、左手は胸に、右手は下半身に伸びていました。

 自分の下半身に伸ばした右手のひらに、ごく薄い茂みの感触。
 約2ヶ月前にやよい先生から、アソコの剃毛過程の撮影課題を出されてクリアした後、私はアソコの毛のお手入れをしていませんでした。
 今現在は、狭い鋭角な逆三角形に短い毛がうっすっら、それでも遠目でもわかるくらいには翳りを作っていました。

 ゆうこ先生にはどうせなら、ツルツル状態の私を見て欲しかったな。
 なんて考えつつ、指先を中でクチュクチュ動かします。

「あんっ!」
 
 手のひらが敏感なおマメに触れて、思わず小さなため息が洩れました。
 いけないいけない。
 イきたいけどいけない。
 エスカレートし過ぎないように慎重に、まだまだ当分おあずけをさせられそうな自分のからだを、やさしくやさしく慰めました。

 カチャン。
 背後でドアが開くような音がして、私はあわててバスローブの前を合わせました。

「お待たせしました」
 
 ややあって、ゆうこ先生が私の傍らに立ちました。
 右腕にベージュ色の毛布を抱えていました。

「直子さまにわたしの自慰姿をお見せするのでしたね?」
 
 おっしゃりながらゆうこ先生は、毛布をフローリングの床に敷き始めました。

「わたしはいつも、ここでオナニーをしています」
 
 ツカツカと窓辺に近づくゆうこ先生。

「カーテンはいつでも全開です。昼でも夜でも、夏でも冬でも」
 
 大きなガラス窓の三分の一ほどを隠していたカーテンを左右それぞれの縁まで引いて束ね、タッセルで留めました。

「夏なら、窓も開け放してしまいます。この向こうのベランダがけっこう広くて、裸のまま外まで出ることもあります」
 
 私の目を見ながら、ニッコリ笑うゆうこ先生。

「ベランダには背の高い観葉植物を目隠しに並べてありますし、ここより高い建物も周囲にはないので、残念だけれど視られちゃう可能性は低いのです」
「もちろん道路から見上げたって視えません。ヘリコプターとかで上空を飛んでくれれば、視てもらえるかもしれません」
 
 お外が真っ暗なので、大きなガラス窓にゆうこ先生のえっちな紐水着姿が全身、くっきりと映っていました。

「…でも、お外でやるとき、お声はがまん出来るのですか?」
 
 思わず聞いてしまう私。

「そういうときはたいてい、ボールギャグを口に嵌めています。あ、ボールギャグっていうのは口枷みたいなものです。だからうーうー唸るだけ。わたしは声が大きいタイプなので、そのへんは配慮しています」
「やっぱり、ご近所でウワサになったらマズイもの、ね?」
 
 ゆうこ先生が照れくさそうに笑いました。

「でも今日は部屋の中だし、直子さまにわたしのいやらしい声もお聞かせしたいから、口枷はしません」
「直子さま、わたしにたくさん、えっちで淫らなマゾの喘ぎ声をあげさせてくださいね?」
 
 ゆうこ先生の淫ら過ぎる微笑。

「わたしが自慰行為をするときは、やっぱり全裸が多いです」
 
 フローリングの上、毛布が敷いていない場所に大きな姿見やオシャレなデザインのデッキチェア、さっきお隣のお部屋から持ってきた紙袋などをせっせと運びながら、ゆうこ先生がお話をつづけます。

「えっちな水着や下着とか、一人妄想プレイで痴漢されているのを想像しながら、みたいなときは、わざわざスーツを着込んだりコスプレっぽいことをするときもあるけれど、一番多いのはやっぱり全裸です」
「そして、絶対に自分の姿を鏡に映しながらやります。自分の恥ずかしい格好を見るのが大好きなのです」
 
 私と同じだ!
 思わず言いそうになりましたが、なんとか抑えました。

「自分で自分を縛ったり、いろいろ器具を使うこともあるけれど、今日は直子さまが視守っていてくださるので、一番シンプルな、だけど一番激しいオナニーをご披露しようと思います」
「直子さまは、そこの椅子に座ってください。わたしは、直子さまと、鏡と窓ガラスに映った自分の淫らな姿を交互に見ながら、思いっきり恥ずかしい格好をしたいと思っています」

 ゆうこ先生がご用意してくださったデッキチェアに腰掛けました。
 私の左隣に、高さが2メートルくらいありそうな大きな姿見鏡が毛布のほうを向いて並んでいます。
 ゆうこ先生は、フラットシューズを脱いで裸足になってから毛布の上に上がり、私の真正面の位置にお尻をついて座り込みました。

「直子さまが見ていてくださる、と思うだけで、わたしのすけべな女性器からヌルヌルとめどなく蜜が溢れ出てきています」
 
 ゆうこ先生は、両手を毛布について背中を少し後ろに反らし、涙型のベージュ色の小さな布で隠された派手な突起二つと、M字気味に開いた両脚のあいだの細いベージュ色の濡れそぼった一本線を、私のほうへ突き出すようなポーズになりました。

 低い位置から上目遣いに私をじーっと見つめてくるゆうこ先生の悩ましいお顔は、今まで見た中でもだんとつな、一番いやらしい表情になっていました。


ピアノにまつわるエトセトラ 21

2011年12月4日

ピアノにまつわるエトセトラ 19

 私の中でクニクニ動きつづける私の人差し指と中指。
 ゆうこ先生が戻ってきたとき、私がオナニーの真っ最中だったら、ゆうこ先生、どんなお顔をされるだろう?
 
 ううん、ここで私がイってしまったら、この後の計画が台無しになっちゃうし…
 あれこれ考えながらも、私の指は相変わらず強く弱く、私の粘膜を刺激つづけていました。
 ここでクリちゃんを軽くひっかけば、もっと…
 どうしようか迷っていると、ガチャンと鉄製扉が開く音がしました。

 あわててショーツから右手を引き抜き、スカートの裾を直しました。
 ビッチョリ濡れている右手は、スカートのポケットから出したハンカチで拭います。
 そのハンカチを再びポケットに押し込んだとき、裸のゆうこ先生が目の前に現われました。

 黒のニーハイストッキング以外は生まれたままの姿。
 外と内との温度差からか、からだ全体がピンク色に上気して、すっごくえっちなオーラを放っています。

「お待たせしました…」
 
 ゆうこ先生は、ピアノ椅子の上でお尻を滑らせて振り返った私の正面に立ち、右手に提げていた小さな紙袋を差し出してきました。
 時計を見ると5時50分ちょうど。
 なんとか課題はクリアです。

「裸でエレベーターホールに出た気分は、どうでした?」

「ドキドキして、どんどん淫らな考えが浮かんできて…」

「物足りないのではありません?」

「いえ、でも、ちょっと…」

「一緒にエレベーター、乗りましょうか?」

「あ、それは…許してください。万が一のとき、わたし、ここに住めなくなってしまいますから…」

「でも、これに味を占めて、エレベーターホールまでの露出行為は、これからもするつもりでしょう?」

「あ、は、はい…」
 
 ゆうこ先生は、イジワルな質問をされるのが嬉しくてたまらないみたいです。

「それで、その袋にあの水着が入っているのですか?でしたらそれを早く着てください。私に差し出してもしょうがないでしょう?」
 
 さっきまで自分で弄っていた余韻がまだ残っていて、イけなかった不満を理不尽にもゆうこ先生にぶつけていました。

「は、はい…」
 
 冷たい私の言葉に、ゾクゾク感じているご様子のゆうこ先生。
 ガサゴソと袋の中をかきまわし、小さな布片を引っ張り出しました。

 ゆうこ先生は、その場でまずボトムのほうを穿きました。
 Vゾーンがベージュ色の小さな逆三角形に隠れました。
 見る見る布地の色が濃くなって肌に貼りついて、白いお肌だから逆に目立ちます。
 ゆうこ先生のすけべな泉は、枯れることを知らないようです。

 次はトップです。
 透明の細い紐に2か所だけ小さな布が付いた不思議なオブジェ。
 小さな布部分を乳首のあたりにあてがってから、両腕を後ろに回して紐を結び始めました。
 首の裏側と背中、2か所を結ぶ方式のようでした。
 着け終えたゆうこ先生のお姿を見たとき、約3年前の夏の日のことがあざやかに頭の中に甦りました。
 
 そうです。
 私はあの日、この姿のゆうこ先生に恋をしてしまったんです。
 この水着を着て、本当に恥ずかしそうにされていたゆうこ先生。
 私の背中にオイルを塗ってくれたゆうこ先生。
 私がご披露したバレエを真剣に褒めてくださったゆうこ先生に。

 ゆうこ先生は、自らマゾの服従ポーズをとって、遠い夏の思い出に耽っている私を見つめていたようでした。
 視線に気づいた私は、がまんしきれずに素に戻って告白していました。

「それなんです!私、先生のそのお姿が見たかったんです!あの日、先生、本当にお綺麗でした」
「私もいつか、そんな格好をしてみたいな、って憧れて。きっと先生も私と同じような性癖なんだろうな、って考えて」
「私と同じような人がいる、それもすっごくお綺麗な人が、ってすっごく嬉しかったんです。だからいつか、ゆうこ先生とちゃんとお話したいなってずっと思っいてたんです」

 ゆうこ先生は服従ポーズのまま、黙って私の話を聞いた後、すっごく可憐な微笑をくれました。

「ありがと。直子ちゃんに、そんなに影響を与えていたなんて知らなかったけれど、慕ってもらえるのは、すごく嬉しいわ」
「わたしも直子ちゃんは、カワイイ子だなーって思っていたのよ。素子さんの娘さんなのだから、あたりまえだけれどね。だから今回のピアノレッスンのお話は、ドキドキしちゃうほど楽しみだった」

「あっ、わたし今、直子ちゃん、なんて気安く呼んでしまいまいした…これはお仕置きものですね…」
「直子さまの願いは、今日こうして叶ったのですから、あとはもうふたりでいっぱい愉しむだけです」

「はい!」

「だから今は、わたしをたくさん虐めて」
 
 パチンとウインクをくださったゆうこ先生に大きくうなずいて、私はエスの人に戻ることにしました。

「それでは先生、先生がお約束を守らなかったことに対するお仕置きを、これから受けてもらいます」

「あ、は、はい…」

「先生がいつもしている自慰行為を、私に視せてください。私の目の前で、オナニーしてください」

「えっ?あ、は、はい…」
 
 ゆうこ先生は、刹那は予想外というお顔をされていましたが、やがてどんどん淫らにお顔がほころんでいきました。

「わかりました。わたしがいつもやっている、とってもヘンタイでいやらしいオナニー姿を、直子さまにだけ、じっくりお見せいたします」
 
 服従ポーズのまま、一言づつ区切るようにゆっくりと答えたゆうこ先生が、丁寧にお辞儀をくれました。

「でも、少し準備が必要なので、このポーズを解いてもよろしいでしょうか?」

「はい。なるべく早く準備してください」

「ありがとうございます。お待ちになっているあいだ、何かお飲み物をご用意しましょう。直子さまもおそらく、喉がお渇きでしょうから」
 
 ベージュの紐水着と黒のニーハイストッキング姿となったゆうこ先生がキッチンのほうへ歩いて行き、冷蔵庫をバタバタさせ始めました。

「直子さま、あちらのソファーで少しお待ちください。わたしはいつも、オナニーはあそこの窓際でするのです。お外の景色がよく見える窓際で。お飲み物もそちらへお持ちいたしますから」
 
 ゆうこ先生のお声がキッチンのほうから聞こえたので、立ち上がってご指示通り移動しました。

 応接セットのソファーに腰掛け、2メートルくらい離れた大きなガラス窓の向こうを見るともなしに見ていました。
 もうお外はすっかり暗くなっていました。
 この高さからでは家々の灯りも見えませんが、窓辺に近づいて見下ろせばきっと、キレイな夜景を見ることが出来るのでしょう。

 えんじ色のカーペットは応接セットまでで終わっていて、窓の周辺のスペースは茶色いフローリングのままになっていました。
 ゆうこ先生、いつもここでオナニーしているんだ…
 
 背の高さ以上ある大きな素通しのガラス窓。
 その向こうのお外は、広めのバルコニー。
 
 見える範囲にここより高い建物も見当たりませんから、お外から覗かれる心配は皆無のようでした。
 確かにここで暖かい日に、窓を開け放してオナニーしたら、気持ちいいだろうなあ。
 ぼんやりそんなことを考えていたら、ゆうこ先生が近づいて来ていました。

「お待たせしました。クリスマスも近いのでスパークリングワインにしました。アルコールはほんのちょびっとだから」
 
 銀盆の上に、細かい泡がシュワシュワしている透明の飲み物が入ったグラスを2つ載せて、ゆうこ先生が私の向かい側のソファーに座ろうとしたとき、
 
 ドンガラガラガッシャーンッ!
 ゆうこ先生が何かに見事につまずいて、座っている私へ銀盆を投げ出すようにぶちまけてしまいました。

「きゃーっ!」

「ごめんなさいごめんなさい!だいじょうぶ?グラス割れていない?ガラスでケガしていない?」
 
 ゆうこ先生のあわてふためいたお声。

 私のブラウスとスカートはびしょ濡れでした。
 幸いグラスが割れたりはしなかったので、お洋服だけの被害で終わりました。

「大丈夫です、先生」
 
 ソファーに転がったグラスを拾いながら立ち上がりました。

「ごめんね、ごめんね。制服がグショグショになっちゃたわね。本当にごめんなさい」
「すぐにお洗濯しますから。この部屋にもバスルームに洗濯機があるから、そこで濡れた服、脱いじゃって」
「ほら、こっちこっち」
 
 あわてた素振りのゆうこ先生の丸出しのお尻を追いながら、私は苦笑いをこらえていました。

 これはどう見ても、ゆうこ先生の策略でした。
 私にお洋服を脱ぐための口実を与えてくださったのでしょう。
 
 つまずき方が下手なコントみたいにいかにもワザとらしかったし、グラスが落ちてきてから思い出したようにお盆が落ちてきたし、飲み物の入ったグラスも厚いガラスのやつだったし。
 普通、ワインとかシャンパンには薄いガラスの小洒落たグラスを使いますよね?
 
 グラスが本当に割れちゃって、万が一にも私がケガをしないようにというご配慮だったのでしょう。
 飲み物の入ったグラスは、ビールジョッキみたいに分厚いガラス製でした。

 早くお洋服を脱ぎたいな、と思っていた私には、嬉しいご配慮でした。
 ブラジャーまでグッショリでしたから、ここでゆうこ先生に私の生おっぱいをご披露することになりそうです。
 
 急激に高まってくるドキドキとワクワクを隠すのがもう大変。
 嘘でも怒ったフリをして、ゆうこ先生のお尻を2、3発はぶたなきゃいけないかな、なんて考えながら、バスルームまでついていきました。


ピアノにまつわるエトセトラ 20

2011年12月3日

ピアノにまつわるエトセトラ 18

 わざとらしいくらいゆっくりと私の真正面に戻ってきたゆうこ先生。
 まっすぐに私を見つめ、薄い笑みを浮かべました。

「ごめんなさい、直子さま。お約束を破ってしまいました。罰を受けます」
 
 私に一度お辞儀をして、おもむろに両腕をご自分の背中に回しました。
 ゆうこ先生の両肘がクイッと動いたと思ったら、胸元の小さな涙型の布地がフワッと浮き上がりました。
 
 その途端にゆうこ先生の頬がポッと赤らんで、左腕全体で両方のおっぱい、とくに乳首を隠すようにかばいながら、右手だけでマイクロビキニの透明ストラップを両腕から抜いていきました。

 小さな布片がゆうこ先生の足元に落ちると、ゆうこ先生は両腕で本格的に胸を隠しました。
 すっごく恥ずかしそうな素振りですが、演技しているのは見え見えです。
 ゆうこ先生ったら、私に叱って欲しくてしょうがないんです。

「何を今更隠しているんですか?そんな水着、着けてても着けていなくても同じじゃないですか?」
 
 プラスティック定規でゆうこ先生の腕をペチペチしつつ、ゆうこ先生のお顔に自分の顔を近づけました。

「何度も同じことを言わせないでください。しょうがない先生ですね」
「先生の両腕の位置は、そこではないでしょう?」
「さあ、早く私に見せてください。コーフンしていやらしく感じちゃって、ピンピンにとんがっちゃってるのですよね?えっちな先生の乳首は」

 ゆうこ先生が悩ましいお顔で私を見ながら、両腕をゆっくりとホールドアップしていきました。
 左腕が動いた瞬間に、まさにプルンッて音が聞こえてきそうな勢いで、押さえつけられていた左の乳首が跳ねるように宙に飛び出しました。
 
 私と同じくらの大きさで、私よりちょっぴり長め、私のよりいくぶん赤が濃い、硬そうで立派な乳首。
 少しの間小刻みに揺れてから静止したその乳首は、今はツンって斜め上に精一杯背伸びしています。
 
 乳輪は私より小さめで、淡いピンクのグラデーションが綺麗。
 右側の乳首もまったく同じ感じにいやらしく、豊かなバストトップに堂々とした存在感を誇示して君臨していました。

「先生!すっごくキレイです!」
 
 SMプレイ中なのも忘れて、思わず感嘆の声をあげてしまったほど綺麗なおっぱい。
 両手をご自分の頭の後ろに回したポーズのゆうこ先生は、少し胸を張り気味にして、私の視線の動きを目で追いながら、恥ずかしいけれど嬉しいことも隠せない、という、私にも大いに身に覚えのある、マゾな視られたがり特有の表情をしていました。

「せっかくマゾの服従ポーズをしているのだから、ボトムは私が脱がせてあげます。先生はそのまま、肩幅くらいに脚を開いて動かないでくださいね」
 
 下もゆうこ先生にご自分で脱いでもらう予定でしたが、一刻も早くゆうこ先生の肌に触れてみたい、という欲求が抑えきれず、自分でも想定外の科白を口にしていました。

「あ、ありがとうございます…直子さま…」
 
 ゆうこ先生は、ささやくようなお声でそうつぶやいた後、期待のこもった熱いまなざしを私に向けてきました。
 ゆうこ先生の両方の太腿が、アソコを軸として微かにクネクネ揺れています。
 
 でもまだダメよ、直子。
 もっともっと気分を盛り上げて、ゆうこ先生を焦らしに焦らして、どんどん悶えさせてあげなくちゃ。
 自制を胸に、ゆうこ先生の足元にしゃがみ込みました。

 ゆうこ先生の股間が私の目の前20センチくらいのところにあります。
 間近で見るゆうこ先生の股間の小さな布片は、満遍なくシットリ濡れて肌にペッタリ貼りついていました。
 
 濡れた白い布は、向こう側まで完全に透けていて、スジの割れ始めまでクッキリわかりました。
 ゆうこ先生もけっこう上ツキなんだ。
 近づけた鼻をくすぐる、汗で湿った布地が人肌に温められたときに出るような匂いプラスアルファの淫靡な香り。
 
 この匂いにも、私は身に覚えが大いにあります。
 それをかいだとき、私の股間も盛大にヌルリとざわめきました。

 ふっと見上げると、ゆうこ先生は服従ポーズのままうつむいて、私を潤んだ目つきで見下ろしていました。
 白くて平べったいお腹から上に辿っていくと、視界を遮るように突然現われる、ぼってりと重そうなふたつのたわわな果実。
 
 下から見上げたゆうこ先生のおっぱいもすっごく綺麗。
 そのもっと向こうにゆうこ先生のお顔。
 目と目が合うと、ゆうこ先生が心細そうな微笑を浮かべてきました。
 
 それは、何か、控えめにおねだりをするような、儚い期待を湛えた微笑でした。
 あわてて、再び正面に視線を戻しました。

 それにしてもなんて白くて綺麗な肌。
 このままこの股間に顔を埋めてしまいたい。
 そんな誘惑を振り切るように、わざとぞんざいに両手を、ゆうこ先生の両腿に貼りついているビニール紐にあてがいました。

「あっ!んーーっ」
 
 私の手が腿に触れた途端、頭上から悩ましげお声が降って来ました。
 一方私は、ゆうこ先生のあまりになめらかな肌の感触にゾクゾクッと背中が震えてしまいました。
 
 私の心の中に、普段はあんまり感じたことの無い、ちょっと暴力的かつ加虐的な何か、がメラメラッと湧き起こりました。
 早くこの綺麗なからだの女性にいろいろなことをして虐めたい、いやらしい声をあげさせたい、悦びに歪んだ顔を見てみたい、もっとしてって懇願させたい…
 そんな思いに衝き動かされ、いささか乱暴にビキニボトムを一気にずり下げました。

 黒いストッキングの膝まで下ろされた小さな布。
 その布から無毛なアソコへと、か細い透明な糸が数本、蜘蛛の糸のように伝っています。
 
 ゆうこ先生の秘所を隠すものは何も無くなりました。
 布が隠していた場所にも、お腹のほうと同じなめらかそうな白い肌が、ただつづいていいます。
 
 毛穴のプツプツやシミとか黒ずんだところも、ホクロさえもないまったくツルッツルのスベッスベ。
 両腿の付け根付近だけがゆるやかにプックリと膨らんでいて、その行き止まりにほんの少し、スジの割れ始めが覗いていて、その周辺だけ少し肌色が濃くて。
 そこからも小さな雫が垂れ下がっていました。

 いやらしすぎるっ!
 綺麗すぎるっ!
 ゆうこ先生って、ズルイっ!
 心の底からそう思いました。

「ほらっ!両脚上げて、このいやらしい布きれを脚から抜いちゃってください。それでさっさと向こうのお部屋からお約束の水着を取って来ることっ!」
 
 私は、ゆうこ先生の真っ白な太腿を定規でペチペチ叩きながら、追い立てるように玄関先まで追いやりました。
 演技でもなんでもなく、エス的な気持ちがフツフツと沸き立っていました。

「5分以上かかったら、裸のままで私と一緒にそのエレベーターに乗って、全部の階のボタンを押して1階まで行ってもらいます。いちいち扉が開けば、どこかの階で誰かに裸を視てもらえるかもしれませんよ?」
 
 咄嗟に浮かんだ妄想をそのまま口にしました。

「そ、そんな…」
 
 ゾクッと感じちゃったみたいなゆうこ先生。

「いやだったら、さっさと取って来てください。今5時45分ですから、50分までです」
 
 玄関のドアを外側に開け放しました。
 12月の冷たい空気がゾワゾワーッとお部屋に流れ込んできました。

「あ、鍵を忘れちゃった!」
 
 外に一歩踏み出そうとしたストッキング以外全裸のゆうこ先生があわてて室内に戻り、すぐに鍵を片手に戻ってきました。

「何をもたもたしているのですか?」
 
 今日初めて、定規ではなく私の右手で、ゆうこ先生のお尻をかなり強めに叩きました。
 フワッとお肉にのめりこむような、いい感触。

 パッチーンッ!
 わかる人にはわかる、調教、懲罰、躾、お仕置き、などという単語を連想させる淫靡な音が、反響の良いエレベーターホールに鳴り響きました。

「あっあんっ!」
 
 つづいて、ゆうこ先生の甘えるような喘ぎ声。

「なにいやらしい声を出しているのですか。ほら、もう30秒経っていますよ?ひょっとしてワザとですか?そんなにエレベーターに乗りたいですか?そんなに誰かに視られたいですか?」
 
 何も考えなくてもイジワルな科白がスラスラと出てきました。

 黒いオーバーニーストッキングだけを身に着けたゆうこ先生の後姿が、蛍光灯に照らされて小走りにお隣のお部屋のドアのほうに駆け出していきました。
 お尻の左側にうっすら赤く、私の手形がついています。

 ありふれた日常を感じさせる殺風景なエレベーターホール。
つい数時間前、普通にお洋服を着た私とゆうこ先生がおしゃべりしながら立っていたエレベーターホール。
 郵便配達の人も宅配便の人も管理人さんも普段から普通にうろうろしているエレベーターホール。
 
 そんな日常的空間に、今はおっぱいとアソコとお尻を丸出しにしたゆうこ先生が、ご自分のお部屋のドアに取り付いて、鍵を開けようとガチャガチャやっていました。
 横向きになったゆうこ先生のおっぱいがプルプル揺れています。
 この寒さにもめげず、ゆうこ先生の乳首がお元気なことは、少し離れた私からもわかりました。

 その姿をしっかり目に焼き付けて、私はレッスンルームのドアをガチャリと閉じました。
 室内に戻った私は、ピアノの椅子に腰掛けて大急ぎで制服のスカートをまくり上げ、ショーツの上から股間に右手をあてました。

 グッショリ。
 少し触れただけで、からだがビクンと反応してしまいます。
 このままオナニー出来たら、どんなに気持ちいいだろう…
 
 思う間もなくショーツのゴムと肌の隙間に右手がもぐりこんでいました。
 当然左手は胸へ。
 ブラジャーの下で、やんちゃな乳首も力いっぱい背伸びをしたがっていました。
 ブラの裏地に擦れるたびに、ムラムラがどんどん大きくなっていきます。

 ああんっ!
 私も早くお洋服を脱いじゃいたい。
 私もゆうこ先生に裸を見てもらいたい。
 ゆうこ先生が戻ってこられるのを待ちながら、私の右手がショーツの中でクチュクチュ音をたてていました。


ピアノにまつわるエトセトラ 19

2011年11月27日

ピアノにまつわるエトセトラ 17

 ジーンズを脱ぎ終え背中を向けたまま立ち上がったゆうこ先生の両脚は、黒の、おそらくラメ入りのシルクらしい、オーバーニーのストッキングに覆われていました。
 スラッと伸びた両脚の大部分が光沢のある黒い布で隠され、太腿の半分くらいから白い肌がお尻を通り越して背中へとつづいていました。

 お尻も一見、まったくの裸。
 正確には、ビキニボトムを固定するために腰の低い位置に紐が回っているのですが、それもか細い透明のビニール製なので。肌の色が透けて何も身に着けていないように見えました。

 それにしても、なんて綺麗な後姿のヌード。
 キュッとくびれた腰から、まろやかに広がるハート型のお尻。
 さっきのスパンキングで紅潮しているのがいやらしい。
 
 背中から太腿まで、シミや痣一つ無い、つややかな肌。
 その肌と絶妙なコントラストを見せる黒いニーハイストッキングが、太腿からふくらはぎまでの美しいカーブを、よりコケティッシュに魅せるのに一役買っていました。

 そんなゆうこ先生の後姿にしばし見蕩れていた私。
 早く正面からの姿も見せてもらわなくちゃ、と気を取り直します。

「脱いだら早く、私の真正面に立ってください」
 
 ゆうこ先生はもう腕で胸を隠すことはせず、緊張した面持ちで私の前に立ちました。
 両腕をゆるく後ろに回して、休め、のようなポーズ。
 お顔は若干うつむき気味で、恥ずかしいのか嬉しいのか、頬から首筋あたりまでほんのり紅くなっていました。

 上半身には、バストにこんもりとした頂を突っ張らせた涙型の小さな布片が二つ。
 下半身には、両脚の付け根部分に鋭角な逆三角形の小さな布片が一枚だけへばりついています。
 
 そして、両脚の膝上15センチくらいまでの黒ストッキング。
 それ以外は何も身に着けていない、ゆうこ先生の妖艶なセミヌード姿でした。
 その美し過ぎる裸に、しばし瞬きを忘れてしまうほど。

「顎を上げて、私にその綺麗なのに淫靡なお顔も、もっとよく見せてください」
 
 冷静に、落ち着いて、って自分に言い聞かせながら、次の段階へ進むべく事前に考えておいた科白を、ゆうこ先生に投げかけます。

「それに先生。先生の両手は、その位置ではないでしょう?先生みたいな人には、もっとお似合いのポーズがあるのでないですか?」
 
 これは、ゆうこ先生にお借りした官能小説の中にあった科白と同じでした。
 ゆうこ先生のお顔が一瞬ハッと固まって、それから、なんとも言えない、いやらしいお顔に崩れながら私を見つめつつ、お腹の前で両手をゆっくりと合わせました。

 両手の指を絡めて組み、左右一つに組み合わさった手のひらを頭の後ろまで持っていきます。
 両肩が上がり、両肘が左右それぞれ耳の横あたりまで上がり、組んだ手のひらは後頭部に当てられました。
 例えるなら、腹筋運動をやるときの腕の位置です。

 この格好になることによって、左右の腋の下が全開になります。
 両腕を上げるので、胸を張った状態となり、左右のおっぱいを前に突き出すような姿勢になります。
 
 両手は頭の後ろでキープしているので、まったく使えなくなります。
 その結果、上半身、下半身ともまるで無防備となり、どんなイタズラをされても、隠すことも、抵抗することも出来なくなるポーズ。
 私のからだを自由にしてください、という意味の、誰が名づけたのか、マゾの服従ポーズ、なのです。

 ゆうこ先生は、恥ずかしさと嬉しさが入り混じっているのか、結果的に、はにかむようないじらしいお顔になって、私をじっと見つめてきました。
 ゆうこ先生のからだに一歩近づき、右手に持ったプラスティック定規の先端で、小さな布地の上から、左乳首をツンツンと軽くつつきました。

「あぁんーーっ!」
 
 ゆうこ先生が大袈裟な嬌声をあげました。

「あらあら先生、はしたないお声だこと。嬉しくて仕方ないのでしょう?定規でつついただけでも、ココがすっごく硬くなっているのがわかりますよ?」
 
 定規の角のところを乳首から左脇腹のほうへツツーッと滑らせます。

「うっぅーんっ~」
 
 ゆうこ先生の色っぽいお声。
 全身がもぞもぞ揺れています。

「そうですよね。こんなに綺麗なからだをしていらっしゃるのだもの、誰かに視てもらいたくて、仕方ないですよね?」
「本当に綺麗でいやらしいからだ。このおっぱいなんて、私、今すぐにでもめちゃくちゃに揉んでみたいもの」

「それにこのえっちな水着。いっそオールヌードのほうが、まだ女性美とか健康美とか言いつくろうことが出来るけれど、こんなのを着て、おまけに黒ストッキングなんて、露出狂のドMなヘンタイさんとしか、言いようが無いのではないですか」

 どの科白も本心から言っていました。
 本当に、今すぐむしゃぶりつきたいほど、えっちな衣装のえっちなからだでした。
 そんな科白を投げかけながら、ゆうこ先生の左右のおっぱいを、上から下から定規で軽くペチペチ叩きつづけました。

「ああんっ、お願い許してっ、いやんっ、いやーんっ!」
 
 ゆうこ先生は、からだをクネクネさせて身悶えつづけます。

「先生、私に見られて、お仕置きされて、ずいぶん感じちゃったみたいですね。下半身の布地、ビシャビシャですよ?穿いている意味がないくらい」
 
 定規の先をゆうこ先生の少し開いた両腿の付け根下にもぐりこませ、両内腿をペチペチ叩きました。

「あ、そこはだめんっ!あ、だめなのですぅ」

「何がだめなのですか?こういうことをしてもらいたいから、そんな水着を選んで、私とのレッスンに臨んだのですよね?」
 
 定規を引っ込めて、ゆうこ先生をまっすぐに見つめました。
 ゆうこ先生の潤んだ瞳が、もっとして、っと訴えかけていました。
 股間の布から内腿へ、重そうな雫がツツーッと一筋垂れていきました。

 ゆうこ先生の股間を隠す布は、本当に股の付け根からスジ一本を隠すためだけの機能しかありませんでした。
 もっとも今は、ビショビショに濡れて更に細くなり、その機能さえ危うくなって、たぶんお尻の穴は隠しきれていないでしょうけれど。
 
 以前ネットで、その部分に小さな絆創膏だけを貼った、大股開きのオールヌード写真を見たことがありました。
 そのモデルさんもパイパンで、本当にスジだけが隠れるほどの小さな絆創膏。
 いやらしい想像力を悪戯にかきたてる、すっごくえっちな写真でした。

 でも目の前のゆうこ先生のソコは、薄い布地越しに見事に透けて、無毛なその部分の形状をクッキリ浮かび上がらせていました。
 絆創膏写真以上のいやらしさを、ゆうこ先生が着けているビキニボトムは持っていました。

 ゆうこ先生の恥ずかしくもえっちなただずまいをひとしきり眺めて堪能した私は、次の段階へ進むことにしました。

「でも、先生の望みはまだ叶えられません。先生は、私とのお約束を守ってくれませんでしたから」

「えっ?」
 
 ゆうこ先生のお顔が一瞬、真顔になりました。

「お約束…って?」
 
 本当にわかっていないらしいゆうこ先生。

「私は、先生とのヒミツのレッスンのときは、昔、我が家に来たときに着ていた水着を着て、レッスンしてください、ってお願いしました」

「ええ。だから今日は、この水着をあらかじめ着て、直子ちゃんを待っていたの」
 
 ゆうこ先生がご自分の胸と下半身にあらためて目をやってから、照れたように微笑みました。

「でもそれは、あのときの水着ではありません」

「えっ?」

「あのときのはベージュ色でした。今先生が着けているのは白。違います」

「あれっ、そうでしたっけ?」

「はい。私、はっきり憶えています。って言うより、先生?そんなえっちな水着、何着もお持ちなのですか?」
 
 私は本気で呆れていました。

「えーっと。5、6着か、もっと・・・」

「うわー。それに、いつどこでどれを着たか忘れちゃうくらい、そんなに頻繁に、そういうのを着て遊んでいるのですか?」

「…冬場とか、これの上に暖かいコートだけ着てお買い物に行ったりもしています…」

「あのえっちなジーパンを穿いたりしても、ですね?」

「…はい…」
 
 ゆうこ先生ったら、明らかに嬉しそうにモジモジしています。

「わかりました。さすがはヘンタイ露出マゾの大貫先生ですね。それはもういいですから、とにかく私に、お約束通り、あのベージュの水着姿を見せてください、それとももう、あの水着は無いのですか?」
 
 心の中では、やっぱりゆうこ先生はスゴイ、って感嘆している私。
 
「いいえ、たぶんまだ、隣の部屋のクロゼットに…」

「だったら取って来てくださいっ!」
 
 少しヒステリック気味に叫んでしまいました。
 気を抜いたら、ゆうこ先生のヘンタイパワーに押し流されそう…
 今は私がエスなのだから。

 マゾの服従ポーズのままのゆうこ先生は、少し困惑気味でしたが、わかりました、とおっしゃって、窓際のソファーのところに歩いて行き、バッグからお部屋の鍵らしきものと壁にかかっていたフリースのスタジアムコートみたいなものを手に取りました。

 私の前を素通りして、スタジアムコートに腕を通しながら玄関へ向かおうとするゆうこ先生を定規で制しました。

「ちょっと待ってください」

「え?あ、はい?」

「今は、私とのレッスン中です。それで、前にしたお約束通り、私とのレッスン中は、あのベージュの水着以外を身に着けることは許しません」

「えっ!」
 
 ゆうこ先生のお顔が一瞬驚いた後、急激に淫らに歪みました。
 すがるような目つきになって、小さなお声で聞いてきました。

「…つまり?」

「つまり、その白い紐水着は今すぐ脱いでください。フリースもだめです」
「あ、そのストッキングはそのままでいいです。それは履いていたほうが先生、いっそういやらしいです」

「つまり、裸で隣の部屋に行け、ということ…ですね?」

「そうです。このフロアは両方とも先生のお家ですよね?エレベーターホールにちょっと裸で出るくらい大丈夫なのではないですか?それとも、宅配便の人とかが急に来るとか?」

「それは、事前にエントランスで連絡があると思うけれど…」

「それに、先生のことだから、普段からそういうこと、ちよくちょくしているのではないですか?」

「ううん。誓って言うけれど、どちらかの部屋でずっと裸なことはよくあるけれど、裸のままエレベーターホールには出たことは無いの。ちょっと出たいときは、今みたいに上に何か羽織るようにしていたから。だから今も習慣的にフリースを手に取ったのだけれど…」

 少し考えていたゆうこ先生は、やがて小さくうなずきました。

「なんだかそれはワクワクしてくる。なんで今までやったことなかったんだろう?」
 
 えっちな笑顔で私を見ました。

「ワクワクなんかしちゃだめです。これも先生に対するお仕置きなのですから」
 
 私もワクワクしながら、それでも努めて冷たい声で言いました。

「さ、早くそのお約束違反の、ジャマな水着を脱いじゃってください」


ピアノにまつわるエトセトラ 18

2011年11月26日

ピアノにまつわるエトセトラ 16

「バストを隠している両腕をどけてください」
 
 スーパーローライズなジーンズのショーゲキを消化した私は、あらためてじっくりゆっくり、ゆうこ先生の恥ずかしい紐ビキニおっぱいを見せてもらうことにしました。
 あの夏の日以来、ムラムラするたびに頻繁に思い出すほどのインパクトだった、ある意味全裸よりいやらしい、誰が見ても露出狂としか思えない、水着とさえ言えない水着。

 うつむいてもたもたしているゆうこ先生の腕に、容赦なくプラスティック定規を振り下ろします。
 ピシャッ!

「ぁあんっ!」

 甘えるようなため息を吐いた後、ゆうこ先生は観念したようにゆっくりと両腕をおろしました。

 ゆうこ先生の、豊満なのに垂れていない、形の良い西洋梨のようなおっぱい。
 その白い肌には、先端の部分にだけ幅4センチくらいの、涙型の小さな布が貼り付いていました。
 
 肩ストラップや涙型をつなぐ紐は、細くて透明なビニール製なので、ちょっと見では、両方のおっぱいの先端に小さな布だけがくっついているように見えました。
 そして、その布の左右とも、中央部分が盛大にポチッと突き出していました。

 ゆうこ先生もけっこう、乳首が大きいんだ…
 でも、小さな布なのに乳輪の翳りがはみだしていない…
 全部露になっているぽってりとした下乳のカーブのエロさといったら…
 あれから3年以上も経ったのに、プロポーションにますます磨きがかかっている…

 気をつけの姿勢でうつ向いてモジモジしているゆうこ先生の上半身を、至近距離で遠慮容赦なく舐めるように見つめながら、私はそんなことを考えていました。
 おっぱいを視姦し尽くした自分の目線がやがてまた、吸い寄せられるようにゆうこ先生の破廉恥な下半身に移ったとき、ハッと気がつきました。

「そう言えば先生?一月前のここでのレッスンのときも、そのジーンズを穿いていませんでしたか?」

「え、ええ…」
 
 ゆうこ先生が真っ赤なお顔を少しだけ上げて、私を上目遣いに見つめてきました。

「私が真面目にレッスンに励んでいるとき、先生は、えっとあのときはニットのロングセーターの下で、パイパンなアソコを半分はみ出させていたのですか?」

「は、はい。そうです…」
 
 ゆうこ先生の瞳がうるんでキラキラ光ります。

「お夕食のときも、お話しているときも?」

「はい…それで…」

「それで?」
 
 ゆうこ先生が悩ましいお顔で、私を見ながら小さな声でつづけます。

「わたしの恥ずかしい秘密を知ってもらいたくて、お帰り際の頃には、直子さまが気がついてくださらないかな?って、ドキドキしながらテーブルの下で、こっそりセーターの裾をめくったままにしていました…」
「結局、素子さんが来てしまったので、あきらめました…」
 
 唖然とする私。

「ほ、本当に…はしたない先生ですね。あの日もそんなに濡らしていたのですか?」
 
 つい、そのときのゆうこ先生の気持ちを思ってドギマギしてしまい、エムが勝りそうになる自分の心をなんとか抑えて、エスっぽい質問を浴びせます。

「はい。あのときはノーパンでしたから、もうジーンズはオモラシしたみたいにビショビショでした。直子さまお帰りになった後、直子さまを想って思いっきり自慰行為をしました」
 
 私を上目遣いで見つめてくるゆうこ先生。

「わたしがノーブラだったのは、気がついていくださったのでしょう?」

「は、はい…」
 
 ゆうこ先生のえっちな迫力に圧倒されそうな私。
 これでは、いけません。

「そ、そうでしたか。それなら今日は、もっともっと恥ずかしいメにあってもらいます!」
 
 今すぐにでもゆうこ先生に抱きつきたい衝動をこらえるために、持っていた定規で自分の左手のひらをパンッて強めに一回叩きました。

「はい。それではピアノに戻って、もう一度始めから弾いてください」
 
 今の、紐ビキニトップに恥丘半見えローライズ姿のゆうこ先生も充分いやらしくて、ここでピアノストリップは終わらせちゃってもよかったのですが、ここまで来たら、ローライズを自らの手で脱いで、いやらしい紐ビキニ上下の姿を晒すところまでが、SMプレイのお約束でしょう。

 ゆうこ先生がゆっくりとピアノに戻り、おもむろに弾き始めました。
両腕が左右にめまぐるしく動き、両肩が上下して上半身が揺れるたび、乳首だけを小さな布で隠したたわわな乳房がプルンプルンと躍動します。
 
 その動きで布がズレて、今にも乳首が飛び出しちゃいそう。
 私は、ゆうこ先生の肩越しから見下ろせる、奔放にユサユサ跳ね回るおっぱいに目が釘付けでした。

 今回は曲のかなり後半までノーミスでいきました。
 それにしても、綺麗な女性が半裸でピアノを弾く姿って、なんてエロティックなんでしょう。
 
 女性のからだの優美な曲線とピアノの鍵盤の直線とのコントラスト。
 白い肌の下で艶かしく緩んだり緊張したりする筋肉の動きと、鍵盤を滑るしなやかな指先。
 この腕が、この指先が、この後きっと、私のからだをいろいろとまさぐってくれるんだな、って思うと、からだがゾクゾク震えてきてしまいました。

 そんなことを考えてうっとり見蕩れている私にサービスしてくれたのか、ゆうこ先生は、たっぷりとセクシーな演奏姿を見せてくれた後、曲の終わり間際でやっと、ワザとらしいミストーンを一音鳴らしました。
 ハッと我に返る私。

「あ。また間違えましたね先生。もうこれで3度目ですよ。集中力が欠けていますね?」

「はい。ごめんなさい。直子さまに視られていると思うと、とても恥ずかしくって…」
 
 ゆうこ先生が上半身をこちらに向けて私を見上げ、両手のひらを上に向けたまま揃えて、物乞いをするような格好で両腕を差し出してきました。

「どうぞ、罰を、罰をください…」
 
 おねだりするような瞳で私を見上げてきます。

 私は、何も言わずに黙って3回、ゆうこ先生の手のひらから両手首のあたりを、プラスティック定規で、かなり強めに打ち据えました。
 
 パシンッ!
 パシンッ!
 パシンッ!

「あぁ~んっ!」
 
 眉根にシワを寄せた悩ましいお顔。
 色っぽいせつなそうなお声。
 もういてもたってもいられなくなってきました。

「そんな、えっちなジーンズを穿いているから、演奏に集中出来ないんです。それもさっさと脱いでしまいなさいっ!」
 
 ちょっと強い口調で命令しました。

 私が言われたいと思っていることが、ゆうこ先生が言われたいこと。
 私がされたいと思っていることが、ゆうこ先生がされたいこと。
 その言葉を思い出していました。
 
 ゆうこ先生の全身からムンムン放たれているえっちなマゾオーラにどんどん欲情して、ゆうこ先生のお顔をもっともっと歪めてあげたくて、たまらなくなりました。
 誰かに恥ずかしい命令をすること、言うことをきかせることの快感が、だんだんわかってきました。

「立って、こちらに来てください」
 
 ゆうこ先生がピアノを離れ、私の目の前にモジモジしながら立ちました。
 綺麗なお顔が淫らに火照っていました。

「お尻をこっちに向けてください」
 
 こんなとき、私ならどうされたいか?
 それは当然、お尻をぶたれたいです。

「3回もミスをした先生には、お仕置きが必要です。お尻をこちらに突き出してください」
 
 ゆうこ先生が回れ右で背中を向け少し足幅を開いてから、その場でおずおずとローライズジーンズを少しずり下げ、上半身を前に倒していきました。
 たわわなおっぱいが下へと垂れ下がり、それに伴って、くびれたウエストからまあるいカーブを描く形の良いヒップがこちらに突き出されました。

 ローライズで半分だけ隠された真っ白いお尻。
 前屈みになってもジーンズの狭い布幅でギリギリ、お尻の穴は隠せるみたいです。
 お尻のかなり低い位置に、透明なビニールの紐が通っているのがわかりました。

「両手はそれぞれ足首を掴んでいてください」

 パァーンッ!
 
 少しの間の後、何の前ぶれも警告も無くいきなり、ゆうこ先生の右の尻たぶをプラスティック定規で打ち据えました。

「あぁーんっ!」
 
 いやらしいお声で啼くゆうこ先生。

「なんだかえっちな声ですね?お尻をぶたれて、嬉しいのですか?これはお仕置きですよ?」

「そ、そんなことは…あぁーんっ!」
 
 ゆうこ先生のお返事が終わらないうちに左へもう一発。

「ほら、えっちな喘ぎ声。先生、絶対悦んでいますよね?」
 
 パァーンッ!

「いやぁーんっ!」
 
 パァーンッ!

「あああーーっ、お許しくださいぃ」

「ほらほらー、お仕置きされている間に早くジーパンを脱いじゃってください。ぐずぐずしていると、お尻が真っ赤っかに腫れちゃいますよ?」

「だって、直子さまが足首を掴んでいろ、って…」

「だって、って何ですか?口答えするのですか?」
 
 パァーンッ!

「いやーんっ!ごめんなさいぃ」
 
 パァーンッ!

「もうだめぇですぅ!脱ぎますぅ、脱ぎますからぁ」
 
 からだを120度くらいまで折り曲げた前屈みのまま、ゆうこ先生がちょうどアソコの前あたりに両手をあててモゾモゾしています。
 ジーンズの前ボタンをはずしているのでしょう。

「先生!絶対に自分で自分の気持ち良い場所を、さわったりしたらダメですからね!」
 
 パァーンッ!
 私もだんだん調子が出てきました。

「はぃぃ、直子さまのご命令には、もう絶対に逆らいませんからぁーっ!」
 
 ゆうこ先生の切なくも嬉しそうなお声。

 私は容赦なく、ゆうこ先生が突き出してくる弾力あるお尻を定規で打ちつづけました。
 真っ白だったお尻がみるみる薄桃色に色づき、肌を打ちつける淫靡な打擲音とゆうこ先生の桃色な悲鳴が、しばらくお部屋に鳴り響きつづけました。

 ヨロヨロしながらやっとのことで、ゆうこ先生がジーンズを膝上までずり下げました。
 ピチピチのきつそうなジーンズなので、お尻をぶたれながら脱ぐのは大変みたい。
 
 私の目の前には、思い切り高く突き出されたゆうこ先生のピンクに染まった裸のお尻。
 透明の細いビニール紐からTの字に、これまた細い布地がお尻の穴の上を通って前に回っていました。
 布全体がグッショリ濡れていてピタッと肌に貼りつき、お尻のスジの延長線のように、布の上に一本の卑猥なスジがクッキリと深く食い込んでいました。

「さあ、もうぶちませんから、さっさとそのえっちなジーンズを脱ぎ捨てちゃってください」
「脱いだらこっちを向いて。これから先生のえっちなからだを隅々までじっくり観察させてもらいます」

「だって先生は、恥ずかしい姿を見られるのが大好きなヘンタイマゾ女なんですものね?見せたくて見せたくて、しょうがないのですものね?」
「おっぱいがどんなになっているか、アソコやお尻がどんなになっているか、じっくり観察させてもらいますから」

 私がされたいことが、ゆうこ先生もされたいこと。
 しゃがみ込んでジーンズを両脚から抜いているゆうこ先生の丸まった背中に、私は快感をゾクゾク感じながら冷たくイジワルく言い放ちました。


ピアノにまつわるエトセトラ 17

2011年11月20日

ピアノにまつわるエトセトラ 15

 印象的なテーマにつづいて、ゆうこ先生のしなやかな指が鍵盤の上を軽やかに踊っています。
 右へ左へと縦横無尽。
 その見事な演奏は、SMアソビも忘れて聞き惚れてしまうほど。

 と、3度目のテーマのとき、曲をうろ覚えの私でもすぐにわかる、明らかなミストーンが聞こえました。
 ゆうこ先生の演奏もピタッと止まってしまいます。
 私は、ここだ!と思い、全身がカーッと急激に火照りました。

 七分袖から覗いているゆうこ先生の手首の甲のあたりの肌を狙って、持っていた定規を軽く振り下ろしました。
 ピシッ!

「あぁんっ!」
 
 シッペをしたときみたいな音につづいて、ゆうこ先生の色っぽいためいき。

「先生、今ミスしましたね?先生なのにミスしたら駄目じゃないですか?」

「はい。ごめんなさい」
 
 素直に謝ってくるゆうこ先生。

「先生と私のお約束では、先生は間違えたら一枚づつ、お洋服を脱がなきゃいけないっていうルールでしたよね?」

「は、はい…」
 
 私のほうに振り向いて、私を上目遣いでジーッと見つめてくるゆうこ先生の表情のえっちなことと言ったら…

「でも今回は初回ですから、そのチュニックのボタンをはずすことで許してあげます」
 
 襟元から両方のおっぱいの間くらいまで、ピッチリ留めてあるチュニックのボタン。
 私はとりあえず、ゆうこ先生のチュニックの下がどんな状態なのか、知りたくてたまりませんでした。
 ノーブラなのか、あの水着のブラを着けているのか、はたまた普通のブラジャーとかキャミソールなのか。

「は、はい。お心遣い、ありがとうございます」
 
 ゆうこ先生は、ピアノのほうを向いたままうつむいて、チマチマとボタンをはずし始めました。
 胸元まで全部。

「はずし終わったら、また最初っから弾いてください。今度は間違えないように」
 
 ゆうこ先生の胸元を覗きたい…
 はやる気持ちを抑えながら、私は極力冷たい声で、ゆうこ先生に告げました。

 ゆうこ先生が両手を鍵盤の上に置いて、再び弾き始めました。
 腕が激しく動くにつれてゆうこ先生のからだとチュニックの布の間に隙間が出来て、背後に立つ私から、ゆうこ先生のむっちりとしたバストの谷間が覗けるようになりました。
 
 ドキンッ!
やっぱりゆうこ先生は、紐状水着ブラを着けていました。
 ブラジャーとしてほとんど意味を成していない、ただ乳首だけを覆う小さな涙型の布。
 ゆうこ先生の形の良いおっぱいが、襟ぐりの中にほとんど見えていました。
 でも…

 そのときまた、ミストーンが聞こえました。
 さっきの場所より少し早い小節です。
 私はすかさず、今度はゆうこ先生の左腕を定規で打ちすえました。

「あんっ!ごめんなさいぃ」
 
 うつむいたままのゆうこ先生の両肩が細かくプルプル震えています。

「2度目ですよね?今度は容赦はしませんから。お洋服を何か一枚、脱いでもらいます」
 
 背中をゾクゾクさせながら、お芝居っぽい冷たい口調で言い放ちました。

 ゆうこ先生が今、身に着けているのは、上半身には膝上丈のチュニックと紐水着、下半身にはスリムジーンズとおそらくストッキングとあと何か。
 靴はピアノのペダル操作がしやすいように白いフラットシューズに履き替えていました。
 何か一枚と言ったら、必然的にチュニックかジーンズになるでしょう。

「そのお靴は、ピアノ演奏に必要でしょうから、お洋服にカウントしません。履いたままでいてください」
 
 私は念のため、そう釘を刺しました。

 ゆうこ先生は、どちらを先に脱ぐでしょうか?
 以前のお話から考えると、下半身、つまりジーンズになりそう。
 でも、おそらくその下は、アソコのワレメ周辺だけが隠れる程度の小さな布片ビキニのはずです。
 
 難しい曲のピアノ演奏では、足元のペダルの操作もけっこう忙しくて、大きくではないにせよ足を頻繁に動かすことになります。
 両脚が開いたり閉じたりすれば、股間の紐状の布はどんどん中央の溝に食い込んじゃうはず。
 加えてゆうこ先生、もう股間はビチャビチャのはず。
 濡れた布地は、乾いているときより、より細い紐状になりやすいことは、私も経験上知っていました。
 
 うわー、それはかなり恥ずかしそう…スジにどんどん食い込んじゃう…
 あ、でも、チュニックの裾でかろうじて隠せちゃうかも?
 それともパンストを上に穿いているのかな?
 ドキドキしながらも瞬時にいろいろいやらしいことを考えて、自分で盛大に恥ずかしがっていました。

 エスの人がこんなことではいけません。
 気を取り直して、つい同調しがちなエムの気持ちを抑えこみ、エスの気持ちを思い出します。

「座ったままでは先生も脱ぎにくいでしょう?こちらに出てきて、ここに立って、脱いでください」
 
 ピアノから一歩退いて、ゆうこ先生の肩を定規でポンと軽く叩き、振り向いたゆうこ先生の目線を、定規の動きで私の正面の位置に誘導しました。

 おずおずと私の前に立ったゆうこ先生は、上気したお顔で私を5秒くらい見つめてから、ふっと目を伏せて、おもむろにチュニックの襟元に手をかけました。
 
 えっ?
 それを脱いだらゆうこ先生は、乳首だけかろうじて隠れたあの紐水着姿で、豊満なロケットおっぱいをプルプル揺らしながらピアノを弾きつづけなければなりません。
 その場面を想像して、自分がするわけでもないのに、またまた恥ずかしさに身悶えしてしまう私。
 
 さすがにご自分で、わたしは直子ちゃん以上のヘンタイさんだから、って豪語するだけあって、視てもらいたくって仕方ないんだなー、ゆうこ先生ったら…
 少し呆然としてから、私の心の中に、ますますゆうこ先生をめちゃくちゃに虐めてみたい、という衝動がフツフツと湧き起こってきました。

 ゆうこ先生は、両腕をモソモソさせてチュニックの両袖から腕を抜こうとしています。
 裾をまくって頭からチュニックを脱ぐのではなく、両腕を抜いて肩先から下へ落とす脱ぎ方をしたいようです。
 
 そうですよね。
 その脱ぎ方なら、束の間でも両腕で胸をかばって隠すことが出来ますから。
 そう考えているうちに、ゆうこ先生の足元に淡いブルーの布がひとかたまり、パサッと落ちました。

「ぅわっ?!」
 
 私のほうがそう一声大きな声をあげた後、文字通り絶句してしまいました。

 私の一メートルくらいの目の前に立っているゆうこ先生。
 からだを前屈みにちぢこませて、両手を胸の前で交差させて、紐ビキニからはみ出ているおっぱいを恥ずかしそうに必死に隠しています。
 
 視線は上目遣いで、私を見ているような見ていないような…
 プラスティック定規でゆうこ先生の腕を叩いて、

「どうして隠すのですか?えっちなからだを見てもらいたいから、そんな水着を着ているのですよね?ほら、早く腕をどけてください!」
 
 なんてお約束の科白を言うのさえ忘れて、私の視線は、ゆうこ先生の下半身に釘付けでした。

「そんなジーパン、どこで売っているのですか?」
 
 私は、ゆうこ先生の内股気味にくの字に交差した両脚の、付け根付近をまじまじと見つめながら、好奇心剥き出しの声を投げかけていました。

「ネットショップでみつけて、少し遠かったけれど、わざわざお店まで買いに行きました…」
 
 ゆうこ先生のか細いお声。

 ゆうこ先生が穿いていたジーンズは、ローライズにもほどがある、って言いたくなるほどのローライズな、見るからに悩ましいジーンズでした。
 股上なんてほんの5センチくらい。
 
 腰骨から両腿の付け根へと集まる左右の腿のVラインがくっきり見えていて、おへその下の下腹部からいわゆる土手がぷっくりして性器の始まるすぐ手前あたりまで、の素肌が丸々露出していました。
 
 そしてまた、ゆうこ先生のお腹から下が綺麗で、なおかついやらしいんです。
 画用紙みたいに真っ白でまっすぐで、土手のあたりだけ艶かしくぷっくりしていて。

「先生、ちょっと後ろを向いてみてください」
 
 前屈みのまま、お尻をこちらに突き出すように後ろ向きになったゆうこ先生。
 思った通り、お尻の割れ始めからくっきり3センチくらい、お尻のスジも丸見えでした。
 これでもししゃがんだら、お尻の穴までお外に出ちゃうんじゃ…
 ピッチリしたジーンズなので、柔らかいお尻のお肉や太股の皮膚がジーンズ地に締め付けられてたゆたゆとふくらみながらはみ出ていて、すっごくいやらしい。

「先生…ずっとこんなの穿いていたんですね…」
 
 再び正面を向いたゆうこ先生に近づいて中腰になって、遠慮無くゆうこ先生の下半身に顔を寄せました。
 ノーパンで穿いているのか、それともあの水着も着けているのか?
 パンストは穿いていないことだけは、明らかになりました。
 
 あの水着を着ているなら、もともと本当にスジの部分にあてがう位の布の分量しかないので、こんなローライズな股上でも水着は隠れてしまうでしょう。
 どちらにしろ、いずれはわかることなので、ここでは質問しないことにしました。

 それよりも、もっと気になることがありました。
 ぷっくりとふくらんでいる、いわゆる土手の部分がジーンズの布地からほとんど覗いていて、そこにはまったく毛がありません。
 剃ったような痕も、新しく生えてきそうな気配も、まったく無いのです。

「先生は、ここのヘア、処理しているのですか?それとも…」
 
 ゆうこ先生の下半身の目前に子供のようにしゃがみ込んで、その部分をじっと見つめてあげながら、イジワルっぽく投げかけました。

「わたし、ずいぶん前にソコ、永久脱毛しちゃったのです…マゾですから…」
 
 頭の上から、ゆうこ先生の恥じらいに満ちたか細いお声が降ってきました。

「知り合いのエステの先生に相談して…整形外科の女性の先生、紹介していただいて…」
「マゾには、毛なんか必要ないですから…そのほうが、よーく見てもらえますから…」
「レーザーで、すごく痛くて、すごく恥ずかしかった…です…」
 
 今にも泣き出しそうに、羞恥に染まって掠れたささやきの告白を聞きながら、私は気がつきました。
 ジーンズの太股の付け根付近の狭い布地が湿って、左右内腿のかなりの範囲にわたってシミのように色が濃くなっていることを。

 私の頭はクラクラしていました。
 もう、コーフンしすぎて、今すぐにもゆうこ先生を丸裸にして、私も裸になって、思う存分抱き合いたい、弄り合いたい、って思いました。

 でも、それじゃだめなんです。
 まだふたりのレッスンは始まったばかり。
 もっともっとゆうこ先生を虐めれば、もっともっと私も気持ち良くなれるはずなんです。


ピアノにまつわるエトセトラ 16

2011年11月19日

ピアノにまつわるエトセトラ 14

 歩きながら考えていたのは、ゆうこ先生は今日ご自宅で、どんな格好をしてお出迎えしてくれるのかな?ということでした。
 
 前回のゆうこ先生のお家でのレッスンの帰り際、私はゆうこ先生に、あの水着を着てレッスンしてください、ってお願いしていました。
 いいえ、あのときにもう二人のSMのプレイが始まっていたとしたら、命令、と言ってもいいかもしれません。

 私が中学2年生の夏休み。
 我が家でのガーデンパーティでゆうこ先生が身に着けていたベージュのビキニ水着。
 
 上下ともほとんど細い紐状で、必要最低限の箇所だけ、かろうじて隠せるくらいの過激過ぎる水着。
 いっそのこと脱いで裸になっちゃったほうがいやらしさが減るだろう、って思うほど恥ずかしすぎるえっちで露出狂な水着。

 あれを着て玄関先で迎えられたら、私は思わず抱きついて、ゆうこ先生を押し倒してしまうかもしれません。
 だけど、確かゆうこ先生は、プレイはいつものレッスンが終わってから、ともおっしゃっていました。
 
 ということは、まずは普通にレッスンをして、それから着替えてくれるのかな?
 普通のお洋服の下にあらかじめ着ておいてストリップしてくれる、っていうのも考えられるかな…

 そんな勝手な妄想をしつつ、両足は着実にゆうこ先生のマンションに近づいていました。
 ゆうこ先生が教えてくれた目印になる建物が的確だったので、けっこう複雑な順路なのですがまったく迷わずにマンションの入り口までたどり着けました。

 キンコーン。
 エントランスでゆうこ先生をお呼びしてロックを解除してもらい、エレベーターで7階まで上がります。
 
 エレベーターホールから向かって左側のドアの前に立ちました。
 高鳴る胸の鼓動を、深呼吸を一回して落ち着かせてから、ドアチャイムを押しました。
 ピンポーンッ。

 ゆっくりと開いてくる外開きのドアの向こうに現われたゆうこ先生は、きわめて普通の格好をしていました。
 膝上10センチくらいの柔らかそうな生地でゆったりとしたシルエットの、淡いブルーの七分袖チュニック。
 
 ボトムは、たぶんこの間と同じ、ウォッシュアウトのスリムジーンズ。
 スリッパと裾の間からは黒のストッキングが覗いていました。

 私は、ですよねー、って感じで少し落胆しつつも、ゆうこ先生のニコニコ微笑んでいる綺麗なお顔を見て気を取り直し、今日これから、いったいどんなことになるのか、抑えようもない期待が新たにどんどん膨らんできて、ゆうこ先生につられるように自然と満面の笑顔になっていました。

 お部屋の中は、心地良い温度に暖まっていて、私はコートとブレザーも脱ぎ、制服の赤いリボン付き長袖ブラウスと膝丈スカート、白のハイソックスという姿になりました。
 レッスン前のお茶とケーキで雑談のときは、二人ともわざとらしいくらいに普通のお話をして、えっちな話題にはいっさい触れないようにしていました。
 まるでそこに暗黙の了解でもあるように。

 今日のゆうこ先生は、髪の毛をアップにしてサイドで束ねて、その端正なお顔立ちがなおさら際立ち、すっごく綺麗な上に、いつもよりいっそう若々しくも見えました。
 私とゆうこ先生は、20センチの距離を保って隣り合って座り、私は、沈黙を怖がっているみたいにいつもよりよく動くゆうこ先生の唇を中心に、その美しいお顔にずっと見蕩れていました。

 いつもより短かめで切り上げたお茶会の後、お隣のお部屋に移ってピアノレッスンが始まりました。
 このお部屋は土足仕様なので、私は茶色いローファーを、ゆうこ先生は黒くてヒールの低いパンプスを履いています。
 こちらのお部屋も準備良く、すでに適温に暖められていて、これなら裸になっても寒くありません。

「今日のレッスンはちょっと、番外編ね。直子ちゃんにコード弾きのこと、教えてあげる」
 
 ゆうこ先生がご自分で作られたらしい何枚かのプリントを私に手渡してくれて、ご説明が始まりました。

「クラシックピアノだけを習っている人は、意外と教えてもらえないのよね、コードの概念」

「楽譜に書かれた音符と記号通りに間違えずに弾くのはもちろん大切なことだけれど、各メロディに呼応する和音を知って、それを応用して自分っぽくアレンジ出来ることを知ると、ピアノを弾くのがますます楽しくなるわよ」
「もちろん、クラシック曲の演奏ではそんなことは、ご法度だけどね。でも、ポップスやロック、ジャズの世界ではこっちが主流。コードに慣れておくと、バンドとかでいろいろ楽しく遊べるわよ」
 
 ご説明されながら、ゆうこ先生が私の背後から両手を伸ばし、私の背中にご自分の胸を押し付ける体勢で、手ほどきが始まりました。

 長調と短調の三和音と四和音。
 曲全体の基本音階、キー音のみつけ方とその調で使える音階、スケールのこと。
 トップノートを動かすことで響きががらりと変わったりすること。
 などなどをわかりやすく解説してくださいました。

 背中に押し付けられるゆうこ先生の胸に、始めのうちはドギマギして気が散りがちな私でしたが、ゆうこ先生のご説明をお聞きしながら、実際に鍵盤を叩いているうちに、どんどんコード弾きに興味が湧いてきて、いつのまにかレッスンに集中していました。
 
 あっ、という間に2時間近くが経ち、私は、楽譜も見ずにコード譜だけで、ビートルズのレットイットビーをそれらしく弾けるようになっていました。
 最後にゆうこ先生にピアノを譲り、ゆうこ先生がジャズ風とバロック風に即興アレンジしたステキなレットイットビーを披露してくださいました。

「はい。これで今日の直子ちゃんのレッスンはしゅうりょおーーーっ!」
 
 明るく大きなお声で宣言して、ピアノのペダルから足を外したゆうこ先生。
 時刻は午後の5時ちょっと前。
 サスティーンしていた和音が途切れ、沈黙が訪れたレッスンルーム。
 
 スクッと立ち上がり私のほうに振り向いたゆうこ先生のお顔は、さっきまでとは打って変わって、目尻に涙を湛えているような、潤んだキラキラお目目になっていました。
 何て言うか、訴えかけるような、媚びるような、淫らな、でもすごく美しいお顔…

 ゆうこ先生は、そのままスタスタと奥の窓際の応接セットのところまで歩いて行き、ソファーに置いてあったバーキンバッグを手に取って提げ、また戻ってきました。

「直子ちゃんに、これを…」
 
 ゆうこ先生がバッグから取り出して私に差し出してきたのは、プラスティックの30センチ定規でした。

「ここからは、直子ちゃんがわたしの先生で、わたしは出来の悪い生徒、ね?わたしを厳しく、躾けてください」
 
 ゆうこ先生がみるみるうちにマゾのお顔になっていきました。

 頬から首筋にかけて薄桃色に染まり、眉が悩ましげに寄って、伏目がちに睫毛が瞬き、お口が少しだけ開き、唇がテラテラと濡れそぼっています。
 中二のとき、父が隠し持っていたSM写真集で見て、私の性癖を目覚めさせてしまった、縛られたモデルさんたちの儚くも美しいお顔。
 
 やよい先生に撮られた写真や自分で撮ったビデオで、自分もそういう表情になることを知っている淫らさ全開の顔。
 ゆうこ先生は今まさに、そんなお顔になっていました。

「あ、でも虐めてもらうのに、直子ちゃん、て馴れ馴れしく呼ぶのはおかしいわよね…かと言って、ご主人様とか、なんだかお芝居じみていて、かえって白けちゃうし…うーん…」
 
 ゆうこ先生がお悩みモードに入ってしまいました。

「うーん…まあ、ここは普通に、森下さん、って呼ぼうか…でも森下さんだと、お母様のほうのお顔も浮かんじゃう…」
「わたし、年下の女の子に虐められたいっていう願望もずっと持っていたから、ストレートに直子さま、にしよっか」

「わたしはずいぶん年上だけれど、直子さまには絶対に逆らえないの。直子さまは、わたしがドMの露出狂なことを知っていて、それを世間に暴露されたらわたしは破滅してしまう…ふたりはそんな関係という設定で、ね?」

「はい」
 
 私が考えてきた妄想でも、ふたりはそんな感じの関係だったので、私も即答で従いました。

「それでは直子さま。まずは、わたしのピアノ演奏を聴いてください」
 
 さっきの私のレッスンのときとは打って変わって、ピアノに向かってもなんだかモジモジ頼りないご様子なゆうこ先生が、一呼吸置いてからおもむろに演奏を始めました。
 
 ストラヴィンスキーのペトリューシュカ。
 私にはまだまだ、とうてい弾きこなすことの出来ない難曲です。
 
 そして、この曲にまつわるゆうこ先生のエピソードと言えば…
 つまり、ゆうこ先生は、ゆうこ先生が高校生の頃に受けたドSな女性講師さんとの思い出のレッスンを、まず再現してみることにしたみたいです。

 私は、腰掛けているゆうこ先生の背後に立ちました。
 ゆうこ先生は、チュニックの襟元のボタンを一番上までキッチリ留めていたので、上から見下ろす格好になっても、ゆうこ先生の胸元の素肌を覗きこむことは出来ませんでした。
 
 ゆうこ先生は、このチュニックの下にあの水着を着けているのかしら?
 いずれにしてもまずは、お約束通りゆうこ先生にあの水着姿になってもらって、羞じらう姿をじっくりと見せてもらわなければなりません。

 ゆうこ先生の背後で、手渡されたプラスティック定規で自分の左手のひらを軽くパチパチ叩きながら、ワクワクする気持ちがどんどん高まっていく私でした。


ピアノにまつわるエトセトラ 15

2011年11月13日

ピアノにまつわるエトセトラ 13

「なおちゃん、ずいぶん大貫さんに気に入られちゃったみたいね?」
 
 帰宅する車の中で母に、からかうみたいな口調で笑いながら言われました。

「飲み込みが早いし、一度注意すれば同じミスはくりかえさないし、って、ずいぶん褒めていたわよ」
「なおちゃんは、先生運がいいのね。百合草先生にしても大貫さんにしても」
 
 母は、なんだか上機嫌でいろいろ話しかけてきます。
 私は、曖昧にお返事しつつも、お尻がくすぐったいような、ビミョーな罪悪感を感じていました。

「大貫さんは、いろいろご苦労されたみたいだけれど、音楽家みたいな華やかなお仕事をされていてもだらしないところはないし、きちんとしたかただから、ママも大好き」
「うちでピアノを買うことになったときも、なおちゃんの前でいきなり弾いてびっくりさせちゃおうと思って、大貫さんにご相談して、彼女のお家でこっそり練習させてもらったのよ」

「あれってやっぱり、そうだったんだ?」

「それに、あのかた、ファッションセンスいいでしょ?プロポーションもバツグンだし、あんなお美しい方と離婚される旦那さまがいるなんて、信じられないわ」
 
 母は、まるでご自慢の身内の人みたいな感じで、ゆうこ先生を褒め称えていました。
 裏話を聞いてしまったばかりなので、若干の居心地の悪さを感じながらも、なんだっかすっごく嬉しい気持ちにもなっている私でした。

 その週の金曜日にも、ゆうこ先生が我が家を訪れました。
 月曜日のことなんて無かったみたいに、いつも通り母と3人で雑談して、いつも通りピアノのレッスン。
 
 レッスンの最後に恒例となっているゆうこ先生の模範演奏は、ドビュッシーの月の光でした。
 透明感のある素晴らしい演奏にうっとりしました。

 レッスンが終わってお夕食待ちの雑談中、やっと月曜日の流れに沿った話題がゆうこ先生のお口から出てきました。

「それで、次のうちでのレッスンはいつにしよっか?」
 
 ゆうこ先生が綺麗な瞳をキラキラさせて、私に聞いてきました。

 私の期末試験が控えているので来週、再来週は無理だから、12月の第一週、私のお誕生日が間近に迫った金曜日、ということになりました。
 17歳寸前に、私はエスデビューするのか…
 そんな、よく考えてみればすっこく意味の無い可笑しな感慨が、ふと湧きました。

「ところで、あの本は読んでみた?」
 
 ゆうこ先生のひそひそ声に我に返りました。

「あ、はいっ」

 ゆうこ先生のお家でのレッスンの帰り際にこっそり渡された一冊の文庫本。
 私は、いただいた日の寝る前から、すぐ読み始めました。
 その夜に、その本は持ち歩いて読むような種類の本ではないとわかったので、机の鍵のかかる抽斗にしまって、次の日からは、学校から帰って寝るまでの間にワクワクしながらじっくり読みました。
 
 紙面が少し変色し始めるくらい古い発行の本のようで、くりかえし何度も読まれたのでしょう、文庫本全体がなんだかクタッとくたびれていました。
 それは、一般に官能小説と呼ばれる類のえっちなシーン満載のSMチックな物語でした。

 とある全寮制の女子学園でくりひろげられる愛欲や嫉妬、策略や陰謀に満ちた百合物語。
 主人公的立場のSとMのカップルに加えて、ドSな美貌の女性寮長や気弱で言いなりの可憐な新入生などが、学園内や寮内でさまざまな痴態をくりひろげていました。
 
 性的な表現をわざとらしく過剰にお下品に書いているようなところもありましたが、全編、お上品な良家のお嬢さま風雰囲気を基本として進行し、物語としても普通に面白く、二晩で一度目を読み終えました。
 
 ゆうこ先生がおっしゃった、参考になる、っていう意味もすぐ理解出来ました。
 それから、M属性の登場人物に感情移入しつつもう一度読み終えて、今度はS属性の人の気持ちになって、更にもう一度読み返していました。

「あの本はね、わたしが先生からもらったものなの。高校1年のとき」
「それまでそんな小説、一度も読んだことなかったから、当時は文字通り、ぶっとんじゃった。それで夢中になって、何度も何度も読み返したの」
「レッスンのときに先生が登場人物と同じ科白を言ったりしてね。二人の共通言語だったな」
 
 ゆうこ先生が懐かしそうに目を細めて宙空を見つめました。

「直子ちゃんは、気に入ってくれた?」

「はい。すっごく」

「参考になった?」

「はい。とっても」

「そう。よかった。レッスン当日が楽しみね」

 ゆうこ先生宅でのレッスン以前に、その後2回、我が家でのレッスンがありました。
 そのとき、レッスン後の雑談の流れで聞かせていただいたのが、私の母について、ゆうこ先生から見た印象でした。

「素子さんはね、一言で言うと、すごく出来たお嬢さまがそのままオトナになった、って感じかな」
「あの人はね、物事に対して否定的な捉え方をしないの。どんなにつまらないことでも、そこに何かしらの面白みをみつけて楽しもうとするタイプなのね」

「物腰が柔らかくて、気取ったところも無いでしょ?ちょっとフワフワしていて、一見捉えどころが無いようにも見えるけれど」
「でも、芯が一本通っているから、たとえば性格が合いそうも無い人とかとご一緒することになっても、あの人自身にはブレがないの。懐が深いのね」

「だから、いったん気が合っちゃえば、一緒にいて楽だし、楽しいし、リラックスした気持ちになれるし、おまけに包容力もあるから、自然とまわりに人が集まってくるのよね」
「実の娘さんを前にして言うのも失礼だけれど、ちょっぴり天然なとこもあって、普通の人にとっては何でもないことをすごく驚いてくれたり、感心してくれたり」
「でも、そういうところも含めて全部、可愛らしく見えてしまうのは、素子さんの人徳よね」
 
 母を盛大に褒めてもらって嬉しいのは嬉しいのですが、娘としては、すっごくこそばゆい感じです。

 ゆうこ先生が少しお声をひそめました。

「ずっと前に直子ちゃんちでやった水着パーティのときも、わたしはレイカ、あ、タチバナさんのことね、に言われて、あの水着を着たのだけれど、素子さんは、純粋にわたしのプロポーションを褒めちぎってくれたの」
「あんな水着だもん、普通だったら、何て言うか、性的な気まずさ?道徳的なはしたなさ?みたいな、こう、一歩引いちゃう感じもするじゃない?」

「直子ちゃんのお母さまは、そんなことぜんぜん気にしないで無邪気に、こういう水着がお似合いになるのは、大貫さんしかいないわ!なんて本当に嬉しそうに言ってくれるの」
「素子さんもすごくキレイなプロポーションなのにね」
 
 ゆうこ先生は、なぜだかうつむいて照れていました。

 生憎そのときは、そこまでお話が進んだときにお夕食の時間になってしまったので、あの夏の日の詳しいあれこれまでは、お聞きすることが出来ませんでした。
 
 でもいいんです。
 それは12月のレッスンのとき、あの水着を着たゆうこ先生を虐めながらじっくり聞き出そうと、即席エス役に任命された私は、夜な夜なあれこれ、計画を練っていました。

 そしていよいよ、ゆうこ先生のお宅でのレッスン日がやって来ました。

 その日は、タイミングの良いことに学校の都合により、授業は全学年、午前中で終わりの日でした。
 
 私は、お弁当を食べた後に直接、ゆうこ先生のお宅へ伺うことになっていました。
 更にその日は、母が遠出をして一泊しなくてはならない用事があり、帰宅もお迎えも出来ないので、期末試験も終わったことだし、どうせならゆうこ先生のお宅にお泊りしてじっくりピアノの極意を教えていただきなさい、ということになっていました。
 
 無人のお家のお留守番は、篠原さんが快く引き受けてくれました。
 なんてラッキーなめぐりあわせ。
 土曜日の朝まで、半日以上ゆうこ先生と二人だけで過ごせるのです。

 えっちなお道具もいくつか持っていったほうがいいかな、とも思いましたが、すぐに却下しました。
 だって、その日は学校から直行。
 ということは、お道具もまず学校へ持参しなければなりません。
 
 もしも抜き打ちで持ち物検査とかあったら…
 そんなことキケン過ぎます。
 それにきっと、ゆうこ先生もそういうお道具をいくつかは持っているはず。
 ひょっとしたら、すでに準備良く、お部屋に用意されているかもしれません。

 そんなわけで、愛用のトートバッグに着替え用の下着とジーンズ、ニットを詰め、一番底にお借りした文庫本だけしのばせて、制服にコートを羽織った姿で、ゆうこ先生の最寄り駅に降り立ちました。
 
 時刻は午後2時前。
 今日は、ゆうこ先生の駅でのお出迎えはありません。
 
 よく晴れたいいお天気でしたが、さすがに吹く風は冷たく、行き交う人も背中を丸めがちな商店街。
 ワクワクな気持ちを抑えきれない私は、そんな商店街を足早に歩き始めました。


ピアノにまつわるエトセトラ 14

2011年11月12日

ピアノにまつわるエトセトラ 12

「先生とのSMなレッスンは、高校3年の秋ごろまでずっとつづいたの。もちろんわたしの受験もあるから、3年生の頃は月2回ぐらいだったけれど、わたしと先生は会うたびにいろいろえっちなアソビをして、お互いが満足するまで快楽を貪り合っていたの」
「それが、あることを境にガラッと状況が変わってしまったのね」
 
 ゆうこ先生が久々にワイングラスのほうに唇を触れさせました。

「先生がピアノを教えていた生徒さんの一人が、ヨーロッパの、フランスだったかベルギーだったか、のコンクールで入賞しちゃってね」
「しちゃってね、っていう言い方も失礼だけれど、それも、18歳の男の子。わたし、あの先生が男の子にもレッスンしていたなんて、想像もしなかったし、出来なかったな」

「その子が中学生だった頃から、っておっしゃっていたから、わたしと同じくらいの期間、並行してずーっとレッスンしていたことになるの」
「その子がまた、あ、でも、コンクールのビデオを見せていただいただけで、実際には会ってはいないのだけれど、その子がまた、何て言うか、らしくないルックスなの」

「180センチはあるがっしりした体格で坊主刈り、顔はまあ普通。少し田舎くさい純朴な感じ?」
「高校では陸上部で幅跳びかなにかをやっていたんだって。もろ体育会系。先生が言うには、その子は、一人きりで黙々と作業するのが大好きなタイプだったそう」

「でも、彼のピアノ、確かに凄かった。ダイナミックでいながら情感に溢れていて、繊細なタッチもちゃんと出せていて」
「向こうでは、彼のその求道的な雰囲気から、ブシドーピアニスト、とかニックネームつけられて大人気だったそうよ」
「先生ったら、その子にはずっとちゃんと、真剣にピアノ教えていたのよね。わたしとは、えっちなことばかりしていたのに」
 
 ゆうこ先生が小さく笑いました。

「その男の子のビデオを見て、わたしは少なからずショックだった。わたしも、ちゃんとピアノをレッスンしてもらっていたら、彼の代わりに今頃ヨーロッパで歓声を浴びていたかもしれないのかな、なんて、しょーもない想像をして」
「もちろん先生に問い詰めちゃったわ。まさか先生、彼にもわたしとやっているようなこと、しているのじゃないでしょうね?って」
「先生は笑いながら、わたくしはまったく男性には興味がありません。だからむしろ遠慮なくビシビシしごけるから、やりがいがあるわ、ですって」

「それで、それ以降、先生のお仕事が格段に忙しくなってしまったの」
「東京やら海外に長い間行ったきり、帰って来れない日々がつづいて」
「その年の10月以降は、まったく会えなくなってしまっていたの」

「それまで、わたしは地元の大学に進んで、今のバンドメンバーとバンドつづける気だったのね。もちろんプロデビューを狙って」
「だけど先生に会えないのなら地元にいることもないかな、って考え始めて」
「それで急遽、東京の大学を受験することに決めたの」

「それで、東京で初めて男性とヤって、同じ頃にタチバナさんと出会うことになるのだけれど…」
 
 おっしゃりながら、ゆうこ先生がご自分の腕時計をチラッと見ました。

「あらやだ。もうこんな時間。そろそろ素子さんがお迎えにきちゃうわね」
「えーっ?もうそんな時間ですか?」
 
 ゆうこ先生のお話のつづきが聞きたくて聞きたくて仕方なかったのですが、母が同席しているところで、そんなお話をつづけるわけにもいきません。
 がっかりした気持ちを隠さずに、黙ってゆうこ先生のお顔を見つめていたら、ゆうこ先生がスススッとソファーの上のお尻をすべらせて20センチの距離を詰め、私の横にピッタリと寄り添ってきました。

「つづきは次の機会にまたゆっくりとお話することにして、とりあえず今日の結論を急ぐわね」
 
 ゆうこ先生が至近距離から、私の顔をじーっと見つめてきます。

「今までのわたしの話を聞いた限りでも、わたしが直子ちゃん以上のヘンタイだって、わかったでしょ?」
 
 そんなにストレートに聞かれても、私は肯定していいものか悪いものか、判断に困ってしまいます。
 確かに私と同じくらいの、ヘンタイさんだとは思うのですが。
 どちらとも答えずに、ゆうこ先生の綺麗なお顔を見つめていました。

「わたしはね、女性に対してはエムで、男に対してはエスになってしまう、いやらしいヘンタイバツイチ女なの」
 
 ゆうこ先生の潤んだ瞳が射るように私を見つめてきます。
 私の胸は、ワクワクドキドキ最高潮。

「そんなわたしの、今、一番の願いはね…」
 
 ゆうこ先生がご自分の左右の指を合わせてお腹の辺りで組んだあと、そのままご自分の後頭部に持って行きました。
 ゆうこ先生が身に着けているニットが全体的に上にずり上がって胸元に貼りつき、モヘア越しにもバストの頂上部がこれみよがしに突起しているのがわかりました。
 
 それは、ある意味を持つ、私も大好きなポーズ…
 私の心臓がドキンと跳ね上がりました。

「直子ちゃん?」

「は、はいっ!」
 
 私のうわずった声に、ゆうこ先生がクスリと笑いました。
 でもまたすぐに、真面目なお顔に戻りました。
 この後につづくゆうこ先生のお言葉が、なんとなくわかる気がしてドキドキがいっそう高鳴ります。

「直子ちゃんに、虐めて欲しいの」

「えっ!?」
 
 両手を後頭部に回してバストをこちらに突き出しているゆうこ先生が、哀願するような、媚びるような、何かを期待する目つきで私を見つめてきます。
 私は、直子ちゃんと気持ちいいことしたいの、もしくは、直子ちゃんと一緒に恥ずかしいことしたいの、みたいな言葉を予想していたので、かなり、心の底から、ビックリしていました。
 
 私が、この私が、虐める側?

「レッスンで直子ちゃんと会うたびにそういう欲求が膨らんで、もう抑えられなくなってしまったの。直子ちゃんにわたしの恥ずかしい姿を見られたり、わたしのいやらしいからだを虐めたりして欲しいの。どうかお願い。お願いします」
 
 ゆうこ先生は、頭の後ろに組んでいた両手を解き、私が腿の上に置いていた両手をやんわり握ってきました。

「で、でも…私が、ゆうこ先生を、虐める、のですか?」
 
 ゆうこ先生の汗ばんだ両手の感触にボーッとしながらも、私は困惑していました。
 ゆうこ先生とえっちな遊びが出来るのは、それはもう願ったり叶ったりなのですが…
 ドMな私が虐める側なんて…

「だいじょうぶ。直子ちゃんなら出来るわ!」
 
 ゆうこ先生は、私の手を握ったまま、覗き込むように私を見つめてつづけます。

「直子ちゃん、さっき、いつも自分が虐められるのを妄想して遊んでいる、って教えてくれたでしょう?」
「その、直子ちゃんが自分にされたいこと、を、わたしにしてくれればいいの」

「直子ちゃんが、自分にされたい、って思っていることは、イコール、わたしが直子ちゃんにされたいと思っていることと、たぶん、いえ、絶対同じなの」
「有能なエムの人は、必然的に優秀なエスの素質を持っているものなの。だって自分と同じようなエム気質の人なら、どんなことをされると嬉しいのか、全部わかっているのだから」
 
 そう諭されて、パーッと霧が晴れるように、おっしゃっていることの意味が理解出来た気がしました。

 確かに私は、自分をどういう風にいやらしくえっちに虐めようか、いつもいろいろ妄想しています。
 それをそのまま、ゆうこ先生にしてあげればいいのか。
 出来そうな気がします。

「私、やってみます!」
 
 ゆうこ先生に握られている自分の手に力を込めてギュッとして、私は決心しました。

「よかったー。ありがとう。すごく嬉しい!」
 
 握り合った手にいっそう力を込めて、私の顔にご自分のお顔をゆっくり近づけてきました。

「次のうちでのレッスンのとき、また少し早めに集合して、もちろん普通のレッスンはちゃんとやった後、二人でヒミツのアソビをしましょう、ね?」
 
 私の耳元で低くささやくゆうこ先生の唇が徐々に私の顔正面に近づいてきて、私の唇に触れそうになったとき、キンコーンってチャイムの音がお部屋に鳴り響きました。
 
 ガタッガターン!
 ソファーとテープルを盛大に揺らして、それぞれソファーの両端へと飛び退く二人。
 お互いお顔を見合わせて、すぐに大きな声をあげて笑い転げました。

「残念。お迎えが来てしまったわ。次の直子ちゃんちでのレッスンのときに、こっそり細かいことを決めましょう」
 
 インターフォンに応答した後、ゆうこ先生がキッチンでお茶の準備をしながらおっしゃいました。

「はい。それで先生、ちょっと、おトイレをお借りしていいですか?」

「はーい。どうぞ」

 母と顔を合わせる前に自分の気持ちを落ち着けておきたくて、母がお部屋まで上がってくるのを待たずに、おトイレに篭りました。
 オシッコをした後、流しっぱなしの冷たいお水に両手をさらして深呼吸。

 今更ながら、ゆうこ先生は母のお友達、ということを思い出し、なんだか後ろめたいフクザツな気分も湧き起こっていました。
 でもそれは、たとえば幼い頃にこっそりやったお医者さんごっこの後、お家に帰って母の顔を見たときに感じたような、禁断のヒミツを持っている後ろめたさ、に似ていて、どちらかというとワクワクする気持ちのほうが強い感情。
 
 そして、今日の、期待以上の急展開。
 いよいよゆうこ先生との新しい関係が始まるのです。
 それも、私が虐める側。
 少しの不安と大きなワクワク。

 懸命に気を落ち着かせようと思うのですが、ドキドキとワクワクが次から次へと湧いてきてしまいます。
 でも、いつまでもおトイレに篭っているのも怪しいので、もう一度深く深呼吸してから、思い切ってリビングに戻りました。

 リビングでは、母がさっきまで私が座っていたソファーに腰掛けて、ゆうこ先生は対面の椅子に座り、お紅茶のカップ片手におしゃべりをしていました。
 母の隣にも新しいお紅茶の用意。
 
 私は母の隣にいつものように腰掛けて、ゆうこ先生と母のとりとめもない世間話を上の空で聞きながら、そう言えばまだ、初めて会ったときの水着のお話、出来ていなかったな、なんてふと思い出していました。
 そうだ!

 それではそろそろおいとましましょう、となったとき、母がおトイレを借りました。
 再び束の間のふたりきりの時間。
 ゆうこ先生が私に、書店カバーがついてタイトルがわからない文庫本をササッと手渡してくれました。

「読んでみて。参考になると思うから」
 
 ひそひそ声。

「早くバッグにしまっちゃって」
 
 足元に置いていた自分のバッグに文庫本を押し込んだ後、私もゆうこ先生のお耳に自分の唇を近づけました。

「ゆうこ先生?」
 
 さっき思いついたことを、思い切って口にしました。

「今度のここでのレッスンのときは、私が中学生だった頃の夏休み、先生たちが我が家へいらっしゃったときに着ていたあの水着…えっと、あの夏の日、憶えていらっしゃいます?」

「えっ?う、うん…」
 
 ゆうこ先生のお顔がみるみる赤く染まっていきます。

「あの水着を着て、レッスンしてください」
 
 真っ赤になったゆうこ先生が上目遣いに潤んだ瞳で私を見つめてから、しばらくして、小さくコクンとうなずきました。

 私は早くも、自分にあてがわれたエスな役割を愉しみ始めていました。


ピアノにまつわるエトセトラ 13

2011年11月6日

ピアノにまつわるエトセトラ 11

「えっ?」
 
 ゆうこ先生の立場を自分に置き換えて想像しながらお話を聞いていたので、今のご質問にはすぐお答え出来たのですが、私は少し考えるフリをしてから、おずおず、という感じで言いました。

「やっぱり下から、ですね。理由は先生がおっしゃったスカートのときのと同じです…それに…」
 
 私は、自分がその状態になったときを想像して、真っ赤になって付け加えました。

「おっぱい、あ、いえ、バスト丸出しで、誰かにそれを見られながらピアノを弾くなんて、は、恥ずかしすぎますっ!」
 
 私の全身の皮膚温度がグングン上昇していました。

「そうよね?わたしもやっぱりそう思ったの」
「だから座ったままショーツのゴムに手をかけて、ちょっと腰を浮かせて、ためらいながら太股の付け根あたりまでずり下げたの」

「そしたら背後にいた先生が突然、わたしのブラの背中のホックをパチッてはずしちゃったのね」
「ブラが緩む感覚がして、間髪を入れずにわたしの膝にブラのカップが落ちてきた」

「肩紐はまだ両腕にひっかかったまま。わたし思わず、いやっ、て叫んで左腕で胸を隠したわ」
「乳首が痛いくらいとんがっちゃっててね、自分の腕に擦れたときにビクンって背中がのけぞっちゃた」

「冷たい声の先生が、立ちなさい大貫さん、って命令するの。わたしがもたもたしていると定規で背中をパチンって」
「仕方ないから背を向けたまま立ち上がったの。左腕で胸を、右手で股間を隠して」

「ブラは両方の肩紐のところがそれぞれ両手首にまだひっかかっていて、カップがお腹を隠してた。ショーツは腿の付け根までずり下げたまんまだったから、後ろから見たらお尻が半分見えていたはず」

「ピアノののほうに前屈みになって立っているわけでしょう?結果的に、先生に自らお尻を突き出すような姿勢になっていたのね」
「すかさず先生が定規でお尻をパチンッ!」
「早くわたくしの前まで出て来なさい、ってお尻を何度も叩きながら言うの。わたし、お尻を叩かれて、お尻が熱くなって、なんだかせつない気持ちになっちゃって」

「それで、そのままの格好で先生の正面に立ったの。前屈みで胸とアソコを隠した格好で」
「そんなの先生が許してくれるはずはなくて、先生の定規が私の両腕を叩いて、隠すことを禁じられて、気をつけ、って言われて、まっすぐに立ったわ。ブラは床に落ちちゃった」

「両方の乳首が自分でも覚えの無いくらい大きくなって、ピンッて尖っているの。ショーツは付け根で留まったまま。視線を下げると陰毛が半分くらい覗いていた」
「先生は、1メートルくらい前のところに立って、わたしのからだをジロジロと見つめているの。右手に持った定規で自分の左手のひらを軽くペシペシ叩きながら」
「後ろを向いて、って言われて、おとなしく従って、また、こっちを向いて、って言われて、従ったの」

「そしたら先生が、こうおっしゃったの」
「思っていた通り。本当に綺麗だわ。大貫さん、あなた、本当にステキよ、って」

「そこで初めて先生がニッコリ微笑んだのね。ゾクッっとするほど綺麗で、それでいて淫靡な笑顔」
「わたし、それまで恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがなかったのだけれど、その笑顔見たら、先生がすごく愛おしく思えて」

「先生に、その中途半端なショーツもさっさと脱いじゃいなさい、って言われて自分で脱いだの。クロッチがすごく湿ってた」
「脱いだショーツを差し出された先生の手に乗せた瞬間に、先生がガバッと覆いかぶさってきて、きつく抱きしめられた」

 ゆうこ先生の視線は、遠い過去を慈しんでいるように、宙空の一点を見つめていました。
 少しの沈黙の後、ゆうこ先生の視線が私に戻りました。

「世界中のあらゆる神様に誓って言うけれど、わたし、それまで自分で自分を慰めたこと、一度も無かったのよ」
「性的な意味でね。オナニーのこと。なんだかモヤモヤすると、乳首が尖ったりアソコがヌメヌメすることには気づいていたけれど、わたし、それが何なのか、深く考えたこと無かったの」
 
 ゆうこ先生の瞳を見れば、それが真実だと信じられました。

「その日、先生はいろんなことをしてくれたの。丸裸のわたしのからだのいろんなところをさわって、愛撫して、舐めてくれた」
「尖った乳首を軽く噛まれたときのしびれるような快感とか、ぬるんだアソコにもぐりこんだ指がやさしく掻き回す感触とか、一番敏感な場所をそっと撫でる疼痛とか」

「耳や首筋にキスされて、脇腹や内腿を爪で軽くひっかかれたり、手の指や足の指をしゃぶられたり」
「何もかもがすごく気持ち良くて、これは後から思えばのことだけれど、5回以上はイっちゃったみたい」

「その日、先生は服を脱がなかったの。ノーブラでTシャツとジーンズのショートパンツ。たぶん最初だから、わたしを悦ばせることだけに専念したのでしょうね」
「でも、わたしも先生の乳房をTシャツの上から揉んだりもしたわ。学校でときどき友達とふざけてさわりっことかはしていたけれど、女性のおっぱいの感触があんなに気持ちいいと思ったのは、あのときが初めてだった」
 
 ゆうこ先生の視線がまた、宙空の一点に固定されました。

 お水を一口含んで席を立ち、ゆうこ先生は食器のお片づけを始めました。
 私もつられて立ち上がり、食器を持ってキッチンのほうまでゆうこ先生の後をついていきながら、お話を聞きつづけます。

「それからはもう、ピアノのレッスンなんて虹の彼方へさようなら。会うたびにえっちな遊びばっかりしていたわ」
「レッスンルームに入ったら服を脱ぐのがあたりまえのような関係。あっ、それはシンクに置いてくれればいいわ」
「おかげでその後もしばらくは、わたし、オナニーしなくてすんでたもの。先生がしてくれるから、する必要ないの」

「それで、そのうち先生が提案する遊びがどんどんSMのほうに向いていったのね。手錠かけたり、洗濯バサミで挟んだり、丸いボールギャグを口に押し込まれたままピアノ弾いたり、柱に縛り付けられたり」
「わたし、そういうのにも自然に順応していたの。先生から痛いことされるの、好きだった」
「その頃になると、SMっていう概念もちゃんと勉強して理解していたから。わたしはやっぱりマゾのほうだなあ、ってわかっていた。ひどい仕打ちをされて耐えている自分に酔っていたの」

「先生はめったに裸にならなかったけれど、たまに私に先生のアソコを舐めるようにいいつけるのね。先生のオマンコはビラビラが派手だったわ」
「あ、ごめん直子ちゃん。ついお下品な言葉使っちゃった」
 
 ゆうこ先生が私を振り向き、テヘッっていうお顔をしました。
 その可愛らしい仕草に思わず頬がゆるみます。

「だいじょうぶです。私もヘンタイですからそういう言葉、嫌いじゃないです。つづけてください」
 
 そんなことより、お話のつづきが聞きたくてたまりません。

「わたしのとずいぶん違うんだなー、なんて思いながら一所懸命ご奉仕したわ。先生はご機嫌が良くなると、わたしをヘンな道具でいっぱい虐めてくれるから」
「それでね、ある日先生が、こんなことをおっしゃったの」
 
 お片づけが一通り終わり、ゆうこ先生と私はリビングのソファーに並んで腰掛けました。
 ゆうこ先生は私に、相変わらず20センチほどの距離を保っています。

「ゆっこは、あ、その頃はわたし、先生にそう呼ばれていたのね。ゆっこはもちろん、男との関係はまだ無いだろう。出来ればわたくしとつきあっている内は、男と関係はしないで欲しい、って」
「男っていうのは、女を見ればセックスのことしか考えていないし、いざしてみても文字通りひとりヨガリで、たいして気持ち良くも無い。ゆっこのこんなに素晴らしいからだを、バカな男どもに味あわせるのは絶対もったいない、って」

「わたしは、ようやくその頃になって、セックス全般に興味が湧き出した頃だったから、機会があれば男ともシてみたいかな、くらいは思っていたの」
「でもこちらから積極的に、っていうほどの欲求じゃなかった。先生との関係で充分満足出来ていたからね。でもつまり、レズビアン一筋、っていうワケでも無かったの」
「なにしろ、そういう関係になったのは先生がワンアンドオンリーなわけだから。情報量も経験値も絶対的に不足していたのね」

 私の前にはレモンジュース、先生の前には白ワインのグラスとお水が入ったコップが置かれています。
 ゆうこ先生は、あまり酔ってはいけない、と思っているのか、お水のコップにばかり唇をあてていました。

「高校生活のほうでは、お勉強のほうはさすがにトップクラスは維持出来なかったけれど、相変わらずしっかりものの勝気な女生徒として、楽しく過ごしていたの」
「1年のときに同じクラスになった、ちょっと派手めなグループの子たちがいてね。その子たちは、高校生になったらバンド組もうと思っていたんだって。自己紹介のときにわたしが、特技はピアノです、って言ったら目をつけられちゃって、早速アプローチされて」

「やりたいのはハードロックだって言われて、生まれて初めてそういう種類の音楽を聴いたわ。すごいわよね、あれ」
「でも、中にはヨーロッパ中世のバロック音楽の影響を受けているようなメロディもあって、わたしもちょうどシンセを買ったばかりだったから、引き受けちゃったの」

「軽音部に入って、その子たちとバンドを始めて。その子たちがまた面白い子ばっかりで」
「全体的に、男?ふざけんな!みたいなノりの威勢のいい子ばかりで。実際話してみると可愛らしいところもあったりするのだけれど」
「みんな真剣に練習したし、ヴォーカルの子の声も良かったから、2年生の頃には校内でも有名なバンドになっていたの」

「実際、贔屓目ナシにしても先輩を含めた男子たちのバンドとかより断然上手かったし、華もあったし、いいバンドだったと思うわ」
「それでほら、ステージ衣装って、普段着れないような大胆でセクシー系の衣装でも許されちゃうじゃない?わたしにとって、それがすごく魅力的で」

「これも自分で言うのはどうかとは思うけれど、わたし、その頃から自分のからだにかなり自信があったのね。ほら、セクシーでしょ?見て!っていう感じで」
「2年の文化祭のとき、胸の部分が大きく割れて谷間が見えているコケティッシュなタンクトップに、見せパン穿いて超ミニスカ。普段なら恥ずかしくてとても着れないような衣装で出たの」

「ステージ上ではキーボードはドラムの隣あたりの奥で立ったままだから、超ミニスカもあんまり意味無いのだけれど、最後のほうではショルダーのキーボード抱えてステージ前に出れるのね。ワザと脚を大きく上げたりすると男子からもうヤンヤの喝采」
「そんなとき、わたしは心の中でこう思っているの。どう?タマンナイでしょ?わたしとヤりたい?ボケッ!おまえらなんか百年はえーんだよ!」
 
 ゆうこ先生がご愉快そうに笑いました。

「でも、楽屋代わりの体育館の倉庫で、その衣装を着て出番を待っているときは、めちゃくちゃに恥ずかしいの」
「進行係の女生徒とか、次の出番らしい男の子とかの視線がチラチラとだけどピンポイントで、私の胸元と太股に、それこそ吸い付くように注がれるのがわかるの」

「わたしは、あーーん、そんなに見ないでー、でももっと見てー、みたいな露出狂の心境。他のメンバーたちも似たような格好だったけれど、彼女たちはあんまり気にしていなかったみたい」
「それよりも演奏へのプレッシャーでそれどころじゃなかったのね。彼女たちは」
「わたしは演奏面は余裕ありすぎて、煩悩のほうばっかり気にしてた」

「そんな格好で出たものだから、文化祭後、あのバンドのメンバーならヤらせてくれるんじゃないか、なんて一部男子の間で噂になって、ヘラヘラ笑いながらからかいにくる男子もいたけれど、私たちは、フザンケンナ!私らの衣装は純粋に音楽の表現の一環なんだよ。誰がおまえらみたいな下衆と寝るかよ!なんて、めいっぱい突っ張っていたな」

「私も衣装着ていなければ勝気に戻るからね。実際は、バンドメンバー5人のうち2人はまだ処女だったのだけれど」
「わたしは一応、処女膜は先生の指に破られていたから、ね?」
 
 ゆうこ先生がまた、愉快そうに笑いました。


ピアノにまつわるエトセトラ 12

2011年11月5日

ピアノにまつわるエトセトラ 10

「わたしはね、小学校2年生からピアノを習い始めたの」
 
 ゆうこ先生は、ワイングラスではなくて、傍らのコップに入ったお水を一口含んだ後、私を見つめてお話し始めました。

「その頃は近所の音楽スクールに通ってね。なんだかわたしとピアノは相性良かったみたいで、すんなり順調に上達していったの」
「わたし、負けず嫌いだから、わたしより上手な子がいると、絶対あの子より上手くなってやろう、みたいな気持ちでがんばって練習してね」

「親の躾が良かったのか、その頃のわたしは、自分で言うのもアレだけど、優等生でね。お勉強も運動もそこそこの苦労で難無く出来たし、ほとんどの学年でクラス委員に推薦されるような、勝気で活発な子供だった。生意気な男子とかやりこめたりして」
 
 小さく笑うゆうこ先生。

「それで、中学生になったら、音楽スクールの先生の熱心な紹介で、偉い先生の本格的な個人レッスンを受けることになったの」
「コンクールの優勝も狙える、なんて親も含めて大人たちが本気になっちゃってね。わたしもノせられて、その気になっちゃった」
 
 ゆうこ先生のフクザツそうな苦笑い。

「中学校でもわたしは相変わらず優等生で、お友達もたくさん出来て、女子とも男子ともそれなりに楽しくやっていたの」
「男子からラブレターとかももらっていたけれど、まだそいういうことにはぜんぜん興味を持てなくて、全部断ってたな」
 
 ゆうこ先生が言葉を切って、私を見つめていた視線をフッとはずしました。

「一方で幼い頃からわたしは、テレビのドラマや映画なんかで、誘拐されて椅子に縛り付けられた女の人とか、悪い魔物にさらわれて洞窟に鎖で繋がれたお姫さまとかを見ると、異常にドキドキしてしまう、ヘンな子供でもあったの」

「その女の人に感情移入してしまうのね。わたし、これからどうされちゃうんだろう?助けが来なかったら、どうなっちゃうんだろう?って」
「まだ性的な知識なんて、ほとんど無かったけれど、なんとなくモヤモヤとした気分になっちゃうの。なんだか気持ちのいいモヤモヤ」

「もしも助けが来なかったら、あのお姫さまは、たぶんわたしがまだ知らない、とんでもないことをされちゃうのだろう、それで、その、とんでもないことはきっと、すごく恥ずかしいことなのだろうな、って想像してた」
「それで、そのモヤモヤを感じることは、わたしにとって、とても気持ちいいことだったの。お姫さまに感情移入して、まだ見ぬ恥ずかしさにドキドキすることがね」

「小学生の女の子にとって、容易に想像出来るすごく恥ずかしいことって、人前で裸にされちゃうことじゃない?自分だけ丸裸にされて誰かにジロジロ見られちゃうこと」
「だから、幼いわたしの感情移入の行き着く先は、誰も助けが来なくって、お姫さまは、その魔物や手下どもの前で真っ裸にされてしまう、っていうものだったの。その先は、当時はまだ想像も出来なかったけれど」
「でも、裸にされちゃう、ってことまででも、想像して充分モヤモヤ出来たの」

「もっとも、現実のドラマでは、ってヘンな言い方だけれど、ドラマでは確実に誰かが助けに来てくれて、我が家のテレビの中に美しいお姫さまの裸が映し出される、なんてことは絶対無かったのだけれどね」
 
 そこでまた、ゆうこ先生の小さな笑顔。

「わたしの個人レッスンの講師は、当時20代後半の女の先生で、すごく綺麗な人だった」
 
 お話が突然大きく跳びました。

「スレンダーで、スラッっとしていて、ちょっと長めな栗色のウルフカットで、大きめの唇がポッテリしていて」
「やっぱり子供の頃からピアノを期待されて、それなりのところまで行った人らしい。その当時は、けっこう有名な大人向けミュージックスクールの講師が本職だったのかな?」

「レッスンは先生のご自宅でやるのだけれど、そのご自宅がまた、ご近所でも有名な高級マンションでね。ピアニストって儲かるんだなー、なんて子供心に思ったもの」
「わたしの見た限りでは、お独りで暮らしているみたいだった。一室がレッスンルームになっていてね。隣のわたしのレッスンルームを数倍豪華にした感じ」
 
 ゆうこ先生は、テーブルの上で両手の指をピアノを弾くみたいにパタパタ動かす運指のストレッチをしながら、お話をつづけます。

「その先生のレッスンは厳しくってね。いつも30センチくらいのプラスティックの定規を片手に持って、わたしがちょっとでも運指を間違えたら、すかさず手首のあたりをピシッて」
「勝気なわたしは、最初のうちはかなり憤慨した。叩かなくてもわかりますっ!なんて大声あげたりして」

「でも、ちゃんと弾けたときは、正面からわたしを抱きしめてくれて、ほっぺにチューとかしてくれるの。それがすごく気持ち良くってね」
「スキンシップも激しい先生で、背後から覆いかぶさるみたいにからだをくっつけて、私の腕に自分の腕を重ねたり、耳元でささやいてきたり」

「中学生のわたしにとって、その先生は10いくつも年上だから、いわゆるオトナの人よね。言うことは聞かなくちゃいけない、みたいな」
「その上、先生は基本やさしくて、ときには姉みたいに、ときには母親みたいな感じで接しているうちに、わたしはその先生には、どうにも逆らえなくなっていたの」

「ピアノは先生のほうが何十倍も上手いし、先生の言う通りにすれば確かに上手く弾けるのも事実だったし」
「わたしの背中に当たる、先生の少し硬めなバストの感触、今でもはっきり憶えてる…」
 
 ゆうこ先生がうっとりしたお顔つきになりました。

「でも高校進学間近になって、ちょっとした事件が起きちゃったの」
「その先生は、わたしを有名な音大の付属高校に進ませたかったのね。より音楽にのめりこませるために」

「でもわたしは、その頃ちょっと挫折した、って言うか、先が見えちゃった気がしていて」
「ピアノを弾くのは好きだし、先生のことも大好きだったのだけれど、音大に進んでまでピアノを極めたいかな、って考えたら疑問に思えて」

「普段の中学校生活もすごく楽しかったから、出来れば普通に公立高校に入って、お友達といろいろ楽しくやりながら、ピアノは趣味の一つでもいいかな、って」
「両親も先生も、せっかくの才能なんだから、みたいなことを言ってくれたのだけれど、わたし、たぶん飽きちゃってたんだと思う」

「今思うと、わたしと同年代くらいで、わたしより少し上手い子とかが周りにいれば、負けず嫌いでつづけられたのかもなのだけれど、中学校でもわたしよりピアノ上手い人いなかったし、先生は、わたしの手が届かないほど上のほうにいるしで、ピアノに対してモチベーションを上げるための刺激がみつからなくて、満足しちゃってたんだろうな」
 
 ゆうこ先生の瞳が、少し寂しげに翳りました。

「結局、一時は先生とかなり気まずくなったのだけれど、さっきも言ったけど、わたし、ピアノを弾くのも好きだし、先生のことも好きだったから」
「だから、先生とのレッスンはつづける、っていう条件で、わたしの希望通り、公立高校に進んだのね。先生もそれで最終的には納得してくれたの」

「当時ですでに3年のおつきあいだから、わたしと先生はかなり親密になっていたし」
「わたしは、さっき言った、さらわれたお姫さまの話とかもしていたし、先生は、自分に女性の恋人がいることを教えてくれてた」
 
 ゆうこ先生がワイングラスに唇をあてました。

「そこから、わたしと先生のレッスンがミョーな方向に変わっちゃったのね」
「先生はたぶんもう、わたしを一流のピアニストに育てるのはあきらめちゃったみたい」
「あ、でもわたし、中2のとき、県のコンクールの中学生部門で優勝したんだぞっ!」
 
 ゆうこ先生が突然おどけて胸を張りました。
 もう一度ワイングラスに唇をあててから、ゆうこ先生の唇が再び動き始めます。

「それから先生は、わたしとのレッスンのときに、自分の趣味って言うか性癖?をあからさまにしてきたの」
「レッスンに行くと、先生がなんだか肌の露出が多い服を着ていることが多くなって、スキンシップも激しくなってきて」

「すごく難しい課題曲ばかり用意して、リストかなんかだったかなで、ペシペシ腕を定規で叩かれて」
「なんだか、主従関係のはっきりしたお芝居をやっているようなレッスン。わたくしの言うことには絶対服従よ、みたいな雰囲気」

「言葉ではわたしを虐めたり蔑むようなことばかり言うのに、その割には、やたらにわたしを抱き寄せたり、からだをすり寄せたりしてくるの」
「わたしも、最初は戸惑ったけれど、そんなレッスンが段々なんだかワクワク楽しみになってきちゃったのね」

「ちょうど性的なものに関心が芽生えてきた頃でもあったし」
「先生が着ているピッチリしたニットに浮いたノーブラの尖りとか、これ見よがしに組み替える短いスカートから伸びた太股とかに、すごくドキドキしてた」

「忘れもしない、高校一年の夏休み前のレッスンのこと」
「先生がいきなり、これからミスするたびに、大貫さんは服を一枚ずつ脱がなきゃいけないルールにします、って宣言したの」

「何それ?って思うと同時に、わたし、その言葉が意味する行為に、ドキンって胸が破裂した」
「ストラヴィンスキーのペトリューシュカだったな。あの曲難しくて、それまでさんざんペシペシ定規でぶたれて、わたしの心の中では、悔しいような、狂おしいような、もっとして、みたいなワケのわからない感情がずーっとモヤモヤ疼いていたの」

「当時、自分ではわからなかったけれど、わたしの心の奥底に眠っていた、被虐願望、みたいなものがパチンて弾けた瞬間だったと思う」

「わたしには、先生に逆らう、なんて選択肢はまったく浮かばず、黙ってコクンとうなずいちゃった」
「たぶん、そのときのわたしの目は、すごく淫らだったと思う」
 
 ゆうこ先生がまっすぐに、私を見つめてきました。
 今のゆうこ先生の瞳もウルウル潤んでて、充分淫らです。

「学校帰りの夏服の制服姿だったから、まずソックスから脱ぎ始めて」
「とても難しい曲だから、下着姿になっちゃうまで時間はかからなかった」

「セーラー服かスカートか、どっちを先に脱ぐかは迷ったな。ピアノ弾くときは座っているから、見えにくいだろう、ってスカートを先に脱いだの」
「先生は背後に立って見下ろしているのだから、意味無いのにね」

「脱いだものはそれぞれ、先生が丁寧にたたんでくれて、たたみ終わるとわたしのほうを向いて、黙ってわたしのからだをじーっと見るの。上から下まで、文字通り舐めるように」
「恥ずかしいです、先生、って言っても、その先を弾くように促すだけなの」

「そんな、裸に近い格好で上手く弾けるワケないじゃない?恥ずかしくて集中出来ないし、股間はムズムズしてきちゃうし」
「結局すぐにミスタッチしちゃって、ブラジャーかショーツのどっちかを脱がなきゃならないことになっちゃったのね」

「ねえ?直子ちゃん?」
 
 不意にゆうこ先生が私に問いかけてきました。

「直子ちゃんだったら、どっちを先に脱ぐ?」


ピアノにまつわるエトセトラ 11

2011年10月30日

ピアノにまつわるエトセトラ 09

 6時ちょっと過ぎにゆうこ先生にインターフォンで呼ばれ、お隣のお部屋に戻ると、美味しそうないい匂いがお部屋中に充満していました。

「一人暮らしをしていると、凝ったお料理とか、めんどくさくてなかなか作らなくなっちゃうから、ね?」
 
 ニットの上にライトブルーのエプロンを掛けたゆうこ先生が、ダイニングテーブルにお料理を並べながら、私に語りかけてきます。

「これでも昔は、お料理教室にも通っていたことあるの。その頃習ったのを久しぶりに試したくなっちゃって」
「今日のテーマは、フランス一般家庭のおもてなしっぽいお夕食、って感じかな。ポトフは昨日仕込んで、じっくり煮込んであるから」
 
 お部屋には小さく、ラヴェルのピアノ曲集が流れていました。

 テーブルの上に、ポトフとラタトゥイユ、それに切ったフランスパンやチーズやサラダなどが並べられました。

「お夕食には少し時間的に早いけれど、ゆっくり食べながらおしゃべりしましょ」
 
 正方形のテーブルの向かい側に座ったゆうこ先生が、当然のようにシャンパンのグラスを私に手渡して注いでくれました。

「カンパーイ!」
 
 チンッ!

 お料理は、どれもとても美味しくて、私にしてはけっこうたくさん食べたと思います。
 おしゃべりも、ピアノのこと、音楽のこと、文化祭のこと、お友達のことなどなど、尽きることなくつづきました。
 それでもお料理があらかたなくなって、ゆうこ先生のグラスの中身が白ワインに変わった頃、束の間の沈黙が訪れました。

 そろそろ切り出さなきゃ・・・
 もう7時過ぎ。
 お迎えが来るまで2時間くらいしか残っていません。
 
 何て切り出せばいいのかはわかりませんが、とにかくそっちのほうに話題を持っていかなくちゃ。
 こういうときは、率直なほうがいいよね?
 私は、ありったけの勇気を振り絞りました。

「あのぅ…先生が以前、私のお家に…」
「直子ちゃんこの間、男の人はなんだか怖い気がするって…」
 
 私とゆうこ先生が同時に口を開いて、お互いの言葉がかぶってしまいました。
 あれ?
 これってなんだか、デジャヴ。

「あ、ごめんなさい。直子ちゃんからどうぞ。なあに?」

「あ、いえ、いいんです。先生からお先におっしゃってください」

「そう?じゃあ、わたしから…」

「直子ちゃん、男の人が苦手ってこないだ言っていたでしょ?だったら女の子でなら、誰か好きな人、いるのかな?って聞きたかったの」

「えっ?えっと…」

「あ、ううん。別に深いイミはないから、無理して答えなくてもいいのよ」
 
 ゆうこ先生は、緩い笑みをうかべたまま頬杖をついて、私をじーっと見つめていました。

「えっと…以前はいたのですけれど、その人は同じ部活の先輩とおつきあいを始めちゃって…って、えっ?」

 言った自分が驚いてしまいました。
 なんでこんなにスラスラと、正直に答えちゃったんだろう。
 言ってから、自分の言ったことの意味に気づいて、途端にドキドキしてきてしまいました。

「ふーん。それは残念だったわねー」
 
 ゆうこ先生は、私の動揺に気づいているのかいないのか、普通の感じで会話をつづけてきます。

「フられちゃったんだ?かわいそうに。それじゃあ今は、パートナーの人とかいないんだ?」

「は、はい…」

「片想い中の人、とかは?」

「…」
 
 それは、目の前のゆうこ先生、あなたです…
 言ってしまおうか?

「だったらやっぱり、アレは独り遊びなのかな?」
 
 独り言みたいにポツンとつぶやいたゆうこ先生。

「えっ?アレってなんですか?」
 
 ゆうこ先生の謎な一言、独り遊び、という言葉に私の心がひっかかり、ザワザワし始めました。

「うーんとね。ちょっと言いづらいのだけれど、この間のレッスンのとき、直子ちゃん、Vネックのワンピース着ていたじゃない?可愛らしいやつ」

「はい、先週のレッスンですね…」

「あのとき、わたし、直子ちゃんの後ろに立って弾いている手元を見ていたら、たまに直子ちゃんのワンピースの胸元が浮いて、隙間が出来るのね。それでピンクのブラが見えたりして」

「…」
 
 私は、瞬きも忘れてゆうこ先生の唇を凝視していました。
 心がいっそう、激しくざわめいています。

「それで、胸元の白い肌に、縄で縛った痕みたいのがあったような気がしたの、あと、何かに挟まれたような痣もいくつか」

「…」

「だから、ひょっとして直子ちゃんも、そういう独り遊び、しているのかなー、って思ったり思わなかったり…」

「せっ!先生っ!」
 
 バレてた!?
 
 私は、全身の血がすごい勢いで駆け巡るのを感じていました。
 恥ずかしさと、なぜだか怒りみたいな感情と、あと、パニックになったときみたいな思考停止がないまぜになって、思わず大きな音を立てて席から立ち上がり、ゆうこ先生をにらみつけていました。

「あ、ごめんごめん。言い方が少しストレート過ぎたよね?まあ落ち着いて、ね?直子ちゃん」
 
 ゆうこ先生はたおやかな微笑を浮かべ、両手のひらを下に向けて小さく振って私に、座って、のジェスチャー。

「つまり、わたしも同類なの。だから、肌に残ったその痕がロープとか麻縄で縛ったから、ってわかるし、たぶんあの痣は、洗濯バサミとかクリップとかでしょ?」
 
 私にはまだ、ゆうこ先生の言葉が届いていません。
 ゆうこ先生は相変わらず余裕の表情で、私をじっと見つめていました。

「だから、さっきわたし、直子ちゃんも、って言ったじゃない?」

 しばしの沈黙。
 
 ゆうこ先生が今おっしゃった言葉の意味することが、ようやく正しく私の脳に伝わり始め、私はヘナヘナと椅子にお尻を落としました。
 今、ゆうこ先生、わたしも同類、っておっしゃった?
 
 ゆうこ先生も、ロープや洗濯バサミで遊んでいる、ってカミングアウトされた?
 事の次第を、私の脳がやっと正常に理解しました。
 ワナワナしていた私の胸が、またたくまにドキドキワクワクに変わっていきました。

 これは、予想、いえ期待していた以上の大きな一歩です。
 ゆうこ先生と私は同じ、ってゆうこ先生も認めてくださったのです。

「何も心配しなくていいわよ、直子ちゃん。素子さんには絶対内緒って、約束するから」
 
 ゆうこ先生がイタズラっぽく笑って、私にパチンとウインクをくれました。

 それからしばらくは、私の独演会でした。
 相原さんとのことやしーちゃんとのこと。
 そして、しーちゃんとクリスさんのことを、大体正直に、全部お話しました。
 言葉が堰を切ったように、止まりませんでした。

 相原さんが図書室で裸になっていたことや、その後の顛末。
 しーちゃんとクリスさんのなれそめや恥ずかしいご命令遊びのこと。
 そういうことを体験したりお話を聞いて、コーフンしちゃったりうらやましいと感じてムラムラしてしまう私のこと。
 恥ずかしいことやみじめな状況を妄想して、独り遊びをしてしまう自分のこと。

 でも、トラウマの原因と、やよい先生とのことについては、全部隠しておきました。
 自分でも理由はわからないのですが、なぜだかまだ、そうしておいたほうがいいような気がしたんです。

「だからきっと、私はヘンタイなんです…」
「それで、そんな自分が無性にイヤになるときがあって、そうするともっともっと自分を虐めたくなって…」
「強く縛ってしまったり、いっぱい痛い思いをしてみたり…」
「そんなことをくりかえしてばかりで…」
「そんな私はやっぱり、ヘンタイなんです…」

 告白をしながら私は、例えようも無いほどの恥ずかしさと同時に、ずーっと胸に隠していた秘密をやっと解放出来た、ある種の爽快感も感じていました。

「ふーん、なるほどねー。直子ちゃんにも意外と、いろいろあったのね」
 
 ずーっと、時折相槌を打つくらいで、黙って真剣に私の告白を聞いてくれていたゆうこ先生は、うつむいて少し涙ぐんでるみたいになってしまった私に、テーブル越しに両手を伸ばしてきました。
 
 私も両腕を伸ばし、テーブルの中央でお互いの両手をやんわり握り合いました。
 まっすぐに顔を上げて、相変わらずたおやかな笑みを浮かべているゆうこ先生と見つめ合います。

「でもね、直子ちゃんは、自分をイヤになる必要なんか、ぜんぜん無いのよ」
 
 ゆうこ先生のやさしいお声。

「性癖なんて、人様に迷惑を掛けない限りとやかく言われるようなものではないし、普通、って言われている人と多少異なっていたとしても、それってその人の個性だから、ね?」
「それに…」
 
 そこでいったん言葉を区切って、ゆうこ先生は握り合っていた両手をやさしく解き、そのままご自分の胸の前で交差して、ご自分を抱くような仕草をされました。
 そして、私をまっすぐ見つめて、真剣なお顔でこうおっしゃいました。

「わたしは、直子ちゃんより、もっともっと、数十倍、ヘンタイだから…」


ピアノにまつわるエトセトラ 10

2011年10月29日

ピアノにまつわるエトセトラ 08

 ゆうこ先生のお住まいは、私が通う高校の最寄り駅を通り越して、やよい先生が住んでいた町の最寄り駅の一つ先、私の家の最寄り駅から数えると、各駅停車で8つ先の駅にありました。
 
 お約束は、午後の2時。
 その駅の南口改札を出たところにお迎えに来てくれる、ということになっていました。
 お天気は、少し肌寒いけれどよく晴れた、清々しい感じの月曜日でした。

 改札口を出て、駅前に広がるロータリーを見渡したとき、思い出しました。
 ここって、私が、とあるえっちな遊びをしたいがために、薬屋さんであるものを手に入れたくて降り立ったことがある駅だ。
 
 あれからもう一年近くになるのかな?
 あのときのドキドキ感が鮮やかによみがえり、唐突にその場で顔を赤らめてしまいました。

「お待たせしちゃったかなー?」
 
 うつむいていた顔を上げると、目の前にゆうこ先生がいました。
 丈が腿くらいまであるモヘアっぽい真っ白なタートルネックニットに、脚に貼り付いちゃってるような ピタっとしたウォッシュアウトのスリムジーンズと黒のロングブーツ。
 ちっちゃくて四角いレンズの紫色のサングラス。
 
「うわー。先生、カッコイイ!」
 
 いかにも、音楽をやっている人、的なそのいでたちに思わず声を上げると、ゆうこ先生は、はにかむように小さく照れ笑いしました。

「5分くらい歩くことになるけど、直子ちゃんにうちまでの道を覚えてもらおうと思って、車じゃなくて歩きで来たの。これから何回も通ってもらうのだから」
 
 ゆうこ先生と肩を並べて歩き始めました。
 あの薬屋さんの脇の路地に入るとき、レジにいた店員のおばさまのお顔に、なんとなく見覚えがあって、また一人で無駄にドキドキしてしまいました。

「文化祭は楽しかった?」
「先生のお仕事は、終わったのですか?」
 
 そんな会話をしながらブラブラ歩いて行きました。
 平日の午後なので行き交う人はまばら。
 それも奥様風かお年寄りばかり。
 町中にのんびりしたムードがただよっていました。

 あまり大きくない商店街を抜けると、いかにもベッドタウンという住宅街が延々とつづいていました。

「このお弁当屋さんを右ね」
「この公園の脇を左」
 
 目印になる場所を一々教えてもらいながら、とあるマンションの前に出ました。

「ここよ」

 ごく普通な7階建て中規模マンション。
 外装やエントランスを見ると、まだ新しいっぽい。
 ワンフロア2世帯くらいかな?
 
 ゆうこ先生がエントランスキーを押し、私たちはエレベーターで7階まで上がりました。
 7階のエレベーターホールから見えるドアは二つ。
 ゆうこ先生は、向かって左側のドアを鍵で開けました。

 中は広めな1DKで、12帖くらいのダイニングが綺麗に整頓されていました。
 カーテンやマットはパステルカラーで、カラフルな可愛らしいぽい感じ。
 ちょっと意外。

「そのソファーに座って、少し休んでて」
 
 ゆうこ先生が指差した淡いモスグリーンの柔らかそうなソファーに浅く腰を掛けて、私はお部屋をキョロキョロ見渡しました。
 ほどなく、ゆうこ先生がケーキとお紅茶のセットをトレイに乗せて登場。
 ソファーの前のガラステーブルに置いて、私の隣に腰掛けました。

「散らかっててごめんね。これでも一応お掃除はしたのだけれど」

「いいえ。すっごく可愛い感じのお部屋で、ちょっと意外でしたけれど、ステキです」

「あら。直子ちゃんのわたしのイメージって、どんななの?」

「うーん。音楽やっていらっしゃるから、クールっぽいっていうか、もう少しモノトーン的なイメージというか・・・」

「ふーん。そうなんだ」

「でも、このお部屋もイイ感じです。なんだかホッとしちゃうみたいな、安らいじゃう感じ?」

 ゆうこ先生と私は、20センチくらいの間隔を空けて隣り合って座り、美味しいケーキをいただきながら、来るときにしていたお話のつづきやら他愛も無いお話を小一時間くらいして、まったりした時間を過ごしました。
 
 でも、ピアノはどこにあるのだろう?
 奥にもう一部屋あるみたいだから、そこかな?
 そんなこともボンヤリと考えながら、お隣に座っているゆうこ先生のおなじみなパフュームの香りを、心地良く感じていました。

「さあてと」
 
 お話が一段落して、ゆうこ先生が立ち上がりました。

「まずはレッスンをしちゃいましょう。今3時ちょい前だから、5時くらいまでみっちり出来るわね」
 
 立ち上がったゆうこ先生は、お部屋の隅のサイドボードみたいなところでガサゴソやった後、私のほうを見て手招きしました。
 私も自分の荷物を掴んであわてて立ち上がり、ゆうこ先生に近づきます。
 
 奥のお部屋にいくのかな?と思っていると、ゆうこ先生は、いくつかの荷物を手に持ち、玄関のほうに歩き始めました。
 あれ?

「ピアノは、別の場所にあるのですか?」
 
 玄関で今度はかかとの低いサンダルを履いているゆうこ先生に聞いてみます。

「うん、そうなの。ちょっとめんどくさいけれど、ガマンしてね、遠くはないから」
 
 私もあわてて履いて来たローファーをつっかけて、ゆうこ先生の背中につづきました。

 エレベーターホールに出たゆうこ先生は、エレベーターの前を素通りして、エレベータから向かって右側のほうのドアの鍵穴に鍵を差し込んでいます。

「あ。お隣のお部屋がレッスンルームなんですか?」

「あたりー。アコースティックピアノ弾くとなると、防音とかしっかりしないといけないからね。このマンション自体楽器可なのだけれど、しっかり防音されているお部屋にしたくって、特別に手をかけたの」
 
 玄関を入ると靴脱ぎスペースの向こうにもう一枚、分厚そうな鉄製の扉が付いていました。

「こっちのお部屋は靴脱がなくて、土足でおーけーだから」
 
 ゆうこ先生にそう言われて、土足のまま、ゆうこ先生が開けてくれた重そうなドアの向こう側を覗き込みました。

 こっちのお部屋はまさに、音楽やっている人、のお部屋でした。
 奥のお部屋までぶち抜きにして、バルコニーまで見える広い長方形のスペース。
 
 えんじ色のカーペットが敷き詰められて、アップライトのアコースティックピアノと何台かのキーボード、それにマイクスタンドが整然と並んで、奥のほうにはゆったり座れそうな黒いソファーとテーブルのセット。
 パソコンとオーディオセットを合わせたみたいな、なんだかフクザツそうな機械のセットからコードが何本も延びています。
 
 本来キッチンだったところだけに生活感が感じられるくらい。
 そこに置かれた冷蔵庫も家庭用のじゃなくて、古いアメリカ映画の居酒屋さんにありそうなアンティークで洒落たデザイン。
 行ったことはないけれど、音楽の録音スタジオって、きっとこんな感じなのだろうなあ、って思わせるお部屋でした。

「こっちの部屋は、完全な仕事場。わたし、かなりルーズだから仕事とプライベートをきっちり分けないと、無駄にウダウダしちゃうの。だからやむなく二部屋に分けているんだ。こっちがこんなだから、向こうの部屋は、あんな感じの癒し系になっちゃうのね」

「はい。このお部屋を見れば、あっちのお部屋があんな感じだったの、なんだかすごくわかる気がします。ゆうこ先生ってカッコイイです!」
 
 私は、お世辞じゃなくて本当に感激していました。
 ゆうこ先生、本当にステキなお仕事の出来るオトナの女性なんだなー、って。

 ゆうこ先生は、やさしく丁寧にアコピの鍵盤のタッチの出し方や足元のペダルの使い方を、手取り足取り教えてくれました。
 
 なんだかいつもよりピッタリからだを寄せてきて、私の背中にモヘアのフワフワ越しのやわらかい胸のふくらみが頻繁に当たってきました。
 ゆうこ先生に後ろから抱かれているみたい。
 ゆうこ先生のお話声も、背後から私の耳元に息を吹きかけるみたいに、くすぐったくささやいいてくれます。
 
 私は、フンワリ幸せな気持ちになって、途切れそうになる集中力をなんとかなだめて、真剣にレッスンを受けました。
 今まで習った曲を一通りアコピで弾いてみて、その日のレッスンは終わりました。

「ねえ先生?レッスンの最後に、先生の一番お好きな曲を、このピアノで弾いてみてくれませんか?」
 
 私のリクエストにゆうこ先生は、ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌ、を、からだ全体を揺らして情感たっぷりに披露してくれました。
 ピアノを弾いているゆうこ先生の姿のカッコよさといったら…
 私の大好きな旋律とも相俟って、今まで聴いた中で一番ステキなパヴァーヌでした。

「今5時ね。わたし、向こうの部屋でお夕食の準備を始めるから、直子ちゃんはもう少し、この部屋でおさらいをしていてね。準備出来たら、あそこのインターフォン鳴らすから、あっちの部屋に戻ってきて。こっちの電気とか鍵はそのままでいいから」

「あ、私もお手伝いしますよ?」

「いいからいいから。言ったでしょ?今日は直子ちゃんにご馳走する、って」
 
 ゆうこ先生がニッコリ笑って、私の髪の毛をやさしく撫でてから、ゆっくりとお部屋を出ていきました。

 一人残された私は、もう一度今までのおさらいを弾いてみました。
 弾きながらも、この感じならお夕食のとき、ゆうこ先生に思い切ってあの夏の日の水着のこと、聞けるかもしれないな、なんて考えていました。

 ゆうこ先生は、本当にステキです。
 私は、ゆうこ先生とキスをしたい、って真剣に思っていました。
 ゆうこ先生のことを何から何まで知りたい、って思いました。

 ピアノに集中出来なくなって席を立ち、窓際のカーテンを開けて見知らぬ町を見下ろしました。
 お外はすっかり薄暗くなって、家々の灯りがポツンポツンとお星様のように眼下に広がり、とても綺麗でした。
 
 それからソファーに座り込んで、ワンピースの裾から右手を入れ、ショーツのある部分に触れてみました。
 すでに、薄っすらと湿っています。
 ゆうこ先生の胸のふくらみの感触を背中が思い出します。

 今日は夜の9時前頃に、母が車で迎えに来てくれることになっていました。
 お夕食の時間を含めてあと約3時間くらい。
 そのあいだに、私とゆうこ先生の関係を、もう一歩踏み出さなきゃ。
 でも、あの夏の日の水着のこと、何て切り出せばいいのだろう?


ピアノにまつわるエトセトラ 09

2011年10月23日

ピアノにまつわるエトセトラ 07

 ちなみに今回は、ヌードクロッキー遊びに誘いこめそうな新入部員がなかなかみつからず、2年つづけてクリスさんていうのも新鮮味が無いので、文化祭での秘密の展示品は無しになりそうだったとか。
 
 でも、夏休みの合宿のときに例年通りいろいろ盛り上がった末、モデルをやってもいい、っていう1年生が現われて、その人の裸婦画がクリスさんたちを中心にめでたく例年通り創作され、展示作品のどれかの裏側に隠されているそうです。
 
 ただし、その1年生が、部員以外の人には絶対見せたくない、って涙ながらに言い張ったので、残念ながら私には見せてもらえませんでした。

「ごめんなさいね、森下さん。この子は本当に恥ずかしがり屋さんで」
 
 小川先輩のお隣に座っている内気そうな可愛い女の子がうつむいてモジモジしていました。

「いいえ。お気になさらないで、でも、ちょっぴり残念だけれど」
 
 私は、お芝居っぽい感じで少しイジワルに笑って答えましたが、内心では、うつむいている彼女の恥ずかしさに同調してドキドキしていました。
 
 自分の裸の絵を見られる、っていうことは、もちろんすっごく恥ずかしいことですが、自分からすすんで裸婦画のモデルになって、みんなに裸の姿を見てもらった、ということを、見ず知らずの私に知られたことにも、同じくらいの恥ずかしさを感じているのではないでしょうか。
 
 自分はそういう性癖を持つ女だ、って公言しちゃったみたいで。

 小川先輩たちは、その1年生の子のヌードについて、なんだか初々しくて甘酸っぱい裸だった、とか、熟しきっていないところがかえってエロティック、とか、彼女の前でワザとみたいにあれこれ論評していました。
 
 彼女は、ずっとうつむいたっきり。
 すっごく恥ずかしいのだろうなあ。
 私だったら、それだけで濡れてしまいそう。

 彼女も、今うつむきながら濡れているのかな?
 席を立たないでガマンしているところを見ると、恥ずかしさの中にやっぱり気持ち良さも感じているのだろうな。
 
 ツインテールに結んた彼女の髪の分け目を見つめながら、なんだか彼女がいじらしくって、なぜだか逆にもっとイジワルしてみたいような気持ちにもなっていました。
 でも、もちろんそんなことはせず、話題もあちこちに飛んで、楽しいおしゃべり時間が過ぎていきました。
 
 今現在、美術部内の公認百合カップルは6組。
 部員は総勢16名だそうで、残りの4人も美術部外にパートナーがいるそうです。
 つまり、百合率100%!

 帰り際、しーちゃんとクリスさんがドアまで見送ってくれました。

「はい、これ。なおちゃんにあげる。ワタシたちの処女作」
 
 しーちゃんがそう言って、同人本みたいな一色刷りの薄い本を2冊、私にくれました。

「ワタシとクリスとでストーリーを考えて、絵も分担して描いたんだヨ。ワタシとクリスはネ、チームになってマンガを描いていくことにしたの。ほら、未来から来た青いネコ型ロボットのマンガ描いた人たちみたいに」
「一冊は二次もの。一冊は18禁。高校生だけど18禁」
 
 しーちゃんがケラケラ笑いながら本をペラペラめくりました。
 ちらっと見えた中身は、なんだかすごくえっちそう。

「高校生だから、今はコピー本しか作れないし、即売会とかにも出れないけど、いずれ同人活動とかしていくつもりなんだ。二人で」
 
 しーちゃんとクリスさんが目を合わせて、ニッって笑い合いました。

「ペンネームはネ、姉妹白百合。姉妹って書いてスールって読むんだヨ」
「それで、スール白百合デビュー作の美術部員以外の栄えある読者第一号は、なおちゃんに決定しましたー」

「うわー。ありがとう。しーちゃん、クリスさん」

 お礼を言って、いったんお教室に戻ろうと思ったのですが、どうしてもガマン出来ずにもう一度振り向き、聞きたくてしょうがなかったことを聞いてしまいました。
 
「ねえ、しーちゃん?美術部って、毎年必ず、ヌードモデルになってもいい、っていう部員さんが一人くらいは、いるの?」

「えっ?」
 
 しーちゃんとクリスさんは、一瞬、この人何を言っているのかわからない、っていう面持ちでお互いにお顔を見合わせていました。
 少しして、クリスさんが私の顔をじっと見つめて、言葉を選ぶようにゆっくりとお話し始めました。

「そうねえ。深く考えたこと無かったけれど、先輩方のお話だと、毎年一人か二人くらいは、裸婦画のモデルをされた部員がいたみたいね」
「ほら、女子高だから女同士だし、自分のからだに自信があって、見てもらいたい、って思う人もいるだろうし」
「わたしみたいに、恥ずかしいことをするのが好き、っていう変わった趣味の人間もいるし」
 
 クリスさんたら、あっけらかんとご自分の性癖を開示されました。

「それに美術部は、昔から百合属性の強い部だから、そういうのにおおらかになりやすいんじゃないかな」
 
 クリスさんがしーちゃんを見て、クスリと笑いました。

「これは、わたしだけの個人的な意見なのだけれど・・・」
 
 クリスさんが今度は私をじっと見つめてきます。

「人前で裸になりたい、とか、異性よりも同性と仲良くしたい、とか、そういう、何て言うか、普通とは少し異なった嗜好を持っている人たちって、無意識のうちになんとなく、惹かれ合ってしまうものなのじゃないかしら」
「惹かれ合って、集まって、そういう人たちが居心地のいい場所が出来た、それが我が校の美術部なんじゃないかな、って」
 
 クリスさんがしーちゃんを見つめてしーちゃんがうなずき、それから私に視線を移して、ニッコリ笑いました。

「そ、そうかもしれませんね…」
 
 私は、クリスさんのお言葉に、大いに納得していました。
 その反面、すっごく動揺もしていました。
 クリスさんの視線が私を見透かしているのが、はっきりわかりました。
 クリスさんは実際に言葉にはされませんでしたが、その視線が私に問いかけていました。

 わかっていてよ、森下さん。
 あなたもわたしたちのお仲間っていうことは。

 読んだら感想を教えるね、ってしーちゃんに告げてクリスさんにお辞儀をして、なんだか逃げるみたいにその場を離れました。

 お家に帰ってお風呂の後に、しーちゃんたちのマンガを読み始めました。
 
 一冊目は人気アニメの二次創作。
 ヒロインと敵対する組織のツンデレ女子が、いがみ合いながらもいつしか惹かれ合っていく、っていう百合展開のラブコメ。
 絵は丁寧でキレイだし、ストーリーもセリフも気が利いていて、そのへんの同人誌よりぜんぜんいい感じでした。
 
 しーちゃんたち、スゴイなー。
 純粋に感心しました。

 二冊目は18禁。
 こちらはオリジナルストーリーで、すっごくえっちでした。
 お話の大筋は、以前しーちゃんから聞かされていた、クリスさんに対するえっちなご命令。
 
 授業中にショーツを脱ぎなさい、とか、ノーパンで体育の授業を受けなさい、とかを主人公が実行していく、というものでした。
 でも、しーちゃんたちと大きく違うのは、マンガでは、それがいわゆるイジメの一環として行なわれていること。
 その上、クラスメイトや先生までもがみんなえっちでイジワル。

 だから、授業中こっそりショーツを脱いでいると、隣の席の子にみつかって、ヘンタイってなじられた挙句、スカートを脱がされてショーツを膝までずり下げた格好で、黒板の前に出て問題を解かされ、罰として丸裸で廊下に晒し者にされてしまいます。
 
 体育の時間にノーパンでマット運動をしていたら、ジャージのゴムが切れて足元まで一気に下がり、下半身丸裸で開脚前転をさせられてしまいます。
 最後は、跳び箱の上に丸裸で仰向けに縛り付けられて、アソコにオモチャを挿れられたまま放置されていました。

 そんなお話が、デッサンのしっかりした可愛らしくて色っぽいキャラクターとリアルな構図、緻密な筆致で背景まで丁寧に描かれていました。
 
 舞台はどう見ても、この学校そのものでした。
 虐められるほうの女の子はクリスさんに、苛めるほうはしーちゃんにそこはかとなく似ている感じで、乳首が勃っていく様子やアソコの中までもが克明に描かれていました。

 そして、絵と同じくらい良かったのが、虐める側の人たちのセリフでした。
 虐められているほうの子の羞恥心や被虐心を徹底的に煽り立てる、侮蔑や憐憫、罵倒のセリフで埋め尽くされていました。

 クリスさんて、こんなことをされたくて、こんなことを言われたいんだ…
 しーちゃんも、こんなにいやらしいお話を考えられるようになったんだ…
 しーちゃんたちは、このマンガを二人で描きながらも、欲情を抑えきれずに何回も抱き合ったんだろうなあ…

 私は、そのえっち描写の迫力に圧倒されていました。
 そして、しーちゃんとクリスさんの関係を、心の底からうらやましいと思いました。
 何度か読み返すうちに結局ガマン出来ず、文化祭で疲れたからだなのにもかかわらず、マンガと指だけで激しく2回イってしまいました。

 しーちゃんたちのマンガのコーフンがようやく落ち着いて、ベッドに仰向けになって目をつぶりました。
 
 私だって…
 
 明日目が覚めたらいよいよ、ゆうこ先生のお家で二人きりです。
 いきなりは無理でしょうけれど、一歩だけでも踏み出したいな。
 頭の中に、クリスさんが別れ際におっしゃったことが、グルグル渦巻いていました。

 普通とは少し違った嗜好を持っている人たちって、無意識のうちになんとなく、惹かれ合ってしまうものなのじゃないかしら…

 あの遠い夏の日、私に舞い降りた直感。
 オオヌキさんと私は似ている…
 それが明日、少しでも確かめられたら、いいな。


ピアノにまつわるエトセトラ 08

2011年10月22日

ピアノにまつわるエトセトラ 06

 その週の金曜日は、10月最後のピアノレッスンでした。
 レッスンが終わって、私のお部屋でしばし雑談。
 
 その頃には、ゆうこ先生ともかなり打ち解けて仲良くなれて、いろんなお話を和気藹々としていました。
 私の部活のこととか、お友達のこととか、ゆうこ先生の学生時代のお話とか、最近のお仕事のお話とか。
 
 母ももう、私のお部屋でのレッスンには同席しないようになっていて、キッチンで篠原さんと一緒に、美味しいお夕食を作るのに張り切っているはずです。
 ゆうこ先生と二人きりのレッスンタイム。
 
 それでも私は、ゆうこ先生にえっち関係のご質問、とくに、遠い夏の日の水着をめぐる謎、については、出来ないままでいました。
 それを言い出しちゃうと、ゆうこ先生との楽しい関係のバランスが崩れてしまうような気がして、どうにも言い出せないままでいました。

 レッスンのとき、ゆうこ先生は私の背後に立ち、ときどき私の背中に覆いかぶさるようにからだをくっつけてきて、私の運指の間違いやタッチのミスをやさしく正してくれます。
 
 背中に感じるゆうこ先生のやわらかい胸。
 両手に触れるゆうこ先生のしなやかな指。
 鼻腔をくすぐるゆうこ先生のパフュームの甘い香り。

 鍵盤に集中していた緊張感がフッと緩み、何とも言えない気持ち良さを感じながら、急に胸がドキドキし始めます。

「ほら、こうしたほうが弾きやすいでしょ?」
 
 私の手の甲に、ご自分の手のひらを重ねて運指を教えてくれた後、私の顔を覗き込むように見つめてニコッと笑いかけてくださるゆうこ先生。
 私は、その笑顔を見るたびに、振り向いて正面から、ゆうこ先生を思いっきり抱きしめて、胸に顔を埋めたい衝動に駆られ、抑え込むのが大変でした。

「来週のレッスンのことなのだけれど…」
「それでですね、私、来週は…」

 私の部活のお話が一区切りして、会話が途切れて一呼吸置いた後、私とゆうこ先生が同時に口を開いて、お互いの言葉がかぶってしまいました。

「あ、ごめんなさい。直子ちゃんからどうぞ。なあに?」

「あ、いえ、いいんです。先生からお先におっしゃってください」

「そう?じゃあ、わたしから・・・」

「直子ちゃん、予想以上に上達が早いから、そろそろ次のステップに移ろうと思うのね」
「デジタルピアノとアコースティックピアノは、やっぱり鍵盤のタッチが違うから、打鍵の強弱による音の響かせ方とか、あと、足元のペダルの使い方なんかも、そろそろ知って、慣れておいたほうがいいと思うの」

「試験のとき、デジピかアコピかは、たぶん半々くらいだと思うけど、アコピに当たったときにまごつかないように」
「それに、幼稚園もきっと、アップライトのアコピのところが多いと思うし」
「だから、これからは月に一、二回くらい、わたしの家に来てアコピでのレッスンもしたらどうかな?なんて考えているの」

 ゆうこ先生のお宅におじゃましてのレッスン!
 それは、願ってもない嬉しいお誘いでした。
 
 母たちに気兼ねすることなく、ゆうこ先生と二人きりで親密に、何時間か一緒に過ごせるんです。
 考えただけでどんどん胸が高鳴ってきます。

「どう?」

「もちろん、お願いします!先生さえご迷惑でなかったら」
 
 小首をかしげて私を見つめるゆうこ先生に、私は即答しました。

「でも…」
 
 答えてから、さっき私が言おうと思っていたことを思い出して、盛り上がったテンションが一気に降下しました。

「さっき、私が先生に言おうと思っていたことなのですけれど、来週は、文化祭の前日なので、準備とかで夕方まで忙しいと思うのでレッスンお休みにしてもらいたい、って…」

「あら、そうだったの。文化祭かあ、懐かしいなあ」
 
 ゆうこ先生が遠くを見るような目で宙を見つめました。

「それなら、再来週の金曜日にしましょう。そうか。あそこの女子高、文化祭なんだ」

「はい」

「直子ちゃんたちは何をやるの?」

「クラスではクレープ屋さん。文芸部では毎年恒例の機関紙作りとバザー、です」

「へー。楽しそうね。わたしも高校の頃の文化祭では、毎年体育館のステージで演奏していたわ。高校の頃は、いわゆるハードロック」

「えっ、そうなんですか?先生がハードロック!?見たかったなー」

「たぶんビデオが残ってるから、うちに来たら見せてあげる。直子ちゃんビックリするよ。すんごいステージ衣装だから」
 
 ゆうこ先生が、うふふ、って笑いました。

「先生もよかったら来てくださいよ、うちの文化祭。ご案内しますよ?」

「そうねえ。近くだから行きたいのはやまやまなのだけれど、仕事の一つの締め切りが迫っているからなー。行けるかどうか、って感じだから、お約束は出来ないの」

  ゆうこ先生が残念そうに言って、私はがっかり。

「あの高校にはね、私の昔からの友達が今、先生やっているのよ。美術の先生」

「へー。そうなんですか」

「だから何度か、文化祭に遊びに行ったことはあるの。けっこう人が集まるのよね?」

「はい。なんかお祭りみたいで、すっごく楽しいです」

「だって直子ちゃん、文化祭って、お祭りよ?」

「あ、そっかー」
 
 二人でアハハと笑いました。

「そうだっ!先生!文化祭の翌日、月曜日は学校お休みなんですよ。だから金曜日のレッスンを月曜日にする、っていうのはどうでしょう?」
 
 私は、我ながら名案を思いついた、って、またテンションが上がってきました。

「それはかまわないけれど・・・でも直子ちゃん、お祭りの翌日で疲れていない?」

「ううん。ゆうこ先生に会えるなら、疲れなんてぜんぜん感じません!」

「それはそれは。嬉しいお言葉をありがとう。レッスンは月四回ってお約束だったから、一回飛ばすのは心苦しかったけれど、それならお約束もクリア出来そうね」

「あ、でも先生、お仕事の締め切りが…」

「それは大丈夫。そういうことならなんとか、早々に仕上げちゃうから、直子ちゃんのために」

「ねえ、直子ちゃん。どうせなら早い時間から、わたしのお家に来ない?その日」

「いいんですか?」

「うん。わたし、レッスンのたびに直子ちゃんちでご馳走になりっぱなしだから、その日は直子ちゃんにご馳走してあげる。それに、直子ちゃんとは、もっとゆっくりたくさん、おしゃべりしてみたいから」
 
 ゆうこ先生が私をじっと見つめてから、お花が咲く瞬間みたいな綺麗な笑顔を私にくれました。

 ピンポーン。
 そのとき、お夕食の準備が出来たという、母からのコールが私のお部屋に届きました。

「それじゃあ直子ちゃん、月曜日のこと、もとこさんにはわたしからご説明するから、ね?」
 
 ゆうこ先生がゆっくり立ち上がり、私に一つ、パチンとウインクをくれました。
 あっ、そうそう。
 もとこさん、っていうのは素子って書いて、私の母の名前です。

 文化祭二日目に、私はまた、しーちゃんがいる、名物!!喫茶 白百合の城 美術部、に、ご招待されていました。

 今回のコンセプトは、砂漠の民と王室のハーレムパーティ、だそうで、お部屋のあちこちにエジプトというか中近東あたりというか、ピラミッドやスフィンクスやラクダさんっぽいオブジェが飾られ、全体にゴールドと赤とベージュなキラキラした雰囲気のお部屋になっていました。
 
 部員の人たちは、みんなお鼻の下からをシースルーのシルクみたいなペラペラな一枚の布で覆い、目のまわりのお化粧が派手め。
 
 服装も、ビキニまではいかないセパレートの水着にツヤツヤなガウンを羽織っている人や、金の紙で作ったらしい王冠やアクセサリーで飾り立てた人、ギリシャの哲学者みたく白いカーテンをからだに巻きつけただけみたいな人など、全体的に昨年よりキンキラ&セクシーな感じになっていました。

「ねえ、しーちゃん。去年より、みなさんのお肌の露出度が上がっていない?」
 
 大きめな男物のストライプなワイシャツに黒いスカーフ、薄茶色のスカートに大きめの黒縁メガネとヒール、っていう、この空間ではかなり地味めな、でも見ようによっては、インディジョーンズとかに出て来そうなインテリ歴史研究家、みたいなたたずまいのしーちゃんに尋ねました。

「去年まで風紀を細かくチェックされていた高齢の先生が退任されたからネ。今年は少し羽目が外せるんだヨ。井上先生のおっけーももらってるし」
「その代わり、今年はカップルさんでも先生でも男子禁制入室不可。完全無欠な女の園なんだヨ」
 
 しーちゃんが笑いながら説明してくれました。

「それから、これはインディージョーンズじゃないヨ。ハムナプトラのエヴリンのイメージ、ネ?」
「それで、こちらがアナクスナムーンっ!」

 長い髪を左右に分けて前に垂らし、おっぱいのふくらみは髪に隠れていますが、その下はビキニの水着でしょう。
 黒い布地が髪の隙間から少し覗いています。
 まっすぐで真っ白なお腹におへそがちょこん。
 
 下半身はさすがにビキニはまずいのか、黒いパンストに黒いハイレグな短パン。
 スラッと伸びた足がすっごくセクシー。
 目元パッチリでキラキラ光るメイクを施した端正なお顔は、まさに砂漠のお姫さまなクリスさんが、ニッコリ微笑んでくれました。

「ごきげんよう。お久しぶりね、森下さん」

「あっ、ごきげんよう、えっと、クリスさん、じゃなくて二宮先輩」
 
 クリスさんの艶やかなお姿にボーッと見蕩れていた私は、声をかけられて盛大にアタフタしてしまいました。

「あら、ごきげんよう森下さん。お変わりなくて?」
 
 クレオパトラ風おかっぱソバージュに金の飾りを付けて、衣装も胸元が大胆に開いたエナメルっぽいテカテカなボディコン姿の村上先輩や、金ぴかアクセサリーを山ほど身に着けて、一歩歩くたびにジャラジャラ音がしそうな小川先輩にお声をかけられて、しばらくおしゃべりタイムに花が咲きました。
 
 そんな格好をしていても、口調は基本、マリみてなのがなんだかミョーに微笑ましいです。

 そのうちに、卒業された鳥越先輩と落合先輩もお顔を見せ、他にも去年知り合った先輩がたや、しーちゃんと仲がいい同級生や後輩の人たちも入り乱れて、楽しい時間が過ぎていきました。


ピアノにまつわるエトセトラ 07