2017年6月25日

三人のミストレス 08

「うんとね、部屋の端から端までにロープをピンと張るの。腰の高さくらいに」
 雅さまのご説明に、ああ、やっぱり、と思う私。

「ロープにはところどころに結び目でコブを作っておいて、ドレイにそのロープを跨がせて、歩かせるっていうアソビ」
「ネットだと、股綱渡り、とか、コブ縄渡り、とか呼んでいたね」

 雅さまのお言葉にすぐご反応されたのは、リンコさま。
「知ってる知ってる。アタシも見たことあるよ。あれ、エロいよね、縄がラビアに食い込んじゃって」
「はい。すごく痛そうでした。わたしには絶対無理だなーって・・・」
 ほのかさまが、心配そうに私を見ました。

「でもまあ、この直子なら、悦んでやってくれそうじゃない?」
 里美さまがイジワルっぽく私を見ました。
「直子は経験、あるの?そのいやらしい綱渡りアソビ」

「あ、はい・・・あります・・・」
 私が答えると、おおっ、と、どよめくみなさま。

「さすがチーフ。もう大抵のことはやらせちゃってるんだ?」
 お姉さまに向けて雅さまが、からかうようにおっしゃいました。

「えっ!?あたしはそれ、直子にやらせたことないわよ。そういうアソビがあるのは知っていたけれど」
 お姉さまが呆れたように私を見ます。
「あたしと逢う前に、すでに誰かさんから仕込まれちゃっていたんでしょうよ」
 皮肉っぽい口調で、突き放すようにおっしゃったお姉さまに、罪悪感がズキン。

 でもあれ?このこと、お姉さまにお話していなかったっけ?
 思い出せないけれど、お姉さまは、この場を盛り上げるために、わざと知らなかったふうのお芝居をされているようにも見えました。

「あーあ、大変だ。お姉さまが妬いちゃってるよ?いつ、誰にやらされたのか、全部正直におっしゃい」
 雅さまが冷やかすように笑いながらおっしゃいました。

「あ、はい・・・地元にいた頃に、バレエの先生のお家で・・・」
「へー。そのとき、ナオちゃん、いくつ?」
「高校、二年、でした・・・」
 えええーっ!?と、どよめくみなさま。

「そんな歳でもう?筋金入りのベテランマゾじゃん」
「直子のバレエの先生って、チーフが言っていた二丁目のバーのママさんだっけ」
「だけどワタシらだって高校の頃、アユミにエロい格好させたり、紐で縛ったりはしていたわよね」
「でも、股綱渡り、なんていうお下劣なプレイの知識は持っていなかったわよ」

 ワイワイガヤガヤ、口々にかまびすしいみなさま。
 私のマゾ遍歴に関しても、お姉さまからお聞きになっていたのでしょう、みなさまお詳しいご様子です。
 ざわめきが一段落して、ほのかさまが真面目なお顔で尋ねてきました。

「あんなことして痛くないの?なんて言うか、アソコが擦れちゃうのでしょ?」
 ご心配三割、好奇心七割という感じのお顔。
「あ、はい。あの、ぬ、濡れていますから、痛みのほうは、そんなに・・・」

「でもロープに擦れたら、水分もロープに拭き取られると言うか、吸い取られてしまうのではなくて?」
 好奇心九割くらいまでに増した、ほのかさまの興味津々で無邪気なお言葉責め。

「あ、いえ、私は後から後から溢れちゃうタイプですし、擦れる感触も気持ちいいんです・・・そういうことが好きな、マゾですから・・・」
 ほのかさまにお答えしているあいだに、お姉さまがバッグから麻縄を取り出されていました。

「ロープは2本入ってたわ。繋げたらかなり長くなりそうね」
 お姉さまがお持ちになった私の麻縄に群がるみなさま。

「うわー。本当に年季が入ってる。ツヤツヤ黒光りしているじゃない」
「麻縄の、埃っぽいって言うか油っぽい匂いって、官能を揺さぶるような、なんだかゾクゾクする匂いよね」
「よく見ると黒ずみ具合が、まだらになっているのがなんだか生々しい」
「黒ずみが濃い部分に、とくに直子のいやらしいおツユと臭いが染み込んでいるってわけよね」
 ロープを手にして、口々にあけすけなご感想をぶつけてくるみなさま。

「ロープの端は、あそこの窓の鍵の部分に引っ掛ければいいわね」
 お姉さまが公園側の大きな窓ガラスを指さされました。
 把手の付いたクレセント式鍵の高さは、私のおへそくらい。
 あの高さからロープをピンと張られたら、どれだけラビアに食い込んじゃうことか・・・

「もう一方の端は、と・・・」
 グルっと室内を見渡すお姉さま。
「あそこがいいか」
 ガラス窓とちょうど真向かいな位置の壁際に置いてある、スチール製のブックシェルフを指さされました。

「あれの外枠に結びつければいいでしょう。頑丈そうだし、本がぎっしり詰まっているから倒れるようなこともないでしょうし」
「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと耐震性のストッパーも付けているはずですから」
 お姉さまのお言葉に、すかさず太鼓判を押される松井さま。

 ロープを手にされたリンコさまが窓際に近づかれ、窓の鍵部分にロープを軽く結んだ後、スーッと伸ばしながら対面の壁際ブックシェルへ。
「大丈夫そうですね。2本結べばラクショーで届きます」

 距離にしてだいたい7、8メートル。
 お料理が置かれたふたつのダイニングテーブルのあいだを麻縄が走る形になるようです。

「あっちの壁際から始めれば、直子はどんどん窓際に近づいていくことになるじゃない?」
 お姉さまがイタズラっ子な笑顔でみなさまにおっしゃいます。

「外も暗くなったし、今、外からあの窓辺を見たら、この部屋の灯りが煌々と目立っているはずよね」
「そんな中を直子がこの格好で、股間のロープに身悶えしながら窓辺に近づいていくってわけ。見せたがり露出狂な直子には、ご褒美と言っていいくらい、うってつけの余興だと思わない?」

「外で運良くあの窓を見上げる人がいるといいわね?」
 最後のお言葉だけ私に向け、ニンマリと微笑まれるお姉さま。

「結び目って、どのくらいの間隔で作ったらいいんでしょうか?」
 リンコさまが持ち帰られたロープを手にされたほのかさまが、お姉さまに尋ねました。
「そんなの適当でいいよ。でもまあ、ナオちゃんだから多ければ多いほどいいんじゃないかな」
 お姉さまのお返事を待たずに、雅さまが愉しそうにお答えされました。

 ロープの片方の端にほのかさま、もう片方にリンコさまが取り付いて、せっせとロープに結び目のコブを作っていきます。
 おふたりともノリノリなご様子。
 やがて、結び目のコブだらけな麻縄が出来上がりました。

 リンコさまが回収され、ロープの片方の端、丸く輪っかに結ばれた部分をまず、窓ガラスの鍵の把手にひっかけました。
「直子、ちょっとこっちに来て」
 リンコさまに呼ばれ、リンコさまを追う私。

「ここに立ってみて」
 ブックシェルフの鉄柱の脇に立たされた私の、剥き出しな股間の高さを見定めるリンコさま。
「うーんと、このへんかな?」
 リンコさまがロープを柱に結びつけようとすると、お姉さまから、待った、がかかりました。

「まだ結ばないでいいわ。もっと直子が嫌がりそうなこと、思いついたから」
「直子が嫌がる、っていうことはつまり、悦ぶとイコールなんだけどね」
 お姉さまのお言葉でリンコさまは、私の股間のちょっと上くらいに割り箸の袋を結んで目印を付けました。
「下準備おーけーです」
 嬉しそうにお姉さまにご報告されるリンコさま。

「今日の集まりは、そもそもゲストの絵理奈さんとしほりさんに、うちの直子を虐めてもらって愉しんでもらう趣向だったじゃない?」
 お姉さまの弾んだお声。

「このバッグの中に面白いものがけっこう入っているからさ、それをゲストのみなさんにも活用してもらって、より愉しんでもらおうと思ってさ」
「こういう余興って、やっぱり、飴と鞭、がお約束じゃない。そこは押さえておかないと」
 お姉さまがバッグの中から、何やら取り出し始めます。

「まずは、飴、のほう、直子のクリア条件。これが今、直子の両手にかかっている手錠の鍵。誰か裁縫用の糸、持ってない?」
 ほのかさまがご自分の携帯お裁縫セットから取り出した糸を差し出すと、お姉さまは小さな鍵に糸を結びつけられました。
 それからテーブルの上にあった小ぶりのロールパンをひとつ、手に取ります。

「鍵はこのパンに詰め込んでゴールにぶら下げておくわ。直子が無事このパンを咥え込んであたしの元に持ってこれたら、その手錠を外してあげる」
「手錠が外れたら、好きなだけ、この場でオナニーすること許してあげる。直子、今イキたくって仕方ないのではなくて?」

 それがお姉さまから私への、飴、ですか・・・
 となると、鞭、のほうは、もっと非道いこと?
 飴と鞭、いずれにせよ、私は今夜ここで自慰行為をみなさまにご披露しなければいけないみたいです。

 柔らかいロールパンに押し込まれた鍵に繋がった白い糸が、パンの生地から垂れ下がっています。
 そのパンを手渡されたリンコさまが窓辺へ走り、カーテンレールに糸をくぐらせてパンをぶら下げました。

「でも、ただ股縄渡りしてパンを咥えるだけじゃ面白くないから、鞭のほうを絵理奈さんたちにやってもらうの」
 おっしゃりながら取り出されたのは、文字通り小さめなバラ鞭でした。

「時間制限を設けて、その時間内にパンを咥えられなかったら、またスタートからやり直し。絵理奈さんたちは、この鞭で直子を嬲って妨害していいの」
 お姉さまがその場で、バラ鞭を勢い良く振りました。
 空気を切り裂くヒュンッという音に、背筋がゾクゾクっ。

「いいなー。ワタシにもナオちゃんの妨害係、やらせてよ。ワタシだってちゃんと本格的にナオちゃん虐めるの、初めてなんだからさ」
 雅さまが不満げにおっしゃると、ニコニコうなずかれたお姉さま。

「そうだったわね。もちろん雅もいいわよ。あ、ついでに松井ちゃん、あなたも、ね?あなたも今日のゲストだから」
「え、いいんですか?それじゃあ、お言葉に甘えて」
 雅さまも、松井さままでノリノリです。

「直子、こっちに来なさい」
 お姉さまに呼ばれ、正面へと歩を進めました。

 私の真正面に立たれたお姉さまの両手が私の下半身に伸び、ジーンズをズルリと両膝小僧の辺りまで引き下げられました。
「あっ、いやんっ」
 さっき絵理奈さまの手で前ボタンを外されて少しずり下げられ、中途半端に露出していた私のマゾマンコが、完全に外気に晒される格好になりました。

「完全に脱がすかどうか迷っていたのだけれど、このほうがだらしなくて、より直子らしいでしょう?」
 お姉さまの右手が、私の剥き出しマゾマンコを直にペロンと撫で上げました。
「はうっ!」
 お姉さまの掌が腫れ上がった肉芽に当たり、おもわずはしたない声が。

「中途半端な脱ぎかけだと、歩幅も窮屈になるし、歩きにくくて足枷みたいでしょ?マゾでヘンタイな直子にお似合いよ」
 完全にエスな瞳のお姉さまが蔑むようにつづけました。

「それに今、ヘンな大声出したけれど、さっきも言ったでしょう?いやらしいヨガリ声は下のお客様まで筒抜けだって」
 おっしゃりながらもう一度私のマゾマンコを右手で覆い、人差し指と中指を挿し込んでくるお姉さま。
「ぁう・・・ふ、ふぁい、ごめんなさいぃ」
 快感に震えながらも努めて小声でお許しを乞う私。

「おおっ、さすがチーフ。直子の扱い、熟れている感じ」
「ほんと、すごくSMの女王様ぽい。こんなのワタシの知ってるエミと違う」
「あら、学生時代からエミリーは怒ると怖かったわよ。静かに怒るから尚更なのよね」
 みなさまにからかわれるお姉さま。

 私のマゾマンコから離した右手を傍らのおしぼりでクールに拭ったお姉さまは、無言で壁際のブックシェルフのほうへ向かわれました。
「ほら、直子もこっちに来なさい」
 冷たいお声で呼ばれ、ヨタヨタと急ぐ私。
 膝まで下ろされたジーンズに絡め取られる両脚は、予想以上の歩きにくさでした。

「ここに立って」
 先ほどリンコさまが目印を付けられたブックシェルフの前に立たされました。
 リンコさまが持っていたロープの端をジーンズと股間のあいだの空間に通されます。
 股間をくぐって私の背後にお顔を出したロープの端が、リンコさまが付けた目印のところに結び付けられました。

「ぁはぁ・・・」
 股間の亀裂に縄が接触する感触で、いやらしい声が出そうになり、あわてて口をつぐみました。
 みなさまがグラス片手に私のところへゾロゾロと集まってきました。

 スタート地点の縄の高さは、私がつま先立ちするとやっと触れないぐらい。
 そこから、お外が丸見えな窓ガラスまで、緩やかな上昇線が繋がっています。
 
 張られたロープには、これでもかというくらい結び目のコブ部分が連なり、その果てにぶら下がっているロールパン。
 そのロールパン手前のロープは、私のおへそくらいの高さにあり、卑猥なコブが密集していました。

「ルールは簡単。直子はこの股縄を辿って向こうの端まで行き、あのパンを咥えられたら終わり」
 お姉さまがみなさまに向けてご説明されます。

「ただし、歩くときにはこの本を頭の上に乗せて、落とさないように歩くこと。落としたらペナルティ」
 ブックシェルフから抜き出したらしい薄手の女性週刊誌を、私の頭に乗せるお姉さま。

「落としたら、この洗濯バサミをひとつ、からだのどこかに挟むこと。直子はどこを挟んで欲しいか、ちゃんと言うのよ?」
「あ、はい・・・」
 バッグから取り出した、木製の洗濯ばさみがぎっしり詰まった巾着袋は、しほりさまに手渡されました。

「絵理奈さんたち妨害組は、歩いて行く直子に何をしてもおーけー。鞭を使ったり素手でお尻ひっぱたいたり。、ロープを揺するとか食い込ませるとか」
「もちろん鞭で、ペナルティの洗濯バサミをはたき落としてもいいわ」
 お姉さまのお言葉に、絵理奈さまの瞳がスッと細くなりました。

「直子は頭の雑誌を落とさないように、ひたすら前に進むだけ。はしたない声張り上げちゃって見物人が増えちゃっても、それは自己責任だからね」
「は、はい・・・」
 お姉さまのお話をお聞きしているだけで、ロープに密着した粘膜がキュンキュン疼き、粘液がトロトロと膝のジーンズの股布へと垂れ下がっていました。

「あ、そうだ!この展開で、ワタシいいこと思い出しちゃった」
 雅さまが嬉しそうなお声をあげ、お料理テーブルに向かわれました。

「昔、飲み会の席でアユミにイタズラしたことあったでしょ。すごい効き目で超面白かったの、憶えてない?」
 戻ってこられた雅さまの右手には、小皿にこんもりと盛られたライトグリーンの生ワサビ。

 お刺身用の薬味から拝借されたのでしょう。
 そして、おそらくすごく良いワサビなのでしょう、先ほどお刺身をいただいたとき、頭にツーンと抜けていったその強烈な刺激を私も覚えていました。

「酔っ払ったアユミを羽交い締めにしてさ、クリちゃんにちょこっと塗ったら、なんとも悩ましい顔になっちゃって、連れて帰るの大変だったじゃん?」
「ああ、そんなことあったわね。あのときはずっと、わたくしがアユミのお相手をしてあげたのだったわ」
 綾音さまが懐かしそうにお顔をほころばせました。

「ということで・・・」
 ロープの半分くらいにあるコブにワサビをちょこんと盛り付ける雅さま。
 そこからコブひとつ置きくらいにちゃんちょんちょん。
 ロールパン手前の窓際のコブには、残ったワサビがこんもりと盛られました。

「ナオちゃんは、クリちゃんへのワサビ責め、されたことある?」
「あ、えっと・・・それは・・・」
 お姉さまのお顔をじっと見つめる私。

「ああ、いつだったかお寿司屋さんで食事した後、オナニー用にお店で余ったワサビを直子に渡したことがあったわね。確か連休の頃だっけ?」
「なーんだ。すでにエミつん女王様から調教済みなんだ」
 雅さまががっかり気味におっしゃいました。

「ううん。そのときは時間が無くて、それで直子にオナニーするように言い渡しただけ。実際に目の前で見たわけではないのよ」
「そんなことをしたのは、あたしもあの日のアユミのワサビ事件、強烈に記憶に残っていたせいかもね」
 お姉さまが雅さまに言い訳するようにおっしゃいました。

「あたしが直子から聞いた事後報告によると、なんだかすっごく気持ち良かったらしいわよ。今日はそのサマをみんなでじっくり、見物しましょう」
 私を蔑すむように見遣りながら、なんともイジワルなお顔で微笑まれたお姉さま。

「じゃあ始めましょうか、一発目でミッションクリアされちゃったらつまらないから、最初の時間制限は30秒ね」
「あ、それならわたしがタイムキーパー、やります」
 お姉さまのお声に逸早くご反応された里美さまが、ご自分の腕時計を外されました。

「それじゃあ、いきますよ」
 里美さまの号令で、頭の上に雑誌が乗せられました。
「よーい、スタートっ!」

 雑誌を落とさないようにバランスを取りつつ、慎重に一歩踏み出します。
 濡れそぼった股間を滑る麻縄のザラついた感触。
 次の一歩でもうすぐそこの、イジワルな結び目にたどりつきます。

 目前には、どんどん高くなっていくロープと無数のコブ。
 真ん中へんから向こうのコブたちは、ところどころライトグリーンのお帽子をかぶっています。
 まっすぐ固定した視線の先に遠く揺れる、おそらく公園を照らしている、いくつかの外灯の光。

 短か過ぎる丈で覆いきれないボレロの布地から、ほとんど零れ出ている生おっぱい。
 無意味にお腹部分だけを隠している、かつてはチュニックだった白い布地。
 おへそ下から膝まで剥き出しの下腹部。
 女性なら隠すべき恥ずかしい部分すべてをさらけ出した姿で、窓際まで歩いていかなければなりません。

 首輪に繋がったリードを嬉しそうに、しほりさまが引っ張ってきます。
 松井さまは、信じられない、という面持ちで私の顔と、縄の食い込んだ股間を交互に見つめています。
 雅さまは嬉しそうに、ロープを掴んで揺すっています。
 ミサさまがさも当然のことのように、ビデオカメラのレンズをこちらに向けています。

 二歩目を踏み出し、腫れたクリトリスにコブのゴツゴツがなすりつけられたとき、お尻に軽い痛みが走りました。
 ピシャッ!、あぁんっ!バタンっ!
 背後におられた絵理奈さまからのバラ鞭の刺激で、頭の上の雑誌が床に落ちました。

「あーあ。ペナルティだー」
 リンコさまの嬉しそうなお声。
 しほりさまから洗濯バサミをひとつ受け取った松井さまが、私に近づいてこられました。

「松井ちゃん、直子に、どこにつけて欲しいか聞いて」
 イジワルいお姉さまのお声。
「どこにつけて欲しい?」
 松井さまのお声までイジワルっぽくなっています。

「あ、はい・・・それでは、右の乳首に・・・」
 自分でおねだりをする、みじめさ、はしたなさ、ふしだらさ・・・
 ぎこちない手つきで右の乳首に洗濯バサミをぶら下げられました。

「あうぅ」
 その痛みに喘ぐと同時に、お尻に強烈な痛みが走りました。
 ピシャッ!
「あうっ!」

 お姉さまが平手で私の左尻たぶを思い切りはたいたようです。
「自分から頼んでしていただいたのに。お礼のひとつも言えないの?」
「あぅ、ご、ごめんなさい・・・ありがとうございますぅ。松井さまぁ」
 乳首のジンジンとお尻のヒリヒリで、マゾマンコの粘膜が盛大に蠢いています。

「ペナルティ時のロスタイムは取りますか?」
 妙に冷静な口調で、お姉さまにお尋ねされる里美さま。
「ま、そのへんは適当でいいのだけれど、今ので何秒くらい?」
「本を落としたところで、22秒でしたね」

「まあ、30秒で行けるわけないよね。おっけー。それじゃあ次は制限時間一分、ロスタイム無しでリスタートね」
 右乳首に洗濯バサミをぶら下げられた格好でスタート地点に戻され、再始動。

 それからもバラ鞭をいただくたびに雑誌を落としてしまい、そのたびにペナルティが科せられました。

「左の乳首にください」
「右のラビアを挟んでください」
「左のラビアにお願いします」
「右のラビアにもうひとつ・・・」

 おっぱいに、脇腹に、お尻に、おへそに、舌に・・・
 ギャラリーのみなさま全員から代わる代わるに洗濯ばさみをいただき、からだ中が洗濯バサミだらけになっていました。
 そのたびに、ありがとうございます、と感謝を伝えるマゾドレイ。

 巾着袋にギッシリだった洗濯バサミが足りなくなる頃には、雑誌の頭乗せルールも時間制限も廃止され、とにかく窓際まで進んでパンを咥えることだけが目的となっていました。
 それでも私はまだ、ロープの中間地点までにも至っていませんでした。

 歩を進めるごとにロープのテンションがキツくなり、情け容赦無くマゾマンコに食い込んできます。
 いくつも連なったコブは、肉の芽を擦り上げるだけでは飽き足らず、粘膜の奥にまで潜り込んで陵辱してきます。
 そのあいだにも、お尻や背中にバラ鞭を振るわれ、乳首や皮膚に噛み付いた洗濯バサミを何度もはたき落とされました。

 快感と苦痛に翻弄されながらも、私は愉悦の喘ぎ声を必死に我慢していました。
 突き出した舌に挟まれたふたつの洗濯バサミが、嬌声を堪えるのに役立っていました。
 その代わり開いた口の端からはダラダラとよだれがしたたり、下の口から垂れる愛液と共にジーンズの股布を盛大に汚していました。

 私のみじめ過ぎる姿を視てテンションの上がったみなさまが、嵩にかかって私を嬲りものにしてきます。
 鞭で振り払われ床に落ちた洗濯バサミを拾っては、同じ箇所に噛ませてくる手。
 声を我慢しているのをいいことに、私の腫れ上がったクリトリスにコブをグイグイ押し付けてくる手。
 後ろ手錠の両手に、スイッチの入ったバイブレーターまでわざわざ握らされました。

 痛みと羞恥と屈辱と官能とがないまぜになって全身を駆け巡り、マゾ冥利に尽きる恍惚としためくるめく快感。
 私の両脚は、その付け根の粘膜から発散される蕩けてしまいそうなほど甘美な痺れに、ガクガク小刻みに震えていました。
 たとえば次に、ちょっとでも物理的な刺激を敏感な部分に受けたら、それだけで為す術無くイキ果ててしまいそうなほどの昂り。
 
「あらあら、ずいぶんと愉しそうなことになっているみたいじゃない?」
 不意に階段のほうから朗らかなお声がして、盛り上がっていたみなさまのワイワイガヤガヤが瞬間、ピタッと止まり、シンと静まり返りました。

 いよいよ次は、ライトグリーンのお帽子で飾られたコブを咥え込む、という地点まで私が進んだときのことでした。


三人のミストレス 09


2017年6月4日

三人のミストレス 07

 欲情して腫れ上がったときの私のクリトリスの皮のように、いとも簡単にペロンと剥かれたチューブトップから飛び出した生おっぱい。
 羽織ったボレロの短かく狭い布地では到底隠しきれず、尖りきった左右の乳首までがこれみよがしに、明るい照明の下にさらけ出されました。

「おおー。出たねー、ナオちゃんのえっちなおっぱい」
 とても嬉しそうな笑顔の雅さま。
「相変わらず、痛々しいくらい乳首ボッキさせちゃって。ほんと、ニンフォマニアっていう肩書がピッタリよね」
 しほりさまの呆れたようなせせら笑い。

「顔に似合わず大きくて物欲しげなニップルだこと。アレオラも大きめだし、色も形もあたしのほうが数段、品があるわ」
 私が気にしている箇所を正確に突いて、妙な対抗心を燃やしてくる絵理奈さま。

 かつては頼り無いながらも胸部と下腹部を隠してくれていた、ニット地のベージュ色チューブトップチュニック。
 今ではアンダーバストからおへそぐらいのあいだで、腹巻のようにたわんでいました。

 今、私の素肌を隠してくれている着衣は、両腕と肩口を覆い、乳首の少し下くらいまでの着丈な若草色のボレロと、両腿が交わる付け根ギリギリのローライズジーンズ。
 そして、さっきまでチュニックだったベージュ色の腹巻だけでした。

 後ろ手に拘束されたため両肩が広がり、ボレロの前合わせが開きっ放しなので、両おっぱいの膨らみが先っちょまで剥き出し。
 別に隠さなくてもいい下乳からおへそ上までがベージュの布で覆われ、その下の恥ずかしい無毛な下腹部は、マゾマンコのラビア寸前まで丸出し。
 後ろ手錠でそれらのどこも隠すことは出来ず、みなさまの前に立ち尽くしていました。

 お料理を並べ終えたらしい松井さまもギャラリーに加わられ、感嘆と嫌悪が入り混じったようなフクザツな瞳で、私のおっぱいと顔を交互に見つめてきます。
 こんなにはしたない女がこの世にいるのか、とでも言いたげに。
 その、信じられない、という驚きだけに彩られた好奇の視線が、一番感じてしまいます。

「すごい恰好。着衣がことごとく、その役目をなさずに扇情的なアピールのためだけに機能しているわ」」
 綾音さまがお独り言っぽくつぶやかれたお言葉を、聞き逃さなかったのは雅さま。

「だから、アヤは考え過ぎなんだって。うわっ!マゾっ子ナオちゃん、超エローい、ってイタズラして愉しんじゃうのが正解だよ」
 笑いながらおっしゃった雅さまが、右手に持っていた割り箸の先を、私の左おっぱいに伸ばしてきました。

「あんっ!」
 お箸の先でおっぱいの皮膚をチョンとつつかれました。
 それから箸先が開き、ムニュっと皮膚をつままれます。
「あんっ、いやんっ・・・」

 雅さまの箸先が、しばらくおっぱいのあちこちをつまんだりつついたり。
 さっきのお言葉通り、まさしく、イタズラを愉しむ、お医者さんごっこ中のイジメっ子みたいなお顔で、私のおっぱいをもてあそぶ雅さま。

 生身の手で触れられるのとは違う、少しの痛みとじれったさを伴うその無機質な感触は、人体実験の被験者になったような気分。
 子供の頃から、自分が囚われの身となり、物扱い、される妄想が大好物で、オナニーするときにわざわざパスタトングやアイストングでおっぱいを虐めていた私ですから、このいたぶりはジャストフィット。
 されるがまま縋るように雅さまを見つめながら、ふしだらなマゾゲージがグングンとヒートアップしていきます。

 左も右も一通り、お箸の蹂躙を受けた後、不意に左乳首がつままれました。
「あうっ!んふぅーん・・・」
 さっきから弄って欲しくて仕方ないのに焦らされつづけた乳首に箸先が触れた刹那、思わず悦びの声が大きく洩れていました。

 けっこう強い力で挟まれたままグイッと引っ張られます。
「あーーっ!だめですぅぅ、ぅぅぅ・・・」
 抑えようとしても喉の奥から、淫らなうめき声が洩れてしまいます。

「あれ?おっぱいのお肉はマシュマロ挟んだみたいに柔らかだったのに、ここだけずいぶん硬くてコリコリしてるんだ」
 雅さまの箸先が右乳首に移動し、感触を確かめるように挟んでは離し、挟んでは離し。
「んんぅ、んんぅ、んーーんぅぅ・・・」

「なんだかナンコツの唐揚げ齧ってるみたいな感触。グリグリ捏ね繰り回したくなっちゃう」
 お言葉通り、挟んだ乳首を引っ張りつつお箸がぐるぐる円を描きます。
 私の右おっぱいの皮膚が、お箸の動き通りにプルンプルン波打ちます。

「ああんっ、だめぇ、雅さまぁぁ、そんなぁーーっ・・・」
 自分でも驚くくらい大きな嬌声をあげてしまいました。
 雅さまの箸先がスッと私のからだから離れました。

「ねえ、ナオちゃん?ここは貸し切りだけれど、ワタシたちだけの個室っていうわけじゃないのよ?」
 ニッと笑った雅さまが階段のほうを指さされます。

「階段のところにドアがあるわけじゃないから、ここで大きな声出したら階下まで筒抜け」
「そんな状態で今みたいにナオちゃんが、いやらしく大声を出しつづけたら、下にいる一般のお客さんたちは、どう思うかしら?」

 おっしゃりながら再び私の左おっぱいにお箸の先を伸ばしてくる雅さま。
 私は唇を真一文字に結び、もう金輪際、喘ぎ声を出さないと心に決めます。

「男のお客さんとか敏感に反応して、興味津々で階段上がって見に来るかもしれないよね?トイレがあるから上がってくることは不自然じゃないし」
「まあ、ナオちゃんは見せたがりーらしいから、下の人にも視てほしいのなら、ワタシもこれ以上何も言わないけれどね」

 さっきよりもねちっこい乳首へのいたぶり。
 明らかに雅さまは私に、声をあげさせようとしているのがわかります。
 必死にがまん、がまんーっ。

 そのときまた、ベルがチーン。
「あっ!」
 弾かれたようにお声をあげる松井さま。

「いっけなーい。みなさん、まだまだお料理出てきますので、どんどん食べて飲んで、愉しんでくださーい」
 あわてて階段のほうに駆け寄る松井さま。
 雅さまのお箸も私から離れ、みなさまの視線もお料理の乗ったお部屋中央のテーブルへと散らばりました。

「そう言えば、直子は後ろ手錠されちゃってるから、料理も食べれないしお酒も飲めないんだ?」
 からかうようにイジワルくおっしゃるリンコさま。

「ううん、それは駄目よ。今日は楽しいパーティなんだから、ナオちゃんだって食べて飲んで、盛り上がらなくっちゃ」
 雅さまがキッパリとおっしゃってくださいました。
「安心して。ワタシにアーンしたら食べさせてあげる」
 ノリノリな雅さまがギュッとハグしてくださいます。

 雅さまのシャツブラウスに施された刺繍部分の硬い布地に、私の生おっぱいがムニュッと押し付けられました。
 ほのかさまのご反応が気になって、抱かれたまま目を向けると視線が合い、ほのかさまは、よかったね、というように、たおやかな微笑みを返してくださいました。

「雅が直子のお世話をしてくれるなら、臨時の飼い主として、これ使っていいわよ」
 ソファーから立ち上がりかけていたお姉さまが傍らのバッグをゴソゴソして、また何かを取り出されました。

「はい、どうぞ」
 イタズラっぽい目つきのお姉さまから、ワクワクなお顔の雅さまに手渡された一本のチェーン。

「おおっ、いいねー。いかにもペットって感じで」
 太めなスチール製で一メートルくらいの鎖状のリードを、いそいそと私の赤い首輪の正面リングに繋ぐ雅さま。

「さあナオちゃん、何でも好きなもの食べさせてあげるよ」
 赤いレザー製の持ち手をグイッと引っ張られ、雅さまの後ろをヨタヨタ着いて、お部屋中央のテーブルまで歩きます。

「はーい、今出来上がってきたのは、ムール貝の白ワイン蒸しでーす。どうぞお熱いうちにお召し上がりくださーい」
 松井さまのお声で、みなさまがテーブルに群がりました。
「それと、こちらはナンコツの唐揚げになりまーす。レモンはこちらにありますから、お好みでどうぞー」

「あれ?ナオちゃんの乳首じゃん。さっきのワタシらの会話、調理場まで聞こえちゃってたのかな?」
 雅さまのお道化た軽口に、みなさまアハハと大笑い。
 早速、雅さまのお箸によって、アツアツなナンコツ唐揚げが私の口に放り込まれました。

 あふあふあふ・・・
「あ、ごめん。熱かった?その格好じゃナオちゃん、飲み物も飲めないんだっけ」
 雅さまがご自分のワイングラスを私の唇にあてがってくださり、ゴクゴクっと口の中を冷ましました。

「ねえ、松井ちゃん?ストローかなんかない?」
「あ、はい。ただいま」

「ストローでお酒飲むと酔っぱらいやすいって言うよね?」
「あ、でもそれ根拠は無いって聞いたよ。水割りとかだと、下の濃いほうを先に吸っちゃうから、そんな気になる、っていう程度の」
「たまに、紙パックのお酒をチュウチュウしながら歩いているオジサンっているよね」
 みなさまお料理をパクパク堪能されながら、しばしの雑談タイム。

「直子はシャンパンが良かったのよね?はい」
 おやさしいほのかさまがよく冷えたシャンパンを新しいグラスに注いてくださり、ストローを挿して私の目の前へ。
 私も雅さまに、アーン、しつつ、ムール貝や唐揚げ、ローストビーフなどを美味しくいただきました。

 みなさまお酒もどんどん飲まれているようで、お話声も大きくなり、それにつれて行動も大胆になってきていました。

 私は、雅さまとほのかさまに挟まれる形で、お料理が置かれたテーブルの前に立っていたのですが、リンコさまミサさまコンビや里美さまがお料理を取りがてらこちらへいらっしゃっては、私のおっぱいにイタズラしていきました。
 雅さまのようにお箸でつまんでいったり、素手でムキュッと揉みしだかれたり。
 ちょっかい出したくて仕方ない、というご様子なイタズラっ子そのもので、なんだか可愛らしい。

「そう言えば松井ちゃん?ナオちゃんにして欲しいこと、何か思いついた?」
 空いたグラスやお皿をお片付けされていた松井さまに、お声をかける雅さま。

「あっ、はい?あ、えっと・・・」
 持たれていた銀盆をいったんテーブルに置き、考え込まれる松井さま。
 私の顔をじーっと見つめてから、一度ニッコリ微笑み、意を決したようにおっしゃいました。

「うーんと、強いて言えば、ひとりえっちしているところを、見せて欲しいかな、なんて・・・」

「うわー、だいたーん」
「そんなこと言ったら直子、本当にやっちゃうよ?」
「口を塞いでおかないと、お店中にいやらしい声が響いちゃって、下のお客さん、全員見に来ちゃうんじゃない?」
「公然ワイセツで営業停止になっちゃっても知らないよー」

 みなさま一斉にワイワイ、凄い盛り上がり方。
 私には、そちらのお声のほうが階下に聞こえちゃって、様子を見に来られないかと、気が気ではありませんでした。

「あ、いえ、言ってみただけで、やっぱりナシにしてください。営業停止はヤバイですぅ」
 お顔を真っ赤に染め、あわててあたふたされる松井さま。

「ううん。それはいずれやらせるつもりだったから、ぜんぜんノープロブレムよ」
 私の視界の右端で、みなさまとは少し離れて優雅にワイングラスを口にされていたお姉さまが、キッパリと言い放ちました。

「それが今日のパーティでの絵理奈ちゃんとしほりさんとのお約束だったし、もちろん、お店にご迷惑をかけないように準備もしてあるから」
 お姉さまのお言葉で一斉に沸き起こる拍手、さすがチーフ、と賞賛のお声。

「でもまだ時間早いし、それはデザートが出たときの最後のお愉しみにとっておきましょう。その前に何か軽い余興が欲しいと思わない?」
 一番お近くにいらした綾音さまに語りかけるお姉さま。

「そうねえ。このシチュエーションだと、四つん這いにして這い回させる牝犬プレイとか?」
 雅さまが持たれたリードを見つつ、冷酷にお応えされる綾音さま。

「女体盛りっていうのもやってみたいけれど、ここのお料理みんな美味しいから、直子の汗やおツユで無駄にしちゃうのはもったいないよね」
 リンコさまが笑いながらおっしゃいます。
「バレエ踊らせるには、テーブルやら椅子でちょっと手狭だし、裸マネキンもさっきやったし」
 ミサさままで、真剣にお考えになっているご様子。

 私はみなさまが何かご提案されるたびに、それをこの場でさせられている自分を想像してキュンキュン昂ぶっていました。
 一体何をさせられるのか?
 怯えつつ期待している、欲情したマゾドレイそのものな表情をしていたことでしょう。

「あたしには、何をやらせるかの前に、ずっと気にかかっていることがあるの」
 唐突に絵理奈さまが、スタスタと私に近づいてきました。

「そんないやらしい服着てきて、いとも簡単にバストもさらけ出しちゃって、みんなの前でマッパになるのは決まっているのに、いつまでも中途半端にマンコ隠しているのが気に入らないわ」
 吐き捨てるようにおっしゃった絵理奈さまの手が、私のローライズジーンズの前ボタンにかかりました。

「ほら、視て欲しいんでしょ?早く見せたくてグショグショに濡らしているんでしょ?マゾの淫乱マンコを」
 絵理奈さまのお声にかぶせるように、お姉さまの冷たいお声が聞こえました。
「直子?そういうときはどうするんだっけ?」
 絵理奈さまの手の動きが止まりました。

「あ、はい・・・絵理奈さま、どうか私のジーンズのボタンを外して、脱がせてください・・・」
「ぬ、脱がせて、私の、私のいやらしい、どうしようもないマゾマンコを、じっくりご覧になってください・・・」
 声が切れ切れになってしまうのは、興奮し過ぎて吐息がハアハアと交じってしまうからです。

「絵理奈ちゃん、まだ全部脱がさなくていいわよ。直子にはだらしないほうがお似合いだから。腿の辺りまでずり下げるだけでいいわ」
 お姉さまのお言葉にニヤニヤ笑いでお応えされた絵理奈さま。
 私のローライズジーンズの前ボタンを、手際よくあっさり外しました。

 ジッパーはありません。
 そのままベルト回りの生地をズルっと引き下げられました。

「うわ、内腿までベトベト。布地にたくさん糸引いちゃって、熱持っちゃって湯気まで見えそう」
 絵理奈さまの心底呆れたようなお言葉とともに、股間を空気が吹き抜けました。
 ドヤドヤっと私のまわりにみなさまが歩まってこられます。

「直子、みんなが見やすいように、脚開いて、少し後ろにのけぞって、自慢のマゾマンコを突き出しなさい」
 お姉さまのご容赦ないご命令。
「・・・はい」

「ほんとだ。見ただけで分かるほどグッショグショ」
「クリットが飛び出しちゃってるじゃない。本当に大きいよね」
「膣口までうっすら開いちゃって。そんなに感じていたんだ」
「オフィスで視慣れていたけど、こういう場だと、また違った趣があるよね」
「ほら、松井ちゃん。もっと近くで見ていいよ。これがマゾ女の淫乱性器。なんなら写メ撮っとく?」

 ずり下ろされたジーンズから覗く剥き出しの股間を、みなさまに突き出した体勢で見世物になっている私。
 浴びせられる好奇の視線と無遠慮なご感想。
 向けられるレンズと嘲笑。
 視られていることでより盛んになってしまう、粘膜からの分泌液。

「あなたって、本当に何を命令されても従順だし、辱められるほど感じちゃうのね?見事なヘンタイぶりだわ」
 絵理奈さまが真面目なお顔でしみじみとおっしゃいました。

「もしもあなたが異性愛者だったら、間違いなくセクハラ男どものアイドルになれたでしょうね。陰の仇名は、サキュバスか公衆肉便器だろうけれど」

 さりげなく右手の指で、腫れ上がった私の肉芽をサッと撫ぜた絵理奈さま。
「はうっ!・・・」
 大きな声が出そうになり、必死に口をつぐむ私。

「チーフがロープもお持ちだったら、自縛ショーなんてどうでしょう?こないだお客様からのリクエストでショールームでやったとき、けっこう盛り上がりましたよ。直子の自縛、手慣れていたし」
 里美さまが私の股間から視線を外しておっしゃいました。
 私に何の余興をやらせるか、の議題に戻ったようです。

「ああ、ロープなら、7、8メートル位の麻縄が一、二本入っているはずだけれど」
 お姉さまがソファーのほうに向かわれながらおっしゃいました。
「あ、でも言っとくけれど、このバッグはあたしのじゃなくて、直子の私物だからね。中身のほとんどは直子があたしと出会う前から持っていたエロ道具ばかりだから」

「うん。ロープもあるわ。直子のからだを人知れず長年虐めてきた、年季の入った麻縄ロープ」
 ソファーのところでバッグを覗いただけで、すぐにお答えになるお姉さま。
 私を取り囲む輪が解けたのに、どなたからもお許しがないのでまだマゾマンコ突き出しの姿勢を取っている私を、松井さまが不思議そうなお顔でじーっと見つめています。

「はいはーい。ワタシたち、ロープがあるなら、ぜひナオちゃんにやってもらいたいお仕置きがあるんだけれど」
 雅さまが、おっしゃりながら私のリードを上向きに引っ張ってくださったので、股間突き出し姿勢の解除を許されたと判断し、上体を起こしました。

「前にネットの動画で見たんだけど、これはけっこうツラいんじゃないかなー、なんて言っていたんだよね、ほのか?」
 リードの持ち手をほのかさまに渡される雅さま。

「あ、はい。わたしたちだと絶対無理と思うけれど、直子さんなら出来るかもしれないね、って雅さまと言っていました」
 お酒が入っても、お言葉遣いも居住まいも、はんなり優雅なほのかさま。
 そんなほのかさまの手に、私の首輪に繋がるリードが握られていると思うと、ゾクゾク疼いてしまいます。

「ここなら充分スペースもあるし、みんなでゆったり見物出来ると思うな。自縛と違ってナオちゃんも飲み食い出来るし、視てるだけで飽きてきたら、みんなで自由にちょっかいも出せるし」
 雅さまってば、すっかり乗り気。

 ロープを使うお仕置き。
 自縛ではなくて、たぶん他の人の手による緊縛でもない。
 私がひとりでやらされ、みなさまがゆっくり見物も手出しも出来る・・・
 とあるひとつのプレイが、頭の中に浮かんでいました。

「へー。たまほのが興味持ったお仕置きなんだ?それはあたしもぜひ見てみたい。どんなの?」
 
 お姉さまも乗り気なので、私がやらされるのは、どうやらそれに決定のようでした。


三人のミストレス 08