2021年12月19日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 15

 「あ、でも髪は洗ったほうがいいね、見た目でもかなりベタついちゃってるし。脱衣所の収納にシャンプー類やドライヤーが入っているから」

 バスルーム小屋へ向かおうと向けた背中に、中村さまからお声がかかります。

「あ、はい、ありがとうございます」

「全身をいったんすっかり清めてリフレッシュするといいわ。夜はまだまだ始まったばかり、これからが長いんだからさ」

 意味深なお言葉を残されて、プイッと踵を返された中村さま。
 どうやらこの後も、普通に過ごさせてはもらえなさそうです。

 目隠し樹木を抜けてガラス張りお外から丸見えバスルーム小屋へ。
 室内の電気を点けると夕方の薄闇にそこだけボーッと浮かび上がる感じ。

 もしお外にどなたかがいたら、灯りに照らされた私の入浴姿をまるで映画館で映画を観ているみたいに赤裸々かつ鮮明に鑑賞出来ることでしょう。
 どなたも覗いていないとわかっていても、凄く気恥ずかしい雰囲気です。

 脱衣所で首輪を外し、シャンプー類とドライヤーを確認してから浴室へ。
 今回は気兼ねなく頭からシャワーを浴び、ソープを入念に泡立ててボディアンドヘアケア。

 やっぱりずいぶん陽射しを浴びちゃったみたいで、白く残した恥ずかしい日焼け跡部分の肌がうっすらピンクに変わり始めています。
 この感じならお尻上の恥ずかし過ぎる自己紹介文も、東京へ戻る頃には読めなくなっていそう。

 余計なことは一切しないで丁寧にお手入れだけしてから、再び脱衣所へ。
 バスタオルでからだを拭った後、全裸のままドライヤーで髪を乾かしました。
 それからからだにバスタオルを巻きつけて首輪を嵌め、オールバックに髪をまとめたすっぴんでお外に出ます。

 お外は入浴のあいだに一層暮れなずみ、湿度の低い高原のそよ風がお湯で火照った素肌に心地良い。
 目隠し樹木を抜けて石畳を進み、正面玄関前へ。

 お屋敷の扉を開けた途端、美味しそうな匂いが鼻腔に飛び込んできました。
 ホールに入ると、中央付近の大きめな楕円形テーブルに色とりどりのお料理が並べられています。
 それを見た途端、グゥ、とお腹が小さく鳴り、お腹が空いていることにあらためて気がつきます。

「おお、戻ってきたね。さっぱりした顔しちゃって。髪上げた感じも色っぽくていいじゃん」

 おひとりだけ早々とお席に着かれていた五十嵐さまがお声をかけてくださいました。

「今日のメインディッシュは寺っち特製のスタミナカルボナーラパスタだよーっ」

 中村さまがホテルのルームサービスで使うみたいな銀色の配膳カートを押され、厨房のほうから現われます。
 つづいてワインボトルが2本刺さったクーラーを片手に提げられた寺田さま。
 最後にもう一台、何かが乗ったカートを押されてこちらへと近づいてこられるお姉さまのお姿が見えました。

「でも残念。直子はみんなと一緒には食べられないの。先生からご指名、入っちゃったから」

 カートを私のそばまで押してこられ、私に向き合わられたお姉さまの右手が、スッと私のほうへと伸ばされます。

「あんっ、いやんっ!」

 スルッと当然のように剥ぎ取られる私のバスタオル。
 またまたみなさま着衣の中で私ひとり全裸。

「直子は先生のお部屋にお食事を持っていって、一緒に食べなさい。それでしばらくまたお相手ね」

 お姉さまが運ばれたカートの上には山盛りのサンドイッチとスコーン、そしてミルクティのペットボトル2本にティカップがふたつ。
 つまり、このカートを先生、いえ、あるじさまのお部屋まで運びなさい、ということなのでしょう。

「この格好で…ハダカのままで、ですか?」

 他のお三かたからニヤニヤ見つめられる中、今更隠すのもワザとらしいし…とモジモジ尋ねる私。

「もちろんよ。直子を虐めてから先生、創作意欲がビンビンらしいから、いい作品になるように精一杯ご協力差し上げてきなさい」

 お姉さまが私を覆っていたバスタオルを丁寧に折りたたみながら素っ気なくおっしゃいます。

「あ、でもちょっと待って」

 異を唱えられたのは寺田さま。

「うちの先生、M女を脱がせていくシチュにも拘るほうだから、最初から全裸じゃないほうがいいかも…」

「そうだね、確かに」

 ご賛同されたのは中村さま。
 それからおふたりでしばしディスカッション。

「先生、今は何に取り掛かっているのかな。女教師凌辱もの?令嬢もの?時代もの?」
「直子とアソんでインスピレーション湧いたっていうんなら、令嬢誘拐ものじゃない?」

「令嬢ものか…でもさっきのブラウスはボロボロだし、スカートもヨレヨレだったよね?何着せよう」
「でも逆にさ、さっきのプレイで外にマッパで連れ出すまでしちゃったから、先生の中でその令嬢はもうM女奴隷状態にそこそこ堕ちてるんじゃない?」

「そっか、直子ちゃんも凄い乱れっぷりだったし、もう本格調教に移行しているかもね。それなら裸エプロンくらいでいいのかな」
「それだとエプロン外して即全裸でつまんないじゃない。脱がせる愉しみが味わえない」

「そっか、じゃあエプロンの下に先生好みのアレでも着せとこっか?」
「ああ、アレね。いいんじゃない、賛成。この子にピッタリそうにエロいのが確かあったはず」

 おっしゃった中村さまがタタタッとホールの奥のほうへと駆けだされます。
 そのお姿を呆気にとられて見ている私の背後で、寺田さまが後ろに結んだ私の髪を解かれました。

「そういう格好ならオールバックよりこっちの髪型のほうが似合うはず」

 そんなことをおっしゃりつつ、手慣れた感じで私の後ろ髪を分けられる寺田さま。
 あっという間に両耳の上で結んだツインテールヘアに早変わり。
 そこへタイミング良く中村さまが戻られます。

「ほら、まずはこれ着て」

 差し出されたのはクタッとしたブルーグレイの布片。
 手に取って広げてみると、これは水着?それともレオタード?
 ワンピース型で襟ぐりと背中が大きく開いていて、たぶんハイレグ。
 凄く軽くて薄くて伸縮性があって、しかもたぶん私には少し小さい…

 なにはともあれご命令ですので着てみます。
 両脚を通してからだを布片で覆い、肩紐を両肩へ。

「んっ!」

 やっぱり私には少し小さいみたい。
 伸縮性のある布地が早くも股のあいだへと食い込み、おっぱいを押し潰すように貼り付いてきます。

 やっぱり超ハイレグで骨盤の上ぐらいまでの素肌が露わ。
 股間を通る布片は幅5センチにも満たないくらいなので、大陰唇を隠すのがやっと。

 襟ぐりはおろか両脇も盛大に開いているので谷間はおろか横乳までもろ見え。
 更に薄くて伸びる生地のため、両乳首はもちろん前ツキな私の陰核の位置まで、布地がこれ見よがしに突き出され、正確にそれらの位置はおろか形状までを教えてくださっています。

「おお、やらしいねー。裸より断然えっちだ」
「早速股間が濡れてきちゃってるじゃん。ほら、色が濃く変わってる」
「これなら先生も、ヤル気倍増じゃない?」

 代わる代わる囃し立ててこられる寺田さまと中村さま。
 五十嵐さまはお姉さまのビデオカメラをずーっと私に向けておられます。

「このレオタって、確かエミリーんとこの製品よね?」

 寺田さまがお姉さまに尋ねられます。

「うん。うちで扱った素材みたいね。製品ではないけれど、たぶん新素材の試作で余った布地でリンコたちが作ったんじゃないかな?何かのコスプレ用に」

「ああ、エミリーんとこの社員の可愛い子たち、コスプレ写真撮りたいって女の子おおぜいで来たときあった。確かにあの子たちが先生へのお礼兼ご参考にって、エロい衣装たくさん置いて行ったような記憶があるわ」

 中村さまが相槌を打たれます。
 こんなに遠くまで来ても、私はリンコさま特製の辱め衣装から逃れられないようです。

「あとはこれを着て、仕上げにこれ、ね」

 ジョセフィーヌさまとのお散歩のときに着せられたのと同じようなミニ丈のヒラヒラ純白なメイドエプロンを着せられ、仕上げはメイドカチューシャ。
 真っ白なヒラヒラが付いたカチューシャが私の頭に嵌められました。

「おお、かわいーっ!」
「エロメイド、一丁上がりっ!」
「エプロン着けても勃起乳首が布地に響いていて、どっからどう見ても性的オモチャなM女召使いって感じ」

 今度は五十嵐さままでご一緒になられ、お三かたから囃し立てられます。

「さあ、それじゃあ先生のところへ行ってきなさい。場所はわかるわよね?直子が拘束された和室。あそこが先生のお仕事部屋」

 お姉さまが私を、お姉さまが押してこられたカートの押手の前に誘導しつつおっしゃいます。

「あ、カートは部屋の中まで入れてはダメよ。廊下に置いてお料理類だけ部屋に運ぶの」

 寺田さまがお優しく教えてくださいます。

「先生がお仕事している文机のそばに、もうひとつ座卓があるはずだから、まずその上のポットや湯呑を下げて、そこに置くといいわ」
「下げたポットとかは廊下のカートの上に置いといてくれれば、後でアタシらが回収するから」
「それで、ご一緒するように寺田に言われました、って言えば、先生も察するはずだから」

 細やかなご指示をくださる寺田さま。
 でも先生、つまりあるじさまは何をお察しになられるのでしょう…

「くれぐれも粗相の無いようにね。先生のご要望には何でもはい、はいって応えるのよ」

 なんだか母親のようなことをおっしゃるお姉さま。

「うふふ。今のエミリーの言い方って、タレントを枕営業に送り出す芸能マネージャーみたいよね」
 
 そんなふうに混ぜ返されたのは寺田さま。

「あたしたちもこれからディナータイムだから、食べ終えて一息ついて気が向いたら救出に向かってあげる。それまでがんばってきなさい」

 ずいぶん無責任なお姉さまのお言葉に送り出され、カートをしずしずと押しながらホールの奥へと向かい始めました。
 裸エプロンは免れましたが、ラバースーツ並みにからだを締め付けてくる極薄ハイレグレオタードに首輪とメイドカチューシャの格好で。

 ホールの扉を抜け左に折れると市松模様の瀟洒なお廊下。
 押しているシルバーのカートは高級品なのでしょう、軽々と音も無くスイスイ進むのですが、私のほうがなんだか歩き辛い。

 ハイレグ仕様の股布が一歩進むたびに食い込んでくるみたいに、恥丘から会陰までを刺激してくるんです。
 両乳房に貼り付いた伸縮性に富む薄布も、からだが動くたびに乳首先端が擦れる感じ。

 市松模様が途切れると今度は右に折れて一気に和風な板張りのお廊下。
 あるじさまのお部屋も、もうすぐそこです。

 あるじさま、今度は何をしてくださるのだろう…
 また本気なビンタをいただけるかな…
 今度はあるじさま自らお手を下され、あれこれされちゃうのかも…

 お部屋の敷居戸の前までたどり着いたときには、不安と期待の入り混じった妄想に布地からの肉体的刺激も加わって、狂おしいほど淫らな気持ちになっていました。

 いけないいけない。
 まずはちゃんとお勤めを果たさなくては。
 一度深く深呼吸してから強めにトントンと木の敷居戸をノック。

「失礼しまーすっ。お食事をお持ちしましたっ!」

 ハッキリゆっくりよく通るように大きめな声でご挨拶。

「あらあらハイハイ、どーぞー」

 思いがけずも、ずいぶんお優しげな柔らかいお声が返ってきました。

「あ、はいっ!失礼しまーすっ!」

 もう一回大きめの声でご返事してから、敷居戸をスルスルっと開きます。
 最初は寺田さまのお言いつけ通り、何も持たずに沓脱ぎへ。

 内側の障子戸はすでに開け放されていて、煌々と照っている照明。
 畳部屋のずっと奥の文机のところに、お背中を向けられたあるじさまが見えました。
 私の視線があるじさまを捉えると同時に振り返られるあるじさま。

「あらあら、あなたが持ってきてくださったの?えーっと、森下さん、直子さんだったわよね?」

 私に向けてたおやかな笑顔をくださるあるじさま。
 あれ?さっきと雰囲気が全然違う…

「あ、はい。森下直子です。今日からこちらにお世話になります。よろしくお願いいたします」

 お部屋にはどこからともなく薄っすらと女声の流麗で清楚な歌声が流れています。
 これって確かカーペンターズさんだっけ…

「はい、こちらこそ。ちょうどいいタイミングでしたわ。ちょっと待っててね。この段落だけ書き上げてしまうから」

 畳に正座して頭を下げ上げした私にニコヤカな微笑みをくださった後、スッと文机に向き直られ、それきりまた後ろ姿なあるじさま。
 ノートパソコンのキーを叩かれているのであろうカタカタという音が聞こえます。

 待って、とご指示され、その場で正座のままお部屋内を見渡します。
 昼間のときとは打って変わってずいぶん乱雑。

 あるじさまの文机を中心に畳に散らばるたくさんの本、本、本。
 開きっ放しもあれば閉じているのも、厚いの薄いの、数冊積み重なっていたり。

 あるじさまから少し離れた右隣にはもうひとつの座卓。
 そして寺田さまがおっしゃった通り、大きめな銀盆の上にポットと湯呑、それに何かを召し上がられたのであろう数枚のお皿も。
 まずはそれらを片付けるのが私のミッションその一なのでしょう。

 他にも何か変わったところは…と見渡したときに、気づいてしまいました。
 あるじさまのお背中側で開きっ放しになっている本の何冊かが写真集なことに。
 そしてその写真が悉く、裸だったり縛られていたりのSM系写真なことに…

 そのときあらためて、私の目の前で執筆作業に没頭されているこの女性は、私が高校生の頃にM心とマゾマンコをキュンキュンときめかせてくださった、鬼百合と姫小百合、の名塚先生なのだな、と実感しました。
 同時に得も言われぬ不思議な感動が…

「まあ、こんなものでしょう、ふぅーっ。それではわたくしも一息入れましょうか。森下さん?お待たせしちゃったわね」

 私が感動でジーンとしている真っ最中に、名塚先生からお優しいお言葉がかかります。

「あ、はいっ!それではご用意させていただきますっ!」

 ご尊敬の念にすっかり一ファンと化した私は、ご崇拝六割、マゾ性四割の召使いとなり、急にソワソワとお勤めを遂行し始めます。
 まずは座卓上のポットやお皿類を銀盆ごとカートに撤去、持参したおしぼりで丁寧に座卓上を拭ってから、あらためてサンドイッチ山盛りお皿をセット。
 それからお紅茶のペットボトルとティーカップ二組も座卓に乗せます。

 極薄レオタード一枚のメイドエプロン姿でドタバタと働く私の姿を名塚先生が嬉しそうに眺めていらっしゃいます。
 私は名塚先生に視られていることを必要以上に意識してしまい、マゾ性がグングン昂ぶってしまいます。

「あら、今夜はずいぶんとたくさんサンドイッチを持ってきたのね?」

 純粋に驚かれたお顔でご質問される名塚先生。

「あ、はい。寺田さまからのご提案で、私も名塚先生とお食事をご一緒しなさいと…」

 寺田さまのお言いつけ通りに、ワクワクとビクビクが一緒くたになった気持ちでお答えします。

「そう。寺田がそう言ったの…それならそうしましょう。わたくしも執筆中に誰かと一緒に食事するなんて久しぶりだから嬉しいわ」

 あくまでもたおやかに名塚先生はおっしゃいました。
 あれ?
 でも、そもそも私は名塚先生直々のご指名でお給仕を任されたのではなかったでしたっけ…???


2021年11月7日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 14

 自分が今どこに居て何をしているのかもわからないほどの痺れるような快感が、全身を駆け巡っていました。
 両腿の付け根奥から絶え間なくほとばしる微電流で、からだが金縛りにあっているみたい。

 遠ざかりそうになる意識を理性なのか本能なのか、何かが必死に引き留めようとしています。
 そのとき、仰向けの私のからだを地面に押しつけるようにのしかかっていた重しが、フッと軽くなった気がしました。
 いつの間にかギュッとつむっていた両目を恐る恐る開けたとき、聴覚と嗅覚と視覚が一気に戻りました。

 寝そべっている私の視界に見えるのは…ワンちゃんの脚?あ、ジョセフィーヌさま…
 おそらくジョセフィーヌさまが私のからだの上に乗られていたのでしょう。
 今は、だらしなく寝そべった私のからだを大きく迂回され、投げ出している私の左手のほうへと芝生の上をゆっくり歩かれています。

 右のほうは?と視線を動かしたとき、不意に私の首輪が軽く左のほうへと引っ張られました。
 中村さまだな、と思い、たわむリードを先へと辿っていくと…ジョセフィーヌさま。

 リードの持ち手をお口に咥えられ、起きてよ、とでもおっしゃりたげなお顔で私を見つめてきます。
 私がからだを起こすのを促すように、二歩三歩の前進後退をくり返され、そのたびに遠慮がちに張り詰めるリード。

 見上げる空は、ああ、もうすっかり夕方だな、と思えるくらいには翳っていました。
 帰らなくちゃいけない時間なんだな、と朦朧とした頭で考え、ゆっくりと上半身を起こします。

 あらためて眺めた自分のからだはひどいありさま。
 汗なのかジョセフィーヌさまのよだれなのか、テラテラ満遍なく濡れた素肌のあちこちに点々と浮かぶワンちゃんの茶色い足跡。
 膝を立ててだらしなく広げきった両腿、膣口に中途半端に挿さったままのバナナ。

「あふぅんっ!」

 立たなくちゃ、と思い、股間のバナナを抜くために手を掛けたとき、柔らかい異物が膣壁を刺激して思わず声が洩れてしまいます。
 快楽の余韻、の一言では片付けられないくらい、未だにからだのあちこちがヒクヒク引き攣って疼いています。

 手に持ったバナナは人肌くらいに生温かくなっていて、外側の皮がふやけてずいぶん柔らかくなっていました。
 そんなバナナを右手に持ち、両足に力を込めてよろよろと立ち上がりました。

 私が立ち上がるまで辛抱強く待っていてくださったジョセフィーヌさまが、わたしのほうを振り返りつつゆっくり歩き始めます。
 お口に咥えられたリードが張り詰め、私の首輪が引っ張られます。

 幾分前屈みになってジョセフィーヌさまに先導される全裸の私。
 ワンちゃんと人間の立場が完全に逆転していました。

「淫乱マゾ女を起こして連れてきてくれたんだ?本当にジョセは賢いねー」

 東屋のベンチでひと足先に待たれていた中村さまが両手を広げてジョセフィーヌさまを迎え入れられ、ジョセフィーヌさまも尻尾をブンブン振られ応えられています。
 お口からリードの持ち手が外れ、引き綱が私の両脚のあいだに戻ってきました。

「ずいぶん派手にアクメってたじゃない、どう?スッキリした?」

 中村さまが紙コップに何か液体を注いでくださり、差し出しつつ尋ねてこられます。

「あ、はい…もう何がなんだか…危うく気を失ないそうでした…」

 あらためてお尋ねされると逃げ出したいほど恥ずかしいのですが、小声で正直にお答えしました。

「だろうね。いやらしい声が広場中に響き渡っていたもの。凄い映像が撮れたからエミリーも満足なはず」

 レンズを私に向けながら呆れたような笑顔をお見せになる中村さま。

「まあとりあえずそれ飲んで、あなたを悦ばせてくれたバナナをいただいて、いったん落ち着きなさい」
「食べられる性具は粗末にしない、っていうのがお姉さまとのお約束なんでしょ?」

 からかうようにおっしゃって紙コップが手渡されます。

「あ、はい…」

 渡された紙コップは冷たくも温かくもない常温で、メープルシロップを薄めたような薄茶色の液体が入っています。

「ブランデーの水道水割よ。直子はイキ過ぎると気絶することがあるってエミリーが言ってたから、気付け薬代わりに小瓶を持ってきてたの」

 そう教えられると、軽くツンと鼻を刺しはするけれどほのかに甘いアルコールの香りがする気がします。
 唇を付け紙コップを傾けると舌に甘い味わい、喉を滑り落ちる液体が心地良い。
 渇きにあがらえずゴクゴク一杯飲み干してしまいました。

「あれだけ喘げば、そりゃあ喉は渇くよね。酔わせるのが目的じゃないからお代わりは水だけ」

 中村さまが空になった紙コップに再び水道水を注いでくださり、テーブルの上に置いてくださいました。
 私は右手のバナナを剥き始めます。

 バナナの皮は満遍なく私の愛液に塗れ、剥いた途端に崩れそうなほどに中の実もグズグズ。
 きっと私の恥ずかしいマン汁が実まで浸透して滲み込んでいるんだろうな、なんて思いながら、そのクリームみたいに柔らかくなったバナナを頬ばります。

 生温かくて少し生臭く香るバナナでしたが、口中にはちゃんと甘味が広がりちゃんと美味しい。
 お水と交互に、あっという間にたいらげました。

「はい、よく出来ました」

 ビデオカメラのレンズを私に向けて、自分を犯していたバナナを美味しそうに食べるマゾ女、の一部始終を撮影された中村さまが、カメラをいったん下ろされ、リードの持ち手に左手を伸ばされます。

「さてと、じゃあ戻ろっか。直子、そのバッグ持って」

 中村さまがリードの持ち手を右手に握られ、左手でテーブルの上のバッグを指さされます。
 テーブルの上はキレイに片付けられ、すべての私物やゴミ類はバッグ内にしまわれた後みたい。

「あの、私が着てきたエプロンは…」

 過度な期待は抱かずに一応尋ねてみます。
 あんな布片一枚でも、前を覆ってくれるかくれないかは、気分的に大きな違いがあるんです。

「しまっちゃったわよ。泥で結構汚れていたし、誰かさんのおツユも派手に沁みていたしね。寺っちの私物だから帰ったらサクッと洗濯しなくちゃだわ」

 さも当然のように答えられた中村さま。
 それからニヤッと笑われ、こうつづけられました。

「直子も、この周辺ならハダカでいても大丈夫なことが身を持ってわかったでしょ?だから明日からは仲良く朝晩、全裸でジョセとお散歩よ」

 首輪がクイッと引っ張られます。

「ジョセフィーヌ?ヒールッ!帰りはワタシの横について。森の清々しい空気を充分味わいながら、ゆっくり帰りましょう」

 中村さまの足元に寄り添わられたジョセフィーヌさまのお鼻先に、中村さまがリードの持ち手をプラプラ指し示されます。
 それをパクリと咥えられるジョセフィーヌさま。
 中村さまの足取りに合わせるように歩き始められ、私の首輪が張り詰めた引き綱に引っ張られます。

 帰りの山道は緩い上り坂。
 翳った陽射しもほとんど差し込まず、来たときよりもずいぶん薄暗くなっていました。
 規則正しく立ち並んだ背の高い木立が導く一本道を、三つの薄い影が進んでいきます。

 一番左側にパーカーとジャージ姿の中村さまのお背中。
 その右脚にピッタリ寄り添われて進まれるジョセフィーヌさま。

 ジョセフィーヌさまのお口には輪っかになったリードの持ち手がしっかり咥えられています。
 その引き綱の後方、おふたりから二、三歩下がった一番右側を、とぼとぼついていく全裸の私。

 途中、中村さまが振り返られ、ジョセフィーヌさまの引き綱に先導される私の姿をしばらく撮影されました。
 悠然としたお足取りでリードを引っ張られるジョセフィーヌさま、首輪を引っ張られ、付き従うように後を追う私。
 どう見てもジョセフィーヌさまが飼い主で、私はペットの飼い犬でした。

 素肌を撫ぜる風を少しひんやり感じだことで、今更ながら自分が全裸なことを思い知ります。
 そうです、今私は見知らぬ山奥の夕暮れの木立道を、ワンちゃんにリードを引かれ、素っ裸で歩いているのです。

 …今まで経験した中で、一番大胆な野外露出行為かもしれない…
 幼い頃から人知れず心に秘めていた妄想を今現実に体験している、と思うと性懲りもなく性的にゾクゾク感じてしまいます。

 時折中村さまが撮影のために振り向かれる以外、終始無言で歩きつづけます。
 中村さまからからかうようなお声掛けも無いのは、私に全裸お散歩の恥ずかしさを満喫させてくださるためのお心遣いかもしれません。

 綺麗な夕焼けの山道は全裸でも寒さを感じるほどの冷えではなく、却って適温で気持ち良いくらい。
 それでもお外での全裸が心細いのは変わらず、その被虐がマゾ性をキュンキュン煽り立ててきます。

 十分くらい歩いたかな、と思った頃、お屋敷へ通じる玄関前の道に出ました。
 まださほど暗さを感じるほどではないのですが、お屋敷の正面玄関周辺は常夜灯ですでに明るく照らし出されています。
 おそらく決まった時刻に灯る仕掛けなのでしょう。
 その灯りの下に三人、たどり着きました。

「明るいところであらためて見ると、直子のからだ、ひどいありさまだね」

 中村さまがビデオカメラのレンズ越しに私のからだを見つめてこられます。

「これはみんなに見せなくちゃ。呼んでくるからちょっとそこで待ってて。記念写真を撮っておこう」

 嬉しそうにおっしゃって、中村さまがお屋敷内に駆け込まれました。
 取り残された形のジョセフィーヌさまと私。
 寄り添うお相手に立ち去られたジョセフィーヌさまが、リードの持ち手を咥えられたまま私のほうへと駆け寄ってこられました。

 私も中腰になってジョセフィーヌさまをお迎え入れます。
 素肌にフワフワ毛玉状なジョセフィーヌさまを抱き寄せると、なんとも言えず気持ちの良いことを、私はすでに知ってしまっていました。

 ジョセフィーヌさまがお口からリードの持ち手をポトリと落とされ、顔の位置を合わせている私の顎やほっぺたをペロペロ舐め始められます。
 もはや完全にしゃがみ込んでしまった私は、懐にジョセフィーヌさまの毛並みをやんわりと抱え込み、いやん、くすぐったい、なんて嬌声をあげつつイチャついていました。

 このとき私は、地面に落ちたリードの引き綱を跨いでしまっていたのだと思います。

 ひとしきりじゃれ合った後、ジョセフィーヌさまからおからだを離され、私の背後へトトトっと回られました。
 私も立ち上がろうとしゃがみ込んでいた膝を伸ばそうとしたとき…
 首輪から繋がった引き綱が、私の裸身前面のド真ん中を縦断するようにピッタリと貼り付き、股のあいだの裂けめに食い込んでくる感触がありました。

「あぁんっ!いやんっ!」

 それはまさしく、これまで何度も味わったことのある股縄の感触。
 それも二重にした麻縄よりも更に太い、ゴツゴツザラザラとした乱暴な感触。

「いやんっ、だめぇーっ!」

 下腹部から恥丘へとピッタリ貼り付いた縄が、裂けめの先端でテラテラ芽吹いていた肉芽をギュウギュウ押し潰してきます。
 私のお尻側で再びリードの持ち手を咥えられたのであろうジョセフィーヌさまの気配。

「あっ、あーんっ、そ、そんな、そんなに引っ張らないでぇーっ!」

 私の嬌声を、この友達は嬉しがっている、と捉えられたのでしょう、ますます激しくグイグイと出鱈目に引っ張られる引き綱。
 たわんでは張り詰め、私のマゾマンコに緩んでは食い込んでくる引き綱の陵辱。
 今日何度目なのか、私はジョセフィーヌさまにもてあそばれていました。

「あっ、あっ、あーんっ、いやっ、だめっ、いたいっ、そこっ、だめっ、あーーっ!!」

 裂けめから両脚が引き裂かれてしまうのではないか、と思うくらい強烈な縄の食い込み。
 でもフッと緩んだ瞬間ホッとすると同時に、もっと欲しい、と思ってしまうのは私のマゾ性ゆえなのでしょう。
 SM写真で見たことのある、三角木馬責め、っていうのはこんな感じなのかな、なんて思ってみたり。

 股間への食い込みによる刺激は、そんな私でも我慢しきれないほどの激しさになっていました。
 ジョセフィーヌさまがはしゃがれて、グイグイ引き綱を引っ張られるのです。
 しゃがみ込んだ姿勢から立ち上がろうと中腰にまではなったものの、それ以上は絶対無理。

 股間から引き綱を離すには、もう一度しゃがみ込むだけでは駄目でした。
 首輪から繋がれているので、上半身を低くして腰を高く起こさない限りからだ前面、股のあいだに密着してしまうのです。
 この状態で股間に引き綱を密着させない姿勢…それは私も四つん這いになることでした。

 しゃがんだ姿勢から前屈みになり、石畳に両手を突いて腰だけ高く突き上げます。
 ようやく股間から引き綱が離れ、首輪からジョセフィーヌさまのお口までピンと空中に一直線に張り詰める形に。

 自ら四つん這いになった私にジョセフィーヌさまも何かを感じ取られたのでしょう。
 すぐさま持ち手をお口から落とされ私に近づき、突き上げたお尻の下の太腿後ろをペロペロ舐め始められます。

「ああんっ、ジョセフィーヌさまぁ、いやんっ、くすぐったいーっ」

 そんな嬌声をあげつつ、どうせならお尻を舐めて欲しい、とジョセフィーヌさまの舌が届く位置までお尻を下げていくスケベな私。
 思惑通り、大きく広げたお尻の割れスジに沿ってペチャペチャ舐め上げてくださるジョセフィーヌさま。

「あんっ、いいっ、そこっ、いいっ、もっと下、もっと下もぉーっ!」

 あられもない淫声をあげて身悶えていると、四つん這いの眼前にそびえるお屋敷の正面玄関扉がバタンと開きました。
 現われたのはもちろん、お姉さまを筆頭に、中村さま、寺田さま、そして五十嵐さま。

「あーあー、またイチャついてるよ、この子たち、人んちの玄関先で」
「でもまあ、ペットってそーゆーもんだから、しょーがないんじゃない」
「君たちもうつきあっちゃいなよ。あ、でもそれだとエミリーが寂しいか」
「ううん、あたしネトラレのケがあるらしいから、かまわなくってよ」

 ノリが軽くてかまびすしいご様子は、みなさま多少アルコールが入っていらっしゃるのかも…
 みなさまが口々に軽口を叩かれる中、両手を地面に突いてみなさまを見上げる土下座同然な四つん這い姿の私は、その屈辱的な恥ずかしさで顔面が真っ赤っか。
 
 ジョセフィーヌさまはと言えば、みなさまのお姿が見えた途端に私のお尻をプイと離れられ、一目散に寺田さまのお足元へ。
 どうやらジョセフィーヌさまは、みなさまの中ではとくに寺田さまを慕われているようです。

「本当に全裸で散歩から帰ってきちゃったんだ!?大胆て言うかヘンタイって言うか…ほら、直子?立ちなさい」

 一歩近づいてこられたお姉さまに促され、おずおずと立ち上がります。
 お姉さまが顎をしゃくられたので、服従ポーズ。

「あららら、からだ中に犬の足跡たくさん付けちゃって。またまたジョセに手篭めにされちゃったんだねー。本当に、君たちもうつきあっちゃいなよ、だわ」

 黒スウェットの上にメイドエプロン姿なお姉さまにからかわれます。
 五十嵐さまがビデオカメラのレンズを向けています。

「これは確かに記念写真に撮っておくべき姿よね。直子もこっちに来て並びなさい」

 お姉さまの号令で五十嵐さまが素早く三脚を立てられ、立派なカメラを私が居た位置に据え付けられます。
 
 カメラのレンズに向かって一番右端にパーカー、ジャージ姿の中村さま、そのお隣に私に貸してくださったのとはまた別のメイドエプロンを召された寺田さま。
 そのお隣に寺田さまに寄り添われるようにジョセフィーヌさまがちょこんとお座りになられ、その横に服従ポーズ全裸の私、私の左隣にメイドエプロン姿のお姉さまという配置です。

「エミリーさんはもっと直子ちゃんにくっついてください。その横にうちも入るので」
「リードの持ち手はジョセに咥えさせるのがいいんじゃないかな?寺っち、お願い」

 五十嵐さまのご指示で構図が決まり、セルフタイマーをセットしてから五十嵐さまがお姉さまの横に並ばれます。
 
「レンズの横のランプがチカチカしだしたらすぐシャッターが下りるからね」

 五十嵐さまのお声でみなさまがカメラレンズに視線を合わせます。
 私もそこを見つめていると、ほどなくランプがチカチカし始めました。

「あぁんっ!」

 そのタイミングでお姉さまが私の膣口に二本指を挿入されたんです。
 私が顔を歪ませるのとフラッシュの光が同時でした。

「おっけー。うまく撮れていたら大きくプリントして額装して、ホールに飾ることにするわ」

 そんなことをのんきにおっしゃるのは寺田さま。
 他のみなさまもガヤガヤとお屋敷に戻られ、ジョセフィーヌさまもご自分の小屋のほうへサッサと駆け出されます。

 残されたのは私と中村さま。
 中村さまが首輪からリードを外してくださり、代わりに白いバスタオルだけ渡されます。

「直子はさっき行ったシャワールームでからだの汚れを落としてきなさい」

 この位置からだと目隠し樹木の向こう側にあるスケスケバスルームの方向を指さされた中村さま。

「戻ってきたら夕食だから、自分のからだまさぐってムラムラとかしてないで、さっさと切り上げるのよ?」

 見透かすみたいにおっしゃって、裸のお尻をパチンとぶたれました。


2021年10月10日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 13

 私たちが木立の草むらへ足を踏み入れたとき、ジョセフィーヌさまはひと仕事終えられようとされていました。
 草むらのずいぶん奥の方に横向きなお姿で、前肢を揃えて突っ張られ、いくぶん窮屈そうに後肢を折り曲げられて腰を踏ん張っておられます。
 私たちに気づかれたと同時に、お顔だけ不自然にこちらを向かれました。

「今日はずいぶん奥まで行ったねぇ」

 中村さまがズンズン近づいていかれます。

「ワタシらが埋めちゃうのを知ってるから、現場をいい感じに散らしてくれるのよね。この子、頭いいから」

 中村さまにリードを引っ張られ、私は恐る恐るなへっぴり腰で草むらを踏み分けています。
 この広場にはあの草も生えていることを知っていましたから。
 秘部への刺激ならクセになりそうなくらいなのですが、生足への無駄に不快な痛みはもう味わいたくありません。

「大丈夫よ。ここらへんにはイラクサ、生えてないから。ジョセが平気で歩いているでしょ?」

 ジョセフィーヌさまのすぐ傍らまで近づかれた中村さま。
 ジョセフィーヌさまがそのお顔を見上げられブンブン尻尾を振られています。

「犬だって痛い思いはしたくないからね。ジョセはこの辺りでイラクサの生えてる場所、全部知ってるんだ。生えているのは、広場の入口周辺の木立沿いだけ」
「そんなことより直子も早くこっちに来てワタシがやることを見て覚えて。明日からはあなたひとりでやるんだから」

 リードがグイッと引っ張られ、顔からつんのめるように中村さまの脇へ。
 中村さまが指さされる地面に横たわる茶色い塊。
 ジョセフィーヌさまの体格からすれば、それくらいだろうな、と思える納得の量でした。

「ジョセがし終えたらこのシャベルで近くに穴を掘って、深さはだいたい30センチくらいかな、シャベルですくって埋めるの」
「土が柔らかくてヘンに掘りやすいところは最近埋めた跡かもしれないから避けて、適度に土が硬い場所を選んで掘ってね」

 手首に引っ掛けられていた巾着袋が私に手渡され、中村さまがその塊の傍らにしゃがみ込まれます。
 ご説明通りに淡々と処理される中村さま。
 ジョセフィーヌさまは少しその作業を眺められていましたが、すぐにタッタカタッタと草むらのもっと奥へと駆けて行かれました。

「埋め終わったらさっきの東屋のところに水道があるから、シャベルをよく洗ってね」

 しゃがみ込まれていた中村さまが立ち上がられ、木立を出て芝生広場のほうへと歩き始められます。
 そのお背中を見つめつつ、ふと気になったことをお尋ねしました。

「あの、ジョセフィーヌさまのお尻は、拭いて差し上げなくて良いのでしょうか?」

「直子、犬飼ったこと無いんだね?」

 振り向かれた中村さまの嬉しそうなお顔。

「犬ってね、排便するとき肛門から腸が少し外に出るの。で、終わったら体内に引っ込むから肛門は汚れないの」

 幾分得意げに中村さまがおっしゃって、すぐに前を向かれます。
 やがて東屋にたどり着きました。

「あとはジョセが巡回定期点検に満足してワタシらに擦り寄ってきたら運動の時間。で、適当に切り上げて4、50分で屋敷に戻ると。ジョセとの散歩でやることはそれだけだから、簡単でしょ?」

 ベンチに腰掛けることなく水道へと向かわれる中村さま。
 私に繋がるリードも手放されました。

「そう言えば直子、屋敷に着く前にもこの広場に寄って、素っ裸に剥かれて木に吊るされたんだって?いやらしくアンアン喘いでたってエミリーが言ってたわよ」

 水道の蛇口を捻られシャベルを水洗いされる中村さま。
 リードが手放されたので、からだの前にブラブラさせつつ傍らに立っている私。

「は、はい…」

「露出狂なんでしょ?脱ぎたかったら脱いでいいよ。ここには誰も来ないって、もうわかったでしょ?」

 シャベルを洗い終えた中村さまがタオルで丁寧に水気を拭いながら、私の顔をからかうように覗き込んでこられます。
 水飛沫がTシャツも濡らしてしまったようで、ノーブラの胸元が美乳なおっぱいの形そのものに貼り付いてしまっています。
 とくにピンと目立っている二箇所の乳首位置。

「あ、はい、じゃなくて、いえ…」

 そのお言葉をご命令と受け止めるべきなのか迷っている私。

「あ、でもワタシはどっちでもいいよ。今の格好も充分エロいし、チラ見せテイストが全裸より変態ぽいから」

「あっ、いやんっ」

 おっしゃりながら中村さまが私の裸エプロンの裾をピラっとめくられたとき、ジョセフィーヌさまが舌をハアハアさせながら戻ってこられました。
 すぐに私にじゃれついてこられるジョセフィーヌさま。
 私の背中側に回り込まれ、私の剥き出しなお尻をペロペロ舐めてくださいます。

「おーけー、移動するよ」

 巾着袋を手にされた中村さまが東屋を出られ、広場の木立沿いのもう一方の隅のほうへ。
 そこだと中央にある日陰を作る木々からも逸れて、遮るもののない芝生だけの空間が眼前に広々と見通せます。
 私の足元をグルグル回られながら嬉しそうについてこられるジョセフィーヌさま。

「直子、フリスビーは投げたことある?」

「あ、はい。何回かは…」

 大学の頃キャンパスで何度かお友達と遊んだことはありました。

「そう。じゃあジョセとの遊び方をやってみせるから覚えてね」

 私からフリスビーを取り上げた中村さまが、ジョセ、と呼びかけられ、ジョセフィーヌさまの眼前でフリスビーをひらひら揺らされます。
 ワクワクなお顔のジョセフィーヌさま。

 それからフリスビーを芝生の彼方へと放り投げられ、フェッチ、と一声。
 緑の芝生の上をヒューンと飛んでいく青いフリスビーめがけて、脱兎の如く駆け出されるジョセフィーヌさま。

「で、ジョセが追い掛けて咥えて戻ってくるあいだに、これを用意しとくの。一回で二粒」

 少し開いた巾着袋に右手を突っ込まれ、手が拳状になって引き抜かれます。
 中村さまが手を開くと手のひらにはボーロの形をしたクリーム色の丸いお菓子がふたつ。

「ご褒美ね。ジョセの大好物おやつ、ヘルシーチーズビスケット」

 そんな会話をしているあいだにジョセフィーヌさまがフリスビーを咥えられ全速力っぽく戻っていらっしゃいます。

「よーしよしよし」

 フリスビーを咥えたまま中村さまを見上げるジョセフィーヌさま。
 その頭をやや乱暴にワシワシ撫ぜながら左手でフリスビーを掴まれる中村さま。

 フリスビーがジョセフィーヌさまのお口から離れると同時に、そのお鼻先に中村さまが右手を差し出されます。
 その手にお鼻先から突っ込まれるようにお顔を埋め、ご褒美を咀嚼されるジョセフィーヌさま。
 食べ終えられると、もっと、って、おねだりするように中村さまを見上げられます。

「よーし、もう一回ね。フェッチ」

 再び中村さまがフリスビーを放り投げられ、駆け出して行かれるジョセフィーヌさま。

「こんな感じで10回から12回くらいかな、つきあってあげるの」
「ジョセが飽きたらご褒美食べた後、ちょこんと座り込むから、それが切り上げのサインね」
「たまに元気いっぱいでサインが出ないときもあるけど、12回が限度ね。切り上げたかったらフリスビー持って東屋に戻ろうとすればジョセも諦めるから」

 それから中村さまが二回投げられ、五投目から私がやってみることになりました。
 四投目のあいだに巾着袋を渡され、ご褒美は私の手から。

 戻ってこられたジョセフィーヌさまはふたりが並んで待ち構えているので少し戸惑われたご様子でしたが、チーズの匂いが私の右手から匂っているのに感付かれたのでしょうか、フリスビーを私に差し出してこられました。
 フリスビーを受け取り右手を開きます。
 ベロンと生温かいお口で舐められて、お菓子が取り去られます。

「そうそう、ジョセは賢いねー。今からはこの人が遊び相手。仲良く出来るといいねー」

 中村さまが一歩退かれ、ちっちゃな子供さんをあやされるようなご口調でジョセフィーヌさまに語り掛けられます。
 私はジョセフィーヌさまの頭をなでなで。
 それからフリスビーを右手に持ち替え、ジョセフィーヌさまの眼前でひらひら揺らします。

「じょ、ジョセフィーヌさまっ、よろしくお願いします…ふぇ、フェッチ!です…」

 初めてゆえの緊張でぎこちなくそう語り掛けてから、ぎこちなくフリスビーを放り投げる私。
 緊張し過ぎで力が入り過ぎて空高く舞い上がってしまうフリスビー。
 滞空時間の割に飛距離は余り出ていません。
 それでも嬉々として追い掛けてくださるジョセフィーヌさま。

「まあ、そんな感じだね。もっと肩の力抜いてリラックスして、直子も愉しまないとジョセも楽しめないよ。犬ってそういうところ敏感だから」

 私の五投目は一部始終を見守ってくださった中村さま。
 六投目を投げ終えてから振り向くとお姿が無く、キョロキョロ見回すと東屋のほうへと向かわれているお背中が見えました。

 え?どうされたのかしら?
 少しの不安がよぎりましたが、フリスビーを咥えて私に向かって一目散に駆け寄ってこられるジョセフィーヌさまの健気過ぎるいじらしさを目にしたら、もうそちらに夢中。
 私の手をベロベロ舐められ、おやつを美味しそうに召し上がられるお姿が本当に可愛らしい。

 ジョセフィーヌさまの心底楽しげなお姿に余計な力みも消えて七投目、八投目はちゃんと飛距離も出せるようになりました。
 余裕が出てくると余計なことにも気がついてしまいます。
 フリスビーを投げるために思い切り腕を振り抜くと、エプロンの裏地に乳首が思い切り擦れて、ビクンと感じちゃうほど性的にも気持ちいいんです。

 八投目を投げ終えたときに中村さまが戻っていらっしゃいました。
 右手にはビデオカメラを携え、左手は後ろ手に隠されて。

「今何回目?」

「あ、はい。八回目です」

「愉しい?」

「はい。ジョセフィーヌさま、すっごく可愛らしいです」

 フリスビーを私へと差し出され、私の手のひらをペロペロと舐めてくださるジョセフィーヌさま。
 ご褒美を堪能され、やがて私の顔を見上げられたので九投目。

 少しづつ夕暮れに近づく青空をクルクルスイスイ飛んでいく青いフリスビーと、それを跳ぶように追い掛けて駆け回られるジョセフィーヌさま。
 そのお姿を見守りながら巾着袋に右手を突っ込もうとしたとき、中村さまから、待った、がかかりました。

「今日はこういうおやつも用意してるんだ。こっちもジョセの大好物。直子、右手をこっちに出して」

 隠されていた左手に握られていたのは歯磨き粉のチューブみたいな形状のもの。
 お屋敷のお庭で寺田さまも同じようなのをお持ちになられていました。
 そして、その後に起こったこと…
 そこまで考えて、私のからだが性的にキュンと疼きました。

 カメラを持たれたままの右手も器用に使われて、チューブのキャップをクルクルっと外された中村さま。
 差し出した私の右手のひらにシュルシュルっとペーストを絞り出されます。
 少し黄ばんだ乳白色のペーストからも、ほのかなチーズの匂い。

「ジョセが戻ってきてフリスビー突き出してきたら、直子は自分でエプロンの前をめくり上げて、このクリームを自分のマンコに塗り付けなさい」
「それでマンコをジョセに差し出せば悦んで舐めてくれるわよ。どうせ、ジョセにそういうことされたくって仕方なかったのでしょう?」

 中村さまが私の耳元でイジワルく囁かれました。
 耳朶に息が吹きかかるたびにビクンビクン。
 楽しいフリスビー遊びが一瞬にして淫靡な快楽責めへと変わった瞬間でした。

「これは命令だから。エミリーから、その様子をビデオに撮ってくるように頼まれちゃったんだ、悪く思わないでね」

 中村さまがからかうようにそう囁かれ、私から数歩離れられてレンズをこちらへ向けてこられます。
 お約束通りお姉さまのために、その一部始終を撮影されるのでしょう。

 そして、その囁きは私にとって言いなりにならざるを得ない恥辱を呼ぶ呪文。
 それがお姉さまのご希望であるなら、どなたがお相手でも、どなたのお言葉でも、従わないという道は残されていない、つまりお姉さまからのご命令なのです。

 ずいぶん遠くでフリスビーを咥え上げられたジョセフィーヌさまが、一直線に私へと迫ってこられます。
 やがて私の足元で私を見上げられるジョセフィーヌさま。
 ゆっくり左手でそれを受け取ります。

 ああっ…

 目をギュッとつぶり、フリスビーを持ったままの左手でエプロンの裾を掴みます。
 サッとまくり上げると同時に右手のひらを自分のマゾマンコに押し当てました。
 やだっ、ずいぶん熱い…

 マゾマンコは内部から沸き立つように熱を帯びていて、そこに少し冷たいペーストの感触が気持ちいい感じ。
 私が右手をずらすと同時にジョセフィーヌさまのお鼻先が私の股間に挿し込まれます。
 間髪を入れず生温かくてヌルっとしたベロにベロンと撫ぜられる感触。

「ああんっ!」

 思わず洩れてしまう淫ら声。
 肛門から会陰、膣口、陰唇、恥丘まで、忙しない舌使いでベロベロ蹂躙されています。

「あんっ、あっ、あっ、あーーんっ!」

 クリトリスはみるみる腫れ上がって表皮を脱ぎ捨て、その尖った肉芽がジョセフィーヌさまの舌でプルプルもてあそばれます。
 右手に少し残っていたペーストを下腹部やお尻で拭うと、舌はすぐにそちらまで侵食してくださいます。

「あっ、いいっ、そこっ、あんっ、ああーんっ!」

 今現在は一切拘束などされていないのですから逃げようと思えばたやすく逃げられるはずなのに、背中を反らし気味にしてまるで差し出すようにマゾマンコを突き出している私。
 私の左前方から中村さまが構えたレンズが、その浅ましい痴態をデジタルで記録されています。

「あっ、あっ、あんっ、いいっ、いいっ、ふぅーーんっ!」

 すでに私の貪欲なマゾマンコからはいやらしいおツユがジワジワジュクジュク滲み出ていますから、ペーストのお味も薄まっているでしょうに、私の股間から離れてくださらないジョセフィーヌさま。
 こんな状態では、とてもじゃないけれどフリスビーは投げられません。
 ビスケットのおやつのときと比べて数倍の時間が経っている気がします。

「いいっ、あんっ、だめっ、あ、そこ、だめっ、いやんっ、いいっ、いいーっ!!」

 どんどん昂ぶる私のからだ。
 欲望に火が点いてしまった私は、ジョセフィーヌさまにマゾマンコを差し出したまま、いつの間にかエプロンの隙間から右手を差し入れ、生おっぱいまでまさぐり始めていました。

「あーあーあー、ペット二匹で仲良すぎ。こんなんじゃ埒が明かないじゃない」

 あともう少し、というところで水を差してこられたのは中村さまでした。

「ほらジョセ、いつまでマンコ舐めてるの?ジョセは本当にM女を喘がせるのが大好きなんだから」

 私の手からフリスビーを奪い取られ、そのプラステイック表面で私の股間に潜り込まれたままなジョセフィーヌさまの頭を軽くポンポンと叩かれます。

「直子も直子よ。いったんサカッちゃうと手がつけられなくなる、ってエミリーも言ってたけど」

 心底呆れられている、ということがよくわかる中村さまのお声。

「ほら、ジョセフィーヌ!これが最後。ラスト。これをちゃんと取ってこい出来たら、たっぷりとご褒美をあげるから。フェッチ!」

 中村さまからジョセフィーヌ、と、ちゃんとお名前を呼ばれてようやく私の股間から頭をお上げになられたジョセフィーヌさま。
 中村さまがそのお鼻先にフリスビーをヒラヒラさせたと思ったら、ツツーッと放り投げられます。
 条件反射のように駆け出されるジョセフィーヌさま。

「ほら、直子ももう、こんなの脱いじゃいなさい」

 私の背後に回られて、素早く首後ろとウエスト後ろの紐が解かれました。
 フリルエプロンが束の間ふわりと宙を舞い、足元にパサッ。
 結局この広場で本日二回目の全裸姿お披露目です。

「直子にもおやつをあげる」

 中村さまがジャージのポケットから取り出されたのは黄色いバナナ。
 その太めな一本は出かける間際に寺田さまがくださったものでしょう。

「下の口で充分味わってから、上の口で栄養補給なさい」
「ほら、そこに仰向けに寝そべって、ジョセが帰ってくるまで自由に出し挿れしていいのよ」

 緑の芝生を指さされた中村さま。
 そのお言葉で催眠術にかかったように言いなりになる私。
 芝生に背中を預け両腿を大きく開いて両膝を立て、躊躇なくバナナの実を膣口に挿入します。

「ああーんっ!」

 待ち侘びていた粘膜がすんなりバナナを迎え入れ、すぐさま始まる抽送運動。
 中村さまのレンズが私を見下しています。

 ハアハアハア…
 耳の中でヤケに大きく聞こえるのは興奮している自分の息遣いなのかな?と思い、つぶりがちな目をふと開けると、間近にジョセフィーヌさまのお顔。
 その横には中村さまがしゃがまれているのか、レンズを構えられたまま、私のからだに空いているほうの手を伸ばしてこられようとされています。

 まずは左おっぱいをギュッと掴まれました。

「はうんっ!」

 その甘美な感触が去ると左おっぱいに残るねっとりとした感覚。
 ペーストが塗られたんだ、と理解したときにはすでにジョセフィーヌさまの舌が這い回っていました。

 もはやいちいち手に取ってから塗るのも面倒臭くなられたのか、チューブから直に右おっぱい、お腹、脇腹、下腹、恥丘スレスレまで、次々に塗り付けられるペースト。
 ジョセフィーヌさまはそのすべてを舐め尽くすべく、私のからだを跨ぎ、踏み越え、覆いかぶさるように伸し掛かられて、私のからだのあちこちを熱心に愛撫してくださっています。
 そのあいだ中、止まらない私の右手、バナナの抽送。
 
 恥丘と裂け目の境まで下りてこられたジョセフィーヌさまの長いベロは、そのすぐ下で腫れ上がっている肉のお豆をも転がしてくださいます。

「あーーっ、そこぉーっ、あーーーんっ、だめーーっ、いいぃくぅぅーうふぅぅーっ!!!」

 中村さまのビデオカメラのレンズに見守られ、ジョセフィーヌさまに69の形で伸し掛かられたまま、ふやけたバナナの実に犯された私の感極まった淫声が、晩夏の夕暮れの芝生にはしたなく響き渡りました。


2021年10月3日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 12

「直子ちゃんにシャワーを急がせたのは、受け持ってもらいたいお仕事があるからなのよ」

 ニヤニヤ笑顔の中村さまが立ち上がりつつおっしゃいました。
 中村さまと同じような笑顔のお姉さまが中村さまのお隣に並ばれ、私をじっと見つめつつ不自然なくらい大げさにご自身の顎を上にしゃくられました。

 ドキン!
 お姉さまからその合図をされたら、私は服従ポーズを取るしかありません。
 恥ずかしさで顔が上気してくるのを感じながらヴィーナスの誕生ポーズだった両手をゆっくりと外し、いったんお腹の前で両手を組んだ後、両腋を徐々に開いて後頭部へ。

 全裸のなにもかもを剥き出しのままみなさまの眼前に。
 お姉さま以外のお三かたのお顔が、一様に唖然とされたお顔に変わります。

「直子にジョセフィーヌのお散歩係を受け持って欲しいそうなの。ここに滞在させてもらっているあいだ、ずっとね」

 中村さまが覗き込まれていたビニールバッグの中から、何か青くて丸い円盤状のものとワンちゃんのリードらしき紐を取り出されたお姉さま。
 円盤状のものを団扇のようにパタパタ揺らしながらつづけられます。

「朝の8時前と夕方の今頃、つまり5時半くらいの一日二回。明日と明後日、つまりあたしたちがおいとまするまでね」
「今日の当番は中村さんだそうだから、最初だけついて行ってくださるって。それで手順を覚えて、明日からはひとりで、ね」

 私の首輪にリードを繋いでくださるお姉さま。
 リードはあるじさまが使われていたのと同じような縄状ロープでしたが、あるじさまのよりも長めで、持ち手が私の脛のところくらいまで垂れています。

 それからお姉さまの手に導かれて服従ポーズが解かれ、右手に渡された青い円盤。
 近くで見てわかったのですが、それはプラスティック製のフリスビーでした。
 滑らかな表面のあちこちに小さな凸凹、たぶんジョセフィーヌさまの歯型、噛み痕でしょう。

「それじゃあさっさと行こうか」

 中村さまがビニールバッグを手に取られ、私を見ます。
 えっ!?あの、ちょ、ちょっと待って…

「あの、あの私、私は、裸のままで、ですか?…」

 私のリードを掴もうと伸ばされてきた中村さまの手より一瞬早く、自分の右手でリードの途中を握って後ろ手に隠します。

「大丈夫よ。ここら一帯は私有地だから一般の人は入って来れないことになっている、って教えたじゃない?」

 お姉さまが、忘れちゃったの?とでもおっしゃりたげなお顔で、私の顔を覗き込んでこられます。

「でもでもあるじさまが、郵便屋さんや宅配便屋さんがいらっしゃることがある、って…」

 全裸でワンちゃんとお外をお散歩する、という行為は露出マゾの私にとって凄く刺激的で魅力的な冒険なのですが、初めて訪れた知らない土地ですし、お姉さまもご一緒してくださらないようなので、生来の臆病が顔を出して怖気づいてしまっています。

「あるじさまって?ああ、先生のことか。配達の人たちは、ここがそういう屋敷だって知っているから、もう慣れっこになってるし、そもそも今日はもう郵便、来てるよ」
「それにもし万が一、知らない誰かに絡まれたとしても、ジョセが守ってくれるって。あの子ああ見えて、不審な人物には敏感で、人が、じゃなくて犬種が変わったみたいに獰猛になるから」

 焦れったそうにおっしゃる中村さまの背後から、寺田さまが近づいていらっしゃいました。
 一見、エプロンの下に何も着ていらっしゃらないように見える妖艶な寺田さま。
 おそらくあるじさまの助手をされていたときに召されていたレオタードのままなのでしょう。

「でもまあ直子ちゃんが尻込みしちゃうのもわかるわ。今日来たばっかりだし、この屋敷の周辺がどんな感じなのかも知らないでしょうし」

 おやさしくおっしゃりながら、着けていたエプロンの紐を解き始められました。

「だから今日はこれを貸してあげる。真っ裸で出るよりも、いくらか気分も落ち着くでしょう?」

 外したばかりのエプロンを私に手渡してくださる寺田さま。
 私の予想は外れて着替えていらっしゃいました。
 エプロンを取られた寺田さまの着衣は、黒のキャミソールにデニムのショートパンツ、変わらずのナイスバディなボン・キュッ・ボン。

「悪いわね、うちの直子がわがままで。ほら、直子、裸エプロンも大好きでしょ?ちゃんとお礼をなさい」

 お姉さまのニヤニヤ笑いが止まりません。

「あ、はい。ありがとうございます…」

「あたしが紐を結んであげる」

 お姉さまが私の素肌にエプロンを纏わせ、首後ろとウエストの紐をきつく結んでくださいました。
 布地にうっすらと寺田さまの体温がまだ残って生温かい。
 エプロンの丈は私の太股半分くらいまで、胸当ての左右から横乳が三分の二くらい覗いています。
 もちろんお尻は丸出し。

「あら可愛い。そのままメイド喫茶で働けるわね」

 からかうような寺田さまのお声。

「ほら行くよ。たぶんもうジョセが焦れて玄関の外で待ってる」

 中村さまがあらためて私のリードを手にされ、グイッと引っ張られます。
 どうやら有無を言わさずこの格好でお外に連れ出されるみたい。

「直子?フリスビーは剥き出して持っていてね。それで空いている手でそのバッグを持って」

 中村さまにご指示され、何やらごちゃごちゃ詰め込まれているビニールバッグを手にします。
 中村さまからも呼び捨てに変わりました。
 そんな中村さまは片手に私のリード、もう片方の手にはお姉さまのハンディビデオカメラ。

「あ、ちょっと待って。ジョセのおやつは入っているけれど、直子用のおやつも入れてあげなきゃだよね」

 寺田さまが出てこられたドアの向こう側に優雅なお足取りで消えられ、すぐに戻っていらっしゃいます。
 手にされた黄色いバナナ三本が連なった房が、私が提げたビニールバッグの一番上に乗せられました。

 意味有りげにお顔を合わせられ、ニッと小さく笑い合わられるお三かた。
 中村さまが玄関方向へと一歩踏み出され、私の首輪も同じ方向へと引っ張られます。

「いってらっしゃーい。気をつけて、ごゆっくりー」

 明らかに愉しまれているお姉さまと寺田さまのお声を背中に聞きながら、ホールを抜けて玄関口へと出て、スリッパからサンダルに履き替えました。

 外開きの扉を開けた途端に、力強く、ワンっ!のひと吠えが。
 ジョセフィーヌさまが尻尾ブンブン、お口ハアハアで待ち構えていらっしゃいました。

 お外は陽射しがずいぶん弱まったものの、まだまだ充分な明るさ。
 裸エプロンがちょうどいいくらいの暑くもなく寒くもなく。
 そよそよそよぐ風が素肌に気持ちいい夏の夕方。

 ジョセフィーヌさまはまず、中村さまのお足元を嬉しそうにグルグル回られてご挨拶。
 それから私のほうを見遣り、持っていたフリスビーに気づかれたのでしょう、尻尾の揺れが一際激しくなられました。

 リードに引かれた私のもとへと飛びかかってこられるジョセフィーヌさま。
 白いエプロンの胸元に前肢をお掛けになり、爪先立ちで私の顔を舐めようと長い舌を伸ばしてこられます。
 
「あぁんっ…」

 それから今度は私の背後に回られ、足元にまとわりつくようにおからだ擦り寄せつつ、剥き出しの背中やお尻をペロペロ舐めてこられます。
 
「そうよジョセ、今日からしばらくはこの人がおまえの遊び相手。仲良くなれるといいね」

 私の数歩先を歩かれつつ振り向かれた中村さまが、ジョセフィーヌさまにそんなふうにお声掛け。
 その右手のお姉さまのビデオカメラのレンズが、私とジョセフィーヌさまに向いています。
 玄関先の庭園を抜け、間もなく私たちが来るときに車で走って来た山道に出ようとしています。

「あのう…お散歩って、お屋敷の外に出るのですよね?」

 先ほどからずっと気になっていたことを、我慢しきれず中村さまのお背中に問い掛けます。

「そうよ。犬のお散歩だもの…」

 あたりまえじゃない、とでも呆れられたようにつづきそうな、振り向かれた中村さまのお顔。

「ジョセフィーヌさまにリードを付けなくてもいいのですか?」

 そうお声がけすると中村さまのお足取りがピタッと止まりました。
 数歩で追いついた私。
 そこからは中村さまと肩を並べて歩くことになりました。

「ジョセはいいのよ。ここでは放し飼い。何度も言うようだけれどここら一帯はワタシらの私有地だから」

 中村さまを真ん中に左に私、右にジョセフィーヌさまという並びで、どんどんお屋敷の建物から離れていきます。
 敷石の舗道もそろそろ終りとなり、もう少しで山道に出るはずです。

「ジョセが夏をここで過ごすのも4年目だからね、ジョセにとってここら一帯はまさに、勝手知ったるなんとやら、なのよ」
「ワタシらが用事で散歩につきあえないときは、時間になるとひとりでここらへんを散策しているみたい。なんか知り合いも増えているみたいだし」

 おひとりで可笑しそうに含み笑いされる中村さま。
 
 お散歩の道順は、まさしく私たちが車でやって来た山道を、逆に辿っています。
 ジョセフィーヌさまは山道に入った途端に、その緩やかな下り坂をタッタッタッと軽やかに駆けていかれ、十数メートルくらい先に行ったところで立ち止まられて振り向かれ、早くおいでよ、とでもおっしゃりたげなお顔で私たちを待つ、というのをくりかえされています。

 同じ首輪の身ながら、自由奔放に振る舞われるジョセフィーヌさまと、中村さまのリードに繋がれたままの裸エプロンの私。
 私ってここではワンちゃんよりも地位の低い存在として扱われるんだ…
 そんなふうに考えた途端、甘美な被虐の電流が下半身をつらぬき、キュンキュン感じてしまいます。

「寺っちから聞いたよ、あなた、先生にずいぶんしつこく虐められたそうじゃない?」

 中村さまがビデオカメラのレンズをこちらへ向けながら尋ねてこられます。

「あ、いえ、そんな…」

「四つん這いでずいき咥えさせられて、シャワーでイカされて、イラクサでイカされて、ジョセにイカされて。本気のビンタで涙まで落としてたって」
「エミリー、それ聞いてとても嬉しそうにしてたわよ?あなたたちって本当に理想的な主従カップルなのね」

 なんてお答えしていいのかわからず、ただモジモジうつむくだけの私。

「あなたと遊んで先生もノッちゃったみたいで、あれからずっと仕事部屋に籠もりっきりよ」

 そのお言葉をお聞きした途端、私が一番知らなくちゃいけないことがあったことを思い出しました。
 ここに着いてからのあれこれがいちいち強烈で、すっかり失念していました。

「あのう、教えて欲しいことがあるのですが…あるじさま…先生って、何の先生なのですか?…」

 私が中村さまにそう単刀直入にお尋ねすると、中村さまのおみ足が再度ピタリと止まりました。
 それまで私のからだのあちこちに向けられていたビデオカメラのレンズも下ろされます。

「呆れた。そんなことも知らずに今まで先生に好き放題にされていたんだ?てっきり知っててファンだから悦んでいるんだと思ってた。エミリー教えてくれてなかったの?」

「はい…お姉さまからは、とにかく偉い先生ということだけで…あと、容赦無く責める怖い人、だとも…」

「ふーん、エミリーらしいわね。当たらずとも遠からず、ってとこ」

 私たちが立ち止まってしまったのでご心配されたのでしょう、ジョセフィーヌさまが私たちの足元まで戻って来られ、怪訝そうに見上げられています。
 そのお顔に促されるように中村さまが再び歩き始められました。
 
 左右に立ち並ぶ木々の葉っぱで翳った陽光が遮られ、昼間のときよりずいぶん薄暗く感じます。
 でも却ってそれが神秘的と言うか幽玄な感じと言うか、非日常っぽい絵画の世界に迷い込んでしまったかのようでもあり、幻想的。
 この感じなら私の裸エプロン、意外と合っているかも、なんて…

「あなた、百合薔薇学園サーガ、っていう小説シリーズ、知ってる?」
 
 中村さまからの妙に具体的なご質問で現実に引き戻されます。

「あ、はい。学生の頃に何冊か読んだことがあります。確か…鬼百合と姫小百合…っていうタイトルだったと思いますけれど、あのお話の印象が鮮烈で…」

 その小説は私が受験を控えた高三のとき、ピアノを個人レッスンしてくださっていた妙齢の女性が貸してくださったものでした。
 全寮制の女子学院を舞台にした百合小説で、そのお話は寮長である美貌の女性教諭が新入生の可憐な美少女をSM的な展開で言いなりドレイに調教していく、という、私の性癖のド真ん中をジャストミートなものでした。
 
 お借りした当時、そのピアノの先生との甘酸っぱい関係性とも相俟って大いに感化され、夜毎ページを繰ってはオナニーに耽ったものでした。
 何年かぶりに思い出して、自然と顔が火照ってしまいます。

「ははーん、その顔は直子もあの話でオナってたくちでしょ?あのシリーズの作者先生よ」
「ライトノベルがまだジュブナイルなんて呼ばれていた頃から少女小説の連載を何本も持たれ、その後はSFや時代小説、BLやエッセイなど手広く手掛けて、近年は正統的な甘酸っぱい百合小説と女性主従のレズビアン官能小説をメインに執筆されている名塚毬藻先生」

 お名前をお聞きしても申し訳ないのですが、ああ、あのお話はそんなお名前の作者さまだったな、くらいの印象でした。
 教えていただいて思い出したくらいな…
 
 なにしろ、そのピアノの先生がその頃の私くらいのご年齢のときにご感銘を受けた作品です。
 ピアノの先生と私に10歳くらいの年齢差がありましたから、その頃には新品が本屋さんには売っていませんでした。
 お借りした本も夜毎の酷使でだいぶくたびれていましたので、もう一冊買っておこうとご近所の古本屋さんをこまめにチェックしてやっと買えたくらいでした。
 
 そのときシリーズの他の巻も数冊一緒に買いました。
 それらは百合小説として普通に充分面白かったのですが、えっちな描写はどれもなぜだか控えめで、私にとっては一冊目ほどのインパクトはありませんでした。
 
 それでも、あのお話を書かれた先生、というのは驚きで、何か運命の綾みたいなものを感じます。
 そんな先生って、今おいくつなんだろう?…

「ワタシは某出版社に勤めていて先生の担当編集者だったの。でも連載している文芸誌の編集長が変わって、先生の担当も変えるって言い始めて揉めて。先生も、中村とじゃなきゃ書かない、っておっしゃってくださって」
「それで編集長と喧嘩みたいになって出版社飛び出して今はフリーの編集。文芸誌にはきっちり連載終わりまで半年分の原稿を先生が預けてくれた」

「先生は毎年夏はここに来て、読み切りの作品をいくつか仕上げるの。出版社からの依頼じゃなくてご自分で書きたいと思う小説ね」
「今年は女子校の女教師転落陵辱ものとご令嬢誘拐のサスペンスもの、あと大奥を舞台にした時代物を何か書きたいって言ってる」

「女教師ものは先週来ていたM女がいいインスピレーションになったみたい。で、今日はご令嬢もので臨まれたみたいね。それで直子のドマゾっぷりが見事にツボに嵌ったみたい」

 先生、あるじさまのことになるとご饒舌になられる中村さま。
 もう10分くらいは歩いたでしょうか、気がつけば見覚えのある道、来る途中のランチタイムでお姉さまに虐められた芝生広場から車へと戻る際にお姉さまと手を繋いで歩いた細い脇道、に入っていました。
 ということは、お散歩のゴールもあの広場なのかな。

「それにしても、レズビアンでSM寄りの性癖持ちって、もれなく、鬼百合と姫小百合、の洗礼を受けているみたいね。ワタシや寺っちとイガちゃんはもちろんだけど、直子もだって言うし、先週のM女だって…」

 中村さまがそこまでおっしゃったとき、あの広場の入口に着きました。
 木々が途切れた四角形のただっ広い芝生広場なので、陽光もまだ充分に射して山道とは段違いの明るさ。
 一足先に辿り着いていたジョセフィーヌさまが私たちの顔を見上げてワンッ!

「ああ、いいよー、いっといでー」

 中村さまがおやさしくおっしゃり、広場の入口から真向かいのほうをまっすぐ指さされます。
 その指さされたほうへとまっしぐらに駆け出して行かれるジョセフィーヌさま。

 ジョセフィーヌさまは広場中央の木陰も突っ切られ向こう側の草むらにお姿を消されます。
 私たちは入って左手の屋根が付いた東屋でひと休み。

 私が持っていたビニールバッグをテーブルの上に置き、中村さまが中からいろいろ取り出されます。
 バッグの中に入っていた学校の体操着入れくらいな大きさの巾着袋に、何かチューブみたいなものやらをいろいろ詰め込まれ、それを手首に掛けられてその手には園芸用みたいな金属製のシャベル。

「ジョセはね、ここに来たら真っ先にさっきみたいに草むらに飛び込んでうんちするんだ。どうやらお気に入りの場所があるみたい。直子はフリスビーだけ持ってついてきて」

 笑いながらおっしゃる中村さまが、シャベルを持たれた手の指先に私のリードの持ち手も引っ掛けられ、ジョセフィーヌさまが先ほど消えられた草むらのほうへと私を引っ張っていきます。
 中村さまの空いたほうの手にはしっかり、お姉さまのビデオカメラ。

「明日からは直子もジョセと一緒に、したかったらしちゃっていいからね」

 途中振り向かれた中村さまがイタズラっぽく、そうおっしゃいました。


2021年9月26日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 11

  目隠し越しでも、私の目の前にどなたかがいらっしゃるのが気配でわかります。
 おひとりではなくおふたりかお三かたか、もしかしてそれ以上かも。
 ふうわり嗅ぎ慣れないフローラル系パフュームの香りも漂ってきていますので、女性のかたたちだけだと思いたいのですが…

「あうっ!」

 無言のまま、いきなり右おっぱいを鷲掴みにされました。
 そのまま乱暴にわしわしと揉みしだかれ、更に乳首をギュッとつままれ痛いほど引っ張られます。

「あんっ、いたいぃ…」

 快感よりもやっぱり怯えと不安のほうが勝っています。
 郵便か宅配便の配達員のかたなのかしら…

「あんっ、や、やめてくださいっ!な、なんなんですか、あなたがたはっ!」

 あるじさまのお話では、お庭のM女に手を出すのはお約束違反なはず。
 憤りと恐怖で私には珍しく声を荒げてしまいました。

「おーおー、素っ裸の晒し者マゾ女が何かイキガッているなー。大人しくしてりゃあ悪いようにはしねーよ」

 聞き馴染みのないドスの効いた低めなお声。
 だけどなんだか女性がわざと低くお下品に作られたお声にも聞こえます。

「なかなかいい乳してるじゃねーか。おいっ、あんまり暴れるなっ!泥水が跳ねるだろが」

 左おっぱいも鷲掴まれ揉みしだかれ始めます。
 右おっぱいのより、包まれた感触が少し小さい?
 両方とも手のひらの感触がしなやかで、乳首をつまむ指も女性の指っぽい。

「あんっ、あーっ、あんっ、や、やめてくださいぃ…」

 自由に動かせる左腕で払いのけることも出来るのですが、左手に握り締めている肥後ずいきさまを見られるのが恥ずかしくて腕ごと背中側に隠しています。
 それをいいことに乱暴に嬲られまくる私の無防備おっぱい。

 性的刺激に身悶えしながらも、どんなかたの仕業なのか見てやろうと思い、目隠しを取ることに決めます。
 素顔写真を撮られてしまうかもしれませんが、ここで事件にしてしまえば悪用も出来ないはず。
 男性がひとりでも混ざって居たら、ありったけの大声であるじさまと寺田さまをお呼びしようと心に決めます。

 自由に出来る私の左手には使用済みの肥後ずいきさま。
 でもこのヌメヌメ濡れそぼった肥後ずいきさまを、泥濘んだ地べたに置きたくはありません。

 少し考えて、お座敷のときみたいにいったん口に咥えることにし、隠していた左手をそっと口元に持っていきます。
 肥後ずいきさまの側面に軽く噛み付いたとき、あっ、咥えたら叫べないな、と遅ればせながら思い至ります。

 素早く目隠しを取って状況を確認して、再び肥後ずいきさまを手にしてから叫べばいいんだ…
 そんなふうな段取りを頭の中で組み終えたとき、一足早くどなたかの手で目隠しがあっさり外されました。

「まったく、こんな泥水の上に中途半端に吊るされちゃって、何をされていたんだろうねえ、この淫乱マゾ娘は」

 背後から聞こえる呆れたようなお声は、聞き覚えありまくる麗しの声音。

「ふぁっ、ふぉっふぇーさまっ!」

 私の間の抜けた叫び声で、おっぱいに伸びていた手たちがスッと引いていきました。
 思わず叫んだ途端に咥えていた肥後ずいきさまがポロリと口中から転げ落ち、足元の泥濘んだ芝生へ。
 そこから斜面を尚もコロコロ転がり、小さめな泥水溜りで止まりました。
 あーん、ごめんなさい、肥後ずいきさま…

 それはさておき、私の背後におられたのは紛れもなく愛しのお姉さま。
 お姉さまが目隠しを外してくださったようです。
 行きの電車個室内で愛し合う前におトイレで着替えられた、黒地に白いストライプのスウェットスーツをお召しになられています。

 私の右おっぱいを揉みしだかれていたのは、立ち位置から言って中村さま。
 大広間で出会ったときと同じTシャツにジャージ姿で、カーキ色の薄めなブルゾンを羽織られています。

 そして、私の左おっぱいに取り付かれていたのは…

「あ、こちらはあたしも初対面の五十嵐ショーコさんね、通称イガちゃん。町のスーパーで買い物中にバッタリ会ったの。地元在住で中村さんのプー太郎仲間なんだって」

 お姉さまがご説明してくださいます。

「中村さんが、今日からしばらくうちに露出狂のうら若いマゾ娘が泊まっていくよ、って誘ったら、ナニソレ面白そー、ってノッちゃって、遊びに来てくださったの」
「イガちゃん、これが噂のマゾ娘、直子。あたしのプティスール兼マゾペット。可愛い子でしょ?でもね、ドン引きしちゃうくらいのド助平なんだ」

 私の紹介の仕方がヒドすぎる気もしますが、五十嵐さまに視線を合わせ無言でペコリと頭を下げました。

 五十嵐さまは赤とグレイのボーダー柄VネックTシャツにスリムジーンズ、麦わらのパナマハットをかぶられています。
 ショートカット細面でボーイッシュな感じのキツネ顔美人さん、バストは控えめでからだ全体がスリムな感じ。
 一瞬、美少年系の男性か、とも思ったのですが、手から腕の感じが明らかに女性でしたし、嗅ぎ慣れないパフュームも五十嵐さまから香っていました。

「イガちゃんは趣味の同人で漫画を描いてらっしゃるんだって。エロいのばっかりだそうだから、直子は絶対ネタになるはずよ」

 私の右手右足の拘束ベルトを外してくださりつつ、お姉さまがおっしゃいます。

「うん。来るなりいきなりこれだもんね。うちも何度かここにお邪魔しているけれど一番インパクトあった。どんなことされたのか、後で詳しく聞かせて欲しいな」

 少し低めだけれど耳触り良くてよく通る五十嵐さまのお声。
 そのお声をお聞きして、最初に男性風の作り声で脅かしてこられたのも五十嵐さまだな、と思いました。

「それにしても直子、酷い格好だねぇ」

 お姉さまがおふたりのほうへと戻られ、正面からしげしげと見つめてこられます。
 両手足首のベルトが外され、首輪とそこに繋がるリード、そして両足に泥まみれのハイソックスを履いただけの全裸で皆様の前に立たされた私。

 五十嵐さまが不意に数歩お下がりになられ、水溜りから肥後ずいきさまを拾い上げてくださり、持ち手のところの端っこをつまむようにお持ちになって、私のところへ持って来てくださいました。

「はいっ。これ、大事なものなんでしょ?」

 イタズラっぽく探るような笑顔で渡してくださる五十嵐さま。

「あ、ありがとうございます…」

 小さな声でお礼をお返しし、仕方なく再び左手に握ります。
 みなさまの前で、裸で肥後ずいきさまを大事そうに持っていることがなんだか凄く恥ずかしい…
 肥後ずいきさまは、粘液でヌメっている先端部分のほうがベットリ泥で汚れています。

 そんなふたりのやり取りを眺めてご愉快そうな笑顔のお姉さまが、私のからだを指差しつつ、つづけられます。

「下半身ヌルヌルにして裸のあちこちに泥まみれな犬の足跡付けちゃって、まるでお犬様にレイプされた直後みたいじゃない」
「それにずいぶんと長いあいだ、全裸で炎天下に放置されたんじゃない?恥ずかしい日焼け跡が周りの日焼け肌と同化し始めてる」

 ご指摘いただいて自分の乳首に目を落としてみると、確かに乳輪の周りを目立たせるように白く残っていた日焼け跡が淡くピンクに色づいていて、薄い小麦色との区別が曖昧になっています。
 この感じで旅行中晴天がつづいてくだされば、お尻上の恥ずかし過ぎる自己紹介も、東京に戻る頃には判読出来なくなっているかもしれません。

「まあ、なんにしても直子ちゃんは、このままじゃ屋内に入ることは出来ないわね」

 やれやれという感じで呆れたようにおっしゃる中村さま。
 そのお言葉になんとなくイジワルっぽいニュアンスを感じて不安になる私。
 まさかこの後ずっと、お庭にある大きめな犬小屋でジョセフィーヌさまと一緒に裸で寝起きしなさい、なんてことになったりして…

「あら?そんなに怯えた顔しないでよ直子ちゃん。別に一晩中このまま裸で閉め出す、っていう意味じゃないから」

 薄く笑いながらお庭の隅の一角、表玄関に近い建物の壁のほうを指さされた中村さま。

「あそこに庭から直で入れるシャワールームがあるから、そこで汚れをキレイに落として、それから室内に入ってね、っていうこと」
「最初はワタシが教えてあげるから、先生に庭で虐められたときは、次からは頃合いを見計らって自分の判断で汚れ落としてから屋内に入ってね」

 ということは、ここに滞在中はずっと、あるじさまからの屋外調教がつづく、ということでしょうか…
 思わずお姉さまのお顔を、助けを求めるみたいに見つめますが、お姉さまはニヤニヤ見つめ返してくださるだけ。

「じゃあワタシは直子ちゃんをシャワールームにお連れするから、悪いけれどイガちゃんとエミリーは買ってきた食材を車から厨房まで運んでおいてくれない?」

 中村さまが私の首輪から垂れたリードの先端に手を伸ばされながらおっしゃいます。
 が、不意にその手をスッと引っ込められて、

「あ、そうか。はい、これ車と玄関の鍵。イガちゃん、厨房の場所わかるよね?」

 キーホルダーが付いた鍵束をポーンと、五十嵐さまに向けて放り投げられる中村さま。

「勝手知ったる他人のお屋敷、ってね」

 嬉しそうにおっしゃりながらナイスキャッチされた五十嵐さま。
 お姉さまと肩を並べられ、お庭を隔てる目隠し樹木のほうへと歩き始められます。

「入ったら玄関の鍵は締めなくていいからね、ワタシもすぐ行くから」

 おふたりのお背中にそんなお声掛けをされた後、リードがグイッと引っ張られます。
 泥濘んだ芝生を二歩、三歩トトトっとつんのめる私。

「このリードもベッチョベチョね。これって、ジョセのよだれでしょう?」

 私の首輪に繋がったリードを引いて数歩先を歩かれる中村さま。
 泥に汚れたハイソックスのみの全裸でリードに引かれトボトボついていく私。

「は、はい…」

 中村さまとは着いたときにお顔を合わせただけで、そのときもほとんど会話が無かったので、人見知りモードを発症している私。
 裸でいることが凄く恥ずかしくて、言葉少なになってしまっています。

 建物の壁沿いと表玄関への目隠し樹木との境目の角に、ポツンとプレハブハウス的な小屋が建っています。
 外観はレンガ柄で正面も側面も大きなガラス窓、大きさは街で見かける標準的な交番くらい。
 
 正面の殆どを占める大きな素通しガラス二枚のスライドドアを開けると、内部はまさにバスルーム。
 床は全面タイル張りで、隅の方に薄いシャワーカーテンで仕切った脱衣スペースに収納チェスト。
 
 お部屋の正面奥は、これまた大きな素通しガラスのスライドドアで仕切られたユニットバス一式。
 ワンルームマンションにあるようなトイレと洗面が一緒になったタイプです。

「先生がゲストのM女を庭に連れ出すの好きなんだよね。でも外でプレイした後、屋内のバスルームまで連れていくと廊下とか壁とか汚しがちじゃない?」
「だから外にも建てたの。ここでならエネマプレイだって仕放題」
 
 中村さまが脱衣スペースのチェストからいろいろ出しながらご説明くださいます。

「どうせM女しか使わないから、って外から覗けるシースルー仕様にしたんだ。公然猥褻バスルーム。わざわざ湯気でも曇りにくい特殊なガラス使ってるんだ。風情のない露出M女専用露天風呂だね」

 確かに建物の入口もバスルームの入口も大きな素通しガラスのスライドドアですから、お庭から中の様子はまさに交番みたいに丸見えです。
 
「ソックスとリードは軽く水洗いしてからこの袋に入れて脱衣籠に入れておいて。後でまとめてワタシらが洗濯するから。そのずいきも洗って乾かせばまた使えるわ。で、これ、ボディソープね」
「今、5時5分過ぎか。シャンプーしている暇は無さそうね。じゃあ、これがバスタオルでこっちがカラダ洗う用タオル。これも使用後は一緒に袋に入れておいてくれればいいから」

 首輪からリードを外してくださり、私にいろいろ手渡してくださる中村さま。
 すべて渡し終え、あらためて私の全身、顔からおっぱい、下腹部、無毛な恥丘の裂け目まで舐めるようにご覧になった後、フッと視線を逸らされます。

「シャワーの使い方はわかるよね?これがスイッチで、お湯の温度はパネルに出るから適当に調節して。こっちは換気扇。終わったらこっちのスイッチ押せば全部落ちるから」

 バスルームに入られ、すべての段取りを整えてくださいます。

「ということで5時20分、遅くとも25分までには広間のホールに戻ってきてね。このバスルームからはご覧の通り館内には入れないから、いったん外に出て、すぐ脇にある木々を突っ切ると表玄関のほうに出るから、そこから玄関目指して。鍵は掛けていないから」

 必要なことだけをおっしゃると、そそくさとバスルーム小屋から出ていかれました。
 寺田さまに比べて打ち解けた感じとか、からかってくるような雰囲気もありませんでした。
 
 中村さまも人見知りの気がお有りなのかな、それとも私のあまりのマゾっぷりに呆れられて軽蔑されちゃったのかな、なんて考えつつハイソックスを脱ぎリードを外し、少し迷ってから首輪も外しました。

 シャワーを少しぬるいくらいの温度に設定して、まずはハイソックスとリードのお洗濯。
 バスボウルにお湯を溜めてそれぞれ浸すとみるみるお湯が泥色に濁っていきます。
 
 何度かくりかえすとあまりお湯は濁らなくなりましたが、白いハイソックスにはまだ薄茶色のシミが点々と。
 やっぱり洗剤を使わないと真っ白には戻らないみたい。
 
 その合間に、肥後ずいきさまの汚れをシャワーの水流で洗い流します。
 こちらはあっさりと泥は落ちましたが、濡らしているあいだはヌメヌメが増すばかり。
 リードのヌメヌメは感じられなくなったので、まあいいか、とお洗濯を切り上げ、次は自分のからだです。

 髪を上にまとめてから、肩から下に強めのシャワー。
 タオルにボディソープを染み込ませ、全裸の全身を撫ぜ回します。

「あんっ…」

 だいぶ落ち着いたとは言え、まだ肌の敏感状態が少し残っているみたい。
 そう言えば、あれほどしつこかったイラクサさまの皮膚一枚内側からの痛痒さは、それが嘘だったみたいにすっかり消えていました。
 消えてしまうと、それが名残惜しく感じてしまうのは、私が根っからのマゾ体質だからでしょうか。

 肥後ずいきさまが膣内に残されたムズムズする痒さはまだ少し感じていたので、シャワーを強めにして至近距離から直接マゾマンコに当てました。

「あんっ!」

 指で膣口を開き、水流が直接粘膜を洗い流すように当てていると、徐々に気持ち良くなってきます。
 このままちょっとオナニーしちゃおうか…という不埒な考えがよぎりますが、私には時間がありません。
 
 15分間から20分間で大広間に戻るようにとのご指示なのですが、見渡したところここに時計は無く、もちろん私も持っていないので体感で計って間に合わせるしかないんです。
 余計なことに時間を費やしていると、ご指示を破りかねません。

 左手で至近距離からマゾマンコに強いシャワーを当て、右手の指を膣口に潜らせて指先で愛液を掻き出すみたいに膣壁を引っ掻き、最後にクリトリスをギューッとつまんで、大急ぎでビクンと小さくイキました。
 それだけでもかなりスッキリ。

 だけど私の体感では、バスルームに入ってから確実に10分間は過ぎている感じ。
 大急ぎでシャワーを止めスイッチを切り、洗い物たちを持って脱衣所に戻ります。

 脱衣籠の中には白いバスタオルが一枚。
 当然のように着替え的なものは下着を含めて何一つ用意されていません。

 でもまあそれも想定内。
 バスタオルでからだの水滴を拭いつつ、ハイソックスなどをご指定通り所定の位置に収めます。
 それから髪を下ろして首輪をし直し、バスタオルを胸元からきつく巻き付けて出口へ。
 スライドドアの向こう側には、ピンク色のサンダルがお約束どおり用意されていました。

 スライドドアを開けてサンダルを履き、素肌にバスタオル一枚でお庭に降り立ちます。
 だいぶ陽が落ちましたがまだまだ明るい晩夏の夕方。

 あらためてバスルーム小屋を見遣ると、見事なまでに中のバスタブまで丸見え。
 シャワーを浴びていたときは湯気で少し曇っていたようにも見えたガラス戸も、すっかり曇り一つ無い素通し状態。
 確かにこれは公然猥褻バスルームです。

 ご指示通りに、すぐそばの目隠し樹木に入ります。
 ほんの数本の木々のあいだをくぐり抜けるとすぐに、着いたときに見渡せた立派なほうの庭園、ロックガーデンが目の前に広がりました。

 えっ、表玄関からこんなに近かったの!?
 私の感覚では、表玄関前の大庭園とあるじさまのお庭とはずいぶん離れているように思っていたのですが、目隠し樹木を挟んで隣り合わせ、と言ってもいい近距離でした。
 この感じだったら、私がお庭でアンアン喘いでいた声も、この辺りまで筒抜けだったのだろうな、と今更ながらの恥ずかしさがぶり返してしまいます。

 砂利道、敷石と歩いて、あの立派な正面玄関扉の前へ。
 重い外開き扉をグイッと開けると、何とも言えない洋食系の美味しそうな匂い。
 ホール入口の内扉も開け放されていて、その奥からお声がかかりました。

「あーきたきた、直子ちゃーん、早くこっちに上がってきて。お姉さまがお待ちかねだよー」

 五十嵐さまのよく通るお声。
 用意されていたスリッパに履き替えてホールに入ると、着いてすぐにみなさまとシャンパンで乾杯した、向かって右寄りのソファーコーナで五十嵐さまが右手を振っておられます。
 そのお隣には中村さまがビニールバッグのようなものの中を覗き込んでおられます。

 私が近づいていくと、不意にもっと右側壁際の扉が開き、寺田さま、つづいてお姉さまが出ていらっしゃいました。
 おふたりともヴィクトリア調と呼ぶのでしょうか、両肩のところとウエスト部分がヒラヒラフリルで飾られた格調高めな純白のエプロンを着けられています。
 いい匂いはそちらから漂っていますから、おそらく厨房でお夕飯のためのお料理をされていたのでしょう。

「おーおー、湯上がり直子は一段とエロっぽいねー」

 おふたりとほぼ同時にソファーコーナーに到着した私。
 寺田さまからそう冷やかされたと思ったら、スーッと伸びてきたお姉さまの右手で、さも当然のようにからだに巻き付けたバスタオルを引き剥がされます。

「あんっ、いやんっ!」

 みなさまの前に再び全裸姿を晒す私。
 私の左腕はバストを庇い、右手は股間なヴィーナスの誕生ポーズ。

「何が、いやんっ、よ。今更隠したって仕方ないでしょうに。右内腿の会陰近くに小さなホクロがあることだって、ここにいる全員がもう知っているわよ?」

 お姉さまのイジワルいお言葉にワッと沸いたみなさまのご愉快そうな笑い声が、天井の高いホール内に響き渡りました。


2021年9月20日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 10

 シュルルルルという音を立てて、一直線の強烈な水流が私の胸元を襲ってきます。
 右おっぱい、左おっぱいと小刻みに標的を変えながら左右のおっぱいを揺らしてくる激水流の陵辱。
 為す術もなくプルプル翻弄される私の乳房。

 水飛沫が派手におっぱいを揺らしているときは、確かにあの意地の悪い疼痛を忘れることが出来ましたが、水流が移動してしまうと元の木阿弥。
 皮膚の表面ではなく、ごく薄く一皮残したくらいの内部からジンジンシクシクと疼かせてくるイラクサの陵辱がまだしつこく残っています。

「あーーーーっ!!!」

 やがて水流は私のマゾマンコへ。
 粘膜と肉芽を執拗に嬲られ、何度か達してしまう私。
 それでも疼きの消えないイラクサさまの威力。

 あやつり人形はもはや、手足をジタバタさせる気力も失せて力無く頭を垂れ、ダランとうなだれるばかり。
 首輪から垂れ下がったリードの持ち手が、地面スレスレでプランプラン揺れています。

 水音の蹂躙が過ぎ去り、素肌に静寂が訪れます。
 素肌を水滴が滑り落ちていく微かな感触の内側で弱まったとは言え、まだ消え失せてくれないイラクサさまの痺れ。

「んふうぅっ…」

 水流の物理的刺激で幾度か達していたはずなのに、秘部三ヶ所をまだ疼かせてくる微熱が貪欲に新たな刺激を欲しています。
 うなだれていた顔を上げ、眼前に立たれているあるじさまと寺田さま、それにジョセフィーヌさまに向かって、媚びるように身をクネクネ捩らせてしまいます。

「どうした?満足出来たのだろう?寺田の放水に犯されてジタバタ踊り狂ってイキ果てていたじゃないか」

 あるじさまが乗馬鞭のベロで、私の相変わらずな勃起右乳首をペロンと撫ぜ下ろされます。

「はうんっ!」

 そんな軽い愛撫にさえビクンと反応してしまう今の私のからだ。

「それとも、まだ足りないのかい?」

 今度は左乳首をペロン、私は、あんっ!

「は、はい…イ、イラクサ、さまの痛痒さがまだ、まだ治まらないんです…どうか、どうかもっとソコを弄ってください、虐めてください…罰をお与えください…」

 静寂が深まるとともにジンジンシクシクと威力を盛り返されるイラクサさま。
 その焦燥から一刻も早く逃れたくて、恥も外聞もなく懇願します。

「やれやれ。とんだド助平なご令嬢がいたものだ。淫乱という概念は、おまえの為にあるのだろうな」

 おっしゃりながらあるじさまが寺田さまに目配せ。
 ススっと私に近寄ってこられた寺田さまが、吊り上げられていた私の左足首のベルトに繋いだ縄を解いてくださいました。

 久しぶりに地面を踏みしめる自由となった左足。
 体勢がずいぶん楽になりました。
 右足と両手はまだ拘束されたままなので、ここから逃げ出すことは出来ないのですが。

「おまえのような好色なドマゾ女はわたくしの手にも余る。そんなに虐められたいのなら、オナ子のもうひとりのあるじさまにお願いすればいい」

「ぁふぅぅーんっ」

 あるじさまの乗馬鞭が私の両脚のあいだに滑り込み、お尻のほうから前方へとベロで擦るように撫ぜていかれます。
 より的確に粘膜と肉芽に当たるようにと、自由な左脚を大きく開いてしまう私。

 ベロですくい取られた私の恥ずかしい愛液をジョセフィーヌさまの鼻先にあてがうあるじさま。
 クンクンお鼻を鳴らされ、ペロペロとベロを舐められ、ブンブンと尻尾を振られるジョセフィーヌさま。
 私の顔を嬉しそうに見つめ、今にも飛びかかってきそうな前傾姿勢なジョセフィーヌさまのお背中を、あるじさまがお優しく撫でつつなだめられています。

「ジョセフィーヌ、ステイ、まだだ。オナ子?」

「は、はい…」

「どうした?ジョセフィーヌにお願いすることはないのか?遊んで欲しくはないのか?」

「…はい、遊んでいただきたいです…」

「ふん、お前の場合は、もて遊んで、だろうがな。それならちゃんとお願いしなけりゃだめだろ?」

「はい、ジョ、ジョセフィーヌさま…ど、どうか、直子を、あ、いえ、オナ子を、も、もて遊ばれてくださいませ…」

 私が、ジョセフィーヌさま、とお名前をお呼びした途端にピクンと動かれたジョセフィーヌさまの両耳。
 それに気づいたのと、あるじさまが小さく、ジョセフィーヌ、オーケー、ゴー、とつぶやかれたのが同時でした。

 5メートルくらい離れた位置から私に向かって、一直線に駆け寄ってこられるジョセフィーヌさま。
 その勢いに気圧されて思わず内股になって腰を引いてしまう私。
 その引っ込めた両脚の付け根部分にジョセフィーヌさまがグイグイと、その毛むくじゃらなお顔を突っ込んでこられます。

「あっ、あんっ、あんっ!」

 私の股のあいだをくぐり抜けたジョセフィーヌさまがお尻をペロペロ舐めてくださいます。
 少し開いた内腿と内腿のあいだに舌を挿し込むようにされ、私の肛門から陰唇、恥丘にかけてのこそばゆい愛撫。

「んっ、あっ、あんっ、あーんっ…」

 ジョセフィーヌさまは忙しなく動き回られ、お尻と言わず腿と言わず、私の下半身の至るところを舐め回してくださいます。
 足元は先ほどからの放水で小さな水溜りが出来るくらい泥濘んでいますが、そんなことはお構いなしなジョセフィーヌさま。
 私の左足ハイソックスにも泥水が跳ねてグズグズ。

 寺田さまがお澄まし顔をされて正面から私に近づいてこられます。
 寺田さまのミラーサングラスに今の私の姿が映り込んでいます。
 自ら左脚を宙に高く上げ、股間に潜り込まれたジョセフィーヌさまの舌使いにクネクネ身を捩らせている私の姿が。

 寺田さまは左手に歯磨き粉みたいなチューブ状の容器を持たれ、そこからひねり出したペースト状の粘液質な何かを左手に受けられています。
 ほんのり香リ来るチーズのような匂い。
 ジョセフィーヌさまもその香りに気づかれたのか、私から離れて寺田さまへとまっしぐらに飛びつかれます。

 後ろ肢立ちのジョセフィーヌさまでも届かないくらい左腕を高く掲げられた寺田さまが、私のすぐ前まで来られました。
 やおらその左手を私のお腹に当てられ、そのペースト状のクリームを私の素肌になすり付けてこられます。
 寺田さまの左手のひらが上へと滑り、遂に私の右おっぱいを包み込んでくださいました。

「ああーんっ」

 つづいて横にずれて左おっぱいも。
 私の上半身はペースト状クリームでヌルヌル。
 チーズのような匂いもずいぶん強くなっています。

 すかさず私に飛びついてこられるジョセフィーヌさま。
 泥に汚れた前肢を私のお腹に当てられ後肢立ちになられ、その長い舌をベロンベロンと突き出しながら私のおっぱいを一生懸命舐めてくださいます。
 全身が性感帯となっている今の私にとって、その執拗な愛撫の気持ち良さと言ったら…

「あーっ、あんっ、あんっ!あーーーんっ!」

 私の素肌に舌を這わせてくださりながら、ハアハア荒い息を吐かれているジョセフィーヌさま。
 本当にジョセフィーヌさまからご奉仕、別の言い方をすれば征服されているみたい。
 ジョセフィーヌさまの一挙手一投足に翻弄される私のマゾ性とドマゾなからだ。

 後肢立ちはお疲れになるのでしょう、時折前肢を下ろされ私の周りをグルグルお回りになられます。
 ふくらはぎや腿をフワフワ撫で回す柔らかな体毛。
 
 それから私の脚やお尻を丁寧に舐めてくださり、やがて再び後肢立ちとなられ脇腹やおっぱいまで執拗に舐め回してくださる長い舌。
 それらの感触全てが私にとって至上の愛撫です。

 寺田さまも適宜、私の素肌にペーストを追加してくださり、そのたびに素早く追い掛けて舐め取ってくださるジョセフィーヌさまの長い舌。
 私の頭の中では、どこでどなたに教わったのか自然にネットで覚えたのか、バター犬、という単語がグルグル渦巻いていました。

「あんっ、あんっ、そこっ、あーーっ、もっと、そう、そこ、もっとぉ…」

 あられもなく淫声をほとばしらせる私。

「あんっ、あーーっ、あんっ…えっ!?…」

 そのときフッと視界を奪われました。
 目の前が真っ暗。
 どうやらまた目隠しをされてしまったみたい。

 そんなことにはお構い無しなジョセフィーヌさまからの舌責めはつづいています。
 私の太股、内腿、お尻、女性器、脇腹、おへそ、下乳、乳頭、胸元まで、唾液ダラダラな滑らかな舌で執拗に愛撫されています。

 いつの間にか私の両手を幹から吊るしていた縄の結び目が緩められていたようで、自分でしゃがみ込める程の長さになっていました。
 と言っても相変わらず、両手は手錠の形に拘束されたままですが。

 いつしか私は、ジョセフィーヌさまがより舐めやすいようにと、中腰ガニ股に大きく股を広げ、ジョセフィーヌさまを迎え入れていました。
 おそらく傍から見れば凄く浅ましくもみっともない格好。
 
 そんな私にお応えくださるかのように、鎖骨から顔面までベロベロ舐めてくださるジョセフィーヌさま。
 舐められるたびに、そんな格好で全身をプルプル震わせている私。

「あんっ!そこっ!あーんっ、そうっ、そうっ、そこをもっと、あっ、だめっ、もっとぉーっ!」

 もはやジョセフィーヌさまは私のかけがえのないパートナーさまのおひとりです。

「ふん、踊りにキレが戻ってきたじゃないか。ペットはペット同士、心ゆくまでそうして戯れるがいい」

 真正面からあるじさまのお声。

「さて、私は仕事に戻るとするか。寺田?あとは貴方がよしなにするがいい。任せたぞ」

「承知いたしました、先生」

 寺田さまのキリッとシャープなお声でのご返事。
 そのあいだも私はアンアン喘ぎっ放し。

「そうだ、オナ子にひとつだけ教えておいてやろう」

 少し遠ざかられた感じなあるじさまのお声。

「おまえはさっきから安心しきったようにアンアン喘ぎ声を上げているがな、この屋敷にも郵便や宅配便は届くぞ?」

 そんなお言葉が聞こえ、あわててムッと口をつぐむ私。

「来るとしたら今頃の時間帯だ。郵便屋や宅配便の配達員のあいだで噂になっているらしいな、この屋敷の裏庭には時々素っ裸の若い女が無防備に吊るされている、って」
「そのせいで奴等のあいだでは、この屋敷への配達が争奪戦となっているという話だ。ポストは表玄関だが、裏庭と言っても表側から目隠しとなっている木々のあいだから覗き込めば、ここら一帯丸見えだからな」

 そのあいだもジョセフィーヌさまからの陵辱は止まりません。
 必死に口をつぐんで、あるじさまのお声に耳をそばたてる私。

「何年前だったか、そんな配達員のひとりが、そのとき吊るされていた全裸のM女に不埒な悪戯をしようとしたのだな。幸い未遂で終わったが、そのときこんな取り決めをした」
「ここが私有地である限り、庭で女がどんな格好をしていようとも手を出すのは紛れもなく犯罪だ。ただし、わたくしどもとて、余り褒められた行為をしているわけではない」

「だから妥協案としてこう決めたのだ。ここで面白い見世物を見つけても手を出すのは問答無用でアウト。こちらからそれなりの法的手段に訴えてその行為の落とし前はつけてもらう」
「その代わり、運良くその場に居合わせたなら、見物したり撮影するのはセーフ。その後その写真や動画がどう使われようが、それはそのM女の運の無さだ、ってな」

「だから今、オナ子に目隠しをしてやったのさ。運良く誰かに撮影されたとしも、素顔までは晒されないように、という親心でな」

 それっきりあるじさまのお声は聞こえてきません。
 おそらくお言葉の通り、お仕事に戻られたのでしょう。
 
 気がつけばジョセフィーヌさまからの愛撫もあっさりと消えていました。
 おそらく最愛のあるじさまに着いて行かれたのでしょう。

「直っちってば、凄いね。あんなにノリノリな先生、先週のM女に匹敵するわ」

 突然左耳に息を吹き込むような掠れた寺田さまのお声。
 その熱い吐息にビクンとからだを震わせる私。

「そんなに貪欲な若いドマゾ娘、そうそうはいないわよ?アタシまでゾクゾク濡れてきちゃったもの。直っち、ううん、畏敬の念を込めて直子って呼び捨てにさせてもらうわ」
「直子、まだまだ満足し切れていないのでしょう?まだまだ乳首とクリット、ぴんこ勃ちだし」

 からかうようにハスキーにおっしゃった後、私の左耳たぶを軽く噛むようにしゃぶってくださる寺田さま。

「はうんっ!は、はい…ジョセフィーヌさまにも何度かイカせていただいたのですが、や、やっぱり直子のマゾマンコに強烈な陵辱が欲しいのです…」

 このかたなら私をキチンとイカせてくださるかもしれない、という一縷の望みを込めて、寺田さまに懇願してしまいます。

「いいよ。アタシもそろそろみんなの夕食の準備に取り掛からなければならないし、直子もこのままでは可哀想だものね」

 お優しいお言葉をくださった寺田さまのおからだが離れる気配がし、すぐに吊るされている両手から左手だけがベルトごと、解放されました。
 
 自由になった左手に手探りで握らされた、ちょうど良い握り心地な感触。
 それは紛れもなく、私がお座敷からお庭に出るまでずっと口に咥えさせられていた、あの肥後ずいきの太めな胴体。

「ほら、それを自分でオマンコに突っ込んで、心ゆくまで自分で自分を慰めなさい。アタシはそろそろ戻らなくてはならないけれど、直子はいつまででもここで愉しんでいていいから」

 それきり寺田さまのお声も聞こえなくなりました。
 いつの間にか目隠しの向こう側に感じる晩夏の陽射しも、幾分薄暗くなっているような気がします。

 私の左手には肥後ずいき。
 気がつけば、あんなにしつこかったイラクサさまの蹂躙もずいぶん薄らいでいました。
 
 それでもまだまだ新たな性的刺激を欲している私のからだ。
 この期に及んで肥後ずいきさまをマゾマンコに突き立てない、という選択肢はありえませんでした。

 ジュブっ!

「あーーーーっ!!」

 左手で握った肥後ずいきさまを手探りでマゾマンコに突き立てました。
 久々に膣口全域を満たしてくださる異物の感触。
 すぐに私のマン汁が繊維質に溶け合い、粘膜を熱くさせてくださる肥後ずいきさま。

「あんっ、あんっ、あんっ、あーんっ…」

 先ほどのあるじさまからのご忠告もどこへやら、制御の効かない淫声を撒き散らす私。
 私の左手はピストン運動を延々とくりかえし、イラクサさまとはまた違ったむず痒さをマゾマンコに与えてくださる肥後ずいきさま。

 右手が拘束されているので、おっぱいを弄れないのがもどかしい…
 それに、ここにジョセフィーヌさまからのおっぱいへの愛撫があれば…
 無い物ねだりなことを思いつつもジュブジュブと卑猥な音を立てつづける私のマゾマンコ。

「あーーっ!あーーーーーっ!!…あーーーーーーーっ!!」

 まっしぐらに昇り詰めている最中に、ふっと自動車のエンジン音のような音が聞こえた気がしました。
 えっ!?と思うのですが、私の左手はもう止まりません。
 同時によみがえる先ほどのあるじさまからのご忠告。

 えっ?この音って郵便屋さま?それとも宅配便さま?
 心の片隅ではそう思うのですが、一方で大丈夫大丈夫イッちゃえイッちゃえ、と楽観的な私。
 あるじさまを信じるなら写真を撮られるくらいだし、素顔がわからないように目隠しも施してくださったし…

 そうしているあいだにエンジン音はどんどん近づいて来て、ついに表玄関に停まったみたい。
 エンジン音が消え、バタンバタンとドアを開く音。
 その音と一緒に私はイキ果てていました。

 泥濘んだ泥水の中にお尻ごと突っ込みへたり込んでいる私。
 頭の中が真っ白になってハアハア息を荒げている使い物にならない耳朶をくすぐってくる微かな足音。

 それもおひとりだけではないみたい。
 だんだんとその聴力を取り戻した私の耳に聞こえ来るその足音は、どう聞いても複数。
 その足音たちが石畳を踏まれ砂利道を踏まれ、やがて木々の葉っぱがザワザワとさんざめきながら、草と土を踏まれる音に変わります。

 もちろん今なら、左手左足は拘束されていませんから、左手から肥後ずいきさまを手放しさえすれば、自分で右手右足の戒めを解き、目隠しをも取り去って、その場から一目散に逃げ出すことも出来るでしょう。
 だけどなぜだか、そうする気持ちにはなれませんでした。

 右手右足拘束で目隠しもそのままに、その場にほぼ全裸姿で怯えている私。
 その足音たちは明らかに、私のほうへと近づいて来られています。

 不意に目隠し越しにもわかる眩い光が真正面から浴びせられます。
 立てつづけに閃光が数回。
 眼前が眩むたびにゾクゾクっと戦慄する私の全身。
 
 近づいて来られたどなたかから、私の恥ずかし過ぎる写真を数枚撮られてしまったのは確かなようでした。


2021年9月12日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 09

 「あーーっ!いやぁーーーっ!」

 不意に左足首が引っ張られ、どんどん空中に上がっていきました。
 右足は木の根元に固定されていますから左脚はみるみる右脚から離れ、そのぶん股間がどんどん開いていきます。
 それに気づいたとき、思わず悲鳴を上げていました。

「なかなかいい声で啼くじゃないか。いいよ、もっと泣き喚いてわたくしを愉しませることだ」

 ニヤニヤ笑いなあるじさまの横で、すっかりリラックスされて横座りなジョセフィーヌさま。
 私の左脚はどんどん上げられ、今や中途半端なY字バランスと言うか、バレエでいうと不格好なア・ラ・スゴンドと言うか。
 寺田さまが脚立を移動され、私の両手を吊っている太い幹の先端の方に、左足首を吊った縄を縛り付けておられます。

 股のあいだを緩い風が吹き抜けていくのを感じます。
 その風の感触で私の膣口を塞ぐ陰唇が少し開いてしまっているのがわかります。
 左隣の木陰にいらっしゃるあるじさまとジョセフィーヌさまからは、その一番恥ずかしい部分が丸見えなことでしょう。

「いい格好になったじゃないか。そう言えばバレリーナはよくそんなポーズをしたりするな」
「縄で手足を吊られて、まるであやつり人形だな。そう言えばあやつり人形を題材にしたバレエの演目もあったが、あれは何と言ったか…」

 ニクタラシイご口調で私に近づいてこられたあるじさま。
 もちろんジョセフィーヌさまも尻尾をフリフリ、ぴったりとあるじさまに寄り添っておられます。
 そこへ寺田さまが緑色の細くて長いホースをどこからか引っ張ってこられました。

「これからオナ子に存分にいやらしく踊ってもらうわけだが、その前におまえの薄汚れたからだを清めてやろう」
「よだれやマン汁でベトベトなからだでは、せっかくのいけにえの舞も美しくないからな。寺田っ!」

 あるじさまの号令で私の真正面3メートルくらい手前の位置に立たれた寺田さまが、お持ちになっているホースの噴出口を私に向けてきました。
 その金属製でSF映画の光線銃みたいなフォルムのノズルから緩い水流が、フワーッと私めがけて飛び出してきます。

 最初はシャワーのような放射状の飛沫が私の首から下部分に満遍なく当てられ、汗やよだれを洗い流してくださいます。
 水流は冷たいのですが、暑いしからだは火照っているしで、気持ち良いのほうが勝っています。

 そのうち水流が直線的になってきて、肌に当たる水圧も強くなってきました。
 寺田さまが握られているホースお手元のノズルのレバーで調節出来るみたい。

 今や一直線の水流となり当たると少し痛いくらいの水圧となった水飛沫が、私のおへそ上から右おっぱいの下乳へと移動してきていました。
 下乳をプルプル揺らすほどの水圧、その甘美な刺激。
 木に麻縄で繋がれた手足をクネクネ動かし、淫らに顔を歪める私。

 肌を窪ますほどの一直線な水流は、ターゲットを私の右乳首に絞ったみたい。
 おそらく噛み付いている木製洗濯バサミを弾き飛ばそうとされているのでしょう。

「あーっ!」

 乳首の根本を襲う水圧に乳首が翻弄されプルプル揺れています。
 乳首から洗濯バサミの先端まで、愛撫するように数センチ幅で動く水流に私の性感がぐんぐん上がっています。
 洗濯バサミの上から強烈な振動のマッサージ器を当てられているみたい。

 洗濯バサミの噛み口部分がジリジリと乳首の皮膚を移動しているのがわかります。
 疼痛、鈍痛、激痛を細かくくりかえしながら、じわじわと噛み口が乳首の先端へと移動していくのがわかります。

「んーー、くぅーーっ!!」

 最後に飛び切りの激痛をくださり、木製洗濯バサミが勢い良く弾け飛びました。
 私の右足首が縛り付けられている大木の根元に転がり落ちた洗濯バサミ。
 すかさず左乳首へとターゲットを移行される寺田さま。

「んあーっ、いやーっ!!」

 数分かけてとうとう左乳首にも激痛をくださった木製洗濯バサミと寺田さまの水圧責め。
 左乳首の洗濯バサミが弾け飛んだと同時に水流もピタッと止まりました。
 激痛の余韻でハアハア息を荒くしている私。

「まあまあのダンスだったな。もう少し派手なほうがわたくしの好みだが」
「おまえのマンコと肛門はずいぶん派手に悦んでいたぞ、襞がヒクヒクピクピク、よだれをダラダラ流して。わたくしの位置から丸見えだった」

 私の正面に移動されてきたあるじさまが、からかうようにおっしゃいます。
 ジョセフィーヌさまはと言えば、寺田さまが持たれたホースからチョロチョロ漏れるお水を飲ませていただいてご満悦。

「それにもっと声を出していい。ここは山の中だ、誰に気兼ねする必要もない。やめて欲しいのか、もっとして欲しいのか、飼い主に対して感情を顕にするのも家畜の務めだ」
「まあ、服従が基本であることは変わらないのだがな。それはそれとして、とっとと清めの仕上げだ。寺田っ」

 寺田さまはいつの間にか、私から見て左側の木陰に移動されていました。
 ノズルを低く構えられ、その噴出口が向けられているのは…

「あーーーーっ!」

 片足を吊るされ大きく広げられた私の両脚、その中心部分に向けて始めから強烈な水圧の水流が突き刺さってきました。
 膣口を抉じ開けて流れ込む荒々しい水流。
 しばらくそこを嬲ってから弄ぶように少し上へと移動し、今度は腫れたクリトリスを弾いてきます。

「あんっ、あんっ、あーーーっ!」

 ぐんぐん昂ぶる私の欲情。
 水流は肉芽と膣口と肛門を満遍なく行き来し、私を高みへといざなってくださいます。

「あーっ、いいっ、ぃいーっ、もっと、もっとぉーっ!!」

 あるじさまのご忠告のせいではなく、自然におねだりが声として出てしまいます。
 吊られている縄とは関係無く、水流が当たりやすいようにと自ら左脚をより高く上げてその部分を誇示している私。

「そうっ!そこっ!そこをもっと、もっとーっ!!」

 一際はしたないおねだり声が合図だったかのように、水流がピタッと止まってしまいました。
 まさに寸前、あと数秒で全身に火花が弾けそうだったのに…
 クリトリスが痛いくらいズキズキ充血しているのが自分でわかりました。

「勘違いしてもらっては困るな。さっき座敷で教えただろう?この野外舞踏会はオナ子が気持ち良くなるためにやっているわけではないって」
「おまえが淫欲に翻弄され、焦らしに焦らされて悶え踊る様を見物して嘲嗤おうという趣向だと。わたくしを愉しませるためだけの余興ってことだっ」

 おそらく私はとても不満そうな顔をお見せしてしまっていたのでしょう、蔑み切った冷たい瞳のあるじさまが語気荒く吐き捨てるようにおっしゃいます。
 その視線から逃げるように自分の足元に目を逸らすと、濡れそぼった地面に着いた私のからだをただ一本で支えている右脚の白いハイソックスがべっとりと、ぬかるんだ泥で茶色く汚れていました。

 あるじさまにスススっと近づかれた寺田さまがピンク色の何かを手渡されます。
 右手で受け取られたあるじさまは、それをもう片方の手に嵌められ、つづいて右手にも。
 よく見ると寺田さまもすでに両手に嵌められていて、ガーデニングとかで使う厚手のゴム手袋みたい。

 寺田さまはその後スタスタと、お庭の端の植込みのほうへと向かわれ、ジョセフィーヌさまが嬉しそうに後を着いていかれます。
 あるじさまは私の正面にお立ちになられ、イジワルいニヤニヤ笑い。

「さて、ここからが本番だ。オナ子は、今まで経験したことの無いような快楽にのたうち悶え踊り狂うことになるだろう」
「ドマゾなおまえなら、ローソクプレイは大好きなんだろう?」

「あ、えっと、はい…」

 あるじさまからの唐突なご質問に、咄嗟のことで誤魔化すような気の利いた言葉も浮かばず、真っ正直にお答えします。
 と言っても、火を扱う遊びですから独りでは危なくて出来ませんし、これまでのパートナーの方々も、後片付けが超面倒なこともあり、これまで数回しか経験したことは無いのですが。

「それの数倍、数十倍の苦痛、すなわちマゾにとっては快感、快楽が味わえる、わたくしの庭ならではの責めだ。先週も生まれて初めて味わったマゾ女が泣いて悦んでいたな」

 そんな会話をしているうちに寺田さまが戻ってこられます。
 ゴム手袋を嵌められた右手に数本の雑草をお握りになって。
 そのひらひら揺れる葉っぱの形を見た瞬間、あっ、と気づきます。

「あっ!」

 思わず声にまで出てしまいました。

「おや?おまえ、この草が何だか知っているのか?」

 あるじさまが怪訝そうにお尋ねになります。

「あ、あの、いえ、知っているというわけではなくて…」

 その青ジソに似た形の葉っぱを目の前に見せられたことで、これから私がどんな目に遭うのかがわかってしまいました。
 それは確かに私が生まれて初めて味わう苦痛であり、それゆえの恐怖でした。

「ここに着く前に立ち寄った広場でお昼をいただいたときに、草むらに生えていたそれに足を刺されました。それでお姉さまから、その草がイラクサというお名前だとお聞きしました…」

 そのジンジンシクシクといつまでもしつこくつづく、痛みと言うか痒みと言うか痺れと言うか…
 足のふくらはぎでそれでしたから、もしも他のもっと敏感な…

「ほう。おまえはもうこの草のいやらしさは知っているのか。それで、この草で責められたことは?」

「ありませんっ。さっき初めて刺されただけですし、考えただけでゾッとします」

 心の底からの本心でした。

「そうかい、それなら今日わたくしが教えて上げようかね。この草をオナ子の一番敏感な場所にたっぷり味あわせて上げよう。思う存分身悶え踊るがいい」

「ひいぃっ!」

 あるじさまがイラクサの束をズイッと、私の剥き出しのお腹スレスレに突き出してこられます。
 思わず大げさにお腹を引っ込める私。

「この辺りに生えているイラクサは、わたくしが数年前にイタリアから取り寄せたセイヨウイラクサの種子を鉢植えで育ててから始まったものなのさ。庭に移植したら知らぬ間に山のあちこちで増えてしまった」
「こちらではさほどでもないが、ヨーロッパのBDSMシーンではネトル、イラクサの英語名だな、ネトルボンデージと呼ばれて責めの一ジャンルになっている。バスタブにこの草を敷き詰めて両手両足拘束の素っ裸で放り込む、なんていう責め方もあるぞ」

 相変わらず私の肌に触れるか触れないかのスレスレで草を揺らしつつ、あるじさまがからかうようにイジワルく私の顔を覗き込んできます。
 あるじさまのお顔と草束の葉先を交互に見ながら、心底怯えている私。

「まずはその苦痛を、その浅ましく尖り切っているマゾ乳首に与えてやろう。おまえは人一倍敏感そうだから、どうなることやら」

 嗜虐色に染まり切ったあるじさまのお顔。
 私の恐怖も最高潮。

「そ、それだけはお許しくださいっ!他のことなら何でもしますからっ!そ、そんなことをされたら、私、どうなってしまうか…」

 目尻に涙まで浮かんでいるのが自分でわかりました。
 ふくらはぎで味あわされた第一印象がサイアクでしたから、未知の刺激に本気で怖じ気づいています。

「ふうん、これまでで一番怯えた顔をしているな。そういうおまえの顔をわたくしは、一番見たかったのさ」
「それに、どうなってしまうかわからないから面白いのだろう?わたくしの見るところ、おまえのマゾ性はまだまだ伸び代がありそうなのだし」

 ニヤッと笑われたあるじさま。
 スッと伸ばされたあるじさまの右手。
 私の右乳房をスッと何かが撫ぜ過ぎていった感触。
 その直後…

「あーーーーーーーーっ!!」

 自分でも信じられないほどの絶叫が自分の口からほとばしり出ていました。

 右乳首を撫ぜられた感触が去ったと同時にチクン、ズキンと乳房に絡みついた痛み。
 その痛みは最初の衝撃をキープしつつ、いつまでもしつこく同じ場所に居座っています。
 
 チクチクなのかシクシクなのかズキズキなのか、自分でも表現できない不快感溢れる痛み。
 それがいつまでもそこに居座ってヒクヒク乳首を疼かせてきます。

「あーーーーーーーーっ!!」

 その疼きに気を取られているあいだに、左乳首にも同様の苦痛。
 もちろんあるじさまが左乳房も撫ぜられたからでしょう。

 両方のおっぱい、それも乳首を中心とした乳暈全体が喩えようのない刺激に蹂躙されていました。
 山芋ともワサビとも、スースーする塗り薬とも熱いローソクの蝋とも違う、形容出来ない刺激。

 今すぐ患部に他の物理的刺激が欲しい…
 撫で擦るだけでも揉みしだくだけでも、なんなら掻き毟られてもかまわない…
 そんな居ても立っても居られない、どうしようもなく耐え難い、狂おしいほどの痛痒痛さ。

「あっ、あんっ、あーっ、あん、あんっ、ふぅーんっ…」

 あやつり人形状態でクネクネ身を捩らせて、文字通り身悶え踊り狂う私。
 それほど強烈な両乳房への持続的な刺激。

「ほお、いい感じに踊っているじゃないか。オナ子、今、何をして欲しい?」

「は、はいっ、どうか、私のおっぱいを触ってください、揉みしだいて引っ掻いて、この痛痒さから逃れさせてくだいっ!」

 私の心の底からの叫びでした。
 例えあるじさまでなくても、そこにおられるのならどなたにでも、全集中で懇願していたと思います。

「ふふん、でもそれは出来ない相談だな。イラクサに刺された肌を掻きむしるのはご法度だ。患部が広がり、かぶれて爛れてしまうからな」

 お腹の底からご愉快そうな、それゆえに底意地の悪さがはっきり感じ取れる、あるじさまからのお言葉。

「だからオナ子は自分の両手を拘束されていることを感謝するがいい。もし自由だったら、あっという間に自分で掻き毟って、そのスベスベな白い肌が無残に赤く爛れていたことだろう」

 お芝居口調に磨きをかけられるあるじさま。
 ジョセフィーヌさまも立ち上がられ、お口から舌をペロンと出され、ハアハア呼吸を荒げつつ私を見つめています。

「さあ、仕上げだ。最後におまえのしどけなくおっ広げている股の中心でテラテラ光っているスケベ豆に、じっくりネトルを味あわせて最終楽章へ進むとしようか」

 そのお言葉が意味する残酷さは、もはや重々わかっていました。
 それこそが私が、もっとも恐れていた状況でした。

「あ、あるじさまっ、どうか、どうかそれだけはお許しくださいっ!そんなことをされてしまったら直子は、あ、いえ、マゾ子は…オナ子は、どうなってしまうかわかりません…」

 SMプレイというのは、ある意味未体験な刺激の連続ですから、今までに何度も怖じ気ついたことはありました。
 露出プレイから始まって縄での縛り、鞭打ち、洗濯バサミ、アナル責め、拘束責め、放置責め…

 それらのプレイなら大なり小なり、事前にSMの小説やビデオ、またはネットでの解説から、その内容を知っている、少なくともどんな感じになりそうかくらいを頭で理解出来ていると思えるプレイでした。
 でも、今現在行なわれているイラクサ責めは、まったく未知のプレイ、それも今行なわれている現在進行形で、その予想を超えた未知数な威力を充分味わっていました。
 これ以上、と要求されたときに感じる、それゆえの恐怖感。

「どんどん怯えの色が濃くなってきているな、それこそがマゾ調教の醍醐味だ。存分に怯えるがいい」

 再び私に近づいてこられたあるじさま。
 その眼鏡の奥の瞳は、嗜虐色一色に染まられています。

「そんなふうに哀れっぽく許しを乞われて、よしわかったと諦めるようなわたくしに見えるのかい?」
「そう、その通り。答えはノーだ」

「あーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 間髪を入れずにスルッと撫ぜられた股間。
 一番突き出ていたクリトリスが、いの一番に洗礼を受け、すぐに大陰唇や開いて覗いていた粘膜がつづきました。

「いやーーーーーーーっ!!!」

 撫ぜられた直後にビクビクンと一度イッた気がします。
 それでもしつこくマゾマンコ全体に痛痒さをもたらしてくるイラクサさま。
 相変わらず疼痛で疼かせてくる両乳首への痛痒さとも相俟って、喩えようのないエクスタシーが大きく小さく全身を何度も貫いていきます。

「おお、いいじゃないか。踊れ踊れ、全身を悶えくねらせて思う存分踊り狂うがいい」

 あるじさまのお言葉を待つまでもなく、私の全身は未知な意地の悪い痛痒さにのたうちまくっています。
 苦痛と快感が六分四分な、それまで味わったことの無い性感。
 ただし、徐々に五分五分へと移行していき、いずれは逆転してしまうような予感も感じています。

「さてオナ子、今、何を一番して欲しい?」

 イラクサの束を私の眼前で振りながら、イジワルく私の顔を覗き込んでこられるあるじさま。

「はいっ、オナ子のおっぱいとマゾマンコを弄って欲しいですっ。滅茶苦茶に掻き回して、この痛痒さから解放して欲しいんですぅ…」

 本当にこの得体の知れない痛痒さから解放されるなら、何でもするし出来ると思いました。
 その一方で更に、この刺激に新たな刺激が加わったなら、どうなってしまうのだろう、とも…

「よもやわたくしがおまえの要求通りにしてやるとは思っていないのだろう?おまえみたいなドマゾ女の浅ましい肌など、わたくしの手で触れたくもないしな」

 お芝居口調絶好調なあるじさまの怒気を含まれたお声。
 ご丁寧にもその後もう一度、右乳首、左乳首、クリトリスへとイラクサの葉で撫ぜてくださいます。

「あーーーーーーっ、だめーーーっ、いやーーーーーーぁっ!!!」

 更なる刺激が加算され、ビクンビクンと全身を跳ねらせてイッてしまう私。
 その様子をニヤニヤ笑いで眺められているあるじさまと寺田さま、ジョセフィーヌさまもハアハアとよだれを垂らされて私を見ています。

「でもまあ、オナ子が涙を流してまで悦んでいるのだから、わたくしも慈悲をやろう。寺田?水を浴びせてやりなさい、一番キツイやつをな」

 あるじさまのご指示で寺田さまが、再びホースを私に向けて構えられました。


2021年9月5日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 08

「は、はい…オナ子はマゾですから、あるじさまからのどんなご命令でも従います…」

 この本気のビンタをくださるサディスティックな女性から、もっと虐められてみたい…
 そんな刹那的に感じたマゾ性ゆえの欲望だけで、反射的にお答えしていました。

「その言葉をわたくしは、どんなにひどい仕打ちをされてもかまわない、っていう意味に取るけれど、いいんだね?」

 あるじさまが私に向かって突き出された乗馬鞭の先のベロが、私の左おっぱい先っちょの尖った乳首を、揺らすみたいにプルプル愛撫してくださっています。

「んんむぅ…は、はい…何をされてもかまいませんっ…私を、オナ子をもっともっと、ちょ、調教してくださいっ…」

 乳首を揺らすじれったい愛撫で全身がプルプル震え、それ以上のもっと強烈な刺激を全身が強烈に求めています。

「それなら、その忠誠をまずは態度で示してもらわないとな」

 あるじさまの乗馬鞭が私の乳首を離れ、ヒュンと一回、空を切ります。
 それから鞭の先で、あるじさまのお足元を指されます。

「そこにひざまずいて、わたくしの足を舐めなさい」

 あっ、と思い、同時に声まで出そうになりましたが、すんでのところで飲み込みました。
 SMの小説やビデオとかでよく聞くような台詞ですが、現実ではなかなか耳にすることのないご命令。
 そんなある意味照れ臭い台詞を、シラッとお口に出されるあるじさま。

「はい…あるじさま…」

 ずっと憧れていたSMの小説やビデオの世界に自分が入り込んでしまっているみたいな気持ちになって、胸がドキドキ高鳴っています。
 私、今、このかたに調教されているんだ…

 数歩進んであるじさまが腰掛けられた椅子の前まで行き、その場で土下座するみたいに両膝を折って畳に乗せます。
 膝立ちで上半身を屈めると眼前に、あるじさまが突き出されているスウェットパンツを膝まで捲くりあげられた右生脚。
 いざ実際に現実で直面すると、これから自分がしようとしていることのみじめさ、浅ましさに躊躇が生まれてしまいます。

「どうした?早く舐めろ。おまえがさっきだらしなくダラダラ垂れ流した濁ったマン汁で汚されたわたくしの足だ。奴隷のおまえが舐め取るのが礼儀だろう?」
「両腕は背中だ。わたくしの足を手で持つことは許さない。手は一切使わず、顔だけ舌だけでキレイに舐め取れ」

 乗馬鞭のベロで私の背中を軽くペチペチ叩きつつ、伸ばした足の甲を私の顔に押し付けてこられるあるじさま。
 あるじさまの少し汗ばんだお御足の匂いと、私の生臭い愛液の匂い。
 思い切って舌を伸ばすと、少し苦しょっぱい舐め慣れた自分の恥ずかしい分泌液の味。

 あるじさまは私の顔面に足の裏を押し付けてきたり、爪先を私の口の中に無理やり押し込んだり。
 かと思うと私から逃げるように大きく足先をお上げになられ、私は舌だけ思い切り突き出した無様な形相で追い掛けなければいけなかったり。

 結局最後、あるじさまは畳の上にお御足を下ろされ、私はその甲を舐めるために文字通り這いつくばった後ろ手土下座の格好で舌を這わせます。
 そんな私の後頭部を容赦なく踏みつけてくるあるじさまの左足裏、右足の甲に押し付けられて無様にひしゃげる私の顔面。

 頭が踏みつけられ肩が低くなった反動で、どうしても腰は宙に突き出すように浮いてしまいます。
 わたしの真後ろには寺田さまが立たれています。
 寺田さまの位置からは、私のヒクヒク疼く肛門もダラダラ蜜を滴らせる膣口も、すべてが赤裸々に見えていることでしょう。

 全裸で畳に這いつくばり、今日出会ったばかりで自分の母親よりもおそらくお年上の素性も知らない女性の素足を舐めなければいけない、という状況。
 どうしてこんなことをさせられているのだろう、というみじめさと情けなさ、人としての品格とか尊厳とかのすべてを否定されたような、つまり屈辱感…

 お姉さまと愛し合うときも、腕や脚、おからだを舐めさせていただくことはありますが、そのときの気持ちの昂ぶりとは間逆な隷属感、無力感、服従感、被支配感…
 理不尽で侮辱的な扱いに憤りを感じていると同時に、このご無体過ぎる恥辱を嬉々として受け入れている自分がいるのも事実でした。

「おまえは舐めるのが下手だねぇ」

 呆れたようなお声が聞こえ、あるじさまがお御足の裏で私の顔面を避けるように遠ざけ、立ち上がられます。

「それはオナ子が完全に奴隷の心持ちになっていないからだな。奴隷はもはや人間ではない、家畜だ。耳障り良く言えばペットとも言うがな」
「家畜はあるじの役に立ち、悦ばせるためだけに存在すべき生き物。それがつまり奴隷だ」

 あるじさまが寺田さまに何か軽く目配せをされ、寺田さまがススっと優雅に襖の向こうへと消えていきました。

「オナ子に家畜の作法を教えてやろう、そのまま四つん這いでわたくしの後を着いて来なさい」

 リードがグイッと引っ張られ、あるじさまがゆっくりと歩き始められます。
 あるじさまとの距離が広がり、リードがピンと張り詰めて私は首輪ごと引っ張られます。

 土下座状態だった私は引っ張られたことで前につんのめり、自然と両手を畳に着けます。
 自然と腰も持ち上がり引っ張られるままの四足歩行。

 広いお座敷内に円を描くように、あるじさまのリードに引き摺られながら四つん這いで歩かされる私の姿は、お散歩中のワンちゃんそのもの。
 垂れ下がったおっぱい、剥き出しのお尻、何もかもさらけ出した全裸の四つん這い。
 手のひらと膝が畳の上を一歩進むたびに、みじめさが全身を駆け巡ります。

 最初に拘束されていた壁際板の間のソファーの前まで来て、あるじさまが立ち止まられます。
 あるじさまのお足元で四つん這いのままあるじさまを見上げる私。
 そこで寺田さまがあるじさまに、何かを乗せた小さめなステンレスのトレイを手渡されました。

「ほおら、これはおまえの好物だろう?」

 本当にワンちゃんに話しかけるみたいに、私の前にしゃがまれてトレイの中身をお見せくださるあるじさま。
 トレイの上には木製の洗濯バサミが数個と、見覚えのある20センチくらいの長さの凸凹した円柱状の張り型、肥後ずいきが乗っていました。

 今から約一ヶ月半くらい前の7月半ば過ぎ、やよい先生のお店で生まれて初めて味わわされた肥後ずいき…
 植物製ゆえに膣の中で自分の愛液と混じり合いヌルヌル溶け合うような恍惚の感覚…
 抜かれた後もジンジンむず痒く疼いてしまい、もっともっとと求めてしまうはしたない中毒性…

 その後にされた山芋責めの記憶とも相俟って、肥後ずいきの姿を認めた途端、その官能の反芻に背筋がゾクゾクっと震えてしまいました。

「おや、目の色が変わったね。どうやらこいつの味をすでに知っているようだ」

 相変わらずお芝居っ気たっぷりなあるじさまが肥後ずいきをお手に取られます。

「ほら、取ってこい」

 ポーンと肥後ずいきを放り投げられたあるじさま。
 肥後ずいきは広いお座敷の真ん中辺で着地した後コロコロ転がって、先ほどあるじさまが座られていた折り畳み椅子にぶつかって止まりました。

「手は使えないぞ、おまえは家畜なのだからな。口で咥えてわたくしのところまで持ってきなさい。よし、フェッチ!」

 リードを手放されたあるじさまが私のお尻を軽くパチンと叩きました。

「あんっ!」

 両手のひらと両膝を畳の上で交互に動かし、肥後ずいきの落ちている所まで四つ足歩き。
 私の首輪から垂れ下がった引き綱が畳の上をズルズル引き摺られています。
 畳に額を擦り付けるようにグッと顔を近づけて、肥後ずいきを口で拾い上げます。

 落とさないように軽く歯で噛むように咥えると、唾液に混じる青臭い植物の香りにほんの少し感じる甘味。
 そう、まさしくこんな味だった…
 
 やよい先生のお店でのめくるめく陵辱の夜を鮮やかに思い出しつつ、あるじさまのもとへと戻ります。
 あるじさまと寺田さま、おふたりとも同じような薄い笑みを浮かべられ、私を見下ろしています。

「ようし、初めてにしては上出来だ。シットハイ」

 肥後ずいきを咥えたまま四つん這いでおふたりを見上げている私に、あるじさまのお優しいお言葉。
 でも、最後に投げかけられたお言葉の意味がわからず???状態の私。

「おや、わからないのかい?シットハイっていうのは犬の躾用語さ。日本語で言うとチンチンだな」

 イジワルく口角を上げられるあるじさま。
 チンチンっていうのは確か、ワンちゃんが前肢を両方上げて上体を起こした姿勢のことだよね…
 
 つまり上体を起こしてよい、という許可をいただいたと判断し、その場に膝立ちになりました。
 ただチンチンのイメージに引き摺られたのか両手をなぜだかグーの形に握って、ぶりっ子の人がよくやっているネコさんがニャンとしているような両手招き猫のポーズになっていました。

「ようし、ドロップ」

 あるじさまが手を差し出されてこられたので、これは、肥後ずいきを渡せ、という意味だろうと判断し咥える力を緩めます。
 あるじさまが肥後ずいきの端を持たれ、私の口から取り去ってくださいました。

「メス犬オナ子はなかなかいい感じじゃないか。うまく出来たご褒美を上げなきゃな」

 ニヤッと笑われたあるじさま。
 チンチンポーズな私の右おっぱい、変わらずツンと勃ちっ放しな右乳首に木製洗濯バサミをパチンと噛ませてくださいます。

「はうんっ!」

 噛む力はさほど強くない木製洗濯バサミなのですが、久々の、待ち焦がれていたと言っても良い敏感部位への物理的な性的刺激に、自分でも驚くほどビクンと反応してしまいました。

「オナ子、おまえ調教中だというのに発情しているな?おまえが咥えてきたずいきもよだれでベトベトだし、早くこいつをそのヌルヌルマンコに押し込んで欲しくて仕方がないのだろう?」

 右乳首の洗濯バサミを乗馬鞭のベロでプルプルもてあそびならの、あるじさまからのご質問。

「あの、いえ…そんな、あ、でも、あ、あるじさまが悦ばれるのなら、洗濯バサミでも、その肥後ずいきでも、オナ子は喜んで受け入れる覚悟は出来ています…」

 新しい性的刺激が欲しい一心で、あるじさまを媚びるように見つめつつの地味なおねだり。

「ふうん、そうかい。ほら、もう一回だ」

 一瞬蔑むように眼鏡の奥の瞳を細められたあるじさまが、ポンと無造作に肥後ずいきを放られました。
 今度の落下場所はずいぶん近く、四つん這いでも五、六歩で到達出来そう。

「ほら、取ってこい」

 あるじさまのご命令が終わるか終わらないうちに四つん這いに戻り、大急ぎで咥え、大急ぎで戻る私。
 あるじさまのお足元でご命令も無いうちにチンチンポーズで見上げます。

「ずいぶん躾の飲み込みが早いメス犬だね。ずいきは咥えたままでいいよ。今、調教の方針が変わったから」

 ニヤッと笑われたあるじさまが、チンチンポーズの私の左乳首にもご褒美をくださいました。
 
「んぐぅっ!」

 肥後ずいきを咥えたままなので、喉奥から絞り出される私の淫声。
 そんな私を冷ややかに見下ろしてこられるあるじさま。

「わたくしはね、天邪鬼なんだ。やめてください、許してくださいって涙ながらに懇願してくるような女なら、わたくしは有無を言わせずそのずいきをマンコにぶち込んでヒィヒィ泣き喚くまで責め立てるだろう」

 おっしゃりながらまた寺田さまに目配せされ、寺田さまが襖の向こう側へ。
 あるじさまは右手に持たれた乗馬鞭の柄で左の手のひらを軽く叩きながら、私を見下ろしたままつづけられます。

「だけどオナ子みたいなド助平女は、そうされるのはご褒美みたいなもんだ。今だってマンコ弄って欲しくて、イキたくって仕方無いのだろう?」
「おまえみたいな好きものマゾ女は、焦らして焦らして、アクメ寸前で放ったらかすのが一番苦痛なんだよな。だから、その線に路線変更だ」

 襖の陰からお戻りになられた寺田さまは、片手に大きめな白いトートバッグ、もう一方の手には白いパラソル、そして垂れ目型のミラーサングラスをかけられていました。
 お召しになっている白いレオタードと合わせて、本当のレースクイーンさんみたい。

「これからおまえの大好きな屋外に出て、大空の下でおまえをいたぶってやろう。イケるかイケないかはおまえの努力次第だが、せいぜい悶え苦しむがいい。立てっ!」

 リードをグイッと引っ張られ、チンチンポーズから人間ポーズへ。
 
「両手は後ろだ。ずいきを落とすなよ」

 私が両手を後ろに回すと同時に寺田さまに両手のベルトを短い鎖で繋がれ、後ろ手錠状態。
 あるじさまを先頭に、そこからお庭へ出られるのであろうガラス戸のところまで進みました。

 寺田さまがガラガラっとガラス戸を開け放されると、そこは昼下がりの陽射しが燦々と降り注ぐ芝生の瀟洒な庭園。
 出てすぐは板張りのウッドデッキになっていて、屋根の下に差し向かいでお茶を楽しめそうなテーブルと椅子。

 その向こうに青々とした芝生が広がり、中央付近に木陰を作る立派な高い木が並んで三本。
 その脇には家庭用のビニールプール、その向こうに大きめな犬小屋が見えます。
 ところどころにガーデン用のミストシャワーのスタンドが立っていて、涼し気な霧を撒き散らしています。
 
 洗濯物干し用らしきスタンドも数本立っていて、表玄関の前の庭園に比べるとグッと庶民的、とは言っても、裕福な豪邸の広々とした優雅なお庭、を庶民的と呼んでもいいとしたらですが。
 表玄関からは、木々が遮る形でこちらのお庭まではよく見えない形になっていました。

「オナ子は靴下を履いているから、サンダルは履かなくていい」

 中村さまがおっしゃっていた私用のピンク色のクロックスがウッドデッキに用意されていたのですが、あるじさまから使用を禁じられました。
 ウッドデッキの日陰を出て抜けるような青空の下へ、首輪と両手足のレザーベルトに白いハイソックス、そして両乳首の洗濯バサミ以外素っ裸の姿で降り立ちます。
 
 すかさず白いパラソルを広げ、あるじさまの脇をエスコートされるように歩かれる寺田さま。
 そのお姿はまさにレースクイーンそのもの。
 一歩下がってリードに引かれる形で私も、ソックスで芝生を踏みしめて中央の大きな木のほうへと導かれます。

 陽射しはいくらか陰ったもののまだ充分暑く、高地のせいで湿度が低くカラッとしていて全裸がちょうどいいくらい。
 時折そよぐ風が素肌に気持いい。

 ワンッ!
 元気のいいひと吠えと共に、表玄関のほうの木陰から先ほどのワンちゃんが飛び出してきました。

 相変わらず尻尾をブンブン振りながら、まずはあるじさまの足元にまとわりつくワンちゃん。
 次に寺田さまに数回飛びつかれ、その後私のもとへも。

 私の足元にまとわりつき、私が垂らした愛液がたっぷり滲み込んだハイソックスをクンクン嗅いでから、じゃれるように背後から飛びついてきて私の裸のお尻をペロペロ舐め始めます。
 
 んんっ!
 予期せぬ愛撫で咥えている肥後ずいきをあやうく落としそうに。

「おや?ジョセフィーヌはもうオナ子と対面済みかい?」

 あるじさまの少し驚かれたようなお声。

「そうですね。お昼過ぎに車が着いたときに玄関近くにたまたまいたみたいで、エミリーたちにじゃれついていましたね」

 肥後ずいきを咥えたままでお答えできない私の代わりに、寺田さまがご説明してくださいました。

「そうだったのかい。ジョセフィーヌは鼻が利くからな。発情したマゾ女の臭いは大好きで、とくに敏感だ」

 あるじさまが、ジョセフィーヌ、とお口に出された途端に私のもとを離れ、あるじさまに擦り寄られるワンちゃん。
 頭を撫ぜられお口をハアハア、尻尾をパタパタ揺らしているお姿が可愛らしい。

「それにジョセフィーヌは賢いから、今日の遊び相手が誰かも、もうわかっているようだ」

 あるじさまにワシワシ撫ぜられ、降参のお腹見せ状態になられているワンちゃん。
 そのあいだに私のリードは寺田さまに手渡され、私は中央の大木の根元まで連れて行かれます。
 あるじさまとワンちゃんは、すぐ左隣の大木の木陰に腰を下ろされています。

「オナ子はジョセフィーヌの振る舞いを見て、ペットのあるべき姿を学ぶことだ。ジョセフィーヌもおまえを気に入ったようだし、メス犬二匹で存分にじゃれあうがいい」

 あるじさまのお言葉のあいだに私の後ろ手錠はいったん解かれ、でも素早く今度は前手錠状態に。
 手錠の鎖に麻縄が繋がれ、投げ縄の要領でヒュンヒュンと頭上の太い幹に引っ掛けられた寺田さま。

 ああ、またこの格好だ…と来る途中の広場でのお姉さまによる磔放置を思い出したのも束の間、準備良く木に立てかけてあった脚立を広げてお登りになる寺田さま。
 手際よく私の手錠に繋がれた縄の端を、高い位置の幹に結び付けられています。

 縄に引っ張られた私の両手は、両肘が曲がってちょうど私の頭上くらい。
 さっきみたいな爪先立ち磔ではないんだ…とホッとしていると、寺田さまが脚立から下りてこられました。

 私の口から肥後ずいきを取り去ってくださる寺田さま。
 口内に溜まっていた唾液をゴクンと飲み干す私。
 
「そう言えばオナ子はまだジョセフィーヌにきちんと挨拶していなかったな。口枷も取れたことだしちゃんと挨拶しろ。ジョセフィーヌ、いや、ジョセフィーヌさま、だな。オナ子と遊んでください、ってな」

 あるじさまの横にちょこんとお座りになってあるじさまと私を交互に見遣るワンちゃん、いえジョセフィーヌさま。
 そのあいだに私の右足は、寺田さまの手によって足首ベルトに繋がる縄で木の根元に固定されていました。

「は、はい…ジョ、ジョセフィーヌさま…どうぞオナ子と、オナ子で遊んでくださいませ…」

 とうとうワンちゃんにまで、もて遊ばれるようになってしまったんだ…と思うと、自虐を欲するマゾ性がキュンキュン疼いてしまいます。
 ジョセフィーヌさまは、私がそのお名前をお呼びした瞬間、ピクンとお耳をそばたてられ、私の顔を見つめつつムクッと立ち上がられました。

「ジョセフィーヌ、ステイ。まだだ、もう少し我慢しなさい。この裸の女をもっとマゾメス犬らしくサカらせてから、じっくり遊ばせてあげるから」

 あるじさまからお背中をなだめるようにワシワシ撫ぜられ、再びあるじさまの傍らにちょこんと腰を下ろされるジョセフィーヌさま。
 そのあいだに私の左足首のベルトにも、寺田さまによって麻縄が繋がれていました。


2021年8月28日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 07

「ぬぐぅっ!」

 首輪の少し下の喉首に再び、気道を軽く締め付けられる感覚が。

「いいかい?これからお前の手足の戒めを解いてやるけれど、間違っても暴れたり逃げ出そうなんて考えるんじゃないよ?」

 お声と一緒に首をジワリと一段強く締め付けられる感覚。
 私は黙って頭を上下にコクコク振り、服従を示します。

「目隠しを取ろうとするのもダメだ。わたくしの許可が出るまではな。もしも許可なく取ろうとしたら…」

「んぐぅっ!」

 いったん緩んでいた首への締め付けが再び強くなりました。

「素っ裸のお前の手足を縛って、生きたまま山奥に捨ててやるからね?」
「からだにワインをたっぷりふりかけておくと、蛾やらムカデやら蜘蛛やら、虫たちがごっそり群がってくれるらしいから、さぞや賑やかに最期を迎えられることだろうよ」

 人の不幸を嘲笑うような残酷かつ無慈悲に溢れたおっしゃりようは、この人ならやりかねないな、と思わせるのに充分な嗜虐性が感じられました。

「わかったのかい?」

 バチン!
 お答えしようと口を開きかけたときに首への締め付けが緩み、その代わり左頬にビンタ。

「あうっ!」

「わかったら返事は?」

「は、はいっ…お言いつけの通りにしますっ…私は、オナ子は決して、あの、あの…せん、先生さまのお言いつけを破ったりはいたしませんっ…」

 バチン!
 今度は右頬にビンタ。

「おまえごときに気安く先生呼ばわりされたくないね。オナ子はわたくしが名付けたわたくしの奴隷、所有物なのだから」

 別に気安くお呼びしたわけではなく、何とお呼びすればいいのかわからず、みなさまがされている呼び名を真似しただけの苦肉の策だったのですが…
 第一私は、この女性のお名前はおろかお顔もお姿も、一切の素性もわからないまま虐められているのです。

「主従関係には相応のけじめが必要。わたくしのことは主さま、あるじさま、と呼びなさい」

 乗馬鞭のベロで私の顎を撫でながらのご命令。

「は、はい…わかりました、あ、あるじさま…」

 完全に絶対服従マゾ性全開状態に陥っている私。

「ようし。では戒めを解いてやろう」

 まず背もたれ側の両手が自由となり、つづいて両足が動かせるようになりました。
 でも繋がれていた鎖が外されただけで、手足に巻き付いているレザーっぽいベルトはそのままみたい。

「立ちなさい」

 お言葉と一緒に首輪がグイッと前に引っ張られます。
 いつの間にか私の首輪にリード、引き綱が繋げられたみたい。

 リードに引かれてよたよたと二歩三歩前につんのめりつつソファーから立ち上がります。
 同時にからだのあちこちに中途半端にへばり付いていたブラウスやスカート、下着の布片がどなたかの手で取り去られます。

 って、おひとり増えている?
 首輪に繋がっているリードは変わらずどなたかが握っていらっしゃるようなのに、私のからだから衣服を取り去っていくどなたかの手…
 気づいてみると私の周辺に、嗅ぎ慣れたローズの香りとはまた違うフローラルな香りが漂っているような気もします。

「そのままもっと前に出てきなさい。両手は頭の後ろだよ」

 あるじさまのお声が前方から聞こえ、再び首輪がグイッと前へと引っ張られました。
 ご指示通りマゾの服従ポーズになったものの目隠し状態なので、足を踏み出そうにも恐る恐るのへっぴり腰状態。

 足の裏で畳を擦るようなロボット歩行でリードに引かれるまま数メートル歩きました。
 後ろでどなたかがクスッと笑われたようなお声が聞こえた気がします。

「そこでいいわ」

 あるじさまのお声が正面から聞こえ、私も前進を止めます。
 あらためて両足を休めの形に開き、マゾの服従ポーズ。

「ふふん、いい眺めだね。わたくしの座敷に目隠しされた若い全裸の女の為す術もない降参ポーズ。不安だろう?これから何をやらされるのか、ここから生きて帰れるのか?心細くて胸が張り裂けそうだろう?」

 多分にお芝居がかった声音ですが、確かに私はそんな心持ちになっていました。
 なのにお構いなくヌルヌル潤んでしまう私のどうしようもないマゾマンコ。

「でもまあ目隠ししたまま庭まで歩かせるのはやはり無理なようだな。フラフラユラユラ危なっかしくてしょうがない」
「わたくしも無駄に怪我をさせて悦ぶような無粋な鬼ではないから、目隠しを外すことを許してやろう。取っていいぞ」

 あるじさまのお慈悲深いお言葉に、おずおずと後頭部の手を動かそうとしたとき、ワンテンポ早くシュルシュルっと目隠しが外れ、視界に眩しい光が飛び込んできました。

「あっ!?」

 唐突に溢れる光の眩しさで最初は使い物にならない視覚。
 ただ目を細めつつだんだん慣れて来るとぼんやり眼前に見えてくるお姿。
 その、自分の予想をたやすく超えた裏切られっぷりに思わず、えっ!?と出かかった声を慌てて飲み込みます。

 私の首輪から伸びている引き綱を握られ立たれているのは、小柄でやや痩せ気味なご中年以上のご年齢に見えるおばさま。
 ただし、服装こそグレイのスウェット上下ですが、お綺麗に整えられた清潔感のある短髪と人のよさそうなうりざね顔にご聡明さを感じさせる縁無し眼鏡、と全体的に品のある感じ。
 
 デパートの婦人服売り場の和服コーナーで同年代のセレブなお客様に高額なお着物のご接客をされていそうな、ご愛嬌と知的な感じが共存しているたおやかな雰囲気のご婦人でした。

 私は、そのお声のトーンやお言葉遣いから、たとえば女子高の生活指導主任教師として睨みを効かせていそうなぽっちゃり気味ひっつめ髪の、意識高い系お局様的な女性を想像していましたから、大外れ。

 あるじさまが左手に持たれているのは、やっぱり乗馬鞭。
 お姉さまのと同じブランド物の色違い、柄とベロの部分が緑色のものでした。

 そしてもうひとつ私をびっくりさせたのが、私の傍らに寺田さまがおられたこと。
 それもレースクイーンさんが着るような、超ハイレグお背中がら空きな真っ白でテラテラ輝く素材のレオタードをお召しになられて。

 寺田さまはわざとなのでしょうが、初対面のときのフレンドリーな雰囲気はすっかり消え、端正なお顔に薄い笑みをよそよそしく浮かべられて私を見ています。
 均整の取れたボン・キュッ・ボン、スラッと伸びる右脚だけクロス気味に前へと出したレースクイーンさんがよくやられている立ちポーズも決まっていて、しばし見惚れてしまいます。

「ふうん、可愛らしい顔しているじゃない?虐めたくなる顔とも言えるけれど」

 クイッとリードを引かれてあるじさまのほうを向きます。
 確かにあのお声が、そのお顔から出ています。
 人のよさそうなお顔に薄笑みを浮かべられて。
 
 このおばさまがさっきから、私をビタンビタンビンタされ首をギュウギュウ締めていたなんて信じられません。
 目隠しをされていたときの脳内イメージと現実のギャップを埋めるのに、もう少し時間がかかりそう。

 私たちが向き合っているのはお座敷のほぼ中央。
 あるじさまは縁側へと出る側のガラス戸を背に立たれ、その一メートルくらい離れた真向かいに服従ポーズな私。
 あるじさまより私のほうが背が数センチ高いみたい。
 寺田さまはふたりのほぼ真ん中右側、お相撲の立会いで言うと行司さんの位置にスクっとモデルポーズで立たれています。

 と思ったら寺田さまが優雅に壁際まで歩かれ、立て掛けてあった折りたたみ椅子を持たれ、再びあるじさまの傍らへ。
 その椅子にちょこんと座られたあるじさま。
 あるじさまの右手には私の首輪へと繋がるリードがしっかり握られています。

「でも顔に比べてからだのほうは、ずいぶんな開発のされっぷりじゃないか。その年ごろにしては熟し過ぎ、つまり、ふしだらだ」

 腰掛けられたあるじさまが私の裸身を低い位置から、まじまじと見つめ、決めつけてこられました。

「たっぷり重そうな下乳がいやらしくて掴みやすそうな乳房、鴇色の幅広い乳輪、物欲しげにツンと飛び出ている小指大の乳首…」
「くびれているくせに薄っすら脂肪の乗ったウエスト、まっすぐなお腹のおかげで余計に目立つ、ぷっくりと膨らんで卑猥に誘う無毛な恥丘…」

 服従ポーズな私の裸体を文字通り舐めるように両目を細められて見つめつつ、そのご感想を一々お言葉にされて私に告げてくださるあるじさま。
 傍らで寺田さまが見守られていることもあり、同性であるがゆえの恥ずかしさ、こそばゆさはまさに筆舌に尽くし難いほどです。

「女性器は前付き気味だな。陰毛が皆無なおかけで陰裂はおろか、萼を脱ぎ去った陰核まで飛び出しているのが見えている。陰核は標準より大きめ、つまり助平ってことだ。もちろんツヤツヤ濡れそぼっているのも…」
「腕と脚、あと腹にも、それなりに筋肉が付いているようだが、何か運動をやっているのか?」

「は、はい。趣味でクラシックバレエを少々…」

「ふん、バレエか。それならからだも柔らかいだろうし、少々窮屈な体位での責めも大丈夫そうだな…」

 あるじさまがご満足そうに小さく笑われ、握られていた引き綱の持ち手をスッと離されました。
 引き綱は麻縄にも似た、何かの繊維を編み込んだ縄状ロープで、お色も使い込んだ麻縄ライク。
 
 輪っか状となった持ち手の部分が空中を走り、ロープの途中が私のお腹に当たって首から両脚のあいだにぶら下がります。
 私の両膝下20センチくらいの空間にユラユラ揺れている持ち手。

「後ろも見せてみろ」

 あるじさまのご命令で素直に背中を向ける私。

「ははっ、さっき寺田が笑っていたのは、これを見たからだな。とんだど変態のご令嬢がいたもんだっ!」

 背中に浴びせられるあるじさまからの嘲笑。
 お尻上の恥ずかし過ぎる日焼け跡のことをすっかり失念していた私は、今更ながらの大赤面。

「こんな身も蓋もない自己紹介文をからだに落書きされて生活しているマゾ女なら、ケツの穴も充分開発済みなんだろうな?」

「は、はい…一応は…」

「よし、前屈みになってわたくしにケツを突き出してみろ」

「は、はい…」

 後頭部に両手を置いたまま前屈姿勢になると、お尻は自然にあるじさまへと差し出す形になります。
 リードの持ち手は畳の上にパサッと落ちました。
 すかさずツルッとお尻を撫ぜる感触、たぶん乗馬鞭のベロ。

「ひゃんっ!」

「ひゃん、じゃない。そのままの形でもう少し私に近づきなさい。後退二歩ぐらい」

 ベロでお尻をスリスリさすりながらのご命令。
 その鞭がいつヒュンと唸るかと、ビクビクしつつ摺足で後退します。

「そんなもんでいいだろう」

 ストップがかかったときに私のお尻は、座られているあるじさまの眼前50センチ無いくらい?
 剥き出しのお尻に至近距離から熱いまなざしが注がれているのがわかります。
 ただ、ここまで近づいてしまえば乗馬鞭も振るえないでしょうから、私は少しひと安心。

「よし、今度は自分の手で肛門を拡げて見せろ」

「えっ?」

「えっ、じゃない。両手をケツに回して左右それぞれの尻肉を引っ張ってケツの穴を押し広げろと言っている」

「ひっ!」

 右尻たぶをバチンとビンタされ、おずおずと両手をお尻に回します。
 お尻の割れスジに両手を掛け、左右それぞれ力を入れて引っ張ると、肛門粘膜に空気が当たるのがわかります。
 そんな行為を明るいお部屋で数十センチの至近距離から見られていると思うと、もう恥ずかしさの大洪水。

「ふうん、変態のわりには奇麗な襞並びじゃないか。ちゃんと菊の形をしているし爛れてもいない」
「粘膜に弾力はありそうだな。結構太いのまで飲み込みそうだ」

 ご冷静な分析を聞かされるほど、羞恥という名のヘモグロビンが体内を駆け巡ります。
 こんな状態、いっそのことズブリと指でも挿していただいてウネウネ掻き回していただき、アンアン喘いでいたほうがどれだけ楽か…

「よし、ついでに今度は両手を少し下へずらして、膣口を拡げて見せろ」

「えっ!?」

「だから、えっ、じゃない。おまえのパイパンマンコの襞の奥まで覗いてやるから、自分の両手で陰唇を広げろと言っている」

「あ、あの、でも……、、、ひぃぃっ!」

 バッチーンという甲高い打擲音と共に左尻たぶに強烈な一撃。
 弾みで私の両手も自分のお尻から外れてしまうほど。

「オナ子は本当に頭が悪いね、三歩歩いたら忘れる鳥頭なのかい?さっき言っただろ?奴隷に、でも、だの、だって、だのは無いって」
「それともあれか?ドマゾだからわたくしのビンタが欲しくて、わざとわたくしに逆らっているのかい?」

 激昂気味なあるじさまのお声。
 でも私は前屈姿勢で自分の両脚のあいだからあるじさまを覗き込む格好なので、残念ながらあるじさまのお顔まではアングル的に見えません。

「ち、違うんです、私の、マゾ子のマゾマンコならいくらでもお見せするのですが、マゾ子のマゾマンコの中は今、はしたないおツユでいっぱいなんです…それを押し開いてしまったりしたら、せっかくの奇麗な畳を汚してしまいます…そうお伝えしたかったのです…」

 一生懸命、本心で弁解しました。
 全マゾ性を込めてしまったおかげで自分の呼び名まで間違えてしまいましたが…

「ふふん、そうかい。つまりおまえは、自分のマンコにマン汁が溢れ出ているから、マンコを抉じ開けて滴らせてこの座敷を汚したくない、そう考えたわけだ?」

「は、はい…」

「ふん、その心遣いはいい心がけだ。が、わたくしが名付けた自分の呼び名を間違えたのは重罪だな?自分でドマゾだと自覚しているからこその言い間違いなのだろうが」

「はい、ごめんなさい、申し訳ありません。私はオナニー大好きでドマゾで淫乱レズベンキな露出狂で、あるじさまの所有物セイドレイ、オ、オナ子です…」
 
 もはや私は、あるじさまから滅茶苦茶に辱めて欲しくて堪らなくなっています。

「ふん、ずいぶん躾の行き届いたマゾ女ぷりだな?まあいいわ。説明してやると、この座敷の畳は毎年十何人ていうオナ子みたいなしょーもないマゾ女のマン汁を吸い込んでいるんだよ。でもまあ、毎年4月には全部畳替えしちゃうんだけれど」
「今年はオナ子で8人目だったかな。だから畳が汚れることに気を回す必要なんてさらさらなかったんだね、余計なお世話って言うか」

 お芝居っぽかったあるじさまのご口調が、そこからガラッと愉しげに弾みました。

「ま、それはそれとして、わたくしがわざわざ付けてやった呼び名を勝手に間違えたことと、でも、と逆らった重罪の償いはしてもらわなくちゃねぇ。歯を食いしばりなさいっ!」

 あるじさまがガタンと立ち上がられる気配がして、私はギュッと目をつぶります。
 ほどなくヒュン、ヒュンという空を切り裂く甲高い音が二回して、右尻たぶ、つづけざまに左尻たぶに、焼きごてを押し当てられたような熱すぎる痛みが…

「あうぅぅっ!!」

 まさしくこれは乗馬鞭のベロ部分のクリーンヒット。
 この後数日間、ベロ部分の矢羽状の打痕は赤く残ったまま、ヒリヒリする痛みも数日消えないことでしょう。

 あ、もちろん今まで私は焼きごてを肌に押し当てられたことなんてありませんから、おそらくそんなふうな痛みなのだろう、という想像です。
 乗馬鞭のクリーンヒットは何度か経験しているので、こちらは体験談です。

「そういうことだから、さっさと自分でマンコをおっぴろげなさい」

 椅子にご着席し直されたのでしょう、お声の出処が低くなられたあるじさまのお言葉が聞こえてきます。

「は、はい…」

 ジンジン疼く、肛門位置の横延長線上左右尻たぶに記されたふたつの打擲痛に身悶えしつつ、再び両手をお尻のスジ沿いにあてがいます。
 さっきより低め、蟻の戸渡りを通り越し、無毛の大陰唇のふくらみにあてがった両手を左右にグイッと押し開きました。

 トロトロトロッ…
 いきなり開かれた扉に活路を見い出した粘液たちが、我先にと溢れ出ていくのが自分でわかりました。
 
 先ほどの強烈な乗馬鞭二連発で私は小さくイッていました。
 なので私のマゾマンコ内発情分泌液は、どんな小さな隙間からでも滲み出たいギリギリ飽和状態。

 そんな恥ずかし過ぎるスケベなおツユに大放流の僥倖が訪れ、あるものは内腿から脛やふくらはぎを伝い、あるものはラビア襞に溜まって膨れた雫が重力に引かれるままに、トロトロポタポタ滴っています。
 両脚を滑る粘液は、私が白いハイソックスを左右まだ履いたままでしたから、その布地に滲み込んでくださっているようで、畳を汚す心配はありません。

 問題は開いた両脚の境目からポタポタ垂直に落ちる雫たち。
 これは確実に畳を汚してしまう…
 と自分の股のあいだから覗き込んでいると…

 ちょうど雫が滴り落ちる地点に、スウェットパンツを脛までまくられたあるじさまの裸足な右足の甲が差し出されていました。
 もちろん引っ切り無しに滴り落ちているので、あるじさまのお御足の甲をも滑り落ち、お御足左右の畳に滲み込んでもいるのですが、あるじさまのお御足の甲も満遍なく濡れそぼっています。
 何より恥ずかしいのは、あるじさまのお御足の甲を濡らす水溜りがほんのり白濁していることでした。

「いいでしょう、オナ子のマゾマンコの性質も概ね把握しました。上体を起こしてこちらを向きなさい」

 あるじさまからの厳かなお声に導かれ、精一杯押し広げていた自分の熱く濡れそぼった大陰唇から両手を離す私。
 あるじさまへと向き合うときにはもちろん両手は後頭部、その両手の指先はおツユの熱で少しふやけています。

「オナ子のマゾマンコって外見はラビアも飛び出してなくてツルンとしてるだけだけれど、膣内はずいぶんビラビラ派手なのねぇ?」

 からかわれるようにおっしゃるあるじさまの薄い笑顔は、舞踏会でお召し物をお互いに褒め合う品の良い貴婦人さまがたみたい。

「あ、ありがとうございます…」

 なぜだか感謝してしまう私。

「どうやらオナ子は筋金入りのドマゾのようだから、こうしてわたくしから虐められるのも嬉しくて仕方がないんだろうねぇ?」

 お芝居口調でそうお尋ねになるあるじさまの私の顔を覗き込む笑顔は、これまでで一番イジワルいご表情に見えました。


2021年8月21日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 06

  ボールギャグを噛ませられると口がずっと半開きとなってしまい、どうしても口腔内に唾液が溜まってきてしまいます。
 半開きの口ではうまく飲み込むことも出来ず、溢れ出た唾液はよだれとなって口外へ。

 お部屋にひとり取り残されてから体感で5分以上は経っていましたから、すでによだれは幾筋も私の顎を滑り落ちています。
 せっかく可愛いブラウスなのに、よだれなんて垂らして汚したくないな…
 そんなことを考えていたとき、ガタッと微かな物音が聞こえました。

 スーッと何かが滑る音は、引き戸が開いた音。
 パタッという音は引き戸を閉じた音。
 スッ、スッと畳を擦る音はどなたかがこちらへ近づいてこられる足音。
 視界を閉ざされているせいで、聴覚がとても敏感になっています。

 やがて漂ってきた甘いローズ系の香水の香り。
 嗅覚だけではなく空気の揺れ?ほのかな体温?みたいな体感で、私のそばにどなたかが居られるのがわかります。

 ほんの微かな衣擦れの音は、しゃがまれたのでしょうか、座られたのでしょうか。
 お姉さまのトランクケースが置いてあるはずのところ辺りから、ピラっと紙をめくるような音も聞こえます。

 音を頼りに見えないお相手のほうへと顔を向け、より多くの情報を得ようと耳をそばだてます。
 そんなことをしても私が手足を拘束されている以上、事態は改善しないでしょうことはわかっているのですが。

 再び衣擦れの音。
 直感的に、立ち上がられた、と感じました。

「ふうん。写真で見るより初々しい感じの子だね」

 女性のお声でした。
 それもアルトで落ち着いた感じの大人のお声。

 お声のトーンと言うかニュアンスに、他人、部下とか使用人とかを使い慣れているような感じがあって、そこがお姉さまの会社の早乙女部長さまに似ているような気もしました。
 部長さまよりももっと威厳と言うか貫禄のある感じ、なんて言うと部長さまに怒られてしまいそうですが。

 そんなことを考えていたらローズの香りがグッと近づいてきました。
 お声の主が私のからだに近づかれたのでしょう。

「おまえ、なんでここにいるんだい?」

 からかうような蔑むような、生理的に癇に障る声音。
 それより何よりいきなりの、おまえ、呼びにムッと眉根が曇ります。
 そんなこと、私のほうが知りたいですっ!

「むぐぅん、んぬぅぅぐぅ…」

 ボールギャグのおかげで言葉にならない反発を唸りに変えて投げ返します。

「ふふん、だいぶご立腹のようだね。おまえがなんでここにいるか教えて上げる。おまえは売られたのさ」

 女性のお声が多分にお芝居がかってきました。
 その分お声にグッと渋みが増し、おそらくご中年以上のお年を召しているかたのように思えます。

「あの渡辺って女社長がおまえに飽きて、わたくしに押し付けてきたのさ、好きにしていいって」
「女社長はさっさと東京に帰ってしまったよ。だからもうおまえはここで生活するしか生きる道は無いんだ」
「それでおまえは今日から性奴隷としての調教を受けることになる。おまえの両親が身代金を払ってこなければね」

 女性のおっしゃっているお言葉の意味がまったくわかりません。
 お姉さまが私に飽きた?お姉さまは東京へ戻られた?身代金?
 それに私はもうすでに着々とセイドレイ、レズベンキの道を歩んでいるのですけれど。

 おそらくこれもお姉さまが仕組まれたお芝居、ロールプレイングゲームなのでしょう。
 そう言えば先ほど、お金で売った、とか、あたしはいなくなる、とかしきりにお姉さまがおっしゃっていましたっけ。
 
 でも、それだったら今お相手してくださっているこのかたって、一体何の先生なのでしょう?
 偉い先生ともおっしゃっていましたが…

「むぐっ…」

 そのときスーッと左足ハイソックスのふくらはぎを撫ぜられて、思わず声が出てしまいました。
 経験上の感覚なのですが今、脚を撫ぜたのは人の手ではない気がします。
 おそらくですが乗馬鞭のベロの部分、オフィスで目隠しされてリンコさまミサさまに何度かやられた覚えがありました。
 そのベロが今はスカートの中まで潜り込み、私の内腿をスリスリ撫ぜさすっています。

「んふむぅ…」

 腿の付け根付近まで近づいては到達せずに去っていく、そのもどかしい愛撫に図らずも鳴ってしまう私の喉奥。
 両膝もぷるぷる震えてしまっています。

「ふうん、感度はいいようだな。遊び甲斐がありそうだ」

 右内腿に貼り付いていたベロがスッと引かれ、私の下顎に密着しました。
 力を込められているのでもないのに、ベロから逃げるように自然と顎が上がってしまいます。

「でもまあ、感度が良かろうが悪かろうが関係ないの。ここに三日も居たらどんな女だって、真っ逆さまに堕ちちゃうから」
「深窓のご令嬢だろうが貞淑な人妻だろうが、なんなら自称ドSの女王気取りだって、三日もすれば鞭や縄を見ただけでハアハアよだれを垂らしまくるド淫乱マゾメス性奴隷に成り果てているから」

 顎のベロが去り、女性のお声も少し遠のきました。
 それからカチャカチャと何か金具をいじる音。
 お姉さまのトランクケースを開けられたのかもしれません。

「さて、次におまえのからだを見せてもらうのだけれど、わたくしが何を聞いても、むうむう答えるだけでは面白くないね」
「いいでしょう、おまえの口枷を取ってあげましょう。その代わり騒ぐんじゃないよ?もし騒いだら…」

 そのお言葉の後に、ヒュンッ、という細い棒が空を切るような鋭い音がしました。
 マゾであれば身震いした後に期待に胸が高鳴ってしまうような蠱惑的な音。
 これで女性が乗馬鞭をお持ちなことは確定したようです。

 女性は相変わらずお芝居っ気たっぷりなご口調なのですが、それが妙に緊迫感があり真に迫ってもいて、私もなんだか不安感が募ってきます。
 お姉さま、本当に私に飽きちゃったのかも、本当にずっとここで過ごさなくちゃならないのかも…
 あり得ないこととは思うのですが、それほどこの女性のお言葉の端々に根拠の無い信憑性を感じてしまっています。

 不意にローズの香りがグンと濃くなりました。
 女性が私の背後に立たれたようです。
 ローズの香りに混ざってシャンプーなのかコンディショナーなのか、少し違うフローラルな香りも漂ってきます。

 冷たい指が私の首の後ろに当たりモゾモゾ動いています。
 ボールギャグのストラップを外してくださっているのでしょう。
 やがて頬を締め付けていたストラップが緩み、口腔から球状の異物がスルッと抜けました。

 んぐう…
 口中がやっと自由になり、下顎に溜まっていた唾液を慌てて飲み込みました。
 はあはあはあ…
 それから喉の通りを確かめるみたいに荒い息を吐いて呼吸を整えます。

「あらあら、ブラウスによだれ、こんなに垂らしちゃって、みっともない女だね」

 心底嘲笑うようなニクタラシイお声。
 聞いた途端にプチンと頭の中で何かが切れました。

「あ、あの、あ、あなた、なに…」

 バチーンッ!

 大きな声で抗議しようと声を上ずらした途端に、右頬に強烈なビンタ。
 今までされた中で一番強い、遠慮会釈のない本気のビンタ。
 ある意味、生まれて初めてのショッキングな体験。

「んぐぅっ!」

 間髪を入れず私の首が冷たい手のひらで掴まれます。
 右側は親指、左側は残りの4本?
 いずれにしてもその指たちがジワジワと私の首を締め上げてきます。

「さっき騒ぐなって言ったよね?それともおまえ、頭悪いの?日本語わからないの?ここで死にたいの?」

 ドスの効いた女性のお声に恐怖が5割、反発が4割。
 残りの1割は…

 お相手が女性声ということが大きかったと思います。
 男性相手だったら死に物狂いで抵抗していたことでしょう。

「んぐっ、ご、ごめんなさいぃっ、ごめんなさいーっ…」

 締め付けられる喉を震わせ、必死に謝りました。
 予想外の展開に動揺して息を潜ませていたマゾ性が、ムックリ目を覚ましちゃったみたいです。

「うん。素直に謝れるのはいいことだ。その態度を忘れないように」

 ご満足そうなお声と共にローズの香りが遠のいて行き、女性が私から離れられたよう。

「それじゃあ、おまえのからだを見せてもらうことにする。おっとその前に、おまえの名前は?」

 再び顎の下に乗馬鞭のベロをあてがわれつつのご質問。

「は、は、はいっ…んもっ、もりしたな…」

 バチンッ!
 私が言い終わるか終わらないうちに、今度は左頬に強烈ビンタ。

「いいわ、どうせ性奴隷に成り果てる身なんだから名前なんかどうでも。あ、でも呼びつけるときに必要だから、わたくしがおまえに奴隷ネームを付けてあげましょう」

 ますますお芝居がかられる女性のご口調が弾んでいます。

「そうね…おまえは…なお…おな…おなこ、そう、オナ子よっ!うん、ぴったり!だってそういうからだつきしているもの」

 ますますお声を弾ませる女性。
 私も言われた瞬間にドキンと心臓が弾みました。

 確かに私はオナニー大好き人間ですから、ぴったりと言えばぴったり。
 本名と微妙にかぶっているところもポイント高め。
 全人格を否定され、みっともない名前で呼ばれるセイドレイ。
 確かに私にうってつけな名前だ、と思ってしまう私のマゾ性…

「それじゃあオナ子のからだを見せてもらうことにしようか」

 再度ローズの香りが強くなり、女性がズイッと私に近づいた気配。
 私の開いた両膝のあいだに女性のお御足があるみたいで、少し自由に出来る両膝で挟むと女性の布越しのお膝上辺りの太腿に当たるみたい。
 ということは、それほど身長は高くない?

 そんなことを考えているあいだに、ブラウスの襟元に手が掛かる気配がしました。
 えっ!?ボタンを外すのではないの?一気に押し開いちゃうつもり?可愛いブラウスなのに…

 思う間もなくブチブチっとボタンが弾け飛ぶ音。
 一緒にビリっという音も聞こえたので、どこか破けちゃったかも知れません。
 ああん、もったいない…
 さらけ出されたお腹に外気を直接感じます。

「あら、色気のないブラジャーね。白の綿ブラ?今どき中学生だってもっと色っぽいブラ着けてるよ?」
「でもまあしょうがないか。契約書によるとさる財閥の深窓のご令嬢様なそうだから。そうやって躾けられちゃったんだね」
「これからおまえの知らないオトナの世界を嫌と言うほど叩き込んであげるから、愉しみにしていなさい」

 お姉さまってば、私をどんなふうにプレゼンされたのでしょうか?
 でもどんなに取り繕っても、ブラを外されたら私の性癖はモロバレなのですけれど。

 引き千切られたブラウスはそのままに、いったんローズの香りが遠のきました。
 と思ったらすぐに戻ってこられ、左頬に冷たい金属のような感触を当てられました。
 えっ!?と思わず顔を動かそうとすると…

「おっと、無闇に動かないほうが身の為だよ?ナイフだから。ヘンに動くとその可愛い顔にザックリと…」

 お芝居声でしたが、確かに頬に当てられたのは金属の感触。
 ゾクゾクっと背筋が痺れ、数ミリも動けなくなってしまいます。

「奴隷に下着は無用だからね、このナイフでおまえのブラジャーを役立たずに切り刻んであげるから」

 頬に当たっていた金属が今度は左肩に当たっています。
 肩紐を切ってしまうおつもりなのでしょう。
 でも、このブラジャーは私の数少ない私物、このブラを切り刻まれてしまったら、私は東京に戻るまで着るべき下着が皆無となってしまうのです。

 旅行の前にお姉さまがおっしゃった、失くしたり破られもいい下着、という意味がわかりました。
 それがわかっても、今どうすればいいのかはわからないのですが。

「ごめんなさい、わかりました…ブラジャーは自分で脱ぎますから、どうか切ったりしないでください…」

 回らない頭でなんとかそこまで告げたとき、再び右頬に強烈なビンタがバチーンっ!
 ぶたれた頬がヒリヒリ火照って、なんだか気持ちいい…

「何がわかったんだい?オナ子?おまえはまだ自分の立ち場がわかっていないようだね?奴隷がわたくしに、でも、だの、だって、だの、どうか、だの意見する権利はないんだ」

 来そう、と思ったら案の定、私の左頬にビンタ。
 私、なんだか女性からのビンタを心待ちにしているみたい。
 私が、あうっ、と呻くと同時にブラジャーの左紐の締付けが緩みました。

 左乳首が外気に晒されている感覚がありますが、それよりも気になったこと。
 ブラのストラップを切られたとき、ナイフで切られた、と言うより、裁ちバサミか何かでジョキンと切られた感じがしたこと。
 左肩にナイフの背の部分がずっと当たっていて、その上からもう一枚、別の刃が下りてきたような感触。

「ちょっと何?その乳首。おまえ、わたくしにこんな酷いことをされているのに感じちゃってるの?ビンビンにおっ勃てているじゃないか」
「それに何、その日焼け跡。どんな水着着てどこで焼けば、そんな卑猥な日焼け跡になるんだい?」
「おまえ、そういう女なの?虐められて悦ぶマゾ女?あの女社長にとんだ紛い物つかまされたってわけ?」

 演技なのかご本心なのか、おおげさにお嘆きになる女性。
 そのあいだに当然のように、右のブラ紐もジョキンと切り離されます。
 ブラジャーの残骸が虚しくお腹へと落ち、宙を突く両乳首が外気に晒されています。

「ちょっと、見ているほうが痛々しいくらい乳首がイキリ立っているじゃない?オナ子?興奮しているでしょう?」

「いえ、そんなんじゃないんです…自分でも何が何だかわからなくて…でもからだが熱くなってしまっているんです…」

 女性の癇に障るようなことを言えばビンタが貰えると思った私の、精一杯の大根演技。
 だけどちゃんと右頬にビンタをいただけました。
 ヒリヒリ火照る両頬が、やっぱり気持ちいい…

「そういう女なら話は早いけどさ。しのごの言ったってマンコを見ればおまえの本性は隠せないのだから」

 語気荒くおっしゃった女性の手が私のスカートにかかり、一気にまくり上げられます。

「うわ、何これ?ソファーにネットリ水溜りが出来てるじゃない?おまえ、何考えてるの?」
「手足の自由奪われて、さんざんビンタ食らって、口汚く罵られてこのザマかい?オナ子は正真正銘のドマゾみたいだな?」

 一段と冷ややかになられたお声と共にスカートのホックが外され、一気に摺り下げられます。
 でも私は大股開き状態ですからウエスト部分が膝で引っ掛かり、力任せになおも引っ張られたようでビリビリッという音が。
 スカートだった布片が脛のところに中途半端にへばりついた状態。

「パンツも綿パンかい?小賢しいね。おまえの本性はもうバレてるんだよっ」

 左腿に金属が当てられジョキンという音。
 腰周りを締め付けていたゴムの感覚が消えました。

「おまえ、陰毛はどうした?」

 約立たずとなったショーツが乱暴に摺り下げられます。
 おそらくマゾマンコからたくさんのか細い糸が布地裏へと引いては切れていると思います。

「そ、それは…」

 どうお答えすれば、どう嘘をつけば女性からまたビンタがいただけるだろう、と考えますが、良いお答えが浮かびません。

「ふん、おおかた女社長の戯れで丸坊主にされちまったんだろうよ。それでパイパンマンコにハート型の日焼け跡って、とんだ傷物のお下がりを押し付けられたってわけだ。剃毛はわたくしの大好物だと知っているだろうに」

 少し気落ちされたような沈んだお声がなんだか可愛らしく思えます。
 そんなことを考えているあいだに右膝の辺りに纏わり付いていたショーツの感覚が消えていました。

「オナ子のスケベ汁は一段とかぐわしいね、マゾメスの臭いがプンプン。それに何このパンツ、クロッチのあて布がわざわざ剥がしてあるじゃないか。そんなにまでしてパイパンマンコをアピールしたいのかい?」

 女性が私のショーツを手に取られているみたい。
 汚れたショーツにお鼻を近づけてクンクン嗅がれているお姿を想像すると、いたたまれない恥ずかしさとみじめさにゾクゾク興奮してしまいます。
 
 はい、私は、はしたなく浅ましいマゾメスセイドレイレズベンキなんです、どうか、こんなどうしようもないオナ子に罰を、ビンタを、鞭をお与えください…
 そんなふうに口に出して懇願したくてたまりません。

「おまえほどのドマゾなら、外に素っ裸で放り出されるのも大好きなんだろう?そのいやらしい裸を誰かに視てもらいたくて仕方ないんだろう?」

 鞭のベロで剥き出しの秘裂をベロンと逆撫でされながらのご質問。

「んふーっ!は、はい…直子は、あ、いえ、オナ子は露出狂ドレイです…お外で恥ずかしい格好で辱められるのが大好きなんです…ご、ごめんなさい…」

 目隠しのせいかマゾ性への没入感が凄まじく、そんな恥ずかし過ぎる台詞がスラスラっと口をついてしまいます。

「ふん。ならお望み通りにしてやる。外で、太陽の下で何もかもさらけ出して、失神するまで悶え苦しむがいい。言っておくが、おまえから望んだのだからな?後で後悔しても遅いぞ」

 冷え切ったお言葉にゾクゾクっと震える私のマゾ性。
 ローズの香りがすぐ傍まで近づいて来ていました。