2021年6月19日

肌色休暇一日目~幕開け 19

「どうぞー。お座敷に持っていってちょうだい」

 キサラギさまが凛としたお声でお呼びかけ。
 えっ、そんな…

 赤いおふんどしまで外されて、今の私は文字通りの一糸まとわぬ全裸。
 おまけにお部屋の入り口にからだの正面を向けてマゾの服従ポーズ。
 お姉さまからご命令されたばかりですし、いくら恥ずかしくても勝手にポーズは崩せません。

 ドアから入ればすぐにお部屋全体が見渡せます。
 て言うか、間の悪いことにドアから見て真正面の位置に真正面を向いて裸身を晒している私。

 まず、天ぷらを盛った器を乗せたお盆を捧げ持たれた三十代くらいに見える、細身で短髪の男性が入ってこられました。
 隠したい、という欲求が全身を駆け巡りますが、やっぱり両腕を動かせないのが私のマゾ性。
 そのすぐ後には、恰幅が良く角刈りの頭に白髪が交じる強面のご中年男性。

 おふたりとも最初に私の姿に気づかれたときは、唖然、というお顔。
 広間を進まれる足がピタリと止まりました。

 私はポーズは維持しつつ、うつむいたり、首ごと曲げて顔を逸らしたり。
 でも、おふたりのご反応も気になってしまい、上目遣いに視線をチラチラ送ってしまいます。

 おふたりのお顔が示し合わされたかのように、同時にお口元をほころばされ目尻をニヤリと下げられました。
 どうやら事前に私がそういう趣味の女だと聞かされてきたのでしょう、そこにご遠慮や照れの気配はまったくありません。
 私から2メートルくらいの距離を置いて立ち止まられたまま、真正面からしげしげと私のからだを視てきます。

 それはそうでしょう。
 私はと言えば、両手を重ねて後頭部に置き、両腋の下以下を全開にして、眼前の男性がたに裸のからだ全部をさらけ出して棒立ちしているのですから。
 視られているのがわかっているのに、剥き出しのおっぱいを隠そうともせずに。
 おっぱいはおろか下腹部から足の先まですべてを赤裸々に。
 どうぞ存分に御覧ください、と挑発しているのに等しいポーズなのですから。

 両足は休めの形に開いていますから、両内腿のあいだに芽吹く腫れ上がった肉の芽やジワジワ滲み出て襞を濡らす雫まで見えているかもしれません。
 至近距離の男性2名と視線を合わせて見つめ合うわけにもいかず、視線が泳ぎまくり。
 結局おふたりの足元あたりに目線を落として為す術も無く立ち尽くしています。
 心臓ドキドキ、背筋ゾクゾク、心はビクビク、アソコはヒクヒク。

 目線を逸らしたときに、もうひとつ別な恥辱にも気づいてしまいました。
 お部屋を出るときに、広間の座卓に充電のために置かれた私のスマホ…
 
 それが、出たときには絶対に敷いていなかった日本手ぬぐいの上に、あらためて置かれていました。
 ご丁寧に出たときと同じようにリモコンローターの本体と並べて。

 ということはどなたかが確実にスマホをお手に取られたということ。
 お手に取られて少しでも傾ければ、確実に私の恥ずかし過ぎる待受画像が浮かび上がる仕組みです。
 つまり確実にどなたかには、あの恥知らずな待受画像も視られてしまった、ということを意味していました。

 ご覧になられたのがキサラギさまであればまだマシですが、見ず知らずの仲居さまや各お部屋のお掃除を担当されているご従業員の男性とか…
 どなたに視られてしまったのか…いいえそれに、決しておひとりだけだとも限りません…
 
 お留守をいいことに、発見者が従業員のみなさまをお集めになり、口々にその画像のお下品さを蔑まされていたかも…
 疑心暗鬼が妄想を暴走させ、マゾ性大氾濫…

「おらっ、松っ!さっさとお座敷にお持ちしねえか!」

 突然ドスの利いた低いお声がハッキリ聞こえ、私と細身のほうの男性が同時にビクンと肩を震わせます。

「あ、へいっ!」

 私の顔から太腿くらいまでを矯めつ眇めつ舐めるように見つめていた細身男性が甲高いお声でお応えになられ、テヘッ、みたいなバツの悪そうな薄笑いを浮かべてから、両手で捧げ持ったお盆とともに小上がりのほうへ向かわれました。
 
 すぐに角刈りのほうの男性が細身男性が立たれていた位置までぐいっと一歩踏み出され、後ろ手を組まれてお顔をより突き出され、再び私をしげしげと見つめ始めます。

 その目線がゆっくりと私の顔、首筋、左腋の下、右腋の下、左乳首、右乳首、おへそ、下腹、恥丘と動いていくのを、うつむいた上目遣いで追っています。
 成人男性からこんなに近くでこんなにじっくり全裸を視られてしまうのは、生まれて初めてです。

 真っ白な作務衣というか甚平みたいなお着物を召されているので、厨房のかたなのでしょう。
 伏し目がちに窺うと、まったく悪びれるようなご様子はなく、お口を真一文字に結ばれた難しいお顔で、何かの美術品でもご鑑賞されているような雰囲気。
 
 だからと言って恥ずかしさが薄れるわけでもなく、それどころかそんなご様子が余計に、何か珍しい見世物にされている、裸体を吟味されている、という意識を生み、屈辱感が加算されてしまいます。

 いつの間に私の傍を離れられたのか、お姉さまが角刈り男性の背後にまわられ、視られている私を男性ごとスマートフォンで撮影されています。
 
 私いつまで、こんな見世物状態にされるのだろう…
 まさかこの後、次々に従業員さまたちが見物にいらっしゃったりして…
 どうしようもなく切なくなってきて、その切なさが被虐を呼び、内股の粘膜がヒクヒクわなないたとき…

「ご紹介します。うちの花板のヨシザワです。本日の夕餉の献立を担当させていただきました旨、ご挨拶に伺いました」

 キサラギさまのお声が真正面から聞こえたので思い切って顔を上げると、スマホ撮影をされていたお姉さまのすぐ横にキサラギさまが来ていらっしゃいました。
 そのお声は私にでは無く、すぐそばにいらっしゃるお姉さまに向けてでした。

 角刈り男性がお姉さまを振り返られご挨拶され、そのご様子をキサラギさまが見守られている状況。
 つまり、角刈りの男性が花板さまのヨシザワさま、ということなのでしょう。

 お座敷のご用意はすっかり終わられたらしく、サラさまと細身男性もお姉さまたちの傍らにいらっしゃいますがご挨拶の輪には加わられず、こちらを露骨に見遣りながら何やらコソコソお話をされています。
 
 サラさまたち、厨房のお手伝いもされたとおっしゃっていましたから、もはやお顔見知りになられていらっしゃるのでしょう。
 とても愉しげに、何かを耳打ち合いされては、私の裸体を視てクスクス笑っておられます。

 それにしてもお姉さま…
 せめて服従ポーズだけでも解かせていただけませんでしょうか?
 おっぱいもマゾマンコも決して隠しませんから、両手を下ろしてただ普通の立ち姿に変わるだけでも、とても救われるはずですから…

 そんな想いをお姉さまのお姿に焦点を絞って見つめ、必死にテレパシーを送ります。
 
 それでも私を一番真剣に視ていてくださるのは細身の男性。
 その次がサラさまで、ヨシザワさまとキサラギさまがときどき視線をくださり、お姉さまだけはお話に夢中なのか、頑なに私のほうをチラとも視てくださいません。
 
 男性から全裸をしっかり視られている、という状況がはっきり認識出来る今の状況が、これまでに味わったことのない緊張感含みの羞恥と戸惑いを生んでいました。

 やっとお姉さまがこちらを振り向いてくださった、と思ったら全員で私に近づいてこられます。

「この下帯は、わたくしどもで洗っておきますね」

 キサラギさまが私のすぐそばまで来られ、足元にまだ落としたままだった赤いおふんどしを拾い上げようとされています。
 私のはしたない愛液が広範囲にシミ付いた恥ずかし過ぎる一品を。

「あっ!」

 思わず阻止しようと手を動かしかけますが、ご命令の呪縛ゆえにどうしてもポーズを崩せない私。
 キサラギさまは、シミの付いていない乾いた部分を指先でご器用につまみ上げられ、素早くクルクルっと丸められました。

「わたくし、当旅荘の厨房で責任者を務めさせていただいております、ヨシザワアツヤと申します。精魂込めてお造りしましたので、どうぞごゆっくりお楽しみください」

 キサラギさまの挙動に集中していたら、すぐそばで野太いお声。
 気がつくと私のすぐ前で、花板さまが私に頭をお下げになられています。

「いやあ、お嬢さんみたいな別嬪さんのお若くてお綺麗なからだと弁天様を間近でたっぷり拝ませていただいて、今日は眼福ですわ。若返りました。おかげで寿命が十年くらい伸びた心持ちですわ」

 そうおっしゃって目尻を下げられる花板ヨシザワさまの笑顔は…あれ?意外に愛嬌が生まれてはにかんでおられるみたいで可愛いらしい?
 近づき過ぎたと思われたのか軽く一歩引かれた目線がしっかり、私の剥き出しな股間に注がれていました。

 結構長く股間に留まっていた視線がやがて、私の顔に戻りおっぱいからお腹をずーっと撫ぜていって、股間からまた顔に戻ってきます。
 そのときは、私もずーっとヨシザワさまの視線をドキドキしながら追っていました。

「それでは、どうぞごゆっくり」

 ヨシザワさまがニッコリ笑われた、と思ったらすぐに最初の強面にお戻りになり、会釈されておもむろにクルッとお背中を向けられました。
 そのまま悠々としたお足取りでお廊下へのドアへと向かわれます。

 ドアまで到達され、おら、松っ、戻るぞっ!と怒ったような凄みのあるお声で怒鳴られるヨシザワさま。
 名残惜しそうにまだ私の全裸を矯めつ眇めつ視姦していらっしゃった細身男性が、はいっ!という上ずったお答えをされ、あわててヨシザワさまの背中に追い縋ります。
 細身男性を追うようにサラさまも。

「それじゃあ八時半見当ね」

 というお言葉をお姉さまに投げかけられて。

 お姉さま、明朝にまたあの大露天風呂でコンパニオンのみなさまと落ち合うお約束でもされたのかしら?

 みなさまのお背中をお見送り、フッと気が緩んだのでしょう。
 深い洞穴からにじむように湧き出し、ラビアの縁に何とか留まっていた私の恥ずかしいマゾ蜜の雫がついに引力に逆らえなくり、ツツツーっと一筋、右内腿を滑り落ちました。
 
 いやっ、恥ずかしすぎるっ!
 カッと熱くなる全身。
 ただ視られているというだけでこんなに、愛液が溢れ出しちゃうほど感じていたんだ…
 ひとり恥じ入っている私を、そばでお姉さまとキサラギさまが冷ややかに眺められています。

 従業員でお部屋に残られたのはキサラギさまおひとりだけ。
 キサラギさまのお手元を見遣ると、いつの間にか丸められたおふんどしを巻物みたく腰紐で括られていて、その紐の先端をつまんでぶら下げていらっしゃいました。

「さてと、とりあえず直子はそのはしたないおツユでテラテラ痴女光りしている下半身を洗い流して来なさい。そんなんじゃお座敷に上がれないでしょ?」

 お姉さまが私の背中側のお部屋付き露天風呂に通じるガラス窓をスーッと開かれました。
 途端に背中を襲う、もう薄暗いというのにジットリ感を多分に含んだ残暑の熱気。

 今のお言葉で服従ポーズのご命令は解除されたと理解し、両手を下ろし今更おっぱいと股間を手で隠し、一目散に窓ガラスの向こう側へと身を躍らせます。
 お風呂があると言っても、ここも立派に屋外ではあるのですけれど。

 手早く柄杓で股間に掛け湯を丹念に施してから、半身を湯船に沈めます。
 ガラス窓は再びピタッと閉じられ、窓の向こうでお姉さまとキサラギさまが何やらご熱心にお話されています。

 私はお姉さまに少しでも不穏な動きがあれば見逃さないように、おふたりを凝視していました。
 窓に鍵を掛けてお外に全裸で締め出したままどこかへ行かれてしまう、なんてイタズラをこんな状況ならお姉さま、平気でおやりになりますから。

 やがてキサラギさまがお姉さまに深々とお辞儀をされ、それからガラス窓の向こう側の私にもご丁寧な会釈をくださり、お部屋のドアをバタンと閉ざされて出て行かれました。
 それをお見送りされてから、お姉さまがあっさりスーッとガラス窓を開けてくださいました。

「どう?ちゃんとマン汁キレイに洗い落とした?おーけーならこのバスタオル敷いて食卓につきましょう。ああ、もうお腹ペコペコ」

 お部屋に戻るとすぐにお姉さまが白いバスタオルを渡してくださり、まず全身を軽く拭った途端に、ササッと取り上げられました。
 それから右手を引かれお座敷へ。

 差し向かいで座るようにセッティングされた座卓の片方、床の間側に導かれ、そこのお座布団の上にほぼ正方形に畳まれたバスタオルを敷かれ、手を離されてご自身は対面へ。
 私から見て左側は大きな窓で、お外の風景、常夜灯に照らされた裏庭の木々の先端が覗けています。

 全裸のまま食卓に着くしかない私…
 て言うか私の着衣、ここに着くまでに着ていた私服は下着ごとすべてお洗濯で取り上げられ、旅荘さまでご用意された浴衣もおふんどしも持ち去られてしまいました。
 これから後、私が身に着けることが出来る着衣って、このお部屋にもう何も残っていないみたい…

 と言ってもこれから先、明日の朝までずっとお姉さまとふたりきりだろうし、お邪魔されるのはどなたか仲居さまがお夕食のお片付けとお布団を敷きに来られるくらいのはず。
 それならずっと全裸でもいいかな、なんて思ってしまう私。

 お夕食はとても豪華でした。
 山菜の天ぷらとしゃぶしゃぶ鍋がメインで、お刺身の盛り合わせに煮物やおひたしの小鉢がたくさん。
 お姉さまがお櫃からごはんをよそってくださり、よく冷えたスッキリしたお味の日本酒をちびちび舐めつつ堪能しました。

「直子、やっぱり宿中でウワサになっているみたいよ」

 お食事中、お姉さまがおそらくキサラギさまから仕入れられたのでしょう、私のことも含めていろいろお話してくださいました。

「お出迎えで直子の姿を見た仲居さんのひとりは、絶対仕込みのAV撮影だと思ったんだって。女将さんもグルになってスタッフを騙してるって。きっと朝礼をよく聞いていなかったのね」

「あのリストバンドにはやっぱり発信機が付いていて、大露天風呂での嬌声は、庭師の人には聞こえていたって。お掃除用具とか仕舞ってある倉庫があそこに近いんだって」
「その庭師の人には、階段が始まる広場でウロウロしている赤フン直子も、遠くからだけれど見えていたって」

「この天ぷらを誰が持っていくか、は厨房男性全員で大騒ぎだったらしいわよ。結局ジャンケンでさっきの人になったんだって。あ、花板さんのご挨拶は恒例だそう」

「あの人たち、超ラッキーだったわよね?あたしもふんどし取らせてキサラギさんたちにちょっと全裸晒してから、窓の向こう側の露天風呂に追い出すくらいしか考えていなかったもの。まさか花板さんがご挨拶に来るなんて」
「期せずして全裸を見知らぬ男性ふたりに、パイパンマゾマンコまでじっくりねっとり視られちゃうんだから、さすが露出マゾの星の下に生まれた直子だわ」

 お料理と一緒にお酒も進んでいらっしゃるお姉さま、だんだんとお言葉に品格を失くされているご様子。

「フロントの男性は事情を本当に掴めていなかったみたい。あの出迎えてくれた仲居さんと新婚さんで、あたしたちが去った後、ひどく揉めたらしい」
「直子、女将さんに結構長いあいだいやらしくおっぱい揉まれていたじゃない?あれをフロント男性が間近で見ていてズボンの前をパンパンに膨らませていたんだって。それを新妻さんに見咎められて、って…あ、ごめん。直子にはこの手の話はNGだった…」

 あわててお酒のグラスをクイッと煽られるお姉さま。
 そのくらいのお話なら、もう大丈夫です、たぶん…

「露天風呂ありの温泉旅館て、行楽シーズン以外はやっぱりいろんなカップルが非日常的雰囲気求めてヤリに来るのが主流だから、家族連れとかの健全なお客さんといかに鉢合わせさせないかに、一番頭を悩ませるみたいよ」
「大露天風呂で始めちゃったり、部屋の窓全開にしてアンアン喘いでいる客とか普通にいるらしいから。そういう意味では、働いている人たちも下ネタに鷹揚というか慣れっこになっちゃている、って」

「まあ、実際この旅荘って、伝手でAV撮影に貸し出したりとかもしているって紹介してくれた人から聞いて、それで決めたんだけどね」
「もちろん撮影のあいだは旅荘ごと貸し切り状態にして一般客は入れないことにしている、って言ってたけれど」

「で、さっき聞いたら、確かにしてはいるんだけど、そういう撮影の人たちってやっぱり、何て言うか、あんまり品がよろしくないのが少なからずいて、若い仲居さんにちょっかい出したり、男性も全裸でそこいら出歩いたり、ありえない汚し方したり、酒席がえげつなかったり」
「それに比べたら、あたしたちはお行儀が良くて節度あるお色気だから大歓迎ですよ、ってキサラギさんに言われちゃった。今日のあたしたちって、節度、あったかな?」

 お料理もあらかた食べ終わり、お姉さまは白ワイン、私はシードルをチビチビと。

「ただ考えてみたら今日も、団体客がキャンセルにならなかったら、こんなに自由には遊ばせてもらえなかったのよね?」
「あらかじめコンパニオンまで予約していたくらいだから、下半身が脂ぎったスケベ男たちだったろうし。外国人の団体って言っていたけれど」

「もしその人たちも宿泊していたら、あたしたちもこのお部屋の中と部屋付き露天風呂くらいでしか愉しめなかったろうし、コンパニオンの子たちと知り合うこともなかったし、フロントで女将さんにおっぱいを揉んでもらえることもなかった…」

 お姉さまとずーっとふたりきりで過ごせたのなら、それはそれで良かった気もしますが…

「て言うか、行きのバスから直子大ピンチじゃん。あのときしていた服装憶えてる?」

 そうでした。
 乳首クッキリ乳房の形ハッキリ前結びシャツに土手まで丸出し超ローライズデニムショーパン、更にマゾの首輪と股間にリモコンローター。
 そんなふしだら痴女な格好で、男性だらけのバスに乗らなければいけなかったのでした…

「ま、そうなってたら、あたしたちはタクシーで追いますから、って乗車断ったろうな…」

 だから大好きなんです、お姉さまっ!

「でもバスで顔合わせしちゃっていたら宿でもその外国人たちにマークされちゃっただろうね。英語ネイティブだったかは知らないけど、ジャパニーズホーニープッシーキャットとか呼ばれて血眼でサーチアンドデストロイだろうから、ますます部屋から出れなくなっちゃうぅ」

 妙に艶っぽいお顔で私をからかって遊ばれるお姉さま。

「そういう意味でもさ、直子って露出と恥辱の神様に愛されているんだよ。マゾの星の下に生まれた森下くん」

 わけわからないおまとめ方をされたお姉さま。
 傍らに置かれたご自分のスマホをちらっと見遣り、ゆっくりと立ち上がられました。

「さてと、そろそろ準備しましょうか」

「えっ?準備って、何をですか?」

「あれ、言ってなかったけ?これから女子会よ。宴会場で宴会。あのパニオンの子たちと」

「えーっ!?」

 お姉さまがワイングラス片手にフラフラと広間のほうへ戻られ、壁際のソファーにおからだ全体を預けるようにドスンと腰掛けられました。
 私もあわてて後を追おうと歩き出し、あっ、と気づいてお座布団の上のバスタオルを取りに戻ります。
 
 食欲が落ち着いたせいか、お酒の酔いのせいか、ずっと全裸でいるせいか、酔われたお姉さまの挙動が妙に色っぽいせいか…
 性懲りもなくまたジワっと、マゾマンコが濡れ始めていたんです。


2021年6月13日

ピアノにまつわるエトセトラ 29

「さあ、少し遅くなってしまったけれど、ディナーにしましょ」

 拘束具を外してくださり、ぐったりな私を立たせて抱きかかえるようにお部屋へ連れて行ってくださいました。
 
 お部屋に入ると、とてもいい匂い。
 お醤油やケチャップが熱せられて漂う、食欲を思い出させる香り。
 途端に性欲から食欲に切り替わってしまうのですから、人間のからだって良く出来ていると思います。

 私だけ軽くぬるま湯シャワーを浴びてから、裸のままテーブルへ。
 お献立はニンニク風味なトマトスパゲティと何かお魚のソテーのクリームソースがけ、レタスサラダとコンソメスープ。
 さっき私が飲めなかったアルコール分ちょびっとのスパークリングワインが添えてありました。

「先生のお料理、みんな美味しいーっ!」

 ダイニングテーブルにふたりとも全裸で向かい合わせに座っています。
 ふたりともおっぱいを中心に太腿辺りまで、あちこちにつねられたような赤い痕。
 
 傍で見ていたら、何?この人たち…裸族?と思われちゃうディナータイム。
 ゆうこ先生も私も性欲はいったん引っ込んだみたいで、デザートのキウイのタルトまでシアワセに舌鼓を打ちました。

 お料理をたいらげて一段落の食休み沈黙タイム。
 向かい合わせに見つめ合い、相思相愛を感じさせてくれる、言葉に出来ない充足の時間。

「さてと…」

 先生がお片付けを始めようと席を立ちかけたとき私の口からこんな言葉が、ごく自然にこぼれ出ていました。

「ゆうこ先生には、ステディなお相手、パートナーはいらっしゃるのですか?」

 立ち上がりかけたゆうこ先生の剥き出しなお尻が、ペタンと椅子の座面に戻りました。

「パートナーかぁ…うーん、いないかなー…ずっといない気がするなー」

 美しいお顔で宙空を見つめられ、思案に耽られるゆうこ先生。

「あのあのあの、あのときうちにご一緒に来られたタチバナさんは?」

 ずっと心の隅に引っかかっていたお名前を思わず口にしてしまいます。
 これまで交わしたゆうこ先生の性癖遍歴に関する会話の中で、幾度となく口にされたお名前…

「ああ、レイカね。彼女とは腐れ縁で友達、と言うより天敵かな」

 ゆうこ先生が少し残っていた白ワインのグラスをクイッと煽られます。
 それから、なんともアンニュイなまなざしで私を見つめてきます。

「彼女とわたしの関係は、今日直子ちゃんとしたSMごっこのロールプレイングとまったく同じなの」

 ゆうこ先生のクリっとした瞳が昔を想うみたいに細まります。

「かいつまんで言うと、わたしたちが大学生の頃、構内でわたしがひとり露出プレイを愉しんでいたときに、たまたま遭遇しちゃったのがレイカなの」
「彼女もあの小説の愛読者だったから、一瞬にして察してわたしの特殊性癖を見破っちゃたみたい。ちょうどデジカメ持っていて、証拠写真もたくさん撮られちゃったし」

 スゴいお話なのにゆうこ先生、とても懐かしそう。

「それからはありきたりの展開。この画像を学内にバラまかれたくなかったら、って、言いなりになって、レイカから虐められ放題」
「ノーパンノーブラで講義を受けたり、ホテルのプールで水着剥ぎ取られたり。レイカ、被服科だったから人間着せ替えマネキンもずいぶんさせられたな」
「顔に紙袋だけかぶされた状態で美術サークルにヌードクロッキーのモデルとして貸し出されたこともあったっけ…」

「そのみつかっちゃった露出プレイって先生、何をされていたんですか?」

 ワクワクしながらの質問です。

「だからムラムラしているときならよくやるひとりアソビよ。講義時間中に使われていない教室に忍び込んで脳内セルフ調教妄想でストリップさせられて全裸になったところを、たまたま通りかかったレイカに目撃されちゃったっていう。直子ちゃんだって経験あるでしょう?」

 いえいえ。
 私、そんな大胆過ぎること、したことありません。

「それで、レイカに有無を言わせず連行されて飲みに連れて行かれて。写真撮られたのが痛恨のミスね。居酒屋で根掘り葉掘り取り調べられて、自分の性癖を洗いざらい告白しちゃったの、ピアノの先生のところから。レイカって、人の懐に飛び込むの上手だから」
「へー、大貫さんって普段は澄ました顔してるのにマゾの露出狂でレズ寄りの変態なんだ、ってニヤニヤ笑いながら言われて、何も言い返せなくてただただドキドキドキドキ感じてたな」

「それからはもう言いなりセイドレイ。ノーブラで来い、ノーンパンで来い、裸コートで来い、縄で縛って来い、リモコンバイブ、トイレで私を慰めろ…」
「でもそんなレイカに従えたのは彼女、決して男子を巻き込まなかったの。ほら、よくある話じゃない?そんなに淫乱なら男と寝て稼げとか、乱交用肉便器とか。そういうことは一切させなかったの」

 ゆうこ先生がワイングラスに注ぎ足して唇をつける頻度が上がっています。

「彼女の人生はずっと本当に女王様みたいな立ち位置。美人で気さくでノリがよくて学内でも目立つ存在。いろんな男とくっついた飽きて別れたとか噂になってたな」
「男でも女でも結局、従わせちゃうのね。根っからのエス気質。でも彼女もレズ寄りだと思う」
「実際わたしとスルの大好きで、さんざんわたしを辱めた後ふたりでベッドに入ると、わたしの指テクであられもないほど喘いでくれるんだ」

「それでお互い卒業して、わたしはレイカが段取ってくれた合コンで、音楽談義で意気投合した資産家の次男で自称起業家にコロっとやられちゃってね。まあまあイケメンで音楽の好みの波長がぴったり…な気がしたの」
「実際は、音楽の話も浅い知識の知ったかぶりで必死にわたしに合わせていただけで、自慢してたギターも下手くそだし、仕事も親の七光りで、自分の見た目と体裁だけに全人生を傾けている、みたいな人だった」

「レイカはさすがでね、自分より三まわりくらい歳上の、わたしの元ダンナより数十倍大金持ちなおじいちゃんを虜にして、わたしの結婚半年後くらいにすんなり後妻におさまってた。晴れて名実ともに立花玲香女王様の誕生。凄く豪華な結婚式だった」

「で、わたしはそのややイケメンと一緒になったのだけれど、ひどかった。最初は気にしなかったけれど彼とのセックス、何も感じないの。ゴム着けてガバっと抱きついてきてさっさと射精しておやすみ」
「わたしのことなんて何も考えていないの。会社起こしたばかりだから子供もまだいいね、だって」
「わたしも男性相手だと普段の生活からエスっ気出ちゃうし、そのくせ夜の生活は淡白だしだから、彼も新婚二ヶ月くらいで飽きちゃったんじゃないかな。あまり求めてこなくなった」

「彼はただ単純に一回、わたしを抱きたかっただけなんじゃないかな。それで結婚して抱いてみて、ああ、こんなもんか。って」
「わたし、男性にはマゾ性見せないから。むしろ、抱きたい?いやよ、あなた魅力無いし下手そうだから、なんて虐めちゃう」

「それで彼はなんとかわたしを手篭めにしたかったんだろうけれど、わたし、男性のエスっ気では濡れないの。反発だけ」
「新婚当初は演技でも感じているフリしちゃってたな。だって彼が大切だと思いたいから。でもスるたびに欲求不満が募るばかりなの」

「そんな頃にレイカから久々に電話が来たの。どんな感じよ?って」
「レイカの嫁ぎ先がこの近隣の大富豪なのね。わたしはまだ東京に居て」

 ゆうこ先生が対面の椅子から、私の横へ移動されてきました。
 すぐ横に先生の体温を感じています。

「わたしは正直に、そろそろ耐えられない、って答えたの。籍入れてまだ一年ちょっとしか経っていないのに」
「レイカは、だろうね、って嬉しそう。だったらいい弁護士つけてあげるから離婚しちゃえば、って。旦那の財産、根こそぎ奪い取ってあげるよ、って」

「わたしも薄々、彼が他に女作ってるのはわかってたの。こっちが人肌恋しさに誘ってみても、疲れているから、って拒まれたこと何度もあったし」
「自分だけ腰振って自分だけ満足してガーガー寝ちゃうような男でしょ?こいつとずっと暮らしていたら、いくら世間体とかあっても、わたし自身が確実に駄目になる、って思ったの」

「レイカの人脈はやっぱり凄くって、瞬く間に浮気の証拠たくさん揃えてくれて、あっちの実家や複数の浮気相手も巻き込んでこちらの要求額満額以上の示談金もらえたの。ますますレイカに頭が上がらなくなっちゃうでしょ?」
「それで久しぶりに会ったときに凄いことしてくれたの。銀座の高級ブティックに連れて行かれて、信じられない露出度の水着を試着させられて」

「試着室のカーテン全開にして、わたしのそんな姿をお店にいた人みんなに晒したの。わたし、恥ずかしさと一緒になぜだか涙まで出てきて」
「その夜レイカの豪邸に泊まって、虐めやからかい一切無しでゆっくり抱いてもらって、ゆっこの人生はこれからよ、って」

 ゆうこ先生、何てお言葉をかければいいのかわかりません。

「旧姓に戻ったのを契機にここに引っ越して、ずっと趣味的にチマチマやっていた作編曲活動を本格的に始めて、ピアノの演奏技術も真剣におさらいして、少しづつ人に教えるようにもなって」
「一方では、腋とVIOを永久脱毛して、これもレイカが段取ってくれたの。ネット通販でSMグッズ集めて、街角での露出遊びもまたこっそり愉しむようになって」

「それでわたしがフラダンスのスクールに入ったのもレイカの発案なの」
「独身に戻って経済的にも落ち着いての再スタートなのだから、何か新しいことにチャレンジ!私もつきあうから、ってレイカに言われて」
「ゆっこはえっちな姿を誰かに視て欲しいヘンタイなんだから、やるならダンス系じゃない?音感いいんだし、だって」

「いわゆる流行りのエクササイズは老若男女混ざり過ぎてて面倒くさそうだし、バレエは今更無理、ヒップホップは激しすぎて無理だし、かと言って社交ダンスは、それこそ面倒くさそうな中年男性群が出ばってきそうだし」
「それで残ったのがフラ。南国の踊りだから肌露出も充分だし人前で踊るときに大胆な格好もできそう、ってレイカが選んだの」

「それでいざ最初のお試しレッスンに臨んだら、わたしたちが一番年下っぽくて、周りは見渡す限りたるんだ脂肪の展示会場…」
「て思ったら、直子ちゃんのお母様とミサコさんだけは、お歳は少し召していてもちゃんと女性的な艶やかさをご維持されているふうに見えたの」

「おふたり仲良いようだからお近づきになってグループになっちゃおう、ってレイカが決めてお友達になれたの」
「直子ちゃんのお家にあんな水着でお邪魔したのは、三回に分けて振り込まれた示談金の二回目もらったすぐ後」
「ミサコさん、わたしとレイカの格好に若干戸惑われていたけれど、素子さんは本当に楽しそうだった」

「それであの日、びしょ濡れのレオタードでバレエを踊ってくれた、まだ幼さの残るシャイな女の子が、わたしの心の片隅に棲み着いちゃったの」
「わたし、直子ちゃんに日焼け止めを塗ってあげたでしょ?そのときの反応見て、あ、この子、わたしだ、って」
「機会があれば、もう一度会いたいなって。フルートを吹いてくださった女性も素敵だと思ったけれど…」

 すっかり食べ尽くしてしまった空の食器の前で、ふたり静かに回想しています。
 念の為に言うとふたりともずっと全裸です。
 
 あのときすでに、ゆうこ先生も私と同じように感じてくれていたんだ…

「でもさっき、友達って言うよりも天敵とおっしゃった、天敵、って、どういう意味なのですか?」
 
 ゆうこ先生の人生はだいたい把握出来た気がしているのですが、立花レイカさんの立ち位置が今ひとつ理解出来ていません。
 つまり、私は立花さんの代わりになれるのでしょうか?

「ああ、レイカね…」

 言ったきり遠くを眺めるようなゆうこ先生。

「レイカね、って…レイカさまとか立花さまとか、ご主人さまポジションでは無いのですかっ?」

 一番お聞きしたいところなので、声が大きくなってしまいます。

「レイカがご主人さま?」

 両方の瞳をまん丸くされたゆうこ先生。

「そう思ったことは無い、な。さっきも言ったように彼女とわたしは脅し脅される、弱味を握り握られた関係だもの」
「たまに会って辱めプレイをさせられるときは、確かに主とセイドレイ的な主従関係みたいにはなるけれど…だからつまり天敵じゃない?」

「彼女には彼女なりの、そのときそのときの役割みたいなのがあって、男女に関係なくいろいろ関係持って遊んでいるみたい。その中のひとり、羞恥露出プレイとかちょっとハードなSMごっこにうってつけなのがわたしっていうだけ」
「レイカは本当、順風満帆だもの。生前贈与も凄い額もらっているし、ちゃんと男の子生んでいるし、夜遊びの浮気バレもまったくないみたいだし」

 その結論を聞かされて、私は失恋を自覚しました。
 どう考えてもゆうこ先生とレイカさんは相思相愛です。
 
 これまでのお話を聞く限り、レイカさんはゆうこ先生のことを凄く大切に想われているのでしょうし、先生もレイカさんと居るときが一番自分らしくいられると感じられているように思えます。
 たとえ四六時中一緒に居なくても、心の奥底でずっと強く惹かれ合っているおふたり、みたいな。
 私はつい最近、似たような関係性をやよい先生とミーチャンさんで教わったばかりでした。

 ある意味ホッとしてしまうと、弛緩して気怠くなってしまうまだまだ子供な私のからだ。
 その後すぐ、眠りに落ちてしまったようでした。
 夢の中で私はゆうこ先生に甘えまくって、ずっと裸で抱きしめてもらっていました。

 後日談。

 結局その後、私とゆうこ先生との蜜月は長くはつづきませんでした。

 年が明けて3月上旬くらいまで、ゆうこ先生のマンションを訪れての個人レッスンはつづきました。
 協議の上での相互マゾレッスン。
 ふたりともレッスン中ミスを犯したペナルティは脱衣。
 全裸になるまで剥くことが前提。

 私のレッスン中はゆうこ先生がエス。
 先生の模範演奏中は私がエス。
 容赦なくプラステイック定規を振るい合いました。

 ゆうこ先生は定規で恥丘からお尻の穴までのあいだ、とくに膨らんだクリトリスを潰すみたいにペチペチ叩かれるのが凄くお気に入りらしく、頻繁におねだりされました。
 全裸で大きく腰を落としたガニ股に立たせ、下から定規を股のあいだに潜り込ませて両脚の付け根そのものをペチペチするんです。

 ゆうこ先生が教わっていたピアノ講師の女性が好んでよくされていたお仕置きだそうですが、初日は私のマゾ程度がどのくらいなのかわからなかったし、性器をピンポイントでひっぱたくという、ヘンタイ度も行き過ぎ過ぎた行為ですから、ゆうこ先生もおねだりを躊躇われていたそうです。

 お美しいゆうこ先生が全裸でみっともないガニ股に腰を落とし、私は前から後ろから、定規で性器を打ち据えます。
 ゆうこ先生の両手はもちろん後頭部に充てていなければいけません。
 定規が当たるたびに、苦痛と歓喜半々で、あふうんっ!と淫らに哭かれるゆうこ先生。
 その惨めで哀れで無力過ぎる姿と背徳的な雰囲気はまさに、お仕置き、という呼び名がぴったりでした。

 もちろん私もしてもらって、すぐにお気に入りになりました。
 
 腫れて飛び出た肉の芽を叩かれていると途端にトロトロ恥ずかしい蜜が溢れ出し、プラスティックがヌルヌルに汚れました。
 陰唇と陰核と膣口と肛門と、全部が狂おしいほど熱く火照り、数発でその場にへたりこんでしまいそう。
 でもお仕置きですから姿勢を崩すことは許されません。
 鏡の前でやられると否が応でも見てしまう、みっともない自分の姿の屈辱感、服従感もたまりませんでした。

 レッスンの度に互いのお尻やおっぱいやオマンコをひっぱたき合い、拘束具で動けなくして蹂躙し合い、どちらがより苦痛に耐えられるかを競い合い、互いのオマンコを擦り付けて愛し合いました。
 マンションでエレベーターが7階に着いたら、もう着衣は不要。
 どうやって虐めようか、虐めてもらおうかしか考えていませんでした。

 エントランスの暗証番号はすでに教えてもらっていましたから、あらかじめ全裸でエレベーター前で待つように命令しておいて、到着を教えずに焦らして上がったり、逆にエレベーター下りたらお部屋に入る前に全裸になっているように命じられたり。
 鍵盤の音程当てブラインドテストで間違えるたびに洗濯バサミを全身に貰ったり、それに対抗してゆうこ先生に目隠しして私の全裸のからだを触らせてどこの部位かを答えさせ、間違えたら同じ部位に洗濯バサミを噛ませたり。
 ゆうこ先生が全裸でピアノを弾き、私も全裸でバレエの金平糖の踊り、ただしうろ覚え、を踊ったり。

 私はゆうこ先生の衰えを知らない美貌と被虐への貪欲さを妬み、ゆうこ先生は私の若さゆえの持久力、回復力と常識外れな好奇心を妬み…
 エスとエムのあいだを行ったり来たりしながら、お互いのマゾ性を刺激し合いました。
 あの後にお泊りレッスンの機会は残念ながら無く、夜九時過ぎに母が迎えに来るまでの3~5時間くらいのあいだでしたが、ふたり必ず終了間際には数回イキ果てていました。

 あるとき迎えに来た母がピアノルームを覗いて、このお部屋何か臭うわね?と言ったとき、ゆうこ先生は慌てず騒がず、

「そうですか?きっとレッスンが盛り上がり過ぎてやっとついさっき食べた、世界のチーズたっぷりピザの残り香のせいかしら?」

 なんてシラッと答えていましたっけ。

 そんなかりそめの蜜月が崩れ始めたのは3月中旬から。
 そのあいだにゆうこ先生が作曲編曲プロデュースされたTVアニメの曲がかなりヒットしちゃったんです。

 あっ、ヒットしちゃったんです、なんて言い方はゆうこ先生に失礼でしたね。
 ヒットして注目を集められ、お仕事のご依頼が急増したんです。

 そのアニメの映画化まで決まり、ゆうこ先生もにわかにお忙しくなられました。
 今日は東京で打ち合わせ、東京で歌手さんと顔合わせ、東京でレコーディング、東京で関係者パーティ…

 レッスンでマンションに行ってもおられない日々がつづき、私の恋心は募るばかり…
 もちろんNGになってしまった日は事前にご連絡くださっていたのですが、もしかして、と思ってしまう私の一人芝居…

 結局お仕事のご都合に合わせる形でゆうこ先生が東京にも住居をお借りになられ、ピアノレッスンはやむなくフェイドアウト。
 私の手に残ったのは、いつでも来て練習に使っていいよ、わたしが仕事で使っているかオナニーしていないときなら、と笑いながらおっしゃって渡してくださった、スタジオ仕様のほうのお部屋=ピアノルームの合鍵一本だけでした。

 私が好きになった人、みんな東京に行ってしまうんです…


*これまでのお話を未読or忘れていたら ピアノにまつわるエトセトラ01
 ↑(全編加筆訂正更新済2021/06/12)
*できればカクレガの前にもひとつお話を挟みたいと思っています

2021年6月12日

ピアノにまつわるエトセトラ 28

  高まりつつあった自慰行為に水を差され、とてもサディステイックな気持ちでゆうこ先生のすぐ前に立ちました。

「ゆうこ先生、本当にいやらしくて浅ましくてお似合いの格好ですね。ワレメの穴の中がパンパンになりそうな太い瓶をしっかり咥え込んじゃって」

 ゆうこ先生が腰を振るたびにジャラジャラ揺れている、両乳首を繋ぐ鎖に右手を伸ばします。

「瓶の中に先生ご自慢のオマンコから滴るいやらしい愛液がポタポタ、ずいぶん溜まってきてますよ」

 ゆうこ先生の左右の乳首と私の右手指先で、鎖が空中に淫らな二等辺三角形を描きます。

「んっーうーんっ…」

 鎖を少し引っ張るだけで、いやらしくさえずってくれるゆうこ先生。
 上下運動に加えて腰全体を回転させるような動きが激しくなり、本当にピーク間近みたい。

「それじゃあ、いち、にー、さんでお望み通り思い切り引っ張ってあげますから、思う存分イッてください」

「ハァ、はいぃぃ…あんっ、ありがとう、ございますぅぅ…」

 息も絶え絶えなゆうこ先生のお顔をじっと見つめつつカウントダウンを始めます。

「いーち」

 鎖を引っ張る腕を少し手前に引くと鎖がピンと張り詰め、挾まれた乳首が乳暈もろともこちらに引き寄せられます。

「あーっ、いいっ、もっとぉ、もっとぉ…」

「にーぃ」

 手前に引く力をかなり強めてみます。
 外れまいと噛み付いているクリップのワニ口の抵抗がはっきりわかりました。
 ゆうこ先生のふたつの乳房全体がさっきのオナニーのときみたく、おのおの円錐状に尖ってきています。

「痛いですぅ、うぅぅっ、あー、でももう少し、もう少しでぇぇっ…」

 ゆうこ先生の綺麗なお顔が悩ましく苦痛に歪み、私も全身がゾクゾクしています。
 さあ、最後です。

「ハァハァハァ…外れるまで引っ張っちゃってくださいぃ…ゆっこ、耐えられるから、我慢出来るからぁぁ…」

 眉間を盛大に歪ませて今にも泣き出しそうに哀願してくるゆうこ先生のお顔。
 だけど腰は前にも増して忙しなく上下左右に暴れまくり、息遣いもまるでマラソン走者のラストスパートのよう。

「さーん」

 ラストカウントを告げたものの、本当にこれ以上引っ張っちゃっていいのでしょうか、クリップが外れないで乳首が取れちゃったら…
 そんな私の一瞬の躊躇を、ゆうこ先生はあっさり蹴散らしてしまいました。
 ご自分から後方に大きくのけ反ったんです。

「ああーーーっいったーーーーぃいいいいくぅぅーーーーーぅぅぅぅっ!!!」

 鎖越しに感じていた緊張がフッと消え、私の手元まで戻ってきた乳首クリップ。
 本能的に耳を塞ぎたくなるほど扇情的な苦痛と幸福感が入り混じった絶叫。
 ゆうこ先生は一番低いバーをくぐるリンボーダンサーみたいな膝立ちブリッジ姿で、瓶からも外れてしまったグショ濡れ半開きの女性器を私に向けて突き出していました。

 その蠱惑的な絶叫を聞いて、もう居ても立ってもいられなくなりました。
 狂おしい気持ちでバスローブを脱ぎ捨て、立ったまま自分のからだをまさぐり始めます。
 左手は股間へ直行、右手は洗濯バサミのぶら下がった乳首もろともおっぱいを乱暴に揉みしだきます。

 目の前には本当に湯気まで見えそうな、イッたばかりのゆうこ先生の半開きピンクの濡れそぼったオマンコ。
 まだヒクヒク蠢いているそれを凝視しながら、指三本で自分のそれを無我夢中に蹂躙します。

 クチュクチュクチュクチュクチュ…
 小さく何度もイッているのでしょうが、ぜんぜん満足出来ません。

 床に散らばっている洗濯バサミを目についた順に片っ端から自分のからだに噛ませます。
 おっぱい、脇腹、太もも、お尻…

 乳首の洗濯バサミも、ゆうこ先生を蹂躙したばかりの乳首クリップチェーンに交代です。
 今までで一番キツくて痛い挟み心地でしたが、今はそれも快感です。

 イキたい、ゆうこ先生みたいにイキたい…
 それしか考えていませんでした。

 半開きオマンコブリッジの向こう側で、ゆうこ先生のお顔がゆっくり起き上がるのが見えました。
 お風呂上がりみたいに上気したその色っぽいお顔を見つめながら、自分を慰める両手がスピードアップします。

 私はゆうこ先生に嫉妬していたのだと思います。
 私よりお綺麗で、私より快楽に貪欲で、私より苦痛に耐えられて、私より自分をいたぶる術をたくさんご存知なゆうこ先生に。

 ゆうこ先生の上半身がゆっくり起き上がり、まだ息は荒いながら驚いたようなお顔で私を見つめてきます。
 私はあえて目をつぶって自分の快感だけに集中しようとしています。

「どうしちゃったの直子さま?だから気持ち良くなりたいならセイドレイに任せなさいって…」

 ゆうこ先生が目の前に来て立っていました。
 マジックテープの拘束具は自ら外されたのでしょう。
 ゆうこ先生の全身はまだホカホカ火照っていて、汗ばんだ肌にポツポツ赤い噛まれ痕がいくつも浮かび、中には内出血らしい紫色の斑点もいくつか浮かんでいました。

「先生、ごめんなさい…私にはやっぱり、ずっとエスの人に成り切るのは無理みたいです…」

 自分を慰める手をようやく止めて、正直に告白しました。

「私、先生が羨ましいんです。先生にやらせたこと、全部私にもして欲しいんです…」
「先生に私の恥ずかしい姿を視て欲しいし、先生から恥ずかしいご命令されたいし、先生にイカせて欲しいんです…」
「本当にごめんなさい…私やっぱり虐めるだけじゃ満足出来ないみたいなんです…せっかく約束したのに…」

 本当に情けない気持ちで、ゆうこ先生の前でうなだれました。

「ううん、直子さま。わたしのほうこそごめんなさいね。こんなにマゾ性を解放出来るの久しぶりだったから、わたしも突っ走り過ぎちゃった」

 からだ中に洗濯バサミをぶら下げた私をそのまま、火照ったからだで抱きしめてくださいます。
 ああんっ、洗濯バサミが押し付けられて捻られて、あちこち痛い…
 でもたぶん、裸で抱き合う人肌が今私が一番欲しているものなのでしょう。
 少しづつ落ち着いてきました。

「直子さまの気持ちを考える余裕が無かったの、大人としてダメダメね」

 溶け合うみたいに固く抱きしめ合い、ゆうこ先生から唇を重ねてくださいます。
 熱い吐息が混じり合い、そのまましばらく抱き合っていました。

 唇を離したのもゆうこ先生が先で、肩を抱かれ促されソファーに並んで腰掛けました。
 激しい抱擁とくちづけのあいだに何個か落ちてしまいましたが、わたしのからだにはまだいくつかの洗濯ばさみと乳首チェーンがぶら下がっています。

「直子さまも洗濯バサミが大好きなのね。わたしが高二の頃は、乳首にそのクリップは無理だったな」

 言われた途端にズキズキンと疼痛がぶりかえします。

「でも直子さまの辱め方や追い込み方、言葉責めはマゾの琴線に凄くキたわよ。素養はあるはず」
「最後の責めでかなりスッキリ出来たの。日々のあれこれで溜め込んでいた被虐願望が」
「だから恩返ししなきゃね。マゾにはサドも出来る、って言ったの、わたしだしね」

 ゆうこ先生が私の両乳首からぶら下がる鎖に細長い中指を掛け、つんつん揺らします。

「あんっ、あんっ!」

「それで、マゾヒスト森下直子は、わたしに何をシて欲しいのかな?」

 ゆうこ先生がさっきまでとは打って変わって、嗜虐的なお顔になられています。
 あの日のやよい先生にも負けないくらいに。
 からだ中洗濯バサミの噛み痕だらけのくせに。

「は、はい…私…大貫先生に、私のアソコのヘア、毛を剃り落として欲しいんです…先生とおそろいになりたいです…」

 ゆうこ先生のソコを視たときから渦巻いていた願望です。

「アソコの毛、って何?どこの毛?わたしを美容師さんか何かだと勘違いしているの?」

 ゆうこ先生のお顔が今まで見たことも無いイジワルいお顔になっています。
 やっぱり先生ってスゴい。

「あ、あの、だから下の毛です。お腹の下のほうの…」

「お腹の下のほうってアバウトね?おへそに毛でも生えているの?」

「あ、いえ、もっと下の、あの、恥ずかしいところの…」

「もっと下で恥ずかしい?ああ、直子は肛門に毛が生えているんだ?」

「いえ、もう少しだけ上で、オシッコが出る辺りの」

「ああ、性器の周りね。性器のこと、直子はいつも何て呼んでいるの?」

「せ、性器ですか…えっと、お、おま…あっ、その毛のことは陰毛って呼んでいます」

「インモーね。でも森下さん、嘘ついているでしょう?そんなかしこまった言い方、していないのではなくて?」

 やっぱり先生は役者が一枚上手です。
 ずんずんマゾモード沼に嵌ってしまう私。

「ごめんなさい、オマンコです。直子のいやらしいオマンコの周りに生えている恥ずかしい毛、マン毛を綺麗サッパリ剃り落として欲しいんです…」

 そんなセリフを口に出すだけで、私のオマンコはヒクヒクさんざめいてしまいます。

「森下直子は自分でマゾだって言うくせに、まだ恥毛、マン毛なんて生やしているの?マゾだったらマンコの周りはすっきりさせて、奥の奥まで覗いてもらうのが礼儀作法でしょう?」

「はい…ごめんなさい…おっしゃる通りです…覗いてもらいたいです…」

「で、それから何をされたいの?」

 ゆうこ先生、明らかに愉しんでいらっしゃいます。
 私では到底太刀打ちできないお言葉責めです。

「そ、それから、お尻とおっぱいを乱暴にぶって欲しいです。先生みたいに乳首がちぎれるほど虐められて、オマンコを掻き混ぜられて、イキそうになったら放って置かれて、手も足も拘束されて裸のまんま人目につくところに放置されて弄ばれて…」

「ふーん。それで?」

「それでも最後には先生の指でイかせていただいて、一生、大貫先生無しでは生きていけないからだにされたいんです…」

 心の底の本心から出たお願いでした。
 涙がボロボロ零れました。

 その後ゆうこ先生は、本当にその通りにしてくださいました。

 ふたり全裸でピアノのお部屋を出てリビングに戻り、バスルームで丁寧にマン毛を剃っていただきました。
 私をマンぐり返しにして天井に向けた私のオマンコに剃刀を当て、短い毛は毛抜きで丹念に抜いてくださいました。
 そのあいだずっと、ヒクヒク蠢く膣内に栄養ドリンクのガラス瓶が埋まっていました。

 それからふたたび全裸でスタジオに戻り、拘束具でガマガエルみたいな形になった私を定規や素手でたくさんひっぱたいてくださいました。
 乳首チェーンはいい具合に引っ張られ、先生の三本の指が私の膣壁とクリトリスを陵辱し尽くしました。

 その後、乳首チェーンガマガエル拘束のままお廊下に引きずり出され、エレベーターの前に仰向けで放置されました。
 性器の中にはグイングイン唸る円錐形のバイブレーターが突っ込まれていました。

 小さく大きく、幾度昇りつめたことでしょう。
 さすがにエレベーター前放置ではボールギャグを噛まされていましたが、ウンウン唸りながら何度も昇りつめました。

 エレベーター前に放置されてぐったりしているところに、ゆうこ先生が未だに全裸姿で現われました。
 焦点の合わない目でそちらを見遣ります。

 私がひとりウンウン喘いでいるあいだにシャワーを浴びられたのでしょう。
 熱が引いて白味が増した素肌にまだうっすら散りばめられたピンクの噛まれ痕が、痛々しくも、切ないマゾ性を浮かび上がらせてとてもエロティック。
 スキンローションの甘い香りが鼻腔をくすぐってきます。

 ゆうこ先生がしゃがみ込まれ、乳首クリップを外し、バイブレーターを抜き取ってくださいました。
 両乳首に最後の激痛が走り、バイブを抜かれた私の女性器も半開きでヒクヒク痙攣していました。



*これまでのお話を未読or忘れていたら ピアノにまつわるエトセトラ01
  ↑(全編加筆訂正済2021/06/11)

2021年6月6日

肌色休暇一日目~幕開け 18

 「ですのちゃんはこんなふうに、大胆な格好を誰かに視られちゃうのがたまらない、っていうご趣味なのですって」
「今日はお客様も少ないですし、そんな機会も滅多に無いでしょうから、ですのちゃんとお姉さまに心ゆくまで開放感を楽しんでいただくことにしたのよ」

 ユタカさまにご説明される女将さま。
 その視線も、ユタカさまと同じように私の半裸姿をまじまじと吟味されるよう。

「わたくしの思った通り、クラシックパンツがお似合い過ぎてとっても可憐」
「さっきの浴衣の着付けのときも思ったのだけれど、今ここであらためて見ても、ですのちゃんのおっぱい、凄く魅力的だわ」
「マシュマロみたいに柔らかいんだろうなあって思わずこう、腕を伸ばして触りたくなっちゃう」

 左側から女将さまとユタカさま、右側から仲居さまがしばらくのあいだ、じっと私に見入ります。
 真正面にはお姉さまが構えられるビデオカメラのレンズ。
 その沈黙の気不味さに、恥ずかしさの度合いも狂おしいほどにヒートアップ。

 あぁんっ、本当に触られているみたい…視線の圧が痛いくらい…乳首を摘まれて、おっぱいを潰されて、脇腹を撫ぜられて…
 とくにユタカさまからの視線は、性的欲求そのものが照射されているみたいで乱暴過ぎる…
 このいたたまれなさに比べたら、ヘンタイ露出狂と囃し立てられ、後ろ指をさされてあざ笑われているほうがまだラクかも…

 私には永遠にも思える数分間の無言の視姦…
 剥き出しのおっぱいを隠そうと思えば容易に隠せるのに、左右に力なく垂らしたままの両腕…
 ムズムズ疼く乳頭、ヒクヒク潤む内股の粘膜…
 ジンジン火照る全身をもう少しで閃光がつらぬきそう…

「さっきは、いきなり男性から声をかけられて、ですのちゃんもびっくりされたでしょう?殿方はお苦手だっておっしゃられていたものね?」

 不意に聞こえてきた女将さまのお声に、ビクンとからだを震わせた私。
 頭の中で一瞬、小さく火花が弾けました。

「は、はい…ごめんなさい…」

 お優しげな普通のお声なのに、五感すべてが敏感化し全身マゾ性の塊と化し、卑屈にお応えしてしまう私。
 女将さまに服従の意を表したくて、女将さまのほうへとからだを向けます。

 当然お隣にはユタカさまのお顔。
 私の丸出しトップレスを、至近距離正面からモロに見つめられます。

「でも安心して。彼は男性だけど、ですのちゃんの裸がいくら魅力的でも、絶対襲ったり不埒な真似は出来ないから」

 ユタカさまと私を弄ばれるように、艶っぽく謎めいた微笑みを浮かべられる女将さま。
 でも私は不思議と、ユタカさま=男性に襲われる、という恐れは微塵も感じていませんでした。

 なんなら同性からとはまた違う、そのねちっこく絡みつくような視線に新鮮な快感さえ覚えていました。
 もちろんそれは、お姉さまと女将さまが傍らに居てくださる、という安心感によってもたらされる心の余裕ゆえなのですけれど。

 それにしても、絶対襲わない、って断言出来る理由って何だろう?あっ!あの会社の方々みたいにダンショクカのかた?…
 女将さまのお言葉に動揺されたのか、急に伏し目がちとなったユタカさまのお顔を窺ってしまいます。

「彼は新婚ホヤホヤなの。それも惚れた腫れた、別れろ切れろ、すったもんだの大騒ぎな大恋愛の末」
「どんなにですのちゃんのヌードが魅力的でも、さんざん周囲を振り回してまで娶った最愛の新妻を裏切ることなんて、出来るはずもないの」

 女将さまの視線が私から逸れ、そのもっと向こうのほうへと流れます。
 その位置にいらっしゃるのはポニーテールの仲居さま=ムツキさま?でしょう。

 えっ、そういうこと?…ユタカさまとムツキさまが新婚ご夫婦ってことなのかな?…と訝しみつつ、ふと電車でのお姉さまとの会話を思い出しました。

 …そんな格好で屋外を闊歩する、誰とでもヤリそうなふしだら淫乱女なんて、カレシ持ち女性共通のエネミーじゃない…

 今の私、まさしくそれ…ですよね?
 ムツキさまから敵認定されていてもおかしくありません。
 そう思うと、これまで向けてくださっていた御愛想の良い笑顔も、侮蔑と嫌悪の込もったご冷笑に思えてきて、虐められたがりのマゾ性がよりムラムラ滾ってしまいます。

「それにしても殿方って、女性の裸を視ると本当にだらしのない顔になるわよね?」

 私に視線を戻された女将さまから、ご愉快そうに問いかけられます。

「は、はあ…」

 背中に感じるムツキさまが向けられているであろう敵意の視線が気になりすぎて、私は生返事。

「ご逗留中、ご自由にどこででも裸になって大丈夫だから、じゃんじゃんうちのスタッフ、とくに男性に、目の保養をさせてやってくださいね」

 いたずらっぽくおっしゃった女将さまに、それまでずっと無言だったお姉さまが初めてお口を挟まれます。

「ありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただくお礼に、どうぞ、この子のおっぱいをお好きなだけ弄ってやってください。この子も悦びますから」

 ホームドラマのセレブっぽい奥様がたの会話みたいにお芝居っぽくおっしゃってから、ニッと口角を少し上げた薄い笑みをユタカさまに向けられます。

「申し訳ないのですけれどフロントさん、ユタカさんでしたっけ?は、ご遠慮くださいね。新婚さんというご事情を聞いてしまいましたし、いくらこの子が淫乱なヘンタイでも、奥様から恨まれてしまうのは本意ではありませんので」

 お姉さまってば、ユタカさまにまでSっ気が滲み出ちゃってる。
 それからレンズを私に向けたまま、微かに左上方へと顎をしゃくられました。
 女将さまのおそばにもっと近づきなさい、というご命令。

「あらー、本当におっぱい触らせてくれるの?やだっ!嬉しいっ!」

 フロントカウンターを挟んで30センチも離れていない眼前に女将さまのお美しいお顔。
 バニラっぽいほのかに甘い香りが鼻孔をくすぐってきます。

 そのすぐ右横には当然ながらユタカさまのお顔も。
 フロントカウンターの高さが私が着けているおふんどしの紐より少し上ですから、おふたりには私の剥き出しな上半身のみが視界を埋めているはず。
 つまり私は生おっぱいをおふたりに誇示しているも同然で、距離が縮まったぶん恥ずかしさも倍増。

「うふふ、では、失礼させていただこうかしら」

 欲しかったオモチャをやっと手に入れられた幼子のように無邪気な笑顔を見せられる女将さまが、お着物の袖からハンカチをお出しになられ、ご丁寧に両手を拭われます。
 ハンカチを優雅に袖にしまわれ妖しい笑みを浮かべられ、まっすぐ私の目を見つめてこられる女将さま。
 おもむろに両手を、私の左右おっぱいに押し付けてこられました。

「んんっ、ぅうんーっ!」

 思わず洩れてしまう歓喜の淫声。
 最初少し冷んやり感じた人肌は、すぐに私の火照った熱とひとつに溶け合います。

「うわー、やっぱり柔らかい。手のひらが埋もれて溶けちゃいそう」

 お美しいお顔を満遍なく綻ばせて、私のおっぱいを掴んでご満悦な女将さま。
 その一見無邪気なご表情とは裏腹に、両手のひらはかなりの手練手管。

 ときに優しくときに乱暴に、包み込むように揉まれたり爪を立てるようにわしづかまれたり。
 下乳のポッテリを持ち上げては、力を緩めてタプン。
 両乳首は当然のように人差し指と薬指のあいだに逃され、ギュッギュッと絞るように虐められています。

「んっ、んっ、はぁんっ、んふぅっー…」

 女将さまからのユタカさまムツキさまのお話でいったん落ち着きかけていた淫蕩なマゾの血が、みるみる息を吹き返します。

「んっ、あっ、はぁんっ、だめっ、もうだめっ、そんなっ、あぁっ…」

 止めようとしているのにダダ漏れてしまう私の淫ら声。
 ギュッと目を閉じて快感をもたらしてくださる刺激に身を任せている私。

 脱衣所を出て以来、積もりに積もった羞恥の蓄積が決壊寸前。
 あれ?ここはどこだっけ?どこにいるのだっけ?…んーっ、でも、でも絶対絶対、イッちゃ駄目な場所だったはず…

 それでも昂りは暴走の一途。
 弄られてもいないマゾマンコの粘膜がヒクヒク爆ぜているのがわかります。
 コリコリにしこった左右の乳首が同時に捻られ、ちぎれるくらいに引っ張られます。

「だめだめだめっ!んふぁぁーーーーっ!!!」

 イッてしまいました…
 めくるめく陶酔と心の奥底でチクチク痛む微かな自己嫌悪。
 気がつくと自由奔放におっぱいを蹂躙していた物理的刺激も去っていました。
 未だにジンジンと疼く血流だけを残して。

「ですのちゃん、色っぽいお顔。イッちゃったんだ?んーもうっ!可愛い過ぎるっ!」

 艶やかなお声に目を開けると、目の前に楚々とした和服美人さま。
 脳内細胞がグルンと動き出し、秒速で現実世界に引き戻されます。

 温泉旅荘のフロント大広間…私、こんなところでイッちゃったんだ…それで少なくとも3名の昨日まで他人だっだ方々にその一部始終を視られてしまったんだ…
 迷子の子供が必死に母親の姿を探すように、お姉さまのお姿を探します。

 相変わらずの位置にお姉さまの紫色寄りな青い浴衣。
 でもお姉さまのお顔は見えず、まあるいレンズが私を狙っているだけ。
 何倍にも膨れ上がった羞恥心が、熱病のように私の全身を駆け巡ります。

「そろそろ夕餉の準備も調う頃でしょう。どうぞこの後もごゆっくり、おくつろぎくださいね」

 何事もなかったように凛としたお澄まし顔を向けてくださった女将さま。
 ご悠然と小豆色の暖簾の向こう側へ消えていかれました。

 残されたユタカさまは、何度もングングと空唾を飲み込まれ、呆然自失に紅潮されたお顔。
 恐る恐る振り向いて窺い見たムツキさまは、能面のような無表情で私のほうをじっと見ています。

「予想外のイベントが始まっちゃったけれど、直子もスッキリ出来たみたいで良かったじゃん」

 お姉さまがビデオカメラを下ろして私に近づいてこられます。

「さあ、早くお部屋に戻って、夕餉とやらをご馳走になりましょう。もうお腹ペコペコ」

 私の右手を取り、引っ張るように歩き出されるお姉さま。
 大広間に掛かっている立派な柱時計を見ると、時計の針は一番下を指して二本重なっています。
 確かここに入ってきたのは6時ちょっと過ぎでしたから、このフロントで20分以上足止めされちゃったようです。

 …その20分くらいのあいだ、ずっと生おっぱい視られ放題で、その上、女将さまの両手で、おっぱいだけ弄られてイッちゃう瞬間まで目撃されちゃったんだ…
 今更ながら自分のしでかしたことの破廉恥さに頭がクラクラしてきます。

 お姉さまに手を引かれ、フロントの広間を抜けて、緩い傾斜で上へとつづく幅広な階段へ。
 ゆっくり上がっていくと途中、作務衣姿の仲居さまとすれ違いました。

 このかたも初めて拝見するお顔。
 私たちの姿を認めるや否やハッと驚いたご表情になられるも、すぐに接客用笑顔に豹変されて脇に退かれ、いらっしゃいませの姿勢で私たちに道を譲ってくださいます。
 お部屋へとつづくお廊下に出るまでに、もうあと2名ほど初顔の仲居さまと遭遇しましたが、みなさま同じようなリアクション。

「きっと仲居さんたちの詰所では直子の話題で持ちきりでしょうね。わたし見ちゃった、本当におっぱい丸出しで歩いてた、とか、露出狂ヘンタイ女って本当にいるんだね、とかクスクス笑われているはずよ」

 お姉さまからイジワルく耳打ちされ性懲りもなくグングン熱くなる股間。
 やっとお部屋の前までたどり着くとドアは開けっ放しで、中にはまた人影が。

 キサラギさまと、お部屋に着いたときに浴衣の風呂敷包みを持ってきてくださったお若い仲居さま、そして、先ほど大露天温泉でお会いしたコンパニオン三人組の中で一番小柄ロリータなサラさま。
 更にサラさまったら、他のおふたりの作務衣姿とは超なじまない、半袖ミニスカートのセーラー服姿でミニスカートの下にはピンクのスウェットパンツを穿いておられます。

 お姉さまとふたり、サラさまのお姿のインパクトに驚きの声を上げる寸前に、サラさまの容赦無いツッコミがお部屋に響き渡りました。

「何?マゾですのっ、そんな姿で露天風呂から帰ってきたのっ!?」

 お夕食の配膳のお手伝いなのでしょう、小上がりのお座敷に置かれた座卓の上にお料理の小皿を並べる手を止めて、大きな瞳をまん丸くされているサラさま。

「なんですかキノシタさん?お客様にそんな口の利き方をしてはいけません!今はあなたはうちの使用人なのですから!」

 キサラギさまからサラさまへのきつめなご叱責。
 サラさま、キノシタさまっていう名字なんだ。

「えーっ、だってあんな、おっぱい丸出しで廊下歩いてきたんだよ?」

 叱責が不服そうなサラさま。

「いいんですよキサラギさん。あたしたちさっき露天風呂でこの人たちとご一緒して、すっかりお友達になりましたから」

 お姉さまからご愉快そうに助け舟。

「さようでしたか。お客様がおよろしいのであればかまいませんが。あとは天ぷら盛りが厨房から到着すればお召し上がりいただけますから、今少し、そちらの広間でおくつろぎくださいませ」

 お綺麗な膝立ち姿で、テキパキと卓上の小鉢を整えられるキサラギさま。
 お廊下に置かれた配膳カートからお料理を乗せたお盆をお座敷へせっせと運ばれている、もうひとりのお若い仲居さまは、私の傍らを通るたびに、信じられないというご表情で、私の剥き出しおっぱいをチラチラ盗み見られていきます。

 お姉さまと私はなんとなくお邪魔にならないように、部屋付き露天風呂沿いの窓ガラスに背を向けて棒立ち。
 お姉さまが繋いだ手を離してくださらないので、丸出しおっぱいも隠せません。

「それよりも、サラさんだっけ?どうしたの?その格好」

 お退屈なのか、お姉さまがお座敷のサラさまにお声がけされました。

「それがさ、アタシら厨房で料理も手伝ったんだけど料理って意外に汚れるじゃん、油はねたりとかさ。で、汚してもいい服って、これしかなかったんだよね」
「これ、今夜の宴会用のコスチューム。セーラー服コスプレっていうリクエストだったんだよね。ちなみに明日の宴席は彼シャツ縛りでだぶだぶな男物Yシャツ」

「もひとつちなみに、昨夜は初っ端からランジェリー指定。あとは移動用の私服と寝るとき用のスウェットしか持ってきてなくてさ」
「このセーラー服、事務所が量販店で買ってきたやつ。ペラペラのポリエステルでスカートもすぐめくれちゃうからパジャマに使ってるスウェット穿いた」

 配膳し終えたらしいお三かたがお座敷から広間に下りられて、お若い仲居さまはペコリとお辞儀されそそくさと立ち去られました。
 キサラギさまがお部屋のお電話でどこかへご連絡しているあいだに、サラさまがこちらへ身を寄せてきます。

「ねえ、ですの、本当にそんな格好で露天風呂から戻ってきたの?」

 こそこそ声で私に聞いてくるサラさま。
 そのお声を無視されるように、お姉さまが私のほうを向かれ、イジワルく問い質し始めました。

「そういえばさっきフロントで、女将さんにおっぱい揉みしだかれてあなた、イッちゃってたわよね?」
「えっ!あっ、は、はい…」

 驚愕のご表情なサラさま。

「それまでにもずいぶんいろいろあったし、あなたのふんどしの中、凄いことになっているのではなくて?」
「あ、あの、ええと…そ、そうです…」

 呆れ顔に変わられるサラさま。

「どんな状態?」
「…あの、えっと…」

 ご興味津々のお顔を寄せてくるサラさま。

「黙っていてはわからないわ。どんな状態なの?」
「あの、えっと、ぬ、濡れています…」

「そう。濡れているの。どのくらい?」
「…はい、あの…グショグショ…」

 実際、赤いおふんどしの前垂れの裏側布地は恥丘からお尻の割れ始めあたりまで、ぐっしょり濡れそぼり肌にピッタリ貼り付いているのが自分でわかっていました。
 とくに大量に分泌されたのは、女将さまにイかされたときでした。

 いつの間にかキサラギさまもお電話を終えられ、少し離れたところから私たちを見ておられます。
 接客スマイルが心做しかぎこちない感じ。

 お姉さまの頤が微かに突き出され、服従ポーズのご命令。
 両手を後頭部へ持っていくと同時にお姉さまの左手がおふんどしの前垂れをおめくりになり、間髪入れずに右手が私の股間に挿し入れられます。

「あぁんっ!」
「うわっ、本当にグッショグショ、って言うよりヌルヌルビチャビチャじゃない」

 大げさに眉をしかめられるお姉さまと、プッと吹き出した苦笑を途中で噛み殺したようなお顔のサラさまとキサラギさま。
 お姉さまがもう一度、今度は乱暴に前垂れをめくり上げられ、隠れていた結び目の紐をシュルッと解かれてしまわれます。

「あっ、いやんっ!」
「いやんじゃないわよ。そんなヌルヌルのふんどしでお座敷に座ったら、お座布団や畳を汚しちゃうじゃないのっ!」

 いやんと口には出せますが、服従ポーズはお許しが出るまで崩せません。
 ハラリと足元に舞い落ちる赤布、股間から恥ずかしい粘性を帯びて伸びては切れる幾筋ものか細い糸。
 あっと言う間に全開全裸マゾの服従ポーズ御開帳。

「失礼します。お待たせしました。当旅荘自慢の揚げたて山菜天ぷら、お持ちいたしましたぁ!」

 そのとき入り口ドアのほうから、紛うことなき男性の、威勢のよいお声が聞こえてきました。


2021年5月30日

肌色休暇一日目~幕開け 17

 「空腹は最上の調味料、とか言うけれど、夕食前に体力使わせ過ぎよね」

 半身捻られ後ずさりでの上がり階段というご無理な体勢は、さすがのお姉さまでもお辛かったようで、ンーッと背伸びされ腰を伸ばされました。
 撮影は再度広場に出るまで中断されるおつもりなのでしょう、ビデオカメラを私に向け直すこともせず踵を返されるお姉さま。
 それなら広場へ戻るあいだだけでもお姉さまと並んで歩きたいなと、私も開かずのドアに背中を向けたとき…

「あぁ~んっ、あっ、あんっ、んふうっ、いぃっ、あぁーんっ、んぅふぅぅぅー…」

 そういった種類の行為に専念していればどうしても零れ出てしまう、艶っぽい女性の切なげなため息が夕暮れの風に乗って聞こえてきました。
 そう言えば来るときも、ドアの向こうのお廊下でこの手のお声を洩れ聞きました。
 
 あのときはお部屋の壁越しに耳を澄ませて微かに漏れ聞こえくるようなボリュームでしたが、今はもっと生々しいライブな感じ。
 該当するお部屋からは今のほうが距離もあるはずなのに。

「呆れたっ、まだヤッてるの!?」

 心底呆れられてる、というお気持ちがよくわかる大きめなお声とともに、一歩先に進まれていたお姉さまも立ち止まられます。
 呆れた、とおっしゃるなら今の私の格好も相当のものなのですけれど。

「あれから何時間経っているのよ?まさかずっとなのかしら?だとしたらこのオンナ、まさに盛りのついた牝ライオンそのものね」

 お姉さまのお喩えには今ひとつピンときませんが、私も唖然とはしています。
 そして、不思議そうなご表情を浮かべられるお姉さま。

「でも変じゃない?来るとき廊下で聞いたときよりもずいぶんと生々しく聞こえない?」

 私と同じ疑問を抱かれるお姉さま。
 そうなんです。

 あのお部屋はお外へのドアからも数メートル離れたお部屋でしたし、壁越しのお声も耳をそばだてなければ聞こえないくらい微かなものだったはず…
 あらためて記憶を反芻するだけの私とお姉さまが違うところは、お姉さまはすぐにお答えを導き出すことがお出来になられるところ。

「わかった!部屋付きの露天風呂でシているのよ、一緒に水が跳ねるピチャピチャする音も聞こえない?うわー、外でシてると屋外でこんなに聞こえちゃうんだ」
「まわりが森でシンとしているから、この手の声は余計通っちゃうのかな。なんかオトコのンッンッていう低い唸り声みたいのまで聞こえない?」

「たぶん、あたしがドアをガチャガチャしていたときは、向こうも人の気配に感づいて息を潜めたのよ」
「でも、ほら、近くに誰か来たぞ、かなんかオトコが相手の羞恥心煽って、ふたりとも堪えきれなくなってまた始めたんじゃないかな」
「仕事とは言え、連日あちこちでこんな調子だったら、そりゃあ女将さんや仲居さんたちがエロに諦観しちゃうのも無理ないわよね?」

「着いてすぐ入ったあたしたちの部屋の露天風呂や、さっきの大露天風呂でも、直子のいやらしい声が周りに想像以上に響いていたんじゃない?」
「あっ、でもあたしたちの部屋のは裏庭に面していたんだっけ。でもきっと大露天風呂でのオナニーショーのほうはきっと、この辺りまで筒抜けだったわよね?」

 からかうように愉しげにおっしゃるお姉さま。
 そのご主張に対するお応えは、でもさっきの大露天風呂ではその後、お姉さまだってご遠慮なしに可愛らしく喘いでいらしたんですよーっ、です。

 どなたかの悩ましいお声は、木々のトンネルを引き返そうとドアから数メートル離れ、でもやっぱり気になってしまい立ち止まった今でも、緩やかな風に乗ってボリュームは下がりましたが明瞭に聞こえています。
 ゴール間近なのか、あっあっ、というリズミカルな吐息のBPMがどんどん上がり、いくぅ、いっちゃふぅーんっ、あっあーーんっ!という断末魔のような悲鳴の後、唐突にシンと静まり返りました。

 すぐにパチャパチャという派手な水音。
 今、私たちのすぐそばで、見知らぬ男女がセックスし終えたんだ…
 私の心臓はドッキドキ。
 
 お姉さまが不意に、何も聞かなかったかのように再び歩き始めます。

「あのアルト気味な声音からしてあの部屋のカップルは、さっきコンパニオンの子たちが言っていた、オンナのほうが遥か歳上な年齢差カップルだわね」
「要求に応えつづけるのもツライだろうに、オトコにも頑張れるだけの気力も体力もあるみたいだし、きっと相手のおばさまでDT卒業させられてヤリたい盛りがイキオイづいちゃったサル男子大学生ってとこかしら」

「知ってる?ライオンやトラの牝って発情期は執拗に数日間も、相手に交尾をおねだりしつづけるんだって。まさに牝ネコビッチ状態」
「なんだかドマゾモードに嵌っちゃったときの直子とも重ならない?」

 どうしてそんな下ネタ雑学にお詳しいのかは謎ですが、ご好奇心旺盛で博識なお姉さまですから、きっとその通りなのでしょう。
 空腹と無駄足でやさぐれ気味だったお姉さまに、いつものご様子がお戻りになられたことが嬉しいです。
 逆戻りとなってしまったトンネル階段を再度下りつつ、お姉さまがしきりに語りかけてくださいます。

「あーあ、あたしの脳内予想、半分外れちゃった」
「さっき直子に下の道行こうかって誘ったとき、地上から行けば確実に正面玄関から入ることになるな、って思ったの。フロント通れば確実に誰か人が居るはずだなって」
「それが男性だったとしても、従業員なら我慢し切れずに直子に襲いかかるようなことも無いだろうし、面白い映像が撮れそうだなって」

 私がそのとき、提示された選択と現状に取り乱した逡巡なんて、すっかりお見通しだったお姉さま。

「でも一方で、女将さん側はいくらなんでも今のあたしたちを旅荘の表玄関たるフロントは通らせたくないはず、とも思えたのよ」

 お姉さまの右手が私の剥き出しな右肩にやんわり掛かります。
 肩を抱かれたま横並びで歩きつつ、お姉さまからのご説明。

「万人を相手にする客商売、人気商売なんだから宿泊客に限らず、出入りの業者とか下見客が来たり取材だったり、いつ何どきどんな人が訪れても不思議は無いし」
「もしたまたま、その手の耐性皆無のメンドクサそうな常識人が今の直子と鉢合わせしたら、絶対ひと悶着起こるのは火を見るより明らかでしょ?」

「今の直子のその格好って、公序良俗を嘲笑っているような破廉恥とインモラルの極地だし、万が一のクレーム、今の時代SNS投稿とかお手軽だしさ、そうされたときに旅荘側が被るデメリット、イメージダウンは相当だろうなって」
「女将さんはその辺、しっかり見極められているはずだし、あたしたちだって、自分たちの快楽だけのためにご商売の足を引っ張っちゃうのはイヤじゃない」

「あたしたちの挙動をGPSで逐一チェックしているなら、庭側ルートを選んだら正面玄関まで進む前に大急ぎで誰かが足止めに来るだろうなって思ったのよ。もちろんシレッと直子の浴衣持参でね」
「それで、来たときと同じルートで戻るほうが余計なお手数も掛けずに済んで無難かな、って思っちゃったのよ」

 お姉さまのご説明に、なるほど確かにおっしゃる通り、と顎とおっぱいでいちいち頷いているあいだに、三たび開けた広場部分に舞い戻っていました。

「さてと、ここからは生おっぱい見せびらかしイベントの正解ルート。ここからは絶対に何が起きてもバストを隠してはダメだからね」
「女将さんがせっかくそれほど危ない橋を渡る決定をしてくださったのだから、直子もそれ相応の覚悟を決めないと失礼よね?」

「…はい…」

 自分の胸元に視線を落とすと、宙を衝くように尖りきったふたつの乳首の目に余るほどの存在感。
 こんな恥ずかし過ぎる恰好なのに、いやらしく感じてしまっていることが一目瞭然です。

 再びハンディビデオカメラを構えられ、レンズを私へと向けられるお姉さま。
 周囲の薄暗さゆえか、ビデオカメラの録画中を告げるランプがやけに目立って視界に飛び込んできます。
 
 これから向かうお散歩道にも、要所要所に常夜灯らしき外灯が煌々と灯っています。
 おそらく建物の窓から覗けば、目立つ光に自然と目が行き、その下を歩く人物が着衣か裸かはわかるくらいに明るく。

 お姉さまが再び、半身捻られた後ずさりな撮影体勢になられていますから、どうしたってゴールまでの歩みはのろくなってしまいます。
 金輪際おっぱいを隠すことを禁じられた私は、丸出しで熱を持つ乳頭を夕暮れの生温い風に愛撫されながら、ゆっくりと砂利道を進みます。

 一足踏み出すたびにプルンプルン震えてしまう、生おっぱい。
 首筋以下が汗ばんでいるのは残暑のせいだけではありません。

 汗の粒に外灯の光が反射して、日焼けの茶と日焼け残りの白さ、乳暈のピンクとの卑猥なコントラストをよりキラキラ目立たせているよう。
 自分で踏みしめているジャリジャリと鳴る足音さえ、ほら、ヘンタイ露出狂女が恥ずかし過ぎる格好を晒してのろのろ歩いているよ、と知らしめるアピール効果音のように聞こえてしまいます。

 普通に歩いていたならそのお見事さに思わず足を止めてしまいそうな、隅々までお手入れの行き届いた美しい日本庭園。
 白、黄色、薄紫、淡いピンク…色とりどりな草花さまたちが可憐に咲き誇っていらっしゃいます。
 私はと言えば、この美しいお散歩道を早く駆け抜けてしまいたいような、抜けきってしまうのが怖いような…

 結局、道中どなたともご遭遇しませんでした。
 なにぶん、外灯の光が届かない場所は薄暗闇でしたから、私が気づけなかっただけで木陰や物陰にどなたかの視線があったのか、階上を含めた窓から眺めていたかたがいらっしゃたのかはわかりませんが。

 そうこうして辿り着いてしまった正面玄関石畳は、居並ぶ常夜灯が広く明るく照らし出す昼間並みに明るい空間。
 数メートル先で、こちらも明るく照らし出されている、乗ってきたマイクロバスを含めた数台の自動車が整然と駐車している駐車場の佇まいからも、この施設は普通に平穏平和な営みを日々暮らされている公衆の場なのだと、あらためて思い知らされます。

 そんな場所で私は、現行犯の公然わいせつ痴女…
 これから確実に自分の身に降りかかるであろう、屈辱、侮蔑、嘲笑…
 かろうじて少しだけ残っていた理性が示唆する罪悪感もあっさり被虐願望に飲み込まれ、自分を辱めの渦中へ追い込もうとしている自虐の興奮に、マゾマンコがジンジン痺れてきます。

 正面玄関前からあらためて仰ぎ見る建物の立派さ。
 このくらいの規模の旅荘だと、一体何名くらいの方々が働いていらっしゃるのでしょう。

 お出迎えしてくださったときは、女将さまと運転手さまの他に女性3名と男性2名がこの場所に並ばれていました。
 でも総勢7名さまだけできりもりされているとは、規模から言って考えられません。
 お料理を作られる方々やお庭や調度品をお手入れされるかたなどおられるでしょうし、仲居さまだってお出迎えの3名さまだけでは無いはずです。

 一般的に温泉旅館の場合、お食事は和食が主。
 和食の厨房で働かれる方々はとくに男性の場合が多いようですから、いくら宿泊客さまに男性が少ないと言っても、館内でそういった男性と遭遇しちゃうことは充分ありえます。

 館内では今まで、女性である仲居さまたちばかりをお見かけしていたのですっかり油断していましたが、館内に入れば見知らぬ従業員男性と遭遇する確率も格段に上がる、ということに気がついてしまい、あらためて緊張度が高まります。

 隠すことは断固禁じられていますから、歩くたびにプルンプルン揺れるおっぱいはそのままに、お姉さまが向けてくださっているレンズをドキドキ追いつづけます。
 
 やがて後ずさりなお姉さまが正面玄関ドア前まで達せられたとき、ドアの素通しガラス部分の向こう側にどなたかのお姿がハッキリ見えました。
 怖いのに思わず目を凝らしてしまう私。
 
 キサラギさまではない、初めてお目にかかると思うお若そうな仲居さま。
 そのかたも私たちの姿を認められたらしく一瞬、ギョッとたじろがれたお顔を、とくに私に向けてお見せになりました。

 不意の第三者からの視線に咄嗟の条件反射でおっぱいを庇おうとしてしまう私。
 おっぱいの前を両腕が遮るような遮れ切れないような中途半端な防御姿勢…
 お姉さまのおからだをセンサーが察知したようで、スーッと開く自動ドア。

「お帰りなさいませー」

 それでもその仲居さまは、一瞬のご判断で状況を把握されたらしく、あらためてにこやかなお作り笑顔に豹変なさり、お元気良い明るいお声でお出迎えしてくださいます。
 深々とお下げになった黒髪はポニーテールに結んでおられます。

「お草履はこちらでお履き捨ていただき、お部屋履きに履き替えてくださいませ。新しいお草履が順次お部屋にご用意してありますので」

 こんな破廉恥極まる格好の私にも、御愛想の良い笑みを浮かべられ、お親しげなご対応をしてくださる仲居さま。
 スリッパを二足分、私たちの足元に揃えてくださいます。

 三和土からそっと中を覗くと、ロビーと言うか大広間に新たな人影は見えません。
 お姉さまがおっしゃっていたように、この時間帯の仲居さまがたはお夕食のご配膳でお忙しいのでしょう。

「ありがとう」

 一たんカメラをお下げになったお姉さまもお愛想良くお答えになられ、お草履を脱がれスリッパに履き替えられます。
 履き替えられてから私のほうをわざとらしくなく見遣り、まだ中途半端に胸の辺りを庇っている私の左腕を軽くつつかれました。

 ビクッと硬直し視線を向ける私を細めた目で見つめられ、わからないくらいに微かに、お顔を左右に振られます。
 おっぱいを隠すな、というご警告です。

 ポニーテールの仲居さまは、私たちより一メートルちょっとくらい離れた右側にしりぞかれ、飲食店の看板等でよく見かける、いらっしゃいませ、のポーズで、私たちの挙動を上目遣いに見守っていらっしゃいます。
 お姉さまからご警告を受けてしまった私は、胸の前で揉み手しているみたいになっていた両手を、なるべく不自然に見えないように左右にダランと下げました。
 
 自分でも赤面してしまうくらい、熱を帯びて濃いピンク色に充血した両乳首があからさまにそそり勃っています。
 その持ち主が性的興奮を催していることは、どなたの目にも明々白々。

 おっぱい、乳首、視られてる…
 恥ずかしい…
 でも…なのに…あぁんっ、気持ちいい…
 
 スリッパに履き替えて板の間に上がってから、お姉さまが再びビデオカメラのレンズを私に向けてこられます。
 チラッと盗み見たポニーテールの仲居さまも、相変わらず上目遣いの好奇爛々な瞳で見守っていらっしゃるご様子。
 思い切って仲居さまと目を合わせてみようか…
 
 そんな大胆な考えが思い浮かんだそのとき…

「あ、あのお客様…恐れ入りますが館内でのご撮影はご遠慮いただいているのですが…」

 仲居さまとは逆方向、私から見て左側から、ずいぶん慌てたようなガタガタンという物音の直後、どなたかのかしこまったような良く通るお声が聞こえてきました。
 突然浴びせかけられた軽い叱責を帯びたお言葉にビクンと震えて反射的に目線がそちらへ向きます。

 左側はフロントカウンター。
 最初にここを通ったとき、フロントと言うよりお帳場と呼ぶほうがしっくりくるな、と思ったフロントの中からでした。

 そして、耳にした少しソプラノ気味に上ずられたお声は、上ずられながらもどう聞いても男性のお声。
 そちらを仰ぎ見た私の視界に、濃紺のスーツ姿で、これまでこちらでお目にかかった男性の方々よりかなりお若そうな黒縁眼鏡の男性が、他のホテルとかのフロントでもよく見る、取り澄まされたご表情でカウンター越しに私たちのほうを向かれていました。

 えっ!?男性!?初めて拝見するお顔!?それでとうとう叱られちゃった!?
 一瞬にしてパニクってしまう私のお豆腐メンタル。
 お姉さまさえ、想定外、みたいなお顔で憮然とされています。

「え、えっと…どちらのお部屋のお客様でしたでしょうか?…」
「館内の規則は最初にご説明差し上げたはずなのですけれど…」
「と、とにかく、そのビデオカメラはお下げくださいませんと…」

 最初はお姉さまの半身捻られ後ずさりなお背中しか、その男性からは見えなかったのでしょう。
 お声に呼ばれて私が男性のほうを向いたときも、普通に接客用の笑顔を浮かべられていました。

 やがて私の破廉恥過ぎる姿に気づかれたのでしょう、一瞬えっ!?という驚愕されたお顔に変わり、ささっとお顔を背けられました。
 それでも、言うべきことは言わなければ、と思われたのか、慌てられた感じで背けたお顔を元に戻され、お言葉をつづけられました。

 最初の取り澄まされた口調から、どんどん気弱げになられていったフロント男性のご口調。
 二度目にこちらを向かれたときからずっと、今見ているものが信じられない、というご表情。

 その視線は頻繁に私に向けられ、剥き出しおっぱいを軸として私の顔と赤いおふんどしとを忙しなく行き来されます。
 動揺の色が濃かったそのまなざしが徐々に不埒な色合いへと侵食されているような…

 お姉さまが私にレンズを向けたまま立ち止まってしまわれたので、私もその場を動くことは出来ません。
 フロント男性のほぼ真正面に横向きで。
 先ほどお姉さまからご警告をいただいたばかりですから、おっぱいを隠すことも出来ません。

 あぁんっ、私の丸出しおっぱい、男性に視られてる…
 尖りきった乳首と赤いおふんどしをご熱心に交互に視てくる…
 横向きだから尖った乳首がより丸わかりなはず…
 男性の視線て女性のよりも、なんかねっとりしつこい感じ…
 いきなり襲われたりはしないよね?ここは旅荘のフロントなのだし…
 
 フロント男性からご遠慮がちに浴びせられる好色を帯びてきた視線に、少しの恐怖とそれを補って余りある羞じらいが全身を駆け巡っています。

「こちらのお客様は如月の間のおふたりっ!露天大浴場からお戻りになられたところっ!」
「ユタカっ、今朝の朝礼の女将さんからの通達事項、ちゃんと聞いていなかったのっ!?」
「団体様ドタキャンは出てしまったけれど、今日は末永くお付き合いくださりそうなお客様もいらしゃるから、心しておもてなししましょうって!」

 思いがけずフロント男性に反撃をしてくださったのは、ポニーテールの仲居さまでした。
 先ほどの御愛想良いご対応からは別人のように、幾分ヒステリックにもなられているご様子。
 そして、お姉さまのご推理がお見事に的中されたことを教えてくださった瞬間でもありました。

「そ、そうでございましたか…これは大変失礼をいたしてしまいました…」

 フロント男性が深々とお辞儀をくださいます。
 再びお顔をお上げになったフロント男性は、一転して嬉しそうに満面の笑顔。
 そういうことなら遠慮会釈無くじっくり拝見させていただきますよ、とでもおっしゃりたげな。

 駅前のお蕎麦屋さん去り際の一件が私の脳裏をかすめたそのとき…
 カウンター奥に掛かっている小豆色の暖簾がフワッと揺れて、女将さまがお顔を覗かせます。

「あらあら、ムツキさんも、お客様の前であまり大きな声を出すものではなくてよ」

 女将さまが悠然とされたお足取りで、フロント男性の左横に並ばれます。
 そのご登場のされかたが、何て言えばいいのか、わざとらし過ぎるくらいの自然さで、まるでテレビのホームドラマのワンシーンのよう。
 ひょっとして、本当にずっと暖簾の後ろに待機されていて、事の成り行きを見守りつつ、出番のタイミングを計られていたのかもしれません。

「ユタカさんがびっくりするのも無理ないのよ。彼は朝礼の後すぐに瀧川屋さんまでお使いに出て、さっき帰ってきたばかりだもの」
「ですのちゃんたちがご到着されたときもご挨拶していないから、その後のわたくしからの指示も聞いていないし、フロント業務もまだまだ見習い中ですしね」

 今度は女将さまに足止めをされる形で、私はまだフロントカウンター前から動けません。
 それをいいことに、すでにご遠慮が一切無くなられたフロント男性=ユタカさま?の両目が容赦なく舐めるように、私の全身を吟味されています。

 ユタカさま、というお名前で思い出されるのは、つい先々月、まだ夏の始めの頃にお姉さまの会社の先輩リンコさまからのご依頼で、リンコさまの甥っ子であるユタカさま他三名の小学生さまの前で淫らにくりひろげた、夏休み全裸女体研究観察会。
 
 あのときのいたいけな好奇に満ちた熱い視線さながらな、今現在眼前におられるユタカさまからの熱っぽい視姦で、あの日の記憶と現実が混ざり合い、私の被虐メーターが陶酔に振り切れそう。
 
 更に、女将さまにまで、ですのちゃん、呼びが浸透されていることも知り、この旅荘の方々全員から慰み者にされている気分です…


2021年5月22日

肌色休暇一日目~幕開け 16

 「あたしが着けてあげるから、こっちへいらっしゃい」

 空間に余裕のある鏡の前まで移動され、手招きされるお姉さま。
 全裸のままビクビク及び腰で従う私。

「脱衣所みたいな裸になる場所が鏡張りだと、なんだか照れくさいわよね」

 鏡に映ったご自分のお顔を覗き込まれ、その前髪をチョイチョイと弄りつつお姉さまがおっしゃいます。

「あ、でもそっか。直子はこういう部屋でのオナニー、大好物だったっけ」

 からかい口調でお姉さまがおっしゃるのは、私が住むマンションの一室、マジックミラー張りのサンルームのことです。
 夜になって室内の灯りを点けると三方のガラスがすべて鏡と化すサンルーム、通称お仕置き部屋。
 4階なので容易にお外からは覗けないのをいいことに、自分の恥ずかし過ぎる痴態をあらゆる角度に映しながら自虐的自慰行為に励む夜がままあるのは事実でした。

「鏡に向かって真っすぐ立って。足は少し開いて」

 ご自分は一歩下がられ、私を大きな鏡面のすぐ前へと誘導されます。
 スッピン素っ裸の自分の姿が、よく磨き込まれてピカピカな鏡面に等身大で鮮明に映っています。

 背後にはスッピンでも充分お美しく、浴衣姿も超絶お似合いな麗しのお姉さまのお姿。
 自然と両手が後頭部へ伸び、ご命令無しなのに自らすすんでマゾの服従ポーズとなってしまう私。

 真紅の布地の端から左右へと伸びている細い紐をそれぞれの手に持たれたお姉さまの両手が、背後から私のウエストを抱くように交差され、絞るみたいに少しきつめに巻きつかせた紐の両端を、おへその前くらいで蝶結びにされました。
 この時点では、赤い布はお尻側にダランと垂れ下がり、まだ丸出しな恥丘。

 お姉さまの手がお尻側に垂れ下がった布地を持たれ、尻たぶを隠すように股下を前方へとくぐらせて恥丘と下腹部を下から覆ってから、さっき作ったウエストの蝶結びと肌のあいだをくぐり抜かせます。
 まだ余っている長さ30センチに満たないくらいの真っ赤な長方形の布地が、もう一度下腹を覆って垂れ下がりました。

 お姉さまにされるがままになっているあいだ、ふと気づきました。
 これって股縄の縛り方とほぼ同じじゃない?…
 股縄するときは結び目でコブを作って気持ちいいところに当たるようにしたりするけれど…
 そんなことを考えていたら、キュンキュンヒクヒク、赤い布に覆われてしまった股間が疼いてきます。

「へー、かなりイケてるんじゃない?赤フン直子」

 鏡越しに私のおふんどし装着姿を、まじまじと見つめられるお姉さま。
 生まれて初めての自分のおふんどし姿は、何て言うか、すさまじい恥ずかしさ。

 下半身は完全に覆われ下着としての機能性は申し分ないのに、真っ赤というその派手すぎる色のせいか、却って下腹部を強調して注目させたがっているみたい。
 下腹部にハラリと垂れ下がっている前垂れ部分は、その下がちょうど性器部分ですし、ちょびっとめくってみたい、という衝動を思わせぶりに掻き立ててきます。

 鏡のおかげで自分の全身を客観的にも見れるので、おっぱい丸出しで真紅のおふんどし一丁なその姿が他の人からどう見えるのかも想像でき、どんどん恥ずかしさが増してきます。
 
 たとえばワンピースとかスーツとか普通の服装をしていて、何かの拍子で下着姿にならなければいけない場面があって脱いだらおふんどしだったら、見た人たちは面食らうだろうな…
 それで絶対、あの子ヘンタイだ、って噂されちゃうんだ…
 恥ずかしい、というキーワードでみるみる膨らんでしまう私の被虐妄想。

「いい、本当にいいわよ直子、直子と赤フンて相性バッチリ」

 背後からお姉さまの片手が私の肩に軽く置かれ、その手に導かれて私は回れ右をさせられました。
 至近距離で向き合ったお姉さまの瞳が、今度は生身の私のからだを上から下まで舐めるように見つめてきます。

「そう言えば、女子にふんどしを流行らせようとするステマみたいなのって、女性誌やネットでたまに見かけたわよね」
「ゴムの締め付けが無いとか通気性がいいとか、夜寝るときだけでも安眠効果抜群とか。実際に愛用しているって子には会ったこと無いけれど」

 最後の、無いけれど、をなんだか皮肉っぽくおっしゃったお姉さま。

「でも女子とふんどしの組み合わせって言ったら、やっぱりエロ絡みで推すべきよね?直子のその姿見て確信しちゃった」
「まず、そのミスマッチ感がいいわ」

 お姉さまってば、なんだかお仕事モード並に真剣なお顔つきになられています。
 お仕事で新作アイテムのサンプルが上がってきたとき、トルソーに着せてその改善点を吟味されているときのようにバストの下で両腕を組まれ、おふんどし姿の私の周囲を行きつ戻りつされつつ、ご自身の頭の中に渦巻くお考えの要点をおまとめになられているかのようにつぶやかれます。

「年頃の女子なら自分ではまず選ばない種類の下着だから、していたらそれは誰かに無理矢理着せられているのよ。命令とか脅迫とかされて」
「下着っていうことで、その着させている相手との関係が性的なものっていうことも、着せられている子がマゾ気質寄りってことも容易に想像出来ちゃう」

 私の下腹部に垂れる赤い布をピラピラめくったりしながら、お姉さまがつづけられます。

「あと構造のシンプルさゆえの、儚さ、っていうか、あやうさ、みたいなのもいいわよね」
「もちろんふんどし自体、使い勝手の良い実用性に富んだ優れた下着ではあるのだけれど」
「紐をスッと解いたらハラリと崩れて、大事な部分があっさり丸出しになってしまうところとか、一度解いたらただの一枚の布片になって、すぐには元通りに戻せないところとか」

 お姉さまの指が再び赤い前垂れをめくられたので、紐を解かれてしまわないかとハラハラする私。
 お尻の穴の少し手前部分の布地が早くもジワジワ濡れ始めているのを自分でわかっていましたから。

「まあ、中には自分で選んであえて日常的にしている子もいるかもしれないわね。まんまとステマに乗せられちゃった子は別としても、サブカル関係とは相性良さそうだし、厨二病女子が、特別な私、を演じたくてこっそりとか」

「そうだとしても、そのチョイスって、その子の深層心理下で欲している何らかの特殊性癖のあらわれだと思えない?だって、あえてのふんどしだよ?」
「あー、何か面白そうなビジョンが見えてきた。東京帰ったら早速ふんどしの研究しなくちゃ」

 お姉さまがおひとりで、思慮深げに大きく頷かれました。
 それから私の右肩を軽くポンと叩かれ、明るくおっしゃいます。

「さあ、それじゃあ部屋に戻ろっか?」

 ロッカーのところまで戻られてポシェットを取り出され、ロッカー内に他に何も残っていないことをご確認になり扉を閉じられます。
 テーブルの上にビデオカメラとポシェットとカッパさまこけし。
 お姉さまがビデオカメラとポシェットをお取りになり、こけしは直子が持ってって、とお声がけ。

 えっ!?
 ちょ、ちょっと…そんな…

「あ、あの、お姉さまっ!?」

 ドアのほうへと歩き出そうとされていたお姉さまを、思わず服従ポーズを崩して切羽詰まった声で呼び止めます。

「何よ?いきなり大声出して」

 ゆっくり振り向かれるお姉さま。
 両腕を胸の前でX字に組み、丸出しおっぱいを庇うようなポーズに変わった私。

「あの、上のほうは、わ、私の上半身、な、何か羽織るもの…とか…」

 振り向かれたときの不機嫌そうなお顔は、絶対わざと作られたお顔。

「ないわよ」

 素っ気なく吐き捨てられた後、ニンマリとイジワルい笑顔。

「あたし考えたのよ。これって女将さんからの大サービス。あたしたちに気分良く宿泊してもらおうっていう気持ちのこもったサプライズおもてなしなのじゃないかって」

 おふんどしについてご考察されていたときとは一転され、嬉々としたお顔てご自分のお考えをご説明くださるお姉さま。

「直子の浴衣は、汚れているからってキサラギさんが持っていっちゃったワケでしょ?で、代わりにその赤フンを置いていった」
「あたしたちは裸になって露天風呂に入るのだから、帰りに浴衣が無かったら困るのはわかりきっているはずよね?」

「でも、あれから二時間近く経った今も洗濯した直子の浴衣を戻しに来る気配が無い。もしもまだ乾いていないとかなら代替品でも戻すべきよね?」
「夕食の時間も近いのだから、あたしたちがそろそろ部屋に戻るであろう頃なのも、承知のはず」
「それはつまりそういうことなのよ」

 自分のおっぱいに密着させた腕に、ドキンドキンという自分の心臓の音を感じます。
 そんな私をご愉快そうに見つめつつ、お姉さまがつづけます。

「あたしはね、あたしたちの行動はある程度、旅荘側にモニターされていると思っているの。たぶんこのリストバンドにGPSか何か仕込んであるのね」
「だってタイミング良すぎたもの。部屋を出ていったん露天風呂まで直行して、途中で脱衣所に戻ったタイミングを見計らったみたいにキサラギさんが現われたんだよ?」
「まあ、ある程度宿泊客の行動を把握しておかないと、配膳とかアメニティの補充指示の都合とかがあるだろうからね。スマートにおもてなしするためには」

 そこで一呼吸置かれ、少しだけお声を潜められるお姉さま。

「あたしがね、これは女将さんたちの粋なふるまいだな、って確信を持てる事実があるの」
「それはね、あたしがここにひとりで来てロッカー開けたときは、ロッカーの中に湯浴み着もバスタオルもちゃんとふたり分用意されていたのよ」
「それが今見たら、それらも消えていて赤フンだけしか残っていなかった…」

 お姉さまが私をまっすぐに見つめ、その端正な頤を私へと突き出すように動かされました。
 服従ポーズのご合図です。

「未使用のバスタオルか湯浴み着がまだあれば、直子もそれを纏うとかして上半身も隠せるワケじゃない?だけどキサラギさんはそれをも持ち去ってしまった」
「それらのことから導かれる結論はひとつ、直子はトップレスで自由に旅荘内を歩いていい、っていうお墨付きが出た、ってことでいいんじゃない?」
「仲居さんだけの采配で出来ることじゃないから、つまり女将さんからの粋なプレゼントね。女将さん、直子のこと気に入ったぽかったし」

 後頭部に両手を添えておっぱいと両腋を全開にしている私を、お姉さまが何かまだ意味ありげに見つめてきます。
 その愉し気な瞳を見つめ返しながら、これから自分の身に起こることを考えてみます。

 赤フン一丁のおっぱい丸出しで、お部屋まで戻る…
 驚かれ、やがて好奇か憐憫か劣情か、いずれにしても侮蔑満点な見知らぬいくつもの視線に晒される…
 お姉さまの目の前で、両乳首にグングン血液が集まり全身がみるみる火照っていくのが死ぬほど恥ずかしい…

「たぶんそこの電話でフロントに連絡して、浴衣が無いんですけど、とか言えば、すぐに持ってきてくれるとは思うわ。遅れて申し訳ございません、とかシレッと謝りながら」
「でも、今は夕食時の配膳時間で仲居さんたちがてんてこまいだろうからお手数取らせるのは申し訳ないし、何よりそれだと優しい女将さんからのせっかくのご好意をないがしろにしちゃうことになるわよね?」
「見せたがり見られたがりな露出狂の直子がそんな無粋なこと、するわけないわよね?」

 ないわよね?と決めつけるようにおっしゃられたら、はい、ありません、とお答えするほかありません。
 その瞬間私の、赤フントップレス温泉旅荘館内引廻しの刑、が確定しました。

 他の宿泊客さまや従業員さまも往来していらっしゃる旅荘の敷地内を、真っ赤なおふんどし一枚のおっぱい丸出し姿で歩く…
 想像するだけで頭がクラクラ、頬がカッカと熱くなってきます。
 いくら女将さまのお許しが出ているとしても、そんな正しく公然わいせつそのものな行為を本当にやってしまって大丈夫なのでしょうか…

 到着したときも正面玄関で、かなり恥ずかしい着衣で従業員ご一同さまのご歓迎を受けました。
 それでもあのときは、前結びチビTと言えどもおっぱいはちゃんと布地に包まれていました。
 でも今回は、剥き出し、丸出し、トップレス…恥辱と背徳のレベルが格段に違います。

 ここまで来るときに辿った道順を思い出してみます。
 木々のトンネルは遮蔽物が多かったけれど、開けた場所では旅荘の母屋も見渡せたし、階下はお散歩道ぽくベンチも置いてあったような…
 
 館内に入ったら、明らかにお客様がご逗留されているお部屋はあったし、お廊下を仲居さまがたも行き来されていたような…
 つい数時間前のことなのに記憶が曖昧模糊ですが、とにかく、絶対どなたかに視られちゃう、とゾクゾクが止まりません。

「上半身何も無いないのも心細いだろうから、帰りは直子にこれを譲ってあげる」

 お姉さまが嬉しそうにハート型ポシェットを私の肩に掛けてくださいます。
 剥き出しの素肌にパイスラッシュ掛けで。
 素肌に白い紐状ストラップの斜めアクセントが入ったことで、却って余計に剥き出しおっぱいを目立たせている気がします。

「さあ、もう服従ポーズは解いていいから出かけましょう」

 おっしゃりながらビデオカメラレンズを向けてこられるお姉さま。
 こんな姿までもデジタルで残されてしまうんだ…
 赤いおふんどしにおっぱい丸出しな素肌パイスラで片手にこけしを握りしめている女性を目撃したら、そのかたは一体その女性のことを何と思われるのでしょうか…
 
 今の自分の姿の喩えようのない破廉恥さにクラクラしながら、お姉さまが開けられたドアをくぐれば、そこはもうお外。
 大自然の中、絵葉書みたいな黄昏時の綺麗過ぎる夕陽と、自分が今している格好とのそぐわなさに、露天風呂で全裸になったときのン十倍もの羞恥を感じています。

「ほらほら、せっかくの生おっぱい隠してちゃダメじゃない?直子は見せたがりやさんなんでしょ?」

 そのお言葉に、両腕X印でバストを庇っていた姿勢を渋々改めます。
 夕方の優しい風がバストトップを撫ぜていき、その愛撫のせいで乳首が乳暈もろともますます背伸びしてしまいます。

 レンズをこちらにお向けになるために半身捻られた後ずさり、みたいなご体勢で砂利道を進まれるお姉さま。
 自撮り棒持たせてセルフで撮影させればよかったかな…なんて愚痴をつぶやかれています。
 やがて二階へと繋がる木々のトンネルが始まる広場部分へと到着しました。

 二階への上り口前には、↑矢印二階・西側客室入口、の看板。
 その左側には、←矢印母屋正面玄関、という別の看板があり、敷地内のお庭を通るのでしょう、細かい砂利石を敷き詰めた小路が植え込みを左右にしてつづいているようです。

「ああ、こっちの地続きな道からでも建物に戻れるんだ。ねえ、帰りは下の道を通ってみよっか?」
「薄暗くなってきたし、お庭をお散歩している宿泊客なんてもういないんじゃないかな?」

 いたずらっぽくご提案くださるお姉さま。

「えっと、私たちが温泉に入っているあいだに新しく男性のお客様がたが大勢みえていらっしゃるかもしれませんし…」

 ご提案を思いとどまっていただきたくて、とっさに思いついた可能性をあわてて口にしました。
 お散歩道よりもその後に、どうしても回避したい最難関が待ち構えていることに気づいていたからです。

 だってもしも一階から戻るのなら…
 確かにもう薄暗くなってきていますし、お庭では何事も起こらなかったとしても、確実にもう照明が灯っているであろう玄関を通って明るいフロントを横切り、燦々と照明降り注ぐ階段を上がってお部屋まで辿り着かなければなりません。
 
 いくら宿泊客さま少なめと言えども、ご熱心に働いていらっしゃる従業員さまがたには、確実に多数目撃されてしまうでしょう。
 更に、本当に新しい宿泊客さまがたまでご到着されていたら…

 着いた途端に恥ずかしすぎる着衣を従業員さまがたに晒してしまった私でしたが、今の私は、それを充分上書きして余りある程のヘンタイ過ぎる姿なのです。
 目撃され次第、頭のおかしい公然わいせつ痴女、と後ろ指をさされて然るべき機関にツーホーされても何も弁解出来ないくらいに。

 上への道ならば、出会っても仲居さまがた、運が良ければ私の性癖をすでにご承知なキサラギさまだけで済みそうな予感もするので、ここはなんとか下の道を回避したいところでした。
 おそらく今にも泣き出しそうなほど、憐れみを乞う顔付きになっていたと思います。
 私の顔をじっと視られ、それから少し上目遣いに何か考えられた後、お姉さまがお答えくださいました。

「そうね。あたしも何だかんだでお腹空いちゃったし、知らない道行って迷っちゃったら面倒だし、来た道戻ってササッとご馳走にありつきましょう」

 意外と簡単にあきらめてくださったお姉さまのご決断にホッと一息。
 少しだけリラックスして木々のトンネル、お部屋への帰りは上り階段、へと進みました。

 トンネル内は、お外からの目を緑の葉っぱさまたちが遮ってくださいますし、段々と地上よりも高い位置へと導いてくださいますので気分的にラク。
 憂慮すべきは、露天風呂へと逆方向から来られるかたとの至近距離でのすれ違いですが、今はちょうどお夕飯前。
 こんな時間帯にわざわざお風呂へと向かうかたもいらっしゃらないでしょう。

 相変わらず、半身捻られた後ずさりなご体勢で私の赤フンおっぱい丸出し姿を記録されながら、一段一段の距離が長めな階段状通路をゆっくり上がっていかれるお姉さま。
 果たして館内二階のお廊下へとつづくはずのドアまで、どなたとも遭遇せず無事上りきりました。

 檻のような柵で囲まれた踊り場で一息。
 どなたにも視られずに到着してしまうと、逆になんだか残念に感じてしまう…っていうのはムシが良すぎますよね。

 だけどこの先は、従業員さま、宿泊客さま、どなたと出会っても仕方のない建物内です。
 あらためて緊張しつつ、お姉さまがドアを開かれるのを待ちます。

 って、あれ?
 開かないのかな?
 お姉さまがドアノブをガチャガチャさせて押したり引いたりされていますが、一向に開きません。

「そう言えばここ、内鍵だったっけ…」

 ポツンとつぶやかれたお姉さま。
 どなたかが建物内から施錠されてしまわれたみたいです。
 こちら側のドアノブに小さな鍵穴はあるものの、合う鍵なんてもちろん持っていません。
 お外に締め出されてしまった形のお姉さまと私。

「どうやらいったん引き返して庭を抜けて行くしか、部屋に帰る道は無いようね」

 無駄足が確定して、やれやれ、というニュアンスも混じるお姉さまのご宣告に、私の被虐はキュンキュン再燃。
 絶対どなたかが常駐されているはずのフロントを、この公然わいせつ確信犯痴女な姿で通り過ぎなくてはいけないことが確定してしまいました。

2021年5月15日

肌色休暇一日目~幕開け 15

 お三かたよりも遠くの一点を呆けたように見つめている私に気づかれたようで、カレンさまが怪訝そうに後ろを振り返られました。

「あれ?姐さん!もう戻ってきちゃってたんだ」

 バツが悪そうにお道化たカレンさまのお声に、他のおふたりもお姉さまのほうへと振り向かれます。

「あ、これはその、どのくらいマゾなのか、ちょこっと見せてもらってたんだ…」
「スゴいイキオイでイッてたよ、大股開きで腰ガクンガクンさせて…」
「どうして湯浴み着なんか着ちゃってるのかしら、女湯状態なのに…」

 お三かたとも私にお尻を向け、湯船の中をビデオカメラ片手にゆっくり近づいていらっしゃるお姉さまに小さく手を振ってらっしゃいます。
 その揺れるお背中と声音がどなたも何て言うか、ビミョーに後ろめたそう。
 ちょっとヤンチャし過ぎちゃったかな…みたいな。

「お相手していてくださったのね、ありがとうございます」

 島のすぐ近くまで歩み寄られたお姉さまが優雅に会釈されます。
 ストンとしたワンピース型の湯浴み着はホルターネック。
 そこだけ剥き出しになっている両肩の肌色が妙に色っぽくて、まじまじと見惚れてしまいます。

「なんで湯浴み着なんて着ちゃってるわけー?ここ、女しかいない貸切状態なんですけどぉ」

 たじろぎ気味だったカレンさまが仕切り直されるように、先ほどシヴォンヌさまもつぶやかられていた違和感を、ご冗談ぽくなじるようにお姉さまへぶつけられます。

「あたしは裸でも別に構わないのだけれど、この子が嫌がるのよ」

 薄い笑みを浮かべたお姉さまが、ベンチの上でまだM字開脚な私を指さします。

「自分以外があたしの裸を見るのはダメなんだって、男でも女でも」
「他人があたしを、そういう目、で見ること、が許せないらしいわ。自分は辺り構わず脱ぎ散らかして、誰にでも性器の奥まで晒してる露出狂のクセにね」

 お三かたのすぐそばまで来られたお姉さまが、いたずらっぽい笑顔でおっしゃいました。

 でも私、今までお姉さまにそんなことをお願いした覚えはありません。
 確かに、お姉さまのお綺麗過ぎる裸身がたとえ温泉とは言え私以外の目に触れてしまうのは、私にとって愉快なことではないのは事実ですが…

「へー、意外にふたりはラブラブなんだねー」
「ですのちゃんの姐さんは、ご主人様としてただイジワルするだけじゃないんだー」

 サラさまカレンさまの冷やかすようなご指摘に、なんだか照れ臭くも嬉しくなってしまう私。
 お姉さまは、と見ると、余裕綽々のお澄まし顔でみなさまと対峙されています。

「まあ、そんな感じなんで、みなさんはあたしにお構いなく、思う存分この子を慰み者にしてくださって結構よ」

 艶然とした笑みを浮かべつつ、どうぞどうぞ、という感じに両手のひらを上に向けたジェスチャーで煽られるお姉さま。

「あー、でもやっぱりこの姐さん、ドエスだー、キチクだー」
「思う存分慰み者にって、ですのちゃんカンペキにオモチャ扱いじゃん」
「お許しが出たってことは、うちらもですのちゃんのカラダ、あれこれイジっちゃってかまわないのよね?」

 私のほうへと向き直られるお三かた。
 そのすぐ後ろからお姉さまの瞳がまっすぐに私を見つめてきます。

「ほら、あなたからもみなさんに、どうして欲しいのかちゃんとお願いしなきゃダメじゃない?」

 ご愉快そうに唇の両端を歪めた笑顔で、お姉さまからの無慈悲過ぎるサジェスチョン。
 自分の口で自分から辱めを乞いなさい、というご命令。

「あ、は、はい…ど、どうぞみなさま…わ、私をお好きなように虐めてくださいませ…」
「わ、私は、は、恥ずかしいご命令されると感じて濡れてしまうヘンタイマゾですから、ど、どんどん、は、辱めて欲しいんです…」

 なんとか声にした言葉は、マゾを自覚した中学生の頃から自虐オナニーのときに何度も何度も、妄想の中のお相手に向けて訴えかけていたセリフでした。
 言い終えた途端にマゾマンコの奥がヒクンヒクンと盛大に疼きます。
 ついさっき、みなさまに視ていただきながら、頭の中が真っ白になるくらいイキ果ててしまったというのに。

 気がつくとまだM字状態の股間にあてがっていた両手の指が、知らず知らずラビアの左右にかかっていました。
 それだけではなく軽く外側に引っ張るみたいに、その部分の皮膚を引き攣らせてさえいます。

 パックリ開いた私の膣口、濡れそぼった粘膜に当たる空気。
 脳内では電車の中でお姉さまに教わったあの恥ずかし過ぎるセリフを反芻しています。

 …これが直子のマゾマンコです、奥の奥まで、どうぞじっくりご覧ください…

 私のその部分に釘付けなお三かたの呆然とされているような視線。
 どなたよりも早くその瞳孔が細まり、妖しげに揺らいだのはシヴォンヌさまの瞳でした。

「それなら今度はお尻をこちらに向けて、四つん這いになってもらおうかしら」

 シヴォンヌさまが右手に持たれたカッパさまこけしをゆらゆら揺らしながらおっしゃいました。
 シヴォンヌさまのお声でハッと我に返られたようにビクンと肩を震わせる他のおふたり。
 申し合わせたように見合わせられたお顔がみるみるお緩みになり、ご興味津々なご表情に染まっていきました。

 四つん這い…
 その屈辱的なお言葉の響きに私のマゾ性は狂喜乱舞。
 早速体勢を変えようと両足を地面に下ろしたところで、はたと考えてしまいます。

 この狭いベンチの上で、お尻をみなさまに向けて四つん這いって?横向きではダメなのよね?
 ベンチの座席部分は当然ながらお尻を置くほどの幅しかありませんから、その狭い幅に四つん這いって…

「あー、ごめんごめん、ベンチの上でって意味じゃなくて、ベンチ降りてこちらにお尻を突き出しなさい、っていう意味ね」

 シヴォンヌさまの苦笑交じりなご訂正のお声。
 でもお顔を盗み見ると、目だけは笑っておられず、少々苛立ち混じりなのもわかりました。

「ベンチを降りて、後ろ向きになって、両手をベンチに預けて、両脚を開きなさいって言ってるのっ」

 シヴォンヌさまの声音がどんどんSっ気を帯びてきているように感じます。
 ゾクッと両肩が震え、急いでベンチを降りご命令通りの姿勢になります。

「両手をベンチに着くんじゃなくて、頭ごとベンチにひれ伏すのっ。土下座みたいに顔面はベンチに擦り付けてケツをこっちに突き出すのよっ!」
「ほらほら、もっと高くオマンコとコーモンを差し出しなさいっ」

 シヴォンヌさまのヒステリックに上ずったお声が間近に聞こえてきます。
 ご指示通りにからだを動かしているあいだに垣間見えたシヴォンヌさまは、すでに湯船から上がられ、そのゴージャスな全裸ボディを惜しげもなくお陽さまに晒されつつ、あからさまに嗜虐的な笑みを浮かべられていました。

 バシッ!
 あうぅ!

 小気味よい音を立て、シヴォンヌさまの右手のひらが私の左尻たぶを打擲しました。
 石のベンチの上に両手の甲を枕にして顔を押し付けたまま、両膝はほとんど曲げず腰だけ突き出す前屈姿勢な私のお尻を。

 だらしなく垂れ下がった私のおっぱいは、乳首の先端とベンチのコンクリート座面が触れるか触れないかのスレスレ。
 お尻を叩かれた瞬間に緊張していた筋肉が緩み、膝も少し落ちて両乳首先端が石の座面をザリっと擦りました。

 はうっ!
 その予期せぬ強烈な刺激に思わず両膝もいよいよ開いてしまい、弾みでよりパックリ開いた秘唇からダラリとはしたない涎を垂らしてしまう私のマゾマンコ…

「あら、お尻軽くぶっただけなのにずいぶん敏感な反応なのね。さすが、マゾですの、なんて自称するくらいの淫乱ぶりですこと」
「それで顔は出来るだけこっちに向けたまま、さっきのつづきをなさい。第2ラウンド」
「その不自由な格好で手を伸ばして自分の指で弄って。淫らに高まってきたら、今度こそこれをワタシの手でたっぷりご馳走してあげる」

 首だけ捻じ曲げ必死にお声のするほうへと向けている私の顔先に、カッパさまこけしをお見せくださったシヴォンヌさま。
 何もかもを晒し切っている私のお尻の割れスジを、カッパさまの滑らかな木肌がツツーッと撫ぜていかれました。

「はうんっ!は、はい…わかりました…」

 全身被虐の塊と化した私が、ご命令通り右手をそこへ伸ばそうとしたとき…

♪ンターターターター、タータ、タータンタッタッタッタッタター…

 どこからともなく流麗な弦楽の調べがたおやかに流れてきました。
 えっと、このメロディは確かシューベルトさんの、ます、だったっけか…
 ふっとそんな事を考えて伸ばしかけた手が途中で止まったとき、悲鳴にも似た叫声が近くであがりました。

「げげぇーーっ!?もうそんな時間?」
「うちら夕食の仕込みと配膳手伝うって、きり乃さんと約束したじゃん、チョーやべえ」
「これって5時のチャイムだよね?秒で行かんとヤバくね?」

 お三かたが軽くパニクっていらっしゃるご様子。
 私も座面に手を着いて少しだけ上体を起こし、左肩越しに湯船の方を見遣ります。
 お姉さまは、あらま何事?という感じに唖然とされたお顔。

「ですのちゃんも姐さんも本当にゴメンっ!うちら仕事あんのすっかり忘れてたわ」

 カレンさまサラさまがお湯をザブザブと掻き分けて脱衣所に通じる陸地のほうへと急いでいかれます。
 シヴォンヌさまだけがお姉さまとしばし何やらお話をされた後、先に行かれたおふたりの後を追われました。

 最後に湯船から上がられたシヴォンヌさまが剥き出しのお尻をフリフリしつつ視界から消えていきます。
 何がなにやらわからないまま、相変わらずお尻を湯船側に高く差し出したまま、お見送りする私。

「やれやれ。賑やかな人たちだったわね?」

 お姉さまが島のすぐそばまで近づいてこられ、私にニッコリ微笑んでくださいました。
 この恥ずかし過ぎる姿勢をいつ解けばいいのか、タイミングが掴めない私。

「なんかあの人たち、安く泊めてもらう代わりに女将さんにお手伝いを約束していたみたい」
「でもノリのいい人たちだったから面白かったわよね?愉しそうな虐めはお預けになっちゃったけれど」

 湯船に立たれているお姉さまは、湯浴み着の裾ギリギリくらいまでがお湯に浸っています。

「あたしたちはまだ夕飯まで時間あるし、もう少し愉しみましょう、せっかくの露天温泉混浴大浴場が完全貸切状態なのだし」

 おっしゃりつつ背後を振り返られ、何かをご確認されているようなご様子。
 やがてご安心されたお顔で再び私のほうへと向き直られたお姉さまは、おもむろにホルターネックの首後ろの紐をスルスルと解かれました。
 不意にしゃがまれたお姉さまのおからだごと湯浴み着がお湯の中にのみ込まれ、十秒くらい置いて立ち上がられたとき、お姉さまは全裸になられていました。

 そのお姿で両腕をお広げになり、私を迎え入れてくださるポーズをお取りになるお姉さま。
 飼い主に呼ばれたワンちゃんみたいに、一目散にお姉さまの胸中に飛び込んだのは言うまでもありません。

 それからふたり、お湯の中でお互いの気持ち良くなれる秘所をまさぐりまさぐられ。
 両腕、両手、左右の指、唇と両脚は片時も求め求められる感触を外すことを知らず、悩ましい淫声を抑制することも無く、大自然の中で本能のおもむくままに愛し合いました。
 もの凄い開放感、高揚感、満足感、幸福感…

 どのくらいの時が過ぎたでしょうか。
 ようやく一般的に夕方と認識されるくらいにお陽さまが翳った頃、お姉さまと私は裸で湯船の縁に並んで腰掛け、ハアハア荒い息を吐きつつぐったりと足先だけを湯船に浸けていました。

「ハア…やっぱり直子ってスゴい。あたし、ここまで快楽に溺れたことってないわ。溜め込んでいたあれこれ、ぜーんぶ浄化されちゃった気分」

 お姉さまの疲れ切って掠れた、心の底から絞り出されたようなお声に、私も告げたいことが頭の中で大渋滞状態。

 …さっきお姉さまが湯浴み着姿で来てくださった時、凄く嬉しかったんです…
 …その後のお言葉、私がうまく言えなかったことをちゃんとわかっていてくださっていたんだなって思って、涙が出そうなくらい感動でした…
 
 …シヴォンヌさまたちを、ちゃんと私を虐めるように仕向けられるお姉さまの的を射た話術も凄いです…
 …私、お姉さまの笑顔のためなら本当に何でもしますから、どうかお嫌いにならないでください…

 告げたいことは山程あるのに、ハアハアし過ぎて声帯が着いて来ず声には出来ず、ただただお姉さまのお顔を見つめつづけるばかり。
 そんな私をお優しげに見つめ返してくださっていたお姉さまが、一区切り着けるみたいにわざとらしくニッと笑われました。

「おーけー。そろそろお部屋に戻りましょう。帰る頃には、お膳いっぱいに美味しそうなご馳走が並んでいるはずよ」

 温泉から出た岩場の少し離れた岩の上に、真っ白なバスタオルが置いてありました。
 きっとお姉さまが脱衣所から持ってこられたのでしょう。

 最初にお姉さまが丁寧におからだをお拭きになられ、それから私に手渡してくださいます。
 私がからだを拭いている傍らで、お姉さまは湯浴み着の水気を軽く絞った後、手早くおからだに湯浴み着を巻きつけられ、首の後で紐を結ばれました。
 私もからだを拭き終わり、お姉さまには湯浴み着があるから、と自分のからだにバスタオルを巻き付けようと広げると、すかさず伸びてきたお姉さまの右手。

「直子は裸のままでいいでしょう?せっかくまだまだ屋外で全裸で過ごせるのだから。こんな直子好みの不健全なチャンス、滅多に無いわよ?」

 没収したバスタオルを小脇に挟み、ビデオカメラのレンズを向けてくるお姉さま。
 あらためてお言葉でご指摘されると、今私はお外に全裸でいるんだ、ということに全意識が持っていかれてしまい、お姉さまとのラブラブな交わりで満足しきった快楽とはまた別の、マゾ性ゆえの被虐願望みたいな欲求が、イキ疲れているはずのからだを性懲りもなく疼かせ始めてしまいます。
 戻りかけていた理性も、出番を間違えた舞台役者さんみたいにバツが悪そうにフェイドアウト。

 シヴォンヌさまたちがここを去られるきっかけとなったチャイムが5時とおっしゃられていましたから、きっともう夕方6時近いのでしょう。
 あれほどギラギラ全開だったお陽さまも森の向こうに沈みかけ黄昏色間近になった岩場の坂道を、お姉さまが私に向けていらっしゃるカメラのレンズを追いながら歩いていきます。

 私が生まれたままの姿で屋外を歩いている姿が映像に残されちゃっているんだ…
 あられもなく乳首を尖らせたおっぱいも、歩くたびにヌルヌル潤んでくる無毛の女性器も、全部デジタルで鮮明に記録されちゃっているんだ…
 羞恥心と背徳感に煽られ駆り立てられる自虐への衝動は、私のどうしようもないマゾ性をムラムラと蒸し返してきます。

 来たときには素通りした脱衣所に入ります。
 キャンプ場のバンガロー風外見を裏切らないログハウス仕様でウッディな内装。
 水捌けを考慮したプチ高床式なコンクリートの床に素朴な木製スノコを敷き詰めた足元。

 そんな朴訥な空間に、駅前とかによくあるコインロッカー然とした無機質無骨なロッカーが壁に沿って整然と並び、もう片方の壁面はお外を覗ける大きな出窓を真ん中に挟んで、バレエのレッスンルームのような鏡張り。
 木材の温かみと無機質な冷たさのアンバランスな趣が近未来ぽい非日常感を醸し出していて、鏡に映った自分の肌色が妙にエロティックに見えてしまいます。

 お姉さまが右手首に巻かれていたリストバンドから鍵をお取り出しになり、プレートに205と書かれたロッカーの水色の扉を開かれます。
 そそくさとご自分の浴衣を取り出されて傍らのテーブルの上に置いた後、サクサクと和装用下着を身に着けられました。
 つづいて悠然と浴衣を羽織られ、ご自身の着付けへと進まれます。

 私もお手間をお掛けしないように、とロッカーの中を覗き込みます。
 あれ?
 
 ロッカー内に残っているのは、お姉さまにお貸しした私のハート型ポシェットとビニール袋に包まれた真っ赤な手ぬぐい?タオル?いずれにしても小さくて薄っぺらそうな布地だけ。
 お姉さまにお持ちいただいたはずの私の水色の浴衣は、帯もろとも影も形もありません。

「…あのぅ、お姉さま?」

 とっさに感じた切ない予感にドキドキ震えつつ、お姉さまを窺います。
 着付けに夢中になれられているお姉さまから、なあに?という素っ気ないご返事。

「あのぅ…私の浴衣は…」

 チラッとロッカーと私に視線をくださったお姉さま。

「ああ、それね」

 帯を締め終わり、袖やウエストの撓みなど着こなしをご修正されつつ、お姉さまがご説明くださいました。

「直子の浴衣、背中側の裾にけっこう派手に泥が跳ねて汚れていたのよ」

 浴衣をお召し終わり、今度は使われた湯浴み着やバスタオルを丁寧にたたみ直されているお姉さま。

「あたしがここで湯浴み着に着替えているときにちょうどキサラギさんが備品の点検にみえられてね」
「汚れに気づいたのも彼女よ。湯船までの道すがら水たまりかなんか踏まれて跳ねたのでしょうって」
「今ちょうど洗濯機回していますからって言うから、あたしは、いいですよそのくらい、って言ったんだけどさ」

 湯浴み着とバスタオルを返却籠に収められたお姉さまが、私のそばまでやってこられます。

「あたしも湯浴み着に着替え終えたところだったからさ、自分の浴衣とかをロッカーに入れようとしていたら、わたくしが入れておきますから、どうぞごゆっくり露天風呂を楽しんできてくださいって言われて」
「ロッカーは閉めれば自然に鍵がかかっちゃう方式なんだって。それであたしはお言葉に甘えてそのまま外に出て、直子の浴衣の件はうやむや」

 お姉さまがロッカーの中を覗き込まれ、あら本当に入っていないわね、なんて悠長なことおっしゃいます。
 そしてロッカー内のビニール袋に気づかれたのでしょう、手を伸ばされ、それをお取りになりました。

「そう言えばあたしがドアから出ようとしていたら、お連れさま用にこちらを入れておきますね、なんて背中から声が聞こえたっけ」
「あたしも直子がカノジョたちに何されているのか早く視たかったから、確認もせずに、はーい、なんて生返事で出てきちゃったんだ」

 お姉さまの手がビニール袋を破られ、出てきた真っ赤な布地を広げ始めます。
 少し広げられたところで、プッ、と吹き出されるお姉さま。
 ご愉快この上ないというような満面の笑顔で私の顔を覗き込んできました。

「ちょっとこれ、直子ってばVIP待遇並みにこのお宿からおもてなしされているみたいよ」

 どうしたって笑いを噛み殺せない、みたいなニコニコなお顔で私にその真っ赤な布片を広げて見せてくれるお姉さま。
 フェイスタオルを広げたくらいの幅の長めで長方形な布片が真紅に染まっています。
 片方の端に同じ色で左右へと細長く伸びる紐。

「これってどう見てもふんどし。日本が誇る伝統の勝負下着、赤フンだわよね?」

2021年4月25日

肌色休暇一日目~幕開け 14

 帯が浴衣からすっかり離れてしまうと、胸の前で合わさっていた両襟も当然のことながら左右へハラリと割れてしまいます。
 浴衣の下は肩先からくるぶしまであますところなく素肌ですから、当然のことながら浴衣の前が開いてしまう前に襟を掴み、露呈を阻みます。

「こら。あなたはそんなしをらしいことするような種類のオンナじゃないでしょう?」

 イジワルそうな薄い笑みを浮かべ、からかうようなお姉さまのお声。
 私をまっすぐ見つめつつ、ご自分の両手をご自身のおへそのあたりに集め、おもむろに左右へ大きくパッと開くような仕草。

「あなたよく言っているじゃない、一度でいいから裸コートのとき人混みでこうしてみたい、って」

 ご愉快そうにおっしゃるお姉さま。
 でも私、お姉さまにそんなこと、一度も告げたことないはずです。
 
 だけどつまり、それはお姉さまからのご命令。
 えっちなマンガとかでよくある局部見せたがりなヘンシツ者みたく、自ら前をバッと開いてハダカを視ていたただきなさい、というご指図。

 胸の前で浴衣の布地をかき抱くように掴んでいた両手が、諦めたみたいに緩みます。
 左右の指先がそれぞれ左右の衿先を掴みます。
 それからギュッと目をつむり、思い切って両腕をバッと左右へと広げました。
 今まさに滑空しようとしている飛膜を広げたモモンガさんみたいに。

 目を瞑っていてもまぶたにお陽様の強い光を感じます。
 ああんっ、まだ全然明るくておまけにお外なのに、出会ったばかりの見ず知らずの方々の前で私ったら、何て格好をしているの…
 絵に描いて額に飾ったような、まさに、the 露出狂…
 羞恥と被虐と背徳と快感がないまぜとなり、下半身の裂けめを痺れさせてきます。

「おおぅっ!…」
 
 ザバザバと水面が波立つような音と一緒に、どよめくお声が大きく聞こえてきて束の間の陶酔が破られ、恐る恐る目を開けるとお三かたが思いがけずもずいぶん近くまで来ていらっしゃいました。
 お湯の深さは、一番小さくてロリっぽいサラさまでも太ももの付け根辺り。
 お三かたともオールヌード丸出しのお姿で、the 露出狂ポーズを晒している私のカラダをシゲシゲと見つめてきます。

「すげえ、超パイパンっ!」
「その日焼け跡、何よ?どこで焼いたの?どんな水着着たらそんなふうにエロやらしく焼けるのよ?」
「尖った乳首がツンツンにイキリ勃ってて痛そう。下乳は意外に垂れ気味なんだ…」
「クリもでかっ!皮がすっかり剥けちゃって、こっちもビンビンに飛び出してる…」
「首の白いスジは、チョーカーとか首輪の日焼け跡なのかしら…」

 口々に私のハダカの感想を投げ合わられるお三かた。
 温泉の湯船は一段低くなっていますし私は岩場でヘンシツ者ポーズですので、裸のお三かたから股間を仰ぎ見られる態勢。
 その好奇に満ちて不躾な視線の圧、何もかもが視られ吟味されている…という被虐に、マゾの血脈が全身で波打ちます。

「あなたの性癖も、みなさんに愉しめていただけているみたいでよかったじゃない?」
「引かれちゃったらどうしようかと思っていたわ」

 岩場に優雅に腰掛けられたお姉さまも嬉しそうに微笑まれ、片手に持たれていたスマホの画面をチラッとご覧になられました。
 それからスクっとお立ちになると、まだthe 露出狂ポーズな私の背後に来られました。
 
 間髪入れず、剥ぎ取られるように強引に私の背中から離れていく浴衣。
 少し緩めてしまっていた指先から、いとも簡単に私の唯一の着衣はお姉さまの腕の中へ。
 お外で全裸!?と意識するや否や条件反射のように、胸と股間を庇うヴィーナスの誕生ポーズへと移る私。

「だからー、あなたの両手はそこではないでしょ?何今更ぶりっ子しているのかしら?」

 すかさず投げつけられるお姉さまの呆れたような叱責。
 優美な曲線を描くアゴを優雅に、でも私にしかわからないくらい微かにしゃくられるお姉さま。

 はい…ごめんなさい…
 おずおずと両足を休めの姿勢くらいまで開き、両手を重ね合わせ自分の後頭部へと持っていく私。
 
 マゾの服従ポーズで間近のお三かたと向き合います。
 隠そうと思えばたやすく隠せるのに、自ら両手を後頭部にあてがい裸身の何もかもをさらけ出した私の姿を、唖然としたお顔つきで凝視されるお三かた。

「あたしはこれからさっきの脱衣所に戻って、タオルやら何やら、露天風呂を楽しむ準備をしてくるから、あなたはその格好のまま回れ右して、背中の自己紹介もみなさんに見ていただきなさい」
「あなたがどうしようもないヘンタイ性癖なんだって理解してもらえれば、みなさんもあなたも気兼ねなく愉しめるでしょうし」

 おっしゃりながら岩場に落ちていたカッパ様こけしを拾い上げられ、湯船のお三かたのほうへ軽く放られました。
 ポチャンと飛沫を上げて湯船に落ちたカッパ様。
 木製だから沈まずに、お三かたの背後でプカプカ浮かんでいらっしゃいます。

「この子、それ大好きだから、みなさんで好き放題しちゃっていいですから」

 無慈悲なお言葉を残されたお姉さまは、私がさっきまで着ていた浴衣と帯を手早くおまとめになって小脇に挟み、ハンディビデオカメラだけ岩場の高い位置に置き去りにされ、その場を離れられます。
 
 服従ポーズをお三かたに向けたまま首だけ捻じ曲げた姿勢で、脱衣所のほうへと戻られるお姉さまのお背中を未練がましく追っていると、お姉さまが不意に立ち止まられ、こちらを振り返ってくださいました。
 私に向けてニッコリ微笑まれ、右手の指先で空中にクルリと大きな円を描かれ、再びプイッという感じで向き直られ、脱衣所のほうへと歩き始められます。

 そうでした…
 私はお三かたに背中をお向けしなければいけないのでした。
 ある意味、おっぱいや性器を見られるのより恥ずかしい、私の素肌に刻まれた自分のヘンタイ性癖の自己紹介…

 再び湯船のほうへと顔を向け直します。
 お三かたとも湯船の縁まで集まられ、興味津々に舐め回すような六つの瞳が私の裸体を見上げています。
 その視線たちから目をそむけて意を決し、ゆっくりとその場で180度ターン。
 一瞬の沈黙の後、キャハハハと甲高い嘲笑が弾けました。

「なにそれ!マゾですの、だってー!」
「ですのって何よ?ちょーウケるんですけどぉ」
「日焼け跡って、引くまで消えないじゃん。あの姐さん、マジ鬼畜」
「だろうとは思ったけど、そんな言葉を肌に焼きつけちゃうなんて、正真正銘のヘンタイじゃん」
「やっぱり首の白いのは首輪の痕なんだ。マゾだから首輪を普段からさせられてるのね…」

 容赦無い好奇の嘲りが私のお尻に浴びせられます。
 侮蔑的なお言葉責めが切なくて唇をギュッと噛んでしまうのに、ジンジンと火照ってしまう私の乳首とマゾマンコ。
 ひとしきりお三かたのかまびすしい哄笑がつづきました。

「でもまあ、せっかく裸になったんだからさ、マゾですのちゃんも温泉、入んなよ。うちらと楽しもう」

 半笑いのお声ですが、お優しいお言葉を投げてくださったのは、最初にお声がけくださった金髪のカレンさまでしょう。
 そっと振り向くと案の定、さっきお姉さまが放られたカッパ様こけしを右手に握ったカレンさまがお湯の中で立ち上がられ、カッパ様をぶんぶん振っておられます。

 どうしよう…
 お姉さまが戻られるのを待ったほうがいいのかな…
 でもさっきお姉さま、この子を好きにしちゃっていい、ともおっしゃられていたけれど…

 少し迷ったのですが、お言葉に甘えさせていただくことにしました。
 一番の理由は私の股間。
 さっきからの羞恥辱責めで感じ過ぎてしまい、このまま服従ポーズでいるとだらしないマゾマンコから滴り落ちる恥ずかしいおツユまで目撃されてしまいそうだったからです。

「あ、はい…お心遣いありがとうございます。それでは失礼させていただきます…」

 丁寧にお答えしてポーズを解いて向き直り、湯船の縁までゆっくり歩を進めます。
 縁に立つとお三かたが少しだけ後退され、身を屈めた私は右足の先をちゃぷんとお湯に浸けてみます。
 
 熱すぎもせず温すぎもせず、人肌よりちょっと高いくらいの温度。
 両足をそろりと挿し入れ浴槽に立つと、お湯の深さは膝上、腿の真ん中少し上くらい。
 湯船の底は自然石のタイル状石畳になっていました。

 その場にしゃがみ込み肩まで浸かってみます。
 お湯は、ほんのり濁っていて少しポテっと重たい感じで、お肌に優しく絡む感じの滑らかな泉質。
 
 火照った全身がしっとり潤いの人肌に包まれ、うーんっ、気持ちいい…
 裸身もお湯に隠せてホッと一息ついたのも束の間、あっと言う間にお三かたに取り囲まれました。

 それからは、ご質問に次ぐご質問攻め。
 お姉さまとはどういう関係なの?から始まって、本当の仕事は何?それどこで焼いたの?剃毛?それとも永久脱毛?普段はどんな命令をされてるの?イジメじゃないの?今も感じちゃってるの?etc…etc…

 それらのご質問にすべて、正直にお答えしました。
 ご質問のあいだ中、お三かたのどなたかが私のからだに手を伸ばしてくることは無く、それはちょっと意外でした。

「ふーん。ですのちゃんは同性とでしか感じないレズでマゾで露出狂なのかー。けどそれって特殊性癖盛りすぎじゃない?もしオトコ好きだったら引く手あまたでモテモテだろうに…」

 金髪のカレンさまが感心されたようにおっしゃいます。

「アタシも男相手ならドスケベだけど、同性に見られたいってのは信じられないなー。だって、自分がサカって乱れてる姿を見ず知らずの同性に見られるなんて超恥ずくない?屈辱的っていうか…」
「ああ、女はそういうの見下してくる傾向ってあるよね。とくに自分より若かったり可愛かったりすると、嫉妬が絡んだマウンティングっていうか虚勢を張るための軽蔑っていうか。シモネタNGがカワイイと思ってる女ってまだまだ多いから」

 ロリなサラさまのご意見に賛同されるカレンさま。

「こないだのハコネでの宴会、ひどかったじゃない?うちらが何かやるたびに凄い目で睨まれて」
「あー思い出した。なんであんな女性交じりの場にアタシら呼ぶかな?中でも一番薹が立ってたお局様?の目がスゴかった」
「そうそう。他の女も野球拳とか見たくないならさっさと部屋に戻ればいいのに、なぜだかいるんだよね、最後まで」
「でもまあオトコ共も大半萎縮しちゃってある意味、仕事は超ラクだったよね。お酌だけしてりゃいいって感じで」
「場がシラケきってた。あの会社、あの後揉めたろうな。潰れてたりして」

 ご愉快そうな笑い声をあげられるカレンさまとサラさま。

「ですのちゃんのお姉さまって、ですのちゃんが他の女性とえっちなことをしても怒らないのよね?」

 話題を仕切り直すみたいに、ナイスボディなシヴォンヌさまがお口を挟まれてきました。
 そして私の呼び名はいつの間にか、ですのちゃん、で定着しちゃったみたい。

「あ、はい…怒らない、って言うか、私が他の女の人に虐められているのを見るのもお好きみたいです…」

 至近距離で向き合っているシヴォンヌさまの、お湯の波間から見え隠れしているハリウッド女優さんみたいなお胸の谷間にドギマギしながらお答えします。

「やっぱり。ですのちゃんのご主人様は寝取られ属性があるんだ。それじゃあですのちゃんも、いろいろやらされて大変でしょうね」
「…ネトラレ?ですか?」

「あれ?知らない?大好きな人が他の知らない人にヤラれちゃうのを見て悦ぶ特殊性癖。夫婦の旦那のほうが奥さんを他の男にヤラせて、それをこっそり覗き見したり。エスな人の調教の一環だったりもするらしいけれど」
「そんなの…知らなかったです」
「でも、あの姐さんは、そんな感じなんでしょ?そういうのをネトラレって呼ぶのよ」

 妖艶な笑顔のシヴォンヌさまにそう諭されて、確かに私のお姉さまはネトラレなのかな、って思いました。

「おっと、シヴォンヌ姐さんがノッてきたよ」
「アタシらん中じゃ姐さんが一番、エスエムとか詳しいもんね」
「姐さんはエムっぽくにもエスっぽくも変幻自在の百戦錬磨だから」

「じゃあ、ですのちゃんに何かマゾっぽいことしてもらおうよ」
「ですのちゃん見てると、たしかに何かこう、イジメたくなっちゃうの、わかる気がする」
「ドマゾって、痛いのとか屈辱的なのも好きなんじゃなかったっけ?」

 カレンさまとサラさまが俄然はしゃぎ始めます。
 私もお三かたからの虐められモードに突入したことを察知して、お湯の中でぐんぐんムラムラしてきています。

「それじゃあ、ですのちゃんにはとりあえず、オナニーショーでもしてもらおっか?ご主人様の置き土産のこけしもあることだし」

 シヴォンヌさまが艶っぽい半笑いのまなざしを私に向けたまま、他のおふたりにご提案されます。

「いいねいいねー」
「ですのちゃんのえっちなイキ顔見てみたーい」
「アタシ、他の女が男に姦らてるのは見たことあるけど、ひとりえっちでイクとこは見たことなーい」
「でもお湯の中でモゾモゾチャプチャプされてもうちらにはよく見えないし、なんかつまんなくね?」

 カレンさまサラさまの無慈悲なお言葉。

「あー、それもそうね。それじゃあ、あの真ん中の島に上がってやってもらおっか」

 シヴォンヌさまが我が意を得たり、みたいなご表情で温泉中央に設えられている東屋を指さされます。
 私はさっきの、シヴォンヌさまの妖しく翳る瞳を見て、ある程度の覚悟はしていました。
 シヴォンヌさまは絶対最初から、そこで私を晒し者にされるおつもりであったはずです。
 お姉さまが私に残酷なご命令を企まれているときと同じまなざしでしたから。

「いいねいいねー。あそこちょうど足湯っぽく腰掛けられるようになってるから、そこでバーっと大股開きで」
「ライブショー、最前かぶりつきだね」

 カレンさまサラさまがキャッキャとはしゃがれる中、お湯の中でシヴォンヌさまにサッと右手を掴まれました。
 初めてのボディタッチにビクンと震えた刹那、シヴォンヌさまがザバッと立ち上がられたので私も引っ張られて立ち上がらざるを得ません
 
 ナイスボデイな全裸女性に手を引かれ、刑場に連行されるみたいに湯船中央の東屋のほうへ。
 私たちの後からサラさまカレンさまがつづかれ、全裸女性4名での湯中の行進を、ずいぶん傾いてもまだまだ明るい夕陽が煌々と照らしてくださっています。

「さあ、ですのちゃんはこの上にお上がりなさい」

 シヴォンヌさまの声音はあくまでおやさしげでしたが、有無を言わせぬ威厳と言うか高貴さと言うか、人にご命令され慣れているような感じのカリスマ的オーラを感じました。
 
 目の前にある小島には、ちゃんと湯船から陸地まで上がれる石の階段もあり、ふたりぐらい並んで腰掛けられる石のベンチが湯船を見渡す位置に三脚、そして島の中央部分は、更に一段上がっていて陽射しを遮る木製の屋根を設えた東屋になっています。
 
 湯船の中からお三かたが見上げる中、私はシヴォンヌさまのご命令に従い、ひとり島へと上がりました。
 温泉から出た一糸まとわぬ素肌を微かに吹いている風が優しく撫ぜてくださいます。

「そのベンチに座って、まず最初は、ですのちゃんが普段ヤッてるみたいにからだをまさぐって、気分を盛り上げてみて」
「いい感じになってきたら、このこけしを渡してあげる」

 カレンさまから手渡されたのでしょう、カッパさまこけしを片手にシヴォンヌさまからのディレクション。
 湯船の縁に両肘をついた横並びのお三かたがベンチに腰掛けた私を見上げています。

「は、はい…」

 すっかり覚悟を決めた私は、恥ずかしさ半分、辱めていただける嬉しさ半分のマゾモードで両脚を大きく開きました。
 両足はベンチの上に置き、自ら進んでのM字開脚。
 
 左手を右おっぱいに当てると、ビクンと電流。
 乳首が今にもポロリと零れ落ちそうなほど大きく硬く背伸びしています。

 右手をそっと股間に滑らせると同時に、あふんっ。
 手のひらがもろに、充血して腫れ上がった肉芽を擦ったからです。

「うわ、自分からあんなに思いっ切り股広げちゃって、パイパンだからケツの穴まで何もかももろ見えじゃん」
「オマンコの中がビチャビチャにテカってない?」
「呆れた、もう感じちゃってるんだ。本当に視られるのが好きなんだね」
「あ、早くも指の出し挿れし始めちゃった。へー、中指と薬指使うんだ…」

 みなさまからのにぎやかな実況中継が聞こえてくるのですが、私の両手は怯むこと無く自分の性感帯を陵辱しつづけています。
 これまでのあれこれで疼ききっていた私のからだにやっと訪れた快楽のチャンスに、恥も外聞も消し飛んでいます。

 おっぱいを揉みしだき、乳首をつまみ、ひねり潰し、ひっぱり。
 右手のひらでクリットを擦りつつ、膣口に埋めた二本の指でジュブジュブ膣壁を捏ね回します。
 それでもお外にいる、という意識はあるみたいで、目と唇を真一文字に結んで歯を食いしばり、淫らな声は極力我慢しています。

 甘美な刺激は的確に蕩けるような昂りへと変換され、その蓄積がめくるめく頂きへと徐々に昇り詰めていきます。
 ああんっ、そろそろっ、あとちょっと、もう少しぃ…
 
 お三かたは固唾を呑んで見守っていらっしゃるのか、実況中継のお声も聞こえなくなっています。
 視られている、という被虐を実感したくて、そっと顔を上げて瞑っていた瞼を開きます。
 視界の先に唖然という面持ちのみなさまのお顔。

 ああんっ、視て…こんなお外で、みなさまの目の前で、マゾな直子が浅ましくイッてしまうふしだらな姿を、どうぞ存分に視てやってください…んっ!…

 ふと視線を上げると、お三かたの後方数メートルの位置にお姉さまのお姿が見えました。
 濃いめなブルーグレイの湯浴み着をお召しになり、ビデオカメラのレンズをまっすぐ私に向けられたお姉さまのお姿が。
 それに気づいた瞬間、強烈な快感の波が下腹部から全身へと駆け巡り、頭の中が真っ白になりました。

「イッたね…」
「うん…間違いなくイッてる…」
「早くね?始めてからまだ5分も経ってないっしょ?」
「ぐったりハアハアしてるのに、からだのあちこちがヒクヒク痙攣してる…やだっ、ケツの穴まで…」

 そんなお声がどこか遠くのほうから聞こえた気がしました。