2014年12月28日

就職祝いは柘榴石 13

 そんなお姉さまとのロマンティックなひとときを、台無しにするのはシーナさま。

「ねえ、そう言えば、この鏡、て言うか窓の向こうって、ベランダだったよね?」
 誰ともなしなシーナさまの、イジワルさ全開かつお芝居っぽいお声。
「庇が無いからバルコニーか。でもまあ、どっちにしても窓を開けたら外っていうことよね?」
 シーナさまが私とお姉さまのお顔を交互に見て、イタズラっぽくニッて笑いました。

「それで今、直子さんはその外に向けて、オマンコと肛門剥き出しにしているわけよね?みんな視てーって感じで、まったく無防備に」
「マジックミラーって、中が明るいと外からは素通しになるから、今バルコニーに誰かいたら、その姿、丸見えよね?」
「わたし、ちょっとそれ、見てみたいな。バルコニーの窓越しに、真夜中に外に向けて二穴全開にしているヘンタイ女の姿。写真も撮りたい」
 
 そこまで聞いて、怖くなってきました。
 つまり今、窓を開けちゃう、っていうこと!?
 お外から覗けちゃう状態にしちゃうっていうこと?
 私がこんな姿で、身動きも出来ないっていうのに?
 階下には管理人のおばさまもいらっしゃるのに?
 シーナさまなら、本当にやりかねない。

「お願いですシーナさま、許してください。それはお許しください。もう真夜中でみなさま寝静まっていますし、窓をガタガタさせたらご近所のご迷惑にもなっちゃうかもしれませんし・・・」
 絶望的な恥辱拘束姿で精一杯お願いしました。

「静かにしていれば大丈夫よ。このマンション、ワンフロア一世帯だし、四階だし、周りに高い建物ないし」
「直子さんは露出大好きマゾでもあるのだから、もし誰かに視られたら、一石二鳥じゃない?」
「それに、この部屋の中、だいぶ澱んじゃっているから、空気入れ替えましょう。春の夜風はきっと気持ちいいわよ?」

「でも、でも・・・」
「さっきわたし、こう言ったはずよ。つづけるなら覚悟を決めておきなさい、って。そんなふうに拘束されちゃったら、直子さんはもう、どんなことだって、わたしたちの言うことを聞くしかないの!」
 シーナさまが最後は少し怒ったみたいに、決めつけるようにお言葉を投げつけてきました。

「ふふん。直子さんが今、わたしに逆らったから、また面白いこと思いついちゃったじゃない。本当にちょっと外の空気を吸いたかっただけだったのに」
 悪い笑顔になったシーナさま。
 私のオモチャ箱をガサゴソし始めました。
 探し物はすぐにみつかったようで、私に近づいてきます。

「ほら。これしゃぶって」
 唇に押し付けられたのは、薄紫色卵形のリモコンローターの本体のほうでした。
「うぐっ!」
 口の中に押し込まれたローターをジュルジュル啜りました。
「自分の唾液でよーく消毒しなさい」
 すぐにローターのアンテナ部分の紐を引っ張られ、口から取り出されます。
「あぁんっ!」
 間髪を入れず、上の口に負けず劣らずヨダレを垂らして開いている私のアソコ奥へと、ヌプッと埋め込まれました。

「これだけ大股開きの上に潤滑油もたっぷりだから、難なくツルって入っちゃったわね」
 シーナさまが指に付いたのであろう私のおツユをペロッと舐めました。
 もちろん、もう片方の手にはローターのリモコンが握られています。

「いい?憶えておいてね、直子さん。わたしは今からそこの窓を開けるけれど、女性のヨガリ声って、意外と通るものなのよ」
「以前、真夜中に少し古めの4階建てくらいの団地の前を通ったとき、どこからともなく、なんとも艶かしい声が聞こえてきたことがあったわ」
「あたりがシンとしている中で、かなりハッキリ聞こえたの。荒い息遣いが。団地の窓灯りはほとんど消えていて、窓もみんなしっかり閉じていたのにね」
「まあ、ここは防音がしっかりしているほうだけれど、窓を開けちゃったら、話は別よね?」
「何が言いたいかわかる?聡明な直子さんならわかるわよね?」

 同時にローターが動き始めました。
「んふーっ!」
 これはたぶん、まだ弱。

「今の、んふーっ!っていうの、ずいぶん色っぽかったわね。もしも窓が開いていて、外に耳聡くてスケベなオトコがちょうど歩いていたら、気づかれちゃったかもよ?」
 ローターが止まりました。
「ご近所にヘンなウワサを立てたくないなら、それ相応の努力はしなくちゃダメよ?今日は猿轡も無しだから。わかった?それじゃ開けるからね」
 ガラガラガラー。

 私の目の前の大きな鏡が左のほうへとスライドし、眼前が闇の空間に変わりました。
 室内よりも少し冷たい空気がいっせいに流れ込んできて、私の剥き出しのからだを撫ぜ始めます。
 真夜中過ぎなので、お外はしんと静まりかえり、確かにちょっとした声でもよく通りそう。
「あら、思っていたよりは寒くないのね。気持ちいい。もう春だものね」
 シーナさまののんきなご感想。
 私は、いつローターのスイッチが入るかと、ビクビクしています。

「ねえ?バルコニーに出て、外から直子さんを眺めてみない?」
 幾分ヒソヒソ気味になったお声で、お姉さまにご提案されるシーナさま。
「えっ?でもあたしたちだって、この格好ですよ?」
 おふたりは今、黒のツヤツヤしたビスチェとTバックというボンデージファッションのお姿でした。
「だいじょぶだいじょぶ。真夜中だし、ここのバルコニー、目隠しの壁も高めで近くに高い建物も無いから」
 背を向けた、と思ったら身軽に身を躍らせ、ささっと私の眼前の闇に紛れたシーナさま。

 お姉さまは、少し躊躇っているご様子でした。
「あ、でも、ここに着いた早々、直子も真っ裸で、平気な感じでベランダに出ていたっけ」
 そんな独り言ぽいつぶやきと共に、手招きするシーナさまに引き寄せられるように、結局バルコニーの掃き出しを越えられました。

 灯りが煌々と照るお仕置き部屋の窓際で、恥辱の大開脚まんぐり返し拘束姿にされ、性器と肛門と顔を外に向けている私。
 目の前には真夜中の闇と外気。
 お部屋の光が漏れ出した薄闇の中で、愉しげに寄り添うふたりの女王様。
 おふたりとも黒いボンデージ衣装は闇に紛れ、お顔の輪郭とスラッとした腕と脚だけが闇に白く浮かび上がっていました。
 なんだか幻想的で綺麗だな、と思った瞬間、アソコの中でローターが暴れだしました。

「んぐぅっ!」
 零れそうな声を必死で喉の奥に押し込めます。
 この振動は強!最強!
 目をギュッと瞑り、歯を食いしばり、快感に必死に抗います。
 眼前で二度三度、フラッシュが閃いたのが、瞑った目にもわかりました。
 こんな夜中にフラッシュなんか使ったら、私のお部屋が、このバルコニーが誰かに注目されちゃうかも。
 そんな不安を抱きながらも、振動の快感がどんどん高まってきて、もう、もう声をがまん出来ない・・・

 ガラガラーッバタンッ!
 不意に、全身をくすぐっていた外気の愛撫が止みました。
 目を開けると、窓がピッタリ閉じています。
「んんんんーーっ!」
 状況を理解すると同時に、喉の奥から淫靡な喘ぎが洩れ出していました。

「んふぅー、んぁふぅーんっぅぅぅ・・・」
 一度堰を切ると、もう喘ぎ声の洪水は止められません。
 止めなきゃ、いつまた窓が開くかわからないのだから、止めなくちゃ・・・
 頭ではわかっているのですが、喉が勝手に啼いてしまいます。

「んんっふぅぅぅ、はぁぁぁんっ」
 腰がフワフワ浮いて、どんどん気持ち良くなってきています。
 不自由なからだをよじりながら身悶えます。
 お外でまた、フラッシュが光ったみたい・・・
 ああんっ、もうだめぇぇぇ・・・

「んんっ、んんっんっ、んっ、んっ、んっ、ぅぅぅぅ・・・」
 もはや昂ぶりに身を任せ、高まりの頂点から身を投げる準備をし始めたとき、突然、再び窓がガラガラっと開きました。
「んんふぅぅーっ・・・」
 シーナさま、お姉さまと相次いでお部屋に入られたときも、私は普通に喘いでいました。
 すぐにバタンと窓が閉じられ、つづいてローターの振動がピタリと止まりました。

「知らないからね、直子さん?部屋に戻ろうと思って窓を開けた途端に、いやらしい喘ぎ声がわたしの横をすり抜けて、夜空を駆け抜けていったわよ?」
 シーナさまの愉快そうなお声。
「ほんの数秒だけだったけれど、わかる人にはわかるはずよ、何しているときの声なのか。誰の耳にも届いていなければいいけれどね」

 シーナさまのイジワル声も、今の私には馬耳東風。
 最後までイケなかったがっかり感だけが、全身に渦巻いていました。
「もっとも、さっきのは低めの唸り声ぽかったから、季節柄、どっかの野良猫のサカリ声と勘違いしてくれたかもしれないわね。そうだ!もう一度窓開けて、念のためにニャーッとか、叫んでおく?」
 イジワル顔で覗き込んでくるシーナさまのお顔を、私はなじるように睨みます。

「あらぁ?また拗ねちゃった。イケそうだったのね?それは残念でした」
「でもね、イカなくて正解よ。この後すぐに直子さんは、こんな電動オモチャより何百倍も気持ちのいい経験をするのだもの。快感を溜め込んでおいたほうが、いっそう気持ち良くなれるでしょう?」
 おっしゃりつつ、私に埋め込まれたローターをズボッと無造作に抜き、軽くピシャッとお尻をはたかれました。
「はうっ!」
 昂ぶりが名残惜しそうに減衰していく虚しさとクロスフェードして、シーナさまの今のお言葉への期待感が高まります。

「それにしても、バルコニーでマジックミラー越しに覗く直子さんの痴態は、本当にいやらしかったわよー。エロすぎ」
 シーナさまが、お姉さまに同意を求めるように何度も顎を上下させて、おっしゃいました。
「夜空の下で、ここの窓だけ闇の中に煌々と一際明るく、まるでライヴのステージみたいに浮かび上がっているの。それで、そのステージには、すっ裸でダルマのように拘束された女がひとり」
「そうそう。部屋の灯りがバルコニーに洩れて周辺が浮かび上がって、夜の野外劇場で何かのショーを観ているみたいだった」
 お姉さまも興奮気味に同意されています。

「直子が徐々に高揚していく様子が、ガラス越しにクッキリ浮かび上がって、映画を観ているみたいな感覚にもなったわ」
「えげつないくらい何もかも丸出しなのに、見せびらかすみたいにこっち向きで、どう見たってわたしたちに視てもらいたくてしている、っていう構図だったわよね」
「そうそう。していることはヘンタイそのものなのに絵柄的には幻想的で、直子の顔が切なげに歪むたびに、ゾクゾク感じちゃった。音が聞こえない分、些細なことでエロティックさって増すのね。ある意味、芸術的でさえあったわ」

「そうなのよ。わたしもそう思って、芸術っぽく撮れるかもって、窓越しにカメラ構えたのよ」
 シーナさまが、なぜだか自嘲的なお顔になってつづけました。
「だけどフラッシュ点けたら、こちら側のほうが明るくなるから鏡になっちゃうのね。カメラ構えた自分がハレーションぽく撮れてた。わたしって、ほんとバカ」
「仕方ないから絞り調節して、フラッシュ無しで撮ってみたのがこれ、どう?」
 
 デジタルカメラのモニター部分をシーナさまに突きつけられて、覗いてみました。
 暗がりの中に、今、鏡に映っているのと同じ、浅ましい姿の私が悩ましい顔をして、ソフトフォーカス気味に映っていました。
 確かにパッと見た感じ幻想的で、古いヨーロッパ映画の一場面にありそう、という意味で芸術的とも言えそうですが、私にとってはただの恥ずかし過ぎるえっち写真でした。

「あたし、決めました。夏になったら、夜そこにテーブル出して、冷えたワインでも飲みながら直子にオナニーショーをやらせてゆっくり見物しようと思います。そのときはシーナさんも必ずお呼びしますからね」
「いいわね。呼んで呼んで。知り合いたくさん呼んで、お金取っちゃおうか?」
「それに今度、うちのオフィスからここを望遠鏡で狙ってみて、覗けるようだったら、直子にベランダでオナニーさせる、っていう計画もあるんです」
「それも面白いわね。そのときもぜひ呼んでね」
「もちろん!」
 おふたりともひどくはしゃいで、しばらくおふたりで盛り上がっていました。

「さてと、そろそろ直子さんに、天国へ行ってもらいましょうか?」
 おしゃべりがひと段落した後、シーナさまがグラスのワインを飲み干し、舌なめずりみたいに舌を覗かせました。
「さっきイケなかったぶんまで、思いっきり乱れまくるといいわ。わたしの見たところ、直子さんには充分そっちの素質もありそうだし」

 鏡を遮るように、シーナさまが私の前にしゃがみ込みました。
 その目前には、さらけ出された私のふたつの穴。
「エミリーも新しい手袋を着けたほうがいいわ。それと、あのガーネットビーズを持ってきてくれる?そう、二本とも」
 ご自身も新しい極薄ゴム手袋を装着しながら、お医者さまみたく熱心に、私の穴ふたつを交互に覗き込んでいます。
 そんなにまじまじと視られると、今更ながらでも、やっぱりすっごく恥ずかしい。

「相変わらずグシュグシュなのね、直子さんのオマンコ。ローション要らずで助かるわ、って言いたいところだけれど、次のプレイは長くなりそうだし、痔とか、やっぱりなりたくないでしょ?」
 おっしゃりながら、傍らに置いていた何かを手に取りました。
「これ。アナル専用のローション。デリケートなここ専用に作られたものなの。気持ちいいのよ、このローション」
「滑りが良くて乾きにくいやつ。もちろんからだに無害な成分しか使ってないから安心して」
 なんとなくえっちな形のボトルを見せてくれて、愉しそうに笑うシーナさま。

「あ、エミリー、ありがと。手袋着けた?なら右手出して。ローション垂らしてあげる。あなたのドレイだもの、実技はあなたに任せるわ」
「エミリーがドクター、わたしはナース、クランケ直ちゃんのアナル開発ぅー」
 歌うようにおっしゃりながら、シーナさまの横にしゃがまれたお姉さまの右手のひらに、トロッとした透明のローションがたっぷり垂らされました。
「直子さんは、これをしゃぶって消毒してて。はい、口開けて」
「んぐぅっ」
 恐々開いた口の中に、珠が徐々に大きくなるように連らなったほうのガーネットビーズが押し込まれました。


就職祝いは柘榴石 14

2014年12月21日

就職祝いは柘榴石 12

 気がついてから数秒間、自分がどこにいるのかわかりませんでした。
 開いた目にぼんやり映るものをよーく見ると、見慣れた我が家のリビングの天井ぽい。
 ということは、たぶんここはリビングのソファーの上。
 仰向けに寝かされ、からだにはバスタオルが掛けられていました。
 上半身を起こして辺りを見回すと、脇のソファーに、黒ビスチェボンデージ姿のお姉さまとシーナさまが並んで腰掛けていました。

「あ、おはよう。って言ってもまだ真夜中だけれど」
 お姉さまがクスクス笑いながら、たおやかな笑顔を向けてくださいます。
「すごいイキっぷりだったわね。潮まで吹いちゃって」
 シーナさまは呆れたような薄笑い。
「あ、あの、私・・・」
「気絶しちゃったのよ。あうあう喘いで潮吹いて、急にぐったりして動かなくなっちゃった」
 シーナさまが白ワインらしき飲み物をご自分の唇に運びつつ、教えてくれました。

「でも意外と早く復活したわね。10分ちょっとくらいよ、気絶していたのは」
 シーナさまのお言葉に耳を傾けつつバスタオルをはずし、ソファーに腰掛ける体勢になりました。
 
 首輪と手枷足枷はそのまま、棒枷とリードの鎖は、外されていました。
 からだも軽く洗われたみたいで、ベタベタが消えて、しっとり。
 濡れてしまった髪は、どなたかがタオルで束ねてくれたみたいです。
 縄の痕はまだバストにクッキリ残っているけれど、乳首もアソコも今はひっそり。
 お姉さまが冷えたスポーツドリンクのグラスを渡してくださり、私はそれを一気にゴクゴク飲み干しました。

「このまましばらく起きなかったら、今夜はとりあえず解散かな、ってエミリーと話していたのよ」
「どうする?今は日付が変わった夜中の12時過ぎ。わたしもエミリーも当面の予定は無いから、一晩中つきあうことも出来るけれど、直子さんの体力次第よね」
「一度解散して、明日の昼前くらいから再開っていう手もあるわ。夕方からわたしは出かけなければならないから、若干あわただしいけれど」
「直子さんに任せるわ。どうする?まだまだイキ足りない?もっと恥ずかしいことされたい?みじめな気持ちを味わいたい?徹底的に辱められたい?」

 シーナさまのお言葉責めに、しばしボーっとしていた私のムラムラが性懲りも無く息を吹き返し、ゾワゾワっと全身に広がり始めました。
 からだがムズムズするのは、被虐の血がさざめき始めたからでしょう。
「ほらエミリー、見てよ。わたしがちょっとイジワル言っただけで直子さん、肌が火照ってきて、みるみる乳首が尖っていくわよ?ホントに、どうしようもなくスケベな淫乱ドマゾなのよね、直子さんて」
 シーナさまに指をさされ、私も自分の乳首がゆっくり勃ち上がっていくさまを、じっと見つめてしまいました。

「・・・ぁ、はい。あの、私、まだ大丈夫です・・・お願いします」
 シーナさまが投げつけてくる嘲りのお言葉に、自分のヘンタイ性癖と貪欲なからだが、はしたなくて恥ずかしくてたまらないのですが、それ以上にアソコの奥から湧き出てくる欲望には抗えず、恥じ入りながら小さな声でお答えしました。

「それはつまり、もっとわたしたちに虐めて欲しいっていうこと?」
「はい・・・」
「さっきわたしたちの前であんなにあられもなく何回もイキまくったのに?」
「・・・はい・・・ごめんなさい・・・」
「どうして直子さんは、そんなにスキモノなのかしら?」
「・・・そ、それは、えっと・・・」
「その尖った乳首を見れば、直子さんの意思に反してからだが先に発情しちゃっていることは、わかるけれどね。どうせオマンコもまた、濡らしているんでしょう?」
「・・・は、はい・・・」
 さわらなくても、奥がキュンキュン疼いているので、濡れてきているのは明白でした。

「マゾだものね?正真正銘のド淫乱マゾだものね?いいわ。つきあってあげる。その代わり、絶対服従の覚悟は決めておきなさい」
「・・・はい」
 シーナさまの冷たいお声に、被虐メーターがビンビン反応しています。

「さっきの浣腸でお尻の穴もいい具合にほぐれているでしょうけれど、今度の責めはちょっとキツイかもね。きっと直子さんが初めて経験する快楽なはずだから」
 冷たい瞳なのに、心底愉快そうなシーナさま。
「それじゃあ、お仕置き部屋に移動しましょう。直子さんは、自分で棒枷とリードを取り付けて、あなたのミストレスに連れてきてもらいなさい。わたしは先に行っていろいろ準備しておくわ」
 シーナさまはそう言い残し、テーブルの上のワイングラスにもう一度ワインをなみなみと注いでから片手に持ち、それだけ持ってサンルームへと消えていきました。

「シーナさんて、本当に直子のこと気に入っているのね」
 サンルームへのドアが閉ざされた後、お姉さまがヒソヒソ声で耳打ちしてきました。
「直子が気絶していたとき、このまま終わっちゃうのがすごく名残惜しそうだったもの」
「そうだったのですか?」
「うん。明日の夕方からの予定、キャンセルしちゃおうか、とまで言っていたわよ」
 私の反応を探るみたいな、お姉さまの瞳。
 
 お姉さまの右手が私の頭に伸び、髪をまとめていたタオルを解いてくださいました。
 やさしくブラッシングしてくださるお姉さま。
 ああん、シアワセ・・・

「良い人に出会えて良かったわね、直子。そのおかげであたしも、普通では出来ないような体験させてもらっているし」
「これからでも、たまには直子のこと、貸してあげてもいい、くらいの気持ちにもなってきちゃったわ。でもたぶん、そういうのはシーナさん、断わるだろうとも思うけれど」
「お姉さま?」
 そのお言葉に、ちょっぴり不安になる私。

「そのくらい彼女が魅力的な人だな、って思ったっていうことよ。もちろんあたしだって、直子を手放す気はまったくないわよ?一緒にいてこんなに面白いヘンタイっ子なんて、そうざらにはいないもの」
 イタズラっぽく笑うお姉さまに、私も安堵のホッ。
「さあ、行くわよ直子。四つん這いになりなさい」
「はいっ、お姉さま」
 お姉さまに促され、棒枷を取り付けるために身を屈めました。

 棒枷は明らかに、さっきより長くなっていました。
 お浣腸のときまでは、左右の足のあいだの幅が70センチくらいだったのに、今は少なくとも、もう20センチ以上は広げられています。
「さっきシーナさんが、バーの伸縮ねじを弄っていたわね」
 お姉さまも気づかれたようで、バーに視線を落とされながら、そう教えてくださいました。

 これだけ両足を広げられたまま四つん這いになったら、お尻の割れスジも、もちろんアソコもさっき以上に全開となっちゃうことでしょう。
 その姿になった自分を想像して羞恥にわななきつつ、首輪にリードの留め金を嵌め、持ち手をお姉さまに手渡しました。
 そして、自らゆっくり、床に這いつくばりました。

 両足の泣き別れプラス20センチの威力は、思った以上に凄く、両膝もより開いているので、交互に膝を浮かせて進むという形になりません。
 腰のほうが沈んでしまうので、両腕の力だけで前進して、両膝はずっと床を擦る感じで移動することになりました。
 アソコもお尻もさっき以上に割れていて、粘膜が空気に容赦なく晒されているのがはっきりわかります。

「んふんんぅーんっ」
 あまりの自分の無様さに、いたたまれない羞恥の喘ぎが堪えきれずに洩れてしまいます。
 お姉さまにリードを引かれ、尖った乳首をユラユラさせて這うように従う自分の姿がガラスや鏡に映るのを見て、全身の細胞のひとつひとつまでがマゾ色に染まり、自分の意志とは反して盛大に悦んでいるのが、自分でわかりました。

「おっけー。直子さんはそこに、足の裏を鏡に向けて仰向けに寝てちょうだい」
 お仕置き部屋、ベランダに向いたマジックミラー側が一面鏡と化しているサンルーム、に入るとすぐに、シーナさまのご指示がありました。
 お浣腸の前、お姉さまとふたりで私のオモチャ箱の自虐お道具をひとつひとつ試していたときの私の定位置あたりがざっと片付けられ、大きなバスタオルが一枚敷かれています。
 つまり、その上に横になれということなのでしょう。
 四つん這いのままその場所まで近づきました。

「今回は、直子さんにも自分の目で、何をされているのか全部目撃してもらおうと思っているのね。なんてったって今夜のメインイベントなのだから」
「もちろん録画もするしモニターにも映すけれど、自分で肉眼で観察したほうが絶対、何十倍も恥ずかしさが増すと思うから」
 お言いつけ通り、鏡に両足の裏を向けて仰向け大の字に寝そべった私を見下ろして、シーナさまが冷たそうな笑みを浮かべました。
 そのお顔がどんどん近づいてきて、私の傍らにしゃがみ込みます。

「だから、ちょっと窮屈かもしれないけれど、屈辱的な体位になってもらうわよ。まず上半身を起こしてくれる?」
「は、はい・・・」
 お腹に力を入れて、腹筋の要領で上半身を起こしました。
 真正面の鏡の一番下に、私の大きく開いた両腿のあいだがぼんやりと映っています。

「そのままからだの力を抜いていてね」
 おっしゃりながらシーナさまは私の足のほうへ行き、足枷に繋がれている棒枷のバーが踵側にあったのを左右とも、足の甲側に移動させました。
 それから私の左腕を取りました。

「両膝を立ててくれると、やりやすいのだけれど」
「あ、はい」
 深く考えずご命令通りに、と膝を折り始めると、すぐに気づきました。
 こんな大開脚で両膝を立てたら、それはすなわち大開脚M字ポーズ。
 正面の鏡に、今度はクッキリと、私の恥ずかしい部位があからさまに映し出されました。
「あ、いやんっ」
 目を反らしても、濡れそぼったソコが室内灯にキラキラ反射していた画像が脳裏から離れません。

 そんな私におかまいなく、シーナさまは私の左腕を引っ張り、左手首の革手枷のナスカンを棒枷左端のリングに繋いでしまいました。
「あっ」
 同じように右手首は棒枷右端へ。

 左右の手足首をそれぞれひとつに括られたのと同じ状態となった今の私は、棒枷で強制的に開かれているその間隔のお下品さとも相俟って、さしずめ、世界一だらしない体育座り、みたいな格好になっていました。

「あら直子さん、両膝に力入れて内股にしちゃって、オマンコ全開を阻止しようなんて、らしくないわね?力抜いたほうがラクよ?」
 シーナさまのからかうお声が降ってきますが、やっぱり内股はやめられません。
 だって、鏡に映る自分の姿が、あまりに破廉恥過ぎるのですもの。

「でもね、直子さんの努力は無駄なの。あともうひと行程加えたら、直子さんはただのお肉の塊になっちゃうの。流行の言葉で言えば、そうね、ニクベンキっていうやつ?あ、でも直子さんは男性用ではないから、女性限定ニクガングかな」
 愉快そうなシーナさまに私はドキドキの頂点。
「このリード、外させてもらうわね?」
 お姉さまに向けたシーナさまのお声。
 私の首輪から鎖が外れました。

 外されたリードの代わりに、もっと極端に短い、たぶん20センチ、いえ15センチにも満たない鎖が、赤い首輪の正面にぶら下げられました。
「ちょっと失礼」
 両手足首泣き別れで括られた棒枷のバーが、私の顔のほうに引っ張られました。
 両足が宙に浮き、起こしていた上半身が倒れ、背中がバスタオルに着きました。
 大開脚のお尻が突き出すように浮き上がり、鏡の高い位置に私の秘部が映っています。
 同時に、今度は肩寄りの背中が押されて浮き上がり、首輪の鎖を引っ張られて顔が棒枷のほうへ近づきました。
 えっ!?何?何?
 気がつくと、首輪からの短い鎖が棒枷中央にあるリングにカチンと繋がれていました。

 えーーーっ!?
 何この格好!
「直子さんてからだ柔らかいから、本当ラクね。どんな格好にもさせられる」
 シーナさまののんきそうなお声が聞こえてきますが、私は、それどころではありません。

 私の今の格好は、開脚前転の回転途中で固まった感じ。
 棒枷と首輪が10数センチくらいで繋がっているので、からだ全体を丸めたまま、お尻を高く突き上げている姿勢です。
 確かにこの格好だと、両膝に力を込めたところで大きく開いた両腿の付け根には何の影響も無く、ほぼ全開のままとなってしまいます。
 
 すぐ目の前に自分の下腹部があります。
 自分のアソコが至近距離の視界内で、パックリ大きくお口を空けています。
 もう少しでお尻の穴まで見えそう。
 視線を少し上に上げれば、大きく開いた両脚のあいだから覗く自分の情けない顔が、鏡に映っているのが見えます。
 お下品なのを承知でわかりやすく言うなら、大開脚まんぐり返し、の状態で拘束されてしまったのです。

「すっごく直子さんらしい格好になったわ。ヘンタイ見せたがりマゾそのもの、って感じ。まさに、お似合い、って言葉がピッタリ」
「どう?これなら自分でお尻にどんなイタズラをされているか、鏡見ないでもわかるでしょう?」
「あぁうぅぅ」
 シーナさまの得意そうなお声をニクタラシクも思えないほど、私はショックにうちひしがれていました。
 鏡に映った自分の姿が、あまりにもみじめで卑猥過ぎるのです。

 普通の女性なら、視られたら一番か二番めに恥ずかしいと思うであろう箇所を両方とも開けっぴろげにして、転がされている肉の塊。
 その格好で放置されているだけでも、全身が羞恥で染まってしまいそうな、女性、いえ人間以前の妙にいやらしい物体。
 そして、恥ずかし過ぎるその部分にどんなイタズラをされても、まったく抵抗出来ない無力感。
 おまけに、そのイタズラをすべて自分の肉眼で、目撃だけは出来ると言う屈辱感。
 この姿は、確かにシーナさまのおっしゃるとおり、肉のオモチャ、つまりニクガングそのものだと思い知りました。

 ただ、一方では、まったく別なことも考えていました。
 それは、こんなに完全に恥辱的かつ絶望的な拘束姿には、独り遊びでは絶対になれないな、ということ。
 独り遊びでも、なるだけならなれるかもしれませんが、拘束を外すことはひとりでは絶対に出来ないでしょう。
 シーナさまがいて、お姉さまがいらっしゃるからこそ、安心してこんな格好になれるんだ、って気づいたのです。
 その意味であらためて、お姉さまとスールになれて、おつきあいが始まって本当に良かったな、と考えていたことは、事実でした。
 
 不自由な視界にお姉さまの姿を探しました。
 お姉さまは私の右脇で、私のまんぐり拘束姿をまじまじと見下ろしていらっしゃいました。
 視線が私のお尻から顔へと何度も往復していました。
 その瞳は好奇心で爛々と輝き、お顔は興奮で紅潮され、さらに艶っぽさを増してすっごくお綺麗でした。

 互いの視線が重なったとき、お姉さまがニッと微笑み、視ているこっちが恥ずかしくなるほどいやらしいけれど、でもカワイイわよ、って小声でささやくように、おっしゃってくださいました。
 それを聞いた私は、一生この姿でもいい、って思うほど、嬉しさと恥ずかしさでキュンキュン高まっていきました。


就職祝いは柘榴石 13

2014年12月7日

就職祝いは柘榴石 11


「良かったわね、直子さん。こんなにあなたのことを想ってくれるお相手に巡り逢えて」
 気を取り直すように笑顔を作ったシーナさまが、私にそう投げかけてから、お姉さまに向き直りました。
「もちろん、いつだって相談に乗るわよ。わたしだって、直子さんの行く末はとても気になるもの。この子の躾、大変でしょうけれどがんばってね」
 しみじみ口調に戻ったシーナさまに、おだやかにうなずき返すお姉さま。

 そのやりとりを聞いていた私は、シーナさまがおっしゃった、躾、という単語のエスエムぽさに、ズキュンと感じてしまいました。
 
 そう言えば今の私ってなんだか、新しい飼い主に貰われていく出来の悪いワンちゃんみたい。
 最初はやよい先生に躾けられ、その後しばらくシーナさまに躾けられ、これからは愛するお姉さまだけに従うメス犬マゾペットな私
 シーナさまとのおつきあいでは、私生活は自由だったけれど、これからは自慰行為までもお姉さまに管理される、お姉さまだけの所有物。
 私のおっぱいも乳首も性器も肛門も全部、お姉さまに躾され、お姉さまだけが自由に出来る・・・
 躾、という一言から次々に湧き出てくる被虐性一色の甘酸っぱい想いが、下半身の奥で粘質な雫に姿を変え、棒枷で押し開かれた粘膜から溢れ出し、縁から垂れ下がったのが自分で分かりました。

「さあ、わたしは助手に徹するから、さっきみたいにエミリーの手で直子さんにご馳走してあげて。そのぬるま湯を、たっぷりと」
 シーナさまが私のお尻側に移動しました。
「やだ、この子ったら、また愛液垂らしているわよ?よっぽど待ちきれないのかしら」
 シーナさまの蔑んだお声。
 お姉さまのおみ足も視界から消えました。

「シリンジ持っていてあげるから、可愛いプティスールのアヌスをほぐしてあげるといいわ。それと直子さん、顔を逆側に向けてごらんなさい」
 シーナさまのお言葉で、床のタイルにへばり付くように右向きにしていた顔を、腕を少し浮かせて左向きに変えました。

 壁の鏡に私の姿が映っていました。
 高く突き上げたお尻から、急な下りスロープの肩先あたりまで。
 私のお尻を覗き込むように中腰になっているおふたりの姿も見えました。
 なんてみじめで浅ましい姿。
 思った途端にアソコの奥がヒクッて・・・

「あらあら、肛門すぼめたりして。ひょっとして催促しているの?直子って、本当にはしたないのね」
 え?今、お尻の穴まで動いちゃったんだ。
「ち、ちがいますぅぅ」
 消え入りそうな声でお姉さまに抗議しますが、言葉とは裏腹にからだ中が期待でカッカと火照り、グングンいやらしい気持ちが昂ぶっています。
 すっごく恥ずかしくて目をギュッと閉じてしまいたいのに、鏡の中の自分から目をそらすことが出来ません。

 鏡の中で、薄でのゴム手袋を嵌めたお姉さまの白い指が、私のお尻に近づいてきます。
「あふぅ!」
 まずは、アソコの粘膜に溢れているおツユを指先でからめ取ったのでしょう、ラビアを撫ぜられて吐息が洩れました。
 ラビアへのじれったい愛撫の後、複数の指がお尻の穴周辺を撫ぜ始めました。
 ときに優しく、ときに乱暴に。
 穴を前後左右にたわませるように、広げてはすぼめ、すぼめては広げ。
「あふうぅん、あふうぅぅ、んんんぅぅぅ」
 マッサージのリズムと同じテンポで、盛大に喘いでしまいます。

「なんだかさっき浣腸したときより、ここ周辺の皮膚が柔らかくなっているみたいですね」
 お姉さまの感想。
「喘ぎ声だって俄然艶っぽくなっているもの。やっぱり直子さんて、ここを弄られるの、相当好きみたいね。いいなあエミリー、開発出来て」
 羨ましそうなシーナさまのお声。

「くぅぅぅっ!」
 いきなり穴に何か差し込まれた感覚。
 どうやら指のよう。
 全身がゾクッと震え、怯えにも似た感情と共に、得体の知れない超気持ちいい快感が、からだを駆け抜けました。

「さっきは指先しか入らなかったのに、第二関節まで一気にズブッと入っちゃった」
 お姉さまの驚いたようなお声。
「すごい適応能力だこと。これは、メインイベントがすごく愉しみ」
 シーナさまのお声も弾んでいます。
「すごい。肛門があたしの指をギュウギュウ締め付けてきてますよ」
「オマンコからもダラダラおツユが垂れているわね。直子さんがすっごく感じている証拠よ」
「くぅっ、ふふぅぅぅん、んんんんぅぅぅっ・・・」
 おふたりの、私にとっては恥ずかし過ぎる会話を耳にしながら、お尻に指を挿れられているあいだ中、恥ずかしい愉悦の声をあげっぱなしでした。

 指が抜かれた名残惜しさを感じる暇も無く、入れ代わりに指よりも冷たい何かがお尻の穴にあてがわれました。
 もちろん、ガラスお浣腸器の、あの魅力的で淫靡な注入口。
「さあ、本番行くわよ?直子は鏡でしっかり、自分が浣腸される姿を見ていなさい」
 
 お姉さまのご命令口調は、シーナさまにとてもよく似ています。
 他人に命令することに慣れた人たちだけが出来る、冷酷で口答えを絶対許さない、加虐性に満ちたエスなお声。
 私のマゾ性がひれ伏して悦んでいます。

 指よりも細いお浣腸器の注入口は、難なく私の肛門に埋まり、冷たいガラスの筒がお尻のワレメ付近のお肉に押し付けられました。
 間髪を入れず、お腹の中に液体が流れ込んで来るのがわかります。
「はあああぅぅーん!」
 やだ、何これ、お浣腸薬のときとはぜんぜん違う!
 ピストンで押し出されるぬるま湯の勢いは激しく、まさに、鉄砲水、という感じで流れ込み、お腹の中に溜まっていきます。

「50ミリって、けっこうすぐですね?」
「そうね。さっきの浣腸薬で40ミリだから、量的にはほとんど変わらないから。でもグリセリンが無い分、お腹にはやさしいの」
「そっか、あの果実の容器で40なのか。それならまだまだ入りそうですよね?」
 おふたりが怖い会話をしつつ、再びお浣腸器をいそいそとぬるま湯で満たしています。
 私のお腹は、今のところ何の変化もなし。

 私のお尻側に戻られたお姉さまは、何の前置きも無く無造作に、お浣腸器を私の肛門に再び突き挿しました。
「あうっ!」
 水流が勢い良く、私のお腹に流れ込みます。
「くうぅぅっ!」
「これで100か。どう?直子?」
「あぁぅ、ぃ、今のところ、だ、だいじょうぶ、みたいですぅ・・・」
 喘ぎ声をあげつつ、なんとかそう告げましたが、内心では出すときのことが気になって気になって、生きた心地がしません。

「シーナさんは、どう思われます?」
「その口ぶりだと、エミリーはもっと入れたいみたいね。大丈夫よ、あと100くらい、いけるはず」
 シーナさまのお声は、まるで何か実験の指示をされる先生みたいに冷静でした。
「それにたくさん入っていたほうが、出るときの迫力が違うわよ」
 愉しそうに申し添えるシーナさま。
「そ、そんな・・・」
 絶望的な気持ちでつぶやいた私の声なんて聞こえなかったみたいに、お姉さまがツカツカとぬるま湯の入ったボウルに、もう一度歩み寄りました。

 結局その後2回、お浣腸器をお尻に突き立てられ、私のお腹には合計200ミリリットルのぬるま湯が注入されました。
「直子って、水が入っていくたびに、はぁーんっ、て、とてもエロっぽく啼くのね。可愛いわよ」
 お姉さまにからかわれました。
 4回目のときに、少しお腹が痛くなってきて、お姉さまにそう告げたのですが、がまんなさい、の一言だけ。
 4回目のお浣腸器が抜かれてから束の間、静寂が訪れました。

「こうして黙って待っていてもつまらないから、リミットが来るまで、直子さんを悦ばせてあげない?」
 静寂を破ったのは、少しのあいだバスルームを離れ、戻ってこられたシーナさまでした。
「エミリーにはこれね」
 鏡の中で、シーナさまがお姉さまに乗馬鞭を手渡したのが見えました。
「それと、わたしも協力するために、わたしが直子さんのからだに触れることを許してくださる?」
「それはもちろんです。今夜はシーナさんからレクチャーを受けるためにお呼びしたのですもの、お好きなように、どうぞ、うちの直子を存分に可愛がってやってください」
 お姉さまが鞭をヒュンと鳴らしました。

「ありがと。それではお言葉に甘えて」
 シーナさまが私の顔のほうに近づいてきて、しゃがみ込みました。
「直子さん、もうそんなふうに這いつくばっていなくていいのよ?あとは直子さんのお尻の穴から何かが飛び出すのを、あなたの愛するお姉さまとふたりで見物するだけだもの」
 イジワル全開なシーナさま。

「両腕伸ばして、普通の四つん這いになってくれる?」
 そう促され、両手を床に着き、上半身を上げました。
 お腹の中でお水がお尻側に動いた気がしました。

「ほら、これ」
「直子さん、これが大好きだったわよね。がまんしているご褒美に、まず、これをあげるわね」
 シーナさまが指でつまんでいたのは、木製の洗濯バサミでした。
 その手がゆっくりと、四つん這いの私の垂れ下がった乳首に伸びてきます。
「はうっ!」
 シーナさまの指が、私の左乳首に触れました。
「うわーコリッコリ。ずいぶんと硬くなったものねえ。血が集まり過ぎちゃったかしら」

 絞り込むように縛られたままの乳房の先端は、バスルームに入ってからずっとつづけられている怒涛の恥辱責めにより、休む暇なく尖りつづけていました。
 今、そこを強く挟まれたら、それだけでイってしまうかも・・・
 来たるべき快感に身構えていると、乳首に激痛が走りました。

「あーーーぅぅぅっ!」
 左の乳首の激痛が鈍痛に変わり、痺れるような快感が全身を駆け巡ります。
 つづいて右の乳首からも全身へ。
「いいいぃぃぃーーーーーーっ!」
 アソコの奥がジンと疼き、全身がビクッと硬直した後、弛緩しました。
 弛緩した瞬間にお腹がグルグルと大騒ぎ、腹痛が激しくなりました。
 あわてて下半身に意識を集中し、お尻の穴を精一杯すぼめます。

「あら?今、お腹がゴロゴロ鳴ったわね。そろそろなのかしら?」
 シーナさまのお言葉が終わらないうちに、お尻のほうでヒュンと音がしました。
 パシンッ!
「あっうっ!」
 お姉さまの乗馬鞭。

「まだまだがまんしなくちゃだめよ、直子。浣腸してから5分も経ってないのよ?」
 お尻の穴からアソコまでの狭い範囲を鞭のベロでスリスリ撫ぜられて、私はクネクネ身悶えます。
「はいぃ」
「それと、出すときはちゃんと事前に断ってね。あたしが直子の後ろにいて、不意打ちで直子のものを浴びるなんて、絶対に嫌だからね」
 ヒュン!
 パシッ!
「いたいっ!わ、わかりましたぁぁぁ・・・」

 お姉さまには乗馬鞭でお尻をビシバシぶたれ、シーナさまには四つん這いのお腹を下から両手でグイグイ押され、の責め苦がつづくうちに、私の排泄欲がみるみる切迫してきました。
 両乳首を噛む洗濯バサミの痛みも、お姉さまの鞭がくれるお尻のヒリヒリも霞んでしまうほどお腹が痛くなり、一刻も早くお外に開放してあげたくてたまりません。

「はぁ、はぁ、ぁ、あのぅ、そろそろ、はぁ、はぁ、そろそろ、限界、み、みたいですぅ、はぁ、はぁ・・・」
 息を荒くしていないと、がまんが効かなくなってしまいそうで、大きく息を吸っては吐きをくりかえしつつ、切れ切れにおふたりに訴えかけました。
「はぁ、はぁ、もう、もう、ほんとうにぃもう・・・」
 全身は熱いのに寒気を感じ、四つん這いの全身がプルプル震え始めました。
 鏡の中で、乳首にぶらさがった洗濯バサミも小刻みにフルフル震えています

「あら、いよいよなの?あたし顔フェチだから、その瞬間に直子がどんな顔になるのか、じっくり見せてもらわなくちゃ」
 お姉さまの鞭が止まり、私の傍らへ近づいてくるようです。
「だったらわたしは、その歴史的瞬間をお尻のほうから、カメラに収めさせてもらおうっと」
 シーナさまは、ハンディカメラを片手に、私のお尻側へと移動されました。

「さあ直子、しっかり見ていてあげるわよ。直子の恥ずかしい排泄の、その瞬間の顔」
 四つん這いの私の目の前にしゃがみ込んだお姉さまが、真正面から私を見つめてきました。
「はぁ、はぁ、ああんっ、お、お姉さまぁ・・・」

 お姉さまと至近距離で見つめ合い、お姉さまの肉声を間近でお聞きした瞬間、強烈な羞恥心が私の胸に湧き上がってきました。

 やっぱりこんな恥ずかし過ぎる姿、愛するお姉さまにお見せ出来ない、したくない。
 私の汚いものなんて、見ていただきたくない。
 排泄行為の、浅ましい姿なんて・・・

「はぁ、はぁ、お姉さま・・・やっぱり、やっぱり見ないでくださいぃ、はぁ、はぁ・・・」
「わ、私、はぁ、はぁ、お見せしたくないですぅ、はぁ、はぁ、大好きな、大好きなお姉さまに、はぁ、はぁ、こ、こんなすがた・・・」
 感情が昂ぶり、目尻に涙が溜まるのが分かりました。
「どうか、はぁ、はぁ、どうか、見ないでくださいぃ」

「あらあら、涙なんか浮かべちゃって、あたしに視られるのが、そんなに泣くほど嬉しいの?」
 私の渾身のお願いをはぐらかすみたいに、私から目をそらさずにクスクス笑うお姉さま。
「今のそのぐしゃぐしゃな顔も、かなりそそるわよ?色っぽくってゾクゾクしちゃう」
 後から思えば、そのときのお姉さまの瞳は、完全にエスの人のそれで、私の困惑さえも愉しんでいたのでしょう。

 そうこうしているうちにも、お腹の限界は刻々と迫り、もはや一刻の猶予も許されない状態となっていました。
「はぁ、はぁ、もう、もうだめです、もう出ちゃいますぅ。だから、はぁ、はぁ、お姉さま、だから、だから見ないで・・・」
「いいのよ、出しちゃいなさい。わたしはそれで、直子を嫌いになったりしないから」
 小さな子供を諭すような、お姉さまのおやさしいお言葉。
 つづけて不意に、お姉さまのお顔が近づいてきて、はぁはぁ喘いでいる私の唇を、ご自分の舌でペロッと舐めてくださいました。
「あんっ!」
 一瞬気が緩んだ私を、せっぱつまった便意は見逃してくれませんでした。

「あうぅぅ、ごめんなさいぃぃぃぃーーっ!」
 絶望的な破裂音をかき消すように私の絶叫が響き、お尻の穴から水流が勢い良くほとばしりました。
「見ないでー、見ないでーーっ、許してーーっ!」
 泣き喚く私の意志に反して、肛門からの放水は止まることなく、バスルームにしばらく水音を撒き散らしました。
「いやー、いやー、だめぇー、見ないでーーーっ」
 放出が始まった途端、上半身を支えていた両腕が崩れ落ち、床のタイルに額を擦り付けるようにつっぷしていました。
 水流が止まった後も、そのままの姿勢で、見ないで、ごめんなさい、ばかりつぶやく私。
 心が混乱しきって、何も考えられなくなっていました。

「いい絵が撮れたわよ」
 シーナさまのお声が近づいてきました。
「直子さんがガクンと崩れたときに、噴水がゆらりと舞って、より高く吹き上げたのが見物だったわね。水も濁っていなかったし、余計なものも出なかったし、芸術的でさえあったわ。あら?どうしちゃったの?」
「なんだかかなりショックだったみたいです。出す寸前は、あたしに、見ないで、ばっかり言っていたし」
「ふーん。直子さん、意外にナイーブなところもあるのね。いいわ。わたしに任せて」

 不意に、バストを圧迫していたロープが緩みました。
「ほら、直子さん、終わったわよ。顔を上げなさい」
 シーナさまのお言葉と共に、人肌くらいのやさしいシャワーが肌を濡らしてきました。
「最初にしては上出来だったわ。エミリーも、ますます直子さんのこと好きになっちゃったって」
 シャワーのお湯で、いくらか気分が落ち着き、恐る恐る顔を上げました。
 シーナさまもお姉さまもしゃがみ込んで、目におやさしげな笑みをたたえて私を見つめていました。
 シーナさまが、その笑顔のまま私の顔を覗き込み、落ち着いたお声でおっしゃいました。

「ねえ、思い出してみて。さっきは動転して気がつかなかったかもしれないけれど、がまんにがまんを重ねて、とうとうがまんしきれなくなって放出した瞬間のこと」
「凄まじい羞恥心や背徳感、喩えようの無い屈辱感や被虐感、そういうのがごちゃ混ぜになって、直子さんは、今までに経験したことの無い性的な高揚と、圧倒的な開放感を味わったはずよ」
「浣腸プレイの醍醐味はそこにあるのだし、直子さんには、それが感じ取れるはずなの。なぜなら直子さんは正真正銘のマゾだから」
「ちょっとそこで仰向けになってごらんなさい」

 シャワーを止めたシーナさまが手伝ってくださり、棒枷の両足をひっくり返して、仰向けM字開脚になりました。
 緩んだロープはスルスルッと素肌から離れ、胸元にクッキリ食い込んだ縄の痕がありました。
 洗濯バサミはふたつとも、まだ乳首に噛み付いています。

「上半身を起こして、自分のオマンコ、見てごらんなさい」
 催眠術にかかったかのように、シーナさまのお言葉に従順に従う私。
 視線を下に向けました。
「ほらね。グショグショのヌルヌル。右手を伸ばしてさわってごらん?」
 恐る恐る、右手を股間に伸ばします。
 粘膜に触れる前から、そこが大きな熱をもっているのがわかるほど。
「熱くなっているでしょう?それに溢れるほどの愛液。直子さんがさっき、浣腸プレイをしたせいなのよ」
「早く満足したい、っておねだりしているのよ、オマンコが。慰めてあげなさい。がんばったご褒美なのだから」

 そのお言葉を聞いて顔を上げ、お姉さまのお姿を探しました。
 シーナさまのすぐ横にいたお姉さまと視線が合いました。
 コクンとうなずくお姉さま。
 つづいてシーナさまとも合わせます。
 ニッコリ微笑むシーナさま。

 それを合図に私は、ワレメの手前で止めていた右手を、ベッタリ股間に貼りつかせました。
 熱い。
 同時に左手は乳房へ。
 こっちも負けず劣らず熱い。

 それからの私は、気がヘンになったかのように、自分のからだを両手で貪りました。
 おっぱいを、乳首を、ラビアを、粘膜を、クリトリスを。
「お姉さま、シーナさま、見て、見て、見てください。ヘンタイ直子がオナニーする姿を、恥ずかしい姿を見てください・・・」
 濡れたタイルの上で、そんな言葉を何度も何度も喘ぎながらくりかえし、おふたりの目の前で何度も何度も何度もイきました。


就職祝いは柘榴石 11

2014年11月30日

就職祝いは柘榴石 10

「直子さんの場合はね、最低限ここを縛っておけば、それだけで何倍も感じやすくなっちゃうのよ」
 シーナさまが手馴れたご様子で私の胸元に、二つ折りにした麻縄をあてがいました。

「まずは、バストの膨らみ始めのところらへんでひとまわりさせて、それからロープの折り返しにもう片方の端を通すでしょ」
「そしたら、折り返し部分を背中にまわして、ギュッと絞るの」
「はぁうっ!」
 麻縄が肌に食い込んでくる、その痺れるような感覚に、思わず歓喜の声が出てしまいます。

「それから今度は、アンダーのほうへロープをまわして・・・」
 シーナさまの麻縄が、私の下乳に潜り込みます。
「あふぅん!」
「このときね、上下のロープで乳房を挟んで絞り出すように、きつめに縛るのがコツね」
「この子のおっぱいってほら、ちょっぴり垂れ気味じゃない?だからアンダーの裏側に潜り込ませるようにロープを入れて、上下に挟むように絞り出すの」
 余った麻縄が手際良く背中で結ばれます。

「ほら、見てよ、この乳首」
 シーナさまがニヤニヤ笑いで、私の乳首を指さします。
「ただでさえ存在感あるのが直子さんの乳首なのだけれど、こうすると、ロープで皮膚が引き攣って突っ張りながら背伸びしちゃって、痛々しいくらい尖っちゃっているでしょう?」
「思わず指で弾きたくなっちゃうわよね?この硬そうなもの。こうなっちゃったらもう、すっごくビンカンだから、息を吹きかけただけでも悶えちゃうはずよ、この子は」

 お姉さまが、私の恥ずかしいほど尖立したその部分を、食い入るように見つめてきます。
 そしておもむろに、右のそれに、フーッと息を吹きかけました
「ぁふぅん!」
 ゾクゾクッと快感が背筋を駆け上がり、同時にお腹がグルグルッと鳴りました。
 あわてて下腹を引き締めます。
「ほらね?」
 シーナさまがしたり顔で、愉快そうに笑いました。

「本当は、後ろ手にさせて二の腕ごと縛ったほうが捗るのだけれど、直子さんには、これからまだまだやってもらうことがあるから。まだ腕は自由にしておいてあげる」
 シーナさまがお姉さまに、残った麻縄を手渡しました。

「おっぱいだけでも、縛りかたはいろいろあるの。ブラみたく八の字にしたり、首から十字にかけたりね」
「独特の結びかたがたくさんあるから、それを先に覚えるといいわ。実生活でも活用できるし。あ、でも、エミリーは服飾だから、その辺は得意分野かもね」
「まあ、直子さんなら、自分でもいろいろ縛ること出来るひとだし、プレイのためだけだったら、エミリーが無理してロープにこだわる必要も無い気もするかな」
 お姉さまは、うんうんうなずいて、シーナさまのお話に真剣に聞き入っています。

「直子さんて、縛られかた云々よりも、何かしら拘束されること、が最優先ぽいのよね。だから手錠とか首輪だけでも、されただけであっさり乱れちゃうの」
「ただ、やっぱりきっちり縛ってあげると、本当にいい顔するわよ、この子。うっとりした顔して恍惚状態。縄酔いの気持ち良さ、誰かさんたちに教え込まされちゃったから」
「だから、菱縄縛りとか亀甲縛りくらいは、覚えて損は無いと思うわ」
 ずっとお姉さまに語りかけていたシーナさまが、チラッと私を見ました。

「そう言えば直子さん?あなた以前、ミーチャンからセルフボンデージレッスンのDVD、もらったのよね?」
「あ、はい・・・」
 まだ地元にいる頃、自縛の練習用にと、やよい先生がミイコさまをモデルにしてわざわざ作ってくださったものです。
 その映像で私もずいぶん、ロープの扱いかたが上手になりました。
「それ、あとでエミリーに貸してあげて。あれはとてもわかりやすいもの。エミリーならすぐ出来るようになるはずよ」
「ぁ、は、はい・・・」

 上ずった声でそうお答えしたものの、私はそれどころではありませんでした。
 緊急事態が差し迫っていました。
 お腹の中がひっきりなしにグルグル蠢き、中のモヤモヤしたものたちが、お外へ出たいと、しきりに私に訴えかけていました。
 棒枷で広げられているためにピッタリとは閉じられない膝立ちの両腿を出来る限り内股にして、お尻の穴を必死にすぼめてがまんしています。

「あ、あのぅ、今、わ、私、すぅごく、お腹が、痛いのですけれど・・・」
 お話がひと段落して、黙って私を見下ろしているおふたりに上目遣いで、すがるようにお願いします。
「もう、で、出ちゃいそうなんですぅ・・・」

 これから私の、もっとも動物的でお下品な姿を、おふたりに至近距離でご披露しなければならない・・・
 屈辱の瞬間を目前にして覚悟を決めると、恥辱と被虐がないまぜになった不思議な陶酔がありました。
 
「あら、もうとっくに5分、過ぎていたわね」
 腕時計をチラッと見たシーナさまが、その場にしゃがみ、私に目線を合わせてきました。
「もうそろそろ限界?」
「はい・・・」
「そう。だったら早く、そこに四つん這いになりなさい」

 ついに来た・・・
 絶望的なお言葉に、私はゆっくり上半身を前方へ倒し始めます。
「四つん這いになって、犬みたく大急ぎにトイレへ駆け込んで、思う存分出してきなさい」
 ???
 一瞬、お言葉の意味することがわかりませんでした。

「えっ!?えっと・・・」
「ほら、早く行かなくていいの?ここで漏らしちゃ嫌よ」
「い、いいんですか?」
「だって直子さん、からだ健康そうだし、今だったらきっと、それなりのしっかりしたものがたくさん出てくるでしょう?」
「そんなのをここにぶちまけられても お掃除だの臭いだの後始末だの、めんどくさいことになりそうだもの」
「とりあえずスッキリ出して、出し終わったらまたここに戻ってくること。いい?」
「は、はい・・・」
 イタズラが成功したときの子供のようなお顔で、シーナさまがニッと笑いました。

「エミリーは、ついていきたっかたらついていってもいいわよ」
 シーナさまに促され、私同様キョトンとしたお顔だったお姉さまが、ハッと我に返りました。
「あっ、え?あたしもいいですよ。ほら、直子、さっさと行ってきなさい。間に合わなくなるわよ?」
 お姉さまのお言葉が合図だったかのように、私のお腹の中が再び盛大に騒ぎ始め、お返事もそこそこ、バスルームの隣にあるおトイレへ四つん這いで駆け込みました。

 危機一髪!
 便座に腰を下ろすのと同時でした。
 シーナさまの予想どおり、かなりしっかりとしたものが私の予想以上に出て行きました。
 一通りの行為を終えて洗浄した後も、しばし呆然と佇んでしまいました。
 お下品な姿をおふたりに視られてしまうことを回避した安堵と、果たせなかった陶酔へのちょっぴりな後悔。
 でも、トイレ内に漂う、自分が今したことの残り香に気づき、そんな後悔はすぐかき消されました。

 気が抜けたような四つん這いでバスルームに戻ると、お姉さまとシーナさまは、バスタブの縁に腰掛けて何やら楽しげに談笑中でした。

「あ、おかえりー。どう?スッキリした?」
 私に気がついたシーナさまが明るくお声をかけてくださいます。
「はい、おかげさまで・・・」
 四つん這いのままでいるべきか、膝立ちの服従ポーズになるべきか迷いながら、四つん這いでお答えしました。

「すごい音してたわね?ここまで聞こえたわよ?」
 イジワル顔なシーナさまの蔑んだお声。
「ご、ごめんなさいぃ」
 恥辱感が一気にぶりかえし、四つん這いの身をさらにちぢこませて土下座のような私。
 尖った乳首が濡れたタイルを擦りました。

「さてと。さあ、ここからが本番よ」
 シーナさまが立ち上がり、私の首輪のリードをお姉さまに握らせました。
「直子さんは、四つん這いで待機していてね。あ、お尻はあっちの排水口に向けて」
 シャワーをぬるま湯にして床を流しているシーナさまのご命令で、私は方向転換、入口に顔を向け、お尻を奥に向けました。
 一体、これから何をされるつもりなのだろう?

 シャワーを止めたシーナさま。
 バスルーム内がジンワリと湿気を帯びて、ほの温かくなっています。
 大きな鏡も綺麗に洗い流され、私たちの姿がクッキリ映っています。
 シーナさまがタオルに包まれた何かを持って、私の傍らに立っているお姉さまに近づいてきました。

「今日からこれが、エミリーと直子さん専用の相棒ね」
 シーナさまがタオルを開き、目の前に現われたのは、ガラス製のお浣腸器でした。
「正真正銘の新品で煮沸消毒も済ませてあるから安心して。実物見ると、けっこう禍々しいでしょ?これも、わたしからふたりへのプレゼント」
 シーナさまが笑いながら、私の鼻先にそれを突き出してきました。

 以前、ご近所のお薬屋さんにお浣腸薬を買いにいったとき、そのお店のおばさまに見せていただいたことがありました。
 でも目の前にあるのは、それより少し小さい感じ。

「実物って、ずいぶん大きいんですね?」
 傍で覗き込まれていたお姉さまが、驚いたようにつぶやかれました。

「そう?これは標準的な50ミリリットルサイズ。大きいのだと100とか200とか。逆に小さいのだと30ミリのもあるわね」
「えっちビデオとかでは、見た目優先で大きなの使っているけれど、100ミリのは女性の手だと扱いづらいのよ、大き過ぎて」
「逆に30ミリだと小さくて、お医者さんごっこしているみたいだし」
「このくらいなら、見た目的にも、SMプレイで浣腸している、って思えるでしょ?」
 最後はクスクス笑いまじりで、シーナさまがご説明してくださいました。

「あのぅ、私、また、お浣腸されちゃうのですか?」
 たまらずお口を挟んじゃう私。
「そうよ。まさかわたしやエミリーがするわけないじゃない。今日のテーマは、あなたのアナル開発なのよ?」
 シーナさまの心底バカにしたようなツッコミ。
「さっきのは、プレイのための事前準備。これからするのは、直子さんにみじめな気持ちを味わってもらうためのSMプレイよ」
 シーナさまのあっけらかんとしたイジメ宣言に、マゾ心がズキンと疼きました。

「大丈夫。今度はぬるま湯しか入れないから。さっきのでたぶん、あらかた出ちゃっているはずだから、今度はもう水しか出ないはずよ」
「ただまあ、音とか臭いとかがどうなるかは、何とも言えないけれどね。でも、そういうのがいいのでしょう?直子さんはヘンタイドマゾなのだから」
 シーナさまのイジワルなご説明で、私の被虐メーターがグングン上昇していきます。

 ぬるま湯浣腸。
 ガラスのお浣腸器を見せてくれた薬屋さんのおばさまが、今度来たときやってあげる、とおっしゃってくれて、私も行く気満々だったのですが、いつしか機会を逸し、それきりになっていました。

 これから私は、それを体験するみたいです。
 それも、大好きなお姉さまの目の前で。
 顔を上げてお姉さまのほうを見ると、お姉さまと目が合い、意味ありげなウインクをくださいました。
 その瞳は、好奇心で爛々と輝いていらっしゃいました。

「考えてみたら、直子さんのエネマプレイを目の当たりにするのって、わたし、初めてなのよね」
 シーナさまがお姉さまに語りかけました。
「ご存知の通り、アナル開発禁止令が出ていたから。百合さまから」
「ね?わたし、ほとんど直子さんのお尻は、虐めなかったわよね?」
 今度は私に向けられたご質問。
「あ、えっと、そうですね。少なくともお浣腸姿は、お見せしていないと思います・・・」

「わたしは、直子さんがときどきひとりでこっそり、浣腸愉しんでいるのは知っていたわよ。だって、使用済み容器がバスルームに転がっていたことがあったもの」
 え!?私、そんな無用心なこと、していたんだ・・・
 みるみるからだが熱くなり、火照った頬でうつむきます。

「だけど百合さまには、初お泊りの日、ヴァージン破られた翌朝に浣腸されて、タンポンまで突っ込まれたのよね?高校二年で」
 シーナさまの悪意に満ちたからかい口調に、私は、お姉さまに申し訳なくて、消え入りたい気分で身をちぢこませました。
「ね?この子、素養があるのよ。これからはおふたりで、せいぜい存分に愉しむがいいわ」
 シーナさまのお言葉がお姉さまへ向き、お姉さまがフクザツそうなお顔をされました。

「だけど最後の最後に、直子さんのエネマプレイに立ち会えて、本当に良かったわ」
 少し間を置いて、しみじみとした口調でそうおっしゃってから、シーナさまがお姉さまをじっと見つめました。

「直子さんのお相手が、エミリー、あなたで本当に良かった。もしそうじゃなくて、わたしの知らない人だったら、わたし、いつか直子さんを拉致して、今までがまんしていたプレイのあれこれ、やっちゃうつもりだったから」
 最後のほうは冗談ぽい感じでしたが、しみじみとした雰囲気のままおっしゃいました。
「これからも仲良くしましょうね。いろいろと」
 一転してイタズラっぽく笑うシーナさまに、お姉さまも戸惑いつつもニッコリ返しました。

「さ、それじゃあ始めましょう。エミリーはこれ持って」
 シーナさまがお姉さまにガラスの浣腸器を渡しました。
「直子さんは、お尻突き出して、迎え入れる準備をしていてね」
 ご命令通り、四つん這いの腕を折りたたみ、腕を床に着けて上体を下げ、代わりにお尻を高く突き上げます。
 緊縛されたおっぱいがタイルの床に、べったり押し付けられました。

「それで、これを吸い上げて」
 床に這い蹲るような形の私の顔の前に、水らしき液体がなみなみと注がれたガラス製のボウルが置かれました。
「これはあらかじめ作っておいたぬるま湯。害はまったく無いから安心して。先端を浸して、そのピストンを上に引き上げて」
 私の見ている前で、シリンダーにぬるま湯がグングン吸い上げられていきます。
 これが全部、私のお腹の中へ入っていくんだ・・・
「最初だから、100ミリで様子を見ましょう。つまり、この浣腸器2回分」
 えーっ、2回も!?

「よくビデオや小説で2リットルとか3リットルとか言うけれど、そんなの危ないからね。腸は水を吸収するから、下手すると水中毒とかあるから」
「要は、排泄する恥ずかしい姿を愉しむためのプレイなのだから、がまん出来ないギリギリ分量だけ入れればいいの。うちのメス犬は、1リットルくらい入るけれどね」
 
 シーナさまが楽しそうに解説してくださいますが、私の目はお姉さまの持つガラス浣腸器に釘付けで、ドキドキが止まりません。
 あの冷たそうなガラスの先端が私のお尻の穴に突き挿さり、ピストンで無理矢理ぬるま湯を注入されて、それから・・・
 麻縄で絞り出された両乳首が痛いほど尖って、両腿の裂け目の粘膜がヌルヌル疼いています。

「水が入ると、けっこう重いですね?」
 ぬるま湯を注入し終えたガラス浣腸器を危なっかしく両手で持ったお姉さまが、シーナさまに尋ねました。
「でしょ?女性が扱うならそのくらいが限度よね?100ミリだと、水がその倍だもの」
「それに、このくらいならひとり遊びでも重宝するはずよ。その先っちょにホースを付ければ、ひとりでも不自由なく注入できるはず。専用ホースも一緒に持ってきてあげたから」

「これで直子さんも、気軽にひとりエネマプレイが愉しめるわね?」
 シーナさまがからかうように私の顔を覗き込みました。
「いいえ。そうはさせません」
 
 突然、お姉さまのきっぱりとした冷たいお声が、私の頭上から降ってきました。
 見上げると、お姉さまが真剣なお顔で、まっすぐに私を見つめていました。
 そして、その視線がシーナさまへと移りました。

「あたしは今後、直子の性生活の一切をあたしがコントロールしようと思っています。だってこの子、放っておくとどんどんエスカレートしそうだから」
「オナニーもあたしに断らずにするのは禁止って、言い渡してあります。これからは一緒にいる機会も増えると思うので、直子の性欲は、あたしが満足させてあげるつもりです」
「でも、やっぱり手に余ることがあったらまたご相談させていただきたいと思っていますので、そのときはシーナさんも、協力してくださいね?」

 右手に持ったガラス浣腸器を肩の高さくらいまで上げてニッコリ笑いかけるお姉さまに、今度はシーナさまがフクザツそうなお顔をされていました。


就職祝いは柘榴石 11


2014年11月24日

彼女がくれた片想い 01

 彼女に興味を持ったきっかけは学校のトイレでの、とある出来事だった。

 俗に五月病と呼ばれる症状が発症しやすいとされる若葉の頃。
 昼休みの後、次の講義まで丸々一限分時間が空いていた私は次の講義が行われる教室のフロアまで移動した。
 そして、その時間帯に講義が行われていない空き教室のひとつに忍び込み、読書をしていた。
 
 小さめなその教室内にも廊下にも人影はまるで無く、しんと静まり返って快適だった。
 しばらく読書に集中し、あと20分くらいで次の講義という頃、微かな尿意を覚え、講義前にトイレをすませてしまうことにした。

 開け放したままの出入口ドアに一番近い席に座っていた私は読みかけの本に栞をはさみ立ち上がった。
 愛用のバッグを肩に提げ、引いた椅子は戻さずに廊下へ出た。
 用を足したらここに戻り、もう少しだけ読書をするつもりだった。
 
 使用されていない教室は出入口ドアを開け放したままにしておくことが学校の規則となっているのでドアもそのまま。
 そのドアのほぼ真向かいがトイレの出入口ドアだった。

 女子トイレ、女子大なので校内のほとんどのトイレが女子トイレなのだが、には誰の姿も無く、5つ並んだ個室のうち一番奥の個室だけドアが閉ざされていた。
 使用中の個室から一番離れた出入口ドアに最も近い個室に籠もり、便座に腰を下ろした。
 
 微かな尿意はなかなか実体化せず、なかなか出てこない。
 だけど次の講義終了まで持ち越すのは気持ち悪いので気長に待つことにした。
 さっきまで読んでいた本があと数ページで終わることを思い出し、下着を下ろしたままその本を広げて読み始めた。

 そのとき…

「んぅふぅっ…」
 
 誰かが入っているのであろう一番奥の個室の方から、くぐもった、押し殺したような声が微かに聞こえた気がした。
 きっと難産なのだろう、お疲れさま。
 たいして気にも留めず、再び活字に視線を落とした、

 すると再び…

「ぁふうぅ…」
 
 さっきより明確に、せつなげな吐息が聞こえてきた。

「んふぅぅぅっ…」

 排泄行為に伴うそれとは明らかに異なる、ある種の息遣い。
 この手の鼻にかかった呻き声には心当たりがふたつある。
 意図を持って押し殺しているにも関わらず喉の奥から漏れてしまう、妙に艶っぽい扇情的な吐息。

 ひとつは、何かしら悲しいことでもあって個室で人知れず涙に暮れている、その押し殺した嗚咽。
 もうひとつは、こっそりと何か性的な行為で高揚している、そのひそやかな愉悦。

 そこまで考えた時、自分の排尿が始まった。
 静まり返った個室にチョロチョロという水音が響き、案の定、数秒で出尽くした。
 洗浄して下着を上げ、いざ流そうとした時、ふと考えた。
 
 ここで勢い良く水を流せば、奥にこもっている彼女は数十秒前に漏らした呻き声を誰かに聞かれたことに気づくだろう。
 そしてそれは彼女にとって、とても恥ずかしいことなのではないかと。

 だがすぐにそんな気遣いは何の意味も無いという結論に達した。
 私には奥の個室の彼女がその中で泣いていようが、あるいは自分を慰めていようがまったく関係の無いこと。
 彼女だって私がさっさと出て行ってしまえば安心することだろう。
 私がすべきことは何も無かったようにここを出て空き教室に戻り、あと数ページの本を読み終えてしまうことだ。

 普通に大きな音をたてて水を流し、普通に個室のドアを開けた。
 あれから一度も声は聞こえてこない。
 手を洗いながら奥の個室を見ると、相変わらずぴったりと閉ざされたままだった。

 廊下へと出る時、私と入れ違いにひとりの学生がトイレに駆け込んでいった。
 可哀相に奥の個室の彼女、誰にも邪魔されずゆっくりひとりになりたくて個室に籠ったのだろうに。
 切羽詰っているふうな学生の後姿を見送ってそんなふうに思った時、ふと小さな好奇心が湧き出てきた。

 スマホを見ると、次の講義まであと約10分。
 そろそろ現在進行形の講義終了チャイムが鳴る頃だ。
 
 そのあいだに奥の個室の彼女が出てくるか、待ってみようか。
 あんな艶っぽい呻き声を出す彼女がどんな顔をしているのか、見てみるのも面白いかも。
 行かなければならない教室はこのフロアの一番端で、ものの数秒でたどり着ける。

 ひとまず空き教室に戻り、元いた席に座って本を開いた。
 この席からなら少し首を右斜め後ろに捻って窺えば、背後にある開け放しの出入口ドアからトイレ出入口ドアの閉開は確認出来る。
 なんだか探偵みたいだな、なんて考えた時、講義終了のチャイムが鳴った。

 休み時間となり、廊下が騒がしくなっていた。
 教室移動の人たちが廊下や階段を行き来し、いくつかの教室を出たり入ったり。
 高めなトーンの嬌声がザワザワとフロア内を満たしている。
 幸いこの小さめな教室は次の講義でも使われないらしく、誰も入ってこない。

 読書しているフリをしながらトイレの入口ドアを監視しつづけた。
 その間、私と入れ違いになった学生も含めて5人の学生がトイレに入り、それぞれ数分の間を置いて全員出てきていた。
 服装を全部憶えて確認していたので間違いは無い。
 
 奥の個室はまだ閉じたままなのだろうか。
 そうであるなら彼女がいつ個室に入ったのかは知らないが、少なくとも20分近くは奥の個室に籠っていることになる。

 講義の時間が迫り、どうしようか迷った。
 すでに廊下に人はまばら、隣の教室からは女子集団独特の華やかながらやや品に欠ける喧騒が聞こえていた。
 
 奥の個室の彼女は次の講義も出ないつもりなのだろうか。
 考えていたら講義開始のチャイムが鳴り始めた。
 今なら廊下を走ればぎりぎり間に合う。
 どうしよう…

 結局私はチャイムが鳴り終わり、フロアに再び静寂が戻った後もトイレの出入口ドアを見つめていた。
 単位集めの滑り止めで取った選択科目だし、ま、いいか、と自分を納得させた。
 それよりも20分以上トイレにこもったままの彼女のほうが気にかかった。
 ひょっとして急な病気か何かで苦しんでいて動けないのではないだろうか。
 そんな嫌な予感も生まれていた。

 私が受けるはずの講義が始まってから早くも5分近く経った。
 奥の個室の彼女は一体何をしているのだろう。
 もう一度トイレに入って思い切って声をかけてみようか。
 
 もはや完全にからだをトイレの出入口ドアに向けて睨みつつ逡巡していると、そのドアがゆっくりと内側に動き始めた。
 あわてて背を向け、読書をしているフリをする。

 うつむきながらも首を少し右に曲げて横目で観察しているとトイレのドアはじれったくなるようなスピードで内側に開いていった。
 開き切る寸前、唐突にドアの陰からマンガなら絶対に、ひょい、という擬音が添えられる感じで首から上の小さな顔が空間に現われ、その顔が不安そうに廊下の左右をきょろきょろ見回した。
 
 それはまるで安っぽいテレビドラマにありがちな、不審者、の行動そのもので、私は思わず苦笑いしてしまった。
 同時に、その顔を見て驚いた。
 その不審者は廊下に人影ひとつも無いことに安心したようで、素早く廊下に躍り出た。

 シンプルな茶系のブレザーにえんじ色の膝丈チェックスカート。
 白いフリルブラウスと三つ折ソックス、そして焦げ茶のタッセルローファー。
 この、いまだに女子高生のようなファッションに身を包んだふんわりミディヘアーの彼女に私は見覚えがあった。

 廊下に出てからの彼女の行動は素早かった。
 空き教室の開けっ放しのドアから私の背中が見えたのだろう、一瞬ギョッとしたように立ち止まってからガクンとうつむいて、ささっと階段の方向へ消えた。
 
 彼女が視界から消えると私も素早く立ち上がり、教室の出入口ドアの陰から彼女の姿を目で追った。
 彼女の背中は無人の廊下を小走りに校舎突き当たりの階段方向へと小さくなり、そのまま右に折れて階段を下りていく。
 そこまで見送ってから廊下に出て、再びトイレの出入口ドアを開いた。

 5つある個室はすべてドアが内側へと開いている。
 すなわち、ここには私ひとりきり。
 まっすぐに一番奥の個室へ向かう。

 別におかしなところは無い。
 床にも便器にも汚れは無く、いたって普通。
 ここで何が行われていたのかを教えてくれるような形跡は何も残っていなかった。
 ただ、微かにフローラル系パフュームの残り香が漂っているような気がした。

 講義をひとつ無駄にしてしまった自分の行動に苦笑しながら空き教室に戻り、最後の数ページとなった小説に没頭することにした。


彼女がくれた片想い 02

2014年11月16日

就職祝いは柘榴石 09

 ゴージャスなブルーベルベットの上に横たわっていたのは、2種類の、数珠、のような形状の一見ブレスレットぽいオブジェでした。
 ひとつは、直径1センチから2センチくらいのえんじ色の珠が徐々に大きくなるように連らなった、全長20センチくらいのもの。
 もうひとつは、直径1センチから最大4センチくらいの珠が凸凹ランダムに連らなっている、やっぱり全長20センチくらいのもの。
 えんじ色の珠は、どれもツヤツヤピカピカ、壮麗に輝いています。

「うわー、綺麗!」
 思わずつぶやいてしまいました。
「でしょ?ガーネット、和名だと柘榴石のカーバンクルよ。石も仕上げも質が良いから、本来ならこのままブレスとか、大きいのはカットして指輪やペンダントトップにするべき宝石なのだけれどね」
 シーナさまが意味ありげに微笑みました。

「それで直子さん、これが何だかわかる?」
「えっ?」
 シーナさまに尋ねられ、あらためてその数珠っぽいものをじっくり見つめました。
 宝石、っておっしゃったから、きっと何かアクセサリーの一種なのかな?

 どちらの数珠にも、片方の先端に直径3センチくらいのゴールドのリングが付いています。
 指とか何かにひっかけて、ぶら下げるためなのでしょうか?
 でも、そんなアクセ、聞いたこともない。
 何だかわかる?と尋ねるくらいですから、見た目どおりの数珠やブレスレットではないでしょう。
 ひとつのほうは、珠の大きさもバラバラだし・・・

 そこまで考えたとき唐突に、以前ネットで見たことのある、とあるえっちな画像が頭の中に浮かびました。
 裸の四つん這いで、お尻から数珠状のものを尻尾のように垂らしていた女性の画像。
「あっ!」
 私が声をあげると、シーナさまが嬉しそうにニッと唇の両端を上げました。
「さすがヘンタイ直子さん。お気づきになったようね」
 
 シーナさまが、まっすぐなほうの数珠状のものを手に取り、私の目の前にダランとぶら下げました。
 珠と珠とのあいだは、ぴっちりと詰められていないようで隙間が出来、珠をつないでいる糸の全長だと25センチくらいあるみたい。

「これはね、俗に言う、アナルビーズ、として作らせたの。つまり、この綺麗なカーバンクルが直子さんのお尻の穴を出たり入ったりする、ってわけ」
 シーナさまは、数珠、いえ、いささか高級過ぎる柘榴石で作ったアナルビーズを私の目の前でブラブラ揺らしながら、ニンマリと笑いました。

「直子さんは初心者だから、最初はこの一番小さな珠から始めて、開発されてきたら、こっちの大きな凸凹で存分に愉しむといいわ」
 もう一方の、珠の大きさランダムなアナルビーズも手に取り、ブラブラさせるシーナさま。
 開発、というお言葉に被虐心がズキュンと震えてしまいます。
 私、お尻の穴を、開発、されちゃうんだ・・・
 いたたまれない恥ずかしさに、真っ赤になってうつむきました。

「あら、ずいぶんと嬉しそうじゃない?もちろん、実際に開発するのはエミリーの役目。今日のわたしは、そのとっかかりのコーチ役」
「エミリーもね、直子さんのアナル開発にはとっても興味がおありのようよ。このあいだお会いしたとき、お話がはずんちゃったものね?」
「はい。あたし、その手のプレイは今まであまりやったことがないので、ワクワクしています」
 お姉さまがアナルビーズと私の顔を交互に見つつ、切れ長な瞳を煌々と輝かせています。

「これ、現地でも評判な、腕利きのジュエリー職人にわざわざ作ってもらったのよ。さっきも言ったように、最初はうちのメス犬用に、ピンクサファイアで」
「こっちの珠がランダムなやつをね。あいつ用のは、全体にもうひと回り珠が大きいけれどね」
「その職人、わたしのデザイン画見て、いったいこれは何なんだ?って怪訝そうな顔をしていたわ」
 思い出し笑いのシーナさま。

「それがあまりにも出来が良くて加工賃も妥当だったから、直子さん用のも作ることにしたの。でも、直子さん、初心者だから小さいのから二種類作らなきゃならないし、それだと、ピンクサファイアでは石のお値段張り過ぎるでしょ?ちょうどそのアトリエに程度のいい大きな柘榴石の原石の塊があったから、それから削り出してもらったの」
「ストリングスもまず切れることの無い高品質ナイロンテグスだし、このリングは18金だし、お尻の穴に挿れて遊ぶにしては、あまりにも贅沢すぎる一品よ?」
 シーナさまがからかうようにおっしゃり、その高級アナルビーズを私の鼻先でブラブラ揺らしました。

「現地でずっとガイドしてくれた子がすっごく興味持っちゃって、何に使うんだ?アクセサリーなのか?って、ずっとうるさかったのよ」
「だから、現地を離れる前の夜のパーティの席で、こっそり彼女にだけ教えてあげたの。うちで飼っているセックススレイブのアヌスに突っ込んで愉しむんだ、って」
「彼女、一瞬ギョッとした顔してから、大声で笑い出したわ。大受け。ひとしきり笑い転げて、やっぱりニッポンジンは、アブノーマルなヘンタイばっかりだ、って半ば感心、半ば呆れの、目に涙溜めた笑顔で言われちゃった」

「デザイン画、そのアトリエにおいてきちゃったから、ひょっとしたら今頃、現地の日本人向けお土産のラインナップに加わっているかもしれないわね、これ。安めの石を加工して」
 お姉さまとシーナさまがお顔を合わせて、しばらくクスクス笑っていました。

「そんなわけで、これから直子さんのアナル開発を始めるのだけれど、直子さん?最近、お通じのほうはどう?」
 シーナさまに突然お通じ状況を尋ねられ、ビクンとわななく私。
 アナル開発、という淫らでヘンタイ過ぎる語感が、私のマゾ性を刺激し過ぎて、全身が疼いて疼いてたまりません。

「あの、え、えっと、ふ、ふつう、です・・・」
「今日は?」
「あ、はい、午前中に一度、ふつうに・・・」
「そう。一度出した後は、何食べた?」
「え、えっと、お昼にバナナ一本とヨーグルトを食べて、夕方にお姉さまとお逢いして、サラダとパスタとピザをご馳走になって、それから今、アイスクリーム・・・」
「ふーん。今11時前か。一応もう一度出しておいたほうが無難なようね。直子さんも、あまりエレガントでないのは、お好きではないでしょう?」
 イタズラっぽい口調のシーナさま。
「あ、はい・・・」
 エレガントに虐められたいなら、まず、エレガントとは対極な自分の姿を、おふたりにご披露しなければならないようです。

「おっけー。やっぱり一度出しておきましょう。エミリー、直子さんをバスルームに連れて行って。わたしもすぐに行くから」
 シーナさまが私の首輪から垂れている鎖リードの先端をお姉さまの右手に握らせて立ち上がり、おひとりでサンルームのほうへスタスタ歩いていかれました。
 シーナさまのお言葉が何を意味しているのかわかった私は、これから訪れるであろうみじめ過ぎる恥辱にグングン昂ぶりながら、無言でお姉さまのお顔を、すがるように見つめました。

「さ、直子?行くわよ?」
 お姉さまが立ち上がり、私も立ち上がり、お姉さまがクイッとリードを引っ張ったのを合図に、私は腰を沈めて床に四つん這いになりました。
 お姉さまのTバックのカッコイイお尻を見上げつつ、棒枷で抉じ開けられた丸出しの股間とお尻をフラフラ上下させて、フローリングの床をワンちゃんのように進みます。
 鎖を引かれて膝を交互に動かすたびに、粘膜が擦れて溢れ出したおツユが腿を滑り落ちるのがわかりました。

 バスルームの横開きな扉をお姉さまが開き、そのままスタスタと中へ入りました。
 私の両手のひらと両膝に触れる感触が、フローリングから濡れたタイルに変わります。
 先ほどお姉さまがシャワーされたので、バスルームの中はまだほんのり温かく、ソープ類の良い香りがして、全体に湿っていました。
 大きめの鏡は全体に曇っていて、私たちの姿もぼんやりぼやけて映っています。

「これからあたしは、ここで直子の排泄姿を見せられる、っていうことよね?」
 お姉さまが振り返り、四つん這いの私を見下ろして静かにおっしゃいました。
「出逢ってから3度目、つきあい始めて2回目でのそんな姿、って、どう考えたってアブノーマルよね?」
 お姉さまは、普通に世間話するような口調で、私に尋ねてきます。
「さ、さあ?・・・」
 何てお答えすればいいのかわからず、ボーっとお姉さまを見上げる私。
「まあ、初対面でオナニー姿、このあいだはオシッコ姿視ちゃったのだから、妥当なのかな?あたしたちみたいな仲なら」
 ニコッと微笑まれたその瞳は、好奇心で爛々と輝いていました。

「ねえ、直子はどう?あたしにそういう姿視られちゃうのって、嬉しいの?それとも恥ずかしい?」
「恥ずかしいです!すっごく恥ずかしいです!お見せしたくないですぅ!」
 被虐に全身を震わせて、泣きそうな顔でお姉さまを見上げました。
「本当?直子は、そういう姿を視て欲しくてたまらない種類の人間のくせに」
 お姉さまがイジワルにおっしゃり、リードをクイッと引っ張りました。

「あうっ!本当ですぅ。お姉さま、どうか私がみっともない姿を、お下品な姿をお見せしても、どうか嫌いにならないでください。お願いしますぅ」
 お姉さまからのお言葉責めに、私のマゾ心は狂喜乱舞、心の底から恥辱のヒロイン役に酔い痴れていました。

「シーナさんたちには、何回くらい視られたことあるのよ?」
 お姉さまの口調が一転して冷ややかに変わりました。
 ドキンとした私も、急にオドオドしてしまいます。
「あ、えっと、お浣腸姿は、やよい、いえ百合草先生に2回・・・オシッコ姿だと3回か4回か、えっと5回か・・・」
「へー。そんなに視られちゃっているんだ?はしたない子ねえ」
 お姉さまの心底軽蔑したようなお声。

「そんなに視られているなんて、嬉しいからとしか思えないわ。やっぱり直子は、排泄姿を見せつけてオマンコ濡らしちゃうようなヘンタイ娘なんじゃない!」
「シーナさんたちには負けられないから、今日はあたしもじっくり視させてもらうわ!何もかもっ!」
「あうぅぅ!」
 リードをグイグイ引っ張られ、私の顎は天井に向いています。

「それに、これから直子のお尻と肛門は、あたしだけのものになるのだからね?無闇にあたし以外に視せたり弄らせたりしたら、あたしたちのスール関係は即、解消するから。いい?わかった?」
 思い切り冷たい口調で投げつけられ、お尻をバチンと叩かれました。
「ひぃっ!はいぃっ!直子はお姉さまだけのものですぅぅ・・・」
 四つん這いのまま、お姉さまをすがるように見上げると、お姉さまが裸足の右足を私の目の前に突き出してきました。
 私はその濡れた親指を口に含み、じゅるじゅるしゃぶりました。

「あらあらー、仲がおよろしいことで」
 シーナさまが何か荷物を片手にバスルームに現われ、お姉さまがササッと右足を引っ込めました。
「お待たせー。さあ、さくさくやっちゃいましょう。とりあえずまず、エミリーにはこれね」
 シーナさまがお姉さまに何か手渡しました。
 お姉さまの手に乗っているのは、果実の形をしたおなじみのお浣腸薬と、薄でのゴム手袋。
「一応その手袋着けて、直子さんに浣腸してあげて」
 シーナさまがお姉さまにご指示されました。
 いよいよ、と思った私の心臓はドッキドキ。

「浣腸プレイならエミリーもしたことあるんだったわよね?お尻の穴ほぐして突き挿すだけだから。ローションが必要だったら直子さんの愛液を肛門になすりつければいいわ。直子さんって、本当、ローション要らずで捗るのよね」
 おっしゃりながら、シャワーをひねって床を流し始めるシーナさま。
 私の両手と両膝がみるみるぬるま湯に浸ります。

 お姉さまは私の背後に回り、突き出しているお尻の穴をゴム手袋のひんやりした指が撫ぜ始めました。
 さわられるたびに、穴の円周のヒダヒダがヒクヒク動いてしまうのが、自分でわかります。

「あふぅん・・・」
「あら、直子さん、もう気分出しているの?いくらでも悶えていいわよ、今は」
 シーナさまのからかい口調で、お姉さまの指遣いがより激しくなりました。
「あうっ!んんんぅー」
 穴を広げるように、皮膚が引っ張られたり撓まされたり。
 穴周辺を激しく揉みしだかれ、甘えるような声が出てしまう私。

「やっぱり直子さん、根っからのヘンタイだけあって、そこの感度も超敏感みたいね」
 シーナさまの蔑んだ口調が私の耳を心地よくくすぐりました。

「いくわよ直子。肛門の力を抜きなさい」
「あ、はいぃ」
 お姉さまのご命令に従って下半身の力を抜いたと同時に、お浣腸容器の先端がプスリと突き刺さる感触がありました。
 
 シーナさまは、バスルームの鏡にもシャワーをかけ、曇りを完全に消していました。
 大きな鏡には、全裸四つん這いでお尻を高く突き上げた私と、エナメルボンデージ姿でお浣腸容器を私のお尻に突き立てているお姉さまのお姿、そして、片手に持ったハンディビデオカメラを私のお尻に向けているシーナさまのお姿が、鮮明に映し出されていました。

「あうううっ・・・」
 お尻の穴から内部に、冷たい液体が侵入してくる感触がしばらくつづき、やがて肛門に挿さっていたものが抜かれたのがわかりました。

「終わったようね。これから5分間、直子さんは、何があってもがまんすること。膝立ちになりなさい」
 シーナさまにうながされ、上半身を起こします。
「直子さんがギブアップするまでのあいだに、さっきエミリーが言ってたロープの扱い方をちょっと説明しておくわ」

 ビデオカメラをお姉さまに渡し、シーナさまが愛用の麻縄を一束つかみ、膝立ちになった私の前に立たれました。
 シーナさまがロープを手にして目前にいらっしゃると、何も言われなくても反射的に、私の両手は後頭部で組まれ、マゾの服従ポーズになってしまうのです。


就職祝いは柘榴石 10


2014年11月2日

就職祝いは柘榴石 08

 お姉さまは、私の両手首と両足首を繋いでいるジョイントをそれぞれ外してくださり、まず両腕が自由になりました。
 それから、私のアソコの目前にしゃがみ込み、ラビアにとりついている悪魔のオモチャを取り外し始めました。
 
 噛みついたクリップのねじが緩むたびに、ラビアに血流が戻りズキンと痛みます。
 クリップが全部はずされ、オレンジ色のリングが取り除かれて、私のアソコはようやく唇を閉じることが出来ました。
 棒枷は、外していただけませんでした。

「直子の柏餅、まだちょっと半開き状態ね」
 お姉さまがからかうみたいに笑い、手に持った悪魔のオモチャを私の顔の前で揺らします。
 リングやクリップに着いていた私のおツユの雫が、私の顔に数滴、降りかかりました。

「リビングのテーブルにアイス用意するから、行きましょう。飲み物のグラスを適当に借りるわよ」
 シーナさまは、勝手知ったる他人の家、という感じでスタスタとリビングのほうへ消えていきます。

「わかりました。ほら、直子、立てる?」
 差し伸べられたお姉さまの右手にすがりつき、仰向けの上半身を起こしました。
 それから両足を踏ん張って、ヨロヨロ立ち上がります。
 腰全体が重いのにフワフワもしているみたいで、ヘンな感じ。
 立ち上がると今度は、上半身のほうが重く感じてフラフラとよろけてしまいました。

 自由になった両手で髪をかき上げると、顔中汗びっしょり。
 不自由だったとき気になっていた部分、おっぱいや乳首やアソコやお尻を、実際に手で触れて、無事を確かめます。
 
 お尻がまだ少しヒリヒリしている以外は、異常無し。
 乳首もおマメも敏感なまま。
 ただし、全身が汗やいろんな体液でヌルヌルでした。

「あの、お姉さま?私もちょっとシャワーを浴びてこようかと思うのですが・・・」
 立ち上がってからの私の振る舞いを、傍らでずっと無言で眺めているお姉さまに、おずおずとお願いしました。
「ああ、確かにからだ中ベトベトね。でもいいわよ、浴びなくて。どうせ休憩の後、またすぐ同じ状態になっちゃうのだから」
 お姉さまに、取り付く島も無い口調で却下されました。

「このタオルで軽く拭いとけばいいわ」
 私の頭部分の下敷きになっていたバスタオルを手渡してくだいました。
「それにあたし、匂いフェチのケもあってね。直子がヌルヌルになったときに鼻をくすぐる、なんて言うか、だらしのない臭い?も意外と好きなのよ」
 お姉さまがイタズラっぽく笑い、私の手からバスタオルを取り上げてお顔を埋めました。

「さあ、行きましょう、シーナさんがお待ちかねよ」
 お姉さまに左手を引っ張られ、私はツツッと前につんのめります。
 両足に棒枷を施されたままの私は、ズルズル摺り足のロボット歩行しか出来ないのです。

「ねえねえ、早く来ないと、アイス溶けちゃうわよ?どうせふたりでイチャイチャしているんでしょ?まったく!つきあい始めのカップルは、サカリのついた猫と一緒なんだから・・・」
 待ちかねたらしいシーナさまが、サンルームに戻っていらっしゃいました。
 摺り足ロボット歩行でちまちま進み始めた直後でした。

「何しているの?足に棒枷着けているドレイが、立って歩こうなんてナマイキよ?」
 シーナさまったら、私の姿を見た途端、愉しそうな罵声です。
「ちょっとそのまま待ってて」
 
 シーナさまは、床に散らばっているお道具の中から、何かを拾い上げ、私に近づいてきました。
 手にされているのは細い鎖。
 私の赤い首輪の正面のリングに鎖の端のジョイントをカチリと繋ぎ、もう片方の端をお姉さまに握らせました。

「ほら、直子さんは四つん這いになって、エミリーはそのリードを引っ張って。それが飼い主とドレイの正しい関係よ」
「わかったらさくさく、リビングに集合しなさい」
 それだけ言い渡すと、再びスタスタ、リビングのほうへ戻られました。

「なるほどね。直子?」
「あ、はい」
 お姉さまの問いかけに、その場でしゃがみ込んで両手を床に着けました。
 お姉さまがグイッと鎖を引っ張ると、私は四つん這いで歩き始めます。
 右手、右膝、左手、左膝と順番に出せば、摺り足より断然早いのは確かです。

 四つん這いになると、突き上げている腰と、棒枷によって無理矢理開かれている無防備な股間への羞恥心が増大します。
 室内のあちこちにある鏡やガラスに、お姉さまに鎖で引かれて四つん這いで歩く、自分のみじめな全裸姿が映ります。
 住み慣れた自分の部屋なのに、私、どうしてこんな格好をしているのだろう?
 左右に切れよく揺れるお姉さまのかっこいいヒップを見上げながら、私の被虐心がみるみる満たされていきました。

 リビングに着くと、L字ソファーの前のテーブルにアイスクリームと飲み物がセッティングされていました。
 シーナさまはすでに腰掛けられています。
「やっと来たわね。ほら座って座って。直子さんも、今は休憩だから立ち上がっていいわよ」
 飲み物は、シャンパンらしきボトルとスポーツドリンクのペットボトル。
 アイスクリームは、何やら高級そうなカップアイス。

 お姉さまがL字のもう一方の奥へ、私はそのお隣に、棒枷の足で苦労して腰掛けました。
「このアイス、なぜだかけっこうシャンパンに合うのよ。さ、とりあえず乾杯しましょう」
 シーナさま自ら、それぞれの細いシャンパングラスに注いで、かんぱーい!チーンッ!
 私は死ぬほど喉が渇いていたので、一気にゴクゴク飲み干してしまいました。

「ああ、やっぱりね。直子さんたちはきっと死ぬほど喉が渇いていると思ったから、もう一本冷やしてあるの」
「あ、でも直子さんは、それだけにしておいたほうがいいわ。この後も大変だから。あとはこのスポーツドリンクを好きなだけお飲みなさい」
 私のグラスにスポーツドリンクを注いでくださりながら、シーナさまが愉しそうにおっしゃいました。

 そのアイスクリームは、フルーツの果肉やチーズクリームとかも詰まっているようで、濃厚なのにさわやかで、すっごく美味しかった。
 まだ充分に固いアイスをスプーンで突っつきつつ、スポーツドリンクを何杯もゴクゴク飲んで、おふたりのお話に耳を傾けました。

「それにしてもエミリー、見事なご主人さまっぷりじゃない?充分よ。わたしが教えることなんて、もう無さそう」
「いえいえ、まだぜんぜん自信が無くて。だからこの後、シーナさんにいろいろご教示いただこうと思っています」

「部屋に入って、直子さんの姿を一目見たとき、やるなー、って思ったわよ。この子のマゾ心を的確に突いた拘束具合だったもの」
「あたしなりにけっこう考えたんですよ。直子に悦んで欲しくて」
「おおお、いいわねー、お熱いこと!」
 シーナさまにおどけてひやかされ、お姉さまと私が盛大に照れます。

「やっぱりロープの使い方はマスターしたいな、って思っています。直子が好きそうだし。あとは責めの加減がまだまだわからなくて」
「それは、場数をこなせばだんだんわかってくるはず。直子さんは、かなりハードにしてもネを上げないし」

「そうそう、鞭って、愉しいですね。ふるっているうちにどんどん興奮しちゃって、止まらなくなりそうでした」
「それを愉しめるのなら、もう立派なエスよ。素質充分」
「最初は、打たれてどんどん赤くなるお尻が痛々しくて、可哀想に思えていたのに、だんだんと、もっと赤くしてやるっ、てなっちゃう」
「わかるわかる。その上、直子さんて、ゾクゾクするほどいい声あげるでしょ?あの声聞くと、もっと啼かせてやるっ、てなるわよね?」

「あの鞭はお高いのですか?すごくしっかりとした造りですよね?」
「ああ、わかる?あれはかなりいいものよ。バラ鞭も乗馬鞭も職人手造りの一点もの。もともと直子さんのために用意したものだから、これからも自由に使っていいわよ」
「本当にいいのですか?」
「うん。エミリーにあげる。わたしからのお祝いと思って。あとで名前も入れてあげるわ」
「うわー。ありがとうございます」
 私も一緒にお辞儀をします。

「そう言えば、直子のオモチャ箱を見て思ったのですけれど、口枷類、ボールギャグとかは、まったくありませんでしたね?」
「ああ、気がついた?わたしはあまり、その手は好きではないのよ。エミリーは、そういうの、してみたいほうなの?」
「あ、いえ、あたしはイキ顔フェチですから、相手の顔面を故意にいじくるのは好きではないです。口枷とかマスクとか」
「へー。そのへんでもわたしたち、気が合うようね。直子さんもその手は好きじゃないみたいよ。せいぜい手ぬぐいで猿轡とか、舌を洗濯バサミで挟むくらいでしょ?許容範囲」
 突然私に問いかけられて、はいっ!と、あわてて答えます。

「あたしが見たいのは、可愛い顔が苦痛や快感で淫らに歪む様子なので、顔は絶対見えていなきゃだめだし、声も、ボールギャグとかで塞ぐのではなくて、がまんさせるほうが好みです」
「うん。わたしも同じ感じ」
「欧米のボンデージものとか見ていると、絶対すぐに、ボールギャグとか口枷をかましますよね?縛りものはどれも。その上、ひどいのになると目隠しやら全頭マスクまで」
「うんうん。でも、あちらの人は、ヨガリ声も大きいから、口塞いでおかないとうるさくて仕方ないのかもしれないわよ?、ビデオの収録だと」
 シーナさまが笑いながらの相槌。

「せっかく綺麗なモデルさん使っているのに、真っ先に顔崩してどうする!? ってあたしなんか思っちゃいますけれど」
「欧米のエスエムは、ドミネーションアンドサブミッション、支配と服従だから、口答えの自由なんて真っ先に封じたいのかもしれないわね」
「もったいないなー、って、いつも思います」
「まあ、あちらだと、それが、正統派ボンデージ、っていう風潮があるみたいだからね。とくにラバーコスチューム系フェチにとっては、肉体すべてを覆って無機質になること、が最上らしいし」
「ああ、なるほどねー」

「このあいだ他の人と似たような話題をしたときに出たのだけれど、鼻フック、ってあるじゃない?鼻の穴に引っ掛けて豚鼻にしちゃうやつ」
「はい、わかります」
「あれってオトコの発想だよねー、って話になって」
「あれもあたしは、嫌いです。あんなの、何が愉しいんだろ?」

「女同士であれをすると、相手の顔を醜くしてやりたい、っていう、やる側の願望が露骨に見てとれちゃうから、責めている側が一回り小さく見えちゃう。嫉妬?コンプレックス?みたいな。それか、愛の無いエスエム、ただのイジメプレイ。単純に醜くなった相手を嘲笑するっていう」
「日本のエスエムは、一部を除いてイジメっぽいのがはびこっていますからね。愛のある責め、が一番見受けられる日本のフィクションて、たぶん女性作家が書いたボーイズラブの世界なんじゃないかな?薦められたのをいくつか読んだだけだけれど」

「まあ、でも、知り合いには、けっこう美人なのに、あの手のプレイを好むマゾ女もいるから、一概には言えないけれどね」
「へー」
「それが言うには、こんなに醜くされた顔を世間様に見られて恥ずかしい、っていう美人ゆえの自虐の愉悦らしいけれどね。ある意味高慢」
「ふーん。そういうのもあるのですね」
「わたしも、どうでもいい相手なら、全身拘束してボールギャグに鼻フックで鏡の前に放置プレイ、ってラクでいいな」
 シーナさまとお姉さまが、あはは、と笑いました。

「ところで直子さんは、エミリーの会社にお世話になること、決めたの?」
「えっ?あっ、えっと・・・」
 シーナさまとお姉さまのエスエム談義に、真剣に聞き入っていた私は、突然の話題転換に面食らってしまいました。

「一応勧誘して、資料渡して、返事は後日、ということになっています」
 お姉さまが代わって答えてくださいました。
「ふーん。直子さんは、迷っているの?」
 私をじっと見つめて、シーナさまが尋ねます。
「あ、いえいえ。ぜんぜん迷ってないです。お話を伺ったときから、お世話になることに決めていました」
 本心をありのままに、焦り気味早口でお答えしました。

「そう。よかった。エミリーの会社なら、わたしもたまに出入りしているし、わたしと直子さんとは、まだまだ友情を深められるというわけね」
「シーナさんには、海外のアパレルの動向や生地の買いつけなんかで、何かとお世話になっているのよ。このあいだもインドネシアからすっごくいい生地をひいてもらって」
「ああ、あれね。どんなドレスになるのか、楽しみだわ」
 お姉さまとシーナさまが仲睦まじく微笑み合います。
 そっか、おふたりには、そんな接点もあったんだ。

「だったらこれは、就職祝い、として渡せるわね。わたしから直子さんへの手切れ金かな?」
 冗談めかして笑いながら、シーナさまがネックレスケースのような大きめな紫のビロードの平たい宝石箱を取り出し、テーブルの上に置きました。

「最初に、上のメス犬用に、わたしのデザイン画を渡して現地の職人に作らせたの。そしたらその出来栄えがすごくいいから、ふと思って、直子さん用のもついでに作ってもらったの。冬に南アジアを巡ったときのお土産よ」
 シーナさまが天井に顎をしゃくりながらおっしゃっいました。
 メス犬というのは、このマンションの階上に住んでいらっしゃるお金持ちなマゾおばさまで、シーナさまのパトロンさん兼ドレイさん兼恋人さんです。

「ただ、これ作っても、わたしが直子さんにこれを使う機会は来ないとも思っていたのよ。百合様との約束があるから」
「でも、直子さんにちゃんとした恋人が出来る気配も無いし、わたしも使ってみたくてウズウズしてきて、百合様には内緒でこっそり使っちゃおうか、って考えていた矢先だったから、エミリー、あなた超ラッキーよ」

「それで、直子さんが選んだパートナーがエミリーだったおかげで、百合様との約束は破らずに、わたしもその場に立ち会えるというわけ。世の中って意外と上手くできているものね」
「うちのメス犬に使った感じだと、かなり具合いいみたいよ?ヒーヒー啼いて悦んでいたわ」
「でも直子さんの場合は、未知との遭遇だからねー。どうなるのかしら?」

 シーナさまの一方的な思わせぶりで謎だらけのご説明に、私とお姉さまの目は、ビロードの宝石箱に釘付けです。
 いったい何が入っているの?
 私たちふたりのワクワクな様子にご満悦な笑みを浮かべたシーナさまが、おもむろにケースの金具をパチリと外しました。


就職祝いは柘榴石 09


2014年10月26日

就職祝いは柘榴石 07


「はぁうぅぅっ!」
 パンパンに腫れ上がったおマメにキュッと吸い付いたクリットローターの強烈な刺激に、思わず腰がビクビクンと跳ねました。
 おマメを覆うカバーの内側には、ヘアブラシのようなケバケバがついていて、それが、充血し切って超敏感になっている表皮をザワザワと擦ってきます。
「あーんっ、いやぁー、だめぇー!」
 あっ、という間に天国への階段を駆け登っていきます。

 ブゥゥゥーーーン。
 悪魔のオモチャで抉じ開けられた穴の中には、ローターがふたつ、互いに身を寄せ合うように震えているので、その振動にプラスティック同士も共鳴して、びっくりするくらい大きな音となり、私の股間から淫らに鳴り響いてました。

「あーーっ、あーーーっ、あーーーーっ!」
 視界が閉ざされた暗闇の中だからこそ、他の四感が研ぎ澄まされ、中でも触覚が突出して敏感になっているようです。
 膣壁を擦るように震えるローターの振動が直接脳に響き、脳から全身へと快楽信号が伝達されていきます。
「イくぅぅ、イぃますぅ、おねえまさぁぁ、イきますぅぅ!!」
 お姉さまとのお約束通り叫ぶように宣言し、階段のてっぺんから身を躍らせました。
「んんーーーーーーっ!!!」

 一度イってからは、たてつづけに二度、三度、四度と小さくイって、最後に一番大きな絶頂感がやって来ました。
 頭の中が真っ白にスパークして意識が吹っ飛びます。
「イクっ、イクイクイクイグぅんぐうんぅーーーーーぐぅーーっ!!!」
 あまりの気持ち良さに、自分のからだが溶けて消えてしまったよう。
 五感すべても消え去って、残ったのは快感だけ。
 ヌメヌメの液体のようなからだで、そのまま快感の海をフワフワ漂いました。

 そんな至福の静寂も長くはつづかず、やがて、ブゥゥゥーーン、という低い持続音がフェイドインしてきました。
 再び、自分の窮屈な肉体を思い出します。
 私の脳裏には、さらに数倍も高い、天国への階段がそびえ立っていました。
 アソコへの物理的な陵辱はまったく緩むことなく、プルプルサワサワ私を苛んでいます。

「あうっ、んんんんぅー」
 さらなる高みに到達するために、再び一歩一歩、快感の蓄積。
 からだに四感が戻り、私は身悶え、喘ぎ始めます。

 このような、不自由に拘束されての強制的な連続オーガズム放置責め、を、私は今までに何度か体験していました。
 最初はシーナさまから、アイスタイマーあそびの一環として教わって、その後ひとりで何回かやってみて、より大きな快感が得られる方法を、自分なりに編み出していました。
 その方法とは、今、自分がこうしてみじめに拘束放置責めされている姿が、大勢の見知らぬ人たちの見世物にされている、と思い込むことでした。
 
 私の周りに何十人もの人たちが好奇の目を光らせて、その淫乱ぶりを観察している、という妄想。
 ケダモノのように何度も何度もイク姿を、見ず知らずのみなさまに視られてしまう、なんて、女性にとって何よりも浅ましく恥ずかしいことです。
 だから、なるべくはしたなく身悶えたり暴れたりせずに、出来る限りじっと、イキそうになってもがまんにがまんを重ねること。
 自分がヘンタイマゾ女であるということを、最後の最後まで隠すこと。

 そんな妄想で、被虐感や陵辱感、自分のみじめさや可哀相さをより高めると、否応なくからだに与えられ蓄積されていく物理的な快感との相乗効果となって、いずれどうしてもがまん出来なくなって迎え入れざるをえない絶頂時の快楽とカタルシスが、何倍にも、何十倍にも膨らむのです。

 最初の大きな波が去ったあと、そのことを思い出し、その妄想をしようと思いました。
 だけど、頭の中に思い浮かぶのはお姉さまのことだけ。
 敏感な箇所をノンストップで陵辱しつづけているローターたちの刺激も、お姉さまからの乱暴な愛撫と変換されていました。
 もはや、余計な妄想など必要無く、お姉さまを想いながら、感じるままからだに任せればそれだけで、妄想の力を借りたとき以上の快楽を得られるようになっていました。

「ああ、もうだめぇ、許してくださいぃ、お姉さまぁぁ」
 ひたすらがまんしつつ、被虐やみじめさをも感じて高まっていくのは妄想のときと一緒なのですが、妄想では得られなかった、ある種の幸福感さえも同時に感じながら、幾度も幾度もグングン昇りつづけました。

「ああっ、またくるぅ、きちゃう、イっちゃうぅ、おねえさまぁ!!!」
「だめぇ、もうだめぇ、いやいや、イちゃうぅ、おねえさまぁ、イきますぅ!!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、おねえさま、またくる、またくるぅぅんぐうんぅーーーーーっ!!!」

 何度イったのかわからないくらいの何度目かの天国の後、股間への振動がすべて止まっているのに気がつきました。
 からだはぐったり、意識は朦朧。
 うるさいくらいに聞こえていたローターの唸りも途絶え、しんと静まり返った中、自分のハアハア荒い息遣いだけが聞こえています。

 視界が無いので、自分のからだが今どんな状態なのかもわからず、とくに下半身を中心にジンジン痺れているのだけ、感じられました。
 意識がだんだんハッキリしてきて、興奮状態の全身の熱が、まず皮膚に戻ってきました。
 つづいて早鐘のような心臓の鼓動。
 汗やよだれに濡れているのであろう肌の感覚。
 棒枷に繋がれて自由に動かせない両方の手と足。
 そんなふうにひとつひとつ、現実の自分を認識していきます。
 天空から地上へと、徐々に舞い降りてくる感覚です。

「ぉ、お姉さま?」
 ローターたちが停止したのだから、きっとお姉さまが戻って来て、スイッチを止められたのだろう。
 それに、微かに我が家のシャンプーの香りもしたので、嬉しくなって声をかけました。
 でも、お返事はありません。
「お姉さま?戻られたのですよね?」
 気配のするほうへ顔を向けて発した私の声は、かなり掠れていました。

「あぅっ!」
 そのとき、突然私のアソコから、ふたつのローターが一緒にスポンと抜かれました。
「はぁうっ!」
 つづけてクリットローターが引っ張られ、おマメが伸びる感覚とともにスポッと抜けました。
「ああんっ、お姉さまのイジワルぅぅ」
 媚びるような私の声と同時に、明らかに人の指の感触で、再びおマメがつままれました。

「あうっ、お姉さま、そこは、そこはもう・・・」
 言い終わらないうちに、穴にも指が二本、挿入されました。
「あっ、いや、だめですぅ、お姉さまぁ、さっきいっぱいイったから、もう、もうぅ・・・」
 おマメはプニプニ弄られ、アソコの穴もおそらく二本の指でグリグリ掻き回され始めました。
「本当にもう、だめぇ、許して、ゆるしてくださぁいぃ、おねぇさまぁ・・・」
 言っていることとは裏腹に、性懲りも無く昂ぶり始めました。
 ローターではない、本物のお姉さまの指、お姉さまのいたぶり。
「あっ、お姉さま、もっと、もっとつよぉくぅ・・・」

 そのとき、今度は私の胸を、何かパラパラした紐状のものが撫ぜてくるのを感じました。
 これはきっとバラ鞭・・・

 えっ!?
 お姉さまってば、片手でアソコを嬲って、もう片方の手でバラ鞭を操ろうとされているの?
 下半身を嬲られる快感にグングン高まりながらも、必死に考えようとします。
 でも、クリットは間違いなく指二本に挟まれているし、アソコの中にも指が二本から三本、入っている感覚なのに・・・
 おっぱいを撫ぜるバラ鞭はユラユラ揺れて、両乳首の洗濯バサミをフルフル揺らしてきます。
 どういうことなの???

 クリットをつまむ指と、膣内を描き回す指のピッチが上がり、グングン昂ぶっていきます。
「あっ、お姉さま、イ、イキそうですぅ、いいっ、いいっ!」
 その瞬間、バラ鞭がパサッと、私のおっぱいを軽く打ちつけてきました。
「はうっ!いい、もっとぉ!」
 私の懇願とは裏腹に、バラ鞭の感触はおっぱいに戻りません。

「ほら、直子。イっていいわよ」
 唐突なお姉さまのお声は、私の股間のほうからでした。
「あっ!お姉さま!イキますっ、イってもいいですかぁ?」
「いいわよ、ほらっ!」
 クリットを爪で引っ掻かれました。
 ヒュンッ!
「あふぅっ!ぎゃぁっ!!」

 激痛がからだをつらぬき、全身がビクンビクン跳び跳ねました。
 お姉さまの、ほらっ、というお声を合図に、おマメにギュッと爪を立てられ、同時にヒュンという空気を切り裂く音とともに、鞭、おそらく乗馬鞭の切っ先が私の左乳首を噛んでいた洗濯バサミを弾き落としたのです。

「うんうん。いい啼き声だわ。瞬間、直子の膣がギュッと締まったわよ?こんなに無理矢理抉じ開けられているにも関わらず」
 お姉さまの愉快そうなお声は、相変わらず股間のほうから。
 そのあいだ乗馬鞭のベロが、ジンジン痺れて痛痒い私の左乳首を慰めるみたいに、サワサワ愛撫してくれていました。

「イったの?ねえ直子、今のでイった?」
 アソコを責める指は止めずに、お姉さまが尋ねてきます。
「あぅっ、え、えっと、イったような、ちがうような・・・んっ、んーっ・・・」
 あまりに唐突な激しい痛みに、瞬間すべてが真っ白く逝ってしまい、快感は間違いなく感じたのですが、自分でもよくわからない状態。
 からだはまだまだ、どんどん昂ぶっています。

「そう。でも大丈夫よ、もうひとつあるから。今度こそちゃんとイきなさいね?いい?」
「は、はい。お姉さまぁ・・・イ、イカせてくださいぃ」

 再びあの激痛がやってくる。
 唐突なのはもちろんですが、来るとわかっているのも、それはそれで怖いもの。
 あの痛みは、まぎれもなく快感でした
 だけど、出来れば何度も味わいたくない種類の激痛でもありました。
 恐怖と快楽は紙一重。
 左おっぱいの疼痛が薄れると、右おっぱいの洗濯バサミの疼痛に意識が集中して、ドキドキが止まりません。

「さあ直子、イクときはどうするのだっけ?」
「はい。お姉さま、イカせてください、マゾでヘンタイのどうしようもない直子を、どうか、どうかイカせてくださいぃ」
「ふふふ。からだが小刻みに震えているのは、気持ちいいからだけではなさそうね?」
 お姉さまの愉しそうなお声に覚悟を決めて、アイマスクの下でギュッと目をつむります。

 鞭を操っているかたの見当はついていました。
 こんなに見事に乗馬鞭を操れるのは、あのかたくらいしかいらっしゃらない。
 憶えのあるパフュームも微かに香っているし。
 でも、なぜ今日ここへ?

「さあ、イクわよ、さん、にー、いち、ぜろっ!」
 お姉さまの、ぜろっ、の掛け声でさらに目をギュッと強くつむると、ワンテンポ、いいえツーテンポ遅れて、ヒュンと鞭が鳴りました。
「ぎゃあっ、あぁーーーーーっ!!!」
 
 フェイント大成功。
 来るっ!と思ったら来なくて、あれっ?と思った瞬間、緊張が途切れた瞬間を、激痛が見事に襲いました。
 そのあいだ中、クリットが潰され引っ張られ、膣内は滅茶苦茶に掻き回され、弾け跳んだ洗濯バサミが転がる音に間髪入れず、バラ鞭がバシバシッとおっぱいを乱れ打ってきました。
 私のからだは、触覚がヘンになったみたく、どこもかしこも感じまくっていました。
 後から後から快感の波が全身に押し寄せてきます。

「あっ、あっ、まやイク、またイク、イっちゃうーーーっ!!!!」
「いやっ、だめっ、もう、もうっ、いやーーーっ!!!!」
「イクイクイクイクイクぅーーーーっ、くるくるくるくぅーーっ!!!」

 私の意識は、この日最大級の快楽の大波に遠くまでさらわれ、からだの機能もすべて失われ、今度はしばらく戻ってきませんでした。

「ごきげんよう。おひさしぶりね、直子さん。お元気そうで何より」
 目を開けると、アイマスクはすでにはずされていました。
 仰向けの私の視界に、覗き込むように私を見下ろすシーナさまのお姿がありました。

 シーナさまは、黒のエナメルっぽいビスチェと、同じ素材らしいTバックを身に着けていらっしゃいました。
 あとは、素肌に素足。
 こういうちゃんとした、と言うのもおかしいですが、本格的なボンデージファッションに身を包んだシーナさまを拝見するのは、ずいぶん久しぶりな気がします。

「ご、ごきげんよう、シーナさま。あの、えっと、お久しぶりです・・・」
 一応ご挨拶を返す私の姿は、赤い首輪に手枷足枷の全裸で仰向け。
 おまけに両足は棒枷で大きく広げられたまま、左右とも手首と足首を繋がれた超M字状態。
 さらにとどめで、アソコは相変わらず悪魔のオモチャでポッカリ抉じ開けられたまま。
 そんな私の姿を、シーナさまがニヤニヤ見下ろしていました。

「あたしが無理言ってお呼びしたのよ。いろいろアドバイスいただこうと思って」
 おそらく私が不思議そうな声を出したからでしょう。
 視界の届かないところからお姉さまのお声が聞こえ、やがてお姿も視界に入りました。

 お姉さまもシーナさまとお揃いのボンデージファッションでした。
 シャワー上がりらしく、いつもはサイドに垂らしているワンレングスをセンター分けして後ろに束ねたお姿は、とても知的で切れそうな感じ。
 ボンデージ姿とも相俟って、一段とクール、この場合は意味通りに冷酷、に見えました。

「これはエミリーのブランドの商品なのよ。私も出た頃一着作ってもらって愛用しているの。すごくいい感じよ」
「ありがとうございます。シーナさんにそうおっしゃっていただけると、あたしも一安心です」
 
 お姉さまがにこやかに、シーナさまの後ろに立たれました。
 お揃いのボンデージファッションの女王さまがおふたり。
 ふたりの女王・・・あれ?あっちは王女だったかな?・・・そう言えば、お姉さまのお見立てだとシーナさまは、月影先生だったな・・・

「だから、まあ、今日はそういうことなの。直子さんの所有権の移譲と、引き継ぎもろもろね」
 シーナさまがお姉さまを振り返り、おふたりで、うん、と頷かれました。
「それと、一応おめでとうも言いにきたのよ。直子さんにもやっと、ステディな恋人が出来たのだから」
「あ、ありがとうございます・・・」
 私はまだ、なんだかドギマギしながら、小さくお礼を言いました。

「それにしても、こんなに大歓迎されるとは思ってもいなかったわ。わたしがこの部屋に入るなり、直子さんはいやらしい声でイクイク喘いでいるし、そばに寄ったらオマンコ、こっちが恥ずかしくなるほど大きく開きっぱにしちゃっているし」
「こういうの、ネットでは、くぱぁ、って呼ぶのよね」

「エミリーがまだシャワー中だったから、しばらくそばで見ていたのよ?そしたら、アンアン喘ぎながらも、お姉さま、お姉さまって、ひっきりなしにエミリーのこと呼んでいて、お熱いったらありゃしない」
「こういうのはネットで、リア充爆発しろ、っていうのよね」
「あたしが見ていた限りでも直子さん、最低3回はイっていたわね。あ、あたしがまざってからのは除いてよ」

 シーナさまは、なぜだかネット用語の注釈を挟みながら、いつものイジワルなお声で私をからかってきます。
 その毒舌口調がニクタラシクも懐かしくて嬉しいのですが、反面、私への呼び方が、直子、から、直子さん、へ戻っているのに気がついて、一抹の寂しさも感じました。
 お姉さまを見ると、お姉さまはシーナさまと私を交互に見ながら、シーナさまのお話にニコニコうんうん頷いていました。
 シーナさまはお姉さまのこと、エミリー、って呼んでいるんだ・・・

「ま、とりあえず、一休みしましょうよ。直子さんもイキ疲れてぐったりしているようだし。わたし、美味しいアイスクリーム買ってきたから」
 シーナさまが、私とお姉さまのお顔を交互に見ておっしゃいました。
「そうですね。このあとの予定もありますし」
 お姉さまも賛成され、私を見てニッと笑いました。

「そうそう。このあと直子さんは、さらなる未体験の快感に打ち震えることになるのだから。夜はまだまだ、これからだもの」
 シーナさまが愉快そうにおっしゃって、録画装置に付いているデジタル時計のほうに視線を遣りました。
 私もつられてそちらを見たら、時刻は22時22分でした。


就職祝いは柘榴石 08


2014年10月19日

就職祝いは柘榴石 06

 私の下腹部でハァハァ荒い息をされていたお姉さまは、やがて、ゆっくりと上半身を起こし、私のからだを跨いで立ち上がりました。
 それから、よろよろとベッドまで行って、ストンと腰を下ろしました。
「もっと早く、直子と出会えていたらよかったかな」
 気怠そうなお声で独り言ぽく、おっしゃいました。

 私は顔をそちらへ向け、仰向け大股開きのまま、お姉さまの次のお言葉を待ちます。
「鞭だけでイっちゃう人、見たの初めてだし、クンニだけでイっちゃったのも初めてよ」
 乱れた髪をかきあげて、物憂げに私を見ています。

「でも、今の直子が凄いのは、百合草女史やシーナさまの教育のおかげでもあるわけだから、このタイミングがベストなのかもしれないわね」
 ふっと笑うお姉さま。
「それにこれからは、直子はあたしひとりだけのものになるのだし」

 お姉さま、確か先週も同じようなことをおっしゃっていました。
 やっぱり私の過去のこと、気にかかるのかな。
 私は今は、お姉さまだけが一番大好きなのに。
 ちょっぴりモヤモヤ、フクザツな気持ちになりました。

 困惑顔になってしまった私に気を遣われたのか、お姉さまは私を見つめてニッと笑い、明るいお声でおっしゃいました。
「さあ、あたしもイってスッキリしたし、はりきって直子のマゾ度チェックのつづきをやりましょう!」
 スクッと立ち上がるお姉さま。
 黒のブラだけ身に着けて下半身は剥き出しのフェティッシュなお姿で、ツカツカと私に近づいてきました。

「とりあえず手錠をはずしてあげるわ。からだ起こせる?」
「あ、はい」
 仰向け状態から、腹筋運動の要領で上半身を起こしました。
 お姉さまが私の背中にまわり、後ろ手になっている両手首に巻かれた手枷同士を繋ぐ鎖ジョイントを、はずしてくださいました。

「ブラのホック、はずしてくれる?」
 お姉さまがシートに膝立ちになって、背中を向けてきました。
 私は、久しぶりに自由になった両手で、お姉さまのブラのホックをはずしました。
「ありがとう」
 お姉さまが立ち上がり、はずしたブラジャーをベッドに置いて、また戻ってきます。
 これでお姉さまも全裸。
「裸になるのって、やっぱり気持ちいいわよね?とくにこの部屋では、オールヌードが似合う気がするわ」
 お姉さまは、鏡にご自分の全身を映して、しげしげとご覧になられています。

「お姉さまのおからだ、とってもお綺麗です。素敵ですっ」
 私が心の底から思っていることです。
「ありがと。直子のからだは、とってもいやらしいわ」
 お姉さまが小さく笑いながら、私の勃ちっぱなしの右乳首を、指でピンと弾きました。
「あんっ!」
「鎮まる、っていうことを知らないみたいね?そこも相変わらずビショビショだし」
 大きく開いた私の股間を、人差し指で指さします。

「お姉さまも、今日は先週よりもたくさん、濡れていらっしゃいましたよ?嬉しかったです」
 さっきのことを思い出し、思わず告げてしまったら、お姉さまの驚き顔。
「あ、そうだったの?あたし、鈍感なのか、自分が濡れているかどうかって、実際にさわってみるまでわからないのよね」
「えっ?そうなのですか?私は、すぐわかっちゃいます。奥がチリチリムズムズして・・・」
「へー。あたしは、性的に興奮したら、たぶん今濡れているのだろうな、とは考えるけれど、それがどのくらいなのかまでは、ぜんぜんわからないわ」
 鏡に映ったご自分の股間に目を遣って、苦笑いされるお姉さま。

「だけど今日、先週よりもあたしが濡れていたとしたら、それは間違い無く、直子に鞭をふるったせいだわ」
 銀色シートに転がっている乗馬鞭とバラ鞭に、チラッと視線を遣ってつづけます。
「直子のお尻に鞭していたとき、すっごく興奮しちゃったもの。直子が呻くたびにゾクゾク感じちゃった」
「自分の手で直接、誰かに物理的な苦痛を与えることなんて、そうそう出来ることではないものね?」
「しかも直子は、それを望んでいるし、悦んでくれるのだもの」
「どんどん興奮して、とうとうがまん出来なくなっちゃって、直子に舐めてもらったの」
「そっちも気持ち良くって、病みつきになっちゃいそう。征服感って言うのかな?やっぱりあたしって、苛めっ子体質だったのね」
 お姉さまが私の顔を覗き込み、イジワルそうにニッと笑いました。

 それは重々承知しております、お姉さま。
 だから私はお姉さまに惹かれたのです。
 私をいたぶるときのお姉さまの美しい瞳には、シーナさまにも負けないくらいの激しいエスの炎が、煌々と灯っておりました。

「ローターもたくさん持っているのねえ?それもリモコンのばっかり」
 全裸のお姉さまが銀色シートにしゃがみ込んで、オモチャ箱を覗き込んでいます。
 細長い翳りの下にチラチラと、濡れそぼったピンク色が見え隠れして卑猥です。
 思わずじっと、そこばかり追いかけてしまいます。

「どれがどれのコントローラーだか、わかるの?コントローラーもたくさんあるけれど」
「だいたいは、わかります。でも、そのブルーの、昔の携帯電話みたいな形のやつを使えば、全部が動きます。シーナさまが改造してくださいました」
「へー。器用な人ね。このクリットローターも、この貝みたいなやつも?」
「はい。リモコンのバイブも動きます。シーナさまがしたわけではなくて、誰かに頼んでやっていただいたらしいですけれど」
「ふーん。こういうのは、外で遊ぶときに愉しそうね」

 お姉さまがブルーのコントローラーをパチパチ試して、小首をかしげています。
「あ、今は全部電池を抜いてありますから、動かないです。電池類はまとめて、そっちの小さな箱に・・・」
「なるほどね。これが全部一斉に動き出したら凄いだろうな、って思ってやってみたけれど、電池抜いてあるのね、残念」
 さほど残念そうでもないお姉さまが、ローター類も銀色シートに並べていきます。

「そう言えば直子は、モロな形のバイブはNGだったわね?男性器型の」
「あ、はい・・・」
「あたしも賛成よ。生々しいのは好きじゃないわ。なんだか笑っちゃうのよ、あの形で」
「あっ、シーナさまも同じこと、おっしゃっていました」
「直子んちのバイブはみんなオシャレな形よね、ディルドも」

「ディルド?って?」
「あら、ディルド、知らないの?たとえばこれのことよ」
 お姉さまの右手に、直径の違うガラス球を何層も重ねたような形状の、私お気に入りの一品が握られています。

「バイブっていうのは、正式にはバイブレーターだから、バイブレーションするもののこと。つまり電池で震えたり、クネクネ動いたりするもの」
「ディルドっていうのは、動かない、ただの張り型ね。ほら、よく電動コケシなんて言うじゃない?」
「電動コケシはバイブレーター、ただのコケシはディルドなのよ」
「そうだったのですか。私、深く考えずに、そういったものは全部、バイブって呼んでいました」
「ふふ。直子らしいわね。あたしもこのガラスディルドは好きよ。うちにもひとつあるわ」
 お姉さまの手が愛おしそうにガラスディルドの凸凹を撫ぜています。

「直子は、この中ではどれが一番お気に入りなの?」
 銀色シートにズラリと並べられた、色も形もさまざまな8本のバイブとディルド。
「えーっと、一番良く使うのは、そのピンクのディルド、じゃなくてバイブです。電池を入れると動くから」
 さっきのガラスディルドと似た形状なのですが、スイッチを入れると球と球のつなぎ目の所を軸にディルド全体が震えながら、クネクネとランダムにうねり始める仕掛けのものでした。

「ふーん。それもシーナさんから?」
「あ、はい」
「だったらあたしが、それよりもっと直子が夢中になっちゃうようなやつを、探してこなくちゃいけないわ、ね?」
 お姉さまがピンクのバイブを手に取り、パチンと私にウインクしました。

「さすがの直子のオモチャ箱も、もうあと残り少なくなってきたわね」
 お姉さまは、そろそろ空になりつつあるスーツケースの、ポケットや仕切りの中を調べ始めました。
「これは、掃除機の先に取り付けるアダプターね。これで吸い込んじゃうんだ」
「玩具の手錠に縄手錠、こっちのはマジックテープ式か。南京錠、ローション類、馬油、ベビーオイル、ローソク」
「こっちの小さな袋には・・・あらあら、スースーする塗り薬が一杯。よく集めたわね?この虎のやつとか、凄そう」
「ナワトビトと、鎖もけっこうあるのね。これは使わせてもらおうっと。あら、手枷と足枷もあったのね」

 お姉さまが引っ張り出した赤いエナメルの手枷を見て、思い出しました。
 東京に来て初めての夏のある日、シーナさまにアイスタイマーの遊びを教わったとき、ベッドに磔にされる際に使ったものでした。
「でも、これエナメルだし、あたしのやつのほうがずっといいから、今後はあたしのだけ使いなさい!」
 お姉さまの真面目なお顔に気圧されて、思わず、はいっ!と大きく頷く私。

「うわー!これは強烈ね!」
 一際大きい、お姉さまの呆れたようなお声とともに引っ張り出されたのは、例の悪魔のオモチャでした。
「これって、洗濯物干しを改造したのよね?この洗濯バサミでラビアを挟んで、広げたまんま丸見えにしちゃうのでしょう?」
 さすが、お姉さま!
 その形状をご覧になっただけで、用途まで当ててしまわれました。

「これもシーナさん?」
「いえ。これはもともとミイコさま、あ、えっと水野さまのお手製で、私のために作っていただいたものです」
「へー。水野先輩も器用なのね。最初はきっと、ご自分のために作ったのでしょうね」
 お姉さま、ミイコさまもマゾなことまでご存知なんだ。
 おつきあいお古そうだから、当然といえば当然なのでしょうけれど・・・
 あ、そっか。
 ミイコさま、服飾部の先輩だったのかな?

 ミイコさま作の悪魔のオモチャは、やよい先生のお宅におじゃまするたびに持参するように言われ、ヴァージョンアップを施されました。
 最初にいただいたときは、リングが直径20センチくらいの赤いプラスティック。
 そこにゴムの滑り止めが付いた金属製の洗濯バサミ4つがゴムで繋がれた、簡単なものでした。
 それが何度かのヴァージョンアップの末、現在は、すごく使いやすく、その上情け容赦の無い仕様になっていました。

 リングは直径約25センチほどの合成樹脂製で、鮮やかなオレンジ色。
 そこに等間隔で6つの金属クリップが繋がれています。
 金属クリップの挟む部分は滑り止めラバー、挟む力はイヤリングと同じ方式で調節出来ます。
 クリップとリングを繋ぐのはゴムではなく細い鎖。
 そして、その鎖の長さも、リングに施されたストッパー機能で自由に調節出来ます。
 なので、一度ラビアを噛んだクリップは、どんなにヌルヌルしてもはずれることなく、また、鎖を目一杯引かれて留められると、ゴムと違って決して緩むことなく、恥ずかしい部分を思い切り広げられたまま固定されてしまうのです。

 最近は使っていなかったこの悪魔のオモチャを、お姉さまに取り付けていただく場面を妄想してゾクゾクしていたら、お姉さまの唐突なお声に遮られました。

「あらら、もうこんな時間なの!?いけないいけない。あたしいったん、シャワーを借りて汗を流してくるから、ね?」
 なんだか慌てたふうのお姉さまが、念を押すように私の顔を覗き込んでから、すぐにお顔をそむけました。
 何かをごまかすようなご様子。
 頭にクエスチョンマークを浮かべながら録画装置に付いているデジタル時計を見ると、21時35分でした。

「あたしがシャワーしているあいだ、直子は独りで愉しんでいていいからね」
 銀色シートに並べたお道具を眺めながらの、お姉さまのお言葉。
「直子って、からだ柔らかいのよね?少しくらい窮屈な格好でも平気よね?」
「あ、はい・・・」
「それと、コントローラーやローターの電池を教えて。これとこれとこれと・・・」
 お姉さまが選んだのは、楕円ローター3つとクリットローター、お気に入りのピンクのバイブとあともう一本でした。 
 仰せの通り、合う電池を指定すると、お姉さまがそれぞれに入れて試運転。
 ひとつのコントローラーで、全部がそれぞれヴーンと震え始めました。
「おっけーね。それじゃあ、愉しむためのセッティングをしてあげる」

 まず、私の右手首の手枷が右足首の足枷に繋がれました。
 腕は脚の外側を通り、もはや上半身をまっすぐ伸ばすことは出来ません。
「あっ!お姉さま?」
 同様に左の手首と足首も。
 背中を丸めて無理矢理な体育座りのような格好の私は、その窮屈さに、たまらず背中を床に着けて寝転んでしまいます。
 棒枷で大きく広げられた両足が宙に浮き、盛大な大股開きで寝転がる格好。
 棒枷の銀色パイプが、土手の上辺りをひんやり通り、膝を折った両脚がアソコを基点とした見事なMの字を描いています。

「ああんっ、いやんっ」
 アソコを大きく広げたまま宙に放り出すようなこの格好は、恥ずかし過ぎます。
「いい格好よ。とても直子らしいわ。両脚が綺麗なMの字だし」
 全裸のお姉さまが嬉しそうに見下ろしています。

「それから、これもやっぱり試したいわよね」
 悪魔のオモチャを手にしたお姉さま。
 ニッと笑って私の股間に腕を伸ばしてきました。

「あうっ!お姉さまぁっ」
 しなやかな指でラビアをつままれ、クリップの先がぎゅうぎゅうとラビアのお肉に食い込んできます。
「ヌルヌルしていてもクリップが滑らないのね。さすが水野先輩」
 お姉さまの指が手際良く動き、クリップが私のラビアを次々に挟んでいきます。
「あっ、いたぁぃぃ、お姉さままぁぁっ」
 あれよという間にアソコの円周を6つのクリップで囲まれてしまいました。
 だけどまだ、鎖は弛んだままなので、噛まれている痛みだけです。

「指先ビショビショになってふやけちゃった、直子のそこ、とても熱いんだもの」
 愉しそうなお声。
「次は鎖を引っ張って、このピンで留めればいいのね。こういうのは、対角線ごとがセオリーよね」

 私から見て、アソコの楕円の右上を噛んでいるクリップが、まず引っ張られました。
「ああんっ、だめですぅぅぅ」
 ラビアの皮膚がビローンと引っ張られ、粘膜がひきつります。
「うわー、ここって意外と伸びるものなのね」
 好奇心一杯なお声と共に、今度は左下。
「いゃぁぁっ!」
「直子自慢の柏餅の中身は、熟した柘榴だったのでしたー」
 右下、左上、左横、右横と、こじ開けられて固定されました。

 噛まれているラビアの疼痛、引っ張られてひきつる粘膜のむず痒さ、滲み出て滴るおツユのこそばゆさ、その部分をどうにも出来ない恥辱感・・・
 そういうのがないまぜとなり、アソコ全体がズキズキ疼いて、中もヒクヒク蠢いてしまいます。

「うわー、凄いことになっちゃった。ポッカリ空いちゃって、これは恥ずかしいわね。全部丸見えよ?」
「あたし、誰かのここをこんなに押し広げて、まじまじ見るの生まれて初めてだわ。皮膚が引っ張られて、肛門までちょっと広がっちゃってるわよ」
 お姉さまがカメラのリモコンを操作し、その部分から私の顔までが綺麗に収まるアングルに調整されました。

 お姉さまったら、なぜ急に、こんなたたみかけるように私を虐め始めたのだろう?
 なんだか時間も気にされているようだし、何かこの後、予定でもあるのかしら?
 頭の片隅に、そんな疑問もふと湧いたのですが、手際良く次々と責めてくるお姉さまに翻弄されて、深く考えることは出来ませんでした。
 
「さあ、これで準備完了。思う存分愉しむがいいわ」
 右手にピンクのバイブを握ったお姉さまの愉快そうなお声は、完全にエスの人のそれでした。

「あ、でもこのバイブ挿れても、これだけポッカリ空いていると、震え始めたら、バイブが暴れてすぐに抜けちゃいそうね」
「残念だけれどローターにしておきましょう。その代わり大きいの、2個挿れてあげる」
 お姉さまが、楕円形のローターを一度ご自分でしゃぶってから、私のソコに挿入しました。

「はあうっ!」
「ツルンと入っちゃった。はい、もうひとつね」
 ローターのリモコン受信アンテナが昆虫の触覚みたく、こじ開けられた穴から2本、飛び出しています。

「それから、これね」
「うっ!んふーんっ!」
 不意に肉芽をつままれ、カバーがかぶせられ、スポイトで吸いつけられました。
 クリットローター!
「これさえあれば、もうイキっぱなしでしょう?」
 お姉さまがコントローラーを私に見せ、スイッチを入れるフリをして、からかいました。

「これはオマケね」
「はうっ!だめぇっ!」
 両乳首にスースーするお薬、たぶん虎さん印のやつ、が塗り込められ、間髪を入れず、木製の洗濯バサミでギュッと挟まれました。
「はあうぅぅーっ!」
 独特なメンソールの強い匂いが目と鼻を刺激し、両乳首がポカポカズキズキ疼いてきました。

「さてと、シャワーしてくるわね。あたしが戻るまで何度だってイっていいのよ、嬉しいでしょ?」
 お姉さまがご自分の指に残ったスースーするお薬を、私のおへそのあたりになすりつけています。
「ただし、イクときは、シャワーを浴びているあたしにも聞こえるくらいの声で、イキまーす、って宣言するのよ?それがあたしたちスールのルールなのだから、わかった?」
「は、はい」
 お姉さまが身を屈め、私の唇にチュッとキスをくださいました。

「それじゃあ行ってくるわね、ボン・ボヤージ、マシェリ、ナオーコー」
 お姉さまは、私から離れるときにサササッと、私の両目をアイマスクで覆いました。
「あっ!お、お姉さま!?・・・」
 
 突然視界が真っ暗になって、びっくりして、咄嗟に呼びかける声が終わらないうちに、ローター類が一斉に震え出しました。


2014年10月13日

就職祝いは柘榴石 05

「一声出すごとに腰がガクガク上下に揺れてたいわよね?いやらしい言葉を口にするだけでも、そんなに感じちゃうんだ?」
 お姉さまの蔑むようなお声が背中に降りかかります。
「ぅぅっ、ご、ごめんなさいぃ、マゾでごめんなさいぃ・・・」

「それにほら、今もすけべなヨダレがトロトロ滴っているわよ?ひょっとして、イっちゃったの?言葉だけで」
「いえ、ま、まだ、でもあともうちょっとで・・・」
「ふうん。もうちょっとかあ」
 からかうようなお姉さまの口調。
「は、はぃぃ、お願いしますうぅ、イカせてくださいぃ、お姉さまぁ」
 ここぞとばかりに、声を振り絞る私。

「わかったわ。直子の顔が辛そうすぎて可哀相だから、一回イカせてあげる。でも普通の方法ではないわよ。面白いものがあったから」
 何かひんやりとした布のようなものが、私のお尻をスルッと撫ぜました。
「ひゃんっ!」

「こういう本格的な鞭って今まで実際に使ったことないから、愉しみだわ」
「この、先っぽがいくつもに分かれているのがバラ鞭よね?それでこっちは乗馬鞭かな?」
 バラ鞭の、その名の通りバラバラになった紐状の革の先っちょで、高く突き出しているお尻をパラパラと撫ぜられました。
 からだが期待でゾクゾク震えてきます。

「もっとちゃちなのはさわったことあるけれど、これはずいぶん本格的よね。本革みたいだし」
「これもきっとシーナさんの置き土産よね?どっちがより痛いのかしら?これとこれ」
 ニ番目の、これ、のとき、左の尻たぶを乗馬鞭のベロ部分で、ペシッと叩かれました。
「あぅっ!い、痛さで言えば、い、今の、乗馬鞭のほうですぅぅ」
「ふーん。それじゃあまずはバラ鞭からかな」

 おっしゃりながらリモコンを操作されたらしく、カメラが私のお尻から後方へ引いていき、床に這いつくばった私の全身を、上方斜め右から見下ろすように狙うアングルになりました。
 右側を向いている私の顔も、小さいながらしっかり映っています。
 いやらしく突き上げている自分のお尻の左横に、黒のブラとショーツだけを身に着けたお姉さまのスレンダーなお姿が見えました。
 お顔までは画面に入りませんが、右手にバラ鞭を、左手に乗馬鞭を握っていらっしゃるのがわかります。

「さっき定規でちょっと叩いただけで、あんなに身悶えちゃった直子だもの、こういうちゃんとした鞭なら、きっとすぐイっちゃうのでしょうね?」
 お姉さまの右手のバラ鞭が、パサッと軽く、私のお尻に振り下ろされました。

「あうっぅ、はいぃ、どうぞ存分に、直子のお尻を虐めてくださいぃ」
「どのくらい耐えられるの?」
「あ、いえ、どうぞお好きなだけ」
「本当にいいのね?」
「はいぃっ!」

 私は、モニターに映るお姉さまの右手の動きを、今か今かと凝視しています。
 やがてお姉さまの右手がスーッと上がりました。

 パサッ!
「あうっ!」
 パシャッ!
「うぅぅ!」
 お尻にバラバラと当たる鞭の感触は、それほど痛いものではありません。
 だけど、回数が増えるごとにジワジワと火照りが蓄積し、いてもたってもいられない被虐感に包まれていくのです。

 お姉さまは、最初は恐々という感じでしたが、そのうちにコツを掴まれたらしく、打擲がリズミカルになってきました。
 パシャッ!
「うぅぅ!」
 パシャッ!
「ひぃっ!」
「なんだかだんだん愉しくなってきたわ。気持ちいい。SMしている、っていう感じ」
 お姉さまのハスキーなお声が、少し上ずっています。

 上から打ち下ろし、左から打ち払い、右からも打ち払い、下から打ち上げる。
 そのたびにてんでバラバラの革鞭が、私のお尻の皮膚を満遍なく、強く弱く打ちつけてきます。
 そのたびにいやらしい呻き声をあげる私。

「どう?気持ちいい?」
「はうっ!、はいぃぃっ!」
「ほら、もっといい声で啼きなさい」
「ひゃんっ!」

 自虐オナニーのとき、自分で自分を鞭打つことは、今まで何度もしてきました。
 でも、やっぱり誰かにされるほうが何万倍もいい。
 自分で打つと、当然ながら自分の手のやることですから、いつどこに鞭が来るか事前にわかりきっているので、スリルがまったく無いのです。
 お姉さまの、ときに連打、ときに焦らすような鞭使いが、私のドキドキをどんどん駆り立ててくださいます。

 ヒュンッ!ピシッ!
「はうっ!!」
 突然、空気を切り裂く鋭い音の後、一際強い痛みが左臀部を襲いました。
 お姉さまが乗馬鞭に持ち替えたようです。

「あら、こっちは本当に強烈みたいね。ベロの形通りに痕がついたわ。見るからに痛そう」
 ヒュンッ!ピシッ!
「キャンッ!」
 今度は右の尻たぶ。
「いい声ね。ゾクゾクしちゃう」
 お姉さまの愉しそうなお声の中に、明らかに冷酷な響きが混じってきていました。

 お尻がジンジン熱を持って、感覚が鈍くなっているようにも感じるけれど、鞭が当たった瞬間の痛みは、回を増すごとにどんどんエスカレートしていきます。
 同じ場所に連続して当たると、痛くて痛くて涙が滲みます。
 もうこれ以上無理、許してください、と懇願したい気持ちと、もっとください、めちゃくちゃにしてください、という自虐的な気持ちの鬩ぎ合い。
 焦らされてしばらく鞭が落ちてこないと、ホッとしているのに、おねだりするように腰が動いてしまいます。
 お姉さまは鞭を頻繁に持ち替えて、容赦無く私のお尻を打ち据えました。

「直子のお尻、満遍なく真っ赤っかよ?満遍なく腫れちゃってる。内出血もしてそうだし、大丈夫?」
 お姉さまのちょっぴり心配そうなお声。
「はぁはぁ、大丈夫ですぅぅ、もっと、もっとぉぉ」
「まだイケないの?」
「もう少しですぅ、もっとぉ、もっとくださいぃ・・・」

「まったく!呆れたヘンタイマゾムスメね!早くイきなさいっ!」
 心配して損をした、とでも言いたげな冷酷非情なお声。

 バシッ!
 お姉さまのバラ鞭が、私の大きく開いた股間を下から上へ、ちょうど性器を撫で上げる格好で勢い良く当たりました。
「はうぅぅっ!!」
 からだ全体を電流がつらぬきました。
 暴れた鞭先の一本が、私の腫れ上がったクリトリスをジャストミートでヒットしたのです。
 その瞬間、目の前が真っ白になりました。

「からだ全体がヒクヒク痙攣しているわね?何?イったの?直子」
「もっとくださいぃ、もう一回、もういっかいぃぃぃ」
 お尻をグラグラ振ってアピールします。

「イってませんんーっ!もう少しなんですぅぅ、イかせてぇ、イかせてくさいぃぃぃ」
「あっ!そっか。今、鞭の先がクリットに当たって、それでビクンとしたのね?なるほど」
 おっしゃりながらもう一回、バラ鞭が股間を勢い良く撫で上げました。
「ううぅ、そうですぅ、もっと、もっとそこに鞭をくださいぃぃ」

「そっか、これが気持ちいいんだ」
 お姉さまのバラ鞭が、まさに乱れ打ちという感じで、私のお尻を乱打し始めました。
「お尻ぶたれて、クリットぶたれて、ヘンタイ直子はそんなのが気持ちいいんだ?そんなのでイキたいんだ?」
「はいぃはいぃ、気持ちいいいいぃぃですぅぅぅ」

 股間を下から上への打擲割合が増え、そのたびに私の性器がピチャピチャ音をたて、ときどきクリットをヒット。
「ほら、イキなさい!」
 バチンバチンという打擲音と、あうあう呻く私の喘ぎ声の淫靡な輪唱。

「ほら、直子がイクときは、どうするのだっけ?」
 絶え間なく鞭を振るいながら、お姉さまも息を荒くされています。

「はぅっ!イキますぅ、イキますぅ、お姉さまぁぁ・・・」
「ほらっ、イキなさい!」
「ひぃっ!イキますぅ、イカせてくださいぃ、お姉さまっ、おねえさまぁぁぁ」
「さっさとイキなさいっ!」
 かなり強烈な一撃が連続で、二度三度と私のクリットをクリティカルヒット!
「はうぅぅっ!!あっ、あっ、いッ、イキますぅぅぅぅぅっ!!!」

 ハァ、ハァ、ハァ・・・
 気がつくと私もお姉さまも、荒い息遣いで肩を上下させていました。
 お姉さまは、私のお尻の横にしゃがみ込んでいます。
 私は、激しくイッた余韻とお尻ヒリヒリのムズ痒さに懲りもせずまだムラムラ。
 アソコがひっきりなしにムズムズ疼いています。

 突然、お姉さまが、ゆらり、という感じで立ち上がりました。
「はぁ、はぁ・・・直子、あたし、もう、がまん出来ないの・・・」
 おっしゃるなり、私の両足を繋いでいる棒枷がむんずと掴まれました。

「仰向けになるのよ!はら、早く!」
 棒枷で下半身を吊り上げるように乱暴に持ち上げられたので、顔がタオルに押し付けられました。
「あんっ、お姉さまっ!痛いっ!」
 からだが下半身から強引に捻られて、まずは横向きになりました。

 大股開きの側臥開脚を恥じらう暇も無く、後ろ手のまま仰向けに。
 ずっと潰されっぱなしだったおっぱいが息を吹き返しました。
 両腕は背中の下。
 両足が大開脚状態なので、膝を立てると即大股開き。
 でも、火照ったお尻に銀色シートの冷たさが気持ちいい。
 ただし、シートは自分のおツユでヌルヌルベタベタですが。

 仁王立ちのお姉さまが私を見下ろしています。
 久しぶりに肉眼で拝見するお姉さまのお姿。
 細かいレースのゴージャスな黒のランジェリー。
 トップもボトムもシースルーっぽい、とてもエレガントかつエロティックな下着姿。
 クールなワンレングスが乱れて、白くて細い首に黒い髪が汗で貼り付き、からだ全体もうっすら汗ばんでいらっしゃるようで、匂い立つようなオトナの色香ムンムンなお姿です。
 お姉さまは、少し潤んだような瞳で私を見下ろしています。

「直子ばっかり気持ち良くなるのは、不公平よ!」
 少し怒っていらっしゃるようなお声でつぶやくと、その場でスルスルッと黒いショーツを下ろされました。
 足首からショーツをはずすと、そのままツカツカと寝ている私の頭のほうに歩いてきました。
 そして、お顔を私の膝のほうに向けて私の顔面を跨ぎ、そのまま腰を落としてきました。

「舐めなさい。舐めてあたしも気持ち良くしなさい!」
 私の顔面の真上にお姉さまの剥き出しの股間があり、お姉さまのご命令のお声と共に、その部分がグングン私の顔面に迫ってきました。
「は、はぃ、むぐぅぅ・・・」
 私がお答えしようとしたときには、すでに私の唇はお姉さまの下の唇に塞がれていました。

「しっかり舐めてっ、あたしをイカせなさいっ!」
 明らかに興奮されているお姉さまの息遣いに、私はすっごく嬉しくなります。
 一週間ぶりのお姉さまのヘア、お姉さまのお味。
 先週よりも遥かにたくさん濡れていらっしゃいました。

 舌を思い切り突き出して、お姉さまの中に侵入します。
 お姉さまも両腿を一直線にまで広げて、侵入を助けてくださいます。
 舌を動かして、お姉さまの中を舐め上げます。
 花びらをしゃぶり、粘膜を舐め上げ、壁を擦り、美味しい蜜をジュルジュル飲み込みます。
 私の顎の先あたりがお姉さまの肉芽のはずなので、顎をしゃくり上げてその部分も刺激して差し上げます。
 ときどき焦らすように舌を抜いて、お尻の穴までペロペロ舐め上げます。

「あっ、いいわっ、そこよ、そこ・・・」
「あうっ、もっと、もっと強く・・・」
「うっ、それ、それがいいわっ・・・」
「いいわ、じょーずよ、そう、そこぉ・・・」

 お姉さまの悩ましいお声に、私はますます激しく舌を動かします。
 お姉さまが腰を押し付けるようにグイグイ密着させてくるので、窒息しちゃいそう。
 でも、お姉さまのアソコに息の根を止められるのなら本望です。
 顔中をお姉さまのお尻に押し付けて、うーうー唸りながら一生懸命ご奉仕しました。
 ネットリとした白い蜜を、夢中ですすりました。

 お姉さまのせつないお声が切れ切れになり、荒い息遣いのリズムが上がって、すぐにハスキーな遠吠えが響き渡りました。
 お姉さまの腰が私の顔の上でピクピク痙攣しています。
 やがて、お姉さまのお顔ががっくりと、私の下腹部に倒れ込んできました。
 顔面からお姉さまのアソコが離れ、私の口の周りはびしょ濡れでした。

 顔を上げた私の目の前に、お姉さまの美しいお尻の穴がありました。
 お姉さまはしばらくのあいだ、ときどきからだをヒクヒク震わせて、私のお腹に頬を埋めていました。
 私はお姉さまのお尻をうっとりと見つめ、喩えようのない幸せな気持ちに包まれていました。


就職祝いは柘榴石 06


2014年10月5日

就職祝いは柘榴石 04

「これは何?ああ、電動歯ブラシね。1、2、3・・・なんで6本もあるの!?」
「えっと、ほとんど私ので、あとのはシーナさまです」
「ふーん。何に使うのかは、だいたいわかるけれど、どうして6本も必要なのかしら?」
「あの、えっと、2本組み合わせて使ったり、あと、メーカーによって振動がけっこう違ったりもして・・・」

「へー、研究熱心だこと。でも今これ使ってどこか磨いたりしたら、きっと直子はすぐイッちゃうでしょうから、とりあえずパスね」
 色とりどりの電動歯ブラシを私の足元に並べるお姉さま。

「ホイッパー、ガラスのマドラー、栄養ドリンクの空き瓶。このへんは挿れて愉しむのよね?あっ、これ、懐かしい!」
 明るいお声と共にお姉さまがスーツケースから引っ張り出したのは、小さなカエルさんのおもちゃでした。
 ゴム製のけっこうリアルなカエルさんと、楕円形で手のひらサイズの空気ポンプが細くて長いチューブで繋がっていて、ポンプを押して空気を送ると、カエルさんの脚がビョーンと伸びて、ジャンプしたり泳いだりするおもちゃ。

「これもまさか、挿れちゃうの?」
 おっしゃりながら、お姉さまがポンプをプニプニ押すと、そのたびに緑色のカエルさんがピョンピョン跳ねました。
「あ、えっと、これはお友達にどこかのお土産ってもらって、可愛いからお風呂で遊んでいたとき、ふと思って、これを挿れたらどんな感じかなって、試したら・・・良くて」
 私とカエルさんを交互に見て、呆れたようなお顔をされるお姉さま。

「・・・アソコの中でモゾモゾ動いて、なんだか得体の知れない生き物に中を検査されているみたいな妄想が広がって、夢中でパフパフしちゃって・・・」
「ふーん。そんなにいいのなら、あとでやってあげるわ。これ、全部挿れてあげる」
 後日、私がおもちゃ屋さんなどを巡って買い足して全部で3匹となったカエルさんたちも、私の足元に並べられました。

「いろんな種類の筆に刷毛、メイクブラシ、ペットグッズのネコじゃらしまであるのね」
「使い捨てのゴム手袋、くっつく包帯。この大きな麻袋の中は何かしら?」
 お姉さまは、ひとつひとつ品物をスーツケースから取り出しては、私の足元に並べていきます。

「ああ、麻縄か。なんだかいい色に光って、年季が入っているわね。ちゃんとお手入れしているんだ?」
「はい・・・ミイコさまとシーナさまから教わって・・・」
「こっちの袋にはクリップ類が一杯。洗濯バサミは木製かステンレスなのね。あら、目玉クリップなんて、挟んだらかなり痛くない?」
 麻縄の束も洗濯バサミも、わざわざ袋から出して私の足元に置かれました。

 銀色のレジャーシートの上に、一見脈絡の無いさまざまな品物が、公園のフリーマーケットのお店みたく並びました。
 どれも最低一度は、私の肌や粘膜をいたぶったことのあるものたち。
 自分で集めた、自分を虐めるためのお道具をこうしてあからさまに目の前に並べられると、自分のどうしようもないヘンタイ性癖の歴史を赤裸々に突きつけられている気がして、ものすごく恥ずかしくなってきます。

「日用品系は、こんなところかしら」
 お姉さまは、スーツケースから取り出した30センチのプラスティック定規を右手で持ち、ご自分の左手のひらを軽くペチペチ叩いています。

「まだまだ面白そうなものがたくさん入っているけれど、このへんでちょっと、気分転換しましょうか」
 私の足元に並べたお道具たちをザザザっと、無造作に私の左側、お姉さまの足元のほうに押しやりました。
「充分にスペースを空けておかないと、体勢崩したとき、金属とかの上に倒れこんで怪我でもしたら危ないからね」
「・・・?」
 私は、キョトンとお姉さまを見ていました。

「直子?」
「はい?」
「四つん這いになりなさい」
「えっ!?」
「そこでまずひざまづいて、頭は鏡に向けて、お尻をカメラに向けて、四つん這いになりなさい」
「あ。えっと、はい・・・」
 お姉さまの豹変した冷たいお言葉に、背筋がソクソクッ。

 ご命令に従うには、まず回れ右をしなければいけません。
 棒枷で固定された両足をズルズル摺り足で、からだを180度回しました。
 鏡の中の自分と目が合い、私の全裸正面が映ります。
 それから、ゆっくりと両膝を曲げ始めました。

 この過程で私は、棒枷の、その残酷な威力に気がつきました。
 両足のあいだを約70センチ幅にも広げられたまま両膝を床に着いたら・・・
「ほら、さっさと床に這いつくばりなさいっ!」
 プラスティック定規でペチッと、背後のお姉さまにお尻を叩かれました。
「ひっ!あんっ!はいぃ!」
 膝を深く折るごとに、恥ずかしさが増していきます。

 和式のおトイレで用を足すときよりも数段大げさに両足を開いた状態で、その場にしゃがみ込む格好になりました。
 この段階ですでに、私の両腿の付け根部分は全開です。
 それから少し上体を前傾させ、両膝を床に着けます。
「ああんっ、いやぁんっ!」
 このあと、前屈みになってお尻を持ち上げたときの自分の格好がまざまざと脳裏に浮かび、激しい羞恥に思わず声が出てしまいました。

 四つん這い、と言っても、両手は手錠状態で背中に回されているので、上半身を両腕で支えることは出来ません。
 必然的に、上半身の支点となるのは頭。
 膝立ち姿勢から上体を前に傾けて、床に頭から飛び込んでいくのは、かなりの恐怖心を伴います。
 躊躇しているとお姉さまが、40センチ四方くらいに折りたたんだ白いバスタオルを、私の目の前に置いてくださいました。

「ほら、とりあえずここに頭を着けなさい」
 私の傍らにしゃがみ込んだお姉さまが、バスタオルを定規でツンツンつつきます。
「は、はいぃ」
 意を決した私は、その場で土下座するみたいに、バスタオルに正面から顔をうずめました。

 背中がお尻からの急降下斜面となり、背後のお姉さまに開ききったお尻を突き出す格好になります。
「顔は、モニターが見える方向に向けておきなさい。ほら、お尻はもっと高く上がるでしょ!?」
 タオルにうずめていた顔を右に向けると、左頬がタオルに沈みます。
 ふくらはぎと太腿が直角になるほど、グイッとお尻を上に突き上げました。
 両おっぱいの上部分のカーブが銀色のシートにベッタリ貼り付いて潰れ、両乳首がシートに擦れます。

「ふふ。すごい姿になったわね。直子が好きなカエルそっくり」
 お姉さまの愉しそうなお声。
 リモコンを弄っているのでしょう、右側のモニターに私のお尻がズームアップしてきました。

「いい眺めだこと。直子って、お尻の穴周辺にもまったくヘアが無いのね。ツルッツル綺麗で羨ましいわ」
 そんなに羨ましくもなさそうな、お姉さまのお芝居がかったお声。
 ドアップになった私の裸のお尻の前に、お姉さまの後頭部が邪魔するみたいに大きく映り込んでいるので、直接至近距離で、まじまじとそこを覗き込んでいらっしゃるのでしょう。

「お尻が左右に目一杯割れちゃっているから、アソコも割れて中の具まで覗けているわよ?」
 お姉さまがおしゃべりするたびに、その部分の皮膚にお姉さまの吐息がコソコソかかります。
 そのじれったい刺激と、あまりの屈辱恥辱感、それに相反するはずの恍惚感がごちゃ混ぜとなり、私の息もどんどん荒くなってしまいます。

「おツユがダラダラ垂れて、すごくいやらしい匂い。あら、お尻の穴がヒクヒク動いたけれど、直子、感じているの?こんな格好にされたのに?」
「はぁ、はぁ、はぁぃ・・・」
「こんなにみじめでみっともない格好なのに、そんな姿を視られて嬉しいんだ。何もかも丸見えで、クリットなんて、弾けて破裂しちゃいそうに膨れ上がっているわよ?」
「あぅぅっ、はぁ、はぁ、はぁぃ・・・」
「ふん!いやらしい子!」
 不意にモニターからお姉さまの後頭部が消えました。

 大きなモニター画面には、私のお尻を画面全体に捉えた白い肉塊のドアップ。
 お姉さまがおっしゃった通り、左右の尻たぶが見事に泣き別れになって、その中央に、周囲をシワシワで飾られた小さくて丸い穴と、その少し下に縦長の楕円形に広がったピンクの穴が、まるっきり無防備にさらけ出されていました。
 普通の女の子なら、絶対誰にも視られたくない、あまりにも屈辱的なアングル。

 そう考えた刹那、左の尻たぶに強い刺激が。
 パチンッ!
「あうっ!」
 お姉さまのプラスティック定規が私のお尻に振り下ろされた音でした。

「こんな格好にされたのに、悦んで愛液をダラダラ垂らすようないやらしい子には、お仕置きが必要よね?」
 パシンッ!
「あうっぅぅ、はぁぃぃ」
「だけど直子みたいなヘンタイだと、お仕置きもご褒美になっちゃうのよね?」
 パシンッ!
「うっぅぅ、はぁぃぃ」
「直子はお尻叩かれるの、大好きなんでしょ?」
 パシンッ!
「はうっぅぅ、はぁひぃぃ」
「マゾだものね?」
 パシンッ!
「はうっぅぅ、はひぃぃ」

「叩いたところがみるみる赤くなって、面白いわね、これ。もっと強いほうがいい?」
「はぁいぃ」
 バシッ!
「いたぁひぃぃっ」
「もっと強く?」
 バシンッ!
「はぁひぃぃ。もっとぅぅ」
 バシンッ!
「気持ちいいの?」
 バシンッ!
「はぁひぃぃ・・・」
「そろそろイキそう?」
 バシンッ!
「はぁひぃぃ!もっとぅ、もっとぅぅぅ!」
「じゃあやーめた」

 それきり、お姉さまの定規がお尻に降ってこなくなりました。
 また、焦らし責め。
 息をハァハァ荒くしながら、しばらくはお姉さまのイジワルさを呪っていた私でしたが、いつまでもつづく沈黙にだんだんと不安になってきました。
 
 床のタオルに左頬を押し着けた私の視界は、右側のモニターとその周辺しか見れません。
 お姉さまが私の背後や左側に居られると、そのお姿がモニターに映り込んだときしかお姿を確認出来ないのです。

「・・・お姉さま?」
 お尻への打擲が途絶えてしばらくすると、お姉さまの気配がまったくしなくなっていました。
 お姿も見えず、お声も聞こえず。
 苦労して顔を左側に向け、そちらも確認してみましたが、お姉さまのお姿はありません。
「・・・お姉さまぁ?」
 私が二度目に、大きな声でお姉さまを呼んだとき、私のお尻のほうから、微かな衣擦れの音が聞こえました。

 あ!
 きっとお姉さま、お洋服を脱いでいらっしゃるんだ!
 思い当たった途端に、不安が消し飛びました。

「直子のお尻叩いていたら、少し汗ばんじゃったから、リビングで服、脱いできたわ」
 私のお尻間近から、お久しぶりなお姉さまのお声が降ってきました。
 私は急いで、自分の顔をモニター側に向け直しました。
 でも、モニターには相変わらず、私のお尻のドアップしか映っていませんでした。

「うわー。お尻の左側だけ真っ赤っか。熱そう」
 お声と共に、モニターに再び、お姉さまの後頭部が侵入してきました。
 チラッと見えた白い肩先には、黒いブラジャーの紐らしきものが見えました。
「でも、叩かれて感じる、っていうのは本当のようね。ワレメが、以前にも増して濡れそぼって開き気味だもの」
 お姉さまの興味津々なお声が、吐息と共に私の皮膚を愛撫してきます。
「熱持って、なんだか痛々しいから、これで撫ぜてあげる」

 お声と同時に、赤くなった右の尻たぶに、こそばゆいものが当てられました。
「あふぅんっ!」
 モニターにチラッと映った感じでは、たぶんメイクブラシ。
 それも一番毛先が細くて柔らかい、私お気に入りのチークブラシのよう。

「ふぅん、んふふんっ、だめですぅぅぅ」
 熱を持ったお尻の敏感になっている皮膚をコショコショとくすぐられて、思わずお尻が大きく揺れてしまいます。
「おねだりしているみたいに腰振っちゃって、本当にスケベな子ね」
 なじるようなお姉さまのお言葉とは裏腹、ブラシの愛撫は止まらず、どんどんお尻の穴のほうに近づいてきます。
「いやんっ、くすぐったいですぅぅ」
 蜜がトロトロ、粘膜から滲み滴り落ちるのが、自分でも分かります。

「百合草女史とお会いしたとき、面白いこと、おっしゃっていたのよ」
 お姉さまは、私のお尻の穴の円周をなぞるようにブラシの毛先で撫ぜ回しながら、愉しげな口調でおっしゃいました。
「直子、女史やシーナさんに、ここはあんまり可愛がってもらえなかったんだって?」
 
 ここ、っていうお言葉と同時に撫ぜられたのは、お尻の穴。
 お姉さまのブラシが、今はもろに、私のお尻の穴を上から下から撫ぜつけていました。
「あふんっ、は、はい?」
 くすぐったさと恥ずかしさに身悶えしつつ、ご質問の意味がよくわからず、曖昧にお返事する私。

「あのふたりに、今までここにされたこと、思い出せる?」
 相変わらずピンポイントでそこをブラッシングされながら、再度のお尋ね。
「あぁん、えっと、百合草先生には、ぅふぅんっ、お浣腸と、あと、タンポンを挿れられたのは、憶えていますぅ」
「シーナさまには、そ、そう言われてみれば、ぁふうんっ、ゆ、指とか、ローター当てられたくらい、ですぅ、ううう、かな?」

「ふーん。自分では?」
「あ、えっと、自分だと、お浣腸と、指と、あと、マ、マドラーの先っちょを、ちょっ、ちょっとくらい、ですぅぅ」
「ふーん」
 お姉さまが操るブラシの毛先が、私のお尻の穴から離れました。

「おふたりがおっしゃるにはね、直子が将来、ステディなパートナーをみつけたときのために、ここだけは、そのまだ見ぬパートナーのために開発しないで、とっておいてあげよう、って決めていたのですって」
「えっ!」
「ほら、百合草女史は直子のヴァージン破っちゃったし、マゾ性を開花させちゃった張本人。シーナさんは、マゾの心得をどんどん教え込んで、直子のヘンタイ度を上げちゃったわけじゃない?」
「だけど、おふたりとも、直子を自分だけのパートナーに出来る立場ではないから。それぞれすでに本命がいるしね」

「だから、いつの日か直子にめでたく相手が出来たとき、ひとつくらい、その人の手で開発出来ることを残しておいてあげよう、って決めたんだって。それがここ」
 お姉さまのブラシが、もう一度私のお尻の穴をスルッと撫ぜました。
「あはんっ!」
「そしてあたしが、めでたく直子のパートナーとして認められたのよ、おふたりから」

「直子はもちろん、ここを弄くられるの、好きよね?」
「ぁあんっ、はいぃ」
「たとえキライって言われたって、あたしはヤル気マンマンよ?せっかくふたりが残してくれた未開発部分なのだもの」
 お姉さまが毛先を穴に強く押し付けて、やがて離れました。
「あはぁんっ!」
 微かなチクチクがもどかしい。

「あたしも、今まで誰かのここをイタズラしたのって、アユミにふざけて浣腸して紙オムツさせたくらいだったな」
「がまんしきれずに洩らしちゃったアユミの辛そうな顔を見たときは、すごくゾクゾクしたものだわ。あの情けない臭いにも、妙に興奮しちゃったし」
「それにここって、開発すればするほど、どんどん淫乱になっちゃうらしいじゃない?直子がそうなったとき、どんな顔を見せてくれるのかしら?」
 夢見るようなお姉さまの愉快そうなお声が、背中へ降りそそぎます。

「ねえ?直子はここのこと、いつも何て呼んでいるの?」
 お姉さまのブラシが、私のお尻の穴に戻りました。
「あんっ!えっと・・・お、お尻、の穴」
「他には?」
「ア、アナル・・・」
「他には?」
「ア、アヌス・・・」
「他には?」
「えっ、えっと、こ、肛門・・・」
「その呼び名の中で、どれが一番恥ずかしいと思う?」
「そ、それはやっぱり・・・えっと・・・こ、肛門がやっぱり・・・かな?」
「おーけー。それなら、こう宣言なさい」

 背後でお姉さまがカサカサ何かされる音がして、やがて一枚の紙片が私の目の前に差し出されました。
 レポート用紙大の紙に、細めの黒マジックの端整な文字で、短い文章が書かれています。
 紙片を置くときにチラッと見えたお姉さまのお姿は、上下黒の艶やかなランジェリー姿でした。

「大きな声で、ゆっくり、はっきり読むのよ?あたしたちスールのロマンティックな思い出として一生ビデオに残るのだから」
 お姉さまのお芝居がかったお声には、クスクス笑いが少し混じっていました。
「は、はいぃ!」
 
 お返事すると、カメラが更にズームアップしてきて、画面の中心が私のお尻の穴のアップになりました。
「あ!いっ、いやんっ!」
 直径10センチくらいにまで拡大された、自分のお尻の穴。
 恥ずかし過ぎて死にそうです。
「ほら、早く読むのっ!」
 パチンと平手で、高く突き上げたお尻をお姉さまにぶたれます。
「はいぃっ!」

「わ、私、も、森下直子の、のい、いやらしい、こ、この、こ、こう、もん、んっ、こ、肛門は、こ、これから一生、え、絵美お姉さま、ぁんっ、お姉さまだけの、もの、んっ、ものであることを、ち、誓いますぅぅぅぅ」
 
 自分で読んでいる文章の意味、その一字一句が私のマゾ性を激しくゆさぶり、お姉さまへの忠誠心が漲ります。
 同時に、被虐な血の昂ぶりで全身が滾り、イク寸前、息も絶え絶えにつづきを読み始めます。

「ど、どうぞ、どうぞっ、い、いつ、いつでも、ご、ご自由に、にっ こ、このこ、この肛門を、お、お使いください、くださいませぇぇぇ、ハァハァハァ・・・」
 
 まさしく私の本心が代弁された文章と、自分の肛門のドアップ画面を交互に見ながら、私の恥辱メーターは、振り切れたまましばらく戻りませんでした。


就職祝いは柘榴石 05


2014年9月28日

就職祝いは柘榴石 03


「この中のもの、全部使ったことあるのよね?」
「・・・はい」
「自分で買い揃えたの?」
「あ、いえ。日用品ぽいものはそうですけれど、オトナのオモチャ的なものはほとんど、シーナさまが置いていかれたものです」
「ふーん。これ全部試したら、一晩中かかりそうね。愉しみだわ」
 スーツケースから離れたお姉さまは、ソファーの上のご自分のバッグから何か取り出しました。

「これ敷いて。レジャーシート。直子んちの床を汚さないように一応持ってきたの。今日は直子に思う存分グズグズベトベトになってもらう予定だから」
 薄い笑みを浮かべたお姉さまから、銀色のレジャーシートを渡されました。
「ちなみに今後の直子の行動範囲は、あの固定カメラで追える範囲内ね。全編しっかり録画するつもりだから」
「あのカメラ、首は振れるのでしょ?」
「あ、はい、上下左右に」

 今現在カメラが映しているアングル、すなわち、鏡と化したマジックミラー窓の前、背後からのカメラが鏡に映る私をモニター画面の中央に映し出すような位置をまず確認して、シートを敷き始めました。
 シートは予想外にずいぶん大きくて、バルコニーに張り出したタイルの床全体を覆い、フローリングの室内まで、サンルームのほぼ全域をカバー出来ました。

 私がシートを敷いているあいだに、お姉さまはSDカードを録画装置にセット。
 つづいてソファーをベット状にしてから、監視カメラのリモコンと録画装置をしばらくいろいろ弄っていました。

 シートを敷き終わってお姉さまの傍らに戻ると、お姉さまは再びご自分のバッグから、今度は細長い金属の棒のようなものを何本が取り出されました。
 一本が30~40センチくらいの銀色に光る棒は、端がねじ式で連結出来るらしく、お姉さまが一本の棒をクルクル回して繋げると倍の長さの棒になりました。
 この棒にもいくつか銀色のリングが付いています。
 長い棒を2本作って、もう一度ご自分のバッグを覗き込むお姉さま。

「今日はバッグが重くて大変だったわ」
 苦笑いでおっしゃりながら、パンパンに膨れた巾着状の大きな布袋をバッグから取り出されました。
 巾着の紐を解き、中身をベッドの上に無造作にぶちまけました。
 ジャラジャラジャラ!
 巾着袋の中に詰まっていたのは、見るからに冷たそうな何本もの銀色の鎖でした。

 黒地の合皮ベッドの上にとぐろを巻いて、鈍く銀色に光るたくさんの鎖。
 アクセサリーで使われる鎖とは比べものにならない、自転車のチェーンくらいの太さの禍々しい鎖を見つめていると、からだがゾクゾク震えてきました。
 これからこの鎖で私は、両手両足を不自由に繋がれ、思い切りあられもない格好に拘束されて、散々いたぶられるんだ、大好きなお姉さまの手で・・・
 そう考えただけで、アソコのヒクヒクが止まりません。

「オシャレなバーキンにこんなもの入れて街中歩いてるのって、世界中であたしくらいでしょうね」
 お姉さまが自嘲気味にクスクス笑われました。
「でも今日は、直子がどのくらいマゾなのか、しっかり確かめたかったら、あたしなりにがんばって準備してきたのよ」
「さあ、ぼちぼち始めましょう。まずは直子にこの棒枷を付けてもらうわ。もっとそばにいらっしゃい」
 お姉さまが銀色の長い棒を手に持ち、私を手招きしました。

 ベッドに座るように指示され、鎖を少しどかして腰掛けました。
 鎖に触れたとき、そのひんやりとした感触にキュンキュン感じてしまいました。
「この棒枷を付け終わったとき、直子にとってのやさしいお姉さまは、いなくなるからね?」
 お姉さまのお顔から笑みが消えています。
「あたしの中のサディスティックな気持ちを総動員して、出来るだけサディストに成りきるつもりだから、覚悟してね」
 冷たい瞳でおっしゃりながら、腰掛けた私の足元にひざまづきました。

 私の左足首の足枷のリングにジョイントのようなものが繋がれ、5センチくらいの鎖のもう一方の端を、棒枷の左端のリングに繋がれました。
「足を大きく開いて」
 お姉さまのお言葉で左右の足の間隔を恐々少しずつ広げます。
「だめだめ、もっともっと」
 怒ったようなお言葉と共に、右足首が掴まれて、外側へ大きくグイッと広げられました。
「あっ、いやんっ!」
 両膝が大きく割れます。
 お姉さまはお構い無しに、右足首の足枷に棒の右端を繋ぎました。
 腰掛けている私の両足は、70センチくらいの幅に左右泣き別れになったまま棒枷で固定され、一生懸命内股にしても、まったくアソコが隠せない状態になっていました。

「立ちなさい」
 お姉さまに促され、ゆっくり立ち上がります。
 左右の足幅が固定されているので、すごく不自由でよろめきます。
 さっき強引に足幅を広げられたとき、腿の付け根の裂け目が割れてしまい、滴り出たはしたないヨダレが右の内腿をトロリと滑り落ちていきました。

「両手はどうしようかしら?」
 お姉さまの独り言。
「とりあえず後ろでいいか」
 5センチくらいの短い鎖を掴んだお姉さまに後ろ手にされ、左右の手枷を背中で繋がれました。

「おっけー。その格好でカメラの前に戻りなさい」
 軽く背中をこずかれ、よたよたと歩き始めます。
 両足が大きく広げられたままなので、歩きにくいことこの上ありません。
 遠く離れた右足と左足を床に摺るように、ちまちま前進するしかありません。
 膝を大きく上げてガニマタっぽく歩を進めれば、いくらかマシに歩けそうですが、その姿はひどくお下品そう。
 出来の悪いロボットのような摺り足でズルズルと、なんとか窓際までたどり着きました。

 鏡に映った自分の姿は、とてもみじめなものでした。
 赤い首輪の全裸の女。
 両足に巻きつけられた赤い足枷を繋ぐ、銀色の無機質な長い金属棒。
 70センチくらいのその棒の長さより狭く閉じることを禁じられた両足が、すごく不自然に床に踏ん張っています。
 
 両手はほとんど動かす余裕無く、背中で拘束。
 必然的に、胸を張るような格好になり、痛いほど尖りきったふたつの乳首を誇示するように、おっぱいを無防備に前へ突き出す姿勢です。
 裂け目からヨダレがポタポタ、銀色のシートを汚していました。

「これから直子のマゾっぷりをひとつひとつチェックして記録していくから、聞かれたことにはすべて、正直に答えること。いいわね?」
 お姉さまがリモコンで、カメラの角度やズームを調整しながら、投げつけるような口調でおっしゃいました。
 右脇に見えるモニターには、私の全身が綺麗に収まっていました。
 少し遠目ですが、足元に置かれたオモチャ箱と、鏡に映る正面からの姿もしっかり見えています。
 お姉さまったらいつの間に、カメラとモニターの操作方法を把握しちゃったみたいです。

「まずは、直子が言うところの日用品ぽいものから、使い方を説明してもらうことにするわ。カメラのほうを向きなさい」
 私の背後に来たお姉さまのご命令。
 振り返ろうとしますが、強制足幅固定の両足では、180度回転するのも一苦労です。
 お姉さまがリモコンを使い、モニターに生身の私の膝から上の全身が入るように調整されました。

 私のオモチャ箱の傍らにしゃがみ込んだお姉さまが、中からいくつかのお道具を手に取りました。
「トング類ばっかりいくつもあるわね?アイストングにパスタトング、パントング。こんなの何に使うの?」
「あ、はい・・・私、金属類の感触が好きで、こういうので挟まれたり、からだを弄られると気持ちいいんです」
「なるほどね。こんな感じ?」
 お姉さまがパントングで、私の右おっぱいの下乳をいきなりムギュッと掴んできました。
「あぁんっ!」

「手で揉まれるより。こういうので掴まれるほうがいいんだ?」
 パントングをグリグリ動かしながら、お姉さまが聞いてきます。
「あんっ!い、いえ、お姉さまならば手でももちろんいいのですが、あぁんっ、オ、オナニーのときは、こういう無機質なものに虐められるほうが、被虐感に萌えるというか・・・」
「ふーん。金属フェチの気もあるのね」
「あふんっ!」
 今度はパスタトングで左乳首をつままれました。
「もっと強いほうがいい?」
「ああんっ、はいぃ・・・」
 パスタトングの先で乳首を挟まれたまま、グイッと引っ張られました。
「あはぁぅっ!ぃやぁん!」

「マゾなら当然、先がもっとチクチクしてたほうがいいのよね?これみたいに」
 お姉さまがアイストングに持ち替えて、カチカチ鳴らします。
 そのアイストングの先っちょの細かいギザギザは、私の一番のお気に入りでした。

「はいぃ。それで乳首をつままれると、いつもジンジン感じちゃうんですぅ」
「へー、そうなの?」
 イジワルな笑みを浮かべたお姉さまが、右乳首にアイストングの開いた先っちょをあてがいました。 
 火照った乳房にひんやりした感触。
「ひぃっ!」

「これをどうして欲しい?」
「閉じてください、ギュって閉じてくださいぃ」
「こう?」
「ひいぃーーっ!」
 お姉さまがおもむろにトングの先を閉じました。
「コチコチの乳首にトゲトゲが喰い込んでいるわよ?痛くないの?」
「痛いですぅ。でも気持ちいいんですぅぅぅ」
「ヘンな子」
「ううぅぅぅーっ!」
 お姉さまが操るアイストングで、私の両乳首がしばらくもてあそばれました。
 開きっぱなしの私の股間から、悦びのヨダレがダラダラ垂れ滴り落ちました。

「もう一箇所、これで挟んで欲しい場所があるのでしょう?」
 執拗な乳首虐めで、私の両乳首は破裂寸前、凄い熱を持っていました。
 もう少しつづけられたら、それだけでイっていたと思います。
 絶妙なタイミングでお姉さまのアイストングが肌を離れました。

「はいぃ・・・挟んで欲しいですぅぅぅ」
 息を荒くしてお答えします
「どこ?」
「あの、ここ、ここです、ク、クリトリスです、クリトリスを挟んでください!」
 下半身をお姉さまに突き出すように背中を反らして、懇願しました。
「はしたない子ね。女の子はそんなお下品なこと、大きな声で言うものではなくてよ?」
 すごくイジワルなお顔の、すごく愉しそうなお姉さま。
「ごめんなさい。でも、でもぅ」
 ますます背中を反らして、アソコを突き出す私。

「だって、そのえっちなおマメをこれでつまんだら、直子、あっさりイッちゃうでしょう?」
「はい。イッちゃいます。イかせてぇ、イかせてくださいぃ」
「だめよ。まだ始めたばかりだもの。そんなのつまらないわ」
 お姉さまは身を屈め、私の足元近くに使ったトング類を並べて置いて、また立ち上がりました。

「それからね、これから直子は、あたしの許可無しに、勝手にイってはいけないことにしましょう」
 私の顔をまっすぐ見つめておっしゃいました。
「イキたいとき、イキそうなときは、必ずあたしに言って許しを請わければいけないの、イってもいいですか?って」
「そうだ!プライベートでもそうしようか?オナニーもあたしの許可制。直子がオナニーしたくなったら、あたしに連絡して許可をもらわなくちゃいけないの」
「でもまあ、あたしも四六時中相手はしていられないから、メールでいいわ。オナニーしたくなったらあたしにメールを送ること。これからオナニーします、って」
 本気なのか冗談なのか、お姉さまは蔑むような笑みを浮かべて私を見つめています。

「決まりね。いい?わかった?」
「は、はい」
 お姉さまとのおつきあいが順調につづけば、きっとひとりでオナニーする回数も減ることでしょう。
 私は深く考えず、喜んで同意しました。

「無機質な感覚が好きなのかあ。そう言われてみれば金属製の道具が多いわね」
 オモチャ箱のスーツケースを覗き込んでいたお姉さまが、また何かを手に取って立ち上がりました。
「ルレットにバターナイフ。これはまあ、使い方はわかるわ」
 右手に持ったバターナイフで、私の下半身の裂け目をペタペタッと撫ぜてきました。

「あふんっ!」
「溢れ出たおツユがペタペタして蜂蜜みたいね。穴の中に戻してあげましょう」
 ワレメの縁に沿うように、無機質な金属の感触が私の粘膜をヌルヌル擦ってきます。
 腫れ上がったピンクの肉芽をギュッと押し潰されます。
「あっ、あっ、あー・・・」
 粘膜の中をなめらかにいたぶる硬い感触。
「いぃ、もっと、もっとぉ・・・」

「それで、ルレットは、こうよね?」
 お姉さまの左手に握られたルレットのギザギザ歯車が、私の右おっぱいに歯を食い込ませてグルグル走り回り始めました。
「いいっ、あっ、あぁんっ、いたぁいっ!」

「服飾部の頃、これでアユミのこと、よく虐めたものだわ。この感触ってマゾの子には、クセになるみたいね」
 刃先が乳首に乗り上げると、鼻先からおでこへツーンと、痛痒い快感が駆け抜けていきます。
「あんっ、はいぃ。よ、横浜で、スタジオのとき、ああんっ。お姉さまが用意してくださったお道具の中に、そ、それがあって・・・うぅんっ・・・」
「すっ、すごく、嬉しかったですぅ。お姉さまが、わ、私のこと、あんっ!わかってくださって、い、いるみたいで・・・あっ、あーっ!」
 バターナイフとルレットの絶え間ない陵辱に、私はたちまち、ぐんぐん昂ぶっていきました。

「お、お姉さまぁ・・・イ、イってもよろしい、うぅっ、よろしぃですかぁ?」
「だーめ。がまんしなさい」
 からかうようにおっしゃりながらも、手を止めないお姉さま。
「あうっ、イっちゃいますぅ、うっ、イかせてくださいぃぃ!」
「だーめ、まだよ」
「いぃ、いいぃ、イかせて、イかせてっ、あっ、もっと強くぅ、あぁぁぁぁっ・・・」
「だーーめ!」
 あともうちょっと、というところで、お姉さまの両手がススッと、私のからだから離れました。

「ハァハァハァハァ・・・」
 体内の昂ぶりが名残惜しそうに引いていくのがもどかしく、お姉さまをうらめしげに見つめました。
「そうそう。その顔。直子のその顔が見たかったのよ」
「欲求不満を募らせたそのふくれっ面。あたし直子のその顔が、一番ゾクゾクしちゃうの」

 とても愉しそうなお姉さまのニクタラシイお顔。
 何事も無かったみたいにルレットとバターナイフをシートの上のトング類の横に並べたお姉さまが、瞳を妖しく輝かせて、再びスーツケースを覗き込みました。


就職祝いは柘榴石 04


2014年9月23日

就職祝いは柘榴石 02

「へー、いいお部屋じゃない?」
 お姉さまをリビングにご案内して、私はお紅茶の用意。

「ずいぶんと落ち着いた感じなのね。直子のイメージだと、大きなクマさんのぬいぐるみとか、もっとメルヘンチックなお部屋を想像していたけれど」
 お姉さまは、リビング内をゆっくりと歩き回りながらスーツの上着を脱ぎ、テレビ周りやサイドボードの中を興味深げに眺めています。
「モノトーンにブラウンとグリーンが基調なのね?いいセンスだと思うわ」

「これは、地元にいた頃におじゃました、やよい先生、あ、いえ、百合草先生のお部屋の真似をしただけなんです」
 L字に並べたソファーの前のガラステーブルにティーカップを置いて、お姉さまの上着を預かりハンガーに吊るしました。
 
 上着を脱いだお姉さまは、シャープな白ブラウスと濃茶のタイトスカートにベージュのストッキング。
 ソファーに腰掛けると、膝上丈のタイトスカートから伸びたピカピカ光る美しいお膝とスラッとしたおみ足がすごくなまめかしい。
 そこばかりじーっと見入ってしまうほど。

「ふーん、百合草女史のねえ・・・」
 お姉さまがティカップに唇をつけてから、隣に座った私の顔を覗き込むように見つめてきました。

「こんなシックなお部屋で、いつもひとりで裸になって暮らしているんだ?全裸家政婦ごっこで」
「い、いつも、というわけではないですけれど・・・」
 お姉さまのいたずらっぽい瞳に悩ましく見つめられて、急激にドギマギしてしまいます。

「このお部屋に入ったら、裸にならなければいけないルールなのでしょう?ムラムラ期のときは」
「直子、このあいだ教えてくれたじゃない。今はどう?ムラムラしていないの?」
「あの、えっと・・・」
 お姉さまの隣でモジモジする私を、お姉さまが薄い笑みと共に見つめてきます。
 不意にお姉さまのお顔が動き、私の唇にチュッと軽くキスをくださいました。

「遠慮しなくいいのよ?ルール通りに裸におなりなさい。あたしは気にしないから」
「あ、は、はい・・・」
 これはお姉さまからのご命令、と理解した私は、ソファーに腰掛けたままブラウスのボタンをはずし始めました。

「百合草女史とシーナさんにお会いしたとき、直子のえっちな性癖をいろいろたくさん、詳しく教えてもらったのよ」
「どういう悪戯が好みか、とか、どんなことをされると悦ぶのか、とか」
 お姉さまは、私がブラウスのボタンをはずしていくのを至近距離でじーっと見つめながら、ささやくように語りかけてきます。
「直子って、えっちな妄想物語とかも、ずいぶん書いているのね。愉しく読ませてもらったわ。面白かった」
「テキストデータを全部もらったわ」

 えっ!そんなものまで見られちゃったの!?
 ハイソックスを脱ごうとしていた私の手が、思わず止まりました。
 恥ずかしさで全身の血液が逆流しそう。

「今日はその下着を着けていたのね?ちょっと立ってみてくれる?」
 お姉さまに促され、両方の靴下を脱いでから立ち上がりました。
 すべてのボタンがはずれたブラウスと、ホックとジッパーをはずしていたので、立ち上がった途端に足元に落ちたスカート。
 お姉さまも立ち上がり、私の両腕からブラウスを抜いてくださいました。
 ランジェリーだけの姿で、自然とマゾの服従ポーズになる私。

「このブルーの上下も、あたしが見立てたやつだったわよね。やっぱりすごく似合っている」
 フロントホックでストラップレスのブラと、両サイドを紐で結ぶ式のハイレグフルバックショーツ。
 ソファーの前で、両足は、やすめ、両手は後頭部で組んでいる私の全身を、お姉さまがまじまじと見つめてきます。

「それでね、あたし考えたのよ。あ、さっきの話のつづきね」
 お姉さまが前屈みになり、私の左腰のショーツの紐をスルスルっと解きました。
 アソコに密着していた狭めな布がアソコを離れ、ダランとだらしなく右内腿のほうに垂れ下がりました。

「あらあら、もう濡らしちゃっているの?ほんと、いやらしい子」
 アソコの裂け目から布の内側へとか細く透明な糸が伸びて、切れました。
 奥はもう、キュンキュン疼いています。

「百合草女史もシーナさんも、今までずいぶんエグイ悪戯を直子にしてきたじゃない?それに直子が書いた妄想物語もすごくえげつなかったし」
「だから、あたしが直子のマゾ気質を満足させて、女史やシーナさんを忘れさせて、あたしだけの直子にするためには、かなりいろいろがんばらなければいけないぞ、って」
 
 おっしゃりつつお姉さまの手で右腰の紐も解かれ、ショーツが足元にパサリと落ちました。
 これで下半身は剥き出し。
 お姉さまからの嬉しい、がんばる宣言、にゾクゾク感じてしまい、右内腿を歓喜の涙がダラダラ滑り落ちていきます。

「だから今夜は、あたしも未知の領域までチャレンジして、自分がどのくらいサディスティックになれるか、試してみようと思っているの」
「直子が妄想物語で書いているようなことは、して欲しいことなのよね?あたしにとっては、けっこうエグイと思っちゃうことばかりなのだけれど、直子はそのぐらいでは、音を上げないのよね?真性マゾだから」
「あ、えっと、は、はい・・・だ、大丈夫です・・・」

 お姉さまの手でフロントホックもはずされた私は、全裸になってゾクゾク震えています。
 乳首が痛々しいほどの超背伸び。
「あたしもかなりワクワクしているの。新しい自分に出会えそうな気がして」
 うふふ、と笑ったお姉さまの瞳に妖しい官能の炎がユラユラと揺れていました。
 Mだけがわかる、Sな舌なめずりの音と共に。

 私が脱ぎ捨てたブラウスや下着を全部綺麗にたたんで、お部屋の片隅に片付けてくださったお姉さま。
 つづいてご自分のバッグの中をがさごそされていました。

「手始めにこれ、着けてくれる?」
 お姉さまがテーブルの上に並べられたのは、レザーらしき質感の短いベルト状のものたちでした。
「あたし、ロープはうまく扱えないから、手っ取り早く拘束するなら、こういうの使ったほうが早いと思ってね」
「これが首輪。そっちが手枷でこっちが足枷ね」

 鈍い赤色をしたそれらは、それぞれに大小のリングがいくつかぶら下がっていて、見るからに禍々しい感じでした。
 きっとこのリングに鎖をあれこれ繋いで、あられもない格好で拘束されてしまうのでしょう。
 やよい先生もシーナさまもロープの達人で、拘束はもっぱらローブでしたから、こういう器具での拘束は逆に新鮮、ワクワクウズウズです。

「手枷と足枷着け終わったら言って。首輪はあたしが着けてあげる」
「は、はい・・・」
 
 その場でしゃがんで足枷から着け始めます。
 裏地がフワフワしているので、きつく締めても想像していたより痛くはありません。
 両足首に赤いレザーを巻きつけたら、立ち上がって両手首。
 左手を終えて右手に移ったとき、お姉さまが私の背後に立ち、おもむろに首輪を巻きつけてくださいました。

 首輪の裏地が首に触れた瞬間、背筋を被虐的な官能がゾクゾクっと駆け上がりました。
 シーナさまからいただいたチョーカーより倍も太い無骨な首輪。
 この首輪を着けたら、私は一生お姉さまのペット。
 痛くない?とお姉さまに聞かれつつ、ギュッと首を締め上げられるだけで、アソコの中がヒクヒク騒ぎました。

「この拘束具、知り合いに頼んで、一番いいものを選んでもらったのよ。そのスジでは最高級品なんだって」
 お姉さまに手を引かれ、姿見の前に連れていかれました。

 白いブラウスに濃茶のタイトスカートなクールビューティさまの隣に立つ、赤い首輪の全裸女。
 首、と名の付くすべての部位に鈍い赤色のレザーを巻きつけておどおどしている、みじめな裸の女。
 銀色のリングが鏡の中でキラキラ光っています。
「ふふ。だいぶドレイらしくなったじゃない?可愛いわよ」
 鏡の中の私の全身を、お姉さまが舐めるように見つめていました。

「さてと、次は直子のお仕置き部屋とやらを、見せてくれる?」

 お仕置き部屋というのは、我が家のサンルームのことです。
 バルコニーに温室のように張り出した、窓全面がマジックミラー張りの畳6畳分くらいのスペース。
 主にお洗濯物干しに活用しているスペースなのですが、シーナさまが頻繁に訪れるようになって、やがてこのお部屋がメインのプレイルームとなっていました。

 マジックミラーなので夜になると、窓が全面鏡と化すこと。
 お洗濯ものを干すために物干し用パイプやポールが設えてあるので、私を恥ずかしい格好で縛りつけるのに好都合なこと。
 窓脇のドアからすぐにバルコニー、つまりお外に出られること。
 バルコニー側のお隣は広い駐車場なので、近くに建物が無く、バルコニー内を覗かれる危険が少ないこと。
 バルコニーに張り出した部分の床はタイル敷きでお外に排水できるため、汚してもお掃除が楽なこと。
 トイレとバスルームに隣接していること。

 などなどの理由でシーナさまが気に入って、いつしか私を虐めるときはいつも、このサンルームを使うようになっていたのでした。

 そしてシーナさまは、このスペースを、ご自分の好みに合うようにいろいろ改造されました。
 
 まずはパイプ式の簡易ソファーベッドを導入。
 それからインターフォンで使うような監視カメラを設置して、持ち込んだ大きなモニターでリアルタイムにお部屋の様子が映し出されるようにしました。
 もちろん録画も出来ます。
 カメラを何台か繋げて一度にモニターに映す装置まで置いてあります。
 さらに、本格的なバレエバー、バレエの練習のときに手でつかまる手摺りのこと、まで壁際に設えてしまいました。
 もちろん大家さんの許可をいただいて。
 私がバレエをやっていたことは、大家さんもご存知でしたので、お話はスムースだったそうです。

 こうしていつしかお仕置き部屋と呼ばれるようになったこのスペースで、私はシーナさまからさまざまなお仕置きを受けてきました。
 
 パイプとポールに磔のような格好で縛り付けられて全身を鞭打たれたり、タイルの上で蝋責めされたり、全裸のM字縛りでローターをアソコに挿れられたまま深夜のバルコニーに放置されたり、バレエバーに結び付けたコブつきロープで股間を嬲られたり、パイプベッドに大の字のままシーナさまの股間を舌だけでご奉仕したり・・・
 そんな恥ずかしいお仕置きの様子は、監視カメラやシーナさまの手持ちカメラで逐一記録され、シーナさまのライブラリーになっていました。

 サンルームに入って電気を全部点け、下がっていたブラインドをすべて上げました。
「うわー。ここは、すごいわね!」
 煌々と輝く光の中で窓ガラスがすべて鏡となり、着衣の美人さんと全裸に首輪のマゾ女を容赦無く映し出しました。

「こんな鏡張りの部屋でえっちなことしたら、かなり恥ずかしいわよね」
 おっしゃいつつ、窓横にあるバルコニーへの出口ドアを躊躇無く開いたお姉さま。
「見晴らしは広々としているんだ。これなら陽当たりいいわね。あ、ほんとだ、高層ビルがバッチリ見える」
 バルコニーに降りたお姉さまは、夜空を見上げているようです。

「直子、ちょっとこっち来てごらん。ほら、あのへんがあたしのオフィス」
「えっ?」
 全裸に首輪ですから一瞬、躊躇。
 でも、見られちゃう心配はほぼないことがわかっているので、意を決して、それでもやっぱり前屈み気味になって、バルコニーに降り立ちました。

「ほら、真ん中より少し上の左端のほう、電気の点いているフロアが縦に3つあるでしょう?その上の暗い窓があたしたちのオフィスよ」
「えっ?あ、あの、えっと・・・」
 
 お姉さまの背中から一歩下がった位置で、胸と股間を両腕で隠した中腰のまま、おずおずとお姉さまが指さす方向に目を向けました。
「シーナさんに教えてもらったのよ。直子んちのベランダからオフィスが見えるはずよ、って」
 遠くに見える高層ビルの一角に、ご指摘通りの箇所がありました。

「この感じなら、うちのオフィスからもここが覗けるかもね。オフィスの開業祝に天体望遠鏡いただいたのよ。とある業者さんから」
「高層ビルの窓からなら、きっと夜空が綺麗でしょうから、って。最初は面白がってみんなで覗いていたけれど、最近はぜんぜん使わずに埃かぶっているわ」
「今度ヒマなときに試してみるわね。あ、でも知ってる?天体望遠鏡って、景色が逆さまに見えるのよ・・・」
 
 ハイテンションでおしゃべりされていたお姉さまが、私のほうを振り向いた途端にお口をつぐみました。
 薄暗闇の中、今更のように私の全身をしげしげと見てきます。

「直子ってすごいのね。自分ちのベランダに、まっ裸で出ちゃうんだ?」
「あ、こ、これはその、よ、夜ですし、周りからは覗けない、って知っていますから・・・」
「だとしたって、ヘンタイよ。ここだってれっきとした外、パブリックプレイスなのよ?見上げた露出狂っぷりだわ」
「そ、それに、今はお姉さまと一緒ですから・・・い、いつもより大胆になれる、って言うか・・・」

 私の本心でした。
 お姉さまが一緒にいてくださるなら、どんどん大胆になれる気がしていました。
 それを聞いたお姉さまは、ニコッと笑って裸の私をその場でギュッと抱き寄せ、唇を重ねてくださいました。
「んぐっ」
 少しだけ舌を絡め合います。
 お外の風がやさしく私の素肌にまとわりついてきます。

「そう言ってくれると、なんだか嬉しいわ。あたし、直子にそんなに信頼されているのね」
 唇を離してから、お姉さまが照れたように微笑みました。
 それからちょっとイジワルなお顔になって、
「もしもあたしのオフィスからここを覗けるようだったら、そのときは直子に、ここでオナニーしてもらうからね」
「それをあたしは、遠く離れたオフィスの窓から望遠鏡で覗き見るの」
 冗談ぽくそんなふうにつづけて、私の手を引いてお部屋の中に戻りました。

「そうそう、直子って、えっちなオモチャ箱を隠し持っているのでしょう?宝箱だっけ?それも見せてよ」
 ソファーベッドに腰掛けたお姉さまが、そんなことをおっしゃりながら、手許にあったリモコンのボタンを何気なく押しました。

 壁際の大画面モニターに一瞬閃光が走り、モニターに窓際の一帯が、右斜め後ろからのアングルで映し出されました。

「なるほどね。鏡の前でえっちなことをしていると、鏡に映った正面からの姿が横のモニターにも大画面で映るっていうしかけなのね」
「あ、はい。何台かカメラを繋げられるので、モニター画面を4分割にしてそれぞれを全部一度に映すことも出来ます」
「ふーん。それは愉しそう。録画も出来る?」
「はい。SDカードで」
「あたしちょうど未使用のカード持っているわ。今夜の様子が残せるわね」
 お姉さまが再び、ご自分のバッグをがさごそし始めました。
 
 そのあいだに私はお姉さまのお言いつけ通り、寝室にしている自分の部屋から、海外旅行に使うような大きなスーツケースを運び出しました。
 この中には、私のからだを虐めるために、自分で買ったり、やよい先生やシーナさまからいただいたえっちなお道具がぎっしり詰まっています。

「うわー。これまたすごいわね!」
 スーツケースを開くと、お姉さまが感嘆のお声をあげられました。


就職祝いは柘榴石 03