2010年12月30日

図書室で待ちぼうけ 15

相原さんは、私を抱いていた腕をほどき、一人、パソコンの置いてある机のところまで歩いて行ってしまいました。
机の引き出しをガサゴソ探っています。

私は、がっかりです。
かなりイイ感じに盛り上がってきたところでした。
もう少ししたら、ねえ、ショーツも脱がせて、って恥ずかしいけどおねだりしちゃおうかな、なんて思っていました。
ショーツじゃなくて、パンティ、って言ってみようかな、とも。

探しものがみつかったらしく、相原さんが楽しそうな笑顔で戻ってきます。
私は、裸の上半身に両腕を交差してまた胸を隠した後、イケナイとは思いながらも、どうしても相原さんをなじるような表情で見てしまいます。
「ほら。これ」
相原さんは、そんな私の表情には無頓着に両手を差し出してきて、手のひらに乗っているものを私に見せました。

長さ10センチくらいの細長い長方形の箱のおしりから、グルグル巻きになったビニールみたいな細いコードがつながっていました。
コードのもう一方の先には、ウズラの卵よりひとまわりくらい大きい楕円形の物体が付いています。
全体がキミドリ色をしていて、四角い箱と卵型物体はプラスチック製みたいです。
なんだろう?

「これ、何だかわかる?」
当然、私は顔を横に振ります。
「ここをね、こうすると・・・」
長方形の箱に付いている小さなダイヤルみたいなのを、カチっとひねりました。
すると、コードの先の卵型物体がブーンって低い唸りを上げてブルブル震えだしました。
「どう?」
相原さんがなぜだか得意げに私の顔を覗き込んできます。
「これでわかったでしょ?」
その動きを見てもまだ、私にはそれが何なのか全然わかりません。
もう一度、顔を横に振ります。

「つまりー、これはマッサージ器みたいなものなの」
相原さんがじれったそうに言って、卵型物体のそばのコードをつまみ上げ、唸りをあげて震えている物体をぶら下げた状態で持って、そーっと私の右肩に近づけてきました。
耳元に近づいてきたので、ブーンていう音も大きく聞こえてきます。
相原さんは、フワリとその物体を私の肩に触れさせました。
「キャッ!」
肩にその物体が触れた途端、細かい振動が私の右肩周辺に広がり、私は、ひどく驚いて大きな声を上げてしまいました。
相原さんがスイッチを切ると、振動音も止まりました。

「これを肩にあてて肩こりをほぐすのもいいけれど、もっと別のところに、あててみたり、入れてみたりすると?・・・」
相原さんがなんだか怪しい魔法使いみたいな顔になって、ニッて笑いました。
「あっ!」
私にもやっとわかりました。

「でも、相原さん、どうしてこんなもの持ってるの?どこかで買ったの?」
さっき驚いたとき、はずしてしまった両腕をもう一度胸の前に組み直してから、聞きました。
「まさかー。もらいもの」
相原さんは、スイッチを切ったそれを持ってベッドの縁に腰掛け、私に向かって、隣に座って、っていう仕草をしました。
相原さんの左隣に腰掛けます。

「母親が前につきあってた男がくれたの。わたしが小六のとき」
「えーっ?小学生に?こんな・・・こんなえっちぽいものを?」
「そいつは、別れた父親よりも、もっと若そうな男だった・・・ひょっとしたら母親よりも年下だったかも。写真家とか言ってたなー」
「これをもらったときは、母親はもう政治家のおじさんと知り合っていて、盛り上がっている頃だったみたい。うちの母親がそいつをフったんだろうなあ、邪魔になって・・・」
「そいつが母親とまだちゃんとつきあっていた頃、わたしが5年生でまだ初潮も来てない頃・・・その頃には、週に一回くらい家に遊びに来てた。いつも何かしら、わたしが喜びそうなお土産持って」
「まあまあイケメンな部類の顔立ちだったし、わたしにも気を使って、やさしくしてくれてはいたのだけれど、たまーになんだか目付きや態度が、ビミョーにいやらしくなっているときがあるような気が、わたしはしてたの。うまく言えないんだけど・・・」
「母親が席外したときに、わたしの全身をジロジロ見てニヤニヤしていたり、やたらとからだをさわってきたり」
「だから、わたしはその男、好きになれなかった」
「そいつが来ると、一応挨拶だけはしてすぐ、自分の部屋に閉じこもるようになってた」
相原さんは、振動していない卵型物体を右手の中で擦るように転がしながら、淡々とお話をつづけます。

「この町への引越しも決まって、母親もその男とは切れてるはずのある秋の日、土曜日の午後だったな・・・わたしが一人で留守番しているときに、そいつが突然、家にやって来たの」
「母親から、その男がもしもまた家に来ても絶対に家の中にあげちゃダメ、って言われてたから、わたしは玄関のチェーンをはずさずに対応したの」
「母は留守です、って言って、ドア閉めようとしたら、菜摘ちゃん、来週お誕生日だよね、って言われて」
「菜摘ちゃんに最後のプレゼント、って言って、ドアの隙間から包みを押し込んできたの」
「それで、そいつは大人しく帰って行った。それからは、二度と来なかった」
相原さんは、そこで一旦言葉を切って、四角い箱のスイッチを入れたり切ったりして一分くらい遊んでいました。
私は黙ったまま、お話のつづきを待ちました。

「そいつが帰ってから包みを開けてみたの。透明のセロファンみたいな袋に入ったカエルのぬいぐるみだった。袋の入口に赤いリボンが縛ってあったな」
「そいつは、わたしがカエルのぬいぐるみ集めているの知ってたし、それまでにいくつかもらったりもしていたの」
「でも、そのときのは、一応ミドリ色だったけれど、全然カワイクないの。作りもちゃちそうだし。UFOキャッチャーの景品かなんかかな、と思ったくらい」
「だから、袋を開けもせずに物入れに放り込んですぐ忘れちゃった。母親にも、その日そいつが来たことさえ教えなかったし」
「それで、この町に来て、中一の夏休みにヒマだから部屋の模様替えでもしようと思って、自分の荷物をいろいろ片付けていたら、カエルコレクションを入れた箱、一つ開け忘れていたのに気がついたの。引越しのときに詰めたっきり、忘れてたみたい」

「森下さん?裸で寒くない?」
相原さんが脈絡もなく突然聞いてきました。
「えっ?・・・ううん。だいじょうぶ」
私は、相原さんが手の中で弄んでいる卵形物体に気を取られながら、短く答えます。
すると、相原さんがゆっくり腕を伸ばしてきて私の肩を軽く抱き、急に唇を合わせてきました。
「んーっ!」
10秒くらいのキスをしてから、何事もなかったようにまたお話に戻りました。
相原さんのやさしいキスに、私の乳首が露骨に反応しました。

「それで、ちょっと懐かしくなって、そのぬいぐるみの入ったセロファン袋を何気なく手に取ったら、なんだかカエルのお腹のところがゴツゴツしているのに気がついたの」
「何だろう?と思って、袋破ってぬいぐるみ出してみたら、薄いの。ぺらっぺら。ぬいぐるみって言うよりもカエルの形した布袋。それでよーく見てみたら縫い合わせのところの片方がチャックになってたの」
「で、チャック開けてみたら、中から出てきたのがコレ、ってわけ」
相原さんが苦笑いみたいな顔をして、ヤレヤレって感じで肩をすぼめました。

「わたしも最初、何するものかわからなかった。スイッチみたいのひねっても、何もおきないし」
「あれこれいじってたら、この箱のところがパカっと開いて、電池入れるスペースを発見したの。早速電池買ってきて入れてみたの」
「そしたら、こっちの丸いのがブーンって震えだしたの」
「わたしは、ピーンときた。実はわたし、そのころもう、ひとりえっち、知ってたから」
相原さんが恥ずかしそうな照れ笑いを見せてくれます。

「おっぱいにあててもすごいけど、アソコだともっとすごいの。初めてクリちゃんにあてたときは、死んじゃうかと思った。マジで」
「すっごく気持ちいいの。中に入れてもいいの。中で震えてて、指とかを入れるのとは全然違う感覚」
「だけど一つだけ難点は、音が出るでしょ?ブーンって。低い振動音って、音量小さくても遠くまで聞こえやすいみたいなの。夜中に使ったときに翌朝、母親に言われちゃった。昨日夜中にエアコンつけた?って。9月の初めだったかな」
「うっかりベッドにリモコン置いたまま寝たら、知らない間に寝返りでスイッチ押しちゃってたみたい、なんて言って、ごまかした」
「それからは、家に誰もいないときしか使わないの。て言うか、うちは母親、ほとんど家にいないんだけどさ」
相原さんがクスクス笑ってから、その物体を私に手渡してくれました。

私は、興味シンシンです。
長方形のほうのスイッチをひねると、卵形物体が私の左手の上でブーンと唸り始めました。
私は、一瞬ビクッとしてから、おそるおそる震えているその物体に右手の人指し指をあててみました。
指先がビビビッてきて、振動が指から手、そして腕へと伝わります。
あわてて右手を引っ込めて、スイッチを切りました。

「なんだか、目の前に動くオモチャを置かれて、興味シンシンなんだけど恐々とちょっかい出してる仔猫ちゃんみたいだった、今の森下さんの仕草」
相原さんが、あははと笑いながら私をからかいます。
私は、それどころじゃありません。
これを乳首にあてたら・・・
これをアソコにあてたら・・・
すっごくどきどきしてきました。

「中二になってインターネット始めたとき、まっ先に調べたの。これは何ていう名前のものなんだろう?って」
「ピンクローターっていう名前みたい」
「えっ?でもこれ、色はグリーンじゃない?キミドリって言うか・・・」
「ピンクっていうのは、えっちな、っていう意味みたい。ほら、ピンク映画とかピンクちらしとか言うじゃない?」
「あー、なるほどー」
何がなるほどーなのかは、自分でもわかりませんが、一応納得しました。
「わたしが見たネットショップだとピンク色のやつが多かったけど、青いのも白いのもピンクローターって名前だった。略してピンロー。その卵みたいな形のブルブル震えるところをローターって呼ぶみたい」
「ふーん」
「だから、やっぱりそれをくれたあの男は、ヘンな奴だったんだよね?小六の女子にこんなもの渡して、使ってるの想像してひとりえっちでもしてたのかしら?もらった日にわたしが母親にあのぬいぐるみ見せてたら、どうなったんだろう?」
相原さんは、束の間、遠い目をしました。
「でも、今はちょっと感謝しているかも。いくらわたしでもこんなの、自分じゃ恥ずかしくって買えないもの」
相原さんがまた、照れたように笑いました。

「で、森下さん?挑戦してみる?それ。あ、でも初心者には刺激、強すぎるかなあ?」
今度は相原さんが興味シンシンなお顔になって、私の顔を覗き込んできます。
私は、これをアソコにあててみたいと思いました。

「ちょっともう一度振動、試してみていい?」
相原さんがニッコリうなずいたのを見て、私はまたスイッチを入れました。
私の左手の上で、ピンクローターというらしい物体が震え始めます。
スイッチは入れると切るしかないので、振動の強さは一定みたい。
もう3度目なので、振動には馴れてきました。
スイッチ部分とローター部分をつないでいるコードは40センチくらい。
なんでこんなに長さがいるんだろう?
そんなことを考えながら、ローター近くのコードをつまんで、左の鎖骨の下、おっぱいの裾野よりちょっと上あたりにあててみました。
ブーンと振動が上半身に広がります。
これをおっぱいにあてたら、本当にすごく気持ち良さそう・・・
そして、アソコにあてたら・・・
確かに、今まで体験したことの無い感覚が味わえそうです。

「やってみたいっ!」
スイッチを切った後、相原さんをまっすぐに見つめて言いました。
「森下さん、だんだんえっちに目覚めてきちゃったみたい・・・なんだか目が爛々としてきて、すごくえっちな顔になってきてる。うれしいっ!」
相原さんが言いながら私に抱きついてきて、また短いキスをくれました。

私はとうとう、自分の性癖を隠せなくなってきちゃったみたいです。
「自分でやる?それともわたしがやってあげようか?」
相原さんの口調は、小さな子供に、トイレ一人で出来る?って聞いているような感じでした。
「相原さん・・・やって・・・ください・・・」
私は、自分のM性をもはや隠すことが出来ず、相原さんにすべて委ねるつもりで答えました。

本当は、裸を見て欲しい私。
縛られたりぶたれたり、めちゃくちゃにされてみたい私。
いつも誰か女の人に苛められているのを妄想してオナニーしている私。

さっき、せっかくいいところまで気持ち良くなったのに中断されてしまった欲求不満が、ピンクローターの振動を見て、暴走してしまいそうです。
でも、相原さんなら、私が臆病でオナニーも初めてで、自分でやるのはやっぱり怖いから、やって、って言ったんだろう、って思ってくれるはず、とも考えていました。

私は、相原さんが私のからだをどうさわろうと、逆らわないことに決めました。
ピンクローターがどんなに気持ち良くても、ひょっとしたら痛くても、がまんしてがまんして、被虐感を充分に味わおうと決めました。

「それじゃあ森下さん、ベッドに仰向けに横になって」
相原さんが、ワクワクしているのを隠せない、っていう顔で、ピンクローター片手に、先にベッドに上がりました。
「スカートも取っちゃったほうがいいかも。シワシワにならないうちに、ね?」
「・・・はい・・・わかりました」
相原さんの口調は普段どおりのやさしい言い方でしたが、私は、相原さんに命令されている気持ちになって、小さく敬語で答えていました。

相原さんの目の前で正面を向いて、おずおずとスカートのベルトを緩め、ホックをはずし、ジッパーを下げました。
スカートが足元にストンと落ちて、とうとう私はショーツ一枚の裸になりました。
水色ショーツのクロッチ部分は、上のレース部分を含む広範囲が、まるでオモラシでもしてしまったように、濃いブルーに変色していました。
二つの乳首もこれ以上は無理ってほど、尖っていました。
すっごく恥ずかしいです。
でも、それでも、相原さんからの突き刺さるような視線がすっごく気持ちいいんです。


図書室で待ちぼうけ 16

2010年12月29日

年末のごあいさつ

今年の6月初旬、ある人からのお勧めもあって、なんとなく始めてみたこのブログでしたが、予想外にたくさんの皆様が私のつたないお話を読みに来てくださっているみたいで、すごく恥ずかしいのだけれど、やっぱりすごく嬉しいです。
ありがとうございます。

グーグルさんの解析によると、約半年間でセッション数が約2万7千、ページビュー数が約17万、ユニークユーザー数が約7千9百だそうです。
この数字が一般的に言って多いのか少ないのかは、私には全然わからないのですが、私的には、なんだかすごく畏れ多い気がしています。
そんなにたくさんの人たちに読まれているなんて・・・
セッション数とページビュー数に約6倍の開きがあるというのは、一回のセッションで何ページも見てくださる人がたくさんいらっしゃる、っていうことでいいんですよね?たぶん。
皆様、ちゃんとお話を追ってくださっているんだなあ、って思うと、励みになって、次のお話もがっかりされないように頑張ろう、って前向きな気持ちになれました。

ちなみに、一番たくさん見ていただいた単独ページは、「お医者さんごっこと私 01」、次が、「ランジェリーショップ 01」でした。

いろいろとお忙しい中、わざわざ私のブログにアクセスしてくださった皆様。
本当にありがとうございました。
私のつたないお話を読んで、少しでも楽しい気持ちになっていただけたなら、とても嬉しいです。

そして、私のブログにリンクしていただいている各サイトの皆様。
私のブログは、なぜだか検索エンジンからのアクセスが極端に少なくて、全体の3パーセントにも満たないそうです。
ほとんどが相互リンクしていただいているサイト様経由のアクセスで、すごくたくさんのかたたちに来ていただいて、上記の畏れ多い数字となりました。

始めた頃からしばらくは、どこともリンクしていなくて、私と、ごく少数の知人だけの一桁な訪問者数が、グーグルさんの解析数字にちんまりと載っていました。
私のブログは、ちょっと特殊な趣味嗜好ですので、万人向けとは言い難いけれど、やっぱり書いちゃったからには、きっとどこかにいるであろう似たような嗜好をお持ちなかたたちの目に留まるチャンスを増やしたいな、と思いました。
私がこのブログを始める前に、読者として楽しませていただいていたお気に入りの読み物サイト様をいくつか、あらためて、ブログ運営をお勉強させていただく視点で巡ってみたら、この手の文章ばかりを集めたデータベースみたいな便利なサイト様が多々あることを知り、私のブログの嗜好とジャンルが合いそうないくつかのサイト様に登録をお願いさせていただきました。
あと、私のお気に入りな個人サイト様にこっそりリンクをしたら、先様が気づいてくれてメールをいただいて相互リンク、なんてこともありました。
あのときは、すっごく嬉しかったです。

そういうわけで、リンクしていただいている各サイトの皆様。
どれほど感謝しても、し足りないくらいの大きな感謝を込めて、厚く御礼申し上げます。

今年は、このごあいさつの後、「図書室で待ちぼうけ 15」を載せて、2010年のブログ更新は終了させていただきますが、まだまだ書きたいお話がたくさんあります。
最初の頃は、早くお話を進めたくて一日のうちにいくつもお話を載せる、なんて無謀なこともしていましたけれど、最近になってやっと、自分が自然体で負担無く書きつづけられそうなペースがわかった気がしています。
お休みの日に一話か二話、一か月に10~12話前後が一番いいみたいです。
来年もそんな、まったりペースになりそうですが、出来れば変わらずにおつきあいいただけたら、嬉しいです。

くりかえしになりますが・・・
私のブログをわざわざ読みに来ていただいている皆様。
私のブログにリンクしていただいているサイトオーナーの皆様。
そして、コメントやメールで感想やアドバイスを送ってくださる皆様。
本年は、本当にありがとうございました。
来年も、なにとぞよろしくお願いたします。

来る年が皆様にとって、幸い多き一年となりますように。
ありったけの愛と祈りを込めて。

29/12/2010 NAOKO-M

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2010年12月26日

図書室で待ちぼうけ 14

私は、ベッドの縁に腰掛けたまま、じーっと相原さんのからだを見下ろしていました。
すぐそばに裸で寝そべっている相原さんのからだに、さわってみたくてたまりませんでした。
右手を空中に浮かせて、さわってみようかどうしようか迷っていると、相原さんが突然、むっくりと上半身を起こしました。
「・・・はぁー・・・気持ち、良かった・・・」
ポツンと小さな声で言って、私と目が合うと、照れくさそうにニッと笑って、よろよろとベッドを下りてクロゼットのほうに行きました。
両手を上に高く上げて、うーんってひとつ大きく背伸びしてから、クロゼットを開けて大きなピンクのバスタオルを取り出し、姿見の前で自分のからだを拭き始めます。

「森下さん、どうだった?わたしのひとりえっち」
バスタオルを使いながら相原さんが聞いてきます。
「す、すごかった・・・」
私には、それ以外の言葉が思いつきません。
「コーフンした?」
バスタオルの手を止めて、私にからだを向けて聞いてきます。
私は、コクンとうなずきました。
それを確認してから、相原さんはまた背中を向けて、無言になって再びからだを丁寧に拭き始めました。
私は、その後姿をじーっと見ていました。

やがて、バスタオルをきれいにたたんで手に持ち、ゆっくりとベッドに戻ってきました。
ベッドの縁に腰掛けている私の右隣に、寄り添うようにピッタリくっついて腰をおろします。
バスタオルは、自分の右横に置きました。
相原さんのからだは、まだすごく火照っているようで、隣に座られた途端にまわりの温度が少し上がったみたい。
「森下さんにはちょっと、刺激が強かったかな?」
私の顔を覗き込んで、イタズラっぽく笑います。
「うん・・・」
私が小さくうなずくと、相原さんは、ますます顔を近づけてきました。
「もうーカワイイなー、森下さんは・・・」

私たちは、ベッドの縁に並んで腰掛けて、お互いに顔だけ向き合っています。
「森下さんまで、こんなに汗、かいちゃって・・・」
私の前髪の生え際にそっと右手を副えて、指先で左の耳のほうにやさしく何度か撫ぜてくれます。
やがて、相原さんの左手も私の顔の右側に軽く副えられました。
相原さんが両手で私の左右の耳の下くらいを軽く押さえて、私の顔を持つような形になっていました。
相原さんの顔がどんどん近づいてきます。
「あっ」
という間もなく、相原さんの唇が私の唇に重なりました。

その瞬間、私はまだ目を開いていました。
相原さんも目を開けていました。
私の右目と相原さんの左目がバッチリ合いました。
私は、あわてて目を閉じて、同時にからだの力を全部抜きました。

私のファーストキスでした。
今から思えば、ただ唇と唇を重ね合わせただけのカワイイものでした。
私は、ギュッと唇を閉じていましたし、相原さんも舌を入れてくるとか全然なくて、ただ唇をブチューッと押し付けてくるだけでした。
それでも、キス初体験の私にとっては充分、衝撃的でした。
相原さんの唇は、柔らかくて、弾力があって、ちょっぴりしょっぱくって、なぜだか甘くって、重ねた唇から微かに洩れてくる吐息が熱くって・・・
キスって気持ちいいなあ、って素直に思いました。
あのときの感触は、今でも鮮明に思い出すことができます。

相原さんは、唇を重ねたまま少しずつ私に体重をかけてきて、私は、ベッドに上半身だけ仰向けに寝かされました。
両膝から下がベッドの外です。
上から相原さんが覆いかぶさってきます。
私は、されるがままにしています。
唇が離れたと思ったら、相原さんが両手を私の背中に回し、斜めからやんわりと抱きしめてきます。
「森下さんも、気持ち良くなろう、ね?」
私の耳を舐めんばかりに唇を近づけて、ささやきました。
私は、相原さんの素肌の体温を感じながら、覚悟を決めていました。
「うん・・・」
小さな声で答えます。

相原さんは、私を抱いていた腕をそっとほどいて、少し上体を起こしてニッコリ笑いました。
「そのブラウスは脱いじゃったほうがいいよ。せっかくのステキなブラウスがしわくちゃになっちゃうから」
私が仰向けのままブラウスのボタンに手を伸ばそうとすると、相原さんがそっと私の手を押さえました。
「わたしがやってあげる」
相原さんは、上から四番目から順番にボタンを全部、はずしてくれました。
「一度立ち上って」
言われて私は、よろよろと上体を起こし、ベッドの脇に立ちました。
相原さんが私の背後に回り、ブラウスの袖を両腕から抜いてくれて、クロゼットのハンガーに掛けてくれました。

再びベッドの脇で、立ったまま向き合いました。
私は、上半身が水色のレースブラ、下半身はデニムのスカート。
相原さんは、オールヌードです。

相原さんが一歩近づいてきて、私の背中に両手を回して抱き寄せます。
再び唇が近づいてきて、重なり合います。
今度は、相原さんの唇が少し開いているみたいで、ときどき唇を舌で舐められます。
私は相変わらず、ギュッと唇を閉じたままでしたが、相原さんの舌が唇にあたる感触がゾクゾクするほど気持ち良くて、相原さんともっと密着したくなって、私も相原さんの背中に両腕を回しました。
相原さんの生おっぱいが私の素肌にあたります。
相原さんの乳首が固くなっているのが、ブラのカップ越しにも生々しく感じられます。

しばらくそうしていたら、私のブラが緩む感触がしました。
「あ、やんっ!」
反射的に私は、腕を解き、からだを引こうとしますが、相原さんの両手がしっかり私を抱いていて動けません。
どうやら相原さんが、背中に回した手で私のブラのホックをはずしてしまったみたい。
「だめだめーっ!」
私は両腕を締めて、ブラがはずれるのを防ごうとしますが、相原さんは、左腕で私をがっちり抱き寄せたまま、右手一本で器用に私の腕を上げたり下げたりさせて、二人のからだの間に挟まっているブラをはずしてしまいました。
二人の足元の間に、水色のブラがポトンと落ちました。

そうなると今度は、相原さんに裸の胸を見られるのが恥ずかしくて、相原さんの背中に腕を回してギューッと抱き寄せて、二人の間に空間を作らないように、なんとか乳首を見られないようにって、しがみつきました。
「ほら。やっぱり森下さんの乳首も尖ってる。わたしのおっぱいに食い込んできてる」
両腕を小さく上に挙げた相原さんが、からかうように笑います。
「相原さんのイジワルぅ」
私は、ますますきつく相原さんにしがみつきます。
「ううん。森下さん、ステキよ。わたしに感じていてくれて、すごくうれしい」
相原さんは、しがみついている私の顔を両手でやさしく包み込んで顔を上げさせ、また唇を重ねてきました。
その気持ちいい感触に、私も腕の力を緩めました。

少し離れた二人のからだ。
私の右乳首と相原さんの左乳首が偶然、擦れ合いました。
「んっ!」
唇を重ねたまま、二人同時にビクンて感じてしまい、二人同時にくぐもった声をあげました。
唇を離して、二人で顔を見合わせてクスっと笑い合います。

相原さんの左腕が私のウエストに回ります。
私はまだ両腕で相原さんを抱いています。
「森下さんのおっぱい、キレイな形」
相原さんが下を向いて言います。
「いやんっ!恥ずかしい」
私はまたギュっとからだを密着させます。
「本当よ。少し大きめの乳首がツンって上向いてて、カッコイイ」
相原さんは、左手で私の背中をサワサワと撫ぜてくれました。

「森下さん?これから、どうしたい?」
相原さんが私の耳に唇を寄せて、ささやきます。
「えーっと・・・相原さんのからだを、もっと、さ、さわってみたい、いろいろなところ・・・」
私も相原さんの耳元で、小さな声でつぶやきます。
「そう・・・うれしい・・・わたしもさわって欲しい」
私は、自分の右手をそろりそろりと相原さんのお尻に向かって下げていきます。

そのとき、相原さんの右手が正面からゆっくりと私のスカートをめくりあげてきました。
私は、その気配を感じた瞬間に、咄嗟に腰を引きました。
「そ、そこはだめーーっ!」
相原さんにしがみついていた両腕を離し、からだを引こうとしますが、やっぱり相原さんの左腕に阻止されました。
あわてて両手でスカートを押さえても遅すぎました。
相原さんの右手の指が、ショーツ越しに私のアソコをスルッと撫ぜた後でした。

「森下さん、すごーいっ。パンティ、グッショリじゃない?」
相原さんも少し驚いたみたいです。
「いやーーんっ!」
恥ずかしさで私のからだ中の温度が、急激に上がってしまいます。
でも、相原さんはすぐにニッて笑って、すごくうれしそうな顔になりました。
私は、必死にめくられているスカートを直そうと、真っ赤な顔して両手で下にひっぱっています。
「いやっ、いやっ、だめっ、だめっ、許してーぇ」
でも、一度侵入を許してしまった相原さんの右手は、そこに貼りついたまま、指をワレメに沿ってスリスリって、やさしい愛撫をくりかえしてきます。
私は、どんどん感じてきてしまいます。
「いやっ、あんっ!いやっ、あんっ!」

「森下さん?これだけ濡れていれば、ひとりえっちしたことなくっても、もうちょっとだけいろいろすれば、すごーく気持ちのいい体験が出来るよ?」
「たぶん森下さんが今まで経験したこと無いような、すごーく気持ちのいい感覚。からだがフワって浮いちゃうような、頭の中が真っ白になっちゃうような快感なの」
相原さんは、濡れたショーツの上から細かく指を動かしながら、嬉しそうに私の耳元でささやいています。
私は、もはや抵抗することをやめて、相原さんの指がくれる快感に身を委ね始めていました。
アソコもより一層濡れてきているはずです。
それを相原さんも気がついているはずです。

もう相原さんに自分の裸を見られることも、ショーツがビッショリ濡れてしまっていることも、そんなに恥ずかしいとは思っていませんでした。

ここまで来てしまったら、とりあえずこのままイかせて欲しい・・・
スカートもショーツも脱がせてくれないかな・・・
裸で相原さんと抱き合いたいな・・・

相原さんの繊細な指の動きにジリジリしながら、目をつぶって小さくあんあん喘ぎながら、そんなことを考えていました。

「そうだっ!」
耳元で元気な声がして、相原さんの指の動きが突然止まりました。


図書室で待ちぼうけ 15

2010年12月25日

図書室で待ちぼうけ 13

「ち、ちくびを、もっと強くぅ、つまんでーぇー」
相原さんは、目をギュっとつぶったまま、自分の右乳首を指でひねるように愛撫しています。

私にとって、他の女性がオナニーしているところを見る、なんて経験は、もちろんそのときが初めてでした。
その頃は、えっちビデオなんて一回も見たこと無いのは当然のこと、せいぜい小説に出てくるそういう描写や、ちょっとえっちなマンガに出てくるそういう場面でしか、他の人がどうやってしているのかを知ることはできませんでした。
実際に私がやっているオナニーと、相原さんのオナニー方法が似たようなものだったので、そのとき私は、なぜだか心の片隅に安堵感を覚えていました。

「見て、森下さん・・・わたしの乳首、伸び上がってピンとしてるでしょ?」
いつのまにか目を開けていた相原さんが私を見つめて、えっちな笑みを投げかけてきます。
「これ、すごく固くなってるの。気持ちいいからなの・・・」
「でも、これって森下さんにも覚えがあるでしょ?さっき森下さんの胸さわってたら、森下さんの乳首もこうなってたもの。ブラの上からでも、はっきりわかった」
私は、恥ずかしさでうつむいてしまいます。

「こうやって胸やその周辺をさわっていると、だんだん下半身まで気持ち良くなってくるの・・・」
相原さんは両手を広げて、おっぱいからお腹や脇腹のあたりをさするように撫ぜ回しています。
「そうなったら、今度はすごく下のほうがさわりたくなってくるの」
相原さんは、じりじりと両手を自分の下腹部に這わせていきます。
両膝を完全に立てて、体育座りみたいな形になっている相原さんの両脚の膝頭が、開こうかどうか迷っているみたいに小さく動いています。

「ねえ、森下さん?」
相原さんは、自分のおヘソのあたりを両手のひらでさすりながら、潤んだ目で私を見つめてきました。
「こう言ってくれる?・・・早くその脚を開きなさい。大きく開いてナツミのそのいやらしい穴を私に早く見せなさい・・・って・・・」
「えっ!?」
私は、びっくりし過ぎて、相原さんが何を言っているのか、瞬間には理解できませんでした。

「そ、そんな・・・」
「ねえ、早くぅ・・・」
相原さんがじれったそうに抗議のまなざしを私に投げてきます。
「わたしは今、森下さんの手でさわられてるのを想像してコーフンしてるのっ。せっかく森下さん、そこにいるんだから、協力してよっ」
ちょっと強い口調で言われて、私も決心しました。

「あ、相原さん・・・早くその、その脚を開き・・・開いてください・・・」
かなりうわずった感じで、途切れ途切れに言いました。
自分で言っているその言葉が、すごく恥ずかしい・・・
相原さんの両脚は、まだ開きません。
期待に満ちた目で私を見つめながら、その先を待っているようです。

「お、大きく開いて・・・相原さんの、その・・・そのえっちな、えっちなところを、私に・・・」
私も、言いながらどんどんコーフンしていました。
「私に早く、早く見せて・・・見せてくださいっ!・・・」
最後のほうは、投げつけるみたいに大きな声になってしまいました。

「わかりました・・・恥ずかしいけど森下さん、どうぞじっくり見てください・・・」
相原さんの顔が悩ましく歪んで、ぴったり閉じていた両膝がゆっくりと開いていきます。
毛の無いツルツルな土手の行き止まりに見えていた一筋の線が、徐々に左右に分かれて広がっていき、その間を綺麗なピンク色の沼地が埋めていきます。

「森下さん・・・見えますか?」
再び目をつぶった相原さんが、眉根にシワを作った気持ち良さそうな被虐顔で聞いてきます。
両足も両膝と同じ幅まで開かれ、両手は両腿の内側に軽くあてがわれて、まさしく、ソコを見せびらかせている、としか表現出来ない格好です。
「は、はい・・・よく見えます・・・」
私は、思わず腰を浮かせて座り直し、少しだけ相原さんのからだに近づいてしまいます。
お尻をついて座っている相原さんの下のお布団がへこんでいるので、目をこらすとお尻の穴も半分くらい見えています。

「こ、これがナツミの、いやらしい・・・いやらしいオ、オマ、オマンコです・・・」
相原さんにしては、らしくない、ためらうように口ごもる感じで、そんな恥ずかしすぎる言葉が聞こえてきました。
薄闇の中でも、相原さんのお顔がより一層赤く染まっていくのがわかりました。

私もショックでした。
同級生の女の子の口から、そんな単語が発せられるとは、思ったこともありませんでした。
私は、それまでずっと、その言葉は、知っていても、絶対女の子は口に出してはイケナイ言葉、と思い込んでいました。
相原さんが今、私に向かってオマ・・って言った。
心の中でそうつぶやいてみました。
その途端、なんとも言えない背徳的な気持ち良さが私のからだを駆け抜けました。

「ナツミのオマンコは、森下さんのことを想ってもうヌルヌルになっているの・・・」
一回口に出してしまうと、もうためらいは薄れちゃうのでしょうか・・・
「オマンコって、気持ち良くなると、奥のほうからえっちなよだれが溢れてきてヌルヌルグチョグチョになっちゃうの。知ってた?」
相原さんは、目を開けて、トロンとした悩ましい目つきで私の顔を見つめつつ、いつもの口調に戻ってそんなことを言ってから、両手をじりじりとソコに近づけていきました。
私は、答えることが出来ず、黙ったまま相原さんの動きを見守っています。

「ナツミは、オマンコを弄るのが大好きなヘンタイ女なの。森下さんが見ていてくれるから、今日はいつもより何倍も、コーフンしてるの」
「ほら、こんなに・・・」
相原さんは右手で自分のアソコにちょこっと触れました。
「あんっ!」
すぐに右手はゆっくり空中に離れていって、その中指の先から細い糸がツツーっと伸びて、すぐ切れました。
「もう、えっちなおツユがこんなに溢れてるの・・・」
相原さんが唇に微笑をたたえて、挑発するような目つきで私を見つめてきます。

「ナツミはこれからこのいやらしいオマンコをいっぱい弄って、気持ち良くなります。森下さん、よーく見ていてください、ね?」
言い終わらないうちに相原さんの右手が自分のアソコを塞ぎました。
開いたアソコの上を全体に擦るように、右手が上下に動き始めます。
「あんっ、あんっ、あんっ・・・」
ちょっと押し殺したような喘ぎ声も聞こえ始めます。
相原さんの左手は胸に戻り、指の間に右の乳首を挟んで、やんわりと揉みしだいています。
私は、ベッドに右手をついて身を乗り出し、そんな相原さんの一挙一動を食い入るように見つめていました。
からだ中が今までにないほど、コーフンしています。

「あーんっ、んんんんーっ、ふーーーんっ・・・」
相原さんの喘ぎ声が少し大きくなりました。
相原さんの右手は、中指だけが穴の中に入り、親指は敏感な突起にあてがわれて、小刻みに上下しています。
左手は、おっぱいを中心に上半身をぐるぐると這い回っています。
「そう、そう、もっと、もっと、森下さん・・・」
相原さんの頭の中では、まだ私とのプレイがつづいているようです。
「あーんっ、あんっあんっあんっあんっ・・・」
相原さんの股間からチャプチャプといういやらしい音が聞えてきて、おツユがベッドカバーの上に垂れてしまっていますが、相原さんはおかまいなしです。

「あっ、あっ、あっ、あっ・・・」
相原さんの顎が大きく上がり、上半身が大きくのけぞりました。
ベッドの背もたれから肩が徐々に落ちてきています。
右手が上下するスピードが増しています。
左手は、右のおっぱいを絞るようにわし掴んだままで止まっています。
「ん、ん、ん、いーいーいーーーーっ」
相原さんの白いからだがしなやかに弓なりになって、乳首が天を突いています。
「んんんんんんーむーーーーっ!」
からだ全体に力が入っているみたいにプルプル震える中、右手だけが別の生き物のように激しく上下しています。
ズルズルとベッドカバーごと相原さんのからだ全体が私のほうに滑りながら近づいてきます。

相原さんは、歯を食いしばるように唇を真一文字にして、ギュッと目をつぶったまま何かに耐えています。
でもそれも長くはつづかず、薄目が開き、唇が半開きになり、声が洩れてきました。
「・・・ああんー、あっ、あー、もうだめもうだめもうだめーーっ」
ベッドの背もたれから頭が完全に離れて、相原さんの腰が私のすぐそばに突き出されてきます。
今の相原さんの格好は、あぐらをかいたまま上半身だけ後ろに倒して仰向けになったような形です。
私のすぐ目の前に、激しく動く相原さんの右手と、見え隠れするビチョビチョになったアソコがあります。
覗き込むようにソコを見ていた私は、ふと視線を感じて顔を上げました。
トロンとした目つきの相原さんと一瞬目が合って、相原さんがニコっと微笑んだような気がしました。
相原さんの右手のスピードがさらに上がりました。
「んんーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ふいにフワッと相原さんの腰が持ち上がり、右手がアソコの上で緩慢に止まりました。
相原さんの両肩がビクンビクン痙攣しています。
すぐにドサっと腰が落ちて、相原さんのからだ全体から力が抜けたようです。
「ハア、ハア、ハア、ハア・・・」
汗ばんで薄いピンク色に上気した仰向けのお腹が、荒い呼吸に激しく上下しています。
相原さんのお顔は、またギュッと目をつぶったまま眉根にシワを寄せています。
髪の毛が乱れて、汗を浮かべた額に貼りつき、口がだらしなく半開きになってヨダレも一筋垂れています。
それでも相原さんのお顔は、相変わらず綺麗です。
私の目の前にある、相原さんの右手に上半分が隠れたアソコは、パックリ口を開けたままグッショリ濡れてテラテラと光り、湯気が見えそうなほど熱そうでした。

相原さんは、しばらくそのままぐったりしていました。


図書室で待ちぼうけ 14

2010年12月23日

図書室で待ちぼうけ 12

「森下さんのからだ、なんだかすごく熱くなってる・・・えっちな写真見てコーフンしちゃったの?うふっ、カワイイな」
耳元で、低い声でささやかれました。
相原さんの右腕は、私の右二の腕の上を通ってバストを覆うように回され、手のひらがブラウスの上から、私の左おっぱいを包み込むようにやんわりと置かれました。
左腕は、私の左腋をくぐって、私のウエストのあたりを抱えるようにからみついています。
「森下さんの心臓がすごくドキドキしているのが、はっきりわかる・・・」
私の左おっぱいを包む右手に少し力が入って、揉みしだくように2、3度掴んできます。

私は、背中に押し付けられた相原さんの二つのふくらみのやわらかさを感じながら、どう反応していいのかわからず、黙って、されるがままになっていました。
「森下さんの髪の毛、サラサラでいい匂い・・・」
相原さんが私の後頭部に自分の顔をスリスリしながらつづけます。
「こうしていると、すごくいい気持ち・・・」

それは私も同じでした。
相原さんに背後から素肌を密着されて、抱きしめるように両腕をからめられて、どんどん、えっちな気分メーターのゲージが上がってきています。

「ねえ森下さん、このままゆっくり、立ち上がってみて」
相原さんは、少しだけ私を抱く腕の力を緩め、耳元に唇を寄せてささやいてきます。
私の耳にかかる吐息に艶っぽい湿度を感じて、ゾクゾクっと気持ちのいい波が全身に押し寄せてきます。
私は、言われた通りに、おずおずと椅子から腰を浮かせ始めます。
私の腰が伸びるにつれて、背後の相原さんも姿勢を起こしているようです。
私の膝の上にいたカエルさんのぬいぐるみが、ゆっくりと床の絨毯に滑り落ちていきました。

二人は完全に立ち上がり、相原さんは背後から、一層からだを押し付けてきました。
私のふくらはぎにまで、自分の脛をピッタリ密着させてきます。
少しふらつく私たち。
相原さんの生足と私の生足が、内へ外へとからまります。
しばらくそうして密着した後、少しだけからだが離されて、私のウエストを押さえていた相原さんの左腕がはずれました。
相原さんが私の右肩に自分の顎を乗せてきます。
右耳に吹きかけられた吐息にハっとして顔を右に向けると、相原さんの端正なお顔が、間1センチも無い至近距離にありました。
相原さんが唇の両端を少し上げて、ニって笑います。

そうしている間に、私の左手は相原さんの左手に掴まれて、背後に誘導されました。
私の左手の指先が相原さんの素肌に触れます。
位置関係から言って、私の左手が触れたのは、相原さんの両太腿の付け根付近のはずです。
私の全身がますます熱くなってきてしまいます。

「昨夜お風呂に入ったら、すこーしだけどまた生え始めていて、すこーしだけザラザラチクチクしてたの」
「それもそれでなんだかすごくえっちな感じだったんだけど、森下さんにはやっぱり、ツルツルな感触を味わってもらいたくて」
「だから昨夜もう一度、丁寧にキレイに剃り落としたの、森下さんのために」
「どう?さわった感じは?・・・」
相原さんは、私の肩に顎を乗せたまま、耳元に湿った熱い息を吹きかけてきます。

「・・・ツルツルで・・・スベスベで、気持ちいい・・・」
「ねえ、もっとその手を動かして。わたしのココ、たくさん撫ぜてみて」
私の左手を誘導していた自分の左手をはずして、再び左腕を私のウエストにからめ、からだを密着させてきました。
私のお尻のちょっと上あたりと、相原さんのツルツルな土手とに、私の左手が挟まれました。
私は、遠慮して閉じ気味だった左手の指に力を入れて開き、手のひらを相原さんの土手に密着させます。
中指の先がちょうど相原さんのアソコの割れ始めに届きました。
汗ばんだ感じに湿っています。
「あはんっ!」
相原さんが小さくため息を洩らします。
それと同時に、相原さんの右手が私の左おっぱいを強く掴みました。
「ああんっ!やんっ!」
私も思わず声をあげてしまいます。
「やんっ、だって。カワイイー、森下さん!」
相原さんは、頬ずりするように顔を私に寄せてきて、私の左おっぱいを掴んだ右手をゆっくりと動かし、やさしく揉み始めました。
「あ、相原さんっ・・・だっ、だめえぇ・・」
私は、肩を左右に振って身悶えしてしまいますが、相原さんの左腕がしっかりと私のウエストをホールドしていて、逃がしてくれません。
仕方がないので、私も左手のひらをサワサワと動かして、相原さんの無毛な土手をくすぐります。
左腕を少し下へ伸ばすと、中指が相原さんの亀裂までラクに届きました。
汗とはまったく違うヌルっとした液体の感触を中指に感じながら、私は、無意識のうちに相原さんの一番敏感なはずな突起部分を探していました。

「はあーんっ!」
私の中指の先がソコを強く押した瞬間、私の左胸を揉んでいた手の動きが止まり、相原さんのからだが後ろに大きくのけぞって、悩ましい啼き声をあげました。

「あーんっ・・・もうがまんできないぃ・・・」
相原さんが小さく言って私のからだを離し、私の両肩を軽く持って体勢を変えさせ、至近距離で向き合う格好になりました。
「森下さん、ひとりえっち、まだちゃんとしたことない、って言ってた、よね?」
うわずった色っぽい声で聞いてきます。
「う、うん・・・」
私は、若干の罪の意識を感じながらも、うなずきます。
「うふっ。これから、わたしがやりかた、教えてあげる」

相原さんが私の顔をじっと見つめます。
相原さんのワンピースは、両肩がだらしなく落ちて、かろうじて両肘のところで止まっています。
前がすっかりはだけてウエストから下の部分は盛大にねじれて、お尻のほうに回ってしまい、もはや服としての役目をまったく放棄しています。
薄暗がりの中で、全身が露になっている細身な相原さんの白い素肌は、ところどころが上気してるせいなのか、はたまた私に抱きついていて擦れたせいなのか、赤くまだらになっていて、すごくえっちな感じです。
呼吸を乱して上下している薄っすら汗ばんだ肌の艶かしい動き。
私は、相原さんの全身を上から下へ、舐めるように見入ってしまいました。

私の視線の動きを追うように見ていた相原さんは、ふいに顎を引いて、私の顔から視線を少し下に下げて、私の胸の谷間あたりを凝視してきました。

「あっ!」
私のブラウスもいつのまにか、上から三番目までボタンがはずされていました。
相原さんの仕業でしょう。
水色レースのブラジャーがほとんど見えてしまっています。
ブラジャーの形に沿って、しっとり汗ばんでいます。
私は、あわててブラウスの前をかき合わせた後、恥ずかしさにどきどきしながら、相原さんの顔を見つめました。
相原さんがニッコリ微笑みます。
私は、ボタンをはめ直さずに、このままの格好でいることにしました。

「わたしがいつもやっているように、やってみせてあげるから、森下さん、よーく見てて、ね?」
私がかすかにうなずくと、相原さんは私の右手を取って、大股でベッドのほうへ連れていきました。

さっき見ていたパソコンの置いてある机から、対角線上の反対の壁際に置いてあるベッドの上には、柔らかそうな羽毛らしきお布団を包む、薄いピンクでカワイらしいお花柄のベッドカバーがまっ平らに掛けてあって、まるでホテルのベッドメイクのよう。
枕元には、見るからにふかふかしてそうな大きな白い枕が置いてあります。
一人で寝るには、ちょっと広すぎるくらいの大きなお姫様ベッドです。

相原さんは、ワンピースの布を両腕から抜いて足元に落とし、完全に、一糸まとわぬ姿になりました。
それから大股でベッドの上に上がり、枕元にあった枕を壁際にどかして、細かい装飾が施されたロココ調の背もたれに背中をあずけ、両脚を揃えてまっすぐ前に投げ出して座ってから、私に手招きしました。
「森下さんは、ベッドの縁にでも腰掛けてて。あ、もちろん、上がって来ちゃってもいいけど」
私は、相原さんが投げ出している足先から50センチくらい離れたベッドの縁に、相原さんのほうを向いて、浅く横座りしました。
ベッドの羽毛は、フカフカです。
「もっと近くに来て、ね?足のすぐ横くらい」
言われて私は、少し枕側にお尻を移動します。
薄闇に浮かぶ相原さんの白い裸身がまぶしくて視線を落とすと、すぐ横に相原さんの白くてしなやかな両脛が投げ出されています。

「まず、自分の頭の中をえっちなことでいっぱいにするの」
相原さんは、私の顔をじっと見ながら、微笑を含んだ表情で低く言いました。
「わたしは、今日は、森下さんとわたしでえっちなことをしているのを想像する。ちょうど森下さん、そこにいるし」
そんなことを言いながらイタズラっぽくニコっと笑います。

それから、相原さんは両目を軽くつぶり、少し顎を上に上げて、何かを夢想するような表情になりました。
私は、相原さんの視線から解放されて、相原さんの胸と下半身を交互にしげしげと、思う存分見比べます。
相原さんの乳首は、ピンク色で、小さめで、今はツンと上を向いて背伸びしています。
両脚は、まだぴったりと閉じたままです。
毛がまったくない土手は、本当に小学生のようでカワイイのに、なぜだかかえっていやらしい感じがしてきます。
この両脚も、やがて大きく開かれるはずです。
そしたら・・・
私はうつむいて、自分のからだに視線をやりました。

私の乳首も、相原さんのお部屋に入ってから、ずーーっとブラの下で尖りっぱなしです。
もちろん、ショーツの中も、後から後から湧き出てきていて、クロッチ部分はヌルヌルになって布の色も変わっているはずです。
相原さんに見られたら、感じていることが一発でバレバレでしょう。
何て言い訳すればいいのかな・・・

「あんっ!」
「うーふーんっ」
「ん、んーんっ・・・」
目を伏せて、そんなことを考えていたら、相原さんの小さな喘ぎ声が聞こえてきました。
私は、あわてて視線を相原さんの全身に戻します。
相原さんは、いつのまにか両手を自分の胸のところにあてがって、まさぐり始めていました。
右手の指先で自分の右の乳首をつまんで軽くひっぱっています。
左手は左の乳房をゆっくり、揉みしだいています。
両脚が内股になって、右膝が左膝の上に乗っています。

「ああんっ!そう、そう・・・森下さん、もっと、もっと強く・・・」
目をつぶったまま悩ましい顔をしている相原さんの歪んだ唇から、そんな言葉が洩れてきて、私の心臓が激しくドキンと高鳴りました。


図書室で待ちぼうけ 13

2010年12月19日

図書室で待ちぼうけ 11

相原さんのお部屋は、玄関から二つ目のドアのところでした。
相原さんがドアを開けると、最初は中が薄暗くてよく見えませんでした。
カーテンが閉じているせいでしょう。
パチンという音とともにあかりが灯り、お部屋の奥にある、可愛らしい淡いピンク色の大きめなロココ調ベッドが目に飛び込んできました。

相原さんのお部屋は、10帖くらいの洋間で、壁紙がクリーム色、カーテンはフリフリがたくさん付いたレース、絨毯は明るいグリーンっていう、何て言うか、ファンシーで可愛らしい感じでした。
お部屋のあちこちに、大小とりどりなカエルさんのぬいぐるみやお人形が飾ってあります。

「へえー。なんだか意外・・・」
「えっ?何が?」
「えーっと、私、相原さんってクールな感じのイメージを持ってたから、もっとこう、お部屋も渋い感じなのかなあ、って思ってた」
「クールって、ただ単に無口だったってことだけでしょう?わたし、可愛らしいものやカラフルなの、大好きなの」
「それに、中三女子の部屋が渋い感じっていうのも、それはそれで問題ない?」
相原さんは可笑しそうに笑いながら、CDコンポをリモコンで操作しています。
それもそうかな・・・
やがて、モーツアルトのピアノ曲が壁の四隅に吊ってある小さなスピーカーから低く流れてきました。

「カエルさんが好きなの?」
「うん。すごく小っちゃい頃に初めて買ってもらったぬいぐるみがカエルだったんで、それの刷り込みかな?カワイイのがあるとスグ買っちゃう」
「でもカワイイの限定、ね。リアルな形なやつはパス。あと色は、絶対ミドリ系。それ以外はパス」
「私が今、一番気に入ってるのは、この子」
タオル地みたいなちょっとザラザラした感じのキミドリ色の布で出来た、全長30センチくらいでとぼけた顔のクッタリした感じのカエルさんのぬいぐるみを、私に手渡してくれます。

「それじゃあまず、森下さんにネットを見せてあげる。こっち来て」
お部屋の片隅にある、レトロな感じな木製の勉強机の上に置いてあるノートパソコンを開きながら、相原さんが手招きします。
立ったままパソコンを少し操作した後、キャスターの付いた背もたれのない丸椅子みたいのを引っぱってきて、私をパソコンの前に座らせました。
「あっ、軍曹さんだっ!」
机の上に置いてあった、お腹に黄色い星のマークを付けた深夜アニメのキャラクターのお人形をみつけて、私は思わず声を上げてしまいます。
「森下さんもあのアニメ、見てるんだ。面白いよね、あれ。わたしもあのアニメに限れば、ミドリ系じゃないカエルも許す。黄色いのがけっこう好き」
相原さんが嬉しそうに笑います。

「このマウスのクルクルするとこを回すと画面が下に下がるから。上げたいときは逆向きに。あと、ページを読み終わって次に行くときは、次へ、をクリック。戻るときは、戻る、をクリックして。一番最初の目次を見たいときは、ここをクリック」
私の背後から覆いかぶさるようにからだを押し付けて、私の右手にマウスを握らせて、その上から自分の右手をかぶせて、操作方法を丁寧に教えてくれました。
私のブラウスの背中に、布一枚だけ隔てた相原さんのやわらかい胸の膨らみを感じます。

「このホームページ、かなりえっちなのが多いから、森下さん、びっくりしちゃうかも」
「ちょっとしばらく、それ読んでいて。その間にわたし、リビング片付けてきちゃうから」
相原さんは、私の背中からからだを離し、ドアを開け放したままお部屋を出て行きました。
私は、クッタリしたカエルさんのぬいぐるみを自分の膝の上に座らせて、そのホームページに書かれている文章を読み始めました。

そのページは、女の人が自分でえっちなことをしたときのことを、そのページの主である男の人にメールか何かで報告する、という趣向のようで、すべて一人称の告白調な文章でした。

最初に読んだのは、女子高生の女の子が通学のバスで、一番後ろに座って、スカートのポケットに手を入れてこっそりオナニーしてみた、というものでした。
それに対して、そのページの主の男性が、次はノーパンで乗ってポケットにも穴を開けといて直接さわりなさい、なんて命令しています。

その次に読んだのは、子供もいる人妻の人が両方の乳首を糸できつく縛ってからノーブラに薄いTシャツを着て、ミニスカートを穿いて、ご近所のあまりお客さんが来ない八百屋さんの下品なおじさまに見せつけに行く、っていうのでした。
この告白は長くて、その人妻さんも、やめようやめようと思ってもやっぱり見てもらいたくて、そのうち八百屋のおじさまも人妻さんが露出好きのヘンタイだってわかってきて、ノーパンにさせたり、他のお客さんのいるところでアソコを弄られたり、もっとひどい命令をされるようになる、というものでした。

えっちな言葉やいやらしい言葉、下品な言葉が次から次にたくさん出てきて、文章もうまいから情景も浮かんできて、私は思わず引き込まれてしまい、どきどきしながら真剣に読んでしまいました。
ただ、おじさまの下半身の描写になったとき、急に我に返って、あわてて、戻る、をクリックしていました。

いったん目次に戻って、女の子同士っぽいのを探しました。
女子高生がいじめにあって、プール授業のあと下着を隠されてノーパンノーブラで授業を受けた後、屋上に呼び出されて裸にさせられて、数人の女の子にさんざんイかされてから、その子たちの奴隷になることを誓わされた、っていうのがありました。
このお話も長くて、その女の子はその後、夏休みの合宿でノーパンでテニスをやらされたり、文化祭でワザと肩紐が切れやすく細工された衣装をノーブラで着せられて、みんなの前で劇を演らせたりもしていました。

私は、どきどきしながらも夢中になって読んでいたので、いつの間にか相原さんが背後にいることに気がつきませんでした。

「どう?面白い?」
急に頭の後から囁くように声をかけられて、私は激しくドキンとなり、前屈みになっていたからだをのけぞるように起こしました。
その拍子に私の背中に相原さんのからだが密着しました。
私は、後ろを振り向いて見なくてもわかりました。
相原さんは、前開きのワンピースのボタンを全部はずしています。
布越しではない、相原さんの素肌のやわらかい感触と生々しい体温が私の着ているブラウス越しの背中に感じられます。

「な、なんて言うか・・・す、すごい・・・ね・・・・」
文章を読んでいるときから、私のからだはポカポカと火照っていましたが、今の感触で、より一層カーっと熱くなってきました。
知らず知らずに、膝に置いたカエルさんのぬいぐるみの首のところを、両手でギューっと力を入れて締めていました。

「そうでしょう?えっちな気分になってきた?それじゃあ次は画像、ね?」
相原さんがまた私の背中に覆いかぶさってきて私の右手を掴み、一つのフォルダーをクリックしてから、左のほうにマウスを動かしました。
「スライドショー、スタートっ!」

パソコンの画面いっぱいに裸の女性の写真が映し出されます。
紙芝居みたいに10秒くらいで次の写真に切り替わります。

何人ものキレイな女の人が、いたるところで裸になっていました。
駅のホームで、コンビニで、学校で、電話ボックスで、駐車場で、遊園地で・・・
映画館で、、海水浴場で、バーガーショップで、神社で、公園で、電車の中で・・・
バスの中で、タクシーの中で、ファミレスで、屋上で、ゲームセンターで・・・
写真の中には、目のところをモザイクみたいのでぼかしているのが何枚かありました。
あと、アソコのところをぼかしてないのが何枚もありました。
自分の指で開いていて、ピンクな中味まで鮮明に見えちゃってるのも。
こういうのって、いいの?・・・かな?

相原さんは、私が画像を見ている間中、背中越しにからだをピッタリ密着させていました。
相原さんの心臓の鼓動を私の背中で感じています。
私は、本当に実際にこんなことをやっている女性がこんなにたくさんいるんだ、って唖然としながらも画面から目が離せませんでした。
恥ずかしそうにしている人のほうが多いけれど、中にはニッコリ笑ってピースサインをしている人もいました。
私も相原さんが言っていたように、恥ずかしがっている写真のほうがえっちぽく感じました。

10分くらい、そうしていて、ふいに相原さんのからだが背中から離れました。
あれっ?と思っていると、画像が終わって元のパソコンの画面に戻りました。
と同時に、お部屋の電気がスーっと暗くなり、豆球一つくらいの薄暗がりになりました。
パソコンのモニターの付近だけ、やたらと明るく照らし出されています。
お部屋のドアを閉じるパタンという音がしました。

私は振り向いて、相原さんの姿を探します。
薄暗がりにぼんやりと、オレンジ色のワンピースの前を完全に開いて、その隙間から白い裸身を露にした相原さんが見えました。
相原さんはゆっくりと私のほうへ近づいてきて、また私の背中に素肌を密着させながら両腕を伸ばし、ノートパソコンのモニターをパタリと倒して閉じました。
それで本当の薄暗闇になりました。

スピーカーからは小さく、トルコ行進曲が流れ始めました。
相原さんは、伸ばした両腕をそのまま私の胸の前で交差して、私を背後からギュッと抱きしめてきました。


図書室で待ちぼうけ 12

2010年12月18日

図書室で待ちぼうけ 10

土曜日の午前中。
私は、相原さんのお家へ行くのに何を着ていこうか、迷っていました。
相原さんは、火曜日の別れ際に、ジーンズではなくてスカートを穿いてきて、って指定してきました。
その言葉の裏には、二人でえっちなことをしようね、っていう意味が隠されているような気がします。

私にも、ある程度の覚悟は出来ていました。
相原さんのツルツルのアソコをさわらせてもらって、相原さんも私のからだをさわってくる・・・
私も裸にされちゃうのでしょうか?
いずれにせよ、くっつきあったりもつれあったりしちゃいそうです。
あまりヒラヒラしてるお洋服を着ていくと、しわくちゃになっちゃいそう。

いろいろ考えた末、薄めなデニムの膝丈フレアスカートに、ふんわりしたコットンの七分袖、前開きブラウスを合わせることにしました。
下着は、上下おそろいで水色のレース。
足元は、素足に裸足で低めのプラットフォームサンダル。
新しいお友達のお家に遊びに行く、と母に伝えたら用意してくれた、クッキーの詰合せが入った紙袋を持って、お気に入りの赤いショルダーポーチを肩からななめにかけて、お家を出ました。
6月にしては、カラリと晴れあがった青空が気持ちいい、過ごしやすそうなお天気です。
相原さんのショーツは、丁寧に手洗いしてから注意深くアイロンをかけて、きれいにたたんでポーチに入れてあります。

約束の時間の5分前にコンビニ前に着きました。
まだ相原さんは、来ていないみたい・・・
と思ったら、通りの反対側で信号待ちをしている相原さんをみつけました。
黒いセル縁のメガネをかけています。
あれ?相原さんって目が悪かったのかな?
なんて考えてると信号が変わり、相原さんが小走りに近づいてきます。
「お待たせー」
「ううん。私も今来たばっかり」
「あっ、ちゃんとスカート穿いてきてくれたんだ。そのブラウスと合ってる。森下さん、すっごくカワイイ」

相原さんは、浅いラウンドネックでなめらかそうなニットの、鮮やかなオレンジ色のワンピースを着ています。
半袖で、胸元から膝のちょっと上くらいの裾まで、10個くらいのボタンで留める前開きのワンピースです。
ウエストを同じ色の紐で縛っていて、腰から下はゆったりしていますが、上半身は、ややフィット気味。
胸元にだけ白くボーダーのラインが幾筋か入ったデザインなので、相原さんのたおやかなバストのふくらみが白いラインの凹凸で強調されています。

「相原さんて、目、悪かったの?」
私は、相原さんの胸のあたりにチラチラ視線を走らせながら、聞きます。
「ううん。これは度が入っていないファッショングラス」
そう答えてから、私の耳に顔を近づけてきました。
「わたし今、これの下は素肌なの。身に着けてるのはこのワンピ一枚だけ。ちょっと恥ずかしいから、ちょっと変装」
「このボタン、全部はずしたら即、オールヌード」
照れてるみたいに笑っています。
「こんな恰好で外に出るの初めて。すごくドキドキしてる」
そう言われて私は、どうしてもまた相原さんの胸のあたりに視線が戻ってしまいます。
「でもだいじょうぶ。私の家、ほんとすぐそこだから。さ、行こ」
相原さんが私の背中を軽く押して、さっき相原さんが渡ってきた横断歩道をまた戻りました。

相原さんのお家は、本当にすぐそばでした。
横断歩道を渡って、10メートルも歩かないところに建っている大きなマンション。
バレエ教室に行くとき、駅のホームからいつも見えている、駅前の高級マンションでした。
エントランスをカードキーで通過して、エレベーターに二人で乗り込みます。
相原さんがメガネをはずしました。
襟元のボタンを一つはずして、そこにメガネのつるをひっかけます。
相原さんの白い胸元が少し覗きます。
「あの監視カメラさえなければ、ここでもう脱いじゃって森下さんに見せちゃうのになあ」
エレべーターの天井に付いている防犯カメラを指さして、相原さんが冗談めかしてそんなことを言って、私を見て笑っています。
相原さんのお家は8階でした。

「誰もいないから、遠慮しないで。さ、どうぞ」
「おじゃましまーす」
玄関口で一応大きな声で言ってから、サンダルを脱ぎます。

玄関を入ると廊下がつづいています。
相原さんの先導でいくつかのドアを通り過ぎます。
うっすらとローズ系のいい香りがただよっています。
一番奥のベランダに面したところが広いリビングになっていました。
「広いお家ねえ。相原さんて、ご家族大勢いらっしゃるの?」
「ううん。うちはボシカテイ。母親とわたしだけ」
「えっ?あっ、ご、ごめんなさい」
「別にいいよ。気にしないで。ちょっとそこに座って待ってて」
リビングの中央にある柔らかそうなソファーを指さして、相原さんはダイニングのほうに消えました。

私は、ソファーに浅く腰掛けて、広いリビングを見回しました。
あまり物が置いてなくて、スッキリした感じの落ち着いた雰囲気です。
天井にある照明が豪華。
枠に複雑な模様が施してあって、金色にキラキラ輝いています。
窓が広く大きくとってあって、ここは8階ですから、少し開いたカーテンの向こうに見渡すばかりの青空が覗いています。
壁には何枚か、賞状のようなものが飾ってありました。

相原さんが銀色のトレイを両手で持って、戻ってきました。
「はーい。今日はいらっしゃいませえ。とりあえずケーキ、食べよう、ね」
イチゴの乗った美味しそうなミルフィーユと紅茶が入ったカップをテーブルに置いて、私の向かい側のソファーに座りました。
「ありがとう。美味しそう」
「それでは、いっただきまーす」

「わたしが小学校二年のとき、両親が離婚したの」
相原さんがフォークで慎重にケーキを削り取りながら話し始めました。
「原因が父親の浮気だったから、慰謝料やわたしの養育費でずいぶんお金もらえたみたい。父親の実家もお金持ちみたいだったし」
「わたしにとっては、普通に優しくていい父親だったんだけど、ね」
「それで、うちの母親はなんでだか知らないけど突然、占いの勉強を始めたの。通信教育で」
「そのうち、デパートの催事場とかの仕事が入るようになって、それなりに人気も出たみたい」
「その間も何人かの男とつきあってたはず。ちゃんと聞いたことないけど、ときどき家に知らないおじさんが何人か遊びに来てた」

「で、わたしが小学校六年になりたての頃、あるパーティで母親が、とある政治家と知り合ったらしいの」
「母親に口止めされてるから、森下さんにも名前は教えてあげられないんだけど、このあたりでは有名な人。年齢はけっこういってる」
「それからうちの母親は、その人専属の占い師になったの。表向きは秘書って肩書きだけど、実際は愛人」
「それまで東京に住んでたのだけれど、その政治家の地元に近いこの町に引越しすることになった。中学進学と同時に」
「それ、私と同じだ」
「森下さんも中学校からこの町なの?」
「うん。最初はクラスの誰も知らないから、不安で仕方なかった」
「それ、すっごくわかる」

「その政治家のコネで、うちの母親、最近はテレビにも出てるみたい」
「ほんと?すごーいっ!」
相原さんが教えてくれた相原さんのお母さまの芸名は、テレビをほとんど見ない私には、聞いたことあるような・・・って感じでしたが、すごいことは事実です。
「相原さんのお母さまがそんなにスゴイ人だなんて、私全然知らなかった」
「それはそうよ。わたし、こんなこと今まで誰にも話したことないもの。今初めてしゃべった。あと、うちの母親は別に全然すごくないし」
相原さんは、私の顔を見つめてニコっと笑いました。

「来週の土曜日に、その政治家の後援会のパーティがあるの。沿線の大きな街で。有名なタレントとか歌手とかも集まるらしい」
「わたしも連れて行くって母親は言ってるんだけど、気が進まなくて・・・」
「えーーっ?なんで?芸能人と一緒のパーティでしょ?そんなチャンス、めったにないじゃない?」
「そうなんだけどさ・・・なんだか、そういう人たちって無駄にギラギラしてそうで、苦手って言うか・・・」
「きれいなドレスとか、着せてもらえるんでしょ?いいなあ。憧れちゃう。絶対行ったほうがいいよ」
「ふーん。森下さんて意外とミーハーなんだ、ね」
相原さんがまた、ニっと微笑みました。

「ねえ、相原さん?」
「なーに?」
「余計なお世話だとは思うんだけど、相原さんはお母さまのこと、あんまり好きじゃないの?」
「・・・なんでそう思うの?」
「ずっとお母さまのこと、母親、って他人事みたいに呼んでるし、お母さまのお話してても冷めてるって言うか・・・」
「うーんと・・・ある意味正解かな。うちは、お互いに干渉しない、って言うか、無関心なの。お互いに対して」
「母親は、家に帰ってこないこともよくあるし。そういうときは、食事も掃除も洗濯もわたし一人でやってる」
「でも、母親のこと嫌ってるわけじゃない。わたしも一人でいるの好きだし。母親と二人でいるときは、それなりに普通の親子っぽいと思う」
「それに、うちの母親は、一人の女としてエライと思う。ちゃんとわたしを女手一つで、占い師なんていう水商売でここまで育ててくれたんだから。そこは尊敬している」

少しの沈黙。
二人ともケーキを食べ終わり、紅茶も飲み干していました。
「さ、一息ついたし、そろそろわたしの部屋へ行こう、ね?」
相原さんが立ち上り、ワンピースの胸元のボタンをもう一つ、はずしました。


図書室で待ちぼうけ 11

2010年12月12日

図書室で待ちぼうけ 09

その日の帰り道の話題は、相原さんがインターネットで見て印象的だった露出プレイの写真や動画のことでした。
もちろん、小さな声でひそひそと、です。

「普通に人通りが多い道路にある、ガラス張りの電話ボックスの中で着替えるの。セーラー服からスクール水着に」
「監督みたいな人がケータイで遠くから指示を出して、いったん裸になってから、よし、って言われるまで水着に着替えちゃいけないの」
「意外とそばを歩いてる人は気づかないみたい。でも車を通りに停めてじーっと見てる人とかもいたり」
「私はノーパンです、って書いた紙を背中に貼られて、繁華街を歩かされてる人もいた」
「ファミレスで胸をはだけさせられたまま食事をしたり」
「あと、クリスマスシーズンに前開きのサンタ服の下にハイレグのレオタード着て、繁華街でチラシ配りするんだけど、レオタードの乳首のところだけ穴開いていて、乳首だけ外に出ていたり」
相原さんは、ゆっくり歩きながら熱心に説明してくれます。

「そういうのを見ていると、そのモデルやっている女の人たちって、家族や知り合いにバレる心配はしないのかなあ、って最初は思ったのだけれど」
「でも、彼女たちが本当にそういうことをしたいのなら、それはそれでいいんだろうなあ、って」
「不特定多数の人たちの前で裸になるってことなら、タレントがヌード写真を発表するのも同じことだし、ね」
「普通は裸になっちゃいけないところでなるから、余計恥ずかしくてドキドキしちゃうんだろうな」

「もちろん、わたしは、まだそんなふうに割り切ることはできないから・・・」
ちょうど人通りが途切れたところで立ち止まり、相原さんはまわりをキョロキョロした後、私に向かってお尻を突き出しました。
「こうやって森下さんに見てもらうくらいが、ちょうどいいの」
スカートの後ろを自分でピラっとめくり上げました。
通いなれた通学路の見慣れた風景の中、西日を受けた住宅街をバックに相原さんの真っ白いお尻が私の目に飛び込んできます。
「ちょ、ちょっと、相原さん」
私のほうがどきどきして、私のほうがキョロキョロしてしまいます。
でも今日は、やめようよ、って言うほどびびってはいませんでした。
すっかり相原さんのペースに巻き込まれていました。

その後も相原さんは、人通りが無いのを見届けてから、頬を染めながら、電信柱や自動販売機の陰でコッソリとアソコやお尻を見せてくれました。

「ねえ、相原さん?・・・」
「うん?」
「そ、そこの毛がないと、どんな感じなの?」
私は、さっきお教室で見たときから聞いてみたくて仕方なかったことを、とうとう聞いてしまいました。
まったく毛が無くてツルツルな相原さんのアソコが、すごく綺麗でえっちに思えたんです。
「うーん・・・なんて言うかヘンな感じ。いつもよりもっともっとえっちな気分になる、って言うか・・・」
「自分でさわってるとすっごく気持ちいいの。ツルツルでスベスベで、小学生に戻ったみたい」
「ふーん・・・」
「だけど、これから夏だから、プール授業のときとか着替えに気をつけないと・・・誰かに見られたら絶対ヘンなウワサたてられちゃう」
「たぶん1ヶ月くらいで元通りになると思うから、9月の修学旅行はだいじょうぶと思うけど・・・」
私は、相原さんもやっぱりいろいろちゃんと考えているんだなあ、と思いました。

「ねえ、森下さん?・・・」
相原さんがひっそりした声で聞いてきます。
「うん?」
「さわってみたい?わたしのツルツルな、ココ・・・」
「・・・」
私は、少し迷った後、コクンとうなずきます。
ちょうど先週寄った公園への路地にさしかかったところでした。
私たちは、何も言わずにどちらからともなく手をつなぎ、公園へ向かう路地を曲がりました。

でも・・・
公園には先客がいました。
お買い物帰りらしい若めの奥様が三人、買い物袋を足元に置いて、桜の木の周辺でおしゃべりをしていました。
公園内では、その奥様たちのお子さんなんでしょう、4、5歳くらいの可愛い女の子が三人、スベリ台のまわりをはしゃぎまわっています。
私たちは、すごくがっかりして、それでも一応ベンチに並んで腰掛けました。

遊んでいた女の子たちがちょこちょこって近づいてきて、ニコニコしながら、
「こんにちわー」
って口々に挨拶してくれます。
私たちも、
「はいはいー。こんにちはー」
って返します。
相原さんが両膝に力を入れてピッタリ閉じて、警戒して座っているのがなんだか可笑しいです。

「ほらほら、なおちゃんたち。お姉さんたちのおじゃましちゃ、ダメでしょう?」
おしゃべりをしていた奥様のうちの一人が大きな声で女の子たちに注意しました。
ふいに、なおちゃん、と呼ばれて私は思わず返事しそうになってしまいました。
奥様三人が私たちのほうを見て、ニッコリ笑って会釈してくれます。
全員ちょっとお化粧派手めですが、キレイなお母さまたちです。
「はーい。それじゃあねえー。バイバイー」
女の子たちは、小さな手を振りながら、またスベリ台のほうに駆けていきました。
相原さんと二人、顔を見合わせてクスクス笑ってしまいます。
残念ながら今日の公園は、えっちなお話やアソビが出来る雰囲気ではありません。

相原さんは、女の子たちが去って、ようやく膝の力を抜いたようです。
「なんだか先週から、わたしの話ばかりしててごめんね。森下さんは休みの日、何してるの?」
「うーんと、本読んだり音楽聴いたり、バレエの練習したり・・・」
好きな音楽や映画や作家さんのお話を一通りしました。
私と相原さんは、意外と趣味が合うことがわかりました。

「川上さんたちと遊びに行ったりは、するの?」
「うん。たまに。ショッピングとか遊園地とか映画とか・・・」
「森下さんは、どんなファッションが好きなの?」
「やっぱりカワイイ系のが好きかなあ。でもお家ではたいがいシンプルなワンピース。外出するときは、動きやすいようにジーンズが多いかなあ」
「ふーん。森下さんの私服姿、見てみたいなあ」

相原さんは、ちょっと考えてから、思い切ったように言いました。
「ねえ森下さん?今度の土曜日は予定ある?」
「ううん。別に無いけど」
「よかったら、わたしの家に遊びに来ない?その日はちょうど母親も夜までいないし」
「わたしの家に来れば、CDも貸してあげられるし、インターネットも見せてあげられる・・・」
「土曜日かあ・・・行ってみたいけれど・・・ご迷惑じゃ・・・」

私は、迷っていました。
公園に来る前までのお話の流れから言って、相原さんのお家に行ったら、きっとえっちなことが始まる気がします。
相原さんがする分にはかまわないのですが、私も、ってことになったら・・・
どうしよう・・・
怖い気もするし、相原さんともっと親密になってみたい気もします。

考え込んでしまった私を相原さんは何も言わず、ずっと待っていてくれました。
私の隣に寄り添うように座っている相原さん。
相原さんも私の答えを待って、どきどきしているような気がしました。
ここで、このお誘いを断ってしまったら、相原さんとの関係もなんとなく終わってしまう気もしました。
それはイヤだな・・・
私は、行くことに決めました。

「それじゃあ、お邪魔しちゃって、いいかな?」
「ほんと?うれしい!」
相原さんは、不安がはじけたようにニコニコ笑って、私の手を握ってきました。
「美味しいケーキを用意しておくね。あと紅茶も」
相原さんが元気良くスクっとベンチから立ち上がりました。
手を握られたままの私も立ち上ります。

お別れの交差点までの道すがら、駅の南口のコンビニの前に午後一時半集合、って決まりました。
相原さんが信号を渡る寸前、また先週のように耳元に唇を寄せてきます。
「土曜日は、ジーンズじゃなくて絶対、スカート穿いてきて、ね」
私のからだをまたゾクゾクさせて、相原さんは横断歩道を渡っていきました。

帰り道。
何気なくブレザーのポケットに手を入れると、相原さんのショーツが入ったままでした。
返しそびれちゃった・・・
お家に帰って広げてよく見てみると、綺麗な薄いブルーで質の良さそうなシルクの可愛いビキニショーツでした。

その夜。
私がそのショーツを穿いて激しくオナニーをしてしまったことは、言うまでもありません・・・よね?


図書室で待ちぼうけ 10

2010年12月11日

図書室で待ちぼうけ 08

そんな私の衝動は、突然、廊下のほうから聞こえてきた、ソリャーーッとかフゥーフゥーッとかいう奇声と、ドドドドッと廊下を駆け抜けて行ったらしい数人の男子たちの足音に掻き消されてしまいました。
相原さんは、物音が聞こえた瞬間、さっとしゃがみ込んで机の陰に身を潜めました。

「まったく・・・バカ男子たちときたら・・・たぶんどっかの運動部の連中」
ようやく立ち上がった相原さんの服装は、ブラウスもスカートも元通りになっていました。
「でも、このスリルがたまらないのも、事実なんだけど、ね」
相原さんは、自分の席に座り直しました。
私も相原さんの前の席に腰掛けます。

「先週は、あれからもう、からだがどうにかなっちゃったみたいに疼いちゃって、森下さんとのこと思い出しながら、何回も何回もひとりえっち、しちゃった」
相原さんがえっち全開の艶かしい目で私を見つめます。
「森下さんは、ひとりえっち、したことある?」
「えっ!?」
私の頭の中がめまぐるしく高回転して、適切な答えを探します。

中三にもなって、えっ?何ソレ、知らない、って言うのもなんだか白々しいし・・・
うん、て素直にうなずいちゃうと、あれこれ追求されそうだし・・・
知ってるけど、したことないって言うのが無難かな・・・

私が黙ってうつむいてモジモジしていると、相原さんがつけ足しました。
「オナニーのこと、森下さんだって、その言葉くらい、知ってるでしょ?」
「う、うん・・・」
私は、うつむいたまま少しだけ首を縦に動かします。
「で、でも、知っているけど、ちゃ、ちゃんとしたことは、まだ、ない・・・」
私は、小さな声でそれだけ、言いました。
ブラの下で乳首が尖ってきていて、ショーツの下で少しずつ潤んできているクセに、とんだ嘘つきです。

相原さんは、しばらくそんな私を見ていましたが、ふいに視線を逸らして話題を変えました。
「この間は、わたしが春先に新しいアソビをしてみた、っていうところでチャイムが鳴っちゃったのよね?」
「・・・うん」
私は、ホっとして顔を上げました。
相原さんがニッコリ笑いかけてくれます。

「そのアソビっていうのは、女子トイレの個室に入って服を全部脱ぐこと、なの」
「休み時間の短い間に、個室に入って、ブレザーもブラウスもスカートも全部脱いで、ブラもパンティも取って、服を全部便器のふたの上に置いて、しばらく裸でその場にじっとしているの」
「最初はそこまでだったけど、すぐに靴下も上履きも全部いったん脱ぐことにした。正真正銘のすっぽんぽん」
「それだけで、なんだかすごく悪いこと、いけないことをしている気持ちになって、ゾクゾクしちゃうの」
「休み時間には、何人もの女子がトイレしに来るでしょ?外がガヤガヤしているところで、ドアの薄い木を一枚隔てたこっちで、自分がまっ裸で立っているのが、すごくコーフンするの」
「当然、わたしが入っている個室もトントンってノックされる・・・」
「そのたびに裸でコンコンってノックを返して」
「それで、しばらくしてからまた一枚ずつ服を着て、何事も無かったように個室を出て教室に戻って授業を受けるの。調子のいいときは、パンティだけ穿き忘れて」

「一度、あんまり長く入っていて外の女子たちに心配されちゃったことがあったの。何かここ、ずーっと使用中だよねえ、ってヒソヒソと。あのときは本当にドキドキした」
「マズイけれど、注目されていると出るに出られないからチャイムが鳴るの待って、次の授業にも遅れちゃった」
「人があんまり来なそうなときは、わざと鍵かけなかったり、1階や3階や体育館の女子トイレでやってみたり、刺激を求めていろいろ試した。先生用の女子トイレにも忍び込んでみたり」
「男子用のトイレでもやってみたかったんだけど、小学校の頃って、男子の誰かが個室使ったのわかると、バカみたいに囃し立ててイジメられてたじゃない?こいつ、学校で大きいほうしたー、って」
「中学男子がどうなのかは知らないけど、男子トイレで個室閉まっているとやっぱり目立つだろうなあ、って考えて、あきらめた」
相原さんがクスっと笑いました。

「でも、それもそのうち飽きてきちゃって・・・もっと刺激が欲しくなっちゃって」
「でも、誰かに見られたり、みつかってイジメられたりするのは絶対イヤだから、いろいろ考えて・・・」
「一般生徒の下校時刻になるまでは普通に学校内をうろうろして時間潰して、それから最終下校時刻までの間が人も少なくなって、意外と自由に遊べる、っていうことがわかったの」
「二年生のときにいた2階のトイレで、その時間に個室で丸裸になって、トイレ内に誰もいないようだったら個室の外まで出てきて、洗面台の鏡に自分の裸、映したり・・・だんだん大胆になってきた」
「運動部の人たちは、ほとんど校庭か体育館にいるし、文科系のクラブは専門教室か部室棟じゃない?普通の教室には、本当にほとんど誰もいないの」
「二年の終わりまでは、そんな感じで遊んでたの」
「わたし、前の三年生の卒業式の日も、二年の三学期の終業式の日も、一日中ずーっとノーパンだったんだよ。通知表もらうときも」
相原さんは、私の顔を覗き込むように見て、目をクリクリさせて笑いました。

「三年になって、この教室になって、ラッキーって思った」
「ほら、この教室、女子トイレにすごく近いじゃない?これは使えるな、って思ったの」
「しばらくの間、クラスメイトが遅い時間に教室に戻って来ないか、とか、先生たちが校内を見回るタイミングなんかを注意深く観察して、絶対だいじょうぶそうな曜日が、火曜日と木曜日だったの」
「4月の終わりに初めてやってみた。まず女子トイレに入ってパンティとブラを取ってから、また教室に戻ってきて、ブラウスはだけたり、スカートまくったりするの。一人で」
「窓のカーテンを少しだけ閉めて、その後ろに立ってブラウス脱いでみたり、全部脱いで裸になったり、教壇の下でひとりえっちしたり・・・」

「その次のときは、教室で裸になって、廊下に出て女子トイレに入ってみたり。その逆をやったり。もちろん裸になる前に教室にも女子トイレにも誰もいないことを確認してから」
「だから、服を脱いでいるときのわたしの耳は、すっごく敏感。どんな小さな音も聞き逃さないように」
「いつも自分のバッグに脱いだ服を入れて、それを持ちながら裸でうろうろしていたのだけれど、そのうちバッグは、教室に置いておいてもだいじょうぶかな、って思えてきて」

「先週の火曜日も、そんなアソビをしていたときのことなの」
「わたしがそこのトイレの個室に裸でいたら、森下さんがトイレに入ってきたの」
「個室に入っていたのに、なんで私ってわかるの?っていう顔をしてるわね?」
「あのとき森下さん、小さくハミングしていたでしょ?ビートルズの曲」
「えっ?そうだった?」
「うん。ペニーレイン。二年のときにも森下さんがハミングしてるの、何度か聞いたことがあった」
私の大好きな曲です。
「それで、森下さんが個室のドアを閉めたタイミングで私は、外に出たの。裸のまんま」
「廊下に出て、そのまま教室に戻るつもりだったんだけど、図書室のドア、開けっ放しだった」
「そーっと覗くと図書室には誰もいなかった。そう言えば森下さん、図書委員だったなあ、って思い出して。それでなぜだか図書室の中に入っちゃった」

「森下さんがすぐ戻ってきちゃったんで、わたしはあわてて奥に逃げ込んだ」
「そしたら、森下さん、電気消して帰ろうとするから、わたし、すっごく焦っちゃった」
「中からなら鍵は開けられるから、閉じ込められる心配はないけれど、明日の朝、図書室の鍵が開いていた、って騒ぎになったら森下さんに迷惑かけちゃうなあ、って」
「そしたら、また森下さんが戻ってきたから・・・」
相原さんは、そこで言葉を切り、私をまっすぐ見つめます。

「わたし、森下さんにみつけて欲しかったんだと思う」
私が何か言おうとしたところで、予鈴のチャイムが鳴り響きました。

「これから暑くなって、ブレザー着れなくなっちゃったら、学校でノーブラも出来なくなっちゃうなー」
相原さんは、ブレザーに袖を通しながらそう言って、ガタリと音をたてて席から立ち上がりました。


図書室で待ちぼうけ 09

図書室で待ちぼうけ 07

その翌日。
お昼休みに図書室に用事があった私は、行きすがら、相原さんのクラスをチラっと覗いてみました。
私のクラスと相原さんのクラスは同じ階にあって、私のクラスのお教室は東の端っこ、2クラス分離れています。

他の生徒たちがガヤガヤと行き交う廊下を図書室のほうに歩きながら、
昨日の放課後、ここを相原さんは裸で歩いていたんだなあ・・・
って考えると、今さらながらすごく大胆、って胸がどきどきしてきてしまいます。
相原さんは、クラスのお教室にはいないようでした。

それから、次の火曜日が来るのが待ち遠しいような、でもちょっと怖いような、フクザツな気持ちで日々を過ごしました。

その週の火曜日は、ポカポカ陽気で少し暑いくらいの晴天でした。
6月に入って衣替えとなり、上着を着てこない人たちの姿も目立ちます。
放課後になり、図書室当番に向かう私は、やっぱりワクワクしていました。

相原さんは今日、どんな格好で図書室に現れるんだろう?
相原さんは今日、何をお話してくれるんだろう?
相原さんは今日も、あの公園に私を誘うんだろうか?

その日の図書室も利用者はまばらでした。
開けてすぐに返却に来た人が二人。
その後もちらほら貸出しや返却の人が来て、閲覧のテーブルにはあちこちに散らばって三人。
相原さんは、まだ姿を現しません。
そのうちに時計は4時を回りました。
もう貸出しや返却の人も来なそうなので、私と補佐の二年生の女の子は、カウンターの中でその女の子の私物の少女コミックスを読んでいました。

4時5分になって、相原さんがフラっと手ぶらで現れました。
普通に制服姿でブレザーのボタンも一番下の一つだけはめていました。
先週と違うのは、今日はニーソックスではなくて白のハイソックスなこと。
カウンターの中にいた私にチラッと視線をくれて小さく微笑むと、そのまま奥の本棚のほうに入って行き、姿が見えなくなりました。

しばらくすると、一冊の本を片手に持って戻ってきました。
まっすぐに私の座っているカウンターのところまで歩いて来て、カウンターの前に立ちます。
「森下さん?」
声をひそめて私を呼び、右手で小さく手招きしています。
補佐の女の子と同時に顔を上げた私は、読んでいたコミックスを伏せて机の上に置き、立ち上がって相原さんに近づきました。

「これ。預かっといて」
小声で言いながら、本と一緒に左手で持っていた、小さくたたんだ薄いブルーのハンカチみたいなものを右手に持ち替え、私の右手に押しつけてきました。
「えっ?」
私は、戸惑いながらもそれを受け取り、何だろうな?と掴んだ右手を広げようとして、ふいに気がつき、あわてて手を握ったままブレザーの右ポケットに突っ込みました。
頬がカーッと熱くなってきます。
間違いありません。
相原さんが今、渡してくれたのは、ハンカチなんかじゃなくて、脱ぎたてのショーツです。
ツヤツヤした光沢とスベスベな感触は、シルクのやつかもしれません。
そして、ホンワカと温かい相原さんの体温が生々しく残っていました。

相原さんは、唇の両端を少しだけ上げてニッて小さく笑ってから、澄ました顔でカウンターから一番遠い窓際の席に腰掛け、頬杖ついて本をめくり始めました。
私は、ブレザーのポケットに手を入れたまま、動揺を鎮めようと少しの間うつむいて呼吸を整えてから、カウンター内の自分の席に戻ります。

「もう利用者も来ないだろうから、あなた、先にあがっていいよ」
何も気づかない様子でコミックスを読んでいる補佐の女の子に小声で言いました。
「ほんとですか?ありがとうございます」
女の子も小声で言って、嬉しそうに笑い、読んでいたコミックスを閉じました。
「あ、そのマンガ、先輩、まだ途中ですよね?それ、先輩にお貸ししますから・・・次の委員会のときにでも返してください。そのとき、つづきの巻も持ってきますね」
女の子は、自分のバッグを持って立ち上がり、何度もペコペコお辞儀をしてから、
「お疲れさまでしたー。お先に失礼しまーす」
と小さな声で言い、静かに図書室を出ていきました。

現在、図書室内の利用者は、閲覧席に相原さんも含めて三名。
図書室内は、しんとしていて、ときどき誰かがページをめくる音だけが聞こえてきます。
相原さんは今、ノーパンで本を読んでいるんだ・・・
ポケットから出した右手に残る相原さんのショーツの感触にどぎまぎしながら、そんなことを考えてると、また私の脈拍が上がってきてしまいます。

4時25分になって、相原さん以外の利用者二人が示し合わせたように同時にパタンと本を閉じました。
少し遅れて相原さんも本を閉じ、三人とも立ち上がって本棚に本を戻しに行きました。
そのまま図書室から出ていく二人を尻目に、相原さんは、また私のほうに近づいて来ます。
「教室で待ってる、ね」
小さな声とウインクを残して、図書室を後にしました。

私は、急いで後片付けと戸締りをし、急いで職員室まで行って鍵を返し、急いで3階まで引き返しました。

三年一組の教室のドアをそーっと開けると、相原さんは今日も自分の席、窓際の後ろから三番目、に座ってボンヤリお外を眺めていました。
「お疲れさまー」
ドアを開ける音に気づいた相原さんがゆっくり振り返り、綺麗な微笑を見せてくれます。
教室は、電気は点けてなくて、窓からまだ充分明るい西日が射し込んでいます。
相原さんは、ブレザーを脱いで白い長袖のブラウスを肘のところまで腕まくりしていました。

「相原さん、こ、これ・・・」
私は、相原さんの席に近づきながら、右手をブレザーのポケットに入れてさっきの水色ショーツをつまみ出し、相原さんに差し出します。
「あはは。びっくりした?」
相原さんは、イタズラっ子みたく笑って私を見つめます。

「わたしは、森下さんの言いなりロシュツドレイだから、森下さんに会うときは、下着を一切身に着けちゃいけないの」
「えっ?・・・どういうこと?・・・」
先週と同じく、相原さんの前の席にバッグを置いた私は、相原さんが何を言っているのか意味がわからず、相原さんを見つめてしまいます。
白いブラウスのボタンが三つまではずされ、胸元が大胆に開いて、胸の谷間の膨らみ始めの白い肌が魅惑的に覗いています。
この感じだと、今日もノーブラみたい。
私の視線の動きを追うように見ていた相原さんは、席から立ち上がって、私に背を向けました。

「ううん。いいの。わたしの勝手な脳内設定だから、森下さんは何も気にしなくていいの。そのまま、何もしなくていいの・・・」
「・・・だけど、パンティは、ささっと脱ぐこと出来たんだけど、他に誰か人がいる図書室で上着脱いでブラウス脱いで、ブラはずしてまたブラウス着るっていうのは、さすがに出来なかった。だからブラはさっき、ここで取ったの」
背中を向けたままそんなことを言った後、モデルさんみたいにクルっとターンして、私にからだの正面を向けました。

右手でスカートをめくり上げていました。
ブラウスのボタンも、もっと下まではずされ、左右のおっぱいが上を向いた乳首まで、完全に見えていました。
「森下様の言いつけを守って、今日も菜摘は下着を着けていません・・・どうぞ菜摘のいやらしいからだをごゆっくり・・・存分にご覧ください・・・」
相原さんがお芝居がかった台詞まわしながら、すごく恥ずかしそうに言います。
相原さんと私の頬がみるみる赤く染まっていきます。

相原さんは、まくり上げたスカートの裾をウエストのおへそのあたりに挟みこんで手を離し、その手を後ろに回します。
休め、の姿勢になった相原さんの正面に立っている私は、ある一点からどうしても目を逸らすことができませんでした。
「ね、ねえ相原さん?・・・」
相原さんの目は、相変わらず私の視線を追っています。
「そ、そこの・・・そこの毛、どうしちゃったの?」
私は、相原さんの裸の下半身を遠慮がちに小さく指さします。
先週は、薄いながらもその周辺を黒く飾っていた毛が、今日は見あたらず、ちょっぴりプクっと膨らんだ両内腿の間がツルツルになっているんです。

「昨夜、お風呂で剃っちゃった・・・森下さんにもっとよく、見てもらいたくて・・・」
すっごく恥ずかしそうに、小さな声でつぶやいた相原さんを見て、私は、思わず、なりふりかまわず、相原さんをこの場でギューっと抱きしめたい衝動に駆られていました。


図書室で待ちぼうけ 08

2010年12月5日

図書室で待ちぼうけ 06

「そうこうしているうちに二年生になって、パソコンでネットの面白さを知っちゃってからは、そっちのほうが断然楽しくなっちゃって」
「早く家に帰ってネット開きたくて、友達どころじゃなくなっちゃった」

「恥ずかしいひとりアソビしているのを誰かに見られて弱みを握られちゃうと・・・」
相原さんが急に声をひそめました。

「ありえないほど短いミニスカートをノーパンで穿かされたり、濡れると透けちゃう水着を着させられてプール授業を受けるように命令されたり」
「マネキン人形に混ざって裸で立っていることを命令されたり、アソコに何か入れたまま町を散歩させられたり」
「いろいろやらされて最後、裸で男子トイレに縛られたまま放置されて、セーヨクショリロシュツドレイニクベンキにさせられて、たくさんの男たちから精液を浴びせられちゃうの」

「ええーっ!?」
私は本気で驚いて、思わず大きな声が出てしまいました。
道行く買い物客おばさま何人かが、声に驚いて私たちのほうを注目しています。
私は、真っ赤になって身を縮こませます。

「ネットの読み物だと、たいていそういう結末」
相原さんは、可笑しそうに手で口を押さえて立ち止まり、真っ赤になった私を見つめました。
「ネットの読み物だと露出癖のある女性は、たいてい、どんなひどい命令をされてもイヤイヤながらも受け入れて、最後には、もっとやってー、ってなっちゃう、男にとってすごく都合のいい女、として描かれてるの。そういうのが男性一般の共通幻想なのかしら?なんだか単純」
再び歩き出しながら、相原さんは、まだ可笑しそうにクスクス笑っています。

「なんだー、ネットでのお話なの?私、現実のことかと思ってびっくりしちゃった・・・」
「ごめんごめん。森下さんて素直でカワイイ」
私は、少し拗ねたフリをして、頬を膨らませて、唇をとんがらかせます。

「でも二年のクラスでなら、森下さんと、あと森下さんたちのグループのちょっと背の小さい子・・・」
「しーちゃん?」
「そう。えーっと・・・藤原しのぶさん、だっけ?」
「そう」
「その二人とは、おしゃべりしてみたかった。わたし、静かめで可愛らしい女の子、大好きなの」
「そんなこと言ったら、相原さんこそ、そうじゃない?」
「・・・だから森下さんと仲のいい川上さんが羨ましかった」
相原さんは、私の言ったことにはコメントせず、お話をつづけます。
「だから川上さんとも、おしゃべりしてみたい気持ちもあった・・・」

「あ、でもわたし、レズとかそういう気は全然ないの。ただ同学年の男子はガキばっかりだし、まわりに心トキメクような大人の男性もいなくて、どっちかって言うとロクでもないのばっかりだから・・・それならカワイイ女の子のほうがいいや、っていう程度で・・・」
そこまで話したとき、私たちがお別れしなければならない交差点に着いてしまいました。

「森下さんは、今日、図書室当番だったんでしょ?」
「うん」
「その当番って、曜日で決まっているの?それとも何日おき、とか?」
「ううん。曜日。私は火曜日の担当」
「それなら、来週の火曜日の放課後に図書室に行けば、また森下さんに会えるの?」
「うん」
「また会いに行って、いい?まだわたしの話も途中だし」
「それはもちろん、いいけど・・・別に図書室じゃなくても、クラスのお教室も近いし、火曜日以外でも会おうと思えば会えるんじゃないかな?」
「ううん。だって森下さん、木曜日はバレエ教室でしょ?それで他の日は川上さんたちの誰かと一緒に帰るじゃない?」
「それはそうだけど・・・」
「わたし、そういう森下さんの日常は、壊したくないの。今のお友達は大事にして。だから、逆に言うと、火曜日の放課後だけ、わたしにくれない?森下さんの時間を。わたしは、それだけでいいから」
「・・・うん。わかった。相原さんがそれでいいなら・・・」
「ありがと。うれしい」

相原さんは、すっごく綺麗な笑顔を私にくれました。
それから、ススっと身を寄せてきて、私の耳に唇を寄せてきます。
「森下さん、今日のパンティはピンク。さっき向かい合って座ってたとき、チラっと見えちゃった。うふっ。カワイかった」
耳元に息を吹きかけられながら、つぶやくような声でそんなことを言われて、私はゾクゾクっと感じてしまい、みるみる顔が熱くなってしまいました。

「それじゃあ、また来週、火曜日の放課後に、ね。バイバーイ」
相原さんは右手を小さく振ってから、ちょうど青信号に変わった横断歩道を駅のほうに小走りに渡って行きました。

一人になって、お家までの帰り道。
私の頭の中は、盛大に混乱していました。
今日見た光景、相原さんの言葉、私の感情、からだに残る感触・・・
それらが私の中に無秩序にとっちらかっていて、どこから整理していいかわかりません。
この感情を大雑把に一言で言い表すなら、
相原さんってスゴイ!
なんですが・・・
とにかくお家に帰って、ごはんとかお風呂を済ませて、ゆっくり落ち着いてから考えることにしよう。
そう決めて、家路を急ぎました。

その日の夜。
お風呂に入って、パジャマに着替えて、あとは寝るだけの午後10時過ぎ。
ベッドの縁に腰掛けて、今日の出来事について考え始めました。

相原さんは、性格にエキセントリックなところが多少あるみたいですが、悪い人ではなさそうです。
気配りもしてくれるし、無理強いもしないし。

相原さんが今日やっていたことは、まさしく私がやってみたいけど怖くて出来ないことでした。
その現場を現実に見て、私がすごく羨ましく思ったことは、事実です。
でも、かと言って、私もやってみよう、とは、やっぱり思えませんでした。
現場を見てしまったからこそ、その怖さも肌でリアルに感じました。
いくら気持ちいいこととは言え、バレたときの両親やお友達への影響は、考えただけで身震いしてしまいます。
やっぱり、妄想の中だけでがまんしておこう。
そう思いました。

私が相原さんの行為を最初に見たときに感じた警戒心は、だいぶ薄れていました。
それどころか、相原さんのからだを見て、たくさんお話して、私の心の中に相原さんに対する好意さえ芽生えていました。
相原さんのからだは、本当にとてもキレイでした。
できることならさわってみたい・・・
でも相原さんは、レズっ気は無い、って言ってたっけ。
ひょっとしたら男性との経験がもうあるのかもしれません。
相原さんは、ネットをやってるからえっちな知識も私より全然詳しいみたいです。

ただ、相原さんがえっちなことをしているとき、ときどき私に投げかける、探るような目付き、が気になりました。
相原さんは、私に対して、同類の匂い、を感じているような気がしました。
でも、私は相原さんほどの勇気は持っていないので、同じフィールドに巻き込まれると私のほうが危ない、と感じました。
やっぱり、私のヘンな性癖に関しては、隠しておいたままのほうがいいかな・・・

あらためて、今日体験した出来事を思い出しているうちに、知らず知らず、私の手が自分のからだをまさぐり始めていました。

相原さんのからだ、キレイだったなあ・・・
相原さんも今日のこと思い出して、今頃オナニーしているんだろうなあ・・・
相原さんはショーツのこと、パンティって呼んでたなあ・・・
パンティって、なんだかすっごくえっちぽい響きだなあ・・・
私は、パジャマをゆっくり脱いでいきます。
私は、相原さんの気持ちになって、今日相原さんがしていたことを自分のからだで追体験することにしました。

図書室で全裸になっているところをみつけられてしまった私・・・
ノーブラ、ノーパンで学校の制服を着て、下校する私・・・
公園の桜の木の陰で下半身を露出して、アソコを自分の指で広げる私・・・
スベリ台の下でおっぱいをはだけて、両膝を180度開いて、さらに自分の手でアソコを広げて見せている私・・・

私は、妄想の会話を頭の中で繰り広げながら、大きな姿見の前で、実際にそういうポーズをとりながら、激しく指を動かしていました。
私が相原さんで、相原さんが私でした。
あれだけ刺激的な光景を見せつけられて、ずっとおあずけをさせられていたからだは、過剰なほど敏感になっていて、少しさわるだけで、ちょっとえっちなことを考えるだけで、気持ちのいい電流がピリピリとからだ中を駆け巡りました。

妄想を始めてすぐ、アソコを少しさわっただけで呆気ないほどカンタンにイってしまった私は、それから一時間近く、妄想の中で、何度も何度も、相原さんと一緒に気持ちの良い波に飲み込まれていきました。


図書室で待ちぼうけ 07

図書室で待ちぼうけ 05

おばさまたちの声が聞こえなくなるまで、私は息を殺してその場に固まっていました。
「ね、ねえ、相原さん?こんなことしてるとこ、誰かに見られちゃったら、きっと大変なことになっちゃうよ・・・」
私は、再び激しくなってきたどきどきに心とからだを翻弄されながら、小さな声で言いました。

「だいじょうぶ。わたし、運はいいほうだから」
相原さんは、全然気にしていない様子で桜の木から背中を離し、パッパッとスカートの裾を払いました。
「それよりも、暗くなってしまわないうちに、もう一回だけつきあって、ね?」
そう言うなり、再び私の手を取り、今度は象さんのスベリ台のほうに連れていかれました。

象さんのスベリ台は、クリーム色で全体に丸まっこいカワイらしい形で、お鼻のところがすべるところ、お尻のほうが階段になっていて、公園の入口のほうにお鼻を向けて建っています。
前肢から胴体を経て後肢までの部分が立体的なアーチ状に開いていて、大人でもからだを小さく屈めればスベリ台の下に潜り込めます。
相原さんに手を引かれ、そこに二人で潜り込みました。

スベリ台の下も全体がクリーム色、直径2メートルに満たないくらいのまあるいスペースになっていて、カーボンが何かで出来ているらしいドーム状の天井は、一番高いところで私たちの背ギリギリくらいの高さ、必然的に屈んだ体勢になっています。
足元にも天井と同じ面積だけ、まあるく赤茶色のレンガが敷き詰められて、すべるほうの側と階段のほうの側の壁から、子供が二人ずつくらい向き合って座れるようにベンチみたいな突起が出ています。
夕方なので、中はけっこう薄暗いですが、なんだか妙に居心地がいい空間です。
小さな子供なら、ちょっとしたカクレガ気分を味わえることでしょう。

「頭をぶつけないように気をつけて」
相原さんは、階段側の、そのベンチのような突起に腰を下ろしました。
「森下さんは、そっちのベンチに座ってて」
そこに座ってしまうと、ちょうどアーチ状になった側面の壁が私たちの姿を隠し、外からは足元くらいしか見えないようです。

相原さんは、いつのまにかブラウスのボタンを全部はずしていました。
ブレザーごとブラウスを左右に開いて、今度はおっぱいを対面に座っている私に見せつけてきます。
「見て。わたしのおっぱい、よーく見て。森下さん」
私の目をまっすぐ見つめながら、自分のおっぱいを左右の手で下から持ち上げています。
乳首がツンって尖っています。
私はまた、魅入られたようにじっと目を凝らしてしまいます。
心臓がどきどきどきどき波打ってきます。

相原さんは、はだけた胸をこちらに突き出したまま、じりじりと両膝を左右に開いていき、両膝がほぼ180度に開いたとき、両手でバサっとスカートをめくり上げました。
「ほら。ここももうこんなになっちゃってる・・・」
つぶやいた後、上にめくり上げたスカートの裾を自分の口にくわえてから、右手を右内腿に、左手を左内腿に置き、パックリと綴目が開いたアソコを更に自分の手で押し広げました。
薄暗がりの中でもヌラヌラぬめっているのがはっきりわかりました。
相原さんは、スカートの裾をくわえたまま、顎を上げて上を向き、何かに耐えるようにギュっと目をつぶっています。

公園の横の道を通ったのでしょう、バイクのエンジンの音が近づいて来たと思ったら遠ざかって行きました。
そう、ここはお外なんです。
誰もがいつでも入って来れる公園なんです。
私は、その音を聞いてビクっとしましたが、相原さんは微動だにしませんでした。

しばらくそうしてから、ふいに相原さんの口からスカートが離れました。
大きく広げられたアソコの上に、スカートが舞い降ります。
相原さんは顎を下げ、赤いハンカチで口元を拭いてから、私にトロンとした色っぽいまなざしを投げかけてきました。

「ねえ、森下さん。こっちに来て」
「となりに座って、わたしのからだ、さわってくれない?」
ビクンとして、私は思わず立ち上がりかけました。
でもすぐに思い直し、また腰を落として、うつむいて力無くイヤイヤをします。

「相原さん・・・もうやめよう・・・私、やっぱりこういうの、怖い・・・」
うつむいたまま小さな声で、やっと言いました。
「誰かに見られたら、大変だもん。相原さんが学校に来れなくなっちゃうよ。だから・・・」
泣きそうな声になっていました。
私は、この状況に心底びびっていました。
でも、乳首とアソコが正直に反応しているのも事実でした。

しばらく無言のときが過ぎました。
やがて、衣擦れのような音が聞こえてきたので、おそるおそる顔を上げてみます。
相原さんがゆっくりとブラウスのボタンを下からはめているところでした。

「森下さん、ごめんなさい。見てくれる人がいるの初めてだから、わたし、コーフンしすぎて、ついつい、調子に乗っちゃった・・・」
相原さんは、ブラウスのボタンを上から二番目まできっちりはめて、ブレザーの前をかき合わせてから私の顔を見て、本当にすまなそうに弱々しく笑いました。
儚げで、なぜだか切ない気持ちになる笑顔でした。
「わたしのこと、イヤになった?」
「ううん」
私は、顔を左右に小さく振った後、相原さんをまっすぐに見つめます。
「ステキだと思う」

「良かった。ありがと」
相原さんの顔がゆっくりと嬉しそうな顔に変わっていきます。
「それじゃあ、今日はもう遅いから、ここから出ましょ」
腰を屈めてスベリ台の下から出て行きます。
私も後を追いました。

「今までにも何回か、同じようなことしてるの。一人で」
再び住宅街の道に出て、並んでゆっくり歩きながら相原さんが話し始めました。
「もちろん、誰にも見つからないように、細心の注意を払ってる、つもり・・・」
「わたしの場合、誰でもいいからわたしの裸見てー、なんて気持ちはまったく無い。そういう露出狂じゃない、つもり」
「学校で言ったみたいに、誰かに見られちゃうかもしれない、っていうスリルが好きなの」
「でもやっぱり今日みたいに、見られてる、ってわかってると、コーフンの度合いが全然違うんだ、ね」

「だけど本当に、たとえば先生や他の生徒に目撃されちゃったら、学校でもウワサになっちゃうし、すっごくマズイことになっちゃうんじゃない?相原さんが・・・」
私は、真剣に心配して相原さんに問いかけます。
「うん。それはそうだと思うんだけど・・・わたし、あんまり深刻にそういう心配は、してなかった、かな?」
「わたし、結局、中学の二年間で友達、作らなかったから・・・」
「ううん。それは卑怯な言い方・・・友達、出来なかったから・・・」
「小学生の頃は、これでも人並みくらいには、お友達いたんだけどなあ」
相原さんが珍しく寂しそうな声で言います。
私は、何て言ったらいいかわからなくて、黙っていました。

「中一の最初の頃にね、同じクラスの男子と女子数人で、わたしの陰口してるの、偶然聞いちゃったことがあったんだ」
「あの相原って女子は、いつもなんだか人を小馬鹿にしたような顔してて、ツンとすましててナマイキだ、って」
「そんなこと言われてもさあ・・・わたしは生まれてからずっと、こんな顔なんだし・・・」
「でも、確かに気持ち的にそういう傾向があるのも本当。ガキっぽくてバカな男子とか、本当うんざりしてたもん。心の中で」
「そういうのが知らず知らず、顔に出ちゃってるんだろうなあ、って」
相原さんがクスっと笑います。

「私は、そんなこと無いと思う。相原さんの顔、すっごく綺麗だと思う」
私は、本心からそう思っています。
「うふっ。ありがと。森下さんがそう言ってくれるなら、わたし、他にはもう友達なんかいらない」
相原さんは冗談めかして、私に抱きついてきました。
ノーブラの胸の柔らかい感触が、私の二の腕に押し付けられます。
私は、うっとりしてしまいます。

いつも間にか、商店街の入口まで来ていました。
すれちがった買い物客らしいおばさまが、びっくりした顔で私たちのほうを振り返りました。


図書室で待ちぼうけ 06

2010年12月4日

図書室で待ちぼうけ 04

「それがすごくコーフン出来たんで、気に入っちゃって、それから、当てられそうな科目に絞って、ちょくちょくノーパン授業、受けてたの」
「でもどんどん寒くなる季節だったから・・・うちの学校の教室って、冬場は足元からけっこう冷えるじゃない?」
「下着一枚、着けていないだけでも、かなり違うの、寒さが・・・」
「だから、最初のコーフンが薄れてきちゃうと、だんだんやらなくなっちゃった」
「暖かくなるまで大人しくしてよう、って」
相原さんが小さく笑いました。

「三学期になって、ようやく暖かくなってきた頃に、新しいアソビを試してみたの・・・」
「寒い間に、いろいろ考えてて思いついたことなんだけど」
そこで相原さんは言葉を切り、ブラウスの布をコソっと押し上げている右の乳首のあたりに手をあてて、二度、三度、軽く撫ぜました。
目だけは、まっすぐ私を見ています。

「でも、誤解しないで。わたし、いっつもそんなえっちなことばっかり考えて発情してるわけじゃない」
相原さんは、顔を少し上げて目線を窓の外に移しました。
その物思いにふけるような気だるい表情は、大人っぽくてアンニュイな感じで、とっても綺麗です。
「なんだか無性に恥ずかしいことや、えっちなこと、したくなるサイクルがあるみたいなの、わたしって」
「生理の前後とか、性欲が強まる、ってよく言われるけど、わたしのはそれとは関係ないみたい。ある日突然、発情するの」
「一週間で終わるときもあるし、三週間くらいずっとつづいてることもある」
「と思うと、一ヶ月くらい、全然そんな気分にならないこともあるし・・・」

「もちろん、今のわたしは、その発情期の真っ只中!」
相原さんは、おどけるみたいな声でそう言うと、視線を私に戻し、またニコっと笑いました。

「それで、春先に思いついた新しいアソビっていうのは・・・」
「女子トイレの中で、」
相原さんがそこまで言ったとき、突然、教室内にチャイムの音が大きく響き渡りました。
しーんとした教室で、相原さんがお話してくれる静かな声に集中していた私は、その大きな音に驚いて盛大にビクっとしてしまいます。
「あ、もうそんな時間なんだ。最終下校時刻の予鈴。わたしたちもそろそろ引き上げたほうが良さそう」
「このあと、わりとすぐ、見回りの先生が来るから・・・」

「森下さんの家、確か市民プールのほうだったよね?」
「うん」
「わたしは駅のほうだから、商店街までは、一緒に帰れる、ね?」
相原さんと私は、それぞれ自分のスクールバッグを掴んで、肩を並べて三年一組の教室を出ました。

校庭を横切って学校の正門を出るまで、二人とも無言でした。
夕方の空は、まだ夕焼けが残っていて、ときたま気持ちのいい風が私たちの髪を少しだけ揺らします。
相原さんは、私のちょっと前を、何かを考え込むように少しうつむきながら、若干足早気味に歩いています。
私は、その背中を見ながら、ほんの一時間くらい前からの出来事を順番に思い出していました。

「森下さんは、よく本を読んでいるけど、最近は何読んだ?」
相原さんが歩調を緩めて私に並び、話しかけてきました。
住宅街に入ったところです。
ときたま買い物帰りらしきおばさまとすれ違う以外、ほとんど人は歩いていなくて、自動車が一台だけ、狭い道路を徐行しながら私たちを追い越していきました。
「うーんと、最近は・・・」
私は、今読みかけのミステリーの題名を告げて、それからしばらく読書談義になりました。

住宅街の真ん中あたり、路地を少し入ったところの一角に小さな公園があります。
象さんの形をした小さなスベリ台と木の3人掛け程度なベンチが二つしか置いてない小さな公園で、太くて大きな桜の木が一本、公園の端っこに生えていて、その他に、公園を囲む垣根のように、私には名前がわからない高さ二メートルくらいの樹木がまばらに植えてあります。
愛ちゃんたちと一緒に帰るときは、たまにここで、自販機で買ったジュースを飲みながらおしゃべりしていくこともあります。
「森下さん。ちょっと公園に寄ろう」
相原さんが突然、私の手を取って、公園へ向かう路地のほうに引っ張りました。

公園には誰もいませんでした。
相原さんは、私の手を握ったまま公園の中にズンズン入っていきます。
ベンチにでも座るのかなあ・・・
なんて思っていると、ベンチを通り越して、端っこの桜の木のところまで歩いて行きました。
桜の木は、もうとっくに花の季節は終わり、今はキレイな緑色の葉っぱばかりが、たくさんの枝から私たちの頭上を覆っています。
その下だけ、ちょっと薄暗い感じです。
相原さんは、そこで私の手を離し、公園の入口から死角になる、桜の木の裏側に回り込みました。

「森下さんもこっちに来て」
「そこに立ってくれる?」
バッグを自分の足元に置いて、桜の木に背中を預けて立っている相原さんの50センチくらい前の地面を指さします。
私は、言われた通り、相原さんの正面に立ちました。

「森下さん。見てて」
相原さんは、右手を自分のスカートの裾にそろそろと伸ばし、やがて裾を掴むと、またそろそろとスカートをまくり上げていきます。
相原さんの頬がみるみるうちに薄いピンクに染まっていきます。
うつむきがちの上目遣いで私をジーっと見つめながら、右腕だけが徐々に上がっていきます。

「えっ!?あ、相原さ・・・」
「ちょ、ちょっと・・・」
私は、思わず大きな声を出しそうになって、あわてて声をひそめ、まわりをキョロキョロしてしまいます。
さっき見た通り、公園には誰もいません。
視線を戻すと、相原さんの右腕は、自分の胸のところまで上がって止まっていました。
さっきまでスカートに覆われていた相原さんの下半身が剥き出しになって、私の視線の下のほうにありました。
ショーツを着けていない丸出しの白い下半身。
図書室で見たのと同じ、狭い陰毛に飾られたアソコ。
私の胸がどきどき騒ぎ始めます。
視線が下がると同時に、知らず知らずのうちに中腰になっていました。
目を逸らさなくちゃとも思うのですが、どうしても吸い寄せられるように、釘付けになってしまいます。

やがて、私の視界に相原さんの左手がそろそろと降りてきました。
手の甲をこちらに向けて、人差し指と中指を揃えて、あとの指は折り曲げていて、ジャンケンのチョキが閉じているような形です。
その指は、相原さんのアソコの上で止まり、ゆっくりとアソコに押し付けられた後、上半身を軽くのけぞらせる感じで腰全体がグイっと前に突き出されて、閉じていた指と指の間がだんだんと開かれ、本当のチョキの形になっていきました。
「森下さん、わたしの、わたしの中まで、見て・・・奥の、奥まで・・・見て」

指と指の間から、人間の粘膜質な部位特有のピンク色が覗いています。
全体に濡れそぼっていて、ヌラヌラ光っています。
今にも蜜が滴り落ちそうです。
指と指の付け根の真下に、少し皮をかぶりながらも充血してテラテラ光っている小さなお豆も見えます。
私は、瞬きもせず食い入るように見つめてしまいます。
「う、ふうんっ・・・」
相原さんが聞き逃してしまいそうなほど小さな声で、一声啼きました。

見ている前で、そのピンク色の粘膜部分から雫が一滴、ツーっと短い糸を引いてポタリと地面に落ちました。
私は、ハっと我に返って、あわてて腰を伸ばし、目線を相原さんの顔まで上げました。
相原さんは、唇を半開きにしてギューっと目をつぶり、薄っすらと汗ばんでバラ色に染まった顔全体を少し上に上げて、切なそうに眉根にシワを寄せた、見るからにえっちな、悩ましげな顔をしていました。
スカートの裾をつまんだまま胸の真ん中に押し当てている右手には、すごく力が入っているみたいで、つまんでいる指先の血の気が失せて白っぽくなっていました。

ふいに、遠くのほうで女性の話し声みたいなのが聞こえた気がしました。
途端に相原さんの右手指先が緩み、スカートの布がパサっと戻って、相原さんのアソコを隠しました。
同時に左手がブレザーの左ポケットに突っ込まれ、すぐに赤いハンカチを握って外に出てきて、その手で相原さんは自分の額のあたりを軽く拭きました。

話し声がどんどんこっちに近づいてきます。
相原さんは、何もなかったようにゆったりと木にもたれて、私を見てニッコリ笑います。
二人の年配なおばさまがにぎやかにお話をしながら、公園の前の道を通り過ぎ、やがて遠ざかっていきました。


図書室で待ちぼうけ 05

2010年11月28日

図書室で待ちぼうけ 03

図書室に戻って自分のバッグを手に持ち、もう一度戸締りを点検してから廊下に出ます。
図書室のドアに鍵をかけて、階段を一段飛ばしで一階まで駆け下りました、
その間、私の心臓は、ずーっとどきどきしっぱなし。
さっき見た光景が現実にあったこととは、どうしても信じられません。

廊下を走るな!のポスターを横目で見ながら、早足で歩いて職員室のドアの前までたどりつきました。
ドアの前で立ち止まると、ハアハア盛大に息が切れています。
落ち着かなくちゃ・・・
大きく深呼吸して呼吸を整えてから、ノックして、
「失礼しまーす」
大きな声で言いながら、職員室に入りました。

職員室には、先生方が数人いました。
どの先生も目礼だけで、私に声をかけてくる先生はいません。
鍵を所定の場所に吊るして少しホっとしてると、
「ご苦労さま」
音楽の若い女性の先生が声をかけてくれました。
私は、その先生に会釈してから入ってきたドアのほうへ向かい、
「失礼しましたー」
また、大きな声で言って廊下に出ます。

このままお家に帰っちゃおうか・・・
さっき見た光景は、私には刺激が強すぎました。
まさか私が普段妄想していることを現実にやっている人がいるなんて・・・
でも、だからこそ、一方では、相原さんとお話してみたくてたまりませんでした。
聞いてみたいことがたくさんありました。
私には絶対できないことをしている相原さんに。

しばらく職員室の前で迷っていましたが、結局、好奇心が勝ちました。
ただ、私にもそういう願望があることは、極力悟られないようにしようと思いました。
一緒にやろうなんて言われたら、私の身が破滅してしまいます。
さっきの感じだと相原さんは、私に好意を持ってくれているみたいです。
でも、私の隠している性癖を教えてもだいじょうぶなのかどうか、判断できるほど相原さんのことを知りません。
て言うより、ほとんど何も知りません。
とりあえずお友達として、お話を聞いてみよう。
それから判断しよう。
そう決めました。

ゆっくりと階段を上がって3階に戻りました。
三年一組の教室は、電気が消えたままでした。
相原さん、いるのかな?
どきどきしながら一組の教室のドアを開けました。

相原さんは、自分の席、窓際の後ろから3番目の席に座って頬杖をついていました。
私がドアを開ける音を聞いて、顔だけこちらに向けてニッコリ笑い、
「おかえりなさーい」
明るい声で言いました。
制服をブレザーまで、ちゃんと着ています。
私が閉めたカーテンも再び開けられて、窓から夕焼けが射し込んでいます。

「そこに座って」
相原さんの前の席の椅子を指さします。
私は、おずおずとその席まで行き、自分のバッグを机の上に置いてから、黒板のほうを向いている椅子に横座りに腰を下ろして、顔を相原さんのほうに向けました。

「ごめんね。びっくりさせちゃって」
相原さんは、なぜだか嬉しそうな笑みを浮かべて私を見つめます。
「誰にも言わないで、ね?」
私の顔を覗き込むように顔を近づけてきます。
「うん・・・」
私は、気恥ずかしい気持ちになってしまい、うつむきながら、なんとなくチラっと自分のしている腕時計に目をやりました。
5時5分過ぎ。
うちの学校の最終下校時刻は、この時期だと部活参加者なら5時45分、それ以外の生徒はもうとっくに帰っていなければなりません。
「だいじょうぶ。この時間帯は教室の電気さえ点けてなければ、絶対見回りとか来ないから。下校時刻まで。わたしもずいぶんそういうこと、詳しくなっちゃった」

相原さんは、可笑しそうに笑って頬杖を解いてから、両手を組んで上に挙げて、うーんっ、て背伸びしました。
相原さんの胸が私のほうに突き出されます。
ボタンをしていないブレザーの前が割れて、ブラウスの胸が私の目の前に迫ります。
ブラウスは、上から三つ目までボタンをはずしていて、ブラウスの布に突起が二つあります。
ブラジャー着けずに、素肌にじかにブラウス着ているようです。

「うふふ。気がついた?わたし、こういうことするの、好きなの」
相原さんは、私の反応を試すみたいなイタズラっ子の目つきで私を見つめます。
「森下さん、何から聞きたい?」

私には、聞いてみたいことが山ほどありました。
でも、そういうことにまったく興味のないフリをしていないと、感づかれてしまう恐れがあります。
ああいう現場を見て、普通に思うありふれた感想、って何だろう?
あれこれ考えて、出てきた言葉は、
「えっと、どうして学校で、裸になったりするの?」
バカみたいな質問でした。

「どうしてかなあ・・・うーんと・・・スリル・・・かな?」
「わたし、小さい頃から、自分が恥ずかしいめにあうのが、なんでだか、好きだったの。ヘンでしょ?」
相原さんは、落ち着いた声で話し始めました。

相原さんも、お医者さんごっこで患者さん役になるのや、小学校で男子からスカートめくりの標的にされることが、口ではイヤイヤって言ってたけれど、内心、すごくワクワクしていたそうです。
「もっとやってー、て感じで、ね?」
笑いながらも私の反応を確かめるみたいに、私に目を合わせてきます。

「それで、中学二年になったとき、パソコンを買ってもらったの」
突然お話が飛びました。
「そうすると、やっぱりえっちなこととかも調べたくなるじゃない?」
「私、パソコン、持ってないから・・・」
「そうなんだ。インターネットってスゴイよ。調べたら、だいたいのことは教えてくれる。いいことも悪いことも」

私の知ってる限りでは、普段無口でクールな印象だった相原さんが、雄弁に語り始めました。

「それで、野外露出プレイ、っていうのを知ったの」
「女の人が、ありえない場所で胸やお尻やアソコを出したり、裸になってるの。公園とかコンビニとか遊園地とか、もちろん学校でとか」
「ノーパンにミニスカートでコンビニ行って、わざと低いところにある商品を取るとか、観覧車に乗って上のほうに行ったとき胸出すとか、そういう写真がいっぱい載ってるの、インターネットに」
「でも、そういうのにも種類がいろいろあって、外国の人なんかだと、ワタシノカラダキレイデショ?みたいな感じで、堂々と人がいっぱいいる表通りとかをオールヌードで歩いてたりするの。まわりの男の人たちがニヤニヤ喜んじゃって」
「わたし、そういうのはなぜだかあんまり好きじゃない。わたしが好きなのは・・・」
「わたしが好きなのは、やっぱり、見られちゃうかもしれない、って恥ずかしさにドキドキしてる感じのやつ。あと、やりたくないのに脅されているかなんかで無理にやらされてるようなの」
「もちろん男の人にもそういう趣味の人がいて、男の人がやると、夜道で知らない女性や子供に向けてズボンのチャック下げて、自分のモノ見せる、とか、そういうの。変質者。こっちはわたしも見たくない」
相原さんがクスクス笑いました。

そう言えば、春先に近所の小学校周辺にそういう人が現れて、ちょっとした騒ぎになってたなあ・・・
なんて考えつつ、うつむきがちに相原さんのお話のつづきをワクワクしながら待っていたら、相原さんに左肩をポンと叩かれました。

「ごめん。森下さん?こういうえっちぽい話は好きじゃない?苦手?」
「えっ!?うーんと、苦手ってわけじゃないけど・・・私、そういうの、全然よく知らないから・・・」

私は、大嘘つきです。

「つづけていい?」
私は、コクンとうなずきます。

「写真ばっかりじゃなくて、そういうことを実際やってみた、っていう女性からの告白文みたいのや、そういうのを題材にした小説みたいなのも探すとたくさん出てくるの」
「そういうのを読むと、そういうこと考えてるのは、わたしだけじゃないんだなー、って思えてドキドキしちゃって。わたしも恥ずかしいことしてみたい、ってたまらなくなったの」

「最初は、学校でノーパンになってみた。忘れもしない去年の12月1日」
去年って言ったら、私とまだクラスメイトの頃です。
「午前中は、ドキドキしてなかなか決行できなかったのだけれど、昨夜決めたでしょ?って自分に言い聞かせて、お昼休み中に女子トイレでパンティ脱いで、スカートのポケットに入れて、そのまま5時限目の授業を受けたの。佐々木の英語」
「そのとき、ちょうどわたし、当てられてしまって、立って教科書読まされたの。すっごくドキドキした。バレちゃったらどうしよう、って。普通にしてればわかるはずないんだけど。声も上ずっちゃって」
「わたし、あの頃、クラスの真ん中辺りの席だったじゃない?後ろが誰だったか忘れちゃったけど、今スカートめくられたらすっごい恥ずかしい思いをすることになるんだあ、なんて考えて」
「森下さんは、確かわたしの右隣だった、よね?わたしの声がちょっと震えてたの、気がつかなかった?」
私は、顔を左右に振ります。
そんなこと全然気がつきませんでした。

でも、そう告白されると、なんだか私もどきどきしてきます。
そのとき、私の横でノーパンの相原さんが恥ずかしさに震えながら英語の教科書を読まされていた・・・
相原さんは、また私の反応を確かめるみたいに、しばらく私の目を見つめていました。


図書室で待ちぼうけ 04

2010年11月27日

図書室で待ちぼうけ 02

「あ、あなた・・・!?」
その顔には、見覚えがありました。
二年生のときに同じクラスだった相原さんです。

相原さんは、私がいつも一緒にいた愛ちゃんたちのグループとは、ほとんど接点が無かったので、たまに近くの席になったときにお勉強のお話をするくらいで、親しくお話したことはありませんでした。
お勉強は出来るほうでしたが、シャイな性格みたいで、休み時間になるといつもフラっとどこかに一人で出かけてしまう、無口で、目立たない女の子でした。
でも、眉毛のちょっと上で直線に切り揃えた前髪と襟足が長めのボブカットが特徴的で、目鼻立ちも品良く整った、エキゾチックな感じのキレイなお顔の女の子なんです。

「相原さん!?」
「なんで、どうしてあなたがここで、そんな格好してるの?」
「ねえ、あなた、服はどうしたの?」
「ひょっとして、誰かにイジメ・・・」
私がそこまで矢継ぎ早にまくしたてたとき、相原さんがポツンと小さな声でつぶやきました。
「よかった・・・」
「えっ?なに?」
「見られたのが森下さんで、よかった」
「えっ?どういう意味?」
「見られたのが森下さん、あなたで本当によかった」
相原さんは、今度ははっきりした口調でそう言って、唇の両端を少しだけ上げて、薄く微笑みました。
その目は、まっすぐ私を見ています。
ゾクっとするほど綺麗な笑顔でした。

「わたしね、自分の裸を森下さんに見てもらいたいと思ってたの」
「えっ?なんで私に・・・」
私は、頭が混乱し過ぎて、相原さんの言っている言葉の意味はわかるのですが、それがどういうことなのか全然わかりません。

「そ、そんなことより、早く服着たほうがいいよ。あっ、ごめん。明るくて恥ずかしいよね。私、電気消してくるっ」
自分でも何を言っているのか理解できないまま、私がドアのほうへ戻ろうとすると、相原さんの手が私の手首をぐっ、と掴みました。
「いいの」
相原さんは、掴んだ私の手首を軽くひいて、自分のほうへ引き寄せました。
「だから、ね、森下さん。わたしのからだをよーく見て・・・」
そう言うと、私を掴んでいた右手を離し、内腿の間を隠していた左手も背中に回して、休め、のような姿勢で私の前にまっすぐ立ちました。
「見て」

綺麗なからだでした。
小ぶりながら張りのある、まだまだ成長しそうな形の良いバスト。
ツンと上を向いている、小さくてかわいらしいピンク色の乳首。
腰にかけてなだらかなS字にカーブを描く細いウエスト。
陶磁器のように真っ白で平らなお腹。
小さな子が拗ねたときの口みたいな、へ、の字を縦にしたようなちっちゃなおヘソ。
こんもりとした土手を薄っすらと狭く覆う、直毛な陰毛。
膝の上まで隠している黒いニーソックスも妙に艶かしくて・・・

「どう?」
相原さんの裸の美しさに見蕩れていた私は、思わず、
「すごくキレイ・・・」
正直に答えていました。
「そう?うれしい・・・」

しばらく見蕩れていた私は、ああ、さわってみたいなあ、と思い、無意識に相原さんのバストに手を伸ばしかけていました。
そこで、ハッと我に返り、伸ばしかけた手を慌ててひっこめ、ごまかすように口を開きます。
「と、とにかく、早く服を着たほうがいいから。相原さん、あなた、服は?」
「教室。わたしのバッグの中」
「なんでそんなとこにあるの?」
「わたしが教室で自分で脱いで、それから裸で廊下に出て、ここに来たの」
「そ、そうなの?でも、でもとにかく、早く服を着たほうがいい。こんなとこ誰かに見られたら大変」
相原さんは、黙って薄い微笑を浮かべたまま立っています。

「私が取ってきてあげる。相原さん一組だったよね。席はどこ?」
「窓際の後ろから3番目」
「わかった。相原さんはここで隠れていて。待っててね」
相原さんは、黙ったままコクンと頷きました。

私は小走りに図書室のドアへ向かい、電気のスイッチを切ってから、廊下へ飛び出しました。
一組の教室は、図書室から階段のスペースを隔てたお隣です。
廊下には誰もいません。
私は、そのまま三年一組の教室のドアのところまで走って行き、一応、
「失礼しまーす」
と大きな声で行ってから、横開きのドアをガラガラっと開けました。
教室にも誰もいません。
整然と並んでいる机のうち、一つだけ上にスクールバッグが置いてある机がありました。
言われた通り、窓際の後ろから3番目の机でした。
ファスナーが開いていて、制服のブラウスらしき白い布が覗いています。

そのバッグを手に持って、急いでまた廊下に出ました。
図書室のほうに目をやると、相原さんが裸のまま、胸と下半身に手をあてて隠すように前屈みになりながら、図書室のドアから出て来るのが見えました。
「相原さんっ!」
思わず大きな声が出てしまいます。

私の声に気がついた相原さんは、ドアの前で立ち止まり、あたりをキョロキョロした後、私を見ながら胸と下半身を隠していた両手をはずして、まっすぐに立ちました。
それから、顔に小さく笑みを浮かべて、ゆっくりとモデルさんみたいな歩き方で私のほうに歩いてきます。
でもやっぱり恥ずかしいのでしょう、頬が上気してほんのりピンク色に染まっています。

見慣れた学校の廊下、蛍光灯の灯りを浴びて恥じらいながら、こちらに歩いて来る白い裸身の綺麗な少女。
その光景は、なんだかシュールで、現実ではないような気がして、そして、すごくエロティックでした。
私の胸が激しくどきどき高鳴ってきます。

近づいてくる相原さんに気圧されるように、私もゆっくりと後ずさりしながら、三年一組のドアの前まで戻りました。
目だけは、相原さんの姿に釘付けです。
相原さんがあと2メートルくらいの距離まで近づいたとき、私は、後ろ手で教室のドアをガラガラと開け、からだを教室の中に入れました。
相原さんも当然のように入ってきます。
私は、後ずさりのまま、さっきバッグを見つけた相原さんの席のところまで後退します。
相原さんは、私の正面一メートルくらい手前で、立ち止まりました。
相変わらず頬を染めたまま、薄く微笑んでいます。

「あ、相原さん、あなた出てきちゃったの?」
喉がカラカラに渇いてしまっていて、声が掠れてしまいます。
「うん。廊下にも誰もいないみたいだったから」
「じゃ、じゃあ、ここで早く服着たほうがいいよ。誰かに見られたら大変だよ」
私は、手に持っていた相原さんのバッグを相原さんの前の机の上に置きました。

「わ、私は、図書室閉めて、鍵、職員室に返してこなきゃならないから・・・」
この場をどうすればいいのか、わからなくなってしまった私は、とりあえずこの場から逃げ出すことにしました。
相原さんの横をすり抜けて教室を出ようとすると、相原さんの右腕がススッと動き、私の右手首が強い力で掴まれました。

「ねえ、森下さん?」
「は、はいっ!」
私は、急に掴まれた右手首の感触にびっくりして大きな声で返事してしまいます。
「用事が終わったら、またこの教室に戻ってきて・・・」
「・・・」
「わたし、森下さんとお話がしたい。なんでこんなことやってるのかも教えてあげるから・・・」
「・・・うん・・・」
「戻ってきてくれる?」
相原さんが私をじーっと見つめながら、かすかに首をかしげます。
すごく綺麗です。
そしてなんだか可愛い・・・
「う、うん。戻ってくるから、だからちゃんとお洋服、着ておいてね」

私はどぎまぎしながらも、相原さんの顔をまっすぐに見つめました。
いつの間にか、二人の位置が逆転していて、相原さんは、教室の窓に背中を向けていました。
低くなったお日様の淡い光が窓から差し込んで、相原さんを背中から照らしています。
相原さんの裸身を背後から金色に輝かせていて、すっごく綺麗です。
私はあらためて、相原さんのからだを上から下まで、舐めるように見蕩れてしまいました。

相原さんの両脚が一つになる付け根付近、薄い陰毛が僅かに隠している付け根の交わる頂点に、今にも滴りそうになっている小さな水滴が一粒、夕日を後ろから受けてキラキラ光りながらぶら下がっているのに気づきました。

私は、それを見た途端、カーっと全身が熱くなって、顔が見る見る赤くなっていくのがわかりました。
相原さん、感じているんだ・・・

私は、急いで窓辺に駆け寄り、相原さんが立っているところまでカーテンをザザーっとひきました。
いくら3階とは言え、学校の窓から裸の女の子の背中が見えたらマズイと思ったんです。
「じゃ、じゃあ私、職員室行って戻ってくるから、早く服着て、待っててね」
私は、相原さんを見ずに早口でそう言って、また廊下に飛び出しました。


図書室で待ちぼうけ 03

図書室で待ちぼうけ 01

私は、中学生の三年間、ずーっと図書委員をやっていました。
中学入学と同時に他県から引越してきたため、知っている同級生が一人もいなかった一年生のとき、おそらく小学校からの引継ぎ書類に、読書好き、って書かれていたためだと思いますが、そのときの担任の先生に推薦で任命されてから、三年生まで、一期も欠かさず図書委員でした。

三年生になってクラス替えになっても、愛ちゃんたちのグループ5人とまた一緒のクラスになれました。
そしてクラス委員決めのホームルームのとき、あべちんの推薦で私はまた、図書委員を務めることになりました。

ずっと同じ委員をやっていれば、お仕事は全部わかっています。
新しい本の購入を検討したり、読書新聞を作ったりというお仕事もありましたが、メインになるお仕事は、お昼休みと放課後の図書室の管理、貸出しや返却の処理とか蔵書の整理、本棚の整頓とかでした。
三年生になって、私は火曜日の図書室当番担当になりました。
一年生か二年生の委員が一人、補佐について、図書室の受付のカウンターで、利用する生徒のお世話をします。

私が通っていた中学校の図書室は、けっこう広めで、普通の教室の2倍くらいの広さでしょうか。
3階建て校舎の3階の西の突き当たりにありました。
入口を入ってスグのところに、貸し出しや返却受付用の机が置かれたカウンターのようなスペースがあり、私たち図書委員は、そのカウンターの中で作業をします。
カウンター側以外の壁際全面にぎっしり書庫が並べられていて、ドア側手前のスペース、全体の半分くらいの広さ、が図書閲覧用のスペースになっています。
4人掛けの机と椅子が8組置かれて、利用者は、そこで本を読んだり勉強することができます。
お部屋の奥の残ったスペースには、たくさんの本棚が見やすいようにジャンル分けされて整然と並べられていました。

具体的なお仕事の手順を一応説明しておきます。
たとえばお昼休み。
うちの学校のお昼休みは、お昼の12時半から1時半まででした。
そのうち12時半から1時まではお弁当の時間。
図書室を利用出来るのは、1時5分から1時25分までの20分間。
その日の図書室当番の人は、1時5分に間に合うように職員室から鍵を借りてきて図書室のドアを開けて、5時限目の授業に間に合うように図書室を閉めて、鍵を職員室に戻しておかなければなりません。
放課後だと、利用時間は午後の3時半から4時半までの一時間になります。

図書室にいる間は、本の貸出しや返却の処理、返却の遅れている人をリストアップして校内放送で流してもらうリストを作ったり、本棚の整理整頓や騒がしくしてる人への注意などをします。

試験前なら、けっこうそれなりに利用者がいましたが、普段の日は、昼休みなら本を読みに来る人より寝に来る人のほうが多い感じで、日に10人そこそこくらい。
放課後でも15~30人くらい。
ややこしいことを言ってきたり、騒ぐ利用者もまったくいなくて、私は、図書室にいるときは、いつも比較的まったりできました。

読書好きな私ですから、初めて図書委員になった頃は、当番の日でなくてもヒマをみつけては図書室に来て、面白そうな本を片っ端から読んでいました。
でも、さすがに2年以上も同じ図書室にいると、年に二回入ってくる新入荷の本以外、読みたい本も無くなってしまい、二年生の後半頃からは、当番の日には私物の文庫本を持ち込んで、貸し出し受付の机に広げて利用者を待ちながら、ゆっくり読んでいました。

三年生になって最初の中間試験も終わり、のんびりムードの漂う5月下旬の火曜日放課後。
その日はほとんど利用者がいなかったので、下級生の図書委員には先に帰ってもらって、まったり一人、文庫本を読んでいました。
ふと顔を上げて壁の時計を見ると4時15分。
図書室内に利用者は一人もいません。

あと15分か・・・
さっきからちょっとオシッコがしたくなっていました。
利用者が誰もいないから、ちょっとトイレ、行ってきちゃおうかな。
女子トイレは、図書室の入口のドアの向かいにあります。
だいじょうぶだよね、2、3分だし・・・
私は、読んでいた文庫本を閉じて貸し出し受付の机の中に入れ、小走りに図書室の入口の横開きのドアを開いて廊下に出て、女子トイレに飛び込みました。

トイレから戻ると4時20分ちょっと過ぎ。
今日はもういいか・・・
私は、図書室を閉める準備にとりかかりました。
閲覧スペースのほうにだけある窓のカーテンを全部閉じて、椅子や机の乱れを直します。
落ちているゴミや誰かの忘れ物がないか、一通り机の中や床を見てから、鍵と自分のバッグを両手に持ちました。
入口のドアの脇にある電気の集中スイッチをパチンと押すと、蛍光灯が全部消えて、図書室内は夕方の薄闇に沈みます。
そう言えば、窓際の左側の蛍光灯が切れてたな、先生に言わなくちゃ。
そんなことを思いながら、入口のドアを開けて廊下に出ます。

ドアの鍵をかけようとしたとき、貸し出し受付の机の中に、自分の文庫本を忘れてきたことに気がつきました。
もう少しで読み終わるから、家に帰って読んじゃいたいな・・・
もう一度ドアを開けて、電気は点けずに、受付のカウンター内に入りました。

本をバッグの袖ポケットにしまい、バッグに手をかけようとしたとき、
カタンっ・・・
ずっと奥の本棚のほうで何か物音がしました。
私は、ビクっとして、物音がしたほうに目をこらします。
「誰かいるんですかあ?」
大きな声で呼びかけて、しばらく様子をうかがいます。
返事はありません。

ネズミでもいるのかしら?
まさか、オバケとか・・・?

ちょっと怖かったのですが、好奇心のほうが勝って、物音のしたほうへ行ってみようと思いました。
念のため、ドアのところに戻り電気を点けました。
蛍光灯が灯り、室内が再び明るくなります。
入口の脇にある掃除用具入れを開き、床拭きモップを片手に持って、そーっと音がしたほうに近づきます。
「誰かいるんですかあ?」
「もう図書室は終わりですよおー」
問いかけながら、一番奥の本棚に近づくと、左側の本棚の陰に隠れるように誰かいるようです。
「もう鍵をかけるので、退室してくれますかあ?」
人間らしいとわかり、ちょっと安心して、本棚の陰を覗き込みました。

「キャッ!」
声をあげたのは私です。
持っていたモップを思わず取り落として、カターンという乾いた音が図書室に響きます。
そこには、誰か、たぶん裸の人が、白くてまあるいお尻をこちらに向けて、しゃがみ込んでいました。

顔は、うつむいて膝にうずめていてわかりません。
からだのまろやかさや肩までのキレイな髪を見ると、女の子のようです。
「えっ?あれ、あの、あなた、なにしてるん・・・?」
私は、すっかりうろたえてます。
「あなた誰?なんでそんな・・・」
その人は、しばらくうずくまったままでしたが、やがてゆっくりと背中を向けたまま立ち上がりました。
上履きと黒のニーソックスだけを身に着けて、あとは裸でした。
背はそんなに高くなく、華奢と言っていいからだつきですが、細いウエストから柔らかいカーブを作って広がっていくお尻の丸みがすごくセクシーです。
そしてその人は、右腕で胸、左手で内腿の間を隠したまま、ゆっくりと振り向きました。

「あ、あなた・・・!?」


図書室で待ちぼうけ 02

2010年11月21日

トラウマと私 25

居酒屋さんを出て、反対側の駅前ロータリーまで、やよい先生とゆっくり歩いていきました。
私は、やよい先生と手をつなぎたかったのですが、万が一、知っている人に見られたらメンドクサイことになっちゃうのでがまんしました。
その代わり、やよい先生に寄り添うように、ピッタリとからだの側面をくっつけて歩きました。
やよい先生のからだのぬくもりを感じながら。

「先生、ごちそうさまでした。今日は本当にありがとうございました」
「ううん。あたしも楽しかったから、いいのよ。なおちゃんのヒミツもバッチリ知っちゃったしね。お料理は美味しかった?」
「はい。すっごく美味しかったです」
そんなことを話しながら、ロータリーに到着しました。
私は、まわりをキョロキョロして小さめな白い車を探します。
ライオンのマークが付いた白い車・・・
「まだ母は着いてないみたいですねえ?」
やよい先生にそう言ったとき、駐車していたバスの陰からスルスルっと、母の白い車が近づいてきました。

「百合草先生。今日はうちの娘が、本当にお世話をおかけしてしまって・・・」
言いながら、母が運転席から降りてきました。
母は、白くて襟がヒラヒラしたブラウスの上に、ネイビーの薄手な秋物ジャケットを着て、下はジーンズでした。
大きな紙袋を手に持っています。
「森下さんのお母さま。ご無沙汰しています。あたしこそ、娘さんを遅くまでひき止めてしまって、申し訳ございません」
やよい先生がペコリとお辞儀します。
「いえ、いえ、いつもいつも直子がお世話になって・・・」
言いながら母が大きな紙袋をやよい先生に差し出しました。
「百合草先生が甘党か辛党か存じ上げないので、両方持ってきました。直子がお世話になったお礼です。シュークリームとワインなんですけど・・・」
「あら、あらためて考えるとちょっとヘンな組合せだったわね」
母が一人でボケて、ツッコンで、あははと笑っています。
「お帰りのとき、お荷物になっちゃって、ごめんなさいね」
「いえいえ、かえってお気を使わせてしまって、では、遠慮なくちょうだいいたします」
やよい先生がまたお辞儀をして、紙袋を受け取りました。

「それじゃあ森下さん。また来週、お教室でね。お母さま、ありがとうございました」
「はーい、先生。今日はごちそうさまでした」
「百合草先生、こちらこそ本当にありがとうございました」
3人でお辞儀合戦をした後、やよい先生は、右手を上に挙げてヒラヒラさせながら改札口に消えていきました。

車に乗り込んで、駅前の渋滞を抜けるまで、母と私は無言でした。
車がスイスイ滑り出してから、母が口を開きました。

「なおちゃん、今日は何をご馳走になったの?」
「うーんと、イタリアンかな。パスタとかサラダとか」
「美味しかった?」
「うん。トマトソースがすっごく美味しかった」
「それは、良かったねえ」
そこで少し沈黙がつづきました。

「それで、なおちゃんの悩みごとは、解決したの?」
「えっ?」
「あらー、ママだって、ここ数週間、なおちゃんがなんだか元気ないなあー、って気がついてたのよ?」
「何か悩みごとでもあるのかなー、って」
母が私のほうを向いて、ニッと笑いました。
「でも、もうどうしようもなくなったら、ママに言ってくるでしょう、って思って放っといたの」
「でも、なおちゃんは、百合草先生をご相談相手に選んだのね・・・」
「・・・ママ」

「ううん。誤解しないで。怒ってるんじゃないの、その逆よ。ママ嬉しいの」
「なおちゃんのまわりに、なおちゃんのことを心配してくれる、家族以外の人が増えていくのが、嬉しいの」
「なおちゃんにも、だんだんと自分の世界が出来ていくんだなー、って、ね」
「それで、百合草先生とお話して、その悩みは解決した?」
「うん。だいたいは・・・ううん、スッキリ!」
「そう。良かった。百合草先生、さまさまね」
「こないだいらっしゃった、なおちゃんのお友達も、ママ好きよ。みんな明るくて、素直そうで」

夏休み、8月の初め頃に、愛ちゃんたちのグループがみんな来て、私の家では初めて、お泊り会をしました。
お庭で花火をやったり、リビングでゲームをしたり、私の部屋でウワサ話大会したり。
ちょうど父も家にいて、家の中に女性が母も含めて7人もうろうろしているので、少しびびりながらも張り切っていたのが可笑しかったです。
愛ちゃんたちには、なおちゃんのお家すごーい、って冷やかされて、ちょっと恥ずかしかった。

「なおちゃんも、もうママにヒミツを持つ年頃になったのかー」
「これからどんどん、ヒミツが増えていくんだろうなー」
母は、運転しながら独り言にしては大きな声で、そんなことを言っています。

「百合草先生やお友達、大切にしなさいね」
信号待ちのとき、母が私のほうを向いて、真剣な顔で言いました。
「はいっ」
私も真剣に、大きな声で答えます。

車が走り出して、母の横顔を見つめていたら、少し寂しそうに見えたので、私は一つ、ヒミツを教えてあげることにしました。
「ねえ、ママ。私ママにヒミツ、一つだけ教えてあげる」
「あら、いいの?なになに?」
「あのね、私、夏休みに入る前の日にね、ラブレターもらっちゃった」
「あらー。スゴイわね、直接手渡されたの?」
「ううん。学校の靴箱に入ってたの」
「それはずいぶん古典的な人ね。それで?」
「でも私、今、そういうことに全然興味がないから、断っちゃった」
「あはは、そうなの。なおちゃんらしいわね」

母は、それ以上、どんな人だったの?とか、何て言って断ったの?とか追求しないで、ハンドルを握りながらニコニコしていました。
私はそれを見て、母はやっぱりカッコイイなあーって思いました。

「ありがと、ママ」
「どういたしまして。それより、ともちゃんが、直子おねーちゃんがお帰りになるまで起きてるー、ってがんばってたけど、もう、さすがに寝ちゃったかしら?早く帰ってあげましょう」
「うんっ!」

国道の信号が赤から青に変わり、先頭にいた母がアクセルを踏み込みました。
もうあと少しで我が家です。
フロントグラスの向こうに、左側が少し欠けている楕円形のお月さまが、明るく輝いていました。



トラウマと私 24

「それは、とても光栄なことね」
やよい先生も私の目をまっすぐに見ながら、魅力的に微笑んでくれました。

「それで、私、その週のバレエのレッスンのとき、すっごく先生を意識してしまって・・・ご迷惑をおかけしてしまって・・・」
「そういうことだったのね。なんだかずっとそわそわ、モジモジしてるから、どうしちゃったんだろ?この子、って思ってたのよ」
やよい先生がイタズラっぽく笑います。
「で、どんな風に、あたしとのソレ、想像したの?」
「そ、それは・・・」

私は、恥ずかしさで、もうどうしようもないくらい、からだが火照っていました。
乳首も痛いほど、アソコもショーツに貼り付いてしまっています。
「鏡に・・・鏡に向かって・・・自分のからだ映して・・・私の胸や、アソコを・・・先生の手で可愛がられてるって想像しながら・・・」
私は、自分で言っている言葉に、恥ずかしがりながらコーフンしていました。

「そう。それがすっごく気持ち良かったんだ・・・なおちゃん、カワイイわね」
やよい先生がえっちっぽく笑いかけてくれます。
私は、すっごく嬉しい気持ちになります。
オナニーをしたときとは別の種類の、心地よい快感がからだをじーんと駆け巡りました。

「先生、私、レズビアンになれるでしょうか?」
快感の余韻が収まるのを待って、私は、これ以上無理っていうくらい真剣な気持ちで、やよい先生に問いかけました。
「うーん・・・そんなに真剣な顔で聞かれてもねえ・・・」
やよい先生は、はぐらかすみたいにお顔を少し背けます。
ちょっと考える風に上を向いてから、また視線を私に戻しました。

「それじゃあ、なおちゃんは、お友達、たとえばあなたとすごく仲の良さそうな川上さんとかとも、そういうことしたいと思う?」
「いえ。それは考えてみたんですけど、そういう気持ちにはなれませんでした。もちろん愛ちゃんは大好きなお友達なんですけれど・・・」
「でも、あたしとならそうなってみたい?」
「はい・・・」
「それは、なおちゃんがあたしを大好きだから?」
「はい」

「ほら。つまりそういうことよ」
やよい先生が明るい声で言います。
私は、きょとん、です。

「なおちゃんがそうなってみたいと思った相手は、あたしだった。それで、あたしは女だった」
「その前に知らない男性にヒドイことされて、男性がイヤになっていたのもあるんだろうけど、なおちゃんは、あなたが大好きだと思った人、えっちな気持ち的に、したい、と思った人としか、そういうことはしたくないんでしょ?」
「はい・・・」
「それなら、別にレズビアンになる、ならないなんて考えないで、今まで通り、そういう気持ちのまま過ごしていけばいいのよ」
「大多数の人たちは普通、恋愛をする相手、セックスの相手は異性と考えている。でも、大好きになった人、したいと思った人が同性だったとしても別に何も悪いことじゃないの。たまたまそうなっちゃっただけ」
「なおちゃんがされたみたいな、自分の欲望のためだけに無理矢理、関係ない誰かをひどいメに合わせたり、カンタンに言うと痴漢とか強姦とか婦女暴行とか監禁とかのほうが、よっぽど非難されるべきことなの」
「だからあなたも今の気持ちのまま、男性が苦手なら苦手でいいから、大好きになれて、したいと思える人を探したほうがいいわ。レズビアンがどうとか特別に考えずに、ね」

「それに・・・」
「ひょっとしたら何年か先に、なおちゃんのアソコにピッタリなサイズのペニスを持った、やさしくてカッコイイ男の子が現われるかもしれないし、今は深刻に思えるそのトラウマも、ひょんなきっかけで治るかもしれない・・・」

そこまで言って、やよい先生はテーブル越しに両手を伸ばしてきて、私の両手をやんわり掴みました。
そのままテーブルの上で二人、両手を重ね合います。
私には、やよい先生が今、最後に言った言葉とは裏腹に、そのまま男性が苦手なままでいて、っていう私への願いを、無言で態度に表したような気がしました。
私の胸がドキンと高鳴ります。

「それでね・・・あたしは今、なおちゃんを抱いてあげることはできないの」
やよい先生は、私の手を取ったまま、声を落として言いました。
「今はちょっと喧嘩中だけど、あたしは今のパートナーが大好きだし、大切に思っているし、彼女とだけそういうことをしたいの」
「彼女は、あまり束縛するタイプではないけれど、今はやっぱり、彼女とだけそういうことをしたいの」
「それになおちゃん、今中二でしょ?中二って言うと何才だっけ?」
「14才です・・・」
私は、やよい先生の言葉にがっかりして、力なく答えます。
「14才なら、まだまだこの先たくさん、出会いがあるはずよ。女性とも男性とも」
「それで、なおちゃんが本当に大切に思える人ができたら、本格的にえっちな経験をするのは、そのとき・・・今よりもう少し大人になってからのほうがいいと思うの、なおちゃんのためにも」

「でも、今、私はやよい先生のこと、本当に大切に想ってるんです・・・」
小さな声でつぶやきました。
私は、あからさまにがっかりした顔をしていたんだと思います。
やよい先生がまた少し考えてから声のトーンを上げて、こんな言葉をつづけてくれました。

「それでね。正直言うと、あたしもなおちゃんには、興味があるの。あなたカワイイし、ほっとけないとこがあるから」
「だから、なおちゃんがもう少し大人になって・・・そうね、高校に入ったら・・・じゃあまだ早いか・・・高校2年て言うと17才?」
「・・・はい」
「高校2年になってもまだ、今と同じ気持ちがあったなら、そのときはあたしがお相手してあげる」
「本当ですかっ?」
私に少し元気が戻ってきました。
「うん。約束する。だから、しばらくの間は、あたしを、血のつながった本当のお姉さんだと思って、なんでも気軽に相談して」
「それにもちろん、オナニーのお相手としてなら、ご自由に使ってもらって結構よ。なおちゃんがあたしを想ってしてるんだなあ、って考えるとあたしもなんだかワクワクしちゃう」
やよい先生がえっちぽい顔になって言いました。

「だけどバレエのレッスンのときは、そんな素振り見せないでね。あたしもあくまで講師として接するから。今まで通り」
「あなた、バレエの素質、いいもの持っているんだから、ちゃんと真剣にやりなさい。真剣にやればかなりの線まで行けるはずよ」
「はいっ!」

私は、なんだか気持ちがスッキリしていました。
やよい先生とかなり親しい関係になれたことを、すごく嬉しく感じていました。
それに、考えてみればこうして、セックスやオナニーのことを実際に言葉に出して、誰かと話し合ったのも初めてのことです。
なんだか一歩、大人になった気がしていました。
私のヘンな性癖に関しては、やっぱり恥ずかしくって言えなかったけれど・・・
でもその上、あと数年したら、やよい先生が私のお相手をしてくれる、って約束までしてくれたんです。
自然と顔がほころんできます。

「やっと、なおちゃんに笑顔が戻ったわね」
やよい先生は、両手で私の手を握ったまま、ニッコリ笑いかけてくれます。
「今日の二人のデートは、あたしたちだけの秘密ね。あたしは、これからも、なおちゃんと二人きりのときだけ、あなたをなおちゃんって呼ぶ。バレエのときやみんながいるときは、今まで通り、森下さん。それでいいわね?」
「はい」
それからやよい先生は、目をつぶって、お芝居じみた声を作って、こんなことを言いました。
「美貌のバレエ講師と年の離れた可憐な生徒は、お互い惹かれ合っていた。講師には女性の恋人がいて、生徒は講師を想って自分を慰めている。それでも素知らぬ顔でみんなと一緒にレッスンに励む二人は、何年後かに結ばれる約束をしていたのであった・・・」
「なんちゃって、こうやって言葉にしてみると、このストーリーでレディコミかなんかで百合マンガの連載できそうじゃない?あたしたちって。なおちゃんも、オナニーのときに妄想、しやすいでしょ?」
やよい先生が笑いながらイジワルっぽく言います。
「もうー、やよい先生、イジワルですねー」
私は甘えた声を出して、やよい先生の手をぎゅっと握りました。

「あらー。もうこんな時間」
やよい先生は、私の手を握り返しながら、私が左手首にしている腕時計に目をやって、大きな声を出しました。
8時を少し回っていました。
「そろそろお母さまに電話したほうがいいんじゃない?」
「あ、はい」
私は、もっともっとやよい先生と一緒にいたい気持ちでしたが、そうもいきません。
やよい先生が差し出してくれたケータイを受け取って耳にあてました。

「30分後にバレエ教室側の駅前ロータリーで待ち合わせです」
母との電話を終わって、ケータイを返しながらやよい先生に告げました。
「じゃあ、あと20分くらいだいじょぶね」

その20分の間に、やよい先生がなぜレズビアンなのか、っていうお話を聞かせてもらいました。
誰にも言わない、っていう約束なので詳しくは書きませんが、やっぱり、ティーンの頃に男の人に嫌な経験をさせられたことも大きいようです。
「だからなおさら、あたしは、なおちゃんのことが気にかかるし、心配なの。遠慮せずになんでも相談してね」
やよい先生は、そう言ってくれました。
私は、やよい先生と出会えて、本当に良かったと心の底から思いました。


トラウマと私 25

2010年11月20日

トラウマと私 23

「それで・・・」
私は、その後に何を言えばいいのかわからないほど、恥ずかしさに翻弄されていました。
顔中真っ赤になって、やよい先生のお顔を見ることも出来ず、うつむいています。

「えっと、それはつまり、じーこーいってこと?」
やよい先生がポツリと言います。
「G・・・?」
やよい先生がくれた言葉が理解できず、私はそっと顔を上げました。
やよい先生は、やわらかく笑って私を見ています。

「自分で慰める、って書いて自慰。自慰行為。俗に言うオナニーのことよ?」
やよい先生の好奇心に満ちた目が私の顔を見つめています。
コクンと小さくうなずいたとき、私の恥ずかしさは最高潮に達しました。
心臓がドクドク音をたてて跳ね回り、息苦しくなって、なぜだか下半身もジワっときました。
私、こんなことを話しているだけで、性的に感じてしまっています。

「へー。なおちゃんでもそういうことするんだ?」
「あなた、少し浮世離れしてるところ、あるから、そういうことにはあんまり興味ないのかと思ってた・・・」

私がどんどん身を縮こませてプルプルからだを震わせているのに気がついたのでしょう、やよい先生は、そこまで言うと言葉を止めて、テーブル越しに右腕を伸ばして、私の左肩を軽くポンっと叩きました。
「ごめんごめん。そんなに恥じ入らなくてもいいのよ。普通のことだし。あたしも小六の頃から、もうしてたもん」
その言葉を聞いて私は、おそるおそる顔を上げます。

「あたしの場合、きっかけは、よくある話だけど、鉄棒。あたしお転婆だったから、休み時間によく鉄棒で遊んでたの。スカートの裾をパンツの裾にたくしこんでさ・・・逆上がりとか」
やよい先生が懐かしそうに目を細めて話し始めました。
「ある日、なんかの拍子で鉄棒を跨いじゃったのね。足掛け前転かなんかやってたときだったかなあ?そしたらパンツ越しに鉄棒がアソコにグイっと食い込んできて、あはんっ、てなっちゃってさあ」
「それがすごく気持ち良くってね。休み時間、足掛け前転ばっかりやってた。隙を見ては両脚で鉄棒跨いで、そのままじっとしてるの。ヘンな子供よね」
やよい先生は、クスクス笑いながらワイングラスに口をつけました。
「それから、いろんな棒をアソコに擦り付けるのが好きになっちゃって。ほうきやモップの柄とかバトンとか手すりとか。今でも擦りつけオナニーは、好きよ」
ウフっと笑ったやよい先生は、すごくえっちそうでステキでした。

「なおちゃんは、どんなことがきっかけだったの?」
やよい先生が子供の頃のお話を聞かせてくれたおかげで、私も一時の激しい恥ずかしさが少し薄れて、お話しやすい雰囲気になっていました。
顔を上げて、やよい先生をじっと見て、話し始めます。

「私の場合は・・・」
正直にお話すれば、初潮が来る前から本で知識を仕入れていて、初潮が来るのを心待ちにしていた、となります。
でも、それはちょっと、あまりにもあからさまなので、
「えーっと、父のお部屋で偶然みつけてしまった、えっちな写真集を見たのが・・・」
どんな種類の写真だったのかは、やっぱり恥ずかしくて言えません。
「その写真を見てたらドキドキしてしまって、自然に手が・・・」
「ふーん。そういうのもよく聞く話よね」
どんな写真だったの?って聞かれたらどうしよう・・・
ちゃんとお答えしなくちゃ・・・
どぎまぎしている私の予想とは裏腹に、
「それで、なおちゃんは、ちゃんと最後まで・・・」
やよい先生がそこまで言ってから急に言葉を切って、お水を一口飲みました。

「まあ、それは後で聞くことにして、話を進めましょう。えーっと、夏休みの出来事で男性のアレが怖くなって、オナニーができなくなった、っていうところまでよね?」
「は、はい・・・それで・・・」

「自分で自分のからだをさわっていても、あのときの感触を思い出してしまって、全然ダメで・・・」
「私、そういうことするときは、誰か女の人にさわってもらうのを想像することが多いんですけど、誰を想像してもあのときのイヤな感触になってしまって・・・」
「頭の中は、稲妻に映し出されたグロテスクな場面に支配されてしまって・・・」
まだ私は、オナニー、という言葉を実際に口に出すことが恥ずかしくって、できません。

「ああ、なおちゃん。そういうのって、トラウマ、っていうのよ」
「虎・・・?馬・・・?」
「心的外傷。心の傷ね。何か衝撃的なことを見たり、体験したりして精神的なショックを受けちゃって、それがずーっと心に傷となって残っちゃうこと。重い人は診察やお薬とかも必要みたい。そのことについてあんまり考えすぎないようにするのが一番らしいけど、それって難しいわよね・・・」
やよい先生は、最後のほう、しんみりとした口調でした。
やよい先生にも何か、そういう体験、あるのかしら?

「で、それで?」
少しの沈黙の後、やよい先生がまたニッコリ笑って先を促しました。
「あ、はい。それで、そんなときにお友達から、先生の・・・やよい先生と誰か女の人とのお話、さっき言ったお話を聞かされて・・・」

私はまた、どきどきが激しくなってきます。
とうとう告げるときがやってきました。
お水を一口飲んで、気持ちを落ち着けようと努力します。

「わ、私・・・私、やよい先生のこと・・・、ずっと前から・・・だ、大好きだから・・・」
小声で途切れ途切れに、やっとそう言いました。
やよい先生は、薄く笑みを浮かべながら真剣に聞いてくださっています。
私は、これではいけないと思いました。
もっとはっきり、ちゃんと伝えよう。

「私、やよい先生のこと大好きなんです。だから、やよい先生とそういうことをしてるって想像しながら、やってみたんです・・・オ、オナニー・・・を」
やよい先生の目をまっすぐに見て、勇気を振り絞って言いました。
オナニー、っていう言葉を口にしたとき、またアソコの奥からヌルっときました。
やよい先生のお顔が、一瞬固まってから、パっと嬉しそうな笑顔に変わったように見えたのは、私の贔屓目でしょうか。

「それで、そしたら、すっごくうまくいったんです」
「あのイヤな場面も全然思い出さずにすんで、ちゃんと最後まで出来て」
「それで、すっごく気持ち良かったんですっ!」
「本当に本当に気持ち良かったんですっ!」
たたみこむように一気に言いました。

私は、やよい先生の目を懇願するように、媚びるように、訴えるようにじーっと見つめます。
どうか私を受け入れてください・・・
どうか私を嫌わないでください・・・
どうか私の願いを叶えてください・・・


トラウマと私 24

2010年11月14日

トラウマと私 22

やがて、お料理が次々と運ばれてきました。
そのたびに、やよい先生が小皿に取り分けてくれています。
自分では、あまりお腹が空いていないと思っていたのですが、サラダのドレッシングとパスタのトマトソースがすっごく美味しくて、意外にぱくぱく、たくさん食べてしまいました。
お食事の間は、バレエの技術や好きな曲のことを話題にしていました。

メインのお料理があらかた片付いて、二人でフーっと一息つきました。
やよい先生は、お食事をしながらワインを2杯くらい飲んでいましたが、顔が赤くなったり、酔っ払った素振りは全然ありません。

「森下さんって、お母さまからは、なおちゃん、って呼ばれてるのねえ。さっき電話したとき、聞いちゃった」
トイレに立って、戻ってきたやよい先生が自分でデカンタからワインを注ぎながら突然、言いました。
「・・・は、はい」
私はまたちょっと、恥ずかしい感じです。
「あたしもそう呼んでいい?」
やよい先生がまた、冷やかすみたいに笑いながら言います。
「はい・・・いいですけど・・・」
私の頬が急激に染まってしまいます。

「それじゃあ、なおちゃん。さっきの話のつづきを聞かせて。あたしがレズなことと、なおちゃんの悩みとの関係」
「あ、はい・・・えーと、それでですね・・・」

私は、夏休み後半の父の実家での出来事をお話することにしました。
あの出来事を真剣に思い出すのは、久しぶりのことでした。
忘れよう、忘れようとして、うまくいきかけていた時期でしたから。
それでも、私がいかに怖かったかをちゃんと理解してもらおうと、ありったけの勇気を振り絞って、思い出しながらお話しました。

「なるほどねー。とんだ災難だったわねえ」
私の話を黙って真剣に聞いていてくれたやよい先生は、深刻な感じでそう言ってくれました。
「それで、なおちゃんは男性が苦手に思うようになっちゃった、と。どうやら本当にレズビアンにつながりそうね」
少し明るめな声でそう言ったやよい先生は、私をまっすぐに見つめて言葉をつづけます。

「でもね。話を進める前に、今の話について一つだけ、なおちゃんに言っておきたいことがある」
やよい先生の口調が少し恐い感じです。
「はい?」
私は姿勢を正して、やよい先生を見つめます。

「そのバカな男が逃げ出した後、なおちゃんは、すぐにお母さまなり、お父さまなりに言いつけて大騒ぎにするべきだったのよ」
「そりゃあ、そんなことがあったら、なおちゃんは気が動転しているだろうし、恥ずかしさもあるしで泣き寝入りしちゃうのもわからないではないけどね」
「でもそれは、結局一番悪いことなのよ。どうしてかわかる?」
やよい先生の真剣な口調に、私はお説教をされているみたいに感じて、うなだれてしまいます。
「あ、ごめん。別に怒っているわけじゃないのよ」
やよい先生があわてて笑顔になります。

「ただね、なおちゃんならたぶんわかってくれると思うからさ」
「つまりね、そこでその男に何の負い目も背負わさずに逃がしちゃうと、次また絶対どこかで同じことするのよ、そのバカが」
「それで、また誰か別の女の子がひどい目にあっちゃう可能性が生まれるワケ」
「そのときに大騒ぎになれば、たとえそいつが捕まらなかったとしても、騒ぎになったっていう記憶がそのバカの頭にも残るから、ちょっとはそいつも反省するかもしれないし、次の犯行を躊躇するかもしれないでしょ?」
「ノーリスクで逃がしちゃうと、味を占めちゃって、つけあがって、また同じようなことをするの。バカだから。あたしの経験から言えば100パーセント!」
やよい先生は、まるで自分が被害にあったみたいに真剣に憤っています。
私は、やっぱりやよい先生は、からだも心もカッコイイなあ、ってうつむきながらも考えていました。

「なおちゃんのケースは、もう流れが出来ちゃってるから今さら騒ぎにしてもしょうがないけど、もし、万が一、また同じようなメにあうようなことになったら、そのときは絶対泣き寝入りしないでね。盛大に騒ぎ立てて。他の女性のためにもね。なおちゃんならできるでしょ?」
うつむいている私の顔を覗き込むようにして、やさしい笑顔を投げてくれます。
「はいっ!」
私は、その笑顔を見て、今度からは絶対そうしようと心に決めました。
「よしよし。いい子だ」
やよい先生が目を細めて、右腕を伸ばして、私の頭を軽く撫ぜ撫ぜしてくれました。
ひょっとするとやよい先生、やっぱり少し酔ってきているのかもしれません。

「まあ、今さら蒸し返してご両親に言う必要はないけれど、もしもまた、お父さまのご実家になおちゃんも行かなくてはならないときがあったら、行く前にその出来事のこと、ちゃんと言ったほうがいいわね」
やよい先生は、この話題を締めくくるみたいにそう言って、ワインではなくお水をクイっと飲みました。

少しの沈黙の後、やよい先生は片腕で頬杖ついて、好奇心に満ちた思わせぶりな目つきで私を見ながら、唇を動かしました。
「それでつまり、その出来事でなおちゃんは男性が怖いと思うようになって、レズビアンに興味を持った、っていうこと?」
お酒のせいか、目元がほんのり色っぽくなったやよい先生にじっと見つめられて、どぎまぎしてしまいます。
「えーと、まあ、そうなんですけど、まだつづきがあるんです・・・」
ここからが私の本当の、やよい先生への告白、になります。
私の胸のどきどきが急激に早くなってきました。

残っていたジンジャーエールを一口飲んで大きくフーっと息を吐き、意を決して話し始めます。
「それで・・・夏休みが終わった頃は、その出来事のショックで落ち込んでいたんですけど、そのうち・・・」
「そのうち私、できなくなっちゃってることに気がついたんです・・・えーっと・・・」

私は、やよい先生に向けて、オナニー、という言葉を口に出すことが、どうしてもできませんでした。
その言葉を告げるのが、すっごく恥ずかしくって、はしたなくて・・・
でも、それをちゃんと告げないと、お話が先に進みません。
やよい先生は、また黙って、じっと私の次の言葉を待っています。

「私・・・自分のからだをさわって・・・気持ち良くなること・・・知ってたんです・・・」
「いろいろさわって、気持ち良くなること・・・でも、あの出来事で、それが・・・それができなくなって・・・」

私の耳たぶが、さわったら火傷しそうなくらいに熱くなってくるのが自分でもわかります。
身悶えするような恥ずかしさ・・・
いいえ、実際私のからだは、微かにですが、こまかくプルプル震えていました。
ブラの下で両乳首が少しずつ起き上がって、尖っていくのも感じていました。


トラウマと私 23

2010年11月13日

トラウマと私 21

やよい先生が口元まで持っていっていた、ケーキの欠片を刺したフォークが空中で止まりました。
「えっ?」
私の顔をまじまじと見つめながら、やよい先生がかすかに首をかしげます。

「あ、ご、ごめんなさいっ!突然すごく失礼なことを聞いてしまって、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
私は、あわてて何度もペコペコお辞儀しながら、必死に謝ります。
やよい先生を怒らせちゃったかな・・・・

うつむいている私は、上目使いでおそるおそるやよい先生を見てみました。
やよい先生は、止まっていたフォークをゆっくりと口の中に運び、しばらくモグモグした後、フォークをお皿に置いてニッコリ微笑みました。
「あなたが謝る必要は無いわよ。いきなり思いがけないことを聞かれたから、少しビックリしただけ」
「失礼なこと、でもないわ。だって、それは本当のことだから。答えはイエスよ」
やよい先生は、そう言うと私に向かってパチンとウインクしました。

「でも、森下さん?あなた、誰にそれ、聞いてきたの?」
「は、はい・・・それは・・・」
私は、曽根っちから聞いたお話をほとんどそのままやよい先生にお話しました。

「なるほど。そういうワケだったのね。ナカソネさんね、覚えてる。あの子もけっこうスジ良かったけど・・・そう、今はレイヤーやってるの・・・」
懐かしそうに遠くを見る目付きになっています。
「それで、川上さんが、みんなに広めないように、って言ってくれたのね。あの子もいい子よね。あなたとずいぶん仲がいいみたいだけど・・・」
「でもね、あたしは別に隠すつもりもないの。まあ、かと言って自分からみんなに宣伝することでもないけどさ」
やよい先生がクスっと笑いました。
「そのとき一緒にいたのは、今のところあたしが一番大好きなツレ。でも先週いろいろあって、今ちょっと喧嘩中・・・」
やよい先生のお顔がちょっぴり曇ります。

やよい先生は、コーヒーを一口啜ると、あらためて私の顔をまっすぐに見つめてきます。
「だけど、私がビアンなことが、あなたの悩みに何か関係あるの?」
少し眉根にシワを作って怪訝そうなお顔です。
私は、そのお顔を見て、ズキュンと感じてしまいました。
すごくセクシーなんです。

「あ、は、はい・・・いろいろと関係していて、そのお話はまだまだ入口のところなんです・・・うまくご説明できるかわからないんですけど・・・」
なぜだかうろたえてしまった私は、すがるようにやよい先生を見つめてしまいます。
「ふーん。長い話になりそうね・・・」
やよい先生は、しばらく宙を見つめて何か考えるような素振りでした。

「ねえ?あなた、門限あるの?」
何かを思いついたらしく、一回うなずいてから、やよい先生が明るい声で問いかけてきました。
「えーと、とくには決まってません・・・バレエの日なら、7時くらいまでには帰ってますけど・・・」
「森下さんのお母さま、あたしも何度かお会いしたけど、やさしそうなかたよね?」
「はい・・・」
「あなたのお母さま、話がわかるほう?」
「えっ?うーんと、そう・・・そうだと思いますけど・・・」
「あなたの家の電話番号教えて」
私は、何をするつもりなんだろう?と思いながらも、家の電話番号を教えました。
やよい先生は、私が数字を告げるのと同時に自分のケータイのボタンを押していきます。
最後の数字を押し終えると、ケータイを自分の耳にあてて立ち上がり、スタスタとお店の入口のほうに歩いて行きました。
席に一人、取り残された私は、ワケがわからず、疑問符をたくさん頭の上に浮かべたまま、半分になったケーキをつついていました。

三分くらい経って、やよい先生がテーブルに戻ってきました。
「交渉成立。あなたと夕食一緒に食べに行っていいって、あなたのお母さまにお許しをいただいたわ。次の課題曲を決めるんで、少し込み入った話になるから、って嘘ついちゃったけど」
やよい先生は、ニコニコしながら私の前に座り直して、コップのお水をクイっと飲み干しました。
「さあ、あなたもそのケーキ食べちゃって。そしたら、このお店出て、あたしのお気に入りのお店に連れていってあげる。そこでゆっくりお話しましょ」
「あ、それから、ここ出たら、あなたからもお家のほうに電話入れるようにって。あなたのお母さま、キレイな声してるわね」
やよい先生、なんだかすごく楽しそうです。
私は、残りのケーキをモグモグと大急ぎで口に入れ、冷めたレモンティーで流し込みました。

お店から出ると、やよい先生がちょこっとケータイを操作してから私に渡してくれました。
私はそれを耳にあてて、やよい先生から少し離れます。

母は、やよい先生にご迷惑をおかけしないように、ってしつこく言ってから電話を切りました。
「お母さま、何だって?」
「はい。帰るときになったらもう一度電話しなさいって。今日はホームキーパーの人が来ているので家を空けられるから、帰りは、母が駅まで車で迎えに来てくれるみたいです。それから、先生にくれぐれもよろしく、とのことです」
「ふーん。森下さん、大事にされてるねえ」
やよい先生が冷やかすみたいに笑って言います。
私は少し恥ずかしい感じです。

やよい先生が連れて行ってくれたのは、バレエ教室があるほうとは駅を挟んで反対側の出口のそば、大きな雑居ビルの地下にある、洋風の居酒屋さんみたいなお店でした。
「うーん。さすがにそのブレザーじゃちょっとマズイかなあー」
お店の入口を通り越して立ち止まり、やよい先生が学校の制服姿の私を見てそう言ってから、自分のバッグの中をがさごそしています。
取り出したのは、薄でのまっ白いロングパーカーでした。
うっすらと何かローズ系のパフュームのいい香りがします。
「そのブレザーは脱いで手に持って、このパーカーを着てちょうだい。それと、もちろん、あなたにはお酒、飲ませないからね」
やよい先生は、私が着替えるのを待って、お店のドアを開けました。

「このお店はね、個室みたいに各テーブルが完全に仕切られているから、内緒な話にはうってつけなのよ。それとラブラブなカップルにもね」
席に案内されるのを待つ間、やよい先生が私の耳に唇を近づけて、こっそりという感じで教えてくれました。
やよい先生の息が私の耳をくすぐって、ゾクゾクっと感じてしまいます。

メイド服っぽいカワイイ制服を着たウェイトレスさんに案内された席は、四人用らしくゆったりしていて、三方が壁で仕切られていて、入口の横開きの戸をぴったり閉めてしまえば完全に個室になります。
ウェイトレスさんを呼ぶときは、テーブルに付いているチャイムを押せばいいみたいで、これなら確かに誰にも邪魔されずにゆっくりできます。

「このお店はね、けっこう本格的なイタリアンなの。何か食べたいもの、ある?」
メニューを熱心に見ていたやよい先生が、メニューから顔を上げずに、もの珍しそうにまわりをキョロキョロしている私に声をかけてきます。
「いいえ、こういうとこ初めてなんで、先生にお任せします」
「あなた、何か食べられないものとかは、ある?」
「あ、いえ、なんでもだいじょうぶです」
「それなら、あたしがテキトーに選んじゃうわよ」
やよい先生はチャイムを押して、現われたウェイトレスさんに、サラダとスープとパスタとあと何かおつまみみたいなものをテキパキと注文していました。

ウェイトレスさんが去って、私とやよい先生は二人きり、テーブルを挟んで向き合います。
「先生は、このお店、よく来られるんですか?」
「よく、ってほどじゃないけどね。他の先生たちとたまあにね。こうして座っちゃえばもう、まわりを気にしないでいいし、あたしは気に入ってるんだ。味もいいほうだと思うよ」
そんなことを話していると、戸がトントンとノックされ、さっきのウェイトレスさんが飲み物を持ってきてくれました。
やよい先生は白ワインをデカンタで、私はジンジャーエールです。

「はい、それじゃあとりあえずお疲れさま。カンパーイ」
やよい先生のワイングラスと私のカットグラスが軽く触れ合って、チーンという音が室内に響きました。


トラウマと私 22

トラウマと私 20

その日のバレエレッスン。
私は、内心どきどきしながらも、なんとか無難にレッスンを受けることができました。

「ありがとうございましたーっ!」
生徒みんなでいっせいにやよい先生にお辞儀をしてから、さあ、早く着替えてやよい先生に会ってもらうお願いしなくちゃ、ってレッスンルームの出口に急ごうとすると、
「森下さん?」
やよい先生のほうから、声をかけてきました。
私は意味もなくビクっとして足を止めます。
「は、はい・・・?」
ゆっくりと振り返ると、やよい先生が薄く微笑みながら私を見つめていました。
「少しお話したいことがあるから、着替え終わったら講師室に来てくれる?」
やよい先生のほうから、私を誘ってくれています。
私は、なんだかホっとして、
「はいっ!」
と元気よく返事しました。

やよい先生のほうから講師室に呼んでくれるなんて、ひょっとして今日はツイてる日なのかもしれません。
私は、少しだけ気持ちが軽くなって、講師室のドアをノックしました。

「失礼しまーす」
声をかけながらドアを開くと、目の前にやよい先生とは違うキレイな女性が横向きに座っていて、どーぞーっ、って答えながらニコっと笑いかけてくれました。
その女の人もブルーのレオタードを着ているので、きっと次のクラスのレッスン講師のかたなのでしょう。
初めて入った講師室は、思っていたよりちょっと狭くて、真ん中に大きめのテーブルが置かれ、まわりに椅子が四脚。
お部屋の三分の二くらいがパーテーションで仕切られていて、着替えの場所になってるみたいです。
やよい先生は、レオタードの上に薄物のスタジアムコートみたいなのを羽織って、奥の椅子に座っていました。
「森下さん、いらっしゃい。ごめんね、呼びつけちゃって・・・」
やよい先生が言いながら椅子から立ち上がり、近くにあった椅子をひきずってきて、自分の前に置きました。
「たいしたことじゃないんだけどね。まあ、ここに座って・・・」
私が座ると同時に、入り口のところにいた青いレオタの女性が、いってきまーす、って言いながらお部屋を出ていきました。
やよい先生も、お疲れでーす、と声をかけます。
ドアがパタンと閉じて、お部屋にはやよい先生と私の二人きりになりました。

「そんなにかしこまらなくてもいいんだけどさ。森下さん、夏休み終わってからこっち、なんだかヘンでしょ?」
うつむいてモジモジしている私の顔を覗き込むようにやよい先生が聞いてきます。
「は・・・い・・・」
「だから、なんか悩み事でもあるのかなあ、って思ってさ。あたしで良ければ相談に乗るよ、って言いたかったの」
「・・・は、はい・・・」
私は、すっごく嬉しくなって、大げさではなく、感動していました。
やよい先生は、私のことを気に掛けていてくれたんだ・・・

「あ、ありがとうございます。じ、実は私も今日、先生にご相談したいことがあって、レッスンの後、お願いに伺おうと思っていたんです・・・」
上ずった声になってしまいます。
頬もどんどん火照ってきます。
「そうなんだ。やっぱり何か悩みがあるの?」
「は、はい。それで、良ければ近いうちに先生にお時間がいただけないかなって・・・」

私の顔をじーっと見つめていたやよい先生は、ニコっと笑って、
「それなら、これからどう?今日はこの後の個人レッスンの予定がキャンセルになったんで、あたし、この後ヒマだから。グッドタイミングね。あたしとデートしましょ?」
やよい先生がイタズラっぽく言って、魅力的な笑顔を見せてくれます。
「は、はい・・・先生さえ良ろしければ・・・」
私は、あまりにうまくお話が進み過ぎて少し戸惑いながらも、やよい先生とゆっくりお話できる嬉しさに舞い上がってしまいます。

「それじゃあ、あたし着替えたり退出の手続きとかするんで少し時間かかるから、そうね・・・駅ビルの2階の本屋さんで立ち読みでもしながら待っててくれる?本屋さん、わかるよね?」
「はいっ!」
私も愛ちゃんと帰るときにたまに寄るお店です。
「20分くらいで行けると思うから」
言いながら、やよい先生が立ち上がりました。
「はいっ!」
私も立ち上がって、やよい先生に深くお辞儀をしながら、
「ありがとうございますっ!」
と大きな声でお礼を言って講師室を出ました。
心臓のどきどきが最高潮に達していました。

本屋さんの店内をブラブラしながら、どこから話そうか、どう話そうかって考えるのですが、胸がどきどきしてしまって考えがうまくまとまりません。
そうしているうちに、やよい先生の姿が本屋さんの入口のところに見えました。
私は小走りに入口のところに急ぎます。

私服のやよい先生は、からだにぴったりしたジーンズの上下を着ていて、ヒールのあるサンダルだから背も高くなって、いつにもましてスラっとしていてカッコイイ。
胸元のボタンは3つまであいていて、中に着ている黄色いTシャツが覗いています。
「お待たせー」
駆け寄ってきた私にニコっと白い歯を見せてくれます。

「お茶でも飲みながらお話しましょう」
連れて行かれたのは、同じフロアの端っこにあるお洒落なティーラウンジでした。
お客さんはまばらで、ショパンのピアノ曲が静かに流れています。
レジや調理場から遠い一番隅っこの席に向かい合って座りました。
「何でも好きなもの、頼んでいいわよ」
やよい先生は、そう言ってくれますが、私は全然お腹が空いていません。
「えーと・・・レモンティーをお願いします」
「あら?ここのケーキ美味しいのよ?一つくらいなら食べられるでしょ?」
「あ・・・は、はい・・・」
やよい先生は、自分のためにコーヒーと、ザッハトルテを二つウェイトレスさんに注文しました。

飲み物が来るのを待つ間、やよい先生は、今日キャンセルされた個人レッスンの生徒さんが習っている課題曲が、いかに難しい曲であるかについてお話してくれていました。
私は、相槌を打ちながらもお話の中味が全然頭に入ってきません。
今日のお話次第で、やよい先生と私の今後の関係が決まってしまうんだ・・・・
心臓がどきどきどきどきしていました。

ウェイトレスさんが注文の品々をテーブルに置いて去っていくと、やよい先生はコーヒーカップに一口、唇をつけてから、私の顔をまっすぐに見つめました。
「さてと・・・それじゃあ、お話を聞かせてちょうだい」
「は、はい」
私は、ゴクンと一回ツバを飲み込んでから、考えます。
何から話始めるか、まだ決めていませんでした。
えーと・・・
どうしようか・・・

考えがまとまらないうちに、勝手に口が動いていました。
「えーと・・・やよいせ・・・ゆ、百合草先生は、レズビアン、なんですか?」
自分でも思いがけない言葉を、やよい先生につぶやいていました。


トラウマと私 21

2010年11月7日

トラウマと私 19

ようやく呼吸も落ち着いてきて、よろよろと身を起こし時計を見ると、深夜の0時になろうとしていました。

私は、後片付けを手早く済ませ、さっきまでそこに寝そべっていたバスタオルを素肌に巻いて、そーっと階下のバスルームに降りていきました。
シャワーを浴びて、汗やいろんな体液を洗い流してスッキリしてから、新しい下着を着けてお部屋に戻ります。
パジャマをもう一度着直して、電気を消して、ベッドに潜り込むとすぐ、ぐっすり深い眠りに落ちました。

翌朝、私は完全復活していました。
あの悪夢な出来事を忘れられたわけではありませんが、記憶のより深いところに格納できたみたいで、えっちなことを考えても邪魔されることはなくなりました。
私がそういうことをするお相手は女性だけ。
そんな覚悟が私の気持ちの中に定着したようです。

ただ、体育の先生の中にマッチョ体型で腕の毛もじゃもじゃな毛深い男の先生が一人いて、その先生が近くに来ると、やっぱりゾクゾクっと悪寒を感じてしまい、朝礼のときに困りました。

愛ちゃんたちグループのみんなとも、今まで通り普通におしゃべりできる、楽しい学校生活に戻っていました。

木曜日の放課後。
バレエ教室のレッスンに行ったとき、また新たな問題が発生していることに気がつきました。
私は、やよい先生に真剣に恋をしてしまっていました。

実は、バレエ教室がある町の駅に行くために愛ちゃんと二人で電車に乗っているときから、私の心の中がザワザワざわめいてはいました。
私は今日、やよい先生と普通に接することができるのだろうか?
月曜の夜、あんなに激しく具体的な妄想でイってしまった私に・・・
でもこのときは、まあその場になればなんとかなるでしょう、って無理矢理思考を停止して楽観的に考えていました。

レオタードに着替えてレッスンルームに入ると、すでにやよい先生がパイプ椅子に腰掛けて私たちが揃うのを待っていました。
私と愛ちゃんに気がつくと、ニッコリ笑って手を上げて、
「おはよっ!」
って声をかけてくれます。

その笑顔を見た途端、私の考えが甘かったことを思い知らされました。
からだ中の温度が一気に上がって、カーっと熱くなってしまいます。
そのステキな笑顔がまぶしすぎて、まっすぐに見ることができません。
胸がどきどきどきどきしてきます。
少女マンガによくある、内気な女の子がヒソカに片想いしている憧れの男の子に声をかけられたとき、そのままの反応が自分のからだと心に起こっていました。

愛ちゃんは、その場でお辞儀して、おはようございます、って自然に挨拶を返しています。
私は、動揺を隠したくて、かえって大げさになってしまい、不自然に深く上半身を曲げて、おはよーごーざいまっす、と大きな声でマヌケな挨拶を返してしまいました。
それを見て、やよい先生はアハハハって笑っていました。

私は、レッスンの間中なんとか心を落ち着けよう、普段どおりにふるまおう、レッスンに集中しよう、と一生懸命努力しました。
グループレッスンは6人クラス。
やよい先生は基本的に6人全員に向けてお話しながら、お手本を見せてくれます。
レッスンの序盤は、まだ胸がどきどきしていてぎこちない感じでしたが、時間が経つにつれて、なんとか普通にやよい先生を見れるようになってきていました。
レッスン後半は、一人ひとりの個別指導になります。
その日習ったポーズやステップを手取り足取り指導してもらいます。
私の番が来ました。

妄想で着ていたのと同じレモンイエローのレオタードを着たやよい先生が私の前に立ちました。
もうだめでした。
どきどき復活です。
私は、やよい先生の前で夢現な感じで教わったステップをやってみました。
「あらあ?みんなと一緒のときはうまく出来てたのに、今のはちょっとでたらめねえ」
やよい先生が少し苦笑いしながら、私の右腕を取ります。
「ここは、こうでしょ?」
「それで、こうして、こう。わかった?」
私の背中や太腿や、首に手を副えて指導してくれます。
一週間前までなら、これは普通のレッスン風景で、私もとくに何も感じずに集中できました。
でも今日はだめです。
やよい先生が私のからだをさわってくれるだけで、話しかけてくれるだけで心が遠いところへ逝ってしまいます。

それでもなんとか、やよい先生にご迷惑がかからないように集中しようと試みます。
でもだめでした。
やよい先生が私のウエストに腕をまわして、私のからだを支えてくれているとき、
このままやよい先生の胸に抱きつけたら、どんなに気持ちいいだろう・・・
なんて不埒なことを考えているのですから。

やよい先生も今日の私はなんかおかしい、と思ったのでしょう。
「じゃあ森下さん、このステップは、後で川上さんによーく聞いて教えてもらって、来週までに出来るようにしておきなさい」
なんだか困ったようなお顔で言ってから、早々と次の人へのレッスンに移ってしまいました。

家に帰って、私はまた途方に暮れてしまいます。
私がやよい先生を過剰に意識してしまうことがレッスンに集中できない原因なのは、自分でもわかっています。
でも、やよい先生を想う気持ちは、自分でもコントロールできない心の深い奥底から湧き出て来ているみたいで、抑えつけることができません。
こんなことをつづけていたら、きっとやよい先生に呆れられてしまいます。
呆れられるだけならまだしも、嫌われてしまうかもしれません。
それは絶対イヤです。

その週の週末。
私は、やよい先生以外の女性で妄想オナニーをしてみようと考えました。
やよい先生ばっかりに頼って妄想してるから、実生活でも過剰に意識してしまうのではないか、って思ったんです。

愛ちゃんたち5人のことを最初に考えてみました。
あの5人は、もちろんみんな大切なお友達で大好きなのですが、そういう、性的なアレとは、どうしても結びつけることが出来ませんでした。
実際、5人とのおしゃべりで、一般的な下ネタっぽいことが出ることはたまにありましたが、セックス経験があるかとかオナニーしているかとかの具体的なプライベートでの性に関する話題は、一切したことがありませんでした。
私は、愛ちゃんたち5人がオナニーを知っているかどうかさえまったく知りませんし、みんなも私がオナニーをしていることは知らないはずです。
えっちな知識が詳しそうなのは、曽根っちとしーちゃんですが、それも普段の会話を聞いている限りの話で、曽根っちはお姉さんの影響、しーちゃんはマンガからの知識っぽくて、実際どうなのかはわかりません。
いずれにしても、お友達5人は、性的妄想には向いていないようです。

それなら次はオオヌキさんです。
オオヌキさんを想ってのオナニーは、彼女たちが遊びにいらした数日後の夜にしていました。
そのときの妄想は、あのキワドイ水着を着たオオヌキさんにマッサージされているうちに、いつのまにか私も同じ水着を着せられていて、腕を縛られていて、篠原さんのフルートをアソコに入れられるというものでした。
そのときのオオヌキさんは、すごく丁寧な言葉遣いで恥ずかしがりながら、私を苛めていました。
かなりコーフンしました。
でも私がオオヌキさんに会ったのは、あのとき一回だけですし、実際どんな性格のかたなのかは知りません。
そうなると、妄想していても同じようなストーリーになってしまいがちなので、強い刺激を欲している今の私には少しキツイ気がします。

そして、そんなことを考えているうちに、私のからだがまたウズウズしてきたのですが、同時に、逃げ場所がどこにも無いことをも思い知らされました。
私のからだが性的に高揚してきたのは、愛ちゃんたちやオオヌキさんのことを考える一方で、木曜日のレッスンのときに私のからだをさわってくれたやよい先生の手の感触を、からだが思い出していたからです。

私の頭の中は、結局またやよい先生に占領されてしまい、なしくずし的にオナニーを始めてしまいました。
どうしてちゃんとレッスンを受けないの?ってやよい先生に叱られながらおっぱいを苛められて、なぜだか篠原さんのフルートをアソコに突っ込まれて、あっけなくイってしまいました。

次の週の木曜日のレッスンは、先週よりマシな状態で受けることができました。
日曜日から水曜日の夜まで、考えに考え抜いて、私は、ある一つのことを決意していました。
いつまでもどきどきした状態でレッスンを受けていると、状況は悪くなる一方です。
何かしらの打開策を講じなければなりません。

私は、やよい先生に告白することにしました。
やよい先生を大好きなこと、と、私の性癖すべてを。
全部告白して、断られたり嫌われてしまったら、それでもう仕方ありません。
だけど、やよい先生なら少なくともお話だけはちゃんと聞いてくれるはず。
それでダメならあきらめよう。
そう決意しました。

タイミング良いことに次週のレッスンは、愛ちゃんがその2週間後に迫った運動会の準備でお休みすることになり、私一人で行くことになりました。
そのレッスン後に講師室に行って、時間を作っていただけるように頼んでみるつもりでした。


トラウマと私 20

トラウマと私 18

両腕を胸の前で交差させて、両手を自分の肩にかけ、自分のおっぱいを押しつぶすようにぎゅーっと腕を押し付けます。
それからゆっくりと両手のひらを下に滑らせていきます。
脇腹を撫ぜて、おへそのあたりをやさしく愛撫して、徐々に下腹部へ近づきます。

「森下さんのアソコ、さわってもいいわね?」
私は、コクンと頷いて鏡の中の右手の動きを見守ります。

右手のひらが下腹部をゆっくりと滑り、陰毛の上で止まりました。
小さく爪をたてて、軽くひっかくみたいにジョリジョリと陰毛を弄びます。
「あはーん」
しばらくそこで停滞した後、右手がさらに下を目指してじりじりと移動していきます。
左手は、右のおっぱいを軽くつかんでやんわりともみもみしています。
左手の肘の下で、左乳首が押しつぶされてもなお尖ろうと背伸びをやめません。
ふいに右手が進路を変え、右内腿付け根あたりの肌をさわさわと撫ぜ始めました。
私は、早くアソコをさわって欲しくて堪りません。
鏡に映った自分の顔に訴えかけるように目線を合わせます。

「は、はやく、直子のアソコ、さわって・・・ください」
右手がじらすように少しずつ左方向に移動していき、やがて手のひらですっぽり覆うようにアソコの上に置かれました。
「ああーーんっ!」

「森下さんのココ、すごく熱くなってる・・・それに蜜が溢れ出しちゃってて、手のひらがもうヌルヌル」
やよい先生はそう言いながら、アソコ全体をもむように手のひらを動かしてきます。
長い薬指が肛門の寸前まで伸びています。
「ふーんんっ」
手首の手前の親指の付け根の皮膚が盛り上がっているところに、大きくなって顔を出したクリトリスがちょうど当たって、手が動くたびに土手ごと擦れて、私はどんどん気持ち良くなってきます。
「んんん・・・もっとーっ!」
私は、上半身を屈めて猫背になって、鏡の前で右手を動かしつづけます。
左手もおっぱいを中心に上半身全体を激しく撫でまわしています。
両脚がブルブル震えて、立っているのもやっとです。
「膝が震えているじゃない?そんなに気持ちいいの?そのままそこに座っちゃってもいいのよ」
私は、右手と左手は動かしたまま両膝をゆっくり折って、いったんしゃがみ込んだ後、お尻をペタンとフローリングの床に落としました。
冷たい床が火照ったお尻に気持ちいい。
その拍子に、アソコを包み込んでいる右手の中指がヌルリとアソコの中に侵入しました。
「ああんっ!」

「あらあら。指がツルって入っちゃったわよ。中がすごく熱いわ」
そう言いながら人差し指も揃えて中に侵入させてきて、中でグニグニと膣壁を陵辱し始めます。
「あんっ、あんっ、あんーっ!」
親指はクリトリスの上に置かれ、押しつぶしたり擦ったりされています。
「ん、ん、ん、んーっ!」

鏡の中に、床にぺったりお尻をついて、両脚を膝から曲げてM字にして大きく開き、その中心部分に右手をあててせわしなく動かしている裸の女の姿が映っています。
その右手の下の床には、小さな水溜りがいくつも出来ていました。
「森下さん、すごい格好ね。いやらしい・・・」
私には、やよい先生の声がはっきりと聞こえていました。
「ああーんっ、や、やよい先生・・・私を、私をイかせて、く、くださいいいいいーーっ」
右手の動きが激しくなり、くちゅくちゅくちゅくちゅ、恥ずかしい音が聞こえてきます。
左手は右の乳首をぎゅっとつまんで、強い力でひっぱっています。
「あーーっ、あーーっ、いい、いいい、いいいぃぃぃ・・・」
「もっと、もっともっとーーーっ」
私は、目をぎゅーっとつぶって、やよい先生のことだけ考えながら両手を動かしつづけました。

やがて目の前が真っ白になるような恍惚感が全身を包み、からだ全体がフワっと舞い上がるような感覚が訪れます。
「いいいい、いいいん、いくいくいくいく、いくーーーーっ!!!」
声を押し殺して小さく叫びながら、私は絶頂を迎えました。

まだ激しく上下している肩を両手で抱きながら、しばらくその場に座り込んでいました。
心の中に心地よい達成感を感じていました。
私は、やよい先生がお相手なら、ちゃんとイけるんです。
フラッシュバックがつけこんでくる隙もまったくありませんでした。

少し呼吸が落ち着いてきてから、立ち上がってクロゼットへ歩いて行き、大き目のバスタオルを2枚取り出しました。
それからベッドに行って愛用の枕を持ちます。
鏡の前に戻って、床にバスタオルを重ねて敷き、枕をその上に置きました。
今夜は、まだまだやめる気はありません。
この2週間の間感じていたモヤモヤにきっちりと決着をつけるつもりでした。
「今度は、やよい先生をイかせてあげます」
私は、小さな声でそう言ってからその場にひざまずきました。

なぜだか、ものすごく恥ずかしい格好をしたい気持ちになっていました。
それで思いついたのが、小学生のとき、お医者さんごっこの最中にお友達にやらされた四つん這いスタイル。
お浣腸の真似事のときにとらされた格好です。

私は、鏡にお尻を向けてバスタオルの上に膝立ちになります。
それから上半身を倒していって、両手を床につき、完全な四つん這いになりました。
首をひねって鏡を見ると、白くてまあるいお尻が薄闇の中にぽっかり浮いているのが映っています。
両膝を広めに開いてから、両手で支えていた上半身を両肘まで落とし、ちょうど顔がくるところにフカフカの枕を置きます。
枕の上に右向きに顔をひねって左頬を埋ずめ、両手をゆっくりとはずしました。
私のからだは四つん這いの格好から、顔面と両膝でからだを支えている惨めな格好になりました。
お尻だけが高く突き上げられています。
右向きになった顔をひねって鏡のほうに向けると、自分の両膝の間から、綴目がパックリ開いたアソコと、その上にちょこんとすぼまったお尻の穴までが映っていました。

からだの下から右腕を伸ばして、自分のアソコにあてがいました。
左手は、引力にひっぱられて下を向いているおっぱいに軽く副えます。
「これから、やよい先生のアソコも気持ち良くしてあげます。だから、もっとお尻を突き出してください」
小さな声でそう言ってから、腰に力を入れて自分でお尻をぐいっと持ち上げました。
アソコを覆っていた右手のひらの中指と薬指だけ、くの字に曲げて、ヌプっとアソコに潜り込ませます。
「あはんっ!」
まだ濡れそぼっているアソコの中をくにゅくにゅ掻き回しながら、左手で右おっぱいを激しく絞ります。
「き、気持ちいいですか?やよい先生?・・・」
私は、口ではそう言いながらも、両膝の間から見えている自分の惨めな格好の被虐感と、自分の指が紡ぎ出すめくるめく快楽に酔い痴れていました。
「あーん、いい、いい、いいいーっ」
「もっと責めて、もっと責めて、激しくしてー」
また、くちゅくちゅくちゅくちゅ、いやらしい音が聞こえてきました。
左手は、今度は左の乳首を押しつぶさんばかりに強くつまんで捻っています。
私は、枕に正面から顔を埋ずめてうーうー唸っています。
「うーんふー、うーんふー、うーんふーっ」
頭の中では、やよい先生大好き、っていう言葉だけ何度も何度もくりかえし叫んでいました。

やがて、左手もアソコに持っていってクリトリスの周辺をひっかくように、擦ってつまんで舐りまわし始めます。
右手は、アソコを叩くようににパシパシと音をたてて打ちつけながら、指の抽送のピッチをあげていきます。
両手でよってたかって陵辱されている私のアソコから、だらだらとすけべなよだれが両太腿をつたって床に滑り落ちていきます。
「んーふー、ぬーふー、ぬーふーんー、ぬんんんんんんーーーーっ!!!」

この夜二回目の絶頂は、一回目に勝るとも劣らない超快感でした。
イった瞬間にからだ中を電気みたいなのがビリビリビリっと駆け巡り、頭の中にフラッシュライトが何発もパチパチと瞬きました。

私のからだは、すべての動きを止め、その場につっぷして、からだからすべての力が抜けてしまいました。
私の意志とは関係なく、アソコの中を含めたからだ中のあちこちが、時折ヒクヒクっと痙攣しています。
やよい先生にイってもらうための妄想をしていたはずだったのに、終わってみれば結局また、やよい先生の指で私がイかされていました。

私のお腹の下敷きになっていた右手をのろのろと引っ張り出して、自分の顔に近づけてみます。
右手はグッショリと濡れて、人差し指と中指と薬指の三本が白くシワシワにふやけていました。


トラウマと私 19