2010年12月30日

図書室で待ちぼうけ 15

相原さんは、私を抱いていた腕をほどき、一人、パソコンの置いてある机のところまで歩いて行ってしまいました。
机の引き出しをガサゴソ探っています。

私は、がっかりです。
かなりイイ感じに盛り上がってきたところでした。
もう少ししたら、ねえ、ショーツも脱がせて、って恥ずかしいけどおねだりしちゃおうかな、なんて思っていました。
ショーツじゃなくて、パンティ、って言ってみようかな、とも。

探しものがみつかったらしく、相原さんが楽しそうな笑顔で戻ってきます。
私は、裸の上半身に両腕を交差してまた胸を隠した後、イケナイとは思いながらも、どうしても相原さんをなじるような表情で見てしまいます。
「ほら。これ」
相原さんは、そんな私の表情には無頓着に両手を差し出してきて、手のひらに乗っているものを私に見せました。

長さ10センチくらいの細長い長方形の箱のおしりから、グルグル巻きになったビニールみたいな細いコードがつながっていました。
コードのもう一方の先には、ウズラの卵よりひとまわりくらい大きい楕円形の物体が付いています。
全体がキミドリ色をしていて、四角い箱と卵型物体はプラスチック製みたいです。
なんだろう?

「これ、何だかわかる?」
当然、私は顔を横に振ります。
「ここをね、こうすると・・・」
長方形の箱に付いている小さなダイヤルみたいなのを、カチっとひねりました。
すると、コードの先の卵型物体がブーンって低い唸りを上げてブルブル震えだしました。
「どう?」
相原さんがなぜだか得意げに私の顔を覗き込んできます。
「これでわかったでしょ?」
その動きを見てもまだ、私にはそれが何なのか全然わかりません。
もう一度、顔を横に振ります。

「つまりー、これはマッサージ器みたいなものなの」
相原さんがじれったそうに言って、卵型物体のそばのコードをつまみ上げ、唸りをあげて震えている物体をぶら下げた状態で持って、そーっと私の右肩に近づけてきました。
耳元に近づいてきたので、ブーンていう音も大きく聞こえてきます。
相原さんは、フワリとその物体を私の肩に触れさせました。
「キャッ!」
肩にその物体が触れた途端、細かい振動が私の右肩周辺に広がり、私は、ひどく驚いて大きな声を上げてしまいました。
相原さんがスイッチを切ると、振動音も止まりました。

「これを肩にあてて肩こりをほぐすのもいいけれど、もっと別のところに、あててみたり、入れてみたりすると?・・・」
相原さんがなんだか怪しい魔法使いみたいな顔になって、ニッて笑いました。
「あっ!」
私にもやっとわかりました。

「でも、相原さん、どうしてこんなもの持ってるの?どこかで買ったの?」
さっき驚いたとき、はずしてしまった両腕をもう一度胸の前に組み直してから、聞きました。
「まさかー。もらいもの」
相原さんは、スイッチを切ったそれを持ってベッドの縁に腰掛け、私に向かって、隣に座って、っていう仕草をしました。
相原さんの左隣に腰掛けます。

「母親が前につきあってた男がくれたの。わたしが小六のとき」
「えーっ?小学生に?こんな・・・こんなえっちぽいものを?」
「そいつは、別れた父親よりも、もっと若そうな男だった・・・ひょっとしたら母親よりも年下だったかも。写真家とか言ってたなー」
「これをもらったときは、母親はもう政治家のおじさんと知り合っていて、盛り上がっている頃だったみたい。うちの母親がそいつをフったんだろうなあ、邪魔になって・・・」
「そいつが母親とまだちゃんとつきあっていた頃、わたしが5年生でまだ初潮も来てない頃・・・その頃には、週に一回くらい家に遊びに来てた。いつも何かしら、わたしが喜びそうなお土産持って」
「まあまあイケメンな部類の顔立ちだったし、わたしにも気を使って、やさしくしてくれてはいたのだけれど、たまーになんだか目付きや態度が、ビミョーにいやらしくなっているときがあるような気が、わたしはしてたの。うまく言えないんだけど・・・」
「母親が席外したときに、わたしの全身をジロジロ見てニヤニヤしていたり、やたらとからだをさわってきたり」
「だから、わたしはその男、好きになれなかった」
「そいつが来ると、一応挨拶だけはしてすぐ、自分の部屋に閉じこもるようになってた」
相原さんは、振動していない卵型物体を右手の中で擦るように転がしながら、淡々とお話をつづけます。

「この町への引越しも決まって、母親もその男とは切れてるはずのある秋の日、土曜日の午後だったな・・・わたしが一人で留守番しているときに、そいつが突然、家にやって来たの」
「母親から、その男がもしもまた家に来ても絶対に家の中にあげちゃダメ、って言われてたから、わたしは玄関のチェーンをはずさずに対応したの」
「母は留守です、って言って、ドア閉めようとしたら、菜摘ちゃん、来週お誕生日だよね、って言われて」
「菜摘ちゃんに最後のプレゼント、って言って、ドアの隙間から包みを押し込んできたの」
「それで、そいつは大人しく帰って行った。それからは、二度と来なかった」
相原さんは、そこで一旦言葉を切って、四角い箱のスイッチを入れたり切ったりして一分くらい遊んでいました。
私は黙ったまま、お話のつづきを待ちました。

「そいつが帰ってから包みを開けてみたの。透明のセロファンみたいな袋に入ったカエルのぬいぐるみだった。袋の入口に赤いリボンが縛ってあったな」
「そいつは、わたしがカエルのぬいぐるみ集めているの知ってたし、それまでにいくつかもらったりもしていたの」
「でも、そのときのは、一応ミドリ色だったけれど、全然カワイクないの。作りもちゃちそうだし。UFOキャッチャーの景品かなんかかな、と思ったくらい」
「だから、袋を開けもせずに物入れに放り込んですぐ忘れちゃった。母親にも、その日そいつが来たことさえ教えなかったし」
「それで、この町に来て、中一の夏休みにヒマだから部屋の模様替えでもしようと思って、自分の荷物をいろいろ片付けていたら、カエルコレクションを入れた箱、一つ開け忘れていたのに気がついたの。引越しのときに詰めたっきり、忘れてたみたい」

「森下さん?裸で寒くない?」
相原さんが脈絡もなく突然聞いてきました。
「えっ?・・・ううん。だいじょうぶ」
私は、相原さんが手の中で弄んでいる卵形物体に気を取られながら、短く答えます。
すると、相原さんがゆっくり腕を伸ばしてきて私の肩を軽く抱き、急に唇を合わせてきました。
「んーっ!」
10秒くらいのキスをしてから、何事もなかったようにまたお話に戻りました。
相原さんのやさしいキスに、私の乳首が露骨に反応しました。

「それで、ちょっと懐かしくなって、そのぬいぐるみの入ったセロファン袋を何気なく手に取ったら、なんだかカエルのお腹のところがゴツゴツしているのに気がついたの」
「何だろう?と思って、袋破ってぬいぐるみ出してみたら、薄いの。ぺらっぺら。ぬいぐるみって言うよりもカエルの形した布袋。それでよーく見てみたら縫い合わせのところの片方がチャックになってたの」
「で、チャック開けてみたら、中から出てきたのがコレ、ってわけ」
相原さんが苦笑いみたいな顔をして、ヤレヤレって感じで肩をすぼめました。

「わたしも最初、何するものかわからなかった。スイッチみたいのひねっても、何もおきないし」
「あれこれいじってたら、この箱のところがパカっと開いて、電池入れるスペースを発見したの。早速電池買ってきて入れてみたの」
「そしたら、こっちの丸いのがブーンって震えだしたの」
「わたしは、ピーンときた。実はわたし、そのころもう、ひとりえっち、知ってたから」
相原さんが恥ずかしそうな照れ笑いを見せてくれます。

「おっぱいにあててもすごいけど、アソコだともっとすごいの。初めてクリちゃんにあてたときは、死んじゃうかと思った。マジで」
「すっごく気持ちいいの。中に入れてもいいの。中で震えてて、指とかを入れるのとは全然違う感覚」
「だけど一つだけ難点は、音が出るでしょ?ブーンって。低い振動音って、音量小さくても遠くまで聞こえやすいみたいなの。夜中に使ったときに翌朝、母親に言われちゃった。昨日夜中にエアコンつけた?って。9月の初めだったかな」
「うっかりベッドにリモコン置いたまま寝たら、知らない間に寝返りでスイッチ押しちゃってたみたい、なんて言って、ごまかした」
「それからは、家に誰もいないときしか使わないの。て言うか、うちは母親、ほとんど家にいないんだけどさ」
相原さんがクスクス笑ってから、その物体を私に手渡してくれました。

私は、興味シンシンです。
長方形のほうのスイッチをひねると、卵形物体が私の左手の上でブーンと唸り始めました。
私は、一瞬ビクッとしてから、おそるおそる震えているその物体に右手の人指し指をあててみました。
指先がビビビッてきて、振動が指から手、そして腕へと伝わります。
あわてて右手を引っ込めて、スイッチを切りました。

「なんだか、目の前に動くオモチャを置かれて、興味シンシンなんだけど恐々とちょっかい出してる仔猫ちゃんみたいだった、今の森下さんの仕草」
相原さんが、あははと笑いながら私をからかいます。
私は、それどころじゃありません。
これを乳首にあてたら・・・
これをアソコにあてたら・・・
すっごくどきどきしてきました。

「中二になってインターネット始めたとき、まっ先に調べたの。これは何ていう名前のものなんだろう?って」
「ピンクローターっていう名前みたい」
「えっ?でもこれ、色はグリーンじゃない?キミドリって言うか・・・」
「ピンクっていうのは、えっちな、っていう意味みたい。ほら、ピンク映画とかピンクちらしとか言うじゃない?」
「あー、なるほどー」
何がなるほどーなのかは、自分でもわかりませんが、一応納得しました。
「わたしが見たネットショップだとピンク色のやつが多かったけど、青いのも白いのもピンクローターって名前だった。略してピンロー。その卵みたいな形のブルブル震えるところをローターって呼ぶみたい」
「ふーん」
「だから、やっぱりそれをくれたあの男は、ヘンな奴だったんだよね?小六の女子にこんなもの渡して、使ってるの想像してひとりえっちでもしてたのかしら?もらった日にわたしが母親にあのぬいぐるみ見せてたら、どうなったんだろう?」
相原さんは、束の間、遠い目をしました。
「でも、今はちょっと感謝しているかも。いくらわたしでもこんなの、自分じゃ恥ずかしくって買えないもの」
相原さんがまた、照れたように笑いました。

「で、森下さん?挑戦してみる?それ。あ、でも初心者には刺激、強すぎるかなあ?」
今度は相原さんが興味シンシンなお顔になって、私の顔を覗き込んできます。
私は、これをアソコにあててみたいと思いました。

「ちょっともう一度振動、試してみていい?」
相原さんがニッコリうなずいたのを見て、私はまたスイッチを入れました。
私の左手の上で、ピンクローターというらしい物体が震え始めます。
スイッチは入れると切るしかないので、振動の強さは一定みたい。
もう3度目なので、振動には馴れてきました。
スイッチ部分とローター部分をつないでいるコードは40センチくらい。
なんでこんなに長さがいるんだろう?
そんなことを考えながら、ローター近くのコードをつまんで、左の鎖骨の下、おっぱいの裾野よりちょっと上あたりにあててみました。
ブーンと振動が上半身に広がります。
これをおっぱいにあてたら、本当にすごく気持ち良さそう・・・
そして、アソコにあてたら・・・
確かに、今まで体験したことの無い感覚が味わえそうです。

「やってみたいっ!」
スイッチを切った後、相原さんをまっすぐに見つめて言いました。
「森下さん、だんだんえっちに目覚めてきちゃったみたい・・・なんだか目が爛々としてきて、すごくえっちな顔になってきてる。うれしいっ!」
相原さんが言いながら私に抱きついてきて、また短いキスをくれました。

私はとうとう、自分の性癖を隠せなくなってきちゃったみたいです。
「自分でやる?それともわたしがやってあげようか?」
相原さんの口調は、小さな子供に、トイレ一人で出来る?って聞いているような感じでした。
「相原さん・・・やって・・・ください・・・」
私は、自分のM性をもはや隠すことが出来ず、相原さんにすべて委ねるつもりで答えました。

本当は、裸を見て欲しい私。
縛られたりぶたれたり、めちゃくちゃにされてみたい私。
いつも誰か女の人に苛められているのを妄想してオナニーしている私。

さっき、せっかくいいところまで気持ち良くなったのに中断されてしまった欲求不満が、ピンクローターの振動を見て、暴走してしまいそうです。
でも、相原さんなら、私が臆病でオナニーも初めてで、自分でやるのはやっぱり怖いから、やって、って言ったんだろう、って思ってくれるはず、とも考えていました。

私は、相原さんが私のからだをどうさわろうと、逆らわないことに決めました。
ピンクローターがどんなに気持ち良くても、ひょっとしたら痛くても、がまんしてがまんして、被虐感を充分に味わおうと決めました。

「それじゃあ森下さん、ベッドに仰向けに横になって」
相原さんが、ワクワクしているのを隠せない、っていう顔で、ピンクローター片手に、先にベッドに上がりました。
「スカートも取っちゃったほうがいいかも。シワシワにならないうちに、ね?」
「・・・はい・・・わかりました」
相原さんの口調は普段どおりのやさしい言い方でしたが、私は、相原さんに命令されている気持ちになって、小さく敬語で答えていました。

相原さんの目の前で正面を向いて、おずおずとスカートのベルトを緩め、ホックをはずし、ジッパーを下げました。
スカートが足元にストンと落ちて、とうとう私はショーツ一枚の裸になりました。
水色ショーツのクロッチ部分は、上のレース部分を含む広範囲が、まるでオモラシでもしてしまったように、濃いブルーに変色していました。
二つの乳首もこれ以上は無理ってほど、尖っていました。
すっごく恥ずかしいです。
でも、それでも、相原さんからの突き刺さるような視線がすっごく気持ちいいんです。


図書室で待ちぼうけ 16

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