2016年8月21日

オートクチュールのはずなのに 55

 それ以降のアイテムはどれも、ほとんど裸、としか言いようのないものばかりでした。
 バストトップと股間をいかにギリギリに隠すか、みたいなコンセプトのものばかり。

 幅3センチにも満たない赤いリボンを胸囲を測るように巻きつけ、同じ幅のリボンがおっぱいの谷間から一直線に下へ伸び、股間を覆って背中側へと通る、正面から見ると、乳首を結んだ線と股間への細いラインがTの字の形にしか肌を隠さない水着。
 
 首に巻いたチョーカーから垂れ下がったチェーンが乳首と股間だけを、小さなハマグリの貝殻みたいなアクセで隠してくれるビキニ。

 Cストリングと呼ばれる、両脚を通すパンツ状の紐も布も無い、ただ股間にパカっと嵌めるだけのC字型カチューシャみたいなボトムスを穿かされたときは、乳首のほうは、小さなハート型のパスティースをペタンと貼り付けただけでした。

 アイテムお着替えの合間に、リンコさまが教えてくださいました。

「こっちに戻ってからの開演前のミーティングでね、当初の予定からの演出変更がけっこうあったんだ」
「どうせなら絵理奈さんじゃ出来なかった、ぶっ飛んだこともしちゃおう、ってさ」

「モデルが絵理奈さんだったら基本、ニプレスと前貼りでずーっと通すつもりだったんだよね。彼女はプロで、イメビとかもけっこう売れているほうだからさ」
「プロのモデルにとって、そういう部分って、ある意味、売り物なわけじゃない?見えた見えないの世界で。まあ、今回は名前出さない予定だったけれど」
「イメビでもまだバストトップ解禁していないランクだからさ、軽々しく見せちゃうと、価値が下がっちゃう、みたいな、オトナの事情もあるし」

「でも小夜ちんがモデルになったことだし、不幸中の幸いを最大限活用して、ここは思いっきりはっちゃけちゃおうって、絵理奈さんだったらNGだった試作アイテムとか、急遽オフィス戻って持ち出してきたり」
「一番ノリノリだったのがチーフ。こういうの、ナオコ悦びそう、とか言っちゃって、アヤ姉とワイワイ盛り上がってた」

 チェーンにハマグリのビキニでステージに出るとき、オモチャの手錠を後ろ手に嵌めることにしたのも、お姉さまのアイデアなのだそうです。
 首に嵌められたチョーカーがベルト式のワンちゃんの首輪っぽいデザインなことも相俟って、私的に一気に、マゾドレイ、な被虐モードに入りました。

 ある意味とても私らしい、こんなマゾ丸出しな姿までお客様がたにお視せすることで、お姉さまもイベントを愉しまれているんだ・・・
 このイベントでは、たとえ私がどんなにアブノーマルな姿を晒しても、お客様がたも含めて誰ひとり、咎めるような人はいない、ということを、これまでの出番で実感していました。
 
 だから直子も遠慮なんかせずに、人知れず隠し持ってきた性癖を、残らずここでさらけ出して開放しちゃいなさい。
 お姉さまに、そう言われているような気がしました。
 そう考えると、お姉さまが私を本当に理解してくださっているんだな、って思えて、キュンキュン萌えちゃいました。
 
 後ろ手に拘束されていても、ランウェイでは胸を張って颯爽と歩かなければなりません。
 ほとんど裸な晒し者姿の私を、食い入るように、その歩み通りに追いかけてくるみなさまの値踏みするような視線。
 なんだかマゾドレイの競り市に出品されちゃった気分。

 天然モノらしい小さなハマグリの貝殻の裏に、背伸びしきった乳首が擦れます。
 大きめのハマグリに軽く覆われただけの股間の奥がジンジン疼きました。
 ただ、それと同時に不穏な兆候を下半身に感じ始めていました。

 最初は、興奮し過ぎて、感じ過ぎちゃっているせいだろうな、って思いました。
 ひとりでオナニーしているときも、たまにそういう感覚に陥るときがあったからです。
 そういうときはたいてい、最終的にはシオを吹いちゃうのでした。

 でも今は、何かを挿れたり、直接刺激とかは一切していないのだけれど・・・
 そこでやっと気づきました。
 これは、尿意。

 考えてみると午前中にお姉さまからお浣腸をされて以来、ずっと排泄行為はしていませんでした。
 ショーが始まってからは、浴びせられるライトの暑さやからだの火照りに任せてスポーツドリンクをゴクゴク飲み干していました。
 当然の結果でした。
 まだ我慢しきれないほどではなかったのですが、楽屋に戻ったとき、リンコさまにご相談してみました。

「あの、おトイレに行かせてもらえますか?」
「えっ?」
 私の貝殻ビキニを脱がせながら、リンコさまが驚いたお声をあげられました。

「大きいほう?小さいほう?」
「あ、えっと、オシッコです」
「したくなっちゃったの?」
「はい・・・」
「我慢出来ないくらい?切羽詰まってる?」
「あ、いえ、まだ、それほどではないですけれど・・・」

 全裸になった私の下腹部を、じっと見つめてくるリンコさま。
 その視線を私の顔に戻した後、唇の両端だけクイッと上げたイジワルそうな笑みを作って、こうつづけました。

「とりあえず次のアイテムは、すぐに着替えて出なきゃならない段取りだから我慢して。その次なら、少し着替え時間に余裕があるから、何か方法、考えておく」
 おっしゃりながら私のからだをタオルで拭ってくださるリンコさま。
 気のせいか下腹部の膀胱の辺りをギュウギュウ押してくるように感じました。

 乳首の上にハート型のパスティースが貼られ、股にCストリングが嵌められました。
「小夜ちん、こういうの初めてでしょ?アイバックっていうんだ」

 両腿の付け根に挟んだだけ、な構造は、ちょっとしたことですぐ外れちゃいそうでとても頼りない感じですが、お尻側に回った細長いワイヤーぽい部分に弾力があり、お尻の割れスジに沿って食い込むように締め付けてくれるので、意外に落ちないみたい。

「ドレスとかでパンティラインを出したくないとき用に考案された、っていう触れ込みなんだけどさ、どう見たってエロ目的だよね、こんなの」
 これからその、こんなの、を身に着けて人前に出る私を目の前にして、他人事のようにおっしゃるリンコさま。

「まあ、アタシがいろいろ改良して、そのへんの市販品よりずっと着け心地良く、外れにくくしてあるからさ。安心してお客様にじっくり見せておいで」

 乳首にはシール、股間にはカチューシャ方式で嵌めただけのCストリングという全裸と大差ない姿でランウェイを往復し、楽屋に戻りました。
 お客様がたからの射るような好奇の視線シャワーにゾクゾク感じつつ、尿意も一段階上がっていました。

「おつかれー。こっち来て」
 戻るなり、リンコさまに手を引かれ、お部屋の中央に連れて行かれました。
 床に今まで私に使用したのであろう、少しヨレたバスタオルが何枚か敷いてありました。

「次のアイテムがラス前だから、あともうひと踏ん張り」
 しほりさまがお声をかけてくださいます。
「次のアイテムはちょっと仕込みに時間かるんだけれど、オシッコどうする?」
 リンコさまが尋ねてきました。

「あ、はい。やっぱりしちゃったほうがいい感じみたいです」
 我慢するのは好きだし得意なのですが、万が一我慢しきれなかったら、お姉さまのイベントを台無しにしてしまいます。
 それに、自分でもはっきりとわかるほどに尿意が高まっていました。

「そっか。でもこのフロアにあるトイレは、ここからかなり離れているから、悠長にトイレに行ってる余裕がタイムスケージュル的にも無さそうなんだ。悪いけれど」
「かと言って無理やり我慢させて、ショーの途中で小をお漏らしさっれちゃったりしたら、目も当てられないからさ、ここでしちゃって」
 しょうもないダジャレ混じりでイジワルに笑いながら、リンコさまがサラッとおっしゃいました。

「え?こ、ここで、ですか?」
「うん。これに」
 差し出されたのは、2リットルの空のペットボトル。
 私がゴクゴク飲んでいたスポーツドリンクの空き容器でした。

「グラビアやイメビの野外ロケとかでもよくあるよ。モデルが急にしたくなっちゃうこと」
 しほりさまが会話に加わってきました。
「近場にトイレ無いことザラだから、いつも携帯トイレをいくつか持ち歩くことにしているんだけれど、今日は生憎持ってなくて。ごめんね」
 もしもしほりさまが携帯トイレをお持ちでも、ここですることに変わりはないようです。

「で、でも、みなさま、いらっしゃるんですよね?」
 てっきりガウンでも着せられて、早く帰ってらっしゃい、とおトイレに送り出されると思っていた私は、ドギマギしすぎて、尿意がどんどん荒ぶるばかり。
 ここで、みなさまに見守られる中で、オシッコしなくちゃならないの?

「仕方ないじゃない。今は大事な仕事中なんだよ?アタシらは、スケジュール通りに一分一秒を争って、次のアイテムを着せなくちゃならないのっ」
 焦れたようにリンコさまがおっしゃいました。

「なんだか拍子抜け。小夜ちんなら、悦んでするだろうって思ったのに」
 リンコさまが真面目なお顔で私を見つめてきました。

「どうしてもここでしたくないって言うのなら、トイレに行ってきてもいいよ、ただし、その格好のまま、ひとりでね」
「このフロアのトイレは、エレベーターロビーの真ん前。今は時間的に他の会場が入れ替えの頃だから、他の催事で来たサラリーマンのお客様とか、たくさんいると思うけどね」
「それで、きっちり3分以内に戻ってきて。それが出来ないなら、ここでしなさい」
 今までにないほど冷たく突き放した、リンコさまのエス度満点な視線。

「あなた、マゾなんでしょう?それともチーフ、呼ぼうか?」
 最後に私の目を射るようにじっと視て、吐き捨てるようにおっしゃいました。

「は、はい・・・わかりました・・・こ、ここで、します・・・」
 マゾマンコの奥から脳天まで、隷属、という名の気持ち良い電流がズキュンとつらぬきました。
 これは、ご命令なんだ・・・
 私は、今日モデルをすると決めたときから、お姉さまの会社のスタッフのみなさま全員の慰み者、マゾドレイになったのだから・・・

「ならさっさとしちゃってよ。それじゃなくても時間押してるんだからっ」
 リンコさまのエスな口調とともに、おっぱいのパスティースが乱暴にベリっと剥がされ、Cストリングスもスポッと外されました。

 全裸にされて敷かれたバスタオルの縁に立ちます。
 中腰になってマゾマンコの割れ始め付近にペットボトルの飲み口の縁を右手であてがいました。

 私の正面にリンコさまとしほりさま、右側にほのかさま、背後に里美さま。
 ほのかさまだけは、ちょっと離れたところで怯えたような瞳で、それでも視線はしっかり私のからだに向いていました。

「一応タオルは敷いたけど、なるべくこぼさないでよ。しっかり狙って」
「はい・・・」
 会社のみなさまに、全裸でオシッコするところを視られている・・・
 ドキドキがひどすぎて、なかなか出てきません。

「自分でラビア広げて、尿道により近づけたほうがいいんじゃないの?」
 リンコさまの蔑んだお声。
「いっそ飲み口を中に突っ込んじゃえば?」
 しほりさまのからかうようなお声。
「そのボトルの飲み口は、ウエットティッシュでちゃんと拭っておいたので、清潔だと思います」
 ほのかさまのひどく真面目なお声。

「は、はい・・・」
 すべてのお声がご命令でした。

 左手をマゾマンコに添え、自分で陰唇をグイッと開きました。
 一瞬で左手の指先がヌルヌルになるほど濡れそぼっていました。
 飲み口をそっと粘膜に近づけます。
 粘膜に直接プラスティックの感触がしたとき、添えた左手の手のひらが、腫れ上がったクリットに触れました。
「あぅ!」

「感じてる場合じゃないでしょ?ほんと、いやらしい子」
 呆れたようなリンコさまのお声と同時に、ペットボトルの底から音がし始めました。

 ジョボ・・・
 ジョボジョボ・・・
 ジョボジョボジョボーーーッ!

 一度出始めると堰を切ったように、勢い良くほとばしる不浄な液体。
 右手で持ったペットボトルがみるみる重くなり、生温かくなってきました。
 ジョボジョボジョボーーーーーッ。
 逃げ出したくなるほど恥ずかしい水音がお部屋一杯に響き渡りました。

 視てる・・・
 視られてる・・・
 明るい蛍光灯の下まっ裸になった私が、オシッコしている姿を・・・
 リンコさまが、しほりさまが、ほのかさまが、里美さまが。

「現在、夕張さん、オシッコ中です。その後、着替えですので、予定より3分前後つないでおいてください。あとで巻きますので」

 背後から美里さまのお声が聞こえてきました。
 そんなこと、わざわざご報告されなくてもいいのに・・・
 交信のお相手は、お姉さまでしょうか、ミサさまでしょうか?
 美里さまのインカム越しに、私の派手な放尿音も聞こえちゃったでしょうか・・・

 永遠につづくように思われた激しい水音もやがてチョロチョロ、せせらぎ程度になっていました。
 ポチャン。
 最後に水面を震わせた波紋を合図に、そっとペットボトルをマゾマンコから離します。
 ツツーっと糸を引くペットボトルの飲み口はヌルヌル。

「済んだ?」
 真正面から一瞬も目をそらさず私の放尿姿を視つめていたリンコさまが、お顔を上げて尋ねてき
ました。

「はい」
「スッキリした?」
「・・・はい」

 ペットボトルの三分の一くらいが、薄黄色の液体で満たされていました。
 たった今、私の体内から排出されたオシッコ。
 その体温くらいに生温かくなったペットボトルを両手で持った全裸の私を、全員が無言で見つめていました。
 たった今、私のマゾマンコから離された、丸くぽっかり空いた飲み口から、独特の不浄な臭いが辺りに漂ってきます。

「けっこうクサイね。早くふたしちゃいなさい」
 リンコさまったら、わざわざおっしゃらなくても・・・

「は、はいっ」
 今更ながらの強烈な恥ずかしさをごまかすみたいに、ほのかさまから渡されたペットボトルのキャップをギュウギュウ締めました。
「スーパーモデル、夕張小夜様のしぼりたて聖水瓶詰めね」
 しほりさまのからかい口調に、いたたまれない程の羞恥で今すぐどこかへ逃げ出したい気持ち。

 ほのかさまがウエットティッシュを差し出してくださっています。
「これで後始末するといいわよ。ソコ」
 私の股間にチラッと目を遣っておっしゃってから、すぐにお顔ごと視線を逸らされました。
「・・・ありがとうございます」
 自分の股間に押し当てた途端、ベトベトになるウェットティッシュ。

「それにしても、あんな姿勢でそんな細い飲み口に、よく一滴もこぼさずに出来たものよね。ひょっとして家でも日常的にやっている熟練者だったりして」
 しほりさまが感心したように尋ねてきました。
「い、いえ、初めてです。ペットボトルにオシッコなんて、今までしたことないです」
 大急ぎで否定する私。
 だって本当のことですもの。

「ふーん。やっぱわたしの、突っ込んじゃえ、っていうアドバイスが良かったのかな」
 自画自賛されるしほりさま。
「でもこれで、マゾプレイのレパートリーが増えたんじゃない?あえてナオコって呼ぶけれど、ナオコのオフィス放尿ショー、なんてね」
 すっかり言葉責めモードに入っているしほりさまのご冗談にも即座に、オフィスでおトイレに行かせてもらえない私が、みなさまの前でペットボトルにオシッコする姿をご披露している妄想を浮かべてしまう、どうしようもない私。

「はいはい。時間押してるよ。次はプレイ編のメインアイテム、そしてオーラスのエンディングアイテム。最後まで気を抜かないで、キメにいくよ」
 
 リンコさまがパンパンと拍手しておっしゃったそのお言葉で、私のオシッコ姿ご披露タイムで緩んでいた場の空気が、再びピリッと張り詰めました。


オートクチュールのはずなのに 56


2016年8月14日

オートクチュールのはずなのに 54

 楽屋口で迎えてくださったのは、ほのかさま。
 剥き出しになった私のおっぱいを一刻も早く隠さなくては、とでも言うような困惑された表情で、バスタオルを広げて待ち構えていてくださいました。

「お疲れさま」
 労るようなおやさしいお声とともに、背中から包み込むように、大きなバスタオルで私の裸身をくるんでくださいます。

 ほのかさまと抱き合うような形で、されるがままになっていたとき、ほのかさまの右肘が私の尖った左乳首にチョンと触れました。
「あうぅ」
 途端にビリリってそこから全身に電気が走り、思わずはしたない声が洩れました。
 ほのかさまが小さくビクンと震えて一歩退きました。

 私、すごく感じやすくなっちゃっている・・・
 全身の皮膚すべてが性感帯のよう。
 背中に触れているタオル地のザラザラした感触にさえ、ムラムラ昂ぶってしまいます。

「あらら。夕張さん、だいぶ出来上がっちゃったみたいね、顔がトロンて蕩けてる」
 少し離れたところで私たちを見守っていたしほりさまが、愉快そうにおっしゃいました。

「ああ、びっくりしたぁ」
 楽屋口のドアを開けて、リンコさまが戻っていらっしゃいました。

「まさか小夜ちんが、あんなに盛大に濡らしちゃっているとは、思わなかったよー」
「本当はステージでショーツまで脱がせちゃう段取りだったんだけどさ、あんなビチョビチョじゃ、お客様に引かれちゃうと思って、急遽中止した」
 
 呆れたようなニヤニヤ笑いを浮かべたリンコさまに手を引かれ、鏡の前に連れて行かれました。
 せっかくほのかさまが巻いてくださったバスタオルは当然のように剥がされ、おっぱい丸出し女の姿が鏡に映ります。

「ほら、ぐずぐずしないで、ショーツも脱いで!」
 リンコさまの口調、エス度が増しているみたい。
「は、はい・・・」
 みなさまが見守る中で身を屈め、自らショーツをずり下げました。

 私のマゾマンコとソコが密着していたショーツの裏側とのあいだに、か細くて粘り気のある、喩えて言うと納豆の糸のような線が何本も引いては途切れました。
 ショーツを足元まで降ろしても、まだがんばって引きつづける糸も何本かありました。

 そんな光景をじっと見つめている楽屋のみなさまの目。
 そして辺りに漂い始める私にとっては嗅ぎ慣れた、薄っすら磯臭いような淫靡な発情の臭い。
 ショーツの裏側にたっぷりねっとり染みついた、この夥しい粘液こそが、私の淫らなヘンタイ性癖を可視化する動かぬ証拠となっていました。

「チーフが前貼りを却下した理由がわかったよ」
 私の股間をタオルでぞんざいに拭いながらリンコさまがおっしゃいました。
「こんなにベチョベチョにしちゃったら、すぐ剥がれちゃうし、ベージュの前貼りは濡れ染みになると茶色く目立ってみっともないもんね」

 タオルを私のマゾマンコに押し付けて、ギュウギュウと膣の中にまで押し込むように、おツユを拭ってくださるリンコさま。
 私はもちろん服従ポーズで、その刺激の快感に耐えていました。
 リンコさまの傍らではほのかさまが、私が汚してしまった透明ショーツの裏側を真剣なお顔で、丁寧に濡れタオルで拭ってくださっていました。

「このショーツも会場のマネキンに穿かせなくてはいけないのでしたよね?」
 私の淫汁を拭い去り、なんとか透明度95パーセントくらいに戻ったショーツをつまみ上げ、ほのかさまがリンコさまに尋ねました。

「マネキンは仕方ないから諦める。本当は水洗いしたいところだけれど、しちゃうと終わりまでに乾かなそうだし。その感じでいいから、あとは楽屋で干しといて」
「商談会でお客様からご希望があれば、実物を手に取ってもらうことになるからさ」

 リンコさまがタオルを私の股間に押し当てたまま私の顔をじっと見てつづけました。
「濡れタオルで拭いただけじゃ、臭っちゃうかもしれないけどね」
 私に向けて、ニマッと笑うリンコさま。

 そのお言葉を聞いた途端、からだ中の血液がカッと燃え上がり、押し付けられたタオルに恥辱の元凶である淫汁がまた、性懲りもなくトロリと溢れ出たのがわかりました。

 次に着せられたのは、同じ透明素材にうっすら赤色が入ったドレスでした。
 よく海外の映画女優さんなどが華やかなパーティでお召しになっているのを見かける、肌の露出部分の多いセクシー系のイブニングドレス。

 ホルターネックのVラインが大胆に下腹部あたりまで切れ込んでいるので、正面からはおへそ下まで、側面からも横乳がほとんど丸見え。
 少し動いただけでもすぐ、乳首がコンニチハしちゃいそう。
 背中も、お尻の割れ始めくらいまで大胆に開いています。
 スレンダーラインの裾はかかとまであるのですが、左側に入ったスリットが腰骨のあたりまで切れ込んでいるので、脚を踏み出すたびに翻り、キワドイところまで露になりそう。

 そしてもちろん、赤みがかっているとは言え透明素材ですから、ドレスの下の私の裸は丸わかり。
 幅5センチくらいの布地の下で息づく乳首の硬直具合までも、肉眼でハッキリわかりました。

 今度は、こんなのを着て、みなさまの前に出るんだ・・・
 ドキドキとワクワクが、頭と心と下半身に充満します。
 私にはすでに、理性はほとんど残ってなく、自分のヘンタイ性癖の基準で物事を判断し始めていました。
 
 恥ずかしい姿の私を、みなさまに視ていただける・・・
 その悦びだけで全身が疼きます。
 一刻も早くステージに出て、お客様がたを私の姿で驚かせたいという気持ちで一杯になっていました。

 そんなふうにしてショーは進んでいきました。

 シースルー素材の次は、ボンデージ系。
 キャットスーツというのでしょうか、ラテックス素材で首から下すべて、手の先から足の爪先までピッタリと覆われるボディスーツ。

 本当にピッタリ誂えたように、私の裸のボディラインそのまんまに素肌に吸いつく極薄ボディスーツ。
 これは本来、絵理奈さまのサイズに合わせて作られたのですから、他の人には着こなせません。
 だけど私にも見事にピッタリで、そのことを見極められた綾音さまのデザイナーとしての眼力に、今更ながら感心してしまいました。

 こういうアイテムは着たことがなかったので、鏡に映った姿を見たときは衝撃でした。
 最初に着せられたのは、真っ白な地にところどころラインの入った、超有名な人気SFアニメに出てくる、プラグスーツを思わせるデザインでした。

 その剥き出しなボディラインとラテックス素材の光沢が艶めかしくて、まさに裸よりエロティック。
 これも独自開発した新素材のラテックスだそうで、本当に極薄で、乳首の形も、股間のスジの食い込みも、まるで何も着ていないかのように見事に浮かび上がっていました。

 着心地も衝撃でした。
 水泳の水着やバレエのレオタードとも違う、肌に吸いつくような悩ましい密着感。
 初めはひんやり感じた素材が、体温で温まって一体化し、それでなくても敏感になっている全身の肌の触感がざわめきだします。
 どこもかしこも常に誰かに触られている感じ。
 これを身に着けたまま、麻縄でギュウギュウに縛られたら、すっごく気持ちいいだろうな、なんて、ふと考えちゃいました。

 2着めのキャットスーツは渋いモスグリーン。
 こちらはご丁寧にも、おっぱいのカップ部分と下半身のクロッチ部分だけ別素材で、特殊なジッパーで着脱出来るようになっていました。
 そしてもちろん、ステージ上で服従ポーズになり、リンコさまの手でその部分を外されました。

「絵理奈さんだったら当然、ニプレスと前貼り、してあげたんだけどね」
 外す寸前、リンコさまが小声で、からかうようにおっしゃいました。

 明るいステージの上。
 ボディラインも露なエロティック衣装の私に、お客様がたの視線が集中する中。
 全身モスグリーンの中で剥き出しとなった3箇所の、誰の目にもあからさまに欲情しているとわかる生身の肌色部分は、さぞかし卑猥に目立っていたことでしょう。

 つづいては、カジュアルラインコーナー。
 街中でも着て歩けるエクスポーズ服、というコンセプトなのだそうですが、どのアイテムも、とてもそうは思えませんでした。

 まずは、ロリータっぽいハイウェストジャンパースカート。
 ドイツの可愛らしい民族衣装=ディアンドル風の、おっぱいのすぐ下にハイウエストの切り替えが来て、おっぱいをドーンと強調しちゃうアレです。
 赤、緑、黒のチェック柄でメルヘンチックなジャンパースカートに白のフリルブラウスを合わせます。

 襟元にえんじのリボン、パフスリーブでふうわり王子様袖という、超可愛らしいデザインのフリルブラウスなのですが、丈だけが異様に短いんです。
 おっぱいの乳首、そのすぐ下くらいまで。
 下乳丸出し。

 ベリーダンスの人がよく着ている、両袖を通した胸が隠れるくらいのボレロ、を思い浮かべてくださるとわかると思います。
 それのボレロ部分がおっぱいの半分までしか届いてないわけです。
 ジャンパースカートの胸当て部分が、そのすぐ下に来て、半分だけ隠れたおっぱい部分をボーンと強調するみたくウェストを引き絞っています。
 ノーブラでそれを着ると、まっすぐ立っていればスレスレでやっと乳首が隠れる感じでした。

 おまけに、ジャンパースカートも超ミニで、膝上20センチ以上。
 ちょっと前屈みになればお尻丸出しになるのは確実でした。

「本当は、可愛い見せパンも穿くんだけれど、小夜ちんが穿いてもまた汚しちゃうだけだから、ノーパンでいいよね」
 リンコさまのイジワル声でステージに送り出されました。

 次に着せられたのは、一見、ストンとしたラウンドネックのシンプルなワンピース。
 色は肌色に近いベージュで七分袖の膝丈。
 なのですが、両サイド裾から腋下のところまでスリットが入っていました。

 つまり、このワンピースを素肌に着ると、一枚の細長い布地を両肩で折り返して、からだの前後に長方形の布を一枚づつぶら下げているだけ、みたいな状態。
 繁華街などでたまに見かける、からだの前と後にお店の広告看板をぶら下げて宣伝されているサンドイッチマンの人みたいな格好を、裸でしていることになるんです。

 その状態でウエスト部分を黒いベルトでキュッと絞られました。
 ウエストを起点にして、上半身は、胸側に一枚、背中側に一枚、下半身は、お腹側に一枚、お尻側に一枚の布に分割されました。
 横から見たら、前後の布のあいだから横乳、脇腹、太腿まで丸見えです。

 おまけに生地がとてもスベスベ柔らかくて軽いこともあり、からだにくっつけばラインがクッキリ、少し動いたらヒラヒラして、裾が大げさにフワリという仕様。
 腕を振ってランウェイを歩くと、上半身の布がベルトを起点にどんどんせり上がってきて、楽屋に戻る頃には、側面がら空き、横からなら乳首までおっぱい見え放題な状態となっていました。

 その次のアイテムは、パンツルック。
「今日の中ではこれが一番、完成まで試行錯誤したんだ」
 と、リンコさま一推しのアイテムでした。

 渡されたのは、一見普通のブルージーンズ。
 でも股上が異常に浅い?
 まず右脚から通すと、足周りはジャストフィットなスリムジーンズ。
 つづいて左脚を通して腰まで上げました。

「えっ!?」
 思わず絶句してリンコさまを見ました。
「凄いでしょ?」
 ご満足そうなリンコさまの笑顔。

 ほとんど股上がありませんでした。
 両腿の付け根から上には、ほんの数センチほどの布地しかありません。
 前は、性器のスジ覗き始めから、後ろはお尻の穴がギリギリ隠れるくらいだけしか覆ってくれていません。
 例えて言うなら、腿までのストッキングをそのまま右左縫い付けて、股上として幅数センチの腰周りをくっつけた、という感じ。
 ウルトラスーパー超ローライズジーンズ。

 かろうじて恥丘の上に来たボタンを留めます。
 当然ジッパー部分は無し。
 鏡には、左右の大腿骨付け根からのラインが作る三角形の下腹部すべてが露出した私の下半身が映っていました。
 後ろを向くと、お尻の割れスジも三分の一以上はみ出しています。

 このジーンズって、絶対しゃがめないよね・・・
 しゃがんだ途端に股上が腿の方にずり下がって、前の穴も後ろの穴も丸出しになっちゃうはず。
 鏡の自分を視つめながら、ステージ上でしゃがんだ自分の姿を想像していました。

「いかにギリギリまで攻めるか、苦労したんだ。弾力のいいコットンとか探してさ」
 私のほぼ剥き出しな下半身を至近距離からじーっと見つめつつ、リンコさまが感慨深げにおっしゃいました。
 確かに腰の動きに合わせて生地が伸びる感じで、穿き心地はすっごくいいんです。
 それを伝えるとリンコさまは、がんばった甲斐があった、って喜んでくださいました。

「こんなの、普通にヘアのある人は、ショーツ着けたって恥ずかしくて穿けないでしょう?まさに生涯パイパンなナオコ、じゃなくて小夜ちんのため、みたいなデザインじゃない?」
「小夜ちんの性器、絵理奈さんより上付き気味だから、ボタンがスジにギリギリだけど、きっと小夜ちんには、そのほうが嬉しいでしょう?」
 イジワルっぽくおっしゃったリンコさま。

「モデルが絵理奈さんだったら、白いTバックショーツを下に穿く段取りだったんだ。ノーパンだとあまりに生々し過ぎるし」
 独り言っぽくつぶやかれてから、まっすぐ私の顔を見て、つづけられました。

「どうせ小夜ちんが会場歩いて帰ってきたら、股上の裏、ベチョベチョに汚しちゃうんだろうから、この試作品は小夜ちんにあげる。オフィスでもよくジーンズ穿いているじゃん。普段着で使うといいよ」
 その口調にエスっぽいニュアンスを感じて、私にはそれがリンコさまからの、オフィスでもこれを穿きなさい、というご命令に聞こえました。

 上半身には、アンダーバストギリギリ丈のパツパツな白チビTシャツをノーブラで着せられ、その上に前開きのラフなデニムジャケットを羽織りました。
 ジャケットのボタンは、おへそから裾まで留めます。
 ボタンを留めている限りは、下のジーンズの股上がどうなっているのか、お客様にはわかりません。

「ランウェイの端に行ったら自分でジャケット脱いで、肩に担いで颯爽と帰って来なさい」
 リンコさまからのご指令。
 ジャケットを脱いで無毛な恥丘丸出しになったときの、驚きと戸惑いが入り混じったような会場のざわめきは、一際大きいものでした。

 そんなふうに、破廉恥な衣装を取っ換え引っ換え着替えさせられては、お客様がたの前に出るという行為を、私は愉しんでいました。
 どんなにキワドイ衣装を着せられても、早くみなさまに視ていただきたい、と思う気持ちのほうが、戸惑いや羞じらいよりも、あきらかに勝っていました。
 私のマゾ的妄想の中でも、幼い頃から一番根強く巣食っていた公然羞恥露出願望が遂に実現して、ヘンタイ性癖の塊と化してしまった私は、今のこの状況に酔い痴れていました。

 私の一挙手一投足を熱っぽく視つめてくださるお客様がたの視線。
 私が動くたびに、一斉に動くたくさんの頭。
 一枚脱ぐたびに、起きるどよめき。
 ステージを去るたびに、鳴り響く拍手。
 それらすべてが私を性的に興奮させていました。

 お客様がたの表情を見渡す余裕も出来ていました。
 私が出てくるたびに身を乗り出すように見つめてくる、最前列にお座りの艶やかに着飾ったご年配のおばさま。
 ランウェイの中ほど左側にお座りの、私と年齢がそう変わらないであろうビジネススーツの女性は、私が前を通るたびに傍目でわかるほど頬を紅潮させ、気恥ずかしそうに、それでも真剣なまなざしで私の姿を追っていました。

 目線は私に向けたまま、お隣の人と何かヒソヒソ話されている人。
 私の顔とからだを交互に見ては、ずっとニヤニヤ笑っている人。
 何度かオフィスでお見かけしたことのあるお顔もいくつかありました。
 驚嘆、好奇、侮蔑、憐憫、嗜虐・・・
 すべてのまなざしが私に何かを訴えかけていました。
 
 そんな中を私は、外見は努めて無表情を装いながら、内心では淫らなことばかりを考えていました。
 
 もう少し胸を張ったほうが、ノーブラ乳首のポッチが目立つかも。
 もっと大きく腕を振れば、生乳首がお外に飛び出したままになるかな。
 ランウェイ端の回れ右のとき、勢い良くターンしてスカートの中身まで視ていただこう。
 歩いているうちにジーンズのボタンが弾け飛んで、マゾマンコ全部見えちゃえばいいのに。

 とにかく自分のもっともっと恥ずかしい姿を、みなさまにさらけ出したくて仕方ない気持ちになっていました、
 私のどうしようもない、ふしだらなヘンタイ性癖を余すこと無く見せちゃいたい・・・

 楽屋に戻るたびに、はしたなく濡らした股間をリンコさまにからかわれながらギュウギュウ拭かれました。
 乳首が勃ちっ放しでスゴイね、ってしほりさまに感心されました。
 次々とふしだらな格好をさせられる私を見る、ほのかさまの憐れむようなまなざしに、マゾの血がキュンキュン疼きました。
 火照って火照って喉が乾くので、戻るたびにスポーツドリンクをゴクゴク飲み干しました。

 カジュアルラインコーナーの次は、プレイルーム編。
 ショーも終盤にさしかかっていました。
 ここからは、よりエロティックさを追求した、女性のためのセクシープレイアイテムばかりとなるそうです。

 最初のアイテム、文字通り乳首と股間のスジをギリギリにしか隠せない極小マイクロビキニを着せられた私は、とてもシアワセそうに見えたと思います。

 ああ、今度はこんな恥知らずな水着を着た私のからだを、お客様がたに視姦してていただけるんだ・・・
 今までに味わったことのある、どんな種類の気持ち良さとも違う、恍惚とする性的高揚感に、身も心もすっかり支配されていました。

 今さっき身に着けたばかりなのに股間をわずかに覆う小さな白い布地は、しとどに濡れそぼり、スジをクッキリ浮き上がらせてベッタリ陰唇に貼り付いていました。


オートクチュールのはずなのに 55


2016年8月8日

オートクチュールのはずなのに 53

 大きな拍手を背に受けながら楽屋に戻りました。
 全身がカッカと火照って、頭がボーッとしています。

「おつかれー。はい、これ飲んで」
 バスタオルで迎えてくださったリンコさまが、冷たいスポーツドリンクのペットボトルを渡してくださいました。
「あ、ありがとう、ございます」

 ゴクゴクゴク。
 美味しいー。
 熱が篭った体内に冷たい水分が沁み渡っていくよう。
 半分ほど飲み干すと、ほのかさまがペットボトルを受け取ってくださりテーブルに置いてくださいました。

「バンザイして」
 リンコさまのご命令。
「あ、はい」
 右襟から腋にかけてのホックが手早く外され、裾を盛大に捲り上げられ、あっという間に全裸。
 すかさずしほりさまがウイッグを整えてくださいます。

「からだ、ホッカホカじゃない。お客様の視線で、そんなに感じちゃったんだ」
 からかうようにおっしゃりながら、タオルで汗をぬぐってくださるリンコさま。
「はうっ」
 硬くなっている乳首をタオル越しにつままれて、思わずはしたない声が漏れてしまいました。

「いいねいいね。その悩ましい感じ。そのエロっぽさでお客様たちを残らず悩殺しちゃいなさい」
 リンコさまの視線が私の内腿周辺にまとわりついています。
 その部分だけ、汗とは違う種類の粘っこそうな体液に濡れ、お部屋の照明にテラテラ光っていました。
 
 私の下腹部にタオルを押し当て、拭ってくださるリンコさま。
 タオル越しの指が私の腫れた部分をコショコショ嬲ってきます。
 いつの間にか服従ポーズになって、必死にポーカーフェースを繕う私。

「おーけー。次のアイテムはちょっとめんどくさいんだ」
 真顔に戻られたリンコさまのお隣に、ハンガーにかかったスーツカバーを持たれたほのかさま。
「次はスーツだからね。ちゃんと下着からフル装備」
 愉快そうにニッと微笑んだリンコさまから、ニュッと両手を差し出されました。

「何ですか、これ?」
 差し出されたリンコさまの手の上に乗っていたのは、透明のビニール袋?
「だから、下着よ」
 言われてみればそんなような形をしている気もしますが、ものの見事に無色透明なんです。

「ビニール製、ですか?」
「ううん。れっきとした植物由来の繊維製。でも布地って言うより紙に近いのかな。これもうちと某社との開発品」
 ちょっぴり得意気におっしゃって、まずブラジャーから着け始めてくださいました。

 形状はごく普通のハーフカップブラ。
 でも、カップも肩紐も留め具も、みんな素通しガラスみたいに透明。
 だからブラに潰されて少しひしゃげた乳首の色まで、外から丸見え。
 ブラの中でおっぱいって、こんなふうになっているんだ・・・
 着け心地は確かに、普通の布地っぽい。

 つづいてショーツ。
 ローライズ気味のフルバックタイプ。
 ゴムのところだけ少し濁って半透明な以外、見事に無色透明。
 だから当然、中身も丸見え。
 せっかく下着を着けていても、これでは何の意味もありません。
 もしも下にヘアがあったら、黒々、すっごく目立つだろうな・・・

「おお。上も下もサイズ、ぴったりだね」
 リンコさまの嬉しそうなお声。
「それで次はこれ」
 リンコさまのお声に、ほのかさまが持たれていたスーツカバーを開けると、中にはこれまた透明なお洋服っぽいものが入っていました。
「まずはブラウス」

 これまた見事に無色透明。
 まるでビニール袋のようなそのペラペラな布地?は、確かに一般的なブラウスの形状はしていました。
 立ち襟で長袖、着丈はウエストちょっと下くらいの短かめ。
 縫製された糸に当たる部分が少しだけ半透明に濁っている以外、ボタンまで綺麗に透明。

 両袖を通すと、リンコさまとほのかさまが、おふたりがかりでテキパキとボタンを留めてくださいました。
 着心地は、普通のやわらかめなブラウスを身に着けているのとぜんぜん変わりません。

「それで、これね」
 ジャケットとスカート。
 これも透明度の高いシースルーなのですが、全体に少しだけうすーいベージュが入っていてやや濁っている感じ。
 一見してスーツのシルエットが識別できるくらいの極薄い色味が入っています。

 スカートは、膝上丈のけっこうパッツンなタイト。
 ブラウスより厚手な生地ですが、ちゃんと透けています。
 ブラウスの裾はインせず、スカートのウエスト部分、ちょうどおへそのところに数センチかかる感じ。

 ジャケットも同じ色味と生地で、シンプルなビジネスタイプのシルエット。
 ジャケットのボタンもキッチリ留めて着終えると、からだの感覚としては確かにスーツを着込んでいる状態なのですが、鏡に映った姿は赤面モノ。
 ベージュがかったスーツシルエットの下に、肌色全裸のボディラインが見事に浮き出ていました。
 肌の色と薄いベージュが同系色なので、とくにバストトップと乳輪の赤みが、全体肌色の中、強烈なアクセントとなって目立ちまくっています。

「このアイテムはね、開発部では、プロジェクトアンデルセン、って呼んでたんだ」
 私の着付けを調整してくださりながら、リンコさまが教えてくださいました。
「あの有名な、裸の王様、の服を作っちゃおう、って」
 イタズラっ子の笑顔で、ハイヒールなパンプスが足元に置かれました。
「ビジネススーツなんだから、ちゃんと足元もキメなきゃね」

 パンプスだけ透明ではなくて、薄いベージュのシンプルなデザインで、ヒールが10センチくらいと高めでした。
 造りがしっかりして、誂えたみたいに履きやすい。
 履いているときに、そろそろです、と里美さまからお声がかかりました。

 今度はこんな、最初から透明スケスケのお洋服でお客様の前に出るんだ・・・
 鏡に映った自分の姿に再度目を遣ると、下半身の奥底から羞じらいが全身にほとばしります。
 スーツをちゃんと着ているクセに、まったくの役立たず。
 隠すべき箇所がまったく隠せていない、裸体同様の破廉恥な自分の姿。

 パンプスを履いたせいで何て言うか、お外にいる感、がグッと増していました。
 だって全裸になるときって普通お家の中のはずで、そんなときに靴なんて絶対履いていないですから。
 
 ハイヒールという、お仕事とかオシャレとか社会性を連想させるものを身に着けたことで、今の自分のアブノーマルな露出症的服装のアブノーマル感がいっそう際立つように感じました。
 さっき会場のフロアに着いてダンボール箱から出て、全裸にパンプスだけ履いた格好でオフィスビルの廊下を歩いたときに感じた、喩えようのない羞恥と背徳感がまざまざと蘇りました。

 ただ、そんな恥ずかしい恰好をしているクセに、心境にポジティヴな変化が訪れていました。
 こんな姿で人前に出るというドキドキ感は止まらないのですが、そのドキドキの中に、そこはかとないワクワク感が混ざり始めていました。

 早くみなさまの前に出て、ふしだらで恥ずかしい私の姿をご披露したい。
 みなさまが驚くご様子が見たい。
 そんなヘンタイ的な高揚感が強くなっていました。

 それは、これまでランウェイを2往復してみて感じた、お客様がたの好奇に満ちた期待を、文字通り素肌で感じ取ったおかげなのでしょう。
 あっと驚くような格好で私が出てくることを、素直に愉しんでいらっしゃるみなさまのリラックスされたご様子に、私も自分の恥ずかしさを愉しむ余裕が出てきたようでした。

「スタンバイ、お願いします」
 里美さまのお声で、舞台袖に上がりました。

「今回は、往復してステージに戻ったら、そのままステージで待っていて。アタシもステージに上がるから」
 リンコさまが小声で耳打ちしてきました。
「そこからは、アヤ姉の説明に従うの。アタシもステージで手助けするから。わかった?」
 リンコさまのご指示にコクンとうなずくと同時に、場内のBGMがミドルテンポのヒップホップ風に変わりました。
「おっけー、ゴーッ!」

 リンコさまに軽く肩を押され、ステージ上に出ました。
「おおっ!」
 軽く会場全体がざわめきました。
 照明が煌々と点いた明るいままの会場に、スケスケ過ぎる私の姿はどんなふうに見えているのでしょう。
 モデルの心得をおさらいしながらステージ中央まで進みました。

 階段を下りて赤絨毯へ。
 歩くたびに腿を撫でるスカート、腕に擦れる袖。
 身体的には紛うこと無くお洋服を着ている感覚なのに、凄い恥ずかしさ。

 まっすぐ固定した視線の両端に、こちらをじーっと見つめてくるお客様がたの瞳の大群。
 小野寺さま、アンジェラさまのお隣にお姉さまのお姿をみつけて、思わず視線がそちらへと動いてしまいます。
 
 ランウェイの端まで行き着き、回れ右。
 今回は暗転も無く、明るいままの会場をステージへと戻ります。
 視界の右端に入るスクリーンには、すでに正面からの私の姿が映し出されていました。

 大きな顔のアップから、徐々にカメラが私のからだを舐めるように下がっていき、バスト部分では、透明繊維にあがらうように背伸びしているふたつの乳首が、ハッキリ鮮明に映し出されました。
 なおも下がるカメラが、うっすらベージュのスカートウェストから透けるおへそを通り、タイトスカートの下半身アップへ。
 上付きな私の無毛恥丘の割れ始め部分も、二枚の透明繊維越しにクッキリ映っていました。

 ああん、私の恥ずかしい箇所があんなに大きく、みなさまの前に映し出されている・・・
 私が通りすぎた場所に座っていらっしゃるかたたちは、きっと生身の私のお尻とスクリーンを交互に、凝視されているのだろうな・・・

 いやん、視ないで・・・
 ああん、でも視て、視てください、どうぞ存分に、私の恥ずかしい姿をご覧になってくださいぃ・・・

 歩きながら心の中で、グングン興奮し発情していました。
 でも、お姉さまのお言いつけ通り、決して悟られないように努めて無表情を装います。
 心臓の鼓動が周りのかたたちにまで聞こえてしまうのではないかと思うくらい、昂ぶっています。
 それを必死に抑え、耐えながら、内側からゾクゾク、ムラムラ感じていました。

 ステージ中央には、リンコさまがすでに待ち構えていらっしゃいました。
 並ぶ形でお隣に立ち、お客様がたのほうへ向き直ります。

「両腕をちょっと左右に開いたポーズで立っていて。そうね、何て言うか、ペンギンみたいに」
 リンコさまの小声のご指示。
 ペンギンさん?
 ちょっと考えて、直立姿勢のまま両腋から腕を30度くらいの角度で離しました。
「うん。それでいい。あとは自分はただのマネキンだと思って、アタシに何されても無表情でいて」

「ご覧いただいた通り、このプロジェクトアンデルセンは、まったくの無色透明のまま、どんなデザインにも縫製することが出来る夢の新素材です」
 司会者演壇の綾音さまがご説明を始めました。
 と同時にリンコさまが私の前にまわり、私が着ているジャケットのボタンを外し始めました。

「今回のスーツで言いますと、ジャケットとスカートには、シルエットがわかりやすいように薄くベージュを入れてあります」
「このように、シースルーのままお好みのカラーを入れることも可能ですので、例えば、イエローのブラウスの上に青みの入ったジャケットを合わせると、透明なので重なった部分だけグリーンになる、といったカラーコンビネーショの楽しみ方も出来るわけです」

 綾音さまのご説明がつづいているうちに、リンコさまの手でスルスルッとジャケットが脱がされました。
 ジャケットの下は、完全に無色透明なブラウスと、その下のブラジャー。
 私のはしたない乳首は、ジャケットを着ていたときより、よりハッキリと、みなさまの目に見えているはずです。

 つづいてスカートウェストのボタンも外され、スカートが足元にストンと落ちました。
「ちょっと動いて落ちたスカートから両足外してくれる?」

 リンコさまのご指示に、透明なブラウスと下着姿になった私は、後ろに右足、左足と一歩づつ下がりました。
 すかさずリンコさまがスカートを拾い上げました。
 雅さまが近づいてきて、スーツの上下を演壇までお持ちになりました。

「ご覧の通り、モデルが下に着ているブラウスは、まったくの無色透明です。また、あのブラウスとこちらのスーツの生地とでは、厚さとやわらかさが違います」
 演壇からまっすぐ私を指さす綾音さま。
 その私はと言えば、リンコさまの手で今度は、ブラウスのボタンをひとつづつ外されていました。
「その下の下着類は、一番薄手の素材を使用しています」

 ブラウスを脱がされゆく私にお客様全員の視線が集中しているのがわかります。
 なにこれ?
 まるでストリップショー・・・
 それも、最初から裸は丸見えなのに、みなさまの面前で衣服を剥がされていくという倒錯した、アンビバレンツな脱衣状況。

 あれよあれよとボタンが外れ、両腕からブラウスの袖が抜かれて、透明ブラとショーツだけの姿となった私。
 それでもまだペンギンポーズで不動のままいなくてはいけないのです。
 まさか、この下着類も、みなさまの前で脱がされちゃうのかしら・・・

 最初から中身がスケスケ丸見えで、隠す、という機能についてはまるで役に立っていない下着たちでしたが、これだけの人たちの目の前で、されるがままに脱がされ生身の全裸になる、という行為は、恥辱以外の何物とも思えません。

「御覧いただいたスーツとブラウス、それに下着を、このマネキンに着せて、ステージ脇に飾っておきますので、わたくしの説明が終わリ次第、みなさまで実際にお手に触れていただいて、その生地の品質と素晴らしい透明度をご堪能いただければと思います」

 今、綾音さま、下着っておっしゃった・・・
 そのお言葉は、私への処刑宣告でした。

 リンコさまが私の背後に周り、さも当然のようにブラジャーのホックを外されました。
 バストを締め付けていた圧迫からの開放感。 
 布地に押さえつけられていたふたつの乳首が、ここぞとばかりに跳ね起き上がりました。
 同時に素肌に触れる空気感。
 とうとうみなさまの目の前で、生おっぱい丸出し状態。
 それでも動いてはいけない私。

 リンコさまの視線が私の下半身に移りました。
 公然ストリップショーも大詰め。
 リンコさまの手がショーツのゴムにかかったとき、遂に正真正銘の丸裸・・・
 でもそれは、私の中のマゾ性が、幼い頃からずっと望んでいたことでもあるのです。

 覚悟を決めてからもリンコさまは、しばし私の下半身を凝視したまま固まっていらっしゃいました。
 それから、ふとお顔を上げ、ちょっと呆れたふうに笑いかけてきました。
「おーけー。私がアヤ姉のほうへ向かったら、ここでいつものポーズをキメて、楽屋に戻っていいよ」
 小声で私に耳打ちしてきました。
 
 どうやらストリップショーは、最後の一枚を残して打ち切りにするみたい。
 4割の安堵と6割のガッカリ感・・・
「は、はい・・・」
 私の震える小声にうなずき、私から脱がせたブラウスとブラジャーを手にしたリンコさまがスタスタと演壇の綾音さまたちのほうへと向かって行かれました。

 綾音さまのお客様がたへのアイテムご説明はまだつづいていました。
 お客様がたは、綾音さまのお話にお耳を傾けながらも、大部分の方々が私の動向に注目しているようです。
 私は、リンコさまのお言いつけ通り、その場でペンギンポーズからゆっくりとマゾの服従ポーズへと切り替えました。
 枷を解かれて剥き出しになったふたつのおっぱいが、自由に弾むのがわかりました。

 そして、後頭部に当てた両手を頭ごと少し後ろへと引き、生おっぱいと透明ショーツ越しのマゾマンコを軽く皆さまの前に突き出すようにのけぞると、自分の目で自分の下半身を見ることが出来ました。
 ショーツのクロッチ先端に当たる周辺に白濁した液体が溢れ、透明度を曇らせているのが一目見ただけでもわかりました。
 リンコさま、これに気づいて私のショーツを脱がせるのを諦められたんだ・・・

 あまりの恥ずかしさで軽い目眩のようにクラっときたのですが、なんとか踏ん張りました。
 同時にオーガズムのような気持ち良い電流が全身をつらぬきました。
 ビクンと震えたからだと心のすべてが、更なる辱めを強烈に欲していました。
 
 視てください、視てください、視てください・・・と、そのはしたな過ぎる部分をお客様がたに見せつけるように向けたままゆっくり5回カウントしてから、ヒールをコツコツ鳴らして逃げるように楽屋へ飛び込みました。


オートクチュールのはずなのに 54