2020年5月31日

肌色休暇一日目~幕開け 02

 そんなふうにひとりでドキドキハアハア感じていたら、いつの間にかお車は交差点を抜け、車道からも右側へと外れようとしています。
 目前に、えっ?トンネル?
 まさか、池袋駅前にトンネルなんてありません。
 あ、駐車場か。

 緩いスロープをゆっくり下って、地下駐車場へと吸い込まれていくお姉さまのお車。
 ここにお車を停めちゃうの?あ、デパ地下でお買い物でもしていくおつもりなのかな?
 それとも駅から電車で行くのかしら…
 頭の中をハテナマークで一杯にしているあいだにもお車は薄闇をゆっくり進み、ずいぶん奥の隅っこのスペースにそのまま駐車されました。

「さあ、いよいよ休暇の始まりね、仕事はひとまず全部忘れて、ゆっくり楽しみましょう」

 シートベルトをお外しになり、運転席で組んだ両手を前に伸ばし、んーっ、と伸びをされたお姉さま。
 それから素敵な笑顔でこちらをお向きになり、私の顔から下っていったお姉さまの視線が、剥き出しなショーツの一点で固定されました。

「あらあら、ずいぶん濡らしちゃっているじゃない?パッと見でもわかるくらい」

 お姉さまの左手が私の股間に伸び、人差し指でその部分をツン。
 すぐに離れるとその指先から、粘性を感じる透明なか細い糸がツーっと一筋伸びて切れました。

「車の中で下着見せるだけで、そんなに気持ち良かったんだ?ほんとにイヤらしい子」
「あっ、いやんっ!」

 不意の刺激に思わずからだがビクンと跳ね、のけぞった拍子にお尻がシートを滑りました。
 そんな私のはしたない姿を、ふふん、とお鼻でお笑いになってから、お姉さまがお車のダッシュボードの下のほうに目を移されました。

「あらら、早く着き過ぎちゃった。まだショッピング街、開いてないわね」

 お独り言のようにつぶやかれるお姉さま。

「ま、ちょうどいいか。あたし、ちょっと外に出て電話してくるね」

 私の返事は待たずにスッとドアを開けてバタン。
 閉じたドアのすぐ傍らでケータイ電話の画面をタップされています。

 私はと言えば、まだシートベルトをしたまま、両手でワンピの前立てを押し広げたまま。
 下半身も相変わらずめくりっ放し。
 だって、お赦しが出ないのですもの。

 地下駐車場の片隅のため周囲が薄暗くなったおかげで、お車のウインドウに自分の姿がはっきり映っています。
 誰も視てくださるかたなく、駐車場の壁に向かって下着を見せびらかしている間抜けな露出症女。
 首に細く巻き付いている純白のエナメルチョーカーが、暗いガラス鏡の中で妙に目立っています。

 視線を下へとずらすと、白いブラカップ、凹んだおへそ、そして白いビキニショーツ。
 さっきお尻が滑ったとき、ショーツの布地が股間に一層押し付けられてしまったのでしょう。
 布地にぽってり盛られているみたいに見えた私の恥ずかしい蜜の雫がベッタリと布地に広がり、その部分をより卑猥な状態にしていました。

 肌色が透けるほど張り付いた布地は、突起もスジもそのものの形通りに、やわらかな曲線を描き出しています。
 ああんっ、いつまでこんな姿でいなければならないのでしょう…

「お待たせっ。そろそろお店も開くだろうから、ぼちぼち出ましょうか」

 お車のあらゆる窓からギャラリーに覗き込まれ、見世物の辱めを受けている妄想に目を瞑って耽っていたら、不意にお姉さまが乗り込んでいらっしゃいました。

「あれ直子、まだその格好なんだ?」

 呆れたようなお姉さまのお声。

「だって、お姉さまからのお赦しがなかったから…」

 恥ずかしい妄想をしていたことを見透かされたような気がして、拗ねたようなお返事になってしまいます。

「そんなに気に入ってくれたんなら、ここを出るまでその格好で歩かせてもいいんだけどさ、どうもこの駐車場、警備員さんが働き者ばかりみたいでね、ひっきりなしに巡回してるみたい」
「さっきも電話してたら、こっちをすごく胡散臭そうに見ながら歩いていったわ。あんな短時間に違う警備員が入れ代わり立ち代わり二人も」
「だからとりあえず駅入って電車に乗るまでは、フツーにしてて」

 運転席に再度落ち着かれたお姉さまがおからだをひねり、後部座席に置いたお荷物を引き寄せながら、おっしゃいました。

「あの、お姉さま?私たち、これから電車に乗るのですか?このままお車で向かうのではなく…」

 まだ胸元は押し開いたまま、先程から一番気になっていたことをお尋ねしました。

「あれ?言ってなかったっけ?」

 お姉さまご愛用のバーキンバッグを回収され、中を覗き込みながらのお応え。

「バカンス一日目は温泉に泊まるって。ほら、他人様の別荘だと、自分たちでしなくちゃならないことも結構ありそうでしょ?初日くらいはゆっくり、上げ膳据え膳で過ごしたいじゃない」
「別荘にも管理人ていうか、お世話してくれる人たちを頼んではあるのだけど、仕事の知り合いでもあるしさ」

 お姉さまがやっと、私のほうを向いてくださいました。

「それに今日泊まる旅館、露天風呂が充実しているんだって。お部屋据え置きのから大きいのまで。森に囲まれた混浴のもあるみたい」
「だから直子も、誰に咎められることなく、心置きなく、合法的に、お外で全裸を晒せるってワケ。嬉しいでしょ?」
「そのスジの人からご紹介いただいた宿なのよ。多少やんちゃしちゃっても大丈夫なはず、だって」

 お姉さまにしては少々はしゃぎ過ぎな感じの、いつになく高揚したお声。
 やっぱりお姉さまもバカンスは嬉しいんだ…
 そのご様子に、私も今更ながらどんどん期待が膨らんできます。

「だからさっさと服を直して、電車の時間に遅れちゃったら元も子もないわよ?」
「あ、はいっ!」

 急いでシートベルトを外し、ワンピの裾を直してから胸元のボタンを留め直します。
 お姉さまはバーキンを肩から提げ、すでに車外に下り立たれています。

 えっ!?お姉さまのお荷物、それだけ?
 三泊四日の旅行にしては大して膨らんでもいない、まるで通勤途中のようなお姉さまのお姿。
 必要なものは現地調達されるのかな?
 訝しがりながら私も、車外に出ました。

 お姉さまに右手を掴まれ、手を繋いで駐車場内を歩き始めます。
 迷いの無い足取りでスタスタと進まれるお姉さま。
 繋いだ手で引かれるようにお姉さまのお背中を追う私。
 やがて重そうな扉を開くと、もうそこはさまざまな路線の各改札へとつづく地下通路でした。

 通勤通学ラッシュはとっくに終わって、もう午前10時になろうとしている頃なのに、右へ左へ忙しなく行き交う人、人、人。
 駐車場内がしんとしていたのもあり、突然迷い込んだ雑踏喧騒にちょっと気後れしてしまいます。

「おはようございます。いらっしゃいませ」

 ちょうど開店の時刻となったデパートの入口付近から、ご挨拶をされる店員のみなさまのお声が聞こえてきます。
 人混みをスルスルすり抜けて進むお姉さまはやがて、深々とお辞儀されているデパートガールさまたちの脇を通り抜け、いわゆるデパ地下と称される食品売り場に入られました。

「お昼時に現地到着予定だから、お弁当とかはいらないわね。向こうでご当地グルメランチと洒落込むのがバカンスの正道だもの」
「飲み物と、何か軽くツマめてお腹に溜まらないお菓子かなんか…」

 私に意見を求めるふうでも無い、お独り言モードなお姉さまは結局、飲みきりサイズのシードルを何本かと、一口サイズのクラッカーとチーズをお買い上げ。
 お買い物袋は当然私が持ち、空いたほうの手を再び繋いでデパ地下を出て、そのまま地下通路をJR改札口へ。
 私に切符をくださり、自動改札を入ったところで没収。

 無秩序な人の流れを器用にすり抜けて、やがて駅のホームへとつづく上り階段の麓に。
 傍らの壁際に女子トイレの入り口が見えています。

「まだ時間に余裕はあるわね。直子、トイレは大丈夫?」
「えっ?あっ、はい…えっと…」

 突然尋ねられてあたふたしてしまう私。
 オシッコのことなんて微塵も考えていなかったので、したいのかしたくないのかすぐにはわかりません。
 うーん、したいと言えばしたい気もするけど、でもやっぱりそんなにはしたくもないような…
 
「迷ってるなら、してきたほうがいいわよ。電車にもトイレはあるはずだけれど、直子は、行けないと思うから」

 煮え切らない私をニヤニヤ眺めながら、謎なお言葉をくださるお姉さま。
 とくに、直子は、のところを意味ありげに強調されました。

「あ、はい。では、お言葉に甘えて…」

 今も股間に張り付いているショーツのシミも拭っておきたかったので、おトイレを済ませておくことにしました。

「荷物は持っていてあげる。5分前にはホームで並んでいたいから、なるべく手早くチャッチャとね。この階段の周辺で待っているから」
「あ、お姉さまは、なさらないのですか?」
「あたし?あたしは大丈夫。いつでもしたいときに出来るから」

 ニッと微笑まれたお姉さまが、私の手から先程のお買い物袋を取り上げられました。
 ついで、という感じで、私が首から下げていたポシェットもなぜだか没収されます。
 更に、当然、という感じにポシェットが開けられ、中から持参したフェイスタオルを取り出して手渡されます。
 手渡されるとき、私の耳元にお姉さまの唇が寄せられ、くすぐったい吐息と一緒にこう囁かれました。

「トイレの個室でブラジャーを外してきなさい」

 ドキンッ、と心臓が跳ねました。

「は、はい…わかりました、お姉さま…」

 唐突に、私がまだお姉さまの会社に入りたての頃、お姉さまのマンションにお泊りをして連れ出された露出遊びのことを思い出していました。

 膣内にリモコンローターを仕込まれ、お昼下がりの地下鉄車内で弄ばれたこと。
 駅構内の証明写真ブースでおっぱい丸出し写真を撮るようにご命令され、その写真を透明バッグのみなさまに見えるほうへ表向きに入れて晒したまま、休日のオフィス街を歩かされたこと。
 途中のドラックストアで、女性店員さまにお浣腸のお薬の場所をお尋ねし、わざわざそこまで案内していただいたこと、などなど…

 あのときいただいた羞恥と恥辱の記憶がまざまざとよみがえります。
 そして、今回の旅行があのときの記憶を軽く凌駕してしまうだろうことも確信した瞬間でした。

 最初にお姉さまのお車で行くと聞かされ単純に、目的地に着くまでふたりだけの密室内であれこれされることだけを妄想していた私には、今の状況は青天の霹靂でした。
 そして先程のご命令は、電車内でいくら不特定多数の目があったとしても、あたしは容赦するつもりは毛頭無いわよ、という、お姉さまのご宣言、と捉えました。

 電車内の座席でも私、ひょっとしたら全裸に剥かれちゃうのかも…
 駅で停まるたびにホームのみなさまに、私の恥ずかしい姿が晒されちゃったり…
 全裸で見知らぬ駅に置き去りにされちゃったらどうしよう…
 とめどなく暴走する妄想にゾクゾク感じながら女子トイレに入りました。

 ズラッと並んだ個室で空いているのは3つ。
 そのうち一番奥の端に陣取りました。

 まずはショーツを下ろして、股間と布地の湿りをトイレットペーパーで拭き取ることにします。
 うわーっ、ヌメヌメのぐしょぐしょ。
 湿りなどという生易し代物ではなく、布地のゴム付近、お尻の割れ始めのほうまで恥ずかしくも生臭いシミが広がっていました。
 私って、どうしてこんなに濡れちゃうんだろう…
 自分でも呆れるほど。

 スジを挟み込むオマンジュウはテラテラ光りながらぷっくり膨らみ、先端の恥ずかしい肉芽もすっかり脱皮してジンジンツヤツヤ輝いていました。
 不用意に刺激しないよう注意深く拭いてから、オシッコの態勢へ。

 便座に腰を下ろすと不思議なことに尿意が高まり、予想外にたくさん出ていきました。
 シャワー装置をビデにして中のヌメリまで洗浄。
 ついでにお尻にも切り替えて、まだ使ってはいないけれど念のため洗浄。

 フーッと一息つくと、心做しな爽快感。
 ゆっくり立ち上がり、ショーツをずり上げます。
 でもトイペで拭いただけですから、やっぱり火照った股間に濡れている布地がヒンヤリ。

 さて、これからはご命令の実行です。
 前開きワンピースのボタンを襟元から4つ外して、まず両腕を両半袖から引き抜きました。
 今日しているブラジャーはフロントホックですから着脱は楽チン。

 胸元のホックを外すと、カップに押さえ込まれていたおっぱいがぷるんと震えます。
 そのまま肩紐も外し、あっという間のトップレス。
 駅の公衆おトイレ個室の空間に、私の勃起乳首生おっぱいが晒されました。

 数年前の私だったら、こんな状況だけで膣内にいやらしいおツユが溢れ出していたことでしょう。
 でも最近頓にヘンタイ経験値が上がってしまった私。
 
 せっかく脱ぎやすいフロントホックを着てきたのだから、お姉さまもどうせなら電車内で、外すようにご命令してくださればいいのに…
 なんて不埒なことが頭をよぎる始末。

 外したブラジャーを閉じた便器の蓋の上に置き、ワンピのボタンを戻していきます。
 シャツワンピなので身幅もゆったりめで、割としっかりした麻混生地ですから、よほどのけぞったりしない限り、乳首位置も露骨に浮かないみたい。
 
 襟元ふたつだけボタンを開けた状態でワンピを着終え、便器の上のブラジャーを手に持ったとき、あっ!と気がつきました。
 お姉さまが私をおトイレに送り出すとき、ポシェットまで取り上げた理由を。

 外したブラジャーを収納する場所が無いんです。
 今私は手ぶら、
 ワンピースには左胸に小さな、とてもブラジャーを入れることは出来そうにない、ポケットがひとつあるだけ。
 お姉さまに持たせていただいたフェイスタオルも、広げたって20センチ四方くらい。
 とてもブラを包み込んで隠すことは出来ませんし、これから洗面所で手を洗い、それを拭ったタオルでブラを包むこともイヤでした。

 どうやら私は、自分が今脱いだブラジャーを剥き身で手に持って、お姉さまのもとに戻らなければいけないようです。
 おトイレを出て、見知らぬ人たちがたくさん行き交う駅構内の人混みを抜けて。

 さすがお姉さま、と思うと同時に、股間がヒクッと潤みました。
 カップとカップを合わせ、出来るだけ小さな塊にしてブラジャーを持ち、個室をそっと出ました。

 幸い洗面台にも誰もいません。
 小走りで近づき、フェイスタオルとブラの塊を台に置き、素早く両手を洗いました。
 フェイスタオルで手を拭いてから折りたたみ、少し迷った末に胸ポケットに押し込みます。
 真っ白なブラの塊を隠すように両手でふんわり握り、小走りに出口へ。
 おっと、出る前に入口脇の姿見で念の為、胸ポチのチェックも忘れずに。

 相変わらずひっきりなしに行き交う方々にぶつからないよう注意しながら、胸の前で揉み手しているみたいなポーズになって、お姉さまのもとへと急ぎます。
 両手から白い布が少しだけはみ出してはいますが、まさかこれがさっき自分で脱いだばかりのブラジャーだとは、誰も気づかない…はずです…

 お姉さまは送り出したときとほぼ同じ場所で、うつむいてケータイを弄りながら待っていてくださいました。

「お待たせしました」
「あ、おかえり。ちゃんと出した?」

 ケータイの画面からお顔を上げ、薄く微笑まれるお姉さま。

「あ、はい」
「そう。じゃあ、渡して」

 右手を私に差し出されるお姉さま。
 おずおずとやんわり握っていた両手を開き、白い布の塊を丸まったまま渡す私。

「あら、まだあったかいのね。直子の体温が残ってる」

 おっしゃりながら布片を広げ、わざわざブラジャーの形にお戻しになられたお姉さま。
 近くをお通りになっていたお若そうなサラリーマンスーツ姿の男性がお気づきになられたようで、一瞬ギョッとされたように足をお止めになられ、それから好奇に染まったお顔で私たちのほうをシゲシゲと見つめつつ、通り過ぎていかれました。

「おーけー。じゃあ行きましょう」

 完全にブラジャーの形に戻っている白い布を、またもやわざわざ私に返してくださってから、お姉さまはクルッと踵を返し、ホームへとつづく階段を上り始めます。

「あ、お姉さまっ!ちょっと待って…」
 
 持たされたブラジャーを、取り敢えずクシャクシャに丸めて片手に握り、お姉さまに追い縋ります。
 ホームに出ても振り向きもされないお姉さまは、そのままズンズンとホームの端の方へと進まれるのでした。


肌色休暇一日目~幕開け 03


2020年5月24日

肌色休暇一日目~幕開け 01

 会社近くの繁華街を連日賑わせていた親子連れや学生さんグループの喧噪がパタッと途絶えた頃、少し遅い夏休みをいただけることになりました。
 火曜日から土日を含めて六日間も。

 更に嬉しいことに、お姉さまも私と同じ日程でお休みを取られ、ふたりで旅行に出かけることに。
 行く先は、関東圏の人たちには避暑地として名高い、山間のリゾート地。
 お姉さまのお知り合いが瀟洒な別荘をお持ちだそうで、そこを自由に使ってよいとのこと。

 水曜日から三泊四日。
 そのあいだずうっと、お姉さまと一緒、のはずです。
 そのお話を出張中のお姉さまからのお電話で唐突に告げられたとき、文字通り跳び上がって大喜び。

 でも、ヘンタイな私とミストレスなお姉さまとのバカンスですから、一筋縄ではいきません。
 お出かけするにあたっての注意事項をいくつか言い渡されました。

「直子は旅支度とか一切しなくていいから。着の身着のまま、からだひとつでいらっしゃい」
「そうね、簡単なコスメとスマホ、あとはフェイスタオルくらいをポシェットに入れてぶら下げてくればいいわ。着替えとかお金は一切持ってこないように」
「当日の服装は、失くしちゃったり破かれちゃってもいいブラとパンツに、こないだ買ってあげた前開きのワンピね」

 お電話の向こう側からイタズラっぽいお声でご命令くださるお姉さま。
 失くしちゃったり破かれちゃってもいい…
 その意味深なお言葉にキュンキュン感じてしまう私。

「で、でも宿泊費とか旅費とかお食事とか、お金かカードくらいは私も持っていったほうが…」

 オフィスの社長室でひとり、例によってリンコさまたちのご命令により全裸で勤務していた私は、剥き出しな下腹部に指を滑らせたい衝動を抑えるために、ご命令で気になったところを上ずった声でお尋ねしました。

「いいのよ。その辺は全部、直子のカラダで払ってもらうから」
 
 あっけらかんとおっしゃるお姉さま。

「とにかく今言ったことは全部、ちゃんと守ること。それじゃ当日ね」
 
 かかってきたときと同じように、唐突に切れたお姉さまからのお電話。

「なになに?チーフとふたりきりで旅行?いいなあ」

 お電話が切れて数秒後、お部屋に雪崩れ込んでいらっしゃったリンコさまとミサさま。
   お揃いのアニメキャラTシャツにデニムのショーパン姿。
 もちろん監視カメラで私とお姉さまとの会話を盗み見アンド聴きされていたのでしょう。

「あそこの別荘、雰囲気いいんだよねー、うちらもコスプレの撮影で何度か使わせてもらったけどさ」
「そう。ヨーロッパ中世風のゴージャスな洋室とか、純和風な昭和っぽい畳部屋もあって、雰囲気あった」
「また庭と周りの森がいいカンジなんだよねー。あそこで直子を裸にしたらいい写真撮れそう」
「うん。ヌーディスト系なアートっぽいのもイケるし、猟奇っぽい緊縛放置とかの耽美系シチュにもピッタリだと思う」

 おふたりは、私がおじゃますることになるらしい別荘のお話を交互にいろいろ教えてくださりつつ、全裸な私唯一の着衣である首輪から垂れたチェーンを引っ張って、手際よく窓辺のテーブルまで誘導していきます。

 午後三時を過ぎて、やっと翳り始めた夏の日差しに照らされた窓際のテーブル上に仰向けで寝そべります。
 両膝を立てて右手で右足首、左手で左足首を掴みます。
 必然的に両腿は自然に開き、恥ずかしい亀裂を日差しに向ける形の寝そべりM字開脚。
 少し顔を上げると目の前の大きなガラス窓の向こう側に、地上100数十メートルの青空だけが広がっています。

 最初の頃は、プレイが始まるごとに手錠とか縄で丁寧に拘束してくださっていたのに、それも面倒くさくなられたのか、この数日間でテーブルに乗せられたら自らこの姿勢を取るよう、しっかり躾けられてしまった私。

「相変わらずビンカン濡れ濡れだねえ、ナオちゃんのインランプッシーは」
「ぁあんっ!」

 立て膝M字の中心を覗き込むようにお顔を突き出してきたリンコさまが腕を伸ばし、私のラビアに軽く指を添えると、ジャンケンのチョキの形で更に押し広げてきます。
 おふたりでプロデュース中の新型バイブレーター試作品を片手にほくそ笑むミサさま。

「今日もしばらくのあいだ、うちらの商品開発につきあってもらいましょうか、憐れなギニーピッグちゃん」

 パッと見はよくある棒状の肌色バイブなのですが、表面のシリコンがお魚の鱗みたいに可動する仕様。
 大小の鱗が棒部分にびっちり施されています。
 なので、挿れるときはすんなり入るのですが抜こうとすると鱗たちがめくれ上がり、無数のビラビラが膣壁全体を万遍無く容赦無くゾリゾリ逆撫で擦るのです。
 そのシリコン鱗の形状や密度、配置具合に悩んでいる、とリンコさまはおっしゃるのですが…

 お盆期間をご趣味の同人活動でしっかり休まれたおふたりは、夏休みの宿題消化に焦る小学生さんのように、お休み明けから連日、私をおもちゃにしています。
 雅さまとほのかさまは入れ替わりお休みに入られ、綾音さまとお姉さまは長期出張中。
 オフィス内は、リンコさまとミサさまによる独裁王国状態。
 完全服従なメス犬モルモットに、性的実験したい放題、ヤリ放題。

 今日、私は何時頃開放されるかな?
 それまでに何回、イカされてしまうのかな…
 青空に向けて大きく開いた私のマゾマンコにあてがわれた振動にビクッと肩を震わせつつ、私はそっと目を閉じます。

 あぁ…あんっ!あうぅっ……
 
 月が変わって、待ちに待った旅行当日。
 朝からお日様全開快晴の残暑厳しきバカンス日和。
 待ち合わせは朝の9時半、オフィスビル群の麓にあるホテルの正面入り口前でした。

 出勤ピークも過ぎ、ビル内のショッピングモール開店にはまだ早い中途半端な時間帯なので、通り過ぎる人も車もまばら。
 通りには数台の大きな観光バスが並び、ホテルのエントランスには大きなスーツケースと共に数名の男女がたむろしています。
 どうやら外国からの旅行者さんたちのようで、耳慣れないお言葉での会話が背後から聞こえてきて、目を閉じているとどこか異国の街角に居るみたい。

 そんな光景を見るともなしに見ていたら、見慣れた青色のお車が私の立っている舗道のほうにスーッと近づいてきました。

「おっはよっ!」

 助手席側の窓がスーッと下がり、間髪入れずの弾んだお声。

「おはようございます」

 ちょうどガードレールが途切れたところへ助手席ドアが来るように停めてくださったお姉さまに、私も元気にご挨拶。

「早く乗って。窓開けてると夏の熱気に蹂躙されちゃう」
 
 お芝居がかったお姉さまのお声に促され、助手席に乗り込みます。
 窓がスーッと上がり、車内はヒンヤリ、心地よく冷えています。

「ちゃんと言われた通りにしてきたみたいね。ワンピもよく似合っているわよ」
 
 シートベルトを装着しようとモゾモゾしている私を、運転席からジッと眺めるお姉さま。
 数日前にお姉さまが買ってくださった丸襟膝上丈の半袖前開き水色シャツワンピースを褒めてくださいます。

 そんなお姉さまのお姿は…と横目で窺うと…
 カーキ色でゆったりめなボートネックのサマーニットに濃いめなブラウンのサブリナパンツ。
 最近ショートにされた髪型とも相俟ってシャープでスポーティ、すごくカッコいい。

 お車がスーッと音もなく発進し、私は運転されるお姉さまの端正な横顔を見つめます。
 やがて赤信号に捕まり大きめな交差点で停車。

「ちょっとワンピの裾まくって、パンツ見せてよ」
 
 不意のお言葉にビクンとからだが震えます。
 お姉さまはお顔だけこちらに向け、ニヤニヤ笑い。

 停止線で停車しているのでフロントガラスの先は横断歩道。
 左側に寄っているので私の横は舗道。
 まばらですがもちろん、前や横を行き交う歩行者の方々のお顔までハッキリ見えています。

 こんなところでそんなご命令をくださるお姉さま…
 でも私は、この旅行期間中、お姉さまのどんなご命令にも絶対に服従する、という覚悟を決めていました。
 
 これからお姉さまの運転で数時間、目的地までの密室空間。
 きっとお姉さまから、手を変え品を変え私を辱めるご無体なご命令をいただくことでしょう。
 
 たとえ助手席で全裸になれと命じられても、パーキングエリアを恥ずかしい服装で歩くことを命じられても…
 私はすべて従うつもりです。
 お忙しいお姉さまが私のためだけにセッティングしてくださった、初めての、ふたりだけのバカンスなのですから。

 そんなことを考えながら両膝中間辺りのワンピースの裾を右手でつまみ、おずおずと自らめくり上げていきます。
 その右手がおへその上くらいまで上がったとき、濃茶のレザーシート上に少し日焼けした生々しい太股とデルタ型の白い布地が露わになっていました。

「ふうん。またずいぶん地味なのを穿いてきたんだ」
 
 からかうようにおっしゃるお姉さま。

 私が穿いてきたのは、コットンで純白無地のありふれたフルバックビキニショーツ、いわゆる、綿パン、って呼ばれる下着。
 お色気の欠片もない代物ですが、リンコさまたちの魔改造により、クロッチ部分のあて布が剥がされています。
 なので、無毛の土手下が生々しく密着していて、更に、こんな街中でパンツ丸出しにさせられている刺激に、奥のほうから潤って…

「確かにそれなら、失くしちゃっても惜しくはないわね」
 
 面白くもなさそうにお姉さまがおっしゃったとき、信号が変わりました。

 お車はゆっくりと左折。
 お姉さまからのお赦しが無いので、私はずっと裾をまくったまま。
 上が高速道路らしき高架下の幅広い道の右側車線を、快調に進み、やがてまた信号。

「ブラのほうも。一応見せて」
 
 停車すると同時に、お姉さまがお顔をこちらに向けておっしゃいました。

「あ、はい…」

 今度は右折車線の前から3番めくらいに並んでいるので、歩行者からはかなり遠い感じ。
 まだお赦しが出ないので、裾の布地をウエストを絞るリボンに挟んでショーツ丸出しをキープしつつ手を離し、両手でワンピースのボタンを首下から外し始めます。

 アンダーバストくらいまで外したとき、お車が動き始めました。
 大きな交差点を右へ曲がると…
 あれ?

 お姉さまの運転されるお車は、なぜだか池袋駅東口の駅前方向に進んでいるよう。
 オフィスビルのすぐ傍に高速道路の入口があるので、私はてっきりすぐそれに乗るのだろうと思い込んでいました。
 いったん高速に乗ってしまえば、渋滞以外めったに停まることはないので、さして気にせず下着姿をお見せしていたのですが…

 駅前が近づくにつれ、人通りはどんどん増えています。
 片側2車線の広い車道の右寄りを走っているので、歩行者のみなさまからの距離はあるのですが、360度どこにも他人の目がある状態。

 こんなところで自ら胸をはだけ、ブラジャーをお見せしなければならないなんて…
 ボタンの外れた前合わせをギュッと右手で掴んだまま固まってしまった私に呼応するように、お車がまた赤信号に捕まります。

「どしたの?早く見せてよ」
 
 イジワルさを目元に湛えて私の顔を覗き込んでくるお姉さま。

「あ、はい…あのぅ……でも…」

 またもや停止線先頭の停車なので、目前の横断歩道とほんの数メートル。
 駅前に近づいたぶんだけ増えた歩行者さまたちが右へ左へひっきりなし、こちらへ目線を投げてくるかたも数人。
 あのかたたちから、私の丸出しショーツは見えてしまっているのかしら…

「じゃあ、車が発進したら、胸をはだけなさい。はだけたら直しちゃだめよ」
 
 うつむいたまま硬直状態な私に助け舟を出してくださるお優しいお姉さま。

「もう一度信号に捕まったら、それは直子にツキが無かった、っていうことね」
 
 ちゃんと恥辱の余地も残してくださる、やっぱりイジワルなお姉さま。

 信号が変わり、再び目抜き通りを走り出すお車。
 私はボタンをもう一つ外し、思い切って両肩近くまで、ワンピの前合わせを両手で開きました。

「裾を直していいとは言ってないわよ?」
 
 両手で胸元をはだけた拍子に、ワンピの裾がパサッと戻ってしまっていました。

「あたしはパンツとブラを同時に視たいの。見せなさい」
 
 お姉さまのキツめなお声でのご命令。

「は、はい。ごめんなさい」
 
 すかさず裾をめくり直し、その布をウエストリボンに挟み直しました。
 あわてたためか大きくめくり過ぎ、さっきより露わになる部分が増えておへそまで丸出し。  
 誰がどう見てもワザと見せつけているとしか思えない、まさしく露出狂の仕業。

 それから再び両手で胸元を押し開きます。
 着けているのは、ショーツとお揃いの純白コットン、クォーターカップの前開きブラ。
 これで私の下着は上下とも、文字通り白日の下に曝け出されました。

「下がそれなら、上はやっぱりそうなるわよね。下着だけ見れば清純派?」
 
 蔑むみたいにおっしゃりつつ、お姉さまのお車は駅前の広いロータリーに入りました。
 
 自分が今している行為が恥ずかしすぎて、どうしてもうつむいてしまいます。
 不意に私の左側のドアウインドウがスルスルっと下がり始めました。

「えっ!?」

「せっかく直子がえっちに下着姿を見せつけてくれてるんだから、この暑い中通勤通学で頑張っている人たちにもラッキーをお裾分けしてあげようと思ってさ」

 お姉さまがお芝居口調で微笑みます。

 開け放たれた窓からドッと流れ込んでくる残暑の熱気と街の喧騒。
 思わず視線が上がると、視界に飛び込んでくる街の風景。

 セールを告げるデパートのタペストリー、高級ブランドで着飾ったブティックのマネキン、壁一面のハイヴィジョンディスプレイ、そして、視界の端からひっきりなしに現われては通り過ぎていく、老若男女とさまざまな色、形の自動車。
 
 東京でも5本の指に入る人通りの繁華街。
 その見慣れた街並みを、お姉さまのお車がゆっくり進んでいきます。
 自らワンピースの胸元と下半身を覆う着衣を押し広げ、真っ白な下着を見せびらかすように露出している露出症ヘンタイ女を助手席に乗せて。

 おまけにロータリーに入った途端に車道は数珠つなぎ。
 大きな交差点を超えるまで、進んでは停まりのノロノロ運転。
 更に交差点の両端に信号待ちの人たちの大きな群れ。

 これだけ人がいれば、絶対私に気づいている人、いるだろうな…
 あの子、何してるんだろう?って思ってそう…
 遠目なら下着じゃなくて、暑いから水着なんだろう、って思うかも…
 でも、自分で開いた姿勢のままなのは、やっぱり不自然だよね…

 何かの罰ゲームだって思われるかな… 
 命令されてやらされてるんだって…
 それとも、わざとだって思われてる?
 見せたがりのヘンタイマゾ女だってバレてる?
 
 あ、あの男の人、こちらを二度見した…
 知っている人に見られていたら、どうしよう…
 あ、今度は若い男の人が、こちらを指さした…
 やっぱり視られてる…

 ああんっ、視ないで、視ないで…
 お願いだから早く、交差点を通過して…
 
 あんっ、でも、でももっと視て、直子の恥ずかしい姿、もっとしっかり視て蔑んで…

 顔の紅潮や腋の下に滲み出る汗は、窓から入り込む熱気のせいだけではありませんでした。
 剥き出しの下半身にも熱が集まり、あて布のないクロッチ部分の先端が、透明な蜜を垂らしたかのようにぽってりと、濡れそぼってテカっていました。


肌色休暇一日目~幕開け 02