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2014年6月16日

コートを脱いで昼食を 32

「ねえシーナさん?よかったらレジ裏の部屋、使います?」
 ショーウインドウの向こう側からの視線がもたらす、羞恥の愉楽に浸りきっていた私の頭の片隅に、純さまのくぐもったお声が侵入してきました。
「だってナオコったら、さっきからずっとだらしなく口開けっぱのアヘ顔で、サカリっぱなしですよ?」
「こんなんじゃいったんイかせてあげないと、おさまりつかないんじゃないかと思って・・・」
 純さまの呆れたようなお声が、私の後方から聞こえていました。

「そうねえ。だけどこの状態の直子はもはやケモノなのよねえ。下手にどっかまさぐったら凄い声あげるわよ?」
「ドア閉じたって絶対ヨガリ声が店内に響いちゃうだろうから、今以上にお店に迷惑かけちゃうわ」
 シーナさまの、多分に軽蔑を含んだ、でもなんだか愉しそうなお声が応えました。
「シール貼っているあいだ中、お尻の穴がヒクヒク蠢いているのだもの、なんだかこっちのほうが恥ずかしくなっちゃいましたよ」
 桜子さまも呆れ果てているご様子。
 私の意識が徐々に現実に引き戻されました。

「だからまあ、直子の後始末はわたしが責任もってどうにかするわ」
 シーナさまのお声が聞こえたと同時に、私のお尻がパチンと勢いの良い音をたてました。
「ああーんっ!」
「ほら直子、いつまでわたしたちにいやらしいお尻突き出している気なの?まだ視られ足りない?」
「シールはもうとっくに終わっているわよ?さっさとこっち向きなさい」
「あ、はいぃ」
 前屈み気味だった上体を起こしつつ、シーナさま、そしてギャラリーのみなさまのほうへ恐る恐る向き直りました。
 途端に、私の顔面めがけて、みなさまの好奇と侮蔑に満ち溢れた視線の束が襲いかかってきました。

「ほんとに、見事にどヘンタイ淫乱マゾ丸出しの顔になっているわねえ。ねえ直子、あなた今、一触即発でしょ?」
 薄ら笑いを浮かべたシーナさまの瞳がキラキラ輝いています。
「はい・・・」
「イきたくてイきたくて仕方ないでしょう?」
「はい・・・」
「たとえば今、どこを弄って欲しい?」
「あ、えっと、どこでもいいですけれど・・・おっぱいとか、ち、乳首・・・」
 シーナさまの誘導ではしたない言葉をスラスラ口走ってしまう私。
 シーナさまの背後で見守るギャラリーのみなさまが気にはなるのですが、それでも、いやらしい言葉を自ら口にしたくてたまりません。

「おっぱいだけでいいの?」
「あ、あとはえっと、こ、ここ・・・」
 両手は頭の後ろなので、顎を引いて自分の下半身を覗き込む私。
「ここじゃわからないわね。ちゃんと呼び名で教えてくれなくちゃ」
「あの、アソコ・・・せ、性器・・・です」
「あら?今日はずいぶんとお上品なのね。いつもと違う呼び方じゃない?」
「あの、えっと、ク、クリトリス・・・」
「そこだけ?」
「いえ、あの、お、オマン・・・」
 口に出しかけて、ギャラリーのみなさまを上目遣いで見た途端、下半身が電流に貫かれました。

「え?聞こえなかったわ、何?」
「だからあの・・・オマンコ、オマンコ全体を弄って欲しいんです!」
 ハッキリクッキリ言葉にした私。
 うわっ!てギャラリーのどなたかが呆れたお声をあげました。
 フフン、と満足気に笑われたシーナさまがつづけます。

「だけどね、純ちゃんのお店もいつまでも直子のヘンタイアソビにつきあっているワケにはいかないのよ?これから夕方はかきいれどきだし」
「だからそろそろわたしたちはおいとましましょう」
「でもその前に、直子は自分のしたことの後始末をしなければいけないわ」
 そこでシーナさまは一呼吸置き、ニッて笑いました。

「シャツを脱ぎなさい」
「え?」
「シャツ脱いで素っ裸になって、床にひざまずいて自分のいやらしいおツユで汚したお店の床を綺麗に拭き取りなさい。さあ早く!」
「は、はいっ!」
 語気の荒くなったシーナさまのご命令口調に、あわててシャツの裾を捲り上げ、Tシャツを脱ぎました。
 とうとうお店で全裸です。
 すぐに床にひざまずき、這いつくばってお尻を突き上げ、自分が立っていた足元の恥ずかしい水溜りを、たたんだシャツで丁寧に拭き始めました。
 
 小さなTシャツ全体がぐっしょりになるほどの量でした。
 そして、自分では嗅ぎ慣れている臭い。
 それがギャラリーのみなさまにまで届いていることを思うと、今更ながらの強烈な恥ずかしさ、みじめさ。
 純さまがコンビニ袋をくれたので、それにぐっしょりTシャツを入れると、横からシーナさまの手が伸びて奪われました。
「これは直子のバッグに入れておくわ。後で自分で洗って、もちろんまた着ること。ものは大切に、ね?」

「立ち上がったら、こちらを向きなさい」
 お言いつけ通り立ち上がり、みなさまと対面します。
 両足は休め、両手は自然と頭の後ろへ。
 さっきと今で違うのは、私が正真正銘の全裸なところ。

「これからわたしは純ちゃんとお会計してくるから、戻ってくるまでのあいだ、お客様に桜子さんのスキンアート作品の出来栄えを、近くでじっくり見ていただきなさい」
「あ、その前にまず、今まで見守っていただいたお礼をみなさんに言わなくてはね。そのおかげで直子がこんなに気持ち良くなれたのだから」
 シーナさまが細目で私を睨みつつ、顎でうながします。
「ほら、今日は、見てくださってありがとうございました、でしょ?」
「あ、はい、み、みなさま、今日は、見てくださいまして、本当にありがとうございました」
 マゾの服従ポーズのまま上体を前傾させ、ペコリと頭を下げました。
 剥き出しのおっぱいがプルンと揺れます。

「何を見てもらったのよ?」
「・・・わ、私の裸です・・・」
「ただの裸じゃないでしょう?」
「あ、えっと、いやらしいマゾ女の直子のからだです・・・」
「からだって、具体的にどことどこよ?直子のどこを見てもらったから嬉しかったのよ?」
「あ、っと・・・」
「ほら、よく考えて、わたしが満足できるように、正直なご挨拶をなさい!もう一度最初からやり直し!」
 シーナさまの苛立ったようなお声が、私のマゾ性をグングン煽ってくれます。

「み、みなさま、今日は、私・・・な、直子の、ヘンタイマゾ女の直子のいやらしい裸を・・・あの、つ、つまり、おっぱいやち、乳首・・・尖った乳首や、お、オマンコ、いやらしく濡らしたオマンコ、の穴と充血したクリトリスと、あとえっと、汚いお尻の穴も、見てくださって、本当に、あ、ありがとうございました・・・」
 
 理性のストッパーがはずれ、恥辱の洪水に溺れている私の唇からは、はしたなくえげつない言葉が次から次へとスラスラ湧き出ていました。
「私は、直子は、みなさまに恥ずかしい姿を視られて、虐められて辱められてえっちに興奮してしまう、いやらしいヘンタイのどマゾ女なんです・・・今日は、みなさまのおかげで、とても気持ち良くさせていただいて、本当にありがとうございました」
「ま、また機会がございましたら、そのときも存分に虐めてやってください・・・お願いいたします。ありがとうございました・・・」
 そこまで言ったとき、懲りもせず左内腿を愛液がドロリと滑り落ちていきました。

「あーあ、まーた床汚して!もう際限ないわね!」
 シーナさまが呆れたお声でコンビニ袋を投げつけてきました。
「拭いたらまたその姿勢に戻って、スキンアート作品の見本になること!」
「みなさんも遠慮せずに、近くでご覧になってくださいね。このお店の桜子さんの腕前は一流アーティスト並みだから」
「でも、あんまり近づくといやらしい臭いでクラクラしちゃうかもね。直子への質問もご自由に。直子はちゃんと正直に答えること」
「それに、ちょっとなら作品にさわってもいいわよ。ペイントは完全に定着しているらしいから。直子のいやらしい汗でも滲んでいないしね」
「でも直子は絶対ヘンな声をあげないこと。がまんするのよ。この後すぐ、わたしがいい所に連れて行って、存分に喘がせてあげるから」
 笑い混じりなシーナさまが言い捨てて、純さまと一緒にレジのほうへ消えました。
「ワタシもトイレ行ってくる」
 桜子さまが後を追いました。

 全裸で無防備に立ち尽くす私の前に残ったのは、今日初めて出会ったかたたちだけになっていました。
 試着のお客様、そのあといらっしゃったおふたかた、そのまたあと更に4名のお客様が見物に加われたようでした。
 シルヴィアさまとエレナさまは、残念ながらいつの間にか帰られてしまったようですが、それでも合計7名の初対面なかたたちの視線が私の裸身に注がれていました。
 全員、私とあまり年齢に開きの無さそうな学生さん風な女性ばかり。
 お名前も素性も知らない同年代の女の子たちの遠慮無い視線が、私の素肌を嘗め回していました。
 みなさまは先ほどより近い位置、桜子さまの作業デスクの脇、まで近づいてきて、裸の私を半円形に取り囲んでいました。

「本当にこういう趣味の人いるんだねー」
「露出狂、って言うんでしょ?」
「さっき、通行人もけっこうこっち、見てたよね?わたしのほうがドキドキしちゃった」
「乳首が飛び出てたの、気づいたのかしら?」
「ひとり、立ち止まって覗き込むようにガン見してたおにーちゃんがいたね」
「あれ?女の子じゃなかった?」
「ガイジンさんが笑いながらウインドウに近づいてったら、ササって逃げちゃったけど」
 みなさま、私に直接は話しかけずにヒソヒソ、好奇心丸出しのおしゃべりです。

「スキンアートって、意外とオシャレなもんなんだね」
「うん。けっこういい感じだよね」
「でもアタシ、こんなとこにしてもらう勇気ないわー」
「それって別に勇気じゃなくね?」
「やだ!よく見たらおっぱいにマゾヒストって描いてある!」
 私は曖昧な微笑を浮かべつつ、みなさまのおしゃべりを黙って聞いています。
 それなりに着飾っている同年代女子の中に、たったひとり全裸でいる屈辱を全身で感じながら。

「ねえあなた、あなた学生?ニート?OLさん?」
 不意に、それまで好奇心おしゃべりに加わっていなかった、あの試着のお客様が私に直接話しかけてきました。
 この中では一番最初から、私がくりひろげる痴態を目の当たりにしてきた彼女。
 私の真正面に立って、私をまっすぐ見つめて聞いてきました。

「あ、はい。一応大学生です」
「へー。それならわたしと年変わらないんだ。まさかこの近くのガッコ?」
「いえ、違います・・・」
「こんなことすると気持ちいいんだ?人前で裸になるのが」
「は、はい・・・あの・・・ごめんなさい・・・」
 彼女のお言葉には、明確な侮蔑が感じられました。
 私のような女に対する嘲笑と嫌悪みたいなものを、まったく隠そうともしない冷たい口調。
 今の私には、ゾクゾクしちゃう、心地よい罵倒。

「ふーん。さっきいろいろ命令していたお姉さんがあなたのご主人様なんだ?」
「はい・・・」
「でもさ、こういうのって普通、男とやるものでしょ?」
 桜子さまと同じ疑問をお持ちのよう。
「私は男性はダメなんです。同性じゃないと・・・」
「レズってこと?・・・」
「・・・はい」
「そうなんだ。じゃあ、あのご主人様は恋人でもあるの?」
「まさか・・・恋人だなんて・・・」
 自分が答えた言葉に、なぜだか胸がキュンと疼きました。

「同性に裸見られて興奮するんだ?」
「はい・・・あと、虐めらたり辱められたり・・・」
「ふーん。それなら今、こうして同性のわたしたちに見られているこの状況って、あなたにとっては天国みたいなものなんだ?」
「・・・はい、そうですね・・・」
 試着のお客様が代表インタビュアーみたいになって、その一問一答を他のみなさまが見守る形になっていました。

「そんな性癖だとあなた、クアハウスとかサウナの女湯、興奮して入れないんじゃない?」
 みなさまがドットと沸きます。
「そ、それは、あらかじめの心構えが違いますし、みなさんも裸ですから・・・」
「ああ、なるほど。こういうありえない場所で自分だけ裸になるのがいいのね?」
「・・・はい」
「はい、だってー!」
 再び沸くギャラリーのみなさま。

「あなたみたいな人を本当の、マゾ、っていうのね。わたし今まで、ドMだとかマゾいよねー、なんて言葉をなんとなく超テキトーに使っていたけれど、今日初めてわかった気がするわ」
 試着のお客様が、独り言みたいに、心底感心したご様子でつぶやきました。
 それから再び、私の顔をキッと睨みつけ、興奮気味につづけました。

「わたし、今日あなたのしていること見て、すっごく、心の底から、虐めてみたいーって思ったのよ。あなた見て、わたしの中のSッ気が目覚めちゃった感じ」
「あなたの顔、しっかり憶えたから、今度どこかで会えたら、そのときはわたしにつきあってよ?ご主人様には内緒で」
 彼女の冷たい瞳が、まっすぐに私を射抜いていました。
「は、はい・・・喜んで・・・」
 彼女の迫力に気圧された私は、従順にうなずきました。
「そう。ありがとう。嬉しいわ。あと、最後にひとつお願いしていいかしら?・・・」
「はい?」

 そのとき、シーナさまと純さま、桜子さまがお揃いで戻っていらっしゃいました。
「あら、盛り上がっているみたいね。直子、ちゃんとみなさんに見てもらった?」
「あ、はい・・・」
 シーナさまは私のコートとバッグを手にされていました。
「それじゃあわたしたちは失礼させていただくわ。直子、そのままコートだけ羽織りなさい」
「あ、はい」
 シーナさまが手渡してくれたコートに、全裸のまま、まず片手を通しました。
 コート着ちゃうの、ちょっと名残惜しい・・・

「みなさんも、お騒がせしちゃったわね。また、このお店でこの子のショーをするかもしれないから、ご縁があったら、そのときはまたよろしくね」
「純ちゃんも桜子さんもありがとね。また近いうち寄らせていただくわ」
「いえいえ、シーナさん、今日はたくさんのお買い上げ、ありがとうございました」
 純さまがおどけた感じでお辞儀をして、私にもニコッと笑いかけてくださいました。

「ほら、コート着たらとっとと行くわよ。ボタンなんて適当でいいから、どうせすぐ脱ぐんだし」
 シーナさまが私の右手を取り、お店のドアのほうへと引っ張っていきます。
 そのお顔は完全なドエス。
 つぶらな瞳が妖しく輝き、小さなからだ全体の温度が数度、上がっているような感じ。
 やる気マンマン、テンションマックス。

 ちょうどあのとき、アンジェラさまのワックス脱毛エステを受けての帰り道、のシーナさまも、こんな感じでした。
 自宅マンションに近づいていたシーナさま運転の車は、スーッとその脇を通り越し、そのまま少し走りつづけて池袋のラブホテルの地下駐車場に、当然のように滑り込んでいました。

「直子はさんざんアンジーたちにイカせてもらったからいいでしょうけれど、わたしは直子のイキっぷり見てて、羨まし過ぎて、蘭子さんの超絶マッサの気持ち良さまで吹っ飛んじゃったわよ」
「これはみんな直子のせいなのだから、直子はわたしに奉仕する義務があるの。わたしがもういいって言うまで、わたしを気持ち良くさせる義務がね」
 その日、ふたりとも疲れ果て、裸で抱き合ったまま寝入ってしまうまであれこれしたので、結局マンションのお部屋に戻ったのは明け方でした。

 あのときと同じ、いいえ、それ以上のドエスオーラを発しているシーナさまは、お店の入口まで見送ってくれたみなさまが呆気に取られるほどの勢いで、私の手を引いてお外に飛び出しました。

「まったくあなたって子は、淫乱にもほどがあるわ」
「きっと今頃、お店ではあなたの話題でもちきりよ。本物のどヘンタイだって」
「ウイッグ着けて大正解だったわね。予想外にいろんな人に見られちゃった。直子は嬉しかったでしょうけれど」
「シルヴィアたちは今日撮った写真、絶対お店でお客に見せちゃうわね。直子の裸」
「まあ当分この界隈には近づかないほうがいいわね。ほとぼり冷めるまで」
「だから今日はSMホテルに行くからね。あなたを虐め倒したくてたまらないわ。覚悟なさい」
「もちろんわたしにもきちんと奉仕するのよ。わたしが満足するまでね」
 
 そんなことをブツブツおっしゃりながら、人波を切り開くように、夕暮れ近い雑踏をズンズン進むシーナさま。
 右手を引かれた私は、一番下を留め忘れたコートの裾がヒラヒラ大きく翻り、無毛の下半身にお外の風を直に感じていました。

 交差点の向こう側にお城のような外観の派手な建物が見えました。
 あそこかな?
 シーナさまがその入口を睨むように見つめています。
 発情されているシーナさま、大好きです。

 ああ、やっとイかせてもらえそう。
 そしてもちろん、今日も長い夜になるはずです。





2014年5月25日

コートを脱いで昼食を 31

 座っている桜子さまのお顔と私の股間との距離は50センチくらい。
 桜子さまは、さらに前のめりになって私の土手にお顔を近づけてきました。
「場所が場所なのに肌ツルツルなのねえ。毛穴のブツブツ、ほとんど無いじゃない?」
 桜子さまの鼻先に私のスジの割れ始めがあります。
 その状態で桜子さまがお話しされると、吐息が直に敏感な部分にかかります。
 シャツまくり上げのほぼ全裸な姿で桜子さまの後頭部を見下ろしながら、私のムラムラが下半身にグングン集まってきました。

「このへんに貼るからね」
「ぁぁんっ!」
 不意に土手麓のキワドイ場所を指でツツーッと撫ぜられ、そのはがゆい感触に私の両膝がガクンと崩れました。
「動かないでっ!」
 お顔を離した桜子さまがピシャリ。

「すぐに終わるから、ガマンしててよねっ!動かれたら失敗しちゃうじゃない?」
 デスクに向いてなにやら準備しながらの不機嫌そうなお声。
 でも、こちらに振り向いた桜子さまは、ニンマリ笑っていました。
「さっきナオがガクンとなったときにさ、スジがぱくって割れて中のピンクの具が丸見えだっわよ?濡れてヌメヌメ光ってて、ほんとにいやらしかった」
 ギャラリーのみなさまに呆れたようなクスクス笑いが広がりました。

「始めるからね」
 アーティストのそれに戻った桜子さまのお顔が再び、私の股間に近づいてきます。
「んぅぅ」
 濡れティッシュのようなもので下腹部右側の内腿近くを撫ぜられました。
 私は唇を真一文字に結び、こそばゆい愛撫で折れそうになる両膝を踏ん張って必死に耐えます。
「そんなに力入れてたら皮膚まで突っ張って、シールが歪んじゃうわよ?リラックスリラックス」
 生真面目な桜子さまのお声。
「は、はいっ・・」
 でも、濡れティッシュの水気にはアルコールのような成分が含まれているらしく、撫ぜられたところがスースーし始めて、もどかしい快感に拍車を掛けてくるんです。
 どんどんどんどんヘンな気分になってきて、もっと内側、もっと内側までさわってください、って、頭の中で叫んでいました。

 濡れティッシュで拭かれた部分に台紙ごとシールがあてがわれ、台紙の上からスースーする液体がさらに塗られました。
 液体を伸ばすために私の皮膚を撫ぜる桜子さまの指は、おっぱいのときとは違ってスムースではなく、なんて言うか、無駄に指先に力が入っている感じでした。
 その部分がへこむほどの力で、皮膚が外へ外へと引っ張られます。
 
 ワザとだと思いました。
 内腿すぐそばの皮膚を外向きに引っ張られれば、中央の亀裂部分の唇までつられて引っ張られ、お口が開いてしまいます。
 上からでは桜子さまの頭に遮られて見えませんが、私のアソコの唇が小さくパクパクしているのを感じていました。
 あぁんっ、桜子さまが私の中までじっくり視ているうぅ・・・
 恥ずかしさと嬉しさがごちゃまぜの、すっごく甘酸っぱい気分。

 だけどそれもすぐに終わり、ガーゼみたいなものでその上をポンポンと叩いてから、桜子さまのお顔が離れました。
 台紙がスルッと剥がされると、4センチ四方くらいの鮮やかな青色模様の綺麗な蝶々が現われました。
「はい!一丁上がり!」
 桜子さまの大きなお声が響いて、今まで桜子さまの頭で隠れていた私のソコに、ギャラリーのみなさまの視線が一斉に注がれるのを感じました。

「ワタシ、なんだか無性にチーズケーキ、食べたくなっちゃった。それもすっごくコッテリしたやつ」
 クルッと後ろを振り向いて、冗談っぽい口調でおっしゃった桜子さまのお言葉に、ギャラリーのみなさまがドッと湧きました。
「そんなに間近ならそれはそうでしょうねー。ここまでだってけっこう匂っているもの・・・」
 お気の毒に、とでもつづきそうな同情まじりのシーナさまの合の手に、私の全身がカッと火照りました。
 私の発情した性器の臭いが、このお店中に漂っているんだ・・・
 奥がキュンキュン、性懲りも無く蠢きます。

「でもやっぱりこれだけだとなんか物足りないなあ・・・」
 再び私の股間に向き直った桜子さまが、ソコを凝視してきます。
「やっぱり少し手を加えたいな・・・そうだ、鱗粉を散らしてみよっか。そうすれば蝶々にもっと躍動感が出るはず」
「ナオ、まだ動かないでね、もう少しだけ。それとちょっと反り気味になって、蝶々の部分をもっとこっちに近づけてくれる?」
 細いブラシを手にした桜子さまが、真剣なまなざしに戻っておっしゃいました。

「あ、は、はぃ・・・」
 私は、クラクラしちゃう甘美な疼きを感じながら、ご指示通り素直に、と言うよりむしろ悦んで、胸を張るように背中を反らしました。
 まるでギャラリーのみなさまに、自ら露出させているおっぱいを、さらにのけぞって見せつけるかのように。
 背中の弓なりに比例して腰がグイッと前に出て、桜子さまの眼前すぐにまでアソコを突き出す格好です。
 私の股間にお顔を埋めるようにして、桜子さまのブラシによるチロチロ愛撫が始まりました。

 この時点で、もはや私の中に理性や常識は、まったく残っていませんでした。
 この至福の時間がずーっとつづいて欲しい・・・
 そんなふうに思っていました。
 
 恥丘を思い切り前に突き出して桜子さまのブラシの愛撫を感じながら、私を取り囲んでいるみなさまのお顔を順番に盗み見ました。
 シーナさまのニヤニヤ笑い、純さまの呆れたような苦笑い、試着のお客様の軽蔑しきったまなざし、新しいギャラリーさまたちの好奇に爛々と輝くお顔・・・
 いつの間にかシルヴィアさまとエレナさまも輪に加わっていました。
 おふたかたともさっきよりももっと肌も露でキワドイ原色のドレス姿で、私に笑いかけていました。
 レジ側のハンガーラックのほうには、さらに新しいお客様が数人増えて、こちらを視ているみたいでした。

 みなさまからの視線のシャワーを浴びて、私のからだ全体いたるところが、ビクンビクンと淫らに反応していました。
 普通の女の子なら、絶対人前で外気に曝け出すようなことの無いはずな部分を、見せびらかすようにみなさまに晒している私。
 肌に突き刺さってくるすべての視線が、私のからだを容赦なく値踏みして嘲弄と共に陵辱してきます。
 そんな陵辱を例えようも無いほど心地よく感じている私は、もっともっと、さらなる恥辱をも望んでいました。

 今の私は、ここにいらっしゃるどなたの、どんなご命令にも、従順に従うことでしょう。
 脚をもっと開けと言われれば、思い切り大きく開きます。
 四つん這いになれと言われれば、即座に額突きます。
 そのままお店の外に出ろと言われたとしても、素直に歩き出すことでしょう。
 鞭でも洗濯バサミでもローソクでも、お浣腸だって喜んでいただきます。
 
 だから、その代わりに、私のこの、どうしようもないくらいに疼いているムラムラを解消して欲しい。
 昂ぶりきって今にも爆ぜそうな欲情を開放させてください。
 もっと虐めて、もっと辱めて、もっといたぶって。
 そのためなら何だってしますから。
 身も心も、私のすべてがマゾヒズム一色に染まっていました。

「うん、だいぶ良くなったわ!」
 爆発寸前の昂ぶりは、桜子さまの一言で現実に戻されました。
「ほら、こんな感じよ」
 桜子さまがまあるい手鏡をかざして、私のアソコ周辺を映してくださいました。
 
 青い蝶々は、私の割れ始め3センチくらい右側で、やや左斜め上に向いて綺麗な羽を広げていました。
 私の左おっぱいに描かれた山百合へと、キラキラした鱗粉を撒き散らして飛び立ったところ、といった感じの構図でした。
 
 下からかざされた手鏡には、私の内腿奥のほうまでもが映っていて、アソコ周辺が粘性の液体でヌメヌメ濡れそぼっているのが丸分かりでした。
 両内腿には下へ向かって、カタツムリさんが這ったような跡が幾筋も。
 私に向けて鏡をかざす桜子さまの嬉しそうなお顔が、ほら、ナオはこんなにオマンコ周辺をビチャビチャに濡らしたはしたないヘンタイ女なんだよ、っておっしゃっているように見えて、たちまち昂ぶりが戻ってきました。

「じゃあ最後にお尻ね。今度は背中向けてお尻を突き出しなさい」
 桜子さまのご命令。
 私は、もうすっかりその気でした。
 そのご命令をワクワク待っていました。
 もっとたくさんの人に視てもらいたい、見せたい。
 今の私のこんな恥ずかしい姿、こんな昼間にこんなお店でひとり裸になっているヘンタイな私の姿を、通りすがりの見知らぬ人たちにも気づいて欲しい、驚いて欲しい、笑って欲しい、蔑んで欲しい。
 もうどうなったってかまわない・・・

「ごめんナオコ!ちょっと待ってくれる?」
 桜子さまのご命令に頷いて回れ右をしようとしたとき、純さまからあわてたようなお声がかかりました。

「盛り上がっているところに水を差すみたいで申し訳ないのだけれど・・・」
 純さまが桜子さまの隣に歩み出て、主にシーナさまに向けて語りかけました。
「こんなオッパイ丸出しの子を、オッパイ丸出しのまんま外からバッチリ見えるように放置するのは、やっぱちょっとマズイかなーって、お店的に・・・」
「いえ、個人的には面白いと思うんですけど、ほぼマッパでしょ?外を誰が通るかわからないし・・・」
 今までに無く歯切れの悪い純さま。

「そうね。確かにちょっと、リスキーかもしれないわね」
 真面目なお顔でシーナさまが引き継ぎました。
「万が一ケーサツやら商店街の自治会みたいな人に見られたら、純ちゃんのお店に迷惑かかっちゃうものね」
「それに、こんな直子のしょうもないヘンタイ性癖のために、純ちゃんのお店にヘンな噂がたったり、営業停止とかなっちゃったら理不尽だし、割に合わないわよね」
 シーナさまが私を睨みつけるように見ながら、冷ややかにおっしゃいました。

「でもほら、直子はわかっていないようよ。視てもらう気マンマンのマゾ顔全開だもの」
 薄ら笑いを浮かべて私を見ながらシーナさまがつづけます。
「まったく、本当にはしたない子。わたしのほうが恥ずかしいわよ」
 ギャラリーのみなさまのクスクス笑いがさざ波みたいに広がりました。
 確かに私は、純さまのご提案を聞いて、がっかりした顔になっていたと思います。
 シーナさまには、全部お見通し。

「それならこうしましょう」
 シーナさまがギャラリーのみなさまに説明するみたく、少し大きなお声でおっしゃいました。
「桜子さん、直子の胸のペイントはもう乾いているわよね?」
「ええ。普通、描いて5分もすれば完全に乾いていますよ。だからナオは、ずっとそうやってシャツをたくし上げている必要なんて、ぜんぜん無かったんです、本当は」
 嘲るような桜子さまの口調。
「でもきっと、ナオはそうしていたいんだろうな、って思って何も言わなかったんです」
 再びギャラリーのみなさまの嘲笑のさざ波。

「おっけー。それじゃあ直子、そのシャツ下ろしていいわよ、残念でしょうけれど」
 シーナさまも冷ややかな嘲り口調。
「とりあえずそのはしたないおっぱいはしまいましょう。あ、でも直子が自分で空けたっていうシャツの穴から、そのいやらーしく尖りきっている乳首は露出させていいわよ」
「乳首だけなら、ショーウインドウ越しならたいして目立たないでしょう?その格好ならお店のリスクも減るし、直子の見せたがり願望も少しは満たされるんじゃない?どう?純ちゃん」
「そうですね。そのくらいなら大丈夫そう。それでいきましょう」
 純さまも同意されました。

 ここにいらっしゃるギャラリーのみなさまのうち、お店にお買い物にいらした見ず知らずのお客様のかたたち全員は、すでにおっぱい全体をはだけてほぼ全裸姿の私しか見ていません。
 このお店に来たときの、自ら破廉恥な細工を施した恥ずかしすぎる着衣、を、ここでみなさまに暴露されることになってしまいました。

「ほら、そうと決まったら早くシャツを下ろしなさい」
「は、はい・・・」
 私は、自らたくし上げていたTシャツの裾をズルズルと下ろし始めました。

「この子はね、東池袋の自宅からこんな格好して、その姿を誰かに見せたくってここまで来たのよ?」
「ピチピチTシャツの上にコート一枚だけ羽織って、下半身は裸。お股にはタンポン突っ込んでね。どうしようもないヘンタイでしょう?」
「全部自分で考えた、ヘンタイアッピールのためのコーディネートなのよ」
 ギャラリーのみなさまにシーナさまがわざわざご説明されるお言葉を聞きながら、ピチピチTシャツをゆっくりウエストまで下ろしました。
 とくに調節するまでも無く、大きな乳首は布地に擦れながらも自分で穴を探り当て、Tシャツ姿に戻ったときにも、2つの乳首だけは相変わらず外気に晒されていました。

「ね?いやらしい女でしょ?自分からすすんでシャツに穴空けたのよ?乳首穴」
 シーナさまはご丁寧にも、シルヴィアさまとエレナさまにも同じ内容を外国語で説明されているようです。
 チビT姿に戻った私も、今更ながらにそのいやらしさを実感していました。
 自分で考えたことながら、やっぱりこれってある意味、全裸より恥ずかしい・・・

「なにボーッとしてるの?桜子先生にお尻向けるのよ、お尻!」
 傍らに来たシーナさまが私の左の尻たぶを右手のひらでピシャリとはたきました。
 シーナさまもかなりコーフンされているみたい。
 完全にエスの目になっています。

「あうっ!はい!」
 あわてて回れ右すると、眼前に広がるお外の景色。
 数メートル先に素通しの大きなガラス。
 街路樹、標識、向かいの雑居ビルの入口。
 その向こうを自動車がゆっくり横切って行きました。
 ああん、見られる、見られちゃう!

「もうちょっとこっちにお尻突き出してよ」
 桜子さまのお声に上体を少し屈めて下腹部を引きます。
 両足は、休め、で40センチくらいに開いていますから、お尻を突き出すと間違いなく肛門まで見えちゃうことでしょう。
 両手は、誰にご命令されたのでもなく自然に、頭の後ろで組んでいました。

 お尻にシールを貼られているあいだ、私は異空間に旅立っていました。
 目の前に広がる街の日常の風景、通り過ぎる車と人々。
 私の背後でざわめくギャラリーのみなさま、時折鳴る来店を告げるチャイム。
 それらを皮膚で感じながら、頭の中には、ずっと同じ言葉が渦巻いていました。

 見て、見て、見て、見て、見て・・・
 直子のいやらしく歪んだ顔を、尖った乳首を、濡れた性器を、広げたアヌスを、膨れたクリトリスを・・・
 見て、見て、見て、見てください・・・
 どうしようもないヘンタイ女の恥ずかしい姿を・・・

 ショーウインドウの向こうでは、けっこうたくさんの人が通り過ぎて行きました。
 こちらを見る人もいれば素通りの人も。
そのすべての人たちに心の中でお願いしていました。
 見て、見て、見て、見てください・・・


コートを脱いで昼食を 32


2014年4月13日

コートを脱いで昼食を 30

「はい・・・」
 お答えしてから私は、両腿をぴったりと合わせたままゆっくりと立ち上がり始めました。
 腰を上げた拍子に内腿同士が擦れ、その部分がヌルッとしているのが自分で分かりました。
 視界が上がっていくにつれ、私のアソコがみなさまに見えやすい位置まで上がってしまうことを、すごく意識してしまいます。
 意識すると、アソコの奥がチリチリ疼いてきます。
 ぬるんだ内股を、無性に激しくスリスリ擦りつけたくてたまりません。
 なんとかがまんしつつ完全に立ち上がると、自分でたくし上げているTシャツから下の裸部分、おっぱいから足首までがすべて無防備に、みなさまの視線に晒されました。

「まずは前からね。どのへんに貼ろうかしら?」
 シーナさまが桜子さまに尋ねると同時に、
「ワオ!インクレディボーボールドプッシーー!ソークール!ジャスタウェイト!アワナテイカピクチャーウイズハー!」
 突然エレナさんの興奮されたご様子なお声が響きました。

 エレナさんは跳ねるように試着室のほうへ駆け出し、すぐ戻ってきました。
 手にした携帯電話を嬉しそうにシーナさまに渡し、私の横に寄り添ってきます。
 私の右脇にピッタリと身を寄せ、
「オモイデ、オモイデ!ネッ?」
 と笑いながら私の顔を覗き込んできました。
 左脇にシルヴィアさんもやって来ました。
 両脇に彼女たちの体温を感じて私はもうドッキドキ。
「ひゃん!」
 左隣のシルヴィアさんが右手をこっそり下に伸ばし、私の裸のお尻をそっと撫ぜたようでした。
 やれやれ、という感じで、座ったままの桜子さまが小さく笑いました。

「オーケー、ユーレディ?セイ、チーーーーッズ!」
 あれよあれよと言う間に、シーナさまが何度もシャッターを押しています。
 美形の外国人さんに挟まれたおっぱい丸出しな私の写真が、何枚もあの携帯電話の中に記録されちゃっているのです。
 いやん、恥ずかしい。
 きっと、こっちでもご自分のお国に戻っても、何人もの人に私のおっぱい写真を見せちゃうのだろうな・・・
 あっ!そう言えばさっきエレナさん、プッシーがどうとかおっしゃっていたから、シーナさまのことだもの、きっと下まで入るように写しちゃっているはず・・・
 両脚ぴったり閉じているから、携帯電話のカメラの解像度なら、ただの無毛な土手にしか見えないだろうけれど。
 おかっぱウィッグで普段とはずいぶん雰囲気の違う顔なことだけが、せめてもの慰めです。

「ほら直子、もっと愉しそうな顔をなさい!」
 シーナさまがからかい口調で私に投げつけてから、つづけてエレナさんたちに何か外国語でおっしゃいました。
 それを聞いたシルヴィアさんが、すっごく嬉しそうに大笑いした後、オッケー、と大きなお声でお答えしました。
 私のお尻をずっとやんわり掴んでいたシルヴィアさんの右手が離れました。

「ラストワン!レディ?トレイ、ドイ、ウヌ!」
 シーナさまのドイというお声のあたりで、シルヴィアさんたちがからだを動かす気配がありました。
 横目で見ていると、シルヴィアさんはドレスのVラインを左右に押し広げ、エレナさんはハート型からつづくジッパーを一気に下へおろしました。
 えっ!?まさか・・・
「ナイスブーブス!ステイ!ワンモア!」
 何度かシャッターを押したシーナさまが構えていた携帯電話をたたんだのを見て、私は左右の彼女たちに素早く視線を走らせました。

 ぽってりとしてボリューミーなシルヴィアさんの巨乳。
 ツンと上向き乳首にもぎたての桃の実のようなエレナさんの美乳。
 おふたりとも自ら胸元を開き、見事なおっぱいをお外にこぼれ落としていました。

「センキュー、マゾッコナオチャン!アイラァビュー!」
 おふたりが私を左右からやんわりハグしてきて、ほっぺたにチュッチュッてキスしてくれました。
 私はボーっとして硬直、されるがまま。
 おふたりの剥き出しなバストが左右から両腕に当たり、その体温と少し汗くささの混じったローズ系パフュームの良い香りに、頭はクラクラからだはムラムラ。
 だけどなぜだかからだが動かず、Tシャツたくし上げな直立不動のままでした。

 シーナさまから携帯電話を受け取った彼女たちは、はだけた胸元はそのままに、再び試着室のほうへ楽しそうに戻っていきました。
 まだ試着したいドレスがあるのでしょう。

「陽気でいいわよね、外国の子たちって」
 純さまが半分呆れたようなお顔でおっしゃいました。
「直子、よかったじゃない?お仲間と写真が撮れて。抱きつかれてムラムラしちゃったんじゃない?」
 シーナさまがからかうようにおっしゃってから、ふと試着室のほうへ視線を向けました。
 つられてそちらを見ると、シルヴィアさんが再び着替え始めているところでした。
 って、なぜわかるかと言うと、シルヴィアさんたら、試着室のカーテン開けっ放しで青いドレスを脱いでいるのです。
 試着室の中で後ろ向きになった上半身裸の真っ白な背中とまあるいお尻がこちらを向いていました。

「やれやれ。もう好きにさせておくわ。今日のここはそういうお店、っていうことで、ね?」
 純さまが自嘲気味に笑いながら、周りの人たちを見回しました。
 つられて私も視線を上げると、あれっ?
 いつのまにかギャラリーさんが増えていました。
 私と同い年くらいの比較的地味めな服装、おひとりはベージュのブレザーに膝丈のスカート、もうおひとりは水色のフリルワンピース、の学生さんらしき女性がおふたり、シーナさまたちの背後の少し離れたところから私をじーっと見ていました。

「あら、いらっしゃいませ。驚いた?これはね、スキンアートの実演なの。これからこの子の下半身にシールを貼れば完成なのよ」
 シーナさまが気さくな調子でその子たちに呼びかけました。
「こんな格好でも同性だし気にならないでしょ?よかったらゆっくり見ていってね。この子は見られたがりのヘンタイだから」
「あ、はい・・・面白そうだから見ていきます」
 興味津々というお声が返ってきました。
 ああん、シーナさまのイジワル・・・

「でもね、ここにも夕方になると男性客が来ることもあるんですよ。ほら、シルヴィアたちみたいなお店のお客さんとか・・・」
 純さまがシーナさまに相談するみたく問いかけました。
「ああ。ドーハンってやつね。嬢がお客さんにねだって何か買ってもらおう、って」
「そうそう。だからあんまりこういう無法痴態もつづけていられないんですよね、残念ながら」
「それならさっさとすませちゃいましょう。桜子さん、お願いするわ。蝶々のシールだったわね」
「はい。シーナさんからは、何かご希望あります?」
 シルヴィアさんたちとの記念撮影をニヤニヤ顔でご覧になっていた桜子さまが、やっと出番がきた、というお顔でシーナさまに尋ねました。

「うーん・・・時間に余裕があれば、面白いアイデアがあるのだけれどねー」
 シーナさまが、周りのみなさまにご説明するかのようなワザとらしい、お芝居がかった口調でおっしゃいました。
「ほら、この子って見た通り、けっこう上付きじゃない?こうしてまっすぐ立っていてもワレメちゃんのスジが正面からクッキリ見えるほど」
 私の下半身を指さしながら周りを見渡しつつ、つづけました。
 シーナさまのご指摘で、周りのかたたちの視線が一斉に私の剥き出しな無毛の股間に注がれるのがわかりました。
 うぅっ・・・
 ピッタリと閉じた襞を抉じ開けるように肥大化している肉の芽が、奥でズキズキと疼きます。

「だから、そのスジを蝶々の胴に見立てて、左右の内腿に開いた羽をそれぞれ貼れば、直子が脚を動かすたびにパタパタ羽ばたいているように見えるかな、って」
 シーナさまのお言葉に、試着のお客様と新しいギャラリーさんたちがクスクス笑っています。
「あ、それ、ワタシも考えました。ご依頼いただいて最初に思いついたのが、それでした」
「ねー。絶対お似合いよね?ヘンタイ直子になら」
「でも、それするにはやっぱり寝そべってもらわないと・・・」
「そうよね。今は時間がないし、今度にしましょう」
 あっさりシーナさまが却下され、みなさまの前でそうされることを想像してドキドキしていた私は、安堵ほぼ100パーセントでちょっぴりだけがっかり。

「まあ無難に、そのスジの割れ始めあたりに一匹って感じかしら?」
「そうですね。今まさにバストのお花にめがけて飛んでいく、みたいな感じでやってみましょう」
 桜子さまの手にあるのは、5センチ四方くらいの綺麗な青い羽を広げた蝶々のシールでした。
 桜子さまが椅子から立ち上がりました。

「このへんでいいですか?」
「ぁあんっ!」
 私の傍らに来た桜子さまが、右手人差し指でちょこんと、私の下腹部の割れ始めギリギリのあたりを撫ぜました。
 微妙な位置を刺激されて思わず声を洩らしてしまう私。
「そうね。そこでいいわ。桜子さんにお任せするから、ご自由にやっちゃってちょうだい」
 シーナさまはそう言い残し、新しいギャラリーさんのほうへ近づいていかれました。

「ねえナオ?そんなにぴったり脚を閉じていたらちょっとやりにくいのよね。皮膚も撓んじゃうし」
 私の前に立った桜子さまが冷たい感じでおっしゃいました。
「少し自然な感じに脚を開いてくれない?気をつけ休めの休め的な感じで」
「脚を・・・開くのですか?・・・」
 ついにそのときが来ちゃった、という絶望的な気持ちで、桜子さまを上目遣いにすがる思いでお尋ねしました。
「そうよ。早くしてっ!」
 あくまでも冷酷な桜子さま。

 今、脚を開いちゃったら、タンポンの防波堤がとっくに決壊している私の股間から、ヘンタイ淫乱マゾの証明となる液体がトロトロ溢れ出してしまうことは、わかりきっています。
 それどころか、おそらく小指の先くらいにまでピンク色に膨れ上がっているはずな私の欲望の塊も、みなさまの眼前に曝け出されてしまうことになるでしょう。
 それを見れば、どんなにウブな人だって、その女が性的に興奮状態にあることは一目瞭然。
 そして、こんな街中の明るいお店の一角で、見知らぬ人たちを含む数人に囲まれた中でそんな状態になる女は、紛れも無くアブノーマルな露出狂以外の何者でもない、ということも。

 今日シーナさまに出会ってから今までのことで蓄積されてきたすべてのムラムラが一気に昇華しようとしていました。
 もうどうなってもかまわない。
 私の恥ずかしく浅ましい姿を、ここにいるすべての人たちに嘲笑って欲しい、軽蔑して欲しい、辱めて欲しい。
 そして私を恥辱のどん底に叩き落して欲しい。
 私の理性の最後の箍が弾けたようです。
 死にそうなくらい恥ずかしい気持ちなのに胸がどんどん高鳴って、心地良い陶酔感がからだ中に押し寄せました。

「・・・わかりました」
 桜子さまをまっすぐに見つめて、私は右足をジリジリと外側にずらし始めました。
 くっついていた内腿が離れ、まず白くて短い紐がぷらんと、私の両脚付け根から垂れ下がりました。
 おおお、と、どよめくみなさま。
 両脚を閉じているあいだは見えなかったから無理もありません。
「あれはタンポンよ。と言っても生理ではないのだけれどね」
 いつのまにか新しいギャラリーおふたりを前へとお連れしていたシーナさまが、桜子さまのすぐ後ろでおふたりに笑顔でご説明されています。

 そうしているあいだにも、私はジリジリと両脚を開いていきました。
 ワレメの襞が割れるのを感じると同時に、右内腿を粘質な液体がトロトロっと滑り落ちていきました。
 腿をつたい、ふくらはぎをつたって踵へ。
 両足の間隔が開くにつれ、左腿にもおツユがつたう感触。
「あらあら、やっぱり垂れ流し状態ね」
 シーナさまのイジワルなお声。
 恥ずかしさでバクハツしそう。
 それでも私はすでに観念していましたから、口を真一文字につぐんでシーナさまたちを見つめていました。
 心の中で、もっと視てください、もっと蔑んでください、とお願いしながら。

「純ちゃん、どうしよう?床にもタオル敷こうか?」
「ううん。もういいですよ。後でモップで拭けばいいだけから。こうなったら、どれくらい溢れちゃうのか、とことん見せてもらいますよ」
 純さまが苦笑いを浮かべ、私の顔とアソコを交互に見ています。
「それだったら靴が邪魔ね。靴がおツユを吸っちゃうもの。直子、そこで靴脱いで裸足になりなさい」
 シーナさまのきっぱりとしたご命令。
「みんなが驚くくらい、床に水溜りが出来るはずよ」
 嬉しそうにみなさまを振り返るシーナさま。

 お言いつけ通り、その場で軽く膝を曲げ、履いていた靴を脱ぎました。
 バレエシューズ風のフラットなパンプスだったので、脱ぐこと自体は簡単だったのですが、膝を曲げたおかけで股間が大きく割れてしまい、溜まっていたおツユが待ちかねたようにダラダラと両脚を滑り落ちていきました。

「ほら、もうあんなに水溜り」
 シーナさまが嬉しそうに私の足元を指差します。
「うわー。あの人、かなり本気なんですね。愛液、けっこう濁っていません?」
 新しいギャラリーのおひとりが口にされたお言葉に、からだがカァーッと熱くなりました。
「いいところに目をつけたわね。あんな格好してみんなに視られて、もう何時間もひっきりなしにビンビン感じちゃってるから、きっとアソコの中もずっとウネウネ蠢きっ放しなのよ」
 シーナさまが嬉しそうに引き継いで、つづけました。
「たぶん膣が無駄にキュッキュ締まって、膨らみきったタンポンをグイグイ絞っていることでしょうよ」
 蔑みきったシーナさまの口ぶりに、私のアソコが懲りもせずキュンキュン感じてしまいます。

 ひとしきり笑われたあと、不意にみなさまが静かになりました。
 シーナさまだけは、相変わらずニヤニヤ笑っています。

 私は、両足のあいだを40センチくらい開いて、いわゆる、休め、の姿勢で立っていました。
 このくらい脚を開くとラビアが少し割れ、そのちょっと奥で包皮を完全にめくり上げるほど肥大したピンクの肉の芽が、外界に姿を覗かせているはずです。
 事実、シーナさま以外のみなさまの目はすべて、その部分を凝視されていました。

「おっきい・・・」
 試着のお客様の独り言みたいなつぶやき。
「直子のオマンコって、閉じているときは柏餅みたいにプックリしてとても可愛いのに、ちょっと開くと中身は例えようもないくらい卑猥なのよねえ」
 シーナさまのお下品なご説明がお言葉責めの矢となり私の敏感な芽をつらぬいて、いやらしいよだれが足元にヒタヒタと溜まっていきました。


コートを脱いで昼食を 31

2014年3月30日

コートを脱いで昼食を 29

「ハーイ、マゾッコナオチャン。ワタシ、セクシーデスカ?」
 シーナさまったら、シルヴィアさんになんていう日本語を教えているんだか。
 桜子さまのお道具が置いてあるテーブルのすぐそばまでやって来たシルヴィアさんは、ピルエットぽく、その場でクルッと綺麗に一回転されました。
 ドレスの裾がフワッと舞い上がり、深いスリットが大きく割れて、白くて張りのある両太腿の大部分が露になりました。

 間近で見ると本当に肌が綺麗。
 大きく開いたホルターネックから零れ落ちそうに覗いている真っ白な胸元のふくらみに淡く青い血管が浮いていて、眩暈しそうなほどに艶かしい。
 光沢のあるブルーの生地はずいぶん薄いらしく、シルヴィアさんの豊満なバストの先っちょが2つ、クッキリと浮き上がっています。
 キュッとくびれたウエストに手をあててポーズをとるシルヴィアさんの全身からほとばしるセクシーフェロモンにクラクラしながら、
「と、とてもステキです・・・」
 美しいお顔を見上げて、そう答えるのが精一杯でした。

 そうしているあいだに、再び試着室前から賑やかな嬌声が聞こえてきました。
 エレナさんも着替えを終えて、シーナさまとおふたりで盛り上がっているご様子。
 試着室のカーテン前でポーズを取るエレナさんは、真っ赤なチャイナ風のミニドレス姿でした。
 おふたりでひとしきり騒いだ後、エレナさんもシルヴィアさんと同じように、気取ったモデルウォークで嬉しそうに近づいてきました。

 からだの線がバッチリ分かるボディコンシャスなドレスは、胸元のところが大胆にハート型にくり抜かれていて、バストの谷間の大部分がクッキリ丸見え。
 バストトップもこれ見よがしにポチポチ。
 ハートの形の一番下からドレスの裾へとジッパーが一直線につづいているフロントジップアップなので、もしもそのジッパーを一気に下ろされちゃったら・・・
 チャイナドレス風ですから、首周りや袖部分はしっかり覆われているまま、バストから下全部が無防備な状態になっちゃうはず。
 そんな姿を想像をしたら、ゾクッとアソコが震えちゃいました。
 
 クルッと廻ると背中もⅤ字に大きく空いています。
 膝上20センチ以上ありそうな超ミニなのに、ご丁寧に脇にスリットも入っています。
 下着が見えないからノーパン?
 スラッと伸びた細い脚がすっごく綺麗。
 シルヴィアさんほどグラマラスではないエレナさんですが、スレンダーなからだつきにドレスのシルエットが見事にフィットしていて、色っぽさではまったく負けていません。
 コケティッシュ、って、こういう人を形容する言葉なんだろうなあ、なんて考えていました。

「うわーっ!なんだかうちのお店の中、ずいぶんナマメカシクなっちゃたわねえ!」
 試着のお客様のお会計を終えて戻ってきた純さまが、苦笑いを浮かべつつ、大きな声で冗談ぽくおっしゃいました。

 試着のお客様もショッパーを肩に、純さまと一緒に戻ってきました。
 セクシードレスのシルヴィアさんとエレナさん、そして私をまっすぐに見つめてくるそのまなざしが、好奇心で爛々と輝いています。
 なぜだかこんなところでほぼ素ッ裸になっている同年代くらいのヘンタイ女と、陽気なセクシー外国人さんおふたりとのなりゆきに興味津々なご様子で、驚嘆と軽蔑が入り混じったような、マゾの私にとってはすっごくズキンと来る、絶妙な笑顔を浮かべていました。

「こういうキャバドレスって、夜のお店の中でなら気にならないけれど、昼間の明るい光の中で見ると非日常感が強過ぎて、露骨にインビな感じよね?」
 エレナさんを追って戻ってきたシーナさまが、ニヤニヤ笑いで純さまに問いかけました。
「まあ、シルヴィアたちみたいな洋風の美形が着れば、それなりにサマにはなるけれど、でもやっぱりちょっと、スケベな刺激が強すぎるって言うか、着ていないのと同じって言うか・・・」
 純さまも笑いながら同意しています。
「でも、それよりももっと破廉恥な格好をした子も、なぜだかここにいるけれどね」
 シーナさまが私を見て、それから試着のお客様に同意を求めるように微笑みかけました。

 試着のお客様は、薄い笑いを口許に浮かべつつ無遠慮に私を眺め、小さくコクコクうなずきました。
 シルヴィアさんとエレナさんは、座っている私の両脇に立ち、BGMのヒップホップに軽くからだを揺らしながら、妖艶な笑みを浮かべて私を見下ろしています。
 私はと言えば、あまりの恥ずかしさで消え入りそう。

「あら?スキンアート、終わったのね。ステキじゃない!イイ感じ。桜子さん、さすがだわ」
 シーナさまが、今気がついた、という感じで少しワザとらしくおっしゃり、愉しそうに私に近づいてきて、腰を屈めて私のおっぱいを覗き込みました。
「ずいぶんオシャレに仕上がるのね。ほんと、アートって感じだわ」
「はい。ワタシ的にも満足出来る出来栄えですね」
 桜子さまもしばし私のおっぱいをじっと見つめ、それから私の顔に視線を移しました。
 私が伏目がちに見つめ返すと、桜子さまがニッと笑い返してから、シーナさまに向き直りました。

「それで、染料が乾くのを待つ間、サービスで蝶々のシールを貼ってあげる、ってナオに言ったんです。そしたら彼女たちが出てきて騒がしくなっちゃって・・・」
 桜子さまがシルヴィアさんたちに愛想よく微笑みかけてサムアップすると、おふたりはキャーキャー喜びました。
「そうなの?それならお言葉に甘えて、やってもらいなさいよ、直子。シールは、どこに貼るのがいいかしら?」
「やっぱり下半身じゃないですか?バランス的に。下着で隠れる場所に、っていうご指定でしたし」
「そうね。お花のあるところに蝶々はつきものだし」
「それでさっきナオに、前か後ろかどっちがいい?って聞いたところです」

 桜子さまのお言葉にシーナさまと純さま、そして試着のお客様の3人が一瞬、互いにすばやく目配せと言うか、アイコンタクトをされたように見えました。
 お3人のお顔が、面白くなってきたぞ、って書いてあるみたいに、みるみる愉しそうにほころび、じっと私のからだを見つめてきます。
「そうだったの。それで直子は、どっちにしてもらいたいの?」
 シーナさまが、私に注がれている好奇の視線の意味を、その場を代表するようにお言葉にされました。

 前、と言うと、アソコの周辺、土手のあたりに貼られることになるでしょう。
 そこに貼るためには、私のアソコ周辺に桜子さまが目一杯お顔を近づけてくることになります。
 そしてソコを、指でスリスリ愛撫されることになるでしょう。
 考えただけでゾクゾクします。
 すごくやって欲しいけれど、すっごく恥ずかしい・・・
 みなさまが見ている前で、いやらしい声が出ちゃったら、身悶えしちゃったらどうしよう・・・
 それに、桜子さまのお顔が近づけば、すでにお役目を果たしていないタンポンから溢れちゃった蜜の匂いまで嗅がれてしまうかも・・・

 後ろ、と答えれば、お尻。
 それなら私は桜子さまに背を向けることになります。
 桜子さまのお顔も見えないから、さほど恥ずかしくないし、お尻への愛撫なら声もガマン出来そう・・・
 お尻のほうが気が楽みたいかな・・・

「えっと、それではお尻に・・・」
 桜子さまにそう告げると、桜子さまのお顔が一瞬ほころび、すぐに、ふーん、てイジワルそうな笑顔に変わりました。

「本当にお尻でいいの?」
「えっ?あ、はい」
「ほんとにほんとにいいのね?」
「えっと・・・はい」
「後悔しない?」
「えっと・・・」
 桜子さまったら、何をおっしゃりたいのだろう?
 何か企みがあるのかな?
 お顔がとっても嬉しそう。

「ナオのお尻にシールを貼るなら、ナオには立ち上がってもらわなきゃならないわよね?」
「あ、はい・・・」
「それで、ナオにこの場で後ろ向きになってもらうことになるわよね?」
「・・・はい」
「その椅子の背もたれの向こうがどうなっているのか、わかっていて言っているのよね?」
「えっ?」
 したり顔な桜子さまのお言葉に、シーナさまたちも私の背後を見据えて、一斉にニヤッと笑いました。

「直子、そのままの姿勢でちょっと後ろ、振り向いてごらんなさい?」
 シーナさまに言われ、首だけ後ろに捻じ曲げて、籐椅子の背もたれの陰から顔を出してみます。
「あっ!」
 そうでした。
 この背もたれの背後は、全面透明ガラスの大きなショーウインドウになっていたのでした。
 椅子から窓までは約1メートルちょっと。
 今ちょこっと顔を覗かせてみただけでも、お外の通りを行き交う人たちの姿がハッキリと見えました。
 そして、ガラス窓に薄く映った、唖然としているおかっぱウイッグの女の顔。

「何を今更気がついたようなフリしているの?知っていたクセに」
 シーナさま、めちゃくちゃ嬉しそう。
「直子が立ち上がってわたしたちにお尻を向けたら、外からは直子の正面が丸見えになるのよね?」
「それも自らシャツをたくし上げて、見せつけるようにおっぱい丸出しにしたヘンタイ女丸出しの姿で」
 シーナさまの瞳がエス色に爛々と輝きます。
「それをしたかったのでしょう?だからお尻を選んだのよね?」
「そんなに誰彼かまわず見せたかったんだ、そのいやらしいおっぱいを。直子がそこまでヘンタイだとは、さすがのわたしも思わなかったわ」
 白々しいシーナさまの科白。

 確かに私がこの場で立ち上がれば、ショーウインドウ越しに外から丸見えとなります。
 シールを貼るだけなら1分くらいで済みそうですが、そのあいだ私はずっと、自分の手でTシャツをたくし上げておっぱいを露出したまま、お外に向いて立っていなければならないのです。
 幸い、籐椅子の背もたれが高いので、椅子を前にして立てば下半身は隠せそうですが、上半身と顔はハッキリ見えちゃうはず。
 
 そのあいだ、何人くらいの人が通り過ぎるだろう?
 裸の私に気がついちゃう人もきっといるはず・・・
 下半身がビクンビクンときて、チャレンジしてみたい気持ちもありました。
 でも、もしも知っている人が通りがかったら、知らない人だとしても写真とか撮られてネットに晒されちゃったら・・・
 なんて考えると、恐怖心のほうが何倍も勝りました。

「ご、ごめんなさい・・・許してください・・・やっぱり前にしてください」
 シーナさまと桜子さまを交互に見て、すがるようにお願いしました。
「ワタシは別にどっちでもいけれど。そういうのは本当のご主人様に決めてもらえば?」
 桜子さまが冷たく言い放ちます。
「呆れた子ね。自分でお尻がいいって言ったクセに、もう心変わり?なんだかわたしたち、バカにされているみたいよね?ねえあなた、どう思う?」
 シーナさまが不意に、試着のお客様にお話をフリました。

「えっ!?あ、そうですね・・・」
 急にお話をフラれて少し面食らった気味の彼女でしたが、すぐに薄い笑みを浮かべ、睨むように私を見つめてきました。
「最初にご自分でおっしゃったのだから、やっぱりご自分の発言には責任を持つべきだと思いますね」
 試着のお客様のお声は冷たく、私をいたぶることを愉しんでいるように聞こえました。
 同年代だからわかる、女子が本気で同性を苛めようとしているときの口調でした。

「よくわかりませんが、この人は・・・」
 と、試着のお客様が右手をまっすぐに伸ばし、私を指さしました。
「この人は、変わったご趣味の持ち主みたいですし、見せたいならどんどん見せればいいのに、取り繕おうとするところが逆にイヤラシイですよね」
 侮蔑100パーセントの口調で投げつけられました。

「なるほど。わかったわ。今のあなたの意見で決まったわ」
 シーナさまが試着のお客様に微笑みかけてから私に向き直りました。
「直子は、このお客様を不愉快な気持ちにさせちゃったのだから、相応の罰が必要よね」
「だから、みなさんの見ている前で両方にシールを貼ってもらいましょう。つまり、前も後ろも」
「シール代はちゃんと払うから、お願い出来る?桜子さん」
「あ、それは別にかまいませんよ。シールの一枚や二枚。喜んで両方やりますよ」
「ありがとう。それじゃああとは桜子さんに任せるわね。絶対服従よ、いいわね?直子!」

 カランカラン
 ドアベルが鳴って、純さまがレジのほうへ駆け出しました。
 シーナさまは、何語か分からない言葉でシルヴィアさんたちとお話されています。
 きっと彼女たちに今の状況をご説明されているのでしょう。
 試着のお客様はその傍らで、薄笑いのまま私を見ています。

「それじゃあサクッとすませちゃいましょう。ナオ、立ってくれる?」
 桜子さまがアーティストのお顔に戻っておっしゃいました。


コートを脱いで昼食を 30


2014年2月2日

コートを脱いで昼食を 28

 ブラシのか細い毛先がチロチロと、上気した肌をじれったく愛撫してきます。
 視線を落とすと、真紅の薔薇が濃い緑色の葉っぱを二枚従えて、右乳首の左斜め下に鮮やかに咲いていました。
 お花の大きさは、普通よりやや広めな私の乳暈とだいたい同じくらい。
 桜子さまのブラシが繊細に踊り、棘を散らした茎が乳房の上部分へ伸びるように描き加えられていきます。
 桜子さまのお顔は私のおっぱい目前まで迫り、掌がときどき肌を擦ります。

 その感触に集中してしまうと、どんどん高まるムラムラにいてもたってもいられなくなってしまいそうなので、気を逸らすために顔を上げました。
 試着室のほうを横目で窺がうと、どうやら普通に試着が始まったようでした。
 ぴったりと閉ざされたカーテンの前で、シーナさまがうつむいてケータイを弄っていました。

 カランカラン・・・ありがとうございましたー。
 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 新規のお客様がお店に出入りする音が、頻繁と言うほどではない間隔で聞こえていました。
 そのたびにドキッとはするけれど、そのドキッは、さっきまでのような不安なドキッではなくなっていました。
 試着のお客様に視られたときに感じた、もっと視て欲しい、という自分のマゾ性丸出しのはしたない高まり。
 それをもう一度味わいたくて仕方なくなっている私。
 また誰かこっちに来ればいいのに、というふしだらな期待のドキドキに変わっていたのでした。

 見ず知らずの人に剥き出しのおっぱいを視られてしまうのは、それはもちろんすっごく恥ずかしいことです。
 でも、さっき試着のお客様からの視線を受けたとき、その恥ずかしさ以上の、なんて表現したらいいのか、息苦しいのに甘酸っぱいような、えもいわれぬ快感を感じていたのは事実でした。
 ありえない場所でありえない姿を晒している自分に対する自虐の昂ぶり。
 信じられない・・・正気なの?・・・露出狂?・・・ヘンタイ?・・・
 そんな視線の陵辱をからだの隅々にまで浴びてみたい。
 頭の中で渦巻く願望が抑えきれなくなっていました。

 根っから臆病な私がそれほど大胆な気持ちになれたのは、紛れもなく純さまと桜子さま、そしてシーナさまのおかげでした。
 私をからかい虐めながらも、同時に、社会的にヘンなことにならないようにいろいろ気を配ってくださっているのも感じていました。
 このかたたちがそばにいてくだされば、こんな場所でこんな姿をしていても、さほど大変なことにはなったりしないだろう、という甘えた安心感が私を大胆にさせていたのだと思います。
 ひとりアソビでは絶対に出来ない、不特定多数の人たちへの露出行為。
 シーナさまたちが整えてくださったそのシチュエーションに、私はどっぷり、ハマっていました。

「うん。サイズもバッチリですね。お客様、お顔が小さくて細身だから、シルエットもクールでぐうお似合いですよ!」
 試着室のほうが騒がしくなり、シーナさまと着替え終えたお客様が試着室の中の鏡を見ながら、ニコニコ顔でお話されています。
 お客様もお洋服を気に入ったらしく、お買い上げを決めたご様子。
 お洒落なワンピースを着たそのお客様は、薄い笑みを浮かべて鏡の中の私を一瞥してから、再び試着室のカーテンを閉じました。

 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
「ハーイ、シルヴィア。ハーイ、エレナ。おひさしぶりー!」
「ハロー!ニュードレス、サガシニキマシタ」
 入口のほうからカタコトの日本語が聞こえてきました。
 どうやら外国人のお客様がいらっしゃったみたい。
 途端に店内が賑やかになりました。
 カタコト日本語と英語っぽい外国語によるハイテンションな会話が響き渡り、入口との目隠しのために移動したハンガーラックがユサユサ揺れ始めました。
 そのハンガーラックには、純さまおっしゃるところの、セクシードレス、がたくさん吊るされています。

「ワオ!ソゥセクスゥイー!」
「イッツキュート!」
「コレモカワイイ!」
「コッチモイイネー」
 ラックの向こう側でドレスを選んでいるのでしょう、楽しそうに弾んだお声が聞こえてきます。
 これって、ひょっとしたら・・・
 私のドキドキが一段と高まりました。

「キャナアイトライディスオン?」
「シュア。バットウェイトフォアラホワイル、ビコーズアナザカスタマー・・・」
 純さまが流暢な発音で応対されているのを聞いて、私のドキドキは最高潮。
 外国人さんたちが試着でこちらにやって来るみたい。

「はい。お疲れ様でしたー。こちらとこちら、両方お買い上げでよろしいですね?ありがとうございます」
 試着室のほうからもお声が聞こえてきました。
 試着室のカーテンが開け放されて、中の鏡に再び横向きな私の裸が映し出されています。
「純ちゃーん、お客様お買い上げでーす。フィッティングルームも空いたのでどうぞーっ!」
 シーナさまが大きなお声をあげながら、お客様と一緒に私のほうへと近づいてきました。

「はーい!オッケー、プリーズフォロウーミー・・・」
 純さまの元気の良いお声に導かれ、外国人さんたちがハンガーラックの陰から現われました。

 おふたりとも西洋系の整ったお顔立ち。
 白くて小さなお顔にパッチリな瞳、スッと通った鼻筋にアヒル口、誰が見ても、あ、美人さんだ、と思わざるをえない美形さんたちでした。
 ボリューミーなブロンドヘアーの人のほうが背が高く胸も豊かそうで、絵に描いたようなゴージャス系西洋美人さん。
 もうおひとかたは、栗色がかったブルネットのセミロングで、やや小柄で機敏そうな感じの小悪魔的な美人さん。
 おふたりともシンプルなブルゾンにジーンズと言うラフなファッションでしたが、そんな格好でも、夜のお仕事で培ったのであろう色っぽいオーラが全身から滲み出ていました。

 そんな彼女たちも私の姿をみつけると、試着のお客様と同じようにまず一瞬、息を呑んでその場に立ち止まりました。
 でもやっぱり外国人のかたはオープンなのでしょう。
 唖然としたお顔が瞬く間に興味津々のお顔に切り替わり、私のほうに駆け寄ってきました。

「ワオ!ワッツゴーイノオン?・・・タトゥ?」
「ナイスブーブス!イズディスジャパニーズボディペインティン?・・・」
 おふたりが私の傍らに来て、私の剥き出しのおっぱいを指さしながら口々に何かおっしゃっています。
 
 試着を終えたシーナさまたちもちょうど通りがかったところで、試着のお客様も今度は私の目前で足を止めました。
 そのお客様の目が、驚きでみるみる見開かれます。
 私が下半身も裸だということに気づかれたみたいです。
 伏目がちにお客様の視線を追うと、私の無毛な下半身を凝視して、それから私の顔を見て、おっぱいに移動してからもう一度私の顔に戻りました。
 そのときお互いの目と目が合ってしまいました。
 試着のお客様の瞳には、ありありと侮蔑の色が浮かんでいました。

 シーナさま、純さま、外国人の彼女たち、そして試着のお客様と、今や5人の女性がほぼ全裸の私を取り囲んでいました。
 そんな中でも黙々と作業をつづける桜子さま。
 外国人の彼女たちは、いつしか英語ではない、私にはわからないお言葉で声高々にお話されていました。
 シーナさまがそんな彼女たちの会話のお相手をされ、何やらご説明されています。
 試着のお客様は純さまと、私をチラチラ視ながらコソコソクスクス密談中。
 ああん、恥ずかしい・・・でも、もっと視て・・・
 桜子さまのブラシの愛撫を右おっぱいに受けながら、みなさまの不躾な視線を全身に浴びて、私はすぐにでもイっちゃいそうなくらいの昂ぶりを感じていました。

「ハズカシイデスカ?」
 桜子さまのブラシが交換のためか私の肌を離れたとき、ブルネットのほうの外国人さんが好奇心を抑えきれないご様子で、話しかけてきました。
 その瞳は遠慮無く、私の全身を舐めまわしています。
「ほら、直子さん?答えてあげなさい」
 シーナさまがニヤニヤしながらおっしゃいます。
「あ、はい・・・恥ずかしい・・・です・・・」
 私のすぐそばで腰を屈めている美形な外国人さんにお答えした途端に、股間がウルッとぬるみました。

「彼女たちはね、東欧から来ているんだって。ブロンドのほうがミス・シルヴィア。栗毛がミス・エレナ」
「ハジメマシテ」
 おふたり揃って、ペコリとお辞儀されました。
 再びブラシをかまえかけていた桜子さまは、作業に戻るタイミングを逸したようで、テーブルにブラシを戻し、ちょっと休憩ね、とつぶやいてニヤニヤしています。

「なぜこんなところで裸なんだ?日本ではこういうことが許されるのか?彼女は恥ずかしくないのか?とかいろいろ聞かれたから、丁寧に説明しておいてあげたわよ」
 シーナさまがイジワルそうに笑います。

「直子さんのバストに描かれている単語を見て納得したみたいね。ノーティだとかキンキーだとか、やっぱりニッポンジンはクールだけれどヘンタイばかりだ、とかいろいろ言っていたけれど」
 そうおっしゃってからシーナさまが彼女たちを振り向いてニッと笑いました。
 それを受けて妖艶に微笑み返すおふたり。
 私のおっぱいに描かれた単語は、Masochist と、まだ途中だけれど Exhibitionist。
 英語がわかる人なら、それだけで私のヘンタイ性癖はバレバレです。

「アナタノハダカ、トテモキレイデス。ソゥキュート」
 ブロンドのシルヴィアさんが私の目をじっと見ながら話しかけてきました。
「ダカラ、ミセタイキモチ、ワカリマス」
「ワタシモソウデスカラ。セクシーナドレス、ダイスキネ」
 私は何も言えず、魅入られたようにシルヴィアさんのお顔に見蕩れていました。
「ダカラ、コノドレスキテ、アナタニミセマス。ワタシモセクシーデスヨ?」
 シルヴィアさんがいたずらっぽく微笑みました。
「ダケドワタシハ、マゾヒストジャナイデスケド」
 そうおっしゃってパチンとウインクしました。
 私のからだ中がカーッと熱くなりました。

 シルヴィアさんとエレナさんが試着室に向かい、シーナさまがお手伝い。
 純さまとお客様は、お会計のためにレジのほうへ消えました。
 再びふたりきりになって桜子さまがブラシを手にされ、作業が再開しました。
 横目で窺がう試着室では、まずシルヴィアさんが中に入ったよう。
 カーテンの前でシーナさまとエレナさんが私のほうを向いたまま、何かおしゃべりされています。
 自分の胸元に視線を落とすと、そろそろ完成間近。
 薔薇の茎のようなグリーンの装飾字体が右乳首の下半分を囲むように弧を描き、逆から綴られてきたスペルの最初の E の字の装飾に取り掛かっていました。

 試着室のほうが騒がしくなり、また横目で窺がうと、シルヴィアさんが着替え終えて出て来たところでした。
「ワーオゥ!」
 エレナさんもシーナさまも大はしゃぎです。

 シルヴィアさんが試着したのは、光沢のあるブルーでテラテラな生地のホルターなノースリーブロングドレス。
 胸元のV字が大胆におへそのあたりまで割れ開いていて、横乳丸見え。
クルッと一回転すると背中もお尻の割れ始めあたりまで大きく開いていて、腿のスリットも腰まで切れ込んでいました。
 それなのに上も下も下着がまるで見えないっていうことは、全部脱いでから着たのかしら?
 大胆だなー。
 他人事ながらドキドキしてしまいました。

 交代にエレナさんが試着室へ入り、シルヴィアさんとシーナさんが何語かわからない言葉でキャーキャーおしゃべりしています。

「よーしっ!完成!」
 試着室に気を取られていた私は、あわてて桜子さまに視線を戻しました。
「フゥーーッ、フゥーーッ」
 桜子さまが私の右おっぱいに目一杯お顔を近づけ、尖らせた唇で完成したての作品に息を吹きかけてきます。
 火照った肌にこそばゆい感触。
「はぅぁ・・」
 思わず小さく吐息が漏れてしまいました。

「我ながらいい出来映えだわ。Exhibitionist はスペルが長いから、乳首の円周で収めるのが大変だったけれど」
「あ、出来たと言ってもまだ染料が乾いていないから、ナオはしばらくシャツ下げちゃだめよ?」
 イジワルくおっしゃる桜子さまも、心なしかお顔が紅潮されて、なんだか高揚されているみたい。
 前屈みだった姿勢を直されて、座ったまま私のからだ全体を、今更のようにしげとしげと無遠慮に眺めてきます。

 そんな桜子さまの視線が、ふっと私から逸れて右側に動きました。
 つられて私もそちらに視線を動かします。
 セクシーなブルーのドレスに身を包んだシルヴィアさんが妖艶な笑みを浮かべつつ、ファッションモデルさんのウォーキングみたいな優雅な足取りで私たちのほうに近づいて来るところでした。
 うわー、カッコイイ!
 桜子さまのお顔は、シルヴィアさんと私を見比べるように交互に動いています。

「そうだ!」
 桜子さまが不意にお声をあげました。
「染料が乾くまでただ座って待っているのもつまらないから、ナオにサービスしちゃうわ」
「そこに」
 おっしゃりながら座っている私の下半身を指さします。
「えっ?」
 おっしゃっている意味がわからずドギマギする私。

「シールをひとつ、貼ってあげるわよ。せっかく綺麗な花が2つも咲いたのに、蝶々がいないのはバランスが悪いもの」
「特別にサービスでやってあげる。時間的に模様は描けないけれどね。シールならすぐ終わるし」
 桜子さま、なんだか嬉しそう。
 それに気のせいか、目つきもいやらしくなっているような・・・

「それでナオ?どっちにして欲しい?お尻?それとも前?」


コートを脱いで昼食を 29

2014年1月13日

コートを脱いで昼食を 27

 籐椅子に腰掛けた私の真正面に、桜子さまが座っています。
 ふたりのあいだにテーブルはありません。
 両内腿をピッタリ合わせて揃えている私の両膝を、黒いスリムジーンズな桜子さまの両膝が左右から挟みこむくらいの至近距離。
 背筋を伸ばし、胸を張るように指示された私と、前のめりな桜子さま。
 自分でたくしあげているTシャツの裾から零れた私の左おっぱいのすぐ前に、桜子さまのお顔があります。

 桜子さまがそのおっぱいの表面を、ウエットティッシュみたいなもので丁寧に拭い始めました。
「んっ・・・」
 ひんやりとした感触に思わずからだがヒクっと震えてしまいます。
「ずいぶん火照っているのねえ?直じゃなくても指先に体温が伝わってくるわよ?」
 上目遣いに私を見つつ、桜子さまがフフンて笑いました。
 乳首を中心として満遍なく、おっぱいが撫ぜ回されます。
「ぷにぷに。やわらかいのね」
「んんっ!」
 桜子さまの手首の辺りが、尖った乳首に引っかかりました。
 私は口を真一文字に結んで、悦びの声を必死に堪えます。

「ナオの乳首、本当にカチンコチンね?よくもまあこんな長い間、尖らせっぱなしに出来るものだわ」
 そんなイジワルをおっしゃりながらも、桜子さまはテキパキと両手を動かしています。
 3~4センチ四方くらいの百合のお花のシールが乳首の右上に貼られ、軽くポンポンと叩かれてから、ゆっくり台紙が剥がされました。
 白地に黄色い筋と赤い斑点の入った綺麗な山百合が一輪、私のおっぱいの乳首脇に咲きました。

「うん。いい感じね」
 満足そうにうなずいた桜子さまが、パフでシールの上をポンポンと叩きます。
 私の左おっぱい全体がプルンプルンと弾みました。
「ナオのおっぱいの揺れ方って、なんて言うか、ぽってり重そうで、すごくいやらしい」
 薄い笑みを浮かべた桜子さまがそうおっしゃってから、傍らに置いたデスク上のお道具に右手を伸ばしました。

 細いブラシを手にした桜子さまのお顔が、再び私のおっぱいにグイッと近づいてきました。
 そして、肌を這う微かな感触。
 アイラインブラシくらいのか細い筆先で、百合のお花に茎部分が緑色で描き加えられていきます。
 そのコショコショとしたもどかしい愛撫。
「ふぅぅん・・・」
 思わず鼻息が洩れてしまい、恥ずかしさに目をつぶってしまいます。

 まるで、すっごく小さな虫に乳首の周りを這いずりまわられているような、じれったい愛撫がしばらくつづきました。
 その虫は、少し動いては止まり、また少し動いては止まり。
 虫の愛撫とは別に、ブラシを持つ桜子さまの人肌の掌も、ときどき乳首周辺の肌に触れたり触れなかったり。
 目をつぶっていると、どうしてもその感触に全神経が集中してしまい、からだがモヤモヤ疼いてきてしまいます。
 あまりにももどかしくて、あまりにもじれったくて、このままだとヘンになっちゃう。
 気を散らさなきゃ。
 そっと目を開けると、至近距離に桜子さまの真剣な目つき。
 私のおっぱいに絶え間なくブラシを走らせ、ときどき、ご自身の指で肌の染料を伸ばしたりもされています。

 お道具を変えるのか、ブラシが肌から離れ、桜子さまが傍らのデスクに手を伸ばしたとき、お店のドアチャイムが突然鳴りました。
 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 ドッキーン!
 上半身がビクンと跳ねて、反射的に入口ドアのほうへ振り向く私。
「動かないの!」
 桜子さまの鋭いお声。

「何をそんなにビクビクしているの?ナオは、みんなに裸を視られたくて、そんな格好してきたんでしょう?そういうのが好きなんでしょう?」
「だったら視てもらえばいいじゃない?ワタシもお金をもらう以上、中途半端な仕事はしたくないの」
「お客様が来るたびにビクビク動かれたら作業が進まないわよ?平気な顔していれば、お客様も、そういうものかな、って思うから、終わるまで何があってもじっとしていなさい」
 桜子さまのお顔に薄ら笑いはもはや無く、ご自分の作品に没頭している精悍なアーティストの面持ちでした。
 カッコイイ。
「は、はい。わかりました・・・ごめんなさい」
 またまた見蕩れてしまう私。
 桜子さまのお顔が私の左おっぱいに覆いかぶさるように前のめりになり、再びブラシが肌を撫ぜ始めました。

「あ、それはね、今週入ってきた新柄なの。色違いもありますよ」
 純さまが接客されるお声が聞こえてきます。
 そう言えばシーナさまは?
 顔は動かさず、視線だけで周りを見渡してみましたが、私の視界内にシーナさまの姿はありませんでした。
 私の背後で、桜子さまの作業を見ていらっしゃるのかな?
 なんて考えているとまた、カランカラン・・・いらっしゃいませー。

 やっぱりけっこう、お客様いらっしゃるんだ。
 思った途端に体温が上がり始めました。
 こんな調子なら、いつか絶対、誰かに視られちゃう・・・
 こっちの売り場まで、誰も来ませんように・・・
 両脚の付け根がヌルッってきたのを感じて、内股にギュッといっそう力が入ってしまいました。

「なんだかまた肌が上気してきたわね?他のお客様が来たから興奮しているの?」
 桜子さまがブラシを動かす手は止めず、くぐもったお声で尋ねてきます。
「あともう少しだから、がまんしてじっとしててね。ナオが動いて失敗したら、ワタシ、あーあ、って大きな声出して、ナオのことみんなに注目させちゃうからね」
「は、はい・・・」
 心を落ち着けるために再び目を閉じて、ひたすら終わりを待つことにしました。

 カランカラン・・・ありがとうございましたー。
 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 カランカラン・・・ありがとうございましたー。
 カランカラン・・・いらっしゃいませー。

 頻繁にお客様が訪れては帰られているようです。
「今日は何をお探しですか?ゆっくり見ていってくださいねー」
 店内に響く桜子さまの快活な接客のお声を聞きつつ、店内を歩き回る複数の足音にも真剣に耳を澄ませていました。
 幸い今のところ、こちらのほうへ近づいて来る足音はありません。
 でも心臓は、爆発しちゃいそうなくらいハラハラドキドキ。

「おっけー。こっち側は完成よ。我ながらなかなかの出来栄えだわ!」
 少し大きめな桜子さまのお声に、反射的に目を開けました。
 私の左おっぱいからお顔を離した桜子さまが、対面からじーっと私の左おっぱいを凝視していました。
「へー。いいじゃない。さすがだわ、桜子さん」
 いつの間にかシーナさまも桜子さまの傍らに立ち、私の左おっぱいを見つめています。

 視線を自分の左胸に落としました。
 左乳房の乳首右斜め上に、乳暈よりひと回り大きいくらいの綺麗な山百合の花が一輪、咲いていました。
 そのお花の下から緑色の茎が、乳暈の円周を廻りこむように左側へ流れています。
 茎は途中から英語の筆記体になっていて、小さな葉っぱをちりばめた草のような装飾書体で、Masochist Naoko、と読めました。
 文字は、乳暈の円周に沿って乳首を囲むように描かれていて、Naoko の最後の o の字がちょうど乳首の左側まで来ていました。

 確かにデザイン的には、とってもシャレていて格調高いアートな感じでした。
 山百合の白と黄色と赤、茎と葉の緑と薄茶、そして乳首と乳暈の濃いめなピンク。
 それらがまあるいおっぱいの肌色の上で、鮮やかなコントラストを描いていました。
 だけど、描いてある文字の意味は、私のアブノーマルな性癖のこと。
 マゾヒスト直子。
 これからしばらくのあいだ、私はおっぱいにこんなことを描かれたまま、暮らさなくてはいけないんだ・・・
 そんなふうに思うとたちまち、股間がキュンキュン盛大にざわめいてしまいました。

「ふぅーーっ。染料が乾くまで2、3分、休憩させてね。次は薔薇だったわよね?」
「んーーーっ!」
 桜子さまが座ったまま、両手を思い切り上にあげて伸びをされました。
「よかったじゃない直子。すっごくステキに仕上がって。今日、純ちゃんのお店に来た甲斐があったわね」
 シーナさまがケータイを向けてカシャッと写真を撮りつつ、嬉しそうに笑いました。

「あ、ご試着ですか?でしたらこちらへどうぞー」
 小休止で緊張が少し緩まったのも束の間、緊急非常事態発生みたい。
「そのデザインなら絶対、お客さまにお似合いですよ。もしサイズが合わなかったら同じお色で他のサイズもありますから・・・」
 純さまのお声が近づいてきたと思ったら、私から見て右奥のハンガーラックの陰から、何かお洋服を手にした純さまが現われました。
 純さまはそのまま、スタスタと桜子さまの背後を歩いていかれます。
 つづいて現われたのは見知らぬお客様。
 私の視界に入ったと同時に、そのお客様も私の姿に気づいたようでした。
 そのお客様は私を見て、ギョッとしたように一瞬立ち止まってから、うつむいて小走りで、私のほうを見ないようにしながら純さまに追いすがりました。

 純さまが現われたとき、私もドキッとしつつその方向を凝視していましたから、つづいて現われたそのお客様ともバッチリ視線が合って、しばし見つめ合う形になりました。
 驚きでまんまるに見開かれたそのお客さまのふたつの瞳。
 たぶん同い年くらいの学生さんぽい、可愛らしい感じのスレンダーな女性でした。
 あまりの恥ずかしさに、からだ中の血液が闇雲にグルグル駆け巡りました。
 しかしながら、今さっき染料で描かれて乾ききっていない作品を、Tシャツをずり下げて覆い隠すわけにはいきません。
 剥き出しのおっぱいを見せつけるように自分でTシャツをめくりあげたまま、全身が羞恥に染まるに任せるしかありませんでした。

「ああ、あれはスキンアートのサービスなんです。スキンアートってほら、タトゥシールとかペイントタトゥとかの・・・」
 おそらく、そのお客様が純さまに尋ねたのでしょう、純さまがご説明されるお声が、今度は左側から聞こえてきました。
 って、え?試着室って、そこなの!?

 私が腰掛けている籐椅子の左横、3メートルくらい向こうの壁際。
 そこには濃い緑色のカーテンがかかっているだけで、お洋服類は何もディスプレイされていませんでした。
 最初ここに座ったとき、左側を見て、その周辺だけ妙に片付いているな、とは思ったのですが、お店の一番奥だし、まったく気にしていませんでした。
 今は、そのカーテンの前で純さまとお客様が、私のほうをチラチラ見ながらお話されています。
 間の空間を遮るものは桜子さまの低めなデスクひとつきりなので、横向きな私の姿が余裕で丸見えのはずです。

「バストにして欲しい、っておっしゃるので、ああいう格好なの。ほら、ウチはほとんど女性のお客様しか来ないから、お客様がよろしいのならかまいませんよ、って」
 そのお客様が何か答えたようでしたが、お声が小さくて聞こえませんでした。
「そうですね。大胆て言えば大胆だけれど、人それぞれ、いろんなご趣味があるから・・・」
 その後、純さまもヒソヒソ声になって、おふたりでクスクス笑っているようです。
 ああん、なんていう恥ずかしさ。
 私は真っ赤になってうつむきます。
 だけどやっぱり気になって、上目遣いに周囲を見回します。
 桜子さまとシーナさまは立ったまま私を見下ろし、お顔を見合わせてニヤニヤ笑い。

 シャーッ!
 桜子さまが試着室のカーテンを開いたようです。
 その音につられて左側を見ると・・・
「あっ!」
 試着室の奥一面の大きな鏡に、横向きな私の姿がクッキリと映っていました。
 自らTシャツをまくりあげておっぱいを丸出しにしているショートボブな女の横顔。
 それはまぎれもなく私でした。
 籐椅子のアームレストで下半身こそ見えませんが、お腹から上、まあるい乳房とツンと尖った乳首は鮮明に丸見えでした。
 私に背を向けていたそのお客様が鏡の中の私に気づいたのでしょう、その華奢な両肩がビクンと震えました。

 鏡によって客観的に自分の姿をつきつけられると、今更ながら我がことながら、その格好と状況があまりにアブノーマルだと実感させられます。
 カラフルなお洋服や雑貨に囲まれた営業中のお洒落なブティック店内で、ファッショナブルに着飾った人たちの中、ひとりだけおっぱい丸出しの私。
 私の数メートル向こうにいる試着のお客様は、まるっきり見ず知らずの女性。
 賑わう店内のハンガーラックの向こうには、あと数人、見知らぬお客様がいらっしゃるのです。
 そんな中で、ひとりだけ、ほぼ全裸な私・・・

 そう言えば、あの試着のお客様が桜子さまの背後を通ったとき、私の下半身まで見えちゃったのかしら?
 たぶん、桜子さまやシーナさまの背中で隠れていたとは思うけれど・・・いいえ、そう思いたい・・・
 おっぱいだけじゃなくて、お尻もアソコも実は丸出しだなんて知られちゃったら・・・
 異常過ぎ、破廉恥過ぎ、ヘンタイ過ぎ・・・

 その試着のお客さまは、今は、鏡の中の私をジーッと視ているご様子。
 私の中の被虐願望がグングン燃え上がり、奥がグジュグジュ騒ぎ始めていました。
 ああん、そんなに視ないで・・・だけどもっと視てぇ・・・
 今すぐ立ち上がって、下半身まですべてを視せてしまいたい・・・
 ハンガーラックの向こうのお客様に、こっちに来て私を視てください、ってお願いしたい・・・
 そんなアブナイ衝動をなんとか抑えつけながらも、今、自分が感じている羞恥と恥辱がもたらす甘美な興奮にたまらず、ウットリと目を閉じました。

「あら純ちゃん、ご試着のお客様?それならわたしがお手伝いしよっか。あちらには他にもお客様がいらっしゃっているのでしょう?」
 シーナさまのお声で渦巻く妄想が途切れ、我に返りました。
 シーナさまが桜子さまの傍らを離れ、試着室のほうへ歩いていきます。
「あ、ほんと?ありがとう。それじゃあお言葉に甘えてお願いします。こちらのワンピース2種類。もしもサイズが合わなかったら言ってください」
 純さまがお洋服をシーナさまに渡し、スタスタとレジのほうに戻っていきます。
 途中、私の前で立ち止まり、二ッて笑いかけてきました。

「さて、そろそろワタシたちも再開しますね。お客さま、先ほどのようにお顔を上げて胸を張ってください」
 桜子さまの私への口調が、突然、とても丁寧になりました。
 おそらく、普通のお客様が試着のために近くにおられるので、さっきまでみたいなエスエムごっこぽい内輪な接し方はマズイと判断されたのでしょう。
 さすが接客のプロな状況判断。
 そのお声に私も、さっきまでの興奮をなだめるべく、籐椅子の中でシャンと背筋を伸ばしました。
 
 試着室前のシーナさまの動向も気になります。。
 左側に寄り目してそちらをうかがうと、そのお客様はまだ試着室に入らず、シーナさまとなにやらコソコソクスクスとお話されているようです。
 試着のお客様は、今ではすっかりこちらを向いて、遠慮無い視線で生の私を視ながら、ときどきクスッと笑ったり、へーって感心したりしつつ、シーナさまのお話にうなずいています。
 シーナさまったら、そのお客様にどんなお話をされているのかしら?
 たぶん、私を辱めるようなことだとは思うけれど・・・

 そうしているあいだに、桜子さまの手で私の右おっぱいに真紅の薔薇が咲かされ、細いブラシが再び肌を這いまわり始めていました。


コートを脱いで昼食を 28


2013年12月29日

コートを脱いで昼食を 26

 シーナさまが指さしたのは、Tシャツの穴から飛び出している私の両乳首の周辺でした。
 正確に言うと、左乳首のすぐ右斜め上と、右乳首のすぐ左斜め下。
 そこにしてもらうとしたら・・・
 つまり、このTシャツさえも脱ぎ去って、この場で文字通りの一糸まとわぬ姿、全裸になっておしまいなさい、というシーナさまのご命令なのでしょうか?
 こんな営業中のおしゃれなブティックの窓際で・・・
 
 いざ脱げと言われると、こんな小さな破廉恥Tシャツと言えども、有ると無いとでは大違いなような気持ちになってきました。
 見知らぬ人がいつやって来るかも分からない場所で完全に全裸なんて、あまりにも非常識、あまりにもアブノーマル。
 いやっ、恥ずかし過ぎます・・・お許しくださいぃ・・・
 からだ中がグングン火照ってきて、すがるようにシーナさまを見上げました。

「あれ?意外ですね」
 桜子さまの驚いたお声。
「ワタシ、てっきり下半身を指定してくるだろう、ってちょっぴりワクワクしていたのですけれど」
 桜子さまは、シーナさまを見てから私に視線を移し、目が合うとイタズラっぽくニッと笑いました。
「それはそうなのだけれどね・・・」
 シーナさまが見本帳のアルバムを開いたまま、デスクの上に置きました。

「まず、お尻だと、直子自身が、そのアートを見ることが出来ないから、つまらないと思ったのよ。普通に生活しているときは忘れちゃいそうじゃない?」
「わたしはね、せっかく桜子さんに描いてもらうのなら、ある種、ヘンタイの烙印、みたいなデザインにしたいの。直子がそれを見るたびに自分の恥ずかしい性癖を思い知る、みたいな」
「だから、直子が着替えやらお風呂で裸になったときとかに、否応無く目に飛び込んできちゃう場所がいいな、って」

 シーナさまは、そうおっしゃりながら、私が座る籐椅子の傍らにいらっしゃいました。
「ここの場合は、また全然違う理由だけどね」
 両膝頭をピッタリと合わせ、両腿をまっすぐにピタッと閉じて座っている私の無毛な下腹部周辺を指さしました。

「直子はね、今日、私に出会ってから今までの出来事で、もう爆発寸前のド淫乱状態になっているはずなのよ」
「そんな状態の直子のこんなところを、桜子さんの繊細な指や筆でなぞったりしたら直子がどうなっちゃうことやら」
 おっしゃりながら、シーナさまが右手の人差し指で、私の両腿の付け根あたりを軽くツツツーッと撫ぜました。
「あふうんっ!」
 背中にゾクゾクッと電流が走り、私の背中が籐椅子の中でビクンと大きく跳ねました。
「ほら!ね?」
 嬉しそうに桜子さまを振り返るシーナさま。

「10数分もの間、ここへ桜子さんからコチョコチョ愛撫を受けて、直子がじっとしていられるワケがないわ」
「結果、この子がなりふりかまわず身悶えし始めちゃったら、お店や他のお客様にたくさん、ご迷惑をおかけしちゃいそうだもの」
「それに・・・」
 今度は右の乳首を、デコピンの要領で軽く弾かれました。
「あうっ!」
 再び背筋に電流が走り、私の奥が盛大に潤んだのがわかりました。

「直子の中でがんばっていたタンポンも、決壊寸前、そろそろ役立たずになっているはずなのよ」
「ただでさえ濡れやすい淫乱女が、自分の性癖的に夢のようなシチュエーションにいるのですもの、少しでも両腿開いたら、トロトロ垂れてくるはずよ」
「ここに描いてもらうとしたら、桜子さん、ソコにお顔を近づけなきゃいけないでしょう?」
「きっと至近距離だと、すんごくいやらしい匂いがするはずよ。そんなもの嗅がせるの、桜子さんに申し訳ないわ」
「だから、まあ、おっぱいが無難かな、と思ったのよ」

「なるほどです。お気遣い、ありがとうございます。でもまあ、ワタシはお客様のご希望通り、どこであれ、無心で描くだけですけどね」
「まあ、プロフェッショナルな発言ね。ステキだわ。もしも、下半身、て指定したら、直子を立たせてお描きになる?それとも寝そべらせる?」
「そうですね・・・お尻なら、立ってもらってお尻向けてもらえば、ワタシは座ったままで出来そうですけど・・・」
「前の場合はやっぱり、寝そべってもらったほうが良さそうですね。脚も少し開いてもらったほうが描きやすそうだし」
「それだと、このスペースだと窮屈そうね?」
「ご希望ならレジ裏のお部屋、使っていただいても結構ですよ?あ、でもそれだと、他のお客様に見てもらえないか?」
 純さまがイジワルくお口をはさんできました。

 私は、お3人の私に対する言葉責めのような会話にいたたまれない気持ちになりながらも、一方では、ずっとこの会話がつづけばいいのに、って祈っていました。
 だって、この会話が終わって、さあスキンアート開始、ってなれば、私はおそらくこの場で、全裸にさせられちゃうのですから。

「桜子さんは、スキンアートをおやりになるなら、いわゆるボディペインティングもしたことあるの?」
「ああ、全身に塗りたくるやつですね。興味があって少し研究したことはありますが、まだ実際にしたことはありませんね。今までニーズも無かったし」
「海外のネットによく、服そっくりに描いたり、水着やレオタっぽくして街中とか歩いている写真があるじゃない?わたしもリオで本物見たことあるけれど。あれも一度、直子にやらせてみたいのよね」
「ワタシが研究した限りでは、染料にいろいろあって、塗ってからペロンて剥がせるラバーと言うかラテックス素材の染料が面白そうですよ」
「ああ。それ見たことある。薄皮みたいに剥がれちゃうやつでしょ。剥がすと肌が覗いて、なんだかフェティッシュで良かったわ」
「水性の染料で描いて、きちんと描いたビキニとかが汗で滲んで崩れていく様子も、かなりエロティックですけれどね」
「どっちにしても、されたほうは、肌に何か描いてあるとは言え、全裸は全裸だからね。それで人前に出るのは、直子みたいな女にとっては、たまらない快感なんだろうなー」

「ワタシ、一度やってみたかったんです、誰かにボディペインティング。もしもご希望であれば、ぜひご用命くださいませ」
 桜子さまがシーナさまに丁寧にお辞儀をしてから、言いにくそうにつづけました。
「でも、からだ全体を染めることになりますから、使う染料の量もハンパじゃなくて、お値段もそれなりになっちゃいそうです」
「まあ、だけどワタシの練習みたいないなものですから、やらせていただけるなら、お値段も材料費プラスちょこっとで抑えます。約束します」
 桜子さまったら、ヤル気マンマン。
 私、近いうちにボディペインティング、されちゃいそうです。

「12月にね、直子がまたエステへ行くのよ。ヘアの処理でね。その後にまたここに来て、直子のからだをえっちに飾ってもらおうかな、って考えているの」
「暮れ近くに身内のパーティがあるから、そこで直子を披露したいのよ。いかにも直子らしい姿で」
「うわー。なんだかすごくいやらしそうなパーティですね。時間が合ったらあたしもぜひ、誘ってください!」
 純さまが高く手を上げて、シーナさまにアピールしました。
「いいけれど、そのパーティ、女性しか来ないわよ?」
「大丈夫です。あたし、そっちもイけますから!ナオコも虐めたいし」
 純さまったら、すっごく嬉しそう。
「桜子さんもいらっしゃる?」
「うーん、後学のために覗いてみようかなあ・・・」

 そこで会話が一段落しました。
「さてと・・・」
 シーナさまのお声に、私はドキン!
 いよいよです。

「それで、今日の直子のスキンアートだけれど、この山百合のシールをこっちの胸に。それから・・・」
 シーナさまが桜子さまにご説明を始めたとき、傍らの純さまが大きくお声をあげました。
「いっけなーい!休憩中のプレート、出しッぱだったー!」
「もう2時半近くよね?あーあ、お客様、けっこう逃がしちゃったかなー?」
 あわててドアのほうへ行こうとして、純さまの足がピタッと止まりました。

「えっと、これからナオコはそこで、おっぱい出すのですよね?」
 シーナさまに向けて尋ねます。
「そうよ。出さなきゃ桜子さんが施術出来ないもの」
「店内でお客様がおっぱい出しちゃってても、それはお客様の意志で、そこにサービスを受けたいって言うのだから仕方ないじゃない?そんな理由でなんとかごまかせますよね?何かあったら」
「そうね。なんとかなるんじゃない?スキンアートって、そういうサービスなのだから」
「そうですよね。あ、でも、その位置だと、お店に入って来て左向いたら、すぐに見えちゃうわね・・・」
 純さまが思案顔です。

「入ってきた人が気味悪がって、回れ右しちゃったら問題だわ」
「一応、入ってから奥へ進まないと見えないようにしておこう・・・どうすればいっかなー」
 純さまが独り言をブツブツおっしゃってから、壁際にあった大きめのハンガーラックをすべらせて、私の位置から入口ドアが見えなくなる位置に、目隠しとして置きました。
 それからもハンガースタンドやマネキンの位置をあちこちいじり、その後、タッタッタと入口ドアへ駆け寄りました。
 目隠しに使ったハンガーラックには、カラフル原色系で光沢のある生地がピカピカ光る、レースやリボンが派手めなドレスみたいなお洋服がたくさん吊るされていました。
 このドレスたちがおそらく、ここに来たときにシーナさまと純さまがお話されていた、夜のお勤めのかたたち用のお手頃セクシードレス、なのでしょう。

「おっけーみたいでーす。これなら店内をぐるっと回らないと、そこにはたどり着けないわ」
「こうしておけばほぼ安心。だからもうそこでナオコは、おっぱいだろうがパイパンだろうが、どんどん出しちゃっていいから」
「じゃあ、お店開けるわね。まあ、この時間帯に来るのは近くの大学の女の子とかだし、カワイイものよ。ナオコのお知り合いとかだったら面白いけれどね」
 純さまの大きなお声にかぶって、ドアが開くカランカランという音が店内に響きました。
 店内BGMの軽快なヒップホップ音楽のボリュームも少し上がりました。

 ああん、ついにお店に誰でも入って来れるようになっちゃった・・・
 途端に、ギュッと閉じている内股がヌルんできました。
 シーナさまがおっしゃっていた通り、とうとうタンポンがお役目を果たせなくなったようでした。

「それで、山百合を左胸、こっちの赤い薔薇を右胸ね」
 純さまが落ち着いたのを見計らって、シーナさまが桜子さまへのご説明を再開しました。
「メインはシールでいいのですね?」
「うん。それで、それぞれの周りにこう書いて欲しいの」
 シーナさまがデスクの上のメモ用紙に、何やらサラサラと横文字をお書きになり、桜子さまに渡しました。
「えと、マゾ・・・。あはは。なるほどです。こっちはエクス・・・、ああ、そういうことですね。こっちはちょっとスペルが長いな」
「字体っていうかレタリング?と色使いは、桜子さんにお任せするわ。なるべくえっちぽく、直子ぽくしてね」
「了解しました」
 うふふ、って愉快そうに含み笑うおふたり。

「ほら、何ボーッとしているの直子!さっさと胸を出しなさい」
 シーナさまが私の右肩を軽くはたきました。
 ついにそのときが来てしまいました。
 昼間のお店でスッポンポン。
 だけど、今やもはや、それを待ち望んでいる自分がいました。
 私の全身を、淫乱な露出願望マゾの血が熱く滾ってムラムラ駆け巡っていました。

 座ったまま半袖から腕を抜こうとからだをモゾモゾさせていると、シーナさまのお声。
「何しているの?直子。別に脱がなくていいわよ?それともなあに?脱いで素っ裸になりたいの?こんなところで?」
「え?あ、そ、そうなのですか?」
 脱ぐ気マンマンだった私は拍子抜け。
 うろたえつつシーナさまを見上げました。

「シャツを裾から上にまくって、おっぱいを出せばいいだけじゃない?それでそのまま、自分でシャツ掴んでいなさい」
「あ、は、はい・・・」
 ご指示通り、あらためてTシャツの裾を両手で掴み、上にまくりあげていきました。
 Tシャツの布に押し付けられていた二つの乳房が抑圧から逃れ、生き返ったようにプルンと勢い良く跳ねました。
 汗ばんだおっぱいに外気が直接触れてひんやり。
 喉元までまくりあげたシャツを両手で持ったまま、シーナさまを見ました。

「いい格好よ、直子。ほら、もっとおっぱい前に突き出して。桜子さんがやりやすいように、もっと気を遣いなさい」
 桜子さまは、膝と膝が触れそうなくらい至近距離の真正面にお座りになっています。
 少し身を屈めた桜子さまのお顔の数センチ先に、私のおっぱい。
「この格好だとなんだか、モリタさんが私に自慢のおっぱいを見せつけているみたいですね」
「そうよね。露出狂の面目躍如って感じ。心の中じゃ絶対、見て見てもっと見て、って叫んでいるわよ」

 そう言われると、この格好が全裸よりも数段恥ずかしく思えてきました。
 確かにこのポーズは、自らシャツをめくりあげて、これ見よがしに見せつけている感がハンパありません。
 まさしく見せたがりの露出狂そのもの。
 中途半端脱ぎかけフェチな私の性癖にもジャストフィットなほぼ全裸で、被虐感がグングン昂ぶりました。

「おっぱい全体がうっすら汗ばんで上気しているわね?これって視られて興奮しているからなの?モリタさん?」
 桜子さまがお声のトーンを下げて聞いてきました。
「あ、それは・・・」
「桜子さんも直子のご主人さまなのだから、モリタさんなんてご丁寧に呼ばなくていいわよ。直子はこのお店全員のドレイなんだから」
 シーナさまが桜子さまにアドバイス。

「それならワタシは、ナオって呼ぶことにしますね。ねえナオ?ワタシに視られて感じているの?」
「あら、桜子さん、その冷たい言い方、いい感じね。素質あるわよ。ほら直子、お答えなさい」
「あ、それは、桜子さまにおっぱいを視られて、とても恥ずかしく感じています・・・」
「ふーん。嘘つきね、ヘンタイナオは」
 桜子さまがさっきのシーナさまみたく、デコピンで左乳首を軽く弾きました。
「ぅうんぐっ!」
 その予期せぬ桜子さまからの責めに、私のアソコがヒクっとヒートアップ、あからさまに蜜が内腿に洩れました。
「さっきからここ、ずっと尖りッぱじゃない?誰に視られても感じちゃうんでしょ。ふんっ、いやらしいオンナ!」
 桜子さまったら、お見事なエスっぷりです。

 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 ドキン!
 誰かお客様がお店に入ってきたようです。
 純さまが丁寧に接客されるお声が聞こえてきます。
 シーナさまと桜子さまは、おふたりでお顔を見合わせてニヤリと笑い合いました。

「それでは、この山百合のシールはこのへんに配置すればよろしいですか?」
「そうね、もうちょっとチクビに近いほうがいいかな?このへんで」
 シーナ様と桜子さまが私の剥き出しの左おっぱいを指さしつつ、お芝居っぽい調子で打ち合わせを再開しました。
 そんな大きなお声で、チクビ、だなんて、いらっしゃっているお客様に聞こえてしまう・・・
 私は真っ赤になってうつむいています。

「で、この紅薔薇のシールはここですね?」
「うーん、それはもう少しチクビから離したほうがいいかな。オッパイのここらへんで」
「わかりました。それでこの文字をチクビを囲むようにこう入れる、と」
「そう。エキシヒビショニスト、ナオコって」
 ああん、もう、お許しください、おやめくださいぃ・・・

 ありがとうございましたー・・・カランカラン。
「残念。こっちまで来なかったわね」
「けっこう大きな声、出したつもりだったんですけどねー」
「次に誰か来たら、もう少しロコツな言葉も使ってみましょう」
 またおふたりでニヤニヤ笑い。

「それじゃあそろそろ始めるわね。ナオ、おっぱいさわられてもモジモジ動かないでよね?」
「まくっているシャツから手を離しちゃだめよ。自分でおっぱいを見せびらかしている感じをキープすること」
 シーナさまがケータイをかざしてパシャッと写真を撮った後、私の背中側のショーウインドウのほうへゆっくり歩いて行かれました。


コートを脱いで昼食を 27


2013年12月23日

コートを脱いで昼食を 25

「あっ、おはよー。って、あれ?今日、予約入っていたっけ?あたしすっかり忘れてた。ぜんぜん準備してないや!」
 少し慌てたご様子の純さま。
「もう聞いてよっ、それがさー」
 その女性は、レジカウンター内に入るなり、うんざりしたご様子で純さまにしゃべり始めました。

「2時半からの約束でネイルの予約が入っていたんだけどさ、家を出てここに着く寸前に、急用が出来た、ってキャンセルの電話よ?信じられない。絵に描いたようなドタキャンていうやつね」
「今日のその次の予約は夕方の6時からだから、どうしようかって迷ったのだけれど、もうお店も目の前だったし、暇つぶしに行くところも無いから来ちゃったってわけ」
「6時までサービスで、お店番でもお手伝いするわ」
「まったく、あっちの人たちって約束とか、本当にルーズよね!だけど彼女、いいお得意さんで遅かれ早かれリピート確実だからキャンセル料とかも言えないし」
 そこまで一気にまくしたててから、ふっと私のほうを向きました。

 私はランチタイムのときと同じように、カウンターに対面するベンチに座っていました。
 その女性が現われたとき、あまりに突然だったので、しばしキョトンとしてしまいましたが、ハッと我に返ると同時に反射的に、両手で胸をかばうようにして二つの乳首を隠していました。
 幸いその女性が立っていらっしゃる位置からだと、私の下半身はテーブルで隠れているはずです。
 そのままの姿勢でその女性と見つめ合いました。
 顔がどんどん火照ってきて、先にうつむいてしまいました。

「あ、お客様がいらしてたのね。ごめんなさい。お騒がせしてしまいました」
 その女性が今度はシーナさまのほうを向き、ペコリとお辞儀をしました。
「大丈夫よ。こちらのかたたちは、言わば身内のようなものだから。紹介するわ。こちらが、あたしがいつも言っている、凄腕バイヤーのシーナさん」
「ああ、このかたがそうなんだ。紹介してくださるものが悉くどんどん売れちゃう、超目利きのバイヤーさんて!純がいつもお世話になってまーす」
 その女性がシーナさまに、今度はずいぶん丁寧にお辞儀しました。
 
 つづいて純さまがシーナさまのほうへ向きました。
「こっちは、あたしの学生時代からの親友で、小野沢桜子。ここでネイルアートのコーナーを受け持ってもらっているんです」
「へー。純ちゃん、ネイルアートも始めたんだ?いいところに目をつけたわね」
「常連のお水の子何人かから要望があったんです。ちょうど桜子がやっていたから、すんなりラッキーでした」
 シーナさまが桜子さまから名刺を受け取り、シーナさまもお返ししています。

「それでこちらが・・・」
 純さまが右手のひらを上へ向け、バスガイドさんみたく私を指しました。
「シーナさんの・・・連れのモリタナオコ・・・さん」
「連れって言うか、ペットみたいなものね」
 シーナさまが訂正して、純さまが笑いを押し殺すみたいにクックッと喉を震わせ、桜子さまの表情には?が浮かんでいます。
 私はおずおずと顔を上げ、桜子さまと視線を合わせてから深々とお辞儀をしました。

 桜子さまは、全体に細身でモノトーンのお洋服が良く似合う美人さんでした。
 細面に毛先の跳ねたウルフぽいショートカット、黒目がちの大きな瞳がクルクル動いて、いかにも好奇心旺盛なアーティストっぽい雰囲気。
 カッコイイ。
 私は、下げた頭をもう一度ゆっくりと上げ、桜子さまのお顔に見蕩れていました。

「ちょっと直子?そんなご挨拶の仕方は無いでしょう?初対面なんだから、きちんとしなさいっ!」
「あ、はい・・・」
「はい、じゃないわよ。早くちゃんと立って。直子がどんな女なのか、桜子さんによーくお見せしなさい」
「それにその両手!ドレイの両手はそこじゃないでしょう?」
 シーナさまから矢継ぎ早に、厳しいお言葉を浴びせかけられました。

「はい・・・」
 シーナさまのご命令は絶対です。
 私がこの格好でシーナさまとこのお店にいる限り、お店に入ってきた人すべてに、私の性癖をご披露することになるでしょう。
 それに、こんなにカッコイイ桜子さまになら、むしろ視てもらいたい、っていう気持ちが湧いていたのも事実でした。
 今日何度目かの甘酸っぱい被虐感を感じながら、両腕でまだ胸をかばったまま、ゆっくりと腰を浮かせていきました。

 丈の短いTシャツは、おへそさえも隠せていません。
 立ち上がりつつある私の膝が伸びるごとに、桜子さまの大きな瞳がさらに大きく開かれました。
 桜子さまの立たれている位置からだと、テーブルの向こう側でTシャツの白い布地が途切れ、その視界に私の肌色が徐々にどんどん、現われているはずです。
 完全に立ち上がってから、ゆっくりと両腕を頭の後ろに回しました。
 ピンッと天を衝く二つの大きな乳首が恥ずかし過ぎます。

「なんて言うか・・・スゴイ格好ですね・・・これって・・・罰ゲームか何かですか?」
 しばし呆然とされていた桜子さまが、訝しげにシーナさまに問いかけました。
「違うの。この子は、この子の意志で、こんな場所でこんな格好をしているの」
「まあ、話せば長くなっちゃうのだけれど、簡単に言えば、この子はこういう子なのよ」
「こういう子、って・・・つまり、よく言う露出狂、みたいなものですか?」
 私の剥き出しの下半身をじっと見つめたまま、桜子さまが、信じられない、っていう面持ちで聞いています。
「今日はね、その格好に、このコートを一枚だけ羽織って、このお店にいらしたのよ、ナオコは。あたしたちにその中身を見てもらいたくて、ね?」
 純さまが、レジ裏の壁に掛けられた私のコートを指さし、私に向けてニヤニヤ笑い。
「は、はい。その通りです・・・」
 アソコがムズムズして身悶えそうになるのをガマンしつつ、なんとかお答えしました。

「へー。いるところにはいるんですね、本当にそんな人が。そういう格好をしていると、感じちゃうんだ?そのつまり、性的に?」
 最初の衝撃が去って、桜子さまは、がぜん興味津々になられたようでした。
 渦巻く好奇心を隠せないお顔で、身を乗り出して私に尋ねてきました。
「あ、はい・・・」
 マゾの服従ポーズで、小さく答えます。

「へー。でもさ、それなら、そういうのってむしろ、男の前でやったほうが気持ちいいんじゃない?同性の前じゃ、あんまり意味無いような気がするけれど」
「それがこの直子はね、いろいろあって男性はまるでダメなの。女性とでしか発情しないのよ」
 シーナさまが私の代わりに答えてくださいました。
「ああ、そっちのほうの人でしたか。なるほどなるほどー」
 桜子さま、しきりに感心されています。

「でもなー。ワタシには生憎そっちのケはないし、見ても、なんだかみっともないなー、変態なんだなー、なんて思うくらいで」
 おっしゃってから、しまった、というお顔になる桜子さま。
 あわてたご様子でフォローしようと、お言葉をつづけました。
「あ、ごめんなさい!モリタさんのご趣味をとやかく言うつもりはないのよ。むしろモリタさんの裸は綺麗だと思うわ。肌も綺麗だしプロポーションもいいし・・・」
 桜子さまの焦ったお顔も、なんだか色っぽくてお綺麗でした。

「あはは。いいのよ。ぜんぜんお気になさらないで」
 今度はシーナさまが笑いながら、桜子さまをフォロー。
「この直子はね、そういう同性からの蔑みの言葉も大好物なの。どんどん思ったまま言っちゃっていいわよ。辱められるほどいっそう感じちゃうヘンタイ女なんだから」
「それって、つまり、エスとエムで言うところのエム。虐められて悦ぶっていう、いわゆるマゾ、っていうことですか?」
「そう。直子は女性に虐められて悦ぶドヘンタイ淫乱マゾ女なのよ」
「そっかー。露出狂でレズでマゾなんだ。三拍子揃っちゃった。ワタシ今、スゴイ人とお会いしてるんですね」
 幾分の侮蔑を混ぜつつの冗談めいた桜子さまのお言葉に、私のマゾ性は大騒ぎ、アソコの奥がヒクヒク蠢きました。

「まあ直子についての詳しいことは後でゆっくり純ちゃんに聞いてもらうとして、桜子さんがおヒマなら、せっかくだから直子にネイルアートしていただこうかしら?」
「あ、それはぜんぜんかまいませんよ。ってそっか。その格好でお店の中をウロウロするのが、今日のモリタさんのヘンタイプレイなんですね?それでシーナさんはモリタさんのご主人さま、と」
「ピンポーン。まあそういうことね。さっき純ちゃんも、ご主人さま2号になったけれど」
「桜子さんは、ご主人さま3号ね。どんどん直子を虐めちゃっていいわよ」
 この先、誰が現われたとしても、このお店の中で一番身分が下なのは、私です。

「そう言えばあっちの奥に机が置いてあるコーナーがもうひとつあったけれど、あそこで施術されるの?ショーウインドウの脇の」
「施術っていうほどのものでもないですけれどね。基本、対面で事足りますから小さなスペース借りて、そこでやってます」
「窓際にしたのは純のアイデアで、何かやっているな、って外から見えていると、興味持ったフリーのお客さんも呼び込めるかもしれない、って」

 窓際、というお言葉に、私の心臓がドキンと跳ねました。
 ネイルアートって、けっこう時間がかかるはず。
 そのあいだずっと、この格好をショーウインドウ越しにお外に向けて晒さなくちゃいけなくなっちゃうの?
 そんなことして大丈夫なのかしら・・・

「まあ、窓際って言っても、外向きに座るのは桜子で、お客様は窓に背中を向ける配置だから」
 純さまの補足説明に少しホッとした私。
「お客様用の椅子には背もたれもあるし、外から見えるのは後頭部、肩から上くらいでしょう。もちろんお店の中に入ったら、横から丸見えだけれど」
「あたしも、いくらなんでも乳首と下半身丸出しの女を、外から見えちゃう場所にずっと放置させておくほどの勇気はないですよ。通報されたら確実に営業停止になっちゃうし」
 純さまが笑いながら立ち上がりました。

「ネイルをしていってくださるのなら、そちらへご案内しますね」
 純さまを先頭に4人でゾロゾロとお店内を移動しました。
 私は、敷いていたバスタオルを当てて前の下を隠し、もう片方の腕で乳首を隠しながら小さく身を屈め、なるべくぶら下がっているお洋服たちの陰に隠れるようにして、一番最後をビクビクついていきました。

 ちょうどレジ側とは正反対の隅、お洋服や雑貨の棚が途切れた窓際の一画に、お食事したテーブルより一回り小さいデスクが置かれていました。
 その部分のショーウインドウは、高さが2メートル以上はありそうな大きなガラス窓の下半分くらい、内部からだと私のおへそのあたりの高さまでは、木製の横長な棚でガラス部分が目隠しされていて、その蜂の巣状の区割りの中や棚の上に、シューズやぬいぐるみ、帽子など、こまごまとした雑貨が飾られていました。
 この感じなら、お外から覗かれても多分、ショーウインドウにピッタリ近づかない限り、中にいる人の上半身くらいしか見えなそうです。
 
 ただし、それより上部分は全面透明ガラス。
 1メートル数十センチ四方くらいの曇りひとつ無いガラス窓の向こうに、お外の通りの様子がクッキリと見えていました。
 お店の前を通り過ぎる人のお顔まで、ハッキリと見えます。
 それに気づいて、私はあわてて窓に背中を向けました。
 背を向ける直前に、ガラスに映った自分の顔を見て、そうだった、今はおかっぱのウイッグ着けていたんだ、って思い出しました。
 確かに妙に似合っていて、我が事ながら普段よりずいぶんエロっぽい感じがしました。

 ショーウインドウから1メートルくらい離れたところに、洒落た籐製の椅子が窓を背にして置かれていました。
 施術を受ける人がそこに座るのでしょう。
 確かに背もたれも大きく、籐製なのでたくさん隙間はありますが、肩先まですっぽり隠れそうです。
 その脇にデスクがあって、籐椅子の対面にもう一つ、背もたれのない椅子が置いてありました。
 純さまが、そのデスク近辺に飾ってあったお洋服や雑貨をせっせとあちこちに移動されています。
 きっと、桜子さまが快適に施術出来るだけのスペースを作られているのでしょう。

「あら?そこに書いてある、スキンアート、って?」
 デスク横の壁に貼られた手書きポップを指さして、シーナさまが誰ともなしに尋ねました。
「ああ、それは、簡単に言うと彫らないタトゥっていうか、お好きな絵柄やデザインをお肌に、タトゥみたいに描いて差し上げるサービスです」
 桜子さまが答えました。
「へー。そういうのもやるんだ?それ、面白そうね」
「はい。ネイルをマスターして、なんとなく物足りなかったので、同じスクールで開講していたそっちのコースにもひきつづき通ってモノにしました」
「あと、お望みであればケータイのデコレーションだって、やりますよ」
「桜子は昔から絵が上手かったんですよ。その上、手先は器用だし、デザインセンスも良くて、さらに努力家なんです。あたしみたいなぶきっちょにとっては、その才能が羨ましい限りよ」
 純さまが我が事のように嬉しそうにおっしゃいました。

「そのスキンアートっていうのは、からだのどこにでも描いてくださるの?」
「はい。お客様のご要望であればどこにでも。一般的なのは、肩や二の腕、太股とかかな?」
 そこまでおっしゃって、桜子さまがチラッと私を見ました。
「うふふ。ワタシ、シーナさんの考えていらっしゃること、わかっちゃいました」
 桜子さまがシーナさまを見て、それからまた私をじっと見て、ニヤッと笑いました。

「今までに描いた一番キワドイ場所は、内腿でしたね。右脚の付け根近くだったな」
 桜子さまがお道具をいくつかデスクに並べながらつづけます。
「アパレル業界の大手がいくつか集まったイベントで、とあるコンベンションセンターにブース出店したことがあったんです」
「展示即売会みたいな感じの大きなイベントで、若い女性客がたくさん集まりました」
「そのときは、ネイルだと他の出店者とかぶっちゃうので、スキンアート一本に絞ったんです」
「主催者側からの助成金も出るイベントだったので、施術料金を少し安めに設定して。そうしたらけっこうお客さん押し寄せちゃって」

「それで、暑い盛りのイベントだったから来場者はみんな薄着で、それも若い女性ばかりでしょ?お買物の熱気で興奮しちゃうのか、みんななぜだか大胆になっちゃうんですよ」
「ブースはオープンで通路からも丸見え、引っ切り無しに人が行き来して、ワタシのブースにも行列まで出来ているんですけれど、ぜんぜん臆せずにみんな、当然のように肌や下着を出していましたね」
「Tシャツまくって、おへその横に描いてくれとか、ジーンズちょっと下げて尾骶骨のあたりに描けとか」
「前の人が描いてもらっているのを見て、私も、ってなっちゃうのでしょうね。躊躇無く服をめくってましたから。二の腕とか肩とかの、普通な人はあんまりいなかったな」

「中でも一番大胆だったのが、ミニスカートたくし上げて、パンツ丸出しで内腿に描いて、って」
「二十歳そこそこくらいの見た目派手だけれどけっこう可愛い子でした。パンツは普通のフルバックで、描いてくれって指定された場所がパンツぎりぎりで、ちょっと毛がはみ出てましたね」
「なんだか女子高時代を思い出しちゃいましたよ。着替えのときとか。男の目が無いと恥らいの概念無くなりますからね、女は」
「あれだけ大っぴらにやられちゃうと、男も怖気づいちゃうんでしょうね。数少ない運営の男性スタッフが、ワタシのブースには一切近寄らないようにしていましたもん」
 桜子さまが愉快そうに笑って、シーナさまと純さまがつづきました。

 笑いが収まった後、シーナさまが切り出しました。
「それで、スキンアートって、ひとつ仕上げるのにどのくらいの時間がかかるものなの?」
「うーん。全部手描きだと30分以上はかかっちゃうかな。デザインにもよりますけれど。それに、それなりのお値段にもなります」
「ワンポイントにシールを使って、周りをチョコチョコっと装飾するのなら15分くらいですね。そっちはお値段もリーズナブルです」
「これがデザイン集とお値段表です」
 桜子さまがシーナさまに分厚いアルバムみたいなものを手渡しました。

「へー。シールでも可愛いの、たくさんあるじゃない?」
 シーナさまがアルバムをゆっくりとめくっていきます。
「それで、これってどのくらい保つの?」
「耐水性の染料を使いますから、普通にお風呂やプールにも入れますし、擦って落とそうとしなければ10日くらいは余裕で保つはずです」
「もちろん、消したくなったらクレンジングでサクッと落とせますし、シールも簡単に剥がせます」
「そうなの。ネイルよりこっちのほうが、断然、直子向きだわね」
 シーナさまが私を手招きしました。

「バスタオル敷いて、その椅子に座りなさい」
「あ、はい・・・」
 みなさまがデスクの周りでお話しているとき、私は窓から死角になりそうなハンガースタンドのお洋服の陰でお話を聞いていました。
 シーナさまのお声で素早く移動し、籐椅子の背もたれの陰に身を滑り込ませました。
 至近距離の対面の椅子には、桜子さまがお座りになっています。
 デスクは桜子さまの斜め右脇にあり、桜子さまの目から私の剥き出しな下半身を隠すものは、何もありませんでした。

「ところで直子、この先2週間位の間に、人前で服を脱ぐ予定はある?」
「えっ?そんな予定は別に・・・」
「あら?学校の体育の授業で着替えたりしないの?」
「あっ、そういうことでしたか・・・」
「どうせ直子は、服を脱ぐ、って聞いて、えっちなことしか思い浮かばなかったのでしょう?」
「ごめんなさい。そういうことでしたら、来週の水曜日に体育の授業があります。それと・・・」
「それと?」
「お友達にコスプレのイベントに出てくれないか、って頼まれていまして、出ることになったらそれの衣装合わせを来週、するかもしれません」
「へー。初耳ね。それは面白そう。ぜひ出なさい。時間が合えばわたしも見に行くから」
 ああん、まだ迷っていたのに、出なさい、ってご命令されちゃった。
 言わないほうが良かったかも・・・

「そういうことだとやっぱり、服脱いで目立つ場所はNGだわね。腕とか背中はやめておいたほうがよさそうだわ」
「たとえシールでも肌にタトゥだなんて、学校のお仲間内での直子の清楚なお嬢様イメージが崩れちゃうもの、ね?」
 シーナさまがお芝居がかった調子で、イジワルそうにおっしゃいました。
「となると、人前で着替えても下着で隠れて見つからない場所にしてもらうのが無難だわね。そう思うでしょ、直子も?」
 シーナさまの嬉しそうなお顔が私に迫ってきました。
「は、はい・・・」
 下着で隠れている場所って言ったら・・・アソコとアソコとアソコしかありません。
 
「決めたわ!」
 シーナさまが桜子さまを振り向きました。
「直子の、ここと、ここに、やっていただけるかしら?そのスキンアートっていうのを」


コートを脱いで昼食を 26


2013年12月15日

コートを脱いで昼食を 24

「いっただきまーす!」
 古泉オーナーさんとシーナさまの元気なお声と共に、おふたりの右手がお目当てのサンドイッチに伸びました。
「ほら、直子も好きなの食べなさい。お腹空いているでしょ?」
「あ、はい・・・いただきます・・・」
 シーナさまにうながされて、自分の近くに置いてあった適当なサンドイッチに手を伸ばしました。
 自然に顔が下に向き、その視界に否応なしに、Tシャツに空けた穴から飛び出している、熱を帯びてコチコチに硬くなった自分の卑猥な乳首が飛び込んできます。
 いやん、私ったら、こんなところで、なんていうふしだらなものを晒しているのだろう・・・

 サンドイッチのお味なんて、ぜんぜんわかりませんでした。
 平日の真昼間、お外には通行人が行き交う営業中のセレクトショップの店内。
 下半身丸出しで腰掛けて、尖った乳首を空気に触れさせながら、サンドイッチをちびちびと口に運んでは、お紅茶で流し込みます。
 シーナさまは、このあいだのエステティックサロンでくりひろげた私の痴態のお話を、古泉オーナーさんに面白おかしくご披露されていました。
 古泉オーナーさんは、うわー、とか、すごーい、とか大げさなリアクションで、そのたびに対面に座る私の顔や胸をまじまじと見つめてきます。
 その遠慮の無い、肌を舐めまわすような好奇の視線に、顔もからだもどんどん火照ってきて、下半身のムズムズが止まりません。

「あらら、モリタさんはあんまり、食が進んでいないようね?」
 お紅茶を注ぎ足してくれながら、古泉オーナーさんがニッって笑いかけてきました。
「それはそうでしょう。今、直子の頭の中は食欲よりも性欲で、パンパンに腫れ上がっちゃってるでしょうから」
 ニヤニヤ笑うシーナさま。
「そう言えば純ちゃん?さっきからヘンにあらたまった感じで直子に話しかけているけれど、あなたたち、お互いに初対面じゃないのよ?」

 えっ!?
 シーナさまの意外なお言葉にびっくりして、思わず顔を上げました。
 はずみでTシャツにぴったりフィットなおっぱいが、布地ごとプルンと弾みました。

「あーーっ。やっぱりそうなんですか?モリタさんて、ひょっとしてあたしが駅ビルのお店にいたとき連れてきた、あのえっちな人?」
「ピンポーン!大正解でーす!」
 シーナさまがおどけておっしゃり、正解者には賞品でーす、と、古泉オーナーさんのお口にフライドポテトを1本、咥えさせました。

「・・・もぐもぐゴクン・・・あたし、さっきから、そうなのかもしれないなー?って思ってはいたんです」
 古泉オーナーさんがテーブル越しに身を乗り出して、私の顔をジーッと見つめながらつづけます。
「あのときのカノジョは、もうちょっとお顔が地味で年齢もいっていたようなにも思うのだけれど、さっきモリタさんの裸のお尻と前を見て、腰のラインとか肌の色とか、おへその形とか、どっかで見たことあったなー、って」
「あのときは、わたしが直子に渾身の老け顔メイクを施したからね。池袋はこの子の地元だから、もし知り合いに出会っちゃったときの用心のために」
 シーナさまのお言葉に古泉オーナーさんが、うんうん、ってうなずいています。

「あのときもすっごい恰好していましたしたよねー?ノーブラのおっぱいをロープで絞るみたいに縛ってて、下半身にはヘンな貝のオブジェくっつけて」
「そうだった!パンツをわざと腿までずり下げていませんでしたっけ?アレがすんごくいやらしかった!」
「ショーゲキだったなー!露出癖ってネットとかで目にはしていたけれど、そんな変態オンナって本当に実在するんだ、ってカンドーものでした」
「それでその正体は、こんなカワイラシイ子だったんですね!今日もけっこうショッキングです」

 心底感心した口ぶりの古泉オーナーさんを見ながら、私もビックリです。
 この、目の前の見るからに可愛らしい女性が、半年位前、目の周りを派手に染めて、まばたくと風が起きそうなエクステ睫毛だった、あのギャル店員さんらしいのです。
「そのお顔だと、モリタさんもあたしのこと、気がついていなかったみたいね?」
「あたしもかなり、あの頃はヤンチャしてたからねー。あの当時はちょうど、自分の中にブリッ子ギャルブームが来てたのよ」
 古泉オーナさんが照れ臭そうに笑われました。

「あの確か数日後に、シーナさんがひとりでお店に遊びに来て、そのとき、ショップをやる気ない?ってお誘いを受けたのでしたね」
「あの頃知り合いからちょうど、この物件の新規出店の相談を受けていたのよ」
「それで、直子と行ったときの対応がとてもユニークだったから、純ちゃんを鮮明に覚えてて、一度ゆっくり話してみたいな、って思ったの」
 シーナさまがお紅茶をひと口すすり、お手拭きで指先を拭いました。
 そう言われればシーナさま、あの直後にもスカウトとか、そんな謎なことをおっしゃっていたっけ。

「話してみたら外見に似合わず考え方もしっかりしているし、独立も考えていて資金も貯めているって言うじゃない。この人なら大丈夫、って思ったわ」
「ありがとうございます。おかげさまでなんとかうまくいっています。一日も早く雇われオーナーから 本当のオーナーになれるように、がんばります」
「シーナさんとお知り合いになれて、本当に良かったです。お仕事もだけれど、こうしてたまーに面白いもの見せてくれるし」
 古泉オーナーさんがシーナさまのほうに向いて、笑顔でペコリと頭をさげました。

「ああ美味しかった。ごちそうさまでしたっ」
 古泉オーナーさんがティーカップをテーブルに置いてフーッと一息。
 じーっと私の胸をしばらく見つめてから、シーナさまに向き直りました。

「でもシーナさんも人が悪いですね?あんなにショーゲキ的なアソビの現場を見せておきながら、あのあと一言もモリタさんのお話、出なかったじゃないですか?」
「妙に色っぽい感じの薄着なおばさまは何度かお連れになったけれど、モリタさんのことはまったく話題にしないから、あたしも忘れかけていましたよ」
「純ちゃんが聞いてこなかったから、わたしも言わなかっただけよ。わたしの趣味嗜好やドレイが何人もいることは、純ちゃんにもちゃんと教えたでしょ?」
「それはそうですけれど。あたしもシーナさんとのお仕事の話のほうに夢中になっていたから、聞きそびれてました」
「あたしは、シーナさんと違ってやっぱり、お年召したおばさまよりも若くてカワイイ子のほうが、虐め甲斐があるなー」
 古泉オーナーさんが私を見て、視線を落として乳首をじっと見て、またニッと笑いました。

「それでシーナさん?今日はあたしのお店で、モリタさんに何をさせるおつもりなんですか?」
「あたし、モリタさんがあの日の子だって聞いて、がぜんヤル気が出てきました。出来る限りご協力しますよ?」
「モリタさんがえっちな命令を受けたときの困ったような表情って、何て言うか、そそりますよね?もっと虐めて困らせてみたい、ってイジワル心を煽られちゃう、みたいな」
「あたしにとって、あの日の出来事は本当にショーゲキだったんです。あのあと帰ってから、思い出してひとりで慰めちゃったくらいに」
「人がたくさんいるお店の中であんな格好にさせられて、それでもあの子、感じていたみたいだなー、あんなことして嬉しいのかなー、なんて考えていたら、指が止まらなくなっちゃって・・・」
「あらあら・・・」
 シーナさまの苦笑い。

「何をする、って別に具体的に決めているわけじゃないのよね。ただ純ちゃんのお店なら、ほとんど女性しか来ないだろうし、試着とかも大胆に出来そうだし、っていうくらいで・・・」
 思案顔のシーナさまが、ふっと気づいたみたいに、古泉オーナーさんに向き直りました。
「そうそう。協力してくれるのなら徹底しておいたほうがいいわね。純ちゃん、直子みたいなマゾ女はね、常に身の程をわきまえさせておかなければいけないの。ドレイとしてのね」
「だから、一応お客さんと言えどもドレイはドレイ。モリタさん、なんて丁寧に呼ばないで、ナオコ、って呼び捨てにしてやってちょうだい」
「直子も純ちゃんのことは、純さま、ってお呼びなさい。いいわね!?」
「あ、はいっ!」
 急にお声をかけられて、ドキンと胸が弾みおっぱいがプルン。

「カーテン開けっ放しでとっかえひっかえ試着させるとか、この格好にエプロン一枚で接客させるとか、あと何かないかなー?」
「さすがにアソコ丸出しはちょっとヤバイわよね?あ、でも毛も無いからそんなに目立たないか」
「だけど今日は、あの日と違って老けメイクしていない素の顔ですよね?モリタさ、あ、いえ、ナオコは。いいんですか?そんな大胆なことさせて、もしお知り合いに目撃されたら」
「だってこんな格好で出歩くことを決めたのは、直子の意志だもの。素の顔のままでいいって判断したんでしょ?万が一知ってる人に見られたとしても自業自得よ」
 シーナさまのお言葉で、不安な気持ちが急速に広がりました。

「まあ、直子は西口初めてって言ってたし、大丈夫とは思うけれど・・・」
 シーナさまも少し不安になったのか、ちょっと考え込んでから、おもむろに店内を見回します。
 シーナさまの頭が、ある方向を向いたまま止まりました。
「純ちゃん、あのウイッグをいただくわ。後で会計してね」
 立ち上がったシーナさまは、レジカウンターの脇に飾られていた真っ黒髪のウイッグをひとつ手に取り、そのまま私に近づいてきました。

 そのウイッグは、前髪ぱっつんの典型的なおかっぱショートボブでした。
 両脇が内向きに軽くカールしているレトロ系。
 シーナさまは、座っている私の背後に立ち、私の髪を頭上にまとめ始めました。

「人から聞いた話だけれど、大昔のエロ本のモデルって、写真が出回っても身内に身元バレしないように、ほとんどがウイッグ着けて、顔の雰囲気変えて撮影していたんだって」
「中でも一番人気だったのが、このぱっつんボブらしいの。確かにこのヘアスタイルは雰囲気がガラッと変わるものね」
「だから、昔のヌード写真には、このヘアスタイルの人が多いらしいのよ。大昔の見せたがりスケベ女。直子の大先輩たちね」
 そんなことをおっしゃりながら、私の頭にウイッグがかぶされました。

「やっぱりね。妙に似合うわ。一気にいやらしさが増しちゃった。これでもう知り合いでも直子だってわからないわよ」
 鏡になるようなものが周りに見当たらないので、自分では確認出来ませんでしたが、そのお言葉でいくらかホッとしました。

 純さまは、テーブルの上を片付け始めていました。
「ほら、ボーっとしてないで直子も手伝いなさい。純ちゃん、ゴミはレジのほうへ持っていけばいい?」
「あ、いいわよ、あたしがやるから・・・」
 純さまは、そうおっしゃってからちょっと考え、つづけました。
「でもお言葉に甘えちゃおうっと。ナオコ、容器とかナプキンとかゴミをひとまとめにして、レジのところまで持ってきておいてちょうだい」
 純さまの口調が、上から気味になっていました。

 お食事中は座っていたのでテーブルで隠され、下半身のことはさほど気にしないで済みました。
 でも立ち上がって、歩き回れば当然のこと、私の裸のお尻と剥き出しのアソコが、おふたりの目に触れることになります。
「ほら直子?返事は?」
 私の正面に戻ったシーナさまから睨まれました。
「あ、はい。すぐにお持ちします・・・純さま」
 観念してよろよろ立ち上がると同時に、強烈な恥ずかしさが今更ながらに、全身に押し寄せました。
 やっぱりこんなのヘンタイです。
 白昼堂々営業中のお店の中でひとりだけ、性器剥き出しの、こんな格好をしているなんて・・・

「あたし以前、ネットで面白い動画を見たことあるんですよ」
 レジの向こうのお部屋で洗い物をされているらしい純さまの大きなお声。
「確かどこかヨーロッパの、ナオコみたいな性癖の女性を撮ったビデオらしくって」
 純さまが良く通る綺麗なお声でつづけます。

「人通りがけっこうある大通りに面したブティックのショーウインドウに、その女、ブロンドでかなりの美人でした、がマネキンのフリして立っているんです」
「ファッショナブルなブラウスにタイトスカートでポーズをとって」
「やがて店長さんらしき男性がショーウインドウの中へ入って来て、ブラウスのボタンをはずし始めるんです。マネキン役はじっと動かない」
「ブラウスを脱がせて、スカートを取って、下着も全部脱がせて裸でしばらく放置」
「通りには人や車がひっきりなしで、その裸マネキンに気がつく人もちらほらいるんです」
「その女も綺麗なパイパンだったなー。うっすら笑みを浮かべて愉しそうだった」
「再び店長がやって来て、今度は違う服を着せてはまた脱がせてって、何回か繰り返しているうちに、通りには人だかりが出来ちゃって」
「まあ、オチはなかったですけれど、最後のほうではマネキン役の女が開き直っちゃって、裸でさまざまなポーズとって、通行人に写真撮らせたりしてました」

「へー、それ、面白そうね、やらせてみよっか?」
 シーナさまは、ブラブラとお店のあちこちを見て回りつつ、純さまのお話に反応されていました。
「でもあんまり騒ぎになって、ケーサツのご厄介とかだとメンドーだわね。西欧人と違って、こっちだと口うるさいおばさんとかが、すぐ通報しちゃいそう」
 私は、純さまのお話を聞きながら、とてもじゃないけれど出来ない、っていう気持ちと、今ならご命令されればやっちゃいそう、っていう気持ちが鬩ぎあっていました。
 普通に考えたらもちろん絶対出来ないのですが、そのときは、そのくらい性的に昂ぶってしまっていたのです。

「そうそう。すっごくセクシーっていうかえっちぽい薄手シースルーのチャイナドレスが入荷したから、手始めにあれ着て接客してもらおっかな?」
「背中がお尻の割れ始めくらいまで大胆に開いているの。でもまあ、今のナオコの格好からしたらヘンタイ度が大幅後退だけれどねー」
 レジカウンターに戻られた純さまが、からかうようにおっしゃいます。
「いずれにしてもそろそろお店、開けるわね。もう2時前だし。そろそろ学生さんたちも放課後だから」
「ナオコは、お客様をギョッとさせないように、そこに座っているか、お客様が近づいてきそうだったらハンガースタンドの合間とかにでも隠れてね」
 純さまが、ギャル店員さんだったときの私に対する扱いのような、少し蔑み気味の口調を復活させていました。

 いよいよ、誰でも自由にお店に入って来れる状態になってしまうんだ・・・
 それでもおふたりとも、私の下半身をこのままの状態にしておくおつもりのようです。
 コートを返してくださいと、シーナさまや純さまに言えるはずも無く、下半身丸裸の私は、店内での逃げ場所をキョロキョロ探します。
 シーナさまは?と探すと、のんきに店内散策中。
 何かアクセサリーを胸に当てて、鏡を覗いていました。

 純さまが、休憩中のプレートをはずそうと入口のほうへ一歩踏み出したそのとき。
「おはようございまーす!」
 入口とは反対の方向から大きな声が聞こえ、間もなくひとりの女性がひょっこりと、レジ裏のお部屋のドアを開けてお顔を覗かせました。


コートを脱いで昼食を 25


2013年12月8日

コートを脱いで昼食を 23

 地上に出ると、広い大通り沿いの舗道でした。
 沿道にはビルが立ち並び、その一階はどこも何かしらのお店屋さんで、歩道も車道もひっきりなしの往来。
 地下道を歩いてきた感じだと、ずいぶん駅から離れたように思えましたが、そうでもないのかな?
 東口の大通りと同じくらいに賑わっていました。

 シーナさまは、私の手を引きながら大通りをさらに駅とは逆方向に少し歩いてから、一本の路地を左へ曲がりました。
 確かこっちのほうには有名な大学があるのではなかったかしら?
 お引越ししてきた頃に地図を眺めながら、この街に慣れたら一度訪れてみたいな、と思っていた一帯のようでした。

 その路地の左右にも小さなビルが立ち並び、何かのお店や飲食店がちらほら。
 シーナさまが、そのうちのひとつの前で立ち止まりました。

「ここよ」
 真っ白なビルの一階、全面ガラス張りのショーウインドウ一杯に飾ってあるカラフルなお洋服。
 見た感じ、お洒落なブティックでした。
「わたしの知り合いが最近開いたのよ。アパレルと輸入雑貨。いわゆるセレクトショップっていうやつね。海外の古着とかも置いていて、わたしも仕入れとかでお手伝いしているの」
 シーナさまが私に説明しつつ、外開きのドアを躊躇無く開きました。
 カランカランって軽やかにドアチャイムの音が響きました。

「ああ、シーナさん。いらっしゃいませ。お茶の用意してお待ちしてましたーっ!」
 すぐに奥のほうから元気のいいお声とともに女の人がひとり、こちらに近づいてきました。
「シーナさんのアドバイス、バッチリでしたよーっ!」
 ニコニコ顔で出てきたその人は、前髪だけ垂らしたポニーテイルでお目々パッチリ、両端がクイッと上がったイタズラっ子ぽい口許の、すっごく可愛らしい女性でした。

「お手頃なお値段のセクシードレスを置いてみたら飛ぶように売れちゃって。ついでに雑貨とかも買っていってくれるから、ここのところ売り上げ大幅アップです!」
「それは良かったわ。このあたりって夜のお勤めの女性がけっこう住んでいるから、ひょっとしたら、と思ったのよね」
「外国人のかたがよく買ってくださるから、そっちのお菓子とかも置いてみたらいいかなーって」
「あら、それもいいわね。そういう業者なら、2、3心当たりあるわよ」

 シーナさまとその女性が親しげにお話しているのに耳を傾けつつ、私は店内を興味津々で見回していました。
 お洒落なお洋服、靴や帽子、カワイイ小物雑貨、ぬいぐるみやステッカー、アクセサリー類など、けっこう広めの店内に所狭しと並べられています。
 女の子が好きそうなものなら何でもある感じ。
 一番多いのはお洋服。
 ブラウスやワンピース、ニットに混じって本格的っぽいデコルテのドレスまでぶら下がっています。
 あっ、あのワンピ、かわいい!

「それで今日は何をご提案してくださるんですか?シーナさんのご推薦なら何でも、うちは無条件で置かせてもらいますよ」
「ううん。今日はビジネスの話じゃないんだ。近くに来たから思い出して、一緒にランチでもどうかな、と思ってさ」
「でもまあ、見てもらいたいものがあるのも、本当なんだけれどね」
 シーナさまが、目をつけたワンピースが飾られているハンガーラックに吸い寄せられかけていた私の手を取って、グイッと引っ張りました。

「直子、こちら古泉純ちゃん。こちらのお店のオーナーさん。わたしのビジネスパートナーでもあるの」
「あっ、はじめまして・・・」
 ペコリとお辞儀をして、自己紹介したほうがいいのかな、って考えていると、
「純ちゃん、これはわたしのドレイのひとりで、モリタナオコ。こんな顔して、マゾで露出狂でヘンタイなのよ」
 シーナさまのものすごい紹介の仕方に、私が顔を火照らせていると、古泉オーナーさんがアハハって笑いました。
「ああ。そっちのほうのアソビのお話でしたか。シーナさんもお好きですねえ。見てもらいたい、っていうのも、この人なんですね?」
 古泉オーナーさんがシーナさまと私の顔を半々に眺めつつニッと笑って、私にだけ、オシャレな名刺をくださいました。

「まあ、立ち話もアレですからあっちに移動しましょう、テーブルがありますから」
 古泉オーナーさんが先に立ち、お店の奥へ進むとレジカウンターの脇にアンティークな木のテーブルとベンチが置いてあるスペースがありました。
「あたしもちょうどお腹が空いてきた感じだったんです。何か店屋物でも取ろうかなと思ったとき、シーナさんから電話があって」
「今、お茶の用意をしますから、そこに腰掛けていてください」
 古泉オーナーさんはそう言い残し、レジのさらに奥にあるらしい別のお部屋へ入っていきました。

「直子、サンドイッチと荷物はそこらへんに置いて、直子は座らずに、そうね、そのへんに立っていなさい」
 シーナさまのご指図通り、サンドイッチをテーブルの上に、自分のバッグはベンチの上に置き、お店の入口方向を背にして、もう片方のベンチの対面に立ちました。
 私の背後にも、ハンガーに掛けられたたくさんのお洋服が飾られています。
 シーナさまは、サンドイッチの包みを開けてテーブルの上に容器ごと並べ始めました。
 ずいぶんたくさん買ったんだなー。
 切り口からいろいろな中身が覗いた美味しそうなサンドイッチが、テーブル一杯に置かれました。

 でも・・・
 私がここに立たされているということは、まずはあの古泉オーナーさんに、私のコートの中身をお見せすることになるのだろうな・・・
 そう思うと、美味しそうなサンドイッチを見て湧いていた食欲が、みるみるうちに性欲に取って代わられていきます。
 さっきのシーナさまとのお話しぶりから察するに、古泉オーナーさんは、シーナさまのそういうご趣味をすでにご存知のご様子。
 古泉オーナーさんも、あんなに可愛らしのにエスなのかな?
 古泉オーナーさん、私の格好を見て、どんな反応を示されるのだろう?
 ドキドキが最高潮です。

「うわー。美味しそう!モリタさんがお持ちになっていた袋が、あのサンドイッチ屋さんのだったから、ちょっと迷って紅茶にしたけれど、正解でしたね」
 古泉オーナさんがトレイの上にティーカップやポットなどを載せて、しずしずとお持ちになりながら大きな声をあげました。
「今、紅茶を淹れますね。今日は朝を抜いてきたから、もうお腹ペコペコなんです」
 ほどなくお紅茶のいい香りが漂ってきました。
「さ、いただきましょう。モリタさんはお座りにならないの?」

 古泉オーナーさんの私に向けたお言葉を引き取るように、シーナさまがお話し始めました。
「それがね純ちゃん。わたし、さっき道で偶然直子に会って、時間もちょうどいいからランチに誘ったのよ、ほら、あの有名なフレンチのお店」
「うわー。超高級店じゃないですか!リッチですねー!」
「だけどね、なぜだか直子が行きたがらないのよ。ヘンだなーと思ったら、どうもそのコートを脱げないような理由があるらしいの、ね?」
 シーナさまが私をチラッと見て、ニヤッと笑いました。
「だからフレンチあきらめて、ちょうど純ちゃんのこと思い出したから、ここに来たってわけ」
「だけどさ、フレンチじゃなくてテイクアウトのサンドイッチだけれど、ひとさまのお店を訪ねて、コートを着たままお食事、っていう作法は無いわよね?レディとして」
「だからさっき、せめてマナーとして食事中は、そのコートはお脱ぎなさい、って叱ったところなのよ」
 シーナさまがすっごく嬉しそうにニコニコして私を見つめてきます。

 シーナさまには、そこに立っていなさいと言われただけでしたが、古泉オーナーさんにおっしゃった今のお言葉が、つまりは私へのご命令でした。
 とうとうシーナさま以外の人の前で、コートの前を開けなければならないときが来たのです。
 このコートを脱いだら、私の下半身は丸裸、上半身には一応Tシャツを着ていますが、ご丁寧に乳首のところだけ穴が空いて、乳首だけがこれ見よがしに飛び出しています。
 なんて破廉恥な格好。
 そんな格好を、今日初めて訪問したお洒落なセレクトショップの一角で、初対面の可愛らしいオーナーさんの目の前で、晒さなくてはいけないのです。

 その上、お店は営業時間中。
 大通りから一本路地に入ったので、さほど人通りが激しくはないみたいですが、それでも普通に人や車が行き来していました。
 2軒隣のラーメン屋さんには、短かい行列も出来ていました。
 このお店の外装は、ほとんどガラス張り。
 お洋服や雑貨でディスプレイされたショーウインドウだったので、店内丸見えというわけではありませんが、ちょっと真剣に覗けば、今も私の頭くらいは見えているはずです。
 それに、何と言っても、いつ別のお客さまが入って来るか、わからないんです。
 ドアを開けてお店に入り、奥まで来てちょこっと右側を向けば、レジ周辺は丸見えでした。

「ほら、せっかく淹れていただいたお紅茶が冷めてしまうじゃない?早くコートを脱いで席に着きなさい」
 シーナさまに冷たく言われて覚悟を決めます。
 これは私が望んでいたこと。
 シーナさまと出会ったおかげで、独り遊びでは絶対出来ない、こんな大胆な状況になったのだから。
 シーナさまのお言葉には、すべて従わなくちゃ。
 私の中のマゾメーターがグングン上がり、コートの一番上のボタンにゆっくりと手をかけました。

 そのとき、シーナさまの隣に腰掛けていた古泉オーナーさんがスクッと立ち上がりました。
「ちょっと入口に、休憩中、のプレートを掛けてきますね。いつもここでランチするときは、そうしているんです」
「この時間帯はいつも、ほとんどお客さん来ないけれど、邪魔されずにゆっくり食べたいし」
「それにきっと、これからあたしに、何かえっちなものを見せてくれるんでしょ?」
「それならなおさら、誰かに邪魔されたくないもの、ね?」
 古泉オーナーさんが私を見てまたニッと笑い、何かのプレートを持って入口のほうへ駆け出し、すぐに戻って元通りに着席しました。

「もう!純ちゃんたら、直子にそんな気配りはいらないのに。誰かお客さんが入ってきたら、それはそれで面白いのに」
 不満げなシーナさまを古泉オーナーさんが、まあまあ、ってなだめています。
 古泉オーナーさんのおやさしいお心遣いに幾分ホッとしつつ、コートの前ボタンをすっかりはずし終えました。

「ボタンはずしたら、まずコートの前を大きく開けて、純ちゃんにその中身をお見せしなさい。さっきデパートのトイレでしたのと同じ格好よ」
「はい・・・」
「わたしがいいと言うまで、その格好でいること」
「はい」
 シーナさまのご命令口調なお言葉が、私のマゾ性をグングン煽ります。
 こんなところで、こんな格好をお見せしなければばらない、みじめで可哀相な私。
 強烈な被虐感に酔い痴れつつ、ゆっくりとコートを左右に広げました。

「うわーっ!」
「どう?」
「どう、って、すごいですね。エロすぎ。これって、やっぱりシーナさんが命令してやらせているんですか?」
 私のからだを上から下まで矯めつ眇めつ眺めつつ、古泉オーナーさんがシーナさまに尋ねました。
「それがねー、違うのよ。この子が自発的にこの格好になって外出したところを捕まえたの」
 ニッコリ笑ったシーナさまったら、本当に愉快そう。

「なんでもね、この子が一生懸命考えた結論らしいの。真っ裸よりいやらしい恰好ってどういうのだろう?って」
「それで出た答えがこれ。下半身は丸裸で、上半身は乳首だけ出し。その上にコート一枚だけ羽織って、ひとりでショッピングに出かけるつもりだったのよ?考えられないわよね?」
「へー。確かにいやらしいですよね、普通の裸より。じゃあその穴も自分で空けたんだ」
 古泉オーナーさんが私に向かって尋ねてきました。
「は、はい・・・」
 うつむきがちに答える私。
「それってつまりその、乳首だけ見せたい、ってことなの?」
「あ、えっと、は、はい・・・」
「すごいねー。でも確かにいやらし過ぎて、逆にある意味ステキかも。モリタさんってお肌も綺麗だ しプロポーションもいいし、見せたがるのがわかる気もするかな」
 そうおっしゃる古泉オーナーさんの目は、私の下半身に釘付けです。

「あなたのソコって、天然なの?すっごく綺麗にツルツルなのね?」
 私の土手を指差して聞いてきます。
「あ、いえ、これは・・・」
 私が答えるより先に、次の質問が放たれました。
「そこに覗いているヒモは、タンポン?今、生理なの?」
「あ、そ、そうです。あ、でも・・・」
「ああ、これはね・・・」
 私が答えるのを制して、シーナさまが割り込んできました。

「この直子って子はね、すんごく濡れやすいの。ちょっとでも辱めるとすぐにダラダラよだれ垂らしちゃうのよ、ソコから。つまり淫乱なのね」
「だからタンポン挿れて、お店汚さないようにしたの。もし挿れてなかったらここの床、もう愛液でビチャビチャになっちゃてるわ」
「へー、こんな格好しているだけで、そんなに感じちゃうんだ?」
「常識では考えられない場所で、はしたない格好になって、それを視られている、っていうのが、直子がサカっちゃうキモみたいね」
「たぶん今なんか、純ちゃんに視られてイク寸前くらいになっているはずよ。今だったら純ちゃんの言うこと、何でも聞くはずだわ、ね?直子?」
 シーナさまの冷静な私の性癖分析に古泉オーナーさんも真剣にうなずいていらっしゃいます。
 私は恥ずかしさで、もう頭がクラクラ。

「まあ、そういうことで、純ちゃんへのお披露目も終わったことだし、ひとまずランチにしましょう。本当にお紅茶が冷めちゃうから」
 シーナさまが私を見ました。
「直子、もうコート広げてなくていいわよ。さっさと脱いで席につきなさい」
「えっ!脱ぐんですか?」
 私は、てっきりコートは羽織ったままで許されるかと思っていたので、真剣にびっくりしちゃいました。

「あたりまえでしょ?コート羽織ったままお食事なんて、そんなはしたないマナーは無い、って、何度同じことを言わせるのよっ!?」
 急速にイライラモードのシーナさま。
「だって・・・」
 私はお店をグルッと見回してお外のほうをじっと見てから、シーナさまに視線を戻しました。

「大丈夫よ。外からここは見えないし、純ちゃんが休憩中のサイン出してくれたから他のお客も入って来ないし」
「で、でも・・・」
「このお店はエアコンがよく効いているから、裸んぼでも寒くないはずよ。わたしも失礼して上着脱がせてもらおう」
「あたし寒がりだから、室内温度高めなんですよね。ごめんなさいね」
「・・・」
「あんまりグズグズしていると、わたし本気で怒るわよ。そのコートひん剥いて、Tシャツも破り捨てて、真っ裸で外に放り出すわよっ!」

 シーナさまの本気っぽいお怒り顔に気圧されて、渋々腕をコートの袖から抜き始めます。
 このコートを脱いでしまったら、私が身に着けているのは短かい破廉恥Tシャツ一枚だけ。
 何かあったとき、誰かが来たとき、私にはもう自分の恥ずかしい姿を覆い隠す術が、まったく無くなってしまいます。
 両腕を袖から抜くまではしたのですが、コートを両肩からはずせずにいました。

「それならコートは、あたしが大切にお預かりするわね」
「あっ!」
 いつの間にか私の背後に来ていた古泉オーナーさんが、私が羽織ったままのコートをそっと肩からはずしました。
「わー。いいコートね。ブランド物じゃない。センスいいわね?モリタさん」
 そんなお褒めの言葉にも私は上の空。
 コートがはずされると、私の下半身はセレクトショップの空間の中で、文字通り丸出しになってしまいました。
 裸のお尻に直に空気が当たり、剥き出しのアソコを思わず両手で隠しました。
 背後の古泉オーナーさんは、私の裸のお尻をじっと視ていたのでしょう、コートを取られてしばらくしてからゆっくりとレジに戻り、私のコートを丁寧にハンガーに掛けて、レジカウンターの後ろの壁に吊り下げてくださいました。

「まったく!何を今更隠しているのよ?こうなりたくて、していた格好でしょ?」
「それにしてもドレイの分際で、でも、とか、だって、とかよく言えるものね。まだまだ教育が足りないみたいね。帰ったらキツイお仕置きが必要だわっ!」
 不機嫌そうにブツブツおっしゃっているシーナさまを、古泉オーナーさんが笑いながらなだめます。
「まあまあ。せっかく楽しいランチタイムが始まるのだから、そんなに怒らないで。ほら、モリタさんもこちらへいらっしゃい」
 古泉オーナーさんは、冷めてしまった3人分のお紅茶をわざわざ淹れ直して、再度テーブルに並べてくださいました。

「あ、純ちゃん?バスタオルを一枚売ってくれる?どんなのでもいいわ。安いやつ」
「だったら確か・・・あったあった。これ、差し上げます。業者さんがサンプルでくれた子供向けキャラクターのタオル。カワイイでしょ?」
 古泉オーナーさんが差し出したカラフルなタオルを受け取ったシーナさまは、それを私に差し出してきました。

「ほら、これをお尻の下に敷いて、直子もさっさと座りなさい」
「裸のお尻で直子がそのベンチに座ったら、ベンチの表面と直子のお尻の穴が直に触れちゃうことになるものね。そんなの、次に座る人が可哀相すぎるわ。ヘンタイ菌が感染っちゃう」
 シーナさまのイジワルいお声。
「もう!これからお食事っていうのに、シーナさんたらお下品なんだからー。ほら、モリタさんも、早く」
 古泉オーナーさんの明るいお声に促されて、おふたりの対面のベンチの上にタオルを折って敷き、裸のお尻でおずおずと腰を掛けました。

「さっきシーナさんが、コートを羽織ってのお食事なんてはしたない、っておっしゃったけれど、お尻丸出しでのお食事とだったら、どっちがよりはしたないのかしらね?レディとしたら・・・」
 古泉オーナーさんが小さくクスクス笑いながら、独り言みたいにつぶやきました。


コートを脱いで昼食を 24


2013年12月1日

コートを脱いで昼食を 22

 包帯の戒めを解かれたのにも気づかないくらいの放心状態で、だらしなく両脚を広げたまま、私はしばらくベッドに仰向けのままでした。
 気を失なっていたというわけではなく、ただただ頭の中が真っ白になっていました。
 ときどき思い出したようにからだのあちこちで、自分の意志とは関係なく、ピクンピクンと筋肉が痙攣しているのがわかりました。
 そのたびに、甘美な快感の余韻が下腹部をくすぐりました。

「あら、気がついたみたいね。どう?立てる?」
 シーナさまのお声。
 えっと、立つ、っていうのは、どうすればいいのだっけ?
 からだを動かそうと力を入れるのですが、その意志をからだの該当部位に伝えることがうまくいかないみたい。
「ぐったりしているのはわかるけれど、いつまでもそこに寝ていられると、片付かないのよね」
 シーナさまがイジワルクおっしゃいます。
「いいのよ、ゆっくり休んでいらっしゃい。お疲れでしょう?わたくしたちも片付けや着替えがあるから、お気になさらずに」
 アンジェラさまのおやさしいお言葉。
「・・・ぁ、だ、大丈夫です。ありがとうございました」
 掠れた声でお答えして、なんとか上半身を起こしました。

 足元がおぼつかないからだをシーナさまと蘭子さまに支えていただいて、ゲスト用のドレッシングルームに戻りました。
 すぐにバスルームに入り、ローションと私のいろいろなおシルでヌルヌルベタベタになった全身を、ぬるいシャワーで洗い流しました。
 両膝の裏が包帯ロープに擦れたのか、少し赤くなっていました。

 シャワーの流れに沿ってお肌をさすっていると、何だかお肌が以前よりスベスベしている気がしました。
 マッサージしていただいて血行が良くなったせいでしょうか。
 アソコ周辺は、まるで生まれたての赤ちゃんみたいにツルツルのスッベスベ。
 からだ全体がふうわり軽くなったような気がして、意識もハッキリスッキリ、気持ちまで軽やかになっていました。
 シーナさまと蘭子様は、シャワーを浴びる私を眺めながら、楽しそうに談笑されていました。

 タオルで丁寧に水気を拭ってから、全裸のままバスルームを出ました。
 首のチョーカーが全体にしっとり濡れちゃったことだけが、ちょっと気がかりでした。
「なんだかずいぶん晴れ晴れとした顔をしているわね、直子」
 シーナさまが裸の私をマジマジと眺めながらニヤニヤ笑いでおっしゃいます。
「まあ、あれだけ何回も凄腕テクニシャンにイかせてもらったら、直子の底無しな性欲も、さすがに落ち着くわよねー。羨ましいこと!」
 シーナさまってば、本当に羨ましそうなご様子に見えました。

「それじゃあ、わたしたちも着替えてくるから、直子も帰る支度をして、さっきのゲストルームに戻ってらっしゃい」
「直子のバッグは、ゲストルームに置いてあるからね」
 そう言い残すとシーナさまは、テーブルの上にあった紙袋を掴んで、蘭子さまと一緒にドレッシングルームを出て行かれました。

 お洋服を着ようと思い、ハンガーにきちんと掛けられた自分のスーツを見て、ふと思い出しました。
 そう言えば、私の下着は?
 思えば私は、あのゴージャスなお部屋でストリップをさせられたので、ここに来るときはすでに全裸でした。
 脱いだ下着類は、小野寺さんがすべてまとめてどこかへお持ちなっちゃったのです。
 ブラジャーと、あと、私のいやらしいおツユで汚れたショーツとパンティストッキング・・・
 今更ながらに、赤面してしまいました。

 ドレッシングルームをひととおり見回してみましたが、それらしいものはありません。
 どこかにしまってあるのだろうか?
 でも、まさかチェストとかを無断で開けて見るわけにもいかないし、第一、しまい込む必要なんてまったく無いはずです。
 
 どうしよう?
 恥ずかしいけれど、小野寺さんに聞いてみようか・・・
 施術ルームの扉をそっと開けてみましたが、電気がすべて消されて真っ暗、誰もいらっしゃらないようでした。
 となると、おそらくあのゴージャスなお部屋に戻られたのでしょう。
 うーん・・・ま、いっか。
 とりあえず下着は着けずに身なりを整えて、あのお部屋に戻ろう。
 身も心もスッキリして楽観的になっていた私は、どうせあとは車でお家へ帰るだけなのだから、ノーブラノーパンもさほど大した問題ではないような気分になっていました。

 素肌にブラウスを着て、裸の腰にそのままスカートを履きました。
 生地が薄いブラウスですが、大人しくなった乳首ならぜんぜん目立ちません。
 いつもなら、こんな格好をすればすぐそれなりにムラムラくるのですが、さすがに今はそんな気持ちも湧いてきません。
 メイクを軽く整えてからジャケットを羽織り、裸足にスリッパでスタスタとゴージャスなお部屋に戻りました。

 ゲストルームでは、再びお洒落な私服に着替えられたみなさまが、おのおのソファーや椅子に腰掛けてお紅茶を召し上がっていらっしゃいました。
「失礼します」
 私が入っていくと一斉の拍手。
 どなたもにこやかで、最初の頃より私に対する親密さが増している感じがしました。
 シーナさまとアンジェラさまから、私のからだや最後のマッサージのときのことをいろいろからかわれ、他のみなさまも、もはや遠慮一切無しで楽しげに笑っていらっしゃいました。
 私も、自分を話題にされるのはやっぱり恥ずかしかったけれど、でもそれ以上に楽しい時間がおだやかに過ぎていきました。
 下着のことは自分でも忘れたまま、小一時間ほどみなさまとお茶を飲みながらおしゃべりをしました。

「ワックス脱毛すると、次に生えてくるヘアーはいっそう細くなっているの。ナオコのだったら、たぶん2~3週間はそのままで、その後だんだんチョロチョロって出てくるはずよ」
「だから、次に施術出来るようになるのはたぶん12月ね。今日くらいの濃さになったらまた、必ず来なさい」
 アンジェラさまが私の手を取って、ニコニコ笑いながらのご命令口調でおっしゃいました。
「ナオコのヘアーなら、あと数回通えば、ほとんど生えてこなくなるはずよ」
「だから必ずいらっしゃい、ね?」
 アンジェラさまに固くお約束させられて、サロンを後にしました。

 そんな恥辱まみれないわくつきのパイパンな土手を、シーナさまがスルスル撫ぜてきます。
 デパートのおトイレの狭い個室の中。
 私は必死に口をつぐんで、えっちな声をがまんします。

「あの日の帰り、直子は平気でノーパンノーブラで車に乗っていたわよね?」
「あの頃から、裸でコートなんて破廉恥なアソビを計画していたのじゃないの?」
 シーナさまが私の土手を軽くさすりながら聞いてきます。
「あ、はぃ・・・」
「やっぱりねー。あれだけイかせてもらってまだ10日ちょっとでしょ?本当、ヘンタイ性欲のかたまりなのね、直子って」
「夏休みは全裸生活、エステサロンでみんなの前で死ぬほどイって、懲りもせずに今度は裸コート。呆れた女子大生がいたものだこと」

 結局あの日、私が身に着けていた下着類はすべて小野寺さんがお洗濯してくれて、施術後にはキレイにたたまれた状態でドレッシングルームのテーブルの上に置いてあったのだそうです。
 シーナさまが私のシャワー中にそれを隠し、お部屋からの去り際に手にした紙袋の中身がそれだったのでした。
 車の中でシーナさまに渡されて、あんなに辱めを受けたのに性懲りも無くまだノーブラノーパンでいたいのね、なんてさんざん虐められました。

「今日は自分の意志でそんな格好しているのだから、それなりの覚悟は出来ているのよね?」
 シーナさまがタンポンの紐を引っ張って、一気に引き抜きました。
「うぐっ!」
「わたしと一緒なんだもの、もうこんなものいらないわ。スケベ汁だらだら垂らしながら街中をお散歩しましょ?」
 私から抜き取ったタンポンをポイッと汚物入れに投げ捨てました。
 シーナさまの瞳が、どんどんエス色に染まってきていました。

「まずはどこへ行こうかしら?コートのボタンはずしたまま繁華街を歩いてみる?その後、公園にでも行ってオナニーとかしてみよっか?」
「あのう、シーナさま?私、誰にでも視られたい、っていうわけでは・・・」
「わかっているわよ。男子禁制でしょ?それを破るとわたしがゆりさまから叱られちゃうもの。だから悩んでいるの!」
 怒ったようなシーナさまのお声。
 シーナさまが私の股間から手を離し、腕を組んで考え込みます。

「直子の計画は、ブティックでお買い物して逆ストリップ、だっけ?」
「はい・・・」
「ブティック街でのショッピングは比較的安全だけれど、なんだかマンネリだわね。確かこっちで最初に会ったときもやったわよね?」
 おっぱいを縛られて、貝殻ローターをアソコに挿れたまま試着させられたっけ・・・
「あ、はい・・・」
 あの初夏の日の恥ずかしさを思い出しながら私が答えると同時に、シーナさまのお顔がパッとほころびました。

「そうだった!あの子がいたわ!」
 シーナさまのすっごく嬉しそうなお声。
「うふふ、直子、いいこと思いついちゃったー」
 シーナさまは、ご自分のケータイを開けて何か確認されています。
「たぶん大丈夫と思うわ。この時間帯なら。わたしこれからちょっと電話してくるから、直子はコートをきちんと直して、メイク整えてから出てきて」
 おっしゃりながら個室から出て行こうとされます。

 今のシーナさまのご様子だと、あの日のブティックのノリのいいギャル店員さんに、もう一度会いに行くのかもしれません。
 それはそれで、なんだか懐かしいかも・・・
 でもそれなら、別に電話することもないような・・・
 あっ、ご出勤されているかの確認なのかな?
 そんなことを考えていたら、個室を出かけていたシーナさまが振り向きました。

「あっ、そうだ。直子、代わりのタンポン持ってる?」
「え?いいえ、生憎・・・」
「もう使えない子ね。ならわたしのあげるから、それ突っ込んでおきなさい。まだ新しいお店、汚しちゃったら可哀相だから」
「あのう、これから誰かとお会いするのですか?」
「そうよ。お会いって言うか、お見せって言うか」
 くくっと笑うシーナさま。
「せっかく直子が一生懸命考えた晴れ姿ですもの、わたし一人で愉しむだけじゃもったいないわ。そう思わない?」
 ご自分のバッグからタンポンを一つ出して私に握らせ、そそくさと個室から出て行きました。

 お言いつけ通りに真新しいタンポンを挿入し、コートのボタンをきっちり留めてメイクを直し、女子トイレを出ると、シーナさまは廊下でまだ電話中でした。
 新しいお店?
 ていうことは、このデパートのブティックではないっていうことだよね。
 だとすると、これからいったい、私はどこへ連れて行かれるのだろう?
 こんなに恥ずかしすぎる私の姿を、誰にお視せになるつもりなのだろう?
 エステサロンに連れて行かれたときと同じような、不安7期待3くらいのフクザツな思いが胸に渦巻いていました。

「おっけー。それじゃあ行きましょう」
 シーナさまは、私の右手を取って一直線にエレベーターに向かいました。
 手を引かれておたおたとついていく私。
 エレベーターで地下まで降りると、私鉄とJRの地下連絡通路を進みます。
 これでもう、あのギャル店員さんのお店ではないことが決まりました。
 
 平日の昼間だというのにちょっとびっくりするくらい大勢の老若男女が地下通路を行き来していました。
 裸コート姿でこんなに大勢の人の前に出るのは、もちろん初めてです。
 すごい緊張感が全身に走ります。
 普通にしていればバレるはずないのに、ヘンタイな行為をしているという負い目が背徳感を煽り、ゾクゾク感じてしまいます。
 私ひとりでは、こんなに人がいるところに、この格好で出てくることなんて絶対出来そうもありません。
 シーナさまはずっと無言で、私の手を引いたままスタスタと人混みを優雅にすり抜けていかれます。
 私はシーナさまの左手を命綱のようにギューッと握って、一生懸命ついていきました。

 途中の地下街で、有名なサンドイッチショップのサンドイッチをシーナさまがたくさん買って私に持たせ、さらに地下通路を進んでいきました。
 ここまで来ちゃうと確かもう西口のはず。
 こっちに来て半年以上経ちますが、西口に来るのは初めてでした。
 地下通路が突き当たりになる頃、シーナさまがようやく地上への階段を上り始めました。


コートを脱いで昼食を 23


2013年11月24日

コートを脱いで昼食を 21


「さあ、これで蹴飛ばされる心配も無くなったし、残りの半分とビキニラインは、あなたたちで実習してちょうだい」
「3人で代わりばんこに施術するといいわ。仕上げは、わたくしがやるから」
「はいっ!」
 アンジェラさんが一歩退き、代わってリナリナトリオのみなさんが、ほぼ180度に両腿を開いたままベッドに縛り付けられた私の下半身を取り囲みました。
「ワックスを塗るときは毛流れに沿って、剥がすときは逆方向へ水平に、よ」
「はいっ!」
 アンジェラさんのご指導に元気良くお返事されるお3人。

 最初はアリナさん。
 恐る恐るという感じで私のラビアを引っ張りながら、ヘラでワックスを塗りました。
「剥がしまーす」
 可愛らしいお声とともにベリッとワックスが剥がされます。
「あうっ!」
 アンジェラさんのときよりも痛さが増しています。
 慣れていらっしゃらないので仕方ないことなのでしょうけれど。

 つづいてマリナさん、セリナさんの順番で、施術が進んでいきました。
 アンジェラさんのようにテンポ良くとは行かず、ぎこちない手つきで性器を弄られ、ラビアを引っ張られ、下半身のムズムズが治まりません。
「あぁんっ!」
 毛を引き抜かれる痛みに、思わず両膝を閉じようとしますが、きっちり縛り付けられた私の両脚はビクとも動きません。
 包帯のロープが膝の裏側に食い込んでくるだけです。
 下半身を拘束されアソコを全開にしているという被虐感と、性器周辺を襲う物理的な痛みに、私のマゾ性は大悦び。
 どんどんいやらしい気分になっていました。
 エステティックの施術を受けているはずなのに、私の頭の中では、誰か悪い人に拉致監禁され、えっちな拷問を受けている妄想が渦巻いていました。

「ぁはんっ!」
「ぃやんっ!」
 ワックスが剥がされるたびに呻いてしまいます。
「あら、ナオコったら、お声がずいぶん色っぽくなってきたわね?」
 アンジェラさんがイタズラっぽく微笑みかけてきます。
「もう少しの辛抱よ。あとはビキニラインだけだから」
 何度も呻いているうちに、施術は土手部分に移っていました。
 モニターの中の私のアソコ周辺はもはやツルツル。
 毛が残っているのはその上部分だけになっていました。

 その部分もリナリナトリオのみなさんの、幾分慣れてきた感じの施術ですっかり抜かれ、最後にアンジェラさんがピンセットみたいなので仕上げをされている最中に、シーナさまと蘭子さんが戻っていらっしゃいました。

「あらあら、スゴイ格好にされちゃったわねー」
 入ってくるなりシーナさまが、さっきアンジェラさんがおっしゃったのと同じようなお言葉を、私に投げかけてきました。
「直子のお望み通りな展開じゃない?嬉しいでしょう?」
 シーナさまは白いバスローブ姿、蘭子さんは水色のユニホーム姿でした。

「あら?ミス・シーナ、お帰りなさい。こっちももうそろそろで終わるわ」
 私のラビアを掻き分けて、毛を一本引き抜きつつ、アンジェラさんがおっしゃいました。
「ああんっ!」
 毛が抜かれた痛みに、私のはしたない喘ぎ。
「こんな声をずっと聞かされどうしじゃ、あなたたちもさぞやりにくかったでしょう?」
 シーナさまのおどけたお言葉に、リナリナトリオの快活な笑い声がかぶさりました。

「さ、これでいいわね。ナオコ、長い間お疲れさま。ローション塗って施術完了」
 土手から性器にかけて、ひんやりとしたローションが、アンジェラさんの手で揉み込むように塗られます。
「あぁううーんっ」
 その冷たい感触にアソコを撫ぜられ、クリトリスにもスースーする刺激を感じて、抑えきれずにいやらしい声が洩れてしまいました。

「ねえ?ミス・シーナ。ご相談なのだけれど・・・」
 アンジェラさんが私の股間をさすりながら、シーナさまに尋ねました。
「わたくし、ナオコを見ていたらなんだかかわいそうになっちゃって。この子、一生懸命がまんして、わたくしたちに協力してくださったでしょう?」
「ここもこんなになっちゃっているのに、ヘンな声をあげないように、真っ赤になってがまんしてたわ」
 私のクリトリスをゴム手袋の指でサワサワ撫ぜつつ、つづけます。
「んふんっ!」
「だからご褒美をあげたいの。わたくしの特別マッサージで」
 アンジェラさんの手が私の股間から離れました。

「つまり、直子をイかせてあげる、っていうこと?」
「まあ!お下品な言い方ね。オーガズムに導くのよ」
 アンジェラさんが笑いながら訂正されました。
「どう?直子。オーガズムに導いてくれるってさ?」
 シーナさまが私の顔を覗き込みます。
「あ、はい・・・」
「はい、じゃないわよ。イきたいの?」
「あ、えっと、は、はい・・・」
「こんなみんなが見ている前で、イきたいんだ?はしたない子ねー。呆れちゃう。だったら自分からアンジーにお願いしなさい。どうかイかせてください、って」
 シーナさまのお顔がイジワルそうに笑っていました。

 私の性的昂ぶりは、もう爆発寸前でした。
 一刻も早く出口へ誘導してあげないと、気がヘンになってしまいそうなほどの、待ったなし状態でした。
 もはや恥も外聞もありません。
「ア、アンジェラ先生さま、どうか、どうか直子をイかせてくださいぃ」
 上半身だけ起こして、マゾの服従ポーズのまま、アンジェラさまに哀願しました
「あらー、先生だなんて、かわいい子ね。わかったわ。わたくしがすごく気持ちのいいマッサージしてさしあげるわ」
「施術の後は、その部分はあまり刺激しないほうがいいのだけれど、幸いナオコは出血もなかったし、肌も比較的丈夫そうだから」

「下半身は縛ったままでいいわよ。直子は、そういうのが好みなヘンタイだから」
「あなたたちもよーく見ていてやってね。他人のイキ顔なんて、ライブでそうそう拝めるものじゃないから、貴重な体験よ」
 リナリナトリオのみなさんが、ドッと笑いました。

 私の腰を浮かせていた毛布が取り除かれ、フワフワタオルも取り除かれました。
 合皮らしいベッドの表面に直に肌を付けている状態。
 仰向け全裸で、頭の下に両手を置いた服従ポーズ、下半身は全開で縛り付けられたまま。
 そんな私を、アリナさん、マリナさん、セリナさん、蘭子さん、シーナさま、アンジェラさま、そして小野寺さんのビデオカメラが取り囲み見下ろしています。

「からだの力を全部抜いて、リラックスしていてね?」
 おっしゃりながら、透明なローションをボトルから直に、私の胸やお腹にたっぷり垂らしてきました。
「あんっ!」
 その冷たい感触に全身がピクリと跳ねます。
 ヌルヌルローションをからだ全体に行き渡らせるようにアンジェラさまの両手が私の肌を這い、やがて私のふたつのおっぱいをやんわり包んで来ました。
「あはぁん」
「ナオコのブレストはやわらかいわねー。いいさわり心地。でもニップルはコチコチね」
「うふぅん」
 おっぱいをふわふわ揉みしだかれて、私はクネクネ身悶えます。
「ううぅんっ」
「いいわよ、気持ち良かったらどんどんお声を出して鳴いちゃって。もうがまんすることはないわ」
 アンジェラさまの両手が、私の上半身のいたるところを、揉み解すみたいに撫ぜ回してきます。
 すっごく気持ちいい。
 からだが溶けちゃいそう。

 アンジェラさんの両手は、段々と下腹部に移っていき、私の全身はローションまみれのヌルヌル。
「このローションはね、ちょっぴり媚薬みたいな効果もあるの」
 そして右手がついに、アソコを包み込みました。

「蘭子さん?わたくしはナオコに、これ以上無いくらい気持ち良くなって欲しいから、ブレストのケアを手伝っていただける?」
「はい。わかりました」
 アンジェラさまのお言葉で、蘭子さまが私の傍に立ち、私のおっぱいを揉み始めました。
「あー、いいなー直子。アンジーと蘭子さんふたりがかり。なんて豪華なマッサージだこと!」
 シーナさまの拗ねたようなお声が可笑しくて、思わずつぶっていた目を開けると、リナリナトリオのみなさんの食い入るような視線とぶつかりました。

 それと同時に、アンジェラさまの指がズブリと、私の中に侵入してきました。
「あうっ!」
 再びギュッと目をつぶり、4本の手が与えてくれる快感に身を委ねます。
 それからは、完全に我を忘れていました
 おっぱいは、時に優しく、時に激しく揉みしだかれ、ときどき乳首が指の間でキュッと挟まれます。
 アソコに入った指は、本数が2本に増え、膣壁を擦るように至るところを掻きまわし、もう片方の手はずっと、クリットを撫でたりつまんだりしています。
「あふん」
「んぐっ」
「いやん」
「いい、いいい!!!」
 すぐに一回目の絶頂がきましたが、4本の手は止まりません。

「ナオコのヴァジャイナの中、すごく熱いわね。キュッキュッて締め付けてくるわ。あ、また達したわね?」
「ふぅぅんっ!」
「ああん、そこぉ」
「いく、いく、いっちゃうぅ」
「だめ、だめ、もっとぉ・・・」
 何回イってもアンジェラさまと蘭子さまは許しでくださいません。
 ピチャピチャという卑猥な音と私のハアハアと荒げた息遣いが、低く流れるモーツアルトのピアノ曲をかき消します。

 なんだか手が増えたな、と思い目を開けると、おっぱいはシーナさまの担当になっていました。
 私の乳首を乱暴につまんで引っ張ったり潰したりしています。
 蘭子さまは、わき腹やお腹をマッサージされています。
「あぅ、あぅ」
「いい、いいぃ・・・」
 もう何度イったかわかりません。
 6本の手にさわられている部分すべてが性感帯となり、グングン昂ぶります。
 からだが宙に浮いているように、気持ちのいい波が寄せては返しつづけます。

「ああん、でちゃうぅ、でちゃうぅぅぅ」
 中を掻きまわしている指が手前のほうのある部分に触れたとき、とっさにそんな言葉が自分の口から飛び出しました。
「いいわよー。出しちゃうと気持ちいいから、出しちゃいなさーい」
 アンジェラさんのお言葉に、そうか、出しちゃっていいんだ、って素直に思い力を抜いた途端、ピューッと何かを放出しました。
「うわーーっ!」
 リナリナトリオの盛大なざわめき。
 潮を吹いちゃったのです。

「もうナオコのGスポットは覚えたわ。ここを刺激すれば何度でも出るわよ。どんどん出しちゃってスッキリしちゃいましょう」
 アンジェラさまの指で執拗にソコを責め立てられ、私は何度もピューピュー吹いて、ビクンビクンとイきました。

「そうそう、最近の若い子は、ネットの掲示板やつぶやきなんかで、職業上で知ったお客様のプライバシーを気軽に書いちゃって問題になっているけれど」
「今日のナオコみたいに、少し普通とは違うご趣味のかたは、あなたたちにとっては興味津々で、誰かにお話したくなる気持ちもあるでしょう」
「うちのお客様には、世間でお名前の知られたかたや、社会的な地位の高いかたのマダムなどもたくさんいらっしゃいます」
「このお仕事では、そんな方々のプライバシーを知る場合もあるでしょうけれど、それらは決して、一切口外してはいけません」
「わたくしたちのお仕事は、肌を直接触れるお仕事でもありますから、お客様からの信頼と守秘義務とで成り立っています」
「ですから、お仕事上で知ったお客様のご趣味や嗜好を、たとえお友達との世間話と言えども、話題にすることは厳禁です」
「もしも、そのようなことをして発覚した場合は、この手のお仕事はそれ以降、一切出来ないように全国的に手配しますし、それなりの損害賠償も直接請求します」
「これはプロとして必ず絶対に守ってください。わかりましたね?」
「はいっ!」

 私のアソコを責め立てつつ、リナリナトリオのみなさんに、そんなふうに言い聞かせるアンジェラさまのお言葉を、どこか遠くのほうから聞こえてくるように感じながら、私は何度も何度も全身を震わせてイきつづけました。


コートを脱いで昼食を 22


2013年11月18日

コートを脱いで昼食を 20

「それでは施術をつづけましょう」
 アンジェラさんが再びタオルを持ち、私の股間を覆って拭い始めました。
「ナオコのヴァジャイナ、すごく熱くなっているわね?もう少しの辛抱だから、がんばってね」
 おやさしげにおっしゃりながら、膣を軽く叩くみたいにして、滲み出た私のえっちなおツユをタオルに染み込ませています。
「ぁぁんっ!」
 ときどきタオルの端がコソッと剥き出しの肉の芽をくすぐり、そのたびにピクンと感じてしまいます。

 さっきと同じように汚れたタオルをセリナさんに渡した後、施術が始まりました。
「無駄な力は抜いて、下半身をリラックスした状態にしていてね?ナオコ」
 私の左側に立ったアンジェラさんが、私の股間に覆いかぶさるようにしながら、手早くヘラでワックスを塗っては、剥がしていきます。

「んっ!」
 お尻のときよりは、何て言うか、ちゃんと痛い感じ。
 ローソクプレイで言えば、より低い位置からロウを垂れされている感じです。
「あうっ!
「はぁんっ!」
 アンジェラさんの指で陰唇を引っ張られつつ、伸ばした輪ゴムをパチンと当てられたような痛みが、性器ギリギリの敏感な皮膚を襲いつづけます。
「はうっ!」
「ううっ!」
 一生懸命抑え込んでいるつもりなのですが、どうしても呻き声が洩れてしまいます。
 からだ中がどんどん疼いてきて、身悶えしちゃいそうになっています。

「セリナさん、タオルを」
 アンジェラさんのお声で小休止。
 モニターを見ると、パックリ開いたピンクの粘膜が懲りもせず、水あめでコーティングしたようにライトを反射して再びキラキラきらめいていました。
 恥ずかしい・・・
 私が見入っているモニターの中で、その部分にタオルがかけられました。

 シーナさまがお部屋からいなくなってから、この場の雰囲気も少し和らいだみたいでした。
 内輪っぽい雰囲気が漂い、私語も増えてきました。
 リナリナトリオのおひとりが、ニヤニヤしながらセリナさんに何か耳打ちしています。
 それを聞いてセリナさんがあらためてモニターに目をやり、それから私の顔を窺うように視線を泳がせ、頬を赤らめてうつむきました。
 そんな彼女たちを見ていると、私もあらためて、今の自分の格好と状態の恥ずかしさに、いたたまれなくなってきてしまいます。
 彼女たちは真面目にお仕事をされているだけなのに、私だけ勝手にどんどん発情してしまっているのですから。

 タオルがはずされると、私の性器周辺左側下四分の一くらいの毛が見事に無くなっていました。
 間髪を入れず、アンジェラさんが施術を再開されます。
「あんっ!」
「んんっ!」
 再び呻き始める私。
 声ぐらい出していないと、本当にどうにかなっちゃいそうなほど欲情していました。

 ワックスの位置が段々上に来て、裂け始めのすぐ脇、恥ずかしい肉の芽のすぐ横の毛に塗られ、剥がされたときでした。
 今までより格段に激しい痛みが、全身をつらぬきました。
「ぃたいっ!!」
「キャッ!」
 私の呻きにアンジェラさんの悲鳴が重なりました。

「ごめんなさいっ!」
 上半身をあわてて起こして、アンジェラさんに謝りました。
 思わぬ痛みに反射的に両膝を立てて閉じてしまい、両方の膝頭でアンジェラさんの右の二の腕を強く挟んでしまったようでした。
「いいのよ。心配しないで。痛かったのよね?よくあることよ。逃げ遅れたわたくしがいけないの」
 アンジェラさんがニッコリ笑って、私を見つめてくれます。
「本当にごめんなさい。これからは絶対にがまんしますから、許してください」
 泣きそうになりながら、その目をすがるように見て謝ります。

「大丈夫。ナオコはがまん強いわ。痛さで暴れるお客様もけっこういらっしゃって、それは承知のことですから。今のはわたくしのミスよ」
「みなさんも注意してくださいね。ワックスを剥がしたら、さっとお客様から離れること。これも技術のひとつです」
「予想外の痛みを感じると、お客様のからだは反射的に動いてしまいます」
「とく仰向けの場合は、脚をでたらめに振り上げてしまうかたもいらっしゃいます」
「膝蹴りとか、まともに受けると怪我しちゃいますからね」
「だから、うまく避けることも、一流エステティシャンとして必要なテクニックです」
「なるべく痛みを感じさせないように施術するのが一番なのですけれどね」
 右の二の腕をさすりながら、アンジェラさんがリナリナトリオのみなさんに説明されています。

「でも、あなたたちはまだ慣れていないから、ちょっと危ないかなー?」
 アンジェラさんが私の顔をまだ見つめつつ、思案顔になりました。
「こっちの半分は、あなたたたちに実習してもらおうかと考えていたのだけれど・・・」
 まだ毛が残っている私の性器の右半分の側を指さしながらのお言葉。
「あなたたちが交代で、ナオコの両膝を押さえていてもらえば、大丈夫かしら?・・・」

 同年代くらいの女性たちの手で両脚を押さえつけられ、無理矢理アソコの毛を引き抜かれる私・・・
 アンジェラさんのお言葉を聴いた途端、パーッと屈辱的な妄想が広がり、ゾクゾクが止まりません。

「それでしたらっ!」
 リナリナトリオの中で、一番明るくて快活な感じな、フワフワウェーブヘアが可愛らしい小柄な女性が一歩前に出て来て、アンジェラさんに向かって右手を高く上げました。
 発言したくてしょうがなかったようなご様子。
 大きな丸いふたつの瞳が、好奇心で爛々と輝いているように見えました。

「先ほどのお連れのかたがおっしゃったように、失礼して軽く縛らせていただいたらどうでしょう?」
 溌剌とした明るいお声。
「こちらのお客様、そういうご趣味をお持ちのようですし・・・」
 私の顔に、盗み見るような視線を走らせてから、クスリと小さく笑ったのを聞いて、今まで私が辱めを受けるたびにクスクス笑っていたのは、この人だと思いました。
 今はそのつぶらな瞳を大きく開いて、至近距離からじっと私のアソコを見つめています。
 その全身から、興味津々、という四文字がほとばしっています。

「あら、アリナさんたら、大胆ねぇ」
 アンジェラさんが小さく苦笑いを浮かべ、まだ上半身を起こしたままの私の顔を覗き込んできました。
「ねえナオコ?本当に縛っちゃってもいいの?」
「あっ、はい。もちろんかまいません。縛られるのは慣れていますし・・・」
 服従ポーズのまま小さくお答えしたら、アリナさんがまたクスッと笑いました。
 私は、余計なことを言っちゃった、って真っ赤になりつつも、思いもよらない展開にドキドキが治まりません。

 まさかこんなところで縛られちゃうなんて・・・
 それも今日会ったばかりの女性たちの目の前で・・・
 その上、ビデオで記録のオマケつき・・・
 きっと今の私は、マゾ顔全開のはずです。

「そうねえ・・・でもうちにはそういう種類のロープとかないし。マダム・ワカバヤシのときはいつもミス・シーナがご持参されるから」
 シーナさまってば、やっぱりここで、そういうこともやってらしたんだ・・・
「荷造り用のビニールヒモでは、何て言うか、エレガントではないわよねぇ・・・」
 アンジェラさんがまた思案顔になると、すっごく嬉しそうなお顔のアリナさんがまた、右手を高く上げました。
「はい!あたしいいもの知っています。確かコスメのお部屋に、サニタリーの業者さんからモニターでいただいた包帯がたくさんあったはずです。あたし、取ってきます!」
 弾んだお声でそうおっしゃると即座に、タッタッタとお部屋を出て行きました。

「包帯ね。それはいいわ。包帯ならお肌も傷つかないし」
 アンジェラさんが私を見ました。
「本当にいいのね?縛っちゃうわよ?」
 イタズラっぽく聞いてきました。
「は、はい・・・お願いします・・・」
 私はゾクゾク感じながらお答えしました。
「ひょっとして、嬉しいの?」
「は、はい・・・」
 私にもはや理性は残っていません。
 恥辱の快感に、身も心もどっぷり浸りきっていました。

 アリナさんが包帯のロールを両手一杯に抱えて戻ってきました。
「これだけあれば足りますよね?」
 本当にすっごく嬉しそうです。
「包帯だったら、マリナさんがお得意だったわね?お願いできるかしら?」
 アンジェラさんからマリナさんと呼ばれた女性、ショートカットで理知的なお顔をされた、細身でちょっぴりボーイッシュな感じの美人さん、が、はい、と答えて近づいてきました。
「この人もね、看護師の免許をお持ちなの。整形外科の病院に2年くらい勤めていらっしゃったのよね?」
「はい」
 涼しげなお声でお答えになるマリナさん。
 これでお三人のお顔とお名前が一致しました。

「このままの姿勢で固定すればよろしいですか?」
 マリナさんがアンジェラさんに尋ねています。
 私は、上半身は起こしていますが、下半身は自発的にさっきまでの姿勢、足の裏をペッタリくっつけて、両膝を内腿とふくらはぎがくっつくまで折り、左右ほぼ水平にまで開いた形、に戻っていました。
 したがってアソコはまた、パックリ開きっ放しです。

「そうね。ナオコがそれでいいのなら。どう?ナオコ」
「はい・・・大丈夫です・・・お、お願いします・・・」
アンジェラさんを見て、それからマリナさんを見ました。
「わかりました」
 薄く笑ったマリナさんが、包帯のロールを片手にツカツカと私の足元まで移動しました。
「失礼します」
 言うや否や、ペッタリと合わせた私の足の左右の甲を、やんわりと捕まれました。
「背中を下ろして仰向けに戻ってください」
 言われた通りにふわふわタオルに再び背中を預けました。

 寝そべると同時に私の両足首が持ち上げられました。
 腰が浮いて、お尻を宙に突き出す格好になります。
 マリナさんの視線のすぐ前に、私のお尻の穴があるはずです。
 その状態のままマリナさんが手際良く、私の両足首から下をひとつにした形で、包帯でグルグル巻きにしていきました。

 両足のかかとから爪先までが包帯の白いひとかたまりとなって、まったく動かせなくなりました。
 その包帯は、普通のものより少しザラザラしている感じで、とくに何もしなくても巻いただけでくっついちゃう仕様のようでした。
 その感触に、そう言えば以前、こういう仕様の赤いテープで、やよい先生に拘束されたことがあったなあ、なんて唐突に思い出しました。

 足先が終わって、今度は膝の固定です。
 まず左脚。
ふくらはぎと内腿をピッタリくっつけたまま、太腿から脛のあたりまでを包帯でグルグルひとくくりにされました。
 同様に右脚も。
 これで私の両脚は、膝を折ったままの、ほぼ全開状態に固定されました。

「ちょっと両脚を閉じようとしてみていただけますか?」
 マリナさんのお言葉で両脚に力を入れ、膝を閉じようと試みます。
 でも、両足首ががっちり固定されているので、太腿がいくらか内側に動くくらい。
 閉じることなど出来ません。
 これでもう、いくら痛くても、両膝で施術のかたを挟んでしまう心配はないようです。

 だけどマリナさんは、なんだかまだ不満そう。
「やっぱり、少し動いちゃうわね・・・」
 独り言のようにつぶやきました。

「この後、Vラインもつづけてやってしまうのですよね?」
 マリナさんが今度はアンジェラさんに尋ねました。
「そうね。一気にやってしまいましょう」
「それだったら、ちょっとくらい包帯が緩んでも動けなくしておいたほうがいいですよね・・・」
 マリナさんの冷静なお顔は、私にはとてもエスっぽく見えました。

 少し考えてから、マリナさんがおもむろに、包帯を数メートルずつに切り始めました。
 そして、それらを束ねて縄のように縒ってから、まず曲げた左膝の内側の隙間から通し、その端をベッド下のパイプに括り付けました。
 私の折り曲げた左脚は、ピンと張りつめた包帯のロープでベッドにベッタリと固定され、敷かれたタオルから離れることが出来なくなりました。
 同じように右膝、そして、ひとつに括られた両足先もベッド下のパイプに繋がれました。

「痛くないですか?」
 マリナさんが、お仕事中の看護婦さんそのものなクールなお声で聞いてきます。
「ぁ、はぁぃ・・・」
 自分の下半身がどんどん動かせなくなっていくことに、眩暈しちゃうほどの陶酔を感じていた私は、いやらしいマゾ声でうなずきました。

「今、縛っていて思いついたのですが、こうするともっと施術がしやすくなると思います」
 マリナさんがアンジェラさんに向けておっしゃってから、今度はセリナさんのほうを向いてつづけました。
「セリナさん、あそこの戸棚から毛布を一枚、持ってきてくださる?」
 セリナさんがタタッと駆け出し、すぐに毛布を抱えて戻ってきました。
「ううん、たたんだままでいいの」
 毛布を広げようとされたセリナさんを制します。

 マリナさんはその毛布をさらに、大きめな枕くらいの大きさにまでたたんでから、ちょっと失礼、と、私の腰のあたりのふんわりタオルの下に手を潜り込ませ、私の腰を持ち上げて、その隙間に折りたたんだ毛布を挿入しました。
 その結果、差し込まれた毛布によって私の腰は以前より10センチくらい浮き上がり、背中が若干弓反りな姿勢になっていました。
 仰向けに寝そべっている私から見ると、中空に自分の下腹部が突き出され、その先が見えない状態。
 必然的に傍から見れば、剥き出しの股間を高く突き出すような格好になっているはずです。
 腰の位置が高くなったおかげで、両脚を繋ぐ包帯ロープの張力も増して、膝の内側にいっそう食い込み、被虐感を煽ってきます。。
 私の下半身は、すっごく恥ずかしい状態で完全に拘束されてしまいました。

 小野寺さんのカメラが私の今の状態を、足元からゆっくり舐めるように映してくれています。
 
 真っ白な包帯で固められた両足先。
 両膝を折り曲げたまま全開でベッドにくくりつけられた両脚。
 これみよがしに高く突き出された、施術途中の毛が残る、開いて濡れそぼったアソコ。
 薄い毛が翳る土手部分から下り坂になり、縦に伸びたおへそ。
 仰向けのために若干左右に垂れ下がり気味なふたつの乳房。
 相変わらず天を衝くふたつの乳首。
 マゾの服従ポーズの両腋には汗が滲んでいます。
 首に巻かれたメス犬マゾな証の赤いチョーカー。
 そして、恥辱の興奮に歪む、私の真っ赤な顔。

「あらあら、スゴイ格好になっちゃたわねえ、ナオコ」
 アンジェラさんが少し呆れたようなお声でつぶやきました。
「でも白い包帯っていうのはいいわね。なんだかフェティッシュで。ゾクゾクしちゃうくらいエロティックだわ」
 アンジェラさんの右手が私の足先の包帯をそっと撫ぜました。

「それにしてもマリナさん、あなた手際がいいわね?感心しちゃった」
「あ、はい。わたしも以前の職業柄、SMとか興味あったので、看護師時代に少し研究しました。看護師には多いですよ。その手の人」
 照れ臭そうにおっしゃるマリナさん。
「あ、でもわたしは、あくまでもエスのほうですから」
 お口の端をクイッと上げたクールな微笑を私に向けながら、マリナさんがそう付け加えられました。
 やっぱり、と思いました。


コートを脱いで昼食を 21


2013年11月10日

コートを脱いで昼食を 19

 お尻をされていたときは、ずっとうつぶせだったので、アンジェラさんたちがどんなご様子で、どんな表情で私の恥ずかしい姿をご覧になっていたのか、わかりませんでした。
 逆に私も、施術でお尻を弄られて感じてしまい、いやらしく歪んでいたであろう自分の表情を、みなさまに見られずにすんでいました。
 それが、ある意味救いでもあり、ある意味物足りなくもありました。

 今度は仰向け。
 否が応でもアンジェラさんたちとお顔をつき合わせて、お互いの反応を目の当たりにしながら施術を受けることになります。
 仰向けになれば、尖っている乳首も淫らな表情も隠せません。
 アソコの周辺の施術ですから、それなりの格好にもさせられるでしょう。
 溢れるほどの蜜をたたえたその部分を、さらけ出さなくてはいけなくなるはずです。
 お尻のときに間近でご覧になっているとはいえ、アンジェラさんたちは、そんな私を見てどんな反応を示されるのでしょう?

 お尻の施術で蓄積された欲情は、一刻も早い昇華を望んでいました。
 こんな状態でアソコを弄られたら・・・
 もちろん出来る限りはガマンするつもりですが、まったく自信はありません。
 きっとお尻のとき以上に、はしたなく身悶えてしまうはずです。
 私がいやらしく悦ぶ姿を、正面から間近で、みなさまに見られてしまうことになるでしょう。
 私のドキドキは最高潮。
 視て欲しいけれど、でもやっぱり恥ずかしい・・・
 はい、と答えはしたものの、からだを反転させることを躊躇していました。

「アイ部分というのは、アヌスからヴルヴァの先まで、ヴァジャイナの左右ラビアを含む直線的な部分です」
「アヌスからヴルヴァの端までは、日本語だと、会陰とか蟻の門渡り、なんて言い方もあるわね」
「この部分は全体に皮膚がやわらかく、また、性器というからだの中で一番プライヴェートな箇所でもありますから、女性にとって肉体的にも精神的にも一番デリケートな領域です」
「その部分に触れての施術となりますし、痛みを感じるお客様もこの部分の施術が一番多いので、あらゆる面で細心の注意と心配りが必要です」
「ヘアの生え方の流れも、部位によって細かく異なります。ですからまず、じっくり観察することです」

 アンジェラさんが研修のお3人にご説明されているあいだ、小野寺さんが近づいてきて、私の頭のところにあったテレビモニターをベッドの左側に移動されました。
 仰向けになっても私がモニターを見られるように、というご配慮でしょう。
 今度はあのモニターに、私のアソコが大写しになるんだ・・・
 うつぶせのまま枕にギューッと顔を押し付けていたら、アンジェラさんからお声が掛かりました。

「恥ずかしがる必要はないのよ?ミス・ナオコ。あなたのからだは綺麗だもの。この子たちもみんな、ずっと羨ましそうに見ていたわ」
「感じたら感じるままでいいから、だから、さ、早く仰向けになりなさい?」
 アンジェラさんの手が私の背中に触れました。

「は、はい・・・」
 意を決して、両手で顔を覆って隠してから、思い切ってからだを反転し、仰向けになりました。
 みなさまと視線を合わせるのが、なんだかきまりが悪くて、とても怖かったのです。
 勢いが良すぎて、おっぱいがブルルンと派手に揺れました。
 顔を覆う両手の肘で、ふたつの乳首を押し潰すように隠し、もちろん両脚もピッタリと揃えています。

 すかさずシーナさまから冷たいお声が降り注ぎました。
「何をいまさら顔とおっぱい、隠してるのよ?直子は視られたがりのマゾでしょ?マゾの両手は頭の後ろよっ!」
「直子がえっちにサカっちゃっているのは、もうみんなわかっているんだから、さっさと言われた通りになさい!」
 ポインターペンで手の甲をつつかれ、仰向けでの、マゾの服従ポーズ、のご命令。
 あーん、もうどうにでもしてくださいーっ!
 開き直り気味に観念して両手を顔からはずし、腹筋運動をするときみたいに後頭部にあてました。

 アンジェラさん、リナリナトリオのお3人、蘭子さん、シーナさまが、ベッドを取り囲んで私を見下ろしていました。
 仰向けから見上げると、どなたのお顔も翳り気味で、みなさん、薄いニヤニヤ笑いを浮かべでいるように見えました。
 気分はまさに、淫らな生体実験の被験体、囚われの慰み者・・・
 羞恥と被虐感で胸が張り裂けそうです。

 不意にベッド脇のモニターが明るくなり、横目で追うと、私の顔が映っていました。
 これはつまり小野寺さんの視線。
 しばらく私の顔を映してからゆっくりと外れたカメラは、首筋を通って両腋を映し、右のおっぱいで止まりました。
 天を衝くように隆起しているラズベリー色の大きめな乳首にズームしてしばらく留まった後、左の乳首に移りました。
 それからおへそを通過して、まばらに陰毛の生えた土手へ。
 私のからだを、文字通り隅々まで舐めまわすこの映像は、全部記録されているんだ・・・
 見知らぬ人たちに、私のその部分を見せるために・・・
 そんなことを考えていたら、アソコの奥から、淫らな欲求がキュンキュン渦を巻いて湧き上がってきます。
 ああんっ!
 被虐な妄想が止まりません。

「はい。それでは I 部分の施術に入りましょう」
 アンジェラさんの一声で、妄想が途切れました。
 ベッドの左側、私の腰のあたりにアンジェラさんと研修のお3人、その対面右側にはビデオカメラを構えた小野寺さん。
 シーナさまと蘭子さんは、足元のほうに立ち、まっすぐに私を見下ろしています。

「ミス・ナオコ?そんなに脚をぴったり閉じていたら、施術出来ないわ」
 アンジェラさんが、からかうみたいな笑みを浮かべておっしゃいました。
 ビクン!
 いずれアソコをみなさまにお見せするような格好にならなくてはいけない、と覚悟はしていましたが、とうとうそのときがやって来てしまいました。
 どんな格好にされるのだろう?
 ドキドキしていたら、またおツユが・・・

「わたくしの言うとおりのポーズにおなりなさい」
 アンジェラさんの口調が、なんとなくご命令ぽくなってきている気がしました。
「左右の足の裏をペッタリくっつけるの。爪先からかかとまで、ペッタリとね」

 一瞬、おっしゃた意味がわかりませんでした。
 足の裏をくっつける?
 そんなことだけでいいのかしら?
「は、はい・・・」
 お答えして、実際にそうしようと脚を動かし始めたらすぐ、気がつきました。

 足の裏を向き合わせるためには、両脚を横向きにしなければなりません。。
 そうして足裏を合わせようとすれば、膝を左右とも外向きに曲げなければならず、ペッタリ合わせようとするほど、より深く曲げることになります。
 必然的に両太股が割れて、その交差部分のスジも開いてしまいます。
「ぁんっ!ぃやん」
 仰向けで、両脚の膝だけ45度くらいずつ曲げています。
 足の裏をペッタリ合わせるために、両脚で菱形を形作っているような格好になりました。

 下半身の小さく割れた唇から、ようやく出口をみつけた洪水がトロリとお尻の穴のほうへと滴り、タオルに吸い込まれていきます。
 その粘液の感触で、施術したての無毛なお尻の穴がくすぐったい。
 アンジェラさんたちの目は、そこに釘付け。
 モニターにももちろん、蜜が滴る唇がアップで映っていました。
 いやっ!恥ずかしすぎるっ!
 一刻も早く隠したいけれど、両手は頭の下なので隠すことは出来ません。

「はい。良く出来ました。でももう少し開いていただけるかしら、ミス・ナオコ?」
 アンジェラさんが私のソコを覗き込むようにしながら、おっしゃいました。
「両足をくっつけたまま、もっと腰のほうへ近づけるの」
「えっ?」
 戸惑いつつも、お言いつけ通りにしてみます。
「んっ!」
 足のかかとがお尻に近づくと、両腿がいっそう広がります。
「もっと!」
「んっ!」
「もっとよ!」
「ぁぁーんっ!」

 両腿がほぼ180度に開いていました。
 膝の関節は閉じたコンパスのように、ふくらはぎと内腿がピッタリくっついた状態。
 その状態で左右にほぼ全開しているので、両腿の交わり部分もパックリとお口を開けっ放しになってしまいました。
「ちょっと辛いかもしれないけれど、そのポーズをキープしておいてね」
 アンジェラさんが私の開かれた部分をまじまじと見つめつつ、おっしゃいました。

「それにしても本当に、お綺麗なヴルヴァよねー。肌と一緒で真っ白だし、余計なものが一切はみ出ていないわ」
「これ、ヘア処理したら一直線でしょ?プックリしていて、まさにキャメルトゥね。艶かしいわ」
「ヘアは少ないから、施術はイージーね。セリナさん、タオル取ってちょうだい」
 セリナさんと呼ばれた、リナリナトリオで一番背が高いワンカールボブの子が、あわててタオルを差し出しました。
 その小さくて綺麗なお顔が、真っ赤に火照っていました。

「ミス・ナオコ、ちょっと失礼するわよ?」
 アンジェラさんがおっしゃりながら、タオルで私の股間を塞ぎました。
「あんっ!」
 不意の感触に思わず声を上げてしまいます。
「あら、可愛いらしいお声だこと。感じやすいのね?」
 そのまま中の粘膜を擦るように、溜まった蜜を拭っています。
 私は一生懸命、はしたない声をガマンします。

「だけどこんなにビシャビシャだと施術しにくいから、ね?」
「ねえミス・ナオコ?これって、さっきのアヌスでの施術で感じてしまったからなの?」
 アンジェラさんが、まだ私の股間をさすりながら尋ねてきます。
「あっ、それは、えっと・・・」

「それもあるけれど、この子は視られていること自体でも感じちゃうのよ。ね、直子?」
 シーナさまがお口をはさみました。
「でも、わたくしたちは同性じゃない?恥ずかしさは、それはあるでしょうけれど、ここまでセクシーな気分になってしまうもの?」
「だから直子は、そういう子なのよ。同性に恥ずかしい格好を視られて、虐められて、辱められるのが大好きなの。ちなみにオトコは一切NG」
「あらぁ、そうなの。それならひょっとして、ここには、殿方のアレは、一度も入ったことがないのね?」
 アンジェラさんのタオルが、より奥へ入ってきました。
「ぁふんっ・・・」
 ザラザラとしたタオル地で粘膜を擦られ、喉元からせり上がった吐息で唇が開いてしまいました。

「そう。なのにこんなに淫乱だなんて、なかなかレアでしょう?それが直子っていう女なのよ」
「そうなの。でもそれはそれでステキだわね。女性限定のイジメられっ子さんかー。なんだかわたくしも、このからだを触っていたら、虐めてみたくなってきたもの」
 アンジェラさんが笑いながらおっしゃり、タオルが股間から離れました。
 私は、おふたりの会話にいたたまれなくなって、今すぐこの場を逃げ出したい気持ち。

 使用済みのタオルを、アンジェラさんがセリナさんに渡しました。
 セリナさんは、何か不潔なものでも受け取ったかのようにビクビクした感じで、人差し指と親指でつまんだままお部屋の奥に駆け出しました。
 それを見た私は、なんだかひどくみじめな気分。

「さて、それでは施術の準備です。ナオコのヴルヴァはヘアが少ないけれど、しっかり生え方を見極めるために、まずじっくり観察しましょう」
 アンジェラさんは、撮影のジャマにならないようにというご配慮でしょう、その場にしゃがんで、お顔だけを私のソコに近づけています。。
 リナリナトリオは、アンジェラさんの反対側に回り、モニターをじっと見つめています。
 リナリナトリオに挟まれた小野寺さんは、ずーっとビデオカメラを下に向けて、私のアソコをレンズで覗きっ放しです。

「ナオコは、アヌスからヴルヴァまでのあいだには、まったくヘアが無いのね?ツルツルのスベスベ。羨ましいわ」
 アンジェラさんの薄いゴム越しの指が、私の会陰をスーッと撫ぜました。
「ぅぅ・・」
 こぼれそうな吐息を必死でこらえます。
 そして、私の呼び方から、ミス、が消えて、呼び捨てになったことに気がつきました。

「ヴァジャイナを開いて、ラビア周りはとくに念入りにチェックすること。このあたりは、ヒダの内側にヘアが隠れていることが往々にしてありますから」
 アンジェラさんに大陰唇を広げられました。
「ラビアも綺麗だこと。普段からミス・シーナに虐められているとは思えないほど初々しい感じだわ」
 そんなことをおっしゃりながら、執拗に陰唇を引っ張り、ヒダを広げてきます。

「ワックス7~8回ってところかしらね。あらあら、またジュースが溢れてきちゃったわ」
 吐息は必死にガマンできますが、分泌物は止められません。
 モニターに、今まさにトロリと流れ出たおツユがアップで映って、リナリナトリオのみなさんが食い入るように見つめていらっしゃいます。
 画面上部には、とっくに皮が剥けて飛び出してしまったグミのような突起物が映りっぱなしで、恥ずかしすぎます。

「それにクリットをこんなに腫らしちゃって、痛々しいくらいね?わたくしがヴァジャイナを触っているの、そんなに気持ちいい?」
「ほら直子?お答えしなさい!」
「は、はい・・・気持ちいです・・・ごめんなさい・・・」
「あらー、謝らなくてもいいわ。それに気持ち良いのならお声だって、がまんしてなくていいのよ?」
 アンジェラさんの指は、クリトリスだけには決して触れず、大陰唇や小陰唇を引っ張りまわしています。
 欲求が満たされないモヤモヤとした憔悴感で、私は気がヘンになりそう。

「ここを虐めるのは、全部終わってから、ね?」
「あうっ!」
 最後の最後に肉芽を指で軽く弾いて、アンジェラさんが立ち上がりました。

「さあ、それでは・・・」
「さてと・・・」
 アンジェラさんとシーナさまのお声が重なりました。
「あっ、ごめん、アンジー」
 シーナさまがツカツカと私の顔のところまで来て、つづけます。

「アンジーも直子の扱い方がわかってきて、調子が出てきたようだから、わたしは別室で蘭子さんに天国に連れて行ってもらうことにするわ」
「マッサが終わる頃には、直子のソコもスッキリしている頃でしょう?」
「もしも直子が言うこと聞かなかったり、クネクネ身悶えてやりにくかったら、遠慮なく縛りつけちゃっていいからね」
「この両膝と足を縛っちゃえば動けなくなるし、M字でもまんぐり返しでも、施術のしやすいようにしちゃっていいから、そのほうが直子も悦ぶし」
「脱毛も、研修のあなたたちが実際に練習されるといいわ。少しくらい間違えて痛くなっちゃっても、この直子にはそんなの、気の利いたスパイスだから」
「でもそのたんびにいやらしいおツユが溢れて、もっとやりにくくなっちゃうかもしれないけれどね」
 リナリナトリオのみなさんも、もはや遠慮無く、キャハハって大きく笑いました。

「この後の様子は、後で小野寺さんから未編集のビデオで見せていただくわ」
「くれぐれも紹介者のわたしに恥を掻かせないように、マゾはマゾらしくしていること。わかってるわね?直子?」
 シーナさまが私の左乳首をギュッとつまんで捻りました。
「あうぅっ!・・・は、はいっ・・・シーナさま・・・」

「それじゃあ行きましょうか?蘭子さん」
 シーナさまと蘭子さんが連れ立って、お部屋から出て行かれました。


コートを脱いで昼食を 20