ジーンズを脱ぎ終え背中を向けたまま立ち上がったゆうこ先生の両脚は、黒の、おそらくラメ入りのシルクらしい、オーバーニーのストッキングに覆われていました。
スラッと伸びた両脚の大部分が光沢のある黒い布で隠され、太腿の半分くらいから白い肌がお尻を通り越して背中へとつづいていました。
お尻も一見、まったくの裸。
正確には、ビキニボトムを固定するために腰の低い位置に紐が回っているのですが、それもか細い透明のビニール製なので。肌の色が透けて何も身に着けていないように見えました。
それにしても、なんて綺麗な後姿のヌード。
キュッとくびれた腰から、まろやかに広がるハート型のお尻。
さっきのスパンキングで紅潮しているのがいやらしい。
背中から太腿まで、シミや痣一つ無い、つややかな肌。
その肌と絶妙なコントラストを見せる黒いニーハイストッキングが、太腿からふくらはぎまでの美しいカーブを、よりコケティッシュに魅せるのに一役買っていました。
そんなゆうこ先生の後姿にしばし見蕩れていた私。
早く正面からの姿も見せてもらわなくちゃ、と気を取り直します。
「脱いだら早く、私の真正面に立ってください」
ゆうこ先生はもう腕で胸を隠すことはせず、緊張した面持ちで私の前に立ちました。
両腕をゆるく後ろに回して、休め、のようなポーズ。
お顔は若干うつむき気味で、恥ずかしいのか嬉しいのか、頬から首筋あたりまでほんのり紅くなっていました。
上半身には、バストにこんもりとした頂を突っ張らせた涙型の小さな布片が二つ。
下半身には、両脚の付け根部分に鋭角な逆三角形の小さな布片が一枚だけへばりついています。
そして、両脚の膝上15センチくらいまでの黒ストッキング。
それ以外は何も身に着けていない、ゆうこ先生の妖艶なセミヌード姿でした。
その美し過ぎる裸に、しばし瞬きを忘れてしまうほど。
「顎を上げて、私にその綺麗なお顔も、もっとよく見せてください」
冷静に、落ち着いて、って自分に言い聞かせながら、次の段階へ進むべく事前に考えておいた科白を、ゆうこ先生に投げかけます。
「それに先生。先生の両手は、その位置ではないでしょう?先生みたいな人には、もっとお似合いのポーズがあるのでないですか?」
これは、ゆうこ先生にお借りした官能小説の中にあった科白と同じでした。
ゆうこ先生のお顔が一瞬ハッと固まって、それから、なんとも言えない、いやらしいお顔に崩れながら私を見つめつつ、お腹の前で両手をゆっくりと合わせました。
両手の指を絡めて組み、左右一つに組み合わさった手のひらを頭の後ろまで持っていきます。
両肩が上がり、両肘が左右それぞれ耳の横あたりまで上がり、組んだ手のひらは後頭部に当てられました。
例えるなら、腹筋運動をやるときの腕の位置です。
この格好になることによって、左右の腋の下が全開になります。
両腕を上げるので、胸を張った状態となり、左右のおっぱいを前に突き出すような姿勢になります。
両手は頭の後ろでキープしているので、まったく使えなくなります。
その結果、上半身、下半身ともまるで無防備となり、どんなイタズラをされても、隠すことも、抵抗することも出来なくなるポーズ。
私のからだを自由にしてください、という意味の、誰が名づけたのか、マゾの服従ポーズ、なのです。
ゆうこ先生は、恥ずかしさと嬉しさが入り混じっているのか、結果的に、はにかむようないじらしいお顔になって、私をじっと見つめてきました。
ゆうこ先生のからだに一歩近づき、右手に持ったプラスティック定規の先端で、小さな布地の上から、左乳首をツンツンと軽くつつきました。
「あぁんーーっ!」
ゆうこ先生が大きな嬌声をあげました。
「あらあら先生、はしたないお声だこと。嬉しくて仕方ないのでしょう?定規でつついただけでも、ココがすっごく硬くなっているのがわかりますよ?」
定規の角のところを乳首から左脇腹のほうへツツーッと滑らせます。
「うっぅーんっ~」
ゆうこ先生の色っぽいお声。
全身がもぞもぞ揺れています。
「そうですよね。こんなに綺麗なからだをしていらっしゃるのだもの、誰かに見てもらいたくて、仕方ないですよね?」
「本当に綺麗でいやらしいからだ。このおっぱいなんて、私、今すぐにでもめちゃくちゃに揉んでみたいもの」
「それにこのえっちな水着。いっそオールヌードのほうが、まだ女性美とか健康美とか言いつくろうことが出来るけれど、こんなのを着て、おまけに黒ストッキングなんて、露出狂のドMなヘンタイさんとしか、言いようが無いではないですか」
どの科白も本心から言っていました。
本当に、今すぐむしゃぶりつきたいほど、えっちな衣装のえっちなからだでした。
そんな科白を投げかけながら、ゆうこ先生の左右のおっぱいを、上から下から定規で軽くペチペチ叩きつづけました。
「ああんっ、いやんっ、いやーんっ!」
ゆうこ先生は、からだをクネクネさせて身悶えつづけます。
「先生、私に見られて、お仕置きされて、ずいぶん感じちゃったみたいですね。下半身の布地、ビシャビシャですよ?穿いている意味がないくらい」
定規の先をゆうこ先生の少し開いた両腿の付け根下にもぐりこませ、両内腿をペチペチ叩きました。
「あ、そこはだめんっ!」
「何がだめなのですか?こういうことをしてもらいたいから、そんな水着を選んで、私とのレッスンに臨んだのですよね?」
定規を引っ込めて、ゆうこ先生をまっすぐに見つめました。
ゆうこ先生の潤んだ瞳が、もっとやって、って訴えかけていました。
股間の布から内腿へ、重そうな雫がツツーッと一筋垂れていきました。
ゆうこ先生の股間を隠す布は、本当に股の付け根からスジ一本を隠すためだけの機能しかありませんでした。
もっとも今は、ビショビショに濡れて更に細くなり、その機能さえ危うくなって、たぶんお尻の穴は隠しきれていないでしょうけれど。
以前ネットで、その部分に小さな絆創膏だけを貼った、大股開きのオールヌード写真を見たことがありました。
そのモデルさんもパイパンで、本当にスジだけが隠れるほどの小さな絆創膏。
いやらしい想像力を悪戯にかきたてる、すっごくえっちな写真でした。
それと同じいやらしさを、ゆうこ先生が着けているビキニボトムは持っていました。
ゆうこ先生の恥ずかしくもえっちなただずまいをひとしきり眺めて堪能した私は、次の段階へ進むことにしました。
「でも、先生の望みはまだ叶えられません。先生は、私とのお約束を守ってくれませんでしたから」
「えっ?」
ゆうこ先生のお顔が一瞬、真顔になりました。
「お約束・・・って?}
本当にわかっていないらしいゆうこ先生。
「私は、先生とのヒミツのレッスンのときは、昔、我が家に来たときに着ていた水着を着て、レッスンしてください、ってお願いしました」
「ええ。だから今日は、この水着をあらかじめ着て、森下さんを待っていたのよ」
ゆうこ先生がご自分の胸と下半身にあらためて目をやってから、照れたように微笑みました。
「でもそれは、あのときの水着ではありません」
「えっ?」
「あのときのはベージュ色でした。今先生が着ているのは白。違います」
「あっ、そうだったけ?」
「はい。私、はっきり憶えています。って言うより、先生?そんなえっちな水着、何着もお持ちなのですか?」
私は本気で呆れていました。
「えーっと。5、6着か、もっと・・・」
「うわー。それに、いつどこでどれを着たか忘れちゃうくらい、そんなに頻繁に、そういうのを着て遊んでいるのですか?」
「・・・冬場とか、これの上に暖かいコートだけ着てお買い物に行ったりもしています・・・」
「あのえっちなジーパンでも、ですね?」
「・・・はい・・・」
ゆうこ先生ったら、すっごく嬉しそうにモジモジしています。
「わかりました。さすがはヘンタイ露出マゾの大貫先生ですね。それはもういいですから、とにかく私に、お約束通り、あのベージュの水着姿を見せてください、それとももう、あの水着は無いのですか?」
心の中では、やっぱりゆうこ先生はスゴイ、って感嘆している私。
「いいえ、たぶんまだ、隣の部屋のクロゼットに・・・」
「だったら取って来てくださいっ!」
少しヒステリック気味に叫んでしまいました。
気を抜いたら、ゆうこ先生のヘンタイパワーに押し流されそう・・・
今は私がエスなのだから。
マゾの服従ポーズのままのゆうこ先生は、少し困惑気味でしたが、わかりました、とおっしゃって、窓際のソファーのところに歩いて行き、バッグからお部屋の鍵らしきものと壁にかかっていたフリースのスタジアムコートみたいなものを手に取りました。
私の前を素通りして、スタジアムコートに腕を通しながら玄関へ向かおうとするゆうこ先生を定規で制しました。
「ちょっと待ってください」
「え?あ、はい?」
「今は、私とのレッスン中です。それで、前にしたお約束通り、私とのレッスン中は、あのベージュの水着以外を身に着けることは許しません」
「えっ!」
ゆうこ先生のお顔が一瞬驚いた後、急激に淫らに歪みました。
すがるような目つきになって、小さなお声で聞いてきました。
「・・・つまり?」
「つまり、その白い紐水着は今すぐ脱いでください。フリースもだめです」
「あ、そのストッキングはそのままでいいです。それは履いていたほうが先生、いっそうえっちです」
「つまり、裸で隣の部屋に行け、ということ・・・ね?」
「そうです。このフロアは両方とも先生のお家だでしょ?エレベーターホールにちょっと裸で出るくらい大丈夫なのではないですか?それとも、宅配便の人とかが急に来るとか?」
「それは、事前にエントランスで連絡があると思うけれど・・・」
「それに、先生のことだから、普段からそういうこと、ちよくちょくしているのではないですか?」
「ううん。誓って言うけれど、どちらかの部屋でずっと裸なことはよくあるけれど、裸のままエレベーターホールには出たことは無いの。ちょっと出たいときは、今みたいに上に何か羽織るようにしていたから。だから今も習慣的にフリースを手に取ったのだけれど・・・」
少し考えていたゆうこ先生は、やがて小さくうなずきました。
「なんだかそれはワクワクするわね。なんで今までやったことなかったんだろう?」
えっちな笑顔で私を見ました。
「ワクワクなんかしちゃだめです。これも先生に対するお仕置きなのですから」
私もワクワクしながら、それでも努めて冷たい声で言いました。
「さ、早くそのお約束違反の、ジャマな水着を脱いじゃってください」
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 18へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2011年11月27日
2011年11月26日
ピアノにまつわるエトセトラ 16
「バストを隠している両腕をどけてください」
スーパーローライズなジーンズのショーゲキを消化した私は、あらためてじっくりゆっくり、ゆうこ先生の恥ずかしい紐ビキニおっぱいを見せてもらうことにしました。
あの夏の日以来、ムラムラするたびに頻繁に思い出すほどのインパクトだった、ある意味全裸よりいやらしい、誰が見ても露出狂としか思えない、水着とさえ言えない水着。
うつむいてもたもたしているゆうこ先生の腕に、容赦なくプラスティック定規を振り下ろします。
ピシャッ!
「ぁあんっ!」
甘えるようなため息を吐いた後、ゆうこ先生は観念したようにゆっくりと両腕をおろしました。
ゆうこ先生の、豊満なのに垂れていない、形の良い西洋梨のようなおっぱい。
その白い肌には、先端の部分にだけ幅4センチくらいの、涙型の小さな布が貼り付いていました。
肩ストラップや涙型をつなぐ紐は、細くて透明なビニール製なので、ちょっと見では、両方のおっぱいの先端に小さな布だけがくっついているように見えました。
そして、その布の左右とも、中央部分が盛大にポチッと突き出していました。
ゆうこ先生もけっこう、乳首が大きいんだ・・・
でも、小さな布なのに乳輪の翳りがはみだしていない・・・
全部露になっているぽってりとした下乳のカーブのエロさといったら・・・
あれから3年以上も経ったのに、プロポーションにますます磨きがかかっている・・・
気をつけの姿勢でうつ向いてモジモジしているゆうこ先生の上半身を、至近距離で遠慮容赦なく舐めるように見つめながら、私はそんなことを考えていました。
おっぱいを視姦し尽くした自分の目線がやがてまた、吸い寄せられるようにゆうこ先生の破廉恥な下半身に移ったとき、ハッと気がつきました。
「そう言えば先生?一月前のここでのレッスンのときも、そのジーンズを穿いていませんでした?」
「え、ええ・・・」
ゆうこ先生が真っ赤なお顔を少しだけ上げて、私を上目遣いに見つめてきました。
「私が真面目にレッスンに励んでいるとき、先生は、えっとあのときはニットのロングセーターの下で、パイパンなアソコを半分はみ出させていたのですか?」
「は、はい。そうです・・・」
ゆうこ先生の瞳がうるんでキラキラ光ります。
「お夕食のときも、お話しているときも?」
「はい・・・それで・・・」
「それで?」
ゆうこ先生が悩ましいお顔で、私を見ながら小さな声でつづけます。
「わたしの恥ずかしい秘密を知ってもらいたくて、お帰り際の頃には、森下さんが気がついてくれないかな?って、ドキドキしながらテーブルの下で、こっそりセーターの裾をめくったままにしていたのです・・・」
「結局、素子さんが来てしまったから、あきらめたのだけれど・・・」
唖然とする私。
「ほ、本当に・・・はしたない先生ですね。あの日もそんなに濡らしていたのですか?」
つい、そのときのゆうこ先生の気持ちを思ってドギマギしてしまい、エムが勝りそうになる自分の心をなんとか抑えて、エスっぽい質問を浴びせます。
「はい。あのときはノーパンでしたから、もうジーンズはオモラシしたみたいにビショビショでした。森下さんがお帰りになった後、森下さんを想って思いっきりオナニーしました」
私を上目遣いで見つめてくるゆうこ先生。
「わたしがノーブラだったのは、気がついていたのでしょう?」
「は、はい・・・」
ゆうこ先生のえっちな迫力に圧倒されそうな私。
これでは、いけません。
「そ、そうでしたか。それなら今日は、もっともっと恥ずかしいメにあってもらいます!」
今すぐにでもゆうこ先生に抱きつきたい衝動をこらえるために、持っていた定規で自分の左手のひらをパンッて強めに一回叩きました。
「はい。それではピアノに戻って、もう一度始めから弾いてください」
今の、紐ビキニトップに土手半見えローライズ姿のゆうこ先生も充分いやらしくて、ここでピアノストリップは終わらせちゃってもよかったのですが、ここまで来たら、ローライズを自らの手で脱いで、いやらしい紐ビキニ上下の姿を晒すところまでが、SMのお約束でしょう。
ゆうこ先生がゆっくりとピアノに戻り、おもむろに弾き始めました。
両腕が左右にめまぐるしく動き、両肩が上下して上半身が揺れるたび、乳首だけを小さな布で隠したたわわな乳房がプルンプルンと躍動します。
その動きで布がズレて、今にも乳首が飛び出しちゃいそう。
私は、ゆうこ先生の肩越しから見下ろせる、奔放にユサユサ跳ね回るおっぱいに目が釘付けでした。
今回は曲のかなり後半までノーミスでいきました。
それにしても、綺麗な女性が半裸でピアノを弾く姿って、なんてエロティックなんでしょう。
女性のからだの優美な曲線とピアノの鍵盤の直線とのコントラスト。
白い肌の下で艶かしく緩んだり緊張したりする筋肉の動きと、鍵盤を滑るしなやかな指先。
この腕が、この指先が、この後きっと、私のからだをいろいろとまさぐってくれるんだな、って思うと、からだがゾクゾク震えてきてしまいました。
そんなことを考えてうっとり見蕩れている私にサービスしてくれたのか、ゆうこ先生は、たっぷりとセクシーな演奏姿を見せてくれた後、曲の終わり間際でやっと、ワザとらしいミストーンを一音鳴らしました。
ハッと我に返る私。
「あ。また間違えましたね先生。もうこれで3度目ですよ。集中力が欠けていますね?」
「はい。ごめんなさい。森下さんに見られていると思うと、とても恥ずかしくって・・・」
ゆうこ先生が上半身をこちらに向けて私を見上げ、両手のひらを上に向けたまま揃えて、物乞いをするような格好で両腕を差し出してきました。
「どうぞ、罰を、罰をください・・・」
おねだりするような瞳で私を見上げてきます。
私は、何も言わずに黙って3回、ゆうこ先生の手のひらから両手首のあたりを、プラスティック定規で、かなり強めに打ち据えました。
パシンッ!
パシンッ!
パシンッ!
「あぁ~んっ!」
眉根にシワを寄せた悩ましいお顔。
色っぽいせつなそうなお声。
もういてもたってもいられなくなってきました。
「そんな、えっちなジーンズを穿いているから、演奏に集中出来ないんです。それもさっさと脱いでしまいなさいっ!」
ちょっと強い口調で命令しました。
私が言われたいと思っていることが、ゆうこ先生が言われたいこと。
私がされたいと思っていることが、ゆうこ先生がされたいこと。
その言葉を思い出していました。
ゆうこ先生の全身からムンムン放たれているえっちなオーラにどんどん欲情して、ゆうこ先生のお顔をもっともっと歪めてあげたくて、たまらなくなりました。
誰かに恥ずかしい命令をすること、言うことをきかせることの快感が、だんだんわかってきました。
「立って、こちらに来てください」
ゆうこ先生がピアノを離れ、私の目の前にモジモジしながら立ちました。
綺麗なお顔が淫らに火照っていました。
「お尻をこっちに向けてください」
こんなとき、私ならどうされたいか?
それは当然、お尻をぶたれたいです。
「3回もミスをした先生には、お仕置きが必要です。お尻をこちらに突き出してください」
ゆうこ先生が回れ右で背中を向け少し足幅を開いてから、その場でおずおずと上半身を前に倒していきました。
たわわなおっぱいが下へと垂れ下がり、それに伴って、くびれたウエストからまあるいカーブを描く形の良いヒップがこちらに突き出されました。
ローライズで半分だけ隠された真っ白いお尻。
前屈みになってもジーンズの狭い布幅でギリギリ、お尻の穴は隠せるみたいです。
お尻のかなり低い位置に、透明なビニールの紐が通っているのがわかりました。
「両手はそれぞれ足首を掴んでいてください」
パァーンッ!
少しの間の後、何の前ぶれも警告も無くいきなり、ゆうこ先生の右の尻たぶをプラスティック定規で打ち据えました。
「あぁーんっ!」
いやらしいお声で鳴くゆうこ先生。
「なんだかえっちな声ですね?お尻をぶたれて、嬉しいのですか?これはお仕置きですよ?」
「そ、そんなことは・・・あぁーんっ!」
ゆうこ先生のお返事が終わらないうちに左へもう一発。
「ほら。えっちな喘ぎ声。先生、絶対悦んでいますよね?」
パァーンッ!
「いやぁーんっ!」
パァーンッ!
「あああーーっ」
「ほらほらー、お仕置きされている間に早くジーパンを脱いじゃってください。ぐずぐずしていると、お尻が真っ赤っかに腫れちゃいますよ?」
「だって、森下さんが足首を掴んでいて、って・・・」
「だって、って何ですか?口答えするのですか?」
パァーンッ!
「いやーんっ!ごめんなさいぃ」
パァーンッ!
「だめぇーん!脱ぎますぅ、脱ぎますからぁ」」
からだを120度くらいまで折り曲げた前屈みのまま、ゆうこ先生がちょうどアソコの前あたりに両手をあててモゾモゾしています。
ジーンズの前ボタンをはずしているのでしょう。
「先生!絶対に自分でオマンコ、さわったりしたらダメですからね!」
パァーンッ!
私もだんだん調子が出てきました。
「はぃぃ、森下さまのご命令には、もう絶対に逆らいませんからぁーっ!」
ゆうこ先生の嬉しそうなお声。
私は容赦なく、ゆうこ先生が突き出してくる弾力あるお尻を定規で打ちつづけました。
真っ白だったお尻がみるみる薄桃色に色づき、肌を打ちつける淫靡な打擲音とゆうこ先生の桃色な悲鳴が、しばらくお部屋に鳴り響きつづけました。
ヨロヨロしながらやっとのことで、ゆうこ先生がジーンズを膝上までずり下げました。
ピチピチのきつそうなジーンズなので、お尻をぶたれながら脱ぐのは大変みたい。
私の目の前には、思い切り高く突き出されたゆうこ先生のピンクに染まった裸のお尻。
透明の細いビニール紐からTの字に、これまた細い布地がお尻の穴の上を通って前に回っていました。
布全体がグッショリ濡れていてピタッと肌に貼りつき、お尻のスジの延長線のように、布の上に一本の卑猥なスジがクッキリと深く食い込んでいました。
「さあ、もうぶちませんから、さっさとそのえっちなジーンズを脱ぎ捨てちゃってください」
「脱いだらこっちを向いて。これから先生のえっちなからだを隅々までじっくり観察させてもらいます」
「だって先生は、恥ずかしい姿を見られるのが大好きなヘンタイマゾ女なんですものね?見せたくて見せたくて、しょうがないのですものね?」
私がされたいことが、ゆうこ先生もされたいこと。
しゃがみ込んでジーンズを両脚から抜いているゆうこ先生の丸まった背中に、私は快感をゾクゾク感じながら冷たくイジワルク言い放ちました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 17へ
*
スーパーローライズなジーンズのショーゲキを消化した私は、あらためてじっくりゆっくり、ゆうこ先生の恥ずかしい紐ビキニおっぱいを見せてもらうことにしました。
あの夏の日以来、ムラムラするたびに頻繁に思い出すほどのインパクトだった、ある意味全裸よりいやらしい、誰が見ても露出狂としか思えない、水着とさえ言えない水着。
うつむいてもたもたしているゆうこ先生の腕に、容赦なくプラスティック定規を振り下ろします。
ピシャッ!
「ぁあんっ!」
甘えるようなため息を吐いた後、ゆうこ先生は観念したようにゆっくりと両腕をおろしました。
ゆうこ先生の、豊満なのに垂れていない、形の良い西洋梨のようなおっぱい。
その白い肌には、先端の部分にだけ幅4センチくらいの、涙型の小さな布が貼り付いていました。
肩ストラップや涙型をつなぐ紐は、細くて透明なビニール製なので、ちょっと見では、両方のおっぱいの先端に小さな布だけがくっついているように見えました。
そして、その布の左右とも、中央部分が盛大にポチッと突き出していました。
ゆうこ先生もけっこう、乳首が大きいんだ・・・
でも、小さな布なのに乳輪の翳りがはみだしていない・・・
全部露になっているぽってりとした下乳のカーブのエロさといったら・・・
あれから3年以上も経ったのに、プロポーションにますます磨きがかかっている・・・
気をつけの姿勢でうつ向いてモジモジしているゆうこ先生の上半身を、至近距離で遠慮容赦なく舐めるように見つめながら、私はそんなことを考えていました。
おっぱいを視姦し尽くした自分の目線がやがてまた、吸い寄せられるようにゆうこ先生の破廉恥な下半身に移ったとき、ハッと気がつきました。
「そう言えば先生?一月前のここでのレッスンのときも、そのジーンズを穿いていませんでした?」
「え、ええ・・・」
ゆうこ先生が真っ赤なお顔を少しだけ上げて、私を上目遣いに見つめてきました。
「私が真面目にレッスンに励んでいるとき、先生は、えっとあのときはニットのロングセーターの下で、パイパンなアソコを半分はみ出させていたのですか?」
「は、はい。そうです・・・」
ゆうこ先生の瞳がうるんでキラキラ光ります。
「お夕食のときも、お話しているときも?」
「はい・・・それで・・・」
「それで?」
ゆうこ先生が悩ましいお顔で、私を見ながら小さな声でつづけます。
「わたしの恥ずかしい秘密を知ってもらいたくて、お帰り際の頃には、森下さんが気がついてくれないかな?って、ドキドキしながらテーブルの下で、こっそりセーターの裾をめくったままにしていたのです・・・」
「結局、素子さんが来てしまったから、あきらめたのだけれど・・・」
唖然とする私。
「ほ、本当に・・・はしたない先生ですね。あの日もそんなに濡らしていたのですか?」
つい、そのときのゆうこ先生の気持ちを思ってドギマギしてしまい、エムが勝りそうになる自分の心をなんとか抑えて、エスっぽい質問を浴びせます。
「はい。あのときはノーパンでしたから、もうジーンズはオモラシしたみたいにビショビショでした。森下さんがお帰りになった後、森下さんを想って思いっきりオナニーしました」
私を上目遣いで見つめてくるゆうこ先生。
「わたしがノーブラだったのは、気がついていたのでしょう?」
「は、はい・・・」
ゆうこ先生のえっちな迫力に圧倒されそうな私。
これでは、いけません。
「そ、そうでしたか。それなら今日は、もっともっと恥ずかしいメにあってもらいます!」
今すぐにでもゆうこ先生に抱きつきたい衝動をこらえるために、持っていた定規で自分の左手のひらをパンッて強めに一回叩きました。
「はい。それではピアノに戻って、もう一度始めから弾いてください」
今の、紐ビキニトップに土手半見えローライズ姿のゆうこ先生も充分いやらしくて、ここでピアノストリップは終わらせちゃってもよかったのですが、ここまで来たら、ローライズを自らの手で脱いで、いやらしい紐ビキニ上下の姿を晒すところまでが、SMのお約束でしょう。
ゆうこ先生がゆっくりとピアノに戻り、おもむろに弾き始めました。
両腕が左右にめまぐるしく動き、両肩が上下して上半身が揺れるたび、乳首だけを小さな布で隠したたわわな乳房がプルンプルンと躍動します。
その動きで布がズレて、今にも乳首が飛び出しちゃいそう。
私は、ゆうこ先生の肩越しから見下ろせる、奔放にユサユサ跳ね回るおっぱいに目が釘付けでした。
今回は曲のかなり後半までノーミスでいきました。
それにしても、綺麗な女性が半裸でピアノを弾く姿って、なんてエロティックなんでしょう。
女性のからだの優美な曲線とピアノの鍵盤の直線とのコントラスト。
白い肌の下で艶かしく緩んだり緊張したりする筋肉の動きと、鍵盤を滑るしなやかな指先。
この腕が、この指先が、この後きっと、私のからだをいろいろとまさぐってくれるんだな、って思うと、からだがゾクゾク震えてきてしまいました。
そんなことを考えてうっとり見蕩れている私にサービスしてくれたのか、ゆうこ先生は、たっぷりとセクシーな演奏姿を見せてくれた後、曲の終わり間際でやっと、ワザとらしいミストーンを一音鳴らしました。
ハッと我に返る私。
「あ。また間違えましたね先生。もうこれで3度目ですよ。集中力が欠けていますね?」
「はい。ごめんなさい。森下さんに見られていると思うと、とても恥ずかしくって・・・」
ゆうこ先生が上半身をこちらに向けて私を見上げ、両手のひらを上に向けたまま揃えて、物乞いをするような格好で両腕を差し出してきました。
「どうぞ、罰を、罰をください・・・」
おねだりするような瞳で私を見上げてきます。
私は、何も言わずに黙って3回、ゆうこ先生の手のひらから両手首のあたりを、プラスティック定規で、かなり強めに打ち据えました。
パシンッ!
パシンッ!
パシンッ!
「あぁ~んっ!」
眉根にシワを寄せた悩ましいお顔。
色っぽいせつなそうなお声。
もういてもたってもいられなくなってきました。
「そんな、えっちなジーンズを穿いているから、演奏に集中出来ないんです。それもさっさと脱いでしまいなさいっ!」
ちょっと強い口調で命令しました。
私が言われたいと思っていることが、ゆうこ先生が言われたいこと。
私がされたいと思っていることが、ゆうこ先生がされたいこと。
その言葉を思い出していました。
ゆうこ先生の全身からムンムン放たれているえっちなオーラにどんどん欲情して、ゆうこ先生のお顔をもっともっと歪めてあげたくて、たまらなくなりました。
誰かに恥ずかしい命令をすること、言うことをきかせることの快感が、だんだんわかってきました。
「立って、こちらに来てください」
ゆうこ先生がピアノを離れ、私の目の前にモジモジしながら立ちました。
綺麗なお顔が淫らに火照っていました。
「お尻をこっちに向けてください」
こんなとき、私ならどうされたいか?
それは当然、お尻をぶたれたいです。
「3回もミスをした先生には、お仕置きが必要です。お尻をこちらに突き出してください」
ゆうこ先生が回れ右で背中を向け少し足幅を開いてから、その場でおずおずと上半身を前に倒していきました。
たわわなおっぱいが下へと垂れ下がり、それに伴って、くびれたウエストからまあるいカーブを描く形の良いヒップがこちらに突き出されました。
ローライズで半分だけ隠された真っ白いお尻。
前屈みになってもジーンズの狭い布幅でギリギリ、お尻の穴は隠せるみたいです。
お尻のかなり低い位置に、透明なビニールの紐が通っているのがわかりました。
「両手はそれぞれ足首を掴んでいてください」
パァーンッ!
少しの間の後、何の前ぶれも警告も無くいきなり、ゆうこ先生の右の尻たぶをプラスティック定規で打ち据えました。
「あぁーんっ!」
いやらしいお声で鳴くゆうこ先生。
「なんだかえっちな声ですね?お尻をぶたれて、嬉しいのですか?これはお仕置きですよ?」
「そ、そんなことは・・・あぁーんっ!」
ゆうこ先生のお返事が終わらないうちに左へもう一発。
「ほら。えっちな喘ぎ声。先生、絶対悦んでいますよね?」
パァーンッ!
「いやぁーんっ!」
パァーンッ!
「あああーーっ」
「ほらほらー、お仕置きされている間に早くジーパンを脱いじゃってください。ぐずぐずしていると、お尻が真っ赤っかに腫れちゃいますよ?」
「だって、森下さんが足首を掴んでいて、って・・・」
「だって、って何ですか?口答えするのですか?」
パァーンッ!
「いやーんっ!ごめんなさいぃ」
パァーンッ!
「だめぇーん!脱ぎますぅ、脱ぎますからぁ」」
からだを120度くらいまで折り曲げた前屈みのまま、ゆうこ先生がちょうどアソコの前あたりに両手をあててモゾモゾしています。
ジーンズの前ボタンをはずしているのでしょう。
「先生!絶対に自分でオマンコ、さわったりしたらダメですからね!」
パァーンッ!
私もだんだん調子が出てきました。
「はぃぃ、森下さまのご命令には、もう絶対に逆らいませんからぁーっ!」
ゆうこ先生の嬉しそうなお声。
私は容赦なく、ゆうこ先生が突き出してくる弾力あるお尻を定規で打ちつづけました。
真っ白だったお尻がみるみる薄桃色に色づき、肌を打ちつける淫靡な打擲音とゆうこ先生の桃色な悲鳴が、しばらくお部屋に鳴り響きつづけました。
ヨロヨロしながらやっとのことで、ゆうこ先生がジーンズを膝上までずり下げました。
ピチピチのきつそうなジーンズなので、お尻をぶたれながら脱ぐのは大変みたい。
私の目の前には、思い切り高く突き出されたゆうこ先生のピンクに染まった裸のお尻。
透明の細いビニール紐からTの字に、これまた細い布地がお尻の穴の上を通って前に回っていました。
布全体がグッショリ濡れていてピタッと肌に貼りつき、お尻のスジの延長線のように、布の上に一本の卑猥なスジがクッキリと深く食い込んでいました。
「さあ、もうぶちませんから、さっさとそのえっちなジーンズを脱ぎ捨てちゃってください」
「脱いだらこっちを向いて。これから先生のえっちなからだを隅々までじっくり観察させてもらいます」
「だって先生は、恥ずかしい姿を見られるのが大好きなヘンタイマゾ女なんですものね?見せたくて見せたくて、しょうがないのですものね?」
私がされたいことが、ゆうこ先生もされたいこと。
しゃがみ込んでジーンズを両脚から抜いているゆうこ先生の丸まった背中に、私は快感をゾクゾク感じながら冷たくイジワルク言い放ちました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 17へ
*
2011年11月20日
ピアノにまつわるエトセトラ 15
印象的なテーマにつづいて、ゆうこ先生のしなやかな指が鍵盤の上を軽やかに踊っています。
右へ左へと縦横無尽。
その見事な演奏は、SMアソビも忘れて聞き惚れてしまうほど。
と、3度目のテーマのとき、曲をうる覚えの私でもすぐにわかる、明らかなミストーンが聞こえました。
ゆうこ先生の演奏もピタッと止まってしまいます。
私は、ここだ!と思い、全身がカーッと急激に火照りました。
七分袖から覗いているゆうこ先生の手首の甲のあたりの肌を狙って、持っていた定規を軽く振り下ろしました。
ピシッ!
「あぁんっ!」
シッペをしたときみたいな音につづいて、ゆうこ先生の色っぽいためいき。
「先生、今ミスしましたね?先生なのにミスしたら駄目じゃないですか?」
「はい。ごめんなさい」
素直に謝ってくるゆうこ先生。
「先生と私のお約束では、先生は間違えたら一枚づつ、お洋服を脱がなきゃいけないっていうルールでしたよね?」
「は、はい・・・」
私のほうに振り向いて、私を上目遣いでジーッと見つめてくるゆうこ先生の表情のえっちなことと言ったら・・・
「でも今回は初回ですから、そのチュニックのボタンをはずすことで許してあげます」
襟元から両方のおっぱいの間くらいまで、ピッチリ留めてあるチュニックのボタン。
私はとりあえず、ゆうこ先生のチュニックの下がどんな状態なのか、知りたくてたまりませんでした。
ノーブラなのか、あの水着のブラを着けているのか、はたまた普通のブラジャーとかキャミソールなのか。
「は、はい。お心遣い、ありがとうございます」
ゆうこ先生は、ピアノのほうを向いたままうつむいて、チマチマとボタンをはずし始めました。
胸元まで全部。
「はずし終わったら、また最初っから弾いてください。今度は間違えないように」
ゆうこ先生の胸元を覗きたい・・・
はやる気持ちを抑えながら、私は極力冷たい声で、ゆうこ先生に告げました。
ゆうこ先生が両手を鍵盤の上に置いて、再び弾き始めました。
腕が激しく動くにつれてゆうこ先生のからだとチュニックの布の間に隙間が出来て、背後に立つ私から、ゆうこ先生のむっちりとしたバストの谷間が覗けるようになりました。
ドキンッ!
やっぱりゆうこ先生は、紐状水着ブラを着けていました。
ブラジャーとしてほとんど意味を成していない、ただ乳首だけを覆う小さな涙型の布。
ゆうこ先生の形の良いおっぱいが、襟ぐりの中にほとんど見えていました。
でも・・・
そのときまた、ミストーンが聞こえました。
さっきの場所より少し早い小節です。
私はすかさず、今度はゆうこ先生の左腕を定規で打ちすえました。
「あんっ!ごめんなさいぃ」
うつむいたままのゆうこ先生の両肩が細かくプルプル震えています。
「2度目ですよね?今度は容赦はしませんから。お洋服を何か一枚、脱いでもらいます」
私は、背中をゾクゾクさせながら、お芝居っぽい冷たい口調で言い放ちました。
ゆうこ先生が今、身に着けているのは、上半身には膝上丈のチュニックと紐水着、下半身にはスリムジーンズとおそらくストッキングとあと何か。
靴はピアノのペダル操作がしやすいように白いフラットシューズに履き替えていました。
何か一枚と言ったら、必然的にチュニックかジーンズになるでしょう。
「そのお靴は、ピアノ演奏に必要でしょうから、お洋服にカウントしません。履いたままでいてください」
私は念のため、そう釘を刺しました。
ゆうこ先生は、どちらを先に脱ぐでしょうか?
以前のお話から考えると、下半身、つまりジーンズになりそう。
でも、おそらくその下は、アソコのワレメ周辺だけが隠れる程度の小さな布片ビキニのはずです。
難しい曲のピアノ演奏では、足元のペダルの操作もけっこう忙しくて、大きくではないにせよ足を頻繁に動かすことになります。
両脚が開いたり閉じたりすれば、股間の紐状の布はどんどん中央の溝に食い込んじゃうはず。
加えてゆうこ先生、もう股間はビチャビチャのはず。
濡れた布地は、乾いているときより、より細い紐状になりやすいことは、私も経験上知っていました。
うわー、それはかなり恥ずかしそう・・・スジにどんどん食い込んじゃう・・・
あ、でも、チュニックの裾でかろうじて隠せちゃうかも?
それともパンストを上に穿いているのかな?
ドキドキしながらも瞬時にいろいろいやらしいことを考えて、自分で盛大に恥ずかしがっていました。
エスの人がこんなことではいけません。
気を取り直して、つい同調しがちなエムの気持ちを抑えこみ、エスの気持ちを思い出します。
「座ったままでは先生も脱ぎにくいでしょう?こちらに出てきて、ここに立って、脱いでください」
ピアノから一歩退いて、ゆうこ先生の肩を定規でポンと軽く叩き、振り向いたゆうこ先生の目線を、定規の動きで私の正面の位置に誘導しました。
おずおずと私の前に立ったゆうこ先生は、上気したお顔で私を5秒くらい見つめてから、ふっと目を伏せて、おもむろにチュニックの襟元に手をかけました。
えっ?
それを脱いだらゆうこ先生は、乳首だけかろうじて隠れたあの紐水着姿で、豊満なロケットおっぱいをプルプル揺らしながらピアノを弾きつづけなければなりません。
その場面を想像して、自分がするわけでもないのに、またまた恥ずかしさに身悶えしてしまう私。
さすがにご自分で、わたしは直子ちゃん以上のヘンタイさんだから、って豪語するだけあって、見てもらいたくって仕方ないんだなー、ゆうこ先生ったら・・・
少し呆然としてから、私の心の中に、ますますゆうこ先生をめちゃくちゃに虐めてみたい、という衝動がフツフツと湧き起こってきました。
ゆうこ先生は、両腕をモソモソさせてチュニックの両袖から腕を抜こうとしています。
裾をまくって頭からチュニックを脱ぐのではなく、両腕を抜いて肩先から下へ落とす脱ぎ方をしたいようです。
そうですよね。
その脱ぎ方なら、束の間でも両腕で胸をかばって隠すことが出来ますから。
そう考えているうちに、ゆうこ先生の足元に淡いブルーの布がひとかたまり、パサッと落ちました。
「ぅわっ?!」
私は、そう一声大きな声をあげた後、文字通り絶句してしまいました。
私の1メートルくらいの目の前に立っているゆうこ先生。
からだを前屈みにちぢこませて、両手を胸の前で交差させて、紐ビキニからはみ出ているおっぱいを恥ずかしそうに必死に隠しています。
視線は上目遣いで、私を見ているような見ていないような・・・
プラスティック定規でゆうこ先生の腕を叩いて、
「どうして隠すのですか?えっちなからだを見てもらいたいから、そんな水着を着ているのですよね?ほら、早く腕をどけてください!」
なんてお約束の科白を言うのさえ忘れて、私の視線は、ゆうこ先生の下半身に釘付けでした。
「そんなジーパン、どこで売っているのですか?」
私は、ゆうこ先生の内股気味にくの字に交差した両脚の、付け根付近をまじまじと見つめながら、好奇心剥き出しの声を投げかけていました。
「ネットショップでみつけて、少し遠かったけれど、わざわざお店まで買いに行ったの・・・」
ゆうこ先生のか細いお声。
ゆうこ先生が穿いていたジーンズは、ローライズにもほどがある、って言いたくなるほどのローライズな、見るからに悩ましいジーンズでした。
股上なんてほんの5センチくらい。
腰骨から両腿の付け根へと集まる左右の腿のVラインがくっきり見えていて、おへその下の下腹部からいわゆる土手がぷっくりして性器の始まるすぐ手前あたりまで、の素肌が丸々露出していました。
そしてまた、ゆうこ先生のお腹から下が綺麗で、なおかついやらしいんです。
画用紙みたいに真っ白でまっすぐで、土手のあたりだけ艶かしくぷっくりしていて。
「先生、ちょっと後ろを向いてみてください」
前屈みのまま、お尻をこちらに突き出すように後ろ向きになったゆうこ先生。
思った通り、お尻の割れ始めからくっきり3センチくらい、お尻のスジも丸見えでした。
これでもししゃがんだら、お尻の穴までお外に出ちゃうんじゃ・・・
ピッチリしたジーンズなので、柔らかいお尻のお肉や太股の皮膚がジーンズ地に締め付けられてたゆたゆとふくらみながらはみ出ていて、すっごくいやらしい。
「先生・・・ずっとこんなの穿いていたんですね・・・」
再び正面を向いたゆうこ先生に近づいて中腰になって、遠慮無くゆうこ先生の下半身に顔を寄せました。
ノーパンで穿いているのか、それともあの水着も着けているのか?
パンストは穿いていないことだけは、明らかになりました。
あの水着を着ているなら、もともと本当にスジの部分にあてがう位の布の分量しかないので、こんなローライズな股上でも水着は隠れてしまうでしょう。
どちらにしろ、いずれはわかることなので、ここでは質問しないことにしました。
それよりも、もっと気になることがありました。
ぷっくりとふくらんでいる、いわゆる土手の部分がジーンズの布地からほとんど覗いていて、そこにはまったく毛がありません。
剃ったような痕も、新しく生えてきそうな気配も、まったく無いのです。
「先生は、ここのヘア、処理しているのですか?それとも・・・」
ゆうこ先生の下半身の目前に子供のようにしゃがみ込んで、その部分をじっと見つめてあげながら、イジワルっぽく投げかけました。
「わたし、ずいぶん前にソコ、永久脱毛しちゃったの・・・マゾだから・・・」
頭の上から、ゆうこ先生の恥じらいに満ちたか細いお声が降ってきました。
「知り合いのエステの先生にお願いして・・・整形外科の女性の先生、紹介していただいて・・・」
「マゾには、毛なんか必要ないから・・・そのほうが、よーく見てもらえるから・・・」
「レーザーで。すごく痛くて、すごく恥ずかしかった・・・です・・・」
今にも泣き出しそうな、羞恥に染まって掠れたささやきの告白を聞きながら、私は気がつきました。
ジーンズの太股の付け根付近の狭い布地が湿って、左右内腿のかなりの範囲にわたってシミのように色が濃くなっていることを。
私の頭はクラクラしていました。
もう、コーフンしすぎて、今すぐにもゆうこ先生を丸裸にして、私も裸になって、思う存分抱き合いたい、弄り合いたい、って思いました。
でも、それじゃだめなんです。
まだふたりのレッスンは始まったばかり。
もっともっとゆうこ先生を虐めれば、もっともっと私も気持ち良くなれるはずなんです。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 16へ
*
右へ左へと縦横無尽。
その見事な演奏は、SMアソビも忘れて聞き惚れてしまうほど。
と、3度目のテーマのとき、曲をうる覚えの私でもすぐにわかる、明らかなミストーンが聞こえました。
ゆうこ先生の演奏もピタッと止まってしまいます。
私は、ここだ!と思い、全身がカーッと急激に火照りました。
七分袖から覗いているゆうこ先生の手首の甲のあたりの肌を狙って、持っていた定規を軽く振り下ろしました。
ピシッ!
「あぁんっ!」
シッペをしたときみたいな音につづいて、ゆうこ先生の色っぽいためいき。
「先生、今ミスしましたね?先生なのにミスしたら駄目じゃないですか?」
「はい。ごめんなさい」
素直に謝ってくるゆうこ先生。
「先生と私のお約束では、先生は間違えたら一枚づつ、お洋服を脱がなきゃいけないっていうルールでしたよね?」
「は、はい・・・」
私のほうに振り向いて、私を上目遣いでジーッと見つめてくるゆうこ先生の表情のえっちなことと言ったら・・・
「でも今回は初回ですから、そのチュニックのボタンをはずすことで許してあげます」
襟元から両方のおっぱいの間くらいまで、ピッチリ留めてあるチュニックのボタン。
私はとりあえず、ゆうこ先生のチュニックの下がどんな状態なのか、知りたくてたまりませんでした。
ノーブラなのか、あの水着のブラを着けているのか、はたまた普通のブラジャーとかキャミソールなのか。
「は、はい。お心遣い、ありがとうございます」
ゆうこ先生は、ピアノのほうを向いたままうつむいて、チマチマとボタンをはずし始めました。
胸元まで全部。
「はずし終わったら、また最初っから弾いてください。今度は間違えないように」
ゆうこ先生の胸元を覗きたい・・・
はやる気持ちを抑えながら、私は極力冷たい声で、ゆうこ先生に告げました。
ゆうこ先生が両手を鍵盤の上に置いて、再び弾き始めました。
腕が激しく動くにつれてゆうこ先生のからだとチュニックの布の間に隙間が出来て、背後に立つ私から、ゆうこ先生のむっちりとしたバストの谷間が覗けるようになりました。
ドキンッ!
やっぱりゆうこ先生は、紐状水着ブラを着けていました。
ブラジャーとしてほとんど意味を成していない、ただ乳首だけを覆う小さな涙型の布。
ゆうこ先生の形の良いおっぱいが、襟ぐりの中にほとんど見えていました。
でも・・・
そのときまた、ミストーンが聞こえました。
さっきの場所より少し早い小節です。
私はすかさず、今度はゆうこ先生の左腕を定規で打ちすえました。
「あんっ!ごめんなさいぃ」
うつむいたままのゆうこ先生の両肩が細かくプルプル震えています。
「2度目ですよね?今度は容赦はしませんから。お洋服を何か一枚、脱いでもらいます」
私は、背中をゾクゾクさせながら、お芝居っぽい冷たい口調で言い放ちました。
ゆうこ先生が今、身に着けているのは、上半身には膝上丈のチュニックと紐水着、下半身にはスリムジーンズとおそらくストッキングとあと何か。
靴はピアノのペダル操作がしやすいように白いフラットシューズに履き替えていました。
何か一枚と言ったら、必然的にチュニックかジーンズになるでしょう。
「そのお靴は、ピアノ演奏に必要でしょうから、お洋服にカウントしません。履いたままでいてください」
私は念のため、そう釘を刺しました。
ゆうこ先生は、どちらを先に脱ぐでしょうか?
以前のお話から考えると、下半身、つまりジーンズになりそう。
でも、おそらくその下は、アソコのワレメ周辺だけが隠れる程度の小さな布片ビキニのはずです。
難しい曲のピアノ演奏では、足元のペダルの操作もけっこう忙しくて、大きくではないにせよ足を頻繁に動かすことになります。
両脚が開いたり閉じたりすれば、股間の紐状の布はどんどん中央の溝に食い込んじゃうはず。
加えてゆうこ先生、もう股間はビチャビチャのはず。
濡れた布地は、乾いているときより、より細い紐状になりやすいことは、私も経験上知っていました。
うわー、それはかなり恥ずかしそう・・・スジにどんどん食い込んじゃう・・・
あ、でも、チュニックの裾でかろうじて隠せちゃうかも?
それともパンストを上に穿いているのかな?
ドキドキしながらも瞬時にいろいろいやらしいことを考えて、自分で盛大に恥ずかしがっていました。
エスの人がこんなことではいけません。
気を取り直して、つい同調しがちなエムの気持ちを抑えこみ、エスの気持ちを思い出します。
「座ったままでは先生も脱ぎにくいでしょう?こちらに出てきて、ここに立って、脱いでください」
ピアノから一歩退いて、ゆうこ先生の肩を定規でポンと軽く叩き、振り向いたゆうこ先生の目線を、定規の動きで私の正面の位置に誘導しました。
おずおずと私の前に立ったゆうこ先生は、上気したお顔で私を5秒くらい見つめてから、ふっと目を伏せて、おもむろにチュニックの襟元に手をかけました。
えっ?
それを脱いだらゆうこ先生は、乳首だけかろうじて隠れたあの紐水着姿で、豊満なロケットおっぱいをプルプル揺らしながらピアノを弾きつづけなければなりません。
その場面を想像して、自分がするわけでもないのに、またまた恥ずかしさに身悶えしてしまう私。
さすがにご自分で、わたしは直子ちゃん以上のヘンタイさんだから、って豪語するだけあって、見てもらいたくって仕方ないんだなー、ゆうこ先生ったら・・・
少し呆然としてから、私の心の中に、ますますゆうこ先生をめちゃくちゃに虐めてみたい、という衝動がフツフツと湧き起こってきました。
ゆうこ先生は、両腕をモソモソさせてチュニックの両袖から腕を抜こうとしています。
裾をまくって頭からチュニックを脱ぐのではなく、両腕を抜いて肩先から下へ落とす脱ぎ方をしたいようです。
そうですよね。
その脱ぎ方なら、束の間でも両腕で胸をかばって隠すことが出来ますから。
そう考えているうちに、ゆうこ先生の足元に淡いブルーの布がひとかたまり、パサッと落ちました。
「ぅわっ?!」
私は、そう一声大きな声をあげた後、文字通り絶句してしまいました。
私の1メートルくらいの目の前に立っているゆうこ先生。
からだを前屈みにちぢこませて、両手を胸の前で交差させて、紐ビキニからはみ出ているおっぱいを恥ずかしそうに必死に隠しています。
視線は上目遣いで、私を見ているような見ていないような・・・
プラスティック定規でゆうこ先生の腕を叩いて、
「どうして隠すのですか?えっちなからだを見てもらいたいから、そんな水着を着ているのですよね?ほら、早く腕をどけてください!」
なんてお約束の科白を言うのさえ忘れて、私の視線は、ゆうこ先生の下半身に釘付けでした。
「そんなジーパン、どこで売っているのですか?」
私は、ゆうこ先生の内股気味にくの字に交差した両脚の、付け根付近をまじまじと見つめながら、好奇心剥き出しの声を投げかけていました。
「ネットショップでみつけて、少し遠かったけれど、わざわざお店まで買いに行ったの・・・」
ゆうこ先生のか細いお声。
ゆうこ先生が穿いていたジーンズは、ローライズにもほどがある、って言いたくなるほどのローライズな、見るからに悩ましいジーンズでした。
股上なんてほんの5センチくらい。
腰骨から両腿の付け根へと集まる左右の腿のVラインがくっきり見えていて、おへその下の下腹部からいわゆる土手がぷっくりして性器の始まるすぐ手前あたりまで、の素肌が丸々露出していました。
そしてまた、ゆうこ先生のお腹から下が綺麗で、なおかついやらしいんです。
画用紙みたいに真っ白でまっすぐで、土手のあたりだけ艶かしくぷっくりしていて。
「先生、ちょっと後ろを向いてみてください」
前屈みのまま、お尻をこちらに突き出すように後ろ向きになったゆうこ先生。
思った通り、お尻の割れ始めからくっきり3センチくらい、お尻のスジも丸見えでした。
これでもししゃがんだら、お尻の穴までお外に出ちゃうんじゃ・・・
ピッチリしたジーンズなので、柔らかいお尻のお肉や太股の皮膚がジーンズ地に締め付けられてたゆたゆとふくらみながらはみ出ていて、すっごくいやらしい。
「先生・・・ずっとこんなの穿いていたんですね・・・」
再び正面を向いたゆうこ先生に近づいて中腰になって、遠慮無くゆうこ先生の下半身に顔を寄せました。
ノーパンで穿いているのか、それともあの水着も着けているのか?
パンストは穿いていないことだけは、明らかになりました。
あの水着を着ているなら、もともと本当にスジの部分にあてがう位の布の分量しかないので、こんなローライズな股上でも水着は隠れてしまうでしょう。
どちらにしろ、いずれはわかることなので、ここでは質問しないことにしました。
それよりも、もっと気になることがありました。
ぷっくりとふくらんでいる、いわゆる土手の部分がジーンズの布地からほとんど覗いていて、そこにはまったく毛がありません。
剃ったような痕も、新しく生えてきそうな気配も、まったく無いのです。
「先生は、ここのヘア、処理しているのですか?それとも・・・」
ゆうこ先生の下半身の目前に子供のようにしゃがみ込んで、その部分をじっと見つめてあげながら、イジワルっぽく投げかけました。
「わたし、ずいぶん前にソコ、永久脱毛しちゃったの・・・マゾだから・・・」
頭の上から、ゆうこ先生の恥じらいに満ちたか細いお声が降ってきました。
「知り合いのエステの先生にお願いして・・・整形外科の女性の先生、紹介していただいて・・・」
「マゾには、毛なんか必要ないから・・・そのほうが、よーく見てもらえるから・・・」
「レーザーで。すごく痛くて、すごく恥ずかしかった・・・です・・・」
今にも泣き出しそうな、羞恥に染まって掠れたささやきの告白を聞きながら、私は気がつきました。
ジーンズの太股の付け根付近の狭い布地が湿って、左右内腿のかなりの範囲にわたってシミのように色が濃くなっていることを。
私の頭はクラクラしていました。
もう、コーフンしすぎて、今すぐにもゆうこ先生を丸裸にして、私も裸になって、思う存分抱き合いたい、弄り合いたい、って思いました。
でも、それじゃだめなんです。
まだふたりのレッスンは始まったばかり。
もっともっとゆうこ先生を虐めれば、もっともっと私も気持ち良くなれるはずなんです。
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*ピアノにまつわるエトセトラ 16へ
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2011年11月19日
ピアノにまつわるエトセトラ 14
歩きながら考えていたのは、ゆうこ先生は今日ご自宅で、どんな格好をしてお出迎えしてくれるのかな?ということでした。
前回のゆうこ先生のお家でのレッスンの帰り際、私はゆうこ先生に、あの水着を着てレッスンしてください、ってお願いしていました。
いいえ、あのときにもう二人のSMのプレイが始まっていたとしたら、命令、と言ってもいいかもしれません。
私が中学2年生の夏休み。
我が家でのガーデンパーティでゆうこ先生が身に着けていたベージュのビキニ水着。
上下ともほとんど細い紐状で、必要最低限の箇所だけ、かろうじて隠せるくらいの過激過ぎる水着。
いっそのこと脱いで裸になっちゃったほうがいやらしさが減るだろう、って思うほど恥ずかしすぎるえっちで露出狂な水着。
あれを着て玄関先で迎えられたら、私は思わず抱きついて、ゆうこ先生を押し倒してしまうかもしれません。
だけど、確かゆうこ先生は、プレイはいつものレッスンが終わってから、ともおっしゃっていました。
ということは、まずは普通にレッスンをして、それから着替えてくれるのかな?
普通のお洋服の下にあらかじめ着ておいてストリップしてくれる、っていうのも考えられるかな・・・
そんな勝手な妄想をしつつ、両足は着実にゆうこ先生のマンションに近づいていました。
ゆうこ先生が教えてくれた目印になる建物が的確だったので、けっこう複雑な順路なのですがまったく迷わずにマンションの入り口までたどり着けました。
キンコーン。
エントランスでゆうこ先生をお呼びしてロックを解除してもらい、エレベーターで7階まで上がります。
エレベーターホールから向かって左側のドアの前に立ちました。
高鳴る胸の鼓動を、深呼吸を一回して落ち着かせてから、ドアチャイムを押しました。
ピンポーンッ。
ゆっくりと開いてくる外開きのドアの向こうに現われたゆうこ先生は、きわめて普通の格好をしていました。
膝上10センチくらいの柔らかそうな生地でゆったりとしたシルエットの、淡いブルーの七分袖チュニック。
ボトムは、たぶんこの間と同じ、ウォッシュアウトのスリムジーンズ。
スリッパと裾の間からは黒のストッキングが覗いていました。
私は、ですよねー、って感じで少し落胆しつつも、ゆうこ先生のニコニコ微笑んでいる綺麗なお顔を見て気を取り直し、今日これから、いったいどんなことになるのか、抑えようもない期待が新たにどんどん膨らんできて、ゆうこ先生につられるように自然と満面の笑顔になっていました。
お部屋の中は、心地良い温度に暖まっていて、私はコートとブレザーも脱ぎ、制服の赤いリボン付き長袖ブラウスと膝丈スカート、白のハイソックスという姿になりました。
レッスン前のお茶とケーキで雑談のときは、二人ともわざとらしいくらいに普通のお話をして、えっちな話題にはいっさい触れないようにしていました。
まるでそこに暗黙の了解でもあるように。
今日のゆうこ先生は、髪の毛をアップにしてサイドで束ねて、その端正なお顔立ちがなおさら際立ち、すっごく綺麗な上に、いつもよりいっそう若々しくも見えました。
私とゆうこ先生は、20センチの距離を保って隣り合って座り、私は、沈黙を怖がっているみたいにいつもよりよく動くゆうこ先生の唇を中心に、その美しいお顔にずっと見蕩れていました。
いつもより短かめで切り上げたお茶会の後、お隣のお部屋に移ってピアノレッスンが始まりました。
このお部屋は土足仕様なので、私は茶色いローファーを、ゆうこ先生は黒くてヒールの低いパンプスを履いています。
こちらのお部屋も準備良く、すでに適温に暖められていて、これなら裸になっても寒くありません。
「今日のレッスンはちょっと、番外編ね。直子ちゃんにコード弾きのこと、教えてあげる」
ゆうこ先生がご自分で作られたらしい何枚かのプリントを私に手渡してくれて、ご説明が始まりました。
「クラシックピアノだけを習っている人は、意外と教えてもらえないのよね、コードの概念」
「楽譜に書かれた音符と記号通りに間違えずに弾くのはもちろん大切なことだけれど、各メロディに呼応する和音を知って、それを応用して自分っぽくアレンジ出来ることを知ると、ピアノを弾くのがますます楽しくなるわよ」
「もちろん、クラシック曲の演奏ではそんなことは、ご法度だけどね。でも、ポップスやロック、ジャズの世界ではこっちが主流。コードに慣れておくと、バンドとかでいろいろ楽しく遊べるわよ」
ご説明されながら、ゆうこ先生が私の背後から両手を伸ばし、私の背中にご自分の胸を押し付ける体勢で、手ほどきが始まりました。
長調と短調の三和音と四和音。
曲全体の基本音階、キーのみつけ方とその調で使える音階、スケールのこと。
トップノートを動かすことで響きががらりと変わったりすること。
などなどをわかりやすく解説してくださいました。
背中に押し付けられるゆうこ先生の胸に、始めのうちはドギマギして気が散りがちな私でしたが、 ゆうこ先生のご説明をお聞きしながら、実際に鍵盤を叩いているうちに、どんどんコード弾きに興味が湧いてきて、いつのまにかレッスンに集中していました。
あっ、という間に2時間近くが経ち、私は、楽譜も見ずにコード譜だけで、ビートルズのレットイットビーをそれらしく弾けるようになっていました。
最後にゆうこ先生にピアノを譲り、ゆうこ先生がジャズ風とバロック風に即興アレンジしたステキなレットイットビーを披露してくださいました。
「はい。これで今日の直子ちゃんのレッスンはしゅうりょおーーーっ!」
明るく大きなお声で宣言して、ピアノのペダルから足を外したゆうこ先生。
時刻は午後の5時ちょっと前。
サスティーンしていた和音が途切れ、沈黙が訪れたレッスンルーム。
スクッと立ち上がり私のほうに振り向いたゆうこ先生のお顔は、さっきまでとは打って変わって、目尻に涙を湛えているような、潤んだキラキラお目目になっていました。
何て言うか、訴えかけるような、媚びるような、淫らな、でもすごく美しいお顔・・・
ゆうこ先生は、そのままスタスタと奥の窓際の応接セットのところまで歩いて行き、ソファーに置いてあったバーキンバッグを手に取って提げ、また戻ってきました。
「直子ちゃん、これを・・・」
ゆうこ先生がバッグから取り出して私に差し出してきたのは、プラスティックの30センチ定規でした。
「ここからは、直子ちゃんがわたしの先生で、わたしは出来の悪い生徒、ね?わたしを厳しく、躾けてください」
ゆうこ先生がみるみるうちにマゾのお顔になっていきました。
頬から首筋にかけて薄桃色に染まり、眉が悩ましげに寄って、伏目がちに睫毛が瞬き、お口が少しだけ開き、唇がテラテラと濡れそぼっています。
中二のとき、父が隠し持っていたSM写真集で見て、私の性癖を目覚めさせてしまった、縛られたモデルさんたちの儚くも美しいお顔。
やよい先生に撮られた写真や自分で撮ったビデオで、自分もそういう表情になることを知っている淫らさ全開の顔。
ゆうこ先生は今まさに、そんなお顔になっていました。
「あ、でも虐めてもらうのに、直子ちゃん、て馴れ馴れしく呼ぶのはおかしいわよね・・・かと言って、ご主人様とかだと、なんだかお芝居じみていて、かえって白けちゃうかな?・・・うーん・・・」
ゆうこ先生がお悩みモードに入ってしまいました。
「うーん・・・まあ、ここは普通に、森下さん、って呼ぶことにするね。わたしはずいぶん年上だけれど、直子ちゃん、いえ、森下さんには絶対に逆らえないの。森下さんは、わたしがドMの露出狂なことを知っているから。ふたりはそんな関係という設定で、ね?」
「はい」
私が考えてきた妄想でも、ふたりはそんな感じの関係だったので、私も即答で従いました。
「それでは森下さん。まずは、わたしのピアノ演奏を聴いてください」
さっきの私のレッスンのときとは打って変わって、ピアノに向かってもなんだかモジモジ頼りないご様子なゆうこ先生が、一呼吸置いてからおもむろに演奏を始めました。
ストラヴィンスキーのペトリューシュカ。
私にはまだまだ、とうてい弾きこなすことの出来ない難曲です。
そして、この曲にまつわるゆうこ先生のエピソードと言えば・・・
つまり、ゆうこ先生は、ゆうこ先生が高校生の頃に受けたSな女性講師さんとの思い出のレッスンを、まず再現してみることにしたみたいです。
私は、腰掛けているゆうこ先生の背後に立ちました。
ゆうこ先生は、チュニックの襟元のボタンを一番上までキッチリ留めていたので、上から見下ろす格好になっても、ゆうこ先生の胸元の素肌を覗きこむことは出来ませんでした。
ゆうこ先生は、このチュニックの下にあの水着を着けているのかしら?
いずれにしてもまずは、お約束通りゆうこ先生にあの水着姿になってもらって、恥らう姿をじっくりと見せてもらわなければなりません。
ゆうこ先生の背後で、手渡されたプラスティック定規で自分の左手のひらを軽くパチパチ叩きながら、ワクワクする気持ちがどんどん高まっていく私でした。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 15へ
*
前回のゆうこ先生のお家でのレッスンの帰り際、私はゆうこ先生に、あの水着を着てレッスンしてください、ってお願いしていました。
いいえ、あのときにもう二人のSMのプレイが始まっていたとしたら、命令、と言ってもいいかもしれません。
私が中学2年生の夏休み。
我が家でのガーデンパーティでゆうこ先生が身に着けていたベージュのビキニ水着。
上下ともほとんど細い紐状で、必要最低限の箇所だけ、かろうじて隠せるくらいの過激過ぎる水着。
いっそのこと脱いで裸になっちゃったほうがいやらしさが減るだろう、って思うほど恥ずかしすぎるえっちで露出狂な水着。
あれを着て玄関先で迎えられたら、私は思わず抱きついて、ゆうこ先生を押し倒してしまうかもしれません。
だけど、確かゆうこ先生は、プレイはいつものレッスンが終わってから、ともおっしゃっていました。
ということは、まずは普通にレッスンをして、それから着替えてくれるのかな?
普通のお洋服の下にあらかじめ着ておいてストリップしてくれる、っていうのも考えられるかな・・・
そんな勝手な妄想をしつつ、両足は着実にゆうこ先生のマンションに近づいていました。
ゆうこ先生が教えてくれた目印になる建物が的確だったので、けっこう複雑な順路なのですがまったく迷わずにマンションの入り口までたどり着けました。
キンコーン。
エントランスでゆうこ先生をお呼びしてロックを解除してもらい、エレベーターで7階まで上がります。
エレベーターホールから向かって左側のドアの前に立ちました。
高鳴る胸の鼓動を、深呼吸を一回して落ち着かせてから、ドアチャイムを押しました。
ピンポーンッ。
ゆっくりと開いてくる外開きのドアの向こうに現われたゆうこ先生は、きわめて普通の格好をしていました。
膝上10センチくらいの柔らかそうな生地でゆったりとしたシルエットの、淡いブルーの七分袖チュニック。
ボトムは、たぶんこの間と同じ、ウォッシュアウトのスリムジーンズ。
スリッパと裾の間からは黒のストッキングが覗いていました。
私は、ですよねー、って感じで少し落胆しつつも、ゆうこ先生のニコニコ微笑んでいる綺麗なお顔を見て気を取り直し、今日これから、いったいどんなことになるのか、抑えようもない期待が新たにどんどん膨らんできて、ゆうこ先生につられるように自然と満面の笑顔になっていました。
お部屋の中は、心地良い温度に暖まっていて、私はコートとブレザーも脱ぎ、制服の赤いリボン付き長袖ブラウスと膝丈スカート、白のハイソックスという姿になりました。
レッスン前のお茶とケーキで雑談のときは、二人ともわざとらしいくらいに普通のお話をして、えっちな話題にはいっさい触れないようにしていました。
まるでそこに暗黙の了解でもあるように。
今日のゆうこ先生は、髪の毛をアップにしてサイドで束ねて、その端正なお顔立ちがなおさら際立ち、すっごく綺麗な上に、いつもよりいっそう若々しくも見えました。
私とゆうこ先生は、20センチの距離を保って隣り合って座り、私は、沈黙を怖がっているみたいにいつもよりよく動くゆうこ先生の唇を中心に、その美しいお顔にずっと見蕩れていました。
いつもより短かめで切り上げたお茶会の後、お隣のお部屋に移ってピアノレッスンが始まりました。
このお部屋は土足仕様なので、私は茶色いローファーを、ゆうこ先生は黒くてヒールの低いパンプスを履いています。
こちらのお部屋も準備良く、すでに適温に暖められていて、これなら裸になっても寒くありません。
「今日のレッスンはちょっと、番外編ね。直子ちゃんにコード弾きのこと、教えてあげる」
ゆうこ先生がご自分で作られたらしい何枚かのプリントを私に手渡してくれて、ご説明が始まりました。
「クラシックピアノだけを習っている人は、意外と教えてもらえないのよね、コードの概念」
「楽譜に書かれた音符と記号通りに間違えずに弾くのはもちろん大切なことだけれど、各メロディに呼応する和音を知って、それを応用して自分っぽくアレンジ出来ることを知ると、ピアノを弾くのがますます楽しくなるわよ」
「もちろん、クラシック曲の演奏ではそんなことは、ご法度だけどね。でも、ポップスやロック、ジャズの世界ではこっちが主流。コードに慣れておくと、バンドとかでいろいろ楽しく遊べるわよ」
ご説明されながら、ゆうこ先生が私の背後から両手を伸ばし、私の背中にご自分の胸を押し付ける体勢で、手ほどきが始まりました。
長調と短調の三和音と四和音。
曲全体の基本音階、キーのみつけ方とその調で使える音階、スケールのこと。
トップノートを動かすことで響きががらりと変わったりすること。
などなどをわかりやすく解説してくださいました。
背中に押し付けられるゆうこ先生の胸に、始めのうちはドギマギして気が散りがちな私でしたが、 ゆうこ先生のご説明をお聞きしながら、実際に鍵盤を叩いているうちに、どんどんコード弾きに興味が湧いてきて、いつのまにかレッスンに集中していました。
あっ、という間に2時間近くが経ち、私は、楽譜も見ずにコード譜だけで、ビートルズのレットイットビーをそれらしく弾けるようになっていました。
最後にゆうこ先生にピアノを譲り、ゆうこ先生がジャズ風とバロック風に即興アレンジしたステキなレットイットビーを披露してくださいました。
「はい。これで今日の直子ちゃんのレッスンはしゅうりょおーーーっ!」
明るく大きなお声で宣言して、ピアノのペダルから足を外したゆうこ先生。
時刻は午後の5時ちょっと前。
サスティーンしていた和音が途切れ、沈黙が訪れたレッスンルーム。
スクッと立ち上がり私のほうに振り向いたゆうこ先生のお顔は、さっきまでとは打って変わって、目尻に涙を湛えているような、潤んだキラキラお目目になっていました。
何て言うか、訴えかけるような、媚びるような、淫らな、でもすごく美しいお顔・・・
ゆうこ先生は、そのままスタスタと奥の窓際の応接セットのところまで歩いて行き、ソファーに置いてあったバーキンバッグを手に取って提げ、また戻ってきました。
「直子ちゃん、これを・・・」
ゆうこ先生がバッグから取り出して私に差し出してきたのは、プラスティックの30センチ定規でした。
「ここからは、直子ちゃんがわたしの先生で、わたしは出来の悪い生徒、ね?わたしを厳しく、躾けてください」
ゆうこ先生がみるみるうちにマゾのお顔になっていきました。
頬から首筋にかけて薄桃色に染まり、眉が悩ましげに寄って、伏目がちに睫毛が瞬き、お口が少しだけ開き、唇がテラテラと濡れそぼっています。
中二のとき、父が隠し持っていたSM写真集で見て、私の性癖を目覚めさせてしまった、縛られたモデルさんたちの儚くも美しいお顔。
やよい先生に撮られた写真や自分で撮ったビデオで、自分もそういう表情になることを知っている淫らさ全開の顔。
ゆうこ先生は今まさに、そんなお顔になっていました。
「あ、でも虐めてもらうのに、直子ちゃん、て馴れ馴れしく呼ぶのはおかしいわよね・・・かと言って、ご主人様とかだと、なんだかお芝居じみていて、かえって白けちゃうかな?・・・うーん・・・」
ゆうこ先生がお悩みモードに入ってしまいました。
「うーん・・・まあ、ここは普通に、森下さん、って呼ぶことにするね。わたしはずいぶん年上だけれど、直子ちゃん、いえ、森下さんには絶対に逆らえないの。森下さんは、わたしがドMの露出狂なことを知っているから。ふたりはそんな関係という設定で、ね?」
「はい」
私が考えてきた妄想でも、ふたりはそんな感じの関係だったので、私も即答で従いました。
「それでは森下さん。まずは、わたしのピアノ演奏を聴いてください」
さっきの私のレッスンのときとは打って変わって、ピアノに向かってもなんだかモジモジ頼りないご様子なゆうこ先生が、一呼吸置いてからおもむろに演奏を始めました。
ストラヴィンスキーのペトリューシュカ。
私にはまだまだ、とうてい弾きこなすことの出来ない難曲です。
そして、この曲にまつわるゆうこ先生のエピソードと言えば・・・
つまり、ゆうこ先生は、ゆうこ先生が高校生の頃に受けたSな女性講師さんとの思い出のレッスンを、まず再現してみることにしたみたいです。
私は、腰掛けているゆうこ先生の背後に立ちました。
ゆうこ先生は、チュニックの襟元のボタンを一番上までキッチリ留めていたので、上から見下ろす格好になっても、ゆうこ先生の胸元の素肌を覗きこむことは出来ませんでした。
ゆうこ先生は、このチュニックの下にあの水着を着けているのかしら?
いずれにしてもまずは、お約束通りゆうこ先生にあの水着姿になってもらって、恥らう姿をじっくりと見せてもらわなければなりません。
ゆうこ先生の背後で、手渡されたプラスティック定規で自分の左手のひらを軽くパチパチ叩きながら、ワクワクする気持ちがどんどん高まっていく私でした。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 15へ
*
2011年11月13日
ピアノにまつわるエトセトラ 13
「なおちゃん、ずいぶん大貫さんに気に入られちゃったみたいね?」
帰宅する車の中で母に、からかうみたいな口調で笑いながら言われました。
「飲み込みが早いし、一度注意すれば同じミスはくりかえさないし、って、ずいぶん褒めていたわよ」
「なおちゃんは、先生運がいいのね。百合草先生にしても大貫さんにしても」
母は、なんだか上機嫌でいろいろ話しかけてきます。
私は、曖昧にお返事しつつも、お尻がくすぐったいような、ビミョーな罪悪感を感じていました。
「大貫さんは、いろいろご苦労されたみたいだけれど、音楽家みたいな華やかなお仕事をされていてもだらしないところはないし、きちんとしたかただから、ママも大好き」
「うちでピアノを買うことになったときも、なおちゃんの前でいきなり弾いてびっくりさせちゃおうと思って、大貫さんにご相談して、彼女のお家でこっそり練習させてもらったのよ」
「あれってやっぱり、そうだったんだ?」
「それに、あのかた、ファッションセンスいいでしょ?プロポーションもバツグンだし、あんなお美しい方と離婚される旦那さまがいるなんて、信じられないわ」
母は、まるでご自慢の身内の人みたいな感じで、ゆうこ先生を褒め称えていました。
裏話を聞いてしまったばかりなので、若干の居心地の悪さを感じながらも、なんだっかすっごく嬉しい気持ちにもなっている私でした。
その週の金曜日にも、ゆうこ先生が我が家を訪れました。
月曜日のことなんて無かったみたいに、いつも通り母と3人で雑談して、いつも通りピアノのレッスン。
レッスンの最後に恒例となっているゆうこ先生の模範演奏は、ドビュッシーの月の光でした。
透明感のある素晴らしい演奏にうっとりしました。
レッスンが終わってお夕食待ちの雑談中、やっと月曜日の流れに沿った話題がゆうこ先生のお口から出てきました。
「それで、次のうちでのレッスンはいつにしよっか?」
ゆうこ先生が綺麗な瞳をキラキラさせて、私に聞いてきました。
私の期末試験が控えているので来週、再来週は無理だから、12月の第一週、私のお誕生日が間近に迫った金曜日、ということになりました。
17歳寸前に、私はエスデビューするのか・・・
そんな、よく考えてみればすっこく意味の無い可笑しな感慨が、ふと湧きました。
「ところで、あの本は読んでみた?」
ゆうこ先生のひそひそ声に我に返りました。
「あ、はいっ」
ゆうこ先生のお家でのレッスンの帰り際にこっそり渡された一冊の文庫本。
私は、いただいた日の寝る前から、すぐ読み始めました。
その夜に、その本は持ち歩いて読むような種類の本ではないとわかったので、机の鍵のかかる抽斗にしまって、次の日からは、学校から帰って寝るまでの間にワクワクしながらじっくり読みました。
紙面が少し変色し始めるくらい古い発行の本のようで、くりかえし何度も読まれたのでしょう、文庫本全体がなんだかクタッとくたびれていました。
それは、一般に官能小説と呼ばれる類のえっちなシーン満載のSMチックな物語でした。
とある全寮制の女子学園でくりひろげられる愛欲や嫉妬、策略や陰謀に満ちた百合物語。
主人公的立場のSとMのカップルに加えて、ドSな美貌の女性寮長や気弱で言いなりの可憐な新入生などが、学園内や寮内でさまざまな痴態をくりひろげていました。
性的な表現をわざとらしく過剰にお下品に書いているようなところもありましたが、全編、お上品な良家のお嬢さま風雰囲気を基本として進行し、物語としても普通に面白く、二晩で一度目を読み終えました。
ゆうこ先生がおっしゃった、参考になる、っていう意味もすぐ理解出来ました。
それから、M属性の登場人物に感情移入しつつもう一度読み終えて、今度はS属性の人の気持ちになって、更にもう一度読み返していました。
「あの本はね、わたしが先生からもらったものなの。高校1年のとき」
「それまでそんな小説、一度も読んだことなかったから、当時は文字通り、ぶっとんじゃった。それで夢中になって、何度も何度も読み返したの」
「レッスンのときに先生が登場人物と同じ科白を言ったりしてね。二人の共通言語だったな」
ゆうこ先生が懐かしそうに目を細めて宙空を見つめました。
「直子ちゃんは、気に入ってくれた?」
「はい。すっごく」
「参考になった?」
「はい。とっても」
「そう。よかった。レッスン当日が楽しみね」
ゆうこ先生宅でのレッスン以前に、その後2回、我が家でのレッスンがありました。
そのとき、レッスン後の雑談の流れで聞かせていただいたのが、私の母の、ゆうこ先生から見た印象でした。
「素子さんはね、一言で言うと、すごく出来たお嬢さまがそのままオトナになった、って感じかな」
「あの人はね、物事に対して否定的な捉え方をしないの。どんなにつまらないことでも、そこに何かしらの面白みをみつけて楽しもうとするタイプなのね」
「物腰が柔らかくて、気取ったところも無いでしょ?ちょっとフワフワしていて、一見捉えどころが無いようにも見えるけれど」
「でも、芯が一本通っているから、たとえば性格が合いそうも無い人とかとご一緒することになっても、あの人自身にはブレがないの。懐が深いのね」
「だから、いったん気が合っちゃえば、一緒にいて楽だし、楽しいし、リラックスした気持ちになれるし、おまけに包容力もあるから、自然とまわりに人が集まってくるのよね」
「実の娘さんを前にして言うのも失礼だけれど、ちょっぴり天然なとこもあって、普通の人にとっては何でもないことをすごく驚いてくれたり、感心してくれたり」
「でも、そういうところも含めて全部、可愛らしく見えてしまうのは、素子さんの人徳よね」
母を盛大に褒めてもらって嬉しいのは嬉しいのですが、娘としては、すっごくこそばゆい感じです。
ゆうこ先生が少しお声をひそめました。
「ずっと前に直子ちゃんちでやった水着パーティのときも、わたしはレイカ、あ、タチバナさんのことね、に言われて、あの水着を着たのだけれど、素子さんは、純粋にわたしのプロポーションを褒めちぎってくれたの」
「あんな水着だもん、普通だったら、何て言うか、性的な気まずさ?道徳的なはしたなさ?みたいな、こう、一歩ひいちゃう感じもしちゃうじゃない?」
「直子ちゃんのお母さまは、そんなことぜんぜん気にしないで無邪気に、こういう水着がお似合いになるのは、大貫さんしかいないわ!なんて本当に嬉しそうに言ってくれるわけ」
「素子さんもすごくキレイなプロポーションなのにね」
ゆうこ先生は、なぜだかうつむいて照れていました。
生憎そのときは、そこまでお話が進んだときにお夕食の時間になってしまったので、あの夏の日の詳しいあれこれまでは、お聞きすることが出来ませんでした。
でもいいんです。
それは12月のレッスンのとき、あの水着を着たゆうこ先生を虐めながらじっくり聞き出そうと、即席エス役に任命された私は、夜な夜なあれこれ、計画を練っていました。
そしていよいよ、ゆうこ先生のお宅でのレッスン日がやって来ました。
その日は、タイミングの良いことに学校の都合により、授業は全学年、午前中で終わりの日でした。
私は、お弁当を食べた後に直接、ゆうこ先生のお宅へ伺うことになっていました。
更にその日は、母が遠出をして一泊しなくてはならない用事があり、帰宅もお迎えも出来ないので、期末試験も終わったことだし、どうせならゆうこ先生のお宅にお泊りしてじっくりピアノの極意を教えていただきなさい、ということになっていました。
無人のお家のお留守番は、篠原さんが快く引き受けてくれました。
なんてラッキーなめぐりあわせ。
土曜日の朝まで、半日以上ゆうこ先生と二人だけで過ごせるのです。
えっちなお道具もいくつか持っていったほうがいいかな、とも思いましたが、すぐに却下しました。
だって、その日は学校から直行。
ということは、お道具もまず学校へ持参しなければなりません。
もしも抜き打ちで持ち物検査とかあったら・・・
そんなことキケン過ぎます。
それにきっと、ゆうこ先生もそういうお道具をいくつかは持っているはず。
ひょっとしたら、すでに準備良く、お部屋に用意されているかもしれません。
そんなわけで、愛用のトートバッグに着替え用の下着とジーンズ、ニットを詰め、一番底にお借りした文庫本だけしのばせて、制服にコートを羽織った姿で、ゆうこ先生の最寄り駅に降り立ちました。
時刻は午後2時前。
今日は、ゆうこ先生の駅でのお出迎えはありません。
よく晴れたいいお天気でしたが、さすがに吹く風は冷たく、行き交う人も背中を丸めがちな商店街。
ワクワクな気持ちを抑えきれない私は、そんな商店街を足早に歩き始めました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 14へ
*
帰宅する車の中で母に、からかうみたいな口調で笑いながら言われました。
「飲み込みが早いし、一度注意すれば同じミスはくりかえさないし、って、ずいぶん褒めていたわよ」
「なおちゃんは、先生運がいいのね。百合草先生にしても大貫さんにしても」
母は、なんだか上機嫌でいろいろ話しかけてきます。
私は、曖昧にお返事しつつも、お尻がくすぐったいような、ビミョーな罪悪感を感じていました。
「大貫さんは、いろいろご苦労されたみたいだけれど、音楽家みたいな華やかなお仕事をされていてもだらしないところはないし、きちんとしたかただから、ママも大好き」
「うちでピアノを買うことになったときも、なおちゃんの前でいきなり弾いてびっくりさせちゃおうと思って、大貫さんにご相談して、彼女のお家でこっそり練習させてもらったのよ」
「あれってやっぱり、そうだったんだ?」
「それに、あのかた、ファッションセンスいいでしょ?プロポーションもバツグンだし、あんなお美しい方と離婚される旦那さまがいるなんて、信じられないわ」
母は、まるでご自慢の身内の人みたいな感じで、ゆうこ先生を褒め称えていました。
裏話を聞いてしまったばかりなので、若干の居心地の悪さを感じながらも、なんだっかすっごく嬉しい気持ちにもなっている私でした。
その週の金曜日にも、ゆうこ先生が我が家を訪れました。
月曜日のことなんて無かったみたいに、いつも通り母と3人で雑談して、いつも通りピアノのレッスン。
レッスンの最後に恒例となっているゆうこ先生の模範演奏は、ドビュッシーの月の光でした。
透明感のある素晴らしい演奏にうっとりしました。
レッスンが終わってお夕食待ちの雑談中、やっと月曜日の流れに沿った話題がゆうこ先生のお口から出てきました。
「それで、次のうちでのレッスンはいつにしよっか?」
ゆうこ先生が綺麗な瞳をキラキラさせて、私に聞いてきました。
私の期末試験が控えているので来週、再来週は無理だから、12月の第一週、私のお誕生日が間近に迫った金曜日、ということになりました。
17歳寸前に、私はエスデビューするのか・・・
そんな、よく考えてみればすっこく意味の無い可笑しな感慨が、ふと湧きました。
「ところで、あの本は読んでみた?」
ゆうこ先生のひそひそ声に我に返りました。
「あ、はいっ」
ゆうこ先生のお家でのレッスンの帰り際にこっそり渡された一冊の文庫本。
私は、いただいた日の寝る前から、すぐ読み始めました。
その夜に、その本は持ち歩いて読むような種類の本ではないとわかったので、机の鍵のかかる抽斗にしまって、次の日からは、学校から帰って寝るまでの間にワクワクしながらじっくり読みました。
紙面が少し変色し始めるくらい古い発行の本のようで、くりかえし何度も読まれたのでしょう、文庫本全体がなんだかクタッとくたびれていました。
それは、一般に官能小説と呼ばれる類のえっちなシーン満載のSMチックな物語でした。
とある全寮制の女子学園でくりひろげられる愛欲や嫉妬、策略や陰謀に満ちた百合物語。
主人公的立場のSとMのカップルに加えて、ドSな美貌の女性寮長や気弱で言いなりの可憐な新入生などが、学園内や寮内でさまざまな痴態をくりひろげていました。
性的な表現をわざとらしく過剰にお下品に書いているようなところもありましたが、全編、お上品な良家のお嬢さま風雰囲気を基本として進行し、物語としても普通に面白く、二晩で一度目を読み終えました。
ゆうこ先生がおっしゃった、参考になる、っていう意味もすぐ理解出来ました。
それから、M属性の登場人物に感情移入しつつもう一度読み終えて、今度はS属性の人の気持ちになって、更にもう一度読み返していました。
「あの本はね、わたしが先生からもらったものなの。高校1年のとき」
「それまでそんな小説、一度も読んだことなかったから、当時は文字通り、ぶっとんじゃった。それで夢中になって、何度も何度も読み返したの」
「レッスンのときに先生が登場人物と同じ科白を言ったりしてね。二人の共通言語だったな」
ゆうこ先生が懐かしそうに目を細めて宙空を見つめました。
「直子ちゃんは、気に入ってくれた?」
「はい。すっごく」
「参考になった?」
「はい。とっても」
「そう。よかった。レッスン当日が楽しみね」
ゆうこ先生宅でのレッスン以前に、その後2回、我が家でのレッスンがありました。
そのとき、レッスン後の雑談の流れで聞かせていただいたのが、私の母の、ゆうこ先生から見た印象でした。
「素子さんはね、一言で言うと、すごく出来たお嬢さまがそのままオトナになった、って感じかな」
「あの人はね、物事に対して否定的な捉え方をしないの。どんなにつまらないことでも、そこに何かしらの面白みをみつけて楽しもうとするタイプなのね」
「物腰が柔らかくて、気取ったところも無いでしょ?ちょっとフワフワしていて、一見捉えどころが無いようにも見えるけれど」
「でも、芯が一本通っているから、たとえば性格が合いそうも無い人とかとご一緒することになっても、あの人自身にはブレがないの。懐が深いのね」
「だから、いったん気が合っちゃえば、一緒にいて楽だし、楽しいし、リラックスした気持ちになれるし、おまけに包容力もあるから、自然とまわりに人が集まってくるのよね」
「実の娘さんを前にして言うのも失礼だけれど、ちょっぴり天然なとこもあって、普通の人にとっては何でもないことをすごく驚いてくれたり、感心してくれたり」
「でも、そういうところも含めて全部、可愛らしく見えてしまうのは、素子さんの人徳よね」
母を盛大に褒めてもらって嬉しいのは嬉しいのですが、娘としては、すっごくこそばゆい感じです。
ゆうこ先生が少しお声をひそめました。
「ずっと前に直子ちゃんちでやった水着パーティのときも、わたしはレイカ、あ、タチバナさんのことね、に言われて、あの水着を着たのだけれど、素子さんは、純粋にわたしのプロポーションを褒めちぎってくれたの」
「あんな水着だもん、普通だったら、何て言うか、性的な気まずさ?道徳的なはしたなさ?みたいな、こう、一歩ひいちゃう感じもしちゃうじゃない?」
「直子ちゃんのお母さまは、そんなことぜんぜん気にしないで無邪気に、こういう水着がお似合いになるのは、大貫さんしかいないわ!なんて本当に嬉しそうに言ってくれるわけ」
「素子さんもすごくキレイなプロポーションなのにね」
ゆうこ先生は、なぜだかうつむいて照れていました。
生憎そのときは、そこまでお話が進んだときにお夕食の時間になってしまったので、あの夏の日の詳しいあれこれまでは、お聞きすることが出来ませんでした。
でもいいんです。
それは12月のレッスンのとき、あの水着を着たゆうこ先生を虐めながらじっくり聞き出そうと、即席エス役に任命された私は、夜な夜なあれこれ、計画を練っていました。
そしていよいよ、ゆうこ先生のお宅でのレッスン日がやって来ました。
その日は、タイミングの良いことに学校の都合により、授業は全学年、午前中で終わりの日でした。
私は、お弁当を食べた後に直接、ゆうこ先生のお宅へ伺うことになっていました。
更にその日は、母が遠出をして一泊しなくてはならない用事があり、帰宅もお迎えも出来ないので、期末試験も終わったことだし、どうせならゆうこ先生のお宅にお泊りしてじっくりピアノの極意を教えていただきなさい、ということになっていました。
無人のお家のお留守番は、篠原さんが快く引き受けてくれました。
なんてラッキーなめぐりあわせ。
土曜日の朝まで、半日以上ゆうこ先生と二人だけで過ごせるのです。
えっちなお道具もいくつか持っていったほうがいいかな、とも思いましたが、すぐに却下しました。
だって、その日は学校から直行。
ということは、お道具もまず学校へ持参しなければなりません。
もしも抜き打ちで持ち物検査とかあったら・・・
そんなことキケン過ぎます。
それにきっと、ゆうこ先生もそういうお道具をいくつかは持っているはず。
ひょっとしたら、すでに準備良く、お部屋に用意されているかもしれません。
そんなわけで、愛用のトートバッグに着替え用の下着とジーンズ、ニットを詰め、一番底にお借りした文庫本だけしのばせて、制服にコートを羽織った姿で、ゆうこ先生の最寄り駅に降り立ちました。
時刻は午後2時前。
今日は、ゆうこ先生の駅でのお出迎えはありません。
よく晴れたいいお天気でしたが、さすがに吹く風は冷たく、行き交う人も背中を丸めがちな商店街。
ワクワクな気持ちを抑えきれない私は、そんな商店街を足早に歩き始めました。
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*ピアノにまつわるエトセトラ 14へ
*
2011年11月12日
ピアノにまつわるエトセトラ 12
「先生とのSMなレッスンは、高校3年の秋ごろまでずっとつづいたの。もちろんわたしの受験もあるから、3年生の頃は月2回ぐらいだったけれど、わたしと先生は会うたびにいろいろえっちなアソビをして、お互いが満足するまで快楽を貪り合っていたの」
「それが、あることを境にガラッと状況が変わってしまったのね」
ゆうこ先生が久々にワイングラスのほうに唇を触れさせました。
「先生がピアノを教えていた生徒さんの一人が、ヨーロッパの、フランスだったかベルギーだったか、のコンクールで入賞しちゃってね」
「しちゃってね、っていう言い方も失礼だけれど、それも、18歳の男の子。わたし、あの先生が男の子にもレッスンしていたなんて、想像もしなかったし、出来なかったな」
「その子が中学生だった頃から、っておっしゃっていたから、わたしと同じくらいの期間、並行してずーっとレッスンしていたことになるの」
「その子がまた、あ、でも、コンクールのビデオを見せていただいただけで、実際には会ってはいないのだけれど、その子がまた、何て言うか、らしくないルックスなの」
「180センチはあるがっしりした体格で坊主刈り、顔はまあ普通。少し田舎くさい純朴な感じ?」
「高校では陸上部で幅跳びかなにかをやっていたんだって。もろ体育会系。先生が言うには、その子は、一人きりで黙々と作業するのが大好きなタイプだったそう」
「でも、彼のピアノ、確かに凄かった。ダイナミックでいながら情感に溢れていて、繊細なタッチもちゃんと出せていて」
「向こうでは、彼のその求道的な雰囲気から、ブシドーピアニスト、とかニックネームつけられて大人気だったそうよ」
「先生ったら、その子にはずっとちゃんと、真剣にピアノ教えていたのね。わたしとは、えっちなことばかりしていたのに」
ゆうこ先生が小さく笑いました。
「その男の子のビデオを見て、わたしは少なからずショックだった。わたしも、ちゃんとピアノをレッスンしてもらっていたら、彼の代わりに今頃ヨーロッパで歓声を浴びていたかもしれないのかな、なんて、しょーもない想像をして」
「もちろん先生に問い詰めちゃったわ。まさか先生、彼にもわたしとやっているようなこと、しているのじゃないでしょうね?って」
「先生は笑いながら、わたくしはまったく男性には興味がありません。だからむしろ遠慮なくビシビシしごけるから、やりがいがあるわ、ですって」
「それで、それ以降、先生のお仕事が格段に忙しくなってしまったの」
「東京やら海外に長い間行ったきり、帰って来れない日々がつづいて」
「その年の10月以降は、まったく会えなくなってしまっていたの」
「それまで、わたしは地元の大学に進んで、今のバンドメンバーとバンドつづける気だったのね。もちろんプロデビューを狙って」
「だけど先生に会えないのなら地元にいることもないかな、って考え始めて」
「それで急遽、東京の大学を受験することに決めたの」
「それで、東京で初めて男性とヤって、同じ頃にタチバナさんと出会うことになるのだけれど・・・」
おっしゃりながら、ゆうこ先生がご自分の腕時計をチラッと見ました。
「あらやだ。もうこんな時間。そろそろ素子さんがお迎えにきちゃうわね」
「えーっ?もうそんな時間ですか?」
ゆうこ先生のお話のつづきが聞きたくて聞きたくて仕方なかったのですが、母が同席しているところで、そんなお話をつづけるわけにもいきません。
がっかりした気持ちを隠さずに、黙ってゆうこ先生のお顔を見つめていたら、ゆうこ先生がスススッとソファーの上のお尻をすべらせて20センチの距離を詰め、私の横にピッタリと寄り添ってきました。
「つづきは次の機会にまたゆっくりとお話することにして、とりあえず今日の結論を急ぐわね」
ゆうこ先生が至近距離から、私の顔をじーっと見つめてきます。
「今までのわたしの話を聞いた限りでも、わたしが直子ちゃん以上のヘンタイだって、わかったでしょ?」
そんなにストレートに聞かれても、私は肯定していいものか悪いものか、判断に困ってしまいます。
確かに私と同じくらいの、ヘンタイさんだとは思うのですが。
どちらとも答えずに、ゆうこ先生の綺麗なお顔を見つめていました。
「わたしはね、女性に対してはエムで、男に対してはエスになってしまう、いやらしいヘンタイバツイチ女なの」
ゆうこ先生の潤んだ瞳が射るように私を見つめてきます。
私の胸は、ワクワクドキドキ最高潮。
「そんなわたしの、今、一番の願いはね・・・」
ゆうこ先生がご自分の左右の指を合わせてお腹の辺りで組んだあと、そのままご自分の後頭部に持って行きました。
ゆうこ先生が身に着けているニットが全体的に上にずり上がって胸元に貼りつき、モヘア越しにもバストの頂上部がこれみよがしに突起しているのがわかりました。
それは、ある意味を持つ、私も大好きなポーズ・・・
私の心臓がドキンと跳ね上がりました。
「直子ちゃん?」
「は、はいっ!」
私のうわずった声に、ゆうこ先生がクスリと笑いました。
でもまたすぐに、真面目なお顔に戻りました。
この後につづくゆうこ先生のお言葉が、なんとなくわかる気がしてドキドキがいっそう高鳴ります。
「直子ちゃんに、虐めて欲しいの」
「えっ!?」
両手を後頭部に回してバストをこちらに突き出しているゆうこ先生が、哀願するような、媚びるような、何かを期待する目つきで私を見つめてきます。
私は、直子ちゃんと気持ちいいことしたいの、もしくは、直子ちゃんと一緒に恥ずかしいことしたいの、みたいな言葉を予想していたので、かなり、心の底から、ビックリしていました。
私が、この私が、虐める側?
「レッスンで直子ちゃんと会うたびにそういう欲求が膨らんで、もう抑えられなくなってしまったの。直子ちゃんにわたしの恥ずかしい姿を見られたり、わたしのいやらしいからだを虐めたりして欲しいの。どうかお願い。お願いします」
ゆうこ先生は、頭の後ろに組んでいた両手を解き、私が腿の上に置いていた両手をやんわり握ってきました。
「で、でも・・・私が、ゆうこ先生を、虐める、のですか?」
ゆうこ先生の汗ばんだ両手の感触にボーッとしながらも、私は困惑していました。
ゆうこ先生とえっちな遊びが出来るのは、それはもう願ったり叶ったりなのですが・・・
ドMな私が虐める側なんて・・・
「だいじょうぶ。直子ちゃんなら出来るわ!」
ゆうこ先生は、私の手を握ったまま、覗き込むように私を見つめてつづけます。
「直子ちゃん、さっき、いつも自分が虐められるのを妄想して遊んでいる、って教えてくれたでしょう?」
「その、直子ちゃんが自分にされたいこと、を、わたしにしてくれればいいの」
「直子ちゃんが、自分にされたい、って思っていることは、イコール、わたしが直子ちゃんにされたいと思っていることと、たぶん、いえ、絶対同じなの」
「有能なエムの人は、必然的に優秀なエスの素質を持っているものなの。だって自分と同じようなエム気質の人なら、どんなことをされると嬉しいのか、全部わかっているのだから」
そう諭されて、パーッと霧が晴れるように、おっしゃっていることの意味が理解出来た気がしました。
確かに私は、自分をどういう風にいやらしくえっちに虐めようか、いつもいろいろ妄想しています。
それをそのまま、ゆうこ先生にしてあげればいいのか。
出来そうな気がします。
「私、やってみます!」
ゆうこ先生に握られている自分の手に力を込めてギュッとして、私は決心しました。
「よかったー。ありがとう。すごく嬉しい!」
握り合った手にいっそう力を込めて、私の顔にご自分のお顔をゆっくり近づけてきました。
「次のうちでのレッスンのとき、また少し早めに集合して、もちろん普通のレッスンはちゃんとやった後、二人でヒミツのアソビをしましょう、ね?」
私の耳元で低くささやくゆうこ先生の唇が徐々に私の顔正面に近づいてきて、私の唇に触れそうになったとき、キンコーンってチャイムの音がお部屋に鳴り響きました。
ガタッガターン!
ソファーとテープルを盛大に揺らして、それぞれソファーの両端へと飛び退く二人。
お互いお顔を見合わせて、すぐに大きな声をあげて笑い転げました。
「残念。お迎えが来てしまったわ。次の直子ちゃんちでのレッスンのときに、こっそり細かいことを決めましょう」
インターフォンに応答した後、ゆうこ先生がキッチンでお茶の準備をしながらおっしゃいました。
「はい。それで先生、ちょっと、おトイレをお借りしていいですか?」
「はーい。どうぞ」
母と顔を合わせる前に自分の気持ちを落ち着けておきたくて、母がお部屋まで上がってくるのを待たずに、おトイレに篭りました。
オシッコをした後、流しっぱなしの冷たいお水に両手をさらして深呼吸。
今更ながら、ゆうこ先生は母のお友達、ということを思い出し、なんだか後ろめたいフクザツな気分も湧き起こっていました。
でもそれは、たとえば幼い頃にこっそりやったお医者さんごっこの後、お家に帰って母の顔を見たときに感じたような、禁断のヒミツを持っている後ろめたさ、に似ていて、どちらかというとワクワクする気持ちのほうが強い感情。
そして、今日の、期待以上の急展開。
いよいよゆうこ先生との新しい関係が始まるのです。
それも、私が虐める側。
少しの不安と大きなワクワク。
懸命に気を落ち着かせようと思うのですが、ドキドキとワクワクが次から次へと湧いてきてしまいます。
でも、いつまでもおトイレに篭っているのも怪しいので、もう一度深く深呼吸してから、思い切ってリビングに戻りました。
リビングでは、母がさっきまで私が座っていたソファーに腰掛けて、ゆうこ先生は対面の椅子に座り、お紅茶のカップ片手におしゃべりをしていました。
母の隣にも新しいお紅茶の用意。
私は母の隣にいつものように腰掛けて、ゆうこ先生と母のとりとめもない世間話を上の空で聞きながら、そう言えばまだ、初めて会ったときの水着のお話、出来ていなかったな、なんてふと思い出していました。
そうだ!
それではそろそろおいとましましょう、となったとき、母がおトイレを借りました。
再び束の間のふたりきりの時間。
ゆうこ先生が私に、書店カバーがついてタイトルがわからない文庫本をササッと手渡してくれました。
「読んでみて。参考になると思うから」
ひそひそ声。
「早くバッグにしまっちゃって」
足元に置いていた自分のバッグに文庫本を押し込んだ後、私もゆうこ先生のお耳に自分の唇を近づけました。
「ゆうこ先生?」
さっき思いついたことを、思い切って口にしました。
「今度のここでのレッスンのときは、私が中学生だった頃の夏休み、先生たちが我が家へいらっしゃったときに着ていたあの水着・・・えっと、あの夏の日、憶えていらっしゃいます?」
「えっ?う、うん・・・」
ゆうこ先生のお顔がみるみる赤く染まっていきます。
「あの水着を着て、レッスンしてください」
真っ赤になったゆうこ先生が上目遣いに潤んだ瞳で私を見つめてから、しばらくして、小さくコクンとうなずきました。
私は早くも、自分にあてがわれたエスな役割を愉しみ始めていました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 13へ
*
「それが、あることを境にガラッと状況が変わってしまったのね」
ゆうこ先生が久々にワイングラスのほうに唇を触れさせました。
「先生がピアノを教えていた生徒さんの一人が、ヨーロッパの、フランスだったかベルギーだったか、のコンクールで入賞しちゃってね」
「しちゃってね、っていう言い方も失礼だけれど、それも、18歳の男の子。わたし、あの先生が男の子にもレッスンしていたなんて、想像もしなかったし、出来なかったな」
「その子が中学生だった頃から、っておっしゃっていたから、わたしと同じくらいの期間、並行してずーっとレッスンしていたことになるの」
「その子がまた、あ、でも、コンクールのビデオを見せていただいただけで、実際には会ってはいないのだけれど、その子がまた、何て言うか、らしくないルックスなの」
「180センチはあるがっしりした体格で坊主刈り、顔はまあ普通。少し田舎くさい純朴な感じ?」
「高校では陸上部で幅跳びかなにかをやっていたんだって。もろ体育会系。先生が言うには、その子は、一人きりで黙々と作業するのが大好きなタイプだったそう」
「でも、彼のピアノ、確かに凄かった。ダイナミックでいながら情感に溢れていて、繊細なタッチもちゃんと出せていて」
「向こうでは、彼のその求道的な雰囲気から、ブシドーピアニスト、とかニックネームつけられて大人気だったそうよ」
「先生ったら、その子にはずっとちゃんと、真剣にピアノ教えていたのね。わたしとは、えっちなことばかりしていたのに」
ゆうこ先生が小さく笑いました。
「その男の子のビデオを見て、わたしは少なからずショックだった。わたしも、ちゃんとピアノをレッスンしてもらっていたら、彼の代わりに今頃ヨーロッパで歓声を浴びていたかもしれないのかな、なんて、しょーもない想像をして」
「もちろん先生に問い詰めちゃったわ。まさか先生、彼にもわたしとやっているようなこと、しているのじゃないでしょうね?って」
「先生は笑いながら、わたくしはまったく男性には興味がありません。だからむしろ遠慮なくビシビシしごけるから、やりがいがあるわ、ですって」
「それで、それ以降、先生のお仕事が格段に忙しくなってしまったの」
「東京やら海外に長い間行ったきり、帰って来れない日々がつづいて」
「その年の10月以降は、まったく会えなくなってしまっていたの」
「それまで、わたしは地元の大学に進んで、今のバンドメンバーとバンドつづける気だったのね。もちろんプロデビューを狙って」
「だけど先生に会えないのなら地元にいることもないかな、って考え始めて」
「それで急遽、東京の大学を受験することに決めたの」
「それで、東京で初めて男性とヤって、同じ頃にタチバナさんと出会うことになるのだけれど・・・」
おっしゃりながら、ゆうこ先生がご自分の腕時計をチラッと見ました。
「あらやだ。もうこんな時間。そろそろ素子さんがお迎えにきちゃうわね」
「えーっ?もうそんな時間ですか?」
ゆうこ先生のお話のつづきが聞きたくて聞きたくて仕方なかったのですが、母が同席しているところで、そんなお話をつづけるわけにもいきません。
がっかりした気持ちを隠さずに、黙ってゆうこ先生のお顔を見つめていたら、ゆうこ先生がスススッとソファーの上のお尻をすべらせて20センチの距離を詰め、私の横にピッタリと寄り添ってきました。
「つづきは次の機会にまたゆっくりとお話することにして、とりあえず今日の結論を急ぐわね」
ゆうこ先生が至近距離から、私の顔をじーっと見つめてきます。
「今までのわたしの話を聞いた限りでも、わたしが直子ちゃん以上のヘンタイだって、わかったでしょ?」
そんなにストレートに聞かれても、私は肯定していいものか悪いものか、判断に困ってしまいます。
確かに私と同じくらいの、ヘンタイさんだとは思うのですが。
どちらとも答えずに、ゆうこ先生の綺麗なお顔を見つめていました。
「わたしはね、女性に対してはエムで、男に対してはエスになってしまう、いやらしいヘンタイバツイチ女なの」
ゆうこ先生の潤んだ瞳が射るように私を見つめてきます。
私の胸は、ワクワクドキドキ最高潮。
「そんなわたしの、今、一番の願いはね・・・」
ゆうこ先生がご自分の左右の指を合わせてお腹の辺りで組んだあと、そのままご自分の後頭部に持って行きました。
ゆうこ先生が身に着けているニットが全体的に上にずり上がって胸元に貼りつき、モヘア越しにもバストの頂上部がこれみよがしに突起しているのがわかりました。
それは、ある意味を持つ、私も大好きなポーズ・・・
私の心臓がドキンと跳ね上がりました。
「直子ちゃん?」
「は、はいっ!」
私のうわずった声に、ゆうこ先生がクスリと笑いました。
でもまたすぐに、真面目なお顔に戻りました。
この後につづくゆうこ先生のお言葉が、なんとなくわかる気がしてドキドキがいっそう高鳴ります。
「直子ちゃんに、虐めて欲しいの」
「えっ!?」
両手を後頭部に回してバストをこちらに突き出しているゆうこ先生が、哀願するような、媚びるような、何かを期待する目つきで私を見つめてきます。
私は、直子ちゃんと気持ちいいことしたいの、もしくは、直子ちゃんと一緒に恥ずかしいことしたいの、みたいな言葉を予想していたので、かなり、心の底から、ビックリしていました。
私が、この私が、虐める側?
「レッスンで直子ちゃんと会うたびにそういう欲求が膨らんで、もう抑えられなくなってしまったの。直子ちゃんにわたしの恥ずかしい姿を見られたり、わたしのいやらしいからだを虐めたりして欲しいの。どうかお願い。お願いします」
ゆうこ先生は、頭の後ろに組んでいた両手を解き、私が腿の上に置いていた両手をやんわり握ってきました。
「で、でも・・・私が、ゆうこ先生を、虐める、のですか?」
ゆうこ先生の汗ばんだ両手の感触にボーッとしながらも、私は困惑していました。
ゆうこ先生とえっちな遊びが出来るのは、それはもう願ったり叶ったりなのですが・・・
ドMな私が虐める側なんて・・・
「だいじょうぶ。直子ちゃんなら出来るわ!」
ゆうこ先生は、私の手を握ったまま、覗き込むように私を見つめてつづけます。
「直子ちゃん、さっき、いつも自分が虐められるのを妄想して遊んでいる、って教えてくれたでしょう?」
「その、直子ちゃんが自分にされたいこと、を、わたしにしてくれればいいの」
「直子ちゃんが、自分にされたい、って思っていることは、イコール、わたしが直子ちゃんにされたいと思っていることと、たぶん、いえ、絶対同じなの」
「有能なエムの人は、必然的に優秀なエスの素質を持っているものなの。だって自分と同じようなエム気質の人なら、どんなことをされると嬉しいのか、全部わかっているのだから」
そう諭されて、パーッと霧が晴れるように、おっしゃっていることの意味が理解出来た気がしました。
確かに私は、自分をどういう風にいやらしくえっちに虐めようか、いつもいろいろ妄想しています。
それをそのまま、ゆうこ先生にしてあげればいいのか。
出来そうな気がします。
「私、やってみます!」
ゆうこ先生に握られている自分の手に力を込めてギュッとして、私は決心しました。
「よかったー。ありがとう。すごく嬉しい!」
握り合った手にいっそう力を込めて、私の顔にご自分のお顔をゆっくり近づけてきました。
「次のうちでのレッスンのとき、また少し早めに集合して、もちろん普通のレッスンはちゃんとやった後、二人でヒミツのアソビをしましょう、ね?」
私の耳元で低くささやくゆうこ先生の唇が徐々に私の顔正面に近づいてきて、私の唇に触れそうになったとき、キンコーンってチャイムの音がお部屋に鳴り響きました。
ガタッガターン!
ソファーとテープルを盛大に揺らして、それぞれソファーの両端へと飛び退く二人。
お互いお顔を見合わせて、すぐに大きな声をあげて笑い転げました。
「残念。お迎えが来てしまったわ。次の直子ちゃんちでのレッスンのときに、こっそり細かいことを決めましょう」
インターフォンに応答した後、ゆうこ先生がキッチンでお茶の準備をしながらおっしゃいました。
「はい。それで先生、ちょっと、おトイレをお借りしていいですか?」
「はーい。どうぞ」
母と顔を合わせる前に自分の気持ちを落ち着けておきたくて、母がお部屋まで上がってくるのを待たずに、おトイレに篭りました。
オシッコをした後、流しっぱなしの冷たいお水に両手をさらして深呼吸。
今更ながら、ゆうこ先生は母のお友達、ということを思い出し、なんだか後ろめたいフクザツな気分も湧き起こっていました。
でもそれは、たとえば幼い頃にこっそりやったお医者さんごっこの後、お家に帰って母の顔を見たときに感じたような、禁断のヒミツを持っている後ろめたさ、に似ていて、どちらかというとワクワクする気持ちのほうが強い感情。
そして、今日の、期待以上の急展開。
いよいよゆうこ先生との新しい関係が始まるのです。
それも、私が虐める側。
少しの不安と大きなワクワク。
懸命に気を落ち着かせようと思うのですが、ドキドキとワクワクが次から次へと湧いてきてしまいます。
でも、いつまでもおトイレに篭っているのも怪しいので、もう一度深く深呼吸してから、思い切ってリビングに戻りました。
リビングでは、母がさっきまで私が座っていたソファーに腰掛けて、ゆうこ先生は対面の椅子に座り、お紅茶のカップ片手におしゃべりをしていました。
母の隣にも新しいお紅茶の用意。
私は母の隣にいつものように腰掛けて、ゆうこ先生と母のとりとめもない世間話を上の空で聞きながら、そう言えばまだ、初めて会ったときの水着のお話、出来ていなかったな、なんてふと思い出していました。
そうだ!
それではそろそろおいとましましょう、となったとき、母がおトイレを借りました。
再び束の間のふたりきりの時間。
ゆうこ先生が私に、書店カバーがついてタイトルがわからない文庫本をササッと手渡してくれました。
「読んでみて。参考になると思うから」
ひそひそ声。
「早くバッグにしまっちゃって」
足元に置いていた自分のバッグに文庫本を押し込んだ後、私もゆうこ先生のお耳に自分の唇を近づけました。
「ゆうこ先生?」
さっき思いついたことを、思い切って口にしました。
「今度のここでのレッスンのときは、私が中学生だった頃の夏休み、先生たちが我が家へいらっしゃったときに着ていたあの水着・・・えっと、あの夏の日、憶えていらっしゃいます?」
「えっ?う、うん・・・」
ゆうこ先生のお顔がみるみる赤く染まっていきます。
「あの水着を着て、レッスンしてください」
真っ赤になったゆうこ先生が上目遣いに潤んだ瞳で私を見つめてから、しばらくして、小さくコクンとうなずきました。
私は早くも、自分にあてがわれたエスな役割を愉しみ始めていました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 13へ
*
2011年11月6日
ピアノにまつわるエトセトラ 11
「えっ?」
ゆうこ先生の立場を自分に置き換えて想像しながらお話を聞いていたので、今のご質問にはすぐお答え出来たのですが、私は少し考えるフリをしてから、おずおず、という感じで言いました。
「やっぱり下から、ですね。理由は先生がおっしゃったスカートのときのと同じです・・・それに・・・」
私は、自分がその状態になったときを想像して、真っ赤になって付け加えました。
「おっぱい、あ、いえ、バスト丸出しで、誰かにそれを見られながらピアノを弾くなんて、は、恥ずかしすぎますっ!」
私の全身の皮膚温度がグングン上昇していました。
「そうよね?わたしもやっぱりそう思ったの」
「だから座ったままショーツのゴムに手をかけて、ちょっと腰を浮かせて、ためらいながら太股の付け根あたりまでずり下げたの」
「そしたら背後にいた先生が突然、わたしのブラの背中のホックをパチッてはずしちゃったのね」
「ブラが緩む感覚がして、間髪を入れずにわたしの膝にブラのカップが落ちてきた」
「肩紐はまだ両腕にひっかかったまま。わたし思わず、いやっ、て叫んで左腕で胸を隠したわ」
「乳首が痛いくらいとんがちゃっててね、自分の腕に擦れたときにビクンってからだがのけぞっちゃた」
「冷たい声の先生が、立ちなさい大貫さん、って命令するの。わたしがもたもたしていると定規で背中をパチンって」
「仕方ないから背を向けたまま立ち上がったわ。左腕で胸を、右手で股間を隠して」
「ブラは両方の肩紐のところがそれぞれ両手首にまだひっかかっていて、カップがお腹を隠してた。ショーツは腿の付け根までずり下げたまんまだったから、後ろから見たらお尻が半分見えていたはず」
「ピアノののほうに前屈みになって立っているわけでしょう?結果的に、先生に自らお尻を突き出すような姿勢になっていたのね」
「すかさず先生が定規でお尻をパチンッ!」
「早くわたくしの前まで出て来なさい、ってお尻を何度も叩きながら言うの。わたし、お尻を叩かれて、お尻が熱くなって、なんだかせつない気持ちになっちゃって」
「それで、そのままの格好で先生の正面に立ったの。前屈みの胸とアソコを隠した格好で」
「そんなの先生が許してくれるはずはなくて、先生の定規が私の両腕を叩いて、隠すことを禁じられて、気をつけ、って言われて、まっすぐに立ったわ。ブラは床に落ちちゃった」
「両方の乳首が自分でも覚えの無いくらい大きくなって、ピンッて尖っているの。ショーツは付け根で留まったまま。視線を下げると陰毛が半分くらい覗いていた」
「先生は、1メートルくらいのところに立って、わたしのからだをジロジロと見つめているの。右手に持った定規で自分の左手のひらを軽くペシペシ叩きながら」
「後ろを向いて、って言われて、おとなしく従って、また、こっちを向いて、って言われて、従ったの」
「そしたら先生が、こうおっしゃったの」
「思っていた通り。本当に綺麗だわ。大貫さん、あなた、本当にステキよ、って」
「そこで初めて先生がニッコリ微笑んだのね。ゾクッっとするほど綺麗で、それでいて淫靡な笑顔」
「わたし、それまで恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがなかったのだけれど、その笑顔見たら、先生がすごく愛おしく思えて」
「先生に、その中途半端なショーツもさっさと脱いじゃいなさい、って言われて自分で脱いだの。クロッチがすごく湿ってた」
「脱いだショーツを差し出された先生の手に乗せた瞬間に、先生がガバッと覆いかぶさってきて、きつく抱きしめられた」
ゆうこ先生の視線は、遠い過去を慈しんでいるように、宙空の一点を見つめていました。
少しの沈黙の後、ゆうこ先生の視線が私に戻りました。
「世界中のあらゆる神様に誓って言うけれど、わたし、それまで自分で自分を慰めたこと、一度も無かったのよ」
「性的な意味ね。オナニーのこと。なんだかモヤモヤすると、乳首が尖ったりアソコがヌメヌメすることには気づいていたけれど、わたし、それが何なのか、深く考えたこと無かったの」
ゆうこ先生の瞳を見れば、それが真実だと信じられました。
「その日、先生はいろんなことをしてくれたの。丸裸のわたしのからだのいろんなところをさわって、愛撫して、舐めてくれた」
「尖った乳首を軽く噛まれたときのしびれるような快感とか、ぬるんだアソコにもぐりこんだ指がやさしく掻き回す感触とか、一番敏感な場所をそっと撫でる疼痛とか」
「耳や首筋にキスされて、脇腹や内腿を爪で軽くひっかかれたり、手の指や足の指をしゃぶられたり」
「何もかもがすごく気持ち良くて、これは後から思えばのことだけれど、5回以上はイっちゃったみたい」
「その日、先生は服を脱がなかったの。ノーブラでTシャツとジーンズのショートパンツ。たぶん最初だから、わたしを悦ばせることだけに専念したのでしょうね」
「でも、わたしも先生の乳房をTシャツの上から揉んだりもしたわ。学校でときどき友達とふざけてさわりっことかはしていたけれど、女性のおっぱいの感触があんなに気持ちいいと思ったのは、あのときが初めてだった」
ゆうこ先生の視線がまた、宙空の一点に固定されました。
お水を一口含んで席を立ち、ゆうこ先生は食器のお片づけを始めました。
私もつられて立ち上がり、食器を持ってキッチンのほうまでゆうこ先生の後をついていきながら、お話を聞きつづけます。
「それからはもう、ピアノのレッスンなんて虹の彼方へさようなら。会うたびにえっちな遊びばっかりしていたわ」
「レッスンルームに入ったら服を脱ぐのがあたりまえのような関係。あっ、それはシンクに置いてくれればいいわ」
「おかげでその後もしばらくは、わたし、オナニーしなくてすんでたもの。先生がしてくれるから、する必要ないの」
「それで、そのうち先生が提案する遊びがどんどんSMのほうに向いていったのね。手錠かけたり、洗濯バサミで挟んだり、丸いボールギャグを口に押し込まれたままピアノ弾いたり、柱に縛り付けられたり」
「わたし、そういうのにも自然に順応していたの。先生から痛いことされるの、好きだった」
「その頃になると、SMっていう概念もちゃんと勉強していたから。わたしはやっぱりマゾのほうだなあ、ってわかっていた。ひどい仕打ちをされて耐えている自分に酔っていたの」
「先生はめったに裸にならなかったけれど、たまに私に先生のアソコを舐めるようにいいつけるのね。先生のオマンコはビラビラが派手だったわ」
「あ、ごめん直子ちゃん。ついお下品な言葉使っちゃった」
ゆうこ先生が私を振り向き、テヘッっていうお顔をしました。
その可愛らしい仕草に思わず頬がゆるみます。
「だいじょうぶです。私もヘンタイですからそういう言葉、嫌いじゃないです。つづけてください」
そんなことより、お話のつづきが聞きたくてたまりません。
「わたしのとずいぶん違うんだなー、なんて思いながら一所懸命ご奉仕したわ。先生はご機嫌が良くなると、わたしをヘンな道具でいっぱい虐めてくれるから」
「それでね、ある日先生が、こんなことをおっしゃったの」
お片づけが一通り終わり、ゆうこ先生と私はリビングのソファーに並んで腰掛けました。
ゆうこ先生は私に、相変わらず20センチほどの距離を保っています。
「ゆっこは、あ、その頃はわたし、先生にそう呼ばれていたのね。ゆっこはもちろん、男との関係はまだ無いだろう。出来ればわたくしとつきあっている内は、男と関係はしないで欲しい、って」
「男っていうのは、女を見ればセックスのことしか考えていないし、いざしてみても文字通りひとりヨガリで、たいして気持ち良くも無い。ゆっこのこんなに素晴らしいからだを、バカな男どもに味あわせるのは絶対もったいない、って」
「わたしは、ようやくその頃になって、セックス全般に興味が湧き出した頃だったから、機会があれば男ともヤってみたいかな、くらいは思っていたの」
「こちらから積極的に、っていうほどの欲求じゃなかった。先生との関係で充分満足出来ていたからね。でもつまり、レズビアン一筋、っていうワケでも無かったの」
「なにしろ、そういう関係になったのは先生がワンアンドオンリーなわけだから。情報量も経験値も絶対的に不足していたのね」
私の前にはレモンジュース、先生の前には白ワインのグラスとお水が入ったコップが置かれています。
ゆうこ先生は、あまり酔ってはいけない、と思っているのか、お水のコップにばかり唇をあてていました。
「高校生活のほうでは、お勉強のほうはさすがにトップクラスは維持出来なかったけれど、相変わらずしっかりものの勝気な女生徒として、楽しく過ごしていたの」
「1年のときに同じクラスになった、ちょっと派手めなグループの子たちがいてね。その子たちは、高校生になったらバンド組もうと思っていたんだって。自己紹介のときにわたしが、特技はピアノです、って言ったら目をつけられちゃって、早速アプローチされて」
「やりたいのはハードロックだって言われて、生まれて初めてそういう種類の音楽を聴いたわ。すごいわよね、あれ」
「でも、中にはヨーロッパ中世のバロック音楽の影響を受けているようなメロディもあって、わたしもちょうどシンセを買ったばかりだったから、引き受けちゃったの」
「軽音部に入って、その子たちとバンドを始めて。その子たちがまた面白い子ばっかりで」
「全体的に、男?ふざけんな!みたいなノりの威勢のいい子ばかりで。実際話してみると可愛らしいところもあったりするのだけれど」
「みんな真剣に練習したし、ヴォーカルの子の声も良かったから、2年生の頃には校内でも有名なバンドになっていたの」
「実際、贔屓目ナシにしても先輩を含めた男子たちのバンドとかより断然上手かったし、華もあったし、いいバンドだったと思うわ」
「それでほら、ステージ衣装って、普段着れないような大胆でセクシー系の衣装でも許されちゃうじゃない?わたしにとって、それがすごく魅力的で」
「これも自分で言うのはどうかとは思うけれど、わたし、その頃から自分のからだにかなり自信があったのね。ほら、セクシーでしょ?見て!っていう感じで」
「2年の文化祭のとき、胸の部分が大きく割れて谷間が見えているコケティッシュなトップに、見せパン穿いて超ミニスカ。普段なら恥ずかしくてとても着れないような衣装で出たの」
「ステージ上ではキーボードはドラムの隣あたりの奥で立ったままだから、超ミニスカもあんまり意味無いのだけれど、最後のほうではショルダーのキーボード抱えてステージ前に出れるのね。ワザと脚を大きく上げたりすると男子からもうヤンヤの喝采」
「そんなとき、わたしは心の中でこう思っているの。どう?タマンナイでしょ?わたしとヤりたい?ボケッ!おまえらなんか百年はえーんだよ!」
ゆうこ先生が愉快そうに笑いました。
「でも、楽屋代わりの体育館の倉庫で、その衣装を着て出番を待っているときは、めちゃくちゃに恥ずかしいの」
「進行係の女生徒とか、次の出番らしい男の子とかの視線がチラチラとだけどピンポイントで、私の胸元と太股に、それこそ吸い付くように注がれるのがわかるの」
「わたしは、あーーん、そんなに見ないでー、でももっと見てー、みたいな露出狂の心境。他のメンバーたちも似たような格好だったけれど、彼女たちはあんまり気にしていなかったみたい」
「それよりも演奏へのプレッシャーでそれどころじゃなかったのね。彼女たちは」
「わたしは演奏面は余裕ありすぎ、煩悩のほうばっかり気にしてた」
「そんな格好で出たものだから、文化祭後、あのバンドのメンバーならヤらせてくれるんじゃないか、なんて一部男子の間で噂になって、ヘラヘラ笑いながらからかいにくる男子もいたけれど、私たちは、フザンケンナ!私らの衣装は純粋に音楽の表現の一環なんだよ。誰がおまえらみたいな下衆と寝るかよ!なんて、めいっぱい突っ張っていたな」
「私も衣装着ていなければ勝気に戻るからね。実際は、バンドメンバー5人のうち2人はまだ処女だったのだけれど」
「わたしは一応、処女膜は先生に破られていたから、ね?」
ゆうこ先生がまた、愉快そうに笑いました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 12へ
*
ゆうこ先生の立場を自分に置き換えて想像しながらお話を聞いていたので、今のご質問にはすぐお答え出来たのですが、私は少し考えるフリをしてから、おずおず、という感じで言いました。
「やっぱり下から、ですね。理由は先生がおっしゃったスカートのときのと同じです・・・それに・・・」
私は、自分がその状態になったときを想像して、真っ赤になって付け加えました。
「おっぱい、あ、いえ、バスト丸出しで、誰かにそれを見られながらピアノを弾くなんて、は、恥ずかしすぎますっ!」
私の全身の皮膚温度がグングン上昇していました。
「そうよね?わたしもやっぱりそう思ったの」
「だから座ったままショーツのゴムに手をかけて、ちょっと腰を浮かせて、ためらいながら太股の付け根あたりまでずり下げたの」
「そしたら背後にいた先生が突然、わたしのブラの背中のホックをパチッてはずしちゃったのね」
「ブラが緩む感覚がして、間髪を入れずにわたしの膝にブラのカップが落ちてきた」
「肩紐はまだ両腕にひっかかったまま。わたし思わず、いやっ、て叫んで左腕で胸を隠したわ」
「乳首が痛いくらいとんがちゃっててね、自分の腕に擦れたときにビクンってからだがのけぞっちゃた」
「冷たい声の先生が、立ちなさい大貫さん、って命令するの。わたしがもたもたしていると定規で背中をパチンって」
「仕方ないから背を向けたまま立ち上がったわ。左腕で胸を、右手で股間を隠して」
「ブラは両方の肩紐のところがそれぞれ両手首にまだひっかかっていて、カップがお腹を隠してた。ショーツは腿の付け根までずり下げたまんまだったから、後ろから見たらお尻が半分見えていたはず」
「ピアノののほうに前屈みになって立っているわけでしょう?結果的に、先生に自らお尻を突き出すような姿勢になっていたのね」
「すかさず先生が定規でお尻をパチンッ!」
「早くわたくしの前まで出て来なさい、ってお尻を何度も叩きながら言うの。わたし、お尻を叩かれて、お尻が熱くなって、なんだかせつない気持ちになっちゃって」
「それで、そのままの格好で先生の正面に立ったの。前屈みの胸とアソコを隠した格好で」
「そんなの先生が許してくれるはずはなくて、先生の定規が私の両腕を叩いて、隠すことを禁じられて、気をつけ、って言われて、まっすぐに立ったわ。ブラは床に落ちちゃった」
「両方の乳首が自分でも覚えの無いくらい大きくなって、ピンッて尖っているの。ショーツは付け根で留まったまま。視線を下げると陰毛が半分くらい覗いていた」
「先生は、1メートルくらいのところに立って、わたしのからだをジロジロと見つめているの。右手に持った定規で自分の左手のひらを軽くペシペシ叩きながら」
「後ろを向いて、って言われて、おとなしく従って、また、こっちを向いて、って言われて、従ったの」
「そしたら先生が、こうおっしゃったの」
「思っていた通り。本当に綺麗だわ。大貫さん、あなた、本当にステキよ、って」
「そこで初めて先生がニッコリ微笑んだのね。ゾクッっとするほど綺麗で、それでいて淫靡な笑顔」
「わたし、それまで恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがなかったのだけれど、その笑顔見たら、先生がすごく愛おしく思えて」
「先生に、その中途半端なショーツもさっさと脱いじゃいなさい、って言われて自分で脱いだの。クロッチがすごく湿ってた」
「脱いだショーツを差し出された先生の手に乗せた瞬間に、先生がガバッと覆いかぶさってきて、きつく抱きしめられた」
ゆうこ先生の視線は、遠い過去を慈しんでいるように、宙空の一点を見つめていました。
少しの沈黙の後、ゆうこ先生の視線が私に戻りました。
「世界中のあらゆる神様に誓って言うけれど、わたし、それまで自分で自分を慰めたこと、一度も無かったのよ」
「性的な意味ね。オナニーのこと。なんだかモヤモヤすると、乳首が尖ったりアソコがヌメヌメすることには気づいていたけれど、わたし、それが何なのか、深く考えたこと無かったの」
ゆうこ先生の瞳を見れば、それが真実だと信じられました。
「その日、先生はいろんなことをしてくれたの。丸裸のわたしのからだのいろんなところをさわって、愛撫して、舐めてくれた」
「尖った乳首を軽く噛まれたときのしびれるような快感とか、ぬるんだアソコにもぐりこんだ指がやさしく掻き回す感触とか、一番敏感な場所をそっと撫でる疼痛とか」
「耳や首筋にキスされて、脇腹や内腿を爪で軽くひっかかれたり、手の指や足の指をしゃぶられたり」
「何もかもがすごく気持ち良くて、これは後から思えばのことだけれど、5回以上はイっちゃったみたい」
「その日、先生は服を脱がなかったの。ノーブラでTシャツとジーンズのショートパンツ。たぶん最初だから、わたしを悦ばせることだけに専念したのでしょうね」
「でも、わたしも先生の乳房をTシャツの上から揉んだりもしたわ。学校でときどき友達とふざけてさわりっことかはしていたけれど、女性のおっぱいの感触があんなに気持ちいいと思ったのは、あのときが初めてだった」
ゆうこ先生の視線がまた、宙空の一点に固定されました。
お水を一口含んで席を立ち、ゆうこ先生は食器のお片づけを始めました。
私もつられて立ち上がり、食器を持ってキッチンのほうまでゆうこ先生の後をついていきながら、お話を聞きつづけます。
「それからはもう、ピアノのレッスンなんて虹の彼方へさようなら。会うたびにえっちな遊びばっかりしていたわ」
「レッスンルームに入ったら服を脱ぐのがあたりまえのような関係。あっ、それはシンクに置いてくれればいいわ」
「おかげでその後もしばらくは、わたし、オナニーしなくてすんでたもの。先生がしてくれるから、する必要ないの」
「それで、そのうち先生が提案する遊びがどんどんSMのほうに向いていったのね。手錠かけたり、洗濯バサミで挟んだり、丸いボールギャグを口に押し込まれたままピアノ弾いたり、柱に縛り付けられたり」
「わたし、そういうのにも自然に順応していたの。先生から痛いことされるの、好きだった」
「その頃になると、SMっていう概念もちゃんと勉強していたから。わたしはやっぱりマゾのほうだなあ、ってわかっていた。ひどい仕打ちをされて耐えている自分に酔っていたの」
「先生はめったに裸にならなかったけれど、たまに私に先生のアソコを舐めるようにいいつけるのね。先生のオマンコはビラビラが派手だったわ」
「あ、ごめん直子ちゃん。ついお下品な言葉使っちゃった」
ゆうこ先生が私を振り向き、テヘッっていうお顔をしました。
その可愛らしい仕草に思わず頬がゆるみます。
「だいじょうぶです。私もヘンタイですからそういう言葉、嫌いじゃないです。つづけてください」
そんなことより、お話のつづきが聞きたくてたまりません。
「わたしのとずいぶん違うんだなー、なんて思いながら一所懸命ご奉仕したわ。先生はご機嫌が良くなると、わたしをヘンな道具でいっぱい虐めてくれるから」
「それでね、ある日先生が、こんなことをおっしゃったの」
お片づけが一通り終わり、ゆうこ先生と私はリビングのソファーに並んで腰掛けました。
ゆうこ先生は私に、相変わらず20センチほどの距離を保っています。
「ゆっこは、あ、その頃はわたし、先生にそう呼ばれていたのね。ゆっこはもちろん、男との関係はまだ無いだろう。出来ればわたくしとつきあっている内は、男と関係はしないで欲しい、って」
「男っていうのは、女を見ればセックスのことしか考えていないし、いざしてみても文字通りひとりヨガリで、たいして気持ち良くも無い。ゆっこのこんなに素晴らしいからだを、バカな男どもに味あわせるのは絶対もったいない、って」
「わたしは、ようやくその頃になって、セックス全般に興味が湧き出した頃だったから、機会があれば男ともヤってみたいかな、くらいは思っていたの」
「こちらから積極的に、っていうほどの欲求じゃなかった。先生との関係で充分満足出来ていたからね。でもつまり、レズビアン一筋、っていうワケでも無かったの」
「なにしろ、そういう関係になったのは先生がワンアンドオンリーなわけだから。情報量も経験値も絶対的に不足していたのね」
私の前にはレモンジュース、先生の前には白ワインのグラスとお水が入ったコップが置かれています。
ゆうこ先生は、あまり酔ってはいけない、と思っているのか、お水のコップにばかり唇をあてていました。
「高校生活のほうでは、お勉強のほうはさすがにトップクラスは維持出来なかったけれど、相変わらずしっかりものの勝気な女生徒として、楽しく過ごしていたの」
「1年のときに同じクラスになった、ちょっと派手めなグループの子たちがいてね。その子たちは、高校生になったらバンド組もうと思っていたんだって。自己紹介のときにわたしが、特技はピアノです、って言ったら目をつけられちゃって、早速アプローチされて」
「やりたいのはハードロックだって言われて、生まれて初めてそういう種類の音楽を聴いたわ。すごいわよね、あれ」
「でも、中にはヨーロッパ中世のバロック音楽の影響を受けているようなメロディもあって、わたしもちょうどシンセを買ったばかりだったから、引き受けちゃったの」
「軽音部に入って、その子たちとバンドを始めて。その子たちがまた面白い子ばっかりで」
「全体的に、男?ふざけんな!みたいなノりの威勢のいい子ばかりで。実際話してみると可愛らしいところもあったりするのだけれど」
「みんな真剣に練習したし、ヴォーカルの子の声も良かったから、2年生の頃には校内でも有名なバンドになっていたの」
「実際、贔屓目ナシにしても先輩を含めた男子たちのバンドとかより断然上手かったし、華もあったし、いいバンドだったと思うわ」
「それでほら、ステージ衣装って、普段着れないような大胆でセクシー系の衣装でも許されちゃうじゃない?わたしにとって、それがすごく魅力的で」
「これも自分で言うのはどうかとは思うけれど、わたし、その頃から自分のからだにかなり自信があったのね。ほら、セクシーでしょ?見て!っていう感じで」
「2年の文化祭のとき、胸の部分が大きく割れて谷間が見えているコケティッシュなトップに、見せパン穿いて超ミニスカ。普段なら恥ずかしくてとても着れないような衣装で出たの」
「ステージ上ではキーボードはドラムの隣あたりの奥で立ったままだから、超ミニスカもあんまり意味無いのだけれど、最後のほうではショルダーのキーボード抱えてステージ前に出れるのね。ワザと脚を大きく上げたりすると男子からもうヤンヤの喝采」
「そんなとき、わたしは心の中でこう思っているの。どう?タマンナイでしょ?わたしとヤりたい?ボケッ!おまえらなんか百年はえーんだよ!」
ゆうこ先生が愉快そうに笑いました。
「でも、楽屋代わりの体育館の倉庫で、その衣装を着て出番を待っているときは、めちゃくちゃに恥ずかしいの」
「進行係の女生徒とか、次の出番らしい男の子とかの視線がチラチラとだけどピンポイントで、私の胸元と太股に、それこそ吸い付くように注がれるのがわかるの」
「わたしは、あーーん、そんなに見ないでー、でももっと見てー、みたいな露出狂の心境。他のメンバーたちも似たような格好だったけれど、彼女たちはあんまり気にしていなかったみたい」
「それよりも演奏へのプレッシャーでそれどころじゃなかったのね。彼女たちは」
「わたしは演奏面は余裕ありすぎ、煩悩のほうばっかり気にしてた」
「そんな格好で出たものだから、文化祭後、あのバンドのメンバーならヤらせてくれるんじゃないか、なんて一部男子の間で噂になって、ヘラヘラ笑いながらからかいにくる男子もいたけれど、私たちは、フザンケンナ!私らの衣装は純粋に音楽の表現の一環なんだよ。誰がおまえらみたいな下衆と寝るかよ!なんて、めいっぱい突っ張っていたな」
「私も衣装着ていなければ勝気に戻るからね。実際は、バンドメンバー5人のうち2人はまだ処女だったのだけれど」
「わたしは一応、処女膜は先生に破られていたから、ね?」
ゆうこ先生がまた、愉快そうに笑いました。
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 12へ
*
2011年11月5日
ピアノにまつわるエトセトラ 10
「わたしはね、小学校2年生からピアノを習い始めたの」
ゆうこ先生は、ワイングラスではなくて、傍らのコップに入ったお水を一口含んだ後、私を見つめてお話し始めました。
「その頃は近所の音楽スクールに通ってね。なんだかわたしとピアノは相性良かったみたいで、すんなり順調に上達していったの」
「わたし、負けず嫌いだから、わたしより上手な子がいると、絶対あの子より上手くなってやろう、みたいな気持ちでがんばって練習してね」
「親の躾が良かったのか、その頃のわたしは、自分で言うのもアレだけど、優等生でね。お勉強も運動もそこそこの苦労で難無く出来たし、ほとんどの学年でクラス委員に推薦されるような、勝気で活発な子供だった。生意気な男子とかやりこめたりして」
小さく笑うゆうこ先生。
「それで、中学生になったら、音楽スクールの先生の熱心な紹介で、偉い先生の本格的な個人レッスンを受けることになったの」
「コンクールの優勝も狙える、なんて親も含めて大人たちが本気になっちゃってね。わたしもノせられて、その気になっちゃった」
ゆうこ先生のフクザツそうな苦笑い。
「中学校でもわたしは相変わらず優等生で、お友達もたくさん出来て、女子とも男子ともそれなりに楽しくやっていたの」
「男子からラブレターとかももらっていたけれど、まだそいういうことにはぜんぜん興味を持てなくて、全部断ってたな」
ゆうこ先生が言葉を切って、私を見つめていた視線をフッとはずしました。
「一方で幼い頃からわたしは、テレビのドラマや映画なんかで、誘拐されて椅子に縛り付けられた女の人とか、悪い魔物にさらわれて洞窟に鎖で繋がれたお姫さまとかを見ると、異常にドキドキしてしまう、ヘンな子供でもあったの」
「その女の人に感情移入してしまうのね。わたし、これからどうされちゃうんだろう?助けが来なかったら、どうなっちゃうんだろう?って」
「まだ性的な知識なんて、ほとんど無かったけれど、なんとなくモヤモヤとした気分になっちゃうの。なんだか気持ちのいいモヤモヤ」
「もしも助けが来なかったら、あのお姫さまは、たぶんわたしがまだ知らない、とんでもないことをされちゃうのだろう、それで、その、とんでもないことはきっと、すごく恥ずかしいことなのだろうな、って想像してた」
「それで、そのモヤモヤを感じることは、わたしにとって、とても気持ちいいことだったの。お姫さまに感情移入して、まだ見ぬ恥ずかしさにドキドキすることがね」
「小学生の女の子にとって、容易に想像出来るすごく恥ずかしいことって、人前で裸にされちゃうことじゃない?自分だけ裸にされて誰かにジロジロ見られちゃうこと」
「だから、幼いわたしの感情移入の行き着く先は、誰も助けが来なくって、お姫さまは、その魔物や手下どもの前で真っ裸にされてしまう、っていうものだったの。その先は、当時はまだ想像も出来なかったけれど」
「でも、裸にされちゃう、ってことまででも、想像して充分モヤモヤ出来たの」
「もっとも、現実のドラマでは、ってヘンな言い方だけれど、ドラマでは確実に誰かが助けに来てくれて、我が家のテレビの中に美しいお姫さまの裸が映し出される、なんてことは絶対、無かったのだけれどね」
そこでまた、ゆうこ先生の小さな笑顔。
「個人レッスンの講師は、当時20代後半の女の先生で、すごく綺麗な人だった」
お話が、突然大きく跳びました。
「スレンダーで、スラッっとしていて、ちょっと長めな栗色のウルフカットで、大きめの唇がポッテリしていて」
「やっぱり子供の頃からピアノを期待されて、それなりのところまで行った人らしい。その当時は、けっこう有名な大人向けミュージックスクールの講師が本職だったのかな?」
「レッスンは先生のご自宅でやるのだけれど、そのご自宅がまた、ご近所でも有名な高級マンションでね。ピアニストって儲かるんだなー、なんて子供心に思ったもの」
「わたしの見た限りでは、お独りで暮らしているみたいだった。一室がレッスンルームになっていてね。隣のわたしのレッスンルームを数倍豪華にした感じ」
ゆうこ先生は、テーブルの上で両手の指をピアノを弾くみたいにパタパタ動かす運指のストレッチをしながら、お話をつづけます。
「その先生のレッスンは厳しくってね。いつも30センチくらいのプラスティックの定規を片手に持って、わたしがちょっとでも運指を間違えたら、すかさず手首のあたりをピシッて」
「勝気なわたしは、最初のうちはかなり憤慨した。叩かなくてもわかりますっ!なんて大声あげたりして」
「でも、ちゃんと弾けたときは、正面からわたしを抱きしめてくれて、ほっぺにチューとかしてくれるの。それがすごく気持ち良くってね」
「スキンシップも激しい先生で、背後から覆いかぶさるみたいにからだをくっつけて、私の腕に自分の腕を重ねたり、耳元でささやいてきたり」
「中学生のわたしにとって、その先生は10いくつも年上だから、いわゆるオトナの人よね。言うことは聞かなくちゃいけない、みたいな」
「その上、先生は基本やさしくて、ときには姉みたいに、ときには母親みたいな感じで接しているうちに、わたしはその先生には、どうにも逆らえなくなっていたの」
「ピアノは先生のほうが何十倍も上手いし、先生の言う通りにすれば確かに上手く弾けるのも事実だったし」
「わたしの背中に当たる、先生の少し硬めなバストの感触、今でも憶えてる・・・」
ゆうこ先生がうっとりしたお顔つきになりました。
「でも高校進学間近になって、ちょっとした事件が起きちゃったの」
「その先生は、わたしを有名な音大の付属高校に進ませたかったのね。より音楽にのめりこませるために」
「でもわたしは、その頃ちょっと挫折した、って言うか、先が見えちゃった気がしていて」
「ピアノを弾くのは好きだし、先生のことも大好きだったのだけれど、音大に進んでまでピアノを極めたいかな、って考えたら疑問に思えて」
「普段の中学校生活もすごく楽しかったから、出来れば普通に公立高校に入って、お友達といろいろ楽しくやりながら、ピアノは趣味の一つでもいいかな、って」
「両親も先生も、せっかくの才能なんだから、みたいなことを言ってくれたのだけれど、わたし、たぶん飽きちゃってたんだと思う」
「今思うと、わたしと同年代くらいで、わたしより少し上手い子とかが周りにいれば、負けず嫌いでつづけられたかもしれないのだけれど、中学校でもわたしよりピアノ上手い人いなかったし、先生は、わたしの手が届かないほど上のほうにいるしで、ピアノに対してモチベーションを上げるための刺激がみつからなくて、満足しちゃってたんだろうな」
ゆうこ先生の瞳が、少し寂しげに翳りました。
「結局、一時は先生とかなり気まずくなったのだけれど、さっきも言ったけど、わたし、ピアノを弾くのも好きだし、先生のことも好きだったから」
「だから、先生とのレッスンはつづける、っていう条件で、わたしの希望通り、公立高校に進んだのね。先生もそれで最終的には納得してくれたの」
「当時ですでに3年のおつきあいだから、わたしと先生はかなり親密になっていたし」
「わたしは、さっき言った、さらわれたお姫さまの話とかもしていたし、先生は、自分に女性の恋人がいることを教えてくれてた」
ゆうこ先生がワイングラスに唇をあてました。
「そこから、わたしと先生のレッスンがミョーな方向に変わっちゃったのね」
「先生はたぶんもう、わたしを一流のピアニストに育てるのはあきらめちゃったみたい」
「あ、でもわたし、中2のとき、県のコンクールの中学生部門で優勝したんだぞっ!」
ゆうこ先生が突然おどけて胸を張りました。
もう一度ワイングラスに唇をあててから、ゆうこ先生の唇が再び動き始めます。
「それから先生は、わたしとのレッスンのときに、自分の趣味、って言うか性癖?をあからさまにしてきたの」
「レッスンに行くと、先生がなんだか肌の露出が多い服を着ていることが多くなって、スキンシップも激しくなってきて」
「すごく難しい課題曲ばかり用意して、リストかなんかだったかな、で、ペシペシ腕を定規で叩かれて」
「なんだか、主従関係のはっきりしたお芝居をやっているようなレッスン。わたくしの言うことには絶対服従よ、みたいな雰囲気」
「言葉ではわたしを虐めたり蔑むようなことばかり言うのに、その割には、やたらにわたしを抱き寄せたり、からだをすり寄せたりしてくるの」
「わたしも、最初は戸惑ったけれど、そんなレッスンが段々なんだかワクワク楽しみになってきちゃったのね」
「ちょうど性的なものに関心が芽生えてきた頃でもあったし」
「先生が着ているピッチリしたニットに浮いたノーブラのポッチとか、これ見よがしに組み替える短いスカートから伸びた太股とかに、すごくドキドキしてた」
「忘れもしない、高校一年の夏休み前のレッスンのこと」
「先生がいきなり、これからミスするたびに、大貫さんは服を一枚ずつ脱がなきゃいけないルールにします、って宣言したの」
「何それ?って思うと同時に、わたし、その言葉が意味する行為に、ドキンッて胸が破裂した」
「ストラヴィンスキーのペトリューシュカだったな。あの曲難しくて、それまでさんざんペシペシ定規でぶたれて、わたしの心の中では、悔しいような、狂おしいような、もっとして、みたいなワケのわからない感情がずーっとモヤモヤ疼いていたの」
「当時、自分ではわからなかったけれど、わたしの心の奥底に眠っていた、マゾ性、みたいなものがパチンて弾けた瞬間だったと思う」
「わたしには、先生に逆らう、なんて選択肢はまったく浮かばず、黙ってコクンとうなずいちゃった」
「たぶん、そのときのわたしの目は、すごく淫らだったと思う」
ゆうこ先生がまっすぐに、私を見つめてきました。
今のゆうこ先生の瞳もウルウル潤んでて、充分淫らです。
「学校帰りの夏服の制服姿だったから、まずソックスから脱ぎ始めて」
「とても難しい曲だから、下着姿になっちゃうまで時間はかからなかった」
「セーラー服かスカートか、どっちを先に脱ぐかは迷ったな。ピアノ弾くときは座っているから、見えにくいだろう、ってスカートを先に脱いだ」
「先生は背後に立って見下ろしているのだから、意味無いのにね」
「脱いだものはそれぞれ、先生が丁寧にたたんでくれて、たたみ終わるとわたしのほうを向いて、黙ってわたしのからだをじーっと見るの。上から下まで、文字通り舐めるように」
「恥ずかしいです、先生、って言っても、その先を弾くように促すだけなの」
「そんな、裸に近い格好で上手く弾けるワケないじゃない?恥ずかしくて集中出来ないし、股間はムズムズしてきちゃうし」
「結局すぐにミスタッチしちゃって、ブラジャーかショーツのどっちかを脱がなきゃならないことになっちゃったのね」
「ねえ?直子ちゃん?」
不意にゆうこ先生が私に問いかけてきました。
「直子ちゃんだったら、どっちを先に脱ぐ?」
*
*ピアノにまつわるエトセトラ 11へ
*
ゆうこ先生は、ワイングラスではなくて、傍らのコップに入ったお水を一口含んだ後、私を見つめてお話し始めました。
「その頃は近所の音楽スクールに通ってね。なんだかわたしとピアノは相性良かったみたいで、すんなり順調に上達していったの」
「わたし、負けず嫌いだから、わたしより上手な子がいると、絶対あの子より上手くなってやろう、みたいな気持ちでがんばって練習してね」
「親の躾が良かったのか、その頃のわたしは、自分で言うのもアレだけど、優等生でね。お勉強も運動もそこそこの苦労で難無く出来たし、ほとんどの学年でクラス委員に推薦されるような、勝気で活発な子供だった。生意気な男子とかやりこめたりして」
小さく笑うゆうこ先生。
「それで、中学生になったら、音楽スクールの先生の熱心な紹介で、偉い先生の本格的な個人レッスンを受けることになったの」
「コンクールの優勝も狙える、なんて親も含めて大人たちが本気になっちゃってね。わたしもノせられて、その気になっちゃった」
ゆうこ先生のフクザツそうな苦笑い。
「中学校でもわたしは相変わらず優等生で、お友達もたくさん出来て、女子とも男子ともそれなりに楽しくやっていたの」
「男子からラブレターとかももらっていたけれど、まだそいういうことにはぜんぜん興味を持てなくて、全部断ってたな」
ゆうこ先生が言葉を切って、私を見つめていた視線をフッとはずしました。
「一方で幼い頃からわたしは、テレビのドラマや映画なんかで、誘拐されて椅子に縛り付けられた女の人とか、悪い魔物にさらわれて洞窟に鎖で繋がれたお姫さまとかを見ると、異常にドキドキしてしまう、ヘンな子供でもあったの」
「その女の人に感情移入してしまうのね。わたし、これからどうされちゃうんだろう?助けが来なかったら、どうなっちゃうんだろう?って」
「まだ性的な知識なんて、ほとんど無かったけれど、なんとなくモヤモヤとした気分になっちゃうの。なんだか気持ちのいいモヤモヤ」
「もしも助けが来なかったら、あのお姫さまは、たぶんわたしがまだ知らない、とんでもないことをされちゃうのだろう、それで、その、とんでもないことはきっと、すごく恥ずかしいことなのだろうな、って想像してた」
「それで、そのモヤモヤを感じることは、わたしにとって、とても気持ちいいことだったの。お姫さまに感情移入して、まだ見ぬ恥ずかしさにドキドキすることがね」
「小学生の女の子にとって、容易に想像出来るすごく恥ずかしいことって、人前で裸にされちゃうことじゃない?自分だけ裸にされて誰かにジロジロ見られちゃうこと」
「だから、幼いわたしの感情移入の行き着く先は、誰も助けが来なくって、お姫さまは、その魔物や手下どもの前で真っ裸にされてしまう、っていうものだったの。その先は、当時はまだ想像も出来なかったけれど」
「でも、裸にされちゃう、ってことまででも、想像して充分モヤモヤ出来たの」
「もっとも、現実のドラマでは、ってヘンな言い方だけれど、ドラマでは確実に誰かが助けに来てくれて、我が家のテレビの中に美しいお姫さまの裸が映し出される、なんてことは絶対、無かったのだけれどね」
そこでまた、ゆうこ先生の小さな笑顔。
「個人レッスンの講師は、当時20代後半の女の先生で、すごく綺麗な人だった」
お話が、突然大きく跳びました。
「スレンダーで、スラッっとしていて、ちょっと長めな栗色のウルフカットで、大きめの唇がポッテリしていて」
「やっぱり子供の頃からピアノを期待されて、それなりのところまで行った人らしい。その当時は、けっこう有名な大人向けミュージックスクールの講師が本職だったのかな?」
「レッスンは先生のご自宅でやるのだけれど、そのご自宅がまた、ご近所でも有名な高級マンションでね。ピアニストって儲かるんだなー、なんて子供心に思ったもの」
「わたしの見た限りでは、お独りで暮らしているみたいだった。一室がレッスンルームになっていてね。隣のわたしのレッスンルームを数倍豪華にした感じ」
ゆうこ先生は、テーブルの上で両手の指をピアノを弾くみたいにパタパタ動かす運指のストレッチをしながら、お話をつづけます。
「その先生のレッスンは厳しくってね。いつも30センチくらいのプラスティックの定規を片手に持って、わたしがちょっとでも運指を間違えたら、すかさず手首のあたりをピシッて」
「勝気なわたしは、最初のうちはかなり憤慨した。叩かなくてもわかりますっ!なんて大声あげたりして」
「でも、ちゃんと弾けたときは、正面からわたしを抱きしめてくれて、ほっぺにチューとかしてくれるの。それがすごく気持ち良くってね」
「スキンシップも激しい先生で、背後から覆いかぶさるみたいにからだをくっつけて、私の腕に自分の腕を重ねたり、耳元でささやいてきたり」
「中学生のわたしにとって、その先生は10いくつも年上だから、いわゆるオトナの人よね。言うことは聞かなくちゃいけない、みたいな」
「その上、先生は基本やさしくて、ときには姉みたいに、ときには母親みたいな感じで接しているうちに、わたしはその先生には、どうにも逆らえなくなっていたの」
「ピアノは先生のほうが何十倍も上手いし、先生の言う通りにすれば確かに上手く弾けるのも事実だったし」
「わたしの背中に当たる、先生の少し硬めなバストの感触、今でも憶えてる・・・」
ゆうこ先生がうっとりしたお顔つきになりました。
「でも高校進学間近になって、ちょっとした事件が起きちゃったの」
「その先生は、わたしを有名な音大の付属高校に進ませたかったのね。より音楽にのめりこませるために」
「でもわたしは、その頃ちょっと挫折した、って言うか、先が見えちゃった気がしていて」
「ピアノを弾くのは好きだし、先生のことも大好きだったのだけれど、音大に進んでまでピアノを極めたいかな、って考えたら疑問に思えて」
「普段の中学校生活もすごく楽しかったから、出来れば普通に公立高校に入って、お友達といろいろ楽しくやりながら、ピアノは趣味の一つでもいいかな、って」
「両親も先生も、せっかくの才能なんだから、みたいなことを言ってくれたのだけれど、わたし、たぶん飽きちゃってたんだと思う」
「今思うと、わたしと同年代くらいで、わたしより少し上手い子とかが周りにいれば、負けず嫌いでつづけられたかもしれないのだけれど、中学校でもわたしよりピアノ上手い人いなかったし、先生は、わたしの手が届かないほど上のほうにいるしで、ピアノに対してモチベーションを上げるための刺激がみつからなくて、満足しちゃってたんだろうな」
ゆうこ先生の瞳が、少し寂しげに翳りました。
「結局、一時は先生とかなり気まずくなったのだけれど、さっきも言ったけど、わたし、ピアノを弾くのも好きだし、先生のことも好きだったから」
「だから、先生とのレッスンはつづける、っていう条件で、わたしの希望通り、公立高校に進んだのね。先生もそれで最終的には納得してくれたの」
「当時ですでに3年のおつきあいだから、わたしと先生はかなり親密になっていたし」
「わたしは、さっき言った、さらわれたお姫さまの話とかもしていたし、先生は、自分に女性の恋人がいることを教えてくれてた」
ゆうこ先生がワイングラスに唇をあてました。
「そこから、わたしと先生のレッスンがミョーな方向に変わっちゃったのね」
「先生はたぶんもう、わたしを一流のピアニストに育てるのはあきらめちゃったみたい」
「あ、でもわたし、中2のとき、県のコンクールの中学生部門で優勝したんだぞっ!」
ゆうこ先生が突然おどけて胸を張りました。
もう一度ワイングラスに唇をあててから、ゆうこ先生の唇が再び動き始めます。
「それから先生は、わたしとのレッスンのときに、自分の趣味、って言うか性癖?をあからさまにしてきたの」
「レッスンに行くと、先生がなんだか肌の露出が多い服を着ていることが多くなって、スキンシップも激しくなってきて」
「すごく難しい課題曲ばかり用意して、リストかなんかだったかな、で、ペシペシ腕を定規で叩かれて」
「なんだか、主従関係のはっきりしたお芝居をやっているようなレッスン。わたくしの言うことには絶対服従よ、みたいな雰囲気」
「言葉ではわたしを虐めたり蔑むようなことばかり言うのに、その割には、やたらにわたしを抱き寄せたり、からだをすり寄せたりしてくるの」
「わたしも、最初は戸惑ったけれど、そんなレッスンが段々なんだかワクワク楽しみになってきちゃったのね」
「ちょうど性的なものに関心が芽生えてきた頃でもあったし」
「先生が着ているピッチリしたニットに浮いたノーブラのポッチとか、これ見よがしに組み替える短いスカートから伸びた太股とかに、すごくドキドキしてた」
「忘れもしない、高校一年の夏休み前のレッスンのこと」
「先生がいきなり、これからミスするたびに、大貫さんは服を一枚ずつ脱がなきゃいけないルールにします、って宣言したの」
「何それ?って思うと同時に、わたし、その言葉が意味する行為に、ドキンッて胸が破裂した」
「ストラヴィンスキーのペトリューシュカだったな。あの曲難しくて、それまでさんざんペシペシ定規でぶたれて、わたしの心の中では、悔しいような、狂おしいような、もっとして、みたいなワケのわからない感情がずーっとモヤモヤ疼いていたの」
「当時、自分ではわからなかったけれど、わたしの心の奥底に眠っていた、マゾ性、みたいなものがパチンて弾けた瞬間だったと思う」
「わたしには、先生に逆らう、なんて選択肢はまったく浮かばず、黙ってコクンとうなずいちゃった」
「たぶん、そのときのわたしの目は、すごく淫らだったと思う」
ゆうこ先生がまっすぐに、私を見つめてきました。
今のゆうこ先生の瞳もウルウル潤んでて、充分淫らです。
「学校帰りの夏服の制服姿だったから、まずソックスから脱ぎ始めて」
「とても難しい曲だから、下着姿になっちゃうまで時間はかからなかった」
「セーラー服かスカートか、どっちを先に脱ぐかは迷ったな。ピアノ弾くときは座っているから、見えにくいだろう、ってスカートを先に脱いだ」
「先生は背後に立って見下ろしているのだから、意味無いのにね」
「脱いだものはそれぞれ、先生が丁寧にたたんでくれて、たたみ終わるとわたしのほうを向いて、黙ってわたしのからだをじーっと見るの。上から下まで、文字通り舐めるように」
「恥ずかしいです、先生、って言っても、その先を弾くように促すだけなの」
「そんな、裸に近い格好で上手く弾けるワケないじゃない?恥ずかしくて集中出来ないし、股間はムズムズしてきちゃうし」
「結局すぐにミスタッチしちゃって、ブラジャーかショーツのどっちかを脱がなきゃならないことになっちゃったのね」
「ねえ?直子ちゃん?」
不意にゆうこ先生が私に問いかけてきました。
「直子ちゃんだったら、どっちを先に脱ぐ?」
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