2011年11月27日

ピアノにまつわるエトセトラ 17

 ジーンズを脱ぎ終え背中を向けたまま立ち上がったゆうこ先生の両脚は、黒の、おそらくラメ入りのシルクらしい、オーバーニーのストッキングに覆われていました。
 スラッと伸びた両脚の大部分が光沢のある黒い布で隠され、太腿の半分くらいから白い肌がお尻を通り越して背中へとつづいていました。

 お尻も一見、まったくの裸。
 正確には、ビキニボトムを固定するために腰の低い位置に紐が回っているのですが、それもか細い透明のビニール製なので。肌の色が透けて何も身に着けていないように見えました。

 それにしても、なんて綺麗な後姿のヌード。
 キュッとくびれた腰から、まろやかに広がるハート型のお尻。
 さっきのスパンキングで紅潮しているのがいやらしい。
 
 背中から太腿まで、シミや痣一つ無い、つややかな肌。
 その肌と絶妙なコントラストを見せる黒いニーハイストッキングが、太腿からふくらはぎまでの美しいカーブを、よりコケティッシュに魅せるのに一役買っていました。

 そんなゆうこ先生の後姿にしばし見蕩れていた私。
 早く正面からの姿も見せてもらわなくちゃ、と気を取り直します。

「脱いだら早く、私の真正面に立ってください」
 
 ゆうこ先生はもう腕で胸を隠すことはせず、緊張した面持ちで私の前に立ちました。
 両腕をゆるく後ろに回して、休め、のようなポーズ。
 お顔は若干うつむき気味で、恥ずかしいのか嬉しいのか、頬から首筋あたりまでほんのり紅くなっていました。

 上半身には、バストにこんもりとした頂を突っ張らせた涙型の小さな布片が二つ。
 下半身には、両脚の付け根部分に鋭角な逆三角形の小さな布片が一枚だけへばりついています。
 
 そして、両脚の膝上15センチくらいまでの黒ストッキング。
 それ以外は何も身に着けていない、ゆうこ先生の妖艶なセミヌード姿でした。
 その美し過ぎる裸に、しばし瞬きを忘れてしまうほど。

「顎を上げて、私にその綺麗なのに淫靡なお顔も、もっとよく見せてください」
 
 冷静に、落ち着いて、って自分に言い聞かせながら、次の段階へ進むべく事前に考えておいた科白を、ゆうこ先生に投げかけます。

「それに先生。先生の両手は、その位置ではないでしょう?先生みたいな人には、もっとお似合いのポーズがあるのでないですか?」
 
 これは、ゆうこ先生にお借りした官能小説の中にあった科白と同じでした。
 ゆうこ先生のお顔が一瞬ハッと固まって、それから、なんとも言えない、いやらしいお顔に崩れながら私を見つめつつ、お腹の前で両手をゆっくりと合わせました。

 両手の指を絡めて組み、左右一つに組み合わさった手のひらを頭の後ろまで持っていきます。
 両肩が上がり、両肘が左右それぞれ耳の横あたりまで上がり、組んだ手のひらは後頭部に当てられました。
 例えるなら、腹筋運動をやるときの腕の位置です。

 この格好になることによって、左右の腋の下が全開になります。
 両腕を上げるので、胸を張った状態となり、左右のおっぱいを前に突き出すような姿勢になります。
 
 両手は頭の後ろでキープしているので、まったく使えなくなります。
 その結果、上半身、下半身ともまるで無防備となり、どんなイタズラをされても、隠すことも、抵抗することも出来なくなるポーズ。
 私のからだを自由にしてください、という意味の、誰が名づけたのか、マゾの服従ポーズ、なのです。

 ゆうこ先生は、恥ずかしさと嬉しさが入り混じっているのか、結果的に、はにかむようないじらしいお顔になって、私をじっと見つめてきました。
 ゆうこ先生のからだに一歩近づき、右手に持ったプラスティック定規の先端で、小さな布地の上から、左乳首をツンツンと軽くつつきました。

「あぁんーーっ!」
 
 ゆうこ先生が大袈裟な嬌声をあげました。

「あらあら先生、はしたないお声だこと。嬉しくて仕方ないのでしょう?定規でつついただけでも、ココがすっごく硬くなっているのがわかりますよ?」
 
 定規の角のところを乳首から左脇腹のほうへツツーッと滑らせます。

「うっぅーんっ~」
 
 ゆうこ先生の色っぽいお声。
 全身がもぞもぞ揺れています。

「そうですよね。こんなに綺麗なからだをしていらっしゃるのだもの、誰かに視てもらいたくて、仕方ないですよね?」
「本当に綺麗でいやらしいからだ。このおっぱいなんて、私、今すぐにでもめちゃくちゃに揉んでみたいもの」

「それにこのえっちな水着。いっそオールヌードのほうが、まだ女性美とか健康美とか言いつくろうことが出来るけれど、こんなのを着て、おまけに黒ストッキングなんて、露出狂のドMなヘンタイさんとしか、言いようが無いのではないですか」

 どの科白も本心から言っていました。
 本当に、今すぐむしゃぶりつきたいほど、えっちな衣装のえっちなからだでした。
 そんな科白を投げかけながら、ゆうこ先生の左右のおっぱいを、上から下から定規で軽くペチペチ叩きつづけました。

「ああんっ、お願い許してっ、いやんっ、いやーんっ!」
 
 ゆうこ先生は、からだをクネクネさせて身悶えつづけます。

「先生、私に見られて、お仕置きされて、ずいぶん感じちゃったみたいですね。下半身の布地、ビシャビシャですよ?穿いている意味がないくらい」
 
 定規の先をゆうこ先生の少し開いた両腿の付け根下にもぐりこませ、両内腿をペチペチ叩きました。

「あ、そこはだめんっ!あ、だめなのですぅ」

「何がだめなのですか?こういうことをしてもらいたいから、そんな水着を選んで、私とのレッスンに臨んだのですよね?」
 
 定規を引っ込めて、ゆうこ先生をまっすぐに見つめました。
 ゆうこ先生の潤んだ瞳が、もっとして、っと訴えかけていました。
 股間の布から内腿へ、重そうな雫がツツーッと一筋垂れていきました。

 ゆうこ先生の股間を隠す布は、本当に股の付け根からスジ一本を隠すためだけの機能しかありませんでした。
 もっとも今は、ビショビショに濡れて更に細くなり、その機能さえ危うくなって、たぶんお尻の穴は隠しきれていないでしょうけれど。
 
 以前ネットで、その部分に小さな絆創膏だけを貼った、大股開きのオールヌード写真を見たことがありました。
 そのモデルさんもパイパンで、本当にスジだけが隠れるほどの小さな絆創膏。
 いやらしい想像力を悪戯にかきたてる、すっごくえっちな写真でした。

 でも目の前のゆうこ先生のソコは、薄い布地越しに見事に透けて、無毛なその部分の形状をクッキリ浮かび上がらせていました。
 絆創膏写真以上のいやらしさを、ゆうこ先生が着けているビキニボトムは持っていました。

 ゆうこ先生の恥ずかしくもえっちなただずまいをひとしきり眺めて堪能した私は、次の段階へ進むことにしました。

「でも、先生の望みはまだ叶えられません。先生は、私とのお約束を守ってくれませんでしたから」

「えっ?」
 
 ゆうこ先生のお顔が一瞬、真顔になりました。

「お約束…って?」
 
 本当にわかっていないらしいゆうこ先生。

「私は、先生とのヒミツのレッスンのときは、昔、我が家に来たときに着ていた水着を着て、レッスンしてください、ってお願いしました」

「ええ。だから今日は、この水着をあらかじめ着て、直子ちゃんを待っていたの」
 
 ゆうこ先生がご自分の胸と下半身にあらためて目をやってから、照れたように微笑みました。

「でもそれは、あのときの水着ではありません」

「えっ?」

「あのときのはベージュ色でした。今先生が着けているのは白。違います」

「あれっ、そうでしたっけ?」

「はい。私、はっきり憶えています。って言うより、先生?そんなえっちな水着、何着もお持ちなのですか?」
 
 私は本気で呆れていました。

「えーっと。5、6着か、もっと・・・」

「うわー。それに、いつどこでどれを着たか忘れちゃうくらい、そんなに頻繁に、そういうのを着て遊んでいるのですか?」

「…冬場とか、これの上に暖かいコートだけ着てお買い物に行ったりもしています…」

「あのえっちなジーパンを穿いたりしても、ですね?」

「…はい…」
 
 ゆうこ先生ったら、明らかに嬉しそうにモジモジしています。

「わかりました。さすがはヘンタイ露出マゾの大貫先生ですね。それはもういいですから、とにかく私に、お約束通り、あのベージュの水着姿を見せてください、それとももう、あの水着は無いのですか?」
 
 心の中では、やっぱりゆうこ先生はスゴイ、って感嘆している私。
 
「いいえ、たぶんまだ、隣の部屋のクロゼットに…」

「だったら取って来てくださいっ!」
 
 少しヒステリック気味に叫んでしまいました。
 気を抜いたら、ゆうこ先生のヘンタイパワーに押し流されそう…
 今は私がエスなのだから。

 マゾの服従ポーズのままのゆうこ先生は、少し困惑気味でしたが、わかりました、とおっしゃって、窓際のソファーのところに歩いて行き、バッグからお部屋の鍵らしきものと壁にかかっていたフリースのスタジアムコートみたいなものを手に取りました。

 私の前を素通りして、スタジアムコートに腕を通しながら玄関へ向かおうとするゆうこ先生を定規で制しました。

「ちょっと待ってください」

「え?あ、はい?」

「今は、私とのレッスン中です。それで、前にしたお約束通り、私とのレッスン中は、あのベージュの水着以外を身に着けることは許しません」

「えっ!」
 
 ゆうこ先生のお顔が一瞬驚いた後、急激に淫らに歪みました。
 すがるような目つきになって、小さなお声で聞いてきました。

「…つまり?」

「つまり、その白い紐水着は今すぐ脱いでください。フリースもだめです」
「あ、そのストッキングはそのままでいいです。それは履いていたほうが先生、いっそういやらしいです」

「つまり、裸で隣の部屋に行け、ということ…ですね?」

「そうです。このフロアは両方とも先生のお家ですよね?エレベーターホールにちょっと裸で出るくらい大丈夫なのではないですか?それとも、宅配便の人とかが急に来るとか?」

「それは、事前にエントランスで連絡があると思うけれど…」

「それに、先生のことだから、普段からそういうこと、ちよくちょくしているのではないですか?」

「ううん。誓って言うけれど、どちらかの部屋でずっと裸なことはよくあるけれど、裸のままエレベーターホールには出たことは無いの。ちょっと出たいときは、今みたいに上に何か羽織るようにしていたから。だから今も習慣的にフリースを手に取ったのだけれど…」

 少し考えていたゆうこ先生は、やがて小さくうなずきました。

「なんだかそれはワクワクしてくる。なんで今までやったことなかったんだろう?」
 
 えっちな笑顔で私を見ました。

「ワクワクなんかしちゃだめです。これも先生に対するお仕置きなのですから」
 
 私もワクワクしながら、それでも努めて冷たい声で言いました。

「さ、早くそのお約束違反の、ジャマな水着を脱いじゃってください」


ピアノにまつわるエトセトラ 18

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