「あ、帰ってきたね。意外と早かったじゃん」
「あたし今頃、直子は倉島さんと泡まみれになってグッチョングッチョンにヤられてると思ってたんだけどね」
「新顔のM女相手でも直子はネコなんだ?」
みなさまの失笑を誘う会話は、五十嵐さま、お姉さま、中村さまの順です。
「直子たちはまだ仕事があるから、アルコールはダメね。でもとくに直子は先生にあんなに責められて喉カラカラなんじゃない?これでも飲んで一息つきなさい」
お姉さまのご指示でお姉さまと里美さまのあいだに座らされた私たち。
お姉さまの隣に私、その隣に倉島さまで里美さま、の前に大きめなスポーツドリンクのペットボトルがそれぞれ置かれます。
いただきます、と手に取って口をつけたが最後、一気にゴクゴクゴクと半分くらいまで飲み干してしまいました。
倉島さまも美味しそうにゴクゴク飲まれています。
そこへ厨房ホールのドアが開いて、寺田さまがお姿を現わされました。
丈が短く胸元も大きく開いたバスローブのようなものを羽織られ、ウエストを緩く紐で結んでおられます。
その下は、あれ?素肌?
「ふうーっ。カレーの仕込み、やっと終わった。突然9人分の仕込みなんて野球部のマネージャーにでもなった気分。みんな、今日の晩ごはんは想定外で準備していなかったからカレーだけだから。ごはんもたっぷり炊くしパンとフルーツもあるし、みんな好きなときに好きなだけ食べて、あとはアルコールでごまかして」
大きなお声でそれだけおっしゃった寺田さまは、私たちのテーブル真向いのお席にどっかりと腰を落ち着かされ、缶ビールをプシュッと開けてゴクゴク飲み干されます。
大きくはだけた胸元からたわわなおっぱいの丸みが半分くらい覗いています。
「あ、うち寺っちが作ったカレー大好物だからラッキー」
お気楽なご感想を述べられたのは五十嵐さま。
「寺っち、今日はお疲れだねー。寺っちのいやらしいヨガリ声がこっちにまでガンガン聞こえてたよ。先生、ノってるみたいだね」
中村さまがからかうようにおっしゃると、お疲れ気味なお顔で応えられる寺田さま。
「そうなのよ。さっきの直ちゃんの達磨縛りで先生の創作意欲に火が点いちゃったみたいでさ。時代物を始めっちゃって、女囚の折檻だ、身体検めだ、後ろ手縛りでイラクサ責めだ、肥後ずいき挿れろ、ってやらされて…まあ、アタシも気持ちいいから良いんだけどさ」
寺田さまったら、あの後もあるじさまから執筆のためのモデルとして折檻を受けているみたい。
だからあのバスローブの下は今でも裸で、そう言えば両手首やチラチラ見える二の腕両方にクッキリ縄痕が付いていらっしゃる…
羨ましいと言うか、恐ろしいと言うか…
「あ、あなたが倉島さん?ようこそいらっしゃいませ。へー、これまた可愛らしい子じゃない」
缶ビールを一缶飲み干されて二缶目を開けたときに、今気づいたというようにお声掛けされる寺田さま。
バスタオル一枚のおからだをビクンと震わされ、おずおず立ち上がられた倉島さま。
「あ、はい。倉島麗子と申します。このたびはお招きありがとうございます。予定よりも早くお邪魔してしまって申し訳ありません。これから、えっと、数日間、よろしくお願いいたします」
大げさにお辞儀をされバスタオルが外れないかとヒヤヒヤしましたが、無事再び着席されます。
「それであなたは、この直ちゃんに憧れているのね?」
「あ、はい」
寺田さまが色っぽいニヤニヤ笑顔で私を見つめます。
私は今さっき聞いたことで、あるじさまと全裸の寺田さまとのあれこれを妄想してしまい意味もなくドギマギ。
「でもほどほどにしておいたほうがいいかもよ、アタシが見たところ直ちゃんて天性の筋金入りな変態さんだから」
私と倉島さまに向けてパチンとウインクされた寺田さまの艶っぽさに私はズッキュン。
倉島さまは、そんなこと知っています、とでも言いたげに澄ましたご表情で私の裸を熱っぽく見ています。
無言で私たちの様子をご覧になられていた寺田さまが気を取り直されるように缶ビールに唇をあてられ一口飲まれた後、みなさまを見回されておっしゃいます。
「そういうことで、いつまた先生からお声がかかるかわからないから、今夜のアタシは食事当番が出来ないってわけ。だからみんなよしなにやってね。晩ごはんの時間見計らってスイッチやコンロの火を点ければだいたい一時間ほどで出来上がる手筈にはなっているから」
アタシの話はこれでおしまい、とでもおっしゃるように、お隣の中村さまに笑顔で何事か話しかけられる寺田さま。
お話が一段落するのを待っておられたかのように、私にお話を振ってこられたのはお姉さま。
「そう言えばさっき里美から聞いたのだけれど、明日から来るシーナさん主催のご一行、ジャクリーンと小野寺さんはわかるけれど、あたしの知らない人まで直子のことは知っているって、どういうことなのよ?」
問い詰めるようなからかっているような、全体的にイタズラっぽい雰囲気なお姉さまのご口調。
お姉さまってば早々と、少し酔っ払われているかも。
「あれ?それで、えっと誰が来るんだっけ?」
お姉さまの天然ボケに即答される里美さま。
「はい。シーナさんと艶美の小野寺さん、それにエステティシャンをやっておられるという若い女性がおふたり。あとセレクトショップをやっておられる店長さんと、そこでネイルアートを担当されている、確か小野沢さんとおっしゃる女性。それにわたしとレイコと運転手の本宮さんが飲み会に出席したメンバーでした」
「あとふたりくらい当日増えるかもしれないということと、アンジェラさんはご多忙でご欠席、ジャクリーンさんは一日遅れて参加される、とのことでした」
エステティシャンをやっておられるおふたりとは、私の陰毛を施術していただいたとき、インターン扱いだったリナリナトリオのうちのどなたかおふたりでしょう。
セレクトショップの店長さまというのは、私が裸コートで冒険した最後にシーナさまが連れてってくださった西池袋のお店の店長さまである古泉純さま、そこでネイルアートをご担当されていたのは、確か小野沢桜子さまというお名前だっだはず。
あれ?でもこの裸コートのお話もお姉さまにはお話したような気もするけれど。
「ジャクリーンさんは別として、M女ぽいのはレイコしかいないみたいだから、レイコは覚悟しておいたほうがいいわよ、っていうお話でした」
里美さまのご説明が終わり、みなさまがお姉さまにご注目されます。
「そうそう。そのセレクトショップの店長ていうのは何者なのよ?」
わざとらしく問い詰めるように怒った演技をされるお姉さま。
やっぱりお姉さま、愉しんでいらっしゃる。
「前にお話ししたと思いますけれど、お姉さまと知り合う前に、シーナさまに裸コートを見抜かれて連れて行かれた西池袋のセレクトショップの店長さまです。営業中の昼間のショップで丸裸にされておっぱいとアソコの土手にスキンアートを施されるところをご来店されたお客様にたくさん視られたっていう…」
弁解している最中、我ながらとんでもなく破廉恥なことをしていたな、と思います。
あれから古泉さまにも小野沢さまにも会っていませんが、今出会ったらどんな気持ちになるのでしょう。
「はいはい、何だか聞いたような覚えもあるわね。でも倉島さん、直子ってこういう女なのよ。誰にでも見せちゃって誰にでも弄らせちゃうど淫乱ど変態娘。まあ、男が死ぬほど苦手だってところに救いはあるけれど…」
「昨日だって、高校生の頃、年上のピアノの先生と乳繰り合ってたっていうのを聞かされたし、その先生は今でも立派なM女さんで先週ここで虐められてたっていうじゃない。まあ類は友を呼ぶっていうか、直子の周りにはドスケベと変態ばかりが集まってくるの」
そこでワイングラスの白ワインをクイッと飲み干されたお姉さま。
「まあ、あたしもそのひとりで、おまけにネトラレぽいらしいからあまり気にしてないけれど倉島さん、直子に憧れるのもほどほどにしておいたほうが身の為よ。一歩でも間違うと即、人生破滅しちゃうからね。お友達は選びなさいよ」
そこまでおっしゃってお姉さまが妖艶に微笑まれ、お話が終わります。
「はい。わたしはまだまだ直子さまの足元にも及んでいませんから、直子さまから性の愉しみ方やマゾヒストの真髄をどんどん学び取りたいと思っています」
またまたリアクションに困ることをおっしゃてくださる倉島さま。
ふと目を上げると五十嵐さまがビデオカメラをこちらに向けています。
お姉さまは角田さまと、寺田さまは中村さまと本宮さまとご雑談、里美さまはスマホを弄っておられます。
時刻は午後5時を過ぎて、まだ倉島さまのバスタオルを剥ぎ取ろうとするかたは、どなたもいらっしゃいません。
倉島さまからの熱い視線を乳首付近に感じつつ、しばし過ぎ行く手持ち無沙汰な時間。
中村さまが静かに席をお立ちになられ厨房のほうへ行かれたと思ったら、すぐに大きめのトートバッグを手に戻られました。
あれはジョセフィーヌさまのお散歩セット。
そのトートバッグがテーブルの上にドンと置かれます。
「そろそろ時間だから仕事の引き継ぎを済ませちゃいましょう。倉島さんに直子から説明してあげて」
トートバッグを指差しつつの中村さまのご指示に、はいっ、と思わず立ち上がってしまった私。
つられて倉島さまもビクッと小さく震えた後、おずおずと立ち上がられました。
みなさまのご注目が集まる中、倉島さまと向き合います。
「えっと、お仕事というのはジョセフィーヌさまのお散歩です。あ、ジョセフィーヌさまというのは、あるじさま、名塚先生が大切にされているワンちゃんの女の子で、ゴールデンレトリーバーというフワフワなご犬種で、とても賢いワンちゃんさまです」
「朝の8時前と夕方の5時半頃から毎日二回、ここから歩いて10分くらいの広場までご一緒にお散歩して、そこでフリスビーとかで30分くらい遊んで差し上げる、というのがお仕事の内容です」
他に何か付け加えることあったかな、と思いながら倉島さまのお顔を見ると、なんだか嬉しそう。
「わたし、ワンちゃんとかお猫さまとか何かペット飼ってみたいなって思っていたんです。実家では親が嫌がって飼えなかったから。中でもゴールデンレトリーバーって頭良いんですよね?気になっていた犬種だったからとても楽しみです」
涼し気な瞳をキラキラ輝かせてワクワク顔の倉島さま。
「まあ、そんな感じね。今日の朝まで直子にやってもらっていたんだけど、明日の朝から帰るまでは倉島ちゃんにお願いするわ。で、これから直子に付いて行って段取りを覚えてもらうと」
中村さまが何やら褐色のお飲み物をクイッと傾けられた後おっしゃって、急にイタズラっぽいニヤニヤ顔になられます。
「でも、肝心なことを教えていないんじゃない?」
中村さまがからかうように私に尋ねられます。
「えっ?」
ただただ戸惑う私。
「散步のときのM女の格好のことよ」
中村さまが全裸の私をしげしげと見つめながらイタズラっぽくおっしゃいます。
あっ、と、うろたえる私。
今の私の姿を見れば、倉島さまも薄々お気づきとは思いますが…
「あっ、あのう…それで、お散歩のとき、あるじさまはジョセフィーヌさまでM女はペットですから、ペットの格好は基本、生まれたままの姿です…」
申し訳無い気持ちで倉島さまに告げます。
倉島さまの肩が小さくビクンと震えます。
あわててつづけます。
「あ、でもこの辺り一帯はあるじさまの私有地なので、一般の人はどなたも入ってこられません。現に私の滞在中もお散歩中にお身内以外のかたには一切会っていませんし、ジョセフィーヌさまもリードを着けずにご自由に走り回られておられますから、裸でもまったく安全です…」
弁解がましくお散歩の安全性を力説する私。
「でも露出大好き見せる子ちゃんな直子にとっては、視てくれる人がいないのが不満だから、必要以上にジョセとイチャイチャしては全身をジョセの足跡だらけにして毎日帰ってきてたんだよね?」
ビデオカメラのレンズをこちらに向けられた五十嵐さまから、からかうように決めつけられて、私はあまりの恥ずかしさでみるみる赤面。
倉島さまも驚いたように私を見ています。
「直子の見解は基本的に合っているわ。それで直子は倉島さんをどう指導するのかしら?」
中村さまがイジワルっぽく真面目なお顔で私に詰問されます。
そのとき私は理解しました。
みなさまは、私の手で倉島さまのタオルを剥ぎ取ることをご期待されているんだ、と。
「麗子さん?ちょっと失礼します…」
私の右手が倉島さまの胸元に伸び、倉島さまが胸元を押さえられるより一瞬早く、私の右手がバスタオルの折り目を掴んで、そのままスルスルと剥ぎ取りました。
「きゃっ!」
ひと声叫ばれた倉島さまが、遠ざかってゆくバスタオルを恨めしげにご覧になりつつ、すかさずヴィーナスの誕生ポーズ。
おっぱいを庇っている右腕から零れ落ちている右乳首はしっかりと尖っていました。
「おおっ、必死に隠しちゃって、初々しいねえ」
「今じゃ何もかもおっ広げな直子とは大違い」
「それにしても倉島ちゃんて肌、白いよねえ」
「肌の白い人って陽焼けすると赤く染まっちゃって痛々しいんだよね」
みなさまがご勝手なご感想を述べられる中、里美さまだけがワザとらしく怖いお顔をお作りになり、首を左右にゆっくり振られます。
それをご覧になられ、観念したようにゆっくり両手を頭の後ろに持っていかれる倉島さま。
「ふうん、里美もちゃんと躾けているじゃん。どう?倉島ちゃんの伸びしろは?」
お姉さまが嬉しそうに里美さまに尋ねられると…
「有望だと思いますよ。直子の域までいくのはまだまだですけれど」
ここにいるみなさま、私がリアクションに困るコメントしかしてくださいません。
そうしているあいだにお姉さまのお綺麗な顎が私に向けてクイッと上向きに動かれ、私もすかさずマゾの服従ポーズ。
「うわっ、一気にこの場が性奴隷市場みたいに艶かしくなっちゃった」
五十嵐さまがお独り言みたいにそうつぶやかれると、中村さまが茶化すようにその後をつづけられます。
「ねえねえ、寺っちも裸になって同じポーズでそこに並んでみてよ。見比べてみたい」
そんな破廉恥なご提案に嬉々としてノられる寺田さま。
「おっけー」
スルスルっとローブを脱がれて一糸まとわぬお姿で私の横に並ばれました。
「うわっ、何て言うか、壮観だね」
「うん、ビフォアアンドアフターって言うか、使用前使用後みたいな…」
「M女ってこういうふうに進化していくんだね」
「寺っちの肌のあちこちに残っている縄の痕が淫靡…」
「みんな思わず虐めたくなるからだだよね…」
みなさまお好き勝手なご感想を述べられています。
真っ白いおからだで本当に恥ずかしそうにポーズを取られる倉島さま。
全身陽に焼けて、何もかもさらけ出して、それでもやっぱり恥ずかしい気持ちのままポーズを作る私。
視たいなら視ればいいわ、とでもおっしゃりたげに自信満々で淫猥な陽焼け跡と縄痕を魅せつけられるようにポーズをお取りになられる寺田さま。
確かにM女の行き着く先は、こんな進化を遂げるのかもしれません。
「で、そろそろ時間だから、M女デビューの倉島ちゃんを生温かく送り出しましょう」
中村さまが茶化すようにおっしゃったとき、大広間のどこからかトゥルトゥルと電子音のような音が小さく響きました。
「あ、内線、先生からだ」
寺田さまがいち早くご反応され、厨房近くの壁に掛かった電話機に全裸のまま取り付かれました。
「あ、はい、寺田です、あ、はい、はい、あ、えっと、直子、いえ、オナ子は午後に帰るはずだったのですがまだいまして、これからジョセフィーヌの散步です、新しいM女が予定外に今日来まして、散步のレクチャーも兼ねて…あ、はい、アタシは全然大丈夫です、あ、はい、すぐに馳せ参じます…」
ご従順な下僕のように受け答えされるご様子と、そのダイナマイトボディとのギャップがアンビバレントな寺田さま。
私もお姉さまと、名塚先生と寺田さまのようなご関係になりたいなと、ふと思います。
「聞いての通り、アタシは先生の下に戻るから、あとはよしなにね。解放されたらまたみんなと飲むからね」
それだけ言い残されて寺田さまは全裸のまま奥の通路にそそくさと消えていかれます。
取り残された真っ白と陽焼け肌、ふたつの全裸。
「そろそろ出発だから、おめかししてあげましょう」
中村さまがご冗談ぽくおっしゃり、まずふたりの首輪にそれぞれ麻縄に似たリードが取り付けられます。
先端は持ちやすいように輪っかになり、ふたりとも股間の下20センチくらい余る長めのリードです。
「それから直子にはこれね」
今朝方着けられたネコミミカチューシャとキツネさんの尻尾プラグ。
「今はさすがに浣腸はしないであげるけど、絶対に抜いては駄目よ」
「はうっ、んーっ!」
カチューシャをかぶせてくださった後、なんの準備もしていなかった私の乾いた肛門に無理矢理プラグを捩じ込まれる中村さま。
少し痛かったけれど、それを嬉々として飲み込んでしまう私のお尻の穴。
「それで、あなたにはこれを貸してあげる」
五十嵐さまが倉島さまに手渡されたのはハンディビデオカメラ。
「散步のあいだ、直子が色々恥ずかしいことをすると思うけれど、倉島ちゃんはそれをしっかり目と映像に焼き付けて、一歩一歩立派なM女に近づきなさい」
お姉さまが真面目なお顔で倉島さまにおっしゃると、倉島さまもうんうんと神妙なお顔で頷かれています。
時刻は夕方5時半ちょっと前、仲良く首輪とリードにサンダルだけの全裸、あ、私はネコミミとアナルプラグも着けていますが、なふたりは、みなさまに見送られてお外へと放り出されました。
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