2022年4月24日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 17

 あるじさまの机上を片付け、自分の食器類も飲み物だけを残してお廊下のワゴンへと下げました。
 それから自分の座卓へ戻り、ペタンと正座座り。
 この姿で正座すると、薄いレオタ越しに麻縄四本分な幅の股縄がクイッと、裂けめと内腿に食い込んできます。
 ちょっとキツくし過ぎたかな…

「あるじさま、終わりました」

 一応お声がけしておこうと、あるじさまのお背中へ問いかけます。

「そう。なら箪笥から、今度は10メートルの縄を二束取り出して一本に結びなさい」
「結び終えたら、抽斗の仕切りの右側の包みの中からからひとつ取り出して箪笥を閉めなさい」
「取り出すときに選んでは駄目だよ。視線を移してパッと最初に目についたものを取り出すこと」

 相変わらず両手をパタパタとキーボード上に滑らせつつ、振り向きもせずにご命令くださるあるじさま。

「は、はい…かしこまりました…」

 あるじさまに縛られてしまうのかな…でも、こういう純和風なお部屋で縛られるのって、ずっと以前からの憧れだったな…
 マゾ性をビンビン反応させつつ、再び膝立ちで箪笥に向かいます。

 10メートルの札が付いた麻袋をふたつみつけて縄を取り出し、縄の両端をしっかり結びつけました。
 今している股縄と同じく、どちらの縄もかなり年季が入ってクタクタでツヤツヤ、そしてしなやかです。
 そうしてから、箪笥抽斗の右側に目を移し、最初に目についたもの…

 白状すると、ここで私はズルをしてしまいました。
 右側に収められているのは、20~30センチ四方くらいのカラフルな不織布ポーチたち。
 その中で一番目立っていたのは500mlのペットボトルくらいに大きく膨らんだオレンジ色のポーチでした。
 そして先ほど、この抽斗についてあるじさまがご説明くださったお言葉も、しっかり覚えていました。

 …その段には、おまえみたいなマゾ女が大好きな麻縄と張形類がしまってある…

 おそらくあるじさまは、私を蹂躙するお道具を自分で選ばせて、追い込みながら嘲笑われるおつもりなのでしょう。
 そのくらいの太さのものでシーナさまに虐められた経験もあるにはあるのですが、お姉さまのいらっしゃらないところであまり淫らに乱れたくないという気持ちもありました。
 それに私は、男性器を模した形の張型類、ディルドやバイブには嫌悪感のほうが勝ってしまいます。

 そんな思いが一瞬のうちに脳内を駆け巡り、その大きく膨らんだポーチのふたつ横、制汗スプレーくらいの穏やかな膨らみを見せる緑色のポーチを咄嗟に手に取り、ガタンと抽斗を閉めました。

 結んだ麻縄と緑色の不織布ポーチを携えて再び膝立ち歩きで座卓に戻ります。
 正座してあるじさまへご報告。

「ご指示通り、いたしました…」

「そう。なら、そっちの襖とこっちの障子戸を開けると角が大きな柱になるから」

 キーボードから離れられたあるじさまの右手が、ご自身のご正面斜め右、正面お庭側の障子戸と右側の別の間とを区切っている襖が交わる一角を指さされます。
 確かにそこには、太くて四角い立派な木の柱が天井から床へと通っています。

「その柱に縄を結びつけて、自分が柱に磔になるように自縛しなさい。両手は後ろ手に固定して、身動き出来ないようにね」
「あと、お前が選んだオモチャは、ここに置いておきなさい」

 ご自身の文机の右端、さっきまで食器類が置いてあった空きスペースを指でトントンと叩かれたあるじさま。

「はい、承知いたしました」

 正座から、今度は完全に立ち上がり、ご指示通りに緑色の不織布ポーチを文机に置いた後、しずしずとお部屋の右隅へと移動。

 まず、正面側の障子戸を左側にスルスルッと滑らせます。
 少しの板の間の向こうに、漆黒に染まった大きなガラス窓。
 
 ピチピチレオタードに股縄だけ締めた私の恥ずかし過ぎる姿が、そのガラス窓にまるで鏡みたいに、クッキリと映り込んでいます。
 ツインテ頭の真っ白なメイドカチューシャと首に巻かれたペット用の赤い首輪が、この女はこの場で、明らかに蔑まれている最下層の存在だと雄弁に物語っています。

 つづけて右側のお部屋とのあいだを区切る襖を一枚、右側に滑らせます。
 右側のお部屋も畳敷きのようですが、電気が点いていないので薄暗く、中がどんな感じになっているのかはわかりません。

 そして、障子戸と襖が離れた一角が、30センチ四方くらいの太くて立派な濃茶の木柱と化しました。
 私を縛り付けて晒し者にするための磔柱…

 柱を用いての自縛は何度も経験済みでした。
 最初は高校生の頃、やよい先生、あ、いえ、今はやよいママさまのパートナーであるミイコさま自演のビデオで、そのノウハウを教わりました。

 その頃の自分の部屋には適した柱が無かったので、出窓の把手にロープを結んですぐさま実体験し、凄まじい快感を得ることが出来ました。
 独り暮らしになってからはシーナさまがレイアウトしてくださったお仕置き部屋で、お洗濯物用のポールやバレエレッスン用のバーに磔となり、ひとりで幾度も快楽を貪っていました。

 ただ、古いSM写真でよく見るような、こんなに雰囲気のあるレトロな和室で自縛したことはなかったので、もうそれだけでゾクゾク、ムラムラ…
 目の前のツヤツヤ黒光りする冷たい木柱の表面にそっと触れただけで、ヌルんと感じてしまっています。

 柱の位置は文机に向かわれたあるじさまの右斜め前方3~4メートルくらい。
 パソコン画面を見つめられているあるじさまがフッとお顔をお上げになれば、たやすく視界に入る位置。
 そう考えてあるじさまのほうを見ると、あるじさまがお顔を上げられ、私と視線がぶつかりました。

 その視線に促されるように、二つ折りにした麻縄を柱に巻き付け始めます。
 高さは私の胸の位置、ちょうど乳首の位置くらいがベスト。
 緩んで下がってしまわないように、キツキツの巻き結びでしっかり固定します。

 それから縄をピンと張りながら、自分の体に三回巻き付くくらいの長さを測りつつ、柱から離れます。
 あるじさまはキーを叩く両手を止められ、じっと私の行動を見つめていらっしゃいます。

 位置が決まったら余った縄は右手首に巻きつけ、両手を後ろ手に組みます。
 背中から二の腕へ左回りにからだを回転させて、縄を胸に巻きつけていきます。

 最初のひと巻きはおっぱいの上部分、膨らみ始めの辺りを狙って二の腕ごと、肌に縄が食い込むくらい張り詰めさせたままからだを回します。
 ふた巻目は乳房の丸みの下部分を狙って、下乳の裏に潜り込ませて持ち上げるみたいな感じ。
 こうすることで、おっぱいが縄で上下から絞られるような縛り方になります。

 最後のひと巻はおっぱいの上。
 両乳首の下あたりを狙って脂肪に食い込ませるように這わせます。
 乳首周辺の皮膚が突っ張り、尖った乳首がより一層背伸びさせられ、恥ずかしいほどにそそり立つんです。

 こうして私は、あるじさまの斜め前方に横向きの形で、木柱に縛り付けられた格好になりました。
 極薄レオタード生地に食い込む三層の二重になった縄模様、柱に背中を預けて身動きできない私…

「はうぅん…」

 思わず被虐の溜め息が洩れてしまいます。

「ふうん、ずいぶん手慣れているじゃないか?」

 あるじさまの感心されたような、同じくらい呆れられているようなお声が聞こえました。

「一緒に来たあの女社長に仕込まれたのかい?」

 ゆらりと立ち上がられつつ、あるじさまのあざ笑うようなお声。
 ご口調が完全に昼間のときと同じ嗜虐色に染まっています。
 どうやらご自分の物語の中に入られて、お話の中のサディストなミストレスに同化されてしまったみたい。
 
 立ち上がられると同時にお手元のリモコンか何かを弄られたのでしょう、室内の照明が一段階、明るくなりました。

「あ、いえ、き、緊縛はほとんど独学で覚えました…わ、私…オナ子は子供の頃からそういうのが好きなので…あ、もちろんお姉さまも縛りはお上手ですが…」

 私もオナ子になって名塚先生のシナリオに身を委ねてみることに決めました。
 そしてこの際、自分の性癖を包み隠さず打ち明けてしまおう、ひょっとしたらそれが何かご執筆の手助けになるかもしれないし、なんて生意気なことも考えていました。

「ふん、とんだ深窓のご令嬢がいたものだ。おまえは本当に生まれついてのマゾ牝なんだな」

 私のすぐ側まで来られたあるじさまは、左手首に緑色のポーチの絞り紐を引っ掛けられ、両手を腰に当てられて、まじまじと私の姿をご覧になられています。

「おっぱいをそんなに潰しちゃって。それ、わざとだね。いやらしい乳首が悦び勇んでおっ勃っているのを見せびらかせたいのだろう?」

 あるじさまの両手が私の胸元に近づいてきます。
 と思う間もなく、レオタードの胸のV字生地があっさりと縄下をくぐり、下乳まで押し開かれます。
 かろうじで薄い布地に覆われていた両乳房とその先端が、明るくなった室内灯の下に露わとなりました。

「ほら、見てごらん?」

 あるじさまが薄暗いままのお庭側の板の間を指さされます。
 そこには実際より少し大きくなった私の影が映っていました。
 お部屋の照明に照らされて暗い板の間に落ちる影。

 お部屋の照明に向かって横向きですから、落ちる影も横向きになります。
 横顔、首と下っていくと次は胸…
 そこには、いささか垂れ気味でいびつに歪んだお椀型の突端に、ちょっと恥ずかしくなるくらい飛び出ている親指大な突起物の影が落ちていました。

 喩えて言うなら、ホテルやレストランで従業員さまを呼び出すための、金属製銀色なお椀型で突起をチンと押す、呼び出しベル。
 縄でひしゃげているためお椀型はいびつですが、手で押す突起部分にずいぶん存在感があって、縄で根本を潰されている分、余計に痛々しく精一杯背伸びしているようで…
 それが実物の150%くらい大げさに、ほら、おまえはそういう女だ、と見せつけるみたいに板の間の平面に黒く描かれていました。

「ぁあっ…いやぁんっ…」

 今すぐ縄を解いて逃げ出したいくらいの恥ずかしさと、同じくらいの気持ち良さに、またもや吐息を洩らしてしまう私。

「でもまあ、オナ子が手のかからない生粋のマゾ牝で良かったとも思っているよ。縄の縛り方やら口のきき方やら、いちいち調教しなくちゃならない手間がはぶけるから」

 ニンマリと笑われたあるじさまが緑色のポーチを開かれます。

「なるほど。オナ子がピンときたのはこれか。確か去年の同じ頃、元気のいいコスプレ娘たちが置いていった、何やらややこしいことを言っていたやつね。わたくしはまだ使ったことなけれど…」

 あるじさまが素に戻られたのか、取り出されたそれと一緒に入っていたのであろう小さな紙片を黙読し始められます。
 あるじさまがお手に取られたそれは、私の目にはどう見てもマッサージ機、いわゆる電マの形状。
 
 それも、ほんの一ヶ月ちょっと前、リンコさまの計略で年端もいかない男の子たちに言いなりオモチャにされたとき当てがわれ、結局先っぽを膣内にまで挿入されてしまった、絶妙な大きさの電マです。

「ふふん、単三電池3本で約70分稼働…マゾ虐め専用なのでコントロールはリモート…アタッチメント……」

 あるじさまがご確認されるように小さなお声をお出しになられ、もう一度紙片のメモをおさらいされているのが微かに聞こえます。
 私は、その電マが自分のマゾマンコに当てられる妄想を先走りしてしまい、ゾクゾク濡れてきています。

 使い方をご理解されたらしいあるじさまがもう一歩私に近づかれ、私の鼻先にその電マを突きつけてこられます。
 私の顔を覗き込まれる、そのまなざしは淫らに歪んでいらっしゃるのですが、お眼鏡越しの瞳の怜悧さに背筋がゾクリッ、マゾマンコがヌルリッ。

「わたくしはねえ、哀れなマゾ女の淫らな喘ぎ声が大好物なんだ。いやらしくヨガってあられなく達する声をBGMにしていると不思議に仕事が捗るのさ。だからオナ子もイイ気持ちになっていいから、下品な声を存分に聞かせなさい」

 低いお声で囁かれると同時に、あるじさまの左手のひらがいきなり私の股間にあてがわれました。

「はぁんっ!」

「ふん、ビショビショじゃないか?縄までグズグズに湿らせて、内腿をスケベ汁がダラダラ垂れちゃってるよ?」

 あるじさまは、私の無毛な恥丘の上を四本通る麻縄を二本づつに抉じ開けられ、その隙間から指を一本、私の秘裂に挿し込んでこられました。
 もちろん、そこを覆っていたレオタードのか細い布地などたやすくずらされ、潤みきった膣穴に直接指、たぶん中指が挿入されてきます。

「ああんっ!あっ、あーっ!」

「まだ指を一本挿れただけで動かしてもいないのに、そんなに身悶てしまうんだ?身動き出来なくされて、縄の感触にどんどん発情しているのだろう?本当にどうしようもなくいやらしいドマゾ牝だよ」

 少し屈まれ気味だったあるじさまが、左手はそのままにスクっとご姿勢を直され、私を正面から見つめてこられます。
 私が媚びるようにあるじさまのお顔を見つめ返すと、お眼鏡越しの瞳が微笑まれるようにスーッと細くなられ、同時に右手が一閃!

パンッパンッ!!

「あうっ!はぁーんっ!!!」

 強烈な往復ビンタが私の両頬に炸裂。
 頭の中で火花が散って真っ白になると同時に、マゾマンコの膣壁がギューッとあるじさまの指を締め付けたのが自分でわかりました。

「あらあら、おまえのスケベ汁でわたくしの手が手首までビシャビシャ。こんな調子じゃ、ちゃんと拷問始めたら畳と板の間がグショグショになってしまいそうだね」

 私の股間からあるじさまの左手がスッと外れました。
 明らかに粘性の液体でツヤツヤ濡れ光りしているその左手が、私の鼻先に無造作に突きつけられます。
 ヒリヒリ火照る両頬と軽く達してしまった快感の余韻で思考停止状態の私は、条件反射でその左手を口中に含み、自分の愛液をベロベロしゃぶり始めます。

「やれやれ、よだれまでポタポタ垂らして。後が面倒だから何かしら手を打っておいたほうがよさそうだ」

 私の口中からスッと手を引かれたあるじさまは、そのままスタスタと、さっきの桐箪笥のほうへと向かわれ、そこにしゃがみ込まれます。
 口中の人肌が消え、やっと思考が戻ってきた私は、あるじさまがおっしゃられた、ちゃんと拷問、というお言葉に今更ながらゾクッと身震いし、まだヒリヒリしている両頬と侵入者の去ってしまった膣壁が、もっと、もっと、とあるじさまのお背中に無言の訴えを投げかけています。

 一番下の抽斗から何やら大きな器のようなものを取り出されたあるじさまは、次にその上の抽斗を開かれ、しばらくガサゴソ物色されています。
 やがて、取り出された細々したものを、その大きな器に投げ込まれ、それを捧げ持たれるようにして戻ってこられました。

「わたくしにこんな余計な手間を取らせたんだ、それなりの代償は払ってもらうよ」

 あるじさまが持ってこられた器は、幼い頃、よく病院で見た記憶がある、おそらく消毒液が入っていたのであろう真っ白いホーローのボウルのようでした。
 円周の縁だけが赤く塗られたそのボウルは、よく見たものより深め大きめで直径が60センチくらいありそう。

 そのボウルが私の両足のあいだ、股下に置かれ、必然的に私の両足も60センチ以上に開かれます。
 ボウルの中に転がっているのは、短い鎖に大きめの鈴が付いた目玉クリップふたつと、何やら卑猥な形をしたシリコン製らしき突起物。
 あるじさまの両手でそれらが拾われ、ボウル底の真っ白い円が露わになります。

「これはオナ子を罰するために選んだのだけれど、こんなものでは少しの罰にもならないんだろうねえ。マゾ牝にとってはむしろご褒美か」

 イジワルくおっしゃり私の勃起右乳首を無造作につままれたあるじさま。
 幅広な銀色の目玉クリップに乳暈もろともしっかり挟まれました。

「はうっ!」

 バネが強いのでしょう、かなり強烈な噛まれ心地…
 身悶えると同時にチリンと鳴る涼やかな鈴の音…
 つづいて左乳首にも同様の苦痛が与えられ、鈴の音がチリンチリン…

「うん、いい声だ。オナ子が悦んでくれて、わたくしも嬉しいよ」

 鈴をぶら下げたおっぱいをペチンペチンとはたかれて、そのたびに鈴が、チリンチリン、私が、はうんっはうんっ…
 足下のボウルから、ポタッ、ポタッと私のはしたない液体がマゾマンコから滴ってボウルの底面を打っているのであろう水滴音が、恥ずかしいくらい大きく響いています。

「あとは、これでおまえの愛液まみれのいやらしい穴を塞げば準備完了だ。たっぷり淫ら声を上げるがいい」

 マッサージ機の頭のところに、さきほどのシリコンぽい器具を被せられるあるじさま。
 電マの先っぽが突起状に長い出っ張りとなり、その側面にも狭いカバー状のシリコン部分が飛び出ている、奇妙な形状となりました。

 あるじさまの手によって再び私の股縄が抉じ開けられ、私のマゾマンコに電マが当てられます。
 いいえ、当てられるなんて生やさしいものではなく、突起部分はズブリと膣穴を奥深く貫き、側面のカバーは私の裂け目の割れ始め、すなわちクリトリス部分にピッタリ貼り付くように密着しています。
 そんな拷問具が股縄によって、私のマゾマンコに食い込むようにピッタリ固定されてしまいました。

「これでオナ子をイカすも焦らすも、わたくしの手の中にあるこのコントローラーの操作ひとつとなったわけだ。精一杯わたくしを愉しませて、わたくしに貢献することだな」

 私の目の前で仁王立ちされたあるじさまの右手が微かに動きました。
 途端に弱くプルプル震えだす股間の拷問具。

「はうんっ…」
 
 極緩い振動ではありますが、膣内を満たす柔らかい突起物が、無数の軟体動物が中で蠢いているように膣壁全体をくすぐってきます。
 クリトリスに貼り付いているカバーも、裏側に無数の柔らかい突起が施されているようで、膨らんだ肉芽の表面を絶妙なタッチでサワサワ刺激してくださっています。

「あんっ…あっ、あっ…んっ、あーんっ…」

 自ら施した縄による不自由の身を、早くも小さく捩らせ始める私。
 チリンチリン、ポタンポタンと恥ずかしいリズムが不規則に響き始めます。

「少し暗くして、もっと淫靡な雰囲気にしてあげようかね」

 あるじさまがお独り言のようにおっしゃり、別のリモコンで室内灯の明度を下げられ、一緒に低く流れていた音楽も鳴り止みました。
 お部屋の中は常夜灯と呼ばれる薄茶色より、少しだけ明るい感じ。
 あるじさまのノートパソコンのモニターの光だけがボーッと目立つくらいの薄闇です。

 それからあるじさまは、お庭側の障子戸をすべて開け放たられ、お庭とを隔てるガラス戸も一枚、ガラガラと開けられました。
 エアコンで暑くも寒くもない適温に保たれていた空間に、少しだけ冷たい空気が流れ込んできて、同時にリーンリーン、リーリーとお庭のあちこちから聞こえてくる虫の声。
 開いたガラス戸のもう一枚向こう、虫さんたちの侵入を防ぐ網戸に大きな蛾が二匹、お腹をこちらに向けてとまっているのが見えました。

 あるじさまがご自分の文机にお戻りになり、モニターの明かりにお顔だけがボーッと浮かび上がっています。
 あるじさまの一連の動きに気を取られているあいだに、私の股間の拷問具はいつの間にか動きを止めていました。