2013年12月29日

コートを脱いで昼食を 26

 シーナさまが指さしたのは、Tシャツの穴から飛び出している私の両乳首の周辺でした。
 正確に言うと、左乳首のすぐ右斜め上と、右乳首のすぐ左斜め下。
 そこにしてもらうとしたら・・・
 つまり、このTシャツさえも脱ぎ去って、この場で文字通りの一糸まとわぬ姿、全裸になっておしまいなさい、というシーナさまのご命令なのでしょうか?
 こんな営業中のおしゃれなブティックの窓際で・・・
 
 いざ脱げと言われると、こんな小さな破廉恥Tシャツと言えども、有ると無いとでは大違いなような気持ちになってきました。
 見知らぬ人がいつやって来るかも分からない場所で完全に全裸なんて、あまりにも非常識、あまりにもアブノーマル。
 いやっ、恥ずかし過ぎます・・・お許しくださいぃ・・・
 からだ中がグングン火照ってきて、すがるようにシーナさまを見上げました。

「あれ?意外ですね」
 桜子さまの驚いたお声。
「ワタシ、てっきり下半身を指定してくるだろう、ってちょっぴりワクワクしていたのですけれど」
 桜子さまは、シーナさまを見てから私に視線を移し、目が合うとイタズラっぽくニッと笑いました。
「それはそうなのだけれどね・・・」
 シーナさまが見本帳のアルバムを開いたまま、デスクの上に置きました。

「まず、お尻だと、直子自身が、そのアートを見ることが出来ないから、つまらないと思ったのよ。普通に生活しているときは忘れちゃいそうじゃない?」
「わたしはね、せっかく桜子さんに描いてもらうのなら、ある種、ヘンタイの烙印、みたいなデザインにしたいの。直子がそれを見るたびに自分の恥ずかしい性癖を思い知る、みたいな」
「だから、直子が着替えやらお風呂で裸になったときとかに、否応無く目に飛び込んできちゃう場所がいいな、って」

 シーナさまは、そうおっしゃりながら、私が座る籐椅子の傍らにいらっしゃいました。
「ここの場合は、また全然違う理由だけどね」
 両膝頭をピッタリと合わせ、両腿をまっすぐにピタッと閉じて座っている私の無毛な下腹部周辺を指さしました。

「直子はね、今日、私に出会ってから今までの出来事で、もう爆発寸前のド淫乱状態になっているはずなのよ」
「そんな状態の直子のこんなところを、桜子さんの繊細な指や筆でなぞったりしたら直子がどうなっちゃうことやら」
 おっしゃりながら、シーナさまが右手の人差し指で、私の両腿の付け根あたりを軽くツツツーッと撫ぜました。
「あふうんっ!」
 背中にゾクゾクッと電流が走り、私の背中が籐椅子の中でビクンと大きく跳ねました。
「ほら!ね?」
 嬉しそうに桜子さまを振り返るシーナさま。

「10数分もの間、ここへ桜子さんからコチョコチョ愛撫を受けて、直子がじっとしていられるワケがないわ」
「結果、この子がなりふりかまわず身悶えし始めちゃったら、お店や他のお客様にたくさん、ご迷惑をおかけしちゃいそうだもの」
「それに・・・」
 今度は右の乳首を、デコピンの要領で軽く弾かれました。
「あうっ!」
 再び背筋に電流が走り、私の奥が盛大に潤んだのがわかりました。

「直子の中でがんばっていたタンポンも、決壊寸前、そろそろ役立たずになっているはずなのよ」
「ただでさえ濡れやすい淫乱女が、自分の性癖的に夢のようなシチュエーションにいるのですもの、少しでも両腿開いたら、トロトロ垂れてくるはずよ」
「ここに描いてもらうとしたら、桜子さん、ソコにお顔を近づけなきゃいけないでしょう?」
「きっと至近距離だと、すんごくいやらしい匂いがするはずよ。そんなもの嗅がせるの、桜子さんに申し訳ないわ」
「だから、まあ、おっぱいが無難かな、と思ったのよ」

「なるほどです。お気遣い、ありがとうございます。でもまあ、ワタシはお客様のご希望通り、どこであれ、無心で描くだけですけどね」
「まあ、プロフェッショナルな発言ね。ステキだわ。もしも、下半身、て指定したら、直子を立たせてお描きになる?それとも寝そべらせる?」
「そうですね・・・お尻なら、立ってもらってお尻向けてもらえば、ワタシは座ったままで出来そうですけど・・・」
「前の場合はやっぱり、寝そべってもらったほうが良さそうですね。脚も少し開いてもらったほうが描きやすそうだし」
「それだと、このスペースだと窮屈そうね?」
「ご希望ならレジ裏のお部屋、使っていただいても結構ですよ?あ、でもそれだと、他のお客様に見てもらえないか?」
 純さまがイジワルくお口をはさんできました。

 私は、お3人の私に対する言葉責めのような会話にいたたまれない気持ちになりながらも、一方では、ずっとこの会話がつづけばいいのに、って祈っていました。
 だって、この会話が終わって、さあスキンアート開始、ってなれば、私はおそらくこの場で、全裸にさせられちゃうのですから。

「桜子さんは、スキンアートをおやりになるなら、いわゆるボディペインティングもしたことあるの?」
「ああ、全身に塗りたくるやつですね。興味があって少し研究したことはありますが、まだ実際にしたことはありませんね。今までニーズも無かったし」
「海外のネットによく、服そっくりに描いたり、水着やレオタっぽくして街中とか歩いている写真があるじゃない?わたしもリオで本物見たことあるけれど。あれも一度、直子にやらせてみたいのよね」
「ワタシが研究した限りでは、染料にいろいろあって、塗ってからペロンて剥がせるラバーと言うかラテックス素材の染料が面白そうですよ」
「ああ。それ見たことある。薄皮みたいに剥がれちゃうやつでしょ。剥がすと肌が覗いて、なんだかフェティッシュで良かったわ」
「水性の染料で描いて、きちんと描いたビキニとかが汗で滲んで崩れていく様子も、かなりエロティックですけれどね」
「どっちにしても、されたほうは、肌に何か描いてあるとは言え、全裸は全裸だからね。それで人前に出るのは、直子みたいな女にとっては、たまらない快感なんだろうなー」

「ワタシ、一度やってみたかったんです、誰かにボディペインティング。もしもご希望であれば、ぜひご用命くださいませ」
 桜子さまがシーナさまに丁寧にお辞儀をしてから、言いにくそうにつづけました。
「でも、からだ全体を染めることになりますから、使う染料の量もハンパじゃなくて、お値段もそれなりになっちゃいそうです」
「まあ、だけどワタシの練習みたいないなものですから、やらせていただけるなら、お値段も材料費プラスちょこっとで抑えます。約束します」
 桜子さまったら、ヤル気マンマン。
 私、近いうちにボディペインティング、されちゃいそうです。

「12月にね、直子がまたエステへ行くのよ。ヘアの処理でね。その後にまたここに来て、直子のからだをえっちに飾ってもらおうかな、って考えているの」
「暮れ近くに身内のパーティがあるから、そこで直子を披露したいのよ。いかにも直子らしい姿で」
「うわー。なんだかすごくいやらしそうなパーティですね。時間が合ったらあたしもぜひ、誘ってください!」
 純さまが高く手を上げて、シーナさまにアピールしました。
「いいけれど、そのパーティ、女性しか来ないわよ?」
「大丈夫です。あたし、そっちもイけますから!ナオコも虐めたいし」
 純さまったら、すっごく嬉しそう。
「桜子さんもいらっしゃる?」
「うーん、後学のために覗いてみようかなあ・・・」

 そこで会話が一段落しました。
「さてと・・・」
 シーナさまのお声に、私はドキン!
 いよいよです。

「それで、今日の直子のスキンアートだけれど、この山百合のシールをこっちの胸に。それから・・・」
 シーナさまが桜子さまにご説明を始めたとき、傍らの純さまが大きくお声をあげました。
「いっけなーい!休憩中のプレート、出しッぱだったー!」
「もう2時半近くよね?あーあ、お客様、けっこう逃がしちゃったかなー?」
 あわててドアのほうへ行こうとして、純さまの足がピタッと止まりました。

「えっと、これからナオコはそこで、おっぱい出すのですよね?」
 シーナさまに向けて尋ねます。
「そうよ。出さなきゃ桜子さんが施術出来ないもの」
「店内でお客様がおっぱい出しちゃってても、それはお客様の意志で、そこにサービスを受けたいって言うのだから仕方ないじゃない?そんな理由でなんとかごまかせますよね?何かあったら」
「そうね。なんとかなるんじゃない?スキンアートって、そういうサービスなのだから」
「そうですよね。あ、でも、その位置だと、お店に入って来て左向いたら、すぐに見えちゃうわね・・・」
 純さまが思案顔です。

「入ってきた人が気味悪がって、回れ右しちゃったら問題だわ」
「一応、入ってから奥へ進まないと見えないようにしておこう・・・どうすればいっかなー」
 純さまが独り言をブツブツおっしゃってから、壁際にあった大きめのハンガーラックをすべらせて、私の位置から入口ドアが見えなくなる位置に、目隠しとして置きました。
 それからもハンガースタンドやマネキンの位置をあちこちいじり、その後、タッタッタと入口ドアへ駆け寄りました。
 目隠しに使ったハンガーラックには、カラフル原色系で光沢のある生地がピカピカ光る、レースやリボンが派手めなドレスみたいなお洋服がたくさん吊るされていました。
 このドレスたちがおそらく、ここに来たときにシーナさまと純さまがお話されていた、夜のお勤めのかたたち用のお手頃セクシードレス、なのでしょう。

「おっけーみたいでーす。これなら店内をぐるっと回らないと、そこにはたどり着けないわ」
「こうしておけばほぼ安心。だからもうそこでナオコは、おっぱいだろうがパイパンだろうが、どんどん出しちゃっていいから」
「じゃあ、お店開けるわね。まあ、この時間帯に来るのは近くの大学の女の子とかだし、カワイイものよ。ナオコのお知り合いとかだったら面白いけれどね」
 純さまの大きなお声にかぶって、ドアが開くカランカランという音が店内に響きました。
 店内BGMの軽快なヒップホップ音楽のボリュームも少し上がりました。

 ああん、ついにお店に誰でも入って来れるようになっちゃった・・・
 途端に、ギュッと閉じている内股がヌルんできました。
 シーナさまがおっしゃっていた通り、とうとうタンポンがお役目を果たせなくなったようでした。

「それで、山百合を左胸、こっちの赤い薔薇を右胸ね」
 純さまが落ち着いたのを見計らって、シーナさまが桜子さまへのご説明を再開しました。
「メインはシールでいいのですね?」
「うん。それで、それぞれの周りにこう書いて欲しいの」
 シーナさまがデスクの上のメモ用紙に、何やらサラサラと横文字をお書きになり、桜子さまに渡しました。
「えと、マゾ・・・。あはは。なるほどです。こっちはエクス・・・、ああ、そういうことですね。こっちはちょっとスペルが長いな」
「字体っていうかレタリング?と色使いは、桜子さんにお任せするわ。なるべくえっちぽく、直子ぽくしてね」
「了解しました」
 うふふ、って愉快そうに含み笑うおふたり。

「ほら、何ボーッとしているの直子!さっさと胸を出しなさい」
 シーナさまが私の右肩を軽くはたきました。
 ついにそのときが来てしまいました。
 昼間のお店でスッポンポン。
 だけど、今やもはや、それを待ち望んでいる自分がいました。
 私の全身を、淫乱な露出願望マゾの血が熱く滾ってムラムラ駆け巡っていました。

 座ったまま半袖から腕を抜こうとからだをモゾモゾさせていると、シーナさまのお声。
「何しているの?直子。別に脱がなくていいわよ?それともなあに?脱いで素っ裸になりたいの?こんなところで?」
「え?あ、そ、そうなのですか?」
 脱ぐ気マンマンだった私は拍子抜け。
 うろたえつつシーナさまを見上げました。

「シャツを裾から上にまくって、おっぱいを出せばいいだけじゃない?それでそのまま、自分でシャツ掴んでいなさい」
「あ、は、はい・・・」
 ご指示通り、あらためてTシャツの裾を両手で掴み、上にまくりあげていきました。
 Tシャツの布に押し付けられていた二つの乳房が抑圧から逃れ、生き返ったようにプルンと勢い良く跳ねました。
 汗ばんだおっぱいに外気が直接触れてひんやり。
 喉元までまくりあげたシャツを両手で持ったまま、シーナさまを見ました。

「いい格好よ、直子。ほら、もっとおっぱい前に突き出して。桜子さんがやりやすいように、もっと気を遣いなさい」
 桜子さまは、膝と膝が触れそうなくらい至近距離の真正面にお座りになっています。
 少し身を屈めた桜子さまのお顔の数センチ先に、私のおっぱい。
「この格好だとなんだか、モリタさんが私に自慢のおっぱいを見せつけているみたいですね」
「そうよね。露出狂の面目躍如って感じ。心の中じゃ絶対、見て見てもっと見て、って叫んでいるわよ」

 そう言われると、この格好が全裸よりも数段恥ずかしく思えてきました。
 確かにこのポーズは、自らシャツをめくりあげて、これ見よがしに見せつけている感がハンパありません。
 まさしく見せたがりの露出狂そのもの。
 中途半端脱ぎかけフェチな私の性癖にもジャストフィットなほぼ全裸で、被虐感がグングン昂ぶりました。

「おっぱい全体がうっすら汗ばんで上気しているわね?これって視られて興奮しているからなの?モリタさん?」
 桜子さまがお声のトーンを下げて聞いてきました。
「あ、それは・・・」
「桜子さんも直子のご主人さまなのだから、モリタさんなんてご丁寧に呼ばなくていいわよ。直子はこのお店全員のドレイなんだから」
 シーナさまが桜子さまにアドバイス。

「それならワタシは、ナオって呼ぶことにしますね。ねえナオ?ワタシに視られて感じているの?」
「あら、桜子さん、その冷たい言い方、いい感じね。素質あるわよ。ほら直子、お答えなさい」
「あ、それは、桜子さまにおっぱいを視られて、とても恥ずかしく感じています・・・」
「ふーん。嘘つきね、ヘンタイナオは」
 桜子さまがさっきのシーナさまみたく、デコピンで左乳首を軽く弾きました。
「ぅうんぐっ!」
 その予期せぬ桜子さまからの責めに、私のアソコがヒクっとヒートアップ、あからさまに蜜が内腿に洩れました。
「さっきからここ、ずっと尖りッぱじゃない?誰に視られても感じちゃうんでしょ。ふんっ、いやらしいオンナ!」
 桜子さまったら、お見事なエスっぷりです。

 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 ドキン!
 誰かお客様がお店に入ってきたようです。
 純さまが丁寧に接客されるお声が聞こえてきます。
 シーナさまと桜子さまは、おふたりでお顔を見合わせてニヤリと笑い合いました。

「それでは、この山百合のシールはこのへんに配置すればよろしいですか?」
「そうね、もうちょっとチクビに近いほうがいいかな?このへんで」
 シーナ様と桜子さまが私の剥き出しの左おっぱいを指さしつつ、お芝居っぽい調子で打ち合わせを再開しました。
 そんな大きなお声で、チクビ、だなんて、いらっしゃっているお客様に聞こえてしまう・・・
 私は真っ赤になってうつむいています。

「で、この紅薔薇のシールはここですね?」
「うーん、それはもう少しチクビから離したほうがいいかな。オッパイのここらへんで」
「わかりました。それでこの文字をチクビを囲むようにこう入れる、と」
「そう。エキシヒビショニスト、ナオコって」
 ああん、もう、お許しください、おやめくださいぃ・・・

 ありがとうございましたー・・・カランカラン。
「残念。こっちまで来なかったわね」
「けっこう大きな声、出したつもりだったんですけどねー」
「次に誰か来たら、もう少しロコツな言葉も使ってみましょう」
 またおふたりでニヤニヤ笑い。

「それじゃあそろそろ始めるわね。ナオ、おっぱいさわられてもモジモジ動かないでよね?」
「まくっているシャツから手を離しちゃだめよ。自分でおっぱいを見せびらかしている感じをキープすること」
 シーナさまがケータイをかざしてパシャッと写真を撮った後、私の背中側のショーウインドウのほうへゆっくり歩いて行かれました。


コートを脱いで昼食を 27


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