2014年11月30日

就職祝いは柘榴石 10

「直子さんの場合はね、最低限ここを縛っておけば、それだけで何倍も感じやすくなっちゃうのよ」
 シーナさまが手馴れたご様子で私の胸元に、二つ折りにした麻縄をあてがいました。

「まずは、バストの膨らみ始めのところらへんでひとまわりさせて、それからロープの折り返しにもう片方の端を通すでしょ」
「そしたら、折り返し部分を背中にまわして、ギュッと絞るの」
「はぁうっ!」
 麻縄が肌に食い込んでくる、その痺れるような感覚に、思わず歓喜の声が出てしまいます。

「それから今度は、アンダーのほうへロープをまわして・・・」
 シーナさまの麻縄が、私の下乳に潜り込みます。
「あふぅん!」
「このときね、上下のロープで乳房を挟んで絞り出すように、きつめに縛るのがコツね」
「この子のおっぱいってほら、ちょっぴり垂れ気味じゃない?だからアンダーの裏側に潜り込ませるようにロープを入れて、上下に挟むように絞り出すの」
 余った麻縄が手際良く背中で結ばれます。

「ほら、見てよ、この乳首」
 シーナさまがニヤニヤ笑いで、私の乳首を指さします。
「ただでさえ存在感あるのが直子さんの乳首なのだけれど、こうすると、ロープで皮膚が引き攣って突っ張りながら背伸びしちゃって、痛々しいくらい尖っちゃっているでしょう?」
「思わず指で弾きたくなっちゃうわよね?この硬そうなもの。こうなっちゃったらもう、すっごくビンカンだから、息を吹きかけただけでも悶えちゃうはずよ、この子は」

 お姉さまが、私の恥ずかしいほど尖立したその部分を、食い入るように見つめてきます。
 そしておもむろに、右のそれに、フーッと息を吹きかけました
「ぁふぅん!」
 ゾクゾクッと快感が背筋を駆け上がり、同時にお腹がグルグルッと鳴りました。
 あわてて下腹を引き締めます。
「ほらね?」
 シーナさまがしたり顔で、愉快そうに笑いました。

「本当は、後ろ手にさせて二の腕ごと縛ったほうが捗るのだけれど、直子さんには、これからまだまだやってもらうことがあるから。まだ腕は自由にしておいてあげる」
 シーナさまがお姉さまに、残った麻縄を手渡しました。

「おっぱいだけでも、縛りかたはいろいろあるの。ブラみたく八の字にしたり、首から十字にかけたりね」
「独特の結びかたがたくさんあるから、それを先に覚えるといいわ。実生活でも活用できるし。あ、でも、エミリーは服飾だから、その辺は得意分野かもね」
「まあ、直子さんなら、自分でもいろいろ縛ること出来るひとだし、プレイのためだけだったら、エミリーが無理してロープにこだわる必要も無い気もするかな」
 お姉さまは、うんうんうなずいて、シーナさまのお話に真剣に聞き入っています。

「直子さんて、縛られかた云々よりも、何かしら拘束されること、が最優先ぽいのよね。だから手錠とか首輪だけでも、されただけであっさり乱れちゃうの」
「ただ、やっぱりきっちり縛ってあげると、本当にいい顔するわよ、この子。うっとりした顔して恍惚状態。縄酔いの気持ち良さ、誰かさんたちに教え込まされちゃったから」
「だから、菱縄縛りとか亀甲縛りくらいは、覚えて損は無いと思うわ」
 ずっとお姉さまに語りかけていたシーナさまが、チラッと私を見ました。

「そう言えば直子さん?あなた以前、ミーチャンからセルフボンデージレッスンのDVD、もらったのよね?」
「あ、はい・・・」
 まだ地元にいる頃、自縛の練習用にと、やよい先生がミイコさまをモデルにしてわざわざ作ってくださったものです。
 その映像で私もずいぶん、ロープの扱いかたが上手になりました。
「それ、あとでエミリーに貸してあげて。あれはとてもわかりやすいもの。エミリーならすぐ出来るようになるはずよ」
「ぁ、は、はい・・・」

 上ずった声でそうお答えしたものの、私はそれどころではありませんでした。
 緊急事態が差し迫っていました。
 お腹の中がひっきりなしにグルグル蠢き、中のモヤモヤしたものたちが、お外へ出たいと、しきりに私に訴えかけていました。
 棒枷で広げられているためにピッタリとは閉じられない膝立ちの両腿を出来る限り内股にして、お尻の穴を必死にすぼめてがまんしています。

「あ、あのぅ、今、わ、私、すぅごく、お腹が、痛いのですけれど・・・」
 お話がひと段落して、黙って私を見下ろしているおふたりに上目遣いで、すがるようにお願いします。
「もう、で、出ちゃいそうなんですぅ・・・」

 これから私の、もっとも動物的でお下品な姿を、おふたりに至近距離でご披露しなければならない・・・
 屈辱の瞬間を目前にして覚悟を決めると、恥辱と被虐がないまぜになった不思議な陶酔がありました。
 
「あら、もうとっくに5分、過ぎていたわね」
 腕時計をチラッと見たシーナさまが、その場にしゃがみ、私に目線を合わせてきました。
「もうそろそろ限界?」
「はい・・・」
「そう。だったら早く、そこに四つん這いになりなさい」

 ついに来た・・・
 絶望的なお言葉に、私はゆっくり上半身を前方へ倒し始めます。
「四つん這いになって、犬みたく大急ぎにトイレへ駆け込んで、思う存分出してきなさい」
 ???
 一瞬、お言葉の意味することがわかりませんでした。

「えっ!?えっと・・・」
「ほら、早く行かなくていいの?ここで漏らしちゃ嫌よ」
「い、いいんですか?」
「だって直子さん、からだ健康そうだし、今だったらきっと、それなりのしっかりしたものがたくさん出てくるでしょう?」
「そんなのをここにぶちまけられても お掃除だの臭いだの後始末だの、めんどくさいことになりそうだもの」
「とりあえずスッキリ出して、出し終わったらまたここに戻ってくること。いい?」
「は、はい・・・」
 イタズラが成功したときの子供のようなお顔で、シーナさまがニッと笑いました。

「エミリーは、ついていきたっかたらついていってもいいわよ」
 シーナさまに促され、私同様キョトンとしたお顔だったお姉さまが、ハッと我に返りました。
「あっ、え?あたしもいいですよ。ほら、直子、さっさと行ってきなさい。間に合わなくなるわよ?」
 お姉さまのお言葉が合図だったかのように、私のお腹の中が再び盛大に騒ぎ始め、お返事もそこそこ、バスルームの隣にあるおトイレへ四つん這いで駆け込みました。

 危機一髪!
 便座に腰を下ろすのと同時でした。
 シーナさまの予想どおり、かなりしっかりとしたものが私の予想以上に出て行きました。
 一通りの行為を終えて洗浄した後も、しばし呆然と佇んでしまいました。
 お下品な姿をおふたりに視られてしまうことを回避した安堵と、果たせなかった陶酔へのちょっぴりな後悔。
 でも、トイレ内に漂う、自分が今したことの残り香に気づき、そんな後悔はすぐかき消されました。

 気が抜けたような四つん這いでバスルームに戻ると、お姉さまとシーナさまは、バスタブの縁に腰掛けて何やら楽しげに談笑中でした。

「あ、おかえりー。どう?スッキリした?」
 私に気がついたシーナさまが明るくお声をかけてくださいます。
「はい、おかげさまで・・・」
 四つん這いのままでいるべきか、膝立ちの服従ポーズになるべきか迷いながら、四つん這いでお答えしました。

「すごい音してたわね?ここまで聞こえたわよ?」
 イジワル顔なシーナさまの蔑んだお声。
「ご、ごめんなさいぃ」
 恥辱感が一気にぶりかえし、四つん這いの身をさらにちぢこませて土下座のような私。
 尖った乳首が濡れたタイルを擦りました。

「さてと。さあ、ここからが本番よ」
 シーナさまが立ち上がり、私の首輪のリードをお姉さまに握らせました。
「直子さんは、四つん這いで待機していてね。あ、お尻はあっちの排水口に向けて」
 シャワーをぬるま湯にして床を流しているシーナさまのご命令で、私は方向転換、入口に顔を向け、お尻を奥に向けました。
 一体、これから何をされるつもりなのだろう?

 シャワーを止めたシーナさま。
 バスルーム内がジンワリと湿気を帯びて、ほの温かくなっています。
 大きな鏡も綺麗に洗い流され、私たちの姿がクッキリ映っています。
 シーナさまがタオルに包まれた何かを持って、私の傍らに立っているお姉さまに近づいてきました。

「今日からこれが、エミリーと直子さん専用の相棒ね」
 シーナさまがタオルを開き、目の前に現われたのは、ガラス製のお浣腸器でした。
「正真正銘の新品で煮沸消毒も済ませてあるから安心して。実物見ると、けっこう禍々しいでしょ?これも、わたしからふたりへのプレゼント」
 シーナさまが笑いながら、私の鼻先にそれを突き出してきました。

 以前、ご近所のお薬屋さんにお浣腸薬を買いにいったとき、そのお店のおばさまに見せていただいたことがありました。
 でも目の前にあるのは、それより少し小さい感じ。

「実物って、ずいぶん大きいんですね?」
 傍で覗き込まれていたお姉さまが、驚いたようにつぶやかれました。

「そう?これは標準的な50ミリリットルサイズ。大きいのだと100とか200とか。逆に小さいのだと30ミリのもあるわね」
「えっちビデオとかでは、見た目優先で大きなの使っているけれど、100ミリのは女性の手だと扱いづらいのよ、大き過ぎて」
「逆に30ミリだと小さくて、お医者さんごっこしているみたいだし」
「このくらいなら、見た目的にも、SMプレイで浣腸している、って思えるでしょ?」
 最後はクスクス笑いまじりで、シーナさまがご説明してくださいました。

「あのぅ、私、また、お浣腸されちゃうのですか?」
 たまらずお口を挟んじゃう私。
「そうよ。まさかわたしやエミリーがするわけないじゃない。今日のテーマは、あなたのアナル開発なのよ?」
 シーナさまの心底バカにしたようなツッコミ。
「さっきのは、プレイのための事前準備。これからするのは、直子さんにみじめな気持ちを味わってもらうためのSMプレイよ」
 シーナさまのあっけらかんとしたイジメ宣言に、マゾ心がズキンと疼きました。

「大丈夫。今度はぬるま湯しか入れないから。さっきのでたぶん、あらかた出ちゃっているはずだから、今度はもう水しか出ないはずよ」
「ただまあ、音とか臭いとかがどうなるかは、何とも言えないけれどね。でも、そういうのがいいのでしょう?直子さんはヘンタイドマゾなのだから」
 シーナさまのイジワルなご説明で、私の被虐メーターがグングン上昇していきます。

 ぬるま湯浣腸。
 ガラスのお浣腸器を見せてくれた薬屋さんのおばさまが、今度来たときやってあげる、とおっしゃってくれて、私も行く気満々だったのですが、いつしか機会を逸し、それきりになっていました。

 これから私は、それを体験するみたいです。
 それも、大好きなお姉さまの目の前で。
 顔を上げてお姉さまのほうを見ると、お姉さまと目が合い、意味ありげなウインクをくださいました。
 その瞳は、好奇心で爛々と輝いていらっしゃいました。

「考えてみたら、直子さんのエネマプレイを目の当たりにするのって、わたし、初めてなのよね」
 シーナさまがお姉さまに語りかけました。
「ご存知の通り、アナル開発禁止令が出ていたから。百合さまから」
「ね?わたし、ほとんど直子さんのお尻は、虐めなかったわよね?」
 今度は私に向けられたご質問。
「あ、えっと、そうですね。少なくともお浣腸姿は、お見せしていないと思います・・・」

「わたしは、直子さんがときどきひとりでこっそり、浣腸愉しんでいるのは知っていたわよ。だって、使用済み容器がバスルームに転がっていたことがあったもの」
 え!?私、そんな無用心なこと、していたんだ・・・
 みるみるからだが熱くなり、火照った頬でうつむきます。

「だけど百合さまには、初お泊りの日、ヴァージン破られた翌朝に浣腸されて、タンポンまで突っ込まれたのよね?高校二年で」
 シーナさまの悪意に満ちたからかい口調に、私は、お姉さまに申し訳なくて、消え入りたい気分で身をちぢこませました。
「ね?この子、素養があるのよ。これからはおふたりで、せいぜい存分に愉しむがいいわ」
 シーナさまのお言葉がお姉さまへ向き、お姉さまがフクザツそうなお顔をされました。

「だけど最後の最後に、直子さんのエネマプレイに立ち会えて、本当に良かったわ」
 少し間を置いて、しみじみとした口調でそうおっしゃってから、シーナさまがお姉さまをじっと見つめました。

「直子さんのお相手が、エミリー、あなたで本当に良かった。もしそうじゃなくて、わたしの知らない人だったら、わたし、いつか直子さんを拉致して、今までがまんしていたプレイのあれこれ、やっちゃうつもりだったから」
 最後のほうは冗談ぽい感じでしたが、しみじみとした雰囲気のままおっしゃいました。
「これからも仲良くしましょうね。いろいろと」
 一転してイタズラっぽく笑うシーナさまに、お姉さまも戸惑いつつもニッコリ返しました。

「さ、それじゃあ始めましょう。エミリーはこれ持って」
 シーナさまがお姉さまにガラスの浣腸器を渡しました。
「直子さんは、お尻突き出して、迎え入れる準備をしていてね」
 ご命令通り、四つん這いの腕を折りたたみ、腕を床に着けて上体を下げ、代わりにお尻を高く突き上げます。
 緊縛されたおっぱいがタイルの床に、べったり押し付けられました。

「それで、これを吸い上げて」
 床に這い蹲るような形の私の顔の前に、水らしき液体がなみなみと注がれたガラス製のボウルが置かれました。
「これはあらかじめ作っておいたぬるま湯。害はまったく無いから安心して。先端を浸して、そのピストンを上に引き上げて」
 私の見ている前で、シリンダーにぬるま湯がグングン吸い上げられていきます。
 これが全部、私のお腹の中へ入っていくんだ・・・
「最初だから、100ミリで様子を見ましょう。つまり、この浣腸器2回分」
 えーっ、2回も!?

「よくビデオや小説で2リットルとか3リットルとか言うけれど、そんなの危ないからね。腸は水を吸収するから、下手すると水中毒とかあるから」
「要は、排泄する恥ずかしい姿を愉しむためのプレイなのだから、がまん出来ないギリギリ分量だけ入れればいいの。うちのメス犬は、1リットルくらい入るけれどね」
 
 シーナさまが楽しそうに解説してくださいますが、私の目はお姉さまの持つガラス浣腸器に釘付けで、ドキドキが止まりません。
 あの冷たそうなガラスの先端が私のお尻の穴に突き挿さり、ピストンで無理矢理ぬるま湯を注入されて、それから・・・
 麻縄で絞り出された両乳首が痛いほど尖って、両腿の裂け目の粘膜がヌルヌル疼いています。

「水が入ると、けっこう重いですね?」
 ぬるま湯を注入し終えたガラス浣腸器を危なっかしく両手で持ったお姉さまが、シーナさまに尋ねました。
「でしょ?女性が扱うならそのくらいが限度よね?100ミリだと、水がその倍だもの」
「それに、このくらいならひとり遊びでも重宝するはずよ。その先っちょにホースを付ければ、ひとりでも不自由なく注入できるはず。専用ホースも一緒に持ってきてあげたから」

「これで直子さんも、気軽にひとりエネマプレイが愉しめるわね?」
 シーナさまがからかうように私の顔を覗き込みました。
「いいえ。そうはさせません」
 
 突然、お姉さまのきっぱりとした冷たいお声が、私の頭上から降ってきました。
 見上げると、お姉さまが真剣なお顔で、まっすぐに私を見つめていました。
 そして、その視線がシーナさまへと移りました。

「あたしは今後、直子の性生活の一切をあたしがコントロールしようと思っています。だってこの子、放っておくとどんどんエスカレートしそうだから」
「オナニーもあたしに断らずにするのは禁止って、言い渡してあります。これからは一緒にいる機会も増えると思うので、直子の性欲は、あたしが満足させてあげるつもりです」
「でも、やっぱり手に余ることがあったらまたご相談させていただきたいと思っていますので、そのときはシーナさんも、協力してくださいね?」

 右手に持ったガラス浣腸器を肩の高さくらいまで上げてニッコリ笑いかけるお姉さまに、今度はシーナさまがフクザツそうなお顔をされていました。


就職祝いは柘榴石 11


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