「それではまずO部分から始めましょう。ミス・ナオコ、ちょっと失礼するから、からだの力を抜いていて」
アンジェラさんがうつぶせの私の両腿のあいだに、やんわりと両手を差し込んできました。
アンジェラさんの両手のひらで膝の辺りから左右へ押し開くようにゆっくりと押され、ピタッと揃えて閉じていた私の両脚が40度くらいに開かれました。
「オー部分とは、アヌスの周辺です。アヌスを中心にOの字状の施術になるのでこう呼ばれます」
私の目の前のモニターに、私のであろうお尻が再び大写しになりました。
両脚を開かれてしまったので、すぼまったお尻の穴まで丸見え。
その部分がモニターの真ん中に映っていました。
これはつまり、ビデオカメラを覗いている小野寺さんが、私のその部分をじっと凝視しながら映しているということでしょう。
ものすごい恥ずかしさが全身を駆け巡りました。
「このO部分と I 部分は、お客様ご自身ではお手入れしにくい箇所ですから、入念にケアしてあげてください」
「大切なのはまず、その部分をよく観察することです。ミス・ナオコ、失礼してお尻を触らせてもらいますよ?」
「は、はい・・・」
モニターに映る自分のお尻の穴を見つめながら、私は羞恥で消え入りそうです。
アンジェラさんの極薄ゴム手袋に包まれたひんやりとした両手が私のお尻のワレメにかかり、その部分をゆっくり左右に押し広げました。
「あぁん・・・」
お尻の穴周辺の皮膚が左右に引っ張られる感触と共に、モニターの中で、すぼまっていた私の肛門がまあるく小さくお口を開けました。
「今回のお客様は、全体にヘアが薄くていらっしゃるので、施術がしやすい例ですが、お客様の中には、この部分にも太いヘアが密集していらっしゃるかたなどもいらっしゃいます」
「毛足が長すぎる場合は、あらかじめハサミで切ります。15~20ミリくらいが理想ね」
「ヘアの密度によってワックスを塗る面積と回数を変えたり、ワックスそのものの種類を選んだり、といった判断が必要になってきます」
「炎症や傷、ホクロの有無などもしっかりチェックしてください」
カメラが後ろに引いて今は、私のお尻を覗き込んでいる数人の後頭部が映っています。
みなさまが、私の押し開かれたお尻の穴を、じーっと見つめている・・・
うぅっ、恥ずかしい・・・
「このようにアヌスのシワのところにヒョロっと生えているヘアも見落とさないように。それにしても綺麗なアヌスだわー」
いやんっ!
アンジェラさんのお言葉の前半部分に、いたたまれないほどの羞恥が駆け巡りました。
「ミス・ナオコは、ここの部分もご自分で処理されているのでしょう?カミソリで、よね?」
「は、はい・・・」
「鏡に映したとしても大変よね。ほとんど手探り状態でしょ?」
「はい・・・」
「だめよ。もったいないわ。カミソリで剃るっていうことは、どんなに注意深くしても角質層も削ってしまうから、回数を重ねるほど色素沈着して、やがて黒ずんできてしまうものなの」
「せっかくこんなに白くて綺麗なお肌にピンクのアヌスなのだもの、カミソリは使わないほうがいいわ」
アンジェラさんが私のお尻の穴を左右に押し広げたまま、やさしくおっしゃいました。
小野寺さんのカメラは再び私のお尻に寄り、モニターに、短い毛がまばらに生えた私のその部分が鮮明に映っています。
みなさま、どんなお顔でソコを視ているのだろう・・・
うつぶせなので、タオルに押し付けられてひしゃげているおっぱいの、その先端が痛いほど尖ってムズムズしてきました。
「ねえアンジー?いっそ四つん這いにさせてお尻を突き上げさせちゃったほうがやりやすくない?」
「遠慮しなくていいわよ?直子はそういうの、慣れているから、メス犬スタイル」
足先のほうからシーナさまのお声。
「それもそうなのだけれど・・・、でも、ほら・・・」
モニターには私のお尻しか映っていないので、足先のほうでどんな仕草がされたのかはわかりません。
リナリナトリオのうちの誰かがクスリと笑ったのが聞こえました。
「そうね。あんまりソコを開いちゃうと面倒そうね。そのままの格好でタオルに吸わせちゃったほうがいいかも」
シーナさまの、苦笑混じりのそのお言葉で理解しました。
モニターを見ればまさしくその通り。
お尻の穴を押し開かれているので、そこから数センチ離れた亀裂の周りの皮膚も引っ張られ、中身が少し覗いていました。
その少し開いた唇の端に、いやらしいよだれがたっぷり溜まり、ライトにキラキラ反射していました。
もしも今、四つん這いにさせられて同じようにお尻の穴を押し広げられたら、亀裂からよだれをポタポタ、タオルに滴らせてしまうことでしょう。
こんな仕打ちを受けている私が性的に興奮していることは、誰が見ても一目瞭然。
恥ずかしさで爆発しそうな私は、モニターから目をそらし、真っ赤になった顔を枕に埋めました。
「それでは施術に入りましょう」
アンジェラさんは、いつのまにかマスクを着けたようで、お声が少しくぐもっています。
アンジェラさんの両手が私のお尻から離れて、ホッと一息。
でもすぐに、アンジェラさんが私に、ものすごく恥ずかしい行為を要求してきました。
「ミス・ナオコ、悪いのだけれどちょっとご協力をお願いしたいの」
「あ、はい?・・・」
「施術のあいだ、さっきわたくしがやっていたみたいに、ご自分の手でアヌス周辺の皮膚を引っ張っていて欲しいのよ」
「えっ!?」
「ヘアを抜くときは、皮膚が張っていたほうが痛みが少ないのね。痛くないほうがいいでしょう?」
「無駄な力は抜いてリラックスした感じでお願いね。ほんの数分だから」
自分で自分のお尻の穴を広げていろ、っていうことです。
私の羞恥心は、恥ずかしさなどとっくに通り越し、被虐の愉悦へと姿を変えつつありました。
「わ、わかりました・・・」
恥辱まみれな今の自分の状況に酔い痴れながら両手を背中へ回し、自分のお尻に両手を添えて左右に広げます。
ああっ・・・
自らの手で押し広げた肛門が、モニターにアップで映りました。
私の被虐メーターが振り切れました。
「まずはウェッティで施術箇所を消毒。それからワックスの塗布と剥離をくりかえします。ヘアの生え方の流れを見極めること」
「一度施術した箇所に再度の塗布は厳禁です。取り残しがあれば後にトゥイーザーで取り除きます」
アンジェラさんが研修のお3人に説明しつつ、ひんやりしたウエットティッシュみたいのが私のお尻にあてられました。
もはや私はマゾ性のかたまり。
辱めは、すべて気持ちいいことに変換されていました。
モニターに映った自分の手で押し広げた肛門周辺の恥ずかしい映像を、まるでお気に入りのえっちビデオを観ているみたく、瞬きもせずに凝視していました。
アイスのキャンディバーの棒のようなヘラですくいとられた水あめみたいな半液体状のもの、おそらくこれがワックスなのでしょう、が、私の肛門周辺に数センチくらい塗られました。
じんわりと温かい。
なんだか官能的な温かさです。
すぐに、剥がしますよ、というアンジェラさんのお声と共に、白い紙を持ったアンジェラさんの手がフレームインしてきて、ワックスを塗った箇所にあてがわれ、ペリッとワックスが剥がされました。
「ぁあんっ!」
思わず声が出てしまいましたが、毛を抜かれる、ということで予測していたほど、激しい痛みではありませんでした。
どちらかと言えば、私が好きな種類の痛み・・・
それからのアンジェラさんは無言で、塗っては剥がしをテンポ良くつづけていました。
剥がしますよ、ってお断りされたのは最初だけで、温かいな、ペリッ!、が小気味良いスピードでくりかえされました。
私は、ワックスが剥がされ、毛が抜ける小さな痛みを感じるたびに、
「んっ!」
「あんっ!」
「はんっ!」
「うっ!」
と小さく吐息を洩らしていました。
それは決して痛みによる苦痛の呻きではなく、紛れもなく官能的な理由による、悶え、でした。
モニターで、私のお尻周辺の毛が徐々に無くなっていくのを見ながら、ワックスが剥がされ毛が抜かれるときに感じる小さな痛みの刺激は、ローソクプレイのときの熱いロウがもたらす刺激に似ている、と感じていました。
素肌にロウを垂らされたときの、あの一瞬の痛み。
度重なるごとに、いつしかもっともっとと求めてしまう不思議な苦痛。
その感覚を思い出した途端、吐息を抑えることは出来なくなっていました。
心の中で、もっと・・・もっと強く、ってアンジェラさんにお願いしていました。
「はい、これで終わりね。残ったワックスを拭き取ってクールダウンしましょう。ひとまずお疲れさま、ミス・ナオコ」
お尻が再びウェットティッシュみたいなもので丁寧に拭われ、ローションみたいなものも塗られました。
そうして、モニターに映った私の肛門周辺は見事にツルッツル。
「もうお尻広げてなくていいわよ?」
アンジェラさんの笑い混じりなお声に、あわてて手の力を緩めました。
「最後に取り残しがないか、チェックね。ルーペをちょうだい。もしあればトゥイーザーで丁寧に抜きます」
モニターにアンジェラさんの後頭部がにゅっと入ってきて、モニターが真っ暗になりました。
再びお尻の皮膚が引っ張られるのを感じると、カメラが引いたらしく、アンジェラさんが私のお尻に覆いかぶさるようにお顔を近づけて、私の肛門周辺を覗き込んでいる後姿が映りました。
「ほらあった。こういうところが見落としがちなのよ」
「アヌスのシワのあいだに2本。一応撮影しておきましょう」
アンジェラさんのお声で、モニターが真っ暗になりました。
あれ?と思う間もなく、モニターに明るさが戻りました。
今度は、ルーペ越しの映像でした。
私のお尻がまたまた押し広げられ、その上に誰かがルーペをかざし、さらにその上からカメラが映しているようでした。
モニターいっぱいに私の肛門のドアップ。
シワシワの一本一本から中の粘膜まで鮮明な、まさに菊門と呼ぶべきその姿かたち。
まあるく肛門を飾るシワの上部外側に1本、左側のシワに隠れるように1本、極短い毛先が覗いていました。
ピンセットの先のようなものがフレームインしてきて、まず1本めが手際よく抜かれました。
抜かれる瞬間に、私は、ぃやんっ、と喘ぎ、肛門がヒクっと動き、アソコの奥がゾクッと潤みました。
2本目のときも、まったく同じ。
私はもう、とにかく、いてもたってもいられない気持ちで、気がヘンになりそうなくらい発情していました。
その2本を抜いたところで、私のお尻への施術は終了のようでした。
足元のほうにいるみなさまの緊張が解け、少しのあいだコソコソとリナリナトリオのみなさまがおしゃべりしているようでした。
私はうつぶせの枕に顔を埋めて、フゥーッと大きくため息。
疼くからだの欲求不満に、からだが弾けてしまいそう。
パンッ!
アンジェラさんが一回、アテンションの拍手をしたようで、みなさまのコソコソが収まりました。
「さて次は I 部分に移りますが・・・」
そこまでおっしゃって、アンジェラさんが少し黙り込みました。
モニターは真っ暗になっていて、足のほうにいるみなさまがどんなご様子なのかはわかりません。
私は、一行程終わってしまった寂しさを感じつつも、次は何をされるのかという期待にドキドキムラムラしていました。
「今日はビデオ撮影もしているし、ミス・ナオコがそういうかたなので、何て言うか、ちょっとヘンな雰囲気になってしまっているけれど・・・」
アンジェラさんのお話が再び始まりました。
「普通のお客様との施術のときは、世間話などをしながら明るい雰囲気で、なるべく施術でお客様が感じる恥ずかしさとか痛みから、意識を逸らして差し上げられるように気配りする必要があります」
「はいっ!」
リナリナトリオの元気良いお返事。
「今日のように、施術中にセクシーとなムード言うか、性的な昂ぶりをお感じになられてしまうお客様もたまにいらっしゃいますが、そういうかたにも極力普通に、気づかないフリをして接して差し上げるのが無難です」
「はいっ!」
「だけど直子みたいに露骨にアンアン喘がれちゃうと、アンジーたちもやりにくいでしょう?」
笑いを含んだシーナさまのイジワルいお言葉に、私はカーッ、リナリナトリオはクスクス。
「いいえ。わたくし、ミス・ナオコみたいな女性も好きよ。そういうお客様には、そういうおもてなしも出来るの、わたくしのサロンなら」
アンジェラさんが枕側にツカツカと歩いていらっしゃいました。
「心配いらないわ、ミス・ナオコ。あなたは感じたままの自然体でいればいいの。すべてわたくしたちにまかせて、ね」
アンジェラさんが私を見下ろしながら、おやさしい口調でおっしゃってくださいました。
「はい・・・」
アンジェラさんのほうに首をひねって見上げると、アンジェラさんはマスクをはずされて、ニッコリ微笑まれました。
「それでは施術をつづけるわね。ミス・ナオコ、今度は仰向けになってくださる?」
「あ、はい・・・」
どこが、とは言えませんが、アンジェラさんの私に対する物腰が、少し変化したような気がしました。
*
*コートを脱いで昼食を 19へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2013年11月3日
2013年10月27日
コートを脱いで昼食を 17
お部屋の入口でサンダルを貸していただき、ゴージャスな応接室をいったん出て、ホテルのフロントみたいなエレベーターホールを横切ります。
もちろん私だけ裸のまま。
右手をシーナさまに引かれ、左手に持ったタオルでアソコを押さえて歩く自分の姿が、明るい廊下を飾るお洒落な鏡や窓に映り、無性に恥ずかしくなりました。
いくつか並んだドアのうちのひとつを、シーナさまが迷わず開けました。
どうやらそこが、アンジェラさんがおっしゃっていたゲスト用のドレッシングルームのようです。
応接室ほどゴージャスではないですが、明るい空間に品のいいドレッサーやチェスト、テーブルなどがセンス良く置かれていました。
「みんなに視られながら裸になったご感想は?キュンキュン感じちゃったんでしょ?」
シーナさまは、みなさまといたときの雰囲気とは打って変わって、なんだかご機嫌良さげに、愉しそうに尋ねてきました。
「えっ、えっと、すっごく恥ずかしかったです・・・」
「でも直子、そういうの大好きじゃない?わたし、このアイデア思いついたとき、直子なら絶対悦ぶ、って確信していたんだ」
「初対面の綺麗な女性が6人も、じーっと視ていてくれたんだものね?直子にとっては、夢のようだったでしょう?」
「・・・」
私はうつむいたままモジモジ。
「そう言えば、あのリナリナトリオの中にひとり、直子のご同類がいたようね?」
「気がつかなかった?直子のこと、すごく羨ましそうに、頬を真っ赤に染めて食い入るように視ていた、向かって右端の子」
私は顔を上げ、シーナさまを見つめながら小さく首を横に振ります。
私に、そんなことに気がつくような、そんな余裕があるワケがありません。
研修のかたたちのお顔も、どのかたがどのお名前だったかも、まったく覚えていませんでした。
それどころか、ご紹介いただいたお名前さえも。
マリナさんとサリナさん?あれ?カリナさん?あれ???
「あの子は絶対Mっ子ね。直子に感情移入しちゃっていたわ」
シーナさま、とても嬉しそう。
「でもね直子?さっきのなんてまだまだ序の口よ。直子にはこれから、もっともっと恥ずかしい痴態をみんなに晒して、恥辱色に染まってもらうことになるのだから」
「あんっ!」
シーナさまのポインターペンが私の尖りっ放しな右乳首を軽く弾きました。
「そのガラス戸の向こうがシャワールームだから、首から下をざっと洗っておきなさい」
ポインターペンで指し示された素通しガラスの向こうを見ると、確かにそこは浴室のようでした。
大きなガラス戸はまるっきり素通しで、中が丸見えです。
ふと横を見ると、私がさっき脱いだスーツとブラウスが、ハンガーにきちんと掛けられ、洒落たハンガーラックにぶら下がっていました。
きっと小野寺さんがしてくれたのでしょう。
小野寺さんに私が汚したパンティストッキングとショーツをモロに見られたことを思い出し、恥ずかしさがぶり返してきました。
「下半身は中まで、よーく洗っておきなさいよ。これからいろいろ弄られまくることになるのだから」
シーナさまがニヤニヤしながらおっしゃいました。
「まあ、洗ったところですぐに濡らしちゃうのでしょうけれど、出来る限りはがまんなさい。はしたなく大声とか出して、わたしに恥を掻かせないでよね?」
バスタオルを床に置き、シャワールームに入ろうとして、気がつきました。
「あの、シーナさま?これははずしたほうが・・・」
首のチョーカーを指さしながら尋ねました。
「え?ああ、それはそのままでいいわよ。凄く似合っているし、一応防水加工もしてあるはずだから」
「濡れてシミが浮いたりして、見た目が汚らしくなっちゃったとしても、それもそれで直子にはお似合いだし、本当にみっともなくなっちゃったら、また新しいのをあげるから、気にしなくていいわ」
シーナさまがシャワールームの前まで来て、私の全身をあらためてジロジロ眺めてきます。
「失敗しちゃったなー。直子用にそれに付けるチェーンももう確保してあったのよ。ニップルとクリットとラビアの完全セット」
「オフィスの机の抽斗にずっといれっぱなのよね。持ってくるの忘れちゃったわ」
「帰りはあれ着けてドライブっていうのも良かったわねー。惜しいことしちゃった」
お言葉の内容ほどは、さほど惜しそうなお顔でもないシーナさまのニヤニヤ笑い。
「ほら、はやくからだ洗っちゃいなさい」
シャワーをぬるま湯にして、チョーカーをなるべく濡らさないように肌にお湯を当てました。
ガラス戸の片方は開けっ放しのまま。
そこからシーナさまが覗き込んでいるので、お部屋のほうにお湯が飛び散らないよう、奥でシャワーを使います。
下半身は念入りに、というご指示だったので、シャワーを強めにしてアソコとお尻に当てます。
「あっ、もしオシッコしたかったら、そこでしちゃいなさい。これから当分、出来ないから」
少し尿意を感じていた私は、シーナさまのお言葉を深く考えず、それでも一応シーナさまには背中を向けて、シャワーを出しっ放しのままその場にしゃがみ込みました。
シャーッ・・・
「あらあら呆れた。直子って、平気で人前でオシッコ姿晒すような女になっちゃたのねー?はしたない子。いくらマゾだからって恥じらい忘れたら、人間おしまいよ?」
「だって・・・あ、いえ、ごめんなさい・・・」
シーナさまにまんまとノせられた気もしましたが、確かに今の私はシーナさまだからいいや、と思って普通にオシッコしてしまいました。
言われた途端に、カーッと恥ずかしさが全身を駆け巡りました。
「ま、そのくらいでいいでしょう。あんまりお待たせしたら悪いから出てきなさい。からだ拭いてあげるわ」
シーナさまは、オシッコのことにはそれ以上深くツッコまれず、新しいバスタオルを持って私を待ち構えています。
シーナさまにからだを拭いていただくときのふたりの暗黙の了解、マゾの服従ポーズになりました。
シーナさまが、私の全身の水気を丁寧に拭ってくださいます。
最後にシーナさまの右手人差し指が、スルッと私のアソコに潜り込みました。
「ぁあんっ!」
「難なくヌルッと入っちゃうわね?まだ中ジュクジュク。まあ仕方ないわね、直子だから」
「アンジェラたち、驚くでしょうね?言ってあるとはいえ、直子の濡れ方は想像以上だから」
シーナさまの愉快そうなお声。
「さ、それじゃあそろそろ本番よ。グッドラック、直子」
パチンと私の裸のお尻を叩いてから、ドレッシングルームの一番奥にあるドアのほうへひとりでスタスタ歩いていかれるシーナさま。
私もあわてて後を追いました。
そのドアの向こう側は、何て形容したらいいのか、摩訶不思議で妖しい雰囲気のお部屋でした。
いの一番に、甘いアロマの香りに全身が包まれました。
裸足に冷たい大理石の床。
モーツァルトのピアノ曲が小さく流れています
お部屋の真ん中に小さめなベッドがひとつ置かれ、ベッドを中心にその周辺だけがスポットライトで照らされたみたく、眩しく浮かび上がっていました。
四方の壁際は間接照明で薄暗く、無機質で殺風景な感じです。
ベッドの周りには、ナース服に似た清潔そう、かつお洒落なデザインのユニフォームに身を包んだアンジェラさんと研修のお3人。
アンジェラさんのユニフォームは淡い藤色、研修のお3人は淡いレモン色です。
蘭子さんと小野寺さんは、先ほどと同じ私服姿で、4人とは少し離れて座っていらっしゃいました。
「お待ちしていたわ。こちらは準備万端よ。さあ、始めましょう」
アンジェラさんがニッコリ微笑んで、私を手招きしました。
「まずはこのベッドに上がって、うつぶせになってくださる?」
アンジェラさんが傍らのベッドを指さしました。
私は、恐る恐る近づいていきました。
「こちらに頭を向けてね」
大きな枕と、なぜだか20インチくらいの薄いテレビモニターが乗ったラックが置いてある方向を指示されました。
その反対側のほうには、見慣れない器具やタオルなどが乗ったキャスタートレイと大きめな姿見がベッドの傍らに置かれ、アンジェラさんたちは、その足側のほうに集まっています。
そのベッドは、普通のベッドよりもやや高めで、私のおへその下くらいの高さ、幅も一般的なシングルベッドよりひとまわり狭い感じでした。
あまり柔らかそうには見えないベッド表面には、見るからにふんわりしていそうな大きいタオルが敷かれていました。
私は、踏み台を使っておずおずとベッドに上がり、柔らかい枕に顔を埋めてうつぶせに横たわりました。
まばゆいくらいの光に照らされた私の背中とお尻を、みなさまが上から見下ろしてきます。
まるで手術台に乗ったような気分です。
小野寺さんが立ち上がったな、と思ったら、目の前のテレビモニターが明るく瞬き、何かが映り始めました。
何だろう?と思う間もなく、モニター一杯に誰かのお尻らしき映像が映りました。
「あっ!」
あわてて首を後ろに捻ると、ベッドの傍らに立った小野寺さんがハンディなビデオカメラを覗き込んでいました。
そのカメラのレンズの先には、私のお尻。
「今日の様子はね、録画して編集して、このサロンの新人エステティシャンの研修用教材として、活用していただくのよ」
シーナさまが枕側にいらして、私を見下ろしつつおっしゃいました。
「もちろん、施術する部分だけを映して、ミス・ナオコのお顔は一切出さないし、音声も全編アフレコで再編集するし、サロン関係者だけの内部閲覧に徹するから、ミス・ナオコには絶対ご迷惑はお掛けしないことを誓うわ」
アンジェラさんが、お優しいお声でつづけます。
「だから、ミス・ナオコも痛かったり気持ち良かったりしたら、遠慮せずにお声をどんどん出していいから、ね?」
「それに、こうして自分が何されているか、逐一自分で見れるのって、直子の性癖にぴったりでしょう?わたし、アンジーから誰かモデルになってくれる人いない?って相談されたとき、まっさきに直子の顔が浮かんだもの」
「そういうことだから、いいわね?直子?」
シーナさまに冷たいお声を投げつけられて、首を横に振れる私ではありません。
「は、はい・・・」
お答えしながら眼前を見ると、自分のお尻が超どアップで映っていました。
「さあ、それでは施術に入りましょう。みなさんは、すでにご自分のからだで具体的な手順は試してきたのよね?」
「はいっ!」
足のほうで、アンジェラさんと研修のお3人のやりとりが始まっていました。
小野寺さんは、いったんビデオカメラを切ったらしく、モニターは真っ暗になっていました。
「それならワックスの使い方などに関しては、言及しません。今日は、実際にお客様に施術するとき、どういう点に気を遣うべきか、に重点を置いて説明していきます」
「はいっ!」
アンジェラさんと研修のお3人、シーナさまが命名されたところのリナリナトリオのみなさんとのあいだに、緊張した雰囲気が流れています。
シーナさまは、私の頭を見下ろしながらニヤニヤ笑い。
蘭子さんも立ち上がって、私のお尻付近を見下ろしていらっしゃいました。
私は枕に顔を埋め、でもまたすぐに不安になって上下左右をキョロキョロ。
「さて、まず最初の注意点ですが、O・I・V脱毛の場合、今日のミス・ナオコのように全裸になっていただく必要は、まったくありません」
「ケースバイケースですが、脱毛だけのお客様なら、上半身は普通に着たまま、もしくはローブを着ていただくとか、なるべく羞恥を感じられないように心配りすることが大切です」
「ご年配のかたは、それほどでもないですが、お若いと、とても恥ずかしがるかたもいらっしゃいます。そんな場合は、施術が見えないようにお腹のところにカーテンをしたり、お部屋を暗くしたり、工夫してください」
「そういう意味で、施術前のカウンセリングは重要です。お客様のニーズをしっかり把握して、出来る限り合わせるように」
「お客様が満足されれば、必ずリピーターになってくださいます。ですので、とくに初回のお客様には細心の心配りで接すること」
「ちなみにミス・ナオコの場合は、ミス・シーナが、ミス・ナオコはこうしたほうがお悦びになるとアドバイスをくれたので、そうしただけです」
リナリナトリオのうちの誰かおひとりがクスっと笑ったようでした。
それも恥ずかしかったのですが、何よりも冒頭のアンジェラさんのお言葉にピクンとからだが震えました。
脱毛。
エステにかかる、ということ自体が生まれて初めての体験でしたので、いったいこれから何をされるのか、ほとんど見当がついていませんでした。
マッサージ的な何か、かな、と思いながらも、シーナさまから無駄毛処理を禁じられての訪問でしたから、そっちの関係だろうな、とも予想はしていました。
今のお言葉でハッキリしました。
私はこれから、みなさまの前でアソコ周辺の毛を脱毛されるんだ・・・
いったいどんな方法で?
私が知っている脱毛方法は、カミソリか脱毛テープ、それとレーザー。
レーザー脱毛器ぽい機械は見当たらなかったので、たぶんテープなのかな?
そう言えばさっき、ワックスっておっしゃっていたな・・・
ワックスって、ローソク?
いずれにしても私はこれから、その部分をみなさまにじっくり視られながら、思う存分弄られちゃうことにはなるのでしょう。
おまけにそれがビデオとして残されてしまうのです。
あっ、だめぇ・・・
アソコの中がみるみるうちに、ウルウル涙ぐんできました。
*
*コートを脱いで昼食を 18へ
*
もちろん私だけ裸のまま。
右手をシーナさまに引かれ、左手に持ったタオルでアソコを押さえて歩く自分の姿が、明るい廊下を飾るお洒落な鏡や窓に映り、無性に恥ずかしくなりました。
いくつか並んだドアのうちのひとつを、シーナさまが迷わず開けました。
どうやらそこが、アンジェラさんがおっしゃっていたゲスト用のドレッシングルームのようです。
応接室ほどゴージャスではないですが、明るい空間に品のいいドレッサーやチェスト、テーブルなどがセンス良く置かれていました。
「みんなに視られながら裸になったご感想は?キュンキュン感じちゃったんでしょ?」
シーナさまは、みなさまといたときの雰囲気とは打って変わって、なんだかご機嫌良さげに、愉しそうに尋ねてきました。
「えっ、えっと、すっごく恥ずかしかったです・・・」
「でも直子、そういうの大好きじゃない?わたし、このアイデア思いついたとき、直子なら絶対悦ぶ、って確信していたんだ」
「初対面の綺麗な女性が6人も、じーっと視ていてくれたんだものね?直子にとっては、夢のようだったでしょう?」
「・・・」
私はうつむいたままモジモジ。
「そう言えば、あのリナリナトリオの中にひとり、直子のご同類がいたようね?」
「気がつかなかった?直子のこと、すごく羨ましそうに、頬を真っ赤に染めて食い入るように視ていた、向かって右端の子」
私は顔を上げ、シーナさまを見つめながら小さく首を横に振ります。
私に、そんなことに気がつくような、そんな余裕があるワケがありません。
研修のかたたちのお顔も、どのかたがどのお名前だったかも、まったく覚えていませんでした。
それどころか、ご紹介いただいたお名前さえも。
マリナさんとサリナさん?あれ?カリナさん?あれ???
「あの子は絶対Mっ子ね。直子に感情移入しちゃっていたわ」
シーナさま、とても嬉しそう。
「でもね直子?さっきのなんてまだまだ序の口よ。直子にはこれから、もっともっと恥ずかしい痴態をみんなに晒して、恥辱色に染まってもらうことになるのだから」
「あんっ!」
シーナさまのポインターペンが私の尖りっ放しな右乳首を軽く弾きました。
「そのガラス戸の向こうがシャワールームだから、首から下をざっと洗っておきなさい」
ポインターペンで指し示された素通しガラスの向こうを見ると、確かにそこは浴室のようでした。
大きなガラス戸はまるっきり素通しで、中が丸見えです。
ふと横を見ると、私がさっき脱いだスーツとブラウスが、ハンガーにきちんと掛けられ、洒落たハンガーラックにぶら下がっていました。
きっと小野寺さんがしてくれたのでしょう。
小野寺さんに私が汚したパンティストッキングとショーツをモロに見られたことを思い出し、恥ずかしさがぶり返してきました。
「下半身は中まで、よーく洗っておきなさいよ。これからいろいろ弄られまくることになるのだから」
シーナさまがニヤニヤしながらおっしゃいました。
「まあ、洗ったところですぐに濡らしちゃうのでしょうけれど、出来る限りはがまんなさい。はしたなく大声とか出して、わたしに恥を掻かせないでよね?」
バスタオルを床に置き、シャワールームに入ろうとして、気がつきました。
「あの、シーナさま?これははずしたほうが・・・」
首のチョーカーを指さしながら尋ねました。
「え?ああ、それはそのままでいいわよ。凄く似合っているし、一応防水加工もしてあるはずだから」
「濡れてシミが浮いたりして、見た目が汚らしくなっちゃったとしても、それもそれで直子にはお似合いだし、本当にみっともなくなっちゃったら、また新しいのをあげるから、気にしなくていいわ」
シーナさまがシャワールームの前まで来て、私の全身をあらためてジロジロ眺めてきます。
「失敗しちゃったなー。直子用にそれに付けるチェーンももう確保してあったのよ。ニップルとクリットとラビアの完全セット」
「オフィスの机の抽斗にずっといれっぱなのよね。持ってくるの忘れちゃったわ」
「帰りはあれ着けてドライブっていうのも良かったわねー。惜しいことしちゃった」
お言葉の内容ほどは、さほど惜しそうなお顔でもないシーナさまのニヤニヤ笑い。
「ほら、はやくからだ洗っちゃいなさい」
シャワーをぬるま湯にして、チョーカーをなるべく濡らさないように肌にお湯を当てました。
ガラス戸の片方は開けっ放しのまま。
そこからシーナさまが覗き込んでいるので、お部屋のほうにお湯が飛び散らないよう、奥でシャワーを使います。
下半身は念入りに、というご指示だったので、シャワーを強めにしてアソコとお尻に当てます。
「あっ、もしオシッコしたかったら、そこでしちゃいなさい。これから当分、出来ないから」
少し尿意を感じていた私は、シーナさまのお言葉を深く考えず、それでも一応シーナさまには背中を向けて、シャワーを出しっ放しのままその場にしゃがみ込みました。
シャーッ・・・
「あらあら呆れた。直子って、平気で人前でオシッコ姿晒すような女になっちゃたのねー?はしたない子。いくらマゾだからって恥じらい忘れたら、人間おしまいよ?」
「だって・・・あ、いえ、ごめんなさい・・・」
シーナさまにまんまとノせられた気もしましたが、確かに今の私はシーナさまだからいいや、と思って普通にオシッコしてしまいました。
言われた途端に、カーッと恥ずかしさが全身を駆け巡りました。
「ま、そのくらいでいいでしょう。あんまりお待たせしたら悪いから出てきなさい。からだ拭いてあげるわ」
シーナさまは、オシッコのことにはそれ以上深くツッコまれず、新しいバスタオルを持って私を待ち構えています。
シーナさまにからだを拭いていただくときのふたりの暗黙の了解、マゾの服従ポーズになりました。
シーナさまが、私の全身の水気を丁寧に拭ってくださいます。
最後にシーナさまの右手人差し指が、スルッと私のアソコに潜り込みました。
「ぁあんっ!」
「難なくヌルッと入っちゃうわね?まだ中ジュクジュク。まあ仕方ないわね、直子だから」
「アンジェラたち、驚くでしょうね?言ってあるとはいえ、直子の濡れ方は想像以上だから」
シーナさまの愉快そうなお声。
「さ、それじゃあそろそろ本番よ。グッドラック、直子」
パチンと私の裸のお尻を叩いてから、ドレッシングルームの一番奥にあるドアのほうへひとりでスタスタ歩いていかれるシーナさま。
私もあわてて後を追いました。
そのドアの向こう側は、何て形容したらいいのか、摩訶不思議で妖しい雰囲気のお部屋でした。
いの一番に、甘いアロマの香りに全身が包まれました。
裸足に冷たい大理石の床。
モーツァルトのピアノ曲が小さく流れています
お部屋の真ん中に小さめなベッドがひとつ置かれ、ベッドを中心にその周辺だけがスポットライトで照らされたみたく、眩しく浮かび上がっていました。
四方の壁際は間接照明で薄暗く、無機質で殺風景な感じです。
ベッドの周りには、ナース服に似た清潔そう、かつお洒落なデザインのユニフォームに身を包んだアンジェラさんと研修のお3人。
アンジェラさんのユニフォームは淡い藤色、研修のお3人は淡いレモン色です。
蘭子さんと小野寺さんは、先ほどと同じ私服姿で、4人とは少し離れて座っていらっしゃいました。
「お待ちしていたわ。こちらは準備万端よ。さあ、始めましょう」
アンジェラさんがニッコリ微笑んで、私を手招きしました。
「まずはこのベッドに上がって、うつぶせになってくださる?」
アンジェラさんが傍らのベッドを指さしました。
私は、恐る恐る近づいていきました。
「こちらに頭を向けてね」
大きな枕と、なぜだか20インチくらいの薄いテレビモニターが乗ったラックが置いてある方向を指示されました。
その反対側のほうには、見慣れない器具やタオルなどが乗ったキャスタートレイと大きめな姿見がベッドの傍らに置かれ、アンジェラさんたちは、その足側のほうに集まっています。
そのベッドは、普通のベッドよりもやや高めで、私のおへその下くらいの高さ、幅も一般的なシングルベッドよりひとまわり狭い感じでした。
あまり柔らかそうには見えないベッド表面には、見るからにふんわりしていそうな大きいタオルが敷かれていました。
私は、踏み台を使っておずおずとベッドに上がり、柔らかい枕に顔を埋めてうつぶせに横たわりました。
まばゆいくらいの光に照らされた私の背中とお尻を、みなさまが上から見下ろしてきます。
まるで手術台に乗ったような気分です。
小野寺さんが立ち上がったな、と思ったら、目の前のテレビモニターが明るく瞬き、何かが映り始めました。
何だろう?と思う間もなく、モニター一杯に誰かのお尻らしき映像が映りました。
「あっ!」
あわてて首を後ろに捻ると、ベッドの傍らに立った小野寺さんがハンディなビデオカメラを覗き込んでいました。
そのカメラのレンズの先には、私のお尻。
「今日の様子はね、録画して編集して、このサロンの新人エステティシャンの研修用教材として、活用していただくのよ」
シーナさまが枕側にいらして、私を見下ろしつつおっしゃいました。
「もちろん、施術する部分だけを映して、ミス・ナオコのお顔は一切出さないし、音声も全編アフレコで再編集するし、サロン関係者だけの内部閲覧に徹するから、ミス・ナオコには絶対ご迷惑はお掛けしないことを誓うわ」
アンジェラさんが、お優しいお声でつづけます。
「だから、ミス・ナオコも痛かったり気持ち良かったりしたら、遠慮せずにお声をどんどん出していいから、ね?」
「それに、こうして自分が何されているか、逐一自分で見れるのって、直子の性癖にぴったりでしょう?わたし、アンジーから誰かモデルになってくれる人いない?って相談されたとき、まっさきに直子の顔が浮かんだもの」
「そういうことだから、いいわね?直子?」
シーナさまに冷たいお声を投げつけられて、首を横に振れる私ではありません。
「は、はい・・・」
お答えしながら眼前を見ると、自分のお尻が超どアップで映っていました。
「さあ、それでは施術に入りましょう。みなさんは、すでにご自分のからだで具体的な手順は試してきたのよね?」
「はいっ!」
足のほうで、アンジェラさんと研修のお3人のやりとりが始まっていました。
小野寺さんは、いったんビデオカメラを切ったらしく、モニターは真っ暗になっていました。
「それならワックスの使い方などに関しては、言及しません。今日は、実際にお客様に施術するとき、どういう点に気を遣うべきか、に重点を置いて説明していきます」
「はいっ!」
アンジェラさんと研修のお3人、シーナさまが命名されたところのリナリナトリオのみなさんとのあいだに、緊張した雰囲気が流れています。
シーナさまは、私の頭を見下ろしながらニヤニヤ笑い。
蘭子さんも立ち上がって、私のお尻付近を見下ろしていらっしゃいました。
私は枕に顔を埋め、でもまたすぐに不安になって上下左右をキョロキョロ。
「さて、まず最初の注意点ですが、O・I・V脱毛の場合、今日のミス・ナオコのように全裸になっていただく必要は、まったくありません」
「ケースバイケースですが、脱毛だけのお客様なら、上半身は普通に着たまま、もしくはローブを着ていただくとか、なるべく羞恥を感じられないように心配りすることが大切です」
「ご年配のかたは、それほどでもないですが、お若いと、とても恥ずかしがるかたもいらっしゃいます。そんな場合は、施術が見えないようにお腹のところにカーテンをしたり、お部屋を暗くしたり、工夫してください」
「そういう意味で、施術前のカウンセリングは重要です。お客様のニーズをしっかり把握して、出来る限り合わせるように」
「お客様が満足されれば、必ずリピーターになってくださいます。ですので、とくに初回のお客様には細心の心配りで接すること」
「ちなみにミス・ナオコの場合は、ミス・シーナが、ミス・ナオコはこうしたほうがお悦びになるとアドバイスをくれたので、そうしただけです」
リナリナトリオのうちの誰かおひとりがクスっと笑ったようでした。
それも恥ずかしかったのですが、何よりも冒頭のアンジェラさんのお言葉にピクンとからだが震えました。
脱毛。
エステにかかる、ということ自体が生まれて初めての体験でしたので、いったいこれから何をされるのか、ほとんど見当がついていませんでした。
マッサージ的な何か、かな、と思いながらも、シーナさまから無駄毛処理を禁じられての訪問でしたから、そっちの関係だろうな、とも予想はしていました。
今のお言葉でハッキリしました。
私はこれから、みなさまの前でアソコ周辺の毛を脱毛されるんだ・・・
いったいどんな方法で?
私が知っている脱毛方法は、カミソリか脱毛テープ、それとレーザー。
レーザー脱毛器ぽい機械は見当たらなかったので、たぶんテープなのかな?
そう言えばさっき、ワックスっておっしゃっていたな・・・
ワックスって、ローソク?
いずれにしても私はこれから、その部分をみなさまにじっくり視られながら、思う存分弄られちゃうことにはなるのでしょう。
おまけにそれがビデオとして残されてしまうのです。
あっ、だめぇ・・・
アソコの中がみるみるうちに、ウルウル涙ぐんできました。
*
*コートを脱いで昼食を 18へ
*
2013年10月20日
コートを脱いで昼食を 16
ソファー、テーブル、ソファーと川の字にレイアウトされた豪華な応接セット。
みなさまがよーくご覧になれるようにとシーナさまに手を引かれ、ソファーが無い側のテーブルの後ろに立たされました。
さっきまで私とシーナさまが座っていたソファーには、研修のお3人がお座りになり、5人全員が座ったまま少しからだを斜めにひねって、私に注目しています。
小野寺さんは、入口近くの椅子に座ったままでしたが、視線はしっかりこちらに向けられていました。
「ほら、さっさと脱ぎなさいっ!」
私の傍らにお立ちになったシーナさまが、どこから取り出したのか、アンテナ式のポインターペンを伸ばして、私のジャケットをつっついてきます。
「もう少しテーブルから離れなさい。みなさんから下半身が見えにくいでしょう?」
シーナさまのご指示通りにしながら、私は観念しました。
こんな状況になったら、もはやシーナさまに逆らえるはずがありません。
それに私は、こんな状況をいつも妄想していたはず。
シーナさまは、私の妄想を実現させてくれようとしているのです。
だけど現実になると、やっぱりすごく、例えようもないほど恥ずかしいです。
ジャケットのボタンをはずし、両腕を袖から抜きました。
いつの間にか私の傍らに来ていた小野寺さんが、私が脱いだジャケットを受け取ってくださいました。
「あ、ありがとうございます・・・」
小さな声でお礼を言うと、小野寺さんはニコッと笑い、ジャケットを持ったまま私の至近距離に立ち、そのまま待機されました。
ちょっと迷ってから、先にスカートを脱ぐことにしました。
ホックをはずして足元に落とし、スリッパを脱いで拾い上げました。
小野寺さんが手を差し伸べてきたのでお渡しします。
次はブラウス。
このブラウスを脱ぐと、上半身はブラジャーだけになってしまいます。
でも、それよりも心配なのは下半身でした。
一枚づつ脱いでいるあいだずっとドキドキ心臓が高鳴り、それはもちろん性的興奮なので私の淫乱なアソコはヒクヒクとのたうち、恥ずかしいおツユをとめどなくジワジワ分泌していました。
それは、淡いピンク色のショーツの薄いシルク地など、いともたやすく浸透して広範囲を色濃く変色させ、パンティストッキングの表面にまで滲み出ているはずでした。
今はブラウスの裾でかろうじて隠れていますが、ブラウスを取れば、誰の目にもあからさまにわかってしまうくらいに。
リボンをほどき、ボタンをはずしていきます。
ブラウスを左右にそっと開くと案の定、股間がお漏らしでもしちゃったみたいに盛大に変色していました。
私は、お洋服を脱ぐあいだ中ずっとうつむいていました。
アンジェラさんたち6人のほうを、どうしても見ることが出来ませんでした。
どんなお顔をされて、どんなお気持ちで、私の、この突然のストリップショーをご覧になっているのだろう?
ちょっぴり知りたくもありましたが、それの100倍以上の恥ずかしさで、どうしても顔が上げられませんでした。
みなさまも、誰も一言も発さず、まるでこのお部屋には誰もいないかのようにシンと静まり返っていました。
ただ、痛いほどの視線が素肌に突き刺さってくるのだけを感じていました。
ブラウスを開いたとき、この後、とめどなく襲われることになる、今すぐこの場を逃げ出したいほどの恥ずかしさの、最初のピークが訪れました。
こんな恥ずかしいシミで汚れたソコは、絶対視られたくない。
もういてもたってもいられず、クルッとみなさまに背中を向け、手早くブラウスを脱ぎました。
すかさず小野寺さんの手がブラウスに伸び、レストランのウェイターさんのトーションのように左腕に掛けていた今までのお洋服とひとまとめにして両手で持ち、入口のほうへスタスタ歩いて行かれるのが、視界の端に映りました。
シーナさまに叱られるかな?とも思ったのですが、何もおっしゃらないので、背中を向けたままの姿勢で一気にパンティストッキングもずり下げました。
穿き慣れていないので、足首から抜くのに少し手間取り、からだが大きく揺れて、おっぱいがプルンと跳ねます。
足首から抜いて丸まったパンティストッキングの一部分は、少し粘りのある液体でジットリ濡れていました。
これでもう、あとはブラジャーとショーツだけになってしまいました。
首にマゾの首輪も着けていますが、たぶんこれは、はずさないほうが良いのでしょう。
シーナさまがまだ何もおっしゃってこないので今のうちと思い、みなさまに背中を向けたまま、両手を背中へまわしてブラのホックをはずし始めました。
気が焦って手元が震え、なかなかはずれないホックにジリジリしながら、頭の中で考えていました。
これはすべて、シーナさまの計算ずく。
私におめかしさせたのも、みなさまの前で時間を掛けてお洋服を脱がさせることで、私の羞恥心を最大限に煽るための手段だったのでしょう。
どうせ人前で裸になるのであれば、始めからノーパンノーブラのワンピース姿か何かで、一枚脱いで即全裸、みたいなほうが、気持ち的にラクだったような気がしていました。
ノーパンノーブラで人前に現われること自体が、すでにかなり恥ずかしいことではあるのですが、そんな格好をする人はつまり、そういう人として見られますから、裸になったときのインパクトもそれなりのものになるでしょう。
一方、お洒落してきちんとした格好をしていれば、一般的にごく普通の人として見られます。
そんな人が、シーナさまのご命令ひとつで、お洋服を脱ぐ過程を第三者にじっと視られながら、裸になる。
視ていらっしゃるかたも、この人はいったいどんな人なのだろう?って興味シンシンになられるだろうし、脱ぐほうも、出来ることなら隠しておきたい自分のヘンタイ性癖を、自らの手で、時間を掛けてあからさまにすることになるので、その恥辱感は相当キツイものになります。
そこまでお考えになっての、シーナさまのご指示。
シーナさまって、やっぱりスゴイな、って、そんな場合ではないのですが、感心してしまいました。
ブラジャーをはずして足元に置き、覚悟を決めてショーツに手をかけたとき、シーナさまのポインターペンがヒュンと一閃、前屈みでショーツを脱ぎかけていた私の裸のお尻をペチッと叩きました。
「ぁんっ!」
「ちょっと何?みなさんにお尻なんか突き出して?失礼な子ね。みなさんのほうへ向きなさい!」
「あっ、は、はい!」
膝の上までずり下げていたショーツを素早く足首まで下ろしました。
中途半端に生え揃った翳りの下から垂れ下がる透明なか細い糸が、何本か足首のほうへとツーっと伸びては切れました。
「それと、悪いのだけれど小野寺さん?バスタオルか何か、一枚貸していただけるかしら?」
再び私の傍らに戻っていた小野寺さんが、またスタスタと入口のほうへ行かれたようでした。
私は背中を向けたままその場にしゃがみ、ショーツの濡れている部分が表に出ないように丸めてから、隠すように足元のブラジャーのカップに押し込みました。
「ほら、小野寺さんからタオル受け取って、自分の足元に敷いて、さっさとみなさんのほうに向きなさい!」
「直子、お股からえっち汁、ダラダラじゃない?綺麗なペルシャ絨毯が台無しになっちゃうわよ?この絨毯、お高いのよ?ほら、早くしなさいっ!」
誰かがクスッと笑い声を洩らしたのが聞こえました。
ポインターペンでお尻をペチペチされ、私は足元にバスタオルを敷き、右手は股間に、左腕でバスト全体を隠しながら、ゆっくり回れ右をしました。
私がみなさまのほうを向いたと同時に、小野寺さんがその場にひざまずき、私が脱いだブラジャーとショーツとパンティストッキングを拾い上げました。
「あっ、それは・・・」
小野寺さんは立ち上がってニッと笑い、丸まったパンティストッキングとショーツをもう一度広げ、丁寧に折りたたんでからブラジャーと一緒に入口のほうへ持って行ってしまいました。
小野寺さんの指が私のおツユで汚れちゃった・・・
言いようのない恥ずかしさが、全身を駆け巡りました。
「ねえ直子?あなたのさっきからのその態度は何?」
シーナさまが怒ったみたいなお顔になり、私の顔を覗き込みます。
「今日はね、アンジーたちがあなたのからだをいっそうキレイにケアするためにわざわざ集まってくださったのよ?」
「それなのに、背中を向けるは、お尻を突き出すは。今だって、うつむいちゃって、隠しちゃっててどうするのよ?」
「直子が裸になったら、するべき姿勢があるでしょう?わたし、さんざん教えたはずよ?」
「ほら、まず顔を上げなさい!」
同時にお尻をペチッとされて、私はうつむいていた顔を恐々上げました。
アンジェラさんと蘭子さんは、困ったような曖昧な笑顔をされています。
研修のお3人は、肩を寄せ合って興味シンシンのワクワク顔。
小野寺さんは唇の両端だけを少し上げたクールな微笑。
みなさんじっと私のからだを見つめていました。
おのおののかたと視線が合うたびに、からだの奥がキュンキュン疼いてしまいます。
「顔を上げて、前を向いて、それから?」
シーナさまが間髪を入れずにたたみかけてきました。
「直子のからだを隅々までじっくり視ていただくのに、ピッタリなポーズがあるでしょう?」
シーナさまがおっしゃっているのは、マゾの服従ポーズ、のことだとわかっていました。
ここまで来たらもう仕方ありません。
私は、まず両脚を、休め、の姿勢くらいに開き、一呼吸置いてから意を決して、両手をゆっくり胸と股間からはずし、頭の後ろで組みました。
私の動きに合わせて、アンジェラさんたちが少し身を乗り出し、隠されていた部分が露になるに連れて、視線がアチコチに散らばるのがわかりました。
ああんっ!
なんていう恥ずかしさ。
なんていうみじめさ。
みなさまがきちんとお洋服を着ている中で、ひとりだけ裸んぼの私。
それもこんな豪華なお部屋の中で、全員がファッショナブルに着飾っている中で、私だけが首にマゾな証のチョーカーひとつだけの素っ裸。
両腕を頭の後ろで組み、腋からおっぱい、アソコまで隠すことを禁じられた恥ずかしすぎるポーズで、シーナさまを含めて7人からの容赦ない好奇の視線を素肌に浴びせかけられている私。
このセレブな空間の中で、一番身分が低いのは誰なのか、ということを嫌と言うほど思い知らされる、残酷なシチュエーションでした。
妄想の中でなら今まで何度も思い描いたことがありましたが、現実でこんな目に遭うのは初めてでした。
今日出会ったばかりの、昨日までは見知らぬ同士だった人たちに全裸を視られている私。
この場にいるかたたち7人が全員お美しく、服装にも居住まいにも優雅な雰囲気を醸し出されているので、なおさら今の自分の立場が屈辱的でした。
みなさまの慰み者・・・
そんな言葉が頭に浮かび、狂おしい被虐感で今にも膝が崩れ落ちそう。
今の私ほど、メス犬マゾペットの首輪が似合う女は、この世にいないでしょう。
「あら、ずいぶんと薄いのね・・・」
私の股間をじっと見つめていたアンジェラさんが、ポツンとつぶやきました。
「そのくらいなら、たいした手間もかからなそうだし、研修にはうってつけね」
張りつめていた緊張を和らげるみたいに、アンジェラさんがおやさしいお声でおっしゃり、ほっこり笑いかけてくださいました。
「それにミス・ナオコ、きれいな裸だわ。バストも良い形だし、腋も綺麗ね。肌も良くお手入れされているようだし」
「まあ、強いて言えばウエストをもう少し絞りたいかな?」
「ほら直子、褒められたのだからお礼を言いなさい」
「あ、ありがとうございます」
シーナさまに促されて、服従ポーズのままペコリと頭を下げました。
「そんなに薄いのなら、うちに3、4回通ったら、永久ハイジニーナにもなれそうね。ミス・ナオコはそれがお望みなのでしょう?」
「あ、えっと、ハイジニーナって?・・・」
「パイパンのことよ。パイパンのエステ風おシャレな呼び方」
「直子はずっとパイパンのままが理想なんでしょ?視られたがりのマゾだから」
シーナさまが教えてくださり、私は小さく、はい、とアンジェラさんにお答えしました。
アンジェラさんが沈黙を破ってくださったおかげで、場にリラックスしたムードが若干戻り、研修のお3人も、私を視つつ、何やらヒソヒソしてはクスクス笑っていらっしゃいます。
「ご覧いただいた通り、直子はこういう女なの」
シーナさまが私の横に立ち、アンジェラさんたちにお話し始めました。
「人前で裸にされて、恥ずかしがっているクセに、ここはこんなだし・・・」
ポインターペンで、私の尖りきった左乳首をピンと弾きました。
「ぁあんっ!」
「ここも洪水みたいに濡らしちゃう、露出症のヘンタイ女」
ポインターペンが私の土手をつつきます。
「その上、わたしの命令には絶対服従の真性マゾヒスト」
ポインターペンが私の両腿の間を通過してから上に上がり、ワレメにグイッと食い込んできました。
「あっ、だめ・・・ですぅ・・・」
シーナさま、ヒドイ。
みなさまの前でそんなこと・・・
「だからくどいようだけれど、一切遠慮無しで、ぞんざいに扱っちゃっていいからね。虐めれば虐めるほど、この子は悦ぶはずだから」
「ほら、直子からもお願いしなさい」
私の股間にポインターペンの側面を食い込ませてゆっくり前後しながら、シーナさまがニヤリと笑いました。
「ほ、本日は、よ、よろしくお願いいたしますぅ」
ポインターペンの刺激にクラクラしつつ、マゾの服従ポーズのまま、悦びの声を抑え込んでなんとかご挨拶しました。
アンジェラさんたちもそれぞれ、ビミョーな笑みを浮かべて会釈を返してくださいました。
「さあさあ、それではみんな着替えて。手早く準備をしましょう!」
アンジェラさんの一声でみなさまが立ち上がりました。
「あ、直子のシャワーは、わたしが連れて行くから、蘭子さんたちはまだゆっくりしていて」
シーナさまが蘭子さんと小野寺さんにそう告げて、私の右手を取りました。
「直子は、その今踏んでいるタオルで自分のオマンコを押さえて、わたしについてきなさい」
アンジェラさんについてお部屋の外に出ようとしていた研修のお3人が、クスクス笑う声が聞こえてきました。
*
*コートを脱いで昼食を 17へ
*
みなさまがよーくご覧になれるようにとシーナさまに手を引かれ、ソファーが無い側のテーブルの後ろに立たされました。
さっきまで私とシーナさまが座っていたソファーには、研修のお3人がお座りになり、5人全員が座ったまま少しからだを斜めにひねって、私に注目しています。
小野寺さんは、入口近くの椅子に座ったままでしたが、視線はしっかりこちらに向けられていました。
「ほら、さっさと脱ぎなさいっ!」
私の傍らにお立ちになったシーナさまが、どこから取り出したのか、アンテナ式のポインターペンを伸ばして、私のジャケットをつっついてきます。
「もう少しテーブルから離れなさい。みなさんから下半身が見えにくいでしょう?」
シーナさまのご指示通りにしながら、私は観念しました。
こんな状況になったら、もはやシーナさまに逆らえるはずがありません。
それに私は、こんな状況をいつも妄想していたはず。
シーナさまは、私の妄想を実現させてくれようとしているのです。
だけど現実になると、やっぱりすごく、例えようもないほど恥ずかしいです。
ジャケットのボタンをはずし、両腕を袖から抜きました。
いつの間にか私の傍らに来ていた小野寺さんが、私が脱いだジャケットを受け取ってくださいました。
「あ、ありがとうございます・・・」
小さな声でお礼を言うと、小野寺さんはニコッと笑い、ジャケットを持ったまま私の至近距離に立ち、そのまま待機されました。
ちょっと迷ってから、先にスカートを脱ぐことにしました。
ホックをはずして足元に落とし、スリッパを脱いで拾い上げました。
小野寺さんが手を差し伸べてきたのでお渡しします。
次はブラウス。
このブラウスを脱ぐと、上半身はブラジャーだけになってしまいます。
でも、それよりも心配なのは下半身でした。
一枚づつ脱いでいるあいだずっとドキドキ心臓が高鳴り、それはもちろん性的興奮なので私の淫乱なアソコはヒクヒクとのたうち、恥ずかしいおツユをとめどなくジワジワ分泌していました。
それは、淡いピンク色のショーツの薄いシルク地など、いともたやすく浸透して広範囲を色濃く変色させ、パンティストッキングの表面にまで滲み出ているはずでした。
今はブラウスの裾でかろうじて隠れていますが、ブラウスを取れば、誰の目にもあからさまにわかってしまうくらいに。
リボンをほどき、ボタンをはずしていきます。
ブラウスを左右にそっと開くと案の定、股間がお漏らしでもしちゃったみたいに盛大に変色していました。
私は、お洋服を脱ぐあいだ中ずっとうつむいていました。
アンジェラさんたち6人のほうを、どうしても見ることが出来ませんでした。
どんなお顔をされて、どんなお気持ちで、私の、この突然のストリップショーをご覧になっているのだろう?
ちょっぴり知りたくもありましたが、それの100倍以上の恥ずかしさで、どうしても顔が上げられませんでした。
みなさまも、誰も一言も発さず、まるでこのお部屋には誰もいないかのようにシンと静まり返っていました。
ただ、痛いほどの視線が素肌に突き刺さってくるのだけを感じていました。
ブラウスを開いたとき、この後、とめどなく襲われることになる、今すぐこの場を逃げ出したいほどの恥ずかしさの、最初のピークが訪れました。
こんな恥ずかしいシミで汚れたソコは、絶対視られたくない。
もういてもたってもいられず、クルッとみなさまに背中を向け、手早くブラウスを脱ぎました。
すかさず小野寺さんの手がブラウスに伸び、レストランのウェイターさんのトーションのように左腕に掛けていた今までのお洋服とひとまとめにして両手で持ち、入口のほうへスタスタ歩いて行かれるのが、視界の端に映りました。
シーナさまに叱られるかな?とも思ったのですが、何もおっしゃらないので、背中を向けたままの姿勢で一気にパンティストッキングもずり下げました。
穿き慣れていないので、足首から抜くのに少し手間取り、からだが大きく揺れて、おっぱいがプルンと跳ねます。
足首から抜いて丸まったパンティストッキングの一部分は、少し粘りのある液体でジットリ濡れていました。
これでもう、あとはブラジャーとショーツだけになってしまいました。
首にマゾの首輪も着けていますが、たぶんこれは、はずさないほうが良いのでしょう。
シーナさまがまだ何もおっしゃってこないので今のうちと思い、みなさまに背中を向けたまま、両手を背中へまわしてブラのホックをはずし始めました。
気が焦って手元が震え、なかなかはずれないホックにジリジリしながら、頭の中で考えていました。
これはすべて、シーナさまの計算ずく。
私におめかしさせたのも、みなさまの前で時間を掛けてお洋服を脱がさせることで、私の羞恥心を最大限に煽るための手段だったのでしょう。
どうせ人前で裸になるのであれば、始めからノーパンノーブラのワンピース姿か何かで、一枚脱いで即全裸、みたいなほうが、気持ち的にラクだったような気がしていました。
ノーパンノーブラで人前に現われること自体が、すでにかなり恥ずかしいことではあるのですが、そんな格好をする人はつまり、そういう人として見られますから、裸になったときのインパクトもそれなりのものになるでしょう。
一方、お洒落してきちんとした格好をしていれば、一般的にごく普通の人として見られます。
そんな人が、シーナさまのご命令ひとつで、お洋服を脱ぐ過程を第三者にじっと視られながら、裸になる。
視ていらっしゃるかたも、この人はいったいどんな人なのだろう?って興味シンシンになられるだろうし、脱ぐほうも、出来ることなら隠しておきたい自分のヘンタイ性癖を、自らの手で、時間を掛けてあからさまにすることになるので、その恥辱感は相当キツイものになります。
そこまでお考えになっての、シーナさまのご指示。
シーナさまって、やっぱりスゴイな、って、そんな場合ではないのですが、感心してしまいました。
ブラジャーをはずして足元に置き、覚悟を決めてショーツに手をかけたとき、シーナさまのポインターペンがヒュンと一閃、前屈みでショーツを脱ぎかけていた私の裸のお尻をペチッと叩きました。
「ぁんっ!」
「ちょっと何?みなさんにお尻なんか突き出して?失礼な子ね。みなさんのほうへ向きなさい!」
「あっ、は、はい!」
膝の上までずり下げていたショーツを素早く足首まで下ろしました。
中途半端に生え揃った翳りの下から垂れ下がる透明なか細い糸が、何本か足首のほうへとツーっと伸びては切れました。
「それと、悪いのだけれど小野寺さん?バスタオルか何か、一枚貸していただけるかしら?」
再び私の傍らに戻っていた小野寺さんが、またスタスタと入口のほうへ行かれたようでした。
私は背中を向けたままその場にしゃがみ、ショーツの濡れている部分が表に出ないように丸めてから、隠すように足元のブラジャーのカップに押し込みました。
「ほら、小野寺さんからタオル受け取って、自分の足元に敷いて、さっさとみなさんのほうに向きなさい!」
「直子、お股からえっち汁、ダラダラじゃない?綺麗なペルシャ絨毯が台無しになっちゃうわよ?この絨毯、お高いのよ?ほら、早くしなさいっ!」
誰かがクスッと笑い声を洩らしたのが聞こえました。
ポインターペンでお尻をペチペチされ、私は足元にバスタオルを敷き、右手は股間に、左腕でバスト全体を隠しながら、ゆっくり回れ右をしました。
私がみなさまのほうを向いたと同時に、小野寺さんがその場にひざまずき、私が脱いだブラジャーとショーツとパンティストッキングを拾い上げました。
「あっ、それは・・・」
小野寺さんは立ち上がってニッと笑い、丸まったパンティストッキングとショーツをもう一度広げ、丁寧に折りたたんでからブラジャーと一緒に入口のほうへ持って行ってしまいました。
小野寺さんの指が私のおツユで汚れちゃった・・・
言いようのない恥ずかしさが、全身を駆け巡りました。
「ねえ直子?あなたのさっきからのその態度は何?」
シーナさまが怒ったみたいなお顔になり、私の顔を覗き込みます。
「今日はね、アンジーたちがあなたのからだをいっそうキレイにケアするためにわざわざ集まってくださったのよ?」
「それなのに、背中を向けるは、お尻を突き出すは。今だって、うつむいちゃって、隠しちゃっててどうするのよ?」
「直子が裸になったら、するべき姿勢があるでしょう?わたし、さんざん教えたはずよ?」
「ほら、まず顔を上げなさい!」
同時にお尻をペチッとされて、私はうつむいていた顔を恐々上げました。
アンジェラさんと蘭子さんは、困ったような曖昧な笑顔をされています。
研修のお3人は、肩を寄せ合って興味シンシンのワクワク顔。
小野寺さんは唇の両端だけを少し上げたクールな微笑。
みなさんじっと私のからだを見つめていました。
おのおののかたと視線が合うたびに、からだの奥がキュンキュン疼いてしまいます。
「顔を上げて、前を向いて、それから?」
シーナさまが間髪を入れずにたたみかけてきました。
「直子のからだを隅々までじっくり視ていただくのに、ピッタリなポーズがあるでしょう?」
シーナさまがおっしゃっているのは、マゾの服従ポーズ、のことだとわかっていました。
ここまで来たらもう仕方ありません。
私は、まず両脚を、休め、の姿勢くらいに開き、一呼吸置いてから意を決して、両手をゆっくり胸と股間からはずし、頭の後ろで組みました。
私の動きに合わせて、アンジェラさんたちが少し身を乗り出し、隠されていた部分が露になるに連れて、視線がアチコチに散らばるのがわかりました。
ああんっ!
なんていう恥ずかしさ。
なんていうみじめさ。
みなさまがきちんとお洋服を着ている中で、ひとりだけ裸んぼの私。
それもこんな豪華なお部屋の中で、全員がファッショナブルに着飾っている中で、私だけが首にマゾな証のチョーカーひとつだけの素っ裸。
両腕を頭の後ろで組み、腋からおっぱい、アソコまで隠すことを禁じられた恥ずかしすぎるポーズで、シーナさまを含めて7人からの容赦ない好奇の視線を素肌に浴びせかけられている私。
このセレブな空間の中で、一番身分が低いのは誰なのか、ということを嫌と言うほど思い知らされる、残酷なシチュエーションでした。
妄想の中でなら今まで何度も思い描いたことがありましたが、現実でこんな目に遭うのは初めてでした。
今日出会ったばかりの、昨日までは見知らぬ同士だった人たちに全裸を視られている私。
この場にいるかたたち7人が全員お美しく、服装にも居住まいにも優雅な雰囲気を醸し出されているので、なおさら今の自分の立場が屈辱的でした。
みなさまの慰み者・・・
そんな言葉が頭に浮かび、狂おしい被虐感で今にも膝が崩れ落ちそう。
今の私ほど、メス犬マゾペットの首輪が似合う女は、この世にいないでしょう。
「あら、ずいぶんと薄いのね・・・」
私の股間をじっと見つめていたアンジェラさんが、ポツンとつぶやきました。
「そのくらいなら、たいした手間もかからなそうだし、研修にはうってつけね」
張りつめていた緊張を和らげるみたいに、アンジェラさんがおやさしいお声でおっしゃり、ほっこり笑いかけてくださいました。
「それにミス・ナオコ、きれいな裸だわ。バストも良い形だし、腋も綺麗ね。肌も良くお手入れされているようだし」
「まあ、強いて言えばウエストをもう少し絞りたいかな?」
「ほら直子、褒められたのだからお礼を言いなさい」
「あ、ありがとうございます」
シーナさまに促されて、服従ポーズのままペコリと頭を下げました。
「そんなに薄いのなら、うちに3、4回通ったら、永久ハイジニーナにもなれそうね。ミス・ナオコはそれがお望みなのでしょう?」
「あ、えっと、ハイジニーナって?・・・」
「パイパンのことよ。パイパンのエステ風おシャレな呼び方」
「直子はずっとパイパンのままが理想なんでしょ?視られたがりのマゾだから」
シーナさまが教えてくださり、私は小さく、はい、とアンジェラさんにお答えしました。
アンジェラさんが沈黙を破ってくださったおかげで、場にリラックスしたムードが若干戻り、研修のお3人も、私を視つつ、何やらヒソヒソしてはクスクス笑っていらっしゃいます。
「ご覧いただいた通り、直子はこういう女なの」
シーナさまが私の横に立ち、アンジェラさんたちにお話し始めました。
「人前で裸にされて、恥ずかしがっているクセに、ここはこんなだし・・・」
ポインターペンで、私の尖りきった左乳首をピンと弾きました。
「ぁあんっ!」
「ここも洪水みたいに濡らしちゃう、露出症のヘンタイ女」
ポインターペンが私の土手をつつきます。
「その上、わたしの命令には絶対服従の真性マゾヒスト」
ポインターペンが私の両腿の間を通過してから上に上がり、ワレメにグイッと食い込んできました。
「あっ、だめ・・・ですぅ・・・」
シーナさま、ヒドイ。
みなさまの前でそんなこと・・・
「だからくどいようだけれど、一切遠慮無しで、ぞんざいに扱っちゃっていいからね。虐めれば虐めるほど、この子は悦ぶはずだから」
「ほら、直子からもお願いしなさい」
私の股間にポインターペンの側面を食い込ませてゆっくり前後しながら、シーナさまがニヤリと笑いました。
「ほ、本日は、よ、よろしくお願いいたしますぅ」
ポインターペンの刺激にクラクラしつつ、マゾの服従ポーズのまま、悦びの声を抑え込んでなんとかご挨拶しました。
アンジェラさんたちもそれぞれ、ビミョーな笑みを浮かべて会釈を返してくださいました。
「さあさあ、それではみんな着替えて。手早く準備をしましょう!」
アンジェラさんの一声でみなさまが立ち上がりました。
「あ、直子のシャワーは、わたしが連れて行くから、蘭子さんたちはまだゆっくりしていて」
シーナさまが蘭子さんと小野寺さんにそう告げて、私の右手を取りました。
「直子は、その今踏んでいるタオルで自分のオマンコを押さえて、わたしについてきなさい」
アンジェラさんについてお部屋の外に出ようとしていた研修のお3人が、クスクス笑う声が聞こえてきました。
*
*コートを脱いで昼食を 17へ
*
2013年10月14日
コートを脱いで昼食を 15
「ほら、直子?あなたもちゃんとご挨拶なさい」
シーナさまが肘で私の脇腹をつっつきますが、私は恥ずかしさで顔を上げることが出来ません。
今のシーナさまのお言葉を聞いて、アンジェラさんたちがどんなお顔をされているのか・・・
うつむいたままモジモジするだけです。
助けてくださったのはアンジェラさんでした。
「大丈夫よ。心配しないで。わたくしたちは、ミス・シーナがとてもイジワルな人だということを、みんな知っていますから」
すっごくやさしいお声で、でもちょっぴりクスクス笑いながらおっしゃいました。
「親子ほども年の離れたマダムにイジワルしているところ、今まで何度も見ていますから、ね?」
私がそっと顔を上げると、アンジェラさんももう一人の女性も、たおやかな笑顔を浮かべて私を見つめていました。
「ところで直子はさ、ここがどんなサロンなのか、わかっている?」
シーナさまがニヤニヤしながら聞いてきます。
私は首を小さく左右に振りました。
「あら、ミス・シーナは、ミス・ナオコに何も教えずに、ここにお連れしたの?」
アンジェラさんが呆れたお顔でシーナさまを見ています。
シーナさまはアンジェラさんには答えず、さらに私に聞いてきました。
「じゃあさ、想像でいいから、このサロンは、何をするところだと思う?」
「えっと・・・」
言っちゃっていいのか、少し迷いましたが、正直に思ったことをお答えしました。
「あの・・・よくはわかりませんが、たぶん・・・な、なにか、えっちなことを、するところ?」
本当は、SMプレイのサロンで、アンジェラさんたちは、おやさしそうなお顔をされているけれど、実は女王様なのじゃないかな、って考えていたのですが、それではあまりにストレート過ぎるので、少しぼかしました。
「ほらね。聞いたでしょ?直子、それは想像じゃなくて、あなたの願望よ」
「この子はね、こういう子なの。こんな澄ました顔してても、頭の中では年がら年中、いやらしいことばっかり考えているのよ」
すかさずのシーナさまのツッコミに、私は再びうなだれてしまいます。
うなだれる寸前に、アンジェラさんが苦笑いを浮かべているのが見えました。
「いい?直子。このサロンはね、知る人ぞ知る、とっても評判のいいエステティックサロンなの」
「それも富裕層のマダムやその子女限定で、完全紹介会員制。表立っては一切広告宣伝していなくて、ある種のステイタスがなければ施術を受けるどころか、この場に入ることさえ出来ない、隠れ家的な高級エステなの」
「こちらにいるアンジー、アンジェラ先生が、このサロンのチーフ・エステティシャンで、スゴイのよ。世界中の美容業界を飛び回って、最新の技術をいつも研究されているの」
「その上、看護師やら美容師やら整体師やら、あと何だっけ?とにかくその手の資格全部持っているから、美容関係のことは何でも出来ちゃうの」
「エンヴィって英語で、妬む、とか、羨む、っていう意味なのだけれど、ここに来れば誰でも、人から羨まれて妬まれるくらい美しくなれる、っていう意味が込められているんだって」
シーナさまがまくしたてるみたいに説明してくださいました。
「わたしのアレのひとりがここの会員だったからさ、わたしも出入り出来るようになって、いろいろお世話になっているのよ」
「ミス・シーナには、良いお客様を何人もご紹介いただいて、感謝しているわ」
アンジェラさんが嬉しそうにうなずきながらおっしゃいました。
「そう言えばミス・シーナ。マダム・ワカバヤシはお元気かしら?」
「あら?二週間前くらいに来なかった?わたし、バンコクにいたときにメールで命令を出しておいたのだけれど」
「ああ、ご存知だったのね。それならいいわね。確かにいらしたわ。いつものコースで」
「そうでしょう?キレイになっていたもの。相変わらずよ。あのメス犬の貪欲なド淫乱さには、わたしのほうが疲れちゃうくらいだわ」
「あらあら。だけどマダム・ワカバヤシがあのお年になっても若々しくてお綺麗なのは、80パーセントくらいはミス・シーナのおかげよね」
シーナさまとアンジェラさんが楽しそうに笑っています。
マダム・ワカバヤシさんて、たぶん私のマンションの一番上の階を所有している、シーナさまのドレイ兼パトロンなおばさまのことでしょう。
楽しそうにお話されるシーナさまに、私はなんだかフクザツな気分。
「それにアンジー、さすがだわ。うちのメス犬とわたしとの関係は知っているクセに、無闇に顧客の情報を漏らさない、その姿勢はたいしたものよ」
シーナさまが私のほうに向きました。
「アンジーはね、スペイン系のクォーターでね、日本語以外も5、6ヶ国語くらいペラペラなのよ」
「それでね、会員制とは言っても、めんどくさいお客も少しは来るのよね」
「なまじお金が有り余っているから傲慢になりがちなのよ、そういうマダムは」
「そんなときアンジーはね、そのお客に絶対わからない言葉、ドイツ語とかスペイン語とかでね、ちっちゃな声でヒドイ悪態ついてたりするのよ、その客の目の前でニコニコ笑いながら」
愉快そうに笑うシーナさま。
「あらやだ!ミス・シーナ、気づいていたの!?困ったわ、あなたの前だったら何語で悪態をつけばいいのかしら?」
ひとしきり、楽しげな笑い声が響きました。
「そんなわけで、今日は直子に、このサロンの超一流の技術で、よりいっそうキレイになってもらおうと思って連れてきたのよ」
「ここのエステのモットーはね、お客様が喜ぶことを全力でしてさしあげること、なんだって。直子が喜ぶこと、って、わかるでしょ?」
「だから安心して、わたしの言う通りにしなさい」
シーナさまの目が一瞬、妖しく光った気がしました。
「そうそう、ご紹介が遅れてしまったわ。わたくしの隣のこの女性は、うちのスタッフの一人で・・・」
アンジェラさんのお言葉が終わらないうちに、その女性がスクッと立ち上がりました。
「夏目蘭子です。どうぞよろしくお願いいたします」
スッと私に名刺が差し出され、私も慌てて立ち上がりました。
夏目蘭子さんは、三人の中では一番肉感的なタイプでした。
と言っても決してふくよかなのではなく、出るところは出て、引っ込むべきとことは引っ込んでいる、つまりすっごくプロポーションが良いのです。
薄手のカシミアらしいベージュのロングセーターに包まれたその肢体は、まさにボンキュッボン、見蕩れちゃうほどセクシー。
細面に涼しげな目元、少しカールしたボブカットでニッコリ微笑んだ姿は、まるでファッションショーの一流モデルさんのようでした。
「蘭子さんのマッサージはね、本当、魔法みたいなのよ」
シーナさまが嬉しそうに、お口をはさんできました。
「それはもう、からだ中が蕩けちゃうくらい気持ち良くて、終わったら何もかもがスッキリ。肩凝りでも筋肉痛でもストレスでも、跡形もなく消えちゃうの。まさにマジックね」
「あとでわたし、蘭子さんにマッサージしてもらうんだ。それで指名して、わざわざ今日来てもらったのよ」
シーナさま、本当に嬉しそう。
「そして、あそこに座っているのがわたくしの秘書、小野寺梓さん。事務関係全般とスケジューリングなんかをやってもらってるの」
アンジェラさんのご紹介で、受付の美人さんが立ち上がり、私に向かってさっきと同じような完璧なお辞儀をしてくださいました。
私も丁寧にペコリ。
「さあ、これで今日来ているスタッフの紹介は終わったわね。ミス・ナオコも今日からわたくしのサロンの会員よ。ミス・シーナのご紹介だもの、大歓迎よ。いつでもお好きなときに遊びにいらっしゃい」
アンジェラさんがニッコリ笑いながらおっしゃってくれました。
「もちろん、ペイのほうは全部、ミス・シーナにツケておくから。何も心配はいらないわ」
「望むところよ。わたしも直子がもっとキレイになるのなら、そんな出費なんてまったく気にもしないわ」
「でも、お振込みの名義はなぜだか、マダム・ワカバヤシなのでしょう?」
またひとしきり、楽しげな笑い声が響きました。
シーナさまもアンジェラさんも、どこまで本気なのだか。
「さて、それじゃあそろそろ始めたいと思うのだけれど、その前にやっぱり、もう一度確認しておくわ。ミス・シーナ、例の件だけれど」
「例の件、って・・・ああ、研修のこと?」
「そう。わたくし、てっきりミス・シーナはまた、誰かそういうマダムをお連れになると思っていたから、気軽にお頼みしちゃったのだけれど、お連れになったのはマダムどころか、可愛らしいマドモアゼルじゃない?本当にいいのかな、って」
「大丈夫よ。気にしないでやってちょうだい」
「でも、ああいうところを見られるのって、すごく恥ずかしいのじゃない?それも、年が近い子たちだと、とくに・・・」
ご心配顔のアンジェラさんが私の顔を覗き込むように見てきます。
「大丈夫よ。モーマンタイ。直子なら、むしろそのほうがいい、っていうくらいよ」
シーナさまも私の顔をチラチラ見ながら、つづけました。
「この直子はね、こう見えて、かなりのヘンタイ娘なのよ。見せたがり、っていうよりも、視られたがり、ね」
「だからこの後のことも、余計な気遣い、気配りは一切、まったくいらないから。うちのメス犬にするときみたいに、いいえ、もっと大胆な格好をさせてもかまわないわ」
「直子はクラシックバレエをやっているから、からだがかなり柔らかいの。だから研修もやりやすいと思うわよ。言うこときかなかったら遠慮なくお尻叩いちゃっていいから」
「だけどこの子、すごく敏感ですぐ濡れちゃうから、そういう意味ではちょっと、やりにくいかもしれないけれどね」
えっ!?
シーナさまったら、普通のお顔でシラッと、スゴイことをおっしゃっていません?
私の恥ずかしい性癖をどんどんバラしちゃってる。
それで、アンジェラさんも、それを真剣に聞いていらっしゃる。
ここってエステなのよね?
私、これから何されるの?
再び頭がパニックになって、全身を火照らせたままうなだれてしまいました。
「そう。そういうことなら、お言葉に甘えて予定通りでいきましょう。ミス・ナオコがそれを望んでいらっしゃる、と聞いて安心しました」
えーーっ!そんなこと私、言ってない・・・
「それなら一応、始める前に研修の子たちにもご挨拶させるわね。小野寺さん、呼んでちょうだい」
私がうなだれているあいだに、事態はどんどん進行していきました。
「ほら、直子っ」
シーナさまに肘で脇腹をつっつかれて、恐る恐る顔を上げました。
新たに、それぞれカラフルな私服を着た可愛らしい系の女性が3人、アンジェラさんの後ろに並んでいました。
私が顔を上げたと同時に、
「よろしくおねがいしまぁーす!」
声を揃えて元気良く、ご挨拶されました。
「えーっと、向かって左から、アリナさんとマリナさんとセリナさん。偶然3人とも似たような名前だけれど、こういう名前を付けるのが流行っていた世代なのかしらね?」
「3人ともうちの見習いスタッフで、入ってまだ日が浅いから、アロマテラピーやマッサージはほぼ習得したのだけれど、これからやる施術の現場は初めてなのね」
「だから今日、わたくしがミス・ナオコに施術するところを見せて、覚えてもらおうと思っているの」
「ひょっとすると、実際にこの子たちにもやらせてみるかもしれないけれど、わたくしが付いて細心の注意を払っているから、どうかご安心してご協力くださいね?」
「どうぞよろしくおねがいいたしまぁーす!」
再び声を揃えて元気良く、お願いされてしまいました。
「は、はい・・・」
そう答える他ありません。
「それにしても、アンジーのサロンのスタッフって、全員もれなく美人よね?」
シーナさまが前に並んだ5人をしげしげと見回しながらおっしゃいました。
私もそう思っていました。
それもみんなタイプの違う美人さん。
アンジェラさんは華やかなエキゾティック・ビューティ、小野寺さんはインテリジェント・クール・ビューティ、蘭子さんはグラマラス・ビューティ。
研修でご一緒されるという3人も、年齢は私とそう変わらない感じで、それぞれ、どこかの美少女アイドルグループや女性ファッション誌の読者モデルさんと言われても信じちゃうくらい、キュートな美人さん揃いでした。
「それはそうよ。わたくしたちは、女性の美を追求するエステティシャンなのですもの」
「ねえ、ミス・シーナ?たとえばあなた、頭に毛がなくなっちゃった社員が何人も働いている製薬会社の育毛促進剤、買う気になる?」
「つまりそういうこと。スタッフが美しくないビューティサロンなんて、誰も来やしないわよ」
「だからわたくしはいつも、スタッフには自分の美しさをキープする努力を、まず一番に要求しているの」
「ミス・ナオコ、あなたもその気があったら、うちで修行させてあげるわよ?」
アンジェラさんがパチンとウインクをくださいました。
「さあ、それでは始めましょうか?」
アンジェラさんのひと声で、その場にピーンと緊張感が走りました。
「ミス・ナオコには、あちらのドレッシングルームで準備していただいて、施術するみんなはユニフォームに着替えて・・・」
アンジェラさんがそこまでおっしゃったとき、遮るようにシーナさまの鋭いお声が響きました。
「ちょっと待って。アンジー?わたし言ったはずよ?余計な気遣いは一切無用だって。直子にはドレッシングルームなんて贅沢なものは、いらないの」
「みなさんも、もう少しそこでラクにしていていいわ。今、面白いものをお見せするから」
そして、シーナさまが私を見ました。
「直子?」
「は、はい」
「裸になりなさい」
「えっ?」
「今すぐ着ているものを全部脱ぎなさい」
「え、えっと、こ、ここで、ですか?」
「何回言わせるの?早く裸になりなさい」
シーナさまの瞳にエスの炎がチロチロと揺れ始めていました。
*
*コートを脱いで昼食を 16へ
*
シーナさまが肘で私の脇腹をつっつきますが、私は恥ずかしさで顔を上げることが出来ません。
今のシーナさまのお言葉を聞いて、アンジェラさんたちがどんなお顔をされているのか・・・
うつむいたままモジモジするだけです。
助けてくださったのはアンジェラさんでした。
「大丈夫よ。心配しないで。わたくしたちは、ミス・シーナがとてもイジワルな人だということを、みんな知っていますから」
すっごくやさしいお声で、でもちょっぴりクスクス笑いながらおっしゃいました。
「親子ほども年の離れたマダムにイジワルしているところ、今まで何度も見ていますから、ね?」
私がそっと顔を上げると、アンジェラさんももう一人の女性も、たおやかな笑顔を浮かべて私を見つめていました。
「ところで直子はさ、ここがどんなサロンなのか、わかっている?」
シーナさまがニヤニヤしながら聞いてきます。
私は首を小さく左右に振りました。
「あら、ミス・シーナは、ミス・ナオコに何も教えずに、ここにお連れしたの?」
アンジェラさんが呆れたお顔でシーナさまを見ています。
シーナさまはアンジェラさんには答えず、さらに私に聞いてきました。
「じゃあさ、想像でいいから、このサロンは、何をするところだと思う?」
「えっと・・・」
言っちゃっていいのか、少し迷いましたが、正直に思ったことをお答えしました。
「あの・・・よくはわかりませんが、たぶん・・・な、なにか、えっちなことを、するところ?」
本当は、SMプレイのサロンで、アンジェラさんたちは、おやさしそうなお顔をされているけれど、実は女王様なのじゃないかな、って考えていたのですが、それではあまりにストレート過ぎるので、少しぼかしました。
「ほらね。聞いたでしょ?直子、それは想像じゃなくて、あなたの願望よ」
「この子はね、こういう子なの。こんな澄ました顔してても、頭の中では年がら年中、いやらしいことばっかり考えているのよ」
すかさずのシーナさまのツッコミに、私は再びうなだれてしまいます。
うなだれる寸前に、アンジェラさんが苦笑いを浮かべているのが見えました。
「いい?直子。このサロンはね、知る人ぞ知る、とっても評判のいいエステティックサロンなの」
「それも富裕層のマダムやその子女限定で、完全紹介会員制。表立っては一切広告宣伝していなくて、ある種のステイタスがなければ施術を受けるどころか、この場に入ることさえ出来ない、隠れ家的な高級エステなの」
「こちらにいるアンジー、アンジェラ先生が、このサロンのチーフ・エステティシャンで、スゴイのよ。世界中の美容業界を飛び回って、最新の技術をいつも研究されているの」
「その上、看護師やら美容師やら整体師やら、あと何だっけ?とにかくその手の資格全部持っているから、美容関係のことは何でも出来ちゃうの」
「エンヴィって英語で、妬む、とか、羨む、っていう意味なのだけれど、ここに来れば誰でも、人から羨まれて妬まれるくらい美しくなれる、っていう意味が込められているんだって」
シーナさまがまくしたてるみたいに説明してくださいました。
「わたしのアレのひとりがここの会員だったからさ、わたしも出入り出来るようになって、いろいろお世話になっているのよ」
「ミス・シーナには、良いお客様を何人もご紹介いただいて、感謝しているわ」
アンジェラさんが嬉しそうにうなずきながらおっしゃいました。
「そう言えばミス・シーナ。マダム・ワカバヤシはお元気かしら?」
「あら?二週間前くらいに来なかった?わたし、バンコクにいたときにメールで命令を出しておいたのだけれど」
「ああ、ご存知だったのね。それならいいわね。確かにいらしたわ。いつものコースで」
「そうでしょう?キレイになっていたもの。相変わらずよ。あのメス犬の貪欲なド淫乱さには、わたしのほうが疲れちゃうくらいだわ」
「あらあら。だけどマダム・ワカバヤシがあのお年になっても若々しくてお綺麗なのは、80パーセントくらいはミス・シーナのおかげよね」
シーナさまとアンジェラさんが楽しそうに笑っています。
マダム・ワカバヤシさんて、たぶん私のマンションの一番上の階を所有している、シーナさまのドレイ兼パトロンなおばさまのことでしょう。
楽しそうにお話されるシーナさまに、私はなんだかフクザツな気分。
「それにアンジー、さすがだわ。うちのメス犬とわたしとの関係は知っているクセに、無闇に顧客の情報を漏らさない、その姿勢はたいしたものよ」
シーナさまが私のほうに向きました。
「アンジーはね、スペイン系のクォーターでね、日本語以外も5、6ヶ国語くらいペラペラなのよ」
「それでね、会員制とは言っても、めんどくさいお客も少しは来るのよね」
「なまじお金が有り余っているから傲慢になりがちなのよ、そういうマダムは」
「そんなときアンジーはね、そのお客に絶対わからない言葉、ドイツ語とかスペイン語とかでね、ちっちゃな声でヒドイ悪態ついてたりするのよ、その客の目の前でニコニコ笑いながら」
愉快そうに笑うシーナさま。
「あらやだ!ミス・シーナ、気づいていたの!?困ったわ、あなたの前だったら何語で悪態をつけばいいのかしら?」
ひとしきり、楽しげな笑い声が響きました。
「そんなわけで、今日は直子に、このサロンの超一流の技術で、よりいっそうキレイになってもらおうと思って連れてきたのよ」
「ここのエステのモットーはね、お客様が喜ぶことを全力でしてさしあげること、なんだって。直子が喜ぶこと、って、わかるでしょ?」
「だから安心して、わたしの言う通りにしなさい」
シーナさまの目が一瞬、妖しく光った気がしました。
「そうそう、ご紹介が遅れてしまったわ。わたくしの隣のこの女性は、うちのスタッフの一人で・・・」
アンジェラさんのお言葉が終わらないうちに、その女性がスクッと立ち上がりました。
「夏目蘭子です。どうぞよろしくお願いいたします」
スッと私に名刺が差し出され、私も慌てて立ち上がりました。
夏目蘭子さんは、三人の中では一番肉感的なタイプでした。
と言っても決してふくよかなのではなく、出るところは出て、引っ込むべきとことは引っ込んでいる、つまりすっごくプロポーションが良いのです。
薄手のカシミアらしいベージュのロングセーターに包まれたその肢体は、まさにボンキュッボン、見蕩れちゃうほどセクシー。
細面に涼しげな目元、少しカールしたボブカットでニッコリ微笑んだ姿は、まるでファッションショーの一流モデルさんのようでした。
「蘭子さんのマッサージはね、本当、魔法みたいなのよ」
シーナさまが嬉しそうに、お口をはさんできました。
「それはもう、からだ中が蕩けちゃうくらい気持ち良くて、終わったら何もかもがスッキリ。肩凝りでも筋肉痛でもストレスでも、跡形もなく消えちゃうの。まさにマジックね」
「あとでわたし、蘭子さんにマッサージしてもらうんだ。それで指名して、わざわざ今日来てもらったのよ」
シーナさま、本当に嬉しそう。
「そして、あそこに座っているのがわたくしの秘書、小野寺梓さん。事務関係全般とスケジューリングなんかをやってもらってるの」
アンジェラさんのご紹介で、受付の美人さんが立ち上がり、私に向かってさっきと同じような完璧なお辞儀をしてくださいました。
私も丁寧にペコリ。
「さあ、これで今日来ているスタッフの紹介は終わったわね。ミス・ナオコも今日からわたくしのサロンの会員よ。ミス・シーナのご紹介だもの、大歓迎よ。いつでもお好きなときに遊びにいらっしゃい」
アンジェラさんがニッコリ笑いながらおっしゃってくれました。
「もちろん、ペイのほうは全部、ミス・シーナにツケておくから。何も心配はいらないわ」
「望むところよ。わたしも直子がもっとキレイになるのなら、そんな出費なんてまったく気にもしないわ」
「でも、お振込みの名義はなぜだか、マダム・ワカバヤシなのでしょう?」
またひとしきり、楽しげな笑い声が響きました。
シーナさまもアンジェラさんも、どこまで本気なのだか。
「さて、それじゃあそろそろ始めたいと思うのだけれど、その前にやっぱり、もう一度確認しておくわ。ミス・シーナ、例の件だけれど」
「例の件、って・・・ああ、研修のこと?」
「そう。わたくし、てっきりミス・シーナはまた、誰かそういうマダムをお連れになると思っていたから、気軽にお頼みしちゃったのだけれど、お連れになったのはマダムどころか、可愛らしいマドモアゼルじゃない?本当にいいのかな、って」
「大丈夫よ。気にしないでやってちょうだい」
「でも、ああいうところを見られるのって、すごく恥ずかしいのじゃない?それも、年が近い子たちだと、とくに・・・」
ご心配顔のアンジェラさんが私の顔を覗き込むように見てきます。
「大丈夫よ。モーマンタイ。直子なら、むしろそのほうがいい、っていうくらいよ」
シーナさまも私の顔をチラチラ見ながら、つづけました。
「この直子はね、こう見えて、かなりのヘンタイ娘なのよ。見せたがり、っていうよりも、視られたがり、ね」
「だからこの後のことも、余計な気遣い、気配りは一切、まったくいらないから。うちのメス犬にするときみたいに、いいえ、もっと大胆な格好をさせてもかまわないわ」
「直子はクラシックバレエをやっているから、からだがかなり柔らかいの。だから研修もやりやすいと思うわよ。言うこときかなかったら遠慮なくお尻叩いちゃっていいから」
「だけどこの子、すごく敏感ですぐ濡れちゃうから、そういう意味ではちょっと、やりにくいかもしれないけれどね」
えっ!?
シーナさまったら、普通のお顔でシラッと、スゴイことをおっしゃっていません?
私の恥ずかしい性癖をどんどんバラしちゃってる。
それで、アンジェラさんも、それを真剣に聞いていらっしゃる。
ここってエステなのよね?
私、これから何されるの?
再び頭がパニックになって、全身を火照らせたままうなだれてしまいました。
「そう。そういうことなら、お言葉に甘えて予定通りでいきましょう。ミス・ナオコがそれを望んでいらっしゃる、と聞いて安心しました」
えーーっ!そんなこと私、言ってない・・・
「それなら一応、始める前に研修の子たちにもご挨拶させるわね。小野寺さん、呼んでちょうだい」
私がうなだれているあいだに、事態はどんどん進行していきました。
「ほら、直子っ」
シーナさまに肘で脇腹をつっつかれて、恐る恐る顔を上げました。
新たに、それぞれカラフルな私服を着た可愛らしい系の女性が3人、アンジェラさんの後ろに並んでいました。
私が顔を上げたと同時に、
「よろしくおねがいしまぁーす!」
声を揃えて元気良く、ご挨拶されました。
「えーっと、向かって左から、アリナさんとマリナさんとセリナさん。偶然3人とも似たような名前だけれど、こういう名前を付けるのが流行っていた世代なのかしらね?」
「3人ともうちの見習いスタッフで、入ってまだ日が浅いから、アロマテラピーやマッサージはほぼ習得したのだけれど、これからやる施術の現場は初めてなのね」
「だから今日、わたくしがミス・ナオコに施術するところを見せて、覚えてもらおうと思っているの」
「ひょっとすると、実際にこの子たちにもやらせてみるかもしれないけれど、わたくしが付いて細心の注意を払っているから、どうかご安心してご協力くださいね?」
「どうぞよろしくおねがいいたしまぁーす!」
再び声を揃えて元気良く、お願いされてしまいました。
「は、はい・・・」
そう答える他ありません。
「それにしても、アンジーのサロンのスタッフって、全員もれなく美人よね?」
シーナさまが前に並んだ5人をしげしげと見回しながらおっしゃいました。
私もそう思っていました。
それもみんなタイプの違う美人さん。
アンジェラさんは華やかなエキゾティック・ビューティ、小野寺さんはインテリジェント・クール・ビューティ、蘭子さんはグラマラス・ビューティ。
研修でご一緒されるという3人も、年齢は私とそう変わらない感じで、それぞれ、どこかの美少女アイドルグループや女性ファッション誌の読者モデルさんと言われても信じちゃうくらい、キュートな美人さん揃いでした。
「それはそうよ。わたくしたちは、女性の美を追求するエステティシャンなのですもの」
「ねえ、ミス・シーナ?たとえばあなた、頭に毛がなくなっちゃった社員が何人も働いている製薬会社の育毛促進剤、買う気になる?」
「つまりそういうこと。スタッフが美しくないビューティサロンなんて、誰も来やしないわよ」
「だからわたくしはいつも、スタッフには自分の美しさをキープする努力を、まず一番に要求しているの」
「ミス・ナオコ、あなたもその気があったら、うちで修行させてあげるわよ?」
アンジェラさんがパチンとウインクをくださいました。
「さあ、それでは始めましょうか?」
アンジェラさんのひと声で、その場にピーンと緊張感が走りました。
「ミス・ナオコには、あちらのドレッシングルームで準備していただいて、施術するみんなはユニフォームに着替えて・・・」
アンジェラさんがそこまでおっしゃったとき、遮るようにシーナさまの鋭いお声が響きました。
「ちょっと待って。アンジー?わたし言ったはずよ?余計な気遣いは一切無用だって。直子にはドレッシングルームなんて贅沢なものは、いらないの」
「みなさんも、もう少しそこでラクにしていていいわ。今、面白いものをお見せするから」
そして、シーナさまが私を見ました。
「直子?」
「は、はい」
「裸になりなさい」
「えっ?」
「今すぐ着ているものを全部脱ぎなさい」
「え、えっと、こ、ここで、ですか?」
「何回言わせるの?早く裸になりなさい」
シーナさまの瞳にエスの炎がチロチロと揺れ始めていました。
*
*コートを脱いで昼食を 16へ
*
2013年10月13日
コートを脱いで昼食を 14
ジュエルケースにしまっておいたチョーカーを取り出しました。
手に取っただけでからだが火照ってきます。
鏡の前で、そっと首にあてがってみました。
うわ、すっごく目立っちゃう・・・
白いブラウスとベージュのジャケットといういでたちの中では、首元に艶のあるエンジ色はとても目立ちます。
これを着けると街中にマゾオーラを撒き散らしてしまうので、外出時の装着は禁止されていた首輪型チョーカー。
それなのに今日は、これを着けて外出、っていうご命令です。
メス犬マゾペットの首輪を着けてマゾオーラ全開の私の姿を、シーナさまはいったい誰にお見せになる気なのでしょう?
下半身がモヤモヤ疼いて仕方ありません。
チョーカーをジャケットのポケットに入れて、ハンドバッグを片手にマンションを出ました。
マンションの門から10メートルくらい離れた路上に、見覚えのある黄色くて四角張った可愛らしい感じのシーナさまの愛車が、ライトをチカチカさせて待っていました。
「お待たせしました」
助手席に乗り込むと、シーナさまが右手のひらを上に向けて、黙ったまま私の前に突き出してきました。
「あ、はい・・・」
ポケットからチョーカーを取り出し、シーナさまの手のひらの上に乗せて、背中を向けます。
シーナさまが手際よく、私の首にチョーカーを装着してくださいました。
前を向くと、車のルームミラーに私の首元が映りました。
やっぱり目立つ・・・
鏡の中の自分と目が合って、頬が火照ってきました。
「うん。いい感じ。とても直子らしくなったわ」
首だけ左にひねってずっと私を見ていたシーナさまが、嬉しそうにおっしゃいました。
「今日はわたしと一緒だから、思う存分マゾオーラ発散しちゃっていいから。でも、普通にアクセとしても、ちゃんと似合っているわよ」
シーナさまが私の右頬に軽くチュッとしてくれました。
そのまま私の右耳に唇を寄せて、
「どうせまた、濡れてきてるんでしょ?」
低くささやかれました。
「は、はい・・・」
チョーカーを着けられたときから、アソコの奥がキュンキュンうごめきだし、今のシーナさまのささやきの途端に、自分でも、あっ、と思うくらいたくさん、分泌物が滲み出てきているのがわかりました。
「ふんっ。いやらしい子」
シーナさまが投げ捨てるみたいにつぶやき、車がスイーッと滑り出しました。
車の中でも、スカートをまくれとかいう類のえっちなご命令は一切無く、シーナさまは運転しながら、イスタンブールで食べたサバのサンドウィッチのお話などをされていました。
私は首のチョーカーが気になって、お話をお聞きしながらも時折ルームミラーをチラ見してはドキドキしていたのですが、やがて気持ちが落ち着いてきました。
車はしばらく、交通量の多い大通りを走ってから、住宅街ぽい脇道に入りました。
その住宅街は、どのお家も一軒一軒の敷地が広く、ゆったりと立ち並んで、全体的に落ち着いた雰囲気を醸し出していました。
どのお家もデザインが洒落ていて、塀や門が立派で緑も多く、どう見てもお屋敷、という感じな趣のあるお住まいもありました。
「もうすぐ着くわよ」
窓の外をもの珍しげに、熱心に眺めている私に、シーナさまからお声がかかりました。
「あ、はい。えっと、ここは、このあたりは、どこなのですか?」
「駅で言うと目白になるわね。いわゆる高級住宅街っていうやつよ」
目白って言うと、池袋の一つ隣です。
駅一つ違うだけで、こんなに街の雰囲気が変わるなんて。
あらためて東京ってすごいなー、って思っていると、車が減速して左へ曲がり、アーチ型のゲートをくぐって地下へつづくらしいスロープを降りていきました。
ゲートをくぐるときに、その敷地内に建っている建物が見えました。
高校のとき、家族旅行で訪れて見たことのある、パリの高級アパルトメントのような瀟洒な、目を惹く外観のアンティークぽい建物でした。
リゾート地のホテルとかにありそうなデザイン。
ホテルなのかな?
でもまさか、こんな高級住宅街にはホテルなんて建てないだろうし・・・
スロープを降りた先は、車が10台くらい置ける駐車場になっていました。
シーナさまは空いているスペースに手慣れたハンドルさばきで車を停めました。
「充分間に合ったわね。よかった。土曜日だからもう少し渋るかと思ったわ」
「あの、シーナさま、ここは・・・何ですか?」
「え?あっ、ひょっとしてラブホかなんかだと思ってる?あの外観見て」
シーナさまが可笑しそうにクスクス笑います。
「そんなわけないじゃない。ここは普通のマンションよ。あ、でも普通ではないわね、お家賃的には、高級マンション、に該当する物件だから」
車を降りてふたり、駐車場に隣接したエレベーターホールへ向かいました。
「そうそう、今日の直子は、モリタナオコだから。その名前で先方には言ってあるから」
「だから、モリタさま、って呼ばれたらちゃんと返事してね」
「本名だとちょっとマズイかな、とも思ったのよ。だから、これからずっと、ここに来たらあなたは、モリタナオコだから、ね?」
「は、はい・・・」
本名だとマズイこと、って何だろう?
シーナさまが企てたことですから、えっちな事柄に関連することであるのは間違いありません。
先方、とおっしゃったから、これから誰かと会うことになるのも確実です。
本名を隠しておいて良かった、と思うくらい、その人の前でとんでもなく恥ずかしいめに遭わされちゃうのでしょうか。
ドキドキがどんどん激しくなってきました。
「14時から予約を入れているシーナです」
エレベーターの扉脇に付いたテンキーを操作してから、シーナさまがインターフォン越しに告げました。
ほどなくエレベーターが降りてきて、扉が開きました。
シーナさまが4階のボタンを押し、エレベーターが上昇を始めます。
監視カメラが付いているらしく、天井付近のモニターに私たちふたりの姿が俯瞰図で映っていました。
その映像の中でも、私の首のチョーカーは、かなり目立っていました。
「さあ、いよいよだわね、直子。いろいろがんばって、ね?」
シーナさまが嬉しそうに謎な言葉を投げて、私にパチンとウインクしました。
エレベーターの扉が開くと、そこはホテルのフロントみたいになっていました。
大理石の床と壁に、木目も鮮やかで重厚なカウンターが置かれ、その向こうでスーツを着た綺麗な女性がニッコリ微笑んでいました。
「ようこそいらっしゃいませ、シーナさま、そしてモリタさま。お待ちしておりました」
両手を前で揃えた完璧なお辞儀の後、またニッコリと微笑みます。
「どうぞ、こちらのお部屋へお入りください。チーフも中ですでに準備して、おふたりのご到着をお待ちしておりますから」
カウンターから出てきて、私たちを案内するために一歩先を歩いていく彼女。
そのタイトなスカートからスラリと伸びた脚線美に見蕩れていたら、お部屋のドアが開きました。
「お履物はここでお脱ぎいただいて、ご用意いたしましたその室内履きにお履き換えください」
女性が一歩退いて、私たちを入口のお部屋側に通してくれました。
そこから覗いたお部屋の様子に、もうびっくり。
ゴージャス。
その一言しか思い浮かびませんでした。
応接間にしては、いささか広すぎる床のほとんどを覆っている、暖色系のグラデーションによるアラベスク文様鮮やかな、毛足の長いペルシャ絨毯。
適材適所に置かれた、アンティークながらお手入れの行き届いていそうな、見るからに高級そうな猫脚の家具たち。
品良く飾られた、どこかで目にしたことのあるような絵画と彫刻。
きっとレプリカではなく本物なのでしょう。
お部屋の中央付近には大理石の大きめなテーブルが置かれ、そのテーブルを挟んで、柔らかそうなソファーに腰掛けたご婦人がふたり、ティーカップを前にして談笑されていました。
お部屋全体に、お香なのかアロマキャンドルなのか、何とも言えない甘くていい香りが漂っています。
豪華すぎるお部屋を前にして呆然と立ち尽くす私を尻目に、シーナさまはスタスタとテーブルのほうへと歩いていかれました。
「ミス・シーナ、お久しぶりね。会いたかったわ」
こちらを向いてソファーに腰掛けていたご婦人がゆっくりと立ち上がり、テーブルの脇に立ってシーナさまを迎え、やんわりとふたり抱擁されました。
「チーフのお仕事、順調に伸びているみたいね。下の駐車場で見たわよ。また車、変えたでしょ?」
「ああ。あれはお客様の送迎用の車よ。設備投資みたいなもの」
「ここのお得意様って、新型のジャガーで送り迎えしてもらえるんだ。リッチだわねー」
おふたりがとても親しげに、お話されています。
シーナさまのお相手をされているご婦人は、パッと見た感じ20代後半から30代前半。
ゆったりとした品の良いパープル系のワンピースで、からだつきはスレンダー、胸元に3連の細いゴールドチェーンがキラキラ揺れています。
お顔が小さくて彫りが深く、背もけっこう高めだから、ひょっとすると欧米系のハーフさんかもしれません。
そのクッキリした目鼻立ちをキツクならないように上手にメイクして、ショートめの髪をゆるやかなウェーブで左右に分け、全体として、すっごく華やかな美人さん、という印象です。
「ほら、直子も早く、こちらにいらっしゃい」
シーナさまに促され、案内していただいたスーツの女性にも、微笑みながら、どうぞ、という手振りで後ろから促され、おずおずと柔らかな絨毯をフワフワのスリッパで踏んで、シーナさまに近づきました。
「それにしても、ミス・シーナがこんなにお若いかたをお連れになるとは、思いもよらなかったわ。ミス・シーナ、あなた最近、趣味変わったの?」
チーフと呼ばれた、ハーフなお顔のご婦人が、心底驚いたという感じで、シーナさまを見つめています。
「そういうことではないけれどね。この子はいろいろワケありでさ。まあそれはともかく、紹介する・・・」
シーナさまが私のほうを向いて、チーフさんのことを私にご紹介してくれそうになったとき、チーフさんが私に向けて名刺を差し出してきました。
「ミス・モリタさん、だったわよね?わたくしはこういうものです。今後ともよろしくね」
チーフさんがニコッと笑いかけてくれました。
受け取った名刺を見てみます。
サロン エンヴィ envy (艶美)
代表 アンジェラ 樹里
それに住所と電話番号が書いてありました。
裏返すと同じことが英語で書いてあります。
「サロン?」
思わず独り言を小さくつぶやいてしまいました。
「だからね、ここは・・・」
シーナさまが私に説明しようとすると、再びチーフさん、つまりアンジェラさんが遮りました。
「まあまあ、立ち話もなんだから、一回みんな座りましょう。小野寺さん、お茶をご用意して」
小野寺さんと呼ばれた、受付のスーツ姿の女性がお部屋の奥へ消え、私とシーナさまは、さっきまでアンジェラさんが座っていた側のソファーに並んで腰掛け、アンジェラさんは、先ほどまで談笑されていたもうひとりの女性の隣に腰掛けました。
ほどなく小野寺さんが、お紅茶とチーズケーキを人数分持ってきてくださり、小野寺さんは、お部屋の入口近くにある椅子に、ひとり離れてお座りになりました。
「それじゃあまずわたしから、あらためてご紹介するわ」
おのおのがティーカップを一口傾け、チーズケーキをひとかけら頬張り一息ついた後、シーナさまが口火を切りました。
「今日初めてこのサロンのお世話になる、こちらの女性は・・・」
そこで一呼吸置き私のほうを見て、ニッと一瞬笑いました。
すぐにアンジェラさんたちのほうに向き直り、私を右手でバスガイドさんのように指し示しながら、シーナさまがつづけます。
「一番新しいわたしのドレイ、モリタナオコです」
えっ!?
シーナさま今、私のことを、わたしのドレイ、っておっしゃらなかった?
えーっ!?
私の聞き間違いじゃないよね?
えーーっ!?
何それ?そんなこと言っちゃっていいの?えーーーーっ!何?何?何?何?
思いもよらないシーナさまのお言葉に、私はあっさりパニックに陥りました。
*
*コートを脱いで昼食を 15へ
*
手に取っただけでからだが火照ってきます。
鏡の前で、そっと首にあてがってみました。
うわ、すっごく目立っちゃう・・・
白いブラウスとベージュのジャケットといういでたちの中では、首元に艶のあるエンジ色はとても目立ちます。
これを着けると街中にマゾオーラを撒き散らしてしまうので、外出時の装着は禁止されていた首輪型チョーカー。
それなのに今日は、これを着けて外出、っていうご命令です。
メス犬マゾペットの首輪を着けてマゾオーラ全開の私の姿を、シーナさまはいったい誰にお見せになる気なのでしょう?
下半身がモヤモヤ疼いて仕方ありません。
チョーカーをジャケットのポケットに入れて、ハンドバッグを片手にマンションを出ました。
マンションの門から10メートルくらい離れた路上に、見覚えのある黄色くて四角張った可愛らしい感じのシーナさまの愛車が、ライトをチカチカさせて待っていました。
「お待たせしました」
助手席に乗り込むと、シーナさまが右手のひらを上に向けて、黙ったまま私の前に突き出してきました。
「あ、はい・・・」
ポケットからチョーカーを取り出し、シーナさまの手のひらの上に乗せて、背中を向けます。
シーナさまが手際よく、私の首にチョーカーを装着してくださいました。
前を向くと、車のルームミラーに私の首元が映りました。
やっぱり目立つ・・・
鏡の中の自分と目が合って、頬が火照ってきました。
「うん。いい感じ。とても直子らしくなったわ」
首だけ左にひねってずっと私を見ていたシーナさまが、嬉しそうにおっしゃいました。
「今日はわたしと一緒だから、思う存分マゾオーラ発散しちゃっていいから。でも、普通にアクセとしても、ちゃんと似合っているわよ」
シーナさまが私の右頬に軽くチュッとしてくれました。
そのまま私の右耳に唇を寄せて、
「どうせまた、濡れてきてるんでしょ?」
低くささやかれました。
「は、はい・・・」
チョーカーを着けられたときから、アソコの奥がキュンキュンうごめきだし、今のシーナさまのささやきの途端に、自分でも、あっ、と思うくらいたくさん、分泌物が滲み出てきているのがわかりました。
「ふんっ。いやらしい子」
シーナさまが投げ捨てるみたいにつぶやき、車がスイーッと滑り出しました。
車の中でも、スカートをまくれとかいう類のえっちなご命令は一切無く、シーナさまは運転しながら、イスタンブールで食べたサバのサンドウィッチのお話などをされていました。
私は首のチョーカーが気になって、お話をお聞きしながらも時折ルームミラーをチラ見してはドキドキしていたのですが、やがて気持ちが落ち着いてきました。
車はしばらく、交通量の多い大通りを走ってから、住宅街ぽい脇道に入りました。
その住宅街は、どのお家も一軒一軒の敷地が広く、ゆったりと立ち並んで、全体的に落ち着いた雰囲気を醸し出していました。
どのお家もデザインが洒落ていて、塀や門が立派で緑も多く、どう見てもお屋敷、という感じな趣のあるお住まいもありました。
「もうすぐ着くわよ」
窓の外をもの珍しげに、熱心に眺めている私に、シーナさまからお声がかかりました。
「あ、はい。えっと、ここは、このあたりは、どこなのですか?」
「駅で言うと目白になるわね。いわゆる高級住宅街っていうやつよ」
目白って言うと、池袋の一つ隣です。
駅一つ違うだけで、こんなに街の雰囲気が変わるなんて。
あらためて東京ってすごいなー、って思っていると、車が減速して左へ曲がり、アーチ型のゲートをくぐって地下へつづくらしいスロープを降りていきました。
ゲートをくぐるときに、その敷地内に建っている建物が見えました。
高校のとき、家族旅行で訪れて見たことのある、パリの高級アパルトメントのような瀟洒な、目を惹く外観のアンティークぽい建物でした。
リゾート地のホテルとかにありそうなデザイン。
ホテルなのかな?
でもまさか、こんな高級住宅街にはホテルなんて建てないだろうし・・・
スロープを降りた先は、車が10台くらい置ける駐車場になっていました。
シーナさまは空いているスペースに手慣れたハンドルさばきで車を停めました。
「充分間に合ったわね。よかった。土曜日だからもう少し渋るかと思ったわ」
「あの、シーナさま、ここは・・・何ですか?」
「え?あっ、ひょっとしてラブホかなんかだと思ってる?あの外観見て」
シーナさまが可笑しそうにクスクス笑います。
「そんなわけないじゃない。ここは普通のマンションよ。あ、でも普通ではないわね、お家賃的には、高級マンション、に該当する物件だから」
車を降りてふたり、駐車場に隣接したエレベーターホールへ向かいました。
「そうそう、今日の直子は、モリタナオコだから。その名前で先方には言ってあるから」
「だから、モリタさま、って呼ばれたらちゃんと返事してね」
「本名だとちょっとマズイかな、とも思ったのよ。だから、これからずっと、ここに来たらあなたは、モリタナオコだから、ね?」
「は、はい・・・」
本名だとマズイこと、って何だろう?
シーナさまが企てたことですから、えっちな事柄に関連することであるのは間違いありません。
先方、とおっしゃったから、これから誰かと会うことになるのも確実です。
本名を隠しておいて良かった、と思うくらい、その人の前でとんでもなく恥ずかしいめに遭わされちゃうのでしょうか。
ドキドキがどんどん激しくなってきました。
「14時から予約を入れているシーナです」
エレベーターの扉脇に付いたテンキーを操作してから、シーナさまがインターフォン越しに告げました。
ほどなくエレベーターが降りてきて、扉が開きました。
シーナさまが4階のボタンを押し、エレベーターが上昇を始めます。
監視カメラが付いているらしく、天井付近のモニターに私たちふたりの姿が俯瞰図で映っていました。
その映像の中でも、私の首のチョーカーは、かなり目立っていました。
「さあ、いよいよだわね、直子。いろいろがんばって、ね?」
シーナさまが嬉しそうに謎な言葉を投げて、私にパチンとウインクしました。
エレベーターの扉が開くと、そこはホテルのフロントみたいになっていました。
大理石の床と壁に、木目も鮮やかで重厚なカウンターが置かれ、その向こうでスーツを着た綺麗な女性がニッコリ微笑んでいました。
「ようこそいらっしゃいませ、シーナさま、そしてモリタさま。お待ちしておりました」
両手を前で揃えた完璧なお辞儀の後、またニッコリと微笑みます。
「どうぞ、こちらのお部屋へお入りください。チーフも中ですでに準備して、おふたりのご到着をお待ちしておりますから」
カウンターから出てきて、私たちを案内するために一歩先を歩いていく彼女。
そのタイトなスカートからスラリと伸びた脚線美に見蕩れていたら、お部屋のドアが開きました。
「お履物はここでお脱ぎいただいて、ご用意いたしましたその室内履きにお履き換えください」
女性が一歩退いて、私たちを入口のお部屋側に通してくれました。
そこから覗いたお部屋の様子に、もうびっくり。
ゴージャス。
その一言しか思い浮かびませんでした。
応接間にしては、いささか広すぎる床のほとんどを覆っている、暖色系のグラデーションによるアラベスク文様鮮やかな、毛足の長いペルシャ絨毯。
適材適所に置かれた、アンティークながらお手入れの行き届いていそうな、見るからに高級そうな猫脚の家具たち。
品良く飾られた、どこかで目にしたことのあるような絵画と彫刻。
きっとレプリカではなく本物なのでしょう。
お部屋の中央付近には大理石の大きめなテーブルが置かれ、そのテーブルを挟んで、柔らかそうなソファーに腰掛けたご婦人がふたり、ティーカップを前にして談笑されていました。
お部屋全体に、お香なのかアロマキャンドルなのか、何とも言えない甘くていい香りが漂っています。
豪華すぎるお部屋を前にして呆然と立ち尽くす私を尻目に、シーナさまはスタスタとテーブルのほうへと歩いていかれました。
「ミス・シーナ、お久しぶりね。会いたかったわ」
こちらを向いてソファーに腰掛けていたご婦人がゆっくりと立ち上がり、テーブルの脇に立ってシーナさまを迎え、やんわりとふたり抱擁されました。
「チーフのお仕事、順調に伸びているみたいね。下の駐車場で見たわよ。また車、変えたでしょ?」
「ああ。あれはお客様の送迎用の車よ。設備投資みたいなもの」
「ここのお得意様って、新型のジャガーで送り迎えしてもらえるんだ。リッチだわねー」
おふたりがとても親しげに、お話されています。
シーナさまのお相手をされているご婦人は、パッと見た感じ20代後半から30代前半。
ゆったりとした品の良いパープル系のワンピースで、からだつきはスレンダー、胸元に3連の細いゴールドチェーンがキラキラ揺れています。
お顔が小さくて彫りが深く、背もけっこう高めだから、ひょっとすると欧米系のハーフさんかもしれません。
そのクッキリした目鼻立ちをキツクならないように上手にメイクして、ショートめの髪をゆるやかなウェーブで左右に分け、全体として、すっごく華やかな美人さん、という印象です。
「ほら、直子も早く、こちらにいらっしゃい」
シーナさまに促され、案内していただいたスーツの女性にも、微笑みながら、どうぞ、という手振りで後ろから促され、おずおずと柔らかな絨毯をフワフワのスリッパで踏んで、シーナさまに近づきました。
「それにしても、ミス・シーナがこんなにお若いかたをお連れになるとは、思いもよらなかったわ。ミス・シーナ、あなた最近、趣味変わったの?」
チーフと呼ばれた、ハーフなお顔のご婦人が、心底驚いたという感じで、シーナさまを見つめています。
「そういうことではないけれどね。この子はいろいろワケありでさ。まあそれはともかく、紹介する・・・」
シーナさまが私のほうを向いて、チーフさんのことを私にご紹介してくれそうになったとき、チーフさんが私に向けて名刺を差し出してきました。
「ミス・モリタさん、だったわよね?わたくしはこういうものです。今後ともよろしくね」
チーフさんがニコッと笑いかけてくれました。
受け取った名刺を見てみます。
サロン エンヴィ envy (艶美)
代表 アンジェラ 樹里
それに住所と電話番号が書いてありました。
裏返すと同じことが英語で書いてあります。
「サロン?」
思わず独り言を小さくつぶやいてしまいました。
「だからね、ここは・・・」
シーナさまが私に説明しようとすると、再びチーフさん、つまりアンジェラさんが遮りました。
「まあまあ、立ち話もなんだから、一回みんな座りましょう。小野寺さん、お茶をご用意して」
小野寺さんと呼ばれた、受付のスーツ姿の女性がお部屋の奥へ消え、私とシーナさまは、さっきまでアンジェラさんが座っていた側のソファーに並んで腰掛け、アンジェラさんは、先ほどまで談笑されていたもうひとりの女性の隣に腰掛けました。
ほどなく小野寺さんが、お紅茶とチーズケーキを人数分持ってきてくださり、小野寺さんは、お部屋の入口近くにある椅子に、ひとり離れてお座りになりました。
「それじゃあまずわたしから、あらためてご紹介するわ」
おのおのがティーカップを一口傾け、チーズケーキをひとかけら頬張り一息ついた後、シーナさまが口火を切りました。
「今日初めてこのサロンのお世話になる、こちらの女性は・・・」
そこで一呼吸置き私のほうを見て、ニッと一瞬笑いました。
すぐにアンジェラさんたちのほうに向き直り、私を右手でバスガイドさんのように指し示しながら、シーナさまがつづけます。
「一番新しいわたしのドレイ、モリタナオコです」
えっ!?
シーナさま今、私のことを、わたしのドレイ、っておっしゃらなかった?
えーっ!?
私の聞き間違いじゃないよね?
えーーっ!?
何それ?そんなこと言っちゃっていいの?えーーーーっ!何?何?何?何?
思いもよらないシーナさまのお言葉に、私はあっさりパニックに陥りました。
*
*コートを脱いで昼食を 15へ
*
2013年10月6日
コートを脱いで昼食を 13
発端は夏休み終盤、私が実家に帰っていたときに届いた、シーナさまからのメールでした。
直子へ
久しぶりに池袋に戻って来たのに、直子は帰省中とのこと、なんだかがっかり。
こちらに帰ってきたら連絡すること。
それと、このメールを読んだら、次に私と会う時まで、陰毛の処理は一切禁止。
これは命令、厳守すること。
というメールでした。
その当時の私は、久しぶりの実家でのんびりと過ごし、生理中でもあったので、全裸家政婦の頃からつづいていたムラムラも、ずいぶん大人しくなっていました。
でも、そのそっけない文面のメールを読んだ途端、からだがウズウズ疼き始めました。
一番最近にソコの毛を処理したのは、全裸家政婦生活を思い立った8月の下旬でした。
あれから約二週間ちょっと。
もともと薄い私の股間にも、ようやくうっすらと翳りの片鱗が見え始めている頃でした。
ナプキンをあてるときにそれが気になって、東京に戻ったらまたキレイに剃ってしまおう、なんて考えていた矢先のメールでした。
処理するな、って言われると、余計に処理したくなってしまうもの。
けれどシーナさまのご命令ですから、絶対逆らえません。
シーナさまがまた、何か企んでいらっしゃる・・・
アソコの毛を処理するな、というご命令が、ひどく淫靡なことに思えて、いろいろ妄想をめぐらせては、実家でひとり悶々としていました。
東京に戻って学校に通い始めると、夏休み中とは生活のサイクルが一変して、しばらくは慌しく日々が過ぎていきました。
シーナさまには、もちろん戻ってすぐにご連絡したのですが、お仕事で遠方へお出かけされていて、お戻りになるのは2、3週間後ということでした。
そうこうしているうちに月が変わり、念願の裸コート用にオリーブグリーンのコートを手に入れたこともきっかけとなり、秋・冬物のお洋服をウォークインクロゼットで整理していた日曜日の午後。
とっかえひっかえいろんなお洋服を着ては脱ぎ、鏡の前でひとりファッションショーをしていたとき、からだ全体がムラムラ、すっごく昂ぶっていることに気がつきました。
その日から再び、お部屋での全裸生活が始まりました。
エレベーターからお部屋のドアまでのあいだにストリップすることを決めたり、乳首穴空きTシャツを考えついたのもこの頃のことです。
学校へは毎日ノーパンジーンズ&チュニックで通い、体育授業の着替えでスリルを味わったり、おトイレの個室で慰めたりもしていました。
最後に処理してから約一ヶ月。
私のソコの毛は、ほぼ普通の状態に戻っていました。
と言っても、もともとが薄い私です。
土手の割れ始め付近から上への狭い範囲に、密度も粗く一本一本細くて直毛な短い毛がチョロチョロ生えた状態。
私の場合、ここまで生えるともうこれ以上伸びたり濃くなったりはしなくて、ずっとそのままな感じなのです。
鏡に映すと、何て言うか、貧相、っていう言葉がぴったりな感じで、剃り落としたくてたまらなくなります。
高二の頃、やよい先生に初めて剃られちゃうまでは、薄い、という自覚はあったものの、そんなに気にすることも無かったのですが、パイパンを覚えてしまい、それがずっと、普通の状態、になってしまった今となっては、ソコに毛があることにうまく馴染めなくなっていました。
恥毛、という言葉がありますが、私にとってソコに毛がある状態は、まさしく、恥ずかしい毛を生やしている、という感覚でした。
だから逆に、その状態が新鮮と言うか、自分のソコがパイパンのときよりもより卑猥でだらしなくも思えて、そんな毛を生やしている自分を責め立てる自虐オナニーに、いつもより力が入っちゃったことも事実でした。
その週の週末の夜に、シーナさまが私のお部屋にいらっしゃることになりました。
シーナさまとお逢いするのは、夏休み前にデパートでばったり遭遇してチョーカーをいただいたとき以来でしたから、丸々二ヶ月ちょっとぶりでした。
ムラムラ期真っ最中で全裸生活中の私でしたから、これも何かのご縁と思い、思い切って全裸でシーナさまをお迎えすることにしました。
金曜日の夜7時過ぎ。
お部屋のインターフォンが鳴って、モニターでシーナさまとしっかり確認してから、全裸のままそーっと玄関のドアを開けました。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
そのときのシーナさまのびっくりされたお顔。
でもすぐに視線を私の胸から下半身へとすべらせながら、
「あらあら、やる気マンマンね」
と、嬉しそうにニッと笑ってくれました。
秋らしい浅紫色のステキなワンピースに身を包んだシーナさまは、両手にたくさんの荷物を持ってらっしゃいました。
お逢い出来なかったあいだシーナさまは、海外を含むいろいろな場所に行ってらしたようで、私のために食べ物や雑貨など、たくさんのお土産を持ってきてくださいました。
そのお土産にまつわるシーナさまの旅のお話や、私が始めた全裸生活のことなどを、シーナさまに私のからだをいろいろもてあそばれながら、夜が更けるまでたくさんおしゃべりしました。
一緒にお風呂にも入りました。
私の予想では、ご命令で伸ばした私の陰毛は、きっとお風呂のときにシーナさまからどうにかされちゃうのじゃないかな?って期待していたのですが、まったくそんなことはなく、普通にイチャイチャしただけでした。
ずいぶん夜更かしをしてから、ふたりとも裸のままひとつのベッドで寝て、ずいぶん朝寝坊しちゃいました。
私は全裸、シーナさまは素肌にバスローブを羽織ってのブランチの後、しばらくボーっとしていたら、唐突にシーナさまがおっしゃいました。
「さてと、そろそろ準備したほうが良さそうね」
「え?何のですか?」
「午後になったら出かけるわよ、ふたりで。ちょっとしたドライブね」
「あ、そういう予定だったのですか。えっと、どちらへ?」
「そんなのヒミツに決まっているじゃない。だから直子にも、それなりの格好をしてもらわないと」
シーナさまがイタズラっぽく笑いました。
シーナさまとお外へお出かけ、となると、つまりは何か羞恥プレイをすることになるのでしょう。
となると・・・
「えっと、それはつまり、やっぱりノーパンとか・・・」
「ううん。今回はそういうのじゃなくて、きっちりキメて欲しいのね」
「たとえば、良家のお嬢様風とか・・・あ、でもそんなこと言うと直子、無駄に悩んじゃいそうだわね」
「フォーマルな感じって言うか、セレブな感じって言うか。まあ、カッチリした感じならいいかな。直子ってスーツ、持ってる?」
「あ、はい、一応は・・・」
大学の入学式用に買った、薄めなベージュ色でノーカラーのショートジャケットと膝丈スカートの可愛いっぽいスーツを、このあいだのお洋服整理のときに久々にみつけて着てみたばかりでした。
「ならそれを基本に清楚っぽくね。あと下着もちゃんとしたやつをね。もちろんメイクも普段よりちょっと気合を入れてみて、ね?」
シーナさまがパチンとウインクして、私の頬にチュッとしてくれました。
「わたしもいったん上に戻って準備してくるから。1時までには、またここに戻ってくるわ」
それだけ言い残すと、シーナさまはバスローブの前をちょちょいと結んで、ご自分のバッグから鍵の束だけ取り出してポケットに突っ込み、タタタッと玄関から出て行ってしまいました。
シーナさまったら、素肌にバスローブだけの姿で8階まで戻るんだ。
エレベーター内には監視カメラがあって管理人さんが見ていらっしゃるかもしれないのになー、大胆だなーって思って、思い出しました。
そうだった、エレベーターは使わずにお外の非常階段を使っているんだった。
以前、あんまり頻繁に直子の部屋に出入りしていると、管理人さんに不審がられそうじゃない?とおっしゃって、管理人さんとそのフロアの住人しか持っていない、建物の側面に設えてある非常階段に出られる非常口の鍵を、お貸ししたことがありました。
シーナさまはそれで合鍵を作り、私の部屋の出入りには、あまりエレベーターは使わず、お外の非常階段を使われているみたいでした。
だけど、バスローブ一枚で土曜日のお昼時にお外の非常階段を登るのって、それはそれでもっと大胆ですよね。
シーナさまらしい、ってクスッと笑ってしまいました。
シーナさまはいったい、私をどこへ連れて行こうとしているのだろう?
考えながら着替えをしました。
着替えと言っても、元が全裸でしたから、お洋服を身に着けただけですが。
お言いつけ通りに、下着はシルクでレースがたくさん付いた可愛らしいピンクの上下。
スーツだからパンティストッキングも穿かなくちゃ。
フリルがヒラヒラの白いリボンブラウスを羽織り、メイクもいつもより念入りに。
なんだか久しぶりのおめかしに、ワクワクしてきました。
どこかの一流レストランにでも連れて行ってくれるのかな?
なんだかテレビドラマとかでよく見る、お見合い、の前みたい。
まさか・・・ないよね?
誰かのパーティにお呼ばれでもしているのかしら?
シーナさま、そういうセレブなお知り合い、多そうだから・・・
慣れないおめかしに意外と手間取り、ジャケットの袖に腕を通したときには、もう1時前でした。
ほどなくインターフォンが鳴り、シーナさまが戻っていらっしゃいました。
「へー。なかなかいい感じね。良家のお嬢様に見えるじゃない?」
私の姿を見るなり、シーナさまが満足そうにおっしゃいました。
「そのスーツって、あのブランドのでしょ?直子、いいもの持ってるのねー」
そういうシーナさまは、ダークなストライプのパンツスーツに、黒のシースルー気味なフリルブラウスで、なんだかマニッシュな感じ。
カッコいい!
髪も片方にまとめてサイドに流し、メリハリの効いたメイク、中性的って言うか美少年ぽく変身されていました。
「本当はもっとフェミニンな感じにしようかとも思ったのだけれどさ、車運転するの考えると、どうしてもパンツスーツになっちゃうのよね」
「だから今日は思い切って、そっち寄りにちょっとやり過ぎてみたの」
「たまにはこんなのもいいでしょ?」
シーナさまが自嘲気味におっしゃりながら、私の全身をマジマジと見つめています。
「うーん、すごくいいのだけれど、何かが足りないわねー」
美少年なシーナさまが考え込んでいます。
「そうだ。ずいぶん前に会ったときにあげたチョーカー、着けてごらんなさい。あれ着けたら完璧よ、きっと」
ドッキーン!
シーナさまのお口から、チョーカー、という言葉が出たとき、心臓が口から飛び出しそうなくらいに跳ねました。
久しぶりのおめかしのワクワク気分なんて、一気に吹き飛びました。
普通の人には単なるアクセサリーに見えても、私にとっては、メス犬マゾペットの首輪、としか思えない、あのチョーカー。
いただいた当初は、お部屋で自分をいたぶるときによく着けていたのですが、汗やいろいろなおツユで汚してしまうのがもったいない気がして、だんだん着けなくなり、最近はずっと大事にしまったままでした。
まがりなりにもシーナさまとお出かけするのですから、そこに何かしらのえっちな目論見が無いわけがありません。
それを私ったら、おめかししてどこかでお食事かしら?なんて能天気にワクワクしたりして。
きっとこのおめかしだって、私をより効果的に辱めるために必要な道具立てのひとつなのでしょう。
忘れかけていたムラムラが全身に広がり、健全だったワクワクを瞬く間に不健全なワクワクに塗り替えてしまいました。
私、これからどこで、何をされちゃうのだろう?
チョーカー、という一言だけで、全身がみるみるうちに疼きだしたのがわかりました。
久しぶりに穿いたパンティストッキングとショーツの下で、早くもアソコが潤み始めていました。
「あら、もうこんな時間。急がなくちゃ。わたし、車をマンションの前まで持って来るから、先に出るわ」
「直子は、チョーカーを持って、門の前で待ってて。チョーカーは車の中で着けてあげるから」
そう言い残すと、シーナさまは慌しく玄関から出て行きました。
*
*コートを脱いで昼食を 14へ
*
直子へ
久しぶりに池袋に戻って来たのに、直子は帰省中とのこと、なんだかがっかり。
こちらに帰ってきたら連絡すること。
それと、このメールを読んだら、次に私と会う時まで、陰毛の処理は一切禁止。
これは命令、厳守すること。
というメールでした。
その当時の私は、久しぶりの実家でのんびりと過ごし、生理中でもあったので、全裸家政婦の頃からつづいていたムラムラも、ずいぶん大人しくなっていました。
でも、そのそっけない文面のメールを読んだ途端、からだがウズウズ疼き始めました。
一番最近にソコの毛を処理したのは、全裸家政婦生活を思い立った8月の下旬でした。
あれから約二週間ちょっと。
もともと薄い私の股間にも、ようやくうっすらと翳りの片鱗が見え始めている頃でした。
ナプキンをあてるときにそれが気になって、東京に戻ったらまたキレイに剃ってしまおう、なんて考えていた矢先のメールでした。
処理するな、って言われると、余計に処理したくなってしまうもの。
けれどシーナさまのご命令ですから、絶対逆らえません。
シーナさまがまた、何か企んでいらっしゃる・・・
アソコの毛を処理するな、というご命令が、ひどく淫靡なことに思えて、いろいろ妄想をめぐらせては、実家でひとり悶々としていました。
東京に戻って学校に通い始めると、夏休み中とは生活のサイクルが一変して、しばらくは慌しく日々が過ぎていきました。
シーナさまには、もちろん戻ってすぐにご連絡したのですが、お仕事で遠方へお出かけされていて、お戻りになるのは2、3週間後ということでした。
そうこうしているうちに月が変わり、念願の裸コート用にオリーブグリーンのコートを手に入れたこともきっかけとなり、秋・冬物のお洋服をウォークインクロゼットで整理していた日曜日の午後。
とっかえひっかえいろんなお洋服を着ては脱ぎ、鏡の前でひとりファッションショーをしていたとき、からだ全体がムラムラ、すっごく昂ぶっていることに気がつきました。
その日から再び、お部屋での全裸生活が始まりました。
エレベーターからお部屋のドアまでのあいだにストリップすることを決めたり、乳首穴空きTシャツを考えついたのもこの頃のことです。
学校へは毎日ノーパンジーンズ&チュニックで通い、体育授業の着替えでスリルを味わったり、おトイレの個室で慰めたりもしていました。
最後に処理してから約一ヶ月。
私のソコの毛は、ほぼ普通の状態に戻っていました。
と言っても、もともとが薄い私です。
土手の割れ始め付近から上への狭い範囲に、密度も粗く一本一本細くて直毛な短い毛がチョロチョロ生えた状態。
私の場合、ここまで生えるともうこれ以上伸びたり濃くなったりはしなくて、ずっとそのままな感じなのです。
鏡に映すと、何て言うか、貧相、っていう言葉がぴったりな感じで、剃り落としたくてたまらなくなります。
高二の頃、やよい先生に初めて剃られちゃうまでは、薄い、という自覚はあったものの、そんなに気にすることも無かったのですが、パイパンを覚えてしまい、それがずっと、普通の状態、になってしまった今となっては、ソコに毛があることにうまく馴染めなくなっていました。
恥毛、という言葉がありますが、私にとってソコに毛がある状態は、まさしく、恥ずかしい毛を生やしている、という感覚でした。
だから逆に、その状態が新鮮と言うか、自分のソコがパイパンのときよりもより卑猥でだらしなくも思えて、そんな毛を生やしている自分を責め立てる自虐オナニーに、いつもより力が入っちゃったことも事実でした。
その週の週末の夜に、シーナさまが私のお部屋にいらっしゃることになりました。
シーナさまとお逢いするのは、夏休み前にデパートでばったり遭遇してチョーカーをいただいたとき以来でしたから、丸々二ヶ月ちょっとぶりでした。
ムラムラ期真っ最中で全裸生活中の私でしたから、これも何かのご縁と思い、思い切って全裸でシーナさまをお迎えすることにしました。
金曜日の夜7時過ぎ。
お部屋のインターフォンが鳴って、モニターでシーナさまとしっかり確認してから、全裸のままそーっと玄関のドアを開けました。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
そのときのシーナさまのびっくりされたお顔。
でもすぐに視線を私の胸から下半身へとすべらせながら、
「あらあら、やる気マンマンね」
と、嬉しそうにニッと笑ってくれました。
秋らしい浅紫色のステキなワンピースに身を包んだシーナさまは、両手にたくさんの荷物を持ってらっしゃいました。
お逢い出来なかったあいだシーナさまは、海外を含むいろいろな場所に行ってらしたようで、私のために食べ物や雑貨など、たくさんのお土産を持ってきてくださいました。
そのお土産にまつわるシーナさまの旅のお話や、私が始めた全裸生活のことなどを、シーナさまに私のからだをいろいろもてあそばれながら、夜が更けるまでたくさんおしゃべりしました。
一緒にお風呂にも入りました。
私の予想では、ご命令で伸ばした私の陰毛は、きっとお風呂のときにシーナさまからどうにかされちゃうのじゃないかな?って期待していたのですが、まったくそんなことはなく、普通にイチャイチャしただけでした。
ずいぶん夜更かしをしてから、ふたりとも裸のままひとつのベッドで寝て、ずいぶん朝寝坊しちゃいました。
私は全裸、シーナさまは素肌にバスローブを羽織ってのブランチの後、しばらくボーっとしていたら、唐突にシーナさまがおっしゃいました。
「さてと、そろそろ準備したほうが良さそうね」
「え?何のですか?」
「午後になったら出かけるわよ、ふたりで。ちょっとしたドライブね」
「あ、そういう予定だったのですか。えっと、どちらへ?」
「そんなのヒミツに決まっているじゃない。だから直子にも、それなりの格好をしてもらわないと」
シーナさまがイタズラっぽく笑いました。
シーナさまとお外へお出かけ、となると、つまりは何か羞恥プレイをすることになるのでしょう。
となると・・・
「えっと、それはつまり、やっぱりノーパンとか・・・」
「ううん。今回はそういうのじゃなくて、きっちりキメて欲しいのね」
「たとえば、良家のお嬢様風とか・・・あ、でもそんなこと言うと直子、無駄に悩んじゃいそうだわね」
「フォーマルな感じって言うか、セレブな感じって言うか。まあ、カッチリした感じならいいかな。直子ってスーツ、持ってる?」
「あ、はい、一応は・・・」
大学の入学式用に買った、薄めなベージュ色でノーカラーのショートジャケットと膝丈スカートの可愛いっぽいスーツを、このあいだのお洋服整理のときに久々にみつけて着てみたばかりでした。
「ならそれを基本に清楚っぽくね。あと下着もちゃんとしたやつをね。もちろんメイクも普段よりちょっと気合を入れてみて、ね?」
シーナさまがパチンとウインクして、私の頬にチュッとしてくれました。
「わたしもいったん上に戻って準備してくるから。1時までには、またここに戻ってくるわ」
それだけ言い残すと、シーナさまはバスローブの前をちょちょいと結んで、ご自分のバッグから鍵の束だけ取り出してポケットに突っ込み、タタタッと玄関から出て行ってしまいました。
シーナさまったら、素肌にバスローブだけの姿で8階まで戻るんだ。
エレベーター内には監視カメラがあって管理人さんが見ていらっしゃるかもしれないのになー、大胆だなーって思って、思い出しました。
そうだった、エレベーターは使わずにお外の非常階段を使っているんだった。
以前、あんまり頻繁に直子の部屋に出入りしていると、管理人さんに不審がられそうじゃない?とおっしゃって、管理人さんとそのフロアの住人しか持っていない、建物の側面に設えてある非常階段に出られる非常口の鍵を、お貸ししたことがありました。
シーナさまはそれで合鍵を作り、私の部屋の出入りには、あまりエレベーターは使わず、お外の非常階段を使われているみたいでした。
だけど、バスローブ一枚で土曜日のお昼時にお外の非常階段を登るのって、それはそれでもっと大胆ですよね。
シーナさまらしい、ってクスッと笑ってしまいました。
シーナさまはいったい、私をどこへ連れて行こうとしているのだろう?
考えながら着替えをしました。
着替えと言っても、元が全裸でしたから、お洋服を身に着けただけですが。
お言いつけ通りに、下着はシルクでレースがたくさん付いた可愛らしいピンクの上下。
スーツだからパンティストッキングも穿かなくちゃ。
フリルがヒラヒラの白いリボンブラウスを羽織り、メイクもいつもより念入りに。
なんだか久しぶりのおめかしに、ワクワクしてきました。
どこかの一流レストランにでも連れて行ってくれるのかな?
なんだかテレビドラマとかでよく見る、お見合い、の前みたい。
まさか・・・ないよね?
誰かのパーティにお呼ばれでもしているのかしら?
シーナさま、そういうセレブなお知り合い、多そうだから・・・
慣れないおめかしに意外と手間取り、ジャケットの袖に腕を通したときには、もう1時前でした。
ほどなくインターフォンが鳴り、シーナさまが戻っていらっしゃいました。
「へー。なかなかいい感じね。良家のお嬢様に見えるじゃない?」
私の姿を見るなり、シーナさまが満足そうにおっしゃいました。
「そのスーツって、あのブランドのでしょ?直子、いいもの持ってるのねー」
そういうシーナさまは、ダークなストライプのパンツスーツに、黒のシースルー気味なフリルブラウスで、なんだかマニッシュな感じ。
カッコいい!
髪も片方にまとめてサイドに流し、メリハリの効いたメイク、中性的って言うか美少年ぽく変身されていました。
「本当はもっとフェミニンな感じにしようかとも思ったのだけれどさ、車運転するの考えると、どうしてもパンツスーツになっちゃうのよね」
「だから今日は思い切って、そっち寄りにちょっとやり過ぎてみたの」
「たまにはこんなのもいいでしょ?」
シーナさまが自嘲気味におっしゃりながら、私の全身をマジマジと見つめています。
「うーん、すごくいいのだけれど、何かが足りないわねー」
美少年なシーナさまが考え込んでいます。
「そうだ。ずいぶん前に会ったときにあげたチョーカー、着けてごらんなさい。あれ着けたら完璧よ、きっと」
ドッキーン!
シーナさまのお口から、チョーカー、という言葉が出たとき、心臓が口から飛び出しそうなくらいに跳ねました。
久しぶりのおめかしのワクワク気分なんて、一気に吹き飛びました。
普通の人には単なるアクセサリーに見えても、私にとっては、メス犬マゾペットの首輪、としか思えない、あのチョーカー。
いただいた当初は、お部屋で自分をいたぶるときによく着けていたのですが、汗やいろいろなおツユで汚してしまうのがもったいない気がして、だんだん着けなくなり、最近はずっと大事にしまったままでした。
まがりなりにもシーナさまとお出かけするのですから、そこに何かしらのえっちな目論見が無いわけがありません。
それを私ったら、おめかししてどこかでお食事かしら?なんて能天気にワクワクしたりして。
きっとこのおめかしだって、私をより効果的に辱めるために必要な道具立てのひとつなのでしょう。
忘れかけていたムラムラが全身に広がり、健全だったワクワクを瞬く間に不健全なワクワクに塗り替えてしまいました。
私、これからどこで、何をされちゃうのだろう?
チョーカー、という一言だけで、全身がみるみるうちに疼きだしたのがわかりました。
久しぶりに穿いたパンティストッキングとショーツの下で、早くもアソコが潤み始めていました。
「あら、もうこんな時間。急がなくちゃ。わたし、車をマンションの前まで持って来るから、先に出るわ」
「直子は、チョーカーを持って、門の前で待ってて。チョーカーは車の中で着けてあげるから」
そう言い残すと、シーナさまは慌しく玄関から出て行きました。
*
*コートを脱いで昼食を 14へ
*
2013年9月29日
コートを脱いで昼食を 12
瀟洒なフレンチレストランのテーブルに向かい合わせで座るシーナさまと私。
私の服装はと言えば、左右の乳首だけが飛び出したおへそまでしかない真っ白なピチピチTシャツで、下半身は裸。
ランチタイムでほぼ満席の明るいレストラン内全体に響くヒソヒソ声と、私の全身に突き刺さってくる、好奇と侮蔑と顰蹙の目、目、目・・・
そんな光景が頭に浮かび、タクシーのシートの上で身を縮こませてしまいます。
絶対にありえません。
て言うか、コートを脱いだ時点で、ドレスコード的に門前払いでしょう。
て言うか、そんなところで私が、このコートを脱げるわけがありません。
「ご、ごめんなさい・・・許してください・・・」
運転手さんには聞こえないように、シーナさまのお顔にもっと自分の顔を寄せて、泣きそうになりながら小さな声で白状しました。
「わ、私今・・・こ、このコートの下・・・裸なんです・・・」
シーナさまは、やっぱりね、っていうお顔で、ふふん、と小さく一回笑い、ご自分のおでこを私のおでこに、コツンと軽くぶつけてきました。
「あ、運転手さんごめんなさいね。行き先変更して、東口の駅前につけてくださる?」
シーナさまがいったん前を向き、ハッキリした口調で運転手さんに告げて、再び私にピッタリ寄り添ってきました。
同時にシーナさまの右手が、私のコートの左側のポケットにスーッと差し込まれました。
「あっ!?」
私は小さく悲鳴を上げ、あわてて口を両手で押さえ、その場にうずくまるみたいに大げさにうつむきました。
それからの数分間、たとえて言うならば、天国で天使たちに祝福されながら地獄の業火に灼かれるような、甘美で残酷な拷問にひたすら耐えました。
ポケットの裏地越しのシーナさまの右手のひらが、私の剥き出しな下腹部をサワサワと撫で回します。
おへそのほうへ行ったかと思うと両脚の付け根付近へ。
ゆっくりと、その感触と私の反応を愉しむかのような、やわらかな愛撫がつづきました。
おへその上あたりのTシャツの端に触れて手が止まり、うつむいた私の顔を覗き込んでくるのがわかりました。
私は何も言えず、ただひたすらうつむいて小さく首を振っていました。
それ以上敏感なところへ愛撫の手が届かないように両膝をピッタリと揃え、ひたすら快感をがまんしていました。
「もう少し脚を開きなさい」
私の左耳をシーナさまの押し殺した冷たいお声がくすぐります。
私が躊躇していると、シーナさまの右手が強引に、両内腿をこじ開けてきました。
「んっ!」
少しでも気を緩めれば途端に洩れ出してしまう悦びの声を、唇をギュッと噛んでこらえます。
私の両脚は30度くらいまで開き、シーナさまの右手は、私の裂け始めまで届くようになっていました。
シーナさまの右手は、タクシーが信号待ちなどで止まると大人しくなり、動き出すと途端にあちこち這い回りました。
花弁を押し開いて中を撫ぜてきたり、一番敏感な箇所をススッと擦ったり。
ポケットの裏地が滲みになっちゃうな・・・
そんなことを考えつつも、いやらしい声が出そうになるのを必死にがまんしています。
あちこち愛撫されるたびに全身に快感が広がり、その部分が疼いて仕方ありません。
絶え間なく聞こえている運転手さんの小さなハミングが、唯一の心の支えでした。
こんなことされていること、運転手さんには絶対気づかれてはいけない。
そう思って、一生懸命愛撫に耐えていました。
タンポンの紐を発見したらしいシーナさまの右手が、また一瞬止まりました。
「ローター?」
シーナさまの唇がまた、私の左耳をくすぐります。
私はうつむいたまま、首を力なく左右に振りました。
「あ、タンポンか」
シーナさまが独り言みたく小さくつぶやきました。
それからはずっと、同じ責め苦で弄ばれました。
タンポンの紐が引っ張られ、半分ぐらいまで引きずり出されたところで、再びギュッと奥深く押し込まれるのです。
私のいやらしいおシルをたっぷり吸い込んでグジュグジュに膨らんだタンポンが、時にはゆっくり、時にはせわしなく、膣壁を擦ります。
そんなことしたら、おシルが飛び散ってコートの裏地を汚しちゃう・・・
思いながらも、されるがまま。
最初は微かだった反応も、やがて大きなうねりへと育ってきていました。
ああん、もう、もうだめぇ・・・
悦びの喘ぎが喉元までせり上がってきて、もうどうにもがまん出来ません。
「あっ、あそこの信号の手前で結構よ」
シーナさまが前を向き、運転手さんにそう告げたのと、タンポンがグチュッと思い切り奥に押し込まれたのと、私がとうとうがまんしきれずに、んぐっ、ってくぐもった悦びの声をあげてしまったのが、ほぼ同時でした。
「ここらでいいですか?」
タクシーが左に寄って停車し、シーナさまは右手をサッと私のポケットから引き抜き、澄ましたお顔で料金を支払いました。
「ほら、行くわよ?」
快感の余韻と恥ずかしさでうなだれたままの私の左手が取られ引っ張られ、タクシーから引きずり出されました。
タクシーから降りるとき、振り向いて私を見ている運転手さんのお顔が、好色そうにニヤついているようにも見えました。
気づかれちゃったのかも・・・
羞恥心で消え入りそうです。
シーナさまは、私の左手を取ったまま無言でずんずん足早に道路沿いのデパートへ入り、ちょうど開いていたエレベーターに乗り込みました。
エレベーターの中でも、ふたり手をつないだまま無言。
3階で降りると、また腕を引っ張られ、見覚えのある場所にたどり着きました。
私が東京へ来てシーナさまに初めてお会いした初夏のあの日、誘導されるままに連れ込まれた、あの女子トイレでした。
シーナさまは、私の手を引きながら四つの個室の使用中サインをササッとチェックし、入口から一番遠い個室、あの日と同じ個室に入って私を引っぱり込み、カチャンと鍵をかけました。
「ふー。やれやれだわ。わたしのマゾオーラセンサーの性能は、やっぱり優秀なようね」
シーナさまが私を個室の奥へと誘導し、ご自分はドアにもたれるように背中をついて、私の顔を見つめながらつづけます。
「さっき会った瞬間に、アレ?って思ったんだ。直子の挙動にさ」
「それでちょっとカマかけてみたら、案の定じゃない?ほんと、直子ってわかりやすいのね」
シーナさまがクスクス笑います。
「今はこのトイレ、誰もいないけれど、いつ誰かが入ってくるかわからないから、小さな声でお話しましょう」
「それで直子は、そんな格好で、これから何をするつもりだったのかしら?」
シーナさまが小さな子供に語りかけるような、ミョーに親しげやさしげな口調で尋ねてきます。
シーナさまがこういう口調をされるときは要注意なことを、私は経験上、知っていました。
「あの、えっと、それは・・・」
私は便座の横に立ち、相変わらずうなだれ気味にシーナさまを上目遣いでうかがっていました。
この後、私はどうなっちゃうのでしょう?
シーナさまに知られてしまった以上、今日これからの計画はすべて変更となるはずです。
それもたぶん、私が考えた計画以上に、羞恥と恥辱にまみれた体験をさせられそうな気がします。
不安7期待3くらいのドキドキで、からだがぐんぐん火照ってきてしまいます。
「コンビニでは、普通にお買物だけするつもりでした。ヨーグルトが食べたいな、って・・・それでいったんお家に帰って、それから・・・」
ファッションビルで逆ストリップをするつもりだったことを、正直にお話しました。
ただし、その後のお薬屋さんのことは伏せておきました。
「へー。面白そうなことを考えたわね。そう言えば直子、全裸生活、なんてヘンタイなこと、お家でやってたんだっけか」
「でも、こないだわたしと会ったときもムラムラ期とか言っていたじゃない?ひょっとしてまだ治まらないの?あれからずっとそんななの?」
シーナさまの呆れたお声。
「そ、それは・・・」
この前にシーナさまとお会いしたとき、私が夏休み中に思いついて実行した、全裸家政婦生活、のことはだいたいお話していました。
それは先々週の土曜日のこと、正確に言えば金曜日の夜から泊りがけでお相手してくださったのですが、シーナさまは私の話を興味深げに聞いてくださり、こうしたほうがもっと面白いんじゃない?っていうアドバイスもいくつかくれ、それに沿った激しい妄想プレイまで私にしてくださいました。
そんなシーナさまに隠し事なんて出来ません。
私は、以前から裸コートに憧れていたこと、コートの季節になって気乗りしないながらもやってみたらハマってしまいムラムラがぶり返したこと、裸コートでお薬屋さんでお浣腸のお薬を買ったことまで、つっかえつっかえ、手短かにお話しました。
ただひとつ、お薬屋さんのおばさまからお浣腸のお誘いをいただいていることだけは、お教えしませんでした。
なぜだかはわかりませんが、これをシーナさまに知られてしまうと、何かとんでもなく取り返しのつかない事態になってしまいそうな、悪い予感がして、どうしても言えませんでした。
お話ししながら何気なく左のポケットに手を入れたら、ポケット全体がジットリ湿っていました。
途端にさっきのタクシー内での感触を思い出し、全身がキュンと疼きました。
シーナさまが、そんな私をニヤニヤ見つめています。
「なるほどね。直子って、本当根っからのドマゾなんだねー。まあわたしは、そんな直子がキライじゃないけれど」
「それだったら今日はとことん、マゾッ娘直子の大冒険につきあってあげるわよ」
「まあなにはともあれ、そのコートの中身を早く見せてほしいものだわね。さ、コートの前を開きなさい」
シーナさまにご命令口調で言い渡され、私はおずおずとコートのボタンをはずしていきます。
「ボタンはずしたら、両手で前を開いてそのままの格好でいなさい。マンガとかでよく見る露出狂ヘンシツシャの格好ね」
シーナさまのご命令通り、コートの前合わせをそれぞれ片手で持ち、ゆっくりと左右に開きました。
真っ先に目に飛び込んできたのは、白いTシャツに空いた左右それぞれの穴から飛び出している濃いピンク色をした乳首でした。
自分のものながら、恥ずかしいくらいに尖りきって、これでもかというくらい張りつめて突起していました。
「うわー。それって直子が言っていた、全裸よりも恥ずかしい格好ナンバーワン、のTシャツ半裸よね?」
「確かにその通りだわ。見せたがりの露出狂マゾそのもの、っていう感じ。よーくお似合いよ」
「そんなにステキなファッションだったのなら、さっき車の中で教えないで、知らん顔でお店まで行っちゃえば良かったかしら?」
シーナさまがイジワルなお顔で、私のからだを上から下まで、まじまじと見つめてきます。
「ボーイに、コートを、って言われたら、直子は素直にそのコート、脱いだかしら?」
私は即座に顔を左右にブンブン振りました。
真昼間のレストランで、そんなこと絶対出来っこありません。
「あら?嘘。直子なら出来たはずよ?」
シーナさまがドアから背中を離し、私に近づいてきました。
「だって直子はさあ?」
私の左耳に唇を押し付けて、抱きつくみたいにささやいてきました。
「直子はわたしの命令には、絶対に逆らえないはずだもの・・・」
そうつづけた後、シーナさまの唇が私の唇をピタッと塞ぎ、同時に左乳首をギューッと爪を立ててつままれて引っ張られました。
「んぐぅぅ!」
私の歓喜の声は、シーナさまの唇に塞がれてくぐもり、シーナさまの舌が私の口の中でヌルヌルうごめきました。
「んぁぁ、んっ・・・」
私の舌を追い回すように絡みついてくるシーナさまの熱い舌。
そのあいだも、シーナさまの右手は私の左乳首を虐め、左手は無毛の土手を撫でさすっていました。
私は両腕でコートを広げたまま、シーナさまの身長に合わせて少し身を屈め、されるがまま。
本当は開いた両腕を閉じて、シーナさまをギュッと抱きすくめたくて仕方ありませんでした。
だけどこれもシーナさまのご命令。
だから絶対、この腕を、コートを閉じてはいけないんだ・・・
口内と左乳首と土手への刺激で、わたしのからだがグングン高まっていました。
シーナさまのご命令であれば、どんな辱めだって受け入れよう。
それでシーナさまが悦ばれるのであれば、その辱めで私が感じる羞恥なんて、取るに足らない一時の気の迷い。
だからいつまでもこうしていて欲しい、シーナさまを感じていたい・・
そんなふうに思わせるほど、甘美で強烈なくちづけでした。
不意に唇が離れました、
うっとり目を閉じていた私は、がっかりして目を開けました。
私と距離をとったシーナさまも、明らかに興奮されているご様子。
小さな吐息が荒くなり、肩も小さく上下していました。
「あ、ありがとうございます」
「何がよ?」
怒ったようなシーナさまのお声。
「こんなヘンタイな私を悦ばせていただいて、とても嬉しかったです」
「何言ってるの?わたしは直子の格好があんまりいやらしかったから、ちょっとコーフンさせて、いたぶってみたくなっただけよ?悦ばせようなんて、まったく思っていなかったわ」
照れると怒った口調になるシーナさま。
だけど、こういう後には、よりもっとイジワルさがエスカレートするのもシーナさまです。
「それにしても、本当に生えてきていないわね、直子のマン毛」
シーナさまが、ちょっとぶっきらぼうにおっしゃいました。
「さっきもタクシーでポケット越しに触っていて思ったのだけれど、あれからもう10日くらいになるわよね?」
「わたしの今までの経験だと、だいたい10日くらい経つと誰でも、ちょっぴりはザラザラしてくるものなのよね」
「だけど直子のは、まるで昨日してきたみたいにまだツルッツル」
「ひょっとしたら直子、このまま私とお仲間になっちゃうかもね?」
シーナさまが嬉しそうにウインクしました。
そうなのです。
私の現在のパイパン状態には、思い出すだけで瞬時に赤面しちゃうような、恥辱にまみれた裏話があったのでした。
*
*コートを脱いで昼食を 13へ
*
私の服装はと言えば、左右の乳首だけが飛び出したおへそまでしかない真っ白なピチピチTシャツで、下半身は裸。
ランチタイムでほぼ満席の明るいレストラン内全体に響くヒソヒソ声と、私の全身に突き刺さってくる、好奇と侮蔑と顰蹙の目、目、目・・・
そんな光景が頭に浮かび、タクシーのシートの上で身を縮こませてしまいます。
絶対にありえません。
て言うか、コートを脱いだ時点で、ドレスコード的に門前払いでしょう。
て言うか、そんなところで私が、このコートを脱げるわけがありません。
「ご、ごめんなさい・・・許してください・・・」
運転手さんには聞こえないように、シーナさまのお顔にもっと自分の顔を寄せて、泣きそうになりながら小さな声で白状しました。
「わ、私今・・・こ、このコートの下・・・裸なんです・・・」
シーナさまは、やっぱりね、っていうお顔で、ふふん、と小さく一回笑い、ご自分のおでこを私のおでこに、コツンと軽くぶつけてきました。
「あ、運転手さんごめんなさいね。行き先変更して、東口の駅前につけてくださる?」
シーナさまがいったん前を向き、ハッキリした口調で運転手さんに告げて、再び私にピッタリ寄り添ってきました。
同時にシーナさまの右手が、私のコートの左側のポケットにスーッと差し込まれました。
「あっ!?」
私は小さく悲鳴を上げ、あわてて口を両手で押さえ、その場にうずくまるみたいに大げさにうつむきました。
それからの数分間、たとえて言うならば、天国で天使たちに祝福されながら地獄の業火に灼かれるような、甘美で残酷な拷問にひたすら耐えました。
ポケットの裏地越しのシーナさまの右手のひらが、私の剥き出しな下腹部をサワサワと撫で回します。
おへそのほうへ行ったかと思うと両脚の付け根付近へ。
ゆっくりと、その感触と私の反応を愉しむかのような、やわらかな愛撫がつづきました。
おへその上あたりのTシャツの端に触れて手が止まり、うつむいた私の顔を覗き込んでくるのがわかりました。
私は何も言えず、ただひたすらうつむいて小さく首を振っていました。
それ以上敏感なところへ愛撫の手が届かないように両膝をピッタリと揃え、ひたすら快感をがまんしていました。
「もう少し脚を開きなさい」
私の左耳をシーナさまの押し殺した冷たいお声がくすぐります。
私が躊躇していると、シーナさまの右手が強引に、両内腿をこじ開けてきました。
「んっ!」
少しでも気を緩めれば途端に洩れ出してしまう悦びの声を、唇をギュッと噛んでこらえます。
私の両脚は30度くらいまで開き、シーナさまの右手は、私の裂け始めまで届くようになっていました。
シーナさまの右手は、タクシーが信号待ちなどで止まると大人しくなり、動き出すと途端にあちこち這い回りました。
花弁を押し開いて中を撫ぜてきたり、一番敏感な箇所をススッと擦ったり。
ポケットの裏地が滲みになっちゃうな・・・
そんなことを考えつつも、いやらしい声が出そうになるのを必死にがまんしています。
あちこち愛撫されるたびに全身に快感が広がり、その部分が疼いて仕方ありません。
絶え間なく聞こえている運転手さんの小さなハミングが、唯一の心の支えでした。
こんなことされていること、運転手さんには絶対気づかれてはいけない。
そう思って、一生懸命愛撫に耐えていました。
タンポンの紐を発見したらしいシーナさまの右手が、また一瞬止まりました。
「ローター?」
シーナさまの唇がまた、私の左耳をくすぐります。
私はうつむいたまま、首を力なく左右に振りました。
「あ、タンポンか」
シーナさまが独り言みたく小さくつぶやきました。
それからはずっと、同じ責め苦で弄ばれました。
タンポンの紐が引っ張られ、半分ぐらいまで引きずり出されたところで、再びギュッと奥深く押し込まれるのです。
私のいやらしいおシルをたっぷり吸い込んでグジュグジュに膨らんだタンポンが、時にはゆっくり、時にはせわしなく、膣壁を擦ります。
そんなことしたら、おシルが飛び散ってコートの裏地を汚しちゃう・・・
思いながらも、されるがまま。
最初は微かだった反応も、やがて大きなうねりへと育ってきていました。
ああん、もう、もうだめぇ・・・
悦びの喘ぎが喉元までせり上がってきて、もうどうにもがまん出来ません。
「あっ、あそこの信号の手前で結構よ」
シーナさまが前を向き、運転手さんにそう告げたのと、タンポンがグチュッと思い切り奥に押し込まれたのと、私がとうとうがまんしきれずに、んぐっ、ってくぐもった悦びの声をあげてしまったのが、ほぼ同時でした。
「ここらでいいですか?」
タクシーが左に寄って停車し、シーナさまは右手をサッと私のポケットから引き抜き、澄ましたお顔で料金を支払いました。
「ほら、行くわよ?」
快感の余韻と恥ずかしさでうなだれたままの私の左手が取られ引っ張られ、タクシーから引きずり出されました。
タクシーから降りるとき、振り向いて私を見ている運転手さんのお顔が、好色そうにニヤついているようにも見えました。
気づかれちゃったのかも・・・
羞恥心で消え入りそうです。
シーナさまは、私の左手を取ったまま無言でずんずん足早に道路沿いのデパートへ入り、ちょうど開いていたエレベーターに乗り込みました。
エレベーターの中でも、ふたり手をつないだまま無言。
3階で降りると、また腕を引っ張られ、見覚えのある場所にたどり着きました。
私が東京へ来てシーナさまに初めてお会いした初夏のあの日、誘導されるままに連れ込まれた、あの女子トイレでした。
シーナさまは、私の手を引きながら四つの個室の使用中サインをササッとチェックし、入口から一番遠い個室、あの日と同じ個室に入って私を引っぱり込み、カチャンと鍵をかけました。
「ふー。やれやれだわ。わたしのマゾオーラセンサーの性能は、やっぱり優秀なようね」
シーナさまが私を個室の奥へと誘導し、ご自分はドアにもたれるように背中をついて、私の顔を見つめながらつづけます。
「さっき会った瞬間に、アレ?って思ったんだ。直子の挙動にさ」
「それでちょっとカマかけてみたら、案の定じゃない?ほんと、直子ってわかりやすいのね」
シーナさまがクスクス笑います。
「今はこのトイレ、誰もいないけれど、いつ誰かが入ってくるかわからないから、小さな声でお話しましょう」
「それで直子は、そんな格好で、これから何をするつもりだったのかしら?」
シーナさまが小さな子供に語りかけるような、ミョーに親しげやさしげな口調で尋ねてきます。
シーナさまがこういう口調をされるときは要注意なことを、私は経験上、知っていました。
「あの、えっと、それは・・・」
私は便座の横に立ち、相変わらずうなだれ気味にシーナさまを上目遣いでうかがっていました。
この後、私はどうなっちゃうのでしょう?
シーナさまに知られてしまった以上、今日これからの計画はすべて変更となるはずです。
それもたぶん、私が考えた計画以上に、羞恥と恥辱にまみれた体験をさせられそうな気がします。
不安7期待3くらいのドキドキで、からだがぐんぐん火照ってきてしまいます。
「コンビニでは、普通にお買物だけするつもりでした。ヨーグルトが食べたいな、って・・・それでいったんお家に帰って、それから・・・」
ファッションビルで逆ストリップをするつもりだったことを、正直にお話しました。
ただし、その後のお薬屋さんのことは伏せておきました。
「へー。面白そうなことを考えたわね。そう言えば直子、全裸生活、なんてヘンタイなこと、お家でやってたんだっけか」
「でも、こないだわたしと会ったときもムラムラ期とか言っていたじゃない?ひょっとしてまだ治まらないの?あれからずっとそんななの?」
シーナさまの呆れたお声。
「そ、それは・・・」
この前にシーナさまとお会いしたとき、私が夏休み中に思いついて実行した、全裸家政婦生活、のことはだいたいお話していました。
それは先々週の土曜日のこと、正確に言えば金曜日の夜から泊りがけでお相手してくださったのですが、シーナさまは私の話を興味深げに聞いてくださり、こうしたほうがもっと面白いんじゃない?っていうアドバイスもいくつかくれ、それに沿った激しい妄想プレイまで私にしてくださいました。
そんなシーナさまに隠し事なんて出来ません。
私は、以前から裸コートに憧れていたこと、コートの季節になって気乗りしないながらもやってみたらハマってしまいムラムラがぶり返したこと、裸コートでお薬屋さんでお浣腸のお薬を買ったことまで、つっかえつっかえ、手短かにお話しました。
ただひとつ、お薬屋さんのおばさまからお浣腸のお誘いをいただいていることだけは、お教えしませんでした。
なぜだかはわかりませんが、これをシーナさまに知られてしまうと、何かとんでもなく取り返しのつかない事態になってしまいそうな、悪い予感がして、どうしても言えませんでした。
お話ししながら何気なく左のポケットに手を入れたら、ポケット全体がジットリ湿っていました。
途端にさっきのタクシー内での感触を思い出し、全身がキュンと疼きました。
シーナさまが、そんな私をニヤニヤ見つめています。
「なるほどね。直子って、本当根っからのドマゾなんだねー。まあわたしは、そんな直子がキライじゃないけれど」
「それだったら今日はとことん、マゾッ娘直子の大冒険につきあってあげるわよ」
「まあなにはともあれ、そのコートの中身を早く見せてほしいものだわね。さ、コートの前を開きなさい」
シーナさまにご命令口調で言い渡され、私はおずおずとコートのボタンをはずしていきます。
「ボタンはずしたら、両手で前を開いてそのままの格好でいなさい。マンガとかでよく見る露出狂ヘンシツシャの格好ね」
シーナさまのご命令通り、コートの前合わせをそれぞれ片手で持ち、ゆっくりと左右に開きました。
真っ先に目に飛び込んできたのは、白いTシャツに空いた左右それぞれの穴から飛び出している濃いピンク色をした乳首でした。
自分のものながら、恥ずかしいくらいに尖りきって、これでもかというくらい張りつめて突起していました。
「うわー。それって直子が言っていた、全裸よりも恥ずかしい格好ナンバーワン、のTシャツ半裸よね?」
「確かにその通りだわ。見せたがりの露出狂マゾそのもの、っていう感じ。よーくお似合いよ」
「そんなにステキなファッションだったのなら、さっき車の中で教えないで、知らん顔でお店まで行っちゃえば良かったかしら?」
シーナさまがイジワルなお顔で、私のからだを上から下まで、まじまじと見つめてきます。
「ボーイに、コートを、って言われたら、直子は素直にそのコート、脱いだかしら?」
私は即座に顔を左右にブンブン振りました。
真昼間のレストランで、そんなこと絶対出来っこありません。
「あら?嘘。直子なら出来たはずよ?」
シーナさまがドアから背中を離し、私に近づいてきました。
「だって直子はさあ?」
私の左耳に唇を押し付けて、抱きつくみたいにささやいてきました。
「直子はわたしの命令には、絶対に逆らえないはずだもの・・・」
そうつづけた後、シーナさまの唇が私の唇をピタッと塞ぎ、同時に左乳首をギューッと爪を立ててつままれて引っ張られました。
「んぐぅぅ!」
私の歓喜の声は、シーナさまの唇に塞がれてくぐもり、シーナさまの舌が私の口の中でヌルヌルうごめきました。
「んぁぁ、んっ・・・」
私の舌を追い回すように絡みついてくるシーナさまの熱い舌。
そのあいだも、シーナさまの右手は私の左乳首を虐め、左手は無毛の土手を撫でさすっていました。
私は両腕でコートを広げたまま、シーナさまの身長に合わせて少し身を屈め、されるがまま。
本当は開いた両腕を閉じて、シーナさまをギュッと抱きすくめたくて仕方ありませんでした。
だけどこれもシーナさまのご命令。
だから絶対、この腕を、コートを閉じてはいけないんだ・・・
口内と左乳首と土手への刺激で、わたしのからだがグングン高まっていました。
シーナさまのご命令であれば、どんな辱めだって受け入れよう。
それでシーナさまが悦ばれるのであれば、その辱めで私が感じる羞恥なんて、取るに足らない一時の気の迷い。
だからいつまでもこうしていて欲しい、シーナさまを感じていたい・・
そんなふうに思わせるほど、甘美で強烈なくちづけでした。
不意に唇が離れました、
うっとり目を閉じていた私は、がっかりして目を開けました。
私と距離をとったシーナさまも、明らかに興奮されているご様子。
小さな吐息が荒くなり、肩も小さく上下していました。
「あ、ありがとうございます」
「何がよ?」
怒ったようなシーナさまのお声。
「こんなヘンタイな私を悦ばせていただいて、とても嬉しかったです」
「何言ってるの?わたしは直子の格好があんまりいやらしかったから、ちょっとコーフンさせて、いたぶってみたくなっただけよ?悦ばせようなんて、まったく思っていなかったわ」
照れると怒った口調になるシーナさま。
だけど、こういう後には、よりもっとイジワルさがエスカレートするのもシーナさまです。
「それにしても、本当に生えてきていないわね、直子のマン毛」
シーナさまが、ちょっとぶっきらぼうにおっしゃいました。
「さっきもタクシーでポケット越しに触っていて思ったのだけれど、あれからもう10日くらいになるわよね?」
「わたしの今までの経験だと、だいたい10日くらい経つと誰でも、ちょっぴりはザラザラしてくるものなのよね」
「だけど直子のは、まるで昨日してきたみたいにまだツルッツル」
「ひょっとしたら直子、このまま私とお仲間になっちゃうかもね?」
シーナさまが嬉しそうにウインクしました。
そうなのです。
私の現在のパイパン状態には、思い出すだけで瞬時に赤面しちゃうような、恥辱にまみれた裏話があったのでした。
*
*コートを脱いで昼食を 13へ
*
2013年9月23日
コートを脱いで昼食を 11
8時過ぎまで朝寝坊して目覚めた木曜日の朝。
晴れたり曇ったりで少し肌寒い、絶好のコート日和でした。
顔を洗って、ミルクティーとマフィンで軽い朝食。
お通じもいつも通り、自然にすみました。
その後、バスタブにお湯をはって、ゆっくりと入浴してから身づくろいとお化粧。
鏡に向かいながら、頭の中で今日のスケジュールを復習しました。
お昼ちょっと過ぎに全裸にコートでお家を出て、まず高層ビルふもとのファッションビルに向かいます。
そこでの目的は、ふたつありました。
ひとつは、すっかり気に入って愛用しているオリーブグリーンのコートをもう一着、同じものを手に入れることでした。
そう考えたのは、ずっと昔、やよい先生からお聞きした、ミーコさまの裸コートのことを思い出したからでした。
ミーコさまは、やよい先生とのデートのとき、ご自分の裸のからだをロープで緊縛して、その上にコートだけ着てくることがよくあったそうです。
そして、そのコートの、いつもやよい先生と腕を組むほうの右側ポケットには穴が空いていて、やよい先生がコートのポケットに手を入れれば、いつでもミーコさまのアソコに、直に触れることが出来るようになっていました。
それはステキなアイデアだと思いました。
確かに裸コートでポケットに手を突っ込むと、ちょうど股間に手が届きます。
私にはまだ、そういうえっちなデートをしてくれるパートナーはいないけれど、独り遊びのときでも、人知れずいろいろ、愉しむことが出来きそう。
穴を空けずにポケットの裏地越しに弄ることも出来ますが、それだと裏地がどんどん汚れてしまうし。
コート自体をとっても気に入っていたので、ポケットに穴を空けて普段使いが出来なくなってしまうのもイヤだったので、もう一着手に入れて、一着を裸コート専用服にしたいと思ったのです。
もうひとつの目的は、ファッションビルのブティック街でお買物して、お洋服一式を揃えること。
下着類とコートの下に着るお洋服。
それらをおトイレかどこかで着込み、次の目的地に向かうつもりでした。
全裸にコートで出かけて、現地調達で普通の服装に戻る、言わば、逆ストリップ、です。
どんなお洋服を買うか、ワンピースにするか、ブラウスとスカートにするか、はたまたパンツか、は、その場の気分とご予算に照らし合わせて決めることにしました。
ひょっとしたらオールインワンのややこしいやつを買ってしまうかもしれません。
買って、そのたびにいちいちどこかで身に着けるか、それともずっと裸コートのままお買物するかも、行ってから決めるつもりでした。
いずれにしても、それだけのお買物をするには、ブティックの店員さんとたくさん会話をしなければならないはず。
試着とか勧められちゃったら、どう言って断ろう・・・
想像しただけでキュンキュン疼いてきちゃいます。
そのファッションビルには、レストランフロアやフードコートも入っているので、お昼時には近くのオフィス街の人たちで、そのビル全体が大いに賑わうことは知っていました。
裸コートで、そんなにたくさんの人たちの前に出るのは初めてでドキドキしますが、ランチタイムなら、逆に関係のないブティック街のフロアは空いているのではないかな、と思い、その時間帯に決行することに決めました。
そうしてコートの下が全裸から普通の服装になったら、今度は一昨日訪れた商店街のお薬屋さんに行ってみるつもりでした。
もちろんそう、白衣のおばさまにお浣腸をしていただくために。
お客さまが来なくておヒマそうな、このあいだと同じくらいの時間帯に到着するのが理想です。
おばさまには、こう告げるつもりでした。
お浣腸は、なんとかひとりで出来ました。
おかげさまで良くなったような気がします。
今日もちゃんと普通のお通じでした。
それで、これからもそうならないように、あのときおばさまがおっしゃっていた、腸のうがい、っていう、ぬるま湯でのお浣腸というのも、しておいたほうがいいかな、って思って、今日は伺いました。
この言い訳なら不自然なところはないはずです。
おばさまは、それでもやっぱりびっくりはされるでしょうけれど、きっとしてくれるはず。
とうとう私はおばさまに、裸のお尻と、無毛のアソコをお見せすることになるのです。
そしてあの、冷たくて太いガラスのお浣腸器の先っちょが私のお尻の穴に挿入され、一生懸命がまんしている姿まで見られてしまうのです。
おばさまがお浣腸してくださるお部屋は、どんな雰囲気なんだろう?
そのとき私は、どうなってしまうだろう?
期待と不安に、乳首が弾けそうです。
めぐらせていた妄想に没入し過ぎて、結局そのままちょこっと慰めてしまい、もう一度軽くシャワーを浴びて身づくろいしていたら、時刻はすでに11時を回っていました。
いよいよ決行の時間が近づいてきました。
ワクワクドキドキで気がヘンになりそう。
なぜだかお腹がクゥーっと鳴りました。
いやらしい気分なときは、あまりお腹が空かない性質な私でしたが、独り暮らしになると、それで放っておいたら丸一日何も食べてないときとかもあって、いくらなんでもそれでは健康に良くないと思い、普段からなるべく朝昼晩、少量ずつでもちゃんと何か食べるように心がけていました。
そっか、これからしばらくは何も食べられないから、何か少しお腹に入れておいたほうがいいかな?
かと言って、数時間後にされる行為のことを考えると、あまり大げさなものは食べたくないし。
バナナでも1本、食べていこうか・・・
そのとき頭の中になぜだか、ヨーグルト、という単語が浮かびました。
ああ!ヨーグルトはいいかもしれない。
お腹に優しいし、乳酸菌は腸の味方だし。
これから数時間後、自分のヘンタイな欲求のために、腸に対してかなり苦しい思いをさせてしまう、という負い目があったせいかもしれません。
ヨーグルトがすっごく食べたくなりました。
キッチンへ行って、冷蔵庫を開けてみました。
生憎ヨーグルトの買い置きはありませんでした。
バナナもありません。
無いとなると、なおさら食べたくなってしまうもの。
まだちょっと時間はあるし、近所のコンビニに買いに行こう。
そう決めました。
そのときの私の格好は、例の乳首穴空きTシャツで下半身は裸。
股間にはタンポンを挿れていました。
火曜日の裸コートお散歩で、あまりにおツユを滴らせてしまった反省から、今日はこれで防御しようと、二度目の身づくろいのときに挿れたものでした。
ファッションビルで下着を買って身に着けたら、抜くつもりでした。
コンビニまでは歩いて一分くらい。
そのためだけに普通の格好に着替えるのもめんどくさいし、この上にコート着ちゃえばいいか。
よく行くお店で店員さんとも顔馴染みだけれど、ほんの数分のことだし、コートさえちゃんと着ていれば、さわられでもしない限り、中身が裸だなんて絶対わからないことは体験済みです。
一昨日の裸コートですっかり自信をつけ大胆になっている私は、すぐにサンルームへ行き、コートを手に取りました。
穴空きTシャツの上にオリーブグリーンのコートを羽織り、ボタンを上までびっちり留めて、小さいトートバッグにお財布だけ入れました。
玄関に出ていたバレエシューズぽいフラットなパンプスを裸足に引っかけ、いそいそとコンビニに急ぎました。
「あら?直子じゃない?」
コンビニまであと数メートルというところで、前から歩いてきた人がすれ違いざまに声をかけてきました。
ドッキーン!
うつむきがちに歩いていた私の全身が、ビックンと大げさに跳ねるほど驚いてしまった理由はふたつ。
ひとつは、人知れずのいやらしい行為実行中に不意に声をかけられての、単純なびっくり。
もうひとつは、かけられたお声が、私がよーく知っている人のものだったことでした。
「ごきげんよう。こんな時間に会うなんて珍しいわね?今日は学校、お休みなんだ?」
秋らしいシックなダークキャメルのワンピーススーツに身を包んだ小柄で可愛らしい女性が、ニコニコ笑って私に駆け寄ってきました。
「ご、ごきげんよう、シーナさま・・・」
裸コートをしているときに偶然シーナさまに会っちゃったら、どんなことになっちゃうだろう?っていう妄想をしたことは、ここ数日のあいだにも何度かありました。
シーナさまなら絶対、そういうアソビにも慣れていらっしゃるだろうから、私はきっと、言葉巧みに翻弄されて、とんでもない辱めを受けることになっちゃうのだろうな。
ひょっとしたら街中で、コートを剥ぎ取られて全裸で放り出されてしまうかも・・・
それは私にとって、とてつもなくワクワクする甘美な期待であるとともに、現実的には、もし本当にそんな事態になったら、って、ビクビク震えちゃうほどの不安と恐怖を伴う、諸刃の剣な妄想でもありました。
それが今、現実となってしまいました。
このコートの中身を、シーナさまに知ってもらいたいような、絶対知られたくないような・・・
「シーナさまも、こんな時間に、珍しいですね?」
私はとりあえず、シーナさまの出方を伺うことにしました。
シーナさまに何か他のご用事があって、二言三言言葉を交わすだけでお別れするのであれば、コートの中身は知られないままでいたい、と思いました。
お忙しいシーナさまですから、ありえることです。
ずるいようですが、私には、せっかく自分で考えたこの後のお愉しみを、ジャマされたくない、という気持ちもありました。
「それがさ、ずいぶん前にアポ取ってた約束をドタキャンされちゃってさあ」
シーナさまがうんざりしたお顔で私に訴えかけてきます。
「優雅にランチしながら打ち合わせしようと思っていたのに、ランチもろともパーになっちゃって、ポッカリ時間空いちゃったのよ」
「わたしとしてはかなり楽しみにしていた打ち合わせだったのよ?もう、ツイてないわ」
「なんだか無性にイライラもしているから、マンション戻って久々にひとりでスッキリして、ついでにお昼寝でもしちゃおうかなー、ってさ」
シーナさまが、うふふ、っていう感じで色っぽく笑いました。
私は、その妖艶な笑顔にドキン。
シーナさまがおヒマだということに、もっとドキン。
「直子は何?コンビニ?あっ、ひょっとしてお昼ご飯の買出し?」
「あっ、えっと、そうです・・・ちょっとコンビニまで」
「そっか。それならちょうどいいわ。これからふたりでどっかにランチ、行こうよ?」
「あっ、えっと、そ、そうですね・・・」
私はまだ態度を決めかねてモジモジ。
「それ、きれいな色のコートねー。そっか、もうすっかりそういう季節だもんね」
「シーナさまのスーツのほうがステキです。すっごく似合っています。カッコイイです」
本当によくお似合いで、見蕩れちゃいます。
「そう?わたしもこれ、気に入ってるんだ。生地だけ選んでオートクチュールよ。パリ製じゃないけどね」
「わたしほら、サイズ難しいからさ、作ってもらっちゃったほうがいろいろ捗るのよ」
今度は、えへへ、って笑いました。
私も曖昧に、うふふ。
私の煮え切らない態度に何かがピンときたのでしょう、シーナさまの瞳が妖しく輝いた気がしました。
「そうだ!あのお店のランチはどう?直子、行ったことないでしょう?」
シーナさまが誘ってくれたそのお店は、この界隈では一番高級と言われている有名なフレンチレストランでした。
「え?そんな!あんなお高そうなお店・・・」
「いいって、いいって、わたしがおごっちゃうから。ツキが無いときは、パーッと散財すると悪いツキも落とせるらしいしさ」
「そうと決まれば、タクシー止めましょう」
私がおろおろしているうちに、お話が決まってしまいました。
シーナさまがその場で、かっこよく右手を高く上げました。
ほどなく一台のタクシーが止まり、シーナさまが私を後部座席の奥に押し込めてお店の名前を告げ、タクシーが走り出しました。
「一週間ぶりくらいかしら?あの後どう?」
シーナさまとお会いするのは、正確に言えば12日ぶりでした。
先々週の土曜日の午後、私はシーナさまとあるところにお出かけをして、その数日後、私の激しかったムラムラ期がいったん治まったのでした。
それから一週間足らずで、またまたこんなことをしている私・・・
「どう、って言われましても・・・えっと、あの、まだキレイです・・・」
「そう。それはよかったわ」
シーナさまが私をじーっと見つめてきます。
私は、今の自分の服装のことが気が気ではありません。
シーナさまは、すでに何かに勘付いているご様子。
早めに自分から白状したほうがいいのか、それともしばらくは成り行きに任せるか・・・
タクシーは長い信号待ちで止まっていました。
運転手さんは初老のおじさまで、ラジオの音楽に合わせて小さくハミングをしていました。
隣に座ったシーナさまは、右向きに少しだけお顔を捻ってまだ、私の横顔を見つめています。
私は、視線を感じながらも、うつむいています。
タクシーが動き出すのを待っていたかのように、シーナさまがシートの上をお尻ごと滑らせて、私にぴったり身を寄せてきました。
それから私の左耳に唇を寄せ、ヒソヒソ声でささやきました。
「ところで直子、わかっているのよね?」
「えっ?」
うつむいていた顔を上げ、何をですか?とつづけながらシーナさまのほうを見ようとすると、再び左耳に唇が押し付けられました。
「これから行くフレンチのお店のことよ」
シーナさまは、そこでいったん私の耳から唇を離しました。
私は顔を左に曲げ、シーナさまと至近距離で見つめ合いました。
シーナさまが少し落としたお声で、私を正面から見つめながら、こうつづけました。
「ああいう気取ったお店ってさ、お店に入った途端に、お客様、コートをお預かりします、ってボーイが駆け寄ってくるわよ?」
「そんな大げさなコートを着たままでお食事をするなんて、そんなマナーは、ありえないもの」
「そうでしょう?ね?」
唇は閉じたままお口の両端だけをクイッと上げて、エレガントに、そしてすっごく楽しげに、シーナさまが微笑みました。
自分の全身がコートの下で、瞬く間に火照ってくるのがわかりました。
*
*コートを脱いで昼食を 12へ
*
晴れたり曇ったりで少し肌寒い、絶好のコート日和でした。
顔を洗って、ミルクティーとマフィンで軽い朝食。
お通じもいつも通り、自然にすみました。
その後、バスタブにお湯をはって、ゆっくりと入浴してから身づくろいとお化粧。
鏡に向かいながら、頭の中で今日のスケジュールを復習しました。
お昼ちょっと過ぎに全裸にコートでお家を出て、まず高層ビルふもとのファッションビルに向かいます。
そこでの目的は、ふたつありました。
ひとつは、すっかり気に入って愛用しているオリーブグリーンのコートをもう一着、同じものを手に入れることでした。
そう考えたのは、ずっと昔、やよい先生からお聞きした、ミーコさまの裸コートのことを思い出したからでした。
ミーコさまは、やよい先生とのデートのとき、ご自分の裸のからだをロープで緊縛して、その上にコートだけ着てくることがよくあったそうです。
そして、そのコートの、いつもやよい先生と腕を組むほうの右側ポケットには穴が空いていて、やよい先生がコートのポケットに手を入れれば、いつでもミーコさまのアソコに、直に触れることが出来るようになっていました。
それはステキなアイデアだと思いました。
確かに裸コートでポケットに手を突っ込むと、ちょうど股間に手が届きます。
私にはまだ、そういうえっちなデートをしてくれるパートナーはいないけれど、独り遊びのときでも、人知れずいろいろ、愉しむことが出来きそう。
穴を空けずにポケットの裏地越しに弄ることも出来ますが、それだと裏地がどんどん汚れてしまうし。
コート自体をとっても気に入っていたので、ポケットに穴を空けて普段使いが出来なくなってしまうのもイヤだったので、もう一着手に入れて、一着を裸コート専用服にしたいと思ったのです。
もうひとつの目的は、ファッションビルのブティック街でお買物して、お洋服一式を揃えること。
下着類とコートの下に着るお洋服。
それらをおトイレかどこかで着込み、次の目的地に向かうつもりでした。
全裸にコートで出かけて、現地調達で普通の服装に戻る、言わば、逆ストリップ、です。
どんなお洋服を買うか、ワンピースにするか、ブラウスとスカートにするか、はたまたパンツか、は、その場の気分とご予算に照らし合わせて決めることにしました。
ひょっとしたらオールインワンのややこしいやつを買ってしまうかもしれません。
買って、そのたびにいちいちどこかで身に着けるか、それともずっと裸コートのままお買物するかも、行ってから決めるつもりでした。
いずれにしても、それだけのお買物をするには、ブティックの店員さんとたくさん会話をしなければならないはず。
試着とか勧められちゃったら、どう言って断ろう・・・
想像しただけでキュンキュン疼いてきちゃいます。
そのファッションビルには、レストランフロアやフードコートも入っているので、お昼時には近くのオフィス街の人たちで、そのビル全体が大いに賑わうことは知っていました。
裸コートで、そんなにたくさんの人たちの前に出るのは初めてでドキドキしますが、ランチタイムなら、逆に関係のないブティック街のフロアは空いているのではないかな、と思い、その時間帯に決行することに決めました。
そうしてコートの下が全裸から普通の服装になったら、今度は一昨日訪れた商店街のお薬屋さんに行ってみるつもりでした。
もちろんそう、白衣のおばさまにお浣腸をしていただくために。
お客さまが来なくておヒマそうな、このあいだと同じくらいの時間帯に到着するのが理想です。
おばさまには、こう告げるつもりでした。
お浣腸は、なんとかひとりで出来ました。
おかげさまで良くなったような気がします。
今日もちゃんと普通のお通じでした。
それで、これからもそうならないように、あのときおばさまがおっしゃっていた、腸のうがい、っていう、ぬるま湯でのお浣腸というのも、しておいたほうがいいかな、って思って、今日は伺いました。
この言い訳なら不自然なところはないはずです。
おばさまは、それでもやっぱりびっくりはされるでしょうけれど、きっとしてくれるはず。
とうとう私はおばさまに、裸のお尻と、無毛のアソコをお見せすることになるのです。
そしてあの、冷たくて太いガラスのお浣腸器の先っちょが私のお尻の穴に挿入され、一生懸命がまんしている姿まで見られてしまうのです。
おばさまがお浣腸してくださるお部屋は、どんな雰囲気なんだろう?
そのとき私は、どうなってしまうだろう?
期待と不安に、乳首が弾けそうです。
めぐらせていた妄想に没入し過ぎて、結局そのままちょこっと慰めてしまい、もう一度軽くシャワーを浴びて身づくろいしていたら、時刻はすでに11時を回っていました。
いよいよ決行の時間が近づいてきました。
ワクワクドキドキで気がヘンになりそう。
なぜだかお腹がクゥーっと鳴りました。
いやらしい気分なときは、あまりお腹が空かない性質な私でしたが、独り暮らしになると、それで放っておいたら丸一日何も食べてないときとかもあって、いくらなんでもそれでは健康に良くないと思い、普段からなるべく朝昼晩、少量ずつでもちゃんと何か食べるように心がけていました。
そっか、これからしばらくは何も食べられないから、何か少しお腹に入れておいたほうがいいかな?
かと言って、数時間後にされる行為のことを考えると、あまり大げさなものは食べたくないし。
バナナでも1本、食べていこうか・・・
そのとき頭の中になぜだか、ヨーグルト、という単語が浮かびました。
ああ!ヨーグルトはいいかもしれない。
お腹に優しいし、乳酸菌は腸の味方だし。
これから数時間後、自分のヘンタイな欲求のために、腸に対してかなり苦しい思いをさせてしまう、という負い目があったせいかもしれません。
ヨーグルトがすっごく食べたくなりました。
キッチンへ行って、冷蔵庫を開けてみました。
生憎ヨーグルトの買い置きはありませんでした。
バナナもありません。
無いとなると、なおさら食べたくなってしまうもの。
まだちょっと時間はあるし、近所のコンビニに買いに行こう。
そう決めました。
そのときの私の格好は、例の乳首穴空きTシャツで下半身は裸。
股間にはタンポンを挿れていました。
火曜日の裸コートお散歩で、あまりにおツユを滴らせてしまった反省から、今日はこれで防御しようと、二度目の身づくろいのときに挿れたものでした。
ファッションビルで下着を買って身に着けたら、抜くつもりでした。
コンビニまでは歩いて一分くらい。
そのためだけに普通の格好に着替えるのもめんどくさいし、この上にコート着ちゃえばいいか。
よく行くお店で店員さんとも顔馴染みだけれど、ほんの数分のことだし、コートさえちゃんと着ていれば、さわられでもしない限り、中身が裸だなんて絶対わからないことは体験済みです。
一昨日の裸コートですっかり自信をつけ大胆になっている私は、すぐにサンルームへ行き、コートを手に取りました。
穴空きTシャツの上にオリーブグリーンのコートを羽織り、ボタンを上までびっちり留めて、小さいトートバッグにお財布だけ入れました。
玄関に出ていたバレエシューズぽいフラットなパンプスを裸足に引っかけ、いそいそとコンビニに急ぎました。
「あら?直子じゃない?」
コンビニまであと数メートルというところで、前から歩いてきた人がすれ違いざまに声をかけてきました。
ドッキーン!
うつむきがちに歩いていた私の全身が、ビックンと大げさに跳ねるほど驚いてしまった理由はふたつ。
ひとつは、人知れずのいやらしい行為実行中に不意に声をかけられての、単純なびっくり。
もうひとつは、かけられたお声が、私がよーく知っている人のものだったことでした。
「ごきげんよう。こんな時間に会うなんて珍しいわね?今日は学校、お休みなんだ?」
秋らしいシックなダークキャメルのワンピーススーツに身を包んだ小柄で可愛らしい女性が、ニコニコ笑って私に駆け寄ってきました。
「ご、ごきげんよう、シーナさま・・・」
裸コートをしているときに偶然シーナさまに会っちゃったら、どんなことになっちゃうだろう?っていう妄想をしたことは、ここ数日のあいだにも何度かありました。
シーナさまなら絶対、そういうアソビにも慣れていらっしゃるだろうから、私はきっと、言葉巧みに翻弄されて、とんでもない辱めを受けることになっちゃうのだろうな。
ひょっとしたら街中で、コートを剥ぎ取られて全裸で放り出されてしまうかも・・・
それは私にとって、とてつもなくワクワクする甘美な期待であるとともに、現実的には、もし本当にそんな事態になったら、って、ビクビク震えちゃうほどの不安と恐怖を伴う、諸刃の剣な妄想でもありました。
それが今、現実となってしまいました。
このコートの中身を、シーナさまに知ってもらいたいような、絶対知られたくないような・・・
「シーナさまも、こんな時間に、珍しいですね?」
私はとりあえず、シーナさまの出方を伺うことにしました。
シーナさまに何か他のご用事があって、二言三言言葉を交わすだけでお別れするのであれば、コートの中身は知られないままでいたい、と思いました。
お忙しいシーナさまですから、ありえることです。
ずるいようですが、私には、せっかく自分で考えたこの後のお愉しみを、ジャマされたくない、という気持ちもありました。
「それがさ、ずいぶん前にアポ取ってた約束をドタキャンされちゃってさあ」
シーナさまがうんざりしたお顔で私に訴えかけてきます。
「優雅にランチしながら打ち合わせしようと思っていたのに、ランチもろともパーになっちゃって、ポッカリ時間空いちゃったのよ」
「わたしとしてはかなり楽しみにしていた打ち合わせだったのよ?もう、ツイてないわ」
「なんだか無性にイライラもしているから、マンション戻って久々にひとりでスッキリして、ついでにお昼寝でもしちゃおうかなー、ってさ」
シーナさまが、うふふ、っていう感じで色っぽく笑いました。
私は、その妖艶な笑顔にドキン。
シーナさまがおヒマだということに、もっとドキン。
「直子は何?コンビニ?あっ、ひょっとしてお昼ご飯の買出し?」
「あっ、えっと、そうです・・・ちょっとコンビニまで」
「そっか。それならちょうどいいわ。これからふたりでどっかにランチ、行こうよ?」
「あっ、えっと、そ、そうですね・・・」
私はまだ態度を決めかねてモジモジ。
「それ、きれいな色のコートねー。そっか、もうすっかりそういう季節だもんね」
「シーナさまのスーツのほうがステキです。すっごく似合っています。カッコイイです」
本当によくお似合いで、見蕩れちゃいます。
「そう?わたしもこれ、気に入ってるんだ。生地だけ選んでオートクチュールよ。パリ製じゃないけどね」
「わたしほら、サイズ難しいからさ、作ってもらっちゃったほうがいろいろ捗るのよ」
今度は、えへへ、って笑いました。
私も曖昧に、うふふ。
私の煮え切らない態度に何かがピンときたのでしょう、シーナさまの瞳が妖しく輝いた気がしました。
「そうだ!あのお店のランチはどう?直子、行ったことないでしょう?」
シーナさまが誘ってくれたそのお店は、この界隈では一番高級と言われている有名なフレンチレストランでした。
「え?そんな!あんなお高そうなお店・・・」
「いいって、いいって、わたしがおごっちゃうから。ツキが無いときは、パーッと散財すると悪いツキも落とせるらしいしさ」
「そうと決まれば、タクシー止めましょう」
私がおろおろしているうちに、お話が決まってしまいました。
シーナさまがその場で、かっこよく右手を高く上げました。
ほどなく一台のタクシーが止まり、シーナさまが私を後部座席の奥に押し込めてお店の名前を告げ、タクシーが走り出しました。
「一週間ぶりくらいかしら?あの後どう?」
シーナさまとお会いするのは、正確に言えば12日ぶりでした。
先々週の土曜日の午後、私はシーナさまとあるところにお出かけをして、その数日後、私の激しかったムラムラ期がいったん治まったのでした。
それから一週間足らずで、またまたこんなことをしている私・・・
「どう、って言われましても・・・えっと、あの、まだキレイです・・・」
「そう。それはよかったわ」
シーナさまが私をじーっと見つめてきます。
私は、今の自分の服装のことが気が気ではありません。
シーナさまは、すでに何かに勘付いているご様子。
早めに自分から白状したほうがいいのか、それともしばらくは成り行きに任せるか・・・
タクシーは長い信号待ちで止まっていました。
運転手さんは初老のおじさまで、ラジオの音楽に合わせて小さくハミングをしていました。
隣に座ったシーナさまは、右向きに少しだけお顔を捻ってまだ、私の横顔を見つめています。
私は、視線を感じながらも、うつむいています。
タクシーが動き出すのを待っていたかのように、シーナさまがシートの上をお尻ごと滑らせて、私にぴったり身を寄せてきました。
それから私の左耳に唇を寄せ、ヒソヒソ声でささやきました。
「ところで直子、わかっているのよね?」
「えっ?」
うつむいていた顔を上げ、何をですか?とつづけながらシーナさまのほうを見ようとすると、再び左耳に唇が押し付けられました。
「これから行くフレンチのお店のことよ」
シーナさまは、そこでいったん私の耳から唇を離しました。
私は顔を左に曲げ、シーナさまと至近距離で見つめ合いました。
シーナさまが少し落としたお声で、私を正面から見つめながら、こうつづけました。
「ああいう気取ったお店ってさ、お店に入った途端に、お客様、コートをお預かりします、ってボーイが駆け寄ってくるわよ?」
「そんな大げさなコートを着たままでお食事をするなんて、そんなマナーは、ありえないもの」
「そうでしょう?ね?」
唇は閉じたままお口の両端だけをクイッと上げて、エレガントに、そしてすっごく楽しげに、シーナさまが微笑みました。
自分の全身がコートの下で、瞬く間に火照ってくるのがわかりました。
*
*コートを脱いで昼食を 12へ
*
2013年9月21日
コートを脱いで昼食を 10
眼前にある自分の股間周辺にドボドボとベビーオイルを垂らしてから、右人差し指をアナルへ、左の人差し指と中指を膣へと、ズブリと突き挿しました。
オイルと愛液が入り混じった半透明な液体がピチャッと跳ね、間髪を入れず私の両手が猛然と動き始めました。
あんなイヤな臭いなのに、そんなのでこんなにコーフンしちゃうなんて、私は正真正銘のドヘンタイだ・・・
そんなドヘンタイは、もっともっと懲らしめてやらなくちゃ・・・
ゴム手袋をした両手の指がグリグリグリグリ、二ヶ所の粘膜を浅く深く陵辱しています。
「あーんっ、だめぇーーっ」
その快感にこらえきれなくなったよがり声が、大きく開いた口から洩れ出します。
「あっ、あっ、あっ、あっ・・・」
両手のリズムと同じテンポの切ない喘ぎ。
頭の中には、お薬屋さんで見た、大きくて無機質なガラスの浣腸器の姿がグルグルと回っていました。
あの太くて冷たそうな先っちょにつらぬかれてみたい。
お薬をたっぷり、このいやらしい肛門から注入されたい。
あんなに入れたら、どうなっちゃうんだろう・・・
そして、がまんしきれずに、おばさまの前で汚いものをお漏らししちゃう私・・・
妄想がもたらす恥辱に眉間を歪めつつ顔を上げると、鏡と化した窓に私の浅ましい姿が鮮明に映っていました。
だるまさんのように身を丸めて、大きく開いた両脚を空中に放り出すように高く掲げ、その両脚の付け根付近を熱心に両手でさすっているお下品な女の姿。
そのはしたない女の姿は、紛れもなく現実の私。
両手のスピードがいっそう上がってしまいます。
「ほらね?この子を一目見たときから、そうなんじゃないかと思ったんだ、ワタシ」
頭の中で、お薬屋さんで出会ったチーママさんのお声が聞こえました。
「この子の浣腸器を見つめる目が普通じゃなかったもの、すぐにわかったわよ」
「ワタシが言った、浣腸器をヘンなことに使う人種の最たるものね、このお嬢ちゃん」
「つまり変態よ。澄ました顔してても、頭の中ではいやらしいことしか考えていない、ドスケベ変態オンナ」
私の妄想力では、純粋そうなお薬屋さんのおばさまを、私を虐める意地悪な人としてキャスティングすることは、どうしても出来ないようでした。
なので、その代わりにご登場願ったのがチーママさん。
このかたは、お会いしたときからすぐに、虐め役にぴったりな雰囲気の人だと思っていました。
私をお浣腸するはずの白衣のおばさまは、チーママさんの後ろに退き、ただただ呆れたお顔で私を見つめていました。
私の目の前には、妖艶なチーママさんが腕を組んで、意地悪そうに目を細めています。
「それに知ってる?この子さっき、裸にコートだけ着て浣腸薬買いに来てたのよ?」
「コートの下は真っ裸だったはず。ワタシ、肘でさわったとき確信したわ」
「だから便秘なんて大嘘よ。本当は浣腸薬使って、よからぬ遊びでもしようとしてたんでしょうよ」
「自分を辱めたくて仕方ないのよ。マゾヒストっていうやつね。じゃなきゃこんな格好なんて出来るわけないもの」
チーママさんが軽蔑しきったお顔で薄く笑い、私が突き出しているお尻をパチンと叩きました。
「ああんっ!」
「あら?いい反応ね。痛いのもお好き?だったらこういうのはどう?」
チーママさんが片手で洗濯バサミを拾い、両手のリズムに合わせてプルプル揺れている私のおっぱいを、もう片方の手でむんずと掴みます。
「ほら、こんなもがシートの上に用意してあること自体、この子が虐めてもらいたがっている証拠よね?」
私は、左手をいったん膣から抜き、手探りで洗濯バサミを拾って、左右の乳首をそれぞれ根元まで挟みました。
「あーーいやーっ、痛いーっ!お許しくださいぃーーっ」
そうしているあいだも、右手は動きを止めません。
左手が性器に戻り、いっそう動きが激しくなり、乳首の洗濯バサミもブランブランと派手に揺れつづけます。
「本当にいい格好ね。あなた、そんなにド変態なら、うちの店で働きなさいよ。飛びっきりのスケベオヤジをあてがってあげるわよ?」
「カラオケステージでショーとかしてみない?オナニーショーとかエスエムショー」
「客がいっぱい来て、お金いっぱい貯まるわよ?」
「えっ?オトコはだめなの?なにそれ?変態のクセに生意気ね」
もう一回、バチンとお尻をぶたれます。
「女の子から虐められたいんだったら、いい考えがあるわ」
「うちのお店の子たちに声かければ、毎晩スケベオヤジのお相手でストレス溜まってる女の子たちが、喜んであなたを虐めてくれるはずよ」
「もっとも、お尻の穴弄って濡らしちゃうオンナなんて、彼女たちも人間扱いしないでしょうから、どんなにひどいことされることやら」
「そのパイパンだって、オマンコの中見せびらかしたくてしょうがないからなんでしょ?ほら、もっと開きなさいよっ」
「もう中グッチョグチョじゃない?いやらしいメスの生臭い臭いが、プーンと漂ってくるわ」
チーママさんがお下品なお言葉で、私を容赦なく責め立ててきます。
そんなひどいこと言わないでください・・
私は決してヘンタイなんかじゃないんです、おばさま、信じてください・・・
ただ、こうしていると、お尻の穴がすごく気持ちよくて・・・
私の左手は、人差し指と中指が膣の中をこねくりまわし、伸ばした親指の先でクリトリスを激しくコリコリ擦っていました。
右手の人差し指は、根元までズッポリと隠れ、アヌスの中でウネウネもがいていました。
「あああーーーぅっーーーっ!」
そろそろ限界。
もう、頭の中が真っ白。
「いいいーーーやぁーーーーいいいーくぅーーっ!!!」
結局、お浣腸はしないまま、激しくイってしまいました。
しばらくその場にぐったり横たわっていました。
ふと右手に目をやると、お尻に挿れていた人差し指部分だけ、ゴム手袋の白がうっすら変色していました。
それを見た途端、カーッと頭に血が上り、恥ずかしさにいてもたってもいられなくなって、バスルームに駆け込みました。
熱いシャワーをほとばしらせてから、両手のゴム手袋を剥ぎ取って床に投げ捨て、頭からシャワーを浴びて両手を滅茶苦茶に上下させ、全身を激しくまさぐりました。
今日の私はいつにも増して、ヘンタイなことばっかりしている・・・
お尻の臭いを嗅いでから、からだの火照りが治まらない・・・
お尻の穴であんなに感じちゃうなんて、自分でも信じられない・・・
これはきっと、裸コートのせいだ・・・
裸コートをやったおかげで、私のヘンタイ度がまたひとつ、レベルアップしちゃったんだ・・・
シャワーの熱い飛沫に身を任せながら、そんなことを考えていました。
バスルームの床に捨てたゴム手袋を拾って、右手人差し指の部分の臭いをもう一度嗅いで見たい衝動に駆られます。
でもそれをしたら、またまた暴走してしまいそう。
ゴム手袋から目をそむけ、なんとかがまんしました。
そうしているあいだ中、右手は激しく股間を撫でさすっていました。
「ふーーっ・・・」
熱いシャワーからぬるま湯に切り換え、ずっと浴びているうちに心がだんだん落ち着いてきました。
髪も含めて全身をゆっくり丁寧に洗って、バスルームを出ました。
バスタオルで全身の水気を拭い、全裸のままリビングで髪を乾かし、入念に全身のお手入れ。
すべてを終えて一息ついたのは、夜の7時過ぎでした。
今日買ってきたから揚げとコロッケを温め、バゲットと簡単な野菜サラダと共にダイニングテーブルに並べました。
今の私の格好は、下半身は丸裸。
上半身には、真っ白なシルクの半袖Tシャツを着ています。
このTシャツは、衣替えの頃にお洋服を整理していて、クロゼットの奥底でみつけたものでした。
去年の夏の終わり頃のバーゲンワゴンで、ふんわりツヤツヤした感触が気に入って衝動買いしたものなのですが、お家に帰って着てみたらサイズが小さかったみたいで、あまりにもピッチピチ。
丈もおへそあたりまでしかなく、まるで昔流行った、ちびT、でした。
シルク自体の質は良いみたいで伸縮性が良く、からだの線が乳房のラインまでバッチリ出るし、もちろん、乳首の形まで丸分かりだったので、これはいくらなんでも、ブラしたってお外じゃ着れないからお部屋着にしよう、と思ったまま忘れちゃっていたものでした。
全裸生活中、お水や油が跳ねたり、おっぱいが自由に揺れるとジャマな作業のときに愛用していました。
ただし、全裸生活中ということは、つまりムラムラ期真っ只中な私ですから、普通に着ているだけでは満足出来ませんでした。
すぐに思い立って、バストの頂点を際立たせている部分二ヶ所の布をつまんで、それぞれハサミでチョキンと切ってしまいました。
Tシャツに空いた半径3センチくらいの穴から、これ見よがしに飛び出している尖りきった乳首がふたつ。
ちびT状態のときもそれなりにえっちぽかったのですが、それより数十倍、卑猥な着衣となりました。
わざわざTシャツに穴を空けて乳首だけ露出させている、ということは、それを見て欲しい、という意思表示以外の何ものでもありません。
ここに注目!っていう感じ。
その上、下半身はスッポンポンで、性器とお尻が丸出し。
つまり、こんな格好をする人は、その3箇所を見せたくてたまらないヘンタイ以外の何者でもないのです。
この格好が今のところ私にとっての、裸以上にいやらしい格好、ナンバーワンでした。
そんな破廉恥Tシャツも、数日前にムラムラ期を終えてお洗濯され、しばらく出番が無いはずでした。
まさかこんなにすぐ、またこれを着ることになるなんて。
ダイニングで美味しいから揚げをいただきながら、ひとり、苦笑いしてしまいました。
お夕食中もずっと、次にやる裸コートのことばかり考えていました。
明日は夕方までびっしり講義があるから無理だなー。
明後日は午前中だけだから、また早く帰ってきて出来るな。
今度はどこへ行ってみようか・・・
ファッションビルと、お薬屋さんのおばさまのとこにも、余韻が残っているうちに行かなくちゃ・・・
あのお浣腸器、楽しみだな・・・
考えているだけで、Tシャツから飛び出している乳首が性懲りもなく、グングン熱を持って尖ってきました。
私はもうすっかり、裸コートの虜でした。
出来ることなら毎日でも、その格好でお外を歩きたい、と思っていました。
だけどまだちょっと、夜するのは怖いし、大学に秋休みっていうのもあればいいのに・・・
お夕食を終えたら、からだのウズウズががまん出来ないほどになっていました。
食器を手早く洗い、まだお片づけしていなかったサンルームに戻り全裸になりました。
お尻の穴が少しヒリヒリしていたので、今回はお尻は弄らず、チーママさんのお店でオナニーショーをやらされる妄想を、鏡の前で洗濯バサミやローターを使って激しく演じた後、お片づけをしてから眠りにつきました。
翌日はノーパンジーンズで登校。
良いニュースがひとつありました。
その次の日、木曜日の2限目の授業が臨時休講になる、というお知らせを掲示板でみつけたのです。
その日の1限目は出席をとらない講義なので、後でお友達にノートを見せてもらえれば大丈夫。
学校をお休み出来ます。
丸一日を裸コートのためだけに使うことが出来るのです。
それからずっと、木曜日に裸コートで何をするか、ばっかり考えていました。
そして、かなり面白そうな、えっちな計画を作り上げることが出来ました。
まるで遠足の日の前の子供のように、木曜日の朝をワクワク待ちながら眠りにつきました。
*
*コートを脱いで昼食を 11へ
*
2013年9月14日
コートを脱いで昼食を 09
エントランスホールには誰もいませんでした。
柏木のおばさまに帰ってきたことを一応ご報告しておこうと、管理人室のインタフォンのボタンを押しました。
「はーい」
「あ、森下です。今戻りましたので、荷物をお部屋にいったん置いてからまた・・・」
言っているあいだに、柏木のおばさまがエントランスに出ていらっしゃいました。
「おかえりなさい。意外と早かったわね」
私のものであろう大きなダンボール箱を両手で抱えた柏木のおばさまが、ニッコリ笑いかけてくれます。
「ありがとうございます。いったん荷物を置いてからまた降りてきますので、それはそのへんに置いておいてください」
「あら、直子ちゃん、両手が塞がっているのね。だったらおばさんが一緒にお部屋まで持って行ってあげるわよ」
おばさまがそう言って、スタスタとエレベーターのほうへ歩いていってしまいました。
「あっ、ありがとうございます。お手数おかけしてごめんなさい」
「いいの、いいの、ヒマだから」
狭いエレベーターの中でおばさまとふたりきり。
今自分がしていることに負い目があるので、すっごく緊張してしまいます。
「やっぱり今の季節じゃまだ、そういうコートだと少し暑いのかしらね?直子ちゃん、お顔が火照っているわよ?」
「は、はい・・・けっこう歩いたので、ちょっと疲れちゃったみたいかな・・・」
ドキドキしながら答えます。
「あら?あそこの商店街まで行ってきたのね?」
私が肩に提げたトートバッグから覗いている、お肉屋さんの包み紙に目をやるおばさま。
「はい。以前お散歩していてみつけて、今日、ふと行ってみようかなって・・・」
マンションの門をくぐる前に、お薬屋さんの包みはバッグの奥底にしまい、から揚げの包みを一番上にしておいたんです。
エレベーターが私のフロアに着きました。
「わたしもたまに行くわよ。やっぱり自家製、作りたては美味しいものね。そういう揚げ物とかパンとか」
「あそこはとても古くからあって、昔はもっと賑わっていたのよ。お店も今の倍以上あって、わたしもその頃は、ちょっと遠いけれどよく行っていたの」
「今は高齢化と再開発で、閉めちゃったお店のほうが目立つけれどね。わたしが子供の頃からだもの」
「うちもここに住んで長いから、お知り合いもいっぱいいるのよ。そのお肉屋さんとも顔なじみよ」
私のお部屋のドアまで歩きながら、おばさまが懐かしそうにおっしゃいました。
私は、柏木のおばさまが、あのお薬屋さんのおばさまともお知り合いなのかどうか、聞いてみたくて仕方ありませんでした。
でも、脈絡なく突然そんなことを聞くのは絶対ヘン。
逆に、なぜだか尋ねられて、やぶへびになっちゃいそうなのでやめました。
「そのから揚げも絶対美味しいから、また、たまに買いに行ってあげてね」
おばさまが我が事のようにお肉屋さんの応援をして微笑みます。
「はい。あっ、荷物はそこに置いてください。後は自分でやりますから」
「そうね。よいしょっと。それじゃあまたね」
「わざわざありがとうございました」
「ううん。いいのよ。何かあったらまたいつでも言ってね」
ドア脇の棚の花瓶に活けたセイタカアワダチソウの束をちょいちょいと直してから、おばさまは優雅に会釈してエレベーターのほうへと戻っていかれました。
お辞儀をした頭を下げたまま、おばさまの背中をお見送りします。
おばさまがエレベーターの中へ消え、扉が閉じるとすぐに、エレベーターのほうに駆け出しました。
エレベーターの表示が3、2、1と変化して、1のまま動かなくなったのをしっかり確認してから、コートのボタンをはずし始めました。
お部屋のドア前に戻るまでに、一番下までボタンをはずし終えました。
コートの前を開いて、自分の裸を覗き込みます。
全身が満遍なくじっとりと汗ばみ、淡いピンク色に上気しています。
左右の乳首は、これでもかというくらいに背伸びして、その存在を誇示しています。
両脚の付け根付近は、ぱっと見でもわかるくらいテラテラと濡れそぼっています。
欲情している女のからだ、そのもの。
ゆっくりと両腕を袖から抜き、コートを脱ぎました。
脱いだコートを軽くたたんで、おばさまに運んでいただいたダンボール箱の上に置き、その場にしゃがんでショートブーツを脱ぎ始めます。
しゃがんだ途端に、通路の床にポタリとおツユが垂れました。
今日履いていたショートブーツは、ブーツの筒部分と足との隙間に余裕があるデザインだったので、腿から滑り落ちたいやらしいおツユは、みんなふくらはぎを伝ってブーツの中に消えていました。
そんなブーツの中は、まるで雨の日に誤って水溜りにはまってしまったように、左右ともじっとりと濡れていました。
裸コートになってお外を歩いているあいだに、こんなにもえっちなおツユを垂れ流していたんだ・・・
今更ながら、強烈な恥ずかしさがこみ上げてきました。
ブーツを両足とも脱ぎ終えたら、完全な全裸です。
これでお部屋に入れます。
通路のグレイな大理石風タイルの上を裸足で歩くと、濡れた裸足の足跡がうっすらと残ります。
このブーツ、よく洗ってからじゃないと履けないな・・・もしも臭っちゃったらどうしよう・・・
そんなことを考えながら、玄関の鍵を開けました。
夕方5時前。
薄暗い玄関の電気を点けました。
同時に目に飛び込んできたのは、鏡に映った自分の姿。
今、お外からお部屋に戻ってきたばかりなのに、なぜだか全裸な私。
まるで全裸のままお外を歩いてきたみたい。
鏡に映っている自分の顔は、私がよく知っている、えっちなことで頭がいっぱいになっているときの、トロンとした目で口許に締まりの無い、いやらしい私の顔でした。
今すぐにでも、全身をまさぐって気持ち良くなりたい欲求を懸命にがまんして、買ってきたものを所定の場所にしまいました。
実家からの荷物は、開けもせずそのままウォークインクロゼットへ。
ブーツは、中を乾拭きしてから除菌消臭スプレーをして窓際に日陰干し、コートも裏返しにしてサンルームの窓際に吊るしました。
そんな作業をしているあいだも、乳首はずっと尖ったまま。
早くさわって、って私を急かします。
ちょっとつまんでみたくなる気持ちを必死にこらえて、片づけを終えました。
汗ばんだからだにシャワーを浴びたい感じもありましたが、とりあえず一度慰めてから、ゆっくり浴びることにして、すぐさま快楽への準備に移りました。
ベッドルームに行き、ローソクプレイのときに使ったレジャーシートと他数点のお道具を取り出して、サンルームに向かいました。
お外が暗くなると窓全面が鏡張りになる、マジックミラーのサンルーム。
今回は久しぶりに、ここでしてみるつもりでした。
もちろん、この時間帯に中で電気を点けると、お外からは素通し丸見えになっちゃうことは知っています。
でも、よほど私が窓際に近づかない限り、中で何をしているのかがわかるような建物は、近くに無いことも確認していました。
これからする行為は、鏡があるほうが都合がいいし、ずっと寝そべっていれば遠くのビルからでも見えないだろうし。
裸コートをしたためなのか、すっごく気持ちが大胆になっていました。
それに、ここのほうがリビングよりおトイレに近いし・・・
ところどころに赤いローソク痕がこびりついている銀色のレジャーシートを、サンルームの入口付近に敷きました。
ここからおトイレまでは、直線で5メートルくらい。
サンルームのドアもおトイレのドアも開け放しておきます。
それから、お外の地面が駐車場なバルコニーに面した側の大きな窓にかかるブラインドを、次々に開いていきました。
鏡と化した大きな窓ガラスが、私の全裸な全身を映し出しました。
もしも今、バルコニーに誰かいたら、オールヌードの私がガラス越しの至近距離で、暗闇に煌々と浮かび上がって見えているはず。
そう考えただけで、キュンキュン感じてきちゃいます。
レジャーシートを少し窓のほうに寄せ、窓にお尻を向けて四つん這いになってみます。
大丈夫。
ちゃんとお尻が映ってる。
位置が決まって、その手元となるあたりに準備したお道具を並べました。
今日買ったお浣腸のお薬、ベビーオイル、バスタオル、お水を溜めたバスボウル、念のための木製洗濯バサミ数個とピンクローター。
そう。
これから私は、あのお薬屋さんのおばさまからお浣腸をされる妄想で、シミュレーションオナニーをしてみるつもりなのです。
両手に極薄の白っぽいゴム手袋をはめます。
看護婦だったというあのおばさまなら、絶対そうするはず、と思って用意したものでした。
この手袋をして自分のからだをさわると、自分の手でさわられているのではないような感触がして、好きなグッズのひとつでした。
その手で、今日買ったベビーオイルを開けました。
おばさまにお浣腸していただくなら、やっぱり四つん這いだろうな。
スカートを捲り上げられるのと、ズボンを下ろすのとでは、どっちがより恥ずかしいだろう?
そうだ、オールインワンのサロペットやコンビネゾンを着ていけば、上半身もろとも脱がなきゃいけなくなっちゃう。
そういうのもいいかな?
でも、お浣腸してもらおうって訪問してるのに、そんなややこしい服を着てくるのは、ちょっとわざとらし過ぎるかも。
どうするか、行くときまでに服装をちゃんと真剣に考えたほうがいいな・・・
銀色のレジャーシートの上で実際に四つん這いになってから、ベビーオイルをゴム手袋の右手のひらにたっぷり垂らしました。
それから下着を取られて、最初は肛門の消毒かな?
それからオイルでマッサージ。
おばさま、どんなふうにマッサージしてくれるだろう?
四つん這いのまま右手を背中からお尻に回し、穴のあたりをオイルまみれにしました。
あっ、その前に、私のその周辺に毛が無いこと、絶対聞かれるだろうな。
今はとくに、入念にお手入れしちゃった直後で、まったく無い状態だからなー。
何て答えようか?
生まれつき薄いからかっこ悪いと思って、いっそのこと、って思って全部剃っちゃいました、で、ご納得してくださるかな?
看護婦さんなら、そういうのも見慣れているだろうし、あら、そうなの、って、あっさり流してくれるといいな・・・
そんなことを考えながら、お尻の穴を中心に周辺を右手でヌルヌル愛撫しています。
指先が肛門に触れると、肛門がヒクっとすぼまるのがわかります。
お浣腸器を挿れやすくするためのマッサージなのだから、滑りをよくするために、当然おばさまの指が穴に、アナルに入ってくるのだろうな。
どんな感じなんだろう?
自分でお尻に手をやって、広げたほうがいいのかな?
昔、やよい先生にタンポンを突っ込まれたことがあったけれど、アナルに何か挿れるなんて、あれ以来かな。
そう言えばアナルって、響きがなんともいやらしい感じだな。
そうそう、アヌスっていう言葉もいやらしい・・・
頭の中の妄想を具現化するように、私の右手人差し指がそろそろと、肛門の中に進入してきました。
「んっ!」
ヌルヌルしているから別に痛くは無く、むしろ、むず痒い官能にゾクゾクしていました。
指が少しづつ、より深く前進するたびに、肛門がキュッと締まるのがわかります。
「んんーっ」
埋まった指を中で少し動かすと、下半身全体がモゾモゾ悶えてしまいます。
考えてみると私は今まで、さほど積極的に自分のアナルを虐めたことはありませんでした。
お浣腸のほかは、ローターを当てて震わせたりがせいぜい。
やよい先生のタンポン挿入が一番ハードな責めだったかもしれません。
やっぱり、そこから出てくるもの、に対する禁忌感、嫌悪感が大きかったのだと思います。
だけど今、なんだかすごく気持ちいい。
人差し指は、第二間接くらいまで埋まっていました。
指先をクイクイ動かすたびに新鮮な官能を感じていました。
「んあんっ、んーぅんっ」
やだっ、私ったら、ここでこれに目覚めちゃったら、おばさまとの本番でもマッサージだけであんあん喘いじゃいそう・・・
気持ちはいいのですが、四つん這いという格好に無理がありました。
これだと疲れるし、右手しか使えないし、鏡を見るにも首を大きく捻らなければなりません。
そこでいったん手を止めて、別の体勢になることにしました。
おばさまがおっしゃっていた、もっとも恥ずかしいお浣腸の体勢。
でんぐり返しの途中みたいな、赤ちゃんがオムツを取り替えるときのような格好。
窓に足を向けて仰向けになった私は、そのまま両脚を大きく開いて自分の肩のほうにぐるんと跳ね上げ、代わりに上体を少し起こしました。
後転の途中みたいな格好、と言うよりも、俗に言うまんぐり返しの格好、と言ったほうがわかりやすいでしょう。
からだが柔らかい私は、この姿勢になると自分の目で、自分のアソコもお尻の穴もほぼ正面から目視することが出来ました。
ああんっ!なんて恥ずかしい格好・・・
そしてもちろん、窓である鏡にも自分の姿がバッチリ映っていて、突き出したお尻越しに鏡の中の自分とバッチリ目が合っちゃいました。
もしもこの姿勢でおばさまからお浣腸を受けたなら、私は始終おばさまとお顔を合わせたまま、束の間の恥辱に耐えなければならなくなるのです。
こんな姿勢だと、私の開いたアソコからとめどなく溢れ出るいやらしいおツユを、おばさまの目から隠すことも出来ません。
お浣腸されながら愛液を垂らす女・・・
さすがの純粋なおばさままも、私のそんな姿を見たら、この女は淫乱な変態娘だ、と思い知ることになるでしょう。
それはたぶん、私の身の破滅、でもやってみたい・・・
そんな妄想にいてもたってもいられなくなり、自由な両手が私の下半身に伸びていきました。
左手は性器、右手はアナル。
そのとき何を思ったのか、右手をお尻に伸ばす前に何の気なしに自分の鼻先に持ってきて、人差し指の匂いを嗅いでしまいました。
手袋のゴムのケミカルな匂いに混じった、形容し難い、ケダモノじみたお下品な匂い。
匂いと書くより臭いと書くべき、はしたない臭い。
それを嗅いだ瞬間、私の中で何かがバチンと、音をたてて弾け跳びました。
*
*コートを脱いで昼食を 10へ
*
柏木のおばさまに帰ってきたことを一応ご報告しておこうと、管理人室のインタフォンのボタンを押しました。
「はーい」
「あ、森下です。今戻りましたので、荷物をお部屋にいったん置いてからまた・・・」
言っているあいだに、柏木のおばさまがエントランスに出ていらっしゃいました。
「おかえりなさい。意外と早かったわね」
私のものであろう大きなダンボール箱を両手で抱えた柏木のおばさまが、ニッコリ笑いかけてくれます。
「ありがとうございます。いったん荷物を置いてからまた降りてきますので、それはそのへんに置いておいてください」
「あら、直子ちゃん、両手が塞がっているのね。だったらおばさんが一緒にお部屋まで持って行ってあげるわよ」
おばさまがそう言って、スタスタとエレベーターのほうへ歩いていってしまいました。
「あっ、ありがとうございます。お手数おかけしてごめんなさい」
「いいの、いいの、ヒマだから」
狭いエレベーターの中でおばさまとふたりきり。
今自分がしていることに負い目があるので、すっごく緊張してしまいます。
「やっぱり今の季節じゃまだ、そういうコートだと少し暑いのかしらね?直子ちゃん、お顔が火照っているわよ?」
「は、はい・・・けっこう歩いたので、ちょっと疲れちゃったみたいかな・・・」
ドキドキしながら答えます。
「あら?あそこの商店街まで行ってきたのね?」
私が肩に提げたトートバッグから覗いている、お肉屋さんの包み紙に目をやるおばさま。
「はい。以前お散歩していてみつけて、今日、ふと行ってみようかなって・・・」
マンションの門をくぐる前に、お薬屋さんの包みはバッグの奥底にしまい、から揚げの包みを一番上にしておいたんです。
エレベーターが私のフロアに着きました。
「わたしもたまに行くわよ。やっぱり自家製、作りたては美味しいものね。そういう揚げ物とかパンとか」
「あそこはとても古くからあって、昔はもっと賑わっていたのよ。お店も今の倍以上あって、わたしもその頃は、ちょっと遠いけれどよく行っていたの」
「今は高齢化と再開発で、閉めちゃったお店のほうが目立つけれどね。わたしが子供の頃からだもの」
「うちもここに住んで長いから、お知り合いもいっぱいいるのよ。そのお肉屋さんとも顔なじみよ」
私のお部屋のドアまで歩きながら、おばさまが懐かしそうにおっしゃいました。
私は、柏木のおばさまが、あのお薬屋さんのおばさまともお知り合いなのかどうか、聞いてみたくて仕方ありませんでした。
でも、脈絡なく突然そんなことを聞くのは絶対ヘン。
逆に、なぜだか尋ねられて、やぶへびになっちゃいそうなのでやめました。
「そのから揚げも絶対美味しいから、また、たまに買いに行ってあげてね」
おばさまが我が事のようにお肉屋さんの応援をして微笑みます。
「はい。あっ、荷物はそこに置いてください。後は自分でやりますから」
「そうね。よいしょっと。それじゃあまたね」
「わざわざありがとうございました」
「ううん。いいのよ。何かあったらまたいつでも言ってね」
ドア脇の棚の花瓶に活けたセイタカアワダチソウの束をちょいちょいと直してから、おばさまは優雅に会釈してエレベーターのほうへと戻っていかれました。
お辞儀をした頭を下げたまま、おばさまの背中をお見送りします。
おばさまがエレベーターの中へ消え、扉が閉じるとすぐに、エレベーターのほうに駆け出しました。
エレベーターの表示が3、2、1と変化して、1のまま動かなくなったのをしっかり確認してから、コートのボタンをはずし始めました。
お部屋のドア前に戻るまでに、一番下までボタンをはずし終えました。
コートの前を開いて、自分の裸を覗き込みます。
全身が満遍なくじっとりと汗ばみ、淡いピンク色に上気しています。
左右の乳首は、これでもかというくらいに背伸びして、その存在を誇示しています。
両脚の付け根付近は、ぱっと見でもわかるくらいテラテラと濡れそぼっています。
欲情している女のからだ、そのもの。
ゆっくりと両腕を袖から抜き、コートを脱ぎました。
脱いだコートを軽くたたんで、おばさまに運んでいただいたダンボール箱の上に置き、その場にしゃがんでショートブーツを脱ぎ始めます。
しゃがんだ途端に、通路の床にポタリとおツユが垂れました。
今日履いていたショートブーツは、ブーツの筒部分と足との隙間に余裕があるデザインだったので、腿から滑り落ちたいやらしいおツユは、みんなふくらはぎを伝ってブーツの中に消えていました。
そんなブーツの中は、まるで雨の日に誤って水溜りにはまってしまったように、左右ともじっとりと濡れていました。
裸コートになってお外を歩いているあいだに、こんなにもえっちなおツユを垂れ流していたんだ・・・
今更ながら、強烈な恥ずかしさがこみ上げてきました。
ブーツを両足とも脱ぎ終えたら、完全な全裸です。
これでお部屋に入れます。
通路のグレイな大理石風タイルの上を裸足で歩くと、濡れた裸足の足跡がうっすらと残ります。
このブーツ、よく洗ってからじゃないと履けないな・・・もしも臭っちゃったらどうしよう・・・
そんなことを考えながら、玄関の鍵を開けました。
夕方5時前。
薄暗い玄関の電気を点けました。
同時に目に飛び込んできたのは、鏡に映った自分の姿。
今、お外からお部屋に戻ってきたばかりなのに、なぜだか全裸な私。
まるで全裸のままお外を歩いてきたみたい。
鏡に映っている自分の顔は、私がよく知っている、えっちなことで頭がいっぱいになっているときの、トロンとした目で口許に締まりの無い、いやらしい私の顔でした。
今すぐにでも、全身をまさぐって気持ち良くなりたい欲求を懸命にがまんして、買ってきたものを所定の場所にしまいました。
実家からの荷物は、開けもせずそのままウォークインクロゼットへ。
ブーツは、中を乾拭きしてから除菌消臭スプレーをして窓際に日陰干し、コートも裏返しにしてサンルームの窓際に吊るしました。
そんな作業をしているあいだも、乳首はずっと尖ったまま。
早くさわって、って私を急かします。
ちょっとつまんでみたくなる気持ちを必死にこらえて、片づけを終えました。
汗ばんだからだにシャワーを浴びたい感じもありましたが、とりあえず一度慰めてから、ゆっくり浴びることにして、すぐさま快楽への準備に移りました。
ベッドルームに行き、ローソクプレイのときに使ったレジャーシートと他数点のお道具を取り出して、サンルームに向かいました。
お外が暗くなると窓全面が鏡張りになる、マジックミラーのサンルーム。
今回は久しぶりに、ここでしてみるつもりでした。
もちろん、この時間帯に中で電気を点けると、お外からは素通し丸見えになっちゃうことは知っています。
でも、よほど私が窓際に近づかない限り、中で何をしているのかがわかるような建物は、近くに無いことも確認していました。
これからする行為は、鏡があるほうが都合がいいし、ずっと寝そべっていれば遠くのビルからでも見えないだろうし。
裸コートをしたためなのか、すっごく気持ちが大胆になっていました。
それに、ここのほうがリビングよりおトイレに近いし・・・
ところどころに赤いローソク痕がこびりついている銀色のレジャーシートを、サンルームの入口付近に敷きました。
ここからおトイレまでは、直線で5メートルくらい。
サンルームのドアもおトイレのドアも開け放しておきます。
それから、お外の地面が駐車場なバルコニーに面した側の大きな窓にかかるブラインドを、次々に開いていきました。
鏡と化した大きな窓ガラスが、私の全裸な全身を映し出しました。
もしも今、バルコニーに誰かいたら、オールヌードの私がガラス越しの至近距離で、暗闇に煌々と浮かび上がって見えているはず。
そう考えただけで、キュンキュン感じてきちゃいます。
レジャーシートを少し窓のほうに寄せ、窓にお尻を向けて四つん這いになってみます。
大丈夫。
ちゃんとお尻が映ってる。
位置が決まって、その手元となるあたりに準備したお道具を並べました。
今日買ったお浣腸のお薬、ベビーオイル、バスタオル、お水を溜めたバスボウル、念のための木製洗濯バサミ数個とピンクローター。
そう。
これから私は、あのお薬屋さんのおばさまからお浣腸をされる妄想で、シミュレーションオナニーをしてみるつもりなのです。
両手に極薄の白っぽいゴム手袋をはめます。
看護婦だったというあのおばさまなら、絶対そうするはず、と思って用意したものでした。
この手袋をして自分のからだをさわると、自分の手でさわられているのではないような感触がして、好きなグッズのひとつでした。
その手で、今日買ったベビーオイルを開けました。
おばさまにお浣腸していただくなら、やっぱり四つん這いだろうな。
スカートを捲り上げられるのと、ズボンを下ろすのとでは、どっちがより恥ずかしいだろう?
そうだ、オールインワンのサロペットやコンビネゾンを着ていけば、上半身もろとも脱がなきゃいけなくなっちゃう。
そういうのもいいかな?
でも、お浣腸してもらおうって訪問してるのに、そんなややこしい服を着てくるのは、ちょっとわざとらし過ぎるかも。
どうするか、行くときまでに服装をちゃんと真剣に考えたほうがいいな・・・
銀色のレジャーシートの上で実際に四つん這いになってから、ベビーオイルをゴム手袋の右手のひらにたっぷり垂らしました。
それから下着を取られて、最初は肛門の消毒かな?
それからオイルでマッサージ。
おばさま、どんなふうにマッサージしてくれるだろう?
四つん這いのまま右手を背中からお尻に回し、穴のあたりをオイルまみれにしました。
あっ、その前に、私のその周辺に毛が無いこと、絶対聞かれるだろうな。
今はとくに、入念にお手入れしちゃった直後で、まったく無い状態だからなー。
何て答えようか?
生まれつき薄いからかっこ悪いと思って、いっそのこと、って思って全部剃っちゃいました、で、ご納得してくださるかな?
看護婦さんなら、そういうのも見慣れているだろうし、あら、そうなの、って、あっさり流してくれるといいな・・・
そんなことを考えながら、お尻の穴を中心に周辺を右手でヌルヌル愛撫しています。
指先が肛門に触れると、肛門がヒクっとすぼまるのがわかります。
お浣腸器を挿れやすくするためのマッサージなのだから、滑りをよくするために、当然おばさまの指が穴に、アナルに入ってくるのだろうな。
どんな感じなんだろう?
自分でお尻に手をやって、広げたほうがいいのかな?
昔、やよい先生にタンポンを突っ込まれたことがあったけれど、アナルに何か挿れるなんて、あれ以来かな。
そう言えばアナルって、響きがなんともいやらしい感じだな。
そうそう、アヌスっていう言葉もいやらしい・・・
頭の中の妄想を具現化するように、私の右手人差し指がそろそろと、肛門の中に進入してきました。
「んっ!」
ヌルヌルしているから別に痛くは無く、むしろ、むず痒い官能にゾクゾクしていました。
指が少しづつ、より深く前進するたびに、肛門がキュッと締まるのがわかります。
「んんーっ」
埋まった指を中で少し動かすと、下半身全体がモゾモゾ悶えてしまいます。
考えてみると私は今まで、さほど積極的に自分のアナルを虐めたことはありませんでした。
お浣腸のほかは、ローターを当てて震わせたりがせいぜい。
やよい先生のタンポン挿入が一番ハードな責めだったかもしれません。
やっぱり、そこから出てくるもの、に対する禁忌感、嫌悪感が大きかったのだと思います。
だけど今、なんだかすごく気持ちいい。
人差し指は、第二間接くらいまで埋まっていました。
指先をクイクイ動かすたびに新鮮な官能を感じていました。
「んあんっ、んーぅんっ」
やだっ、私ったら、ここでこれに目覚めちゃったら、おばさまとの本番でもマッサージだけであんあん喘いじゃいそう・・・
気持ちはいいのですが、四つん這いという格好に無理がありました。
これだと疲れるし、右手しか使えないし、鏡を見るにも首を大きく捻らなければなりません。
そこでいったん手を止めて、別の体勢になることにしました。
おばさまがおっしゃっていた、もっとも恥ずかしいお浣腸の体勢。
でんぐり返しの途中みたいな、赤ちゃんがオムツを取り替えるときのような格好。
窓に足を向けて仰向けになった私は、そのまま両脚を大きく開いて自分の肩のほうにぐるんと跳ね上げ、代わりに上体を少し起こしました。
後転の途中みたいな格好、と言うよりも、俗に言うまんぐり返しの格好、と言ったほうがわかりやすいでしょう。
からだが柔らかい私は、この姿勢になると自分の目で、自分のアソコもお尻の穴もほぼ正面から目視することが出来ました。
ああんっ!なんて恥ずかしい格好・・・
そしてもちろん、窓である鏡にも自分の姿がバッチリ映っていて、突き出したお尻越しに鏡の中の自分とバッチリ目が合っちゃいました。
もしもこの姿勢でおばさまからお浣腸を受けたなら、私は始終おばさまとお顔を合わせたまま、束の間の恥辱に耐えなければならなくなるのです。
こんな姿勢だと、私の開いたアソコからとめどなく溢れ出るいやらしいおツユを、おばさまの目から隠すことも出来ません。
お浣腸されながら愛液を垂らす女・・・
さすがの純粋なおばさままも、私のそんな姿を見たら、この女は淫乱な変態娘だ、と思い知ることになるでしょう。
それはたぶん、私の身の破滅、でもやってみたい・・・
そんな妄想にいてもたってもいられなくなり、自由な両手が私の下半身に伸びていきました。
左手は性器、右手はアナル。
そのとき何を思ったのか、右手をお尻に伸ばす前に何の気なしに自分の鼻先に持ってきて、人差し指の匂いを嗅いでしまいました。
手袋のゴムのケミカルな匂いに混じった、形容し難い、ケダモノじみたお下品な匂い。
匂いと書くより臭いと書くべき、はしたない臭い。
それを嗅いだ瞬間、私の中で何かがバチンと、音をたてて弾け跳びました。
*
*コートを脱いで昼食を 10へ
*
2013年9月8日
コートを脱いで昼食を 08
その人は、私の姿を見て一瞬、ギクリと立ち止まりましたが、すぐに艶やかな笑顔を向けてきました。
「あらあ、お客さんがいらしてたのね。ごめんなさいね。大きな声出しちゃって」
妖艶に微笑むその人は、お顔立ちもいでたちも全体的に派手めで肉感的な女性でした。
幾重にもウエーブした豊かな髪を頭の上に盛り上げ、なぜだか目の周りだけ入念にお化粧しています。
そのせいか、綺麗だけれど、気の強そうなお顔立ちに見えました。
青いハイネックのピッタリとした長めニットの上に、全体的に銀色な、ヒラヒラがいっぱい付いたショールを軽く羽織り、下はレギンス。
「これからお店?」
「そうなんだけどさ、お化粧してたら突然、アレをきらしてることを思い出してさ、あわてて取りにきたってワケ」
私に軽く会釈をしてから、おばさまのご質問に明るいお声で答えるその人。
私も会釈を返しながら、その人をそっと上目遣いに観察します。
お年は・・・ちょっとわからない。
白衣のおばさまよりはお若いと思うけれど、30代か40代か・・・
何て言うか、女ざかり、っていう雰囲気で、からだ全体から、お色気、みたいなものが滲み出ている感じ。
そう思ったのは、その人の全身から盛大に香っている、ローズ系の甘いパフュームのせいも多分にあるとは思います。
「この人はね、西口のお店でチーママやってらっしゃるの。クラブのね」
白衣のおばさまが教えてくれます。
「あっ、クラブって言っても、若い子が集まる踊れるほうのじゃないわよ。中年の殿方が鼻の下伸ばして通ってくる、いわゆるナイトクラブのほうね」
その女性がすかさず冗談ぽく訂正をいれてくれました。
ああ、夜のお仕事の人なんだ、なるほど。
「そう。だからお嬢ちゃんには、ぜんぜん縁の無いお店だけれどね」
「そんなことないわよ」
白衣のおばさまの私に向けたお言葉を、チーママさんが即座に否定しました。
「働くって手があるもの。あなただったらすぐに、いいお客さんがつきそう」
私の全身を上から下まで舐めるように見た後、ニコッと微笑みます。
「あなた今バイトとかしてる?お金に困ってない?カレシはいるの?そのコートいい色ね?」
「あっ、あの、えっと・・・」
チーママさんの脈絡の無い矢継ぎ早のご質問についていけないでいると、おばさまが助け舟を出してくださいました。
「こらこら。うちの大切なお客さんを悪の道に引きずり込まないでちょうだい。このお嬢ちゃんは真面目な大学生さんなんだから」
「あらあ、悪の道なんて失礼ね。水商売はヘンなバイトよりも断然、お金が溜まるし社会勉強にもなるのよ?」
「前に働いていた子なんて、お店でいいお財布みつけて、オーストラリアに留学しちゃったんだから。それに・・・」
おばさまとチーママさんの、冗談とも本気ともつかない言い争いをドキドキしながら聞いていたら、不意にチーママさんが沈黙しました。
視線が一点をじっと見つめています。
その視線をたどると・・・
「スゴイものが置いてあるわねえ・・・」
チーママさんの目は、ガラスケースの上で白い箱の中に横たわるガラスの浣腸器を凝視していました。
それに気づいた私は、なぜだかピクンと小さく震えてしまいました。
「ああ、それはね、このお嬢ちゃんがお通じの悩みでいらっしゃってね」
「ほら、そういうのって恥ずかしいじゃない?だからわざわざ遠くからうちのお店まで来てくださったのよ」
「それでいろいろご説明していたの、やりかたとか」
おばさまったら、何もそんなに詳しくご説明なさらなくても・・・
「えっ!ていうことは、これ、こちらさんが、あなたが買うの?」
チーママさんが驚いたお顔で、浣腸器と私を交互に見ています。
私も、えっ!?ていう顔をしていたはず。
確かに欲しいとは思っていたし、今度来たときおばさまがこれを使ってくださる、っておっしゃったから、私のもののようなものでもあるけれど、でも・・・
言い訳にもならないことをくどくど考えながら顔だけが熱くなって、何も言えない私。
再びおばさまに助けられました。
「まさかー。お嬢ちゃんが買ったのはお薬よ。これはお話しの流れでお見せしていただけ」
「なるほどねー。納得。シモの悩みは恥ずかしいからねー。ワタシも若い頃、買うの恥ずかしいもの、いくつかあったっけなー」
チーママさんが束の間、遠い目をされてから、再び私の全身をしげしげ眺め、ニッと笑いました
「それならさ、あなた、恥ずかしいついでに買いにくいもの、みんなここで買ってっちゃえば?たとえばコンドームとかさ」
「えっ?そ、それは別に・・・」
「あれ?あなた、カレシいないの?」
「は、はい・・・そういうのは、まだ・・・」
「えー?おっかしいーなー。あなた、若くて可愛らしい感じなワリに、ヘンに色っぽいフェロモンみたいのが漂っているから、絶対オトコいると思ったんだけどなー」
チーママさんがニヤニヤ笑っています。
「そっかー。カレシもいないのにコンドームだけ準備してるオンナってのも、ちょっと切ないわね。それならさ水虫はどう?あれも買いにくいわよね?大丈夫?」
私は、からかわれているんだと思いました。
それで、ちょっとムッとした顔になっていたかもしれません。
「ほらほら、またうちのお客さんイジメてー。だめよー?このお嬢ちゃんは、まだこっち来て半年くらいなんだから。あんまりいじくりまわさないでちょうだい」
「お嬢ちゃんごめんなさいね?この人いつもこんな調子なの。口は悪いけれど悪気はないから許してね?」
おばさまのフォローに少しホッとして、チーママさんにお愛想笑いを向けながら、
「み、水虫は、なってないから、大丈夫です」
とお答えしました。
チーママさんが、あはは、と笑ってから再び浣腸器に目を向けました。
「でもさ、世の中にはこういうものを、けしからんことに使う輩もいるのよね」
チーママさんがおばさまに向けて話題を振りました。
私は、お店を出るきっかけを探しつつも、チーママさんの振った話題に惹かれてしまいます。
「ああ。エスエムっていうのでしょ?女の子を縛り付けて無理矢理、みたいな」
お上品なおばさまのお口から、意外な単語が飛び出しました。
「そうそう。あの手が好きな人たちにとっては、こういう浣腸器って、それ用のえっちな道具のひとつなのよね」
「まったく。他人が排泄してるの見て、何が楽しいのかしら?」
おばさまが真剣に憤ってらっしゃいます。
「まあ、俗に言う変態っていうやつよね。うちの店にもそういう話題が大好きな客がひとりいてさ、来るたびにその手のことばっかり言ってたから、女の子が席に着きたがらなくて、そのうち来なくなっちゃった」
おばさまとチーママさん、ふたりで、あはは、と笑っています。
「でもさ、オンナの恥ずかしがる姿を見て悦ぶオトコってけっこういるのよ。恥ずかしさって、えっちな気分と直結してるっていうかさ」
そこで、チーママさんがなぜだか私をチラッと見ました。
それに気がついて、私の心臓がドキン。
「恥ずかしがる姿を見て悦ぶオトコの変態が、オンナの子の両脚を大きく広げたまま縛り付けてみたり、無理やり浣腸して人前で漏らさせたりするんだけどさ」
「同じように、そういう姿を見られて興奮する人、っていうのも、この世にいるのよ」
「つまりね、オンナの変態っていうのも、世の中には意外といるみたい」
チーママさんのひそめたお声を、おばさまが、あらまあ、というお顔で真剣に聞いています。
もちろん私もドキドキしながら耳をそばだてています。
「これは別のお客さんの話なんだけどね・・・」
「その人の以前のカノジョっていうのが、そういう類のオンナだったらしくてさ」
「普通の内気そうなOLさんで、そこそこ美人だったらしいんだけど、ふたりでハワイに海水浴にいったとき、すごいキワドイ水着持ってきてたんだって」
「もうえっちも済ませてて、それが最初からすごく激しかったし、辱めれば辱めるほど乱れちゃうみたいな兆候もあったんで、ひょっとしてと思って聞いたら、白状したそうなの」
「やっぱりそうだったんだって。いわゆる露出狂ってやつね」
「どうもその前のオトコに仕込まれちゃったらしくてさ、そのお客さんも、その手が好きなほうだったから、それからはもういろんなこと、シタそうよ」
「ドライブのときは助手席でオッパイ丸出し。観覧車で裸にしてみたり、シースルーで買い物させたり、覗きで有名な公園でシタり」
「デート、イコール、そのオンナの屋外露出調教散歩みたいな感じだったそうよ」
「脱げ、って言われた途端に目がウルウルしちゃうんだって。そのオンナ。それも人の目があればあるほど」
「しばらくは楽しかったんだけれど、そのうち不安になってきたんだってさ」
「このオンナ、別に俺じゃなくても、誰に言われても、その場で服脱ぐんじゃないか、って」
「縛った覚えが無いのに肌に縄の痕がついていたことがあったんで問い詰めたら、ひとりで全身ロープで縛って、コートひとつで深夜のコンビニとかにお散歩にも行ってたんだって」
「まあ、セフレならいいけど、真剣にはつきあえないわよね、そんなオンナ」
「だから、適当に遊んで、そのうち会わなくなっちゃったらしいわ」
それでチーママさんのお話は終わりのようでした。
私の全身はカッカと火照り、同時に今すぐにこの場から逃げ出したいような居心地の悪さを感じていました。
ひょっとして私、チーママさんから見透かされている?
さっき私をチラッと見て以来、一度もこちらにお顔を向けなかったチーママさんが振り返り、まっすぐに私を見て、こうつづけました。
「だからあなた、オトコには充分気をつけなさい。ロクでもないオトコに捕まったら、あなたもヘンな道に目覚めちゃうかもしれないから、ね?」
冗談めかした感じでそう言って、あはは、って笑いますが、その目だけは笑っていないように見えました。
て言うか、シーナさまと同じ、冷たいエスの目。
私に対してのご忠告も、さっきのお話からは、ぜんぜん脈絡のない結論です。
やっぱり、チーママさん、ある程度私の性癖に勘付いている・・・
それで、言葉責めして、愉しんでいる・・・
「・・・は、はい・・・」
私はチーママさんから目をそらし、うつむいて答えました。
トゥルル、トゥルル・・・
そのとき、お店の奥の電話が鳴りました。
「あっ、はい、はいー」
白衣のおばさまが、あわててお店の奥に駆けていきました。
レジの前に私とチーママさんだけ、取り残されました。
チーママさんは、私のほうは見ず、浣腸器のガラスの表面を指で撫ぜています。
「そっか。これからあなたは、お家に帰ってひとりで、浣腸するんだ?」
チーママさんがそのままの体勢で、独り言みたいにポツンと言いました。
「えっ?あっ、えっと・・・」
私は、そのお言葉にビクンとして、ドキンとして、キュンとして・・・
「そうよね?これからお家に帰って、ひとりでお尻を出して、浣腸するのよね?」
浣腸器から指を離し、こちらを向いたチーママさんの目が、イジワルく私を見つめています。
「・・・は、はい・・・」
チーママさんの目から、今度は目をそらすことが出来ず、見つめたままやっとお返事をしました。
チーママさんが私の傍らにそっと寄ってきました。
「そう。まあいろいろと、がんばりなさい、ね?」
私の耳元に唇を寄せて低い声で囁いてから、私の右肩を軽くポンと叩きました。
その低くてセクシーなお声にゾクゾクしつつ、コートの下で裸のおっぱいがプルン、内腿をおツユがツツツー。
「ごめんなさいね。お得意さまからだったわー」
電話を終えたおばさまが、あたふたとレジ前に戻ってらっしゃいました。
「あらー、もうこんな時間。早く帰ってお化粧のつづきしなくちゃー」
チーママさんがわざとらしく腕時計を見て、大きなお声をあげました。
「それじゃあこれは、もらっていくわね。お代は月末にまとめてねー」
それからもう一度私を見て、ニヤッと笑いました。
浣腸器の横に置かれた、チーママさんのために用意された紙袋を取るとき、チーママさんの右肘が私の胸をコートの上から思い切り擦りました。
コートの中でおっぱいがグニュッとひしゃげるくらい。
ワザとだと思いました。
なんとなく、チーママさんが何かしてくると予期していたので、グッと唇を噛んで、なんとかいやらしい声をあげずにすみました。
「それじゃあまたねー」
「はーい、毎度ありがとうございましたー」
「そっちのカノジョも、縁があったらまたお話ししましょうねー、お大事にねー」
「お嬢ちゃんもまた来るって言ってるから、またきっと会えるわよー」
「それじゃーねー」
来たときと同じような、おばさまとチーママさんの大きめなお声の応酬が、ガラガラッという引き戸を開ける音とバシッという閉じた音を合図に、終わりました。
「ごめんなさいねー。夜のお仕事の人とのおしゃべりだと、いつの間にか話題がお下品になっちゃって」
「いいえ。大丈夫です。何て言うか、派手なかたでしたね?」
「そうね。けっこうお高いお店に勤めているみたいだし、お住まいもほら、地下鉄の駅の近くの高層マンションらしいから」
「へー」
「なぜだかうちでいろいろ買ってくれる、いいお客さんなのよ」
「そうでしたか・・・お話、楽しかったです。それでは私もそろそろ・・・」
「あっ、そうね。ごめんなさいね。長いあいだお引止めしちゃって」
「いえいえ。今日はありがとうございました」
私が買ったものを入れた手提げ袋をおばさまから受け取り、出て行こうとしたとき、
「あっ、そうだ。お嬢ちゃん、本当にカレシ、いないの?」
背後からまた、お声がかかりました。
「あ、はい。本当ですけれど・・・」
出口に向って2、3歩踏み出していた私は、立ち止まり振り返ります。
「それだったら、うちの息子どうだろう、って思ってね。今、医大に通ってるの、北海道だけど」
「えっ、あっ、いえ、それは・・・」
あまりの想定外なご提案にあたふたしてしまう私。
「あっ、ごめんなさい。わたしったらまた不躾なことを・・・」
困惑している私を見て、おばさまもまたあたふたしてしまい、すぐに自らご提案を却下。
「会ったこともない相手に、どうもこうもないわよね。ごめんなさい今のは忘れて、ね?」
「それはそれとして、いつでもいらっしゃいね?恥ずかしがらずに」
「いつでもしてあげるから、遠慮なさらずにいらしてね。これも消毒しておくから」
「あっ、はい。ありがとうございます。そのときはよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げながらも、またもや内腿が濡れていました。
逃げるようにお薬屋さんを出て、走るように我が家を目指しました。
一刻も早くひとりになって、今日あったことを整理したいと思っていました。
会う人みんなにいろんなことを言われ、それがいちいちいやらしいことに結びついてしまって、下半身のウズウズが暴発寸前でした。
歩きながら、魔除けのおまじないを、両耳に突っ込みました。
もう誰ともお話したくありませんでした。
あっ、そうだった。
お部屋に入る前にもう一度、柏木のおばさまと会話をしなければならないんだった。
今の私のいでたちがあまりお買物帰りに見えない気がして、自宅のそばのドラッグストアでボックスティッシュとトイレットペーパーのパックを無言のまま買い、それを両手にぶら下げてマンション入口のアーチをくぐりました。
*
*コートを脱いで昼食を 09へ
*
「あらあ、お客さんがいらしてたのね。ごめんなさいね。大きな声出しちゃって」
妖艶に微笑むその人は、お顔立ちもいでたちも全体的に派手めで肉感的な女性でした。
幾重にもウエーブした豊かな髪を頭の上に盛り上げ、なぜだか目の周りだけ入念にお化粧しています。
そのせいか、綺麗だけれど、気の強そうなお顔立ちに見えました。
青いハイネックのピッタリとした長めニットの上に、全体的に銀色な、ヒラヒラがいっぱい付いたショールを軽く羽織り、下はレギンス。
「これからお店?」
「そうなんだけどさ、お化粧してたら突然、アレをきらしてることを思い出してさ、あわてて取りにきたってワケ」
私に軽く会釈をしてから、おばさまのご質問に明るいお声で答えるその人。
私も会釈を返しながら、その人をそっと上目遣いに観察します。
お年は・・・ちょっとわからない。
白衣のおばさまよりはお若いと思うけれど、30代か40代か・・・
何て言うか、女ざかり、っていう雰囲気で、からだ全体から、お色気、みたいなものが滲み出ている感じ。
そう思ったのは、その人の全身から盛大に香っている、ローズ系の甘いパフュームのせいも多分にあるとは思います。
「この人はね、西口のお店でチーママやってらっしゃるの。クラブのね」
白衣のおばさまが教えてくれます。
「あっ、クラブって言っても、若い子が集まる踊れるほうのじゃないわよ。中年の殿方が鼻の下伸ばして通ってくる、いわゆるナイトクラブのほうね」
その女性がすかさず冗談ぽく訂正をいれてくれました。
ああ、夜のお仕事の人なんだ、なるほど。
「そう。だからお嬢ちゃんには、ぜんぜん縁の無いお店だけれどね」
「そんなことないわよ」
白衣のおばさまの私に向けたお言葉を、チーママさんが即座に否定しました。
「働くって手があるもの。あなただったらすぐに、いいお客さんがつきそう」
私の全身を上から下まで舐めるように見た後、ニコッと微笑みます。
「あなた今バイトとかしてる?お金に困ってない?カレシはいるの?そのコートいい色ね?」
「あっ、あの、えっと・・・」
チーママさんの脈絡の無い矢継ぎ早のご質問についていけないでいると、おばさまが助け舟を出してくださいました。
「こらこら。うちの大切なお客さんを悪の道に引きずり込まないでちょうだい。このお嬢ちゃんは真面目な大学生さんなんだから」
「あらあ、悪の道なんて失礼ね。水商売はヘンなバイトよりも断然、お金が溜まるし社会勉強にもなるのよ?」
「前に働いていた子なんて、お店でいいお財布みつけて、オーストラリアに留学しちゃったんだから。それに・・・」
おばさまとチーママさんの、冗談とも本気ともつかない言い争いをドキドキしながら聞いていたら、不意にチーママさんが沈黙しました。
視線が一点をじっと見つめています。
その視線をたどると・・・
「スゴイものが置いてあるわねえ・・・」
チーママさんの目は、ガラスケースの上で白い箱の中に横たわるガラスの浣腸器を凝視していました。
それに気づいた私は、なぜだかピクンと小さく震えてしまいました。
「ああ、それはね、このお嬢ちゃんがお通じの悩みでいらっしゃってね」
「ほら、そういうのって恥ずかしいじゃない?だからわざわざ遠くからうちのお店まで来てくださったのよ」
「それでいろいろご説明していたの、やりかたとか」
おばさまったら、何もそんなに詳しくご説明なさらなくても・・・
「えっ!ていうことは、これ、こちらさんが、あなたが買うの?」
チーママさんが驚いたお顔で、浣腸器と私を交互に見ています。
私も、えっ!?ていう顔をしていたはず。
確かに欲しいとは思っていたし、今度来たときおばさまがこれを使ってくださる、っておっしゃったから、私のもののようなものでもあるけれど、でも・・・
言い訳にもならないことをくどくど考えながら顔だけが熱くなって、何も言えない私。
再びおばさまに助けられました。
「まさかー。お嬢ちゃんが買ったのはお薬よ。これはお話しの流れでお見せしていただけ」
「なるほどねー。納得。シモの悩みは恥ずかしいからねー。ワタシも若い頃、買うの恥ずかしいもの、いくつかあったっけなー」
チーママさんが束の間、遠い目をされてから、再び私の全身をしげしげ眺め、ニッと笑いました
「それならさ、あなた、恥ずかしいついでに買いにくいもの、みんなここで買ってっちゃえば?たとえばコンドームとかさ」
「えっ?そ、それは別に・・・」
「あれ?あなた、カレシいないの?」
「は、はい・・・そういうのは、まだ・・・」
「えー?おっかしいーなー。あなた、若くて可愛らしい感じなワリに、ヘンに色っぽいフェロモンみたいのが漂っているから、絶対オトコいると思ったんだけどなー」
チーママさんがニヤニヤ笑っています。
「そっかー。カレシもいないのにコンドームだけ準備してるオンナってのも、ちょっと切ないわね。それならさ水虫はどう?あれも買いにくいわよね?大丈夫?」
私は、からかわれているんだと思いました。
それで、ちょっとムッとした顔になっていたかもしれません。
「ほらほら、またうちのお客さんイジメてー。だめよー?このお嬢ちゃんは、まだこっち来て半年くらいなんだから。あんまりいじくりまわさないでちょうだい」
「お嬢ちゃんごめんなさいね?この人いつもこんな調子なの。口は悪いけれど悪気はないから許してね?」
おばさまのフォローに少しホッとして、チーママさんにお愛想笑いを向けながら、
「み、水虫は、なってないから、大丈夫です」
とお答えしました。
チーママさんが、あはは、と笑ってから再び浣腸器に目を向けました。
「でもさ、世の中にはこういうものを、けしからんことに使う輩もいるのよね」
チーママさんがおばさまに向けて話題を振りました。
私は、お店を出るきっかけを探しつつも、チーママさんの振った話題に惹かれてしまいます。
「ああ。エスエムっていうのでしょ?女の子を縛り付けて無理矢理、みたいな」
お上品なおばさまのお口から、意外な単語が飛び出しました。
「そうそう。あの手が好きな人たちにとっては、こういう浣腸器って、それ用のえっちな道具のひとつなのよね」
「まったく。他人が排泄してるの見て、何が楽しいのかしら?」
おばさまが真剣に憤ってらっしゃいます。
「まあ、俗に言う変態っていうやつよね。うちの店にもそういう話題が大好きな客がひとりいてさ、来るたびにその手のことばっかり言ってたから、女の子が席に着きたがらなくて、そのうち来なくなっちゃった」
おばさまとチーママさん、ふたりで、あはは、と笑っています。
「でもさ、オンナの恥ずかしがる姿を見て悦ぶオトコってけっこういるのよ。恥ずかしさって、えっちな気分と直結してるっていうかさ」
そこで、チーママさんがなぜだか私をチラッと見ました。
それに気がついて、私の心臓がドキン。
「恥ずかしがる姿を見て悦ぶオトコの変態が、オンナの子の両脚を大きく広げたまま縛り付けてみたり、無理やり浣腸して人前で漏らさせたりするんだけどさ」
「同じように、そういう姿を見られて興奮する人、っていうのも、この世にいるのよ」
「つまりね、オンナの変態っていうのも、世の中には意外といるみたい」
チーママさんのひそめたお声を、おばさまが、あらまあ、というお顔で真剣に聞いています。
もちろん私もドキドキしながら耳をそばだてています。
「これは別のお客さんの話なんだけどね・・・」
「その人の以前のカノジョっていうのが、そういう類のオンナだったらしくてさ」
「普通の内気そうなOLさんで、そこそこ美人だったらしいんだけど、ふたりでハワイに海水浴にいったとき、すごいキワドイ水着持ってきてたんだって」
「もうえっちも済ませてて、それが最初からすごく激しかったし、辱めれば辱めるほど乱れちゃうみたいな兆候もあったんで、ひょっとしてと思って聞いたら、白状したそうなの」
「やっぱりそうだったんだって。いわゆる露出狂ってやつね」
「どうもその前のオトコに仕込まれちゃったらしくてさ、そのお客さんも、その手が好きなほうだったから、それからはもういろんなこと、シタそうよ」
「ドライブのときは助手席でオッパイ丸出し。観覧車で裸にしてみたり、シースルーで買い物させたり、覗きで有名な公園でシタり」
「デート、イコール、そのオンナの屋外露出調教散歩みたいな感じだったそうよ」
「脱げ、って言われた途端に目がウルウルしちゃうんだって。そのオンナ。それも人の目があればあるほど」
「しばらくは楽しかったんだけれど、そのうち不安になってきたんだってさ」
「このオンナ、別に俺じゃなくても、誰に言われても、その場で服脱ぐんじゃないか、って」
「縛った覚えが無いのに肌に縄の痕がついていたことがあったんで問い詰めたら、ひとりで全身ロープで縛って、コートひとつで深夜のコンビニとかにお散歩にも行ってたんだって」
「まあ、セフレならいいけど、真剣にはつきあえないわよね、そんなオンナ」
「だから、適当に遊んで、そのうち会わなくなっちゃったらしいわ」
それでチーママさんのお話は終わりのようでした。
私の全身はカッカと火照り、同時に今すぐにこの場から逃げ出したいような居心地の悪さを感じていました。
ひょっとして私、チーママさんから見透かされている?
さっき私をチラッと見て以来、一度もこちらにお顔を向けなかったチーママさんが振り返り、まっすぐに私を見て、こうつづけました。
「だからあなた、オトコには充分気をつけなさい。ロクでもないオトコに捕まったら、あなたもヘンな道に目覚めちゃうかもしれないから、ね?」
冗談めかした感じでそう言って、あはは、って笑いますが、その目だけは笑っていないように見えました。
て言うか、シーナさまと同じ、冷たいエスの目。
私に対してのご忠告も、さっきのお話からは、ぜんぜん脈絡のない結論です。
やっぱり、チーママさん、ある程度私の性癖に勘付いている・・・
それで、言葉責めして、愉しんでいる・・・
「・・・は、はい・・・」
私はチーママさんから目をそらし、うつむいて答えました。
トゥルル、トゥルル・・・
そのとき、お店の奥の電話が鳴りました。
「あっ、はい、はいー」
白衣のおばさまが、あわててお店の奥に駆けていきました。
レジの前に私とチーママさんだけ、取り残されました。
チーママさんは、私のほうは見ず、浣腸器のガラスの表面を指で撫ぜています。
「そっか。これからあなたは、お家に帰ってひとりで、浣腸するんだ?」
チーママさんがそのままの体勢で、独り言みたいにポツンと言いました。
「えっ?あっ、えっと・・・」
私は、そのお言葉にビクンとして、ドキンとして、キュンとして・・・
「そうよね?これからお家に帰って、ひとりでお尻を出して、浣腸するのよね?」
浣腸器から指を離し、こちらを向いたチーママさんの目が、イジワルく私を見つめています。
「・・・は、はい・・・」
チーママさんの目から、今度は目をそらすことが出来ず、見つめたままやっとお返事をしました。
チーママさんが私の傍らにそっと寄ってきました。
「そう。まあいろいろと、がんばりなさい、ね?」
私の耳元に唇を寄せて低い声で囁いてから、私の右肩を軽くポンと叩きました。
その低くてセクシーなお声にゾクゾクしつつ、コートの下で裸のおっぱいがプルン、内腿をおツユがツツツー。
「ごめんなさいね。お得意さまからだったわー」
電話を終えたおばさまが、あたふたとレジ前に戻ってらっしゃいました。
「あらー、もうこんな時間。早く帰ってお化粧のつづきしなくちゃー」
チーママさんがわざとらしく腕時計を見て、大きなお声をあげました。
「それじゃあこれは、もらっていくわね。お代は月末にまとめてねー」
それからもう一度私を見て、ニヤッと笑いました。
浣腸器の横に置かれた、チーママさんのために用意された紙袋を取るとき、チーママさんの右肘が私の胸をコートの上から思い切り擦りました。
コートの中でおっぱいがグニュッとひしゃげるくらい。
ワザとだと思いました。
なんとなく、チーママさんが何かしてくると予期していたので、グッと唇を噛んで、なんとかいやらしい声をあげずにすみました。
「それじゃあまたねー」
「はーい、毎度ありがとうございましたー」
「そっちのカノジョも、縁があったらまたお話ししましょうねー、お大事にねー」
「お嬢ちゃんもまた来るって言ってるから、またきっと会えるわよー」
「それじゃーねー」
来たときと同じような、おばさまとチーママさんの大きめなお声の応酬が、ガラガラッという引き戸を開ける音とバシッという閉じた音を合図に、終わりました。
「ごめんなさいねー。夜のお仕事の人とのおしゃべりだと、いつの間にか話題がお下品になっちゃって」
「いいえ。大丈夫です。何て言うか、派手なかたでしたね?」
「そうね。けっこうお高いお店に勤めているみたいだし、お住まいもほら、地下鉄の駅の近くの高層マンションらしいから」
「へー」
「なぜだかうちでいろいろ買ってくれる、いいお客さんなのよ」
「そうでしたか・・・お話、楽しかったです。それでは私もそろそろ・・・」
「あっ、そうね。ごめんなさいね。長いあいだお引止めしちゃって」
「いえいえ。今日はありがとうございました」
私が買ったものを入れた手提げ袋をおばさまから受け取り、出て行こうとしたとき、
「あっ、そうだ。お嬢ちゃん、本当にカレシ、いないの?」
背後からまた、お声がかかりました。
「あ、はい。本当ですけれど・・・」
出口に向って2、3歩踏み出していた私は、立ち止まり振り返ります。
「それだったら、うちの息子どうだろう、って思ってね。今、医大に通ってるの、北海道だけど」
「えっ、あっ、いえ、それは・・・」
あまりの想定外なご提案にあたふたしてしまう私。
「あっ、ごめんなさい。わたしったらまた不躾なことを・・・」
困惑している私を見て、おばさまもまたあたふたしてしまい、すぐに自らご提案を却下。
「会ったこともない相手に、どうもこうもないわよね。ごめんなさい今のは忘れて、ね?」
「それはそれとして、いつでもいらっしゃいね?恥ずかしがらずに」
「いつでもしてあげるから、遠慮なさらずにいらしてね。これも消毒しておくから」
「あっ、はい。ありがとうございます。そのときはよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げながらも、またもや内腿が濡れていました。
逃げるようにお薬屋さんを出て、走るように我が家を目指しました。
一刻も早くひとりになって、今日あったことを整理したいと思っていました。
会う人みんなにいろんなことを言われ、それがいちいちいやらしいことに結びついてしまって、下半身のウズウズが暴発寸前でした。
歩きながら、魔除けのおまじないを、両耳に突っ込みました。
もう誰ともお話したくありませんでした。
あっ、そうだった。
お部屋に入る前にもう一度、柏木のおばさまと会話をしなければならないんだった。
今の私のいでたちがあまりお買物帰りに見えない気がして、自宅のそばのドラッグストアでボックスティッシュとトイレットペーパーのパックを無言のまま買い、それを両手にぶら下げてマンション入口のアーチをくぐりました。
*
*コートを脱いで昼食を 09へ
*
2013年9月2日
コートを脱いで昼食を 07
知らず知らずに、自分の胸を両腕で抱くような仕草をしていました。
尖りきった乳首がコートの裏地に擦れ、今現在の自分のコートの中身を思い出させます。
そう、私は今、裸コート中。
今日ここでおばさまにお浣腸をしてもらうとしたら、否が応でも、このコートの中をおばさまにお見せしなければならなくなります。
どうしてそんな格好をしているの?
どうしてコートの下に何も着ていないの?
困惑されるおばさまのお顔が目に浮かびます。
その答えとして、私が正直に自分の性癖を告げたとして、それからおばさまがどうされるかは未知数。
呆れられるのか、蔑むのか、叱られるのか、はたまた逆に好奇心をそそられるか。
ひょっとしたら、こんな性癖に理解を示していただける可能性も無いことはないかも。
試してみたい気持ちもありましたが、一方では、少し距離があるといってもここは私の生活圏内、 おばさまに嫌悪され最悪の事態になって、ご近所中のウワサの的になっちゃう可能性も大いにありました。
そして何よりも、こんな私のろくでもないヘンタイ性癖を無駄に露にして、心優しいおばさまの純粋な親切心を踏みにじるのはいけないな、と思いました。
もしも今、私が普通の服装、コートの下に何がしかのお洋服をちゃんと着ている状態、なら、おばさまのご提案を嬉々として受け入れていたことでしょう。
もちろん表向きには思い切り恥じ入りながら、でも内心はワクワクで。
それくらい心躍る、あがらい難いご提案でした。
だけど、そもそも裸コートでなかったら、お浣腸薬をお薬屋さんで対面で買ってみよう、なんていう大胆な冒険は、思いつかなかったことでもありました。
普通の服装だったら、こういう展開はありえず、裸コートだったからこそ、こうしておばさまに出会えたのです。
すっごく残念だけれど今回は、お断りするしかないだろうな・・・
私が長いあいだ考え込んでしまっているのを見てあわてたのか、おばさまのほうが先に、ご自分のご提案を白紙に戻そうと思われたようでした。
「ごめんなさいね。わたし、ずいぶんとデリカシーの無いこと言っちゃったわよね?」
本当にすまなそうなお声で、おばさまが私の顔を覗き込んでおっしゃいます。
「年頃の女の子が、こんな知らないおばさんの前でお尻なんて出せるワケないわよね?そんな恥ずかしいこと」
「お嬢ちゃんとお話ししてたら、看護婦時代のこと思い出しちゃって、懐かしくなって、ついそんなこと言っちゃったの。ごめんなさい。許してね」
おろおろされているおばさまを見ていると、私の心がズキズキ痛みました。
悪いのはぜんぶ、私なのに。
「いえっ、あの、本当にありがとうございます・・・」
私は、ご提案を無かったことにしたくありませんでした。
覚悟を決めて、今の気持ちを正直にありのまま、おばさまに伝えることにしました。
「・・・見ず知らずの私に、こんなにご親切にしていただいて、本当に嬉しいです」
「だけど今日はちょっとあの、アレなので・・・だ、だからお家に帰ったら、とりあえずひとりで、お、お浣腸をしてみます・・・」
自分で口に出したはしたない言葉に、キュンキュン発情しちゃっています。
「それで・・・それでもし、うまくいかなかったり、ひとりでは無理だなって思ったら、また、ここに来ますから、そのときは・・・」
おばさまをすがるように見つめてしまいます。
「そのときは私に、お、お浣腸、してくださいますか?」
言った瞬間に、アソコがヒクヒクと波打ち、内腿をおツユがすべり落ちました。
私の頭の中には、おばさまの前で四つん這いになって裸のお尻を突き出し、お浣腸された後も、おばさまに見守られて一生懸命がまんしている恥ずがし過ぎる自分の姿が、まざまざと浮かんでいました。
「えっ!?」
おばさまは一瞬たじろいで絶句した後、すぐにホッとしたお顔になり、ニッコリ微笑みました。
「それはもちろんよ。いつでも言ってちょうだい。絶対お力になれるから」
「看護婦だった頃は、それこそ数え切れないほどお浣腸したものよ。子供にも大人にも」
「とくに小学校高学年くらいの子供が恥ずかしがるのが可愛かったのよね。男の子って恥ずかしいと、怒った顔になっちゃうの」
クスッと笑うおばさま。
「好きだったなー、お浣腸するの」
懐かしそうに目を細めたおばさまが、そのまま私をまっすぐに見つめてきました。
「だから恥ずかしがらずにいつでも言ってきてちょうだい。わたしにとっては、誰かにお浣腸することって、普通にずっと仕事でしていたことだから、ね?」
ニッと笑ったおばさまは、さっきのおろおろから完全に立ち直っていました。
実際には便秘でも何でもない私がお浣腸を欲するのは、自分のいやらしい被虐心を満足させるため、です。
そんなヘンタイ行為に、おばさまの手をお借りすることは、おばさまの親切心を利用することになってしまうのは、わかっていました。
それが後ろめたくもあったのですが、今のお話の感じだと、おばさまは、お浣腸を施す行為自体がお好きなご様子。
それなら、ふたりの利害関係は一致します。
最初におばさまからご提案いただいた瞬間に、このおばさまにお浣腸をされる自分、という妄想から抜け出せなくなっていた私は、幾分気持ちが軽くなって、次はどのタイミングでこのお店に来ようか、なんて考え始めていました。
SMの関係ではなく、まったくそういう資質の無い人から受けるお浣腸って、された自分はどんな気分になるのだろう?
近い将来、それを知ることが出来そうです。
「そうだ。お嬢ちゃんは、お医者さんが使う浣腸器は、見たことある?」
完全復活したおばさまは、包んだ荷物をまだ渡してくれず、また新しい話題を振ってきました。
「えっ?」
「ガラスで出来ていて、注射器みたいにお水を吸い上げる方式のやつよ。知らない?」
「えっと・・・」
もちろん知ってはいますが、実物ではなく、SMの写真やビデオで見たことがあるだけでした。
けっこう太い注射器みたいな器具に何かの液体を一杯に吸い込み、太めな先っちょを嫌がる相手のお尻の穴へと無理矢理突き刺して・・・
そんな禍々しい印象がありました。
でも、そんなことおばさまには言えません。
「えっと、写真で見たことがあるような、ないような・・・」
「ちょうどね、ずっと売れ残ってるのがひとつあるのよ。何かの話のネタになるかもしれないから、見せてあげるわね」
おばさまがそう言って、ご自身の背後の棚をゴソゴソし始めました。
「あった、あった。はら、これ」
おばさまが大きめな白い紙箱の蓋を開けると、ガラス製のそれが横たわっていました。
やっぱりけっこう太い。
見るからにひんやりしていそうなガラス製のそれは、ガラスの肌に容量の目盛りが打ってあり、まさしく、医療器具、という感じ。
なんとなく、手に取ることがためらわれる雰囲気を醸し出していました。
その浣腸器を見たと同時に、唐突に思い出したのが、幼い頃、ご近所のお友達とひそかにしていたお医者さんごっこ。
その行為が意味することはまったくわからず、ただ、お浣腸、という名前で施された見よう見まねのシンサツ。
あのときに浣腸器の代わりとなったオモチャの大きめなプラスティック製注射器と、目の前に横たわっているガラスの浣腸器の姿が重なりました。
お医者さんごっこのお浣腸では、今でも忘れられない、すっごく恥ずかしい思いをしたことがあったっけなー。
懐かしさと一緒に、頬が火照ってきました。
「ほら。持ってみて」
大昔の恥ずかし過ぎる思い出に頬を染めている私に、おばさまが箱から取り出した浣腸器を差し出してきました。
「は、はい」
恐る恐る、両手で慎重に、浣腸器を受け取りました。
けっこう重い。
「大きい、ですね?」
「そうね。それは100ミリのやつだから普通かな。その倍の200ミリっていうのもあるわよ」
「こんなに全部、お薬を入れちゃうんですか?」
「ううん。グリセリン浣腸だと多くても5~60ミリくらい。お嬢ちゃんが今日買った市販のお浣腸薬が30ミリだから約2個分ね。普通の便秘なら1個で充分のはずよ」
「だけどぬるま湯浣腸なら、100ミリからその2、3倍も入れるときもあるわね」
「ぬるま湯、ですか?」
「そう。腸への刺激が少ないぬるま湯なら、たくさん入れても大丈夫なの。限度はあるけれどね」
手の中にある浣腸器をまじまじと見つめてしまいます。
自然と目がいってしまうのは、お尻に挿すのであろう先端部分。
緩く楕円にカーブを描く意外に太め長めなその部分を、知らず知らずに指で撫ぜていました。
「そう、そこのところをお尻の穴に挿れるの」
おばさまが私の顔を覗き込むようにして、いたずらっぽく微笑みました。
やだ、見られてた!
私の頬がますます赤く染まります。
「ぬるま湯浣腸はね、便秘とかに限らず、大腸の洗浄にも使うの。腸の、うがい、みたいなものね」
「だからグリセリンのお浣腸で出した後、今度はぬるま湯でお浣腸しておくと、お薬も中に残らなくて腸がすっきりするはずよ」
「そうだ。今度来たときにやってあげるわ。この浣腸器で」
「今は市販のお浣腸薬が定着していて、こういう大げさな浣腸器はこの先も売れないだろうから、これはお嬢ちゃんのために、熱湯消毒して大事に保管しとくことにするわね、今度来たときのために」
おばさまが再び微笑んで私を見つめてきました。
おばさまったら、私にお浣腸する気満々です。
「こんにちはー!」
そのとき、表の引き戸がガラガラっと開く音がして、元気のいい女性のお声が飛び込んできました。
「あらー、いらっしゃいー、そろそろ来る頃かなって思っていたわ。いつものやつね?」
持っていたガラスの浣腸器をあやうく落としそうになるほどビクンとしてしまった私とは対照的に、おばさまは慣れた調子で大きくそう答えてから、私に背を向けて棚をガサゴソし始めました。
私が慎重に浣腸器を紙の箱に戻していると、おばさまが何かを詰めた紙袋を浣腸器の横に置きました。
「お店のほうはどう?」
「だめだめねー。不景気で。お客さんがぜんぜんお金使ってくれないのよー」
「でも、新しい子も入れたのでしょう?」
「て言うか、お店に来てくれる人の数が減っちゃってるのよねー」
おばさまと、こちらへ近づいて来る常連さんらしき女性のお客様との大きめなおしゃべりの応酬の後、その女性が棚の陰から姿を現わしました。
*
*コートを脱いで昼食を 08へ
*
尖りきった乳首がコートの裏地に擦れ、今現在の自分のコートの中身を思い出させます。
そう、私は今、裸コート中。
今日ここでおばさまにお浣腸をしてもらうとしたら、否が応でも、このコートの中をおばさまにお見せしなければならなくなります。
どうしてそんな格好をしているの?
どうしてコートの下に何も着ていないの?
困惑されるおばさまのお顔が目に浮かびます。
その答えとして、私が正直に自分の性癖を告げたとして、それからおばさまがどうされるかは未知数。
呆れられるのか、蔑むのか、叱られるのか、はたまた逆に好奇心をそそられるか。
ひょっとしたら、こんな性癖に理解を示していただける可能性も無いことはないかも。
試してみたい気持ちもありましたが、一方では、少し距離があるといってもここは私の生活圏内、 おばさまに嫌悪され最悪の事態になって、ご近所中のウワサの的になっちゃう可能性も大いにありました。
そして何よりも、こんな私のろくでもないヘンタイ性癖を無駄に露にして、心優しいおばさまの純粋な親切心を踏みにじるのはいけないな、と思いました。
もしも今、私が普通の服装、コートの下に何がしかのお洋服をちゃんと着ている状態、なら、おばさまのご提案を嬉々として受け入れていたことでしょう。
もちろん表向きには思い切り恥じ入りながら、でも内心はワクワクで。
それくらい心躍る、あがらい難いご提案でした。
だけど、そもそも裸コートでなかったら、お浣腸薬をお薬屋さんで対面で買ってみよう、なんていう大胆な冒険は、思いつかなかったことでもありました。
普通の服装だったら、こういう展開はありえず、裸コートだったからこそ、こうしておばさまに出会えたのです。
すっごく残念だけれど今回は、お断りするしかないだろうな・・・
私が長いあいだ考え込んでしまっているのを見てあわてたのか、おばさまのほうが先に、ご自分のご提案を白紙に戻そうと思われたようでした。
「ごめんなさいね。わたし、ずいぶんとデリカシーの無いこと言っちゃったわよね?」
本当にすまなそうなお声で、おばさまが私の顔を覗き込んでおっしゃいます。
「年頃の女の子が、こんな知らないおばさんの前でお尻なんて出せるワケないわよね?そんな恥ずかしいこと」
「お嬢ちゃんとお話ししてたら、看護婦時代のこと思い出しちゃって、懐かしくなって、ついそんなこと言っちゃったの。ごめんなさい。許してね」
おろおろされているおばさまを見ていると、私の心がズキズキ痛みました。
悪いのはぜんぶ、私なのに。
「いえっ、あの、本当にありがとうございます・・・」
私は、ご提案を無かったことにしたくありませんでした。
覚悟を決めて、今の気持ちを正直にありのまま、おばさまに伝えることにしました。
「・・・見ず知らずの私に、こんなにご親切にしていただいて、本当に嬉しいです」
「だけど今日はちょっとあの、アレなので・・・だ、だからお家に帰ったら、とりあえずひとりで、お、お浣腸をしてみます・・・」
自分で口に出したはしたない言葉に、キュンキュン発情しちゃっています。
「それで・・・それでもし、うまくいかなかったり、ひとりでは無理だなって思ったら、また、ここに来ますから、そのときは・・・」
おばさまをすがるように見つめてしまいます。
「そのときは私に、お、お浣腸、してくださいますか?」
言った瞬間に、アソコがヒクヒクと波打ち、内腿をおツユがすべり落ちました。
私の頭の中には、おばさまの前で四つん這いになって裸のお尻を突き出し、お浣腸された後も、おばさまに見守られて一生懸命がまんしている恥ずがし過ぎる自分の姿が、まざまざと浮かんでいました。
「えっ!?」
おばさまは一瞬たじろいで絶句した後、すぐにホッとしたお顔になり、ニッコリ微笑みました。
「それはもちろんよ。いつでも言ってちょうだい。絶対お力になれるから」
「看護婦だった頃は、それこそ数え切れないほどお浣腸したものよ。子供にも大人にも」
「とくに小学校高学年くらいの子供が恥ずかしがるのが可愛かったのよね。男の子って恥ずかしいと、怒った顔になっちゃうの」
クスッと笑うおばさま。
「好きだったなー、お浣腸するの」
懐かしそうに目を細めたおばさまが、そのまま私をまっすぐに見つめてきました。
「だから恥ずかしがらずにいつでも言ってきてちょうだい。わたしにとっては、誰かにお浣腸することって、普通にずっと仕事でしていたことだから、ね?」
ニッと笑ったおばさまは、さっきのおろおろから完全に立ち直っていました。
実際には便秘でも何でもない私がお浣腸を欲するのは、自分のいやらしい被虐心を満足させるため、です。
そんなヘンタイ行為に、おばさまの手をお借りすることは、おばさまの親切心を利用することになってしまうのは、わかっていました。
それが後ろめたくもあったのですが、今のお話の感じだと、おばさまは、お浣腸を施す行為自体がお好きなご様子。
それなら、ふたりの利害関係は一致します。
最初におばさまからご提案いただいた瞬間に、このおばさまにお浣腸をされる自分、という妄想から抜け出せなくなっていた私は、幾分気持ちが軽くなって、次はどのタイミングでこのお店に来ようか、なんて考え始めていました。
SMの関係ではなく、まったくそういう資質の無い人から受けるお浣腸って、された自分はどんな気分になるのだろう?
近い将来、それを知ることが出来そうです。
「そうだ。お嬢ちゃんは、お医者さんが使う浣腸器は、見たことある?」
完全復活したおばさまは、包んだ荷物をまだ渡してくれず、また新しい話題を振ってきました。
「えっ?」
「ガラスで出来ていて、注射器みたいにお水を吸い上げる方式のやつよ。知らない?」
「えっと・・・」
もちろん知ってはいますが、実物ではなく、SMの写真やビデオで見たことがあるだけでした。
けっこう太い注射器みたいな器具に何かの液体を一杯に吸い込み、太めな先っちょを嫌がる相手のお尻の穴へと無理矢理突き刺して・・・
そんな禍々しい印象がありました。
でも、そんなことおばさまには言えません。
「えっと、写真で見たことがあるような、ないような・・・」
「ちょうどね、ずっと売れ残ってるのがひとつあるのよ。何かの話のネタになるかもしれないから、見せてあげるわね」
おばさまがそう言って、ご自身の背後の棚をゴソゴソし始めました。
「あった、あった。はら、これ」
おばさまが大きめな白い紙箱の蓋を開けると、ガラス製のそれが横たわっていました。
やっぱりけっこう太い。
見るからにひんやりしていそうなガラス製のそれは、ガラスの肌に容量の目盛りが打ってあり、まさしく、医療器具、という感じ。
なんとなく、手に取ることがためらわれる雰囲気を醸し出していました。
その浣腸器を見たと同時に、唐突に思い出したのが、幼い頃、ご近所のお友達とひそかにしていたお医者さんごっこ。
その行為が意味することはまったくわからず、ただ、お浣腸、という名前で施された見よう見まねのシンサツ。
あのときに浣腸器の代わりとなったオモチャの大きめなプラスティック製注射器と、目の前に横たわっているガラスの浣腸器の姿が重なりました。
お医者さんごっこのお浣腸では、今でも忘れられない、すっごく恥ずかしい思いをしたことがあったっけなー。
懐かしさと一緒に、頬が火照ってきました。
「ほら。持ってみて」
大昔の恥ずかし過ぎる思い出に頬を染めている私に、おばさまが箱から取り出した浣腸器を差し出してきました。
「は、はい」
恐る恐る、両手で慎重に、浣腸器を受け取りました。
けっこう重い。
「大きい、ですね?」
「そうね。それは100ミリのやつだから普通かな。その倍の200ミリっていうのもあるわよ」
「こんなに全部、お薬を入れちゃうんですか?」
「ううん。グリセリン浣腸だと多くても5~60ミリくらい。お嬢ちゃんが今日買った市販のお浣腸薬が30ミリだから約2個分ね。普通の便秘なら1個で充分のはずよ」
「だけどぬるま湯浣腸なら、100ミリからその2、3倍も入れるときもあるわね」
「ぬるま湯、ですか?」
「そう。腸への刺激が少ないぬるま湯なら、たくさん入れても大丈夫なの。限度はあるけれどね」
手の中にある浣腸器をまじまじと見つめてしまいます。
自然と目がいってしまうのは、お尻に挿すのであろう先端部分。
緩く楕円にカーブを描く意外に太め長めなその部分を、知らず知らずに指で撫ぜていました。
「そう、そこのところをお尻の穴に挿れるの」
おばさまが私の顔を覗き込むようにして、いたずらっぽく微笑みました。
やだ、見られてた!
私の頬がますます赤く染まります。
「ぬるま湯浣腸はね、便秘とかに限らず、大腸の洗浄にも使うの。腸の、うがい、みたいなものね」
「だからグリセリンのお浣腸で出した後、今度はぬるま湯でお浣腸しておくと、お薬も中に残らなくて腸がすっきりするはずよ」
「そうだ。今度来たときにやってあげるわ。この浣腸器で」
「今は市販のお浣腸薬が定着していて、こういう大げさな浣腸器はこの先も売れないだろうから、これはお嬢ちゃんのために、熱湯消毒して大事に保管しとくことにするわね、今度来たときのために」
おばさまが再び微笑んで私を見つめてきました。
おばさまったら、私にお浣腸する気満々です。
「こんにちはー!」
そのとき、表の引き戸がガラガラっと開く音がして、元気のいい女性のお声が飛び込んできました。
「あらー、いらっしゃいー、そろそろ来る頃かなって思っていたわ。いつものやつね?」
持っていたガラスの浣腸器をあやうく落としそうになるほどビクンとしてしまった私とは対照的に、おばさまは慣れた調子で大きくそう答えてから、私に背を向けて棚をガサゴソし始めました。
私が慎重に浣腸器を紙の箱に戻していると、おばさまが何かを詰めた紙袋を浣腸器の横に置きました。
「お店のほうはどう?」
「だめだめねー。不景気で。お客さんがぜんぜんお金使ってくれないのよー」
「でも、新しい子も入れたのでしょう?」
「て言うか、お店に来てくれる人の数が減っちゃってるのよねー」
おばさまと、こちらへ近づいて来る常連さんらしき女性のお客様との大きめなおしゃべりの応酬の後、その女性が棚の陰から姿を現わしました。
*
*コートを脱いで昼食を 08へ
*
2013年8月25日
コートを脱いで昼食を 06
「あっ、えっと・・・実家にいた頃に母にしてもらったことはありました」
私にそんな記憶はまったく無かったのですが、なぜだかそんな嘘がスラスラと口をついて出ちゃいました。
私が誰かからそんなことをされたのは、高二のときのやよい先生だけでした。
「そう。実家にいた頃は、っていうことは、今は独り暮らしなのね?大学生?」
「はい」
「今年こっちに出てきたの?」
「はい」
「そう。それは心細いわねー」
このおばさまは、本当に心優しい人みたいです。
「今のお住まいは、ここの近くなの?」
「いえ、そんなに近くはないです。あっちの広い通りの近くのマンションなので」
たぶんそっちの方角だろうと思われる中空を指さして答えます。
「ああ、あの通りのほうね。それならここまでけっこうあるわね。それはそれはご苦労さま」
おばさまがまたニコッと笑いました。
「そうよね。こういうもの買うのって、ご近所のお店だと気恥ずかしいものね。お嬢ちゃんみたいな若い子なら、とくにね」
「でも安心して。今日ここに来たのも何かのご縁よ。これからはわたしが、お嬢ちゃんのお薬の面倒は、全部見てあげる」
「何かおからだのことで困ったことがあったら、恥ずかしがらずに何でも相談してちょうだい。きっとお力になれると思うわ」
私の目をじーっと見つめて、任せてね、っていう笑顔を向けてくれました。
「は、はい、ありがとうございます」
言いながらも私は、おばさまに申し訳なくてたまりません。
こんなに親身になって心配してくださるのに、今私がやっていることといったら・・・
おばさまの優しい目に見つめられて、ドキドキがいっそう激しくなっています。
「そうすると、お嬢ちゃんは一人でお浣腸は、したことないのね?」
「あ、えっと・・・は、はい。そうです」
また、おばさまに嘘をついてしまいました。
下半身がキュンキュン震えてしまいます。
「それだったら、これからやり方を教えてあげる。こう見えてもわたし、若い頃は看護婦だったのよ」
おばさまがちょっと照れたようにはにかんでから、うふふ、って笑いました。
「薬剤師だった旦那と結婚して、ここの薬局を継いで、でも旦那はずいぶん前に亡くなっちゃった」
一瞬しんみりしたお顔になりましたが、すぐに笑顔に戻り、お浣腸薬の箱をひとつ、開け始めました。
ということは、おばさま、意外とけっこうお年を召しているのかな?
「ほら、これがお浣腸。この丸いところにお薬が入っているの」
見慣れた薄いピンク色の丸っこいお浣腸容器が、おばさまの手のひらの上に乗っています。
「このノズルをお尻の穴に挿れて、丸いところを押してお薬を体内に入れるのね」
「ノズルの先っちょが尖っているみたいに見えるけど、まあるくカーブになっているから大丈夫。痛くはないわ」
ノズルの先のキャップをはずして、実際に先っちょを見せてくれます。
「お浣腸液っていうのはね、実際のところ真水とグリセリンを混ぜただけなの。グリセリンが腸を刺激する作用を持っているのね」
「それでね、知ってる?グリセリンて甘いのよ。だからお浣腸液も甘いの」
おばさまが突然私の右手を取りました。
私は驚いてビクンと全身を震わせてしまいます。
コートの中でおっぱいがプルン。
「あ、ごめんごめん。びっくりさせちゃった?ちょっと手のひらを貸してね」
おばさまの左手に右手首を掴まれたまま、おばさまに向けて右手のひらを恐る恐る差し出しました。
おばさまの手はひんやりとしていました。
おばさまは、右手で持ったお浣腸容器を私の右手に近づけ、私の中指の先にお浣腸液を一滴、ポタリと落としました。
「舐めてみて」
「えっ?」
「大丈夫。毒じゃないから。舐めてみて」
「は、はい・・・」
おばさまの左手から解放された右手を、雫をこぼさないように顔に近づけ、舌先でペロリと舐めました。
「本当だ。甘いです」
これは知りませんでした。
「ねっ」
おばさまは、イタズラが成功した子供のように満足気な笑顔で、嬉しそうにうなずきました。
「それで、これをお尻に挿すわけだけど、ひとりだとけっこうやりにくいのよね」
「ほら、自分ではお尻の穴って見えないじゃない?だから手探りでやることになるのだけれど」
お浣腸容器にキャップを付け直して、おばさまはそれを手のひらの上でコロコロ転がしています。
「一般的なやり方としては、しゃがんだり、四つん這いになったり。それで手探りでこの先っちょをお尻の穴に挿れるのね」
「手探りだとやりにくいのは事実よね。いくら先が丸まっているといっても、無理に刺して粘膜を傷つけちゃうこともあるし」
「だからわたしとしては、四つん這いをお勧めするわ。それも出来れば鏡にお尻を映して、確認しながらがいいのだけれど」
おばさまはそう言って、再び私の目をじーっと見つめてきました。
「いくらひとりきりとは言っても、お部屋で四つん這いになって、お尻出して、それを鏡に映して、って、とても恥ずかしいわよね?」
「でもそうしたほうが安全なのよ。誤って肛門や腸を傷つけてしまうより」
私を見ながら熱心に語ってくれるおばさま。
絶対におばさまは頭の中で、私がそうしている様子を想像していると思いました。
私もおばさまのお話を聞きながら、自分がそうする姿を想像していました。
からだの疼きが止まりません。
「お尻の穴もね、何か異物が入ろうとするとキュッて締まっちゃうものなの。だから余計に挿入しにくいの」
「だから挿れる前にお尻の穴付近をマッサージしておくのもいいわね。あとワセリンとかヌルヌルな、滑りが良くなる液体を塗ったり」
「お嬢ちゃん、そういうの持ってる?ヌルヌルするローション。ベビーオイルとかでもいいのだけれど」
「あっ、えっと、うーん・・・」
いわゆるラブローションみたいなヌルヌルローションは、シーナさまからいただいたのがあるけれど、それをおばさまに言っていいのか悪いのか・・・
「そう、それならベビーオイルもあったほうがいいわね。お嬢ちゃんだからオマケしてあげるわ」
「あ、ありがとうございます」
おばさまったら、ご商売がお上手です。
「からだがやわらかければ、仰向けに寝転んででんぐり返しの途中みたいな格好、うーん、分かりにくいかな、赤ちゃんのオムツを代えるときみたいな格好ね、そういので挿れられるとだいぶラクなのだけれどね」
「お嬢ちゃんは、やわらかいほう?」
「あ、一応バレエをやっているので、普通の人よりはたぶん・・・」
「あらら、スゴイじゃない!クラシックバレエ?今でもおやりになってるの?へー、本当のお嬢様なんだ!」
なんでバレエをやっていると本当のお嬢様なのかよくわからないので、私は曖昧にはにかんでお答えを保留します。
「それならきっと、でんぐり返しも出来るわね。よかったじゃない?」
「だけど、あれも相当恥ずかしい格好ではあるのよね」
言いながら私の全身をジロジロ眺めるおばさま。
おばさまったら絶対、私のそんな姿を、また想像しているはず・・・
「でもね、大昔はみんなお浣腸するときにそういう格好をさせられていたのよ」
「下半身裸になってから、自分の両手で両脚の膝の裏側を持って後ろにでんぐり返るの。お尻を突き出すように」
「子供だったら、男の子も女の子もみんなやらされていたわ。今考えると可哀相な話よね。恥ずかしさで泣き出しちゃう子がたくさんいたわ」
おばさまが昔を懐かしむような遠い目をされました。
「あらあら、ちょっとお話しが脱線しちゃったわね。どこまで行ったんだっけ?」
「そうそう、それでめでたくお薬が中に入ったら、しばらくがまんするのね」
「腸の中にお薬が行き渡るように、四つん這いのままお尻を高く上げたり。ほら、液体は下に流れるから」
おばさまの想像の中で、私のお尻が高く突き上げられたはずです。
「あと左向きに寝そべるのもいいっていうわね。腸って左巻きだから奥まで行き渡るの」
「それで後はひたすらがまん。お浣腸してすぐに、すごく出しちゃいたくなるんだけれど、そのとき出してもお薬がそのまま出ちゃうだけなの」
「お薬の効果が出るまで3分から5分はがまんしなきゃだめ。そのあいだはお腹が痛くなってもひたすらがまんがまん」
「だけど、本当にがまん出来ないようだったら、3分経ってなくても出しちゃっていいのよ。おトイレ以外でお漏らししちゃうのは、年頃の女の子にはすごいショックだからね」
「そうそう、だからもちろんお浣腸するときはおトイレの近くでね。かと言っておトイレにしゃかんだままだと、がまんが効かなくなっちゃうから、だめ」
「おトイレの外の廊下とか、お風呂場とおトイレが近ければ、お風呂場でやるのもいいわね」
私は、おばさまのお話にいちいちコクコクうなずきつつも、なんだか言葉責めをされているような気分にもなっていました。
実はおばさまは、私がヘンタイなことは始めからご存知で、私がしている恥ずかしい遊びのことも知っていて、その恥ずかしさを思い出させるために、いちいち言葉にして私の反応を愉しんでいる・・・
そんなふうにも思えました。
「あと最後に、お浣腸をつづけてやるのもだめよ。がまんしきれなくて失敗しちゃっても一日に2本までね」
「何日もつづけるのもだめ。また便秘気味になってもすぐにお薬に頼らずに、出来るだけ自力で出すようにしてね」
「お浣腸に慣れちゃうと、腸が自分で排泄しようとする力が弱くなっちゃうのよ。それでお薬も効かなくなっちゃうの」
「だから、最初に言ったみたいに、普段から食生活とストレスに気をつけること、ね?」
「は、はい、ありがとうございます」
「さっきからいい匂いがしているけれど、それ、あそこのお肉屋さんのから揚げでしょ?」
おばさまのお話しが突然大きく跳びました。
「えっ!あ、はい、そうですけど・・・」
びっくりしながら答えました。
「油物はいいのよ、便秘がちのときは。腸を活性化するからね」
「最近の若い子は、カロリーだなんだって、脂っこいもの嫌うからね。まあ食べ過ぎはよくないけれど」
「お嬢ちゃんも、今でも充分おキレイだからダイエットとかする必要ないし、もう少しお肉が付いてもぜんぜん大丈夫よ」
「バレエもやってらっしゃるんだし、よく食べてよく動くのが一番!」
おばさまがお話しを締めくくるみたいにそう言いながら、私の肩を軽くポンと叩きました。
コートの中で私のおっぱいがプルン。
「そういうことだから、お嬢ちゃんは今日、お浣腸を4つ持っていきなさい。失敗しちゃったときや、もしもまたなっちゃっても、あわてないでいいように」
「使用期限はまだ4年近くあるから、当分のあいだは恥ずかしいお買物をしなくてすむはずよ」
おばさまがクスッと笑いました。
でも私、今年だけで、もう5つも使っちゃってるんですけど・・・
「ひとつ開けちゃったのがあるから、これはサービスにして3つ分のお代金でいいわ」
「えっと、それは・・・私に説明していただくために開けたのだから、そちらの分もお支払いします」
「いいのいいの。お嬢ちゃん聞き上手だから、お話ししててわたしも楽しかったし、お嬢ちゃんの恥ずかしそうなお顔、可愛かったし。わたしのお礼の気持ちよ」
「あ、それならえっと、ベビーオイルもいただきます。ちゃんと定価で」
「あら、そうだったわね。ベビーオイルね。じゃあこれを持って行ってくれる。植物性のすごくいいやつだから、ちょっとお高いけれど」
「はい。大丈夫です。それいただきます」
提示されたお値段がベビーオイルとして高いのか安いのかよくわからなかったのですが、素直にお支払いしました。
「あと、これはうちのスタンプカードね。大サービスでいっぱい押しといたから、また何かお薬が必要なときは、絶対に来てね」
「は、はい。ありがとうございます」
おばさまが、私がここに入ってきたときに見たのと同じ、はんなりした笑みを浮かべて私を見つめています。
買ったものの中身が見えないように丁寧に包装紙で包んでから、手提げ袋に入れようとしていたおばさまの手が、その寸前でピタリと止まりました。
「そうだ!」
同時に、おばさまにしては大きなお声。
「よかったら、ここでお浣腸していったらどう?」
「えーっ!!」
今度は私の大きな声。
「ここで・・・お浣腸を・・・ですか?・・・」
一言一言発するたびに、私の全身が盛大にざわめきたちます。
「そう。ここの2階がわたしの住まいなんだけど、独り暮らしで他に誰もいないし、おトイレもけっこう広いから」
「今日はお客さんもあまりないし、この時間帯はたいていヒマなのね。10分くらいならお店空けても大丈夫そうだから」
「お嬢ちゃんもひとりでやるのは不安でしょう?もし良かったらわたしがお手伝い出来ると思ったの」
「もちろん、わたしはお浣腸のお薬を挿れるのだけお手伝いしてお店に戻るから、あとはお嬢ちゃんがうちのおトイレで用を足せばいいだけ」
このおばさまは、本当に、本当にいい人なのでしょう。
私のことを親身になって心配して、純粋な親切心で申し出たご提案に思えました。
どうしよう・・・
私の性癖にとっても、すっごく蠱惑的なご提案です。
さっきまでまったく見知らぬ同士だった和風美人なおばさまにお浣腸されて、そのおばさまのお家で排泄する・・・
やってみたい・・・でも・・・
私の被虐心が大きくざわついていました。
*
*コートを脱いで昼食を 07へ
*
私にそんな記憶はまったく無かったのですが、なぜだかそんな嘘がスラスラと口をついて出ちゃいました。
私が誰かからそんなことをされたのは、高二のときのやよい先生だけでした。
「そう。実家にいた頃は、っていうことは、今は独り暮らしなのね?大学生?」
「はい」
「今年こっちに出てきたの?」
「はい」
「そう。それは心細いわねー」
このおばさまは、本当に心優しい人みたいです。
「今のお住まいは、ここの近くなの?」
「いえ、そんなに近くはないです。あっちの広い通りの近くのマンションなので」
たぶんそっちの方角だろうと思われる中空を指さして答えます。
「ああ、あの通りのほうね。それならここまでけっこうあるわね。それはそれはご苦労さま」
おばさまがまたニコッと笑いました。
「そうよね。こういうもの買うのって、ご近所のお店だと気恥ずかしいものね。お嬢ちゃんみたいな若い子なら、とくにね」
「でも安心して。今日ここに来たのも何かのご縁よ。これからはわたしが、お嬢ちゃんのお薬の面倒は、全部見てあげる」
「何かおからだのことで困ったことがあったら、恥ずかしがらずに何でも相談してちょうだい。きっとお力になれると思うわ」
私の目をじーっと見つめて、任せてね、っていう笑顔を向けてくれました。
「は、はい、ありがとうございます」
言いながらも私は、おばさまに申し訳なくてたまりません。
こんなに親身になって心配してくださるのに、今私がやっていることといったら・・・
おばさまの優しい目に見つめられて、ドキドキがいっそう激しくなっています。
「そうすると、お嬢ちゃんは一人でお浣腸は、したことないのね?」
「あ、えっと・・・は、はい。そうです」
また、おばさまに嘘をついてしまいました。
下半身がキュンキュン震えてしまいます。
「それだったら、これからやり方を教えてあげる。こう見えてもわたし、若い頃は看護婦だったのよ」
おばさまがちょっと照れたようにはにかんでから、うふふ、って笑いました。
「薬剤師だった旦那と結婚して、ここの薬局を継いで、でも旦那はずいぶん前に亡くなっちゃった」
一瞬しんみりしたお顔になりましたが、すぐに笑顔に戻り、お浣腸薬の箱をひとつ、開け始めました。
ということは、おばさま、意外とけっこうお年を召しているのかな?
「ほら、これがお浣腸。この丸いところにお薬が入っているの」
見慣れた薄いピンク色の丸っこいお浣腸容器が、おばさまの手のひらの上に乗っています。
「このノズルをお尻の穴に挿れて、丸いところを押してお薬を体内に入れるのね」
「ノズルの先っちょが尖っているみたいに見えるけど、まあるくカーブになっているから大丈夫。痛くはないわ」
ノズルの先のキャップをはずして、実際に先っちょを見せてくれます。
「お浣腸液っていうのはね、実際のところ真水とグリセリンを混ぜただけなの。グリセリンが腸を刺激する作用を持っているのね」
「それでね、知ってる?グリセリンて甘いのよ。だからお浣腸液も甘いの」
おばさまが突然私の右手を取りました。
私は驚いてビクンと全身を震わせてしまいます。
コートの中でおっぱいがプルン。
「あ、ごめんごめん。びっくりさせちゃった?ちょっと手のひらを貸してね」
おばさまの左手に右手首を掴まれたまま、おばさまに向けて右手のひらを恐る恐る差し出しました。
おばさまの手はひんやりとしていました。
おばさまは、右手で持ったお浣腸容器を私の右手に近づけ、私の中指の先にお浣腸液を一滴、ポタリと落としました。
「舐めてみて」
「えっ?」
「大丈夫。毒じゃないから。舐めてみて」
「は、はい・・・」
おばさまの左手から解放された右手を、雫をこぼさないように顔に近づけ、舌先でペロリと舐めました。
「本当だ。甘いです」
これは知りませんでした。
「ねっ」
おばさまは、イタズラが成功した子供のように満足気な笑顔で、嬉しそうにうなずきました。
「それで、これをお尻に挿すわけだけど、ひとりだとけっこうやりにくいのよね」
「ほら、自分ではお尻の穴って見えないじゃない?だから手探りでやることになるのだけれど」
お浣腸容器にキャップを付け直して、おばさまはそれを手のひらの上でコロコロ転がしています。
「一般的なやり方としては、しゃがんだり、四つん這いになったり。それで手探りでこの先っちょをお尻の穴に挿れるのね」
「手探りだとやりにくいのは事実よね。いくら先が丸まっているといっても、無理に刺して粘膜を傷つけちゃうこともあるし」
「だからわたしとしては、四つん這いをお勧めするわ。それも出来れば鏡にお尻を映して、確認しながらがいいのだけれど」
おばさまはそう言って、再び私の目をじーっと見つめてきました。
「いくらひとりきりとは言っても、お部屋で四つん這いになって、お尻出して、それを鏡に映して、って、とても恥ずかしいわよね?」
「でもそうしたほうが安全なのよ。誤って肛門や腸を傷つけてしまうより」
私を見ながら熱心に語ってくれるおばさま。
絶対におばさまは頭の中で、私がそうしている様子を想像していると思いました。
私もおばさまのお話を聞きながら、自分がそうする姿を想像していました。
からだの疼きが止まりません。
「お尻の穴もね、何か異物が入ろうとするとキュッて締まっちゃうものなの。だから余計に挿入しにくいの」
「だから挿れる前にお尻の穴付近をマッサージしておくのもいいわね。あとワセリンとかヌルヌルな、滑りが良くなる液体を塗ったり」
「お嬢ちゃん、そういうの持ってる?ヌルヌルするローション。ベビーオイルとかでもいいのだけれど」
「あっ、えっと、うーん・・・」
いわゆるラブローションみたいなヌルヌルローションは、シーナさまからいただいたのがあるけれど、それをおばさまに言っていいのか悪いのか・・・
「そう、それならベビーオイルもあったほうがいいわね。お嬢ちゃんだからオマケしてあげるわ」
「あ、ありがとうございます」
おばさまったら、ご商売がお上手です。
「からだがやわらかければ、仰向けに寝転んででんぐり返しの途中みたいな格好、うーん、分かりにくいかな、赤ちゃんのオムツを代えるときみたいな格好ね、そういので挿れられるとだいぶラクなのだけれどね」
「お嬢ちゃんは、やわらかいほう?」
「あ、一応バレエをやっているので、普通の人よりはたぶん・・・」
「あらら、スゴイじゃない!クラシックバレエ?今でもおやりになってるの?へー、本当のお嬢様なんだ!」
なんでバレエをやっていると本当のお嬢様なのかよくわからないので、私は曖昧にはにかんでお答えを保留します。
「それならきっと、でんぐり返しも出来るわね。よかったじゃない?」
「だけど、あれも相当恥ずかしい格好ではあるのよね」
言いながら私の全身をジロジロ眺めるおばさま。
おばさまったら絶対、私のそんな姿を、また想像しているはず・・・
「でもね、大昔はみんなお浣腸するときにそういう格好をさせられていたのよ」
「下半身裸になってから、自分の両手で両脚の膝の裏側を持って後ろにでんぐり返るの。お尻を突き出すように」
「子供だったら、男の子も女の子もみんなやらされていたわ。今考えると可哀相な話よね。恥ずかしさで泣き出しちゃう子がたくさんいたわ」
おばさまが昔を懐かしむような遠い目をされました。
「あらあら、ちょっとお話しが脱線しちゃったわね。どこまで行ったんだっけ?」
「そうそう、それでめでたくお薬が中に入ったら、しばらくがまんするのね」
「腸の中にお薬が行き渡るように、四つん這いのままお尻を高く上げたり。ほら、液体は下に流れるから」
おばさまの想像の中で、私のお尻が高く突き上げられたはずです。
「あと左向きに寝そべるのもいいっていうわね。腸って左巻きだから奥まで行き渡るの」
「それで後はひたすらがまん。お浣腸してすぐに、すごく出しちゃいたくなるんだけれど、そのとき出してもお薬がそのまま出ちゃうだけなの」
「お薬の効果が出るまで3分から5分はがまんしなきゃだめ。そのあいだはお腹が痛くなってもひたすらがまんがまん」
「だけど、本当にがまん出来ないようだったら、3分経ってなくても出しちゃっていいのよ。おトイレ以外でお漏らししちゃうのは、年頃の女の子にはすごいショックだからね」
「そうそう、だからもちろんお浣腸するときはおトイレの近くでね。かと言っておトイレにしゃかんだままだと、がまんが効かなくなっちゃうから、だめ」
「おトイレの外の廊下とか、お風呂場とおトイレが近ければ、お風呂場でやるのもいいわね」
私は、おばさまのお話にいちいちコクコクうなずきつつも、なんだか言葉責めをされているような気分にもなっていました。
実はおばさまは、私がヘンタイなことは始めからご存知で、私がしている恥ずかしい遊びのことも知っていて、その恥ずかしさを思い出させるために、いちいち言葉にして私の反応を愉しんでいる・・・
そんなふうにも思えました。
「あと最後に、お浣腸をつづけてやるのもだめよ。がまんしきれなくて失敗しちゃっても一日に2本までね」
「何日もつづけるのもだめ。また便秘気味になってもすぐにお薬に頼らずに、出来るだけ自力で出すようにしてね」
「お浣腸に慣れちゃうと、腸が自分で排泄しようとする力が弱くなっちゃうのよ。それでお薬も効かなくなっちゃうの」
「だから、最初に言ったみたいに、普段から食生活とストレスに気をつけること、ね?」
「は、はい、ありがとうございます」
「さっきからいい匂いがしているけれど、それ、あそこのお肉屋さんのから揚げでしょ?」
おばさまのお話しが突然大きく跳びました。
「えっ!あ、はい、そうですけど・・・」
びっくりしながら答えました。
「油物はいいのよ、便秘がちのときは。腸を活性化するからね」
「最近の若い子は、カロリーだなんだって、脂っこいもの嫌うからね。まあ食べ過ぎはよくないけれど」
「お嬢ちゃんも、今でも充分おキレイだからダイエットとかする必要ないし、もう少しお肉が付いてもぜんぜん大丈夫よ」
「バレエもやってらっしゃるんだし、よく食べてよく動くのが一番!」
おばさまがお話しを締めくくるみたいにそう言いながら、私の肩を軽くポンと叩きました。
コートの中で私のおっぱいがプルン。
「そういうことだから、お嬢ちゃんは今日、お浣腸を4つ持っていきなさい。失敗しちゃったときや、もしもまたなっちゃっても、あわてないでいいように」
「使用期限はまだ4年近くあるから、当分のあいだは恥ずかしいお買物をしなくてすむはずよ」
おばさまがクスッと笑いました。
でも私、今年だけで、もう5つも使っちゃってるんですけど・・・
「ひとつ開けちゃったのがあるから、これはサービスにして3つ分のお代金でいいわ」
「えっと、それは・・・私に説明していただくために開けたのだから、そちらの分もお支払いします」
「いいのいいの。お嬢ちゃん聞き上手だから、お話ししててわたしも楽しかったし、お嬢ちゃんの恥ずかしそうなお顔、可愛かったし。わたしのお礼の気持ちよ」
「あ、それならえっと、ベビーオイルもいただきます。ちゃんと定価で」
「あら、そうだったわね。ベビーオイルね。じゃあこれを持って行ってくれる。植物性のすごくいいやつだから、ちょっとお高いけれど」
「はい。大丈夫です。それいただきます」
提示されたお値段がベビーオイルとして高いのか安いのかよくわからなかったのですが、素直にお支払いしました。
「あと、これはうちのスタンプカードね。大サービスでいっぱい押しといたから、また何かお薬が必要なときは、絶対に来てね」
「は、はい。ありがとうございます」
おばさまが、私がここに入ってきたときに見たのと同じ、はんなりした笑みを浮かべて私を見つめています。
買ったものの中身が見えないように丁寧に包装紙で包んでから、手提げ袋に入れようとしていたおばさまの手が、その寸前でピタリと止まりました。
「そうだ!」
同時に、おばさまにしては大きなお声。
「よかったら、ここでお浣腸していったらどう?」
「えーっ!!」
今度は私の大きな声。
「ここで・・・お浣腸を・・・ですか?・・・」
一言一言発するたびに、私の全身が盛大にざわめきたちます。
「そう。ここの2階がわたしの住まいなんだけど、独り暮らしで他に誰もいないし、おトイレもけっこう広いから」
「今日はお客さんもあまりないし、この時間帯はたいていヒマなのね。10分くらいならお店空けても大丈夫そうだから」
「お嬢ちゃんもひとりでやるのは不安でしょう?もし良かったらわたしがお手伝い出来ると思ったの」
「もちろん、わたしはお浣腸のお薬を挿れるのだけお手伝いしてお店に戻るから、あとはお嬢ちゃんがうちのおトイレで用を足せばいいだけ」
このおばさまは、本当に、本当にいい人なのでしょう。
私のことを親身になって心配して、純粋な親切心で申し出たご提案に思えました。
どうしよう・・・
私の性癖にとっても、すっごく蠱惑的なご提案です。
さっきまでまったく見知らぬ同士だった和風美人なおばさまにお浣腸されて、そのおばさまのお家で排泄する・・・
やってみたい・・・でも・・・
私の被虐心が大きくざわついていました。
*
*コートを脱いで昼食を 07へ
*
コートを脱いで昼食を 05
記憶を頼りに住宅街の路地を適当に曲がりながら、とりあえず地下鉄の駅を目指しました。
私が以前その商店街に迷い込んだときは、その地下鉄の駅からあてのないお散歩をしていて、4、5分歩いた頃に突然たどり着いた記憶があったからです。
駅はあっちのほうだから、ここを逆に曲がってみようか。
何の気なしにすごく細い路地へ入って抜けると、唐突にそれらしき商店街に突き当たりました。
自動車が一台通れるくらいな幅の道路に沿って、道の両側に小さなお店がいくつも並んでいます。
私が路地から出た場所は、商店街の途中みたい。
小さな八百屋さんが正面に見えました。
あそこからすんなり出れちゃったっていうことは、意外と地下鉄の駅から近いのかな?
駅との位置関係はいまいちわかりませんが、来方はなんとなくわかったような気がしました。
とりあえず、駅とは反対方向になるであろうほうへと、商店街をブラブラ歩き始めました。
八百屋さん、お肉屋さん、お花屋さん、金物屋さん・・・
狭い道路の両側に、お休みなのか閉店してしまったのか、閉ざされたお店をいくつか挟んでは、開いているお店がポツポツと並んでいます。
どのお店も古くからやってらっしゃるみたいで、小じんまりしていてなんだか懐かしい感じ。
時刻は、午後の三時半過ぎ。
晩御飯用のお買物時間にはまだ少し早いのか、お年を召したおばさまがちらほら歩いているくらいで、全体的にまったりのんびりしたムード。
ワンちゃんのお散歩をしてるおばさまや、学校帰りの小学生、宅配便の配達の人とかと、たまにすれ違います。
クリーニング屋さんちのエアコン室外機の上で、大きな三毛猫さんがまあるくうずくまっていたり。
裸コートのクセに、私もつられてリラックスムード。
まったりゆっくり歩いていたら、商店街の終わりらしきところまで来てしまいました。
見たところそこから先は、普通の住宅街みたいです。
今度は逆方向に歩いて、とりあえずどこかで何かお買物をしてみよう。
そう思って来た方向へ振り返ろうとしたとき、私のすぐ横に、さっき思い立ってしまった、私の罰ゲーム用の商品を扱っているであろうお店があることに気がつきました。
あっ!
そのお店を見た途端、再び心臓がドキドキし始めました。
どうしよう・・・本当にやる気なの?・・・
だけど、まだここに来てから何もお買物していないし、そのお店でどういう会話をするのかも考えていないし・・・
いざとなったら、途端に臆病な風が吹いてきました。
いきなりだと、何か大変な失敗をしちゃいそうだし・・・
やっぱり怖気づいてしまった私は、そのお店を素通りして、来た道を戻り始めます。
商店街のあっちの端まで行くあいだに気持ちを落ち着けて、やるかどうか決めよう。
どこかのお店でまず何か普通なお買物をして、誰かと何か会話をしてみてからにしよう。
そうだ。
さっき通り過ぎたお肉屋さんの店先で、お店で揚げたらしいトンカツやコロッケをガラスのショーケースに並べて売っていたっけ。
通り過ぎたときいい匂いがして美味しそうだったから、まずあそこでお買物してみよう。
そんなことを考えながら歩く私には、もはやさっきまでのリラックスムードは微塵もありませんでした。
このコートの下は真っ裸。
そんな格好なのに、なんでもないフリして商店街お散歩を愉しんでいる私。
背徳感がからだを火照らせ、下半身が盛大にムズムズしてきました。
「いらっしゃーい。今日は鳥のから揚げが大サービスだよ。うちのはカラッと揚がってて冷めてもすごく美味しいよー」
お肉屋さんのショーケースを前屈みになって覗き込んでいた私に、ケースの向こう側にいた恰幅の良いおばさまから大きなお声がかかりました。
「あ、は、はい・・・それならえっと、鳥のから揚げを100グラムとその、野菜コロッケをください」
「はいはいー。まいどありー」
陽気そうなおばさまが、愛想良くニコニコ笑って応対してくれます。
「それ、キレイな色のコートだねえ。よくお似合いよー」
「あ、ありがとうございます」
「はいっ、から揚げサービスしといたからねー。美味しかったらまた買いに来てちょうだいねー」
私の顔をじーっと見つめつつ、おばさまが満面の笑みで私に品物を手渡してくれました。
から揚げのいい匂いが、ふうわり漂ってきます。
「あ、ありがとうございます」
お金を払ってから自分でも不自然と思うくらい大きくお辞儀をして、逃げるようにお店から離れました。
たぶん顔も真っ赤だったと思います。
やっぱり、この格好で知らない人と会話していると、それだけでゾクゾクキュンキュン感じちゃう。
自分のはしたなさにジタバタしちゃうくらい恥ずかしくなって、被虐メーターがどんどん上がってしまうんです。
お肉屋さんを離れた私は、もう一度来た道を引き返すことにしました。
今のお肉屋さんのおばさまとの会話で、計画通り、より一層の辱しめを受ける決心がつきました。
いいえ、決心がついた、なんていう消極的なものではなくもっと積極的に、一刻も早く自分をもっと恥ずかしい立場に置いてみたい、という衝動が抑えきれなくなっていました。
から揚げを買っただけの、あんな普通な会話でこんなにゾクゾクしちゃうのだから、これから私が買おうとしているものだったら、どれだけ恥ずかしい思いをしちゃうのか・・・
被虐願望メーターが完全に振り切れていました。
相変わらず人通りもまばらな道を今度は足早に歩いて、さっきみつけたお店の前に舞い戻りました。
商店街のはずれにひっそりと佇むそのお店は、いかにも古くからやってらっしゃる感じで、小じんまりとした見るからに個人経営という雰囲気。
表側はガラスの引き戸になっていて店内が覗けます。
外から見た感じでは、中に他のお客さまはいない様子。
ここで種明かしをしちゃうと、今私が立っているのは薬屋さんの前。
ここであるものを、お店の人にそれを告げて対面で買うこと。
それが私の思いついた羞恥プレイでした。
ここまで言えば、私がそこで何を買おうとしているのか、ピーンときたかたもいらっしゃるでしょう。
ただ、ひとつ心配なのは、お店番の人が男性だった場合でした。
そのときは残念だけれど計画を中止して、当たり障りの無いもの、たとえば風邪薬か何かを買って帰るしかありません。
でも、こういう町の小さな薬屋さんだと、お化粧品も扱ってらっしゃる場合が多いので、お店番の人が女性の確率は高いはず。
せっかく決意したのに計画中止ではがっかりです。
そうならないといいな、お店の人が女性でありますように・・・
祈る気持ちでお店の引き戸をガラガラッと開けました。
「ごめんくださいぃ」
小さな声で言ってから、お店の中を見回しました。
フワッとした中にもケミカルな気配が混じる、薬屋さん独特の香りに包まれます。
決して広いとは言えない店内に、ガラスケースや棚が上手に並べられ、所狭しといろいろなお薬やサニタリーが置いてあります。
コスメ系のキレイなモデルさんのポスターも賑やかに貼ってあるので、お化粧品も扱っているのは確実。
店内は意外と奥行きがあるらしく、今いる場所からはレジが見えないので、商品を眺めつつ奥へと進みました。
今のところ、陳列棚に私のあめあてのものはみつかりません。
「いらっしゃいませぇ」
明るくて華やかなお声のしたほうを見ると、お店の一番奥の左側がレジになっていて、何かのお薬の箱がたくさん並べてあるガラスケースの向こう側に、白衣を着たおばさまが椅子に座ったまま、はんなりとした笑顔で私を見ていました。
よかったー、お店の人、女性だった。
ホッと一安心して、そのおばさまのほうに近づいていきました。
「今日は何かお探しものかしら?」
白衣のおばさまは、ちょっぴりしもぶくれなお顔にまあるい銀ブチメガネでショートカット、品の良い薄化粧がよく似合う和風な美人さんでした。
和服を着たらすっごく似合いそう。
私にかけてきたお声の調子も気さくっぽくて、見るからにお話し好きそうな雰囲気がありました。
お年は・・・うーん・・・35、いえ、たぶん40歳よりは上だと思うけれど、ちょっとわからない感じ。
何て言うか、にっぽんのおかあさん、的な母性が滲み出ている佇まいで、相手に安心感を抱かせる感じのステキな女性でした。
こういう人なら、あまり緊張せずにお話し出来そう。
でも、逆にすんなりお買物が終わってしまって、あんまり私が恥ずかしさを感じられないかもしれないな。
もう少し怖そうな人のほうがよかったかな。
そんなムシのいいことを考えてしまう私は、本当に自分勝手な女だなって思います。
「どこかおからだの調子が悪いのかしら?それとも何かお化粧品をお探し?」
おばさまが立ち上がり、ガラスケース越しに私をじっと見つめてきました。
「あ、あの、えっと・・・」
本当ならここで、そのものズバリ、商品の名前を言ってしまう予定でした。
それで、お店の人に根掘り葉掘り聞かれて、っていうシチュエーションを妄想していました。
だけどやっぱり、恥ずかし過ぎて言えませんでした。
「えっと、ちょっと、あの、お通じのお薬を・・・」
「えっ?お習字?ああ、お通じね。便秘のお薬っていうことね?」
「あ、は、はい」
「まあまあ、それは大変ね。便秘はつらいからねー」
おばさまが心底心配そうなお声で、私を気遣ってくれます。
「それなら飲むお薬と座薬とがあるけれど、どっちがいいかしら?」
「あ、はい、えっと・・・」
すぐに答えられない私を見かねてか、おばさまは質問の仕方を変えてきました。
「いつからお通じが無いの?」
「えっと、4日前くらい、かな?・・・」
「普段から便秘がちなの?それとも突然?」
「あ、普段からっていうことはありません。今までそんなことなかったのだけれど・・・」
今だって実は便秘ではないのだけれど、まさか本当のことは言えません。
「そう。たぶん食生活が乱れちゃったのね。無理なダイエットとかしなかった?それかストレスか」
おばさまが相変わらず心配そうに言ってくださり、ニコッと笑ってつづけました。
「それなら座薬のほうがいいわね。飲み薬は体質によって、効きすぎちゃったり、ぜんぜん効かなかったりもするから」
「それですっきり出したら、その後は、バランスのいい食事と規則正しい生活を心がけること。お薬なんかに頼らずに自然なお通じを維持することが大切なの」
おばさまが子供に教えるみたいに、やさしい口調でおっしゃいました。
「お嬢ちゃん、座薬ってわかるわよね?」
「あ、は、はい・・・」
「これのこと」
言いながらおばさまが背後の棚に振り向き、私もよく知っている青色の箱を取り出して私の前に置きました。
「これね。お浣腸」
とある果実の実に容器の形が似ていることから、その果実の名前を冠した有名なお薬。
私がここで買おうとしていたのは、まさしくそれでした。
とりあえずこの格好でお買い物をしようと思い立ち、公園を出てこの商店街を探す道すがら、最近切らしちゃったもの、って考えていて思いついたのがお浣腸薬でした。
夏休みの全裸家政婦生活中に、ストックしてあった最後のふたつを使ってしまい、近々また買いに行かなきゃな、と思っていたのでした。
お浣腸プレイ自体は、あまり好きなほうではないのですが、3ヶ月に一回くらい、自虐が極まって無性にやりたくなるときがあるんです。
東京に来て最初に買ったときは、繁華街にあるセルフ式の大手ドラッグストアチェーン店で、レジの人が女性なのを確認してから、生理用品と一緒に思い切って5箱まとめ買いしました。
そのときもかなりドキドキ恥ずかしかったのですが、セルフだったし、お会計まで一言も発さずただうつむいていただけなので、今日の比ではありません。
目の前に置かれたお浣腸薬の箱をまじまじと見つめてしまいます。
ごめんなさい、おばさま。
私本当は便秘でも何でもないんです。
このお浣腸のお薬は、お家でえっちなヘンタイ遊びをするために買うんです。
今もこのコートの下には何も着ていなくて、そんなことが大好きな私は正真正銘のヘンタイなんです。
心の中で目の前にいる白衣のおばさまにそうお詫びしながらも、ピッタリ閉じた私の両脚の付け根から内腿を伝ってふくらはぎ、そしてショートブーツの中へと、すけべなおツユがトロトロ滑り落ちていました。
「お嬢ちゃんは、今までにお浣腸をしたことはあるの?」
今自分がしていることの恥ずかしさにこっそりどっぷり酔い痴れていた私を、おばさまのお声が現実へと引き戻しました。
*
*コートを脱いで昼食を 06へ
*
私が以前その商店街に迷い込んだときは、その地下鉄の駅からあてのないお散歩をしていて、4、5分歩いた頃に突然たどり着いた記憶があったからです。
駅はあっちのほうだから、ここを逆に曲がってみようか。
何の気なしにすごく細い路地へ入って抜けると、唐突にそれらしき商店街に突き当たりました。
自動車が一台通れるくらいな幅の道路に沿って、道の両側に小さなお店がいくつも並んでいます。
私が路地から出た場所は、商店街の途中みたい。
小さな八百屋さんが正面に見えました。
あそこからすんなり出れちゃったっていうことは、意外と地下鉄の駅から近いのかな?
駅との位置関係はいまいちわかりませんが、来方はなんとなくわかったような気がしました。
とりあえず、駅とは反対方向になるであろうほうへと、商店街をブラブラ歩き始めました。
八百屋さん、お肉屋さん、お花屋さん、金物屋さん・・・
狭い道路の両側に、お休みなのか閉店してしまったのか、閉ざされたお店をいくつか挟んでは、開いているお店がポツポツと並んでいます。
どのお店も古くからやってらっしゃるみたいで、小じんまりしていてなんだか懐かしい感じ。
時刻は、午後の三時半過ぎ。
晩御飯用のお買物時間にはまだ少し早いのか、お年を召したおばさまがちらほら歩いているくらいで、全体的にまったりのんびりしたムード。
ワンちゃんのお散歩をしてるおばさまや、学校帰りの小学生、宅配便の配達の人とかと、たまにすれ違います。
クリーニング屋さんちのエアコン室外機の上で、大きな三毛猫さんがまあるくうずくまっていたり。
裸コートのクセに、私もつられてリラックスムード。
まったりゆっくり歩いていたら、商店街の終わりらしきところまで来てしまいました。
見たところそこから先は、普通の住宅街みたいです。
今度は逆方向に歩いて、とりあえずどこかで何かお買物をしてみよう。
そう思って来た方向へ振り返ろうとしたとき、私のすぐ横に、さっき思い立ってしまった、私の罰ゲーム用の商品を扱っているであろうお店があることに気がつきました。
あっ!
そのお店を見た途端、再び心臓がドキドキし始めました。
どうしよう・・・本当にやる気なの?・・・
だけど、まだここに来てから何もお買物していないし、そのお店でどういう会話をするのかも考えていないし・・・
いざとなったら、途端に臆病な風が吹いてきました。
いきなりだと、何か大変な失敗をしちゃいそうだし・・・
やっぱり怖気づいてしまった私は、そのお店を素通りして、来た道を戻り始めます。
商店街のあっちの端まで行くあいだに気持ちを落ち着けて、やるかどうか決めよう。
どこかのお店でまず何か普通なお買物をして、誰かと何か会話をしてみてからにしよう。
そうだ。
さっき通り過ぎたお肉屋さんの店先で、お店で揚げたらしいトンカツやコロッケをガラスのショーケースに並べて売っていたっけ。
通り過ぎたときいい匂いがして美味しそうだったから、まずあそこでお買物してみよう。
そんなことを考えながら歩く私には、もはやさっきまでのリラックスムードは微塵もありませんでした。
このコートの下は真っ裸。
そんな格好なのに、なんでもないフリして商店街お散歩を愉しんでいる私。
背徳感がからだを火照らせ、下半身が盛大にムズムズしてきました。
「いらっしゃーい。今日は鳥のから揚げが大サービスだよ。うちのはカラッと揚がってて冷めてもすごく美味しいよー」
お肉屋さんのショーケースを前屈みになって覗き込んでいた私に、ケースの向こう側にいた恰幅の良いおばさまから大きなお声がかかりました。
「あ、は、はい・・・それならえっと、鳥のから揚げを100グラムとその、野菜コロッケをください」
「はいはいー。まいどありー」
陽気そうなおばさまが、愛想良くニコニコ笑って応対してくれます。
「それ、キレイな色のコートだねえ。よくお似合いよー」
「あ、ありがとうございます」
「はいっ、から揚げサービスしといたからねー。美味しかったらまた買いに来てちょうだいねー」
私の顔をじーっと見つめつつ、おばさまが満面の笑みで私に品物を手渡してくれました。
から揚げのいい匂いが、ふうわり漂ってきます。
「あ、ありがとうございます」
お金を払ってから自分でも不自然と思うくらい大きくお辞儀をして、逃げるようにお店から離れました。
たぶん顔も真っ赤だったと思います。
やっぱり、この格好で知らない人と会話していると、それだけでゾクゾクキュンキュン感じちゃう。
自分のはしたなさにジタバタしちゃうくらい恥ずかしくなって、被虐メーターがどんどん上がってしまうんです。
お肉屋さんを離れた私は、もう一度来た道を引き返すことにしました。
今のお肉屋さんのおばさまとの会話で、計画通り、より一層の辱しめを受ける決心がつきました。
いいえ、決心がついた、なんていう消極的なものではなくもっと積極的に、一刻も早く自分をもっと恥ずかしい立場に置いてみたい、という衝動が抑えきれなくなっていました。
から揚げを買っただけの、あんな普通な会話でこんなにゾクゾクしちゃうのだから、これから私が買おうとしているものだったら、どれだけ恥ずかしい思いをしちゃうのか・・・
被虐願望メーターが完全に振り切れていました。
相変わらず人通りもまばらな道を今度は足早に歩いて、さっきみつけたお店の前に舞い戻りました。
商店街のはずれにひっそりと佇むそのお店は、いかにも古くからやってらっしゃる感じで、小じんまりとした見るからに個人経営という雰囲気。
表側はガラスの引き戸になっていて店内が覗けます。
外から見た感じでは、中に他のお客さまはいない様子。
ここで種明かしをしちゃうと、今私が立っているのは薬屋さんの前。
ここであるものを、お店の人にそれを告げて対面で買うこと。
それが私の思いついた羞恥プレイでした。
ここまで言えば、私がそこで何を買おうとしているのか、ピーンときたかたもいらっしゃるでしょう。
ただ、ひとつ心配なのは、お店番の人が男性だった場合でした。
そのときは残念だけれど計画を中止して、当たり障りの無いもの、たとえば風邪薬か何かを買って帰るしかありません。
でも、こういう町の小さな薬屋さんだと、お化粧品も扱ってらっしゃる場合が多いので、お店番の人が女性の確率は高いはず。
せっかく決意したのに計画中止ではがっかりです。
そうならないといいな、お店の人が女性でありますように・・・
祈る気持ちでお店の引き戸をガラガラッと開けました。
「ごめんくださいぃ」
小さな声で言ってから、お店の中を見回しました。
フワッとした中にもケミカルな気配が混じる、薬屋さん独特の香りに包まれます。
決して広いとは言えない店内に、ガラスケースや棚が上手に並べられ、所狭しといろいろなお薬やサニタリーが置いてあります。
コスメ系のキレイなモデルさんのポスターも賑やかに貼ってあるので、お化粧品も扱っているのは確実。
店内は意外と奥行きがあるらしく、今いる場所からはレジが見えないので、商品を眺めつつ奥へと進みました。
今のところ、陳列棚に私のあめあてのものはみつかりません。
「いらっしゃいませぇ」
明るくて華やかなお声のしたほうを見ると、お店の一番奥の左側がレジになっていて、何かのお薬の箱がたくさん並べてあるガラスケースの向こう側に、白衣を着たおばさまが椅子に座ったまま、はんなりとした笑顔で私を見ていました。
よかったー、お店の人、女性だった。
ホッと一安心して、そのおばさまのほうに近づいていきました。
「今日は何かお探しものかしら?」
白衣のおばさまは、ちょっぴりしもぶくれなお顔にまあるい銀ブチメガネでショートカット、品の良い薄化粧がよく似合う和風な美人さんでした。
和服を着たらすっごく似合いそう。
私にかけてきたお声の調子も気さくっぽくて、見るからにお話し好きそうな雰囲気がありました。
お年は・・・うーん・・・35、いえ、たぶん40歳よりは上だと思うけれど、ちょっとわからない感じ。
何て言うか、にっぽんのおかあさん、的な母性が滲み出ている佇まいで、相手に安心感を抱かせる感じのステキな女性でした。
こういう人なら、あまり緊張せずにお話し出来そう。
でも、逆にすんなりお買物が終わってしまって、あんまり私が恥ずかしさを感じられないかもしれないな。
もう少し怖そうな人のほうがよかったかな。
そんなムシのいいことを考えてしまう私は、本当に自分勝手な女だなって思います。
「どこかおからだの調子が悪いのかしら?それとも何かお化粧品をお探し?」
おばさまが立ち上がり、ガラスケース越しに私をじっと見つめてきました。
「あ、あの、えっと・・・」
本当ならここで、そのものズバリ、商品の名前を言ってしまう予定でした。
それで、お店の人に根掘り葉掘り聞かれて、っていうシチュエーションを妄想していました。
だけどやっぱり、恥ずかし過ぎて言えませんでした。
「えっと、ちょっと、あの、お通じのお薬を・・・」
「えっ?お習字?ああ、お通じね。便秘のお薬っていうことね?」
「あ、は、はい」
「まあまあ、それは大変ね。便秘はつらいからねー」
おばさまが心底心配そうなお声で、私を気遣ってくれます。
「それなら飲むお薬と座薬とがあるけれど、どっちがいいかしら?」
「あ、はい、えっと・・・」
すぐに答えられない私を見かねてか、おばさまは質問の仕方を変えてきました。
「いつからお通じが無いの?」
「えっと、4日前くらい、かな?・・・」
「普段から便秘がちなの?それとも突然?」
「あ、普段からっていうことはありません。今までそんなことなかったのだけれど・・・」
今だって実は便秘ではないのだけれど、まさか本当のことは言えません。
「そう。たぶん食生活が乱れちゃったのね。無理なダイエットとかしなかった?それかストレスか」
おばさまが相変わらず心配そうに言ってくださり、ニコッと笑ってつづけました。
「それなら座薬のほうがいいわね。飲み薬は体質によって、効きすぎちゃったり、ぜんぜん効かなかったりもするから」
「それですっきり出したら、その後は、バランスのいい食事と規則正しい生活を心がけること。お薬なんかに頼らずに自然なお通じを維持することが大切なの」
おばさまが子供に教えるみたいに、やさしい口調でおっしゃいました。
「お嬢ちゃん、座薬ってわかるわよね?」
「あ、は、はい・・・」
「これのこと」
言いながらおばさまが背後の棚に振り向き、私もよく知っている青色の箱を取り出して私の前に置きました。
「これね。お浣腸」
とある果実の実に容器の形が似ていることから、その果実の名前を冠した有名なお薬。
私がここで買おうとしていたのは、まさしくそれでした。
とりあえずこの格好でお買い物をしようと思い立ち、公園を出てこの商店街を探す道すがら、最近切らしちゃったもの、って考えていて思いついたのがお浣腸薬でした。
夏休みの全裸家政婦生活中に、ストックしてあった最後のふたつを使ってしまい、近々また買いに行かなきゃな、と思っていたのでした。
お浣腸プレイ自体は、あまり好きなほうではないのですが、3ヶ月に一回くらい、自虐が極まって無性にやりたくなるときがあるんです。
東京に来て最初に買ったときは、繁華街にあるセルフ式の大手ドラッグストアチェーン店で、レジの人が女性なのを確認してから、生理用品と一緒に思い切って5箱まとめ買いしました。
そのときもかなりドキドキ恥ずかしかったのですが、セルフだったし、お会計まで一言も発さずただうつむいていただけなので、今日の比ではありません。
目の前に置かれたお浣腸薬の箱をまじまじと見つめてしまいます。
ごめんなさい、おばさま。
私本当は便秘でも何でもないんです。
このお浣腸のお薬は、お家でえっちなヘンタイ遊びをするために買うんです。
今もこのコートの下には何も着ていなくて、そんなことが大好きな私は正真正銘のヘンタイなんです。
心の中で目の前にいる白衣のおばさまにそうお詫びしながらも、ピッタリ閉じた私の両脚の付け根から内腿を伝ってふくらはぎ、そしてショートブーツの中へと、すけべなおツユがトロトロ滑り落ちていました。
「お嬢ちゃんは、今までにお浣腸をしたことはあるの?」
今自分がしていることの恥ずかしさにこっそりどっぷり酔い痴れていた私を、おばさまのお声が現実へと引き戻しました。
*
*コートを脱いで昼食を 06へ
*
2013年8月19日
コートを脱いで昼食を 04
やっぱり服従ルールには服従しなくちゃ、ね。
それによく考えてみれば、戻っては来たけれど、別にお家の中に入らなければならない用事もありません。
それならさっさとここでレオタードを脱いで、お散歩続行したほうが効率的です。
ケータイの時計を見ると、まだ午後の二時半過ぎ。
こんな、まだ明るい時間にマンションの通路で裸になるのは、初めてでした。
でも、さっきの公園で脱ぐことを考えれば、格段に安全。
気をつけるべきは、エレベーターの動きだけです。
すでに玄関ドアに差し込んでいた鍵は、念のためにそのままにしておきました。
もしもエレベーターが動いたら、すぐさま玄関内に飛び込めるように。
この時間帯だと、何かのご用時で柏木のおばさまがいらっしゃる可能性も大いにありますから。
早く裸コートになりたいって、はやる気持ちは満々なので、すぐさまコートの前ボタンをはずし始めました。
すべてはずしてから、そっとコートの前を開きます。
うわっ、いやらしい・・・
見下ろした自分のからだのあまりのいやらしさに、自ら両手でコートの前を開いたまま、えっちなマンガやお話によく出てくるヘンシツシャの人のような格好で、顔だけ下げたまましばし立ち尽くしてしまいました。
肌に吸い付くようにピッタリなレオタードの白い布を、これでもかという勢いで不自然に突き上げている胸の頂の二つの突起。
股間は、肌色が透けそうなほどにぐっしょり濡れて、くっきりとその形の通りなスジが刻まれていました。
どう見ても、この女のからだが発情していることは明白です。
そして今度は、この白い布も無しの真っ裸になって、コートひとつでお外をお散歩しなくちゃいけないんだ・・・
別に誰に命令されたわけでもなく、自分で好きでやっているクセに、被虐感がどんどん募ってクネクネ身悶えしちゃいます。
レオタードを着ていてもこんなに感じちゃったのだから、裸だったらどうなっちゃうのだろう・・・
思わず妄想の世界に入り込みそうになりますが、現実がもはや、その一歩手前のところまで来ていることを思い出して苦笑いしつつ、コートの袖から両腕を抜いて脱いだコートを軽くたたみ、通路に置いたバッグの上に乗せました。
大きく一つ深呼吸して気持ちを落ち着けてから、レオタードの両肩紐をそれぞれ外側にずらします。
胸を隠していた布地が前方へペロンと垂れ下がり、押さえつけられいていた乳房が勢い良くプルンと跳ねました。
そのままウエストを通り過ぎ腰骨へ。
両腿を通過するときには、両脚の交わりから布の該当部分へと、透明なか細い糸が幾筋も下へ伸びては切れました。
ふくらはぎまで下ろしたら、ショートブーツにひっかけないように、踏まないように、注意深く足元から抜き去ります。
右手にクタッとした白い布片を持ち、足元のグレイのブーツ以外は丸裸になった私。
心臓はもうドッキドキ。
たたんだコートを大急ぎで広げて、袖に腕を通しました。
ボタンを嵌める前にもう一仕事。
バッグからティッシュを取り出し、前屈みになって股間の湿り気を丁寧に拭います。
ティッシュごしの自分の手が、もっとえっちに活躍したがるのをなんとかなだめつつ入念に。
脱いだレオタードは小さくたたみ,使ったティッシュをそのあいだに挟み、バッグの奥底にしまいました。
コートのボタンを上から嵌めていきます。
一番上だけは開けたまま、膝元まで。
待ちに待った裸コートの完成です。
その姿で通路を少し歩き回ってみると、レオタードを着ていたときとは、全身とコートとの関係と言うか、コートとあいだの空気と剥き出しの皮膚が、触れたり触れなかったりする感触がぜんぜん違うことを実感しました。
さっきまでレオタードに押さえつけられていたおっぱいは、ルーズフィットなコートの中で自由奔放に揺れ動きます。
そのたびに尖った乳首がコートの裏地に直に擦られ、ますます勢いづいて背伸びしちゃいます。
内腿より上の部分も、そこを覆う布地が無くなったために、妙にスースーすると同時に、その一帯の皮膚の感度がより敏感になったのか、歩くたびに粘膜がヌルヌルと擦れている様子まで、生々しく脳に伝わってきます。
すっごく刺激的。
そんなことをしているあいだにも、股間がジワジワ潤ってきているのがわかります。
さっきあれだけ拭ったのに・・・
こんな状態でお外に出たら、絶対溢れちゃうだろうな・・・
期待のワクワクと不安のドキドキ7:3くらいの割合でエレベーターに乗り込みました。
お外に出たら、とりあえずもう一度、さっきのブチネコさんに会いに行ってみようかな。
もしまだいたら、ブチネコさんの前でしゃがんで、下だけこっそり視てもらうのもいいかな。
ブチネコさん、まだいるといいな。
魔除けのおまじないを両耳に挿し直しながら、そんな不埒なことを考えていました。
エレベーターが一階に到着し、エントランスホールをゆっくりと横切ろうとしたとき、
「あらー、直子ちゃん。もう帰ってらっしゃってたのね?」
管理人室のほうから大きな声がかかりました。
「ひゃっ!」
思わず小さく悲鳴をあげると同時に、心臓が早鐘のように波打ちました。
背後から、スタスタとこちらに近づいてくる足音が聞こえます。
私は仕方なく立ち止まり、足音の方向へ振り返りました
黒いタートルネックのセーターに白いエプロン姿の柏木のおばさまが、ニコニコしながら近づいてきました。
「あっ、おばさま。ごきげんよう。いつもご苦労様です」
内心はドキドキなのですがつとめて平静を装い、いつもより丁寧にお辞儀をしました。
右手がなぜか、コートの胸元をつかんでいます。
「はい、ごきげんよう。急に声かけて驚かせちゃった?ごめんなさいねー」
「いえいえ。音楽に夢中になっていたので、ちょっとびっくりしただけです」
耳から無音のイヤホンをはずして、胸元に押し込みました。
「今日はお帰りが早いのね?」
「あ、ええ。学校が早く終わったので、お昼過ぎには戻っていました」
自分の引け目を意識しすぎて、受け答えがヘンに優等生っぽくなってしまいます。
「そうだったの。気がつかなかったわ。それで、これからお出かけ?」
「あ、はい、ちょっと・・・」
「いえね、直子さんにご実家からお荷物が届いているから。それで声をかけたのだけれど」
「あっ、そうたっだのですか」
「お荷物ランプ、点けておいたはずなのだけれど、気がつかなかった?」
お荷物ランプというのは、管理人さんがお届け物などを預かったときに知らせてくれる装置で、各お部屋のインターフォン応答装置の横に付いていました。
「あ、えっと、ごめんなさい・・・」
「ううん、別にいいのだけれど。どうする?今持っていく?」
「お荷物自体は大きめだけれど、そんなに重くはないわよ」
実家からの荷物というのは、数日前に電話で送ってくれるように頼んだ、私の冬物のお洋服だと思います。
「あっ、でもこれからお出かけなら、お時間の都合もあるわね」
私が迷っているのがわかったのか、おばさまが気を遣ってくださいました。
「戻ってきてからでもいいわよ。おばさん今日は出かける予定ないから」
「あ、はい。ちょこっとお買物に行くだけですから、遅くとも5時までには戻ります」
「そう、それならお戻りになったら声かけてちょうだいね」
おばさまがそう言って、私の姿をあらためて上から下まで、まじまじと見つめてきました。
「とってもステキなお色のコートね。よーくお似合いよ」
「あ、ありがとうございます。おばさまのセーターもシックですごくステキですね」
「やだあ。これはただの普段着よ」
おばさまがコロコロ笑い、私の右肩を軽く叩きました。
コートの下で生おっぱいがプルンと揺れました。
「それじゃあお気をつけて、いってらっしゃい」
「はい。それではごきげんよう。また後ほど」
おばさまにお見送りされて、エントランスを抜けてお外に出ました。
レオタードのときと同じ路地に入り、少し歩いて、周りに誰もいないのをよく確かめてから、立ち止まりました。
ああん、びっくりしたー。
私はぐったり疲れ、すっごくコーフンしていました。
おばさまにお声をかけられたときから、心はドキドキ、からだはカッカと火照りつづけていました。
裸コートをしていると、普通に会話するだけで、こんなにコーフンしちゃうんだ・・・
私がおばさまと会話しているあいだ、頭の中のもうひとりの私が、いちいちその会話にツッコミを入れていました。
「何が、ごきげんよう、よ?お上品ぶったって、そのコートの下は真っ裸じゃない」
「びっくりしたときにヒクッとした、あなたのスケベなアソコをおばさまに見せてあげたいわね」
「何言ってるの?今日は裸コートをしたいがために早く帰ってきたクセに」
「頭の中、スケベなことでいっぱいだから、ランプなんて確認するヒマ無いわよね」
「正直に、裸コートでネコさんにアソコを見せに行きます、って言っちゃいなさいよ」
「コートを褒められたとき、中はもっとステキですよ、って開けて見せちゃえば良かったのに」
おばさまにお見送りされたときには、すでにアソコから溢れ出したおツユが一筋、左腿からふくらはぎへと滑り落ちてブーツの中へ達していました
たぶん今の私は、シーナさま言うところの、ドマゾオーラ、全開のはず。
気を引き締めないと。
イヤホンを挿し直し、背筋を伸ばして、無駄におっぱいが揺れないようにゆっくりと歩き始めます。
すれ違う人は相変わらず少ないですが、そのたびにドキンとするのも相変わらず。
さっきと同じルートで、さっきの小さな公園に着きました。
ブチネコさんはもういませんでした。
かなりがっかり。
それでも同じカメさんベンチに腰を下ろし、これからどうしようかを考えます。
このままでたらめに歩き回ってもいいのですが、それだけではもう面白くないかも。
おばさまとの会話で得たコーフンをもう一度味わいたい、という気持ちになっていました。
この格好で誰かとおしゃべりがしたい。
恥ずかしい格好をしていることなんておくびにも出さず、普通に、いいえ、あえていつもよりお上品な感じで。
そのギャップが大きければ大きいほど、コーフン出来ちゃうみたいでした。
我がことながら、かなり変わったヘンタイ性癖だと思います。
かと言って、そのへんですれ違う人に無闇に話しかけるワケにはいきません。
見知らぬ人と会話するもっとも手っ取り早い方法と言えば、お買い物。
まっさきに頭に浮かんだのは、このコートを買ったファッションビルのブティックでした。
あのお店で適当にお買い物をして、店員さんのお姉さんとあれこれおしゃべりして。
想像しただけでゾクゾクしてきました。
だけど、あのファッションビル周辺は、この住宅街とは比べものにならないくらいたくさんの人たちが行き交っているはずです。
もう午後の3時過ぎですから、学校帰りの高校生の子たちなんかも押し寄せているでしょう。
裸コート初日で、そんな人混みの中に身を投じるのは、ハードルが高過ぎる気がしました。
住宅街に普通にあるのはコンビニとかスーパー。
でもああいうところは、それこそ一声も発せずともお買い物が出来ちゃうようなしくみです。
何かを探してもらうくらいしか、店員さんとお話しすることはありません。
ところどころに個人商店もあるから、行くとしたらそういうところかな。
うーん・・・
つまりは、店員さんと相談しながら買うようなものがあれば、それを買いに行けばいいのだけれど、そういうものって何かなー。
お洋服と大げさな電気製品くらいしか思いつきません。
本屋さんで本を取り寄せてもらう、っていう手もあるけれど、それって一瞬で終わっちゃうし。
柏木のおばさまに、お買い物に行ってくる、と告げた手前、何かお買い物をして帰らなければいけない気分にもなっていました。
そうだ!
思い出しました。
そういえば、確かこの界隈に小さな商店街があったはず。
以前、闇雲に路地のお散歩をしていたときに、近くに駅も無いのに突然商店街が始まって、突然終わる一角があってびっくりしたことがありました。
それも、八百屋さんお魚屋さんお肉屋さん、お豆腐屋さん金物屋さん雑貨屋さんとか、最近ではあまり見かけない、古くからやってらっしゃるのであろう小じんまりとした個人商店ばかりがつづくレトロな商店街でした。
一度しか迷い込んだことはないけれど、ここからならなんとなく、記憶を頼りにたどり着けそうな気がします。
あの商店街なら、何を買うにもいちいちお店の人とお話ししなければならないはず。
レトロな商店街なので、お店の人もたぶん皆ご年配だろうから、お話しするのも気分的に楽そうだし。
あそこで、精一杯世間知らずのお嬢様を気取って、お野菜とか、お惣菜とかを買ってみようか。
思いついたアイデアにワクワクしてきました。
早速ベンチから立ち上がり、レトロ商店街探しの冒険に旅立ちました。
冒険の途上でも、しつこく、何か買うべきものはなかったかなー、って考えていました。
前から欲しいなと思っていたもの、買わなきゃと思ってつい忘れちゃうもの、最近きらしちゃったもの・・・
と考えていたとき、突然すごいアイデアが浮かんでしまいました。
あまりに恥ずかしく、あまりに自虐的な、それゆえ今の私にぴったりお似合いな羞恥プレイ。
これから行く商店街に、それを売っていそうなお店は・・・確かあったはずです。
そんなことを思いついてしまった自分を、アクマだと思いました。
本当にやってみるつもりなの?
そう自問すると、さっき柏木のおばさまとの会話にさんざんツッコミを入れてきたもうひとりの自分が、即座にこう答えました。
「当然でしょ?思いついちゃったんだから。今日、最初にレオタードなんか着てもたもたしていたあなたへの罰ゲームよ。お望み通り、見知らぬ人の前で思う存分辱めを受けるがいいわ」
*
*コートを脱いで昼食を 05へ
*
それによく考えてみれば、戻っては来たけれど、別にお家の中に入らなければならない用事もありません。
それならさっさとここでレオタードを脱いで、お散歩続行したほうが効率的です。
ケータイの時計を見ると、まだ午後の二時半過ぎ。
こんな、まだ明るい時間にマンションの通路で裸になるのは、初めてでした。
でも、さっきの公園で脱ぐことを考えれば、格段に安全。
気をつけるべきは、エレベーターの動きだけです。
すでに玄関ドアに差し込んでいた鍵は、念のためにそのままにしておきました。
もしもエレベーターが動いたら、すぐさま玄関内に飛び込めるように。
この時間帯だと、何かのご用時で柏木のおばさまがいらっしゃる可能性も大いにありますから。
早く裸コートになりたいって、はやる気持ちは満々なので、すぐさまコートの前ボタンをはずし始めました。
すべてはずしてから、そっとコートの前を開きます。
うわっ、いやらしい・・・
見下ろした自分のからだのあまりのいやらしさに、自ら両手でコートの前を開いたまま、えっちなマンガやお話によく出てくるヘンシツシャの人のような格好で、顔だけ下げたまましばし立ち尽くしてしまいました。
肌に吸い付くようにピッタリなレオタードの白い布を、これでもかという勢いで不自然に突き上げている胸の頂の二つの突起。
股間は、肌色が透けそうなほどにぐっしょり濡れて、くっきりとその形の通りなスジが刻まれていました。
どう見ても、この女のからだが発情していることは明白です。
そして今度は、この白い布も無しの真っ裸になって、コートひとつでお外をお散歩しなくちゃいけないんだ・・・
別に誰に命令されたわけでもなく、自分で好きでやっているクセに、被虐感がどんどん募ってクネクネ身悶えしちゃいます。
レオタードを着ていてもこんなに感じちゃったのだから、裸だったらどうなっちゃうのだろう・・・
思わず妄想の世界に入り込みそうになりますが、現実がもはや、その一歩手前のところまで来ていることを思い出して苦笑いしつつ、コートの袖から両腕を抜いて脱いだコートを軽くたたみ、通路に置いたバッグの上に乗せました。
大きく一つ深呼吸して気持ちを落ち着けてから、レオタードの両肩紐をそれぞれ外側にずらします。
胸を隠していた布地が前方へペロンと垂れ下がり、押さえつけられいていた乳房が勢い良くプルンと跳ねました。
そのままウエストを通り過ぎ腰骨へ。
両腿を通過するときには、両脚の交わりから布の該当部分へと、透明なか細い糸が幾筋も下へ伸びては切れました。
ふくらはぎまで下ろしたら、ショートブーツにひっかけないように、踏まないように、注意深く足元から抜き去ります。
右手にクタッとした白い布片を持ち、足元のグレイのブーツ以外は丸裸になった私。
心臓はもうドッキドキ。
たたんだコートを大急ぎで広げて、袖に腕を通しました。
ボタンを嵌める前にもう一仕事。
バッグからティッシュを取り出し、前屈みになって股間の湿り気を丁寧に拭います。
ティッシュごしの自分の手が、もっとえっちに活躍したがるのをなんとかなだめつつ入念に。
脱いだレオタードは小さくたたみ,使ったティッシュをそのあいだに挟み、バッグの奥底にしまいました。
コートのボタンを上から嵌めていきます。
一番上だけは開けたまま、膝元まで。
待ちに待った裸コートの完成です。
その姿で通路を少し歩き回ってみると、レオタードを着ていたときとは、全身とコートとの関係と言うか、コートとあいだの空気と剥き出しの皮膚が、触れたり触れなかったりする感触がぜんぜん違うことを実感しました。
さっきまでレオタードに押さえつけられていたおっぱいは、ルーズフィットなコートの中で自由奔放に揺れ動きます。
そのたびに尖った乳首がコートの裏地に直に擦られ、ますます勢いづいて背伸びしちゃいます。
内腿より上の部分も、そこを覆う布地が無くなったために、妙にスースーすると同時に、その一帯の皮膚の感度がより敏感になったのか、歩くたびに粘膜がヌルヌルと擦れている様子まで、生々しく脳に伝わってきます。
すっごく刺激的。
そんなことをしているあいだにも、股間がジワジワ潤ってきているのがわかります。
さっきあれだけ拭ったのに・・・
こんな状態でお外に出たら、絶対溢れちゃうだろうな・・・
期待のワクワクと不安のドキドキ7:3くらいの割合でエレベーターに乗り込みました。
お外に出たら、とりあえずもう一度、さっきのブチネコさんに会いに行ってみようかな。
もしまだいたら、ブチネコさんの前でしゃがんで、下だけこっそり視てもらうのもいいかな。
ブチネコさん、まだいるといいな。
魔除けのおまじないを両耳に挿し直しながら、そんな不埒なことを考えていました。
エレベーターが一階に到着し、エントランスホールをゆっくりと横切ろうとしたとき、
「あらー、直子ちゃん。もう帰ってらっしゃってたのね?」
管理人室のほうから大きな声がかかりました。
「ひゃっ!」
思わず小さく悲鳴をあげると同時に、心臓が早鐘のように波打ちました。
背後から、スタスタとこちらに近づいてくる足音が聞こえます。
私は仕方なく立ち止まり、足音の方向へ振り返りました
黒いタートルネックのセーターに白いエプロン姿の柏木のおばさまが、ニコニコしながら近づいてきました。
「あっ、おばさま。ごきげんよう。いつもご苦労様です」
内心はドキドキなのですがつとめて平静を装い、いつもより丁寧にお辞儀をしました。
右手がなぜか、コートの胸元をつかんでいます。
「はい、ごきげんよう。急に声かけて驚かせちゃった?ごめんなさいねー」
「いえいえ。音楽に夢中になっていたので、ちょっとびっくりしただけです」
耳から無音のイヤホンをはずして、胸元に押し込みました。
「今日はお帰りが早いのね?」
「あ、ええ。学校が早く終わったので、お昼過ぎには戻っていました」
自分の引け目を意識しすぎて、受け答えがヘンに優等生っぽくなってしまいます。
「そうだったの。気がつかなかったわ。それで、これからお出かけ?」
「あ、はい、ちょっと・・・」
「いえね、直子さんにご実家からお荷物が届いているから。それで声をかけたのだけれど」
「あっ、そうたっだのですか」
「お荷物ランプ、点けておいたはずなのだけれど、気がつかなかった?」
お荷物ランプというのは、管理人さんがお届け物などを預かったときに知らせてくれる装置で、各お部屋のインターフォン応答装置の横に付いていました。
「あ、えっと、ごめんなさい・・・」
「ううん、別にいいのだけれど。どうする?今持っていく?」
「お荷物自体は大きめだけれど、そんなに重くはないわよ」
実家からの荷物というのは、数日前に電話で送ってくれるように頼んだ、私の冬物のお洋服だと思います。
「あっ、でもこれからお出かけなら、お時間の都合もあるわね」
私が迷っているのがわかったのか、おばさまが気を遣ってくださいました。
「戻ってきてからでもいいわよ。おばさん今日は出かける予定ないから」
「あ、はい。ちょこっとお買物に行くだけですから、遅くとも5時までには戻ります」
「そう、それならお戻りになったら声かけてちょうだいね」
おばさまがそう言って、私の姿をあらためて上から下まで、まじまじと見つめてきました。
「とってもステキなお色のコートね。よーくお似合いよ」
「あ、ありがとうございます。おばさまのセーターもシックですごくステキですね」
「やだあ。これはただの普段着よ」
おばさまがコロコロ笑い、私の右肩を軽く叩きました。
コートの下で生おっぱいがプルンと揺れました。
「それじゃあお気をつけて、いってらっしゃい」
「はい。それではごきげんよう。また後ほど」
おばさまにお見送りされて、エントランスを抜けてお外に出ました。
レオタードのときと同じ路地に入り、少し歩いて、周りに誰もいないのをよく確かめてから、立ち止まりました。
ああん、びっくりしたー。
私はぐったり疲れ、すっごくコーフンしていました。
おばさまにお声をかけられたときから、心はドキドキ、からだはカッカと火照りつづけていました。
裸コートをしていると、普通に会話するだけで、こんなにコーフンしちゃうんだ・・・
私がおばさまと会話しているあいだ、頭の中のもうひとりの私が、いちいちその会話にツッコミを入れていました。
「何が、ごきげんよう、よ?お上品ぶったって、そのコートの下は真っ裸じゃない」
「びっくりしたときにヒクッとした、あなたのスケベなアソコをおばさまに見せてあげたいわね」
「何言ってるの?今日は裸コートをしたいがために早く帰ってきたクセに」
「頭の中、スケベなことでいっぱいだから、ランプなんて確認するヒマ無いわよね」
「正直に、裸コートでネコさんにアソコを見せに行きます、って言っちゃいなさいよ」
「コートを褒められたとき、中はもっとステキですよ、って開けて見せちゃえば良かったのに」
おばさまにお見送りされたときには、すでにアソコから溢れ出したおツユが一筋、左腿からふくらはぎへと滑り落ちてブーツの中へ達していました
たぶん今の私は、シーナさま言うところの、ドマゾオーラ、全開のはず。
気を引き締めないと。
イヤホンを挿し直し、背筋を伸ばして、無駄におっぱいが揺れないようにゆっくりと歩き始めます。
すれ違う人は相変わらず少ないですが、そのたびにドキンとするのも相変わらず。
さっきと同じルートで、さっきの小さな公園に着きました。
ブチネコさんはもういませんでした。
かなりがっかり。
それでも同じカメさんベンチに腰を下ろし、これからどうしようかを考えます。
このままでたらめに歩き回ってもいいのですが、それだけではもう面白くないかも。
おばさまとの会話で得たコーフンをもう一度味わいたい、という気持ちになっていました。
この格好で誰かとおしゃべりがしたい。
恥ずかしい格好をしていることなんておくびにも出さず、普通に、いいえ、あえていつもよりお上品な感じで。
そのギャップが大きければ大きいほど、コーフン出来ちゃうみたいでした。
我がことながら、かなり変わったヘンタイ性癖だと思います。
かと言って、そのへんですれ違う人に無闇に話しかけるワケにはいきません。
見知らぬ人と会話するもっとも手っ取り早い方法と言えば、お買い物。
まっさきに頭に浮かんだのは、このコートを買ったファッションビルのブティックでした。
あのお店で適当にお買い物をして、店員さんのお姉さんとあれこれおしゃべりして。
想像しただけでゾクゾクしてきました。
だけど、あのファッションビル周辺は、この住宅街とは比べものにならないくらいたくさんの人たちが行き交っているはずです。
もう午後の3時過ぎですから、学校帰りの高校生の子たちなんかも押し寄せているでしょう。
裸コート初日で、そんな人混みの中に身を投じるのは、ハードルが高過ぎる気がしました。
住宅街に普通にあるのはコンビニとかスーパー。
でもああいうところは、それこそ一声も発せずともお買い物が出来ちゃうようなしくみです。
何かを探してもらうくらいしか、店員さんとお話しすることはありません。
ところどころに個人商店もあるから、行くとしたらそういうところかな。
うーん・・・
つまりは、店員さんと相談しながら買うようなものがあれば、それを買いに行けばいいのだけれど、そういうものって何かなー。
お洋服と大げさな電気製品くらいしか思いつきません。
本屋さんで本を取り寄せてもらう、っていう手もあるけれど、それって一瞬で終わっちゃうし。
柏木のおばさまに、お買い物に行ってくる、と告げた手前、何かお買い物をして帰らなければいけない気分にもなっていました。
そうだ!
思い出しました。
そういえば、確かこの界隈に小さな商店街があったはず。
以前、闇雲に路地のお散歩をしていたときに、近くに駅も無いのに突然商店街が始まって、突然終わる一角があってびっくりしたことがありました。
それも、八百屋さんお魚屋さんお肉屋さん、お豆腐屋さん金物屋さん雑貨屋さんとか、最近ではあまり見かけない、古くからやってらっしゃるのであろう小じんまりとした個人商店ばかりがつづくレトロな商店街でした。
一度しか迷い込んだことはないけれど、ここからならなんとなく、記憶を頼りにたどり着けそうな気がします。
あの商店街なら、何を買うにもいちいちお店の人とお話ししなければならないはず。
レトロな商店街なので、お店の人もたぶん皆ご年配だろうから、お話しするのも気分的に楽そうだし。
あそこで、精一杯世間知らずのお嬢様を気取って、お野菜とか、お惣菜とかを買ってみようか。
思いついたアイデアにワクワクしてきました。
早速ベンチから立ち上がり、レトロ商店街探しの冒険に旅立ちました。
冒険の途上でも、しつこく、何か買うべきものはなかったかなー、って考えていました。
前から欲しいなと思っていたもの、買わなきゃと思ってつい忘れちゃうもの、最近きらしちゃったもの・・・
と考えていたとき、突然すごいアイデアが浮かんでしまいました。
あまりに恥ずかしく、あまりに自虐的な、それゆえ今の私にぴったりお似合いな羞恥プレイ。
これから行く商店街に、それを売っていそうなお店は・・・確かあったはずです。
そんなことを思いついてしまった自分を、アクマだと思いました。
本当にやってみるつもりなの?
そう自問すると、さっき柏木のおばさまとの会話にさんざんツッコミを入れてきたもうひとりの自分が、即座にこう答えました。
「当然でしょ?思いついちゃったんだから。今日、最初にレオタードなんか着てもたもたしていたあなたへの罰ゲームよ。お望み通り、見知らぬ人の前で思う存分辱めを受けるがいいわ」
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*コートを脱いで昼食を 05へ
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