2013年11月3日

コートを脱いで昼食を 18

「それではまずO部分から始めましょう。ミス・ナオコ、ちょっと失礼するから、からだの力を抜いていて」
 アンジェラさんがうつぶせの私の両腿のあいだに、やんわりと両手を差し込んできました。
 アンジェラさんの両手のひらで膝の辺りから左右へ押し開くようにゆっくりと押され、ピタッと揃えて閉じていた私の両脚が40度くらいに開かれました。

「オー部分とは、アヌスの周辺です。アヌスを中心にOの字状の施術になるのでこう呼ばれます」
 私の目の前のモニターに、私のであろうお尻が再び大写しになりました。
 両脚を開かれてしまったので、すぼまったお尻の穴まで丸見え。
 その部分がモニターの真ん中に映っていました。
 これはつまり、ビデオカメラを覗いている小野寺さんが、私のその部分をじっと凝視しながら映しているということでしょう。
 ものすごい恥ずかしさが全身を駆け巡りました。

「このO部分と I 部分は、お客様ご自身ではお手入れしにくい箇所ですから、入念にケアしてあげてください」
「大切なのはまず、その部分をよく観察することです。ミス・ナオコ、失礼してお尻を触らせてもらいますよ?」
「は、はい・・・」
 モニターに映る自分のお尻の穴を見つめながら、私は羞恥で消え入りそうです。
 アンジェラさんの極薄ゴム手袋に包まれたひんやりとした両手が私のお尻のワレメにかかり、その部分をゆっくり左右に押し広げました。
「あぁん・・・」
 お尻の穴周辺の皮膚が左右に引っ張られる感触と共に、モニターの中で、すぼまっていた私の肛門がまあるく小さくお口を開けました。

「今回のお客様は、全体にヘアが薄くていらっしゃるので、施術がしやすい例ですが、お客様の中には、この部分にも太いヘアが密集していらっしゃるかたなどもいらっしゃいます」
「毛足が長すぎる場合は、あらかじめハサミで切ります。15~20ミリくらいが理想ね」
「ヘアの密度によってワックスを塗る面積と回数を変えたり、ワックスそのものの種類を選んだり、といった判断が必要になってきます」
「炎症や傷、ホクロの有無などもしっかりチェックしてください」

 カメラが後ろに引いて今は、私のお尻を覗き込んでいる数人の後頭部が映っています。
 みなさまが、私の押し開かれたお尻の穴を、じーっと見つめている・・・
 うぅっ、恥ずかしい・・・
「このようにアヌスのシワのところにヒョロっと生えているヘアも見落とさないように。それにしても綺麗なアヌスだわー」
 いやんっ!
 アンジェラさんのお言葉の前半部分に、いたたまれないほどの羞恥が駆け巡りました。

「ミス・ナオコは、ここの部分もご自分で処理されているのでしょう?カミソリで、よね?」
「は、はい・・・」
「鏡に映したとしても大変よね。ほとんど手探り状態でしょ?」
「はい・・・」
「だめよ。もったいないわ。カミソリで剃るっていうことは、どんなに注意深くしても角質層も削ってしまうから、回数を重ねるほど色素沈着して、やがて黒ずんできてしまうものなの」
「せっかくこんなに白くて綺麗なお肌にピンクのアヌスなのだもの、カミソリは使わないほうがいいわ」
 アンジェラさんが私のお尻の穴を左右に押し広げたまま、やさしくおっしゃいました。

 小野寺さんのカメラは再び私のお尻に寄り、モニターに、短い毛がまばらに生えた私のその部分が鮮明に映っています。
 みなさま、どんなお顔でソコを視ているのだろう・・・
 うつぶせなので、タオルに押し付けられてひしゃげているおっぱいの、その先端が痛いほど尖ってムズムズしてきました。

「ねえアンジー?いっそ四つん這いにさせてお尻を突き上げさせちゃったほうがやりやすくない?」
「遠慮しなくていいわよ?直子はそういうの、慣れているから、メス犬スタイル」
 足先のほうからシーナさまのお声。
「それもそうなのだけれど・・・、でも、ほら・・・」
 モニターには私のお尻しか映っていないので、足先のほうでどんな仕草がされたのかはわかりません。
 リナリナトリオのうちの誰かがクスリと笑ったのが聞こえました。
「そうね。あんまりソコを開いちゃうと面倒そうね。そのままの格好でタオルに吸わせちゃったほうがいいかも」

 シーナさまの、苦笑混じりのそのお言葉で理解しました。
 モニターを見ればまさしくその通り。
 お尻の穴を押し開かれているので、そこから数センチ離れた亀裂の周りの皮膚も引っ張られ、中身が少し覗いていました。
 その少し開いた唇の端に、いやらしいよだれがたっぷり溜まり、ライトにキラキラ反射していました。
 もしも今、四つん這いにさせられて同じようにお尻の穴を押し広げられたら、亀裂からよだれをポタポタ、タオルに滴らせてしまうことでしょう。
 こんな仕打ちを受けている私が性的に興奮していることは、誰が見ても一目瞭然。
 恥ずかしさで爆発しそうな私は、モニターから目をそらし、真っ赤になった顔を枕に埋めました。

「それでは施術に入りましょう」
 アンジェラさんは、いつのまにかマスクを着けたようで、お声が少しくぐもっています。
 アンジェラさんの両手が私のお尻から離れて、ホッと一息。
 でもすぐに、アンジェラさんが私に、ものすごく恥ずかしい行為を要求してきました。

「ミス・ナオコ、悪いのだけれどちょっとご協力をお願いしたいの」
「あ、はい?・・・」
「施術のあいだ、さっきわたくしがやっていたみたいに、ご自分の手でアヌス周辺の皮膚を引っ張っていて欲しいのよ」
「えっ!?」
「ヘアを抜くときは、皮膚が張っていたほうが痛みが少ないのね。痛くないほうがいいでしょう?」
「無駄な力は抜いてリラックスした感じでお願いね。ほんの数分だから」

 自分で自分のお尻の穴を広げていろ、っていうことです。
 私の羞恥心は、恥ずかしさなどとっくに通り越し、被虐の愉悦へと姿を変えつつありました。
「わ、わかりました・・・」
 恥辱まみれな今の自分の状況に酔い痴れながら両手を背中へ回し、自分のお尻に両手を添えて左右に広げます。
 ああっ・・・
 自らの手で押し広げた肛門が、モニターにアップで映りました。
 私の被虐メーターが振り切れました。

「まずはウェッティで施術箇所を消毒。それからワックスの塗布と剥離をくりかえします。ヘアの生え方の流れを見極めること」
「一度施術した箇所に再度の塗布は厳禁です。取り残しがあれば後にトゥイーザーで取り除きます」
 アンジェラさんが研修のお3人に説明しつつ、ひんやりしたウエットティッシュみたいのが私のお尻にあてられました。

 もはや私はマゾ性のかたまり。
 辱めは、すべて気持ちいいことに変換されていました。
 モニターに映った自分の手で押し広げた肛門周辺の恥ずかしい映像を、まるでお気に入りのえっちビデオを観ているみたく、瞬きもせずに凝視していました。

 アイスのキャンディバーの棒のようなヘラですくいとられた水あめみたいな半液体状のもの、おそらくこれがワックスなのでしょう、が、私の肛門周辺に数センチくらい塗られました。
 じんわりと温かい。
 なんだか官能的な温かさです。
 すぐに、剥がしますよ、というアンジェラさんのお声と共に、白い紙を持ったアンジェラさんの手がフレームインしてきて、ワックスを塗った箇所にあてがわれ、ペリッとワックスが剥がされました。

「ぁあんっ!」
 思わず声が出てしまいましたが、毛を抜かれる、ということで予測していたほど、激しい痛みではありませんでした。
 どちらかと言えば、私が好きな種類の痛み・・・

 それからのアンジェラさんは無言で、塗っては剥がしをテンポ良くつづけていました。
 剥がしますよ、ってお断りされたのは最初だけで、温かいな、ペリッ!、が小気味良いスピードでくりかえされました。

 私は、ワックスが剥がされ、毛が抜ける小さな痛みを感じるたびに、
「んっ!」
「あんっ!」
「はんっ!」
「うっ!」
 と小さく吐息を洩らしていました。
 それは決して痛みによる苦痛の呻きではなく、紛れもなく官能的な理由による、悶え、でした。

 モニターで、私のお尻周辺の毛が徐々に無くなっていくのを見ながら、ワックスが剥がされ毛が抜かれるときに感じる小さな痛みの刺激は、ローソクプレイのときの熱いロウがもたらす刺激に似ている、と感じていました。
 素肌にロウを垂らされたときの、あの一瞬の痛み。
 度重なるごとに、いつしかもっともっとと求めてしまう不思議な苦痛。
 その感覚を思い出した途端、吐息を抑えることは出来なくなっていました。
 心の中で、もっと・・・もっと強く、ってアンジェラさんにお願いしていました。

「はい、これで終わりね。残ったワックスを拭き取ってクールダウンしましょう。ひとまずお疲れさま、ミス・ナオコ」
 お尻が再びウェットティッシュみたいなもので丁寧に拭われ、ローションみたいなものも塗られました。
 そうして、モニターに映った私の肛門周辺は見事にツルッツル。
「もうお尻広げてなくていいわよ?」
 アンジェラさんの笑い混じりなお声に、あわてて手の力を緩めました。

「最後に取り残しがないか、チェックね。ルーペをちょうだい。もしあればトゥイーザーで丁寧に抜きます」
 モニターにアンジェラさんの後頭部がにゅっと入ってきて、モニターが真っ暗になりました。
 再びお尻の皮膚が引っ張られるのを感じると、カメラが引いたらしく、アンジェラさんが私のお尻に覆いかぶさるようにお顔を近づけて、私の肛門周辺を覗き込んでいる後姿が映りました。

「ほらあった。こういうところが見落としがちなのよ」
「アヌスのシワのあいだに2本。一応撮影しておきましょう」
 アンジェラさんのお声で、モニターが真っ暗になりました。
 あれ?と思う間もなく、モニターに明るさが戻りました。

 今度は、ルーペ越しの映像でした。
 私のお尻がまたまた押し広げられ、その上に誰かがルーペをかざし、さらにその上からカメラが映しているようでした。
 モニターいっぱいに私の肛門のドアップ。
 シワシワの一本一本から中の粘膜まで鮮明な、まさに菊門と呼ぶべきその姿かたち。
 まあるく肛門を飾るシワの上部外側に1本、左側のシワに隠れるように1本、極短い毛先が覗いていました。
 ピンセットの先のようなものがフレームインしてきて、まず1本めが手際よく抜かれました。
 抜かれる瞬間に、私は、ぃやんっ、と喘ぎ、肛門がヒクっと動き、アソコの奥がゾクッと潤みました。
 2本目のときも、まったく同じ。
 私はもう、とにかく、いてもたってもいられない気持ちで、気がヘンになりそうなくらい発情していました。

 その2本を抜いたところで、私のお尻への施術は終了のようでした。
 足元のほうにいるみなさまの緊張が解け、少しのあいだコソコソとリナリナトリオのみなさまがおしゃべりしているようでした。
 私はうつぶせの枕に顔を埋めて、フゥーッと大きくため息。
 疼くからだの欲求不満に、からだが弾けてしまいそう。

 パンッ!
 アンジェラさんが一回、アテンションの拍手をしたようで、みなさまのコソコソが収まりました。
「さて次は I 部分に移りますが・・・」
 そこまでおっしゃって、アンジェラさんが少し黙り込みました。
 モニターは真っ暗になっていて、足のほうにいるみなさまがどんなご様子なのかはわかりません。
 私は、一行程終わってしまった寂しさを感じつつも、次は何をされるのかという期待にドキドキムラムラしていました。

「今日はビデオ撮影もしているし、ミス・ナオコがそういうかたなので、何て言うか、ちょっとヘンな雰囲気になってしまっているけれど・・・」
 アンジェラさんのお話が再び始まりました。
「普通のお客様との施術のときは、世間話などをしながら明るい雰囲気で、なるべく施術でお客様が感じる恥ずかしさとか痛みから、意識を逸らして差し上げられるように気配りする必要があります」
「はいっ!」
 リナリナトリオの元気良いお返事。
「今日のように、施術中にセクシーとなムード言うか、性的な昂ぶりをお感じになられてしまうお客様もたまにいらっしゃいますが、そういうかたにも極力普通に、気づかないフリをして接して差し上げるのが無難です」
「はいっ!」

「だけど直子みたいに露骨にアンアン喘がれちゃうと、アンジーたちもやりにくいでしょう?」
 笑いを含んだシーナさまのイジワルいお言葉に、私はカーッ、リナリナトリオはクスクス。
「いいえ。わたくし、ミス・ナオコみたいな女性も好きよ。そういうお客様には、そういうおもてなしも出来るの、わたくしのサロンなら」
 アンジェラさんが枕側にツカツカと歩いていらっしゃいました。
「心配いらないわ、ミス・ナオコ。あなたは感じたままの自然体でいればいいの。すべてわたくしたちにまかせて、ね」
 アンジェラさんが私を見下ろしながら、おやさしい口調でおっしゃってくださいました。
「はい・・・」
 アンジェラさんのほうに首をひねって見上げると、アンジェラさんはマスクをはずされて、ニッコリ微笑まれました。

「それでは施術をつづけるわね。ミス・ナオコ、今度は仰向けになってくださる?」
「あ、はい・・・」
 どこが、とは言えませんが、アンジェラさんの私に対する物腰が、少し変化したような気がしました。


コートを脱いで昼食を 19


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