2013年9月14日

コートを脱いで昼食を 09

 エントランスホールには誰もいませんでした。
 柏木のおばさまに帰ってきたことを一応ご報告しておこうと、管理人室のインタフォンのボタンを押しました。
「はーい」
「あ、森下です。今戻りましたので、荷物をお部屋にいったん置いてからまた・・・」
 言っているあいだに、柏木のおばさまがエントランスに出ていらっしゃいました。

「おかえりなさい。意外と早かったわね」
 私のものであろう大きなダンボール箱を両手で抱えた柏木のおばさまが、ニッコリ笑いかけてくれます。
「ありがとうございます。いったん荷物を置いてからまた降りてきますので、それはそのへんに置いておいてください」
「あら、直子ちゃん、両手が塞がっているのね。だったらおばさんが一緒にお部屋まで持って行ってあげるわよ」
 おばさまがそう言って、スタスタとエレベーターのほうへ歩いていってしまいました。
「あっ、ありがとうございます。お手数おかけしてごめんなさい」
「いいの、いいの、ヒマだから」

 狭いエレベーターの中でおばさまとふたりきり。
 今自分がしていることに負い目があるので、すっごく緊張してしまいます。
「やっぱり今の季節じゃまだ、そういうコートだと少し暑いのかしらね?直子ちゃん、お顔が火照っているわよ?」
「は、はい・・・けっこう歩いたので、ちょっと疲れちゃったみたいかな・・・」
 ドキドキしながら答えます。
「あら?あそこの商店街まで行ってきたのね?」
 私が肩に提げたトートバッグから覗いている、お肉屋さんの包み紙に目をやるおばさま。
「はい。以前お散歩していてみつけて、今日、ふと行ってみようかなって・・・」
 マンションの門をくぐる前に、お薬屋さんの包みはバッグの奥底にしまい、から揚げの包みを一番上にしておいたんです。

 エレベーターが私のフロアに着きました。
「わたしもたまに行くわよ。やっぱり自家製、作りたては美味しいものね。そういう揚げ物とかパンとか」
「あそこはとても古くからあって、昔はもっと賑わっていたのよ。お店も今の倍以上あって、わたしもその頃は、ちょっと遠いけれどよく行っていたの」
「今は高齢化と再開発で、閉めちゃったお店のほうが目立つけれどね。わたしが子供の頃からだもの」
「うちもここに住んで長いから、お知り合いもいっぱいいるのよ。そのお肉屋さんとも顔なじみよ」
 私のお部屋のドアまで歩きながら、おばさまが懐かしそうにおっしゃいました。
 私は、柏木のおばさまが、あのお薬屋さんのおばさまともお知り合いなのかどうか、聞いてみたくて仕方ありませんでした。
 でも、脈絡なく突然そんなことを聞くのは絶対ヘン。
 逆に、なぜだか尋ねられて、やぶへびになっちゃいそうなのでやめました。

「そのから揚げも絶対美味しいから、また、たまに買いに行ってあげてね」
 おばさまが我が事のようにお肉屋さんの応援をして微笑みます。
「はい。あっ、荷物はそこに置いてください。後は自分でやりますから」
「そうね。よいしょっと。それじゃあまたね」
「わざわざありがとうございました」
「ううん。いいのよ。何かあったらまたいつでも言ってね」
 ドア脇の棚の花瓶に活けたセイタカアワダチソウの束をちょいちょいと直してから、おばさまは優雅に会釈してエレベーターのほうへと戻っていかれました。

 お辞儀をした頭を下げたまま、おばさまの背中をお見送りします。
 おばさまがエレベーターの中へ消え、扉が閉じるとすぐに、エレベーターのほうに駆け出しました。
 エレベーターの表示が3、2、1と変化して、1のまま動かなくなったのをしっかり確認してから、コートのボタンをはずし始めました。

 お部屋のドア前に戻るまでに、一番下までボタンをはずし終えました。
 コートの前を開いて、自分の裸を覗き込みます。
 全身が満遍なくじっとりと汗ばみ、淡いピンク色に上気しています。
 左右の乳首は、これでもかというくらいに背伸びして、その存在を誇示しています。
 両脚の付け根付近は、ぱっと見でもわかるくらいテラテラと濡れそぼっています。
 欲情している女のからだ、そのもの。
 ゆっくりと両腕を袖から抜き、コートを脱ぎました。

 脱いだコートを軽くたたんで、おばさまに運んでいただいたダンボール箱の上に置き、その場にしゃがんでショートブーツを脱ぎ始めます。
 しゃがんだ途端に、通路の床にポタリとおツユが垂れました。
 今日履いていたショートブーツは、ブーツの筒部分と足との隙間に余裕があるデザインだったので、腿から滑り落ちたいやらしいおツユは、みんなふくらはぎを伝ってブーツの中に消えていました。
 そんなブーツの中は、まるで雨の日に誤って水溜りにはまってしまったように、左右ともじっとりと濡れていました。
 裸コートになってお外を歩いているあいだに、こんなにもえっちなおツユを垂れ流していたんだ・・・
 今更ながら、強烈な恥ずかしさがこみ上げてきました。

 ブーツを両足とも脱ぎ終えたら、完全な全裸です。
 これでお部屋に入れます。
 通路のグレイな大理石風タイルの上を裸足で歩くと、濡れた裸足の足跡がうっすらと残ります。
 このブーツ、よく洗ってからじゃないと履けないな・・・もしも臭っちゃったらどうしよう・・・
 そんなことを考えながら、玄関の鍵を開けました。

 夕方5時前。
 薄暗い玄関の電気を点けました。
 同時に目に飛び込んできたのは、鏡に映った自分の姿。
 今、お外からお部屋に戻ってきたばかりなのに、なぜだか全裸な私。
 まるで全裸のままお外を歩いてきたみたい。
 鏡に映っている自分の顔は、私がよく知っている、えっちなことで頭がいっぱいになっているときの、トロンとした目で口許に締まりの無い、いやらしい私の顔でした。

 今すぐにでも、全身をまさぐって気持ち良くなりたい欲求を懸命にがまんして、買ってきたものを所定の場所にしまいました。
 実家からの荷物は、開けもせずそのままウォークインクロゼットへ。
 ブーツは、中を乾拭きしてから除菌消臭スプレーをして窓際に日陰干し、コートも裏返しにしてサンルームの窓際に吊るしました。

 そんな作業をしているあいだも、乳首はずっと尖ったまま。
 早くさわって、って私を急かします。
 ちょっとつまんでみたくなる気持ちを必死にこらえて、片づけを終えました。
 汗ばんだからだにシャワーを浴びたい感じもありましたが、とりあえず一度慰めてから、ゆっくり浴びることにして、すぐさま快楽への準備に移りました。

 ベッドルームに行き、ローソクプレイのときに使ったレジャーシートと他数点のお道具を取り出して、サンルームに向かいました。
 お外が暗くなると窓全面が鏡張りになる、マジックミラーのサンルーム。
 今回は久しぶりに、ここでしてみるつもりでした。

 もちろん、この時間帯に中で電気を点けると、お外からは素通し丸見えになっちゃうことは知っています。
 でも、よほど私が窓際に近づかない限り、中で何をしているのかがわかるような建物は、近くに無いことも確認していました。
 これからする行為は、鏡があるほうが都合がいいし、ずっと寝そべっていれば遠くのビルからでも見えないだろうし。
 裸コートをしたためなのか、すっごく気持ちが大胆になっていました。
 それに、ここのほうがリビングよりおトイレに近いし・・・

 ところどころに赤いローソク痕がこびりついている銀色のレジャーシートを、サンルームの入口付近に敷きました。
 ここからおトイレまでは、直線で5メートルくらい。
 サンルームのドアもおトイレのドアも開け放しておきます。
 それから、お外の地面が駐車場なバルコニーに面した側の大きな窓にかかるブラインドを、次々に開いていきました。
 鏡と化した大きな窓ガラスが、私の全裸な全身を映し出しました。
 もしも今、バルコニーに誰かいたら、オールヌードの私がガラス越しの至近距離で、暗闇に煌々と浮かび上がって見えているはず。
 そう考えただけで、キュンキュン感じてきちゃいます。

 レジャーシートを少し窓のほうに寄せ、窓にお尻を向けて四つん這いになってみます。
 大丈夫。
 ちゃんとお尻が映ってる。
 位置が決まって、その手元となるあたりに準備したお道具を並べました。
 今日買ったお浣腸のお薬、ベビーオイル、バスタオル、お水を溜めたバスボウル、念のための木製洗濯バサミ数個とピンクローター。
 そう。
 これから私は、あのお薬屋さんのおばさまからお浣腸をされる妄想で、シミュレーションオナニーをしてみるつもりなのです。

 両手に極薄の白っぽいゴム手袋をはめます。
 看護婦だったというあのおばさまなら、絶対そうするはず、と思って用意したものでした。
 この手袋をして自分のからだをさわると、自分の手でさわられているのではないような感触がして、好きなグッズのひとつでした。
 その手で、今日買ったベビーオイルを開けました。

 おばさまにお浣腸していただくなら、やっぱり四つん這いだろうな。
 スカートを捲り上げられるのと、ズボンを下ろすのとでは、どっちがより恥ずかしいだろう?
 そうだ、オールインワンのサロペットやコンビネゾンを着ていけば、上半身もろとも脱がなきゃいけなくなっちゃう。
 そういうのもいいかな?
 でも、お浣腸してもらおうって訪問してるのに、そんなややこしい服を着てくるのは、ちょっとわざとらし過ぎるかも。
 どうするか、行くときまでに服装をちゃんと真剣に考えたほうがいいな・・・

 銀色のレジャーシートの上で実際に四つん這いになってから、ベビーオイルをゴム手袋の右手のひらにたっぷり垂らしました。

 それから下着を取られて、最初は肛門の消毒かな?
 それからオイルでマッサージ。
 おばさま、どんなふうにマッサージしてくれるだろう?

 四つん這いのまま右手を背中からお尻に回し、穴のあたりをオイルまみれにしました。

 あっ、その前に、私のその周辺に毛が無いこと、絶対聞かれるだろうな。
 今はとくに、入念にお手入れしちゃった直後で、まったく無い状態だからなー。
 何て答えようか?
 生まれつき薄いからかっこ悪いと思って、いっそのこと、って思って全部剃っちゃいました、で、ご納得してくださるかな?
 看護婦さんなら、そういうのも見慣れているだろうし、あら、そうなの、って、あっさり流してくれるといいな・・・

 そんなことを考えながら、お尻の穴を中心に周辺を右手でヌルヌル愛撫しています。
 指先が肛門に触れると、肛門がヒクっとすぼまるのがわかります。

 お浣腸器を挿れやすくするためのマッサージなのだから、滑りをよくするために、当然おばさまの指が穴に、アナルに入ってくるのだろうな。
 どんな感じなんだろう?
 自分でお尻に手をやって、広げたほうがいいのかな?
 昔、やよい先生にタンポンを突っ込まれたことがあったけれど、アナルに何か挿れるなんて、あれ以来かな。
 そう言えばアナルって、響きがなんともいやらしい感じだな。
 そうそう、アヌスっていう言葉もいやらしい・・・

 頭の中の妄想を具現化するように、私の右手人差し指がそろそろと、肛門の中に進入してきました。
「んっ!」
 ヌルヌルしているから別に痛くは無く、むしろ、むず痒い官能にゾクゾクしていました。
 指が少しづつ、より深く前進するたびに、肛門がキュッと締まるのがわかります。
「んんーっ」
 埋まった指を中で少し動かすと、下半身全体がモゾモゾ悶えてしまいます。

 考えてみると私は今まで、さほど積極的に自分のアナルを虐めたことはありませんでした。
 お浣腸のほかは、ローターを当てて震わせたりがせいぜい。
 やよい先生のタンポン挿入が一番ハードな責めだったかもしれません。
 やっぱり、そこから出てくるもの、に対する禁忌感、嫌悪感が大きかったのだと思います。

 だけど今、なんだかすごく気持ちいい。
 人差し指は、第二間接くらいまで埋まっていました。
 指先をクイクイ動かすたびに新鮮な官能を感じていました。
「んあんっ、んーぅんっ」
 やだっ、私ったら、ここでこれに目覚めちゃったら、おばさまとの本番でもマッサージだけであんあん喘いじゃいそう・・・

 気持ちはいいのですが、四つん這いという格好に無理がありました。
 これだと疲れるし、右手しか使えないし、鏡を見るにも首を大きく捻らなければなりません。
 そこでいったん手を止めて、別の体勢になることにしました。
 おばさまがおっしゃっていた、もっとも恥ずかしいお浣腸の体勢。
 でんぐり返しの途中みたいな、赤ちゃんがオムツを取り替えるときのような格好。

 窓に足を向けて仰向けになった私は、そのまま両脚を大きく開いて自分の肩のほうにぐるんと跳ね上げ、代わりに上体を少し起こしました。
 後転の途中みたいな格好、と言うよりも、俗に言うまんぐり返しの格好、と言ったほうがわかりやすいでしょう。
 からだが柔らかい私は、この姿勢になると自分の目で、自分のアソコもお尻の穴もほぼ正面から目視することが出来ました。
 ああんっ!なんて恥ずかしい格好・・・
 そしてもちろん、窓である鏡にも自分の姿がバッチリ映っていて、突き出したお尻越しに鏡の中の自分とバッチリ目が合っちゃいました。

 もしもこの姿勢でおばさまからお浣腸を受けたなら、私は始終おばさまとお顔を合わせたまま、束の間の恥辱に耐えなければならなくなるのです。
 こんな姿勢だと、私の開いたアソコからとめどなく溢れ出るいやらしいおツユを、おばさまの目から隠すことも出来ません。
 お浣腸されながら愛液を垂らす女・・・
 さすがの純粋なおばさままも、私のそんな姿を見たら、この女は淫乱な変態娘だ、と思い知ることになるでしょう。
 それはたぶん、私の身の破滅、でもやってみたい・・・

 そんな妄想にいてもたってもいられなくなり、自由な両手が私の下半身に伸びていきました。
 左手は性器、右手はアナル。
 そのとき何を思ったのか、右手をお尻に伸ばす前に何の気なしに自分の鼻先に持ってきて、人差し指の匂いを嗅いでしまいました。
 手袋のゴムのケミカルな匂いに混じった、形容し難い、ケダモノじみたお下品な匂い。
 匂いと書くより臭いと書くべき、はしたない臭い。
 それを嗅いだ瞬間、私の中で何かがバチンと、音をたてて弾け跳びました。


コートを脱いで昼食を 10


2013年9月8日

コートを脱いで昼食を 08

 その人は、私の姿を見て一瞬、ギクリと立ち止まりましたが、すぐに艶やかな笑顔を向けてきました。
「あらあ、お客さんがいらしてたのね。ごめんなさいね。大きな声出しちゃって」
 妖艶に微笑むその人は、お顔立ちもいでたちも全体的に派手めで肉感的な女性でした。
 幾重にもウエーブした豊かな髪を頭の上に盛り上げ、なぜだか目の周りだけ入念にお化粧しています。
 そのせいか、綺麗だけれど、気の強そうなお顔立ちに見えました。
 青いハイネックのピッタリとした長めニットの上に、全体的に銀色な、ヒラヒラがいっぱい付いたショールを軽く羽織り、下はレギンス。

「これからお店?」
「そうなんだけどさ、お化粧してたら突然、アレをきらしてることを思い出してさ、あわてて取りにきたってワケ」
 私に軽く会釈をしてから、おばさまのご質問に明るいお声で答えるその人。
 私も会釈を返しながら、その人をそっと上目遣いに観察します。

 お年は・・・ちょっとわからない。
 白衣のおばさまよりはお若いと思うけれど、30代か40代か・・・
 何て言うか、女ざかり、っていう雰囲気で、からだ全体から、お色気、みたいなものが滲み出ている感じ。
 そう思ったのは、その人の全身から盛大に香っている、ローズ系の甘いパフュームのせいも多分にあるとは思います。

「この人はね、西口のお店でチーママやってらっしゃるの。クラブのね」
 白衣のおばさまが教えてくれます。
「あっ、クラブって言っても、若い子が集まる踊れるほうのじゃないわよ。中年の殿方が鼻の下伸ばして通ってくる、いわゆるナイトクラブのほうね」
 その女性がすかさず冗談ぽく訂正をいれてくれました。
 ああ、夜のお仕事の人なんだ、なるほど。

「そう。だからお嬢ちゃんには、ぜんぜん縁の無いお店だけれどね」
「そんなことないわよ」
 白衣のおばさまの私に向けたお言葉を、チーママさんが即座に否定しました。
「働くって手があるもの。あなただったらすぐに、いいお客さんがつきそう」
 私の全身を上から下まで舐めるように見た後、ニコッと微笑みます。
「あなた今バイトとかしてる?お金に困ってない?カレシはいるの?そのコートいい色ね?」
「あっ、あの、えっと・・・」

 チーママさんの脈絡の無い矢継ぎ早のご質問についていけないでいると、おばさまが助け舟を出してくださいました。
「こらこら。うちの大切なお客さんを悪の道に引きずり込まないでちょうだい。このお嬢ちゃんは真面目な大学生さんなんだから」
「あらあ、悪の道なんて失礼ね。水商売はヘンなバイトよりも断然、お金が溜まるし社会勉強にもなるのよ?」
「前に働いていた子なんて、お店でいいお財布みつけて、オーストラリアに留学しちゃったんだから。それに・・・」
 おばさまとチーママさんの、冗談とも本気ともつかない言い争いをドキドキしながら聞いていたら、不意にチーママさんが沈黙しました。
 視線が一点をじっと見つめています。
 その視線をたどると・・・

「スゴイものが置いてあるわねえ・・・」
 チーママさんの目は、ガラスケースの上で白い箱の中に横たわるガラスの浣腸器を凝視していました。
 それに気づいた私は、なぜだかピクンと小さく震えてしまいました。

「ああ、それはね、このお嬢ちゃんがお通じの悩みでいらっしゃってね」
「ほら、そういうのって恥ずかしいじゃない?だからわざわざ遠くからうちのお店まで来てくださったのよ」
「それでいろいろご説明していたの、やりかたとか」
 おばさまったら、何もそんなに詳しくご説明なさらなくても・・・

「えっ!ていうことは、これ、こちらさんが、あなたが買うの?」
 チーママさんが驚いたお顔で、浣腸器と私を交互に見ています。
 私も、えっ!?ていう顔をしていたはず。
 確かに欲しいとは思っていたし、今度来たときおばさまがこれを使ってくださる、っておっしゃったから、私のもののようなものでもあるけれど、でも・・・
 言い訳にもならないことをくどくど考えながら顔だけが熱くなって、何も言えない私。
 再びおばさまに助けられました。

「まさかー。お嬢ちゃんが買ったのはお薬よ。これはお話しの流れでお見せしていただけ」
「なるほどねー。納得。シモの悩みは恥ずかしいからねー。ワタシも若い頃、買うの恥ずかしいもの、いくつかあったっけなー」
 チーママさんが束の間、遠い目をされてから、再び私の全身をしげしげ眺め、ニッと笑いました

「それならさ、あなた、恥ずかしいついでに買いにくいもの、みんなここで買ってっちゃえば?たとえばコンドームとかさ」
「えっ?そ、それは別に・・・」
「あれ?あなた、カレシいないの?」
「は、はい・・・そういうのは、まだ・・・」
「えー?おっかしいーなー。あなた、若くて可愛らしい感じなワリに、ヘンに色っぽいフェロモンみたいのが漂っているから、絶対オトコいると思ったんだけどなー」
 チーママさんがニヤニヤ笑っています。

「そっかー。カレシもいないのにコンドームだけ準備してるオンナってのも、ちょっと切ないわね。それならさ水虫はどう?あれも買いにくいわよね?大丈夫?」
 私は、からかわれているんだと思いました。
 それで、ちょっとムッとした顔になっていたかもしれません。

「ほらほら、またうちのお客さんイジメてー。だめよー?このお嬢ちゃんは、まだこっち来て半年くらいなんだから。あんまりいじくりまわさないでちょうだい」
「お嬢ちゃんごめんなさいね?この人いつもこんな調子なの。口は悪いけれど悪気はないから許してね?」
 おばさまのフォローに少しホッとして、チーママさんにお愛想笑いを向けながら、
「み、水虫は、なってないから、大丈夫です」
 とお答えしました。

 チーママさんが、あはは、と笑ってから再び浣腸器に目を向けました。
「でもさ、世の中にはこういうものを、けしからんことに使う輩もいるのよね」
 チーママさんがおばさまに向けて話題を振りました。
 私は、お店を出るきっかけを探しつつも、チーママさんの振った話題に惹かれてしまいます。

「ああ。エスエムっていうのでしょ?女の子を縛り付けて無理矢理、みたいな」
 お上品なおばさまのお口から、意外な単語が飛び出しました。
「そうそう。あの手が好きな人たちにとっては、こういう浣腸器って、それ用のえっちな道具のひとつなのよね」
「まったく。他人が排泄してるの見て、何が楽しいのかしら?」
 おばさまが真剣に憤ってらっしゃいます。

「まあ、俗に言う変態っていうやつよね。うちの店にもそういう話題が大好きな客がひとりいてさ、来るたびにその手のことばっかり言ってたから、女の子が席に着きたがらなくて、そのうち来なくなっちゃった」
 おばさまとチーママさん、ふたりで、あはは、と笑っています。
「でもさ、オンナの恥ずかしがる姿を見て悦ぶオトコってけっこういるのよ。恥ずかしさって、えっちな気分と直結してるっていうかさ」
 そこで、チーママさんがなぜだか私をチラッと見ました。
 それに気がついて、私の心臓がドキン。

「恥ずかしがる姿を見て悦ぶオトコの変態が、オンナの子の両脚を大きく広げたまま縛り付けてみたり、無理やり浣腸して人前で漏らさせたりするんだけどさ」
「同じように、そういう姿を見られて興奮する人、っていうのも、この世にいるのよ」
「つまりね、オンナの変態っていうのも、世の中には意外といるみたい」
 チーママさんのひそめたお声を、おばさまが、あらまあ、というお顔で真剣に聞いています。
 もちろん私もドキドキしながら耳をそばだてています。

「これは別のお客さんの話なんだけどね・・・」
「その人の以前のカノジョっていうのが、そういう類のオンナだったらしくてさ」
「普通の内気そうなOLさんで、そこそこ美人だったらしいんだけど、ふたりでハワイに海水浴にいったとき、すごいキワドイ水着持ってきてたんだって」
「もうえっちも済ませてて、それが最初からすごく激しかったし、辱めれば辱めるほど乱れちゃうみたいな兆候もあったんで、ひょっとしてと思って聞いたら、白状したそうなの」
「やっぱりそうだったんだって。いわゆる露出狂ってやつね」

「どうもその前のオトコに仕込まれちゃったらしくてさ、そのお客さんも、その手が好きなほうだったから、それからはもういろんなこと、シタそうよ」
「ドライブのときは助手席でオッパイ丸出し。観覧車で裸にしてみたり、シースルーで買い物させたり、覗きで有名な公園でシタり」
「デート、イコール、そのオンナの屋外露出調教散歩みたいな感じだったそうよ」
「脱げ、って言われた途端に目がウルウルしちゃうんだって。そのオンナ。それも人の目があればあるほど」

「しばらくは楽しかったんだけれど、そのうち不安になってきたんだってさ」
「このオンナ、別に俺じゃなくても、誰に言われても、その場で服脱ぐんじゃないか、って」
「縛った覚えが無いのに肌に縄の痕がついていたことがあったんで問い詰めたら、ひとりで全身ロープで縛って、コートひとつで深夜のコンビニとかにお散歩にも行ってたんだって」
「まあ、セフレならいいけど、真剣にはつきあえないわよね、そんなオンナ」
「だから、適当に遊んで、そのうち会わなくなっちゃったらしいわ」

 それでチーママさんのお話は終わりのようでした。
 私の全身はカッカと火照り、同時に今すぐにこの場から逃げ出したいような居心地の悪さを感じていました。
 ひょっとして私、チーママさんから見透かされている?

 さっき私をチラッと見て以来、一度もこちらにお顔を向けなかったチーママさんが振り返り、まっすぐに私を見て、こうつづけました。
「だからあなた、オトコには充分気をつけなさい。ロクでもないオトコに捕まったら、あなたもヘンな道に目覚めちゃうかもしれないから、ね?」
 冗談めかした感じでそう言って、あはは、って笑いますが、その目だけは笑っていないように見えました。
 て言うか、シーナさまと同じ、冷たいエスの目。
 私に対してのご忠告も、さっきのお話からは、ぜんぜん脈絡のない結論です。

 やっぱり、チーママさん、ある程度私の性癖に勘付いている・・・
 それで、言葉責めして、愉しんでいる・・・
「・・・は、はい・・・」
 私はチーママさんから目をそらし、うつむいて答えました。

 トゥルル、トゥルル・・・
 そのとき、お店の奥の電話が鳴りました。
「あっ、はい、はいー」
 白衣のおばさまが、あわててお店の奥に駆けていきました。
 レジの前に私とチーママさんだけ、取り残されました。

 チーママさんは、私のほうは見ず、浣腸器のガラスの表面を指で撫ぜています。
「そっか。これからあなたは、お家に帰ってひとりで、浣腸するんだ?」
 チーママさんがそのままの体勢で、独り言みたいにポツンと言いました。
「えっ?あっ、えっと・・・」
 私は、そのお言葉にビクンとして、ドキンとして、キュンとして・・・

「そうよね?これからお家に帰って、ひとりでお尻を出して、浣腸するのよね?」
 浣腸器から指を離し、こちらを向いたチーママさんの目が、イジワルく私を見つめています。
「・・・は、はい・・・」
 チーママさんの目から、今度は目をそらすことが出来ず、見つめたままやっとお返事をしました。

 チーママさんが私の傍らにそっと寄ってきました。
「そう。まあいろいろと、がんばりなさい、ね?」
 私の耳元に唇を寄せて低い声で囁いてから、私の右肩を軽くポンと叩きました。
 その低くてセクシーなお声にゾクゾクしつつ、コートの下で裸のおっぱいがプルン、内腿をおツユがツツツー。

「ごめんなさいね。お得意さまからだったわー」
 電話を終えたおばさまが、あたふたとレジ前に戻ってらっしゃいました。
「あらー、もうこんな時間。早く帰ってお化粧のつづきしなくちゃー」
 チーママさんがわざとらしく腕時計を見て、大きなお声をあげました。
「それじゃあこれは、もらっていくわね。お代は月末にまとめてねー」
 それからもう一度私を見て、ニヤッと笑いました。
 
 浣腸器の横に置かれた、チーママさんのために用意された紙袋を取るとき、チーママさんの右肘が私の胸をコートの上から思い切り擦りました。
 コートの中でおっぱいがグニュッとひしゃげるくらい。
 ワザとだと思いました。
 なんとなく、チーママさんが何かしてくると予期していたので、グッと唇を噛んで、なんとかいやらしい声をあげずにすみました。

「それじゃあまたねー」
「はーい、毎度ありがとうございましたー」
「そっちのカノジョも、縁があったらまたお話ししましょうねー、お大事にねー」
「お嬢ちゃんもまた来るって言ってるから、またきっと会えるわよー」
「それじゃーねー」
 来たときと同じような、おばさまとチーママさんの大きめなお声の応酬が、ガラガラッという引き戸を開ける音とバシッという閉じた音を合図に、終わりました。

「ごめんなさいねー。夜のお仕事の人とのおしゃべりだと、いつの間にか話題がお下品になっちゃって」
「いいえ。大丈夫です。何て言うか、派手なかたでしたね?」
「そうね。けっこうお高いお店に勤めているみたいだし、お住まいもほら、地下鉄の駅の近くの高層マンションらしいから」
「へー」
「なぜだかうちでいろいろ買ってくれる、いいお客さんなのよ」
「そうでしたか・・・お話、楽しかったです。それでは私もそろそろ・・・」
「あっ、そうね。ごめんなさいね。長いあいだお引止めしちゃって」
「いえいえ。今日はありがとうございました」
 
 私が買ったものを入れた手提げ袋をおばさまから受け取り、出て行こうとしたとき、
「あっ、そうだ。お嬢ちゃん、本当にカレシ、いないの?」
 背後からまた、お声がかかりました。
「あ、はい。本当ですけれど・・・」
 出口に向って2、3歩踏み出していた私は、立ち止まり振り返ります。

「それだったら、うちの息子どうだろう、って思ってね。今、医大に通ってるの、北海道だけど」
「えっ、あっ、いえ、それは・・・」
 あまりの想定外なご提案にあたふたしてしまう私。
「あっ、ごめんなさい。わたしったらまた不躾なことを・・・」
 困惑している私を見て、おばさまもまたあたふたしてしまい、すぐに自らご提案を却下。

「会ったこともない相手に、どうもこうもないわよね。ごめんなさい今のは忘れて、ね?」
「それはそれとして、いつでもいらっしゃいね?恥ずかしがらずに」
「いつでもしてあげるから、遠慮なさらずにいらしてね。これも消毒しておくから」
「あっ、はい。ありがとうございます。そのときはよろしくお願いします」
 ペコリと頭を下げながらも、またもや内腿が濡れていました。

 逃げるようにお薬屋さんを出て、走るように我が家を目指しました。
 一刻も早くひとりになって、今日あったことを整理したいと思っていました。
 会う人みんなにいろんなことを言われ、それがいちいちいやらしいことに結びついてしまって、下半身のウズウズが暴発寸前でした。
 歩きながら、魔除けのおまじないを、両耳に突っ込みました。
 もう誰ともお話したくありませんでした。

 あっ、そうだった。
 お部屋に入る前にもう一度、柏木のおばさまと会話をしなければならないんだった。
 今の私のいでたちがあまりお買物帰りに見えない気がして、自宅のそばのドラッグストアでボックスティッシュとトイレットペーパーのパックを無言のまま買い、それを両手にぶら下げてマンション入口のアーチをくぐりました。


コートを脱いで昼食を 09


2013年9月2日

コートを脱いで昼食を 07

 知らず知らずに、自分の胸を両腕で抱くような仕草をしていました。
 尖りきった乳首がコートの裏地に擦れ、今現在の自分のコートの中身を思い出させます。
 そう、私は今、裸コート中。
 今日ここでおばさまにお浣腸をしてもらうとしたら、否が応でも、このコートの中をおばさまにお見せしなければならなくなります。

 どうしてそんな格好をしているの?
 どうしてコートの下に何も着ていないの?
 困惑されるおばさまのお顔が目に浮かびます。

 その答えとして、私が正直に自分の性癖を告げたとして、それからおばさまがどうされるかは未知数。
 呆れられるのか、蔑むのか、叱られるのか、はたまた逆に好奇心をそそられるか。
 ひょっとしたら、こんな性癖に理解を示していただける可能性も無いことはないかも。

 試してみたい気持ちもありましたが、一方では、少し距離があるといってもここは私の生活圏内、 おばさまに嫌悪され最悪の事態になって、ご近所中のウワサの的になっちゃう可能性も大いにありました。
 そして何よりも、こんな私のろくでもないヘンタイ性癖を無駄に露にして、心優しいおばさまの純粋な親切心を踏みにじるのはいけないな、と思いました。

 もしも今、私が普通の服装、コートの下に何がしかのお洋服をちゃんと着ている状態、なら、おばさまのご提案を嬉々として受け入れていたことでしょう。
 もちろん表向きには思い切り恥じ入りながら、でも内心はワクワクで。
 それくらい心躍る、あがらい難いご提案でした。

 だけど、そもそも裸コートでなかったら、お浣腸薬をお薬屋さんで対面で買ってみよう、なんていう大胆な冒険は、思いつかなかったことでもありました。
 普通の服装だったら、こういう展開はありえず、裸コートだったからこそ、こうしておばさまに出会えたのです。
 すっごく残念だけれど今回は、お断りするしかないだろうな・・・

 私が長いあいだ考え込んでしまっているのを見てあわてたのか、おばさまのほうが先に、ご自分のご提案を白紙に戻そうと思われたようでした。

「ごめんなさいね。わたし、ずいぶんとデリカシーの無いこと言っちゃったわよね?」
 本当にすまなそうなお声で、おばさまが私の顔を覗き込んでおっしゃいます。
「年頃の女の子が、こんな知らないおばさんの前でお尻なんて出せるワケないわよね?そんな恥ずかしいこと」
「お嬢ちゃんとお話ししてたら、看護婦時代のこと思い出しちゃって、懐かしくなって、ついそんなこと言っちゃったの。ごめんなさい。許してね」
 おろおろされているおばさまを見ていると、私の心がズキズキ痛みました。
 悪いのはぜんぶ、私なのに。

「いえっ、あの、本当にありがとうございます・・・」
 私は、ご提案を無かったことにしたくありませんでした。
 覚悟を決めて、今の気持ちを正直にありのまま、おばさまに伝えることにしました。

「・・・見ず知らずの私に、こんなにご親切にしていただいて、本当に嬉しいです」
「だけど今日はちょっとあの、アレなので・・・だ、だからお家に帰ったら、とりあえずひとりで、お、お浣腸をしてみます・・・」
 自分で口に出したはしたない言葉に、キュンキュン発情しちゃっています。
「それで・・・それでもし、うまくいかなかったり、ひとりでは無理だなって思ったら、また、ここに来ますから、そのときは・・・」
 おばさまをすがるように見つめてしまいます。

「そのときは私に、お、お浣腸、してくださいますか?」
 言った瞬間に、アソコがヒクヒクと波打ち、内腿をおツユがすべり落ちました。
 私の頭の中には、おばさまの前で四つん這いになって裸のお尻を突き出し、お浣腸された後も、おばさまに見守られて一生懸命がまんしている恥ずがし過ぎる自分の姿が、まざまざと浮かんでいました。

「えっ!?」
 おばさまは一瞬たじろいで絶句した後、すぐにホッとしたお顔になり、ニッコリ微笑みました。
「それはもちろんよ。いつでも言ってちょうだい。絶対お力になれるから」
「看護婦だった頃は、それこそ数え切れないほどお浣腸したものよ。子供にも大人にも」
「とくに小学校高学年くらいの子供が恥ずかしがるのが可愛かったのよね。男の子って恥ずかしいと、怒った顔になっちゃうの」
 クスッと笑うおばさま。
「好きだったなー、お浣腸するの」
 懐かしそうに目を細めたおばさまが、そのまま私をまっすぐに見つめてきました。

「だから恥ずかしがらずにいつでも言ってきてちょうだい。わたしにとっては、誰かにお浣腸することって、普通にずっと仕事でしていたことだから、ね?」
 ニッと笑ったおばさまは、さっきのおろおろから完全に立ち直っていました。

 実際には便秘でも何でもない私がお浣腸を欲するのは、自分のいやらしい被虐心を満足させるため、です。
 そんなヘンタイ行為に、おばさまの手をお借りすることは、おばさまの親切心を利用することになってしまうのは、わかっていました。
 それが後ろめたくもあったのですが、今のお話の感じだと、おばさまは、お浣腸を施す行為自体がお好きなご様子。
 それなら、ふたりの利害関係は一致します。

 最初におばさまからご提案いただいた瞬間に、このおばさまにお浣腸をされる自分、という妄想から抜け出せなくなっていた私は、幾分気持ちが軽くなって、次はどのタイミングでこのお店に来ようか、なんて考え始めていました。
 SMの関係ではなく、まったくそういう資質の無い人から受けるお浣腸って、された自分はどんな気分になるのだろう?
 近い将来、それを知ることが出来そうです。

「そうだ。お嬢ちゃんは、お医者さんが使う浣腸器は、見たことある?」
 完全復活したおばさまは、包んだ荷物をまだ渡してくれず、また新しい話題を振ってきました。
「えっ?」
「ガラスで出来ていて、注射器みたいにお水を吸い上げる方式のやつよ。知らない?」
「えっと・・・」

 もちろん知ってはいますが、実物ではなく、SMの写真やビデオで見たことがあるだけでした。
 けっこう太い注射器みたいな器具に何かの液体を一杯に吸い込み、太めな先っちょを嫌がる相手のお尻の穴へと無理矢理突き刺して・・・
 そんな禍々しい印象がありました。
 でも、そんなことおばさまには言えません。

「えっと、写真で見たことがあるような、ないような・・・」
「ちょうどね、ずっと売れ残ってるのがひとつあるのよ。何かの話のネタになるかもしれないから、見せてあげるわね」
 おばさまがそう言って、ご自身の背後の棚をゴソゴソし始めました。
「あった、あった。はら、これ」

 おばさまが大きめな白い紙箱の蓋を開けると、ガラス製のそれが横たわっていました。
 やっぱりけっこう太い。
 見るからにひんやりしていそうなガラス製のそれは、ガラスの肌に容量の目盛りが打ってあり、まさしく、医療器具、という感じ。
 なんとなく、手に取ることがためらわれる雰囲気を醸し出していました。

 その浣腸器を見たと同時に、唐突に思い出したのが、幼い頃、ご近所のお友達とひそかにしていたお医者さんごっこ。
 その行為が意味することはまったくわからず、ただ、お浣腸、という名前で施された見よう見まねのシンサツ。
 あのときに浣腸器の代わりとなったオモチャの大きめなプラスティック製注射器と、目の前に横たわっているガラスの浣腸器の姿が重なりました。
 お医者さんごっこのお浣腸では、今でも忘れられない、すっごく恥ずかしい思いをしたことがあったっけなー。
 懐かしさと一緒に、頬が火照ってきました。

「ほら。持ってみて」
 大昔の恥ずかし過ぎる思い出に頬を染めている私に、おばさまが箱から取り出した浣腸器を差し出してきました。
「は、はい」
 恐る恐る、両手で慎重に、浣腸器を受け取りました。
 けっこう重い。

「大きい、ですね?」
「そうね。それは100ミリのやつだから普通かな。その倍の200ミリっていうのもあるわよ」
「こんなに全部、お薬を入れちゃうんですか?」
「ううん。グリセリン浣腸だと多くても5~60ミリくらい。お嬢ちゃんが今日買った市販のお浣腸薬が30ミリだから約2個分ね。普通の便秘なら1個で充分のはずよ」
「だけどぬるま湯浣腸なら、100ミリからその2、3倍も入れるときもあるわね」
「ぬるま湯、ですか?」
「そう。腸への刺激が少ないぬるま湯なら、たくさん入れても大丈夫なの。限度はあるけれどね」

 手の中にある浣腸器をまじまじと見つめてしまいます。
 自然と目がいってしまうのは、お尻に挿すのであろう先端部分。
 緩く楕円にカーブを描く意外に太め長めなその部分を、知らず知らずに指で撫ぜていました。
「そう、そこのところをお尻の穴に挿れるの」
 おばさまが私の顔を覗き込むようにして、いたずらっぽく微笑みました。
 やだ、見られてた!
 私の頬がますます赤く染まります。

「ぬるま湯浣腸はね、便秘とかに限らず、大腸の洗浄にも使うの。腸の、うがい、みたいなものね」
「だからグリセリンのお浣腸で出した後、今度はぬるま湯でお浣腸しておくと、お薬も中に残らなくて腸がすっきりするはずよ」
「そうだ。今度来たときにやってあげるわ。この浣腸器で」
「今は市販のお浣腸薬が定着していて、こういう大げさな浣腸器はこの先も売れないだろうから、これはお嬢ちゃんのために、熱湯消毒して大事に保管しとくことにするわね、今度来たときのために」
 おばさまが再び微笑んで私を見つめてきました。
 おばさまったら、私にお浣腸する気満々です。

「こんにちはー!」
 そのとき、表の引き戸がガラガラっと開く音がして、元気のいい女性のお声が飛び込んできました。
「あらー、いらっしゃいー、そろそろ来る頃かなって思っていたわ。いつものやつね?」
 持っていたガラスの浣腸器をあやうく落としそうになるほどビクンとしてしまった私とは対照的に、おばさまは慣れた調子で大きくそう答えてから、私に背を向けて棚をガサゴソし始めました。
 私が慎重に浣腸器を紙の箱に戻していると、おばさまが何かを詰めた紙袋を浣腸器の横に置きました。

「お店のほうはどう?」
「だめだめねー。不景気で。お客さんがぜんぜんお金使ってくれないのよー」
「でも、新しい子も入れたのでしょう?」
「て言うか、お店に来てくれる人の数が減っちゃってるのよねー」
 おばさまと、こちらへ近づいて来る常連さんらしき女性のお客様との大きめなおしゃべりの応酬の後、その女性が棚の陰から姿を現わしました。


コートを脱いで昼食を 08


2013年8月25日

コートを脱いで昼食を 06

「あっ、えっと・・・実家にいた頃に母にしてもらったことはありました」
 私にそんな記憶はまったく無かったのですが、なぜだかそんな嘘がスラスラと口をついて出ちゃいました。
 私が誰かからそんなことをされたのは、高二のときのやよい先生だけでした。

「そう。実家にいた頃は、っていうことは、今は独り暮らしなのね?大学生?」
「はい」
「今年こっちに出てきたの?」
「はい」
「そう。それは心細いわねー」
 このおばさまは、本当に心優しい人みたいです。

「今のお住まいは、ここの近くなの?」
「いえ、そんなに近くはないです。あっちの広い通りの近くのマンションなので」
 たぶんそっちの方角だろうと思われる中空を指さして答えます。
「ああ、あの通りのほうね。それならここまでけっこうあるわね。それはそれはご苦労さま」
 おばさまがまたニコッと笑いました。

「そうよね。こういうもの買うのって、ご近所のお店だと気恥ずかしいものね。お嬢ちゃんみたいな若い子なら、とくにね」
「でも安心して。今日ここに来たのも何かのご縁よ。これからはわたしが、お嬢ちゃんのお薬の面倒は、全部見てあげる」 
「何かおからだのことで困ったことがあったら、恥ずかしがらずに何でも相談してちょうだい。きっとお力になれると思うわ」
 私の目をじーっと見つめて、任せてね、っていう笑顔を向けてくれました。

「は、はい、ありがとうございます」
 言いながらも私は、おばさまに申し訳なくてたまりません。
 こんなに親身になって心配してくださるのに、今私がやっていることといったら・・・
 おばさまの優しい目に見つめられて、ドキドキがいっそう激しくなっています。

「そうすると、お嬢ちゃんは一人でお浣腸は、したことないのね?」
「あ、えっと・・・は、はい。そうです」
 また、おばさまに嘘をついてしまいました。
 下半身がキュンキュン震えてしまいます。

「それだったら、これからやり方を教えてあげる。こう見えてもわたし、若い頃は看護婦だったのよ」
 おばさまがちょっと照れたようにはにかんでから、うふふ、って笑いました。
「薬剤師だった旦那と結婚して、ここの薬局を継いで、でも旦那はずいぶん前に亡くなっちゃった」
 一瞬しんみりしたお顔になりましたが、すぐに笑顔に戻り、お浣腸薬の箱をひとつ、開け始めました。
 ということは、おばさま、意外とけっこうお年を召しているのかな?

「ほら、これがお浣腸。この丸いところにお薬が入っているの」
 見慣れた薄いピンク色の丸っこいお浣腸容器が、おばさまの手のひらの上に乗っています。
「このノズルをお尻の穴に挿れて、丸いところを押してお薬を体内に入れるのね」
「ノズルの先っちょが尖っているみたいに見えるけど、まあるくカーブになっているから大丈夫。痛くはないわ」
 ノズルの先のキャップをはずして、実際に先っちょを見せてくれます。

「お浣腸液っていうのはね、実際のところ真水とグリセリンを混ぜただけなの。グリセリンが腸を刺激する作用を持っているのね」
「それでね、知ってる?グリセリンて甘いのよ。だからお浣腸液も甘いの」
 おばさまが突然私の右手を取りました。
 私は驚いてビクンと全身を震わせてしまいます。
 コートの中でおっぱいがプルン。

「あ、ごめんごめん。びっくりさせちゃった?ちょっと手のひらを貸してね」
 おばさまの左手に右手首を掴まれたまま、おばさまに向けて右手のひらを恐る恐る差し出しました。
 おばさまの手はひんやりとしていました。
 おばさまは、右手で持ったお浣腸容器を私の右手に近づけ、私の中指の先にお浣腸液を一滴、ポタリと落としました。

「舐めてみて」
「えっ?」
「大丈夫。毒じゃないから。舐めてみて」
「は、はい・・・」
 おばさまの左手から解放された右手を、雫をこぼさないように顔に近づけ、舌先でペロリと舐めました。
「本当だ。甘いです」
 これは知りませんでした。
「ねっ」
 おばさまは、イタズラが成功した子供のように満足気な笑顔で、嬉しそうにうなずきました。

「それで、これをお尻に挿すわけだけど、ひとりだとけっこうやりにくいのよね」
「ほら、自分ではお尻の穴って見えないじゃない?だから手探りでやることになるのだけれど」
 お浣腸容器にキャップを付け直して、おばさまはそれを手のひらの上でコロコロ転がしています。

「一般的なやり方としては、しゃがんだり、四つん這いになったり。それで手探りでこの先っちょをお尻の穴に挿れるのね」
「手探りだとやりにくいのは事実よね。いくら先が丸まっているといっても、無理に刺して粘膜を傷つけちゃうこともあるし」
「だからわたしとしては、四つん這いをお勧めするわ。それも出来れば鏡にお尻を映して、確認しながらがいいのだけれど」
 おばさまはそう言って、再び私の目をじーっと見つめてきました。

「いくらひとりきりとは言っても、お部屋で四つん這いになって、お尻出して、それを鏡に映して、って、とても恥ずかしいわよね?」
「でもそうしたほうが安全なのよ。誤って肛門や腸を傷つけてしまうより」

 私を見ながら熱心に語ってくれるおばさま。
 絶対におばさまは頭の中で、私がそうしている様子を想像していると思いました。
 私もおばさまのお話を聞きながら、自分がそうする姿を想像していました。
 からだの疼きが止まりません。

「お尻の穴もね、何か異物が入ろうとするとキュッて締まっちゃうものなの。だから余計に挿入しにくいの」
「だから挿れる前にお尻の穴付近をマッサージしておくのもいいわね。あとワセリンとかヌルヌルな、滑りが良くなる液体を塗ったり」
「お嬢ちゃん、そういうの持ってる?ヌルヌルするローション。ベビーオイルとかでもいいのだけれど」
「あっ、えっと、うーん・・・」
 いわゆるラブローションみたいなヌルヌルローションは、シーナさまからいただいたのがあるけれど、それをおばさまに言っていいのか悪いのか・・・
「そう、それならベビーオイルもあったほうがいいわね。お嬢ちゃんだからオマケしてあげるわ」
「あ、ありがとうございます」
 おばさまったら、ご商売がお上手です。

「からだがやわらかければ、仰向けに寝転んででんぐり返しの途中みたいな格好、うーん、分かりにくいかな、赤ちゃんのオムツを代えるときみたいな格好ね、そういので挿れられるとだいぶラクなのだけれどね」
「お嬢ちゃんは、やわらかいほう?」
「あ、一応バレエをやっているので、普通の人よりはたぶん・・・」
「あらら、スゴイじゃない!クラシックバレエ?今でもおやりになってるの?へー、本当のお嬢様なんだ!」
  
 なんでバレエをやっていると本当のお嬢様なのかよくわからないので、私は曖昧にはにかんでお答えを保留します。
「それならきっと、でんぐり返しも出来るわね。よかったじゃない?」
「だけど、あれも相当恥ずかしい格好ではあるのよね」
 言いながら私の全身をジロジロ眺めるおばさま。
 おばさまったら絶対、私のそんな姿を、また想像しているはず・・・

「でもね、大昔はみんなお浣腸するときにそういう格好をさせられていたのよ」
「下半身裸になってから、自分の両手で両脚の膝の裏側を持って後ろにでんぐり返るの。お尻を突き出すように」
「子供だったら、男の子も女の子もみんなやらされていたわ。今考えると可哀相な話よね。恥ずかしさで泣き出しちゃう子がたくさんいたわ」
 おばさまが昔を懐かしむような遠い目をされました。

「あらあら、ちょっとお話しが脱線しちゃったわね。どこまで行ったんだっけ?」
「そうそう、それでめでたくお薬が中に入ったら、しばらくがまんするのね」
「腸の中にお薬が行き渡るように、四つん這いのままお尻を高く上げたり。ほら、液体は下に流れるから」
 おばさまの想像の中で、私のお尻が高く突き上げられたはずです。

「あと左向きに寝そべるのもいいっていうわね。腸って左巻きだから奥まで行き渡るの」
「それで後はひたすらがまん。お浣腸してすぐに、すごく出しちゃいたくなるんだけれど、そのとき出してもお薬がそのまま出ちゃうだけなの」
「お薬の効果が出るまで3分から5分はがまんしなきゃだめ。そのあいだはお腹が痛くなってもひたすらがまんがまん」
「だけど、本当にがまん出来ないようだったら、3分経ってなくても出しちゃっていいのよ。おトイレ以外でお漏らししちゃうのは、年頃の女の子にはすごいショックだからね」
「そうそう、だからもちろんお浣腸するときはおトイレの近くでね。かと言っておトイレにしゃかんだままだと、がまんが効かなくなっちゃうから、だめ」
「おトイレの外の廊下とか、お風呂場とおトイレが近ければ、お風呂場でやるのもいいわね」

 私は、おばさまのお話にいちいちコクコクうなずきつつも、なんだか言葉責めをされているような気分にもなっていました。
 実はおばさまは、私がヘンタイなことは始めからご存知で、私がしている恥ずかしい遊びのことも知っていて、その恥ずかしさを思い出させるために、いちいち言葉にして私の反応を愉しんでいる・・・
 そんなふうにも思えました。

「あと最後に、お浣腸をつづけてやるのもだめよ。がまんしきれなくて失敗しちゃっても一日に2本までね」
「何日もつづけるのもだめ。また便秘気味になってもすぐにお薬に頼らずに、出来るだけ自力で出すようにしてね」
「お浣腸に慣れちゃうと、腸が自分で排泄しようとする力が弱くなっちゃうのよ。それでお薬も効かなくなっちゃうの」
「だから、最初に言ったみたいに、普段から食生活とストレスに気をつけること、ね?」
「は、はい、ありがとうございます」

「さっきからいい匂いがしているけれど、それ、あそこのお肉屋さんのから揚げでしょ?」
 おばさまのお話しが突然大きく跳びました。
「えっ!あ、はい、そうですけど・・・」
 びっくりしながら答えました。
「油物はいいのよ、便秘がちのときは。腸を活性化するからね」
「最近の若い子は、カロリーだなんだって、脂っこいもの嫌うからね。まあ食べ過ぎはよくないけれど」
「お嬢ちゃんも、今でも充分おキレイだからダイエットとかする必要ないし、もう少しお肉が付いてもぜんぜん大丈夫よ」
「バレエもやってらっしゃるんだし、よく食べてよく動くのが一番!」
 おばさまがお話しを締めくくるみたいにそう言いながら、私の肩を軽くポンと叩きました。
 コートの中で私のおっぱいがプルン。

「そういうことだから、お嬢ちゃんは今日、お浣腸を4つ持っていきなさい。失敗しちゃったときや、もしもまたなっちゃっても、あわてないでいいように」
「使用期限はまだ4年近くあるから、当分のあいだは恥ずかしいお買物をしなくてすむはずよ」
 おばさまがクスッと笑いました。
 でも私、今年だけで、もう5つも使っちゃってるんですけど・・・

「ひとつ開けちゃったのがあるから、これはサービスにして3つ分のお代金でいいわ」
「えっと、それは・・・私に説明していただくために開けたのだから、そちらの分もお支払いします」
「いいのいいの。お嬢ちゃん聞き上手だから、お話ししててわたしも楽しかったし、お嬢ちゃんの恥ずかしそうなお顔、可愛かったし。わたしのお礼の気持ちよ」

「あ、それならえっと、ベビーオイルもいただきます。ちゃんと定価で」
「あら、そうだったわね。ベビーオイルね。じゃあこれを持って行ってくれる。植物性のすごくいいやつだから、ちょっとお高いけれど」
「はい。大丈夫です。それいただきます」
 提示されたお値段がベビーオイルとして高いのか安いのかよくわからなかったのですが、素直にお支払いしました。

「あと、これはうちのスタンプカードね。大サービスでいっぱい押しといたから、また何かお薬が必要なときは、絶対に来てね」
「は、はい。ありがとうございます」
 おばさまが、私がここに入ってきたときに見たのと同じ、はんなりした笑みを浮かべて私を見つめています。

 買ったものの中身が見えないように丁寧に包装紙で包んでから、手提げ袋に入れようとしていたおばさまの手が、その寸前でピタリと止まりました。
「そうだ!」
 同時に、おばさまにしては大きなお声。
「よかったら、ここでお浣腸していったらどう?」
「えーっ!!」
 今度は私の大きな声。
「ここで・・・お浣腸を・・・ですか?・・・」
 一言一言発するたびに、私の全身が盛大にざわめきたちます。

「そう。ここの2階がわたしの住まいなんだけど、独り暮らしで他に誰もいないし、おトイレもけっこう広いから」
「今日はお客さんもあまりないし、この時間帯はたいていヒマなのね。10分くらいならお店空けても大丈夫そうだから」
「お嬢ちゃんもひとりでやるのは不安でしょう?もし良かったらわたしがお手伝い出来ると思ったの」
「もちろん、わたしはお浣腸のお薬を挿れるのだけお手伝いしてお店に戻るから、あとはお嬢ちゃんがうちのおトイレで用を足せばいいだけ」

 このおばさまは、本当に、本当にいい人なのでしょう。
 私のことを親身になって心配して、純粋な親切心で申し出たご提案に思えました。

 どうしよう・・・
 私の性癖にとっても、すっごく蠱惑的なご提案です。
 さっきまでまったく見知らぬ同士だった和風美人なおばさまにお浣腸されて、そのおばさまのお家で排泄する・・・
 やってみたい・・・でも・・・
 私の被虐心が大きくざわついていました。


コートを脱いで昼食を 07


コートを脱いで昼食を 05

 記憶を頼りに住宅街の路地を適当に曲がりながら、とりあえず地下鉄の駅を目指しました。
 私が以前その商店街に迷い込んだときは、その地下鉄の駅からあてのないお散歩をしていて、4、5分歩いた頃に突然たどり着いた記憶があったからです。
 駅はあっちのほうだから、ここを逆に曲がってみようか。
 何の気なしにすごく細い路地へ入って抜けると、唐突にそれらしき商店街に突き当たりました。

 自動車が一台通れるくらいな幅の道路に沿って、道の両側に小さなお店がいくつも並んでいます。
 私が路地から出た場所は、商店街の途中みたい。
 小さな八百屋さんが正面に見えました。
 あそこからすんなり出れちゃったっていうことは、意外と地下鉄の駅から近いのかな?
 駅との位置関係はいまいちわかりませんが、来方はなんとなくわかったような気がしました。

 とりあえず、駅とは反対方向になるであろうほうへと、商店街をブラブラ歩き始めました。
 八百屋さん、お肉屋さん、お花屋さん、金物屋さん・・・
 狭い道路の両側に、お休みなのか閉店してしまったのか、閉ざされたお店をいくつか挟んでは、開いているお店がポツポツと並んでいます。
 どのお店も古くからやってらっしゃるみたいで、小じんまりしていてなんだか懐かしい感じ。

 時刻は、午後の三時半過ぎ。
 晩御飯用のお買物時間にはまだ少し早いのか、お年を召したおばさまがちらほら歩いているくらいで、全体的にまったりのんびりしたムード。
 ワンちゃんのお散歩をしてるおばさまや、学校帰りの小学生、宅配便の配達の人とかと、たまにすれ違います。
 クリーニング屋さんちのエアコン室外機の上で、大きな三毛猫さんがまあるくうずくまっていたり。
 裸コートのクセに、私もつられてリラックスムード。
 まったりゆっくり歩いていたら、商店街の終わりらしきところまで来てしまいました。
 見たところそこから先は、普通の住宅街みたいです。

 今度は逆方向に歩いて、とりあえずどこかで何かお買物をしてみよう。
 そう思って来た方向へ振り返ろうとしたとき、私のすぐ横に、さっき思い立ってしまった、私の罰ゲーム用の商品を扱っているであろうお店があることに気がつきました。
 あっ!
 そのお店を見た途端、再び心臓がドキドキし始めました。

 どうしよう・・・本当にやる気なの?・・・
 だけど、まだここに来てから何もお買物していないし、そのお店でどういう会話をするのかも考えていないし・・・
 いざとなったら、途端に臆病な風が吹いてきました。
 いきなりだと、何か大変な失敗をしちゃいそうだし・・・
 やっぱり怖気づいてしまった私は、そのお店を素通りして、来た道を戻り始めます。

 商店街のあっちの端まで行くあいだに気持ちを落ち着けて、やるかどうか決めよう。
 どこかのお店でまず何か普通なお買物をして、誰かと何か会話をしてみてからにしよう。
 そうだ。
 さっき通り過ぎたお肉屋さんの店先で、お店で揚げたらしいトンカツやコロッケをガラスのショーケースに並べて売っていたっけ。
 通り過ぎたときいい匂いがして美味しそうだったから、まずあそこでお買物してみよう。

 そんなことを考えながら歩く私には、もはやさっきまでのリラックスムードは微塵もありませんでした。
 このコートの下は真っ裸。
 そんな格好なのに、なんでもないフリして商店街お散歩を愉しんでいる私。
 背徳感がからだを火照らせ、下半身が盛大にムズムズしてきました。

「いらっしゃーい。今日は鳥のから揚げが大サービスだよ。うちのはカラッと揚がってて冷めてもすごく美味しいよー」
 お肉屋さんのショーケースを前屈みになって覗き込んでいた私に、ケースの向こう側にいた恰幅の良いおばさまから大きなお声がかかりました。
「あ、は、はい・・・それならえっと、鳥のから揚げを100グラムとその、野菜コロッケをください」
「はいはいー。まいどありー」
 陽気そうなおばさまが、愛想良くニコニコ笑って応対してくれます。

「それ、キレイな色のコートだねえ。よくお似合いよー」
「あ、ありがとうございます」
「はいっ、から揚げサービスしといたからねー。美味しかったらまた買いに来てちょうだいねー」
 私の顔をじーっと見つめつつ、おばさまが満面の笑みで私に品物を手渡してくれました。
 から揚げのいい匂いが、ふうわり漂ってきます。
「あ、ありがとうございます」
 お金を払ってから自分でも不自然と思うくらい大きくお辞儀をして、逃げるようにお店から離れました。
 たぶん顔も真っ赤だったと思います。

 やっぱり、この格好で知らない人と会話していると、それだけでゾクゾクキュンキュン感じちゃう。
 自分のはしたなさにジタバタしちゃうくらい恥ずかしくなって、被虐メーターがどんどん上がってしまうんです。

 お肉屋さんを離れた私は、もう一度来た道を引き返すことにしました。
 今のお肉屋さんのおばさまとの会話で、計画通り、より一層の辱しめを受ける決心がつきました。
 いいえ、決心がついた、なんていう消極的なものではなくもっと積極的に、一刻も早く自分をもっと恥ずかしい立場に置いてみたい、という衝動が抑えきれなくなっていました。
 から揚げを買っただけの、あんな普通な会話でこんなにゾクゾクしちゃうのだから、これから私が買おうとしているものだったら、どれだけ恥ずかしい思いをしちゃうのか・・・
 被虐願望メーターが完全に振り切れていました。

 相変わらず人通りもまばらな道を今度は足早に歩いて、さっきみつけたお店の前に舞い戻りました。
 商店街のはずれにひっそりと佇むそのお店は、いかにも古くからやってらっしゃる感じで、小じんまりとした見るからに個人経営という雰囲気。
 表側はガラスの引き戸になっていて店内が覗けます。
 外から見た感じでは、中に他のお客さまはいない様子。

 ここで種明かしをしちゃうと、今私が立っているのは薬屋さんの前。
 ここであるものを、お店の人にそれを告げて対面で買うこと。
 それが私の思いついた羞恥プレイでした。
 ここまで言えば、私がそこで何を買おうとしているのか、ピーンときたかたもいらっしゃるでしょう。

 ただ、ひとつ心配なのは、お店番の人が男性だった場合でした。
 そのときは残念だけれど計画を中止して、当たり障りの無いもの、たとえば風邪薬か何かを買って帰るしかありません。
 でも、こういう町の小さな薬屋さんだと、お化粧品も扱ってらっしゃる場合が多いので、お店番の人が女性の確率は高いはず。
 せっかく決意したのに計画中止ではがっかりです。
 そうならないといいな、お店の人が女性でありますように・・・
 祈る気持ちでお店の引き戸をガラガラッと開けました。

「ごめんくださいぃ」
 小さな声で言ってから、お店の中を見回しました。
 フワッとした中にもケミカルな気配が混じる、薬屋さん独特の香りに包まれます。
 決して広いとは言えない店内に、ガラスケースや棚が上手に並べられ、所狭しといろいろなお薬やサニタリーが置いてあります。
 コスメ系のキレイなモデルさんのポスターも賑やかに貼ってあるので、お化粧品も扱っているのは確実。
 店内は意外と奥行きがあるらしく、今いる場所からはレジが見えないので、商品を眺めつつ奥へと進みました。
 今のところ、陳列棚に私のあめあてのものはみつかりません。

「いらっしゃいませぇ」
 明るくて華やかなお声のしたほうを見ると、お店の一番奥の左側がレジになっていて、何かのお薬の箱がたくさん並べてあるガラスケースの向こう側に、白衣を着たおばさまが椅子に座ったまま、はんなりとした笑顔で私を見ていました。
 よかったー、お店の人、女性だった。
 ホッと一安心して、そのおばさまのほうに近づいていきました。

「今日は何かお探しものかしら?」
 白衣のおばさまは、ちょっぴりしもぶくれなお顔にまあるい銀ブチメガネでショートカット、品の良い薄化粧がよく似合う和風な美人さんでした。
 和服を着たらすっごく似合いそう。
 私にかけてきたお声の調子も気さくっぽくて、見るからにお話し好きそうな雰囲気がありました。
 お年は・・・うーん・・・35、いえ、たぶん40歳よりは上だと思うけれど、ちょっとわからない感じ。
 何て言うか、にっぽんのおかあさん、的な母性が滲み出ている佇まいで、相手に安心感を抱かせる感じのステキな女性でした。

 こういう人なら、あまり緊張せずにお話し出来そう。
 でも、逆にすんなりお買物が終わってしまって、あんまり私が恥ずかしさを感じられないかもしれないな。
 もう少し怖そうな人のほうがよかったかな。
 そんなムシのいいことを考えてしまう私は、本当に自分勝手な女だなって思います。

「どこかおからだの調子が悪いのかしら?それとも何かお化粧品をお探し?」
 おばさまが立ち上がり、ガラスケース越しに私をじっと見つめてきました。
「あ、あの、えっと・・・」
 本当ならここで、そのものズバリ、商品の名前を言ってしまう予定でした。
 それで、お店の人に根掘り葉掘り聞かれて、っていうシチュエーションを妄想していました。
 だけどやっぱり、恥ずかし過ぎて言えませんでした。

「えっと、ちょっと、あの、お通じのお薬を・・・」
「えっ?お習字?ああ、お通じね。便秘のお薬っていうことね?」
「あ、は、はい」
「まあまあ、それは大変ね。便秘はつらいからねー」
 おばさまが心底心配そうなお声で、私を気遣ってくれます。
「それなら飲むお薬と座薬とがあるけれど、どっちがいいかしら?」
「あ、はい、えっと・・・」

 すぐに答えられない私を見かねてか、おばさまは質問の仕方を変えてきました。
「いつからお通じが無いの?」
「えっと、4日前くらい、かな?・・・」
「普段から便秘がちなの?それとも突然?」
「あ、普段からっていうことはありません。今までそんなことなかったのだけれど・・・」
 今だって実は便秘ではないのだけれど、まさか本当のことは言えません。

「そう。たぶん食生活が乱れちゃったのね。無理なダイエットとかしなかった?それかストレスか」
 おばさまが相変わらず心配そうに言ってくださり、ニコッと笑ってつづけました。
「それなら座薬のほうがいいわね。飲み薬は体質によって、効きすぎちゃったり、ぜんぜん効かなかったりもするから」
「それですっきり出したら、その後は、バランスのいい食事と規則正しい生活を心がけること。お薬なんかに頼らずに自然なお通じを維持することが大切なの」
 おばさまが子供に教えるみたいに、やさしい口調でおっしゃいました。

「お嬢ちゃん、座薬ってわかるわよね?」
「あ、は、はい・・・」
「これのこと」
 言いながらおばさまが背後の棚に振り向き、私もよく知っている青色の箱を取り出して私の前に置きました。
「これね。お浣腸」
 とある果実の実に容器の形が似ていることから、その果実の名前を冠した有名なお薬。
 私がここで買おうとしていたのは、まさしくそれでした。

 とりあえずこの格好でお買い物をしようと思い立ち、公園を出てこの商店街を探す道すがら、最近切らしちゃったもの、って考えていて思いついたのがお浣腸薬でした。
 夏休みの全裸家政婦生活中に、ストックしてあった最後のふたつを使ってしまい、近々また買いに行かなきゃな、と思っていたのでした。

 お浣腸プレイ自体は、あまり好きなほうではないのですが、3ヶ月に一回くらい、自虐が極まって無性にやりたくなるときがあるんです。
 東京に来て最初に買ったときは、繁華街にあるセルフ式の大手ドラッグストアチェーン店で、レジの人が女性なのを確認してから、生理用品と一緒に思い切って5箱まとめ買いしました。
 そのときもかなりドキドキ恥ずかしかったのですが、セルフだったし、お会計まで一言も発さずただうつむいていただけなので、今日の比ではありません。

 目の前に置かれたお浣腸薬の箱をまじまじと見つめてしまいます。

 ごめんなさい、おばさま。
 私本当は便秘でも何でもないんです。
 このお浣腸のお薬は、お家でえっちなヘンタイ遊びをするために買うんです。
 今もこのコートの下には何も着ていなくて、そんなことが大好きな私は正真正銘のヘンタイなんです。

 心の中で目の前にいる白衣のおばさまにそうお詫びしながらも、ピッタリ閉じた私の両脚の付け根から内腿を伝ってふくらはぎ、そしてショートブーツの中へと、すけべなおツユがトロトロ滑り落ちていました。

「お嬢ちゃんは、今までにお浣腸をしたことはあるの?」
 今自分がしていることの恥ずかしさにこっそりどっぷり酔い痴れていた私を、おばさまのお声が現実へと引き戻しました。


コートを脱いで昼食を 06


2013年8月19日

コートを脱いで昼食を 04

 やっぱり服従ルールには服従しなくちゃ、ね。
 それによく考えてみれば、戻っては来たけれど、別にお家の中に入らなければならない用事もありません。
 それならさっさとここでレオタードを脱いで、お散歩続行したほうが効率的です。

 ケータイの時計を見ると、まだ午後の二時半過ぎ。
 こんな、まだ明るい時間にマンションの通路で裸になるのは、初めてでした。
 でも、さっきの公園で脱ぐことを考えれば、格段に安全。
 気をつけるべきは、エレベーターの動きだけです。

 すでに玄関ドアに差し込んでいた鍵は、念のためにそのままにしておきました。
 もしもエレベーターが動いたら、すぐさま玄関内に飛び込めるように。
 この時間帯だと、何かのご用時で柏木のおばさまがいらっしゃる可能性も大いにありますから。

 早く裸コートになりたいって、はやる気持ちは満々なので、すぐさまコートの前ボタンをはずし始めました。
 すべてはずしてから、そっとコートの前を開きます。
 うわっ、いやらしい・・・
 見下ろした自分のからだのあまりのいやらしさに、自ら両手でコートの前を開いたまま、えっちなマンガやお話によく出てくるヘンシツシャの人のような格好で、顔だけ下げたまましばし立ち尽くしてしまいました。

 肌に吸い付くようにピッタリなレオタードの白い布を、これでもかという勢いで不自然に突き上げている胸の頂の二つの突起。
 股間は、肌色が透けそうなほどにぐっしょり濡れて、くっきりとその形の通りなスジが刻まれていました。
 どう見ても、この女のからだが発情していることは明白です。

 そして今度は、この白い布も無しの真っ裸になって、コートひとつでお外をお散歩しなくちゃいけないんだ・・・
 別に誰に命令されたわけでもなく、自分で好きでやっているクセに、被虐感がどんどん募ってクネクネ身悶えしちゃいます。
 レオタードを着ていてもこんなに感じちゃったのだから、裸だったらどうなっちゃうのだろう・・・
 思わず妄想の世界に入り込みそうになりますが、現実がもはや、その一歩手前のところまで来ていることを思い出して苦笑いしつつ、コートの袖から両腕を抜いて脱いだコートを軽くたたみ、通路に置いたバッグの上に乗せました。

 大きく一つ深呼吸して気持ちを落ち着けてから、レオタードの両肩紐をそれぞれ外側にずらします。
 胸を隠していた布地が前方へペロンと垂れ下がり、押さえつけられいていた乳房が勢い良くプルンと跳ねました。
 そのままウエストを通り過ぎ腰骨へ。
 両腿を通過するときには、両脚の交わりから布の該当部分へと、透明なか細い糸が幾筋も下へ伸びては切れました。
 ふくらはぎまで下ろしたら、ショートブーツにひっかけないように、踏まないように、注意深く足元から抜き去ります。

 右手にクタッとした白い布片を持ち、足元のグレイのブーツ以外は丸裸になった私。
 心臓はもうドッキドキ。
 たたんだコートを大急ぎで広げて、袖に腕を通しました。

 ボタンを嵌める前にもう一仕事。
 バッグからティッシュを取り出し、前屈みになって股間の湿り気を丁寧に拭います。
 ティッシュごしの自分の手が、もっとえっちに活躍したがるのをなんとかなだめつつ入念に。
 脱いだレオタードは小さくたたみ,使ったティッシュをそのあいだに挟み、バッグの奥底にしまいました。

 コートのボタンを上から嵌めていきます。
 一番上だけは開けたまま、膝元まで。
 待ちに待った裸コートの完成です。

 その姿で通路を少し歩き回ってみると、レオタードを着ていたときとは、全身とコートとの関係と言うか、コートとあいだの空気と剥き出しの皮膚が、触れたり触れなかったりする感触がぜんぜん違うことを実感しました。
 さっきまでレオタードに押さえつけられていたおっぱいは、ルーズフィットなコートの中で自由奔放に揺れ動きます。
 そのたびに尖った乳首がコートの裏地に直に擦られ、ますます勢いづいて背伸びしちゃいます。
 内腿より上の部分も、そこを覆う布地が無くなったために、妙にスースーすると同時に、その一帯の皮膚の感度がより敏感になったのか、歩くたびに粘膜がヌルヌルと擦れている様子まで、生々しく脳に伝わってきます。
 
 すっごく刺激的。
 そんなことをしているあいだにも、股間がジワジワ潤ってきているのがわかります。
 さっきあれだけ拭ったのに・・・
 こんな状態でお外に出たら、絶対溢れちゃうだろうな・・・

 期待のワクワクと不安のドキドキ7:3くらいの割合でエレベーターに乗り込みました。
 お外に出たら、とりあえずもう一度、さっきのブチネコさんに会いに行ってみようかな。
 もしまだいたら、ブチネコさんの前でしゃがんで、下だけこっそり視てもらうのもいいかな。
 ブチネコさん、まだいるといいな。
 魔除けのおまじないを両耳に挿し直しながら、そんな不埒なことを考えていました。

 エレベーターが一階に到着し、エントランスホールをゆっくりと横切ろうとしたとき、
「あらー、直子ちゃん。もう帰ってらっしゃってたのね?」
 管理人室のほうから大きな声がかかりました。
「ひゃっ!」
 思わず小さく悲鳴をあげると同時に、心臓が早鐘のように波打ちました。

 背後から、スタスタとこちらに近づいてくる足音が聞こえます。
 私は仕方なく立ち止まり、足音の方向へ振り返りました
 黒いタートルネックのセーターに白いエプロン姿の柏木のおばさまが、ニコニコしながら近づいてきました。

「あっ、おばさま。ごきげんよう。いつもご苦労様です」
 内心はドキドキなのですがつとめて平静を装い、いつもより丁寧にお辞儀をしました。
 右手がなぜか、コートの胸元をつかんでいます。
「はい、ごきげんよう。急に声かけて驚かせちゃった?ごめんなさいねー」
「いえいえ。音楽に夢中になっていたので、ちょっとびっくりしただけです」
 耳から無音のイヤホンをはずして、胸元に押し込みました。

「今日はお帰りが早いのね?」
「あ、ええ。学校が早く終わったので、お昼過ぎには戻っていました」
 自分の引け目を意識しすぎて、受け答えがヘンに優等生っぽくなってしまいます。
「そうだったの。気がつかなかったわ。それで、これからお出かけ?」
「あ、はい、ちょっと・・・」
「いえね、直子さんにご実家からお荷物が届いているから。それで声をかけたのだけれど」
「あっ、そうたっだのですか」
「お荷物ランプ、点けておいたはずなのだけれど、気がつかなかった?」
 お荷物ランプというのは、管理人さんがお届け物などを預かったときに知らせてくれる装置で、各お部屋のインターフォン応答装置の横に付いていました。
「あ、えっと、ごめんなさい・・・」
「ううん、別にいいのだけれど。どうする?今持っていく?」
「お荷物自体は大きめだけれど、そんなに重くはないわよ」
 実家からの荷物というのは、数日前に電話で送ってくれるように頼んだ、私の冬物のお洋服だと思います。

「あっ、でもこれからお出かけなら、お時間の都合もあるわね」
 私が迷っているのがわかったのか、おばさまが気を遣ってくださいました。
「戻ってきてからでもいいわよ。おばさん今日は出かける予定ないから」
「あ、はい。ちょこっとお買物に行くだけですから、遅くとも5時までには戻ります」
「そう、それならお戻りになったら声かけてちょうだいね」
 おばさまがそう言って、私の姿をあらためて上から下まで、まじまじと見つめてきました。
「とってもステキなお色のコートね。よーくお似合いよ」
「あ、ありがとうございます。おばさまのセーターもシックですごくステキですね」
「やだあ。これはただの普段着よ」
 おばさまがコロコロ笑い、私の右肩を軽く叩きました。
 コートの下で生おっぱいがプルンと揺れました。

「それじゃあお気をつけて、いってらっしゃい」
「はい。それではごきげんよう。また後ほど」
 おばさまにお見送りされて、エントランスを抜けてお外に出ました。
 レオタードのときと同じ路地に入り、少し歩いて、周りに誰もいないのをよく確かめてから、立ち止まりました。

 ああん、びっくりしたー。
 私はぐったり疲れ、すっごくコーフンしていました。
 おばさまにお声をかけられたときから、心はドキドキ、からだはカッカと火照りつづけていました。
 裸コートをしていると、普通に会話するだけで、こんなにコーフンしちゃうんだ・・・

 私がおばさまと会話しているあいだ、頭の中のもうひとりの私が、いちいちその会話にツッコミを入れていました。
「何が、ごきげんよう、よ?お上品ぶったって、そのコートの下は真っ裸じゃない」
「びっくりしたときにヒクッとした、あなたのスケベなアソコをおばさまに見せてあげたいわね」
「何言ってるの?今日は裸コートをしたいがために早く帰ってきたクセに」
「頭の中、スケベなことでいっぱいだから、ランプなんて確認するヒマ無いわよね」
「正直に、裸コートでネコさんにアソコを見せに行きます、って言っちゃいなさいよ」
「コートを褒められたとき、中はもっとステキですよ、って開けて見せちゃえば良かったのに」

 おばさまにお見送りされたときには、すでにアソコから溢れ出したおツユが一筋、左腿からふくらはぎへと滑り落ちてブーツの中へ達していました
 たぶん今の私は、シーナさま言うところの、ドマゾオーラ、全開のはず。
 気を引き締めないと。
 イヤホンを挿し直し、背筋を伸ばして、無駄におっぱいが揺れないようにゆっくりと歩き始めます。
 すれ違う人は相変わらず少ないですが、そのたびにドキンとするのも相変わらず。
 さっきと同じルートで、さっきの小さな公園に着きました。

 ブチネコさんはもういませんでした。
 かなりがっかり。
 それでも同じカメさんベンチに腰を下ろし、これからどうしようかを考えます。
 このままでたらめに歩き回ってもいいのですが、それだけではもう面白くないかも。
 おばさまとの会話で得たコーフンをもう一度味わいたい、という気持ちになっていました。

 この格好で誰かとおしゃべりがしたい。
 恥ずかしい格好をしていることなんておくびにも出さず、普通に、いいえ、あえていつもよりお上品な感じで。
 そのギャップが大きければ大きいほど、コーフン出来ちゃうみたいでした。
 我がことながら、かなり変わったヘンタイ性癖だと思います。

 かと言って、そのへんですれ違う人に無闇に話しかけるワケにはいきません。
 見知らぬ人と会話するもっとも手っ取り早い方法と言えば、お買い物。
 まっさきに頭に浮かんだのは、このコートを買ったファッションビルのブティックでした。
 あのお店で適当にお買い物をして、店員さんのお姉さんとあれこれおしゃべりして。
 想像しただけでゾクゾクしてきました。

 だけど、あのファッションビル周辺は、この住宅街とは比べものにならないくらいたくさんの人たちが行き交っているはずです。
 もう午後の3時過ぎですから、学校帰りの高校生の子たちなんかも押し寄せているでしょう。
 裸コート初日で、そんな人混みの中に身を投じるのは、ハードルが高過ぎる気がしました。

 住宅街に普通にあるのはコンビニとかスーパー。
 でもああいうところは、それこそ一声も発せずともお買い物が出来ちゃうようなしくみです。
 何かを探してもらうくらいしか、店員さんとお話しすることはありません。
 ところどころに個人商店もあるから、行くとしたらそういうところかな。
 うーん・・・

 つまりは、店員さんと相談しながら買うようなものがあれば、それを買いに行けばいいのだけれど、そういうものって何かなー。
 お洋服と大げさな電気製品くらいしか思いつきません。
 本屋さんで本を取り寄せてもらう、っていう手もあるけれど、それって一瞬で終わっちゃうし。
 柏木のおばさまに、お買い物に行ってくる、と告げた手前、何かお買い物をして帰らなければいけない気分にもなっていました。

 そうだ!
 思い出しました。
 そういえば、確かこの界隈に小さな商店街があったはず。
 以前、闇雲に路地のお散歩をしていたときに、近くに駅も無いのに突然商店街が始まって、突然終わる一角があってびっくりしたことがありました。
 それも、八百屋さんお魚屋さんお肉屋さん、お豆腐屋さん金物屋さん雑貨屋さんとか、最近ではあまり見かけない、古くからやってらっしゃるのであろう小じんまりとした個人商店ばかりがつづくレトロな商店街でした。
 一度しか迷い込んだことはないけれど、ここからならなんとなく、記憶を頼りにたどり着けそうな気がします。

 あの商店街なら、何を買うにもいちいちお店の人とお話ししなければならないはず。
 レトロな商店街なので、お店の人もたぶん皆ご年配だろうから、お話しするのも気分的に楽そうだし。
 あそこで、精一杯世間知らずのお嬢様を気取って、お野菜とか、お惣菜とかを買ってみようか。
 思いついたアイデアにワクワクしてきました。
 早速ベンチから立ち上がり、レトロ商店街探しの冒険に旅立ちました。

 冒険の途上でも、しつこく、何か買うべきものはなかったかなー、って考えていました。
 前から欲しいなと思っていたもの、買わなきゃと思ってつい忘れちゃうもの、最近きらしちゃったもの・・・
 と考えていたとき、突然すごいアイデアが浮かんでしまいました。

 あまりに恥ずかしく、あまりに自虐的な、それゆえ今の私にぴったりお似合いな羞恥プレイ。
 これから行く商店街に、それを売っていそうなお店は・・・確かあったはずです。
 そんなことを思いついてしまった自分を、アクマだと思いました。

 本当にやってみるつもりなの?
 そう自問すると、さっき柏木のおばさまとの会話にさんざんツッコミを入れてきたもうひとりの自分が、即座にこう答えました。
「当然でしょ?思いついちゃったんだから。今日、最初にレオタードなんか着てもたもたしていたあなたへの罰ゲームよ。お望み通り、見知らぬ人の前で思う存分辱めを受けるがいいわ」


コートを脱いで昼食を 05


2013年8月16日

コートを脱いで昼食を 03

 いっそのこと、ここでレオタードを脱いでしまおうか?
 さっきまでの不安はどこへやら、大胆過ぎる誘惑が私をそそのかします。

 コートのボタンを全部はずして、脱いで、レオタードの両ショルダーをずらして、足元まで一気にずり下げて両脚から抜いて、再びコートを着てボタンをはめるだけ。
 大急ぎでやれば30秒もかからないはず。
 40秒で支度しな。
 大好きなアニメの、そんな台詞がふと頭をよぎり、クスッとひとり笑ってしまいました。

 ふたつはずしたコートのボタンは直さず、胸元を押さえながらひねっていたからだを戻し、路地のほうをうかがいました。
 ブチネコさんは、相変わらず同じ場所に丸まっていました。
 私がそちらに顔を向けた途端、つむっていた両目が開きました。
 トクベツに、キミにだけ見せてあげよっか?
 ベンチに腰掛けたまま、左手が知らず知らずのうちにコートの3つ目のボタンをまさぐっています。
 って、私ってば、本気でやる気なの!?

 そのとき、私の視界の右端に何か動くものを捉えました。
 ドキンッ!
 私の上半身が大げさに跳ねて、はずみでベンチから立ち上がってしまいました。
 ブチネコさんもつられてお耳がピクン。

 路地の右側から現れたのは、自転車に乗ったおばさまでした。
 そのままスイーッと公園の前を通り過ぎて視界の外へ。
 私に気づいたのか気づかなかったか。
 いずれにしても、左手で胸元を押さえたまま立ち尽くす私の心臓は、爆発しそうにドクンドクン。
 そうしているあいだにもうひとり、別の自転車おばさまが今度は逆方向からフラフラと通り過ぎて行きました。
 そちらに顔を向けた瞬間、今度はバッチリ、そのおばさまと目が合っちゃいました。

 私が路地に背中を向けてコートの中を覗き込んでいるあいだも、ひょっとしたら何人かが背後を通り過ぎたのかも・・・
 いくら人通りが少ないとは言え、ここも一応天下の往来です。
 こんなところで、たとえ一瞬でも、全裸になるのはやっぱり危険過ぎる。
 今は、フォローしてくれるパートナーもいない、完全なひとり遊びなのだから。
 よみがえった理性が、復活したてで突っ走りだがるムラムラを懸命になだめ、妥協案をひねり出しました。

 いったんお家に戻り、今度はちゃんと裸コートになってお散歩続行。
 まだお家を出てから30分も経っていません。
 仕切り直して再チャレンジする時間は、まだまだ充分にありました。
 そうと決まればまっしぐらです。
 ブチネコさんに、ちょと待っててね、と声をかけてから胸ボタンを直し、一目散にお家へ急ぎました。

 公園を出て5分もしないうちに、マンションの自分のフロアの玄関ドア前に立っていました。
 さあ早く、このジャマなレオタードを脱いでしまおう。
 そう思いながらドアを開けようとしたとき、唐突に思い出しました。

 私は今、復活したムラムラ期真っ最中。
 私がムラムラ期のときは、夏休み中の全裸家政婦生活のときに自分に課したルール=室内では着衣禁止、が適応されなければなりません。
 その後いろいろ考えて、とにかくお部屋内では下半身は常に裸が最低条件、と一部ルール改正はありましたが、いずれにせよお部屋に上がる前には一度、全裸にならなくてはならないきまりでした。
 それどころか、夏休み後に最初のムラムラ期が訪れたとき、ふと気がついたことがあって、より大胆なルール変更もしていました。

 私が住んでいるマンションは、8階建てでワンフロアにつき一世帯だけ入居しています。
 エレベーターは、基本的に居住者だけが持っているキーにより、その居住者の階と1階でしか開かず、宅配便や郵便配達の人も1階の管理人室までしか立ち入り出来ないシステム。
 つまりエレベーターが自分のフロアに着いて降りたときから、そこは私だけの空間になるのです。
 そのことに気がついて、それからは自室の玄関前の通路で、すでに全裸になっていなくてはいけないという、より破廉恥なルールに変わっていました。

 いっそのことエレベーターに乗り込んだときから、とも思ったのですが、エレベーターの中には監視カメラが付いていることを思い出し、すぐにあきらめました。
 管理人室には、そのカメラからの映像が映るモニターがあること、誰かが乗って動き出したとき自動的に録画が始まるしくみなことも、管理人さんである柏木のおばさまからお聞きしていました。
「不審者とか、何かアクシデントがあったらすぐ、駆けつけてあげるからね」
 最初のご挨拶のとき、おばさまが頼もしく、そうおっしゃってくださったっけ。

 自室のフロアに着いてエレベーターを降り、エレベーターの扉がピタリと閉まったときから、お洋服を脱ぎ始めます。
 エレベーターホールから玄関ドアまで6~7メートルくらい。
 クリーム色の壁の上のほうに、明かり取りのために直径50センチくらいの丸いガラス窓が等間隔でいくつもはめ込まれていて、そこからお空が覗けています。
 そんな中をドアまでゆっくり歩きながら、着衣のボタンをはずしたり、ジッパーを下げたり、靴を脱いだりのひとりストリップ。
 玄関ドアに鍵を差し込むときは、下着まで全部脱いだ状態になっていなければならないのです。

 こういった、私がムラムラ期になったときに従わなければならない自分で課した一連のルール、この他にもいくつかあるのですが、それは追ってご説明出来る機会があると思います、を、私はシンプルに、マゾの服従ルール、と呼んでいました。

 いくら人が来ないことがわかっていると言っても、お家の玄関内で脱ぐのとドアの外の通路とでは、ドキドキ加減がぜんぜん違います。
 もし誰かこのフロアに降り立つとしたら、それは管理人である柏木のおばさまだけ。
 たまにモップ片手にエレベーターホールと通路のお掃除をされているのに出くわしたことがありました。
 あとは、たぶんありえないとは思いますが、おばさまの監視の目をかいくぐった不審者の人。
 なので、おおむね安全ではあるのだけれど100パーセントでは無く、もしも万が一、上記の人たちに見られてしまったら、それこそ取り返しのつかないことになってしまうという自虐的なスリルが、私の被虐心を大いにくすぐりました。

 通路で全裸にならなければならない、とマゾの服従ルールを改定した数日後に、こんなことがありました。

 全裸家政婦生活以来、ムラムラ期に学校へ行くときは、ノーパンジーンズが定番になりつつありました。
 その上からワンピースやチュニックを着て、前ジッパー全開にしてみたり、大胆にウエストのボタンまではずした状態でお教室移動してみたり。
 それ以前にも、ムラムラが強くてどうしてもガマン出来ないとき、講義中で出入りが少ないであろう時間帯におトイレにこもり、お洋服を下着まで全部脱いで、意味も無く全裸で佇んだり、とかのえっちな遊びはしていたのですが、ノーパンジーンズにしてからは、よりお手軽に、ひそやかな自虐羞恥プレイをキャンパス内でも出来るようになっていました。
 
 そんなノーパンジーンズ姿でお家に帰ってきたとき、うっかりブーツとかを履いていると、脱ぐのにかなり手間取ってしまうこともわかりました。
 靴を履いたままジーンズを脱ぐのはまず不可能ですから、先に靴を脱ぐことになります。
 パンプスやスニーカーならささっと脱げるけれど、ブーツはけっこうめんどくさい。
 レースアップブーツだったりすると、とくに時間がかかっちゃいます。

 その日は編み上げの、履くのも脱ぐのもややこしいハーフブーツを履いて登校しました。
 わざとでした。
 通路での全裸は、それまですでに3回ほどやっていて、とくに不安になる要素も無かったので、その日は、よりいやらしく時間をかけて脱いでみよう、と思っていたからです。
 朝、学校に行く前から、帰ってきて通路でストリップをするときのことを考えて、ややこしいブーツを選ぶなんて、我ながら呆れちゃうほどヘンタイだな、とは思います。

 夕方6時過ぎに、学校から我が家のエレベーターホールへ舞い戻りました。
 ムラムラ期真っ最中ですから、これから明日の朝までは、マゾの服従ルールに従わなければなりません。
 玄関ドアに向かいながら、チュニックブラウスの前ボタンをはずし始めました。

 それまでの通路ストリップは、まず靴なりブーツを脱いでからジーンズを脱ぎ、下半身裸になった後、上半身を脱いでいました。
 その日は、玄関ドアの前でまず、上半身を全部脱ぎました。
 チュニックブラウスを脱いでブラジャーをはずして。
 上半身裸、おっぱい丸出しになった後、ジーンズを膝の上くらいまでずり下げました。
 これでお尻もアソコも丸出し。
 それからその場にしゃがみ込み、ブーツの紐を解き始めます。

 中途半端な脱ぎかけジーンズ。
 こういうのも、半裸、って呼ぶのかしら?
 でもおっぱいもお尻もアソコも丸出しで、隠れているのは膝から下だけなんだから、四分の三裸くらいかな。
 
 和式のおトイレで用を足すときみたくしゃがみ込むと、裸の左腿の上に乗っかるように左おっぱいが擦りつけられ、腿の体温がおっぱいに伝わり、誰かに愛撫されているみたいに感じてきてしまい、乳首が痛いほど尖って益々敏感になってきちゃいます。
 マンションの通路で、こんな格好になってブーツを脱ごうとしている女なんて、世界中で私だけだろうな。
 自分がしている異常な行為を、客観視して羞恥心を煽っていると、どんどん性的に昂ぶってきます。
 しゃがんだ両膝が次第に開き、両脚が交わる付け根からポタリポタリと恥ずかしい雫が滴り、通路に小さな水溜りを作ります。
 こんな姿、誰かに視られたら、どれだけ軽蔑されることでしょう。

 時間をかけて愉しもうと思って選んだ編み上げブーツなのですが、なかなか脱げないもどかしさ。
 早くすっきり全裸になってお部屋に入りたい。
 自宅前の通路にこんな中途半端にいやらしい格好で長い時間いればいるほど、予想外のアクシデントに見舞われるリスクが高まるのに、それを許してくれないイジワルなブーツの靴紐。
 ああん、お願い、早く脱げて・・・
 裸のお尻の下の水溜りが、じわじわと大きくなっていきました。

 ようやく左足からブーツが取り除かれ、残るは右足。
 この時点で5分以上、両膝までジーンズをずり下げた四分の三裸で、マンションの通路にうずくまっている私。
 明るい蛍光灯、見慣れたクリーム色の壁、柏木のおばさまが生けてくれたのであろうドア脇の棚に花瓶のホトトギス。
 明かり取りの窓から、少し欠けたお月様が薄闇に浮かぶ様子がちょうど覗けていました。
 いっそここで、ツヤツヤ光るおマメをちょこっといたぶって、軽くイっちゃおうか・・・
 日常的な場所での非日常的行為に、めちゃくちゃ発情していました。

 そのとき。
 背後でくぐもった音がしました。
 ヴォン、っていう感じ。
 つづいて低いヴーンっていう持続音。
「あっ!」
 思わず声をあげてしまった私はあっさりパニック状態。
 これはエレベーターが動いた音です。
 私が降りて、待機していた4階から、誰かを迎えに下へと降りていったのでしょう。

 どうしよう!?
 私が通路ストリップを始めてから、それをしているあいだにエレベーターが動いたのは初めてのことでした。
 落ち着いて、落ち着いて・・・
 普通に考えれば、他の階の人が帰宅されて、ご自分のフロアに行こうとしているだけでしょう?
 だけどもし、柏木のおばさまだったら・・・
 でも、おばさまがお掃除されるのは、いつも午前中かお昼過ぎだったじゃない?こんな夕方にはされないんじゃない?
 でもでもでも、万が一・・・

 心の中は千々に乱れ、そうしているあいだにもエレベーターは動きつづけ、やがてしばしの沈黙。
 どうしよう、どうしよう・・・
 再びヴォンという鈍い音。
 1階から上昇を開始したようでした。

 結局、エレベーターが上昇を開始したと思った瞬間、ドアノブに跳びつき、焦る右手でなんとか鍵を差し込み、玄関内にからだだけ転げ込んでドアを閉じました。
 脱ぎ散らかしたお洋服や片方のブーツと持っていた荷物はすべて、通路に置き去りでした。

 靴脱ぎに横座りになり、はあはあと荒い息を吐きながらもドアに耳を当ててすませます。
 エレベーターの音は、聞こえなくなっていました。
 私のフロアでエレベーターの扉が開いたような気配もありません。
 そのまま2分くらい待ってから、玄関ドアをそーっと開けてみました。

 通路には片方だけのハーフブーツとトートバッグが転がり、脱ぎ捨てた淡いオレンジ色のチュニックブラウスの上に、ピンクのブラジャーが所在なげに乗っていました。
 それらを拾い集めて玄関内に回収した後、念のためと思い、エレベーターホールまで行ってみました。
 上半身は裸、ジーンズも下げたまま、左足は裸足、右足にはブーツの姿でひょこひょこ歩いていきました。

 エレベーターの表示は、6階が点灯していました。
 なんだ、やっぱり6階の人が帰ってきただけだった。
 心底ホッとすると同時に、ムラムラが盛大にぶり返してきました。
 玄関内に戻ると同時に、自分のアソコに指を突き立てていました。

 もしも本当に柏木のおばさまだったら、どうする気だったの?
 自分だけ玄関に隠れても、通路があんな状態じゃバレバレじゃない?
 ブラまで出しっぱなしだし、あんな水溜りまで作って、なんて言い訳するつもりだったのよ?
 まったくどうしようもないヘンタイ女なんだから!

 そんなふうに自分を責め立てながら、からだ中をめちゃめちゃにまさぐり、玄関先で大きな声をあげながら何度も何度もイったのでした。

 ごめんなさい。
 お話しが脇道に大きく反れちゃいました。
 えっとつまり、私にムラムラ期が戻ったので、マゾの服従ルールに従わなければいけない、ということを、そのとき思い出したのでした。


コートを脱いで昼食を 04


2013年8月11日

コートを脱いで昼食を 02

 衣替えの時期を待っていたかのように、月が変わった途端に気候がどんどん秋らしくなってきました。
 ブラウス一枚では少し肌寒いな、と思う間もなくニットが恋しくなり。
 10月3週目に、一日中風が強く、細かい雨が降ってはやみをくりかえす日々が2日間つづいたときがありました。
 その日を境に、街中やキャンパスでも、コートを着用する人をちらほら見かけるようになりました。

 ただ、ちょうどその頃の私はタイミング悪く、けっこう激しいムラムラ期を終えたばかりで、あまりそういう気分になれないときでもありました。
 でも、約半年近く待ち焦がれてやっと到来した、裸コートの季節です。
 ここでぐずぐずしていると、お外はぐんぐん寒くなってしまいます。
 あんまり寒くなってからだと、別の意味でやる気が起きなくなっちゃうかも・・・
 せっかくステキなコートも手に入れたのだし、とりあえず一度やってみなきゃ、だよね。
 そう自分に言い聞かせて、とにかく実行することにしました。

 私の学校のスケジュール的に、講義が午前中しかなくて午後が丸々ヒマな火曜日か木曜日に決行、というのは以前から決めていました。
 実行を決めてから最初に迎えた火曜日。
 お空は、曇りときどき晴れの薄曇模様で気温は17度くらい、絶好のコート日和になりました。

 ブラウスとジーンズの上に、外出では初お披露目なオリーブグリーンのコートを羽織り、朝から学校へ出かけました。
「うわー、そのコート、ステキな色だねー」
 なんてお友達にも褒められてちょっといい気分。
 午前の講義が終わったら、いつものように遊びに誘ってくれるお友達に、ちょっと急な用事があって、と言い訳して、昼食もとらずにそそくさとお家へとんぼ返り。
 さあ、いよいよです。

 時刻は午後の一時ちょっと前。
 私の自宅周辺の住宅街は、午後の一時過ぎから四時頃までが一番人通りが少なく、まったりした時間帯なことを、お引越ししてきてからの約半年間、いろいろな時間帯にお買い物やお散歩でお出かけした経験上で知っていました。
 裸コートデビュー戦ですから、まずはそういう一番安全そうな時間帯で小手調べ、というのも以前から決めていました。

 お家に帰って、ミルクティーとイチゴジャムトーストで一息ついてから、とりあえず全裸になりました。
 あんなに思い焦がれていた裸コートがとうとう出来るというのに、気持ちがいまいち、盛り上がってきません。
 乳首もアソコもひっそりしたまま。
 やっぱり、ムラムラ期が通り過ぎたはっかりだからかなー?
 なんて思いつつ、コートの袖に腕を通そうとしたとき、急激に、不安な気持ちが胸の中いっぱいに渦巻いてきました。

 たとえば・・・
 全裸にコート一枚で通りを歩いていて、運悪く交通事故に巻き込まれ、その場で意識を失ってしまったら・・・
 たとえば・・・
 そういう持病は持っていないと思うけれど、急な貧血とか気分が悪くなって、道の真ん中で倒れてしまったら・・・
 そんなアクシデントに見舞われて救急車で運ばれたとき、コートの下が全裸だったら・・・
 万が一、いいえ何億分の一の確率かもしれないけれど、絶対起こらないという保証はありません。
 もしもそれが運悪く起こってしまったら、少なくとも両親には、そんなことをしていた事実が知られてしまう・・・

 後から冷静に考えれば、そんな可能性で尻込みしてしまうのなら、今までしてきた数々のえっちな屋外遊びだって、どれも出来ないはず。
 でも、そのときは真剣にそう考えちゃったのです。
 ムラムラのないときの私は、本当に臆病な小心もの。
 えっちな好奇心が性来の臆病さに勝てず、怖気づいてしまったようでした。

 そして、ここからが私のヘンなところです。
 そんなに怖いのならあっさりやめればいいのに、私は、とりあえず今日は全裸はやめておこう、って考えたのでした。
 せっかく早く帰ってきて準備万端なんだし、気乗りしないながらも、何もしないっていうのはイヤだったのでしょう。
 ハードルを下げて練習のつもり、というモードにいつの間にか移行していました。

 それで少し考えて、素肌に身に着けたのが白いレオタード。
 その姿なら万が一のときも、お家でバレエの練習をしていたとき急に外出しなければならなくなって、すっごく急いでいたし、すぐ戻れると思ったから、上にコートだけ着てお出かけしたのです、って両親に言い訳が出来ると真剣に思ったのでした。

 このときのことを思い出すと今でも、自分のおバカさ加減に苦笑いしてしまいます。
 今思えば、ムラムラしていないと言っても、やっぱり裸コートの練習くらいはしてみたいという気持ちは大きくて、そんな屁理屈みたいな言い訳をひねり出し、自分の臆病さをなんとか説き伏せようとしていたのでしょう。
 レオタードを身に着けた私は、さっきよりずいぶんホッとして、あらためてコートを手に取りました。

 そのとき着たレオタードは、実際に家でバレエの練習をするときに愛用している古いもので、カップもインナーも付いていないやつでした。
 これだって後から思えば、ある意味、裸よりいやらしい感じがするフェティッシュな着衣ですよね。
 でも、そのときの私は、乳首が大人しくていたので目立たなかったこともあるのでしょうが、そんなことまでまったく頭がまわらず、全裸はやっぱりハードルが高いから次にムラムラが来たときまで無理かなあ?なんて、のんきなことを考えながら、いそいそとレオタードの上にコートを着込みました。

 コートの前ボタンをきっちり嵌めて、鏡で全身をくまなくチェックしてから、携帯音楽プレイヤーのイヤホンを両耳に挿し込みます。
 プレイヤー本体はコートの内ポケットへ。
 これは、学校のお友達から教えてもらった、魔除けのおまじない、でした。

 春先に東京へ出てきて、初めてひとりで繁華街を歩いたとき、一番戸惑ったのは、声をかけてくる人の多さでした。
 メインストリートみたいな人混みを歩いていると、ひっきりなしと言っていいほど。
 実家にいた頃にも、大きな街に出ると駅前で何人か、そういう人を見かけましたが、そんなのとは比べものにならない多さ。
 大半は若い男性。
 たいがい髪を明るく染めていて、ホストさんみたくキメキメの派手めな格好。
 以前からお友達だったみたいに、とてもなれなれしい口調で話しかけてくるのです。

 ご存知の通り、男性は苦手な私です。
 東京に出てきた、という緊張感とも相俟って、とにかく怖くて、声をかけられた途端にうつむいて、逃げるように足早に、人混みに紛れ込むことにしていました。
 実家にいる頃から母ややよい先生に、そういうことをしてくる人たちは、たいてい何か騙そうとしている人たちだから、絶対に相手にしてはいけない、と教えられていたので、まともにお話しを聞く気はまったく無く、とにかく逃げることだけを考えていました。
 それが度重なるうちに、繁華街を歩くことさえ憂鬱に思えてきて、そういう場所を抜けなくてはならないときは、とにかくうつむいて、目的地まで足早に歩くようになっていました。

 大学で気軽におしゃべりするお友達が何人か出来た頃、そういう話題になったことがありました。
「ああ。とくに春先はあいつら、地方から出てきた純朴そうな女の子を騙そうって、舌なめずりして待ち構えているからね」
 ずっと東京に住んでいるお友達が教えてくれました。
「ホストみたいなのは、お店のキャッチかモデルとかのスカウト、あとナンパ。おばさんだと宗教とか自己啓発セミナーの勧誘。若い女だとエステとか絵画販売ってところかな」
「あとは居酒屋の客引きだの何かの寄付だの。アンケートがどうとか言ったって、結局何か買わせたいだけだからね。いずれにしてもロクでもない連中だから関わらないことだよね」

「森下さんは、見た目も素直そうだから、声かけやすいのかもしれないね?」
 別のお友達が同情してくれます。
「そうなんです。いっぱい声かけられて、なんだか怖くて・・・」
「気弱そうだったり、自信無さそうな女の子を狙う、って何かで読んだことがあるから、うるさいわね、あたしは今忙しいの!くらいの感じで堂々としてると、声かけにくいんじゃないかな?」
「そういうのが出来ればいいのだけれど・・・」
「あとはもう完全にシカト。聞こえないフリして相手にしない。あっ、そっちだったらいい方法教えてあげる」

 それで教えてもらったのが、携帯音楽プレイヤーのイヤホンを両耳に挿しておくことでした。
「でも私、音楽聴きながら歩くの、あんまり得意じゃないっていうか、つまづいたり、人とぶつかっちゃったり・・・」
「あはは。だから別に本当に聴かなくてもいいのよ。本体はオフっとけばいいの。イヤホンだけ耳に挿して聴いているフリしてるだけで、ずいぶん違うから」

 確かにそうしてみると、あまり声をかけられなくなりました。
 そういう人たちがいるところでは、真剣に音楽に没頭しているフリをして歩き、声をかけられてもそちらに顔を向けずに聞こえないフリで歩きつづければ、さっさとあきらめてくれます。
 この方法を教わって、繁華街を歩くのがずいぶんラクになりました。

 これからする遊びも、極力他人とは関わりたくないので、そんなおまじないを施してから、右肩に小さめなトートバッグを提げました。
 中身はお財布とタオル、ペットボトルのお茶とか。
 もう一度鏡で全身をチェック。
 大丈夫そうなので、玄関に向かいます。
 時刻は午後の二時ちょっと前。
 タイムスケジュール的には、ほぼ当初の計画通りです。

 ちょっと迷ってから、裸足にグレーのショートブーツを履いて、玄関ドアを開けました。
 エレベーターを待っているあいだ、心臓がドキドキドキドキしてきました。
 エレベーターで一階へ。
 エントランスを抜けると、そこはもうお外でした。

 秋のひんやりした風に全身が包まれます。
 コート一枚でも思っていたより寒く感じないのは、やっぱり興奮しているから。
 でもその興奮は、期待のワクワクより不安のドキドキのほうが何倍も勝っていました。
 今、このコートの下は薄いレオタード一枚だけ。
 普通の人なら絶対しない異常なコーディネート。
 バレることはまず無いのだけれど、やっぱりすっごく不安です。

 どこへ行こうという目的は、何もありませんでした。
 とにかくなるべく人通りの無い住宅街をでたらめに歩いてみるだけ。
 マンションを出てすぐの路地を住宅街のほうへ入り、普通に歩けば5分くらいでたどり着く地下鉄の駅を、なるべく遠回りしながら目指してみることにしました。

 私が住んでいるマンションの一帯は、かなり古くからの住宅密集地だったらしく、本当にたくさんの民家が脈絡無く建ち並び、いたるところに細い路地が迷路みたいに張り巡っていました。
 再開発の途中なので、すごく古いお家と、新築マンションなどが入り乱れて建っています。
 坂道も多く、唐突に細い石の階段があったり、突き当たり行き止まりがあったり。
 道端のところどころにほんの小さな休憩所のような公園みたいな場所、石のベンチがポツンと置いてあるだけみたいな、がいくつかあって、お昼休み時分には、サラリーマンの人がそこでコンビ二のお弁当を食べていたりもしました。
 かと思うと、突然小さな商店街がつづいたり、荒れ果てた廃屋があったり。

 お引越ししてきて、いくらか慣れた頃、そんな路地を探検するのが楽しくて、暇があるとひとりでブラブラ、冒険RPG気取りで歩いたものでした。
 この路地は、ここにつながっているのかー、とか、ここをまっすぐ行くとずいぶん遠くまで曲がる道がないんだー、とか。
 あっ、もちろんえっちな格好とかではなくて、普通の格好で、ですよ。
 どこにいても池袋の超高層ビルが見えるので、闇雲に歩いても大きく迷っちゃうことはありませんでした。

 そんな路地をゆっくりと歩いていきます。
 なるべく自然に、ごくごく普通にお散歩している感じで。
 ときどき人とすれ違うとき、やっぱりドキンとしてしまいます。
 
 もともとこのあたりの住民の方々は、ご年配のかたが多く、その上、今は平日の昼下がりですから、すれ違う人も、お仕事をリタイアされたらしいご年齢のおじさまやおばさまや、専業主婦のかたばかり。
 細い路地を前から歩いてきて、私を一瞥してただすれ違う。
 それは普段ならとても普通のことなのですが、自分が恥ずかしいことをしている、という引け目があるので、どうしても必要以上に緊張してしまいます。
 音の出ていないイヤホンの音楽に集中しているフリをして、伏目がちながら不自然にはならないくらいに背筋を伸ばして。

 ときおり風が吹いて、からだにコートがまとわりつきます。
 午前中にブラウスとジーンズの上に着ていたときとは、明らかに違う感触のまとわりつき方。
 そのたびに、今コートの下がどんな格好なのか、ということを思い出させてくれます。
 そういうときに限って、前から人が歩いてきたりします。
 何度か通った道だけれど、初めて歩くみたいにひどく新鮮に見えます。
 頭の中では、音の出ていないイヤホンから、ラヴェルのボレロがエンドレスでずーっと鳴っていました。

 5分くらい歩いて10人くらいの人とすれ違ったでしょうか?
 そのたびに心臓がトクンと跳ねていました。
 レオタードを着ていてこうなのだから、もし本当に全裸だったら・・・
 そう考えたと同時に、からだがムズッと疼きました。

 見覚えのある小さな公園のひとつにちょうど着いたので、そこでちょっと休憩することにしました。
 ここから地下鉄の駅までなら、あと3分も歩けば着けるでしょう。
 ペットボトルのお茶をゴクリと一口。
 さっきから気になっていることを確かめてみたいと思いました。

 カメさんの形をしたベンチに腰掛けて、周りを注意深く見回しました。
 大丈夫、誰もいません。
 お向かいにある木造のお家も窓が全部閉じて、しんと静まり返っています。
 脇の空き地に駐車している小さなトラックの下で、白黒ブチのネコさんがまあるくうずくまっていました。
 薄目を開けてこちらをうかがっているご様子。

 私はベンチの上でからだをひねり、ネコさんに背中を向けました。
 正面に見えるのは、小さな花壇と石塀だけ。
 それから、コートの胸元のボタンをふたつはずし、そーっと広げて中を覗き込みました。
 やっぱり・・・
 目を凝らすまでも無くあからさまに、二つの乳首がレオタードの白い布地を、とてもいやらしく突き上げていました。
 開いた胸元に右手を入れて、股間に当ててみます。
 しっとり・・・

 レオタードコートでお外を歩いているうちに、いつの間にかムラムラが舞い戻ってきていました。
 それも、たとえて言うなら、瀕死のパーティにせかいじゅのしずくを使ったような、完全回復。
 レオタードを着てきてしまったことを、後悔していました。
 一刻も早く、本当の裸コートになりたい、と熱烈に思っていました。


コートを脱いで昼食を 03


2013年8月5日

コートを脱いで昼食を 01

 自分がマゾな性癖を持っていることに気づいた頃からずっと憧れていて、独り暮らしになったらぜひとも一度やってみたい、と思っていたことがありました。
 素肌にコートを一枚だけ着用してのお出かけ。
 屋外露出の定番、羞恥プレイの王道とも言える、俗に言う、裸コート、というやつです。

 それっぽいことなら、すでに何度か経験していました。
 やよい先生と一緒に薄いワンピース一枚だけでお出かけしたり、駅のおトイレで下着だけ脱いで知らない町をノーパンでお散歩したり。
 裸コートも行為的には同じようなものですし、裸コート以上に恥ずかしい姿での屋外露出もいろいろ体験済みでした。
 でも、それらを体験してもなお、野外露出ものビデオや写真で女性の裸コート姿を目にするたびに、いつか私もやってみたい、と思いつづけていました。

 裸コートをするまでの過程には、2つのケースがあるように思います。
 ひとつめのケースは、誰かのご命令。
 ご主人さまやパートナー、あるいは脅迫者とかから、こういう格好をしてお外に出なさい、とご命令されての裸コート。
 えっちなビデオとかでは、こちらのシチュエーションが多いですよね。
 私も、裸コートではありませんでしたが、やよい先生とシーナさまから、似たようなご命令をいただいたことがありました。

 もうひとつは、自発的な裸コート。
 誰かにご命令されたのでもなく自分の意志で、全裸にコートだけを着て、ひとりでお散歩に出かける、という自虐的な行為。
 私がやろうとしているのは、こちらのほうです。

 外見上は、まったく普通なコート姿。
 だけど、そのコートの下には何も着ていなくて、コートの前を開いたらあっという間に街中で全裸。
 そのことを知っているのは自分だけで、それに気がついて欲しいような、欲しくないような。
 もしも何かの拍子でバレちゃったら、言い訳も逃げ場所もまったく無い、自分自身のヘンタイさゆえの自業自得。
 それはまさに、私みたいな性癖にはうってつけの、秘め事っぽい背徳感あふれる魅力的なひとり遊び。
 加えて、一番ポピュラーな屋外露出遊びなのだから、一度はやってみなきゃ、っていう羞恥願望マゾとしての義務感、みたいなものもありました。

 実際、裸コートを実行することを決めて、いろいろ妄想をふくらませていくうちに、裸コートが単純に屋外羞恥プレイとして、私みたいなノーブラ外出さえも躊躇しちゃうレベルの臆病マゾにとって、理想的な要素を揃えていることに気がつきました。
 裸コートは、その行為の異常さに比べて、発覚するリスクはとても小さく、安全性の高いヘンタイ行為なんです。

 コートの生地はおしなべて厚めですから、ノーパンノーブラワンピースのときみたいに乳首が布地に浮いちゃう心配をする必要がありません。
 ボタンをきっちり留めれば、裾が風に大きくひるがえることもないし、万が一雨とかで濡れても透けちゃう心配も皆無。
 普通に歩いているだけなら、周囲からは絶対に、そんなことをしているなんてわからないはず。
 街中でこっそりいやらしい格好をしたい、という自分のヘンタイ欲求を満たしながらも、周りにバレちゃう可能性は限りなく低い。
 そんなハードルの低さが、臆病過ぎる私のマゾ性好奇心を、大いにくすぐりました。

 見せたがりのヘンタイマゾのクセして、バレちゃう心配が少ないからやりたい、なんて、なんだか矛盾していない?って思われるかもしれませんね。
 でも、今までにも何度か書いたことですが、私の露出羞恥願望は、性来の臆病さに加えて幼い日のトラウマゆえに、ややこしくひねくれているんです。
 誰でもいいから裸を見せたい、恥ずかしい姿を視て欲しい、みたいな単純なものではないのです。

 ややこしくしている最大の要因は、たとえば露出行為をするとしたら、それを視てもらう相手として、私の場合、男性の目は一切欲していないことでした。
 男性には視られたくないのです。
 もし、私のあられもない姿を偶然視た男性が劣情を催し、何かしてきたら・・・
 それを考えると、どんなに激しいムラムラも、冷たいお水を浴びせ掛けられたようにへなへなと萎んでしまいます。
 男性からの好色を帯びた注目は、想像するだけでも、私にとって恐怖以外のなにものでもありませんでした。

 もちろん、誰かに恥ずかしい姿を視てもらいたい、という願望は大いにあります。
 ただし私の場合、そのお相手は同性限定。
 だけど実際、街に出れば老若男女さまざまな無数の目があります。
 その中から男性だけシャットアウトするなんて到底不可能。
 だから、裸コートでよくある展開、道行く人たちの前でバッとコートの前を開き、見知らぬ人たちに恥ずかしい格好を晒しちゃう、みたいなことは絶対出来ないし、やるつもりもありませんでした。

 たとえば、もしも傍らにパートナーがいるなら、もう少し大胆になれるでしょう。
 私の野外露出初体験だったやよい先生との遊びのときは、やよい先生やユマさんが傍にいつもいてくれたので、その安心感から人目もはばからず、ずいぶん過激なことも出来ました。
 夏にシーナさまとデパートを連れまわされたときも、いろんな人に恥ずかしい姿を視られてすっごくコーフンしちゃいました。
 でもそれが出来たのは、やよい先生やユマさん、シーナさまが周囲にいつも注意を払って、私のややこしい性癖にいろいろ気を遣ってくださったから。
 ひとり遊びでは、まったく状況が違います。

 なので、誰かに見せちゃう、という積極的な露出行為は、ひとり遊びのときにはやらない、と完全に割り切っていました。
 まったく人影の無いのを確認してチラッくらいがせいぜい。
 もっぱら、人知れずこっそり恥ずかしい格好や行為をすること、に徹していました。
 それだけでも充分満足出来ました。
 そんなメンドクサイ性癖を持つ私にとって、これからやろうとしている裸コートの安全性、は、とても頼もしく感じたのでした。

 そんなあれこれで、裸コートを実行することは決めたのですが、裸コートは季節を選びます。
 私が東京に来て、最初に裸コートに想いをめぐらせたのは、5月の始めでした。
 確かやよい先生のお家にお泊りで遊びに伺うちょっと前だったと思います。
 当然、コートの季節はとっくに終わっていましたし、次のコートのシーズンまでもずいぶんありました。
 それから、ひと月に一回くらい不意に思い出しては、いろいろ妄想しながらコートの季節の到来を心待ちにしていました。

 実行するのは秋。
 でも私は、秋用のコートは持っていませんでした。
 ウールのあったかコートが2着、カシミアも1着ありましたが、これらはどうみても秋口には早すぎます。
 春用のコートは色がピンクのと水色なので、これも秋にはちょっと。
 高校のときのスクールコートは秋に着てもおかしくない感じでしたが、襟に校章が付いてるし。
 あとはハーフコートやショートコート。
 必然的に、コートも新調する事にしました。

 ショップに秋物が出回り始めた9月上旬。
 私の裸コート計画が具体的に動き始めました。
 まずはコートの調達から。

 いろいろなコートの写真をネットで集め、どんなコートがいいか決めました。
 目立ちたくはないので、基本的にシンプルなどこにでもあるようなシルエットのコート。
 膝が隠れるくらいの長さでざっくりした感じ。
 形としては、ステンカラーかトレンチ。
 色は秋らしくシックな感じだけれど、出来れば春にも着れそうなの。
 そんなふうに決めて、学校帰りにいろいろとお店を回りました。

 9月の終わり頃。
 秋分は過ぎたけれど、お空にはまだ夏の名残がしぶとく居座っていて、コートを着るような雰囲気は微塵も無い秋晴れの日に、理想的なコートにめぐり会えました。
 場所は、高層ビルのふもとのファッションビル。
 学校の帰りにたまに寄って何度かお買い物もし、店員さんとも顔なじみになっているショップでした。

 明るめながらくすんだようなオリーブグリーン色のそのコートは、ステンカラーでストンとしたシルエット。
 シンプルなデザインだけれど、ポケットがふんわり可愛くてフェミニン。
 試しに着てみると、丈も理想通り。
 膝小僧がちょうど隠れるくらいの長さで、いい感じです。

「あら、今日はコートを探してるの?」
 顔なじみの店員のお姉さんが声をかけてきました。
「そのコートいいでしょ?あたしもお仕事別にして、一着買っちゃおうかなって思ってたんだ」
 なんて調子のいいことを言ってきます。
「色もシックだし、秋っぽいよね。それにライナーも付いているから真冬でも着れるし」
 ニコニコしながら盛んに勧めてくれます。

 私は、このお姉さん、私がこのコート着て恥ずかしい遊びをしようといているなんて、夢にも思っていないんだろうなあ、なんてはしたないことを思いながら、お姉さんの勧めるままにそのコートを買いました。
 一目見たときから、買うことは決めていたのですけどね。
 けっこう有名なブランド品だったので、お値段もそこそこしたのですが、すっごく嬉しい気持ちでいっぱいでした。

 お家に帰ると早速、お洋服をすべて脱ぎ捨てて、素肌にコートを羽織りました。
 前ボタンは全部で5つ。
 前の布が二重になっていてボタンが隠れちゃうフライフロントなので、ボタンとボタンの間から肌が覗けちゃう心配もまったくありません。
 一番上の喉元まで閉めちゃうと暑苦しい感じなので、一番上のボタンだけはずします。
 鎖骨がわずかに覗く感じ。
 胸元の布が浮いても僅かなので中は覗けないし、尖っている乳首もぜんぜんわかりません。
 鏡に映った自分のコート姿には、どこから見たって、この下が全裸だと思わせるような手掛かりはありませんでした。
 これで準備はバッチリです。

 そうだ、裸コートをしたら、この姿でさっきのお姉さんのところへお買い物に行ってみようかな・・・
 裸コートで繁華街を歩き、たくさんの人たちが行き来するファッションビルで、何食わぬ顔をしてお買い物している自分。
 そんな姿を想像するだけで、心臓がワクワクドキドキ高鳴ってきます。
 早くもっと涼しくなればいいのにな・・・
 コートを着ても不自然ではないくらいの気候になる日は、もうすぐでした。


コートを脱いで昼食を 02


2013年7月28日

独り暮らしと私 20

 そんなふうにして私の全裸日常生活は、その後5日間つづきました。
 思いついた日から数えてちょうど一週間。
 5日で途切れてしまった理由は、ムラムラが治まってしまったのでも、飽きてしまったのでもありません。
 夏休みの最後の一週間は、実家で過ごすことを以前から母と約束していたから。
 このお約束が無ければ、もっともっとつづけていたことでしょう。
 そのくらい、すっかり気に入っていました。

 その5日間のあいだに、今までに経験したえっちな遊びのほとんどを復習しました。
 やよい先生から教えていただいた、コブの出来たロープにまたがっての股間責めや、輪っかの器具で秘部を広げたままスースーするお薬を塗ってのまんぐり返し放置。
 シーナさまに教わった、アイスタイマーによるセルフ拘束長時間イカセっぱ責め。
 お久しぶりな本格的お浣腸プレイ、などなど・・・
 普段だと準備が面倒だったり、後片付けが億劫だったりなプレイを、ここぞとばかりにやりまくりました。

 ミイコさま主演の自縛ビデオを見直して、縛り方もひと通りおさらいしましたし、今まで撮っていただいたり課題でセルフ撮りした、自分の恥ずかしい写真や映像もすべて見直しました。
 それらの合間にも、洗濯機さまに犯され、強力シャワーにつらぬかれ、赤いローソクで彩られ・・・
 世の中が朝だろうが真昼間だろうがおかまいなしに、ひたすら本能の赴くままに自分のからだへの快感を追求しつづけました。

 ただ、3日目くらいから、全裸でいること、に慣れてきちゃったようにも思い始めていました。
 お部屋で、自分の裸が鏡やガラスに映っても、最初の頃に感じたような恥ずかしさやコーフンを、さほど感じなくなっている自分に気づいたのです。
 裸でいるのが普通な日常となり、非日常、と感じられなくなってきたのでしょう。
 常に全裸でいなければならないのは、妄想の女主さまからのご命令で、その妄想に埋没しているあいだは、裸を強制されているという被虐感に羞恥も覚えるのですが、素の状態になったとき、裸がただのラクな格好になりつつあったのだと思います。

 全裸での日常生活は、性的刺激の意味合いをオミットしたとしても、なんて言うか、開放的で気楽で、過ごしやすいと感じ始めていました。
 それまでずっと、お部屋でもそれなりにきちんとした格好で過ごしてきた私にとって、一日中、下着のゴムやカップやワイヤーに束縛されない乳房や下腹部が、下着を着けているときよりも自然でのびのびしているようで、からだにも心にも良い影響があるように思えました。
 でも一方では、裸でいることに慣れ過ぎて羞恥心が薄れてしまったり、気楽過ぎてだらしなくなっちゃうのは良くないな、とも思っていました。

 3日目の夕方。
 全裸、にこだわることをいったん置いて、薄れてきた恥ずかしさを取り戻すためにも、自分にとっての、全裸よりもっとはしたなく恥ずかしい格好、を真剣に考えてみることにしました。
 私の大好きな、非日常、を常に感じさせてくれるような、そんな普遍的にいやらしい格好。

 たとえば、ロープでぎっちりと亀甲縛りのまま暮らせば、これはどう見てもヘンタイさんそのものな信じられない格好ですが、ずっと縛ったままだと、絶対からだを悪くしちゃうでしょう。
 下着だけ、とか、レオタードや水着、えっちぽいコスプレなんかで過ごしても、遅かれ早かれ、いずれ慣れちゃうだろうし。
 ゆうこ先生が着ていたような、ピンポイントに隠せるだけの超大胆なマイクロビキニなら、かなり理想に近い、非日常的着衣、な気がしますが、生憎持っていないし・・・

 いろいろごちゃごちゃ考えた末、何か身に着けるなら上半身だけ、っていうのが、一番非日常的かな、っていう結論になりました。
 ブラだけ、Tシャツだけ、ブラウスだけ、何を着ても、いいえ、着ているのに、下半身は常にすっぽんぽんの丸出し状態。
 
 どうしてこんな結論になったのか、というと・・・
 普段暮らしていて、そんな姿になるのは?・・・そう、トイレのときだけなんです。
 全裸なら、誰かと一緒にお風呂に入ったりして見られることはあるけれど、トイレでの姿って、私みたいな見せたがりーのヘンタイさんは除いて、普通の人なら、第三者に見せることはまず無いでしょう。

 そんなトイレのときそのままの格好で日常生活をしている人。
 これはすっごくいやらしく非日常的だなと思ったんです。
 だって常に性器が剥き出しなんですから。
 
 全裸っていうのは、ある意味、人として自然な姿。
 でも、お洋服は着ているのに下半身だけ裸となると、途端にヘンタイじみてきます。
 ノーパンにスカートというのとも違う、ソコを隠すことを最初からまったく放棄している丸出しの下半身。
 トップレスはありえるけど、ボトムレスってありえないです。

 早速、短めのひらひら半袖ブラウスに袖を通して、ボタンを上まできっちり嵌めてみました。
 ブラウスにしたのは、たぶん上半身の服装がきっちりしていればしているほど、いやらしさが増すと思ったから。
 胸元のリボンもちゃんと結びました。

 鏡に映すと、上半身はリボンがカワイイよそいきブラウスに身を包んだ、普通の女の子。
 でも、視線を下に落とすと、おへその少し下から下腹部、そしてパイパン性器まで剥き出しの裸。
 思った通り、言いようも無い恥ずかしさが全身を駆け抜けました。
 この格好ってつまり、ソコを視てもらいたい、っていう願望があからさまに出ている気がしました。

 その格好でリビングに掃除機をかけました。
 ガラスや鏡に自分の姿が映ります。
 上半身はいたって普通なのに、お尻とアソコは丸出し。

「あなた、なんでそんな格好で掃除しているの?」
「いっそ丸裸になっちゃえばいいのに。中途半端なとこがかえっていやらしい」
「つまり、それを見せびらかしたいのね?」
「そんなに、そのいやらしいパイパンオマンコやお尻の穴を、視て欲しいいんだ?」
 頭の中で妄想が広がり、誰かの蔑み声が響き渡ります。

 ブラウスの布を乳首が突き上げ、急激にぬるんできたアソコがムズムズ疼いてきます。
 掃除機の先端を床に滑らせながら、ホースをまたぎ、細かい段々でジャバラになったホースにアソコを擦りつけます。
「ああん」
 両脚の間から伸びているホースを両腿で挟み込むようにしつつ、前へ前へと移動するホースの動きに合わせて腰が前後にクイクイ揺れてしまいます。
「ううー。私はヘンタイなんですぅ。いつでもここを弄れるように、下は穿かないことにしているんですぅ」
 実際に声に出して言ったら、もうがまん出来なくなってしまいました。

 掃除機オナニーは、実家にいる頃からたまにしていました。
 だって、あんなに勢い良く吸い込む力を見たら、ちょっといろいろ吸い込まれてみたくもなるじゃないですか。
 アダプター、っていうのかな?
 吸い込み口の先っちょに付けるやつ。
 狭い隙間のお掃除用の細長くなってるやつを、わざわざホームセンターで買って、それ専用に自分の机の抽斗にキープしていました。

 掃除機をいったん止めて、先っちょを細いのに交換します。
 今使っている掃除機は、実家のよりも断然吸引力が強いので、最初は戸惑いました。
 強、で肌に当てたら、痛いほどの吸引力で太股のお肉がズズズッと吸い込まれてしまいました。
 内出血みたくうっすら痣になるほど。
 それからいろいろ慎重に試して、中、が一番いい感じなことがわかりました。
 あと、吸い込み口をぴったり塞ぐように当ててしまうと、掃除機の吸い込んでいる空気の逃げ場がなくなり、本体がガタガタ暴れだしちゃうんです。
 だから、吸い込み口を全部塞がないようにギリギリに近づけて吸ってもらうようにするのがコツです。

 ホースにまたがって立ったまま、掃除機のスイッチを入れ直します。
 ブオーっていう音がして、手のひらを吸い込み口に近づけるとスゴイ勢いで吸いついてきます。
 そうそう、掃除機ってけっこう音がうるさいんですよね。
 だから実家にいるときは、家族が留守のときにしかやらなかったっけ。
 そんなことを思い出しつつ、そろそろと胸に近づけます。

 べべべっと音がして、ブラウスの布ごと左の乳首が吸い込まれました。
「ああーっ」
 乳首の先は吸い込み口に入り込み、根元の皮膚もグイグイ引っ張られます。
「ああー、ちぎれちゃうー」
 固く敏感になっている乳首にジンジンと電流みたいのが走ります。
「いやーいやー」
 すごい力で吸いついてくる吸い込み口を強引に引き剥がし、今度は右乳首へ。
「あーーん、だめぇー」
 乳首を吸われながら、股の間を通るホースにアソコをグイグイ押し付けてしまいます。
 この時点でもう、アソコはグショグショ。

 しばらくそうしてからスイッチを切り、荒くなった呼吸を整えます。
 膝を曲げて腰を落とすと、ちょうど掃除機の本体に腰を下ろすような形になりました。
 熱を持った掃除機が私の裸のお尻を生温く包み、その温度さえ妙に艶かしい。

 私はすでに、この掃除機さまの威力を充分に知っています。
 アソコに近づけたら最後、おそらく私は一分ももたないでしょう。
 暴力的なまでの吸引力で陰唇を吸われ、蜜をすすられ、そして肉の芽が飲み込まれて・・・

 ほんの数十秒後にやってくるであろう、めくるめく快楽に想いを馳せ、ゆっくりと掃除機のスイッチを押しました。

 と、そんな具合で、この、下半身のみ裸、を思いついてからは、全裸にこだわるのはやめて、状況に応じたよりいやらしい格好、を心がけるようになりました。
 全裸に慣れてきたな、と思ったら上に何か着て、そして再び全裸になると、恥ずかしさも復活するようでした。

 もうひとつ、すっごく気に入っちゃった格好が、いわゆる裸エプロン。
 かんたんなお料理やお掃除をするとき、気分転換にやってみたらハマってしまいました。
 もちろん、普通にしてても面白くないので、よりマゾっぽくアレンジしました。

 薄くて軽めエプロンを普通にした後、胸当て布地の上から大きめ強めの洗濯バサミで、左右の勃起した乳首を布地ごと挟みます。
 それから首とウエストの紐をほどいてしまうのです。
 エプロンを支えているのは乳首の洗濯バサミ2つだけ。
 乳首に噛みついて、エプロンを落とすまいと必死にぶら下がる洗濯バサミ。
 軽めとは言えエプロンの重さも加わり、私の敏感になっている大きな乳首を容赦なく下へと引っ張りつづけます。
 痛い・・・でも、気持ちいい・・・
 このみじめな格好で洗い物や窓拭きをしていると、自分が本当に可哀相な奴隷家政婦になったみたいな気になって、キュンキュン感じてきちゃうんです。

 そんなこんなだった7日間の全裸家政婦生活、あっ、正確に言えば、後半3日くらいは必ずしも常時全裸ではありませんでしたが、下半身だけはずーっと剥き出しのままでしたから、許してくださいね、は、私にとって、やって良かったと思える、とっても充実した日々でしたし、その後の私の私生活にもいろいろとえっちなお土産を残してくれました。

 ムラムラ期に大学へ行くときは、ノーパンジーンズで出かけるようになりました。
 自宅では下着をほとんど着けないようになり、ムラムラ期になれば、玄関先で裸になるルールが今でも採用されています。
 お洗濯もお掃除も、めんどくさいと思わなくなり、むしろ愉しみにするようになりました。
 洗濯バサミ付き裸エプロンも、ずっと愛用しています。

 その他に、この期間中に思いついて、その後、お部屋の中をあれこれえっちに改造したお話もあるのですが、それは追ってまたお話し出来る機会もあると思います。

 全裸家政婦生活をひとまず終えた8日目の朝。
 私は、ところどころに赤黒い小さな痣や縄目の痕が残る自分のからだを、丸一週間ぶりに清潔な下着の上下で包みました。
 二の腕にかすかに残る2日前の縄目痕を隠すため、いまだ残暑が居座る晴天のお日様の下、七分袖のフラウスを上半身に纏い、生理の予感がする下半身をスリムジーンズで覆って、久しぶりの外気にクラクラしながら、ボストンバッグを手に駅への道を急いだのでした。


コートを脱いで昼食を 01


2013年7月22日

独り暮らしと私 19

 自分の両手で左右のおっぱいをロウもろともぎゅーっと掴み、揺さぶるように荒々しく揉みしだきます。
 両手の動きに合わせて、乳房に貼りついていたロウがボロボロ剥がれていきます。
「ああんーっ」
 
 この、ロウが肌から剥がれていく感触、も気持ちいいものでした。
 子供の頃によくやった、日焼けしてシワシワに剥けかけの皮膚を剥いたり、怪我して出来たカサブタを剥がすときの感覚に、よく似ている気がします。
 それまで肌に感じていた違和感が解消されていく快感。
 おっぱいからお腹の辺りまで、両手をむちゃくちゃに滑らせました。

 やよい先生たちとしたときは、からだについたロウに鞭を浴びせられて、剥がされました。
 あれもすっごく、気持ちよかった。
 四つん這いになった私のお尻を、バラ鞭っていう、柄の先端の鞭の部分が何本にも分かれている、お掃除で使うハタキが派手になったみたいな形の鞭で叩かれました。
 
 鞭がヒュンと鳴って、私のお尻にバラバラっと複数の鞭が当たる感触。
 痛いっ、て感じると同時に、お尻に貼りついていたロウが鞭に弾かれて剥がれていくのがわかりました。
 鞭自体の効果は、普通の一本鞭に比べたら、それほど痛くないソフトめな感じ。
 それでも、何発も叩かれていると、ロウがどんどん剥がれて鞭が直接お尻の皮膚に当たるようになり、お尻全体がジンジンと熱くなってきました。
 何よりも、四つん這いという、マゾらしいみじめな格好でお尻を突き出して鞭をいただいている、ひとり遊びでは絶対に出来ないその被虐的なシチュエーションが嬉しくて、盛大にアンアン喘いでしまいました。

 おっぱいもバラ鞭でキレイにしていただきました。
 このときはマゾの服従ポーズ。
 鞭が当たるたびにおっぱいがプルプル揺れて、剥がれたロウがあたり一面に飛び散っていました。
 私はゾクゾク感じながらも、確かにこんなに飛び散ったら後片付けが大変そうだなー、なんて、現実的なことも考えていました。
 出来れば今日も、自分で鞭をふるってロウを落としたかったのですが、生憎バラ鞭は持っていなかったのであきらめました。

 一度ゴム手袋を取り、ロウがあらかた剥がれた自分のからだにもう一度ボディローションを塗り直します。
 今回はとくに下半身に入念に。

 レジャーシートにお尻をペタンとついて体育座り。
 ローションをおへその下、下腹部に直接トロリと垂らし、土手からアソコへと手のひらで伸ばします。
「あふんっ」
 手のひらがヌルッとアソコを撫ぜ、その淫靡な感触に思わず声が洩れちゃいます。
 少し両脚を開くと唇が割れ、私のえっちなおツユとローションが交じり合ってもうトロトロのテラテラ。
 手のひらに尖った突起が当たり、中指が難なく中に潜り込んじゃいますが、掻き回すのはがまんがまん。
「もっとスゴイ刺激をあげるから、ちょっとだけ待っててね・・・」
 自分のアソコにそう語りかけながら、お尻の穴のほうまで満遍なくローションまみれにしました。

 初めて、アソコに直接ロウを垂らされたときの、あのスゴイ快感はたぶん一生忘れられません。
 あのときは、ホテルに備え付けの拘束具付き椅子に座らされていました。
 背もたれは120度くらいに倒され、手首と足首を拘束具で固められたほぼ大の字の仰向け磔状態。
 ミイコさまが私のおっぱいを赤く染めている間、やよい先生は私の下半身をローションまみれにしていました。
 ミイコさまのローソク責めとやよい先生のやさしい愛撫に、動かない手足をビクビクさせて悶えまくる私。
 やがてミイコさまがローソクをやよい先生に渡しました。

 最初の一滴は、左の内腿。
「あんっ!」
 他の人からローソク責めをされる場合、ロウをいつ、どこへ落とされるのかがわからない、その不安と期待のゾクゾク感が、いっそうマゾな被虐心を煽ってくれます。
 それから、土手にボタボタと5、6滴。
「ああーんっ」
 ぎりぎり、裂け始めには届いていません。
 その痛熱い刺激にアソコの奥がキュンキュン感じています。
 そして右内腿。
「うう、ううんっ」
 腰がモゾモゾ淫らに動いてしまいます。

「なお子、毛が無くてよかったねー。マン毛あると、後でロウ剥がすの大変なんだよー」
 やよい先生が一呼吸置いて、嬉しそうに笑いながら私の顔を覗き込んできます。
「ああんっ、いやん」
「いやんて、じゃあもうやめようか?」
 やよい先生のイジワルなお顔。
「あっ、いいえ、やめないでくださいぃ、もっと、もっと虐めてくださいぃ」
「オマンコに直接、垂らしてもいいのね?なお子、怖くないの?」
「怖いけど・・・やって欲しいんです・・・きっと、きっと気持ちいいから・・・」
「そっか、後で後悔しても知らないよ?」
 言いながらまた、土手のところにポタポタとロウを垂らしてきます。
「ああんっ」

 ロウの痛熱い刺激がだんだんと陰の唇のほうに近づいてきます。
 外周をなぞるようにロウを垂らされ、落ちるたびにピクピクからだを震わせる私。
 中にも早く垂らして欲しいような、でもやっぱり怖いような、その言いようのないもどかしさに性的興奮がぐんぐん高まり、アソコの奥からジワジワジワジワ、とめどなくおツユが滲み出ているのが自分で分かるほど。

「なお子のパイパンオマンコがだんだん赤く染まってきたねー」
「ああ・・・もっと、もっと、中に、中にもくださいぃ」
 イヤイヤするように首を振って懇願する私・・・

 あの日のやよい先生のやりかたを思い出しつつ、自分の手で忠実に再現して今、私の性器の周りは真っ赤に染まっていました。
 ここまでで、全身汗みずく。
 ローションと汗とで、からだ中がヌラヌラ。
 ハアハアハアと肩で息をしています。
 ローソクプレイって、ロウが落ちるたびにギュッとからだを強張らせちゃうので、かなり体力を使うんです。
 でも愉しい、気持ちいい。

 そして、いよいよメインイベント。
 頭の中に、やよい先生よりイジワルな女主さまを呼び出します。

「さてと、それじゃあそろそろ、そのふしだらな穴を塞いじゃいましょうか?」
 女主さまがニヤリと笑います。
「あ、でもその前に、こっちのもう一つの穴も塞いどきましょう」
「オマンコにロウを垂らし始めたら、スケベなあなたがうるさいくらいアンアン悦んじゃうのは、わかりきってることだからね」
「ご近所迷惑になるといけないから、あらかじめそっちの口も塞いでおくことにするわ」
 そう言うなり、私の口に末細りの赤いローソクを突っ込んできました。
「んぐぅっ!」
 間髪を入れずライターで芯に着火。

「しっかり咥えてなさいよ?落っこどしたりしたら火事になっちゃうからね」
 すぐにポタポタと赤いロウが垂れ始めました。
 ローソクの長さは20センチくらい。
 顎を引くと、ちょうど乳首の上辺りにロウが垂れてきます。
「むぅぅ!」
「そのローソクを咥えている限り、あなたのおっぱいは絶えず熱いロウ責めに苛まれるってわけ、どう?気に入った?」
 これも、やよい先生とのときにしていただいたプレイでした。
「ほら、自分で首振って、垂らしたいとこに垂らしなさい。右のおっぱいも虐めて欲しがってるわよ?」

 ローソクの芯と肌の間は、最大で20センチくらい。
 首を手前に傾けると、もっと近くなってしまいます。
 近い位置からのロウは、さっきより幾分熱く、それもひっきりなしに垂れてくるので、どんどん狂おしい気持ちになってきました。
 首を振って左右の乳房に満遍なく垂らします。
 ローソクを咥えた唇の端からは、よだれもダラダラ垂れ始めました。

 その状態で、右手に持ったローソクをアソコに近づけていきます。
 背中を少し後ろに反らし、開き気味の股の間にロウを垂らします。
 アソコの周りは、すでに冷えて固まったロウで守られているので、新たにロウが垂れてもあまり感じません。
 無防備なのはその内側。
 ローションと愛液とでテラテラぬめるピンク色の部分。
 思い切って、ローソクを少し内側に移動します。
 その途端に・・・

「んんんんむううぅうーーーっ!」
 ポタポタポタポタと、永遠につづくかのような熱いローソクの雨だれが粘膜部分に付着しては固まっていきました。
 ローソクを咥えた喉の奥から歓喜の嗚咽がほとばしります。
 
 私のアソコがみるみる真っ赤に染まっていきます。
「むぅう、むぅう、むぅうーーん」
 ローソクで塞がれた口の代わりに、荒々しく呼吸する鼻息の音が響き、お腹が激しく上下しています。
 ああん、いやいやいや、だめだめだめーっ!
 声に出来ない心の叫び。
 そうしている間も、咥えたローソクが執拗に乳房を虐め、手に持ったローソクで性器が塗り固められていきます。
 少し腰を浮かせ、お尻の穴周辺にも集中砲火。
 お尻の穴も、あっという間にロウで塞がりました。

 ただし、一番敏感な肉の芽周辺だけは、わざと避けて垂らしていました。
 そこに垂らせばその瞬間に、この遊びは終わってしまうから。
 アソコを中心に内腿やお腹にロウを垂らし、ぐんぐん昂ぶりながらタイミングを見計らっていました。
 ううう、イきたいぃ・・・でももっと愉しみたい、でもイきたい、ううう・・・
 私のアソコの中は、得体の知れない異物感に満たされ、やんわり蹂躙されていました。
 からだ中がどうしようもなく疼いて、更なる刺激を強烈に求めていました。
 もう、もうがまん出来ない・・・

 手に持ったローソクを垂直に立て、少しの間を置きます。
 炎が揺れる芯の周りに、半透明な赤い液体状のロウが溜まっていきます。
 頃合を見計らって、ツヤツヤと膨らんでいる肉の芽をめがけて、ローソクを一気に傾けました。
「んぅんぅんふぅんふぅぐぅぬぅーーーーーっ!!!」
 
 頭の中で火花が何発もスパークし、腰がガクンガクンと何度も跳ねました。
 鼻息で咥えていたローソクの火が消えました。
「むぅぅぅ・・・」
 すさまじい快感で腰が抜けちゃったみたい。

 手に持ったローソクを息で消したのは覚えているのですが、その後は放心状態。
 ハアハア肩を震わせたまま、しばらくその場を動けませんでした。

 十数分くらい経ってからでしょうか、やっと我に返り、のろのろと後片付けを始めました。
 咥えていたローソクには、かなり深めにクッキリと、私の歯型がついていました。
 からだについたロウをちまちまと剥がしていきます。
 さっきみたいに荒々しくでは無く、なるべく崩さず大きく、形が残るように。

 右おっぱいのを剥がすと、尖った乳首もそのままな流線型で、立体的な型が取れました。
 これに粘土でも流し込めば、私の右おっぱいのレプリカが作れるはず。
 お尻の穴の部分のも、よく見るとシワシワまで刻まれたリアルな型。
 アソコも私のの形そのまんま。
 こういうのをしげしげと見ていると、たまらない恥ずかしさがこみ上げて来ます。

 本当に気持ち良かったなー・・・
 快感を反芻するように思い出しつつ、剥がしたロウをコンビニ袋に回収していたら、またもやすっごく眠たくなってきちゃいました。
 
 からだにはまだ、ところどころにロウがついていますし汗とローションも残っていますが、これは明日、丁寧に洗うことにしましょう。
 レジャーシートも明日、キレイに片付けよう。
 今さっき味わったすさまじいオーガズムに満足しきったのか、心からもからだからも、一気にすべての力が抜けて、欠伸ばかりが出るようになっていました。
 時計はまだ10時前。
 でももう、今日はこれで充分満足です。
 
 フラつく足取りでベッドルームに入り、そのままシーツに倒れ込みました。


独り暮らしと私 20


2013年7月15日

独り暮らしと私 18

 その遊びを心地よく愉しむためには、いろいろとややこしい準備をしなければならないことは、やよい先生から聞かされていました。
 5月にやよい先生のお宅へお泊りで伺ったとき、私のために特別に、その遊びをしてくださることになりました。
 そのときは、やよい先生とパートナーのミイコさま、あ、今までずっとミーチャンさんて呼んでいた人と同じ人ですが、お会いして遊んでいただいたのを機会に、こう呼ばせていただくことにしました、と、ご一緒して、やよい先生の愛車でわざわざホテルまで行ったのでした。

「やっているときは愉しいんだけどさ、後片付けとかいろいろ面倒なのよね」
「エネマプレイと同じくらい、後始末で萎えちゃう」
「フローリングに垂れちゃったりすると剥がすの一苦労だし、掃除機で吸い込んでも飛び散った数が多いと詰まっちゃうしね」
 やよい先生が運転中に笑いながらおっしゃっていました。
「だから、お金かかっちゃうけれど、ホテル使ったほうが気がラクなのよ」

 そういうホテルに入ったのは、私にとってその日が生まれて初めてでした。
 そういうホテルにもいろいろ種類があるらしく、その日に入ったのはSM専用のお部屋のようでした。
 壁に磔に出来るような拘束具があったり、両脚が大きく広げられちゃう椅子があったり、鎖が天井からぶら下がっていたり。
 なんともおどろおどろしい雰囲気で、そのお部屋に入って器具を見た瞬間に、ゾクゾク感じてしまいました。

「慣れていない人は、うっかりお風呂場でシャワーとかで流しちゃうのよね、終わった後に」
「でもあれって、水に溶けるもんじゃないからさ。詰まっちゃうのはあたりまえよね」
「あたしの知り合いのカップルが、自宅のお風呂でそれやって、詰まらせちゃってさ。排水口」
「あわてて業者呼んだら、排水パイプから溶けた赤色のロウがびっしり出てきて」
「今アロマキャンドル作りに凝っていて、なんて苦しい言い訳したらしいけれど、バレバレよね?かなり恥ずかしかったらしいわ」
 フロントでお借りしたらしいシートを敷きながらの、やよい先生の愉快そうなお声を思い出します。

 あのホテルのお部屋で味わった、狂おしいほどの苦痛の果ての快楽は、私に強烈なインパクトを残しました。
 やよい先生とミイコさまの責め方がお上手だったのはもちろんなのでしょうけれど、私は本当にあられもなく身悶えしまくっちゃいました。
 あんな刺激をもう一回、味わいたい。
「うーん・・・ひとりでやるのは、けっこう危険だよね。つまりは火遊びだしさ」
 そう言って渋いお顔をされるやよい先生に頼み込んで、注意点を細かくお聞きして絶対守ることをお約束して、ようやくひとり遊びをするお許しをいただいたのでした。

 すでにお片付け済みのリビングルーム中央に、三帖分くらいの大きなレジャーシートを敷きます。
「普通のビニールのだと、やっぱ燃えやすいからさ。表面がアルミの銀色のやつなら、万が一のときでも幾分燃え移りにくいと思うよ」
 そう教えてくださったやよい先生が、そのお泊りの2週間位後に、わざわざ宅配便で送ってきてくれたものでした。
 その他には、太くて赤いローソクが3本と、お皿に釘が突き出ているようなキャンドル立て3つ。
 ローソクは、2本が直径5センチくらいの寸胴、もう1本は先細り、じゃなくて先太りな形で、細いほうの直径が3センチくらい。
 これらのローソクは、そういう遊び用に作られたもので、低い温度でロウが溶けやすくなっているのだそうです。

 そう。
 私はこれから、このローソクを自分の肌に垂らして愉しむつもりなんです。

 深めのバスボウル二つにお水を張り、レジャーシートの端に置きました。
 もちろんこれは、万が一のため。
 花火のときにバケツにお水を汲んでおくのと同じ備えです。
「あんまり悶えすぎて足で蹴ったりして、床にこぼさないようにね」
 って、やよい先生が笑いながら忠告してくれました。

 リビングの電気を薄暗く調整します。
 これからキャンドルを灯すのですから、雰囲気が大事。
 銀色にピカピカしているレジャーシートの中央付近にお尻ペッタリで座り込んで、裸の全身にボディローションを塗りつけます。
 こうしておくと後で、肌についたロウが剝がしやすいのだそうです。
 ヌルヌルのローションを素肌になすりつけていると、それだけでいやらしい気持ちがどんどん高ぶってきます。
 首から下に満遍なくローションを垂らし、自分のからだをサワサワ撫ぜ回します。
 髪はじゃまにならないよう、アップにして上にまとめています。

 薄暗い照明にローションがテラテラ反射している全身ヌルヌルな私の姿が、レジャーシートの端に置いた大きな姿見にぼんやり映っています。
 銀色のシートが何かのステージのようで、なんだか艶かしいショーの一場面みたい。
 低く流れているサティのオジーブの厳かな旋律とも相俟って、何か妖しい儀式が始まりそうな雰囲気でもあります。
 私はこれから、耐え難い苦痛と恥辱を浴びせられる哀れな生贄、可哀相な人身御供。
 アソコの中は充分にぬるみ、乳首の先が痛いくらいに尖ってきています。

 ひとりローソクプレイをするにあたって、どんな格好でするか、については、ずいぶん悩みました。
 希望としては、両手両脚をぎっちり縛られての、逃げ出しようの無い拘束姿で、に勝るものはありません。
 やよい先生たちにされたときも、そういう感じでした。
 両手を後ろ手に縛られ、おっぱいは絞り出すように縛られ、両膝もM字に固定され、まず四つん這いにさせられてお尻に垂らされ、それから仰向けにされておっぱいからだんだんと下へ・・・
 今思い出しただけでも、からだの奥から疼いてきてしまいます。

 だけど、これからするのはひとり遊び。
 両手を拘束してしまったら、自分のからだにロウを垂らすことが出来ません。
 それに火を扱うわけですから、もしもの事態になったとき身動きしづらい状態だと大変なことになってしまいます。
 いろいろ考えた末、今回は、ひとりでやるのが初めてでもあるし、まったく拘束しないことにしました。
 胸を縛ったりローターとかを挿れたりもなし。
 純粋にローソクの刺激だけで、どのくらい気持ち良くなれるかを試してみることにしました。

 手のひらについたローションをタオルで拭ってから、お医者さまがするような凄く薄いゴム手袋だけ、両手に嵌めました。
 この手袋をして自分のからだをまさぐると、触れる手も触れられる肌も、なんだか他の人のもののように感じられ、その違和感みたいなのが、実家にいた頃からの私のお気に入りなんです。
 午前中のお洗濯のとき、全裸にピンクのゴム手袋だけ嵌めた自分の姿のフェチなエロさを見て、ローソクのときは絶対こうしようと決めていました。

 太くて赤いローソクを1本左手に持ちます。
 右手のライターで火を点けるとすぐに、ローソク独特の懐かしいような匂いがかすかに漂い始めます。
 薄暗闇の中で一際明るく、ゆらゆら揺れる悩ましげな炎。
 ローソクを右手に持ち替えました。
 火を点けて10秒も経たないうちに、半透明な赤い液体がローソクの芯のまわりに溜まり始めています。
 体育座りのまま左腕を前に出し、右手のローソクをそっと傾けました。

「んっ!」
 手首と肘の間、真ん中あたりに最初の一滴がポタリと垂れました。
 すごく鋭い針でツンと刺されたような刺激。
 痛い、熱い、と思う間もなくロウが冷めて固まり、その部分の肌をかすかにひきつらせます。
「あんっ」
 最初の一滴の後は、あとからあとからポタポタと、最初に着地した周辺に溶けたロウが重なっていきます。
「あん、あんっ」
 そのたびにチクチク肌を刺す熱さの刺激。
「いやんっ」
 からだをひねった拍子にローソクを持った右手が少し揺れ、左腕をすり抜けたロウが左内腿に着地しました。
 このあたりは肌が薄いので、刺激も倍増。
「あ、あん、あ、あんっ」
 腿にポタポタ垂れるロウに、いちいちいやらしい声が出てしまいます。

 そのままゆっくり右腕を右側に引いていきます。
 左手は後ろに突いて上半身を少し後ろにのけぞらし、太腿からお腹のあたり、そして、もっと上のほうへとロウを垂らしていきます。
「ん、ぅうんっ、はぁーんっ」
 白い肌に転々と飛び散る赤い斑点。

「あぁっ、いやんっ!」
 近い距離から熱いロウが左の乳首を直撃しました。
 精一杯敏感になっている乳首の先に、喩えようの無い甘美な熱刺激が走り、全身がビクンと震えてしまいました。
「うっうーんっ」
 快感の余韻に浸る暇も無く、ポタポタポタポタ、熱い愛撫が肌を染めていきます。
 右腕を上下に動かして、ローソクをおっぱいに近づけては離し、自分の乳房を真っ赤に染め上げます。
「ああんっ、だめぇっ」
 ローソクを右に移動して、今度は右おっぱい。
 乳房のカーブがどんどん赤い飛沫に覆われていきます。
「あっ、あっ、ゆるして、ゆるしてぇ」
 薄闇に浮かぶ炎と白手袋。
 許しを乞いながらも、その先から垂れる雫の行方を真剣に目で追ってしまいます。

 ローソクの刺激って本当に不思議です。
 ポタポタ次から次へと垂れている最中は、いや、いや、もうだめ、やめてやめて、って泣きそうなくらいに身悶えして逃れようとしてしまうのに、垂れてこなくなると、なんで?はやく、もっとください、お願いです、って心の底からその刺激を渇望してしまうのです。
 一度ロウが垂れたところに重なって落ちるロウは、熱さの刺激は弱まっていますが、幾重ものロウの層が固まりながら肌をひきつらせる範囲をジワジワと広げていって、その部分を誰かに掴まれているような感触になってきます。
 おっぱい全体をまーるく赤く染め上げていくうちに、おっぱいの皮膚全体がロウで固められあちこちでひきつり、まるでおっぱいを誰かの手のひらでやんわり包まれているような感覚になってくるのです。

 左右のおっぱいからおへそあたりまでを一通り真っ赤に染めてから、一度ローソクを消しました。
 ローソクの消えたリビングは再び薄暗がり。
 消したとき、ローソク独特のあの匂いがいっそう強くなり、それと競うように手に嵌めているゴム手袋のケミカルな匂いも際立って、両方が混じり合いながら鼻腔をくすぐりました。
 薄暗闇に非日常的な匂い。
 本当に妖しい儀式の最中みたい。
 赤いロウに染まった自分の上半身が、遠くの鏡にぼんやり幻想的に映っています。
 ここまで下半身は、左太腿以外まだ無傷です。

 可哀相な生贄の直子。
 このまま、下半身が白いまま、儀式が終わるはずはありません。
 マゾな被虐心が急激にムラムラ昂ぶってきていました。

「さて、それじゃあ、そろそろ本格的に、お仕置きを始めましょうか」
 頭の中に、冷たい声が投げつけられました。
 女主の設定は、そのまんま、やよい先生。
 やっぱりこの遊びだと、春にお相手をしてくれたやよい先生の印象が強烈なので、迷わずそうなりました。
 だけどこの女主は、実際のやよい先生よりもっとイジワルで冷酷でサディストです。

「あたしの言いつけは覚えてるでしょ?あたしが戻るまでオナニーは禁止のはずだったわよね?」
「それなのに、今日一日であなた、何十回イったのよ?」
「まったくどうしようもないドスケベ淫乱女なんだから」
 呆れたようなお声とは裏腹に、女主さまがニヤリと笑って傍らのローソクに目をやりました。

「そんなオマンコは、もう使えなくしちゃいましょう」
「いやらしい穴は塞いで固めて一生使用不可。言いつけを破ったんだから、それくらい当然よね?」
 これから何をされるのか、一瞬のうちに理解した私は、怖くて声も出せません

「覚悟はいい?」
 女主さまがそう言いながら、赤いロウでコーティングされた私の乳房を両手でむんずと掴みました。


独り暮らしと私 19


2013年7月7日

独り暮らしと私 17

 現実の私は、四つん這いでバスルームに入った後、脳内で進行するストーリーに従い、可哀想なマゾ子を忠実に演じていました。
 
 自分のからだをまさぐっては寸止めで焦らし、お尻を自分の手で何度もたたき、恥ずかしい言葉をあけすけに声に出し、鏡の前で秘部を大きく広げて見せつけ、おっぱいをペチペチたたいて真っ赤にし、乳首をちぎれるほど引っ張りながら放尿し、シャワーを頭から浴びてびしょ濡れになり、そして今、スコートだけ脱いで最後の準備を始めました

 シャワーを使った水圧オナニーは、以前にもやったことがありました。
 お家のバスルームのシャワーが水圧調整出来ることに偶然気がついたのは、梅雨が始まる頃だったかな。
 本当にびっくりするくらい勢いのある水流が飛び出すんです。
 そのときの私は恐々、50センチくらい手前からアソコに当て、ほんの数分でイってしまいました。
 すっごく気持ち良かった。
 今回は出来る限りアソコに近づけて、イキそうになったらはずしてをくりかえし、脳内のヨシノさまたちに罵られながらイクつもりです。

 シャワーヘッドをひねって水圧を最強まで上げます。
 凄い勢いの水流が一直線にほとばしりました。
 試しに30センチくらい間を空けて、太股に当ててみます。
「ううううう・・・」
 強烈なマッサージ器を当てているような激しい振動が間断無く太股を揺らし、水しぶきが派手に飛び散ります。
 その水圧は、一点に当てているだけで、太股全体のお肉が広範囲にプルプル震えてしまうほど。
 ああん、やっぱり気持ちいい。

 いったんシャワーを止めて、シャワーヘッドを床に置き、上向きにお水が出るよう固定します。
 もちろん鏡の前。
 水量や温度を調節する装置とオン/オフのコックが鏡脇にあるので、これなら行為中もお水の温度や水圧をコントロール出来そう。
 水流の振動で床に置いたシャワーヘッドが暴れないよう、お水を入れた2リットルのペットボトルを重石にしました。

 そんな作業をしている間も、鏡に映っている自分の姿にチラチラ視線がいってしまいます。
 ずぶ濡れの乱れ髪で上半身だけ白いウェアを素肌に貼りつかせ、下半身はスッポンポンな姿は、妙に扇情的。
 オールヌードより、だらしなくて卑猥な感じです。

 用意を整えて、試しにシャワーのコックをひねってみました。
 ピューっと勢い良く飛び出したお水がズズンバシャンとすごい音をたて、瞬く間も無くバスルームの高めな天井を直撃しました。
 遊園地とかでよくある噴水のショーみたい。
 すごいスピード、すごい勢い。
 この水流が私のアソコを下からつらぬくのです。
 ちょっぴり尻込みしてしまう心とは裏腹、ずぶ濡れなのにからだ全体がカッと熱くなり、コーフンでゾクゾクしてきました。

 シャワーヘッドに跨るようにしゃがみ込みます。
 鏡に映った私は、ヨシノさまに言われた通り、まさに和式トイレでオシッコする姿。
 両膝を120度くらい開くとワレメのスジが少し開きました。
 手始めにシャワーのコックを半分くらいひねってみます。

「ああんっ!」
 勢いのある水流がお尻の穴を直撃しました。
 おトイレのお尻洗浄装置の強力版という感じ。
 腰を少し引いて、もう少し前に当たるように調節します。
「あああーっ」
 少し開いたワレメへ潜り込むように、冷たいお水が浸入してきました。
 一直線となったお水の束が、中で重なり合う唇をプルプル洗い、尖った剥き出しのおマメをジョロジョロくすぐってきます。
「うっうぅーん」
 当たり具合は、これでいい感じです。

 いったんコックをひねってお水を止めました。
 次にひねるときは全開です。
 私のアソコはこれから、お水の束に奥まで陵辱されるのです。
 怖い・・・でも、やってみたい・・・

 よしっ!
 覚悟を決めました。
 これから味わえるであろう未知の快感に思いを馳せて目をつぶり、シャワーのコックにかけた右手を思い切りひねりました。

「あーーんっ!」
 さっきまでとは比べものにならないほど強烈な水圧が私の中に侵入してきました。
「いやーっ、だめだめーっ!」
 ワレメを強引に押し開き、中の唇と粘膜を激しく蹂躙してくる凶暴なお水。
 思わず腰をくねらせると、水流が腰からはずれ、真下から私の喉元を叩いてきました。
 顔面に激しい水しぶきが炸裂します。
「あああーいやーっ!」
 あわてて腰を前に出すとクリトリスを直撃、出し過ぎるとお尻の穴までこじ開けてきます。
「いや、いやん、だめだめぇーーっ!」
 しゃがんだ格好から膝を伸ばして中腰になってまたしゃがみ、水圧に緩急をつけてみます。
 腰を前後左右に動かして、アソコ、お尻の穴、クリトリスと満遍なく虐めてもらいます。
「あっ、あっ、あーんっ!」

 それからはもう無我夢中。
 クネクネと腰をくねらせ、中腰になったり、シャワー口を塞ぐようにベッタリしゃがみ込んだり。
 ウェアの上からおっぱいを両手でめちゃくちゃに揉みしだきながら、盛大に身悶えてしまいました。

「ほらほら、自分の気持ちいいところに当たるように腰を振るんだよ」
「うわー、いやらしい腰つき。悶えまくりじゃん」
「あたしがイっていい、って言うまでイクんじゃないよ?無断でイったら、素っ裸のまま縛ってみんなの見世物にするからね」
「こんだけ洗い流しても、まだマンコからはスケベ汁が滲み出てるんだろうね、この淫乱女は」
 ヨシノさまたちの蔑みのお声が頭の中に響きます。

「ああんっ、お願いですぅ、イカせてくださいぃ」
「もうだめ、もうだめ、イっちゃう、イっちゃうーんっ!」
「あっ、あっ、あっ、あっ・・・」

 一番気持ちいいのは、どうやら中とクリちゃんを交互に虐めてもらうことみたい。
 もはや、シャワーヘッドの上にべったり尻餅を突いて塞いでいるような状態で、腰を前後に動かします。
 一瞬で天井にまで届くほどの水圧が、ほんの3センチくらいの至近距離から、私のアソコを襲っていました。
「ああんっ、いいっ、いいっ、いいのーっ!」

 上半身が身悶え過ぎて前屈みになり、からだを支えようと鏡のほうに手を伸ばしたら、シャワーの温度調節のダイアルに片手が触れて、ダイアルが動いてしまったようでした。
 私の中を暴力的に陵辱している冷たいお水が、勢いはそのまま、だんだんと生温かくなってきました。
「あああああーっ!」
 お水の温度が人肌くらいになったとき不意に、今まで私の中に指を潜り込ませたことのある人たち、相原さんややよい先生、シ-ナさまやゆうこ先生たちのお顔が頭に浮かび、彼女たちとしたえっちな思い出と共に、めまぐるしいフラッシュバックが始まりました。
「あーっ、いい、いい、いい、---っ!」
 懐かしさと、幸福感と、喪失感と、あとは何だか分からないじれったい感情と共に、全身にすさまじい快感が駆け抜けました。
「あっあー、いいいーーーっくぅううっっ、うーっ!!!」
 私のアソコに無数の指が突っ込まれているイメージの中で、私は幸せに果てました。

「ハァハァ・・・ああ、気持ち良かったぁ・・・」
 バスルームの床にだらしなくうつぶせに這いつくばって、しばし休憩。
 イった後、最後の力を振り絞って手を伸ばし、緩めたシャワーのコック。
 さっきの勢いが嘘だったかのような、力ない水流がまだチョロチョロとシャワーヘッドから漏れて、内腿を愛撫してくれています。

 よろよろと上半身を起こすと、びしょ濡れのテニスウェアがまたいつの間にか、おっぱいの上までまくれ上がっていました。
 まくれたウェアの裾が乳首にひっかっかっている姿が鏡に映っています。
 あらあら、だらしない、はしたない・・・
 そう思うのですが、からだ全体がものすごくだるくて、そこで思考が止まってしまいます。
 さすがの私も、かなり疲れちゃったみたい。
 それはそうでしょう。
 今日起きてから、これでイったの何度目?
 そう考えるだけで、とても数える気にはなれません。

 これではいけない。
 よいしょっ、と立ち上がり、ウェアを脱いで全裸になり、もう一度ぬるめのシャワーを浴びました。
 手と足の指先が満遍なくふやけてフニャフニャ。
 髪をオールバックにして上を向き、しばらく無心でゆるーいシャワーに身を委ねました。

 今何時頃だろう?
 お洗濯物を取り込んで、リビングもざっとお掃除しとかなきゃ。
 あと、お夕食の支度も・・・

 濡れた髪に乾いたタオルを巻き、バスタオルでからだを拭きながらいろいろ考えるのですが、それらを覆い隠す勢いで、強烈な睡魔が襲ってきていました。
 ふわぁーっ。
 大きな欠伸がひとつ。
 もうだめ。
 ちょっと一瞬、横になろう。
 寝て起きたら、きっとまた元気が戻っているはず。
 全裸のままフラフラと自分のお部屋に戻り、エアコンをおやすみタイマーにしてからタオルケットをからだに巻きつけ、崩れるようにベッドに倒れ込みました。

 あまりの暑さに目が覚めました。
 覚めた瞬間、自分が今どこにいるのかわからなくなっていました。
 なぜ頭にタオルを巻いているのか、なぜ全裸なのかも。
 そのくらいふかーい眠りについていたみたいです。
 夢もまったく見なかったし。
 だんだんと覚醒してきた意識が、寝る前の状況を徐々に思い出させてくれました。

 からだに巻いていたはずのタオルケットは床に落ち、シーツの上に全裸のからだを横向きにして丸まっていました。
 それにしても暑すぎ。
 からだ中汗びっしょり。
 シーツが私のからだの形に湿っています。
 急いでエアコンを点けました。

 どのくらい眠ったのだろう?
 エアコンのおやすみタイマーは一時間のはずだから、この汗の感じだとその後も暑さに負けずがんばって、けっこう長く眠っていたのかな?
 でもまだ窓の外は少し薄暗くなったかな、っていうくらい。
 時計を見たら、夕方の6時ちょっと前でした。
 2時間ちょっと、寝てたみたいです。

 仮眠をとったおかげで、眠気は跡形も無く消え去っていました。
 からだの疲れも、ほぼ抜けたみたい。
 喉が渇いたので、ダイニングに冷たい飲み物を取りに行こうとしたとき、普段の習慣で何か羽織るものを探している自分に、だめよ、あなたは全裸家政婦なんだから、と、眠る前のことを完全に思い出したもうひとりの自分が嗜めました。
 そんな自分の脳内お芝居に、機敏に反応して性懲りも無く尖ってくる私の乳首。
 ムラムラ期の私の性欲は、枯れることの無い泉のようです。

 昨夜考えた予定では、今夜は、私がひとりで本格的にするのは初めてな、とある遊びを実行することになっていました。
 主さまがお仕置きのひとつとして私に施す、ある強烈なプレイ。
 さっき眠りに落ちる前、この感じだと、このままぐっすり寝入ってしまって、今夜はあの遊び、出来ないかな?なんて頭の片隅で思っていたのですが、私のからだはやっぱりどうしても今夜、それをやりたいようです。

 それから夜までは、比較的健全に過ごしました。
 もう一度軽くシャワーを浴びて、髪をゆっくり乾かし、ボディケアも念入りにやりました。
 お洗濯物を取り込んで、しまうものはしまい、アイロンをかけるべきものを分けました。
 お夕食は、パスタにレトルトのミートソース、それとサラダで簡単に済ませました。
 リビングに軽く掃除機をかけて、ソファーを移動、中央に広いスペースを作りました。

 そうこうしているうちに時計は7時を過ぎ、今夜私がやるべきことは、ひとつしか残っていない状況になりました。


独り暮らしと私 18


2013年6月30日

独り暮らしと私 16

「すごい格好ね。奥まで丸見えで露出狂そのものって感じ。それも自分で広げて見せてるんだから。マゾ子、恥ずかしくないの?」
「そ、それは・・・恥ずかしいです・・・すごく・・・」
「でもヘンタイだから、視られてるって思うとビンビン感じちゃうんでしょ?」
「は、はい・・・」
「後から後からスケベ汁が滴ってるもんね。悦んでるのモロばれ。ホントいやらしい女」
 ヨシノさまたち3人は、その場にしゃがみ込み、私が自ら押し広げている性器の中をニヤニヤ覗き込んでいます。

「他人のマンコの中、こんなにまじまじ見るのって、初めてだよー」
「ほんと、よくこんな格好できるよね。それにこいつのクリ、でかすぎ。小指の先くらいあるんじゃない?」
「いつも弄ってるから、どんどんおっきくなっちゃったんだよきっと。オナニーばっかしててさ」
「たまに中がヒクヒク動くよね。うちらの言葉に反応してるみたい」
「年下にここまでバカにされて、悔しくないのかね?マゾってわかんないわー」
「でも、マンコの中ってちょっと見グロいけど、ずっと見てるとなんかキレイにも思えてくるねー」
「うん。ピンク色が濡れてツヤツヤ光ってて、神秘的な感じもする」
「うち帰ったら、鏡で自分の、見てみようかな・・・」

 私の性器に対する批評がひとしきりつづいた後、ヨシノさまが立ち上がり、私を見下ろして聞きました。
「ねえ?マゾ子って大学生?」
「あ、いいえ。中退して、今は家政婦をしています・・・住み込みの・・・」
「へー。そっかー、住み込み家政婦かー。ふーん。なるほどねー」
 ヨシノさま、すごく納得いった、みたいな満足げな表情。
「つまりは、その雇い主のスケベおやじに、毎日いろいろ調教されてるってワケだ?マン毛剃られたりとか」
「あ、は、はい・・・だけど・・・」
「だからそんなにドマゾぶりが板についてるんだねー。なるほどねー」

「毎晩そのパイパンマンコに、ご主人様のブッ太いのをブチ込まれてるんでしょ?」
「えっと、あ、主さまは女性のかたです・・・」
「えーーっ!?」
 3人から大げさな驚きの声。
「雇い主は女で、その女がマゾ子をマゾ調教してるってこと?」
「はい・・・そうです・・・」
「うひゃー。ひょっとしてマゾ子って、レズなの?」
「はい・・・私は、男性にはまったく興味が無いんです・・・」
「おおおおっ!」
 男性が苦手とか怖いとか余計なことを言うと、その線でいじられてしまうと思ったので、わざとあっさり答えました。

「マゾで、露出狂で、おまけにレズかあ。マゾ子ってアブノーマルのかたまりだね」
「それで、その調教はイヤイヤされてるの?それともマゾ子も望んでるの?」
「そ、それは・・・」
「ま、今のマゾ子見れば、わかるか。イヤならさっさと逃げればいいんだしさ」
「するとつまりひょっとして、今うちらに虐められているこの状況も、マゾ子にとっては、普通に、と言うか、かなり嬉しいことなんじゃない?」
「は、はい・・・同性のかたに虐められていると、それはみじめで恥ずかしいことなのだけれど、とても興奮もしてしまいます・・・」

「うわっ。ちょっとキモくなってきたわ」
「つまり、うちらが辱めれば辱めるほど、マゾ子は悦んじゃうってワケかよ?」
 ヨシノさまが盛大に眉をひそめ、私の顔を睨みつけます。
「ふーん。だったら、思い切り悦ばせてあげようじゃない?あたし、なんだか無性にムカムカしてきたわ」

「で、その女主人は、マゾ子をどんなふうに虐めるのよ?」
 もはや完全に侮蔑しか感じられないヨシノさまの冷めたお声。
 その視線が、めくり上げたウェアから露出してピンと上向きに尖っている私の乳首を凝視しています。
「はい・・・えっと、縄で縛ったり、鞭で打ったり、恥ずかしい服装でお外へ連れ出したり・・・」
「SMフルコースってわけね。それなら痛いのも好物のはずだね?」
「はい・・・でも、あんまり痛いのは・・・」

 バッチ-ン!
 いきなり右のおっぱいを横からビンタするみたいに思いっきり平手で叩かれました。
「あうっ!」
 不意を突く痛みに、思わず性器を広げていた腕をはずし、胸をかばってしまいます。
「さっき教えたばっかりでしょ!ドレイに、でも、の言葉は無いって!もう忘れたの?」
「それに手もそこじゃないっ!あたしがいつマンコ閉じていいって言った?ちゃんと淫乱マンコ広げてなっ!」

 憎悪剥き出しのお顔になったヨシノさまが、その指先に爪が白くなるほどの力を込めて、私の右乳首を潰しながら引っ張ります。
「ああんっ、いたいですぅー、ごめんなさいぃ、ごめんなさいひぃ・・・」
 私は喘ぎながらお許しを乞い、お言いつけ通り両手を内腿に戻し、さっきよりいっそう広げてしまいます。
「痛くても気持ちいいんでしょ?女に虐められるのが大好きなヘンタイドマゾなんだからっ!」
「あうっぅぅーーーっ!」
 内腿の両手が腿をさするみたいに無意識に動き、アソコの穴がお魚の口みたいにパクパクしています。

 ようやく乳首が開放されたと思ったら、左右のおっぱいに怒涛のような往復ビンタ連発が始まりました。
 バチン、バチン、バチン、バチン・・・
「ほらほらほら、ドスケベおっぱいをこんなに悦ばせてやってるんだから、お礼を言いな、お礼をっ!」
 明らかに性的に興奮されているヨシノさまの紅潮されたお顔に、私もどんどん昂ぶっていきます。
「ああん、ありがとうございますぅ・・・あうっ!いたいですぅ、いたいですぅ・・・」

 おっぱいを延々とはたかれて、その痛さに目尻から涙が滲んできます。
 左右のおっぱいが赤く腫れて熱を持ち、ジンジンしてきてますます敏感になっています。
 おっぱいに痛みが走るたびに、自分で広げている洞窟からポタポタよだれが垂れています。
「ああっ、うぅぅぅ・・・」
 脳内ドーパミンか何かで快感に変換されつつある苦痛が、下腹部をモヤモヤと刺激してきます。
 そのモヤモヤは、性的な高まりと一緒に予想外な欲求をも連れて来ていました。
 イキそう、イキそう、と身悶えている下腹部を、猛烈な尿意が同時に襲っていました。
 さっきまでそんな感じはぜんぜんしていなかったのに、もはや待ったなしの状態にまで差し迫っていました。

「ああっうぅ・・・」
 乳房嬲りはまだつづいていました。
 両乳首をつままれてブンブン引っ張られます。
「ほら、イキなよ?痛いのに気持ちいいんだろ?ドスケベ乳首がコリコリじゃん?さっさとイけよっ!」
「ああああーっ、いいですぅ、でもだめだめだめぇ・・・」
 もうがまんの限界でした。
「ああん、でちゃうでちゃうでちゃうぅぅぅ」
「あ、だめだめみないでみないででちゃうぅぅぅーーっ。いやーーーーっ!!!」
 ジョボジョボジョボジョー・・・

「うわっ!こいつオシッコ漏らしやがった!」
 3人がいっせいに後ろへ飛び退きました。
「うっひゃー。きたねーなー。いい年して人前で失禁かよ?」
「ほんとにしょーもない女だなー」
 私は、性的な快感に放尿の爽快感も加わり、えもいわれぬ陶酔を感じる一方で、人前で放尿してしまったそのあまりの恥ずかしさに顔が上げられません。

 ツカツカと私の汚い水溜りを器用に避けながら足が近づいてきます。
 あのシューズはたぶんヨシノさま、と思う間もなく、ジャーッと強烈な水流が私を頭上から襲いました。
「ひゃっ!つめたいーっ!」
 勢いのある冷たい水流に、たちまち私は全身びしょ濡れ。
「まったくホントに汚らしい女だな?掃除しろって言われてるのに自分で汚してちゃ世話無いわ!」
 ヨシノさまが片手にシャワーのノズルを持ち、もう一方の手で私の髪を掴み、私の顔面にシャワーを浴びせかけてきます。
 至近距離からの強い水圧に。私の顔面でバチバチ音がしています。
「いやいやっ、やめて、やめれくらひゃーひいっ!」
 口の中にまで勢いの良い水流が飛び込んできて、呂律が回りません。
「何がいやーだよっ!?マゾ子が汚した床を洗い流してやってんだろ?ついでにその汚いマンコも洗ってやるよ!」
 ヨシノさまは、ご自分のからだが濡れるのもおかまいなく、至近距離から私の全身に強いシャワーを浴びせかけてきました。

 めくり上げていたテニスウェアは、水圧で元通りになり、おっぱいは隠されました。
でも、びっしょり濡れたウェアがボディコンみたいにピッタリ肌に貼りつき、乳首はおろか乳房の丸みまで丸わかり。
「おおお。マゾ子濡れ透けでセクシーじゃん」
 ヨシノさまの薄ら笑い。
 まとめていた髪は解け、ぺったんこになって額や頬に張りついています。
「ドマゾなマゾ子はずぶ濡れ姿が良く似合うねー。川に落ちた犬みたい。みじめさが滲み出てるよー」
 全身をひとしきり水責めされて、シャワーが止まりました。

「マゾ子、椅子をはずして、和式便所でオシッコするときみたいにしゃがみな」
「えっ?」
「いいから、しゃがめって言ってるの。あ、スコートは脱げ」
「えっ?」
「だから、えっ?じゃないの。言われた通りにするしかないって、まだわからないの?」
「は、はい・・・」
 スコートのホックをはずし、下半身だけ裸になってその場にしゃがみ込みます。
「膝は開いてパイパンマンコがよく見えるようにしときなよ。これからあたしがマゾ子を犯してイカせてやるんだから」
 ヨシノさまがニヤリと笑います。

「マゾ子みたいな汚い淫乱マンコには、清浄な水でのお清めが必要だと思わない?」
 ヨシノさまが他のおふたりに問いかけます。
「だけど、マゾ子は根っからの淫乱ドスケベだから、きれいな水にさえ喘ぎ声出しちゃうんだろうけどね」
 ニヤッと笑って再度シャワーのコックをひねりました。
 勢いよくお水が飛び出します。
「意外と知られてないんだけどさ、ここのシャワーって水圧調整出来るんだよ」
「もっとも、一番水圧をきつくするとシャワーじゃなくて一直線の水流になっちゃうんだけどさ」
「要は庭の水撒きホースとかの原理と一緒だね」
 言いながら、シャワーヘッドの先っちょ部分をひねりました。
 放射状に出ていたお水が一本の線状になりました。
 同時にしゃがんでいる私のバストめがけてお水が勢い良く跳びかかって来ました。

「ああんっ!」
 一瞬、痛い、と思うほどのすごい水圧。
 お水が当たっている部分の肌がへこんでしまうほど、おっぱい全体が揺れてしまうほど強い水圧です。
「いやあっーん」
 乳首に当たると、布の上からでも乳首が肌にのめりこみ、斜めに傾いてしまいます。
「あんっあんっあんっ」
 まるで強力なマッサージ器を押し当てられているような激しい振動。
 こんなのをアソコに直に当てられたら・・・

「ほらね、やっぱり喘いでるでしょ?」
 ヨシノさまが愉快そうに言います。
「ねえ、マゾ子、気持ちいいの?」
「は、はいぃ。気持ちいいですぅ」
「このままおっぱいだけでイっちゃう?」
「ああんっ、出来ればこちらに当てていただけるとぉ・・・」
 そう言って、私はしゃがみ込んだ両膝をM字に大きく開きます。
「えっ、こちらって、どこ?わかんない」
「マゾ子の、恥ずかしいところ、ですぅ」
「恥ずかしいとこ、って、マゾ子は存在自体が恥ずかしいじゃん」
「だ、だから、マゾ子の、お、オマンコにですぅ」
「マゾ子の小汚いドスケベマンコでしょ?」
「はいぃ、マゾ子の薄汚い淫乱ドスケベオマンコにくださいぃ」
 キャハハハと、3人の愉しそうな笑い声が響きます。
 
 そして・・・


独り暮らしと私 17


2013年6月22日

独り暮らしと私 15

「おっけ。それじゃあヨシノにまかせるわ」
 他のふたりがうなずいて一歩後ろへ下がり、ヨシノと呼ばれた女の子が私の前に立ちました。

「マゾ子、本当にうちらが来る前、ここでオナニーしてたの?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「さっきの試合でめいっぱい辱められて、からだに火が点いちゃったんでしょう?マゾ子って露出狂ぽいもんね?」
「・・・」
「疼いちゃったんでしょ?マゾだからしょうがないわね。で、イったの?」
「あ、いえ、いいえ・・・」
「イク前にうちらが邪魔しちゃったってワケか?悪いことしちゃったね」
 ヨシノさん、唇に薄い笑いを浮かべつつ、妙にやさしい口調。

「じゃあさ、つづき、やっていいよ」
「えっ?・・・えっと・・・」
「だから、つづき。うちらが見ててあげるからさ。イっちゃいなよ」
「・・・今、ここで、ですか?」
「そう」
「で、でも・・・」
 ヨシノさんの目がスーッと細くなって眉根が寄りました。

「あのね、ドレイには、でも、とか、だって、とかの言葉は許されないの!」
「マゾ子、さっき教えてやったでしょ?あたしの言葉は全部命令!マゾ子は絶対服従!」
「うちらが来る前にやってた通りに、すればいいだけ。簡単じゃん」

「わ、わかりました・・・」
 ヨシノさんの迫力に気圧されて、観念しました。
 私の恥ずかしい水溜りがあるシャワーブースに再び入り、奥の壁にもたれ、左手はウェアの上からバストに、右手はスコートの中へ潜らせます。
「やるからには、ちゃんとイキなさいよ?手を抜いてフリとかしたらまたお尻ひっぱたくからね」
「は、はい・・・」

 もぞもぞと両手を動かしてみますが、なかなか集中出来ません。
 誰かに視られている、という状況自体は、私の性癖にとって嬉しいことなのですが、ヨシノさんたちが、このまますんなり最後まで大人しく私のオナニーを見物しているだけ、とは到底思えないので、その後どうされちゃうのか、そんな不気味さのほうが勝ってしまっています。
 3人は、それぞれブースの壁にもたれて、ジーッと私を見つめています。

「へー、意外と普通なやり方なんだ。でもちょっとスコートじゃま。マンコが見えない」
「さっきの試合のときみたく、めくりっぱにしなさい。裾挟んで」
 ヨシノさんのご命令口調。
「早いとこマッパにしちゃえばいいじゃん」
 ひとりが笑いながら言うと、すかさずヨシノさんが、
「のんのんのーとるだむ。わかってないねー。中途半端にだらしなく服着てるとこが萌えるんじゃん。隠せるのに隠せない、みたいな。ね?マゾ子?」
 私に同意を求めてきます。
「あ、はい・・・」
 私は、いったん指を抜いて、スコートの前と後ろをウエストに挟み込みました。

「へー。言われなくても後ろもめくるとこなんか、よくわかってるじゃん」
「ホント見事にいやらしいパイパンだよねー。ドスケベさが滲み出てる、って感じ」
「あっ、マゾ子みたいな女は、嘲笑われたり罵られるとキュンキュン感じちゃうはずだから、ふたりともどんどん思ったこと言っちゃっていいよ」
 他のおふたりがケラケラ笑ってうなずき、私の全身を舐めるように見つめてきます。

「しっかし人前でオナニーなんて、よく出来るよねー」
「だってこいつはヘンタイ露出狂だもん。そんな恥ずかしさがマゾには超気持ちいいんでしょうよ」
「うわっ、マンコがグチュグチュいってるよー」
「腰をクイクイ動かしちゃって、まさにサカッてる犬みたい!」
「見てよ、あのうれしそうなアヘ顔。しかもこっちにマンコ突き出してきてるし」

 今の私の様子を、耳を塞ぎたくなるようなお下品なお言葉で形容され、そのお言葉のひとつひとつに敏感に反応してしまうドマゾな心とからだ。
 最初のうちこそぎこちなかった指の動きも、さっきと同じくらいの熱心さになってきました。
「んーっぅぅぅ」
 気を抜いたら途端に洩れてしまう悦びの嗚咽を、真一文字に唇を結んで懸命にこらえます。
 心のどこかにまだ、こんな恥ずかしいことを好き好んでやっているのではない、と年下の彼女たちに思わせたい気持ちがあるのでしょう。
 マゾでも露出狂でもなく、ご命令だから仕方なく従って、強制的にオナニーさせられている可哀想な私・・・

「ほら、マゾ子、遠慮しないで声もどんどん出していいよ」
 私の心を見透かしているかのように、ヨシノさんがニヤニヤ笑いで言いました。
「マゾ子のいやらしいアヘ声、聞かせなさい」
 そのお言葉を聞いた途端、さっきまでのがまんはどこへやら、私の唇から堰を切ったように淫ら声が溢れ出てきました。
「ああああーっん、んっんっんっーー」
「ううーんっ、ぅぅぅぅ・・・」
「あっ、いいっ、いいっ、ぃいぃーーっ!」
 自分のおっぱいを激しく揉みしだき、指の抽挿もテンポアップ。
 ぐんぐん昂ぶっていきます。

「うわー。いやらしい声!今度は、春先のサカった猫だね」
「ちょっと、マゾ子、超マジじゃん。うちらに見られててもおかまいなしかよ?」
「よだれまで垂らして、顔がどピンク。マジイキだよ?信じらんなーい!」

「あっ、あっ、あっ、あっ・・・」
 快楽のゴールはすぐそこ。
 腰がピクピク痙攣し始めます。
「ちょっとマゾ子、イクときはちゃんと言いなさいよ。マゾ子イきまーす、って大きな声で!」
 ヨシノさまが私にもう一歩近づいて来ました。
「あんっっ、あんっ、あ、は、はいぃぃ」
 両手の動きは止めず、身悶えしながらなんとか答えます。

「それから、目は絶対つぶっちゃだめ。うちら全員をちゃんと見ながらイクこと。わかった?」
「あっ、はぃっ、はぃぃーーっ!いっ、いっ・・・」
 快感に埋没したくてつぶっていた目をご命令通り開けると、目の前にヨシノさまのお顔がありました。
 笑いを含んだ、思い切り私を見下しているサディスティックな瞳。
 その瞳と目が合ったとき、私の絶頂への最後の扉がゆっくりと開き始めました。

「あっ、あっ、いっ、いっ、ィき、ィきまっ、まぞっ、いきまーっ、あっ!」
 大波がゾゾゾッと爪先から駆け上がり始めた瞬間、激しく動いていた私の両手首ががっちりと掴まれました。
「いやっ!」
 行為を続行しようとからだをくねらせますが、両手首を掴んだ力はとても強く、そのまま私のからだから引き剥がされてしまいました、
「はい、そこまでー。おしまーい」
 心の底から愉しそうなヨシノさまのお声。
 私の両手首を掴んだまま強引に左右に広げ、磔みたいな形で私を壁に押し付けてニヤニヤ笑っています。
 必然的にふたりのからだは、抱き合うかのように接近し、私の眼前すぐにヨシノさまのお顔。
 少し首を動かせば、ヨシノさまの唇にキス出来そうなほど。

「まさかそのまますんなり、イかせてもらえるなんて思ってたの?」
「なワケないじゃん?マゾ子が気持ち良くなったところで、うちらぜんぜん面白くないし」
「うちらはあんたをイジメに来たんだからさ。そういうの、好きなんでしょ?」
 私は、イヤイヤするように首を振ります。
 あともう一歩でめくるめく快感にたどり着けたはずの全身が、ピクピクピクピクあちこちで抗議の痙攣をくりかえしています。

「何、その恨めしそうな目つき。ドレイの分際でっ!」
 私の剥き出しな土手に、ヨシノさまの右膝が、膝蹴りするみたいに押し当てられました。
「ああんっ!」
「うわっ、こんなとこまですんごく熱くなってる。それに本気汁でベチョベチョだし。きったねーなー」
「マゾ子はこの膝を、もっと下にあてて欲しいんでしょ?」
 ヨシノさまの瞳をすがる思いで見つめて、コクコクうなずく私。
「だが断る。こんな汚い淫乱マンコに、さわりたくもないね」
 そのまま下腹部をお膝でグリグリ押されます。
「ああーーっ、いたいですぅ」
 そう言いながらも、私は懸命に背伸びをして、ヨシノさまのお膝が私の土手より下にあたるよう誘導を試みます。
 その行為を嘲笑うかのように、ヨシノさまのお膝は上へと逃げていきます。
 弄って欲しいところへ微妙に届かない、もどかし過ぎる蹂躙に、イけなかったからだが猛烈に疼いてしまいます。

「こんなふうになったら、もうこいつは、イかせてもらう為だったら、何でもやるはずだよ。どんなみっともないことでも、恥ずかしいことでもさ、ね、マゾ子?」
 ヨシノさまが私の手首を離し、おふたりのほうに向いてそう説明してから、再び私に同意を求めます。
 私は、自発的に磔の形をキープしながらも、自分の秘部に手を伸ばしたくてウズウズが飽和状態。
「はいっ、どんなことでも、何でもしますから。だからどうか、どうかマゾ子をイかせてくださいぃ」
 とうとう自分で言ってしまいました。

「うひゃーっ。自分でマゾ子って言っちゃってるよー。底無しのドヘンタイ女だなー」
「ちょっとひいちゃうよね。でもお望みなんだから、何かさせたいねー」
「マッパでテニスコートに放り出そうか?でも、コートじゃ生ぬるいかー。いっそ街中に連れてく?」
「その様子をビデオで撮ってネットで売ったら、金儲け出来そうだねー」
 はしゃぎながら言い合うおふたりを笑って見ていたヨシノさまが、私のほうに向き直りました。

「何してもらうかはまた後で考えるとしてさ。あたし、マゾ子のこと、もっとよく知りたいんだよね」
「マゾ子がどのくらいヘンタイなのか、ちょっとインタビューするからさ。正直に答えなさいよ?」
「マゾ子はそこに座って」
 ヨシノさまが、各ブースに一個づつ置いてあるプラスティックぽい椅子、お風呂場に良く置いてある丸っこくて腰掛けるだけのやつ、を私の前に置きました。

「は、はい・・・」
 壁に預けていた背中を離し、おずおずとそこに腰掛けます。
 スコートの裾は前後ともめくれ上がったまま、裸のお尻をピンク色の合成樹脂っぽい表面に直に乗せました。
 椅子の高さは40センチほどなので、腰が膝より少し沈むくらい。
 もちろん左右の膝頭はピタッとくっつけて座りました。

「もう少し浅く座って」
 言われた通りに腰を少し前へずらします。
「両膝を広げて」
「えっ?」
「早く!」
「は、はい」
 両手で股間を隠してから、ゆっくり膝を左右に広げます。
「何をいまさらぶりっ子してんの?手は後ろっ!」
「はい・・・」
「もっと広げて、がばーっと」
「もっと」
「もっと」
「あああ・・・」
 言われるままに、私の両膝はほぼ180度にまで開いています。
 両手は組んで背中に。
 ワレメのスジがぱっくり開いて中身が丸見えのはず。

「意外とからだやわらかいのね。何かスポーツ、やってたの?」
「あっ、いえ・・・」
 バレエをしてたなんて言ったら、もっとひどい格好をさせられそうなので嘘をつきます。
「そうでしょうね。テニス、下手くそだったもんね。まあどうでもいいや。おっぱいも出しなさい」
「えっ?」
「さっきみたいにウェアまくり上げて、そのいやらしいおっぱいも見せなさい、って言ってるの」
 ヨシノさまがデッキブラシの柄で、私のウェアの裾をつつきます。
「は、はい・・・」

 ウェアを裾から巻き上げながら折りたたむようにして、乳房の上までまくり上げました。
「留めておく洗濯バサミとかないから、ずれ落ちちゃうかな?でもまあ、そのいやらしく尖ってる乳首にひっかかるから大丈夫そうね」
「それじゃあ、最後の仕上げ」
「自分の両手で、マンコをもっと押し広げなさい」
「えっ!?」
「あたしは、マゾ子のその、イきそびれたいやらしいマンコの奥をじっくり見ながらインタビューしたいの。だから早く広げなさい」
「ただし、広げる以外は、何一つしちゃダメだからね。ただビラビラを左右に広げて奥を見せるだけ。さあ早く!」

 自分の手がワレメの一番外側の唇に触れたとき、ビクンとからだが震えました。
 出来ることなら、このまま指を突っ込んで掻き回しちゃいたい。
 これ見よがしに飛び出している肉の芽をひねりつぶしてイっちゃいたい。
 でも、それが出来るようになるには、まだまだ耐え難い恥辱を受けなければいけないようです。
 左右の内腿の皮膚を外側へ集めるように、ゆっくりと両手でその部分を押し広げます。
 溜まっていた蜜がトロリと肛門のほうへしたたり、ヨシノさまたち3人の興味シンシンな視線が私の性器に突き刺さりました。


独り暮らしと私 16

2013年6月15日

独り暮らしと私 14

 マッチポイントは、あきらかに狙われていたのだと思います。
 ゆるいボレーとドロップショットでネット際におびき出された私のからだめがけて、鋭いスマッシュが飛んできました。
 咄嗟にからだを開いてかわそうとしたのですが一瞬遅く、矢のようなボールが左の乳房を横からかすめ、乳首の洗濯バサミが左右2本とも、ものの見事にキレイに弾き跳ばされました。
「あぁっうぅぅーんっ!」
 乳首をひきちぎるような、その甘美な激痛に堪らず大きく喘いで、その場にうずくまってしまう私。
 内腿をドクドクとえっちなおツユがしたたっていきます。

 ざわついていた観衆が束の間しんと静まり返り、すぐに弾けたような大歓声と拍手が広がりました。
「あの子、コートでマジでイっちゃったんじゃない?」
「本当に気持ち良さそうな声だったよねー」
「信じられなーい!ドヘンタイ!」

 大騒ぎな観衆をたしなめるように、試合終了を告げるホイッスルが響き、私はよろよろと立ち上がり、コーチの前にお相手とふたり、並びます。
 シーナさま似のコーチは、苦笑いのようなものを浮かべて私のウェアを上下とも直してくださり、私からラケットを取り上げて代わりにデッキブラシとモップを渡されました。
 そして、まず無言で私のサイドのコートを指差し、次にシャワールームへつづく通用口を指差しました。
 あなたが汚したコートの床をキレイに拭いて、それからシャワールームを掃除してきなさい。
 そういう意味でしょう。

 あまりの恥ずかしさとみじめさにうつむいて、モップの先だけを見つめて床を拭いていると、さっきまで見物人だった人たちがゾロゾロとコートに集まってきました。
 どうやらこれから、通常のレッスンが始まるようです。
 
 モップをせっせと滑らせている私を遠巻きにして、てんでにストレッチや屈伸運動を始めています。
 からかいや蔑みの言葉がかけられるでも無い、衣擦れだけが聞こえる静寂の中、ただただ好奇と侮蔑に満ちたたくさんの不躾な視線が、私の全身に浴びせられていました。
 逃げるように通用口へと駆け出す私・・・

 試合終了のとき、リビングルームの鏡の中の私は、ラケットのグリップを左乳首の洗濯バサミに横からあてがい、勢い良く右へと滑らせました。
 乳房が右側へプルルンと派手にひしゃげながら歪み、ふたつの洗濯バサミがバチバチッと一気に右方向へ弾け跳びました。
「ああーーーっつぅーーうーんんっ!!!」
 両膝が崩れ落ち、その場にへたりこみます。
 乳首発の激痛は、全身を駆け巡るうちに大きな快感に変わって両腿の付け根に集積され、悦びの液体となって太ももをヌルリと滑り落ちました。
 腰全体がビクンビクンと何度も波打ちます。
 ああんっ、イっちゃった・・・

 快感の余韻に、ヒクつく私のからだ。
 頭の半分でその余韻に浸りながらも、もう半分では、更なる恥辱へとストーリーが淡々と進んでいました。
 進んでいく脳内妄想に急き立てられるように、膝立ちの四つん這いでよろよろとバスルームへ向かいました。

 このスポーツクラブのシャワールームは、中央にタイル張りの広めな通路を挟んで、扉付きのシャワーブースが左右に5つずつ並んでいる構造。
 今は誰も使っていないので、各シャワーブースの扉がすべて内側に開かれている状態。
 ここのお掃除は、これまでレッスン生全員の当番制だったので、体験済みでした。
 通路の突き当たりにある洗面台の蛇口にホースを繋ぎ、お水を床に撒きながらデッキブラシで通路と各ブース内部をゴシゴシ。
 これからは毎週、私がこの格好で、やらなければいけないのです。

 あんなにも手ひどい辱めを受けたのに、いいえ、受けたからこそなのですが、私のからだはムラムラでオーバーヒート寸前でした。
 からだ全体が強烈に、もっともっと直接的、物理的に虐めて欲しがっていました。
 誰もいないのだから、ここでちょこっと自分を弄って慰めて、落ち着いてからゆっくりお掃除をしよう。
 そう考えるのは当然です。

 一番奥のシャワーブースに入り、扉は開けたまま壁にもたれます。
 デッキブラシは傍らに立てかけ、空いた右手をスコートの中に潜り込ませます。
「あふんっ」
 指二本がツルンと難なく這入ってしまいます。
 左手はウェアの上から右おっぱいを鷲づかみ。
「ああんっ」
 そのまま腰を前後に揺らし始めます。
 人差し指と中指を迎え入れては追い出す私のアソコ。
 チュプチュプチュプ・・・
「うぅーんっ、うっうーん」
 更なる刺激を渇望していたからだは、いとも簡単に登りつめていきます。
「あーんっ、いーーっ、いーくぅーーっ!」

 ガチャン!
 もうすぐてっぺん、というそのとき、シャワールームのドアが開く音がしました。
 つづいてパタパタという複数の足音。
 私はあわてて秘部から指を抜き、着衣を直してデッキブラシを手にしました。

「あれー?誰もいないよ?」
「逃げちゃったのかな?あいつ」
「あそこまで恥さらしちゃったら、そりゃあ逃げたくもなるわよねー」
 愉快そうに弾んだお声に、ビクンとからだがすくみます。

 私は、さもさっきからずっとお掃除をしていたフリで、デッキブラシの先をシャワーブースの外に滑らせます。
「あっ、あそこにいるみたい」
 ひとりが言って、バタバタと足音が近づいてきました。

「ああ、いたいた。マゾ子ちゃん」
「うちら、あんたがちゃんと掃除しているか見てきて、ってコーチに言われたのよ」
 私はまだ動揺していて、彼女たちに視線が向けられません。
「あっ、そ、そうなのですか。ご苦労様です」
 うつむいたままお礼を言っていそいそ、お掃除に集中しているフリをします。

「本当に面白いショーだったわよね。あんな恥さらしなマネ、あたしには死んでも出来ないわー」
「マゾ子ちゃんのおっぱい、きれーだったよ。ねえ、もっかい見せてよ?」
「ねえ、マッチポイントのあれ、やっぱ本当にイっちゃったの?ねえ?ねえ?」
 楽しくて仕方ない、という感じ丸出しのはしゃいだお声は、なんだかまだ幼さが残る若々しさ。
 意を決して視線を上げました。

 私を監視に来たのは3人。
 スクールのレッスンでは、お顔を合わせたことの無い人たちでした。
 3人お揃いで羽織っているスウェットパーカーに校章のようなものが入っているから、まだ高校生?
 それが無くても、遠慮の一切無いなれなれしいしゃべりかたや、好奇心満々のキラキラした瞳を見れば、明らかに3人とも私より年下。
 似たような茶髪で塗り過ぎなメイク、見るからにイジワルそうに見下したお顔で、3人が私をニヤニヤ見ていました。

「ねえ、うちらさっきから質問してんだよ?何シカトしてんのよ?」
 リーダー格らしい、一番イジワルそうな子が私の肩を指でグイッと押しました。
「あっ、ごめんなさい。何でしたっけ?」
 この子たちは、これから私をどうする気なのだろう?
 期待と不安で胸がドキドキ。

「何でしたっけ、じゃないわよ。試合前にコーチが言ってたでしょ?」
「あの試合に負けたほうは、このスクールの一番下になって、服従とご奉仕が義務になるって」
「つまり、あんたはうちらみんなの、言わばドレイになったのよ。すべてに服従して、絶対逆らえないってワケ」
「だから早速うちらが遊んであげようと思って来てやったのに、その態度は何?」
「あっ、ごめんなさい。失礼いたしました・・・」
 すがるような目で彼女たちを見つめてしまいます。
 私のマゾっ気がみるみるうちに心を支配して、ゾクゾク感じてきています。

「やだ、こいつ目をウルウルさせちゃって、マジでドマゾなんだ」
「今日からあんたの名前はマゾ子になったから。うれしいでしょ?」
「コーチもみんなもそう呼ぶってさ。よかったね、マゾ子?」

 この年代の、とくにこういうタイプの女の子たちは、一度嫌ったり軽蔑したり見下した同性に対しては、とことん残酷になれるものです。
 女子同士のイジメほど陰湿なものはない、とはよく言われること。
 スクール公認で私というおもちゃを手に入れた彼女たちは、私をいたぶることしか考えていない様子。
 私は、逆らわないことに決めました。

「ほら、うれしいか、って聞いてんだよっ?」
 ひとりが私のテニスウェアの胸倉を掴み、お顔を寄せてきました。
「は、はい。嬉しいです・・・」
「キャハハハ!うれしいだってー。さすがマゾだねー」
「素直でいいじゃん。最初っからそうしてればいいんだよー」
 3人が笑い転げます。

「じゃあさ、マゾ子はなんで、マンコに毛が無いの?」
「そ、それは、私、もともと薄いから・・・」
「嘘つけ。どうせどっかのヘンタイ男にでも剃られちゃったんだろ?マゾ子、スケベそうだもんねー」
「まあ、マゾだからお似合いって言やーお似合いじゃん」
「でもよくそんなもん、人前に晒せるよねー。恥ずかしい女!」

「だいたいドレイのくせに、デッキブラシなんて贅沢なもの使っていいワケ?ドレイはドレイらしく四つん這いで雑巾がけだろ?」
 デッキブラシを奪い取られ、代わりに濡れ雑巾を投げつけられました。
「ほら、もう一回、通路からやり直し!」
 シャワーブースから追い立てられ、通路に出たところで背中を押さえ付けられ、タイルの上に正座させられました。

「マゾ子がサボらないように、うちら向こうとこっちで見張ってるから、一生懸命、心を込めて雑巾がけしなさいよっ?」
 ひとりがドアのところまで行って、こちらを向いて立ちました。
「はい、それじゃあ雑巾がけ、はじめっ!」
 私は、意を決して四つん這いになり、ドアのほう目がけて雑巾を滑らせました。
 スコートの短い裾は、高く上げた腰のために引力に従って背中のほうへとめくれ上がり、まったく用を成していません。

「うひゃー!お尻丸出しー」
「って言うか、マンコもコーモンも丸見えじゃん。ミットモネー、カッコワリー」
「なんだか本当に犬みたいだよね。マゾ女のことをよくメス犬って呼ぶの、初めて実感できたよー」
 3人が大きな声で言い合いながらゲラゲラ笑っています。
「ほらほらー、もっとおケツを突き上げなさい、マゾ子ちゃーん」

「まだまだ半分も終わってないわよっ!」
 ドアのところにいる子が笑いながら、私が奥へと戻るときに体勢を変えて向けた丸出しのお尻を、突然バチンと平手ではたきました。
「あはーんっ!」
 予期せぬ刺激に、自然と淫ら声が出てしまいます。
「やだーっ。あはーんって何よ、あはーんって。マゾ子、こんな状況でもサカってるの?」
「あたりまえじゃん。それがマゾだもん。うちらが虐めるほど悦んじゃうのよ」
 それから、私が方向転換をするたびに、思い切りお尻をぶたれるようになりました。
 そのたびに喘いでしまう私。

「マゾ子のお尻、まっかっかー」
「すごい熱持ってそうだよね。見てるほうが痒くなっちゃう」
「ああされてもまだ、悦んでるのよねー。マゾってマジすごいわー」

 もうすぐ通路の雑巾がけは終わり、という頃に、ひとりの子が言い出しました。
「ところでさー、さっきから不思議だったんだけど、マゾ子、掃除してたはずなのに、ホースが出てなくね?通路も濡れてなかったしさ」
「そう言えばそうね。ちょっとマゾ子!」
 再び奥のシャワーブースの前で3人に囲まれます。

「うちらが来るまでに30分くらいあったわよね?マゾ子、その間、何してたの?」
「し、試合で疲れてしまったので、ちょっと休憩してから・・・お、お掃除を・・・」
「さ、最初は乾拭きがいいかな、って・・・」
「うちらが来たとき、マゾ子はそのブースから出てきたわよね?デッキブラシ持って」
 ひとりが指差したブースをもうひとりが覗き込みました。
「あーーーっ!」
 覗き込んだ子が大声をあげ、指差す方向を見ると・・・
 ちょうど私がもたれていた壁の足元にあたる床に、見るからに粘液性な白濁液の大きめな水溜りが出来ていました。

「あれって、スケベ汁じゃない?」
「ちょっとマゾ子、どういうこと?」
「掃除もしないで優雅にひとりエッチかよ」
 3人が呆れたお声で私に詰め寄ります。

「ご、ごめんなさいっ!」
 私は、バレてしまった恥ずかしさと、彼女たちがこれからもっと残酷になっていくであろうという予感に打ち震え、身悶えしたいほど感じながらも、ただただうつむいています。

「ねえ、こっから先は、あたしに仕切らせてくれない?」
 3人のうち、一番普通っぽい感じだった子が、他のふたりに突然の提案。
「マゾ子見てたら、あたしもガマン出来なくなっちゃった」
 さっきドアのほうで、私のお尻を最初に叩いた子です。

「実は、あたしもけっこうSM好きでさ。って言ってもあたしは根っからのSなんだけどね」
「その手の小説やマンガ読み耽って、あこがれててさ。一度でいいから、可愛い子ぶった年上の女を徹底的に恥まみれにして、泣くまで虐めてみたかったんだよね」
「ゆくゆくは、ノーマルなイケメン男を、あたしだけのマゾ奴隷に調教するのが夢なんだけどね」
「まずは同性を虐めるところから始めてみようか、って思ってたんだ」
「マゾ子くらいドヘンタイ女なら、あたしも手加減無しで、思ってたこといろいろ試せそうだしさ」
 そう言いながら、その子は私の全身を舐めるように見て、ニヤリと笑いました。


独り暮らしと私 15