2010年8月16日

お医者さんごっこと私 03

「うーーん。これは大変かもしれません。そのおズボンも脱いでベッドに来てください」

 由美ちゃんがすごく深刻そうな顔をして私に言います。

「ええーっ!?」

 この上、ジーンズまで脱げという要求です。

「ねえ由美ちゃん?お母さんとか、絶対入って来ないよね?」

 私は念を押しました。

「だいじょうぶ。まだ3時半だし、この家には私たちしかいないもの」

 由美ちゃんが素に戻って答えます。

 私は観念して、恥ずかしさにドキドキしながらジーンズをソロソロと脱ぎました。
 また由美ちゃんがハンガーにかけてくれます。
 私はとうとうショーツ一枚と白いハイソックスだけの裸になってしまいました。

「ではこのベッドにうつぶせに寝てください」

 由美ちゃんは座っていた椅子をベッド脇までひっぱっていき、ベッド脇に腰掛けました。
 私は言われた通りに、由美ちゃんが普段寝ているのであろうベッドに上がり、うつぶせになりました。

 立ち上がった由美ちゃんが、私の裸の背中からショーツのゴムのあたりまでを右手でペタペタと撫ぜています。
 そして左手をベッドのシーツと私のお腹の間にすべりこませ、またグイグイとお腹を押してきました。
 しばらくそうした後、左手を抜いて私の枕元にしゃがみこみ、言いました。

「やっぱりそうですね。でも安心してください。この病気は、お浣腸をすれば治ります」

「えっ!?」

 お浣腸、っていうのがどういう行為なのか知らなかった私は、どう反応していいのかわからずドギマギしていました。
 そのあいだに由美ちゃんは、私のショーツのゴムに手をかけてスルスルっと脱がせてしまいました。

「えーーっ!?あ、あの由美ちゃん!?やだーーーーっ!」

 あまりにも当然のように脱がされたので、呆気にとられて抗議の声を出すだけ。
 私はとうとう丸裸にされてしまいました。
 身に着けているのは白いハイソックスだけです。
 脱がされたショーツは、勉強机の上に置かれました。

 もっと怒ったり、抵抗したり、泣いたりもできたはずです。
 でも、なぜだかそういう気持ちにはなりませんでした。

 遊びに来たお友達のお部屋で夕方、着てきた服を全部脱いで丸裸になっている私。
 お友達がジーっと見ている前で、お友達のベッドの上で裸のお尻を晒している私。
 普通ならそんなこと絶対ありえないのに、そうなってしまった私。

 そんな私がとてもみじめで、かわいそうで、死にそうなくらい恥ずかしくて…
 でも、そんな私をドキドキしながら見ているもう一人の自分がいて…
 
 そっちの自分には、この恥ずかしさがとても気持ち良かったんです。
 真赤に火照った顔をシーツにうずめて、からだをピクピクさせながら言いようのない恥ずかしさに耐えていました。

「それでは、そこで四つん這いになってください」

 由美ちゃんがまた、信じられないくらい恥ずかしい要求を口にしました。

「そ、そんなぁ…」

 でも私は、その要求にも素直に応じる気です。
 ブルブルと震えながら、お尻を持ち上げてベッドに膝を付きます。
 同時に両手をベッドについて踏ん張り、背中を上げて行きます。
 隠していた火照った顔も由美ちゃんに見られてしまいます。

「もう少しお尻を上にあげてください」

 由美ちゃんが容赦なく追い討ちをかけてきます。

「は、はい…」

 操られているように素直に従ってしまう私。
 上半身を支えていた両手を両肘に切り替えて落とし、お尻だけををグイっと突き上げる格好になりました。
 まるで、伏せ、を命令されている大きなワンちゃんみたいな格好です。
 これだと由美ちゃんにお尻の穴もオシッコのところも、丸見えになっていることでしょう。

 恥ずかしいのに、断りたいのに…
 だんだんと自分をもっともっとイジメたい気持ちになっていました。

 ねえ由美ちゃん、直子のこの恥ずかしい格好、もっとよく見て…
 直子のお尻の穴とオシッコのところ、どう?…
 直子、恥ずかしいことするの、とても好きみたいなの…
 直子にもっと恥ずかしい格好、させて…

 そう言いたくてたまらない気持ちになっていました。

 由美ちゃんは私のお尻にペタンと両手をついて、軽くモミモミしていました。
 それから右手を伸ばして椅子の上に置いてあったピンセットで脱脂綿をつまみ、コップの水に浸してから、私のお尻のほうにソロソロと持っていきます。
 水のしずくがポトポトと私のお尻を濡らします。

「ひゃんっ!」

 思わず大きな声が出てしまいました。

 濡れた脱脂綿がお尻の穴のところにあてがわれました。

「ひーんっ」

 冷たい感触がお尻の穴を包みます。
 由美ちゃんは、脱脂綿の上から指をあてて、お尻の穴をやんわりとスリスリしてきます。

「あんっ、ちょ、ちょっと由美ちゃん?そ、そこは、キ、キタナイよ?…」

「だいじょうぶです。安心しててくださいね」

 由美ちゃんは、大人の人のような落ち着いた声で、私に答えました。

 不意に脱脂綿がお尻の穴から離れました。
 外気に晒されてお尻の穴周辺が湿っていることが、自分でもわかります。

「それでは、力を抜いていてください」

 由美ちゃんはそう言って、私のお尻の穴の両脇のお肉をグイっと左右に押し開きました。

「いやーんっ!」

 お尻の穴が広がる感覚に身悶えするほどの恥ずかしさが全身を駆け巡ります。
 右頬をシーツ越しのお布団に押し付け、両手でシーツをギューっとつかんで、お尻は大きく上に上げたままこの屈辱的な状況の恥ずかしさを必死に耐えました。

「それでは、やりますよ、お尻の力を抜いてくださいね」

 由美ちゃんの声が聞こえて、お尻の穴に何か冷たいものが押しあてられました。
 たぶん、あの大きな注射器です。
 先っぽの丸まったところが、私のお尻の穴に少しだけめりこんでいるみたい。

「あーんっ、いやーっ!」

 由美ちゃんは、そのまま注射器のピストンのとこをゆっくりと少しずつ押しているようで、お尻の穴からからだの中にちょっとだけど空気が入ってくるような感じもしています。

「だめだめだめーっ!」

 そのとき、お部屋のドアがバタリと開く音がしました。
 私はあんまりビックリしすぎて固まってしまいました。

「あ、ヒロユキ。おかえりー」

 由美ちゃんが手を止めて、ドアのほうを振り返りながら言います。

 ヒロくんは、由美ちゃんの弟くんです。
 この1、2年病気がちなので、由美ちゃんちに遊びに来てもあまり顔を合わすことはありませんでした。

「ちょうどよかった。今なおちゃんとお医者さんごっこやってるの。ヒロもまざる?」

「やるーっ!」

「じゃあ、ヒロは患者さんのお尻を支える係りね。こっちに来て」

 二人はそれがさも当然のように、丸裸の私をはさんで普通に会話をしています。
 私は思いもよらない展開に裸を隠すことにも頭がまわらず、そのままの格好で恥ずかしさにプルプル震えていました。

「なおちゃん?ヒロユキもまざるって。ヒロ、ずっと入院してたから、なおちゃんが会うのも久しぶりだよね」

 ベッドのシーツにうずめていた顔をおそるおそる上げて、その男の子の顔を見ました。

 えーーーーっ!!!?

 あの、運動会のときに私が見つけた可愛い男の子がヒロくんでした。
 私がヒロくんに最後に会ったのは、確か私が3年生に進級したとき。
 ヒロくんの頭は坊主刈りで、由美ちゃんと弓子ちゃんと四人で由美ちゃんちでトランプしたとき以来のはずです。

 そんなことを考えているあいだにヒロくんはベッドに上がって来て、私の裸のお尻を両手でペタリとさわり、私のお尻の穴を広げてきます。

 まさか、私が毎日校庭で姿を探していた、あの憧れの男の子が、今まで何度も会ったことのある由美ちゃんの弟くんだったなんて…
 その憧れの男の子の前で、今の私の格好ときたら…
 丸裸にされて、お尻の穴を広げられて…

 どうして、なんで、私がこんな目にあわなきゃいけないの?…
 そんな自分がすごくかわいそうで、みじめで、でもそれがなぜだか気持ち良くて…

 私の恥ずかしさが頂点に達していました。


お医者さんごっこと私 04

2010年8月15日

お医者さんごっこと私 02

 イケナイコトをするのですから、時と場所を選ばなければなりません。
 母親や家族には絶対みつからないように、お医者さんごっこをやるためには、

『家族がみんな出かけて家にいなくて、いつごろ帰ってくるかだいたいわかっている時』

 という条件が必要です。

 弓子ちゃんちはお店屋さんなので、ご両親がいないことはめったにありません。
 必然的に私の家か由美ちゃんちになります。

 私の家では、おもちゃや遊び用具がたくさんあったためか、あまりお医者さんごっこはしなかったように記憶しています。
 なので、普通に遊んでいる時に由美ちゃんが、

「あさっては、うち誰もいないんだ」 

 って言うと、私と弓子ちゃんに何か特別な用事がない限り、その日は確実に三人でお医者さんごっこをすることになります。

 患者さん役は、最初のうちは一応三人でかわりばんこにやるルールだったはずでした。
 でも、由美ちゃんはお医者さん役が一番やりたいみたいで、弓子ちゃんは患者さん役をいつもすごく恥ずかしがり、大きいお注射のハンデもあったので、いつのまにか私ばかり患者さん役になるようになっていました。

 私ももちろん、胸やお尻を出すのはすごく恥ずかしいんですが、その恥ずかしさで得られるドキドキ感が気持ちいいことに、いつしか気づいてしまったみたいです。
 私が患者さんをやれば、三人でいつまでもお医者さんごっこがつづけられる…
 そんな変な使命感まで持っていたみたい。

 弓子ちゃんも看護婦さん役ばかりではやっぱりつまらないらしく、いつの間にか、まず弓子ちゃんが患者さんになって胸をはだけて小さいお注射をもらった後、今度は私が患者さんになって、小さいお注射と大きいお注射をしてもらう、というルーティーンが1セットになっていました。

 と言ってもそんなに毎日できるわけじゃなくて、1カ月に一、二回くらいだったかな?
 確か初めてやったのが5月のお休みの後だったと思います。

 夏の間はプールに一緒に行っていたりしたので、お互い裸になり慣れていたせいか、あまりやりませんでした。
 
 9月に入って久しぶりに由美ちゃんちでやったときは、由美ちゃんも患者さんをやりたがりました。
 ルーティーン1セットの後に、今度は弓子ちゃんがお医者さんで、由美ちゃんが患者さんていう組合わせが追加されました。

 お互いが日に焼けていて、水着で隠れていた肌のとこだけ白くて妙に艶かしくも生々しくて…
 それをシャワー室とかお風呂場ではなくて、由美ちゃんちのお部屋の蛍光灯の下で見てる、見られている、っていう非日常感にすごく興奮したことを覚えています。

 そんな日々の中、10月の運動会で、私はすごく可愛い男の子を見つけました。
 徒競走のとき一生懸命走っていたその男の子は、背中のゼッケンから2年3組の子だとわかりました。

 まっすぐな髪のぼっちゃん刈りで、華奢で小さくて、目が大きくて女の子みたいな顔をした大人しそうな子でした。
 
 あんな弟がいたらなあ…毎日可愛がるのになあ…
 運動会の間中、その男の子の姿ばかりを目で追っていました。
 私の初めての恋、だったかもしれません。

 もちろん誰にも言わずに、教室の窓から下級生の体育の授業が見えるとその子を探す、くらいの恋でしたが…
 この頃が一番、私が母に弟妹をねだって困らせていた時期だと思います。

 11月の始め、由美ちゃんが何かの病気で2、3日欠席したことがありました。
 幸いたいしたことはなくて、次の週には学校に元気に顔を出しました。
 その日、一緒に下校した私は、

「後でわたしの家に来て。二人でお医者さんごっこやろう」

 と由美ちゃんに誘われました。

「弓子ちゃんは?呼ばなくていいの?」

「うん。ちょっと新しいシンサツをしてみたいの」

 由美ちゃんは、これは内緒よ、という感じで私の耳に口を近づけて囁きました。
 私は、なんだかゾクゾクっとしてしまいました。

 寒い日だったので、スリップの上にブラウスを着て、ジーンズを穿き、カーディガンも着てきました。
 由美ちゃんのお部屋は二階で、六畳間の洋室。
 勉強机とベッド、本棚と鏡台がきちんと整頓されていました。

 由美ちゃんが持ってきてくれたお菓子とジュースでしばらくは、クラスの他の子の噂やテレビ番組のお話をしていました。
 今日はご両親は、5時までは絶対帰って来ないそうです。

「そろそろ、お医者さんごっこ、始めようよ」

 由美ちゃんが嬉しそうに言いました。

 由美ちゃんは、かわいい茶色のワンピースの上にお父さんのものらしい白いだぶだぶのワイシャツを羽織って、すっかりお医者さんの先生に変身しています。
 勉強机の上には、いつものお医者さんごっこセットの他に、ピンセットや脱脂綿、お水の入ったコップなど、見慣れないものも置いてあります。

 私はもう一つの椅子に腰掛けて、由美ちゃんと対面しています。
 由美ちゃんの部屋はエアコンが効いて暖かかったので、カーディガンはもう脱いでいてハンガーにかけてありました。

「今日はどうされました?」

いつものように由美ちゃん先生が聞いてきます。

「このへんがちょっと痛くて…」

私は適当にお腹のあたりを押さえて答えます。

「それはいけませんねえ。ちょっと見てみましょう。お腹を出してください」

 ブラウスのボタンを全部外してはだけてから、スリップを胸の上くらいまでまくりあげます。
 このまくりあげる瞬間の恥ずかしさが、私は大好きでした。

 由美ちゃんがいつものように、耳にかけたおもちゃの聴診器をペタペタと私のお腹や胸に押し付けてきます。
 聴診器のからだにあてる部分は、おもちゃと言えどもアルミみたいな金属でできていました。
 ヒンヤリとした感触が心地いいです。

「背中を向けてください」

 私が椅子を回転させると、由美ちゃんは自分で私のブラウスとスリップをまくり上げて、露わになった背中に聴診器を押し当ててきます。

「はい。それではこっちを向いてください」

 いつもならここで小さいお注射を打つことになるのですが、由美ちゃんは下を向いて考え込んでいます。

「シンサツしずらいので、上を全部取ってください」

「えっ!?」

 今までのお医者さんごっこでは、胸をはだけてもブラウスや下着を脱ぐことはありませんでした。
 今日の由美ちゃんは、ブラウスとスリップを完全に脱ぐように要求しています。

 私はちょっと迷いましたが、やがてドキドキしながらブラウスの袖を腕から抜きました。
 脱いだブラウスを持ったまま、スリップの裾をジーンズから出して上にまくりあげて脱ぎました。

 私の上半身が完全に裸になりました。
 胸をかばうように持っているブラウスとスリップをどうしようか?とキョロキョロしていると、由美ちゃんが受け取ってハンガーにかけてくれました。
 私は両腕を胸の前で交差して隠しながら、赤くなってうつむいています。

「それではもう一度、シンサツしてみます」

 胸を隠している私の両腕をどかしながら由美ちゃんはそう言うと、今度は聴診器ではなく自分の右手で私の裸の上半身をさわってきます。
 肩からだんだんと手が下がってきて、胸、あばら、おへそとやさしく撫でています。

「あーーん、由美ちゃん、くすぐったーいー」

 私はワザとおどけて言ってみますが、由美ちゃんの顔はいたって真剣です。
 お腹のあたりに手のひらをあてると、力を入れてグイグイ押してきます。

「それではまた、背中を向けてください」

 今度は背中をやさしく撫でられました。
 背骨のあたりを撫でられたとき、ゾクゾクゾクっとくすぐったい気持ち良さがからだに走りました。

 再び由美ちゃんと向かい合いました。
 私はもう胸を隠すことはしませんでした。
 由美ちゃんに裸の胸をジーッと見られることが、なんだか嬉しかったんです。


お医者さんごっこと私 03

お医者さんごっこと私 01

 小学校3年生の頃、私たち一家は父の会社が用意してくれた一軒家二階建ての借家に住んでいました。
 とある地方都市のベッドタウンに位置する町です。

 私がものごころついて、幼稚園から小学校3年生の終わりまでその町にいました。
 まわりにはまだ自然も多くて、住宅街を少し離れるとのどかな田園風景が広がるのんびりした町でした。

 ご近所には同年齢くらいの子供を持っている家族が多く住んでいたので、私は毎日その子たちと元気に遊んでいました。
 その中でもとくに仲良し幼馴染な遊び友達の女の子が二人いました。

 同い年で小学校3年のときはクラスも一緒だった由美ちゃんと、一つ年下の弓子ちゃん。
 母親同士も仲が良くお互いのお家も近かったので、母親ぐるみでよく行き来していました。
 お誕生日的に年長さんな由美ちゃんがリーダーシップをとって学校から帰った後、誰かのお家に集まっては三人で仲良く遊んでいました。

 由美ちゃんのお父さんは、お医者さんでした。
 と言っても開業医ではなくて、その町から一番近い大きな駅の駅前にある総合病院に勤めていました。
 
 お母さんも元看護婦さんだそうです。
 一つ違いの弟くんが一人いて、やっぱりお姉ちゃん気質というか今思えば何かと仕切りたがる性格でした。

 弓子ちゃんちはパン屋さんで、遊びに行くといつもキレイなお母さんが甘い菓子パンとジュースを出してくれて嬉しかった。
 弓子ちゃんには、4つ上の当時小6になるカッコイイお兄さんがいて、そのお兄さんが弓子ちゃんのことをすごく可愛がっていました。

 弓子ちゃんが学校で男の子に泣かされて帰ってきたりするとお兄さんがすぐに、その泣かせた子をとっちめに行っていました。
 弓子ちゃんは背が小さくて甘えん坊ですっごく可愛いのだけれど、わがままが過ぎたりちょっとテンポがずれているところもあったので、そのへんが男の子としてはイジメ甲斐があったのかな?

 その三人の中では、私だけ一人っ子。
 家に帰っても遊び相手がいる二人が羨ましくて、当時、兄弟姉妹が欲しくてたまりませんでした。

 兄や姉はもう無理だとわかっていたので、弟か妹が欲しい、とずいぶん母にねだった記憶があります。
 
 母はいつも、

「なおちゃんがいい子にしていれば、来てくれるかもしれないわねえ」

って笑っていました。

 その数年後には赤ちゃんが生まれるまでの過程のことを知ってしまい、恥ずかしくなってパッタリ言わなくなりましたが…

 学校でも、窓際の席になったとき、校庭で下級生が体育の授業をしていると、可愛らしい子はいないかなあ、みたいな感じでじーっとお外を眺めていて先生によく叱られた記憶があります。
 可愛い子をみつけると、あの子が私の妹だったら弟だったら、こんなふうにして遊ぶのになあ、なんて空想して。

 どっちかって言うと妹が欲しかったな。
 そんな感じだったので私は、弓子ちゃんのことを妹のように可愛がっていました。

 由美ちゃんと弓子ちゃんと何して遊んでいたか思い出してみると、おままごとやお人形遊び、なわとび、トランプやゲームなど、その年頃の女の子が普通に好んでする遊びばかりだったと思います。
 弓子ちゃんちで遊ぶときは、トランプやゲームのときに、たまに弓子ちゃんのカッコイイお兄さんもまざってくれて一段と楽しかった。
 私もそうでしたが、由美ちゃんはすごく弓子ちゃんのお兄さんのこと、好きだったんじゃないかな?

 で、きっかけは忘れてしまったけれど私が小学3年生のとき、お医者さんごっこ、が仲良し3人組の遊びのレパートリーに加わりました。

 今思うと、由美ちゃんのお父さんがお医者さんだったことや、由美ちゃんが大きくなったら看護婦さんになりたい、っていつも言っていたからかもしれません。
 それと、由美ちゃんが 『お医者さんセット』のおもちゃを持っていたから。
 おもちゃの聴診器や注射器、お薬の袋なんかがセットになってるやつです。

 お医者さんごっこ、と言っても女の子三人で、です。
 一人がお医者さん、一人が看護婦さん、一人が患者さんの役。

 お医者さん役が、

「今日はどうしました?」 
「はい、それじゃあ見せてください」 

 みたいなことを言って、患者さん役がブラウスやシャツをまくってお腹や胸を出すと、おもちゃの聴診器をあてて診察のフリをします。

 ひとしきりさわった後、

「では、お注射をしておきましょう」

 お医者さん役が言って、看護婦さん役が濡らしたハンカチかなんかで腕の脈のところとか二の腕を拭きます。
 その後、お医者さん役がおもちゃの注射器を拭いた場所に突き立てます。

 由美ちゃんが持っていた『お医者さんセット』 には、小さな注射器と大きな注射器が入っていました。
 大きな注射器は、お尻用、ってなぜだか決まっていました。

お医者さんが、

「これはちょっと悪いですね。大きなお注射をしておきましょう」

 て言うと、患者さんは、その場にうつぶせになって、お尻を出さなければいけません。

 お尻の柔らかいところにおもちゃの注射器をあてて、

「ちょっと痛いですけど、がまんしてくださいね」 

 みたいな台詞を言いながら押し付けて、終わるとお尻をモミモミしてくれます。

 看護婦さん役はお注射の場所を拭く以外は、そういうお道具を先生に渡したり、診察が終わった後、患者さんの名前を呼んでお薬の袋を渡すのがお仕事です。

 看護婦さんがお薬を渡すと、その日のお医者さんごっこは終了して、なにごとも無かったようにまたいつものお人形遊びとかに戻りました。

 今思えば他愛もないものです。
 でもそれが私はなぜだかすごく好きだったんです。

 女の子は小さいときから、人前で裸の胸を見せてはいけない、と躾けられます。
 プールのときとか男の子は下半身だけを覆う海パンなのに、女の子はワンピースの水着で、ふくらんでもいない胸も隠します。
 私も普通に、胸とお尻とオシッコのところを誰かに見られるのはすごく恥ずかしいこと、と刷り込まれて育ちました。

 なので、トイレやお風呂以外で裸になることやお友達同士で恥ずかしいところを見せ合う遊びは、すごくイケナイコト、って子供なりに感じていました。
 でも、イケナイコトをするのって楽しいんです。

 そして私は、由美ちゃんや弓子ちゃんに胸をはだけて見せたり、お尻を見せたりすることが好きでした。
 すごく恥ずかしいくせに、好きでした。
 由美ちゃんや弓子ちゃんの裸を見るのも好きでした。

 由美ちゃんもたぶん私と同じだったと思います。
 弓子ちゃんは患者さん役になると、ものすごく恥ずかしがりました。
 とくに大きなお注射だけは本気でイヤがるので、弓子ちゃんが患者さんのときは、小さなお注射だけ、って暗黙の了解ができていました。

 でもお医者さんごっこ自体をイヤだと弓子ちゃんが言ったことは、一度もありませんでした。
 今思うと、イケナイコトをしているというスリルとそれを共有しているという三人の共犯者意識と言うか仲間意識が、子供心を大きくくすぐっていたのでしょう。


お医者さんごっこと私 02