2010年8月15日

お医者さんごっこと私 02

 イケナイコトをするのですから、時と場所を選ばなければなりません。
 母親や家族には絶対みつからないように、お医者さんごっこをやるためには、

『家族がみんな出かけて家にいなくて、いつごろ帰ってくるかだいたいわかっている時』

 という条件が必要です。

 弓子ちゃんちはお店屋さんなので、ご両親がいないことはめったにありません。
 必然的に私の家か由美ちゃんちになります。

 私の家では、おもちゃや遊び用具がたくさんあったためか、あまりお医者さんごっこはしなかったように記憶しています。
 なので、普通に遊んでいる時に由美ちゃんが、

「あさっては、うち誰もいないんだ」 

 って言うと、私と弓子ちゃんに何か特別な用事がない限り、その日は確実に三人でお医者さんごっこをすることになります。

 患者さん役は、最初のうちは一応三人でかわりばんこにやるルールだったはずでした。
 でも、由美ちゃんはお医者さん役が一番やりたいみたいで、弓子ちゃんは患者さん役をいつもすごく恥ずかしがり、大きいお注射のハンデもあったので、いつのまにか私ばかり患者さん役になるようになっていました。

 私ももちろん、胸やお尻を出すのはすごく恥ずかしいんですが、その恥ずかしさで得られるドキドキ感が気持ちいいことに、いつしか気づいてしまったみたいです。
 私が患者さんをやれば、三人でいつまでもお医者さんごっこがつづけられる…
 そんな変な使命感まで持っていたみたい。

 弓子ちゃんも看護婦さん役ばかりではやっぱりつまらないらしく、いつの間にか、まず弓子ちゃんが患者さんになって胸をはだけて小さいお注射をもらった後、今度は私が患者さんになって、小さいお注射と大きいお注射をしてもらう、というルーティーンが1セットになっていました。

 と言ってもそんなに毎日できるわけじゃなくて、1カ月に一、二回くらいだったかな?
 確か初めてやったのが5月のお休みの後だったと思います。

 夏の間はプールに一緒に行っていたりしたので、お互い裸になり慣れていたせいか、あまりやりませんでした。
 
 9月に入って久しぶりに由美ちゃんちでやったときは、由美ちゃんも患者さんをやりたがりました。
 ルーティーン1セットの後に、今度は弓子ちゃんがお医者さんで、由美ちゃんが患者さんていう組合わせが追加されました。

 お互いが日に焼けていて、水着で隠れていた肌のとこだけ白くて妙に艶かしくも生々しくて…
 それをシャワー室とかお風呂場ではなくて、由美ちゃんちのお部屋の蛍光灯の下で見てる、見られている、っていう非日常感にすごく興奮したことを覚えています。

 そんな日々の中、10月の運動会で、私はすごく可愛い男の子を見つけました。
 徒競走のとき一生懸命走っていたその男の子は、背中のゼッケンから2年3組の子だとわかりました。

 まっすぐな髪のぼっちゃん刈りで、華奢で小さくて、目が大きくて女の子みたいな顔をした大人しそうな子でした。
 
 あんな弟がいたらなあ…毎日可愛がるのになあ…
 運動会の間中、その男の子の姿ばかりを目で追っていました。
 私の初めての恋、だったかもしれません。

 もちろん誰にも言わずに、教室の窓から下級生の体育の授業が見えるとその子を探す、くらいの恋でしたが…
 この頃が一番、私が母に弟妹をねだって困らせていた時期だと思います。

 11月の始め、由美ちゃんが何かの病気で2、3日欠席したことがありました。
 幸いたいしたことはなくて、次の週には学校に元気に顔を出しました。
 その日、一緒に下校した私は、

「後でわたしの家に来て。二人でお医者さんごっこやろう」

 と由美ちゃんに誘われました。

「弓子ちゃんは?呼ばなくていいの?」

「うん。ちょっと新しいシンサツをしてみたいの」

 由美ちゃんは、これは内緒よ、という感じで私の耳に口を近づけて囁きました。
 私は、なんだかゾクゾクっとしてしまいました。

 寒い日だったので、スリップの上にブラウスを着て、ジーンズを穿き、カーディガンも着てきました。
 由美ちゃんのお部屋は二階で、六畳間の洋室。
 勉強机とベッド、本棚と鏡台がきちんと整頓されていました。

 由美ちゃんが持ってきてくれたお菓子とジュースでしばらくは、クラスの他の子の噂やテレビ番組のお話をしていました。
 今日はご両親は、5時までは絶対帰って来ないそうです。

「そろそろ、お医者さんごっこ、始めようよ」

 由美ちゃんが嬉しそうに言いました。

 由美ちゃんは、かわいい茶色のワンピースの上にお父さんのものらしい白いだぶだぶのワイシャツを羽織って、すっかりお医者さんの先生に変身しています。
 勉強机の上には、いつものお医者さんごっこセットの他に、ピンセットや脱脂綿、お水の入ったコップなど、見慣れないものも置いてあります。

 私はもう一つの椅子に腰掛けて、由美ちゃんと対面しています。
 由美ちゃんの部屋はエアコンが効いて暖かかったので、カーディガンはもう脱いでいてハンガーにかけてありました。

「今日はどうされました?」

いつものように由美ちゃん先生が聞いてきます。

「このへんがちょっと痛くて…」

私は適当にお腹のあたりを押さえて答えます。

「それはいけませんねえ。ちょっと見てみましょう。お腹を出してください」

 ブラウスのボタンを全部外してはだけてから、スリップを胸の上くらいまでまくりあげます。
 このまくりあげる瞬間の恥ずかしさが、私は大好きでした。

 由美ちゃんがいつものように、耳にかけたおもちゃの聴診器をペタペタと私のお腹や胸に押し付けてきます。
 聴診器のからだにあてる部分は、おもちゃと言えどもアルミみたいな金属でできていました。
 ヒンヤリとした感触が心地いいです。

「背中を向けてください」

 私が椅子を回転させると、由美ちゃんは自分で私のブラウスとスリップをまくり上げて、露わになった背中に聴診器を押し当ててきます。

「はい。それではこっちを向いてください」

 いつもならここで小さいお注射を打つことになるのですが、由美ちゃんは下を向いて考え込んでいます。

「シンサツしずらいので、上を全部取ってください」

「えっ!?」

 今までのお医者さんごっこでは、胸をはだけてもブラウスや下着を脱ぐことはありませんでした。
 今日の由美ちゃんは、ブラウスとスリップを完全に脱ぐように要求しています。

 私はちょっと迷いましたが、やがてドキドキしながらブラウスの袖を腕から抜きました。
 脱いだブラウスを持ったまま、スリップの裾をジーンズから出して上にまくりあげて脱ぎました。

 私の上半身が完全に裸になりました。
 胸をかばうように持っているブラウスとスリップをどうしようか?とキョロキョロしていると、由美ちゃんが受け取ってハンガーにかけてくれました。
 私は両腕を胸の前で交差して隠しながら、赤くなってうつむいています。

「それではもう一度、シンサツしてみます」

 胸を隠している私の両腕をどかしながら由美ちゃんはそう言うと、今度は聴診器ではなく自分の右手で私の裸の上半身をさわってきます。
 肩からだんだんと手が下がってきて、胸、あばら、おへそとやさしく撫でています。

「あーーん、由美ちゃん、くすぐったーいー」

 私はワザとおどけて言ってみますが、由美ちゃんの顔はいたって真剣です。
 お腹のあたりに手のひらをあてると、力を入れてグイグイ押してきます。

「それではまた、背中を向けてください」

 今度は背中をやさしく撫でられました。
 背骨のあたりを撫でられたとき、ゾクゾクゾクっとくすぐったい気持ち良さがからだに走りました。

 再び由美ちゃんと向かい合いました。
 私はもう胸を隠すことはしませんでした。
 由美ちゃんに裸の胸をジーッと見られることが、なんだか嬉しかったんです。


お医者さんごっこと私 03

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