2010年11月7日

トラウマと私 19

ようやく呼吸も落ち着いてきて、よろよろと身を起こし時計を見ると、深夜の0時になろうとしていました。

私は、後片付けを手早く済ませ、さっきまでそこに寝そべっていたバスタオルを素肌に巻いて、そーっと階下のバスルームに降りていきました。
シャワーを浴びて、汗やいろんな体液を洗い流してスッキリしてから、新しい下着を着けてお部屋に戻ります。
パジャマをもう一度着直して、電気を消して、ベッドに潜り込むとすぐ、ぐっすり深い眠りに落ちました。

翌朝、私は完全復活していました。
あの悪夢な出来事を忘れられたわけではありませんが、記憶のより深いところに格納できたみたいで、えっちなことを考えても邪魔されることはなくなりました。
私がそういうことをするお相手は女性だけ。
そんな覚悟が私の気持ちの中に定着したようです。

ただ、体育の先生の中にマッチョ体型で腕の毛もじゃもじゃな毛深い男の先生が一人いて、その先生が近くに来ると、やっぱりゾクゾクっと悪寒を感じてしまい、朝礼のときに困りました。

愛ちゃんたちグループのみんなとも、今まで通り普通におしゃべりできる、楽しい学校生活に戻っていました。

木曜日の放課後。
バレエ教室のレッスンに行ったとき、また新たな問題が発生していることに気がつきました。
私は、やよい先生に真剣に恋をしてしまっていました。

実は、バレエ教室がある町の駅に行くために愛ちゃんと二人で電車に乗っているときから、私の心の中がザワザワざわめいてはいました。
私は今日、やよい先生と普通に接することができるのだろうか?
月曜の夜、あんなに激しく具体的な妄想でイってしまった私に・・・
でもこのときは、まあその場になればなんとかなるでしょう、って無理矢理思考を停止して楽観的に考えていました。

レオタードに着替えてレッスンルームに入ると、すでにやよい先生がパイプ椅子に腰掛けて私たちが揃うのを待っていました。
私と愛ちゃんに気がつくと、ニッコリ笑って手を上げて、
「おはよっ!」
って声をかけてくれます。

その笑顔を見た途端、私の考えが甘かったことを思い知らされました。
からだ中の温度が一気に上がって、カーっと熱くなってしまいます。
そのステキな笑顔がまぶしすぎて、まっすぐに見ることができません。
胸がどきどきどきどきしてきます。
少女マンガによくある、内気な女の子がヒソカに片想いしている憧れの男の子に声をかけられたとき、そのままの反応が自分のからだと心に起こっていました。

愛ちゃんは、その場でお辞儀して、おはようございます、って自然に挨拶を返しています。
私は、動揺を隠したくて、かえって大げさになってしまい、不自然に深く上半身を曲げて、おはよーごーざいまっす、と大きな声でマヌケな挨拶を返してしまいました。
それを見て、やよい先生はアハハハって笑っていました。

私は、レッスンの間中なんとか心を落ち着けよう、普段どおりにふるまおう、レッスンに集中しよう、と一生懸命努力しました。
グループレッスンは6人クラス。
やよい先生は基本的に6人全員に向けてお話しながら、お手本を見せてくれます。
レッスンの序盤は、まだ胸がどきどきしていてぎこちない感じでしたが、時間が経つにつれて、なんとか普通にやよい先生を見れるようになってきていました。
レッスン後半は、一人ひとりの個別指導になります。
その日習ったポーズやステップを手取り足取り指導してもらいます。
私の番が来ました。

妄想で着ていたのと同じレモンイエローのレオタードを着たやよい先生が私の前に立ちました。
もうだめでした。
どきどき復活です。
私は、やよい先生の前で夢現な感じで教わったステップをやってみました。
「あらあ?みんなと一緒のときはうまく出来てたのに、今のはちょっとでたらめねえ」
やよい先生が少し苦笑いしながら、私の右腕を取ります。
「ここは、こうでしょ?」
「それで、こうして、こう。わかった?」
私の背中や太腿や、首に手を副えて指導してくれます。
一週間前までなら、これは普通のレッスン風景で、私もとくに何も感じずに集中できました。
でも今日はだめです。
やよい先生が私のからだをさわってくれるだけで、話しかけてくれるだけで心が遠いところへ逝ってしまいます。

それでもなんとか、やよい先生にご迷惑がかからないように集中しようと試みます。
でもだめでした。
やよい先生が私のウエストに腕をまわして、私のからだを支えてくれているとき、
このままやよい先生の胸に抱きつけたら、どんなに気持ちいいだろう・・・
なんて不埒なことを考えているのですから。

やよい先生も今日の私はなんかおかしい、と思ったのでしょう。
「じゃあ森下さん、このステップは、後で川上さんによーく聞いて教えてもらって、来週までに出来るようにしておきなさい」
なんだか困ったようなお顔で言ってから、早々と次の人へのレッスンに移ってしまいました。

家に帰って、私はまた途方に暮れてしまいます。
私がやよい先生を過剰に意識してしまうことがレッスンに集中できない原因なのは、自分でもわかっています。
でも、やよい先生を想う気持ちは、自分でもコントロールできない心の深い奥底から湧き出て来ているみたいで、抑えつけることができません。
こんなことをつづけていたら、きっとやよい先生に呆れられてしまいます。
呆れられるだけならまだしも、嫌われてしまうかもしれません。
それは絶対イヤです。

その週の週末。
私は、やよい先生以外の女性で妄想オナニーをしてみようと考えました。
やよい先生ばっかりに頼って妄想してるから、実生活でも過剰に意識してしまうのではないか、って思ったんです。

愛ちゃんたち5人のことを最初に考えてみました。
あの5人は、もちろんみんな大切なお友達で大好きなのですが、そういう、性的なアレとは、どうしても結びつけることが出来ませんでした。
実際、5人とのおしゃべりで、一般的な下ネタっぽいことが出ることはたまにありましたが、セックス経験があるかとかオナニーしているかとかの具体的なプライベートでの性に関する話題は、一切したことがありませんでした。
私は、愛ちゃんたち5人がオナニーを知っているかどうかさえまったく知りませんし、みんなも私がオナニーをしていることは知らないはずです。
えっちな知識が詳しそうなのは、曽根っちとしーちゃんですが、それも普段の会話を聞いている限りの話で、曽根っちはお姉さんの影響、しーちゃんはマンガからの知識っぽくて、実際どうなのかはわかりません。
いずれにしても、お友達5人は、性的妄想には向いていないようです。

それなら次はオオヌキさんです。
オオヌキさんを想ってのオナニーは、彼女たちが遊びにいらした数日後の夜にしていました。
そのときの妄想は、あのキワドイ水着を着たオオヌキさんにマッサージされているうちに、いつのまにか私も同じ水着を着せられていて、腕を縛られていて、篠原さんのフルートをアソコに入れられるというものでした。
そのときのオオヌキさんは、すごく丁寧な言葉遣いで恥ずかしがりながら、私を苛めていました。
かなりコーフンしました。
でも私がオオヌキさんに会ったのは、あのとき一回だけですし、実際どんな性格のかたなのかは知りません。
そうなると、妄想していても同じようなストーリーになってしまいがちなので、強い刺激を欲している今の私には少しキツイ気がします。

そして、そんなことを考えているうちに、私のからだがまたウズウズしてきたのですが、同時に、逃げ場所がどこにも無いことをも思い知らされました。
私のからだが性的に高揚してきたのは、愛ちゃんたちやオオヌキさんのことを考える一方で、木曜日のレッスンのときに私のからだをさわってくれたやよい先生の手の感触を、からだが思い出していたからです。

私の頭の中は、結局またやよい先生に占領されてしまい、なしくずし的にオナニーを始めてしまいました。
どうしてちゃんとレッスンを受けないの?ってやよい先生に叱られながらおっぱいを苛められて、なぜだか篠原さんのフルートをアソコに突っ込まれて、あっけなくイってしまいました。

次の週の木曜日のレッスンは、先週よりマシな状態で受けることができました。
日曜日から水曜日の夜まで、考えに考え抜いて、私は、ある一つのことを決意していました。
いつまでもどきどきした状態でレッスンを受けていると、状況は悪くなる一方です。
何かしらの打開策を講じなければなりません。

私は、やよい先生に告白することにしました。
やよい先生を大好きなこと、と、私の性癖すべてを。
全部告白して、断られたり嫌われてしまったら、それでもう仕方ありません。
だけど、やよい先生なら少なくともお話だけはちゃんと聞いてくれるはず。
それでダメならあきらめよう。
そう決意しました。

タイミング良いことに次週のレッスンは、愛ちゃんがその2週間後に迫った運動会の準備でお休みすることになり、私一人で行くことになりました。
そのレッスン後に講師室に行って、時間を作っていただけるように頼んでみるつもりでした。


トラウマと私 20

1 件のコメント:

  1. 無職で、10月から職業訓練校に通ってる43歳男です
    官能小説が好きで、このたび、人気ブログランキングの官能小説カテゴリーに越しました
    どうぞよろしくお願いします
    引越しのご挨拶代わりに、ポチっと応援しておきますね

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