五十嵐さまのお言葉に甘えて、元の席の椅子にスカートごと座ってしまう私。
生尻で直に座るより座面を汚さないであろうという判断です。
「理不尽な命令に嫌がるようなフリはするクセに、結局受け入れちゃうところがいいよね。それもけっこう嬉しげ愉しげに」
同じ目線の高さとなった五十嵐さまが身を乗り出されるようにされ、話しかけてくださいます。
「うちもけっこう幼い頃から屋外露出には興味あったんだ。最初に触れたエロものがそういうシチュだったから。近所の畑に捨ててあったエロ本。小四だったかな…」
「もちろん男性向けの雑誌で今思えばえぐい内容の調教物だったんだけどね。外で恥ずかしい格好させられている女の子たちの切なげな表情が、なんて言うか、凄く儚げで綺麗だと思ったんだ…」
「外で裸にされて見知らぬ人たちににジロジロ視られたらどんな気持ちになるんだろう、って思うけど、でも、自分でやる勇気なんてないから、漫画描いて発散してんだよね、昔から絵を描くのが好きだったから…」
お言葉を選ぶように途切れ途切れに、照れ臭そうにおっしゃる五十嵐さま。
「だから今日は直子と、って言うか、直子で遊べてすっごく愉しい。うちが頭ん中であれこれ思い描いていた妄想が現実に目の前で起こるんだもん。感謝してる」
あらためてお礼を告げられると私のほうこそ照れ臭いのですが、逆にそれだけ露出に思い入れがあるとすれば、これから私は何をさせられちゃうのか、少し怖い気もしてきます。
五十嵐さまがつづけて何かおっしゃろうとしたとき、橋本さまが悠然と戻っていらっしゃいました。
「お待ちどうさん」
戻られた橋本さまはまず、テーブルに置かれたご自分のビデオカメラを大事そうにお手に取られ、その代わりにたたまれたメガネ状の物体をテーブルに置かれます。
「へー、これがスパイカメラなの…」
横細な四角いレンズの黒縁素通しメガネ。
つるのところが少し太い感じですが、メガネレンズの幅に合わせた感じでデザイン的にはマッチしています。
五十嵐さまは物珍しげにお手に取られてしげしげとご覧になっておられますが、私は既に経験者。
リンコさまのお部屋で行なわれた夏休み女体観察会で、同じようなメガネをかけられたお子さまたちにさんざん撮影されました。
「カメラのレンズはどこにあるの?」
「フレームの眉間のところ」
「ああ、ちょこっと凹んでる。でもぱっと見じゃわかんないね」
「充電フルだから回しっぱなしでも一時間くらいは保つはず。使いたいときは言って」
五十嵐さまがメガネ型カメラをテーブルに戻されて、橋本さまがそれをご自分のウエストポーチに仕舞われます。
「そんじゃあカントク?ご指示を。我々はカントクの仰せのままの下僕ですから」
橋本さまがお芝居っぽく茶化すようにおっしゃいます。
「うーん、迷ってるんだよね。買い物もしなきゃいけないし、撮影場所も探さなきゃなんないし…」
座ったまま頬杖をつかれ、本当にお悩みなご様子の五十嵐さま。
「ドラッグストアって、どこにあるの?」
橋本さまが五十嵐さまにお尋ね。
「うーんと、ここからだとちょっと距離あるかな?通りから車で入ってきたあの入口の辺り」
「頼まれた買い物もけっこう嵩張りそうだから、買うのは最後でいいかな、とも思ってるんだけど…」
それきりまた黙り込んでしまわれる五十嵐さま。
やがてお顔を上げられて橋本さまにお尋ねになります。
「ハッシーのそのカメラって、ううんメガネじゃないほう、ってズーム、どれくらい?」
「光学で50倍」
「それって10メートルくらい離れてても表情までくっきり写るの?」
「そのくらいの距離なら余裕でラクショーだね」
「うちが考えてるのは、そこそこ人通りのある場所に直子をひとり放置して、うちらが遠くから隠し撮りみたいに撮影するプランなんだけど、どこで撮ればいいのか、場所が浮かばないんだよね」
五十嵐さまが、ひとり放置、なんて何やら不穏なことをおっしゃって、私の背筋がゾクッと震えます。
五十嵐さまのお話が途切れて少しの沈黙の後、橋本さまがいつになく真面目なお顔でご自分のお考えを述べ始められました。
「なるほど。それだと姫をどこに置くかじゃなくて、俺らがどこから撮影するかを考えたほうが早いよね」
「たとえばこの場で、姫を10メートル先に立たせてここからカメラで狙っても、隠し撮りにはならないわな。姫にカメラ向けているのが周りから丸見えなわけだし」
「かと言ってどこかのお店の中からとかは建物内撮影禁止でNG、となると俺らの車から狙うしか無いんじゃない?つまりは駐車場周辺」
理路整然とお話を進められる橋本さま。
「駐車場内なら車は動かせるし、移動しちゃってもチーフたちとの合流はケータイでどうにでも連絡つくし」
「となると、まずは買い物済ませて、嵩張る荷物はいったん車に置いて、それから駐車場周辺でロケーションするのが最適解なんじゃないかね」
淡々とお話される橋本さまを、爛々としたまなざしで見つめられる五十嵐さま。
「何ハッシー?美大中退のクセに理系脳だったの?」
嬉しそうに幾分ご無礼なことを口走られる五十嵐さま。
「それ採用。それで全部うまくいきそう。ハッシー段取りの天才。そうと決まればレッツでゴー!」
勢い良く立ち上がられる五十嵐さま。
「ほら、直子も」
五十嵐さまに軽く左肩を叩かれ、私もビクッとしつつ立ち上がります。
すると五十嵐さまの右手が私の胸元へと伸ばされ、ボレロカーディガンの結び目リボンがスルスルっと解かれます。
「あっ、いやんっ!」
ハラリと左右に割れた短いカーディガンの布地の下に、私のスケスケおっぱい。
ブラウスの布地は乾いていて透け具合もそれほど露骨ではないのですが、膨らみ始めから下乳まで、その全貌が白くて薄い布地越しに薄っすら浮かび上がっています。
思わず胸元を両手で庇う私。
「大丈夫よ、乳首は絆創膏で隠したのっぺらおっぱいだもん。目線を惹くアクセントになるような色味や突起が無いから見た人も、なんだベージュの肌着か、くらいにしか思わないって」
他人事ですから、思い切り楽観的なご意見を述べられる五十嵐さま。
私の左手首が五十嵐さまの右手で掴まれ、胸元から強引に引き剥がされます。
「いい?これからドラッグストアまで歩いていくけど、直子はおっぱいを一切隠してはダメ。そうね、後ろ手に組むくらいの感じで付いてきなさい」
「もしも命令に背いたら、もっとひどいことになるから。その絆創膏剥がしてブラウスまで脱がせたり…」
心底愉しそうにご命令くださる五十嵐さま。
そのご無体なご命令に、私の心も着々とドマゾモードへと移行しています。
橋本さまのハンディカメラがいつの間にか少し離れた位置から、私を被写体にして撮影を再開されています。
「それじゃあ移動しよっか」
五十嵐さまが私のスマホをポシェットに収められ、パイスラ仕様に掛けてくださいます。
ブラウスの布地がポシェットのストラップで押さえ付けられ、私のおっぱいの谷間が割られて膨らみが殊更強調されてしまいます。
橋本さまは私たちの前へ横へと撮影アングルを工夫されつつ歩調を合わされています。
フードコートの建物を背にし、芝生の広場をもう一方の建物側へと進む私たち。
やがてモールの通路へと入ると、擦れ違う人たちがグンと増えてきました。
お洒落な雑貨を扱われているお店が立ち並ぶ、広い通路を行き交う老若男女。
派手な服装の男性が構えるビデオカメラに誘導されるようにゆっくり歩く女性ふたり連れに、幾人かの人が好奇の視線を投げかけてきます。
完全に左右に割れてしまい役立たずのボレロカーディガン。
乳首は隠されているとは言え、気分的にはおっぱい丸出しで歩いているも同然なのですが、そんなの何も気にしていない、というフリを必死に装い、モデル的無表情で歩を進める私。
そしてこのとき私にはもうひとつ、差し迫った懸案事項が浮上していました。
お姉さまがくださったカシスオレンジのせいではないのでしょうが、急に尿意が高まってきてしまっていたのです。
でも下手に、おトイレに行かせてください、なって頼んでしまうと、より一層ご無体なご命令、例えば物陰に連れて行かれて、ここでしちゃいなさい、みたいな事態にもなってしまいそうなのでガマンしていました。
だけどガマンし切れなくて歩きながらお漏らししてしまっても結果は同じ…いえ、もっと悲惨なことになるかも…
どうしようか、と内心悶え苦しんでいます。
モール通路を進んで道路からのお車の出入口近くまで辿り着くと、ショッピングモール全体の出入口のひとつでもあるようで、前にも増して行き交う人が増えてきました。
そんな一画にある東京でも有名なカフェチェーン店の前まで来たとき、五十嵐さまが私を振り返りおっしゃいました。
「ちょっとトイレ行ってくるけど、直子も行く?」
えっ?これは奇跡?想いが通じたの?
「は、はいっ!」
思わず大きな声でつんのめるようにご返事。
「あ、んっじゃあ俺も」
橋本さまもご便乗されます。
「で、ハッシーさ、スパイカメラっていうの貸して」
やっぱり一筋縄ではいかれない五十嵐さま。
「ああ、そういうことね。ほい」
何を察されたのか、あっさりとメガネ型カメラをお渡しになる橋本さま。
「それ、実際の自分の目線よりも下気味に撮影されるから、対面で撮るなら若干顎を上げ気味にしてたほうがいいよ」
何度か使われていないとわからないはずの適切なのであろうアドバイスまでくださいます。
「録画オンにしたから、行っといで。またこの店の前で合流な」
五十嵐さまがメガネをかけられ、私を見つめてきます。
黒縁メガネ姿の五十嵐さまは、知力がグンとアップした感じで、なんて言うか、お召し物が上下スウェットなので、体育の授業を抜け出してきた名門高校生徒会副会長という感じ。
サイドに流された髪の毛でメガネの太めなつるも隠れ、不自然さはありません。
カフェを素通りして少し行くと男女隣り合わせのお手洗いがありました。
ドア前に並ぶ行列もなく、橋本さまと別れて女子トイレに入ります。
中にはおふたりほどの先客さま。
ご中年であろう派手めなお召し物のご婦人とノースリワンピの女子大生風なかた。
私たちが後ろに並ぶなり、おふたりが振り向かれ、しばらくじっと、主に私が視られます。
それはそうでしょう。
アクセサリーと呼ぶにはいささか大げさな首輪を着けて、下着を着けているのかわからない薄物でバストを透けさせている女が、生徒会副会長風黒縁メガネ女子に従うように入ってきたのですから。
個室は全部で六つ、全て扉が閉じています。
女子大生風のかたはすぐに前を向かれてそれきりでしたが、ご婦人のほうは私が気になるらしくお顔をしきりに動かされてチラチラと目線を送ってこられます。
私は素知らぬふうを装って無表情に努めているのですが、内心、何か言われたらどうしよう、とドキドキです。
そうしているあいだに一番手前の個室のドアが開き、真っ赤なワンピースのご婦人が出てこられました。
そのかたは私たちを一瞥もされず、急いでるふうに洗面スペースへと直行されました。
これでご中年のご婦人がその個室へと消えられ、入れ代わるようにおふたり連れらしき女性、おひとりはロックバンドのロゴ入Tシャツ、もうおひとりはボーダー柄のタンクトップというお若いであろう方々、が私たちの後ろに並ばれます。
後ろからなら首輪も髪で隠れているし、ボレロガーディガンで背中も上のほうが隠れるしで、ブラウスが透けていてもヘンタイぽいところはないな、と一安心。
でも安心したら、そのぶんだけ尿意が高まった感じ。
私の前に立たれている五十嵐さまは、おからだを半分私のほうに向けられ、無言で私の顔をじっと視られたり、ときたま舐めるように全身を眺めたり、その合間におトイレ内全体をぐるっと見渡されたり。
でもこれってつまり、五十嵐さまは今、女子トイレ内を盗撮されている、っていうことだよね、なんて思ってみたり。
すると今度は一番奥の個室、少し遅れてそのお隣の個室の扉がたてつづけに開きました。
出てこられたのはいずれもスラッとした妙齢の女性。
擦れ違うときにそのおふたりからは、同じように訝しげな視線を、主に首輪の辺りに投げつけられました。
ノースリワンピの女性がひと足早く一番奥の個室に入られました。
「一緒に入ろっか」
えっ!?
問いかけられたお言葉の意味を咀嚼できないうちに、五十嵐さまの左手に私の右手を掴まれます。
「あの、えっと…」
戸惑いマックスのまま引っ張られるように、奥から二番目の扉前まで連行される私。
個室に入るときに列のほうを見遣ると、Tシャツとタンクトップのおふたりが、信じられない、とでもおっしゃりたげな唖然としたお顔をされていました。
個室の内部はけっこう狭く、ドアに向いた便器の前のスペースは一メートル四方くらい。
お先に入られた五十嵐さまが便器の蓋を開けられます。
「失礼して先にやらせてもらうね」
おっしゃりながらこちらを向かれたまま、スウェットパンツのゴムにお手をかけられます。
「え?あの、ちょっと…」
うろたえながら後退り、個室のドアにべったりと背中を預ける私。
「何ビビってるの?オシッコするだけだよ。女同士だし、見たかったら見てていいから」
五十嵐さまってば、お着替えになるときも無造作に裸になられていたし、そういうところは意外と無頓着なご性格のよう。
ドギマギしている私のほうがおかしいのかもしれません。
お立ちになられたまま少し上体を前傾された五十嵐さまが、スウェットのハーフパンツを膝下まで勢い良く下ろされます。
ショーツごと下ろされたのでしょう、薄め少なめの陰毛に覆われた下腹部が眼中に飛び込んできて心臓がドキン。
五十嵐さまの下腹部はマシュマロみたいに色白で、そこに小さく翳る漆黒の逆三角形が鮮烈です。
便座に腰掛けられた五十嵐さまは、薄い笑みを浮かべて私をじーっと見つめられています。
その不自然さで、あのメガネで撮影されている、ということを思い出しました。
五十嵐さまのオシッコ姿には興味あるけれど、そんなことに興味津々な私の腑抜けた顔が後で他のみなさまにも見られてしまう…
「ご、ごめんなさいっ」
なぜだかお詫びの言葉を口走りつつ五十嵐さまに背を向ける私。
私が好きな種類の性的な恥ずかしさとは別物の、照れ臭いような居心地悪い恥ずかしさがこみあげてきたからです。
個室のドアを見つめている私に音が聞こえてきます。
ジョロジョロという音はおそらく放尿されている音。
それが静まりンーッという機械音の後のシューッと言う音はたぶんビデを使われた音。
その後にガサゴソとトイペを使われる音がして、一番大げさなザバーっという音は排出物が流された音。
少しの衣擦れの音の後、背後から左肩を叩かれます。
「はい、お待たせ。タッチ交代」
五十嵐さまが壁際へ避けられるようにお立ちになられ、私に便座に座るようご誘導されます。
私の尿意もかなり差し迫っていましたから、すんなり便座の前までは行きました。
でも…
ここで私と五十嵐さまの立場の違いにはっきり気づきました。
五十嵐さまに見られる、ということはすなわち、私の放尿姿が撮影され保存される、ということなのです。
「ノーパンだったよね。スカートは脱いで下半身丸出しになりなさい」
「それで両脚は大きく広げて自分の指でラビアも開いて、うちの顔をじっと見つめながらオシッコしなさい」
五十嵐さまの扇情的に歪んだ微笑みで、私への辱めを心の底から愉しまれていらっしゃることがわかります。
五十嵐さまだけではなく決壊寸前の尿意にも追い込まれている私には、ご命令通りに従って恥ずかしい放尿姿をご披露するしかありません…
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