2022年8月27日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 05

 さあ大変。
 これから10分以内にこの場を片付けて、お屋敷別荘に戻らなくてはなりません。
 これまで一往復半した経験から10分あればまあまあ余裕で帰れる道のりではあるはずなのですが、広場のお片付けにもある程度時間を見ておかないと…

 電話が切れてすぐ、まずテーブル上のあれこれをバッグに闇雲に詰め込みます。
 バスタオル、濡れタオルと言うか今は乾いているタオル、フリスビー、シャベル、カリカリの袋、使わなかったゴミ用レジ袋。

 そのバッグを片手に芝生に戻り、ビデオカメラを外して三脚をたたみ、タオルに巻いてバッグに詰め込みます。
 芝生に転がっている肥後ずいきさまを手に取ったとき、その全体がヌルヌルに湿っていることに気づきました。
 突端から持ち手まで満遍なくヌラヌラグズグズ、そして嗅ぎ慣れ過ぎている自分のソノ臭い…
 落ちていた場所も私が寝そべっていた場所の下腹部付近…

 えっ?私、ずいきさま、アソコに挿入しちゃっていたの?知らず知らず無意識のうちに…???
 そう思った途端に膣内の粘膜がムズムズ疼くような…

 恥ずかし過ぎる疑問が湧き上がりますが、今は追求している暇がありません。
 このまま芝生上に放っておくわけにもいきませんから、空となったおやつチューブとペットボトル2本と一緒にゴミ用レジ袋に放り込みます。

 あと、洗濯ばさみさまがもうひとつあったはずなのだけれど、それとおやつチューブのキャップ…
 痴態を繰り広げた一帯の芝生を真剣に見回してみますが、そんな小さなものたちがおいそれと見つかるはずがありません。
 仕方ありません、今は時間のほうが大切なんです。

 東屋に戻ろうと視線を上げてふと見回すと…
 あの大木の木陰に猫さんたちが絶妙な距離感で、仲よさげにダランとリラックスされていらっしゃいます。
 テーブル下でお見かけしたキジトラさんと、お初にお目にかかる白黒のハチワレさん?

 いつもだったらそっと歩み寄ってご挨拶したいところなのですが、今はだめ。
 後ろ髪を引かれる思いで再び東屋へ。

 猫さん、おふたりになってカリカリとお水、足りているのかな…
 しつこくそう考えてしまう私は、バッグの中からカリカリの袋を引っ張り出し、袋のジップを半分だけ開けた状態でバッグから覗くように一番上に置きました。
 それから水道の蛇口をほんの少しだけ緩め、一秒に一滴くらい水滴が落ちるようにします。

 そんなバッグを早朝キジトラさんが眠られていた簀子のすぐ手前に安置。
 これでお片付け完了、と思ったらテーブル上にポツンと残された私のスマホ。

 右手にビデオカメラを持って、左手に日傘、左手首に引っ掛けたゴミ入のレジ袋。
 私は全裸なので、スマホを押し込めるポケットなんてどこにもありません。

 レジ袋には自分の愛液でグズグズになった肥後ずいきさまもそのまま入っているので、スマホを一緒に入れたくないし…
 一瞬途方に暮れましたが、ビデオカメラに手のひらが差し込めるグリップがあったことに気づき、右手のひらをそこに差し込み、その手でスマホを握ります。

 今度こそオールオーケー。
 スマホの液晶画面は9:27の文字…あ、28になっちゃった。
 あと7分以内にお屋敷まで戻らなければなりません。
 通話を終えて以来、途端に機敏となって右往左往している私の後を、嬉しそうに付いて回られているジョセフィーヌさま。

「さあ急いで帰りましょう、ジョセフィーヌさま」

 もう一度広場全体を見渡してから、勢い良く駆け出す私。
 広場から去り際に入り口脇の草むらが目に入り、あ、イラクサさまに虐めていただくの忘れちゃった、なんて性懲りも無い私。

 おっぱいの先にぶら下がる洗濯ばさみさまがでたらめにプランプラン揺れるのもかまわず、早足よりももうちょっと早い校内体育マラソン走りで木立の道を駆けていきます。
 ジョセフィーヌさまは競争と思われたのか、ワンちゃんらしい敏捷さであっという間に私の十数メートル先へと突っ走られ、振り向いて私を待たれる余裕のご表情。

 思わぬ誤算は、帰り道はずっと緩い上り坂となること。
 最初の数分はマラソン走りをつづけられたのですが、上り坂道にどんどん体力を削られ、途中からは息も切れ切れの早足競歩にペースダウン。
 それでも街中に全裸で置き去りにされるなんて絶対にイヤですから、汗みずくになって一生懸命両脚を動かしました。

 お屋敷の門をくぐったときチラッとスマホを見ると9:32の文字。
 なんとか間に合ったみたい。
 ヘトヘトになりつつ石の階段を上り、あの荘厳な正面玄関扉前へ。

 ハアハア…えっと、インターフォンっておっしゃっていたっけ…
 目の前に聳える全体に細かい流麗な魔除けの文様?みたいのが施された西洋のお城ライクな観音外開きの重厚な扉。

 そのどこにもインターフォンの押すところ、みたいなボタンは見当たりません。
 えっ、嘘でしょう?
 確かにこの扉なら、お獅子のお顔が付いたノッカーとかのほうがお似合ですけれど…

 かなり焦って扉の把手を引っ張りますが、鍵がかかっているようで開きません。
 ひょっとしてインターフォンて門のほうに付いていたのかしら…
 間に合っているのに…こんなことでお仕置きになっちゃう…

 そのとき、石階段までは上がってこられずアプローチの舗道で待機されていたジョセフィーヌさまが、石階段脇をグルっと迂回され私の右側下からワンッと一声。
 そのお声につられてそちらを見遣ると、向かって右側へと開く扉が取り付けられている脇の太い石柱にインターフォンらしき物体が。

 ハガキくらいの大きさで応答のためのマイクとスピーカーらしき凸凹も付いた、どこにもあるようなずいぶん庶民的な外見。
 大あわててそこに取り付き、ボタンを押すなりの大声です。

「直子ですっ!ハアハア…今戻りましたっ!」

 室内でチャイムやらブザーが鳴ったかは、こちらには聞こえてこなかったのでわかりません。
 ただ、ボタンを押したときマイクが通ったのであろう、ブチッ、という雑音はスピーカーから聞こえました。
 
 スマホをチラ見して9:34の文字にとりあえずホッ。
 数秒遅れてインターフォンのスピーカーからお姉さまのお声が。

「お帰りおつかれー、残り10秒、ギリギリだったねー。待ってて、今開けるから」

 お姉さま、なんだかとっても愉しそうなお声。
 やっと心底ホッとしてスマホを見ると9:35に変わるところでした。

 やがて観音開きがススーッと開き、お姉さまを中央にして左に中村さま、右に五十嵐さま。
 お三かたとも私が出かけたときと同じお服装です。

「あらあら、息切らしてヨレヨレに薄汚れちゃって、なんだか山賊にでも襲われて命からがら逃げてきた、って感じ」
「乳首に洗濯バサミぶら下げたまんま帰ってきたんだ?さすが、先生に気に入られるドエムは格が違うわ」
「よく見るとからだ中、ジョセの抜け毛と足跡だらけじゃない?さぞかしお愉しみだったのねぇ、あーあーお熱いこと」

 お三かたご三様にとってもご愉快そう。
 まだハアハア荒い息を吐きつつ、うつむくしかない私。。
 五十嵐さまがデジカメで、そんな私の姿をパチパチとデジタル保存されています。
 中村さまが一歩前に出られ、私からビデオカメラと日傘、ついでに私のスマホも回収されました。

「その手首にぶら下げているコンビニ袋は何?」

 お姉さまがワザとらしいイジワルなお顔で詰問されます。

「あ、これは…ゴミ、って言うか、ペットボトルとか、使っちゃったものとかで、お片付けしなくちゃって…」

 この後きっと私は、シャワーを浴びてこいと言われるでしょうから、そのときに汚した肥後ずいきさまも一緒に洗おうと思っていました。
 そんな矢先のご質問だったので、なんとなく左腕を背中に回して隠すような素振りをしてしまいました。

「そう。だったらこっちで捨てておいてあげるから」

 今度はお姉さまが一歩近づかれ、右腕を私に伸ばして来られます。

「あ、あの、でも…」

 ベチョベチョの肥後ずいきさまを見られてしまうのが恥ずかしくて躊躇する私。

「渡しなさい」

 お姉さまの取り付く島もない高圧的なご命令口調。
 おずおずと左手を差し出します。

「さっさとシャワーを浴びてきなさい。シャンプーしてもいいけれど出かける準備もあるから、なるべく早くホールに戻ってくること」

 レジ袋を受け取られたお姉さまは、その場で中身を確かめられることはせず、お庭のシースルーバスルームの方向を指さされます。

「あと、直子は気に入っているのだろうけれど、いつまでおっぱいに洗濯ばさみをぶら下げてる気?自分で外して、それもあたしに渡しなさい。あとリードも」

「あ、はい…」

 ご存知のように皮膚を噛ませたクリップ類を外すときは、滞っていた血流が戻るためか、かなりの痛みを伴います。
 更に今回はかなり長いあいだ挟みっ放しだったはずなので、その痛みを想像するだけでゾクゾクッ。

「あっつぅっ!ぃたぁぃぃ…」

 左乳首のを外したときの悲痛な喘ぎ。
 それをもう二回くりかえして、3個の洗濯ばさみさまとリードの引き綱をお姉さまに手渡しました。

 そんな私の様子を無言のニヤニヤ笑いで眺めていらした中村さま、五十嵐さまとご一緒にお姉さまのお背中が玄関扉の内側に引っ込まれ、重い扉がバタンと閉じられます。
 ジョセフィーヌさまも何かやるべきことがおありになるのか、さっさとご自分の小屋へ。
 私はすごすごと木立の向こうのシースルーバスルームへと向かいます。


 玄関アプローチ沿いの木立を抜けて芝生に出ると、そこに広がる予想外のランドリーゲート。
 支柱に渡された長いロープに吊るされたお洗濯物たちが緩いそよ風に揺れていました。

 最初に目を引くのは真っ白で広大な数枚のシーツ。
 枕カバーやタオル類、お姉さまと私が就寝時に使用したパジャマ代わりの純白ロングTシャツも数枚干されています。

 別のロープに目を移すと、どなたのものかはわからない色とりどり形さまざまな下着類とジャージやスウェット。
 その一番端でひときわヒラヒラひらめいて目立っているのは、私の真っ赤なおふんどし。

 青い空と緑の芝生にひるがえる真っ白いシーツと真っ赤なおふんどし…
 そのシュールな風景にしばらく呆然と見惚れてしまいますが、いけない、急がなきゃ。

 ガラス張りの小屋に入り、脱衣所でタオル類を確認してから首輪を外して浴室へ。
 熱めのシャワーを頭から浴びた後、ボディソープでからだを洗って手早く洗髪。
 仕上げにぬるま湯で全身の泡泡を洗い流しながらお肌のチェック。

 全体に日焼けが進んじゃって、乳首や恥丘の焼け残しも赤みを帯びて殆どまわりと同化しているし、これならたぶんお尻の上の恥ずかしい自己紹介も読めなくなっているはず…
 ほとんどずっと首輪を嵌めている首の周りが全身で唯一、元の肌色が白く残る部分となっています。

 あ、右脇腹の噛まれ痕が内出血して薄紫の痣になっちゃってる…
 首筋や鎖骨脇のお姉さまからのキスマークもまだ消えてないな…
 水流に打たれながら素肌のあちこちをまさぐっていると、また性懲りも無くムラムラが…

 だめだめ、さっさと戻ってきなさいって言われたでしょ?
 急いで脱衣所へ出てバスタオルでからだを拭います。
 濡れた髪をもう一枚のタオルで包み、首輪を嵌め直し、バスタオルは…

 いいか、どうせホールに戻ったらすぐ脱がされちゃうのだろうし…
 この旅行中、お外や人前に全裸で出ることへのためらいが、どんどん薄れてきているみたい…
 私はここでは慰み者セイドレイなんだから、なんてマゾ気分に浸りつつ、バスタオルは巻きつけず裸んぼのまま芝生に出ました。

 正面玄関の扉に鍵はかかってなく引っ張ったら開いたので、インターフォンのお世話にはならずに屋内へ。
 ホールへ通じるドアをそっと開けると…

「あっ、超淫乱娘が帰ってきた」
「ほらね、うちの予想通り、それがあたりまえみたいにマッパでご登場」

 中村さまと五十嵐さまが私を見るなり、愉しそうにからかってこられます。
 それを聞いて私も、やっぱりはしたかなかったかな、と今更ながらの羞恥心。

 ホールの中はとても明るく、早朝のときと少しレイアウトが変わっていました。
 厨房の近くにもうひとつテーブルが用意され、それを囲んで洒落た木製の椅子が三脚。
 いつも集まるソファー周りには、おでかけのご準備なのでしょうか、テーブル上に衣類らしきものやバッグなどがゴチャゴチャ乗っています。

「まったくあなたって子は。中村さんが呆れ返っていたわよ、ジョセのペーストのチューブ、新品だったのに丸々一本使い切っちゃってる、って」

 お姉さまご自身も心底呆れられているお顔をされながら、私を手招きされます。
 今お三かたがおられるのは厨房近くのテーブル脇。
 ホール内には小さく、ショパンのピアノ曲が流れていて、テーブルにはお一人分くらいのお食事が乗っています。

「普通ならチューブ一本で散歩三、四回分は保つはずなのに直子が大サービスしちゃうから、今日のジョセの栄養配分が大変だって。こんな朝からたぶん使わないでしょう、ってみんなで予想していたずいきもベタベタにしているし」

 詰るような感じも強いのですが、ご愉快そうなニュアンスも混ざったお姉さまのご口調。

「まあそのへんは後でしつこくイジるとして、それだけ盛り上がったのならお腹も空いたでしょう?さっさと朝食いただいちゃいなさい」

 お姉さまが椅子を引いてくださり、おずおずと腰掛ける私。

「この後もうすぐにランチも食べることになるから、少なめにしといたよ」

 中村さまの補足ご説明。
 目の前のお料理は、ベーコンエッグケチャップ添えが乗ったバタートーストが一枚とメロン、スイカ、イチゴ、リンゴ、バナナなどをチマチマ盛ったフルーツサラダ、それにアイスミルクティ。
 その美味しそうな香りにお腹がグゥ、いただきます、勢い込んで食べ始める私。

 周りで見ていたらかなり、はしたない光景だったと思います。
 湯上がり頭髪にタオルだけの全裸女がフォーク一本忙しなく動かしながら黙々とお食事に没頭しているのですから。
 
  そのあいだお姉さまたちはソファーのほうへ移動され、中村さまはコンパクト片手にメイクを直され、五十嵐さまはテーブル上に並べられたお洋服のチェック、お姉さまはタブレットで何やらご覧になられています。

「食べ終わったらこっちへいらっしゃい。メイクしてあげるから」

 少し遅めの朝食を全部美味しくいただいて、アイスミルクティをゴクンと飲み干したとき、タイミング良くお姉さまからお声がかかります。

「あ、はい」

 空のグラスをテーブルに置き、お席を立ってお姉さまのもとへ。
 髪に巻いたタオルが外され、そのタオルを敷いたソファーに座らされます。

 まずはドライヤーとブラッシング。
 乾いた髪を頭の上でまとめられてから顔全体にファンデーション、コンシーラー…

「嬉しいでしょ?」

 お姉さまに顔のあちこちを弄り回されている私に、五十嵐さまが話しかけてこられます。
 最愛のお姉さまにかまっていただけていることについてのご質問なのだろうと思い、はい、と素直に応える私。

「だよね。せっかく全裸になっているのに、ここだとうちらしか視てくれる人いないし、二日目ともなるとうちらも見飽きて慣れちゃってるし、直子くらいの露出上級者には物足りなさすぎるよね?」

 なんだか謎なことをおっしゃる五十嵐さまに、私の頭は???

「任せといて。そんな直子でもGスポまでキュンキュン疼いちゃって人目憚らずに深イキしちゃうような恥ずかしい目に遭わせてあげるから。あのアウトレットならそれなりにギャラリーいるだろうし」

 更につづいた五十嵐さまのご説明に、思わず、えっ!?とお顔を向けてしまう私。

「こら!動かないのっ!」

 私のアイメイクに移られていたお姉さまからご叱責。
 作業をつづけられつつ、五十嵐さまからのお話を引き継がれるお姉さま。

「イガちゃんも野外露出には興味津々なんだって。それで、そういう新作漫画のプロットを練っていたところに昨日買い出しに行ったスーパーで、あたしと中村さんと偶然会って、直子の話をしたら是非取材させて、ってなったのよ」

「だからワタシは、そんなに興味あるならイガちゃんが自分で実践してみればいいじゃん、っていつも言ってるんだけどね」

 茶化すように会話に割り込んでこられたのは中村さま。

「だから、いつも却下してるように悪いけどうちにそんな度胸はないんだって。ジモッティだから、それなりにどこ行っても知ってる顔にも会うし…それに…」

 少しお顔を赤くされながらご弁解される五十嵐さま。

「それに、うちの裸なんて誰も視たくないって。胸もお尻も凹凸無い子供体型の裸なんて…」

 ご自嘲気味におっしゃった五十嵐さまを横目に見遣られ、ニッと笑われた中村さま。

「あら、ワタシはイガちゃんの裸、好きだけどな。なんて言うか、薄幸の美少年を愛でてる感じ?明治大正の耽美派浪漫って言うか、ワタシはレズだけどBLにも萌えるみたいな倒錯的な気持ちになれるんだよね」

「だから、それはヒンヌークラスタのフォローになっていないって、何度も言ってるでしょ?」

 傍から見ているとずいぶんと仲良さそうに、言い争いを始められるおふたり。
 苦笑気味なお姉さまがその場をまとめられるように教えて下さいます。

「とまあそんな感じで、これからあたしたちはこのへんで一番人が集まる観光地までドライブしてランチをいただくついでに、直子の露出願望も心ゆくまで満足させてあげよう、っていうイガちゃん発案の企画」
「で、あたしは、せめて顔くらいは視られて恥ずかしくないようにメイクしてあげているってワケ。せっかく有名な観光地へ繰り出すのだから」

 どんどんイジワル度が濃くなっていかれるお姉さまのお言葉。
 私の顔へのメイクは唇へと移り、お姉さまのしなやかなお指先で私の唇が撫ぜられています。

「それの一部始終を記録して、イガちゃんの作品の参考資料にもしてもらうっていう、一石二鳥か三鳥かっていう大事なイベント。もちろんディレクター、監督はイガちゃんで他のみんなはイガちゃんの補助役」
 
 私の唇に塗られたルージュが残る指先を、意味ありげにペロッと舐められたお姉さま。

「だからここから先はイガちゃん、じゃなくて五十嵐翔子統括ディレクターさまが直子のご主人さま、あ、いえ、名塚先生に倣うなら、あるじさま、ね。で、あるじさまのご指示には絶対服従、口答えは許されないのはわかっているはずよね?」
「そしてもちろんこれは、直子が一番守るべき、あたしからの命令、でもあるの」

 嗜虐に揺れるお姉さまの瞳に見つめられながら、これから確実に私の身に襲いかかるであろう未だ見ぬ恥辱=羞恥と辱めに、どうしようもなく疼き始める思いを馳せていました。


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