2020年8月30日

肌色休暇一日目~幕開け 09

「あ、領収書ください。宛名は…」

 お姉さまが伝票の上に一万円札を乗せ、和服のご婦人に手渡しました。
 ご婦人はニコニコ微笑みながらお受け取りになり、正面に座っている私をまじまじと見つめてきます。
 笑みを浮かべたそのお顔の唇両端がわざとらしく不自然に上がっていることで、ご婦人が私の姿に呆れられ凌蔑されているのだとわかります。

「一万円お預かりいたします。お釣りと領収書をお持ちしますので、少々お待ちください」

 ご婦人が再びレジの方へと戻られるのを見届けてから、お姉さまがおっしゃいます。

「ほら、直子も立ってブラウス着ちゃいなさい」

 お姉さまのよく通るお声に促され、背中とお尻を店内に向けないように用心深く立ち上がります。
 鴨居に吊るしていたブラウスは、すっかり乾いていました。
 横向きのまま素早く袖を通してお姉さまのほうへと向き直ったとき、店内のすべてのかたの視線が自分に向けられていることに気づきました。

 それまでぎこちないお箸さばきでお蕎麦を啜っていた外国人さまたちのグループは男性も女性も一様にお箸を止め、こちらに背を向けている女性陣は背中ごと首を捻ってまでして、私の姿を凝視しています。
 
 学生さん風のカップルさんは、頬を寄せて私を見つつ何やらヒソヒソ内緒話。
 作務衣姿のおふたりももちろん厨房からのお料理受け渡し口のところにお立ちになり、じっと私を視ています。
 胃の腑を満たしていたお酒の火照りが瞬く間に全身に広がり、とくに両腿の付け根付近がジンジン熱を帯びていくのがわかりました。

 今やすべてのみなさまから目視できるであろうふたつの乳首突起を、わざと目立たせるみたいに無駄に胸を張り、ブラウスのボタンをおへそ近くのひとつだけ嵌めました。
 ポシェットをパイスラに掛けるとバストの谷間が凹み、なおさら勃起乳首が一目瞭然。
 ダメ押しするみたいにブラウスの裾まで引っ張ってしまう私。
 乳房が布地に押され潰れる感覚にキュンキュン疼く、ローターで蓋をされたマゾマンコ。
 
 お酒のせいでしょうか、理性が被虐願望を抑え込めません。
 快感に耐えつつ極力平然を装う私の視界正面に、和服のご婦人のニコニコ笑顔が再び近づいてきます。

「ありがとうございました。温泉、愉しんでいってくださいね」

 ご婦人からお釣りと領収書を受け取られ、お釣りのお札何枚かをチップとしてご婦人にお渡しになるお姉さま。
 いえいえ、まあまあ、お姉さまとご婦人との束の間の応酬の後、お約束通りお姉さまが私の右手を握ってくださり、手を繋いでゆっくりとお店の出口のほうへと歩き始めます。

 チラリと振り返ると、食べ終えた食器類が乱雑に並ぶお姉さまと私のテーブル。
 その中にポツンと置かれたまっ白い紙ナプキンの存在に、ドクンと跳ねる私の心臓。

 外国人さまたちのテーブル脇を通り抜けたとき、まるでお見送りくださるように私たちを視つづけていてくださったみなさまの中から、ヒュー、シーズソーフォクシー、という感嘆混じりな男性のつぶやき声が聞こえた気がしました。
 ドッという弾けたような笑い声から早口意味不明な外国語ガヤガヤの中、お店の出口までたどり着き、ありがとうございましたー、という男女混声ユニゾンのお声を背にお店の外に出ました。

 相変わらず情け容赦無くギラギラな残暑。
 冷房の効いたお店から野外の炎天下なのでうんざり加減もひとしおなのですが、今の私には大した問題ではありません。
 そんなことよりも…

「お姉さま?私のスマホ、大丈夫でしょうか?」

 お蕎麦屋さんからほどほど離れた、庇の飛び出た日陰でお姉さまが立ち止まられ、私に振り向かれたのをきっかけに、心中の不安を勢い込んで投げかけました。

「大丈夫って、何が?」

 わざとらし過ぎるお姉さまからの素っ気無いご返事。

「何がって、あの、そのまま盗られちゃったり、あ、忘れ物っていうことで交番に届けられちゃったりしたら…」

「そうね。遺失物として警察に届けられでもしたら猥褻物陳列罪で捕まっちゃうかもね。なんてたって直子の無修正女性器丸出しだもの」

 からかうようにイジワルい笑顔で私を見つめてくるお姉さま。

「なーんてね。びびった?でも、テーブルを片付けたらすぐに気がつくはずだし、すぐにお店の人が追いかけて来て返してくれるわよ」

 お姉さまはご愉快そうにそんなフォローをしてくださいますが、それが問題なんです。
 忘れ物スマホに気づいて手に取り、それを持ち上げた途端にディスプレイに浮かび上がる私の恥ずかし過ぎる待受画像。
 どなたかが手にしているあいだは、消えても何度でも呼び戻すことが出来るのです。
 あんな恥晒しな写真を、いったい何人のかたに視られてしまうのか…

「誰があたしたちのテーブルを片付けてスマホを手にするか、でその後の展開が変わりそうよね?あの店員の女の子か男の子か、それともお店の女将さんらしい、あの和服のおばさんか…第一発見者が面白がって店中のみんなに見せて回る、ってことも充分ありうるでしょうし」

 私が一番気になっていることをイジワル笑顔全開でお姉さまがつぶやかれます。
 第一発見者、私の希望としては、女の子、ご婦人、男性の順。
 そして、絶対ありえないとわかってはいるのですが、あの画像を万が一ダウンロードされてご自分のケータイなどに保存され面白半分にネットのSNSなどで公開されてしまったら…という恐怖が頭の中で渦巻いていました。

「まあしばらくこの辺で待ってみて、返しに来ないようだったらあたしから直子のスマホに電話してあげるわよ」

 お姉さまの笑顔が悪魔のよう。
 そんなことをされてしまったら恥辱画像だけではなく、私のヘンタイ過ぎる音声までお蕎麦屋さん店内に鳴り響いてしまいます。

「ま、仕方ないわよね。これは直子があたしとの約束を破った、お仕置きなのだから」

 お姉さまがご自分のスマホ画面にわざとらしく視線を落とされ、私の心臓がドキンッ!
 すぐにお顔を上げられニヤッとされたかと思ったら、あっ!とお声を上げられました。
 私の肩越し、遠くのほうの何かを見つめられています。
 私もつられて振り返ります。

 先ほどのお蕎麦屋さんの引き戸の前で、作務衣姿のどなたかがキョロキョロ周辺を見渡されています。
 その右手には、遠目で小さいながら見覚えのある私のスマホ。
 目を凝らすと作務衣姿のかたは、お料理を運んでくださった男性のようでした。

「ほら、言った通りでしょう?さっきの店員さんよ。さっさと返してもらってきなさい」

 お姉さまがまだ目を凝らしている私の背を軽く小突きました、
 小突かれるのと同時に、私は作務衣姿の男性のほうへと小走りに駆け出していました。

 男性への距離は10数メートルくらい。
 右手に私のスマホをお持ちになり、左手は手ぶら。
 周囲をキョロキョロ見回しつつ、時たま食い入るように私のスマホ画面を見つめています。
 ああん、完璧に視られちゃってる…

「ごめんなさい、私さっき、お店のテーブルにケータイ、忘れちゃったみたいで…」

 男性まであと数メートルと近づいたところで、息せき切ってお声掛けしました。
 まだ駆け寄っている最中なので、薄い布地の下のおっぱいがプルプル上下しています。

「あっ!」

 男性の視線が私へと向き、驚かれたようなご表情で私を見つめ、そして再び視線はスマホ画面へ。
 近づく私の胸はプルンプルン弾み、ブラウスの前立てや裾も風で割れて、おへそも下腹部も太股の付け根まで肌色丸出しのはずです。
 
 男性は何度かその動作をくりかえされていました。
 見比べていらっしゃるんです。
 生身の私とスマホ待受画面の私の画像とを。
 その画像の私は、覆う衣類一枚無い剥き出しのおっぱいと女性器をこれみよがしに晒し、おまけにご丁寧に自ら肉襞まで押し広げて膣内まで視せてしまっているんです…

「あの、わざわざお店の外まで探しに出てくださったのですね?ありがとうございます。お手数をおかけしてしまい申し訳ございませんっ!」

 今すぐどこかへ逃げ去りたいような恥ずかしさと被虐を感じつつ、なんとか作務衣の男性のすぐ傍らまで近づきペコリと頭を下げ、早口でお礼を述べてから右手をそっと伸ばしました。
 私の腕の動きにつられるように、スマホを握っている男性の右手もそろそろと私の差し出した手に近づいてきたのですが、あと十数センチというところでピタッと止まり、ススっと背中側に引っ込んでしまいました。

「えっ!?」

 思わず声が出ると同時に、初めて男性のお顔をまっすぐに見ました。
 街でよく見かける眉にかかるくらいのメンズマッシュ、中肉中背、全体的に小さめ地味めな目鼻立ち。
 一回目線を切ったらもう忘れてしまいそうな、印象薄いよくあるお顔立ち。
 ただ、その小さめな瞳だけが好奇心を抑えきれず、ランランと輝いていることだけはわかりました。

「ねえ、君ってエーブイ女優の人なの?」

 お店でのマニュアル的なご対応とは打って変わって、少し上ずったずいぶん馴れ馴れしい口調で尋ねられました。

「えっ!?ち、ちがいますっ!」

 ご質問があまりにも想定外過ぎて、思わず大きな声で即座に否定してしまいます。
 なんだか脱力してしまい伸ばしていた右腕がだらんと垂れ下がってから、問われたお言葉の意味を反芻し、男性の思考の身勝手さを垣間見た気がして、性的な意味ではなく生理的な拒否感で全身がブルッと粟立ちました。

「だって、そんな首輪なんかしてそんな格好で、こっちの写真なんて、全部見せちゃってるじゃん」

 一歩後ずさった私にお構いなしで待受画像を私に向けてくる男性。
 お言葉羞恥責め、と捉えることも出来るシチュエーションですが、男性の発しているオーラが性的に生々しいというか、生臭過ぎるんです。

 馴れ馴れしいを通り越して図々しさまで感じさせる、軽薄にくだけきった雰囲気。
 繁華街を歩いていると唐突に話しかけてくる種類の男性とも共通する口調、本心は別のところにあるのであろう胡散臭い薄笑み。
 被虐にも傾きかけていた私の中のマゾメーターは一気に、不安感へと揺り戻されました。

「あ、それともあの怖そうな女の人に脅されてるとか?何か弱み握られたとか、パワハラのイジメとか」

 男性が私の肩越し方向を、横柄に顎だけしゃくって指し示します。
 つられて振り返ると、お姉さまはさっきと同じ庇の下でこちらを向き、遠くから私を見守ってくださっているようです。
 右手でビデオカメラを構えてレンズ越しに、ではいらっしゃいますが。

「そ、そんなことありませんっ!お姉さま、あ、いえ、あそこにいるかたは、私の一番大切なかたで、脅したりパワハラするようなかたではありませんっ!」

 見守ってくださっているお姉さまのお姿を確認したことで、俄然勇気が湧いてきました。
 一刻も早くスマホを取り戻して、お姉さまのお傍に戻らなければ。

「そ、そんなことより、早く私のスマホ、返してくださいっ!」

「ふうん。AVでもなくて無理矢理誰かにやらされているんでもないんだったら、なんでそんなエロい格好して、わざわざ人目の多い観光地をウロウロしているんだよっ?」

 私の強気な勢いが癇に障ったのか、もはやフレンドリーな取り繕いも放棄して、野卑な性的好奇心丸出しのぞんざいな口調。
 これほど好色剥き出しでギラついている成人男性のお顔を間近で見るのは、生まれて初めてです。

 そしてやはり私は、男性ではダメだ、と今更ながらに再確認します。
 言葉の端々に滲む高圧的な根拠の無い俺様感、女性とは明らかに違う獣じみた体臭、肉体的にねじ伏せればこっちのもの的な威圧感、…
 その粗野な振舞いの前では、性的興奮や被虐願望など水中に没したワタアメみたいに萎び、恐怖と嫌悪しか感じられません。

「そ、それは…」

 どうやってスマホを取り返そうか、と頭をフル回転させながら、男性のご質問にもお答えしようと口を開きました。

「それは私が、私がマゾだからです…」

「えっ!?」

 自分でも思いもよらなかった答えがごく自然に自分の口から飛び出してしまい、言い終わえた後、心の中で、えっ!?という驚愕を男性とユニゾンしてしまいました。
 自分で言ってしまった言葉で、マゾの血が全身にジワジワぶり返し始めます。

 男性も一瞬、虚を突かれたように固まっていましたが、やがて言葉の意味を理解されたのでしょう、ますます下卑た笑みを浮かべてズイっと私のほうへ一歩、詰めてきました。

「マゾって、やっぱヘンタイ女じゃん。そんなエロい格好やこんなスケベな写真視られて悦んでるってことだよな?マゾってイジメられるのが嬉しいんだろ?」

 その粗暴な振舞いと口調にマゾの血は再びスーッと引き、滾るのは嫌悪感ばかり。

「そんなことはあなたには関係ないことです。早くケータイを返してください。返さないのならお店に入って店長さんとか偉い人に、あなたの失礼な振舞いを言いつけますっ!」

 勇気を振り絞って、頭に浮かんでいた脅し文句を、ありったけの怒りを込めて口にしました。
 男性に言葉を投げつけている最中、フッとやよい先生、中学高校時代私が通っていたバレエ教室の先生で私のSM初体験のお相手の女性、のお顔が脳裏を横切りました。

 男性はいまだに語気荒い私の反撃に少し怯んだようで、いたぶりを愉しんでいたのであろう、にやけた視線が気弱そうにスッと外れました。

「ま、まあそんなにマジになるなよ、ちょっとからかっただけじゃん。わかったから、ちゃんとケータイは返すから」

 男性がいきなり卑屈なお顔つきになり、後ろ手で隠していた私のスマホをおずおずと差し出してきます。
 せっかく暗くなっていたのに動かしたせいでディスプレイに浮き上がる私の裸身。

 受け取ろうと私が手を伸ばすと、再びスイっと腕を引っ込める男性。
 あーもうっ!なんなの?この人…

「ケータイは返してやるからさ、その代わりそのヤラシイおっぱい、触らしてくんない?服の上からでいいからさ。ノーブラ乳首、エロ過ぎ…」
「マゾだったら、そんなのむしろご褒美じゃん?誰でもいいから男にいじられたくて、ヤラれたくてウズウズしてるマゾ女なんだろっ?」

 ドスケベオーラ全開で迫りくる男性の汗臭い体臭。
 瞬時に跳ね上がる憎悪、そしてなぜだか恐怖よりも、必死な男性に対する呆れと侮蔑、そして憐憫。

 そのときでした。
 より縮まってしまった私と男性との物理的距離の、その僅かな空間に響き渡るエロさ全開の淫声。

「これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください…」

 男性と私、同時に固まりました。
 私の中のマゾっ気、被虐欲が瞬時に全身を駆け巡ります。

 おそらく着信と同時にスマホが振動しているのでしょう、後ろ手に隠していた私のスマホを怖いものでも見るように恐る恐るご自分の目の前へと持ってくる男性。
 無情にリピートする私のマゾ宣言。

「これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください…」

 男性にはくりかえし聞こえてくる着信音が告げる文言の意味が、掴み切れていないご様子。
 唖然とされたご表情で、私の目前で呆然とスマホ画面を凝視される男性。

「あんっ、ダメぇ!いやんっ!」

 先に我に返ったのは私のほうでした。
 無防備に握られていた男性の右手からスマホを文字通りの意味でひったくり、あわてて着信ボタンを押して自分の淫声を遮りました。

「あっ!てめえ…」

 スマホをひったくられてやっと我に返られた男性。
 私のほうへともうニ歩三歩詰め寄ろうとされたときには、私はお姉さまへと一目散に駆け出していました。

「おいっ、ヘンタイマゾ女っ、それじゃ話が違うだろうがっ!」

 男性の遠吠えが小さく届く頃には、私はすっかり頼もしいお姉さまの傍ら。
 今にもこちらへ向けて駆け出して来られそうな勢いでしたが、お姉さまにずっとビデオのレンズを向けられているのに気がつかれたのでしょう、最後に精一杯虚勢を張るように私たちを睨みつけた後、すごすごとお蕎麦屋さんの店内へと戻っていかれました。

「なんだか揉めていたみたいだったからさ、助け舟のつもりで電話してみたのだけれど」

 お姉さまとやっと再び手を繋いで庇を出て、旅館さまとのお約束場所だという足湯の方向へ向かっています。

「ありがとうございます。あれでなんとか私のスマホ、取り返せました」
「で、なんで揉めていたの?」
「それが、あの人がすぐにスマホを返してくださらなくて、AV女優か?なんでそんなエロい格好しているんだ?なんて聞かれて…」
「ふーん。それで直子は何て答えたの?]
「それが…自分でもそんなお答えするつもりはぜんぜん無かったのになぜだか、私はマゾだから、って…」
「あらら、真っ正直に教えちゃったんだ?」

 お姉さまがこれ以上ご愉快なことはない、というくらいの嬉しそうなご表情で私の顔を覗き込んでこられます。

「それで、あの男の子は何て言ってきたの?」
「あ、はい…マゾのヘンタイ女だったら、イジメられるのはご褒美だろう?おっぱいを触らせればスマホを返してやる、って…」
「ふふん。あの年頃の男ってそうよね。画像と生身の直子で下半身もギンギンだったろうし。でも男性苦手な直子にとっては、すごく怖かったんじゃない?」
「は、はい…それでどうしようかと迷っているときにお姉さまからの着信が来て」
「それであの男性ともどもフリーズしちゃって、一瞬早く隙を見つけた私が奪い返すことが出来たんです。これもお姉さまのおかげです、ありがとうございます」
 
 繋いでいる右手を、感謝を込めてギュッと握り返す私。
 お姉さまも私の顔を覗き込み、ニコニコ笑顔をお返してくださいます。

「なるほどね。やっぱりあの店員はあたしの読み通りのヘタレだったんだ。おっぱい触らせろ、ってガキンチョか。あたしは、一発ヤらせろ、くらい言われているんじゃないかって、ちょっとハラハラ心配していたのに」
 
 ご本心なのか、ただのご冗談としてのからかいなのか、お姉さまの少しだけ火照ったお顔からは読み取れませんでした。

「でも、今回のことではっきりわかりました。やっぱり私は、男性とは性的なあれこれは愉しめないんだな、って」
「これまでの色んなアソビで、心もからだもちゃんと気持ち良くなれたのは、全部お姉さまのおかけだったんだな、って」

「ふーん、あたしのお仕置きがちゃんと効いたみたいね」

 照れたようなお困り顔になられたお姉さま。
 繋いでいる手を握る力を、突然あからさまにお緩めになりました。
 私は、離しません、という想いを込めて、いっそう力を込めて握り締めました。


肌色休暇一日目~幕開け 10


2020年8月16日

肌色休暇一日目~幕開け 08

「あ、はい…ごめんなさい…」

 座ってもまだ肩から提げていたポシェットを開き、おどおどとスマホを取り出します。
 手に持った途端に明るく浮かび上がる、自分のオールヌードくぱぁ画像。
 おずおずとテーブルの上に表向きで置くと、しばらく公然に晒されてからスッと暗闇に消えてくれました。

 それを見届けてから、今度はパイスラのポシェットを外し、ひとつだけ留めていたブラウスのボタンも外します。
 こんなスケスケの役立たずなブラウスでも、こんな場所で自ら脱ぐ、という行為には羞恥と躊躇が生まれます。
 これを脱いでしまったら、トップとボトムだけの下着姿も同然なのですから。

 それでもお姉さまからのご命令、意を決して両袖から汗ばんだブラウスの袖を抜きました。
 脱いだブラウスはお姉さまが引き取ってくださり、空席となっているお隣の椅子の背もたれに掛けてくださいました。

「こうしておけば、出る頃には乾くでしょ。さてと、直子は何が食べたい?」

 お店には、軽やかなピアノを中心にしたジャズっぽい音楽が流れています。
 でも、それを掻き消すみたいに、きっと随分年季が入っているのでしょう、店内二箇所に設えられた大きめなエアコンから発せられるブーンという低音もずっと聞こえています。

 私にも読めるようにと横向きでメニューを開いてくださるお姉さま。
 綺麗なカラー写真付きで美味しそうなお料理が満載です。

 美味しそうではあるのですが、今の私はメニューに集中することが出来ません。
 だってブラウスを脱いでしまった私は、素肌の殆どの部分を外気に晒してしまっているのですから。
 それもプライベートなお部屋内ではなく、どなたでもお出入り自由な温泉地のお蕎麦屋さん店内で。

 現に今も新しいお客様、ご年配のおじさまと若い女性のカップルさんがお見えになり、先客のおふたり連れのお隣のお席に着かれました。
 おじさまが私の姿に目を惹かれたようで、たぶん首輪だと思いますが、女性に何やら耳打ちをされ、背中を向けていた形の女性も首だけひねって私を視てきます。

 私は身を固くしてメニューに集中しているフリでうつむきます。
 でもやっぱり気になって、そちらを上目でチラチラ窺ってしまいます。

 今の私は、街中のお蕎麦屋さんにひとりだけキワドイ隙だらけの水着姿で座っているようなもの。
 これがたとえば海水浴場の近く、とかならば、みなさま開放的でさして目立たないのでしょうけれど、ここでは明らかに日常の中の異物。
 
 なんでここでその格好?なんで女連れ?なんでノーブラ?なんで首輪?
 そんな疑問が湧くのは当然です。
 私のマゾ性が理性を、ジワジワ隅っこへと追い詰め始めています。

「やだ、直子にぴったりのお蕎麦があるじゃない。ちくびそば、だって」

 メニューの写真を指さし、はしゃいだお声を上げられたお姉さま。

「えっ?」

 そのお声でフッと理性が戻る私。
 そんなお蕎麦あるの?お姉さまのしなやかな指が置かれているメニュー写真を確認します。
 本当だ、乳首そば(かけ・せいろ)って書いてある…あれ?でもこれって…

「あの、お姉さま、これ、首じゃなくて、きのこっていう字じゃないですか?」

「あ、本当だ。茸っていう字だね。じゃあ何て読むんだろう?ちちだけそば?」

「下にローマ字で小さく書いてあります。Chitake-Sobaって」

「ふーん、ちたけそばね。初めて聞くけど面白いんじゃない?字面が気に入っちゃった。注文お願いしまーすっ!」

 お言葉の後半でお姉さまはまっすぐ高く右手をお挙げになり、お店のかたをお呼びになりました。

「はーいっ!」

 先ほどの作務衣の女の子がいそいそと近づいてこられました。
 あらためて見ると、小柄で目がパッチリ大きくて小さいお顔にひっつめポニーテール、どこかのアイドルグループの一員と言われても信じられるくらい可愛らしいかた。

「この乳茸そばっていうのは、たぶん乳茸っていう茸が入っているのよね?どんな茸なの?」

 お姉さまがメニューを指さしつつ、お尋ねになります。

「あ、はい。具材としても入っていますが、よいお出汁が取れるんです、この茸」

 私の胸にチラチラ視線を飛ばしつつ、お答えになる女の子。

「あたし最初、乳首そばって読んじゃって、ギョッとしちゃった」

「ああ、間違われるかた、たまにいますよ。ご年配の男性とか、嬉しそうにお下品なご冗談をおっしゃるかたも」
「乳茸っていうのはこの辺で夏から秋にかけて採れる茸で、切るとミルクみたいな白い液が出るのでこの名前になったそうです。香りが凄くいいんですよ」

 お姉さまと傍らに立たれた女の子、フレンドリーに会話されています。
 女の子はお愛想よくお姉さまのお相手をされながらも、視線が頻繁に私へ。
 布地を突き上げているふたつの突起がどうしても気になるみたい。
 少しつま先立ちになって、座っている私の剥き出しなお腹の更に奥を覗き込むような仕草も。

「なるほどね。それじゃあこの乳茸そばをせいろで二人分と…」

 お姉さまがご注文を告げつつ、テーブルに置いたご自分のスマホを手に取られます。
 ドキンと跳ねる私の心臓。
 私のスマホは女の子からも、充分に画面を目視出来る位置に置いてあります。

「あと、湯葉刺しと卵焼きをひとつづつ、それと、この地酒の冷酒の2合ボトル1本ね。グラスはふたつ」

 よどみなくご注文を告げられた後、ついでという感じでお手元のスマホをポンとタップされました。

「んっ!」

 吐息を洩らしたのは私。
 股間のローターが緩く振動し始めたのです。

「お酒はすぐにお持ちしていいですか?」

 にわかに挙動が不審になった私を興味津々な瞳で見つめつつの女の子のお尋ね。

「うん。食前に乾杯したいからね。よーく冷えたやつ持ってきて。いいわよね、直子?」

 直子?という呼びかけと一緒に、スマホ画面上のお姉さまの指がスッとスワイプしました。

「あんっ、あ、はいっ、はいぃ…」

 ローターの震えが一段と激しくなり、股間からブーンという音さえ聞こえてそう。
 椅子に座っている姿勢なのでデニム越しの膣穴は椅子の薄いお座布団に密着しています。
 ローターのモーターがその下の民芸風な木製の椅子もろとも震わせているような感じ。
 エアコンの音にうまく紛れてくれていれば良いのですが…

「それでは、ご注文は、乳茸そばをせいろで二人前、単品で湯葉刺しと卵焼き、冷酒二合を食前に、でよろしいですね?」

 テーブルに前屈みになって快感に耐えている私の頭上を、女の子の涼やかなお声が通り過ぎていきます。

「あ、あと氷入りのお水を一杯、お酒と一緒に持ってきてくれる?この子、日本酒弱いから、チェイサーにしたいの」

「はい。かしこまりました。では少々お待ちください」

 女の子がテーブルから離れたとき、やっとローターが止まりました。
 ハァハァ息を切らし、うらめしげにお姉さまを見上げる私。

「お姉さまぁ…あんまりイジメないでください…それでなくてもこんな格好で恥ずかしいのに…」

「あら、何言ってるの?あの可愛い従業員さんが物怖じしないでじっくり直子のこと視てくれるから、あたしもちょっとサービスしてあげただけじゃない」
「直子だって嬉しかったでしょ?あの子の目の前でマゾマンコが震える音、聞いてもらって」

 ヒソヒソ声で、私の抗議を一蹴されるお姉さま。
 私がまだお姉さまをうらめしげに見つめていると、その視界に女の子が再びツカツカと近づいてこられました。

「あの、お客さま?そのお召し物、汗で湿っているのなら、このハンガーをお使いください。高いところに干したほうが乾くのも早いと思いますよ?」

 空席な椅子の背もたれに掛けてあったブラウスを指差し、針金製のハンガーをお姉さまに差し出してくる女の子。

「あら、気が利くのね。遠慮なく使わせていただくわ」

「はい。その壁の上の鴨居に掛けると、ちょうどエアコンの風が当たってイイ感じかな、と」

 私が背にしている壁の上のほうを指さされた女の子。
 相変わらず私のバストをまじまじと見つめてきます。

「そうね。ほら直子、あなたが掛けなさい」

 スケスケブラウスをハンガーに掛け直して一番上のボタンだけひとつ留め、対面の私に手渡そうと右腕を伸ばされるお姉さま。
 受け取るために私も手を伸ばしたとき、いらっしゃいませ~、のご挨拶とともにガヤガヤと数人の方々がご来店。
 今度は欧米系らしき外国人さん4人連れ、男性2女性2のグループさんでした。

 つづけざまに大学生風カップルさんが一組。
 ふと気づくとあまり広くない店内がほぼ満席、私たちの隣の四人掛けのお席以外、全テーブルが埋まっていました。

 忙しくなってきたのに私たちのテーブルからまだ離れない女の子。
 彼女はたぶん、私を立たせたくてハンガーを持ってきてくださったのだと思います。
 私の全身、ブラウスを脱いだらどういう姿なのかを確認したくて。

 ブラウスを鴨居に掛けるために立ち上がるとしても、店内のみなさまに背中を向けてしまうことは絶対に避けなければなりません。
 私のお尻の少し上には、自分の性癖を明記した恥ずかしい日焼け文字が記されているのですから。
 素肌が剥き出しとなっている今、どんなに素早く済ませたとしても、カタカナひらがなの5文字はいともたやすく読めてしまうことでしょう。

「ほら、何をもたもたしているの?さっさと掛けちゃいなさいよ」

 すべてを察していらっしゃるであろうお姉さまが、ご愉快そうに煽ってこられます。
 私は観念して、ハンガー片手に立ち上がります。

 幸いなことに私たちのテーブルはお店の隅、私は壁を背にして座っているので、立ち上がっても横向きでいれば、その背中側も直角を作ってつづく壁面でした。
 お尻をお店の内部側に向けさえしなければ、どなたにもイタズラ書きを読まれる心配は無い位置です。

 ただし、立ち上がるとテーブルは私の腿の位置、剥き出しのお腹から狭すぎるデニム地パンツ下まで、半裸の肌色のほとんどが丸出しとなりました。
 横向きになると、尖った乳首の突起も余計に目立つことでしょう。
 私が立ち上がった途端、お店にいらっしゃるすべてのお客さま、従業員さまの視線が私のほうへと集中するのを感じました。

 晒し者、という言葉が頭の中を渦巻く中、素早くハンガーを鴨居に掛け、素早く着席しました。
 腰を下ろす途中、今しがた見えられた外国人男性のおひとりと目が合ってしまい、そのかたは、口笛を吹くように唇をすぼめられた後、パチンとウインクをくださいました。

 作務衣の女の子もいつの間にかいなくなられて、お姉さまはうつむいてご自分のスマホを何やらいじられています。
 いつまたローターがオンになるか、私のスマホが着信してしまうか、ドキドキソワソワしながら、ふと今しがた鴨居に掛けたスケスケブラウスを見上げました。

 このお店の民芸調渋めインテリアの中でひどく不釣り合いな、ほんのり白いスケスケブラウス。
 お店内のどなたの視界にも入る高さに、これ見よがしなセクシーアンドガーリーな異物。
 それはまるで、こんな破廉恥な服を着ていた女が何食わぬ顔してここにいますよ、と知らしめる目印のようにも思えます。
 お店中のみなさまから、ヘンタイ女と蔑まれる妄想に没入しかけたとき、近づいてくる人影に気がつきました。

「お待たせしました。こちら、冷酒となります」

 えっ?男性?

 お声のしたほうを見ると、先ほどの女の子とお揃いの作務衣を着たお若い男性が、お酒の瓶とコップを乗せたお盆を手に、お姉さまの横にたたずんでいました。

「ありがとう。お水はこの子の前に置いてあげて」

 お姉さまのご指示で、お盆の上のものを次々にテーブルにお置きになる男性。
 その視線がずーっと私に注がれています。

 最初こそ驚いたようなお顔ですぐ視線を逸らされたのですが、それからチラチラと盗み見るように私の首輪、胸やお腹、下腹部へと散らばり、お盆が空になる頃には好奇心丸出しの好色なお顔で、バストの突起や太腿の付け根を凝視してきました。

「あ、それからこれはお通しの季節の山菜で、こちらが湯葉刺しになります。わさび醤油がお薦めですが、お好みでこちらのポン酢、ゴマダレもお使いください」

 すべてをテーブルに並び終え、名残惜しそうに離れていく男性。
 厨房に向かうあいだも何度もこちらを振り返っていました。

「凄い勢いで直子のからだ、ガン見していたわね、今の子」

 お姉さまがお酒をグラスに注いでくださりつつ、ご愉快そうにおっしゃいました。

「見たところウブそうだから大学生のバイトくんってとこかしら。直子のその格好は刺激が強すぎたみたいね。困惑と嬉しさがごちゃまぜになって、どうしたらいいのかわからない、って顔してた」
「必死にお澄まし顔していたけれど直子も気づいていたのでしょう?どうだった?あれだけガン見されて」

「あ、はい、すごく、恥ずかしかった、です」

「でも気持ち良かった?」

「あ、はい…」

「直子が苦手な男性でも?」

「はい…」

 男性とわかった瞬間は少し怯みましたが、チラチラ視られるたびにゾクゾク疼き、好色丸出しなお顔で凝視されると、蓋をされたマゾマンコがキュンキュンと咽び泣くのがわかりました。

「直子今、ちょっとヤバいくらいマゾ顔になっているわよ」

 からかうようにおっしゃってからじっと私を見つめた後、お姉さまが気を取り直すようにつづけられました。

「ま、それはそれとして、あたしたちのバカンスの初日に乾杯しましょう。まずは温泉で直子がたくさん辱められますように、カンパーイ!」

 身も蓋もないお姉さまの音頭で、グラスをチンと合わせます。
 よく冷えた冷酒はフルーティで、冷たい液体が心地よく喉を滑っていきます。
 お店に入ってから緊張の連続で、思いの外喉が乾いていたみたい。

「んーっ、平日の真昼間から温泉地のお蕎麦屋さんで冷や酒なんて、なんだか文豪にでもなったみたい」

 お姉さまの可愛らしいご感想。
 私もお酒が胃の腑に落ちた途端、からだも心もなんだかフワッと軽くなった感じ。
 それにつられるように、ジワッと食欲が高まりました。

「直子は日本酒だとすぐに酔っ払っちゃうんだから、ちゃんと水も飲んでセーブしなさい」
「こんな時間から理性失くされちゃったら、いくらあたしでも面倒見きれないからね」

 お姉さまから釘を刺され、氷の浮いたお水をゴクリと一口くちにしたとき、メインディッシュの乳茸そばが運ばれてきました。
 
 運んで来られたのは先ほどの作務衣の男性。
 再び舐めるように私の全身を視姦しつつ、お盆からお料理をテーブルに置いてくださいます。
 
 お酒のせいかさっきより余裕の生まれた私は、視線を意識してときどきわざと胸を両手で庇ったりして、恥じらいながらも視られるがまま。
 心の中では、ちゃんと視て、イヤらしいでしょ?もっとよく視て、と懇願しています。
 マゾマンコの潤みはとうとう決壊して、腿から垂れたおツユが一筋、ふくらはぎへと伝い滑るのがわかりました。

「へー、本当にいい香り。これは食欲そそるわね。いただきましょう」

 お姉さまのお言葉で私にしては珍しく、性欲から食欲モードへとあっさり切り替わりました。
 それだけお腹が空いていたのかな。
 確かにテーブル上から、まつたけにも似た良い香りが漂っていました。

「いただきます!」

 お姉さまと差し向かいで手を合わせてから、せいろのお蕎麦に箸を伸ばします。
 ズルズルズル…美味しい!

 茸独特のコクのあるお出汁が効いたつけ汁には、乳茸と思われる茸とお茄子のザク切りが浮かび、これらもおツユをほどよく吸って、噛みしめるほどに滋味が広がります。
 冷たいお蕎麦に温かいつけ汁というコンビも相性良く、スルスルと喉を通っていきます。

 お出汁の効いた卵焼きとわさびの効いた湯葉刺しを箸休めにして、ふたり無言で食べ進めました。
 時折チビッと口をつけるお酒の冷たさも格別で、どんどんお箸が進んでしまいます。
 
 ただ、何気なく視線を上げたとき、厨房への出入り口のところで作務衣の女の子と男性がこちらを見ながら、何やらヒソヒソとお話されていたのが気にはなりましたが。

「ハァー美味しかった。おツユが美味しいからせいろとお酒追加、って言いたいところだけれど、やめておきましょう。温泉旅館のお夕食って量が多いらしいし」
「それにお蕎麦屋さんでのお酒は長居せずにほろ酔い腹八分が粋、って言うしね」

 お姉さまがボトルに少し残っていたお酒をご自分のグラスに注ぎ、グイッと飲み干されます。
 私はすでに、一杯目のお酒とチェイサーの氷水を両方、全部飲み干していました。
 少しだけ胃の腑がポカポカしています。

「それじゃあそろそろ、待ち合わせ場所に行きましょうか。外は暑いだろうけれど、足湯も気になるし」

 お姉さまが傍らの伝票をお手に取り、お背中ごと曲げて店内を見渡します。
 私もつられて見渡すと、店内には外国人さんの4人連れと最後に入ってきた大学生風カップルさんしか残っていませんでした。

「さすがに昼間っからお酒飲んでまったりする人は少ないのね。まあ、みんなもこれから心待ちにしていた温泉だろうし」

 お独り言ぽくおっしゃったお姉さまの右手がスクっと挙がります。

「お勘定お願いしまーす」

「はーい、ただいま」

 どなたなのか、弾んだ女性のお声がやまびこみたいに返ってきました。

「直子はブラウス着直して、お勘定したら手を繋いで一緒に出ましょう」

 嬉しいことをおっしゃってくださった後、ニッと笑って手招きされ、顔を近づけた私の右耳に唇を近づけられます。

「直子はわざとここに、このままスマホを置き忘れなさい。これは命令よ」

 卓上の白い紙ナプキンを一枚お取りになり、私のすぐ前に置きっぱなしだったスマホ上にそっと置いたお姉さま。
 私のスマホがすっぽり隠されてしまいました。
 
 ずっとレジ前に陣取っていた和服姿のご中年のご婦人が私たちのテーブルへと、ゆっくり近づいてこられました。


肌色休暇一日目~幕開け 09


2020年8月10日

肌色休暇一日目~幕開け 07

 お姉さまが私の傍らまで来てくださり、メイクを直してくださいました。
 向かい合って髪を軽くブラッシングしてくださってから、お姉さまのメイクアップパレットを使って。

 お姉さまとおそろいのファンデ、チーク、シャドウ、リップ…
 肌をくすぐるこそばゆいブラシの感触は、さっき私が味わった精神的高揚感に付け足された、気の利いたデザートみたい。
 しばしうっとり、至福の時間が流れました。

「よしっ!こんなもんかな。直子、立って」

 メイクキットを手早く片付けつつ、お姉さまも立ち上がられます。

「そこじゃちょっと窮屈ね。こっちのドアのところにもたれるみたいに立ってみて」

 個室の出入り口ドアのほうを指さされるお姉さま。
 テーブルの上から私のスマホを拾い上げられました。

「そう、そこでいいわ。こっち向いて笑って、うん、そんな感じ。もう少し胸張って」
「おーけー、今度は後ろ向いて。うん、ちょっとお尻突き出す感じで、そうそう、顔だけこっちに向けてみて」

 お姉さまのご指示の下、たてつづけなシャッター音が個室内に響き、即席の撮影会はすぐに終わりました。

「ほら、今の直子はこんな感じ。凄くキュートよね?夏の妖精さん、みたい」

 スマホのディスプレイをこちら側に向けてくださり、たった今撮影したばかりの写真を私にも見せてくださいます。

 メイクを直していただいたので、顔の各パーツが色味を帯びて、いくぶん艶やかになっています。
 そんな顔にミスマッチな、くたびれた感じに年季の入ったエンジ色の無骨な首輪。
 その下の胸周りを、乳房の形通りにぴったり包み込む、柔らかそうな薄くて白い布地。
 そのふたつの膨らみの先端は、ひと目で分かるくらい露骨に生々しく突き出ています。

 下乳の谷間から少し隙間を空けて、可愛らしく垂れ下がる真っ白いリボン結び。
 その下はおへそを経て恥丘の膨らみ始めまで、薄い小麦色の剥き出しなお腹。
 下腹部を狭く覆うデニム地もすぐに途切れ、再び小麦色の太腿と生足。

 背中を向けた写真では、上半身は普通に白いチビTを着ている感じですが、肩甲骨下からお尻の割れ始めまで背中丸出し。
 おまけに尾骶骨少し上あたりにハッキリ読める、マゾですの、の日焼け跡イタズラ書き。
 私、本当にこんな大胆な姿で、温泉街を観光することになるのでしょうか。

「ね?なかなかそそるコーデでしょう?小悪魔的にエロティック、ううんコケティッシュっていうほうが、ぽいわよね。電車降りたら注目の的、間違いなしだわ」

 スマホの画面と生身の私を交互に見比べながら、ご愉快そうなお姉さま。
 そんなお姉さまの視線が生身の私のバストに向いたまま射るように数秒見つめた後、ふっとお顔が曇りました。

「ただ、やっぱりそのおっぱいを白昼人目に晒すのは、ちょっと刺激的すぎるかな…」

 おっしゃりながらお姉さまの右手が伸びてきて、クッキリ浮き出ている左の乳首を布地ごと、ギュッと摘まれました。

「あぁんっ!」

「直子のおっぱいって、そんなに大きくはないくせに、形そのものがイヤらしいのよね」
「ぽってり丸くて重そうなのに乳首は上向きで大きくて、思わずこんなふうに手を伸ばして触りたくなっちゃうワイセツおっぱい」
「そんなふうに形丸わかりな布地で無駄に包まれていると余計に中身が拝みたくなるから、スケベ男に問答無用で襲われちゃうかも」

 お姉さまが右手のひらで私の左おっぱいを下から包み込み、ときに優しくときに乱暴に、ニギニギともてあそんてくださっています。

「あん、あんっ、あふんっ、あふぅっ…」

「だから特別に、上に一枚羽織ることを許してあげる。余計なトラブルを招くとメンドクサイもの」

 お姉さまがバッグから再び小さなショップ袋を取り出されました。
 中から出てきたのは、これまた小さく折りたたまれた衣服らしき布片。

 その布片を広げてみると、一応は半袖パフスリーブのシャツブラウスの形。
 ただし透け感全開、ところどころに小さなレース編みの白いお花模様が散らばっている以外、まったく肌色を隠すつもりのない見事にシースルーなヘナヘナブラウス。

 お姉さまに促され羽織ってみます。
 軽くて薄くて着心地は満点、でもやっぱり何の役にも立っていません。

 前を掻き合わせても肝心なところにお花模様は無く、薄い生地が密着して陰影を作るので、乳首の突起はかえって目立っちゃいそう。
 後ろはお尻の半分くらいまで丈が来てくれてはいますが、果たしてこの透け感でイタズラ書きが読めなくなるでしょうか。

「うん。いい感じにエレガントさが加わったわ。それならワイセツおっぱいもパッと見じゃ目立たないはず」

 お姉さまはそうおっしゃいますが、私はまったく賛成できません。
 だって私が少し視線を下げたら、そこにふたつの突起が二枚の薄い布地を突き上げてイヤラシく存在を主張しているのですから。
 かえってエロさが増している気がします。

「ボタンはおヘソのとこらへんのひとつだけ、留めていいわよ」
「駅降りたらしばらくその格好で様子を見ましょう。厄介そうな輩が見当たらなかったら、脱いで思う存分、ワイセツおっぱいを周囲に見せびらかせばいいわ」

 からかうようにおっしゃったお姉さまが再びバッグをごそごそされ、何かを私に差し出してきました。

「あと、ついでにこれも挿れておきなさい。ただ観光するだけじゃつまらないのでしょ?直子は」

 お姉さまから手渡されたのは、細長い円柱が少し反り返るようにカーブした、シリコンコーティングされた物体。
 片手で緩く握るのにちょうどいいくらいの太さ、軟らかさで、握った手のひらから1~2センチくらい飛び出るほどの長さ。
 私だからなのかもしれませんが、その形状と手触りで、手渡された瞬間に物体の用途がわかってしまいました。

「いいでしょ?ミサとリンコが直子の膣の深さと具合を計測した上で、直子のマゾマンコ専用に開発してくれたローターよ」
「それでこれ、あたしのスマホからコントロール出来るんだって。ほら、早く挿れて」

 お姉さまに急かされてショートパンツの前ボタンを外し、少しずり下げます。
 露わになったマゾマンコに円柱の丸まった先っちょをあてがい、慎重に内部へと侵入させます。
 充分に濡れそぼっている膣穴からヌルっとしたおツユが滲み出し、円柱は難なく私の中に収まりました。

「どう?ジャストフィットでしょう?」

 デニムパンツをずり上げる私に向けて、笑いかけてくるお姉さま。
 ボタンをはめ直すのを待ちかねていたかのように、ご自分のスマホをタップされました。

「あうっ!いやんっ!」

 お姉さまのお言葉通り、私の膣穴粘膜に満遍なく密着したローターがブルブル震え始めます。
 しばらく刺激を受けていなかった粘膜が悦びに打ち震え、盛大にざわめいているのがわかります。

「あんっ、だめっ、だめぇーっ、お姉さまぁ、これ以上はぁ…」

「それにこれね、バイブのバリエーションも豊富なの。たとえばこんなふうに」

 お姉さまがスマホの画面をタップされます。

「あっ…あっ…あっ…あん…あんっ!…」

 膣内のローターが等間隔な規則正しいリズムで、より深く侵入しようとしているみたいにドクンドクン震えてきます。
 そのたびにビクンビクンと淫声を洩らしてしまう私。

「ね?まるでピストンされているみたいでしょ?他にもいろいろあるみたいよ?もっと試してみる?」

「あんっ、お赦しくださいぃ、あんっ、これ以上つづけられたらもう、おっ、お姉さまぁ、イっ、イキそうっ、またイッちゃいますぅっ!!」

 コンパートメント出入り口ドアのすぐ傍らで、膝から崩れ落ちる私。
 ローターを挿入する前からすでにパンパンに腫れ上がっていた剥き出しクリトリスがざらつくデニムの裏地に盛大に擦れ、しゃがみ込むと同時にイキ果て、同時にローターの振動も止まりました。

「あーあ。またイッちゃったの?かなりの威力なのね、これ。まだ使い方マスターしていないから、リンコが作ってくれた取説でしっかり勉強しなくちゃヤバそうね」

 バッグからレポート用紙大の紙束を取り出されたお姉さま。

「そろそろ目的地に着くはずだから、降りる準備をしながら、しばしまったりしましょう」

 お姉さまに促され、乗車したときに着席した座席に向かい合わせで収まりました。
 お姉さまは、ご自分のスマホと取説を交互に眺め、ときどきスマホをタップすると私の膣中のローターがブルっと震えます。
 そのたびに私は、んっ、と身構えますが、振動が長くつづくことはなく、またしばらく沈黙。
 
 気まぐれに私を襲う振動には、確かにたくさんのバリエーションがあるようでした。
 強さだけでも、震えているのかわからないくらいの微弱から、股間からブーンと音が聞こえるくらいの最強。
 震えのパターンも、規則正しい震え、強弱をつけたランダムな震え、膣中を掻き回すような乱暴な震え、さっき味わったピストンのような震え、などなど。

 ただ、あくまでもお姉さまが操作方法の把握のためにいじられているわけですから、どんな振動も数秒で途切れ、お姉さまが取説を読まれる長い沈黙の後、再び唐突な数秒の陵辱、沈黙のくりかえし。
 結果的に私の中に、欲求不満が溜まっていくばかり。
 
 穿いているショートパンツの股部分は、デニム地のインディゴブルーが傍目でわかるほど色濃く変色していました。
 まるでお洩らしでもしてしまったみたいに。

 そんな焦らし責めを受けつつ、気を紛らわすために窓の外に目を遣ります。
 雲ひとつ無く晴れ渡った青空と山間の田園風景。
 お外はすごく暑そう。
 車内アナウンスによると次に停車してその次が終点みたいです。

 いつしかお姉さまは、ローターのコントロール方法を完全にマスターされたみたいで、私の膣中はずっと沈黙しています。
 お姉さまに視線を合わせると、ニヤニヤ笑いを浮かべたまま黙って見つめてくださるばかり。
 テーブルの上は、私のスマホ以外すっかり片付けられ、もういつでも電車を降りる準備は万端。

 いよいよ次は終点となった途端、電車の速度が変則的になり、快調に飛ばしては停まりそうなほど減速、をくりかえし始めました。
 とうとう停まってしまったのは停車駅ではない見知らぬひなびた駅のホーム。
 アナウンスによると、どうやら対向線路の電車をやり過ごすためのよう。
 
 そのホームに人影はまったく無く、あわてて両腕で自分の胸元を隠した私の行為は無駄でした。
 そんな私を薄い微笑みを浮かべたお姉さまがじっと見つめていました。

 やがて電車のスピードが緩み始め、いよいよ終着駅のホームへと滑り込んでいきます。 
 終着駅の乗降口はこちら側の窓際でした。
 ホームには、おそらく折り返すのであろうこの電車を待っている人たちが、意外にたくさんいました。

 いよいよ私は、たくさんの見知らぬ人たちが往来する公共の場で、こんなヘンタイ性癖丸出しの格好を晒すんだ…
 おっぱいの形丸わかりの薄い布で包んだだけのバストに、完全シースルーのブラウス…
 恥丘の大半が見えているスーパーローライズなデニムショーパン直穿きの膣肉にはローターが埋め込まれ、背中には自分の性癖自己紹介文が刻まれた、こんなイヤらしい姿を…

 全身の毛穴が粟立つような興奮が脳天から股間をつらぬきます。
 乗車中あれほど何回もイッたのに、未だに鎮まることのない悩ましい疼き。
 一刻も早く視られたいと渇望する気持ちと、こんな恥ずかし過ぎる姿を公衆の面前に晒すなんてとんでもないという理性の逡巡は、呆気なく被虐という名の快楽に飲み込まれます。

「さあ降りましょう。これ返すわね」

 お姉さまが私のポシェットにテーブル上のスマホを入れ、私の首に掛けてくださいました。
 たすき掛け、俗に言うパイスラッシュの形にポシェットを掛けられたので、胸の谷間がより強調され、もちろん乳首の尖立もよりクッキリ。

 お姉さまと手をつなぎ、コンパートメントを後にします。
 通路に出ると、他のお部屋のみなさまはすでに降車したようで私たちだけ。
 ドキドキ高鳴る鼓動を感じつつ、うつむきがちにお姉さまにつづきます。

「ほら、もっと平然と歩きなさい。いつも言っているでしょう?やり過ぎな萎縮は悪目立ちするって」
「視たければ視なさいな、くらいの気持ちでモデルウォークよ」

 お姉さまから叱責され、視線を高めに戻します。
 乗降口からホームへ降りると、そこはまさに残暑真っ盛り。
 第一印象は、暑い!

 恐ろしげな漢字二文字の川の名前を冠した有名な温泉街の駅。
 そのホームをたくさんの人々が歩いています。
 今着いた列車から降りた人たち、乗る人達。
 そして、改札へと進んでいるのであろう降りた人たちでは、お姉さまのお言葉通り、若いカップルさんのお姿が目立ちます。

 改札を抜けると冷房が良く効いた広々とした駅舎内。
 そのあいだにもたくさんの人たちとすれ違いました。
 もちろん池袋の駅構内ほどではないですが。

 やっぱりいちばん目立つのは大学生っぽいカップルさんたち。
 中にはダブルデート、トリプルデートなのか、2対2、3対3のグループも。
 次に目についたのは女性同士や女性だけのグループ。
 男性だけのグループは見当たらず、あとは単独の老若男女。

 そして、それらの人たちすべてから、と言っても過言ではないくらい、私とお姉さまは注目されました。
 妙齢の女性同士が手をつないで歩いている、とういう点も興味を惹いた一因でしょうが、最大の好奇の的が私の服装であり姿であることは間違いありません。

 遠慮会釈のない無数の不躾な視線が私の首元に、胸元に、下腹部に、太腿に投げつけられました。
 チラチラ盗み見る人、ガン見する人、一瞥してすぐ目を背ける人。
 
 お姉さまのご忠告通り、カップルさんの場合は一様に、男性からは好色そうな興味津々の舐めるような視線、女性からは見下すような敵意ある険しい視線。
 女性グループの場合はもっとあからさまに、こちらを指さして蔑み交じりにドッと笑い声をあげられるかたたちも。
 なにあれ?撮影?わざと?首輪?調教?露出狂?
 そんなヒソヒソ声も聞こえた気がします。

 視てる、視られてる、私の恥ずかし過ぎるはしたない姿に、みなさまが侮蔑の眼差しを注いでくださっている…
 からだが火照っているのは残暑のせいばかりではありません。
 ドキドキが液体化したような熱を帯びた汗が腋の下周辺から噴き出し、薄いブラウスをべったり素肌に貼り付かせます。

 ローターで栓をされた膣肉の奥も、ジンジンと熱を帯び、粘性の汗がヌルヌルと出口を探しているのがわかります。
 出来るならこのまま、歩いているだけでイッてしまいたい。
 みなさまの視線に犯されてイキ果て、愛液が溢れ出して腿をつたうところまでを視姦されて更に蔑まれ、取り囲まれた屈辱の中でイキまくりたい…

 そんな束の間の妄想を掻き消したのも、ひどい暑さでした。
 お姉さまに引かれた手は、いつの間にか駅構内を抜け、屋外である駅前の広場まで連れてこられていました。

 時刻は午後の一時少し前、雲ひとつないドピーカンな青空の下。
 同じ列車で来られたのであろうカップルさんたちが、広い広場のあちらこちら相合い日傘でいちゃついておられます。

「ちょっと一本、連絡入れるから」

 駅舎内から出たドアのすぐ脇、庇で覆われた日陰。
 つないでいた手を解き、ご自分のスマホを構えられるお姉さま。
 お姉さまの手が離れた途端、急に心細くなってしまいます。
 今の自分の姿と、置かれている状況に。

 お姉さまがスマホをタップされます。
 ドキンと高鳴る心臓。
 まさかここで、私の中のローターでイタズラしようとされているのでは…
 でもそれは杞憂に終わり、どなたかとお話し始めるお姉さま。

 手持無沙汰でお姉さまから視線を逸らし、ぐるっと周囲を見回してみます。
 私たちからほんの4、5メートル先、同じ庇の日陰から私たちのほうをじっと視ているカップルさんに気づきました。

 男の子はボーダーのTシャツにジーンズで頼りな気な感じ、女の子はタンクトップにショートパンツで勝気な感じ。
 男の子がしきりに私を気にしているのを、女の子が怒っているみたい。
 男の子は女の子に脇腹を小突かれても、どうしても私が気になるみたい。
 女の子が時折私に向ける視線には、明確な敵意が感じられます。

 それでも私はお姉さまのお言いつけ通り、視たければ視なさいな、とばかりに平静を装います、表向きは。
 内心では視線にキュンキュン感じてしまっているのですが。

「2時10分までに車で迎えに来てくれるって」

「へっ?」

 突然お姉さまからお声をかけられ、間の抜けたお答えと共にビクンとからだを震わせる私。
 ノーブラおっぱいがプルンと跳ねました。

「だから旅館の人が2時過ぎに迎えに来るの、車で」
「今夜泊まる宿に電話していたのよ。駅に着いたら電話くれって言われていたから」

 再び私の右手を握ってくださるお姉さま。
 嬉しさにまたもやおっぱいがプルン。

「駅前の道路脇に足湯があるから、そこで待っていて、だって」

 お姉さまが周辺をグルリと見渡されます。

「あっ、あれね」

 お姉さまが指さされた先、ここから数十メートル先の広場が途切れる寸前あたりに何やら屋根で覆われた場所があり、数人の方々が腰かけていらっしゃる姿が見えました。

「そうと決まったら、時間までご当地グルメと洒落込みましょう。あたし、すっかりお腹空いちゃった」

 お姉さまに手を引かれ、広場に軒を連ねる食べ物屋さんを物色していきます。
 もちろん私は、すれ違う人たちからの好奇の視線をビンビン感じながら。

「やっぱりこういう山間の温泉地はお蕎麦かな。あ、ここなんかどう?ほどよくひなびてるし、空いているし」

 私の返事は待たず、青い暖簾をくぐって一軒のお蕎麦屋さんへ。
 いらっしゃいませー、の女性声とともに、ほどよく冷えた空調の冷気が心地良く迎えてくださいました。

 お店には先客で女性のおふたり連れが窓際にひと組のみ。
 レジ前でお出迎えくださった和服姿のご中年のご婦人に、そのお客さまたちとは対角線上に離れた壁際の4人掛け席に案内され、お姉さまのご指示で私が壁側の席、お姉さまは対面へ。

 ご婦人と入れ代わりに、厨房のほうから作務衣姿の若い女の子が冷たいおしぼりとお茶とメニューを運んでくださいました。

「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
 
 そうおっしゃって厨房のほうに戻るまで、女の子の視線は私の全身に釘付けでした。
 驚きと好奇と若干の軽蔑がないまぜになった、フクザツな視線。
 そんな女の子のご様子をニヤニヤ眺めていたお姉さまが、おしぼりで手を拭きながら、ご愉快そうにおっしゃいました。

「ねえ、そのブラウス、汗で満遍なく肌に貼り付いちゃっているわよ?脱いで乾かしといたほうがいいのではなくて?」

 そこで一呼吸置き、ニッと微笑まれた後、こうつづけられました。

「それと、忘れちゃった?お仕置き。ス・マ・ホ・」


肌色休暇一日目~幕開け 08


2020年7月26日

肌色休暇一日目~幕開け 06

 カーテンを閉じると、個室内が薄暗くなりました。
 薄暗くなったことで、お部屋の照明が灯っていたことに初めて気づきました。
 間接照明なので光源が隠れて、妖しい薄暗さのなんだかセクシーなムード。

 あらためてお姉さまに覆いかぶさりご奉仕再開。
 乳首を舌で転がし、右手の指の腹を裂けめに沿って這わせます。

 お姉さまの弱点は4つ。
 キュッとくびれた両脇腹への刺激、会陰=アソコとお尻の穴のあいだ=蟻の戸渡りへの愛撫、そして乳首とラビアへの甘噛み。
 クリットと膣内への刺激を焦らしつつこれらの部位を愛撫することで、発情されているお姉さまならカンタンに昇り詰めてくださいます。

「あんっ、いいっ、いいわよっ、そこっ、もっとっ!」
「あぁ、んぅ、きっ、ぃもちいぃっ!いぃっ!…ぅくぅぅ!!!」
「はぁ…はぁ…あぁ、またっ、すぐっ、すぐっ、また、スゴいのくるうぅぅっ!!!」

 お姉さまがアクメに達されると、腰とお尻と太腿と腟内が同時にヒクヒクキュンと強ばるので、すぐわかります。
 ギュッと目をつむり眉を深く寄せて、半開きになったお口から漏れる切ないお声。
 駅に停車しているあいだはさすがに我慢されていたみたいですが、列車が動き出すと、堰を切ったように荒い息遣いがお部屋を満たします。

 お姉さまも私に絡めた両手で、私のからだをあれこれ愛撫してはくださるのですが、私はお姉さまが気持ち良くなってくださることだけに専念しています。
 だって、お姉さまがオーガズムを迎えられているときのお顔って、めったに拝見出来ない超貴重なもの。
 その神々しいまでにお美しいお顔は、私だけが拝見することの出来る私だけの宝物なのですから。

「そう、そこ、もっと、もっと…」
「いいっわ、いいのっ、もっと深くぅ…もっと強くぅぅっ!!」
「だめ、止めちゃダメ、そのままそのままぁ、いいっ!いいぃぃっっ、ぅくくくぅぅっ!!!」

 陶酔しきっていらっしゃる淫らなお声が私の官能をゾクゾク揺さぶります。
 それは肉体的な絶頂とは異なる精神的な、内側からの快楽。
 しとどに濡らしていらっしゃるお姉さまの膣内の感触が、私を至福の高揚感に導いてくださいます。

 不意に、どうしてもお姉さまのアソコを舐めて差し上げたい欲求が湧き上がってきました。
 でもどうしましょう…

 シックスナインの態勢を取るのが一番安直ですが、それだと舐めているあいだ、お姉さまのお顔が拝見出来ません。
 それに私のマゾマンコもお姉さまのお顔の前にいってしまい、お顔を無駄に汚してしまって失礼。
 両膝を立てていただき、座席の隅から顔を埋めるには、両端の肘掛けが邪魔になり、座席の長さ的に無理そう。

 結局私は、お姉さまのお背中に腕を差し入れて誘導し、座席のドア側のほうのお席に座っていただく姿勢になっていただきました。
 ぐったりなお姉さまは、されるがまま。

 私は座席から降り、テーブルの下に潜り込む形で絨毯の床に跪きます。
 お姉さまの足首にまだ丸まって絡みついていたスウェットパンツの残骸を抜き取り、お姉さまの両膝をガバっと押し広げます。

「ぁあんっ!」

 可愛らしく呻いたお姉さまのお背中が背もたれを滑り、つられて腰も座席を滑り、より私の眼前に突き出すようにお姉さまの秘唇が迫ってきます。
 最初は手を使わずに、顔だけを寄せてくちづけするみたいに自分の唇を重ねます。

「んふぅっ」

 愛液でねっとりとコーティングされた熱っぽい唇のスジに沿って、入念に唇を這わせます。
 ヘアーが途切れた少し下のところで、皮をかぶったまま腫れている可愛らしい突起は、あえて無視して。

「ああっ、なめて、かんで、もっと上、もっとうえぇ」

 はしたないお願いを私にくださるお姉さま。
 私はお姉さまの甘い蜜を存分に舐めつくしてから、舌で裂けめを抉じ開けます。
 開いた口で膣口を塞ぎ熱い吐息を送り込みます。

「んんっ、んふぅーんっ!」

 上目遣いでお姉さまを視ると、尖りきったふたつのニップル越しに、苦悶するようなお姉さまの悩ましいお顔。
 満を持してラビアを甘噛み、唇をすぼめて肉の芽に吸い付きます。
 もちろん舌で皮を剥くのも忘れずに。

 お姉さまの両腿の筋肉がビクビクンと痙攣し、私の顔を挟んできます。
 膣内から白濁した蜜がトロリと溢れ、舐め取ろうとした私の舌をギュンギュン締め付けてきます。

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」

 お姉さまの荒い吐息だけがしばらく個室内を満たしていました。
 そろそろ落ち着かれたかな?それじゃあ今度は…

 私が次のご奉仕に移ろうとしたとき、次の停車駅接近を告げる車内アナウンスが個室内に響きました。
 ビクンと震えたお姉さまのおからだ。

「…あら、もうそんなとこまで来ちゃったんだ…」

 スウェットの前をアンニュイに掻き合わせ、汗で額に張り付いた髪を掻き上げたお姉さま。

「となるともうあと30分もしないうちに着いちゃう。そろそろ降りる準備をしなくちゃ、だわ」

 お姉さまが床で正座姿勢の私を避けるように立ち上がられ、私に脱がされたスウェットパンツをお手に取られました。

「ありがとうね、直子。すごく良かったわ。なんだかからだが軽くなった感じ」

 座席に敷いていたタオルをお手に取られ下半身を軽く拭きながら、おやさしくおっしゃってくださったお姉さま。
 スウェットパンツを両脚にくぐらせ、前開きのジッパーも首元までお上げになります。

「あたしはこれからまたおトイレに行って身だしなみ整えてくるから、直子もそのタオルでからだの汗、拭いておきなさい」

 私の席のお尻に敷いたバスタオルを指さされるお姉さま。

「あ、はい…それであのぅ、私はいつまで、裸でいるのでしょうか…」

 私が着てきたワンピースや下着はお姉さまに没収され、お姉さまのバッグの中にあるはずです。

「ああ、そうだったわね。いくら直子でも温泉地の駅をすっ裸で闊歩する勇気は無いわよね」

 スッキリされたというお姉さまに、いつものイジワルさも復活しています。

「安心して。直子のバカンスにぴったりな、直子らしいコーデを特別に用意してきたから。絶対気に入るはず」

 ご自分のバッグからうちのブランドのショップ袋を取り出されたお姉さま。
 テーブルの上に置かれたそれはずいぶん小さく、たとえばその中にワンピースが、どんな薄い生地だったとしても入っているようには見えません。

「直子はそれを着て、あたしが帰ってくるまで大人しくしてなさい」

 スウェットスーツをしっかり着込んだお姉さまがバッグを肩に提げ、つかつかと窓際に歩み寄りました。
 ザザザー。
 カーテンを開くと途端に個室がまばゆい光に満たされます。
 今更ながら裸で居ることが無性に恥ずかしくなってきます。

「それじゃあ、よろしくねー」

 おトイレへ向かわれたお姉さまをお見送りして、ひとり明るい個室で全裸の私。
 とにかく早く身繕いをしなくちゃ。
 バスタオルの乾いている部分で全身の汗や体液をまず拭いました。

 テーブルに手を伸ばしお姉さまが置いていかれたショップ袋を手に取ります。
 シールを剥がして右手をツッコミ、中身を取り出しました。
 出てきたのは…

 妙にクタッとした布地の白くて小さなTシャツ?
 デニム地のショートパンツだけれど布地部分がすごく少ない?

 Tシャツを広げてみると、襟元が真っ二つに切れていて、前開きのシャツ、と言うかショートガーディガンのよう。
 それなのにボタンは一つも付いていません。
 背中側の丈は凄く短く、肩甲骨もはみ出るくらい。
 それに比べて前側は、ふたつに割れた布地が先細りでお腹の辺までつづいています。

 ボトムのほうは、どう見てもローライズショートパンツ。
 とにかく股上が浅く、前ボタンの下にジッパーさえありません。
 ビキニパンツをデニム地で作った感じ。
 おまけにダメージ加工してあるので、ところどころメッシュになっています。

 これを、これだけを着て駅に降りるの?
 背筋がゾクゾクッと疼いたのと同時に、電車が減速を始めました。

 あ、駅に着いてしまう。
 何でもいいからとにかく着なくちゃ。
 急いでまず、ショートパンツに足を通します。

 案の定でした。
 私の股の付け根周囲を、ほんの幅5センチ位に隠してくださるデニム地ビキニ。
 前ボタンを嵌めないと恥丘のほぼ全貌が露呈しています。
 普通にヘアのある方であれば絶対人前には出られない、パイパン専用ボトム。

 お尻の側はフルバックとはいかないまでも、お尻の割れスジ四分の三くらいは覆ってくださっているみたい。
 ただ、ご丁寧にダメージ加工されているゆえ、お尻のお肉ところどころがメッシュ状にシースルー。
 いくらずり上げても、お尻の上に刻印された日焼け跡のイタズラ書きを隠すことも出来ないみたい。

 そうこうしているちに列車の速度がグンと緩みました。
 そろそろ駅に着くみたい…
 思う間もなくホームに滑り込む電車。
 おまけに窓側が乗降ホームのよう。
 いやんっ…

 あわてて窓に背中を向け、大急ぎでTシャツのような布片に袖を通します。
 腕部分は普通のややルーズな半袖
 両袖を通した途端わかりました。
 
 これはあれです。
 前を布地で結ぶ式のシャツ。
 よくプールとかで水着のビキニトップの上からルーズに羽織っているショートガウンと言うかボレロと言うか。

 取り急ぎ胸前に垂れ下がっている2枚の布地をおっぱいの下辺りで結んでみます。 
 うわっ!露骨…
 クッタリした生地な上に伸縮性に富んだフィット感が完璧で、ふたつの乳房をその形通りにまあるく包んだ布の頂点に、これみよがしなふたつの突起が、これまた形通りに君臨していました。

 そうか、きつく結び過ぎるとこうなっちゃうんだ。
 それなら今度は…

 結び目を解き、今度はふうわりおっぱいを包むくらいの感じなルーズフィットで。
 露骨さは減少しました。
 
 そのときホームに停車していた列車が、ガタンと動き始めました。
 油断していた私は、トットットと少しつんのめります。
 
 その途端にやんわりおっぱいを包んでいたクッタリ布地の端から、暴れた左生おっぱいが見事にこんにちは。
 いやんっ!
 あわてて前を掻き合わせます。
 うーむ…

「お待たせっ!わっ!やだっ、直子っ、ずっぱまりじゃない!」

 私が途方に暮れているところに、テンション高くお姉さまがお戻りになられました。
 スウェットに着替える前にお召しになられていたニットとサブリナパンツにお戻りになり、メイクもバッチリ、もちろん下着もきちんと身に着けていらっしゃるはず。

「でも、トップスの着こなしがだらしないわね。とてもレディスアパレル勤務とは思えないわ」
「直子、こういうタイプ着るの初めて?任せて、あたしがバッチリ着こなさせてあげる」

 お姉さまの右手でスルスルと結び目が解かれ、それから両手の布がわたしのおっぱいを包み始めます。
 お姉さまの着付けは私が独り試したときよりも大胆でした。

 両肩先からおっぱいのふくらみを斜めに横切るように大きなVの字を作り、下乳少し下でまずひと結び。
 これで胸元は大胆にがら空きとなり、正面からも下乳が少し覗く仕様。
 それから私の胸元に手を入れ左右それぞれ、クッタリ布とおっぱい皮膚がシワひとつ出ないよう入念に調整されました。

「可愛くリボン結びにしてあげましょう」

 からかうようにおっしゃったお姉さまが、余分に垂れ下がっていた布片を器用にまとめ、確かに可愛いリボンの白い結び目が私の剥き出しなお腹を飾りました。

「お、お姉さま…私、本当にこの姿で、駅で降りて温泉旅館さんか、ホテルさんかは知らないですけれど、そこまで行くのですか?」

 うつむいた自分の視界に映る自分の姿に、思わず上ずった声で抗議してしまいます。
 おっぱいはそのものズバリの姿形で薄く柔らかい白い布に包まれただけ。
 おへそはおろか恥丘の大部分まで晒し、僅かに亀裂部分のみを覆うようなショートパンツに腰回りを覆った私の姿。

「あら、何か可笑しい?せっかくのバカンスだもの、ちょっと大胆に冒険していんじゃない?旅先で出会うひとたちなんて、どうせ行きずりなんだし」

「でもこれ、やりすぎじゃないですか?世間的にもいろいろマズイのでは…」

「あら、公序良俗に反するような部位はちゃんと布地で包んでいるのだから、文句は言わせないわ。れっきとしたファッションよ。今年の夏は暑いから、それレベルの服装なリゾート女子なんて、海やら街でもたくさん見かけたものよ」

「で、でも、私の背中のイタズラ書き、完全に読めちゃいますぅ…」

「ほら、旅の恥はなんとやら、って言うじゃない?もっとも直子にとっては恥辱のじょくのほう、はずかしめ、のほうでしょうけれど」

 何を訴えても暖簾に腕押しなお姉さま。
 テキパキとテーブルに散らばった空き瓶やゴミをレジ袋にまとめ、あらためて最初にお座りなったお席に腰掛けられました。
 私も促されるように対面の席に歩み寄ります。

「今は一応、ボトム穿いているのだから、タオルもいらないわね」

 お姉さまが差し出された右手にバスタオルを差し出してから、座席にちんまりと座り込む私。
 この座席、直だとこんなにフカフカ柔らかいんだ。

 窓を過ぎる風景は、もうすっかり山間の景色でした
 時折過ぎ去る白樺並木が、避暑地に向かっているんだなぁ、と思わせてくれます。
 避暑地と露天温泉が両立するのかはわかりませんが。

「そうそう、さっきおトイレから戻る途中、他の個室の様子をチラ見してみたんだけれどさ」

 お姉さまがお愉しそうに身を乗り出され、私に語りかけてきました。

「ものの見事に全室カップル。一番端の部屋までは行かなかったけれど、うちを除いた4部屋はみんな若い男女のつがい」
「凄かったわよ。片方の座席の隅で抱き合っちゃってずっとキスしていたり、完全に寝そべってからだ重ねていたり。通路側の窓のことなんてまるでおかまいなしみたい」

「大学はまだ夏休みだから、学生さんたちでしょうね。あの調子じゃ直子に説明できないような不埒な行為に及んだカップルもきっといるはずよ」
「ま、あたしたちだって他人の事とやかく言える立場じゃないけどさ」

 そこで一区切りつかれたおねえさま。
 わざとらしい事務的な声色でこうおっしゃいました。

「さて、このことから導き出される結論は何でしょう?はい、森下さん」

「えっ!?あの、えっと…」

「ブッブー。時間切れー。答えは、これから私たちが行く温泉地には若いカップルが多いだろう、ってことよ」

 勝ち誇ったように端正なお顔を反らされるお姉さま。

「まあ、全部が全部大学生カップルってわけではないだろうけれど、こんな平日の真昼間から暇なのは、リーサラや家族連れはまずありえない。百歩譲って老いらくのリビドーに狂った年の差不倫カップル、ってとこなんじゃないかな」
「となると直子?あなたのその格好には、同性から最大限の厳しい視線が注がれると思うわ」

「へっ?」

 間の抜けたお答えを返す私。

「あら、わからない?そんな格好で屋外を闊歩する、誰とでもヤリそうなふしだら淫乱女なんて、カレシ持ち女性共通のエネミーじゃない。防衛本能よ。今までの街中プレイじゃ浴びせられたことなかった憎悪100%の熱い視線に射抜かれるはず」

 嬉しそうに口角を上げられるお姉さま。
 でも、私はあんまりピンときていませんでした。
 だって私はずっと、同性に恥ずかしい姿を視られることに悦びを感じてきたのですから。

「まあ、あんまり目に余るようなのがいたら、あたしがキッチリフォローしてあげるから、直子は安心して恥辱の視線にまみれなさい」

 お姉さまのお優しいお声が私の耳朶を震わせ、スイっと離れると再び、ご自分のバッグ内をガサゴソ探し始められました。

「はい」

 嬉しい。
 これだからお姉さまのことが大好きなんです。


肌色休暇一日目~幕開け 07


2020年7月5日

肌色休暇一日目~幕開け 05

「あんっ、だめっ、あっ、またっ、またまたっ…」

 右手は股間、左手は右おっぱい。
 からだをまさぐる両手が止まりません。

 左斜め前に見えている大きな車窓からの風景は、やっと旅行らしくなっていました。
 建物が密集している一帯を抜けると、広々とした田んぼなのか畑なのかをくりかえし、晩夏の日差しに照らされたのどかな田園風景が文字通り目にも留まらぬ速さでビュンビュン置き去りにされていきます。

 そんな景色を気にしつつ私は、露天温泉へと向かう列車の個室でほぼ全裸でオナニーしているのです。
 首にはマゾのシルシの赤い首輪、素足に外出中の証であるベージュピンクのフラットシューズだけを身に着けて。

 高架を走っているときはいいのですが、通過する踏切の警報音が聞こえるほど接近したまま一般道路と平行して走るときのほうが長く、そんなときは窓の外を通る車や人影がはっきり見えてしまいます。
 さらに、通過するホームがこちらの窓側になるときもあり、ホームで電車を待っていらっしゃるたくさんの人影が至近距離で見えるときもありました。

 もちろん特急列車ですから凄いスピードで通過して、私のはしたない姿に気づいたとしても、気づいたときには遠く走り去っているのでしょうけれど…

 …これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください…
 先ほどお姉さまから教わったばかりのおねだり文を、心の中で何度も唱えてしまいます。
 非常識な、アブノーマルなことをしている、という後ろめたい気持ちが被虐へと昇華し、性懲りもなく幾度も昇り詰めてしまいます。

「直子?もうちょっと喘ぎ声は抑えて。電車の音も結構うるさいけれど、両隣にもお客さん、乗っているのだから」

 私のスマホに目を落とし、何やら作業に没頭しているふうなお姉さまからのご叱責。

「あんっ、はいぃ、ごめんなさいぃ、いぃっ…」

 両手での愛撫は止めず、それでも声は出来るだけ我慢しなくちゃ、と自戒する私。

「んんっ、またっ、あんっ、またきちゃうっ!またきちゃうぅっ…」

 それでも堪えきれない淫声と共に、5度め?6度め?何度めかのオーガズムを迎え入れようとしていたとき、不意にお姉さまがこちらへと伸ばされた右手に、私の右手首を掴まれました。

「出来たわよ。直子のお仕置き」

 エクスタシー寸前のマゾマンコから強引に右腕を引き剥がされ、目の前に私のスマホが突き出されます。
 可愛い女子高生アニメキャラが4人、南極のオーロラをバックに笑っている見慣れた私の待受け画面、ではありませんでした。

 受け取った私のスマホの待受け画面に、M字大開脚な私の姿が鮮明に映し出されています。
 つい今しがたこの座席でした、自分の両手で自分のマゾマンコを奥の奥まで剥き出しにした、はしたな過ぎる姿が。

 もちろん顔もちゃんと映っています。
 悩ましげに眉間を寄せ、おそらくマゾマンコのマゾマ辺りを口走っているのでしょう、半開きの濡れた唇が誘うように突き出されています。

 なんてイヤラシい顔…
 ただ、待受け画面ですからほんの数秒でスリープ状態の真っ暗けに戻ってくれるのが救い。

「あら、真っ暗になっちゃった?」

 ご愉快そうなお姉さまのお声。
 ご自分のスマホをお取りになり、数回タップ。

 たちまちお姉さまからの着信を告げる私のスマホ。
 自分の浅ましい姿が再び露わになり、マナーモードもいつの間にか解除され着信音は…

 …これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ…

 あわてて着信ボタンを押し、自分の恥ずかし過ぎる音声を中断させる私。
 ホッとして電話を切り、念の為、と指紋認証でログインしてみると…

 ログイン後の画面は私が押し開いていた無毛性器の大アップ。
 ご丁寧にも画面を埋めていたアプリのアイコンのカメラだけを左上端に残し、残りのアイコンは次ページ以降に移動して、遮るもの無くピンク色丸出し。

 もっともこちらは顔も写っていないし、濡れそぼったピンク色がいびつな楕円を描いている抽象画みたいな絵面ですから、一瞥して何の画像かはわからないはず。
 画像上部で一際目立っている、ツヤツヤと腫れ上がった小豆粒のような肉芽が恥ずかし過ぎますが。

「この旅行中はずっとこれね。ロック画面もホーム画面も壁紙の変更は禁止」

 お姉さまの右手が私からスマホを取り上げ、テーブルの上に置きました。

「それで食事とかカフェとか、お店に入ったときは必ず、画面を表に向けてスマホをテーブルに置きなさい」
「マナーモードにするのも禁止。大丈夫、電話の着信音以外はバイブだけで、メール着信や通知の音は一切出ないように設定しといたから」
「電話のときは、さっきのセリフをフルセンテンス全部聞き終えるまで出ちゃダメ」

 お姉さまのご説明の最中、テーブルの上のスマホがタイミング良くブルルッと震えました。
 画面が明るくなり浮かび上がる、私のM字大開脚フルヌード。

 お姉さまがスマホをお手に取り、私のほうに向けてくださいます。
 画像の私のおっぱい上に白く走る帯は、たまに遊んでいるネットゲームからの更新通知。

「こんなふうに通知が来たら、その都度ログインしてちゃんとロック画面から消しておくこと」
「常に直子の恥ずかしい写真がすべて見えるよう、キープしなさい」

 ご命令口調でピシャリとおっしゃるお姉さま。
 手渡されたスマホでログインし、再び自分の性器大アップ画像とご対面。
 そのままお姉さまに手渡し、お姉さまがテーブル上に戻すと数秒で画面が暗くなりました。

 これはつまり、たとえばどこかのお店でスマホをテーブルの上に置いたとして、いつなんどき画面が明るくなり画像が浮かび上がってしまうかわからない、ということを意味しています。
 私がこのスマホで遊ばせていただいているゲームは4つくらい。
 その他にSNSもいくつか登録していました。

 これらのサイトからの通知やメールがランダムに届くたびに、私の浅ましい画像が衆目に晒されるのです。
 置いてあるスマホを手に取れば、ちょっとでも傾けた瞬間に待受け画面が点灯します。
 テーブルに置くときも同じ。
 それから数秒間は確実に、お近くにいるかたならどなたでも、そのスマホ所有者本人のはしたな過ぎる素っ裸写真見放題状態。

 更にどなたかから電話がかかってきてしまったら…
 確かに、ゲリラ羞恥晒し者責め、と呼べる、残酷なお仕置きでした。

「さてと、それじゃあたしはちょっと、おトイレに行ってくるから」

 お姉さまがご自分のバッグをお手に取り、ゆっくりと立ち上がられました。

「直子はあたしが帰ってくるまで大人しくしていなさい。もうオナニーも禁止。一切からだをまさぐっちゃだめよ」

 お姉さまの目が、テーブルの上に佇む何本かのシードルの空き瓶に向けられました。
 つられて私も。
 200ミリリットルの小瓶、ちょうどいいサイズの太さと長さ。
 さっき何度目かのオーガズム寸前に、待った、をかけられたのを思い出し、ジワッと疼きが戻ってきます。

「そんな目を見たら、信用は出来ないわね。やっぱり立ってこちらにいらっしゃい」

 個室の入口ドアの前まで出られてから、私に手招きされるお姉さま。
 はい、と立ち上がり、テーブルを迂回してお姉さまの傍らへ。

「あたしに背中を向けなさい」
「両手をお尻に回しなさい」

 右手首を掴まれた、と思ったらカチャン、つづいて左手首にもカチャン。
 バッグから取り出されたのでしょう、重たいスチール製の手錠であっという間に後ろ手拘束されてしまいました。

「これでもうオイタは出来ないでしょう?あ、でも直子ならお尻の穴くらい弄れちゃうのかな」

 からかい気味のお姉さまの指が私の顎に添えられ、上を向かされます。

「これでも咥えて大人しくしていなさい。あ、窓の外にハダカ見せるのはぜんぜん自由だから」
「窓辺に立って流れる景色を楽しむのも特急列車旅の醍醐味じゃなくて?窓枠があの高さだから、立っていればマゾマンコまでギリギリ、誰かに視てもらえるかもよ?」

 ご冗談めかしたお姉さまのお言葉と一緒に、私の唇に何かが押し付けられます。

「むぐっ!」

 私の唇に押し込まれたのは、この手錠の鍵なのでしょう。
 ヒンヤリしたリングの感触と、ほんのり鉄の味。
 下唇に小さな鍵が揺れて触れるのがわかります。

 スライド式のドアを躊躇なく、スルスルッと開けられたお姉さま。
 通路の向こうにも景色が流れる大きな窓。
 お姉さまのおみ足が電車の進行方向と同じほうへと、振り向きもせずに踏み出されます。
 
 それを全裸の後ろ手錠で見送る私。
 スライドドアがスルッと閉じると、真ん中に嵌め込まれた素通しガラスに薄っすらと、自分の裸身が映りました。

 ドアを離れて二歩、三歩と窓のほうに近づきます。
 ちょうどどこかの駅を通過するところ。
 数秒のあいだですが、ホームに佇む数名の人影が見えました。

 独り取り残されて今更のように、羞恥心と心細さがこみ上げてきました。
 窓の外は見通しの良い田園地帯となり、遠くの土手の上のような道を、この電車とほぼ同じ速度で走っていく車が何台か見えています。

 それを窓から眺めている私は、剥き出しのおっぱいを隠すことも出来ない後ろ手錠。
 それでも窓から離れず、何かの罰のようにお外に裸体を向けつづける私。
 先ほどのご冗談めかしたご提案も、私の耳にはご命令に聞こえてしまうのです。

 試しに後ろ手錠の指を自分のアヌスに伸ばしてみます。
 残念、あと数ミリで届きません。
 代わりにお尻の割れスジを未練がましくスリスリ撫ぜて我慢します。

 窓の外にチラッとでも人影を認めるたびに、心臓がドキンと跳ねてしまいます。
 恐怖なのか興奮なのか、性懲りもなくジンジンと火照ってしまう全身。
 自分が今置かれている状況の異常さを自分で良く理解しているゆえなのでしょう、思考がどんどん悲劇的なほうへと向かってしまいます。

 そう言えばお姉さまは大丈夫と断言されていたけれど、本当に検札の人とか車内販売のかたとか、鉄道会社のかたがこの個室を訪れることは無いのでしょうか…
 もし、万が一、お姉さまご不在のあいだにそんなことになってしまったら、私は、お姉さまは、このバカンスは、どうなってしまうのでしょう…

 浮かんでしまった怖い考えを振り払いたくて、イヤイヤをするみたいにドアのほうを振り向いたとき、ドアの窓ガラスを黒い影が埋めました。
 
 コンコンッ!
 軽くノックする音。
 ドキンッ!
 今までで一番激しく跳ね上がる心臓、固まってしまう私。
 返事を待たずにスルスルッと横開きに滑るドア。

「えっ!?」

 思わず声を出してしまった私の唇から手錠の鍵が滑り落ち、振り向いている顔の真下にあったテーブルの上に、コトンッと音を立てて着地しました。

 入ってこられたのは、私の悪い予感が的中して、制服を召された車掌さま…
 ではなく、あたりまえですがお姉さまでした。

 咥えていた鍵を取り落とすほど驚いてしまったのは、自分の怖い考えに囚われていたのも大きいのですが、それに加えて、戻られたお姉さまのお姿でした。

 上下とも真っ黒で、白くて細いサイドラインが二本通ったスリムフィットなスウェットスーツ。
 上は七分袖でジッパーの前開き、下はストンと真っ直ぐストレート。
 おトイレに行かれる前よりシャープさスポーティさが5割増しで、ナイスプロポーションな魅力も10割増し。

「どうされたのですか?お姉さま」

 思わずドアの前まで駆け寄ってしまいます。

「どう、ってほどのことじゃないんだけどさ……ニットやパンツにシワ寄っちゃうの、イヤだから……」

 最後のほうはゴニョゴニョっと濁されたお姉さま。

「そ、そんなことより背中向けなさい。手錠外してあげるからっ」
 
 劣勢を誤魔化されるみたいに一転したお強い口調で私におっしゃいました。
 テーブルの上から鍵を拾い上げられたお姉さまがご自分のバッグをゴソゴソされ、新しい白いバスタオルをお出しになります。
 
 それから、さっきまでお座りになられていた座席の真ん中を区切る肘掛けを背もたれ側にお上げになってベンチシート状にした後、座席全体を覆うようにバスタオルをお敷きになります。
 そしてやっと私の手錠を両手首とも外してテーブルに置き、私をご自分のほうへと向かせ両腕を私の剥き出しな背中に回されて、やおら唇を重ねてきました。

「あふぅっ!」

 立ったまま私をギューッと抱きしめてくださるお姉さま。
 私の口内に舌を侵入させてこられ、貪るように求めてくださいます。

「だって、あんなもの見せられたら、あたしだってヤリたくなっちゃうのは仕方ないでしょ?直子がインラン過ぎるのがイケナイのよっ」

 不意に唇が離れ、お姉さまがいつになくな早口でまくしたてられます。

「あんな気持ち良さそうな声、聞かされつづけたら誰だってヘンになっちゃうのっ。あたしが下になるから、直子はあたしを、それ以上ないってくらい気持ち良くしなさい。旅行の経費はカラダで払ってもらう、って言っておいたはずよね?」
「あたしが下になるのは、直子を下にしたらタオル敷いていても座席をビチャビチャにしちゃいそうだから。いい?直子が愉しむのではなくて、あたしを悦ばせるのよ?」

 らしくない上ずったようなお声でそこまでおっしゃると、私を抱きしめたまま誘い込むように座席に仰向けに横たわられました。
 
 素肌に当たっている生地の感触でわかります。
 お姉さまは今、ノーブラです。
 素肌に直にスウェットを着ておられます。
 スウェット生地越しにふたつの硬い突起部分が私の素肌を少し凹ませてきます。

 お姉さまの思いもよらぬ発情ぶりに、私もさっきまでの心細さはどこへやら、ヤル気満マンマン完全復活。
 抱き合っていた両腕を互いに離し、仰向けのお姉さまのお顔を見下ろすように上体を起こしました。
 
 お姉さまのスウェットのジッパーをみぞおちくらいまで下ろして右手を滑り込ませると、やっぱりお姉さまの生おっぱい。
 左手をスウェットパンツのゴムの下に滑らせるとすぐに、お手入れされたヘアーの手触り、そして両腿のあいだの生プッシー。
 裂け目に沿って指を這わすと、そこはもう充分な湿り気を帯びていました。

「下着も全部、おトイレで脱がれてきたのですか?」

 わかりきったことを敢えて聞いてしまう、いつになくイジワルな私。

「だって着たままシたら、汚してしまうでしょ…」

 羞じらうようにお答えになるお姉さまが、めちゃくちゃ可愛い。
 途中まで下ろしたお姉さまのシッパーを下まで完全に下ろしました。
 ハラリと割れた前立てから、お姉さまのカッコいい円錐バストが白日の下に。

 つづいて両手をお姉さまの腰に当て、ゴムに引っ掛けた指で一気に、スウェットパンツを膝くらいまでずり下ろしました。
 お姉さまの細長いデルタ型ヘアー、シュッとなめらかな恥丘、真正面からは何も見えない下付きな裂けめ。
 走る電車の中で、すべてが丸見えになっていました。

 今度は私からお姉さまの唇を奪うように覆いかぶさります。
 互いの舌を貪りつつもお姉さまの下半身に右手を伸ばし、お尻の穴近くにあるもうひとつの穴に、人差し指と中指をズブリ、挿し込みました。

「んっ、んふぅーんっ…」

 お姉さまが走る電車のおトイレの中でわざわざ着替えられて全裸となり、ノーパンノーブラのスウェットスーツ姿で、私とシたいがために、私の元へと戻ってきてくださった…
 その事実が私を異様に興奮させていました。
 おトイレの中でのお姉さまのお姿を想像すると、もう居ても立っても居られないほど。

「あっ、はんっ!そう、そこっ…」
 
 お姉さまの押し殺した吐息が、至近距離から私の耳朶をくすぐってきます。
 私は焦らすみたいに慎重に、二本の指でお姉さまの中をやさしく捏ね回し、唇は向かって右の勃起ニップル、左手は左の美乳房へ。

「んんぅーっ、あっ、あっ、ぁはぁあーーんっ!!」

 お姉さまの身悶えるお声が一際大きくなったとき、唐突に次の停車駅に接近している旨を告げる車内アナウンスが個室内に響きました。
 でもまあ、車内アナウンスというのは、いつでも唐突なのですが。
 
 一瞬ビクッと震えたお姉さまのおからだ。
 仰向けで私に組み敷かれている右腕を精一杯お伸ばしになり、窓の隅でだらしなくひと纏まりになっていたカーテンの端を掴まれ、力一杯右側へと薙ぎ払われました。

 いくらご発情されているとしても、駅のホームにたむろしている見ず知らずな不特定多数の方々にご自身の超魅力的な裸身をお視せになるお気持ちは、さらさらお持ちで無いご様子なお姉さま。
 
 私だって、どなたにも見せたくありません。
 おからだを愛撫する手をしばし休めて腕を伸ばし、車窓を覆ってくださるカーテンを一分の隙間もなく、キッチリと閉じて差し上げました。

肌色休暇一日目~幕開け 06


2020年6月28日

肌色休暇一日目~幕開け 04

「そこに立って、あたしのほうを向いて、ワンピースを脱ぎなさい」

 窓際を指差し、ご自身は対面で優雅におみ脚を組み替えられるお姉さま。
 窓の外を日常の景色がビュンビュン過ぎ去っています。

 こんなところで裸になるんだ…
 背徳感がゾクゾクっと背筋を伝わり、脳内と股間が痺れるように疼いてきます。

「何その嬉しそうな顔は?個室とは言え、公共の電車の中で裸になろうとしているのに」
「直子、あなた、近ごろ羞恥心薄れていない?脱ぎたい、視せたいオーラ全開って感じ」

 呆れたお声でなじるようにおっしゃるお姉さま。

「そ、そんなことは……」

 口では即座に否定してしまいますが、実は自分でも最近同じように感じていました。

 オフィスのみなさま及び関係者の方々全員に私のどうしようもない性癖を大々的にご披露してしまったあのファッションショー以来、初対面の女子大生のみなさまへのセルフ緊縛レクチャー、やよい先生のお店での百合便器ご奉仕、年端も行かない男の子たちへの裸身提供などなどと、たくさんの方々に私の浅ましい痴態をご覧いただいてきました。
 見知ったお顔が傍らに付いていてくださりすれば、安心して性癖のおもむくまま。

 ただ、数々の恥辱プレイを経た今、自分の中で変わりつつある、とある感覚、に戸惑いと言うか、新しい不安と期待が生まれていました。
 お姉さまや見知っているお顔のかたたちの前で恥ずかしい姿を晒すことに慣れ過ぎてしまったのでしょうか、まったく見知らぬかたに視ていただきたい、という欲求が増してきているのです。

 私の素肌を舐め回すような、見ず知らずの不特定多数のみなさまからの視線。
 その瞳に映る、驚きだったり、好奇だったり、憐れみだったり、蔑みだったり。
 その瞳と私の視線が合わさるとき、性的興奮の度合いがグンと高まることに気づいてしまったのです。
 視ないで、でも視て、の視て、のほうの比重が自分の中でどんどん大きくなっているみたいなのです。

 もちろん見知らぬ男性の視線は怖いですし、一連のプレイが無事に出来たのもお姉さまやお仲間に守られていたからこそ、というのはわかっています。
 それでも、もっとたくさんのかたに淫らで恥ずかしい姿を視て欲しい、というはしたない願望は膨らむばかり。
 まして今日は最愛のお姉さまとご一緒プラスふたりきりなのですから、私の理性なんてマゾの沼奥深くに沈み込んだままなのです。

 電車の進行方向に背を向けた座席の窓際に立ち、ワンピースの袖を、それでも躊躇いがちに抜きました。
 対面のお姉さまが手を伸ばされ、ワンピースはお姉さまの座席側へと没収されました。

「もちろんパンツもね」

 ビデオカメラのレンズを向けたまま、お姉さまの冷ややかなお声。

「はい、お姉さま」

 レンズをじっと見つめつつ、前屈みになってショーツを脱ぎ去ります。
 クロッチ部分、と言ってもあて布は外されているのですが、は、お尻のほうまでじっとりと濡れそぼっていました。
 手渡したショーツと引き換えみたいに、お姉さまが青いバスタオルをテーブルの上に置きました。

「へー、こっちもキレイに焼けているじゃない?直子の柏餅マンコが美味しそうにぷっくり目立ってイイ感じよ」

 里美さまがタンニングサロンで私の下半身のためにご用意くださった着衣は、該当部分がハート型の真っ白いCストリング。
 なので、私の腰回りやお尻に紐状の日焼け跡は一切なく、恥丘から陰部にかけてだけ、クッキリ青白くハート型に焼け残っています。
 ここも乳首部分に負けず劣らず、否が応にも視る者の視線を惹きつけてしまう卑猥さです。

「おーけー。じゃあ後ろ向いて、お尻も見せて」

 私が服従ポーズのままからだを180度回転させて背中を向けると、一瞬の間を置いて、ププッと吹き出されたお姉さま。

「ふーん、なるほどねえ…里美ってば、そうきたかー…」

 お姉さまのお声は、堪らえようとしても抑えきれない失笑まじり。
 タンニングサロンで初めて背中を焼く前、里美さまが困ったようなお顔でこんなことをおっしゃっていたのを思い出します。

「チーフのたっての希望でね、直子のお尻の上くらいに日焼けで何か、落書きしといて、だって」
「ひとことで直子を顕わすような自己紹介的な言葉。でもAVやエロマンガによくある、肉便器とか性奴隷とかみたいな品の無いのじゃなくて、なんとなく優雅さというか気品も感じられる言葉3~5文字くらい、だって」

「わたし、一晩悩んじゃった。日焼け跡だから画数多い字だとちゃんとキレイに読めるようには焼けないだろうな、とか」
「で、ここはシンプルが一番、て開き直ったの」

 そうおっしゃって、里美さまがうつ伏せの私に、ボディペインティング用のラテックス塗料で書いてくださった文字列を今、お姉さまがお読みになられたのです。
 そのときは私も何て書かれたかはわからず、次のサロン予約日まで剥がしてはダメ、と厳命され、お家に帰ってからお仕置き部屋で裸になり、鏡に映してみました。

 お尻の割れ始めの少し上、フルバックのショーツならギリギリ隠せそうなところに、一文字3センチ四方くらいの大きさで5文字。
 中央寄りの横書きで、里美さまの女性らしい手書き文字が白い塗料で書いてありました。

 鏡文字になっているので、咄嗟には読めませんでした。
 頭の中で反転し読めた瞬間、先ほどのお姉さまのようにクスッと笑ってしまいました。
 でもそのすぐ後、今後このイタズラ書きがもたらすであろう、私の身に降りかかる恥辱に思いが至り、からだ中がカッと火照りました。
 
 この日焼け跡が完成してしまえば、それからずっと私が裸になるたびに、この文字が読まれてしまうのです。
 季節が過ぎて、日焼け色が肌から引いてくれるそのときまで。
 三度目のサロンのときにいったん塗料を剥がして慎重に書き直され、四度目が終わったときには、ハッキリクッキリと読めるように白く浮き上がっていました。

 マゾですの

 この5文字が私のお尻のすぐ上に書かれている自己紹介です。
 最初にサロンへ伺った次の出社日、当然のようにリンコさまたちにオフィスで裸にされ、これを読まれて思いっきり笑われました。

「確かに語尾に、の、を付けると少しだけ品が良くなるわね。可愛らしくて直子っぽい」

 リンコさまたちと同じようなご感想をつぶやかれたお姉さま。
 首だけひねってお姉さまのほうを窺うと、ご自分のバッグから簡易的な三脚を取り出され、私に向けてビデオカメラを固定されました。
 それから私のスマホを手に取ります。

「おーけー。じゃあ次は、そのバスタオルを座席に敷いて、窓際の席にこちら向きに座りなさい」

 服従ポーズを解き、自分でバスタオルを手に取り、ご命令通りに座ります。

「もっと深く座って両足も座席の上に乗せなさい。もちろん両膝は思い切り開いて」

 柔らかな背もたれに背を預け、両足もグイッと持ち上げ座席に乗せると、あられもないM字大開脚ポーズ。

「いい格好ね。それじゃあお仕置きを始めましょうか…って、おっとその前に、その格好にその白いチョーカーはお洒落過ぎてミスマッチ。もっとお似合いなのに変えておきましょう」

 お姉さまがバッグから取り出されたのは、くすんだ赤色で幅3センチくらいのごつい首輪。
 正真正銘ペットのワンちゃん用レザー首輪で、これまでのお姉さまとのあれこれのとき、ほとんどずっと私の首を飾ってくださっている首輪でした。
 お姉さまが近づいてきて、手早くチョーカーを外し、思い入れ深い首輪を嵌めてくださいます。

「チョーカーの日焼け跡も残してもらったんだ?良かったじゃない?外しても首輪しているみたいに見えて、マゾっぽいて言うか、とても直子っぽい」

 そんな軽口をたたきながら。
 首輪には真ん中にリードを付ける用のシルバーリングが下がり、全体的にシミやくすみが目立ちます。
 
 これはつまり、今まで私が味わった汗や涙やよだれや蝋、プラスどなたかの体液などで汚された結果なわけで、まさしくマゾ奴隷の証。
 おそらく旅行が終わるまで着けっ放しということになるのでしょう。

「じゃあお仕置きを始めましょう。その格好で自分の両手で直子のマゾマンコを目一杯押し広げて、こう言いなさい…」

 ご自分のお席にお戻りになったお姉さまが私のスマホをもてあそびつつおっしゃったとき、次の駅に到着間近という車内アナウンスが室内に響き渡りました。

「あら、もう大宮なの?さすがに速いのね」
「駅のどのホームに停車するかによっては、直子、凄く恥ずかしいことになるかもよ?」

 からかうようにおっしゃったお姉さまが、アナウンスで中断されたお仕置き内容のご説明をつづけます。

「自分の両手でラビアを目一杯押し広げて、そのイヤラシく濡れそぼった膣内を見せびらかしながら、こう言いなさい」
「直子のマゾマンコです。奥の奥まで、どうぞじっくり視てください」
「あたしを見ながら、ハッキリした口調で、お願いするみたいに、つづけて10回ね」

「わ、わかりました…」

 それのどこがお仕置きなのか、今ひとつ理解しかねています。
 お姉さまの前でなら、むしろ悦んでおねだりしたいようなセリフなのですが。

 自分の両手をMの字の真ん中に持っていき、人差し指と中指の腹をラビアに押し付けます。
 ヌプっとした感触を両指先に感じつつ、右手左手をそれぞれ腿側に引っ張ります。
 濡れた粘膜が外気に晒された途端、ゾワゾワっとした快感が背筋をつらぬきます。

「な、なおこの、マ、マゾマンコです…奥の奥まで、ど、どうぞじっくり、ご、ご覧くださいぃ、ああんっ!」

 教えられたセリフを実際に声に出したとき、得も言われぬ興奮が胸にせり上がりました。
 広げた膣内で粘膜がヒクヒクっと引き攣ったのが自分でわかりました。

「もっとはっきりと大きな声で。心の底からあたしにお願いする感じで言いなさい」

 お姉さまは私のスマホを構え、どうやら写真をお撮りになっているご様子。
 たてつづけにシャッター音が聞こえていました。

「直子のマゾマンコです。奥の奥まで、どうぞじっくり、み、視てくださいぃ…」

 今度はお姉さまが向けられたスマホのレンズをしっかり見つめ、悩ましげに、おねだりするみたいに言ってみました。
 自分で口にしている恥ずかし過ぎるセリフに、ムラムラ感じてしまっています。

「今のはイイ感じ。その調子でもう少しゆっくりハッキリ」

 お姉さまはフラッシュを光らせたり光らせなかったり、いろいろ試行錯誤されているご様子。
 私の指は溢れ出る自分の蜜で、早くもふやけ始めています。

「直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、ご覧ください…」

 5回めを言い終えた頃、電車が減速を始めました。
 チラッと窓のほうに視線を走らせると、線路のレールが何本も並ぶ、よくあるターミナル駅周辺の風景。
 
 この電車、もう少しで駅に停まるんだ…
 思った瞬間、さっきよりも強い快感がゾクゾクっと背筋を駆け上がりました。

「ほら、まだ10回言っていないわよ?電車がホームに停車しても、10回言わないうちは許さないからね」

 お姉さまも窓の外を見遣り、あらためてスマホを構え直しました。

「さっきと違って、真ん中辺のホームに滑り込みそうね。スリル満点」

 ご愉快そうなお姉さまのお声。

「これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください…」

 みるみる電車はスピードを緩め、やがてホームへと滑り込んでいきます。
 少し視線を動かすだけで、大きな窓からお外の景色が視界に飛び込んできます。

 窓のすぐ横は線路、そのお隣にもうひとつ線路、そのすぐ横は別のホーム。
 電車が完全に停車しました。

 そのホームには、電車を待っている人影がたくさん見えます。
 残暑の中、所在無さげにこちらを見つめる人、人、人…
 紛れもない、ありふれた日常的風景が窓の外に広がっています。
 そんな中で、今している私の格好ときたら…
 
 あちらからこちらが、どのくらい見えているのかはわかりません。
 でも、これだけ大きな窓ですし、ホームからの距離も電車の横幅二台分ですから5~6メートルくらい?
 座席の高さ的に、剥き出しなおっぱいまでは余裕で視認出来ることでしょう。
 乗降ドアが開いたらしく、ホームのアナウンスや喧騒が大きく聞こえてきました。

「ほら、あと3回。外に気を取られていないで早く言っちゃいなさい」

「あ、はい、ごめんなさい…こ、これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、ご覧くださいぃ…」

 目の前のレンズに向けて言っているのですが、内心では窓の外のホームにいらっしゃる方々に向けてお願いしていました。
 レンズに向けている自分の目がキョロキョロと、落ち着き無くお外を気にしてしまっているのがわかります。

 あ、こっちをじーっと見つめている男性がいる…
 あの女子大生風のおふたり、こちらを指差してコソコソ話している…
 あ、あっちのご年配のおじさまにも気づかれたみたい…
 ああん、電車さま、早く出発して…

「直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください…」

 グングン昂ぶる背徳感。
 9回目のおねだり中に発車チャイムが重なり、やっと電車が動き始めました。

「けっこう視られちゃったみたいね、利用客の多いホームの近くだったから」
「これでツーホーとかされちゃったら、あたしたち次の駅で降ろされちゃうのかな?」

 お言葉とは裏腹に、そんなことまったく気にもされていないみたいに愉しげなお顔のお姉さま。
 構えていたスマホを下ろされ、シードルの飲み口を優雅に唇へと運ばれます。

「まだ9回だけれど、もういいわ。いい画がたくさん撮れたから」
「ここから次に停まる駅までは、かなり時間があるはずだから、しばし休憩。あたしの用事が終わるまで、直子はそこでオナニーでもしていなさい」

 私のスマホをテーブルに置いて私に近づいて来られ、どこから取り出されたのか木製の洗濯バサミを、私の尖りきったふたつの乳首にぶら下げてくださいました。

「はぁうんっ!」

「どうせ今のでサカリきっているのでしょう?せっかくの個室なのだから、思う存分、好きなだけイクがいいわ」

 投げつけるようにおっしゃり、再び私のスマホを手に取られるお姉さま。
 お言葉に甘えて、陰唇を押し広げていた両手を外し、ふやけきった指ですぐさま股間をまさぐり始める私。

 ジュブ…ジュブジュブ…ジュブ…
 恥ずかし過ぎる淫音が室内を満たして、バスタオルがみるみるぐっしょり。

「あんっ、うっ、いいっ、くぅぅぅ!!!」

 朝からのあれこれで、性感がいっぱいいっぱいだったのでしょう。
 ちょっとクリトリスに爪を立てただけで、全身にキツイ電流が駆け巡り、ものの数十秒で呆気なくイッてしまう私なのでした。


肌色休暇一日目~幕開け 05


2020年6月14日

肌色休暇一日目~幕開け 03

 ホームの行き止まり、その先はもう改札へとつづくのであろう上り階段、付近まで進まれたお姉さまが不意に立ち止まられます。
 おかしいな、という感じに少し小首をかしげてから回れ右。
 今度は、ようやく追いつきそうになっていた私目がけて戻っていらっしゃいました。

「新宿寄りの一番端、って聞いていたのだけれど、乗車位置のマークが見当たらないのよ」
「5号車のまではちゃんとあったのに、6号車のがさ…」

 お独り言モードで足下を見つめつつ、私に近づいてこられます。
 私は、と言えば左手で掴んだブラジャーの布片の、片方のカップとストラップをだらしなく垂らしたまま、その場に立ち尽くしています。
 
 そんな私の傍らを俯いたまま通り過ぎるお姉さま。
 地下への階段をコの字に囲む壁際で再度、立ち止まられました。

「あーっ!なんだ、ここかぁ、見過ごしてた。なんだか色々ごちゃごちゃ貼ってあるんだもん」
「考えてみれば六両編成って短いもんね。思い込みって怖いなあ」

 相変わらずお独り言モードのお姉さまですが、最初の、あーっ!のご発声が大きかったので、なにごと?とばかりにホームで電車を待っていた方々が訝しそうにお姉さまにご注目されています。
 平日の中途半端な時間帯なのでホームの人影はまばらなのですが、視線が2メートルくらい離れたところでボーッと立っている私にも注がれるのを感じ、あわててブラを両手で包み込むように持ち直しました。

 こんなところで、ノーブラを誇示するみたいに、外したブラを剥き出しで持っている私…
 さっき階段をあわてて駆け上がったとき、ワンピースの布の下で奔放に暴れていた乳房の重みと、布地に擦れる乳首の感触がよみがえり、股間の裂けめがキュンと疼きました。
 顔の火照りを隠すようにうつむいて、ゆっくりとお姉さまに近づきます。

「あの…これ…」

 中学生女子が憧れの先輩にバレンタインチョコを渡すときみたいに、モジモジおずおずと両手をお姉さまに突き出しました。

「あ、ごめん。あたし今両手塞がっているから、席に着くまでノーブラ直子が持ってて」

 からかうようにおっしゃるお姉さま。
 左肩にトートバッグを提げ、左手には先ほどのお買い物袋、右手には私のポシェットとご自身のであろうスマホを掴んでいらっしゃるので、確かに両手は塞がっています。
 差し出した両手をそのまま自分の胸の前まで戻すとワンピが素肌に押し付けられ、うつむいた視界に布地をクッキリと押し出す左右の突起がハッキリと見えました。

 不意にホームに響き渡る甲高いチャイム音。
 つづけて明瞭な女性のお声で、電車の到着が告げられます。
 私でも知っている有名な温泉地のお名前を冠した特急列車のようです。

「さ、いよいよね。あたしも乗るの初めてだから、楽しみー」

 お姉さまがニッコリ笑いかけてくださいます。
 私も車内でいったい何をされちゃうのか、ドキドキとワクワクが半分づつ。

 ほどなくして、見るからに速そうな流線型の電車がホームへゆっくりと滑り込んできました。
 オレンジ色のストライプに縁取られた大きな窓。
 座席もずいぶんとゆったり配置してあるみたい。

 あの窓際で裸になったら、外から丸見えじゃない?
 あと、近くの座席の人たちにも。
 でもあまり座席は埋まっていないみたい…

 そんな、はしたない妄想に耽っていると、一番後ろの車両の連結部を少し超えたところで電車が完全に停止しました。
 目前のドアがスーッと開きます。
 優雅に乗り込むお姉さま、つづいて私。
 この乗車位置から乗り込むのは私たちだけみたいです。

 えっ!?
 最後尾の車両には座席がありませんでした。
 窓際にブルーの絨毯が敷かれた細い通路がまっすぐにつづくだけ。
 もう片側には、お部屋のドアっぽい金色の把手がいくつか見え隠れしていました。

「驚いた?奮発しちゃった。コンパートメント」

 先を行かれるお姉さまが振り向いて、いたずらっぽく微笑みながらおっしゃいました。

 コンパートメント?
 なんとなく聞き覚えのある単語…
 そうだ、海外の推理小説でよく密室殺人が起きちゃう場所だ…ていうことは、個室?

 私が小さな脳味噌をフル回転させているのも知らず、お姉さまがひとつのドアをくぐられました。
 突き当り一つ手前のドア。
 どうやらそこがお姉さまと私が過ごすコンパートメントのようです。

「へー、想像していたよりゴージャスじゃん」

 お姉さまがお部屋をグルっと見回してつぶやかれました。
 私もつられて見回します。

 品の良いワインレッドで統一された室内。
 絨毯が敷かれた床にゆったりした二人がけのソファーが向かい合い、あいだには大理石っぽいテーブル。
 ソファーに座った姿勢なら、壁一面、と言えるほどに大きな窓。
 確かに超ゴージャスな空間でした。

「ここなら直子も、誰に気兼ね無く、思いっきり恥ずかしい姿になれるでしょ?」

 すでに片方のソファーに腰掛けられ、トートバッグからハンディなビデオカメラらしき機器を取り出されたお姉さま。
 私に向かい側に座るよう顎をしゃくられ、レンズを私に向けてきます。

「最初は普通に指定席で向かうつもりだったのよ。それで、下着とかをこっそり脱ぐように命令したりしてアソぼうかな、って」
「でも指定席だとまわりに誰が来るか、座ってみるまでわからないじゃない?子供連れファミリーとか、尊大なおやじの団体とかだったら、イタズラしにくくなっちゃう」

 お姉さまには、私と普通に純粋に観光旅行を楽しむ、という選択肢は皆無のようです。
 それは私も同じなのですが…

「あの、でもいくら個室といっても、あまりえっちなことはしないほうがいいのではないですか?えっと、検札?の人、車掌さんが巡回にくるかもしれないですし…」

「あたしが聞いたところでは、検札は無いって。切符がオンライン化しているから必要ないらしいわ」

「あと、こっち側のドアもガラスだから、どなたかが通路を通ったら…」

 通路側のドアには、真ん中にほぼ等身大で素通しな長方形のガラス窓が嵌め込まれています。
 ちょっと覗けば、室内丸見えなはず。

「だからわざわざ端のほうの部屋にしたんじゃない?トイレはさっき入った乗降口のところだから、この部屋の前を通る可能性があるのは、一番端の部屋の人だけ。他の部屋の人がわざわざ戻ってこの前を通るわけないし、車内販売もその電話で呼ばない限り来ないわ」
「でも、まったく誰も通らないのも直子にはつまらなそうだから、敢えて一部屋だけ、ズラしてみたの」

 気がついた不安な点をお姉さまが一々打ち消してくださるたびに、私のドキドキがムラムラにすり替わっていきます。
 普通の座席よりも大胆なことが出来る個室を選んだ、イコール、お姉さまは私に凄く大胆なことをさせようと思っていらっしゃる…

「ほら、あたしたちのバカンスが愉しいものになることを祈って、まずは乾杯しましょう」

 テーブルの上にさっき買ったシードルのボトルを並べ、キャップをひねるお姉さま。
 私にも一本、手渡してくださいました。

「それじゃあ、露出癖どマゾ女直子の恥辱紀行・温泉編、クランクインを祝して、カンパーイっ!」

 恥ずかし過ぎるタイトルを口走られたお姉さまと、ボトルをカチンと合わせ、ごくごくっ。

「あーおいしーっ!午前中からお酒飲めるっていうのも旅行の醍醐味よね。車運転してるとこれが出来ないから、そういう意味でも初日電車にしたの、正解だった」

 早くも一本飲み干され、二本めに手を伸ばされるお姉さま。
 私は最初に半分まで飲んで、フーッと一息。
 喉と鼻を通過していく、よく冷えたリンゴの風味が気持ちいい…

「さてと、それじゃあ直子、ワンピのボタン、全部外しちゃいなさい」
「えっ!?」

 二本めを半分くらい飲んだところでテーブルに置いたお姉さまが、ビデオカメラを構え直して私に向けてきました。

「えっ、じゃないの。もう電車も走り始めたし、ここではふたりきり。視せたがりの直子がワンピ着ている理由もなくなったじゃない?早くあたしに生おっぱいを見せなさい」

 気がつけば電車は走り始めていました。
 大きな窓の外を都会の景色がビュンビュン過ぎ去っています。

「今回のバカンスではね、出来る限りビデオや写真を撮って、ミサとリンコに編集してもらって、直子の野外露出写真集決定版を作ってもらう約束なの。出来が良かったらうちの通販で売ってもいいかな、って」

「テーマは、日常のエロス。日常的なシチュエーションに異物としての肌色、ってミサが力説してた。だから直子には、いつでもすぐに裸になれる格好でいてもらいたいのよ」

「わ、わかりました…」

 少しトロンとされた目つきで艶っぽくご説明くださるお姉さまに、私もズッキュン。
 シードルをもう一口飲んでから立ち上がり、胸元からボタンを外し始めます。

 走っている電車の中でお洋服を脱ぐなんて行為、普通に生きていたら絶対ありえません。
 私が今しているのは、それだけヘンタイ的行為。
 あ、でも寝台車とかだったらパジャマに着替えるかな…あれ?でも今日本に寝台車ってあるのかしら?
 そんなとりとめのないことを考えつつ、ドキドキしながらボタンを外しました。

「外したら、あたしに向かって広げなさい」

 レンズ越しのお姉さまの目が、私をじっと見つめてきます。
 おずおずとワンピースの合わせを開く私。
 マンガでよく見る、露出狂、の格好。
 外気にさらされる私の勃起乳首。

「へー。キレイに焼けているじゃない?想像していた以上に、エロいわよ?」

 すごく嬉しそうにおっしゃったお姉さま。

 そうなんです。
 お姉さまからのお電話でこのバカンスが決まった翌日のお昼時、突然、里美さまがオフィスに迎えに来てくださいました。
 
 お車で連れて行かれたのは、お隣駅近くの住宅街にある瀟洒なタンニングサロン。
 後でお聞きしたら、エステでお世話になったアンジェラさま系列のお店なのだそうです。

 そこで丸裸にされ、渡された衣装?を着て日焼けさせられたのです。
 お姉さまからのご依頼だそうで、これは絶対、7月にやよい先生のお店でご一緒したシーナさまのパートナー、ワカバヤシさまのお姿に影響を受けられたのでしょう。

 上半身には私の乳暈より一回りくらいだけ大きいティアドロップ型の白いマイクロ紐ビキニを着けさせられ、中三日間隔で4回、通わされました
 そのあいだ、私のお世話をしてくださったのも、里美さま。
 毎回、全裸な私の全身に丁寧にローションを塗ってくださり、帰りに気が向くと里美さまのオフィスに寄って、虐めてくださったりもしました。

 その結果を今、お姉さまに初めてご披露しています。
 こんがり、とまではいかないまでも、うっすら小麦色な私の素肌。
 おっぱいも横乳、下乳まで小麦色なのですが、その頂点付近だけ涙型に生々しく青白いまま。
 その生白さが、尖立した大きめ乳首を囲む濃ピンクの広め乳輪を露骨に際立たせていました。

 自分で見ても、イヤラしい、と思います。
 否が応にも、そこに目が行ってしまう、言い換えると、そんなに、そこまでしてそこに注目してもらいたいんだ?って呆れちゃうほど。
 まさしく、卑猥、という言葉がピッタリ。

 ちなみに、チョーカーも着けたまま日焼けさせられたので、首にもクッキリ、ラインが残っています。
 なので、日焼けが引くまで私は、人前でチョーカーを外すことが出来ません。
 もひとつちなみに下半身には、もっと卑猥な刻印を施されています。

「おーけー。ワンピから手を離していいわ」

 レンズを私に向けたまま、お姉さまがおっしゃいました。
 手を離すと前立てがパサッと戻りました。
 ただ、私の尖った乳首に布の端が引っかかり、おっぱいを完全に隠してはくれません。

「そろそろ浦和に着く頃ね。そのままの格好で窓際の席に座りなさい。前を直してはだめよ」

 お姉さまがおっしゃるのを待っていたかのように、女性声のアナウンスが停車駅のご案内を告げました。

「そうね、窓際に頬杖ついて、目を瞑って寝たフリしていなさい。駅に停車してから走り出すまでずっと、ね」
「は、はい…」

 ご命令通り窓際の席に座り、窓辺に寄り添うようにからだを寄せます。
 窓の外の景色はまだ、あまり旅行っぽくありません。
 民家や商店街など、見慣れた東京郊外の景色。

 お姉さまがカメラを構えたまま、私のほうに身を乗り出してきました。
 さっき座るときからだを前屈みにしたおかけで、おっぱいをスッポリ包み込む形になってくれたシャツワンピの前立てを、片手で片方づつ、不自然に押し開いてきます。

 再び丸出しとなった私の生おっぱい。
 おまけに下半身まで大げさに開かれ、白いショーツも丸出し姿です。

 タイミング良く電車が減速を始め、窓の外は東京と変わらないくらい都会な佇まい。
 こんなところで、こんな大きな窓際で、おっぱい丸出し?
 ショーツの奥がジュンと潤んできます。

「ほら、寝てるフリ寝てるフリ」

 相変わらずカメラを構えているお姉さまが、とても愉しそうにサジェスチョン。
 ドキドキ高鳴る心臓を押さえつけるみたいに、左手で頬杖をつき、窓に顔を向けて目を閉じました。

 やがて電車が停まる気配。
 乗降口ドアが開いたのでしょう、ホームの喧騒、アナウンス、そして発車チャイム音。
 目を開けて窓の外を確認したい衝動に駆られますが、反面、見てしまうのが怖い気持ちも。
 やがて喧騒が遠のき、電車が走り出す気配。

「目を開けていいわよ」

 お姉さまのお声で、恐る恐る姿勢を直します。

「何人くらいが視てくれたと思う?」

 イタズラっぽく尋ねるお姉さま。
 私の答えを待たずに、つづけられました。

「あたしが見たところでは、ホームで、おやっ?って感じで気づいたサラリーマン風男性が数人、ギョッとしたみたいに眉をしかめたおばさまがひとり。発車するまでジーッと見つめていた学生風男性がひとり、ってところかしら」
「そうそう、ケータイをこっちに向けていた男の子もひとりいたっけ」

 さも嬉しそうにおっしゃって、私の顔がみるみる羞恥に染まっていくのを眺めた後、フッと真顔に戻られました。

「なーんてね。乗降ホームがこっち側に変わってあたしも一瞬焦ったけど、この時間だし乗っているの一番後ろでしょ?近くには誰もいないの」
「せいぜい走り出したときにホームにちらほら人影が見えただけ。つまんない絵しか撮れなかった。せっかく至近距離で直子がおっぱい丸出しにしているのに」

 ふてくされ気味に、本日三本目のシードルに手を伸ばされるお姉さま。
 イタズラに失敗した子供みたい。

「でもまあそれはそれとして直子?あなた、あたしの命令に背いたわね?」
「あたし、直子が旅行に持ってきていいもの、ちゃんと指定したわよね?」

 お気を取り直すみたいに居ずまいを正されたお姉さまが、怖いお顔で、冷たい声音で私に告げました。

「えっ!何がですか?わ、私、全部お姉さまのおっしゃる通りにしてきたはずなのですけれど…」

 突然のお姉さまのお怒りに、おっぱい丸出しのまま、あたふた慄く私。
 服装はご命令通りだし、着替えだって持ってきていないし、お金もカードも持ってきていないし…

 「じゃあ、これは何?」

 お姉さまが私のポシェットをテーブルにお乗せになり、中を開いて取り出された私のスマホ。
 そのスマホのブックカバー型スマホケースのポケットから取り出されたのは、小さく折りたたまれた一万円札。

「あっ!」

 目の前に差し出されて、ようやく思い出しました。
 夏真っ盛りの頃、お気に入りのアニメキャラがあしらわれたスマホケースを手に入れて入れ替えたとき、それまでずーっとそうしていたように、非常時緊急時用現金を新しいケースにも入れ直していたことを。

「直子がトイレに行っているあいだ、ヒマだからポシェットの中身を一応点検したときにみつけたの」
「まさか直子があたしの命令を破るはずが無いと思っていたから、最初は気づかなかったけれど、直子のスマホ、あたしのより新しいから使い方に慣れておこうと思って開いたとき、ケースの不自然な膨らみに気づいたの」

「あ、ごめんなさい。でもそれ、私もすっかり忘れていたんです。ずーっとそうしてきたので、入れ替えるときに習慣で…」

「言い訳はいらない。今重要なのは、直子が私の命令を破った、という事実だけ」
「池袋で気づいたのだけれど、この電車、大宮までは普通に副都心を走るから、大宮過ぎて人目が減ってから虐めようと思っていたけれど、気が変わったわ」

 お姉さまの瞳がどんどん嗜虐色に染まるのがわかります。
 同時に私のからだも、こうなったらもう何をされても仕方がない、全部私のせい、と被虐色に染まってきます。

「どマゾが命令に背いたら、お仕置きが必要なのは、わかるわよね?」

 お姉さまがやっと、愉しそうなお顔に戻ってくださいました。

「は、はい…」

 ごく自然にマゾの服従ポーズを取った私も、きっと凄く淫らなどマゾ顔になっていたと思います。


肌色休暇一日目~幕開け 04


2020年5月31日

肌色休暇一日目~幕開け 02

 そんなふうにひとりでドキドキハアハア感じていたら、いつの間にかお車は交差点を抜け、車道からも右側へと外れようとしています。
 目前に、えっ?トンネル?
 まさか、池袋駅前にトンネルなんてありません。
 あ、駐車場か。

 緩いスロープをゆっくり下って、地下駐車場へと吸い込まれていくお姉さまのお車。
 ここにお車を停めちゃうの?あ、デパ地下でお買い物でもしていくおつもりなのかな?
 それとも駅から電車で行くのかしら…
 頭の中をハテナマークで一杯にしているあいだにもお車は薄闇をゆっくり進み、ずいぶん奥の隅っこのスペースにそのまま駐車されました。

「さあ、いよいよ休暇の始まりね、仕事はひとまず全部忘れて、ゆっくり楽しみましょう」

 シートベルトをお外しになり、運転席で組んだ両手を前に伸ばし、んーっ、と伸びをされたお姉さま。
 それから素敵な笑顔でこちらをお向きになり、私の顔から下っていったお姉さまの視線が、剥き出しなショーツの一点で固定されました。

「あらあら、ずいぶん濡らしちゃっているじゃない?パッと見でもわかるくらい」

 お姉さまの左手が私の股間に伸び、人差し指でその部分をツン。
 すぐに離れるとその指先から、粘性を感じる透明なか細い糸がツーっと一筋伸びて切れました。

「車の中で下着見せるだけで、そんなに気持ち良かったんだ?ほんとにイヤらしい子」
「あっ、いやんっ!」

 不意の刺激に思わずからだがビクンと跳ね、のけぞった拍子にお尻がシートを滑りました。
 そんな私のはしたない姿を、ふふん、とお鼻でお笑いになってから、お姉さまがお車のダッシュボードの下のほうに目を移されました。

「あらら、早く着き過ぎちゃった。まだショッピング街、開いてないわね」

 お独り言のようにつぶやかれるお姉さま。

「ま、ちょうどいいか。あたし、ちょっと外に出て電話してくるね」

 私の返事は待たずにスッとドアを開けてバタン。
 閉じたドアのすぐ傍らでケータイ電話の画面をタップされています。

 私はと言えば、まだシートベルトをしたまま、両手でワンピの前立てを押し広げたまま。
 下半身も相変わらずめくりっ放し。
 だって、お赦しが出ないのですもの。

 地下駐車場の片隅のため周囲が薄暗くなったおかげで、お車のウインドウに自分の姿がはっきり映っています。
 誰も視てくださるかたなく、駐車場の壁に向かって下着を見せびらかしている間抜けな露出症女。
 首に細く巻き付いている純白のエナメルチョーカーが、暗いガラス鏡の中で妙に目立っています。

 視線を下へとずらすと、白いブラカップ、凹んだおへそ、そして白いビキニショーツ。
 さっきお尻が滑ったとき、ショーツの布地が股間に一層押し付けられてしまったのでしょう。
 布地にぽってり盛られているみたいに見えた私の恥ずかしい蜜の雫がベッタリと布地に広がり、その部分をより卑猥な状態にしていました。

 肌色が透けるほど張り付いた布地は、突起もスジもそのものの形通りに、やわらかな曲線を描き出しています。
 ああんっ、いつまでこんな姿でいなければならないのでしょう…

「お待たせっ。そろそろお店も開くだろうから、ぼちぼち出ましょうか」

 お車のあらゆる窓からギャラリーに覗き込まれ、見世物の辱めを受けている妄想に目を瞑って耽っていたら、不意にお姉さまが乗り込んでいらっしゃいました。

「あれ直子、まだその格好なんだ?」

 呆れたようなお姉さまのお声。

「だって、お姉さまからのお赦しがなかったから…」

 恥ずかしい妄想をしていたことを見透かされたような気がして、拗ねたようなお返事になってしまいます。

「そんなに気に入ってくれたんなら、ここを出るまでその格好で歩かせてもいいんだけどさ、どうもこの駐車場、警備員さんが働き者ばかりみたいでね、ひっきりなしに巡回してるみたい」
「さっきも電話してたら、こっちをすごく胡散臭そうに見ながら歩いていったわ。あんな短時間に違う警備員が入れ代わり立ち代わり二人も」
「だからとりあえず駅入って電車に乗るまでは、フツーにしてて」

 運転席に再度落ち着かれたお姉さまがおからだをひねり、後部座席に置いたお荷物を引き寄せながら、おっしゃいました。

「あの、お姉さま?私たち、これから電車に乗るのですか?このままお車で向かうのではなく…」

 まだ胸元は押し開いたまま、先程から一番気になっていたことをお尋ねしました。

「あれ?言ってなかったっけ?」

 お姉さまご愛用のバーキンバッグを回収され、中を覗き込みながらのお応え。

「バカンス一日目は温泉に泊まるって。ほら、他人様の別荘だと、自分たちでしなくちゃならないことも結構ありそうでしょ?初日くらいはゆっくり、上げ膳据え膳で過ごしたいじゃない」
「別荘にも管理人ていうか、お世話してくれる人たちを頼んではあるのだけど、仕事の知り合いでもあるしさ」

 お姉さまがやっと、私のほうを向いてくださいました。

「それに今日泊まる旅館、露天風呂が充実しているんだって。お部屋据え置きのから大きいのまで。森に囲まれた混浴のもあるみたい」
「だから直子も、誰に咎められることなく、心置きなく、合法的に、お外で全裸を晒せるってワケ。嬉しいでしょ?」
「そのスジの人からご紹介いただいた宿なのよ。多少やんちゃしちゃっても大丈夫なはず、だって」

 お姉さまにしては少々はしゃぎ過ぎな感じの、いつになく高揚したお声。
 やっぱりお姉さまもバカンスは嬉しいんだ…
 そのご様子に、私も今更ながらどんどん期待が膨らんできます。

「だからさっさと服を直して、電車の時間に遅れちゃったら元も子もないわよ?」
「あ、はいっ!」

 急いでシートベルトを外し、ワンピの裾を直してから胸元のボタンを留め直します。
 お姉さまはバーキンを肩から提げ、すでに車外に下り立たれています。

 えっ!?お姉さまのお荷物、それだけ?
 三泊四日の旅行にしては大して膨らんでもいない、まるで通勤途中のようなお姉さまのお姿。
 必要なものは現地調達されるのかな?
 訝しがりながら私も、車外に出ました。

 お姉さまに右手を掴まれ、手を繋いで駐車場内を歩き始めます。
 迷いの無い足取りでスタスタと進まれるお姉さま。
 繋いだ手で引かれるようにお姉さまのお背中を追う私。
 やがて重そうな扉を開くと、もうそこはさまざまな路線の各改札へとつづく地下通路でした。

 通勤通学ラッシュはとっくに終わって、もう午前10時になろうとしている頃なのに、右へ左へ忙しなく行き交う人、人、人。
 駐車場内がしんとしていたのもあり、突然迷い込んだ雑踏喧騒にちょっと気後れしてしまいます。

「おはようございます。いらっしゃいませ」

 ちょうど開店の時刻となったデパートの入口付近から、ご挨拶をされる店員のみなさまのお声が聞こえてきます。
 人混みをスルスルすり抜けて進むお姉さまはやがて、深々とお辞儀されているデパートガールさまたちの脇を通り抜け、いわゆるデパ地下と称される食品売り場に入られました。

「お昼時に現地到着予定だから、お弁当とかはいらないわね。向こうでご当地グルメランチと洒落込むのがバカンスの正道だもの」
「飲み物と、何か軽くツマめてお腹に溜まらないお菓子かなんか…」

 私に意見を求めるふうでも無い、お独り言モードなお姉さまは結局、飲みきりサイズのシードルを何本かと、一口サイズのクラッカーとチーズをお買い上げ。
 お買い物袋は当然私が持ち、空いたほうの手を再び繋いでデパ地下を出て、そのまま地下通路をJR改札口へ。
 私に切符をくださり、自動改札を入ったところで没収。

 無秩序な人の流れを器用にすり抜けて、やがて駅のホームへとつづく上り階段の麓に。
 傍らの壁際に女子トイレの入り口が見えています。

「まだ時間に余裕はあるわね。直子、トイレは大丈夫?」
「えっ?あっ、はい…えっと…」

 突然尋ねられてあたふたしてしまう私。
 オシッコのことなんて微塵も考えていなかったので、したいのかしたくないのかすぐにはわかりません。
 うーん、したいと言えばしたい気もするけど、でもやっぱりそんなにはしたくもないような…
 
「迷ってるなら、してきたほうがいいわよ。電車にもトイレはあるはずだけれど、直子は、行けないと思うから」

 煮え切らない私をニヤニヤ眺めながら、謎なお言葉をくださるお姉さま。
 とくに、直子は、のところを意味ありげに強調されました。

「あ、はい。では、お言葉に甘えて…」

 今も股間に張り付いているショーツのシミも拭っておきたかったので、おトイレを済ませておくことにしました。

「荷物は持っていてあげる。5分前にはホームで並んでいたいから、なるべく手早くチャッチャとね。この階段の周辺で待っているから」
「あ、お姉さまは、なさらないのですか?」
「あたし?あたしは大丈夫。いつでもしたいときに出来るから」

 ニッと微笑まれたお姉さまが、私の手から先程のお買い物袋を取り上げられました。
 ついで、という感じで、私が首から下げていたポシェットもなぜだか没収されます。
 更に、当然、という感じにポシェットが開けられ、中から持参したフェイスタオルを取り出して手渡されます。
 手渡されるとき、私の耳元にお姉さまの唇が寄せられ、くすぐったい吐息と一緒にこう囁かれました。

「トイレの個室でブラジャーを外してきなさい」

 ドキンッ、と心臓が跳ねました。

「は、はい…わかりました、お姉さま…」

 唐突に、私がまだお姉さまの会社に入りたての頃、お姉さまのマンションにお泊りをして連れ出された露出遊びのことを思い出していました。

 膣内にリモコンローターを仕込まれ、お昼下がりの地下鉄車内で弄ばれたこと。
 駅構内の証明写真ブースでおっぱい丸出し写真を撮るようにご命令され、その写真を透明バッグのみなさまに見えるほうへ表向きに入れて晒したまま、休日のオフィス街を歩かされたこと。
 途中のドラックストアで、女性店員さまにお浣腸のお薬の場所をお尋ねし、わざわざそこまで案内していただいたこと、などなど…

 あのときいただいた羞恥と恥辱の記憶がまざまざとよみがえります。
 そして、今回の旅行があのときの記憶を軽く凌駕してしまうだろうことも確信した瞬間でした。

 最初にお姉さまのお車で行くと聞かされ単純に、目的地に着くまでふたりだけの密室内であれこれされることだけを妄想していた私には、今の状況は青天の霹靂でした。
 そして先程のご命令は、電車内でいくら不特定多数の目があったとしても、あたしは容赦するつもりは毛頭無いわよ、という、お姉さまのご宣言、と捉えました。

 電車内の座席でも私、ひょっとしたら全裸に剥かれちゃうのかも…
 駅で停まるたびにホームのみなさまに、私の恥ずかしい姿が晒されちゃったり…
 全裸で見知らぬ駅に置き去りにされちゃったらどうしよう…
 とめどなく暴走する妄想にゾクゾク感じながら女子トイレに入りました。

 ズラッと並んだ個室で空いているのは3つ。
 そのうち一番奥の端に陣取りました。

 まずはショーツを下ろして、股間と布地の湿りをトイレットペーパーで拭き取ることにします。
 うわーっ、ヌメヌメのぐしょぐしょ。
 湿りなどという生易し代物ではなく、布地のゴム付近、お尻の割れ始めのほうまで恥ずかしくも生臭いシミが広がっていました。
 私って、どうしてこんなに濡れちゃうんだろう…
 自分でも呆れるほど。

 スジを挟み込むオマンジュウはテラテラ光りながらぷっくり膨らみ、先端の恥ずかしい肉芽もすっかり脱皮してジンジンツヤツヤ輝いていました。
 不用意に刺激しないよう注意深く拭いてから、オシッコの態勢へ。

 便座に腰を下ろすと不思議なことに尿意が高まり、予想外にたくさん出ていきました。
 シャワー装置をビデにして中のヌメリまで洗浄。
 ついでにお尻にも切り替えて、まだ使ってはいないけれど念のため洗浄。

 フーッと一息つくと、心做しな爽快感。
 ゆっくり立ち上がり、ショーツをずり上げます。
 でもトイペで拭いただけですから、やっぱり火照った股間に濡れている布地がヒンヤリ。

 さて、これからはご命令の実行です。
 前開きワンピースのボタンを襟元から4つ外して、まず両腕を両半袖から引き抜きました。
 今日しているブラジャーはフロントホックですから着脱は楽チン。

 胸元のホックを外すと、カップに押さえ込まれていたおっぱいがぷるんと震えます。
 そのまま肩紐も外し、あっという間のトップレス。
 駅の公衆おトイレ個室の空間に、私の勃起乳首生おっぱいが晒されました。

 数年前の私だったら、こんな状況だけで膣内にいやらしいおツユが溢れ出していたことでしょう。
 でも最近頓にヘンタイ経験値が上がってしまった私。
 
 せっかく脱ぎやすいフロントホックを着てきたのだから、お姉さまもどうせなら電車内で、外すようにご命令してくださればいいのに…
 なんて不埒なことが頭をよぎる始末。

 外したブラジャーを閉じた便器の蓋の上に置き、ワンピのボタンを戻していきます。
 シャツワンピなので身幅もゆったりめで、割としっかりした麻混生地ですから、よほどのけぞったりしない限り、乳首位置も露骨に浮かないみたい。
 
 襟元ふたつだけボタンを開けた状態でワンピを着終え、便器の上のブラジャーを手に持ったとき、あっ!と気がつきました。
 お姉さまが私をおトイレに送り出すとき、ポシェットまで取り上げた理由を。

 外したブラジャーを収納する場所が無いんです。
 今私は手ぶら、
 ワンピースには左胸に小さな、とてもブラジャーを入れることは出来そうにない、ポケットがひとつあるだけ。
 お姉さまに持たせていただいたフェイスタオルも、広げたって20センチ四方くらい。
 とてもブラを包み込んで隠すことは出来ませんし、これから洗面所で手を洗い、それを拭ったタオルでブラを包むこともイヤでした。

 どうやら私は、自分が今脱いだブラジャーを剥き身で手に持って、お姉さまのもとに戻らなければいけないようです。
 おトイレを出て、見知らぬ人たちがたくさん行き交う駅構内の人混みを抜けて。

 さすがお姉さま、と思うと同時に、股間がヒクッと潤みました。
 カップとカップを合わせ、出来るだけ小さな塊にしてブラジャーを持ち、個室をそっと出ました。

 幸い洗面台にも誰もいません。
 小走りで近づき、フェイスタオルとブラの塊を台に置き、素早く両手を洗いました。
 フェイスタオルで手を拭いてから折りたたみ、少し迷った末に胸ポケットに押し込みます。
 真っ白なブラの塊を隠すように両手でふんわり握り、小走りに出口へ。
 おっと、出る前に入口脇の姿見で念の為、胸ポチのチェックも忘れずに。

 相変わらずひっきりなしに行き交う方々にぶつからないよう注意しながら、胸の前で揉み手しているみたいなポーズになって、お姉さまのもとへと急ぎます。
 両手から白い布が少しだけはみ出してはいますが、まさかこれがさっき自分で脱いだばかりのブラジャーだとは、誰も気づかない…はずです…

 お姉さまは送り出したときとほぼ同じ場所で、うつむいてケータイを弄りながら待っていてくださいました。

「お待たせしました」
「あ、おかえり。ちゃんと出した?」

 ケータイの画面からお顔を上げ、薄く微笑まれるお姉さま。

「あ、はい」
「そう。じゃあ、渡して」

 右手を私に差し出されるお姉さま。
 おずおずとやんわり握っていた両手を開き、白い布の塊を丸まったまま渡す私。

「あら、まだあったかいのね。直子の体温が残ってる」

 おっしゃりながら布片を広げ、わざわざブラジャーの形にお戻しになられたお姉さま。
 近くをお通りになっていたお若そうなサラリーマンスーツ姿の男性がお気づきになられたようで、一瞬ギョッとされたように足をお止めになられ、それから好奇に染まったお顔で私たちのほうをシゲシゲと見つめつつ、通り過ぎていかれました。

「おーけー。じゃあ行きましょう」

 完全にブラジャーの形に戻っている白い布を、またもやわざわざ私に返してくださってから、お姉さまはクルッと踵を返し、ホームへとつづく階段を上り始めます。

「あ、お姉さまっ!ちょっと待って…」
 
 持たされたブラジャーを、取り敢えずクシャクシャに丸めて片手に握り、お姉さまに追い縋ります。
 ホームに出ても振り向きもされないお姉さまは、そのままズンズンとホームの端の方へと進まれるのでした。


肌色休暇一日目~幕開け 03


2020年5月24日

肌色休暇一日目~幕開け 01

 会社近くの繁華街を連日賑わせていた親子連れや学生さんグループの喧噪がパタッと途絶えた頃、少し遅い夏休みをいただけることになりました。
 火曜日から土日を含めて六日間も。

 更に嬉しいことに、お姉さまも私と同じ日程でお休みを取られ、ふたりで旅行に出かけることに。
 行く先は、関東圏の人たちには避暑地として名高い、山間のリゾート地。
 お姉さまのお知り合いが瀟洒な別荘をお持ちだそうで、そこを自由に使ってよいとのこと。

 水曜日から三泊四日。
 そのあいだずうっと、お姉さまと一緒、のはずです。
 そのお話を出張中のお姉さまからのお電話で唐突に告げられたとき、文字通り跳び上がって大喜び。

 でも、ヘンタイな私とミストレスなお姉さまとのバカンスですから、一筋縄ではいきません。
 お出かけするにあたっての注意事項をいくつか言い渡されました。

「直子は旅支度とか一切しなくていいから。着の身着のまま、からだひとつでいらっしゃい」
「そうね、簡単なコスメとスマホ、あとはフェイスタオルくらいをポシェットに入れてぶら下げてくればいいわ。着替えとかお金は一切持ってこないように」
「当日の服装は、失くしちゃったり破かれちゃってもいいブラとパンツに、こないだ買ってあげた前開きのワンピね」

 お電話の向こう側からイタズラっぽいお声でご命令くださるお姉さま。
 失くしちゃったり破かれちゃってもいい…
 その意味深なお言葉にキュンキュン感じてしまう私。

「で、でも宿泊費とか旅費とかお食事とか、お金かカードくらいは私も持っていったほうが…」

 オフィスの社長室でひとり、例によってリンコさまたちのご命令により全裸で勤務していた私は、剥き出しな下腹部に指を滑らせたい衝動を抑えるために、ご命令で気になったところを上ずった声でお尋ねしました。

「いいのよ。その辺は全部、直子のカラダで払ってもらうから」
 
 あっけらかんとおっしゃるお姉さま。

「とにかく今言ったことは全部、ちゃんと守ること。それじゃ当日ね」
 
 かかってきたときと同じように、唐突に切れたお姉さまからのお電話。

「なになに?チーフとふたりきりで旅行?いいなあ」

 お電話が切れて数秒後、お部屋に雪崩れ込んでいらっしゃったリンコさまとミサさま。
   お揃いのアニメキャラTシャツにデニムのショーパン姿。
 もちろん監視カメラで私とお姉さまとの会話を盗み見アンド聴きされていたのでしょう。

「あそこの別荘、雰囲気いいんだよねー、うちらもコスプレの撮影で何度か使わせてもらったけどさ」
「そう。ヨーロッパ中世風のゴージャスな洋室とか、純和風な昭和っぽい畳部屋もあって、雰囲気あった」
「また庭と周りの森がいいカンジなんだよねー。あそこで直子を裸にしたらいい写真撮れそう」
「うん。ヌーディスト系なアートっぽいのもイケるし、猟奇っぽい緊縛放置とかの耽美系シチュにもピッタリだと思う」

 おふたりは、私がおじゃますることになるらしい別荘のお話を交互にいろいろ教えてくださりつつ、全裸な私唯一の着衣である首輪から垂れたチェーンを引っ張って、手際よく窓辺のテーブルまで誘導していきます。

 午後三時を過ぎて、やっと翳り始めた夏の日差しに照らされた窓際のテーブル上に仰向けで寝そべります。
 両膝を立てて右手で右足首、左手で左足首を掴みます。
 必然的に両腿は自然に開き、恥ずかしい亀裂を日差しに向ける形の寝そべりM字開脚。
 少し顔を上げると目の前の大きなガラス窓の向こう側に、地上100数十メートルの青空だけが広がっています。

 最初の頃は、プレイが始まるごとに手錠とか縄で丁寧に拘束してくださっていたのに、それも面倒くさくなられたのか、この数日間でテーブルに乗せられたら自らこの姿勢を取るよう、しっかり躾けられてしまった私。

「相変わらずビンカン濡れ濡れだねえ、ナオちゃんのインランプッシーは」
「ぁあんっ!」

 立て膝M字の中心を覗き込むようにお顔を突き出してきたリンコさまが腕を伸ばし、私のラビアに軽く指を添えると、ジャンケンのチョキの形で更に押し広げてきます。
 おふたりでプロデュース中の新型バイブレーター試作品を片手にほくそ笑むミサさま。

「今日もしばらくのあいだ、うちらの商品開発につきあってもらいましょうか、憐れなギニーピッグちゃん」

 パッと見はよくある棒状の肌色バイブなのですが、表面のシリコンがお魚の鱗みたいに可動する仕様。
 大小の鱗が棒部分にびっちり施されています。
 なので、挿れるときはすんなり入るのですが抜こうとすると鱗たちがめくれ上がり、無数のビラビラが膣壁全体を万遍無く容赦無くゾリゾリ逆撫で擦るのです。
 そのシリコン鱗の形状や密度、配置具合に悩んでいる、とリンコさまはおっしゃるのですが…

 お盆期間をご趣味の同人活動でしっかり休まれたおふたりは、夏休みの宿題消化に焦る小学生さんのように、お休み明けから連日、私をおもちゃにしています。
 雅さまとほのかさまは入れ替わりお休みに入られ、綾音さまとお姉さまは長期出張中。
 オフィス内は、リンコさまとミサさまによる独裁王国状態。
 完全服従なメス犬モルモットに、性的実験したい放題、ヤリ放題。

 今日、私は何時頃開放されるかな?
 それまでに何回、イカされてしまうのかな…
 青空に向けて大きく開いた私のマゾマンコにあてがわれた振動にビクッと肩を震わせつつ、私はそっと目を閉じます。

 あぁ…あんっ!あうぅっ……
 
 月が変わって、待ちに待った旅行当日。
 朝からお日様全開快晴の残暑厳しきバカンス日和。
 待ち合わせは朝の9時半、オフィスビル群の麓にあるホテルの正面入り口前でした。

 出勤ピークも過ぎ、ビル内のショッピングモール開店にはまだ早い中途半端な時間帯なので、通り過ぎる人も車もまばら。
 通りには数台の大きな観光バスが並び、ホテルのエントランスには大きなスーツケースと共に数名の男女がたむろしています。
 どうやら外国からの旅行者さんたちのようで、耳慣れないお言葉での会話が背後から聞こえてきて、目を閉じているとどこか異国の街角に居るみたい。

 そんな光景を見るともなしに見ていたら、見慣れた青色のお車が私の立っている舗道のほうにスーッと近づいてきました。

「おっはよっ!」

 助手席側の窓がスーッと下がり、間髪入れずの弾んだお声。

「おはようございます」

 ちょうどガードレールが途切れたところへ助手席ドアが来るように停めてくださったお姉さまに、私も元気にご挨拶。

「早く乗って。窓開けてると夏の熱気に蹂躙されちゃう」
 
 お芝居がかったお姉さまのお声に促され、助手席に乗り込みます。
 窓がスーッと上がり、車内はヒンヤリ、心地よく冷えています。

「ちゃんと言われた通りにしてきたみたいね。ワンピもよく似合っているわよ」
 
 シートベルトを装着しようとモゾモゾしている私を、運転席からジッと眺めるお姉さま。
 数日前にお姉さまが買ってくださった丸襟膝上丈の半袖前開き水色シャツワンピースを褒めてくださいます。

 そんなお姉さまのお姿は…と横目で窺うと…
 カーキ色でゆったりめなボートネックのサマーニットに濃いめなブラウンのサブリナパンツ。
 最近ショートにされた髪型とも相俟ってシャープでスポーティ、すごくカッコいい。

 お車がスーッと音もなく発進し、私は運転されるお姉さまの端正な横顔を見つめます。
 やがて赤信号に捕まり大きめな交差点で停車。

「ちょっとワンピの裾まくって、パンツ見せてよ」
 
 不意のお言葉にビクンとからだが震えます。
 お姉さまはお顔だけこちらに向け、ニヤニヤ笑い。

 停止線で停車しているのでフロントガラスの先は横断歩道。
 左側に寄っているので私の横は舗道。
 まばらですがもちろん、前や横を行き交う歩行者の方々のお顔までハッキリ見えています。

 こんなところでそんなご命令をくださるお姉さま…
 でも私は、この旅行期間中、お姉さまのどんなご命令にも絶対に服従する、という覚悟を決めていました。
 
 これからお姉さまの運転で数時間、目的地までの密室空間。
 きっとお姉さまから、手を変え品を変え私を辱めるご無体なご命令をいただくことでしょう。
 
 たとえ助手席で全裸になれと命じられても、パーキングエリアを恥ずかしい服装で歩くことを命じられても…
 私はすべて従うつもりです。
 お忙しいお姉さまが私のためだけにセッティングしてくださった、初めての、ふたりだけのバカンスなのですから。

 そんなことを考えながら両膝中間辺りのワンピースの裾を右手でつまみ、おずおずと自らめくり上げていきます。
 その右手がおへその上くらいまで上がったとき、濃茶のレザーシート上に少し日焼けした生々しい太股とデルタ型の白い布地が露わになっていました。

「ふうん。またずいぶん地味なのを穿いてきたんだ」
 
 からかうようにおっしゃるお姉さま。

 私が穿いてきたのは、コットンで純白無地のありふれたフルバックビキニショーツ、いわゆる、綿パン、って呼ばれる下着。
 お色気の欠片もない代物ですが、リンコさまたちの魔改造により、クロッチ部分のあて布が剥がされています。
 なので、無毛の土手下が生々しく密着していて、更に、こんな街中でパンツ丸出しにさせられている刺激に、奥のほうから潤って…

「確かにそれなら、失くしちゃっても惜しくはないわね」
 
 面白くもなさそうにお姉さまがおっしゃったとき、信号が変わりました。

 お車はゆっくりと左折。
 お姉さまからのお赦しが無いので、私はずっと裾をまくったまま。
 上が高速道路らしき高架下の幅広い道の右側車線を、快調に進み、やがてまた信号。

「ブラのほうも。一応見せて」
 
 停車すると同時に、お姉さまがお顔をこちらに向けておっしゃいました。

「あ、はい…」

 今度は右折車線の前から3番めくらいに並んでいるので、歩行者からはかなり遠い感じ。
 まだお赦しが出ないので、裾の布地をウエストを絞るリボンに挟んでショーツ丸出しをキープしつつ手を離し、両手でワンピースのボタンを首下から外し始めます。

 アンダーバストくらいまで外したとき、お車が動き始めました。
 大きな交差点を右へ曲がると…
 あれ?

 お姉さまの運転されるお車は、なぜだか池袋駅東口の駅前方向に進んでいるよう。
 オフィスビルのすぐ傍に高速道路の入口があるので、私はてっきりすぐそれに乗るのだろうと思い込んでいました。
 いったん高速に乗ってしまえば、渋滞以外めったに停まることはないので、さして気にせず下着姿をお見せしていたのですが…

 駅前が近づくにつれ、人通りはどんどん増えています。
 片側2車線の広い車道の右寄りを走っているので、歩行者のみなさまからの距離はあるのですが、360度どこにも他人の目がある状態。

 こんなところで自ら胸をはだけ、ブラジャーをお見せしなければならないなんて…
 ボタンの外れた前合わせをギュッと右手で掴んだまま固まってしまった私に呼応するように、お車がまた赤信号に捕まります。

「どしたの?早く見せてよ」
 
 イジワルさを目元に湛えて私の顔を覗き込んでくるお姉さま。

「あ、はい…あのぅ……でも…」

 またもや停止線先頭の停車なので、目前の横断歩道とほんの数メートル。
 駅前に近づいたぶんだけ増えた歩行者さまたちが右へ左へひっきりなし、こちらへ目線を投げてくるかたも数人。
 あのかたたちから、私の丸出しショーツは見えてしまっているのかしら…

「じゃあ、車が発進したら、胸をはだけなさい。はだけたら直しちゃだめよ」
 
 うつむいたまま硬直状態な私に助け舟を出してくださるお優しいお姉さま。

「もう一度信号に捕まったら、それは直子にツキが無かった、っていうことね」
 
 ちゃんと恥辱の余地も残してくださる、やっぱりイジワルなお姉さま。

 信号が変わり、再び目抜き通りを走り出すお車。
 私はボタンをもう一つ外し、思い切って両肩近くまで、ワンピの前合わせを両手で開きました。

「裾を直していいとは言ってないわよ?」
 
 両手で胸元をはだけた拍子に、ワンピの裾がパサッと戻ってしまっていました。

「あたしはパンツとブラを同時に視たいの。見せなさい」
 
 お姉さまのキツめなお声でのご命令。

「は、はい。ごめんなさい」
 
 すかさず裾をめくり直し、その布をウエストリボンに挟み直しました。
 あわてたためか大きくめくり過ぎ、さっきより露わになる部分が増えておへそまで丸出し。  
 誰がどう見てもワザと見せつけているとしか思えない、まさしく露出狂の仕業。

 それから再び両手で胸元を押し開きます。
 着けているのは、ショーツとお揃いの純白コットン、クォーターカップの前開きブラ。
 これで私の下着は上下とも、文字通り白日の下に曝け出されました。

「下がそれなら、上はやっぱりそうなるわよね。下着だけ見れば清純派?」
 
 蔑むみたいにおっしゃりつつ、お姉さまのお車は駅前の広いロータリーに入りました。
 
 自分が今している行為が恥ずかしすぎて、どうしてもうつむいてしまいます。
 不意に私の左側のドアウインドウがスルスルっと下がり始めました。

「えっ!?」

「せっかく直子がえっちに下着姿を見せつけてくれてるんだから、この暑い中通勤通学で頑張っている人たちにもラッキーをお裾分けしてあげようと思ってさ」

 お姉さまがお芝居口調で微笑みます。

 開け放たれた窓からドッと流れ込んでくる残暑の熱気と街の喧騒。
 思わず視線が上がると、視界に飛び込んでくる街の風景。

 セールを告げるデパートのタペストリー、高級ブランドで着飾ったブティックのマネキン、壁一面のハイヴィジョンディスプレイ、そして、視界の端からひっきりなしに現われては通り過ぎていく、老若男女とさまざまな色、形の自動車。
 
 東京でも5本の指に入る人通りの繁華街。
 その見慣れた街並みを、お姉さまのお車がゆっくり進んでいきます。
 自らワンピースの胸元と下半身を覆う着衣を押し広げ、真っ白な下着を見せびらかすように露出している露出症ヘンタイ女を助手席に乗せて。

 おまけにロータリーに入った途端に車道は数珠つなぎ。
 大きな交差点を超えるまで、進んでは停まりのノロノロ運転。
 更に交差点の両端に信号待ちの人たちの大きな群れ。

 これだけ人がいれば、絶対私に気づいている人、いるだろうな…
 あの子、何してるんだろう?って思ってそう…
 遠目なら下着じゃなくて、暑いから水着なんだろう、って思うかも…
 でも、自分で開いた姿勢のままなのは、やっぱり不自然だよね…

 何かの罰ゲームだって思われるかな… 
 命令されてやらされてるんだって…
 それとも、わざとだって思われてる?
 見せたがりのヘンタイマゾ女だってバレてる?
 
 あ、あの男の人、こちらを二度見した…
 知っている人に見られていたら、どうしよう…
 あ、今度は若い男の人が、こちらを指さした…
 やっぱり視られてる…

 ああんっ、視ないで、視ないで…
 お願いだから早く、交差点を通過して…
 
 あんっ、でも、でももっと視て、直子の恥ずかしい姿、もっとしっかり視て蔑んで…

 顔の紅潮や腋の下に滲み出る汗は、窓から入り込む熱気のせいだけではありませんでした。
 剥き出しの下半身にも熱が集まり、あて布のないクロッチ部分の先端が、透明な蜜を垂らしたかのようにぽってりと、濡れそぼってテカっていました。


肌色休暇一日目~幕開け 02



2018年7月29日

三人のミストレス 31

「へー、水に浸けるとヌメリが出るんだ?」
「太さもいろいろあるんだね」
「あ、ヌメリ舐めたらちょっぴり甘い感じ」

 私の脚の方ではしゃぐお声は、肥後ずいきとやらに群がっているギャラリーの方々でしょう。
 やよいママさまのお声は聞こえてきませんが。

 私の口はジャクリーンさまの膣口とディープキスをする形で塞がれ、伸ばした舌で懸命のご奉仕中。
 襞に沿ってジャクリーンさまの嬌声がひときわ高くなる場所を探しあて、そこを重点的に責め立てています。
 口中に絶えず愛液が流れ込み、その排水も大変です。

「えっ?いきなりそんな太いの、挿れちゃうんですか?」
 呆れたようなどなたかのお声につづいて、やよいママさまの弾んだお声が聞こえてきました。

「いいのよ。この子、あたしと会わないあいだに、いろんな人からいろいろ教え込まれて開発されたみたいだし、この程度なら難なく咥え込むはずよ」
 やよいママさまがご愉快そうなのは私も嬉しいのですが、開発、という表現が生々しくて恥ずかし過ぎます。

「ぬぅぐっ・・・」
 ジャクリーンさまのマゾマンコの下で、私の喉奥からくぐもった悲鳴。
 私のマゾマンコに押し当てられた柔らかいヌメリが、一気にズズンとずいぶん奥まで侵入してきたのです。

「んむぅぅ・・・」
 表面は柔らかいけれど芯がしっかり詰まっているみたいなヌメヌメした棒状のモノが、私の膣穴一杯に押し込まれました。
 本当にいっぱいいっぱいな感じ。
 だけどプラスティックやガラスや金属、今までに経験したディルドやバイブとはどこか違う、何て言うかオーガニック?な感触。

 強いて言えばお野菜のゴーヤを挿れたときの感覚に似ているかな。
 バナナくらいの柔らかさで表面がゴーヤのイボイボで覆われている感じ。
 そのもの全体がみるみるうちに人肌ほどに温まって膣壁との境界線が失くなり、膣奥深く溶け込んでしまったみたい。

 あまりの気持ち良さに声帯がングング震えて、その振動がジャクリーンさまのマゾマンコにも伝わったらしく、あふんっ!と大きく喘がれました。
 相変わらずおっぱいからマゾマンコのあいだまでの私の素肌は、無数の手によって無秩序にイタズラされています。
 
 でも、私ばっかり気持ち良くなっていては失礼。
 気持ち良さに身を委ねつつ私も、懸命にジャクリーンさまの女性器を貪ります。

「うわっ、根本までズッポリ入っちゃった・・・」
「あれ、20センチくらいあったよね・・・」
「膣がパンパンに拡がっちゃってる」
 至近距離から今の私の状況を教えてくださる、ご親切なギャラリーのかたたちのお声。

 奥深く侵入してきてしばらくそのままだった肥後ずいきは、やがてゆっくりとピストン運動を始めました。
 膣口付近までゆっくり抜かれ、それから再び奥を突かれるほどに戻され、をくりかえします。
 
 膣壁がランダムな凹凸でヌルヌル擦れ、粘膜から悦び液の分泌が増したみたい。
 粘膜がされるがままに身を委ねているのがわかります。
 その焦らすような、ある意味緩慢な動きが凄く気持ちいい。
 快感がジワジワ蓄積されていく感じ。

「ママさんの手の動きにピッタリ合わせて、腰振ってる」
「うん、卑猥だね。大股開きで脚を固定されているのに、腰だけウネウネ動いてる」
「跨ったおばさんの腰の振り方も凄いね」
 どなたかの実況中継。

 肥後ずいきのピストン運動の振り幅が、どんどん大きくなってきました。
 いったんマゾマンコから完全に引き抜かれてから、突如一気につらぬかれる感じ。
 その間合いもスピードも早くなってきています。

「んむぅ・・・んもぅ・・・」
 ジャクリーンさまのマゾマンコの下でくぐもった嬌声が止まりません。
 グングン高みへと昇っていく私の昂ぶり。
 ゴールはもうすぐ。

 引き抜かれた肥後ずいきが焦らすように、しばらく戻ってこないことがありました。
 そうされると空洞となったマゾマンコが、疼いて疼いてたまりません。

 ジンジンジンジン、痺れるような痛みみたいな痒みみたいな感覚が粘膜全体を覆っています。
 膣内温度も確実に上がっているはず。
 粘膜全体がムズ痒く騒いで、物理的な刺激を切望しています。

 早く、お願いです、もっと、もっと・・・
 言葉にならない悲鳴がジャクリーンさまの粘膜を震わせます。

「マンコがポッカリだらしなく口開けて、閉じないね」
「中がヒクヒク蠢いて、おねだりしてる」
「肥後ずいきって、媚薬効果もあるんだったっけ」
 どなたかのお声に、あっ、そういうことだったのか、と納得の私。

 そうしてやっと一気に突っ込まれた肥後ずいきの気持ち良さと言ったら・・・
「んむぅふぅぅーーーっ・・・」
 肺の中のすべての空気を絞り出すみたく声帯が震え、夢中で腰を動かします。

「ママの手、動いてないのに、この子が腰振って出し挿れし始めた」
「拘束されているから、腰だけ別の生き物みたい」
「さすが、ママやシーナさんお墨付きの淫乱マゾ奴隷だね、まさしく淫乱レズ便器って感じ」

 違うんです、私は今、お姉さまだけのものなんです。
 お姉さまが悦んでくださるから、今日ここに来ただけなんです。
 ギャラリーの方々のご感想に心の中で抗議しつつも、腰の動きは止められません。

「直子はもうすぐみたいね。ジャクリーンはどう?」
 やよいママさまのハスキーなお声が聞こえました。

「あぅ、は、はいぃ、直子さまのクンニリングスは、とても気持ちよろしゅうございますぅ・・・ああんっ!」
 遥か頭上のジャクリーンさまから、うわずったお声での現状ご報告。

 私も頑張らなくちゃ。
 見えないながらも当たりをつけて、ジャクリーンさまのクリットにコリッと前歯を立てました。

「ああーっ、そこ、そこいいっ、直子さま、もっとそこをーっ!」
 私の顔を押し潰すみたいにジャクリーンさまの力の抜けた下腹部が押し付けられ、私は窒息寸前。

「ふーん、その喘ぎ声の感じじゃ、まだまだって感じね」
 やよいママさまのからかうようなお声が聞こえました。

「待ってなさい。直子をイカセたらあなたにも極太をあげるから、それできっちりイキなさい。バトルで勝ったご褒美なのだから」
 嬉しそうなやよいママさまのお声と共に、私の股間の肥後ずいきがより激しく動き始めました。

「んぐぅ・・・んむぅ・・・んごぉぉ・・・」
 歓喜に向かってグングンヒートアップする私のからだ。
 やよいママさまの手の動きもスピードアップ。

「んむぅぅーーーっ!!!」
 最奥を思い切り突かれてから、勢い良くスポンと抜けた陵辱棒。
 両脚に飛沫が当たる感触。

「うわーっ、すっごいシオ!」
「お腹の動きに合わせてピュッピュッて、凄い勢いでほとばしってる」
「今までで一番たくさん出てるんじゃない?」
「内腿が両方とも、ヒクヒク痙攣してる」

 腰が浮き上がるほどの物凄い絶頂感に、全身が溶け出したよう。
 顎が上がって一瞬ジャクリーンさまのマゾマンコから口が離れてしまい、物凄い勢いでジャクリーンさまが股間を押し付けてきました。

 私は舌を突き上げる力もなく、ただハアハア荒い吐息をジャクリーンさまのマゾマンコに送り込むのみ。
 私のダランとだらしなく開けっ放し出しっ放しな唇と舌に、ジャクリーンさまが腰を捻りつつ粘膜を擦りつけてきます。

 そんな強烈なオーガズムを味わったにもかかわらず、肥後ずいきが去ってしまった粘膜が猛烈に、お帰りを待ち侘びていました。
 物理的刺激を失なって放ったらかしの粘膜が、口を開けたままヒクヒク痙攣をやめません。

「んがぁーっ、んもぅとぉ・・・もっとぉーっ・・・」
 私の口とジャクリーンさまのマゾマンコのあいだに隙間が出来ると、私の淫声が意味をなします。
 私の感情とは無関係な、マゾマンコの粘膜が懇願する叫びでした。
 
 そんなふうになりながら私は、軽いショックも感じていました。
 自分の舌技には、少なからず自信を持っていたのに・・・

 これまで、やよい先生、シーナさま、お姉さまと、手や指を一切使わず口だけでご奉仕して、いつだってご満足いただいていました。
 唇と舌と歯、それだけを使って女性器にご奉仕し、終わった後、直子は凄く上手い、と蕩けたお顔で褒めていただいてきました。
 それが今夜、ジャクリーンさまには通用しなかったのです。

「ジャクリーン?いったん直子から降りてくれる?」
 やよいママさまのお声が聞こえ、圧迫されていた口許がふっとラクになりました。
 同時に視界も開けます。

 私の上半身に左右から数本の手が伸びていました。
 ある手は私の右おっぱいをわしづかみで揉みしだき、ある手は左の乳首をギュウギュウ押し潰し。
 ある手はお腹から脇腹を絶え間なくまさぐり、ある手は下腹部の土手を撫ぜるようにさまよい。
 一番肝心な疼きまくっている粘膜部分は放ったらかしでした。

「あーんっ、マゾマンコ、マゾマンコをもっと弄ってくださいぃっ!」
 自由になった私の唇が、思わずはしたない要求を口走っていました。

「あらあら。ずいきの媚薬効果って、本当だったのね。直子?オマンコを弄って欲しいの?」
 やよいママさまがご感心されたようなお声で尋ねてきます。

「は、はいぃ、さっきのを抜かれてから、直子のマゾマンコの中がジンジン痒くて、仕方ないんですぅ・・・どうか、弄ってくださいぃ・・・」
 思っていることを正直にお答えしました。

「へー、直子がそんなに切羽詰まっておねだりするなんて、さすが大奥御用達の性具なだけあるわね。これだけでそんなになっちゃうんじゃ、今夜のメインディッシュを食べさせたら直子、壊れちゃうかもしれないわよ?」
 やよいママさまがイタズラっぽく微笑まれ、お言葉をつづけられます。

「でもその前に、直子にはしなくちゃいけないことがあるでしょ?今夜の負け犬セイドレイなのだから、ちゃんとジャクリーンをイカせてあげなくちゃ」
 私の膣内に入っていたのであろう肥後ずいきを、目の前に差し出してくるやよいママさま。

 えっ、こんなに太くて長いのだったの?
 こんなのを出し挿れされて私、イッちゃったんだ・・・
 あーん、もう一度挿れたい・・・
 マゾマンコの疼きが狂おしいほどに高まります。

「直子?口を開けなさい」
 やよいママさまのご命令口調。

「ずいきのこっち端を口で咥えて固定して、ジャクリーンのオマンコに突き立てておあげなさい。歯で噛み締めても害はないから」
「ジャクリーンは直子のマン汁をたっぷり吸い込んだこの同じずいきで、自分で気持ち良くなるように直子の顔の上でガンガン腰振って、さっさとイキなさい」
 やよい先生時代と同じような蔑みきったドS口調を、ずいぶんお久しぶりにお聞き出来ました。

「ああ、はいぃ、寛大なミストレス、百合草会長さま、ご慈悲深きご配慮、ありがとうございますぅ・・・」
 私の顔の右横でマゾの服従ポーズなジャクリーンさまの、感極まったように媚びたお声。

「ただし今度はあたしたちに顔を向けてまたがりなさい。ジャクリーンは大ベテランマゾだから、もはやオマンコだけの刺激じゃ物足りなくてイケないのでしょう?同時に他のところも、みんなでたっぷり虐めてあげるから」
 私のからだをまさぐることをやめない6人のギャラリーの方々を見回して、同意を求めるようにニヤッと微笑まれたやよいママさま。

「あっ、まだ駄目よジャクリーン、がっつかないのっ!」
 私の右横でジャクリーンさまが動く気配がしてすかさず、やよいママさまの鋭い叱責。
 同時にピシッと肌を打つ音と、ヒッという悲鳴。
 ジャクリーンさまがどなたかにお尻かお背中か、鞭打たれたようです。

「あたしの説明はまだ終わっていないし、便器の準備だってまだでしょう?ほら直子?口」
 おっしゃりながら私の顔へと左手を伸ばされ、私の鼻をつままれるやよいママさま。

 鼻をつままれると必然的に口でしか呼吸が出来ず、否が応でも口を開けざるを得ません。
「んぐぅ・・・」
 開いた口に肥後ずいきの柄の部分が押し込まれました。

 口中に広がる紛れもなく植物なお味。
 始めはえぐみが強いのですが、そっと歯を立てて支えるとほんのり甘いようなしょっぱいような。
 もちろん沁み込んだ自分のマン汁の味も混ざっているのですが。

「それで直子には、ジャクリーンに奉仕しているあいだ、いいものをご馳走してあげる」
 私の大股開きの両脚のあいだのスペースに、相変わらずメイド服姿のアキコさまが、銀色のキャスタートレイを押して何かを運んでこられました。

 大きな半円形の透明ボウルになみなみと注がれた真っ白な液体。
 そんなボウルがふたつ、トレイに載っていました。

「これ、何だかわかる?」
 イタズラっ子なお顔になられた、やよいママさまからのお問いかけ。

 何?牛乳?生クリーム?まさか木工用ボンドとか?でもそれで何を・・・
 もしもこの中に正解があったとしても、今の私にはお答え出来ません。
 肥後ずいきを咥えさせられたお口でモゴモゴ言いながら、顔を左右に振るだけです。

「これ、さっき来たとき早々に直子が美味しい美味しいってパクパク食べてくれた山芋を擦って作ったトロロ汁」
「これもお店のご贔屓さんがお中元にって、送ってくださったのよね、大量に」
 愉しそうに私の顔を見つめてくるやよいママさま。

「これを直子の全身に塗りつけてあげる、っていう趣向なの。今夜のメインディッシュ」
 やよいママさまがパチンとウインクをくださいました。

「痒いわよー。あたしとシーナがミーチャンとジャクリーンのからだで実験済みだから」
「ずいきの媚薬成分とも合わさったら、直子のからだ、どうなっちゃうのかしらね?」
 私の目を真っ直ぐに見つめ、射すくめるようなドSの微笑みをくださったやよいママさま。

「ただ原液だと意外に早く乾いてしまって、すぐガビガビになっちゃうから、全身マッサージ用のローションで薄めたらこんな量になっちゃたんだ」
「乾いてガビガビになったのも、それはそれで凄く痒い、ってジャクリーンは言っていたけれど、見た目がキレイじゃないしね」
「配合が難しかったわ。これが究極のブレンド。飲み込んでも無害なローションだから安心して」

「あと、こんなものも作ってあるわ」
 やよいママさまが高く掲げられたのは、ディルド状に削られた、おそらく生の山芋が3本。

 それぞれ形状と太さが少しづつちがうみたい。
 薄皮を綺麗に剥かれて真っ白で、見るからにヌメヌメしていて痒そうな山芋ディルド。
 あんなのを突っ込まれたら・・・

「食べ物でイタズラするのは気が引けるけれど、後でみんなで美味しくいただけば、バチは当たらないでしょう」
「みなさんも興味があれば使っていいわよ、たっぷりあるから。その代わりあくまで自己責任ね。粘膜に付くとマジで痒いから」
 お道化た口調でやよいママさまがみなさまにおっしゃり、ドッと沸く場内。

「さあ、あたしはずいきでたっぷり堪能させてもらったから、直子のオマンコはもういいわ。これからは直子のオマンコもアヌスもみなさんのもの。順番だけは守って、ごゆっくり真新しいレズ便器を味わっていって」
 やよいママさまのお声にもう一度、さっきよりも大きく沸きたつ場内。

「整理券7番から10番の人も混ざっちゃっていいですよ。そこに使い捨てのニトリル手袋もあるから、山芋苦手な人はどうぞ」
 進行役に戻られたらしいミイコさまのお声。

 と同時に、私の下半身に何かネットリしたものが垂れる感触。
 あわてて目をやると私の下腹部に、乳白色で粘性の液体がやよいママさまの手でドロリと垂らされているところでした。
 あれが山芋ローション・・・

 思う間もなくジャクリーンさまの日焼けされたお尻が、私の顔めがけて迫ってきていました。






2018年7月16日

三人のミストレス 30

  私が放置されている一帯にのみ眩いライトが灯り、会場全体は薄暗くなっていました。
 恥ずかし過ぎて周囲を伏し目がちにチラチラ盗み見ることしか出来ませんが、以前にも増してピッタリ寄り添うカップルさんや着衣の乱れているかたが増えたみたい。
 パートナーさまのジーンズのウエスト部分から手を入れてガサゴソされている密着カップルさまのシルエットが、薄暗がりに見えました。

 私を囲むみなさまのお話し声は、鮮明過ぎるくらいハッキリと耳に飛び込んできます。
 それもかなりいたたまれない内容のが。

「あーあ、こんなに股おっ広げちゃって、何もかも丸見えじゃない?」
「こんな姿、ご両親がもし見たら、その場で泣き崩れちゃうでしょうね」
「目つぶって恥ずかしがっているくせに、乳首が弄って欲しそうに、こんなにとんがってる」
「拘束された途端に肌が火照りだしてたし、根っからのドマゾメスなんだろうね」

 捕らえた獲物をジワジワといたぶる心境なのでしょう。
 どなたのお声も嬉々として弾んでいらっしゃいます。

「それではお待ちかね、バトル敗者の無制限お仕置きタイムを始めたいと思いまーす!」
 私の顔のすぐ横に立たれていたミイコさまが大きなお声でご宣言されました。
 私の視界に、ガーター状のハーネスで飾られたミイコさまの形の良い生お尻が見えています。

「わたしたち百合草会の新しいレズ便器、その記念すべき最初の利用者は、今夜のバトル勝利者、牝ブタジャクリーンが上を、下は、もちろん会長の百合草ママ、ということで、会員のみなさん、異議はないですね?」
 ミイコさまのお問いかけに、一斉にイェーィッ!と応えられるお客様がた。

「それでは早速、と言いたいところなのですが、せっかくこんなにおあつらえ向きの格好をしているので、やるべきことを先に済ませちゃいたいと思います」
 おっしゃりながらミイコさまがこちらをお向きになると、ミイコさまのポストイット陰毛で飾られたプックリ土手が、ちょうど私の顔の位置でした。
 しほりさまがミイコさまに何か手渡されました。

「先ほど惜しくも負けてしまったスレイブ直子のアヌス書道ですが、わたしもママも、こちらも素晴らしい作品と思うので、軸装か額装してお店に飾るつもりです」
 丸められていた和紙を広げ、私はマゾ女、をもう一度みなさまにお見せになるミイコさま。

「ですので、作者の捺印をもらっておきたいと思います。誰か、捨てちゃってもいいような口紅、持ってません?」
 ミイコさまのお道化たおっしゃりかたにアハハと笑うみなさま。
 幾人かがお手をお挙げになるのを制するように、お姉さまの凛としたお声が響きました。

「そういうことだったら、飼い主のあたしのを使うといいわ」
 ご自分のポシェットからお洒落なフォルムのリップスティックを取り出されたお姉さま。

「あれ?これって先シーズンの新色じゃない?いいの?このブランドだとけっこうしたでしょ?」
 受け取られた口紅をしげしげと眺め、ミイコさまがお目を丸くされています。

「いいのよ。サロンで試したときは、いいかな、って思ったけれど、やっぱりあたしにはちょっと赤過ぎるし色落ちもしやすいみたいなの。だから直子にでも上げようと思って入れっぱにしたまま忘れていたやつだし」
 微妙なご表現ながら、嬉しいことをおっしゃってくださったお姉さま。

「やさしい飼い主さんだこと。それならスレイブ直子のマン拓をとるのは、飼い主さんにお任せしましょう」
 ミイコさまのからかうようなお言葉に、パチパチとまばらにおこる拍手。

「でもこんなにマン汁グショグショじゃマン拓どころじゃないわね。はいタオル。まずは拭いてあげて」
 ミイコさまが笑いながらお姉さまに白いタオルを渡されました。
 多分、私がこのお店に来るときまで素肌に巻いていたバスタオルでしょう。

 私の下半身方向へ無言でツカツカと歩み寄られたお姉さまが、左右に大きく広げられた私の両脚のあいだにお立ちになられました。
 私も少し顔を上げ、お姉さまと真正面で視線を合わせます。
 わざと作ったような冷たい視線に射すくめられます。

「あーあ、こんなにビチャビチャに濡れまくっちゃって、まったくこの子は・・・」
お独り言のようにつぶやかれ、たたんだタオルを無造作に押し付けてくださいます。

「はうぅぅ・・・」
 毛羽立ったタオル地が腫れ切った剥き出しのクリトリスを潰してきて、はしたない呻き声が零れてしまいます。

「感じているんじゃないわよ、本当にいやらしい子ね。今は直子のマン汁を拭き取ってあげているだけなんだからね?」
「しばらくのあいだ、マン汁垂らすの我慢しなさい。終わったらいくらでも溢れさせていいから」
 
 明らかに周りのお客様がたを意識されたお姉さまのお言葉責め。
 あちこちからクスクス笑いが聞こえました。

 しばらくのあいだタオルを私の股間にギューっと押し付けていたお姉さまが、おもむろにタオルを動かし始めます。
「んあーっ!」
 やっぱり零れ出てしまう私の淫ら声。

 だって、お姉さまのタオルが私の恥丘と股間と内腿をぞんざいに擦ってくるのですもの。
 粘膜と襞を乱暴に愛撫されている感じ。
 とくにタオル地で右へ左へとつづけざまに弾かれる腫れ上がりきったクリットへの刺激が、私の理性をスパークさせてしまいます。

「こんなものでいいかな。さっさと済ませちゃいましょう」
 タオルの愛撫が突然終わり、股間から離れました。

「見て。ラビアが全部、外向きに開き切って、中身が丸見え」
「ほんとだ。何か挿れて欲しくてたまんない、って感じね」
「中がヒクヒク蠢いているから、早くしないとまたよだれ垂らしちゃうんじゃない?」
 ギャラリーの方々の呆れたようなご感想が幾つも聞こえ、私のマゾマンコに視線の集中を感じています。

「ラビアにルージュ塗って、形が分かるように採ればいいのよね?」
 お姉さまが、おそらくミイコさまに向けたご質問。

「うん。出来るだけ卑猥に採ってくれると嬉しいな」
 ミイコさまのご愉快そうなご返事。
 私の股間に至近距離で群がられていた方々が場所を空け、代わりにお姉さまが私のマゾマンコの真正面に膝立ちになられました。

「んっ・・・」
 唐突に大陰唇を何か冷たいものでなぞられる感覚。
 左側、右側とマゾマンコの輪郭を楕円形になぞられた後、そのものは内側へと侵入してきます。

「んんーっ・・・」
 小陰唇のビラビラにも口紅が塗られているみたい。
「あうーっ!」
 最後に、完全に皮がめくれ切って突出している肉の芽を押しつぶすみたくグリグリさせて、そのものは去っていきました。

「こんな感じでいいかな?」
 お姉さまのお問いかけで私の股間を覗き込むミイコさま。

「ええ、上出来。でもそのルージュ、塗るとずいぶん明るく発色するのね」
「あんっ!」
 おっしゃりながらミイコさまが少し修正を加えられたみたい。
 クリット周辺とお尻の穴周辺をグリグリ撫ぜ回されました。

「それじゃあこの辺りの余白に押し付けてマン拓、お願いね。でも早くしないと、また中からおシルが溢れそうよ?」
 からかうようにおっしゃたミイコさまのお声につづいて、股間に何かが押し付けられました。

 今度はかなり薄い感じ。
 私がさっき肛門で書いた、穴書道の和紙でしょう。
 押し付けられた和紙越しに、お姉さまの手のひらのぬくもりも感じます。

 手のひらや指をもぞもぞ動かして、私のマゾマンコ全体の輪郭をなぞるお姉さま。
 そのもどかしい感覚が焦れったくてキュンキュン感じてしまう、どうしようもない私。
 でもそんな至福の時間はすぐ終わり、私の股間からお姉さまのぬくもりが去りました。

「はい。これがスレイブ直子のマン拓。股間の唇のキスマークでーす」
 早速私のマン拓をみなさまにご披露されるミイコさま。
 パチパチ沸き上がる拍手と冷やかし。

「へー、綺麗に採れるものね」
「見事に男子の落書きの形ね。毛は無いけど」
「パックリ空いた穴のところが湿っていて、破れちゃいそう」
「やだ、下の穴まで採れてるじゃん」

「ほら」
 しばらく高く掲げた後、ミイコさまが私の眼前でも広げてくださいました。

 私はマゾ女、の女という字の左横に、ボルドーレッドで卑猥な形が押印されていました。
 私の女性器そのままの形。
 それも閉じているときのではなく、大股開きしているときの形状。

 輪郭、大陰唇の肉厚、小陰唇のシワ、陰核の位置と大きさ。
 それらが見事に再現されていました。
 
 何よりも恥ずかしいのは、口紅の乗っていないパックリ開いた楕円形の真ん中部分。
 その部分は口紅ではなく白濁しているっぽい何かでネットリ濡れていました。
 多分乾いたら黄ばんじゃうはず・・・

 更にその上、楕円形の下にオマケみたいな小さな丸。
 まさに、菊門、という感じで細かいシワも鮮明に、肛門の形までもがクッキリ写し採られていました。

 こんな卑猥で恥知らずな作品がこれから先このお店に飾られつづけて、ここにはおられない見知らぬお客様がたをも含めて、大勢のかたの目に触れてしまうんだ・・・
 私が今夜ここで行ったこと、これから行われることが事実であるという、紛れもない証拠として・・・
 そんなことを考えていたら、マゾマンコの奥がヒクヒク反応してしまいました。

「あー、こいつ自分のマン拓見て感じてやんの」
「見た見た。今ピンクの粘膜がウネウネ蠢いたよね」
「ルージュの塗られたオマンコってなんかそそるもんあるね。ディープキスしたくなっちゃう」
 
 お姉さまが退かれ再び私のマゾマンコにかぶりつきになられたお客様がたの、ご容赦無い侮蔑やからかい。
 それをお聞きしてますますヒクついてしまう、どうしようもない私のマゾマンコ。

「はいはーい、それじゃあ今度こそお仕置きタイム開始ね。ジャクリーンは直子の頭のほうに来て」
 ミイコさまが私の顔を見下ろしつつおっしゃいました。
「あと、整理券1番から6番までの人はスレイブの周りに集合。他の人たちは少し下がってくれるかしら」

 ミイコさまのお声で私の周囲がザワザワ動き始めました。
 視界の左側にジャクリーンさまの裸身が見え、開いた両脚のあいだにはやよいママさまとカメラのレンズをこちらに向けた小野寺さまが見えました。
 私の左右至近距離からも人影が数人、私を見下ろしてきます。

「バトルウイナーのスレイブジャクリーンは、これからご褒美タイム。スレイブ直子の顔にまたがって、思う存分マゾマンコを気持ち良くしてもらいなさい。スレイブ直子は口と舌を使って、ジャクリーンに精一杯奉仕すること」

「整理券6番まで人たちはそのあいだ、スレイブ直子のからだを好きにイタズラしていいわよ。そこのテーブルにクリップとか電マとかバラ鞭とか、いろいろ用意してあるからね」
 そこまでおっしゃったミイコさまのお傍に、ツカツカとやよいママさまが近づいてこられました。

「それで、今夜は面白いモノも用意しておきました。ママからご紹介してもらいまーす」
 ミイコさまからマイクを手渡されたやよいママさま。

「うちのお店のご贔屓さんがお中元で送ってくださったの。そのかた九州在住で、あたしもまだ使ったことはないモノなのだけれど・・・」
 おっしゃりながら何か白っぽいものを右手で高々と掲げられたやよいママさま。

 寝そべっている私の視点からはよく見えないのですが、白っぽくて棒状で、なんだか卑猥な形をしているっぽいモノ。
 お客様がたのザワザワ声が広がります。

「ねえ、あれって・・・」
「うそ、本当にあるんだ。て言うか今でも作ってるんだ?」
「ヒゴズイキ?・・・」
「そうよね?わたしも実物は見たことないけど・・・」

「そう。その昔大奥で大流行したっていう、由緒ある性具、肥後ずいきの張り型をたくさん送ってきてくださったの」
 やよいママさまのご愉快そうなお声。

 やよいママさまが右手を下ろされたので、私もそのモノを間近で見ることが出来ました。
 何て言うか、白い麻縄みたいな藁みたいのを棒状に編み込んだような形状。
 その形は男性のアレを模しているようにも見えましたが、木彫りのこけしっぽくもあり、郷土玩具的な民芸品ぽい素朴さもあって、拒絶感はさほど感じませんでした。

「なんでもハスイモっていうおイモの成分が媚薬になって粘膜がウズウズしちゃうらしいわね。今夜はこれを使って、すごくお久しぶりなあたしの愛弟子、直子をメロメロにしちゃいたいと思います」
 やよいママさまが私に視線を合わせ、ニッコリ微笑んでくださいます。

「ダンボール箱一杯に送ってくださって、さすがに人数分はないかもだけれど、水洗いすれば何度か使えるっていうから、今夜はみなさんで直子を虐めながら、大奥気分を味わいましょう」
 やよいママさまのお呼びかけに、イェーイッ、ヒューヒューと盛り上がるお客様がた。

「それでは始めましょう」
 ミイコさまの号令とともに、場内に流れていたリズミカルなソウルミュージックの音量が一段と上がりました。

「順番待ちのみなさんも、待っているだけじゃなくて勝手にどんどん盛り上がってくださいねーっ!」
 BGMに負けじと弾んだお声でお客様がたを煽るミイコさま。

「知っての通り、ここの防音は完璧だから、どんなに大きな声を出しても平気ですからねーっ!パートナーとでも、今日知り合ったばかりでも、レッツメイキンラーヴ!」
 そう言えばここって、元はライブハウスだってどなたかがおっしゃっていたっけ。
 そのお声を最後にミイコさまもマイクを置かれたようでした。

「直子さま?失礼いたしますね?」
 私に呼びかけるお声のほうに顔を向けると、ジャクリーンさまの剥き出しな恥丘が私の顔のすぐ左横にありました。
 汗なのか愛液なのか、下腹のほうまで濡れてテラテラ光っています。

「これも決めごとですので、奴隷は逆らうことが出来ません。直子さまのお口でオーガズムをいただくように命じられています。どうかお気を悪くなされないでくださいませ」
 少し屈んで私の顔を心配そうに見下ろしてくるジャクリーンさま。
 すぐ眼の前に白くたわわおっぱいが垂れ下がり、ユラユラ揺れています。

「は、はい?・・・」
 ジャクリーンさまがあまりに恐縮されているご様子なので、私も当惑気味なお応えになってしまいます。

「これから直子さまのお顔に跨がらせていただきます。奴隷のだらしないマゾマンコですが、どうか可愛がってやってくださいませ」
「は、はい、私が負けたのですから当然の務めです。どうぞご遠慮なさらず、私をお使いください・・・」
 私も場の雰囲気に呑まれたのか被虐がぐんぐん高まり、マゾそのものなお応えがスラスラ口をついてしまいます。

「なんだかマゾ女同士で学芸会やってるよ?」
「ほら、牝ブタちゃん?さっさとまたがっちゃってよ。でないとこっちも始まらないんだからさあ」
「たっぷり虐めてあげるから、がんばってよね、直子チャン?」

 私のからだの脇に立たれているTシャツにジーンズ姿のヤンチャそうな女性おふたりが、茶化すようにはすっぱなお声を投げつけてきます。
 おふたりの手には、それぞれ洗濯バサミと電マが。

「はい、お待たせして申し訳ありません。それでは直子さま、本当に失礼をお許しください」
 ジャクリーンさまのお声が終わらないうちに、私の顔にジャクリーンさまの女性たる部分が覆いかぶさってきました。

 発情した女性特有のむせかえるような臭いが鼻腔一杯に充満し、ぬめった柔らかなお肉が唇に押し付けられました。
 ジャクリーンさまはステージを向いて私の顔に跨がられたため、視界もすべて奪われてしまいました。

 唇に押し付けられたお肉に向かって舌を突き出すと、お肉は溶けるようにすんなり割れ、もっと柔らかで弾力に富む、濡れそぼった内部へと侵入出来ました。
 目の前に見えるのは、少しシワの寄ったジャクリーンさまの日焼けした下腹部だけ。
 舌を思い切り伸ばして小陰唇を形に沿って舐め上げると、ジャクリーンさまが、ひいっ、と小さく啼かれました。

 同時に私のおっぱいが左右とも、乱暴にわしづかみされた感覚。
「んぐぅーっ!」
 ジャクリーンさまのマゾマンコの下で、喉奥からほとばしり出た悲鳴がくぐもってかき消されます。

 すぐに腿と言わず腋と言わず、からだじゅうのいたるところに何かが触れる感覚。
 お客様がたが私のからだをさわっていらっしゃるのでしょう。
 整理券6番までっておっしゃっていたから6名様、手だけでも12本。

 脇腹を撫ぜられたり、腋の下をくすぐられたり、太腿を叩かれたり。
 もちろんおっぱいは両方とも、執拗に揉まれ、つねられ、乳首を引っ張られ、捻られ。
 拘束されて無抵抗な私のからだは、お仕置きの趣旨通り、生贄の慰みものとしてみなさまのオモチャと化しているようでした。

 顔の上のジャクリーンさまは、ご自分で腰を動かし始め、私の舌を膣内へと誘導されようとなさっています。
 からだを弄られる快感に口を開くと流れ込んでくるジャクリーンさまの愛液。
 私の口の中は、しょっぱ苦く、ほのかに甘いなまぬるい粘液で一杯となり、自分のよだれと入り混じって溢れ出し、顎の方へとボタボタ垂れていきます。
 
 両乳首に慢性的な疼痛を感じるようになったので、クリップか何かを挟まれたのでしょう。
 下乳をプルプル震わせてくるのは電マかな。
 両脇腹をサワサワ撫ぜ回してくださるどなたかの手が気持ち良すぎる・・・

 そんなふうに私のからだがどんどん昂ぶる中、大きく広げた両太腿の付け根部分だけは、まだどなたも触れてくださっていませんでした。


三人のミストレス 31


2018年7月1日

三人のミストレス 29

 ギャラリーのみなさまがザワザワと移動する気配を感じます。
 私がお尻を正面に突き出しているミイコさまたちがいらっしゃるサイドへと、再び集まられているのでしょう。

「この子は、ここに来る前の身内のパーティでも、裸に剥かれてさんざんオモチャにされてきたんです」
 マイクに乗せてみなさまに語りかけるお姉さまのお声が、とっても愉しそう。

「うちのオフィスのそばの、街中にある普通のビストロの2階でストリップして、素っ裸でオナニーショーして、あと何やったんだっけ、直子?」
 イジワルく私に尋ねてくるお姉さま。

「あ、はい・・・あの、えっと、コブの縄で綱渡りとか、えっと、ヨガのポーズと・・・」
 一生懸命思い出してみますが、なんだか遠い昔のことのよう。

「そうそう。お店のママさんやバイトの子、最後は知らないお客さんたちまで巻き込んじゃって、お尻とマンコにワインボトル突っ込まれてイッたんだよね」
 笑いながらおっしゃったお姉さまが、私のアヌスに突っ込まれたままの書道筆をグリグリッと、押し込むみたいに動かしました。

「はうっ!」
 私の体内に埋め込まれたアナルビーズ状の書道筆の軸先が、私の一番弱い部分を正確に刺激しました。
 快楽の電流が腰から全身へピリピリとほとばしり、四つん這いを支えていた両腕が脆くも崩れ去ります。
 
 顔面と両肩でからだを支える形になった私のお尻は、より高く突き上がってしまいます。
 まるで、もっとよくみなさまご覧になってください、と誇示するみたいに。

「そこでも数え切れないくらい浅ましくイッていたのに、たった数時間後にまたここで、今度はほとんど初対面のみなさんの前で裸になっているんだもの、本当にはしたない淫乱ビッチよね?あたしのセクレタリイは」
 呆れたお声でおっしゃりつつも、お姉さまが操る書道筆は確実に私の弱点を蹂躙しています。

「あ、あっ、あーっ!・・・」
「あぐっ、んぐっ、いやっ、そこっ、だめぇぇ・・・」

「そのとき、あたしじゃない人の指でアナルほじられてイカされていたんだけど、なんだか見ていてまどろっこしかったのよね」
「あたしならもっとあっさりイカせられるのに、って言うか、焦らされているのを愉しむみたいに腰振っているこの子が腹立たしくてさ」
 半分ご冗談のような蔑み声でおっしゃったお姉さまでしたが、私はそのお声の中に嫉妬みたいなニュアンスを感じ、キュンと嬉しくなります。

「だからあたしは、あっさりイカセます。多分、あっという間ですからお見逃し無いように」
 最後までご冗談ぽくおっしゃったお姉さまは、そこでマイクを手放されたようでした。

 体内の奥深くまで押し込まれていた球状の突起が、腸壁を擦りつつズルズルと引き抜かれていきます。
「あーーーっ!」
 排泄と同じ感覚。
 異物と一緒に余計なモノまで出ていってしまいそうな、強烈な羞恥と背徳感。

 入り口まで引っ張られ、体内にひとつだけ珠を残した状態から、今度はズズズッと再び中へ押し込まれます。
 抜くときの倍の速さで。

「んーーぁーーっ!!」
 筆先が私の弱点をクリーンヒットして快感スパーク。

 その行為を徐々にスピードを上げながら、手早くくりかえすお姉さま。
 たまに引き抜くときに勢い余って、軸先がそっくりお外へ出てしまうときもありました。
 そんなときお姉さまは、すぐに押し込みへと移行せず、イジワルく一呼吸置かれました。

 珠が去り、自分の肛門が珠の直径の大きさのままパックリ口を開けて空気にさらされているのが、自分でもわかりました。
 そんなはしたない様子をじっくりみなさまにご覧になっていただきなさい、とでもおっしゃるように、イジワルくお手をお休めになるお姉さま。
 みなさまの目前で徐々にすぼまっていく自分の穴の動きが手に取るようにわかってしまい、強烈に恥ずかしい。

 そんなふうにくりかえされてものの数分もしないうちに、私にピークが訪れようとしていました。
「あ、お、お姉さま?イッても、ああ・・・イ、イカせていただいて、よ、よろしぃーで、しょうかぁ?・・・」

 つい数時間前、絵理奈さまから躾けられた通りの懇願を口にする私。
 犯されていないすぐ下の穴から、ふしだらなよだれがボタボタ溢れているのが自分でもわかりました。

「そんなにかしこまらなくていいのよ?いつもプライベートであたしとしているときみたいに、拗ねて甘えて、イッちゃいなさい」
 お姉さまの蕩けるような肉声が、私の耳朶をくすぐります。
 そのお一言が嬉し過ぎて、今のこの衆人環視という恥ずかし過ぎる状況が、お水に入れた綿あめみたいに私の頭の中から消え落ちていきます。

「んーっ、イキますぅ、イッちゃいますぅ、そこっ、そこそこっ、もっとーっ、もっとつよくぅーっ!!」
 お尻の穴から全身へと広がる甘美な痺れ。
 とめどなく排泄しているところをお姉さまにずっと視られているような、極上の羞恥と被虐がごちゃまぜになった快楽。

「ああ・・・もうだめです、イキます、ごめんなさい、ごめんなさいぃーイぃークぅーーっ、うっ、うっ、うーっ!!!」
 
 媚びるような声でなぜだかお詫びの言葉を口走りつつ、抑えきれない快感の中心に身を投げた私。
 両腿がビクンビクンと震え、お尻がガクンと跳ね上がり、背中をプルプル震わせながらイキ果てました。
 お姉さまがアナルの筆を動かし始めてから5分も経っていないはず。
 マゾマンコから性懲りもなくお潮がピューピュー、ほとばしっていました。

「はい。以上がドヘンタイスレイブセクレタリー直子の、公開アナルイキショーでした。おそまつさまでしたー」
 再度マイクを握ったお姉さまのお道化たご挨拶。
 湧き起こる盛大な拍手と歓声。
 今更ながらにお客様がたの存在を思い出して大いに恥じ入る、間の抜けた私。

 余韻に浸る暇もなく、お姉さまが差し伸べてくださった右手に縋って立ち上がります。
 未だ書道筆はアナルに突き挿さったまま。
 よろよろと立ち上がった私の下半身はお漏らししちゃったみたいにグショグショ。

 私がしっかり立ち上がったのを見計らって、股のあいだの筆がお姉さまの右手によって無造作にズルリと引き抜かれました。
「はうっ!!!」

 収まりかけていた快感が、腸壁を乱暴に擦られる刺激で呼び覚まされ、名残惜しげにピューッと吹き出る私のお潮。
 左手でお姉さまの腕を掴んでいないと立っていられないほどの腰の震え。

「あぁうぅぅ・・・」
 下半身全体を覆う甘美な痺れに、喉奥から勝手にいやらしい呻き声がせり上がってしまいました。

 お姉さまは抜いた筆の軸先を私の口許まで運んでくださいます。
 再び鼻をつく、自分の体内の臭い。
 それでも唇に押し付けられれば躊躇無く、パクリと咥えてしまうヘンタイな私。

 しばらくしゃぶらされた後、お姉さまは抜いた筆を墨汁にくぐらせ、私のお腹に、マゾ女、と大きく落書きしてくださいました。
 と言っても汗まみれだったので墨が滲んで滑り出し、すぐに読めなくなってしまいましたが。

「はい。素敵なオマケを見せてもらったところで、第3ラウンド、穴書道対決の審査に移りたいと思いまーす」
 テーブル下のミイコさまが、ギャラリーのみなさまへマイク越しに語りかけます。

「飼い主さんにはいったん降りていただいて、ほら、おばさん?出番よ、さっさと舞台に上がりなさい」
 ミイコさまのご指示でお姉さまと入れ違いにジャクリーンさまが、テーブルの上に上がって来られました。

 ジャクリーンさまは、さも当然のように両手を後頭部に回し、マゾの服従ポーズになられたので、私もそれにならいました。
 テーブルの上に、からだのどこも隠そうしていない裸女がふたり。
 そのふたりを取り囲んで見上げる数十名の女性たち。
 イッたばかりの私のマゾマンコに、また新たな淫欲の種火が灯りました。

「審査は、始める前に説明したようにみなさんの拍手の勢いで決めるのですが、その前に、審査する上で参考になるであろう情報をお教えしておきたいと思います」
 なぜだかご愉快そうな笑顔のミイコさまが、思わせぶりにおっしゃいました。

「今までみなさんがご覧になった通り、バトルはここまでスレイブジャクリーンが2連勝、スレイブ直子は勝ち星無しです」
 意味ありげにそこでいったんお言葉を切り、周りを見渡されたミイコさま。

「今夜のバトルは5種目用意していて、先に3勝したら勝ち抜けですので、つまりスレイブ直子は現在、ギリギリ崖っぷちの状態です」
 ミイコさまが私を見上げてイタズラっぽくウインク。

「この穴書道勝負も牝ブタおばさんの勝ちとなると、その瞬間からスレイブ直子は、ここにいる全員のレズ便器としてお仕置きタイムに突入します」
 もう一度グルっと周りを見回されるミイコさま。

「スレイブたちのあられもない発情ぶりに、テンションマックスなみなさんも多いみたいですから、そのへんのことも考慮して厳正な審査をお願いします」
 最後まで思わせぶりな微笑みを絶やさずに唇からマイクを外されたミイコさまに、場内からお声がかかりました。

「ちなみに、なんですけどー、残りのバトルはどんなのなんですか?」
 元気の良い可愛らしい感じのお声でした。
 ミイコさまが再びマイクを唇に近づけられました。

「うーん、第4ラウンドに考えていたのはクリット綱引きで、最後は電マの耐久戦なのだけれど、はっきり言ってあんまり面白そうじゃないよね?お仕置きでも似たようなこと出来ちゃうし」
 クスクス笑いのさざ波が広がりました。

 ご冗談ぽくおっしゃったミイコさまのお言葉で、ああ、私の負けが確定したな、と思いました。
 場内全体が、早くこの手であのマゾオンナを虐めてやりたい、という雰囲気に染まっている感じがしました。

「それでは審査を始めます。スレイブは自分の作品を高く掲げて、みなさんにもう一度見せてあげてください」
 ミイコさまのご指示で私とジャクリーンさまに、さっき書き上げた細長い和紙が手渡されます。

 私のは、私はマゾ女。
 ジャクリーンさまのは、被虐性淫乱変態熟女。
 ふたりとも自分の裸身を隠すように、和紙の先端を両手で持って、首元から下にその作品を掲げました。

「ではまず、スレイブ直子の穴書道作品が良かったと思う人?」
 ミイコさまの呼びかけで一斉に沸き起こる大拍手。

 あれ?思っていたより拍手がある?
 あわててテーブル下を見渡すと、どなたもニコニコお顔をほころばせ、温かく拍手してくださっていました。
 手を動かしていない人は、おひとりもいらっしゃらないみたい。
 ひょっとして、これなら勝てちゃう?

「はい。それでは次に、牝ブタおばさん、スレイブジャクリーンの作品のほうが優れていたと思う人?」
 一瞬途切れた拍手が、再び沸き起こりました。
 そして今度のほうが、その勢いが完全に勝っていました。
 やはりお客様がたは、私をレズ便器としてもてあそぶことに全員一丸となっておられたようです。

「はい、みなさんお聞きになった通り、今回のスレイブバトルは3戦連勝で、スレイブジャクリーンの完全勝利となりましたー」
 ミイコさまのお声に嬉しそうに微笑まれるジャクリーンさま。
 里美さまが作品を回収してくださり、私はテーブル上でジャクリーンさまに抱きすくめられました。

 汗ばんだジャクリーンさまの素肌と私の素肌が密着します。
 やわらかいおっぱいと固い乳首、少し緩み気味なやわらかいお肉にふうわり包まれて、いい匂いがしてすごく気持ちいい。

 その抱かれ心地は、お姉さまややよいママさま、もちろんシーナさまともぜんぜん違って、なんだか母親に抱かれたときみたいな感じ。
 母と裸で抱き合ったことなんて、中学生くらいのときにお風呂ででしかありませんが。
 そう言えばジャクリーンさまって、私の母とたいしてお歳が変わらないんだっけ・・・

「これで今夜のお仕置きスレイブは、ニューフェイスのスレイブ直子に決定しました。これからみなさんお待ちかねのお仕置きタイムに突入しまーす」
 ミイコさまの高らかなご宣言にドッと沸く店内。
 同時にメイド服姿のアキコさまがしずしずとテーブル下に、ひとり掛けソファー状のものを押してこられました。

「では早速、スレイブ直子には生贄チェアーに磔になってもらいましょう」
 ミイコさまのご合図でジャクリーンさまに手を引かれテーブルを降りる私。

 生贄チェアー?
 なんとも凶々しいお名前・・・

 それは一見、家電店でよく見かける電動式のマッサージソファーとか、美容室のシャンプーチェアーみたいにも見えました。
 キャスターで移動出来て、背もたれも足置き台も自由自在にリクライニング。
 ただ、肘置きにしては妙な形の台みたいのが、座ったらちょうど腰の辺りの左右に突き出ているのが変ですが・・・

 と、そこまで考えたとき、ふと気づきました。
 分娩台だ・・・
 婦人科の診察で使う、両脚を大きく拡げて固定しちゃう分娩台。
 私は婦人科さんのお世話になったことはまだ無いので実物を見たことはなかったのですが、SMのえっちビデオで何度か見たことがありました。

「生贄はここに腰掛けなさい」
 ミイコさまが乗馬鞭で、その椅子をポンポンと叩きました。
 ミイコさまの瞳が、最初のお浣腸のときのようにエス色に妖しく染まっています。

「これからおまえは、この椅子の上で手足の自由を一切封じられて、ここにいる全員のレズ便器と化すの。夜明けまでね。どう?ゾクゾクしちゃうでしょ?」
 ミイコさまのご命令通り、生贄チェアーに恐る恐る腰を下ろしつつ、お姉さまのお姿を探します。
 お姉さまは少し離れたところでこちらを気にもされず、やよいママさまと何やら楽しげにおしゃべりされていました。

 その椅子に腰掛けるや否や、背もたれを後ろ抱きする形で手錠を掛けられました。
 手錠は椅子の後ろの支柱に鎖を絡める形で嵌められたみたいで、その姿勢のまま、上半身の身動きがまったく取れなくなりました。

 背もたれはちょうど私の肩の高さまで。
 頭を支えるヘッドレストのような部位はありませんでした。

 つづいて左脚をしほりさまに持ち上げられ、私が不思議に思っていた肘置きみたいな部分に膝から下が乗せられベルトで固定されました。
 同じように里美さまのお手で右脚も。

 その部分は椅子の下から伸びているアームによって自由自在に動かせるみたいで、みるみるうちに大股開きの格好で固定されました。
 寝そべったガニ股、まさしく女性が出産に臨むときのような格好です。

「ああ・・・いやぁーっ・・・」
 思わず絶望的な溜息が漏れてしまうほど屈辱的な姿勢。
 さーこママさまのお店でさせられたハッピーベイビーのポーズの進化系。
 マゾマンコもアヌスも、パックリ開いたまま空気に晒されています。

「その子はバレエしていたから、股関節は柔らかいの。もっと拡げたって平気よ」
 笑いながらおっしゃるお姉さまがニクタラシイ。

 そんなふうにみるみるうちに、おっぴろげかつ無抵抗な格好で拘束されてしまった私を乗せた生贄チェアーが、明るい照明の中、拡げたマゾマンコで風を切ってステージの傍へと押されていきます。
 チェアーを押してくださるのはメイド服のアキコさま。
 
 寄り固まっていた人並が私を通すために左右に割れ、至近距離から私の屈辱的な格好をニヤニヤ見下されました。
 やがてステージのすぐ前に、頭をステージに、下半身を客席に向けた形で止められ、キャスターが動かないように固定されました。

 ミイコさまの前にみなさまが群がっているのは、私にイタズラする順番をクジ引きで決めているみたい。
 小野寺さまのビデオカメラが、私の股間に真正面から向けられています。

 お姉さまは相変わらずやよいママさまとご談笑中。
 ニップルファイトの後の放置プレイ中に私をからかってきたギャルっぽいおふたり組が、すっかり下着をはだけさせたお姿でニヤニヤと私の顔を覗き込んできました。

 クジ引きを終えたかたたちがどんどん私の周りに集まっていらっしゃました。
 私、これからどうなっちゃうんだろう・・・・
 すべてをさらけ出した格好のまま、両手両脚ビクとも動かせない生贄の私が出来ることは、期待と不安にマゾマンコとアヌスをヒクヒク引き攣らせることだけでした。


三人のミストレス 30