2020年8月10日

肌色休暇一日目~幕開け 07

 お姉さまが私の傍らまで来てくださり、メイクを直してくださいました。
 向かい合って髪を軽くブラッシングしてくださってから、お姉さまのメイクアップパレットを使って。

 お姉さまとおそろいのファンデ、チーク、シャドウ、リップ…
 肌をくすぐるこそばゆいブラシの感触は、さっき私が味わった精神的高揚感に付け足された、気の利いたデザートみたい。
 しばしうっとり、至福の時間が流れました。

「よしっ!こんなもんかな。直子、立って」

 メイクキットを手早く片付けつつ、お姉さまも立ち上がられます。

「そこじゃちょっと窮屈ね。こっちのドアのところにもたれるみたいに立ってみて」

 個室の出入り口ドアのほうを指さされるお姉さま。
 テーブルの上から私のスマホを拾い上げられました。

「そう、そこでいいわ。こっち向いて笑って、うん、そんな感じ。もう少し胸張って」
「おーけー、今度は後ろ向いて。うん、ちょっとお尻突き出す感じで、そうそう、顔だけこっちに向けてみて」

 お姉さまのご指示の下、たてつづけなシャッター音が個室内に響き、即席の撮影会はすぐに終わりました。

「ほら、今の直子はこんな感じ。凄くキュートよね?夏の妖精さん、みたい」

 スマホのディスプレイをこちら側に向けてくださり、たった今撮影したばかりの写真を私にも見せてくださいます。

 メイクを直していただいたので、顔の各パーツが色味を帯びて、いくぶん艶やかになっています。
 そんな顔にミスマッチな、くたびれた感じに年季の入ったエンジ色の無骨な首輪。
 その下の胸周りを、乳房の形通りにぴったり包み込む、柔らかそうな薄くて白い布地。
 そのふたつの膨らみの先端は、ひと目で分かるくらい露骨に生々しく突き出ています。

 下乳の谷間から少し隙間を空けて、可愛らしく垂れ下がる真っ白いリボン結び。
 その下はおへそを経て恥丘の膨らみ始めまで、薄い小麦色の剥き出しなお腹。
 下腹部を狭く覆うデニム地もすぐに途切れ、再び小麦色の太腿と生足。

 背中を向けた写真では、上半身は普通に白いチビTを着ている感じですが、肩甲骨下からお尻の割れ始めまで背中丸出し。
 おまけに尾骶骨少し上あたりにハッキリ読める、マゾですの、の日焼け跡イタズラ書き。
 私、本当にこんな大胆な姿で、温泉街を観光することになるのでしょうか。

「ね?なかなかそそるコーデでしょう?小悪魔的にエロティック、ううんコケティッシュっていうほうが、ぽいわよね。電車降りたら注目の的、間違いなしだわ」

 スマホの画面と生身の私を交互に見比べながら、ご愉快そうなお姉さま。
 そんなお姉さまの視線が生身の私のバストに向いたまま射るように数秒見つめた後、ふっとお顔が曇りました。

「ただ、やっぱりそのおっぱいを白昼人目に晒すのは、ちょっと刺激的すぎるかな…」

 おっしゃりながらお姉さまの右手が伸びてきて、クッキリ浮き出ている左の乳首を布地ごと、ギュッと摘まれました。

「あぁんっ!」

「直子のおっぱいって、そんなに大きくはないくせに、形そのものがイヤらしいのよね」
「ぽってり丸くて重そうなのに乳首は上向きで大きくて、思わずこんなふうに手を伸ばして触りたくなっちゃうワイセツおっぱい」
「そんなふうに形丸わかりな布地で無駄に包まれていると余計に中身が拝みたくなるから、スケベ男に問答無用で襲われちゃうかも」

 お姉さまが右手のひらで私の左おっぱいを下から包み込み、ときに優しくときに乱暴に、ニギニギともてあそんてくださっています。

「あん、あんっ、あふんっ、あふぅっ…」

「だから特別に、上に一枚羽織ることを許してあげる。余計なトラブルを招くとメンドクサイもの」

 お姉さまがバッグから再び小さなショップ袋を取り出されました。
 中から出てきたのは、これまた小さく折りたたまれた衣服らしき布片。

 その布片を広げてみると、一応は半袖パフスリーブのシャツブラウスの形。
 ただし透け感全開、ところどころに小さなレース編みの白いお花模様が散らばっている以外、まったく肌色を隠すつもりのない見事にシースルーなヘナヘナブラウス。

 お姉さまに促され羽織ってみます。
 軽くて薄くて着心地は満点、でもやっぱり何の役にも立っていません。

 前を掻き合わせても肝心なところにお花模様は無く、薄い生地が密着して陰影を作るので、乳首の突起はかえって目立っちゃいそう。
 後ろはお尻の半分くらいまで丈が来てくれてはいますが、果たしてこの透け感でイタズラ書きが読めなくなるでしょうか。

「うん。いい感じにエレガントさが加わったわ。それならワイセツおっぱいもパッと見じゃ目立たないはず」

 お姉さまはそうおっしゃいますが、私はまったく賛成できません。
 だって私が少し視線を下げたら、そこにふたつの突起が二枚の薄い布地を突き上げてイヤラシく存在を主張しているのですから。
 かえってエロさが増している気がします。

「ボタンはおヘソのとこらへんのひとつだけ、留めていいわよ」
「駅降りたらしばらくその格好で様子を見ましょう。厄介そうな輩が見当たらなかったら、脱いで思う存分、ワイセツおっぱいを周囲に見せびらかせばいいわ」

 からかうようにおっしゃったお姉さまが再びバッグをごそごそされ、何かを私に差し出してきました。

「あと、ついでにこれも挿れておきなさい。ただ観光するだけじゃつまらないのでしょ?直子は」

 お姉さまから手渡されたのは、細長い円柱が少し反り返るようにカーブした、シリコンコーティングされた物体。
 片手で緩く握るのにちょうどいいくらいの太さ、軟らかさで、握った手のひらから1~2センチくらい飛び出るほどの長さ。
 私だからなのかもしれませんが、その形状と手触りで、手渡された瞬間に物体の用途がわかってしまいました。

「いいでしょ?ミサとリンコが直子の膣の深さと具合を計測した上で、直子のマゾマンコ専用に開発してくれたローターよ」
「それでこれ、あたしのスマホからコントロール出来るんだって。ほら、早く挿れて」

 お姉さまに急かされてショートパンツの前ボタンを外し、少しずり下げます。
 露わになったマゾマンコに円柱の丸まった先っちょをあてがい、慎重に内部へと侵入させます。
 充分に濡れそぼっている膣穴からヌルっとしたおツユが滲み出し、円柱は難なく私の中に収まりました。

「どう?ジャストフィットでしょう?」

 デニムパンツをずり上げる私に向けて、笑いかけてくるお姉さま。
 ボタンをはめ直すのを待ちかねていたかのように、ご自分のスマホをタップされました。

「あうっ!いやんっ!」

 お姉さまのお言葉通り、私の膣穴粘膜に満遍なく密着したローターがブルブル震え始めます。
 しばらく刺激を受けていなかった粘膜が悦びに打ち震え、盛大にざわめいているのがわかります。

「あんっ、だめっ、だめぇーっ、お姉さまぁ、これ以上はぁ…」

「それにこれね、バイブのバリエーションも豊富なの。たとえばこんなふうに」

 お姉さまがスマホの画面をタップされます。

「あっ…あっ…あっ…あん…あんっ!…」

 膣内のローターが等間隔な規則正しいリズムで、より深く侵入しようとしているみたいにドクンドクン震えてきます。
 そのたびにビクンビクンと淫声を洩らしてしまう私。

「ね?まるでピストンされているみたいでしょ?他にもいろいろあるみたいよ?もっと試してみる?」

「あんっ、お赦しくださいぃ、あんっ、これ以上つづけられたらもう、おっ、お姉さまぁ、イっ、イキそうっ、またイッちゃいますぅっ!!」

 コンパートメント出入り口ドアのすぐ傍らで、膝から崩れ落ちる私。
 ローターを挿入する前からすでにパンパンに腫れ上がっていた剥き出しクリトリスがざらつくデニムの裏地に盛大に擦れ、しゃがみ込むと同時にイキ果て、同時にローターの振動も止まりました。

「あーあ。またイッちゃったの?かなりの威力なのね、これ。まだ使い方マスターしていないから、リンコが作ってくれた取説でしっかり勉強しなくちゃヤバそうね」

 バッグからレポート用紙大の紙束を取り出されたお姉さま。

「そろそろ目的地に着くはずだから、降りる準備をしながら、しばしまったりしましょう」

 お姉さまに促され、乗車したときに着席した座席に向かい合わせで収まりました。
 お姉さまは、ご自分のスマホと取説を交互に眺め、ときどきスマホをタップすると私の膣中のローターがブルっと震えます。
 そのたびに私は、んっ、と身構えますが、振動が長くつづくことはなく、またしばらく沈黙。
 
 気まぐれに私を襲う振動には、確かにたくさんのバリエーションがあるようでした。
 強さだけでも、震えているのかわからないくらいの微弱から、股間からブーンと音が聞こえるくらいの最強。
 震えのパターンも、規則正しい震え、強弱をつけたランダムな震え、膣中を掻き回すような乱暴な震え、さっき味わったピストンのような震え、などなど。

 ただ、あくまでもお姉さまが操作方法の把握のためにいじられているわけですから、どんな振動も数秒で途切れ、お姉さまが取説を読まれる長い沈黙の後、再び唐突な数秒の陵辱、沈黙のくりかえし。
 結果的に私の中に、欲求不満が溜まっていくばかり。
 
 穿いているショートパンツの股部分は、デニム地のインディゴブルーが傍目でわかるほど色濃く変色していました。
 まるでお洩らしでもしてしまったみたいに。

 そんな焦らし責めを受けつつ、気を紛らわすために窓の外に目を遣ります。
 雲ひとつ無く晴れ渡った青空と山間の田園風景。
 お外はすごく暑そう。
 車内アナウンスによると次に停車してその次が終点みたいです。

 いつしかお姉さまは、ローターのコントロール方法を完全にマスターされたみたいで、私の膣中はずっと沈黙しています。
 お姉さまに視線を合わせると、ニヤニヤ笑いを浮かべたまま黙って見つめてくださるばかり。
 テーブルの上は、私のスマホ以外すっかり片付けられ、もういつでも電車を降りる準備は万端。

 いよいよ次は終点となった途端、電車の速度が変則的になり、快調に飛ばしては停まりそうなほど減速、をくりかえし始めました。
 とうとう停まってしまったのは停車駅ではない見知らぬひなびた駅のホーム。
 アナウンスによると、どうやら対向線路の電車をやり過ごすためのよう。
 
 そのホームに人影はまったく無く、あわてて両腕で自分の胸元を隠した私の行為は無駄でした。
 そんな私を薄い微笑みを浮かべたお姉さまがじっと見つめていました。

 やがて電車のスピードが緩み始め、いよいよ終着駅のホームへと滑り込んでいきます。 
 終着駅の乗降口はこちら側の窓際でした。
 ホームには、おそらく折り返すのであろうこの電車を待っている人たちが、意外にたくさんいました。

 いよいよ私は、たくさんの見知らぬ人たちが往来する公共の場で、こんなヘンタイ性癖丸出しの格好を晒すんだ…
 おっぱいの形丸わかりの薄い布で包んだだけのバストに、完全シースルーのブラウス…
 恥丘の大半が見えているスーパーローライズなデニムショーパン直穿きの膣肉にはローターが埋め込まれ、背中には自分の性癖自己紹介文が刻まれた、こんなイヤらしい姿を…

 全身の毛穴が粟立つような興奮が脳天から股間をつらぬきます。
 乗車中あれほど何回もイッたのに、未だに鎮まることのない悩ましい疼き。
 一刻も早く視られたいと渇望する気持ちと、こんな恥ずかし過ぎる姿を公衆の面前に晒すなんてとんでもないという理性の逡巡は、呆気なく被虐という名の快楽に飲み込まれます。

「さあ降りましょう。これ返すわね」

 お姉さまが私のポシェットにテーブル上のスマホを入れ、私の首に掛けてくださいました。
 たすき掛け、俗に言うパイスラッシュの形にポシェットを掛けられたので、胸の谷間がより強調され、もちろん乳首の尖立もよりクッキリ。

 お姉さまと手をつなぎ、コンパートメントを後にします。
 通路に出ると、他のお部屋のみなさまはすでに降車したようで私たちだけ。
 ドキドキ高鳴る鼓動を感じつつ、うつむきがちにお姉さまにつづきます。

「ほら、もっと平然と歩きなさい。いつも言っているでしょう?やり過ぎな萎縮は悪目立ちするって」
「視たければ視なさいな、くらいの気持ちでモデルウォークよ」

 お姉さまから叱責され、視線を高めに戻します。
 乗降口からホームへ降りると、そこはまさに残暑真っ盛り。
 第一印象は、暑い!

 恐ろしげな漢字二文字の川の名前を冠した有名な温泉街の駅。
 そのホームをたくさんの人々が歩いています。
 今着いた列車から降りた人たち、乗る人達。
 そして、改札へと進んでいるのであろう降りた人たちでは、お姉さまのお言葉通り、若いカップルさんのお姿が目立ちます。

 改札を抜けると冷房が良く効いた広々とした駅舎内。
 そのあいだにもたくさんの人たちとすれ違いました。
 もちろん池袋の駅構内ほどではないですが。

 やっぱりいちばん目立つのは大学生っぽいカップルさんたち。
 中にはダブルデート、トリプルデートなのか、2対2、3対3のグループも。
 次に目についたのは女性同士や女性だけのグループ。
 男性だけのグループは見当たらず、あとは単独の老若男女。

 そして、それらの人たちすべてから、と言っても過言ではないくらい、私とお姉さまは注目されました。
 妙齢の女性同士が手をつないで歩いている、とういう点も興味を惹いた一因でしょうが、最大の好奇の的が私の服装であり姿であることは間違いありません。

 遠慮会釈のない無数の不躾な視線が私の首元に、胸元に、下腹部に、太腿に投げつけられました。
 チラチラ盗み見る人、ガン見する人、一瞥してすぐ目を背ける人。
 
 お姉さまのご忠告通り、カップルさんの場合は一様に、男性からは好色そうな興味津々の舐めるような視線、女性からは見下すような敵意ある険しい視線。
 女性グループの場合はもっとあからさまに、こちらを指さして蔑み交じりにドッと笑い声をあげられるかたたちも。
 なにあれ?撮影?わざと?首輪?調教?露出狂?
 そんなヒソヒソ声も聞こえた気がします。

 視てる、視られてる、私の恥ずかし過ぎるはしたない姿に、みなさまが侮蔑の眼差しを注いでくださっている…
 からだが火照っているのは残暑のせいばかりではありません。
 ドキドキが液体化したような熱を帯びた汗が腋の下周辺から噴き出し、薄いブラウスをべったり素肌に貼り付かせます。

 ローターで栓をされた膣肉の奥も、ジンジンと熱を帯び、粘性の汗がヌルヌルと出口を探しているのがわかります。
 出来るならこのまま、歩いているだけでイッてしまいたい。
 みなさまの視線に犯されてイキ果て、愛液が溢れ出して腿をつたうところまでを視姦されて更に蔑まれ、取り囲まれた屈辱の中でイキまくりたい…

 そんな束の間の妄想を掻き消したのも、ひどい暑さでした。
 お姉さまに引かれた手は、いつの間にか駅構内を抜け、屋外である駅前の広場まで連れてこられていました。

 時刻は午後の一時少し前、雲ひとつないドピーカンな青空の下。
 同じ列車で来られたのであろうカップルさんたちが、広い広場のあちらこちら相合い日傘でいちゃついておられます。

「ちょっと一本、連絡入れるから」

 駅舎内から出たドアのすぐ脇、庇で覆われた日陰。
 つないでいた手を解き、ご自分のスマホを構えられるお姉さま。
 お姉さまの手が離れた途端、急に心細くなってしまいます。
 今の自分の姿と、置かれている状況に。

 お姉さまがスマホをタップされます。
 ドキンと高鳴る心臓。
 まさかここで、私の中のローターでイタズラしようとされているのでは…
 でもそれは杞憂に終わり、どなたかとお話し始めるお姉さま。

 手持無沙汰でお姉さまから視線を逸らし、ぐるっと周囲を見回してみます。
 私たちからほんの4、5メートル先、同じ庇の日陰から私たちのほうをじっと視ているカップルさんに気づきました。

 男の子はボーダーのTシャツにジーンズで頼りな気な感じ、女の子はタンクトップにショートパンツで勝気な感じ。
 男の子がしきりに私を気にしているのを、女の子が怒っているみたい。
 男の子は女の子に脇腹を小突かれても、どうしても私が気になるみたい。
 女の子が時折私に向ける視線には、明確な敵意が感じられます。

 それでも私はお姉さまのお言いつけ通り、視たければ視なさいな、とばかりに平静を装います、表向きは。
 内心では視線にキュンキュン感じてしまっているのですが。

「2時10分までに車で迎えに来てくれるって」

「へっ?」

 突然お姉さまからお声をかけられ、間の抜けたお答えと共にビクンとからだを震わせる私。
 ノーブラおっぱいがプルンと跳ねました。

「だから旅館の人が2時過ぎに迎えに来るの、車で」
「今夜泊まる宿に電話していたのよ。駅に着いたら電話くれって言われていたから」

 再び私の右手を握ってくださるお姉さま。
 嬉しさにまたもやおっぱいがプルン。

「駅前の道路脇に足湯があるから、そこで待っていて、だって」

 お姉さまが周辺をグルリと見渡されます。

「あっ、あれね」

 お姉さまが指さされた先、ここから数十メートル先の広場が途切れる寸前あたりに何やら屋根で覆われた場所があり、数人の方々が腰かけていらっしゃる姿が見えました。

「そうと決まったら、時間までご当地グルメと洒落込みましょう。あたし、すっかりお腹空いちゃった」

 お姉さまに手を引かれ、広場に軒を連ねる食べ物屋さんを物色していきます。
 もちろん私は、すれ違う人たちからの好奇の視線をビンビン感じながら。

「やっぱりこういう山間の温泉地はお蕎麦かな。あ、ここなんかどう?ほどよくひなびてるし、空いているし」

 私の返事は待たず、青い暖簾をくぐって一軒のお蕎麦屋さんへ。
 いらっしゃいませー、の女性声とともに、ほどよく冷えた空調の冷気が心地良く迎えてくださいました。

 お店には先客で女性のおふたり連れが窓際にひと組のみ。
 レジ前でお出迎えくださった和服姿のご中年のご婦人に、そのお客さまたちとは対角線上に離れた壁際の4人掛け席に案内され、お姉さまのご指示で私が壁側の席、お姉さまは対面へ。

 ご婦人と入れ代わりに、厨房のほうから作務衣姿の若い女の子が冷たいおしぼりとお茶とメニューを運んでくださいました。

「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
 
 そうおっしゃって厨房のほうに戻るまで、女の子の視線は私の全身に釘付けでした。
 驚きと好奇と若干の軽蔑がないまぜになった、フクザツな視線。
 そんな女の子のご様子をニヤニヤ眺めていたお姉さまが、おしぼりで手を拭きながら、ご愉快そうにおっしゃいました。

「ねえ、そのブラウス、汗で満遍なく肌に貼り付いちゃっているわよ?脱いで乾かしといたほうがいいのではなくて?」

 そこで一呼吸置き、ニッと微笑まれた後、こうつづけられました。

「それと、忘れちゃった?お仕置き。ス・マ・ホ・」


肌色休暇一日目~幕開け 08


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