2024年5月11日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 03

「ほら、直子の尻尾。洩れちゃったおツユや飛沫で毛並みがだいぶ汚れちゃったから、水洗いしておくといい。この天気なら日向に干せばすぐ乾くでしょ」

 自分の世界に入り込んで絶望していた私の前に、さも汚いもののように尻尾の先っちょを指先でつまんでぶら下げられた五十嵐さまがいらっしゃいました。
 私の鼻先に尻尾の濡れそぼって少し臭うプラグ部分がブラブラ揺れています。
 いつの間にかジョセフィーヌさまも私に寄り添うように私の背中側にお座りになられ、私の背中や脇腹を舐めてくださっています。

「ジョセのうんちも埋めといたから。ジョセがうちの服引っ張って、した場所を教えてくれたんだ。本当に賢い犬だよね」

 私も同感ですが、それについては何も応えられず五十嵐さまには心の中で感謝して、濡れたプラグ部分をかまわず手に握り、五十嵐さまから尻尾プラグを受け取ります。
 なんとか堪えていた私の目尻から涙が一粒二粒、溢れました。

「これからジョセと遊んであげるんでしょ?いつまでもくよくよしていないで切り替えなさい」
「けっこう飛沫が跳ねてたから直子のお尻も洗ったほうがいいし、一度東屋の水道のところに行こう」

 五十嵐さまに右腕を引っ張られ、のっそりと立ち上がります。
 芝生の上をおふたりと一頭に遅れがちになりながら、トボトボ歩いていきます。

「凄かった。この子が悲痛な声で絶叫したときには鳥肌立った」

 お珍しく角田さまが口火を切られて五十嵐さまに話しかけられています。

「うん。うちもある意味感動したよ。すべてをさらけ出してこそのマゾだし、直子もイイ線いってるよね」
「イッちゃってるマゾヒストって人権も放棄しちゃうらしいからね、自分で奴隷誓約書とか書いちゃって」

「あんな恥ずかし過ぎること出来るのはAVの女優だけだと思ってたから、現実に眼の前で生身の見知った女子が凄いことしてて、驚いた」

「マゾヒストってたぶんそれぞれに香ばしい被虐願望を持ってるんだろうけど、たいていは頭の中で人知れず妄想するだけで、実行まで出来る人ってそうはいないよね」

 褒められているのだか、からかわれているだけなのかわからないおふたりの会話を聞きながら、水道のお水でお尻を洗います。
 冷たいお水が気持ちいい。
 尻尾プラグも丁寧に水洗いして、東屋の軒先に洗濯バサミでぶら下げました。

「凄いもの見た動揺と緊張が解けたせいか、お腹空いちゃった」

 角田さまがお独り言のようにポツリとおっしゃいました。

「ああ、もう九時近いんだ。うちらは戻って朝食にしよっか」

 五十嵐さまがご自分のスマホで時刻を確認され、角田さまにお応えされます。
 それからタオルで身体を拭っている私のほうを振り向かれます。

「そういうことで、うちらは先にお屋敷戻って朝食いただくわ。直子はまだここでジョセとゆっくり遊んでっていいから」

 さっきまで角田さまがお持ちになられ、ずっと撮影されていたお姉さまのハンディビデオカメラを差し出しながら、五十嵐さまがおっしゃいました。

「あ、はい…」

 あっさりとした引き際に幾分戸惑いながらも、お姉さまのカメラを受け取ります。
 カメラを渡していただけたなら、ひょっとして今まで録画された映像も全部消せるかもと淡い期待を胸に秘めて。

「念の為に言っておくけど、さっきまで撮影したSDカードは抜いてここに持っているから。今入っているカードは64ギガの新品」

 五十嵐さまが左手のひら上にケースに入ったSDカードをヒラヒラお見せになりながら、とてもイジワルそうにおっしゃいました。
 私の思惑は一瞬で潰えました。

「それで直子のお姉さまはこうおっしゃったの。もしも直子より先に屋敷に戻るのだったらこう命令してくれる?ジョセと遊んだ一部始終をフィックスでいいから動画で記録して、あたしに提出しなさい。今日で最後だからね。三脚はバッグの中に入れておくから、って」

 五十嵐さまがあまり似ていないお姉さまの物真似も交えて、心底愉しそうにおっしゃいました。
 お姉さまがそこまでご指示されているということは、おふたりも最初から私がお浣腸されていることまで知っていたのかも知れません。
 もはやそんなことはどうでもいいことですが。

「それじゃあまた、後でね」

 五十嵐さまが笑いながらおっしゃり、角田さまも手を小さく振ってくださって、おふたりが手をつないで仲睦まじく広場を去って行かれます。
 ジョセフィーヌさまもおふたりのお背中をユラユラ揺れる尻尾で束の間見送っていらっしゃいましたが、見えなくなると同時に私に飛びついてきます。

 バッグの中を漁ると確かにビデオカメラ用の三脚が入っています。
 いつもフリスビーを行なう一画にバッグごと持って移動、ジョセフィーヌさまは私の足元にじゃれつきながら着いてこられます。
 
 幾分遠目から、立っていても寝そべっても画面の中心に私が映るように三脚のカメラを設置して録画開始。
 私の覚悟は決まっています。

「ジョセフィーヌさま」

 あらたまってジョセフィーヌさまのお名前をハッキリとした滑舌でお呼びします。
 お名前を正しく呼ばれて、その場にきちんとお座りをされ、尻尾をパタパタさせながら私を見上げるジョセフィーヌさま。
 私もその場にしゃがみ込み、ジョセフィーヌさまと同じ目線の高さになります。

「今日は私の都合で遊ぶのが遅れてしまい、申し訳ございませんでした」

 今度は芝生に両膝を着いて土下座の姿勢となり、ジョセフィーヌさまに深々と頭を下げます。
 ジョセフィーヌさまがどうされているのかは頭を下げているのでわかりませんが、裸の背中をペロペロ舐められている感触がします。

 長い土下座の後、頭を上げてゆっくりとしゃがみの体勢に戻り、目線を合わせます。
 被虐的な気持ちが心の中に溢れ返っています。
 ジョセフィーヌさまが目の前でまたお座りの姿勢になられました。

「お詫びのしるしとして今日は、じっくり私と遊んでください。いいえ、直子のからだを心ゆくまでもてあそんでください。何でもご要望通りに従い、決して逆らったりはしませんので…」

 マゾ度全開でジョセフィーヌさまに懇願します。

 とにかく滅茶苦茶にされたい気分でした。

 ゆっくりと立ち上がり、傍らのバッグからご愛用のフリスビーを取り出します。
 ジョセフィーヌさまは尻尾をブンブン振られ、ワクワクが抑えきれないご様子。

「ジョセフィーヌさま、フェッチです」

 青いフリスビーを青空に溶け込むように投げ上げます。
 嬉々として追いかけ始められるジョセフィーヌさま。

 そのご様子を目で追いながら、おやつペーストを手に取る私。
 今日のペーストはいつものより容量が一回り大きいみたい。
 味はジョセフィーヌさまが大好きなチーズ風味です。

 右手にこんもりと盛ったペーストを最初からマゾマンコにべったりなすり付けます。
 熱を持ったマゾマンコからプーンとチーズの匂いが漂うほどに。
 ジョセフィーヌさまに存分に愉しんでいただくために。

 フリスビーを咥えられて戻られたジョセフィーヌさまからフリスビーを受け取り、代わりにマゾマンコを差し出します。
 すぐにジョセフィーヌさまの長い舌が私の無毛な恥丘の肌に伸びて、撫ぜられ、ねぶられ、潜り込まれます。
 長い舌でラビアが掻き分けられ、肉芽が転がされ、膣穴が犯されます。

「あっ、あっ、あぁーんっ、もっと、もっとぉーっ…」

 マゾの服従ポーズな上半身をのけ反らせてグイッと突き出したマゾマンコを蹂躙していただく私。
 さっきまでのお浣腸我慢という残酷な公開処刑で、私のどうしようもないマゾ性は限界近くまで燃え滾っていました。
 ジョセフィーヌさまの触手責めのように絶妙な舌の愛撫に呆気なく、一度目のオーガズムに包まれました。

 二投目のときは、おっぱいや首筋、脇腹にもペーストを塗りつけます。
 もちろんマゾマンコにもたっぷりと。

 フリスビーを受け取り、差し出されたマゾマンコに飛び付いてこられるジョセフィーヌさま。
 押し倒されるように芝生に仰向けに寝そべり、ジョセフィーヌさまを迎え入れる私。
 
 おっぱいを下乳から揺すられ、尖った乳首を転がされ、首筋や脇腹を執拗に愛撫され。
 仰向けな私のからだに覆いかぶさるようにのしかかられ、私の発情したあちこちの性感帯が丹念に舐め上げられます。
 
 そして最後には、仰向けのまま両膝を立てて拡げた私の股間にお鼻先を突っ込んでくださるジョセフィーヌさま。
 自分の乳房を激しく揉みしだきながら、ジョセフィーヌさまの舌技にあんあん喘いで二度目の絶頂を迎えます。

 ハアハア息を荒くして投げた三投目の後は、さっき醜態を晒したお尻を重点的に責めていただくつもりです。
 お尻の割れ筋に沿ってベッタリとペーストを塗りたくり、もちろんおっぱいやマゾマンコにも。

 お戻りになられたジョセフィーヌさまに対して顔面支点で両膝を大きく割り、四つん這いならぬ三つん這いとなって高く掲げたお尻を差し出します。
 ペーストは割れ筋部分に多く溜まっていますから、そこを舐めていれば当然、その下の二つの穴部分も。
 
 前肢を私の尻肉に掛けられたジョセフィーヌさまが、大きく開いてさらけ出された私の膣穴とアヌスを下から丹念に舐めてくださいます。
 舐められるたびに尻穴と膣穴がヒクヒク蠢いてしまいます。

「ああん、いいっ、そこっ、そこをもっと、もっといたぶってくださいぃ…」

 左頬を芝生に埋めた私は両腕を背中で組んで、拘束された哀れな性的生贄に成りきって、両腿を更に拡げてジョセフィーヌさまの蹂躙を受け入れます。
 ふしだらな直子をもっと汚してください、穢してください、貶してください、辱めてください…
 被虐度マックスで三度目のマゾイキを味わってからは、理性という名のタガが完全に外れていました。

 もうフリスビーそっちのけで、ひたすらペーストを寝そべったからだ中に塗りたくり、ジョセフィーヌさまの蹂躙を誘導します。
 おっぱいやマゾマンコにはたっぷり、顔にも首筋にもおへそにも太腿にも足先にも。
 ジョセフィーヌさまもハアハア息を荒げヨダレを垂らされて、私のからだにかまわず四肢をお乗せになり、あちこちのペーストを舐め取ってくださいます。

 ジョセフィーヌさまに組み伏せられたような形の私は、その重さや痛さに被虐を感じつつ、自分の指でも激しく自分を蹂躙しています。
 乳首を捻り上げ、クリトリスを擦り上げ、膣穴を指三本で奥深く責め上げ。
 
 あんあん喘いでハアハア悶えて、イク、イキます、イッちゃいます、イってもよろしいでしょうかと何度も叫びました。
 寄せては返すオーガズムの気持ち良さは、より大きく、より深いところまで私を連れて行ってくださり、遂にまばゆい奈落の底へと吸い込まれます。

 首輪を引っ張られる感触で、瞑っていた目を開きました。
 どうやら少しのあいだ意識が飛んじゃってたみたい。
 リードを引っ張っていらっしゃったのは、持ち手を咥えられたジョセフィーヌさまでした。

 心地良くぐったりしたからだに力を込めて、なんとか立ち上がります。
 今何時なんだろう?お姉さまから、10時には戻りなさい、とご指示されていたけれど…
 裸の私に時間を知る術はありません。

 ふと思いつき、録画を止めてビデオカメラの日付表示を確認します。
 9時40分過ぎ。
 今から戻ればお姉さまとのお約束は守れそうです。

 急いで戻る準備に取り掛かります。
 汚れたからだをザッと洗おうかと思いましたが、ジョセフィーヌさまの土色の肉球痕が散りばめられた自分のからだを見てやめました。
 そのほうが私らしいと思ったから。

 東屋の軒先に吊るしておいた尻尾はフワフワに乾いていて、私は躊躇なく自らの手でそれを自分の肛門に捻じ挿れました。
 ついでに使っていた洗濯ばさみも右乳首に。
 そのほうが私らしいと思ったから。

 三脚をたたんでバッグにしまい、空となったペーストチューブもゴミ袋に入れてバッグにしまい、少し斜めにズレていたネコミミカチューシャを正しく直してから、ジョセフィーヌさまが咥えられたリードに引かれて広場を後にします。
 
 右手には動画モードで自画撮りしつつのお姉さまのビデオカメラ、左肩にお散歩セットのバッグを提げ、次にジョセフィーヌさまに逢えるのはいつなのだろうと、少しセンチメンタルな気持ちになりながら。

「あらあら、からだ中にジョセの足跡付けちゃって、洗濯バサミまでぶら下げて、メス犬直ちゃんはずいぶんお愉しみだったみたいね」

 寺田さまが呆れたような笑みで私をからかいます。

「チーズの匂いプンプンさせて、またペースト全部使いきっちゃったんでしょう?」

 中村さまは完全に呆れ顔です。
 お屋敷に着いて、玄関口で出迎えてくださったのはお姉さまと寺田さま中村さまのお三かた。
 五十嵐さまと角田さまは朝食後、二度寝する、とおっしゃってお部屋に籠もられたそう。

「直子の野糞動画も見たわよ。叫んじゃって泣いちゃって、大騒ぎだったわね」

 お姉さまがニヤニヤ笑いでおっしゃいます。
 野糞っていうストレートに品の無いお言葉に、ああ、あれは客観的に見たらつまりそういう行為なんだと、あらためて赤面してしまいます。
 お姉さまのご感想を中村さまと寺田さまが引き継がれます。

「あんな恥ずかし過ぎることやらされているのに、顔は悲痛そうでも、なんだか嬉しそうにも見えるんだよね。この子って根っからのドエムなんだって思った」

「またイガちゃんの虐めかたが絶妙なのよね。直ちゃんの逃げ場をどんどん失くしていって、最後には泣かしちゃうっていう」

 一瞬、あのときの絶望感がよみがえりますが、お姉さまがたのご感想が思いの外いつも通りに明るいので、ずいぶんホッとしたものでした。
 変わらずに接していただけることが、まだ傷心気味の私には何より嬉しいことだったのです。
 
 ネコミミを外して、ビデオカメラとバッグとネコミミをお渡しし、尻尾とリードはもう一度よく洗っておきなさいとご指示を受けて、洗濯バサミは付けたまま、いつもの屋外バスルームに向かいました。

 全裸に首輪、濡れた髪をタオルで巻いてバスルームから戻ると、大広間の楕円テーブルの上にはメロンやパイナップルの乗ったフルーツサラダのお皿だけが置いてありました。
 お姉さまと寺田さま、中村さまが思い思いの席でスマホやタブレットを弄られていて、五十嵐さまと角田さまはまだお部屋なのかな。
 知らない洋楽の女声バラード曲が低く流れています。

「直子はお腹空いていると思うけれど、この後お出かけしてお昼にお弁当いただくつもりだから、今は軽くで我慢してね」

 お姉さまが私の頭のタオルを外され、私の髪をおやさしく拭ってくださいながらおっしゃいました。

「えっ?お出かけって、もう帰るのではないのですか?」

 私の髪を弄られているお姉さまを思わず振り返ってしまいます。
 食べているあいだにドライヤーかけてあげる、とお姉さまにフルーツサラダの前まで誘導され着席します。
 
「運転手が来るのは午後だもの。寺っちに敷地内に面白い場所があるって聞いたからさ」

 要領を得ないお姉さまのお応え。

「最後の日くらいスール水入らずで過ごさせてあげようと思ってね。それにピッタリの衣装も用意してあげたから…」

 寺田さまがご説明くださいますが、その後すぐにドライヤーのスイッチが入れられたのでうるさくて何も聞こえなくなりました。
 フルーツサラダはメロンもパインもマンゴーも甘くて瑞々しくてとても美味しかったです。

 フルーツも食べ終え、髪もすっかり乾いてお皿が片付けられると、入れ代わりに中村さまがビニール袋に入った衣装のようなものをお持ちくださいました。
 お姉さまが袋を次々に開けられ、中身をテーブルに並べていかれます。
 
 まず下着の上は、乳首しか隠れないくらいの薄い水色のティアドロップマイクロビキニ、下も幅2センチがほぼ一直線と言っていいくらいの同色のウルトラローライズショーツ。
 このふたつは下着ではなく水着なのかもしれません。

 衣装はごくオーソドックスな半袖セーラー服。
 白地に紺色のセーラーカラーやラインが入り、スカーフは鮮やかな赤。
 スカートは紺色のプリーツスカートで、超ミニというわけでもなく、穿いたら腿の半分くらいまでは隠れそう。
 それに白いハイソックス。

「このセーラーってコスプレ用のペラペラ生地のじゃなくて、ちゃんとした制服ぽいじゃん」

 お姉さまがどなたに尋ねるでもなくお独り言っぽくおっしゃると、中村さまがお応えになります。

「それは何年か前、名塚先生のファンて言うか崇拝者だった当時現役のジェーケーが置いてったのよ。学校卒業して淫行条例とかに触れなくなったら、それ着て名塚先生に調教してもらうんだとか言って。あれから姿現わさないけど」

「ふーん。そんな子もいるんだ。インナーとセーラーの落差がエロくていい感じね。直子、さっさと着てみなさい」

 お姉さまのご命令でまず下着から。
 本当に両方の乳首だけをギリギリ隠してくれる超紐ビキニと、穿いてもお尻の破れスジはおろか肛門さえ覆ってくださらない直線ブーメランな超ローライズショーツ。
 
 生地は薄手で肌触り良く、でも乳首の形にしっかり響いてはいますが、ストラップもしっかり縫製されている感じ。
 生地素材からするとやっぱり水着として作られているみたいです。
 実際にこんな水着を着て人前で泳ぐような人がいらっしゃるかは知りませんが。
 
 ただ、私は会社でこの手の衣装をさんざん着せられ慣れしていたので、とくにそれ以上の感想は浮かびませんでした。
 普通に恥ずかしいのは恥ずかしいですけれど。
 外野の方々は大騒ぎです。

「うわー、これって真っ裸より恥ずかしくない?視線を否応なくソコに誘導してる感じ」

「横乳、下乳も丸見えだし、土手もお尻のスジもさらけ出しちゃって、これ、陰毛生えてたら大げさにはみ出して恥ずかし過ぎて卒倒しちゃうんじゃない」

「これって水着でしょ?こんなんでプールやビーチに出たら公然猥褻待ったなしだし、プライベートビーチでも持ってなきゃ着れなそう。誰が作ってて誰が買うんだろ」

「セクシーって言うよりも卑猥って言葉のほうが絶対しっくりくるよね。まさに変態露出狂御用達って感じ」

 いつの間にか五十嵐さまと角田さまも大広間に下りて来られていて、みなさまワイワイ愉しそう。
 お姉さまだけが何もおっしゃらずにニコニコ私を見つめてくださっています。


2024年5月3日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 02

 ご命令通りに楕円テーブルに突っ伏してお尻を差し出します。
 えっ!?私、こんな朝早くからお浣腸されちゃうの?これからジョセフィーヌさまとお散歩に出かけようっていうのに?
 あまりにご無体な展開に心の中は大パニック状態です。

「かなちゃん、今何時?」

 シリンジに液体を吸い上げつつ、お姉さまが中村さまに尋ねられます。

「んーと7時52分。まだちょっち早いかもねー」

 中村さまが突き出した私のお尻を眺めつつ、ご自分のスマホを覗いて答えられます。

「そっか。ならあと3分くらい、直子のアヌスでもほぐしてあげようか」

 お姉さまがイタズラっぽくおっしゃり、シリンジをテーブルに置いたと思うと、私のお尻の穴に突然ズブリと生人差し指を挿し込んでこられました。

「ぁふぅんっ!」

 思わずのけぞる私。
 お姉さまはお構いなしに私のお尻の穴をぐりぐりマッサージしてこられます。
 想定外のご褒美にみるみる昂ぶる私。
 あんあん喘いでしまいます。

「まあ、こんなもんでしょ。かなちゃん、何時になった?」

「8時まで5分切ったね」

「おーけー」

 お姉さまがお返事を返すや否や、私のアヌスに今度はシリンジの先っちょを突き挿してこられます。

「んーーーっ!」

 生温い液体が勢い良く体内に入ってきて思わず唸り声を上げてしまう私。
 少しのインターバルの後、すかさずニ発目。

「どう?直子」

「えっ?ど、どうって言われましても…」

「ふーん、まだ余裕ありそうね。あと50、挿れておきましょうか」

 ニヤッと笑われたお姉さまがもう一度シリンジをボウルに突っ込まれ、そのシリンジを再び私のアヌスへ。

「ああんっ、んうぅーーー!」

 最後の50はけっこう効いたみたいで、お腹が少し苦しい感じ。

「で、これで蓋をしてあげる」

 お姉さまの手にフワフワな尻尾。
 先っちょに禍々しい形の突起が付いているのでアナルプラグでしょう。
 お姉さまの手で私のアヌスがグイっと拡げられ、ズブリとプラグが挿し込まれました。

「んーーっ!」

「これでよしっと。それでこうして、ジョセとお揃い、メス犬直子の出来上がりー」

 頭にもネコミミのカチューシャを着けられ、背中を軽くポンと叩かれました。

「尻尾はキツネで耳はネコだけどね」

 一部始終をご覧になっていた中村さまがポツリと交ぜ返されます。

「ほら、これが直子の肛門の臭い。クサイでしょ?舐めてキレイにして」

 さっきまで私のアヌスをほぐしていたお姉さまの生人差し指が私の鼻先に突き出されます。
 本能を呼び覚ますような何とも言えず獣臭く、それでいて懐かしい臭い。
 お姉さまの深爪気味な人差し指をパクリと咥え、夢中でしゃぶります。
 しょっぱ苦いけどなぜだか甘美なお姉さまの指。

「原則として広場に着いてからだけど、途中でどうしても我慢出来なくなったら道端でしちゃってもいいわよ。広場まで10分くらいはかかりそうだし」
「ただしどこでしたとしても、排泄物は跡形もなくちゃんと埋めてくること。ジョセのの後始末と同じ要領ね」

「で、今日のジョセのおやつはペーストだけにしたから。たぶんこれでジョセとはお別れだから、たっぷり愉しんでくるといいわ」
「でもジョセも昨夜美味しいものたくさんもらったから、今朝はまだあまりお腹空いていないかもね」

 お姉さまが注意事項をおっしゃっているあいだ、私はずっとお姉さまの指をしゃぶりつづけています。
 そっか、今日でこのお屋敷ともお別れなんだなと、ちょっぴりセンチメンタルになりながら。
 お姉さまが首輪にリードを繋いでくださり、お散歩用バッグが渡されます。

「あ、でも午前中には出かけたいから10時までには帰ってきなさい」

 首輪にリード、ネコミミにアナルプラグの尻尾を着けたサンダル全裸の私をみなさまが玄関まで見送ってくださいます。
 最後にお姉さまから投げかけられたお言葉に、午前中で帰っちゃうのか、とがっかり度が二割増し。

 お外に出ると今日も晴れ渡って清々しい青空。
 玄関前に待機していたらしいジョセフィーヌさまが、ワンッ、と小さなお声で一声吠えられた後、戸惑い気味ぽく不思議そうにジーっと私を見てこられます。
 私の頭と尻尾が気になるご様子。

 気を取り直すように一度全身をブルブルっと震わせたジョセフィーヌさまがいつものように私のリードの持ち手をパクっと咥えられ、ジョセフィーヌさまに先導されて歩き始めます。
 お腹は少しシクシクとはしていますが、まだ全然余裕みたい。
 ときどき鳥さんのお声がチチチと聞こえる晴天の山道を、いくぶん早足で進んでいきます。

 道半ば、5分くらい歩いたところでだんだんお腹が痛くなってきました。
 この頃になるとジョセフィーヌさまは私のリードの持ち手を離され、急に駆け出されたり引き返してみたり、道端の草花にお鼻先を突っ込まれてみたりと、お散歩を満喫されています。

 私のお腹はグルグルと鳴り、クゥーっという大きい音までが時折聞こえてきます。
 まだ我慢できる範囲ですし、何よりもこんな山道の途中で用を足すなんていう恥知らずなことは出来ません。
 まあ、お外を全裸で歩いているということだけで充分恥知らずなのですけれど。

 早く広場まで行って草むらに入りたい…
 その一心で歩くピッチを上げ、競歩のようなスピードで広場を目指します。
 急にスピードを上げた私に喜んで、グルグルと足元にまとわりつかれるジョセフィーヌさま。

 広場の入口が見える頃には決壊間近。
 寄せては返す便意のサイクルがかなり短くなって、アナルプラグをしていなければきっと洩らしていたでしょう。
 逆に考えるとプラグさえ外さなければ洩れることはないかもなので、気を紛らわすために今後の段取りを考えます。

 まずジョセフィーヌさまの排泄場所を確認して、そこから離れた適当な草むらに入って穴を掘ってからプラグを抜いて出す…
 頭の中がギリギリになっているのでアバウトな計画しか思いつきません。
 私の眉間には常時深いシワが刻まれていることでしょう。

 やっと広場の入口にたどり着くと、ジョセフィーヌさまがいきなり駆け出されます。
 ああ、草むらに行かれるんだな、ジョセファーヌさまも我慢されていたんだ、なんて思っていたら、全然方向違いの大きな木のほうへ。

 えーーーっ!?
 そこにはおふたり分の人影が。

「やっと来た」

「おめかししてもらったんだ。かわいいじゃん、メス犬直子」

 そこには角田さまと五十嵐さまの寄り添われるお姿が。
 おふたりともそれぞれビデオカメラを持たれています。
 あれ?角田さまが持たれているのはお姉さまのカメラ?

「寺っちに、8時過ぎに広場に行けば面白いものが見られるってニヤニヤ笑いで言われたからさ。なーんだ、ジョセの散歩か」

 おふたりが朝からお散歩に出かけられたと聞かされたときに、これはジョセフィーヌさまのお散歩で何かちょっかい出されるかなとチラッとは思ったのですが、深く考えないようにしていました。
 まさか、こんなご無体な状況を待ち伏せされているなんて…

 おふたりがこちらに近づいてこられます。
 おふたりの足元にじゃれついていたジョセフィーヌさまが、こんなことしている場合じゃなかった、とでもおっしゃりたげにフイっと方向転換し、いつもの草むらに飛込まれました。

「でも本当に真っ裸で山の中ウロウロしているんだ。ライヴで間近で見るとそれはそれで衝撃だわ」

 五十嵐さまが私の間近までいらっしゃって値踏みするように私のからだをご覧になっています。
 角田さまは早くも私を被写体に撮影開始。

「尻尾まで着けてもらっちゃって、マジ、メス犬じゃん」

 五十嵐さまがおっしゃると、

「尻尾はキツネで耳はネコミミだけどね」

 と中村さまと同じツッコミを入れられる角田さま。

 そのとき、私のお腹がわりと大きく、キュルキュルキュルと鳴きました。
 そろそろ本当に限界でした。
 その音と私の辛そうな表情でピンとこられたのでしょう、五十嵐さまが心底嬉しそうなお顔になられ私に尋ねます。

「ひょっとして直子、浣腸されてる?」

「は、はい…」

 もう我慢が限界近いので泣きそうな声になっています。

「あ、それじゃあ尻尾もただの飾りじゃなくてアナルプラグなんだ。蓋して洩らさないように」

「は、はいぃ…」

 おふたりも私がお浣腸をされていることまでは知らなかったみたい。

「出る時にやられたとして、ここまで歩いて10分くらいかかるから、ずいぶん我慢しているんだねえ。どのくらい入れられたの?」

 お顔と口調がどんどんイジワルになられる五十嵐さま。

「に、250です…」

「あはは。お屋敷のお姉さまがたは本当にイジワルだねえ。あ、だからエミリーさんがうちらにビデオカメラ貸してくれたんだ。これで撮影してきてっていう意味で」

 五十嵐さまがおひとりでご納得され、もはや撮影を始められている角田さまに向けてグッジョブサイン。
 それからまた私に質問を浴びせてこられます。

「で、直子はどこでやるつもりなの?」

「えっ、あの、えっとはい、どこかそのへんの草むらの木陰に入って、人知れず穴を掘って…」

「それじゃあ駄目よ。木陰だと木とかが邪魔してよく見えないからキレイに撮影出来ないじゃん。そうねえ…」

 即座にご否定されてから辺りをグルっと見回す五十嵐さま。

「あそこはどう?あの芝生が途切れて土になってるとこ。あそこなら土も柔らかそうだから穴掘りも捗りそうじゃん」

 五十嵐さまが指差された場所はジョセフィーヌさまが飛び込まれた草むらとはまた別の、芝生と草むらの境目の一画でした。
 確かにその辺りは土色が濃く湿った感じで柔らかそうではあるのですが、私がそこにしゃがんだ場合、目隠しをしてくださる草木は一切なく、つまり全身丸見えとなります。

「えっ?あの、やっぱりどこか草が生い茂ったところで隠れてしたほうが…」

「駄目よ撮影するんだから。あそこならちょうど太陽の位置もいい具合だし、青空の下でいい絵が撮れると思うなー」

 私の懇願は五十嵐さまによって即却下。

「ボクはスカは苦手だけど、他人がやられて苦しんでるのを見るのは好き」

 角田さまがレンズを私に向けてやりとりを撮影されながら、唐突なお気持ち表明。

「あはは。ディレクションはうちに任せて、ユカはそのまま冷静に撮影だけしてればいいから」

 五十嵐さまが角田さまにおやさしくおっしゃり、つづけて私の背中を軽く押します。

「決まりね。ほら、いくよ」

「でも…」

「デモもストも無いの。聞き分けのないこと言うと、この場でそのプラグ引っこ抜いて、太腿汚して盛大にお洩らししているところを撮って直子のお姉さまに見せちゃうよ」

 ちょうど最大級の便意がなんとか引いたところで、次が来たらプラグさえ押し出しちゃいそうです。
 苦痛を堪えるために、んぅー、とか、むうーっ、とか知らずに絞り出してしまう唸り声も増えてきています。
 お腹はずっとシクシク痛み、グルグルという音もひどくなる一方なので仕方なくトボトボ従います。

 その場は広場入口のほぼ対面、背の高い木や草は生えてなくて見通しの良い、1メーター四方くらいの更地でした。
 バッグからシャベルを取り出し、出しちゃって楽になりたい一心でしゃがみ込み、はあはあ息を荒くしながら土を掘り始めます。

 確かに土は比較的柔らかいのですが、力が入れられずになかなか掘り進めません。
 下手に力んだら出ちゃいそうで…
 ティースプーンで一杯づつすくって飲むオレンジジュースのようなもどかしさ。

 自分が排泄するための穴を自分で掘っている屈辱感。
 その穴に排泄するところを知人たちに見られ撮影までされるという恥辱感。
 それらはマゾ的には悦ぶべきことなのですが、やっぱりみじめで切なくてウルウルしてきてしまいます。
 そのあいだにも情け容赦なく強烈な便意が襲ってきます。

「ああ、まどろっこしい。力むと出そうなんでしょ。貸しなさい、うちがやってあげるから」

 しばらく私の様子をご覧になっていた五十嵐さまも私と同じ感想をお持ちになられたようで、私からシャベルを取り上げると、いとも簡単に約20センチ四方、深さも20センチくらいある立派な穴を掘り上げてくださいました。

「…んむぅー、あぁ、ありがとうございますぅ…」

 穴を見て、やっと出せると気が緩んだのか、急に襲ってきた猛烈な便意に身悶えしつつ五十嵐さまにお礼を伝えます。

「こっちを向いて、ここにしゃがんで。プラグもうちが抜いて上げる。万が一穴に落っこどして可愛い尻尾が直子の汚物で汚れちゃったら嫌でしょ」

 広場の入口のほうを向いてしゃがむようにと五十嵐さまのご指示。
 穴を跨いで、排泄物がうまく穴に収まるであろう位置にしゃがみ込みます。
 私の左側には掘り上げた土がこんもりと盛られています。
 二メートルくらい離れた真正面から角田さまのレンズが狙っています。

「んぅぅ、と、撮らないでくださいぃ…」

 ダメ元で角田さまに訴えかけてみますが、正面のレンズは微動だにしません。
 それならと両手で顔を覆うと、

「顔を隠すのも駄目よ。ていうか直子の両手はそこじゃないでしょ?頭の後ろ、服従ポーズ」

 私の背後に回られ早くも尻尾の先を掴んでいらっしゃる五十嵐さまに厳しく叱責され、渋々両手を後頭部に回しました。
 そのまま見上げると、雲ひとつ無い抜けるような青空。
 哀しすぎる青空…

「カウントダウンで抜くからね。3、2、1、ゴーで。ユカ、しっかり撮ってよ」

 五十嵐さまの前説で私の公開処刑が始まります。
 全身が羞恥に震え、穴があったら、実際私のお尻の下に穴はあるのですが、入りたい心境です。

「いくよっ!さん、にい、いち…」

 ゴーのお声とともに私の肛門を塞いでいたプラグがスポンと抜け、同時に私の肛門から勢いの良い水流がシャーーッと穴底の土を削ります。

「あぁぁーーいぃーやぁーーっ!みないでぇぇぇーーーっ!!」

 思わず大声で叫んでいました。
 顔を覆いたいのに禁じられているので、その代わりギュッと目を瞑って羞恥に耐えていました。

 永遠に止まらないのではと思うくらい、腸内を満たしていた水分が勢い良く飛沫を上げていました。
 でも本当に恥ずかしいのはこの後からでした。

 鉄砲水のような水流が落ち着くとお腹がグルグル鳴り出し、猛烈な便意が襲ってきました。
 そして固形物がひり出る感覚と恥ずかしい排泄音や破裂音。
 それらが断続的につづき、私はイヤイヤするように首を振りながら、とうとうご命令に背いて自分の顔を覆ってしまいます。

 最後にプスゥーっと間抜けな溜息が私のお尻から出て、便意は落ち着いたようでした。
 私はしゃがみ込んだまま、目尻に涙を溜めてがっくりうなだれています。
 本当に今すぐこの場から、この世から消え去りたい心境でした。

 しばらくそうした後、しゃがみ混んだだまま穴の右斜め後ろぐらいに後ずさりしてお尻を地面に着きました。
 チラッと見えた穴の中には浅く水が溜まり、小さな茶色い固形物もちらほら浮かんでいるのが見えました。
 そのまま体育座りで頭を抱え、またうなだれます。

「派手にやらかした割にはあんまり臭くないじゃん。屋外だからかも知れないけど。じゃあ、埋めちゃうよ」

 お声がしてゆっくり顔を上げると五十嵐さまが別のビデオカメラを構えながら近づいてこられます。
 ジョセフィーヌさまも、もうとっくに排便も近辺パトロールも終わったのでしょう、五十嵐さまの後ろでブンブン尻尾を振っておられます。

 さすがに不憫に思われたのか、おやさしいお言葉をかけてくださる五十嵐さま。
 自らシャベルをお持ちになられ、掘り返した土で穴を埋めてくださっています。
 角田さまがそんな様子をもまだ撮影されています。

 そう、さっきの様子は一部始終、映像で残されているんです。
 私が叫んでしまったところも、排泄音も破裂音の音声も鮮明に記録されているはずです。
 
 そしてそれを、お姉さまがご覧になるのです。
 いいえ、お姉さまだけではなくお屋敷のみなさまや、たぶん会社のみなさまにもお見せになるでしょう。

 取り返しのつかない羞恥の記録を残してしまったことに、心の底から絶望しているのと同じくらい、残酷過ぎる現実がもたらす被虐の苦甘い快感が全身を駆け巡っているのも、また事実でした。


2024年4月28日

彼女がくれた片想い 13

 個室に鍵を掛けるのは卑怯だと思った。

 自宅PCの黒歴史フォルダに自撮りの破廉恥画像や動画がそこそこ溜まってきた頃。
 三限から五限途中にかけて個室やトイレ内で脱衣、撮影、自慰を、途中に休み時間中の声押し殺し自慰、をも含めて三セットたっぷり愉しんだ後、心地良い疲れで着衣しつつ唐突にそう思った。

 これだけ破廉恥な行為を個室内でしでかしているのに鍵一つで安全が守られているのはフェアじゃないと考えたのだ。
 何に対して、誰に対して卑怯なのかはわからないが、これだけ背徳的な愉しみを謳歌しているのならそれなりのリスクも背負うべきだと。
 自分を追い込む謎理論だが私には正論だと思えた。

 着衣を終え、あらためて個室の鍵をしげしげと見る。
 スライドバー式、いわゆる閂方式の鍵で、ドア部分に可動な凸、壁部分に凹があり、凸部分を凹部分にスライドさせることで閉めたドアに鍵がかかる。

 開いている時は青いプレート、閉じると赤いプレートがドア表面に提示され、使用中か空室かの判断がトイレ通路側から出来る。
 空室の時はドアの自重で個室の内側に開きっ放しとなる仕組みだ。

 すなわちドアを閉じて鍵を掛けないとドアは自然に開いてしまう。
 開かないようにする一番容易な方法はドアの前にバッグ等重しになる物を置いて押さえることだが、トイレの床に自分のバッグを直に置くのは衛生上嫌悪感がある。
 鍵のスライドバーをカタカタ弄りつつ色々考えたのだが、良いアイデアは浮かばなかった。

 結局、ごく浅く施錠することでよしとすることにした。
 スライドバー凸部分の先端を1、2ミリ程度凹部分に引っ掛けてかろうじて閉まる状態にし、強く押せば開いてしまうかも、というスリルを愉しむことにする。
 実際にこの感じにスライドバーを動かすとドア表面のプレートは青と赤が半々づつ表示される。

 次から鍵はこの仕様にしてトイレが混み合う休み時間をまたぐ時は、休み時間の10分間、後ろ手全裸でドアに向き合って立っていなければいけないことにする。
 トイレが満室の時の順番待ちは出入口付近でフォーク並びがルールだし、ドアが閉じていれば普通は使用中と思うので無いとは思うが、切羽詰まった人や列を無視したやんちゃな学生に開けられてしまう可能性も皆無ではない。
 そう考えただけでドキドキと性的に昂った。

 また、すべての空き時間で個室遊びを行なった中で、五限目、とくに金曜日の五限目がすこぶる安全だということもわかった。
 この時間帯にはこのトイレから遠く離れた端の二教室でしか講義が行なわれてなく、そちらの側にも昇降階段があり学生たちもそちらを主に使うのでトイレ前にはほとんど誰も近づかないみたいなのである。
 スリルを味わうという意味では物足りなさもあるが、安心して行為に没頭出来る貴重な時間でもある。

 とある金曜日の午後。
 三限目の講義が終わって本日の全講義終了となり、四限の途中まで空き教室で羞恥調教メインのラノベを読み耽った後、バッグを携えて誰もいない例のトイレに忍び込んだ。

 最近は膝丈位のスカートを着用することが多くなった。
 これは個室遊びの後、その余韻のままにノーパンでいたいが為である。
 性器を無毛にしたことで、その欲求はより激しいものとなっていた。

 ノーパンスカートのまま人前を歩き、ノーパンで帰宅することで、自分が本当にどうしようもない変態だということが実感出来る。
 テニス授業の後、あえて下着を穿かなかった彼女の気持ちがわかる気がした。
 この日は二限目にもトイレで全裸になっていたが、四限目以降にもう一度脱ぎたいがために穿き直していた。

 鍵をルール通りごく浅く掛けた後、ゆっくりと脱衣して全裸になる。
 後ろ手を組んで立ち尽くし羞恥と背徳感をしばらく愉しんでから自撮り。

 悩ましい顔を作ってみたり四つん這いになってお尻の方から狙ってみたり、何回も何回もシャッターを押す。
 最近はシャッター音を聞くだけで膣の粘膜が潤むようになっている。
 自慰行為に移りたいと思った時、四限目終了のチャイムが非情に響き渡る。

 お預けを食らった私はドアが開いても当たらないギリギリの位置にドアを向いて立ち尽くす。
 開いてしまうかもしれないという不安と期待を胸に抱いて。

 このときふと考えて後ろ手にしていた両腕を後頭部に持っていってみた。
 海外のSMサイトでよく見かける性奴隷が主人に対峙する時にやらされている捕まった犯罪者のようなあのポーズだ。
 こうすることで両腋の下までが全開となり、乳房も誇示するように突き出すこととなるので、秘部はすべて絶対に隠せないという屈辱感が倍増する。

 トイレ内が賑やかとなり、あちこちからドアを開閉するバタンという音が聞こえてくる。
 友人同士連れ立って来たのだろう、止まらないおしゃべりと弾けたような笑い声。
 やがて、お先にー、とどこかのドアが閉まったと思うとどこかのドアが開く音。

 ごくありふれた日常的な生活空間で私一人、何もかも剥き出しの全裸となり性奴隷のポーズで立ち尽くしている。
 目の前のドアが開いてしまうのは死ぬほど怖いのだが、何も起こらないのもつまらないというアンビバレントな感情。
 内腿の交わりが蕩けそうなほど潤んできて早く弄りたくてどうしようもなくなってくる。

 やがて時間とともに喧騒が徐々に鎮まりトイレ内にはおそらく二名の滞在者を残すのみ。
 もう少しすると五限開始のチャイムが鳴るだろうという頃、出入口ドアをバタンと乱暴に開閉する音がした。
 そのままコツコツと足早な靴音が響き、私の隣の個室に吸い込まれてゆく。

 隣の個室のドアがバッタンとやけに乱暴に閉ざされる音が響き、その振動が私の個室の壁も大げさに震わせた。
 と同時にこちらの個室でもカタッと小さな音がしてドアが静かに開き始める。

 あっ、と思わず大きな声が出て身体がビクンと戦慄き、何とも言えない目の眩むような快感が全身を駆け抜け、軽く絶頂に達していた。
 目の前にトイレの通路が見えているのを後頭部に両手を当てたまま為す術もなく呆然と眺めている私。

 やってしまった、もう終わりだ、という残酷な後悔が甘美な快感の余韻と一緒になって頭を埋め尽くす。
 二、三秒後ハッと我に返り、慌てて腕を伸ばし、大きな音を立ててドアを閉め直した。

 今度は鍵もしっかり掛けた途端、全身の血液が煮えたみたいにカーッと熱くなり、心臓がドッキンドッキン跳ね回る。
 おそらく隣の個室のドアが激しく閉まった振動でこちらのドアのスライドバーがズレて外れてしまったのだろう。

 誰もいなかったよね?視られてないよね?自己防衛の為の自問自答。
 幸い見える範囲に人影は無かったので誰かに視られてはいないようだが、他人がまだ複数居るトイレ内で自分の裸身を無防備に晒してしまったことは事実だった。

 鍵で守られた個室内でハアハア息を荒くしている間に五限目始業を告げるチャイムは鳴り終わっており、それに前後してバタンバタンと個室やトイレ出入口のドアが開閉する音もいくつか聞こえていた。

 再び静まり返ったトイレ。
 もう我慢出来なかった。

 鍵を外してそっと顔を覗かせると残り四つの個室はすべて扉が開いている。
 自撮り棒を装着したスマホを片手にトイレの通路に出る。

 自撮り棒を三脚状にしてスマホを動画モードに切り替え、自分が映るスマホ画面の前に立つ。
 両足を休めの姿勢位に開き、恥丘を画面に差し出すみたいに上体を軽く反らして無毛の股間に右手をあてがう。

 中指と薬指は濡れそぼった膣口に、親指はパンパンに腫れ上がり皮から半分顔を出した肉芽の上に。
 右手が活発に動き始める。

 すぐにクチュクチュジュブジュブと卑猥な水音がトイレ内に響き渡る。
 左手は腕ごと胸に押し付け、両乳房を乱暴に上下に揺さぶり嫐っている。
 上体を大きく仰け反らしてオーガズムに達するが、まだ全然足りていない。

 今度は後ろ向きになってお尻を映しながら膣中を責める。
 前屈してお腹の方から伸ばした右手が膣粘膜の奥深くまで潜り込む。
 垂れ下がった乳房の硬く尖立した乳首を左手で痛いほど捻り潰す。
 間断なく続くオーガズムラッシュ。

 …自分で課したルールでドアが開いちゃうなんて、バカな女ね…
 …もう外の様子も全然気にしてないんじゃない。イクことだけしか眼中にないって感じ…
 …視てもらえなく残念だったわね。いっそのことそのドア開けて廊下まで出ちゃってみれば…

 想像上の彼女から浴びせられる侮蔑の言葉に反発を感じながらも止まらない自涜。
 トイレ出入口のドアを横目で見ながら、廊下に出てみようか、とは考えていた。
 が、瞬時にさっき個室のドアが開いてしまった時の絶望感がよみがえる。
 私にはまだ、そんな勇気は無い…

 梅雨が本格的になりそうな気配漂う曇り空の日曜日。
 昨日から生理が来てしまった私は性的な遊びも出来ないので暇つぶしに繁華街でもぶらつこうと考えた。
 池袋に行って同人誌漁ったり新刊コミックをチェックしたり。

 昼過ぎに着いて一通り見て回った後、服も一応見てみようと思い駅改札やファッションビルに続く広い地下街に入った。
 時間は三時過ぎ、休日なので大勢の老若男女がそれぞれの目的で右往左往している。
 地下街のとあるカフェの前を通り過ぎようとした時、意外な人物を視界の端に捉えた。
 彼女だった。

 彼女はちょうどカフェから出てくるところで、ベージュのブレザーにチェックのスカートと大学でよく見た服装をしている。
 その横にはスラリとしたジーンズ姿の女性がいて、店の前で二人にこやかに談笑している。

 その女性はさっぱりめのウルフカットでシャープな顔立ち、ヨレたGジャンに薄化粧、全体的にラフな感じで、なんとなくオフの時の水商売ぽい雰囲気があった。
 年齢は明らかに彼女より上、二十代半ばから後半、いわゆるアラサーな感じだ。
 楽しそうにおしゃべりしている感じも彼女の笑顔が媚を含んで甘えているように見えた。

 カフェ入口前で立ち話していた二人にカフェ内から遅れて出てきたもう一人の女性が合流した。
 大きなバッグを肩に提げ、デニムのショートパンツ生足に膝下までのブーツ、身体に吸い付くようにピッタリしたボートネックの黒いTシャツが胸の隆起と身体の線を浮かび上がらせている。

 年齢は彼女と話している女性と同じくらいだろうか。
 小顔にショートボブで憂いを帯びたような顔立ちは誰もが振り返るような美形振りで、現にその場でも行き交う人が一度はチラ見していく。
 ひょっとしてモデルかタレント?いかにもカタギの女性ではないという感じだ。

 更にその女性は首にチョーカーを嵌めていた。
 真っ白で正面に大きめなリングが一つぶら下がった、まるで犬の首輪のようにも見えるチョーカー。
 それは私に、性奴隷、マゾヒスト、肉便器という単語群を容易に連想させた。

 彼女を真ん中にして三人がゆっくりと地下街を進んでいく。
 私の今日の服装はいつもよりかなりくだけたTシャツにジーンズというラフなものだし、ベースボールキャップもかぶっていた。
 思いがけずに彼女の私生活を垣間見るチャンスが訪れたので念のため伊達メガネもかけてバレないように尾行を開始した。

 人混みをすり抜けて進む三人の背中を見つめながら考える。
 あの三人はどういう関係なのだろう。
 友人と言うには彼女と年齢が離れている気もするし、でも雰囲気は何か親密そうだし。
 女性同士だからエンコーというわけでもないだろう。

 ひょっとするとどちらかが、あの日個室で彼女が口走った、やよい先生、なのかもしれない。
 ショートボブの女性はマゾっぽくもあるからウルフカットの方になるのか。
 そうだとするとこれからどこへ行くのか益々気になるところだ。

 地下街をずいぶん長く歩いた三人はやがて階段を上り地上へ出る。
 曇天模様の休日でもそれなりの数の人々が行き交う池袋。
 三人は線路沿いの道をゆっくりと進んでいく。

 この辺りは北池袋と呼ばれる一画で、確か裏に入ると風俗店やラブホテルが林立しているのではなかったっけ。
 ネットで仕入れた情報を思い出す。
 だとすると…下世話な好奇心がムクムクと騒ぎ始める。

 果たして彼女たちは路地を一つ曲がり、派手めというかいささか品に欠ける大きな建物の入口に吸い込まれていった。
 時刻はまだまだ明るい午後三時半前、どう見てもラブホとしか思えない建物に女性三人で消えていったのである。
 入る直前に、彼女が嬉しそうに上気した顔でショートボブの女性に何か語りかける様子が見えた。

 やっぱり、と思いながらスマホでそのホテルの名を検索するとSMルームもある正真正銘のラブホテルであった。
 いつぞやに見た彼女の白い背中を染めていた鞭の痕をまざまざと思い出す。
 同時に私の中で何かが確実に終わった。

 線路沿いの道を引き返しながら考える。
 おそらく彼女はあそこで色々、性的快楽を享受するのであろう。
 女性二人がかりでか、それともショートボブの女性も虐められる側なのかはわからないが。

 年上の女性たちから性的調教を受ける彼女、私がまだ知らない快楽をたくさん知っているのであろう彼女。
 彼女は学校のトイレ個室で自慰行為をするような変態性癖者であるだけではなくレズビアンでありマゾヒストでもあることは確実だった。
 
 あんな顔をして彼女は私の何倍もしたたかで何倍も変態だった。
 彼女には敵わないと思った。
 彼女への片想い的に惹かれる想いは、私に変態的な快楽だけを残して、呆気なく潰え去っていた。

 私は今、空き教室で裸になることを計画している。
 
 私がよく読書をしている空き教室はプロジェクターを使う講義が主な為、窓際には分厚い暗幕カーテンがかかっており、常時窓の三分の一が暗幕に覆われている。
 そのため使用していない教室のドアは開いておくルールでも中は適度に薄暗く、木曜、金曜の四、五時限目であれば滅多に人は来ない。

 ここですべて脱いで全裸になり、席に座って読書をしたり、あわよくば自慰行為をしたり廊下に出たりもしてみたい。
 鍵で守られていない普段講義で使用している教室で全裸になったら、どんな気持ちになるのだろう。

 万が一人が来てしまった場合は暗幕の裏に隠れれば良い。
 その場合、窓が素通しガラスゆえ外からは丸見えとなってしまうが、梅雨時なので雨が降っていれば外にいる人は皆傘を差しているはずだし、三階を見上げたりもしないだろう。
 なので生理が終わリ次第、雨の降る木曜日か金曜日に決行するつもりだ。

 私が破滅する日は意外と近いのかもしれない…

*END