私が着てきたベージュのジャケットは、ブレザータイプで前ボタンは二つ。
Vラインの下、一番上のボタンが私のおへそのちょっと上くらい。
そのボタンを留めても、首下からブラウスのボタンで数えて5つ分、V字の胸元が大きく覗いてしまいます。
ブラウスの前立てに施されたフリルがストッパーとなって、ブラウスの前合わせがジャケット襟の裏側まで潜り込んでしまうことは無さそうですが、左右に分かれたフリルのあいだには、私の胸元の素肌がバストの谷間からアンダーまで、全部大胆に見えていました。
ちょっと前屈みになったらジャケットが浮いて、Vライン越しにおっぱい全体が覗けそう。
「いいわね。とってもコケティッシュ。さあ、そろそろ出ましょうか」
「で、でも、お姉さま・・・」
左手でブラウスの襟元をギュッと押さえながら、お姉さまのお顔をすがるように見ました。
「こ、これでお外を歩くのですよね?ちょっと大胆すぎるような・・・」
じっと座っているのならともかく、歩いたり、からだを動かしたら、ジャケットの下でブラウスの前がどんどんはだけてしまいそうな気がします。
なにしろブラウスは一番下まで、まったくボタンが留まっていないのですから。
それに、ジャケットの裾からブラウスの裾が5センチくらいはみ出しているのもだらしないし。
「大丈夫。そういうルーズなコーデの女子高生やギャル、この街にはたくさん歩いているから。もう夜で暗いし、多分誰も気にも留めないわ」
「それに、万が一前がはだけちゃっても、さっきニプレスしたじゃない?乳首は見られずに済むわよ」
それから、私の顔を細めた瞳でじっと見つめ、イジワルっぽいお声でつづけました。
「直子だって、内心ワクワクしているのでしょう?心配そうな顔をしていても、目がサカッちゃっているもの」
「直子には、お似合いなのよ。そういう格好が」
フッと笑って、襟元を掴んでいた私の左手を取り、下へと降ろさせます。
「ほらまた。襟が、曲がっていてよ」
私の首元に両手が迫り、掻き合わせていた襟元をゆっくり左右に押し広げました。
フリルの縁取りで大きくV字に露になる、私の胸元。
「それ、直したらダメよ。さあ、行きましょう」
ご自分のトートバッグを左肩に提げ、右手で私の左手を握ってくるお姉さま。
手をつないだまま個室を出て、お会計のレジへ。
廊下に出ると、左右の個室からの賑やかな酔声が、いっそう大きく耳に飛び込んできます。
私は手を引かれつつ、自分の胸元に視線を落とし、ドキドキキュンキュン感じていました。
お会計をしてくれたのは、さっき伝票を持ってきてくれた女の子、間宮さんでした。
「ありがとうございましたぁ。またのご来店を心からお待ちしておりまぁす」
可愛いらしいお顔をペコリと下げながらも、その視線は私の大きく開いた胸元に釘付けでした。
「ふう。やっぱり夜になると少し肌寒いわね」
お外に出たお姉さまと私。
時刻は10時ちょっと前。
ネオン瞬く週末の繁華街には、まだまだたくさんの人たちが行き交っています。
「でも、ワインが少し回っているから、このくらいの温度が気持ちいいわ」
私の右手を握って歩き始めるお姉さま。
私はうつむいて自分の胸元を見つめながら、お姉さまに引っ張られています。
かなり大胆に開いちゃってる・・・
ブラジャーをしていたら、センターモチーフがあるべきところまで素肌が覗いちゃっているので、ノーブラということもバレバレです。
私の右手はお姉さまの左手に握られ、左手には自分のハンドバッグ。
だから歩きながら直すことは出来ません。
からだがどんどん火照ってしまって、気温を正しく感じることも出来ません。
「もっと堂々と歩いたほうがいいわよ?モジモジしていると悪目立ちするから」
そんなことをおっしゃられても・・・
妙齢の女性がふたり、手をつないで歩いているだけでも目立つと思うのに、その上、お姉さまは超美人だから普通に目を惹くし、私はこんな格好だし。
絶え間なく行き交う老若男女な人たちから、次々と視線が浴びせられるのを全身で感じていました。
「ところで直子は、このへんに住んでいるのよね?ここから歩くと何分くらい?」
大きな交差点の信号待ちで立ち止まったとき、お姉さまが私を振り返って尋ねてきました。
「そうですね・・・地下鉄の駅まで行けば、ソコから5分かからないくらいですから、このへんからだと20分くらいでしょうか・・・」
私の隣に立ったご中年の男性が、私の胸元にチラチラ視線を投げてくるのを感じながら、ボソボソとお答えしました。
「そう。あ、でも、同じマンションにシーナさんも住んでらっしゃるのだったわね?」
信号が変わり、男性の視線から逃げるようにお姉さまを追いました。
「はい。最近はぜんぜんお会い出来ないのですけれど」
「今日はいらっしゃるのかしら?そのマンションに」
「さあ・・・先月メールしたときは、インドネシアにいらっしゃるって返ってきましたが・・・私も去年の暮れにちょこっとお会いしたきりなんです」
「ふーん。いるかいないかは、わからないのね。でも、もしいらっしゃったら、さっきの話だと、直子のところには出入り自由なのでしょう?」
「そうですね。お部屋の鍵を渡してありますから・・・」
「せっかくの直子との夜に、万が一乱入されたら台無しよね。やっぱり、あたしんとこ行こっか」
「えっ!?お姉さまもこの辺に住んでらっしゃるのですか?」
自分が今しているはしたない服装のことも一瞬忘れるほど、本気でびっくりしてしまいました。
「あたしの住まいというワケではないのだけれど、スタッフたちのために一部屋あるのよ、オフィスの近くに」
「仕事が立て込むと徹夜もままあるからね。オフィスに泊まれないこともないけれど、シャワーとかが無いから。トイレも室外だし」
「うわー。すごいですね。スタッフ思いの社長さんなんですね、お姉さま」
「ほら、みんなで寝泊りとかすると楽しいじゃない。学生時代みたいで」
「一昨日ちょうど、全社挙げてずっとかかりきりだった大きめなプロジェクトが終わってね、パーッと打ち上げてからみんなで泊まったのよ」
「まあ、全社挙げて、なんて言っても、スタッフはあたしも入れて6人だけだけどね」
「だから今日はみんな早めに自宅に帰ったわ。今夜あそこを利用する人はいないはず」
「でも、社長と呼ばれる身にとっては、それからが仕事なの。最終確認だの契約だの。あたしは、明日の朝早くに羽田に行って北海道」
「だから都合がいいって言えばいいのよね。空港行きバス乗り場もすぐそこだし」
お姉さまは、メインの通りからは少しズレた、私もあまり通ったことの無い路地を、有名な高層ビル方面へと歩いていました。
確かこのへんはお役所街。
お勤めされているかたたちは、とっくに帰宅されたろうとは思うのですが、それでもけっこう人が行き交います。
私の胸元は、歩いているうちにブラウスのフリルがどんどんジャケットの襟裏に潜り込んでしまい、ほぼジャケットのV字通りに露になっていました。
ジャケットの下に着ているブラウスのボタンがひとつも留まっていないのですから、フリルがあったとしてもからだを動かしつづけていればやっぱり、そうなってしまいます。
ジャケットの裾からはみ出ているブラウスの裾も、左右の腰骨の辺りにまで泣き別れ。
直したいけれども、両手は塞がっていって直せません。
だけど、こんな格好をしている自分を自分で、愉しみ始めていることも事実でした。
誰かとすれ違うたびに、恥ずかしさに疼いてしまって仕方ありません。
「あたしはね、実家は鎌倉なの。それで会社起ち上げるときは、横浜あたりにしようと思っていたの」
私の手を引いて、のんびりと歩くお姉さま。
「鎌倉と横浜って、近いのですか?」
その辺の地理はまったく疎い私。
「そうね。電車だけなら30分かからないくらい。場所にもよるけれど、歩き入れても充分通勤圏内よ」
「だけど、いろいろ成り行きで結局、池袋に決まってね。だから飯田橋にマンションを買ったの」
「どこに住もうかいろいろ迷ったけれど、探していたのがちょうど春で、ほら、あそこってお濠端の桜がとても綺麗じゃない?だから決めちゃった」
「飯田橋だったら、都内のターミナル駅ならどこにも近いし」
「でもいざ仕事始めてみたらすごく忙しくて、ほとんど家に帰れないのよ。終電逃してオフィスに泊まったり、ビジホで仮眠したり」
「だからオフィスのそばに、寮的なものも置くことにしたの」
「最初の頃は毎日って言っていいくらい、みんなでそこに泊まっていたわ。やっと最近、かなり落ち着いたけれどね」
「でも、あたしは、明日みたいに地方に行くことも多いから、今でも飯田橋に帰るのは、忙しくないときの週末くらいね」
「それで今は、そのお姉さまの会社のほうへ向かっているわけですよね?」
「そう。でもあたし、ごちゃごちゃした人混み苦手だから、少し遠回りしているけれどね。歩道橋も嫌いだし」
車のヘッドライトがまぶしく行き交う幅の広い通りを渡ると、人通りがずいぶん減りました。
ときたますれ違う人はみんな駅のほうへ向かう中、私たちだけが反対方向へと歩いています。
「あのぅ、お姉さま?そこに着くのって、まだまだ時間がかかりますか?」
数分前から徐々に催していたある感覚が急に勢いづいてきたので、がまん出来ずにお姉さまに尋ねました。
「うーん。あと5、6分だと思うけれど、どうしたの?」
「あの、私、ちょっと、急におトイレに行きたくなって・・・」
かなり向こうでしたが、コンビニのネオンが見えたので、そこに寄ってくれませんか、ってお願いするつもりでした。
「あら、困ったわね。オシッコ?」
お姉さまがとても嬉しそうなお顔で、振り返りました。
「直子は視られたがりのマゾっ子なんだから、どこかそのへんの物陰でちゃちゃっとしちゃえば?って言いたいところだけれど、そんなことしたら、この辺のご近所さんに迷惑だものねぇ」
私のはだけた胸を見ながら薄い笑みを浮かべています。
「はい。だからあそこのコンビ・・・」
私が提案を言い終わらないうちに、お姉さまのお声がかぶさってきました。
「歩きながら漏らしちゃってもいいのよ。そういうのも好きなんでしょ?マゾっ子ちゃんは」
「あ、でも、お漏らしするなら、もっと人通りがたくさんある道に行けばよかったかな」
もうっ!お姉さまのイジワル・・・
私がつないでいる手に力を込めてギュッと握ると、お姉さまが振り向いてニッて笑いかけてくださいました。
「大丈夫よ。安心して。このあたりにはね、なぜだか公園が多いのよ。確かその先を曲がったところにもあったはずよ」
お姉さまはマイペースで、私の手を引っ張って進んでいきます。
「ほら、あった。これだけ広い公園だったらトイレもあるでしょう。あ、あれかな?」
たどりついた入口のちょうど対面奥に、コンクリート製っぽい長方形の小さな建物がありました。
手をつないだまま、公園の敷地内に入ります。
かなり広いのに、灯りは縁石沿いにポツンポツンとしか点いていないので、公園内の暗闇が濃くてなんだか不気味な感じです。
ふたり、早足で公園のほぼ真ん中を突っ切ります。
遊具などは置いていない広場のような公園でした。
あまり背の高くない木々でほぼ正方形に囲まれた暗闇。
灯りの傍の木にもたれて、煙草を吸っているスーツ姿の男性が居ます。
ベンチが点在していて、その上で寝ている人も何人か居るみたい。
公園内に何人の人がいるのかはわかりませんが、おしゃべりしている人はひとりもいません。
聞こえるのは、遠くを走る車の音と屋外灯のジーッという音だけ。
「お昼時は、お弁当持ったOLとかで賑わっているのに、さすがに夜は別世界ね」
お姉さまがヒソヒソ声でおっしゃいました。
私たちが突っ切った公園中央はとくに暗かったので、彼らに私の服装までは分からなかったと思うけれど・・・
白地にぼんやりと赤い女子マークが浮かんでいる建物に飛び込みました。
外灯の近くなので少し明るい薄暗闇。
ぼんやり見える内部はかなり古い感じ。
そしてもちろん、綺麗とは言えず、臭いもかなり。
入ってすぐに洗面台と三分の一くらいが割れて失くなっている鏡。
その奥の個室はふたつ?
「電気はどこかしら?」
お姉さまが目を凝らしてみつけたらしく、パチンという音とともに、ふたり、つないでいた手を互いにギュッと握り合うほど、びっくりするくらい明るくなりました。
同時に、その絶望的なまでの、綺麗じゃなさ、も目に飛び込んできました。
黄ばんだ壁、剥がれ落ちたタイル、濡れた床、お下品な落書き・・・
「さ、ちゃっちゃとやっちゃって、さっさと行きましょう」
怒っているみたいなお声と共に、お姉さまが私を奥の個室に押し込みました。
「えっ?お姉さまもご一緒ですか?」
「もちろんよ。あんな真っ暗で得体の知れない人たちが居る中で、直子のオシッコが終わるのを独りポツンと待つなんて、絶対ごめんだわ」
ということは、私のオシッコ姿、お姉さまに視られちゃう。
「ここでじっくり視ていてあげる。あ、ひょっとして直子、大きいほうだった?」
「えっ?いえいえ、違いますけど・・・」
「ふぅー。出会って2回目で、いきなりそんな姿まで見ちゃうのは、いくら直子がマゾっ子でも、うら若き女子としてどうなのかなって、一瞬、考えちゃったわ」
お姉さま、その最初のため息は、安堵?それとも落胆?
オシッコ姿をお姉さまに視られちゃうのも、うれしはずしなのですが、別の理由で私は、臨戦態勢に入るのを躊躇していました。
煌々と輝く蛍光灯に照らし出された個室内の全貌。
満遍なく汚れた便器は、和式でした。
そしてなぜだか満遍なく水浸しな、黒く汚れた床。
こんなところでしゃがんだら・・・
「ここでしゃがんだら、間違い無く服の裾が汚れてしまうわね。スカートだって危ないわ」
私の心を読んだかのようなお姉さまのお言葉。
「紙が無いのは想定内ね。大丈夫、あたしはウエットティッシュをいつも持ち歩いているから」
「だけど、ここまで汚いとは思っていなかったわ」
お姉さまのお顔が、ここに足を踏み入れたときとは打って変わって、なんだか愉しそう。
「仕方ないわね。服を汚したくないなら、全部脱いでからするしかないみたいね」
*
*ランデブー 6:42 06へ
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更新を楽しみにしています。これからも頑張ってください。
返信削除匿名さま
返信削除コメントありがとうございます。
とてもおひさしぶりに読者さまからいただいたコメントでしたので、
グーグルさまからご通知が届いたとき、あれ?これって何だっけ?
って一瞬考えてしまってから、すっごく嬉しくなりました(笑。
ありがとうございました。
このところ連日の薄着日和で、えっち書きたい意欲も上昇中(笑
今までさぼってしまった分を少しでも取り返せればな、
と思っていますので、ぜひまた、おヒマなときに覗きに
いらっしゃってくださいませ。(^ω^)/