2010年8月8日

グノシエンヌなトルコ石 41

「メール調教、っていうのですね。ネットで見たことあります。ご主人様がM奴隷に、ノーパンで公園に行ってオナニーしてきなさい、とか。私、ちょっと憧れてたんです」

「えーとね。まず、調教、って言葉は、あたしあんまり好きじゃないの。なんだか傲慢で。ヤル側の目線よね。英語で言うとトレーニングなんだけどさ。そっちのほうがまだマシ」
「プレイ中なら使うこともあるけどね。あと、そういう侮蔑的な言葉を言われたほうが、より萌えちゃう、っていうMな人が多いみたいだけどさ。あたしは、素のときはあんまり使いたくない。それがSとしては甘いって、ミーチャンにもよく言われるんだ・・・」
「でも、あたしが本当に好きな人となら、プレイ中はともかく日常では・・・ね。だから、あたしがなお子に出すのは、課題、ね」

「それと、ネットのメール調教の告白文なんて、たいていSMプレイを実際にしたこともないような男の妄想作文よ。あんなの真に受けると、ご近所の笑いものになるか、すぐケーサツに捕まっちゃうから」
「もちろん、妄想の中でならどんなに非常識なことだって、やっちゃってかまわないんだけどさ。ただ、それを現実でもできると思って、やろうとするおバカさんがけっこういるのよね」
「ネットで野外露出の写真を披露してる人たちだって、たいがいちゃんとしたパートナーがいつも傍らにいて、見つからない場所探したり、マズイ事態に陥らないように目を光らせてるの。なお子も今日やってみてわかったでしょ?」
「・・・はい・・・」

「なお子は、けっこうネットでえっちなページ、見てるの?」
「はい。高校入学のときにパソコン買ってもらって、両親も制限ロックとかとくにかけなかったんで、自由にいろいろ見てみました」
「もちろんキャッシュはいちいち全部消すようにして。気に入った画像や動画は、外付けのハードディスクに保存するようにして」
「あらあ、キャッシュとか知ってるんだ。なお子らしいわあ。パソコンの使い方にも研究熱心ね」
やよい先生が笑います。

「でもでも、私の場合、難しいんです。男の人がダメだから・・・」
「最初の頃、調子に乗ってワクワクしながらいろんなサイト見ていたんです。百合とか露出とかレズSMとかって検索して」
「今思うと運が良かったんだと思います。注意深くやってたのもあるんでしょうけど、私好みのサイトがけっこう順調にみつかって・・・」
「だけど、ある日、なんのサイトだったか、いきなり無修正の男の人のアレが出てきて・・・」
「私、あわててパソコンの電源コード抜いちゃいました」
やよい先生が声をあげて、あっはっは、と笑いました。

「笑いごとじゃないんですう。私、その後しばらく恐くてネット見れなかったんですからー」
「それからすごく慎重になって、あの、グロテスクな形のバイブレーターもあんまり見たくないし・・・」
「今は女の人しか絶対出てこない外国のレズビアンSMのサイトとか、文字だけのサイト、さっき言った調教告白のとか官能小説とかばっかりを見ています」
「でも、文字だけのやつも、結局男の人が出てきちゃうのが多いんですよね。男の人が苛めているまではだいじょうぶなんですけど、少しでも男の人のアレがからみそうな気配の描写が出てきたら閉じちゃいます」

「ふーん。なお子はなお子なりに、いろいろと苦労があるんだねえ。なお子の場合は、トラウマが絵で刷り込まれちゃってるからねえ・・・」
「わかった。あたしがなお子でもだいじょうぶなえっちサイトをいろいろ教えてあげるよ。あと、なお子用に編集したオススメビデオとかも送ってあげる」
「ありがとうございます。すごく助かります」
私は、本気で感謝しています。

「それと、縛りのほうも、なお子のからだはまだ完全に成長しきってはいないから、そんなにハードなことはまだしないほうがいいと思った。もう少しからだが成長して、熟してからのほうが、苛め甲斐もあるからね」
「だからバレエのストレッチとか、これからもサボっちゃダメよ。常時ノーブラもまだ早いわね」
「はーい」
「そんなことを踏まえて課題を考えてあげるわ。もちろん、なお子の被虐心が満足できて、すごく気持ち良くなれるように工夫してね。まかせておいて。あたしも無駄にミーチャンのパートナー7年もやってきたわけじゃないから」
「だから、私の課題をやっておけば、近い内になお子は、世界中のレズビアンのためのセクシーMアイドルになれるわよ」
やよい先生が冗談めかして、私にウインクしました。

「あ、でも、何かの拍子でなお子のトラウマが治って、男性を受け入れられるようになったら、スグに言ってね。人間的にはそっちのほうが喜ばしいことだろうし。あたしも絶対怒らないから。すごくがっかりはするだろうけど・・・」
「それは、絶対にない、です」
私は、力強く断言してしまいました。

「それじゃあ、とりあえず最初の課題ね。なお子は、あたしが次に許すまでマン毛を剃らないこと」
「なお子、ずいぶん気に入ってたみたいだから、ちょろっと生えてきたらすぐ剃っちゃいそうだからね。その年であんまり頻繁にカミソリあてるのも良くないような気がするし」
「はいっ!。わかりましたっ!ゆり様っ!」
私の陰毛は、やよい先生にコントロールされるんだ、と思ったらゾクゾクしてきて、思わず元気良く答えてしまいました。

車はようやく渋滞を抜け出して、国道を私の家のほうへ快調に進んで行きます。

「おーけー。これで本当にヘンタイなお子モードは終了ね。お家に入る前に通常なお子モードに切り替えなきゃ。まじめな質問するわよ」
「はい。先生」
「なお子は高校卒業したら、どうするつもりなの?」
「一応、女子大に進もうかな、って思ってます。できれば東京の」
「でも私、どこかの会社に入って、男の人にまざってOLさんとかできそうもないんで、保育園か幼稚園の先生を目指そうかな、ってこの前から考えてたんです」
「うん。それはいいねえ。なお子ならピッタリだよ。でも、あなたピアノ弾ける?」
「えっ?」
「幼稚園の先生になるなら、ピアノは必須だよ」
「そうなんですか?私小学校3年までは習っていたのだけど・・・」
「なら基本は知ってるんだ。じゃあだいじょうぶそうね。なお子の飲み込みの早さなら、ちょっと練習すれば、ちょちょいのちょいだよ」

「がんばってお勉強して、東京においで。それでまた、みんなでえっちな遊びをしようよ」
「あ、でもなお子だったら、その前にいいパートナーが見つかっちゃいそうな気もするな」
「そんな。無理です。私はやよい先生が一番いいです」
「ううん。なお子には、あたしよりもっとしっくり来る女性が現れるはずよ。だから焦らないで、じっくりいい人探しなさい。その間は、あたしがミーチャンの目を盗んで、出来る限り遊んであげるから」
私は、ミーチャンさんが本当に羨ましいです。

「バレエはどうするの?」
「つづけるつもりです。夏休みが終わったら、また通うことにしました。今度の先生は・・・」
私がその先生の名前を告げると、
「あらー。彼女が次にあたしのマンションの部屋に入るのよ。あたしの友達よ。やさしくってすごくキレイ。踊りもうまいわ」
「はい。先週お会いしてきました。やさしそうなかたでした」
「でも彼女は、ちゃんと男性の恋人がいるマジメな女性だからね。なお子、ヘンなことして困らせちゃダメよ」
やよい先生は、笑いながら左手で私の右手を握りました。

気がつくと、私の家のすぐそばまで来ていました。
時計は5時15分。
ちょっと早いかな、とも思いましたが、車はどんどん家に近づいていきます。

「あっ、あの信号を左です」
私は、正直に道順を告げました。
「ここを道なりに。あの高い塀の家です」


グノシエンヌなトルコ石 42

0 件のコメント:

コメントを投稿