2013年10月27日

コートを脱いで昼食を 17

 お部屋の入口でサンダルを貸していただき、ゴージャスな応接室をいったん出て、ホテルのフロントみたいなエレベーターホールを横切ります。
 もちろん私だけ裸のまま。
 右手をシーナさまに引かれ、左手に持ったタオルでアソコを押さえて歩く自分の姿が、明るい廊下を飾るお洒落な鏡や窓に映り、無性に恥ずかしくなりました。

 いくつか並んだドアのうちのひとつを、シーナさまが迷わず開けました。
 どうやらそこが、アンジェラさんがおっしゃっていたゲスト用のドレッシングルームのようです。
 応接室ほどゴージャスではないですが、明るい空間に品のいいドレッサーやチェスト、テーブルなどがセンス良く置かれていました。

「みんなに視られながら裸になったご感想は?キュンキュン感じちゃったんでしょ?」
 シーナさまは、みなさまといたときの雰囲気とは打って変わって、なんだかご機嫌良さげに、愉しそうに尋ねてきました。
「えっ、えっと、すっごく恥ずかしかったです・・・」
「でも直子、そういうの大好きじゃない?わたし、このアイデア思いついたとき、直子なら絶対悦ぶ、って確信していたんだ」
「初対面の綺麗な女性が6人も、じーっと視ていてくれたんだものね?直子にとっては、夢のようだったでしょう?」
「・・・」
 私はうつむいたままモジモジ。

「そう言えば、あのリナリナトリオの中にひとり、直子のご同類がいたようね?」
「気がつかなかった?直子のこと、すごく羨ましそうに、頬を真っ赤に染めて食い入るように視ていた、向かって右端の子」
 私は顔を上げ、シーナさまを見つめながら小さく首を横に振ります。
 私に、そんなことに気がつくような、そんな余裕があるワケがありません。
 研修のかたたちのお顔も、どのかたがどのお名前だったかも、まったく覚えていませんでした。
 それどころか、ご紹介いただいたお名前さえも。
 マリナさんとサリナさん?あれ?カリナさん?あれ???

「あの子は絶対Mっ子ね。直子に感情移入しちゃっていたわ」
 シーナさま、とても嬉しそう。
「でもね直子?さっきのなんてまだまだ序の口よ。直子にはこれから、もっともっと恥ずかしい痴態をみんなに晒して、恥辱色に染まってもらうことになるのだから」
「あんっ!」
 シーナさまのポインターペンが私の尖りっ放しな右乳首を軽く弾きました。

「そのガラス戸の向こうがシャワールームだから、首から下をざっと洗っておきなさい」
 ポインターペンで指し示された素通しガラスの向こうを見ると、確かにそこは浴室のようでした。
 大きなガラス戸はまるっきり素通しで、中が丸見えです。
 ふと横を見ると、私がさっき脱いだスーツとブラウスが、ハンガーにきちんと掛けられ、洒落たハンガーラックにぶら下がっていました。
 きっと小野寺さんがしてくれたのでしょう。
 小野寺さんに私が汚したパンティストッキングとショーツをモロに見られたことを思い出し、恥ずかしさがぶり返してきました。

「下半身は中まで、よーく洗っておきなさいよ。これからいろいろ弄られまくることになるのだから」
 シーナさまがニヤニヤしながらおっしゃいました。
「まあ、洗ったところですぐに濡らしちゃうのでしょうけれど、出来る限りはがまんなさい。はしたなく大声とか出して、わたしに恥を掻かせないでよね?」

 バスタオルを床に置き、シャワールームに入ろうとして、気がつきました。
「あの、シーナさま?これははずしたほうが・・・」
 首のチョーカーを指さしながら尋ねました。
「え?ああ、それはそのままでいいわよ。凄く似合っているし、一応防水加工もしてあるはずだから」
「濡れてシミが浮いたりして、見た目が汚らしくなっちゃったとしても、それもそれで直子にはお似合いだし、本当にみっともなくなっちゃったら、また新しいのをあげるから、気にしなくていいわ」

 シーナさまがシャワールームの前まで来て、私の全身をあらためてジロジロ眺めてきます。
「失敗しちゃったなー。直子用にそれに付けるチェーンももう確保してあったのよ。ニップルとクリットとラビアの完全セット」
「オフィスの机の抽斗にずっといれっぱなのよね。持ってくるの忘れちゃったわ」
「帰りはあれ着けてドライブっていうのも良かったわねー。惜しいことしちゃった」
 お言葉の内容ほどは、さほど惜しそうなお顔でもないシーナさまのニヤニヤ笑い。
「ほら、はやくからだ洗っちゃいなさい」

 シャワーをぬるま湯にして、チョーカーをなるべく濡らさないように肌にお湯を当てました。
 ガラス戸の片方は開けっ放しのまま。
 そこからシーナさまが覗き込んでいるので、お部屋のほうにお湯が飛び散らないよう、奥でシャワーを使います。
 下半身は念入りに、というご指示だったので、シャワーを強めにしてアソコとお尻に当てます。
「あっ、もしオシッコしたかったら、そこでしちゃいなさい。これから当分、出来ないから」
 少し尿意を感じていた私は、シーナさまのお言葉を深く考えず、それでも一応シーナさまには背中を向けて、シャワーを出しっ放しのままその場にしゃがみ込みました。
 シャーッ・・・

「あらあら呆れた。直子って、平気で人前でオシッコ姿晒すような女になっちゃたのねー?はしたない子。いくらマゾだからって恥じらい忘れたら、人間おしまいよ?」
「だって・・・あ、いえ、ごめんなさい・・・」
 シーナさまにまんまとノせられた気もしましたが、確かに今の私はシーナさまだからいいや、と思って普通にオシッコしてしまいました。
 言われた途端に、カーッと恥ずかしさが全身を駆け巡りました。
「ま、そのくらいでいいでしょう。あんまりお待たせしたら悪いから出てきなさい。からだ拭いてあげるわ」
 シーナさまは、オシッコのことにはそれ以上深くツッコまれず、新しいバスタオルを持って私を待ち構えています。

 シーナさまにからだを拭いていただくときのふたりの暗黙の了解、マゾの服従ポーズになりました。
 シーナさまが、私の全身の水気を丁寧に拭ってくださいます。
 最後にシーナさまの右手人差し指が、スルッと私のアソコに潜り込みました。
「ぁあんっ!」
「難なくヌルッと入っちゃうわね?まだ中ジュクジュク。まあ仕方ないわね、直子だから」
「アンジェラたち、驚くでしょうね?言ってあるとはいえ、直子の濡れ方は想像以上だから」
 シーナさまの愉快そうなお声。

「さ、それじゃあそろそろ本番よ。グッドラック、直子」
 パチンと私の裸のお尻を叩いてから、ドレッシングルームの一番奥にあるドアのほうへひとりでスタスタ歩いていかれるシーナさま。
 私もあわてて後を追いました。

 そのドアの向こう側は、何て形容したらいいのか、摩訶不思議で妖しい雰囲気のお部屋でした。
 いの一番に、甘いアロマの香りに全身が包まれました。
 裸足に冷たい大理石の床。
 モーツァルトのピアノ曲が小さく流れています
 お部屋の真ん中に小さめなベッドがひとつ置かれ、ベッドを中心にその周辺だけがスポットライトで照らされたみたく、眩しく浮かび上がっていました。
 四方の壁際は間接照明で薄暗く、無機質で殺風景な感じです。

 ベッドの周りには、ナース服に似た清潔そう、かつお洒落なデザインのユニフォームに身を包んだアンジェラさんと研修のお3人。
 アンジェラさんのユニフォームは淡い藤色、研修のお3人は淡いレモン色です。
 蘭子さんと小野寺さんは、先ほどと同じ私服姿で、4人とは少し離れて座っていらっしゃいました。

「お待ちしていたわ。こちらは準備万端よ。さあ、始めましょう」
 アンジェラさんがニッコリ微笑んで、私を手招きしました。
「まずはこのベッドに上がって、うつぶせになってくださる?」
 アンジェラさんが傍らのベッドを指さしました。
 私は、恐る恐る近づいていきました。

「こちらに頭を向けてね」
 大きな枕と、なぜだか20インチくらいの薄いテレビモニターが乗ったラックが置いてある方向を指示されました。
 その反対側のほうには、見慣れない器具やタオルなどが乗ったキャスタートレイと大きめな姿見がベッドの傍らに置かれ、アンジェラさんたちは、その足側のほうに集まっています。
 
 そのベッドは、普通のベッドよりもやや高めで、私のおへその下くらいの高さ、幅も一般的なシングルベッドよりひとまわり狭い感じでした。
 あまり柔らかそうには見えないベッド表面には、見るからにふんわりしていそうな大きいタオルが敷かれていました。
 私は、踏み台を使っておずおずとベッドに上がり、柔らかい枕に顔を埋めてうつぶせに横たわりました。
 まばゆいくらいの光に照らされた私の背中とお尻を、みなさまが上から見下ろしてきます。
 まるで手術台に乗ったような気分です。

 小野寺さんが立ち上がったな、と思ったら、目の前のテレビモニターが明るく瞬き、何かが映り始めました。
 何だろう?と思う間もなく、モニター一杯に誰かのお尻らしき映像が映りました。
「あっ!」
 あわてて首を後ろに捻ると、ベッドの傍らに立った小野寺さんがハンディなビデオカメラを覗き込んでいました。
 そのカメラのレンズの先には、私のお尻。

「今日の様子はね、録画して編集して、このサロンの新人エステティシャンの研修用教材として、活用していただくのよ」
 シーナさまが枕側にいらして、私を見下ろしつつおっしゃいました。
「もちろん、施術する部分だけを映して、ミス・ナオコのお顔は一切出さないし、音声も全編アフレコで再編集するし、サロン関係者だけの内部閲覧に徹するから、ミス・ナオコには絶対ご迷惑はお掛けしないことを誓うわ」
 アンジェラさんが、お優しいお声でつづけます。
「だから、ミス・ナオコも痛かったり気持ち良かったりしたら、遠慮せずにお声をどんどん出していいから、ね?」
「それに、こうして自分が何されているか、逐一自分で見れるのって、直子の性癖にぴったりでしょう?わたし、アンジーから誰かモデルになってくれる人いない?って相談されたとき、まっさきに直子の顔が浮かんだもの」
「そういうことだから、いいわね?直子?」
 シーナさまに冷たいお声を投げつけられて、首を横に振れる私ではありません。
「は、はい・・・」
 お答えしながら眼前を見ると、自分のお尻が超どアップで映っていました。

「さあ、それでは施術に入りましょう。みなさんは、すでにご自分のからだで具体的な手順は試してきたのよね?」
「はいっ!」
 足のほうで、アンジェラさんと研修のお3人のやりとりが始まっていました。
 小野寺さんは、いったんビデオカメラを切ったらしく、モニターは真っ暗になっていました。

「それならワックスの使い方などに関しては、言及しません。今日は、実際にお客様に施術するとき、どういう点に気を遣うべきか、に重点を置いて説明していきます」
「はいっ!」
 アンジェラさんと研修のお3人、シーナさまが命名されたところのリナリナトリオのみなさんとのあいだに、緊張した雰囲気が流れています。
 シーナさまは、私の頭を見下ろしながらニヤニヤ笑い。
 蘭子さんも立ち上がって、私のお尻付近を見下ろしていらっしゃいました。
 私は枕に顔を埋め、でもまたすぐに不安になって上下左右をキョロキョロ。

「さて、まず最初の注意点ですが、O・I・V脱毛の場合、今日のミス・ナオコのように全裸になっていただく必要は、まったくありません」
「ケースバイケースですが、脱毛だけのお客様なら、上半身は普通に着たまま、もしくはローブを着ていただくとか、なるべく羞恥を感じられないように心配りすることが大切です」
「ご年配のかたは、それほどでもないですが、お若いと、とても恥ずかしがるかたもいらっしゃいます。そんな場合は、施術が見えないようにお腹のところにカーテンをしたり、お部屋を暗くしたり、工夫してください」

「そういう意味で、施術前のカウンセリングは重要です。お客様のニーズをしっかり把握して、出来る限り合わせるように」
「お客様が満足されれば、必ずリピーターになってくださいます。ですので、とくに初回のお客様には細心の心配りで接すること」
「ちなみにミス・ナオコの場合は、ミス・シーナが、ミス・ナオコはこうしたほうがお悦びになるとアドバイスをくれたので、そうしただけです」
 リナリナトリオのうちの誰かおひとりがクスっと笑ったようでした。
 それも恥ずかしかったのですが、何よりも冒頭のアンジェラさんのお言葉にピクンとからだが震えました。

 脱毛。
 エステにかかる、ということ自体が生まれて初めての体験でしたので、いったいこれから何をされるのか、ほとんど見当がついていませんでした。
 マッサージ的な何か、かな、と思いながらも、シーナさまから無駄毛処理を禁じられての訪問でしたから、そっちの関係だろうな、とも予想はしていました。
 今のお言葉でハッキリしました。
 私はこれから、みなさまの前でアソコ周辺の毛を脱毛されるんだ・・・

 いったいどんな方法で?
 私が知っている脱毛方法は、カミソリか脱毛テープ、それとレーザー。
 レーザー脱毛器ぽい機械は見当たらなかったので、たぶんテープなのかな?
 そう言えばさっき、ワックスっておっしゃっていたな・・・
 ワックスって、ローソク?

 いずれにしても私はこれから、その部分をみなさまにじっくり視られながら、思う存分弄られちゃうことにはなるのでしょう。
 おまけにそれがビデオとして残されてしまうのです。
 あっ、だめぇ・・・
 アソコの中がみるみるうちに、ウルウル涙ぐんできました。


コートを脱いで昼食を 18


2013年10月20日

コートを脱いで昼食を 16

 ソファー、テーブル、ソファーと川の字にレイアウトされた豪華な応接セット。
 みなさまがよーくご覧になれるようにとシーナさまに手を引かれ、ソファーが無い側のテーブルの後ろに立たされました。
 さっきまで私とシーナさまが座っていたソファーには、研修のお3人がお座りになり、5人全員が座ったまま少しからだを斜めにひねって、私に注目しています。
 小野寺さんは、入口近くの椅子に座ったままでしたが、視線はしっかりこちらに向けられていました。

「ほら、さっさと脱ぎなさいっ!」
 私の傍らにお立ちになったシーナさまが、どこから取り出したのか、アンテナ式のポインターペンを伸ばして、私のジャケットをつっついてきます。
「もう少しテーブルから離れなさい。みなさんから下半身が見えにくいでしょう?」
 シーナさまのご指示通りにしながら、私は観念しました。
 こんな状況になったら、もはやシーナさまに逆らえるはずがありません。
 それに私は、こんな状況をいつも妄想していたはず。
 シーナさまは、私の妄想を実現させてくれようとしているのです。
 だけど現実になると、やっぱりすごく、例えようもないほど恥ずかしいです。

 ジャケットのボタンをはずし、両腕を袖から抜きました。
 いつの間にか私の傍らに来ていた小野寺さんが、私が脱いだジャケットを受け取ってくださいました。
「あ、ありがとうございます・・・」
 小さな声でお礼を言うと、小野寺さんはニコッと笑い、ジャケットを持ったまま私の至近距離に立ち、そのまま待機されました。

 ちょっと迷ってから、先にスカートを脱ぐことにしました。
 ホックをはずして足元に落とし、スリッパを脱いで拾い上げました。
 小野寺さんが手を差し伸べてきたのでお渡しします。

 次はブラウス。
 このブラウスを脱ぐと、上半身はブラジャーだけになってしまいます。
 でも、それよりも心配なのは下半身でした。
 一枚づつ脱いでいるあいだずっとドキドキ心臓が高鳴り、それはもちろん性的興奮なので私の淫乱なアソコはヒクヒクとのたうち、恥ずかしいおツユをとめどなくジワジワ分泌していました。
 それは、淡いピンク色のショーツの薄いシルク地など、いともたやすく浸透して広範囲を色濃く変色させ、パンティストッキングの表面にまで滲み出ているはずでした。
 今はブラウスの裾でかろうじて隠れていますが、ブラウスを取れば、誰の目にもあからさまにわかってしまうくらいに。
 リボンをほどき、ボタンをはずしていきます。
 ブラウスを左右にそっと開くと案の定、股間がお漏らしでもしちゃったみたいに盛大に変色していました。

 私は、お洋服を脱ぐあいだ中ずっとうつむいていました。
 アンジェラさんたち6人のほうを、どうしても見ることが出来ませんでした。
 どんなお顔をされて、どんなお気持ちで、私の、この突然のストリップショーをご覧になっているのだろう?
 ちょっぴり知りたくもありましたが、それの100倍以上の恥ずかしさで、どうしても顔が上げられませんでした。
 みなさまも、誰も一言も発さず、まるでこのお部屋には誰もいないかのようにシンと静まり返っていました。
 ただ、痛いほどの視線が素肌に突き刺さってくるのだけを感じていました。

 ブラウスを開いたとき、この後、とめどなく襲われることになる、今すぐこの場を逃げ出したいほどの恥ずかしさの、最初のピークが訪れました。
 こんな恥ずかしいシミで汚れたソコは、絶対視られたくない。
 もういてもたってもいられず、クルッとみなさまに背中を向け、手早くブラウスを脱ぎました。
 すかさず小野寺さんの手がブラウスに伸び、レストランのウェイターさんのトーションのように左腕に掛けていた今までのお洋服とひとまとめにして両手で持ち、入口のほうへスタスタ歩いて行かれるのが、視界の端に映りました。
 
 シーナさまに叱られるかな?とも思ったのですが、何もおっしゃらないので、背中を向けたままの姿勢で一気にパンティストッキングもずり下げました。
 穿き慣れていないので、足首から抜くのに少し手間取り、からだが大きく揺れて、おっぱいがプルンと跳ねます。
 足首から抜いて丸まったパンティストッキングの一部分は、少し粘りのある液体でジットリ濡れていました。

 これでもう、あとはブラジャーとショーツだけになってしまいました。
 首にマゾの首輪も着けていますが、たぶんこれは、はずさないほうが良いのでしょう。
 シーナさまがまだ何もおっしゃってこないので今のうちと思い、みなさまに背中を向けたまま、両手を背中へまわしてブラのホックをはずし始めました。
 気が焦って手元が震え、なかなかはずれないホックにジリジリしながら、頭の中で考えていました。

 これはすべて、シーナさまの計算ずく。
 私におめかしさせたのも、みなさまの前で時間を掛けてお洋服を脱がさせることで、私の羞恥心を最大限に煽るための手段だったのでしょう。
 どうせ人前で裸になるのであれば、始めからノーパンノーブラのワンピース姿か何かで、一枚脱いで即全裸、みたいなほうが、気持ち的にラクだったような気がしていました。
 
 ノーパンノーブラで人前に現われること自体が、すでにかなり恥ずかしいことではあるのですが、そんな格好をする人はつまり、そういう人として見られますから、裸になったときのインパクトもそれなりのものになるでしょう。
 一方、お洒落してきちんとした格好をしていれば、一般的にごく普通の人として見られます。
 そんな人が、シーナさまのご命令ひとつで、お洋服を脱ぐ過程を第三者にじっと視られながら、裸になる。
 視ていらっしゃるかたも、この人はいったいどんな人なのだろう?って興味シンシンになられるだろうし、脱ぐほうも、出来ることなら隠しておきたい自分のヘンタイ性癖を、自らの手で、時間を掛けてあからさまにすることになるので、その恥辱感は相当キツイものになります。
 そこまでお考えになっての、シーナさまのご指示。
 シーナさまって、やっぱりスゴイな、って、そんな場合ではないのですが、感心してしまいました。

 ブラジャーをはずして足元に置き、覚悟を決めてショーツに手をかけたとき、シーナさまのポインターペンがヒュンと一閃、前屈みでショーツを脱ぎかけていた私の裸のお尻をペチッと叩きました。
「ぁんっ!」
「ちょっと何?みなさんにお尻なんか突き出して?失礼な子ね。みなさんのほうへ向きなさい!」
「あっ、は、はい!」
 膝の上までずり下げていたショーツを素早く足首まで下ろしました。
 中途半端に生え揃った翳りの下から垂れ下がる透明なか細い糸が、何本か足首のほうへとツーっと伸びては切れました。

「それと、悪いのだけれど小野寺さん?バスタオルか何か、一枚貸していただけるかしら?」
 再び私の傍らに戻っていた小野寺さんが、またスタスタと入口のほうへ行かれたようでした。
 私は背中を向けたままその場にしゃがみ、ショーツの濡れている部分が表に出ないように丸めてから、隠すように足元のブラジャーのカップに押し込みました。

「ほら、小野寺さんからタオル受け取って、自分の足元に敷いて、さっさとみなさんのほうに向きなさい!」
「直子、お股からえっち汁、ダラダラじゃない?綺麗なペルシャ絨毯が台無しになっちゃうわよ?この絨毯、お高いのよ?ほら、早くしなさいっ!」
 誰かがクスッと笑い声を洩らしたのが聞こえました。
 ポインターペンでお尻をペチペチされ、私は足元にバスタオルを敷き、右手は股間に、左腕でバスト全体を隠しながら、ゆっくり回れ右をしました。

 私がみなさまのほうを向いたと同時に、小野寺さんがその場にひざまずき、私が脱いだブラジャーとショーツとパンティストッキングを拾い上げました。
「あっ、それは・・・」
 小野寺さんは立ち上がってニッと笑い、丸まったパンティストッキングとショーツをもう一度広げ、丁寧に折りたたんでからブラジャーと一緒に入口のほうへ持って行ってしまいました。
 小野寺さんの指が私のおツユで汚れちゃった・・・
 言いようのない恥ずかしさが、全身を駆け巡りました。

「ねえ直子?あなたのさっきからのその態度は何?」
 シーナさまが怒ったみたいなお顔になり、私の顔を覗き込みます。
「今日はね、アンジーたちがあなたのからだをいっそうキレイにケアするためにわざわざ集まってくださったのよ?」
「それなのに、背中を向けるは、お尻を突き出すは。今だって、うつむいちゃって、隠しちゃっててどうするのよ?」
「直子が裸になったら、するべき姿勢があるでしょう?わたし、さんざん教えたはずよ?」
「ほら、まず顔を上げなさい!」
 同時にお尻をペチッとされて、私はうつむいていた顔を恐々上げました。

 アンジェラさんと蘭子さんは、困ったような曖昧な笑顔をされています。
 研修のお3人は、肩を寄せ合って興味シンシンのワクワク顔。
 小野寺さんは唇の両端だけを少し上げたクールな微笑。
 みなさんじっと私のからだを見つめていました。
 おのおののかたと視線が合うたびに、からだの奥がキュンキュン疼いてしまいます。
「顔を上げて、前を向いて、それから?」
 シーナさまが間髪を入れずにたたみかけてきました。
「直子のからだを隅々までじっくり視ていただくのに、ピッタリなポーズがあるでしょう?」

 シーナさまがおっしゃっているのは、マゾの服従ポーズ、のことだとわかっていました。
 ここまで来たらもう仕方ありません。
 私は、まず両脚を、休め、の姿勢くらいに開き、一呼吸置いてから意を決して、両手をゆっくり胸と股間からはずし、頭の後ろで組みました。
 私の動きに合わせて、アンジェラさんたちが少し身を乗り出し、隠されていた部分が露になるに連れて、視線がアチコチに散らばるのがわかりました。

 ああんっ!
 なんていう恥ずかしさ。
 なんていうみじめさ。
 みなさまがきちんとお洋服を着ている中で、ひとりだけ裸んぼの私。
 それもこんな豪華なお部屋の中で、全員がファッショナブルに着飾っている中で、私だけが首にマゾな証のチョーカーひとつだけの素っ裸。
 両腕を頭の後ろで組み、腋からおっぱい、アソコまで隠すことを禁じられた恥ずかしすぎるポーズで、シーナさまを含めて7人からの容赦ない好奇の視線を素肌に浴びせかけられている私。
 このセレブな空間の中で、一番身分が低いのは誰なのか、ということを嫌と言うほど思い知らされる、残酷なシチュエーションでした。

 妄想の中でなら今まで何度も思い描いたことがありましたが、現実でこんな目に遭うのは初めてでした。
 今日出会ったばかりの、昨日までは見知らぬ同士だった人たちに全裸を視られている私。
 この場にいるかたたち7人が全員お美しく、服装にも居住まいにも優雅な雰囲気を醸し出されているので、なおさら今の自分の立場が屈辱的でした。
 みなさまの慰み者・・・
 そんな言葉が頭に浮かび、狂おしい被虐感で今にも膝が崩れ落ちそう。
 今の私ほど、メス犬マゾペットの首輪が似合う女は、この世にいないでしょう。

「あら、ずいぶんと薄いのね・・・」
 私の股間をじっと見つめていたアンジェラさんが、ポツンとつぶやきました。
「そのくらいなら、たいした手間もかからなそうだし、研修にはうってつけね」
 張りつめていた緊張を和らげるみたいに、アンジェラさんがおやさしいお声でおっしゃり、ほっこり笑いかけてくださいました。
「それにミス・ナオコ、きれいな裸だわ。バストも良い形だし、腋も綺麗ね。肌も良くお手入れされているようだし」
「まあ、強いて言えばウエストをもう少し絞りたいかな?」
「ほら直子、褒められたのだからお礼を言いなさい」
「あ、ありがとうございます」
 シーナさまに促されて、服従ポーズのままペコリと頭を下げました。

「そんなに薄いのなら、うちに3、4回通ったら、永久ハイジニーナにもなれそうね。ミス・ナオコはそれがお望みなのでしょう?」
「あ、えっと、ハイジニーナって?・・・」
「パイパンのことよ。パイパンのエステ風おシャレな呼び方」
「直子はずっとパイパンのままが理想なんでしょ?視られたがりのマゾだから」
 シーナさまが教えてくださり、私は小さく、はい、とアンジェラさんにお答えしました。
 アンジェラさんが沈黙を破ってくださったおかげで、場にリラックスしたムードが若干戻り、研修のお3人も、私を視つつ、何やらヒソヒソしてはクスクス笑っていらっしゃいます。

「ご覧いただいた通り、直子はこういう女なの」
 シーナさまが私の横に立ち、アンジェラさんたちにお話し始めました。
「人前で裸にされて、恥ずかしがっているクセに、ここはこんなだし・・・」
 ポインターペンで、私の尖りきった左乳首をピンと弾きました。
「ぁあんっ!」
「ここも洪水みたいに濡らしちゃう、露出症のヘンタイ女」
 ポインターペンが私の土手をつつきます。
「その上、わたしの命令には絶対服従の真性マゾヒスト」
 ポインターペンが私の両腿の間を通過してから上に上がり、ワレメにグイッと食い込んできました。
「あっ、だめ・・・ですぅ・・・」
 シーナさま、ヒドイ。
 みなさまの前でそんなこと・・・

「だからくどいようだけれど、一切遠慮無しで、ぞんざいに扱っちゃっていいからね。虐めれば虐めるほど、この子は悦ぶはずだから」
「ほら、直子からもお願いしなさい」
 私の股間にポインターペンの側面を食い込ませてゆっくり前後しながら、シーナさまがニヤリと笑いました。
「ほ、本日は、よ、よろしくお願いいたしますぅ」
 ポインターペンの刺激にクラクラしつつ、マゾの服従ポーズのまま、悦びの声を抑え込んでなんとかご挨拶しました。
 アンジェラさんたちもそれぞれ、ビミョーな笑みを浮かべて会釈を返してくださいました。

「さあさあ、それではみんな着替えて。手早く準備をしましょう!」
 アンジェラさんの一声でみなさまが立ち上がりました。
「あ、直子のシャワーは、わたしが連れて行くから、蘭子さんたちはまだゆっくりしていて」
 シーナさまが蘭子さんと小野寺さんにそう告げて、私の右手を取りました。
「直子は、その今踏んでいるタオルで自分のオマンコを押さえて、わたしについてきなさい」
 アンジェラさんについてお部屋の外に出ようとしていた研修のお3人が、クスクス笑う声が聞こえてきました。


コートを脱いで昼食を 17


2013年10月14日

コートを脱いで昼食を 15

「ほら、直子?あなたもちゃんとご挨拶なさい」
 シーナさまが肘で私の脇腹をつっつきますが、私は恥ずかしさで顔を上げることが出来ません。
 今のシーナさまのお言葉を聞いて、アンジェラさんたちがどんなお顔をされているのか・・・
 うつむいたままモジモジするだけです。

 助けてくださったのはアンジェラさんでした。
「大丈夫よ。心配しないで。わたくしたちは、ミス・シーナがとてもイジワルな人だということを、みんな知っていますから」
 すっごくやさしいお声で、でもちょっぴりクスクス笑いながらおっしゃいました。
「親子ほども年の離れたマダムにイジワルしているところ、今まで何度も見ていますから、ね?」
 私がそっと顔を上げると、アンジェラさんももう一人の女性も、たおやかな笑顔を浮かべて私を見つめていました。

「ところで直子はさ、ここがどんなサロンなのか、わかっている?」
 シーナさまがニヤニヤしながら聞いてきます。
 私は首を小さく左右に振りました。
「あら、ミス・シーナは、ミス・ナオコに何も教えずに、ここにお連れしたの?」
 アンジェラさんが呆れたお顔でシーナさまを見ています。
 シーナさまはアンジェラさんには答えず、さらに私に聞いてきました。

「じゃあさ、想像でいいから、このサロンは、何をするところだと思う?」
「えっと・・・」
 言っちゃっていいのか、少し迷いましたが、正直に思ったことをお答えしました。
「あの・・・よくはわかりませんが、たぶん・・・な、なにか、えっちなことを、するところ?」
 本当は、SMプレイのサロンで、アンジェラさんたちは、おやさしそうなお顔をされているけれど、実は女王様なのじゃないかな、って考えていたのですが、それではあまりにストレート過ぎるので、少しぼかしました。

「ほらね。聞いたでしょ?直子、それは想像じゃなくて、あなたの願望よ」
「この子はね、こういう子なの。こんな澄ました顔してても、頭の中では年がら年中、いやらしいことばっかり考えているのよ」
 すかさずのシーナさまのツッコミに、私は再びうなだれてしまいます。
 うなだれる寸前に、アンジェラさんが苦笑いを浮かべているのが見えました。

「いい?直子。このサロンはね、知る人ぞ知る、とっても評判のいいエステティックサロンなの」
「それも富裕層のマダムやその子女限定で、完全紹介会員制。表立っては一切広告宣伝していなくて、ある種のステイタスがなければ施術を受けるどころか、この場に入ることさえ出来ない、隠れ家的な高級エステなの」
「こちらにいるアンジー、アンジェラ先生が、このサロンのチーフ・エステティシャンで、スゴイのよ。世界中の美容業界を飛び回って、最新の技術をいつも研究されているの」
「その上、看護師やら美容師やら整体師やら、あと何だっけ?とにかくその手の資格全部持っているから、美容関係のことは何でも出来ちゃうの」
「エンヴィって英語で、妬む、とか、羨む、っていう意味なのだけれど、ここに来れば誰でも、人から羨まれて妬まれるくらい美しくなれる、っていう意味が込められているんだって」
 シーナさまがまくしたてるみたいに説明してくださいました。

「わたしのアレのひとりがここの会員だったからさ、わたしも出入り出来るようになって、いろいろお世話になっているのよ」
「ミス・シーナには、良いお客様を何人もご紹介いただいて、感謝しているわ」
 アンジェラさんが嬉しそうにうなずきながらおっしゃいました。

「そう言えばミス・シーナ。マダム・ワカバヤシはお元気かしら?」
「あら?二週間前くらいに来なかった?わたし、バンコクにいたときにメールで命令を出しておいたのだけれど」
「ああ、ご存知だったのね。それならいいわね。確かにいらしたわ。いつものコースで」
「そうでしょう?キレイになっていたもの。相変わらずよ。あのメス犬の貪欲なド淫乱さには、わたしのほうが疲れちゃうくらいだわ」
「あらあら。だけどマダム・ワカバヤシがあのお年になっても若々しくてお綺麗なのは、80パーセントくらいはミス・シーナのおかげよね」
 シーナさまとアンジェラさんが楽しそうに笑っています。

 マダム・ワカバヤシさんて、たぶん私のマンションの一番上の階を所有している、シーナさまのドレイ兼パトロンなおばさまのことでしょう。
 楽しそうにお話されるシーナさまに、私はなんだかフクザツな気分。

「それにアンジー、さすがだわ。うちのメス犬とわたしとの関係は知っているクセに、無闇に顧客の情報を漏らさない、その姿勢はたいしたものよ」
 シーナさまが私のほうに向きました。
「アンジーはね、スペイン系のクォーターでね、日本語以外も5、6ヶ国語くらいペラペラなのよ」
「それでね、会員制とは言っても、めんどくさいお客も少しは来るのよね」
「なまじお金が有り余っているから傲慢になりがちなのよ、そういうマダムは」
「そんなときアンジーはね、そのお客に絶対わからない言葉、ドイツ語とかスペイン語とかでね、ちっちゃな声でヒドイ悪態ついてたりするのよ、その客の目の前でニコニコ笑いながら」
 愉快そうに笑うシーナさま。
「あらやだ!ミス・シーナ、気づいていたの!?困ったわ、あなたの前だったら何語で悪態をつけばいいのかしら?」
 ひとしきり、楽しげな笑い声が響きました。

「そんなわけで、今日は直子に、このサロンの超一流の技術で、よりいっそうキレイになってもらおうと思って連れてきたのよ」
「ここのエステのモットーはね、お客様が喜ぶことを全力でしてさしあげること、なんだって。直子が喜ぶこと、って、わかるでしょ?」
「だから安心して、わたしの言う通りにしなさい」
 シーナさまの目が一瞬、妖しく光った気がしました。

「そうそう、ご紹介が遅れてしまったわ。わたくしの隣のこの女性は、うちのスタッフの一人で・・・」
 アンジェラさんのお言葉が終わらないうちに、その女性がスクッと立ち上がりました。
「夏目蘭子です。どうぞよろしくお願いいたします」
 スッと私に名刺が差し出され、私も慌てて立ち上がりました。

 夏目蘭子さんは、三人の中では一番肉感的なタイプでした。
 と言っても決してふくよかなのではなく、出るところは出て、引っ込むべきとことは引っ込んでいる、つまりすっごくプロポーションが良いのです。
 薄手のカシミアらしいベージュのロングセーターに包まれたその肢体は、まさにボンキュッボン、見蕩れちゃうほどセクシー。
 細面に涼しげな目元、少しカールしたボブカットでニッコリ微笑んだ姿は、まるでファッションショーの一流モデルさんのようでした。

「蘭子さんのマッサージはね、本当、魔法みたいなのよ」
 シーナさまが嬉しそうに、お口をはさんできました。
「それはもう、からだ中が蕩けちゃうくらい気持ち良くて、終わったら何もかもがスッキリ。肩凝りでも筋肉痛でもストレスでも、跡形もなく消えちゃうの。まさにマジックね」
「あとでわたし、蘭子さんにマッサージしてもらうんだ。それで指名して、わざわざ今日来てもらったのよ」
 シーナさま、本当に嬉しそう。

「そして、あそこに座っているのがわたくしの秘書、小野寺梓さん。事務関係全般とスケジューリングなんかをやってもらってるの」
 アンジェラさんのご紹介で、受付の美人さんが立ち上がり、私に向かってさっきと同じような完璧なお辞儀をしてくださいました。
 私も丁寧にペコリ。

「さあ、これで今日来ているスタッフの紹介は終わったわね。ミス・ナオコも今日からわたくしのサロンの会員よ。ミス・シーナのご紹介だもの、大歓迎よ。いつでもお好きなときに遊びにいらっしゃい」
 アンジェラさんがニッコリ笑いながらおっしゃってくれました。
「もちろん、ペイのほうは全部、ミス・シーナにツケておくから。何も心配はいらないわ」
「望むところよ。わたしも直子がもっとキレイになるのなら、そんな出費なんてまったく気にもしないわ」
「でも、お振込みの名義はなぜだか、マダム・ワカバヤシなのでしょう?」
 またひとしきり、楽しげな笑い声が響きました。
 シーナさまもアンジェラさんも、どこまで本気なのだか。

「さて、それじゃあそろそろ始めたいと思うのだけれど、その前にやっぱり、もう一度確認しておくわ。ミス・シーナ、例の件だけれど」
「例の件、って・・・ああ、研修のこと?」
「そう。わたくし、てっきりミス・シーナはまた、誰かそういうマダムをお連れになると思っていたから、気軽にお頼みしちゃったのだけれど、お連れになったのはマダムどころか、可愛らしいマドモアゼルじゃない?本当にいいのかな、って」
「大丈夫よ。気にしないでやってちょうだい」
「でも、ああいうところを見られるのって、すごく恥ずかしいのじゃない?それも、年が近い子たちだと、とくに・・・」
 ご心配顔のアンジェラさんが私の顔を覗き込むように見てきます。

「大丈夫よ。モーマンタイ。直子なら、むしろそのほうがいい、っていうくらいよ」
 シーナさまも私の顔をチラチラ見ながら、つづけました。
「この直子はね、こう見えて、かなりのヘンタイ娘なのよ。見せたがり、っていうよりも、視られたがり、ね」
「だからこの後のことも、余計な気遣い、気配りは一切、まったくいらないから。うちのメス犬にするときみたいに、いいえ、もっと大胆な格好をさせてもかまわないわ」
「直子はクラシックバレエをやっているから、からだがかなり柔らかいの。だから研修もやりやすいと思うわよ。言うこときかなかったら遠慮なくお尻叩いちゃっていいから」
「だけどこの子、すごく敏感ですぐ濡れちゃうから、そういう意味ではちょっと、やりにくいかもしれないけれどね」

 えっ!?
 シーナさまったら、普通のお顔でシラッと、スゴイことをおっしゃっていません?
 私の恥ずかしい性癖をどんどんバラしちゃってる。
 それで、アンジェラさんも、それを真剣に聞いていらっしゃる。
 ここってエステなのよね?
 私、これから何されるの?
 再び頭がパニックになって、全身を火照らせたままうなだれてしまいました。

「そう。そういうことなら、お言葉に甘えて予定通りでいきましょう。ミス・ナオコがそれを望んでいらっしゃる、と聞いて安心しました」
 えーーっ!そんなこと私、言ってない・・・
「それなら一応、始める前に研修の子たちにもご挨拶させるわね。小野寺さん、呼んでちょうだい」
 私がうなだれているあいだに、事態はどんどん進行していきました。

「ほら、直子っ」
 シーナさまに肘で脇腹をつっつかれて、恐る恐る顔を上げました。
 新たに、それぞれカラフルな私服を着た可愛らしい系の女性が3人、アンジェラさんの後ろに並んでいました。
 私が顔を上げたと同時に、
「よろしくおねがいしまぁーす!」
 声を揃えて元気良く、ご挨拶されました。

「えーっと、向かって左から、アリナさんとマリナさんとセリナさん。偶然3人とも似たような名前だけれど、こういう名前を付けるのが流行っていた世代なのかしらね?」
「3人ともうちの見習いスタッフで、入ってまだ日が浅いから、アロマテラピーやマッサージはほぼ習得したのだけれど、これからやる施術の現場は初めてなのね」
「だから今日、わたくしがミス・ナオコに施術するところを見せて、覚えてもらおうと思っているの」
「ひょっとすると、実際にこの子たちにもやらせてみるかもしれないけれど、わたくしが付いて細心の注意を払っているから、どうかご安心してご協力くださいね?」
「どうぞよろしくおねがいいたしまぁーす!」
 再び声を揃えて元気良く、お願いされてしまいました。
「は、はい・・・」
 そう答える他ありません。

「それにしても、アンジーのサロンのスタッフって、全員もれなく美人よね?」
 シーナさまが前に並んだ5人をしげしげと見回しながらおっしゃいました。
 私もそう思っていました。
 それもみんなタイプの違う美人さん。
 アンジェラさんは華やかなエキゾティック・ビューティ、小野寺さんはインテリジェント・クール・ビューティ、蘭子さんはグラマラス・ビューティ。
 研修でご一緒されるという3人も、年齢は私とそう変わらない感じで、それぞれ、どこかの美少女アイドルグループや女性ファッション誌の読者モデルさんと言われても信じちゃうくらい、キュートな美人さん揃いでした。

「それはそうよ。わたくしたちは、女性の美を追求するエステティシャンなのですもの」
「ねえ、ミス・シーナ?たとえばあなた、頭に毛がなくなっちゃった社員が何人も働いている製薬会社の育毛促進剤、買う気になる?」
「つまりそういうこと。スタッフが美しくないビューティサロンなんて、誰も来やしないわよ」
「だからわたくしはいつも、スタッフには自分の美しさをキープする努力を、まず一番に要求しているの」
「ミス・ナオコ、あなたもその気があったら、うちで修行させてあげるわよ?」
 アンジェラさんがパチンとウインクをくださいました。

「さあ、それでは始めましょうか?」
 アンジェラさんのひと声で、その場にピーンと緊張感が走りました。
「ミス・ナオコには、あちらのドレッシングルームで準備していただいて、施術するみんなはユニフォームに着替えて・・・」
 アンジェラさんがそこまでおっしゃったとき、遮るようにシーナさまの鋭いお声が響きました。
「ちょっと待って。アンジー?わたし言ったはずよ?余計な気遣いは一切無用だって。直子にはドレッシングルームなんて贅沢なものは、いらないの」
「みなさんも、もう少しそこでラクにしていていいわ。今、面白いものをお見せするから」
 そして、シーナさまが私を見ました。

「直子?」
「は、はい」
「裸になりなさい」
「えっ?」
「今すぐ着ているものを全部脱ぎなさい」
「え、えっと、こ、ここで、ですか?」
「何回言わせるの?早く裸になりなさい」
 シーナさまの瞳にエスの炎がチロチロと揺れ始めていました。


コートを脱いで昼食を 16