2013年9月2日

コートを脱いで昼食を 07

 知らず知らずに、自分の胸を両腕で抱くような仕草をしていました。
 尖りきった乳首がコートの裏地に擦れ、今現在の自分のコートの中身を思い出させます。
 そう、私は今、裸コート中。
 今日ここでおばさまにお浣腸をしてもらうとしたら、否が応でも、このコートの中をおばさまにお見せしなければならなくなります。

 どうしてそんな格好をしているの?
 どうしてコートの下に何も着ていないの?
 困惑されるおばさまのお顔が目に浮かびます。

 その答えとして、私が正直に自分の性癖を告げたとして、それからおばさまがどうされるかは未知数。
 呆れられるのか、蔑むのか、叱られるのか、はたまた逆に好奇心をそそられるか。
 ひょっとしたら、こんな性癖に理解を示していただける可能性も無いことはないかも。

 試してみたい気持ちもありましたが、一方では、少し距離があるといってもここは私の生活圏内、 おばさまに嫌悪され最悪の事態になって、ご近所中のウワサの的になっちゃう可能性も大いにありました。
 そして何よりも、こんな私のろくでもないヘンタイ性癖を無駄に露にして、心優しいおばさまの純粋な親切心を踏みにじるのはいけないな、と思いました。

 もしも今、私が普通の服装、コートの下に何がしかのお洋服をちゃんと着ている状態、なら、おばさまのご提案を嬉々として受け入れていたことでしょう。
 もちろん表向きには思い切り恥じ入りながら、でも内心はワクワクで。
 それくらい心躍る、あがらい難いご提案でした。

 だけど、そもそも裸コートでなかったら、お浣腸薬をお薬屋さんで対面で買ってみよう、なんていう大胆な冒険は、思いつかなかったことでもありました。
 普通の服装だったら、こういう展開はありえず、裸コートだったからこそ、こうしておばさまに出会えたのです。
 すっごく残念だけれど今回は、お断りするしかないだろうな・・・

 私が長いあいだ考え込んでしまっているのを見てあわてたのか、おばさまのほうが先に、ご自分のご提案を白紙に戻そうと思われたようでした。

「ごめんなさいね。わたし、ずいぶんとデリカシーの無いこと言っちゃったわよね?」
 本当にすまなそうなお声で、おばさまが私の顔を覗き込んでおっしゃいます。
「年頃の女の子が、こんな知らないおばさんの前でお尻なんて出せるワケないわよね?そんな恥ずかしいこと」
「お嬢ちゃんとお話ししてたら、看護婦時代のこと思い出しちゃって、懐かしくなって、ついそんなこと言っちゃったの。ごめんなさい。許してね」
 おろおろされているおばさまを見ていると、私の心がズキズキ痛みました。
 悪いのはぜんぶ、私なのに。

「いえっ、あの、本当にありがとうございます・・・」
 私は、ご提案を無かったことにしたくありませんでした。
 覚悟を決めて、今の気持ちを正直にありのまま、おばさまに伝えることにしました。

「・・・見ず知らずの私に、こんなにご親切にしていただいて、本当に嬉しいです」
「だけど今日はちょっとあの、アレなので・・・だ、だからお家に帰ったら、とりあえずひとりで、お、お浣腸をしてみます・・・」
 自分で口に出したはしたない言葉に、キュンキュン発情しちゃっています。
「それで・・・それでもし、うまくいかなかったり、ひとりでは無理だなって思ったら、また、ここに来ますから、そのときは・・・」
 おばさまをすがるように見つめてしまいます。

「そのときは私に、お、お浣腸、してくださいますか?」
 言った瞬間に、アソコがヒクヒクと波打ち、内腿をおツユがすべり落ちました。
 私の頭の中には、おばさまの前で四つん這いになって裸のお尻を突き出し、お浣腸された後も、おばさまに見守られて一生懸命がまんしている恥ずがし過ぎる自分の姿が、まざまざと浮かんでいました。

「えっ!?」
 おばさまは一瞬たじろいで絶句した後、すぐにホッとしたお顔になり、ニッコリ微笑みました。
「それはもちろんよ。いつでも言ってちょうだい。絶対お力になれるから」
「看護婦だった頃は、それこそ数え切れないほどお浣腸したものよ。子供にも大人にも」
「とくに小学校高学年くらいの子供が恥ずかしがるのが可愛かったのよね。男の子って恥ずかしいと、怒った顔になっちゃうの」
 クスッと笑うおばさま。
「好きだったなー、お浣腸するの」
 懐かしそうに目を細めたおばさまが、そのまま私をまっすぐに見つめてきました。

「だから恥ずかしがらずにいつでも言ってきてちょうだい。わたしにとっては、誰かにお浣腸することって、普通にずっと仕事でしていたことだから、ね?」
 ニッと笑ったおばさまは、さっきのおろおろから完全に立ち直っていました。

 実際には便秘でも何でもない私がお浣腸を欲するのは、自分のいやらしい被虐心を満足させるため、です。
 そんなヘンタイ行為に、おばさまの手をお借りすることは、おばさまの親切心を利用することになってしまうのは、わかっていました。
 それが後ろめたくもあったのですが、今のお話の感じだと、おばさまは、お浣腸を施す行為自体がお好きなご様子。
 それなら、ふたりの利害関係は一致します。

 最初におばさまからご提案いただいた瞬間に、このおばさまにお浣腸をされる自分、という妄想から抜け出せなくなっていた私は、幾分気持ちが軽くなって、次はどのタイミングでこのお店に来ようか、なんて考え始めていました。
 SMの関係ではなく、まったくそういう資質の無い人から受けるお浣腸って、された自分はどんな気分になるのだろう?
 近い将来、それを知ることが出来そうです。

「そうだ。お嬢ちゃんは、お医者さんが使う浣腸器は、見たことある?」
 完全復活したおばさまは、包んだ荷物をまだ渡してくれず、また新しい話題を振ってきました。
「えっ?」
「ガラスで出来ていて、注射器みたいにお水を吸い上げる方式のやつよ。知らない?」
「えっと・・・」

 もちろん知ってはいますが、実物ではなく、SMの写真やビデオで見たことがあるだけでした。
 けっこう太い注射器みたいな器具に何かの液体を一杯に吸い込み、太めな先っちょを嫌がる相手のお尻の穴へと無理矢理突き刺して・・・
 そんな禍々しい印象がありました。
 でも、そんなことおばさまには言えません。

「えっと、写真で見たことがあるような、ないような・・・」
「ちょうどね、ずっと売れ残ってるのがひとつあるのよ。何かの話のネタになるかもしれないから、見せてあげるわね」
 おばさまがそう言って、ご自身の背後の棚をゴソゴソし始めました。
「あった、あった。はら、これ」

 おばさまが大きめな白い紙箱の蓋を開けると、ガラス製のそれが横たわっていました。
 やっぱりけっこう太い。
 見るからにひんやりしていそうなガラス製のそれは、ガラスの肌に容量の目盛りが打ってあり、まさしく、医療器具、という感じ。
 なんとなく、手に取ることがためらわれる雰囲気を醸し出していました。

 その浣腸器を見たと同時に、唐突に思い出したのが、幼い頃、ご近所のお友達とひそかにしていたお医者さんごっこ。
 その行為が意味することはまったくわからず、ただ、お浣腸、という名前で施された見よう見まねのシンサツ。
 あのときに浣腸器の代わりとなったオモチャの大きめなプラスティック製注射器と、目の前に横たわっているガラスの浣腸器の姿が重なりました。
 お医者さんごっこのお浣腸では、今でも忘れられない、すっごく恥ずかしい思いをしたことがあったっけなー。
 懐かしさと一緒に、頬が火照ってきました。

「ほら。持ってみて」
 大昔の恥ずかし過ぎる思い出に頬を染めている私に、おばさまが箱から取り出した浣腸器を差し出してきました。
「は、はい」
 恐る恐る、両手で慎重に、浣腸器を受け取りました。
 けっこう重い。

「大きい、ですね?」
「そうね。それは100ミリのやつだから普通かな。その倍の200ミリっていうのもあるわよ」
「こんなに全部、お薬を入れちゃうんですか?」
「ううん。グリセリン浣腸だと多くても5~60ミリくらい。お嬢ちゃんが今日買った市販のお浣腸薬が30ミリだから約2個分ね。普通の便秘なら1個で充分のはずよ」
「だけどぬるま湯浣腸なら、100ミリからその2、3倍も入れるときもあるわね」
「ぬるま湯、ですか?」
「そう。腸への刺激が少ないぬるま湯なら、たくさん入れても大丈夫なの。限度はあるけれどね」

 手の中にある浣腸器をまじまじと見つめてしまいます。
 自然と目がいってしまうのは、お尻に挿すのであろう先端部分。
 緩く楕円にカーブを描く意外に太め長めなその部分を、知らず知らずに指で撫ぜていました。
「そう、そこのところをお尻の穴に挿れるの」
 おばさまが私の顔を覗き込むようにして、いたずらっぽく微笑みました。
 やだ、見られてた!
 私の頬がますます赤く染まります。

「ぬるま湯浣腸はね、便秘とかに限らず、大腸の洗浄にも使うの。腸の、うがい、みたいなものね」
「だからグリセリンのお浣腸で出した後、今度はぬるま湯でお浣腸しておくと、お薬も中に残らなくて腸がすっきりするはずよ」
「そうだ。今度来たときにやってあげるわ。この浣腸器で」
「今は市販のお浣腸薬が定着していて、こういう大げさな浣腸器はこの先も売れないだろうから、これはお嬢ちゃんのために、熱湯消毒して大事に保管しとくことにするわね、今度来たときのために」
 おばさまが再び微笑んで私を見つめてきました。
 おばさまったら、私にお浣腸する気満々です。

「こんにちはー!」
 そのとき、表の引き戸がガラガラっと開く音がして、元気のいい女性のお声が飛び込んできました。
「あらー、いらっしゃいー、そろそろ来る頃かなって思っていたわ。いつものやつね?」
 持っていたガラスの浣腸器をあやうく落としそうになるほどビクンとしてしまった私とは対照的に、おばさまは慣れた調子で大きくそう答えてから、私に背を向けて棚をガサゴソし始めました。
 私が慎重に浣腸器を紙の箱に戻していると、おばさまが何かを詰めた紙袋を浣腸器の横に置きました。

「お店のほうはどう?」
「だめだめねー。不景気で。お客さんがぜんぜんお金使ってくれないのよー」
「でも、新しい子も入れたのでしょう?」
「て言うか、お店に来てくれる人の数が減っちゃってるのよねー」
 おばさまと、こちらへ近づいて来る常連さんらしき女性のお客様との大きめなおしゃべりの応酬の後、その女性が棚の陰から姿を現わしました。


コートを脱いで昼食を 08


2013年8月25日

コートを脱いで昼食を 06

「あっ、えっと・・・実家にいた頃に母にしてもらったことはありました」
 私にそんな記憶はまったく無かったのですが、なぜだかそんな嘘がスラスラと口をついて出ちゃいました。
 私が誰かからそんなことをされたのは、高二のときのやよい先生だけでした。

「そう。実家にいた頃は、っていうことは、今は独り暮らしなのね?大学生?」
「はい」
「今年こっちに出てきたの?」
「はい」
「そう。それは心細いわねー」
 このおばさまは、本当に心優しい人みたいです。

「今のお住まいは、ここの近くなの?」
「いえ、そんなに近くはないです。あっちの広い通りの近くのマンションなので」
 たぶんそっちの方角だろうと思われる中空を指さして答えます。
「ああ、あの通りのほうね。それならここまでけっこうあるわね。それはそれはご苦労さま」
 おばさまがまたニコッと笑いました。

「そうよね。こういうもの買うのって、ご近所のお店だと気恥ずかしいものね。お嬢ちゃんみたいな若い子なら、とくにね」
「でも安心して。今日ここに来たのも何かのご縁よ。これからはわたしが、お嬢ちゃんのお薬の面倒は、全部見てあげる」 
「何かおからだのことで困ったことがあったら、恥ずかしがらずに何でも相談してちょうだい。きっとお力になれると思うわ」
 私の目をじーっと見つめて、任せてね、っていう笑顔を向けてくれました。

「は、はい、ありがとうございます」
 言いながらも私は、おばさまに申し訳なくてたまりません。
 こんなに親身になって心配してくださるのに、今私がやっていることといったら・・・
 おばさまの優しい目に見つめられて、ドキドキがいっそう激しくなっています。

「そうすると、お嬢ちゃんは一人でお浣腸は、したことないのね?」
「あ、えっと・・・は、はい。そうです」
 また、おばさまに嘘をついてしまいました。
 下半身がキュンキュン震えてしまいます。

「それだったら、これからやり方を教えてあげる。こう見えてもわたし、若い頃は看護婦だったのよ」
 おばさまがちょっと照れたようにはにかんでから、うふふ、って笑いました。
「薬剤師だった旦那と結婚して、ここの薬局を継いで、でも旦那はずいぶん前に亡くなっちゃった」
 一瞬しんみりしたお顔になりましたが、すぐに笑顔に戻り、お浣腸薬の箱をひとつ、開け始めました。
 ということは、おばさま、意外とけっこうお年を召しているのかな?

「ほら、これがお浣腸。この丸いところにお薬が入っているの」
 見慣れた薄いピンク色の丸っこいお浣腸容器が、おばさまの手のひらの上に乗っています。
「このノズルをお尻の穴に挿れて、丸いところを押してお薬を体内に入れるのね」
「ノズルの先っちょが尖っているみたいに見えるけど、まあるくカーブになっているから大丈夫。痛くはないわ」
 ノズルの先のキャップをはずして、実際に先っちょを見せてくれます。

「お浣腸液っていうのはね、実際のところ真水とグリセリンを混ぜただけなの。グリセリンが腸を刺激する作用を持っているのね」
「それでね、知ってる?グリセリンて甘いのよ。だからお浣腸液も甘いの」
 おばさまが突然私の右手を取りました。
 私は驚いてビクンと全身を震わせてしまいます。
 コートの中でおっぱいがプルン。

「あ、ごめんごめん。びっくりさせちゃった?ちょっと手のひらを貸してね」
 おばさまの左手に右手首を掴まれたまま、おばさまに向けて右手のひらを恐る恐る差し出しました。
 おばさまの手はひんやりとしていました。
 おばさまは、右手で持ったお浣腸容器を私の右手に近づけ、私の中指の先にお浣腸液を一滴、ポタリと落としました。

「舐めてみて」
「えっ?」
「大丈夫。毒じゃないから。舐めてみて」
「は、はい・・・」
 おばさまの左手から解放された右手を、雫をこぼさないように顔に近づけ、舌先でペロリと舐めました。
「本当だ。甘いです」
 これは知りませんでした。
「ねっ」
 おばさまは、イタズラが成功した子供のように満足気な笑顔で、嬉しそうにうなずきました。

「それで、これをお尻に挿すわけだけど、ひとりだとけっこうやりにくいのよね」
「ほら、自分ではお尻の穴って見えないじゃない?だから手探りでやることになるのだけれど」
 お浣腸容器にキャップを付け直して、おばさまはそれを手のひらの上でコロコロ転がしています。

「一般的なやり方としては、しゃがんだり、四つん這いになったり。それで手探りでこの先っちょをお尻の穴に挿れるのね」
「手探りだとやりにくいのは事実よね。いくら先が丸まっているといっても、無理に刺して粘膜を傷つけちゃうこともあるし」
「だからわたしとしては、四つん這いをお勧めするわ。それも出来れば鏡にお尻を映して、確認しながらがいいのだけれど」
 おばさまはそう言って、再び私の目をじーっと見つめてきました。

「いくらひとりきりとは言っても、お部屋で四つん這いになって、お尻出して、それを鏡に映して、って、とても恥ずかしいわよね?」
「でもそうしたほうが安全なのよ。誤って肛門や腸を傷つけてしまうより」

 私を見ながら熱心に語ってくれるおばさま。
 絶対におばさまは頭の中で、私がそうしている様子を想像していると思いました。
 私もおばさまのお話を聞きながら、自分がそうする姿を想像していました。
 からだの疼きが止まりません。

「お尻の穴もね、何か異物が入ろうとするとキュッて締まっちゃうものなの。だから余計に挿入しにくいの」
「だから挿れる前にお尻の穴付近をマッサージしておくのもいいわね。あとワセリンとかヌルヌルな、滑りが良くなる液体を塗ったり」
「お嬢ちゃん、そういうの持ってる?ヌルヌルするローション。ベビーオイルとかでもいいのだけれど」
「あっ、えっと、うーん・・・」
 いわゆるラブローションみたいなヌルヌルローションは、シーナさまからいただいたのがあるけれど、それをおばさまに言っていいのか悪いのか・・・
「そう、それならベビーオイルもあったほうがいいわね。お嬢ちゃんだからオマケしてあげるわ」
「あ、ありがとうございます」
 おばさまったら、ご商売がお上手です。

「からだがやわらかければ、仰向けに寝転んででんぐり返しの途中みたいな格好、うーん、分かりにくいかな、赤ちゃんのオムツを代えるときみたいな格好ね、そういので挿れられるとだいぶラクなのだけれどね」
「お嬢ちゃんは、やわらかいほう?」
「あ、一応バレエをやっているので、普通の人よりはたぶん・・・」
「あらら、スゴイじゃない!クラシックバレエ?今でもおやりになってるの?へー、本当のお嬢様なんだ!」
  
 なんでバレエをやっていると本当のお嬢様なのかよくわからないので、私は曖昧にはにかんでお答えを保留します。
「それならきっと、でんぐり返しも出来るわね。よかったじゃない?」
「だけど、あれも相当恥ずかしい格好ではあるのよね」
 言いながら私の全身をジロジロ眺めるおばさま。
 おばさまったら絶対、私のそんな姿を、また想像しているはず・・・

「でもね、大昔はみんなお浣腸するときにそういう格好をさせられていたのよ」
「下半身裸になってから、自分の両手で両脚の膝の裏側を持って後ろにでんぐり返るの。お尻を突き出すように」
「子供だったら、男の子も女の子もみんなやらされていたわ。今考えると可哀相な話よね。恥ずかしさで泣き出しちゃう子がたくさんいたわ」
 おばさまが昔を懐かしむような遠い目をされました。

「あらあら、ちょっとお話しが脱線しちゃったわね。どこまで行ったんだっけ?」
「そうそう、それでめでたくお薬が中に入ったら、しばらくがまんするのね」
「腸の中にお薬が行き渡るように、四つん這いのままお尻を高く上げたり。ほら、液体は下に流れるから」
 おばさまの想像の中で、私のお尻が高く突き上げられたはずです。

「あと左向きに寝そべるのもいいっていうわね。腸って左巻きだから奥まで行き渡るの」
「それで後はひたすらがまん。お浣腸してすぐに、すごく出しちゃいたくなるんだけれど、そのとき出してもお薬がそのまま出ちゃうだけなの」
「お薬の効果が出るまで3分から5分はがまんしなきゃだめ。そのあいだはお腹が痛くなってもひたすらがまんがまん」
「だけど、本当にがまん出来ないようだったら、3分経ってなくても出しちゃっていいのよ。おトイレ以外でお漏らししちゃうのは、年頃の女の子にはすごいショックだからね」
「そうそう、だからもちろんお浣腸するときはおトイレの近くでね。かと言っておトイレにしゃかんだままだと、がまんが効かなくなっちゃうから、だめ」
「おトイレの外の廊下とか、お風呂場とおトイレが近ければ、お風呂場でやるのもいいわね」

 私は、おばさまのお話にいちいちコクコクうなずきつつも、なんだか言葉責めをされているような気分にもなっていました。
 実はおばさまは、私がヘンタイなことは始めからご存知で、私がしている恥ずかしい遊びのことも知っていて、その恥ずかしさを思い出させるために、いちいち言葉にして私の反応を愉しんでいる・・・
 そんなふうにも思えました。

「あと最後に、お浣腸をつづけてやるのもだめよ。がまんしきれなくて失敗しちゃっても一日に2本までね」
「何日もつづけるのもだめ。また便秘気味になってもすぐにお薬に頼らずに、出来るだけ自力で出すようにしてね」
「お浣腸に慣れちゃうと、腸が自分で排泄しようとする力が弱くなっちゃうのよ。それでお薬も効かなくなっちゃうの」
「だから、最初に言ったみたいに、普段から食生活とストレスに気をつけること、ね?」
「は、はい、ありがとうございます」

「さっきからいい匂いがしているけれど、それ、あそこのお肉屋さんのから揚げでしょ?」
 おばさまのお話しが突然大きく跳びました。
「えっ!あ、はい、そうですけど・・・」
 びっくりしながら答えました。
「油物はいいのよ、便秘がちのときは。腸を活性化するからね」
「最近の若い子は、カロリーだなんだって、脂っこいもの嫌うからね。まあ食べ過ぎはよくないけれど」
「お嬢ちゃんも、今でも充分おキレイだからダイエットとかする必要ないし、もう少しお肉が付いてもぜんぜん大丈夫よ」
「バレエもやってらっしゃるんだし、よく食べてよく動くのが一番!」
 おばさまがお話しを締めくくるみたいにそう言いながら、私の肩を軽くポンと叩きました。
 コートの中で私のおっぱいがプルン。

「そういうことだから、お嬢ちゃんは今日、お浣腸を4つ持っていきなさい。失敗しちゃったときや、もしもまたなっちゃっても、あわてないでいいように」
「使用期限はまだ4年近くあるから、当分のあいだは恥ずかしいお買物をしなくてすむはずよ」
 おばさまがクスッと笑いました。
 でも私、今年だけで、もう5つも使っちゃってるんですけど・・・

「ひとつ開けちゃったのがあるから、これはサービスにして3つ分のお代金でいいわ」
「えっと、それは・・・私に説明していただくために開けたのだから、そちらの分もお支払いします」
「いいのいいの。お嬢ちゃん聞き上手だから、お話ししててわたしも楽しかったし、お嬢ちゃんの恥ずかしそうなお顔、可愛かったし。わたしのお礼の気持ちよ」

「あ、それならえっと、ベビーオイルもいただきます。ちゃんと定価で」
「あら、そうだったわね。ベビーオイルね。じゃあこれを持って行ってくれる。植物性のすごくいいやつだから、ちょっとお高いけれど」
「はい。大丈夫です。それいただきます」
 提示されたお値段がベビーオイルとして高いのか安いのかよくわからなかったのですが、素直にお支払いしました。

「あと、これはうちのスタンプカードね。大サービスでいっぱい押しといたから、また何かお薬が必要なときは、絶対に来てね」
「は、はい。ありがとうございます」
 おばさまが、私がここに入ってきたときに見たのと同じ、はんなりした笑みを浮かべて私を見つめています。

 買ったものの中身が見えないように丁寧に包装紙で包んでから、手提げ袋に入れようとしていたおばさまの手が、その寸前でピタリと止まりました。
「そうだ!」
 同時に、おばさまにしては大きなお声。
「よかったら、ここでお浣腸していったらどう?」
「えーっ!!」
 今度は私の大きな声。
「ここで・・・お浣腸を・・・ですか?・・・」
 一言一言発するたびに、私の全身が盛大にざわめきたちます。

「そう。ここの2階がわたしの住まいなんだけど、独り暮らしで他に誰もいないし、おトイレもけっこう広いから」
「今日はお客さんもあまりないし、この時間帯はたいていヒマなのね。10分くらいならお店空けても大丈夫そうだから」
「お嬢ちゃんもひとりでやるのは不安でしょう?もし良かったらわたしがお手伝い出来ると思ったの」
「もちろん、わたしはお浣腸のお薬を挿れるのだけお手伝いしてお店に戻るから、あとはお嬢ちゃんがうちのおトイレで用を足せばいいだけ」

 このおばさまは、本当に、本当にいい人なのでしょう。
 私のことを親身になって心配して、純粋な親切心で申し出たご提案に思えました。

 どうしよう・・・
 私の性癖にとっても、すっごく蠱惑的なご提案です。
 さっきまでまったく見知らぬ同士だった和風美人なおばさまにお浣腸されて、そのおばさまのお家で排泄する・・・
 やってみたい・・・でも・・・
 私の被虐心が大きくざわついていました。


コートを脱いで昼食を 07


コートを脱いで昼食を 05

 記憶を頼りに住宅街の路地を適当に曲がりながら、とりあえず地下鉄の駅を目指しました。
 私が以前その商店街に迷い込んだときは、その地下鉄の駅からあてのないお散歩をしていて、4、5分歩いた頃に突然たどり着いた記憶があったからです。
 駅はあっちのほうだから、ここを逆に曲がってみようか。
 何の気なしにすごく細い路地へ入って抜けると、唐突にそれらしき商店街に突き当たりました。

 自動車が一台通れるくらいな幅の道路に沿って、道の両側に小さなお店がいくつも並んでいます。
 私が路地から出た場所は、商店街の途中みたい。
 小さな八百屋さんが正面に見えました。
 あそこからすんなり出れちゃったっていうことは、意外と地下鉄の駅から近いのかな?
 駅との位置関係はいまいちわかりませんが、来方はなんとなくわかったような気がしました。

 とりあえず、駅とは反対方向になるであろうほうへと、商店街をブラブラ歩き始めました。
 八百屋さん、お肉屋さん、お花屋さん、金物屋さん・・・
 狭い道路の両側に、お休みなのか閉店してしまったのか、閉ざされたお店をいくつか挟んでは、開いているお店がポツポツと並んでいます。
 どのお店も古くからやってらっしゃるみたいで、小じんまりしていてなんだか懐かしい感じ。

 時刻は、午後の三時半過ぎ。
 晩御飯用のお買物時間にはまだ少し早いのか、お年を召したおばさまがちらほら歩いているくらいで、全体的にまったりのんびりしたムード。
 ワンちゃんのお散歩をしてるおばさまや、学校帰りの小学生、宅配便の配達の人とかと、たまにすれ違います。
 クリーニング屋さんちのエアコン室外機の上で、大きな三毛猫さんがまあるくうずくまっていたり。
 裸コートのクセに、私もつられてリラックスムード。
 まったりゆっくり歩いていたら、商店街の終わりらしきところまで来てしまいました。
 見たところそこから先は、普通の住宅街みたいです。

 今度は逆方向に歩いて、とりあえずどこかで何かお買物をしてみよう。
 そう思って来た方向へ振り返ろうとしたとき、私のすぐ横に、さっき思い立ってしまった、私の罰ゲーム用の商品を扱っているであろうお店があることに気がつきました。
 あっ!
 そのお店を見た途端、再び心臓がドキドキし始めました。

 どうしよう・・・本当にやる気なの?・・・
 だけど、まだここに来てから何もお買物していないし、そのお店でどういう会話をするのかも考えていないし・・・
 いざとなったら、途端に臆病な風が吹いてきました。
 いきなりだと、何か大変な失敗をしちゃいそうだし・・・
 やっぱり怖気づいてしまった私は、そのお店を素通りして、来た道を戻り始めます。

 商店街のあっちの端まで行くあいだに気持ちを落ち着けて、やるかどうか決めよう。
 どこかのお店でまず何か普通なお買物をして、誰かと何か会話をしてみてからにしよう。
 そうだ。
 さっき通り過ぎたお肉屋さんの店先で、お店で揚げたらしいトンカツやコロッケをガラスのショーケースに並べて売っていたっけ。
 通り過ぎたときいい匂いがして美味しそうだったから、まずあそこでお買物してみよう。

 そんなことを考えながら歩く私には、もはやさっきまでのリラックスムードは微塵もありませんでした。
 このコートの下は真っ裸。
 そんな格好なのに、なんでもないフリして商店街お散歩を愉しんでいる私。
 背徳感がからだを火照らせ、下半身が盛大にムズムズしてきました。

「いらっしゃーい。今日は鳥のから揚げが大サービスだよ。うちのはカラッと揚がってて冷めてもすごく美味しいよー」
 お肉屋さんのショーケースを前屈みになって覗き込んでいた私に、ケースの向こう側にいた恰幅の良いおばさまから大きなお声がかかりました。
「あ、は、はい・・・それならえっと、鳥のから揚げを100グラムとその、野菜コロッケをください」
「はいはいー。まいどありー」
 陽気そうなおばさまが、愛想良くニコニコ笑って応対してくれます。

「それ、キレイな色のコートだねえ。よくお似合いよー」
「あ、ありがとうございます」
「はいっ、から揚げサービスしといたからねー。美味しかったらまた買いに来てちょうだいねー」
 私の顔をじーっと見つめつつ、おばさまが満面の笑みで私に品物を手渡してくれました。
 から揚げのいい匂いが、ふうわり漂ってきます。
「あ、ありがとうございます」
 お金を払ってから自分でも不自然と思うくらい大きくお辞儀をして、逃げるようにお店から離れました。
 たぶん顔も真っ赤だったと思います。

 やっぱり、この格好で知らない人と会話していると、それだけでゾクゾクキュンキュン感じちゃう。
 自分のはしたなさにジタバタしちゃうくらい恥ずかしくなって、被虐メーターがどんどん上がってしまうんです。

 お肉屋さんを離れた私は、もう一度来た道を引き返すことにしました。
 今のお肉屋さんのおばさまとの会話で、計画通り、より一層の辱しめを受ける決心がつきました。
 いいえ、決心がついた、なんていう消極的なものではなくもっと積極的に、一刻も早く自分をもっと恥ずかしい立場に置いてみたい、という衝動が抑えきれなくなっていました。
 から揚げを買っただけの、あんな普通な会話でこんなにゾクゾクしちゃうのだから、これから私が買おうとしているものだったら、どれだけ恥ずかしい思いをしちゃうのか・・・
 被虐願望メーターが完全に振り切れていました。

 相変わらず人通りもまばらな道を今度は足早に歩いて、さっきみつけたお店の前に舞い戻りました。
 商店街のはずれにひっそりと佇むそのお店は、いかにも古くからやってらっしゃる感じで、小じんまりとした見るからに個人経営という雰囲気。
 表側はガラスの引き戸になっていて店内が覗けます。
 外から見た感じでは、中に他のお客さまはいない様子。

 ここで種明かしをしちゃうと、今私が立っているのは薬屋さんの前。
 ここであるものを、お店の人にそれを告げて対面で買うこと。
 それが私の思いついた羞恥プレイでした。
 ここまで言えば、私がそこで何を買おうとしているのか、ピーンときたかたもいらっしゃるでしょう。

 ただ、ひとつ心配なのは、お店番の人が男性だった場合でした。
 そのときは残念だけれど計画を中止して、当たり障りの無いもの、たとえば風邪薬か何かを買って帰るしかありません。
 でも、こういう町の小さな薬屋さんだと、お化粧品も扱ってらっしゃる場合が多いので、お店番の人が女性の確率は高いはず。
 せっかく決意したのに計画中止ではがっかりです。
 そうならないといいな、お店の人が女性でありますように・・・
 祈る気持ちでお店の引き戸をガラガラッと開けました。

「ごめんくださいぃ」
 小さな声で言ってから、お店の中を見回しました。
 フワッとした中にもケミカルな気配が混じる、薬屋さん独特の香りに包まれます。
 決して広いとは言えない店内に、ガラスケースや棚が上手に並べられ、所狭しといろいろなお薬やサニタリーが置いてあります。
 コスメ系のキレイなモデルさんのポスターも賑やかに貼ってあるので、お化粧品も扱っているのは確実。
 店内は意外と奥行きがあるらしく、今いる場所からはレジが見えないので、商品を眺めつつ奥へと進みました。
 今のところ、陳列棚に私のあめあてのものはみつかりません。

「いらっしゃいませぇ」
 明るくて華やかなお声のしたほうを見ると、お店の一番奥の左側がレジになっていて、何かのお薬の箱がたくさん並べてあるガラスケースの向こう側に、白衣を着たおばさまが椅子に座ったまま、はんなりとした笑顔で私を見ていました。
 よかったー、お店の人、女性だった。
 ホッと一安心して、そのおばさまのほうに近づいていきました。

「今日は何かお探しものかしら?」
 白衣のおばさまは、ちょっぴりしもぶくれなお顔にまあるい銀ブチメガネでショートカット、品の良い薄化粧がよく似合う和風な美人さんでした。
 和服を着たらすっごく似合いそう。
 私にかけてきたお声の調子も気さくっぽくて、見るからにお話し好きそうな雰囲気がありました。
 お年は・・・うーん・・・35、いえ、たぶん40歳よりは上だと思うけれど、ちょっとわからない感じ。
 何て言うか、にっぽんのおかあさん、的な母性が滲み出ている佇まいで、相手に安心感を抱かせる感じのステキな女性でした。

 こういう人なら、あまり緊張せずにお話し出来そう。
 でも、逆にすんなりお買物が終わってしまって、あんまり私が恥ずかしさを感じられないかもしれないな。
 もう少し怖そうな人のほうがよかったかな。
 そんなムシのいいことを考えてしまう私は、本当に自分勝手な女だなって思います。

「どこかおからだの調子が悪いのかしら?それとも何かお化粧品をお探し?」
 おばさまが立ち上がり、ガラスケース越しに私をじっと見つめてきました。
「あ、あの、えっと・・・」
 本当ならここで、そのものズバリ、商品の名前を言ってしまう予定でした。
 それで、お店の人に根掘り葉掘り聞かれて、っていうシチュエーションを妄想していました。
 だけどやっぱり、恥ずかし過ぎて言えませんでした。

「えっと、ちょっと、あの、お通じのお薬を・・・」
「えっ?お習字?ああ、お通じね。便秘のお薬っていうことね?」
「あ、は、はい」
「まあまあ、それは大変ね。便秘はつらいからねー」
 おばさまが心底心配そうなお声で、私を気遣ってくれます。
「それなら飲むお薬と座薬とがあるけれど、どっちがいいかしら?」
「あ、はい、えっと・・・」

 すぐに答えられない私を見かねてか、おばさまは質問の仕方を変えてきました。
「いつからお通じが無いの?」
「えっと、4日前くらい、かな?・・・」
「普段から便秘がちなの?それとも突然?」
「あ、普段からっていうことはありません。今までそんなことなかったのだけれど・・・」
 今だって実は便秘ではないのだけれど、まさか本当のことは言えません。

「そう。たぶん食生活が乱れちゃったのね。無理なダイエットとかしなかった?それかストレスか」
 おばさまが相変わらず心配そうに言ってくださり、ニコッと笑ってつづけました。
「それなら座薬のほうがいいわね。飲み薬は体質によって、効きすぎちゃったり、ぜんぜん効かなかったりもするから」
「それですっきり出したら、その後は、バランスのいい食事と規則正しい生活を心がけること。お薬なんかに頼らずに自然なお通じを維持することが大切なの」
 おばさまが子供に教えるみたいに、やさしい口調でおっしゃいました。

「お嬢ちゃん、座薬ってわかるわよね?」
「あ、は、はい・・・」
「これのこと」
 言いながらおばさまが背後の棚に振り向き、私もよく知っている青色の箱を取り出して私の前に置きました。
「これね。お浣腸」
 とある果実の実に容器の形が似ていることから、その果実の名前を冠した有名なお薬。
 私がここで買おうとしていたのは、まさしくそれでした。

 とりあえずこの格好でお買い物をしようと思い立ち、公園を出てこの商店街を探す道すがら、最近切らしちゃったもの、って考えていて思いついたのがお浣腸薬でした。
 夏休みの全裸家政婦生活中に、ストックしてあった最後のふたつを使ってしまい、近々また買いに行かなきゃな、と思っていたのでした。

 お浣腸プレイ自体は、あまり好きなほうではないのですが、3ヶ月に一回くらい、自虐が極まって無性にやりたくなるときがあるんです。
 東京に来て最初に買ったときは、繁華街にあるセルフ式の大手ドラッグストアチェーン店で、レジの人が女性なのを確認してから、生理用品と一緒に思い切って5箱まとめ買いしました。
 そのときもかなりドキドキ恥ずかしかったのですが、セルフだったし、お会計まで一言も発さずただうつむいていただけなので、今日の比ではありません。

 目の前に置かれたお浣腸薬の箱をまじまじと見つめてしまいます。

 ごめんなさい、おばさま。
 私本当は便秘でも何でもないんです。
 このお浣腸のお薬は、お家でえっちなヘンタイ遊びをするために買うんです。
 今もこのコートの下には何も着ていなくて、そんなことが大好きな私は正真正銘のヘンタイなんです。

 心の中で目の前にいる白衣のおばさまにそうお詫びしながらも、ピッタリ閉じた私の両脚の付け根から内腿を伝ってふくらはぎ、そしてショートブーツの中へと、すけべなおツユがトロトロ滑り落ちていました。

「お嬢ちゃんは、今までにお浣腸をしたことはあるの?」
 今自分がしていることの恥ずかしさにこっそりどっぷり酔い痴れていた私を、おばさまのお声が現実へと引き戻しました。


コートを脱いで昼食を 06