2010年9月12日

また雨の日にカクレガで 08

最初にカズキくんに私のアソコを見てもらっていたとき、『キモチワルイ』 じゃなかったら、きっと言われるだろうと期待していた言葉がやっと聞けました。

でも、ここでもたもたしていると、せっかくのお医者さんごっこの時間が減ってしまいます。
「カズキくんなら、さわってくれてもぜんぜんいいんだけど、お姉さん、早くお医者さんごっこがしたいなあ。カズキくん、お医者さんになって、お姉さんのこと、いっぱいいっぱいさわるんでしょ?」 
カズキくんに媚びるような口調になっています。
ドMです。

カズキくんは、一瞬、はっ、としてから、そうだった!みたいな顔になりました。
「うん。ボクも早くやりたいっ。行こう、行こう」
雨は、私がカズキくんにアソコを見せている間に、また少し小降りになっていました。

カズキくんと私。
私の傘に相合傘で手をつないで、建物の軒先を出ました。
カズキくんが、こっち、こっち、と言う通りに、神社の建物をぐるっと回るような感じで雑木林の入口に向かいます。
カズキくんの手は、ちっちゃくてやわらかくて・・・
この手で私のからだをあちこちさわってくれるんだなあ、と思うと私のワクワクは止まりません。

社務所のはずれに公衆トイレがありました。
「お姉さん、ちょっとオシッコしたくなっちゃったから、待っててね」 
私が言うと、
「ボクも」

カズキくんを男子トイレの入り口まで送っていき、しゃがんで目線を合わせて言い聞かせます。
「オシッコが終わったら、よーくお手て洗ってね。これからお姉さんをシンサツするんだから、きれいきれいなお手てにしてくれないとだめ」 
「うん、わかった」 
「ハンカチ持ってる?」 
カズキくんがウエストポーチから、洗濯したてらしい、なんかのアニメのメカの絵が描かれているハンカチを引っ張り出します。
「よしっ」 
「お姉さん、ちょっと時間かかるかもしれないけど、いい子で待っててね」
「うん」

私は、トイレの個室に入ると、そそくさとスカートをまくりあげ、まずテイッシュでアソコのぬめりを拭き取ります。
さっきまでの一連の出来事で、私のクリトリスがテラテラと大きく充血しています。
触れるたびに、
「あはんっ!」
小さく声が出てしまいます。
軽くオナニーしたいところですが、ぐっとがまんします。
テイッシュをけっこう使って、刺激を与えないように慎重に拭いながら、気を落ち着かせます。
それから、和式便器にしゃがんでオシッコをしました。
長いオシッコでした。
備え付けのトイペで拭いた後、いつも携行しているウエットティッシュをバッグから取り出し、アソコと、いやらしいおシルがつたっていった両内腿を丁寧に拭います。
カズキくんにいっぱい弄ってもらうんだから、キレイにしなくちゃね。
クリちゃんも少しだけ落ち着いてきました。
お医者さんごっこが始まったら、またすぐ暴れだすんだろうけど・・・

なんだかんだで私は、10分くらい女子トイレ個室にこもってしまいました。
表に出るとカズキくんは、洗面所の水道を出しっぱなしにして、ずっと手をゴシゴシしていたようです。
ウエストポーチに入っていたのでしょう、いつのまにか黄色いビニールのレインコートを着ています。
私が戻って来たのをみつけると、ハンカチを使いながら寄ってきました。
「ママに言われてるの。雨の日はお外では、かならずこれを着なさいって」
フードをかぶると、まんま、黄色いてるてる坊主です。
「よく似合ってるよ」 
私が言うと、カズキくんは黙って、左手で私の右手を握りました。
カズキくんの左手は、全体がふやけていました。
言いつけを守ってくれたのね、うふっ、カワイイっ。

トイレのそばにあった自動販売機で、スポーツドリンクと水とオレンジジュースのペットボトルを買い、バッグに詰め込んでから、先を急ぎました。

「ここ」
雑木林を隔てるフェンス沿いにしばらく歩くと、『関係者以外立入禁止』 と赤いペンキで書かれた鉄製の扉がありました。
カズキくんが手馴れた感じで鍵をさしこみます。
カチャっと音がしました。

「カクレガではよく遊ぶの?」 
「今はつゆで雨ばっかりだから、来てなかった。こないだ来たのは、学校の創立記念日の日だったかな?とおるくんとけんちゃんと一緒に」
それがいつのことなのか、私にはわかりません。
鉄製の扉を押して雑木林に入ると、カズキくんは、そおっと扉を閉めて、内鍵をカチャンと回しました。
これで、このバクダン山には、カズキくんと私の二人きりのはずです。

扉の位置から、雑草を踏み倒して作られたと思われる、人一人がやっと通れるくらいの道なき道、獣道みたいなのが林の奥へつづいています。
カズキくんは、自分の黄色い傘をさして、もう片方の手で私の手を引いて、ゆっくり林の奥へ歩いていきます。
私は、バッグを肩にかけて、自分の傘をさしてゆっくりと、黄色い傘の黄色いてるてる坊主を追いかけます。
林の中は、木の葉が幾重にも生い茂っていて、思っていた以上に薄暗いです。
羽虫みたいのがときどき、ひらひらと目の前を横切ります。
草が踏み固められているせいでしょうか、雨天でも意外と足元はゆるんでいません。
でも、ときどきツルッとすべります。
そのたびに私は、カズキくんの手をギュッと握りしめます。
そのたびにカズキくんは、立ち止まって私のほうを振り向いて、だいじょうぶ?、って声をかけてくれます。
「ボクも雨の日に来るのは初めてなんだ。でもだいじょうぶだよ。ボクにまかせて」
おお、小学3年生のクセに頼もしいー。

道は、けっこう角度のある登り坂になっているので、慎重にゆっくり歩いていても少し息がきれてきます。
ちょっとこのへんで休憩したいなあー、と言おうとしたとき、ふいに木の葉の傘が途切れて明るい場所に出ました。
坂がなだらかになって、雨も小降りになっていました。
そこからは、普通の土の道が三叉路に分かれています。
すぐに草を踏み分けた獣道に戻ってしまう道が左右に。
一つだけ、大きなベニヤ板が何枚も道なりに敷かれていて、もう少しまっすぐ奥までつづいている道があります。
カズキくんは迷うことなく、そのベニヤ板の上を歩いていきます。

これじゃあ、カクレガでもなんでもないですよね。
私がクスっと笑うと、カズキクンが振り返り、
「どうしたの?」 
「なんでもない」 
そう言って私は、小走りに黄色いてるてる坊主の横に並んで私の傘をさしかけました。

たどりついたその場所は、どう見ても大人の手で作られた、立派なカクレガでした。
コンクリートブロックが高さ3メートルくらい、広さ八帖くらいに、林のほうを背にして『コ』 の字型に積まれ、天井は木枠で組まれた上からテントみたいな素材の布で覆われています。
コの字が開いたほう、つまり入り口の側面も天井と同じような布で仕切られていますが、大きく『田』 の字型に透明ビニールの窓が開いていて、外の光がちゃんと届くようになっています。
床は、地上約30センチくらいの高床式。
お風呂場のスノコみたいな素材でできていました。
その上にベニヤ板を並べて、その上にゴザみたいのが敷き詰めてあります。
予想していたよりジメジメしてなくて、意外と清潔な感じです。

「靴は脱がなくていいから、土足で入って。でも靴の泥は、そこのマットでよく拭いてね」
カズキくんが言って、黄色いレインコートを脱ぎながら手慣れた感じで中にずかずかと入っていきました。
私も、おじゃましまーす、と小声で言ってから、マットにサンダルの底をこすりつけて中に入りました。
中に入った瞬間、蒸し暑い熱気にクラクラしましたが、入口の垂れ幕を上げておけば、いい具合に風が入ってきます。
今日は雨も降っていて曇り空だから、ちょっと薄暗いのかなあ、と思っていると、パチンと音がして明るくなりました。
裸電球が灯っています。
「ここって、電気通ってるの?」 
「うーん、わかんない」
こうして電気が点くんですから、通ってるはず。
どこから引いてるのでしょうか?
カズキくんは、電球から伸びているコードの二股に電気式の虫除け器のコンセントも二つ差しました。

明るくなったので、部屋内をあらためて見回しました。
部屋にあるのは、学校で使ってるような机と椅子が二つずつ。
公園に置いてあるような木製のベンチが二つ。
布団もマットも敷いてなくて、木の板がむきだしになった子供用のスチール枠ベッド、もし私が寝たら膝から下がはみだしちゃうくらいの大きさの、が一つ。
私が見たこともないマンガ本がぎっしり詰まった本棚が一つ。
何が入ってるのかわからない箪笥みたいのが一つ。
それだけでした。
それらが、それぞれ間隔を置いて、壁際にきっちり並べられています。

「カズキくんはこのカクレガにくると、いつも何して遊ぶの?」
カズキくんにオレンジジュースのボトルを渡して、私はスポーツドリンクのキャップをひねりながら聞きます。
「あっ、ありがとう。うーんとね。おしゃべりしてるのが多いけど・・・先生とか友達の悪口とか、あと、猫と遊んだり、マンガ読んだり、宿題写したり・・・あと、木の実拾ってパチンコでセンソウごっことかもやる。ここがシレーブになるんだ」 
「夏の夜には、パパたちと来て、お星様見たりもするよ。すっごくキレイなんだ。花火もできるし。今度お姉さんも一緒に来ようよ」
そう言いながらカズキくんは、机の上に置いてあった蚊取り線香にマッチで火をつけて容器に入れてから、紐で入口にぶら下げました 

「あとはねえ、んーと・・・」 
考え込んでしまったカズキくんにイジワルく言ってしまいます。
「お医者さんごっこ?」
カズキクンが赤くなって、うつむいちゃいました。


また雨の日にカクレガで 09

2010年9月11日

また雨の日にカクレガで 07

それから、カズキくんが興奮しながら一生懸命に説明してくれたお話を要約すると・・・

その雑木林や周辺の林は、全部この神社の持ち物で、神社の今の神主さんとカズキくんのパパと、あと何人かのパパが同世代の地元民で、同じ小学校に通っていて、彼らが最初にその場所にカクレガを作りました。
先代の神主さん、つまり今の神主さんのお父さんがそれを黙認して以来、地元の小中学生数世代に渡って限られた子供たちだけ、そのカクレガで遊ぶことが許されて、他の子たちには本当に知られていないそうです。
大きい子からのイジメがおきないように、年齢別にそれぞれ離れた3つの林にそれぞれのカクレガが作られて、大きくなったら絶対、小さい子のカクレガには行ってはいけない、というルールがいつしか確立されました。
もし行ったのがばれたら、神主さんのパンチがとんでくるそうです。
あと、お酒やタバコも絶対だめ。
バレたら強力パンチ5連発だそうです。

話を聞いてみると、カズキくんのパパたちの、家の中でゲームばっかりしてる子供にならないで、森に入って元気に遊べ、ってメッセージが込められている、ほほえましいシキタリに思えます。
なかなかステキな風習です。
カズキくんのパパや神主さんたちの、子供たちへの愛情がヒシヒシ伝わってきます。

ただ、それだと普通に考えて、一番バクダン山に入って来る可能性があるのは、強力パンチな神主さんなんですが・・・

「けんちゃんたちは、昨日の夜から家族みんなで旅行に行ってるよ。だから、今日と明日は、神社お休み」
そう言われれば、神社の入り口に、そんな張り紙があったような。 
私はだんだん、だいじょうぶそうな気がしてきて、最後の疑問を聞いてみました。
「でも、あの雑木林、バクダン山だっけ?すごい高い柵の中だよ?どうやって入るの?」
雑木林は、5メートルくらいの高さの、網のこまかい鉄の柵でしっかりガッチリ囲われています。
よじ登るなんて、とてもできそうもないのですが・・・

「だいじょうぶだよ」
カズキくんは、腰に巻いている青いウエストポーチを開けて、何か取り出しました。
「鍵あるもん」
世界中で大人気な青いネコ型ロボットのフィギュアが付いたキーホルダーに、その鍵はぶら下がっていました。
入口の鍵、持たされているんだ。

またまた詳しく話を聞くと、地主である神主さんに選ばれた子たちにだけ鍵が渡されていて、カズキくんの代なら3人だけ。
鍵を持たされている子と一緒なら、年長の子も小さな子のカクレガで遊んでいいそうです。
鍵を持っている子がその年代のカクレガから卒業する年齢になると、次にその鍵を譲る年下の子を、それまで鍵を持たされていた子が選んでいいというルール。
もちろん、新しく持たされる子は、神主さんの面接を受けなければなりませんが。
「ボクは、みさこちゃんに渡すつもり・・・」
カズキくんが照れながら教えてくれました。
そこまで管理されているなら、他の子たちや通りすがりのヘンな人とかが入って来る心配は、ほとんど無さそうです。
私は、やっと覚悟を決めました。

「それじゃあ、カクレガ行って、お医者さんごっこ、やろっか?」
そこで私、どんなシンサツをされちゃうんだろう?
って私ったら、最初から患者さんになる気しかありません。
期待と不安にドキドキしながら立ち上がり、スカートのシワを直してから、バッグが置いてある、猫さんと戯れたところまで戻りました。
雨がまた少し激しくなっていました。

私が傘とバッグを持って軒下から出ようとすると、背後から、
「・・・お姉さん?・・・」 
カズキくんが小さな声で呼び止めました。
「なあに?」 
予想もしていなかったことのなりゆきにワクワクな私は、はずんだ声を出しています。
「お願いがあるんだけど・・・」 
「なあに?」 
「カクレガに行く前に・・・」 
「うん?」 
「もっかい、お姉さんのアソコ、見せて・・・」

テレテレになったカズキくんがすごくカワイクて、イジワルしたくなりました。
「アソコ?」 
「・・・」 
「なんていう名前だっけ?」
「・・・」 
「忘れちゃったの?」 
「・・・言ってもいいの?」 
「お姉さんになら、ね」 
「オマ・・・」 
「えっ?」 
「オマンコ・・・」
つぶやくような小さな声がしました。

イジワルな私が心にもない台詞を吐きます。
「でも、お姉さん、恥ずかしいなあ・・・」 
「・・・」 
「でも、いいよ。カズキくんになら、ね?」 
「・・・」 
「さっきはちょっと暗かったから、こっちの明るいところへ、おいで」

大胆になっている私は、建物の外に出っ張っている庇の下まで出てきました。
見える範囲に私たち以外、人がいる気配はありません。
雨粒がトタンの庇を叩くトンタントンタンという音だけがリズミカルに聞こえてきます。

私は、神社の裏庭を背に、軒下のほうを向き、指でカズキくんに私の正面に来るように指示します。
両脚は、休め、の姿勢くらいに開きました。
カズキくんは、私の膝の前にしゃがみ込んで、私を見上げています。

「いい?」
私は、スカートの裾を右手でつまみ、ゆっくりと自分でまくり上げていきます。
スカートがまくり上がるにつれて、カズキくんの頭も同じ速度で、伸び上がってきます。
やがてカズキくんの頭は、ある高さで動きを止めました。
その視線の真正面、20センチくらい先には、私のツルツルなアソコが晒されています。
私は、つまみあげた裾をスカートのウエストのおへそのあたりに挟み込みます。
私のスカートは前方をまくり上げられたまま、固定されました。
そして、両腕を背中にまわし、右手首を左手でがっちり握ります。
私の妄想では、両腕は後ろ手に縄でキツク縛り上げられています。
「いやんっ」
思わず小さく声が漏れてしまいましたが、カズキくんは、微動だにせず一点を見つめています。
これなら、もしここに誰か来ても、庇の下で、後ろ手組んで雨宿りしている女の子の後姿にしか見えないでしょう。
でも、その女の子の本当の姿は・・・

真っ昼間の屋外で後ろ手に縛られ、ノーパンのスカートをまくり上げられたまま固定され、無毛のオマンコを無垢な小学生の男の子に晒さなければならなくなった女・・・
死ぬほど恥ずかしいくせに、子供の好奇心一杯な目で視姦されて喜んでいる、どすけべヘンタイ女・・・
私の被虐羞恥メーターが振り切れるくらいの言い知れぬ快感が、下半身にゆっくりと押し寄せてきました。

見て・・・
もっとよく見て・・・
お願いします・・・
カズキくん・・・
カズキさま・・・

「ねえ・・・」
カズキくんが頭を動かさずに発した小さな声に、私の淫らな妄想がジャマされました。
「お姉さん、オモラシしちゃったの?」
言葉責めの追い討ちをかけてくるカズキくん。

確かに今の妄想で、奥が盛大にヌルるっときて中が溢れかえり、同時にワレメもヒクっときて、重力に耐え切れなくなったいやらしいおシルが出口をみつけて一筋、右の内腿をつたっていく感触がありました。
私のは上付き気味なので、真正面から見つめていたカズキくんには、そのとき、ピクピクッと動いたラビアやクリちゃんも確認できたかもしれません。

私は、羞恥に震え悶えながら弁明します。
「そ、それはね、オシッコじゃないのよ。女の人がうれしいときに出ちゃう、おツユなのね。お、お姉さんは、カズキくんにソコ・・・オ、オマンコを見てもらってスゴクうれしいから、そうなっちゃったのね。そ、そう、うれし涙みたいなものかな・・・」 
「ふーん」
私のヘンな理屈に、納得したのかしてないのか、カズキくんの頭は微動だにしません。
なんだか、顕微鏡を覗いている化学者みたいなたたずまいです。
自分で言った恥ずかしい台詞にまた感じてしまい、ワレメのお尻側の綴目に溜まっていたおシルがまた一滴、ツツーっと糸を引きながら地面にポタリと落ちました。

「そ、そろそろ行こうか?」
顔を真っ赤にした私が言いかけたとき、かぶせるようにカズキくんがまた、
「ねえ」 
と呼びかけてきました。

「ここ、さわってみてもいい?」 
「あ・・・」
カズキくんがゆっくりと頭を動かして、私の顔を見上げました。


また雨の日にカクレガで 08

また雨の日にカクレガで 06

「カ、カズキくん?」 
私は、思わず口をはさみます。
いろいろ突っ込みどころ満載の性知識ですが、それよりも、必要最低限のクギはさしておかなきゃと、にわかに大人としての自覚と責任感が芽生えます。

私は、できるだけやさしい声で言いました。
「あのね、カズキくん。いろいろ知っているのはいいことだけれど、えっちなことって、あんまりむやみにしゃべっちゃ、いけないの」 
「お姉さんにならいいけれど、他の人には言っちゃだめ。今のパパとママのこととか、オネーチャンのこととかね」
「あと、セックスっていう言葉と、オマンコっていう言葉も使っちゃだめ。とくに女の人の前ではね。その言葉を使うと、カズキくん、カッコワルイって思われちゃうよ」

カズキくんは、叱られた、と思ったのか、またシュンとしてしまいました。
しばらくして、おずおずと口を開きます。
「でもねでもね。こんなことしゃべったの、お姉さんにだけだよ。今まで誰にもしゃべってないよ・・・」 
「ボク、お姉さんなら聞いてくれると思ったんだ。お姉さんならやさしいから・・・それに・・・なんかえっちだし」
断言されてしまいました。
「うん。お姉さんにならいいの。でも、みんなお姉さんみたいにえっちじゃないの。だから他の人にはゼッタイだめ。わかった?」 
「わかった・・・」

「ねえ、お姉さん?」
カズキくんが甘えるような声を出してきます。
「さっきボク、オマ・・って言っちゃったでしょ?」 
「うん?」 
「お姉さんもボクのこと、カッコワルイって思った?」 
「なんでそう思うの?」 
「だってさっきお姉さんが、そういう言葉を言うと、女の人にカッコワルイって思われるって・・・」 
「そうだよ。だからカズキくんがちゃんと大人になるまで、そういう言葉は使っちゃだめ」
「でもね、お姉さんにだけならいいよ。お姉さんはえっちだし、カズキくんのこと好きだから」
カズキくんは、ホっとしたって感じで嬉しそうに笑いました。
もう!カワイイなあ!

「カズキくんには、女の子のお友達はいないの?」 
なんとなくな話の流れで聞いてみます。
「いるよっ」
カズキくんが明るく答えます。
「みさこちゃんでしょ。かずみねーちゃんでしょ。ゆいちゃんでしょ・・・」 
「カズキくん、もてもてじゃーん」
照れるカズキくん。

「ボクね、お友達の中だと、みさこちゃんが一番かわいいと思う」
「ふーん」 
「みさこちゃんはね、ボクより一つ下の2年生。おうちも近所だよ」 
「でもね、みさこちゃん、お医者さんごっこで患者さんになると、いっつも泣いちゃうんだ。それがちょっとね・・・」 
「あらー。カズキくん、お医者さんごっこなんてやってるんだ?」
カズキくんは、しまった!って顔をして口を押さえます。
「ご、ごめんなさい・・・」 
「別にあやまらなくてもいいよ」
笑いながら私が言います。
「だ、だって、ボク、またえっちなこと言っちゃった・・・さっき、お姉さんに、そういうことは言っちゃだめって言われたのに・・・」
カズキくんは、本当にすまなそうで、すがるように私を見ています。
「だからー、お姉さんにならいいの。そういうお話は、お姉さんとだけにしなさいね、ってこと」
「うん。わかったっ!」
カズキくんは、安心したようです。
わかりやすくて、カワイイなーもう。

「何人くらいでやってるの?お医者さんごっこ」 
「ボクでしょ、みさこちゃんでしょ、かずみねーちゃんでしょ、けんちゃんでしょ、とおるくんでしょ、あとたまに、みきねーちゃんと、しげにーちゃん。みんな近所のお友達だよ。この人たちとしかやらない」 
「女の子と一緒にかあ。やっぱり女の子が患者さんになるの?」 
「まさかあ。女の子のほうが強いし、みさこちゃんは泣いちゃうから。あ、でも、みきねーちゃんがいると、いつも患者さんやってくれる。みきねーちゃんは患者さんになるの、好きみたい」
なるほど。
みきねーちゃんが昔の私のポジションか。

「だから、ボクが患者さんになるの多いかな。男の中ではボクが一番小さいから・・・」 
「あらあら。カズキくんは患者さんになるの好き?」 
「やだよ。恥ずかしいもん。お尻とか見られるの・・・。やっぱりお医者さんがいいなあ」 
「あ、でもね、いつもやってるわけじゃないよ。たまに、誰かんちがパパやママおでかけしてて、ボクたちだけになる時・・・」
私たちもそうだったなあ。
いつの時代も子供が思いつくことは同じみたい。
「あと、お外でやったこともある」 
と言ってから、カズキくんは何か思い出したみたいです。

「そうだ、お姉さん。ボクとお医者さんごっこしようよ」
また、とんでもない提案をしてきました。
うーん、ワクワクするアイデアだけど・・・
「お医者さんごっこって、ここで?誰か来たらお姉さん困っちゃうよ?」 
「ここでじゃないよ。絶対にみつからないカクレガがあるのっ!」

カクレガ、はいいんですが、カズキくんと会ってから、かれこれもう一時間以上は過ぎています。
腕時計を見るともう2時半近く。
「カズキくんは、おうちに帰らなくていいの?オネーチャン心配してるんじゃない?」 
「心配なんかしてないよ。きっといまごろゲームやってると思う。3時から見たい番組があるのに・・・ボクにテレビ見せてくれないんだ・・・だから学校でも、その番組のお話だとボクはまざれないんだ・・・オネーチャンはきっとボクがじゃまなんだよ・・・」
なんだか、今更ながら、カズキくんがすごくかわいそうに思えてきました。

「そっか。カズキくんは何時までに帰ればいいのかな?」 
「ママが帰ってくるのが6時くらいだから、5時までに帰ればいいかな?ううん、5時半まででだいじょーぶ」
5時までに帰すとして、あと約2時間半くらいあります。
「そう。じゃあ、お姉さんとお医者さんごっこ、やろっか?」 
「やったー」
元気良く返事するカズキくん。

「で、そのカクレガは、どこにあるの?」 
「あっちー」
カズキくんが指さしたのは、神社の裏に広がる雑木林でした。
「あのバクダン山の中にあるの。ボクたちしか知らないの。ちゃんと屋根もあるから雨でも濡れないよ」
おそらく、子供たちがあの雑木林の中に、ひそかに作った『ひみつきち』 みたいなものでしょうか。

私が小学生のときも、そんなのを作って仲間内でニヤニヤしている男子がいたっけなあ。
でも、たいていの場合、その子たちは誰にも知られていないと思っていても、近所の大人たちは知っていて、あえて知らないフリしてるケースも多いものです。
それに雨の日とはいえ、学校がお休みの土曜日です。
地元のやんちゃな中学生たちが先にいて、タバコとか吸っているかもしれません。
人様の土地にしのびこむっていうのも、ちょっとリスキーかなあ?
私は、かなり及び腰になって聞きました。

「でも、そのカクレガを知っているのはカズキくんだけじゃないんでしょう?カズキくんのお友達が来たり、大きいおにいさんたちが来たりしない?」 
「ううん。ぜったいだいじょぶなの。カクレガを知っている子たちは・・・」 
カズキくんは、指を折々数えていましたが、もう一回だいじょうぶ、みたいに頷いて、つづけます。
「今日は塾に行ってたり、あとの子はぜったいおうちであの番組見てる」
さっき、カズキくんが見たがっていた、3時からのテレビ番組のようです。
小学生をそこまでひきつける番組って、いったい?・・・

「大きな子たちもぜったい来ない。5年生より上の子たちと中学生には、また別のカクレガがあるの。それで、大きい子は小さな子のカクレガには絶対行っちゃいけないの。それがシキタリなの」 
「シキタリ?」 
「うん。シキタリ」 
「そんなこと、誰が言ってたの?」 
「パパっ!」


また雨の日にカクレガで 07