お三かたよりも遠くの一点を呆けたように見つめている私に気づかれたようで、カレンさまが怪訝そうに後ろを振り返られました。
「あれ?姐さん!もう戻ってきちゃってたんだ」
バツが悪そうにお道化たカレンさまのお声に、他のおふたりもお姉さまのほうへと振り向かれます。
「あ、これはその、どのくらいマゾなのか、ちょこっと見せてもらってたんだ…」
「スゴいイキオイでイッてたよ、大股開きで腰ガクンガクンさせて…」
「どうして湯浴み着なんか着ちゃってるのかしら、女湯状態なのに…」
お三かたとも私にお尻を向け、湯船の中をビデオカメラ片手にゆっくり近づいていらっしゃるお姉さまに小さく手を振ってらっしゃいます。
その揺れるお背中と声音がどなたも何て言うか、ビミョーに後ろめたそう。
ちょっとヤンチャし過ぎちゃったかな…みたいな。
「お相手していてくださったのね、ありがとうございます」
島のすぐ近くまで歩み寄られたお姉さまが優雅に会釈されます。
ストンとしたワンピース型の湯浴み着はホルターネック。
そこだけ剥き出しになっている両肩の肌色が妙に色っぽくて、まじまじと見惚れてしまいます。
「なんで湯浴み着なんて着ちゃってるわけー?ここ、女しかいない貸切状態なんですけどぉ」
たじろぎ気味だったカレンさまが仕切り直されるように、先ほどシヴォンヌさまもつぶやかられていた違和感を、ご冗談ぽくなじるようにお姉さまへぶつけられます。
「あたしは裸でも別に構わないのだけれど、この子が嫌がるのよ」
薄い笑みを浮かべたお姉さまが、ベンチの上でまだM字開脚な私を指さします。
「自分以外があたしの裸を見るのはダメなんだって、男でも女でも」
「他人があたしを、そういう目、で見ること、が許せないらしいわ。自分は辺り構わず脱ぎ散らかして、誰にでも性器の奥まで晒してる露出狂のクセにね」
お三かたのすぐそばまで来られたお姉さまが、いたずらっぽい笑顔でおっしゃいました。
でも私、今までお姉さまにそんなことをお願いした覚えはありません。
確かに、お姉さまのお綺麗過ぎる裸身がたとえ温泉とは言え私以外の目に触れてしまうのは、私にとって愉快なことではないのは事実ですが…
「へー、意外にふたりはラブラブなんだねー」
「ですのちゃんの姐さんは、ご主人様としてただイジワルするだけじゃないんだー」
サラさまカレンさまの冷やかすようなご指摘に、なんだか照れ臭くも嬉しくなってしまう私。
お姉さまは、と見ると、余裕綽々のお澄まし顔でみなさまと対峙されています。
「まあ、そんな感じなんで、みなさんはあたしにお構いなく、思う存分この子を慰み者にしてくださって結構よ」
艶然とした笑みを浮かべつつ、どうぞどうぞ、という感じに両手のひらを上に向けたジェスチャーで煽られるお姉さま。
「あー、でもやっぱりこの姐さん、ドエスだー、キチクだー」
「思う存分慰み者にって、ですのちゃんカンペキにオモチャ扱いじゃん」
「お許しが出たってことは、うちらもですのちゃんのカラダ、あれこれイジっちゃってかまわないのよね?」
私のほうへと向き直られるお三かた。
そのすぐ後ろからお姉さまの瞳がまっすぐに私を見つめてきます。
「ほら、あなたからもみなさんに、どうして欲しいのかちゃんとお願いしなきゃダメじゃない?」
ご愉快そうに唇の両端を歪めた笑顔で、お姉さまからの無慈悲過ぎるサジェスチョン。
自分の口で自分から辱めを乞いなさい、というご命令。
「あ、は、はい…ど、どうぞみなさま…わ、私をお好きなように虐めてくださいませ…」
「わ、私は、は、恥ずかしいご命令されると感じて濡れてしまうヘンタイマゾですから、ど、どんどん、は、辱めて欲しいんです…」
なんとか声にした言葉は、マゾを自覚した中学生の頃から自虐オナニーのときに何度も何度も、妄想の中のお相手に向けて訴えかけていたセリフでした。
言い終えた途端にマゾマンコの奥がヒクンヒクンと盛大に疼きます。
ついさっき、みなさまに視ていただきながら、頭の中が真っ白になるくらいイキ果ててしまったというのに。
気がつくとまだM字状態の股間にあてがっていた両手の指が、知らず知らずラビアの左右にかかっていました。
それだけではなく軽く外側に引っ張るみたいに、その部分の皮膚を引き攣らせてさえいます。
パックリ開いた私の膣口、濡れそぼった粘膜に当たる空気。
脳内では電車の中でお姉さまに教わったあの恥ずかし過ぎるセリフを反芻しています。
…これが直子のマゾマンコです、奥の奥まで、どうぞじっくりご覧ください…
私のその部分に釘付けなお三かたの呆然とされているような視線。
どなたよりも早くその瞳孔が細まり、妖しげに揺らいだのはシヴォンヌさまの瞳でした。
「それなら今度はお尻をこちらに向けて、四つん這いになってもらおうかしら」
シヴォンヌさまが右手に持たれたカッパさまこけしをゆらゆら揺らしながらおっしゃいました。
シヴォンヌさまのお声でハッと我に返られたようにビクンと肩を震わせる他のおふたり。
申し合わせたように見合わせられたお顔がみるみるお緩みになり、ご興味津々なご表情に染まっていきました。
四つん這い…
その屈辱的なお言葉の響きに私のマゾ性は狂喜乱舞。
早速体勢を変えようと両足を地面に下ろしたところで、はたと考えてしまいます。
この狭いベンチの上で、お尻をみなさまに向けて四つん這いって?横向きではダメなのよね?
ベンチの座席部分は当然ながらお尻を置くほどの幅しかありませんから、その狭い幅に四つん這いって…
「あー、ごめんごめん、ベンチの上でって意味じゃなくて、ベンチ降りてこちらにお尻を突き出しなさい、っていう意味ね」
シヴォンヌさまの苦笑交じりなご訂正のお声。
でもお顔を盗み見ると、目だけは笑っておられず、少々苛立ち混じりなのもわかりました。
「ベンチを降りて、後ろ向きになって、両手をベンチに預けて、両脚を開きなさいって言ってるのっ」
シヴォンヌさまの声音がどんどんSっ気を帯びてきているように感じます。
ゾクッと両肩が震え、急いでベンチを降りご命令通りの姿勢になります。
「両手をベンチに着くんじゃなくて、頭ごとベンチにひれ伏すのっ。土下座みたいに顔面はベンチに擦り付けてケツをこっちに突き出すのよっ!」
「ほらほら、もっと高くオマンコとコーモンを差し出しなさいっ」
シヴォンヌさまのヒステリックに上ずったお声が間近に聞こえてきます。
ご指示通りにからだを動かしているあいだに垣間見えたシヴォンヌさまは、すでに湯船から上がられ、そのゴージャスな全裸ボディを惜しげもなくお陽さまに晒されつつ、あからさまに嗜虐的な笑みを浮かべられていました。
バシッ!
あうぅ!
小気味よい音を立て、シヴォンヌさまの右手のひらが私の左尻たぶを打擲しました。
石のベンチの上に両手の甲を枕にして顔を押し付けたまま、両膝はほとんど曲げず腰だけ突き出す前屈姿勢な私のお尻を。
だらしなく垂れ下がった私のおっぱいは、乳首の先端とベンチのコンクリート座面が触れるか触れないかのスレスレ。
お尻を叩かれた瞬間に緊張していた筋肉が緩み、膝も少し落ちて両乳首先端が石の座面をザリっと擦りました。
はうっ!
その予期せぬ強烈な刺激に思わず両膝もいよいよ開いてしまい、弾みでよりパックリ開いた秘唇からダラリとはしたない涎を垂らしてしまう私のマゾマンコ…
「あら、お尻軽くぶっただけなのにずいぶん敏感な反応なのね。さすが、マゾですの、なんて自称するくらいの淫乱ぶりですこと」
「それで顔は出来るだけこっちに向けたまま、さっきのつづきをなさい。第2ラウンド」
「その不自由な格好で手を伸ばして自分の指で弄って。淫らに高まってきたら、今度こそこれをワタシの手でたっぷりご馳走してあげる」
首だけ捻じ曲げ必死にお声のするほうへと向けている私の顔先に、カッパさまこけしをお見せくださったシヴォンヌさま。
何もかもを晒し切っている私のお尻の割れスジを、カッパさまの滑らかな木肌がツツーッと撫ぜていかれました。
「はうんっ!は、はい…わかりました…」
全身被虐の塊と化した私が、ご命令通り右手をそこへ伸ばそうとしたとき…
♪ンターターターター、タータ、タータンタッタッタッタッタター…
どこからともなく流麗な弦楽の調べがたおやかに流れてきました。
えっと、このメロディは確かシューベルトさんの、ます、だったっけか…
ふっとそんな事を考えて伸ばしかけた手が途中で止まったとき、悲鳴にも似た叫声が近くであがりました。
「げげぇーーっ!?もうそんな時間?」
「うちら夕食の仕込みと配膳手伝うって、きり乃さんと約束したじゃん、チョーやべえ」
「これって5時のチャイムだよね?秒で行かんとヤバくね?」
お三かたが軽くパニクっていらっしゃるご様子。
私も座面に手を着いて少しだけ上体を起こし、左肩越しに湯船の方を見遣ります。
お姉さまは、あらま何事?という感じに唖然とされたお顔。
「ですのちゃんも姐さんも本当にゴメンっ!うちら仕事あんのすっかり忘れてたわ」
カレンさまサラさまがお湯をザブザブと掻き分けて脱衣所に通じる陸地のほうへと急いでいかれます。
シヴォンヌさまだけがお姉さまとしばし何やらお話をされた後、先に行かれたおふたりの後を追われました。
最後に湯船から上がられたシヴォンヌさまが剥き出しのお尻をフリフリしつつ視界から消えていきます。
何がなにやらわからないまま、相変わらずお尻を湯船側に高く差し出したまま、お見送りする私。
「やれやれ。賑やかな人たちだったわね?」
お姉さまが島のすぐそばまで近づいてこられ、私にニッコリ微笑んでくださいました。
この恥ずかし過ぎる姿勢をいつ解けばいいのか、タイミングが掴めない私。
「なんかあの人たち、安く泊めてもらう代わりに女将さんにお手伝いを約束していたみたい」
「でもノリのいい人たちだったから面白かったわよね?愉しそうな虐めはお預けになっちゃったけれど」
湯船に立たれているお姉さまは、湯浴み着の裾ギリギリくらいまでがお湯に浸っています。
「あたしたちはまだ夕飯まで時間あるし、もう少し愉しみましょう、せっかくの露天温泉混浴大浴場が完全貸切状態なのだし」
おっしゃりつつ背後を振り返られ、何かをご確認されているようなご様子。
やがてご安心されたお顔で再び私のほうへと向き直られたお姉さまは、おもむろにホルターネックの首後ろの紐をスルスルと解かれました。
不意にしゃがまれたお姉さまのおからだごと湯浴み着がお湯の中にのみ込まれ、十秒くらい置いて立ち上がられたとき、お姉さまは全裸になられていました。
そのお姿で両腕をお広げになり、私を迎え入れてくださるポーズをお取りになるお姉さま。
飼い主に呼ばれたワンちゃんみたいに、一目散にお姉さまの胸中に飛び込んだのは言うまでもありません。
それからふたり、お湯の中でお互いの気持ち良くなれる秘所をまさぐりまさぐられ。
両腕、両手、左右の指、唇と両脚は片時も求め求められる感触を外すことを知らず、悩ましい淫声を抑制することも無く、大自然の中で本能のおもむくままに愛し合いました。
もの凄い開放感、高揚感、満足感、幸福感…
どのくらいの時が過ぎたでしょうか。
ようやく一般的に夕方と認識されるくらいにお陽さまが翳った頃、お姉さまと私は裸で湯船の縁に並んで腰掛け、ハアハア荒い息を吐きつつぐったりと足先だけを湯船に浸けていました。
「ハア…やっぱり直子ってスゴい。あたし、ここまで快楽に溺れたことってないわ。溜め込んでいたあれこれ、ぜーんぶ浄化されちゃった気分」
お姉さまの疲れ切って掠れた、心の底から絞り出されたようなお声に、私も告げたいことが頭の中で大渋滞状態。
…さっきお姉さまが湯浴み着姿で来てくださった時、凄く嬉しかったんです…
…その後のお言葉、私がうまく言えなかったことをちゃんとわかっていてくださっていたんだなって思って、涙が出そうなくらい感動でした…
…シヴォンヌさまたちを、ちゃんと私を虐めるように仕向けられるお姉さまの的を射た話術も凄いです…
…私、お姉さまの笑顔のためなら本当に何でもしますから、どうかお嫌いにならないでください…
告げたいことは山程あるのに、ハアハアし過ぎて声帯が着いて来ず声には出来ず、ただただお姉さまのお顔を見つめつづけるばかり。
そんな私をお優しげに見つめ返してくださっていたお姉さまが、一区切り着けるみたいにわざとらしくニッと笑われました。
「おーけー。そろそろお部屋に戻りましょう。帰る頃には、お膳いっぱいに美味しそうなご馳走が並んでいるはずよ」
温泉から出た岩場の少し離れた岩の上に、真っ白なバスタオルが置いてありました。
きっとお姉さまが脱衣所から持ってこられたのでしょう。
最初にお姉さまが丁寧におからだをお拭きになられ、それから私に手渡してくださいます。
私がからだを拭いている傍らで、お姉さまは湯浴み着の水気を軽く絞った後、手早くおからだに湯浴み着を巻きつけられ、首の後で紐を結ばれました。
私もからだを拭き終わり、お姉さまには湯浴み着があるから、と自分のからだにバスタオルを巻き付けようと広げると、すかさず伸びてきたお姉さまの右手。
「直子は裸のままでいいでしょう?せっかくまだまだ屋外で全裸で過ごせるのだから。こんな直子好みの不健全なチャンス、滅多に無いわよ?」
没収したバスタオルを小脇に挟み、ビデオカメラのレンズを向けてくるお姉さま。
あらためてお言葉でご指摘されると、今私はお外に全裸でいるんだ、ということに全意識が持っていかれてしまい、お姉さまとのラブラブな交わりで満足しきった快楽とはまた別の、マゾ性ゆえの被虐願望みたいな欲求が、イキ疲れているはずのからだを性懲りもなく疼かせ始めてしまいます。
戻りかけていた理性も、出番を間違えた舞台役者さんみたいにバツが悪そうにフェイドアウト。
シヴォンヌさまたちがここを去られるきっかけとなったチャイムが5時とおっしゃられていましたから、きっともう夕方6時近いのでしょう。
あれほどギラギラ全開だったお陽さまも森の向こうに沈みかけ黄昏色間近になった岩場の坂道を、お姉さまが私に向けていらっしゃるカメラのレンズを追いながら歩いていきます。
私が生まれたままの姿で屋外を歩いている姿が映像に残されちゃっているんだ…
あられもなく乳首を尖らせたおっぱいも、歩くたびにヌルヌル潤んでくる無毛の女性器も、全部デジタルで鮮明に記録されちゃっているんだ…
羞恥心と背徳感に煽られ駆り立てられる自虐への衝動は、私のどうしようもないマゾ性をムラムラと蒸し返してきます。
来たときには素通りした脱衣所に入ります。
キャンプ場のバンガロー風外見を裏切らないログハウス仕様でウッディな内装。
水捌けを考慮したプチ高床式なコンクリートの床に素朴な木製スノコを敷き詰めた足元。
そんな朴訥な空間に、駅前とかによくあるコインロッカー然とした無機質無骨なロッカーが壁に沿って整然と並び、もう片方の壁面はお外を覗ける大きな出窓を真ん中に挟んで、バレエのレッスンルームのような鏡張り。
木材の温かみと無機質な冷たさのアンバランスな趣が近未来ぽい非日常感を醸し出していて、鏡に映った自分の肌色が妙にエロティックに見えてしまいます。
お姉さまが右手首に巻かれていたリストバンドから鍵をお取り出しになり、プレートに205と書かれたロッカーの水色の扉を開かれます。
そそくさとご自分の浴衣を取り出されて傍らのテーブルの上に置いた後、サクサクと和装用下着を身に着けられました。
つづいて悠然と浴衣を羽織られ、ご自身の着付けへと進まれます。
私もお手間をお掛けしないように、とロッカーの中を覗き込みます。
あれ?
ロッカー内に残っているのは、お姉さまにお貸しした私のハート型ポシェットとビニール袋に包まれた真っ赤な手ぬぐい?タオル?いずれにしても小さくて薄っぺらそうな布地だけ。
お姉さまにお持ちいただいたはずの私の水色の浴衣は、帯もろとも影も形もありません。
「…あのぅ、お姉さま?」
とっさに感じた切ない予感にドキドキ震えつつ、お姉さまを窺います。
着付けに夢中になれられているお姉さまから、なあに?という素っ気ないご返事。
「あのぅ…私の浴衣は…」
チラッとロッカーと私に視線をくださったお姉さま。
「ああ、それね」
帯を締め終わり、袖やウエストの撓みなど着こなしをご修正されつつ、お姉さまがご説明くださいました。
「直子の浴衣、背中側の裾にけっこう派手に泥が跳ねて汚れていたのよ」
浴衣をお召し終わり、今度は使われた湯浴み着やバスタオルを丁寧にたたみ直されているお姉さま。
「あたしがここで湯浴み着に着替えているときにちょうどキサラギさんが備品の点検にみえられてね」
「汚れに気づいたのも彼女よ。湯船までの道すがら水たまりかなんか踏まれて跳ねたのでしょうって」
「今ちょうど洗濯機回していますからって言うから、あたしは、いいですよそのくらい、って言ったんだけどさ」
湯浴み着とバスタオルを返却籠に収められたお姉さまが、私のそばまでやってこられます。
「あたしも湯浴み着に着替え終えたところだったからさ、自分の浴衣とかをロッカーに入れようとしていたら、わたくしが入れておきますから、どうぞごゆっくり露天風呂を楽しんできてくださいって言われて」
「ロッカーは閉めれば自然に鍵がかかっちゃう方式なんだって。それであたしはお言葉に甘えてそのまま外に出て、直子の浴衣の件はうやむや」
お姉さまがロッカーの中を覗き込まれ、あら本当に入っていないわね、なんて悠長なことおっしゃいます。
そしてロッカー内のビニール袋に気づかれたのでしょう、手を伸ばされ、それをお取りになりました。
「そう言えばあたしがドアから出ようとしていたら、お連れさま用にこちらを入れておきますね、なんて背中から声が聞こえたっけ」
「あたしも直子がカノジョたちに何されているのか早く視たかったから、確認もせずに、はーい、なんて生返事で出てきちゃったんだ」
お姉さまの手がビニール袋を破られ、出てきた真っ赤な布地を広げ始めます。
少し広げられたところで、プッ、と吹き出されるお姉さま。
ご愉快この上ないというような満面の笑顔で私の顔を覗き込んできました。
「ちょっとこれ、直子ってばVIP待遇並みにこのお宿からおもてなしされているみたいよ」
どうしたって笑いを噛み殺せない、みたいなニコニコなお顔で私にその真っ赤な布片を広げて見せてくれるお姉さま。
フェイスタオルを広げたくらいの幅の長めで長方形な布片が真紅に染まっています。
片方の端に同じ色で左右へと細長く伸びる紐。
「これってどう見てもふんどし。日本が誇る伝統の勝負下着、赤フンだわよね?」
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