2016年2月7日

オートクチュールのはずなのに 36

「うふふ。剃り残し発見。やっぱり自分では、お尻のほうまで丁寧に剃れないものね?お尻の穴の周りに縮れたヘアがポツポツ、チョロチョロって」
「あぁーーいやーっ、見ないでリナちゃん・・・」
「失敗したなー。カミソリ、持ってくればよかった。ま、いいや。イベント終わったらじっくり、キレイに剃ってあげるね」

「あんっ!痛ぁい!」
「才色兼備な部長さんは完璧じゃなくちゃ。これじゃあカッコ悪いもの。ほらー。こんなに長いのが肛門の縁に生えてたー」
「あぅぅぅ・・・」

 私もあわてて、自分のお尻の穴の周辺に指を滑らせました。
 幸か不幸かまったくのスベスベ。
 なので、早乙女部長さまの恥毛を抜いたのであろう絵理奈さまのイタズラは、再現できませんでした。

「ねえ、アヤ姉があたしのヘアを剃ったときのこと、憶えてる?」
「仰向けのまんぐり返しで、こーんなに脚を広げさせられて、アヤ姉がお尻にくっつくほど顔を近づけて」
「あうーーっ、いやーっ・・・」

 おそらく絵理奈さまが部長さまの両脚を無理矢理、思い切り押し広げられたのだろうと思い、私も両脚をMの字からVの字に変え、左右に150度くらい広げました。

「あのときのアヤ姉の顔、すごくいやらしかったわよ。目を爛々と光らせちゃって、口は半開きで、今にもよだれを垂らしそうな」
「あたしも仕事柄、ヘアのお手入れでサロンには通い慣れているけれど、あそこまで恥ずかしいことされたのは初めて」

「ピンセットで丁寧に、一本づつ抜いてくれたわよね?こんなふうに」
「あたしの前と後ろの穴に指を挿れたまま、動いちゃだめよ、って叱りつけて、こんなふうに」
「あたし、それをされながら、アヤ姉って、正真正銘のどスケベなヘンタイさんなんだって、確信したんだ」

 絵理奈さまがお話されているあいだ中、部長さまはアンアン喘いでいらっしゃいました。
 ときどき、痛いっ!っていう呻き声が混じるのは、きっと恥毛を抜かれているのでしょう。
 私も、前と後ろの穴に指を挿入し、部長さまが喘ぐお声にリズムを合わせました。

「初めて事務所で会ったときに、ピンときたの。あ、この人、あたしに興味持ったな、って」
「あたし、そういうとこ、鋭いのよ。自分が好かれたか嫌われたか、第一印象でわかっちゃうの」
「アヤ姉が初対面で、相手のからだのサイズを全部見破っちゃうのと同じね」

 部長さまがずっと、低く高くアンアン喘がれているのもおかまいなしに、絵理奈さまが冷静なお声でお話つづけます。
 部長さまの吐息が、着実に昂ぶっていくのがわかります。
 絵理奈さまの指は、お話のあいだも堅実にお仕事をされているようです。

「あたしたちって会って2回目で、もうしちゃったでしょう?あれは、言わばあたしの枕営業。ギャラ良かったから、アヤ姉の仕事、絶対獲りたかったの」
「あたしとしたがってるって、丸わかりだったもの。せっぱつまった顔であたしのことじーっと見て」
「だけど離れられなくなっちゃった。だって、アヤ姉、とても上手なんだもん、気持ちいいこと」

「アヤ姉のためなら、どんな恥ずかしい衣装だって着れるけれど、アヤ姉がいつも余裕綽々なのがニクタラシかった」
「だから、ちょっとゴネて交換条件出したの。アヤ姉にだって、絶対エムっぽい一面もあるはずだと思って」

「うふふ。いい格好。眉目秀麗で名高い部長さんのこんなにいやらしく歪んだ顔見れるのって、世界中であたしだけよね。いつもの、わたくしは何でもわかっています、みたいな上から目線は、どこにいっちゃったのかしら?」
「おっと、おあずけー。まだイカせてあげない。そんな顔したって、だめなものはだーめ。イキたかったらちゃんとあたしにお願いしなくちゃ」

「リナちゃんお願い、もっと、もっとして・・・もうちょっとなの、もうちょっとで・・・お願いぃぃ」
「うわー、お尻の穴がおねだりするみたいにヒクヒクしてる。指抜かれちゃって、そんなに寂しい?」
「もっとおねだりしていいのよ。ほら、自分で力入れて、開いて、すぼめて、開いて、すぼめて」

「肛門と一緒にラビアもウネウネ動くのね?こんな格好、いつも部長さんに叱られている他の社員や取引先の人が見たら、どう思うかしら」
「ほら、まだやめていいなんて言ってないわよ?やめたら金輪際、弄ってあげないから」
「あふぅぅ・・・」
 部長さまの、聞いているだけでゾクゾクしちゃうような、せつなげなため息。

「ふふん。株式会社イーアンドイーが誇るクールビューティも、こうなっちゃったらただのメス犬ね。乳首もこんなにおっ勃てちゃって」
「はぅっ!歯を立てないで・・・ううん、もっと立てて・・・ちぎれるくらいにぃ・・・」
「こう?すっごく固くなってるわよ?コリッコリ。こっちのおマメも」
「あぅっ!そう、そこぉ・・・そこよぉ・・・」
「仕方ないなあ、指も戻してあげる」
「あぅっ!そこ、そこ、そこそこぉ、もっと、もっとぉ・・・あああああーーーっ!!!」
  
 絵理奈さまの嗜虐的なお声と部長さまのあられもない懇願の果て、一際甲高い部長さまの悲鳴が響き、椅子の上の私の腰も、それに合わせて一段高く跳ね上がりました。

「ハアハア、あと、ねえリナちゃん、ハアハア、うちの社名は、イーアンドイーではなくて、ダブルイー、だから・・・」
 荒い息の中から振り絞るような、部長さまのお声が聞こえました。
「あれ?そうだったっけ?あたし、そういうのあんまり気にしないから」
 とぼけたような絵理奈さまのお声。
 その後すぐ、パッチーンという小気味良い打擲音がつづきました。

「はうぅっ!」
「アヤ姉ったら、こんなにされてもまだ、そんなことが指摘出来る余裕があるの?もー、ニクタラシイ。こうなったら徹底的に虐めちゃう。一切あたしに口答え出来ないくらいに。そこに四つん這いになって」
 もう一度パッチーンと音が響き、しばらくガサゴソする音が聞こえていました。
 ついさっきイッて間もないのに、早くも早乙女部長陵辱調教第2回戦の始まりのようです。

 私はと言えば、椅子の上では四つん這いになることが出来ません。
 かと言って、床の上でなるとイヤーフォンが届かなくなってしまいます。
 仕方がないので椅子を降り、デスクの上に上半身を伏せ、お尻を突き出すような格好になりました。
 デスクに押し付けたおっぱいがひしゃげ、尖った乳首がムズムズ疼きました。

 しばらくガサガサ、ジャラジャラが聞こえた後、絵理奈さまのお声。
「ほら、これ。見える?」
「あんっ、まさか、そ、それを、挿れるの?」
 怯えたような部長さまのお声。

「言ったでしょ?アヤ姉があたしにしたこと、全部やってあげる、って。言うなれば今日は、あたしがイベントでちゃんと気持ち良く仕事出来るように接待する、早乙女部長さんのアタシに対する枕営業なのよ。だから、どんな要求だって、部長さんはノーとは言えないの」

 絵理奈さまが部長さまに、何をお見せになったのかはわかりません。
 でも、お尻か性器をイタズラする何らかのお道具であることは確かだと思いました。

「もっと力抜かないと入らないわよ?段々太くなっていくんだから・・・」
 絵理奈さまのそのお言葉でお尻のほうだと思い、私も自分のお尻の穴に人差し指を挿入しようとあてがった刹那・・・
「トゥルルルルルッ・・・」
 電話機の呼び出し音が、びっくりするくらい大きく響きました。

 一瞬、頭の中が真っ白になってフリーズ。
 その後すぐ、あ、そうだ、お仕事なんだ、出なくちゃ、と理解し、あわててデスクから上半身を起こしました。
 その拍子にイヤーフォンが左右とも、両耳からスポンと抜け落ちました。

「は、はい。お待たせしました。お電話ありがとうございます。株式会社ダブルイーでございます・・・」

 全裸でお仕事のお電話に出るなんて、もちろん入社以来初めて。
 立ち上がって受話器を耳に押し付け、ふと視線を下に落とすと自分の尖った乳首が痛々しく背伸びしていました。
 私、なんて破廉恥なことをしているのだろう・・・
 今更ながらの強烈な背徳感と羞恥心が全身を駆け巡りました。

 そのお電話は予想通り、税理士の先生からのものでした。
 幸いなことに書類にも数字にも何の不備も無く、そのまま税務署に申告されるということで、納める税金の総額と明細を教えてくださいました。

 それをメモしながら、私はがっかりしていました。
 だって、その電話が終わってしまえば、私は帰宅しなければなりません。
 部長さまと絵理奈さまの淫靡なヒミツを、それ以上聞くことが出来なくなってしまうのですから。

 受話器を置いて壁の時計を見ると、まだ夕方の5時を少し過ぎたところでした。
 デザインルームにも電話機があるのは、今まで何度か部長さまやリンコさまに取り次いだ経験上、知っていました。

 今のお電話、気づいたかしら?
 おふたりがプレイに夢中になっていて、気づかなかった、ってこともありえるかも。
 部長さまには、7時くらいまでには、ってお教えしたから、もしも気づいていなければ、まだ帰るのを引き伸ばせるかもしれない。
 一縷の望みを託し、大急ぎで外れたイヤーフォンを両耳に挿し直しました。

「・・・だったのかしら?」
「あたしは、呼び出し音は聞こえなかったけれど、電話機のライトがピカピカしていたのは事実よ。この目ではっきり見たもの」
「そうね。音量は絞ってあるから。でも、通話は短かったわよね?ライト、すぐ消えたもの。あんっ!ちょっとお願い、動かさないでくれる?頭が働かないわ・・・あぁんっ」

「その、なんとかって子が帰ったら、堂々とフロアに出れるんでしょ?だったら早く帰しちゃいなさいよ」
「でも、今の電話がそうだったのか、わからないもの・・・」
 どうやら電話があったことには、気づかれたようでした。

「いっそのこと、こっちから内線しちゃえば?それで、そうだったら、さっさと帰れっ、って。違ってたら仕方ないし」
「あんっ。そ、それもそうね。違ったら、こちらからも一回、先生にかけてみなさい、って言うわ」
「うん。それがいい。ただし、そのオモチャは全部、挿したまんま電話するのよ。いつもみたいなお澄まし声で」
「えっ!?、そ、そんな・・・もしバレちゃったら・・・あんっ、どうするのぉ?うちの社員なのよ?」
「だったらバレないように、せいぜいガンバレばいいじゃないの?これもお仕置きの一環。さっきあたしに口答えした罰ね」
 心底楽しそうな絵理奈さまの弾んだお声。

「もたもたしていると、バイブのおかげで、もっともっと高まっちゃうんじゃない?それとも、イク寸前に電話して、いやらしい声を社員に聞かせたいのかしら?」
「わ、わかったわ。だから、あんっ、お願いだから、電話しているあいだ、それを、動かさないで・・・ああんっ」
「それって、これ?それともこっち?うーん。約束は出来ないなー」
 からかううような絵理奈さまのイジワル声の後、数秒して、こちらの内線が鳴りました。

 深呼吸して一呼吸置いてから、受話器を取りました。
 左耳にだけイヤーフォンを挿し、右耳に受話器を押し付けて耳を澄まします。
「はい・・・森下です」
「今、電話があったみたいだけれど、先生から?」
 部長さまの静かなお声が聞こえてきました。

 状況がわかっているためでしょうが、部長さまのお声はとても艶っぽく私の右耳に響きました。
 この電話の向こうで部長さまは、一糸纏わぬ姿で、パイパンにされた秘部と、おそらくお尻の穴にも異物を挿し込まれている状態。
 それなのに、極力平静を装う、わざとらしいくらいの事務的な口調。
 受話器の奥から、バイブレーターが唸るブーンという音まで、低く聞こえてくるような気がしました。
 そして、そんな電話を受ける私のほうも、マゾマンコをグショグショに濡らした全裸。
 数秒の沈黙が、何時間にも感じました。

 ・・・いいえ、違いました。保険の勧誘のお電話でした・・・
 ・・・だから私、まだ帰れません・・・
 
 帰りたくない言い訳が、まず頭に浮かびました。
 でも、この先ぜんぜん、誰からもお電話がかからなかったらどうしよう・・・
 帰るきっかけがつかめずに、あとで先生に直接確かめられたりしたら・・・
 嘘をつき通せる自信がありませんでした。

 ・・・そんなことより、おふたりは今そこで、何をされているのですか?・・・
 ・・・今、どんなお姿なのですか?・・・・
 ・・・私が今、何をしているのか、知りたくないですか?・・・
 
 つづいて、部長さまにお尋ねしたいことが次々と、頭の中を駆け巡りました。
 だけどそんなこと、言い出せるはずがありません。
 私が口にしようとしている言葉は、部長さまを裏切るような形、つまり盗聴と言う卑怯な手段で知ってしまったヒミツなのですから。

「はい。先生でした。何も問題は無かったそうです」
 ゆっくりと、正直にお答えしました。
「そう。よかった・・・」
「それで、今期の納税額は・・・」
「あっ、そ、それは後でいいわ。今聞いても忘れちゃうから、イベントが終わったらゆっくり報告してちょうだい」
 ホッとされた部長さまの一刻も早くお電話を切りたいご様子が、その焦ったような口ぶりでわかりました。

「はい。わかりました」
「ご苦労様。戸締りして帰っていいわよ。あ、帰るときはメインフロアの灯りと空調消して、外鍵も締めていってちょうだい。わたくしたちは、もうしばらく、ここにこもることになりそうだから」
「わかりました、それでは、お先に失礼させていただきます」
「はい。お疲れさま。ごきげんよう」
 プチッとお電話が切れました。

「やっぱり先生だったって。よかった。これでやっと、心置きなく愉しめるわ」
「さすがアヤ姉ね。とてもオマンコにバイブ突っ込まれて、アナルビーズ出し挿れされているようには思えない、名演技だったわよ?」
「あぁんっ、動かさないで、ってお願いしたのにもうっ!リナちゃんはイジワルなんだから」

「うふふ。その代わり名演技のご褒美に、ここからは全力でイカせてあげる。それで今度は、フロアに出て念願のオフィス陵辱プレイをするの」
「だ、だめよまだ。彼女がフロアに出たときに、わたくしが大声あげちゃったらどうするの?電気と空調を消すように指示したから、あの子が出て行くまで静かにしていましょう。空調消したら、そこのパネルでわかるから」

「そんなの、アヤ姉が声をがまんすればいいだけの話じゃない?イキたいんでしょう?あたしがイカせてあげるって言ってるんだから、大人しく従いなさいっ!」
「あっ、あっ、だめ、だめっ、そんな、激しく、あっ、あーーっ・・・」
 
 そこまで聞いたところで、私は静かにイヤーフォンを外しました。
 心の底から愉しそうな、和気藹々としたおふたりのご関係を、とても羨ましく思い始めていました。

 なんだか心身ともにすごくグッタリしていました。
 疲れとか驚きとか、そういうことだけではなく、ムラムラが溜まりに溜まり過ぎて、からだと気持ちが重くなっていたのだと思います。
 早くお家に帰って、心行くまで思う存分オナニーしたい。
 そんな心境になっていました。

 ウェットティッシュで自分のからだと汚した床や椅子の上を丁寧に拭き、モゾモゾと脱ぎ捨てたお洋服を着直しました。
 ブラジャーは着けましたがショーツは穿かず、ジーンズを素肌に直に穿きました。
 それからパソコンを消し電気を消し、わざと大きめな音がするように社長室のドアを閉じました。

 メインフロアに出て、そーっとデザインルームのドアまで近づき、聞き耳を立ててみましたが、何も聞こえてきませんでした。
 とてもしっかりした防音のようです。
 灯りを消してから空調を切り、デザインルームのドアに向かって、ごゆっくり、と一言つぶやいて一礼し、廊下に出ました。

 エレベーターでひとり階下へ降りているあいだ、忘れ物をしたフリをしてもう一度オフィスに戻ったら、どんなことになっちゃうのだろう?なんて妄想しました。
 もちろん実行に移すことは無くオフィスビルを出て、翳り始めた夕暮れの家路を急ぎました。

 もうすぐお家、というところまで歩いたところで立ち止まり、オフィスビルを振り返って見上げると、消したはずの明かりがまた、豆粒ほどの小さな窓に灯っていました。
 部長さまと絵理奈さまは、今もあの窓の中で淫靡な秘め事を、思う存分愉しんでいらっしゃるのだろうな・・・
 いいなあ、部長さまも、絵理奈さまも・・・
 
 今すぐにでもお姉さまにお逢いして、そのしなやかな腕で抱きしめて欲しくてたまらない・・・
 なぜだかそんな、人肌恋しいセンチメンタルな気分になっていました。


オートクチュールのはずなのに 37

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