2022年11月6日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 12

 五十嵐さまのお言葉に甘えて、元の席の椅子にスカートごと座ってしまう私。
 生尻で直に座るより座面を汚さないであろうという判断です。

「理不尽な命令に嫌がるようなフリはするクセに、結局受け入れちゃうところがいいよね。それもけっこう嬉しげ愉しげに」

 同じ目線の高さとなった五十嵐さまが身を乗り出されるようにされ、話しかけてくださいます。

「うちもけっこう幼い頃から屋外露出には興味あったんだ。最初に触れたエロものがそういうシチュだったから。近所の畑に捨ててあったエロ本。小四だったかな…」

「もちろん男性向けの雑誌で今思えばえぐい内容の調教物だったんだけどね。外で恥ずかしい格好させられている女の子たちの切なげな表情が、なんて言うか、凄く儚げで綺麗だと思ったんだ…」

「外で裸にされて見知らぬ人たちににジロジロ視られたらどんな気持ちになるんだろう、って思うけど、でも、自分でやる勇気なんてないから、漫画描いて発散してんだよね、昔から絵を描くのが好きだったから…」

 お言葉を選ぶように途切れ途切れに、照れ臭そうにおっしゃる五十嵐さま。

「だから今日は直子と、って言うか、直子で遊べてすっごく愉しい。うちが頭ん中であれこれ思い描いていた妄想が現実に目の前で起こるんだもん。感謝してる」

 あらためてお礼を告げられると私のほうこそ照れ臭いのですが、逆にそれだけ露出に思い入れがあるとすれば、これから私は何をさせられちゃうのか、少し怖い気もしてきます。
 五十嵐さまがつづけて何かおっしゃろうとしたとき、橋本さまが悠然と戻っていらっしゃいました。

「お待ちどうさん」

 戻られた橋本さまはまず、テーブルに置かれたご自分のビデオカメラを大事そうにお手に取られ、その代わりにたたまれたメガネ状の物体をテーブルに置かれます。

「へー、これがスパイカメラなの…」

 横細な四角いレンズの黒縁素通しメガネ。
 つるのところが少し太い感じですが、メガネレンズの幅に合わせた感じでデザイン的にはマッチしています。

 五十嵐さまは物珍しげにお手に取られてしげしげとご覧になっておられますが、私は既に経験者。
 リンコさまのお部屋で行なわれた夏休み女体観察会で、同じようなメガネをかけられたお子さまたちにさんざん撮影されました。

「カメラのレンズはどこにあるの?」

「フレームの眉間のところ」

「ああ、ちょこっと凹んでる。でもぱっと見じゃわかんないね」

「充電フルだから回しっぱなしでも一時間くらいは保つはず。使いたいときは言って」

 五十嵐さまがメガネ型カメラをテーブルに戻されて、橋本さまがそれをご自分のウエストポーチに仕舞われます。

「そんじゃあカントク?ご指示を。我々はカントクの仰せのままの下僕ですから」

 橋本さまがお芝居っぽく茶化すようにおっしゃいます。

「うーん、迷ってるんだよね。買い物もしなきゃいけないし、撮影場所も探さなきゃなんないし…」

 座ったまま頬杖をつかれ、本当にお悩みなご様子の五十嵐さま。

「ドラッグストアって、どこにあるの?」

 橋本さまが五十嵐さまにお尋ね。

「うーんと、ここからだとちょっと距離あるかな?通りから車で入ってきたあの入口の辺り」
「頼まれた買い物もけっこう嵩張りそうだから、買うのは最後でいいかな、とも思ってるんだけど…」

 それきりまた黙り込んでしまわれる五十嵐さま。
 やがてお顔を上げられて橋本さまにお尋ねになります。

「ハッシーのそのカメラって、ううんメガネじゃないほう、ってズーム、どれくらい?」

「光学で50倍」

「それって10メートルくらい離れてても表情までくっきり写るの?」

「そのくらいの距離なら余裕でラクショーだね」

「うちが考えてるのは、そこそこ人通りのある場所に直子をひとり放置して、うちらが遠くから隠し撮りみたいに撮影するプランなんだけど、どこで撮ればいいのか、場所が浮かばないんだよね」

 五十嵐さまが、ひとり放置、なんて何やら不穏なことをおっしゃって、私の背筋がゾクッと震えます。
 五十嵐さまのお話が途切れて少しの沈黙の後、橋本さまがいつになく真面目なお顔でご自分のお考えを述べ始められました。

「なるほど。それだと姫をどこに置くかじゃなくて、俺らがどこから撮影するかを考えたほうが早いよね」
「たとえばこの場で、姫を10メートル先に立たせてここからカメラで狙っても、隠し撮りにはならないわな。姫にカメラ向けているのが周りから丸見えなわけだし」

「かと言ってどこかのお店の中からとかは建物内撮影禁止でNG、となると俺らの車から狙うしか無いんじゃない?つまりは駐車場周辺」

 理路整然とお話を進められる橋本さま。

「駐車場内なら車は動かせるし、移動しちゃってもチーフたちとの合流はケータイでどうにでも連絡つくし」
「となると、まずは買い物済ませて、嵩張る荷物はいったん車に置いて、それから駐車場周辺でロケーションするのが最適解なんじゃないかね」

 淡々とお話される橋本さまを、爛々としたまなざしで見つめられる五十嵐さま。

「何ハッシー?美大中退のクセに理系脳だったの?」

 嬉しそうに幾分ご無礼なことを口走られる五十嵐さま。

「それ採用。それで全部うまくいきそう。ハッシー段取りの天才。そうと決まればレッツでゴー!」

 勢い良く立ち上がられる五十嵐さま。

「ほら、直子も」

 五十嵐さまに軽く左肩を叩かれ、私もビクッとしつつ立ち上がります。
 すると五十嵐さまの右手が私の胸元へと伸ばされ、ボレロカーディガンの結び目リボンがスルスルっと解かれます。

「あっ、いやんっ!」

 ハラリと左右に割れた短いカーディガンの布地の下に、私のスケスケおっぱい。
 ブラウスの布地は乾いていて透け具合もそれほど露骨ではないのですが、膨らみ始めから下乳まで、その全貌が白くて薄い布地越しに薄っすら浮かび上がっています。
 思わず胸元を両手で庇う私。

「大丈夫よ、乳首は絆創膏で隠したのっぺらおっぱいだもん。目線を惹くアクセントになるような色味や突起が無いから見た人も、なんだベージュの肌着か、くらいにしか思わないって」

 他人事ですから、思い切り楽観的なご意見を述べられる五十嵐さま。
 私の左手首が五十嵐さまの右手で掴まれ、胸元から強引に引き剥がされます。

「いい?これからドラッグストアまで歩いていくけど、直子はおっぱいを一切隠してはダメ。そうね、後ろ手に組むくらいの感じで付いてきなさい」
「もしも命令に背いたら、もっとひどいことになるから。その絆創膏剥がしてブラウスまで脱がせたり…」

 心底愉しそうにご命令くださる五十嵐さま。
 そのご無体なご命令に、私の心も着々とドマゾモードへと移行しています。
 橋本さまのハンディカメラがいつの間にか少し離れた位置から、私を被写体にして撮影を再開されています。

「それじゃあ移動しよっか」

 五十嵐さまが私のスマホをポシェットに収められ、パイスラ仕様に掛けてくださいます。
 ブラウスの布地がポシェットのストラップで押さえ付けられ、私のおっぱいの谷間が割られて膨らみが殊更強調されてしまいます。
 橋本さまは私たちの前へ横へと撮影アングルを工夫されつつ歩調を合わされています。

 フードコートの建物を背にし、芝生の広場をもう一方の建物側へと進む私たち。
 やがてモールの通路へと入ると、擦れ違う人たちがグンと増えてきました。

 お洒落な雑貨を扱われているお店が立ち並ぶ、広い通路を行き交う老若男女。
 派手な服装の男性が構えるビデオカメラに誘導されるようにゆっくり歩く女性ふたり連れに、幾人かの人が好奇の視線を投げかけてきます。

 完全に左右に割れてしまい役立たずのボレロカーディガン。
 乳首は隠されているとは言え、気分的にはおっぱい丸出しで歩いているも同然なのですが、そんなの何も気にしていない、というフリを必死に装い、モデル的無表情で歩を進める私。

 そしてこのとき私にはもうひとつ、差し迫った懸案事項が浮上していました。
 お姉さまがくださったカシスオレンジのせいではないのでしょうが、急に尿意が高まってきてしまっていたのです。

 でも下手に、おトイレに行かせてください、なって頼んでしまうと、より一層ご無体なご命令、例えば物陰に連れて行かれて、ここでしちゃいなさい、みたいな事態にもなってしまいそうなのでガマンしていました。
 
 だけどガマンし切れなくて歩きながらお漏らししてしまっても結果は同じ…いえ、もっと悲惨なことになるかも…
 どうしようか、と内心悶え苦しんでいます。

 モール通路を進んで道路からのお車の出入口近くまで辿り着くと、ショッピングモール全体の出入口のひとつでもあるようで、前にも増して行き交う人が増えてきました。
 そんな一画にある東京でも有名なカフェチェーン店の前まで来たとき、五十嵐さまが私を振り返りおっしゃいました。

「ちょっとトイレ行ってくるけど、直子も行く?」

 えっ?これは奇跡?想いが通じたの?

「は、はいっ!」

 思わず大きな声でつんのめるようにご返事。

「あ、んっじゃあ俺も」

 橋本さまもご便乗されます。

「で、ハッシーさ、スパイカメラっていうの貸して」

 やっぱり一筋縄ではいかれない五十嵐さま。

「ああ、そういうことね。ほい」

 何を察されたのか、あっさりとメガネ型カメラをお渡しになる橋本さま。

「それ、実際の自分の目線よりも下気味に撮影されるから、対面で撮るなら若干顎を上げ気味にしてたほうがいいよ」

 何度か使われていないとわからないはずの適切なのであろうアドバイスまでくださいます。

「録画オンにしたから、行っといで。またこの店の前で合流な」

 五十嵐さまがメガネをかけられ、私を見つめてきます。
 黒縁メガネ姿の五十嵐さまは、知力がグンとアップした感じで、なんて言うか、お召し物が上下スウェットなので、体育の授業を抜け出してきた名門高校生徒会副会長という感じ。
 サイドに流された髪の毛でメガネの太めなつるも隠れ、不自然さはありません。

 カフェを素通りして少し行くと男女隣り合わせのお手洗いがありました。
 ドア前に並ぶ行列もなく、橋本さまと別れて女子トイレに入ります。

 中にはおふたりほどの先客さま。
 ご中年であろう派手めなお召し物のご婦人とノースリワンピの女子大生風なかた。
 私たちが後ろに並ぶなり、おふたりが振り向かれ、しばらくじっと、主に私が視られます。

 それはそうでしょう。
 アクセサリーと呼ぶにはいささか大げさな首輪を着けて、下着を着けているのかわからない薄物でバストを透けさせている女が、生徒会副会長風黒縁メガネ女子に従うように入ってきたのですから。
 個室は全部で六つ、全て扉が閉じています。

 女子大生風のかたはすぐに前を向かれてそれきりでしたが、ご婦人のほうは私が気になるらしくお顔をしきりに動かされてチラチラと目線を送ってこられます。
 私は素知らぬふうを装って無表情に努めているのですが、内心、何か言われたらどうしよう、とドキドキです。

 そうしているあいだに一番手前の個室のドアが開き、真っ赤なワンピースのご婦人が出てこられました。
 そのかたは私たちを一瞥もされず、急いでるふうに洗面スペースへと直行されました。

 これでご中年のご婦人がその個室へと消えられ、入れ代わるようにおふたり連れらしき女性、おひとりはロックバンドのロゴ入Tシャツ、もうおひとりはボーダー柄のタンクトップというお若いであろう方々、が私たちの後ろに並ばれます。

 後ろからなら首輪も髪で隠れているし、ボレロガーディガンで背中も上のほうが隠れるしで、ブラウスが透けていてもヘンタイぽいところはないな、と一安心。
 でも安心したら、そのぶんだけ尿意が高まった感じ。
 
 私の前に立たれている五十嵐さまは、おからだを半分私のほうに向けられ、無言で私の顔をじっと視られたり、ときたま舐めるように全身を眺めたり、その合間におトイレ内全体をぐるっと見渡されたり。
 でもこれってつまり、五十嵐さまは今、女子トイレ内を盗撮されている、っていうことだよね、なんて思ってみたり。

 すると今度は一番奥の個室、少し遅れてそのお隣の個室の扉がたてつづけに開きました。
 出てこられたのはいずれもスラッとした妙齢の女性。
 擦れ違うときにそのおふたりからは、同じように訝しげな視線を、主に首輪の辺りに投げつけられました。

 ノースリワンピの女性がひと足早く一番奥の個室に入られました。

「一緒に入ろっか」

 えっ!?
 問いかけられたお言葉の意味を咀嚼できないうちに、五十嵐さまの左手に私の右手を掴まれます。

「あの、えっと…」

 戸惑いマックスのまま引っ張られるように、奥から二番目の扉前まで連行される私。
 個室に入るときに列のほうを見遣ると、Tシャツとタンクトップのおふたりが、信じられない、とでもおっしゃりたげな唖然としたお顔をされていました。

 個室の内部はけっこう狭く、ドアに向いた便器の前のスペースは一メートル四方くらい。
 お先に入られた五十嵐さまが便器の蓋を開けられます。

「失礼して先にやらせてもらうね」

 おっしゃりながらこちらを向かれたまま、スウェットパンツのゴムにお手をかけられます。

「え?あの、ちょっと…」

 うろたえながら後退り、個室のドアにべったりと背中を預ける私。

「何ビビってるの?オシッコするだけだよ。女同士だし、見たかったら見てていいから」

 五十嵐さまってば、お着替えになるときも無造作に裸になられていたし、そういうところは意外と無頓着なご性格のよう。
 ドギマギしている私のほうがおかしいのかもしれません。

 お立ちになられたまま少し上体を前傾された五十嵐さまが、スウェットのハーフパンツを膝下まで勢い良く下ろされます。
 ショーツごと下ろされたのでしょう、薄め少なめの陰毛に覆われた下腹部が眼中に飛び込んできて心臓がドキン。
 五十嵐さまの下腹部はマシュマロみたいに色白で、そこに小さく翳る漆黒の逆三角形が鮮烈です。

 便座に腰掛けられた五十嵐さまは、薄い笑みを浮かべて私をじーっと見つめられています。
 その不自然さで、あのメガネで撮影されている、ということを思い出しました。

 五十嵐さまのオシッコ姿には興味あるけれど、そんなことに興味津々な私の腑抜けた顔が後で他のみなさまにも見られてしまう…

「ご、ごめんなさいっ」

 なぜだかお詫びの言葉を口走りつつ五十嵐さまに背を向ける私。
 私が好きな種類の性的な恥ずかしさとは別物の、照れ臭いような居心地悪い恥ずかしさがこみあげてきたからです。

 個室のドアを見つめている私に音が聞こえてきます。
 ジョロジョロという音はおそらく放尿されている音。
 それが静まりンーッという機械音の後のシューッと言う音はたぶんビデを使われた音。
 
 その後にガサゴソとトイペを使われる音がして、一番大げさなザバーっという音は排出物が流された音。
 少しの衣擦れの音の後、背後から左肩を叩かれます。

「はい、お待たせ。タッチ交代」

 五十嵐さまが壁際へ避けられるようにお立ちになられ、私に便座に座るようご誘導されます。
 私の尿意もかなり差し迫っていましたから、すんなり便座の前までは行きました。

 でも…
 ここで私と五十嵐さまの立場の違いにはっきり気づきました。
 五十嵐さまに見られる、ということはすなわち、私の放尿姿が撮影され保存される、ということなのです。
 
「ノーパンだったよね。スカートは脱いで下半身丸出しになりなさい」
「それで両脚は大きく広げて自分の指でラビアも開いて、うちの顔をじっと見つめながらオシッコしなさい」

 五十嵐さまの扇情的に歪んだ微笑みで、私への辱めを心の底から愉しまれていらっしゃることがわかります。
 五十嵐さまだけではなく決壊寸前の尿意にも追い込まれている私には、ご命令通りに従って恥ずかしい放尿姿をご披露するしかありません…


2022年10月30日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 11

「…で、でも…」

 さっき後ろ手に回したときの感触を思い出し、座っているプラスティック製の椅子の背後を手探りで確認したら案の定だったので、その結果マゾとして禁句な否定語をまた発してしまいました。

 だって今座っている椅子、背もたれと座面のあいだが背もたれの幅の分だけ20センチくらい隙間となって空いているんです。
 生尻で腰掛けたとしたら、ちょうどあの恥ずかし過ぎる自己紹介文からお尻の割れ始めまで、バッチリ素肌が覗けちゃうくらいに。

「でも何?何がでも?それじゃ答えになっていないわよね?直子はあたしの提案に対してどう考えたのかから、みんなにわかるようにきちんと説明なさい」

 お仕事のときの会議のようなご真剣なまなざし。
 一瞬オフィスにいるのか、と錯覚しちゃうほど。

「あ、はい…お姉さま、あ、いえ、チーフのお考えをお聞きして、私が汚してしまったスカートは直ちに水洗いなりをするべきだと思いました…」

「だけど私がこのスカートを脱いでしまうと、私の下半身を覆う衣服はありませんから、汚れを落とすあいだ私は下半身裸で過ごすことになります…」

「椅子の背もたれで隠れるならそれでもいいかなとも思ったのですが、念の為に背もたれを確認すると下の方に隙間が空いていました…」

 一生懸命頭を整理して弁明します。

「私がそれをした場合、芝生におられるみなさまに後ろから裸のお尻が視られ放題となるので、その結果ご迷惑をおかけしてしまうかな、と…」

 ただ、自分で説明しているうちに、その状態になりたい、と思っているもうひとりの自分がいることに気づいてしまいます。
 
 お昼時フードコートのテラス席で下半身を剥き出しにして、椅子の背もたれ下から生尻を覗かせている女…
 背後を行かれる方々に、あれ?あの人、お尻が出ていない?なんてコソコソ後ろ指をさされたい、なんて思ってしまっているのです。

「ご迷惑と言ったら、現在進行系で迷惑を被っているのは五十嵐さんよね?私物のスカート汚されちゃっているのだから。まず、そのご迷惑を解消するのが最優先ではなくて?」

 至極ごもっともなご意見を投げかけてこられるお姉さま。
 カメラを構えられた五十嵐さまのレンズの下から覗いているお口元がニンマリと歪んでいます。

「それに、ラッキーなことに直子が今座っている椅子の色、肌色に近いベージュだから、少しくらい生尻が覗いていたって、よっぽど近寄らない限り気づかれないわよ」

 決めつけられるようにおっしゃったお姉さま。
 そこで質疑は終了、私の異議はあっさり却下されます。

「わ、わかりました…」

 不安なのか被虐の悦楽なのか、こんな場所で下半身丸裸になるという緊張に震える指先を、そっとスカートのウエストに近づけます。
 一番上のボタンを外せばスカートは脱げるはずですが二番目、三番目と六個すべてのボタンを外して一枚の布地状態となったスカートを、お尻を少し上げて腰から外します。

 ブラウスの裾は私の恥丘手前、下腹部の始まり辺りで途切れていますから、私のうつむいた視線に自分の露わになった無毛の下半身が女性器の割れ始めまではっきり見えています。

 細長い一枚の布状となった真っ赤なスカートを、テーブルの下からおずおずと差し出します。
 すぐにお姉さまが取り上げられ、矯めつ眇めつしげしげと検められます。

「やっぱりちょうどお尻のとこらへんの裏地がベッタリ汚れちゃってるわね。表側まで少し湿ってる」
「あたしが持ってるウエットティッシュくらいじゃ、どうにもならない感じ」

 真っ白なテーブルの上に広げて置かれた派手な赤い布地は、きっと遠くからでも目立っているはずです。
 何をしているんだろう?と吸い寄せられた視線が私の浅ましい姿に気づかなければいいのですが…

「だったらちょうどワタシ、お手洗い行きたいから、ついでに水洗いしてきてあげるよ」

 中村さまがお足下に置かれたご自分のバッグからお化粧ポーチを取り出されながらおっしゃいました。

「誰かタオル持っていない?フェイスタオルくらいのがいいかな。あとエミリー?ウエットティッシュも貸して」

 中村さまご要望のお品を、どちらもお姉さまが差し出されました。
 中村さまはスカートの濡れている部分にウエットティッシュをかぶせてからたたまれ、タオルで包んで小脇に挟まれます。

「パンツも洗っとく?」

 テーブルの上にポツンと残された私が汚した薄青色のショーツ。

「いや、パンツはいいよ。直子に自分の淫乱さを反省してもらうために、ずっとここで晒し物にしておく」

 ずっと私にビデオカメラを向けられている五十嵐さまが、私の顔を撮影しつつおっしゃいました。

「そう。んじゃあ、行ってくる」

 お席を立たれた中村さまをお見送りすると、カメラを構えられた五十嵐さまはわざわざお席を立たれ、テーブルの上の私のショーツにレンズを向けられます。
 それから私のすぐそばまで寄り添われ、至近距離から私の視線と同じアングル、すなわち剥き出しの恥丘を上から撮影された後、背後に回られ生尻を覗かせている私も撮影されています。

「お待たせー、いやードリンク類は行列で予想外に混んでてさ…」

 中村さまと入れ違うように近づいてこられる、本橋さまの明るいお声。
 トレイにさまざまなドリンクやスイーツを乗せた男性陣がお戻りになられました。

「うわっ、なんでテーブルの上に下着が置いてあるの?」

 お飲み物をそれぞれに配ろうとされていた本橋さまの驚きのお声。
 ショーツを数秒じっと見つめられた後、迷いなくその視線を私に移されます。

「あーあー、とうとう姫がパンツまで脱がされちゃったんだ」

 私のすぐそばまで来られていた橋本さまからは呆れたお声。
 そんな橋本さまは立たれたまま私を見下ろされ、その視線の先のことにも気づかれ、今度は、えーっ?という大きな驚きのお声。

「てか、スカートまで脱がされちゃってるじゃん…まったく、オンナ同士のイジメってのは情け容赦無いからなー」

 心底呆れられているような、はたまた、からかいたいだけのような、お芝居っぽいご口調で嘆かれる橋本さま。
 その視線はずっと、椅子の座面に剥き出しな形で乗っている、私の恥丘とその先の割れ始め部分に釘付けです。

「あら、イジメだなんて失礼ね。直子がお料理待っているあいだに勝手にひとり遊びして下着とスカートを汚しちゃったから洗うために脱がせただけよ。これはお仕置きであり躾けなの」

 お姉さまがニヤニヤ笑いでご反論。

「それにこれがイジメだとしたら、この子がこんなエロい顔をしているわけないじゃない?」

 確かに、男性おふたりから剥き出しの股間をじっと覗き込まれ、私は得も言われぬ甘美な恥辱を感じていました。
 しかも、この場は公共の屋外、周囲や背後からは見知らぬ人々がさんざめくお声も聞こえているのです。

 裸のお尻を直に乗せたプラスティックの椅子の座面が、性懲りもなく潤んできているのがわかります。
 視られていると実感することで、はしたないおツユが滲み出し、腫れきった肉芽が萼を脱ぎ捨てます。

 あーんっ、こんな恥ずかしいお仕置きをされているみじめな私をもっと視て…
 自分が今していることの破廉恥さに興奮してしまっている私は、困ったような曖昧笑顔を浮かべてこの状況を耐え忍ぶしかないのです。

「あたしたちはこの子がして欲しそうなことをしてあげてるだけ。あなたたちだって昨夜、みんなでモッチーを押さえつけてスネ毛をひん剥いたって言ってたじゃない。むしろそういうのこそイジメじゃないの?」

 テーブルにはそれぞれの飲み物が行き渡り、お姉さまがハイボールのグラスを軽く傾けられてからおっしゃいました。
 五十嵐さまはソフトクリーム、私の目の前にはカシスオレンジのグラス、本橋さま橋本さまは仲良くお揃いで、片手にソフトクリーム、片手にコーラのグラス。
 男性おふたりはご自分たちのテーブルにお戻りにならず、私の傍らにお立ちになったまま。

「確かにあれはイジメに近いと思う」

 本橋さまのお声が私の背後から聞こえてきます。
 ひょっとすると本橋さま、椅子の背もたれ下に覗く私の生尻をご自分のからだで隠してくださっているのかも…

「でもおまえ、機会があれば全身脱毛とかもしてみたい、って俺に言ってたじゃん」

 私の右脇の橋本さまの茶化すようなお声。

「言ったけど、その機会はぼくが決めることでしょ?ぼくは森下さんみたいにマゾッ気強くないから、この旅行中みんなにそれぞれリベンジするつもり。だからハッシーも覚悟しておいて」

 本橋さまがきっぱりしたご口調でおっしゃって女性陣がワッと沸きます。

「ほらね、ハッシー、やっぱり誘い受け…」

 五十嵐さまがお姉さまに向けてコソッとつぶやかれました。

 それからしばらくは、脱毛した後のお手入れ方法などの雑談が主に五十嵐さまと本橋さまのあいだで交わされ、そこにお姉さまと橋本さまが茶々をいれられるという感じ。
 そんな会話を聞きながらカシスオレンジをチビチビいただいていると、赤い布地を剥き出しで持たれた中村さまがお戻りになられました。

「あら?意外と早いお戻りね」

 お姉さまが中村さまにお問いかけ。
 中村さまはテーブルの上に置きっぱなしだったアイスコーヒーをブラックのまま半分ほどクイッと煽られてホッとひと息。

「うん。個室は混んでたけど洗面とパウダールームは空いてたから使い放題だった」
「お尻のほうだけ水洗いしてドライヤー当ててきたの。ポリエステル100パーだからか乾きが早かった」

 おっしゃりながらスカートをお姉さまに手渡された中村さまは、ご自身もメイクをし直されてこられたみたいで、お顔の艶やかさがよみがえっています。

「だけどもう一時を回ってしまったから、買い物も急いだほうが良さそうね、ワタシらもタチネコさんにもこの後の予定があるでしょうから」

 残っていたアイスコーヒーをもう一口で飲み干された中村さまがご自分のバッグの中をガサゴソ掻き回されて紙片を引っ張り出されます。

「ここからは二手に別れましょう、ワタシとエミリー、それにそちらも買い出しがあるでしょうから本橋さん、は食材の買い付け担当。残りの三人は、ショーコの取材でどこでも好きにしていていいのだけれど、ひとつだけ頼まれて欲しいの」

 おっしゃりながら紙片を五十嵐さまに渡された中村さま。

「先生からの頼まれ物。全部ドラッグストアで揃うはず。あとついでに虫除けスプレーも4、5本買っておいて」

 紙片に視線を落とされた五十嵐さまが素っ頓狂なお声を上げられます。

「やだっ、コンドームと浣腸薬とベビーローションだって。それもこんなにたくさん。先生、誰に使う気なのかしら」

 五十嵐さまが私の前に紙片を置かれ、見せてくださいます。
 ご年配のかたっぽい流麗なご筆跡。
 避妊具もお浣腸薬もローションもブランドと個数がご指定されています。

「そういうのは直子に買わせるといいわよ。店員に聞かせて売り場まで案内させるの。この子、それだけで濡らしちゃうはず」

 お姉さまからのイジワルなサジェスチョン。

「あ、それいい。この組み合わせを女子が買うの、かなり恥ずかしいもんね。あ、でも店内じゃ撮影は出来ないか…」

 五十嵐さまのテンションが上ったり下がったり。

「あ、俺、そういうこともあろうかとスパイカメラも持ってきてるよ、メガネ型の。今は車に置いてきちゃってるけど」

 橋本さまがあっさりおっしゃって、五十嵐さまが、さすがハッシー、と再びハイテンション。

「それじゃあ、そうね、二時十分前に駐車場に再集合ということにしましょう」

 中村さまのご提案にみなさま頷かれ、すぐにもみなさま散開という雰囲気なのですが、あの、私は…

「いや、ちょっと待って。森下さんはどうするの?このままはいくらなんでもマズイでしょ」

 背後に立たれている本橋さまが助け舟を出してくださいます。

「ああ、そうだったわね。直子はまだ下半身スッポンポンだったっけ」

 知っておられるクセにイジワルくおとぼけなさるお姉さま。

「あたしたちがこのまま移動し始めたら、この子どうする気だったのかしら。案外その格好のままで大人しく従ってきたかもね、直子ってそういう子だから」

 イジワルさ全開のお姉さまに股間の襞がヒクヒクッ。

「で、イガちゃん?パンツはどうする?」

「無しで」

 お姉さまのご相談に即答なさる五十嵐さま。

「おっけー。なら直子?立ちなさい」

 えっ、ここでですか?でも…とは思うのですが、異議を申し立てたところで時間の無駄になることはわかりきっています。
 背後は本橋さまが守ってくださっていますし、前方の椅子には中村さま、その背後にも遠くのほうにしか人影は見えません。
 ここはさっさとスカートを穿いてしまうのが得策です。

「はい…」

 椅子を少し後ろにずらして立ち上がると、テーブルの高さが私の両腿の付け根ギリギリ。
 したがって下腹部、恥丘と割れ始めは白日の下に曝け出されています。
 そこにおられる全員の視線とカメラのレンズがその部分に集まっているのを感じています。

 ああん、お姉さま、早くスカートをお渡しください…
 私の願いを嘲笑われるように、まずタオルを差し出して来られたお姉さま。

「どうせこうしているあいだもムラムラしっ放しで、椅子をマン汁で汚しちゃっているんでしょう?汚したままだと次に座る人があまりにも可哀想じゃなくて?」
「ほら、このタオルで椅子の汚れと、あなたの淫乱マゾマンコをまず拭いなさい。かなちゃんがせっかく洗ってきてくださったのだから」

「は、はい…」

 確かに私の裸のお尻を乗せていたプラスティック椅子の座面はじっとりと粘液でヌルンでいました。
 手渡されたタオルも中村さまがお手洗いで使われたものなので、絞ってはありましたが全体が湿っています。

 立ち上がった私は椅子をもう少し後方へとずらし、テーブル側に裸のお尻を突き出す格好で前屈みとなり、椅子の座面を丁寧に拭き取り始めます。
 両腿をくっつけたまま、というわけにはいかないので、どうしても両脚が開いてしまい、テーブル側の方々には、その裂け目から濡れそぼった陰唇が見事に覗けていることでしょう。

 椅子を拭き取り終わって上体を起こしたとき、見下ろされている本橋さまと目が合います。
 その瞳に憐れみが宿られているような気がして、どうして私はこんなところでこんな格好でこんなことをしているのだろう…という被虐に全身が包まれます。

 椅子を拭いた側の布地を裏返してからテーブル側へと向き直り、今度は自分の股間にタオルをあてがいます。
 みなさまにまっすぐに見つめられる中で、自分の性器をタオル越しにまさぐる私。

「…んぅッ…」

 絶対にヘンな声は洩らすまいとがまんしていたのに、クリットに擦れた布地で喉奥から迸ってしまう淫声…

「ほら、いつまでマゾマンコ撫ぜてるの?急がなきゃって言われたでしょう」

 呆れたお声と一緒にやっとスカートを手渡してくださるお姉さま。
 それをいただくと同時にタオルをテーブルに置いて赤い布地をウエストに巻きつけた私。
 大急ぎですべてのボタンを留め終えます。

「パンツはあたしが洗っておくから」

 最後までテーブル上で晒し物となっていた薄青色のショーツは、私が今使ったタオルに包んでビニール袋に入れられ、お姉さまのバッグに仕舞われます。
 これで私が着けていた下着類はすべて没収されました。

「イガちゃんはタオル持ってる?次に直子をどこかに座らせるときは、生尻の下に敷くように命令したほうがいいよ、スカート汚されたくないなら。持ってなかったら貸すけれど」

 お席を立ち上がりつつのお姉さまから五十嵐さまへのアドバイス。

「大丈夫。持ってるし、直子がどのくらいマン汁を垂れ流すのかにも興味あるから」

 一応身支度の整った私をなおも撮影しつづけられている五十嵐さま。

「じゃあワタシらはグラス類とゴミをお店に返しがてら、そのまま買い物に向かうから。一時五十分に再集合ね。さ、行きましょう、本橋さん」

 中村さまの号令でそれぞれのお荷物を手にフードコートの建物のほうへと歩き始められた中村さまとお姉さま。
 本橋さまが空のグラスや紙くずの乗ったトレイを捧げ持たれて後からつづかれます。

「んじゃあ俺はひとっ走り車まで戻ってスパイカメラ取ってくるから。きみたちはもう少しここでまったりしてな」

 橋本さまがご自分のビデオカメラをこちらのテーブル上に置かれたまま、ささっと芝生のほうへと駆け出されます。
 五十嵐さまとふたりきりで取り残される私。

「直子って、ホント、面白いよね。虐め甲斐があるって言うか、虐めざるを得ないって言うか」

 ビデオカメラをやっと下ろされた五十嵐さまが私の顔をじっと見つめながら感慨深げにおっしゃいます。
 ふたりともテーブル脇に立ったまま。

「うち、直子がモデルならいくらでもエロい露出調教漫画描けそうな気がする」

 おっしゃりながら五十嵐さまはお近くの椅子に腰掛けられますが、私はさっきのお姉さまのお言葉もあり、座ってもいいものか考え中。

「直子も座っていいよ。タオルなんか敷かずにスカートのまんまで」

 おやさしくおっしゃってくださる五十嵐さま。

「またスカートのお尻をマン汁で濡らして、傍から見てお漏らしみたいになったとしても、それは直子の自業自得だし、そんな姿で公衆の面前を徘徊する直子を見てみたい気もするし」

 五十嵐さまの唇の両端がニヤリと歪みました。


2022年10月16日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 10

「…コです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり…」

 お姉さまからのお電話でいただいた、動いては駄目、両手は椅子の背もたれの後ろに、というご命令が頭をよぎり、お電話に出てもいいものか一瞬迷います。
 だけどこれは明らかにお姉さまからのコールなのだし…
 結局、着信音声を黙らせたのは、すべて言い終えてしまい二周めに移った真ん中辺の頃でした。

「んっ、ハァ、はいィ…」

 お電話に応答しつつも周りをキョロキョロ見回してしまいます。
 …よかった、気づいた人はいないみたい…
 そう思っていると、唐突に停止するローター。

「お料理受け取ったから、これから戻りまーす」

 お姉さまってば、人の気も知らないでとても愉しげなお声。

「んーッ、は、はいィ……」

「どうしたの?ずいぶんと声が上ずっているけれど」

 んもう、わかっていらっしゃるクセに、お姉さまのイジワル…
 私が数秒黙り込むと、すかさずお姉さまのヒソヒソ声。

「それで、イッちゃった?」

「あ、あの、ハアァ、えっと、はい…」

「ふうん、そんな感じじゃまだご不満みたいね」

 なんでもお見通しなお姉さま。

「なら、そっちに戻るまでボーナスタイムをあげましょう。数分かからずに着くと思うけれど、せいぜい頑張りなさい」

「ハァハァ…いえ、あの、それはもう…」

 充分ですから、とつなげるつもりがプチンと切れた通話。
 数秒遅れて膣内でローターが前にも増した勢いで暴れ始めました。

「いやんっ、んんーーーッ、ンッ、ンッ、ンヌぅーーーーッ!!!」

 電話を置いて十数秒で膣奥から全身へとくまなく行き渡る気持ちいい陶酔、あんなにがまんしていたのにあっさりイキ果ててしまう私。
 頭の中はハレーション状態、ご命令も忘れて両手で顔を覆ったままテーブルに突っ伏してしまいます。

 それでも股間のローターは相変わらずの暴れまくりで、意識を手放すことさえ許してくださいません。
 頭脳以下のからだはぐったりしているのに、下半身だけがヒクンヒクン反応しています。
 快感が極まった、と思った途端にもっと深くて濃密な絶頂感がこみ上げてきています。

 両手を枕にしてテーブルに突っ伏したまま終わらない快楽の暴力を耐え忍んでいると、複数のお声が近付いてこられるような気配。
 と思う間もなく伏せた背中をゆさゆさ揺すられます。

「ちょっと、大丈夫?」

 あ、お姉さま?と思い、しんどいながらもなんとかからだを起こすと、私の顔を覗き込まれているのは中村さま。

「顔、真っ赤じゃない。まさか熱中症?暑くてまいっちゃった?」

 ご心配してくださっているような声音ですが何かお芝居っぽくて、無理矢理笑みを噛み殺されているようなそのお顔を拝見すれば、中村さまが愉しんでいらっしゃることが丸わかりです。

「へー、本当にあんな距離からでも届いちゃうんだ!直子、ちゃんとイっちゃってるじゃん」

 弾んだお声は五十嵐さま。

「今朝、何気に取説を読み返していて気づいたのよ。あたしも半信半疑だったのだけれど」

 今度こそ正真正銘なお姉さまのお声。

「最初にセッティングしたときは、あたしのスマホから直でコントロールしていたのだけれど、直子のスマホをハブとして介することで、どんなに遠くからでも管理可能なんだって」

 気がつけばいつの間にか、あんなに暴れておられたローターさまが今は力尽きたみたいに沈黙されています。

「ブルートゥースでしょ?確か届く範囲はせいぜい10メートルって言われてるよね?」

「それがあたしのスマホから直子のスマホを呼び出して、直子のスマホのブルートゥースでコントロールするらしいの。だから、どんなに遠く離れていても、極端な話、海外からでもネットさえ繋がれば直子のマゾマンコに埋まったローターを管理出来るそうよ」

 五十嵐さまとお姉さまが喜々として何やら専門的なお話をされています。
 そんな会話をお聞き流しつつ、私も徐々に現実世界へと意識が戻ってきました。

「ほら、とりあえずこれ、飲みなさい」

 お姉さまが差し出してくださったのは、プラスティックのコップになみなみと注がれた透明の液体。
 恐る恐る口をつけたら普通の冷たいお水で、これが火照ったからだに気持ち良くて、ごくごくごくごく飲み干しました。

 ひと息つくと急にいい匂いに鼻をくすぐられ、テーブル上にみなさまのお料理が乗せられているのに気づきます。
 パスタらしき平皿に盛られた麺類が二種類と、一番良い香りを漂わせているのはオムライスのプレート。

「直子の分はモッチーたちが持ってきてくれるわよ。彼らステーキ頼んでいたからもう少し時間がかかるみたい」

 お姉さまからのご説明は、自分の分は無いみたいとちょっと落胆気味に曇った顔を見られてしまったからでしょうか。
 五感が落ち着くにつれて空腹が戻ってきています。

「あたしたちは先にいただいちゃいましょう。どうせ彼らのほうが食べるの早いでしょうから」

 お姉さまの音頭でみなさま、いただきまーす。
 中村さまが良い匂いのデミグラスソースたっぷりなオムライス、五十嵐さまは冷やしごまダレぶっかけのおうどん。

 お姉さまは何かのバラ肉と温泉玉子等が乗った、こちらも冷たいおうどんでパスタではありませんでした。
 お姉さまだけ生ビールのジョッキをお供にされています。

 お姉さまがたが食べ始められて少ししてから、本橋さまと橋本さまもお戻りになられました。

「森下さん、お待たせー」

 本橋さまが私の目の前に置いてくださったのは、学校のお給食みたいなワンプレートに盛られたお料理。
 ハンバーグがメインで付け合せのナポリタンとコーンバターにポテトフライ、そこに市販のフルーツゼリーが付いて、ご飯は型で半球形に盛られ頂上に小さな緑色の旗まで立っています。

「可愛らしいでしょ?キッズプレート、お子様ランチ。直子は食欲よりも性欲だから、そのくらいがちょうどいいんじゃないかなって思ったのよ」

「でも、お子様なのに性欲のほうが強かったらやばくない?」

「うちはおねショタも好物だけどね」

 私の左隣のお席に陣取られたお姉さまから私へのご説明を混ぜっ返されたのは、私の対面のお席の中村さま。
 右隣の五十嵐さまが脈絡の無いご感想を述べられ、そこから私が先月リンコさまのご親戚の男の子とそのご友人たちと行なったあれこれをお姉さまが面白可笑しくお話され始めて、バツの悪さにお尻がムズムズしちゃう私。
 その一件も映像でちゃんと残されているから今度見せてあげる、なんてお約束までしてしまわれるお姉さま。

 極力聞こえないフリを装ってお食事に全集中しようとしていると、

「いっただきまーす」

 右隣のテーブルから弾んだ男性のお声。
 本橋さま橋本さまの前には、肉片がびっしり敷き詰められた大きな丼がおふたつ。
 ああいうの、ステーキ丼ていうのかな?

 おふたりともその丼を片手で持たれ、もう片方の手でお箸を動かされ、お口からお迎えに行かれて美味しそうにわしわし食べ進めていらっしゃいます。
 私もハンバーグが好みの味付けだったので俄然食欲が湧き、食べ切れるかな?と思った量でしたが大丈夫みたい。
 こちらのテーブルの話題がずっと私の事なので、全集中のまま黙々と食べ進めます。

「美味かったー。ごちそうさまでした」

 私たちより5分くらい遅く食べ始めたのに私たちより先に食べ終えられる男性おふたり。

「早っ。あそこのステーキ、美味しいからね。うちも肉でもよかったかな」

「うん。でもワタシらは夜のお楽しみがあるでしょ?冷凍庫に秘蔵のマツザカ、あるから」

 五十嵐さまと中村さまがこそこそ謎の会話。

「食休みに何か飲み物でも買ってきますよ。今度はぼくらが奢ります。ドリンクでもデザートでも」

 本橋さまが立ち上がられ、私たちにお声がけ。
 あら、気が利くじゃない、と盛り上がる女性陣。

「アルコールが欲しいところだけれど車の運転ありそうだしなー」

「まあそれも夜のお楽しみってことで、ワタシはアイスコーヒー」

「あたしたちは純然たる観光客だから昼飲みおっけーよね。あたしにハイボールで直子にはカシスオレンジ」

 五十嵐さまがソフトクリーム、中村さまがアイスコーヒー、お姉さまがハイボールで私にカシスオレンジ。
 私もネットで評判のご当地ソフトクリーム食べてみたいな、とも思うのですが、お姉さまのご決定は絶対です。

 ご注文品を忘れないようにということなのでしょう、男性おふたりはお隣のテーブルに座り直され、何やらメモを書かれているご様子。
 それからガタガタとトレイや食器をまとめられる音。

「空いた食器もついでに戻してきますよ」

 本橋さまが再度立ち上がられます。
 その頃には私も含めてみなさま食べ終えられていて、橋本さまが形の違う食器をひとつのトレイ上にご器用にまとめられます。
 そんなトレイをお互い両手で捧げ持たれ、肩寄せ合わられテラス敷地から建物へと遠ざかっていかれる男性おふたりのお背中。

「やっぱりゲイって一般男性に比べて細やかでよく気が利くんだね」

 五十嵐さまがなんだかしみじみとおっしゃいます。
 テーブルの上にはお水の入った手つかずのコップがふたつと私のスマホだけ。
 ランチを終えた方々がフードコートの建物からショッピングに戻られるのでしょう、背後の芝生に人影が増えてきています。

「ひと息ついたら二手に別れようか、ワタシとエミリーで食材買ってくるから、イガちゃんと直子は好きに遊んでいて。あ、でも先生から頼まれている…」

 中村さまがお話しされている最中に、突然割り込んできた音声。

「これが直子のマゾマ…」

 中村さまもびっくりされたようで、お言葉が宙ぶらりんのまま絶句されます。

 ギョッと一瞬うろたえた私も、すぐに立ち直り急いでテーブルに手を伸ばしながら横目で見ると、すぐ横でお姉さまがニヤニヤ笑いでテーブルに置いたご自分のスマホを見つめつつ、ハンディビデオカメラのレンズを私に向けておられます。
 えっ、どういうこと?少し迷ってしまい、…どうぞ、じっくり、視て…のところでやっと応答ボタンを押しました。

「もしもし…」

 困惑しつつ私が答えてもお姉さまはスマホを見つめられたまま。
 伸ばされた指がスマホ画面上で踊っています。

「あれ?」

 今度はお姉さまが怪訝そうなお声を出されます。

「直子?ローター動いていない?」

 お隣のお席から直接私に尋ねられるお姉さま。
 カメラもいったん下げられました。

「あ、はい…」

「おっかしいな、故障?それとももう電池切れ?距離が長いとたくさん電池使っちゃうのかしら」
「あたしのも直子のもスマホはまだバッテリー充分だし、ローターのほうの充電が不充分だったのかな。いずれにしてもこれは今後の製品化に向けて要検討事項だわね」

 ご不満そうなお姉さまのお声。
 そのお声のまま私にこう告げられます。

「動かないんじゃ挿れていても意味ないし、直子?ローター出しちゃっていいわよ」

 お姉さまがそうおっしゃると、右隣の五十嵐さまが身を乗り出されてきます。

「いいですね。うちも、そろそろ直子のパンツを脱がせようかな、って思ってたとこ」

「そうなの?ならイガちゃん、直子に命令してやって。今日は本来イガちゃん用の取材でディレクターなのだから」

 ご命令役をあっさり五十嵐さまに譲られ、お姉さまは再び私にカメラを向けてこられます。

「そういうわけだから直子?今ここでパンツを脱いでマンコに挿しているローターを抜きなさい。こんな屋外でひとりイキ果てていた直子のパンツがどれくらい濡れまくっているのか、見ものだわね」

 五十嵐さまの私への蔑みぶりに、どんどん磨きがかかっています。
 私ももう、でも、とか、今ここでですか?とかの異議は申し立てません。
 
 したところで状況が変わらないのはわかり切っていますし、お食事をいただいて食欲が収まった代わりにムラムラがぶり返してきている私自身が、性懲りも無くドマゾモードに逆戻りしたがっていました。

 椅子に座った腰を少し浮かせて両手を裾側からスカートの内側奥へと入れ、腰骨の辺りのショーツのゴムに指を掛けます。
 少し触っただけでショーツがゴムの辺りまで、じんわり湿っているのがわかります。

 もう少し腰を浮かせた半立ち前傾姿勢となり、ショーツを一気に膝まで下ろします。
 そこからは手探りで、サンダルに引っ掛けないように右足、左足とくぐらせると、私の左手に生暖かい濡れた布片が残りました。

 それをテーブルの下で隠し持ったまま、今度は右手だけをスカートの奥に突っ込み、膣口から覗いているはずのローターのアンテナ部分を手探ります。

「んっ!」

 最初の淫声は、股間をまさぐっていたとき誤って、やっぱり貪欲に充血しつつある肉芽を指先で擦ってしまったときのもの。

「んーっ!」

 二度目の淫声は、やっとみつけたアンテナを引っ張り、ローターが膣壁をなぞって出ていったときのもの。
 このとき、腫れ切った肉芽が完全に脱皮して空気中に露出したのが自分でわかりました。

「ほら、早くテーブルの上に出して、見せなさい」

 五十嵐さまにせっつかれますが、ふたつとも、こんな晴天の公衆の場でお見せ出来るような物体ではありません。
 かたや、ヌルベトな愛液にまみれた薄青色のビキニショーツ、こなた、ついさっきまで私の中に埋まっていた体温でまだホカホカ温かい、これまた愛液滴るローター…

 だけどいつまでもそうしているわけにもいきません。
 目を瞑って思い切って、えいやと左右の手を同時にテーブルの上に出します。

「ぅわっ!」

 お化け屋敷で耳にするような驚愕のお声がユニゾンで聞こえ、私も思わず目を開けます。
 ぅわっ!
 みなさまと同じように驚き、心の中で盛大に恥じ入る私。

 細長い円柱が少し反り返るようにカーブしたローターの黒くシリコンコーティングされた側面が満遍なく濡れそぼり、ひと筋、ふた筋、白い粘液状のラインも見て取れます。
 それは明らかに、俗に言う本気汁、白濁した愛液が作る筋でしょう。

 ショーツのほうも、最初に穿いたときのお色とは全く変わり、薄青色が満遍なく濃青色に変色し、薄青色が見えるのはゴム近辺に僅かだけ。

「うわ、パンツ、グッショグショじゃない、これ本当にえっち汁だけなの?潮も吹いていない?」
「ローターのほうにはしっかり本気汁。本気で気持ち良かったんだろうねえ」
「どっちも冬だったらホカホカ湯気立ってるよね。生々し過ぎてまさに、the性欲、theスケベって感じ」

 口々に私を恥じ入らさせてこられるみなさまですが、本当に生々し過ぎるようで、どなたも現物には手を伸ばしてこられません。
 両手をテーブルの上に伸ばし、恥ずかしい貢物をただ差し出している私に、お姉さまが黙ってレンズを向けています。

「イガちゃん?ちょっと撮影変わってくれる?」

 最初に行動に移られたのはお姉さまでした。
 五十嵐さまにビデオカメラを渡され、まず私の右手からローターを取られます。

 しげしげと少し眺められた後、形の良い唇を艶っぽくお開けになり、ローターの先っぽから躊躇なくパクっとお咥えになられます。
 キュンと高鳴る私の心臓。
 少しのあいだジュブジュブとしゃぶられた後、ご自分の足下に置かれたバッグからタオルをお出しになられ、ローターを包んで仕舞われました。

「さすがお姉さま。直子のおツユは美味しいの?」

 からかうように問われた中村さまに、それが困ったことに美味なのよ、クセになっちゃった、と嬉しいご返事を返されるお姉さま。
 そして、お姉さまの右手が濡れそぼったショーツに伸びてきます。

 お姉さまの手に渡ったショーツはお姉さまの手で機械的に広げられ、完全なビキニショーツの形となってテーブル中央に置かれます。
 それもご丁寧にクロッチ部分を中心として裏返された状態で。

「うわっ、触らなくてもベトベトヌルヌルってわかるわね」
「こっちにも本気汁が混ざってる」
「それに少しオシッコ臭くもない?」

 再び口々に私を恥じ入らさせてこられるみなさま…
 それに、こんな場所でみなさまが身を乗り出されて凝視するようなものではないはずのものなのですが…
 周りからでも少し注意して見れば、それが何なのか、すぐにわかってしまうはず…

「パンツがお尻のほうまでこれだけ濡れているということは、スカートのお尻のほうにも滲み出しているはずよね、どう?直子」

 お姉さまの的確なご指摘に、私は正直にお答えするだけ。

「は、はい…」

 実際、今は生尻が直にスカート裏地に密着する状態で座っているのですが、お尻を下ろした途端にヒヤッとするほど布地が湿っているのがわかりました。

「それなら今のうちに粘液だけでも拭っておかないと、シミが残ったり、乾いたら嫌な臭いを放ったりしそうだわよね?」
「そのスカートはあたしや直子の私物じゃなくて、今日知り合ったばかりの五十嵐さんからお借りしているスカートだったわよね?」

「…は、はい…」

 お姉さまが私の顔を覗き込まれ、その様子を五十嵐さまが至近距離からじーっと撮影されています。

「だったら直子は、どう対処するべきだと思う?」

 イジワルさご満開なお顔で尋ねてこられるお姉さま。
 すなわちお姉さまは私に、この場でスカートまで脱いで下半身丸出しにおなりなさい、とおっしゃられているのです。

*