2022年9月19日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 06

「メイクはこんなもんでいいでしょ。次はイガちゃんにコーデしてもらいなさい」

 お姉さまのご指示で五十嵐さまのもとへ。
 テーブルの上に色とりどりのお洋服類が乱雑に置かれています。

「ほい、じゃあまずこの下着を着けて」

 五十嵐さまから手渡されたのは、シルクっぽい手触りの薄手なブラとショーツ。
 光沢のある薄い青色で、ブラはハーフカップ、ショーツはローライズ気味のビキニタイプ。

「あれ?ノーブラノーパンで連れ回すんじゃないんだ?」

 ご自身でのメイクを終えられ一段と艶やかなお顔となられた中村さまが、からかうみたいに五十嵐さまへご質問。

「あたりまえじゃない。露出調教のキモって、まわりにたくさん人がいるところでだんだん薄着になって、なんで自分はこんなありえない場所で、ありえないくらい恥ずかしい格好をしているんだろう、っていう背徳的な興奮を愉しむものだもん」
「最初から大サービス全部おっぴろげーじゃ、ファーストインパクトだけですぐ行き詰まっちゃうし、運が悪けりゃ公然猥褻、即通報。ね?直子?」

 ね?と同意を求められても私は、これからされることへの不安7と期待3のドキドキでおっしゃっているお言葉の意味を考えることが出来ず、上目遣いに五十嵐さまを見つめるばかり。

「ふーん、そんなもんなのかー。生憎アタシにはそういう特殊でアンモラルな性癖、ないからなー」

 相変わらず茶化されるみたいにご愉快そうな中村さま。

「はいはい、シャツはこれね」

 中村さまの軽口をスルーでいなされて、クタッとした白い布片を私に渡してくださる五十嵐さま。
 布片を広げてみるとシフォン?の半袖ブラウス。
 一昨日駅に着いたときに、前結びTシャツの上に羽織るのを許されたシャツブラウスによく似た質感。

 襟ぐりと袖口にレースが施してあってふうわり可愛いらしいのですが、生地全体が頼りなさげに薄っぺらい気が…
 前ボタンを全部外してから袖を通すと案の定、薄いスカーフのような真っ白い生地が光を通し、ブラの青色がスケスケ。
 
 はっきりと言うほどではないにしても、薄っすらというほど奥床しくもなく。
 生地はしんなり軽やかで夏向きの良い素材なのでしょうけれど、汗をかいたらすぐにべったり肌に貼り付いちゃいそう。

「で、下はこれ」

 差し出されたのは真っ赤な布地。
 広げてみると台形シルエットのショートスカート、フロントに銀色の大きめなボタンが六つ並んでいます。

 ウエスト部分のボタンをひとつ外して両脚を通すと、丈は膝上10センチくらい。
 ウエストも私にピッタリでベルトをしなくても大丈夫な感じ。
 ただし、普段こんな派手に真っ赤なスカートは穿かないので、なんだか気恥ずかしい。

「シャツはスカートにインしちゃったほうが可愛いいね。うん、そうそう。あと胸元はもうひとつ空けちゃって」

 五十嵐さまのご指示通りにすると、シャツの薄い布地がますますバストに吸い付き、ブラジャーの青色が白地の下にますます浮かび上がってしまいます。
 胸元のボタンは三つ目まで外れ、おっぱいの膨らみ始めまで素肌が覗いています。

「直子って、こういうブリっ子ぽいのもよく似合うんだよね。地下アイドルグループの一番右端、歌はいまいちだけどダンスのキレはダントツ、みたいな」

 お姉さまからの褒めらているんだか、茶化しているだけなのかご不明なご感想。
 私は、明らかに透けているブラが気になって仕方ありません。
 こんな格好で本当に人前に出るのでしょうか…

「あのお姉さま?…このシャツ、ブラが完全に透けちゃっているのですけれど…」

 堪えきれずお姉さまに向かってすがるように直訴してしまう私。
 お手持ちのタブレットに視線を落とされていたお姉さまがお顔を上げられ私を見遣り、ニッと笑いかけておっしゃいます。

「それくらいなら気にすることないわ。透け感コーデはここ数年定着しているし、今年の夏はへそ出しや肌見せも流行っているじゃない」

 にべ無く却下されるお姉さま。

「あ、そのスカート、ポケットに小銭とか入れないでね。左右ともざっくり穴空きだから」

 五十嵐さまがいたずらっぽくおっしゃって、私をじっと見つめてきます。

「どうしてだかわかる?」

 見るからにえっちなお顔で私の顔を覗き込まれる五十嵐さま。

「えっ?あっ、ぃいえ…」

 自分の衣服にもそういう細工を施したことがあるので、思い当たるフシが充分にあるのですが、ここは敢えて知らんぷり。

「直子みたいなスケベな変態ちゃんがいつでもどこでも、ポッケに手を突っ込みさえすればバレずに直でクリちゃんに触れちゃう街角アクメ仕様、って、そんなのAVとかエロ漫画でしか見たこと無いんだけどもね」

 とても嬉しそうに教えてくださった五十嵐さま。
 つまりこれで、私は公然の場でクリ弄りを命ぜられるのが確定したということです。
 それにこのスカートの前ボタン仕様にも不穏な意図を感じています。

「だったら直子の私物はポシェットに入れてぶら下げさせればいいわね」

 五十嵐さまにお応えされつつ、お姉さまが私のポシェットに私のスマホを入れられます。
 これでパイスラも確定。
 ついで、という感じで、一昨日から私を何度も悦ばせてくださったリモコンローターのローター部分だけを放り込まれたのも見逃しません。

「直子はこれでよしとして、うちもお出かけ仕様に着替えようっと」

 その場で何の躊躇もされず、スルスルっとTシャツをお脱ぎになられる五十嵐さま。
 やっぱりノーブラで白い素肌に控えめな膨らみ、淡いピンク色の頂点だけが艶かしく目立っています。

 ふたつの頂点に幅広めなニップレスを貼り付けられた五十嵐さまが、無造作にグレイのスウェット生地らしき半袖パーカーを素肌に羽織られます。
 更にジーンズ地のショートパンツも勢いよく下ろされ、下着は何の変哲も無い白無地フルバックショーツ。
 その上に同じスウェット地の膝丈ボトムを合わせられます。

「ちょ、ちょっと、イガっちの基準だとそれでお出かけ仕様になるの?あたしのジョーシキだと、それってただの部屋着なんだけど」

 心底ご愉快そうにツッコまれるお姉さまを、唇の前でチッチッチと人差し指を振られてお芝居っぽくいなされる五十嵐さま。

「ふふん、うちはジモッティだからね、モールに行くぐらいでいちいちオシャレとかしないのだよ。それに今日はカントクだし」

 得意満面な笑顔を見せられた五十嵐さまが、その笑顔でお姉さまと中村さまをじーっと見つめられました。

「エミリー姉さんは直子のマネージャーみたいなものだから、そのままオシャレッティでいいけど、かなぴっぴのそのキャミ、ちょっとえっち過ぎない?主役にケンカ売ってる的な。かなぴっぴは今回、うちのAD的な役割なんだし」

 中村さまを挑発されるように見つめられる五十嵐さま。
 その視線をまっすぐに受け止められた中村さまの唇が苦笑の形に綻びました。

「ワタシだってこの格好で外に出かけるつもりは無いわよ。ヘンに目立つと後々めんどくさいし、毎年来るところだからね」

 テーブル上の衣類を物色され、やがて決められたのか、キャミワンピの裾を一気にまくり上げられます。
 上下黒で布小さめな三角ブラにTバック、その他は何も身に着けていらっしゃらない中村さまの艶やかな肢体に息を呑む私。

 形良く上向きなバスト、シュッとくびれたウエスト、そのくびれからなだらかにつづく引き締まったヒップ。
 そこから更につづくスレンダーなおみ足が黒いレギンスに包まれ、上半身は鮮やかなグリーンのざっくり半袖チュニックで隠されます。
 先ほど仕上げられたメイクとも相俟って、妖艶な美女ADさまの出来上がり。

「これなら文句無いでしょ?で、お迎えは何時だっけ?」

 最初のは五十嵐さまへ、後のはお姉さまへのお尋ね。

「もうそろそろと思うけれど…」

 お姉さまのお答えが終わらないうちに中村さまの絶叫が響き渡りました。

「あーっ!洗濯物取り込むの忘れてたぁーっ!」

「そう言えばさっきネットニュース見てたら、午後からゲリラ豪雨あるかも、って」

 お姉さまのお言葉にみなさま大慌てで散りました。
 中村さまは厨房の中に一度引っ込まれ、すぐに大きなランドリーバッグを肩に提げて戻られます。
 五十嵐さまはテーブル上に残った衣類をひとまとめにしてスーツケースに戻した後、ホール奥のお廊下のほうへと走られます。

「ほら、あたしたちも手伝わないと」

 お姉さまに手を引かれ、私たちは正面玄関へ。
 扉を開けるとお外はドピーカンの残暑晴れ。
 サンダルをつっかけて芝生へと急ぎます。

 そう言えば、こんなにちゃんと下着まで着けてお洋服を着たのはいつぶりだろう?
 木立を抜けながら考えたら、たぶん出発のとき、お姉さまのお車に乗り込んだとき以来?
 からだに纏わり付く布地の感触に違和感を感じてしまっている自分に少し呆れてしまう私。

 五十嵐さまは芝生のほうの出入口から、大きなランドリーバスケットを携えてご登場。
 ちょうど例のシースルーバスルームのすぐ裏手に当たり、そんなところに出入口があるなんて知りませんでした。
 でもまあ知ったところで、私には使わせていただけないのでしょうけれど…
 
 そよ風にひらひら揺れているお洗濯物たちは、どれも完全に乾いているようでした。
 広大なシーツ類を私たちが取り込んで雑にたたむと五十嵐さまがランドリーバスケットに投げ込まれ、中村さまは下着類のほうを手際良くバッグに取り込まれます。

 急に全員わらわら現われた私たちに気づかれたジョセフィーヌさまが、喜び勇んだご様子で駆け寄ってこられ、中村さまと私とのあいだを行ったり来たりじゃれつかれます。
 まばゆいばかりのお陽さまが真上近くまで昇り、緑の芝生に陽光が燦々と降り注いでいます。

 空調の効いた室内からいきなりの炎天下ですから、全身に汗がじわりと滲み出ます。
 そして気づいてしまいました。

 今着ているこの白いブラウス。
 濡れると嘘みたいに透けるんです。

 大きなシーツを持ち運べるくらいにたたんでランドリーバッグへ。
 それだけの作業で私の首筋から胸元くらいまで汗じんわり。
 濡れたブラウスの布地が私の素肌に貼り付き、その部分がまるで透明ビニールみたいに肌色とブラの青色に透けていました。

 布地を肌から離せばいくらかマシにはなるのですが、濡れた布地はすぐに肌にくっつきたがります。
 全部の取り込みを終える頃には、私のバストアップは満遍なくブラウスが貼り付いて青色ブラジャー丸見え状態。

 これ、もしもノーブラで着せられていたら…
 やっぱりお姉さまにお願いして、せめて上に何か羽織るものくらいお許しいただこう…
 そう決めてお姉さまのお姿を探そうとしたとき、木立の向こうでお車のエンジン音が。

「あ、来たみたいね。タイミングいいじゃない」

 私から離れた支柱から紐を外されていたお姉さまが、お近くにおられた五十嵐さまに話しかけられ、五十嵐さまに紐を預けられて玄関口のほうへと駆け出されました。
 離れて見守っていた私は五十嵐さまと目が合い、五十嵐さまが近づいてこられます。

「へー、そのシャツ、汗で濡れるといい感じに透けるねー。本番が愉しみ…」

 お独り言にしては大きめなのは、ワザと私に聞こえるようにおっしゃったのでしょう。
 そのお一言で私は、お姉さまに助けを乞うタイミングを失います。
 そこにブッ、ブッと短いクラクションの音。

「ほら、直子もお出迎えしなくちゃ。今日の運転手と撮影カントクだってさ」

 今度は五十嵐さまに手を引かれ、正面玄関側へと連れ出されます。
 アプローチにお車が二台。
 玄関に近いところにお姉さまの愛車、その後ろにシルバーグレイで大きめのバン?ワゴン車?

 その傍らでお姉さまとお話されている男性おふたり。
 本橋さまと橋本さま。
 そう言えば昨日、ここまで送っていただいて去り際に、明日お姉さまのお車を戻しにこられる、とおっしゃっていたのを思い出しました。

「あっ、直子が来た。ほら、こっち来てご挨拶なさい」

 お姉さまに呼ばれ近づきます。
 本橋さまは相変わらずのラグビージャージ姿ですが、昨日のとは色が違って今日は黒と山吹色の横縞模様。
 橋本さまもTシャツにアロハはお変わりありませんが、今日のアロハは赤やピンクの極彩色で目眩ましみたいなペイズリー柄。
 ボトムは昨日と同じ、おふたりお揃いの濃茶のバミューダパンツ。

「イガちゃんの取材ツアーに無理言ってつきあってもらうことにしたのよ。ほら、いろいろアブナイことすることになるから、女性だけより周りにゴツい男性もいたほうが何かと心強いでしょ」

 お姉さまに促され、胸元に貼り付いているブラウス布地をさりげなく剥がしてから、よろしくお願いいたします、とお辞儀してご挨拶。

「いやいや、チーフにはいつもお世話になっていますし、今日はちょうどぼくらが買い出し当番だったから予定的にも問題無いんです」

 マッチョ体型の本橋さまがにこやかな笑顔でおっしゃいます。

「それに、森下さんは、あのイベント以来すっかり弊社のアイドルになっているんです。大胆なのに儚げで、絶対に汚してはいけない存在、みたいな。あ、もちろんそこに男女間の性的な意味は一切ないですよ」

 最後の部分だけ慌てたように強調される本橋さま。

「だから今日も、くれぐれも粗相のないように、って言われてきてるんです」
 
 あの急遽モデルをさせられたファッションショーイベントのとき、スタンディングキャット社の方々もたくさんお手伝いに来てくださいました。
 あのときはメイクやウイッグで別人のモデルになりすましたはずだったのですが、その後も両社の交流で社員同士お顔を合わせていたりしていましたので、あのモデルが私だったということは、すっかりバレていました。

「ちょっとモッチーの脚、見てやってくださいよ」

 それまでニヤニヤと本橋さまのお話を聞いておられたアロハ姿の橋本さまが、お話に割り込まれてきます。

「あーっ!」

 私とお姉さまで綺麗なユニゾン。
 確か昨日はモジャモジャだったスネ毛が今日はツルツルのスベスベ。

「昨日の夜の宴会で、チーフたちを迎えに行ったときの話になったんですよ」

 思い出し笑いを堪えきれない、という感じの橋本さま。

「で、俺らが旅館に着いて車から降りて、チーフたちが出迎えてくれたじゃないですか。あのとき、おまえの脚を見て姫が、あ、俺ら身内では森下さんのこと姫って呼んでるんで、姫が怯えてたぞ、と」
「姫が男性のモジャモジャした体毛や体臭が苦手なことは、チーフや玉置さんから聞いてみんな知っているんで。で、明日もお供を頼まれたのにそいつはケシカラン、ってことになって」

 もはや半分笑いながらお話をつづけられる橋本さま。
 私、橋本さまたちから姫なんて呼ばれてたんだ…と、なんともこばゆい気分。

「で、俺ら八人で旅行に来てるんだけど、七人がかりで嫌がるモッチー押さえつけてズボン脱がせて、脱毛テープでスネ毛をバリバリっと…」

 そこまでおっしゃられて、もはやお話できないくらいに吹き出された橋本さま。

「本当ひどいやつらでしょ。でも最近の脱毛テープって意外に痛くないんだね。専用のローションとかもあってスーッとして。スベスベも案外悪くない」

 マッチョな本橋さまが満更でもないお顔でおっしゃいます。
 私あのとき、そんな顔しちゃっていたのかな、と申し訳ない気持ちも湧きますが、お姉さまはただただ呆れられているご表情。
 そこに五十嵐さまが興味津々なお顔で割り込まれてきます。

「あなたたちって、本物のゲイカップルなんだ!?」

 率直と言うかいささか不躾なご質問。
 眉間にちょびっとシワを寄せられたお姉さまが割って入られ、ご紹介が始まります。

「ごめんなさいね。こちらは、この別荘の住人のお友達の五十嵐ショーコさん。あたしも昨日初めてお会いしたばかり。同人で漫画を描かれていて、その取材の一環として今日の直子の大冒険を企画した首謀者でありディレクター。イガちゃんて呼んであげて」

 つづけて五十嵐さまに向けて、

「こちらは、あたしたちの会社とパートナーシップを結んでいるスタンディングキャット社の社員さんで、マッチョなこちらが本橋さん、チャラ男風なこちらが橋本さん」

 チャラ男はひどくね?と本橋さまに小声で訴えられる橋本さま。

「スタンディングキャット社、あたしたちはタチネコ社って呼んでいるんだけど、ていうのは、あたしたちがレズビアン向けのアパレルを扱っているように、タチネコはダンショクカの人たちに向けての商材を専門に扱ってる会社。目指す方向が同じかつ特殊だから生地の相談とか何かと話が早くて、仲良くさせていただいているの」

 そこでいったんお言葉を切られ、いたずらっぽく微笑んだお姉さま。
 
「それでイガちゃんのさっきの質問だけど、答えはイエス。昨日ここに着く前にランチタイム休憩を森の中で別行動で取ったのだけれど、あたしらから離れた場所でここぞとばかりにくんずほぐれつヤッてたみたい」

 本橋さまが照れたようなお顔をされ、五十嵐さまの瞳が爛々と輝いてお独り言みたいにつぶやかれます。

「今日は夢みたい。エロ可愛い真性マゾ娘の野外羞恥露出と本物三次元BLのイチャイチャをこの目で生ライブで堪能できるんだ…」

 感極まって祈るようにお空を見上げる五十嵐さまの瞳からお星様がキラキラ本当に零れてきそう。
 そこへ、お洗濯物のお片付けを終えられたのでしょう中村さまが、片手に小さなバッグを提げられ、私たちへと近づいてこられました。


2022年8月27日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 05

 さあ大変。
 これから10分以内にこの場を片付けて、お屋敷別荘に戻らなくてはなりません。
 これまで一往復半した経験から10分あればまあまあ余裕で帰れる道のりではあるはずなのですが、広場のお片付けにもある程度時間を見ておかないと…

 電話が切れてすぐ、まずテーブル上のあれこれをバッグに闇雲に詰め込みます。
 バスタオル、濡れタオルと言うか今は乾いているタオル、フリスビー、シャベル、カリカリの袋、使わなかったゴミ用レジ袋。

 そのバッグを片手に芝生に戻り、ビデオカメラを外して三脚をたたみ、タオルに巻いてバッグに詰め込みます。
 芝生に転がっている肥後ずいきさまを手に取ったとき、その全体がヌルヌルに湿っていることに気づきました。
 突端から持ち手まで満遍なくヌラヌラグズグズ、そして嗅ぎ慣れ過ぎている自分のソノ臭い…
 落ちていた場所も私が寝そべっていた場所の下腹部付近…

 えっ?私、ずいきさま、アソコに挿入しちゃっていたの?知らず知らず無意識のうちに…???
 そう思った途端に膣内の粘膜がムズムズ疼くような…

 恥ずかし過ぎる疑問が湧き上がりますが、今は追求している暇がありません。
 このまま芝生上に放っておくわけにもいきませんから、空となったおやつチューブとペットボトル2本と一緒にゴミ用レジ袋に放り込みます。

 あと、洗濯ばさみさまがもうひとつあったはずなのだけれど、それとおやつチューブのキャップ…
 痴態を繰り広げた一帯の芝生を真剣に見回してみますが、そんな小さなものたちがおいそれと見つかるはずがありません。
 仕方ありません、今は時間のほうが大切なんです。

 東屋に戻ろうと視線を上げてふと見回すと…
 あの大木の木陰に猫さんたちが絶妙な距離感で、仲よさげにダランとリラックスされていらっしゃいます。
 テーブル下でお見かけしたキジトラさんと、お初にお目にかかる白黒のハチワレさん?

 いつもだったらそっと歩み寄ってご挨拶したいところなのですが、今はだめ。
 後ろ髪を引かれる思いで再び東屋へ。

 猫さん、おふたりになってカリカリとお水、足りているのかな…
 しつこくそう考えてしまう私は、バッグの中からカリカリの袋を引っ張り出し、袋のジップを半分だけ開けた状態でバッグから覗くように一番上に置きました。
 それから水道の蛇口をほんの少しだけ緩め、一秒に一滴くらい水滴が落ちるようにします。

 そんなバッグを早朝キジトラさんが眠られていた簀子のすぐ手前に安置。
 これでお片付け完了、と思ったらテーブル上にポツンと残された私のスマホ。

 右手にビデオカメラを持って、左手に日傘、左手首に引っ掛けたゴミ入のレジ袋。
 私は全裸なので、スマホを押し込めるポケットなんてどこにもありません。

 レジ袋には自分の愛液でグズグズになった肥後ずいきさまもそのまま入っているので、スマホを一緒に入れたくないし…
 一瞬途方に暮れましたが、ビデオカメラに手のひらが差し込めるグリップがあったことに気づき、右手のひらをそこに差し込み、その手でスマホを握ります。

 今度こそオールオーケー。
 スマホの液晶画面は9:27の文字…あ、28になっちゃった。
 あと7分以内にお屋敷まで戻らなければなりません。
 通話を終えて以来、途端に機敏となって右往左往している私の後を、嬉しそうに付いて回られているジョセフィーヌさま。

「さあ急いで帰りましょう、ジョセフィーヌさま」

 もう一度広場全体を見渡してから、勢い良く駆け出す私。
 広場から去り際に入り口脇の草むらが目に入り、あ、イラクサさまに虐めていただくの忘れちゃった、なんて性懲りも無い私。

 おっぱいの先にぶら下がる洗濯ばさみさまがでたらめにプランプラン揺れるのもかまわず、早足よりももうちょっと早い校内体育マラソン走りで木立の道を駆けていきます。
 ジョセフィーヌさまは競争と思われたのか、ワンちゃんらしい敏捷さであっという間に私の十数メートル先へと突っ走られ、振り向いて私を待たれる余裕のご表情。

 思わぬ誤算は、帰り道はずっと緩い上り坂となること。
 最初の数分はマラソン走りをつづけられたのですが、上り坂道にどんどん体力を削られ、途中からは息も切れ切れの早足競歩にペースダウン。
 それでも街中に全裸で置き去りにされるなんて絶対にイヤですから、汗みずくになって一生懸命両脚を動かしました。

 お屋敷の門をくぐったときチラッとスマホを見ると9:32の文字。
 なんとか間に合ったみたい。
 ヘトヘトになりつつ石の階段を上り、あの荘厳な正面玄関扉前へ。

 ハアハア…えっと、インターフォンっておっしゃっていたっけ…
 目の前に聳える全体に細かい流麗な魔除けの文様?みたいのが施された西洋のお城ライクな観音外開きの重厚な扉。

 そのどこにもインターフォンの押すところ、みたいなボタンは見当たりません。
 えっ、嘘でしょう?
 確かにこの扉なら、お獅子のお顔が付いたノッカーとかのほうがお似合ですけれど…

 かなり焦って扉の把手を引っ張りますが、鍵がかかっているようで開きません。
 ひょっとしてインターフォンて門のほうに付いていたのかしら…
 間に合っているのに…こんなことでお仕置きになっちゃう…

 そのとき、石階段までは上がってこられずアプローチの舗道で待機されていたジョセフィーヌさまが、石階段脇をグルっと迂回され私の右側下からワンッと一声。
 そのお声につられてそちらを見遣ると、向かって右側へと開く扉が取り付けられている脇の太い石柱にインターフォンらしき物体が。

 ハガキくらいの大きさで応答のためのマイクとスピーカーらしき凸凹も付いた、どこにもあるようなずいぶん庶民的な外見。
 大あわててそこに取り付き、ボタンを押すなりの大声です。

「直子ですっ!ハアハア…今戻りましたっ!」

 室内でチャイムやらブザーが鳴ったかは、こちらには聞こえてこなかったのでわかりません。
 ただ、ボタンを押したときマイクが通ったのであろう、ブチッ、という雑音はスピーカーから聞こえました。
 
 スマホをチラ見して9:34の文字にとりあえずホッ。
 数秒遅れてインターフォンのスピーカーからお姉さまのお声が。

「お帰りおつかれー、残り10秒、ギリギリだったねー。待ってて、今開けるから」

 お姉さま、なんだかとっても愉しそうなお声。
 やっと心底ホッとしてスマホを見ると9:35に変わるところでした。

 やがて観音開きがススーッと開き、お姉さまを中央にして左に中村さま、右に五十嵐さま。
 お三かたとも私が出かけたときと同じお服装です。

「あらあら、息切らしてヨレヨレに薄汚れちゃって、なんだか山賊にでも襲われて命からがら逃げてきた、って感じ」
「乳首に洗濯バサミぶら下げたまんま帰ってきたんだ?さすが、先生に気に入られるドエムは格が違うわ」
「よく見るとからだ中、ジョセの抜け毛と足跡だらけじゃない?さぞかしお愉しみだったのねぇ、あーあーお熱いこと」

 お三かたご三様にとってもご愉快そう。
 まだハアハア荒い息を吐きつつ、うつむくしかない私。。
 五十嵐さまがデジカメで、そんな私の姿をパチパチとデジタル保存されています。
 中村さまが一歩前に出られ、私からビデオカメラと日傘、ついでに私のスマホも回収されました。

「その手首にぶら下げているコンビニ袋は何?」

 お姉さまがワザとらしいイジワルなお顔で詰問されます。

「あ、これは…ゴミ、って言うか、ペットボトルとか、使っちゃったものとかで、お片付けしなくちゃって…」

 この後きっと私は、シャワーを浴びてこいと言われるでしょうから、そのときに汚した肥後ずいきさまも一緒に洗おうと思っていました。
 そんな矢先のご質問だったので、なんとなく左腕を背中に回して隠すような素振りをしてしまいました。

「そう。だったらこっちで捨てておいてあげるから」

 今度はお姉さまが一歩近づかれ、右腕を私に伸ばして来られます。

「あ、あの、でも…」

 ベチョベチョの肥後ずいきさまを見られてしまうのが恥ずかしくて躊躇する私。

「渡しなさい」

 お姉さまの取り付く島もない高圧的なご命令口調。
 おずおずと左手を差し出します。

「さっさとシャワーを浴びてきなさい。シャンプーしてもいいけれど出かける準備もあるから、なるべく早くホールに戻ってくること」

 レジ袋を受け取られたお姉さまは、その場で中身を確かめられることはせず、お庭のシースルーバスルームの方向を指さされます。

「あと、直子は気に入っているのだろうけれど、いつまでおっぱいに洗濯ばさみをぶら下げてる気?自分で外して、それもあたしに渡しなさい。あとリードも」

「あ、はい…」

 ご存知のように皮膚を噛ませたクリップ類を外すときは、滞っていた血流が戻るためか、かなりの痛みを伴います。
 更に今回はかなり長いあいだ挟みっ放しだったはずなので、その痛みを想像するだけでゾクゾクッ。

「あっつぅっ!ぃたぁぃぃ…」

 左乳首のを外したときの悲痛な喘ぎ。
 それをもう二回くりかえして、3個の洗濯ばさみさまとリードの引き綱をお姉さまに手渡しました。

 そんな私の様子を無言のニヤニヤ笑いで眺めていらした中村さま、五十嵐さまとご一緒にお姉さまのお背中が玄関扉の内側に引っ込まれ、重い扉がバタンと閉じられます。
 ジョセフィーヌさまも何かやるべきことがおありになるのか、さっさとご自分の小屋へ。
 私はすごすごと木立の向こうのシースルーバスルームへと向かいます。


 玄関アプローチ沿いの木立を抜けて芝生に出ると、そこに広がる予想外のランドリーゲート。
 支柱に渡された長いロープに吊るされたお洗濯物たちが緩いそよ風に揺れていました。

 最初に目を引くのは真っ白で広大な数枚のシーツ。
 枕カバーやタオル類、お姉さまと私が就寝時に使用したパジャマ代わりの純白ロングTシャツも数枚干されています。

 別のロープに目を移すと、どなたのものかはわからない色とりどり形さまざまな下着類とジャージやスウェット。
 その一番端でひときわヒラヒラひらめいて目立っているのは、私の真っ赤なおふんどし。

 青い空と緑の芝生にひるがえる真っ白いシーツと真っ赤なおふんどし…
 そのシュールな風景にしばらく呆然と見惚れてしまいますが、いけない、急がなきゃ。

 ガラス張りの小屋に入り、脱衣所でタオル類を確認してから首輪を外して浴室へ。
 熱めのシャワーを頭から浴びた後、ボディソープでからだを洗って手早く洗髪。
 仕上げにぬるま湯で全身の泡泡を洗い流しながらお肌のチェック。

 全体に日焼けが進んじゃって、乳首や恥丘の焼け残しも赤みを帯びて殆どまわりと同化しているし、これならたぶんお尻の上の恥ずかしい自己紹介も読めなくなっているはず…
 ほとんどずっと首輪を嵌めている首の周りが全身で唯一、元の肌色が白く残る部分となっています。

 あ、右脇腹の噛まれ痕が内出血して薄紫の痣になっちゃってる…
 首筋や鎖骨脇のお姉さまからのキスマークもまだ消えてないな…
 水流に打たれながら素肌のあちこちをまさぐっていると、また性懲りも無くムラムラが…

 だめだめ、さっさと戻ってきなさいって言われたでしょ?
 急いで脱衣所へ出てバスタオルでからだを拭います。
 濡れた髪をもう一枚のタオルで包み、首輪を嵌め直し、バスタオルは…

 いいか、どうせホールに戻ったらすぐ脱がされちゃうのだろうし…
 この旅行中、お外や人前に全裸で出ることへのためらいが、どんどん薄れてきているみたい…
 私はここでは慰み者セイドレイなんだから、なんてマゾ気分に浸りつつ、バスタオルは巻きつけず裸んぼのまま芝生に出ました。

 正面玄関の扉に鍵はかかってなく引っ張ったら開いたので、インターフォンのお世話にはならずに屋内へ。
 ホールへ通じるドアをそっと開けると…

「あっ、超淫乱娘が帰ってきた」
「ほらね、うちの予想通り、それがあたりまえみたいにマッパでご登場」

 中村さまと五十嵐さまが私を見るなり、愉しそうにからかってこられます。
 それを聞いて私も、やっぱりはしたかなかったかな、と今更ながらの羞恥心。

 ホールの中はとても明るく、早朝のときと少しレイアウトが変わっていました。
 厨房の近くにもうひとつテーブルが用意され、それを囲んで洒落た木製の椅子が三脚。
 いつも集まるソファー周りには、おでかけのご準備なのでしょうか、テーブル上に衣類らしきものやバッグなどがゴチャゴチャ乗っています。

「まったくあなたって子は。中村さんが呆れ返っていたわよ、ジョセのペーストのチューブ、新品だったのに丸々一本使い切っちゃってる、って」

 お姉さまご自身も心底呆れられているお顔をされながら、私を手招きされます。
 今お三かたがおられるのは厨房近くのテーブル脇。
 ホール内には小さく、ショパンのピアノ曲が流れていて、テーブルにはお一人分くらいのお食事が乗っています。

「普通ならチューブ一本で散歩三、四回分は保つはずなのに直子が大サービスしちゃうから、今日のジョセの栄養配分が大変だって。こんな朝からたぶん使わないでしょう、ってみんなで予想していたずいきもベタベタにしているし」

 詰るような感じも強いのですが、ご愉快そうなニュアンスも混ざったお姉さまのご口調。

「まあそのへんは後でしつこくイジるとして、それだけ盛り上がったのならお腹も空いたでしょう?さっさと朝食いただいちゃいなさい」

 お姉さまが椅子を引いてくださり、おずおずと腰掛ける私。

「この後もうすぐにランチも食べることになるから、少なめにしといたよ」

 中村さまの補足ご説明。
 目の前のお料理は、ベーコンエッグケチャップ添えが乗ったバタートーストが一枚とメロン、スイカ、イチゴ、リンゴ、バナナなどをチマチマ盛ったフルーツサラダ、それにアイスミルクティ。
 その美味しそうな香りにお腹がグゥ、いただきます、勢い込んで食べ始める私。

 周りで見ていたらかなり、はしたない光景だったと思います。
 湯上がり頭髪にタオルだけの全裸女がフォーク一本忙しなく動かしながら黙々とお食事に没頭しているのですから。
 
  そのあいだお姉さまたちはソファーのほうへ移動され、中村さまはコンパクト片手にメイクを直され、五十嵐さまはテーブル上に並べられたお洋服のチェック、お姉さまはタブレットで何やらご覧になられています。

「食べ終わったらこっちへいらっしゃい。メイクしてあげるから」

 少し遅めの朝食を全部美味しくいただいて、アイスミルクティをゴクンと飲み干したとき、タイミング良くお姉さまからお声がかかります。

「あ、はい」

 空のグラスをテーブルに置き、お席を立ってお姉さまのもとへ。
 髪に巻いたタオルが外され、そのタオルを敷いたソファーに座らされます。

 まずはドライヤーとブラッシング。
 乾いた髪を頭の上でまとめられてから顔全体にファンデーション、コンシーラー…

「嬉しいでしょ?」

 お姉さまに顔のあちこちを弄り回されている私に、五十嵐さまが話しかけてこられます。
 最愛のお姉さまにかまっていただけていることについてのご質問なのだろうと思い、はい、と素直に応える私。

「だよね。せっかく全裸になっているのに、ここだとうちらしか視てくれる人いないし、二日目ともなるとうちらも見飽きて慣れちゃってるし、直子くらいの露出上級者には物足りなさすぎるよね?」

 なんだか謎なことをおっしゃる五十嵐さまに、私の頭は???

「任せといて。そんな直子でもGスポまでキュンキュン疼いちゃって人目憚らずに深イキしちゃうような恥ずかしい目に遭わせてあげるから。あのアウトレットならそれなりにギャラリーいるだろうし」

 更につづいた五十嵐さまのご説明に、思わず、えっ!?とお顔を向けてしまう私。

「こら!動かないのっ!」

 私のアイメイクに移られていたお姉さまからご叱責。
 作業をつづけられつつ、五十嵐さまからのお話を引き継がれるお姉さま。

「イガちゃんも野外露出には興味津々なんだって。それで、そういう新作漫画のプロットを練っていたところに昨日買い出しに行ったスーパーで、あたしと中村さんと偶然会って、直子の話をしたら是非取材させて、ってなったのよ」

「だからワタシは、そんなに興味あるならイガちゃんが自分で実践してみればいいじゃん、っていつも言ってるんだけどね」

 茶化すように会話に割り込んでこられたのは中村さま。

「だから、いつも却下してるように悪いけどうちにそんな度胸はないんだって。ジモッティだから、それなりにどこ行っても知ってる顔にも会うし…それに…」

 少しお顔を赤くされながらご弁解される五十嵐さま。

「それに、うちの裸なんて誰も視たくないって。胸もお尻も凹凸無い子供体型の裸なんて…」

 ご自嘲気味におっしゃった五十嵐さまを横目に見遣られ、ニッと笑われた中村さま。

「あら、ワタシはイガちゃんの裸、好きだけどな。なんて言うか、薄幸の美少年を愛でてる感じ?明治大正の耽美派浪漫って言うか、ワタシはレズだけどBLにも萌えるみたいな倒錯的な気持ちになれるんだよね」

「だから、それはヒンヌークラスタのフォローになっていないって、何度も言ってるでしょ?」

 傍から見ているとずいぶんと仲良さそうに、言い争いを始められるおふたり。
 苦笑気味なお姉さまがその場をまとめられるように教えて下さいます。

「とまあそんな感じで、これからあたしたちはこのへんで一番人が集まる観光地までドライブしてランチをいただくついでに、直子の露出願望も心ゆくまで満足させてあげよう、っていうイガちゃん発案の企画」
「で、あたしは、せめて顔くらいは視られて恥ずかしくないようにメイクしてあげているってワケ。せっかく有名な観光地へ繰り出すのだから」

 どんどんイジワル度が濃くなっていかれるお姉さまのお言葉。
 私の顔へのメイクは唇へと移り、お姉さまのしなやかなお指先で私の唇が撫ぜられています。

「それの一部始終を記録して、イガちゃんの作品の参考資料にもしてもらうっていう、一石二鳥か三鳥かっていう大事なイベント。もちろんディレクター、監督はイガちゃんで他のみんなはイガちゃんの補助役」
 
 私の唇に塗られたルージュが残る指先を、意味ありげにペロッと舐められたお姉さま。

「だからここから先はイガちゃん、じゃなくて五十嵐翔子統括ディレクターさまが直子のご主人さま、あ、いえ、名塚先生に倣うなら、あるじさま、ね。で、あるじさまのご指示には絶対服従、口答えは許されないのはわかっているはずよね?」
「そしてもちろんこれは、直子が一番守るべき、あたしからの命令、でもあるの」

 嗜虐に揺れるお姉さまの瞳に見つめられながら、これから確実に私の身に襲いかかるであろう未だ見ぬ恥辱=羞恥と辱めに、どうしようもなく疼き始める思いを馳せていました。


2022年8月15日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 04

 ペーストの量が多かったせいもあるのでしょうが、ずいぶん念入りに舌で蹂躙してくださるジョセフィーヌさま。
 肥大したクリット裏側の辺りにお尻から垂れてくるペーストが溜まるのでしょう、その周辺を執拗に愛撫してくださっています。

「あーんっ、イぃっ、そこっ、そこイーのっ、もっと、もっとーぉっ!!」

 大陰唇をなぞるように舐め回され、膨れ上がった肉の芽も頻繁に舌先で転がされて…
 前の二回で充分に昂ぶっている性感に加えて、四つん這いというマゾの大好物の屈辱…
 私の淫欲が仕上げに向けて加速していきます。

「あんっ、じょ、ジョセフィーヌさまぁ、どうかそのまま、あんっ、そのまま直子をイかせてくださいーっ!!」

 知らず知らずに両腕を背中に回し、互いの手首を握リ合っています。
 すっかり拘束されている気分になっているんです。

「はっ、はっ、はっ、はぁんっ、そこっ、それっ、だめっ、イやっ、もっと…」

 脳内妄想は剣と魔法のファンタジー世界。
 悪い魔物に囚われてしまった一国の姫が、魔物の手下のケモノたちによって蹂躙される見世物なのです。
 私の周りには無数の群衆が好奇と侮蔑の視線でせせら笑いながら見物しているんです。

 快感がどんどんせり上がってくるのがわかります。
 こんなに惨めなのは死んでも嫌なのに、肉体が貪る快楽に抗いきれないドマゾ姫。
 膣内の肉襞とその上の菊門がパクパク弛緩と収縮をくりかえしているのが自分でわかります。

「あっ、イキそうっ、んーーーっ、んんーーーっ、んーーーーっ!!!」

 頭の中に真っ白な花火が散り、お尻がビクンと跳ね上がります。
 遠退きそうになる意識と、それを食い止めようとする意識。
 ふたつがせめぎ合うあいだも股間のくすぐったさはつづいています。

「あんっ、ジョセフィさまぁ、もうだめ、もうやめてっ、んふぅーっ、んーーっ!!!」

 後者がなんとか勝って、戻った皮膚感覚を愚弄するようにつづく執拗な愛撫責め。
 ジョセフィーヌさまが私のマゾマンコから離れてくださらないのです。

「んっ、あっ、いやっ、もうだめっ、ゆるしてっ、ああんっ!!!」

 一度しっかりイッて全身が敏感になっているところに追い討ちを掛けてくる苦痛寄りの快感。
 内腿を撫ぜられただけでも全身がゾワゾワ粟立ち、ビクンビクンと小さく何度もイッてしまいます。

「んーっ、ゆるしてっ、もうっ、もうゆるしてくださぃーーーっ、イーーーっ、んぬぅーーーっ!!!」

 腫れ上がったクリットに、おそらくジョセフィーヌさまのおヒゲでしょう、何かチクッと刺さるような刺激を感じたとき、二回目の花火が盛大に飛び散りました。
 その後に股間への愛撫も止んだみたい。

「はぁはぁ、はぁはぁ…」

 右頬を芝生に押し付けたまま荒い息をくりかえす私。
 意識はどうにか飛ばさずに済んだようです。

 ジョセフィーヌさまが私の顔のところまでいらしてくださり、不思議そうに覗き込まれます。
 それからペロッと左頬を舐められました。

「はぁ…はぁっ…ああんっ、ジョセフィーヌさまぁっ」

 よろよろとからだを起こし、女の子座りの格好で懐にジョセフィーヌさまを抱き寄せます。
 もちろん私は全身汗みずく火照りっ放しですが、嫌がらずに抱かれてくださるジョセフィーヌさま。
 フワフワした毛並みが敏感素肌にすごく気持ちいい。

 しばらくそうしていたら呼吸も落ち着いてきたので、フリスビー遊びに戻ることにしました。
 でもこんなイキ癖のついた状態だと、ご褒美でどこを舐められてもまたすぐにイッてしまいそう…
 そんなことを考えてゾクゾクムラムラ疼いてしまうのは、私の心がもはやマゾ性一色に染まり切っているからでしょう。

 ゆっくりと立ち上がり、芝生に放り出したままのフリスビーを拾おうと二歩三歩踏み出したとき…
 横から飛び出されたジョセフィーヌさまが一足早くお口で拾い上げられ、私に持ってきてくださるのかな、と思っていたら東屋のほうへと駆け出されました。

 東屋のベンチにピョンと跳び乗られたジョセフィーヌさまは、テーブルの上にペッとフリスビーをお捨て置きになり、そのまま私のもとへとまっしぐらに駆け戻っていらっしゃいます。
 あれ?これってもうフリスビーはしたくない、帰ろうよ、っていうことなのかな?

 でもそのわりに戻られたジョセフィーヌさまは、また私にまとわりじゃれつかれ、まだまだ遊ぶ気満々なご様子。
 うーん、どうすればいいのでしょう…

 私が困惑していると不意に首輪が引っ張られます。
 リードの先を咥えられているのは、もちろんジョセフィーヌさま。
 引かれるままに付いていくと、少し離れた芝生の上にご褒美用おやつのチューブが転がっています。
 知らないあいだに私がでたらめに投げ出していたみたい。

 それを私が拾い上げるとジョセフィーヌさまも、リードの先を離してくださいました。
 再び元の場所、ビデオカメラの設置場所、まで戻られるジョセフィーヌさま。

 ははーん、なんとなくわかった気がします。
 つまりこんな炎天下の朝早くからでは、さすがのジョセフィーヌさまでも何度もフリスビーを追いかけて駆け回るのはキツイ、と。
 だからフリスビー遊び無しで、ご褒美プレイだけでもう少し遊ぼうよ、と。
 オナ子もフリスビーより、そういうことのほうがしたいのでしょ?と。

 もしもう帰りたいというのであれば、私のリードを引っ張って出口に向かわせるようなアピールをすればいい、ということを、賢いジョセフィーヌさまならご理解されているはずです。
 それをせず、私におやつチューブを拾わせただけでご満足された、ということは、つまりそういうことなのでしょう。
 この推理は正しい、と、そのとき私は確信していました。

 そういうことならば、私もとことんおつきあいさせていただきます。
 私の生足にまとわりつかれるジョセフィーヌさまの頭をわしわし撫ぜながら、萎みつつあったマゾ性がぐんぐん息を吹き返しています。

「ジョセフィーヌさま?では、もう少しだけ、オナ子を虐めてくださいね」

 媚びるようにお願いして、タオル上に置いた肥後ずいきと洗濯ばさみを芝生の枕元となる位置に移動します。
 そう、今度は仰向けに寝そべるつもりなのです。
 ビデオモニターに全身が映るよう、慎重に調整します。

「ジョセフィーヌさま?ステイです。オナ子が準備するあいだ、ちょっと待っていてください」

 昨日の昼間のあるじさまとジョセフィーヌさまとのやりとりを思い出し、お願いしてみます。
 賢いジョセフィーヌさまは、その場にチョコンとお座りになられ、舌をハアハアさせつつちゃんと、待て、のご態勢。

 芝生の上にお尻をついた私は、そのまま背中を倒して仰向けに寝そべります。
 そうしてから両膝を立て、更に両膝のあいだを広げていきます。
 そう、つまり仰向けでの秘部全開放M字開脚状態。
 首輪に繋がれているリードは、私の頭のほうに丸めておくことにします。

 脳内妄想は、魔物世界での野外見世物パート2。
 囚われの姫が実はとんでもない淫乱マゾ女ということがバレてしまい、そういうことなら皆でよってたかって性的なおもちゃにして滅茶苦茶にしてやろう、という公開拷問ショー。
 もちろん私はこの格好で身動き出来ないように拘束されています。

 右手に持ったおやつチューブには、まだ中身が半分以上残っています。
 ペーストを私が舐めて欲しい箇所に塗れば、ジョセフィーヌさまは必ずそこを舐めてくださるでしょう。

 そして今度は仰向け。
 ジョセフィーヌさまとお顔を突き合わせ見下されながら、その眼前にあられもない痴態とアヘ顔をさらけ出すこととなるのです。

 最初は、私のふしだらなおっぱいを虐めていただくことにします。
 右手と左手をおっぱいの上で交差してチューブのキャップを緩めると、お座りされていたジョセフィーヌさまのお顔がピクッと動きました。

「ジョセフィーヌさま?まだですよ?まだステイです」

 ジョセフィーヌさまはお座りされたまま、お顔だけお首ごと乗り出すようにこちらへ向けられ、私の両手の動きに釘付けです。
 左手のひらに多めに乗せたペーストを、まずは左おっぱいの裾野から頂上まで、満遍なく塗りつけます。
 乳首が軟骨かと思うくらい硬く大きくいやらしく、突起しています。

 つづいて右おっぱいも同じようにコーティングした後、仕上げとして両乳首の頂がペーストで隠れるくらいの増量トッピング。
 手のひらに残ったペーストは脇腹や腋の下になすりつけます。

「あ…あの、ジョセフィーヌさま?お、オーケーです、ご、ゴーです…」

 本当にこれから魔界のケモノたちに襲われてしまうかのような、ドマゾ全開の被虐的な気持ちでジョセフィーヌさまにご合図しました。
 私の右側におられたジョセフィーヌさまは、任せなさい、みたいなご様子で、そのまま側面から私の胸の上にまでお首を伸ばされ、まずは右おっぱいが餌食となります。

「あっ、あんっ、んふっ、んふぅぅ、あんっっ、ああんっ…」

 ヌメヌメした軟体生物におっぱいを這い回られている感じ。
 幾分垂れ気味でぽてっとした下乳の裏側にまで舌を挿し込まれ、乳房の付け根をくすぐられるのがたまりません。
 それ以上に、コリコリ硬い乳首が乱暴に弾かれる刺激に、思わず淫ら声が…

「あぁんっ、イやっ、そこっ、だめっ、イぃっ、もっと、そこぉ…」

 右おっぱいがあらかた舐め尽くされ、ジョセフィーヌさまのご興味は左おっぱいへ。
 私の右側からいっそう身を乗り出され、懸命に舌を伸ばされます。

「んふぅ、イぃっ、そうっ、そこっ、ああんっ、んーーっ…」

 私の右脇腹と右おっぱいはジョセフィーヌさまのフワフワなお腹の体毛でくすぐられ、左おっぱいの頂点が重点的に責められています。
 放って置かれている右おっぱいにも、ときどきおヒゲがチクチク刺激をくださいます。

 そのうちにジョセフィーヌさまの右前肢が私のみぞおち辺りに置かれ、体勢によってジョセフィーヌさまの体重がかけられるのか、ときたまギュギュッと踏み込まれてしまいます。
 そんなふうに蹂躙されている感じが、私のどうしようもないマゾ性を益々昂ぶらせてくださいます。

「あうっ、もっと、もっぉと、んふーーっ!」

 やがてジョセフィーヌさまは両前肢ともに私のお腹に乗せられ、私は組み伏せられたようにされるがまま。
 ペーストが塗られていないはずの首筋や顔までペロペロ舐められます。

 両おっぱいへの蹂躙がひと段落ついてしまったようなので、そろそろ他の箇所にも愛撫と陵辱が欲しいところ…
 
 右手に持っているおやつチューブはキャップを外したまま。
 タイミングを見計らって、そっとその右手を下腹部へ伸ばします。
 恥丘の辺りに直にペーストをひねり出し、素早く左手で股間周辺に塗りたくります。

 私のマゾマンコからはすでに愛液がトロトロ溢れ出し、芝生を汚していたようです。
 恥ずかしいくらいに火照ったそこに左手が届いた瞬間、弄り回したくて仕方なくなってしまいます。

 だけど本来この状況はジョセフィーヌさまへのご褒美遊びであり、私如きの勝手な行動は許されません。
 愛液にまみれて味が薄くなってしまっているであろうペーストを、内腿やアヌス付近など、自分がもどかしい場所になすりつけます。

 匂いで気づかれたらしいジョセフィーヌさまのお顔がピクンと動き、私の股間へと向きました。
 そう、そこです…早く虐めてください…
 心の中でお願いするのとジョセフィーヌさまの行動は、ほぼ同時でした。

 私のお腹に乗せていた両前肢を私のウエスト左右の芝生に下ろされ、後肢はそれぞれ私の首の両脇の芝上。
 すなわち私の顔面上にジョセフィーヌさまの下半身が覆いかぶさり、フワフワな尻尾が私の頬から額の辺りをユラユラ撫ぜています。

 これって人間で言えばまさしくシックスナインの体位そのもの。
 ジョセフィーヌさまに完全征服されてしまったような屈服感に、私のマゾ性が大騒ぎ。

 ピチャピチャピチャピチャ…

「あぁぁぁーんぅぅぅーーーんっ!!」

 期せずして恥丘からクリトリスへと、ピアノ演奏の高速トリルみたいに小刻みな集中攻撃が加えられ、思いも寄らず大きな淫声を洩らしてしまいました。
 クリットの苞片やラビアの襞に溜まったペーストを嬉々として舐め取られているのだと思います。
 その舌技が絶妙で呆気なく私は小さくイッてしまいました。

 私の唐突な大淫声にびっくりされたのか束の間、ジョセフィーヌさまの舌が私の皮膚から離れました。
 私はもちろんつづけていただきたい一心で極力、淫ら声をがまんすることに決めます。
 そんな私が、んーんー唸り始めると、すぐに股間に愛撫が戻ってきました。

 ピチャピチャピチャピチャ…

「んーっ、んーーっ、んふぅーーーっ!」

 組み伏せられている私は屈服している身ですから、ジョセフィーヌさまを驚かせてしまった罰は当然、受けなければなりません。
 昨日あるじさまがしてくださった私へのお仕置きを思い出し、手探りで肥後ずいきを手に取り、自分の口に横向きで咥えて口枷とします。

「んっ、んぐぅーっ、んふぅーん…」

 これでいくら気持ち良くても、喉鳴りと鼻息と唇の端からよだれが洩れるだけです。
 ジョセフィーヌさまの舌使いは私が四つん這いのときとは変わって、恥丘から膣口へ向けてのストローク。
 上から下への舐め方では、どうも効率的ではなさそう。

「んふぅんっ!んぬぐぅっ!」

 ジョセフィーヌさまも同じように考えられたらしく、後肢が私の右おっぱいと左脇腹を思い切り踏み付けてシックスナイン状態をお解きになり、ぐるっと回られ私の両脚のあいだに位置を移されます。

 私のM字、もはや両腿が180度近くまで割られてM字とさえ言えなくなっていますが、の真正面、マゾマンコを至近距離真正面から堪能出来る位置にジョセフィーヌさまのお顔があります。
 早速、私の菊門からラビア、恥丘まで、舐め上げモードに移行されたジョセフィーヌさま。

 ペチャペチャペチャペチャ…

「んんーっ、んふぅーん、んぐぅーーぅーぅぅんっ!!!」

 たちまちの花火で全身痙攣。
 それなのにより腰を浮かせてペーストをその部分に補充してしまう私。

 ごめんなさいジョセフィーヌさま、舐めにくかったですよね?全部直子のせいです…
 言葉は発せないため、心の内で勝手に謝罪して勝手にお仕置きを受ける私。
 洗濯ばさみさまたちに両方の乳首とその周辺を噛んでいただきます。

「んーぐぅーーっ、ふぬぅーんっ、ふぅぅーーんっぅぅぅぅっ!!!」
「んふぅんーーーんっ、んぐぅうーーっ、んむーーーーーーっ!!!」
「ぬぅーぅーんっ、んっぐぅっ、んぬぅーーぐぅむぅーーーっ!!!」
「んぁーーっ、イぃーーーっ、いゃっ、だめっ、んぁーーーっ!!!」

 もうさっきから何度も何度もイッていました。
 それでも何度もチューブからペーストをひねり出して全身になすりつけ、全身が性感帯。
 
 ジョセフィーヌさまのおからだの一部、舌でもお鼻先でも体毛の毛先、尻尾でも、が私の皮膚に触れたらそれだけでイッてしまうようなド淫乱マゾ牝恍惚状態。
 
 妄想の中で私は、性別不明な異形の魔物たちに囲まれ、見るからに卑猥でおぞましい器具によって性的刺激を施されて何度も何度も絶頂するさまを嘲笑われながら、ぐったり意識を手放そうとしていました…

「…ンゥーンッ、ワンッ!」

 どなたかに耳元で呼ばれている気がして、目が開きます。
 朦朧とした意識で、ここはどこ私は誰状態。
 
 右頬を舐められるような感触でそちらを向くと、舌を伸ばされたワンちゃんのお顔。
 あっ、ジョセフィーヌさま?…
 途端に意識がスーッとクリアになっていきます。

 私が気がついたことをご確認されたジョセフィーヌさまは、プイッとお顔を逸らされ、そのまま東屋の方向に駆け出されました。
 
 えっ?何?
 東屋に到着されたジョセフィーヌさまがテーブルに跳び乗られてこちらを向かれ、私を呼ぶように大きなお声でもう一度、ワンッ!

 えっ?どうしたの?またフリスビーがしたいの?それともお水が飲みたいの?
 困惑している私の耳に、風に乗って微かなお声、木々のざわめきでも鳥さんの囀りでも蝉さんの鳴く声でもない、確かに人間の日本語、女性のお声が聞こえてきました。

 え?嘘、まさか…誰かいるの?
 
「…まで、どうぞ、じっくり、視てください……これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください……これが直子のマゾマンコです…奥の奥まで、どうぞ、じっくり、視てください……これが直子のマゾマンコ…」

 耳を澄ませばクッキリ聞き取れるのは、来るときの電車で私が吹き込んだ、と言うかお仕置きとして吹き込むようにご命令された、恥ずかし過ぎる着信音。
 ということは私のスマホが着信しているのです。

「いやーーーーっ!」

 後から思えば、その場にいたのは私とジョセフィーヌさまだけで、他のどなたに聞かれる憂いも無かったのですが、そのときはあまりの恥ずかしさにガバっと立ち上がり、つんのめるみたいに東屋に走りました。
 果たして着信画面には、私が自ら膣口を押し広げているM字開脚写真、発信者はお姉さまでした。

「あ、もしもし…直子です…」

 走ってきたからか喘ぎすぎたのか、声が掠れてしまいます。

「ちょっと、いつまでジョセと遊んでる気?もうとっくに9時回って半近くなんだけど?」

 呆れていらっしゃるようなお姉さまのお声。

「…あ、はい…ごめんなさい…」

「息弾ませて声嗄らしちゃって、どうせジョセとスケベなことしてたんでしょ?」

「あ、いえ…あの、えっと、はい…」

「今日はランチタイムにみんなで街に繰り出すことになったから。準備もあるし、早く戻ってらっしゃい」

 そのとき、お姉さまの背後からどなたかがお呼びになったような気配があり、しばらく無言がつづきました。
 ただ当惑しているうちに再びお姉さまのお声。

「あ、もしもし?散歩用の道具は広場に置きっ放しでいいって。ビデカメと日傘だけ持って帰ってきてって。あとのもろもろは適当にバッグに詰めて東屋のテーブルの下に置いておいて、ってさ」
「それと、今のその状態のままで帰ってきなさい。からだをタオルで拭いたり、水道で洗ってはだめ。からだの汚れ方を見ればそこで直子が何していたか、だいたいわかるからね」

「そういうことで、今から10分以内に戻ってきなさい。うーんと、今9時24分だから、あたしの時計で9時35分ジャストまでね。玄関のインターフォンを押したらゴール。1秒でも遅れたら罰としてドライブの途中、ひと気の多い場所を見繕って素っ裸で放り出して置き去りにするからそのつもりで」

 一方的にそれだけおっしゃって電話が切れました。
 そのとき初めて、私の両乳首と右脇腹に洗濯ばさみさまがまだ噛み付いていらっしゃることに気づきました。