2013年12月8日

コートを脱いで昼食を 23

 地上に出ると、広い大通り沿いの舗道でした。
 沿道にはビルが立ち並び、その一階はどこも何かしらのお店屋さんで、歩道も車道もひっきりなしの往来。
 地下道を歩いてきた感じだと、ずいぶん駅から離れたように思えましたが、そうでもないのかな?
 東口の大通りと同じくらいに賑わっていました。

 シーナさまは、私の手を引きながら大通りをさらに駅とは逆方向に少し歩いてから、一本の路地を左へ曲がりました。
 確かこっちのほうには有名な大学があるのではなかったかしら?
 お引越ししてきた頃に地図を眺めながら、この街に慣れたら一度訪れてみたいな、と思っていた一帯のようでした。

 その路地の左右にも小さなビルが立ち並び、何かのお店や飲食店がちらほら。
 シーナさまが、そのうちのひとつの前で立ち止まりました。

「ここよ」
 真っ白なビルの一階、全面ガラス張りのショーウインドウ一杯に飾ってあるカラフルなお洋服。
 見た感じ、お洒落なブティックでした。
「わたしの知り合いが最近開いたのよ。アパレルと輸入雑貨。いわゆるセレクトショップっていうやつね。海外の古着とかも置いていて、わたしも仕入れとかでお手伝いしているの」
 シーナさまが私に説明しつつ、外開きのドアを躊躇無く開きました。
 カランカランって軽やかにドアチャイムの音が響きました。

「ああ、シーナさん。いらっしゃいませ。お茶の用意してお待ちしてましたーっ!」
 すぐに奥のほうから元気のいいお声とともに女の人がひとり、こちらに近づいてきました。
「シーナさんのアドバイス、バッチリでしたよーっ!」
 ニコニコ顔で出てきたその人は、前髪だけ垂らしたポニーテイルでお目々パッチリ、両端がクイッと上がったイタズラっ子ぽい口許の、すっごく可愛らしい女性でした。

「お手頃なお値段のセクシードレスを置いてみたら飛ぶように売れちゃって。ついでに雑貨とかも買っていってくれるから、ここのところ売り上げ大幅アップです!」
「それは良かったわ。このあたりって夜のお勤めの女性がけっこう住んでいるから、ひょっとしたら、と思ったのよね」
「外国人のかたがよく買ってくださるから、そっちのお菓子とかも置いてみたらいいかなーって」
「あら、それもいいわね。そういう業者なら、2、3心当たりあるわよ」

 シーナさまとその女性が親しげにお話しているのに耳を傾けつつ、私は店内を興味津々で見回していました。
 お洒落なお洋服、靴や帽子、カワイイ小物雑貨、ぬいぐるみやステッカー、アクセサリー類など、けっこう広めの店内に所狭しと並べられています。
 女の子が好きそうなものなら何でもある感じ。
 一番多いのはお洋服。
 ブラウスやワンピース、ニットに混じって本格的っぽいデコルテのドレスまでぶら下がっています。
 あっ、あのワンピ、かわいい!

「それで今日は何をご提案してくださるんですか?シーナさんのご推薦なら何でも、うちは無条件で置かせてもらいますよ」
「ううん。今日はビジネスの話じゃないんだ。近くに来たから思い出して、一緒にランチでもどうかな、と思ってさ」
「でもまあ、見てもらいたいものがあるのも、本当なんだけれどね」
 シーナさまが、目をつけたワンピースが飾られているハンガーラックに吸い寄せられかけていた私の手を取って、グイッと引っ張りました。

「直子、こちら古泉純ちゃん。こちらのお店のオーナーさん。わたしのビジネスパートナーでもあるの」
「あっ、はじめまして・・・」
 ペコリとお辞儀をして、自己紹介したほうがいいのかな、って考えていると、
「純ちゃん、これはわたしのドレイのひとりで、モリタナオコ。こんな顔して、マゾで露出狂でヘンタイなのよ」
 シーナさまのものすごい紹介の仕方に、私が顔を火照らせていると、古泉オーナーさんがアハハって笑いました。
「ああ。そっちのほうのアソビのお話でしたか。シーナさんもお好きですねえ。見てもらいたい、っていうのも、この人なんですね?」
 古泉オーナーさんがシーナさまと私の顔を半々に眺めつつニッと笑って、私にだけ、オシャレな名刺をくださいました。

「まあ、立ち話もアレですからあっちに移動しましょう、テーブルがありますから」
 古泉オーナーさんが先に立ち、お店の奥へ進むとレジカウンターの脇にアンティークな木のテーブルとベンチが置いてあるスペースがありました。
「あたしもちょうどお腹が空いてきた感じだったんです。何か店屋物でも取ろうかなと思ったとき、シーナさんから電話があって」
「今、お茶の用意をしますから、そこに腰掛けていてください」
 古泉オーナーさんはそう言い残し、レジのさらに奥にあるらしい別のお部屋へ入っていきました。

「直子、サンドイッチと荷物はそこらへんに置いて、直子は座らずに、そうね、そのへんに立っていなさい」
 シーナさまのご指図通り、サンドイッチをテーブルの上に、自分のバッグはベンチの上に置き、お店の入口方向を背にして、もう片方のベンチの対面に立ちました。
 私の背後にも、ハンガーに掛けられたたくさんのお洋服が飾られています。
 シーナさまは、サンドイッチの包みを開けてテーブルの上に容器ごと並べ始めました。
 ずいぶんたくさん買ったんだなー。
 切り口からいろいろな中身が覗いた美味しそうなサンドイッチが、テーブル一杯に置かれました。

 でも・・・
 私がここに立たされているということは、まずはあの古泉オーナーさんに、私のコートの中身をお見せすることになるのだろうな・・・
 そう思うと、美味しそうなサンドイッチを見て湧いていた食欲が、みるみるうちに性欲に取って代わられていきます。
 さっきのシーナさまとのお話しぶりから察するに、古泉オーナーさんは、シーナさまのそういうご趣味をすでにご存知のご様子。
 古泉オーナーさんも、あんなに可愛らしのにエスなのかな?
 古泉オーナーさん、私の格好を見て、どんな反応を示されるのだろう?
 ドキドキが最高潮です。

「うわー。美味しそう!モリタさんがお持ちになっていた袋が、あのサンドイッチ屋さんのだったから、ちょっと迷って紅茶にしたけれど、正解でしたね」
 古泉オーナさんがトレイの上にティーカップやポットなどを載せて、しずしずとお持ちになりながら大きな声をあげました。
「今、紅茶を淹れますね。今日は朝を抜いてきたから、もうお腹ペコペコなんです」
 ほどなくお紅茶のいい香りが漂ってきました。
「さ、いただきましょう。モリタさんはお座りにならないの?」

 古泉オーナーさんの私に向けたお言葉を引き取るように、シーナさまがお話し始めました。
「それがね純ちゃん。わたし、さっき道で偶然直子に会って、時間もちょうどいいからランチに誘ったのよ、ほら、あの有名なフレンチのお店」
「うわー。超高級店じゃないですか!リッチですねー!」
「だけどね、なぜだか直子が行きたがらないのよ。ヘンだなーと思ったら、どうもそのコートを脱げないような理由があるらしいの、ね?」
 シーナさまが私をチラッと見て、ニヤッと笑いました。
「だからフレンチあきらめて、ちょうど純ちゃんのこと思い出したから、ここに来たってわけ」
「だけどさ、フレンチじゃなくてテイクアウトのサンドイッチだけれど、ひとさまのお店を訪ねて、コートを着たままお食事、っていう作法は無いわよね?レディとして」
「だからさっき、せめてマナーとして食事中は、そのコートはお脱ぎなさい、って叱ったところなのよ」
 シーナさまがすっごく嬉しそうにニコニコして私を見つめてきます。

 シーナさまには、そこに立っていなさいと言われただけでしたが、古泉オーナーさんにおっしゃった今のお言葉が、つまりは私へのご命令でした。
 とうとうシーナさま以外の人の前で、コートの前を開けなければならないときが来たのです。
 このコートを脱いだら、私の下半身は丸裸、上半身には一応Tシャツを着ていますが、ご丁寧に乳首のところだけ穴が空いて、乳首だけがこれ見よがしに飛び出しています。
 なんて破廉恥な格好。
 そんな格好を、今日初めて訪問したお洒落なセレクトショップの一角で、初対面の可愛らしいオーナーさんの目の前で、晒さなくてはいけないのです。

 その上、お店は営業時間中。
 大通りから一本路地に入ったので、さほど人通りが激しくはないみたいですが、それでも普通に人や車が行き来していました。
 2軒隣のラーメン屋さんには、短かい行列も出来ていました。
 このお店の外装は、ほとんどガラス張り。
 お洋服や雑貨でディスプレイされたショーウインドウだったので、店内丸見えというわけではありませんが、ちょっと真剣に覗けば、今も私の頭くらいは見えているはずです。
 それに、何と言っても、いつ別のお客さまが入って来るか、わからないんです。
 ドアを開けてお店に入り、奥まで来てちょこっと右側を向けば、レジ周辺は丸見えでした。

「ほら、せっかく淹れていただいたお紅茶が冷めてしまうじゃない?早くコートを脱いで席に着きなさい」
 シーナさまに冷たく言われて覚悟を決めます。
 これは私が望んでいたこと。
 シーナさまと出会ったおかげで、独り遊びでは絶対出来ない、こんな大胆な状況になったのだから。
 シーナさまのお言葉には、すべて従わなくちゃ。
 私の中のマゾメーターがグングン上がり、コートの一番上のボタンにゆっくりと手をかけました。

 そのとき、シーナさまの隣に腰掛けていた古泉オーナーさんがスクッと立ち上がりました。
「ちょっと入口に、休憩中、のプレートを掛けてきますね。いつもここでランチするときは、そうしているんです」
「この時間帯はいつも、ほとんどお客さん来ないけれど、邪魔されずにゆっくり食べたいし」
「それにきっと、これからあたしに、何かえっちなものを見せてくれるんでしょ?」
「それならなおさら、誰かに邪魔されたくないもの、ね?」
 古泉オーナーさんが私を見てまたニッと笑い、何かのプレートを持って入口のほうへ駆け出し、すぐに戻って元通りに着席しました。

「もう!純ちゃんたら、直子にそんな気配りはいらないのに。誰かお客さんが入ってきたら、それはそれで面白いのに」
 不満げなシーナさまを古泉オーナーさんが、まあまあ、ってなだめています。
 古泉オーナーさんのおやさしいお心遣いに幾分ホッとしつつ、コートの前ボタンをすっかりはずし終えました。

「ボタンはずしたら、まずコートの前を大きく開けて、純ちゃんにその中身をお見せしなさい。さっきデパートのトイレでしたのと同じ格好よ」
「はい・・・」
「わたしがいいと言うまで、その格好でいること」
「はい」
 シーナさまのご命令口調なお言葉が、私のマゾ性をグングン煽ります。
 こんなところで、こんな格好をお見せしなければばらない、みじめで可哀相な私。
 強烈な被虐感に酔い痴れつつ、ゆっくりとコートを左右に広げました。

「うわーっ!」
「どう?」
「どう、って、すごいですね。エロすぎ。これって、やっぱりシーナさんが命令してやらせているんですか?」
 私のからだを上から下まで矯めつ眇めつ眺めつつ、古泉オーナーさんがシーナさまに尋ねました。
「それがねー、違うのよ。この子が自発的にこの格好になって外出したところを捕まえたの」
 ニッコリ笑ったシーナさまったら、本当に愉快そう。

「なんでもね、この子が一生懸命考えた結論らしいの。真っ裸よりいやらしい恰好ってどういうのだろう?って」
「それで出た答えがこれ。下半身は丸裸で、上半身は乳首だけ出し。その上にコート一枚だけ羽織って、ひとりでショッピングに出かけるつもりだったのよ?考えられないわよね?」
「へー。確かにいやらしいですよね、普通の裸より。じゃあその穴も自分で空けたんだ」
 古泉オーナーさんが私に向かって尋ねてきました。
「は、はい・・・」
 うつむきがちに答える私。
「それってつまりその、乳首だけ見せたい、ってことなの?」
「あ、えっと、は、はい・・・」
「すごいねー。でも確かにいやらし過ぎて、逆にある意味ステキかも。モリタさんってお肌も綺麗だ しプロポーションもいいし、見せたがるのがわかる気もするかな」
 そうおっしゃる古泉オーナーさんの目は、私の下半身に釘付けです。

「あなたのソコって、天然なの?すっごく綺麗にツルツルなのね?」
 私の土手を指差して聞いてきます。
「あ、いえ、これは・・・」
 私が答えるより先に、次の質問が放たれました。
「そこに覗いているヒモは、タンポン?今、生理なの?」
「あ、そ、そうです。あ、でも・・・」
「ああ、これはね・・・」
 私が答えるのを制して、シーナさまが割り込んできました。

「この直子って子はね、すんごく濡れやすいの。ちょっとでも辱めるとすぐにダラダラよだれ垂らしちゃうのよ、ソコから。つまり淫乱なのね」
「だからタンポン挿れて、お店汚さないようにしたの。もし挿れてなかったらここの床、もう愛液でビチャビチャになっちゃてるわ」
「へー、こんな格好しているだけで、そんなに感じちゃうんだ?」
「常識では考えられない場所で、はしたない格好になって、それを視られている、っていうのが、直子がサカっちゃうキモみたいね」
「たぶん今なんか、純ちゃんに視られてイク寸前くらいになっているはずよ。今だったら純ちゃんの言うこと、何でも聞くはずだわ、ね?直子?」
 シーナさまの冷静な私の性癖分析に古泉オーナーさんも真剣にうなずいていらっしゃいます。
 私は恥ずかしさで、もう頭がクラクラ。

「まあ、そういうことで、純ちゃんへのお披露目も終わったことだし、ひとまずランチにしましょう。本当にお紅茶が冷めちゃうから」
 シーナさまが私を見ました。
「直子、もうコート広げてなくていいわよ。さっさと脱いで席につきなさい」
「えっ!脱ぐんですか?」
 私は、てっきりコートは羽織ったままで許されるかと思っていたので、真剣にびっくりしちゃいました。

「あたりまえでしょ?コート羽織ったままお食事なんて、そんなはしたないマナーは無い、って、何度同じことを言わせるのよっ!?」
 急速にイライラモードのシーナさま。
「だって・・・」
 私はお店をグルッと見回してお外のほうをじっと見てから、シーナさまに視線を戻しました。

「大丈夫よ。外からここは見えないし、純ちゃんが休憩中のサイン出してくれたから他のお客も入って来ないし」
「で、でも・・・」
「このお店はエアコンがよく効いているから、裸んぼでも寒くないはずよ。わたしも失礼して上着脱がせてもらおう」
「あたし寒がりだから、室内温度高めなんですよね。ごめんなさいね」
「・・・」
「あんまりグズグズしていると、わたし本気で怒るわよ。そのコートひん剥いて、Tシャツも破り捨てて、真っ裸で外に放り出すわよっ!」

 シーナさまの本気っぽいお怒り顔に気圧されて、渋々腕をコートの袖から抜き始めます。
 このコートを脱いでしまったら、私が身に着けているのは短かい破廉恥Tシャツ一枚だけ。
 何かあったとき、誰かが来たとき、私にはもう自分の恥ずかしい姿を覆い隠す術が、まったく無くなってしまいます。
 両腕を袖から抜くまではしたのですが、コートを両肩からはずせずにいました。

「それならコートは、あたしが大切にお預かりするわね」
「あっ!」
 いつの間にか私の背後に来ていた古泉オーナーさんが、私が羽織ったままのコートをそっと肩からはずしました。
「わー。いいコートね。ブランド物じゃない。センスいいわね?モリタさん」
 そんなお褒めの言葉にも私は上の空。
 コートがはずされると、私の下半身はセレクトショップの空間の中で、文字通り丸出しになってしまいました。
 裸のお尻に直に空気が当たり、剥き出しのアソコを思わず両手で隠しました。
 背後の古泉オーナーさんは、私の裸のお尻をじっと視ていたのでしょう、コートを取られてしばらくしてからゆっくりとレジに戻り、私のコートを丁寧にハンガーに掛けて、レジカウンターの後ろの壁に吊り下げてくださいました。

「まったく!何を今更隠しているのよ?こうなりたくて、していた格好でしょ?」
「それにしてもドレイの分際で、でも、とか、だって、とかよく言えるものね。まだまだ教育が足りないみたいね。帰ったらキツイお仕置きが必要だわっ!」
 不機嫌そうにブツブツおっしゃっているシーナさまを、古泉オーナーさんが笑いながらなだめます。
「まあまあ。せっかく楽しいランチタイムが始まるのだから、そんなに怒らないで。ほら、モリタさんもこちらへいらっしゃい」
 古泉オーナーさんは、冷めてしまった3人分のお紅茶をわざわざ淹れ直して、再度テーブルに並べてくださいました。

「あ、純ちゃん?バスタオルを一枚売ってくれる?どんなのでもいいわ。安いやつ」
「だったら確か・・・あったあった。これ、差し上げます。業者さんがサンプルでくれた子供向けキャラクターのタオル。カワイイでしょ?」
 古泉オーナーさんが差し出したカラフルなタオルを受け取ったシーナさまは、それを私に差し出してきました。

「ほら、これをお尻の下に敷いて、直子もさっさと座りなさい」
「裸のお尻で直子がそのベンチに座ったら、ベンチの表面と直子のお尻の穴が直に触れちゃうことになるものね。そんなの、次に座る人が可哀相すぎるわ。ヘンタイ菌が感染っちゃう」
 シーナさまのイジワルいお声。
「もう!これからお食事っていうのに、シーナさんたらお下品なんだからー。ほら、モリタさんも、早く」
 古泉オーナーさんの明るいお声に促されて、おふたりの対面のベンチの上にタオルを折って敷き、裸のお尻でおずおずと腰を掛けました。

「さっきシーナさんが、コートを羽織ってのお食事なんてはしたない、っておっしゃったけれど、お尻丸出しでのお食事とだったら、どっちがよりはしたないのかしらね?レディとしたら・・・」
 古泉オーナーさんが小さくクスクス笑いながら、独り言みたいにつぶやきました。


コートを脱いで昼食を 24


2013年12月1日

コートを脱いで昼食を 22

 包帯の戒めを解かれたのにも気づかないくらいの放心状態で、だらしなく両脚を広げたまま、私はしばらくベッドに仰向けのままでした。
 気を失なっていたというわけではなく、ただただ頭の中が真っ白になっていました。
 ときどき思い出したようにからだのあちこちで、自分の意志とは関係なく、ピクンピクンと筋肉が痙攣しているのがわかりました。
 そのたびに、甘美な快感の余韻が下腹部をくすぐりました。

「あら、気がついたみたいね。どう?立てる?」
 シーナさまのお声。
 えっと、立つ、っていうのは、どうすればいいのだっけ?
 からだを動かそうと力を入れるのですが、その意志をからだの該当部位に伝えることがうまくいかないみたい。
「ぐったりしているのはわかるけれど、いつまでもそこに寝ていられると、片付かないのよね」
 シーナさまがイジワルクおっしゃいます。
「いいのよ、ゆっくり休んでいらっしゃい。お疲れでしょう?わたくしたちも片付けや着替えがあるから、お気になさらずに」
 アンジェラさまのおやさしいお言葉。
「・・・ぁ、だ、大丈夫です。ありがとうございました」
 掠れた声でお答えして、なんとか上半身を起こしました。

 足元がおぼつかないからだをシーナさまと蘭子さまに支えていただいて、ゲスト用のドレッシングルームに戻りました。
 すぐにバスルームに入り、ローションと私のいろいろなおシルでヌルヌルベタベタになった全身を、ぬるいシャワーで洗い流しました。
 両膝の裏が包帯ロープに擦れたのか、少し赤くなっていました。

 シャワーの流れに沿ってお肌をさすっていると、何だかお肌が以前よりスベスベしている気がしました。
 マッサージしていただいて血行が良くなったせいでしょうか。
 アソコ周辺は、まるで生まれたての赤ちゃんみたいにツルツルのスッベスベ。
 からだ全体がふうわり軽くなったような気がして、意識もハッキリスッキリ、気持ちまで軽やかになっていました。
 シーナさまと蘭子様は、シャワーを浴びる私を眺めながら、楽しそうに談笑されていました。

 タオルで丁寧に水気を拭ってから、全裸のままバスルームを出ました。
 首のチョーカーが全体にしっとり濡れちゃったことだけが、ちょっと気がかりでした。
「なんだかずいぶん晴れ晴れとした顔をしているわね、直子」
 シーナさまが裸の私をマジマジと眺めながらニヤニヤ笑いでおっしゃいます。
「まあ、あれだけ何回も凄腕テクニシャンにイかせてもらったら、直子の底無しな性欲も、さすがに落ち着くわよねー。羨ましいこと!」
 シーナさまってば、本当に羨ましそうなご様子に見えました。

「それじゃあ、わたしたちも着替えてくるから、直子も帰る支度をして、さっきのゲストルームに戻ってらっしゃい」
「直子のバッグは、ゲストルームに置いてあるからね」
 そう言い残すとシーナさまは、テーブルの上にあった紙袋を掴んで、蘭子さまと一緒にドレッシングルームを出て行かれました。

 お洋服を着ようと思い、ハンガーにきちんと掛けられた自分のスーツを見て、ふと思い出しました。
 そう言えば、私の下着は?
 思えば私は、あのゴージャスなお部屋でストリップをさせられたので、ここに来るときはすでに全裸でした。
 脱いだ下着類は、小野寺さんがすべてまとめてどこかへお持ちなっちゃったのです。
 ブラジャーと、あと、私のいやらしいおツユで汚れたショーツとパンティストッキング・・・
 今更ながらに、赤面してしまいました。

 ドレッシングルームをひととおり見回してみましたが、それらしいものはありません。
 どこかにしまってあるのだろうか?
 でも、まさかチェストとかを無断で開けて見るわけにもいかないし、第一、しまい込む必要なんてまったく無いはずです。
 
 どうしよう?
 恥ずかしいけれど、小野寺さんに聞いてみようか・・・
 施術ルームの扉をそっと開けてみましたが、電気がすべて消されて真っ暗、誰もいらっしゃらないようでした。
 となると、おそらくあのゴージャスなお部屋に戻られたのでしょう。
 うーん・・・ま、いっか。
 とりあえず下着は着けずに身なりを整えて、あのお部屋に戻ろう。
 身も心もスッキリして楽観的になっていた私は、どうせあとは車でお家へ帰るだけなのだから、ノーブラノーパンもさほど大した問題ではないような気分になっていました。

 素肌にブラウスを着て、裸の腰にそのままスカートを履きました。
 生地が薄いブラウスですが、大人しくなった乳首ならぜんぜん目立ちません。
 いつもなら、こんな格好をすればすぐそれなりにムラムラくるのですが、さすがに今はそんな気持ちも湧いてきません。
 メイクを軽く整えてからジャケットを羽織り、裸足にスリッパでスタスタとゴージャスなお部屋に戻りました。

 ゲストルームでは、再びお洒落な私服に着替えられたみなさまが、おのおのソファーや椅子に腰掛けてお紅茶を召し上がっていらっしゃいました。
「失礼します」
 私が入っていくと一斉の拍手。
 どなたもにこやかで、最初の頃より私に対する親密さが増している感じがしました。
 シーナさまとアンジェラさまから、私のからだや最後のマッサージのときのことをいろいろからかわれ、他のみなさまも、もはや遠慮一切無しで楽しげに笑っていらっしゃいました。
 私も、自分を話題にされるのはやっぱり恥ずかしかったけれど、でもそれ以上に楽しい時間がおだやかに過ぎていきました。
 下着のことは自分でも忘れたまま、小一時間ほどみなさまとお茶を飲みながらおしゃべりをしました。

「ワックス脱毛すると、次に生えてくるヘアーはいっそう細くなっているの。ナオコのだったら、たぶん2~3週間はそのままで、その後だんだんチョロチョロって出てくるはずよ」
「だから、次に施術出来るようになるのはたぶん12月ね。今日くらいの濃さになったらまた、必ず来なさい」
 アンジェラさまが私の手を取って、ニコニコ笑いながらのご命令口調でおっしゃいました。
「ナオコのヘアーなら、あと数回通えば、ほとんど生えてこなくなるはずよ」
「だから必ずいらっしゃい、ね?」
 アンジェラさまに固くお約束させられて、サロンを後にしました。

 そんな恥辱まみれないわくつきのパイパンな土手を、シーナさまがスルスル撫ぜてきます。
 デパートのおトイレの狭い個室の中。
 私は必死に口をつぐんで、えっちな声をがまんします。

「あの日の帰り、直子は平気でノーパンノーブラで車に乗っていたわよね?」
「あの頃から、裸でコートなんて破廉恥なアソビを計画していたのじゃないの?」
 シーナさまが私の土手を軽くさすりながら聞いてきます。
「あ、はぃ・・・」
「やっぱりねー。あれだけイかせてもらってまだ10日ちょっとでしょ?本当、ヘンタイ性欲のかたまりなのね、直子って」
「夏休みは全裸生活、エステサロンでみんなの前で死ぬほどイって、懲りもせずに今度は裸コート。呆れた女子大生がいたものだこと」

 結局あの日、私が身に着けていた下着類はすべて小野寺さんがお洗濯してくれて、施術後にはキレイにたたまれた状態でドレッシングルームのテーブルの上に置いてあったのだそうです。
 シーナさまが私のシャワー中にそれを隠し、お部屋からの去り際に手にした紙袋の中身がそれだったのでした。
 車の中でシーナさまに渡されて、あんなに辱めを受けたのに性懲りも無くまだノーブラノーパンでいたいのね、なんてさんざん虐められました。

「今日は自分の意志でそんな格好しているのだから、それなりの覚悟は出来ているのよね?」
 シーナさまがタンポンの紐を引っ張って、一気に引き抜きました。
「うぐっ!」
「わたしと一緒なんだもの、もうこんなものいらないわ。スケベ汁だらだら垂らしながら街中をお散歩しましょ?」
 私から抜き取ったタンポンをポイッと汚物入れに投げ捨てました。
 シーナさまの瞳が、どんどんエス色に染まってきていました。

「まずはどこへ行こうかしら?コートのボタンはずしたまま繁華街を歩いてみる?その後、公園にでも行ってオナニーとかしてみよっか?」
「あのう、シーナさま?私、誰にでも視られたい、っていうわけでは・・・」
「わかっているわよ。男子禁制でしょ?それを破るとわたしがゆりさまから叱られちゃうもの。だから悩んでいるの!」
 怒ったようなシーナさまのお声。
 シーナさまが私の股間から手を離し、腕を組んで考え込みます。

「直子の計画は、ブティックでお買い物して逆ストリップ、だっけ?」
「はい・・・」
「ブティック街でのショッピングは比較的安全だけれど、なんだかマンネリだわね。確かこっちで最初に会ったときもやったわよね?」
 おっぱいを縛られて、貝殻ローターをアソコに挿れたまま試着させられたっけ・・・
「あ、はい・・・」
 あの初夏の日の恥ずかしさを思い出しながら私が答えると同時に、シーナさまのお顔がパッとほころびました。

「そうだった!あの子がいたわ!」
 シーナさまのすっごく嬉しそうなお声。
「うふふ、直子、いいこと思いついちゃったー」
 シーナさまは、ご自分のケータイを開けて何か確認されています。
「たぶん大丈夫と思うわ。この時間帯なら。わたしこれからちょっと電話してくるから、直子はコートをきちんと直して、メイク整えてから出てきて」
 おっしゃりながら個室から出て行こうとされます。

 今のシーナさまのご様子だと、あの日のブティックのノリのいいギャル店員さんに、もう一度会いに行くのかもしれません。
 それはそれで、なんだか懐かしいかも・・・
 でもそれなら、別に電話することもないような・・・
 あっ、ご出勤されているかの確認なのかな?
 そんなことを考えていたら、個室を出かけていたシーナさまが振り向きました。

「あっ、そうだ。直子、代わりのタンポン持ってる?」
「え?いいえ、生憎・・・」
「もう使えない子ね。ならわたしのあげるから、それ突っ込んでおきなさい。まだ新しいお店、汚しちゃったら可哀相だから」
「あのう、これから誰かとお会いするのですか?」
「そうよ。お会いって言うか、お見せって言うか」
 くくっと笑うシーナさま。
「せっかく直子が一生懸命考えた晴れ姿ですもの、わたし一人で愉しむだけじゃもったいないわ。そう思わない?」
 ご自分のバッグからタンポンを一つ出して私に握らせ、そそくさと個室から出て行きました。

 お言いつけ通りに真新しいタンポンを挿入し、コートのボタンをきっちり留めてメイクを直し、女子トイレを出ると、シーナさまは廊下でまだ電話中でした。
 新しいお店?
 ていうことは、このデパートのブティックではないっていうことだよね。
 だとすると、これからいったい、私はどこへ連れて行かれるのだろう?
 こんなに恥ずかしすぎる私の姿を、誰にお視せになるつもりなのだろう?
 エステサロンに連れて行かれたときと同じような、不安7期待3くらいのフクザツな思いが胸に渦巻いていました。

「おっけー。それじゃあ行きましょう」
 シーナさまは、私の右手を取って一直線にエレベーターに向かいました。
 手を引かれておたおたとついていく私。
 エレベーターで地下まで降りると、私鉄とJRの地下連絡通路を進みます。
 これでもう、あのギャル店員さんのお店ではないことが決まりました。
 
 平日の昼間だというのにちょっとびっくりするくらい大勢の老若男女が地下通路を行き来していました。
 裸コート姿でこんなに大勢の人の前に出るのは、もちろん初めてです。
 すごい緊張感が全身に走ります。
 普通にしていればバレるはずないのに、ヘンタイな行為をしているという負い目が背徳感を煽り、ゾクゾク感じてしまいます。
 私ひとりでは、こんなに人がいるところに、この格好で出てくることなんて絶対出来そうもありません。
 シーナさまはずっと無言で、私の手を引いたままスタスタと人混みを優雅にすり抜けていかれます。
 私はシーナさまの左手を命綱のようにギューッと握って、一生懸命ついていきました。

 途中の地下街で、有名なサンドイッチショップのサンドイッチをシーナさまがたくさん買って私に持たせ、さらに地下通路を進んでいきました。
 ここまで来ちゃうと確かもう西口のはず。
 こっちに来て半年以上経ちますが、西口に来るのは初めてでした。
 地下通路が突き当たりになる頃、シーナさまがようやく地上への階段を上り始めました。


コートを脱いで昼食を 23


2013年11月24日

コートを脱いで昼食を 21


「さあ、これで蹴飛ばされる心配も無くなったし、残りの半分とビキニラインは、あなたたちで実習してちょうだい」
「3人で代わりばんこに施術するといいわ。仕上げは、わたくしがやるから」
「はいっ!」
 アンジェラさんが一歩退き、代わってリナリナトリオのみなさんが、ほぼ180度に両腿を開いたままベッドに縛り付けられた私の下半身を取り囲みました。
「ワックスを塗るときは毛流れに沿って、剥がすときは逆方向へ水平に、よ」
「はいっ!」
 アンジェラさんのご指導に元気良くお返事されるお3人。

 最初はアリナさん。
 恐る恐るという感じで私のラビアを引っ張りながら、ヘラでワックスを塗りました。
「剥がしまーす」
 可愛らしいお声とともにベリッとワックスが剥がされます。
「あうっ!」
 アンジェラさんのときよりも痛さが増しています。
 慣れていらっしゃらないので仕方ないことなのでしょうけれど。

 つづいてマリナさん、セリナさんの順番で、施術が進んでいきました。
 アンジェラさんのようにテンポ良くとは行かず、ぎこちない手つきで性器を弄られ、ラビアを引っ張られ、下半身のムズムズが治まりません。
「あぁんっ!」
 毛を引き抜かれる痛みに、思わず両膝を閉じようとしますが、きっちり縛り付けられた私の両脚はビクとも動きません。
 包帯のロープが膝の裏側に食い込んでくるだけです。
 下半身を拘束されアソコを全開にしているという被虐感と、性器周辺を襲う物理的な痛みに、私のマゾ性は大悦び。
 どんどんいやらしい気分になっていました。
 エステティックの施術を受けているはずなのに、私の頭の中では、誰か悪い人に拉致監禁され、えっちな拷問を受けている妄想が渦巻いていました。

「ぁはんっ!」
「ぃやんっ!」
 ワックスが剥がされるたびに呻いてしまいます。
「あら、ナオコったら、お声がずいぶん色っぽくなってきたわね?」
 アンジェラさんがイタズラっぽく微笑みかけてきます。
「もう少しの辛抱よ。あとはビキニラインだけだから」
 何度も呻いているうちに、施術は土手部分に移っていました。
 モニターの中の私のアソコ周辺はもはやツルツル。
 毛が残っているのはその上部分だけになっていました。

 その部分もリナリナトリオのみなさんの、幾分慣れてきた感じの施術ですっかり抜かれ、最後にアンジェラさんがピンセットみたいなので仕上げをされている最中に、シーナさまと蘭子さんが戻っていらっしゃいました。

「あらあら、スゴイ格好にされちゃったわねー」
 入ってくるなりシーナさまが、さっきアンジェラさんがおっしゃったのと同じようなお言葉を、私に投げかけてきました。
「直子のお望み通りな展開じゃない?嬉しいでしょう?」
 シーナさまは白いバスローブ姿、蘭子さんは水色のユニホーム姿でした。

「あら?ミス・シーナ、お帰りなさい。こっちももうそろそろで終わるわ」
 私のラビアを掻き分けて、毛を一本引き抜きつつ、アンジェラさんがおっしゃいました。
「ああんっ!」
 毛が抜かれた痛みに、私のはしたない喘ぎ。
「こんな声をずっと聞かされどうしじゃ、あなたたちもさぞやりにくかったでしょう?」
 シーナさまのおどけたお言葉に、リナリナトリオの快活な笑い声がかぶさりました。

「さ、これでいいわね。ナオコ、長い間お疲れさま。ローション塗って施術完了」
 土手から性器にかけて、ひんやりとしたローションが、アンジェラさんの手で揉み込むように塗られます。
「あぁううーんっ」
 その冷たい感触にアソコを撫ぜられ、クリトリスにもスースーする刺激を感じて、抑えきれずにいやらしい声が洩れてしまいました。

「ねえ?ミス・シーナ。ご相談なのだけれど・・・」
 アンジェラさんが私の股間をさすりながら、シーナさまに尋ねました。
「わたくし、ナオコを見ていたらなんだかかわいそうになっちゃって。この子、一生懸命がまんして、わたくしたちに協力してくださったでしょう?」
「ここもこんなになっちゃっているのに、ヘンな声をあげないように、真っ赤になってがまんしてたわ」
 私のクリトリスをゴム手袋の指でサワサワ撫ぜつつ、つづけます。
「んふんっ!」
「だからご褒美をあげたいの。わたくしの特別マッサージで」
 アンジェラさんの手が私の股間から離れました。

「つまり、直子をイかせてあげる、っていうこと?」
「まあ!お下品な言い方ね。オーガズムに導くのよ」
 アンジェラさんが笑いながら訂正されました。
「どう?直子。オーガズムに導いてくれるってさ?」
 シーナさまが私の顔を覗き込みます。
「あ、はい・・・」
「はい、じゃないわよ。イきたいの?」
「あ、えっと、は、はい・・・」
「こんなみんなが見ている前で、イきたいんだ?はしたない子ねー。呆れちゃう。だったら自分からアンジーにお願いしなさい。どうかイかせてください、って」
 シーナさまのお顔がイジワルそうに笑っていました。

 私の性的昂ぶりは、もう爆発寸前でした。
 一刻も早く出口へ誘導してあげないと、気がヘンになってしまいそうなほどの、待ったなし状態でした。
 もはや恥も外聞もありません。
「ア、アンジェラ先生さま、どうか、どうか直子をイかせてくださいぃ」
 上半身だけ起こして、マゾの服従ポーズのまま、アンジェラさまに哀願しました
「あらー、先生だなんて、かわいい子ね。わかったわ。わたくしがすごく気持ちのいいマッサージしてさしあげるわ」
「施術の後は、その部分はあまり刺激しないほうがいいのだけれど、幸いナオコは出血もなかったし、肌も比較的丈夫そうだから」

「下半身は縛ったままでいいわよ。直子は、そういうのが好みなヘンタイだから」
「あなたたちもよーく見ていてやってね。他人のイキ顔なんて、ライブでそうそう拝めるものじゃないから、貴重な体験よ」
 リナリナトリオのみなさんが、ドッと笑いました。

 私の腰を浮かせていた毛布が取り除かれ、フワフワタオルも取り除かれました。
 合皮らしいベッドの表面に直に肌を付けている状態。
 仰向け全裸で、頭の下に両手を置いた服従ポーズ、下半身は全開で縛り付けられたまま。
 そんな私を、アリナさん、マリナさん、セリナさん、蘭子さん、シーナさま、アンジェラさま、そして小野寺さんのビデオカメラが取り囲み見下ろしています。

「からだの力を全部抜いて、リラックスしていてね?」
 おっしゃりながら、透明なローションをボトルから直に、私の胸やお腹にたっぷり垂らしてきました。
「あんっ!」
 その冷たい感触に全身がピクリと跳ねます。
 ヌルヌルローションをからだ全体に行き渡らせるようにアンジェラさまの両手が私の肌を這い、やがて私のふたつのおっぱいをやんわり包んで来ました。
「あはぁん」
「ナオコのブレストはやわらかいわねー。いいさわり心地。でもニップルはコチコチね」
「うふぅん」
 おっぱいをふわふわ揉みしだかれて、私はクネクネ身悶えます。
「ううぅんっ」
「いいわよ、気持ち良かったらどんどんお声を出して鳴いちゃって。もうがまんすることはないわ」
 アンジェラさまの両手が、私の上半身のいたるところを、揉み解すみたいに撫ぜ回してきます。
 すっごく気持ちいい。
 からだが溶けちゃいそう。

 アンジェラさんの両手は、段々と下腹部に移っていき、私の全身はローションまみれのヌルヌル。
「このローションはね、ちょっぴり媚薬みたいな効果もあるの」
 そして右手がついに、アソコを包み込みました。

「蘭子さん?わたくしはナオコに、これ以上無いくらい気持ち良くなって欲しいから、ブレストのケアを手伝っていただける?」
「はい。わかりました」
 アンジェラさまのお言葉で、蘭子さまが私の傍に立ち、私のおっぱいを揉み始めました。
「あー、いいなー直子。アンジーと蘭子さんふたりがかり。なんて豪華なマッサージだこと!」
 シーナさまの拗ねたようなお声が可笑しくて、思わずつぶっていた目を開けると、リナリナトリオのみなさんの食い入るような視線とぶつかりました。

 それと同時に、アンジェラさまの指がズブリと、私の中に侵入してきました。
「あうっ!」
 再びギュッと目をつぶり、4本の手が与えてくれる快感に身を委ねます。
 それからは、完全に我を忘れていました
 おっぱいは、時に優しく、時に激しく揉みしだかれ、ときどき乳首が指の間でキュッと挟まれます。
 アソコに入った指は、本数が2本に増え、膣壁を擦るように至るところを掻きまわし、もう片方の手はずっと、クリットを撫でたりつまんだりしています。
「あふん」
「んぐっ」
「いやん」
「いい、いいい!!!」
 すぐに一回目の絶頂がきましたが、4本の手は止まりません。

「ナオコのヴァジャイナの中、すごく熱いわね。キュッキュッて締め付けてくるわ。あ、また達したわね?」
「ふぅぅんっ!」
「ああん、そこぉ」
「いく、いく、いっちゃうぅ」
「だめ、だめ、もっとぉ・・・」
 何回イってもアンジェラさまと蘭子さまは許しでくださいません。
 ピチャピチャという卑猥な音と私のハアハアと荒げた息遣いが、低く流れるモーツアルトのピアノ曲をかき消します。

 なんだか手が増えたな、と思い目を開けると、おっぱいはシーナさまの担当になっていました。
 私の乳首を乱暴につまんで引っ張ったり潰したりしています。
 蘭子さまは、わき腹やお腹をマッサージされています。
「あぅ、あぅ」
「いい、いいぃ・・・」
 もう何度イったかわかりません。
 6本の手にさわられている部分すべてが性感帯となり、グングン昂ぶります。
 からだが宙に浮いているように、気持ちのいい波が寄せては返しつづけます。

「ああん、でちゃうぅ、でちゃうぅぅぅ」
 中を掻きまわしている指が手前のほうのある部分に触れたとき、とっさにそんな言葉が自分の口から飛び出しました。
「いいわよー。出しちゃうと気持ちいいから、出しちゃいなさーい」
 アンジェラさんのお言葉に、そうか、出しちゃっていいんだ、って素直に思い力を抜いた途端、ピューッと何かを放出しました。
「うわーーっ!」
 リナリナトリオの盛大なざわめき。
 潮を吹いちゃったのです。

「もうナオコのGスポットは覚えたわ。ここを刺激すれば何度でも出るわよ。どんどん出しちゃってスッキリしちゃいましょう」
 アンジェラさまの指で執拗にソコを責め立てられ、私は何度もピューピュー吹いて、ビクンビクンとイきました。

「そうそう、最近の若い子は、ネットの掲示板やつぶやきなんかで、職業上で知ったお客様のプライバシーを気軽に書いちゃって問題になっているけれど」
「今日のナオコみたいに、少し普通とは違うご趣味のかたは、あなたたちにとっては興味津々で、誰かにお話したくなる気持ちもあるでしょう」
「うちのお客様には、世間でお名前の知られたかたや、社会的な地位の高いかたのマダムなどもたくさんいらっしゃいます」
「このお仕事では、そんな方々のプライバシーを知る場合もあるでしょうけれど、それらは決して、一切口外してはいけません」
「わたくしたちのお仕事は、肌を直接触れるお仕事でもありますから、お客様からの信頼と守秘義務とで成り立っています」
「ですから、お仕事上で知ったお客様のご趣味や嗜好を、たとえお友達との世間話と言えども、話題にすることは厳禁です」
「もしも、そのようなことをして発覚した場合は、この手のお仕事はそれ以降、一切出来ないように全国的に手配しますし、それなりの損害賠償も直接請求します」
「これはプロとして必ず絶対に守ってください。わかりましたね?」
「はいっ!」

 私のアソコを責め立てつつ、リナリナトリオのみなさんに、そんなふうに言い聞かせるアンジェラさまのお言葉を、どこか遠くのほうから聞こえてくるように感じながら、私は何度も何度も全身を震わせてイきつづけました。


コートを脱いで昼食を 22