全開のシャワーみたいな激しい雨。
大きな雨粒がとめどなく、顔やはだけた胸をバチバチたたきつけてきました。
走っても歩いてもどうせずぶ濡れなのにやっぱり走って、剥き出しのおっぱいをプルプル揺らしながら赤い庇を目指しました。
一足先に到着していたお姉さまは、赤い庇の下でレインコートのボタンを外し始めていました。
「ひどい降りになっちゃったわね。空一杯雨雲だし、当分やまなそう」
脱いだレインコートの水気を払った後、ビニールトートからバスタオルを引っ張り出して渡してくださるお姉さま。
「だけどおかげで、面白い経験が出来そうよ。思った通り、誰もいないようだし」
お姉さまが背後のガラス戸を、私にも促すみたいに振り返りました。
バスタオルを濡れた肌に当てつつ、私も振り向きました。
全面素通しガラス2枚の引き戸の向こう側には、煌々と電気が灯っていました。
私の真後ろのガラス戸中央に横書きの赤い文字で、コインランドリー。
その下には白い文字で営業時間のご案内が書かれていました。
お姉さまがガラガラッと、その引き戸を開けました。
八畳間くらいのスペース壁際に、洗濯機らしき物体が整然と並んでいます。
空いたスペースにはデコラ張りの長方形テーブルが置かれ、折りたたみ椅子が二脚。
テーブルの上には何も置いてなく、床はコンクリート、壁に手書きで、禁煙、の大きな張り紙。
小じんまりと古くからやっていらしたような、渋めのコインランドリーでした。
「さあ、その濡れたワンピ脱いで、そこの乾燥機で乾かしてもらうといいわ。もちろん下着もね」
さも当然のことのように、お姉さまがおっしゃいました。
濡れた髪をバスタオルで丁寧に拭いながら室内を見渡していた私は、ギョッと固まります。
思わず出かかった反問の言葉を何とか飲み込みつつ、お姉さまのほうを見ましたが、えっ!?ここでですか?という私の心からの叫びが、顔に書いてあったと思います。
「大丈夫よ。こんな土砂降りの中、わざわざ洗濯しようって外に出て来る人なんて、いるわけないでしょ?」
私の顔を見てクスリと笑ったお姉さまが、愉しそうにおっしゃいました。
「少なくとも土砂降りがつづいているうちは大丈夫なはず。小降りになったら、わからないけれどね?」
イタズラっぽくおっしゃってワザとらしく動かしたお姉さまの視線を追っていくと、一台の乾燥機。
その乾燥機は、作動終了のランプが点灯していて、丸いガラス窓の奥には、女性ものらしき下着を含む衣類がいくつか横たわっていました。
そのまま視線を横にずらしていくと、ここのコインランドリーは洗濯機三台、乾燥機三台という陣容。
作動中の機械はひとつもなく、使用中ランプが点灯しているのは、その乾燥機一台だけでした。
「あとはまあ、さっきのあたしたちみたいに、そこの庇に雨宿りに来る人がいるかもしれないけれど、ここって最寄り駅からけっこう離れているから、可能性は低いはず」
「だから、さっさと脱いで乾燥機動かして、雨がやまないうちにさっさと立ち去ったほうが、あたしは得策だと思うけれどね」
お姉さまのイジワル声が、本当に愉しそう。
「わ、わかりました・・・」
お姉さまのおっしゃることが、もっともだと思いました。
ここでグズグズしていたら、誰かがやって来るリスクが増すばかりです。
びしょ濡れで素肌にべったり貼り付いているワンピースも気持ち悪いし。
バスタオルをお姉さまにお返ししました。
お姉さまは、そのバスタオルをテーブルの上に置くと、再び私を見つめてきます。
テーブルの上には、ビニールトートとお姉さまが脱いだレインコートが無造作に置いてありました。
ガラス戸に背を向けて、自分の胸元を見ました。
おっぱいは左右とも完全にお外に出ていて、痛々しい先っちょがふたつ、宙を突いています。
右手でその下に位置するボタンを外すと残りはひとつ。
前屈みになって裾の下のほうに手を伸ばします。
私、こんなところで今、裸になろうとしている・・・
今日初めて訪れた街の、明るいコインランドリーの中で・・・
大雨とは言え、いつ誰が来てもおかしくない公共の場所で・・・
全身を被虐の血が駆け巡り、その血がどんどん下半身に集まってきて、疼いて疼いておかしくなっちゃいそう。
でも表情はたぶんきっと、泣きそうな顔になっていると思います。
テーブルの端にもたれたお姉さまが左側から、そんな私にカメラを向けていました。
濡れそぼったワンピースを素肌から剥ぎ取るみたいに、両袖を抜きました。
現われたのは、まるでカップレスブラのようにおっぱいを下から持ち上げている銀色、今や湿って黒ですが、のブラジャーと、何にも覆われていない下半身。
脱いだワンピースを左腕に提げて両手を後ろに回し、お役目を果たしていないブラジャーを外しました。
それから左足のミュールを脱ぎ、足首のショーツも外します。
すべてを終えて、お姉さまのほうを向きました。
今、私は、全裸。
正確に言うと、首に巻かれたマゾのシルシである赤い首輪と両足の白いミュール以外、一糸纏わぬ、全裸。
眩しいくらいの蛍光灯の光が、コインランドリーの狭い空間に情け容赦なく、生まれたままの私の姿を鮮明に浮き上がらせていました。
その恥ずかし過ぎる光景はしっかりと、お姉さまのカメラで記録されていました。
意識しなくても自然に両腕が、胸と股間を隠すように動いて、全身が縮こまっていました。
「あそこに水道があるから、ワンピは軽く絞っておくといいわ。直子のおツユだらけのパンティは手洗いしてからのほうがいいわね。ブラは湿っただけっぽいから、そのままでもよさそう」
カメラを向けたまま、お姉さまが近づいてきました。
「すっごくエロいわよ、直子。こんなところに真っ裸の女の子がいるのって。それも赤い首輪なんかしちゃってるし」
「シュールとか言うより、やっぱりエロティックね。その恥ずかしがっているところがたまらない。思わず襲い掛かりたくなっちゃう」
カメラを下ろして、お姉さまが私の目の前に立ちました。
前を隠すように両手で素肌に押し付けていた衣類を、少し強引に引き剥がしてご自身の左手に持ち、右手で私の左手を引くお姉さま。
洗濯機と乾燥機の隙間に設えられた、小さな受け皿が付いた水道の蛇口まで引っ張られました。
衣類をその受け皿に置くと、私の手を離しました。
「ほら、早くやっちゃいなさい。もたもたしていると、雨、やんじゃうわよ?誰か来ちゃうわよ?」
私の後方に退いたお姉さまが、再びカメラを向けてきました。
水道の前に立ちました。
最初に、たっぷり雨を含んだワンピースを軽く絞り、広げてからあらためて水道水で軽く水洗い。
それから入念に絞りました。
次にショーツ。
手に持ったときから全体がヌルヌルしていました。
水を流しながら手洗いしていると、だんだんとヌルヌルが消えていきます。
お出かけ中に、こんなに汚していたんだ・・・
今更ながらの恥ずかしさに全身がカーッ。
ブラジャーも軽く水にくぐらせて、軽く絞りました。
「ずいぶんご丁寧なお仕事ぶりだこと。さすが、全裸家政婦を自認するだけのことはあるわね」
お姉さまのお芝居っぽいからかい声が背後から聞こえてきました。
お姉さま、今の私は家政婦ではありません。
だって今洗ったのは、自分で汚した自分のお洋服なのですから。
ただのヘンタイ女の全裸お洗濯です。
こんな場所で全裸になっていることで自分のマゾ性がどんどん膨張し、より強烈な辱めをからだが欲しているのがわかりました。
「洗濯機も乾燥機もかなり年季が入った古い型みたいね。この手だと、どのくらい回せばいいのかしら?」
独り言みたくおっしゃって、機械に貼られた取り扱い説明文を読むお姉さま。
「まあ、ブツは少ないし、20分も回せば乾くでしょう」
お姉さまがランプの点灯している乾燥機のすぐ横の一台に手をかけ、扉を開けました。
私も絞り終えた衣類を持って、そちらへ移動しました。
お姉さまに開けていただいた乾燥機の中に、衣類を入れます。
ワンピースとブラジャーとショーツ。
大きな円形ドラムの中に小さな布片が三つだけ。
なんだか間の抜けた光景に見えました。
「これっぽっちだと、ちょっともったいないような気にならない?」
お姉さまも私と同じことを思われたみたいです。
少し考えるようなそぶりをされた後、おもむろに着ていたタンガリーシャツのボタンを外し始めました。
「このシャツも少し湿っちゃったし、汗もかいたからさ、この際一緒に乾かしちゃおう。直子、これも水洗いお願い」
お姉さまから手渡されたタンガリーシャツは、確かに全体に薄っすら湿っていました。
お姉さまの体温で薄っすら生温かく、お姉さまの香りが薄っすらしていました。
そして何よりも驚いたこと。
それは、シャツを脱いだお姉さまがノーブラだったことでした。
黒無地の半袖ボートネックでピッタリフィットなTシャツ。
そのバスト部分先端が左右ともクッキリと浮き上がっていました。
「あたしもあんまり外出でノーブラはしないのだけれどね。今日は直子に影響されちゃったみたい。たまにはいいかなと思ってさ」
私の視線の先に気づかれたお姉さまは、少し照れたみたいにお顔をほころばせ、そうおっしゃいました。
「だけどあたしはノーブラでも、直子みたいに無駄に恥ずかしがったりはしないわよ。それもひとつのファッションと思っているから、照れずに堂々と出来るの」
「直子みたいに、すぐにいやらしい妄想が広がらないからね」
言い訳っぽくつづけるお姉さまが、なんだか可愛らしい。
すっごく嬉しい気持ちで水道まで行き、タンガリーシャツを丁寧に手洗いしました。
乾燥機の中の布片が四つになりました。
お姉さまが扉を閉め、コインを投入。
タイマーは30分を示していました。
ということは、私は泣いても笑っても、この場にあと最低30分間は、全裸のままいなければならないわけです。
そのあいだ私に出来ることと言えば、このまま雨が激しく降りつづけることを祈ることぐらいしかありません。
乾燥機を離れたお姉さまは、いったんテーブルのほうへ戻り、折りたたみ椅子をひとつ、入口のガラス戸のまん前に置きました。
「ずっとさっきから気になっていたのよ、直子のその濡れた髪。ほら、こっち来て座って」
なるべくお外から見えないよう、ガラス戸前を避けて隅っこへ隅っこへと逃げていた私を、容赦なく呼びつけるお声。
「肌にあちこち貼りついてエレガントじゃないから、あたしが軽くセットしてあげる」
ご命令に逆らえるはずもなく、とぼとぼ置かれた椅子のほうへ。
椅子は、さっき入ってきたガラス戸に向けて置いてありました。
そこへ座ると、ガラス戸に書かれたコインランドリーというカタカナが鏡文字になって目前にありました。
ガラス戸の向こうが相変わらず、滝のように降り注ぐ大雨なことだけが、唯一の心の拠りどころ。
狭い室内に響くザザァーッというこもったような騒音が、いつまでもつづくことを願うばかりです。
「なかなかスリリングでしょ?もしも誰かがここに入ってこようとそのガラス戸を開けたら、最初に目に入るのが直子の裸なの」
「まあ、入ってくることは無いと思うけれど。誰かが道を通ったら、ガラス越しに見えるのかな?この雨じゃガラスも曇って見えないかな?」
お姉さまが背後に立ち、私の濡れた髪をバスタオルで拭いながら、世間話でもするように語りかけてきました。
なんだかヘアサロンのオネーサンみたい。
「一番来そうなのは、あの乾燥機に残っている洗濯物の持ち主よね。女性みたいだけれど」
お姉さまが私の髪を指で梳き始めました。
「女性なら、なんとかごまかせるかもしれないわよね。突然の雨でびしょ濡れになっちゃったんですぅ、って」
「だけど、オトコだったら、いろいろややこしくなりそう」
そこでクスッと笑うお姉さまのご様子は、まったくの他人事のよう。
「でもまあ、あんまり大事になってもアレだから、もしも誰か来る気配があったら、そこのバスタオルをからだに巻くことだけ、許してあげる」
お姉さまが私の後ろ髪をいくつかに分けているのがわかります。
どうやら軽く結ってくださるみたい。
「もっとも、巻いていいか決めるのはあたしだけれどね。こんなところでバスタオル一枚っていうのも、考えようによってはかえってエロいかも」
「若い男の子だったら、かなりコーフンしちゃうでしょうね?襲い掛かってきたら、どうする?」
からかい声のお姉さまですが、両手はテキパキと動いていました。
「はい出来た。ヘアゴム無いから応急処置だけれど。立って、こっち向いてみて」
お声に促され、うつむきがちに立ち上がりました。
椅子の赤いビニールレザーに、直径2センチくらいの水溜りが出来ていて、股間とのあいだに短い糸が引きました。
思わずそれから顔をそむけると、顔の左右に毛先が揺れました。
どうやらツインに分けて、それぞれを緩く編んでくださったようでした。
「うわー。こういう髪型にすると、直子って幼くなるのね?」
本当に驚いたお顔で、私の顔をまじまじと見つめてきました。
「そ、そうなのですか?」
ガラス戸にぼんやり映っていた自分の顔を見た限りでは、そんなに変わったようには見えなかったのですが。
「うん。雨でメイクも落ちちゃったから、ほとんどスッピンなせいもあるのかしら。なんだか頼りなげで、でもどこか生意気そうで、すごく虐めたくなる顔」
なおもじっと見つめてくるお姉さまの目力に負けて目をそらすと、視線は自然とお姉さまのTシャツ胸元で目立つ突起に貼りついてしまいます。
お姉さまもずっと私といて、ずっと感じていらっしゃるんだ・・・
なんとも言えない甘酸っぱいものがこみ上げました。
「生意気顔の原因はそのアイラインね。こんな雨でも落ちないなんて、大したウォータープルーフぶりだこと」
「そのアイラインも落としたら、もっと幼く見えるのでしょうね。それもそれでそそるものはあるけれど」
お姉さまの口調が早口気味になっていて、それはなんだか興奮されているようにも思えました。
興奮というのはもちろん、性的に、と言うか、エス的に。
「締め切っているせいか、この部屋ネットリ蒸しちゃってちょっと不快。換気しましょう」
おっしゃるや否や、ツカツカとガラス戸に歩み寄り、ガラガラっと50センチほど開けてしまいました。
途端に盛大にボリュームが上がる雨音。
室内よりも少しひんやりとした空気と、ザザザーッという嵐そのものな雨音が、狭いコインランドリーの中を満たしました。
「この調子なら、まだまだ邪魔は入らなそうだから、思い切ってもっと冒険しちゃいましょうか」
雨音の騒音に負けないよう、大きめになったお姉さまのお声。
開けた戸はそのままに、テーブルのほうへと戻っていかれました。
「直子、こっちに来なさい」
開けたままの引き戸がすごく気になるのですが、呼ばれたからには仕方ありません。
お姉さまは、テーブルの上のビニールトートの中をガサゴソされています。
「これ、着けて」
差し出されたのは、首輪に繋ぐ鎖のリードでした。
「は、はい・・・」
差し出されたリードの金具を、首輪のリングに嵌めました。
重い鎖が垂れ下がり、胸元からお腹にかけての素肌にぴったり触れます。
そのひんやりとした金属の感触に、背筋がゾクゾクッと震えました。
「ねえ?こういう激しい雨の音って、心を昂ぶらせる何かがあると思わない?」
リードを着けた私を至近距離で、まっすぐ見つめてくるお姉さま。
「えっと、それは・・・」
「あたしはそうなの。台風の日とか、なぜだかワクワクしちゃうタイプ。雨の音とか風の音とかに」
お姉さまは、私の返事なんてハナから聞く気はないようでした。
私を見つめてくるそのふたつの瞳に、エスの炎がメラメラ燃え盛っているのがわかりました。
「そこ開けて、降りしきる雨の音を直に聞いたら、あたしもう、どうにも我慢出来なくなっちゃった」
お姉さまの右手がリードの途中を掴み、グイッと引っ張られました。
「あうっ!」
顔が首ごと、お姉さまのお顔にぶつかりそうなほど、引き寄せられました。
「あたし今、直子をめちゃくちゃマゾ扱いしたくて仕方ないの。虐めたくて虐めたくて」
「はうっ!」
いつの間に手にされていたのか、木製の洗濯バサミで尖った右乳首を素早く噛まれました。
「ああんっ!」
つづけざまに左も。
「直子、イっていいわよ。今日はずーっとイキたかったのでしょう?あたしが許すわ。ここで思う存分、イキなさい」
ここ、とおっしゃったとき、右手の人差し指がテーブルの上をコツコツと叩きました。
「えっ?」
「だからここよ。このテーブルの上でオナニーしなさい」
お姉さまのお顔が少しだけ離れ、その唇の端が少しだけクイッと上がりました。
おそらく微笑まれたのだと思います。
「出来るわよね?」
テーブルの上でオナニー?でもその最中に雨がやんじゃって誰か来たら・・・
そんな思いが頭の中をグルグル駆け巡り、お返事出来ないでいると、またグイッとリードが引っ張られました。
今度は実際に、私とお姉さまのお顔がぶつかりました。
唇同士で。
間髪を入れず、お姉さまの熱い舌先が私の腔中にねじ込まれました。
「んぐぅぅ」
どちらの喉から出た音なのか、なんとも卑猥な吐息が聞こえ、その後、ヌチュヌチュピチャピチャという音に変わりました。
その他に聞こえるのは、ただ単調でうるさいお外の雨音だけ。
お姉さまの両手が私の背中に回り、お姉さまのTシャツ越しのおっぱいが私の洗濯バサミ付きおっぱいを押し潰します。
噛み付いた洗濯バサミが暴れ、捻られ、食い込み、乳首がちぎれそうなほどの痛みが走りました。
「ぬぅぐぅぅぅ・・・」
塞がれた唇からくぐもって漏れた小さな悲鳴。
お姉さまが唇を離されたとき、私は小さくイっていました。
バスタオルでご自分の唇を優雅に拭ったお姉さま。
その唇が動きました。
「やりなさい」
「はい、お姉さま」
私は、きちんとイキたくて仕方なくなっていました。
*
*オートクチュールのはずなのに 23へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2015年10月4日
2015年9月27日
オートクチュールのはずなのに 21
横断歩道を渡り切ると、舗道を行く人影はずいぶん減りました。
ビニール傘がパタパタとリズミカルに音をたてるくらいの雨が降る中を、お姉さまに寄り添って歩きます。
ときどき思い出したように、車が車道を走り抜けていきます。
「やっぱり予想通り、閑散としているわね?平日だったらこの辺りも、サラリーマンとOLがひっきりなしなのに」
お姉さまが私のほうを向いておっしゃいました。
「ここはどの辺りなのですか?」
「方向的には、来るときに乗った地下鉄の駅へ戻っている感じね。ちなみにこの右側の広くて大きな建物は最高裁判所」
「えーっ!?そうだったのですか?」
「今日は休日だからそうでもないけれど、普段はもっとものものしいわよ。入口ごとにケイカンだらけみたいな感じで」
灰色の建物に横目を遣ると、ちょうど入口のところで、ひとりのオマワリサンが傘もささずに仁王立ちしているのが見え、ビクンとからだが震えました。
「ここを過ぎれば、もう公的な建物もないから、オマワリサンにビクつくこともなくなるわ」
オマワリサンを見て、お姉さまにからだをいっそうスリ寄せた私をなだめるような、お姉さまのおやさしいお声。
「それにしても本当に人がいないのね。こんな感じなら、直子をここで裸にしちゃってもいいくらい」
周りを見回すようにしてから、私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
剥き出しの奥がキュンと疼きました。
街並は、低めのビルが立ち並ぶ、よくあるビジネス街っぽくなっていました。
時折、お弁当屋さんやレストランぽい建物が混じり始めてはいるのですが、みんなシャッターが下りてお休みみたい。
通り全体が静まり返り、聞こえてくるのは雨の音ばかり。
この通りに入ってから見かけた人影は3人だけ。
どなたも傘を低くさしてうつむきがち、私たちを一顧だにしませんでした。
「でもやっぱり、こんな街中で直子を丸裸にするのは、あたしにとってもちょっとハードル高いから、その代わりゲームをしましょう」
お姉さまが前方を向いたままおっしゃいました。
「そうね・・・あたしたちの傍らをタクシーが通り過ぎたり、すれ違うたびに、直子のワンピのボタンをひとつ外す、っていうのはどう?」
どう?とおっしゃられても、私には拒否権が一切ないわけですし。
前方10メートルくらいにタクシーが一台こちら向きに、ライトをピカピカさせて停車していました。
お姉さまったら、あのタクシーを見て思いついたに違いありません。
あのタクシーが走り出すか、私たちがあそこまでたどり着いたとき、私はワンピのボタンをひとつ外すことになるわけです。
私がコクンとうなずくのが合図だったかのように、停車していたタクシーがこちらへ向かって走り出しました。
「最初は胸元のボタンね。次からは直子の好きなところを外していいわ」
タクシーが私たちの横を通り過ぎるとお姉さまが立ち止まり、私はご命令通り、胸元上から三つ目のボタンを外しました。
胸元の圧迫感が消え、胸の谷間が乳輪まで、大胆に露出しました。
「うふふ。おっぱい出たわね。まあ、これからは、なるべく人も車もいなそうな路地を歩いてあげるから、安心して」
再び歩き始めたお姉さまが愉しげにおっしゃいました。
「この辺から左のほうへずっと歩いていくと、大きめな公園があるはずなの。草木がこんもり茂って小高い山みたいになった自然公園」
「そこで直子にオールヌードになってもらうのが、あたしの当初の計画だったの。でも、この雨だから人が全然いなそうなのよね」
「視てくれる人が全然いないのもつまらないわよね?だから、そのときはボーナスステージ。あたしがたっぷり直子のからだをイタズラしてあげる。持ってきたオモチャで、イかせてあげるわ」
「直子は、都心の公園で丸裸になって、緑の自然の中でイっちゃうわけ。もちろん声だけはがまんすることになるけれど」
「どう?愉しみでしょ?」
お姉さまがおっしゃったことを、頭の中で妄想してみます。
雨の降りしきる森みたいな場所で、真っ裸になってお姉さまにイクまで辱められる自分・・・
からだがはしたなく火照ってきました。
車道を左のほうへ渡ろうとして立ち止まった私たちの目の前を、黒塗りのタクシーが通過していきました。
「意識して見ると、タクシーって意外と走っているものね。あ、また来た」
道路渡るまでに2台のタクシーと遭遇し、私はボタンをふたつ外さなければいけないことになりました。
一番影響が少なそうなおへそから股間のあいだのふたつを外しました。
残るボタンは4つ。
公園に着くまで、裾の一番下、実質的には下から2番目と、胸元4番目のボタンだけは死守したいところです。
道路を渡り左に折れる路地に入ると、通りは見事に閑散としていました。
車一台だけ通れそうな通りには、人っ子一人なく、ただ雨が地面を打つ音だけが響いています。
その雨が、かなり強くなってきていました。
さっきまでパラパラだったのが、今はザーザーッという感じ。
おまけに風も出てきて、私たちが進む方向には向かい風となっていました。
お姉さまが傘を前向きに傾け、風に逆らうように進みますが、傘をすり抜けた風が私のワンピースをはためかせ、Vゾーンを押し開きます。
あれよあれよという間に、左右の乳首ともお外に飛び出していました。
裾も完全に左右に割れっぱなしで、肌色が丸出し。
ああん、いやんっ!
胸元や裾を直すことは禁じられているので、そのまま歩くしかありません。
「本格的に降ってきちゃったわね。これじゃちょっと、傘一本じゃキツイ感じ」
「あの庇の下で、とりあえず雨宿りしましょう。あたし、カッパ着るから」
お休みのお店屋さんらしきシャッター前の軒下を指さすお姉さま。
私たちが庇の下にたどり着くのを待っていたかのように、雨はいっそう激しく、ザンザン降りになりました。
「せっかく直子が、とんがり乳首とマゾマンコ剥き出しの、こんなにいやらしい格好をして雨宿りしているのに、この雨と風じゃ誰も外に出てこなそう」
傘を閉じたお姉さまが恨めしげにお空を見上げました。
私の胸元は、おっぱいが乳首もろとも完全に露出しているので、通りに背を向けて立ちました。
「バッグ貸してくれる?」
「あ、はい」
雨が強くなってからは左腕で庇うように提げていたので、バッグはビニールの表面以外、そんなに濡れていませんでした。
バッグの中から半透明の白い包みを取り出すお姉さま。
どうやらそれがお姉さまのレインコートのようです。
「直子用にも透明のビニールのコートをもってきたのだけれど・・・」
そこまでおっしゃり、瞳を閉じて少し考えるような仕草をされるお姉さま。
それからお顔を上げ、ふたつの瞳にたっぷりのイジワルな光をたたえて、こうつづけました。
「もしも直子もレインコートを着たいのなら、そのワンピは脱いで、素肌に直に着てもらうことにするわ」
「それか、今の格好のまま、傘さして歩くか。好きなほうを選ばせてあげる」
折りたたまれたご自分のレインコートを広げながら、お姉さまがイタズラっぽく笑いかけてきました。
軒先から出っ張っているビニールらしき庇を、雨粒がザザザザッとやかましく打ちつける音の中で、私はしばし考え込みました。
「お姉さま?質問、いいですか?」
「どうぞ」
「そのレインコートって、完全に透明なのですか?」
「そうよ。このビニール傘と同じようなもの。丈はそのワンピより若干長いと思う」
「これから行く公園ていうのは、遠いのですか?」
「うーん、10分も歩けば着くのではないかしら。でももう少し小降りになってくれないと、行く気しないわね」
「そこに行くまでに、また信号待ちとかありますか?」
「どうだったっけかな?わからないけれど、たぶんありそうね」
「途中で雨がやんでも、そのままなのですよね?」
「そうね。公園でヌードになった後なら、着替えさせてあげてもいいかな」
お姉さまは、バッグから取り出した白いバスタオルで、濡れたバッグの表面を拭きながら答えてくださいました。
真剣に悩みました。
全裸に透明レインコートっていうのも、すっごくやってみたい気にはなっていました。
確か、やよい先生との初野外露出のときも、ユマさんと一緒に大雨の中で透明レインコートを着ていたっけ・・・
束の間、懐かしくも恥ずかしい思い出がよみがえりました。
だけど、いくら大雨で人が通らないと言っても、ここは天下の往来で、時間もまだ午後の4時過ぎ。
これから10分間歩くあいだ、誰にも会わないという保証はどこにもありません。
曇っているとはいえ充分明るいですから、透明ビニールの下が全裸であれば、視線を向けさえすれば一目瞭然で、その肌色の意味を知られてしまうことでしょう。
途中に信号待ちがあって、隣に誰か並ばれでもしたら・・・
「やっぱり、今のまま、このワンピースにしておきます・・・」
「そう。わかったわ。それなら、まだゲームもつづいている、ということでいいわね?こっちを向きなさい」
ご命令に振り返ると、お姉さまがハンディカメラをこちらに向けていました。
見知らぬお店の軒先でおっぱいを丸出しにしている私のふしだらな姿が、映像記録として残されました。
そして目の前の通りを、黄色いタクシーが二台つづけてゆっくりと横切っていきました。
今やみぞおちと土手の上しかボタンが留まっていない、私の頼りないミニワンピース。
もう金輪際、一台のタクシーも目前に現われないで、と祈る他はありません。
雨宿りを始めたときより、雨も風も格段に強くなっていました。
「直子が傘さすなら、バッグは濡れないように、あたしが持ったほうがよさそうね」
左肩にビニールトートを提げて、その上からレインコートを羽織るお姉さま。
白濁した半透明のレインコートはポンチョっぽい形で、フードをすっぽりかぶったお姉さまは、妙にスラッとしたテルテル坊主さんみたいでした。
「ゲリラ豪雨なのかしらね?ぜんぜんやむ気配が無いのだけれど」
私にカメラを向けたまま、退屈そうなお姉さまのお声。
大雨で誰も通らないとは言っても、昼間の街角におっぱい剥き出しで突っ立っているという状況は、あまりにもスリリング。
充血した乳首を風が撫ぜるたびに、背筋がムズムズ感じていました。
「ここでただボーっと、雨がやむのを待っているのも、芸が無いわね」
お姉さまがいったんカメラを下ろし、私のおっぱいを舐めるように見つめてきました。
「そうだ!直子、傘さして道路の向こう端まで行って、ゆっくりこっちに歩いてきてよ。それを撮影するから」
「篠突く雨の中、おっぱい丸出しで歩いてくる赤い首輪の女の子、なんて、なんだかアートっぽくない?」
ご自分のご提案に、満足そうにうなずくお姉さま。
再びカメラを私に向けてきました。
「わかりました。お姉さまがそうおっしゃるのなら」
立てかけてあったビニール傘を手に取り、お外のほうへ一歩踏み出しました。
庇の先端まで行って通りを見渡します。
数メートル先も霞むほどの勢いで、雨粒の群れが地面を打ちつけていました。
人も車も通る気配はまったくありません。
街全体がされるがまま、ひたすらこの雨が通り過ぎるのを待っているような雰囲気でした。
これなら大丈夫。
傘を広げました。
庇から一歩出た途端、頭上から盛大な騒音が響いてきました。
見た目より風も強いようで、襟ぐりが孕み、ワンピースが素肌から浮き上がります。
剥き出しの乳首を乱暴に愛撫する風と雨。
湿度が高いためか、さほど寒くは感じないのが救いでした。
ゆっくりと道の端まで歩き、回れ右をしました。
今度は、軒先で構えているお姉さまのカメラレンズに向かって、ゆっくりと近づいていきました。
さっきとは逆に左からとなった風が、胸元を容赦なくいたぶります。
裾も大きく風を孕み、下腹部あたりまで露出しています。
今、そんな自分の姿が記録されているんだ・・・
下半身がジンジン痺れるように疼きました。
そのときでした。
突風が渦巻くようにヒューと鳴き、持っていた傘が飛ばされそうになって手にギュッと力を入れた刹那、あっという間にオチョコになっていました。
ここぞとばかりに全身に襲い掛かる雨粒たち。
一瞬にしてズブ濡れ。
壊れた傘のビニールがハタハタとはためき、私は大慌てで軒先に駆け戻りました。
「あらあら、とんだ災難だったわね、全身ズブ濡れじゃない?」
至近距離でカメラを向けつづけるお姉さま。
素肌にぺったり、ワンピースの布地が貼りついたおっぱいや下半身を撮っているようです。
「すっごくエロいわよ。ワンピが肌に密着しちゃって、からだのライン、クッキリ丸わかり」
「でも直子、ここでズブ濡れになったのって、ある意味ラッキーだったのかもよ?」
ようやくカメラを下ろしたお姉さまが、謎なことをおっしゃいました。
「通りにカメラ向けてズームを弄っていたらね、近くに面白いものがあるのを発見しちゃったの」
「こんな雨なら、たぶん誰も来ないから、ゆっくり出来ると思うわ、いろいろと」
お姉さまはカメラをポンチョのポケットにしまい、フードを深くかぶり直しました。
「あそこの赤い庇のところね。あそこまで一気に走るわよ」
さされた指の先十数メートルのところに、雨に煙って確かに赤い庇が見えました。
「その傘はたぶんもう使い物にはならないでしょうけれど、ここに置いていったらご迷惑だから、持ってきなさい」
「直子は、もうそれだけびしょ濡れなのだから、そのままでも平気よね?思う存分濡れちゃいなさい」
「あの、えっと・・・」
「安心なさい。すぐにサッパリ、気持ち良くなれるから。行くわよ?」
私のほうを向いていたお姉さまがお外に向き直り、間髪を入れず軽やかに大雨の中へ飛び出していきました。
「あ、お姉さまっ!待ってください!」
私もあわてて、壊れた傘を片手にお姉さまの背中を追いかけました。
*
*オートクチュールのはずなのに 22へ
*
ビニール傘がパタパタとリズミカルに音をたてるくらいの雨が降る中を、お姉さまに寄り添って歩きます。
ときどき思い出したように、車が車道を走り抜けていきます。
「やっぱり予想通り、閑散としているわね?平日だったらこの辺りも、サラリーマンとOLがひっきりなしなのに」
お姉さまが私のほうを向いておっしゃいました。
「ここはどの辺りなのですか?」
「方向的には、来るときに乗った地下鉄の駅へ戻っている感じね。ちなみにこの右側の広くて大きな建物は最高裁判所」
「えーっ!?そうだったのですか?」
「今日は休日だからそうでもないけれど、普段はもっとものものしいわよ。入口ごとにケイカンだらけみたいな感じで」
灰色の建物に横目を遣ると、ちょうど入口のところで、ひとりのオマワリサンが傘もささずに仁王立ちしているのが見え、ビクンとからだが震えました。
「ここを過ぎれば、もう公的な建物もないから、オマワリサンにビクつくこともなくなるわ」
オマワリサンを見て、お姉さまにからだをいっそうスリ寄せた私をなだめるような、お姉さまのおやさしいお声。
「それにしても本当に人がいないのね。こんな感じなら、直子をここで裸にしちゃってもいいくらい」
周りを見回すようにしてから、私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
剥き出しの奥がキュンと疼きました。
街並は、低めのビルが立ち並ぶ、よくあるビジネス街っぽくなっていました。
時折、お弁当屋さんやレストランぽい建物が混じり始めてはいるのですが、みんなシャッターが下りてお休みみたい。
通り全体が静まり返り、聞こえてくるのは雨の音ばかり。
この通りに入ってから見かけた人影は3人だけ。
どなたも傘を低くさしてうつむきがち、私たちを一顧だにしませんでした。
「でもやっぱり、こんな街中で直子を丸裸にするのは、あたしにとってもちょっとハードル高いから、その代わりゲームをしましょう」
お姉さまが前方を向いたままおっしゃいました。
「そうね・・・あたしたちの傍らをタクシーが通り過ぎたり、すれ違うたびに、直子のワンピのボタンをひとつ外す、っていうのはどう?」
どう?とおっしゃられても、私には拒否権が一切ないわけですし。
前方10メートルくらいにタクシーが一台こちら向きに、ライトをピカピカさせて停車していました。
お姉さまったら、あのタクシーを見て思いついたに違いありません。
あのタクシーが走り出すか、私たちがあそこまでたどり着いたとき、私はワンピのボタンをひとつ外すことになるわけです。
私がコクンとうなずくのが合図だったかのように、停車していたタクシーがこちらへ向かって走り出しました。
「最初は胸元のボタンね。次からは直子の好きなところを外していいわ」
タクシーが私たちの横を通り過ぎるとお姉さまが立ち止まり、私はご命令通り、胸元上から三つ目のボタンを外しました。
胸元の圧迫感が消え、胸の谷間が乳輪まで、大胆に露出しました。
「うふふ。おっぱい出たわね。まあ、これからは、なるべく人も車もいなそうな路地を歩いてあげるから、安心して」
再び歩き始めたお姉さまが愉しげにおっしゃいました。
「この辺から左のほうへずっと歩いていくと、大きめな公園があるはずなの。草木がこんもり茂って小高い山みたいになった自然公園」
「そこで直子にオールヌードになってもらうのが、あたしの当初の計画だったの。でも、この雨だから人が全然いなそうなのよね」
「視てくれる人が全然いないのもつまらないわよね?だから、そのときはボーナスステージ。あたしがたっぷり直子のからだをイタズラしてあげる。持ってきたオモチャで、イかせてあげるわ」
「直子は、都心の公園で丸裸になって、緑の自然の中でイっちゃうわけ。もちろん声だけはがまんすることになるけれど」
「どう?愉しみでしょ?」
お姉さまがおっしゃったことを、頭の中で妄想してみます。
雨の降りしきる森みたいな場所で、真っ裸になってお姉さまにイクまで辱められる自分・・・
からだがはしたなく火照ってきました。
車道を左のほうへ渡ろうとして立ち止まった私たちの目の前を、黒塗りのタクシーが通過していきました。
「意識して見ると、タクシーって意外と走っているものね。あ、また来た」
道路渡るまでに2台のタクシーと遭遇し、私はボタンをふたつ外さなければいけないことになりました。
一番影響が少なそうなおへそから股間のあいだのふたつを外しました。
残るボタンは4つ。
公園に着くまで、裾の一番下、実質的には下から2番目と、胸元4番目のボタンだけは死守したいところです。
道路を渡り左に折れる路地に入ると、通りは見事に閑散としていました。
車一台だけ通れそうな通りには、人っ子一人なく、ただ雨が地面を打つ音だけが響いています。
その雨が、かなり強くなってきていました。
さっきまでパラパラだったのが、今はザーザーッという感じ。
おまけに風も出てきて、私たちが進む方向には向かい風となっていました。
お姉さまが傘を前向きに傾け、風に逆らうように進みますが、傘をすり抜けた風が私のワンピースをはためかせ、Vゾーンを押し開きます。
あれよあれよという間に、左右の乳首ともお外に飛び出していました。
裾も完全に左右に割れっぱなしで、肌色が丸出し。
ああん、いやんっ!
胸元や裾を直すことは禁じられているので、そのまま歩くしかありません。
「本格的に降ってきちゃったわね。これじゃちょっと、傘一本じゃキツイ感じ」
「あの庇の下で、とりあえず雨宿りしましょう。あたし、カッパ着るから」
お休みのお店屋さんらしきシャッター前の軒下を指さすお姉さま。
私たちが庇の下にたどり着くのを待っていたかのように、雨はいっそう激しく、ザンザン降りになりました。
「せっかく直子が、とんがり乳首とマゾマンコ剥き出しの、こんなにいやらしい格好をして雨宿りしているのに、この雨と風じゃ誰も外に出てこなそう」
傘を閉じたお姉さまが恨めしげにお空を見上げました。
私の胸元は、おっぱいが乳首もろとも完全に露出しているので、通りに背を向けて立ちました。
「バッグ貸してくれる?」
「あ、はい」
雨が強くなってからは左腕で庇うように提げていたので、バッグはビニールの表面以外、そんなに濡れていませんでした。
バッグの中から半透明の白い包みを取り出すお姉さま。
どうやらそれがお姉さまのレインコートのようです。
「直子用にも透明のビニールのコートをもってきたのだけれど・・・」
そこまでおっしゃり、瞳を閉じて少し考えるような仕草をされるお姉さま。
それからお顔を上げ、ふたつの瞳にたっぷりのイジワルな光をたたえて、こうつづけました。
「もしも直子もレインコートを着たいのなら、そのワンピは脱いで、素肌に直に着てもらうことにするわ」
「それか、今の格好のまま、傘さして歩くか。好きなほうを選ばせてあげる」
折りたたまれたご自分のレインコートを広げながら、お姉さまがイタズラっぽく笑いかけてきました。
軒先から出っ張っているビニールらしき庇を、雨粒がザザザザッとやかましく打ちつける音の中で、私はしばし考え込みました。
「お姉さま?質問、いいですか?」
「どうぞ」
「そのレインコートって、完全に透明なのですか?」
「そうよ。このビニール傘と同じようなもの。丈はそのワンピより若干長いと思う」
「これから行く公園ていうのは、遠いのですか?」
「うーん、10分も歩けば着くのではないかしら。でももう少し小降りになってくれないと、行く気しないわね」
「そこに行くまでに、また信号待ちとかありますか?」
「どうだったっけかな?わからないけれど、たぶんありそうね」
「途中で雨がやんでも、そのままなのですよね?」
「そうね。公園でヌードになった後なら、着替えさせてあげてもいいかな」
お姉さまは、バッグから取り出した白いバスタオルで、濡れたバッグの表面を拭きながら答えてくださいました。
真剣に悩みました。
全裸に透明レインコートっていうのも、すっごくやってみたい気にはなっていました。
確か、やよい先生との初野外露出のときも、ユマさんと一緒に大雨の中で透明レインコートを着ていたっけ・・・
束の間、懐かしくも恥ずかしい思い出がよみがえりました。
だけど、いくら大雨で人が通らないと言っても、ここは天下の往来で、時間もまだ午後の4時過ぎ。
これから10分間歩くあいだ、誰にも会わないという保証はどこにもありません。
曇っているとはいえ充分明るいですから、透明ビニールの下が全裸であれば、視線を向けさえすれば一目瞭然で、その肌色の意味を知られてしまうことでしょう。
途中に信号待ちがあって、隣に誰か並ばれでもしたら・・・
「やっぱり、今のまま、このワンピースにしておきます・・・」
「そう。わかったわ。それなら、まだゲームもつづいている、ということでいいわね?こっちを向きなさい」
ご命令に振り返ると、お姉さまがハンディカメラをこちらに向けていました。
見知らぬお店の軒先でおっぱいを丸出しにしている私のふしだらな姿が、映像記録として残されました。
そして目の前の通りを、黄色いタクシーが二台つづけてゆっくりと横切っていきました。
今やみぞおちと土手の上しかボタンが留まっていない、私の頼りないミニワンピース。
もう金輪際、一台のタクシーも目前に現われないで、と祈る他はありません。
雨宿りを始めたときより、雨も風も格段に強くなっていました。
「直子が傘さすなら、バッグは濡れないように、あたしが持ったほうがよさそうね」
左肩にビニールトートを提げて、その上からレインコートを羽織るお姉さま。
白濁した半透明のレインコートはポンチョっぽい形で、フードをすっぽりかぶったお姉さまは、妙にスラッとしたテルテル坊主さんみたいでした。
「ゲリラ豪雨なのかしらね?ぜんぜんやむ気配が無いのだけれど」
私にカメラを向けたまま、退屈そうなお姉さまのお声。
大雨で誰も通らないとは言っても、昼間の街角におっぱい剥き出しで突っ立っているという状況は、あまりにもスリリング。
充血した乳首を風が撫ぜるたびに、背筋がムズムズ感じていました。
「ここでただボーっと、雨がやむのを待っているのも、芸が無いわね」
お姉さまがいったんカメラを下ろし、私のおっぱいを舐めるように見つめてきました。
「そうだ!直子、傘さして道路の向こう端まで行って、ゆっくりこっちに歩いてきてよ。それを撮影するから」
「篠突く雨の中、おっぱい丸出しで歩いてくる赤い首輪の女の子、なんて、なんだかアートっぽくない?」
ご自分のご提案に、満足そうにうなずくお姉さま。
再びカメラを私に向けてきました。
「わかりました。お姉さまがそうおっしゃるのなら」
立てかけてあったビニール傘を手に取り、お外のほうへ一歩踏み出しました。
庇の先端まで行って通りを見渡します。
数メートル先も霞むほどの勢いで、雨粒の群れが地面を打ちつけていました。
人も車も通る気配はまったくありません。
街全体がされるがまま、ひたすらこの雨が通り過ぎるのを待っているような雰囲気でした。
これなら大丈夫。
傘を広げました。
庇から一歩出た途端、頭上から盛大な騒音が響いてきました。
見た目より風も強いようで、襟ぐりが孕み、ワンピースが素肌から浮き上がります。
剥き出しの乳首を乱暴に愛撫する風と雨。
湿度が高いためか、さほど寒くは感じないのが救いでした。
ゆっくりと道の端まで歩き、回れ右をしました。
今度は、軒先で構えているお姉さまのカメラレンズに向かって、ゆっくりと近づいていきました。
さっきとは逆に左からとなった風が、胸元を容赦なくいたぶります。
裾も大きく風を孕み、下腹部あたりまで露出しています。
今、そんな自分の姿が記録されているんだ・・・
下半身がジンジン痺れるように疼きました。
そのときでした。
突風が渦巻くようにヒューと鳴き、持っていた傘が飛ばされそうになって手にギュッと力を入れた刹那、あっという間にオチョコになっていました。
ここぞとばかりに全身に襲い掛かる雨粒たち。
一瞬にしてズブ濡れ。
壊れた傘のビニールがハタハタとはためき、私は大慌てで軒先に駆け戻りました。
「あらあら、とんだ災難だったわね、全身ズブ濡れじゃない?」
至近距離でカメラを向けつづけるお姉さま。
素肌にぺったり、ワンピースの布地が貼りついたおっぱいや下半身を撮っているようです。
「すっごくエロいわよ。ワンピが肌に密着しちゃって、からだのライン、クッキリ丸わかり」
「でも直子、ここでズブ濡れになったのって、ある意味ラッキーだったのかもよ?」
ようやくカメラを下ろしたお姉さまが、謎なことをおっしゃいました。
「通りにカメラ向けてズームを弄っていたらね、近くに面白いものがあるのを発見しちゃったの」
「こんな雨なら、たぶん誰も来ないから、ゆっくり出来ると思うわ、いろいろと」
お姉さまはカメラをポンチョのポケットにしまい、フードを深くかぶり直しました。
「あそこの赤い庇のところね。あそこまで一気に走るわよ」
さされた指の先十数メートルのところに、雨に煙って確かに赤い庇が見えました。
「その傘はたぶんもう使い物にはならないでしょうけれど、ここに置いていったらご迷惑だから、持ってきなさい」
「直子は、もうそれだけびしょ濡れなのだから、そのままでも平気よね?思う存分濡れちゃいなさい」
「あの、えっと・・・」
「安心なさい。すぐにサッパリ、気持ち良くなれるから。行くわよ?」
私のほうを向いていたお姉さまがお外に向き直り、間髪を入れず軽やかに大雨の中へ飛び出していきました。
「あ、お姉さまっ!待ってください!」
私もあわてて、壊れた傘を片手にお姉さまの背中を追いかけました。
*
*オートクチュールのはずなのに 22へ
*
2015年9月23日
オートクチュールのはずなのに 20
左側は長くまっすぐにつづくフェンス、右側はマンションなのかオフィスビルなのか低めのビルが立ち並ぶ、ひと気の無い直線道路。
その突き当たり曲がり角から現われた、微妙にお揃いっぽい白と青系統のカジュアルなコーディネートで寄り添うラブラブカップルさん。
そのカップルさんと私たちとの距離は、だいたい30メートルくらい。
ひと足進むごとに、その距離がどんどん縮まっていきます。
肩をぶつけるように歩きながら、仲睦まじくおしゃべりされていたおふたりのうち、男性のほうが先に、私たちに気づきました。
お顔を上げて何気なく私たちのほうを見た後、いったん視線をお相手に戻し、またすぐ、今度はじーっと私だけに注目してきました。
男性の視線が、私の首輪から胸元に移り、下半身を舐めた後、再び胸元に固定されたのがわかりました。
男性の異変に気づいたらしい女性のかたからの視線も、私に釘付けになりました。
お姉さまに手を引かれ車道側を歩いている私は、極力何でもないフリで無表情に努めました。
だけど心の中は大騒ぎ。
視ている・・・しっかり視られちゃっている・・・
自分に対するカップルさんのご様子が気になって仕方なく、目線を動かさないようにチラチラ窺がわざるをえません。
みぞおちの辺りを基点にして首周りのほうへとV字に大きくはだけた私の胸元。
おっぱいの大部分がお外に露になっているはずです。
うつむいた自分の視点では、浮き上がった布地の隙間から乳首も何もかも丸見えなのですが、布地が乳首を擦る感触もするので、乳首までは出ていないのかもしれません。
だけど大きめの乳輪は、確実にお外にはみ出ているはず。
包み込むものを失くしたふたつの乳房は、ひと足歩くごとにプルプル小刻みに暴れています。
とくにビニールトートを提げている左肩のほうは、バッグの提げ手でワンピースの肩口の布が袖側に引っ張られ、右に比べて大きくはだけていて、歩くたびにそれがジリジリ広がっている感じなので、いずれ左乳首は出しっぱなしになっちゃうことでしょう。
あと10メートルくらいでカップルさんとすれ違う、というときに、お姉さまの手が離れました。
「ちょっとそこに立ち止まっていて。撮影したいから」
おっしゃるなりタッタッタと私の前方に駆け出すお姉さま。
「はい、こっちに目線向けて歩いてきて」
私の5メートル先くらいで振り返ったお姉さまがハンディカメラを構え、しんと静まり返った道路に大きめのお声が響きました。
まるでカップルさんに私の存在をあらためてアピールするような、わざとらしくもイジワルな仕打ち。
案の定、お姉さまの背中の数メートル手前まで迫っていたカップルさんたちも、そのお声に一瞬ビクッとされましたが、それからはもう遠慮無しに興味津々な感じで、私にだけ注目して歩を進めてきました。
お言いつけ通りトボトボ近づいていく私の姿をレンズとカップルさんがずっと見つめています。
ふと自分の胸元に視線を落とすと、尖りきった左乳首が完全にお外へ飛び出していました。
カップルさんがお姉さまの横を通り過ぎ、私に近づき、すれ違いました。
すれ違いざまのおふたりの表情を、忘れることは出来ません。
男性の、なんだか嬉しそうで好奇心丸出しの子供みたいな笑顔。
女性の、汚らわしいものでも見るような軽蔑しきった冷たいお顔。
「なにあれ?アダルトビデオの撮影か何か?」
私たちをみつけてからすれ違うまで、まったく会話されていなかったカップルさんのヒシヒソ声が、背後から聞こえてきました。
「かもね・・・」
「こんなところで胸出しちゃって、恥ずかしく・・・」
その後は聞き取れませんでしたが、首輪、とか、エスエムチョーキョー、という言葉が断片的に聞こえた気がしました。
私のマゾマンコはヒクヒク震え、お姉さまの傍までたどり着いたときには、立っているのもやっと、みたいな状態でした。
「バッチリ注目浴びちゃったわね?嬉しいでしょ?」
お姉さまに再び手を握られ、そのまま歩きつづけます。
「すれ違った後も、何度もこっちを振り返っていたわよ。それはそうよね、こんなところにおっぱい丸出しの女がいたのだから」
お姉さまの視線は、痛々しく尖って宙空を突いている、私の剥き出しの左乳首に注がれています。
「カレシのほうはニヤニヤしっ放しで、とても嬉しそうだったわね。バッグの中身にもピンときたみたい。カノジョのほうは呆れていた感じ」
「直子のエロい姿に刺激されて、あのおふたりさんのデートが、これから夜にかけて盛り上がるといいわね?」
お姉さまが歩調を緩め、私の顔を覗き込みながら、からかうみたくおっしゃいました。
私はと言えば、いつまた前方から歩行者が現われないかと、気が気ではありません。
道はもうしばらくまっすぐですが、途中に四つ角もいくつかあるみたいなので、不意に現われる可能性は充分にありました。
でも、幸いその後は、後ろから追い抜いていった自転車が一台あったきり誰も現われず、私は左乳首を外気に晒したまま歩きつづけました。
「ほら、あそこにオマワリサン」
お姉さまが不意に立ち止まり、長いフェンスが途切れて門のようになっている空間の奥を指さしました。
その指の先を辿ると確かに、門の車止め数メートル先の詰め所みたいな小さな建物の脇で、ひとりのオマワリサンが長い警棒を杖のように前に持ち、こちらを見ていました。
その奥には広大な敷地。
どうやら誰か偉い人の公邸のようでした。
あわてて、からだごと顔をそむける私。
「そんなにあわてなくても平気よ。あの人の仕事はお邸の警備なのだから、よほど怪しげな人物でもなければ、持ち場を離れることはないはずよ」
お姉さまがその前を平然と通り過ぎながらおっしゃいました。
「直子が全裸だったりすれば、無線で応援呼んで、別のオマワリサンがお相手してくれるかもしれないけれどね。どう?やってみる?」
笑いながら笑えないご冗談をおっしゃるお姉さま。
「だけど、ここから先はしばらく人通りが増えそうな幹線道路沿いを歩くから、残念ながら、その乳首はしまっておいたほうがよさそうね」
門の前を通り越して数メートルくらいのところで、お姉さまがまた立ち止まりました。
私たちの行く手には、久しぶりの信号機と、高速道路の高架、そしてその下の幹線道路らしき幅広い道路が見えていました。
「ボタンひとつ留めて、おっぱいはしまっていいわ」
お姉さまのお許しを得て、大急ぎで胸元を直しました。
バストが窮屈になり、ワンピースの布を押し上げるふたつの突起が復活しました。
「だけど、それだけじゃ面白くないから、こうしましょう。その代わりパンティを脱ぐの」
お姉さまがハンディカメラをこちらに向けながら愉しげにおしゃいました。
「えっ!?こ、ここでですか!?」
思わず聞き返してしまってからすぐに、しまった!と後悔しました。
お姉さまの表情が一変して、もの凄く怖いお顔をして私を睨んできます。
ご命令に反問するなど、マゾドレイの私には、竜の顎の下の鱗に触れることよりも許されないことなのです。
「ご、ごめんなさい・・・す、すぐに脱ぎますから・・・」
周りを見渡すと、幸いなことに人影はありません。
でも、今さっき通り過ぎた数メートルのところにはオマワリサンが見張っていて、幹線道路を行き交う車の音もビュンビュン聞こえてくる、沿道のマンションの窓から誰かが覗いていないとも限らない、街中の無防備な一角なのです。
こんなところでショーツを脱がなくてはいけないなんて・・・
思った途端にマゾ性がキューッと悲鳴をあげ、快感がブルブルっと全身をつらぬきました。
「何をぐずぐずしているの!?」
カメラを構えたお姉さまの鋭いお声。
「は、はいっ!」
覚悟を決めて、ワンピースの裾に潜り込ませた両手を、前屈みになりながら思い切りずり下げました。
ショーツは膝のところで紐状となり、直に外気が股間に触れて、ヒヤッとしました。
「全部脱いではダメよ。まずパンティを足首まで下ろしなさい」
カメラを構えたまま、お姉さまからのご命令。
「単純にノーパンにさせるだけのつもりだったけれど、さっきの口答えに対してお仕置きをしなくちゃね。直子には一切の拒否権は無い、って最初に伝えたわよねぇ?」
お姉さまがカメラを構えたまま、絡みつくようなお声で尋ねてきました。
「は、はい・・・」
「人通りが増えそうだから、おっぱいしまっていい、ってせっかく気を遣ってあげたのに、そのすぐ後にあれだもの。命令違反は、それ相応の辱めで償ってもらいます」
まるで学校の先生みたいな、お姉さまの厳かなお声。
上半身を屈めてショーツを足首まで下ろしました。
両足首を結ぶ縄の枷のような状態となったショーツ。
上体を起こしてお姉さま、つまりカメラのレンズを縋るように見つめました。
「そのまま右脚だけ、抜きなさい」
もちろん、言いなりな私。
「抜いたら、パンティを左足首に巻きつけて結びなさい。落ちないように」
心の中では、えーっ!?そんな・・・と大きく悲鳴をあげていたのですが、それを声にすることは、なんとか抑えこみました。
「あと、ローターは抜いちゃっていいわ。電池切れみたいだから」
お姉さまがコントローラーをこれ見よがしに私に向け、指でスイッチを入れました。
んっ、と身構えましたが、いつまでたっても震えを感じません。
「ここに来るまでに何度かスイッチ入れたのに直子が無反応だったから気づいたの。命令を守らない役立たずに用は無いわ」
私にあてつけるみたいに、ひどく冷たく、吐き捨てるようにおっしゃるお姉さま。
「は、はい、お姉さま・・・」
泣きたい気持ちでその場にしゃがみ込みました。
しゃがみ込むと、自分がノーパンになってしまったことが如実にわかりました。
閉じていたラビアが半開きとなり、股の下をスースーと風が通り過ぎて、熱を持った粘膜をくすぐっていきます。
自分の股間を覗き込むようにすると、割れたラビアのあいだから、リモコンローターの白いアンテナ部分がタンポンの紐のように飛び出しているのが見えました。
股間に右手を伸ばし、ローターのアンテナをつまみます。
「はうっ」
手探りでやったので、指先が不用意にラビアに触れ、思わず甘い吐息が漏れてしまいます。
私、こんな街中で自分の性器を弄っている・・・
そう考えると同時に、このままマゾマンコをめちゃくちゃに弄り回して、後先考えずにイってしまいたい、という欲求が急激に湧き上がりました。
だめ、だめ、そんなの絶対だめ。
こんな街中で何を考えているの?
欲求を懸命になだめつつ、ゆっくりとアンテナを引っ張り始めました。
「んん、ぬぐぅぅ・・・」
ローターが膣壁を滑り、膣口を内側から抉じ開けてきます。
ああんっ、もどかしい・・・
すぐにヌルンとローターが出てきました。
ポタポタポタッと路上におツユの雫が数滴垂れました。
「それは口に頬張ってキレイにしてからバッグにしまいなさい」
私の葛藤を知ってか知らずか、お姉さまからの軽蔑しきったような冷ややかなご命令。
「ほら何しているの?いわれた通りにして、早くパンティ結ぶのっ!」
自分のおツユにまみれたピンク色のローターを口に入れました。
自分のどうしようもないヘンタイマゾぶりが味覚となって、しょっぱ苦酸っぱく口中に広がりました。
ほっぺを膨らませたまま、紐状になったショーツをぐるりと左足首に巻きつけます。
クロッチ周辺はグズグズで、つかんだ手のひらがヌルヌルベトベト。
濡れていない銀色部分と濡れて黒くなったシミ部分がまだらになっています。
両端をキュッと結んでから、急いで立ち上がりました。
口の端からよだれが零れそう。
ローターは、お姉さまが渡してくださったティッシュに包み、ビニールトートに入れました。
「直子、以前シーナさんに、脱いだパンティを手首に巻いておくように命令された、て言っていたでしょう?それを思い出したのよ」
私がショーツを脱いで足首に巻くまでの一部始終を撮影されていたお姉さまがハンディカメラを下ろし、愉しそうにおっしゃいました。
私も同じことを思い出していました。
あれは東京で、シーナさまと初対面のとき。
デパートの屋上でショーツを脱ぐように命令され、脱いだショーツを手首に巻いて放置されたあの日。
それを下着だと見破った年下の女の子がくださった、軽蔑しきった憐れみの視線は、私が生涯忘れられない恥辱のひとつとなっていました。
「手首だったら、シュシュだと思わせることも出来るかもしれないけれど、足首だと言い逃れは出来ないわよね?そんなアクセなんて世界中探してもたぶん、ないもの」
お姉さまが私の手を握り、再びゆっくり歩き始めました。
「その足首の飾りに気づいた人は、それを何だと思うかしら?勘のいい人ならピンとくるかもしれないわね?あれってひょっとして、下着じゃないか?って」
「脱いだパンティを足首に巻いて、ノーパンなことを世間様に知らしめながら散歩するの。それがあたしへの命令違反に対するお仕置き」
「乳首のポッチと足首のパンティで、ノーブラノーパンをアピールしながら歩くなんて、すっごく直子、あなたらしいと思わない?」
イジワル声に磨きがかかり、お姉さまってば、とっても愉しそう。
私の内腿をツツツッと、粘性の液体が滑り落ちていくのがわかりました。
幹線道路まで突き当たると、広い舗道に人影も多め。
そこを右に折れるお姉さまと私。
さっき降りた地下鉄の駅へとつづくらしい階段の入口も見えました。
見るからにオフィスビル街という佇まいの高架下を、車がビュンビュン走り過ぎていきます。
一時は少し明るくなっていた空が再び暗くなり、風も少し出てきて、いよいよひと雨きそうな雰囲気を醸し出していました。
そんな中を私は、今度はワンピースの裾を意識しながら歩かなければいけないことになりました。
歩くたびに腿が裾を蹴り、ヒラヒラ割れるワンピースの裾。
そこから覗くのは、さっきまでは黒っぽい布地、イコール私の愛液で汚れたショーツのクロッチ部分でしたが、今はツルンとした肌色、イコール私の抜き出しマゾマンコそのもの、になっていました。
ただ、昨夜お姉さまもおっしゃった通り、黒っぽい股間より肌色のほうが、かえって目立たないような気もしていました。
今の私は、ヘンタイ的な見所満載の姿になっています。
赤い首輪、Vラインの胸のクッキリ谷間、ノーブラ一目瞭然の乳首の突起、左足首のショーツ、ビニールトートから覗くお浣腸薬を代表とする淫靡なお道具たち。
そして新たに加わった、ミニワンピースの裾からチラチラ覗く剥き出しの股間。
どれかひとつだけでも充分にヘンタイなのに、それらすべてを合わせたら、紛うこと無き露出過多の見せたがり、正真正銘のアブノーマルヘンタイマゾ女。
都会的でお洒落な高層ビルが立ち並ぶ幹線道路脇の舗道を、そんな姿で歩きつづけました。
時折すれ違う人はみなさま、まず赤い首輪に目を惹かれるようでした。
一瞥してすぐ興味をなくす人、二度見する人、遠くからすれ違うまでネットリ見つめつづける人。
さまざまな視線を浴びせかけられました。
そして私は、そんな視線の中をミニワンピースのノーブラノーパンで、剥き出しの性器をチラチラさせながら歩いているという事実に大興奮していました。
お姉さまの左手を汗ばむほどギュッと握り、努めて何食わぬ顔を装いつつも、心臓はずっと早鐘のよう。
幹線道路を向こう側へ渡るための交差点。
そこで信号待ちをしているときに、とうとうパラパラと雨が降ってきました。
信号待ちをしている人は10人くらいで、私のすぐ横に立った40代くらいのおじさまが、私の胸元にチラチラ視線を送ってきています。
その横のOLさんぽい女性は、私が提げたバッグの中身に目を凝らしているご様子。
「やっぱり傘買っておいて正解だったわね」
おもむろにビニール傘を開くお姉さま。
信号待ちの人たちのうち何人かも傘を開き、信号が青に変わると、傘を持っていない人たちが駆け出して行きました。
「ほら、もっとあたしにくっつかないと、濡れちゃうわよ?」
横断歩道をゆっくり渡りながら、お姉さまからの思いがけないおやさしいお言葉。
いったん手を解いてお姉さまが傘を左手に持ち替え、私はその腕に右腕をしっかり絡めました。
私の右半身をお姉さまの左半身になすりつけるみたいにピッタリ寄り添って歩きます。
お姉さまの体温、お姉さまの匂い、お姉さまの息遣いを感じながら。
不意にさっきのラブラブカップルさんを思い出していました。
お姉さまとの初めての相合傘に、今の自分の恥ずかしい格好のこともすっかり忘れるくらい、幸福感を感じていました。
*
*オートクチュールのはずなのに 21へ
*
その突き当たり曲がり角から現われた、微妙にお揃いっぽい白と青系統のカジュアルなコーディネートで寄り添うラブラブカップルさん。
そのカップルさんと私たちとの距離は、だいたい30メートルくらい。
ひと足進むごとに、その距離がどんどん縮まっていきます。
肩をぶつけるように歩きながら、仲睦まじくおしゃべりされていたおふたりのうち、男性のほうが先に、私たちに気づきました。
お顔を上げて何気なく私たちのほうを見た後、いったん視線をお相手に戻し、またすぐ、今度はじーっと私だけに注目してきました。
男性の視線が、私の首輪から胸元に移り、下半身を舐めた後、再び胸元に固定されたのがわかりました。
男性の異変に気づいたらしい女性のかたからの視線も、私に釘付けになりました。
お姉さまに手を引かれ車道側を歩いている私は、極力何でもないフリで無表情に努めました。
だけど心の中は大騒ぎ。
視ている・・・しっかり視られちゃっている・・・
自分に対するカップルさんのご様子が気になって仕方なく、目線を動かさないようにチラチラ窺がわざるをえません。
みぞおちの辺りを基点にして首周りのほうへとV字に大きくはだけた私の胸元。
おっぱいの大部分がお外に露になっているはずです。
うつむいた自分の視点では、浮き上がった布地の隙間から乳首も何もかも丸見えなのですが、布地が乳首を擦る感触もするので、乳首までは出ていないのかもしれません。
だけど大きめの乳輪は、確実にお外にはみ出ているはず。
包み込むものを失くしたふたつの乳房は、ひと足歩くごとにプルプル小刻みに暴れています。
とくにビニールトートを提げている左肩のほうは、バッグの提げ手でワンピースの肩口の布が袖側に引っ張られ、右に比べて大きくはだけていて、歩くたびにそれがジリジリ広がっている感じなので、いずれ左乳首は出しっぱなしになっちゃうことでしょう。
あと10メートルくらいでカップルさんとすれ違う、というときに、お姉さまの手が離れました。
「ちょっとそこに立ち止まっていて。撮影したいから」
おっしゃるなりタッタッタと私の前方に駆け出すお姉さま。
「はい、こっちに目線向けて歩いてきて」
私の5メートル先くらいで振り返ったお姉さまがハンディカメラを構え、しんと静まり返った道路に大きめのお声が響きました。
まるでカップルさんに私の存在をあらためてアピールするような、わざとらしくもイジワルな仕打ち。
案の定、お姉さまの背中の数メートル手前まで迫っていたカップルさんたちも、そのお声に一瞬ビクッとされましたが、それからはもう遠慮無しに興味津々な感じで、私にだけ注目して歩を進めてきました。
お言いつけ通りトボトボ近づいていく私の姿をレンズとカップルさんがずっと見つめています。
ふと自分の胸元に視線を落とすと、尖りきった左乳首が完全にお外へ飛び出していました。
カップルさんがお姉さまの横を通り過ぎ、私に近づき、すれ違いました。
すれ違いざまのおふたりの表情を、忘れることは出来ません。
男性の、なんだか嬉しそうで好奇心丸出しの子供みたいな笑顔。
女性の、汚らわしいものでも見るような軽蔑しきった冷たいお顔。
「なにあれ?アダルトビデオの撮影か何か?」
私たちをみつけてからすれ違うまで、まったく会話されていなかったカップルさんのヒシヒソ声が、背後から聞こえてきました。
「かもね・・・」
「こんなところで胸出しちゃって、恥ずかしく・・・」
その後は聞き取れませんでしたが、首輪、とか、エスエムチョーキョー、という言葉が断片的に聞こえた気がしました。
私のマゾマンコはヒクヒク震え、お姉さまの傍までたどり着いたときには、立っているのもやっと、みたいな状態でした。
「バッチリ注目浴びちゃったわね?嬉しいでしょ?」
お姉さまに再び手を握られ、そのまま歩きつづけます。
「すれ違った後も、何度もこっちを振り返っていたわよ。それはそうよね、こんなところにおっぱい丸出しの女がいたのだから」
お姉さまの視線は、痛々しく尖って宙空を突いている、私の剥き出しの左乳首に注がれています。
「カレシのほうはニヤニヤしっ放しで、とても嬉しそうだったわね。バッグの中身にもピンときたみたい。カノジョのほうは呆れていた感じ」
「直子のエロい姿に刺激されて、あのおふたりさんのデートが、これから夜にかけて盛り上がるといいわね?」
お姉さまが歩調を緩め、私の顔を覗き込みながら、からかうみたくおっしゃいました。
私はと言えば、いつまた前方から歩行者が現われないかと、気が気ではありません。
道はもうしばらくまっすぐですが、途中に四つ角もいくつかあるみたいなので、不意に現われる可能性は充分にありました。
でも、幸いその後は、後ろから追い抜いていった自転車が一台あったきり誰も現われず、私は左乳首を外気に晒したまま歩きつづけました。
「ほら、あそこにオマワリサン」
お姉さまが不意に立ち止まり、長いフェンスが途切れて門のようになっている空間の奥を指さしました。
その指の先を辿ると確かに、門の車止め数メートル先の詰め所みたいな小さな建物の脇で、ひとりのオマワリサンが長い警棒を杖のように前に持ち、こちらを見ていました。
その奥には広大な敷地。
どうやら誰か偉い人の公邸のようでした。
あわてて、からだごと顔をそむける私。
「そんなにあわてなくても平気よ。あの人の仕事はお邸の警備なのだから、よほど怪しげな人物でもなければ、持ち場を離れることはないはずよ」
お姉さまがその前を平然と通り過ぎながらおっしゃいました。
「直子が全裸だったりすれば、無線で応援呼んで、別のオマワリサンがお相手してくれるかもしれないけれどね。どう?やってみる?」
笑いながら笑えないご冗談をおっしゃるお姉さま。
「だけど、ここから先はしばらく人通りが増えそうな幹線道路沿いを歩くから、残念ながら、その乳首はしまっておいたほうがよさそうね」
門の前を通り越して数メートルくらいのところで、お姉さまがまた立ち止まりました。
私たちの行く手には、久しぶりの信号機と、高速道路の高架、そしてその下の幹線道路らしき幅広い道路が見えていました。
「ボタンひとつ留めて、おっぱいはしまっていいわ」
お姉さまのお許しを得て、大急ぎで胸元を直しました。
バストが窮屈になり、ワンピースの布を押し上げるふたつの突起が復活しました。
「だけど、それだけじゃ面白くないから、こうしましょう。その代わりパンティを脱ぐの」
お姉さまがハンディカメラをこちらに向けながら愉しげにおしゃいました。
「えっ!?こ、ここでですか!?」
思わず聞き返してしまってからすぐに、しまった!と後悔しました。
お姉さまの表情が一変して、もの凄く怖いお顔をして私を睨んできます。
ご命令に反問するなど、マゾドレイの私には、竜の顎の下の鱗に触れることよりも許されないことなのです。
「ご、ごめんなさい・・・す、すぐに脱ぎますから・・・」
周りを見渡すと、幸いなことに人影はありません。
でも、今さっき通り過ぎた数メートルのところにはオマワリサンが見張っていて、幹線道路を行き交う車の音もビュンビュン聞こえてくる、沿道のマンションの窓から誰かが覗いていないとも限らない、街中の無防備な一角なのです。
こんなところでショーツを脱がなくてはいけないなんて・・・
思った途端にマゾ性がキューッと悲鳴をあげ、快感がブルブルっと全身をつらぬきました。
「何をぐずぐずしているの!?」
カメラを構えたお姉さまの鋭いお声。
「は、はいっ!」
覚悟を決めて、ワンピースの裾に潜り込ませた両手を、前屈みになりながら思い切りずり下げました。
ショーツは膝のところで紐状となり、直に外気が股間に触れて、ヒヤッとしました。
「全部脱いではダメよ。まずパンティを足首まで下ろしなさい」
カメラを構えたまま、お姉さまからのご命令。
「単純にノーパンにさせるだけのつもりだったけれど、さっきの口答えに対してお仕置きをしなくちゃね。直子には一切の拒否権は無い、って最初に伝えたわよねぇ?」
お姉さまがカメラを構えたまま、絡みつくようなお声で尋ねてきました。
「は、はい・・・」
「人通りが増えそうだから、おっぱいしまっていい、ってせっかく気を遣ってあげたのに、そのすぐ後にあれだもの。命令違反は、それ相応の辱めで償ってもらいます」
まるで学校の先生みたいな、お姉さまの厳かなお声。
上半身を屈めてショーツを足首まで下ろしました。
両足首を結ぶ縄の枷のような状態となったショーツ。
上体を起こしてお姉さま、つまりカメラのレンズを縋るように見つめました。
「そのまま右脚だけ、抜きなさい」
もちろん、言いなりな私。
「抜いたら、パンティを左足首に巻きつけて結びなさい。落ちないように」
心の中では、えーっ!?そんな・・・と大きく悲鳴をあげていたのですが、それを声にすることは、なんとか抑えこみました。
「あと、ローターは抜いちゃっていいわ。電池切れみたいだから」
お姉さまがコントローラーをこれ見よがしに私に向け、指でスイッチを入れました。
んっ、と身構えましたが、いつまでたっても震えを感じません。
「ここに来るまでに何度かスイッチ入れたのに直子が無反応だったから気づいたの。命令を守らない役立たずに用は無いわ」
私にあてつけるみたいに、ひどく冷たく、吐き捨てるようにおっしゃるお姉さま。
「は、はい、お姉さま・・・」
泣きたい気持ちでその場にしゃがみ込みました。
しゃがみ込むと、自分がノーパンになってしまったことが如実にわかりました。
閉じていたラビアが半開きとなり、股の下をスースーと風が通り過ぎて、熱を持った粘膜をくすぐっていきます。
自分の股間を覗き込むようにすると、割れたラビアのあいだから、リモコンローターの白いアンテナ部分がタンポンの紐のように飛び出しているのが見えました。
股間に右手を伸ばし、ローターのアンテナをつまみます。
「はうっ」
手探りでやったので、指先が不用意にラビアに触れ、思わず甘い吐息が漏れてしまいます。
私、こんな街中で自分の性器を弄っている・・・
そう考えると同時に、このままマゾマンコをめちゃくちゃに弄り回して、後先考えずにイってしまいたい、という欲求が急激に湧き上がりました。
だめ、だめ、そんなの絶対だめ。
こんな街中で何を考えているの?
欲求を懸命になだめつつ、ゆっくりとアンテナを引っ張り始めました。
「んん、ぬぐぅぅ・・・」
ローターが膣壁を滑り、膣口を内側から抉じ開けてきます。
ああんっ、もどかしい・・・
すぐにヌルンとローターが出てきました。
ポタポタポタッと路上におツユの雫が数滴垂れました。
「それは口に頬張ってキレイにしてからバッグにしまいなさい」
私の葛藤を知ってか知らずか、お姉さまからの軽蔑しきったような冷ややかなご命令。
「ほら何しているの?いわれた通りにして、早くパンティ結ぶのっ!」
自分のおツユにまみれたピンク色のローターを口に入れました。
自分のどうしようもないヘンタイマゾぶりが味覚となって、しょっぱ苦酸っぱく口中に広がりました。
ほっぺを膨らませたまま、紐状になったショーツをぐるりと左足首に巻きつけます。
クロッチ周辺はグズグズで、つかんだ手のひらがヌルヌルベトベト。
濡れていない銀色部分と濡れて黒くなったシミ部分がまだらになっています。
両端をキュッと結んでから、急いで立ち上がりました。
口の端からよだれが零れそう。
ローターは、お姉さまが渡してくださったティッシュに包み、ビニールトートに入れました。
「直子、以前シーナさんに、脱いだパンティを手首に巻いておくように命令された、て言っていたでしょう?それを思い出したのよ」
私がショーツを脱いで足首に巻くまでの一部始終を撮影されていたお姉さまがハンディカメラを下ろし、愉しそうにおっしゃいました。
私も同じことを思い出していました。
あれは東京で、シーナさまと初対面のとき。
デパートの屋上でショーツを脱ぐように命令され、脱いだショーツを手首に巻いて放置されたあの日。
それを下着だと見破った年下の女の子がくださった、軽蔑しきった憐れみの視線は、私が生涯忘れられない恥辱のひとつとなっていました。
「手首だったら、シュシュだと思わせることも出来るかもしれないけれど、足首だと言い逃れは出来ないわよね?そんなアクセなんて世界中探してもたぶん、ないもの」
お姉さまが私の手を握り、再びゆっくり歩き始めました。
「その足首の飾りに気づいた人は、それを何だと思うかしら?勘のいい人ならピンとくるかもしれないわね?あれってひょっとして、下着じゃないか?って」
「脱いだパンティを足首に巻いて、ノーパンなことを世間様に知らしめながら散歩するの。それがあたしへの命令違反に対するお仕置き」
「乳首のポッチと足首のパンティで、ノーブラノーパンをアピールしながら歩くなんて、すっごく直子、あなたらしいと思わない?」
イジワル声に磨きがかかり、お姉さまってば、とっても愉しそう。
私の内腿をツツツッと、粘性の液体が滑り落ちていくのがわかりました。
幹線道路まで突き当たると、広い舗道に人影も多め。
そこを右に折れるお姉さまと私。
さっき降りた地下鉄の駅へとつづくらしい階段の入口も見えました。
見るからにオフィスビル街という佇まいの高架下を、車がビュンビュン走り過ぎていきます。
一時は少し明るくなっていた空が再び暗くなり、風も少し出てきて、いよいよひと雨きそうな雰囲気を醸し出していました。
そんな中を私は、今度はワンピースの裾を意識しながら歩かなければいけないことになりました。
歩くたびに腿が裾を蹴り、ヒラヒラ割れるワンピースの裾。
そこから覗くのは、さっきまでは黒っぽい布地、イコール私の愛液で汚れたショーツのクロッチ部分でしたが、今はツルンとした肌色、イコール私の抜き出しマゾマンコそのもの、になっていました。
ただ、昨夜お姉さまもおっしゃった通り、黒っぽい股間より肌色のほうが、かえって目立たないような気もしていました。
今の私は、ヘンタイ的な見所満載の姿になっています。
赤い首輪、Vラインの胸のクッキリ谷間、ノーブラ一目瞭然の乳首の突起、左足首のショーツ、ビニールトートから覗くお浣腸薬を代表とする淫靡なお道具たち。
そして新たに加わった、ミニワンピースの裾からチラチラ覗く剥き出しの股間。
どれかひとつだけでも充分にヘンタイなのに、それらすべてを合わせたら、紛うこと無き露出過多の見せたがり、正真正銘のアブノーマルヘンタイマゾ女。
都会的でお洒落な高層ビルが立ち並ぶ幹線道路脇の舗道を、そんな姿で歩きつづけました。
時折すれ違う人はみなさま、まず赤い首輪に目を惹かれるようでした。
一瞥してすぐ興味をなくす人、二度見する人、遠くからすれ違うまでネットリ見つめつづける人。
さまざまな視線を浴びせかけられました。
そして私は、そんな視線の中をミニワンピースのノーブラノーパンで、剥き出しの性器をチラチラさせながら歩いているという事実に大興奮していました。
お姉さまの左手を汗ばむほどギュッと握り、努めて何食わぬ顔を装いつつも、心臓はずっと早鐘のよう。
幹線道路を向こう側へ渡るための交差点。
そこで信号待ちをしているときに、とうとうパラパラと雨が降ってきました。
信号待ちをしている人は10人くらいで、私のすぐ横に立った40代くらいのおじさまが、私の胸元にチラチラ視線を送ってきています。
その横のOLさんぽい女性は、私が提げたバッグの中身に目を凝らしているご様子。
「やっぱり傘買っておいて正解だったわね」
おもむろにビニール傘を開くお姉さま。
信号待ちの人たちのうち何人かも傘を開き、信号が青に変わると、傘を持っていない人たちが駆け出して行きました。
「ほら、もっとあたしにくっつかないと、濡れちゃうわよ?」
横断歩道をゆっくり渡りながら、お姉さまからの思いがけないおやさしいお言葉。
いったん手を解いてお姉さまが傘を左手に持ち替え、私はその腕に右腕をしっかり絡めました。
私の右半身をお姉さまの左半身になすりつけるみたいにピッタリ寄り添って歩きます。
お姉さまの体温、お姉さまの匂い、お姉さまの息遣いを感じながら。
不意にさっきのラブラブカップルさんを思い出していました。
お姉さまとの初めての相合傘に、今の自分の恥ずかしい格好のこともすっかり忘れるくらい、幸福感を感じていました。
*
*オートクチュールのはずなのに 21へ
*
2015年9月13日
オートクチュールのはずなのに 19
「どこかでビニール傘でも買って、一応の準備はしておいたほうがよさそうね」
私の手を引いて、のんびり歩き始めるお姉さま。
幹線道路ぽい幅広い車道沿いの歩道には、休日ファッションに身を包んだ老若男女が行き交い、そのほとんどが繁華街らしき方向へと楽しげに進んでいきます。
首輪に感じる視線の数もグンと増えていました。
「傘ならいつも何本か車のトランクに入っているのだけれど、今日はうっかり、持って出るの忘れちゃった」
「一応そのバッグの中に、レインコートは入れてあるの。でも、もしも小雨くらいだったら、わざわざ出すのもめんどくさいでしょう?」
ふたり並んで手をつないで、人混みに紛れます。
お姉さまの爪先も繁華街のほうへ向いているようです。
「この通りならコンビニとかあるから、ビニール傘くらい買えるでしょう」
お洒落っぽいお店が立ち並ぶ華やかな通りは、かなりの人通り。
「ずいぶん人が多いですね?」
さっきから盛んに首や胸元を通り過ぎていく視線にドキドキしながら、お姉さまに尋ねました。
「ここをまっすぐ行けば赤坂だからね。休日だもの、それなりには賑わうわよ」
そんなのあたりまえ、とでもおっしゃりたげな、お姉さまの突っ慳貪なお声。
「あ!そうそう、トランクの中と言えばね、あたし、この連休中に信州にも出かけたでしょう?そのとき乗馬をしたのよ」
話題が思いもよらない方向へ跳びました。
「乗馬・・・ですか?」
「うん。お得意先の社長さんの招待で、2時間くらい遊ばせていただいたの」
「お姉さま、ご経験がおありなのですか?」
「学生の頃、何度か乗ったことはある。今回はかなり久々だったけれど、ああいうのも水泳とかと同じで、一度覚えちゃえば忘れないみたい。なんとか無事に楽しめたわ」
ゆっくり歩きながらおしゃべりをつづけるお姉さま。
「それで、その後、その社長さんと食事したときに出た話題なのだけれど、彼女の趣味が、乗馬鞭のコレクションだったの」
「彼女の乗馬歴はずいぶん長くて、それはもう奇麗に乗りこなすの。でもまあ、それはそれとして、彼女にも、あたしにとっての直子みたいなパートナーがいるんだって」
「だから、そのコレクションは彼女のパートナーのためでもあるのね。そんな話題で盛り上がっていたら、彼女がね、そのコレクションのうちの一本を譲ってくれる、っていうことになったのよ」
「それが、車のトランクの中に入れっ放しになっているのを今、思い出したの。直子専用の乗馬鞭」
お姉さまが立ち止まり、薄く微笑んで私の顔を覗き込みました。
「エルメスの乗馬鞭よ。嬉しいでしょ?」
「エルメスって、あのバッグやスカーフとかの、エルメスですか?」
「もともとが19世紀の馬具職人の工房だったらしいから、乗馬鞭を作っていても何の不思議も無いのよ」
「グリップとベロのところが鮮やかな赤で可愛いの。エルメスの鞭の中ではそんなに珍しいものではないらしいけれど、それなりの御礼で譲っていただいたの。もちろん未使用の新品よ」
「帰ったら早速、直子に使おうって思っていたのに、たまほのを空港まで送ったりいろいろあったからすっかり忘れていたわ。車に戻ったら見せてあげる」
「はい・・・」
私のためにお姉さまが鞭をご用意してくださった、それもなんだかとても高級そうなものを。
甘酸っぱくて気持ちいい疼きに、下半身全体がじんわり包み込まれました。
「あ。あそこに出ている。あそこで買っていきましょう」
お姉さまが指さされたのは、お店の前に雑多に品物が並んでいる、量販店ぽいお店の店頭でした。
曇り空にいち早く反応したらしく、色とりどりのたくさんの傘が店先に並べられていました。
「とりあえず大きめのを一本でいいわよね?降るか降らないかわからないし」
駅を出たときに比べると、少しお空が明るくなっていました。
降りそうな雰囲気は充分なのですが、意外とこのまま保っちゃうかもしれません。
並んだ傘の群れの中から、透明ビニールの傘を無造作に一本抜いたお姉さまは、そのままお店の入口ドアのほうへ進みました。
「あら、ここってドラッグストアなんだ」
自動ドアが左右にスーッと開き、店内を見渡したお姉さまが独り言みたいにおっしゃいました。
店内は奥行きがあって意外に広く、お買物カゴを提げたお客様がけっこういました。
「ちょうどよかったじゃない?昨日直子が、家にもあとひとつしかない、って言っていたアレも、ついでに買っていきましょうよ」
お姉さまはレジとは反対方向の商品棚のほうへ進み、棚を順番に探し始めました。
お姉さまがおっしゃったお言葉だけで、アレ、が何を指すのか、私にはわかっていました。
「ああいうのはどこのコーナーにあるのかしら?自分で買ったことないから、見当もつかないわ」
カテゴリー分けされた商品棚の川をあちこちさまよい見て回るお姉さま。
私は大体わかっているので、誘導しようと思った矢先、お姉さまがおっしゃいました。
「これ以上探すのめんどくさいから、あそこの店員さんに聞いてみましょう」
私たちが見ている川の一番端で商品を整理されていた20代位っぽい女性店員さんを指さすお姉さま。
「は、はい・・・」
おそらくそうなるであろうと予測していた私は、覚悟は出来ていたものの、ものすごく恥ずかしいことに変わりはありません。
ふたりでその女性店員さんに近づきました。
「ほら、直子?」
お姉さまに右肩をこずかれ、促されました。
「あのう・・・」
背後から突然声をかけられた女性店員さんの肩がピクッと震え、こちらへ振り向きました。
目元がくりっとした、すごく可愛らしい感じの女性でした。
「あ、はいっ!何か・・・」
お声もすごく可愛い。
「あのう、えっと、あの、お、お通じのお薬は、どのへんに置いてあるのでしょうか?」
大きな瞳に見つめられてドギマギしながら、小さな声で何とか言えました。
「あ、はい・・・お習字?ですか?」
女性店員さんの視線が私の顔から首輪に移り、そのまま下がって胸元に貼りつきました。
「はい・・・」
私から目を逸らした女性店員さんの思案気なお顔。
「ちゃんとはっきり言わないと、店員さんだってわからないのじゃない?」
横からお姉さまが、愉しげなお声でイジワルなアドバイス。
「あの、えっと、つまり、お、お浣腸のお薬・・・です・・・」
さっきより小さな声で、コソコソ告げました。
「ああ、お通じですね・・・」
女性店員さんの視線は、お姉さまのお顔を見て、それからまた私の首輪に移り、更に私が提げているバッグの表面に釘付けになってから、何か納得されたような、でもまだ少し困っているような、フクザツな表情に変わりました。
「それでしたら、こちらですね」
努めて平静を装った女性店員さんの私へのご返答に、蔑みのニュアンスが混ざっていることを、私のマゾ性は聞き逃しませんでした。
お浣腸薬のコーナーまで誘導してくださった女性店員さんは、すぐに私たちから離れましたが、その後も近くの棚でお仕事をされながら、私たちの様子をチラチラ窺がっているのが視界の端にわかりました。
「へー、けっこういろんな種類があるんだ。子供用とか。知らなかった」
お姉さまが興味深げに、並んだお薬を眺めています。
私は、いつも買っているふたつ入りの青い箱に手を伸ばしました。
「ああ、それがいつも直子が使っているやつね。一度にいくつくらい買うの?」
「あの、えっと2つ入りですから2箱か3箱くらい・・・」
私は、早くお買い物を済ませて、この場を立ち去りたくてたまりません。
「でも、こっちに10個入りっていうのがあるじゃない。こっちのほうが断然お得じゃない?」
お姉さまが一際大きな青い箱をお手に取り、しげしげと眺めました。
「使用期限もずいぶん長いから、直子なら余裕で使いきれるわよ。あ、でもこっちのほうが容量も多くて、もっとお得ぽい」
青い箱を元の場所に戻し、今度はその横の紫色の大きな箱をお手に取りました。
「ノズルが長くて使いやすいんですって。長いっていうことは奥まで入るっていうことでしょ?バッチリ直子向きじゃない。こっちにしなさい。あたしが買ってあげるから」
お姉さまの独断で、その紫色の大きな箱を手渡されました。
「ちょっとバッグ貸して」
お姉さまにビニールトートを渡すと、その中からお財布を出し、お札を数枚渡されました。
「バッグはあたしが持っていてあげるから、直子はレジに並んでお会計済ませてきて。はい、これ」
バッグの代わりにビニール傘を渡されました。
左手にビニール傘、右手にお浣腸薬の箱を剥き出しで持ち、レジへ向かいました。
レジは3箇所でフォーク並び。
行列にはすでに6人並んでいて、私は7番目。
なるべく文字が見えないように、手を大きく広げた不自然な形で箱を持ち、順番を待ちました。
お姉さまは薄い微笑を浮かべて出入口近くに立ち、私を眺めていらっしゃいます。
もちろん、肩に提げたビニールトートの表側には私のヌード写真。
行列に並んでいるあいだ中、晒し者にされている気分でした。
レジの場所がお店の出入り口付近だったため、たくさんのお客様が私の近くを通り過ぎました。
首輪に気づき、そのふしだらな服装に驚き、手に持っているものを見て、私が何を買おうとしているのかまでわかった人も、何人かいたことでしょう。
先ほどの女性店員さんが私のほうを見て、他の店員さんと何やらヒソヒソしているのも見えました。
なかなか進まない列にジリジリしながら、それでも一生懸命普通の顔を作って、順番を待ちました。
「お待たせいたしましたー」
やっと私の番。
レジ係さんは、若奥様風の派手めな女性でした。
私がビニール傘とお浣腸薬の箱をレジカウンターに置くと、その女性は一瞬うつむいたまま固まったように見えました。
取り繕うみたいにすぐに箱に手を伸ばし、ピピッとしてからお顔を上げ、私にニッコリ笑いかけてきました。
かなり奇麗めのお顔でしたが、その舐めるような視線は、私の首からバストにかけてを何度も行き来し、何かを値踏みしているような感じでした。
つづいて傘を、同じようにピピッ。
「今すぐお使いになりますか?」
不意にそう尋ねられ、意味が掴めずポカンとしてしまう私。
「えっ?」
「えっ?」
レジ係さんも一瞬呆気にとられ、傘とお浣腸薬の箱を見比べた後、すぐに、なんともいえないイジワルな笑みをニヤッと浮かべました。
「傘ですよ?」
「あ。はいっ!」
お答えすると同時に、いてもたってもいられないほどの恥ずかしさがドッと押し寄せました。
レジ係さんは、ビニール傘を覆っていたセロファンを外してくださり、値札も取ってくださいました。
お浣腸薬は小さな黒いレジ袋に入れられました。
お金を払いお釣りをもらいました。
そうしているあいだ中、レジ係さんのお口元にはニヤニヤ笑いが浮かんでいて、明らかに軽蔑されていることがわかりました。
「ありがとうございましたー。またご利用くださーい」
レジ係さんのからかうような軽いご挨拶に送られ、お姉さまの元に戻ったときには、このドラッグストア内にいるすべての人たちから後ろ指をさされているような、いたたまれない恥辱感に泣き出しちゃいたいような気分でした。
「ずいぶん注目されていたわね。お店にいた人のほとんどが、直子のことチラチラ見ていたわよ」
お店を出たお姉さまの嬉しそうな第一声。
「直子も必死に普通にしようとしていたでしょう?その顔がいじらしくってさ、ローター震えさせたくて仕方なかったけれど、これ以上はヤバイと思ってどうにか我慢したの」
来た道を戻りながら、お姉さまが私にビニールトートを差し出してきました。
私が受け取り、今貰った黒いレジ袋も中に入れようとすると、お姉さまが立ち止まりました。
「それじゃあ直子らしくないでしょう?袋から出して剥き出しのまま入れなくちゃ」
「あ、はい・・・」
レジ袋から箱を取り出し、ビニールトートのお道具が見えるほうの側に押し込みました。
麻縄や鎖に混じってお浣腸薬のパッケージも、みなさまに見ていただけるようになりました。
今度はそちら側を表に出して左肩に提げ、ビニール傘はお姉さまに渡し、再び歩き始めました。
「これで準備も整ったし、そろそろあまり人目の無いほうへ移動しましょう」
お姉さまが私の右手をグイッと引っ張りました。
人目の無いほうへ、ということは、すなわちそこで私は裸にされるのでしょう。
ついに都会の街中で全裸になるときが近づいてきたようです。
ドキドキとビクビクが心の中で綱引きを始めました。
やがてさっきの幹線道路が見えてきました。
幹線道路を渡るため、大きな交差点で信号待ち。
目の前を車がビュンビュン走り去り、人もどんどん周りに溜まってきました。
赤い首輪に視線が集まっているのがわかります。
ビニールトートをじっと見ている人もいるようです。
私はまっすぐ前を向き、どこにも焦点を合わせず宙を見据えたまま、信号が青になるのをジリジリと待ちました。
「ここを渡って向こう側行くと、かなり人が減るはずよ」
信号が変わって歩き始めると、お姉さまが教えてくださいました。
「この先にあるのは、外国の大使館とか、国会議員の公邸とか大きな建物ばかりだから、その周辺の人通りは少ないの」
交差点を渡り切り、そのまま路地へと入っていきます。
確かに人通りはグンと減り、目の前に凄く長い上り坂。
「この辺りって、坂道ばかりなのですね?」
「それは、赤坂っていうぐらいだからね。この坂を上りきったところに有名な高校があるのだけれど、そこの生徒はこの坂のことを、遅刻坂って呼んでいるらしいわよ」
ビニール傘を杖みたいにして坂道を行くお姉さまが、少しバテ気味のお声でおっしゃいました。
「でも、確かに歩いている人がぜんぜんいませんね?」
自分が裸になるときが刻一刻近づいている気がして、坂道の辛さにその興奮も加わって、ドキドキが何倍にも増幅している私。
「そうね。でもあまり油断は出来ないの。この辺りには公的な建物が多いから、要所要所にオマワリサンが警備で見張っているから」
ようやく坂を上りきり、かなり息が上がって一休み。
石の壁と緑に囲まれた落ち着いた雰囲気の一画でした。
「だからとりあえずここで、直子は胸のボタンをひとつ外しなさい」
お姉さまが突然、脈絡の無いことをおっしゃいました。
思わず、えっ!?と聞き返しそうになり、あわてて飲み込みました。
「い、いいのですか?さっきオマワリサンが見張っている、っておっしゃいましたけれど・・・」
「大丈夫よ。別に全裸になるわけでもないし、スカート短かいけれど、ちゃんとパンティだって穿いているじゃない?」
「ボタンひとつ外して、おっぱいチラチラしているくらいなら、たぶん何も言われないわ。ただの胸元緩い服を着た隙だらけの女、っていう感じで、公然ワイセツまでにはあたらないはずよ」
ようやく息が整ったらしいお姉さまが私を、エスのまなざしでまっすぐ見つめてきました。
ハーフカップのブラジャーを下にずらし、おっぱい全体を持ち上げている今の状態で三番目のボタンを外したら、かなりキワドイ状態になるのは間違いありません。
四番目のボタンはみぞおちの下辺りですから、バスト部分を覆い隠すべき布を留めるボタンはひとつもなくなり、ちょっとしたことでもたやすく左右に割れ、Vゾーンがグンと広がってしまうのですから。
その上、ブラジャー左右のストラップで中央にも寄せられているので、乳首の位置も中央に寄り、よりポロリしやすくなるはず。
お姉さまったら、そこまで計算されて、私にこんなブラジャーの仕方をさせたのかしら?
「わ、わかりました」
いずれにしても私に、お姉さまのご命令を拒む権利はないのです。
左手で三番目のボタンを外すと案の定、胸元が急にラクになり、前立てがフワリと浮いて割れました。
まっすぐ立っている分には大丈夫そうですが、少し身を屈めると、浮いた布地の隙間から尖った両乳首が、うつむいた自分の視界の中に丸見えでした。
この感じだと、たぶん脇からもチラチラ見え隠れしていることでしょう。
正面から風が吹いたらきっと、ひとたまりもありません。
絶望的な気分になりました。
「うん。セクシー。いい感じね。そのまましばらく歩きましょう」
お姉さまが右手を握ってきました。
「歩いているあいだ、どんなに胸がはだけても、あたしがいいと言うまでは、絶対直してはだめよ?わかった?」
「はい・・・・わかりました、お姉さま」
私たちが歩き始めるとすぐに、前方からカップルさんらしき男女が腕を組んで歩いてきました。
*
*オートクチュールのはずなのに 20へ
*
私の手を引いて、のんびり歩き始めるお姉さま。
幹線道路ぽい幅広い車道沿いの歩道には、休日ファッションに身を包んだ老若男女が行き交い、そのほとんどが繁華街らしき方向へと楽しげに進んでいきます。
首輪に感じる視線の数もグンと増えていました。
「傘ならいつも何本か車のトランクに入っているのだけれど、今日はうっかり、持って出るの忘れちゃった」
「一応そのバッグの中に、レインコートは入れてあるの。でも、もしも小雨くらいだったら、わざわざ出すのもめんどくさいでしょう?」
ふたり並んで手をつないで、人混みに紛れます。
お姉さまの爪先も繁華街のほうへ向いているようです。
「この通りならコンビニとかあるから、ビニール傘くらい買えるでしょう」
お洒落っぽいお店が立ち並ぶ華やかな通りは、かなりの人通り。
「ずいぶん人が多いですね?」
さっきから盛んに首や胸元を通り過ぎていく視線にドキドキしながら、お姉さまに尋ねました。
「ここをまっすぐ行けば赤坂だからね。休日だもの、それなりには賑わうわよ」
そんなのあたりまえ、とでもおっしゃりたげな、お姉さまの突っ慳貪なお声。
「あ!そうそう、トランクの中と言えばね、あたし、この連休中に信州にも出かけたでしょう?そのとき乗馬をしたのよ」
話題が思いもよらない方向へ跳びました。
「乗馬・・・ですか?」
「うん。お得意先の社長さんの招待で、2時間くらい遊ばせていただいたの」
「お姉さま、ご経験がおありなのですか?」
「学生の頃、何度か乗ったことはある。今回はかなり久々だったけれど、ああいうのも水泳とかと同じで、一度覚えちゃえば忘れないみたい。なんとか無事に楽しめたわ」
ゆっくり歩きながらおしゃべりをつづけるお姉さま。
「それで、その後、その社長さんと食事したときに出た話題なのだけれど、彼女の趣味が、乗馬鞭のコレクションだったの」
「彼女の乗馬歴はずいぶん長くて、それはもう奇麗に乗りこなすの。でもまあ、それはそれとして、彼女にも、あたしにとっての直子みたいなパートナーがいるんだって」
「だから、そのコレクションは彼女のパートナーのためでもあるのね。そんな話題で盛り上がっていたら、彼女がね、そのコレクションのうちの一本を譲ってくれる、っていうことになったのよ」
「それが、車のトランクの中に入れっ放しになっているのを今、思い出したの。直子専用の乗馬鞭」
お姉さまが立ち止まり、薄く微笑んで私の顔を覗き込みました。
「エルメスの乗馬鞭よ。嬉しいでしょ?」
「エルメスって、あのバッグやスカーフとかの、エルメスですか?」
「もともとが19世紀の馬具職人の工房だったらしいから、乗馬鞭を作っていても何の不思議も無いのよ」
「グリップとベロのところが鮮やかな赤で可愛いの。エルメスの鞭の中ではそんなに珍しいものではないらしいけれど、それなりの御礼で譲っていただいたの。もちろん未使用の新品よ」
「帰ったら早速、直子に使おうって思っていたのに、たまほのを空港まで送ったりいろいろあったからすっかり忘れていたわ。車に戻ったら見せてあげる」
「はい・・・」
私のためにお姉さまが鞭をご用意してくださった、それもなんだかとても高級そうなものを。
甘酸っぱくて気持ちいい疼きに、下半身全体がじんわり包み込まれました。
「あ。あそこに出ている。あそこで買っていきましょう」
お姉さまが指さされたのは、お店の前に雑多に品物が並んでいる、量販店ぽいお店の店頭でした。
曇り空にいち早く反応したらしく、色とりどりのたくさんの傘が店先に並べられていました。
「とりあえず大きめのを一本でいいわよね?降るか降らないかわからないし」
駅を出たときに比べると、少しお空が明るくなっていました。
降りそうな雰囲気は充分なのですが、意外とこのまま保っちゃうかもしれません。
並んだ傘の群れの中から、透明ビニールの傘を無造作に一本抜いたお姉さまは、そのままお店の入口ドアのほうへ進みました。
「あら、ここってドラッグストアなんだ」
自動ドアが左右にスーッと開き、店内を見渡したお姉さまが独り言みたいにおっしゃいました。
店内は奥行きがあって意外に広く、お買物カゴを提げたお客様がけっこういました。
「ちょうどよかったじゃない?昨日直子が、家にもあとひとつしかない、って言っていたアレも、ついでに買っていきましょうよ」
お姉さまはレジとは反対方向の商品棚のほうへ進み、棚を順番に探し始めました。
お姉さまがおっしゃったお言葉だけで、アレ、が何を指すのか、私にはわかっていました。
「ああいうのはどこのコーナーにあるのかしら?自分で買ったことないから、見当もつかないわ」
カテゴリー分けされた商品棚の川をあちこちさまよい見て回るお姉さま。
私は大体わかっているので、誘導しようと思った矢先、お姉さまがおっしゃいました。
「これ以上探すのめんどくさいから、あそこの店員さんに聞いてみましょう」
私たちが見ている川の一番端で商品を整理されていた20代位っぽい女性店員さんを指さすお姉さま。
「は、はい・・・」
おそらくそうなるであろうと予測していた私は、覚悟は出来ていたものの、ものすごく恥ずかしいことに変わりはありません。
ふたりでその女性店員さんに近づきました。
「ほら、直子?」
お姉さまに右肩をこずかれ、促されました。
「あのう・・・」
背後から突然声をかけられた女性店員さんの肩がピクッと震え、こちらへ振り向きました。
目元がくりっとした、すごく可愛らしい感じの女性でした。
「あ、はいっ!何か・・・」
お声もすごく可愛い。
「あのう、えっと、あの、お、お通じのお薬は、どのへんに置いてあるのでしょうか?」
大きな瞳に見つめられてドギマギしながら、小さな声で何とか言えました。
「あ、はい・・・お習字?ですか?」
女性店員さんの視線が私の顔から首輪に移り、そのまま下がって胸元に貼りつきました。
「はい・・・」
私から目を逸らした女性店員さんの思案気なお顔。
「ちゃんとはっきり言わないと、店員さんだってわからないのじゃない?」
横からお姉さまが、愉しげなお声でイジワルなアドバイス。
「あの、えっと、つまり、お、お浣腸のお薬・・・です・・・」
さっきより小さな声で、コソコソ告げました。
「ああ、お通じですね・・・」
女性店員さんの視線は、お姉さまのお顔を見て、それからまた私の首輪に移り、更に私が提げているバッグの表面に釘付けになってから、何か納得されたような、でもまだ少し困っているような、フクザツな表情に変わりました。
「それでしたら、こちらですね」
努めて平静を装った女性店員さんの私へのご返答に、蔑みのニュアンスが混ざっていることを、私のマゾ性は聞き逃しませんでした。
お浣腸薬のコーナーまで誘導してくださった女性店員さんは、すぐに私たちから離れましたが、その後も近くの棚でお仕事をされながら、私たちの様子をチラチラ窺がっているのが視界の端にわかりました。
「へー、けっこういろんな種類があるんだ。子供用とか。知らなかった」
お姉さまが興味深げに、並んだお薬を眺めています。
私は、いつも買っているふたつ入りの青い箱に手を伸ばしました。
「ああ、それがいつも直子が使っているやつね。一度にいくつくらい買うの?」
「あの、えっと2つ入りですから2箱か3箱くらい・・・」
私は、早くお買い物を済ませて、この場を立ち去りたくてたまりません。
「でも、こっちに10個入りっていうのがあるじゃない。こっちのほうが断然お得じゃない?」
お姉さまが一際大きな青い箱をお手に取り、しげしげと眺めました。
「使用期限もずいぶん長いから、直子なら余裕で使いきれるわよ。あ、でもこっちのほうが容量も多くて、もっとお得ぽい」
青い箱を元の場所に戻し、今度はその横の紫色の大きな箱をお手に取りました。
「ノズルが長くて使いやすいんですって。長いっていうことは奥まで入るっていうことでしょ?バッチリ直子向きじゃない。こっちにしなさい。あたしが買ってあげるから」
お姉さまの独断で、その紫色の大きな箱を手渡されました。
「ちょっとバッグ貸して」
お姉さまにビニールトートを渡すと、その中からお財布を出し、お札を数枚渡されました。
「バッグはあたしが持っていてあげるから、直子はレジに並んでお会計済ませてきて。はい、これ」
バッグの代わりにビニール傘を渡されました。
左手にビニール傘、右手にお浣腸薬の箱を剥き出しで持ち、レジへ向かいました。
レジは3箇所でフォーク並び。
行列にはすでに6人並んでいて、私は7番目。
なるべく文字が見えないように、手を大きく広げた不自然な形で箱を持ち、順番を待ちました。
お姉さまは薄い微笑を浮かべて出入口近くに立ち、私を眺めていらっしゃいます。
もちろん、肩に提げたビニールトートの表側には私のヌード写真。
行列に並んでいるあいだ中、晒し者にされている気分でした。
レジの場所がお店の出入り口付近だったため、たくさんのお客様が私の近くを通り過ぎました。
首輪に気づき、そのふしだらな服装に驚き、手に持っているものを見て、私が何を買おうとしているのかまでわかった人も、何人かいたことでしょう。
先ほどの女性店員さんが私のほうを見て、他の店員さんと何やらヒソヒソしているのも見えました。
なかなか進まない列にジリジリしながら、それでも一生懸命普通の顔を作って、順番を待ちました。
「お待たせいたしましたー」
やっと私の番。
レジ係さんは、若奥様風の派手めな女性でした。
私がビニール傘とお浣腸薬の箱をレジカウンターに置くと、その女性は一瞬うつむいたまま固まったように見えました。
取り繕うみたいにすぐに箱に手を伸ばし、ピピッとしてからお顔を上げ、私にニッコリ笑いかけてきました。
かなり奇麗めのお顔でしたが、その舐めるような視線は、私の首からバストにかけてを何度も行き来し、何かを値踏みしているような感じでした。
つづいて傘を、同じようにピピッ。
「今すぐお使いになりますか?」
不意にそう尋ねられ、意味が掴めずポカンとしてしまう私。
「えっ?」
「えっ?」
レジ係さんも一瞬呆気にとられ、傘とお浣腸薬の箱を見比べた後、すぐに、なんともいえないイジワルな笑みをニヤッと浮かべました。
「傘ですよ?」
「あ。はいっ!」
お答えすると同時に、いてもたってもいられないほどの恥ずかしさがドッと押し寄せました。
レジ係さんは、ビニール傘を覆っていたセロファンを外してくださり、値札も取ってくださいました。
お浣腸薬は小さな黒いレジ袋に入れられました。
お金を払いお釣りをもらいました。
そうしているあいだ中、レジ係さんのお口元にはニヤニヤ笑いが浮かんでいて、明らかに軽蔑されていることがわかりました。
「ありがとうございましたー。またご利用くださーい」
レジ係さんのからかうような軽いご挨拶に送られ、お姉さまの元に戻ったときには、このドラッグストア内にいるすべての人たちから後ろ指をさされているような、いたたまれない恥辱感に泣き出しちゃいたいような気分でした。
「ずいぶん注目されていたわね。お店にいた人のほとんどが、直子のことチラチラ見ていたわよ」
お店を出たお姉さまの嬉しそうな第一声。
「直子も必死に普通にしようとしていたでしょう?その顔がいじらしくってさ、ローター震えさせたくて仕方なかったけれど、これ以上はヤバイと思ってどうにか我慢したの」
来た道を戻りながら、お姉さまが私にビニールトートを差し出してきました。
私が受け取り、今貰った黒いレジ袋も中に入れようとすると、お姉さまが立ち止まりました。
「それじゃあ直子らしくないでしょう?袋から出して剥き出しのまま入れなくちゃ」
「あ、はい・・・」
レジ袋から箱を取り出し、ビニールトートのお道具が見えるほうの側に押し込みました。
麻縄や鎖に混じってお浣腸薬のパッケージも、みなさまに見ていただけるようになりました。
今度はそちら側を表に出して左肩に提げ、ビニール傘はお姉さまに渡し、再び歩き始めました。
「これで準備も整ったし、そろそろあまり人目の無いほうへ移動しましょう」
お姉さまが私の右手をグイッと引っ張りました。
人目の無いほうへ、ということは、すなわちそこで私は裸にされるのでしょう。
ついに都会の街中で全裸になるときが近づいてきたようです。
ドキドキとビクビクが心の中で綱引きを始めました。
やがてさっきの幹線道路が見えてきました。
幹線道路を渡るため、大きな交差点で信号待ち。
目の前を車がビュンビュン走り去り、人もどんどん周りに溜まってきました。
赤い首輪に視線が集まっているのがわかります。
ビニールトートをじっと見ている人もいるようです。
私はまっすぐ前を向き、どこにも焦点を合わせず宙を見据えたまま、信号が青になるのをジリジリと待ちました。
「ここを渡って向こう側行くと、かなり人が減るはずよ」
信号が変わって歩き始めると、お姉さまが教えてくださいました。
「この先にあるのは、外国の大使館とか、国会議員の公邸とか大きな建物ばかりだから、その周辺の人通りは少ないの」
交差点を渡り切り、そのまま路地へと入っていきます。
確かに人通りはグンと減り、目の前に凄く長い上り坂。
「この辺りって、坂道ばかりなのですね?」
「それは、赤坂っていうぐらいだからね。この坂を上りきったところに有名な高校があるのだけれど、そこの生徒はこの坂のことを、遅刻坂って呼んでいるらしいわよ」
ビニール傘を杖みたいにして坂道を行くお姉さまが、少しバテ気味のお声でおっしゃいました。
「でも、確かに歩いている人がぜんぜんいませんね?」
自分が裸になるときが刻一刻近づいている気がして、坂道の辛さにその興奮も加わって、ドキドキが何倍にも増幅している私。
「そうね。でもあまり油断は出来ないの。この辺りには公的な建物が多いから、要所要所にオマワリサンが警備で見張っているから」
ようやく坂を上りきり、かなり息が上がって一休み。
石の壁と緑に囲まれた落ち着いた雰囲気の一画でした。
「だからとりあえずここで、直子は胸のボタンをひとつ外しなさい」
お姉さまが突然、脈絡の無いことをおっしゃいました。
思わず、えっ!?と聞き返しそうになり、あわてて飲み込みました。
「い、いいのですか?さっきオマワリサンが見張っている、っておっしゃいましたけれど・・・」
「大丈夫よ。別に全裸になるわけでもないし、スカート短かいけれど、ちゃんとパンティだって穿いているじゃない?」
「ボタンひとつ外して、おっぱいチラチラしているくらいなら、たぶん何も言われないわ。ただの胸元緩い服を着た隙だらけの女、っていう感じで、公然ワイセツまでにはあたらないはずよ」
ようやく息が整ったらしいお姉さまが私を、エスのまなざしでまっすぐ見つめてきました。
ハーフカップのブラジャーを下にずらし、おっぱい全体を持ち上げている今の状態で三番目のボタンを外したら、かなりキワドイ状態になるのは間違いありません。
四番目のボタンはみぞおちの下辺りですから、バスト部分を覆い隠すべき布を留めるボタンはひとつもなくなり、ちょっとしたことでもたやすく左右に割れ、Vゾーンがグンと広がってしまうのですから。
その上、ブラジャー左右のストラップで中央にも寄せられているので、乳首の位置も中央に寄り、よりポロリしやすくなるはず。
お姉さまったら、そこまで計算されて、私にこんなブラジャーの仕方をさせたのかしら?
「わ、わかりました」
いずれにしても私に、お姉さまのご命令を拒む権利はないのです。
左手で三番目のボタンを外すと案の定、胸元が急にラクになり、前立てがフワリと浮いて割れました。
まっすぐ立っている分には大丈夫そうですが、少し身を屈めると、浮いた布地の隙間から尖った両乳首が、うつむいた自分の視界の中に丸見えでした。
この感じだと、たぶん脇からもチラチラ見え隠れしていることでしょう。
正面から風が吹いたらきっと、ひとたまりもありません。
絶望的な気分になりました。
「うん。セクシー。いい感じね。そのまましばらく歩きましょう」
お姉さまが右手を握ってきました。
「歩いているあいだ、どんなに胸がはだけても、あたしがいいと言うまでは、絶対直してはだめよ?わかった?」
「はい・・・・わかりました、お姉さま」
私たちが歩き始めるとすぐに、前方からカップルさんらしき男女が腕を組んで歩いてきました。
*
*オートクチュールのはずなのに 20へ
*
2015年9月6日
オートクチュールのはずなのに 18
緑色のカーテンをきっちり閉めて、ドキドキを鎮めるために深呼吸をひとつ。
側面の壁に貼ってあった操作説明に目を通すと、さっきの機械とは違う種類でした。
でも、撮り方自体は大体同じで一安心
先にウェットティッシュでショーツと股間を拭ってしまおう、とベンチ状の椅子に腰掛けたとき、大問題に気がつきました。
このブース、さっきのブースに比べて目隠しカーテンの丈が異様に短かいのです。
腰掛けると下半身、腰から下部分がすべてカーテンの下にきてしまい、お外からまったく隠せていません。
あわてて立ち上がり確認してみたら、まっすぐ立った状態でカーテンの裾が私の太腿付け根の少し下くらいでした。
腰掛けて股間を弄っていたら、その様子は途切れたカーテン下の空間から、行き交う人たちに剥き出しの太腿ごと丸見えとなることでしょう。
さっきのブースは確か、膝のあたりまであったのに。
かなり動揺してしまいました。
どうしよう・・・?
いつまでこうしていても仕方が無いので、立ったままミニワンピースの裾をめくり、ウェットティッシュをショーツの股間にあてがいました。
「はぅん」
ひんやりとしたティッシュ越しに、乳液みたくヌルンとした液体が滴らんばかりに、布地を湿らせているのがわかりました。
ティッシュを何度か折り直して丁寧に拭うと、ウェットティッシュ全体がベトベトになりました。
渡されたウェットティッシュは、あと三枚ありました。
お姉さまがこれだけの枚数をくださった、ということは、それだけ丁寧にキレイにしてきなさい、という意味なのでしょう。
ショーツの裏側、あとやっぱり膣内も、拭っておかないと。
だけど、ショーツの裏側を拭うには、いったんショーツをずり下げなければなりません。
まっすぐ立っていても腿の付け根辺りまでしか隠してくれないカーテンですから、ここでショーツを下げたりしたら、その一連の動作がお外から丸わかりになってしまう上、拭いているあいだ中、下着を中途半端にずり下げた生足を、行き交う人たちにご披露しっぱなし状態になっちゃうはずでした。
私はそれを、お姉さまからのご命令と受け取りました。
お姉さまは、ここのカーテンがこんなに短かいことを知った上で、私にそういう辱めを受けることを望んでいらっしゃる、と。
そして、お姉さまの言いなりドレイである私には、従う以外の選択肢はないのです。
覚悟を決めました。
カメラのほうを向いてまっすぐに立ち、ミニワンピの裾に潜らせた両手でショーツのゴムをつまみました。
私、これから、こんな場所で下着を脱ごうとしている・・・
そう思った途端に、辺りの雑踏と喧騒のボリュームが盛大に上がった気がしました。
ひっきりなしに行き交う靴音、人々のざわめき、電車の到着を告げるアナウンス・・・
ごくありきたりの正常な日常生活の中で、ひとり、異常なことをしようとしている私。
見知らぬ人がいつ気づいてもおかしくない、下半身までカーテンが届かないブースの中、自ら下着を下ろして性器を露出しようとしているヘンタイ。
そんな恥ずかしい姿、絶対誰にも視せたくないのに、なんでこんなに昂ぶっているのだろう?
視られたくない気持ち以上に、視られてしまうことを期待している、もうひとりの自分がいました。
被虐のジレンマで張り裂けそうな自分の心に焦れたみたいに、両手が勝手に動き始めていました。
ショーツを裏返すみたく縁から丸め、ゆっくり腿のほうへとずり下げます。
まずは太腿の中間くらいまで。
ショーツが股間を離れるにつれ、股間とショーツの裏地との空間を、か細い糸が何本も引いては切れました。
ずり下げられて丸まった銀色ショーツの布地は、左右の太腿を束ねて縛る一本の黒い縄のよう。
その黒い縄はもちろん、途切れたカーテンの下から、お外に丸見えとなっていることでしょう。
上半身を少し屈め、二枚目のウェットティッシュでショーツの裏地を拭います。
左手をショーツに添えてクロッチ部分を広げ、右手のティッシュを裏地に押し付けました。
ヌルヌルの感触で、すぐに二枚目も満遍なくベトベト。
それをベンチ端に置いた使用済み一枚目の上に重ね、三枚目に手を伸ばしました。
この三枚目のウェットティッシュは、自分の性器、いえ、直子のはしたない剥き出しマゾマンコを直に拭うためのもの。
そう考えたら、被虐のジレンマが昂ぶり側にグラリと傾き、これから自分がすべきことが決まりました。
マゾならマゾらしく。
こんな場所で剥き出し性器を弄ろうとしているヘンタイ女は、それにふさわしい格好にならなければいけないのです。
立ったまま、ミニワンピースのボタンを上から外し始めます。
おっぱい写真を撮るだけならおへそくらいまで外せばいいのですが、全部外します。
そのほうが私らしいから、そのほうがお姉さまに悦んでいただけるはずだから。
ボタンをひとつ外すごとに、割れた前立ての隙間から覗く肌の比率が増えていきます。
おへその下まで外し終えると、残ったボタンはふたつだけ。
それらも外してしまえば、すでにショーツは下ろされているので、私のふしだらな剥き出しマゾマンコがブースの中で、文字通り剥き出しになってしまうのです。
今までにも、駅や学校の公衆トイレやブティックの試着室など、公共の場のかりそめの密室で人知れず裸になり、その被虐的、背徳的な状況をひとりこっそり愉しんだことが何度もありました。
でも、この証明写真ブース内は、それらの経験を軽く凌駕するほどの、危う過ぎるスリルに満ち溢れていました。
現実世界とヘンタイな私を隔てるには、あまりに短かく薄っぺら過ぎるヘナヘナなカーテン。
そんな頼りないカーテンのすぐ向こうを、ひっきりなしに行き交う大勢の人たち。
今だって、誰かちょこっとこちらに目を遣れば、写真ブースの中でなぜだか下着を下ろしている女性がいる、ということは一目瞭然でしょう。
スリルがもたらす興奮は、理性と呼ばれるブレーキをまるっきりの役立たずにして、今や完全に、視て欲しい、の側にシフトした私に、更にもっとヘンタイなことをさせようとしていました。
今の私がこれほど大胆になれるのは、ひとえにお姉さまが傍らにいてくださるおかげでした。
独り遊びでオドオドビクビクしていたときとは違い、お姉さまから見守られているという安心感に、どっぷり甘えている私。
だからこそ、お姉さまの前では自分の性癖に忠実になって、そのことでお姉さまにも愉しんでいただきたい、という使命感をも感じていました。
ボタンをすっかり外し終えると前立てがハラリと左右に割れ、銀色のブラジャーから下腹部、そして布に覆われていない無毛の恥丘までもが、ワンピース布地の隙間から細い長方形にさらけ出されていました。
躊躇せず、袖から両腕も抜き、脱ぎ去ったネイビーブルーの布地をベンチ状の椅子右端に置きました。
これですっかり下着姿。
と言ってもショーツはすでに腿まで下ろしていますし、ブラジャーだってこの後すぐ、本来の役目を放棄させられる運命なのです。
立ったままブラジャーのハーフカップに手を掛けます。
そのままおっぱい全体をブラジャーから引き剥がすみたいに、カップをお腹側にずり下げました。
ブルンと揺れながら姿を現わすぽってり下乳と、自分で見ても痛々しいほどに尖りきって宙を突く乳首たち。
ブラジャー左右の肩ストラップに挟まれ、カップの縁で上のほうへと持ち上げられ、全体が窮屈そうに中央付近へ寄せ集められたおっぱいは、谷間クッキリ、ボリュームアップ、いつもより肉感的で卑猥な感じ。
そのままからだを前屈させ、ショーツも膝のところまで更にずり下げました。
これが私の望んだ、私らしい姿。
下着は上下ともちゃんと着けているのに、隠すべきところは一箇所も隠せていない、ある意味全裸より浅ましい、ヘンタイ露出狂女の脱げかけ半裸姿。
正面の鏡におへそを中心とした白い肌が、艶かしく映っています。
その画像を見ながら腰をゆっくりと落とし、再びベンチ状の椅子に腰掛けました。
裸のお尻に椅子がひんやり。
おそらくお外には、何にも覆われていない肌色の腰部分が、カーテンの下から覘いていると思います。
もちろん、膝まで下ろした紐状ショーツも。
背筋を伸ばしてまっすぐ座り、あらためて正面の鏡と向き合いました。
そこには、赤い首輪を嵌められて不自然な形におっぱいを露出した、見るからに発情しきった淫ら顔マゾ女の悩ましげな表情が映っていました。
「・・・必要な証明写真の種類をお選びください」
料金の投入口にお金を入れると突然、甲高くチャイムが鳴り、かなり大きな女性のお声が!
えっ!?何これ?しゃべるの!?
さっきのブースはしゃべらなかったので、ちょっとしたパニック。
て言うか、そんなに大きなお声を出されたら、お外からも注目されちゃいそう。
女性のお声で急に現実に引き戻され、同時に今自分がしていることのとんでもなさ、こんなところでほぼ全裸になっている現実を、あらためて思い知りました。
俄然不安になって、カーテンの下から見えているお外に視線を走らせると、ブースのすぐ近くに見覚えのある細くしなやかなジーンズのおみ足。
そう、お姉さまが見守ってくださっているから大丈夫。
その周辺に他の足元は一切見えなかったので、かなり安心しました。
と同時に股間のローターが激しく震動し始めました。
「んふぅーっ!」
きっとお外にいらっしゃるお姉さまにも女性のお声が聞こえ、私が写真を撮り始めることを知り、イタズラを仕掛けてきたのでしょう。
別の見方をすれば、お姉さまが私にイタズラ出来るくらい、今のところブースは注目されていない、とも考えられます。
もしも、ブースの中で誰かが裸になっている、って何人かに気づかれて周囲がヒソヒソしていたら、お姉さまにもイタズラ出来る余裕なんてないでしょうから。
その考えは、私をずいぶんホッとさせてくれました。
操作方法を教えてくださる女性のお声に従って操作をしているあいだ中、お外から注目されやしないかと気が気ではありませんでしたが、それでも考えていたことは、実行に移しました。
写真を撮られるあいだ、顔は正面を向けたまま、左手のウェットティッシュでずっと股間を拭っていたのです。
腫れ上がった肉芽にティッシュが触れるたびに、眉間にいやらしくシワが寄りました。
強く押し付けたティッシュ越しにもわかるほど、股間全体が熱くなっていました。
ローターは相変わらず、中で激しく震えています。
お姉さまったら、そんなふうにローターを震わせていたら、せっかくティッシュで拭っている意味が無いですよ?
ああん、このまま指を潜り込ませて、クリトリスをつまんで、最後までイっちゃいたい・・・
さすがにそこまでは出来ませんでしたが、ティッシュを押さえる指がモゾモゾ動いてしまうのを、止める事も出来ませんでした。
鏡の中の自分の顔が、自分でも恥ずかしくなるほど淫らに歪んでいました。
からだ中が疼き悶え、大興奮していました。
拭っても拭ってもジワジワ溢れ出てくる粘性の液体。
そんなさ中、パシャン、とシャッターが切れたらしい音が聞こえました。
「ありがとうございました。写真は外の取り出し口から出ます」
女性のお声と同時にローターも止まり、達し切れなかった私はガクンとうなだれます。
あぁんっ、また生殺し・・・
股間を押さえていたティッシュは前の二枚以上にグッショリ濡れそぼっていました。
ブースに入って撮影まで、時間にすれば、ほんの5、6分のことだったのでしょうが、私には小一時間もかかったように思えるくらい、グッタリ疲れていました。
でも、あまりお姉さまをお待たせしてはいけない。
すぐに気持ちを切り替えました。
よろよろと立ち上がり、膝のショーツをモゾモソずり上げます。
ショーツのクロッチはまだ湿っていて、そこに新しいシミが更に広がっていくのがわかりました。
ミニワンピースを羽織り、下から順にボタンを留めていきます。
お言いつけ通りブラジャーは直さず、おっぱいを飛び出させたまま。
ここに入ってきたときと同じように、上から三番目の胸元ボタンまでを、きっちり留めました。
そのときより、バスト全体の位置がせり上がっている感じ。
アンダーをカップで持ち上げられていつもより高い位置になった乳首が、胸元に貼りついた布地をポッチリ浮き上がらせ、ひと目でノーブラと分かる状態となりました。
ボタンふたつ外れた状態のVゾーンからは、盛り上がったおっぱいの谷間が不自然なくらいクッキリ覗いています。
こんなふしだらな格好で、今度は街中をお散歩するんだ・・・
どうしても目が行ってしまうほど自分の胸元で派手に目立っている恥ずかしい突起にクラクラしながら、ゆっくりとカーテンを開きました。
「・・・お待たせしました、お姉さま」
お姉さまは、私と目が合うとニッと笑い、私の眼前に今撮ったばかりの写真を突きつけてきました。
そこには、半開きの目と唇で、なんとも悩ましく顔を歪ませたおっぱい丸出し女のバストアップが、同じ構図で四枚写っていました。
「ずいぶんと大胆なことしていたわね?まさか中でワンピまでさっくり脱いじゃうとは、思ってもいなかったわ」
写真をつかもうと思わず伸ばした私の右手をヒラリとかわすお姉さま。
置いてきぼりになったその右手をご自身の左手で捕まえると、引っ張るみたいにホームのほうへとスタスタ歩き始めました。
電車が出て行ったすぐ後のようで、ホームにはけっこうな人波が右へ左へと行き交っていました。
お姉さまはずっと無言。
人混みに紛れてしばらくしてから、ようやくお姉さまが歩調を緩めました。
「カーテンの下から直子の生足、丸見えだったわよ?もちろん下げたパンティまで」
階段をゆっくり上りながら私にヒソヒソ耳打ちしてくるお姉さま、
「座ったときは裸の腰まで見えていたし、見ているこっちのほうがハラハラしちゃったわよ」
階段を上りきると10メートルくらい先に改札が見え、その向こうは都会らしい駅ビル地下っぽいたたずまいでした。
「歩きながらブースの中をチラチラ見ていく人もいたから、けっこうな人数の人がブースの中の生足とパンティには気がついていたみたい」
「でも、普通の人は立ち止まらないからね。そのまま通り過ぎるだけなのだけれど」
「ひとりだけ、中年のリーサラっぽいオジサンが、一度通り過ぎたのにわざわざ戻ってきたのよ。直子が座って撮影が始まった直後だったな」
「あたしがブース前に陣取って、次の順番待ちで並んでいるようなフリをしていたから、近づいては来れなかったみたい」
「それでそのオジサン、ブースが見える対面の壁にもたれてケータイを弄り始めたの。頻繁に視線をこちらに投げながら、まるで張り込みの刑事みたいに」
人混みをすり抜けながら、お姉さまがヒソヒソしてきます。
「ブースに注目しているのは丸わかりだったから、ちょっとヤバイかなと思って、直子が出てきたらすぐ逃げることにしたの。見るからにスケベそうな顔していたから、そのオジサン」
お姉さまが呆れたようなお声でそこまで教えてくださったとき、改札口にたどりつきました。
いったん互いの手を解き、改札を抜けました。
そのまま通行の邪魔にならない壁際までふたりで退避。
お姉さまと向かい合いました。
「それにしても、直子もいい度胸よね。カーテンが短かいの、わかっていてやったのでしょう?」
「・・・はい」
「どうだった?あんなところで裸になったご感想は?」
「それは・・・」
「この写真見れば一目瞭然よね。いやらしい顔しちゃって」
「・・・」
お姉さまが再び私に写真を突きつけ、その向こうからじっと私を見つめてきます。
「命令どおり、ブラはずり下げたままのようね?」
お姉さまの視線が私のバストを凝視。
「はい・・・」
「そんなに露骨にワンピの前を尖らせていたら、街中の人たちに、わたしはノーブラです、って宣言して歩くようなものよ?それでもいいの?」
「あの、えっと、はい・・・」
「そうよね、直子はそういうので悦ぶマゾ女だものね?」
「・・・はい」
「剥き出しマゾマンコはちゃんと拭いた?」
お姉さまの視線が更に下がりました。
「はい・・・」
「知ってて聞いたのよ。直子がマゾマンコ弄りながら写真撮られてるとこ、外から丸わかりだったもの」
「・・・あれは、ただ拭いていただけです・・・」
「ふーん。どうだか」
お姉さまの蔑むようなお声。
「それで、キレイになったの?」
「えっと、それは・・・」
「でしょうね。相変わらずクロッチがグショグショだもの。あとからあとから滲み出る愛液に追いつかなかったのでしょう?」
「はい・・・そうです」
「あたしもそう思って、いっそ一度イってしまったほうがいいのかなとも考えてさ」
「・・・」
「せっかくローターで助けてあげたのに、イケなかったんだ?」
「・・・はい」
「それはご愁傷様。でも、あたしの経験上、イキたくて仕方ない状態の直子ほど、面白いオモチャはないのよ。これからのお散歩がますます愉しみになったわ」
そうおっしゃって、愉快そうに微笑むイジワルお姉さま。
「使用済みのウェットティッシュは、どうしたの?」
「あ!いけない!椅子の上に置きっぱなしでした」
すっかり忘れていました。
「あーあ。次に使う人はいい迷惑ね。うっかり触らなければいいけれど」
ドロドロヌルヌルのティッシュの感触を思い出し、ひとり強烈に赤面してしまう私。
「あ、でも、さっきの張り込みオジサンが戦利品としてとっくに回収していったかもしれないわね。今夜のオカズに」
「オジサンの脳裏には座った直子の艶かしい裸の腰のラインが焼きついているはずだからね。きっといろいろ捗るはずよ」
お姉さまがお下品に冷やかしてから唇を寄せてきて、私の耳にフッと熱い息を吹き込みました。
「ぁぁんっ!」
「おーけー。では行きましょう。この周辺は繁華街も近いし、今までよりずっとたくさんの人たちに、そのいやらしい姿を視てもらえるはずよ」
「でもその前に、あたしにいつまでバッグを持たせておく気?」
「ご、ごめんなさい、お姉さま」
あわてて左手を差し出しました。
「バッグは直子の係って最初に伝えておいたのだから、さっさと気を利かせなさい」
おっしゃりながらご自分の左肩からビニールトートの提げ手を抜き、私に渡す前に中を何やらガサゴソされました。
「さ、これでいいわ。どちらを表に向けても、直子の好きにしていいわよ」
渡されたバッグには、絶望的な仕掛けが施されていました。
片面に麻縄や鎖、洗濯バサミや銀色ディルドなど、私を虐める不健全なお道具たちが、薄いブルーのビニール越しに透けて見えているのは相変わらずでした。
もう片面の、今まではまっ白いバスタオルのタオル地だけが見えていて健全だったほうに、今さっき撮影された私の淫ら顔証明写真が表向きで見えていました。
ハガキ大の紙に四分割で、同じ構図の写真が四枚。
ビニールとバスタオルのあいだに挟まれ、バッグ側面のほぼ中央部分に配置されたそのカラー写真は、真っ白なタオル地の中、青色を背にした肌色ばかりの写真が唯一のアクセントとなり、否が応でも目を惹き、かなり鮮やかに目立ちました。
その写真を見て、それから、そのバッグを持っている人物に目を遣れば、写真の中でいやらしく顔を歪めているおっぱい丸出し女と、バッグの持ち主が同一人物だとすぐにわかってしまうことでしょう。
更にご丁寧に、その前に撮影した顔を半分隠したおっぱい丸出し写真は、バッグのマチ部分、もちろんここも透明です、に移動され、正面または背後から、いつでも丸見え状態となっていました。
自分のおっぱい丸出し喘ぎ顔ヌード写真をさらしながら街を歩くか、それとも、見る人が見ればピンときちゃう、自分を虐める破廉恥なお道具を持ち歩いていることを誇示しながら街を歩くか・・・
どちらもあまりに恥ずかし過ぎる恥辱の選択。
迷った末に、私は前者を選びました。
理由は、今さっきお姉さまが敢えてそうされたのだから、つまりはそれがお姉さまのお望みだと思うから。
それにそっちのほうが、より露出狂マゾらしいとも思ったから。
写真の側を表に向けてバッグを提げた私を見て、お姉さまが嬉しそうに、ふふん、と笑い、私の右手をつかみました。
お姉さまと手をつないで駅ビルっぽい通路の人波をかき分けていきます。
改札のすぐそばが大型量販店の入口であることもあり、ひっきりなしに人とすれ違います。
からだに感じる視線の数も、今までとは桁違いに増えていました。
それは、今の私のいでたちに、通りすがりの人の視線を惹いてしまうような箇所が増えていることとも、無関係ではないのでしょう。
今までもさんざん注目されてきた赤い首輪。
少し視線を下げると、Vゾーンから覗いている盛り上がった胸の谷間。
布地を押し上げている乳首の突起。
もっと下げると、割れた裾からチラチラ覗く黒いクロッチ。
おっぱい丸出し女の写真が透けて見えているビニールトート。
少し数えただけでもこれだけあります。
更に、お姉さまが人目を惹く超美人さんであること、女同士で手を繋いでいること、私の顔が汗ばんではしたなく上気していること、などなど。
ありふれた街の喧騒の中で、私とお姉さまがいる空間だけが浮きまくり、目立ちまくっていることを痛切に感じていました。
そして、その不躾な好奇の視線を受けることが妙に心地良く、全身が敏感にチクチク疼きまくってしまっているのも事実でした。
そんな視線をすれ違う人たちからビンビン感じつつ、階段を上りきり地上に出ました。
「あら、駅ひとつぶんで、外がずいぶん暗くなっちゃってる」
お姉さまが驚いたようにお空を見上げました。
「まだ午後3時過ぎなのにこの空の暗さは、やっぱり天気予報ってたいしたものなのね。間違いなくひと雨くるわ」
お姉さまがなぜだかとても嬉しそうに、そうおっしゃいました。
*
*オートクチュールのはずなのに 19へ
*
側面の壁に貼ってあった操作説明に目を通すと、さっきの機械とは違う種類でした。
でも、撮り方自体は大体同じで一安心
先にウェットティッシュでショーツと股間を拭ってしまおう、とベンチ状の椅子に腰掛けたとき、大問題に気がつきました。
このブース、さっきのブースに比べて目隠しカーテンの丈が異様に短かいのです。
腰掛けると下半身、腰から下部分がすべてカーテンの下にきてしまい、お外からまったく隠せていません。
あわてて立ち上がり確認してみたら、まっすぐ立った状態でカーテンの裾が私の太腿付け根の少し下くらいでした。
腰掛けて股間を弄っていたら、その様子は途切れたカーテン下の空間から、行き交う人たちに剥き出しの太腿ごと丸見えとなることでしょう。
さっきのブースは確か、膝のあたりまであったのに。
かなり動揺してしまいました。
どうしよう・・・?
いつまでこうしていても仕方が無いので、立ったままミニワンピースの裾をめくり、ウェットティッシュをショーツの股間にあてがいました。
「はぅん」
ひんやりとしたティッシュ越しに、乳液みたくヌルンとした液体が滴らんばかりに、布地を湿らせているのがわかりました。
ティッシュを何度か折り直して丁寧に拭うと、ウェットティッシュ全体がベトベトになりました。
渡されたウェットティッシュは、あと三枚ありました。
お姉さまがこれだけの枚数をくださった、ということは、それだけ丁寧にキレイにしてきなさい、という意味なのでしょう。
ショーツの裏側、あとやっぱり膣内も、拭っておかないと。
だけど、ショーツの裏側を拭うには、いったんショーツをずり下げなければなりません。
まっすぐ立っていても腿の付け根辺りまでしか隠してくれないカーテンですから、ここでショーツを下げたりしたら、その一連の動作がお外から丸わかりになってしまう上、拭いているあいだ中、下着を中途半端にずり下げた生足を、行き交う人たちにご披露しっぱなし状態になっちゃうはずでした。
私はそれを、お姉さまからのご命令と受け取りました。
お姉さまは、ここのカーテンがこんなに短かいことを知った上で、私にそういう辱めを受けることを望んでいらっしゃる、と。
そして、お姉さまの言いなりドレイである私には、従う以外の選択肢はないのです。
覚悟を決めました。
カメラのほうを向いてまっすぐに立ち、ミニワンピの裾に潜らせた両手でショーツのゴムをつまみました。
私、これから、こんな場所で下着を脱ごうとしている・・・
そう思った途端に、辺りの雑踏と喧騒のボリュームが盛大に上がった気がしました。
ひっきりなしに行き交う靴音、人々のざわめき、電車の到着を告げるアナウンス・・・
ごくありきたりの正常な日常生活の中で、ひとり、異常なことをしようとしている私。
見知らぬ人がいつ気づいてもおかしくない、下半身までカーテンが届かないブースの中、自ら下着を下ろして性器を露出しようとしているヘンタイ。
そんな恥ずかしい姿、絶対誰にも視せたくないのに、なんでこんなに昂ぶっているのだろう?
視られたくない気持ち以上に、視られてしまうことを期待している、もうひとりの自分がいました。
被虐のジレンマで張り裂けそうな自分の心に焦れたみたいに、両手が勝手に動き始めていました。
ショーツを裏返すみたく縁から丸め、ゆっくり腿のほうへとずり下げます。
まずは太腿の中間くらいまで。
ショーツが股間を離れるにつれ、股間とショーツの裏地との空間を、か細い糸が何本も引いては切れました。
ずり下げられて丸まった銀色ショーツの布地は、左右の太腿を束ねて縛る一本の黒い縄のよう。
その黒い縄はもちろん、途切れたカーテンの下から、お外に丸見えとなっていることでしょう。
上半身を少し屈め、二枚目のウェットティッシュでショーツの裏地を拭います。
左手をショーツに添えてクロッチ部分を広げ、右手のティッシュを裏地に押し付けました。
ヌルヌルの感触で、すぐに二枚目も満遍なくベトベト。
それをベンチ端に置いた使用済み一枚目の上に重ね、三枚目に手を伸ばしました。
この三枚目のウェットティッシュは、自分の性器、いえ、直子のはしたない剥き出しマゾマンコを直に拭うためのもの。
そう考えたら、被虐のジレンマが昂ぶり側にグラリと傾き、これから自分がすべきことが決まりました。
マゾならマゾらしく。
こんな場所で剥き出し性器を弄ろうとしているヘンタイ女は、それにふさわしい格好にならなければいけないのです。
立ったまま、ミニワンピースのボタンを上から外し始めます。
おっぱい写真を撮るだけならおへそくらいまで外せばいいのですが、全部外します。
そのほうが私らしいから、そのほうがお姉さまに悦んでいただけるはずだから。
ボタンをひとつ外すごとに、割れた前立ての隙間から覗く肌の比率が増えていきます。
おへその下まで外し終えると、残ったボタンはふたつだけ。
それらも外してしまえば、すでにショーツは下ろされているので、私のふしだらな剥き出しマゾマンコがブースの中で、文字通り剥き出しになってしまうのです。
今までにも、駅や学校の公衆トイレやブティックの試着室など、公共の場のかりそめの密室で人知れず裸になり、その被虐的、背徳的な状況をひとりこっそり愉しんだことが何度もありました。
でも、この証明写真ブース内は、それらの経験を軽く凌駕するほどの、危う過ぎるスリルに満ち溢れていました。
現実世界とヘンタイな私を隔てるには、あまりに短かく薄っぺら過ぎるヘナヘナなカーテン。
そんな頼りないカーテンのすぐ向こうを、ひっきりなしに行き交う大勢の人たち。
今だって、誰かちょこっとこちらに目を遣れば、写真ブースの中でなぜだか下着を下ろしている女性がいる、ということは一目瞭然でしょう。
スリルがもたらす興奮は、理性と呼ばれるブレーキをまるっきりの役立たずにして、今や完全に、視て欲しい、の側にシフトした私に、更にもっとヘンタイなことをさせようとしていました。
今の私がこれほど大胆になれるのは、ひとえにお姉さまが傍らにいてくださるおかげでした。
独り遊びでオドオドビクビクしていたときとは違い、お姉さまから見守られているという安心感に、どっぷり甘えている私。
だからこそ、お姉さまの前では自分の性癖に忠実になって、そのことでお姉さまにも愉しんでいただきたい、という使命感をも感じていました。
ボタンをすっかり外し終えると前立てがハラリと左右に割れ、銀色のブラジャーから下腹部、そして布に覆われていない無毛の恥丘までもが、ワンピース布地の隙間から細い長方形にさらけ出されていました。
躊躇せず、袖から両腕も抜き、脱ぎ去ったネイビーブルーの布地をベンチ状の椅子右端に置きました。
これですっかり下着姿。
と言ってもショーツはすでに腿まで下ろしていますし、ブラジャーだってこの後すぐ、本来の役目を放棄させられる運命なのです。
立ったままブラジャーのハーフカップに手を掛けます。
そのままおっぱい全体をブラジャーから引き剥がすみたいに、カップをお腹側にずり下げました。
ブルンと揺れながら姿を現わすぽってり下乳と、自分で見ても痛々しいほどに尖りきって宙を突く乳首たち。
ブラジャー左右の肩ストラップに挟まれ、カップの縁で上のほうへと持ち上げられ、全体が窮屈そうに中央付近へ寄せ集められたおっぱいは、谷間クッキリ、ボリュームアップ、いつもより肉感的で卑猥な感じ。
そのままからだを前屈させ、ショーツも膝のところまで更にずり下げました。
これが私の望んだ、私らしい姿。
下着は上下ともちゃんと着けているのに、隠すべきところは一箇所も隠せていない、ある意味全裸より浅ましい、ヘンタイ露出狂女の脱げかけ半裸姿。
正面の鏡におへそを中心とした白い肌が、艶かしく映っています。
その画像を見ながら腰をゆっくりと落とし、再びベンチ状の椅子に腰掛けました。
裸のお尻に椅子がひんやり。
おそらくお外には、何にも覆われていない肌色の腰部分が、カーテンの下から覘いていると思います。
もちろん、膝まで下ろした紐状ショーツも。
背筋を伸ばしてまっすぐ座り、あらためて正面の鏡と向き合いました。
そこには、赤い首輪を嵌められて不自然な形におっぱいを露出した、見るからに発情しきった淫ら顔マゾ女の悩ましげな表情が映っていました。
「・・・必要な証明写真の種類をお選びください」
料金の投入口にお金を入れると突然、甲高くチャイムが鳴り、かなり大きな女性のお声が!
えっ!?何これ?しゃべるの!?
さっきのブースはしゃべらなかったので、ちょっとしたパニック。
て言うか、そんなに大きなお声を出されたら、お外からも注目されちゃいそう。
女性のお声で急に現実に引き戻され、同時に今自分がしていることのとんでもなさ、こんなところでほぼ全裸になっている現実を、あらためて思い知りました。
俄然不安になって、カーテンの下から見えているお外に視線を走らせると、ブースのすぐ近くに見覚えのある細くしなやかなジーンズのおみ足。
そう、お姉さまが見守ってくださっているから大丈夫。
その周辺に他の足元は一切見えなかったので、かなり安心しました。
と同時に股間のローターが激しく震動し始めました。
「んふぅーっ!」
きっとお外にいらっしゃるお姉さまにも女性のお声が聞こえ、私が写真を撮り始めることを知り、イタズラを仕掛けてきたのでしょう。
別の見方をすれば、お姉さまが私にイタズラ出来るくらい、今のところブースは注目されていない、とも考えられます。
もしも、ブースの中で誰かが裸になっている、って何人かに気づかれて周囲がヒソヒソしていたら、お姉さまにもイタズラ出来る余裕なんてないでしょうから。
その考えは、私をずいぶんホッとさせてくれました。
操作方法を教えてくださる女性のお声に従って操作をしているあいだ中、お外から注目されやしないかと気が気ではありませんでしたが、それでも考えていたことは、実行に移しました。
写真を撮られるあいだ、顔は正面を向けたまま、左手のウェットティッシュでずっと股間を拭っていたのです。
腫れ上がった肉芽にティッシュが触れるたびに、眉間にいやらしくシワが寄りました。
強く押し付けたティッシュ越しにもわかるほど、股間全体が熱くなっていました。
ローターは相変わらず、中で激しく震えています。
お姉さまったら、そんなふうにローターを震わせていたら、せっかくティッシュで拭っている意味が無いですよ?
ああん、このまま指を潜り込ませて、クリトリスをつまんで、最後までイっちゃいたい・・・
さすがにそこまでは出来ませんでしたが、ティッシュを押さえる指がモゾモゾ動いてしまうのを、止める事も出来ませんでした。
鏡の中の自分の顔が、自分でも恥ずかしくなるほど淫らに歪んでいました。
からだ中が疼き悶え、大興奮していました。
拭っても拭ってもジワジワ溢れ出てくる粘性の液体。
そんなさ中、パシャン、とシャッターが切れたらしい音が聞こえました。
「ありがとうございました。写真は外の取り出し口から出ます」
女性のお声と同時にローターも止まり、達し切れなかった私はガクンとうなだれます。
あぁんっ、また生殺し・・・
股間を押さえていたティッシュは前の二枚以上にグッショリ濡れそぼっていました。
ブースに入って撮影まで、時間にすれば、ほんの5、6分のことだったのでしょうが、私には小一時間もかかったように思えるくらい、グッタリ疲れていました。
でも、あまりお姉さまをお待たせしてはいけない。
すぐに気持ちを切り替えました。
よろよろと立ち上がり、膝のショーツをモゾモソずり上げます。
ショーツのクロッチはまだ湿っていて、そこに新しいシミが更に広がっていくのがわかりました。
ミニワンピースを羽織り、下から順にボタンを留めていきます。
お言いつけ通りブラジャーは直さず、おっぱいを飛び出させたまま。
ここに入ってきたときと同じように、上から三番目の胸元ボタンまでを、きっちり留めました。
そのときより、バスト全体の位置がせり上がっている感じ。
アンダーをカップで持ち上げられていつもより高い位置になった乳首が、胸元に貼りついた布地をポッチリ浮き上がらせ、ひと目でノーブラと分かる状態となりました。
ボタンふたつ外れた状態のVゾーンからは、盛り上がったおっぱいの谷間が不自然なくらいクッキリ覗いています。
こんなふしだらな格好で、今度は街中をお散歩するんだ・・・
どうしても目が行ってしまうほど自分の胸元で派手に目立っている恥ずかしい突起にクラクラしながら、ゆっくりとカーテンを開きました。
「・・・お待たせしました、お姉さま」
お姉さまは、私と目が合うとニッと笑い、私の眼前に今撮ったばかりの写真を突きつけてきました。
そこには、半開きの目と唇で、なんとも悩ましく顔を歪ませたおっぱい丸出し女のバストアップが、同じ構図で四枚写っていました。
「ずいぶんと大胆なことしていたわね?まさか中でワンピまでさっくり脱いじゃうとは、思ってもいなかったわ」
写真をつかもうと思わず伸ばした私の右手をヒラリとかわすお姉さま。
置いてきぼりになったその右手をご自身の左手で捕まえると、引っ張るみたいにホームのほうへとスタスタ歩き始めました。
電車が出て行ったすぐ後のようで、ホームにはけっこうな人波が右へ左へと行き交っていました。
お姉さまはずっと無言。
人混みに紛れてしばらくしてから、ようやくお姉さまが歩調を緩めました。
「カーテンの下から直子の生足、丸見えだったわよ?もちろん下げたパンティまで」
階段をゆっくり上りながら私にヒソヒソ耳打ちしてくるお姉さま、
「座ったときは裸の腰まで見えていたし、見ているこっちのほうがハラハラしちゃったわよ」
階段を上りきると10メートルくらい先に改札が見え、その向こうは都会らしい駅ビル地下っぽいたたずまいでした。
「歩きながらブースの中をチラチラ見ていく人もいたから、けっこうな人数の人がブースの中の生足とパンティには気がついていたみたい」
「でも、普通の人は立ち止まらないからね。そのまま通り過ぎるだけなのだけれど」
「ひとりだけ、中年のリーサラっぽいオジサンが、一度通り過ぎたのにわざわざ戻ってきたのよ。直子が座って撮影が始まった直後だったな」
「あたしがブース前に陣取って、次の順番待ちで並んでいるようなフリをしていたから、近づいては来れなかったみたい」
「それでそのオジサン、ブースが見える対面の壁にもたれてケータイを弄り始めたの。頻繁に視線をこちらに投げながら、まるで張り込みの刑事みたいに」
人混みをすり抜けながら、お姉さまがヒソヒソしてきます。
「ブースに注目しているのは丸わかりだったから、ちょっとヤバイかなと思って、直子が出てきたらすぐ逃げることにしたの。見るからにスケベそうな顔していたから、そのオジサン」
お姉さまが呆れたようなお声でそこまで教えてくださったとき、改札口にたどりつきました。
いったん互いの手を解き、改札を抜けました。
そのまま通行の邪魔にならない壁際までふたりで退避。
お姉さまと向かい合いました。
「それにしても、直子もいい度胸よね。カーテンが短かいの、わかっていてやったのでしょう?」
「・・・はい」
「どうだった?あんなところで裸になったご感想は?」
「それは・・・」
「この写真見れば一目瞭然よね。いやらしい顔しちゃって」
「・・・」
お姉さまが再び私に写真を突きつけ、その向こうからじっと私を見つめてきます。
「命令どおり、ブラはずり下げたままのようね?」
お姉さまの視線が私のバストを凝視。
「はい・・・」
「そんなに露骨にワンピの前を尖らせていたら、街中の人たちに、わたしはノーブラです、って宣言して歩くようなものよ?それでもいいの?」
「あの、えっと、はい・・・」
「そうよね、直子はそういうので悦ぶマゾ女だものね?」
「・・・はい」
「剥き出しマゾマンコはちゃんと拭いた?」
お姉さまの視線が更に下がりました。
「はい・・・」
「知ってて聞いたのよ。直子がマゾマンコ弄りながら写真撮られてるとこ、外から丸わかりだったもの」
「・・・あれは、ただ拭いていただけです・・・」
「ふーん。どうだか」
お姉さまの蔑むようなお声。
「それで、キレイになったの?」
「えっと、それは・・・」
「でしょうね。相変わらずクロッチがグショグショだもの。あとからあとから滲み出る愛液に追いつかなかったのでしょう?」
「はい・・・そうです」
「あたしもそう思って、いっそ一度イってしまったほうがいいのかなとも考えてさ」
「・・・」
「せっかくローターで助けてあげたのに、イケなかったんだ?」
「・・・はい」
「それはご愁傷様。でも、あたしの経験上、イキたくて仕方ない状態の直子ほど、面白いオモチャはないのよ。これからのお散歩がますます愉しみになったわ」
そうおっしゃって、愉快そうに微笑むイジワルお姉さま。
「使用済みのウェットティッシュは、どうしたの?」
「あ!いけない!椅子の上に置きっぱなしでした」
すっかり忘れていました。
「あーあ。次に使う人はいい迷惑ね。うっかり触らなければいいけれど」
ドロドロヌルヌルのティッシュの感触を思い出し、ひとり強烈に赤面してしまう私。
「あ、でも、さっきの張り込みオジサンが戦利品としてとっくに回収していったかもしれないわね。今夜のオカズに」
「オジサンの脳裏には座った直子の艶かしい裸の腰のラインが焼きついているはずだからね。きっといろいろ捗るはずよ」
お姉さまがお下品に冷やかしてから唇を寄せてきて、私の耳にフッと熱い息を吹き込みました。
「ぁぁんっ!」
「おーけー。では行きましょう。この周辺は繁華街も近いし、今までよりずっとたくさんの人たちに、そのいやらしい姿を視てもらえるはずよ」
「でもその前に、あたしにいつまでバッグを持たせておく気?」
「ご、ごめんなさい、お姉さま」
あわてて左手を差し出しました。
「バッグは直子の係って最初に伝えておいたのだから、さっさと気を利かせなさい」
おっしゃりながらご自分の左肩からビニールトートの提げ手を抜き、私に渡す前に中を何やらガサゴソされました。
「さ、これでいいわ。どちらを表に向けても、直子の好きにしていいわよ」
渡されたバッグには、絶望的な仕掛けが施されていました。
片面に麻縄や鎖、洗濯バサミや銀色ディルドなど、私を虐める不健全なお道具たちが、薄いブルーのビニール越しに透けて見えているのは相変わらずでした。
もう片面の、今まではまっ白いバスタオルのタオル地だけが見えていて健全だったほうに、今さっき撮影された私の淫ら顔証明写真が表向きで見えていました。
ハガキ大の紙に四分割で、同じ構図の写真が四枚。
ビニールとバスタオルのあいだに挟まれ、バッグ側面のほぼ中央部分に配置されたそのカラー写真は、真っ白なタオル地の中、青色を背にした肌色ばかりの写真が唯一のアクセントとなり、否が応でも目を惹き、かなり鮮やかに目立ちました。
その写真を見て、それから、そのバッグを持っている人物に目を遣れば、写真の中でいやらしく顔を歪めているおっぱい丸出し女と、バッグの持ち主が同一人物だとすぐにわかってしまうことでしょう。
更にご丁寧に、その前に撮影した顔を半分隠したおっぱい丸出し写真は、バッグのマチ部分、もちろんここも透明です、に移動され、正面または背後から、いつでも丸見え状態となっていました。
自分のおっぱい丸出し喘ぎ顔ヌード写真をさらしながら街を歩くか、それとも、見る人が見ればピンときちゃう、自分を虐める破廉恥なお道具を持ち歩いていることを誇示しながら街を歩くか・・・
どちらもあまりに恥ずかし過ぎる恥辱の選択。
迷った末に、私は前者を選びました。
理由は、今さっきお姉さまが敢えてそうされたのだから、つまりはそれがお姉さまのお望みだと思うから。
それにそっちのほうが、より露出狂マゾらしいとも思ったから。
写真の側を表に向けてバッグを提げた私を見て、お姉さまが嬉しそうに、ふふん、と笑い、私の右手をつかみました。
お姉さまと手をつないで駅ビルっぽい通路の人波をかき分けていきます。
改札のすぐそばが大型量販店の入口であることもあり、ひっきりなしに人とすれ違います。
からだに感じる視線の数も、今までとは桁違いに増えていました。
それは、今の私のいでたちに、通りすがりの人の視線を惹いてしまうような箇所が増えていることとも、無関係ではないのでしょう。
今までもさんざん注目されてきた赤い首輪。
少し視線を下げると、Vゾーンから覗いている盛り上がった胸の谷間。
布地を押し上げている乳首の突起。
もっと下げると、割れた裾からチラチラ覗く黒いクロッチ。
おっぱい丸出し女の写真が透けて見えているビニールトート。
少し数えただけでもこれだけあります。
更に、お姉さまが人目を惹く超美人さんであること、女同士で手を繋いでいること、私の顔が汗ばんではしたなく上気していること、などなど。
ありふれた街の喧騒の中で、私とお姉さまがいる空間だけが浮きまくり、目立ちまくっていることを痛切に感じていました。
そして、その不躾な好奇の視線を受けることが妙に心地良く、全身が敏感にチクチク疼きまくってしまっているのも事実でした。
そんな視線をすれ違う人たちからビンビン感じつつ、階段を上りきり地上に出ました。
「あら、駅ひとつぶんで、外がずいぶん暗くなっちゃってる」
お姉さまが驚いたようにお空を見上げました。
「まだ午後3時過ぎなのにこの空の暗さは、やっぱり天気予報ってたいしたものなのね。間違いなくひと雨くるわ」
お姉さまがなぜだかとても嬉しそうに、そうおっしゃいました。
*
*オートクチュールのはずなのに 19へ
*
2015年8月23日
オートクチュールのはずなのに 17
プリペイドカードを持ってきていない私のために、切符を買ってきてくださったお姉さま。
ご自分のカードを抜いた後、私が左肩に提げているビニールトートに、お財布を戻されました。
そのとき、気がつきました。
さっきお姉さまが私の左肩にビニールトートを掛けてくださったとき、表に見える側をバスタオルではないほうにしちゃったみたい。
今現在、バッグのシースルーなビニール側面からは、とぐろを巻いた麻縄や鎖、えっちなお道具の数々が見えているはずです。
だけど私が勝手に提げ変えることは許されません。
お姉さまがそうされたということは、それがお姉さまのご意志であり、こう提げなさい、というご命令なのですから。
改札を抜けると、数メートル先にホームへと下りる下りエスカレーター。
そこへ向かっている途中、ちょうどホームに電車が侵入してきて、ここでも凄い風が吹き上げてきたので、ミニワンピースの裾前を手で押さえることが許されました。
「ただし、さっきの階段のときと同じように、押さえていいのは下腹部のあたりまでよ」
お姉さまの念を押すような耳打ち。
「はい。わかっています・・・」
少しでも風圧がかかれば裾の前立てがあっさり左右に割れ、はしたないおツユで濡れそぼったショーツの恥丘部分を、みなさまに見せつけながら下りることになるはずです。
「今度は先に行きなさい」
お姉さまに促され、エスカレーターのステップ左端に立ちました。
すぐ後ろにお姉さまもつづきます。
下りエスカレーターの右隣は、ホームから改札口へと向かう人たちのための上りエスカレーター。
今到着した電車に乗っていたのであろう人たちが次々と、その上りエスカレーターに乗り込んできます。
下りエスカレーターに乗っている私の前には、一番下まで誰も乗っていませんでした。
すなわち、私が先頭状態。
上りエスカレーターで上がってくる人のうち、うつむいている人以外は、その視界に否応無く、私の姿が入り込んでくるはずです。
いくつもの視線がまず私の首に貼りつき、次に股間へと移動していくのを感じていました。
自分では見えませんでしたが、ミニワンピの裾が絶えず左右に割れてはためいているのは、わかっていました。
私は、ずっとそ知らぬ顔を作り、目の焦点をどこにも合わせさず、まっすぐ眼前の宙空を見つめていました。
内心では、心臓が壊れちゃうんじゃないかと思うくらいのドキドキで、キュンキュン感じまくっていました。
「ずいぶんジロジロ注目されていたわね。すれ違った後もずーっとこっちを振り向いていたオジサンまでいたわよ」
エスカレーターを降りた途端にお姉さまに肩を叩かれ、ヒソヒソされました。
たまらず私は、お姉さまの左腕にギューッとしがみつきました。
誰かにしがみついていないとヘナヘナとへたり込んでしまいそうなほど、下半身がジンジンかつフワフワしていたのです。
お姉さまは、私がしがみついてくることについては別に何もおっしゃらず、そのままゆっくり、ホームの中央のほうへと進んでいかれました。
「なんだか狭いホームなのね。それなりに有名な駅なのに、ホームドアも無いし。混雑したら危なそうよね?」
ホームをしばらく進み、何本目かの太い円柱で足を止めたお姉さま。
私を振り向き、世間話みたいにそうおっしゃいました。
「それに、予想通りではあるけれど、人が少なすぎ。これじゃあ直子もがっかりでしょう?」
からかうように私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
「いえ、そんなことは・・・」
少ないと言っても、エスカレーターを降りてからここまでで十数人の人たちとすれ違いましたし、そのうち半数以上の人から、首輪やバッグへの不躾な視線をいただいていました。
「次の駅行けば、もっとたくさんいるはずだから、もう少しの我慢よ」
あくまでも私が残念がっていると決めつけるお姉さま。
やがて轟音と共に電車が到着しました。
各ドアから乗る人、降りる人、ほんの数人づつ。
電車内も、都会の地下鉄にしては珍しいくらいガラガラでした。
空席のほうが目立つロングシート、プラス、これだけ席が空いていてもなぜだか立っている人がドア際にポツンポツン。
「見事にガラガラね。これじゃあ痴漢ごっこも出来やしない」
お姉さまが冗談めかしておっしゃいました。
「一駅だけだけれど、座りましょう」
「はい」
私たちが乗り込んだドアのすぐ脇のロングシートが丸々空いていたので、私がドア脇の一番端に座る形で、ふたり並んで腰掛けました。
この服装で腰掛けると裾がせり上がり、ショーツのクロッチ先端が見えっ放しになることは、車の助手席に座ったときにわかっていました。
でも、私たちが座っているシートの周辺、お姉さまから向こうにも対面側にも、誰もいませんでした。
この位置から見える人影といえば、対面側シート脇のドア際で、手摺りにもたれかかってお外を向いている男性の背中だけ。
その男性の両耳にはイヤホンが見え、まったく周囲を気にされていないご様子。
なので、私も安心して座ることが出来ました。
もちろん座ってすぐ、肩から外したトートバッグを膝の上に乗せ、剥き出しショーツを隠しました。
「エスカレーターでは失敗しちゃった。バッグを右肩に提げ直すように命令すればよかった」
お姉さまが地下鉄の騒音に負けないように私の耳に唇を近づけ、大きめヒソヒソ声でおっしゃいました。
視線はずっとビニールトートに注がれていて、私もつられて見たら、あら大変!
私ってば、無造作に麻縄や鎖が見えるほうを表側に向けていました。
あわててひっくり返そうとする手を制され、お姉さまがつづけました。
「さっきのエスカレーターって、すれ違うとき、かなりの至近距離だったでしょ。でも直子のバッグは左肩で、壁のほうに向けて提げていたから、すれ違う人に中を見てもらえなかったじゃない?」
「直子の姿を見て、このバッグの中身も見てもらえれば、直子がどんな種類の女なのか、いっそう明確にわかってもらえたと思うのよね」
お姉さまが本当に残念そうなお声でおっしゃいました。
お得意のお芝居とは思いますが。
それよりも私は、膝の上のバッグにもっと恥ずかし過ぎる事実を発見していました。
シースルーのビニールトート表面ほぼ中央左寄り、麻縄がとぐろを巻いているその上に、さっき撮った証明写真がハッキリ表向きで見えていたのです。
顔は隠しているものの、おっぱい丸出しの自分の写真。
写真が小さいので、遠目からはなんだかわからないでしょうけれど、このくらいの距離なら、えっちなおっぱい写真だとバッチリわかっちゃいます。
私、こんなもの見せびらかせたまま、駅の中を歩いてきたんだ・・・
今更手遅れなのですが、さりげなく右手をバッグの上に置き、写真の部分を隠しました。
「そう言えば、次の駅で小銭が必要なのだったわ。ちょっとバッグ貸して」
写真を隠した私を見透かしたみたいに、お姉さまの手が私の膝からバッグを奪い去りました。
再び剥き出しとなった、私のびしょ濡れショーツ先端。
周囲に人がいないのが本当に幸いです。
バッグの中をガサゴソして目的を果たされた後も、お姉さまはバッグを返してくださいません。
一度周囲を見回してから、ヒソヒソ耳打ちしてきました。
「膝小僧をぴったりくっつけちゃって、ずいぶんお行儀がいいのね?どうせ誰も見ていないのだから、もうちょっとリラックスしたら?」
「えっと、あの、やっぱり一応は、電車の中ですから・・・」
「そんなお堅いこと言っても、今だってパンティ、隠しきれていないじゃない?」
「それは、そうですけれど・・・」
「ふーん。素直じゃないわね、マゾのクセに。これならどう?」
「んふぅっ!」
ショーツの奥でローターが強烈に震え始めました。
思わず眉間にシワが寄ってしまうほど。
「うわー。エロい顔になっているわよ?そんな顔をしていたら、遠くから見た人にだって、感じているのがバレちゃうわよ?」
愉しげなヒソヒソ声が右耳をくすぐりました。
両腿をピッタリ閉じてローターを締め付けていると余計感じてしまうので、仕方なく徐々に両膝を開き始めました。
両足は揃えたまま膝だけ大きく開いたので、もしも誰かが視ていたら、すごく卑猥かつお下品な格好だったことでしょう。
股を開いて震動は幾分ラクにはなりましたが、今まで昂ぶりつづけていたところに、今回の刺激は強烈でした。
お姉さまは、まだローターを止めてくださいません。
両膝が無意識に、パクパク開け閉めの動きをしちゃっています。
私、こんな走っている地下鉄の中で、感じちゃっている・・・
他のお客様も普通に乗っている明るい車両の中で、イキそうになっちゃっている・・・
そんな背徳的な想いが被虐の炎に油を注ぎ、益々敏感に疼き悶える下半身。
感じていないフリを必死に繕いながらも、どんどん高まっていました。
間もなく次の駅に到着、というアナウンスと共にローターがピタッと止まりました。
ああんっ、もう少しでイケたのに・・・
ホッとする気持ちと残念に思う気持ちが半々の私。
髪の生え際にジンワリ汗が滲むほど火照った顔は、すごくエロくなっていたと思います。
両膝を無駄にパクパク開け閉めしちゃったせいでしょう、ワレメが割れておツユがもっと染み出してしまったようで、ショーツのクロッチは滴らんばかりのぐしょ濡れ。
事実、座っている両腿のあいだから見える紫色のシートに少し白濁した水滴が一粒、半透明な宝石のようにキラッと光っていました。
電車が減速し始めると、お姉さまがバッグを持ったまま、おもむろに立ち上がりました。
私もあわててつづきます。
立ち上がるとき、シートの水滴と私の股とのあいだに、細い糸が一本スーッと伸びて、すぐ切れたのがハッキリ見えました。
からだ中の血液が沸騰しそうでした。
入ってきたときと同じドアの手摺りに掴まり、電車が停まるのを待ちました。
お外の暗闇で鏡と化した窓ガラスに映る、赤い首輪の女。
その辛そうな顔がなんとも悩ましく淫ら過ぎて、今すぐどこかに逃げ去りたい気持ち。
鏡の奥には、そんな私を愉しそうに見つめるお姉さまのお顔もありました。
やがて窓ガラスが明るくなり、電車がホームへと滑り込みました。
駅のホームに降り立つと、お姉さまが再びビニールトートを私の左肩に提げさせました。
もちろん、タオルの側ではないほうを表に出して。
私も再び、お姉さまの左腕にしがみつきました。
広くて明るいホーム内に、聞き覚えのある日常的な雑踏と喧騒。
閑散とした電車内から一変した雰囲気に戸惑ったのか、電車内でのローター陵辱による昂ぶりの余韻が急激に引き始めたのが、少し残念でした。
「ず、ずいぶん人が多いですね・・・」
さっきの駅のホームとは打って変わって、それなりの人数の人たちが広めのホームを右へ左へ、忙しそうに歩いていました。
「ここの駅一帯に、確か五種類の地下鉄路線が乗り入れている一大乗換え駅だからね。ここからなら、池袋でも渋谷でも銀座でも浦安でも、なんなら神奈川にだって埼玉にだって一本で行けちゃうのよ」
お姉さまが人波を優雅にすり抜けながら、教えてくださいました。
「でもやっぱり、普段に比べれたらかなり少ないほうね。歩いている人種も違うし。普通の日はほとんどサラリーマンだけだもの」
確信を持った足取りで、いくつものエスカレーターや階段を上ったり下りたりしながら、歩きつづけるお姉さま。
置き去りにされないように、私もその左腕にくっついています。
絶えず誰かとすれ違い、追い越され、ときどき首輪に視線を感じました。
そして歩いているうちに、さっきみたいな空いている駅よりも、このくらい混んでいたほうが気がラクなことに気がつきました。
誰かにすれ違いざま注目されたとしても、それはほんの数秒間の出来事。
ずっと歩きつづけているので、お互い違う方向に歩き去れば、すぐに忘れてしまう。
二度見しようとしても、私の姿はすでに人混みの中に消えているでしょう。
そんな、人混みに紛れている感、が、安心感をもたらしてくれたのだと思います。
もちろんたくさん人がいる分、私の首輪や股間に気がつく人数も増えているはずですけれど。
「ずいぶん広い駅なのですね?」
優雅に歩きつづけるお姉さまにお尋ねしました。
「うん。この駅は構内で別の駅ともつながっているの。まだ改札出ていないでしょ?」
「そう言えば・・・」
「降りたのは永田町駅だったけれど、あたしが目指しているのは赤坂見附の改札。取引先がいくつかあるから、そっちから出たほうが土地勘があるのよ」
短かいエスカレーターに乗ったところで、お姉さまが教えてくださいました。
「そんなことより直子はさ、さっき電車の中でローターに感じまくっていたとき、誰かにずっと、じーっと視られていたの、気がついていた?」
エスカレーターを降り、まっすぐの通路になってお姉さまと並んだとき、ヒソヒソ耳打ちしてきました。
青天の霹靂でした。
「えーっ!?だってあのときは、前にも横にも、誰も座っていませんでしたよ?」
「そうね。座ってはいなかったわね。でもひとり、直子の斜め前くらいに、いたでしょう?」
「あっ!」
イヤホンをしてドア際に立っていた、あの男性のことのようです。
「でもでも、あの人はずっと背中を向けて、お外を見ていましたよ?窓ガラス越しに・・・」
自分で言い訳している途中に、はっ、と気がつきました
人混みの安心感から余裕が出て、せっかく装えていたお澄まし顔が、みるみる崩れてしまいました。
「やっと気がついたみたいね。さっき直子も自分の顔に見惚れていたじゃない?地下鉄って外がずっと暗いままだから、窓ガラスが鏡みたいになって、車内の様子が鮮明に映り込んじゃうのよ」
お姉さまのヒソヒソ声がすっごく愉しそう。
ゆっくりと歩きながら、お姉さまのお話がつづきました。
「あたしが見ていた感じでは、かなり早い段階で気づいていたみたいよ。あたしが直子の膝からバッグを取り上げたとき、彼の肩が一瞬、ビクンと揺れたもの」
「たぶんその前、乗り込んで座ったとき、直子のパンティが見えていることに気づいて注目していたのだと思うわ。そうじゃなくても、そんな首輪をしているのだもの、ヘンな女だなって注目しちゃうでしょうけれど」
ご自分でやらせたクセに、イジワルなことをおっしゃるお姉さま。
「後姿を見た感じ、若めで細身でスーツ姿でもあったし、害は無さそうって判断して、サービスしてあげることにしたの」
「あたしの姿も一緒に窓に映り込んでいるはずだから、あたしが彼に気づいていることに気づかれないように観察するのが大変だったかな。なるべく視線を動かさないようにしてね。でも見ていてすごく面白かったわよ、ふたりとも」
「直子が膝を広げ始めたとき、手摺りを握っている彼の右手に力が入って、白くなってたのが可笑しかったわ。きっと彼も充分愉しめたでしょうね」
「あたしたちが降りるまで一度も振り向かなかったのは偉かったわね。あんなの見せつけられたら、一度は肉眼で、生で拝みたかったでしょうに」
「降りる前にドアのところに立って確認してみたら、対面の端のシート一帯がガラスにバッチリ映っていたから間違いないはず。彼の位置から直子の挙動は、鏡状態で丸見えだったの」
「あれだけ長い時間視ていれば、直子の股間の黒いものがマン毛でないことも、だったらなぜ黒くなっているのかも、わかっちゃったでしょうね」
「それに、あたしたちがどういう関係で、直子が何をさせられていたのかだって、ちょっと知識があればわかったはずよ。あの女は露出狂マゾだって、彼が正しく理解してくれたら、直子も本望でしょう?」
「彼が交差点のオタク君たちみたいに、えっちな知識をたくさん持っていてくれることを祈るわ。降り際にやっとこっちを振り向いたのを見た感じでは、気弱そうなメガネ君だったけれど」
お姉さまが愉しげにお話されているあいだ中、私はお姉さまの腕にギューッとしがみついていました。
お話が進むごとに、いてもたってもいられなくなりました。
全部、視られていた・・・
周囲に目がないことに安心しきって、自らいやらしく開け閉めしていた股間も、ローターで感じているのを必死に取り繕う顔も、愛液がジュクジュク滲み出るショーツも、立ち上がったときに引いた糸までも・・・
知らない男性に全部、視られていた・・・
やよい先生やシーナさま、そして最近ではお姉さまにしかお見せしたことのない、マゾ女直子がイク寸前まで高まった姿、私のヘンタイな本性・・・
恥ずかしいとか、羞恥とか、そういう言葉では到底収まりきらないほどの恥辱感が、全身を駆け巡っていました。
でもその恥辱感には不思議なことに、今までに感じたことの無い甘美な開放感も少し、混ざっていたのも事実でした。
「ふう。やっと着いた。ここからが丸の内線、赤坂見附駅のホーム。それで、ここに寄りたかったの」
お姉さまからのショッキングな暴露で腑抜けのようになった私を、お姉さまが引き摺るみたいに誘導してくださいました。
通路からホームへ向かう少し広くなったスペースの片隅に、見覚えのある形がありました。
さっきの駅にあったのと同じような、証明写真機のブースでした。
「またここで、おっぱい写真を撮ってもらうおうと思ってさ」
「はい・・・」
どんなに恥ずかしいめに遭わされても、それを見知らぬ人に視られても、していただいたこと、視ていただいたことを、悦んで受け入れなければいけない・・・
だってそれは、マゾでヘンタイな私のことを想うお姉さまが、敢えてしてくださることなのだから・・・
私はそういう女なのだから・・・
そんな気持ちになっていました。
傍らを人々がひっきりなしに行き交う証明写真機ブースの前で、お姉さまと向かい合わせに見つめ合いました。
「おっぱいの出し方はさっきと同じ。ブラを下にずらす。わかるわよね?」
「はい」
「今回あたしは覗かないから、全部ひとりでやりなさい」
「はい」
「おっぱい出して、今度は顔を隠さないで写真を撮りなさい」
「はい」
「撮り終わったらおっぱいはしまわずに出したまま、ワンピのボタンだけ留めて出てきなさい」
「・・・はい」
「なんだか急に素直になっちゃったのね?ちゃんとわかってる?」
「はい。わかっています。直子はお姉さまの言いなりドレイですから、何でもお姉さまのおっしゃる通りにいたします」
「うふふ。あのメガネ君に視られちゃったと知って、開き直っちゃったみたいね。ますます愉しくなってきたわ」
お姉さまの瞳がエス色に妖しく揺れて、私のマゾ度も臨界点を突破。
今の私は心身ともにドエム一色でした。
「これ、お金ね。あと、これ」
ウェットティッシュを数枚渡されました。
「パンティから雫が今にも垂れそうよ。直子の剥き出しマゾマンコを、中でキレイに拭ってきなさい。まあどうせ、すぐにまた濡らしちゃうのでしょうけれど」
「お心遣いありがとうございます、お姉さま」
「バッグは持っていてあげるから、早くやっていらっしゃい」
「はい、お姉さま」
右手にお金、左手にウェットティッシュを握り締め、ブースの中に入りました。
*
*オートクチュールのはずなのに 18へ
*
ご自分のカードを抜いた後、私が左肩に提げているビニールトートに、お財布を戻されました。
そのとき、気がつきました。
さっきお姉さまが私の左肩にビニールトートを掛けてくださったとき、表に見える側をバスタオルではないほうにしちゃったみたい。
今現在、バッグのシースルーなビニール側面からは、とぐろを巻いた麻縄や鎖、えっちなお道具の数々が見えているはずです。
だけど私が勝手に提げ変えることは許されません。
お姉さまがそうされたということは、それがお姉さまのご意志であり、こう提げなさい、というご命令なのですから。
改札を抜けると、数メートル先にホームへと下りる下りエスカレーター。
そこへ向かっている途中、ちょうどホームに電車が侵入してきて、ここでも凄い風が吹き上げてきたので、ミニワンピースの裾前を手で押さえることが許されました。
「ただし、さっきの階段のときと同じように、押さえていいのは下腹部のあたりまでよ」
お姉さまの念を押すような耳打ち。
「はい。わかっています・・・」
少しでも風圧がかかれば裾の前立てがあっさり左右に割れ、はしたないおツユで濡れそぼったショーツの恥丘部分を、みなさまに見せつけながら下りることになるはずです。
「今度は先に行きなさい」
お姉さまに促され、エスカレーターのステップ左端に立ちました。
すぐ後ろにお姉さまもつづきます。
下りエスカレーターの右隣は、ホームから改札口へと向かう人たちのための上りエスカレーター。
今到着した電車に乗っていたのであろう人たちが次々と、その上りエスカレーターに乗り込んできます。
下りエスカレーターに乗っている私の前には、一番下まで誰も乗っていませんでした。
すなわち、私が先頭状態。
上りエスカレーターで上がってくる人のうち、うつむいている人以外は、その視界に否応無く、私の姿が入り込んでくるはずです。
いくつもの視線がまず私の首に貼りつき、次に股間へと移動していくのを感じていました。
自分では見えませんでしたが、ミニワンピの裾が絶えず左右に割れてはためいているのは、わかっていました。
私は、ずっとそ知らぬ顔を作り、目の焦点をどこにも合わせさず、まっすぐ眼前の宙空を見つめていました。
内心では、心臓が壊れちゃうんじゃないかと思うくらいのドキドキで、キュンキュン感じまくっていました。
「ずいぶんジロジロ注目されていたわね。すれ違った後もずーっとこっちを振り向いていたオジサンまでいたわよ」
エスカレーターを降りた途端にお姉さまに肩を叩かれ、ヒソヒソされました。
たまらず私は、お姉さまの左腕にギューッとしがみつきました。
誰かにしがみついていないとヘナヘナとへたり込んでしまいそうなほど、下半身がジンジンかつフワフワしていたのです。
お姉さまは、私がしがみついてくることについては別に何もおっしゃらず、そのままゆっくり、ホームの中央のほうへと進んでいかれました。
「なんだか狭いホームなのね。それなりに有名な駅なのに、ホームドアも無いし。混雑したら危なそうよね?」
ホームをしばらく進み、何本目かの太い円柱で足を止めたお姉さま。
私を振り向き、世間話みたいにそうおっしゃいました。
「それに、予想通りではあるけれど、人が少なすぎ。これじゃあ直子もがっかりでしょう?」
からかうように私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
「いえ、そんなことは・・・」
少ないと言っても、エスカレーターを降りてからここまでで十数人の人たちとすれ違いましたし、そのうち半数以上の人から、首輪やバッグへの不躾な視線をいただいていました。
「次の駅行けば、もっとたくさんいるはずだから、もう少しの我慢よ」
あくまでも私が残念がっていると決めつけるお姉さま。
やがて轟音と共に電車が到着しました。
各ドアから乗る人、降りる人、ほんの数人づつ。
電車内も、都会の地下鉄にしては珍しいくらいガラガラでした。
空席のほうが目立つロングシート、プラス、これだけ席が空いていてもなぜだか立っている人がドア際にポツンポツン。
「見事にガラガラね。これじゃあ痴漢ごっこも出来やしない」
お姉さまが冗談めかしておっしゃいました。
「一駅だけだけれど、座りましょう」
「はい」
私たちが乗り込んだドアのすぐ脇のロングシートが丸々空いていたので、私がドア脇の一番端に座る形で、ふたり並んで腰掛けました。
この服装で腰掛けると裾がせり上がり、ショーツのクロッチ先端が見えっ放しになることは、車の助手席に座ったときにわかっていました。
でも、私たちが座っているシートの周辺、お姉さまから向こうにも対面側にも、誰もいませんでした。
この位置から見える人影といえば、対面側シート脇のドア際で、手摺りにもたれかかってお外を向いている男性の背中だけ。
その男性の両耳にはイヤホンが見え、まったく周囲を気にされていないご様子。
なので、私も安心して座ることが出来ました。
もちろん座ってすぐ、肩から外したトートバッグを膝の上に乗せ、剥き出しショーツを隠しました。
「エスカレーターでは失敗しちゃった。バッグを右肩に提げ直すように命令すればよかった」
お姉さまが地下鉄の騒音に負けないように私の耳に唇を近づけ、大きめヒソヒソ声でおっしゃいました。
視線はずっとビニールトートに注がれていて、私もつられて見たら、あら大変!
私ってば、無造作に麻縄や鎖が見えるほうを表側に向けていました。
あわててひっくり返そうとする手を制され、お姉さまがつづけました。
「さっきのエスカレーターって、すれ違うとき、かなりの至近距離だったでしょ。でも直子のバッグは左肩で、壁のほうに向けて提げていたから、すれ違う人に中を見てもらえなかったじゃない?」
「直子の姿を見て、このバッグの中身も見てもらえれば、直子がどんな種類の女なのか、いっそう明確にわかってもらえたと思うのよね」
お姉さまが本当に残念そうなお声でおっしゃいました。
お得意のお芝居とは思いますが。
それよりも私は、膝の上のバッグにもっと恥ずかし過ぎる事実を発見していました。
シースルーのビニールトート表面ほぼ中央左寄り、麻縄がとぐろを巻いているその上に、さっき撮った証明写真がハッキリ表向きで見えていたのです。
顔は隠しているものの、おっぱい丸出しの自分の写真。
写真が小さいので、遠目からはなんだかわからないでしょうけれど、このくらいの距離なら、えっちなおっぱい写真だとバッチリわかっちゃいます。
私、こんなもの見せびらかせたまま、駅の中を歩いてきたんだ・・・
今更手遅れなのですが、さりげなく右手をバッグの上に置き、写真の部分を隠しました。
「そう言えば、次の駅で小銭が必要なのだったわ。ちょっとバッグ貸して」
写真を隠した私を見透かしたみたいに、お姉さまの手が私の膝からバッグを奪い去りました。
再び剥き出しとなった、私のびしょ濡れショーツ先端。
周囲に人がいないのが本当に幸いです。
バッグの中をガサゴソして目的を果たされた後も、お姉さまはバッグを返してくださいません。
一度周囲を見回してから、ヒソヒソ耳打ちしてきました。
「膝小僧をぴったりくっつけちゃって、ずいぶんお行儀がいいのね?どうせ誰も見ていないのだから、もうちょっとリラックスしたら?」
「えっと、あの、やっぱり一応は、電車の中ですから・・・」
「そんなお堅いこと言っても、今だってパンティ、隠しきれていないじゃない?」
「それは、そうですけれど・・・」
「ふーん。素直じゃないわね、マゾのクセに。これならどう?」
「んふぅっ!」
ショーツの奥でローターが強烈に震え始めました。
思わず眉間にシワが寄ってしまうほど。
「うわー。エロい顔になっているわよ?そんな顔をしていたら、遠くから見た人にだって、感じているのがバレちゃうわよ?」
愉しげなヒソヒソ声が右耳をくすぐりました。
両腿をピッタリ閉じてローターを締め付けていると余計感じてしまうので、仕方なく徐々に両膝を開き始めました。
両足は揃えたまま膝だけ大きく開いたので、もしも誰かが視ていたら、すごく卑猥かつお下品な格好だったことでしょう。
股を開いて震動は幾分ラクにはなりましたが、今まで昂ぶりつづけていたところに、今回の刺激は強烈でした。
お姉さまは、まだローターを止めてくださいません。
両膝が無意識に、パクパク開け閉めの動きをしちゃっています。
私、こんな走っている地下鉄の中で、感じちゃっている・・・
他のお客様も普通に乗っている明るい車両の中で、イキそうになっちゃっている・・・
そんな背徳的な想いが被虐の炎に油を注ぎ、益々敏感に疼き悶える下半身。
感じていないフリを必死に繕いながらも、どんどん高まっていました。
間もなく次の駅に到着、というアナウンスと共にローターがピタッと止まりました。
ああんっ、もう少しでイケたのに・・・
ホッとする気持ちと残念に思う気持ちが半々の私。
髪の生え際にジンワリ汗が滲むほど火照った顔は、すごくエロくなっていたと思います。
両膝を無駄にパクパク開け閉めしちゃったせいでしょう、ワレメが割れておツユがもっと染み出してしまったようで、ショーツのクロッチは滴らんばかりのぐしょ濡れ。
事実、座っている両腿のあいだから見える紫色のシートに少し白濁した水滴が一粒、半透明な宝石のようにキラッと光っていました。
電車が減速し始めると、お姉さまがバッグを持ったまま、おもむろに立ち上がりました。
私もあわててつづきます。
立ち上がるとき、シートの水滴と私の股とのあいだに、細い糸が一本スーッと伸びて、すぐ切れたのがハッキリ見えました。
からだ中の血液が沸騰しそうでした。
入ってきたときと同じドアの手摺りに掴まり、電車が停まるのを待ちました。
お外の暗闇で鏡と化した窓ガラスに映る、赤い首輪の女。
その辛そうな顔がなんとも悩ましく淫ら過ぎて、今すぐどこかに逃げ去りたい気持ち。
鏡の奥には、そんな私を愉しそうに見つめるお姉さまのお顔もありました。
やがて窓ガラスが明るくなり、電車がホームへと滑り込みました。
駅のホームに降り立つと、お姉さまが再びビニールトートを私の左肩に提げさせました。
もちろん、タオルの側ではないほうを表に出して。
私も再び、お姉さまの左腕にしがみつきました。
広くて明るいホーム内に、聞き覚えのある日常的な雑踏と喧騒。
閑散とした電車内から一変した雰囲気に戸惑ったのか、電車内でのローター陵辱による昂ぶりの余韻が急激に引き始めたのが、少し残念でした。
「ず、ずいぶん人が多いですね・・・」
さっきの駅のホームとは打って変わって、それなりの人数の人たちが広めのホームを右へ左へ、忙しそうに歩いていました。
「ここの駅一帯に、確か五種類の地下鉄路線が乗り入れている一大乗換え駅だからね。ここからなら、池袋でも渋谷でも銀座でも浦安でも、なんなら神奈川にだって埼玉にだって一本で行けちゃうのよ」
お姉さまが人波を優雅にすり抜けながら、教えてくださいました。
「でもやっぱり、普段に比べれたらかなり少ないほうね。歩いている人種も違うし。普通の日はほとんどサラリーマンだけだもの」
確信を持った足取りで、いくつものエスカレーターや階段を上ったり下りたりしながら、歩きつづけるお姉さま。
置き去りにされないように、私もその左腕にくっついています。
絶えず誰かとすれ違い、追い越され、ときどき首輪に視線を感じました。
そして歩いているうちに、さっきみたいな空いている駅よりも、このくらい混んでいたほうが気がラクなことに気がつきました。
誰かにすれ違いざま注目されたとしても、それはほんの数秒間の出来事。
ずっと歩きつづけているので、お互い違う方向に歩き去れば、すぐに忘れてしまう。
二度見しようとしても、私の姿はすでに人混みの中に消えているでしょう。
そんな、人混みに紛れている感、が、安心感をもたらしてくれたのだと思います。
もちろんたくさん人がいる分、私の首輪や股間に気がつく人数も増えているはずですけれど。
「ずいぶん広い駅なのですね?」
優雅に歩きつづけるお姉さまにお尋ねしました。
「うん。この駅は構内で別の駅ともつながっているの。まだ改札出ていないでしょ?」
「そう言えば・・・」
「降りたのは永田町駅だったけれど、あたしが目指しているのは赤坂見附の改札。取引先がいくつかあるから、そっちから出たほうが土地勘があるのよ」
短かいエスカレーターに乗ったところで、お姉さまが教えてくださいました。
「そんなことより直子はさ、さっき電車の中でローターに感じまくっていたとき、誰かにずっと、じーっと視られていたの、気がついていた?」
エスカレーターを降り、まっすぐの通路になってお姉さまと並んだとき、ヒソヒソ耳打ちしてきました。
青天の霹靂でした。
「えーっ!?だってあのときは、前にも横にも、誰も座っていませんでしたよ?」
「そうね。座ってはいなかったわね。でもひとり、直子の斜め前くらいに、いたでしょう?」
「あっ!」
イヤホンをしてドア際に立っていた、あの男性のことのようです。
「でもでも、あの人はずっと背中を向けて、お外を見ていましたよ?窓ガラス越しに・・・」
自分で言い訳している途中に、はっ、と気がつきました
人混みの安心感から余裕が出て、せっかく装えていたお澄まし顔が、みるみる崩れてしまいました。
「やっと気がついたみたいね。さっき直子も自分の顔に見惚れていたじゃない?地下鉄って外がずっと暗いままだから、窓ガラスが鏡みたいになって、車内の様子が鮮明に映り込んじゃうのよ」
お姉さまのヒソヒソ声がすっごく愉しそう。
ゆっくりと歩きながら、お姉さまのお話がつづきました。
「あたしが見ていた感じでは、かなり早い段階で気づいていたみたいよ。あたしが直子の膝からバッグを取り上げたとき、彼の肩が一瞬、ビクンと揺れたもの」
「たぶんその前、乗り込んで座ったとき、直子のパンティが見えていることに気づいて注目していたのだと思うわ。そうじゃなくても、そんな首輪をしているのだもの、ヘンな女だなって注目しちゃうでしょうけれど」
ご自分でやらせたクセに、イジワルなことをおっしゃるお姉さま。
「後姿を見た感じ、若めで細身でスーツ姿でもあったし、害は無さそうって判断して、サービスしてあげることにしたの」
「あたしの姿も一緒に窓に映り込んでいるはずだから、あたしが彼に気づいていることに気づかれないように観察するのが大変だったかな。なるべく視線を動かさないようにしてね。でも見ていてすごく面白かったわよ、ふたりとも」
「直子が膝を広げ始めたとき、手摺りを握っている彼の右手に力が入って、白くなってたのが可笑しかったわ。きっと彼も充分愉しめたでしょうね」
「あたしたちが降りるまで一度も振り向かなかったのは偉かったわね。あんなの見せつけられたら、一度は肉眼で、生で拝みたかったでしょうに」
「降りる前にドアのところに立って確認してみたら、対面の端のシート一帯がガラスにバッチリ映っていたから間違いないはず。彼の位置から直子の挙動は、鏡状態で丸見えだったの」
「あれだけ長い時間視ていれば、直子の股間の黒いものがマン毛でないことも、だったらなぜ黒くなっているのかも、わかっちゃったでしょうね」
「それに、あたしたちがどういう関係で、直子が何をさせられていたのかだって、ちょっと知識があればわかったはずよ。あの女は露出狂マゾだって、彼が正しく理解してくれたら、直子も本望でしょう?」
「彼が交差点のオタク君たちみたいに、えっちな知識をたくさん持っていてくれることを祈るわ。降り際にやっとこっちを振り向いたのを見た感じでは、気弱そうなメガネ君だったけれど」
お姉さまが愉しげにお話されているあいだ中、私はお姉さまの腕にギューッとしがみついていました。
お話が進むごとに、いてもたってもいられなくなりました。
全部、視られていた・・・
周囲に目がないことに安心しきって、自らいやらしく開け閉めしていた股間も、ローターで感じているのを必死に取り繕う顔も、愛液がジュクジュク滲み出るショーツも、立ち上がったときに引いた糸までも・・・
知らない男性に全部、視られていた・・・
やよい先生やシーナさま、そして最近ではお姉さまにしかお見せしたことのない、マゾ女直子がイク寸前まで高まった姿、私のヘンタイな本性・・・
恥ずかしいとか、羞恥とか、そういう言葉では到底収まりきらないほどの恥辱感が、全身を駆け巡っていました。
でもその恥辱感には不思議なことに、今までに感じたことの無い甘美な開放感も少し、混ざっていたのも事実でした。
「ふう。やっと着いた。ここからが丸の内線、赤坂見附駅のホーム。それで、ここに寄りたかったの」
お姉さまからのショッキングな暴露で腑抜けのようになった私を、お姉さまが引き摺るみたいに誘導してくださいました。
通路からホームへ向かう少し広くなったスペースの片隅に、見覚えのある形がありました。
さっきの駅にあったのと同じような、証明写真機のブースでした。
「またここで、おっぱい写真を撮ってもらうおうと思ってさ」
「はい・・・」
どんなに恥ずかしいめに遭わされても、それを見知らぬ人に視られても、していただいたこと、視ていただいたことを、悦んで受け入れなければいけない・・・
だってそれは、マゾでヘンタイな私のことを想うお姉さまが、敢えてしてくださることなのだから・・・
私はそういう女なのだから・・・
そんな気持ちになっていました。
傍らを人々がひっきりなしに行き交う証明写真機ブースの前で、お姉さまと向かい合わせに見つめ合いました。
「おっぱいの出し方はさっきと同じ。ブラを下にずらす。わかるわよね?」
「はい」
「今回あたしは覗かないから、全部ひとりでやりなさい」
「はい」
「おっぱい出して、今度は顔を隠さないで写真を撮りなさい」
「はい」
「撮り終わったらおっぱいはしまわずに出したまま、ワンピのボタンだけ留めて出てきなさい」
「・・・はい」
「なんだか急に素直になっちゃったのね?ちゃんとわかってる?」
「はい。わかっています。直子はお姉さまの言いなりドレイですから、何でもお姉さまのおっしゃる通りにいたします」
「うふふ。あのメガネ君に視られちゃったと知って、開き直っちゃったみたいね。ますます愉しくなってきたわ」
お姉さまの瞳がエス色に妖しく揺れて、私のマゾ度も臨界点を突破。
今の私は心身ともにドエム一色でした。
「これ、お金ね。あと、これ」
ウェットティッシュを数枚渡されました。
「パンティから雫が今にも垂れそうよ。直子の剥き出しマゾマンコを、中でキレイに拭ってきなさい。まあどうせ、すぐにまた濡らしちゃうのでしょうけれど」
「お心遣いありがとうございます、お姉さま」
「バッグは持っていてあげるから、早くやっていらっしゃい」
「はい、お姉さま」
右手にお金、左手にウェットティッシュを握り締め、ブースの中に入りました。
*
*オートクチュールのはずなのに 18へ
*
2015年8月16日
オートクチュールのはずなのに 16
低めのビルが立ち並ぶ、いかにもオフィス街というたたずまいの一画を、お姉さまとふたり、歩いていきます。
たまにみつかる飲食店もお休みばかりで、街全体がまさしく、休日、という感じ。
当然、人通りもとても少ないのですが、まったく無いというわけではありません。
奥様風のご婦人や子供連れのご家族とすれ違ったり、曲がり角から突然、若い男性が現われたり。
そのたびに私はビクビクしてしまい、寄り添ったお姉さまから、うつむかない、顔を上げて堂々と、って小さなお声で叱られました。
少し風が出てきたみたいで、向かい風が吹くとワンピースの裾の真正面が完全に左右に割れて、はためきました。
どうやら先ほど車で走ってきた幹線道路のほうへ戻るようです。
四つ角を二、三度曲がり、路地から幹線道路が見える頃には、道行く人たちもけっこう増えていました。
お姉さまに叱られるので一生懸命頑張って、まっすぐ前を向き普通の顔をしているように努めました。
ミニワンピースの裾からは濡れそぼったショーツの股間が始終チラチラしているはずです。
リモコンローターはいつの間にか止まっていました。
うつむかずに歩いていると、行き交う人たちが私を視たときの反応がわかりました。
最初に視線が注がれるのは、やっぱり首輪。
一瞬チラッと見てから、たいていの人が二度見してきました。
首輪をじっと見て、それから視線が上下して顔と全身。
ただ、私に気づく人は、正面からやって来てすれ違う人たちばかりで、視られている時間もほんの数秒間。
後ろから追い越して行く人や道幅を隔てた反対側を行く人たちなど、ほとんどの人たちは、私のことなど一瞥もせず、ただ通り過ぎていきました。
そっか、道を歩いているときって、意外と他人のことなんて見ていないものなんだ。
それがわかって、気持ちがかなりラクになりました。
路地が尽きて、幹線道路の歩道に入りました。
どこかの駅が近いみたいで、開いているお店も並び、賑わっている、というほどではないにしろ、それなりに人通りがありました。
少し歩くと交差点があり、信号待ちの人波が出来ていました。
人波と言っても、10数人ほど。
お姉さまに手を引かれ、その最前列に立ちました。
幸い、風は弱まっています。
「平日のお昼時とか、この交差点にもかなりの人数が集まるのだけれどね」
のんびりしたお声で教えてくださるお姉さま。
つないでいた手をいったん解き、その手をジーンズのポケットに入れました。
同時に股間のローターが震え始めます。
「んっ!」
唇を真一文字に結んで、なんでもないフリを装う私。
お姉さまは、スイッチを入れたり止めたりして遊んでいます。
「あっ、あそこのふたり、直子に注目しているみたいよ?」
お姉さまが、軽く顎を突き出して示される視線の先を追ってみます。
片側3車線の幅広い交差点の向こう側には、こちらと同じくらいの数の歩行者の方々が信号の変わるのを待っていました。
全員の目がすべてこちらに向いているので、最前列で対面している私は、それらの視線にじっと観察されているような錯覚を覚えました。
お姉さまがおっしゃったおふたりは、すぐにわかりました。
年齢は私とそう変わらなそうな、学生さん風男性二人連れ。
おふたりとも中肉中背で、遠いのでお顔まではわかりませんが、ひとりはリュックを、もうひとりはショルダー掛けのバッグを提げていました。
リュックの人がこちらを指差し、ショルダーの人に何やら耳打ちしていました。
交差点をまばらに車が通過して、ミニワンピの裾がそよそよと風に揺れます。
「いい?まっすぐ前を見て、絶対裾を押さえては駄目」
お姉さまのささやきが、私の右耳をくすぐりました。
「ほら、あたしにもっとくっついていいわよ」
おっしゃると同時にローターが強く震えだし、ポケットに突っ込んだままのお姉さまの左腕に、自分の右腕を絡めてしがみつきました。
ようやく信号が変わって歩き始めます。
ローターは止まっています。
一歩踏み出すたびに裾がヒラヒラ割れています。
すれ違う人や追い越す人たちが、チラチラと私の首輪に視線をくれるのがわかりました。
お姉さまにピッタリ寄り添って、視られていることを充分意識しながら、それでも普通のフリで歩きました。
学生さん風の二人連れも、向こう側から歩き始めていました。
時折何かおしゃべりしては、おふたりともずーっと私たちのほうを向いたまま。
近づくにつれて、その視線がとくに下のほう、すなわち私の股間周辺に集中して注がれているのがわかりました。
一歩先を歩くイジワルなお姉さまは、横断歩道を斜めに誘導し、わざとその人たちに近づくように仕向けています。
その人たちとの距離がみるみる縮まってきました。
その人たちと絶対目を合わせないように前を見つつも、その視線の行方がすっごく気になって仕方ありません。
ヒシヒソ話しているのは、お姉さまがおっしゃった通り、股間にチラチラ見え隠れしている黒いものが、陰毛だと思っているからかもしれない。
そんなふうに考えるともう、いてもたってもいられない気持ちになります。
あと2メートルくらいですれ違う、というときに、股間のローターが突然震え始めました。
「ぁふぅっ」
小さく喘いでお姉さまの左腕にギュッとしがみつく私。
同時に目もつぶってしまったので、すれ違いざまの彼らのリアクションを知ることは出来ませんでした。
彼らとすれ違った後も、首輪に他の人たちから、いくつかの視線を感じながら、交差点を渡り終えました。
渡りきった後、お姉さまが一度背後を振り向き、それから再び手をつないできました。
そこからは、車がすれ違えるくらいの道幅の下り坂になっていました。
交差点を渡る前の路地よりは、人通りが若干多い感じ。
お店は開いていたり閉まっていたり。
ローターは止まっています。
「さっきの二人組、直子のことガン見していたわね」
お姉さまが少し歩調を緩めて、耳打ちしてきました。
「すれ違うとき、背の低いほうがニヤニヤ笑っていて気持ち悪かった。すれ違った後も振り返って、まだあたしたちのこと見ていたのよ」
背の低いほうというと、リュックの人のほうです。
でも、私はと言えば今の体験にドキドキし過ぎて何も考えられず、お姉さまのお言葉にお返事出来ません。
「ずーっと直子の股間ばかり視ていたわよね?たぶんあいつら、直子がノーパンで、マン毛が見えていると思ったのよ」
お姉さまも私と同じことを考えていたようです。
「いでたちからいってオタクぽかったわよね?あの手の人種は知識だけは豊富だから、あたしたちが何をしているのか、わかっちゃったでしょうね」
「女同士で腕組んで、片方が首輪なんか着けてエロい格好していて、もう片方はそ知らぬ顔で先に立って歩いている・・・」
「すなわち、レズビアンのエスとエムの野外露出調教羞恥プレイ。まあ、あたしたちが今やっていることって、実際その通りなのだけれどね」
「オトコのオタクって、そういう妄想ばっかりしているらしいじゃない。現実で目の当たりにしちゃったから、あの子たち今夜、いろいろと捗っちゃうでしょうね」
愉快そうなお姉さまの弾んだお声。
そんなお話をしながら歩いているあいだも、いくつもの通り過ぎる視線を自分の首に感じていました。
そうです。
少しでもその手の知識がある人なら、首輪をしている女イコール、マゾ性癖を持つ女、とみなすのです。
そして、そのマゾ性癖の女がきわどくエロっぽい格好をしていれば、露出願望を持つ視られたがりマゾ女なのだな、とも理解するでしょう。
自分からしているのか、強制されてイヤイヤしているのかまではわからないでしょうけれど。
今現在、私がそういう格好、つまり、自分のヘンタイ性癖を赤裸々に露にした格好で、公衆の面前を歩いているという現実に、今更ながら全身の血液がカーッと萌え上がってしまいます。
「見えた見えた、あれね」
一歩先を歩くお姉さまが指さす先には、地下鉄の駅があることを示すマークがありました。
「あたしもここから乗ったことはないのよね。って直子、なんだか目がトロンとしちゃってる。さてはまた、えっちな妄想をふくらませていたでしょ?」
お姉さまの冷やかすようなお声。
私を振り向いてくださったお姉さまを、すがるように見つめました。
「あの、いえ・・・私、あの、さっきから感じっぱなしなんです・・・」
思い切って正直に告白しました。
「ふーん。視られることが恥ずかしいっていう気持ちより、気持ちいいっていう感覚が勝ってきたのね。いい傾向よ。それこそ直子の本性なのだから。でもまだまだこんなものでは終わらないからね」
握っていた手を解くお姉さまと、股間の振動に備えて身構える私。
今日のお姉さまは、かなり本気。
お部屋を出てから今までのあれこれで、それがはっきりわかりました。
本気で、公衆の面前で私を辱めようとしている。
それで私が悦ぶから、私がそれを望んでいるから。
自分のマゾ性を何に臆することなく、さらけ出せる喜び。
それを与えてくださるお姉さまに、精一杯お応えしなければ。
そう考えるようになっていました。
地下鉄の駅へ降りる階段は狭く、傾斜も急でした。
そして何よりも風がすごい勢いで吹き上げていました。
その前に立ったとき突風を浴び、私のミニワンピの裾はあっさり大げさにひるがえり、ちょうど上がって来たご中年の男性にパンモロをバッチリ視られてしまいました。
さすがの私もあわてて前を押さえるほど。
それでも風に煽られてふくらみつづけるスカート。
歩道を歩いていた人たちには、丸出しショーツのお尻をしっかり見られちゃったことでしょう。
「まあ仕方ないわね。この風でミニスカの裾を押さえない女性なんて、それこそ頭がヘンだと思われちゃうもの」
お姉さまも苦笑いで、いったん階段入口の脇にふたりで避難しました。
「おーけー。あたしが先を歩くから、直子は後ろに着いてきなさい」
愉しそうにおっしゃるお姉さま。
「前も押さえていいわ。ただし、一番下を押さえるのは駄目。そうね、下腹部の、その留まっている一番下のボタンのとこらへんを押さえて、クロッチ前は、はためくようにしておくこと」
「もちろん直子は、完全に隠しきれていると思って余裕の表情をしていること。常にあたしの二段後ろね、それ以上詰めちゃ駄目」
「・・・はい、わかりました」
お姉さまのイジワル声が一段と愉しげです。
「これからこの階段を上がってくる、とくに男性にはご褒美タイムね。もれなく直子の愛液が滲み出たシミつきパンティのクロッチがバッチリ拝めるの。それをマン毛だと思い込むのも自由」
「何人とすれ違うかは、日頃の直子の行ない次第かしら。あ、それと、前屈み気味に歩けば、すれ違うときおっぱいも覗いてもらえるかもよ?」
そうなのです。
強い風を孕んだワンピースは上半身の布も浮かせ、さっきの突風であわてて前を押さえて前屈みになった私の視界には、風を孕んで浮き上がったVゾーンからブラジャーも丸見えだったのでした。
「さあ、行きましょう」
お姉さまに右腕を引っ張られ、再び階段の入口に立ちました。
人がやっとすれ違えるくらい狭く、普通の膝丈スカートだったとしても一番下から一番上を見たらスカートの中が覗けちゃいそうな、長くて急勾配な階段。
その左側をゆっくり下りていくお姉さまの背中を追って、私も下り始めました。
強い風が正面から、絶えず吹きつけて来ます。
お言いつけ通り、裾の少し上を押さえ、急勾配なので幾分前屈みになって。
風が内腿のあいだを吹き抜けて行くのがわかりました。
三段も下りないうちに、一番下に人影が現われました。
スーツ姿のご中年サラリーマン風男性。
休日出勤なのかな。
通路をうつむきがちに歩いてきて、階段一段目の前でおもむろに上を見上げました。
まず、前を行くお姉さまに目を留め、つづいてその背後の私にも。
そこで、おやっ?、というお顔になり、上を見上げたまま、階段の向かって右端の一段に、ゆっくりと右足を踏み出しました。
距離と勾配と私のミニワンピの裾丈を考えれば、風が吹いていようがいまいが、前を押さえていようがいまいが、あの位置からなら、裾の中身は丸見えでしょう。
本来であれば、バッグなどを前に持って防御するべき、ミニスカ女性の天敵のような階段でした。
必要以上にゆっくりと階段を下りていくお姉さま。
お言いつけ通り、その二段後ろを、少し前屈み気味に着いていく私。
風を孕むミニワンピース。
始終左右に割れっぱなしの裾で、剥き出しとなっているクロッチ。
その男性は私とすれ違うとき、なぜだか少し申し訳無さそうなお顔をされていました。
最初の階段を下り終えると、少し平地を歩いてまた次の長い階段。
運が良いのか悪いのか、ちょうど電車が到着した後だったようで、最初の男性につづいて、十数人の人たちと次々にすれ違いました。
女性にはあまり関心を示されませんでしたが、男性は老いも若きもみな一様に、私を視界に認めたときから歩調が緩くなり、首輪と股間へ交互にチラチラ視線を送ってくださいました。
その視線を感じるたびに、全身がゾクゾク疼きました。
すれ違った後にも振り返ってくる気配を感じ、更に前屈みになって胸元を覗き込みやすいような姿勢になってあげたりもしました。
お姉さまは、ときどき振り向いてはカメラを向けてきました。
そんなふたりを呆気にとられたお顔でまじまじと見てくるご婦人もいらっしゃいました。
階段を降りているあいだ中、注がれる視線のすべてが心地良く私を陵辱してくださいました。
ローターが震えてもいないのに、膣内がヒクヒクしっぱなしでした。
階段を下りきると風も弱まり、電車が行ったすぐ後なので、数メートル先の切符券売機近くにも人影は無く、私たちの後から階段を下りてきた人たちがちらほら、私たちを追い越して改札を通っていきました。
「かなり注目を集めちゃったわね?」
「お姉さまがお綺麗で、人目を惹いてしまうからだと思います」
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね。おだてても、直子への命令が甘くなることはないわよ?」
「はい。わかっています」
「たくさん視てもらって、どう?濡れちゃった?」
「あ、はい・・・」
はしたないけれど真実だから仕方ありません。
「あの階段、下りだったからまだマシだったかもね。上りだったら、下りてくる人からは直子の谷間覗き放題、直子の後ろに着いた人には、パンティのお尻ずっと丸出し状態だもの」
私の手を取ってゆっくりと、券売機方向へ向かうお姉さま。
お姉さまのお言葉に、どうせならそれもやってみたいかも、なんて思っちゃう、ふしだらな私。
「あっ!この駅にもあるんだ」
もうすぐで券売機というところで、お姉さまが立ち止まりました。
お姉さまがご覧になっている方向にあるのは、駅や街角にたまに設置してある、証明写真の撮影ブースでした。
「ちょうどいいわ。ちょっとここで練習していきましょう」
お姉さまが謎なことをおっしゃり、私の手を引いてブースに近づきました。
「直子、入って」
「はい・・・」
開きっ放しのカーテンの向こうに、作り付けの小さな椅子がひとつだけ。
「直子も使ったことあるでしょう?こういう証明写真機」
「あ、はい。学生の頃、何度か・・・」
「お金はあたしが出してあげるからバッグをちょうだい」
「あ、はい」
肩に提げたビニールトートをお姉さまに差し出して、椅子に腰を下ろしました。
「それじゃあ、閉めるわよ」
「えっ?お姉さまは?」
「そんな狭いところに二人で入っていたらヘンに思われるでしょ?プリクラじゃあるまいし」
苦笑しながらカーテンが閉じられたと思ったら、ブースの壁とカーテンの隙間から、お姉さまがニュッとお顔だけ入れてきました。
「もうわかっているとは思うけれど、そこでカメラに向かって、おっぱい出しなさい」
隙間から顔だけお姉さまの、抑えた声でのご命令。
もちろん、えっ?とは思ったのですが、ご命令には絶対服従なので、一度うなずいてから、胸元のボタンを外し始めました。
だけど、お姉さまが覗いて撓んでいるカーテンに隙間が出来ていないか、内心気が気ではありません。
ドキドキしながらおへそ近くまでボタンを外し終えました。
これからどうすればいいのでしょう。
ブラジャーも外すのかな?
考えながら、お姉さまをすがるように見ました。
「ブラを下にずらして、おっぱいを出しなさい。カップを下乳まで下げて」
お姉さまに促され、ブラジャーのハーフカップ全体をお腹のほうへ引き下げました。
尖った乳首がプルンと跳ねて、おっぱい全体が露になりました。
下げたハーフカップに下乳が持ち上げられ、いつもよりひと回り大きく見えます。
「ちゃんとおっぱいまで写るように背筋を伸ばしてね。あと、そのおっぱいの出し方、しっかり憶えておいて」
そうおっしゃって、お姉さまのお顔が一度引っ込みました。
カーテンの端が意地悪するみたいにユラユラ揺れて、お外がチラチラ覗けます。
目の前の鏡に映る、赤い首輪を嵌めて不自然な形に両乳房を露出した不安げな女の上半身。
カーテン越しに駅のアナウンスや電車が走り去る轟音、人々のざわめきが聞こえてきて、私のドキドキは最高潮。
どんどん心細くなっているとき、お姉さまのお顔がニュッと、再び現われました。
「はい。お金」
小銭を渡され、投入口に入れました。
「顔は隠していいから、おっぱいはバッチリ写るようにね。顔は、右の手のひらをカメラに向けて、目と鼻だけ隠しなさい」
「こう、ですか?」
試しにお言いつけ通りの方法で顔を隠すと、お姉さまからおーけーをいただきました。
「写真撮ったらさっさとおっぱいしまって、元通りに服装直して出てきなさい」
それだけおっしゃると、お顔がまたひっこみました。
操作盤の説明に従って、写真を撮りました。
ストロボが光ったとき、かなりびっくりしてしまいました。
それから大急ぎでブラジャーを直し、胸元のボタンも留め直しました。
出来上がった写真は、お外の取り出し口から出てくるということなので、自らカーテンを開けてお外へ出ました。
写真はすでに出来ていたみたいで、お姉さまがお手に取ってニヤニヤされていました。
「なんだか、どこかの風俗嬢の紹介写真みたいね」
お姉さまが差し出してきた紙には、両目と鼻付近だけを手のひらで隠したおっぱい丸出し女のバストアップ写真が、無機質な青色をバックにまったく同じ構図で4枚、鮮明に印刷されていました。
赤い首輪と尖った乳首が淫猥で、ひと目でこの女はマゾだとわかっちゃうように感じました。
それよりも何よりも、こんな自分の恥ずかし過ぎる写真を、すぐ横を見知らぬ人たちがたくさん行き交う駅の改札近くで見せられていることに、アブノーマルな興奮を感じていました。
「この写真は、あたしが記念にいただくわ。お金を出したの、あたしだもの」
お姉さまがイタズラっぽく微笑み、ビニールトートをガサゴソし始めました。
「それで、あたしのものっていうことは、あたしがどうしようが勝手っていうことよね?」
お裁縫セットから取り出したちいさなハサミで、写真を上下2枚づつの二分割にチョキンと切り離しました。
「こっちは、バッグに仕舞って・・・」
ビニールトートのバスタオル側ではないほうに、写真が透けて見えるようにわざわざ表を向けた形で無造作に突っ込むお姉さま。
「そして、残りのこっちは・・・」
お姉さまがニッと微笑み、証明写真ブースの中に入り込んで、操作盤の下の狭い台になったところの隅っこに、裏を向けて置きました。
「散歩の帰りにもう一度ここに立ち寄って、この写真が残っているか確認するの。賭けみたいなもの。面白いと思わない?」
お姉さまの超愉しそうな笑顔。
「つ、つまり、もしかしたらこの写真が、誰かに視られちゃう、ということですよね?」
自分で尋ねながら、誰かがこの写真をみつけたときの光景を想像して、キュンキュン感じてしまう私。
「この時期に証明写真を撮ろうなんていう人は少ないとは思うけれど、中に入ったら絶対に気づくわよね?それで写真見れば、まあ、オトコなら絶対持って帰るでしょうね」
「直子はどう思う?残っているか、誰かが持っていっちゃうか」
「うーん・・・やっぱりこの時期だと、誰もここを使わなくて、そのままのような気も・・・」
「おーけー。それじゃあ、もしなくなっていたら直子の負け、ということで、特別なお仕置き。それで決まりね。ちょっとここで待ってて」
お姉さまは、ビニールトートの提げ手を私の左肩まで強引に通した後、お財布だけ持って券売機のほうへと向かいました。
その背中を見送りながら、私は帰りに再び、あの階段を下りなくてはいけない、ということに、ふと気づきました。
帰りの頃の私は、いったいどんな姿にされているのだろう・・・
変わらず下着を着けているとは、到底考えられませんでした。
そして、あの写真があるかどうかを確認したら、今度は電車に乗るのではなく、下りてきたあの急階段を上がって戻らなければならないのです。
ノーパンノーブラにされていたら・・・
そのときの自分を思うだけで、頭がクラクラするほどムラムラ疼いてしまいました。
*
*オートクチュールのはずなのに 17へ
*
たまにみつかる飲食店もお休みばかりで、街全体がまさしく、休日、という感じ。
当然、人通りもとても少ないのですが、まったく無いというわけではありません。
奥様風のご婦人や子供連れのご家族とすれ違ったり、曲がり角から突然、若い男性が現われたり。
そのたびに私はビクビクしてしまい、寄り添ったお姉さまから、うつむかない、顔を上げて堂々と、って小さなお声で叱られました。
少し風が出てきたみたいで、向かい風が吹くとワンピースの裾の真正面が完全に左右に割れて、はためきました。
どうやら先ほど車で走ってきた幹線道路のほうへ戻るようです。
四つ角を二、三度曲がり、路地から幹線道路が見える頃には、道行く人たちもけっこう増えていました。
お姉さまに叱られるので一生懸命頑張って、まっすぐ前を向き普通の顔をしているように努めました。
ミニワンピースの裾からは濡れそぼったショーツの股間が始終チラチラしているはずです。
リモコンローターはいつの間にか止まっていました。
うつむかずに歩いていると、行き交う人たちが私を視たときの反応がわかりました。
最初に視線が注がれるのは、やっぱり首輪。
一瞬チラッと見てから、たいていの人が二度見してきました。
首輪をじっと見て、それから視線が上下して顔と全身。
ただ、私に気づく人は、正面からやって来てすれ違う人たちばかりで、視られている時間もほんの数秒間。
後ろから追い越して行く人や道幅を隔てた反対側を行く人たちなど、ほとんどの人たちは、私のことなど一瞥もせず、ただ通り過ぎていきました。
そっか、道を歩いているときって、意外と他人のことなんて見ていないものなんだ。
それがわかって、気持ちがかなりラクになりました。
路地が尽きて、幹線道路の歩道に入りました。
どこかの駅が近いみたいで、開いているお店も並び、賑わっている、というほどではないにしろ、それなりに人通りがありました。
少し歩くと交差点があり、信号待ちの人波が出来ていました。
人波と言っても、10数人ほど。
お姉さまに手を引かれ、その最前列に立ちました。
幸い、風は弱まっています。
「平日のお昼時とか、この交差点にもかなりの人数が集まるのだけれどね」
のんびりしたお声で教えてくださるお姉さま。
つないでいた手をいったん解き、その手をジーンズのポケットに入れました。
同時に股間のローターが震え始めます。
「んっ!」
唇を真一文字に結んで、なんでもないフリを装う私。
お姉さまは、スイッチを入れたり止めたりして遊んでいます。
「あっ、あそこのふたり、直子に注目しているみたいよ?」
お姉さまが、軽く顎を突き出して示される視線の先を追ってみます。
片側3車線の幅広い交差点の向こう側には、こちらと同じくらいの数の歩行者の方々が信号の変わるのを待っていました。
全員の目がすべてこちらに向いているので、最前列で対面している私は、それらの視線にじっと観察されているような錯覚を覚えました。
お姉さまがおっしゃったおふたりは、すぐにわかりました。
年齢は私とそう変わらなそうな、学生さん風男性二人連れ。
おふたりとも中肉中背で、遠いのでお顔まではわかりませんが、ひとりはリュックを、もうひとりはショルダー掛けのバッグを提げていました。
リュックの人がこちらを指差し、ショルダーの人に何やら耳打ちしていました。
交差点をまばらに車が通過して、ミニワンピの裾がそよそよと風に揺れます。
「いい?まっすぐ前を見て、絶対裾を押さえては駄目」
お姉さまのささやきが、私の右耳をくすぐりました。
「ほら、あたしにもっとくっついていいわよ」
おっしゃると同時にローターが強く震えだし、ポケットに突っ込んだままのお姉さまの左腕に、自分の右腕を絡めてしがみつきました。
ようやく信号が変わって歩き始めます。
ローターは止まっています。
一歩踏み出すたびに裾がヒラヒラ割れています。
すれ違う人や追い越す人たちが、チラチラと私の首輪に視線をくれるのがわかりました。
お姉さまにピッタリ寄り添って、視られていることを充分意識しながら、それでも普通のフリで歩きました。
学生さん風の二人連れも、向こう側から歩き始めていました。
時折何かおしゃべりしては、おふたりともずーっと私たちのほうを向いたまま。
近づくにつれて、その視線がとくに下のほう、すなわち私の股間周辺に集中して注がれているのがわかりました。
一歩先を歩くイジワルなお姉さまは、横断歩道を斜めに誘導し、わざとその人たちに近づくように仕向けています。
その人たちとの距離がみるみる縮まってきました。
その人たちと絶対目を合わせないように前を見つつも、その視線の行方がすっごく気になって仕方ありません。
ヒシヒソ話しているのは、お姉さまがおっしゃった通り、股間にチラチラ見え隠れしている黒いものが、陰毛だと思っているからかもしれない。
そんなふうに考えるともう、いてもたってもいられない気持ちになります。
あと2メートルくらいですれ違う、というときに、股間のローターが突然震え始めました。
「ぁふぅっ」
小さく喘いでお姉さまの左腕にギュッとしがみつく私。
同時に目もつぶってしまったので、すれ違いざまの彼らのリアクションを知ることは出来ませんでした。
彼らとすれ違った後も、首輪に他の人たちから、いくつかの視線を感じながら、交差点を渡り終えました。
渡りきった後、お姉さまが一度背後を振り向き、それから再び手をつないできました。
そこからは、車がすれ違えるくらいの道幅の下り坂になっていました。
交差点を渡る前の路地よりは、人通りが若干多い感じ。
お店は開いていたり閉まっていたり。
ローターは止まっています。
「さっきの二人組、直子のことガン見していたわね」
お姉さまが少し歩調を緩めて、耳打ちしてきました。
「すれ違うとき、背の低いほうがニヤニヤ笑っていて気持ち悪かった。すれ違った後も振り返って、まだあたしたちのこと見ていたのよ」
背の低いほうというと、リュックの人のほうです。
でも、私はと言えば今の体験にドキドキし過ぎて何も考えられず、お姉さまのお言葉にお返事出来ません。
「ずーっと直子の股間ばかり視ていたわよね?たぶんあいつら、直子がノーパンで、マン毛が見えていると思ったのよ」
お姉さまも私と同じことを考えていたようです。
「いでたちからいってオタクぽかったわよね?あの手の人種は知識だけは豊富だから、あたしたちが何をしているのか、わかっちゃったでしょうね」
「女同士で腕組んで、片方が首輪なんか着けてエロい格好していて、もう片方はそ知らぬ顔で先に立って歩いている・・・」
「すなわち、レズビアンのエスとエムの野外露出調教羞恥プレイ。まあ、あたしたちが今やっていることって、実際その通りなのだけれどね」
「オトコのオタクって、そういう妄想ばっかりしているらしいじゃない。現実で目の当たりにしちゃったから、あの子たち今夜、いろいろと捗っちゃうでしょうね」
愉快そうなお姉さまの弾んだお声。
そんなお話をしながら歩いているあいだも、いくつもの通り過ぎる視線を自分の首に感じていました。
そうです。
少しでもその手の知識がある人なら、首輪をしている女イコール、マゾ性癖を持つ女、とみなすのです。
そして、そのマゾ性癖の女がきわどくエロっぽい格好をしていれば、露出願望を持つ視られたがりマゾ女なのだな、とも理解するでしょう。
自分からしているのか、強制されてイヤイヤしているのかまではわからないでしょうけれど。
今現在、私がそういう格好、つまり、自分のヘンタイ性癖を赤裸々に露にした格好で、公衆の面前を歩いているという現実に、今更ながら全身の血液がカーッと萌え上がってしまいます。
「見えた見えた、あれね」
一歩先を歩くお姉さまが指さす先には、地下鉄の駅があることを示すマークがありました。
「あたしもここから乗ったことはないのよね。って直子、なんだか目がトロンとしちゃってる。さてはまた、えっちな妄想をふくらませていたでしょ?」
お姉さまの冷やかすようなお声。
私を振り向いてくださったお姉さまを、すがるように見つめました。
「あの、いえ・・・私、あの、さっきから感じっぱなしなんです・・・」
思い切って正直に告白しました。
「ふーん。視られることが恥ずかしいっていう気持ちより、気持ちいいっていう感覚が勝ってきたのね。いい傾向よ。それこそ直子の本性なのだから。でもまだまだこんなものでは終わらないからね」
握っていた手を解くお姉さまと、股間の振動に備えて身構える私。
今日のお姉さまは、かなり本気。
お部屋を出てから今までのあれこれで、それがはっきりわかりました。
本気で、公衆の面前で私を辱めようとしている。
それで私が悦ぶから、私がそれを望んでいるから。
自分のマゾ性を何に臆することなく、さらけ出せる喜び。
それを与えてくださるお姉さまに、精一杯お応えしなければ。
そう考えるようになっていました。
地下鉄の駅へ降りる階段は狭く、傾斜も急でした。
そして何よりも風がすごい勢いで吹き上げていました。
その前に立ったとき突風を浴び、私のミニワンピの裾はあっさり大げさにひるがえり、ちょうど上がって来たご中年の男性にパンモロをバッチリ視られてしまいました。
さすがの私もあわてて前を押さえるほど。
それでも風に煽られてふくらみつづけるスカート。
歩道を歩いていた人たちには、丸出しショーツのお尻をしっかり見られちゃったことでしょう。
「まあ仕方ないわね。この風でミニスカの裾を押さえない女性なんて、それこそ頭がヘンだと思われちゃうもの」
お姉さまも苦笑いで、いったん階段入口の脇にふたりで避難しました。
「おーけー。あたしが先を歩くから、直子は後ろに着いてきなさい」
愉しそうにおっしゃるお姉さま。
「前も押さえていいわ。ただし、一番下を押さえるのは駄目。そうね、下腹部の、その留まっている一番下のボタンのとこらへんを押さえて、クロッチ前は、はためくようにしておくこと」
「もちろん直子は、完全に隠しきれていると思って余裕の表情をしていること。常にあたしの二段後ろね、それ以上詰めちゃ駄目」
「・・・はい、わかりました」
お姉さまのイジワル声が一段と愉しげです。
「これからこの階段を上がってくる、とくに男性にはご褒美タイムね。もれなく直子の愛液が滲み出たシミつきパンティのクロッチがバッチリ拝めるの。それをマン毛だと思い込むのも自由」
「何人とすれ違うかは、日頃の直子の行ない次第かしら。あ、それと、前屈み気味に歩けば、すれ違うときおっぱいも覗いてもらえるかもよ?」
そうなのです。
強い風を孕んだワンピースは上半身の布も浮かせ、さっきの突風であわてて前を押さえて前屈みになった私の視界には、風を孕んで浮き上がったVゾーンからブラジャーも丸見えだったのでした。
「さあ、行きましょう」
お姉さまに右腕を引っ張られ、再び階段の入口に立ちました。
人がやっとすれ違えるくらい狭く、普通の膝丈スカートだったとしても一番下から一番上を見たらスカートの中が覗けちゃいそうな、長くて急勾配な階段。
その左側をゆっくり下りていくお姉さまの背中を追って、私も下り始めました。
強い風が正面から、絶えず吹きつけて来ます。
お言いつけ通り、裾の少し上を押さえ、急勾配なので幾分前屈みになって。
風が内腿のあいだを吹き抜けて行くのがわかりました。
三段も下りないうちに、一番下に人影が現われました。
スーツ姿のご中年サラリーマン風男性。
休日出勤なのかな。
通路をうつむきがちに歩いてきて、階段一段目の前でおもむろに上を見上げました。
まず、前を行くお姉さまに目を留め、つづいてその背後の私にも。
そこで、おやっ?、というお顔になり、上を見上げたまま、階段の向かって右端の一段に、ゆっくりと右足を踏み出しました。
距離と勾配と私のミニワンピの裾丈を考えれば、風が吹いていようがいまいが、前を押さえていようがいまいが、あの位置からなら、裾の中身は丸見えでしょう。
本来であれば、バッグなどを前に持って防御するべき、ミニスカ女性の天敵のような階段でした。
必要以上にゆっくりと階段を下りていくお姉さま。
お言いつけ通り、その二段後ろを、少し前屈み気味に着いていく私。
風を孕むミニワンピース。
始終左右に割れっぱなしの裾で、剥き出しとなっているクロッチ。
その男性は私とすれ違うとき、なぜだか少し申し訳無さそうなお顔をされていました。
最初の階段を下り終えると、少し平地を歩いてまた次の長い階段。
運が良いのか悪いのか、ちょうど電車が到着した後だったようで、最初の男性につづいて、十数人の人たちと次々にすれ違いました。
女性にはあまり関心を示されませんでしたが、男性は老いも若きもみな一様に、私を視界に認めたときから歩調が緩くなり、首輪と股間へ交互にチラチラ視線を送ってくださいました。
その視線を感じるたびに、全身がゾクゾク疼きました。
すれ違った後にも振り返ってくる気配を感じ、更に前屈みになって胸元を覗き込みやすいような姿勢になってあげたりもしました。
お姉さまは、ときどき振り向いてはカメラを向けてきました。
そんなふたりを呆気にとられたお顔でまじまじと見てくるご婦人もいらっしゃいました。
階段を降りているあいだ中、注がれる視線のすべてが心地良く私を陵辱してくださいました。
ローターが震えてもいないのに、膣内がヒクヒクしっぱなしでした。
階段を下りきると風も弱まり、電車が行ったすぐ後なので、数メートル先の切符券売機近くにも人影は無く、私たちの後から階段を下りてきた人たちがちらほら、私たちを追い越して改札を通っていきました。
「かなり注目を集めちゃったわね?」
「お姉さまがお綺麗で、人目を惹いてしまうからだと思います」
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね。おだてても、直子への命令が甘くなることはないわよ?」
「はい。わかっています」
「たくさん視てもらって、どう?濡れちゃった?」
「あ、はい・・・」
はしたないけれど真実だから仕方ありません。
「あの階段、下りだったからまだマシだったかもね。上りだったら、下りてくる人からは直子の谷間覗き放題、直子の後ろに着いた人には、パンティのお尻ずっと丸出し状態だもの」
私の手を取ってゆっくりと、券売機方向へ向かうお姉さま。
お姉さまのお言葉に、どうせならそれもやってみたいかも、なんて思っちゃう、ふしだらな私。
「あっ!この駅にもあるんだ」
もうすぐで券売機というところで、お姉さまが立ち止まりました。
お姉さまがご覧になっている方向にあるのは、駅や街角にたまに設置してある、証明写真の撮影ブースでした。
「ちょうどいいわ。ちょっとここで練習していきましょう」
お姉さまが謎なことをおっしゃり、私の手を引いてブースに近づきました。
「直子、入って」
「はい・・・」
開きっ放しのカーテンの向こうに、作り付けの小さな椅子がひとつだけ。
「直子も使ったことあるでしょう?こういう証明写真機」
「あ、はい。学生の頃、何度か・・・」
「お金はあたしが出してあげるからバッグをちょうだい」
「あ、はい」
肩に提げたビニールトートをお姉さまに差し出して、椅子に腰を下ろしました。
「それじゃあ、閉めるわよ」
「えっ?お姉さまは?」
「そんな狭いところに二人で入っていたらヘンに思われるでしょ?プリクラじゃあるまいし」
苦笑しながらカーテンが閉じられたと思ったら、ブースの壁とカーテンの隙間から、お姉さまがニュッとお顔だけ入れてきました。
「もうわかっているとは思うけれど、そこでカメラに向かって、おっぱい出しなさい」
隙間から顔だけお姉さまの、抑えた声でのご命令。
もちろん、えっ?とは思ったのですが、ご命令には絶対服従なので、一度うなずいてから、胸元のボタンを外し始めました。
だけど、お姉さまが覗いて撓んでいるカーテンに隙間が出来ていないか、内心気が気ではありません。
ドキドキしながらおへそ近くまでボタンを外し終えました。
これからどうすればいいのでしょう。
ブラジャーも外すのかな?
考えながら、お姉さまをすがるように見ました。
「ブラを下にずらして、おっぱいを出しなさい。カップを下乳まで下げて」
お姉さまに促され、ブラジャーのハーフカップ全体をお腹のほうへ引き下げました。
尖った乳首がプルンと跳ねて、おっぱい全体が露になりました。
下げたハーフカップに下乳が持ち上げられ、いつもよりひと回り大きく見えます。
「ちゃんとおっぱいまで写るように背筋を伸ばしてね。あと、そのおっぱいの出し方、しっかり憶えておいて」
そうおっしゃって、お姉さまのお顔が一度引っ込みました。
カーテンの端が意地悪するみたいにユラユラ揺れて、お外がチラチラ覗けます。
目の前の鏡に映る、赤い首輪を嵌めて不自然な形に両乳房を露出した不安げな女の上半身。
カーテン越しに駅のアナウンスや電車が走り去る轟音、人々のざわめきが聞こえてきて、私のドキドキは最高潮。
どんどん心細くなっているとき、お姉さまのお顔がニュッと、再び現われました。
「はい。お金」
小銭を渡され、投入口に入れました。
「顔は隠していいから、おっぱいはバッチリ写るようにね。顔は、右の手のひらをカメラに向けて、目と鼻だけ隠しなさい」
「こう、ですか?」
試しにお言いつけ通りの方法で顔を隠すと、お姉さまからおーけーをいただきました。
「写真撮ったらさっさとおっぱいしまって、元通りに服装直して出てきなさい」
それだけおっしゃると、お顔がまたひっこみました。
操作盤の説明に従って、写真を撮りました。
ストロボが光ったとき、かなりびっくりしてしまいました。
それから大急ぎでブラジャーを直し、胸元のボタンも留め直しました。
出来上がった写真は、お外の取り出し口から出てくるということなので、自らカーテンを開けてお外へ出ました。
写真はすでに出来ていたみたいで、お姉さまがお手に取ってニヤニヤされていました。
「なんだか、どこかの風俗嬢の紹介写真みたいね」
お姉さまが差し出してきた紙には、両目と鼻付近だけを手のひらで隠したおっぱい丸出し女のバストアップ写真が、無機質な青色をバックにまったく同じ構図で4枚、鮮明に印刷されていました。
赤い首輪と尖った乳首が淫猥で、ひと目でこの女はマゾだとわかっちゃうように感じました。
それよりも何よりも、こんな自分の恥ずかし過ぎる写真を、すぐ横を見知らぬ人たちがたくさん行き交う駅の改札近くで見せられていることに、アブノーマルな興奮を感じていました。
「この写真は、あたしが記念にいただくわ。お金を出したの、あたしだもの」
お姉さまがイタズラっぽく微笑み、ビニールトートをガサゴソし始めました。
「それで、あたしのものっていうことは、あたしがどうしようが勝手っていうことよね?」
お裁縫セットから取り出したちいさなハサミで、写真を上下2枚づつの二分割にチョキンと切り離しました。
「こっちは、バッグに仕舞って・・・」
ビニールトートのバスタオル側ではないほうに、写真が透けて見えるようにわざわざ表を向けた形で無造作に突っ込むお姉さま。
「そして、残りのこっちは・・・」
お姉さまがニッと微笑み、証明写真ブースの中に入り込んで、操作盤の下の狭い台になったところの隅っこに、裏を向けて置きました。
「散歩の帰りにもう一度ここに立ち寄って、この写真が残っているか確認するの。賭けみたいなもの。面白いと思わない?」
お姉さまの超愉しそうな笑顔。
「つ、つまり、もしかしたらこの写真が、誰かに視られちゃう、ということですよね?」
自分で尋ねながら、誰かがこの写真をみつけたときの光景を想像して、キュンキュン感じてしまう私。
「この時期に証明写真を撮ろうなんていう人は少ないとは思うけれど、中に入ったら絶対に気づくわよね?それで写真見れば、まあ、オトコなら絶対持って帰るでしょうね」
「直子はどう思う?残っているか、誰かが持っていっちゃうか」
「うーん・・・やっぱりこの時期だと、誰もここを使わなくて、そのままのような気も・・・」
「おーけー。それじゃあ、もしなくなっていたら直子の負け、ということで、特別なお仕置き。それで決まりね。ちょっとここで待ってて」
お姉さまは、ビニールトートの提げ手を私の左肩まで強引に通した後、お財布だけ持って券売機のほうへと向かいました。
その背中を見送りながら、私は帰りに再び、あの階段を下りなくてはいけない、ということに、ふと気づきました。
帰りの頃の私は、いったいどんな姿にされているのだろう・・・
変わらず下着を着けているとは、到底考えられませんでした。
そして、あの写真があるかどうかを確認したら、今度は電車に乗るのではなく、下りてきたあの急階段を上がって戻らなければならないのです。
ノーパンノーブラにされていたら・・・
そのときの自分を思うだけで、頭がクラクラするほどムラムラ疼いてしまいました。
*
*オートクチュールのはずなのに 17へ
*
2015年8月14日
オートクチュールのはずなのに 15
階下へ降りるエレベーターの奥に貼ってあった大きな鏡で、今、自分がどんな姿になっているのか、その全身をまじまじと視ることが出来ました。
何よりも一番最初に目が行くのは、首に巻かれた赤い首輪。
えんじ色に近いダークな赤色のベルトにメタリックな銀色の金具。
着ているフェミニンなワンピースとのコーディネートとしては、明らかに異質な装飾具。
その違和感が否が応にも視線を引き寄せてしまいます。
視線を少し下ろすと、濃紺ワンピースの胸元にハーフカップのブラジャーに押し上げられた胸の谷間がクッキリ。
ウエストを絞ったおかげで上半身のシルエットがふんわり逆三角形となり、バストのふくらみがより強調されています。
ウエストから若干の末広がりとなった裾は、膝上25センチくらい。
股下でいうと5、6センチ幅くらいの布地が太腿周りを覆っている状態。
更に最下部を留めるはずのボタンが取り去られてしまい、留まっている一番下のボタンは、ちょうど私の恥丘の位置。
今はまっすぐ立っているので大丈夫ですが、歩き始めたら両腿が裾を蹴り、ショーツのクロッチ部分が常時チラチラ見え隠れしてしまうことでしょう。
そんなきわどい着衣の上に、生意気メイクを施された加虐心をそそる顔が乗り、こんなこと自分で言うのは本当にはしたないのですが、見るからにエロくて扇情的、いろいろとえっちな妄想がふくらんでしまう姿だと思いました。
「自分の姿に見惚れちゃってるの?」
鏡から目を離せない私の背後で、お姉さまがからかいます。
「街に出たら、かなり注目を集めそうな格好よね?えっちなオーラがムンムンしてる」
愉しそうな声音でお姉さまがおっしゃいました。
マンション地下の駐車場は誰もいなく、しんと静まり返っていました。
思った通り、一歩歩くごとにショーツに直に空気があたる感触があり、両腿のあいだがスースーします。
助手席に乗り込もうと、腰を曲げた途端にワンピースの裾が全体にせり上がりました。
腰掛けると前立てが派手に割れ、銀色ショーツのクロッチ部分が剥き出しとなりました。
座るために脚を大きく開いたとき、ラビアが開いて漏れ出してしまったようで、クロッチ中央の私のワレスジと同じ位置に、一筋の濡れシミが黒くクッキリ浮き出て、その先端部分が僅かに見えていました。
全身がカッと熱くなり、あわててビニールトートバッグを膝の上に乗せ、その部分を隠しました。
お姉さまは、それについては何もおっしゃらず、滑るように車が発進しました。
お外は相変わらずの曇り空。
でも雲の切れ間ところどころに青空も覗いていました。
時刻は午後の2時15分。
「この感じなら、雨降らないかもしれないわね」
人も車もまばらな街並みを、快調に車は進んで行きます。
「昼間の街中で露出遊びするなんて、アユミのとき以来かな。すごく愉しみ」
信号待ちで停まったとき、お姉さまが独り言みたいにおっしゃいました。
「アユミとしたのは横浜だったから、東京では初めてよ」
今度はしっかり私に向いて、語りかけてきました。
「アユミさんとは、どんなことをされたのですか?」
ワクワクとドキドキのリズムが急激に跳ね上がり、思わず聞いてしまいます。
「そんなこと、今教えちゃったら面白くないじゃない。安心なさい。これから直子に身をもってひとつひとつ体験させてあげるから」
イタズラっぽく微笑むお姉さま。
安心どころか、不安のドキドキがよりいっそう高まる私。
「思った通り、道路も空いているわね。普段はなかなか停められないコインパーキングもガラガラだし」
再び走り出して前を向いたままのお姉さまが、気怠そうにおっしゃいました。
「まあ、連休最終日でこんなお天気じゃ、仕方ないか。でもせっかくそんなエロい格好してきたのに、あんまりギャラリーが少ないと、直子もつまらないでしょう?」
冷やかすようにおっしゃいながらハンドルを右に切るお姉さま。
道幅の広い幹線道路から、小さめなビルが建ち並ぶ路地へと入っていきました。
すぐにビルの谷間の空き地のようなコインパーキングに侵入して駐車。
走り始めてからまだ10分も経っていませんでした。
「さあ、ここからいよいよお散歩開始ね」
エンジンを切って静まり返った車内に、お姉さまの嬉しそうなお声が響きました。
車に乗っているあいだ、別にこれといってえっちなイタズラをされなかったことが、かえって不気味です。
「あの、えっと、ここって、どの辺なのですか?」
お姉さまのご様子を探りたくて、とりあえず車から降りるのを引き伸ばそうとする私。
「うーん、 麹町というか半蔵門というか、まあその辺」
そうおっしゃられても、東京の地理に疎い私には何が何やら。
「ここにひとまず車を停めて、これから地下鉄に乗って永田町まで行くの」
「えっ?私、この格好で電車に乗るのですか?」
尋ねながら体温がグングン上がっていくのがわかりました。
「そうよ。それで永田町界隈をうろうろ散策しつつ、またここまで歩いて戻ってくる。距離的にはひと駅ぶん。永田町って知っているでしょ?国会議事堂とか首相官邸とかがある」
「・・・はい、それは一応」
「この辺り一帯はビジネス街プラス官庁街だから、平日昼間と夜との人口差が20倍なんて言われているのよ。つまり企業や官庁が休みの休日は、普段の二十分の一しか街に人がいなくなっちゃうわけ」
「ほどよく閑散としていて、直子の街角露出デビューにはうってつけじゃない?」
お姉さまがシートベルトを外し、私のほうを向きました。
「手始めにそのパンチラワンピで電車に乗って、直子に慣れてもらおうかと思うのよ、他人から視られることを」
後部座席に置いたご自分のバッグをガサゴソさせつつ、お姉さまがおっしゃいました。
「その首輪だけでも、かなり人の目を惹きつけちゃうでしょうね。その上、谷間見せつけーの、ミニスカ裾割れパンチラだもの。視線独り占め間違いなし」
お姉さまが冷やかすようにおっしゃいました。
「アユミたちと遊んだときの経験から言うと、直子は、視たければいくらでも見せてあげる、くらいの気持ちで堂々としていればいいわ」
「必要以上に照れたり恥ずかしがったりしていると、逆に目立って、勘違いしたオトコどもがちょっかい出しやすいスキが出来ちゃうから」
「あと、一緒にいる友人たち、今日の場合はあたしだけれど、と親密な雰囲気を醸し出していると、不思議とギャラリーがみんな遠巻きになるのよね」
「まあ、そのへんはあたしに任せて、直子は、誰かの視線を感じたら、その視線に臆さないで、自分の性癖に正直に、もっと視て、って思っていればいいの。事実、直子は露出狂のヘンタイで、視られたくて仕方ないマゾ女なのだから」
お姉さまが私の顔をじっと覗き込んできました。
「ずっと妄想で思い描いていた恥辱の悦びを現実で味わうのよ?それも、これまでにない大勢の人の前で。愉しみでしょ?」
お姉さまからのご説明のひとつひとつが、私の淫らな官能を強烈に揺さぶりました。
私がこれから街に出てしようとしていることを、生々しく頭に思い描くことが出来ました。
思い描くだけならば自由ですが、実際に街に出てやってしまったら、それは明らかに異常、アブノーマル。
私、これからどうなってしまうのだろう・・・
内腿のあいだが痺れるように、ムズムズウネウネ疼きました。
「・・・はい」
お姉さまに対するそのうなずきは、自分が露出マゾとして新たな一歩を踏み出す覚悟を込めたものでした。
「念のため再確認しておくわよ?散歩のあいだ、直子はあたしの言葉に絶対服従、でも、だって、は全面禁止。何を命令されても粛々と従うこと」
「あ、はい・・・」
「なんだか気のない返事だけれど、これはね、街中での露出遊びでは凄く重要なことなのよ?下手したらふたりともハンザイ者になってしまうのだから」
真剣なまなざしで、怖いお顔になられたお姉さま。
「たとえばあたしがあるタイミングで、ここでおっぱい出しなさい、って命令したとするでしょ?だけど直子がグズグズしていると、どんどん周りの状況が変わってしまうわけ」
「あたしは、周りの状況を見計らって、ベストのタイミングで命令したのに、グズグズモジモジされると、その振る舞いが悪目立ちして、人が集まってきちゃったりすることになる」
「それで通報されたりしたら、あたしも直子も望んでいない状況になりかねないの。直子があたしを信頼して、すべてを委ねてくれないと」
「脱いで見せても大丈夫そうな相手、場所、なのか、みたいな状況判断は、あたしが真剣にするからさ、それを信頼して、すべて、あたしの言う通りに動くドレイに成りきりなさい」
おでこがくっつくほどお顔を寄せ、私の瞳を見つめてくるお姉さま。
「わかりました。お姉さまのご命令にすべて従います」
私の露出願望を満たそうと、とことん真面目につき合ってくださるお姉さまの真摯なご忠告を、とても頼もしく感じました。
「おーけー。それじゃあ最初の命令。直子の剥き出しマゾマンコにローターを突っ込みなさい」
冷たくおっしゃったお姉さまが、ハンディカメラを私の股間に向けてきました。
「パンティのクロッチちょっとずらして、脇から挿れなさい」
「・・・はい」
絶対服従の私は、ビニールトートからピンク色のローターを取り出し、一度しゃぶりました。
それからワンピースの裾をまくり、銀色ショーツのクロッチを右内腿のほうへずらします。
膣口を指先で抉じ開けると、中からねっとりとした熱いおツユが滲み出てきて、指先を濡らしました。
「はぅぅ」
楕円の物体を指でワレメへと圧し込むと思わず小さくため息が洩れ、先っちょの紐だけを覗かせて楕円全体がズブリと膣内に隠れました。
溢れ出たおツユがショーツとシートを汚しました。
「あらあら、瞬く間にパンティにシミが滲んじゃったわね」
同時にローターが最強で震え始めました。
「ぅぁあぅうぅ」
「黒いシミがどんどん広がっていく。本当にいやらしい子」
蔑むようなからかい声とともにローターがピタッと止まりました。
「裾を戻しなさい」
裾を戻すと、左右に割れた前立てのあいだから、微かにショーツの先端が黒く覗いていました。
「直子がサカっている証拠の、そのパンティ先っちょの黒いシミって、ワンピの隙間から見えたら絶対、マン毛だと思われるでしょうね」
わざとらしいお下品口調で私を嘲るお姉さま。
「ローターが突然震えても、出来る限り普通のフリをすること。感じても感じていないフリ。そのほうがあたしが萌えるから」
「せっかく生意気顔メイクしてあげたのだから、今日はツンデレ風でいきましょう。もちろんデレるのはあたしにだけ。街中ではツンツン直子ね」
お姉さまの愉しげな瞳は、完全にエスの人のそれになっていて、加虐の炎が舌なめずりするみたいにチロチロと揺れていました。
車を降りる前にお姉さまは、ビニールトートバッグにお化粧ポーチとお裁縫セットも突っ込みました。
ご自分は右手にハンディカメラだけ、私は左肩にビニールトートを、もちろんバスタオルの側をお外に向けて提げ、コインパーキングのコンクリートに降り立ちました。
7、8台駐車出来そうなコインパーキングに停まっている車は2台、私たちが3台目。
敷地内にも、入ってきた路地周辺にも人影はまるでありません。
周囲には5、6階建てくらいの小さめなビルが立ち並んでいました。
遠くで車の走る音が小さく聞こえるのは、たぶんさっき走ってきた幹線道路からのものでしょう。
「出かける前に、まずはここで記念撮影しておきましょう。直子の記念すべき初、都心露出散歩のスタートなのだし」
お姉さまが辺りをキョロキョロ見回してから、カメラを構えておっしゃいました。
「そこに立って」
指さされたのは、コインパーキングのチェーン店名を記した大きな看板の前でした。
その看板は、路地から曲がって駐車場へと入る入口ゲートの、ちょうど真正面奥に立っていました。
トートバッグを左肩に提げたまま、その看板の前に立ちました。
お姉さまが私から2メートルくらい離れた正面に来て、カメラを構えました。
「笑わなくていいからね。カメラを睨みつける感じで。今日はツンツン直子だから」
写真を撮っているのかビデオなのか、ずっとカメラ脇のモニターを凝視したまま、お姉さまがおっしゃいました。
お言いつけ通り、真面目な顔でレンズを睨みました。
「うーん、ただ突っ立ってるだけじゃ面白くないわね。スカートまくってパンツ、おっと、パンティ見せなさい」
「えっ!?」
一瞬うろたえて躊躇してしまった私に、すかさずカメラを下ろしたお姉さまからツッコミが入りました。
「ねえ?さっきの話をもう忘れちゃったの?あたしが何か言ったら、直子はどうしなければいけないのだっけ?」
「あ、はい。ごめんなさい。お姉さまのお言葉には絶対服従です」
あわててワンピースの裾に両手をかけました。
「そう。命令、即、実行。タイムラグは一切認めないから」
お姉さまが、カメラを構え直し、モニターを覗き込みました。
私もあらためて、完全に覚悟を決めました。
マゾの服従ポーズをするときのように、両足を、やすめ、の形に開きました。
両手でワンピースの裾を握り、その両手を少しずつ上げていきます。
うつむいてみても持ち上げた裾が邪魔をして、自分ではどのくらいショーツが見えているかはわかりません。
「うつむかないの。まっすぐこっちを見て。もっと上までまくりなさい。おへそが見えるくらいまで」
お姉さまのご命令をいちいち忠実に実行します。
お腹に直に空気が当たる感触がするので、小さな銀色ショーツは丸出しのはずです。
「黒ずんだシミがさっきより広がっているわよ?パンティのフロント全体に。こんなことでもう感じちゃったの?」
「いえ、あの、はい・・・ごめんなさい」
「それに、何?そのいやらしい、泣きそうなマゾ顔。もうちょっとまともな顔出来ないの?」
「あ、はい、ごめんなさい・・・」
そのお言葉に開き気味だった唇を一直線に結び直し、一生懸命カメラのレンズを睨みました。
そのとき、視界の右端に動くものを捉えました。
私の正面は、コインパーキング脇の路地。
その路地をひとりの男性が向かって右のほうから歩いてくる姿が、敷地と路地を隔てる格子の鉄策越しに見えたのでした。
ドキン!
実際に肩がビクンと震えるくらい、心臓が飛び跳ねました、
姿をみつけたときからもはや目が離せなくなり、視線がその姿を追ってしまいます。
その男性は、けっこう若い感じで、グレーのスエット上下というラフないでたちなので、地元のかたでしょうか。
携帯電話を片耳にあてて何やらお話しながら、リラックスされた感じで路地を歩いてきます。
鉄柵が途切れて駐車場入口となり、再び鉄柵が始まるまでの幅3メートルくらいの空間では、その人と私を隔てる目隠しとなりそうなものは、お姉さまの背中しかありません。
その空間に差し掛かったとき、その人がふっとパーキングのほうに目を遣れば、ほんの5、6メートル先に、たやすく私の姿を認めることでしょう。
自らワンピースの裾をまくり上げ、えっちなおツユで汚れた銀色ショーツを、カメラに向かって丸出しにしている私の姿を。
もちろん、それ以前の鉄柵の格子越しでも、こちらに目を向ければ私が何をしているのかは、充分に認識できるはずです。
私の目の動きで、背後の路地に誰か現われたのは充分ご承知のはずなのに、お姉さまから、裾を戻してよい、というお許しは出ませんでした。
ずっとカメラのモニターを覗きこんだまま。
その唇が薄く微笑んでいらっしゃるように見えました。
男性は、もう入口のすぐそばまで進んでいました。
お電話しながら、そのお顔がフラフラ動くたびに、私の心臓がドッキンドッキン飛び跳ねます。
どうか気づかないで、そのまま通り過ぎてください・・・こっちを視ないで・・・
同じ言葉を心の中でお祈りのようにくりかえしました。
裾を握る両手が、小刻みに震えていました。
その男性が現われてから視界左端に消えるまで、実際には十数秒ほどだったでしょう。
でも私には、永遠のように長い時間に感じられました。
「スカート、戻していいわよ」
お姉さまのお声を聞いた途端、からだ中の力が一気に抜け、その場にへたり込みそうでした。
「誰かその道を通ったみたいね?」
お姉さまが背後を振り返り、路地を指さしました。
「は、はい・・・」
「直子ったら目がオドオドしちゃって、すごいキョドりかただったわよ。オトコ?オンナ?」
「男性です・・・」
「で、直子のことを見たの?」
「いえ・・・気がつかなかったみたいです。携帯電話に夢中だったみたいで、そのまま通り過ぎていきました」
「そう。それは残念だったわね」
「いえ・・・それは別に・・・あの、でも・・・はい・・・」
その人が私に気づかないまま駐車場入口を通り過ぎ、鉄柵の陰に隠れそうになったとき、私は急に、気づいてもらえないことが、残念に思えてきました。
お外でこんな破廉恥な姿を晒している私を、視て、驚いて、呆れて、蔑んで欲しいと、心の底から望んでいました。
さっきまでとは正反対に、遠ざかっていくその人の背中を目で追いながら心の中で、私を視て、このいやらしい姿に気がついて、って、見えなくなるまでお願いしました。
そして、そんなことをお願いしてしまっている自分のどうしようもないマゾ性に、甘美な陶酔を感じていたのも事実でした。
その人が男性だったのに、不思議と怖さを感じなかった理由が、お姉さまが傍にいてくださるから、なのも間違いありません。
「あたしが、残念だったわね、って言ったのは、そのオトコに対してよ。ちょこっと顔をこっちに向けさえすれば、間近で凄いヘンタイ女の姿を拝めたのにね、って」
お姉さまが呆れたようにおっしゃいました。
「そっか。直子も視てもらえなくて残念だったんだ。キョドりながらも妙に艶かしい淫らなドマゾ顔だったのは、そういうワケなのね?」
「・・・は、はい・・・」
自分でもコントロール出来ないほど、辱めを受けたい、という欲求が全身を駆け巡っていました。
「今日の直子は、完全に露出狂モードが覚醒しちゃったみたいね。愉しみだわ。良い絵がたくさん撮れそう」
お姉さまの左手が私の右手をギュッと握りました。
「さあ、出発しましょう」
恋人同士のように肩を寄せ合う今日のふたりは、ご主人様と、その言いなり露出ドレイ。
股間のローターが緩く振動し始めて、私は一瞬ビクン。
それでも、お言いつけ通り極力、何でも無いフリを取り繕って、昼下がりの街中へと一歩踏み出しました。
*
*オートクチュールのはずなのに 16へ
*
何よりも一番最初に目が行くのは、首に巻かれた赤い首輪。
えんじ色に近いダークな赤色のベルトにメタリックな銀色の金具。
着ているフェミニンなワンピースとのコーディネートとしては、明らかに異質な装飾具。
その違和感が否が応にも視線を引き寄せてしまいます。
視線を少し下ろすと、濃紺ワンピースの胸元にハーフカップのブラジャーに押し上げられた胸の谷間がクッキリ。
ウエストを絞ったおかげで上半身のシルエットがふんわり逆三角形となり、バストのふくらみがより強調されています。
ウエストから若干の末広がりとなった裾は、膝上25センチくらい。
股下でいうと5、6センチ幅くらいの布地が太腿周りを覆っている状態。
更に最下部を留めるはずのボタンが取り去られてしまい、留まっている一番下のボタンは、ちょうど私の恥丘の位置。
今はまっすぐ立っているので大丈夫ですが、歩き始めたら両腿が裾を蹴り、ショーツのクロッチ部分が常時チラチラ見え隠れしてしまうことでしょう。
そんなきわどい着衣の上に、生意気メイクを施された加虐心をそそる顔が乗り、こんなこと自分で言うのは本当にはしたないのですが、見るからにエロくて扇情的、いろいろとえっちな妄想がふくらんでしまう姿だと思いました。
「自分の姿に見惚れちゃってるの?」
鏡から目を離せない私の背後で、お姉さまがからかいます。
「街に出たら、かなり注目を集めそうな格好よね?えっちなオーラがムンムンしてる」
愉しそうな声音でお姉さまがおっしゃいました。
マンション地下の駐車場は誰もいなく、しんと静まり返っていました。
思った通り、一歩歩くごとにショーツに直に空気があたる感触があり、両腿のあいだがスースーします。
助手席に乗り込もうと、腰を曲げた途端にワンピースの裾が全体にせり上がりました。
腰掛けると前立てが派手に割れ、銀色ショーツのクロッチ部分が剥き出しとなりました。
座るために脚を大きく開いたとき、ラビアが開いて漏れ出してしまったようで、クロッチ中央の私のワレスジと同じ位置に、一筋の濡れシミが黒くクッキリ浮き出て、その先端部分が僅かに見えていました。
全身がカッと熱くなり、あわててビニールトートバッグを膝の上に乗せ、その部分を隠しました。
お姉さまは、それについては何もおっしゃらず、滑るように車が発進しました。
お外は相変わらずの曇り空。
でも雲の切れ間ところどころに青空も覗いていました。
時刻は午後の2時15分。
「この感じなら、雨降らないかもしれないわね」
人も車もまばらな街並みを、快調に車は進んで行きます。
「昼間の街中で露出遊びするなんて、アユミのとき以来かな。すごく愉しみ」
信号待ちで停まったとき、お姉さまが独り言みたいにおっしゃいました。
「アユミとしたのは横浜だったから、東京では初めてよ」
今度はしっかり私に向いて、語りかけてきました。
「アユミさんとは、どんなことをされたのですか?」
ワクワクとドキドキのリズムが急激に跳ね上がり、思わず聞いてしまいます。
「そんなこと、今教えちゃったら面白くないじゃない。安心なさい。これから直子に身をもってひとつひとつ体験させてあげるから」
イタズラっぽく微笑むお姉さま。
安心どころか、不安のドキドキがよりいっそう高まる私。
「思った通り、道路も空いているわね。普段はなかなか停められないコインパーキングもガラガラだし」
再び走り出して前を向いたままのお姉さまが、気怠そうにおっしゃいました。
「まあ、連休最終日でこんなお天気じゃ、仕方ないか。でもせっかくそんなエロい格好してきたのに、あんまりギャラリーが少ないと、直子もつまらないでしょう?」
冷やかすようにおっしゃいながらハンドルを右に切るお姉さま。
道幅の広い幹線道路から、小さめなビルが建ち並ぶ路地へと入っていきました。
すぐにビルの谷間の空き地のようなコインパーキングに侵入して駐車。
走り始めてからまだ10分も経っていませんでした。
「さあ、ここからいよいよお散歩開始ね」
エンジンを切って静まり返った車内に、お姉さまの嬉しそうなお声が響きました。
車に乗っているあいだ、別にこれといってえっちなイタズラをされなかったことが、かえって不気味です。
「あの、えっと、ここって、どの辺なのですか?」
お姉さまのご様子を探りたくて、とりあえず車から降りるのを引き伸ばそうとする私。
「うーん、 麹町というか半蔵門というか、まあその辺」
そうおっしゃられても、東京の地理に疎い私には何が何やら。
「ここにひとまず車を停めて、これから地下鉄に乗って永田町まで行くの」
「えっ?私、この格好で電車に乗るのですか?」
尋ねながら体温がグングン上がっていくのがわかりました。
「そうよ。それで永田町界隈をうろうろ散策しつつ、またここまで歩いて戻ってくる。距離的にはひと駅ぶん。永田町って知っているでしょ?国会議事堂とか首相官邸とかがある」
「・・・はい、それは一応」
「この辺り一帯はビジネス街プラス官庁街だから、平日昼間と夜との人口差が20倍なんて言われているのよ。つまり企業や官庁が休みの休日は、普段の二十分の一しか街に人がいなくなっちゃうわけ」
「ほどよく閑散としていて、直子の街角露出デビューにはうってつけじゃない?」
お姉さまがシートベルトを外し、私のほうを向きました。
「手始めにそのパンチラワンピで電車に乗って、直子に慣れてもらおうかと思うのよ、他人から視られることを」
後部座席に置いたご自分のバッグをガサゴソさせつつ、お姉さまがおっしゃいました。
「その首輪だけでも、かなり人の目を惹きつけちゃうでしょうね。その上、谷間見せつけーの、ミニスカ裾割れパンチラだもの。視線独り占め間違いなし」
お姉さまが冷やかすようにおっしゃいました。
「アユミたちと遊んだときの経験から言うと、直子は、視たければいくらでも見せてあげる、くらいの気持ちで堂々としていればいいわ」
「必要以上に照れたり恥ずかしがったりしていると、逆に目立って、勘違いしたオトコどもがちょっかい出しやすいスキが出来ちゃうから」
「あと、一緒にいる友人たち、今日の場合はあたしだけれど、と親密な雰囲気を醸し出していると、不思議とギャラリーがみんな遠巻きになるのよね」
「まあ、そのへんはあたしに任せて、直子は、誰かの視線を感じたら、その視線に臆さないで、自分の性癖に正直に、もっと視て、って思っていればいいの。事実、直子は露出狂のヘンタイで、視られたくて仕方ないマゾ女なのだから」
お姉さまが私の顔をじっと覗き込んできました。
「ずっと妄想で思い描いていた恥辱の悦びを現実で味わうのよ?それも、これまでにない大勢の人の前で。愉しみでしょ?」
お姉さまからのご説明のひとつひとつが、私の淫らな官能を強烈に揺さぶりました。
私がこれから街に出てしようとしていることを、生々しく頭に思い描くことが出来ました。
思い描くだけならば自由ですが、実際に街に出てやってしまったら、それは明らかに異常、アブノーマル。
私、これからどうなってしまうのだろう・・・
内腿のあいだが痺れるように、ムズムズウネウネ疼きました。
「・・・はい」
お姉さまに対するそのうなずきは、自分が露出マゾとして新たな一歩を踏み出す覚悟を込めたものでした。
「念のため再確認しておくわよ?散歩のあいだ、直子はあたしの言葉に絶対服従、でも、だって、は全面禁止。何を命令されても粛々と従うこと」
「あ、はい・・・」
「なんだか気のない返事だけれど、これはね、街中での露出遊びでは凄く重要なことなのよ?下手したらふたりともハンザイ者になってしまうのだから」
真剣なまなざしで、怖いお顔になられたお姉さま。
「たとえばあたしがあるタイミングで、ここでおっぱい出しなさい、って命令したとするでしょ?だけど直子がグズグズしていると、どんどん周りの状況が変わってしまうわけ」
「あたしは、周りの状況を見計らって、ベストのタイミングで命令したのに、グズグズモジモジされると、その振る舞いが悪目立ちして、人が集まってきちゃったりすることになる」
「それで通報されたりしたら、あたしも直子も望んでいない状況になりかねないの。直子があたしを信頼して、すべてを委ねてくれないと」
「脱いで見せても大丈夫そうな相手、場所、なのか、みたいな状況判断は、あたしが真剣にするからさ、それを信頼して、すべて、あたしの言う通りに動くドレイに成りきりなさい」
おでこがくっつくほどお顔を寄せ、私の瞳を見つめてくるお姉さま。
「わかりました。お姉さまのご命令にすべて従います」
私の露出願望を満たそうと、とことん真面目につき合ってくださるお姉さまの真摯なご忠告を、とても頼もしく感じました。
「おーけー。それじゃあ最初の命令。直子の剥き出しマゾマンコにローターを突っ込みなさい」
冷たくおっしゃったお姉さまが、ハンディカメラを私の股間に向けてきました。
「パンティのクロッチちょっとずらして、脇から挿れなさい」
「・・・はい」
絶対服従の私は、ビニールトートからピンク色のローターを取り出し、一度しゃぶりました。
それからワンピースの裾をまくり、銀色ショーツのクロッチを右内腿のほうへずらします。
膣口を指先で抉じ開けると、中からねっとりとした熱いおツユが滲み出てきて、指先を濡らしました。
「はぅぅ」
楕円の物体を指でワレメへと圧し込むと思わず小さくため息が洩れ、先っちょの紐だけを覗かせて楕円全体がズブリと膣内に隠れました。
溢れ出たおツユがショーツとシートを汚しました。
「あらあら、瞬く間にパンティにシミが滲んじゃったわね」
同時にローターが最強で震え始めました。
「ぅぁあぅうぅ」
「黒いシミがどんどん広がっていく。本当にいやらしい子」
蔑むようなからかい声とともにローターがピタッと止まりました。
「裾を戻しなさい」
裾を戻すと、左右に割れた前立てのあいだから、微かにショーツの先端が黒く覗いていました。
「直子がサカっている証拠の、そのパンティ先っちょの黒いシミって、ワンピの隙間から見えたら絶対、マン毛だと思われるでしょうね」
わざとらしいお下品口調で私を嘲るお姉さま。
「ローターが突然震えても、出来る限り普通のフリをすること。感じても感じていないフリ。そのほうがあたしが萌えるから」
「せっかく生意気顔メイクしてあげたのだから、今日はツンデレ風でいきましょう。もちろんデレるのはあたしにだけ。街中ではツンツン直子ね」
お姉さまの愉しげな瞳は、完全にエスの人のそれになっていて、加虐の炎が舌なめずりするみたいにチロチロと揺れていました。
車を降りる前にお姉さまは、ビニールトートバッグにお化粧ポーチとお裁縫セットも突っ込みました。
ご自分は右手にハンディカメラだけ、私は左肩にビニールトートを、もちろんバスタオルの側をお外に向けて提げ、コインパーキングのコンクリートに降り立ちました。
7、8台駐車出来そうなコインパーキングに停まっている車は2台、私たちが3台目。
敷地内にも、入ってきた路地周辺にも人影はまるでありません。
周囲には5、6階建てくらいの小さめなビルが立ち並んでいました。
遠くで車の走る音が小さく聞こえるのは、たぶんさっき走ってきた幹線道路からのものでしょう。
「出かける前に、まずはここで記念撮影しておきましょう。直子の記念すべき初、都心露出散歩のスタートなのだし」
お姉さまが辺りをキョロキョロ見回してから、カメラを構えておっしゃいました。
「そこに立って」
指さされたのは、コインパーキングのチェーン店名を記した大きな看板の前でした。
その看板は、路地から曲がって駐車場へと入る入口ゲートの、ちょうど真正面奥に立っていました。
トートバッグを左肩に提げたまま、その看板の前に立ちました。
お姉さまが私から2メートルくらい離れた正面に来て、カメラを構えました。
「笑わなくていいからね。カメラを睨みつける感じで。今日はツンツン直子だから」
写真を撮っているのかビデオなのか、ずっとカメラ脇のモニターを凝視したまま、お姉さまがおっしゃいました。
お言いつけ通り、真面目な顔でレンズを睨みました。
「うーん、ただ突っ立ってるだけじゃ面白くないわね。スカートまくってパンツ、おっと、パンティ見せなさい」
「えっ!?」
一瞬うろたえて躊躇してしまった私に、すかさずカメラを下ろしたお姉さまからツッコミが入りました。
「ねえ?さっきの話をもう忘れちゃったの?あたしが何か言ったら、直子はどうしなければいけないのだっけ?」
「あ、はい。ごめんなさい。お姉さまのお言葉には絶対服従です」
あわててワンピースの裾に両手をかけました。
「そう。命令、即、実行。タイムラグは一切認めないから」
お姉さまが、カメラを構え直し、モニターを覗き込みました。
私もあらためて、完全に覚悟を決めました。
マゾの服従ポーズをするときのように、両足を、やすめ、の形に開きました。
両手でワンピースの裾を握り、その両手を少しずつ上げていきます。
うつむいてみても持ち上げた裾が邪魔をして、自分ではどのくらいショーツが見えているかはわかりません。
「うつむかないの。まっすぐこっちを見て。もっと上までまくりなさい。おへそが見えるくらいまで」
お姉さまのご命令をいちいち忠実に実行します。
お腹に直に空気が当たる感触がするので、小さな銀色ショーツは丸出しのはずです。
「黒ずんだシミがさっきより広がっているわよ?パンティのフロント全体に。こんなことでもう感じちゃったの?」
「いえ、あの、はい・・・ごめんなさい」
「それに、何?そのいやらしい、泣きそうなマゾ顔。もうちょっとまともな顔出来ないの?」
「あ、はい、ごめんなさい・・・」
そのお言葉に開き気味だった唇を一直線に結び直し、一生懸命カメラのレンズを睨みました。
そのとき、視界の右端に動くものを捉えました。
私の正面は、コインパーキング脇の路地。
その路地をひとりの男性が向かって右のほうから歩いてくる姿が、敷地と路地を隔てる格子の鉄策越しに見えたのでした。
ドキン!
実際に肩がビクンと震えるくらい、心臓が飛び跳ねました、
姿をみつけたときからもはや目が離せなくなり、視線がその姿を追ってしまいます。
その男性は、けっこう若い感じで、グレーのスエット上下というラフないでたちなので、地元のかたでしょうか。
携帯電話を片耳にあてて何やらお話しながら、リラックスされた感じで路地を歩いてきます。
鉄柵が途切れて駐車場入口となり、再び鉄柵が始まるまでの幅3メートルくらいの空間では、その人と私を隔てる目隠しとなりそうなものは、お姉さまの背中しかありません。
その空間に差し掛かったとき、その人がふっとパーキングのほうに目を遣れば、ほんの5、6メートル先に、たやすく私の姿を認めることでしょう。
自らワンピースの裾をまくり上げ、えっちなおツユで汚れた銀色ショーツを、カメラに向かって丸出しにしている私の姿を。
もちろん、それ以前の鉄柵の格子越しでも、こちらに目を向ければ私が何をしているのかは、充分に認識できるはずです。
私の目の動きで、背後の路地に誰か現われたのは充分ご承知のはずなのに、お姉さまから、裾を戻してよい、というお許しは出ませんでした。
ずっとカメラのモニターを覗きこんだまま。
その唇が薄く微笑んでいらっしゃるように見えました。
男性は、もう入口のすぐそばまで進んでいました。
お電話しながら、そのお顔がフラフラ動くたびに、私の心臓がドッキンドッキン飛び跳ねます。
どうか気づかないで、そのまま通り過ぎてください・・・こっちを視ないで・・・
同じ言葉を心の中でお祈りのようにくりかえしました。
裾を握る両手が、小刻みに震えていました。
その男性が現われてから視界左端に消えるまで、実際には十数秒ほどだったでしょう。
でも私には、永遠のように長い時間に感じられました。
「スカート、戻していいわよ」
お姉さまのお声を聞いた途端、からだ中の力が一気に抜け、その場にへたり込みそうでした。
「誰かその道を通ったみたいね?」
お姉さまが背後を振り返り、路地を指さしました。
「は、はい・・・」
「直子ったら目がオドオドしちゃって、すごいキョドりかただったわよ。オトコ?オンナ?」
「男性です・・・」
「で、直子のことを見たの?」
「いえ・・・気がつかなかったみたいです。携帯電話に夢中だったみたいで、そのまま通り過ぎていきました」
「そう。それは残念だったわね」
「いえ・・・それは別に・・・あの、でも・・・はい・・・」
その人が私に気づかないまま駐車場入口を通り過ぎ、鉄柵の陰に隠れそうになったとき、私は急に、気づいてもらえないことが、残念に思えてきました。
お外でこんな破廉恥な姿を晒している私を、視て、驚いて、呆れて、蔑んで欲しいと、心の底から望んでいました。
さっきまでとは正反対に、遠ざかっていくその人の背中を目で追いながら心の中で、私を視て、このいやらしい姿に気がついて、って、見えなくなるまでお願いしました。
そして、そんなことをお願いしてしまっている自分のどうしようもないマゾ性に、甘美な陶酔を感じていたのも事実でした。
その人が男性だったのに、不思議と怖さを感じなかった理由が、お姉さまが傍にいてくださるから、なのも間違いありません。
「あたしが、残念だったわね、って言ったのは、そのオトコに対してよ。ちょこっと顔をこっちに向けさえすれば、間近で凄いヘンタイ女の姿を拝めたのにね、って」
お姉さまが呆れたようにおっしゃいました。
「そっか。直子も視てもらえなくて残念だったんだ。キョドりながらも妙に艶かしい淫らなドマゾ顔だったのは、そういうワケなのね?」
「・・・は、はい・・・」
自分でもコントロール出来ないほど、辱めを受けたい、という欲求が全身を駆け巡っていました。
「今日の直子は、完全に露出狂モードが覚醒しちゃったみたいね。愉しみだわ。良い絵がたくさん撮れそう」
お姉さまの左手が私の右手をギュッと握りました。
「さあ、出発しましょう」
恋人同士のように肩を寄せ合う今日のふたりは、ご主人様と、その言いなり露出ドレイ。
股間のローターが緩く振動し始めて、私は一瞬ビクン。
それでも、お言いつけ通り極力、何でも無いフリを取り繕って、昼下がりの街中へと一歩踏み出しました。
*
*オートクチュールのはずなのに 16へ
*
2015年8月2日
オートクチュールのはずなのに 14
私の舌と指で精一杯ご奉仕して、お姉さまに心行くまでご満足していただいた後、ふたりで軽くシャワーを浴びました。
「今日は直子の裸を、街の景色の中で視ることが出来るのね。愉しみだわ」
私の全身をボディソープのヌルヌルで、やさしく愛撫してくださるお姉さま。
「そういうアソビにつきあうのって久しぶりだから、なんだかドキドキしてきちゃった」
お姉さまが背後から抱きつくみたいに、からだを合わせてきました。
お姉さまの乳首が硬くなっているのを背中に感じます。
私もさっきのお姉さまのお言葉で即座に、都会のビル街の一角に全裸で立つ尽くす自分の姿を想像し、不安と期待がシーソーみたいにぎっこんばったんしていました。
泡まみれのからだをピタリくっつけ滑らせて、しばらくその心地良い愛撫に身を任せました。
バスルームから出てからだを拭いているとき、お姉さまが私を見ながらおっしゃいました。
「だけど慎重にやらないとね。もしもそのスジの人にみつかったら、ややこしいことになっちゃう。あたしたちが、と言うか、直子がこれからしようとしていることって、コーゼンワイセツっていう、一応立派なハンザイだもの」
その現実的で不穏な内容とは裏腹に、お姉さまのお声はウキウキ弾んでいるように聞こえました。
「あたしはこれから寝室で、出張の準備も含めていろいろ荷造りしてくるから、直子も自分の荷物をまとめておいて。もうここへは戻らず、夜には池袋へ向かうから」
「はい」
「冷蔵庫に残っている食材は、直子が持って帰って。あたしはまた当分戻れないから。あ、直子のオモチャはまだ仕舞わないでね。いくつか今日使いたいものがあるから」
「・・・わかりました」
全裸のままスタスタ寝室へ向かうお姉さまの背中をお見送りしつつ私の右手は、シャワーの前に外した赤い首輪へと自然に伸びていました。
キッチンとソファー周辺をお片づけしてから、お洗濯ものを取り込みました。
お外は相変わらず、どんよりジメジメでしたので、タオルもお姉さまのワンピースも生乾きでした。
それらを窓際に吊るし直してから、さて、と考えました。
外出するのですから、当然何らかのお洋服を着ることになるはずです。
一昨日、お姉さまのお部屋に伺った目的が、全裸家政婦、で当然ずっと裸でいるつもりでしたから、来たときに着てきた前開きのミニワンピース以外、着替えは持ってきていませんでした。
となると、選択肢はそのミニワンピしかないのですが、このお部屋では、お姉さまのお許しがないと着衣は認められない決まりです。
なので私は裸のまま、お姉さまの準備が終わるのを、ソファーに浅く座って待ちました。
待っているあいだも、いろいろ考えました。
おそらくお姉さまは、ノーパンノーブラ、ミニワンピ一枚でお外に出るようにご命令されるだろうな。
そうなると私は、一昨日のスーパーでの恥辱を、昼間の街中でもう一度味わうことになりそう。
ボタンをジワジワ外されて、誰かいるところで前を開くようにご命令されて・・・
妄想がどんどんふくらんで、全身がぐんぐん火照ってきました。
「お待たせー」
大きめなカートといつものバーキンバッグを手にしたお姉さまが、リビングに戻ってこられました。
着古した感じのスリムなウォッシュアウトジーンズに黒Tシャツ、その上に、これも着古した感じのタンガリーシャツを羽織っています。
こんなにラフなコーデのお姉さまを見るのは初めて。
でもカッコイイ!
「雨になるみたいだからね、濡れてもいい感じでざっくりしてみた」
驚いたような私の視線に気がつかれたのか、お姉さまが言い訳するみたくおっしゃいました。
「準備は終わった?」
「あ、はい。一応・・・あの、お姉さま?」
「ん?」
「私もお洋服を着て、よろしいでしょうか?」
「なあに?あたしの許しが出るまで着ないで待っていたの?いい心がけじゃない」
「・・・はい、決まりですから」
「さすがのあたしも、この部屋からずっと裸のまま街中を連れ回す勇気は無いわ。着ていいわよ」
「何を着ればよいのでしょう?」
「えっ?あのミニワンピ以外に何か着替え持ってきているの?」
「いいえ」
「それなら、それしかないのじゃなくて?」
「あ、はい。それで、下着は・・・」
「ああ、そういうことね。ちょっと待って。あたしに考えがあるから」
お姉さまが嬉しそうに薄く笑って、バーキンの中から何か小さめな箱を引っ張り出しました。
「まずは下着ね。初日に穿いていた黒以外、替えの下着も持ってきているの?」
「はい。一応お姉さまがお店で見立ててくださった他の3種類は持ってきました」
「ああ。フロントホックのストラップレスブラと紐パンね。どこでもこっそり脱ぎやすいっていうコンセプトの。確か前割れとかスケスケのパンツもなかったっけ?」
「はい・・・ありました」
「それしか持ってきていないということは、あたしといるときはいつでも、直子は下着を脱ぐ気満々ていうことなのね。やらしい子」
「そ、そんなつもりではありません・・・」
「うふふ。最初から露出マゾ全開でいくなら、ノーパンノーブラでワンピだけ着ててもらったほうが手間が省けるのだけれどさ、今日は直子に、何て言うのかな、合法的な辱めも存分に味わってもらおうかなって考えているの。そのためには、脱ぎやすい下着だとつまらないのよね」
お姉さまの唇両端が、イジワルそうに少し吊り上がりました。
「スケスケも前割れも、それはそれで面白いのだけれど、それは次の機会にして、今日はあたしの下着を貸してあげる。安心して、買って一回しか身に着けたことないやつだから」
「ちょっと待ってて」
お姉さまがそそくさと寝室に向かわれました。
さっきからお姉さまがおっしゃっていることの意味をほとんど理解出来ていない私は、お姉さまの下着をお借り出来るんだ、どんなやつなのだろう?私なんか想像も出来ないほどのえっちさだったりして、なんて考えながらドキドキ待ちました。
「はい、これ」
お姉さまが差し出されたのは、グレイというよりシルバーと呼ぶべきテラテラ光沢の有る生地で出来たブラジャーとショーツでした。
ショーツに触ってみると、この滑らかさは明らかにシルク。
縁取りとかにレースっぽい装飾も施してあって、ゴージャスなのに可愛いらしい感じです。
「ブラは、直子にはキツイはず。直子のほうがボインだものね。まあ、ハーフカップだからなんとかなると思う」
「それに直子、そういうのも好きでしょう?おっぱい締め付けられるの。最初にお店来たときもそうだったものね?」
お姉さまがからかうように笑いながら、ショーツとお揃いのブラジャーも手渡してくださいました。
私が早速身に着けようと、まずショーツを広げて身を屈めようとしたら、お姉さまから、待った、がかかりました。
「このワンピなのだけれどさ、何か物足りないのよね。ゆったりめだからシルエットがストンとしちゃって、いまひとつ色っぽさに欠ける気がするの」
昨日お洗濯して壁際に吊るしておいた私のミニワンピースをはずし、私に手渡してきました。
「下着着ける前に、ちょっと着てみてくれる?あ、全体を裏返しにしてね」
お言いつけ通り裏返しにしてから、両袖を通して羽織りました。
「ウエストを絞るともっと可愛くなると思うのよ。あたしが応急処置してあげる。たぶん、いい感じのシルエットになるはず」
羽織り終えると、お姉さまの両手が前を合わせてきました。
「ボタンも嵌めてね。胸元からおへそあたりまででいいから」
「あ、はい」
裏返しになって、ボタンと穴との関係がややこしくなっている前立てを、苦労してちまちまと、なんとか留め終えました。
「おーけー。そのままじっと立っていて。針を使うから動くと危ないわよ」
お姉さまがメジャーと、カップケーキみたいな形の可愛らしい針山を持って近づいてきました。
さっきお姉さまがバッグから取り出した箱は、お裁縫セットだったようです。
「こんなものかな・・・うーん、もう少し詰めちゃおうか・・・」
お姉さまが小声でブツブツおっしゃりながら、私のウエストにメジャーを当て、針山から抜いたマチ針で手際良く布を留めていきます。
さすが元服飾部部長さまで、今はアパレル会社の社長さま。
その手馴れた手つきに見惚れつつ、じーっと眺めていました。
「これでよし、っと。脱いで」
「あ、はいっ」
一歩離れたお姉さまの一声が聞こえ、あわててまたちまちまと、ボタンを外し始めました。
「あたしはこれをちゃちゃっと縫っちゃうから、直子はそのあいだに下着を着けちゃいなさい」
「わかりました」
ワンピとお裁縫箱を持ったお姉さまがダイニングのほうへと移動し、裸に戻った私は、お姉さまがご用意くださった銀色の下着たちに再び手を伸ばしました。
確かにブラジャーは、少しきつめな感じがしました。
ハーフカップなので下乳を持ち上げる形になり、その分普段より、上から見るとおっぱいの谷間がクッキリ出来て、強調されています。
これでワンピースを着てVゾーンを広めに開けたら、かなりエロそう。
生地が薄いので、私の尖った乳首だとカップの上からでもその位置が、かすかに突起していました。
でもワンピースを着ちゃえば、たぶんわからなくなるでしょう。
ショーツのほうはローライズ気味ながら、いたって普通な感じで、下腹部とお尻をしっかり覆ってくれていました。
ブラジャーもショーツもすごく肌触りが良く、着け心地はいい感じ。
ただ、およそ二日ぶりの下着の布地の感触に皮膚がとまどっているみたいで、なんだかこそばゆい。
そう言えば、お姉さまも一度着けたことがある、っておっしゃっていたっけ、なんて思い出し、キュンと感じちゃいました。
「出来たわよー」
ワンピースを手にしたお姉さまが戻っていらっしゃいました。
「おおお、直子ったらまたいっそう、ボインちゃんになっちゃって」
ハーフカップで下から持ち上げられた私の谷間を指さして、お姉さまがからかいました。
「はい、着てみて」
お直しされたミニワンピースを手渡され、そそくさと腕を通す私。
「お姉さま、すごいです。ほんの少しの時間で、こんな見事にお直しが出来てしまうなんて」
両袖を通しただけで、ワンピースが生まれ変わっているのがわかりました。
ルーズめなシャツワンピだったのに、ウエストを詰めただけで、ゆるふわな感じのフェミニンワンピに様変わりしていました。
「ボタンも全部留めてみて」
ご自分の成果にニコニコ満足そうなお姉さま。
「はい」
上からボタンを留め始めると、お姉さまの意図がだんだんと見えてきました。
ウエストが絞られ胴回りがタイトになり、その分バストとヒップ部分は前にも増してゆったりめ、つまり布地が肌から浮いた状態になっていました。
たとえばVゾーンを開け過ぎたら外部から中身が覗けやすいし、スカート部分も前より横に広がりがちなので、よりひるがえりやすい状態。
もしもこのワンピースをノーパンノーブラで着たなら、以前よりも容易に、生おっぱいや生お尻が露出しやすいルーズフィット状態になっていたのでした。
なるほど、だからお姉さまは、まずは下着をちゃんと着けるようにご命令されたのでしょう。
このワンピースでお外に出て、ノーパンノーブラにされてしまったときのことを考えると、頭がクラクラしてきます。
それでもなんとかがんばって、震える指でボタンを留めつづけました。
「あの、お姉さま?」
9個のボタンを嵌め終わり、最後のひとつを嵌めようとしたとき、気がつきました。
10個目のボタンが、無いのです。
「ん?なあに?」
ソファーに腰掛けたお姉さまが、満面に笑みを浮かべて私を見ました。
「あの、一番下のボタンが無いのですが・・・」
「あ、それね。ごめんごめん。さっき縫っていたとき、そこのボタンだけ取れそうだったのに気づいて付け直そうと思って、いったん取ったのよ」
ニヤニヤ笑いなお姉さまの、白々しいお芝居口調。
「そしたら誤って落としちゃって、床の上をコロコロって。いくら探してもみつからないの。仕方が無いからそれでがまんして」
お姉さまのてへぺろは、ちっとも可愛くありませんでした。
一昨日のスーパーから駐車場へ戻るときの夜道を、あざやかに思い出していました。
ここのボタンが留まっていないと、割れた隙間から私の股間が、一歩歩くたびにチラチラ覗いてしまうはずです。
その上、ウエストを絞ったために布地が引き攣り、裾全体も以前より1、2センチ短かくなっていました。
広がり気味フンワリめとなったこととも相俟って、今だって、ちょっと動いたら両腿の付け根付近が覗きそうでした。
ありったけのジト目でお姉さまのお顔を睨みました。
「なーんてね。いいじゃない?パンツ穿いているのだから」
お姉さまも薄笑みを引っ込め、まっすぐに冷たい視線を合わせてきました。
「合法的な辱めっていうのは、そういうこと。パンチラならハンザイではないもの。直子も、ボタン嵌めていないことに気づいていないフリをして、平気な顔して歩けばいいのよ。そういうの、得意でしょ?直子は」
「で、でも・・・」
お姉さまから強気に出られると、すぐ、本来のドエムに戻ってしまう私。
「見せたがり露出マゾなのだから、パンツくらい、いくらでも見せてあげればいいじゃない。まあ、いずれ、そのパンツだって脱がなくてはいけないことになるのだけれどね。それも、こっそりとではなくて、街中で、大胆に」
「そのために、脱ぎやすい紐パンではなくて、普通のパンツを穿かせたのよ。どう?愉しみでしょ?」
イジワルさ全開のお姉さまからの淫靡なお言葉が、私のマゾ性をブルブル揺さぶって、それ以上の抵抗を諦めさせました。
「事前のネタバラシはこれくらいにして、最後の仕上げをしましょう。こっちに来て」
お姉さまがまた、バッグから何かを取り出し、腰掛けているソファーの横をトントンと指さしました。
「は、はい・・・」
私が横に腰掛けると、お姉さまがテーブルの上にお化粧ポーチを広げました。
「これからすることを考えると、やっぱり多少は、リスク回避の策も施しておかないとね。いくら人口が多い東京砂漠とは言え、万が一直子を知っている人に視られてしまう可能性もあるわけだから」
おっしゃりながら、私の顔をメイクし始めるお姉さま。
「それでなくてもこんな真っ赤な首輪嵌めて、否が応でも人目を惹くマゾ丸出しの姿でお散歩するのだから、とくにヘンなオトコどもが近寄り難い雰囲気を作っておかないと」
そうでした!
すっかり慣れきってしまっていましたが、私、この首輪も嵌めたままお外に出るのでした。
ファッショナブルなチョーカーとは明らかに一線を画す、見るからにペット用な赤い首輪。
すっごく目立って、ジロジロ視られちゃうのは間違い無さそう。
それは、私にとって生まれて初めての経験です。
一昨日の夜もしたことでしたが、夜と昼間とは大違いでしょう。
そして、3日間首輪を嵌めていること、とお姉さまとお約束した以上、私に拒める術はないのでした。
「直子って、いつもナチュラルメイクでしょう?オトコが一番声掛けやすいのがナチュラルメイクなんだって。オトコってすっぴん美人が大好きだから。でも、街行く女子のほとんどは、ナチュラルっぽい厚塗り化粧なのよね」
苦笑しながらおっしゃるお姉さまと、されるがままの私。
「うちのスタッフと、そのへんを研究したことがあってさ、オトコが近寄らないメイクってどんなのだろう、って。それで出た結論のひとつが、失敗メイク。塗りたくって、すっぴんより残念になっちゃうメイク」
「もうひとつが、どちらかと言うとお水寄りのゴージャスメイク。こっちは、奇麗な人がすると本当奇麗になるの。なのに、気後れしちゃうのか怖がっちゃうのか、オトコは寄ってこない、遠巻きにするだけ」
「はい。出来た」
お姉さまが間髪を入れず、目の前にコンパクトをかざしてくださいました。
「えーーっ!」
ひと目見てびっくり、これが私?
いつもより小さめに、でも艶やかなツヤツヤローズピンクで塗られたルージュ。
アイラインパッチリ、睫毛クルクル、眉毛クッキリ。
チークがずいぶん色濃くて、いつもより顔が細く見えます。
お姉さまがドライヤーで髪の分け目を変え、左サイドに流してくださいました。
鏡を覗いての全体の印象としては、なんだかこの女、生意気そう。
「うん。けっこう化けたわね。意識して顔にメリハリつけたから、予想通りハーフっぽくなって、その上、妖艶にもなったわ。それでツンと澄ましていれば、首輪していようがパンツ見せていようが、ビビッて誰も声かけてこないはずよ」
お姉さまが愉快そうにおっしゃいました。
私的には、やり過ぎな感じもしましたが、お姉さまが良いとおっしゃってくれているし、確かにこれなら私を知っている人でもわからないだろうな、とも思い、いいことにしました。
「ちょっとあたしを睨みつけてみてよ、さっきみたいに」
お姉さまにせがまれて、ワザと取り去られた一番下のボタンのことを思い出し、同じようなジト目をしてお姉さまを見つめました。
「うわ、生意気そう。あたしこれから、この生意気な女を好きなだけ虐めていいのよね?すっごく愉しみ。めちゃくちゃやって泣かせてやりたい」
お姉さまも今の私の顔に関して、私と同じご感想をお持ちになったようでした。
「本当、直子とのアソビって面白い。メイク変えただけで、これだけ盛り上がれるのだもの。あたし今、この生意気女を辱める方法が次から次へと湧き出てきている。直子があたしのパートナーで、本当に良かったわ」
お姉さまからの嬉しいお言葉に悦ぶべきか、ちょっぴりフクザツ。
だけど何よりもお姉さまが愉しそうなので、これもよしとしました。
「はい。直子はこのバッグを持ち歩くのよ」
お化粧ポーチをバーキンに仕舞った後、お姉さまから今度は、少し小さめなトートバッグを渡されました。
持ち手のラインと縁取りが濃いブルーで、バッグそのものは水色の透明なビニールで出来たトートバッグでした。
中にはすでに、白いバスタオルとビニールシートのようなものが入っていました。
「それで、これと、これと・・・」
お姉さまがしゃがみ込み、ソファー周辺に並べておいた私がお家から持ってきた虐め道具のうちのいくつかを、無造作にそのバッグに詰め始めました。
リモコンローターふたつ、円錐形のバイブレーター二個、アナルビーズ、手錠、首輪のリード、短いロープ、木製洗濯バサミたくさん・・・
「あ、あの、お姉さま?・・・」
あわてる私の声も聞こえないフリで、それらがバッグに詰め込まれ、最後にお姉さまのお財布が入れられました。
「あたしのお財布も入っているのだからそのバッグ、絶対に失くさないでよね?」
お姉さまにビニールトートバッグを手渡され、しげしげと眺めました。
バッグの片方の面は、バスタオルの白地が全面に見えていて、何の問題もありません。
でも裏返すと、先ほどお姉さまがお入れになったおどろおどろしいお道具たちが、水色のビニール越しに透けて見えていました。
ピンク色した卵型の物体、見るからにえっちぽい銀色の円錐形、鎖、麻縄、どう見ても、それ以外のものには見えない手錠と洗濯バサミ・・・
透けたバッグの中身を少し目を凝らして見れば、それらが何に使われるものかピンときてしまうえっちな人も、都会には少なからずいることでしょう。
「残ったオモチャは直子のバッグに仕舞って持って帰っていいわ。準備が出来たら出発よ。あ、冷蔵庫の中は片付けたのよね?」
「はい。今入っているのはお飲み物だけです」
「お散歩のときはそのビニールトートのほうだけ持ち歩いて、あたしが、出して、って言ったものは、いつでもどこにいても、すぐ取り出すこと。それが出来なかったら、その後、直子はもっと恥ずかしいお仕置きをされることになるから、よーく憶えておいてね」
「・・・はい」
「あたしはお散歩中は、このビデオカメラしか持ち歩かないつもりだから」
お姉さまがニッと笑って、ちっちゃなハンディカメラをこれ見よがしに見せてから、立ち上がりました。
「戸締りはしたし、カーテンもおっけー。ガスの元栓も締めた。さあ行きましょう。直子はそっちのゴミ袋も持ってね。一階のゴミ置き場に出しちゃうから」
お姉さまがカートとバーキンともうひとつのゴミ袋を持って、スタスタ歩き始めました。
私も自分の荷物を持って、後を追います。
もちろんビニールトートは、バスタオルの面を表側に出して。
玄関で靴を履いているとき、お姉さまが不意におっしゃいました。
「どう?直子。マゾの首輪嵌めたまま外出する気分は?」
「どう、って聞かれましても・・・かなり恥ずかしいし・・・怖いです・・・」
「それだけ?えっちなオモチャが透けたバッグ持って、パンツすれすれのミニ穿いてお出かけだよ?直子みたいなヘンタイ露出マゾ女には、夢みたいなシチュエーションじゃなくて?」
「・・・あ、あの、えっと、それは・・・」
私が口ごもっていると、お姉さまが私の耳に熱い息をヒソヒソ吹きかけてきました。
「出発前に、もうひとつだけネタバレしてあげる。あたしがなぜ、直子にグレイのパンツを穿かせたと思う?」
「・・・わ、わかりません・・・」
「グレイのシルク地だとね、直子がいやらしい気持ちになってマゾマンコを濡らしちゃったとき、そのシミが一番クッキリ目立つのよ。黒々と、遠くから見てもわかるくらい」
「・・・」
「そんなのみんなに見られたら、ある意味ノーパン見られるより恥ずかしくない?サカっている証拠だし、ぱっと見でもお漏らしみたいだし。だからせいぜい濡れないように、がんばりなさい」
そこまでおっしゃって私の右耳から唇を離し、玄関ドアをゆっくりと開けるお姉さま。
「あっ、言い忘れてた。胸元のボタンをふたつ外しなさい」
振り向いたお姉さまが、冷たく微笑んでおっしゃいました。
「は、はい、お姉さま・・・」
ゴミ袋をいったん靴脱ぎに置き、右手だけでボタンを外しているとき、股間の奥がヒクヒクっと震え、ジンワリ潤んできたのが、自分ではっきりわかりました。
*
*オートクチュールのはずなのに 15へ
*
「今日は直子の裸を、街の景色の中で視ることが出来るのね。愉しみだわ」
私の全身をボディソープのヌルヌルで、やさしく愛撫してくださるお姉さま。
「そういうアソビにつきあうのって久しぶりだから、なんだかドキドキしてきちゃった」
お姉さまが背後から抱きつくみたいに、からだを合わせてきました。
お姉さまの乳首が硬くなっているのを背中に感じます。
私もさっきのお姉さまのお言葉で即座に、都会のビル街の一角に全裸で立つ尽くす自分の姿を想像し、不安と期待がシーソーみたいにぎっこんばったんしていました。
泡まみれのからだをピタリくっつけ滑らせて、しばらくその心地良い愛撫に身を任せました。
バスルームから出てからだを拭いているとき、お姉さまが私を見ながらおっしゃいました。
「だけど慎重にやらないとね。もしもそのスジの人にみつかったら、ややこしいことになっちゃう。あたしたちが、と言うか、直子がこれからしようとしていることって、コーゼンワイセツっていう、一応立派なハンザイだもの」
その現実的で不穏な内容とは裏腹に、お姉さまのお声はウキウキ弾んでいるように聞こえました。
「あたしはこれから寝室で、出張の準備も含めていろいろ荷造りしてくるから、直子も自分の荷物をまとめておいて。もうここへは戻らず、夜には池袋へ向かうから」
「はい」
「冷蔵庫に残っている食材は、直子が持って帰って。あたしはまた当分戻れないから。あ、直子のオモチャはまだ仕舞わないでね。いくつか今日使いたいものがあるから」
「・・・わかりました」
全裸のままスタスタ寝室へ向かうお姉さまの背中をお見送りしつつ私の右手は、シャワーの前に外した赤い首輪へと自然に伸びていました。
キッチンとソファー周辺をお片づけしてから、お洗濯ものを取り込みました。
お外は相変わらず、どんよりジメジメでしたので、タオルもお姉さまのワンピースも生乾きでした。
それらを窓際に吊るし直してから、さて、と考えました。
外出するのですから、当然何らかのお洋服を着ることになるはずです。
一昨日、お姉さまのお部屋に伺った目的が、全裸家政婦、で当然ずっと裸でいるつもりでしたから、来たときに着てきた前開きのミニワンピース以外、着替えは持ってきていませんでした。
となると、選択肢はそのミニワンピしかないのですが、このお部屋では、お姉さまのお許しがないと着衣は認められない決まりです。
なので私は裸のまま、お姉さまの準備が終わるのを、ソファーに浅く座って待ちました。
待っているあいだも、いろいろ考えました。
おそらくお姉さまは、ノーパンノーブラ、ミニワンピ一枚でお外に出るようにご命令されるだろうな。
そうなると私は、一昨日のスーパーでの恥辱を、昼間の街中でもう一度味わうことになりそう。
ボタンをジワジワ外されて、誰かいるところで前を開くようにご命令されて・・・
妄想がどんどんふくらんで、全身がぐんぐん火照ってきました。
「お待たせー」
大きめなカートといつものバーキンバッグを手にしたお姉さまが、リビングに戻ってこられました。
着古した感じのスリムなウォッシュアウトジーンズに黒Tシャツ、その上に、これも着古した感じのタンガリーシャツを羽織っています。
こんなにラフなコーデのお姉さまを見るのは初めて。
でもカッコイイ!
「雨になるみたいだからね、濡れてもいい感じでざっくりしてみた」
驚いたような私の視線に気がつかれたのか、お姉さまが言い訳するみたくおっしゃいました。
「準備は終わった?」
「あ、はい。一応・・・あの、お姉さま?」
「ん?」
「私もお洋服を着て、よろしいでしょうか?」
「なあに?あたしの許しが出るまで着ないで待っていたの?いい心がけじゃない」
「・・・はい、決まりですから」
「さすがのあたしも、この部屋からずっと裸のまま街中を連れ回す勇気は無いわ。着ていいわよ」
「何を着ればよいのでしょう?」
「えっ?あのミニワンピ以外に何か着替え持ってきているの?」
「いいえ」
「それなら、それしかないのじゃなくて?」
「あ、はい。それで、下着は・・・」
「ああ、そういうことね。ちょっと待って。あたしに考えがあるから」
お姉さまが嬉しそうに薄く笑って、バーキンの中から何か小さめな箱を引っ張り出しました。
「まずは下着ね。初日に穿いていた黒以外、替えの下着も持ってきているの?」
「はい。一応お姉さまがお店で見立ててくださった他の3種類は持ってきました」
「ああ。フロントホックのストラップレスブラと紐パンね。どこでもこっそり脱ぎやすいっていうコンセプトの。確か前割れとかスケスケのパンツもなかったっけ?」
「はい・・・ありました」
「それしか持ってきていないということは、あたしといるときはいつでも、直子は下着を脱ぐ気満々ていうことなのね。やらしい子」
「そ、そんなつもりではありません・・・」
「うふふ。最初から露出マゾ全開でいくなら、ノーパンノーブラでワンピだけ着ててもらったほうが手間が省けるのだけれどさ、今日は直子に、何て言うのかな、合法的な辱めも存分に味わってもらおうかなって考えているの。そのためには、脱ぎやすい下着だとつまらないのよね」
お姉さまの唇両端が、イジワルそうに少し吊り上がりました。
「スケスケも前割れも、それはそれで面白いのだけれど、それは次の機会にして、今日はあたしの下着を貸してあげる。安心して、買って一回しか身に着けたことないやつだから」
「ちょっと待ってて」
お姉さまがそそくさと寝室に向かわれました。
さっきからお姉さまがおっしゃっていることの意味をほとんど理解出来ていない私は、お姉さまの下着をお借り出来るんだ、どんなやつなのだろう?私なんか想像も出来ないほどのえっちさだったりして、なんて考えながらドキドキ待ちました。
「はい、これ」
お姉さまが差し出されたのは、グレイというよりシルバーと呼ぶべきテラテラ光沢の有る生地で出来たブラジャーとショーツでした。
ショーツに触ってみると、この滑らかさは明らかにシルク。
縁取りとかにレースっぽい装飾も施してあって、ゴージャスなのに可愛いらしい感じです。
「ブラは、直子にはキツイはず。直子のほうがボインだものね。まあ、ハーフカップだからなんとかなると思う」
「それに直子、そういうのも好きでしょう?おっぱい締め付けられるの。最初にお店来たときもそうだったものね?」
お姉さまがからかうように笑いながら、ショーツとお揃いのブラジャーも手渡してくださいました。
私が早速身に着けようと、まずショーツを広げて身を屈めようとしたら、お姉さまから、待った、がかかりました。
「このワンピなのだけれどさ、何か物足りないのよね。ゆったりめだからシルエットがストンとしちゃって、いまひとつ色っぽさに欠ける気がするの」
昨日お洗濯して壁際に吊るしておいた私のミニワンピースをはずし、私に手渡してきました。
「下着着ける前に、ちょっと着てみてくれる?あ、全体を裏返しにしてね」
お言いつけ通り裏返しにしてから、両袖を通して羽織りました。
「ウエストを絞るともっと可愛くなると思うのよ。あたしが応急処置してあげる。たぶん、いい感じのシルエットになるはず」
羽織り終えると、お姉さまの両手が前を合わせてきました。
「ボタンも嵌めてね。胸元からおへそあたりまででいいから」
「あ、はい」
裏返しになって、ボタンと穴との関係がややこしくなっている前立てを、苦労してちまちまと、なんとか留め終えました。
「おーけー。そのままじっと立っていて。針を使うから動くと危ないわよ」
お姉さまがメジャーと、カップケーキみたいな形の可愛らしい針山を持って近づいてきました。
さっきお姉さまがバッグから取り出した箱は、お裁縫セットだったようです。
「こんなものかな・・・うーん、もう少し詰めちゃおうか・・・」
お姉さまが小声でブツブツおっしゃりながら、私のウエストにメジャーを当て、針山から抜いたマチ針で手際良く布を留めていきます。
さすが元服飾部部長さまで、今はアパレル会社の社長さま。
その手馴れた手つきに見惚れつつ、じーっと眺めていました。
「これでよし、っと。脱いで」
「あ、はいっ」
一歩離れたお姉さまの一声が聞こえ、あわててまたちまちまと、ボタンを外し始めました。
「あたしはこれをちゃちゃっと縫っちゃうから、直子はそのあいだに下着を着けちゃいなさい」
「わかりました」
ワンピとお裁縫箱を持ったお姉さまがダイニングのほうへと移動し、裸に戻った私は、お姉さまがご用意くださった銀色の下着たちに再び手を伸ばしました。
確かにブラジャーは、少しきつめな感じがしました。
ハーフカップなので下乳を持ち上げる形になり、その分普段より、上から見るとおっぱいの谷間がクッキリ出来て、強調されています。
これでワンピースを着てVゾーンを広めに開けたら、かなりエロそう。
生地が薄いので、私の尖った乳首だとカップの上からでもその位置が、かすかに突起していました。
でもワンピースを着ちゃえば、たぶんわからなくなるでしょう。
ショーツのほうはローライズ気味ながら、いたって普通な感じで、下腹部とお尻をしっかり覆ってくれていました。
ブラジャーもショーツもすごく肌触りが良く、着け心地はいい感じ。
ただ、およそ二日ぶりの下着の布地の感触に皮膚がとまどっているみたいで、なんだかこそばゆい。
そう言えば、お姉さまも一度着けたことがある、っておっしゃっていたっけ、なんて思い出し、キュンと感じちゃいました。
「出来たわよー」
ワンピースを手にしたお姉さまが戻っていらっしゃいました。
「おおお、直子ったらまたいっそう、ボインちゃんになっちゃって」
ハーフカップで下から持ち上げられた私の谷間を指さして、お姉さまがからかいました。
「はい、着てみて」
お直しされたミニワンピースを手渡され、そそくさと腕を通す私。
「お姉さま、すごいです。ほんの少しの時間で、こんな見事にお直しが出来てしまうなんて」
両袖を通しただけで、ワンピースが生まれ変わっているのがわかりました。
ルーズめなシャツワンピだったのに、ウエストを詰めただけで、ゆるふわな感じのフェミニンワンピに様変わりしていました。
「ボタンも全部留めてみて」
ご自分の成果にニコニコ満足そうなお姉さま。
「はい」
上からボタンを留め始めると、お姉さまの意図がだんだんと見えてきました。
ウエストが絞られ胴回りがタイトになり、その分バストとヒップ部分は前にも増してゆったりめ、つまり布地が肌から浮いた状態になっていました。
たとえばVゾーンを開け過ぎたら外部から中身が覗けやすいし、スカート部分も前より横に広がりがちなので、よりひるがえりやすい状態。
もしもこのワンピースをノーパンノーブラで着たなら、以前よりも容易に、生おっぱいや生お尻が露出しやすいルーズフィット状態になっていたのでした。
なるほど、だからお姉さまは、まずは下着をちゃんと着けるようにご命令されたのでしょう。
このワンピースでお外に出て、ノーパンノーブラにされてしまったときのことを考えると、頭がクラクラしてきます。
それでもなんとかがんばって、震える指でボタンを留めつづけました。
「あの、お姉さま?」
9個のボタンを嵌め終わり、最後のひとつを嵌めようとしたとき、気がつきました。
10個目のボタンが、無いのです。
「ん?なあに?」
ソファーに腰掛けたお姉さまが、満面に笑みを浮かべて私を見ました。
「あの、一番下のボタンが無いのですが・・・」
「あ、それね。ごめんごめん。さっき縫っていたとき、そこのボタンだけ取れそうだったのに気づいて付け直そうと思って、いったん取ったのよ」
ニヤニヤ笑いなお姉さまの、白々しいお芝居口調。
「そしたら誤って落としちゃって、床の上をコロコロって。いくら探してもみつからないの。仕方が無いからそれでがまんして」
お姉さまのてへぺろは、ちっとも可愛くありませんでした。
一昨日のスーパーから駐車場へ戻るときの夜道を、あざやかに思い出していました。
ここのボタンが留まっていないと、割れた隙間から私の股間が、一歩歩くたびにチラチラ覗いてしまうはずです。
その上、ウエストを絞ったために布地が引き攣り、裾全体も以前より1、2センチ短かくなっていました。
広がり気味フンワリめとなったこととも相俟って、今だって、ちょっと動いたら両腿の付け根付近が覗きそうでした。
ありったけのジト目でお姉さまのお顔を睨みました。
「なーんてね。いいじゃない?パンツ穿いているのだから」
お姉さまも薄笑みを引っ込め、まっすぐに冷たい視線を合わせてきました。
「合法的な辱めっていうのは、そういうこと。パンチラならハンザイではないもの。直子も、ボタン嵌めていないことに気づいていないフリをして、平気な顔して歩けばいいのよ。そういうの、得意でしょ?直子は」
「で、でも・・・」
お姉さまから強気に出られると、すぐ、本来のドエムに戻ってしまう私。
「見せたがり露出マゾなのだから、パンツくらい、いくらでも見せてあげればいいじゃない。まあ、いずれ、そのパンツだって脱がなくてはいけないことになるのだけれどね。それも、こっそりとではなくて、街中で、大胆に」
「そのために、脱ぎやすい紐パンではなくて、普通のパンツを穿かせたのよ。どう?愉しみでしょ?」
イジワルさ全開のお姉さまからの淫靡なお言葉が、私のマゾ性をブルブル揺さぶって、それ以上の抵抗を諦めさせました。
「事前のネタバラシはこれくらいにして、最後の仕上げをしましょう。こっちに来て」
お姉さまがまた、バッグから何かを取り出し、腰掛けているソファーの横をトントンと指さしました。
「は、はい・・・」
私が横に腰掛けると、お姉さまがテーブルの上にお化粧ポーチを広げました。
「これからすることを考えると、やっぱり多少は、リスク回避の策も施しておかないとね。いくら人口が多い東京砂漠とは言え、万が一直子を知っている人に視られてしまう可能性もあるわけだから」
おっしゃりながら、私の顔をメイクし始めるお姉さま。
「それでなくてもこんな真っ赤な首輪嵌めて、否が応でも人目を惹くマゾ丸出しの姿でお散歩するのだから、とくにヘンなオトコどもが近寄り難い雰囲気を作っておかないと」
そうでした!
すっかり慣れきってしまっていましたが、私、この首輪も嵌めたままお外に出るのでした。
ファッショナブルなチョーカーとは明らかに一線を画す、見るからにペット用な赤い首輪。
すっごく目立って、ジロジロ視られちゃうのは間違い無さそう。
それは、私にとって生まれて初めての経験です。
一昨日の夜もしたことでしたが、夜と昼間とは大違いでしょう。
そして、3日間首輪を嵌めていること、とお姉さまとお約束した以上、私に拒める術はないのでした。
「直子って、いつもナチュラルメイクでしょう?オトコが一番声掛けやすいのがナチュラルメイクなんだって。オトコってすっぴん美人が大好きだから。でも、街行く女子のほとんどは、ナチュラルっぽい厚塗り化粧なのよね」
苦笑しながらおっしゃるお姉さまと、されるがままの私。
「うちのスタッフと、そのへんを研究したことがあってさ、オトコが近寄らないメイクってどんなのだろう、って。それで出た結論のひとつが、失敗メイク。塗りたくって、すっぴんより残念になっちゃうメイク」
「もうひとつが、どちらかと言うとお水寄りのゴージャスメイク。こっちは、奇麗な人がすると本当奇麗になるの。なのに、気後れしちゃうのか怖がっちゃうのか、オトコは寄ってこない、遠巻きにするだけ」
「はい。出来た」
お姉さまが間髪を入れず、目の前にコンパクトをかざしてくださいました。
「えーーっ!」
ひと目見てびっくり、これが私?
いつもより小さめに、でも艶やかなツヤツヤローズピンクで塗られたルージュ。
アイラインパッチリ、睫毛クルクル、眉毛クッキリ。
チークがずいぶん色濃くて、いつもより顔が細く見えます。
お姉さまがドライヤーで髪の分け目を変え、左サイドに流してくださいました。
鏡を覗いての全体の印象としては、なんだかこの女、生意気そう。
「うん。けっこう化けたわね。意識して顔にメリハリつけたから、予想通りハーフっぽくなって、その上、妖艶にもなったわ。それでツンと澄ましていれば、首輪していようがパンツ見せていようが、ビビッて誰も声かけてこないはずよ」
お姉さまが愉快そうにおっしゃいました。
私的には、やり過ぎな感じもしましたが、お姉さまが良いとおっしゃってくれているし、確かにこれなら私を知っている人でもわからないだろうな、とも思い、いいことにしました。
「ちょっとあたしを睨みつけてみてよ、さっきみたいに」
お姉さまにせがまれて、ワザと取り去られた一番下のボタンのことを思い出し、同じようなジト目をしてお姉さまを見つめました。
「うわ、生意気そう。あたしこれから、この生意気な女を好きなだけ虐めていいのよね?すっごく愉しみ。めちゃくちゃやって泣かせてやりたい」
お姉さまも今の私の顔に関して、私と同じご感想をお持ちになったようでした。
「本当、直子とのアソビって面白い。メイク変えただけで、これだけ盛り上がれるのだもの。あたし今、この生意気女を辱める方法が次から次へと湧き出てきている。直子があたしのパートナーで、本当に良かったわ」
お姉さまからの嬉しいお言葉に悦ぶべきか、ちょっぴりフクザツ。
だけど何よりもお姉さまが愉しそうなので、これもよしとしました。
「はい。直子はこのバッグを持ち歩くのよ」
お化粧ポーチをバーキンに仕舞った後、お姉さまから今度は、少し小さめなトートバッグを渡されました。
持ち手のラインと縁取りが濃いブルーで、バッグそのものは水色の透明なビニールで出来たトートバッグでした。
中にはすでに、白いバスタオルとビニールシートのようなものが入っていました。
「それで、これと、これと・・・」
お姉さまがしゃがみ込み、ソファー周辺に並べておいた私がお家から持ってきた虐め道具のうちのいくつかを、無造作にそのバッグに詰め始めました。
リモコンローターふたつ、円錐形のバイブレーター二個、アナルビーズ、手錠、首輪のリード、短いロープ、木製洗濯バサミたくさん・・・
「あ、あの、お姉さま?・・・」
あわてる私の声も聞こえないフリで、それらがバッグに詰め込まれ、最後にお姉さまのお財布が入れられました。
「あたしのお財布も入っているのだからそのバッグ、絶対に失くさないでよね?」
お姉さまにビニールトートバッグを手渡され、しげしげと眺めました。
バッグの片方の面は、バスタオルの白地が全面に見えていて、何の問題もありません。
でも裏返すと、先ほどお姉さまがお入れになったおどろおどろしいお道具たちが、水色のビニール越しに透けて見えていました。
ピンク色した卵型の物体、見るからにえっちぽい銀色の円錐形、鎖、麻縄、どう見ても、それ以外のものには見えない手錠と洗濯バサミ・・・
透けたバッグの中身を少し目を凝らして見れば、それらが何に使われるものかピンときてしまうえっちな人も、都会には少なからずいることでしょう。
「残ったオモチャは直子のバッグに仕舞って持って帰っていいわ。準備が出来たら出発よ。あ、冷蔵庫の中は片付けたのよね?」
「はい。今入っているのはお飲み物だけです」
「お散歩のときはそのビニールトートのほうだけ持ち歩いて、あたしが、出して、って言ったものは、いつでもどこにいても、すぐ取り出すこと。それが出来なかったら、その後、直子はもっと恥ずかしいお仕置きをされることになるから、よーく憶えておいてね」
「・・・はい」
「あたしはお散歩中は、このビデオカメラしか持ち歩かないつもりだから」
お姉さまがニッと笑って、ちっちゃなハンディカメラをこれ見よがしに見せてから、立ち上がりました。
「戸締りはしたし、カーテンもおっけー。ガスの元栓も締めた。さあ行きましょう。直子はそっちのゴミ袋も持ってね。一階のゴミ置き場に出しちゃうから」
お姉さまがカートとバーキンともうひとつのゴミ袋を持って、スタスタ歩き始めました。
私も自分の荷物を持って、後を追います。
もちろんビニールトートは、バスタオルの面を表側に出して。
玄関で靴を履いているとき、お姉さまが不意におっしゃいました。
「どう?直子。マゾの首輪嵌めたまま外出する気分は?」
「どう、って聞かれましても・・・かなり恥ずかしいし・・・怖いです・・・」
「それだけ?えっちなオモチャが透けたバッグ持って、パンツすれすれのミニ穿いてお出かけだよ?直子みたいなヘンタイ露出マゾ女には、夢みたいなシチュエーションじゃなくて?」
「・・・あ、あの、えっと、それは・・・」
私が口ごもっていると、お姉さまが私の耳に熱い息をヒソヒソ吹きかけてきました。
「出発前に、もうひとつだけネタバレしてあげる。あたしがなぜ、直子にグレイのパンツを穿かせたと思う?」
「・・・わ、わかりません・・・」
「グレイのシルク地だとね、直子がいやらしい気持ちになってマゾマンコを濡らしちゃったとき、そのシミが一番クッキリ目立つのよ。黒々と、遠くから見てもわかるくらい」
「・・・」
「そんなのみんなに見られたら、ある意味ノーパン見られるより恥ずかしくない?サカっている証拠だし、ぱっと見でもお漏らしみたいだし。だからせいぜい濡れないように、がんばりなさい」
そこまでおっしゃって私の右耳から唇を離し、玄関ドアをゆっくりと開けるお姉さま。
「あっ、言い忘れてた。胸元のボタンをふたつ外しなさい」
振り向いたお姉さまが、冷たく微笑んでおっしゃいました。
「は、はい、お姉さま・・・」
ゴミ袋をいったん靴脱ぎに置き、右手だけでボタンを外しているとき、股間の奥がヒクヒクっと震え、ジンワリ潤んできたのが、自分ではっきりわかりました。
*
*オートクチュールのはずなのに 15へ
*
2015年7月26日
オートクチュールのはずなのに 13
目が覚めたとき、傍らにお姉さまはいらっしゃいませんでした。
おそらく私が寝入ってしまった後、寝室にお戻りになられたのでしょう。
私のからだは、掛けた記憶の無いタオルケットにくるまれていました。
昨日に比べるとお部屋の中がずいぶん暗い感じ。
ひょっとして昨日より早起き出来たのかな?
起き上がって窓辺へ行きカーテンを開けると、お外はどんより曇り空。
時計を見たら9時5分でした。
朝のルーティーンワークを済ませたら家政婦モードに突入です。
まず、昨日出来なかったリビングルームのお掃除からすることにしました。
お部屋の中央付近にそのままになっていた、昨日のお姉さまからの陵辱の残骸。
すなわち、溶けた蝋と洗濯バサミが点々と散らばったビニールシートから片付け始めます。
洗濯バサミを手に取ると、それがくれた痛みと共に、お姉さまからされたこと、を鮮明に思い出してしまい、みるみるからだに淫らな反応が顕われてしまいます。
だめだめ、今はお仕事優先。
ダスターで高い所の埃を払うので、窓を開けなくちゃ。
窓辺に近づいてお外の風景が見えると、やっぱり少し、開けることをためらってしまいます。
大丈夫、ここは誰にも覗かれないのだから。
そろそろと開け始めたら、その隙間からねっとりとしたお外の空気が、全裸の素肌全体にまとわりついてきました。
気温は裸でも寒くない程度、湿度がかなり高いみたいです。
窓を開け放すにつれて、徐々にヴォリュームを上げて耳に飛び込んで来る、お外の世界の日常的な喧騒。
ベランダに降り立ち、景色を見渡した後うつむいて、自分が全裸であることを意識したとき、マンション沿いの通りを歩いているっぽい若そうな男性たちの、あははは、という楽しげな笑い声が近くで聞こえ、途端にキュンと感じてしまいました。
埃を払ってからお部屋の隅々まで満遍なく掃除機をかけ、最後は絞った雑巾で床を拭き掃除。
なにしろ広いお部屋ですから、雑巾がけだけでも重労働。
四つん這いになってお尻を高く突き上げ、おっぱいをプルプル揺らしてがんばりました。
お掃除を終えたら、次はお洗濯。
このお天気では乾かないかもしれないけれど、一応やっておくことにしました。
お洗濯すべきものは数枚のタオルと、お姉さまが昨日お召しになっていたマキシワンピースだけですから。
そう言えば昨日、私とお姉さまは一切下着類を着けていなかったのでした。
ランドリールームに入ると、奥のバスルームから物音がしていました。
お姉さまも起きられたんだ!
今日はどんなことをされちゃうのだろう。
ワクワクとドキドキがからだ中に漲りました。
雨にならないうちにお洗濯ものを手早く干して、お食事の用意をしなくっちゃ。
疼きが増したからだをなだめるために、エプロンは直子流で身に着けました。
一度きちんと結んだエプロンの紐を、洗濯バサミに両乳首とクリットを布越しに噛ませてから解きました。
「はうんっ!」
ヒラヒラなエプロンを、秘所三点止めが必死に噛み付いて支えてくれています。
今朝のメニューはベーコンエッグとオニオングラタンスープ、そして昨日好評だったコールスロー。
サンドウイッチも作っておいて、トーストとサンドウイッチ、お好きに選べるようにしました。
お紅茶の用意もしようかと迷っていたら、お姉さまがお顔をお見せになりました。
「おはよう。朝っぱらからドエム全開なのね?」
私のエプロン姿をご覧になってのご感想。
「あ、おはようございます!」
今日のお姉さまは、渋いグレイのシンプルなTシャツワンピース姿。
ボートネックから覗く鎖骨がセクシー。
下着ラインがまったく見えないので、今日も素肌に直みたいです。
「なんだか今日は生憎の天気みたいね。さっきネットニュース見ていたら、午後には東京でゲリラ豪雨あるかもですって」
窓際まで行かれたお姉さまがお空を見上げました。
「お食事どうします?ベランダにご用意しますか?」
「うーん。このお天気じゃねえ・・・直子はもちろん、外でしたいのでしょ?」
「えっ?いえ、私はお姉さまのご希望に従うだけですので」
「今にも降ってきそう。食べている最中に降ってきちゃってもメンドクサイし、残念だけれど中にしときましょう」
お姉さまが戻ってこられ、ダイニングの椅子に腰掛けられました。
「ワインはどうします?お飲みになられますか?」
「うーん。昨夜少し飲みすぎちゃったからなー。あ、でもぐっすり寝たから体調はいいけれど」
「ではお紅茶で?」
「そうね」
お答えを受けて、テーブルにお料理を並べていきました。
「心なんてお天気で変わる、っていう歌があったけれど、本当ね。曇り空だとやっぱり気持ちもアンニュイ。休日ラストだっていうのにがっかり」
今朝のお姉さま、なんだか少しご機嫌ナナメなご様子。
「晴れていたら食事の後、裸の直子にベランダでバレエ踊ってもらおうと思っていたのになあ。ローター挿れて、音楽かけて、本格的に」
スープを置くためにお姉さまへ近づいた私の胸にお姉さまの右腕が伸び、洗濯バサミがひとつ、無造作に外されました。
「あぅっ!」
前掛け部分がペロンとめくれ、左のおっぱいだけ剥き出しになりました。
「相変わらず乳首勃てちゃって。直子ってブレないわよね?ん?あ、いい匂い」
気だるい感じでおっしゃってから最後に付け加えたお言葉は、オニオングラタンスープへ向けられたものでしょう。
その後はイタズラもされずお料理を並べ終わり、エプロンを自分で外しました。
全裸に首輪の私とTシャツワンピ一枚のお姉さまとで差し向かい。
お食事が始まると、お姉さまのご機嫌もだんだん落ち着いてきたようでした。
美味しい美味しい、って何度も褒めてくださり、嬉しくなりました。
「このサンドウイッチの、ピリッと効いたマスタードの加減が絶妙よね」
ニコニコ頬張るお姉さま。
私の頬も自然と緩んでしまいます。
「そう言えば直子って、辛い食べ物大好きでしょう?」
「えっ?あ、いえ、あんまり得意なほうでは・・・」
「そうなの?絶対好きだと思ってた」
「学生の頃、お友だちと、凄く辛いけれど美味しいって有名なカレー屋さんに挑戦したことがあって、確かに美味しかったのですけれど、食べている最中の汗や鼻水がすごくて・・・」
「うん」
「それ以来、そういうのは敬遠気味です」
「ふーん。あのね、辛さっていうのはね、味覚ではないんだって」
「えっ?」
「取引先の人との雑談で聞いたのだけれどね、辛いっていう味覚は無くて、辛さを感じるのは痛覚なんだって」
「へー」
「つまり、辛い、っていうのは、痛い、と同じ。それで、痛い、がつづくと痛みを和らげようとしてベータエンドルフィンとかいう脳内麻薬みたいなのが分泌されるの。それで、気持ちいい、になるわけ」
「はぁ・・・」
「これって、何かに似ていない?」
「ああ」
「そう。直子みたいなマゾの苦痛が快楽に至るプロセスと同じなのよ。だから、檄辛好きはドエム、っていうのが、その人の結論だったの。直子なら檄辛好きになる素質、充分あるのじゃない?」
「うーん・・・辛いものが好きイコール痛いのが好き、というこですよね?確かにそうなのかもしれませんが、私は食欲と性欲を結びつけたことがないので、あまりピンときません・・・」
「私もたまに辛いものが食べたくなるときもありますけれど、そのときムラムラしているわけでもないですし、ムラムラは別の方法で解消しちゃいますから・・・」
「マゾへの責めのひとつとして、辛いカレーを無理矢理食べさせて、そのつらそうなだらしない顔を見て愉しむ、っていうのをされたら、私も目覚めちゃいそうな気もしますが・・・」
「なるほど、その責めは面白いかもね。だけど辛いものの摂り過ぎはからだにも悪いから、直子が好きでないのなら、したくないな」
お姉さまからの、なんておやさしいお言葉。
「それに辛さ、って一口に言っても、いろいろあるじゃない?たとえばトウガラシならホットって形容されるし、ミントやワサビみたいな辛さならクールでしょ。だから、たぶんやっぱり辛さって、味でもあるし痛さでもあるのよ。エムだエスだっていうよりは、好みの問題よね」
その話題はそこで終わり、お食事もあらかた終えて、お紅茶アンド食休みタイムになりました。
お姉さまがテレビを点けると、レジャーを終えた車の都会へのUターンラッシュのニュースをやっていました。
「大型連休中の都心て、本当に人も車も激減して、ひっそりするのよね。とくにお正月なんてガラガラ。あ、もちろん遊び場所のある繁華街は別よ」
「そのぶん、こっちに残った人たちは静かでいいけれどね。今年の年始の連休中に用事があって官庁街のほうへ車で行ったらスイスイでさ、ビル街にまったく人影が無くて、まるでゾンビ映画のワンシーンみたいだった」
小さく笑いながらそこまでおっしゃって、ふと何かを思いつかれたような表情になったお姉さま。
カップを手にしたまま窓辺まで行き、しばらくお外を眺めていました。
「直子ってさ、今まで街中で、本当のオールヌードになったことはある?」
テーブルの上を片付けようと立ち上がりかけた私の傍まで来たお姉さまが、覗き込むように尋ねてきました。
その瞳が愉しげに輝いています。
「あの、えっと・・・」
「本当のオールヌード、っていうのはさ、つまり、上にコートとか上着とかを羽織っていない状態の全裸で、誰かが来てもすぐに隠せる状態じゃないことね。つまり正真正銘のスッポンポン。今みたいな状態。あ、もちろん首輪は別。こういうのって、マゾのシンボルみたいなものだから」
再び座り直した私に背後から、覆いかぶさるように抱きついてきて、私のおっぱいをやんわりもてあそぶお姉さま。
ああん、くすぐったいですぅ。
「あの、えっと・・・」
おっぱいをやさしく愛撫されながら、一生懸命思い出しました。
「高校2年のとき、やよい、あ、いえ、百合草先生と遊んだとき、通っていた高校の裏門で写真を撮られたときは、ぜ、全裸でした・・・あんっ、雨がざんざん降りで、もうひとり、ユマさんと一緒で・・・あぅっ、ちょうど小さなトラックがやってきて・・・あんっ」
私の言葉に合わせるように、両方のおっぱいを強く弱く揉みしだくお姉さま。
「ふーん。それだけ?シーナさんとは?」
「あとは、えっと、シーナさまとは、お外では・・・ああんっ、セレクトショップで、結果的に全裸にされたことは、ありました・・・知らないお客様が何人かいらっしゃって・・・」
「ああ。あの裸コートのときね。でもそれは、一応屋内か」
「は、はい・・・ああんっ」
お姉さまの指のターゲットが私の乳首に移り、私はハァハァ興奮していました。
「その2回きりなの?」
「は、はい・・・他にもお外でえっちな格好をしたことは、な、何度かありましたけれど、全部脱いだりはしていません、たぶん・・・ああんっ・・・スケスケとか、ノーパンとか・・・あっ!・・・」
そのとき、唐突に思い出したことがありました。
私ったら、もう一回あるじゃない、お外で真っ裸になったこと・・・
「何?今の、あっ、は?」
すかさずお姉さまからツッコまれ、乳首を捻り上げられました。
「ひーぃんっ!ごめんなさいぃ、もう一回だけありましたぁ・・・高三のとき、地元の小山みたいな森で・・・」
「あら、それは初耳ね。それも百合草女史と?」
「あの、いえ、それはひ、ひとりで、と言うか、成り行きで・・・」
高三のとき、やよい先生が住んでいらっしゃった町に遠征して、ひとりノーパン遊びをしていてカズキくんと知り合ったことは、今まで誰にも、やよい先生にもシーナさまにもお姉さまにも、お話したことはありませんでした。
その状況やお相手があまりにも特殊で、ある意味アブノーマル過ぎるし、自分自身に後ろめたい気持ちが少なからずあったので、誰にも言わず、出来れば死ぬまで隠匿しておくつもりだった、私だけのヒミツでした。
お姉さまにおっぱいと乳首を執拗にもてあそばれて喘ぎながら、カズキくんとの一部始終を白状しました。
カクレガのこと、お医者さんごっこのこと、生まれて初めて潮を吹いてしまったこと、ざんざん降りの森で全裸で抱き合ったこと、そしてミキちゃんとのことまで。
今まで秘密にしていたことの罰として、お姉さまにたくさんお尻をぶたれました。
「直子ったら、オネショタのケまであったのね?本当に呆れたヘンタイお姉さんぶりだこと」
「そのくらいの子なら、勃たないものね。でもそれって限りなくハンザイに近いわよ」
「ずいぶん強烈なお医者さんごっこだこと。その子のその後の人格形成が心配になっちゃうわね」
「それってたぶん、ちっちゃな子のこぶしで、ボルチオ開発されちゃったのよ。それで直子、中イキまで覚えちゃったのね」
お姉さまからのからかいと蔑みのお言葉を聞きながら、あの子たち、今頃どうしているかな、なんて考えていました。
あれから早くも3年以上、経っていました。
「おーけー、わかったわ。ヘンタイ直子は今まで2回、外で素っ裸になったことがある、と。それもいずれも雨の日。つまり、3度目を経験するのに、今日なんかおあつらえむきな天気だと思わない?」
ダイニングを離れ、床に四つん這いになっている私のお尻にバラ鞭を振るいながら、お姉さまがおっしゃいました。
私はもうすでに2回、お姉さまの指と鞭でイかされていました。
「あうっ!えっと、それは・・・」
「だからつまり、今日はこれから出かけることにするの。車出してあげる。直子の露出マゾレベルの経験値を稼ぎに行くのよ」
「えっ!」
「前にも言ったでしょ?あたしは、百合草女史やシーナさんと直子との甘酸っぱい思い出をことごとく上書きして、直子の一番のお相手になりたいの」
「まあ、今聞いたカズキくんとの思い出は、さすがのあたしも太刀打ちする術が無いけれど」
お姉さまの唇が近づいて、深ーいくちづけをくださいました。
「それにさっき教えてあげたじゃない、連休中の都心は人が少ないの。こんな天気だし、連休最終日だし、輪をかけて少ないだろうことは保証するわ」
「で、でも、どこに行くのですか?」
「そうね、官庁街なら絶対休みで人いないから、丸の内あたり行ってビルをバックに写真を撮ってきましょう。今日の目標は、直子が街中で素っ裸になること」
「・・・東京の街の中で私、全裸にならなくてはいけないのですね?」
「そうよ。ワクワクしちゃうでしょ?一昨日のスーパーのときも、直子、すっごく嬉しそうだったものね」
おっしゃってから、お姉さまの瞳がキラッと妖しく輝きました。
「そうだった。直子の露出レベルは一昨日、ずいぶん上がっちゃったんだっけ」
私のお尻をスリスリさするお姉さま。
「ごめんごめん。忘れていたわ。あのとき直子が一番興奮していたのって、直子が自分からレジの子に、裸のお尻を見せつけたときだったものね?」
お姉さまの指がどんどん、私のお尻の穴のほうに寄ってきていました。
「もう裸になるぐらいじゃ、直子はぜんぜん興奮出来ないわよね?ちゃんと誰かに視てもらわなくちゃ」
「それならこうしましょう。今日の直子の目標は、街中で素っ裸になって、その姿を見知らぬ誰か三人以上に見せつけてくること」
「まず人通りの少なそうなところでウォーミングアップして、徐々に人混みに入っていく、っていうのはどう?」
「そ、そんなこと私・・・あうっ!」
お姉さまの指が私の肛門にズブリと挿さりました。
「せっかくあたしがドライブデートに誘っているのに、なんだかあまり乗り気ではないみたいね?直子にノーっていう選択肢なんて無いこと、忘れちゃった?」
「あぅ!、いえ、あの、ごめんなさいぃ」
お姉さまが挿し込んだ指をグリグリしながら、もう片方の手で尻たぶをバチバチ叩きます。
「どうせ明日は朝から羽田だし、あたしも今夜は池袋にいたほうが便利なのよ。それに、直子には部屋もすっかり奇麗にしてもらったから、家政婦直子へのお礼として、夕食はどこかのレストランで奮発してあげる」
「あうっ、はいぃ、あ、ありがとうございますぅぅ」
「連休最後に、ふたりで忘れられない思い出をつくりましょう!」
「はいぃぃ、お姉さまぁ・・・」
「そうと決まったら準備しなくちゃ。ほら、早くイっちゃいなさい!」
お尻の穴をほじられながらクリットをつままれました。
「あぅぅ、いぃぃ、もっとぉぉ・・・」
「いやらしい声だこと。あたしも興奮しちゃっているから、ちゃんと鎮めて、少し冷静にならなくちゃ」
「ほら早くイって!次はあたしの番なのだから」
お姉さまが片手でスルスルと、Tシャツワンピを脱ぎ始めました。
*
*オートクチュールのはずなのに 14へ
*
おそらく私が寝入ってしまった後、寝室にお戻りになられたのでしょう。
私のからだは、掛けた記憶の無いタオルケットにくるまれていました。
昨日に比べるとお部屋の中がずいぶん暗い感じ。
ひょっとして昨日より早起き出来たのかな?
起き上がって窓辺へ行きカーテンを開けると、お外はどんより曇り空。
時計を見たら9時5分でした。
朝のルーティーンワークを済ませたら家政婦モードに突入です。
まず、昨日出来なかったリビングルームのお掃除からすることにしました。
お部屋の中央付近にそのままになっていた、昨日のお姉さまからの陵辱の残骸。
すなわち、溶けた蝋と洗濯バサミが点々と散らばったビニールシートから片付け始めます。
洗濯バサミを手に取ると、それがくれた痛みと共に、お姉さまからされたこと、を鮮明に思い出してしまい、みるみるからだに淫らな反応が顕われてしまいます。
だめだめ、今はお仕事優先。
ダスターで高い所の埃を払うので、窓を開けなくちゃ。
窓辺に近づいてお外の風景が見えると、やっぱり少し、開けることをためらってしまいます。
大丈夫、ここは誰にも覗かれないのだから。
そろそろと開け始めたら、その隙間からねっとりとしたお外の空気が、全裸の素肌全体にまとわりついてきました。
気温は裸でも寒くない程度、湿度がかなり高いみたいです。
窓を開け放すにつれて、徐々にヴォリュームを上げて耳に飛び込んで来る、お外の世界の日常的な喧騒。
ベランダに降り立ち、景色を見渡した後うつむいて、自分が全裸であることを意識したとき、マンション沿いの通りを歩いているっぽい若そうな男性たちの、あははは、という楽しげな笑い声が近くで聞こえ、途端にキュンと感じてしまいました。
埃を払ってからお部屋の隅々まで満遍なく掃除機をかけ、最後は絞った雑巾で床を拭き掃除。
なにしろ広いお部屋ですから、雑巾がけだけでも重労働。
四つん這いになってお尻を高く突き上げ、おっぱいをプルプル揺らしてがんばりました。
お掃除を終えたら、次はお洗濯。
このお天気では乾かないかもしれないけれど、一応やっておくことにしました。
お洗濯すべきものは数枚のタオルと、お姉さまが昨日お召しになっていたマキシワンピースだけですから。
そう言えば昨日、私とお姉さまは一切下着類を着けていなかったのでした。
ランドリールームに入ると、奥のバスルームから物音がしていました。
お姉さまも起きられたんだ!
今日はどんなことをされちゃうのだろう。
ワクワクとドキドキがからだ中に漲りました。
雨にならないうちにお洗濯ものを手早く干して、お食事の用意をしなくっちゃ。
疼きが増したからだをなだめるために、エプロンは直子流で身に着けました。
一度きちんと結んだエプロンの紐を、洗濯バサミに両乳首とクリットを布越しに噛ませてから解きました。
「はうんっ!」
ヒラヒラなエプロンを、秘所三点止めが必死に噛み付いて支えてくれています。
今朝のメニューはベーコンエッグとオニオングラタンスープ、そして昨日好評だったコールスロー。
サンドウイッチも作っておいて、トーストとサンドウイッチ、お好きに選べるようにしました。
お紅茶の用意もしようかと迷っていたら、お姉さまがお顔をお見せになりました。
「おはよう。朝っぱらからドエム全開なのね?」
私のエプロン姿をご覧になってのご感想。
「あ、おはようございます!」
今日のお姉さまは、渋いグレイのシンプルなTシャツワンピース姿。
ボートネックから覗く鎖骨がセクシー。
下着ラインがまったく見えないので、今日も素肌に直みたいです。
「なんだか今日は生憎の天気みたいね。さっきネットニュース見ていたら、午後には東京でゲリラ豪雨あるかもですって」
窓際まで行かれたお姉さまがお空を見上げました。
「お食事どうします?ベランダにご用意しますか?」
「うーん。このお天気じゃねえ・・・直子はもちろん、外でしたいのでしょ?」
「えっ?いえ、私はお姉さまのご希望に従うだけですので」
「今にも降ってきそう。食べている最中に降ってきちゃってもメンドクサイし、残念だけれど中にしときましょう」
お姉さまが戻ってこられ、ダイニングの椅子に腰掛けられました。
「ワインはどうします?お飲みになられますか?」
「うーん。昨夜少し飲みすぎちゃったからなー。あ、でもぐっすり寝たから体調はいいけれど」
「ではお紅茶で?」
「そうね」
お答えを受けて、テーブルにお料理を並べていきました。
「心なんてお天気で変わる、っていう歌があったけれど、本当ね。曇り空だとやっぱり気持ちもアンニュイ。休日ラストだっていうのにがっかり」
今朝のお姉さま、なんだか少しご機嫌ナナメなご様子。
「晴れていたら食事の後、裸の直子にベランダでバレエ踊ってもらおうと思っていたのになあ。ローター挿れて、音楽かけて、本格的に」
スープを置くためにお姉さまへ近づいた私の胸にお姉さまの右腕が伸び、洗濯バサミがひとつ、無造作に外されました。
「あぅっ!」
前掛け部分がペロンとめくれ、左のおっぱいだけ剥き出しになりました。
「相変わらず乳首勃てちゃって。直子ってブレないわよね?ん?あ、いい匂い」
気だるい感じでおっしゃってから最後に付け加えたお言葉は、オニオングラタンスープへ向けられたものでしょう。
その後はイタズラもされずお料理を並べ終わり、エプロンを自分で外しました。
全裸に首輪の私とTシャツワンピ一枚のお姉さまとで差し向かい。
お食事が始まると、お姉さまのご機嫌もだんだん落ち着いてきたようでした。
美味しい美味しい、って何度も褒めてくださり、嬉しくなりました。
「このサンドウイッチの、ピリッと効いたマスタードの加減が絶妙よね」
ニコニコ頬張るお姉さま。
私の頬も自然と緩んでしまいます。
「そう言えば直子って、辛い食べ物大好きでしょう?」
「えっ?あ、いえ、あんまり得意なほうでは・・・」
「そうなの?絶対好きだと思ってた」
「学生の頃、お友だちと、凄く辛いけれど美味しいって有名なカレー屋さんに挑戦したことがあって、確かに美味しかったのですけれど、食べている最中の汗や鼻水がすごくて・・・」
「うん」
「それ以来、そういうのは敬遠気味です」
「ふーん。あのね、辛さっていうのはね、味覚ではないんだって」
「えっ?」
「取引先の人との雑談で聞いたのだけれどね、辛いっていう味覚は無くて、辛さを感じるのは痛覚なんだって」
「へー」
「つまり、辛い、っていうのは、痛い、と同じ。それで、痛い、がつづくと痛みを和らげようとしてベータエンドルフィンとかいう脳内麻薬みたいなのが分泌されるの。それで、気持ちいい、になるわけ」
「はぁ・・・」
「これって、何かに似ていない?」
「ああ」
「そう。直子みたいなマゾの苦痛が快楽に至るプロセスと同じなのよ。だから、檄辛好きはドエム、っていうのが、その人の結論だったの。直子なら檄辛好きになる素質、充分あるのじゃない?」
「うーん・・・辛いものが好きイコール痛いのが好き、というこですよね?確かにそうなのかもしれませんが、私は食欲と性欲を結びつけたことがないので、あまりピンときません・・・」
「私もたまに辛いものが食べたくなるときもありますけれど、そのときムラムラしているわけでもないですし、ムラムラは別の方法で解消しちゃいますから・・・」
「マゾへの責めのひとつとして、辛いカレーを無理矢理食べさせて、そのつらそうなだらしない顔を見て愉しむ、っていうのをされたら、私も目覚めちゃいそうな気もしますが・・・」
「なるほど、その責めは面白いかもね。だけど辛いものの摂り過ぎはからだにも悪いから、直子が好きでないのなら、したくないな」
お姉さまからの、なんておやさしいお言葉。
「それに辛さ、って一口に言っても、いろいろあるじゃない?たとえばトウガラシならホットって形容されるし、ミントやワサビみたいな辛さならクールでしょ。だから、たぶんやっぱり辛さって、味でもあるし痛さでもあるのよ。エムだエスだっていうよりは、好みの問題よね」
その話題はそこで終わり、お食事もあらかた終えて、お紅茶アンド食休みタイムになりました。
お姉さまがテレビを点けると、レジャーを終えた車の都会へのUターンラッシュのニュースをやっていました。
「大型連休中の都心て、本当に人も車も激減して、ひっそりするのよね。とくにお正月なんてガラガラ。あ、もちろん遊び場所のある繁華街は別よ」
「そのぶん、こっちに残った人たちは静かでいいけれどね。今年の年始の連休中に用事があって官庁街のほうへ車で行ったらスイスイでさ、ビル街にまったく人影が無くて、まるでゾンビ映画のワンシーンみたいだった」
小さく笑いながらそこまでおっしゃって、ふと何かを思いつかれたような表情になったお姉さま。
カップを手にしたまま窓辺まで行き、しばらくお外を眺めていました。
「直子ってさ、今まで街中で、本当のオールヌードになったことはある?」
テーブルの上を片付けようと立ち上がりかけた私の傍まで来たお姉さまが、覗き込むように尋ねてきました。
その瞳が愉しげに輝いています。
「あの、えっと・・・」
「本当のオールヌード、っていうのはさ、つまり、上にコートとか上着とかを羽織っていない状態の全裸で、誰かが来てもすぐに隠せる状態じゃないことね。つまり正真正銘のスッポンポン。今みたいな状態。あ、もちろん首輪は別。こういうのって、マゾのシンボルみたいなものだから」
再び座り直した私に背後から、覆いかぶさるように抱きついてきて、私のおっぱいをやんわりもてあそぶお姉さま。
ああん、くすぐったいですぅ。
「あの、えっと・・・」
おっぱいをやさしく愛撫されながら、一生懸命思い出しました。
「高校2年のとき、やよい、あ、いえ、百合草先生と遊んだとき、通っていた高校の裏門で写真を撮られたときは、ぜ、全裸でした・・・あんっ、雨がざんざん降りで、もうひとり、ユマさんと一緒で・・・あぅっ、ちょうど小さなトラックがやってきて・・・あんっ」
私の言葉に合わせるように、両方のおっぱいを強く弱く揉みしだくお姉さま。
「ふーん。それだけ?シーナさんとは?」
「あとは、えっと、シーナさまとは、お外では・・・ああんっ、セレクトショップで、結果的に全裸にされたことは、ありました・・・知らないお客様が何人かいらっしゃって・・・」
「ああ。あの裸コートのときね。でもそれは、一応屋内か」
「は、はい・・・ああんっ」
お姉さまの指のターゲットが私の乳首に移り、私はハァハァ興奮していました。
「その2回きりなの?」
「は、はい・・・他にもお外でえっちな格好をしたことは、な、何度かありましたけれど、全部脱いだりはしていません、たぶん・・・ああんっ・・・スケスケとか、ノーパンとか・・・あっ!・・・」
そのとき、唐突に思い出したことがありました。
私ったら、もう一回あるじゃない、お外で真っ裸になったこと・・・
「何?今の、あっ、は?」
すかさずお姉さまからツッコまれ、乳首を捻り上げられました。
「ひーぃんっ!ごめんなさいぃ、もう一回だけありましたぁ・・・高三のとき、地元の小山みたいな森で・・・」
「あら、それは初耳ね。それも百合草女史と?」
「あの、いえ、それはひ、ひとりで、と言うか、成り行きで・・・」
高三のとき、やよい先生が住んでいらっしゃった町に遠征して、ひとりノーパン遊びをしていてカズキくんと知り合ったことは、今まで誰にも、やよい先生にもシーナさまにもお姉さまにも、お話したことはありませんでした。
その状況やお相手があまりにも特殊で、ある意味アブノーマル過ぎるし、自分自身に後ろめたい気持ちが少なからずあったので、誰にも言わず、出来れば死ぬまで隠匿しておくつもりだった、私だけのヒミツでした。
お姉さまにおっぱいと乳首を執拗にもてあそばれて喘ぎながら、カズキくんとの一部始終を白状しました。
カクレガのこと、お医者さんごっこのこと、生まれて初めて潮を吹いてしまったこと、ざんざん降りの森で全裸で抱き合ったこと、そしてミキちゃんとのことまで。
今まで秘密にしていたことの罰として、お姉さまにたくさんお尻をぶたれました。
「直子ったら、オネショタのケまであったのね?本当に呆れたヘンタイお姉さんぶりだこと」
「そのくらいの子なら、勃たないものね。でもそれって限りなくハンザイに近いわよ」
「ずいぶん強烈なお医者さんごっこだこと。その子のその後の人格形成が心配になっちゃうわね」
「それってたぶん、ちっちゃな子のこぶしで、ボルチオ開発されちゃったのよ。それで直子、中イキまで覚えちゃったのね」
お姉さまからのからかいと蔑みのお言葉を聞きながら、あの子たち、今頃どうしているかな、なんて考えていました。
あれから早くも3年以上、経っていました。
「おーけー、わかったわ。ヘンタイ直子は今まで2回、外で素っ裸になったことがある、と。それもいずれも雨の日。つまり、3度目を経験するのに、今日なんかおあつらえむきな天気だと思わない?」
ダイニングを離れ、床に四つん這いになっている私のお尻にバラ鞭を振るいながら、お姉さまがおっしゃいました。
私はもうすでに2回、お姉さまの指と鞭でイかされていました。
「あうっ!えっと、それは・・・」
「だからつまり、今日はこれから出かけることにするの。車出してあげる。直子の露出マゾレベルの経験値を稼ぎに行くのよ」
「えっ!」
「前にも言ったでしょ?あたしは、百合草女史やシーナさんと直子との甘酸っぱい思い出をことごとく上書きして、直子の一番のお相手になりたいの」
「まあ、今聞いたカズキくんとの思い出は、さすがのあたしも太刀打ちする術が無いけれど」
お姉さまの唇が近づいて、深ーいくちづけをくださいました。
「それにさっき教えてあげたじゃない、連休中の都心は人が少ないの。こんな天気だし、連休最終日だし、輪をかけて少ないだろうことは保証するわ」
「で、でも、どこに行くのですか?」
「そうね、官庁街なら絶対休みで人いないから、丸の内あたり行ってビルをバックに写真を撮ってきましょう。今日の目標は、直子が街中で素っ裸になること」
「・・・東京の街の中で私、全裸にならなくてはいけないのですね?」
「そうよ。ワクワクしちゃうでしょ?一昨日のスーパーのときも、直子、すっごく嬉しそうだったものね」
おっしゃってから、お姉さまの瞳がキラッと妖しく輝きました。
「そうだった。直子の露出レベルは一昨日、ずいぶん上がっちゃったんだっけ」
私のお尻をスリスリさするお姉さま。
「ごめんごめん。忘れていたわ。あのとき直子が一番興奮していたのって、直子が自分からレジの子に、裸のお尻を見せつけたときだったものね?」
お姉さまの指がどんどん、私のお尻の穴のほうに寄ってきていました。
「もう裸になるぐらいじゃ、直子はぜんぜん興奮出来ないわよね?ちゃんと誰かに視てもらわなくちゃ」
「それならこうしましょう。今日の直子の目標は、街中で素っ裸になって、その姿を見知らぬ誰か三人以上に見せつけてくること」
「まず人通りの少なそうなところでウォーミングアップして、徐々に人混みに入っていく、っていうのはどう?」
「そ、そんなこと私・・・あうっ!」
お姉さまの指が私の肛門にズブリと挿さりました。
「せっかくあたしがドライブデートに誘っているのに、なんだかあまり乗り気ではないみたいね?直子にノーっていう選択肢なんて無いこと、忘れちゃった?」
「あぅ!、いえ、あの、ごめんなさいぃ」
お姉さまが挿し込んだ指をグリグリしながら、もう片方の手で尻たぶをバチバチ叩きます。
「どうせ明日は朝から羽田だし、あたしも今夜は池袋にいたほうが便利なのよ。それに、直子には部屋もすっかり奇麗にしてもらったから、家政婦直子へのお礼として、夕食はどこかのレストランで奮発してあげる」
「あうっ、はいぃ、あ、ありがとうございますぅぅ」
「連休最後に、ふたりで忘れられない思い出をつくりましょう!」
「はいぃぃ、お姉さまぁ・・・」
「そうと決まったら準備しなくちゃ。ほら、早くイっちゃいなさい!」
お尻の穴をほじられながらクリットをつままれました。
「あぅぅ、いぃぃ、もっとぉぉ・・・」
「いやらしい声だこと。あたしも興奮しちゃっているから、ちゃんと鎮めて、少し冷静にならなくちゃ」
「ほら早くイって!次はあたしの番なのだから」
お姉さまが片手でスルスルと、Tシャツワンピを脱ぎ始めました。
*
*オートクチュールのはずなのに 14へ
*
2015年7月19日
オートクチュールのはずなのに 12
立ったままぐんぐん昇りつめていく私のからだを、小刻みに震える両膝が支えきれなくなってきました。
たまらず背後のお姉さまに、しなだれかかります。
崩れ落ちたがる腰を、両足を踏ん張ってなんとか支えると、股間をこれみよがしに前へ突き出すような格好になりました。
のけぞるようにお姉さまにからだを預け、後頭部にあった両手を後ろ手にしてお姉さまの背中に回し、ギュッとしがみつきます。
お姉さまはしっかりと私を支えてくださり、私を穢す両手の勢いも増しました。
尖りきった乳首に爪を立てられ、今や何本なのかも分からなくなってしまった指たちがグイッと奥深くまで潜り込み、膣壁を圧迫してきます。
「んぐぅぅ・・むぅぅ・・・」
背中からお尻にかけてピッタリ密着しているお姉さまの体温を感じながら、必死で歓喜の嗚咽を抑え込みます。
「イキなさい、ほら、こんな青空の下ではしたなく、お嬢様たちの演奏を聞きながら、立ったままイっちゃいなさい」
耳元で、からかうようなささやき。
同時に、乳首を虐めていた指が離れ、すーっとお腹を滑って剥き出しの肉芽にたどり着きました。
「んぐっぅえ!」
躊躇なくギュッと捻り潰され、喉の奥からたまらず悲痛な悲鳴がせりあがり、まるで嘔吐いているみたいにお下品な喘ぎが漏れてしまいました。
かまわずコリコリの肉芽をもてあそぶお姉さまの指先。
もはや限界でした。
「んんんんんんーーーんーーぐぅっ!!!」
グッタリと力が抜け切った私のからだを、お姉さまがまだ、支えてくださっていました。
「ずいぶん気持ち良さそうなイキっぷりだこと!」
左耳をくすぐるお姉さまのお声が、なぜだか少し怒っているみたいに聞こえました。
「ちょっと足元を見てごらん?」
そのお言葉に素直にうつむくと、コンクリートの床にずいぶん大きく、濡れた痕を示す黒いシミが出来ていました。
「イクときの唸り声がかなり大きかったから、ちょっとハラハラしちゃったじゃない?さあ、一度室内に戻るのよ」
私の返事は待たず、私を背後から支えたまま、お姉さまが歩き始めました。
後ろから押されるように私も歩き出します。
お姉さまの右膝が私の右裏腿を蹴ると、私の右脚が一歩前へ。
まるで、背後から抱きかかえられた等身大の操り人形みたいにおぼつかない足取りで、なんとかリビングまで戻りました。
室内に入ると、お姉さまからの支えがなくなりました。
途端にペタリと床にへたりこむ私。
お姉さまは、窓を手早くすべて閉め、ソファーの周辺で何やら物色していました。
お外の喧騒がすっかり聞こえなくなり、緊張感がゆっくり解けていきました
「青空の下での食事って、やっぱり気持ちいいものね。明日もベランダでしましょう」
私の傍らに来たお姉さまの手には、私が自宅から持参した木製の洗濯バサミがいくつか握られていました。
「ほら、仰向けに寝そべりなさい。ここでだったらいくらでも喘ぎ声あげていいから」
お部屋の中央付近を指さすお姉さまの瞳が、淫らに輝いているのがわかりました。
ご命令通りに仰向けになると、間髪を入れずに視界が真っ暗に塞がれてしまいました。
お姉さまが私の顔面に跨ったのでした。
マキシワンピースの裾がバサリと広がり、私の顔全体を覆ってしまったのです。
もちろんその下には何も着けてなくて、潤った泉が私の鼻先に圧しつけられています。
真っ暗な空間に、お姉さまの甘酸っぱい臭いだけが充満していました。
「直子に舐めてもらうの、あたしとても気に入っちゃったの。とくにこうやって、無理矢理顔に圧しつけてやるのが好き・・・はぅぅ」
事態を把握して私が舌を伸ばすと、お姉さまの色っぽいお声が聞こえてきました。
「直子がイクのを見た後って、なぜだか無性に虐めたくなっちゃうのよね。あっ、うん、そこ・・・」
「あんまり気持ち良さそうだから、イライラしちゃうのかもね。ペットのクセに、自分だけいい思いしてって・・・あぁんっ」
お姉さまのお声がだんだん切なげになってきて、私のご奉仕にもどんどん熱が入ります。
「いいわ、そこぉ・・・もっと奥までベロをねじ込んでぇ・・・」
お姉さまが前のめりになると、お尻の穴まで舌が届くようになりました。
すかさず舌を伸ばし、ベロベロ舐めあげます。
「はぁんっ、いいわ、じょーずよ・・・ご褒美あげる」
「はぁうっ!」
左乳首への激痛に思わず声があがります。
洗濯バサミで挟まれた痛みです。
「あぅっーぅ!」
右乳首にも。
「ほらほら、もっとご褒美欲しいでしょ?がんばってあたしを悦ばせなさいっ」
両手を暗闇に潜り込ませた私は、お姉さまのお尻を抱え込むように撫ぜ回しながら、お姉さまの奥へと舌を伸ばしつづけました。
お姉さまも次々にラビアやクリットへ洗濯バサミをくださり、それらをフルフル揺らして虐めてくださいます。
最終的にはふたり、69の形でお互いの性器を愛し合い、幾度もエクスタシーの波に呑まれたのでした。
ふたりの喘ぐ声が一際高くお部屋に響いてから、しばらくは肩で息する音だけがつづいていました。
むせかえるようなお姉さまの臭いの中で、シアワセの余韻に浸っていたら、不意に視界が明るくなりました。
お姉さまが立ち上がられたようでした。
「シャワーしてくる」
その場でワンピースを脱ぎ捨て、オールヌードになられたお姉さま。
その遠ざかる形の良いお尻を、私はまだ床に仰向けになったままで見送りました。
「ちょっと直子、この洗いっぱなしの洗濯物、どうするの?」
開けっ放しのリビングのドアの向こうから、呆れたようなお声が聞こえてきました。
あっ!いっけなーいっ!
すっかり忘れていました。
あわてて洗面所に駆けつけると、お姉さまの冷たい苦笑いに迎えられました。
私のからだには、右脇腹と左側のラビアにひとつづつ、洗濯バサミがまだ噛みついていました。
「ご、ごめんなさい。すぐに干します」
時計はすでに午後の二時を少し過ぎていました。
「忘れていたのでしょう?使用人がそんなことでは困るわねー」
お姉さまがお芝居っぽく、なじってきます。
「でもまあ、この陽気なら2時間も干せば乾いちゃうでしょ。さっさと干しちゃいなさい」
おっしゃりながら、お姉さまの右腕が伸び、私の右脇腹を噛んでいた洗濯バサミが外されました。
「はうんっ!」
興奮しているときには気がつかない、長い時間噛んでいた洗濯バサミを外すとき特有の刺すような痛みが走り、思わず顔が歪みました。
「あら、えろい顔しちゃって、まだサカっているの?本当に底無しのドエムね。ちょっと待っていなさい。シャワー終わったら、まだまだたっぷり虐めてあげるから」
ご自分の性的欲求が発散されて落ち着いて、余裕が戻ったお姉さま。
こうなったときのお姉さまは、さらに強い興奮を得る為にイジワルさが増してエス度が格段に上がることに、これまでの経験で気がついていました。
「あうっ!」
左ラビアの洗濯バサミも無造作に外されました。
そして、それがさも当然のように、私の左右乳首にあらためてぶら下げられます。
「あっつぅぅぅ!」
「これはご褒美じゃなくて、一応罰だから。クリットにもうひとつ自分で挟んで、その姿でベランダに出て、洗濯物を干しなさい」
「まあ、どうせ誰にも視られることはないし、直子にとっては罰にはならないかもしれないけれど、あたしにとっては、素っ裸でそんなのぶら下げたまま外に出る女なんて、充分みっともなくて恥ずかしい存在だと思うわ」
冷たく蔑むお言葉とともに、お姉さまが右乳首の洗濯バサミをパチンと弾きました。
「ああんっ、ごめんなさい・・・」
「それと、食器とクロスの後片付けもよろしくね。テーブルと椅子はそのままでいいわ。明日はもっと恥ずかしい姿でのお食事会にするつもりだから」
それだけ告げたお姉さまは、私のお尻をパチンと叩き、スタスタとバスルームへ向かわれました。
お洗濯ものを入れた籠を片手にリビングへ戻った私。
お言いつけ通り、洗濯バサミをひとつ拾い、自分の股間へとあてがいました。
「いたぁいーっ!」
少し大人しくなっていた肉芽がギュッと潰され、途端に血液が集まり始めました。
激痛の後、鈍痛、そして疼痛。
すでに疼痛と化している二箇所にもう一箇所の鈍痛が加わって交わり、ジンジンする痛みに全身が支配されます。
その痛みたちは、なぜだか私の剥き出しマゾマンコの奥へと集結すると、いつの間にか心地良い刺激へと変化してしまうのです。
ベランダに出ると、相変わらずの柔らかな陽射し。
少しだけ風が強くなったようで、乳首にまっすぐに噛みついてぶら下がる洗濯バサミたちが、風が吹くたび微かに揺れました。
タオル類を物干しに掛け、ワンピースはハンガーに、下着類はピンチハンガーに吊り下げていきます。
からだを動かすたびに、三つの洗濯バサミたちが、その存在を痛みで私に誇示してきます。
全裸に首輪、そして女性なら誰もが隠したがる敏感な部分に洗濯バサミ。
そんな姿でベランダに出ているヘンタイ女は、世界中で今、きっと私だけでしょう。
喧騒に混じって遠く聞こえてくる誰かの微かな話し声の中に、ハダカとかマゾ、ヘンタイ、露出なんていう、私を蔑む単語が混ざっているような、空耳を感じてしまいます。
喧騒の中で一際大きく、突然始まった吹奏楽部の練習曲は、フニクリフニクラに変わっていました。
その、たどたどしくも勇ましい演奏を聞いていると、自分自身が高校時代から、ずいぶん遠くまで来てしまったような気持ちになり、自嘲的なせつなさを感じました。
だけど、それとは裏腹に、ベランダの目隠しフェンスから身を乗り出して、自分の今の恥ずかしい格好を誰かに視てもらいたい、知って欲しいという自虐的な衝動にも駆られていました。
私は再び、急激に発情していました。
ベランダとは言え、こんな格好でまた、お外に出たせいでしょう。
お姉さまがおっしゃるとおり、私の露出マゾレベルは、確実にワンステップ、上がってしまったみたいです。
マゾマンコの奥がズキズキと疼き、罰を受けている三箇所が更なる責めを強烈に欲していました。
洗濯物を干し終わり、ブランチの後片付けでベランダとキッチンを何度か往復するあいだ中ずっと、私はお姉さまからの次なる恥ずかしいご命令を心待ちにしていました。
キッチンで食器を洗いながら、飛び散る水飛沫が肌に当たっただけで、クネクネ身悶えてしまうほど。
食器を拭くタオルが肌を擦っただけで、いやらしい声が洩れてしまうほどに。
お仕事すべてを終えてソファーのところに戻ると、ちょうどお姉さまが、バスタオルだけ巻きつけてリビングに戻ってこられました。
「仕事は終わった?」
「あ、はい。あとはここ、リビングのお掃除だけ、まだですが・・・」
「ここ?ここはもういいわよ。どうせこれからまた、直子のいろんなおツユで汚れちゃうのだから」
「明日、あたしが起きてくるまでに掃除しておいてくれたらいいわ。今日の直子の家政婦の仕事で残っているのは、夕食作ることだけよ」
お姉さまがおやさしげにおっしゃってくださいました。
「このあと直子には、家政婦としてではなくて、あたしの加虐趣味を満たすセイドレイとして、がんばってもらうつもりだから」
「あたしにも日頃の鬱憤とかフラストレーションとかあるからね。もちろんそれは直子のせいではないのだけれど、そのハケ口として活用させていただくわ」
お姉さまが愉しそうに笑って、巻いていたバスタオルを床に落としました。
何てお美しい、お姉さまの裸。
それからのお姉さまは、まさにエスな人そのものでした。
その理知的な瞳に妖しい炎をユラユラさせて、私を虐め抜いてくださいました。
首輪にはリードの冷たい鎖を付けられ、おっぱいを麻縄でギュッと絞られ、手錠で両手は後ろ手に括られ、棒枷で股を大きく割られた格好で、シートを敷いた床に転がされました。
全身に洗濯バサミを噛まされ、ローソクを満遍なく垂らされては、バラ鞭で払い落とされました。
キュウリもニンジンもバナナも、ゴーヤさえ突っ込まれました。
イク寸前に焦らされるのはあたりまえ。
何度も何度も涙目になって懇願しました。
全裸のお姉さまが愉快そうに、そんな私の姿へハンディカメラを向け、熱心に撮影されていました。
陽が傾いてきて洗濯物を取り込むときには、手錠と棒枷だけ外してくださいました。
その代わり、果実の形をしたお浣腸をふたつ注入され、ふたつめのお薬の容器はお尻に挿したままベランダに出るよう、ご命令されました。
お腹がグルグル痛むのを必死に堪えてお洗濯物を取り込んでいると、練習を終えた吹奏楽部の女学生さんたちでしょうか、ごきげんよう、またお休み開けにね、ってさわやかにご挨拶し合うお声が聞こえてきました。
そっとフェンスから階下を覗き、彼女たちの可憐な制服姿を見て、今の自分の姿との対比に、またまたひどくせつなくなりました。
だけど、そんな感傷に浸りきるには、お腹が切羽詰り過ぎていました。
顔にダラダラ脂汗が浮かび、膝がガクガク震えています。
取り込んだお洗濯物を放り出すように床に置くと、一目散におトイレに駆け込みました。
もちろんお姉さまも後を追ってきて・・・
とうとうお姉さまに私の排泄姿を目撃されてしまうと同時に、映像に記録までされてしまいました。
うちひしがれるヒマも無くバスルームに連れ込まれ、今度はぬるま湯のお浣腸。
シーナさまからいただいた大きなお浣腸器を、お姉さまは愉しそうに私の肛門に突き立てました。
シャワーでお尻にお湯を当てられつつ我慢に我慢を強いられ、結局、何度もお尻から噴水を吹き上げました。
おかげで首輪までぐっしょり。
これもシーナさまからの就職祝い、ガーネットのアナルビーズを渡されて、お尻の穴だけでイクように命じられました。
バスルームの鏡に自分のお尻を映し、自分で珠を押し込んでいきます。
今ではすべて埋め込めるようになった私の肛門。
埋め終わったら、お姉さまにお願いして抜いていただくのです。
「お姉さま、どうか直子の汚い肛門から、ビーズを抜いてやってください」
お姉さまが私のお尻をパンパン平手打ちしながら、焦らすように抜いてくださいました。
3回くりかえした後、自分で人差し指を肛門に挿入、グリグリ動かしているうちに、全身がビクビク痙攣してきました。
「ああ、イッちゃう、お姉さま・・・お尻の穴でイっちゃいますぅ・・・ううううぅぅ!!!」
「さあ、からだの内も外もキレイになったところで、お夕食の支度をしてちょうだい」
さすがにお料理をするときは、危ないちょっかいはありませんでした。
乾かしておいてあげる、と首輪は外され、おっぱいを締め付けていた麻縄も解かれました。
ただし、例のエプロンを、お姉さま曰く、直子流、で着けるように命じられました。
直子流、というのはつまり、エプロンの紐を結ばず、胸当ての乳首の位置に洗濯バサミをふたつ噛まして、エプロンが落ちないように留める方法です。
「それだけじゃちょっと頼りないわね」
お姉さまの一言で、左右脇腹にひとつづつ、あと、もちろん股間にひとつ、追加されました。
リビングでお姉さまがのんきにドライヤーで首輪を乾かしているあいだ、ちょっと動くと疼痛が走るお下劣裸エプロン姿で、スパゲティカルボナーラと野菜サラダを一生懸命作りました。
今夜のディナータイムはふたりとも全裸。
私は乾いた首輪を着け直しましたが。
お食事のあいだ、お姉さまはご機嫌でした。
「これ、さっき直子のマゾマンコが咥え込んでいたキュウリよね?」
なんておっしゃりながらパクパク食べていらっしゃいました。
私も、やっぱりずいぶん体力をつかったのでしょう、ゆっくりペースで最後までたいらげました。
お姉さまは、ワインもけっこうなペースで飲み干されていて、私もつられて4杯飲んじゃいました。
食休みにソファーでくつろいでいると、どちらからともなく唇が重なり・・・
その後は、自然に抱き合って何度も何度も愛し合いました。
お互いに悦ばせるツボみたいなものがわかってきていたので、お互いの指と唇だけで飽きることなく幾度もイキ合いました。
ちょっと疲れると、抱き合ったままシャワーを浴び、抱き合ったままバスタブで愛し合い、抱き合ったままからだを拭いて、抱き合ったままソファーに倒れ込み・・・
結局、いつ眠りに落ちたのかわからないまま、翌朝を迎えました。
*
*オートクチュールのはずなのに 13へ
*
たまらず背後のお姉さまに、しなだれかかります。
崩れ落ちたがる腰を、両足を踏ん張ってなんとか支えると、股間をこれみよがしに前へ突き出すような格好になりました。
のけぞるようにお姉さまにからだを預け、後頭部にあった両手を後ろ手にしてお姉さまの背中に回し、ギュッとしがみつきます。
お姉さまはしっかりと私を支えてくださり、私を穢す両手の勢いも増しました。
尖りきった乳首に爪を立てられ、今や何本なのかも分からなくなってしまった指たちがグイッと奥深くまで潜り込み、膣壁を圧迫してきます。
「んぐぅぅ・・むぅぅ・・・」
背中からお尻にかけてピッタリ密着しているお姉さまの体温を感じながら、必死で歓喜の嗚咽を抑え込みます。
「イキなさい、ほら、こんな青空の下ではしたなく、お嬢様たちの演奏を聞きながら、立ったままイっちゃいなさい」
耳元で、からかうようなささやき。
同時に、乳首を虐めていた指が離れ、すーっとお腹を滑って剥き出しの肉芽にたどり着きました。
「んぐっぅえ!」
躊躇なくギュッと捻り潰され、喉の奥からたまらず悲痛な悲鳴がせりあがり、まるで嘔吐いているみたいにお下品な喘ぎが漏れてしまいました。
かまわずコリコリの肉芽をもてあそぶお姉さまの指先。
もはや限界でした。
「んんんんんんーーーんーーぐぅっ!!!」
グッタリと力が抜け切った私のからだを、お姉さまがまだ、支えてくださっていました。
「ずいぶん気持ち良さそうなイキっぷりだこと!」
左耳をくすぐるお姉さまのお声が、なぜだか少し怒っているみたいに聞こえました。
「ちょっと足元を見てごらん?」
そのお言葉に素直にうつむくと、コンクリートの床にずいぶん大きく、濡れた痕を示す黒いシミが出来ていました。
「イクときの唸り声がかなり大きかったから、ちょっとハラハラしちゃったじゃない?さあ、一度室内に戻るのよ」
私の返事は待たず、私を背後から支えたまま、お姉さまが歩き始めました。
後ろから押されるように私も歩き出します。
お姉さまの右膝が私の右裏腿を蹴ると、私の右脚が一歩前へ。
まるで、背後から抱きかかえられた等身大の操り人形みたいにおぼつかない足取りで、なんとかリビングまで戻りました。
室内に入ると、お姉さまからの支えがなくなりました。
途端にペタリと床にへたりこむ私。
お姉さまは、窓を手早くすべて閉め、ソファーの周辺で何やら物色していました。
お外の喧騒がすっかり聞こえなくなり、緊張感がゆっくり解けていきました
「青空の下での食事って、やっぱり気持ちいいものね。明日もベランダでしましょう」
私の傍らに来たお姉さまの手には、私が自宅から持参した木製の洗濯バサミがいくつか握られていました。
「ほら、仰向けに寝そべりなさい。ここでだったらいくらでも喘ぎ声あげていいから」
お部屋の中央付近を指さすお姉さまの瞳が、淫らに輝いているのがわかりました。
ご命令通りに仰向けになると、間髪を入れずに視界が真っ暗に塞がれてしまいました。
お姉さまが私の顔面に跨ったのでした。
マキシワンピースの裾がバサリと広がり、私の顔全体を覆ってしまったのです。
もちろんその下には何も着けてなくて、潤った泉が私の鼻先に圧しつけられています。
真っ暗な空間に、お姉さまの甘酸っぱい臭いだけが充満していました。
「直子に舐めてもらうの、あたしとても気に入っちゃったの。とくにこうやって、無理矢理顔に圧しつけてやるのが好き・・・はぅぅ」
事態を把握して私が舌を伸ばすと、お姉さまの色っぽいお声が聞こえてきました。
「直子がイクのを見た後って、なぜだか無性に虐めたくなっちゃうのよね。あっ、うん、そこ・・・」
「あんまり気持ち良さそうだから、イライラしちゃうのかもね。ペットのクセに、自分だけいい思いしてって・・・あぁんっ」
お姉さまのお声がだんだん切なげになってきて、私のご奉仕にもどんどん熱が入ります。
「いいわ、そこぉ・・・もっと奥までベロをねじ込んでぇ・・・」
お姉さまが前のめりになると、お尻の穴まで舌が届くようになりました。
すかさず舌を伸ばし、ベロベロ舐めあげます。
「はぁんっ、いいわ、じょーずよ・・・ご褒美あげる」
「はぁうっ!」
左乳首への激痛に思わず声があがります。
洗濯バサミで挟まれた痛みです。
「あぅっーぅ!」
右乳首にも。
「ほらほら、もっとご褒美欲しいでしょ?がんばってあたしを悦ばせなさいっ」
両手を暗闇に潜り込ませた私は、お姉さまのお尻を抱え込むように撫ぜ回しながら、お姉さまの奥へと舌を伸ばしつづけました。
お姉さまも次々にラビアやクリットへ洗濯バサミをくださり、それらをフルフル揺らして虐めてくださいます。
最終的にはふたり、69の形でお互いの性器を愛し合い、幾度もエクスタシーの波に呑まれたのでした。
ふたりの喘ぐ声が一際高くお部屋に響いてから、しばらくは肩で息する音だけがつづいていました。
むせかえるようなお姉さまの臭いの中で、シアワセの余韻に浸っていたら、不意に視界が明るくなりました。
お姉さまが立ち上がられたようでした。
「シャワーしてくる」
その場でワンピースを脱ぎ捨て、オールヌードになられたお姉さま。
その遠ざかる形の良いお尻を、私はまだ床に仰向けになったままで見送りました。
「ちょっと直子、この洗いっぱなしの洗濯物、どうするの?」
開けっ放しのリビングのドアの向こうから、呆れたようなお声が聞こえてきました。
あっ!いっけなーいっ!
すっかり忘れていました。
あわてて洗面所に駆けつけると、お姉さまの冷たい苦笑いに迎えられました。
私のからだには、右脇腹と左側のラビアにひとつづつ、洗濯バサミがまだ噛みついていました。
「ご、ごめんなさい。すぐに干します」
時計はすでに午後の二時を少し過ぎていました。
「忘れていたのでしょう?使用人がそんなことでは困るわねー」
お姉さまがお芝居っぽく、なじってきます。
「でもまあ、この陽気なら2時間も干せば乾いちゃうでしょ。さっさと干しちゃいなさい」
おっしゃりながら、お姉さまの右腕が伸び、私の右脇腹を噛んでいた洗濯バサミが外されました。
「はうんっ!」
興奮しているときには気がつかない、長い時間噛んでいた洗濯バサミを外すとき特有の刺すような痛みが走り、思わず顔が歪みました。
「あら、えろい顔しちゃって、まだサカっているの?本当に底無しのドエムね。ちょっと待っていなさい。シャワー終わったら、まだまだたっぷり虐めてあげるから」
ご自分の性的欲求が発散されて落ち着いて、余裕が戻ったお姉さま。
こうなったときのお姉さまは、さらに強い興奮を得る為にイジワルさが増してエス度が格段に上がることに、これまでの経験で気がついていました。
「あうっ!」
左ラビアの洗濯バサミも無造作に外されました。
そして、それがさも当然のように、私の左右乳首にあらためてぶら下げられます。
「あっつぅぅぅ!」
「これはご褒美じゃなくて、一応罰だから。クリットにもうひとつ自分で挟んで、その姿でベランダに出て、洗濯物を干しなさい」
「まあ、どうせ誰にも視られることはないし、直子にとっては罰にはならないかもしれないけれど、あたしにとっては、素っ裸でそんなのぶら下げたまま外に出る女なんて、充分みっともなくて恥ずかしい存在だと思うわ」
冷たく蔑むお言葉とともに、お姉さまが右乳首の洗濯バサミをパチンと弾きました。
「ああんっ、ごめんなさい・・・」
「それと、食器とクロスの後片付けもよろしくね。テーブルと椅子はそのままでいいわ。明日はもっと恥ずかしい姿でのお食事会にするつもりだから」
それだけ告げたお姉さまは、私のお尻をパチンと叩き、スタスタとバスルームへ向かわれました。
お洗濯ものを入れた籠を片手にリビングへ戻った私。
お言いつけ通り、洗濯バサミをひとつ拾い、自分の股間へとあてがいました。
「いたぁいーっ!」
少し大人しくなっていた肉芽がギュッと潰され、途端に血液が集まり始めました。
激痛の後、鈍痛、そして疼痛。
すでに疼痛と化している二箇所にもう一箇所の鈍痛が加わって交わり、ジンジンする痛みに全身が支配されます。
その痛みたちは、なぜだか私の剥き出しマゾマンコの奥へと集結すると、いつの間にか心地良い刺激へと変化してしまうのです。
ベランダに出ると、相変わらずの柔らかな陽射し。
少しだけ風が強くなったようで、乳首にまっすぐに噛みついてぶら下がる洗濯バサミたちが、風が吹くたび微かに揺れました。
タオル類を物干しに掛け、ワンピースはハンガーに、下着類はピンチハンガーに吊り下げていきます。
からだを動かすたびに、三つの洗濯バサミたちが、その存在を痛みで私に誇示してきます。
全裸に首輪、そして女性なら誰もが隠したがる敏感な部分に洗濯バサミ。
そんな姿でベランダに出ているヘンタイ女は、世界中で今、きっと私だけでしょう。
喧騒に混じって遠く聞こえてくる誰かの微かな話し声の中に、ハダカとかマゾ、ヘンタイ、露出なんていう、私を蔑む単語が混ざっているような、空耳を感じてしまいます。
喧騒の中で一際大きく、突然始まった吹奏楽部の練習曲は、フニクリフニクラに変わっていました。
その、たどたどしくも勇ましい演奏を聞いていると、自分自身が高校時代から、ずいぶん遠くまで来てしまったような気持ちになり、自嘲的なせつなさを感じました。
だけど、それとは裏腹に、ベランダの目隠しフェンスから身を乗り出して、自分の今の恥ずかしい格好を誰かに視てもらいたい、知って欲しいという自虐的な衝動にも駆られていました。
私は再び、急激に発情していました。
ベランダとは言え、こんな格好でまた、お外に出たせいでしょう。
お姉さまがおっしゃるとおり、私の露出マゾレベルは、確実にワンステップ、上がってしまったみたいです。
マゾマンコの奥がズキズキと疼き、罰を受けている三箇所が更なる責めを強烈に欲していました。
洗濯物を干し終わり、ブランチの後片付けでベランダとキッチンを何度か往復するあいだ中ずっと、私はお姉さまからの次なる恥ずかしいご命令を心待ちにしていました。
キッチンで食器を洗いながら、飛び散る水飛沫が肌に当たっただけで、クネクネ身悶えてしまうほど。
食器を拭くタオルが肌を擦っただけで、いやらしい声が洩れてしまうほどに。
お仕事すべてを終えてソファーのところに戻ると、ちょうどお姉さまが、バスタオルだけ巻きつけてリビングに戻ってこられました。
「仕事は終わった?」
「あ、はい。あとはここ、リビングのお掃除だけ、まだですが・・・」
「ここ?ここはもういいわよ。どうせこれからまた、直子のいろんなおツユで汚れちゃうのだから」
「明日、あたしが起きてくるまでに掃除しておいてくれたらいいわ。今日の直子の家政婦の仕事で残っているのは、夕食作ることだけよ」
お姉さまがおやさしげにおっしゃってくださいました。
「このあと直子には、家政婦としてではなくて、あたしの加虐趣味を満たすセイドレイとして、がんばってもらうつもりだから」
「あたしにも日頃の鬱憤とかフラストレーションとかあるからね。もちろんそれは直子のせいではないのだけれど、そのハケ口として活用させていただくわ」
お姉さまが愉しそうに笑って、巻いていたバスタオルを床に落としました。
何てお美しい、お姉さまの裸。
それからのお姉さまは、まさにエスな人そのものでした。
その理知的な瞳に妖しい炎をユラユラさせて、私を虐め抜いてくださいました。
首輪にはリードの冷たい鎖を付けられ、おっぱいを麻縄でギュッと絞られ、手錠で両手は後ろ手に括られ、棒枷で股を大きく割られた格好で、シートを敷いた床に転がされました。
全身に洗濯バサミを噛まされ、ローソクを満遍なく垂らされては、バラ鞭で払い落とされました。
キュウリもニンジンもバナナも、ゴーヤさえ突っ込まれました。
イク寸前に焦らされるのはあたりまえ。
何度も何度も涙目になって懇願しました。
全裸のお姉さまが愉快そうに、そんな私の姿へハンディカメラを向け、熱心に撮影されていました。
陽が傾いてきて洗濯物を取り込むときには、手錠と棒枷だけ外してくださいました。
その代わり、果実の形をしたお浣腸をふたつ注入され、ふたつめのお薬の容器はお尻に挿したままベランダに出るよう、ご命令されました。
お腹がグルグル痛むのを必死に堪えてお洗濯物を取り込んでいると、練習を終えた吹奏楽部の女学生さんたちでしょうか、ごきげんよう、またお休み開けにね、ってさわやかにご挨拶し合うお声が聞こえてきました。
そっとフェンスから階下を覗き、彼女たちの可憐な制服姿を見て、今の自分の姿との対比に、またまたひどくせつなくなりました。
だけど、そんな感傷に浸りきるには、お腹が切羽詰り過ぎていました。
顔にダラダラ脂汗が浮かび、膝がガクガク震えています。
取り込んだお洗濯物を放り出すように床に置くと、一目散におトイレに駆け込みました。
もちろんお姉さまも後を追ってきて・・・
とうとうお姉さまに私の排泄姿を目撃されてしまうと同時に、映像に記録までされてしまいました。
うちひしがれるヒマも無くバスルームに連れ込まれ、今度はぬるま湯のお浣腸。
シーナさまからいただいた大きなお浣腸器を、お姉さまは愉しそうに私の肛門に突き立てました。
シャワーでお尻にお湯を当てられつつ我慢に我慢を強いられ、結局、何度もお尻から噴水を吹き上げました。
おかげで首輪までぐっしょり。
これもシーナさまからの就職祝い、ガーネットのアナルビーズを渡されて、お尻の穴だけでイクように命じられました。
バスルームの鏡に自分のお尻を映し、自分で珠を押し込んでいきます。
今ではすべて埋め込めるようになった私の肛門。
埋め終わったら、お姉さまにお願いして抜いていただくのです。
「お姉さま、どうか直子の汚い肛門から、ビーズを抜いてやってください」
お姉さまが私のお尻をパンパン平手打ちしながら、焦らすように抜いてくださいました。
3回くりかえした後、自分で人差し指を肛門に挿入、グリグリ動かしているうちに、全身がビクビク痙攣してきました。
「ああ、イッちゃう、お姉さま・・・お尻の穴でイっちゃいますぅ・・・ううううぅぅ!!!」
「さあ、からだの内も外もキレイになったところで、お夕食の支度をしてちょうだい」
さすがにお料理をするときは、危ないちょっかいはありませんでした。
乾かしておいてあげる、と首輪は外され、おっぱいを締め付けていた麻縄も解かれました。
ただし、例のエプロンを、お姉さま曰く、直子流、で着けるように命じられました。
直子流、というのはつまり、エプロンの紐を結ばず、胸当ての乳首の位置に洗濯バサミをふたつ噛まして、エプロンが落ちないように留める方法です。
「それだけじゃちょっと頼りないわね」
お姉さまの一言で、左右脇腹にひとつづつ、あと、もちろん股間にひとつ、追加されました。
リビングでお姉さまがのんきにドライヤーで首輪を乾かしているあいだ、ちょっと動くと疼痛が走るお下劣裸エプロン姿で、スパゲティカルボナーラと野菜サラダを一生懸命作りました。
今夜のディナータイムはふたりとも全裸。
私は乾いた首輪を着け直しましたが。
お食事のあいだ、お姉さまはご機嫌でした。
「これ、さっき直子のマゾマンコが咥え込んでいたキュウリよね?」
なんておっしゃりながらパクパク食べていらっしゃいました。
私も、やっぱりずいぶん体力をつかったのでしょう、ゆっくりペースで最後までたいらげました。
お姉さまは、ワインもけっこうなペースで飲み干されていて、私もつられて4杯飲んじゃいました。
食休みにソファーでくつろいでいると、どちらからともなく唇が重なり・・・
その後は、自然に抱き合って何度も何度も愛し合いました。
お互いに悦ばせるツボみたいなものがわかってきていたので、お互いの指と唇だけで飽きることなく幾度もイキ合いました。
ちょっと疲れると、抱き合ったままシャワーを浴び、抱き合ったままバスタブで愛し合い、抱き合ったままからだを拭いて、抱き合ったままソファーに倒れ込み・・・
結局、いつ眠りに落ちたのかわからないまま、翌朝を迎えました。
*
*オートクチュールのはずなのに 13へ
*
登録:
投稿 (Atom)