「忘れ物は無いわね?じゃあ、行きましょう」
半開きだったガラス戸をガラリと全開にされるお姉さま。
「あの傘は・・・悪いけれどここに置き去りにさせてもらいましょう。修理したら置き傘として使えるかもしれないし、ね?」
悪戯っ子みたいに笑うお姉さまが、とってもキュート。
すっかり暗くなったお外には、相変わらず雨が降りつづいていました。
ただし、一時の嵐のような豪雨の勢いはいくぶん弱まり、普通のザーザー降りな感じ。
赤い庇の軒下に立ち、少しのあいだお空を見上げていたお姉さまが、ガラス戸を閉じながら今度は、私の全身をしげしげと見つめてきました。
「明かりが近くにあると、コートの下が真っ裸って、もろにわかっちゃうわね」
お姉さまの視線につられて、自分のからだに視線を落としました。
背後から漏れているコインランドリー内の照明が、薄闇の中、私のボディラインを透明ビニール内にクッキリと浮かび上がらせていました。
ビニールに吸い付くように擦れる乳首の辺りだけが一際濃い影を作り、存在を誇示するように目立っていて、すっごく卑猥。
裸を隠せるよう、一刻も早く闇に紛れてしまいたい・・・
そう思う反面、自分の恥さらしな姿に被虐心が極まって、泣いちゃいたいほど感じてもいました。
「たぶんこっち」
お姉さまが庇の外へ一歩踏み出しました。
一歩遅れて、右手を引かれた私も。
庇を出た途端、頭の中がザザザザザという騒音だけで一杯になりました。
かぶっているフードを打ちつけてくるエンドレスな雨音。
鼓笛隊のドラムロールのようなその音が、左右の耳元でやかましく鳴り響きつづけ、まるで激しい耳鳴りのよう。
脳内を満たすその音が、何の音かもわからなくなるゲシュタルト崩壊状態。
聴覚を奪われたおかげなのか、代わって触覚がより敏感になっていました。
ビニール越しにからだを打ちつけてくる雨粒の感触が、もどかしい愛撫のようで超気持ちいい。
とくに、尖ってビニールを押し上げている乳首の辺りに雨粒が当たると、衣服越しに指の先で撫ぜられる感触とそっくりで、ムズムズ身悶えてしまいます。
なるべくそこに雨が当たるよう、おっぱいを突き出すようなモデルウォークもどきで、お姉さまにつづきました。
路地の両端は水が溜まり気味なので真ん中寄りを、お姉さまが歩道側、私が車道側になって手を繋ぎ、ゆっくり歩きます。
ポツンポツンと立っている外灯の光が近づくと、ビニール内の私の裸身がぼんやり浮き上がります。
そのたびにビクッとしますが、幸か不幸か人も車も全然通りません。
警戒心が薄れると共に、こんな姿で街中を歩いているというスリルと興奮がぶり返し、全身の疼きが火照りを呼び戻します。
コインランドリーから100メートルくらい離れたところに十字路。
お姉さまが立ち止まり、何かを確認するみたく周囲を見渡しました。
フードを打つ雨音のうるささに、お姉さまも会話は諦めているらしく、私には何も告げずに右手を引っ張られました。
どうやらそのまままっすぐ進むようです。
そのとき、数十メートル前方の右端から、突然光が現われました。
そこにも曲がり角があるらしく、左折してきた車の眩しいほどのヘッドライトが、あっと思う間も無く私を正面から明るく照らし出していました。
光を浴びた瞬間から、うつむいた私の目には、自分の裸が透明ビニール越しにクッキリ浮き上がって見えていました。
思わず、いやんっ!と抗議の声をあげる私。
一テンポ遅れて、右手をグイッと引っ張られました。
つんのめるようにお姉さまに引き寄せられ、気がつくとお姉さまに抱きすくめられていました。
ビニール同士が擦れるガサガサという音の中、私のからだはお姉さまの両腕の中。
いつの間にかふたりのからだは道路の右端まで寄り、お姉さまの背中がヘッドライトに向いている状態。
つまり、お姉さまは咄嗟に、ヘッドライトの魔の手から私を救い出してくれたのでした。
「こうしていれば、恋人同士だと思って、たとえ直子の裸に気づいたとしても、ちょっかいは出してこないでしょう」
フードの隙間から唇を突っ込んだお姉さまの囁きは、雨音の中でもハッキリ聞こえました。
とてもとても熱くて、官能をくすぐる甘い囁き。
私も両腕をお姉さまの背中に回し、ギュッと抱きしめると同時に、濡れたビニール越しのお姉さまの胸に顔を押しつけました。
その車は、白のスポーツタイプ。
徐行するみたいにゆっくりと、私たちの傍らを通り過ぎて行きました。
ヘッドライトは、近づくにつれ私たちを照らさなくなり、通り過ぎる寸前の私たちは闇の中。
光が移動していくのだけ、視界の端に見えていました。
「直子のからだ、ずいぶん熱くなっているのね?こんな冷たい雨なのに」
耳朶を震わすお姉さまの吐息に、小さくイッてしまったのは内緒です。
「あっ!直子、あれ見て」
お姉さまの両腕の力が緩み、もっと抱き合っていたい私は不服で顔を上げると、お姉さまの右手が通り過ぎた車の赤いテールランプを指していました。
車はさっきのコインランドリー手前までさしかかり、ヘッドライトがちょうど、その軒先を照らし出していました。
庇の下にひとつの人影。
遠い上に雨にも霞んで性別まではわかりませんが、紛れもない人影が今まさに、コインランドリー内へ入ろうとしていました。
「あたしたち、かなり危機一髪だったみたいね。出るのがあと5分も遅れていたら、直子はあの人に、オールヌードを鑑賞してもらうはめになっていたのよ」
「たぶん、乾燥機に残っていた洗濯物の持ち主でしょう。雨脚が弱まったから出てきたのかな。下着とか置きっ放しは気持ち悪いものね」
抱きついたままの私の耳元を舐めるみたいに、唇を寄せて囁くお姉さま。
「テーブルは拭いてきたけれど、床のおシオはそのままだから、臭い、気づかれちゃうかもね。若干オシッコも混ざっていたみたいだし」
イジワルなお姉さまのショッキング暴露で、みるみる顔面に血液が集まっちゃう私。
そんなこと、わざわざ教えてくださらなくていいのに。
「マゾっ子直ちゃんとのデートって、スリル満点、ドキドキしっぱなしで本当に愉しいわ。次に車が来たら、今度は隠れないで、そのまま歩いてみよっか?」
からかうように囁いてから、その唇が私の唇にチュッと軽く重なり、すぐに左手を引っ張られました。
おやさしいお姉さまは、私に歩道側を歩かせることにしたようでした。
そのまままっすぐ進み、さっき車が出てきた路地を右へ。
相変わらずゆっくりと、雨音に包まれながら進みました。
私はと言えば、完全にオカシナ状態になっていました。
突然のヘッドライト、お姉さまの抱擁、甘い囁き、コインランドリーの危機一髪、おシオとオシッコ、柔らかい唇の感触・・・
それらのことが一度に押し寄せて思考が完全に停止し、ただただ、めちゃくちゃになりたいという、マゾの本性だけが荒ぶっていました。
こんなレインコートなんて脱ぎ捨てて、まっ裸で街を歩きたい。
その裸を見知らぬ人たちに視られて、ヘンタイ露出女って蔑まれたい。
そんな蔑みの中でお姉さまに抱きすくめられ、マゾマンコを思い切り掻き回して欲しい。
お姉さまがお悦びになるのなら、どんなに恥ずかしいことだって出来るから。
全身を叩く雨粒の愛撫と、左手から伝わってくるお姉さまの体温に、からだ中が淫らに疼きまくり、火照りが止まりません。
コインランドリーで味わった立てつづけの絶頂感を、全身の細胞が思い出しているみたい。
くすぶっていた股間の奥が再び急激に昂ぶり、素肌の感度がよみがえり、敏感さが復活していました。
頭の中は真っ白、雲の上を歩いているようなフワフワした足取りで、握っているお姉さまの手の感触だけを頼りに歩きました。
胸も背中もお尻も腿も、素肌に擦れるビニールが身悶えするほど気持ち良過ぎて、少しでも気を抜いたら、その場にしゃがみ込んじゃいそうでした。
途中、反対方向から青い傘の人が近づいてきました。
お姉さまと私は、そのままゆっくり、普通にすれ違いました。
その人が私の裸に気づいたのか、はっきりはわかりません。
でも私は、視られている、と確信していました。
そして、そう考えたと同時に、ビクンと小さくイキました。
その後も、赤い傘の人、黒い傘の人、そして宅配便のトラックとすれ違いました。
誰かが現われるたびに、私のマゾ性が悦んでいました。
視られていること前提で、それらの人影や車が視界から消えるまで、ずっとヒクヒク感じまくっていました。
握り合った手の感触で気づかれたのでしょう、お姉さまがそんな私を振り返り、意味深な微笑を投げかけてくださいました。
いくつかの路地を曲がった末、やがて、見覚えのある黄色い看板が、ライトアップされているのが見えてきました。
露出お散歩出陣前に、ワンピースの前を自らまくり上げ、はしたないおツユで汚れたパンティ丸出しで記念撮影した、コインパーキングの看板でした。
低いビルに囲まれたパーキング内は、その看板と料金清算機の前だけ煌々と明かりが灯り、路地よりも少し明るめでした。
お姉さまがまっすぐに、ご自分の愛車に歩み寄ります。
お姉さまが停めたのは、パーキング入口を入り向かって左側の奥から2番目。
その右側二台分置いて白いワゴン車。
駐車場内に停まっている車は、その2台だけでした。
前向きに停めたお車の左脇から後部へ回り、トランクを開けるお姉さま。
ほどなくエンジ色のおしゃれな傘が一本、取り出されました。
「ちょっとこれ、さしておいて」
お姉さまから渡された傘を開くと、お姉さまはその下で、まず頭のフードを外し、つづいてレインコートを脱ぎ始めました。
「ふうー。雨音って、思った以上にうるさいものなのね。耳がヘンになりそうだったわ」
確かに、傘をさした途端に耳元の轟音が頭上へと消え、お姉さまのお声もハッキリ聞こえてきました。
お姉さまは、脱いだレインコートをその場でバサバサと振っています。
「レインコートは丸めて車のトランクに入れておけばいいわ。あとであたしが干してたたむから。でも入れる前に一応、軽く水気は払っておいてね」
お姉さまがトランクのほうへ進まれたので、私も傘をさしかけつつお供します。
「ほら、今度はあたしが傘さしててあげるから、直子も脱ぎなさい」
脱ぎなさい、というご命令口調にマゾマンコがヒクヒク。
「はい・・・」
覚悟は出来ていたので、ゆっくりフードを外しました。
「直子ったら、からだが相当火照っているでしょう?ビニールが内側から曇っているじゃない」
そんなお声に視線を落とすと、おっしゃる通り、透明なはずのビニールが沸きたてのバスルームの窓ガラスのように、内側からどんより曇って半透明になっていました。
行きは、裾をまくってパンティ丸出しまでだったけれど、帰りはとうとう全裸になるんだ、こんな街中の駐車場で・・・
マゾの昂ぶりがピークを超えそうでした。
行きのときみたいに、前の通りを誰か通ってくれないかな・・・
ヘンタイ露出狂そのものな願望が頭に浮かんだとき、あっさり望みが叶いました。
コインパーキングの入口付近にカラフルな傘の花が三本、開いていました。
大きな青い傘と赤い傘、そしてネコさんのキャラが描かれたピンクっぽい小さな傘一本。
「わざわざ雨の中、出て来た甲斐があったわね」
「ああ、いいものが買えたな。驚くほど安かったし・・・」
そんな会話と共に、傘の群れがどんどんこちらに近づいてきました。
合間には、小さな子供さんがキャッキャはしゃぐお声。
私は、レインコートのボタンを胸元下まで、すでに外し終えていました。
「子供連れは、ちょっとマズイかな」
お姉さまが独り言のようにおっしゃいました。
「直子、向こう側に回りましょう」
お姉さまに手を引かれ、トランクの側を通ってお姉さまの愛車の右側面側、オフィスビル際で一台分の空きスペースがある側、つまり、お姉さまの愛車の陰に避難しました。
そのご家族連れは、私たちに気がついているのかいないのか、そのままガヤガヤと、さっきまで私たちがいたスペースに集まっていました。
「パパ、早くドア開けてよー」
可愛らしい女の子のお声。
「ちょっと待ちなさい。まず荷物を入れてから。ほら、カオリの新しいお人形さんも後ろに入れちゃいなさい」
「やだ。持ってる。持ったまま乗るのっ!」
「それなら貸しなさい。ビニールに付いた雨を拭いて上げるから」
お姉さまのお車の陰に隠れた後も、私はそのままボタンを外しつづけました。
一刻も早くお姉さまのご命令に従いたかったのです。
一番下まで外し、両腕を抜き。
脱いだレインコートをお姉さまに渡して、私は全裸になりました。
「いい度胸じゃない?このまま、あの車が先に出て行くのを待ちましょうか」
嬉しそうなお姉さまのお声に、黙ってうなずく私。
お姉さまと並んで相合傘のふたりは、お姉さまの愛車の後部座席の辺りに立ち、白いワゴン車のほうを見守りました。
敷地の端のほうなので明かりは無く、道路から柵越しに覗いても、私が裸なことはわからないでしょう。
ただし、背後にそびえるオフィスビルの窓から覗かれたら、裸の背中とお尻で一目瞭然。
チラッと振り向いて見上げると、ビルの二階と三階に電気の灯った窓がありました。
私は、決して二度とビルを振り返らないと決めた上で、どちらかの窓からふとした弾みで、誰かが裸の私に気づいてくださることを願いました。
お姉さまは私にピッタリ寄り添い、左手で裸のお尻をスリスリ撫ぜてくださっています。
ご家族間の他愛も無い会話、ワゴン車のドアがバタンバタン開閉する音。
それらを聞きながら私は、どうしようもなく疼きまくっていました。
お姉さまの愛車の屋根のてっぺんが私の鎖骨くらいの高さなので、そこから上はワゴン側からも見えているはずです。
私の剥き出しの両肩を見て、こんな雨の日なのに、妙に薄着な女だと思われているでしょうか?
もちろん首に巻かれた赤い首輪と、そこから垂れ下がる鎖だって見えるはず。
それに気づいたら、どう思われるのでしょうか?
傘をさしているせいか、しばらくはこちらに目もくれず、ドタバタワイワイやっていたご家族。
それぞれドアを開けて乗り込もう、となったとき、買ってもらったばかりのお人形なのであろう包みを大事そうに抱えた女の子が、唐突にこちらに視線を向けてきました。
雨の薄暗闇の中でもそこに誰かいるのがわかったようで、人懐っこい笑顔を浮かべ、無邪気に手を振ってきました。
「オネーサンたち、バイバーイ」
傍らにいたママさんが子供さんの挙動に気づき、つられて視線をこちらに向けてきました。
そのとき私とお姉さまは、女の子に向けて笑顔で小さく手を振っていました。
ママさんは、そんな私たちを見て愛想笑いのようなものを浮かべ、軽く会釈をしてくれました。
ただ、会釈し終えてもう一度こちらへ向けたそのお顔には、何か不思議なものでも見たような、怪訝な表情が浮かんでいるように見えました。
女の子に傘をさしかけつつ後部座席のドアを開け、女の子を先にして乗り込んだママさん。
きっと運転席のパパさんに、私のことを教えていることでしょう。
私はずっと笑顔を作り、白いワゴン車が駐車場を出て行くまで見送りました。
首輪にリードだけの全裸で、お姉さまにいやらしくお尻を愛撫されながら。
「やれやれ。直子ったら、もはや本当に、立派なヘンタイ露出狂女になっちゃったのね。こんな街中で全裸のクセに、平然と笑っていられるのだもの」
お姉さまが呆れたようにおっしゃり、私の剥き出しの右乳首をチョンとつつきました。
「あんっ!お、お姉さま・・・私・・・、私もう、がまんが・・・」
「わかっているわよ。直子は後部座席に乗りなさい。そこに寝そべったらもう、オナニーでもなんでも好きにすればいいわ。あたしはそこの清算機で清算してくるから」
後部座席のドアが開かれ、お姉さまの手で少し乱暴に、そこへ押し込まれました。
バタンとドアが閉じ、レザーシートに寝そべった途端、私の右手は一直線に股間の洞窟へと潜り込んでいました。
洞窟には熱い粘液が充満し、逸る指先を奥へ奥へと誘いました。
左手は乳房を鷲掴み、尖る乳首の側面へ乱暴に爪を立て始めます。
たちまちのうちに、ほんの数十分前にコインランドリーで味わったあの、めくるめく立てつづけの絶頂感の陶酔が戻ってきました。
次に気づいたとき、車はどこか薄暗い場所に停車していました。
エンジンも切られ周囲はしんと静まり返り、車内にも他の人の気配は無く私だけ、後部座席に寝かされていました。
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*オートクチュールのはずなのに 25へ
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