やよい先生が口元まで持っていっていた、ケーキの欠片を刺したフォークが空中で止まりました。
「えっ?」
私の顔をまじまじと見つめながら、やよい先生がかすかに首をかしげます。
「あ、ご、ごめんなさいっ!突然すごく失礼なことを聞いてしまって、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
私は、あわてて何度もペコペコお辞儀しながら、必死に謝ります。
やよい先生を怒らせちゃったかな・・・・
うつむいている私は、上目使いでおそるおそるやよい先生を見てみました。
やよい先生は、止まっていたフォークをゆっくりと口の中に運び、しばらくモグモグした後、フォークをお皿に置いてニッコリ微笑みました。
「あなたが謝る必要は無いわよ。いきなり思いがけないことを聞かれたから、少しビックリしただけ」
「失礼なこと、でもないわ。だって、それは本当のことだから。答えはイエスよ」
やよい先生は、そう言うと私に向かってパチンとウインクしました。
「でも、森下さん?あなた、誰にそれ、聞いてきたの?」
「は、はい・・・それは・・・」
私は、曽根っちから聞いたお話をほとんどそのままやよい先生にお話しました。
「なるほど。そういうワケだったのね。ナカソネさんね、覚えてる。あの子もけっこうスジ良かったけど・・・そう、今はレイヤーやってるの・・・」
懐かしそうに遠くを見る目付きになっています。
「それで、川上さんが、みんなに広めないように、って言ってくれたのね。あの子もいい子よね。あなたとずいぶん仲がいいみたいだけど・・・」
「でもね、あたしは別に隠すつもりもないの。まあ、かと言って自分からみんなに宣伝することでもないけどさ」
やよい先生がクスっと笑いました。
「そのとき一緒にいたのは、今のところあたしが一番大好きなツレ。でも先週いろいろあって、今ちょっと喧嘩中・・・」
やよい先生のお顔がちょっぴり曇ります。
やよい先生は、コーヒーを一口啜ると、あらためて私の顔をまっすぐに見つめてきます。
「だけど、私がビアンなことが、あなたの悩みに何か関係あるの?」
少し眉根にシワを作って怪訝そうなお顔です。
私は、そのお顔を見て、ズキュンと感じてしまいました。
すごくセクシーなんです。
「あ、は、はい・・・いろいろと関係していて、そのお話はまだまだ入口のところなんです・・・うまくご説明できるかわからないんですけど・・・」
なぜだかうろたえてしまった私は、すがるようにやよい先生を見つめてしまいます。
「ふーん。長い話になりそうね・・・」
やよい先生は、しばらく宙を見つめて何か考えるような素振りでした。
「ねえ?あなた、門限あるの?」
何かを思いついたらしく、一回うなずいてから、やよい先生が明るい声で問いかけてきました。
「えーと、とくには決まってません・・・バレエの日なら、7時くらいまでには帰ってますけど・・・」
「森下さんのお母さま、あたしも何度かお会いしたけど、やさしそうなかたよね?」
「はい・・・」
「あなたのお母さま、話がわかるほう?」
「えっ?うーんと、そう・・・そうだと思いますけど・・・」
「あなたの家の電話番号教えて」
私は、何をするつもりなんだろう?と思いながらも、家の電話番号を教えました。
やよい先生は、私が数字を告げるのと同時に自分のケータイのボタンを押していきます。
最後の数字を押し終えると、ケータイを自分の耳にあてて立ち上がり、スタスタとお店の入口のほうに歩いて行きました。
席に一人、取り残された私は、ワケがわからず、疑問符をたくさん頭の上に浮かべたまま、半分になったケーキをつついていました。
三分くらい経って、やよい先生がテーブルに戻ってきました。
「交渉成立。あなたと夕食一緒に食べに行っていいって、あなたのお母さまにお許しをいただいたわ。次の課題曲を決めるんで、少し込み入った話になるから、って嘘ついちゃったけど」
やよい先生は、ニコニコしながら私の前に座り直して、コップのお水をクイっと飲み干しました。
「さあ、あなたもそのケーキ食べちゃって。そしたら、このお店出て、あたしのお気に入りのお店に連れていってあげる。そこでゆっくりお話しましょ」
「あ、それから、ここ出たら、あなたからもお家のほうに電話入れるようにって。あなたのお母さま、キレイな声してるわね」
やよい先生、なんだかすごく楽しそうです。
私は、残りのケーキをモグモグと大急ぎで口に入れ、冷めたレモンティーで流し込みました。
お店から出ると、やよい先生がちょこっとケータイを操作してから私に渡してくれました。
私はそれを耳にあてて、やよい先生から少し離れます。
母は、やよい先生にご迷惑をおかけしないように、ってしつこく言ってから電話を切りました。
「お母さま、何だって?」
「はい。帰るときになったらもう一度電話しなさいって。今日はホームキーパーの人が来ているので家を空けられるから、帰りは、母が駅まで車で迎えに来てくれるみたいです。それから、先生にくれぐれもよろしく、とのことです」
「ふーん。森下さん、大事にされてるねえ」
やよい先生が冷やかすみたいに笑って言います。
私は少し恥ずかしい感じです。
やよい先生が連れて行ってくれたのは、バレエ教室があるほうとは駅を挟んで反対側の出口のそば、大きな雑居ビルの地下にある、洋風の居酒屋さんみたいなお店でした。
「うーん。さすがにそのブレザーじゃちょっとマズイかなあー」
お店の入口を通り越して立ち止まり、やよい先生が学校の制服姿の私を見てそう言ってから、自分のバッグの中をがさごそしています。
取り出したのは、薄でのまっ白いロングパーカーでした。
うっすらと何かローズ系のパフュームのいい香りがします。
「そのブレザーは脱いで手に持って、このパーカーを着てちょうだい。それと、もちろん、あなたにはお酒、飲ませないからね」
やよい先生は、私が着替えるのを待って、お店のドアを開けました。
「このお店はね、個室みたいに各テーブルが完全に仕切られているから、内緒な話にはうってつけなのよ。それとラブラブなカップルにもね」
席に案内されるのを待つ間、やよい先生が私の耳に唇を近づけて、こっそりという感じで教えてくれました。
やよい先生の息が私の耳をくすぐって、ゾクゾクっと感じてしまいます。
メイド服っぽいカワイイ制服を着たウェイトレスさんに案内された席は、四人用らしくゆったりしていて、三方が壁で仕切られていて、入口の横開きの戸をぴったり閉めてしまえば完全に個室になります。
ウェイトレスさんを呼ぶときは、テーブルに付いているチャイムを押せばいいみたいで、これなら確かに誰にも邪魔されずにゆっくりできます。
「このお店はね、けっこう本格的なイタリアンなの。何か食べたいもの、ある?」
メニューを熱心に見ていたやよい先生が、メニューから顔を上げずに、もの珍しそうにまわりをキョロキョロしている私に声をかけてきます。
「いいえ、こういうとこ初めてなんで、先生にお任せします」
「あなた、何か食べられないものとかは、ある?」
「あ、いえ、なんでもだいじょうぶです」
「それなら、あたしがテキトーに選んじゃうわよ」
やよい先生はチャイムを押して、現われたウェイトレスさんに、サラダとスープとパスタとあと何かおつまみみたいなものをテキパキと注文していました。
ウェイトレスさんが去って、私とやよい先生は二人きり、テーブルを挟んで向き合います。
「先生は、このお店、よく来られるんですか?」
「よく、ってほどじゃないけどね。他の先生たちとたまあにね。こうして座っちゃえばもう、まわりを気にしないでいいし、あたしは気に入ってるんだ。味もいいほうだと思うよ」
そんなことを話していると、戸がトントンとノックされ、さっきのウェイトレスさんが飲み物を持ってきてくれました。
やよい先生は白ワインをデカンタで、私はジンジャーエールです。
「はい、それじゃあとりあえずお疲れさま。カンパーイ」
やよい先生のワイングラスと私のカットグラスが軽く触れ合って、チーンという音が室内に響きました。
*
*トラウマと私 22へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2010年11月13日
トラウマと私 20
その日のバレエレッスン。
私は、内心どきどきしながらも、なんとか無難にレッスンを受けることができました。
「ありがとうございましたーっ!」
生徒みんなでいっせいにやよい先生にお辞儀をしてから、さあ、早く着替えてやよい先生に会ってもらうお願いしなくちゃ、ってレッスンルームの出口に急ごうとすると、
「森下さん?」
やよい先生のほうから、声をかけてきました。
私は意味もなくビクっとして足を止めます。
「は、はい・・・?」
ゆっくりと振り返ると、やよい先生が薄く微笑みながら私を見つめていました。
「少しお話したいことがあるから、着替え終わったら講師室に来てくれる?」
やよい先生のほうから、私を誘ってくれています。
私は、なんだかホっとして、
「はいっ!」
と元気よく返事しました。
やよい先生のほうから講師室に呼んでくれるなんて、ひょっとして今日はツイてる日なのかもしれません。
私は、少しだけ気持ちが軽くなって、講師室のドアをノックしました。
「失礼しまーす」
声をかけながらドアを開くと、目の前にやよい先生とは違うキレイな女性が横向きに座っていて、どーぞーっ、って答えながらニコっと笑いかけてくれました。
その女の人もブルーのレオタードを着ているので、きっと次のクラスのレッスン講師のかたなのでしょう。
初めて入った講師室は、思っていたよりちょっと狭くて、真ん中に大きめのテーブルが置かれ、まわりに椅子が四脚。
お部屋の三分の二くらいがパーテーションで仕切られていて、着替えの場所になってるみたいです。
やよい先生は、レオタードの上に薄物のスタジアムコートみたいなのを羽織って、奥の椅子に座っていました。
「森下さん、いらっしゃい。ごめんね、呼びつけちゃって・・・」
やよい先生が言いながら椅子から立ち上がり、近くにあった椅子をひきずってきて、自分の前に置きました。
「たいしたことじゃないんだけどね。まあ、ここに座って・・・」
私が座ると同時に、入り口のところにいた青いレオタの女性が、いってきまーす、って言いながらお部屋を出ていきました。
やよい先生も、お疲れでーす、と声をかけます。
ドアがパタンと閉じて、お部屋にはやよい先生と私の二人きりになりました。
「そんなにかしこまらなくてもいいんだけどさ。森下さん、夏休み終わってからこっち、なんだかヘンでしょ?」
うつむいてモジモジしている私の顔を覗き込むようにやよい先生が聞いてきます。
「は・・・い・・・」
「だから、なんか悩み事でもあるのかなあ、って思ってさ。あたしで良ければ相談に乗るよ、って言いたかったの」
「・・・は、はい・・・」
私は、すっごく嬉しくなって、大げさではなく、感動していました。
やよい先生は、私のことを気に掛けていてくれたんだ・・・
「あ、ありがとうございます。じ、実は私も今日、先生にご相談したいことがあって、レッスンの後、お願いに伺おうと思っていたんです・・・」
上ずった声になってしまいます。
頬もどんどん火照ってきます。
「そうなんだ。やっぱり何か悩みがあるの?」
「は、はい。それで、良ければ近いうちに先生にお時間がいただけないかなって・・・」
私の顔をじーっと見つめていたやよい先生は、ニコっと笑って、
「それなら、これからどう?今日はこの後の個人レッスンの予定がキャンセルになったんで、あたし、この後ヒマだから。グッドタイミングね。あたしとデートしましょ?」
やよい先生がイタズラっぽく言って、魅力的な笑顔を見せてくれます。
「は、はい・・・先生さえ良ろしければ・・・」
私は、あまりにうまくお話が進み過ぎて少し戸惑いながらも、やよい先生とゆっくりお話できる嬉しさに舞い上がってしまいます。
「それじゃあ、あたし着替えたり退出の手続きとかするんで少し時間かかるから、そうね・・・駅ビルの2階の本屋さんで立ち読みでもしながら待っててくれる?本屋さん、わかるよね?」
「はいっ!」
私も愛ちゃんと帰るときにたまに寄るお店です。
「20分くらいで行けると思うから」
言いながら、やよい先生が立ち上がりました。
「はいっ!」
私も立ち上がって、やよい先生に深くお辞儀をしながら、
「ありがとうございますっ!」
と大きな声でお礼を言って講師室を出ました。
心臓のどきどきが最高潮に達していました。
本屋さんの店内をブラブラしながら、どこから話そうか、どう話そうかって考えるのですが、胸がどきどきしてしまって考えがうまくまとまりません。
そうしているうちに、やよい先生の姿が本屋さんの入口のところに見えました。
私は小走りに入口のところに急ぎます。
私服のやよい先生は、からだにぴったりしたジーンズの上下を着ていて、ヒールのあるサンダルだから背も高くなって、いつにもましてスラっとしていてカッコイイ。
胸元のボタンは3つまであいていて、中に着ている黄色いTシャツが覗いています。
「お待たせー」
駆け寄ってきた私にニコっと白い歯を見せてくれます。
「お茶でも飲みながらお話しましょう」
連れて行かれたのは、同じフロアの端っこにあるお洒落なティーラウンジでした。
お客さんはまばらで、ショパンのピアノ曲が静かに流れています。
レジや調理場から遠い一番隅っこの席に向かい合って座りました。
「何でも好きなもの、頼んでいいわよ」
やよい先生は、そう言ってくれますが、私は全然お腹が空いていません。
「えーと・・・レモンティーをお願いします」
「あら?ここのケーキ美味しいのよ?一つくらいなら食べられるでしょ?」
「あ・・・は、はい・・・」
やよい先生は、自分のためにコーヒーと、ザッハトルテを二つウェイトレスさんに注文しました。
飲み物が来るのを待つ間、やよい先生は、今日キャンセルされた個人レッスンの生徒さんが習っている課題曲が、いかに難しい曲であるかについてお話してくれていました。
私は、相槌を打ちながらもお話の中味が全然頭に入ってきません。
今日のお話次第で、やよい先生と私の今後の関係が決まってしまうんだ・・・・
心臓がどきどきどきどきしていました。
ウェイトレスさんが注文の品々をテーブルに置いて去っていくと、やよい先生はコーヒーカップに一口、唇をつけてから、私の顔をまっすぐに見つめました。
「さてと・・・それじゃあ、お話を聞かせてちょうだい」
「は、はい」
私は、ゴクンと一回ツバを飲み込んでから、考えます。
何から話始めるか、まだ決めていませんでした。
えーと・・・
どうしようか・・・
考えがまとまらないうちに、勝手に口が動いていました。
「えーと・・・やよいせ・・・ゆ、百合草先生は、レズビアン、なんですか?」
自分でも思いがけない言葉を、やよい先生につぶやいていました。
*
*トラウマと私 21へ
*
私は、内心どきどきしながらも、なんとか無難にレッスンを受けることができました。
「ありがとうございましたーっ!」
生徒みんなでいっせいにやよい先生にお辞儀をしてから、さあ、早く着替えてやよい先生に会ってもらうお願いしなくちゃ、ってレッスンルームの出口に急ごうとすると、
「森下さん?」
やよい先生のほうから、声をかけてきました。
私は意味もなくビクっとして足を止めます。
「は、はい・・・?」
ゆっくりと振り返ると、やよい先生が薄く微笑みながら私を見つめていました。
「少しお話したいことがあるから、着替え終わったら講師室に来てくれる?」
やよい先生のほうから、私を誘ってくれています。
私は、なんだかホっとして、
「はいっ!」
と元気よく返事しました。
やよい先生のほうから講師室に呼んでくれるなんて、ひょっとして今日はツイてる日なのかもしれません。
私は、少しだけ気持ちが軽くなって、講師室のドアをノックしました。
「失礼しまーす」
声をかけながらドアを開くと、目の前にやよい先生とは違うキレイな女性が横向きに座っていて、どーぞーっ、って答えながらニコっと笑いかけてくれました。
その女の人もブルーのレオタードを着ているので、きっと次のクラスのレッスン講師のかたなのでしょう。
初めて入った講師室は、思っていたよりちょっと狭くて、真ん中に大きめのテーブルが置かれ、まわりに椅子が四脚。
お部屋の三分の二くらいがパーテーションで仕切られていて、着替えの場所になってるみたいです。
やよい先生は、レオタードの上に薄物のスタジアムコートみたいなのを羽織って、奥の椅子に座っていました。
「森下さん、いらっしゃい。ごめんね、呼びつけちゃって・・・」
やよい先生が言いながら椅子から立ち上がり、近くにあった椅子をひきずってきて、自分の前に置きました。
「たいしたことじゃないんだけどね。まあ、ここに座って・・・」
私が座ると同時に、入り口のところにいた青いレオタの女性が、いってきまーす、って言いながらお部屋を出ていきました。
やよい先生も、お疲れでーす、と声をかけます。
ドアがパタンと閉じて、お部屋にはやよい先生と私の二人きりになりました。
「そんなにかしこまらなくてもいいんだけどさ。森下さん、夏休み終わってからこっち、なんだかヘンでしょ?」
うつむいてモジモジしている私の顔を覗き込むようにやよい先生が聞いてきます。
「は・・・い・・・」
「だから、なんか悩み事でもあるのかなあ、って思ってさ。あたしで良ければ相談に乗るよ、って言いたかったの」
「・・・は、はい・・・」
私は、すっごく嬉しくなって、大げさではなく、感動していました。
やよい先生は、私のことを気に掛けていてくれたんだ・・・
「あ、ありがとうございます。じ、実は私も今日、先生にご相談したいことがあって、レッスンの後、お願いに伺おうと思っていたんです・・・」
上ずった声になってしまいます。
頬もどんどん火照ってきます。
「そうなんだ。やっぱり何か悩みがあるの?」
「は、はい。それで、良ければ近いうちに先生にお時間がいただけないかなって・・・」
私の顔をじーっと見つめていたやよい先生は、ニコっと笑って、
「それなら、これからどう?今日はこの後の個人レッスンの予定がキャンセルになったんで、あたし、この後ヒマだから。グッドタイミングね。あたしとデートしましょ?」
やよい先生がイタズラっぽく言って、魅力的な笑顔を見せてくれます。
「は、はい・・・先生さえ良ろしければ・・・」
私は、あまりにうまくお話が進み過ぎて少し戸惑いながらも、やよい先生とゆっくりお話できる嬉しさに舞い上がってしまいます。
「それじゃあ、あたし着替えたり退出の手続きとかするんで少し時間かかるから、そうね・・・駅ビルの2階の本屋さんで立ち読みでもしながら待っててくれる?本屋さん、わかるよね?」
「はいっ!」
私も愛ちゃんと帰るときにたまに寄るお店です。
「20分くらいで行けると思うから」
言いながら、やよい先生が立ち上がりました。
「はいっ!」
私も立ち上がって、やよい先生に深くお辞儀をしながら、
「ありがとうございますっ!」
と大きな声でお礼を言って講師室を出ました。
心臓のどきどきが最高潮に達していました。
本屋さんの店内をブラブラしながら、どこから話そうか、どう話そうかって考えるのですが、胸がどきどきしてしまって考えがうまくまとまりません。
そうしているうちに、やよい先生の姿が本屋さんの入口のところに見えました。
私は小走りに入口のところに急ぎます。
私服のやよい先生は、からだにぴったりしたジーンズの上下を着ていて、ヒールのあるサンダルだから背も高くなって、いつにもましてスラっとしていてカッコイイ。
胸元のボタンは3つまであいていて、中に着ている黄色いTシャツが覗いています。
「お待たせー」
駆け寄ってきた私にニコっと白い歯を見せてくれます。
「お茶でも飲みながらお話しましょう」
連れて行かれたのは、同じフロアの端っこにあるお洒落なティーラウンジでした。
お客さんはまばらで、ショパンのピアノ曲が静かに流れています。
レジや調理場から遠い一番隅っこの席に向かい合って座りました。
「何でも好きなもの、頼んでいいわよ」
やよい先生は、そう言ってくれますが、私は全然お腹が空いていません。
「えーと・・・レモンティーをお願いします」
「あら?ここのケーキ美味しいのよ?一つくらいなら食べられるでしょ?」
「あ・・・は、はい・・・」
やよい先生は、自分のためにコーヒーと、ザッハトルテを二つウェイトレスさんに注文しました。
飲み物が来るのを待つ間、やよい先生は、今日キャンセルされた個人レッスンの生徒さんが習っている課題曲が、いかに難しい曲であるかについてお話してくれていました。
私は、相槌を打ちながらもお話の中味が全然頭に入ってきません。
今日のお話次第で、やよい先生と私の今後の関係が決まってしまうんだ・・・・
心臓がどきどきどきどきしていました。
ウェイトレスさんが注文の品々をテーブルに置いて去っていくと、やよい先生はコーヒーカップに一口、唇をつけてから、私の顔をまっすぐに見つめました。
「さてと・・・それじゃあ、お話を聞かせてちょうだい」
「は、はい」
私は、ゴクンと一回ツバを飲み込んでから、考えます。
何から話始めるか、まだ決めていませんでした。
えーと・・・
どうしようか・・・
考えがまとまらないうちに、勝手に口が動いていました。
「えーと・・・やよいせ・・・ゆ、百合草先生は、レズビアン、なんですか?」
自分でも思いがけない言葉を、やよい先生につぶやいていました。
*
*トラウマと私 21へ
*
2010年11月7日
トラウマと私 19
ようやく呼吸も落ち着いてきて、よろよろと身を起こし時計を見ると、深夜の0時になろうとしていました。
私は、後片付けを手早く済ませ、さっきまでそこに寝そべっていたバスタオルを素肌に巻いて、そーっと階下のバスルームに降りていきました。
シャワーを浴びて、汗やいろんな体液を洗い流してスッキリしてから、新しい下着を着けてお部屋に戻ります。
パジャマをもう一度着直して、電気を消して、ベッドに潜り込むとすぐ、ぐっすり深い眠りに落ちました。
翌朝、私は完全復活していました。
あの悪夢な出来事を忘れられたわけではありませんが、記憶のより深いところに格納できたみたいで、えっちなことを考えても邪魔されることはなくなりました。
私がそういうことをするお相手は女性だけ。
そんな覚悟が私の気持ちの中に定着したようです。
ただ、体育の先生の中にマッチョ体型で腕の毛もじゃもじゃな毛深い男の先生が一人いて、その先生が近くに来ると、やっぱりゾクゾクっと悪寒を感じてしまい、朝礼のときに困りました。
愛ちゃんたちグループのみんなとも、今まで通り普通におしゃべりできる、楽しい学校生活に戻っていました。
木曜日の放課後。
バレエ教室のレッスンに行ったとき、また新たな問題が発生していることに気がつきました。
私は、やよい先生に真剣に恋をしてしまっていました。
実は、バレエ教室がある町の駅に行くために愛ちゃんと二人で電車に乗っているときから、私の心の中がザワザワざわめいてはいました。
私は今日、やよい先生と普通に接することができるのだろうか?
月曜の夜、あんなに激しく具体的な妄想でイってしまった私に・・・
でもこのときは、まあその場になればなんとかなるでしょう、って無理矢理思考を停止して楽観的に考えていました。
レオタードに着替えてレッスンルームに入ると、すでにやよい先生がパイプ椅子に腰掛けて私たちが揃うのを待っていました。
私と愛ちゃんに気がつくと、ニッコリ笑って手を上げて、
「おはよっ!」
って声をかけてくれます。
その笑顔を見た途端、私の考えが甘かったことを思い知らされました。
からだ中の温度が一気に上がって、カーっと熱くなってしまいます。
そのステキな笑顔がまぶしすぎて、まっすぐに見ることができません。
胸がどきどきどきどきしてきます。
少女マンガによくある、内気な女の子がヒソカに片想いしている憧れの男の子に声をかけられたとき、そのままの反応が自分のからだと心に起こっていました。
愛ちゃんは、その場でお辞儀して、おはようございます、って自然に挨拶を返しています。
私は、動揺を隠したくて、かえって大げさになってしまい、不自然に深く上半身を曲げて、おはよーごーざいまっす、と大きな声でマヌケな挨拶を返してしまいました。
それを見て、やよい先生はアハハハって笑っていました。
私は、レッスンの間中なんとか心を落ち着けよう、普段どおりにふるまおう、レッスンに集中しよう、と一生懸命努力しました。
グループレッスンは6人クラス。
やよい先生は基本的に6人全員に向けてお話しながら、お手本を見せてくれます。
レッスンの序盤は、まだ胸がどきどきしていてぎこちない感じでしたが、時間が経つにつれて、なんとか普通にやよい先生を見れるようになってきていました。
レッスン後半は、一人ひとりの個別指導になります。
その日習ったポーズやステップを手取り足取り指導してもらいます。
私の番が来ました。
妄想で着ていたのと同じレモンイエローのレオタードを着たやよい先生が私の前に立ちました。
もうだめでした。
どきどき復活です。
私は、やよい先生の前で夢現な感じで教わったステップをやってみました。
「あらあ?みんなと一緒のときはうまく出来てたのに、今のはちょっとでたらめねえ」
やよい先生が少し苦笑いしながら、私の右腕を取ります。
「ここは、こうでしょ?」
「それで、こうして、こう。わかった?」
私の背中や太腿や、首に手を副えて指導してくれます。
一週間前までなら、これは普通のレッスン風景で、私もとくに何も感じずに集中できました。
でも今日はだめです。
やよい先生が私のからだをさわってくれるだけで、話しかけてくれるだけで心が遠いところへ逝ってしまいます。
それでもなんとか、やよい先生にご迷惑がかからないように集中しようと試みます。
でもだめでした。
やよい先生が私のウエストに腕をまわして、私のからだを支えてくれているとき、
このままやよい先生の胸に抱きつけたら、どんなに気持ちいいだろう・・・
なんて不埒なことを考えているのですから。
やよい先生も今日の私はなんかおかしい、と思ったのでしょう。
「じゃあ森下さん、このステップは、後で川上さんによーく聞いて教えてもらって、来週までに出来るようにしておきなさい」
なんだか困ったようなお顔で言ってから、早々と次の人へのレッスンに移ってしまいました。
家に帰って、私はまた途方に暮れてしまいます。
私がやよい先生を過剰に意識してしまうことがレッスンに集中できない原因なのは、自分でもわかっています。
でも、やよい先生を想う気持ちは、自分でもコントロールできない心の深い奥底から湧き出て来ているみたいで、抑えつけることができません。
こんなことをつづけていたら、きっとやよい先生に呆れられてしまいます。
呆れられるだけならまだしも、嫌われてしまうかもしれません。
それは絶対イヤです。
その週の週末。
私は、やよい先生以外の女性で妄想オナニーをしてみようと考えました。
やよい先生ばっかりに頼って妄想してるから、実生活でも過剰に意識してしまうのではないか、って思ったんです。
愛ちゃんたち5人のことを最初に考えてみました。
あの5人は、もちろんみんな大切なお友達で大好きなのですが、そういう、性的なアレとは、どうしても結びつけることが出来ませんでした。
実際、5人とのおしゃべりで、一般的な下ネタっぽいことが出ることはたまにありましたが、セックス経験があるかとかオナニーしているかとかの具体的なプライベートでの性に関する話題は、一切したことがありませんでした。
私は、愛ちゃんたち5人がオナニーを知っているかどうかさえまったく知りませんし、みんなも私がオナニーをしていることは知らないはずです。
えっちな知識が詳しそうなのは、曽根っちとしーちゃんですが、それも普段の会話を聞いている限りの話で、曽根っちはお姉さんの影響、しーちゃんはマンガからの知識っぽくて、実際どうなのかはわかりません。
いずれにしても、お友達5人は、性的妄想には向いていないようです。
それなら次はオオヌキさんです。
オオヌキさんを想ってのオナニーは、彼女たちが遊びにいらした数日後の夜にしていました。
そのときの妄想は、あのキワドイ水着を着たオオヌキさんにマッサージされているうちに、いつのまにか私も同じ水着を着せられていて、腕を縛られていて、篠原さんのフルートをアソコに入れられるというものでした。
そのときのオオヌキさんは、すごく丁寧な言葉遣いで恥ずかしがりながら、私を苛めていました。
かなりコーフンしました。
でも私がオオヌキさんに会ったのは、あのとき一回だけですし、実際どんな性格のかたなのかは知りません。
そうなると、妄想していても同じようなストーリーになってしまいがちなので、強い刺激を欲している今の私には少しキツイ気がします。
そして、そんなことを考えているうちに、私のからだがまたウズウズしてきたのですが、同時に、逃げ場所がどこにも無いことをも思い知らされました。
私のからだが性的に高揚してきたのは、愛ちゃんたちやオオヌキさんのことを考える一方で、木曜日のレッスンのときに私のからだをさわってくれたやよい先生の手の感触を、からだが思い出していたからです。
私の頭の中は、結局またやよい先生に占領されてしまい、なしくずし的にオナニーを始めてしまいました。
どうしてちゃんとレッスンを受けないの?ってやよい先生に叱られながらおっぱいを苛められて、なぜだか篠原さんのフルートをアソコに突っ込まれて、あっけなくイってしまいました。
次の週の木曜日のレッスンは、先週よりマシな状態で受けることができました。
日曜日から水曜日の夜まで、考えに考え抜いて、私は、ある一つのことを決意していました。
いつまでもどきどきした状態でレッスンを受けていると、状況は悪くなる一方です。
何かしらの打開策を講じなければなりません。
私は、やよい先生に告白することにしました。
やよい先生を大好きなこと、と、私の性癖すべてを。
全部告白して、断られたり嫌われてしまったら、それでもう仕方ありません。
だけど、やよい先生なら少なくともお話だけはちゃんと聞いてくれるはず。
それでダメならあきらめよう。
そう決意しました。
タイミング良いことに次週のレッスンは、愛ちゃんがその2週間後に迫った運動会の準備でお休みすることになり、私一人で行くことになりました。
そのレッスン後に講師室に行って、時間を作っていただけるように頼んでみるつもりでした。
*
*トラウマと私 20へ
*
私は、後片付けを手早く済ませ、さっきまでそこに寝そべっていたバスタオルを素肌に巻いて、そーっと階下のバスルームに降りていきました。
シャワーを浴びて、汗やいろんな体液を洗い流してスッキリしてから、新しい下着を着けてお部屋に戻ります。
パジャマをもう一度着直して、電気を消して、ベッドに潜り込むとすぐ、ぐっすり深い眠りに落ちました。
翌朝、私は完全復活していました。
あの悪夢な出来事を忘れられたわけではありませんが、記憶のより深いところに格納できたみたいで、えっちなことを考えても邪魔されることはなくなりました。
私がそういうことをするお相手は女性だけ。
そんな覚悟が私の気持ちの中に定着したようです。
ただ、体育の先生の中にマッチョ体型で腕の毛もじゃもじゃな毛深い男の先生が一人いて、その先生が近くに来ると、やっぱりゾクゾクっと悪寒を感じてしまい、朝礼のときに困りました。
愛ちゃんたちグループのみんなとも、今まで通り普通におしゃべりできる、楽しい学校生活に戻っていました。
木曜日の放課後。
バレエ教室のレッスンに行ったとき、また新たな問題が発生していることに気がつきました。
私は、やよい先生に真剣に恋をしてしまっていました。
実は、バレエ教室がある町の駅に行くために愛ちゃんと二人で電車に乗っているときから、私の心の中がザワザワざわめいてはいました。
私は今日、やよい先生と普通に接することができるのだろうか?
月曜の夜、あんなに激しく具体的な妄想でイってしまった私に・・・
でもこのときは、まあその場になればなんとかなるでしょう、って無理矢理思考を停止して楽観的に考えていました。
レオタードに着替えてレッスンルームに入ると、すでにやよい先生がパイプ椅子に腰掛けて私たちが揃うのを待っていました。
私と愛ちゃんに気がつくと、ニッコリ笑って手を上げて、
「おはよっ!」
って声をかけてくれます。
その笑顔を見た途端、私の考えが甘かったことを思い知らされました。
からだ中の温度が一気に上がって、カーっと熱くなってしまいます。
そのステキな笑顔がまぶしすぎて、まっすぐに見ることができません。
胸がどきどきどきどきしてきます。
少女マンガによくある、内気な女の子がヒソカに片想いしている憧れの男の子に声をかけられたとき、そのままの反応が自分のからだと心に起こっていました。
愛ちゃんは、その場でお辞儀して、おはようございます、って自然に挨拶を返しています。
私は、動揺を隠したくて、かえって大げさになってしまい、不自然に深く上半身を曲げて、おはよーごーざいまっす、と大きな声でマヌケな挨拶を返してしまいました。
それを見て、やよい先生はアハハハって笑っていました。
私は、レッスンの間中なんとか心を落ち着けよう、普段どおりにふるまおう、レッスンに集中しよう、と一生懸命努力しました。
グループレッスンは6人クラス。
やよい先生は基本的に6人全員に向けてお話しながら、お手本を見せてくれます。
レッスンの序盤は、まだ胸がどきどきしていてぎこちない感じでしたが、時間が経つにつれて、なんとか普通にやよい先生を見れるようになってきていました。
レッスン後半は、一人ひとりの個別指導になります。
その日習ったポーズやステップを手取り足取り指導してもらいます。
私の番が来ました。
妄想で着ていたのと同じレモンイエローのレオタードを着たやよい先生が私の前に立ちました。
もうだめでした。
どきどき復活です。
私は、やよい先生の前で夢現な感じで教わったステップをやってみました。
「あらあ?みんなと一緒のときはうまく出来てたのに、今のはちょっとでたらめねえ」
やよい先生が少し苦笑いしながら、私の右腕を取ります。
「ここは、こうでしょ?」
「それで、こうして、こう。わかった?」
私の背中や太腿や、首に手を副えて指導してくれます。
一週間前までなら、これは普通のレッスン風景で、私もとくに何も感じずに集中できました。
でも今日はだめです。
やよい先生が私のからだをさわってくれるだけで、話しかけてくれるだけで心が遠いところへ逝ってしまいます。
それでもなんとか、やよい先生にご迷惑がかからないように集中しようと試みます。
でもだめでした。
やよい先生が私のウエストに腕をまわして、私のからだを支えてくれているとき、
このままやよい先生の胸に抱きつけたら、どんなに気持ちいいだろう・・・
なんて不埒なことを考えているのですから。
やよい先生も今日の私はなんかおかしい、と思ったのでしょう。
「じゃあ森下さん、このステップは、後で川上さんによーく聞いて教えてもらって、来週までに出来るようにしておきなさい」
なんだか困ったようなお顔で言ってから、早々と次の人へのレッスンに移ってしまいました。
家に帰って、私はまた途方に暮れてしまいます。
私がやよい先生を過剰に意識してしまうことがレッスンに集中できない原因なのは、自分でもわかっています。
でも、やよい先生を想う気持ちは、自分でもコントロールできない心の深い奥底から湧き出て来ているみたいで、抑えつけることができません。
こんなことをつづけていたら、きっとやよい先生に呆れられてしまいます。
呆れられるだけならまだしも、嫌われてしまうかもしれません。
それは絶対イヤです。
その週の週末。
私は、やよい先生以外の女性で妄想オナニーをしてみようと考えました。
やよい先生ばっかりに頼って妄想してるから、実生活でも過剰に意識してしまうのではないか、って思ったんです。
愛ちゃんたち5人のことを最初に考えてみました。
あの5人は、もちろんみんな大切なお友達で大好きなのですが、そういう、性的なアレとは、どうしても結びつけることが出来ませんでした。
実際、5人とのおしゃべりで、一般的な下ネタっぽいことが出ることはたまにありましたが、セックス経験があるかとかオナニーしているかとかの具体的なプライベートでの性に関する話題は、一切したことがありませんでした。
私は、愛ちゃんたち5人がオナニーを知っているかどうかさえまったく知りませんし、みんなも私がオナニーをしていることは知らないはずです。
えっちな知識が詳しそうなのは、曽根っちとしーちゃんですが、それも普段の会話を聞いている限りの話で、曽根っちはお姉さんの影響、しーちゃんはマンガからの知識っぽくて、実際どうなのかはわかりません。
いずれにしても、お友達5人は、性的妄想には向いていないようです。
それなら次はオオヌキさんです。
オオヌキさんを想ってのオナニーは、彼女たちが遊びにいらした数日後の夜にしていました。
そのときの妄想は、あのキワドイ水着を着たオオヌキさんにマッサージされているうちに、いつのまにか私も同じ水着を着せられていて、腕を縛られていて、篠原さんのフルートをアソコに入れられるというものでした。
そのときのオオヌキさんは、すごく丁寧な言葉遣いで恥ずかしがりながら、私を苛めていました。
かなりコーフンしました。
でも私がオオヌキさんに会ったのは、あのとき一回だけですし、実際どんな性格のかたなのかは知りません。
そうなると、妄想していても同じようなストーリーになってしまいがちなので、強い刺激を欲している今の私には少しキツイ気がします。
そして、そんなことを考えているうちに、私のからだがまたウズウズしてきたのですが、同時に、逃げ場所がどこにも無いことをも思い知らされました。
私のからだが性的に高揚してきたのは、愛ちゃんたちやオオヌキさんのことを考える一方で、木曜日のレッスンのときに私のからだをさわってくれたやよい先生の手の感触を、からだが思い出していたからです。
私の頭の中は、結局またやよい先生に占領されてしまい、なしくずし的にオナニーを始めてしまいました。
どうしてちゃんとレッスンを受けないの?ってやよい先生に叱られながらおっぱいを苛められて、なぜだか篠原さんのフルートをアソコに突っ込まれて、あっけなくイってしまいました。
次の週の木曜日のレッスンは、先週よりマシな状態で受けることができました。
日曜日から水曜日の夜まで、考えに考え抜いて、私は、ある一つのことを決意していました。
いつまでもどきどきした状態でレッスンを受けていると、状況は悪くなる一方です。
何かしらの打開策を講じなければなりません。
私は、やよい先生に告白することにしました。
やよい先生を大好きなこと、と、私の性癖すべてを。
全部告白して、断られたり嫌われてしまったら、それでもう仕方ありません。
だけど、やよい先生なら少なくともお話だけはちゃんと聞いてくれるはず。
それでダメならあきらめよう。
そう決意しました。
タイミング良いことに次週のレッスンは、愛ちゃんがその2週間後に迫った運動会の準備でお休みすることになり、私一人で行くことになりました。
そのレッスン後に講師室に行って、時間を作っていただけるように頼んでみるつもりでした。
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*トラウマと私 20へ
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