その翌日。
お昼休みに図書室に用事があった私は、行きすがら、相原さんのクラスをチラっと覗いてみました。
私のクラスと相原さんのクラスは同じ階にあって、私のクラスのお教室は東の端っこ、2クラス分離れています。
他の生徒たちがガヤガヤと行き交う廊下を図書室のほうに歩きながら、
昨日の放課後、ここを相原さんは裸で歩いていたんだなあ・・・
って考えると、今さらながらすごく大胆、って胸がどきどきしてきてしまいます。
相原さんは、クラスのお教室にはいないようでした。
それから、次の火曜日が来るのが待ち遠しいような、でもちょっと怖いような、フクザツな気持ちで日々を過ごしました。
その週の火曜日は、ポカポカ陽気で少し暑いくらいの晴天でした。
6月に入って衣替えとなり、上着を着てこない人たちの姿も目立ちます。
放課後になり、図書室当番に向かう私は、やっぱりワクワクしていました。
相原さんは今日、どんな格好で図書室に現れるんだろう?
相原さんは今日、何をお話してくれるんだろう?
相原さんは今日も、あの公園に私を誘うんだろうか?
その日の図書室も利用者はまばらでした。
開けてすぐに返却に来た人が二人。
その後もちらほら貸出しや返却の人が来て、閲覧のテーブルにはあちこちに散らばって三人。
相原さんは、まだ姿を現しません。
そのうちに時計は4時を回りました。
もう貸出しや返却の人も来なそうなので、私と補佐の二年生の女の子は、カウンターの中でその女の子の私物の少女コミックスを読んでいました。
4時5分になって、相原さんがフラっと手ぶらで現れました。
普通に制服姿でブレザーのボタンも一番下の一つだけはめていました。
先週と違うのは、今日はニーソックスではなくて白のハイソックスなこと。
カウンターの中にいた私にチラッと視線をくれて小さく微笑むと、そのまま奥の本棚のほうに入って行き、姿が見えなくなりました。
しばらくすると、一冊の本を片手に持って戻ってきました。
まっすぐに私の座っているカウンターのところまで歩いて来て、カウンターの前に立ちます。
「森下さん?」
声をひそめて私を呼び、右手で小さく手招きしています。
補佐の女の子と同時に顔を上げた私は、読んでいたコミックスを伏せて机の上に置き、立ち上がって相原さんに近づきました。
「これ。預かっといて」
小声で言いながら、本と一緒に左手で持っていた、小さくたたんだ薄いブルーのハンカチみたいなものを右手に持ち替え、私の右手に押しつけてきました。
「えっ?」
私は、戸惑いながらもそれを受け取り、何だろうな?と掴んだ右手を広げようとして、ふいに気がつき、あわてて手を握ったままブレザーの右ポケットに突っ込みました。
頬がカーッと熱くなってきます。
間違いありません。
相原さんが今、渡してくれたのは、ハンカチなんかじゃなくて、脱ぎたてのショーツです。
ツヤツヤした光沢とスベスベな感触は、シルクのやつかもしれません。
そして、ホンワカと温かい相原さんの体温が生々しく残っていました。
相原さんは、唇の両端を少しだけ上げてニッて小さく笑ってから、澄ました顔でカウンターから一番遠い窓際の席に腰掛け、頬杖ついて本をめくり始めました。
私は、ブレザーのポケットに手を入れたまま、動揺を鎮めようと少しの間うつむいて呼吸を整えてから、カウンター内の自分の席に戻ります。
「もう利用者も来ないだろうから、あなた、先にあがっていいよ」
何も気づかない様子でコミックスを読んでいる補佐の女の子に小声で言いました。
「ほんとですか?ありがとうございます」
女の子も小声で言って、嬉しそうに笑い、読んでいたコミックスを閉じました。
「あ、そのマンガ、先輩、まだ途中ですよね?それ、先輩にお貸ししますから・・・次の委員会のときにでも返してください。そのとき、つづきの巻も持ってきますね」
女の子は、自分のバッグを持って立ち上がり、何度もペコペコお辞儀をしてから、
「お疲れさまでしたー。お先に失礼しまーす」
と小さな声で言い、静かに図書室を出ていきました。
現在、図書室内の利用者は、閲覧席に相原さんも含めて三名。
図書室内は、しんとしていて、ときどき誰かがページをめくる音だけが聞こえてきます。
相原さんは今、ノーパンで本を読んでいるんだ・・・
ポケットから出した右手に残る相原さんのショーツの感触にどぎまぎしながら、そんなことを考えてると、また私の脈拍が上がってきてしまいます。
4時25分になって、相原さん以外の利用者二人が示し合わせたように同時にパタンと本を閉じました。
少し遅れて相原さんも本を閉じ、三人とも立ち上がって本棚に本を戻しに行きました。
そのまま図書室から出ていく二人を尻目に、相原さんは、また私のほうに近づいて来ます。
「教室で待ってる、ね」
小さな声とウインクを残して、図書室を後にしました。
私は、急いで後片付けと戸締りをし、急いで職員室まで行って鍵を返し、急いで3階まで引き返しました。
三年一組の教室のドアをそーっと開けると、相原さんは今日も自分の席、窓際の後ろから三番目、に座ってボンヤリお外を眺めていました。
「お疲れさまー」
ドアを開ける音に気づいた相原さんがゆっくり振り返り、綺麗な微笑を見せてくれます。
教室は、電気は点けてなくて、窓からまだ充分明るい西日が射し込んでいます。
相原さんは、ブレザーを脱いで白い長袖のブラウスを肘のところまで腕まくりしていました。
「相原さん、こ、これ・・・」
私は、相原さんの席に近づきながら、右手をブレザーのポケットに入れてさっきの水色ショーツをつまみ出し、相原さんに差し出します。
「あはは。びっくりした?」
相原さんは、イタズラっ子みたく笑って私を見つめます。
「わたしは、森下さんの言いなりロシュツドレイだから、森下さんに会うときは、下着を一切身に着けちゃいけないの」
「えっ?・・・どういうこと?・・・」
先週と同じく、相原さんの前の席にバッグを置いた私は、相原さんが何を言っているのか意味がわからず、相原さんを見つめてしまいます。
白いブラウスのボタンが三つまではずされ、胸元が大胆に開いて、胸の谷間の膨らみ始めの白い肌が魅惑的に覗いています。
この感じだと、今日もノーブラみたい。
私の視線の動きを追うように見ていた相原さんは、席から立ち上がって、私に背を向けました。
「ううん。いいの。わたしの勝手な脳内設定だから、森下さんは何も気にしなくていいの。そのまま、何もしなくていいの・・・」
「・・・だけど、パンティは、ささっと脱ぐこと出来たんだけど、他に誰か人がいる図書室で上着脱いでブラウス脱いで、ブラはずしてまたブラウス着るっていうのは、さすがに出来なかった。だからブラはさっき、ここで取ったの」
背中を向けたままそんなことを言った後、モデルさんみたいにクルっとターンして、私にからだの正面を向けました。
右手でスカートをめくり上げていました。
ブラウスのボタンも、もっと下まではずされ、左右のおっぱいが上を向いた乳首まで、完全に見えていました。
「森下様の言いつけを守って、今日も菜摘は下着を着けていません・・・どうぞ菜摘のいやらしいからだをごゆっくり・・・存分にご覧ください・・・」
相原さんがお芝居がかった台詞まわしながら、すごく恥ずかしそうに言います。
相原さんと私の頬がみるみる赤く染まっていきます。
相原さんは、まくり上げたスカートの裾をウエストのおへそのあたりに挟みこんで手を離し、その手を後ろに回します。
休め、の姿勢になった相原さんの正面に立っている私は、ある一点からどうしても目を逸らすことができませんでした。
「ね、ねえ相原さん?・・・」
相原さんの目は、相変わらず私の視線を追っています。
「そ、そこの・・・そこの毛、どうしちゃったの?」
私は、相原さんの裸の下半身を遠慮がちに小さく指さします。
先週は、薄いながらもその周辺を黒く飾っていた毛が、今日は見あたらず、ちょっぴりプクっと膨らんだ両内腿の間がツルツルになっているんです。
「昨夜、お風呂で剃っちゃった・・・森下さんにもっとよく、見てもらいたくて・・・」
すっごく恥ずかしそうに、小さな声でつぶやいた相原さんを見て、私は、思わず、なりふりかまわず、相原さんをこの場でギューっと抱きしめたい衝動に駆られていました。
*
*図書室で待ちぼうけ 08へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2010年12月11日
2010年12月5日
図書室で待ちぼうけ 06
「そうこうしているうちに二年生になって、パソコンでネットの面白さを知っちゃってからは、そっちのほうが断然楽しくなっちゃって」
「早く家に帰ってネット開きたくて、友達どころじゃなくなっちゃった」
「恥ずかしいひとりアソビしているのを誰かに見られて弱みを握られちゃうと・・・」
相原さんが急に声をひそめました。
「ありえないほど短いミニスカートをノーパンで穿かされたり、濡れると透けちゃう水着を着させられてプール授業を受けるように命令されたり」
「マネキン人形に混ざって裸で立っていることを命令されたり、アソコに何か入れたまま町を散歩させられたり」
「いろいろやらされて最後、裸で男子トイレに縛られたまま放置されて、セーヨクショリロシュツドレイニクベンキにさせられて、たくさんの男たちから精液を浴びせられちゃうの」
「ええーっ!?」
私は本気で驚いて、思わず大きな声が出てしまいました。
道行く買い物客おばさま何人かが、声に驚いて私たちのほうを注目しています。
私は、真っ赤になって身を縮こませます。
「ネットの読み物だと、たいていそういう結末」
相原さんは、可笑しそうに手で口を押さえて立ち止まり、真っ赤になった私を見つめました。
「ネットの読み物だと露出癖のある女性は、たいてい、どんなひどい命令をされてもイヤイヤながらも受け入れて、最後には、もっとやってー、ってなっちゃう、男にとってすごく都合のいい女、として描かれてるの。そういうのが男性一般の共通幻想なのかしら?なんだか単純」
再び歩き出しながら、相原さんは、まだ可笑しそうにクスクス笑っています。
「なんだー、ネットでのお話なの?私、現実のことかと思ってびっくりしちゃった・・・」
「ごめんごめん。森下さんて素直でカワイイ」
私は、少し拗ねたフリをして、頬を膨らませて、唇をとんがらかせます。
「でも二年のクラスでなら、森下さんと、あと森下さんたちのグループのちょっと背の小さい子・・・」
「しーちゃん?」
「そう。えーっと・・・藤原しのぶさん、だっけ?」
「そう」
「その二人とは、おしゃべりしてみたかった。わたし、静かめで可愛らしい女の子、大好きなの」
「そんなこと言ったら、相原さんこそ、そうじゃない?」
「・・・だから森下さんと仲のいい川上さんが羨ましかった」
相原さんは、私の言ったことにはコメントせず、お話をつづけます。
「だから川上さんとも、おしゃべりしてみたい気持ちもあった・・・」
「あ、でもわたし、レズとかそういう気は全然ないの。ただ同学年の男子はガキばっかりだし、まわりに心トキメクような大人の男性もいなくて、どっちかって言うとロクでもないのばっかりだから・・・それならカワイイ女の子のほうがいいや、っていう程度で・・・」
そこまで話したとき、私たちがお別れしなければならない交差点に着いてしまいました。
「森下さんは、今日、図書室当番だったんでしょ?」
「うん」
「その当番って、曜日で決まっているの?それとも何日おき、とか?」
「ううん。曜日。私は火曜日の担当」
「それなら、来週の火曜日の放課後に図書室に行けば、また森下さんに会えるの?」
「うん」
「また会いに行って、いい?まだわたしの話も途中だし」
「それはもちろん、いいけど・・・別に図書室じゃなくても、クラスのお教室も近いし、火曜日以外でも会おうと思えば会えるんじゃないかな?」
「ううん。だって森下さん、木曜日はバレエ教室でしょ?それで他の日は川上さんたちの誰かと一緒に帰るじゃない?」
「それはそうだけど・・・」
「わたし、そういう森下さんの日常は、壊したくないの。今のお友達は大事にして。だから、逆に言うと、火曜日の放課後だけ、わたしにくれない?森下さんの時間を。わたしは、それだけでいいから」
「・・・うん。わかった。相原さんがそれでいいなら・・・」
「ありがと。うれしい」
相原さんは、すっごく綺麗な笑顔を私にくれました。
それから、ススっと身を寄せてきて、私の耳に唇を寄せてきます。
「森下さん、今日のパンティはピンク。さっき向かい合って座ってたとき、チラっと見えちゃった。うふっ。カワイかった」
耳元に息を吹きかけられながら、つぶやくような声でそんなことを言われて、私はゾクゾクっと感じてしまい、みるみる顔が熱くなってしまいました。
「それじゃあ、また来週、火曜日の放課後に、ね。バイバーイ」
相原さんは右手を小さく振ってから、ちょうど青信号に変わった横断歩道を駅のほうに小走りに渡って行きました。
一人になって、お家までの帰り道。
私の頭の中は、盛大に混乱していました。
今日見た光景、相原さんの言葉、私の感情、からだに残る感触・・・
それらが私の中に無秩序にとっちらかっていて、どこから整理していいかわかりません。
この感情を大雑把に一言で言い表すなら、
相原さんってスゴイ!
なんですが・・・
とにかくお家に帰って、ごはんとかお風呂を済ませて、ゆっくり落ち着いてから考えることにしよう。
そう決めて、家路を急ぎました。
その日の夜。
お風呂に入って、パジャマに着替えて、あとは寝るだけの午後10時過ぎ。
ベッドの縁に腰掛けて、今日の出来事について考え始めました。
相原さんは、性格にエキセントリックなところが多少あるみたいですが、悪い人ではなさそうです。
気配りもしてくれるし、無理強いもしないし。
相原さんが今日やっていたことは、まさしく私がやってみたいけど怖くて出来ないことでした。
その現場を現実に見て、私がすごく羨ましく思ったことは、事実です。
でも、かと言って、私もやってみよう、とは、やっぱり思えませんでした。
現場を見てしまったからこそ、その怖さも肌でリアルに感じました。
いくら気持ちいいこととは言え、バレたときの両親やお友達への影響は、考えただけで身震いしてしまいます。
やっぱり、妄想の中だけでがまんしておこう。
そう思いました。
私が相原さんの行為を最初に見たときに感じた警戒心は、だいぶ薄れていました。
それどころか、相原さんのからだを見て、たくさんお話して、私の心の中に相原さんに対する好意さえ芽生えていました。
相原さんのからだは、本当にとてもキレイでした。
できることならさわってみたい・・・
でも相原さんは、レズっ気は無い、って言ってたっけ。
ひょっとしたら男性との経験がもうあるのかもしれません。
相原さんは、ネットをやってるからえっちな知識も私より全然詳しいみたいです。
ただ、相原さんがえっちなことをしているとき、ときどき私に投げかける、探るような目付き、が気になりました。
相原さんは、私に対して、同類の匂い、を感じているような気がしました。
でも、私は相原さんほどの勇気は持っていないので、同じフィールドに巻き込まれると私のほうが危ない、と感じました。
やっぱり、私のヘンな性癖に関しては、隠しておいたままのほうがいいかな・・・
あらためて、今日体験した出来事を思い出しているうちに、知らず知らず、私の手が自分のからだをまさぐり始めていました。
相原さんのからだ、キレイだったなあ・・・
相原さんも今日のこと思い出して、今頃オナニーしているんだろうなあ・・・
相原さんはショーツのこと、パンティって呼んでたなあ・・・
パンティって、なんだかすっごくえっちぽい響きだなあ・・・
私は、パジャマをゆっくり脱いでいきます。
私は、相原さんの気持ちになって、今日相原さんがしていたことを自分のからだで追体験することにしました。
図書室で全裸になっているところをみつけられてしまった私・・・
ノーブラ、ノーパンで学校の制服を着て、下校する私・・・
公園の桜の木の陰で下半身を露出して、アソコを自分の指で広げる私・・・
スベリ台の下でおっぱいをはだけて、両膝を180度開いて、さらに自分の手でアソコを広げて見せている私・・・
私は、妄想の会話を頭の中で繰り広げながら、大きな姿見の前で、実際にそういうポーズをとりながら、激しく指を動かしていました。
私が相原さんで、相原さんが私でした。
あれだけ刺激的な光景を見せつけられて、ずっとおあずけをさせられていたからだは、過剰なほど敏感になっていて、少しさわるだけで、ちょっとえっちなことを考えるだけで、気持ちのいい電流がピリピリとからだ中を駆け巡りました。
妄想を始めてすぐ、アソコを少しさわっただけで呆気ないほどカンタンにイってしまった私は、それから一時間近く、妄想の中で、何度も何度も、相原さんと一緒に気持ちの良い波に飲み込まれていきました。
*
*図書室で待ちぼうけ 07へ
*
「早く家に帰ってネット開きたくて、友達どころじゃなくなっちゃった」
「恥ずかしいひとりアソビしているのを誰かに見られて弱みを握られちゃうと・・・」
相原さんが急に声をひそめました。
「ありえないほど短いミニスカートをノーパンで穿かされたり、濡れると透けちゃう水着を着させられてプール授業を受けるように命令されたり」
「マネキン人形に混ざって裸で立っていることを命令されたり、アソコに何か入れたまま町を散歩させられたり」
「いろいろやらされて最後、裸で男子トイレに縛られたまま放置されて、セーヨクショリロシュツドレイニクベンキにさせられて、たくさんの男たちから精液を浴びせられちゃうの」
「ええーっ!?」
私は本気で驚いて、思わず大きな声が出てしまいました。
道行く買い物客おばさま何人かが、声に驚いて私たちのほうを注目しています。
私は、真っ赤になって身を縮こませます。
「ネットの読み物だと、たいていそういう結末」
相原さんは、可笑しそうに手で口を押さえて立ち止まり、真っ赤になった私を見つめました。
「ネットの読み物だと露出癖のある女性は、たいてい、どんなひどい命令をされてもイヤイヤながらも受け入れて、最後には、もっとやってー、ってなっちゃう、男にとってすごく都合のいい女、として描かれてるの。そういうのが男性一般の共通幻想なのかしら?なんだか単純」
再び歩き出しながら、相原さんは、まだ可笑しそうにクスクス笑っています。
「なんだー、ネットでのお話なの?私、現実のことかと思ってびっくりしちゃった・・・」
「ごめんごめん。森下さんて素直でカワイイ」
私は、少し拗ねたフリをして、頬を膨らませて、唇をとんがらかせます。
「でも二年のクラスでなら、森下さんと、あと森下さんたちのグループのちょっと背の小さい子・・・」
「しーちゃん?」
「そう。えーっと・・・藤原しのぶさん、だっけ?」
「そう」
「その二人とは、おしゃべりしてみたかった。わたし、静かめで可愛らしい女の子、大好きなの」
「そんなこと言ったら、相原さんこそ、そうじゃない?」
「・・・だから森下さんと仲のいい川上さんが羨ましかった」
相原さんは、私の言ったことにはコメントせず、お話をつづけます。
「だから川上さんとも、おしゃべりしてみたい気持ちもあった・・・」
「あ、でもわたし、レズとかそういう気は全然ないの。ただ同学年の男子はガキばっかりだし、まわりに心トキメクような大人の男性もいなくて、どっちかって言うとロクでもないのばっかりだから・・・それならカワイイ女の子のほうがいいや、っていう程度で・・・」
そこまで話したとき、私たちがお別れしなければならない交差点に着いてしまいました。
「森下さんは、今日、図書室当番だったんでしょ?」
「うん」
「その当番って、曜日で決まっているの?それとも何日おき、とか?」
「ううん。曜日。私は火曜日の担当」
「それなら、来週の火曜日の放課後に図書室に行けば、また森下さんに会えるの?」
「うん」
「また会いに行って、いい?まだわたしの話も途中だし」
「それはもちろん、いいけど・・・別に図書室じゃなくても、クラスのお教室も近いし、火曜日以外でも会おうと思えば会えるんじゃないかな?」
「ううん。だって森下さん、木曜日はバレエ教室でしょ?それで他の日は川上さんたちの誰かと一緒に帰るじゃない?」
「それはそうだけど・・・」
「わたし、そういう森下さんの日常は、壊したくないの。今のお友達は大事にして。だから、逆に言うと、火曜日の放課後だけ、わたしにくれない?森下さんの時間を。わたしは、それだけでいいから」
「・・・うん。わかった。相原さんがそれでいいなら・・・」
「ありがと。うれしい」
相原さんは、すっごく綺麗な笑顔を私にくれました。
それから、ススっと身を寄せてきて、私の耳に唇を寄せてきます。
「森下さん、今日のパンティはピンク。さっき向かい合って座ってたとき、チラっと見えちゃった。うふっ。カワイかった」
耳元に息を吹きかけられながら、つぶやくような声でそんなことを言われて、私はゾクゾクっと感じてしまい、みるみる顔が熱くなってしまいました。
「それじゃあ、また来週、火曜日の放課後に、ね。バイバーイ」
相原さんは右手を小さく振ってから、ちょうど青信号に変わった横断歩道を駅のほうに小走りに渡って行きました。
一人になって、お家までの帰り道。
私の頭の中は、盛大に混乱していました。
今日見た光景、相原さんの言葉、私の感情、からだに残る感触・・・
それらが私の中に無秩序にとっちらかっていて、どこから整理していいかわかりません。
この感情を大雑把に一言で言い表すなら、
相原さんってスゴイ!
なんですが・・・
とにかくお家に帰って、ごはんとかお風呂を済ませて、ゆっくり落ち着いてから考えることにしよう。
そう決めて、家路を急ぎました。
その日の夜。
お風呂に入って、パジャマに着替えて、あとは寝るだけの午後10時過ぎ。
ベッドの縁に腰掛けて、今日の出来事について考え始めました。
相原さんは、性格にエキセントリックなところが多少あるみたいですが、悪い人ではなさそうです。
気配りもしてくれるし、無理強いもしないし。
相原さんが今日やっていたことは、まさしく私がやってみたいけど怖くて出来ないことでした。
その現場を現実に見て、私がすごく羨ましく思ったことは、事実です。
でも、かと言って、私もやってみよう、とは、やっぱり思えませんでした。
現場を見てしまったからこそ、その怖さも肌でリアルに感じました。
いくら気持ちいいこととは言え、バレたときの両親やお友達への影響は、考えただけで身震いしてしまいます。
やっぱり、妄想の中だけでがまんしておこう。
そう思いました。
私が相原さんの行為を最初に見たときに感じた警戒心は、だいぶ薄れていました。
それどころか、相原さんのからだを見て、たくさんお話して、私の心の中に相原さんに対する好意さえ芽生えていました。
相原さんのからだは、本当にとてもキレイでした。
できることならさわってみたい・・・
でも相原さんは、レズっ気は無い、って言ってたっけ。
ひょっとしたら男性との経験がもうあるのかもしれません。
相原さんは、ネットをやってるからえっちな知識も私より全然詳しいみたいです。
ただ、相原さんがえっちなことをしているとき、ときどき私に投げかける、探るような目付き、が気になりました。
相原さんは、私に対して、同類の匂い、を感じているような気がしました。
でも、私は相原さんほどの勇気は持っていないので、同じフィールドに巻き込まれると私のほうが危ない、と感じました。
やっぱり、私のヘンな性癖に関しては、隠しておいたままのほうがいいかな・・・
あらためて、今日体験した出来事を思い出しているうちに、知らず知らず、私の手が自分のからだをまさぐり始めていました。
相原さんのからだ、キレイだったなあ・・・
相原さんも今日のこと思い出して、今頃オナニーしているんだろうなあ・・・
相原さんはショーツのこと、パンティって呼んでたなあ・・・
パンティって、なんだかすっごくえっちぽい響きだなあ・・・
私は、パジャマをゆっくり脱いでいきます。
私は、相原さんの気持ちになって、今日相原さんがしていたことを自分のからだで追体験することにしました。
図書室で全裸になっているところをみつけられてしまった私・・・
ノーブラ、ノーパンで学校の制服を着て、下校する私・・・
公園の桜の木の陰で下半身を露出して、アソコを自分の指で広げる私・・・
スベリ台の下でおっぱいをはだけて、両膝を180度開いて、さらに自分の手でアソコを広げて見せている私・・・
私は、妄想の会話を頭の中で繰り広げながら、大きな姿見の前で、実際にそういうポーズをとりながら、激しく指を動かしていました。
私が相原さんで、相原さんが私でした。
あれだけ刺激的な光景を見せつけられて、ずっとおあずけをさせられていたからだは、過剰なほど敏感になっていて、少しさわるだけで、ちょっとえっちなことを考えるだけで、気持ちのいい電流がピリピリとからだ中を駆け巡りました。
妄想を始めてすぐ、アソコを少しさわっただけで呆気ないほどカンタンにイってしまった私は、それから一時間近く、妄想の中で、何度も何度も、相原さんと一緒に気持ちの良い波に飲み込まれていきました。
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*図書室で待ちぼうけ 07へ
*
図書室で待ちぼうけ 05
おばさまたちの声が聞こえなくなるまで、私は息を殺してその場に固まっていました。
「ね、ねえ、相原さん?こんなことしてるとこ、誰かに見られちゃったら、きっと大変なことになっちゃうよ・・・」
私は、再び激しくなってきたどきどきに心とからだを翻弄されながら、小さな声で言いました。
「だいじょうぶ。わたし、運はいいほうだから」
相原さんは、全然気にしていない様子で桜の木から背中を離し、パッパッとスカートの裾を払いました。
「それよりも、暗くなってしまわないうちに、もう一回だけつきあって、ね?」
そう言うなり、再び私の手を取り、今度は象さんのスベリ台のほうに連れていかれました。
象さんのスベリ台は、クリーム色で全体に丸まっこいカワイらしい形で、お鼻のところがすべるところ、お尻のほうが階段になっていて、公園の入口のほうにお鼻を向けて建っています。
前肢から胴体を経て後肢までの部分が立体的なアーチ状に開いていて、大人でもからだを小さく屈めればスベリ台の下に潜り込めます。
相原さんに手を引かれ、そこに二人で潜り込みました。
スベリ台の下も全体がクリーム色、直径2メートルに満たないくらいのまあるいスペースになっていて、カーボンが何かで出来ているらしいドーム状の天井は、一番高いところで私たちの背ギリギリくらいの高さ、必然的に屈んだ体勢になっています。
足元にも天井と同じ面積だけ、まあるく赤茶色のレンガが敷き詰められて、すべるほうの側と階段のほうの側の壁から、子供が二人ずつくらい向き合って座れるようにベンチみたいな突起が出ています。
夕方なので、中はけっこう薄暗いですが、なんだか妙に居心地がいい空間です。
小さな子供なら、ちょっとしたカクレガ気分を味わえることでしょう。
「頭をぶつけないように気をつけて」
相原さんは、階段側の、そのベンチのような突起に腰を下ろしました。
「森下さんは、そっちのベンチに座ってて」
そこに座ってしまうと、ちょうどアーチ状になった側面の壁が私たちの姿を隠し、外からは足元くらいしか見えないようです。
相原さんは、いつのまにかブラウスのボタンを全部はずしていました。
ブレザーごとブラウスを左右に開いて、今度はおっぱいを対面に座っている私に見せつけてきます。
「見て。わたしのおっぱい、よーく見て。森下さん」
私の目をまっすぐ見つめながら、自分のおっぱいを左右の手で下から持ち上げています。
乳首がツンって尖っています。
私はまた、魅入られたようにじっと目を凝らしてしまいます。
心臓がどきどきどきどき波打ってきます。
相原さんは、はだけた胸をこちらに突き出したまま、じりじりと両膝を左右に開いていき、両膝がほぼ180度に開いたとき、両手でバサっとスカートをめくり上げました。
「ほら。ここももうこんなになっちゃってる・・・」
つぶやいた後、上にめくり上げたスカートの裾を自分の口にくわえてから、右手を右内腿に、左手を左内腿に置き、パックリと綴目が開いたアソコを更に自分の手で押し広げました。
薄暗がりの中でもヌラヌラぬめっているのがはっきりわかりました。
相原さんは、スカートの裾をくわえたまま、顎を上げて上を向き、何かに耐えるようにギュっと目をつぶっています。
公園の横の道を通ったのでしょう、バイクのエンジンの音が近づいて来たと思ったら遠ざかって行きました。
そう、ここはお外なんです。
誰もがいつでも入って来れる公園なんです。
私は、その音を聞いてビクっとしましたが、相原さんは微動だにしませんでした。
しばらくそうしてから、ふいに相原さんの口からスカートが離れました。
大きく広げられたアソコの上に、スカートが舞い降ります。
相原さんは顎を下げ、赤いハンカチで口元を拭いてから、私にトロンとした色っぽいまなざしを投げかけてきました。
「ねえ、森下さん。こっちに来て」
「となりに座って、わたしのからだ、さわってくれない?」
ビクンとして、私は思わず立ち上がりかけました。
でもすぐに思い直し、また腰を落として、うつむいて力無くイヤイヤをします。
「相原さん・・・もうやめよう・・・私、やっぱりこういうの、怖い・・・」
うつむいたまま小さな声で、やっと言いました。
「誰かに見られたら、大変だもん。相原さんが学校に来れなくなっちゃうよ。だから・・・」
泣きそうな声になっていました。
私は、この状況に心底びびっていました。
でも、乳首とアソコが正直に反応しているのも事実でした。
しばらく無言のときが過ぎました。
やがて、衣擦れのような音が聞こえてきたので、おそるおそる顔を上げてみます。
相原さんがゆっくりとブラウスのボタンを下からはめているところでした。
「森下さん、ごめんなさい。見てくれる人がいるの初めてだから、わたし、コーフンしすぎて、ついつい、調子に乗っちゃった・・・」
相原さんは、ブラウスのボタンを上から二番目まできっちりはめて、ブレザーの前をかき合わせてから私の顔を見て、本当にすまなそうに弱々しく笑いました。
儚げで、なぜだか切ない気持ちになる笑顔でした。
「わたしのこと、イヤになった?」
「ううん」
私は、顔を左右に小さく振った後、相原さんをまっすぐに見つめます。
「ステキだと思う」
「良かった。ありがと」
相原さんの顔がゆっくりと嬉しそうな顔に変わっていきます。
「それじゃあ、今日はもう遅いから、ここから出ましょ」
腰を屈めてスベリ台の下から出て行きます。
私も後を追いました。
「今までにも何回か、同じようなことしてるの。一人で」
再び住宅街の道に出て、並んでゆっくり歩きながら相原さんが話し始めました。
「もちろん、誰にも見つからないように、細心の注意を払ってる、つもり・・・」
「わたしの場合、誰でもいいからわたしの裸見てー、なんて気持ちはまったく無い。そういう露出狂じゃない、つもり」
「学校で言ったみたいに、誰かに見られちゃうかもしれない、っていうスリルが好きなの」
「でもやっぱり今日みたいに、見られてる、ってわかってると、コーフンの度合いが全然違うんだ、ね」
「だけど本当に、たとえば先生や他の生徒に目撃されちゃったら、学校でもウワサになっちゃうし、すっごくマズイことになっちゃうんじゃない?相原さんが・・・」
私は、真剣に心配して相原さんに問いかけます。
「うん。それはそうだと思うんだけど・・・わたし、あんまり深刻にそういう心配は、してなかった、かな?」
「わたし、結局、中学の二年間で友達、作らなかったから・・・」
「ううん。それは卑怯な言い方・・・友達、出来なかったから・・・」
「小学生の頃は、これでも人並みくらいには、お友達いたんだけどなあ」
相原さんが珍しく寂しそうな声で言います。
私は、何て言ったらいいかわからなくて、黙っていました。
「中一の最初の頃にね、同じクラスの男子と女子数人で、わたしの陰口してるの、偶然聞いちゃったことがあったんだ」
「あの相原って女子は、いつもなんだか人を小馬鹿にしたような顔してて、ツンとすましててナマイキだ、って」
「そんなこと言われてもさあ・・・わたしは生まれてからずっと、こんな顔なんだし・・・」
「でも、確かに気持ち的にそういう傾向があるのも本当。ガキっぽくてバカな男子とか、本当うんざりしてたもん。心の中で」
「そういうのが知らず知らず、顔に出ちゃってるんだろうなあ、って」
相原さんがクスっと笑います。
「私は、そんなこと無いと思う。相原さんの顔、すっごく綺麗だと思う」
私は、本心からそう思っています。
「うふっ。ありがと。森下さんがそう言ってくれるなら、わたし、他にはもう友達なんかいらない」
相原さんは冗談めかして、私に抱きついてきました。
ノーブラの胸の柔らかい感触が、私の二の腕に押し付けられます。
私は、うっとりしてしまいます。
いつも間にか、商店街の入口まで来ていました。
すれちがった買い物客らしいおばさまが、びっくりした顔で私たちのほうを振り返りました。
*
*図書室で待ちぼうけ 06へ
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「ね、ねえ、相原さん?こんなことしてるとこ、誰かに見られちゃったら、きっと大変なことになっちゃうよ・・・」
私は、再び激しくなってきたどきどきに心とからだを翻弄されながら、小さな声で言いました。
「だいじょうぶ。わたし、運はいいほうだから」
相原さんは、全然気にしていない様子で桜の木から背中を離し、パッパッとスカートの裾を払いました。
「それよりも、暗くなってしまわないうちに、もう一回だけつきあって、ね?」
そう言うなり、再び私の手を取り、今度は象さんのスベリ台のほうに連れていかれました。
象さんのスベリ台は、クリーム色で全体に丸まっこいカワイらしい形で、お鼻のところがすべるところ、お尻のほうが階段になっていて、公園の入口のほうにお鼻を向けて建っています。
前肢から胴体を経て後肢までの部分が立体的なアーチ状に開いていて、大人でもからだを小さく屈めればスベリ台の下に潜り込めます。
相原さんに手を引かれ、そこに二人で潜り込みました。
スベリ台の下も全体がクリーム色、直径2メートルに満たないくらいのまあるいスペースになっていて、カーボンが何かで出来ているらしいドーム状の天井は、一番高いところで私たちの背ギリギリくらいの高さ、必然的に屈んだ体勢になっています。
足元にも天井と同じ面積だけ、まあるく赤茶色のレンガが敷き詰められて、すべるほうの側と階段のほうの側の壁から、子供が二人ずつくらい向き合って座れるようにベンチみたいな突起が出ています。
夕方なので、中はけっこう薄暗いですが、なんだか妙に居心地がいい空間です。
小さな子供なら、ちょっとしたカクレガ気分を味わえることでしょう。
「頭をぶつけないように気をつけて」
相原さんは、階段側の、そのベンチのような突起に腰を下ろしました。
「森下さんは、そっちのベンチに座ってて」
そこに座ってしまうと、ちょうどアーチ状になった側面の壁が私たちの姿を隠し、外からは足元くらいしか見えないようです。
相原さんは、いつのまにかブラウスのボタンを全部はずしていました。
ブレザーごとブラウスを左右に開いて、今度はおっぱいを対面に座っている私に見せつけてきます。
「見て。わたしのおっぱい、よーく見て。森下さん」
私の目をまっすぐ見つめながら、自分のおっぱいを左右の手で下から持ち上げています。
乳首がツンって尖っています。
私はまた、魅入られたようにじっと目を凝らしてしまいます。
心臓がどきどきどきどき波打ってきます。
相原さんは、はだけた胸をこちらに突き出したまま、じりじりと両膝を左右に開いていき、両膝がほぼ180度に開いたとき、両手でバサっとスカートをめくり上げました。
「ほら。ここももうこんなになっちゃってる・・・」
つぶやいた後、上にめくり上げたスカートの裾を自分の口にくわえてから、右手を右内腿に、左手を左内腿に置き、パックリと綴目が開いたアソコを更に自分の手で押し広げました。
薄暗がりの中でもヌラヌラぬめっているのがはっきりわかりました。
相原さんは、スカートの裾をくわえたまま、顎を上げて上を向き、何かに耐えるようにギュっと目をつぶっています。
公園の横の道を通ったのでしょう、バイクのエンジンの音が近づいて来たと思ったら遠ざかって行きました。
そう、ここはお外なんです。
誰もがいつでも入って来れる公園なんです。
私は、その音を聞いてビクっとしましたが、相原さんは微動だにしませんでした。
しばらくそうしてから、ふいに相原さんの口からスカートが離れました。
大きく広げられたアソコの上に、スカートが舞い降ります。
相原さんは顎を下げ、赤いハンカチで口元を拭いてから、私にトロンとした色っぽいまなざしを投げかけてきました。
「ねえ、森下さん。こっちに来て」
「となりに座って、わたしのからだ、さわってくれない?」
ビクンとして、私は思わず立ち上がりかけました。
でもすぐに思い直し、また腰を落として、うつむいて力無くイヤイヤをします。
「相原さん・・・もうやめよう・・・私、やっぱりこういうの、怖い・・・」
うつむいたまま小さな声で、やっと言いました。
「誰かに見られたら、大変だもん。相原さんが学校に来れなくなっちゃうよ。だから・・・」
泣きそうな声になっていました。
私は、この状況に心底びびっていました。
でも、乳首とアソコが正直に反応しているのも事実でした。
しばらく無言のときが過ぎました。
やがて、衣擦れのような音が聞こえてきたので、おそるおそる顔を上げてみます。
相原さんがゆっくりとブラウスのボタンを下からはめているところでした。
「森下さん、ごめんなさい。見てくれる人がいるの初めてだから、わたし、コーフンしすぎて、ついつい、調子に乗っちゃった・・・」
相原さんは、ブラウスのボタンを上から二番目まできっちりはめて、ブレザーの前をかき合わせてから私の顔を見て、本当にすまなそうに弱々しく笑いました。
儚げで、なぜだか切ない気持ちになる笑顔でした。
「わたしのこと、イヤになった?」
「ううん」
私は、顔を左右に小さく振った後、相原さんをまっすぐに見つめます。
「ステキだと思う」
「良かった。ありがと」
相原さんの顔がゆっくりと嬉しそうな顔に変わっていきます。
「それじゃあ、今日はもう遅いから、ここから出ましょ」
腰を屈めてスベリ台の下から出て行きます。
私も後を追いました。
「今までにも何回か、同じようなことしてるの。一人で」
再び住宅街の道に出て、並んでゆっくり歩きながら相原さんが話し始めました。
「もちろん、誰にも見つからないように、細心の注意を払ってる、つもり・・・」
「わたしの場合、誰でもいいからわたしの裸見てー、なんて気持ちはまったく無い。そういう露出狂じゃない、つもり」
「学校で言ったみたいに、誰かに見られちゃうかもしれない、っていうスリルが好きなの」
「でもやっぱり今日みたいに、見られてる、ってわかってると、コーフンの度合いが全然違うんだ、ね」
「だけど本当に、たとえば先生や他の生徒に目撃されちゃったら、学校でもウワサになっちゃうし、すっごくマズイことになっちゃうんじゃない?相原さんが・・・」
私は、真剣に心配して相原さんに問いかけます。
「うん。それはそうだと思うんだけど・・・わたし、あんまり深刻にそういう心配は、してなかった、かな?」
「わたし、結局、中学の二年間で友達、作らなかったから・・・」
「ううん。それは卑怯な言い方・・・友達、出来なかったから・・・」
「小学生の頃は、これでも人並みくらいには、お友達いたんだけどなあ」
相原さんが珍しく寂しそうな声で言います。
私は、何て言ったらいいかわからなくて、黙っていました。
「中一の最初の頃にね、同じクラスの男子と女子数人で、わたしの陰口してるの、偶然聞いちゃったことがあったんだ」
「あの相原って女子は、いつもなんだか人を小馬鹿にしたような顔してて、ツンとすましててナマイキだ、って」
「そんなこと言われてもさあ・・・わたしは生まれてからずっと、こんな顔なんだし・・・」
「でも、確かに気持ち的にそういう傾向があるのも本当。ガキっぽくてバカな男子とか、本当うんざりしてたもん。心の中で」
「そういうのが知らず知らず、顔に出ちゃってるんだろうなあ、って」
相原さんがクスっと笑います。
「私は、そんなこと無いと思う。相原さんの顔、すっごく綺麗だと思う」
私は、本心からそう思っています。
「うふっ。ありがと。森下さんがそう言ってくれるなら、わたし、他にはもう友達なんかいらない」
相原さんは冗談めかして、私に抱きついてきました。
ノーブラの胸の柔らかい感触が、私の二の腕に押し付けられます。
私は、うっとりしてしまいます。
いつも間にか、商店街の入口まで来ていました。
すれちがった買い物客らしいおばさまが、びっくりした顔で私たちのほうを振り返りました。
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