「いらっしゃーい。遅かったわね?週末だから道が混んでいた?」
この理知的で落ち着いたお声はミイコさま。
ミイコさまというかたは、私が地元にいたときからやよい先生最愛のパートナーの座におられる女性で、私の一番最初の恋敵。
フルネームは水野美衣子さま、お姉さまの高校の先輩でもあるそうです。
そう言えばさっきお外で、これからやよい先生のお店に伺うとわかったときも、ミイコさまのことはなぜだかぜんぜん思い出さなかった私。
やよい先生とのお別れの日や、わざわざ私だけの為に撮影して作ってくださった自縛のハウトゥビデオ、えっちなグッズ製作などなどで、さんざんお世話になったかたなのに・・・
ちょっと反省。
「あ、いえ。直子にニチョやエルの小路を案内したくて寄り道しちゃって遅れてしまいました。ごめんなさい・・・」
お姉さまのテヘペロ気味なお返事。
でも、ニチョって何?
「ナオちゃんもいるのよね?みんなお待ちかねよ。でもその前に一応お約束、秘密の合言葉ね。いい?百合草会は?」
インターフォンの向こうのミイコさまのお声が、イタズラっぽい笑い混じりになりました。
「・・・安全、迅速、丁寧、仲良し」
お姉さまが標語を暗唱するみたいに、照れ気味でお応えになります。
「合格よ、ちょっと待っていて。今ドアを開けるから」
プツッという音でインターフォンが切れました。
「なんですか?今の」
里美さまが怪訝そうにお姉さまへお尋ね。
「さあ?あたしもよく知らないけれど合言葉。来たときに言うように言われていたの。何かのマンガだかアニメだかの有名なセリフらしいわよ」
お姉さまも苦笑いでおっしゃったとき、ドアの向こうでガチャンと音がしました。
外開きの分厚いドアがゆっくりと開いてきて、私たちは2歩3歩、後ずさります。
「エミリー、お久しぶりー。あ、ナオちゃんっ。それに新顔さんもいらっしゃるのね」
インターフォンと同じお声と共に現われたミイコさま。
最後にお会いしたときと変わらない、アイドルさん並の可憐さ。
それにお姉さま、ここではエミリーって呼ばれているんだ。
そう言えばシーナさまも、3人でお会いしたときにそう呼んでいたっけ。
目の前のミイコさまは、俗にフレンチメイドスタイルと呼ばれるモノトーンなメイド服姿。
黒基調のノースリーブミニスカドレスに、白フリルのエプロンとメイドカチューシャがアクセント。
ミイコさまの透き通るような白いお肌と漆黒のメイド服とのコントラストが鮮烈です。
何より目を惹いてしまうのは、大胆に開けた胸元から覗く、生成りな麻縄の縛り目。
よく見るとピッタリフィットなボディコン仕様の生地下から、全身を走っているのであろう縄目の凹凸がけっこう露骨に浮き上がっています。
おそらくメイド服の下に下着はまったく着けておられず、全身を麻縄で緊縛されているのでしょう。
申し遅れましたがミイコさまは、まだ高校生だった私にSMの手ほどきをしてくださったやよい先生の長年に渡るパートナーさまですから、もちろんエム属性です。
全身から妖艶な色香を放出しまくっているのに、縄目に気がつかなければ清純無垢で可憐な美少女に見えてしまうミイコさま。
そんなミイコさまがお姉さまの先輩で、お姉さまよりお年上なんて信じられません。
あ、念のため、決してヘンな意味ではありませんよ。
私のお姉さまが世界中で一番素敵なのは、動かない事実ですから。
「あらら、ナオちゃんはお風呂上がりなの?」
ミイコさまがからかうようにおっしゃいました。
「あ、いえ、えっと・・・」
後ろ手錠なので胸元を隠すことも出来ず、ただモジモジからだをくねらせてしまう私。
「ふふふ、まあ、そんなところ。それで、こちらのふたりがあたしの仕事の」
お姉さまが会話を引き取ってくださり、里美さまたちをご紹介されようとすると・・・
「うん、でも立ち話もアレだから、まずは入って入って。ご紹介はその後でね。ママも中でお待ちかねだから」
お姉さまのお言葉を遮って、ドアをより大きく開け放してくるミイコさま。
ミイコさまが、ママ、とお呼びになられたかたがつまり、やよい先生なのでしょう。
「今夜は久しぶりのスペシャルイベントナイトだから、お客様一杯なの。とりあえずはカウンター席を4名分空けたから、そこに座ってママと積もる話をするといいわ」
私たちをドアの内側へと招かれるミイコさま。
入口ドアの向こうにもう一枚、重そうな扉があるので、ここは玄関ホールになるのかしら。
女性5人が入っても窮屈ではないくらいの広さで、足元は真っ赤な絨毯、両脇の壁は鏡張り、収納らしき棚の上に見事な山百合のアレンジが活けてありました。
内側の扉は真中部分がガラス張りになっていて、どうやら二重ガラスみたい。
場内が暗めなので、目を凝らしてもここからでは、中のご様子はよくわかりません。
こちらも外開きらしい大きめな扉の把手の上に、Bar 百合草、段を変えて、FOR LESBIANS ONLY、と洒落たレタリング文字で描かれたプレートが貼ってあります。
「では、ご案内いたしますね」
ミイコさまの右手が扉の把手にかかり、捻ろうとしてフッと、何かを思いつかれたように手を離されました。
「そうそう、そちらのお客様?」
イタズラっぽい目付きで私をまっすぐご覧になるミイコさま。
把手にかかっていたしなやかな右手が、私のほうへと伸びてきました。
「その上着、お邪魔でしょうから、こちらでお預かりいたしましょう」
可憐なお顔でニッコリ微笑みかけられました。
「えっ!?」
と口から出るよりも早く、お姉さまの右手がさも当然というようにヒラリとひるがえり、背中のほうからスルスルッとバスタオルが剥ぎ取られました。
「あぁんっ!?」
後ろ手錠なのでもちろん、剥ぎ取られても自分では一切、どこも隠すことは出来ません。
「悪いわね。よろしくお願いします」
剥ぎ取ったバスタオルを素早く丁寧にたたまれ、ミイコさまにお渡しになるお姉さま・・・
えーーっ!?私、最初からこの姿、全部丸出し状態でお店に入るの?
いずれはバスタオルを取ることになるだろうな、と覚悟はしていたけれど・・・
見知らぬお客様がたくさんいらっしゃるらしい店内に、いきなりほぼ全裸で・・・
ミイコさまが先ほどと同じ微笑みを浮かべ、私の剥き出しになった尖り乳首をじーっとご覧になっています。
徐々に視線をお下げになり、これまた剥き出しの無毛なワレメまで。
そこに数秒視線が留まった後、もう一度私の顔に視線が戻り、今度はさっきよりも小悪魔的な、とても嬉しそうな笑みを見せてくださいました。
「それではあらためまして、ご案内いたしますね」
お姉さまから手渡された私のバスタオルをトーションのように左腕に掛け、再び右手を扉の把手に伸ばされたミイコさま。
そのまま扉を右のほうへ、ガラガラガラッとスライドさせました。
あ、引き戸だったんだ・・・
ドキドキして心臓が飛び出しそうなのに、どうでもいいことに感心している自分が不思議です。
「いらっしゃませー!」
扉を開いてワンテンポ置いて、よく通る大きなお声でミイコさまが店内へご挨拶。
あ、別にそんなことされなくても・・・
ガヤガヤさざめいていた場内のおしゃべりがフッと途絶え、そこにおられるみなさま全員のご注目が扉のところに集中してしまうのは当然でした。
「さあ、こちらへどうぞ」
ミイコさまのご先導に揚々とつづかれるお姉さま。
お姉さまの右手にはリードの持ち手。
リードチェーンの端には私の赤い首輪。
その首輪の下には全裸同様なボディハーネス姿の私のからだ。
後ろ手錠されているので当然のこと、どこもかしこも隠すことなんて出来ません。
店内全体がムーディに暗めなのは幸いですが、すべての視線がこちらに集まっているのはわかります。
間接照明の真下を通ると、尖りきったふたつの乳首がライトにクッキリ浮かび上がります。
ヒソヒソからザワザワへ、徐々に店内にガヤガヤが戻ってきました。
カウンター席は10名くらいが並んで座れる長さ。
そのうちほぼ中央の4席だけポッカリ空いて、他のお席すべて、すでにどなたかがお座りになられています。
「うわー、直子?すんごい久しぶりじゃない?元気そうね。それに今日はすんごいオメカシさせてもらっているのねー」
カウンターの中から、やよい先生の懐かしくも嬉しそうなお声。
カウンター前の丸いストゥールにミイコさまがササッと私の上着、いえ、さっきまで巻いていたバスタオルを敷いてくださり、私はおずおずとその上に生尻を乗せました。
カウンター内は当然ですがそれなりに明るく、やよい先生からはハッキリと、くすんだ赤いレザーハーネスで飾られた私の剥き出し乳房が見えていることでしょう。
こうなってしまったらもう、開き直るしかありません。
私はこのお店内で、どなたにでも裸をご覧いただくことを義務付けられたマゾペットなんだ。
さーこママさまのお店と違い、ここにいるみなさまは全員、同性がお好きな女性の方々らしいし、きっとえっちなこともお好きな方々なのでしょう。
マゾマンコ丸出しでも、少なくともツーホーとか、いきなり男性に襲われるなどの心配はまったく無いはず。
ここでこの後私が何をさせられるのかはまったくわかりませんが、お姉さまもご一緒だし、場の流れに身を任せてみよう。
そう思うことにしました。
気持ちの整理が少しついたので、あらためてカウンターの奥で何やら包丁を振るっているやよい先生を見つめます。
ざっくりした黒いTシャツにスリムなサブリナパンツとバレエシューズっぽいぺたんこパンプス。
最後にお逢いしたときより髪はかなり短かめで、映画のローマの休日の人みたい。
何よりも、出逢ったときからほとんどプロポーションが変わっていないのが凄いです。
スレンダーなのに適度に筋肉が付いていて、それでいて女性らしい。
私から見えているやよい先生は、横向きなのですが、胸を反らし気味にするとTシャツのバストの先がツンと尖っているように見えました。
あれ?ノーブラなのかな?
目を逸らせません。
「あれ?ヴァージンキラーに久しぶりにお会いして、見惚れちゃっているの?」
私の左横にお座りになられたお姉さまが冷やかすようにおっしゃいました。
「あ、いえ、そんなことは・・・」
私がしどろもどろになりそうなところでタイミング良く、ミイコさまがお飲み物を持ってきてくださいました。
「はい、みなさん一次会でたくさんお飲みになったでしょうから、乾杯は軽めで口当たりのいいシードルにしてみたわ」
おのおのの前のカウンターにお飲み物を置いてくださるミイコさま。
「あ、里美?直子の手錠、いったん外してやって」
お姉さまが里美さまにおっしゃり、後ろ手錠のチェーンが外され久々の自由。
お姉さまのおっしゃった、いったん、という但し書きが気にはなりますが。
いざ手錠を外されてしまうと、今の自分の格好に一層の羞じらいを感じてしまいます。
だって、手錠をさせられていれば、おっぱい丸出しでも、隠そうにも隠せない状態だから仕方なく、っていう言い訳が出来ます。
私は、この人たちにもてあそばれて無理矢理こんな格好をさせられているんです、というエクスキューズ。
手錠を外されたからって、こんな和やかな雰囲気の中、急に胸元を隠そうとするのもカマトトぶりっ子でわざとらしい感じですし、乾杯なのですから自由になった手でグラスを持つしかありません。
そうなると、なんだか自分の自由意志で、みなさまに視ていただきたくておっぱい丸出しにしているみたいで・・・
でもその通りだろう?直子はそういうヘンタイ趣味を持つ女だろう?とおっしゃられてしまえば、何も反論は出来ないのですが。
いつの間にかやよい先生も私たちの目の前まで来られています。
「それじゃあ、エミリーや直子との久々の再会と、イベントナイト第二部の開幕を祝して、カンパーイ!」
やよい先生、あ、いえ、今はやよいママさまの音頭で、私たちとミイコさま、そしてカウンターの他のお席にお座りになっていた見知らぬお客様がたもご一緒になってグラスを高く掲げ、チーンと軽くぶつけ合いました。
私もお姉さまと里美さまとしほりさま、それにやよいママさまとチーン。
腕をお上げになったときハッキリわかったのですが、やよいママさまはやっぱりノーブラでした。
林檎の香りな炭酸のカクテル?
スッキリしていて美味しい!
お外の熱気で喉が乾いていたこともあり、ゴクゴク飲み干してしまいます。
「第二部、なのですか?」
カウンターに空いたグラスを置かれたお姉さまが、やよいママさまに尋ねます。
「うん。今日は7時に開けて、8時からイベントのボンデージショー第一部。9時半過ぎに終わって、それからみんなずっと、あなたたちの到着を待っていたのよ」
やよいママさまが私の顔を見つめながらお応えになります。
「今日は、久しぶりの特別イベントなんだ。けっこうキワドイ内容になりそうだから、お客様も常連さんの中で信用出来る人にしか、お声かけしていないの」
「それにしては大盛況じゃないですか?テーブル席も全部埋まっちゃっているし」
やよいママさまのご説明に、お姉さまがカウンターの後ろを振り返りつつご感心されています。
「それはそうよ。ジャクリーンの公開トレーニングは久々だし、それに加えて今夜はニューフェイスのゲストが参加するっていうんだから、これは何を差し置いても駆けつけないわけにはいかないわよ、百合草ママのお店のファンとしては」
お姉さまのお言葉にお応えくださったのは、お姉さまのお隣にお座りになられた見知らぬ妙齢の女性でした。
お勤め帰りなのか、白ブラウスにグレイのタイトスカートというOLさんぽい格好。
緩くウエーブのかかったセミロングでナチュラルメイクなお顔は、お姉さまと同世代くらい?
そのお隣のかたも同じような恰好でウンウン頷いていらっしゃるので、おふたり連れカップルさんぽい。
おふたりの前には、オンザロックのグラスと乾き物のお皿が置いてあり、それなりに酔われているご様子。
お姉さまのおからだ越しに、私の剥き出しなおっぱいに遠慮一切無しでニヤニヤ視線を投げかけてきます。
それにしても今、その女性がおっしゃったお言葉は謎だらけ。
ジャクリーン?
公開トレーニング?
ゲスト?
ゲスト、に関してはすぐに謎が解けました。
「その、ゲスト、が、この子なんだけどね」
お姉さまがイタズラっぽくおっしゃると、OLさんおふたり、ほらーっ、と大喜び。
「だと思った、そんな格好でいきなり入ってくるんだもん!」
「ドミナの旧いお知り合いなんでしょ?ドミナから直々にトレーニングされたりもしたの?」
「今日はまさか、ずっとその格好のままお店まで連れて来られたの?」
「そんな姿なのだから当然マゾなのよね?露出も好きなの?どう?恥ずかしい?」
ご興奮気味にお姉さまと私へご質問攻めにかかるOLさんたち。
ドミナ?
またひとつ、謎が増えました。
「まあまあ、この子の本性は後々段々わかることだし、夜は長いのだから焦らずじっくり愉しみましょう。それにこの子、まだ着いたばかりで、いろいろ戸惑っているみたいだから」
助け舟?を出してくださったのは、やよいママさま。
見ると小さめなトレイに何か乗せて、捧げ持っています。
「ほら、直子のために作っておいたの。麦とろごはんとしじみのお味噌汁。それにキューリと山芋千切りの酢の物。愛情定食」
「あなた昔から、えっちモードにはいると食欲二の次になっちゃっていたでしょ?どうせ今夜も一次会でほとんど食べていないだろうと思って、作っておいたのよ」
カウンターに置かれたお椀から、お味噌汁の良い香りが漂ってきます。
やよい先生が私のために、わざわざ手作りのお食事を・・・
そう考えただけで、忘れていた食欲がみるみるよみがえってきました。
「わー美味しそう!」
「いいなーっ!」
OLさんとお姉さまから同時に、羨ましそうなお声。
「あなたたちも食べたい?ごはんは一口分程度になっちゃうけれど、とろろはたっぷりあるの。千切りもあるから、お醤油垂らしてワサビ混ぜれば、お酒のアテくらいにはなるわよ。もちろんサービス」
やよいママさまがおっしゃると、カウンターほぼ全員の手が、はーいっ、と挙がりました。
「いただきます」
小ぶりのお茶碗に7分目くらいの麦ごはんとたっぷりのとろろ。
一口食べるとお箸が止まらなくなり、スルスル入ってしまいます。
やっぱりお腹、空いていたんだ。
お味噌汁も酢の物もすごく美味しい。
何よりもやよいママさまが私のために作ってくださった、ということが嬉しい。
あっという間に全部食べてしまいました。
ズルズルシャクシャクととろろを啜る、お洒落なバーには似つかわしくない音がしばらく、カウンター周辺に響きました。
みなさまがお相伴に預かっちゃったので、私のためだけに、ということにならなかったのが少し残念ですが、考えてみればここは飲食店なので、お客様はみなさま毎晩、やよいママさまの手作りお料理を食べていらっしゃるわけで、がっかりしても意味のないこと。
一息ついた気安さもあって、そっと背後を振り向いてみました。
店内は意外に広い感じ。
天井のところどころから光を放つ間接照明は、照度を落としているらしく、けっこう暗めで、上映中の映画館のスクリーン前くらい?
そんな薄闇の中、カウンター席を除いてもおそらく20名くらいの見知らぬお客様がたが、お酒とおしゃべりを楽しまれています。
カウンター席の背後はフローリングのフロアになっていて、中央に大きめでおへその高さくらいな楕円形テーブル。
その周囲に椅子はなく、スタンディングで飲む仕様なのでしょう。
事実、今も数名の方々がそのテーブルに取りついて、立ったまま談笑されています。
確かに、必要以上に身を寄せ合う仲睦まじいカップルさんが目立ちます。
フロアのところどころにスチール枠の小洒落た椅子が置いてあって、テーブル無しでグラス片手で腰掛けて飲んでいるカップルさんもいらっしゃいます。
壁際はテーブル席になっていて、おふたり掛けと4人掛けのお席がゆったり並んでいます。
もちろん満席。
地下なので窓は無く、窓風のアンティークミラーと、レプリカであろうどこかで見覚えのある大きめな裸婦画や外国映画のポスターらしきエロティックな写真が数枚、品良く飾られています。
カップルさん6割で、残りは数名づつのグループさんぽい感じ。
暗いのでご年齢層まではわかりませんが、女性だけのご集団らしい、デパートのお化粧品売り場フロアみたいな甘い匂いがただよっています。
お客様はみなさまだいたいお知り合いらしく、あちこち移動されてはおしゃべりされているかたもいらっしゃり、全体的にアットホームで和気あいあいな雰囲気。
カウンターが途切れた先は通路になっていて、もっと奥におトイレがあるいうことを示す、よくある女性の形のアイコンマークと矢印。
その通路脇に一段高くなったステージっぽいスペース。
普通の4人編成くらいのバンドなら乗れそうな広さと奥行きで、カラオケらしき機械も置いてあり、実際ステージなのでしょう。
ステージ背面の壁は全面鏡張り、頭上にミラーボール。
店内の床が木質系のフローリングなのに対して、ステージ上だけ濃いグレイのリノリウムなので、全面鏡とも相俟って、雰囲気がバレエのレッスンスタジオっぽい。
思わずやよい先生とのレッスンの日々を思い出してしまいます。
お店に入ったときから、耳障りにならないくらいの音量で、流麗なシンフォニーワルツがずっと流れていました。
今流れているのは、美しく青きドナウ。
確か一番最初の発表会の講師演技で、やよい先生が踊られた曲。
水色のキラキラしたチュチュで、すっごく綺麗だったな・・・
私がこの曲をハミングすると、なぜだか途中からスケーターズワルツになっちゃって、いつもやよい先生に笑われたっけ。
そんなノスタルジックな感慨も、ステージ脇のデイスプレイに映っている映像の正体がわかったとき、吹き飛びました。
どうやら外国ポルノのレズビアンボンデージものらしき映像。
もちろん音声は消してありますが、50インチ以上ありそうな画面いっぱいに、欧米女性おふたりの肌色とピンク色が大きく映し出されていました。
そうでした、ここにいらっしゃる方々、どなたもみなさま、異性ではなくて同性に惹かれる女性の方々なのでした・・・
半身を捻った私に向けた刺すような好奇の視線をあちらこちらから素肌に浴びながら、一時大人しくなっていたムラムラが息を吹き返し、マゾマンコの奥底から狂おしく突き上げて来るのを感じていました。
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*三人のミストレス 18へ
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