2022年7月18日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 01

  どなたかにからだを揺すられています。

「…急がないと…遅れちゃうわよ…」

 耳覚えのあるお声が私の意識の中に入ってこられ、夢から現へと緩やかに引き戻されます。

「んーーっ…」

 からだを覆っていた羽みたいに軽いふわふわお布団が、ゆっくりと起こした上半身をスススっと滑り落ちました。
 瞼に差し込む光はすでに充分に明るく、そっと開けた瞳に飛び込んできたのは広すぎるくらいの真っ白なシーツの海。

 あれ?私さっきまで、どこかの古びた和室の座卓の上に蟹縛りの股縄コブクリ固定で放置されていたはずなのに…
 夢の残滓に現実が混ざり合い、いつもの、ここはどこ?私は誰?状態。

「8時前の約束でしょ?もうあと一時間切っているわよ?」

 麗しのお姉さまのお声に、ハッと覚醒してあたりをキョロキョロ見回すも、相変わらずの???
 嘘みたいに広過ぎるダブルベッド、薄いベージュ色を基調にシックに統一された広々とした瀟洒なお部屋、ふわっとしたオフショルダーのブラウスにジーンズ姿のお姉さま…
 あれ?ここってお姉さまのお部屋だったっけ…?

 起こしたからだに纏っているのは、ゆったりとした真っ白いTシャツ。
 そのとき唐突に、就寝前にお姉さまと交わした会話を思い出します。

 …だめよ裸じゃ、寝汗でシーツを汚してしまったらご迷惑でしょ?それに今夜の直子は絶対えっちな夢を見ると思う。愛液って無意識下でも分泌されるんだって。それでなくても直子のマゾマンコはだだ漏れ垂れ流しなんだから…

 そこですべて思い出しました。
 ここは名塚先生の避暑地の別荘で、今は一泊後の早朝、お姉さまとのバカンスの真っ最中だということを。

「ほら、さっさと顔洗ってシャワー浴びて、出すもの出して下に行かなきゃ」

 お姉さまがバスタオルとシャワーキャップを投げてくださいます。

「朝食はひと仕事終えた後ね。ほら、急いで急いで」

 私の下半身をまだ覆っていたふわふわ掛け布団をススッと剥がされ、たたみ始めるお姉さま。
 よたよたとベッドから降りた私は、膝丈の真っ白いロング&ビッグTシャツ姿。
 お姉さまとお揃いで二着、お部屋にご用意いただいていたものでした。

「ハミガキハブラシはバスルームの洗面台に置いてあるから。直子のは黄色のほうね」

 広大なダブルベッドのシーツを念入りにチェックされつつ、ベッドメイクし直されているお姉さまからお声がかかります。

 バスルームはリビング窓際の隅にあり、昨日の昼間、一度使わせていただきました。
 リビングのソファーからゆったりじっくり中を眺められる、全面ガラス張りシースルー。
 着いた早々ここで何をされたかをまざまざと思い出してしまい、ひとり赤面してしまいます。

 入ってすぐの脱衣所一画が洗面台。
 真っ白な陶器の棚上に、緑と黄色のハブラシとお姉さまご愛用のハミガキチューブ。
 その横で丸まっているのは私の赤い首輪。
 大きな鏡に私の寝惚け顔が映っています。

 少し迷いましたが尿意を感じていたので、先におトイレを済ませてしまうことにします。
 おトイレはバスルームの一番端。
 さすがにそこだけはちゃんとした壁で仕切られ、お外から見えないようになっていました。

 扉を開けるとすぐ便器。
 便座に座ろうとTシャツの裾をまくりあげると、真っ赤な布地が目に飛び込んできました。

 そうでした。
 さっき思い出したお姉さまからのアドバイスで寝る前に私は、一昨日に宿泊した温泉旅館でいただいた赤いおふんどしを着けさせられてベッドに入ったのでした。
 
 無性に恥ずかしくなり、カァーッと顔が火照ります。
 その旅館でそのおふんどし姿で、何をされ何をやらされたのかを急に思い出してしまったのです。

 Tシャツの裾を大きくまくりあげ、おふんどしを外しにかかります。
 前垂れを抜いて、ウエストで縛った紐を解きます。
 股間を通る布はすっかり直線状となり、割れスジにしっかり食い込んでいました。

 スルスルッと腰から布地が外れる寸前、腿の付け根と紐状布地のあいだにツツッーとか細い糸が引きます。
 私のその部分が密着していた一面だけ、赤い布地にサラダ油を垂らしたみたいに、より色濃くべっとり変色していました。
 お姉さまのご忠告通り寝ているあいだも私は、やっぱりえっちな陵辱を夢見ていたようです。

 剥き出しのお尻を便座に乗せた途端、オシッコが勢い良く飛び出します。
 自分でもわからないうちにずいぶん我慢していたみたい。
 ただよう香りが少しアルコール臭いのは昨夜のお酒のせいでしょう。

 オシッコがひと段落したら一度流し、次に力を込めるのはその少し後ろの穴。
 いつも通りに健康的にすっきりし、シャワーノズルを前に後ろに切り替えて丁寧に洗浄。
 おそらく今夜も使うだろうからと、おふんどしはシャワー中に一緒に洗ってしまうことにして、ノーパンのままおトイレを出ました。

 ハミガキ、洗顔をサクサク済ませ、Tシャツを脱ぎ去りシャワーキャップをかぶって浴室へ。
 お姉さまと同じ香りのボディソープを熱いお湯で流していると、昨夜就寝前のお姉さまとのあれこれが思い出されます。

 全裸人間テーブルでみなさまに全身を好き放題弄くられ、欲求不満不完全燃焼のままお座敷から放り出された私。
 賭け七並べで最下位になってしまい、罰ゲームとして私の性的な要求に応えなければならないことになってしまわれたお姉さま。

「よかったねー、愛しのお姉さまが今夜はたっぷり可愛がってくれるってさ」
「エミリー、直子をちゃんと満足させてあげなさいよー」

 冷やかしのお声を背中に浴びつつ、ふたりだけのお部屋に戻った途端に、お姉さまのほうから熱烈なくちづけ。
 アルコールが香る互いの口腔を貪るように押し付け、口中で激しく絡み合う舌と舌。

 自らスウェットのジッパーを勢いよく下げられ、スウェットパンツももどかしそうにずり下げられるお姉さま。
 酔いのせいなのか、お姉さまのほうが積極的で少しビックリ。
 もちろんその下には何も着けていらっしゃいません。

 生まれたままの姿となったふたりは、ボクシングのクリンチみたいに固く抱き合ったまま、ジリジリとベッドのほうへ。
 互いの右手は相手の股間に潜り、尖った乳首が相手の乳房を凹ませ、重ねた唇から垂れる唾液に負けないくらいお姉さまも濡れていらっしゃいました。

 広いベッドに倒れ込んでからは、まさにケダモノのまぐわいでした。
 お互いの弱いところが執拗になぶりなぶられ、歓喜の淫声はすかさず唇で塞がれ、挿入された指はどんなに締め付けられても抜かれず…
 お姉さまから、もうダメ、お願い、許して…的なお言葉をいただくほど、ふたりで幾度も昇り詰めつづけました。

 しばしグッタリした後はバスルームへ。
 そこでは優しく愛し合い、日付が変わって小一時間ほど過ぎた頃に眠りに就いたのでした。

 そんな甘美なひと時を反芻しながらぬるま湯シャワーを浴びていると、ガラスの向こうでソファーに座られたお姉さまと目が合いました。
 ご自身の左腕に嵌められた腕時計を指し示され、手招きのジェスチャー。
 もう時間が無いのだから早く出てこい、という意味でしょう。

 あわてておふんどしを水洗いした後、脱衣所に戻ります。
 同時にお姉さまも脱衣所まで入ってこられました。

「なにのんびりしているのよ?もう8時15分前よ?」

 責めるようなご口調ですが、バスタオルでおやさしく私のからだを拭いてくださるお姉さま。
 シャワーキャップを脱いだ髪を丁寧に梳いてくださり、仕上げに首輪も嵌めてくださいました。

 首輪のひんやりした感触に喉元が覆われたとき、鎮まっていたマゾの血がゾワゾワっとざわめきます。
 目の前の大きな鏡に映る、くすんだ赤い首輪を巻かれたおっぱい以下丸出しの女。
 思えばここに来てから昨夜寝るまで、ほとんどこの首輪ひとつの全裸で過ごしていた気がします。

 一昨日までまったく見ず知らずの関係だった年上のお姉さまがたに、屋内でも屋外でも着衣を禁じられ、いいようにもてあそばれ辱められる慰み者状態。
 これから始まる今日一日も同じように過ぎていくのでしょう。
 そんな境遇にソワソワ怯えながらも、ドキドキ期待もしちゃっている自分…
 
「ほらっ!なにをボーッとしちゃってるの?時間無いんだってばっ!」

 バチンッ!

「ひゃんっ!」

 お姉さまに剥き出しのお尻を強くひっぱたかれ、現実に引き戻されます。
 
「まったく、あなたって首輪した途端にマゾっ気全開で心ここにあらずになっちゃうんだから。さあ、さっさと下へ降りるわよ」

 素っ裸のままの私の手を取り、強引に引っ張られるお姉さま。

「あの、でもでも、みなさまの前に出るのでしたら、せめてタオルとか巻いておいたほうが…それに少しくらいはメイクも…」

「なに言ってるの?もう寺さんたちとは知らない仲じゃないんだから、素っぴんで充分。それに昨日決めたでしょう?最初だからエプロン貸してあげるけれど、次からはずっと素っ裸で、って」

 お姉さまが苛立ち気味におっしゃりつつ、私の手を引っ張っていかれます。
 お部屋のドアを抜け長いお廊下そして階段、素っぴん素っ裸で引かれるままに付き従う私。

 シャンデリアがまばゆく照らす一階のホールに降り立ったとき、ホールにはどなたもいらっしゃいませんでした。
  しずしずといつものソファーコーナーのほうまで歩いていくと、向かって左側壁際のドアが勢いよく開き、中村さま、五十嵐さまがお姿をお見せになります。

「あ、おはようございます」

 お姉さまがバレエのレヴェランス風で優雅にご挨拶。
 私もつられてペコリとお辞儀。

「やっと来たー、まあギリ遅刻じゃないけど。そんなことより聞いてよエミリー、昨日の今日でわかってたつもりだったけどこのイガっち、厨房じゃまったく使い物になんないんだわ」

「だってうち、食事はコンビニかチェーン店、冷凍チルド、レトルトオンリー、たまに出前や宅配サービスつー女だもん」

 中村さまの呆れたようなご抗議を、戯けるように受け流す五十嵐さま。

「そう言えば寺さん、今朝は早くから先生とお仕事って言ってたっけ」

 苦笑い交じりのお姉さまにつられて私も、おふたりのお姿をまじまじと観察。
 
 中村さまは、シルバーレースの膝丈キャミワンピで下に着けられている布少なめな黒いブラとショーツが薄っすら透けています。
 五十嵐さまは昨日とは違うアニメキャラのダボッとしたTシャツにジーンズ地の短パン、バストトップの感じからノーブラっぽい。

「そんなことより直子っち、朝っぱらから完全完裸のマッパでご登場なんて、本当に見せたがりーの露出狂変態さんなんだねえ」

 悪びれない五十嵐さまが私のほうに近づいてこられ、今度は私が全身をしげしげと眺められます。

「あれー、直子っちの左おっぱい上のところ、薄っすら紫になっているの、キスマークじゃない?」

 五十嵐さまが私のからだを指さされ、からかうようにおっしゃいます。

「あー、よく見たらここにも、あ、こっちにも。エミリーさん、罰ゲームちゃんとがんばったんだね、えらいえらい」
 
 ご愉快げにおっしゃる五十嵐さまと、さっきとは違った感じの照れ臭そうな苦笑いを浮かべられるお姉さま。
 お姉さまの柔肌にだって、全身あちこちに私が夢中で吸い付けた薄い内出血痕が残っているはずです。
 
「ラブラブなのはいいけれど、さっきキッチンの窓から覗いたら、ジョセフィーヌちゃん、直子っちをお待ちかねみたいよ?快晴ドピーカンのお庭を舌垂らしてハアハアいいながらあちこちウロウロしてたし」

 ますます嬉しそうに五十嵐さまがおっしゃりながら、テーブルの上に丸められていたリード綱が私の首輪にカチリと繋げられました。
 中村さまも近づいてこられ、テーブルの上のビニールトートを広げて私に中身のご説明。

「ジョセの今日のおやつはビスケット無しでペーストだけにしたから、直子も思う存分好きなように愉しんでくるといいわ。あと、こっちの袋はジョセのお友達の猫ちゃん用カリカリ。そのフードボウル一杯くらい入れて、もうひとつのフードボウルには水道水入れて、あの大きな木の下に置いておいて。で、夕方に回収してきてね」

「猫さんもあの広場に来るのですか?」

「うん。ジョセと知り合いになった猫ちゃんがこの界隈に二、三匹くらいいるみたい、三毛とキジトラ、黒ブチも見たことあるかな。ま、今朝来てるかどうかなんてわからないけれどね」

 ご興味なさそうにおっしゃった中村さまが、早口でつづけられます。

「で、フリスビーとシャベル、タオル、ゴミ用袋。こっちは直子用の凍らせたスポーツドリンク、何かあったとき用のスマホ。朝は直子用おやつは無し。それとこのビデカメでいやらしいことするなら極力自撮りしてくること」

 立て板に水でご説明くださった中村さまが、ささっとお姉さまのほうに向かわれます。

「さ、そんなことよりエミリー、早く手伝ってよ。こんな調子じゃワタシらの朝食、ジャムかバターのトーストオンリーになっちゃうぅ」

 急かすようにお姉さまのお背中を押され、厨房入口へと向かわれる中村さま。
 ソファーに座られたままニヤニヤ私を見ていらっしゃる五十嵐さま。

「ほら、直子っちも早くお仕事しなきゃ。外でジョセがきっと焦れてる」

 五十嵐さまからビニールトートを差し出され、剥き出しの左肩に掛ける私。
 それをご確認された五十嵐さまがもうひとつ、細長いものを差し出してくださいます。

「外は朝から太陽ギンギラギンだからね。日傘、持ってくといい」

 真っ白地に細かいお花柄の模様の散った見るからに高級そうな日傘。
 持ち手が真っ直ぐな木製で、凸凹した細かな彫刻?が施され、その形状がなんだか卑猥な感じ…

 全裸の左肩にビニールトートバッグ、その左手に畳まれた白い日傘、右手のひらにはハンディビデオカメラを携えた私の姿をご自分のスマホで数枚撮影された五十嵐さま。
 私の背中を軽くポンと叩かれ、いってらー、というお声とともにお姉さまたちの後を追うように厨房入口のほうへとゆっくり歩み始めました。
 途端にシンと静まり返る大ホール。

 こうなってしまったら、私も課せられたお仕事を全うするしかありません。
 すなわち、この別荘の持ち主である名塚先生の愛犬ジョセフィーヌさまのお散歩にご同伴すること。

 全裸のまま屋外に出て、全裸のまま山道を歩き、全裸のまま広場でジョセフィーヌさまと戯れ、全裸のまま再びこの別荘へ帰還する…
 それも、お姉さまはもちろん、どなたのサポートも無く、たったひとりと一匹で…

 不安や逡巡、背徳感、それと同じくらいの未知への期待、高揚、開き直り…
 昨日だって大丈夫だったし、ここは私有地だからってみなさまいたって楽天的だし…
 子供の頃から一度はしてみたいと思っていたことでしょ?絶好のチャンスじゃない?
 お姉さまが放っといているということは絶対安全なのよ、だからこれもお姉さまからのご命令と思えばいいでしょ?…
 
 いろいろうじうじ考えつつもホール出口の扉の前まで歩く私。
 扉前までたどりついた私に、唐突に左後方からお声がかかりました。

「覚えていると思うけど、イラクサは広場に入る入口周辺にたくさん生えてるからねーっ」

 からかうようなお声は中村さま。
 わざわざキッチンのドアを開いて伝えてくださったのでしょう。
 そのお言葉の意味にズキンと疼いてしまう私のどうしようもないマゾマンコ。
 
 扉を開けると瞳に広がる晩夏早朝自然光の明るさ。
 短いお廊下を玄関まで歩いてやがて沓脱ぎ。
 そこにポツンと一足だけ揃えられた私用のピンクのサンダル。

 そのサンダルに素足をくぐらせる私。
 意を決するまでもなく、マゾな私にはこうするしかないのです。

 玄関の荘厳な観音開き扉を外側に開くと、まだ朝の8時少し前と言うのにお外は盛夏真っ盛り的な日本晴れ。
 高地なので湿度が高くないのが幸いし、素肌に浴びる陽射しがなんとも清々しい気持ち良さ。

 思わず両手を上に広げ、ンーーーっと全裸な全身をお陽様にフルオープン。
 気持ちいぃーーーっ!
 と、ひと息ついて、あれ?ジョセフィーヌさまは?と辺りを見廻したとき…

「ワンっ!」

 一声聞こえたと思ったら、山道へとつづく敷地の門のほうから、私目がけて一目散に走ってこられるジョセフィーヌさまのお姿が…


2022年6月2日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 19

 ご陽気にはしゃがれるみなさまの中にひとり全裸で放り込まれてしまった私は、どうしても目線がうつむきがち。
 車座中央に置いてあるおつまみの乗った大きなお皿をボーッと眺め、使い捨ての紙のやつみたい…なんて、どうでもいいことを考えながらモジモジしていました。

「全員揃ったことだし、もう一度乾杯しましょうか」

 寺田さまが私に、大きめで半透明なプラスティックのコップに注がれた飲み物を差し出してくださりながらみなさまにお声がけ。
 渡してくださった飲み物は、飲み口側が泡で包まれ、コップが黄金色に染まっているのでビールだと思われます。

「我らが名塚先生のレズビアンハーレム、官能の楽園へようこそ!存分に愉しんでいってね。カンパーイッ!」

 寺田さまの音頭で、それぞれのコップを高く掲げられるみなさま。
 お姉さまと寺田さまと中村さまのコップは葡萄色に染まっているので、おそらく赤かロゼのワイン、名塚先生と五十嵐さまのは無色だから、白ワイン?日本酒?焼酎?

「明日、明後日のあと二日間、よろしくお願いいたします」

 お姉さまが名塚先生に頭をお下げになっているのを見て、私もあわてて同じ動作。
 お姉さまの動きの気配に少し遅れてそっと頭を上げると、名塚先生がたおやかな笑顔でうなずき返してくださいました。
 お風呂上がりで喉が乾いていたこともあり、いただいた飲み物をゴクっと喉に流し込みます。

「あれ?このビール、あまい…」

 驚いた拍子に思わず声に出てしまいました。

「ビールをジンジャーエールで割っているのよ、シャンディガフって名前でイギリス由来の歴としたカクテル」

 寺田さまが教えてくださいました。
 口当たりが良いのでゴクゴク飲めてしまいます。

「おっ、直子もイケるクチなんだ。コップ貸して、あかわり作ってあげる」

 中村さまが手を伸ばしてくださったので、空になったコップをお渡ししました。

「ほら、もうこんなの取っちゃいなさい」

 左隣のお姉さまが私の頭のタオルを外してくださり、まだしっとり気味な私の髪を、開いた右手の指四本で優しく梳いてくださいます。
 甘えるように首を左側へと傾ける私。
 そうしているあいだに中村さまがおかわりを渡してくださいました。

「ほらショーコちゃん、直子も落ち着いてきたようだから、あれ、やってもらえば?」

 こちらの様子をニヤニヤ眺めていらっしゃった寺田さまから、五十嵐さまにお声がかかりました。

「あ、そうだった。せっかく地下室からえっちらおっちら持ってきたのに、危うく忘れちゃうところだった」

 スクっと立ち上がられた五十嵐さまが入口近くの壁際に立て掛けてあったご自分の身長よりも少し低いくらいな長方形の大きなガラス板?を軽々とお持ちになり、近くの襖に立て掛け直してから元の位置まで戻られました。

「さっきお食事しながらみんなで色々話したの。イガちゃんさ、直子に人間テーブルして欲しいんだって」

 左隣のお姉さまが教えてくださいます。

 …人間テーブル?

「外国の写真だったかビデオだったかで見たことあって衝撃的だったんだって。それで今度の作品にそういうエピソードを出したいから、実際にそういう場に臨んだらどんなふうに思うのか実体験してみたいんだってさ」

 中村さまからの補足説明。

 そう言えば五十嵐さまは、同人でえっちな漫画を描かれていらっしゃる、ってどなたかから聞かされた覚えが…
 私にこの格好でテーブルになれ、ということでしょうか…
 全身の温度がグンと上がった気がしたのは、お酒のせいだけではないみたい。

「それはフォルニフィニアって呼ばれるフェティシズムの一種ね。人間のからだをモノ扱いしたりされたりすることで生まれる支配と被支配、征服と隷属の関係性の具現化。とくにエロティックな裸の女性をテーブルや椅子、燭台や照明器具みたいな家具として拘束放置する行為がフォルニフィニアと呼ばれているの」

 いきなりのアカデミックな解説は名塚先生。
 コップの中の透明な液体をクイッと飲み干され、つづけられます。

「欧米だとBDSMの一分野としてアート的な見地で語られたりもしているし、日本だと、乱歩の人間椅子は性倒錯ものとして有名だし芸術として評価もされているわよね。あ、でもほら、あれ、裸の女性にお刺身乗せて愉しむ、女体盛り?は、脂ぎった男性目線で悪趣味なだけだと思うけれど」

 名塚先生のコップに寺田さまが注ぎ直された瓶を拝見すると、どうやら飲まれているのは日本酒のよう。
 そのコップを再びクイッと傾けられ、名塚先生が尚もつづけられます。

「わたくしも、たまにここでM女を家具にしているのよ。お尻を上向きに柱に縛り付けて花器にして性器とアヌスにお花生けたり、縁側にうずくまらせてオットマンにしたりね」

 ひと月ちょっと前、やよいママさまのお店に伺ったとき、シーナさまのテーブルのお足下に裸でうずくまられていたジャクリーンさまを思い出します。
 名塚先生もいくらかお酔いになられておられるのでしょう、ご執筆中の憑依状態とはまた違う、品を残されながらもサディズム全開のえげつないお話をスラスラ口にされています。

「それならアタシらもアートにしなきゃね。とりあえず真ん中を片付けて空けて、テーブルの設置場所にしましょう」

 寺田さまのひと声で車座中央のお酒の瓶類やおつまみのお皿が脇に退けられました。

「畳に直は可哀想だから毛布を敷いて上げる。せっかくお風呂でキレイにしたんだし、ショーコちゃんの資料としての写真映えも良くなるだろうしね」

 例の桐箪笥に取りつかれた寺田さまが、真ん中くらいの抽斗から真っ赤な毛布を引きずり出されました。
 お座敷の広い場所でいったん広げられたそれが二つ折り、三つ折りされ、車座中央に敷かれます。
 畳一枚が三分の二くらい隠れるスペースです。

「四つん這いかな?それとも、まさかの仰向け?」

「うちが見たのは四つん這いだったけど…」

 中村さまと五十嵐さまの会話。

「あ、でも仰向けってスゴそうじゃない?いかにもセキララって感じになりそう」

 茶化すようにおっしゃったのは寺田さま。

「そうね。それでやってみましょう。直子?その毛布の上に仰向けで横になりなさい」

 すごく久しぶりにお聞きした気がする、お姉さまのご命令口調。

「は、はい…」

 その冷ややかな声音にゾクゾク感じながらお座布団から立ち上がった私。
 座っているみなさまから全裸を見上げられつつ、赤い毛布の真ん中辺りにお尻をつけ、そのまま背中を倒して寝そべりました。
 もちろん両脚はぴったりと閉じて真っ直ぐに伸ばし、両手も両脇につけた一直線状態。

 周りのみなさまが中腰になられたので、今度はみなさまから裸身を見下される形。
 なんだか生贄とか人体実験の被験者になった気分です。

「ほら、そんなふうにお行儀良く寝そべっていても、テーブルには成れないでしょう?」

 お姉さまの詰るようなご叱責。

「あら社長、そもそもお行儀の良い女の子は、こんなふうにみんなの前に素っ裸で寝そべったりは、しないものではなくて?」

 寺田さまがニクタラシイお芝居声でまぜっかえされます。

「両手のひらをたいらにして、両腕を高く上げるの。脚もね。足の裏も上向きでたいらになるように上げるのよ」

 苦笑いを浮かべられたお姉さまがしゃがみ込まれ、私の顔を覗き込んでいらっしゃいます。

「は、はい…」

 両手を高く差し伸べるのは簡単です、寝たまま虚空に両腕を突き上げればいいだけですし、肘を曲げれば高さだっていかようにも調節可能。
 問題は両脚でした。

 両脚をびったり閉じたままでも高く突き上げることは出来ますが、それでは腕に比べて高く上がり過ぎてしまうのです。
 高さを減らすためには膝を曲げなければなりませんし、膝を曲げようとすると自然と股も開きます。
 その上、足の裏を上向きにしなければならないのです。

 膝を曲げて高度を下げるたびに私の両腿の付け根がどんどん開いていきます。
 それにつられて腰は浮き、足の裏を意識するたびに両膝のあいだもどんどん広がっていきました。

「うわ、これは恥ずかしいねー」
「ひっくり返ったカエルって感じだね。何もかも全部おっぴろげー、で」
「何がスゴいって、この子今、自分からこのポーズになったんだよね」
「全面降伏、どうにでもして、って感じ」
「ほら、早くテーブル乗せてみよう」

 ご容赦の無い嘲りのお声が上から降り注ぎ、私の全身に羞恥の火照りが駆け巡ります。
 名塚先生以外のみなさまがお立ち上がりになられ、五十嵐さまが運んでこられたガラス板?を私の上にかぶせてきます。

 まず左手、すぐに右手。
 想像していたよりもずいぶんと軽い…あ、硬度のある透明なアクリル板なんだ…
 つづいて左足、右足。

「うーん、足のほうがちょっと高くてナナメってるよ」

 五十嵐さまのお声がしたと思ったら、足側の板がグイッと下に押されました。

「ああんっ!」

 押されると同時に私の両膝が更にグイッと割られ、股関節も更に開いてしまいます。

「あれ?なんか今、テーブルが啼かなかった?」

 寺田さまのクスクス笑い混じりなお芝居声。
 五十嵐さまは、あちこちアングルを変えられて、私の姿をカシャカシャ写真に撮っているみたい。

「まさかー、テーブルが啼くわけないじゃない。そんなことより、コップを戻してテーブルの具合を試してみませんこと?」

 中村さまもお芝居声でお応えになり、私が支えるアクリル板の上に、おつまみの大皿とみなさまの飲みかけのコップが戻されます。
 重そうな酒瓶類やアイスペールは戻されなかったのは、みなさまのお優しさなのでしょうか。

 コップ類が置かれても重さはさして変わりませんでしたが、みなさまがそれぞれのお座布団にお座り直され、至近距離から透明越しに見下される立場となり、被虐感がグンと増します。

「このテーブル、なんだか微妙にグラグラ揺れてる気がするわね」
「ワタシの目の前に、ねっとり濡れそぼった卑猥な穴があるんですけど」
「アタシのとこでは、眉根にシワ寄せて辛そうに火照った顔がアタシを恨めしげに見上げてるわよ」
「あら、テーブルの下のこのふたつのポッチは何かしら?すごく弄って欲しそうにそそり立っているけれど」

 みなさまお芝居口調で口々に私をいたぶるようなご感想を述べられています。
 そのあいだも五十嵐さまは、私の無様な痴態撮影に大忙し。

「はうんっ!」

 横向きな私の裸身を見下ろす位置に座られたお姉さまが、不意にアクリル板の下に手を伸ばされ、私の硬く尖立した右乳首を指先でピンッと弾かれました。
 途端に全身にビリビリっと電流が駆け抜け、テーブルが大きくグラリと揺れてしまいます。

「あっ!ヤバいっ!」

 あわててそれぞれのコップに手を伸ばされるみなさま。
 テーブルのアクリル板からあやうく滑り落ちそうになったおつまみの大皿は、名塚先生が間一髪で持ち上げられ、中身を周囲にぶちまけてしまうことを阻止してくださいました。

「なんだか危なっかしいテーブルね。とんだ不良品だわ」

 相変わらずのお芝居口調でおっしゃった中村さまが、マドラーの持ち手で私の濡れそぼった肉襞を楕円に沿うようにススーッと撫ぜました。

「あぁんっ!」

 今度は何も乗っていないアクリル板だけが大げさにガクンと跳ねました。

「まあ、こんな格好で支えつづけるのって空気椅子みたいなもので、ある意味拷問だから、数分で手も足もガクガク痙攣しちゃうわよ。そこにイタズラなんかされたら、ひとたまりもないでしょうね」

 ご愉快そうに微笑まれた名塚先生、少し周囲をキョロキョロされた後、つづけられます。

「仰向けでテーブルにするのなら、肘と膝を縄で括っちゃって動けないように固定するのが安全ね。ほら、こんな具合に」

 名塚先生が傍らに散らばっていた書籍のうちの一冊をパラパラっとめくられ、広げたページをみなさまにお見せになられています。

「こんな感じに拘束しちゃえば、おっぱいや性器をちょっとくらいイタズラしても、プルプル震えて身悶えるくらいの芋虫みたいな反応しか出来ないから、安心して使えるでしょう?」
「ただし棒枷まで使ってここまでカッチリ拘束されちゃうとM女は辛いでしょうね。それこそ腹筋くらいしか動かせないもの」

 シラッと恐ろしことをおっしゃる名塚先生。
 みなさまも、なるほどねー、というご反応をされた後、私にもその写真を見せてくださいます。

 赤いボールギャグを噛まされた首輪全裸の金髪白人美人さんが、両腕両脚を左右それぞれ肘折と膝折に束ねた四本の支柱として縛り上げられ、棒枷で大股開きに固定された両膝とお顔の両側に突き出した両肘で大きなガラス板?を支えておられるお写真でした。
 
 ガラス板?の上には、大きなガラスの灰皿とブランデーの瓶、アイスペール、そして乗馬鞭が重そうに置かれ、その人間テーブルの直ぐ側に置かれた高級そうなソファーにセクシーなボンデージスーツ姿の黒人美人さんが優雅にブランデーグラスを傾けられていました。

 今の私よりも数倍無様に人間テーブル化されてしまった金髪美人さんのお姿にもゾクッと震えたのですが、間髪を入れずに該当書籍の該当写真ページを指し示される名塚先生の博識ぶりと言うかリファレンスの迅速さは、このかたの頭の中って、こういう知識とデータで溢れかえっておられるんだ、と別の意味でゾクゾクっと身震いしてしまいました。

「だから初心者なら、四つん這いでさせたほうが、お酒こぼされたりナッツばらまかれたりみたいな後々の手間がかからなくてよ」

 優雅におっしゃいつつ、ふわーっと可愛らしく欠伸をされた名塚先生。

「今日は久しぶりに長い時間お陽さまに当たったせいか、お酒がほどよく効いて、いい感じに眠くなっちゃった。明日は早いことだし、わたくしはこのへんでお先にやすませていただくわ。あとはよしなに、ね」

 名塚先生がンーーッと伸びをされたのが合図だったかのように寺田さまがスクっと立ち上がられ、別の間へつづく襖をスーッと開けられました。
 おふたりが襖の向こう側へお消えになると、今度は中村さまが立ち上がられ、私が支えていたアクリル板を外してくださいました。

「そういうことだから、ほら直子、今度は四つん這い」

 中村さまが、さも当然のようにおっしゃると、お姉さまがお応えになります。

「そうね。なんか中途半端にこれで終わっちゃうのもオチがつかないし。イガちゃんの参考資料のためにも四つん這いもやっておかなくちゃ」

「でも、先生がお隣でおやすみになるのなら、いつまでもここで騒ぐのは不味いんじゃない?」

 至極真っ当なご意見を述べられる五十嵐さま。

「それもそうね。ならササッと直子の四つん這いテーブルも写真に撮って、今夜はお開きということにしましょうか。ほら直子、さっさと四つん這いにおなりなさい」

 お姉さまに急き立てられ、アクリル板が消えてもずっと恥ずかし過ぎる格好をキープしつづけていた私はあわてて身を翻し、両手両膝を毛布について四つん這いになります。
 そこで襖が開き、寺田さまが戻っていらっしゃいました。

「お、今度は四つん這いね。こっちだとちょっと高めなテーブルになるんだ」

 寺田さまが嬉しそうに元の位置にお座りになられます。

「うん、そうなんだけれど、先生がお隣でおやすみになられているのに、あたしたちがまだ騒いでいるのもどうかな、と思って…」

 お姉さまがヒソヒソお声のご相談。

「先生がこんな時間におやすみになるのも珍しいのだけれど、本当に眠そうだったし、それだけ今日のあれやこれやが愉しくて充実満足されたのだと思う。お布団敷いたらコテンと目を閉じちゃったし」

 寺田さまが手酌でご自分のコップに白ワインを注ぎ足されます。
 ちなみに時刻は夜の10時半ちょっと過ぎです。

「でもまあ、明日が早いのはアタシも同じだしエミリーたちだってふたりだけでイチャイチャもしたいだろうし、今夜はこのへんでお開きにしようか。ショーコちゃん、直子にテーブルかぶせて」

 寺田さまからお声がけされ、五十嵐さまが四つん這いな私の背中に再びアクリル板を乗せてこられました。
 そのあいだに寺田さまが名塚先生の机上から何やら片手大のものを手にされます。

「ここでまたお酒のコップとか乗せてもつまんないし、せっかく人間テーブルがあるのだから最後のひと勝負をしましょう」

 寺田さまのお手の中に一組のトランプ。
 それをご器用にパラパラっとお切りになりながらおっしゃいます。

「最後の一発勝負。勝った人はレズ便器直子のからだを思う存分好きに出来る!」

 お得意気におっしゃったのですが、途端にブーイングの嵐。

「それって今の状態と同じじゃん」
「ぜんぜんご褒美じゃないしー」
「それってエミリーに恨まれそうでやだー」
「もっとスリリングなのがいいー」

 みなさま大人のかたですから、お隣でやすまれておられる名塚先生にご遠慮されてか、見た目かなり酔われていても大きなお声はなく、高校生の修学旅行の消灯後みたいなテンションで盛り上がられています。

「わかった、それじゃあこうしましょう。ご褒美ではなくて罰ゲーム。ビリの人は直子がして欲しいこと、性的なこと限定ね、を、この勝負の後ひとつ叶えてあげること。その代わり直子はゲーム中何をされても絶対テーブルを崩さないこと」
「もしも直子が堪え切れずにまたテーブルをぶちまけてしまったら、今夜は庭のジョセフィーヌの犬小屋で仲睦まじく一晩過ごす、ってことでどう?」

 私以外の満場一致で決まり、一発勝負のゲームは七並べ。
 名塚先生がおられた位置に寺田さま、私のお尻の位置に五十嵐さま、寺田さまの向かいにお姉さま、私の顔の位置に中村さまという布陣。
 もちろん五十嵐さまはゲームが始まるまで、私の四つん這いテーブル姿を様々なアングルでカシャカシャ写真に収められています。

「アタシ、七並べは得意なの。性格悪いから」
「うちの真ん前がお尻の穴だよ。でもこんなに酷いことされているのにドマゾのマンコってグジュグジュダラダラに濡れちゃうんだね、肛門も時々ヒクヒクしてるし」
「ほら、直子はあまり飲んでいないでしょ?ストロー刺してあげるから、お酒も愉しみな」
「さっきは飛び出てたポッチが今度はぶら下がってる。本当、弄りたくなる形と大きさなのよね」

 みなさまコップ片手に口々にお好きなことをおっしゃいつつゲームのあいだ中、意味も無く私の乳首がつままれ、マゾマンコと肛門を弄くられ、パスを強いられるたびに八つ当たりでお尻や乳房やほっぺたをピシャっとはたかれ…
 それでもテーブルに並べられているカードを極力乱さないよう、名塚先生のご安眠のお邪魔をしないよう、身悶えと淫声を必死に堪え、目尻に涙を溜めて懸命に耐え忍ぶ私。

 私の体感時計では永遠にも感じる時間でしたが、実際は10分に満たないくらいだったと思います。
 着順は、寺田さま、五十嵐さま、中村さま。
 ビリはまさかのお姉さま。
 
 後で寺田さまがこっそり教えてくださったのですが、あのトランプには、お姉さま以外のお三かたはご存知なイカサマの仕掛けがあって、初めて来られたお客様をえっちな勝負に嵌めて愉しむのによく使われているそう。
 つまり、お姉さまは負けるべくして負けたわけで、あの勝負は私のために、みなさまからの歓迎の意味を込めた接待七並べだったのだそうです。


2022年5月8日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 18

 薄闇の中にボーッと浮かび上がるパソコンモニターの青白い光の向こうで、あるじさまがうつむきがちにキーボードを打たれています。
 私が縛り付けられた柱からはノートパソコンの天板の陰となるので、そのご表情までわかりませんが、キーボードを叩かれる音のリズミカルさで物語が着々と紡がれているのであろうことはわかります。

 電マの頭に取り付けられた軟体動物のような触手にマゾマンコをつらぬかれたまま、完全放置状態な私。
 左側からキーボードを叩かれるパタパタという微かな音。
 右側からはリーリーリーと軽やかに晩夏を告げる虫さんたちの声。
 そして本当に時折、思い出したように足下のボウルを打つ、ポタッという恥ずかしい水音…
 拷問具がいつ動き出すのか、ゾクゾク、ソワソワ、ムラムラ怯えている私。

 じっとしていると両乳首を苛むクリップの疼痛が、皮膚の内側で増大してきます。
 膣穴を圧迫するだけな異物感ももどかしい…

 ああんっ、あるじさま、早くスイッチを入れてくださらないかな…
 入れられた途端に恥ずかしい嬌声をあげてしまいそう…
 あっ、でも、ガラス戸まで開けっ放しだから、私の恥ずかしい淫ら声がお庭にまで響いちゃう…

 そんなことを考えつつ、あるじさまのほうを物欲しげに窺いながら5分くらい過ぎた後…
 股間にあてがわれた異物が突然、唸り始めました。

 ンヴゥーーーーーーーーーーーーーーーーーッ…

 低い唸り声と一緒に下腹部が振動に包まれます。
 それも、いきなり、立っていられないほどに激しく。

「はぁぅーっんっ!!」

 ひと声いなないてからは、もう制御不能。
 膣壁に満遍なくへばりついたグミのかたまりみたいな触手が、てんでばらばらにウネウネ震えて膣穴の奥底から全身を揺さぶってきます。
 恥丘を覆うゼリーのような凹凸に、腫れたクリトリスが高速で擦られています。

「あうっ、あんっ、あっ、はうっ、あんっ、あーっ…」

 急激に昂ぶる私。
 柱に縛り付けられているのでしゃがみ込む事も出来ず、前屈み気味になると乳房から二の腕を這う縄が一層素肌に食い込み、不自由なからだがクネクネ身悶えて乳首の鈴がでたらめにリンリン高鳴っています。

「あぁんっ、はぁんっ、ふぅんっ、ひぃっ、ふふぅっ、いいっ、いひぃっ…」

 吸う、吐く、の呼吸すべてが、淫らなヨガり声になってしまっています。
 股の裂け目から快感の粒々がどんどんジワジワ全身へと広がり、脳へとせり上がってきます。

「あんっ、いいっ、ふーんっ、あっ、あっ、あっ、だめっ…」

「いいっ、ああっ、あるじぃ、あるじぃさまぁっ、んーっ、いいっ、いってもぉ、イってもよろしぃっ、んっ…」

 いつものクセで、私を責め立ててくださるかたにお許しを乞う私。

「いっても、んんっ、ああんんっ、もうっ、イッてもよろしぃでしょーかあぁぁぁーッ!!!」

 あるじさまのほうへ顔を向けて必死の懇願をするも、あるじさまはお顔も上げてくださらず、だけどお許しの無いままあっさりイッてしまった私。
 からだ中がガクンガクン震えて体内に火花が駆け巡り頭の中は真っ白に…

 一瞬意識が飛んだ、と思う間も無く容赦無く股間を刺激してくる振動で現実に戻されます。
 より腫れ上がったクリトリスが、より敏感になって…

「あっ、あんっ、もうっ、またっ、いいっ、いいーっ、もうっ、あーーーッ!!!」

 全身を細かく痙攣させてイキ果てた、と思ったらまたすぐに…

「あ、あ、あんっ、いやっ、また、またっ、またっ、またぁーーーーッ!!!」

 イキ癖がついてしまったら、今度こそ完全に制御不能。
 だって電マさまはそ知らぬお顔で、決して許してくださらないから…
 ずっと激しく震えっ放しだから…

「あっ!またっ、あんっ!またイクっ!ごめんなさいっ!またイクゥゥゥゥーッ!!!」

「いやっ!もうっ!もうだめっ!あっ、あっ、あぁぁぁぁーーッ!!!」

 自分でもびっくりするほどの大きな淫声をあげてイキつづけます。
 だらしなく開いた口からはよだれダラダラ。
 足下から聞こえている音がピチャピチャに変わっています。

「いやーっ!許してッ!もうっ!ゆるしてくださいーーッ!だめっ!もうだめっ!ンンンンーーーッ!!!」

「あーっ!いやっ!もうっ!こわれちゃう!なおこのこわれちゃうっ!またっ!だめェーーーーッ!!!」

 絶え間なく襲い来るオーガズムの大波小波に翻弄されるだけの私。
 ギュッと目を瞑り、自分がどこにいるのかも忘れ、思いつくままの懇願を声にします。
 普段ならうっとり酔い痴れちゃう絶頂時の快感が、耐え忍ぶものに変わってきています。

「あうっ、あうっ、あうっ、あうっ、あうーっ、んんんんーーーッ!!!」

 なんで私は、こんなことをされなければいけないのだろう…
 気持ちいいのなんてとっくに通り越して、今の状態はまさしく拷問…

「あっ!いやっ!もうっ!許してッ!だめっ!あんッ、いやーーーーッ!!!」

 だけどこれは私が望んで飛び込んだ窮地。
 自分でからだを柱に縛り付け、何をされても抵抗出来ない状態にしたのは自分。
 そんないやらしいことばかり考えているマゾ牝には、罰が下って当然。

 振動に蹂躙されつづけてどんよりした頭に、そんなとりとめのない悔恨が浮かびます。
 内腿やふくらはぎがビチョビチョに濡れている気がします。
 もう声を出すことにも疲れ果て、快楽の波と同じリズムの唸り声と鼻息を洩らすだけ。

「んーふぅッ!んーふぅッ!んーふぅッ!んーぐぅッ!んふぐぅーーーーッ!!!」

 頭の中が真っ白になり、意識がスーッと遠のいていきました。
 プツンと途切れる寸前に、自分の下半身だけが別の生き物のようにガクガク前後に揺れているのが見えました。

***

 鼻腔をくすぐる甘ったるい刺激臭を感じて目が覚めました。
 えっ?何っ?ここどこ?えっ?…
 目覚めたときのお約束な軽いパニックはすぐ終わり、私の眼前に名塚先生。

 私は背中を柱に預け、お尻を畳の上に置いて両脚を投げ出して、全裸で座っていました。
 バストの縄も股縄も乳首のクリップも股間の拷問具もメイドカチューシャも、全部外されています。
 更にピチピチレオタードも脱がされ、ツインテールも解かれて、私が身に着けているのはいつもの赤い首輪だけ。

「起きたな。さすがに若いマゾ牝は回復が早い」

 名塚先生、いえ、ご口調はまだあるじさまっぽいかな、が私の傍らにしゃがみ込まれ、私の鼻先に小さなグラスを突きつけていらっしゃいました。
 昼間にジョセフィーヌさまと広場にお散歩に行ったときにも嗅いだ果実系の甘い香り、ブランデーの香りです。
 ただ、あるじさまが持たれているグラスの中身は、水で薄めていない原液みたい。

「ほら、これをクイッと飲み干せばいくらかシャキっとするだろう」

 そうおっしゃてグラスの縁を私の唇にあてがってくださるあるじさま。
 グラスが傾き、口内から喉、胃の腑へとトロリとした液体が滑り落ちていきます。
 体内に入った途端にカッと燃えるように全身の細胞がザワついて、五感が戻った感じ。

 ただ、そのあまりに強烈な刺激にケホケホっとむせてしまった私に、すかさず別のお水の入ったグラスを渡してくださる、お優しいあるじさま。
 冷たいお水が喉を滑るに任せてゴクゴクゴク、ふぅーっと一息つくと同時に、からだがポカポカ火照り始めました。

「おまえは本当にいい声出してイクんだねえ。おかげでわたくしも捗って捗って、予定していたよりも随分先まで進んだよ」

 空になった私のグラスに、あるじさまが水差しからおかわりをついでくださいます。
 それもゴクゴク、一息で飲み干す私。

「あれだけ喘いでいたのだから、そりゃあ喉も渇くだろうねえ。小一時間くらいのあいだに二十回以上はイッてたんじゃないか?」

 あるじさまの呆れたようなお言葉が羞恥を呼び、それに伴う肌の火照りで両乳首に血液が集まり、皮膚感覚の敏感さまで舞い戻ってきます。
 私から少し離れられたあるじさまの右手が、スーッと私の右乳房を撫でました。

「ぁふぅーーんッ!」

 自分でもびっくりするくらい大きくていやらしい吐息が自分の口から零れます。

「おまえの縄を解いてやっていたときも、気を失っているようなのに今みたいにいやらしい息吐いて、クネクネ身悶えていたな。張形を抜いたときも、尻の穴までヒクヒク蠢いていた」

 そう言われてみれば目覚める寸前まで、何て言ったらいいのか、凄くマゾ牝好みな、もの凄くえっちに陵辱される夢を見ていたような気もします。

「ほら、もう立てるだろう?ちょっと立ち上がってイリカワに出てごらん」

「えっ?ど、どこにですか?」

「入側だよ。若い子にはわからないか。庭側の廊下のことだ」

 苦笑いされながらあるじさまが教えてくださいます。
 よろよろと立ち上がった私は、まだガラス戸を開け放したままなお庭側の板の間に、そっと足を踏み入れます。

 網戸から室内よりほんの少しだけ冷たい空気が全裸の素肌を撫ぜて、火照っているからだに気持ちいい。
 んーーっと背伸びをしてからふと足下を見ると、板の間に置かれた白いボウル。

「それがおまえの淫乱なおまんこから延々と垂れ流されたドスケベ汁だ。張形を抜くとき、潮も勢い良く溢れ出ていたがな。それに臭いから言って小便も少なからず混ざっているだろうな」

 直径60センチはあろうかというボウルの白い底を満遍なく、少し泡立って透明度も低めな粘性ぽい液体が、水深1~2センチくらい溜まっています。
 これ全部、私のマゾマンコから分泌されちゃったんだ…
 喩えようのない恥ずかしさがゾワゾワっと全身に駆け巡ります。

「おまえは本当にどうしようもないドマゾ牝なんだな。さっきあれだけイキ果てたクセに、こんなものを見てまたサカリ始めてマゾ臭さをプンプンさせている。辱めを受けたくて仕方ないんだろうねえ」

 心底呆れ果てたというお顔で裸の私をジロジロ眺められるあるじさま。
 その蔑まれたご様子に私のマゾセンサーがまた、性懲りもなくウズウズ。

「でもわたくしは明日、人と約束があるから午前中に寺田と出かけなくてはならない。原稿も進んだことだし、今夜は早めに眠ることにする。だからその前にわたくしの寝酒につきあってくれると嬉しい」

 あるじさまが名塚先生にお戻りつつあるみたい。

「片付けはわたくしがやっておくから、あなたは汗を流していらっしゃい。外風呂の場所は知っているわよね?」

 たおやかなご口調、どうやら完全にお戻りになられた名塚先生。

「あ、はい…」

「悪いけれど、その洗面器も一緒に持って行ってお風呂で綺麗に洗ってきてくださると助かるわ」

 そうおっしゃってニッコリ笑われます。
 ご本心なのか辱めなのか、どうにも量りかねてしまいます。

「そこにある履物、どれでも使ってちょうだい。なるべく早く戻ってきてくださると嬉しいわ」

 おっしゃりながら網戸をスルスルっと開けてくださった名塚先生に、あ、はいっ、とお返事し、自分の恥ずかしい液体が溜まったボウルを両手で持ち上げます。
 やだ、思っていたよりちょっと重い…ずいぶん出しちゃったんだ…
 考えた途端に恥ずかしさがぶり返します。

 お部屋の灯りでぼんやり見えるウッドデッキに並んだサンダルのうち、白っぽく目立つ一揃いをつっかけ、ウッドデッキに降り立ちます。
 両手で捧げ持つように自分の淫らな分泌液が溜まったボウルを持ち、タオルも着替えも持たずな素っ裸で。

 お空には満点のお星さまたち。
 闇の中にぼんやり、昼間吊るされた立木が見えます。
 あの辺りまで歩いて行って左側を見れば目隠しの木立、それ沿いに建物のほうへと寄ったところに、あのシースルーバスルームがあるはずです。

 脳内シミュレーションを終え芝生に降り立ったところで、右前方からワンッと一声。
 ほどなくタッタッタと近づく足音はジョセフィーヌさま。

「あんっ!」

 私の足下にまとわりつくように戯れつかれ、ときどき私の剥き出しのお尻をぺろりと舐めてこられます。
 両手で持っているボウルがグラリと傾き、危うく自分の恥ずかしい液体を自分のからだに浴びせそうになります。

「あぁんっ、ごめんね。今は遊んであげられないの…」

 内腿と内腿のあいだを狙ったように舌を伸ばしてこられるジョセフィーヌさまから逃げるように、早足で立木にたどり着くと、左斜め前方、暗闇の中でボーッと光を放つバスルームが視認できました。
 どなたかが電気を点けてくださったのかな…?
 
 これだけの立派なお屋敷ですから、各施設の電気のオンオフくらい邸内からコントロール出来るのだろうな、とさして不思議にも思わず、その灯りを目指して歩を進めました。
 ジョセフィーヌさまも私がバスルームに向かっていると気づかれたのでしょう、急におとなしくなられ、私の右側にぴったり寄り添いエスコートしてくださるようについてこられます。

 無事バスルームに着き、ボウルをいったん地面に置いて、横開きのガラス戸を開きます。
 再びボウルを持ち、私が中へ入ろうとすると、扉の手前一メートルくらいの芝生にちょこんと座られたジョセフィーヌさまが小さくワンッと吠えられ、名残惜しそうに見送ってくださいました。

 このバスルームを使わせていただくのは今日だけでもう三回目ですから、勝手知ったる他人のお家という感じでタオルやソープをお借りし、首輪を外してさっさと浴室へ。
 
 ぬるま湯シャワーを流しっぱにして、まずはボウルの洗浄。
 恥ずかしい液体を排水口に流してから、スポンジでボウルの底面をゴシゴシ。
 高い位置に固定したシャワーの真下で作業していますから、あっという間に私もびしょ濡れ。

 シャンプーとトリートメントをちゃちゃっと済ませて髪の毛を頭上にまとめてから、ゆっくりと熱いシャワーをからだに浴びます。
 ソープを泡立てて全身を撫ぜていると、リラックスと一緒にあらためて今日一日の出来事が思い出されます。

 私今日一日で、どれだけイッちゃったんだろう…
 広場で吊るされ、お庭で吊るされ、あるじさまに虐められて、寺田さま、中村さまから辱められ、ジョセフィーヌさまにももてあそばれて…

 あるじさまは、もう今夜はおやすみになられるとおっしゃっていたけれど、私はお姉さまとのお部屋に戻って一緒に寝られるのかな?
 それにしてもさっきの電マ責めは凄かったな、本当に壊れちゃうかと思った…でも、無慈悲な拷問っていう感じが凄くヨかった…
 あ、そうだ、明日の朝もほぼ裸で、ジョセフィーヌさまとお散歩に行かなければいけないんだった…

 反芻しているうちに性懲りもなくムラムラも芽吹き、思わず両手を所定の位置に滑らせたくなってしまうのですから、困ったものです。
 いけないいけないとシャワーを冷水にして自分を律し、ボウルを携えて脱衣所に戻ります。

 バスタオルで髪の水気を丹念に拭った後、フェイスタオルを頭に巻いてから全身を拭います。
 シャワーしながらその部分を揉むようにマッサージもしていたのですが、両方の二の腕外側にまだくっきりと縄目の痕が残っています。
 そんなにきつく縛っちゃっていたんだ…とその痛々しい凸凹を指でそっと撫ぜたり。

 首輪を嵌め終えて少し迷いましたがバスタオルは巻かずに籠に戻して、そのまま戻ることにします。
 白いボウルに液体はもう入っていないので縁を右手で持ち、全裸のまま芝生に出ました。
 ジョセフィーヌさまのお姿が見えないのは、おそらく待っているのもご退屈になられ、ご自分の寝床へと戻られたのでしょう。

 夜も更けてお星さまたちがたくさん一層キラキラ瞬き、虫さんたちの音も増えた気がします。
 木立のところまで戻ったところでボウルを芝生に置き、両手をお空に大きく広げてンーーッて深呼吸。
 暑くもなく寒くもなく、すべて剥き出しの素肌に当たるそよ風が心地いい。

 何も着ていない状態に慣れ過ぎちゃったかな…
 この旅行のおかげで私、裸族になっちゃいそう…
 あ、でも東京でもこの季節は、お家でもオフィスでもほとんど裸で過ごしてたっけか…

 そんなしょーもないことを思いながら、ウッドデッキまでたどり着くと、網戸越しのガラス戸の向こう側がなんだかお賑やかそうな状態になっていました。

 網戸を滑らせガラス戸をそっと開けると…

「あっ、帰ってきた」
「やだっあの子、お風呂からそのまま真っ裸で戻ってきたんだー」
「本当、根っからの見せたがり露出狂マゾ女なんだねー」
「これは明日の遠征も大いに期待できそうじゃん…」

 一斉にかまびすしい嬌声を浴びせかけられます。
 名塚先生は座卓を方向転換されここからはお背中しか見えませんが、右回りに寺田さま、五十嵐さま、お姉さま、中村さまが車座になって畳の上のお座布団にお座りになられ、その中央の空間には何本かのお酒類らしきボトルとおつまみらしき大皿。
 どうやらひと足お先にご宴会を始められていたみたいです。

 恐る恐る板の間に上がり、今更ですがおっぱいと股間をぎこちなく隠しつつ、開けっ放しの障子戸をくぐってお座敷へ。
 みなさまご就寝の準備なのでしょう、オシャレなスェットやジャージをお召しの中、またもやひとりだけ全裸なCFNF状態。
 五十嵐さまが小さなデジカメを私に向けられ、盛んにシャッターをお切りになられています。

「お風呂お疲れー。ほら、オナ子はここにお座りなさい」

 中村さまがからかうみたいにおっしゃって立ち上がられ、お姉さまの右横にお座布団で席を作ってくださいます。
 五十嵐さまとお姉さまに挟まれ、一メートルくらいの空間越しに名塚先生とほぼ差し向かいの位置です。

「お屋敷中に響き渡っていた直子のヨガり声がぷっつり止んだから、そろそろ救出の頃合いかなと思って先生を訪ねたのよ。あたしもイガちゃんもまだちゃんと先生にご挨拶していなかったしぃ」

 お姉さまがご説明くださいますが、少しだけ呂律が怪しいご様子。
 あらためてみなさまのお顔を見遣ると、どなたもほんのり桜色。

「それで来てみたら直子はお風呂に行ってて、先生がこの後少しナイトキャップにもつきあってもらうおつもりっておっしゃったから、それなら我々もご相伴、ってなったの」
「直子が戻ってくるの遅いから、今までの直子の恥ずかしいあれやこれやをサカナにしてたら、ずいぶん盛り上がちゃった」

 とても愉しそうなお姉さまのお顔にホッと安堵すると同時に、なぜだかマゾ的なドキドキも高鳴ってしまう私でした。