2021年5月15日

肌色休暇一日目~幕開け 15

 お三かたよりも遠くの一点を呆けたように見つめている私に気づかれたようで、カレンさまが怪訝そうに後ろを振り返られました。

「あれ?姐さん!もう戻ってきちゃってたんだ」

 バツが悪そうにお道化たカレンさまのお声に、他のおふたりもお姉さまのほうへと振り向かれます。

「あ、これはその、どのくらいマゾなのか、ちょこっと見せてもらってたんだ…」
「スゴいイキオイでイッてたよ、大股開きで腰ガクンガクンさせて…」
「どうして湯浴み着なんか着ちゃってるのかしら、女湯状態なのに…」

 お三かたとも私にお尻を向け、湯船の中をビデオカメラ片手にゆっくり近づいていらっしゃるお姉さまに小さく手を振ってらっしゃいます。
 その揺れるお背中と声音がどなたも何て言うか、ビミョーに後ろめたそう。
 ちょっとヤンチャし過ぎちゃったかな…みたいな。

「お相手していてくださったのね、ありがとうございます」

 島のすぐ近くまで歩み寄られたお姉さまが優雅に会釈されます。
 ストンとしたワンピース型の湯浴み着はホルターネック。
 そこだけ剥き出しになっている両肩の肌色が妙に色っぽくて、まじまじと見惚れてしまいます。

「なんで湯浴み着なんて着ちゃってるわけー?ここ、女しかいない貸切状態なんですけどぉ」

 たじろぎ気味だったカレンさまが仕切り直されるように、先ほどシヴォンヌさまもつぶやかられていた違和感を、ご冗談ぽくなじるようにお姉さまへぶつけられます。

「あたしは裸でも別に構わないのだけれど、この子が嫌がるのよ」

 薄い笑みを浮かべたお姉さまが、ベンチの上でまだM字開脚な私を指さします。

「自分以外があたしの裸を見るのはダメなんだって、男でも女でも」
「他人があたしを、そういう目、で見ること、が許せないらしいわ。自分は辺り構わず脱ぎ散らかして、誰にでも性器の奥まで晒してる露出狂のクセにね」

 お三かたのすぐそばまで来られたお姉さまが、いたずらっぽい笑顔でおっしゃいました。

 でも私、今までお姉さまにそんなことをお願いした覚えはありません。
 確かに、お姉さまのお綺麗過ぎる裸身がたとえ温泉とは言え私以外の目に触れてしまうのは、私にとって愉快なことではないのは事実ですが…

「へー、意外にふたりはラブラブなんだねー」
「ですのちゃんの姐さんは、ご主人様としてただイジワルするだけじゃないんだー」

 サラさまカレンさまの冷やかすようなご指摘に、なんだか照れ臭くも嬉しくなってしまう私。
 お姉さまは、と見ると、余裕綽々のお澄まし顔でみなさまと対峙されています。

「まあ、そんな感じなんで、みなさんはあたしにお構いなく、思う存分この子を慰み者にしてくださって結構よ」

 艶然とした笑みを浮かべつつ、どうぞどうぞ、という感じに両手のひらを上に向けたジェスチャーで煽られるお姉さま。

「あー、でもやっぱりこの姐さん、ドエスだー、キチクだー」
「思う存分慰み者にって、ですのちゃんカンペキにオモチャ扱いじゃん」
「お許しが出たってことは、うちらもですのちゃんのカラダ、あれこれイジっちゃってかまわないのよね?」

 私のほうへと向き直られるお三かた。
 そのすぐ後ろからお姉さまの瞳がまっすぐに私を見つめてきます。

「ほら、あなたからもみなさんに、どうして欲しいのかちゃんとお願いしなきゃダメじゃない?」

 ご愉快そうに唇の両端を歪めた笑顔で、お姉さまからの無慈悲過ぎるサジェスチョン。
 自分の口で自分から辱めを乞いなさい、というご命令。

「あ、は、はい…ど、どうぞみなさま…わ、私をお好きなように虐めてくださいませ…」
「わ、私は、は、恥ずかしいご命令されると感じて濡れてしまうヘンタイマゾですから、ど、どんどん、は、辱めて欲しいんです…」

 なんとか声にした言葉は、マゾを自覚した中学生の頃から自虐オナニーのときに何度も何度も、妄想の中のお相手に向けて訴えかけていたセリフでした。
 言い終えた途端にマゾマンコの奥がヒクンヒクンと盛大に疼きます。
 ついさっき、みなさまに視ていただきながら、頭の中が真っ白になるくらいイキ果ててしまったというのに。

 気がつくとまだM字状態の股間にあてがっていた両手の指が、知らず知らずラビアの左右にかかっていました。
 それだけではなく軽く外側に引っ張るみたいに、その部分の皮膚を引き攣らせてさえいます。

 パックリ開いた私の膣口、濡れそぼった粘膜に当たる空気。
 脳内では電車の中でお姉さまに教わったあの恥ずかし過ぎるセリフを反芻しています。

 …これが直子のマゾマンコです、奥の奥まで、どうぞじっくりご覧ください…

 私のその部分に釘付けなお三かたの呆然とされているような視線。
 どなたよりも早くその瞳孔が細まり、妖しげに揺らいだのはシヴォンヌさまの瞳でした。

「それなら今度はお尻をこちらに向けて、四つん這いになってもらおうかしら」

 シヴォンヌさまが右手に持たれたカッパさまこけしをゆらゆら揺らしながらおっしゃいました。
 シヴォンヌさまのお声でハッと我に返られたようにビクンと肩を震わせる他のおふたり。
 申し合わせたように見合わせられたお顔がみるみるお緩みになり、ご興味津々なご表情に染まっていきました。

 四つん這い…
 その屈辱的なお言葉の響きに私のマゾ性は狂喜乱舞。
 早速体勢を変えようと両足を地面に下ろしたところで、はたと考えてしまいます。

 この狭いベンチの上で、お尻をみなさまに向けて四つん這いって?横向きではダメなのよね?
 ベンチの座席部分は当然ながらお尻を置くほどの幅しかありませんから、その狭い幅に四つん這いって…

「あー、ごめんごめん、ベンチの上でって意味じゃなくて、ベンチ降りてこちらにお尻を突き出しなさい、っていう意味ね」

 シヴォンヌさまの苦笑交じりなご訂正のお声。
 でもお顔を盗み見ると、目だけは笑っておられず、少々苛立ち混じりなのもわかりました。

「ベンチを降りて、後ろ向きになって、両手をベンチに預けて、両脚を開きなさいって言ってるのっ」

 シヴォンヌさまの声音がどんどんSっ気を帯びてきているように感じます。
 ゾクッと両肩が震え、急いでベンチを降りご命令通りの姿勢になります。

「両手をベンチに着くんじゃなくて、頭ごとベンチにひれ伏すのっ。土下座みたいに顔面はベンチに擦り付けてケツをこっちに突き出すのよっ!」
「ほらほら、もっと高くオマンコとコーモンを差し出しなさいっ」

 シヴォンヌさまのヒステリックに上ずったお声が間近に聞こえてきます。
 ご指示通りにからだを動かしているあいだに垣間見えたシヴォンヌさまは、すでに湯船から上がられ、そのゴージャスな全裸ボディを惜しげもなくお陽さまに晒されつつ、あからさまに嗜虐的な笑みを浮かべられていました。

 バシッ!
 あうぅ!

 小気味よい音を立て、シヴォンヌさまの右手のひらが私の左尻たぶを打擲しました。
 石のベンチの上に両手の甲を枕にして顔を押し付けたまま、両膝はほとんど曲げず腰だけ突き出す前屈姿勢な私のお尻を。

 だらしなく垂れ下がった私のおっぱいは、乳首の先端とベンチのコンクリート座面が触れるか触れないかのスレスレ。
 お尻を叩かれた瞬間に緊張していた筋肉が緩み、膝も少し落ちて両乳首先端が石の座面をザリっと擦りました。

 はうっ!
 その予期せぬ強烈な刺激に思わず両膝もいよいよ開いてしまい、弾みでよりパックリ開いた秘唇からダラリとはしたない涎を垂らしてしまう私のマゾマンコ…

「あら、お尻軽くぶっただけなのにずいぶん敏感な反応なのね。さすが、マゾですの、なんて自称するくらいの淫乱ぶりですこと」
「それで顔は出来るだけこっちに向けたまま、さっきのつづきをなさい。第2ラウンド」
「その不自由な格好で手を伸ばして自分の指で弄って。淫らに高まってきたら、今度こそこれをワタシの手でたっぷりご馳走してあげる」

 首だけ捻じ曲げ必死にお声のするほうへと向けている私の顔先に、カッパさまこけしをお見せくださったシヴォンヌさま。
 何もかもを晒し切っている私のお尻の割れスジを、カッパさまの滑らかな木肌がツツーッと撫ぜていかれました。

「はうんっ!は、はい…わかりました…」

 全身被虐の塊と化した私が、ご命令通り右手をそこへ伸ばそうとしたとき…

♪ンターターターター、タータ、タータンタッタッタッタッタター…

 どこからともなく流麗な弦楽の調べがたおやかに流れてきました。
 えっと、このメロディは確かシューベルトさんの、ます、だったっけか…
 ふっとそんな事を考えて伸ばしかけた手が途中で止まったとき、悲鳴にも似た叫声が近くであがりました。

「げげぇーーっ!?もうそんな時間?」
「うちら夕食の仕込みと配膳手伝うって、きり乃さんと約束したじゃん、チョーやべえ」
「これって5時のチャイムだよね?秒で行かんとヤバくね?」

 お三かたが軽くパニクっていらっしゃるご様子。
 私も座面に手を着いて少しだけ上体を起こし、左肩越しに湯船の方を見遣ります。
 お姉さまは、あらま何事?という感じに唖然とされたお顔。

「ですのちゃんも姐さんも本当にゴメンっ!うちら仕事あんのすっかり忘れてたわ」

 カレンさまサラさまがお湯をザブザブと掻き分けて脱衣所に通じる陸地のほうへと急いでいかれます。
 シヴォンヌさまだけがお姉さまとしばし何やらお話をされた後、先に行かれたおふたりの後を追われました。

 最後に湯船から上がられたシヴォンヌさまが剥き出しのお尻をフリフリしつつ視界から消えていきます。
 何がなにやらわからないまま、相変わらずお尻を湯船側に高く差し出したまま、お見送りする私。

「やれやれ。賑やかな人たちだったわね?」

 お姉さまが島のすぐそばまで近づいてこられ、私にニッコリ微笑んでくださいました。
 この恥ずかし過ぎる姿勢をいつ解けばいいのか、タイミングが掴めない私。

「なんかあの人たち、安く泊めてもらう代わりに女将さんにお手伝いを約束していたみたい」
「でもノリのいい人たちだったから面白かったわよね?愉しそうな虐めはお預けになっちゃったけれど」

 湯船に立たれているお姉さまは、湯浴み着の裾ギリギリくらいまでがお湯に浸っています。

「あたしたちはまだ夕飯まで時間あるし、もう少し愉しみましょう、せっかくの露天温泉混浴大浴場が完全貸切状態なのだし」

 おっしゃりつつ背後を振り返られ、何かをご確認されているようなご様子。
 やがてご安心されたお顔で再び私のほうへと向き直られたお姉さまは、おもむろにホルターネックの首後ろの紐をスルスルと解かれました。
 不意にしゃがまれたお姉さまのおからだごと湯浴み着がお湯の中にのみ込まれ、十秒くらい置いて立ち上がられたとき、お姉さまは全裸になられていました。

 そのお姿で両腕をお広げになり、私を迎え入れてくださるポーズをお取りになるお姉さま。
 飼い主に呼ばれたワンちゃんみたいに、一目散にお姉さまの胸中に飛び込んだのは言うまでもありません。

 それからふたり、お湯の中でお互いの気持ち良くなれる秘所をまさぐりまさぐられ。
 両腕、両手、左右の指、唇と両脚は片時も求め求められる感触を外すことを知らず、悩ましい淫声を抑制することも無く、大自然の中で本能のおもむくままに愛し合いました。
 もの凄い開放感、高揚感、満足感、幸福感…

 どのくらいの時が過ぎたでしょうか。
 ようやく一般的に夕方と認識されるくらいにお陽さまが翳った頃、お姉さまと私は裸で湯船の縁に並んで腰掛け、ハアハア荒い息を吐きつつぐったりと足先だけを湯船に浸けていました。

「ハア…やっぱり直子ってスゴい。あたし、ここまで快楽に溺れたことってないわ。溜め込んでいたあれこれ、ぜーんぶ浄化されちゃった気分」

 お姉さまの疲れ切って掠れた、心の底から絞り出されたようなお声に、私も告げたいことが頭の中で大渋滞状態。

 …さっきお姉さまが湯浴み着姿で来てくださった時、凄く嬉しかったんです…
 …その後のお言葉、私がうまく言えなかったことをちゃんとわかっていてくださっていたんだなって思って、涙が出そうなくらい感動でした…
 
 …シヴォンヌさまたちを、ちゃんと私を虐めるように仕向けられるお姉さまの的を射た話術も凄いです…
 …私、お姉さまの笑顔のためなら本当に何でもしますから、どうかお嫌いにならないでください…

 告げたいことは山程あるのに、ハアハアし過ぎて声帯が着いて来ず声には出来ず、ただただお姉さまのお顔を見つめつづけるばかり。
 そんな私をお優しげに見つめ返してくださっていたお姉さまが、一区切り着けるみたいにわざとらしくニッと笑われました。

「おーけー。そろそろお部屋に戻りましょう。帰る頃には、お膳いっぱいに美味しそうなご馳走が並んでいるはずよ」

 温泉から出た岩場の少し離れた岩の上に、真っ白なバスタオルが置いてありました。
 きっとお姉さまが脱衣所から持ってこられたのでしょう。

 最初にお姉さまが丁寧におからだをお拭きになられ、それから私に手渡してくださいます。
 私がからだを拭いている傍らで、お姉さまは湯浴み着の水気を軽く絞った後、手早くおからだに湯浴み着を巻きつけられ、首の後で紐を結ばれました。
 私もからだを拭き終わり、お姉さまには湯浴み着があるから、と自分のからだにバスタオルを巻き付けようと広げると、すかさず伸びてきたお姉さまの右手。

「直子は裸のままでいいでしょう?せっかくまだまだ屋外で全裸で過ごせるのだから。こんな直子好みの不健全なチャンス、滅多に無いわよ?」

 没収したバスタオルを小脇に挟み、ビデオカメラのレンズを向けてくるお姉さま。
 あらためてお言葉でご指摘されると、今私はお外に全裸でいるんだ、ということに全意識が持っていかれてしまい、お姉さまとのラブラブな交わりで満足しきった快楽とはまた別の、マゾ性ゆえの被虐願望みたいな欲求が、イキ疲れているはずのからだを性懲りもなく疼かせ始めてしまいます。
 戻りかけていた理性も、出番を間違えた舞台役者さんみたいにバツが悪そうにフェイドアウト。

 シヴォンヌさまたちがここを去られるきっかけとなったチャイムが5時とおっしゃられていましたから、きっともう夕方6時近いのでしょう。
 あれほどギラギラ全開だったお陽さまも森の向こうに沈みかけ黄昏色間近になった岩場の坂道を、お姉さまが私に向けていらっしゃるカメラのレンズを追いながら歩いていきます。

 私が生まれたままの姿で屋外を歩いている姿が映像に残されちゃっているんだ…
 あられもなく乳首を尖らせたおっぱいも、歩くたびにヌルヌル潤んでくる無毛の女性器も、全部デジタルで鮮明に記録されちゃっているんだ…
 羞恥心と背徳感に煽られ駆り立てられる自虐への衝動は、私のどうしようもないマゾ性をムラムラと蒸し返してきます。

 来たときには素通りした脱衣所に入ります。
 キャンプ場のバンガロー風外見を裏切らないログハウス仕様でウッディな内装。
 水捌けを考慮したプチ高床式なコンクリートの床に素朴な木製スノコを敷き詰めた足元。

 そんな朴訥な空間に、駅前とかによくあるコインロッカー然とした無機質無骨なロッカーが壁に沿って整然と並び、もう片方の壁面はお外を覗ける大きな出窓を真ん中に挟んで、バレエのレッスンルームのような鏡張り。
 木材の温かみと無機質な冷たさのアンバランスな趣が近未来ぽい非日常感を醸し出していて、鏡に映った自分の肌色が妙にエロティックに見えてしまいます。

 お姉さまが右手首に巻かれていたリストバンドから鍵をお取り出しになり、プレートに205と書かれたロッカーの水色の扉を開かれます。
 そそくさとご自分の浴衣を取り出されて傍らのテーブルの上に置いた後、サクサクと和装用下着を身に着けられました。
 つづいて悠然と浴衣を羽織られ、ご自身の着付けへと進まれます。

 私もお手間をお掛けしないように、とロッカーの中を覗き込みます。
 あれ?
 
 ロッカー内に残っているのは、お姉さまにお貸しした私のハート型ポシェットとビニール袋に包まれた真っ赤な手ぬぐい?タオル?いずれにしても小さくて薄っぺらそうな布地だけ。
 お姉さまにお持ちいただいたはずの私の水色の浴衣は、帯もろとも影も形もありません。

「…あのぅ、お姉さま?」

 とっさに感じた切ない予感にドキドキ震えつつ、お姉さまを窺います。
 着付けに夢中になれられているお姉さまから、なあに?という素っ気ないご返事。

「あのぅ…私の浴衣は…」

 チラッとロッカーと私に視線をくださったお姉さま。

「ああ、それね」

 帯を締め終わり、袖やウエストの撓みなど着こなしをご修正されつつ、お姉さまがご説明くださいました。

「直子の浴衣、背中側の裾にけっこう派手に泥が跳ねて汚れていたのよ」

 浴衣をお召し終わり、今度は使われた湯浴み着やバスタオルを丁寧にたたみ直されているお姉さま。

「あたしがここで湯浴み着に着替えているときにちょうどキサラギさんが備品の点検にみえられてね」
「汚れに気づいたのも彼女よ。湯船までの道すがら水たまりかなんか踏まれて跳ねたのでしょうって」
「今ちょうど洗濯機回していますからって言うから、あたしは、いいですよそのくらい、って言ったんだけどさ」

 湯浴み着とバスタオルを返却籠に収められたお姉さまが、私のそばまでやってこられます。

「あたしも湯浴み着に着替え終えたところだったからさ、自分の浴衣とかをロッカーに入れようとしていたら、わたくしが入れておきますから、どうぞごゆっくり露天風呂を楽しんできてくださいって言われて」
「ロッカーは閉めれば自然に鍵がかかっちゃう方式なんだって。それであたしはお言葉に甘えてそのまま外に出て、直子の浴衣の件はうやむや」

 お姉さまがロッカーの中を覗き込まれ、あら本当に入っていないわね、なんて悠長なことおっしゃいます。
 そしてロッカー内のビニール袋に気づかれたのでしょう、手を伸ばされ、それをお取りになりました。

「そう言えばあたしがドアから出ようとしていたら、お連れさま用にこちらを入れておきますね、なんて背中から声が聞こえたっけ」
「あたしも直子がカノジョたちに何されているのか早く視たかったから、確認もせずに、はーい、なんて生返事で出てきちゃったんだ」

 お姉さまの手がビニール袋を破られ、出てきた真っ赤な布地を広げ始めます。
 少し広げられたところで、プッ、と吹き出されるお姉さま。
 ご愉快この上ないというような満面の笑顔で私の顔を覗き込んできました。

「ちょっとこれ、直子ってばVIP待遇並みにこのお宿からおもてなしされているみたいよ」

 どうしたって笑いを噛み殺せない、みたいなニコニコなお顔で私にその真っ赤な布片を広げて見せてくれるお姉さま。
 フェイスタオルを広げたくらいの幅の長めで長方形な布片が真紅に染まっています。
 片方の端に同じ色で左右へと細長く伸びる紐。

「これってどう見てもふんどし。日本が誇る伝統の勝負下着、赤フンだわよね?」

2021年4月25日

肌色休暇一日目~幕開け 14

 帯が浴衣からすっかり離れてしまうと、胸の前で合わさっていた両襟も当然のことながら左右へハラリと割れてしまいます。
 浴衣の下は肩先からくるぶしまであますところなく素肌ですから、当然のことながら浴衣の前が開いてしまう前に襟を掴み、露呈を阻みます。

「こら。あなたはそんなしをらしいことするような種類のオンナじゃないでしょう?」

 イジワルそうな薄い笑みを浮かべ、からかうようなお姉さまのお声。
 私をまっすぐ見つめつつ、ご自分の両手をご自身のおへそのあたりに集め、おもむろに左右へ大きくパッと開くような仕草。

「あなたよく言っているじゃない、一度でいいから裸コートのとき人混みでこうしてみたい、って」

 ご愉快そうにおっしゃるお姉さま。
 でも私、お姉さまにそんなこと、一度も告げたことないはずです。
 
 だけどつまり、それはお姉さまからのご命令。
 えっちなマンガとかでよくある局部見せたがりなヘンシツ者みたく、自ら前をバッと開いてハダカを視ていたただきなさい、というご指図。

 胸の前で浴衣の布地をかき抱くように掴んでいた両手が、諦めたみたいに緩みます。
 左右の指先がそれぞれ左右の衿先を掴みます。
 それからギュッと目をつむり、思い切って両腕をバッと左右へと広げました。
 今まさに滑空しようとしている飛膜を広げたモモンガさんみたいに。

 目を瞑っていてもまぶたにお陽様の強い光を感じます。
 ああんっ、まだ全然明るくておまけにお外なのに、出会ったばかりの見ず知らずの方々の前で私ったら、何て格好をしているの…
 絵に描いて額に飾ったような、まさに、the 露出狂…
 羞恥と被虐と背徳と快感がないまぜとなり、下半身の裂けめを痺れさせてきます。

「おおぅっ!…」
 
 ザバザバと水面が波立つような音と一緒に、どよめくお声が大きく聞こえてきて束の間の陶酔が破られ、恐る恐る目を開けるとお三かたが思いがけずもずいぶん近くまで来ていらっしゃいました。
 お湯の深さは、一番小さくてロリっぽいサラさまでも太ももの付け根辺り。
 お三かたともオールヌード丸出しのお姿で、the 露出狂ポーズを晒している私のカラダをシゲシゲと見つめてきます。

「すげえ、超パイパンっ!」
「その日焼け跡、何よ?どこで焼いたの?どんな水着着たらそんなふうにエロやらしく焼けるのよ?」
「尖った乳首がツンツンにイキリ勃ってて痛そう。下乳は意外に垂れ気味なんだ…」
「クリもでかっ!皮がすっかり剥けちゃって、こっちもビンビンに飛び出してる…」
「首の白いスジは、チョーカーとか首輪の日焼け跡なのかしら…」

 口々に私のハダカの感想を投げ合わられるお三かた。
 温泉の湯船は一段低くなっていますし私は岩場でヘンシツ者ポーズですので、裸のお三かたから股間を仰ぎ見られる態勢。
 その好奇に満ちて不躾な視線の圧、何もかもが視られ吟味されている…という被虐に、マゾの血脈が全身で波打ちます。

「あなたの性癖も、みなさんに愉しめていただけているみたいでよかったじゃない?」
「引かれちゃったらどうしようかと思っていたわ」

 岩場に優雅に腰掛けられたお姉さまも嬉しそうに微笑まれ、片手に持たれていたスマホの画面をチラッとご覧になられました。
 それからスクっとお立ちになると、まだthe 露出狂ポーズな私の背後に来られました。
 
 間髪入れず、剥ぎ取られるように強引に私の背中から離れていく浴衣。
 少し緩めてしまっていた指先から、いとも簡単に私の唯一の着衣はお姉さまの腕の中へ。
 お外で全裸!?と意識するや否や条件反射のように、胸と股間を庇うヴィーナスの誕生ポーズへと移る私。

「だからー、あなたの両手はそこではないでしょ?何今更ぶりっ子しているのかしら?」

 すかさず投げつけられるお姉さまの呆れたような叱責。
 優美な曲線を描くアゴを優雅に、でも私にしかわからないくらい微かにしゃくられるお姉さま。

 はい…ごめんなさい…
 おずおずと両足を休めの姿勢くらいまで開き、両手を重ね合わせ自分の後頭部へと持っていく私。
 
 マゾの服従ポーズで間近のお三かたと向き合います。
 隠そうと思えばたやすく隠せるのに、自ら両手を後頭部にあてがい裸身の何もかもをさらけ出した私の姿を、唖然としたお顔つきで凝視されるお三かた。

「あたしはこれからさっきの脱衣所に戻って、タオルやら何やら、露天風呂を楽しむ準備をしてくるから、あなたはその格好のまま回れ右して、背中の自己紹介もみなさんに見ていただきなさい」
「あなたがどうしようもないヘンタイ性癖なんだって理解してもらえれば、みなさんもあなたも気兼ねなく愉しめるでしょうし」

 おっしゃりながら岩場に落ちていたカッパ様こけしを拾い上げられ、湯船のお三かたのほうへ軽く放られました。
 ポチャンと飛沫を上げて湯船に落ちたカッパ様。
 木製だから沈まずに、お三かたの背後でプカプカ浮かんでいらっしゃいます。

「この子、それ大好きだから、みなさんで好き放題しちゃっていいですから」

 無慈悲なお言葉を残されたお姉さまは、私がさっきまで着ていた浴衣と帯を手早くおまとめになって小脇に挟み、ハンディビデオカメラだけ岩場の高い位置に置き去りにされ、その場を離れられます。
 
 服従ポーズをお三かたに向けたまま首だけ捻じ曲げた姿勢で、脱衣所のほうへと戻られるお姉さまのお背中を未練がましく追っていると、お姉さまが不意に立ち止まられ、こちらを振り返ってくださいました。
 私に向けてニッコリ微笑まれ、右手の指先で空中にクルリと大きな円を描かれ、再びプイッという感じで向き直られ、脱衣所のほうへと歩き始められます。

 そうでした…
 私はお三かたに背中をお向けしなければいけないのでした。
 ある意味、おっぱいや性器を見られるのより恥ずかしい、私の素肌に刻まれた自分のヘンタイ性癖の自己紹介…

 再び湯船のほうへと顔を向け直します。
 お三かたとも湯船の縁まで集まられ、興味津々に舐め回すような六つの瞳が私の裸体を見上げています。
 その視線たちから目をそむけて意を決し、ゆっくりとその場で180度ターン。
 一瞬の沈黙の後、キャハハハと甲高い嘲笑が弾けました。

「なにそれ!マゾですの、だってー!」
「ですのって何よ?ちょーウケるんですけどぉ」
「日焼け跡って、引くまで消えないじゃん。あの姐さん、マジ鬼畜」
「だろうとは思ったけど、そんな言葉を肌に焼きつけちゃうなんて、正真正銘のヘンタイじゃん」
「やっぱり首の白いのは首輪の痕なんだ。マゾだから首輪を普段からさせられてるのね…」

 容赦無い好奇の嘲りが私のお尻に浴びせられます。
 侮蔑的なお言葉責めが切なくて唇をギュッと噛んでしまうのに、ジンジンと火照ってしまう私の乳首とマゾマンコ。
 ひとしきりお三かたのかまびすしい哄笑がつづきました。

「でもまあ、せっかく裸になったんだからさ、マゾですのちゃんも温泉、入んなよ。うちらと楽しもう」

 半笑いのお声ですが、お優しいお言葉を投げてくださったのは、最初にお声がけくださった金髪のカレンさまでしょう。
 そっと振り向くと案の定、さっきお姉さまが放られたカッパ様こけしを右手に握ったカレンさまがお湯の中で立ち上がられ、カッパ様をぶんぶん振っておられます。

 どうしよう…
 お姉さまが戻られるのを待ったほうがいいのかな…
 でもさっきお姉さま、この子を好きにしちゃっていい、ともおっしゃられていたけれど…

 少し迷ったのですが、お言葉に甘えさせていただくことにしました。
 一番の理由は私の股間。
 さっきからの羞恥辱責めで感じ過ぎてしまい、このまま服従ポーズでいるとだらしないマゾマンコから滴り落ちる恥ずかしいおツユまで目撃されてしまいそうだったからです。

「あ、はい…お心遣いありがとうございます。それでは失礼させていただきます…」

 丁寧にお答えしてポーズを解いて向き直り、湯船の縁までゆっくり歩を進めます。
 縁に立つとお三かたが少しだけ後退され、身を屈めた私は右足の先をちゃぷんとお湯に浸けてみます。
 
 熱すぎもせず温すぎもせず、人肌よりちょっと高いくらいの温度。
 両足をそろりと挿し入れ浴槽に立つと、お湯の深さは膝上、腿の真ん中少し上くらい。
 湯船の底は自然石のタイル状石畳になっていました。

 その場にしゃがみ込み肩まで浸かってみます。
 お湯は、ほんのり濁っていて少しポテっと重たい感じで、お肌に優しく絡む感じの滑らかな泉質。
 
 火照った全身がしっとり潤いの人肌に包まれ、うーんっ、気持ちいい…
 裸身もお湯に隠せてホッと一息ついたのも束の間、あっと言う間にお三かたに取り囲まれました。

 それからは、ご質問に次ぐご質問攻め。
 お姉さまとはどういう関係なの?から始まって、本当の仕事は何?それどこで焼いたの?剃毛?それとも永久脱毛?普段はどんな命令をされてるの?イジメじゃないの?今も感じちゃってるの?etc…etc…

 それらのご質問にすべて、正直にお答えしました。
 ご質問のあいだ中、お三かたのどなたかが私のからだに手を伸ばしてくることは無く、それはちょっと意外でした。

「ふーん。ですのちゃんは同性とでしか感じないレズでマゾで露出狂なのかー。けどそれって特殊性癖盛りすぎじゃない?もしオトコ好きだったら引く手あまたでモテモテだろうに…」

 金髪のカレンさまが感心されたようにおっしゃいます。

「アタシも男相手ならドスケベだけど、同性に見られたいってのは信じられないなー。だって、自分がサカって乱れてる姿を見ず知らずの同性に見られるなんて超恥ずくない?屈辱的っていうか…」
「ああ、女はそういうの見下してくる傾向ってあるよね。とくに自分より若かったり可愛かったりすると、嫉妬が絡んだマウンティングっていうか虚勢を張るための軽蔑っていうか。シモネタNGがカワイイと思ってる女ってまだまだ多いから」

 ロリなサラさまのご意見に賛同されるカレンさま。

「こないだのハコネでの宴会、ひどかったじゃない?うちらが何かやるたびに凄い目で睨まれて」
「あー思い出した。なんであんな女性交じりの場にアタシら呼ぶかな?中でも一番薹が立ってたお局様?の目がスゴかった」
「そうそう。他の女も野球拳とか見たくないならさっさと部屋に戻ればいいのに、なぜだかいるんだよね、最後まで」
「でもまあオトコ共も大半萎縮しちゃってある意味、仕事は超ラクだったよね。お酌だけしてりゃいいって感じで」
「場がシラケきってた。あの会社、あの後揉めたろうな。潰れてたりして」

 ご愉快そうな笑い声をあげられるカレンさまとサラさま。

「ですのちゃんのお姉さまって、ですのちゃんが他の女性とえっちなことをしても怒らないのよね?」

 話題を仕切り直すみたいに、ナイスボディなシヴォンヌさまがお口を挟まれてきました。
 そして私の呼び名はいつの間にか、ですのちゃん、で定着しちゃったみたい。

「あ、はい…怒らない、って言うか、私が他の女の人に虐められているのを見るのもお好きみたいです…」

 至近距離で向き合っているシヴォンヌさまの、お湯の波間から見え隠れしているハリウッド女優さんみたいなお胸の谷間にドギマギしながらお答えします。

「やっぱり。ですのちゃんのご主人様は寝取られ属性があるんだ。それじゃあですのちゃんも、いろいろやらされて大変でしょうね」
「…ネトラレ?ですか?」

「あれ?知らない?大好きな人が他の知らない人にヤラれちゃうのを見て悦ぶ特殊性癖。夫婦の旦那のほうが奥さんを他の男にヤラせて、それをこっそり覗き見したり。エスな人の調教の一環だったりもするらしいけれど」
「そんなの…知らなかったです」
「でも、あの姐さんは、そんな感じなんでしょ?そういうのをネトラレって呼ぶのよ」

 妖艶な笑顔のシヴォンヌさまにそう諭されて、確かに私のお姉さまはネトラレなのかな、って思いました。

「おっと、シヴォンヌ姐さんがノッてきたよ」
「アタシらん中じゃ姐さんが一番、エスエムとか詳しいもんね」
「姐さんはエムっぽくにもエスっぽくも変幻自在の百戦錬磨だから」

「じゃあ、ですのちゃんに何かマゾっぽいことしてもらおうよ」
「ですのちゃん見てると、たしかに何かこう、イジメたくなっちゃうの、わかる気がする」
「ドマゾって、痛いのとか屈辱的なのも好きなんじゃなかったっけ?」

 カレンさまとサラさまが俄然はしゃぎ始めます。
 私もお三かたからの虐められモードに突入したことを察知して、お湯の中でぐんぐんムラムラしてきています。

「それじゃあ、ですのちゃんにはとりあえず、オナニーショーでもしてもらおっか?ご主人様の置き土産のこけしもあることだし」

 シヴォンヌさまが艶っぽい半笑いのまなざしを私に向けたまま、他のおふたりにご提案されます。

「いいねいいねー」
「ですのちゃんのえっちなイキ顔見てみたーい」
「アタシ、他の女が男に姦らてるのは見たことあるけど、ひとりえっちでイクとこは見たことなーい」
「でもお湯の中でモゾモゾチャプチャプされてもうちらにはよく見えないし、なんかつまんなくね?」

 カレンさまサラさまの無慈悲なお言葉。

「あー、それもそうね。それじゃあ、あの真ん中の島に上がってやってもらおっか」

 シヴォンヌさまが我が意を得たり、みたいなご表情で温泉中央に設えられている東屋を指さされます。
 私はさっきの、シヴォンヌさまの妖しく翳る瞳を見て、ある程度の覚悟はしていました。
 シヴォンヌさまは絶対最初から、そこで私を晒し者にされるおつもりであったはずです。
 お姉さまが私に残酷なご命令を企まれているときと同じまなざしでしたから。

「いいねいいねー。あそこちょうど足湯っぽく腰掛けられるようになってるから、そこでバーっと大股開きで」
「ライブショー、最前かぶりつきだね」

 カレンさまサラさまがキャッキャとはしゃがれる中、お湯の中でシヴォンヌさまにサッと右手を掴まれました。
 初めてのボディタッチにビクンと震えた刹那、シヴォンヌさまがザバッと立ち上がられたので私も引っ張られて立ち上がらざるを得ません
 
 ナイスボデイな全裸女性に手を引かれ、刑場に連行されるみたいに湯船中央の東屋のほうへ。
 私たちの後からサラさまカレンさまがつづかれ、全裸女性4名での湯中の行進を、ずいぶん傾いてもまだまだ明るい夕陽が煌々と照らしてくださっています。

「さあ、ですのちゃんはこの上にお上がりなさい」

 シヴォンヌさまの声音はあくまでおやさしげでしたが、有無を言わせぬ威厳と言うか高貴さと言うか、人にご命令され慣れているような感じのカリスマ的オーラを感じました。
 
 目の前にある小島には、ちゃんと湯船から陸地まで上がれる石の階段もあり、ふたりぐらい並んで腰掛けられる石のベンチが湯船を見渡す位置に三脚、そして島の中央部分は、更に一段上がっていて陽射しを遮る木製の屋根を設えた東屋になっています。
 
 湯船の中からお三かたが見上げる中、私はシヴォンヌさまのご命令に従い、ひとり島へと上がりました。
 温泉から出た一糸まとわぬ素肌を微かに吹いている風が優しく撫ぜてくださいます。

「そのベンチに座って、まず最初は、ですのちゃんが普段ヤッてるみたいにからだをまさぐって、気分を盛り上げてみて」
「いい感じになってきたら、このこけしを渡してあげる」

 カレンさまから手渡されたのでしょう、カッパさまこけしを片手にシヴォンヌさまからのディレクション。
 湯船の縁に両肘をついた横並びのお三かたがベンチに腰掛けた私を見上げています。

「は、はい…」

 すっかり覚悟を決めた私は、恥ずかしさ半分、辱めていただける嬉しさ半分のマゾモードで両脚を大きく開きました。
 両足はベンチの上に置き、自ら進んでのM字開脚。
 
 左手を右おっぱいに当てると、ビクンと電流。
 乳首が今にもポロリと零れ落ちそうなほど大きく硬く背伸びしています。

 右手をそっと股間に滑らせると同時に、あふんっ。
 手のひらがもろに、充血して腫れ上がった肉芽を擦ったからです。

「うわ、自分からあんなに思いっ切り股広げちゃって、パイパンだからケツの穴まで何もかももろ見えじゃん」
「オマンコの中がビチャビチャにテカってない?」
「呆れた、もう感じちゃってるんだ。本当に視られるのが好きなんだね」
「あ、早くも指の出し挿れし始めちゃった。へー、中指と薬指使うんだ…」

 みなさまからのにぎやかな実況中継が聞こえてくるのですが、私の両手は怯むこと無く自分の性感帯を陵辱しつづけています。
 これまでのあれこれで疼ききっていた私のからだにやっと訪れた快楽のチャンスに、恥も外聞も消し飛んでいます。

 おっぱいを揉みしだき、乳首をつまみ、ひねり潰し、ひっぱり。
 右手のひらでクリットを擦りつつ、膣口に埋めた二本の指でジュブジュブ膣壁を捏ね回します。
 それでもお外にいる、という意識はあるみたいで、目と唇を真一文字に結んで歯を食いしばり、淫らな声は極力我慢しています。

 甘美な刺激は的確に蕩けるような昂りへと変換され、その蓄積がめくるめく頂きへと徐々に昇り詰めていきます。
 ああんっ、そろそろっ、あとちょっと、もう少しぃ…
 
 お三かたは固唾を呑んで見守っていらっしゃるのか、実況中継のお声も聞こえなくなっています。
 視られている、という被虐を実感したくて、そっと顔を上げて瞑っていた瞼を開きます。
 視界の先に唖然という面持ちのみなさまのお顔。

 ああんっ、視て…こんなお外で、みなさまの目の前で、マゾな直子が浅ましくイッてしまうふしだらな姿を、どうぞ存分に視てやってください…んっ!…

 ふと視線を上げると、お三かたの後方数メートルの位置にお姉さまのお姿が見えました。
 濃いめなブルーグレイの湯浴み着をお召しになり、ビデオカメラのレンズをまっすぐ私に向けられたお姉さまのお姿が。
 それに気づいた瞬間、強烈な快感の波が下腹部から全身へと駆け巡り、頭の中が真っ白になりました。

「イッたね…」
「うん…間違いなくイッてる…」
「早くね?始めてからまだ5分も経ってないっしょ?」
「ぐったりハアハアしてるのに、からだのあちこちがヒクヒク痙攣してる…やだっ、ケツの穴まで…」

 そんなお声がどこか遠くのほうから聞こえた気がしました。

2020年10月11日

肌色休暇一日目~幕開け 13

 「女将さん、直子のからだ、凄い勢いでガン見してたね」

 おふたりをお見送り出してお部屋の中へと戻りつつ、お姉さまが嬉しそうにおっしゃいました。

「あの調子なら、館内で多少はっちゃけても、大目に見てくれそうじゃない?」
「たとえば廊下を四つん這いリードでメス犬プレイとか、庭でヌード撮影とか、ね?」
「ま、とりあえず散歩がてら、女将さんご自慢の野外露天風呂まで行ってみましょうか」
「タオル類は現地に用意してあるから手ぶらでいい、って言っていたわね」

 お姉さまが座卓の上に置きっ放しだった鍵入りの透明リストバンドを右手首に嵌められました。

「あとは小銭と部屋のカードキーか…直子のポシェット、借りるわよ」

 私のポシェットの中身が全部出され、代わりにお姉さまのスマホと小銭入れ、カードキーだけを入れてお姉さまが斜め掛けに提げられます。
 お淑やかな青色浴衣に白いハート型のポップなポシェット。
 一見ミスマッチなコーデなのに、お姉さまが提げるといっそうエレガントになるから不思議です。

 貴重品類はセーフボックスに入れ、座卓の上にはまだ充電中な私のスマホとリモコンローター本体だけが置き去り。
 カッパさまこけしは、私が締めている帯の結び目付近に無造作に挿され、私と行動を共にすることに。
 最後にお姉さまがハンディビデオカメラを剥き出してお持ちになられて準備完了。

「それじゃあ行きましょう」

 玄関にご用意いただいたお草履をそれぞれ履き、お部屋を出ます。
 玄関扉はカードキーなので、オートロックなのでしょう。

 よく磨き込まれて木目が綺麗な板張りのお廊下。
 灯籠を模した照明器具が淡く照らす中、お姉さまが先をお行きになりなり、時折私にレンズを向けてきます。

「ほどよくレトロで風情があって、いい旅館よね、ここ」

 ビデオカメラを下ろされたお姉さまが私と並び、やがて十字路。
 野外露天風呂、と記されたプレートの矢印が示す方向、一階へと下りる階段とは逆方向、つまり建物の奥へと向かうべく左へ折れます。

 すぐに右側の壁沿いに扉が見えたので、こちらも客間となっているのでしょう。
 高い天井には組木細工の模様が施され、相変わらず低く流れている艶っぽいジャズピアノの調べ。
 その静謐な雰囲気になぜだか官能がくすぐられ、秘めた願望をお姉さまに告げたくなりました。

「お姉さま?私、あのお部屋で…」

 先を行かれるお姉さまのお背中にそこまで言いかけたとき、クルッと振り向かれ、しっ、と唇に人差し指。
 右側の客間の扉を過ぎて少し進まれたところで立ち止まられ、板張りの壁にお顔の側面を寄せられています。
 どうやら聞き耳を立てていらっしゃるご様子。
 私も一緒に耳を澄ますと…

「…んんぅ、はぁぅ、んぅぅーんっ、はぁぁんっ…」

 せつなそうな女性のくぐもった息遣いが漏れ聞こえてきました。
 んっ、んっ、と男性の踏ん張るような低い唸り声とピタンピタンと肌と肌がぶつかるような音も。

「真っ最中みたいね」

 ご愉快そうなヒソヒソ声を私の耳元で囁くお姉さま。
 つまりこれって、今このお部屋の中で男女がイタしている生ライブ音、っていうこと?
 思考がフリーズし、カーッと全身が熱くなりました。

「…あっ、あんっ…くっぅ、いいっ、そ、そうよっ、ひぃぃんっ…」

 30秒くらいその場に佇んでから、お姉さまがスッと歩き始めました。
 いろいろ混乱して固まっていた私もあわてて後を追います。

 お廊下は行き止まりとなり、突端の扉上のプレートに矢印と共に、野外露天風呂。
 お姉さまがガチャリと内開きのドアを開けると、その先は屋外でした。

 立派な木枠の渡り廊下が、まだ奥へとつづいています。
 周りには、ポツンポツンと大きな岩肌、その合間をお廊下を覆うように草木が生い茂っていますが、お廊下はさほど汚れていないので日常的にお手入れされているのでしょう。
 二階から出たので5、6歩行くと一段降りる式の階段状となった木々のトンネル渡り廊下。
 10メートルくらい先までまっすぐつづいています。

「あの感じだとバックスタイルで奮闘中ってところかしらね。こんな時間からお盛んなこと」
「まあ、互いに合意の上のお愉しみなんだろうし、余計なお世話だけどさ」

 お姉さまが私にビデオカメラのレンズを向けつつおっしゃいました。
 さっき聞いた生々しい物音を思い出します。
 確かにありふれた男女の営みなのでしょうが、胸の奥がチリチリ騒ぐ私には、その光景をあまり想像したくないものでもありました。
 頭の中に浮かんできそうな絵面を振り払いたくて、無意識のうちに二度三度と首を振る私。

「そう言えば直子さっき、何か言いかけていたわね、何?」

 私の動揺にお気づかれたのでしょう、ビデオカメラを下ろして私の顔を覗き込み、話題を変えてくださるお姉さま。
 そのお優しさにホッと安堵し、何を言おうとしていたのかド忘れてしまう私。
 あれ、何だっけ?えっと…あ、そうだった…

「あの、私、今日泊まるお部屋の昔の日本のお座敷っぽい雰囲気が妙にツボに入ってしまって、以前にそういう写真やビデオを見たことがあったので…」
「それで、あのお部屋で、お姉さまに荒縄で、思いっ切り恥ずかしい格好で柱とかに縛り付けられてみたいな、なんて…」

 お姉さまに、というところをとくに強調して告白しました。

「呆れた。廊下歩きながらそんなこと考えていたんだ?アナタの頭の中って、えっちなことしか入っていないの?」

 心底呆れた、というご表情で眉間にシワを寄せられるお姉さま。
 でもすぐにシワは消えて、真面目なお顔に戻られます。

「でもごめん。それはちょっと無理。あたし、ここにロープとか拘束具とか直子の好物、持ってきていないんだ」

 そっけなくおっしゃったお姉さまが私の反応を探るみたいに束の間私を見つめた後、一転して今までで一番イタズラっ子のお顔に豹変されました。

「でも明日、別荘に着いたらそんなことを言ったの後悔するくらい、あれこれヤられちゃうはずだから、愉しみにしていなさい」
「言ってみれば、今日のふたりだけの温泉バカンスはアペリティフ、前菜なの。明日からがメインディッシュだと思って、今日は成り行き任せでまったり過ごしましょう」

 ご愉快さとイジワルさを一緒くたにされたお顔で、お姉さまがビデオカメラのレンズを向けてこられました。
 ヤられちゃう、とおっしゃったということは、別荘ではどなたか別のかたもいらっしゃる、ということなのでしょう。
 お姉さまとふたりきりでいられるのは、今日だけなのかな?
  少しの落胆と少しの期待。

 そうこうしているうちに渡り廊下が地面に接し、木々が途切れて少し開けた場所に出ました。
 正面にはキャンプ場のバンガローみたいな建物があり、脱衣所、というプレートが掛かっています。
 
 その右側には矢印の付いた立て看板に、野外露天風呂、という表記。
 おそらくそこまで連れて行ってくださるのでしょう、草木の刈り取られた地面にスノコ状の板が敷かれ、もう少し低いほうへとつづいています。

「着いたみたいね。いいじゃない、見渡す限り360度自然の岩と草木で、まだ現物は見えないけれど、これぞ露天風呂のあるべき姿、ってロケーション」

 お姉さまがご満足そうにおっしゃいました。

「でも一応入る前に、先に来ている人がいないかチェックしておきましょう。混浴だって言っていたし、先にオトコが入っていたりしたらいろいろメンドクサそーだから」

 お姉さまがお迷いの無いお足取りで脱衣所の脇を通り越され、露天風呂へつづくのであろうスノコの上を進まれます。
 もちろん私も後ろにつづきます。

 緩やかな下り坂が終わると、岩肌と樹木が目隠しフェンス状に囲んでいる場所に出ました。
 ジョボジョボという永続的な水音も聞こえてきます。
 ワクワクしながらフェンスの内側へ入ってみると…

 想像していたより広くて立派。
 大きな岩盤をいびつな楕円形にくり抜いたかのような、広大な楕円ドーナツ状の湯溜まりが目の前に広がっていました。

 広さは小中学校によくある25メートルプールくらい?
 湯溜まりの真ん中が岩場の大きめな島になっていて、木造の東屋が設えてあります。
 温泉の周りを木々が囲っているとは言え、湯溜まりの真上は青空なので、午後4時を回っていくらか和らいだ残暑の陽射しが湯溜まりの水面に燦々と降り注ぎキラキラ光っています。

 お姉さまと一緒に湯溜まりのすぐ縁まで進んでみます。
 水面はやや白く濁った感じで独特の匂いも強く、見るからに何かしらの効能がありそうな感じ。
 思わずお姉さまとお顔を見合わせ、お互いにニッコリ微笑み合いました。

「誰もいないし、入ってみようか」

 お姉さまがおっしゃると同時に、対面の東屋の陰からポチャンという水音が聞こえ、すぐに白い人影が現われました。
 
 東屋のある島の脇の湯船にまっすぐに立たれた人物。
 その曲線的なフォルムで女性だとわかります。
 お湯の深さは膝上、腿の半分くらいまでらしく、そのかたの両腿の付け根に小さく翳っている黒い茂みが、白濁したお湯とのコントラストで絶妙に目立っています。

 お姉さまとふたり、唖然として見つめる中、そのかたにつづいて東屋の陰からもうおひとかた、いえ、もうおひとりも加わり総勢お三かたの女性が湯船の中から、こちらを見つめてきました。
 やがて最初に現われた女性が右手を高々とお上げになり、左右にヒラヒラと腕を振り始めます。

「おーいっ!」

 こちらを呼ばれるお声とともに、大きめのおっぱいがユサユサ揺れています。

「なんか、呼んでるね」

 さすがのお姉さまも戸惑い気味に、私と見つめ合います。
 私たちがその場から動かないことに業を煮やしたのか、お三かたが横一列に並ばれ湯船の中をバシャバシャと、こちらへ近づいていらっしゃいました。

 どなたも一糸まとわぬスッポンポン。
 全員髪の毛はヘアバンドなどで上にまとめられ、三者三様のおっぱいをプルンプルン揺らしながら。
 真ん中のかたが一番背が低くて、左端のかたが一番背が高い。

 あれよという間に私たちの前に全裸の女性が三名、並ばれました。
 お近くで見ると、ご年齢も私たちとはそう変わらなそう。

「おたくら、さっき送迎バスでここに来たお客さんだよね?」

 最初にお姿を現わされた一番右側の女性がお声をかけてきました。
 お三かたの中では一番派手っぽく、髪を一番明るめな金髪に染められています。
 それなのに下のヘアーは漆黒なのが凄くアンバランス。

「うん、そうだけど…」
 
 お姉さまがお答えされたお声は、幾分ご警戒気味。

「おたくらってさ、エーブイギョーカイの人でしょ?」

 金髪の女性が消えかかった眉毛を上下させ、ご興味津々なお顔でつづけられました。
 私にこのご質問が向けられるのは本日二回目です。

「えっ!?違いますよ。あたしたちは東京から遊びに来たただのしがないOLです」

 お姉さまがそっけなく言い返すと、真ん中の一番背が小さな女性が初めてお口を開かれました。

「えーっ、だってそっちのカノジョ、凄い大胆にエロい格好してたじゃん。おっぱいはみ出そうなトップスに土手丸出しのボトムス、おまけに犬の首輪まで着けちゃってて」

 真ん中の女性は、髪は濃いめの茶系、全体的に小柄で瞳だけが大きく胸の膨らみも控えめ、ヘアーも薄め、お声も多少舌足らずで、小悪魔ロリータぽい雰囲気。
 とんがらかした唇に、容姿に反したお気の強さが感じられます。
 お三かたの好奇丸出しな視線が集中的に私へと注がれました。

「あー、それね。あれはこの子の趣味なの。あたしたちはそういう関係で、今日はこの温泉宿でえっちなアソビでも愉しもう、って思っているのよ」

 お姉さまはお三かたのご様子にご警戒をすっかり解かれたようで、打ち解けた口調になっています。
 私はと言えば、三名の全裸女性から相変わらずジロジロ注がれる視線に、浴衣を着ているのにドッキドキ。
 
 考えてみれば、私だけ裸で周りは着衣、という経験は何度もありましたが、その逆は初めてかも。
 あまりジーッと視るのも失礼だろうし、でもお三かたともお綺麗な裸なのでじっくり視ていたいし…
 
「なーんだ、アタシ絶対AV女優とマネージャーが先乗りで来て、撮影隊が後から合流して今夜にも撮影するんだろうって、ワクワクしてたのに…」
「だよね?さすが、きり乃さんの宿、って思ってた。うまくすれば今夜のエイギョウに結びつくかな、くらい期待してたんだ…」

 ロリータさんと金髪のかたがワイワイと内輪話をお始めになります。
 そのあいだも一番左端の女性、一番背が高く黒髪でおっぱいも一番大きくボンキュッボンな美人さん、は、お一言も発さずニコニコ笑顔で私たちを見つめられていました。

「大胆て言うなら、あなたたちだってずいぶん大胆じゃない?」

 お姉さまがお三かたに、イタズラっぽくお問いかけになります。
 ロリータさんと金髪さんのおしゃべりがピタッとやみました。

「ここって混浴なのでしょう?なのにあなたたちったら、タオル一枚も持たずに、こんな明るいうちから優雅にマッパで湯治アンド日光浴。もしスケベなおやじ軍団でも入ってきたら…」

「あ、それは大丈夫なんだなー」

 お姉さまのお言葉が終わる前に、金髪さんが遮ります。

「今日は団体のドタキャンがあったせいで、逗留してるのはうちら以外、昨日から連泊の女子会OL4人組とカップル二組だけなんだ」
「カップルの一組は大学生ぽい初々しい感じで、もう一組はどう見てもオンナのほうがかなり年上のワケ有りそうな組み合わせ」

「両方ともどう見ても、ヤリに来た、って感じだったから、今頃ふたりだけの世界にズッポリよ。無粋な邪魔が入りそうな露天風呂になんて顔出すワケない」
「つまりオトコはふたりっきゃいないってこと。それも両方ウブそうな若いヤツだから、入ってきたとしてもどうとでもなるし。ま、来ないだろーけど」

 ロリータさんと金髪さんが口々にご説明してくださいました。
 私はさっきのお廊下で聞いた物音を思い出します。

「へー、ずいぶん内部事情にお詳しいのね。あなたたちも連泊なの?」

 お姉さまのお尋ねに、初めて黒髪の女性がお口を開かれます。

「て言うかワタシたちは厳密に言うと宿泊客ではないの。今夜の宴会に呼ばれたコンパニオンなの。でも今朝方別のホテルからこっちへ移動中に、予定客のキャンセルを告げられて」
「明日もこの近くの別の旅館に呼ばれているって言ったら、そういうことなら今夜はここに泊まっていきなさい、って、女将さんが格安でお部屋を提供してくれたの」

 黒髪の女性のお声は落ち着いていて、他のおふたりよりも少しお年上みたい。

「へー、コンパニオンて宴会に呼ばれてお酌とかする人のことでしょ?ああ、それでさっきエイギョーがどうとか言っていたんだ」

 お姉さまのお言葉に金髪さんがお答えになります。

「うちらの場合はピンパニ、ピンクコンパニオンだけどね」
 
 そのお答えに俄然お身を乗り出されるお姉さま。
 好奇心満々なお顔でご質問攻め。

「それってお色気全開のコンパニオンのことでしょ?ねえねえ、具体的にどんなことするの?」
「うーんまあ、基本的にはセクシーな衣装でお酌して回ったり、あと野球拳とかツイスターゲームとか」
「乳揉まれたり、おサワリくらいは仕方ないかな、って感じ」

「全部脱いじゃったりするの?」
「ケースバイケースだけど、その場のノリだよね」
「うちなんかワザと後出しして負けて、先に脱いじゃうよ。明るい部屋でじじいのキタネー全裸なんぞ見たくもねーし、酔っぱらいじじいに下手に先に半勃ちチンコなんか出させたら、ヌケだのヤラせろだの、その後のフォローが超メンドクサそーじゃん」

「じゃあやっぱりその先も、ヌイたりヤっちゃったりもあるんだ?」
「表向きにはもちろんNGだけどね。ただ、旅館によってはわざわざ別室用意してるところもあったりはする。アタシはもちろん断わるけど」

「でも客がお金持ちだったら、チップもはずんでくれるんじゃない?」
「昔は凄かったみたいだけど最近は不景気でそうでもないのよ。どっちにせようちらのチームはウリはしないな」
「シヴォンヌ姉さんは前に特別料金で女体盛り、してたよね?」

 そんなふうにいささか品位に欠ける会話がしばらくつづきました。
 お三かたは思い思いに湯船におからだを沈められ、私たちは陸地の平らな岩に腰を落ち着けています。

「へー、あなたたちってチームなんだ?」
「そう。事務所から組めって言われて、たいていこの3人で営業してる。うちがカレンで、こっちの小柄なのがサラ、ナイスバディなのがシヴォンヌ姉さん」
「あっ、それって…」

 金髪さんのご紹介に思い当たる節があり、思わず声が出てしまいました。

「あ、カノジョわかるんだ?事務所が勝手につけた源氏名なんだけど、なんでも昔の外国のガールズグループのメンバーの名前らしい」
「これでもマシになったのよ。チーム組まされた当初なんて、うちがスー子でサラはラン子、姉さんがミキ子だったんだから」

 カレンさんのご説明に他のおふたりが苦笑されています。

「そっちのカノジョなんかエロ可愛いから、パニオンやれば一発で人気者になれるだろーね。うちの事務所、紹介しよっか?」

 カレンさんがからかうみたいにお湯の中から私を指さしてきました。
 ビクンと震えた私の肩に右手が置かれ、お姉さまが代わりにお答えくださいます。

「確かにこの子はエロいし、頭の中はいつもスケベなことで一杯なのだけれど、そのお話には乗れないの」
「なぜならこの子は男性嫌悪症で、女性からの辱めにしか性的興奮を覚えないどうしようもないヘンタイ娘だから」

 一斉に、あらま、というお三かたのお顔。
 お姉さまに促され、ふたりで岩から立ち上がりました。
 お姉さまの右手が私のウエストの帯に掛かります。

「今日ご一緒したのも何かのご縁でしょうから、みなさんのお暇潰しに、ここでちょっと虐めていただきなさい」

 お言葉と一緒に私の浴衣の帯がスルスルっと解けていきます。
 帯に挟んであったカッパさまこけしがスルスルッと滑り落ち、岩盤の地面に当たってコツンと小気味良い音を響かせました。

*