2017年7月9日

三人のミストレス 10

 ここまで窓辺に近づくとロープの張りつめ具合も、半端なキツさではなくなっていました。
 
 窓のクレセント鍵に括り付けられたロープの端は、私のおへそくらいの高さですから、ロープ端と私の股間とのあいだにかなりの高低差が出来ているためです。
 ここまで来るとバレエのポワントの要領で爪先立ちしたとしても、股への食い込みを回避することは一切出来ませんでした。

 淫唇を引き裂いちゃいそうな勢いでめり込んでくる角度のついた麻縄が常に、腫れ上がった肉芽を圧迫している状態。
 歩を進めるたびに、情け容赦なく乱暴にマゾマンコ全体を擦り上げられていました。

「あんなに窓に近づいちゃったら、見事に外からも丸見えね、直子ちゃんのハダカ」
 背後からさーこママさまのお声がしました。
「あ、やっぱお店的にマズかったですか?カーテン引きましょうか?」
 ちょっと焦ったような雅さまのお声がつづきました。

「いいわよそのままで。だって直子ちゃんは、たくさんの人に視てもらいたい人なのでしょう?自分の恥ずかしい姿を」
「そういうタイプの子は、誰かに視られちゃうかもしれない、っていう状況なほど感じちゃう、って聞いたわよ」
 あっけらかんと朗らかなさーこママさまのお声。

「このへんは、お店少ない住宅街の入口だから夜はそんなに人通りは無いけれど、家路を急ぐ人がふと、灯りの点いた窓を見上げちゃう、なんてことはあるかもね」
「すぐ前の通りの信号待ちの人とか、向こうの公園の喫煙所でタバコ吸っている人とか、気づいた人はラッキーよね。まさにラッキースケベ」

「もし視た人が何か言ってきたら、うちの店、たまにインテリアでマネキン人形飾っているから、マネキンの着替え作業でも見間違えたのではないですか?って誤魔化しとくわ」
 背後におられるのでご表情は拝見出来ませんが、さーこママさまの人懐っこい笑顔が想像出来る大らかな口調でした。

 ここからゴールのロールパンまでのあいだに、ロープのコブは五つ。
 そのうち三つがライトグリーンのお帽子をかぶっています。

 カーテンレールに吊るされたロールパンに口が届きそうな窓辺寸前のコブは、ご丁寧に二重結びでもしたのか、今までよりとくに大きく出っ張っていて、更に今まで以上にたっぷりとワサビが盛り付けてありました。
 その大きなコブのすぐ手前にも、ワサビのお帽子をかぶった普通の大きさのコブ。
 
 大きなコブと普通のコブとの間隔は、まるで私の膣口とお尻の穴の距離を測ったみたい。
 あそこまで行ったら大小のコブが、過去最大の張力で私の恥ずかしいふたつの穴にめり込んでくることでしょう。

「あのパンにかぶりつくことがお仕置きのゴールなんでしょ?でもさ、彼女、ベロ出しっ放し状態だから、かぶりつけなくない?」
 さーこママさまが、さっきから私も気になっていた疑問を、率直に問題提起してくださいました。

「そう言われてみれば、それもそうね」
 雅さまが、今気づいたみたいに、目から鱗的なお声を出されました。

「だけど舌を自由にしちゃうと、あんなに大きなコブだし、直子がお店中に響き渡るようないやらし大声をあげちゃいそうで、ちょっと怖いわね」
 お姉さまが、お言葉の内容とは裏腹の面白がっているようなお声でおっしゃいます。

「あら、それは気にされる必要ないんじゃないですか?さっき、社長さんもおっしゃったじゃないですか、あられもない声あげて見物人が増えても自己責任だ、って」
 絵里奈さまが、嘲るような冷たいお声で、私の顔を覗き込みながら吐き捨てました。
 もちろん、お尻への鞭もセットで。

「それもそうね。じゃあ仕方ない、取ってあげよっか・・・」
 お姉さまがソファーから腰を浮かせかけたのを、手のひらを向けて制されたのは、ほのかさま。
「チーフはそのまま座っていてください。わたしが代わって取って差し上げます」

 雅さまの傍らを離れたほのかさまが、スタスタと私の目前にいらっしゃいました。
「あともう少しだから、がんばってね、直子」
 ニコッと微笑まれ、白い指を伸ばして私の舌の洗濯バサミを外してくださいました。
 舌全体に血流が戻るジンジンする疼痛。

「・・・ありあろうほらいやすぅ・・・」
 やっと口中に戻った痺れる舌をうまく使えず、覚束ない呂律でお礼を言う私。
 そんな私の口許に濡れおしぼりを押し付け、顎まで溢れ出たよだれを拭ってくださる、おやさしいほのかさま。

 おしぼりが私の口許から離れると、しばし無言で見つめ合うふたり。
「ありがとう・・・」
 やっと正常に戻った舌で、もう一度きちんとお礼を言おうとしたとき、ほのかさまの瞳に妖しい光が揺れているのに気づきました。

「うふふ」
 私を見つめながら小さく妖艶に微笑んだほのかさまが、左手を私の右おっぱいに伸ばしてきます。
 そのまま下乳の皮膚をつねるみたいにつまみ上げると、今度は右手が。
 ほのかさまの右手の指先には、さっきまで私の舌に噛み付いていた洗濯バサミ。

「あうっ!」
 右おっぱいの下乳に洗濯バサミがぶら下がり、つづけて左おっぱいにも。
「あつぅ!」
 皮膚を浅めに噛み付かれたらしく、針で刺されたような鋭い痛みがしつこく消えません。

「直子のえっちなバストに洗濯バサミ、初めて挟んじゃった」
 小走りに雅さまの傍らに戻られ、嬉しそうにご報告されるほのかさま。

「やりたくなる気持ち、わかるよ。ナオちゃんほどおっぱいに洗濯バサミが似合う女の子って、いないもんね」
 よくやった、とでもいうふうに頭を撫ぜながら、最愛のパートナーを甘やかされる雅さま。

「さあ、これでパンにもかぶりつけるようになったし、さっさとクライマックスを見せてもらいましょうか」
 お姉さまがお仕事のときみたく鶴の一声でその場を引き締め、アイコンタクトで絵理奈さまを促します。

「ほら、さっさとあの最後のコブを、あなたの淫乱マゾマンコで咥え込みなさい」
 絵理奈さまのお言葉に、みなさまの視線が私の股間と窓辺の最後の大きなコブとのあいだを、あらためて行ったり来たりし始めます。
 パシッ、とお尻に鞭をいただき、ヒーッ、と大きく息を飲み込む声が出ちゃう私。

 そうでした。
 もう自由自在に声が出せちゃうんだった。
 絶対がまんしなくちゃ、と唇を真一文字に結び直しました。

 一歩踏み出すと、再開後最初のコブ。
 このコブにはワサビは乗っていません。

「んっ!」
 それでも陰裂を通過するとき、膣口を抉じ開けるようにコブが蹂躙してきて、思わず淫ら声が出てしまいます。

 次はワサビ付き。
 まずクリトリスにベッタリ貼り付き、それから潤んだ粘膜になすり付けられます。

「んあぁっ」
 ピリピリな刺激を感じ取る時間も短かくなっていて、すぐにマゾマンコ全体がジンワリ熱くなってきました。
 更にここでは、腰振りダンスを10回しなくてはなりません。

「んっ、んぁ、んーっ、あ、あっ、あっ、はぁっーっ・・・」
 どんなに一所懸命口をつむごうと思っても、だらしなく半開きになってしまう唇。
 喉の奥から淫らな嬌声がほとばしり出てしまいます。
 だって、そのくらい気持ちいいんです。

 粘膜が柔らかいのをいいことに、ねぶるように暴れまわるコブのゴツゴツ。
 肉芽、膣口、肛門まで、ワサビまみれの愛液を行き渡らせながら陵辱してくる麻縄の凹凸。
 またもや頭の中が真っ白になりかけたとき、無情な鞭でストップをかけられました。

「あなた今、本気でイこうとしていたでしょ?」
 バラ鞭でお尻を乱打しながらの、絵理奈さまの蔑んだお声。

「あぁんっ、ごめんなさいぃ・・・」
 口では謝りつつも、腰振りダンスを止められておあずけを食らい、刺激に飢えているマゾマンコですから、お尻に感じる痛い鞭の打擲さえ、気持ち良くてたまりません。
 もっと、もっととおねだり出来ない分、浅ましくお尻を突き出してしまいます。

「ほら、もうあと三歩くらいでパンに口が届くんだからさ。パンを咥えたら、好きなだけ腰振って、イッていいから」
 呆れ果てたような絵理奈さまの嘲り声。
「は、はいぃ」
 私も早くイキたい一心で、左足を大きく踏み出しました。

「あうぅっ」
 コブが無いロープ部分でも、皮膚を引き絞る勢いで両脚の付け根に食い込んできます。
 私のおへその高さから、私のからだ全体を股間で持ち上げようとするみたいに、ピンと張りつめた麻縄。
 すぐ目前にワサビをたっぷり乗せた大小のコブ。
 そこから視線を上げると、間近に迫る大きなガラス窓。

 ガラスには等身大の自分がハッキリ映っていました。
 赤い首輪、洗濯バサミを左右ともにふたつぶら下げたおっぱい、股の割れ始めにクッキリと深い溝が出来るほどマゾマンコに食い込んだロープ。
 そんなみじめでヘンタイな自分の姿は半透明。
 その向こう側に、お外の様子もしっかり見えていました。

 お店前の道路をヘッドライトを灯した自動車がまばらに、右へ左へ走り過ぎていきます。
 視界左側に見える横断歩道の信号は赤で、通りの向こうで三人ほど信号が変わるのを待っています。
 こちら側の舗道にもちらほらと歩行者。
 近くに見える大小いくつかのビルにも、あちこちの窓に光が灯っています。

 今、私のこの浅ましい姿、お外から丸見えなんだ・・・
 そんな今更な現実を、あらためて思い知ります。
 あの信号待ちの人がふとこの窓を見上げたら、向かいのビルの窓が開いて何気なくこちらを見たら・・・
 たったそれだけのことで、自分のヘンタイ性癖がいともたやすく見知らぬ人に知られてしまうのです。

 狼狽と恥辱と被虐と愉悦が入り混じった得体の知れない衝動が、心の奥底から湧き上がっていました。
 お願いだから誰も見ないで・・・ううん、もっと見て、たくさん見て・・・

 今すぐここから逃げ出したいのに、一方では、窓をドンドン叩いてお外の人たちの注目を惹いてみたいような、アンビバレントな衝動。
 結果的にそれは、どうにでもなれ、という刹那的な感情へと収束し、つづけざまに二歩大きく踏み出す、という行動となって顕れました。

「んあーーっ!いぃぃぃーっ!!」
 ワサビまみれの大きなコブは、跨いだ途端に膣口にズッポリ嵌り込み、どんなに腰を振っても抜けなくなりました。
 強烈なワサビのビリビリ刺激が、粘膜から腰全体へ灼けつくように広がります。
 肛門にもワサビがべっとり張り付いているのが、ヒリヒリ加減でわかります。

「あふぅ、あうふぅーっ、んーっ、ぅふぅーっ・・・」
 声を出すまいと歯を食いしばるほど、代わって淫らな鼻息が洩れ出てしまいます。
 そのあいだ中も、意志とは関係無く腰が前後に激しく動きつづけ、みるみるグングン高まっていきます。

「ほら、いつまでもヨガっていないで、パンを咥えなさい。咥えないうちはイッたら駄目って言ったでしょ?」
 絵理奈さまの鞭に、あぅっ と喘いで、目の前に夜景が広がりました。
 あまりの気持ち良さに、いつのまにかギュッと目を瞑ってしまっていたようです。
 目前すぐそこ、ちょうど目の高さのところにロールパンがぶら下がっていました。

「咥えたらパンごと引っ張って糸を引きちぎりなさい。糸が切れたらお仕置き終了。好きなだけイッていいわよ」
 絵理奈さまのお言葉が全部終わらないうちに、顎を思い切り上に突き出して、ロールパンにむしゃぶりついていました。
 
 歯応えを感じると同時に、イヤイヤをするように思い切り顔を左右に振ります。
 つられて洗濯バサミごと、おっぱいもブルンブルン。

 残念。
 パンの切れ端だけが食いちぎれ、糸は繋がったまま。
 モグモグ、ゴクン。
 パンの切れ端を飲み込んで再チャレンジ。

 大きく口を開けてパンの真ん中くらいにかぶりつくと、パン生地の中で歯に何か硬いものが当たる感触。
 そこを噛み締めたままもう一度首を振ると、いとも簡単にプツンと糸が切れました。
 もちろん、そのあいだも腰は絶えず前後に振りっ放し。

「おおおっ!」
 と、ざわめくみなさま。
 いつの間にか雅さまやリンコさまたちが、私の至近距離、窓辺までやってきていました。

「あー、あそこに見えてるのが、部室の前にある公園の木陰なのね」
「週末だからか、それなりに人通りもあるじゃない」
「今までで何人、気がついたかな?」
 窓からお外も見つつ、無責任に盛り上がるギャラリーのみなさま。

「無事ミッションクリアだから、直子はイッていいんだよね?」
「外の人たちに、これからこの子、オマンコにロープ擦り付けながらイキますよー、って教えてあげたいわね」
「ジーンズに溜まった愛液が、ほんのりワサビ色に染まっちゃってる。あれだけの量だもの、無理ないかー」
「本当。白濁液に黄緑色が混ざって、一見クリームソーダみたい」

「それにしても、これだけからかわれてもずっと腰は振りっ放しなんだ。ほんとドスケベヘンタイマゾ女子なんだね、ナオちゃんは」

 雅さまのおっしゃる通りでした。
 みなさまが周りに集まってきても、目前のお外の様子が目に入っても、私の腰はまるで別の生き物みたいに、激しく前後に動きつづけていました。
 マゾマンコに潜り込んだ大コブがくださる陵辱が、気持ち良すぎて止められないのです。

 昂ぶりはそろそろ頂点を迎えようとしていました。
 もうすぐ・・・もうすぐ・・・ああ、もうだめ・・・

「んっんんんーんんんっ?」
 ロールパンを咥えたままの不自由な口で、イントネーションだけでお許しを乞いました。

「ヘンタイちゃんが何か言ってるよ」
 雅さまの可笑しそうなお声。
「何言ってるかわからないよ。もう一度言ってみ」
 リンコさまが笑いながらお尻をピシャっと叩きます。

「んっんん、んーんんんっ?!」
「えー?語尾が上がってるから、何か聞いているんだよね?んっんん、んーんんんっ?」
「妙に切羽詰まって、いやらしい声」
「そんなふうに目で訴えたって、わからないものはわからないよ」

 みなさま、わかっていてイジワルされているのか。本当にわかっていただけないのか・・・
 だけど、こんなときに頼りになるのが、おやさしいほのかさま。

「わたし、わかりました。イッてもいいですか?って、わざわざ懇願しているんですよ。イントネーションが同じですもの」
「あー、なるほどね。たまほの、よくわかったねー」
 リンコさまの白々しいお声。

「さすがチーフのマゾペットだね、躾がよく行き届いていること。どんなときでも勝手にイッたりせずにちゃんとお許しを乞うなんて、まさしくマゾの鑑だね」
 茶化すような雅さまのお道化声。

「どうします?お姉さま。お姉さまのマゾドレイがイッてもいいですか?って生意気言ってますけど」
 絶好調な雅さまがお姉さまにお声をかけ、わざとらしいお芝居がつづきます。

「あら、今回のお仕置きの仕切りは、この場のご主人様にすべてお任せしていましてよ。絵理奈さまにお聞きなさい、と伝えておいてちょうだい」
 わざわざ窓辺にはいらっしゃらず、私の後方のソファーで優雅に寛がれているはずのお姉さまも、ノリ良くお芝居声で返されました。

「だってさ。ナオちゃんの愛するお姉さまは、ああおっしゃってるよ」
 雅さまが私に聞いてきます。
「んんんんんーっ、んっんんんーんんんっ?」
 私は絵理奈さまのほうを向き、腰を振りつつ懇願します。
「あーっ、もうまどろっこしい!」
 雅さまが私の鼻をつまみ、私が口が開くと同時にロールパンを引っこ抜きました。

「絵理奈さまぁ、イッてもいいですかぁぁっ」
 口が自由になると同時に、泣き出しそうなおねだり声が絞り出ていました。
「仕方ないわね、約束は約束だから、思う存分イクがいいわ」
 忌々しそうなお声と共に、鞭を振り上げる絵理奈さま。

「あーーーっ!!!」
 パシッとお尻に鞭が振り下ろされるのと同時でした。
 高まりきった快感が頭の中で爆発して火花を散らす感じ。
 それが最初のオーガズム。

 それでも動きの止まらない腰。
 たてつづけに振り下ろされる鞭。
「んーーーっ、いいいーーーーーっ!!!」

「あっ、イッたね」
「イッたよ、両脚がヒクヒク震えてる」
「あ、またビクンて」
「あ、またイクんじゃない?」

 みなさまの驚きと呆れが入り混じったお声の中。
 快楽の渦に飲み込まれて溺れ、高まっては堕ち、またすぐに高まっては堕ち、快感に翻弄されつづける私。

「んーっ、んーーっ、いぃぃ、いぃっ、いいぃぃーっ!!!」

 目の前にぼんやり広がる夜景の中で動き回る人たち。
 そのすべての人たちが、軽蔑しきったお顔でこちらを見上げているように見えました。
 すべての理性が弾け飛んでしまったかのような開放感と高揚感の中、下半身のあちこちで快感スパークが炸裂し、何度も何度もイキつづけました。

 気がつくと窓辺の床に、内股でへたり込んでいました。
 さっきから耳についているハアハアという荒い息遣いは、自分の口から出ているものでした。
 まだぼんやりとしている頭で、目前の窓辺を見ました。

 さっきまで私を翻弄しつづけていたロープは、窓辺から解かれたようで見当たりませんでした。
 カーテンもいつの間にか全部、閉じられていました。

 お尻に直に触れているジーンズがひんやりして気持ちいい、と思いながら顔を上げると、みなさまが私を取り囲むように見下ろしていました。

「あ、気がついたみたい」
「凄かったね。何回イッた?」
「声を一所懸命我慢していたのは、偉かったんじゃない」
「途中、明らかにこの窓を見上げている人影みつけたから、そっとカーテン閉めちゃったわよ」
 頭上から一斉にお声が降ってきました。

「いやあ、面白かった。直子って底無しのど淫乱だよね。何度も固唾呑んだから、おかげで喉が乾いて乾いて、お酒が進んじゃった」
「凄く気持ち良さそうにイッてたよね。またそのイキ顔がエロいんだ。ずっと視ていたい感じ」
「絵理奈っちもずいぶん貢献していたよね?イキそうなとき、鞭で洗濯バサミ払い落としたりして」

 そのお言葉にふと自分のバストを見ると、おっぱいを飾っていた4つの洗濯バサミは全部消え、代わりにまだらな赤い打擲痕。
 最後にほのかさまが挟んだ左下乳の噛まれ痕は、やっぱり内出血したようで、薄く紫色になっていました。
 ラビアの洗濯バサミも、激しい腰振りダンスでのロープとの摩擦と、溢れ出た愛液の潤みに耐えきれなかったようで、床に転がっていました。

「あのう、みなさん?とても盛り上がっているところ大変申し訳ないのですが、そろそろデザートをお持ちして、よろしいでしょうか?」
 とても言い辛そうなお顔で、おずおずとご提案されたメイド姿の松井さま。

「あら、もうそんな時間?」
 さーこママさまとお姉さまが同時に、同じお言葉をおっしゃいました。

「ママさん、ここって何時までだっけ?」
「普段はラストオーダー10時で、後は成り行きなのだけれど・・・」
 お姉さまのお尋ねに歯切れの悪いお返事の、さーこママさま。

「生憎、明日の昼、夜と貸し切りの大人数パーティが入っていて、今夜中にある程度仕込んでおかないと明日バタバタになりそうなのよ」
「だから、今日は10時くらいに締めて、いろいろやっておこうと思っていたから、ミャビちゃんたちのご予約も、9時半までってことにしちゃったの」

「こんなに愉しいショーが見れるなら、11時でも12時でも何時まででも騒いでいって、って言いたいところなのだけれど、明日があるのよねえ・・・」
 本当に申し訳無さそうな、さーこママさまのお顔。

「ううん。こんなに自由にさせてくれるお店って、そうそう無いから、あたしたちだってワガママ言えないわ。お店の営業第一だもの」
「今、9時ちょっと過ぎでしょ、さっさと切り替えて、デザートいただきながら直子のオナニーショーを時間まで愉しみましょう」
 お姉さまのお言葉に、お口をポカンと開けたビックリ顔になられた、さーこママさま。

「えっ、今あんなにイキまくったのに、まだそういうことするの?この子」
 私の顔をまじまじと見つめてくるさーこママさま。
 
「あたし、予定していたことは、極力実行したいタイプなんです。まだ30分もあるし、ちゃんと時間通りに終わらせますから、安心してください」
 さーこママさまに向けてお姉さまが、お仕事のときみたいな自信満々のお顔でおっしゃいました。

「それに、こうなってからの直子が凄いんだ。イキグセがついちゃうっていうか、ノンストップで何してもイキまくるの。みんなも視たいでしょ?そういう直子」
 お姉さまのお言葉に、うんうんと勢い良くうなずかれるみなさま。

「そういうことなら、わたしも下をさっさと片付けちゃって、また見物させてもらおうっと。さあ松井ちゃん、みなさんのデザートの準備、超特急でしちゃいましょう」
 松井さまと連れ立って階下へ下りられようと階段方向に向かいかけた、さーこママさま。
 ふと立ち止まって振り向かれました。

「今夜のデザートはイタリア仕込みの特製ピスタチオジェラートなの。ゆっくり味わって欲しいから、特別に10時まで延長してあげる」
 パチンとウインクされたさーこママさまに、ワーッと歓声をあげるみなさま。

「ママさんもああ言ってくださったから、ご迷惑をおかけしないよう、すぐお開きに出来る準備もしつつ、愉しみましょう」
 お姉さまの号令で、空いたグラスなどをテキパキと片付け始めるみなさま。

「直子のステージは・・・ここがいいわね」
 お料理が並んでいたダイニングテーブルのうち階段側のテーブルは、すでに綺麗に片付けられて何も乗っていませんでした。
「汚しちゃ悪いからここにタオルを敷いて、その上に直子」
 バッグから白いバスタオルを引っ張り出し、手早くテーブルに敷き始めるお姉さま。

「ほら、直子も早く立ち上がって、着ているもの全部脱ぎなさい。首輪以外全部」
 お姉さまの有無を言わせないご命令口調に、あわてて立ち上がろうと腰を浮かせます。

 お尻の下になっていたジーンズ地から剥き出しのお尻が離れたとき、ジーンズ全体がまるでお漏らしでもしちゃったみたいに、グショグショに湿っていることに、あらためて気がつきました。


三人のミストレス 11


2017年7月2日

三人のミストレス 09

「二代目のアユミちゃんは、ずいぶんと見せたがり度がパワーアップしちゃったみたいね」
 人懐っこい笑顔を浮かべたさーこママさまが階段を上がり終え、ゆっくりと私たちのほうに近づいてこられます。

「それに、ずいぶんとマニアックなお仕置き?をさせられているじゃない」
 さーこママさまのお姿を見て、あわててテーブル上の空いたグラスやお皿のお片付けを始められる松井さま。

「ああ、ママさん。ひょっとして階下から、うるさい、って苦情出ちゃった?」
 雅さまが指で洗濯バサミのお口をパクパクさせながら、おもねるような笑顔でさーこママさまにお尋ねになりました。

「ううん。階下にはここの物音、そんなに聞こえてこないわよ。客足が一段落したから、みなさんの様子を見に来ただけ」
 さーこママさまが縄の食い込んだ私の股間にジーっと視線を張り付けつつ、ざっくばらんな口調で雅さまにお答えされました。

「金曜日はデートとか、カップルのお客さんが多いから、みんな自分たちだけの世界で盛り上がっていらっしゃるのよ」
 雅さまが差し出されたグラスを受け取り、白ワインをクイッと一口飲まれました。

「そうそう、さっきパチンパチンて手拍子みたいな音が聞こえたとき、カウンターに座ったOL三人組の常連さんが、なんだか今日二階、賑やかですね、なんて聞いてきたけれど」
「上は貸し切りで、何かおめでたいパーティみたいよ、って答えておいたわ・・・それの音だったのね」
 絵理奈さまが持たれているバラ鞭を指さされる、さーこママさま。

「うふふ。まさか彼女たちも、自分たちが飲んでいる同じ店の二階で、女の子が裸同然の格好になって、プッシーにロープを食い込ませて鞭打たれているなんて、思ってもみないでしょうね」
 さーこママさまのご愉快そうなお声に、みなさまの警戒心も一気に緩んだようで、場の雰囲気もリラックスした雑談ムードに戻りました。

「それにしてもあなた、大胆ね。よく、いつ誰が来るかもしれないこんなところで、そんなあられもない格好になれるわね?」
 さーこママさまのお問い掛けにお答えしようと思っても、舌に木製洗濯バサミをふたつ挟まれているので、ちゃんと言葉を発することが出来ません。

 もっとも口が利けたとしても、何てお答えすればいいのかわかりませんが。
 ちなみに今、私のからだに残っている洗濯バサミは、舌のふたつの他に、左右の乳首にひとつづつ、それとラビア左右にふたつづつの合計8個です。

「アユミちゃんのときは、せいぜい脱いでも下着姿までだったわよね?ここでファッションショー始めちゃって、知らないお客さんの前でも構わず生着替えしちゃって。もう2年前くらい?」
 さーこママさまがどなたに問うでもないご様子で、お話を振りました。

「あのときも二階だったけれど、貸し切りではなかったのよね。確かアユミのイメビ撮影にスタイリングやら雑用でみんなで付き添った帰りだったわ。確か季節もちょうど今くらいじゃなかったかしら」
 綾音さまが思い出されるように宙空に視線を漂わせ、おっしゃいました。

「そうそう。テンション上がっちゃったアユミが周り女性客ばかりなのをいいことに、撮影に使ったドレスとかランジェリーとか引っ張り出しちゃって」
 お姉さまもお懐かしそうに相槌を打たれます。

「あれ、ファッションショーって言うより、ほとんどストリップショーでしたよね。別のお客さんたちもノリ良くて、ちょっかい出しながらキャーキャー盛り上がってましたっけ」
 あ、里美さまもアユミさまのことをご存知で、その場に参加されているんだ。

「あのときは、ママもかなり酔っ払って絶好調だったから忘れちゃってるみたいだけど、アユミ、しっかり下着、脱いでたよ」
 雅さまが可笑しそうに異議を唱えました。

「下着姿のアユミをみんなで寄って集って弄ってその気にさせちゃった後、もっともっと、っておねだりするアユミに、それならお店のお手伝いしなさい、って命令したら」
 雅さまが私の顔を見つめつつ、つづけます。

「アユミったらサッと立ち上がって、傍らにあった銀盆持って、空いたお料理のお皿とか片付け始めたじゃん。ブラのホックが外れてて床に落ちたのも気にしないで、トップレスなのに、いかにも、出来るウェイトレス、気取りで」

「唯一穿いていた下着だって、ギリギリはみ出ちゃいそうな紐Tバックだったし」
「それで、そのまま銀盆持って階段を下りようとしたから、みんなであわてて止めたじゃん」
 雅さまのご説明に、大きくうなずかれたさーこママさま。

「ああ、思い出したっ。それでその後、二階のお客さんにだけ、その格好のままサーヴしてもらったんだっけ」
 雅さまからおかわりのワインを注いでもらいながら、懐かしむようなさーこママさまのお顔。

「シュールな光景だったわよね。着飾ったお客さんたちがテーブルを囲む中、ほとんど裸で歩き回るウェイトレスのアユミちゃん」
「なんだか外国映画のいかがわしいカジノの一場面みたい、って思ったのを思い出した。綺麗だったわよねぇ、アユミちゃんのおっぱい」
 おっしゃってから私の上半身に目線を移す、さーこママさま。

「あ、あなたのおっぱいも、もちろん、とっても魅力的よ」
 少しあわてたようにお言葉を繋げられたさーこママさまが、ジーっと私のバストを凝視してきます。
 そのはしたなく尖った頂点に、ふたつの木製洗濯バサミが噛み付いている、私の剥き出しおっぱい。

「直子ちゃん?でしたっけ。あなたはアユミちゃんとはまた別のタイプの、見せたがりやさんのようね?」
 ずり下げられたジーンズ、お腹に絡まるチュニック、はだけたボレロと視線が動き、再び洗濯バサミをぶら下げたおっぱいへと戻りました。

「アユミちゃんみたいに、私のセクシーなからだ視て、的な、開放的なお色気タイプじゃなくて、何て言うか、ねっとりしたえっちな羞じらいが素肌から滲み出ている感じ」
「それに、バストならともかく、プッシーまでこんなところで丸出しに出来ちゃう、ある意味の度胸は、たいしたものだわ」

「この子は、筋金入りのマゾヒストですからね。辱められれば辱められるほど快感が膨らんじゃう、どうしようもないヘンタイ社員なんです」
 お姉さまが冷たく言い放ち、ウンウンとうなずかれるみなさま。

「なるほどね、その首輪や洗濯バサミ見れば、虐められポジションなのは一目瞭然よね。さっきのオフィスでの裸マネキンごっこも、どうせこの人たちが面白がってやらされていたのでしょ?」

「違うよママ。全裸とかキワドイ格好とかは、ヘンタイナオちゃんだけに許されたオフィスでの制服なの。つまり、ママさんが視たナオちゃんの姿が、普段の我が社でのマゾっ娘ナオちゃんの普通の姿なんだよ」
 雅さまのわかったようなわからないようなご説明に、あははと大笑いされる酔っ払いのみなさま。

「あなたがアユミさん二代目って聞いて、でもなんとなくモデルさんぽくはないな、と思ったのよ。どちらかと言えば同じような背格好の・・・」
 おっしゃりながら私の横に立たれている絵理奈さまに視線を移動されたさーこママさま。
「こちらのゲストさんのほうが、モデルさんぽいオーラをお持ちよね」

「さすがママさん!人を見る目も確かだよね。こちらは絵理奈さんといって、まさにプロのファッションモデルなんですよ、うちともお仕事している」
 雅さまが営業のお仕事のときのようなお芝居口調で、さーこママさまを持ち上げられます。

「絵理奈さんとうちの直子のあいだで先月、とある一悶着がありまして、それで今日、絵理奈さんに思う存分、直子を虐めてもらおう、っていう会をセッティングしたんです」
 なんだか誤解されまくりそうなご説明で、お話をまとめにかかるお姉さま。

「そんな経緯だったの。だから絵理奈さんが鞭をお持ちになっているのね」
 おそらく誤解されたまま、ご納得顔のさーこママさま。

「ごめんなさいね、わたしがしゃしゃり出てきて、愉しいお仕置きを中断させてしまったみたいね。どうぞそのままおつづけになって」
 さーこママさまが絵理奈さまに向けてニッコリ微笑まれた後、お姉さまに視線を戻されました。

「わたしも見物させてもらっていいかしら?こういうの、キライじゃないのよ、ボンデージとかエスエムとか」
「どうぞどうぞ、ごゆっくり愉しんでください。見慣れたスタッフ以外のゲストの視線が多いほど、露出狂直子は悦んで、普段以上に濡らすはずですから」
 おっしゃりながら傍らの椅子をさーこママさまに勧められるお姉さま。

「そういうことなら松井ちゃんも、空いたお皿リフトに乗せたら、こっちにいらっしゃい。一緒に見物させてもらいなさいな。こういうの、めったに見れないから後学のために」
「あ、はいっ!」
 おやさしいさーこママさまのお言葉に、嬉しそうな松井さまのお返事。

「そう言えば、今までに下のお客様で、そこのおトイレを使ったかた、いらっしゃったのですか?」
 ほのかさまが、ふと気づいた、みたいに、さーこママさまにお尋ねになりました。

「たまほのちゃんのご質問は、今まで誰かが二階に上がってきたのか?っていう意味よね?」
「ああ、なるほど。誰か下のお客さんがトイレに上がってきて、この直子ちゃんを視ちゃったら、ひと騒動起こるんじゃないか、っていうことね?」
 
 おっしゃってから、さーこママさまは、しばし顎を少し上げて考えるポーズ。

「何人か上がったように思うけれど、戻ってきたときに驚いたり騒いでいたお客さんはいなかったわね」
 さーこママさまのお答えに、ホッとする私。

「でも、今いるお客さんは常連ばかりだし、下ネタも嫌いじゃない人ばかりだから、喜んでノッてきて、見物に加わると思うわよ」
 さーこママさまの屈託ない笑顔。

 階段を上がりきってすぐ左に折れればおトイレ、右へ一歩踏み出して柱の陰から覗き込むと、このお部屋が見渡せます。
 そのお部屋のほぼ中央で、両脚のあいだにロープを食い込ませ、窓辺に向かって後ろ手錠で立ち尽くしている私。

 周りをみなさまが取り囲んではいるものの、ロープと手錠と剥き出しのお尻とで、一見して異様な雰囲気には気づいちゃうことでしょう。
 見物人が増えるということは、それだけこの界隈、私の生活圏で私のヘンタイ性癖をご存知な人物が増え、日常生活で遭遇しちゃう確率も増えるということ・・・
 どうかこの綱渡りが終わるまで、どなたもおトイレに来られませんように、とお祈りせずにはいられません。
 
 散らばっていたみなさまの視線が、再び私に集中していました。

 私は、ライトグリーンの小山がちんまり乗った結び目のコブの前で、おあずけを食らっていました。
 イキ果てる寸前にまで昂ぶっていた全身の官能は、おあずけのあいだに幾分鎮まっていました。
 でも、みなさまの視線が自分に戻り、目前のコブを通過しなくてはいけない、と思った途端、尿意にも似た疼きが下半身から全身へ、ジワジワ広がり始めます。

「それじゃあ再開するわ。まだロープ半分しか来てないわよ?ママさんも松井さんもお仕事中断してわざわざ視てくださっているのだから、がんばりなさいっ!」
 最後の、なさいっ!、という絵理奈さまの励ましとともに、バラ鞭が左の尻たぶに思い切りよく振り下ろされました。

 パシンッ!
 強烈な一発。
 絵理奈さまも待ちくたびれてうずうずされていたのでしょう、以前にも増してノリノリなドSっぷり。

「ひゃぅっ!」
 洗濯バサミのおかげで機能しない口腔の代わりに、喉の奥から吐息だけでお返事し、鞭を入れられた競馬のお馬さんのように、右足を大きく踏み出します。
 食い込みっ放しのロープがラビアを擦りつつ、大きく出っ張ったコブがまず恥丘を撫で上げます。

「あの縄の上の緑色のは、なあに?」
 さーこママさまのお声。
「うふふ、ワサビです。ワタシのアイデア」
 雅さまのお答え。

「あらあらー、プッシーにワサビまで、なすりつけちゃうんだ?悪いけどうちのは長野産天然モノだから、相当効くわよー」
 呆れたようなお声のさーこママさま。

 恥丘を撫ぜ擦りワサビをなすり付けてくるコブは、すぐに腫れ上がったクリトリスを潰し、洗濯バサミを揺すりながらラビアを抉じ開け、膣口の粘膜の中へと潜り込みました。

「ちょっとそこでストップ」
 絵理奈さまがバラ鞭で軽くお尻を叩いてのご命令。
 ちょうどコブが膣内にめり込んでいる状態のときでした。

「そこで腰を前後に10回振りなさい。結び目にあなたのいやらしいマゾマンコを擦り付ける感じでね。前、後、で一回よ」
 実際に絵理奈さまが、腰を前に突き出し、すかさず今度はお尻を後ろに突き出し、の動作をやってみせてくださいました。

「うわー、絵理奈っちの腰使い、卑猥ぃ」
 すかさずまぜかえすリンコさま。
 みなさまの笑い声。

「ワサビの付いた結び目に来たら、必ずこのダンスを10回くりかえすこと。ロープとワサビの陵辱をたっぷり下の口で味わいなさい」
 完全にエスモードに入られた絵理奈さま、リンコさまのおちゃらけにもまったく動じません。

「ただし、イクのは禁止ね。いくら気持ち良くてもがまんしなさい。イキそうになったらわたしに言いなさい。思いっきり鞭をくれてあげるから」
 
 そうおっしゃった絵理奈さまを頼もしげに見て、ニンマリとお顔を緩めて私を窺い見るお姉さま。
 相変わらず冷静にビデオカメラのレンズを向けつづけているミサさま。
 綾音さまも絵理奈さまのお見事な女王様ぶりに、ご満悦そうに目を細めていらっしゃいます。

「ほら、やりなさい」
 パシンとお尻に鞭をいただき、ぎこちなく腰を振り始めます。

 コブと縄の凸凹が両腿付け根の裂けめを満遍なく陵辱してきます。
 自分の溢れるばかりのおツユで、ゴツゴツザラザラなはずなのに、なめらかに滑るコブの、その乱暴な摩擦が気持ちいい。
 ロープと愛液と粘膜とが奏でる、クチュクチュクチュという卑猥な摩擦音が聞こえています。

 ワサビの洗礼は、擦り付けた当初はさして何も感じなかったのですが、腰を振ってコブを味わっているうちにジンジンと感じてきました。
 無数の細かい針に刺されたような、痛みと痒さがごちゃまぜになったようなもどかしい刺激が、クリトリスとラビアと粘膜から、やがて腰全体へとせり上がってきました。

 熱いような冷たいような、スースーするお薬を塗ったときみたいだけれど、それより何倍も強くてフクザツにヒリヒリする刺激。
 口から食べたとき鼻の奥にツーンと抜けていく、あの涙が滲んじゃうような痛みに似た刺激が、粘膜全体に行き渡る感じ。
 マゾマンコが奥から熱く疼き、どんどん高まってしまいます。

「みるみるうちにエロい顔になっていくわね」
「腰の振り方、どんどん早くなってない?まさしく、サカっちゃっているケモノね」
「あのまま放っといたら、勝手にイッちゃうんじゃない?」
 頭の中が白くなってきて、もはやどなたのお声かも聞き分けられません。

「いつまで腰振っているのよっ!」
 パシンッとお尻を鞭打たれ、一気に目の前が真っ白に。
「んーっ!!・・・んふぅ、ふぅ、ふぁー、ふぅーん・・・」
 内緒ですけれど、小さくイッちゃいました。

「腰振りダンスは10回でいいって言ったでしょ?さっさと進みなさい」
 絵理奈さまから、急き立てるようにお尻にバラ鞭を振るわれます。
「まさか、イッちゃったりしてないでしょうね?」
 よろよろ歩を進めながら、ブンブン左右に首を振る私。
 顎を汚しているヨダレが小さく飛び散ります。

 何も乗せていないコブをひとつ超え、次のワサビ付きコブへ。
 ワサビの刺激は長続きはしないようで、最初の腰振りの途中で消えていました。
 それを自覚した途端、より強いワサビの刺激を欲している自分がいました。

 次のコブには、さっきよりたくさんワサビが乗っています。
 まさに悦び勇んで、という感じで浅ましくその上に跨り、鞭をいただく前に腰を動かし始めていました。
「んふぅー、んっ、んっ、んーーっ・・・」

「直子のオマンコ、愛液、ダラダラー」
「それも白く濁ってネットリしてて、完全に本気汁になっちゃったね」
「直子が跨ってきたロープが、ナメクジの這った痕みたいにヌラヌラ光ってる」
「えっちなおツユでお店の床を汚さないように、っていう配慮で、あんなふうにジーパンを半脱ぎにさせて床まで垂れないようにしてくれたのね?さすが、ミャビちゃんの会社って気配り上手じゃない」

 最後に聞こえてきたのは、さーこママさまのお言葉でしょう。
 でもそんなことは、もうどうでもよくなっていました。
 私はグングン高まり、自分の腰の動きを止められません。

 そんなふうにして、内緒で小さくイッては、絵理奈さまの鞭で腰振りを止められながらよたよたとロープを進み、やがて、吊り下げられたロールパンまであと1メートルくらいのところまでたどり着きました。

 目前の大きな素通しガラス窓からは、街路を照らす外灯の光と、眼下の夜道を行く人影が肉眼でも判別出来るくらいに見えていました。
 夜になってガラス窓は、明るい室内を映し出す鏡のようにもなっています。
 私の正面の窓ガラスに、今の私の姿が映り込んていました。

 赤い首輪にはだけた胸元、剥き出しのおっぱい。
 膝までずり下げたジーンズで丸出しの下腹部。
 乳首とラビアに揺れる洗濯バサミ、無毛な陰裂に食い込んだ麻縄のコブ。
 舌にも洗濯バサミを挟まれ半開き、よだれまみれの口元。
 なのに、悦楽に酔い痴れたように眉間に深くシワを寄せた、淫らな煩悶顔

 お洒落なレストランの窓辺で性的な見世物にされ、イキ果てる寸前まで欲情している淫猥マゾ女の姿。

 その姿はお外の夜陰からも、まるでスポットライトに照らし出されるようにハッキリと見えてしまっていることでしょう。


三人のミストレス 10


2017年6月25日

三人のミストレス 08

「うんとね、部屋の端から端までにロープをピンと張るの。腰の高さくらいに」
 雅さまのご説明に、ああ、やっぱり、と思う私。

「ロープにはところどころに結び目でコブを作っておいて、ドレイにそのロープを跨がせて、歩かせるっていうアソビ」
「ネットだと、股綱渡り、とか、コブ縄渡り、とか呼んでいたね」

 雅さまのお言葉にすぐご反応されたのは、リンコさま。
「知ってる知ってる。アタシも見たことあるよ。あれ、エロいよね、縄がラビアに食い込んじゃって」
「はい。すごく痛そうでした。わたしには絶対無理だなーって・・・」
 ほのかさまが、心配そうに私を見ました。

「でもまあ、この直子なら、悦んでやってくれそうじゃない?」
 里美さまがイジワルっぽく私を見ました。
「直子は経験、あるの?そのいやらしい綱渡りアソビ」

「あ、はい・・・あります・・・」
 私が答えると、おおっ、と、どよめくみなさま。

「さすがチーフ。もう大抵のことはやらせちゃってるんだ?」
 お姉さまに向けて雅さまが、からかうようにおっしゃいました。

「えっ!?あたしはそれ、直子にやらせたことないわよ。そういうアソビがあるのは知っていたけれど」
 お姉さまが呆れたように私を見ます。
「あたしと逢う前に、すでに誰かさんから仕込まれちゃっていたんでしょうよ」
 皮肉っぽい口調で、突き放すようにおっしゃったお姉さまに、罪悪感がズキン。

 でもあれ?このこと、お姉さまにお話していなかったっけ?
 思い出せないけれど、お姉さまは、この場を盛り上げるために、わざと知らなかったふうのお芝居をされているようにも見えました。

「あーあ、大変だ。お姉さまが妬いちゃってるよ?いつ、誰にやらされたのか、全部正直におっしゃい」
 雅さまが冷やかすように笑いながらおっしゃいました。

「あ、はい・・・地元にいた頃に、バレエの先生のお家で・・・」
「へー。そのとき、ナオちゃん、いくつ?」
「高校、二年、でした・・・」
 えええーっ!?と、どよめくみなさま。

「そんな歳でもう?筋金入りのベテランマゾじゃん」
「直子のバレエの先生って、チーフが言っていた二丁目のバーのママさんだっけ」
「だけどワタシらだって高校の頃、アユミにエロい格好させたり、紐で縛ったりはしていたわよね」
「でも、股綱渡り、なんていうお下劣なプレイの知識は持っていなかったわよ」

 ワイワイガヤガヤ、口々にかまびすしいみなさま。
 私のマゾ遍歴に関しても、お姉さまからお聞きになっていたのでしょう、みなさまお詳しいご様子です。
 ざわめきが一段落して、ほのかさまが真面目なお顔で尋ねてきました。

「あんなことして痛くないの?なんて言うか、アソコが擦れちゃうのでしょ?」
 ご心配三割、好奇心七割という感じのお顔。
「あ、はい。あの、ぬ、濡れていますから、痛みのほうは、そんなに・・・」

「でもロープに擦れたら、水分もロープに拭き取られると言うか、吸い取られてしまうのではなくて?」
 好奇心九割くらいまでに増した、ほのかさまの興味津々で無邪気なお言葉責め。

「あ、いえ、私は後から後から溢れちゃうタイプですし、擦れる感触も気持ちいいんです・・・そういうことが好きな、マゾですから・・・」
 ほのかさまにお答えしているあいだに、お姉さまがバッグから麻縄を取り出されていました。

「ロープは2本入ってたわ。繋げたらかなり長くなりそうね」
 お姉さまがお持ちになった私の麻縄に群がるみなさま。

「うわー。本当に年季が入ってる。ツヤツヤ黒光りしているじゃない」
「麻縄の、埃っぽいって言うか油っぽい匂いって、官能を揺さぶるような、なんだかゾクゾクする匂いよね」
「よく見ると黒ずみ具合が、まだらになっているのがなんだか生々しい」
「黒ずみが濃い部分に、とくに直子のいやらしいおツユと臭いが染み込んでいるってわけよね」
 ロープを手にして、口々にあけすけなご感想をぶつけてくるみなさま。

「ロープの端は、あそこの窓の鍵の部分に引っ掛ければいいわね」
 お姉さまが公園側の大きな窓ガラスを指さされました。
 把手の付いたクレセント式鍵の高さは、私のおへそくらい。
 あの高さからロープをピンと張られたら、どれだけラビアに食い込んじゃうことか・・・

「もう一方の端は、と・・・」
 グルっと室内を見渡すお姉さま。
「あそこがいいか」
 ガラス窓とちょうど真向かいな位置の壁際に置いてある、スチール製のブックシェルフを指さされました。

「あれの外枠に結びつければいいでしょう。頑丈そうだし、本がぎっしり詰まっているから倒れるようなこともないでしょうし」
「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと耐震性のストッパーも付けているはずですから」
 お姉さまのお言葉に、すかさず太鼓判を押される松井さま。

 ロープを手にされたリンコさまが窓際に近づかれ、窓の鍵部分にロープを軽く結んだ後、スーッと伸ばしながら対面の壁際ブックシェルへ。
「大丈夫そうですね。2本結べばラクショーで届きます」

 距離にしてだいたい7、8メートル。
 お料理が置かれたふたつのダイニングテーブルのあいだを麻縄が走る形になるようです。

「あっちの壁際から始めれば、直子はどんどん窓際に近づいていくことになるじゃない?」
 お姉さまがイタズラっ子な笑顔でみなさまにおっしゃいます。

「外も暗くなったし、今、外からあの窓辺を見たら、この部屋の灯りが煌々と目立っているはずよね」
「そんな中を直子がこの格好で、股間のロープに身悶えしながら窓辺に近づいていくってわけ。見せたがり露出狂な直子には、ご褒美と言っていいくらい、うってつけの余興だと思わない?」

「外で運良くあの窓を見上げる人がいるといいわね?」
 最後のお言葉だけ私に向け、ニンマリと微笑まれるお姉さま。

「結び目って、どのくらいの間隔で作ったらいいんでしょうか?」
 リンコさまが持ち帰られたロープを手にされたほのかさまが、お姉さまに尋ねました。
「そんなの適当でいいよ。でもまあ、ナオちゃんだから多ければ多いほどいいんじゃないかな」
 お姉さまのお返事を待たずに、雅さまが愉しそうにお答えされました。

 ロープの片方の端にほのかさま、もう片方にリンコさまが取り付いて、せっせとロープに結び目のコブを作っていきます。
 おふたりともノリノリなご様子。
 やがて、結び目のコブだらけな麻縄が出来上がりました。

 リンコさまが回収され、ロープの片方の端、丸く輪っかに結ばれた部分をまず、窓ガラスの鍵の把手にひっかけました。
「直子、ちょっとこっちに来て」
 リンコさまに呼ばれ、リンコさまを追う私。

「ここに立ってみて」
 ブックシェルフの鉄柱の脇に立たされた私の、剥き出しな股間の高さを見定めるリンコさま。
「うーんと、このへんかな?」
 リンコさまがロープを柱に結びつけようとすると、お姉さまから、待った、がかかりました。

「まだ結ばないでいいわ。もっと直子が嫌がりそうなこと、思いついたから」
「直子が嫌がる、っていうことはつまり、悦ぶとイコールなんだけどね」
 お姉さまのお言葉でリンコさまは、私の股間のちょっと上くらいに割り箸の袋を結んで目印を付けました。
「下準備おーけーです」
 嬉しそうにお姉さまにご報告されるリンコさま。

「今日の集まりは、そもそもゲストの絵理奈さんとしほりさんに、うちの直子を虐めてもらって愉しんでもらう趣向だったじゃない?」
 お姉さまの弾んだお声。

「このバッグの中に面白いものがけっこう入っているからさ、それをゲストのみなさんにも活用してもらって、より愉しんでもらおうと思ってさ」
「こういう余興って、やっぱり、飴と鞭、がお約束じゃない。そこは押さえておかないと」
 お姉さまがバッグの中から、何やら取り出し始めます。

「まずは、飴、のほう、直子のクリア条件。これが今、直子の両手にかかっている手錠の鍵。誰か裁縫用の糸、持ってない?」
 ほのかさまがご自分の携帯お裁縫セットから取り出した糸を差し出すと、お姉さまは小さな鍵に糸を結びつけられました。
 それからテーブルの上にあった小ぶりのロールパンをひとつ、手に取ります。

「鍵はこのパンに詰め込んでゴールにぶら下げておくわ。直子が無事このパンを咥え込んであたしの元に持ってこれたら、その手錠を外してあげる」
「手錠が外れたら、好きなだけ、この場でオナニーすること許してあげる。直子、今イキたくって仕方ないのではなくて?」

 それがお姉さまから私への、飴、ですか・・・
 となると、鞭、のほうは、もっと非道いこと?
 飴と鞭、いずれにせよ、私は今夜ここで自慰行為をみなさまにご披露しなければいけないみたいです。

 柔らかいロールパンに押し込まれた鍵に繋がった白い糸が、パンの生地から垂れ下がっています。
 そのパンを手渡されたリンコさまが窓辺へ走り、カーテンレールに糸をくぐらせてパンをぶら下げました。

「でも、ただ股縄渡りしてパンを咥えるだけじゃ面白くないから、鞭のほうを絵理奈さんたちにやってもらうの」
 おっしゃりながら取り出されたのは、文字通り小さめなバラ鞭でした。

「時間制限を設けて、その時間内にパンを咥えられなかったら、またスタートからやり直し。絵理奈さんたちは、この鞭で直子を嬲って妨害していいの」
 お姉さまがその場で、バラ鞭を勢い良く振りました。
 空気を切り裂くヒュンッという音に、背筋がゾクゾクっ。

「いいなー。ワタシにもナオちゃんの妨害係、やらせてよ。ワタシだってちゃんと本格的にナオちゃん虐めるの、初めてなんだからさ」
 雅さまが不満げにおっしゃると、ニコニコうなずかれたお姉さま。

「そうだったわね。もちろん雅もいいわよ。あ、ついでに松井ちゃん、あなたも、ね?あなたも今日のゲストだから」
「え、いいんですか?それじゃあ、お言葉に甘えて」
 雅さまも、松井さままでノリノリです。

「直子、こっちに来なさい」
 お姉さまに呼ばれ、正面へと歩を進めました。

 私の真正面に立たれたお姉さまの両手が私の下半身に伸び、ジーンズをズルリと両膝小僧の辺りまで引き下げられました。
「あっ、いやんっ」
 さっき絵理奈さまの手で前ボタンを外されて少しずり下げられ、中途半端に露出していた私のマゾマンコが、完全に外気に晒される格好になりました。

「完全に脱がすかどうか迷っていたのだけれど、このほうがだらしなくて、より直子らしいでしょう?」
 お姉さまの右手が、私の剥き出しマゾマンコを直にペロンと撫で上げました。
「はうっ!」
 お姉さまの掌が腫れ上がった肉芽に当たり、おもわずはしたない声が。

「中途半端な脱ぎかけだと、歩幅も窮屈になるし、歩きにくくて足枷みたいでしょ?マゾでヘンタイな直子にお似合いよ」
 完全にエスな瞳のお姉さまが蔑むようにつづけました。

「それに今、ヘンな大声出したけれど、さっきも言ったでしょう?いやらしいヨガリ声は下のお客様まで筒抜けだって」
 おっしゃりながらもう一度私のマゾマンコを右手で覆い、人差し指と中指を挿し込んでくるお姉さま。
「ぁう・・・ふ、ふぁい、ごめんなさいぃ」
 快感に震えながらも努めて小声でお許しを乞う私。

「おおっ、さすがチーフ。直子の扱い、熟れている感じ」
「ほんと、すごくSMの女王様ぽい。こんなのワタシの知ってるエミと違う」
「あら、学生時代からエミリーは怒ると怖かったわよ。静かに怒るから尚更なのよね」
 みなさまにからかわれるお姉さま。

 私のマゾマンコから離した右手を傍らのおしぼりでクールに拭ったお姉さまは、無言で壁際のブックシェルフのほうへ向かわれました。
「ほら、直子もこっちに来なさい」
 冷たいお声で呼ばれ、ヨタヨタと急ぐ私。
 膝まで下ろされたジーンズに絡め取られる両脚は、予想以上の歩きにくさでした。

「ここに立って」
 先ほどリンコさまが目印を付けられたブックシェルフの前に立たされました。
 リンコさまが持っていたロープの端をジーンズと股間のあいだの空間に通されます。
 股間をくぐって私の背後にお顔を出したロープの端が、リンコさまが付けた目印のところに結び付けられました。

「ぁはぁ・・・」
 股間の亀裂に縄が接触する感触で、いやらしい声が出そうになり、あわてて口をつぐみました。
 みなさまがグラス片手に私のところへゾロゾロと集まってきました。

 スタート地点の縄の高さは、私がつま先立ちするとやっと触れないぐらい。
 そこから、お外が丸見えな窓ガラスまで、緩やかな上昇線が繋がっています。
 
 張られたロープには、これでもかというくらい結び目のコブ部分が連なり、その果てにぶら下がっているロールパン。
 そのロールパン手前のロープは、私のおへそくらいの高さにあり、卑猥なコブが密集していました。

「ルールは簡単。直子はこの股縄を辿って向こうの端まで行き、あのパンを咥えられたら終わり」
 お姉さまがみなさまに向けてご説明されます。

「ただし、歩くときにはこの本を頭の上に乗せて、落とさないように歩くこと。落としたらペナルティ」
 ブックシェルフから抜き出したらしい薄手の女性週刊誌を、私の頭に乗せるお姉さま。

「落としたら、この洗濯バサミをひとつ、からだのどこかに挟むこと。直子はどこを挟んで欲しいか、ちゃんと言うのよ?」
「あ、はい・・・」
 バッグから取り出した、木製の洗濯ばさみがぎっしり詰まった巾着袋は、しほりさまに手渡されました。

「絵理奈さんたち妨害組は、歩いて行く直子に何をしてもおーけー。鞭を使ったり素手でお尻ひっぱたいたり。、ロープを揺するとか食い込ませるとか」
「もちろん鞭で、ペナルティの洗濯バサミをはたき落としてもいいわ」
 お姉さまのお言葉に、絵理奈さまの瞳がスッと細くなりました。

「直子は頭の雑誌を落とさないように、ひたすら前に進むだけ。はしたない声張り上げちゃって見物人が増えちゃっても、それは自己責任だからね」
「は、はい・・・」
 お姉さまのお話をお聞きしているだけで、ロープに密着した粘膜がキュンキュン疼き、粘液がトロトロと膝のジーンズの股布へと垂れ下がっていました。

「あ、そうだ!この展開で、ワタシいいこと思い出しちゃった」
 雅さまが嬉しそうなお声をあげ、お料理テーブルに向かわれました。

「昔、飲み会の席でアユミにイタズラしたことあったでしょ。すごい効き目で超面白かったの、憶えてない?」
 戻ってこられた雅さまの右手には、小皿にこんもりと盛られたライトグリーンの生ワサビ。

 お刺身用の薬味から拝借されたのでしょう。
 そして、おそらくすごく良いワサビなのでしょう、先ほどお刺身をいただいたとき、頭にツーンと抜けていったその強烈な刺激を私も覚えていました。

「酔っ払ったアユミを羽交い締めにしてさ、クリちゃんにちょこっと塗ったら、なんとも悩ましい顔になっちゃって、連れて帰るの大変だったじゃん?」
「ああ、そんなことあったわね。あのときはずっと、わたくしがアユミのお相手をしてあげたのだったわ」
 綾音さまが懐かしそうにお顔をほころばせました。

「ということで・・・」
 ロープの半分くらいにあるコブにワサビをちょこんと盛り付ける雅さま。
 そこからコブひとつ置きくらいにちゃんちょんちょん。
 ロールパン手前の窓際のコブには、残ったワサビがこんもりと盛られました。

「ナオちゃんは、クリちゃんへのワサビ責め、されたことある?」
「あ、えっと・・・それは・・・」
 お姉さまのお顔をじっと見つめる私。

「ああ、いつだったかお寿司屋さんで食事した後、オナニー用にお店で余ったワサビを直子に渡したことがあったわね。確か連休の頃だっけ?」
「なーんだ。すでにエミつん女王様から調教済みなんだ」
 雅さまががっかり気味におっしゃいました。

「ううん。そのときは時間が無くて、それで直子にオナニーするように言い渡しただけ。実際に目の前で見たわけではないのよ」
「そんなことをしたのは、あたしもあの日のアユミのワサビ事件、強烈に記憶に残っていたせいかもね」
 お姉さまが雅さまに言い訳するようにおっしゃいました。

「あたしが直子から聞いた事後報告によると、なんだかすっごく気持ち良かったらしいわよ。今日はそのサマをみんなでじっくり、見物しましょう」
 私を蔑すむように見遣りながら、なんともイジワルなお顔で微笑まれたお姉さま。

「じゃあ始めましょうか、一発目でミッションクリアされちゃったらつまらないから、最初の時間制限は30秒ね」
「あ、それならわたしがタイムキーパー、やります」
 お姉さまのお声に逸早くご反応された里美さまが、ご自分の腕時計を外されました。

「それじゃあ、いきますよ」
 里美さまの号令で、頭の上に雑誌が乗せられました。
「よーい、スタートっ!」

 雑誌を落とさないようにバランスを取りつつ、慎重に一歩踏み出します。
 濡れそぼった股間を滑る麻縄のザラついた感触。
 次の一歩でもうすぐそこの、イジワルな結び目にたどりつきます。

 目前には、どんどん高くなっていくロープと無数のコブ。
 真ん中へんから向こうのコブたちは、ところどころライトグリーンのお帽子をかぶっています。
 まっすぐ固定した視線の先に遠く揺れる、おそらく公園を照らしている、いくつかの外灯の光。

 短か過ぎる丈で覆いきれないボレロの布地から、ほとんど零れ出ている生おっぱい。
 無意味にお腹部分だけを隠している、かつてはチュニックだった白い布地。
 おへそ下から膝まで剥き出しの下腹部。
 女性なら隠すべき恥ずかしい部分すべてをさらけ出した姿で、窓際まで歩いていかなければなりません。

 首輪に繋がったリードを嬉しそうに、しほりさまが引っ張ってきます。
 松井さまは、信じられない、という面持ちで私の顔と、縄の食い込んだ股間を交互に見つめています。
 雅さまは嬉しそうに、ロープを掴んで揺すっています。
 ミサさまがさも当然のことのように、ビデオカメラのレンズをこちらに向けています。

 二歩目を踏み出し、腫れたクリトリスにコブのゴツゴツがなすりつけられたとき、お尻に軽い痛みが走りました。
 ピシャッ!、あぁんっ!バタンっ!
 背後におられた絵理奈さまからのバラ鞭の刺激で、頭の上の雑誌が床に落ちました。

「あーあ。ペナルティだー」
 リンコさまの嬉しそうなお声。
 しほりさまから洗濯バサミをひとつ受け取った松井さまが、私に近づいてこられました。

「松井ちゃん、直子に、どこにつけて欲しいか聞いて」
 イジワルいお姉さまのお声。
「どこにつけて欲しい?」
 松井さまのお声までイジワルっぽくなっています。

「あ、はい・・・それでは、右の乳首に・・・」
 自分でおねだりをする、みじめさ、はしたなさ、ふしだらさ・・・
 ぎこちない手つきで右の乳首に洗濯バサミをぶら下げられました。

「あうぅ」
 その痛みに喘ぐと同時に、お尻に強烈な痛みが走りました。
 ピシャッ!
「あうっ!」

 お姉さまが平手で私の左尻たぶを思い切りはたいたようです。
「自分から頼んでしていただいたのに。お礼のひとつも言えないの?」
「あぅ、ご、ごめんなさい・・・ありがとうございますぅ。松井さまぁ」
 乳首のジンジンとお尻のヒリヒリで、マゾマンコの粘膜が盛大に蠢いています。

「ペナルティ時のロスタイムは取りますか?」
 妙に冷静な口調で、お姉さまにお尋ねされる里美さま。
「ま、そのへんは適当でいいのだけれど、今ので何秒くらい?」
「本を落としたところで、22秒でしたね」

「まあ、30秒で行けるわけないよね。おっけー。それじゃあ次は制限時間一分、ロスタイム無しでリスタートね」
 右乳首に洗濯バサミをぶら下げられた格好でスタート地点に戻され、再始動。

 それからもバラ鞭をいただくたびに雑誌を落としてしまい、そのたびにペナルティが科せられました。

「左の乳首にください」
「右のラビアを挟んでください」
「左のラビアにお願いします」
「右のラビアにもうひとつ・・・」

 おっぱいに、脇腹に、お尻に、おへそに、舌に・・・
 ギャラリーのみなさま全員から代わる代わるに洗濯ばさみをいただき、からだ中が洗濯バサミだらけになっていました。
 そのたびに、ありがとうございます、と感謝を伝えるマゾドレイ。

 巾着袋にギッシリだった洗濯バサミが足りなくなる頃には、雑誌の頭乗せルールも時間制限も廃止され、とにかく窓際まで進んでパンを咥えることだけが目的となっていました。
 それでも私はまだ、ロープの中間地点までにも至っていませんでした。

 歩を進めるごとにロープのテンションがキツくなり、情け容赦無くマゾマンコに食い込んできます。
 いくつも連なったコブは、肉の芽を擦り上げるだけでは飽き足らず、粘膜の奥にまで潜り込んで陵辱してきます。
 そのあいだにも、お尻や背中にバラ鞭を振るわれ、乳首や皮膚に噛み付いた洗濯バサミを何度もはたき落とされました。

 快感と苦痛に翻弄されながらも、私は愉悦の喘ぎ声を必死に我慢していました。
 突き出した舌に挟まれたふたつの洗濯バサミが、嬌声を堪えるのに役立っていました。
 その代わり開いた口の端からはダラダラとよだれがしたたり、下の口から垂れる愛液と共にジーンズの股布を盛大に汚していました。

 私のみじめ過ぎる姿を視てテンションの上がったみなさまが、嵩にかかって私を嬲りものにしてきます。
 鞭で振り払われ床に落ちた洗濯バサミを拾っては、同じ箇所に噛ませてくる手。
 声を我慢しているのをいいことに、私の腫れ上がったクリトリスにコブをグイグイ押し付けてくる手。
 後ろ手錠の両手に、スイッチの入ったバイブレーターまでわざわざ握らされました。

 痛みと羞恥と屈辱と官能とがないまぜになって全身を駆け巡り、マゾ冥利に尽きる恍惚としためくるめく快感。
 私の両脚は、その付け根の粘膜から発散される蕩けてしまいそうなほど甘美な痺れに、ガクガク小刻みに震えていました。
 たとえば次に、ちょっとでも物理的な刺激を敏感な部分に受けたら、それだけで為す術無くイキ果ててしまいそうなほどの昂り。
 
「あらあら、ずいぶんと愉しそうなことになっているみたいじゃない?」
 不意に階段のほうから朗らかなお声がして、盛り上がっていたみなさまのワイワイガヤガヤが瞬間、ピタッと止まり、シンと静まり返りました。

 いよいよ次は、ライトグリーンのお帽子で飾られたコブを咥え込む、という地点まで私が進んだときのことでした。


三人のミストレス 09