2015年8月14日

オートクチュールのはずなのに 15

 階下へ降りるエレベーターの奥に貼ってあった大きな鏡で、今、自分がどんな姿になっているのか、その全身をまじまじと視ることが出来ました。

 何よりも一番最初に目が行くのは、首に巻かれた赤い首輪。
 えんじ色に近いダークな赤色のベルトにメタリックな銀色の金具。
 着ているフェミニンなワンピースとのコーディネートとしては、明らかに異質な装飾具。
 その違和感が否が応にも視線を引き寄せてしまいます。

 視線を少し下ろすと、濃紺ワンピースの胸元にハーフカップのブラジャーに押し上げられた胸の谷間がクッキリ。
 ウエストを絞ったおかげで上半身のシルエットがふんわり逆三角形となり、バストのふくらみがより強調されています。
 
 ウエストから若干の末広がりとなった裾は、膝上25センチくらい。
 股下でいうと5、6センチ幅くらいの布地が太腿周りを覆っている状態。
 更に最下部を留めるはずのボタンが取り去られてしまい、留まっている一番下のボタンは、ちょうど私の恥丘の位置。
 今はまっすぐ立っているので大丈夫ですが、歩き始めたら両腿が裾を蹴り、ショーツのクロッチ部分が常時チラチラ見え隠れしてしまうことでしょう。

 そんなきわどい着衣の上に、生意気メイクを施された加虐心をそそる顔が乗り、こんなこと自分で言うのは本当にはしたないのですが、見るからにエロくて扇情的、いろいろとえっちな妄想がふくらんでしまう姿だと思いました。

「自分の姿に見惚れちゃってるの?」
 鏡から目を離せない私の背後で、お姉さまがからかいます。
「街に出たら、かなり注目を集めそうな格好よね?えっちなオーラがムンムンしてる」
 愉しそうな声音でお姉さまがおっしゃいました。

 マンション地下の駐車場は誰もいなく、しんと静まり返っていました。
 思った通り、一歩歩くごとにショーツに直に空気があたる感触があり、両腿のあいだがスースーします。
 
 助手席に乗り込もうと、腰を曲げた途端にワンピースの裾が全体にせり上がりました。 
 腰掛けると前立てが派手に割れ、銀色ショーツのクロッチ部分が剥き出しとなりました。
 座るために脚を大きく開いたとき、ラビアが開いて漏れ出してしまったようで、クロッチ中央の私のワレスジと同じ位置に、一筋の濡れシミが黒くクッキリ浮き出て、その先端部分が僅かに見えていました。
 全身がカッと熱くなり、あわててビニールトートバッグを膝の上に乗せ、その部分を隠しました。

 お姉さまは、それについては何もおっしゃらず、滑るように車が発進しました。
 お外は相変わらずの曇り空。
 でも雲の切れ間ところどころに青空も覗いていました。
 時刻は午後の2時15分。
「この感じなら、雨降らないかもしれないわね」
 人も車もまばらな街並みを、快調に車は進んで行きます。

「昼間の街中で露出遊びするなんて、アユミのとき以来かな。すごく愉しみ」
 信号待ちで停まったとき、お姉さまが独り言みたいにおっしゃいました。
「アユミとしたのは横浜だったから、東京では初めてよ」
 今度はしっかり私に向いて、語りかけてきました。

「アユミさんとは、どんなことをされたのですか?」
 ワクワクとドキドキのリズムが急激に跳ね上がり、思わず聞いてしまいます。
「そんなこと、今教えちゃったら面白くないじゃない。安心なさい。これから直子に身をもってひとつひとつ体験させてあげるから」
 イタズラっぽく微笑むお姉さま。
 安心どころか、不安のドキドキがよりいっそう高まる私。

「思った通り、道路も空いているわね。普段はなかなか停められないコインパーキングもガラガラだし」
 再び走り出して前を向いたままのお姉さまが、気怠そうにおっしゃいました。
「まあ、連休最終日でこんなお天気じゃ、仕方ないか。でもせっかくそんなエロい格好してきたのに、あんまりギャラリーが少ないと、直子もつまらないでしょう?」
 冷やかすようにおっしゃいながらハンドルを右に切るお姉さま。
 
 道幅の広い幹線道路から、小さめなビルが建ち並ぶ路地へと入っていきました。
 すぐにビルの谷間の空き地のようなコインパーキングに侵入して駐車。
 走り始めてからまだ10分も経っていませんでした。

「さあ、ここからいよいよお散歩開始ね」
 エンジンを切って静まり返った車内に、お姉さまの嬉しそうなお声が響きました。
 車に乗っているあいだ、別にこれといってえっちなイタズラをされなかったことが、かえって不気味です。

「あの、えっと、ここって、どの辺なのですか?」
 お姉さまのご様子を探りたくて、とりあえず車から降りるのを引き伸ばそうとする私。
「うーん、 麹町というか半蔵門というか、まあその辺」
 そうおっしゃられても、東京の地理に疎い私には何が何やら。

「ここにひとまず車を停めて、これから地下鉄に乗って永田町まで行くの」
「えっ?私、この格好で電車に乗るのですか?」
 尋ねながら体温がグングン上がっていくのがわかりました。
「そうよ。それで永田町界隈をうろうろ散策しつつ、またここまで歩いて戻ってくる。距離的にはひと駅ぶん。永田町って知っているでしょ?国会議事堂とか首相官邸とかがある」

「・・・はい、それは一応」
「この辺り一帯はビジネス街プラス官庁街だから、平日昼間と夜との人口差が20倍なんて言われているのよ。つまり企業や官庁が休みの休日は、普段の二十分の一しか街に人がいなくなっちゃうわけ」
「ほどよく閑散としていて、直子の街角露出デビューにはうってつけじゃない?」
 お姉さまがシートベルトを外し、私のほうを向きました。

「手始めにそのパンチラワンピで電車に乗って、直子に慣れてもらおうかと思うのよ、他人から視られることを」
 後部座席に置いたご自分のバッグをガサゴソさせつつ、お姉さまがおっしゃいました。
「その首輪だけでも、かなり人の目を惹きつけちゃうでしょうね。その上、谷間見せつけーの、ミニスカ裾割れパンチラだもの。視線独り占め間違いなし」
 お姉さまが冷やかすようにおっしゃいました。

「アユミたちと遊んだときの経験から言うと、直子は、視たければいくらでも見せてあげる、くらいの気持ちで堂々としていればいいわ」
「必要以上に照れたり恥ずかしがったりしていると、逆に目立って、勘違いしたオトコどもがちょっかい出しやすいスキが出来ちゃうから」
「あと、一緒にいる友人たち、今日の場合はあたしだけれど、と親密な雰囲気を醸し出していると、不思議とギャラリーがみんな遠巻きになるのよね」

「まあ、そのへんはあたしに任せて、直子は、誰かの視線を感じたら、その視線に臆さないで、自分の性癖に正直に、もっと視て、って思っていればいいの。事実、直子は露出狂のヘンタイで、視られたくて仕方ないマゾ女なのだから」
  お姉さまが私の顔をじっと覗き込んできました。
「ずっと妄想で思い描いていた恥辱の悦びを現実で味わうのよ?それも、これまでにない大勢の人の前で。愉しみでしょ?」

 お姉さまからのご説明のひとつひとつが、私の淫らな官能を強烈に揺さぶりました。
 私がこれから街に出てしようとしていることを、生々しく頭に思い描くことが出来ました。
 思い描くだけならば自由ですが、実際に街に出てやってしまったら、それは明らかに異常、アブノーマル。
 私、これからどうなってしまうのだろう・・・
 内腿のあいだが痺れるように、ムズムズウネウネ疼きました。

「・・・はい」 
 お姉さまに対するそのうなずきは、自分が露出マゾとして新たな一歩を踏み出す覚悟を込めたものでした。

「念のため再確認しておくわよ?散歩のあいだ、直子はあたしの言葉に絶対服従、でも、だって、は全面禁止。何を命令されても粛々と従うこと」
「あ、はい・・・」
「なんだか気のない返事だけれど、これはね、街中での露出遊びでは凄く重要なことなのよ?下手したらふたりともハンザイ者になってしまうのだから」
 真剣なまなざしで、怖いお顔になられたお姉さま。

「たとえばあたしがあるタイミングで、ここでおっぱい出しなさい、って命令したとするでしょ?だけど直子がグズグズしていると、どんどん周りの状況が変わってしまうわけ」
「あたしは、周りの状況を見計らって、ベストのタイミングで命令したのに、グズグズモジモジされると、その振る舞いが悪目立ちして、人が集まってきちゃったりすることになる」

「それで通報されたりしたら、あたしも直子も望んでいない状況になりかねないの。直子があたしを信頼して、すべてを委ねてくれないと」
「脱いで見せても大丈夫そうな相手、場所、なのか、みたいな状況判断は、あたしが真剣にするからさ、それを信頼して、すべて、あたしの言う通りに動くドレイに成りきりなさい」

 おでこがくっつくほどお顔を寄せ、私の瞳を見つめてくるお姉さま。
「わかりました。お姉さまのご命令にすべて従います」
 私の露出願望を満たそうと、とことん真面目につき合ってくださるお姉さまの真摯なご忠告を、とても頼もしく感じました。

「おーけー。それじゃあ最初の命令。直子の剥き出しマゾマンコにローターを突っ込みなさい」
 冷たくおっしゃったお姉さまが、ハンディカメラを私の股間に向けてきました。
「パンティのクロッチちょっとずらして、脇から挿れなさい」
「・・・はい」

 絶対服従の私は、ビニールトートからピンク色のローターを取り出し、一度しゃぶりました。
 それからワンピースの裾をまくり、銀色ショーツのクロッチを右内腿のほうへずらします。
 膣口を指先で抉じ開けると、中からねっとりとした熱いおツユが滲み出てきて、指先を濡らしました。

「はぅぅ」
 楕円の物体を指でワレメへと圧し込むと思わず小さくため息が洩れ、先っちょの紐だけを覗かせて楕円全体がズブリと膣内に隠れました。
 溢れ出たおツユがショーツとシートを汚しました。

「あらあら、瞬く間にパンティにシミが滲んじゃったわね」
 同時にローターが最強で震え始めました。
「ぅぁあぅうぅ」
「黒いシミがどんどん広がっていく。本当にいやらしい子」
 蔑むようなからかい声とともにローターがピタッと止まりました。
「裾を戻しなさい」
 裾を戻すと、左右に割れた前立てのあいだから、微かにショーツの先端が黒く覗いていました。

「直子がサカっている証拠の、そのパンティ先っちょの黒いシミって、ワンピの隙間から見えたら絶対、マン毛だと思われるでしょうね」
 わざとらしいお下品口調で私を嘲るお姉さま。

「ローターが突然震えても、出来る限り普通のフリをすること。感じても感じていないフリ。そのほうがあたしが萌えるから」
「せっかく生意気顔メイクしてあげたのだから、今日はツンデレ風でいきましょう。もちろんデレるのはあたしにだけ。街中ではツンツン直子ね」
 お姉さまの愉しげな瞳は、完全にエスの人のそれになっていて、加虐の炎が舌なめずりするみたいにチロチロと揺れていました。

 車を降りる前にお姉さまは、ビニールトートバッグにお化粧ポーチとお裁縫セットも突っ込みました。
 ご自分は右手にハンディカメラだけ、私は左肩にビニールトートを、もちろんバスタオルの側をお外に向けて提げ、コインパーキングのコンクリートに降り立ちました。

 7、8台駐車出来そうなコインパーキングに停まっている車は2台、私たちが3台目。
 敷地内にも、入ってきた路地周辺にも人影はまるでありません。
 周囲には5、6階建てくらいの小さめなビルが立ち並んでいました。
 遠くで車の走る音が小さく聞こえるのは、たぶんさっき走ってきた幹線道路からのものでしょう。

「出かける前に、まずはここで記念撮影しておきましょう。直子の記念すべき初、都心露出散歩のスタートなのだし」
 お姉さまが辺りをキョロキョロ見回してから、カメラを構えておっしゃいました。
「そこに立って」
 指さされたのは、コインパーキングのチェーン店名を記した大きな看板の前でした。
 その看板は、路地から曲がって駐車場へと入る入口ゲートの、ちょうど真正面奥に立っていました。

 トートバッグを左肩に提げたまま、その看板の前に立ちました。
 お姉さまが私から2メートルくらい離れた正面に来て、カメラを構えました。
「笑わなくていいからね。カメラを睨みつける感じで。今日はツンツン直子だから」
 写真を撮っているのかビデオなのか、ずっとカメラ脇のモニターを凝視したまま、お姉さまがおっしゃいました。
 お言いつけ通り、真面目な顔でレンズを睨みました。

「うーん、ただ突っ立ってるだけじゃ面白くないわね。スカートまくってパンツ、おっと、パンティ見せなさい」
「えっ!?」
 一瞬うろたえて躊躇してしまった私に、すかさずカメラを下ろしたお姉さまからツッコミが入りました。

「ねえ?さっきの話をもう忘れちゃったの?あたしが何か言ったら、直子はどうしなければいけないのだっけ?」
「あ、はい。ごめんなさい。お姉さまのお言葉には絶対服従です」
 あわててワンピースの裾に両手をかけました。

「そう。命令、即、実行。タイムラグは一切認めないから」
 お姉さまが、カメラを構え直し、モニターを覗き込みました。
 私もあらためて、完全に覚悟を決めました。

 マゾの服従ポーズをするときのように、両足を、やすめ、の形に開きました。
 両手でワンピースの裾を握り、その両手を少しずつ上げていきます。
 うつむいてみても持ち上げた裾が邪魔をして、自分ではどのくらいショーツが見えているかはわかりません。

「うつむかないの。まっすぐこっちを見て。もっと上までまくりなさい。おへそが見えるくらいまで」
 お姉さまのご命令をいちいち忠実に実行します。
 お腹に直に空気が当たる感触がするので、小さな銀色ショーツは丸出しのはずです。

「黒ずんだシミがさっきより広がっているわよ?パンティのフロント全体に。こんなことでもう感じちゃったの?」
「いえ、あの、はい・・・ごめんなさい」
「それに、何?そのいやらしい、泣きそうなマゾ顔。もうちょっとまともな顔出来ないの?」
「あ、はい、ごめんなさい・・・」
 そのお言葉に開き気味だった唇を一直線に結び直し、一生懸命カメラのレンズを睨みました。

 そのとき、視界の右端に動くものを捉えました。
 私の正面は、コインパーキング脇の路地。
 その路地をひとりの男性が向かって右のほうから歩いてくる姿が、敷地と路地を隔てる格子の鉄策越しに見えたのでした。
 ドキン!
 実際に肩がビクンと震えるくらい、心臓が飛び跳ねました、

 姿をみつけたときからもはや目が離せなくなり、視線がその姿を追ってしまいます。
 その男性は、けっこう若い感じで、グレーのスエット上下というラフないでたちなので、地元のかたでしょうか。
 携帯電話を片耳にあてて何やらお話しながら、リラックスされた感じで路地を歩いてきます。

 鉄柵が途切れて駐車場入口となり、再び鉄柵が始まるまでの幅3メートルくらいの空間では、その人と私を隔てる目隠しとなりそうなものは、お姉さまの背中しかありません。
 その空間に差し掛かったとき、その人がふっとパーキングのほうに目を遣れば、ほんの5、6メートル先に、たやすく私の姿を認めることでしょう。
 自らワンピースの裾をまくり上げ、えっちなおツユで汚れた銀色ショーツを、カメラに向かって丸出しにしている私の姿を。
 もちろん、それ以前の鉄柵の格子越しでも、こちらに目を向ければ私が何をしているのかは、充分に認識できるはずです。

 私の目の動きで、背後の路地に誰か現われたのは充分ご承知のはずなのに、お姉さまから、裾を戻してよい、というお許しは出ませんでした。
 ずっとカメラのモニターを覗きこんだまま。
 その唇が薄く微笑んでいらっしゃるように見えました。

 男性は、もう入口のすぐそばまで進んでいました。
 お電話しながら、そのお顔がフラフラ動くたびに、私の心臓がドッキンドッキン飛び跳ねます。
 どうか気づかないで、そのまま通り過ぎてください・・・こっちを視ないで・・・
 同じ言葉を心の中でお祈りのようにくりかえしました。
 裾を握る両手が、小刻みに震えていました。

 その男性が現われてから視界左端に消えるまで、実際には十数秒ほどだったでしょう。
 でも私には、永遠のように長い時間に感じられました。
「スカート、戻していいわよ」
 お姉さまのお声を聞いた途端、からだ中の力が一気に抜け、その場にへたり込みそうでした。

「誰かその道を通ったみたいね?」
 お姉さまが背後を振り返り、路地を指さしました。
「は、はい・・・」
「直子ったら目がオドオドしちゃって、すごいキョドりかただったわよ。オトコ?オンナ?」
「男性です・・・」
「で、直子のことを見たの?」
「いえ・・・気がつかなかったみたいです。携帯電話に夢中だったみたいで、そのまま通り過ぎていきました」
「そう。それは残念だったわね」
「いえ・・・それは別に・・・あの、でも・・・はい・・・」

 その人が私に気づかないまま駐車場入口を通り過ぎ、鉄柵の陰に隠れそうになったとき、私は急に、気づいてもらえないことが、残念に思えてきました。
 お外でこんな破廉恥な姿を晒している私を、視て、驚いて、呆れて、蔑んで欲しいと、心の底から望んでいました。
 さっきまでとは正反対に、遠ざかっていくその人の背中を目で追いながら心の中で、私を視て、このいやらしい姿に気がついて、って、見えなくなるまでお願いしました。
 
 そして、そんなことをお願いしてしまっている自分のどうしようもないマゾ性に、甘美な陶酔を感じていたのも事実でした。
 その人が男性だったのに、不思議と怖さを感じなかった理由が、お姉さまが傍にいてくださるから、なのも間違いありません。

「あたしが、残念だったわね、って言ったのは、そのオトコに対してよ。ちょこっと顔をこっちに向けさえすれば、間近で凄いヘンタイ女の姿を拝めたのにね、って」
 お姉さまが呆れたようにおっしゃいました。

「そっか。直子も視てもらえなくて残念だったんだ。キョドりながらも妙に艶かしい淫らなドマゾ顔だったのは、そういうワケなのね?」
「・・・は、はい・・・」
 自分でもコントロール出来ないほど、辱めを受けたい、という欲求が全身を駆け巡っていました。
「今日の直子は、完全に露出狂モードが覚醒しちゃったみたいね。愉しみだわ。良い絵がたくさん撮れそう」

 お姉さまの左手が私の右手をギュッと握りました。
「さあ、出発しましょう」
 恋人同士のように肩を寄せ合う今日のふたりは、ご主人様と、その言いなり露出ドレイ。
 股間のローターが緩く振動し始めて、私は一瞬ビクン。
 それでも、お言いつけ通り極力、何でも無いフリを取り繕って、昼下がりの街中へと一歩踏み出しました。


オートクチュールのはずなのに 16


2015年8月2日

オートクチュールのはずなのに 14

 私の舌と指で精一杯ご奉仕して、お姉さまに心行くまでご満足していただいた後、ふたりで軽くシャワーを浴びました。
「今日は直子の裸を、街の景色の中で視ることが出来るのね。愉しみだわ」
 私の全身をボディソープのヌルヌルで、やさしく愛撫してくださるお姉さま。
「そういうアソビにつきあうのって久しぶりだから、なんだかドキドキしてきちゃった」

 お姉さまが背後から抱きつくみたいに、からだを合わせてきました。
 お姉さまの乳首が硬くなっているのを背中に感じます。
 私もさっきのお姉さまのお言葉で即座に、都会のビル街の一角に全裸で立つ尽くす自分の姿を想像し、不安と期待がシーソーみたいにぎっこんばったんしていました。
 泡まみれのからだをピタリくっつけ滑らせて、しばらくその心地良い愛撫に身を任せました。

 バスルームから出てからだを拭いているとき、お姉さまが私を見ながらおっしゃいました。
「だけど慎重にやらないとね。もしもそのスジの人にみつかったら、ややこしいことになっちゃう。あたしたちが、と言うか、直子がこれからしようとしていることって、コーゼンワイセツっていう、一応立派なハンザイだもの」
 その現実的で不穏な内容とは裏腹に、お姉さまのお声はウキウキ弾んでいるように聞こえました。

「あたしはこれから寝室で、出張の準備も含めていろいろ荷造りしてくるから、直子も自分の荷物をまとめておいて。もうここへは戻らず、夜には池袋へ向かうから」
「はい」
「冷蔵庫に残っている食材は、直子が持って帰って。あたしはまた当分戻れないから。あ、直子のオモチャはまだ仕舞わないでね。いくつか今日使いたいものがあるから」
「・・・わかりました」
 全裸のままスタスタ寝室へ向かうお姉さまの背中をお見送りしつつ私の右手は、シャワーの前に外した赤い首輪へと自然に伸びていました。

 キッチンとソファー周辺をお片づけしてから、お洗濯ものを取り込みました。
 お外は相変わらず、どんよりジメジメでしたので、タオルもお姉さまのワンピースも生乾きでした。
 それらを窓際に吊るし直してから、さて、と考えました。

 外出するのですから、当然何らかのお洋服を着ることになるはずです。
 一昨日、お姉さまのお部屋に伺った目的が、全裸家政婦、で当然ずっと裸でいるつもりでしたから、来たときに着てきた前開きのミニワンピース以外、着替えは持ってきていませんでした。
 となると、選択肢はそのミニワンピしかないのですが、このお部屋では、お姉さまのお許しがないと着衣は認められない決まりです。
 なので私は裸のまま、お姉さまの準備が終わるのを、ソファーに浅く座って待ちました。

 待っているあいだも、いろいろ考えました。
 おそらくお姉さまは、ノーパンノーブラ、ミニワンピ一枚でお外に出るようにご命令されるだろうな。
 そうなると私は、一昨日のスーパーでの恥辱を、昼間の街中でもう一度味わうことになりそう。
 ボタンをジワジワ外されて、誰かいるところで前を開くようにご命令されて・・・
 妄想がどんどんふくらんで、全身がぐんぐん火照ってきました。

「お待たせー」
 大きめなカートといつものバーキンバッグを手にしたお姉さまが、リビングに戻ってこられました。
 着古した感じのスリムなウォッシュアウトジーンズに黒Tシャツ、その上に、これも着古した感じのタンガリーシャツを羽織っています。
 こんなにラフなコーデのお姉さまを見るのは初めて。
 でもカッコイイ!
「雨になるみたいだからね、濡れてもいい感じでざっくりしてみた」
 驚いたような私の視線に気がつかれたのか、お姉さまが言い訳するみたくおっしゃいました。

「準備は終わった?」
「あ、はい。一応・・・あの、お姉さま?」
「ん?」
「私もお洋服を着て、よろしいでしょうか?」
「なあに?あたしの許しが出るまで着ないで待っていたの?いい心がけじゃない」
「・・・はい、決まりですから」
「さすがのあたしも、この部屋からずっと裸のまま街中を連れ回す勇気は無いわ。着ていいわよ」

「何を着ればよいのでしょう?」
「えっ?あのミニワンピ以外に何か着替え持ってきているの?」
「いいえ」
「それなら、それしかないのじゃなくて?」
「あ、はい。それで、下着は・・・」
「ああ、そういうことね。ちょっと待って。あたしに考えがあるから」
 お姉さまが嬉しそうに薄く笑って、バーキンの中から何か小さめな箱を引っ張り出しました。

「まずは下着ね。初日に穿いていた黒以外、替えの下着も持ってきているの?」
「はい。一応お姉さまがお店で見立ててくださった他の3種類は持ってきました」
「ああ。フロントホックのストラップレスブラと紐パンね。どこでもこっそり脱ぎやすいっていうコンセプトの。確か前割れとかスケスケのパンツもなかったっけ?」
「はい・・・ありました」
「それしか持ってきていないということは、あたしといるときはいつでも、直子は下着を脱ぐ気満々ていうことなのね。やらしい子」
「そ、そんなつもりではありません・・・」
「うふふ。最初から露出マゾ全開でいくなら、ノーパンノーブラでワンピだけ着ててもらったほうが手間が省けるのだけれどさ、今日は直子に、何て言うのかな、合法的な辱めも存分に味わってもらおうかなって考えているの。そのためには、脱ぎやすい下着だとつまらないのよね」
 お姉さまの唇両端が、イジワルそうに少し吊り上がりました。

「スケスケも前割れも、それはそれで面白いのだけれど、それは次の機会にして、今日はあたしの下着を貸してあげる。安心して、買って一回しか身に着けたことないやつだから」
「ちょっと待ってて」
 お姉さまがそそくさと寝室に向かわれました。
 さっきからお姉さまがおっしゃっていることの意味をほとんど理解出来ていない私は、お姉さまの下着をお借り出来るんだ、どんなやつなのだろう?私なんか想像も出来ないほどのえっちさだったりして、なんて考えながらドキドキ待ちました。

「はい、これ」
 お姉さまが差し出されたのは、グレイというよりシルバーと呼ぶべきテラテラ光沢の有る生地で出来たブラジャーとショーツでした。
 ショーツに触ってみると、この滑らかさは明らかにシルク。
 縁取りとかにレースっぽい装飾も施してあって、ゴージャスなのに可愛いらしい感じです。

「ブラは、直子にはキツイはず。直子のほうがボインだものね。まあ、ハーフカップだからなんとかなると思う」
「それに直子、そういうのも好きでしょう?おっぱい締め付けられるの。最初にお店来たときもそうだったものね?」
 お姉さまがからかうように笑いながら、ショーツとお揃いのブラジャーも手渡してくださいました。
 私が早速身に着けようと、まずショーツを広げて身を屈めようとしたら、お姉さまから、待った、がかかりました。

「このワンピなのだけれどさ、何か物足りないのよね。ゆったりめだからシルエットがストンとしちゃって、いまひとつ色っぽさに欠ける気がするの」
 昨日お洗濯して壁際に吊るしておいた私のミニワンピースをはずし、私に手渡してきました。

「下着着ける前に、ちょっと着てみてくれる?あ、全体を裏返しにしてね」
 お言いつけ通り裏返しにしてから、両袖を通して羽織りました。
「ウエストを絞るともっと可愛くなると思うのよ。あたしが応急処置してあげる。たぶん、いい感じのシルエットになるはず」
 羽織り終えると、お姉さまの両手が前を合わせてきました。
「ボタンも嵌めてね。胸元からおへそあたりまででいいから」
「あ、はい」
 裏返しになって、ボタンと穴との関係がややこしくなっている前立てを、苦労してちまちまと、なんとか留め終えました。

「おーけー。そのままじっと立っていて。針を使うから動くと危ないわよ」
 お姉さまがメジャーと、カップケーキみたいな形の可愛らしい針山を持って近づいてきました。
 さっきお姉さまがバッグから取り出した箱は、お裁縫セットだったようです。

「こんなものかな・・・うーん、もう少し詰めちゃおうか・・・」
 お姉さまが小声でブツブツおっしゃりながら、私のウエストにメジャーを当て、針山から抜いたマチ針で手際良く布を留めていきます。
 さすが元服飾部部長さまで、今はアパレル会社の社長さま。
 その手馴れた手つきに見惚れつつ、じーっと眺めていました。

「これでよし、っと。脱いで」
「あ、はいっ」
 一歩離れたお姉さまの一声が聞こえ、あわててまたちまちまと、ボタンを外し始めました。
「あたしはこれをちゃちゃっと縫っちゃうから、直子はそのあいだに下着を着けちゃいなさい」
「わかりました」
 ワンピとお裁縫箱を持ったお姉さまがダイニングのほうへと移動し、裸に戻った私は、お姉さまがご用意くださった銀色の下着たちに再び手を伸ばしました。

 確かにブラジャーは、少しきつめな感じがしました。
 ハーフカップなので下乳を持ち上げる形になり、その分普段より、上から見るとおっぱいの谷間がクッキリ出来て、強調されています。
 これでワンピースを着てVゾーンを広めに開けたら、かなりエロそう。
 生地が薄いので、私の尖った乳首だとカップの上からでもその位置が、かすかに突起していました。
 でもワンピースを着ちゃえば、たぶんわからなくなるでしょう。

 ショーツのほうはローライズ気味ながら、いたって普通な感じで、下腹部とお尻をしっかり覆ってくれていました。
 ブラジャーもショーツもすごく肌触りが良く、着け心地はいい感じ。
 ただ、およそ二日ぶりの下着の布地の感触に皮膚がとまどっているみたいで、なんだかこそばゆい。
 そう言えば、お姉さまも一度着けたことがある、っておっしゃっていたっけ、なんて思い出し、キュンと感じちゃいました。

「出来たわよー」
 ワンピースを手にしたお姉さまが戻っていらっしゃいました。
「おおお、直子ったらまたいっそう、ボインちゃんになっちゃって」
 ハーフカップで下から持ち上げられた私の谷間を指さして、お姉さまがからかいました。
「はい、着てみて」
 お直しされたミニワンピースを手渡され、そそくさと腕を通す私。

「お姉さま、すごいです。ほんの少しの時間で、こんな見事にお直しが出来てしまうなんて」
 両袖を通しただけで、ワンピースが生まれ変わっているのがわかりました。
 ルーズめなシャツワンピだったのに、ウエストを詰めただけで、ゆるふわな感じのフェミニンワンピに様変わりしていました。
「ボタンも全部留めてみて」
 ご自分の成果にニコニコ満足そうなお姉さま。
「はい」

 上からボタンを留め始めると、お姉さまの意図がだんだんと見えてきました。
 ウエストが絞られ胴回りがタイトになり、その分バストとヒップ部分は前にも増してゆったりめ、つまり布地が肌から浮いた状態になっていました。

 たとえばVゾーンを開け過ぎたら外部から中身が覗けやすいし、スカート部分も前より横に広がりがちなので、よりひるがえりやすい状態。
 もしもこのワンピースをノーパンノーブラで着たなら、以前よりも容易に、生おっぱいや生お尻が露出しやすいルーズフィット状態になっていたのでした。
 なるほど、だからお姉さまは、まずは下着をちゃんと着けるようにご命令されたのでしょう。
 このワンピースでお外に出て、ノーパンノーブラにされてしまったときのことを考えると、頭がクラクラしてきます。
 それでもなんとかがんばって、震える指でボタンを留めつづけました。

「あの、お姉さま?」
 9個のボタンを嵌め終わり、最後のひとつを嵌めようとしたとき、気がつきました。
 10個目のボタンが、無いのです。

「ん?なあに?」
 ソファーに腰掛けたお姉さまが、満面に笑みを浮かべて私を見ました。
「あの、一番下のボタンが無いのですが・・・」
「あ、それね。ごめんごめん。さっき縫っていたとき、そこのボタンだけ取れそうだったのに気づいて付け直そうと思って、いったん取ったのよ」
 ニヤニヤ笑いなお姉さまの、白々しいお芝居口調。

「そしたら誤って落としちゃって、床の上をコロコロって。いくら探してもみつからないの。仕方が無いからそれでがまんして」
 お姉さまのてへぺろは、ちっとも可愛くありませんでした。
 
 一昨日のスーパーから駐車場へ戻るときの夜道を、あざやかに思い出していました。
 ここのボタンが留まっていないと、割れた隙間から私の股間が、一歩歩くたびにチラチラ覗いてしまうはずです。
 その上、ウエストを絞ったために布地が引き攣り、裾全体も以前より1、2センチ短かくなっていました。
 広がり気味フンワリめとなったこととも相俟って、今だって、ちょっと動いたら両腿の付け根付近が覗きそうでした。
 ありったけのジト目でお姉さまのお顔を睨みました。

「なーんてね。いいじゃない?パンツ穿いているのだから」
 お姉さまも薄笑みを引っ込め、まっすぐに冷たい視線を合わせてきました。
「合法的な辱めっていうのは、そういうこと。パンチラならハンザイではないもの。直子も、ボタン嵌めていないことに気づいていないフリをして、平気な顔して歩けばいいのよ。そういうの、得意でしょ?直子は」
「で、でも・・・」

 お姉さまから強気に出られると、すぐ、本来のドエムに戻ってしまう私。
「見せたがり露出マゾなのだから、パンツくらい、いくらでも見せてあげればいいじゃない。まあ、いずれ、そのパンツだって脱がなくてはいけないことになるのだけれどね。それも、こっそりとではなくて、街中で、大胆に」
「そのために、脱ぎやすい紐パンではなくて、普通のパンツを穿かせたのよ。どう?愉しみでしょ?」
 イジワルさ全開のお姉さまからの淫靡なお言葉が、私のマゾ性をブルブル揺さぶって、それ以上の抵抗を諦めさせました。

「事前のネタバラシはこれくらいにして、最後の仕上げをしましょう。こっちに来て」
 お姉さまがまた、バッグから何かを取り出し、腰掛けているソファーの横をトントンと指さしました。
「は、はい・・・」
 私が横に腰掛けると、お姉さまがテーブルの上にお化粧ポーチを広げました。
「これからすることを考えると、やっぱり多少は、リスク回避の策も施しておかないとね。いくら人口が多い東京砂漠とは言え、万が一直子を知っている人に視られてしまう可能性もあるわけだから」
 おっしゃりながら、私の顔をメイクし始めるお姉さま。

「それでなくてもこんな真っ赤な首輪嵌めて、否が応でも人目を惹くマゾ丸出しの姿でお散歩するのだから、とくにヘンなオトコどもが近寄り難い雰囲気を作っておかないと」

 そうでした!
 すっかり慣れきってしまっていましたが、私、この首輪も嵌めたままお外に出るのでした。
 ファッショナブルなチョーカーとは明らかに一線を画す、見るからにペット用な赤い首輪。
 すっごく目立って、ジロジロ視られちゃうのは間違い無さそう。
 それは、私にとって生まれて初めての経験です。
 一昨日の夜もしたことでしたが、夜と昼間とは大違いでしょう。
 そして、3日間首輪を嵌めていること、とお姉さまとお約束した以上、私に拒める術はないのでした。

「直子って、いつもナチュラルメイクでしょう?オトコが一番声掛けやすいのがナチュラルメイクなんだって。オトコってすっぴん美人が大好きだから。でも、街行く女子のほとんどは、ナチュラルっぽい厚塗り化粧なのよね」
 苦笑しながらおっしゃるお姉さまと、されるがままの私。
「うちのスタッフと、そのへんを研究したことがあってさ、オトコが近寄らないメイクってどんなのだろう、って。それで出た結論のひとつが、失敗メイク。塗りたくって、すっぴんより残念になっちゃうメイク」
「もうひとつが、どちらかと言うとお水寄りのゴージャスメイク。こっちは、奇麗な人がすると本当奇麗になるの。なのに、気後れしちゃうのか怖がっちゃうのか、オトコは寄ってこない、遠巻きにするだけ」

「はい。出来た」
 お姉さまが間髪を入れず、目の前にコンパクトをかざしてくださいました。
「えーーっ!」
 ひと目見てびっくり、これが私?

 いつもより小さめに、でも艶やかなツヤツヤローズピンクで塗られたルージュ。
 アイラインパッチリ、睫毛クルクル、眉毛クッキリ。
 チークがずいぶん色濃くて、いつもより顔が細く見えます。
 お姉さまがドライヤーで髪の分け目を変え、左サイドに流してくださいました。
 鏡を覗いての全体の印象としては、なんだかこの女、生意気そう。

「うん。けっこう化けたわね。意識して顔にメリハリつけたから、予想通りハーフっぽくなって、その上、妖艶にもなったわ。それでツンと澄ましていれば、首輪していようがパンツ見せていようが、ビビッて誰も声かけてこないはずよ」
 お姉さまが愉快そうにおっしゃいました。
 私的には、やり過ぎな感じもしましたが、お姉さまが良いとおっしゃってくれているし、確かにこれなら私を知っている人でもわからないだろうな、とも思い、いいことにしました。

「ちょっとあたしを睨みつけてみてよ、さっきみたいに」
 お姉さまにせがまれて、ワザと取り去られた一番下のボタンのことを思い出し、同じようなジト目をしてお姉さまを見つめました。
「うわ、生意気そう。あたしこれから、この生意気な女を好きなだけ虐めていいのよね?すっごく愉しみ。めちゃくちゃやって泣かせてやりたい」
 お姉さまも今の私の顔に関して、私と同じご感想をお持ちになったようでした。

「本当、直子とのアソビって面白い。メイク変えただけで、これだけ盛り上がれるのだもの。あたし今、この生意気女を辱める方法が次から次へと湧き出てきている。直子があたしのパートナーで、本当に良かったわ」
 お姉さまからの嬉しいお言葉に悦ぶべきか、ちょっぴりフクザツ。
 だけど何よりもお姉さまが愉しそうなので、これもよしとしました。

「はい。直子はこのバッグを持ち歩くのよ」
 お化粧ポーチをバーキンに仕舞った後、お姉さまから今度は、少し小さめなトートバッグを渡されました。
 持ち手のラインと縁取りが濃いブルーで、バッグそのものは水色の透明なビニールで出来たトートバッグでした。
 中にはすでに、白いバスタオルとビニールシートのようなものが入っていました。

「それで、これと、これと・・・」
 お姉さまがしゃがみ込み、ソファー周辺に並べておいた私がお家から持ってきた虐め道具のうちのいくつかを、無造作にそのバッグに詰め始めました。
 リモコンローターふたつ、円錐形のバイブレーター二個、アナルビーズ、手錠、首輪のリード、短いロープ、木製洗濯バサミたくさん・・・
「あ、あの、お姉さま?・・・」
 あわてる私の声も聞こえないフリで、それらがバッグに詰め込まれ、最後にお姉さまのお財布が入れられました。

「あたしのお財布も入っているのだからそのバッグ、絶対に失くさないでよね?」
 お姉さまにビニールトートバッグを手渡され、しげしげと眺めました。
 バッグの片方の面は、バスタオルの白地が全面に見えていて、何の問題もありません。
 でも裏返すと、先ほどお姉さまがお入れになったおどろおどろしいお道具たちが、水色のビニール越しに透けて見えていました。
 ピンク色した卵型の物体、見るからにえっちぽい銀色の円錐形、鎖、麻縄、どう見ても、それ以外のものには見えない手錠と洗濯バサミ・・・
 透けたバッグの中身を少し目を凝らして見れば、それらが何に使われるものかピンときてしまうえっちな人も、都会には少なからずいることでしょう。

「残ったオモチャは直子のバッグに仕舞って持って帰っていいわ。準備が出来たら出発よ。あ、冷蔵庫の中は片付けたのよね?」
「はい。今入っているのはお飲み物だけです」
「お散歩のときはそのビニールトートのほうだけ持ち歩いて、あたしが、出して、って言ったものは、いつでもどこにいても、すぐ取り出すこと。それが出来なかったら、その後、直子はもっと恥ずかしいお仕置きをされることになるから、よーく憶えておいてね」
「・・・はい」
「あたしはお散歩中は、このビデオカメラしか持ち歩かないつもりだから」
 お姉さまがニッと笑って、ちっちゃなハンディカメラをこれ見よがしに見せてから、立ち上がりました。

「戸締りはしたし、カーテンもおっけー。ガスの元栓も締めた。さあ行きましょう。直子はそっちのゴミ袋も持ってね。一階のゴミ置き場に出しちゃうから」
 お姉さまがカートとバーキンともうひとつのゴミ袋を持って、スタスタ歩き始めました。
 私も自分の荷物を持って、後を追います。
 もちろんビニールトートは、バスタオルの面を表側に出して。

 玄関で靴を履いているとき、お姉さまが不意におっしゃいました。
「どう?直子。マゾの首輪嵌めたまま外出する気分は?」
「どう、って聞かれましても・・・かなり恥ずかしいし・・・怖いです・・・」
「それだけ?えっちなオモチャが透けたバッグ持って、パンツすれすれのミニ穿いてお出かけだよ?直子みたいなヘンタイ露出マゾ女には、夢みたいなシチュエーションじゃなくて?」
「・・・あ、あの、えっと、それは・・・」
 私が口ごもっていると、お姉さまが私の耳に熱い息をヒソヒソ吹きかけてきました。

「出発前に、もうひとつだけネタバレしてあげる。あたしがなぜ、直子にグレイのパンツを穿かせたと思う?」
「・・・わ、わかりません・・・」
「グレイのシルク地だとね、直子がいやらしい気持ちになってマゾマンコを濡らしちゃったとき、そのシミが一番クッキリ目立つのよ。黒々と、遠くから見てもわかるくらい」
「・・・」
「そんなのみんなに見られたら、ある意味ノーパン見られるより恥ずかしくない?サカっている証拠だし、ぱっと見でもお漏らしみたいだし。だからせいぜい濡れないように、がんばりなさい」
 そこまでおっしゃって私の右耳から唇を離し、玄関ドアをゆっくりと開けるお姉さま。

「あっ、言い忘れてた。胸元のボタンをふたつ外しなさい」
 振り向いたお姉さまが、冷たく微笑んでおっしゃいました。
「は、はい、お姉さま・・・」
 ゴミ袋をいったん靴脱ぎに置き、右手だけでボタンを外しているとき、股間の奥がヒクヒクっと震え、ジンワリ潤んできたのが、自分ではっきりわかりました。
 

オートクチュールのはずなのに 15


2015年7月26日

オートクチュールのはずなのに 13

 目が覚めたとき、傍らにお姉さまはいらっしゃいませんでした。
 おそらく私が寝入ってしまった後、寝室にお戻りになられたのでしょう。
 私のからだは、掛けた記憶の無いタオルケットにくるまれていました。

 昨日に比べるとお部屋の中がずいぶん暗い感じ。
 ひょっとして昨日より早起き出来たのかな?
 起き上がって窓辺へ行きカーテンを開けると、お外はどんより曇り空。
 時計を見たら9時5分でした。

 朝のルーティーンワークを済ませたら家政婦モードに突入です。
 まず、昨日出来なかったリビングルームのお掃除からすることにしました。

 お部屋の中央付近にそのままになっていた、昨日のお姉さまからの陵辱の残骸。
 すなわち、溶けた蝋と洗濯バサミが点々と散らばったビニールシートから片付け始めます。
 洗濯バサミを手に取ると、それがくれた痛みと共に、お姉さまからされたこと、を鮮明に思い出してしまい、みるみるからだに淫らな反応が顕われてしまいます。
 だめだめ、今はお仕事優先。

 ダスターで高い所の埃を払うので、窓を開けなくちゃ。
 窓辺に近づいてお外の風景が見えると、やっぱり少し、開けることをためらってしまいます。
 大丈夫、ここは誰にも覗かれないのだから。
 そろそろと開け始めたら、その隙間からねっとりとしたお外の空気が、全裸の素肌全体にまとわりついてきました。
 気温は裸でも寒くない程度、湿度がかなり高いみたいです。

 窓を開け放すにつれて、徐々にヴォリュームを上げて耳に飛び込んで来る、お外の世界の日常的な喧騒。
 ベランダに降り立ち、景色を見渡した後うつむいて、自分が全裸であることを意識したとき、マンション沿いの通りを歩いているっぽい若そうな男性たちの、あははは、という楽しげな笑い声が近くで聞こえ、途端にキュンと感じてしまいました。

 埃を払ってからお部屋の隅々まで満遍なく掃除機をかけ、最後は絞った雑巾で床を拭き掃除。
 なにしろ広いお部屋ですから、雑巾がけだけでも重労働。
 四つん這いになってお尻を高く突き上げ、おっぱいをプルプル揺らしてがんばりました。

 お掃除を終えたら、次はお洗濯。
 このお天気では乾かないかもしれないけれど、一応やっておくことにしました。
 お洗濯すべきものは数枚のタオルと、お姉さまが昨日お召しになっていたマキシワンピースだけですから。
 そう言えば昨日、私とお姉さまは一切下着類を着けていなかったのでした。

 ランドリールームに入ると、奥のバスルームから物音がしていました。
 お姉さまも起きられたんだ!
 今日はどんなことをされちゃうのだろう。
 ワクワクとドキドキがからだ中に漲りました。
 雨にならないうちにお洗濯ものを手早く干して、お食事の用意をしなくっちゃ。

 疼きが増したからだをなだめるために、エプロンは直子流で身に着けました。
 一度きちんと結んだエプロンの紐を、洗濯バサミに両乳首とクリットを布越しに噛ませてから解きました。
「はうんっ!」
 ヒラヒラなエプロンを、秘所三点止めが必死に噛み付いて支えてくれています。

 今朝のメニューはベーコンエッグとオニオングラタンスープ、そして昨日好評だったコールスロー。
 サンドウイッチも作っておいて、トーストとサンドウイッチ、お好きに選べるようにしました。
 お紅茶の用意もしようかと迷っていたら、お姉さまがお顔をお見せになりました。

「おはよう。朝っぱらからドエム全開なのね?」
 私のエプロン姿をご覧になってのご感想。
「あ、おはようございます!」
 今日のお姉さまは、渋いグレイのシンプルなTシャツワンピース姿。
 ボートネックから覗く鎖骨がセクシー。
 下着ラインがまったく見えないので、今日も素肌に直みたいです。

「なんだか今日は生憎の天気みたいね。さっきネットニュース見ていたら、午後には東京でゲリラ豪雨あるかもですって」
 窓際まで行かれたお姉さまがお空を見上げました。

「お食事どうします?ベランダにご用意しますか?」
「うーん。このお天気じゃねえ・・・直子はもちろん、外でしたいのでしょ?」
「えっ?いえ、私はお姉さまのご希望に従うだけですので」
「今にも降ってきそう。食べている最中に降ってきちゃってもメンドクサイし、残念だけれど中にしときましょう」
 お姉さまが戻ってこられ、ダイニングの椅子に腰掛けられました。

「ワインはどうします?お飲みになられますか?」
「うーん。昨夜少し飲みすぎちゃったからなー。あ、でもぐっすり寝たから体調はいいけれど」
「ではお紅茶で?」
「そうね」
 お答えを受けて、テーブルにお料理を並べていきました。

「心なんてお天気で変わる、っていう歌があったけれど、本当ね。曇り空だとやっぱり気持ちもアンニュイ。休日ラストだっていうのにがっかり」
 今朝のお姉さま、なんだか少しご機嫌ナナメなご様子。

「晴れていたら食事の後、裸の直子にベランダでバレエ踊ってもらおうと思っていたのになあ。ローター挿れて、音楽かけて、本格的に」
 スープを置くためにお姉さまへ近づいた私の胸にお姉さまの右腕が伸び、洗濯バサミがひとつ、無造作に外されました。
「あぅっ!」
 前掛け部分がペロンとめくれ、左のおっぱいだけ剥き出しになりました。
「相変わらず乳首勃てちゃって。直子ってブレないわよね?ん?あ、いい匂い」
 気だるい感じでおっしゃってから最後に付け加えたお言葉は、オニオングラタンスープへ向けられたものでしょう。
 その後はイタズラもされずお料理を並べ終わり、エプロンを自分で外しました。

 全裸に首輪の私とTシャツワンピ一枚のお姉さまとで差し向かい。
 お食事が始まると、お姉さまのご機嫌もだんだん落ち着いてきたようでした。
 美味しい美味しい、って何度も褒めてくださり、嬉しくなりました。
「このサンドウイッチの、ピリッと効いたマスタードの加減が絶妙よね」
 ニコニコ頬張るお姉さま。
 私の頬も自然と緩んでしまいます。

「そう言えば直子って、辛い食べ物大好きでしょう?」
「えっ?あ、いえ、あんまり得意なほうでは・・・」
「そうなの?絶対好きだと思ってた」
「学生の頃、お友だちと、凄く辛いけれど美味しいって有名なカレー屋さんに挑戦したことがあって、確かに美味しかったのですけれど、食べている最中の汗や鼻水がすごくて・・・」
「うん」
「それ以来、そういうのは敬遠気味です」

「ふーん。あのね、辛さっていうのはね、味覚ではないんだって」
「えっ?」
「取引先の人との雑談で聞いたのだけれどね、辛いっていう味覚は無くて、辛さを感じるのは痛覚なんだって」
「へー」
「つまり、辛い、っていうのは、痛い、と同じ。それで、痛い、がつづくと痛みを和らげようとしてベータエンドルフィンとかいう脳内麻薬みたいなのが分泌されるの。それで、気持ちいい、になるわけ」
「はぁ・・・」
「これって、何かに似ていない?」
「ああ」
「そう。直子みたいなマゾの苦痛が快楽に至るプロセスと同じなのよ。だから、檄辛好きはドエム、っていうのが、その人の結論だったの。直子なら檄辛好きになる素質、充分あるのじゃない?」

「うーん・・・辛いものが好きイコール痛いのが好き、というこですよね?確かにそうなのかもしれませんが、私は食欲と性欲を結びつけたことがないので、あまりピンときません・・・」
「私もたまに辛いものが食べたくなるときもありますけれど、そのときムラムラしているわけでもないですし、ムラムラは別の方法で解消しちゃいますから・・・」
「マゾへの責めのひとつとして、辛いカレーを無理矢理食べさせて、そのつらそうなだらしない顔を見て愉しむ、っていうのをされたら、私も目覚めちゃいそうな気もしますが・・・」

「なるほど、その責めは面白いかもね。だけど辛いものの摂り過ぎはからだにも悪いから、直子が好きでないのなら、したくないな」
 お姉さまからの、なんておやさしいお言葉。
「それに辛さ、って一口に言っても、いろいろあるじゃない?たとえばトウガラシならホットって形容されるし、ミントやワサビみたいな辛さならクールでしょ。だから、たぶんやっぱり辛さって、味でもあるし痛さでもあるのよ。エムだエスだっていうよりは、好みの問題よね」
 
 その話題はそこで終わり、お食事もあらかた終えて、お紅茶アンド食休みタイムになりました。
 お姉さまがテレビを点けると、レジャーを終えた車の都会へのUターンラッシュのニュースをやっていました。

「大型連休中の都心て、本当に人も車も激減して、ひっそりするのよね。とくにお正月なんてガラガラ。あ、もちろん遊び場所のある繁華街は別よ」
「そのぶん、こっちに残った人たちは静かでいいけれどね。今年の年始の連休中に用事があって官庁街のほうへ車で行ったらスイスイでさ、ビル街にまったく人影が無くて、まるでゾンビ映画のワンシーンみたいだった」
 小さく笑いながらそこまでおっしゃって、ふと何かを思いつかれたような表情になったお姉さま。
 カップを手にしたまま窓辺まで行き、しばらくお外を眺めていました。

「直子ってさ、今まで街中で、本当のオールヌードになったことはある?」
 テーブルの上を片付けようと立ち上がりかけた私の傍まで来たお姉さまが、覗き込むように尋ねてきました。
 その瞳が愉しげに輝いています。
「あの、えっと・・・」
「本当のオールヌード、っていうのはさ、つまり、上にコートとか上着とかを羽織っていない状態の全裸で、誰かが来てもすぐに隠せる状態じゃないことね。つまり正真正銘のスッポンポン。今みたいな状態。あ、もちろん首輪は別。こういうのって、マゾのシンボルみたいなものだから」
 再び座り直した私に背後から、覆いかぶさるように抱きついてきて、私のおっぱいをやんわりもてあそぶお姉さま。
 ああん、くすぐったいですぅ。

「あの、えっと・・・」
 おっぱいをやさしく愛撫されながら、一生懸命思い出しました。
「高校2年のとき、やよい、あ、いえ、百合草先生と遊んだとき、通っていた高校の裏門で写真を撮られたときは、ぜ、全裸でした・・・あんっ、雨がざんざん降りで、もうひとり、ユマさんと一緒で・・・あぅっ、ちょうど小さなトラックがやってきて・・・あんっ」
 私の言葉に合わせるように、両方のおっぱいを強く弱く揉みしだくお姉さま。

「ふーん。それだけ?シーナさんとは?」
「あとは、えっと、シーナさまとは、お外では・・・ああんっ、セレクトショップで、結果的に全裸にされたことは、ありました・・・知らないお客様が何人かいらっしゃって・・・」
「ああ。あの裸コートのときね。でもそれは、一応屋内か」
「は、はい・・・ああんっ」
 お姉さまの指のターゲットが私の乳首に移り、私はハァハァ興奮していました。

「その2回きりなの?」
「は、はい・・・他にもお外でえっちな格好をしたことは、な、何度かありましたけれど、全部脱いだりはしていません、たぶん・・・ああんっ・・・スケスケとか、ノーパンとか・・・あっ!・・・」
 そのとき、唐突に思い出したことがありました。
 私ったら、もう一回あるじゃない、お外で真っ裸になったこと・・・

「何?今の、あっ、は?」
 すかさずお姉さまからツッコまれ、乳首を捻り上げられました。
「ひーぃんっ!ごめんなさいぃ、もう一回だけありましたぁ・・・高三のとき、地元の小山みたいな森で・・・」
「あら、それは初耳ね。それも百合草女史と?」
「あの、いえ、それはひ、ひとりで、と言うか、成り行きで・・・」

 高三のとき、やよい先生が住んでいらっしゃった町に遠征して、ひとりノーパン遊びをしていてカズキくんと知り合ったことは、今まで誰にも、やよい先生にもシーナさまにもお姉さまにも、お話したことはありませんでした。
 その状況やお相手があまりにも特殊で、ある意味アブノーマル過ぎるし、自分自身に後ろめたい気持ちが少なからずあったので、誰にも言わず、出来れば死ぬまで隠匿しておくつもりだった、私だけのヒミツでした。

 お姉さまにおっぱいと乳首を執拗にもてあそばれて喘ぎながら、カズキくんとの一部始終を白状しました。
 カクレガのこと、お医者さんごっこのこと、生まれて初めて潮を吹いてしまったこと、ざんざん降りの森で全裸で抱き合ったこと、そしてミキちゃんとのことまで。
 今まで秘密にしていたことの罰として、お姉さまにたくさんお尻をぶたれました。

「直子ったら、オネショタのケまであったのね?本当に呆れたヘンタイお姉さんぶりだこと」
「そのくらいの子なら、勃たないものね。でもそれって限りなくハンザイに近いわよ」
「ずいぶん強烈なお医者さんごっこだこと。その子のその後の人格形成が心配になっちゃうわね」
「それってたぶん、ちっちゃな子のこぶしで、ボルチオ開発されちゃったのよ。それで直子、中イキまで覚えちゃったのね」
 お姉さまからのからかいと蔑みのお言葉を聞きながら、あの子たち、今頃どうしているかな、なんて考えていました。
 あれから早くも3年以上、経っていました。

「おーけー、わかったわ。ヘンタイ直子は今まで2回、外で素っ裸になったことがある、と。それもいずれも雨の日。つまり、3度目を経験するのに、今日なんかおあつらえむきな天気だと思わない?」
 ダイニングを離れ、床に四つん這いになっている私のお尻にバラ鞭を振るいながら、お姉さまがおっしゃいました。
 私はもうすでに2回、お姉さまの指と鞭でイかされていました。

「あうっ!えっと、それは・・・」
「だからつまり、今日はこれから出かけることにするの。車出してあげる。直子の露出マゾレベルの経験値を稼ぎに行くのよ」
「えっ!」
「前にも言ったでしょ?あたしは、百合草女史やシーナさんと直子との甘酸っぱい思い出をことごとく上書きして、直子の一番のお相手になりたいの」
「まあ、今聞いたカズキくんとの思い出は、さすがのあたしも太刀打ちする術が無いけれど」
 お姉さまの唇が近づいて、深ーいくちづけをくださいました。

「それにさっき教えてあげたじゃない、連休中の都心は人が少ないの。こんな天気だし、連休最終日だし、輪をかけて少ないだろうことは保証するわ」
「で、でも、どこに行くのですか?」
「そうね、官庁街なら絶対休みで人いないから、丸の内あたり行ってビルをバックに写真を撮ってきましょう。今日の目標は、直子が街中で素っ裸になること」
「・・・東京の街の中で私、全裸にならなくてはいけないのですね?」
「そうよ。ワクワクしちゃうでしょ?一昨日のスーパーのときも、直子、すっごく嬉しそうだったものね」
 おっしゃってから、お姉さまの瞳がキラッと妖しく輝きました。

「そうだった。直子の露出レベルは一昨日、ずいぶん上がっちゃったんだっけ」
 私のお尻をスリスリさするお姉さま。
「ごめんごめん。忘れていたわ。あのとき直子が一番興奮していたのって、直子が自分からレジの子に、裸のお尻を見せつけたときだったものね?」
 お姉さまの指がどんどん、私のお尻の穴のほうに寄ってきていました。

「もう裸になるぐらいじゃ、直子はぜんぜん興奮出来ないわよね?ちゃんと誰かに視てもらわなくちゃ」
「それならこうしましょう。今日の直子の目標は、街中で素っ裸になって、その姿を見知らぬ誰か三人以上に見せつけてくること」
「まず人通りの少なそうなところでウォーミングアップして、徐々に人混みに入っていく、っていうのはどう?」
「そ、そんなこと私・・・あうっ!」
 お姉さまの指が私の肛門にズブリと挿さりました。

「せっかくあたしがドライブデートに誘っているのに、なんだかあまり乗り気ではないみたいね?直子にノーっていう選択肢なんて無いこと、忘れちゃった?」
「あぅ!、いえ、あの、ごめんなさいぃ」
 お姉さまが挿し込んだ指をグリグリしながら、もう片方の手で尻たぶをバチバチ叩きます。

「どうせ明日は朝から羽田だし、あたしも今夜は池袋にいたほうが便利なのよ。それに、直子には部屋もすっかり奇麗にしてもらったから、家政婦直子へのお礼として、夕食はどこかのレストランで奮発してあげる」
「あうっ、はいぃ、あ、ありがとうございますぅぅ」
「連休最後に、ふたりで忘れられない思い出をつくりましょう!」
「はいぃぃ、お姉さまぁ・・・」

「そうと決まったら準備しなくちゃ。ほら、早くイっちゃいなさい!」
 お尻の穴をほじられながらクリットをつままれました。
「あぅぅ、いぃぃ、もっとぉぉ・・・」
「いやらしい声だこと。あたしも興奮しちゃっているから、ちゃんと鎮めて、少し冷静にならなくちゃ」
「ほら早くイって!次はあたしの番なのだから」
 お姉さまが片手でスルスルと、Tシャツワンピを脱ぎ始めました。


オートクチュールのはずなのに 14