2015年2月15日

面接ごっこは窓際で 01

 シーナさまをお見送りした後、ふたりでサンルームの片付けをしてから、ゆっくりとお風呂に入りました。
 私を虐めてくれたオモチャたちをキレイに洗い、お互いのからだの洗いっこもして、その後、バスタブの中でたっぷり愛し合いました。
 お道具類はまったく使わず、ふたりの指と唇と素肌だけで。

 ベッドに入るときには、時計は明け方の4時近くを示していました。
 ふたりとも裸のまま、抱き合うようにシーツに倒れこんで、おやすみのキス。
 さすがに疲れていたのでしょう、お姉さまも私も、すぐに寝入ってしまったようでした。

 目覚めると隣にお姉さま。
 だけどまだぐっすり夢の中なご様子。
 起こしてしまわないように、そっとベッドを抜け出しました。

 お姉さまが私のお部屋にお泊りして、今日もお姉さまとふたりで過ごせる。
 そのことだけでもう、嬉しくてたまりません。
 新しいガウンをお姉さまの枕元にご用意し、お姉さまのおでこにチュッとして時計を見ると、もうすぐお昼な11時25分。
 軽くシャワーして身繕いを済ませ、ブランチの用意をすることにしました。

 素肌に白のフリルエプロンだけ着けてキッチンへ。
 お湯を沸かして、パンケーキを焼いて、スクランブルエッグを作って。
 ルンルン気分でお料理を始めた頃、お姉さまがキッチンを覗きに来ました。

「おはよう。早起きなのね」
「あ、おはようございます。もうお昼近くですけれど。お姉さまよりは早起きしました」
 寝惚けたお顔で、んーって欠伸されるお姉さまも、とても色っぽい。
 私が用意したガウンを素肌に羽織っただけのようです。

「あと20分くらいで出来上がりますから、先にシャワーでもしていてください。新しい歯ブラシもご用意してありますから」
「んーっ。それは大丈夫。ちゃんとお泊りセット持ってきたから。それじゃあシャワー、お借りするわね」
 お姉さまが私に近づいてきて、チュッと頬に触れてから、キッチンを出て行きました。

「休日に誰かの家で手料理を食べるのなんて、すごく久しぶりな気がする」
 お姉さまがたっぷり蜂蜜を塗ったパンケーキを頬張りながらおっしゃいました。
「美味しい」

「手料理なんて呼べるものではないです。卵とパンケーキを焼いただけですから」
「ううん。こういうのがいいのよ。最近こういうの、忘れていたなーって」
「お姉さまはご自分でお料理、あまりされないのですか?」
「料理するのは嫌いではないけれど、最近ぜんぜんしてなかったなー。外食や出来合いのお惣菜ばっかりで」
「私もそうです。でも学校行かなくなって暇が増えたから、最近はちょくちょく自炊しています」
「あたしの場合、作るって決めると無駄に凝っちゃうのよ。ネット通販で珍しいスパイス取り寄せたりして」
「あ、それ、わかります。どこかのお店で美味しいもの食べて、自分でも作ってみよう、って始めると、ひとりで大騒ぎになっちゃいます」

 とりとめのない会話をしながらの楽しいお食事を終えて、まったりお紅茶タイム。
「お姉さまは今日一日、ゆっくり出来るのですか?」
 窓から差し込む春の陽射しは明るくて、ポカポカ暖かそうな土曜日です。

「そうね、大丈夫よ。夜まで直子と一緒にいれるわ」
「夜まで、ということは、日曜日には何かご用事がおありなのですね?」
 ちょっとがっかりして尋ねます。
「うん。業界のコンベンションが関西のほうであって、それに出席しなければならないのよ。だから着替えとか取りにいったん、自宅に帰らないと」
「ビルの駐車場にあたしの車が置いてあるから、帰るのは夜遅くでも大丈夫。だから今日は直子と、まだまだたっぷり遊べるわよ?」
 しょんぼり気味な私の心を見透かしたように、お姉さまが明るいお声で励ますみたくおっしゃいました。
「はいっ!嬉しいです。そうですよね」
 私も前向きに気持ちを切り替えます。

「飯田橋に帰るのは半月ぶりくらいかな。きっと今頃、御濠端の桜が綺麗でしょうね。そうだ、今日はお花見に行こっか?」
 食器を片付け始めた私の後ろをついてきて、私の背中で結んだエプロンの紐を解くお姉さま。
「あ、でも夜に車で帰るとなると、あまりお酒を飲めないから、お花見してもつまんないかも」
 ご自分で提案してご自分で却下されたお姉さまは、持ってきた食器をシンクに置いて、私の顔を覗き込んできました。

「それよりも今日は、直子の家を探検して、私生活の秘密を赤裸々に暴き出しちゃうほうが面白そうよね?」
 お姉さまの手が私の首の後ろに回り、そこに結ばれた紐も解かれ、エプロンが足元にパサリと落ちました。
「ふたりとも裸のまんまで、さ?」
 お姉さまもガウンをスルリと脱いで、同時にギューッと抱きしめられました。

「部屋で裸のまま過ごすのって、とても気持ちいいものだったのね。開放的で、エロティックで。クセになりそう」
 舌が喉の奥まで届きそうな、攻撃的な長いくちづけの後、お姉さまがハスキーなお声でおっしゃいました。
「直子といると、あたしまでどんどんスケベになっちゃう。こんなにえっちに貪欲になるのって、間違いなく生まれて初めてよ」

 お姉さまの指が私のアソコに侵入し、負けずに私もお姉さまの下半身に右手を滑らせます。
 左手だけでしっかり抱き合い、唇は重ねたまま、お互いの指がクチュクチュ音をたてています。
「んふぅ、お姉さまぁぁ・・・」
 互いの唇から糸をひき、切ないため息を頬に感じながらふたり、どんどん高まっていきました。

「直子のお尻、まだ叩かれた痣がうっすら残っているわね。昨夜虐められた場所の具合はどう?」
「まだちょっとヒリヒリしているけれど、大丈夫そうです」
「今日はお通じした?」
「はい、朝起きてすぐに・・・普通でした」
「ふーん」
 キッチンで互いにイカせあった後、洗い物を済ませてからリビングでちょっと休憩。
 ソファーで裸のからだをピッタリ寄せ合うと、すぐにまた疼いてきてしまいます。

 それからはふたり、家中のお部屋を全裸でうろうろ。
 やよい先生やシーナさまに撮られた過去の私の恥ずかしい写真やビデオをじっくり観られたり、ミイコさまのハウトゥ緊縛DVDを流して縛りの練習をしたり、ウォークインクロゼットに篭って私の手持ちのお洋服を下着から全部チェックして、えっちなコーディネートを研究したり。
 気がつくとお外は薄暗くなっていました。
 そのあいだ、私は数え切れないくらい、お姉さまも少なくとも3回はオーガズムを迎えたと思います。

 余韻の残るからだにシャワーを浴びて、湯船にゆったり浸かって、頭とからだにタオルを巻いたままふたり、リビングのソファーにドサッと腰を落ち着けたとき、時計はすでに夕方の6時になろうとしていました。

「ふー。気持ち良かった。ねえ、そろそろお腹が空いてこない?」
「あ、何かお作りしましょうか?パスタとか」
「うーん、直子の手料理も捨てがたいけれど、やっぱりどこか外に食べに出ましょう」
 お姉さまがニッコリ笑い、きっぱりおっしゃいました。
「だって、このままこの部屋にいたら、直子のえっちテクに翻弄されつづけて、帰るのさえ億劫になっちゃいそうだから」
 照れくさそうにおっしゃったお姉さまが、グラスに注いだアイスティーをゴクゴクッと一気に飲み干しました。

「そうだ。これからあたしのオフィスに行こう。下のレストラン街で食事してから、オフィスに連れていってあげる」
「え?いいのですか?」
「いいも悪いも、直子はあたしのとこで働くこと、決めたのでしょう?」
「は、はい・・・」
「だったら何も問題無いわ。会社訪問みたいなものよ。あたしも日曜のために確認しておきたい資料とかあるから好都合。オフィスを案内してあげる」

「あ、あの、入社試験とかは、しなくていいのですか?」
 私の髪をブラッシングしてくださるお姉さまの手が止まり、あはは、って大きく笑われました。
「面白いこと言うのね。うちはそんな大会社じゃないわよ」
「でも私、服飾関係のことなんてぜんぜん詳しくないし、ファッションセンスだって自信ないし」

「大丈夫。そのへんを期待して誘ったのではないから。直子には、あたしの仕事の手伝いをして欲しいだけ、事務関係の」
「それに、直子がそばにいると、きっといろいろ愉しそうだし」
 お姉さまの手が私の頭をやさしく撫ぜてくださいます。
 すっごく嬉しい気分です。
「でもまあ最初のうちは、雑用係みたいになっちゃうと思うけれどね」

「あ、でも一応、履歴書だけは提出してね。会社の決まりだから」
「それだったら、就職活動のときに書いたのが何通か残っています。幼稚園用に書いたものですけれど」
「それでぜんぜんおっけーよ。だったら今日それ、いただいていくわ」
「はい。わかりました」
「それじゃあ服着て、お出かけしましょう」

 お姉さまが下着を着け始めます。
 私もクロゼットへ行こうと立ち上がりました。
 お姉さまの右手が不意に伸びて、私のからだに巻いたバスタオルが剥がされました。
「あんっ、いやんっ」

「うふふ、可愛い声。ねえ、直子はあれ着て見せてよ。先週部室に来たとき置いておいた白のニットワンピ。あれ着た姿、あたしまだ見てないもの」
「あ。あれだったらクリーニングに出して、昨日お返ししようと思ってバッグにいれたままでした」
「え?あれは直子にあげたのよ?絶対似合うと思って。返さなくていいの」
「そうだったのですか。ありがとうございます」
「うん。だから着て見せて。もちろん素肌に直にね」

 あの、すっごくボディコンシャスでからだのラインがクッキリ出てしまう薄でのニットワンピース。
 あれを身に着けたえっちな姿を、週末で賑わうショッピングモールを行き交うみなさまに視てもらいなさい、というご命令なのでしょうか。
 そして、お姉さまの会社の方々にも。

「で、でもこれから伺うのは会社ですよね?」
「社員がいるのじゃないかって、心配しているの?大丈夫。あれ、うちのブランドだもの。もし会っても、似合ってるって褒められるはずよ」
「あ、そうだったのですか。とっても着心地良くてすっごく気に入ったのですが、サイズが小さいのかピッタリし過ぎて・・・とくにノーブラだと胸が・・・」
「ううん。あれはもともとそういうコンシャスなデザインなの。まあとにかく着て見せてよ」
「は、はい・・・」

 お姉さまに押し切られる形で、クリーニング屋さんのビニール袋を破り、ニットワンピを頭からかぶりました。
「ほら!ジャストフィットじゃない。超お似合いよ。とってもセクシー」
 お姉さまが、薄くてふわふわの生地が盛り上がった私のバスト部分をまじまじと見つめながら、感嘆のお声をあげました。
 じーっと視られているその先端には、これ見よがしな突起がクッキリふたつ。
 ああん、恥ずかしい・・・

「まるでキャットスーツみたい。いやらしいくらいピッタリフィットじゃない。それで街歩いたら絶対みんな振り返るわね」
 ビジネススーツを着終えてエレガントなキャリアレディに戻ったお姉さま。
 からかうようにおっしゃってから、ニッと笑いました。

「でもまあ確かに、バストトップはちょっと刺激が強すぎるかな。おっけー。あのコーヒーブラウンのショートジャケットを羽織るといいわ」
「同じような色合いでアーガイルのハイソックスがあったでしょう?あれ履いて、足元はあのショートブーツね」
 私の手持ち衣装を今日一日ですべて把握してしまったお姉さまが、てきぱきコーディネートしてくださいました。

「お尻のまあるくて卑猥なラインは隠せないけれど、行きはあたしと一緒だし、帰りは車でここまで送ってあげるから。それでいいでしょ?」
「は、はい・・・」
 ショートジャケットを羽織って、そそくさとボタンを留めて胸元を隠します。
 鏡に映す自分の姿は、我ながらなかなかオシャレな感じ。
 だけど、からだの内側がキュンキュン疼いて仕方ありません。

「顔が火照っているわね?なあに?もう濡れてきちゃった?その格好で外に出るんだ、って思って」
「はい・・・少し・・・」
「垂れちゃいそう?」
「え?あの、えっと・・・」
「パンツ穿きたい?」
「あ、はい、穿きたいです・・・」
「だーめ」
「あぁんっ」
「えっちな声。本当にスケベな子」
 お姉さまがメイクの手を止めて、満足そうにフフンて笑いました。


面接ごっこは窓際で 02


2015年2月8日

彼女がくれた片想い 03

 次の週の体育の時間。
 私は休み時間の前から体育館そばのベンチで待機していた。
 彼女の着替えの一部始終を傍でじっくり目撃してやろうという魂胆だった。

 体育の授業はニ時限目。
 私はその曜日の一時限目の講義はとっていなかった。
 いつもなら体育の授業に合わせた時間に登校するのだが、その日は少し早めに来て体育館への入口が目視出来るベンチに座り、読書するフリをしながら人の出入りをそれとなく監視していた。

 一時限目の講義中にもキャンパスにはひっきりなしに人影があった。
 登校してくる人、掲示板の脇でじゃれ合うように談笑しているグループ、ベンチに座ってコンパクトミラーを覗く人。
 早々と体育館の中へ消えていく人も数人いた。
 私に見覚えはないが、きっと同じテニスの授業を受けている一年生なのだろう。

 チャイムが鳴り、一時限目が終わった。
 校舎内からキャンパスへとパラパラと人が散らばり始め、辺りがたちまち賑やかになる。
 何人かが体育館入り口へと吸い込まれる。
 今のところその中に彼女の姿は無かった。

 休み時間が2分、3分と過ぎても彼女は現われない。
 文庫本を広げ、体育館の入口を伏し目で気にしつつ活字を追っているので内容はまったく頭に入ってこない。
 意味の無いじれったさが胸に募る。
 その一方で、ふと頭の中に疑問が湧いた。

 なぜ私はこんなにも彼女のことを気にかけているのだろう?
 入学以来自分の殻に閉じこもることだけに、ひたすら専心してきたはずなのに。
 わざわざ早くに登校し、彼女を待ち伏せている現在の自分。
 客観的に見るとひどく滑稽で可笑しく感じられ、苦笑交じりに顔を上げた時、彼女の姿が視界を横切った。

 彼女は校門の方から小走りに体育館へと向かっていた。
 彼女も一時限目はとっていないようだ。
 
 ベージュのニットに白のブラウス、オリーブグリーンのミモレ丈スカート。
 なぜだか思いつめたような顔をして、足早に体育館内に消えていった。
 私も立ち上がり後につづく。
 休み時間は残り5分を切っていた。

 先週とほぼ同じ場所に陣取った彼女は壁向きになって着替えを始めた。
 先週の観察で着替え中の彼女は背中を向けたまま、まったく周りを気にしないことを知っている私は安心して彼女の背中を見つめながら着替え始める。

 ニットのカーディガンとブラウスを脱ぎ、手早くテニスウェアをかぶる彼女。
 ブラジャーのストラップは薄い水色だった。
 それからバッグに手を入れ、アンダースコートを取り出した。
 ウェアの胸ボタンを留めていた私の手が止まる。
 彼女の両手がスカート内に潜り、やがて小さな水色の布片が踵近くまで下りてきた。
 
 やっぱり。
 布片が彼女の足首から抜かれ、代わりに真っ白ヒラヒラなアンダースコートがスカートの中へと消えていくのを眺めながら私は明らかに性的に興奮していた。
 
 ショートラリーの練習でひるがえる彼女のスコート。
 その下のアンダースコートが見えるたびにドキドキしてしまう。
 彼女は素肌の上に直接それを穿いている。
 それを知っているのは彼女と、そしてたぶん私だけ。

 心底楽しそうにテニスコートを友人たちと右往左往している彼女を見ていると、その行為に別に深い意味は無く、彼女の勘違い、世間知らずゆえの誤解からきたものであろうことは推察出来た。
 彼女は本当にアンダースコートとはそう穿くべきものと思い込んでいるのだろう。
 もしも何か別の、たとえば性的な思惑とかを含んでしている行為なのであれば、あんなに無邪気に笑っていられるはずがない。
 
 その推論は私を少しがっかりさせたが、それでも私は彼女のアンダースコートを目で追いかけることを止めることが出来なかった。
 コート中に露見される色とりどりのアンダースコート。
 その中で、彼女のアンダースコートだけに生々しいエロスを感じていた。
 
 その理由が私と彼女の出会いとなったあのトイレでの出来事に起因していることは明白だった。
 授業のあいだ中、遠巻きに彼女だけを追っていた。

 授業が終わり更衣室へ戻る。
 彼女の着替えを観察する。

 ウェアを脱ぎ、ブラウスを羽織る彼女。
 スコートを取り、素早くスカートを穿く。
 両手がスカートの中へ潜り、アンダースコートが引きずり下ろされる。
 両足首から抜かれ、丁寧にたたんでバッグに仕舞われた。
 それから脱ぎ去ったウェア類をたたみ、バッグに押し込み始める。

 あれ?

 私は彼女の挙動を一瞬たりとも見逃すまいと彼女の背中を見つめている。
 着替えの手も止めたまま。

 ウェア類をバッグに収めた彼女はラケットをケースに仕舞い、バッグを肩に提げた。
 両肩に手を遣り、後ろ髪をフワリと一度持ち上げてからゆっくりと振り返る彼女。
 あわてて目を逸らし、しゃがみ込んでソックスを直すフリをする私。
 そんな私の傍らを足早に通り過ぎ、彼女は更衣室を後にした。

 私は混乱していた。
 今見たことをもう一度頭の中で反芻した。
 
 やはり一行程、抜けている。
 彼女は授業の前、スカート越しに下着を脱いで代わりにアンダースコートを身に着けた。
 授業の後、スカートを着けてからアンダースコートを脱ぎ、そのまま更衣室を出て行った。
 そのことにどんな意味があるのかがわからなかった。

 大急ぎで着替えを終わらせ更衣室を出た。
 下半身に下着を着けていない彼女がこれからどうするのか、心の底から知りたいと思った。
 振り返るときにチラッと見えた彼女の横顔は心なしか紅潮しているように見えた。
 からだを動かしたせいかもしれないし、まったく別の理由があるのかもしれない。
 
 二時限目の後は昼休み。
 私はとりあえず学食に向かった。

 そう言えば私が彼女をマークした日、彼女がトイレの個室に立てこもっていたのも昼休み後の三時限目だったっけ。
 だけど曜日が違う。
 体育のある日ではなくて確か木曜日だったっけか。
 学食へ向かう道すがら、そんなことを考えながらきょろきょろと彼女の姿を探した。

 学食であっさり彼女はみつかった。
 いつものグループ5人でテーブルを囲み、ランチを楽しんでいた。
 彼女はクスクス笑いながらカレーライスのスプーンを唇に運んでいる。
 私は出入り口近くのぼっち飯仲間に相席し、きつねそばをもそもそと啜った。

 三時限目も四時限目も彼女と一緒だった。
 彼女のグループの顔ぶれは若干変わったが、仲間たちの中ではんなりした笑顔を浮かべて講義を受けていた、
 休み時間のトイレも仲間と一緒に入り、一緒に出てきていた。
 彼女の振る舞いは普段と何ら変わらないように見えた。

 その日は夕方から用事があったので放課後までは追えなかった。
 結局、彼女がノーパンになった理由は分からず終いだった。

 相変わらず私は混乱していた。
 でもそれは妙に心地の良い混乱だった。
 
 普通の女性なら好き好んで自らノーパンになったりはしない。
 彼女が何かしらエロティックな嗜好を隠し持っているであろうことは確信していた。
 なぜなら私自身がそうだから。

 その夜、私は彼女を想い、遅くまで自慰行為に耽った。


彼女がくれた片想い 04


2015年1月25日

就職祝いは柘榴石 15

「あーーっ!うぅぅ・・・」
 圧しつけられた珠が、菊の蕾をグイグイ抉じ開けてきます。
 今までの珠より大きいことは、抉じ開けてくる感触でわかります。
「いやーんっ、だめぇーっ、入らなぃーですぅぅぅっ」
 シーナさまの両手が私のふたつの乳房をわしづかみ、握りつぶすように揉みしだき始めました。
 下半身に集中していた意識が分散し、肛門とバストから疼痛を伴った快感が、ゾクゾクッと全身を駆け巡りました。

「ふぅーっ。なんとかおさまった」
 お姉さまの大きなため息。
 結局7つめも入っちゃったみたい。
「でも、ここまでで限界みたいね。もう余裕なさそう。お尻全体が小刻みにプルプル震えているもの」
 お腹がシクシク痺れる感じ。
 お姉さまのつぶやきにシーナさまが応えます。

「抜きに移るのなら、これも使うといいわ」
 シーナさまからお姉さまに手渡されたのは、もう一種類のほうのビーズでした。
 珠の大きさがランダムでつらなっているやつ。
 最初の珠が直径2センチくらい、次が5ミリくらい小さくなって、1センチくらい大きくなって、という具合に凸凹した形状。
 真ん中へんの一番大きな珠は4センチくらいありそうです。
「どこに挿れるかは、わかるわよね?抜きながら挿れたり、両方同時に抜いたり、いろいろ試してみるといいわ」
 薄く微笑むシーナさま。

「はうぅっ!」
 ランダムビーズを左手に持ったお姉さまが早速、溢れるばかりの蜜をたたえた私の膣口に最初の珠を圧しつけてきました。
 同時にお尻のほうのテグスがピンと張り、内側から抉じ開けられる感触。
「ううぅーーーっ!」
 再びあの排泄時に似た、背徳的な感覚に下半身が包まれました。
「あああー、だめぇー」
 何かが一緒に溢れ出てしまいそうな、羞恥と屈辱に満ちた禁断の刺激。

 珠の直径どおりに肛門が広がった、そのときがピークでした。
「だめー、視ないでーっ、でちゃうでちゃうでちゃうーっ!」
 珠がスポンと抜けたとき、頭の中に閃光がスパークし、意識が一瞬飛びました。
 
 肛門から珠が抜け出るのと同じタイミングで、一番大きな珠がお姉さまの手で膣内に圧し込まれ、同時に充血しきってパンパンに腫れたクリトリスにもカリッと爪を立てられたのです。
 シーナさまの指が両乳首を思い切り捻り潰したのも同時でした。
 達成感+苦痛=絶頂。
 凄まじい快感の余韻で、全身はヒクヒクといつまでも痙攣しつづけ、口からはよだれが、性器からは白濁した愛液が、トロトロ滴り落ちていました。

 すぐにまた、お尻のテグスが緊張しました。
 アソコから覗くテグスも、お姉さまの同じ指に繋がっています。
 今度は2本同時に引っ張るおつもりみたい。

 そのとき、今まで感じなかった特徴ある匂いが鼻腔をくすぐりました。
 何かが焦げるような臭い・・・
 シーナさまの右手に、火の点いた赤いローソクが握られていました。

「これもトッピング、ね?」
 乳首に赤い蝋が垂れました。
「はぁうっ!」
「ほらほら、あんまり暴れると、蝋がお顔にまで垂れてしまってよ?」
「ひぃっ!」

 肌を襲う熱さは、爪を立てて皮膚をつねられたような一瞬の鋭い痛み。
 ポタポタ、ポタポタ・・・
 尖立した乳首を頂点として、左おっぱいがみるみる赤く染まっていきます。
「あふぅ」
 上半身には熱の刺激、下半身は摩擦の刺激。
 肛門の内側と膣壁を大きさの珠う珠がゴツゴツ擦ってきます。
 お尻とアソコに圧し込まれた珠たちが、ほんの少しの隔たりで互いに干渉し合い、私の下半身の内側で嬲るように粘膜を蹂躙してきます。

「あうっ、いやー」
「だめだめだめ、ゆるしてーーー」
「でちゃうでちゃうでちゃうーー」
「許して、ゆるして、ゆるしてーーー」
「あっ、あっ、あっ、あーーーーっ」
「うーーんっ、うーーんっ、くるぅううぅーーーっ」

 傍から視ていたら私はまさしく、発情期のケダモノそのものだったことでしょう。
 ひっきりなしに喘ぎ、叫び、唸り、嗚咽し、身悶えました。
 肛門に、膣に、珠が何度も埋め込まれては抜かれました。
 おっぱいを赤く染めて固まった蝋は、そのたびにわしづかみで崩され取り除かれて、すぐに新たな熱の刺激が垂れてきました。

「ねえ、エミリー?」
 気が遠くなりそうになると刺激で目を覚ます、をくりかえしている私の耳に、シーナさまのお声がぼんやりと聞こえました。
「相談があるのだけれど・・・」
「はい?」
 お姉さまの声も遠く掠れ気味です。

「直子さんのすけべな喘ぎ声をずっと聞かされていたら、もうどうにもがまん出来なくなっちゃって」
「ああ、それ、あたしもです。さっきからからだがムラムラ疼いちゃって。あたしにしては珍しいのだけれど」
「そうよね?こんないやらしい声を聞かされっぱなしじゃ、誰だってサカっちゃうわよね?」
「ひぃーーっ!」
 シーナさまが私の蝋だらけの左おっぱいを乱暴に掴みました。
 せっかく固まって、襲い来る熱から守ってくれていた蝋が、またボロボロと崩れてしまいました。

「だからさ、ちょっと直子さん貸してくれないかな?口だけでいいし、もちろんエミリーの後でいいから」
「ああ。そんなことでしたら、さっきも言ったように、どうぞご自由にしてください。あたしに気兼ねなどせずに」
「本当?それならお言葉に甘えちゃおうかな」
「ええ。あたしはいつでもこれに奉仕させることが出来ますし、それに、シーナさんがいらっしゃる前に、一度味わいましたから」
 テグスをツンツン引っ張る手は緩めず、シーナさまに微笑むお姉さま。
 これ、って、自分が物扱いされたことに、キュンと感じてしまう私。

「直子、シーナさんをちゃんと満足させて差し上げなさい。さっきあたしにしたみたいに」
 お姉さまの指が、私のクリトリスをギュウッと摘みました。
「あふうっ!は、はぁい!お姉さまぁ!」
 からだ全体が蕩けちゃいそうな苦痛と快感の中で、お姉さまの冷たいお声さえも、いっそう甘く響きます。
 お姉さまがお望みなら、どんなことだってやります。

 シーナさまは、いったん私から少し離れ、Tバックをスルスルっと脱ぎました。
 つづいてエナメルのビスチェまで。
 お姉さまがまじまじと、全裸のシーナさまを見つめていました。
「ツルツルなんだ・・・」
 小さくつぶやくお姉さま。

 再び私に近づいてきたシーナさまは、お姉さまに背を向けて私の顔に跨りました。
「んぐっ!」
 私の口にアソコ、鼻の下辺りにクリトリスが押し付けられました。
「直子さん、お願いね」
 口を塞がれたら、お返事できません。
 シーナさま、されているときのお顔をお姉さまには、見せたくないのかもしれないな。
 ふと、そんなふうに考えました。

 何ヶ月ぶりだろう。
 シーナさまの香り、シーナさまの味。
 ツルツルの肌と濡れた粘膜。
 舌をありったけ伸ばし、粘膜の中に捻じ込みました。

「はうぅ、いいわ、そこ、そこよっ」
 シーナさまの上ずったお声が聞こえ、アソコを口にグイグイ押し付けられます。
 シーナさま、いつもよりもずいぶん濡れていらっしゃる。
 たぶん今までで一番凄いかも。
 無我夢中でシーナさまを味わいました。

「はっ、はっ、はっ、はっ・・・」
 シーナさまの息遣いが早くなってきました。
 私の舌と唇は、シーナさまの性器のいたるところを舐め上げ吸い上げ、息を吹き込み肉の芽を転がします。
「はあっ、そこ、はっ、はっ、はあっ、そこよそこそこぉ・・・」

「シーナさん?イキそうになったら教えてくださいね。直子も一緒に、イカせますから」
 心なしか切なげな感じな、お姉さまのお声が聞こえてきました。
 お姉さまのお姿は、シーナさまの股間に遮られて見えません。
 今の私に見えるのは、ご自分の裸のバストに両手を遣って激しく揉みしだきながら、眉間にシワを寄せて切なげに歪むシーナさまの可愛らしいお顔を、真下から見上げた構図だけ。

 見えなくなってしまったお姉さまは、ビーズを埋め込んだり抜いたりするのがまどろっこしくなられたのか、お尻にいくつかのビーズは埋め込んだまま、責めるお道具をご自分の指に切り替えられたみたい。
 何本かの指が激しく暴れながら、私の膣を出たり入ったりしているのが感じられます。

「あっ、イきそう、そう、そこそこ、もっとぉ・・・」
 シーナさまの息遣いがどんどん激しくなり、その鼻にかかった可愛らしいお声に、私のはしたない喘ぎも重なります。
「あうっ、んんんんーーっふぅぅーっ!」
「あっ、あっ、もっと、もっと、そこそこ、イク、イクぅーーーっ!!」
 シーナさまの腰の上下が激しくなり、それに合わせて私もどんどん高まっていきます。
「いっ、いいっ、いいのっ、いいのっ、イクッ!イクぅぅぅーーーーっ!!!」
「あぁん、お姉さま、イキます、イっちゃいますぅ、イクぅぅぅーーーっ!!!」

 シーナさまのお声の昂ぶりに合わせるように、お姉さまの指が私のクリトリスを集中攻撃してきました。
 始めは撫ぜるように擦られ、摘まれ、やがて爪でカリカリひっかくように。
 私も急激に高まり、シーナさまとほぼ同時にイったみたいです。
 そのとき、んんーーっ!って、艶っぽく唸るような、お姉さまのお声も一緒に聞こえたような気がしました。

 今夜何度目だったのかは、もはやわからないけれど、たぶんベスト3に入るくらい強烈な頭の中の閃光スパークを味わった後、しばらくして目を開けると、私の目前にシーナさまの股間はありませんでした。
 聞こえてくるのは荒い息遣いだけ。
 はあ、はあ、はあ、はあ・・・
 
 これは自分が出しているものだと思ったのですが、よく聞いてみると、私の頭の後方、そして前方からも聞こえていました。
 ゆっくり顔を上げると、私の股間の向こう側でお姉さまが、横座りの形で激しく肩を上下させていました。
 それも、いつの間に脱がれたのか、ビスチェもTバックも着けていない生まれたままのお姿で。
 えっ!?なぜお姉さまが全裸になっているの!?

 後方からの息遣いはシーナさま。
 少しくぐもっているのは、私の頭ギリギリのところにペタンと内股でお尻を落とし、前のめりに突っ伏しておられるからのようでした。

「はぁぁ、気持ち良かった・・・直子さんのクンニテクは、人間国宝級よね。指もオモチャも使わず、舌だけで強烈にイカせちゃうんだもん」
 掠れたお声でおっしゃいながら、シーナさまがゆっくりと立ち上がられたようでした。
 私の顔を跨ぐように立たれたシーナさまの視線が、私の開いた股間の先でうずくまっているお姉さまのお姿をみつけたようです。
「あらあら。エミリーもがまん出来なかったみたいね。ひょっとして自分でしちゃったの?」
 シーナさまの嬉しそうなお声に、お姉さまのうなだれていたお顔がこちらに向きました。

「ええ。お恥ずかしながら、どうにもがまん出来なかったのよ。シーナさんの上ずったヨガリ声がまた、とても可愛らしいのだもの」
 照れ臭そうに微笑んだお姉さまも、ユラリと立ち上がりました。

「うわー。エミリーのオールヌード、初めて見たわ。やっぱりプロポーションいいわねぇ」
「あたしもシーナさんの裸、初めて見ましたよ。ハイジニーナだったのですね。知りませんでした」
「わたしは天然なの。直子さんと違ってお手入れ要らずよ。エミリーのヘアもかっこいいわよ」
 おふたりとも、イってスッキリ、ご機嫌なご様子で、あいだで寝転んでいる私のことなんか忘れたみたいに、楽しげにおしゃべりしています。

 それにしてもお姉さまったら、ご自分で慰めてしまうなんて、もったいない。
 私に言ってくだされば、全身全霊を込めてご奉仕して差し上げたのにぃ。
 だけどさっき、たぶん3人ほぼ同時にイったことがなんだか無性に嬉しくて、おふたりの会話を聞きながら私の顔も自然にほころんでしまいます。

「エミリーのイキ顔も見たかったなー」
 シーナさまがイタズラっぽくおっしゃると、お姉さまもすかさず。
「あたしもシーナさんがイクところ、拝見したかったです。この次にもし機会があったらぜひ」
「そうね。今度は直子さんだけ緊縛放置プレイでそのへんに転がしておいて、わたしたちがイチャイチャしてイカせ合うところを見せつけてやりましょうか?」
 ふたりの女王さまの楽しげな笑い声を聞きながら、あ、それもいいかな、なんて思う私。

「さあ、スッキリもしたことだし、アナルビーズの使い方も教えたしでお役目終わり。わたしはそろそろ自分の部屋に帰ろうかな」
 ンーッて背伸びしながらシーナさまがおっしゃいました。
「はりきりすぎて疲れたのか、眠くなってきちゃった」
「あ、お帰りになってしまうのですか?最後にシャワーでもゆっくり浴びて、サッパリしていかれればいいのに」
 お姉さまがお引き止めします。

「いいのよ。わたしんち、ここの上だし、これ以上おふたりの邪魔しちゃ悪いもの」
「それに、明日の夜からしばらく出張なの。また東南アジア。このあいだ持ち帰った案件のいくつかが本決まりになって、もう一度現地で詰めてこなくちゃならないの」
「その準備もあるから、ちょうど眠くもなったことだし、ここはひとまず、ひとりでゆっくり眠っておいたほうが建設的なのよ。起きたらやること、いっぱいあるしね」
「だから邪魔者は消えるわ。あとはふたりで、眠くなるまで思う存分イチャイチャするがいいわ」

 おっしゃりながらシーナさまは、私のからだを自由にしてくださいました。
 手枷と足枷を外し、棒枷を外し、首輪を外し。
 途中からお姉さまも加わり、私の上半身に貼り付いた蝋の残りカスを丁寧に剥がしてくださいました。
 
 蝋は、思いの他容易に、キレイに剥がれました。
 シーナさまがローションを塗ってくださったのは、このための下準備だったんだ、って今更ながら気がつきました。
 まだお尻に埋まったままだった珠2個も、無造作に引きずり出されました。
 私のお尻の穴は、直径1センチの珠が2個埋まったままでも、ぜんぜん違和感を感じないようになってしまったみたいです。
 これがつまり、開発、っていうことなのかな。
 久々に自由に動かせるようになったからだで、私も仰向けに寝転んだままンーッて伸びをひとつ。

「片付けるのを手伝わなくてごめんなさいね。今は一刻も早くベッドに倒れこみたい気分なの」
「いえいえ、そんなことは気になさらないで。直子が気持ち良くなるために散らかしたのだから、全部直子にやらせますから」
 お姉さまが笑いながら私を見ました。

「ありがと。それとあと、一応注意事項ね」
 シーナさまも笑いながら私を見て、つづけました。
「くれぐれもローソクのカスはバスルームに流さないこと。シートごと丸めてゴミに出すといいわ」
「あと、使ったオモチャ類はよーく洗って常に清潔に保つこと。お尻関係のはとくにね。寝る前にシャワーを浴びがてらにでも、洗っとくといいわ。エネマリンジは使用前に熱湯消毒するのよ」
「今日撮ったビデオ類はエミリーが持っていて。そのうちダビングしにオフィスのほうにでも行くから」
 子供にお留守番を頼む母親のような口調のシーナさまは、おっしゃりながら素肌に白いバスローブのようなガウンを羽織りました。

「それだけ着てお部屋に帰るのですか?」
 呆れたようなお姉さまのお声。
「そうよ。来たときもこの下はビスチェとTバックだけだったし。部屋まで1分もかからないもの」
 そのビスチェとTバックしか入っていないのであろうペッタンコのバッグを片手に持ち、リビングを突っ切って玄関のほうへスタスタ歩き出すシーナさま。
 シーナさまの背中を追う私とお姉さま。
 時計は深夜の2時32分。

「それではごきげんよう。おやすみなさい、エミリー、直子。末永くおしあわせに」
 サンダルを履いたシーナさまがいったん振り返り、ニッコリ笑いかけてくださいました。
「おやすみなさい。シーナさま」
「ごきげんよう。シーナさん」
 ふたりほとんど同時のご挨拶。

 玄関前の大きな鏡に、全裸のお姉さまと私の等身大の姿が、室内灯に照らされて明るく浮かび上がっています。
「よそんちの玄関で、まっ裸の女性ふたりに見送られるのって、なんだかシュールで不思議な感じよね」
 シーナさまが照れたみたいにおっしゃって、クルッと踵を返しました。

 バタン。
 シーナさまの白くて小さな背中が闇に紛れ、玄関ドアが閉じました。
 私とお姉さまは軽くつないでいた手を、どちらからともなくギューッと握り合いました。


面接ごっこは窓際で 01