2017年8月11日

夏休み自由研究観察会 03

 気を紛らわせようとブックシェルフを物色して、適当に選んだ少年向けコミックスの適当に開いたページが、6年生女子のプールの更衣室を嬉々として覗くえっちな目つきのイタズラっ子たち、みたいなシーンだったりしてドッキリ。
 でも、そのマンガはギャグっぽくて絵柄も個性的で面白そうだったので、実はオカルトマンガらしいそれを、いつしか真剣に読み進めていました。

 カチャ、という小さな音で本から視線を上げると、リビングのドアがそーっと開き、男の子たちがこちらを窺うように、そーっと入って来られました。
 タオルで拭いただけらしいまだ生乾きの髪で、皆一様にさっぱりしたお顔になられた男の子たち。
 そちらに目を向けてニッコリ笑って会釈をし、シャワー気持ち良かった?と声をかけました。

「あ、はい…」
「…はい、とても…」

 モゴモゴと煮え切らないお返事をくださいつつ、お部屋には入ったものの、なぜだかこちらへは近づいてこない男の子たち。
 気恥ずかしいのか私の視線を避けるような、かと言ってこちらが気になって仕方ないといった風情で、ブックシェルフの前にひとかたまりなっています。

 全員色の違うサッカーユニフォームみたいな感じのざっくりした半袖ポロシャツ風を着て、下も色とりどりの、ゆったりめな膝までハーフパンツ。
 ふーん、これがイマドキの小学生男子の流行りのファッションなのかー。

 坊ちゃん刈り、五分刈り、ウルフっぽいツンツンヘア、もうひとり坊ちゃん刈り。
 身長140センチ前後の見事に日焼けした男の子4人が、こちらをチラチラ気にしつつ、ブックシェルフのマンガ本をそれぞれ取り出し、読み始めています。
 私も、それ以上かける言葉がみつからず、何だか気マズイ雰囲気で数分。

 やがて玄関でバタンと音がして、すぐさま、あっちー!のお声。
 パタパタと足音が近づき、バタンとドアが開きました。

「何なのこの暑さ。階段上り降りするだけで塩焼きになるかと思った」
 
 息せき切った凛子センパイのお声にお応えされる子供たちのお声も無く、まっすぐ冷蔵庫へと直行されたセンパイ。
 相変わらず私をチラチラ盗み見るばかりの小学生軍団。

「ほら、あんたたち?今日はマンガ読みに来たんじゃないんでしょ?アイス買ってきたから、こっちのテーブルに全員集合」
 
 そのお言葉に男の子たち全員の肩がビクンと反応し、それぞれ読んでいたマンガを棚に戻して、ようやくこちらに近づいてきました。

 子供たちにダイニングテーブルを譲り、私たちは壁掛けディスプレイ前のカウチソファへ移動。
 カップアイスと炭酸ジュースでささやかな宴会が始まりました。

「映画は面白かったの?」

「うーん、まあまあかな」
「ライダーよりレンジャーのほうが派手で面白かったよね」
「えーっ?オレはライダーのアクションのほうがカッコよかった」
「ライダーのほうはストーリーがよくわかんなかった」
 
 先ほどとは打って変わって、凛子センパイのお問いかけには快活に反応される小学生軍団。

「お昼は何食べたの?」

「バーガー屋行くつもりだったんだけど、どこもいっぱいでさ」
「仕方ないからデパートの屋上行ってホットドッグ食った」
「ぼくスパゲティ」
「オレ、ピザ食べた」
「でもぜんぜん足りないよね」

「そっか、じゃあお菓子でも食え」
 
 センパイがさっき買ってきたスナック類のお菓子をテーブルに並べました。

「わーっ!」
 
 とっくにアイスを食べ終えていた小学生軍団が、先を競って手を伸ばします。
 ポテチもえびせんも、当然手掴みです。

「ねえ、リンねーちゃん?」
 
 坊ちゃん刈りの男の子が、えびせんをムシャムシャ頬張りながらセンパイに尋ねます。
 普通にリンねーちゃん、って呼びかけるということは、この子が甥っ子のユタカくんかしら。

「ん?」

「ねーちゃんのお友達、こっちのお姉さんの名前、教えてよ」

「えー!?おまえら、まだ自己紹介もしてなかったの?あれだけ時間あげたのに。ずっとマンガ読んで固まって、ウジウジしてたんだ?人見知りってガラでもねーだろーに」
 
 呆れたようにおっしゃるセンパイに、だってー、とバツの悪そうな小学生軍団。

「しょーがねーなー。じゃーまずおまえらからな。ユタカとミツル君は知ってるけど、そっちのふたりは、アタシ知らないよ」
 
 テーブルに並んで座っている五分刈りの子と、4人の中でひとりだけ小さめな、ユタカくんではないもうひとりの坊ちゃん刈りの子を、センパイが指さしました。

「あ、こいつはシンちゃんていって、サトーシンイチ。その隣が弟のマサヒデで3年生」
 
 ユタカくんと思われる坊ちゃん刈りくんが、滑舌良くご説明を始めました。

「ミツルがシンちゃんに今日のことうっかりしゃべっちゃったんだ。ユタカの親戚のオバサンの知り合いが、今度の日曜にヌードを見せてくれるらしい、って」

「こらっ!オバサン呼ぶな、っていつも言ってるだろっ!?」
 
 凛子センパイの本気の叱責。

「だって両親の兄弟姉妹の親戚はオジサン、オバサンて呼ぶって学校で習ったもーん」
 
 からかうようにニクタラシク笑うユタカくん。

「おまえ、そんなこと言うんなら、今スグ帰れ。約束は無しだ」
 
 小学生と同じ土俵に降りて口喧嘩されるセンパイ。

「ごめんなさいリンねーちゃん。もう二度とオバサンなんて呼びませんから、それだけは許してくださーい」
 
 あくまでもニクタラシイ演技で、続柄上の叔母様を挑発される甥っ子さん。

 それからワイワイガヤガヤとっちらかったご説明を整理すると、こういうことでした。

 坊ちゃん刈りユタカくんと、ツンツンヘアのナカムラミツルくんはご近所さんで同じクラスの同級生。
 シンちゃんは、ユタカくんとミツルくんが通っているスイミングスクールで一緒になって友達になった同じ小学校だけどクラスが違う4年生。

 シンちゃんがどうしても一緒に行きたいと言うので、ユタカくんとミツルくんが欲しがっていたカードゲームの超レアカードをそれぞれに譲渡することで手を打って、今日一緒に来た。
 シンちゃんの家はお母様がご入院中で、お父様は日曜日もお仕事でいつも帰りが遅く、弟だけ家に残しておくわけにもいかないので、小3のマサヒデくんも一緒に連れてきた。

 今日は遅くても夜の10時までに、リンねーちゃんの車で送ってもらって家に帰るということを、センパイのお義姉さまから各家庭に知らせてある。
 今日ここで何をしたかは、帰ったら親にも他の友だちにも誰にも言ってはいけない、ただリンねーちゃんの家で楽しくゲームをした、ということにしておく。
 もし少しでも誰かに話したら、話したヤツとは絶交だし一生許さない。
 これは男と男の約束だから、絶対守るから、リンねーちゃんのお友達も安心して欲しい。

 とのことでした。

「ふーん。あんたたちも、それなりにずいぶん大げさな覚悟で来てるんだ。ナカムラミツル君にサトーシンイチ君とマサヒデ君ね。よし、覚えた」
 
 凛子センパイが、おひとりづつじっとお顔を見つめながらおっしゃいました。

「じゃあ、今度はこっちの番ね。アタシは大沢凛子。ユタカのパパの妹で、続柄的には確かに叔母に当たるんだけど、アタシをオバサンって呼んだヤツは、レッドカードで即退場。まあ、ユタカみたいにリンねーちゃんとか、リンコお姉さんって呼んでくれたらいいよ」
 
 ユタカくんが何か言いたそうなお顔になって、すかさずセンパイに睨まれ、あわてて口を押さえました。

「普段はアパレル、つってもわかんないか、服飾、ってこれも難しいな、洋服関係、ファッション関係の仕事してる…」

「それって、ファッションデザイナー?」
 
 一番幼いマサヒデくんがお声をあげました。

「まあ、そんなところかな・・・」

 すげえ!カッコいい!と賞賛を浴びるセンパイ。
 ユタカくんもなんだか嬉しそう。

「で、この子がアタシと同じ会社に勤めている後輩で…」
 
 みなさまの目が私とセンパイの唇を交互に見つめています。

「ミコトさん。通称ミーコちゃん」
 
 そのお名前が発せられた途端、小学生軍団大騒ぎ。
 嘘っ!?マジっ!?本物っ!?やべえ!やべえよっ!…

「なーんちゃってね。でも似てるでしょ?」
 
 凛子センパイがイタズラっぽく笑うと、途端にトーンダウン。
 なーんだ、そりゃそうだよね、でも似てる、ボクはこっちのお姉さんの顔のほうが好き…

「リンねーちゃんも映画、観たの?」
 
 ユタカくんが驚いたお顔で尋ねます。

「ううん。仕事が忙しくてまだだけど、アタシがニチアサ好きなのは知ってるでしょ?」
「ちょっと雑誌やネットで情報集めれば、劇場版のヒロインの衣装なんてすぐわかるから、ちょちょいと作ってみたんだ」
 
 再び、すげえ、カッコいい、と小学生軍団から尊敬の眼差しを集めるセンパイ。

 どうやら私は、今日ユタカくんたちが観てきた映画に出ていた、ミコトさん、という役名の人のコスプレをさせられたみたいです。
 それなら私の呼び名も今日はずっと、ミコトさん、でいいかな。

「それで、…」
 
 もったいぶるように不自然な間を取った凛子センパイが、お芝居がかったおもねるような口調でつづけました。

「このお姉さんならね、頼めばいつでも、ハダカ見せてくれるんだよ」

 ここで、このお話の冒頭の場面に戻るわけです。

 男の子たちは一瞬たじろいだようなご様子でしたが、4人でお互いお顔を見合わせたかと思うと、みるみるうちに瞳が爛々と輝き始めました。

「ユタカたちは今日、このお姉さんと何をするためにここに来たんだっけ?」

「お医者さんごっこー!」
 
 センパイの問い掛けに一斉のお答。

「そうでしょ?マンガなんか読んでるヒマは無いはずよ。さっさと始めるから準備を手伝いなさい。まずテーブルの上を片付けて」

「はーいっ!」
 
 一斉に浮足立つ小学生軍団。

「シンサツシツを作るよ。この椅子が患者さん用ね。それでこっちがお医者さん用。向かい合うようにあそこに置いて」

 背もたれも肘掛も無いバーのカウンターチェアのような丸椅子が患者さん用。
 みなさまが座っていたダイニングテーブル用の普通の椅子がお医者さん用。
 入口ドア上の監視カメラで、患者さんとお医者さんが真横から映るような位置にセッティングされました。
 ということは、患者さんが正面方向から映るような位置にも隠しカメラがあるのでしょうか。

「残りの椅子三つは、看護士っていうか助手の見学用、お医者さんのそばに置いて。あと、このワゴントレイをお医者さんのそばに」
 
 テキパキとご指示なさる凛子センパイ。

「ワゴンの一番上のトレイに、これの中身を並べておきなさい。あんたたちのためにわざわざネット通販で買って用意してあげたんだから、感謝しなさいよね」
 
 恩着せがましくおっしゃりつつ、子供たちに紙袋を差し出されるセンパイ。

「わー、何?なにー?」
 
 我先にと紙袋の中を覗き込む子供たち。

「今でもちゃんと、玩具のお医者さんごっこセットって売ってるんだよね。アタシの頃に比べるとずいぶんデフォルメされて全体に可愛らしくなってるけど」
 
 センパイが私に、同意を求めるように語りかけてきます。
 
 うわー、すげー、と興奮気味な小学生軍団のお声。
 私の腰の高さくらいなキャスター付きワゴンの一番上、タオルが敷かれたトレイ上に、子供たちの手で次々とお道具が置かれていきます。

 プラスティック製のチープでカラフルな注射器、打診器、危なくないはさみ、カルテとペン、お薬の袋…
 懐かしいごっこ用オモチャの数々。

 ただ、その中に混じって、どう見ても本物、と思われる医療用具もありました。
 聴診器、ピンセット、ペンライト、小型の電動マッサージ機、アンテナペン、デジタル体温計…

 これらは、里美さまのネットショップの、大人のお医者さんごっこ特集、にも載っていたアイテムでした。
 どうやら里美さまから調達されたみたい。
 さすがに、クスコ氏式膣鏡やコラン氏式舌鉗子とかガラスのお浣腸器など、マニアックな器具は自粛したようですが。

 でも他にも、スースーする塗り薬とガーゼとか鳥の羽の刷毛やらバターナイフとか、私を乱れさせる気満々のラインナップ。
 書道筆とかリコーダーなんて、何のシンサツに使わせる気なのでしょう。
 プラスティック製のオモチャの注射器も、いかにも先っちょをお尻の穴に挿し込みたくなるような形をしています。

 更に更に、ワゴンの2番目のトレイ上を見たとき、凛子センパイの本心がわからなくなりました。
 そこにすでに乗っていたのは、ハンディサイズのビデオカメラ、ありきたりなプラスティック製の紐付き洗濯バサミ5、6個、30センチの木製定規、太さも長さもそれ用にしか見えない民芸こけし、例えば膣内のような狭いところまで侵入可能なファイバースコープカメラケーブル。
 
 私にマゾっぽく振舞うなとおっしゃりながらも、子供たちに私のマゾ性をご披露する気満々なお品揃えに思えました。
 私の衣装や隠しカメラのセッティングも含めてあまりにも準備万端。
 実は今日のこのお医者さんごっこを一番愉しみにしていたのは、凛子センパイなのかもしれません。
 
 凛子センパイがいそいそと、カウチソファの背もたれを倒して平らにされました。

「ここが患者さん用ベッドね。お尻に注射するときは、ここに移動。じゃあ、誰が最初にお医者さんやるか、順番決めちゃいなさい」
 
 私がお尻に注射を打たれることは、もはや決定事項のようです。

 子供たち4人が興奮気味にじゃんけんを繰り返しているとき、センパイが私に近づいてきました、
 片手には男物っぽい真っ白なワイシャツ、もう片方の手には、ツルの部分が妙に太い黒縁のメガネを持たれていました。

「この伊達メガネ、ミサミサ魔改造で無線で飛ばせるカメラレンズ内蔵してるから、ガキンチョの好奇心旺盛な目線がそのまま、ミサミサのところで録画されるんだ」
 
 大きなお声でじゃんけんぽんを繰り返す男の子たちを尻目に、ヒソヒソ声で教えてくださいました。

「本当に、いいんですか?」
 
 いよいよそのときが差し迫り、ずっとモヤモヤ感じていた背徳的な罪悪感が思わず言葉になり、小さな声で凛子センパイに尋ねていました。

「お医者さん役の順番が決まったら、みんなもう一度綺麗に手を洗ってきな。女の子の肌を触るときは、いつも清潔にしなくちゃダメだよ」
 
 凛子センパイの号令で一斉にキッチンへと雪崩れ込む子供たち。
 それを見てから私に向き直りました。

「何?子供の教育上とかそういうこと?」
 
 小声でお答えくださいつつ少し怪訝そうなお顔になって、私の右耳に唇を寄せてこられる凛子センパイ。

「女のハダカが見たいっていうガキンチョたちがいて、見せたいっていうヘンタイ女がいる、ってだけのシンプルな話でしょ。需要と供給があって双方がシアワセになれる、いい経験じゃない。愉しめばいいのよ」

 普段私を虐めるときのようなSっ気が滲み出たゾクッとする低めなお声で、センパイが耳打ちしてくださいました。
 そのお言葉で私も覚悟を決めました。

 お医者さん役のトップバッターは、五分刈りヘアのサトーシンイチくんに決まったようです。

「お医者さん役の人は、この白衣とメガネを着けてね」
 
 凛子センパイがシンイチくんにワイシャツと隠しレンズつきメガネを手渡します。
 いそいそと着込むシンイチくん。

「ちゃんと照れずに、お医者さんに成りきってシンサツするのよ?そのトレイの上の道具はどれ使ってもいいから」
 
 上から目線で子供たちにご指示を出される凛子センパイ。

「ユタカくんのお姉さんてエラそうで、病院で言うと、おおせんせい、みたいだね」
 
 一番歳下のマサヒデくんの無邪気なご感想。

「マサヒデ君だっけ、キミよく、おおせんせい、なんて難しい言葉知ってるねえ?」
 
 センパイがニコニコしながらマサヒデくんに語りかけます。

「うん、ボクとシンイチにーちゃんは、お母さんのお見舞いでよく病院へ行くから、お医者さんのことは詳しいんだ。お母さんを診てくれているのは、おおせんせいっていう、そこの病院で一番エラいおじーちゃん先生だから、ボクたちも安心なんだ」
 
 すごく得意気にご説明されるマサヒデくん。

「ふーん。そういうことならアタシは、この大沢病院の大先生の役をやるから、みんなおおせんせいの言うことはよく聞くこと。わかった?」

「はーいっ!」
 
 クロゼットから出してきたもう一枚の白ワイシャツをロングTシャツの上に羽織った凛子大先生に、小学生軍団の元気良いお返事。

「それではシンちゃん先生、シンサツを始めてください。患者さんは、池袋の会社に勤める21歳のOLさん、アメノミコトさんです。ミコトさんはこちらへ座ってください」
 
 凛子大先生に促され、丸椅子に浅く腰掛けました。

「今日はどうしました?どこか痛いところがありますか?」

 五分刈りヘアの丸顔に黒縁伊達メガネをかけ、ブカブカの白ワイシャツを羽織ったシンイチ先生が、首に掛けた本物の聴診器を物珍しげにもてあそびながら尋ねてきました。

「あ、はい…よろしくお願いします…あの、今朝からこのへんと、このへんがジンジンと痛くて…」

 半分本気半分演技なモジモジ具合でからだをくねらせつつ、自分のおっぱいの辺りと下腹部を押さえる私。

 シンイチ先生の背後に並んだ椅子には、他のお三かたが身を乗り出すようにして、私を見つめています。
 その後ろに、いつの間にか先生と同じような伊達メガネをかけた凛子大先生が仁王立ちで腕組みをして、ニヤニヤ私を見つめてきます。

「わかりました。ではちょっと診てみますので、服を脱いでもらえますか?」

 少し上ずったような、シンイチ先生のお声。
 聴診器の肌に当てる部分をしきりに指先で弄っています。

「はい…わかりました…」

 お答えして立ち上がり、まずジャケットのボタンを外し両腕を抜きました。
 脱いだ上着は、これまたいつの間にか傍に来ていた凛子大先生の手が回収してくださいます。

 ジャケットの下は白のタンクトップ風ノースリーブ。
 剥き出しの両肩と胸の谷間寸前までえぐれた胸元。
 子供たち全員が中腰に立ち上がりググッと前のめりになってくるのがわかります。

「上着の下も映画と同じだ…」
 
 どなたかがつぶやくお声が聞こえました。

 隠しジッパーに指をかけ、ジジジっと下ろすごとに子供たちの前のめり具合が激しくなり…
 ハラリと割れた白い布地の隙間から、私のおっぱいの谷間と白いブラジャーの布地が見え始めました。


夏休み自由研究観察会 04


2017年8月6日

夏休み自由研究観察会 02

「当日は、ミサさま、あ、いえ、美咲センパイも凛子センパイのお家に来られるのですか?」
 
 自分のスケベなおツユと若干のおシオで汚してしまった床を全裸で雑巾がけしながら、ふと気になって、開発ルームに戻られようとされていたミサさまのお背中にお尋ねしました。

「ボクはガキンチョ苦手だからパス。その日は一日部屋に篭って、パソコンとにらめっこしているつもり」
 
 立ち止まって振り向かれたミサさまが、小さな笑みを浮かべておっしゃいました。

「撮り溜めた直子のビデオの編集もしなくちゃだし。こないだの絵理奈のパーティで撮った映像も手つかずだから。チーフに、早く見せて、って、せっつかれてるんだ」
 
 サラっと怖いことをおっしゃるミサさま。
 その後に、ニッと謎のような微笑を付け加えられ、社長室から出て行かれました。

 そして当日。
 朝から太陽ギンギラギンな思いっきりの猛暑日でした。

 待ち合わせは、オフィスのあるビル群の麓にあるホテル入口付近に午後一時。
 もっとも暑い盛りと言ってもいい時間帯でしたが、夏休み中の日曜日でもあるので周辺は大賑わい。
 陽射しの当たらない柱の陰に立ち、キャペリンハットの広いツバ越しに、通りを行き交う人たちの中から凛子センパイのお姿を探します。

 その日の私の服装は、ギャザー少なめ大人しめな白の前開きシャツブラウスと、淡いグレーの膝丈チュールスカート。
 凛子センパイが、教育実習で小学校に来た女子大生先生、とおっしゃっていたので、そのイメージでコーディネートしてみました。

 足元は、暑いのでソックス無しの素足に少しヒール高めなリボンミュール。
 首には細めな白のエナメルチョーカー、頭に白のキャペリンハット、お財布や鍵を入れた肩掛けポシェットと、全体に夏らしく白っぽくまとめてみました。

 下着類はお約束通り、金曜日に凛子センパイが手渡してくださいました。
 白無地の3/4カップブラと綿100ノーマルショーツのセット。
 学生の頃、それも中学生の頃によく身に着けていたような記憶のある、いたってありふれて健全な女子用下着たち。

 身に着けたとき、こんなにしっかり胸周りと腰周りを下着で覆ったのって何年ぶりだろう?なんて、懐かしい着心地に感動してしまいました。
 ただし、さすがは凛子センパイ、ショーツのクロッチの二重補強してある布部分は、見事に剥がされ薄くなっていましたが。

 そんな姿でキョロキョロ周りを見渡していると1時きっかり、目の前の通りにちっちゃめな四角いピンク色の車が停まりました。
 ドアが開いて降り立った、鮮やかなグリーン地に外国の有名なアニメキャラのお顔を大きくあしらったビッグTシャツ姿の凛子さま。
 舗道のほうを見渡すようにしているのを見て、あわてて駆け寄りました。

「おお、いたいた。今日はあっちーねえ。さ、乗って乗って」

「凛子さ、あ、いえ、センパイって、お車、持ってらしたのですね?」

「うん。チーフみたいに凄いのじゃなくて、軽だけどね」
 
 助手席のドアを開けてくださり、乗り込みます。

「待ち合わせはホテルの前っておっしゃられたので、てっきりタクシーで行かれるおつもりなんだな、って思い込んでいました。それか地下鉄か」

「コスプレ趣味ってさ、意外と大きな荷物運ぶこと多いんよ。布の買い出しとかコスプレ会場とかにさ。だから無理して二年前に買っちゃった」
 
 スーッと滑り出したお車は、ビルをグルっと一周りして大きな通りに出ました。

「それにしても直子、気合入ってるじゃん。高原のお嬢様帽子までかぶっちゃって。すごく似合ってる」

「あ、いえ、センパイが、清楚風お淑やか、っておっしゃったので、考えてそれなりに…」

「うん、どっからどう見ても充分清楚な良家のご令嬢よ。それ見たらユタカのヤツ、大喜びしちゃいそう」
 
 お車はすぐに大通りを外れ、住宅街の細い道に入りました。

「だからくれぐれも、ヘンタイマゾな素振りは見せないでよね。アタシ、自分の甥っ子を思春期前からそんなものに目覚めさせたくないから」
「今日の直子は、煩悩に迷う子羊たちを正しい道へと導く女神様の役回り。ガキンチョのイタズラで溜まったムラムラは明日、アタシたちがオフィスでぜーんぶ、解消してあげるから」
 
 からかうようにおっしゃる凛子センパイ運転のお車は、細い路地をくねくねと器用に曲がりながら進んでいきます。

 車内には低く、ここ数年の深夜アニメのオープニングやエンディングテーマ曲がランダムに流れつづけています。
 ときどき一緒に小さく口ずさむ凛子センパイ。
 照りつける陽射しが嘘のような、エアコンのよく効いた快適な車内。

「それにしても、最近は小学4年生くらいで、お友達同士で電車に乗って繁華街に映画を観に行ったりするのですね?4年生って10歳か9歳くらいですよね?」
 
 私が凛子センパイのお話を聞いて、素朴に驚いたことを口にしてみました。

「ユタカんちから池袋まで急行に乗れば10分ちょっとくらいだしね。それに今、電車に乗って塾通いなんて私学受験志望なら小3くらいからザラらしいよ」
 
 リラックスしきったご様子でハンドルを握られている凛子センパイ。

「まあ、学校的には保護者同伴なしで学区外に遊びに出るのは禁止なんだろうけど、夏休みに親戚の家に子供たちだけで遊びに行く、なんてのはよくあることじゃん」
「あと、ユタカは男の子だから。義姉さんも、ユーコちゃんにはまだ、女子だけでの遠出は許してないってさ」

 センパイのお話に相槌を打ちながら、私が初めてひとりで電車に乗ったのは、中一になってからのバレエ教室通いだったなー、なんて懐かしく思い出していました。

「それにさ、夫婦的にも休日に子供がどこか行ってくれると好都合なのよ。今日はユーコちゃんも近所の友達とお泊まり会らしいし」
「子供が大きくなっちゃうと、メイクラヴのチャンスがグンと減っちゃうらしいからねー」

「今日は久しぶりに夫婦水入らずでドライブでもして、昔よく行っていたラブホで恋人気分に浸るの、なんて義姉さんウキウキで言ってた。コスプレえっちでもする気なんじゃないかな」
「ひょっとしたらユタカに歳の離れた弟か妹がデキちゃったりしてね」
 
 なかなか生々しいお話を、サラッとされる凛子センパイ。

 お車は大小のお店が立ち並ぶ商店街に入っていました。
 路地をひとつ曲がり、小さな空き地みたいな一画に進入、サクッと綺麗に駐車されました。

「はい、着いたよ」

「えっ!?もうですか?」
 
 走り出してからまだ10分も経っていません。

「あれ?直子、アタシんちがどこか知らなかったっけ?」

「あ、はい。部室に泊まり込んでいらっしゃることが多いから、たぶんご自宅はずいぶん遠いのだろうと、勝手に思い込んでいました」

「あはは、仕事が立て込んでるときは、いくら近くても、そんな通勤時間さえもったいなく思えちゃうんだよね」

「ここは、どの辺りなのですか?」

「JRで言うと池袋のひとつ隣、北口改札を出て徒歩三、四分、ってところかな」
 
 ご愉快そうにお答えくださる凛子センパイ。

「オフィスからでも20分も歩けば帰れる距離だけど、仕事モードのときはオフィスと部室のほうが居心地いいんだよね。いつもミサミサと一緒だし」
 
 一瞬、照れたようなお顔になりました。

「ここからちょこっと歩くよ。うちのマンション、駐車場無いから。ここを月極で借りてるんだ」
 
 お車のドアを開けた途端、容赦の無い陽射しと猛暑がムワッと襲いかかってきました。

 路地を出るとまた商店街。
 飲食店が多いようですが、日曜日のせいか、まだランチタイムなのに閉まっているお店が目立ちます。
 少し歩くと左側にコンビニエンスストア。
 スタスタとご入店される凛子センパイ。

 ペットボトルのジュースや袋のお菓子、アイスなどを適当にお買いになって店外へ。
 そのままコンビニの敷地内を裏手のほうへと向かわれます。

「えっ?」

「ここがアタシんち。このコンビニの上、4階建ての3階301号室」
 
 コンビニの裏側に建物全体のエントランスらしきゲートがあり、郵便受けが6つ並んでいました。
 そこから屋外階段が建物の側面を上へ上へとジグザグに伸びています。

「4階建てだからかエレベーター付いてないんだよね。悪いけど3階まで自力で上がって」
 
 凛子センパイのお背中を追って階段を昇っていきます。
 ロングTシャツの裾からデニムのショートパンツが覗き、その下のスラッとしたお御足が陽射しにキラキラ汗ばんでいます。

 3階までたどり着くと、胸高のフェンスに覆われた外廊下。
 廊下を3、4歩歩いた左側に、301 OOSAWAと記されたネームプレートを貼り付けたドアがありました。
 カードキーらしく、センパイがカードをかざすとカチャンとかすかな音。

「到着ー。入って入って」
 
 内開きドアの中で手招きされる凛子センパイに促され、おじゃましまーす。

 エアコンを点けっ放しにしておいてくださったようで、入るなりひんやり生き返りました。
 沓脱ぎの先に短かい廊下があって、その正面に開けっ放しのドア。
 そのドアの向こうには、意外に奥行きのあるリビングダイニングが広がっていました。

「いやあ、うちに誰か招くのなんて久しぶりだからさ、散らかし放題だったから昨日は片付けでてんやわんやだよ。適当にその辺に座って汗拭いてて」
 
 ウエットティッシュのボトルと冷たいお紅茶の缶を手渡してくださり、ご自分は買ってきた飲み物やアイスをテキパキと冷蔵庫に仕舞われる凛子センパイ。

「うち、エロマンガやエロゲーとか着エロ写真集とか普通にあちこち転がってるからさ、そういうのひとまとめにして寝室に突っ込んだり」

 確かに壁一面のブックシェルフには、凄い数のコミック本やゲームソフト、CD、DVDなどが整然と並んでいるのですが、ところどころ不自然に隙間が空いて、ぬいぐるみや箱入りのフィギュアがその隙間を埋めています。
 お部屋の片隅に、お仕事道具である小型のミシンやトルソーの類がひとまとめに集められているのも、今のお部屋の状態がイレギュラーであることを物語っているようです。

「ユタカたちがこの部屋に来ると、帰りたがらないんだよね。ゲームだマンガだ、って何時間だって遊んでいたいって」
 
 大きな壁掛け型ディスプレイの周りには、さまざまなゲームハードがラックに収められ、その横のラックには、ゲームショップ?と勘違いしちゃいそうなほどのゲームソフトの数々。
 そういうのがお好きな子供たちにとってここは、まさに夢の国みたいなものなのでしょう。

 そんなお部屋を見て私は、中学からのお友達、しーちゃんのお部屋を思い出していました。
 彼女のお部屋にも、凄い数のマンガがあって…

 その後のしーちゃんとの個人的なおつきあいで起こったビタースイートなあれこれまで急に思い出し、なんだか感傷的になってきました。
 私、あれからずいぶん遠いところまできちゃったかな…
 いけないいけない、と軽く首を振ったら、さっき、ふと目に入って気になっていたことを思い出しました。

「そう言えばさっき、1階の入口のところの郵便受けで、センパイのお隣の郵便受けの名札がローマ字でKOMORIって書いてあったような気がしたんですけれど…」

「さすが秘書課の直子、目ざといねえ」
 
 お片付けが一段落したらしいセンパイが、缶コーラとポテチの袋を片手に、私が座っていたダイニングテーブルの向かいの席に、どっこいしょっとお尻を落ち着けました。

「ミサミサもここに住んでるよ。もちろん別々にね。ミサミサが先に住んでて、空き部屋出たからってアタシが越してきた。かれこれ三年前かな」
 
 お箸でポテチをつまみつつ、私にも割り箸を差し出してくださるセンパイ。

「直子、お昼は?」

「あ、お家で食べてきました。バナナとヨーグルト」

「ポテチは?」

「あ、いただきます」
 
 手が油で汚れるからとスナック菓子をお箸でいただく人がいる、というのは聞いてはいましたが、自分もすることになるとは思いませんでした。

「だから昨日はミサミサもてんてこ舞い。出たり入ったりドッタンバッタン大騒ぎ」
 
 おっしゃりながら意味ありげに天井のほうを見遣る凛子センパイ。
 つられて視線を遣ると…

「あーっ!?」
 
 オフィスの社長室で見慣れている手のひらサイズの球体が、入口ドアの上のところに取り付けてありました。

「うふふ、気がついた?今日の、夏休み!子供のための女体観察会、はね、ミサミサんちにも無線LANでライブ配信されて、ばっちりデジタル録画されることになってるの」
 
 センパイが、ドッキリを仕掛けて大成功した子供さんのような、無邪気な笑顔でおっしゃいました。

「あそこの他にもこの部屋にあと3箇所、合計4箇所に監視カメラ仕込んだそうだから、お医者さんごっこは、そのレンズに映る位置でやってもらうことになるね」
 
 センパイのお言葉で、私が今日ここに、何をしにきたかを今更ながらに思い出します。

「今頃ミサミサも自分の部屋でカメラチェックに余念が無いはずよ。あの子、真夏はハーフ裸族だから、素肌にスク水でも着て直子の姿を見つめてるはず」
「ほら、カメラに向かって手振って。録画、よろしくお願いしまーす、って」
 
 からかうようにおっしゃるセンパイのお言葉に従い、まあるいレンズに向けて手を振って一礼しました。

 リビングルームの向こう端は、ベランダに出るために大きく取られたカーテン全開の素通しガラス窓。
 ベランダ越しに射し込む盛夏の眩し過ぎるくらいの陽射し。
 
 そんな昼下がりの明るいお部屋で、私はこれから見知らぬ小学生たちを前にして、ひとり裸身を晒すんだ…
 そしてその模様はすべて録画され、お姉さまに、いいえ、多分オフィスのみなさま全員に鑑賞されちゃうんだ…
 抑え込んでいるマゾ性が、ムクムクと鎌首をもたげてきてしまいます。

「そ、そう言えば、お部屋の壁の木枠のところとかドアの上とかに、やたらとパイプみたいな鉄?の棒がカーテンレールみたいに取り付けてありますけれど、あれは何の為なのですか?」
 
 これ以上マゾ的なことを考えていると、折角の健全下着を早々と汚してしまいそうなので、気を逸らすために、お部屋中を見渡したとき気がついたことお尋ねしました。

「ああ、あれはハンガーレール。急ぎの仕事とか急な仕事のときは、ここで作業することもあるんだ。それで複数アイテムを同時進行するのに仮縫い途中の私物アイテムとか一々クロゼット開けて吊るすのめんどいじゃない?たたむとシワになっちゃうし」
「それで、やりかけ仕事を手っ取り早く吊るすために、そこいら中に取り付けていたらこうなっちゃった」

「こないだのイベント前なんて、ちょうど間近のコスプレイベントとも重なっちゃって、公私のやりかけ衣装で窓が見えないくらいだったよ」
「今も夏イベ用やりかけ衣装がけっこうあるんだけど、今日はそれも全部、寝室に押し込んじゃった」
 
 自嘲気味にお答えくださる凛子センパイ。

 私の場合、同じような鉄パイプ類が自分の家の洗濯物干し用サンルーム、通称お仕置き部屋にあって、自分を虐めるときに片足を高く上げたままの拘束を固定したり、股縄渡りの両端の固定のお道具として使っているので、どうしても、そういうイメージで淫靡なほうに想像してしまうのです。
 でも今日は、マゾ要素禁止、ですから、おそらくそういう使い方はしないはず。
 それがホッとするような、残念なような…

 そんないやらしいことを私が考えているのを知ってか知らずか、凛子センパイが唐突におっしゃいました。

「やっぱりアタシが用意した衣装に着替えて貰おうかな。まだ時間大丈夫そうだし」

 ご自身の腕時計を見た後、傍らのショッパーをガサゴソし始めたセンパイ。

「映画が一時ちょっと過ぎに終わって、昼ごはん食べてからこっちに向かうって言ってたから、ここに着くのは多分2時過ぎくらい」
「まだ20分くらいあるし、サクっと着替えちゃってくれる?」
 
 テーブルの上に、真っ白なファンシーぽい衣装が広げられました。

「今日の直子の私服も充分清楚でいいんだけど、こっちを着たほうがガキンチョたちの反応が面白そうなんだよね」
「大急ぎて作ったわりには雰囲気出てるはず。直子も図ったように白いチョーカー着けてきてくれたし」
「ほら、着替えなさい。もちろんカメラの前で」

 センパイに顎で促され、立ち上がってドア前のカメラに映りそうな場所に立ちました。
 ブラウスのボタンを外し、スカートのホックを外し、あっという間に健全純白ブラジャーアンドショーツ姿。

「直子のそういう真っ当な下着姿って、かなりレアだよね。熟女のセーラー服姿と一緒で、一周回って屈折した卑猥さみたいのがあって、却ってエロくない?」
 
 カメラの向こうの美咲センパイに語りかけているような、凛子センパイの冷やかし交じりなご感想。
 私も、妙な恥ずかしさを感じているのは事実で、ショーツの突端がシミちゃいそう。

 渡された衣装はいずれも純白で、シフォンぽいというかチュールっぽいというか、薄い布地を何枚も縫い重ねて作ったようなフワフワな質感でした。

 インナーは、キャミソールっぽいノースリーブで、胸元もブラが完全に隠れるくらい浅く、透け感も無いお上品なタンクトップ風、隠れジッパーの前開き。
 ボトムはレースフリルモコモコな膝上ミニスカート。
 そこに二、三折まくった袖口にだけ淡いピンクの入ったブレザー風のフリルフリフリジャケットを合わせ、最後に純白フィッシュネットのニーハイストッキング。
 全体的には、どこかのブリっ子アイドルさんのライヴステージ衣装、といったいでたちになりました。

「むちゃくちゃ可愛いじゃん、ガチ似合ってる。その格好でソーセンキョ出れば、ラクショーでセンター穫れるレベル」
 
 巷で話題の大所帯某アイドルグループの名前を挙げて、煽ててくださる凛子センパイ。

 ピンポーン!
 そのときチャイムが鳴りました。

「あ、来たみたい。直子は、さっきの椅子に澄まして座ってて」
 
 スタスタと玄関に急ぐ凛子センパイ。
 ふと見回すと、私が脱いだお洋服一式は、帽子も含めてすべて、何処ともなく跡形もなく消え失せていました。

 バタンとドアが開く音ともに、お子様たち特有の甲高いお声がワイワイ聞こえてきました。

「あっちーっ!」
「うわっ、すずしーっ!」
「おじゃましまーっす!」
「おじゃまされまーっす!」

「あんたたち、汗ビッショビショじゃない!?ってあれ、ふたりじゃないのっ?えっ?4人も来たの?」

「ああ、ミツルがシンちゃんに今日のこと教えちゃってさ。それでシンちゃんがどうしても来たいって言って、仕方ないからマサヒデも連れてきた」
 
 ガヤガヤ賑やかにリビングへと入ってこられた小学生軍団。
 私も座ったままそちらに顔を向け、ニッコリ笑って、こんにちはー、と声をかけました。

 途端にピタッと静まりかえる室内。
 4人が4人共、私のほうをまじまじと見つめ、やがてコソコソと仲間内で耳打ちし始めました。

「…ミーコじゃない?」
「だよね…」
「まさか…」
「…でもそっくり」
「…本物?」
 
 そんなヒソヒソ声が聞こえてきます。

「ほらほらあんたたち、そんな汗ビッショでエアコンあたったら風邪引いちゃうよ?タオル貸してあげるから、お風呂場で上半身だけでも水シャワーしてきな。ユタカ、案内してあげて。うちのシャワーの使い方、わかるよね?」
 
 クロゼットからバスタオルを何枚か出しながら、凛子センパイが母親のような口調で指示されます。

「うんっ!」
 
 おのおのタオルを受け取った小学生軍団、ドタドタと入ってきたドアへと引き返し、私の視界から消えました。

「4人も来るなんて聞いてないわよ、まったく。早くも計画が狂っちゃったじゃない。やれやれ、これだからガキンチョは…」
 
 私の対面の椅子に座り込んで、心底うんざりしたお顔をお見せになる凛子センパイ。

「ジュースやお菓子が足りなくなりそうだから、ひとっ走り下のコンビニで調達してくるわ」
 
 不意に立ち上がられたセンパイが玄関に向かいながらおっしゃいました。

「どうせヤツラは15分くらいお風呂場から出てこないと思うから、そこでマンガでも読んでて」

「あ、はい。行ってらっしゃい…」

 唐突に男子小学生4人しかいないお部屋にポツンとひとり取り残され、これからすることの不道徳さにあらためて思い至った私は、急激にドキドキし始めていました。


夏休み自由研究観察会 03


2017年8月2日

夏休み自由研究観察会 01

「このお姉さんならね、頼めばいつでも、ハダカ見せてくれるんだよ」
 
 凜子センパイの身も蓋もないご紹介。
  同じテーブルを囲んでいるのは、私と凛子センパイ、そして小学校3、4年生の男の子たちが四人も。
 
 どうしてこんなことになっちゃったんだろう…

 発端は、絵里奈さまの快気祝いパーティから、その流れのあれこれで私が散々大勢の方々の慰み者になり果てた週末から少し経ち、月が変わっていよいよ夏本番な、ある日のオフィスでのことでした。

 その日も私は、乳首とワレメのスジしか隠せないティアドロップス型の白いマイクロビキニ姿にされて業務に励んでいました。
 冷房が効いているので、デスクワークではシースルーレースのショールを一枚羽織ることだけ許されていました。

 お姉さまは出張中。
 営業の雅部長さまとほのかさまはお外回りで直帰、綾音部長さまもクライアント様とのお打ち合わせで直帰ということで、開発部のリンコさまとミサさましかおられない退社時刻間近の夕方。

「ちょっとさ、直子に相談に乗って欲しいことがあるんだけど…」
 
 ノック無しで社長室のドアが突然開きました。
 そろそろお先にさせていただこうかと思い、着替えのために私物ロッカーを開けようとしていたときでした。

 リンコさまたちが常駐されている開発ルームには、私の様子を監視出来るカメラモニターが複数稼動しているので、私がもう帰ろうかと腰を上げたのを察知されたのでしょう。
 私また、今日も夜遅くまでデスマーチらしいリンコさまたちの、息抜きのオモチャにされちゃうのかな…
 早くお家に帰っても別に予定は何もありませんでしたから、ちょっとワクワクしつつお迎え入れました。

 有名なロックアーティストさんのロゴらしいプリントの入ったビッグTシャツ姿のリンコさまと、夏服セーラーのコスプレ姿なミサさまが雪崩れ込んでくるなり、窓際のソファーに窓を背にしてストンと落ち着かれました。

「ほら、開発部の備蓄から直子の分もアイス持ってきたからさ、一息ついて一緒に食べよう」
 
 数日前にお得意様がお中元として大量に差し入れてくださった高級カップアイスを振りながら、手招きされるリンコさま。

「あ、はい…」
 
 あれ?何だか今日はいつもと違うな、いつもなら入ってきてすぐに何かえっちなオモチャを取り出してご命令してくるのに…
 そんなことを思いながらも、紐ビキニにショールを纏ってソファーへ向かい、リンコさまたちの向かい側に腰かけます。

「えっと、何ですか?ご相談て…」

「直子さ、今度の日曜日、時間ある?無い、って言われても、作ってもらわないと困るんだけど…」
 
 それから、アイスを舐めつつリンコさまから伺ったお話の導入部は、要約するとこんな感じでした。

 リンコさまには、少しお歳の離れたお兄様がいらして、すでにご結婚され、池袋から私鉄で一本のベッドタウンに一戸建てを建てられ、お幸せに暮らしていらっしゃるそう。
 ご夫婦には今年小学4年生の男の子がいて、名前はユタカくん、リンコさまから見ると甥っ子さん。
 六月のイベントショーが終わって一息ついて、いただいた有休の日にお兄様ご夫婦のお家にリンコさまが遊びに行かれたとき、ユタカくんがご夫婦に叱られていて…

「それがね、ユタカ、とんだマセエロガキに育ちつつあるみたいなのよ」
 
 リンコさまが苦笑いを浮かべながら本題に突入されました。

「なんでも、その三日前くらいが、夏のプール開きに向けて、4年生以上の高学年生有志でプール清掃をする日だったんだって」
「積極的に手を挙げて参加したまでは偉かったんだけど、終わった後、参加した女子の更衣室を覗こうとしていたらしいのよ」
「それが他の女子にみつかって、先生にご注進、お説教っていう流れ」
 
 リンコさまは、別に深刻そうでもなく、むしろ愉しんでいらっしゃるご表情です。

「それでその後、余罪の追及っていうか、他の先生がたと情報の共有がなされたらしいのね」
「そしたらユタカ、同級生や下の学年の女の子を、しきりに、お医者さんごっこしよう、って、誘っているっていう証言まで出てきちゃったらしくて」

「それで義姉さんが学校に呼び出されたその日の夕方に、アタシが訪問しちゃったみたいなのよ」
 
 義姉さんというのは、つまりリンコさまのお兄さまの奥様、ということでしょう。

「すっごい気マズくてさ。兄貴はバカだから、さすが俺の息子、ハーレム系てな感じでむしろ喜んでるし、義姉さんは頭抱えちゃってて、ユーコちゃんは虫けらを見るみたいな目でユタカを見てるし」
「ユーコちゃんていうのは、ユタカのお姉ちゃんね。2つ違いで今年小六の女子」
「せっかくみんなでカートレースゲームでもしてまったり過ごそうと思ってたのにさ。あっ、義姉さんも一応コスプレ属性あるくらいにはプチヲタで根はやわらかいのよ。兄貴は育てゲーヲタだけど」
 
 ミサさまがいつの間にか人数分の冷たい麦茶を淹れてくださっていました。

「それで、しつこくお説教半分な夕食が終わって、逃げるように自分の部屋に篭ったしょぼくれユタカに、仕方ないからつき合ってあげたのよ、ヤツの部屋で対戦カードゲーしながら」
「義姉さんの話によると、更衣室覗いたのもお医者さんごっこも、ユタカひとりじゃなくて仲間がいるらしいのよね。でも、その友達の名前は一切割らなかったらしくてさ」
「なんだよこいつ、男気あるじゃん、って思って、しょーがねーな、慰めちゃろ、って思ってさ」
 
 なんだかんだ甥っ子さん想いのおやさしいリンコさま。

「そんなに女の子の裸に興味あるの?って単刀直入に聞いてみたんだ。そしたら間髪入れずに、うんっ!」
「それからいろいろ聞いてみたら、どうもお姉ちゃん、ユーコちゃんね、の豹変がポイントみたいなのね」

「それまで、義姉さんと子供ふたりとか、ユーコちゃんとユタカでも普通に一緒にお風呂入っていたんだけれど」
「ユーコちゃんが小六になった途端、ユタカとお風呂に入るの、イヤがり始めたんだって」

「ママとなら入るけど、パパやユタカとは絶対イヤだって言い始めて、ユーコちゃんはママとか、ひとりで入るようになって」
「まあユーコちゃんの気持ちはわかるよね。それでユタカは兄さんとか、義姉さんとふたりで入るようになって」
「それならいつもママの裸を見てるんじゃん、ってからかうと、ママの裸は全然違うのっ!て、なぜだか怒って全力否定してくるんだよね」

「ユメコさん、あ、兄貴のお嫁さんね。ユメコさんも昔はけっこう肌の露出が多いコスプレとかしてたカワイイ系の人なんだけどね」
「ユタカにとっては、あくまでもママでしかなくて、オンナとは見ていないんだろうね、親子だからアタリマエだけど」

「ユメコさんも昔のコスプレ写真とか、自分の部屋の鍵のかかる抽斗に封印して、子供たちには一切見せたことないらしい」
 
 苦笑いのような複雑な笑顔を浮かべられたリンコさま。

「で、じゃあなんでそんなに女の子の裸を見たいの?って質問の角度を変えてみたんだよね」
「そしたら、なんだかそういうえっちなのを見たり考えたりすると、ちんちんがムクムクって大きくなって、なんだか気持ちいいんだ、ってまたまた単刀直入な返事」

「あそこんちヲタカプだから、マンガいっぱいあるんだよね、アタシんちには負けるけど。それで一応ヤバイのは子供たちの目につかないように気をつけてはいるみたいだけど、少年向けでもムダにエロいの、あるじゃん。男の子ってそういうの、目ざといから」

「でもさ、着替えを覗かれたり、無理矢理スカートめくられたりしたら、女子はみんなイヤがるし、そういうことばっかりするスケベ男は女子の人気、なくなるよ、ってアタシも率直に返したんだ」
「そしたらユタカ、シュンとして黙っちゃってさ。しばらくうつむいていた後、何て言ったと思う?」

 私はお話に夢中で、わからないという意味でブンブン首を左右に振り、ミサさまは、すでに顛末をご存知なのでしょう、含み笑いのお澄まし顔。

「じゃあさ、リンねーちゃんの裸、見せてよ…」

「アタシ、うわっ、そこまで言うか?って思った反面、あれ?これって、おねショタで、しかもキンシンシチュじゃね?なんて妄想回路まで動き出しちゃってさ、マジ焦ったよ」
「でもすぐにユタカのヤツ、あ、でもリンねーちゃんは、おっぱいぺったんこだしなー、だって!まだ射精も出来ない皮かむりフニャチンマセガキ小僧が!」
 
 リンコさま、割と本気で憤っておられるご様子。

「それで、そのときふと直子の顔が浮かんじゃったんだよね。イベントの印象が強烈だったからかな」
「うちの会社に、頼めばすぐハダカ見せてくれる女の子がいるよ。それもかなり可愛い子、って携帯に入っていた直子の写真見せたのよ。あ、もちろん服を着ているやつね」
「そしたらユタカの目が爛々と輝いちゃってさ。アタシは、ダメだこのエロガキ、と思ったよ」
 
 あはは、って乾いたお声で笑われたリンコさま。

「でもまあ話の成り行きだったからさ、つい、言っちゃったんだ。ユタカがこれから学校の女の子たちにちょっかい出すのをきっぱりやめたら、会わせてやってもいいよ、って」
「あんたが真面目人間になったかどうかは義姉さんに聞けばわかるから、それでアタシが合格って認めたら会わせてやるから、お医者さんごっこでも何でもやってもらえば、って」

 私の顔をじっと見つめながら、麦茶をグイっと飲み干されたリンコさま。
 私は、小学生の男の子とお医者さんごっこ、というお言葉だけで、色んな思い出がよみがえり、股間がジンワリ潤んできていました。

「そしたら数日前に義姉さんから電話があってさ、今度の日曜日に学校の友達と一緒に池袋に映画見に行くから、そのついでにアタシんちに寄っていいか聞いておいてくれって、ユタカに頼まれたんだって」

「で、必ず伝えてくれって念を押された伝言が、ボク、夏休み前のテストで国語算数理科社会、全部90点以上取ったから、嘘じゃないから、その日持っていって全部見せるから」
「それでリンねーちゃんにはわかるから、約束絶対守ってね、だと」

「言われてから、ああ、そんな条件も出したっけ、って思い出した。ユタカ、いつも70点くらいをウロウロしているって聞いてたからイジワルのつもりだったんだけど、エロの力って、偉大だよねえ」

「義姉さんに聞いても、あの日以来何だか人が変わったみたいに真面目に宿題するようになっちゃって、凛子ちゃん、ユタカの鼻先にどんなニンジンぶら下げたの?お小遣い?ゲームソフト?って勘ぐられちゃった」
「学校夏休みなのにわざわざ日曜日に映画行くことにしたのは、リンねーちゃんの会社もお休みの日じゃないと会えないから、とまで言ってたんだって」
 
 そこまでおっしゃって、瞳をスッと細められたリンコさま。
 顎をクイッと突き出すような動きをされたのは、いつものポーズ、という合図。
 おずおずと立ち上がる私。

「そんなわけだからさ、ちゃんと課題をクリアしたユタカに、ここで大人が嘘つくわけにもいかないでしょ?」
「だから今度の日曜日、直子、悪いけど一肌脱いでくれないかな?文字通りの意味でも」
 
 座られたまま見上げてくるリンコさまの瞳には、普段私を虐めているときにお見せになる嗜虐の妖しい炎が、すでにチロチロゆらめき始めていました。
 
「…つまり、今度の日曜日にリンコさまのお家にお邪魔して、そのユタカさまっていう小学4年生の男の子と、お医者さんごっこをしろ、ということですよね?」
 
 自分でリンコさまのお話をまとめながら言葉にするだけで、乳首とマゾマンコに血流が集まってくるのがわかりました。

「そういうこと。どう?イヤ?」
 
 イジワル度満点の瞳で見つめてくるリンコさま。
 リンコさまミサさま、おふたりとも同時に立ち上がられ、ソファー脇に連れ出されます。
 ミサさまの右手が素早く動き、スルスルっと私が肩から纏っていたショールを外されました。

「イヤだとしても、わ、私には選択権は無いのですよね?…それは、リンコさまのご命令なのですよね?…」
 
 私の返答を、ふふん、と鼻で笑われたリンコさまが、ペロンと私のティアドロップス水着をずらしました。
 小さな布に辛うじて隠れていた、大きく背伸びした右乳首がブルンと飛び出しました。

「何カッコつけちゃってるのよ。アタシの話を聞いているうちに、ここがみるみるムクムク大きくなって、下だって滴るくらい貼り付いて透けちゃってるクセにっ!」
 
 布越しにマン筋をスルリと撫ぜられました。

「ひゃんっ」

「うふふ。イヤイヤ言ってても、からだは正直だな?とかいうエロものでよく聞く台詞が、こんなに似合うシチュもないわよね。直子、やる気マンマンじゃん」

「あうぅぅ…」
 
 からかうように私の乳首とマン筋を指でクニクニもてあそぶリンコさま。
 
「実は、義姉さんから連絡もらった次の日に、チーフにもメールでお伺い立ててるんだ。もちろん、チーフの返事は、即、おっけー」
「だからこれは、アタシの命令って言うより、直子のお姉さまのご命令だと思いなさい。そういう意味で直子に選択権が無い、っていうのは正解よ」
 
 紐ビキニの股間を覆う細い布も完全に腿側にズレてしまい、剥き出しになったラビアの中にリンコさまの指が侵入していました。
 
「あっ、だめっ、そこは…」

「それに聞けば直子、何でも高校のとき小学三年生の男の子と、差し向かいでお医者さんごっこ愉しんだそうじゃない?どっかの森の中の子供たちの隠れ家に招待されて」
 
 リンコさまは本気で私をイカせようと決めたらしく、爪の先でカリカリと私の腫れ上がったクリトリスをなぶってきます。

「あっ、いいっ、は、はいぃぃ、しましたっ、やりましたからっ、あっ、そう、そこぉ、もっとぉ…」
 
 お姉さまったらそんなことまで、と思いつつも、リンコさまのクリット弄りがあまりに気持ち良く、両脚を踏ん張って両手を後頭部に当てた全面降伏ポーズの私。

「チーフにその日の様子を後日詳しく報告するってことで、直子の一日お姉さまになる権限を委譲されたのっ!」

「あーーーっ、だめぇーっ、イキますぅ、イっちゃいますぅぅーーっ、いいぃぃーーーーっ!!!」
 
 リンコさまのお言葉が途切れるのと、私がてっぺんまで昇り詰めるのが一緒でした。

「…で、でも…いいのですか?そんな、ご親戚の小学生の男の子に…」
 
 快感の余韻がいくらか落ち着いてから、ハァハァ息を乱しながら、あらためてリンコさまにお尋ねしました。

「シモネタって、闇雲に禁じたり遠去けたりするほど却って好奇心が膨らんで、隠れてコソコソしちゃうものじゃない?一度実物を間近で見ちゃえば、落ち着くんじゃないかな」
 
 私を弄り倒した指をハンカチで拭いながらリンコさまがおっしゃいます。

「精通前の時期に、エロいことに対する男としての常識的な接し方とか、女性を優しく扱うこととか、実地で性教育しとくのって、有意義な気がするし、面白そうじゃない。アタシ、精通前ならおねショタも大好物だしね。まあ直子の場合は、相手が小学生だろうが受けになっちゃうだろうから、ショタおね、になるだろうけど」

「それに、直子って確か幼稚園だか保育園の先生の資格持ちだったよね?それならガキンチョの相手はお手のものなんじゃない?」
「あ、幼稚園教諭免許です。でも学生のころに実習で1ヶ月くらいお相手しただけですし…」

「なあに?ユタカが男の子だからビビってんの?大丈夫よ。まだ毛も生えてないガキンチョの包茎ちんちんなんて、おっ勃ったって小ぶりなポークビッツくらいのカワイイもんだから。直子のトラウマみたくグロいことにはなんないよ」
 
 リンコさまが露骨なご表現で、私の一抹の不安を吹き飛ばそうとしてくださいます。

「オトコって言ったって、思春期前なら無駄に毛深かったりオス臭かったりもしないから。現に直子だって何年か前に、その隠れ家でやったお医者さんごっこでは、ちゃんと愉しめたんでしょ?」

「はい…」

「大丈夫、直子はハダカを見せるだけ。成り行きでちょっと弄らせたりもするかもしれないけど、とにかくユタカにちんちん出させたりは絶対させないから。まあ、ヤツも恥ずかしがって出そうとはしないだろうけど」
 
 小さく笑ったリンコさまが、再び私のバストに手を伸ばしてきて、鎮まろうとしない勃起乳首をイタズラし始めました。

「あんっ、わ、わっかりました。今度の日曜日、あっ、リンコさまの、ご、ご命令に、し、従いますぅぅっ、あぁんっ…」
 
 乳首を引っ張られたり潰されたりしながら、リンコさまに服従を誓う私。

「あ、そうそう。一番肝心なことを言い忘れてた」
 
 私のおっぱいから一度両手を引っ込めたリンコさまは、傍らにあった書類を挟む目玉クリップで私の乳首を挟みながらおっしゃいました。

「とは言ってもね、アタシ、小学生にマゾドレイとか露出狂とか、そんなディープなことまで教えちゃう気はさらさら無いの」
「あくまでもエロマセガキンチョにリアルな性の入口を垣間見せて、好奇心を真っ当に満たしてあげたいだけ。だから直子も、そのへんのとこを、よろしくね」

 おっしゃりながら私のふたつの乳首を目玉クリップで挟み終えたリンコさまの両手は、私の下半身へと滑り落ちていきます。

「はうっ!」
 
 リンコさまの両手でラビアを大きく抉じ開けられました。

「具体的に言うと、アタシのことを、リンコさまぁ、とか、ご主人さまぁ、とか、如何にも、私マゾ女でーす、みたいなベタな呼び方をしないこと。子供たちの前では」

「えっ!?子供たちって、いらっしゃるの、ユタカくん、あ、いえ、ユタカさまだけじゃないのですか?」

 バッチーン!
 リンコさまに思い切りお尻をひっぱたかれました。

「あぁうぅぅっ…」

「ほら、そういうところよ!相手はガキンチョなんだからさ、ユタカに、さま、なんて付けなくていいのっ!」
「それにアタシ、友達と池袋に映画観にくる、って言ったじゃない?多分、近所のミツルくんじゃないかな。仲いいみたいだし。ボーイッシュな女の子みたいな顔したイケメンくんだよ」

 いつの間にかリンコさまの手には、制汗スプレーの容器くらいな太さの銀色円錐形なバイブレーターが握られていました。
 ああん、今度は中イキさせられるんだ…と身構える私。

「だから当日アタシのことは、大沢さん、とか、凛子センパイ、とか、いたって普通に同じ会社の仲良し女子、みたく呼ぶこと」

「は、はいぃぃ…」

 バイブをズブリとマゾマンコに挿され、お手元のスイッチでウィンウインうねらせ始めるリンコさま。

「あっ、あっ、そんな、いやっ、だめっ、いいぃぃーーっ…」
 
 半脱ぎ紐ビキニで乳首に目玉クリップをぶら下げた服従ポーズで、プルプルと腰を震わせる私。
 カーテン全開の大きな窓からは、視界全面コバルトブルーな真夏の夕暮れが綺麗に広がっています。

「それから当日の服装も、いかにも露出狂です、みたいなヘンタイチックなのはやめてよね。スケスケとか、穴開き紐パンツとか」

「あんっ、で、でもでも、私が持っている下着、あっ、だめそこっ、あ、み、みんな、あんっ、リンコさま、あんっ、り、凜子センパイたちにっ…」
 
 私がお答えしようとしているあいだもリンコさまがバイブを動かしつづけるので、なかなか会話が進みません。

「せ、センパイたちに、全部、ま、魔改造、うっ、されてしまったので、だめっ、ふ、普通のって、もう持って無い、ないぃ、と思い、思いますぅ、ぅぅぅ、けれどぉ…」
 
 ジュブジュブ音をたてるほど動かされるバイブレーターに、必死で理性を保とうと快感に抗う私。

「あら、魔改造なんて人聞きの悪い。あれは、エロティックリフォームよ。でもまあ仕方ないから、下着は前日までにアタシが用意してあげる。それ着けてきなさい」
 
 バイブを出し挿れする右手は止めずに、ニコニコ顔で私に念を押されるリンコさま。

「服装は、そうね…あの年頃の子たちはやっぱり、優しそうで清楚な感じ萌えだろうから、無難に花柄ワンピとか、フリルブラウスにキワドクないプリーツミニ、ってところかな」
 
 普通にお話されながら、せわしなくバイブを動かしつづけるリンコさま。
 
「あっ、はいぃ、あっ、あんっ、だめ、もうだめっ、イ、イっちゃう、 イっちゃうぅぅ…」
 
 どんどん前屈みになって突き出す格好になっている私のお尻に、ビーズ型のアナルバイブも、ミサさまの手でいつの間にか挿入されていました。
 
「理想は、教育実習で小学校に来た女子大生先生ね。お淑やかで初々しくて清楚で、でもそこはかとなく大人の色気も感じさせて、って感じ?」
「一気に脱いで即下着姿より、一枚一枚、焦らすみたいに徐々に脱いでったほうがガキンチョは萌えるよね?ワンピは無いな。やっぱ当日はブラウスアンドスカート生脚ソックス」

「…んんーっ、はいぃ、おっしゃる通りにしますからぁ、凜子センパイィ、美咲センパイィ、イっても、イってもよろしぃでしょうかぁぁ…」

「間違っても露出大好き淫乱マゾ先生ではないからね?あくまで普通の清楚な女性なんだけど、たまたま他人にハダカを見られるのが好き、ってだけで」

「…あっ、イキます、イきますぅぅーっ、あっ、あーーっ、いいぃぃぃ-----っ!!!」
 
 ハダカを見られるのが好き、という属性だけで充分、普通でも清楚でもない、と思うのですけれど…
 
 心の中でそんなツッコミを入れつつも、マゾマンコとアヌスへの執拗な二穴バイブピストン責めで膝から崩れ落ち、リノリュームの床に倒れこむように、しどけなくイキ果てた私でした。


夏休み自由研究観察会 02


2017年7月23日

三人のミストレス 12

 膣口深く潜り込ませた右手の人差指と中指で、捏ねるように膣壁を撫ぜ回します。
 上に伸ばした親指の腹で腫れたクリトリスを弾くように擦ります。
 左手全体で左おっぱいを鷲づかみ、人差し指と中指のあいだに逃した勃起乳首を、挟んでギュウギュウ潰します。

「はっ、はぁん、あっ、あーんっ・・・」
 先ほどの麻縄コブ渡りで、あれだけ激しく何度もイッたのに、いえ、イッたからこそ、敏感になり過ぎたはしたない急所への単純な愛撫だけで、みるみる高まってしまいます。
 目隠しをしてくださったことで余計な視覚的刺激を受けない分、行為に集中出来るので尚更です。
「あっ、だめっ、いやっ、もうだめっ・・・」

「あれ、もうイッちゃうんじゃない?」
「ほんとだ、まさにイキ癖がついちゃった、って感じだね」
「やだ、この子、小指伸ばしてお尻の穴までまさぐってる」
 私の痴態をつぶさに実況してくださるみなさま。

「あっ、んっ、あぁ・・・お姉さ、あっ、いえ、え、絵理奈さま、イッてもいいですかぁ?あふぅぅ・・・」
 コブ縄渡りのときのお姉さまのお言葉を思い出し、見えない絵理奈さまにオーガズムの許可を乞います。

「時間が無いみたいだから、さっさとイクのは構わないけれど、なんかあんたの、その口の利き方が気に入らないわね」
 私の左側のほうから、絵理奈さまの冷たいお声が聞こえてきました。

「イッてもいいですかぁ?じゃないわよ。いいですか、なんて何タメ口利いてんの?あんたは、こんなところで真っ裸になってヨガってるヘンタイセイドレイでしょ?わたしたちはあんたを飼っているご主人様、身分が違うの。もっと丁寧に哀願しなさいよ」
 お尻に一発来るか、と怯えて数秒待ちましたが、来ませんでした。

「ああんっ、はいぃ、ごめんなさい・・・え、絵理奈さま、みなさま、このままイッてもよろしいですかぁ?・・・」
 
 時が経つにつれパワーアップしている絵理奈さまのイジワル度。
 お言葉遣いもぞんざいになり、本気で私を軽蔑、嘲笑なさっているご様子に、憐れなマゾ性をゾクゾクッと滾らせつつ、自分を慰める両手は止めずに懇願する私。

「やっぱりヘンタイドスケベマゾ牝だけあって、教養無いわね。よろしいですか、って、何上から目線になっているの?お願いするんなら、よろしいでしょうか、でしょ?」

「あっ、あっ、はひぃ、ご、ごめんなさいぃ・・・絵理奈さまぁ、そしてみなさま、直子の、直子のグチョグチョ淫乱マゾマンコ、い、イカせて、あんっ、イカせていただいて、よ、よろしいでしょうかぁっ・・・」
 自分から口に出す品の無い淫語で益々荒ぶる昂ぶりは、そろそろ限界に達しようとしていました。

「よろしいわよ。さっさと自分の指でイッちゃいなさい、性欲過多のマゾ牝が、ペッ!」
 絵理奈さまの吐き捨てるようなお言葉。
 下腹部に何かが当たったような感触も微かにしましたから、実際に絵理奈さまからツバを吐きかけられたのかもしれません。

「あーーーっ、いいっ、いいっ、イキますぅ、いきますぅ、いいぃぃぃ---っ!!!」
 どっちにせよ、私はブリッジするみたいに下腹部を盛大に跳ね上げながら、悦び勇んで至福のオーガズムに達しました。

「早いわね、もうイッちゃった」
「始めてからまだ2分も経ってないよ。それに今日だけでイクの何度目?」
「下半身がブルブル震えているのに右手はまだマンコに貼り付いたままじゃん。休む気なんてサラサラ無いんだね」

 みなさまの呆れたお声が聞こえてきますが、弄りつづけることで絶頂の余韻はすぐにVの字に回復し、私はまた性懲りもなく高まり始めていました。

「さあ、一度イッたみたいだから残り時間は、みんなで好きに直子のからだをいたぶってあげて」
 お姉さまの幾分投げやり気味なお声が、私の背中のほうから聞こえました。

「この子、不特定多数からの陵辱願望も持っていて、衆人環視下のエロい人体実験みたいな妄想でもオナっているらしいから、みんなが普段、パートナーとは出来ないような、ハードな責めを試してみるといいわ」

「痛みも屈辱も、何でもオーガズムに昇華しちゃう子だから、面白いわよ。目隠しで誰が何をしたかもわからないしね」
「直じゃ汚いと思う人は、使い捨てのゴム手も用意してきたから」
 お姉さまのお声が消えた、と思ったら、口の中奥深くまで、生温かい何かを突っ込まれました。

「ぐえっ!」
 思わずえずいて、ヘンな声が出てしまいます。
 同時に口腔に侵入してきた異物が何なのか確かめようと、舌をフル回転して異物を舐め回します。
 指?・・・長い?・・・しなやか?・・・三本?・・・

 直感的にお姉さまの右手、と理解しました。
 香り、舌触り、味。
 今まで何度も味わってきましたから、間違えるはずありません。
 わかった瞬間、夢中でしゃぶり始めます。

 私のえずきが合図だったかのように、私のからだをいくつもの手が這い回り始めました。
 おっぱいとマゾマンコに取り憑いていた私の両手は乱暴に払い除けられ、代わりに無数とも思える手や指先が、無防備な全裸の私を陵辱し始めます。

 仰向けな私の右膝と左膝が同時に掴まれ、それぞれ左右に大きく押し広げられました。
 間を置かずに陰唇に複数の指がかかり、これまたそれぞれ左右に、内腿側へと思い切り引っ張られます。
「んぐぅぅ・・・」
 お姉さまの右手を頬張った喉の奥から、だらしない悲鳴がほとばしり出てしまいます。

「ほら、ママも松井ちゃんも、遠慮しないで」
 雅さまの弾んだお声が聞こえました。

 裂けちゃいそうなくらい左右に引っ張られて引き攣る粘膜に侵入してくる指。
 2本?3本?えっ!?5本?6本?
 おのおのが勝手に脈絡なく、モゾモゾと膣壁を引っ掻き回してきます。

 そのあいだ中、乳首もそれぞれ思い切り引っ張られ、ひねられ、潰され。
 クリトリスはずっと、粘土を捏ねるように指先でもてあそばれています。
 
 脇腹を撫でる指、下腹をさする掌、乳房の脂肪をつねる爪・・・
 視界を塞がれたまま素手だったりゴムの感触だったりな人肌に全身をゾワゾワもてあそばれる感覚は、得体の知れない爬虫類と昆虫が群がるプールに放り込まれたみたい。

「んぐぅ、ぬぐぅ、んんぅぅ、おごぅ、あごうぅ・・・」
 アルコールのせいもあるのでしょうけれど、どなたの愛撫も乱暴で荒々しい感じ。
 痛い、くすぐったい、気持ちいい、じれったい、の感覚が入り乱れ、私の全身で同時多発しています。
 粘膜とクリットに対する蹂躙はとくに執拗で、グングン高みに昇っていく私。

「ああぁーっ、いいですぅ、ありがとうございますぅ、もっと、もっとぉーっ!」
 不意に大きく嬌声が洩れてしまったのは、不意に口中の手が抜かれたからです。
 お姉さまの手で声が出せないのをいいことに、私は心の奥底から湧き上がる欲望を、正直に言葉にして喉を震わせていたのでした。

 自分のよだれまみれなはずのヌルヌルな手が、私の顔面を乱暴にまさぐってきます。
「はぅぅ、あっ、いいっ、いいーっ!」
 鼻の穴や耳の穴をグリグリ嬲られ、首を軽く締められます。
「んぬぐぅ・・・」

「すごい、乳首がこーんなに伸びーる」
「ほら、ラビアだってこーんなに」
「直子のマンコって外面は地味だけど、中のビラビラはだらしなくびろーんてよく伸びるよね」
「クリットも小指の先っちょ以上にパンパンに膨れさせちゃって、本当に気持ち良さそう」

 嘲笑混じりの黄色い歓声をあげて、私の恥ずかしい器官を容赦なくねぶり、なぶり、いたぶってくださるみなさま。

「あぅぅっ、え、絵理奈さま、み、みなさまぁ、イ、イッてもよろしいでしょうかあ、どうぞ、どうかイカせてくださいませーっ!」
 どんどん白くなってくる頭と心の桃源郷に一瞬でも早く埋没したくて、本能から湧き出たお願いが悲鳴に近い叫びになってしまいました。

「何、でっかい声でお下劣な願望口走ってるの?ほんと、サカリ切った牝犬マゾは仕方ないわね」
 絵理奈さまらしき冷ややかなお声が聞こえたと思ったら、肛門にズブリと何かが突き挿さりました。

「さっきと同じに、ただマンコとクリットでイクんじゃつまらないでしょう?ほら、こんなふうにグリグリしてあげるから、今度はケツの穴だけでイってみなさい」
 そのお声から一テンポ遅れて、私の他の部分をねぶっていた指や手が一斉に引きました。

 物理的な快感刺激を得られるのは唯一その部分、つまり肛門に挿し込まれた、おそらく絵理奈さまの、ゴム手袋を着けた2本の指だけ。
 仰向け立て膝で横たわっている私は、その唯一の刺激をより奥まで迎え入れるために、お尻をそちらに突き出すように浮かせました。
 
 上がった両膝を大きく開いたままそれぞれ両腕で抱え込むと、先ほどやらされたハッピーベイビーのポーズ。
 いえ、これは正しく、まんぐり返しと呼ぶべきでしょう。

 その姿勢で自ら腰を前後に動かし始めます。
 突き刺さった指が深く浅く腸壁を擦り、肛門筋の戸惑いがそのまま快感へと収束していきます。
 爆発寸前な昂ぶりには、その淫靡な抽送だけで充分過ぎます。

「うわ、直子、また自分で腰振りだしたよー」
「指が根本まで、ズッポリ入ってない?」
「動きに合わせてマンコのラビアまで、魚の口みたいにパクパクしてる」
「本当にお尻の穴だけでもイケちゃうんだ?信じられない」
 みなさまの引き気味なご感想も、被虐のよいスパイスです。

「んーーっ、いいぃですぅ、お尻気持ちいぃっ・・・アヌスいいっ、アナルいいっ、イキますぅ、イっちゃいますぅ、イッってもよろしいでしょうかぁぁぁ・・・」
「ほら、イッちゃいなっ!ケツの穴に指2本も突っ込まれてほじられながら、ドヘンタイらしくイクがいいわ、ほれ、大サービスでオマケも付けてあげるっ!」
 バチーンッ!
 穴に指を突っ込まれたまま、左の尻たぶを思いっきりひっぱたかれました。

「あうーっ、いいっ、いいっ、もっとっ、もっとぉーっ!」
バチン、バチン、バチン。
「いいっ、いいっ、イクぅ、イグぅ、ぃぐぅぅぅーっ!!!!」

 お尻をビンタされるたびに目の前で火花がスパーク、やがて意識がトンで真っ白に・・・
 あんまり良すぎて。激しい身悶えにからだがよじれ、気がつけばいつの間にか突っ伏して、四つん這い気味なうつ伏せとなっていました。

「直子ってば、今度は自分から四つん這いになっちゃったよ」
「もっとお尻を叩いて欲しくて仕方ないんじゃない?絵理奈ちゃんにひっぱたかれているとき、本当に気持ち良さそうだったもの」
「マゾの牝犬だからね。首輪もしてるし、やっぱりワンワンスタイルが落ち着くんだよ」

 みなさまの嘲り声に従うように、半端なうつ伏せ状態から両膝を立ててお尻を持ち上げ、高くグイッと突き出します。
 もちろん両膝は大きく開いてマゾマンコも肛門も、みなさまによーくご覧いただけるようにして。

「やだっ、お尻突き出しておねだりしてくる」
「まーだ満足していないんだ?まったく直子の性欲はサキュバス並に底無しだよね。本当に一晩中でもイキつづけるんじゃない?」

 アヌスの指も抜かれ、今はどなたも私のからだを触ってくださっていません。
 なのに性的欲求解消の渇望が全身を駆け巡り、もう居ても立ってもいられない状態。
 仕方ないので自分でまさぐろうと、右手をマゾマンコに伸ばしかけたときでした。

「ちょっとママさん、そこで何やってんですかあ?」
 すぐそばで訝しげな、聞き慣れないお声がしました。

「あらー、みつかっちゃった。ちょっとした余興なの。このかたたちのパーティの、お開き前のメインイベントをわたしもちょっと見学させてもらっているのよ」
 さーこママさまの、微塵も悪びれていない明るいお声。

「うちら、そろそろ帰ろうと思って、トイレ済ませて階段下りようとしたら、こっちがずいぶんと賑やかだからさあ」
「なんじゃろな、と思ってちょこっと覗いたら、四つん這いの裸のお尻が見えて、大勢で取り囲んでるからギョッとしちった」

 それぞれお声が違っているので、闖入者は女性おふたり?
 少し呂律が怪しくなっているので、すでにけっこう酔っ払われているみたいです。

「で、この人、何なんです?こんなところで、こんなけしからん格好して」
「わかった!王様ゲームの罰ゲーム!じゃなかったら集団セクハライジメ!」

 酔いのせいでしょうけれど妙にテンションのお高いおふたりは、お声はそうでもないけれど、はしゃぎっぷりがお若いっぽい?
 そんなことはともかく私は、まったく見知らぬ偶々お店に居られた女性おふたりにも、二穴全開の秘部を至近距離でさらけ出している状況になっていました。
 薄れかけていた羞恥が俄然息を吹き返し、マゾマンコを熱く潤ませます。

「そういうんじゃなくて、単刀直入に言うと、この子はマゾで露出狂なんですよ。この子は、こういうことをやらされるのが大好きなんです」
 雅さまのフレンドリーな営業トークっぽいお声が聞こえてきました。

「うわ、マゾって、痛いのや苦しいのが好きなドMってやつでしょ?最近の若い男に多いらしいわよ。近頃ヘンタイ増えたよねー」
「女の露出狂なんて本当にいるの?AVなんかの印象だと、ろくでもない男に無理矢理やらされているイメージだよねー」
 
 雅さまの身も蓋も無いご説明に、おふたりの元も子もないご感想。
 薄く苦笑いを浮かべられた雅さまが目に浮かびます。
 それでもめげないトーク上手な雅さま。

「それで、ワタシたちはみんな同じ会社の同僚なんですけれど、先月だったかな、この子が大きな仕事をモノにしたんです。社長賞クラスの」
「で、ご褒美に何でも好きなことやっていい、ってことになってこの子が、オフィス以外の、いつ誰が来るかわからない場所で晒し者になって辱められたい、って言い出して」
「で、さーこママさんに無理言って今日、ここを貸していただいいてのパーティなんです。だから、セクハライジメ、とかではぜんぜんないんです」

 ついさっきまで、お仕置き、だったはずなのに、雅さまのご説明では、ご褒美、になっちゃいました。
 まあ、マゾな私にとって、性的なお仕置きは、イコールご褒美でもあるのは事実ですが。

「あ、よく見るとこの人、犬の首輪みたいのしてるー」
「えー、信じられなーい。本当にこの人、イヤがってないのー?」
 面白がってまぜ返すような、どちらかのかたのお声にお応えされたのは絵理奈さま。
「本当よ。今、証拠を見せてあげるわ」
 おっしゃるなりいきなりバッチーンと、右の尻たぶに平手打ちをいただきました。

「ひぃーっ!」
「マゾ子は、これが欲しかったんでしょ?」
 まったく見ず知らずの方々に、私の本名を出すのは不味いと思われたのでしょう、マゾ子呼びしてくださる絵理奈さまのお心遣いにキュンとしちゃいます。

「はいぃ、ありがとうございますぅ、もっとぉ、もっとくださいぃぃ・・・」
 雰囲気を壊さないように、私もマゾ性全開で喘ぎます。
「まったくしょうがない牝犬ね・・・」

 バチンバチンとたてつづけに強烈な掌スパンキングをいただき、その甘美な痛みに闖入者さまの存在も忘れそう。
「あうっ!、あうっ!、あうーっ!!」

「うわー、みるみるお尻が真っ赤っ赤ー」
「お尻の穴がヒクヒクしちゃってるー」
「マンコがこれだけヌラヌラに濡れてるんだから、確かに悦んでるみたいだねー」
「下でたまに聞こえていた手拍手の音って、ひょっとしてこのSMの音だったんじゃない?」

 若干引き気味ながら、心底驚かれているようなおふたりのお声。
 私はと言えば、知らない女性たちに、おねだりスパンキングを目撃され、つい数分前の陵辱で爛れ切ったマゾマンコと肛門を凝視され・・・
 次から次へと蠱惑的な恥辱シチュエーションに見舞われて、もう私の小さな脳味噌では処理しきれません。

「それにしても見事にあられもない格好だこと。あ、ビデオ撮っている人までいるしー」
「オフィス以外、っていうことは、いつもはオフィスでこの人、こんなことされているんだ?ひょっとして全裸勤務?なんだか楽しそうな会社だねー」
「つまり、この真っ裸な彼女はヘンタイで、他の人たちが仕事のご褒美で遊んであげてる、ってわけなのね」
 
 おふたりとも雅さまのご説明と絵理奈さまの実演で、すっかりご納得されちゃったみたい。
 それにミサさまってば相変わらず、ずっとビデオで私の痴態を撮影されているんだ・・・

「もうお店も閉店間近だから、最後にこの子を盛大にイカせてあげましょう、っていうところで、あなたがたがいらっしゃったんですよ」
 お姉さまのお仕事のときっぽい、クールなお声が聞こえました。

「もう下にはあなたたちしかお客さんいないんでしょ?時間があるならあなたたちも見物させていただくといいわ。こんなの滅多に見れないし、すごく刺激的よ?」
 気さくにおふたりをお誘いになる、さーこママさま。

「えっ、いいの?どうせこの後はカラオケでも行こうかと思ってたから、時間はぜんぜん大丈夫」
「おっけー、うち、下行ってミユちんも呼んでくる!」

 お声の後にドタバタと駆け出す足音がつづきました。
 そう言えばさーこママさまが、階下には常連の下ネタも大好きなOLさん3人組しかいらっしゃらない、って、さっきおっしゃっていたっけ。

「よかったわね直子。直子の浅ましく恥ずかしい姿、視てくださるギャラリーさんが増えたわよ。どう見ても、あたしたちよりか五つ六つ歳上に見えるお姉さまがた」
 他のかたには聞こえないように、コショコショっと耳打ちしてくださった私のお姉さま。

「さ、もう本当に時間がないから、ちゃっちゃとマゾ子をヨガらせて、新たに見物されるゲストのみなさんにも愉しんで帰ってもらいましょう」
 お姉さまの呼びかけでパチパチと起こる拍手。
 どさくさに紛れて私の突き出したお尻を叩いているかたもいらっしゃいます。

「ママさん?ちょっと押しちゃったから9時40分お開きでいい?終わり次第、大急ぎで撤収するから」
「うん、だから時間は全然気にしなくっていいって。階下はもう閉店の札掛けちゃって、ケンちゃんがもう明日の仕込み、始めているはずだから」
 お姉さまのご相談に軽やかなお声でお答えくださる、大らかなさーこママさま。

「あと約10分弱っていうところだけど、あと2回はイカせたいわね。ゲストさんたちが揃ったらすぐ、始めましょう」
 お姉さまのお言葉にかぶせるように、雅さまの弾んだお声が聞こえてきました。

「折角四つん這いなんだからさ、今度はこれ、突っ込んでみる、っていうのはどうかな?」

 おおーっ、と、どよめくお声。
 面白そう、やろうやろう、という賛同のお声の他に、太すぎない?、マン汁が溜まっちゃいそう、などなど、不穏なお声も聞こえてきます。

「そっちより、こっちのシャルドネのほうがいいんじゃない?なで肩だから、より奥まで入りそうだし」
 冷静なお声は綾音さま。

「確かに。じゃあこっちはアヌス担当にしようか」
「わたしはこれでお尻をひっぱたくわ」
「四つん這いだと、おっぱい虐めが難しそう」
「洗濯バサミを引っ張れるように、糸を付けておきましょうか?」

 みなさまがガヤガヤ盛り上がっているところに、ワイワイドタバタと近づいてくるお声と足音。
「はーい、お待たせしましたー。オーディエンス、追加でーす」

「あっ!?」

 複数の足音が私のすぐそばまで来て止まり、それに合わせるようにガヤガヤワイワイもピタリと鎮まって、束の間、シーンとその場が静まり返りました。


三人のミストレス 13


2017年7月16日

三人のミストレス 11

 中腰になったところで、ほのかさまがツカツカと近づいてこられ、後ろ手錠を鍵で外してくださいました。

「あ、ありがとうございます」
 鍵入りロールパンは、雅さまがお持ちになったので、雅さまからほのかさまへと鍵が渡ったのでしょう。

 久しぶりに自由になった両手が、思わず股間にいってしまいます。
 長時間。食い込みロープに虐められたラビアが、まだジンジン熱を持って疼いていました。

「ううん。チーフに、外してやって、って頼まれたの。早くお洋服、脱いじゃったほうがいいわよ」
 ほのかさまに促され、まず中途半端に脱ぎかけのジーンズを、モゾモゾと足元までずり落としました。
 裾が引っかかるのでスニーカーも一緒に脱いで裸足に。

「ジーンズ、色が変わっちゃうほど濡れそぼってベトベトじゃない?これ、早めに水洗いして落としておかないと、乾いたらガビガビになっちゃうんじゃない?臭いも残りそうだし」
 ほのかさまにそんなおつもりは無いのでしょうが、やってしまった当人にとっては、自分の下半身の貪欲過ぎるだらしなさを揶揄されたような、恥ずかし過ぎるご指摘でした。

「わたしがおトイレの水道で、軽く水洗いしておいてあげる。ほら、そのチュニックも、ワサビの緑色が飛び散っちゃってる」
 私が脱ぎ捨てたジーンズを、乾いた部分を探して指先でつまみ上げながらおっしゃったほのかさま。
「あ、はい・・・」
 言われるままにお腹で丸まっていたチュニックも、足元までずり下げました。

「ボレロは、大丈夫そうね。それはハンガーに掛けて、あそこの壁に吊るしておくね。その下にお靴も一緒に置いておくから」
 キビキビとご指示されるほのかさまのおかげで私は、あっと言う間に赤い首輪ひとつだけの丸裸になっていました。

「ありがとうございます、ほのかさま・・・」
 私のジーンズとチュニックをひとまとめにして片手で持ち、おトイレへと向かわれる、あくまでもおやさしいほのかさまのお背中に深々とお辞儀をして、ふと気がつきました。
 今、あの上下を水洗いしてしまったら、このお店から帰るとき私、何を着ればいいのだろう・・・

「ほら、もたもたしてないで、テーブルに上がりなさい」
 途方に暮れていたところを、お姉さまにピシャリとお尻をはたかれました。
「あ、はいぃ」

 ワイングラス片手のお姉さまに手を引かれ、階段寄りのダイニングテーブルまで連れて行かれました。
 六人掛けくらいの長方形のテーブル三分の二くらいが、白っぽいタオルで覆われています。
 真っ白な部分と薄っすらピンクっぽい部分とがあるので、バスタオルを2枚使ったようです。

 テーブルの周りを半円形に囲むように椅子が並べられ、まさにステージと観客席の趣。
 ほのかさま以外のみなさまが、すでにテーブル周りにたむろしていらっしゃいました。

「はい、上がって上がって。時間があんまり無いんだから」
 お姉さまにペチペチお尻を叩かれ、テーブルの縁まできました。
 テーブルの高さは私の恥丘スレスレくらい。

「お店のお客様がお食事される、本来清らかであるべきテーブルなのだから、タオルの無いところに直子の淫らな生尻乗せて滑らすのはダメよ」
 つまり、タオルの敷かれたところに大きく脚を開いて乗れ、というお姉さまのご指示でしょう。
 右足と左手をタオルのあるテーブルの縁に乗せて、エイッとからだを引き上げている様子を、ミサさまにローアングルから撮影されました。

「はーい、お待たせー」
 私がタオルの上で立ち上がったとき、さーこママさまと松井さまが、幾分ドタバタ気味に階段を上ってこられました。
「あらー、ステージまで用意しちゃって、本格的ねー」
 私が全裸にされたことにも気づかれたようで、まじまじと私を見上げるさーこママさまと松井さま。

「ごめんなさいママさん。勝手にヘンタイ娘を大事なテーブルに上げちゃって。でも一応タオル敷きましたんで」
 雅さまがイタズラッ子のような笑顔で、さーこママさまに事後承諾を乞います。

「あらあら気い遣ってくれちゃって。タオルなんてしなくてよかったのに。うちはちゃんと朝夕毎日、テーブルも椅子もエタノール消毒している清潔第一の優良店なんだから」
 あくまでも大らかなさーこママさま。

「松井ちゃん、早くみなさんにデザートを配ってしまいましょう。じゃないとショーが始まらないわ」
 松井さまと連れ立ってお料理エレベーターに駆け寄り、銀盆にデザートグラスを並べ始めました。

 壇上の私は、みなさまの視線の高さ的に、しゃがんだらはしたないな、と思い、まだ後ろ手錠されているみたいにお尻のところで両手を組み、立ち尽くしていました。
 みなさまがニヤニヤ笑いで全裸の私を見上げる中、松井さまがみなさまにデザートをお配りし始めました。

「お酒の締めにスイーツって、無性に欲しくなるときあるよね」
「アルコールの後に糖分って、ちゃんと理に適っているらしいよ。分解のために肝臓が欲しがっているんだって」
「アタシ、ピスタチオジェラート、大好物なんだ」
 キャイキャイと歓声をあげられるみなさま。

「お言葉に甘えて、おトイレの奥の個室のほうに、干させていただきました。ご指示通りに使用不可のプレート掛けて」
 ほのかさまがおトイレから戻ってこられました。

「うん。下も今、常連さんの女性客しかいないから、干しっぱなしで何の問題も無いわよ。後でちゃんと回収しといてあげるから、週明けにお仕事のついでにでも取りに来ればいいわ」
 さーこママさまのご親切なお言葉で、私が今夜、このお店を出るときに着用出来るお洋服は無い、ということが確定しちゃったみたい。

「いただきまーす」
 デザートグラスが配られた順に、口々におっしゃっては舌鼓を打ち始めるみなさま。
 一口頬張った瞬間、どなたもシアワセそうな笑顔を浮かべられています。

「彼女の分は、どうする?」
 ひとつ余ったデザートグラスを手に、雅さまにお尋ねになるさーこママさま。

「はいはーい。アタシが食べさせてあげるー」
 ご自分のジェラートを早くも半分くらいまでお召し上がりになっていたリンコさまが、ジェラートスプーンを舐め舐めされながら元気良くお手をお挙げになりました。

「またー。そんなこと言って、直子のデザート横取りしようっていう魂胆なんじゃないの?」
 しほりさまが、まぜかえすようにおっしゃいました。

「ちがうもん。アタシとミサミサは、直子の裸なんか毎日オフィスでいろいろさせて、見飽きるくらい知り尽くしているからさ。それこそオマンコ周辺の色素の具合から、アヌスのシワの数まで」
 リンコさまがハイテンションで、私の恥ずかし過ぎる日常を暴露されます。

「えーっ?あたしだってそこまでまだ把握していないわよ?リンコたち、あたしがいないときもちゃんと仕事しているんでしょうね?」
 お姉さまのご冗談めかしたお叱り声。

「チーフがいなくても、アタシたちには早乙女部長様っていう、怖ーいお目付け役さんがいらっしゃいますからねー」
 同じようにご冗談めかしたお芝居声で返されるリンコさま。

「だから、普段ちゃんと視れないみんなに、ドヘンタイ露出狂でドマゾが本性なニンフォマニアック直子のド淫乱オナをじっくり視れもらおうと思って、裏方に回ることにしらのっ!」
 リンコさまってば、えっちな形容詞がスラスラ出てくる割には呂律が怪しくて、けっこう酔っ払われているみたい。
 さーこママさまがニコニコ笑いながら、リンコさまに私のであろうデザートグラスもお渡しになられました。

「なるほどね。それじゃあまず、美味しいデザートを堪能しつつ、直子のイッたばっかりのマゾマンコを、それこそアヌスのシワの数までじっくり観察してみましょうか」
 何が、なるほど、なのかわからない、お姉さまのイジワルなご提案。

「あっ、はいはーい。それならわたし、おあつらえ向きなポーズ、知っているわ」
 ご自分もちゃっかり、デザートグラスにスプーンを滑らせておられたさーこママさまが、ノリノリでお手をお挙げになりました。
 もちろん松井さまも、デザートに舌鼓を打ちながら私をじっと見上げています。

「わたし最近、近所のヨガ教室に通っているのね。それで、2回目だったかのレッスンで衝撃的なポーズにさせられたのよ」
 さーこママさまが私を見上げながらつづけます。

「ウェアを着ていても恥ずかし過ぎて、みんなで笑っちゃうようなポーズだったの。オールヌードでやったらヘンタイそのものよね、ってレッスン終わった後、みんなで言っていたくらい」
 私のほうへと近づいてこられた、さーこママさま。

「足先をこちらに向けて、仰向けに寝そべってくれる?」
 長方形のテーブルの、みなさまが客席にしているほうに両足を向けるようにご指示されました。

「あっ、はい・・・」
 テーブルの真ん中らへんにお尻をつき、お言いつけ通り仰向けになります。

「そしたらね、両脚を上に持ち上げてから、両膝をお腹のほうに引き寄せて」
 ご指示に従い両足を宙空に上げると、嫌な予感が急速に膨らみます。
 両膝をピタッと揃えたまま、仰向けでエア体育座りをしているような、写真で見たことのある胎児みたいな形に丸まる私。

 この体勢でもみなさまに性器のスジとアヌスが丸見えなので、けっこう恥ずかしい。
 みなさまのお顔が、その部分にグッと近づいてきていました。

「足の裏は天井に向けてね、そう。それで、両手を外側から伸ばしてその足の裏をそれぞれ掴んで、外側に開くの。膝がおのおの床に着くくらいグイッと」
 絶望的なご指示・・・
 開くまいと必死に閉じていた両腿の付け根を、自ら抉じ開けろ、ということです。

「んんっ!」
 羞恥と屈辱、合わせて恥辱にさいなまれつつ、足の裏を掴んだ両腕に力を込めます。
 閉ざされていた裂けめが割れていくのを感じながら、被虐の炎が潤んだ部分を熱してきます。
 最終的には、両腿が180度に開いた状態で、私のマゾマンコもお尻の穴も、ポッカリ口を空けてみなさまの目前に晒されました。

「うわーっ。これは凄いやっ!」
「ヨガにこんなポーズ、あるんだ。それにしても何の為?って感じのポーズ」
「でもほらヨガって、カーマスートラとか、えっち方面にも展開しているから」
「まさに生殖器と肛門が、御開帳、って感じだね」

 俗に言う、まんぐり返し、の途中のようなポーズを自らキープしている私に向けて、身を乗り出してその部分を覗き込みながらの、みなさまのご感想。

「ヨガ的にはアーナンダバラーサナっていう立派な名前が付いているんだけど、一般的には、ハッピーベイビー、のポーズって呼ばれているんだって」
 さーこママさまが私を見下ろしながら、解説してくださいます。

「生後半年くらいの赤ちゃんが、ごきげんなときによくこういうポーズをするところから、名付けられたそうよ。太もも痩せやヒップアップ、あとリラックス効果もあるって先生がおっしゃっていたわ。恥も外聞も捨てて自分を解放する、みたいな?」

「それにしても直子ちゃん、ポーズを取るまでの所作も完成後も、すごくキレイに決まっているわね。股関節が見事に開ききって、まるで講師の先生みたい」
 その股関節の部分をしげしげと見つめながらの、さーこママさまからのお褒めのお言葉。

「この子は、ちっちゃい頃からバレエやってましたからね。Y字バランスも180度開脚もラクショーなんですよ」
 ちょっぴりご自慢そうなお姉さまのご様子に、私もなんだか嬉しくなります。

「ここまであけっぴろげに見せられちゃうと、却ってこっちが恥ずかしくなってきちゃわない?共感性羞恥、とかいうんだっけ」
「ナオちゃんはツルツルのパイパンだからさ、尚更生々しいよね。まさに剥き出しとか赤裸々っていう表現がピッタリな感じ」
「さすがにさっきあれだけイッた後だから、クリちゃんは大人しくなって・・・って言ってるそばから膨らみ始めちゃってる・・・」
 
 ジェラートをスプーンで舐め舐めしつつ、私のマゾマンコ観察のご感想をあけすけに投げつけてくるみなさまのお言葉責めに、私のマゾ性も敏感過ぎる反応を示しちゃっています。

「考えてみれば他人のマンコなんて、強いて言えば恋人の以外、こんなふうにじっくり見る機会なんて無いのが普通よね」
「アタシちっちゃいとき、お医者さんでマンコ見られるより、お尻の穴を診られるほうが恥ずかしかったな」
「ああ、わかる。肛門なんてお医者さんか夜の営み以外には、見たり視られたりしないものだもんね、普通・・・」

「でも直子は、みんなが視ているこんなところで大股開きで、肛門のシワをヒクヒクさせちゃってるんだよねえ。あ、おツユが一筋、溢れ出た」
 ご愉快そうなみなさまの笑い声に、ますます被虐が募ってキュンキュン咽び泣いてしまう私のふたつの穴。

「ハッピーベイビーっていうくらいなんだからさ、そんなせつなそうな顔じゃなくて、もっとニコニコ笑うべきなんじゃない?」
 リンコさまがおっしゃりながら、私の顔のほうに近づいてこられました、

「ほら、おいしージェラート、食べさせてあげるから」
 銀色のスプーンで掬い取った、ちょっとだけ緑色がかったベージュ色のクリームを、私の口に近づけてきました。

 唇の裏側が冷たいと感じた途端、口腔に広がる芳醇な甘さとナッツ類特有の香ばしい風味。
 美味しいっ!
 火照ったからだに染み渡るようなひんやりした甘み。
 二匙、三匙とたてつづけに味わせていただき、恥ずかし過ぎる我が身を一瞬忘れて、うっとりシアワセ気分になりました。

「そうそう、やわらかくていい表情になった。まさにハッピーベイビーって感じよ。もっと舐めたい?」
 はい、とうなずいた私にニッと笑顔を返されたリンコさま、ジェラートの乗ったグラスはテーブルに置いて、スプーンだけを持って私の下半身のほうへと移動されました。

「ちょっと味変してみようか。特製シロップをトッピングして」
「はうっ!」
 開ききった陰唇に冷たい金属質のものが触れたと思ったら、ズブリと淫穴に挿し込まれました。

「ああん、そんなぁ」
 しばらくグリグリと粘膜が嬲られ、スポッと抜けました。

「たっぷり採れた、っと」
 まっすぐ持ったスプーンを揺らさないよう慎重な足取りで戻られたリンコさま。
 スプーンの中身を私のジェラートグラスに垂らしてから、あらためてその部分をジェラートごと掬い取りました。

「はい、あーん」
 ベージュ色のクリームの上に少し白濁気味のトロリとしたシロップが乗っていました。
 躊躇なく開けた私の口に挿し込まれるスプーン。
「んんーっ・・・」

「どう?自分から溢れ出たいやらしいマン汁をトッピングした、ピスタチオジェラート直子の愛液スペシャルのお味は?」
「あぁんっ、美味しいですぅ」

 本当でした。
 芳醇な甘さの中にほんのりしょっぱさと酸っぱさが加わり、冷たさと生温かさが醸し出す、なんとも言えない官能的なお味。

「へー、そうなんだ?」
 リンコさまがおっしゃるなり、同じスプーンで一掬いされ、ペロリとお口に入れられます。
「本当だ!甘さに適度な酸味の刺激が加わって、木の実の味が引き立つような気がする」

「へー、ワタシもやってみよう!」
 雅さまが口火を切られ、次々に金属スプーンが私のマゾマンコに捩じ込まれました。
「あっ、あんっ!、いやっ、ああんっ、だめぇっ、ひぃっ、もっとっ・・・」
 関係の無いクリトリスまでスプーンで虐めるかたもいて、私はハッピーベイビーのポーズをキープするのに必死。

「うん、確かに甘みに奥行きが出た感じ」
「悪くないわ。ひょっとしてさっきのワサビがいい隠し味になってるのかしら」
「直子のマン汁だけだと、さすがにちょっと生臭いんだけどね」
「今度アイスクリーム買ったら、自分のでも試してみようかな」

 みなさまが私の愛液を喜々として味わってくださっているのを見るのは、恥ずかしさ四割、嬉しさ六割で、マゾペット冥利に尽きる光景でした。

「おーけー。直子もいい感じで悶え始めたし、ここからオナニーショーに移りましょう」
 お姉さまは空になったデザートグラスを、再びワイングラスに持ち替えられていました。
「直子、もうヨガのポーズは解いていいわよ。オナニーしやすい姿勢になりなさい。普段しているみたいに」

 急にそうおっしゃられても・・・
 とりあえず両腕を下ろし、寝そべっていた上体を起こします。
 すると期せずしてM字開脚のポーズになっていました。

「オモチャは無しで、自分の指だけで、普段やっているみたいにしてイクのよ?」
 寝そべっているあいだに乱れた私の髪を、お姉さまがおやさしく直してくださいました。

「もうあと10数分しかないから、大急ぎで思う存分イッちゃいなさい。あ、声は塞いだほうがいいですよね?」
 お言葉の最後の部分は、さーこママさまに向けられていました。

「気にしなくていいわ、今、下には常連の下ネタも大好きなOLさん3人組とケンちゃんしかいないから」
 さーこママさまがデザートグラスを片付けながらお答えされます。
「それにわたし、直子ちゃんの声、気に入っちゃった。ずいぶん可愛らしく乱れるじゃない。もっといっぱい聞かせて欲しいわ」

「わかりました。じゃあ直子、始めていいわよ。まず自分の指だけで一回イッたら、その後はギャラリーの参加フリーということで」
 お姉さまが私の背後に回られ、私の右肩をポンと叩きました。

「はいっ」
 おずおずと右手を股間に伸ばし始めます。
 左手は左おっぱいへ。
 そのとき視界が真っ暗になりました。

「あっ!」
「気が散って集中出来ないと可哀想だから、目隠し。自分だけの世界で思う存分イキまくるといいわ」

 お姉さまが隠し持たれていたアイマスクか何かをされたようです。
 今は両手も自由ですから嫌なら外す事も出来るのですが、もちろん私がそんなことをするはずありません。

「あんまり感じ過ぎて、暴れてテーブルから落っこっちゃったりしないでね?」
 耳元にこそばゆい吐息と共に吹き込まれました。
 その艶っぽいお声にもはや辛抱たまらなくなり、右手の人差指と中指を勢い良くマゾマンコにズブリ。
「あふぅんっ!」

「それでは、弊社オフィスで飼育しているヘンタイマゾペット、森下直子の目隠しオナニーショーを、みなさまお時間までじっくりお愉しみくださーいっ!」
 お姉さまの愉しそうにお道化たお芝居声が、高らかにお部屋に響き渡りました。


三人のミストレス 12


2017年7月9日

三人のミストレス 10

 ここまで窓辺に近づくとロープの張りつめ具合も、半端なキツさではなくなっていました。
 
 窓のクレセント鍵に括り付けられたロープの端は、私のおへそくらいの高さですから、ロープ端と私の股間とのあいだにかなりの高低差が出来ているためです。
 ここまで来るとバレエのポワントの要領で爪先立ちしたとしても、股への食い込みを回避することは一切出来ませんでした。

 淫唇を引き裂いちゃいそうな勢いでめり込んでくる角度のついた麻縄が常に、腫れ上がった肉芽を圧迫している状態。
 歩を進めるたびに、情け容赦なく乱暴にマゾマンコ全体を擦り上げられていました。

「あんなに窓に近づいちゃったら、見事に外からも丸見えね、直子ちゃんのハダカ」
 背後からさーこママさまのお声がしました。
「あ、やっぱお店的にマズかったですか?カーテン引きましょうか?」
 ちょっと焦ったような雅さまのお声がつづきました。

「いいわよそのままで。だって直子ちゃんは、たくさんの人に視てもらいたい人なのでしょう?自分の恥ずかしい姿を」
「そういうタイプの子は、誰かに視られちゃうかもしれない、っていう状況なほど感じちゃう、って聞いたわよ」
 あっけらかんと朗らかなさーこママさまのお声。

「このへんは、お店少ない住宅街の入口だから夜はそんなに人通りは無いけれど、家路を急ぐ人がふと、灯りの点いた窓を見上げちゃう、なんてことはあるかもね」
「すぐ前の通りの信号待ちの人とか、向こうの公園の喫煙所でタバコ吸っている人とか、気づいた人はラッキーよね。まさにラッキースケベ」

「もし視た人が何か言ってきたら、うちの店、たまにインテリアでマネキン人形飾っているから、マネキンの着替え作業でも見間違えたのではないですか?って誤魔化しとくわ」
 背後におられるのでご表情は拝見出来ませんが、さーこママさまの人懐っこい笑顔が想像出来る大らかな口調でした。

 ここからゴールのロールパンまでのあいだに、ロープのコブは五つ。
 そのうち三つがライトグリーンのお帽子をかぶっています。

 カーテンレールに吊るされたロールパンに口が届きそうな窓辺寸前のコブは、ご丁寧に二重結びでもしたのか、今までよりとくに大きく出っ張っていて、更に今まで以上にたっぷりとワサビが盛り付けてありました。
 その大きなコブのすぐ手前にも、ワサビのお帽子をかぶった普通の大きさのコブ。
 
 大きなコブと普通のコブとの間隔は、まるで私の膣口とお尻の穴の距離を測ったみたい。
 あそこまで行ったら大小のコブが、過去最大の張力で私の恥ずかしいふたつの穴にめり込んでくることでしょう。

「あのパンにかぶりつくことがお仕置きのゴールなんでしょ?でもさ、彼女、ベロ出しっ放し状態だから、かぶりつけなくない?」
 さーこママさまが、さっきから私も気になっていた疑問を、率直に問題提起してくださいました。

「そう言われてみれば、それもそうね」
 雅さまが、今気づいたみたいに、目から鱗的なお声を出されました。

「だけど舌を自由にしちゃうと、あんなに大きなコブだし、直子がお店中に響き渡るようないやらし大声をあげちゃいそうで、ちょっと怖いわね」
 お姉さまが、お言葉の内容とは裏腹の面白がっているようなお声でおっしゃいます。

「あら、それは気にされる必要ないんじゃないですか?さっき、社長さんもおっしゃったじゃないですか、あられもない声あげて見物人が増えても自己責任だ、って」
 絵里奈さまが、嘲るような冷たいお声で、私の顔を覗き込みながら吐き捨てました。
 もちろん、お尻への鞭もセットで。

「それもそうね。じゃあ仕方ない、取ってあげよっか・・・」
 お姉さまがソファーから腰を浮かせかけたのを、手のひらを向けて制されたのは、ほのかさま。
「チーフはそのまま座っていてください。わたしが代わって取って差し上げます」

 雅さまの傍らを離れたほのかさまが、スタスタと私の目前にいらっしゃいました。
「あともう少しだから、がんばってね、直子」
 ニコッと微笑まれ、白い指を伸ばして私の舌の洗濯バサミを外してくださいました。
 舌全体に血流が戻るジンジンする疼痛。

「・・・ありあろうほらいやすぅ・・・」
 やっと口中に戻った痺れる舌をうまく使えず、覚束ない呂律でお礼を言う私。
 そんな私の口許に濡れおしぼりを押し付け、顎まで溢れ出たよだれを拭ってくださる、おやさしいほのかさま。

 おしぼりが私の口許から離れると、しばし無言で見つめ合うふたり。
「ありがとう・・・」
 やっと正常に戻った舌で、もう一度きちんとお礼を言おうとしたとき、ほのかさまの瞳に妖しい光が揺れているのに気づきました。

「うふふ」
 私を見つめながら小さく妖艶に微笑んだほのかさまが、左手を私の右おっぱいに伸ばしてきます。
 そのまま下乳の皮膚をつねるみたいにつまみ上げると、今度は右手が。
 ほのかさまの右手の指先には、さっきまで私の舌に噛み付いていた洗濯バサミ。

「あうっ!」
 右おっぱいの下乳に洗濯バサミがぶら下がり、つづけて左おっぱいにも。
「あつぅ!」
 皮膚を浅めに噛み付かれたらしく、針で刺されたような鋭い痛みがしつこく消えません。

「直子のえっちなバストに洗濯バサミ、初めて挟んじゃった」
 小走りに雅さまの傍らに戻られ、嬉しそうにご報告されるほのかさま。

「やりたくなる気持ち、わかるよ。ナオちゃんほどおっぱいに洗濯バサミが似合う女の子って、いないもんね」
 よくやった、とでもいうふうに頭を撫ぜながら、最愛のパートナーを甘やかされる雅さま。

「さあ、これでパンにもかぶりつけるようになったし、さっさとクライマックスを見せてもらいましょうか」
 お姉さまがお仕事のときみたく鶴の一声でその場を引き締め、アイコンタクトで絵理奈さまを促します。

「ほら、さっさとあの最後のコブを、あなたの淫乱マゾマンコで咥え込みなさい」
 絵理奈さまのお言葉に、みなさまの視線が私の股間と窓辺の最後の大きなコブとのあいだを、あらためて行ったり来たりし始めます。
 パシッ、とお尻に鞭をいただき、ヒーッ、と大きく息を飲み込む声が出ちゃう私。

 そうでした。
 もう自由自在に声が出せちゃうんだった。
 絶対がまんしなくちゃ、と唇を真一文字に結び直しました。

 一歩踏み出すと、再開後最初のコブ。
 このコブにはワサビは乗っていません。

「んっ!」
 それでも陰裂を通過するとき、膣口を抉じ開けるようにコブが蹂躙してきて、思わず淫ら声が出てしまいます。

 次はワサビ付き。
 まずクリトリスにベッタリ貼り付き、それから潤んだ粘膜になすり付けられます。

「んあぁっ」
 ピリピリな刺激を感じ取る時間も短かくなっていて、すぐにマゾマンコ全体がジンワリ熱くなってきました。
 更にここでは、腰振りダンスを10回しなくてはなりません。

「んっ、んぁ、んーっ、あ、あっ、あっ、はぁっーっ・・・」
 どんなに一所懸命口をつむごうと思っても、だらしなく半開きになってしまう唇。
 喉の奥から淫らな嬌声がほとばしり出てしまいます。
 だって、そのくらい気持ちいいんです。

 粘膜が柔らかいのをいいことに、ねぶるように暴れまわるコブのゴツゴツ。
 肉芽、膣口、肛門まで、ワサビまみれの愛液を行き渡らせながら陵辱してくる麻縄の凹凸。
 またもや頭の中が真っ白になりかけたとき、無情な鞭でストップをかけられました。

「あなた今、本気でイこうとしていたでしょ?」
 バラ鞭でお尻を乱打しながらの、絵理奈さまの蔑んだお声。

「あぁんっ、ごめんなさいぃ・・・」
 口では謝りつつも、腰振りダンスを止められておあずけを食らい、刺激に飢えているマゾマンコですから、お尻に感じる痛い鞭の打擲さえ、気持ち良くてたまりません。
 もっと、もっととおねだり出来ない分、浅ましくお尻を突き出してしまいます。

「ほら、もうあと三歩くらいでパンに口が届くんだからさ。パンを咥えたら、好きなだけ腰振って、イッていいから」
 呆れ果てたような絵理奈さまの嘲り声。
「は、はいぃ」
 私も早くイキたい一心で、左足を大きく踏み出しました。

「あうぅっ」
 コブが無いロープ部分でも、皮膚を引き絞る勢いで両脚の付け根に食い込んできます。
 私のおへその高さから、私のからだ全体を股間で持ち上げようとするみたいに、ピンと張りつめた麻縄。
 すぐ目前にワサビをたっぷり乗せた大小のコブ。
 そこから視線を上げると、間近に迫る大きなガラス窓。

 ガラスには等身大の自分がハッキリ映っていました。
 赤い首輪、洗濯バサミを左右ともにふたつぶら下げたおっぱい、股の割れ始めにクッキリと深い溝が出来るほどマゾマンコに食い込んだロープ。
 そんなみじめでヘンタイな自分の姿は半透明。
 その向こう側に、お外の様子もしっかり見えていました。

 お店前の道路をヘッドライトを灯した自動車がまばらに、右へ左へ走り過ぎていきます。
 視界左側に見える横断歩道の信号は赤で、通りの向こうで三人ほど信号が変わるのを待っています。
 こちら側の舗道にもちらほらと歩行者。
 近くに見える大小いくつかのビルにも、あちこちの窓に光が灯っています。

 今、私のこの浅ましい姿、お外から丸見えなんだ・・・
 そんな今更な現実を、あらためて思い知ります。
 あの信号待ちの人がふとこの窓を見上げたら、向かいのビルの窓が開いて何気なくこちらを見たら・・・
 たったそれだけのことで、自分のヘンタイ性癖がいともたやすく見知らぬ人に知られてしまうのです。

 狼狽と恥辱と被虐と愉悦が入り混じった得体の知れない衝動が、心の奥底から湧き上がっていました。
 お願いだから誰も見ないで・・・ううん、もっと見て、たくさん見て・・・

 今すぐここから逃げ出したいのに、一方では、窓をドンドン叩いてお外の人たちの注目を惹いてみたいような、アンビバレントな衝動。
 結果的にそれは、どうにでもなれ、という刹那的な感情へと収束し、つづけざまに二歩大きく踏み出す、という行動となって顕れました。

「んあーーっ!いぃぃぃーっ!!」
 ワサビまみれの大きなコブは、跨いだ途端に膣口にズッポリ嵌り込み、どんなに腰を振っても抜けなくなりました。
 強烈なワサビのビリビリ刺激が、粘膜から腰全体へ灼けつくように広がります。
 肛門にもワサビがべっとり張り付いているのが、ヒリヒリ加減でわかります。

「あふぅ、あうふぅーっ、んーっ、ぅふぅーっ・・・」
 声を出すまいと歯を食いしばるほど、代わって淫らな鼻息が洩れ出てしまいます。
 そのあいだ中も、意志とは関係無く腰が前後に激しく動きつづけ、みるみるグングン高まっていきます。

「ほら、いつまでもヨガっていないで、パンを咥えなさい。咥えないうちはイッたら駄目って言ったでしょ?」
 絵理奈さまの鞭に、あぅっ と喘いで、目の前に夜景が広がりました。
 あまりの気持ち良さに、いつのまにかギュッと目を瞑ってしまっていたようです。
 目前すぐそこ、ちょうど目の高さのところにロールパンがぶら下がっていました。

「咥えたらパンごと引っ張って糸を引きちぎりなさい。糸が切れたらお仕置き終了。好きなだけイッていいわよ」
 絵理奈さまのお言葉が全部終わらないうちに、顎を思い切り上に突き出して、ロールパンにむしゃぶりついていました。
 
 歯応えを感じると同時に、イヤイヤをするように思い切り顔を左右に振ります。
 つられて洗濯バサミごと、おっぱいもブルンブルン。

 残念。
 パンの切れ端だけが食いちぎれ、糸は繋がったまま。
 モグモグ、ゴクン。
 パンの切れ端を飲み込んで再チャレンジ。

 大きく口を開けてパンの真ん中くらいにかぶりつくと、パン生地の中で歯に何か硬いものが当たる感触。
 そこを噛み締めたままもう一度首を振ると、いとも簡単にプツンと糸が切れました。
 もちろん、そのあいだも腰は絶えず前後に振りっ放し。

「おおおっ!」
 と、ざわめくみなさま。
 いつの間にか雅さまやリンコさまたちが、私の至近距離、窓辺までやってきていました。

「あー、あそこに見えてるのが、部室の前にある公園の木陰なのね」
「週末だからか、それなりに人通りもあるじゃない」
「今までで何人、気がついたかな?」
 窓からお外も見つつ、無責任に盛り上がるギャラリーのみなさま。

「無事ミッションクリアだから、直子はイッていいんだよね?」
「外の人たちに、これからこの子、オマンコにロープ擦り付けながらイキますよー、って教えてあげたいわね」
「ジーンズに溜まった愛液が、ほんのりワサビ色に染まっちゃってる。あれだけの量だもの、無理ないかー」
「本当。白濁液に黄緑色が混ざって、一見クリームソーダみたい」

「それにしても、これだけからかわれてもずっと腰は振りっ放しなんだ。ほんとドスケベヘンタイマゾ女子なんだね、ナオちゃんは」

 雅さまのおっしゃる通りでした。
 みなさまが周りに集まってきても、目前のお外の様子が目に入っても、私の腰はまるで別の生き物みたいに、激しく前後に動きつづけていました。
 マゾマンコに潜り込んだ大コブがくださる陵辱が、気持ち良すぎて止められないのです。

 昂ぶりはそろそろ頂点を迎えようとしていました。
 もうすぐ・・・もうすぐ・・・ああ、もうだめ・・・

「んっんんんーんんんっ?」
 ロールパンを咥えたままの不自由な口で、イントネーションだけでお許しを乞いました。

「ヘンタイちゃんが何か言ってるよ」
 雅さまの可笑しそうなお声。
「何言ってるかわからないよ。もう一度言ってみ」
 リンコさまが笑いながらお尻をピシャっと叩きます。

「んっんん、んーんんんっ?!」
「えー?語尾が上がってるから、何か聞いているんだよね?んっんん、んーんんんっ?」
「妙に切羽詰まって、いやらしい声」
「そんなふうに目で訴えたって、わからないものはわからないよ」

 みなさま、わかっていてイジワルされているのか。本当にわかっていただけないのか・・・
 だけど、こんなときに頼りになるのが、おやさしいほのかさま。

「わたし、わかりました。イッてもいいですか?って、わざわざ懇願しているんですよ。イントネーションが同じですもの」
「あー、なるほどね。たまほの、よくわかったねー」
 リンコさまの白々しいお声。

「さすがチーフのマゾペットだね、躾がよく行き届いていること。どんなときでも勝手にイッたりせずにちゃんとお許しを乞うなんて、まさしくマゾの鑑だね」
 茶化すような雅さまのお道化声。

「どうします?お姉さま。お姉さまのマゾドレイがイッてもいいですか?って生意気言ってますけど」
 絶好調な雅さまがお姉さまにお声をかけ、わざとらしいお芝居がつづきます。

「あら、今回のお仕置きの仕切りは、この場のご主人様にすべてお任せしていましてよ。絵理奈さまにお聞きなさい、と伝えておいてちょうだい」
 わざわざ窓辺にはいらっしゃらず、私の後方のソファーで優雅に寛がれているはずのお姉さまも、ノリ良くお芝居声で返されました。

「だってさ。ナオちゃんの愛するお姉さまは、ああおっしゃってるよ」
 雅さまが私に聞いてきます。
「んんんんんーっ、んっんんんーんんんっ?」
 私は絵理奈さまのほうを向き、腰を振りつつ懇願します。
「あーっ、もうまどろっこしい!」
 雅さまが私の鼻をつまみ、私が口が開くと同時にロールパンを引っこ抜きました。

「絵理奈さまぁ、イッてもいいですかぁぁっ」
 口が自由になると同時に、泣き出しそうなおねだり声が絞り出ていました。
「仕方ないわね、約束は約束だから、思う存分イクがいいわ」
 忌々しそうなお声と共に、鞭を振り上げる絵理奈さま。

「あーーーっ!!!」
 パシッとお尻に鞭が振り下ろされるのと同時でした。
 高まりきった快感が頭の中で爆発して火花を散らす感じ。
 それが最初のオーガズム。

 それでも動きの止まらない腰。
 たてつづけに振り下ろされる鞭。
「んーーーっ、いいいーーーーーっ!!!」

「あっ、イッたね」
「イッたよ、両脚がヒクヒク震えてる」
「あ、またビクンて」
「あ、またイクんじゃない?」

 みなさまの驚きと呆れが入り混じったお声の中。
 快楽の渦に飲み込まれて溺れ、高まっては堕ち、またすぐに高まっては堕ち、快感に翻弄されつづける私。

「んーっ、んーーっ、いぃぃ、いぃっ、いいぃぃーっ!!!」

 目の前にぼんやり広がる夜景の中で動き回る人たち。
 そのすべての人たちが、軽蔑しきったお顔でこちらを見上げているように見えました。
 すべての理性が弾け飛んでしまったかのような開放感と高揚感の中、下半身のあちこちで快感スパークが炸裂し、何度も何度もイキつづけました。

 気がつくと窓辺の床に、内股でへたり込んでいました。
 さっきから耳についているハアハアという荒い息遣いは、自分の口から出ているものでした。
 まだぼんやりとしている頭で、目前の窓辺を見ました。

 さっきまで私を翻弄しつづけていたロープは、窓辺から解かれたようで見当たりませんでした。
 カーテンもいつの間にか全部、閉じられていました。

 お尻に直に触れているジーンズがひんやりして気持ちいい、と思いながら顔を上げると、みなさまが私を取り囲むように見下ろしていました。

「あ、気がついたみたい」
「凄かったね。何回イッた?」
「声を一所懸命我慢していたのは、偉かったんじゃない」
「途中、明らかにこの窓を見上げている人影みつけたから、そっとカーテン閉めちゃったわよ」
 頭上から一斉にお声が降ってきました。

「いやあ、面白かった。直子って底無しのど淫乱だよね。何度も固唾呑んだから、おかげで喉が乾いて乾いて、お酒が進んじゃった」
「凄く気持ち良さそうにイッてたよね。またそのイキ顔がエロいんだ。ずっと視ていたい感じ」
「絵理奈っちもずいぶん貢献していたよね?イキそうなとき、鞭で洗濯バサミ払い落としたりして」

 そのお言葉にふと自分のバストを見ると、おっぱいを飾っていた4つの洗濯バサミは全部消え、代わりにまだらな赤い打擲痕。
 最後にほのかさまが挟んだ左下乳の噛まれ痕は、やっぱり内出血したようで、薄く紫色になっていました。
 ラビアの洗濯バサミも、激しい腰振りダンスでのロープとの摩擦と、溢れ出た愛液の潤みに耐えきれなかったようで、床に転がっていました。

「あのう、みなさん?とても盛り上がっているところ大変申し訳ないのですが、そろそろデザートをお持ちして、よろしいでしょうか?」
 とても言い辛そうなお顔で、おずおずとご提案されたメイド姿の松井さま。

「あら、もうそんな時間?」
 さーこママさまとお姉さまが同時に、同じお言葉をおっしゃいました。

「ママさん、ここって何時までだっけ?」
「普段はラストオーダー10時で、後は成り行きなのだけれど・・・」
 お姉さまのお尋ねに歯切れの悪いお返事の、さーこママさま。

「生憎、明日の昼、夜と貸し切りの大人数パーティが入っていて、今夜中にある程度仕込んでおかないと明日バタバタになりそうなのよ」
「だから、今日は10時くらいに締めて、いろいろやっておこうと思っていたから、ミャビちゃんたちのご予約も、9時半までってことにしちゃったの」

「こんなに愉しいショーが見れるなら、11時でも12時でも何時まででも騒いでいって、って言いたいところなのだけれど、明日があるのよねえ・・・」
 本当に申し訳無さそうな、さーこママさまのお顔。

「ううん。こんなに自由にさせてくれるお店って、そうそう無いから、あたしたちだってワガママ言えないわ。お店の営業第一だもの」
「今、9時ちょっと過ぎでしょ、さっさと切り替えて、デザートいただきながら直子のオナニーショーを時間まで愉しみましょう」
 お姉さまのお言葉に、お口をポカンと開けたビックリ顔になられた、さーこママさま。

「えっ、今あんなにイキまくったのに、まだそういうことするの?この子」
 私の顔をまじまじと見つめてくるさーこママさま。
 
「あたし、予定していたことは、極力実行したいタイプなんです。まだ30分もあるし、ちゃんと時間通りに終わらせますから、安心してください」
 さーこママさまに向けてお姉さまが、お仕事のときみたいな自信満々のお顔でおっしゃいました。

「それに、こうなってからの直子が凄いんだ。イキグセがついちゃうっていうか、ノンストップで何してもイキまくるの。みんなも視たいでしょ?そういう直子」
 お姉さまのお言葉に、うんうんと勢い良くうなずかれるみなさま。

「そういうことなら、わたしも下をさっさと片付けちゃって、また見物させてもらおうっと。さあ松井ちゃん、みなさんのデザートの準備、超特急でしちゃいましょう」
 松井さまと連れ立って階下へ下りられようと階段方向に向かいかけた、さーこママさま。
 ふと立ち止まって振り向かれました。

「今夜のデザートはイタリア仕込みの特製ピスタチオジェラートなの。ゆっくり味わって欲しいから、特別に10時まで延長してあげる」
 パチンとウインクされたさーこママさまに、ワーッと歓声をあげるみなさま。

「ママさんもああ言ってくださったから、ご迷惑をおかけしないよう、すぐお開きに出来る準備もしつつ、愉しみましょう」
 お姉さまの号令で、空いたグラスなどをテキパキと片付け始めるみなさま。

「直子のステージは・・・ここがいいわね」
 お料理が並んでいたダイニングテーブルのうち階段側のテーブルは、すでに綺麗に片付けられて何も乗っていませんでした。
「汚しちゃ悪いからここにタオルを敷いて、その上に直子」
 バッグから白いバスタオルを引っ張り出し、手早くテーブルに敷き始めるお姉さま。

「ほら、直子も早く立ち上がって、着ているもの全部脱ぎなさい。首輪以外全部」
 お姉さまの有無を言わせないご命令口調に、あわてて立ち上がろうと腰を浮かせます。

 お尻の下になっていたジーンズ地から剥き出しのお尻が離れたとき、ジーンズ全体がまるでお漏らしでもしちゃったみたいに、グショグショに湿っていることに、あらためて気がつきました。


三人のミストレス 11


2017年7月2日

三人のミストレス 09

「二代目のアユミちゃんは、ずいぶんと見せたがり度がパワーアップしちゃったみたいね」
 人懐っこい笑顔を浮かべたさーこママさまが階段を上がり終え、ゆっくりと私たちのほうに近づいてこられます。

「それに、ずいぶんとマニアックなお仕置き?をさせられているじゃない」
 さーこママさまのお姿を見て、あわててテーブル上の空いたグラスやお皿のお片付けを始められる松井さま。

「ああ、ママさん。ひょっとして階下から、うるさい、って苦情出ちゃった?」
 雅さまが指で洗濯バサミのお口をパクパクさせながら、おもねるような笑顔でさーこママさまにお尋ねになりました。

「ううん。階下にはここの物音、そんなに聞こえてこないわよ。客足が一段落したから、みなさんの様子を見に来ただけ」
 さーこママさまが縄の食い込んだ私の股間にジーっと視線を張り付けつつ、ざっくばらんな口調で雅さまにお答えされました。

「金曜日はデートとか、カップルのお客さんが多いから、みんな自分たちだけの世界で盛り上がっていらっしゃるのよ」
 雅さまが差し出されたグラスを受け取り、白ワインをクイッと一口飲まれました。

「そうそう、さっきパチンパチンて手拍子みたいな音が聞こえたとき、カウンターに座ったOL三人組の常連さんが、なんだか今日二階、賑やかですね、なんて聞いてきたけれど」
「上は貸し切りで、何かおめでたいパーティみたいよ、って答えておいたわ・・・それの音だったのね」
 絵理奈さまが持たれているバラ鞭を指さされる、さーこママさま。

「うふふ。まさか彼女たちも、自分たちが飲んでいる同じ店の二階で、女の子が裸同然の格好になって、プッシーにロープを食い込ませて鞭打たれているなんて、思ってもみないでしょうね」
 さーこママさまのご愉快そうなお声に、みなさまの警戒心も一気に緩んだようで、場の雰囲気もリラックスした雑談ムードに戻りました。

「それにしてもあなた、大胆ね。よく、いつ誰が来るかもしれないこんなところで、そんなあられもない格好になれるわね?」
 さーこママさまのお問い掛けにお答えしようと思っても、舌に木製洗濯バサミをふたつ挟まれているので、ちゃんと言葉を発することが出来ません。

 もっとも口が利けたとしても、何てお答えすればいいのかわかりませんが。
 ちなみに今、私のからだに残っている洗濯バサミは、舌のふたつの他に、左右の乳首にひとつづつ、それとラビア左右にふたつづつの合計8個です。

「アユミちゃんのときは、せいぜい脱いでも下着姿までだったわよね?ここでファッションショー始めちゃって、知らないお客さんの前でも構わず生着替えしちゃって。もう2年前くらい?」
 さーこママさまがどなたに問うでもないご様子で、お話を振りました。

「あのときも二階だったけれど、貸し切りではなかったのよね。確かアユミのイメビ撮影にスタイリングやら雑用でみんなで付き添った帰りだったわ。確か季節もちょうど今くらいじゃなかったかしら」
 綾音さまが思い出されるように宙空に視線を漂わせ、おっしゃいました。

「そうそう。テンション上がっちゃったアユミが周り女性客ばかりなのをいいことに、撮影に使ったドレスとかランジェリーとか引っ張り出しちゃって」
 お姉さまもお懐かしそうに相槌を打たれます。

「あれ、ファッションショーって言うより、ほとんどストリップショーでしたよね。別のお客さんたちもノリ良くて、ちょっかい出しながらキャーキャー盛り上がってましたっけ」
 あ、里美さまもアユミさまのことをご存知で、その場に参加されているんだ。

「あのときは、ママもかなり酔っ払って絶好調だったから忘れちゃってるみたいだけど、アユミ、しっかり下着、脱いでたよ」
 雅さまが可笑しそうに異議を唱えました。

「下着姿のアユミをみんなで寄って集って弄ってその気にさせちゃった後、もっともっと、っておねだりするアユミに、それならお店のお手伝いしなさい、って命令したら」
 雅さまが私の顔を見つめつつ、つづけます。

「アユミったらサッと立ち上がって、傍らにあった銀盆持って、空いたお料理のお皿とか片付け始めたじゃん。ブラのホックが外れてて床に落ちたのも気にしないで、トップレスなのに、いかにも、出来るウェイトレス、気取りで」

「唯一穿いていた下着だって、ギリギリはみ出ちゃいそうな紐Tバックだったし」
「それで、そのまま銀盆持って階段を下りようとしたから、みんなであわてて止めたじゃん」
 雅さまのご説明に、大きくうなずかれたさーこママさま。

「ああ、思い出したっ。それでその後、二階のお客さんにだけ、その格好のままサーヴしてもらったんだっけ」
 雅さまからおかわりのワインを注いでもらいながら、懐かしむようなさーこママさまのお顔。

「シュールな光景だったわよね。着飾ったお客さんたちがテーブルを囲む中、ほとんど裸で歩き回るウェイトレスのアユミちゃん」
「なんだか外国映画のいかがわしいカジノの一場面みたい、って思ったのを思い出した。綺麗だったわよねぇ、アユミちゃんのおっぱい」
 おっしゃってから私の上半身に目線を移す、さーこママさま。

「あ、あなたのおっぱいも、もちろん、とっても魅力的よ」
 少しあわてたようにお言葉を繋げられたさーこママさまが、ジーっと私のバストを凝視してきます。
 そのはしたなく尖った頂点に、ふたつの木製洗濯バサミが噛み付いている、私の剥き出しおっぱい。

「直子ちゃん?でしたっけ。あなたはアユミちゃんとはまた別のタイプの、見せたがりやさんのようね?」
 ずり下げられたジーンズ、お腹に絡まるチュニック、はだけたボレロと視線が動き、再び洗濯バサミをぶら下げたおっぱいへと戻りました。

「アユミちゃんみたいに、私のセクシーなからだ視て、的な、開放的なお色気タイプじゃなくて、何て言うか、ねっとりしたえっちな羞じらいが素肌から滲み出ている感じ」
「それに、バストならともかく、プッシーまでこんなところで丸出しに出来ちゃう、ある意味の度胸は、たいしたものだわ」

「この子は、筋金入りのマゾヒストですからね。辱められれば辱められるほど快感が膨らんじゃう、どうしようもないヘンタイ社員なんです」
 お姉さまが冷たく言い放ち、ウンウンとうなずかれるみなさま。

「なるほどね、その首輪や洗濯バサミ見れば、虐められポジションなのは一目瞭然よね。さっきのオフィスでの裸マネキンごっこも、どうせこの人たちが面白がってやらされていたのでしょ?」

「違うよママ。全裸とかキワドイ格好とかは、ヘンタイナオちゃんだけに許されたオフィスでの制服なの。つまり、ママさんが視たナオちゃんの姿が、普段の我が社でのマゾっ娘ナオちゃんの普通の姿なんだよ」
 雅さまのわかったようなわからないようなご説明に、あははと大笑いされる酔っ払いのみなさま。

「あなたがアユミさん二代目って聞いて、でもなんとなくモデルさんぽくはないな、と思ったのよ。どちらかと言えば同じような背格好の・・・」
 おっしゃりながら私の横に立たれている絵理奈さまに視線を移動されたさーこママさま。
「こちらのゲストさんのほうが、モデルさんぽいオーラをお持ちよね」

「さすがママさん!人を見る目も確かだよね。こちらは絵理奈さんといって、まさにプロのファッションモデルなんですよ、うちともお仕事している」
 雅さまが営業のお仕事のときのようなお芝居口調で、さーこママさまを持ち上げられます。

「絵理奈さんとうちの直子のあいだで先月、とある一悶着がありまして、それで今日、絵理奈さんに思う存分、直子を虐めてもらおう、っていう会をセッティングしたんです」
 なんだか誤解されまくりそうなご説明で、お話をまとめにかかるお姉さま。

「そんな経緯だったの。だから絵理奈さんが鞭をお持ちになっているのね」
 おそらく誤解されたまま、ご納得顔のさーこママさま。

「ごめんなさいね、わたしがしゃしゃり出てきて、愉しいお仕置きを中断させてしまったみたいね。どうぞそのままおつづけになって」
 さーこママさまが絵理奈さまに向けてニッコリ微笑まれた後、お姉さまに視線を戻されました。

「わたしも見物させてもらっていいかしら?こういうの、キライじゃないのよ、ボンデージとかエスエムとか」
「どうぞどうぞ、ごゆっくり愉しんでください。見慣れたスタッフ以外のゲストの視線が多いほど、露出狂直子は悦んで、普段以上に濡らすはずですから」
 おっしゃりながら傍らの椅子をさーこママさまに勧められるお姉さま。

「そういうことなら松井ちゃんも、空いたお皿リフトに乗せたら、こっちにいらっしゃい。一緒に見物させてもらいなさいな。こういうの、めったに見れないから後学のために」
「あ、はいっ!」
 おやさしいさーこママさまのお言葉に、嬉しそうな松井さまのお返事。

「そう言えば、今までに下のお客様で、そこのおトイレを使ったかた、いらっしゃったのですか?」
 ほのかさまが、ふと気づいた、みたいに、さーこママさまにお尋ねになりました。

「たまほのちゃんのご質問は、今まで誰かが二階に上がってきたのか?っていう意味よね?」
「ああ、なるほど。誰か下のお客さんがトイレに上がってきて、この直子ちゃんを視ちゃったら、ひと騒動起こるんじゃないか、っていうことね?」
 
 おっしゃってから、さーこママさまは、しばし顎を少し上げて考えるポーズ。

「何人か上がったように思うけれど、戻ってきたときに驚いたり騒いでいたお客さんはいなかったわね」
 さーこママさまのお答えに、ホッとする私。

「でも、今いるお客さんは常連ばかりだし、下ネタも嫌いじゃない人ばかりだから、喜んでノッてきて、見物に加わると思うわよ」
 さーこママさまの屈託ない笑顔。

 階段を上がりきってすぐ左に折れればおトイレ、右へ一歩踏み出して柱の陰から覗き込むと、このお部屋が見渡せます。
 そのお部屋のほぼ中央で、両脚のあいだにロープを食い込ませ、窓辺に向かって後ろ手錠で立ち尽くしている私。

 周りをみなさまが取り囲んではいるものの、ロープと手錠と剥き出しのお尻とで、一見して異様な雰囲気には気づいちゃうことでしょう。
 見物人が増えるということは、それだけこの界隈、私の生活圏で私のヘンタイ性癖をご存知な人物が増え、日常生活で遭遇しちゃう確率も増えるということ・・・
 どうかこの綱渡りが終わるまで、どなたもおトイレに来られませんように、とお祈りせずにはいられません。
 
 散らばっていたみなさまの視線が、再び私に集中していました。

 私は、ライトグリーンの小山がちんまり乗った結び目のコブの前で、おあずけを食らっていました。
 イキ果てる寸前にまで昂ぶっていた全身の官能は、おあずけのあいだに幾分鎮まっていました。
 でも、みなさまの視線が自分に戻り、目前のコブを通過しなくてはいけない、と思った途端、尿意にも似た疼きが下半身から全身へ、ジワジワ広がり始めます。

「それじゃあ再開するわ。まだロープ半分しか来てないわよ?ママさんも松井さんもお仕事中断してわざわざ視てくださっているのだから、がんばりなさいっ!」
 最後の、なさいっ!、という絵理奈さまの励ましとともに、バラ鞭が左の尻たぶに思い切りよく振り下ろされました。

 パシンッ!
 強烈な一発。
 絵理奈さまも待ちくたびれてうずうずされていたのでしょう、以前にも増してノリノリなドSっぷり。

「ひゃぅっ!」
 洗濯バサミのおかげで機能しない口腔の代わりに、喉の奥から吐息だけでお返事し、鞭を入れられた競馬のお馬さんのように、右足を大きく踏み出します。
 食い込みっ放しのロープがラビアを擦りつつ、大きく出っ張ったコブがまず恥丘を撫で上げます。

「あの縄の上の緑色のは、なあに?」
 さーこママさまのお声。
「うふふ、ワサビです。ワタシのアイデア」
 雅さまのお答え。

「あらあらー、プッシーにワサビまで、なすりつけちゃうんだ?悪いけどうちのは長野産天然モノだから、相当効くわよー」
 呆れたようなお声のさーこママさま。

 恥丘を撫ぜ擦りワサビをなすり付けてくるコブは、すぐに腫れ上がったクリトリスを潰し、洗濯バサミを揺すりながらラビアを抉じ開け、膣口の粘膜の中へと潜り込みました。

「ちょっとそこでストップ」
 絵理奈さまがバラ鞭で軽くお尻を叩いてのご命令。
 ちょうどコブが膣内にめり込んでいる状態のときでした。

「そこで腰を前後に10回振りなさい。結び目にあなたのいやらしいマゾマンコを擦り付ける感じでね。前、後、で一回よ」
 実際に絵理奈さまが、腰を前に突き出し、すかさず今度はお尻を後ろに突き出し、の動作をやってみせてくださいました。

「うわー、絵理奈っちの腰使い、卑猥ぃ」
 すかさずまぜかえすリンコさま。
 みなさまの笑い声。

「ワサビの付いた結び目に来たら、必ずこのダンスを10回くりかえすこと。ロープとワサビの陵辱をたっぷり下の口で味わいなさい」
 完全にエスモードに入られた絵理奈さま、リンコさまのおちゃらけにもまったく動じません。

「ただし、イクのは禁止ね。いくら気持ち良くてもがまんしなさい。イキそうになったらわたしに言いなさい。思いっきり鞭をくれてあげるから」
 
 そうおっしゃった絵理奈さまを頼もしげに見て、ニンマリとお顔を緩めて私を窺い見るお姉さま。
 相変わらず冷静にビデオカメラのレンズを向けつづけているミサさま。
 綾音さまも絵理奈さまのお見事な女王様ぶりに、ご満悦そうに目を細めていらっしゃいます。

「ほら、やりなさい」
 パシンとお尻に鞭をいただき、ぎこちなく腰を振り始めます。

 コブと縄の凸凹が両腿付け根の裂けめを満遍なく陵辱してきます。
 自分の溢れるばかりのおツユで、ゴツゴツザラザラなはずなのに、なめらかに滑るコブの、その乱暴な摩擦が気持ちいい。
 ロープと愛液と粘膜とが奏でる、クチュクチュクチュという卑猥な摩擦音が聞こえています。

 ワサビの洗礼は、擦り付けた当初はさして何も感じなかったのですが、腰を振ってコブを味わっているうちにジンジンと感じてきました。
 無数の細かい針に刺されたような、痛みと痒さがごちゃまぜになったようなもどかしい刺激が、クリトリスとラビアと粘膜から、やがて腰全体へとせり上がってきました。

 熱いような冷たいような、スースーするお薬を塗ったときみたいだけれど、それより何倍も強くてフクザツにヒリヒリする刺激。
 口から食べたとき鼻の奥にツーンと抜けていく、あの涙が滲んじゃうような痛みに似た刺激が、粘膜全体に行き渡る感じ。
 マゾマンコが奥から熱く疼き、どんどん高まってしまいます。

「みるみるうちにエロい顔になっていくわね」
「腰の振り方、どんどん早くなってない?まさしく、サカっちゃっているケモノね」
「あのまま放っといたら、勝手にイッちゃうんじゃない?」
 頭の中が白くなってきて、もはやどなたのお声かも聞き分けられません。

「いつまで腰振っているのよっ!」
 パシンッとお尻を鞭打たれ、一気に目の前が真っ白に。
「んーっ!!・・・んふぅ、ふぅ、ふぁー、ふぅーん・・・」
 内緒ですけれど、小さくイッちゃいました。

「腰振りダンスは10回でいいって言ったでしょ?さっさと進みなさい」
 絵理奈さまから、急き立てるようにお尻にバラ鞭を振るわれます。
「まさか、イッちゃったりしてないでしょうね?」
 よろよろ歩を進めながら、ブンブン左右に首を振る私。
 顎を汚しているヨダレが小さく飛び散ります。

 何も乗せていないコブをひとつ超え、次のワサビ付きコブへ。
 ワサビの刺激は長続きはしないようで、最初の腰振りの途中で消えていました。
 それを自覚した途端、より強いワサビの刺激を欲している自分がいました。

 次のコブには、さっきよりたくさんワサビが乗っています。
 まさに悦び勇んで、という感じで浅ましくその上に跨り、鞭をいただく前に腰を動かし始めていました。
「んふぅー、んっ、んっ、んーーっ・・・」

「直子のオマンコ、愛液、ダラダラー」
「それも白く濁ってネットリしてて、完全に本気汁になっちゃったね」
「直子が跨ってきたロープが、ナメクジの這った痕みたいにヌラヌラ光ってる」
「えっちなおツユでお店の床を汚さないように、っていう配慮で、あんなふうにジーパンを半脱ぎにさせて床まで垂れないようにしてくれたのね?さすが、ミャビちゃんの会社って気配り上手じゃない」

 最後に聞こえてきたのは、さーこママさまのお言葉でしょう。
 でもそんなことは、もうどうでもよくなっていました。
 私はグングン高まり、自分の腰の動きを止められません。

 そんなふうにして、内緒で小さくイッては、絵理奈さまの鞭で腰振りを止められながらよたよたとロープを進み、やがて、吊り下げられたロールパンまであと1メートルくらいのところまでたどり着きました。

 目前の大きな素通しガラス窓からは、街路を照らす外灯の光と、眼下の夜道を行く人影が肉眼でも判別出来るくらいに見えていました。
 夜になってガラス窓は、明るい室内を映し出す鏡のようにもなっています。
 私の正面の窓ガラスに、今の私の姿が映り込んていました。

 赤い首輪にはだけた胸元、剥き出しのおっぱい。
 膝までずり下げたジーンズで丸出しの下腹部。
 乳首とラビアに揺れる洗濯バサミ、無毛な陰裂に食い込んだ麻縄のコブ。
 舌にも洗濯バサミを挟まれ半開き、よだれまみれの口元。
 なのに、悦楽に酔い痴れたように眉間に深くシワを寄せた、淫らな煩悶顔

 お洒落なレストランの窓辺で性的な見世物にされ、イキ果てる寸前まで欲情している淫猥マゾ女の姿。

 その姿はお外の夜陰からも、まるでスポットライトに照らし出されるようにハッキリと見えてしまっていることでしょう。


三人のミストレス 10


2017年6月25日

三人のミストレス 08

「うんとね、部屋の端から端までにロープをピンと張るの。腰の高さくらいに」
 雅さまのご説明に、ああ、やっぱり、と思う私。

「ロープにはところどころに結び目でコブを作っておいて、ドレイにそのロープを跨がせて、歩かせるっていうアソビ」
「ネットだと、股綱渡り、とか、コブ縄渡り、とか呼んでいたね」

 雅さまのお言葉にすぐご反応されたのは、リンコさま。
「知ってる知ってる。アタシも見たことあるよ。あれ、エロいよね、縄がラビアに食い込んじゃって」
「はい。すごく痛そうでした。わたしには絶対無理だなーって・・・」
 ほのかさまが、心配そうに私を見ました。

「でもまあ、この直子なら、悦んでやってくれそうじゃない?」
 里美さまがイジワルっぽく私を見ました。
「直子は経験、あるの?そのいやらしい綱渡りアソビ」

「あ、はい・・・あります・・・」
 私が答えると、おおっ、と、どよめくみなさま。

「さすがチーフ。もう大抵のことはやらせちゃってるんだ?」
 お姉さまに向けて雅さまが、からかうようにおっしゃいました。

「えっ!?あたしはそれ、直子にやらせたことないわよ。そういうアソビがあるのは知っていたけれど」
 お姉さまが呆れたように私を見ます。
「あたしと逢う前に、すでに誰かさんから仕込まれちゃっていたんでしょうよ」
 皮肉っぽい口調で、突き放すようにおっしゃったお姉さまに、罪悪感がズキン。

 でもあれ?このこと、お姉さまにお話していなかったっけ?
 思い出せないけれど、お姉さまは、この場を盛り上げるために、わざと知らなかったふうのお芝居をされているようにも見えました。

「あーあ、大変だ。お姉さまが妬いちゃってるよ?いつ、誰にやらされたのか、全部正直におっしゃい」
 雅さまが冷やかすように笑いながらおっしゃいました。

「あ、はい・・・地元にいた頃に、バレエの先生のお家で・・・」
「へー。そのとき、ナオちゃん、いくつ?」
「高校、二年、でした・・・」
 えええーっ!?と、どよめくみなさま。

「そんな歳でもう?筋金入りのベテランマゾじゃん」
「直子のバレエの先生って、チーフが言っていた二丁目のバーのママさんだっけ」
「だけどワタシらだって高校の頃、アユミにエロい格好させたり、紐で縛ったりはしていたわよね」
「でも、股綱渡り、なんていうお下劣なプレイの知識は持っていなかったわよ」

 ワイワイガヤガヤ、口々にかまびすしいみなさま。
 私のマゾ遍歴に関しても、お姉さまからお聞きになっていたのでしょう、みなさまお詳しいご様子です。
 ざわめきが一段落して、ほのかさまが真面目なお顔で尋ねてきました。

「あんなことして痛くないの?なんて言うか、アソコが擦れちゃうのでしょ?」
 ご心配三割、好奇心七割という感じのお顔。
「あ、はい。あの、ぬ、濡れていますから、痛みのほうは、そんなに・・・」

「でもロープに擦れたら、水分もロープに拭き取られると言うか、吸い取られてしまうのではなくて?」
 好奇心九割くらいまでに増した、ほのかさまの興味津々で無邪気なお言葉責め。

「あ、いえ、私は後から後から溢れちゃうタイプですし、擦れる感触も気持ちいいんです・・・そういうことが好きな、マゾですから・・・」
 ほのかさまにお答えしているあいだに、お姉さまがバッグから麻縄を取り出されていました。

「ロープは2本入ってたわ。繋げたらかなり長くなりそうね」
 お姉さまがお持ちになった私の麻縄に群がるみなさま。

「うわー。本当に年季が入ってる。ツヤツヤ黒光りしているじゃない」
「麻縄の、埃っぽいって言うか油っぽい匂いって、官能を揺さぶるような、なんだかゾクゾクする匂いよね」
「よく見ると黒ずみ具合が、まだらになっているのがなんだか生々しい」
「黒ずみが濃い部分に、とくに直子のいやらしいおツユと臭いが染み込んでいるってわけよね」
 ロープを手にして、口々にあけすけなご感想をぶつけてくるみなさま。

「ロープの端は、あそこの窓の鍵の部分に引っ掛ければいいわね」
 お姉さまが公園側の大きな窓ガラスを指さされました。
 把手の付いたクレセント式鍵の高さは、私のおへそくらい。
 あの高さからロープをピンと張られたら、どれだけラビアに食い込んじゃうことか・・・

「もう一方の端は、と・・・」
 グルっと室内を見渡すお姉さま。
「あそこがいいか」
 ガラス窓とちょうど真向かいな位置の壁際に置いてある、スチール製のブックシェルフを指さされました。

「あれの外枠に結びつければいいでしょう。頑丈そうだし、本がぎっしり詰まっているから倒れるようなこともないでしょうし」
「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと耐震性のストッパーも付けているはずですから」
 お姉さまのお言葉に、すかさず太鼓判を押される松井さま。

 ロープを手にされたリンコさまが窓際に近づかれ、窓の鍵部分にロープを軽く結んだ後、スーッと伸ばしながら対面の壁際ブックシェルへ。
「大丈夫そうですね。2本結べばラクショーで届きます」

 距離にしてだいたい7、8メートル。
 お料理が置かれたふたつのダイニングテーブルのあいだを麻縄が走る形になるようです。

「あっちの壁際から始めれば、直子はどんどん窓際に近づいていくことになるじゃない?」
 お姉さまがイタズラっ子な笑顔でみなさまにおっしゃいます。

「外も暗くなったし、今、外からあの窓辺を見たら、この部屋の灯りが煌々と目立っているはずよね」
「そんな中を直子がこの格好で、股間のロープに身悶えしながら窓辺に近づいていくってわけ。見せたがり露出狂な直子には、ご褒美と言っていいくらい、うってつけの余興だと思わない?」

「外で運良くあの窓を見上げる人がいるといいわね?」
 最後のお言葉だけ私に向け、ニンマリと微笑まれるお姉さま。

「結び目って、どのくらいの間隔で作ったらいいんでしょうか?」
 リンコさまが持ち帰られたロープを手にされたほのかさまが、お姉さまに尋ねました。
「そんなの適当でいいよ。でもまあ、ナオちゃんだから多ければ多いほどいいんじゃないかな」
 お姉さまのお返事を待たずに、雅さまが愉しそうにお答えされました。

 ロープの片方の端にほのかさま、もう片方にリンコさまが取り付いて、せっせとロープに結び目のコブを作っていきます。
 おふたりともノリノリなご様子。
 やがて、結び目のコブだらけな麻縄が出来上がりました。

 リンコさまが回収され、ロープの片方の端、丸く輪っかに結ばれた部分をまず、窓ガラスの鍵の把手にひっかけました。
「直子、ちょっとこっちに来て」
 リンコさまに呼ばれ、リンコさまを追う私。

「ここに立ってみて」
 ブックシェルフの鉄柱の脇に立たされた私の、剥き出しな股間の高さを見定めるリンコさま。
「うーんと、このへんかな?」
 リンコさまがロープを柱に結びつけようとすると、お姉さまから、待った、がかかりました。

「まだ結ばないでいいわ。もっと直子が嫌がりそうなこと、思いついたから」
「直子が嫌がる、っていうことはつまり、悦ぶとイコールなんだけどね」
 お姉さまのお言葉でリンコさまは、私の股間のちょっと上くらいに割り箸の袋を結んで目印を付けました。
「下準備おーけーです」
 嬉しそうにお姉さまにご報告されるリンコさま。

「今日の集まりは、そもそもゲストの絵理奈さんとしほりさんに、うちの直子を虐めてもらって愉しんでもらう趣向だったじゃない?」
 お姉さまの弾んだお声。

「このバッグの中に面白いものがけっこう入っているからさ、それをゲストのみなさんにも活用してもらって、より愉しんでもらおうと思ってさ」
「こういう余興って、やっぱり、飴と鞭、がお約束じゃない。そこは押さえておかないと」
 お姉さまがバッグの中から、何やら取り出し始めます。

「まずは、飴、のほう、直子のクリア条件。これが今、直子の両手にかかっている手錠の鍵。誰か裁縫用の糸、持ってない?」
 ほのかさまがご自分の携帯お裁縫セットから取り出した糸を差し出すと、お姉さまは小さな鍵に糸を結びつけられました。
 それからテーブルの上にあった小ぶりのロールパンをひとつ、手に取ります。

「鍵はこのパンに詰め込んでゴールにぶら下げておくわ。直子が無事このパンを咥え込んであたしの元に持ってこれたら、その手錠を外してあげる」
「手錠が外れたら、好きなだけ、この場でオナニーすること許してあげる。直子、今イキたくって仕方ないのではなくて?」

 それがお姉さまから私への、飴、ですか・・・
 となると、鞭、のほうは、もっと非道いこと?
 飴と鞭、いずれにせよ、私は今夜ここで自慰行為をみなさまにご披露しなければいけないみたいです。

 柔らかいロールパンに押し込まれた鍵に繋がった白い糸が、パンの生地から垂れ下がっています。
 そのパンを手渡されたリンコさまが窓辺へ走り、カーテンレールに糸をくぐらせてパンをぶら下げました。

「でも、ただ股縄渡りしてパンを咥えるだけじゃ面白くないから、鞭のほうを絵理奈さんたちにやってもらうの」
 おっしゃりながら取り出されたのは、文字通り小さめなバラ鞭でした。

「時間制限を設けて、その時間内にパンを咥えられなかったら、またスタートからやり直し。絵理奈さんたちは、この鞭で直子を嬲って妨害していいの」
 お姉さまがその場で、バラ鞭を勢い良く振りました。
 空気を切り裂くヒュンッという音に、背筋がゾクゾクっ。

「いいなー。ワタシにもナオちゃんの妨害係、やらせてよ。ワタシだってちゃんと本格的にナオちゃん虐めるの、初めてなんだからさ」
 雅さまが不満げにおっしゃると、ニコニコうなずかれたお姉さま。

「そうだったわね。もちろん雅もいいわよ。あ、ついでに松井ちゃん、あなたも、ね?あなたも今日のゲストだから」
「え、いいんですか?それじゃあ、お言葉に甘えて」
 雅さまも、松井さままでノリノリです。

「直子、こっちに来なさい」
 お姉さまに呼ばれ、正面へと歩を進めました。

 私の真正面に立たれたお姉さまの両手が私の下半身に伸び、ジーンズをズルリと両膝小僧の辺りまで引き下げられました。
「あっ、いやんっ」
 さっき絵理奈さまの手で前ボタンを外されて少しずり下げられ、中途半端に露出していた私のマゾマンコが、完全に外気に晒される格好になりました。

「完全に脱がすかどうか迷っていたのだけれど、このほうがだらしなくて、より直子らしいでしょう?」
 お姉さまの右手が、私の剥き出しマゾマンコを直にペロンと撫で上げました。
「はうっ!」
 お姉さまの掌が腫れ上がった肉芽に当たり、おもわずはしたない声が。

「中途半端な脱ぎかけだと、歩幅も窮屈になるし、歩きにくくて足枷みたいでしょ?マゾでヘンタイな直子にお似合いよ」
 完全にエスな瞳のお姉さまが蔑むようにつづけました。

「それに今、ヘンな大声出したけれど、さっきも言ったでしょう?いやらしいヨガリ声は下のお客様まで筒抜けだって」
 おっしゃりながらもう一度私のマゾマンコを右手で覆い、人差し指と中指を挿し込んでくるお姉さま。
「ぁう・・・ふ、ふぁい、ごめんなさいぃ」
 快感に震えながらも努めて小声でお許しを乞う私。

「おおっ、さすがチーフ。直子の扱い、熟れている感じ」
「ほんと、すごくSMの女王様ぽい。こんなのワタシの知ってるエミと違う」
「あら、学生時代からエミリーは怒ると怖かったわよ。静かに怒るから尚更なのよね」
 みなさまにからかわれるお姉さま。

 私のマゾマンコから離した右手を傍らのおしぼりでクールに拭ったお姉さまは、無言で壁際のブックシェルフのほうへ向かわれました。
「ほら、直子もこっちに来なさい」
 冷たいお声で呼ばれ、ヨタヨタと急ぐ私。
 膝まで下ろされたジーンズに絡め取られる両脚は、予想以上の歩きにくさでした。

「ここに立って」
 先ほどリンコさまが目印を付けられたブックシェルフの前に立たされました。
 リンコさまが持っていたロープの端をジーンズと股間のあいだの空間に通されます。
 股間をくぐって私の背後にお顔を出したロープの端が、リンコさまが付けた目印のところに結び付けられました。

「ぁはぁ・・・」
 股間の亀裂に縄が接触する感触で、いやらしい声が出そうになり、あわてて口をつぐみました。
 みなさまがグラス片手に私のところへゾロゾロと集まってきました。

 スタート地点の縄の高さは、私がつま先立ちするとやっと触れないぐらい。
 そこから、お外が丸見えな窓ガラスまで、緩やかな上昇線が繋がっています。
 
 張られたロープには、これでもかというくらい結び目のコブ部分が連なり、その果てにぶら下がっているロールパン。
 そのロールパン手前のロープは、私のおへそくらいの高さにあり、卑猥なコブが密集していました。

「ルールは簡単。直子はこの股縄を辿って向こうの端まで行き、あのパンを咥えられたら終わり」
 お姉さまがみなさまに向けてご説明されます。

「ただし、歩くときにはこの本を頭の上に乗せて、落とさないように歩くこと。落としたらペナルティ」
 ブックシェルフから抜き出したらしい薄手の女性週刊誌を、私の頭に乗せるお姉さま。

「落としたら、この洗濯バサミをひとつ、からだのどこかに挟むこと。直子はどこを挟んで欲しいか、ちゃんと言うのよ?」
「あ、はい・・・」
 バッグから取り出した、木製の洗濯ばさみがぎっしり詰まった巾着袋は、しほりさまに手渡されました。

「絵理奈さんたち妨害組は、歩いて行く直子に何をしてもおーけー。鞭を使ったり素手でお尻ひっぱたいたり。、ロープを揺するとか食い込ませるとか」
「もちろん鞭で、ペナルティの洗濯バサミをはたき落としてもいいわ」
 お姉さまのお言葉に、絵理奈さまの瞳がスッと細くなりました。

「直子は頭の雑誌を落とさないように、ひたすら前に進むだけ。はしたない声張り上げちゃって見物人が増えちゃっても、それは自己責任だからね」
「は、はい・・・」
 お姉さまのお話をお聞きしているだけで、ロープに密着した粘膜がキュンキュン疼き、粘液がトロトロと膝のジーンズの股布へと垂れ下がっていました。

「あ、そうだ!この展開で、ワタシいいこと思い出しちゃった」
 雅さまが嬉しそうなお声をあげ、お料理テーブルに向かわれました。

「昔、飲み会の席でアユミにイタズラしたことあったでしょ。すごい効き目で超面白かったの、憶えてない?」
 戻ってこられた雅さまの右手には、小皿にこんもりと盛られたライトグリーンの生ワサビ。

 お刺身用の薬味から拝借されたのでしょう。
 そして、おそらくすごく良いワサビなのでしょう、先ほどお刺身をいただいたとき、頭にツーンと抜けていったその強烈な刺激を私も覚えていました。

「酔っ払ったアユミを羽交い締めにしてさ、クリちゃんにちょこっと塗ったら、なんとも悩ましい顔になっちゃって、連れて帰るの大変だったじゃん?」
「ああ、そんなことあったわね。あのときはずっと、わたくしがアユミのお相手をしてあげたのだったわ」
 綾音さまが懐かしそうにお顔をほころばせました。

「ということで・・・」
 ロープの半分くらいにあるコブにワサビをちょこんと盛り付ける雅さま。
 そこからコブひとつ置きくらいにちゃんちょんちょん。
 ロールパン手前の窓際のコブには、残ったワサビがこんもりと盛られました。

「ナオちゃんは、クリちゃんへのワサビ責め、されたことある?」
「あ、えっと・・・それは・・・」
 お姉さまのお顔をじっと見つめる私。

「ああ、いつだったかお寿司屋さんで食事した後、オナニー用にお店で余ったワサビを直子に渡したことがあったわね。確か連休の頃だっけ?」
「なーんだ。すでにエミつん女王様から調教済みなんだ」
 雅さまががっかり気味におっしゃいました。

「ううん。そのときは時間が無くて、それで直子にオナニーするように言い渡しただけ。実際に目の前で見たわけではないのよ」
「そんなことをしたのは、あたしもあの日のアユミのワサビ事件、強烈に記憶に残っていたせいかもね」
 お姉さまが雅さまに言い訳するようにおっしゃいました。

「あたしが直子から聞いた事後報告によると、なんだかすっごく気持ち良かったらしいわよ。今日はそのサマをみんなでじっくり、見物しましょう」
 私を蔑すむように見遣りながら、なんともイジワルなお顔で微笑まれたお姉さま。

「じゃあ始めましょうか、一発目でミッションクリアされちゃったらつまらないから、最初の時間制限は30秒ね」
「あ、それならわたしがタイムキーパー、やります」
 お姉さまのお声に逸早くご反応された里美さまが、ご自分の腕時計を外されました。

「それじゃあ、いきますよ」
 里美さまの号令で、頭の上に雑誌が乗せられました。
「よーい、スタートっ!」

 雑誌を落とさないようにバランスを取りつつ、慎重に一歩踏み出します。
 濡れそぼった股間を滑る麻縄のザラついた感触。
 次の一歩でもうすぐそこの、イジワルな結び目にたどりつきます。

 目前には、どんどん高くなっていくロープと無数のコブ。
 真ん中へんから向こうのコブたちは、ところどころライトグリーンのお帽子をかぶっています。
 まっすぐ固定した視線の先に遠く揺れる、おそらく公園を照らしている、いくつかの外灯の光。

 短か過ぎる丈で覆いきれないボレロの布地から、ほとんど零れ出ている生おっぱい。
 無意味にお腹部分だけを隠している、かつてはチュニックだった白い布地。
 おへそ下から膝まで剥き出しの下腹部。
 女性なら隠すべき恥ずかしい部分すべてをさらけ出した姿で、窓際まで歩いていかなければなりません。

 首輪に繋がったリードを嬉しそうに、しほりさまが引っ張ってきます。
 松井さまは、信じられない、という面持ちで私の顔と、縄の食い込んだ股間を交互に見つめています。
 雅さまは嬉しそうに、ロープを掴んで揺すっています。
 ミサさまがさも当然のことのように、ビデオカメラのレンズをこちらに向けています。

 二歩目を踏み出し、腫れたクリトリスにコブのゴツゴツがなすりつけられたとき、お尻に軽い痛みが走りました。
 ピシャッ!、あぁんっ!バタンっ!
 背後におられた絵理奈さまからのバラ鞭の刺激で、頭の上の雑誌が床に落ちました。

「あーあ。ペナルティだー」
 リンコさまの嬉しそうなお声。
 しほりさまから洗濯バサミをひとつ受け取った松井さまが、私に近づいてこられました。

「松井ちゃん、直子に、どこにつけて欲しいか聞いて」
 イジワルいお姉さまのお声。
「どこにつけて欲しい?」
 松井さまのお声までイジワルっぽくなっています。

「あ、はい・・・それでは、右の乳首に・・・」
 自分でおねだりをする、みじめさ、はしたなさ、ふしだらさ・・・
 ぎこちない手つきで右の乳首に洗濯バサミをぶら下げられました。

「あうぅ」
 その痛みに喘ぐと同時に、お尻に強烈な痛みが走りました。
 ピシャッ!
「あうっ!」

 お姉さまが平手で私の左尻たぶを思い切りはたいたようです。
「自分から頼んでしていただいたのに。お礼のひとつも言えないの?」
「あぅ、ご、ごめんなさい・・・ありがとうございますぅ。松井さまぁ」
 乳首のジンジンとお尻のヒリヒリで、マゾマンコの粘膜が盛大に蠢いています。

「ペナルティ時のロスタイムは取りますか?」
 妙に冷静な口調で、お姉さまにお尋ねされる里美さま。
「ま、そのへんは適当でいいのだけれど、今ので何秒くらい?」
「本を落としたところで、22秒でしたね」

「まあ、30秒で行けるわけないよね。おっけー。それじゃあ次は制限時間一分、ロスタイム無しでリスタートね」
 右乳首に洗濯バサミをぶら下げられた格好でスタート地点に戻され、再始動。

 それからもバラ鞭をいただくたびに雑誌を落としてしまい、そのたびにペナルティが科せられました。

「左の乳首にください」
「右のラビアを挟んでください」
「左のラビアにお願いします」
「右のラビアにもうひとつ・・・」

 おっぱいに、脇腹に、お尻に、おへそに、舌に・・・
 ギャラリーのみなさま全員から代わる代わるに洗濯ばさみをいただき、からだ中が洗濯バサミだらけになっていました。
 そのたびに、ありがとうございます、と感謝を伝えるマゾドレイ。

 巾着袋にギッシリだった洗濯バサミが足りなくなる頃には、雑誌の頭乗せルールも時間制限も廃止され、とにかく窓際まで進んでパンを咥えることだけが目的となっていました。
 それでも私はまだ、ロープの中間地点までにも至っていませんでした。

 歩を進めるごとにロープのテンションがキツくなり、情け容赦無くマゾマンコに食い込んできます。
 いくつも連なったコブは、肉の芽を擦り上げるだけでは飽き足らず、粘膜の奥にまで潜り込んで陵辱してきます。
 そのあいだにも、お尻や背中にバラ鞭を振るわれ、乳首や皮膚に噛み付いた洗濯バサミを何度もはたき落とされました。

 快感と苦痛に翻弄されながらも、私は愉悦の喘ぎ声を必死に我慢していました。
 突き出した舌に挟まれたふたつの洗濯バサミが、嬌声を堪えるのに役立っていました。
 その代わり開いた口の端からはダラダラとよだれがしたたり、下の口から垂れる愛液と共にジーンズの股布を盛大に汚していました。

 私のみじめ過ぎる姿を視てテンションの上がったみなさまが、嵩にかかって私を嬲りものにしてきます。
 鞭で振り払われ床に落ちた洗濯バサミを拾っては、同じ箇所に噛ませてくる手。
 声を我慢しているのをいいことに、私の腫れ上がったクリトリスにコブをグイグイ押し付けてくる手。
 後ろ手錠の両手に、スイッチの入ったバイブレーターまでわざわざ握らされました。

 痛みと羞恥と屈辱と官能とがないまぜになって全身を駆け巡り、マゾ冥利に尽きる恍惚としためくるめく快感。
 私の両脚は、その付け根の粘膜から発散される蕩けてしまいそうなほど甘美な痺れに、ガクガク小刻みに震えていました。
 たとえば次に、ちょっとでも物理的な刺激を敏感な部分に受けたら、それだけで為す術無くイキ果ててしまいそうなほどの昂り。
 
「あらあら、ずいぶんと愉しそうなことになっているみたいじゃない?」
 不意に階段のほうから朗らかなお声がして、盛り上がっていたみなさまのワイワイガヤガヤが瞬間、ピタッと止まり、シンと静まり返りました。

 いよいよ次は、ライトグリーンのお帽子で飾られたコブを咥え込む、という地点まで私が進んだときのことでした。


三人のミストレス 09


2017年6月4日

三人のミストレス 07

 欲情して腫れ上がったときの私のクリトリスの皮のように、いとも簡単にペロンと剥かれたチューブトップから飛び出した生おっぱい。
 羽織ったボレロの短かく狭い布地では到底隠しきれず、尖りきった左右の乳首までがこれみよがしに、明るい照明の下にさらけ出されました。

「おおー。出たねー、ナオちゃんのえっちなおっぱい」
 とても嬉しそうな笑顔の雅さま。
「相変わらず、痛々しいくらい乳首ボッキさせちゃって。ほんと、ニンフォマニアっていう肩書がピッタリよね」
 しほりさまの呆れたようなせせら笑い。

「顔に似合わず大きくて物欲しげなニップルだこと。アレオラも大きめだし、色も形もあたしのほうが数段、品があるわ」
 私が気にしている箇所を正確に突いて、妙な対抗心を燃やしてくる絵理奈さま。

 かつては頼り無いながらも胸部と下腹部を隠してくれていた、ニット地のベージュ色チューブトップチュニック。
 今ではアンダーバストからおへそぐらいのあいだで、腹巻のようにたわんでいました。

 今、私の素肌を隠してくれている着衣は、両腕と肩口を覆い、乳首の少し下くらいまでの着丈な若草色のボレロと、両腿が交わる付け根ギリギリのローライズジーンズ。
 そして、さっきまでチュニックだったベージュ色の腹巻だけでした。

 後ろ手に拘束されたため両肩が広がり、ボレロの前合わせが開きっ放しなので、両おっぱいの膨らみが先っちょまで剥き出し。
 別に隠さなくてもいい下乳からおへそ上までがベージュの布で覆われ、その下の恥ずかしい無毛な下腹部は、マゾマンコのラビア寸前まで丸出し。
 後ろ手錠でそれらのどこも隠すことは出来ず、みなさまの前に立ち尽くしていました。

 お料理を並べ終えたらしい松井さまもギャラリーに加わられ、感嘆と嫌悪が入り混じったようなフクザツな瞳で、私のおっぱいと顔を交互に見つめてきます。
 こんなにはしたない女がこの世にいるのか、とでも言いたげに。
 その、信じられない、という驚きだけに彩られた好奇の視線が、一番感じてしまいます。

「すごい恰好。着衣がことごとく、その役目をなさずに扇情的なアピールのためだけに機能しているわ」」
 綾音さまがお独り言っぽくつぶやかれたお言葉を、聞き逃さなかったのは雅さま。

「だから、アヤは考え過ぎなんだって。うわっ!マゾっ子ナオちゃん、超エローい、ってイタズラして愉しんじゃうのが正解だよ」
 笑いながらおっしゃった雅さまが、右手に持っていた割り箸の先を、私の左おっぱいに伸ばしてきました。

「あんっ!」
 お箸の先でおっぱいの皮膚をチョンとつつかれました。
 それから箸先が開き、ムニュっと皮膚をつままれます。
「あんっ、いやんっ・・・」

 雅さまの箸先が、しばらくおっぱいのあちこちをつまんだりつついたり。
 さっきのお言葉通り、まさしく、イタズラを愉しむ、お医者さんごっこ中のイジメっ子みたいなお顔で、私のおっぱいをもてあそぶ雅さま。

 生身の手で触れられるのとは違う、少しの痛みとじれったさを伴うその無機質な感触は、人体実験の被験者になったような気分。
 子供の頃から、自分が囚われの身となり、物扱い、される妄想が大好物で、オナニーするときにわざわざパスタトングやアイストングでおっぱいを虐めていた私ですから、このいたぶりはジャストフィット。
 されるがまま縋るように雅さまを見つめながら、ふしだらなマゾゲージがグングンとヒートアップしていきます。

 左も右も一通り、お箸の蹂躙を受けた後、不意に左乳首がつままれました。
「あうっ!んふぅーん・・・」
 さっきから弄って欲しくて仕方ないのに焦らされつづけた乳首に箸先が触れた刹那、思わず悦びの声が大きく洩れていました。

 けっこう強い力で挟まれたままグイッと引っ張られます。
「あーーっ!だめですぅぅ、ぅぅぅ・・・」
 抑えようとしても喉の奥から、淫らなうめき声が洩れてしまいます。

「あれ?おっぱいのお肉はマシュマロ挟んだみたいに柔らかだったのに、ここだけずいぶん硬くてコリコリしてるんだ」
 雅さまの箸先が右乳首に移動し、感触を確かめるように挟んでは離し、挟んでは離し。
「んんぅ、んんぅ、んーーんぅぅ・・・」

「なんだかナンコツの唐揚げ齧ってるみたいな感触。グリグリ捏ね繰り回したくなっちゃう」
 お言葉通り、挟んだ乳首を引っ張りつつお箸がぐるぐる円を描きます。
 私の右おっぱいの皮膚が、お箸の動き通りにプルンプルン波打ちます。

「ああんっ、だめぇ、雅さまぁぁ、そんなぁーーっ・・・」
 自分でも驚くくらい大きな嬌声をあげてしまいました。
 雅さまの箸先がスッと私のからだから離れました。

「ねえ、ナオちゃん?ここは貸し切りだけれど、ワタシたちだけの個室っていうわけじゃないのよ?」
 ニッと笑った雅さまが階段のほうを指さされます。

「階段のところにドアがあるわけじゃないから、ここで大きな声出したら階下まで筒抜け」
「そんな状態で今みたいにナオちゃんが、いやらしく大声を出しつづけたら、下にいる一般のお客さんたちは、どう思うかしら?」

 おっしゃりながら再び私の左おっぱいにお箸の先を伸ばしてくる雅さま。
 私は唇を真一文字に結び、もう金輪際、喘ぎ声を出さないと心に決めます。

「男のお客さんとか敏感に反応して、興味津々で階段上がって見に来るかもしれないよね?トイレがあるから上がってくることは不自然じゃないし」
「まあ、ナオちゃんは見せたがりーらしいから、下の人にも視てほしいのなら、ワタシもこれ以上何も言わないけれどね」

 さっきよりもねちっこい乳首へのいたぶり。
 明らかに雅さまは私に、声をあげさせようとしているのがわかります。
 必死にがまん、がまんーっ。

 そのときまた、ベルがチーン。
「あっ!」
 弾かれたようにお声をあげる松井さま。

「いっけなーい。みなさん、まだまだお料理出てきますので、どんどん食べて飲んで、愉しんでくださーい」
 あわてて階段のほうに駆け寄る松井さま。
 雅さまのお箸も私から離れ、みなさまの視線もお料理の乗ったお部屋中央のテーブルへと散らばりました。

「そう言えば、直子は後ろ手錠されちゃってるから、料理も食べれないしお酒も飲めないんだ?」
 からかうようにイジワルくおっしゃるリンコさま。

「ううん、それは駄目よ。今日は楽しいパーティなんだから、ナオちゃんだって食べて飲んで、盛り上がらなくっちゃ」
 雅さまがキッパリとおっしゃってくださいました。
「安心して。ワタシにアーンしたら食べさせてあげる」
 ノリノリな雅さまがギュッとハグしてくださいます。

 雅さまのシャツブラウスに施された刺繍部分の硬い布地に、私の生おっぱいがムニュッと押し付けられました。
 ほのかさまのご反応が気になって、抱かれたまま目を向けると視線が合い、ほのかさまは、よかったね、というように、たおやかな微笑みを返してくださいました。

「雅が直子のお世話をしてくれるなら、臨時の飼い主として、これ使っていいわよ」
 ソファーから立ち上がりかけていたお姉さまが傍らのバッグをゴソゴソして、また何かを取り出されました。

「はい、どうぞ」
 イタズラっぽい目つきのお姉さまから、ワクワクなお顔の雅さまに手渡された一本のチェーン。

「おおっ、いいねー。いかにもペットって感じで」
 太めなスチール製で一メートルくらいの鎖状のリードを、いそいそと私の赤い首輪の正面リングに繋ぐ雅さま。

「さあナオちゃん、何でも好きなもの食べさせてあげるよ」
 赤いレザー製の持ち手をグイッと引っ張られ、雅さまの後ろをヨタヨタ着いて、お部屋中央のテーブルまで歩きます。

「はーい、今出来上がってきたのは、ムール貝の白ワイン蒸しでーす。どうぞお熱いうちにお召し上がりくださーい」
 松井さまのお声で、みなさまがテーブルに群がりました。
「それと、こちらはナンコツの唐揚げになりまーす。レモンはこちらにありますから、お好みでどうぞー」

「あれ?ナオちゃんの乳首じゃん。さっきのワタシらの会話、調理場まで聞こえちゃってたのかな?」
 雅さまのお道化た軽口に、みなさまアハハと大笑い。
 早速、雅さまのお箸によって、アツアツなナンコツ唐揚げが私の口に放り込まれました。

 あふあふあふ・・・
「あ、ごめん。熱かった?その格好じゃナオちゃん、飲み物も飲めないんだっけ」
 雅さまがご自分のワイングラスを私の唇にあてがってくださり、ゴクゴクっと口の中を冷ましました。

「ねえ、松井ちゃん?ストローかなんかない?」
「あ、はい。ただいま」

「ストローでお酒飲むと酔っぱらいやすいって言うよね?」
「あ、でもそれ根拠は無いって聞いたよ。水割りとかだと、下の濃いほうを先に吸っちゃうから、そんな気になる、っていう程度の」
「たまに、紙パックのお酒をチュウチュウしながら歩いているオジサンっているよね」
 みなさまお料理をパクパク堪能されながら、しばしの雑談タイム。

「直子はシャンパンが良かったのよね?はい」
 おやさしいほのかさまがよく冷えたシャンパンを新しいグラスに注いてくださり、ストローを挿して私の目の前へ。
 私も雅さまに、アーン、しつつ、ムール貝や唐揚げ、ローストビーフなどを美味しくいただきました。

 みなさまお酒もどんどん飲まれているようで、お話声も大きくなり、それにつれて行動も大胆になってきていました。

 私は、雅さまとほのかさまに挟まれる形で、お料理が置かれたテーブルの前に立っていたのですが、リンコさまミサさまコンビや里美さまがお料理を取りがてらこちらへいらっしゃっては、私のおっぱいにイタズラしていきました。
 雅さまのようにお箸でつまんでいったり、素手でムキュッと揉みしだかれたり。
 ちょっかい出したくて仕方ない、というご様子なイタズラっ子そのもので、なんだか可愛らしい。

「そう言えば松井ちゃん?ナオちゃんにして欲しいこと、何か思いついた?」
 空いたグラスやお皿をお片付けされていた松井さまに、お声をかける雅さま。

「あっ、はい?あ、えっと・・・」
 持たれていた銀盆をいったんテーブルに置き、考え込まれる松井さま。
 私の顔をじーっと見つめてから、一度ニッコリ微笑み、意を決したようにおっしゃいました。

「うーんと、強いて言えば、ひとりえっちしているところを、見せて欲しいかな、なんて・・・」

「うわー、だいたーん」
「そんなこと言ったら直子、本当にやっちゃうよ?」
「口を塞いでおかないと、お店中にいやらしい声が響いちゃって、下のお客さん、全員見に来ちゃうんじゃない?」
「公然ワイセツで営業停止になっちゃっても知らないよー」

 みなさま一斉にワイワイ、凄い盛り上がり方。
 私には、そちらのお声のほうが階下に聞こえちゃって、様子を見に来られないかと、気が気ではありませんでした。

「あ、いえ、言ってみただけで、やっぱりナシにしてください。営業停止はヤバイですぅ」
 お顔を真っ赤に染め、あわててあたふたされる松井さま。

「ううん。それはいずれやらせるつもりだったから、ぜんぜんノープロブレムよ」
 私の視界の右端で、みなさまとは少し離れて優雅にワイングラスを口にされていたお姉さまが、キッパリと言い放ちました。

「それが今日のパーティでの絵理奈ちゃんとしほりさんとのお約束だったし、もちろん、お店にご迷惑をかけないように準備もしてあるから」
 お姉さまのお言葉で一斉に沸き起こる拍手、さすがチーフ、と賞賛のお声。

「でもまだ時間早いし、それはデザートが出たときの最後のお愉しみにとっておきましょう。その前に何か軽い余興が欲しいと思わない?」
 一番お近くにいらした綾音さまに語りかけるお姉さま。

「そうねえ。このシチュエーションだと、四つん這いにして這い回させる牝犬プレイとか?」
 雅さまが持たれたリードを見つつ、冷酷にお応えされる綾音さま。

「女体盛りっていうのもやってみたいけれど、ここのお料理みんな美味しいから、直子の汗やおツユで無駄にしちゃうのはもったいないよね」
 リンコさまが笑いながらおっしゃいます。
「バレエ踊らせるには、テーブルやら椅子でちょっと手狭だし、裸マネキンもさっきやったし」
 ミサさままで、真剣にお考えになっているご様子。

 私はみなさまが何かご提案されるたびに、それをこの場でさせられている自分を想像してキュンキュン昂ぶっていました。
 一体何をさせられるのか?
 怯えつつ期待している、欲情したマゾドレイそのものな表情をしていたことでしょう。

「あたしには、何をやらせるかの前に、ずっと気にかかっていることがあるの」
 唐突に絵理奈さまが、スタスタと私に近づいてきました。

「そんないやらしい服着てきて、いとも簡単にバストもさらけ出しちゃって、みんなの前でマッパになるのは決まっているのに、いつまでも中途半端にマンコ隠しているのが気に入らないわ」
 吐き捨てるようにおっしゃった絵理奈さまの手が、私のローライズジーンズの前ボタンにかかりました。

「ほら、視て欲しいんでしょ?早く見せたくてグショグショに濡らしているんでしょ?マゾの淫乱マンコを」
 絵理奈さまのお声にかぶせるように、お姉さまの冷たいお声が聞こえました。
「直子?そういうときはどうするんだっけ?」
 絵理奈さまの手の動きが止まりました。

「あ、はい・・・絵理奈さま、どうか私のジーンズのボタンを外して、脱がせてください・・・」
「ぬ、脱がせて、私の、私のいやらしい、どうしようもないマゾマンコを、じっくりご覧になってください・・・」
 声が切れ切れになってしまうのは、興奮し過ぎて吐息がハアハアと交じってしまうからです。

「絵理奈ちゃん、まだ全部脱がさなくていいわよ。直子にはだらしないほうがお似合いだから。腿の辺りまでずり下げるだけでいいわ」
 お姉さまのお言葉にニヤニヤ笑いでお応えされた絵理奈さま。
 私のローライズジーンズの前ボタンを、手際よくあっさり外しました。

 ジッパーはありません。
 そのままベルト回りの生地をズルっと引き下げられました。

「うわ、内腿までベトベト。布地にたくさん糸引いちゃって、熱持っちゃって湯気まで見えそう」
 絵理奈さまの心底呆れたようなお言葉とともに、股間を空気が吹き抜けました。
 ドヤドヤっと私のまわりにみなさまが歩まってこられます。

「直子、みんなが見やすいように、脚開いて、少し後ろにのけぞって、自慢のマゾマンコを突き出しなさい」
 お姉さまのご容赦ないご命令。
「・・・はい」

「ほんとだ。見ただけで分かるほどグッショグショ」
「クリットが飛び出しちゃってるじゃない。本当に大きいよね」
「膣口までうっすら開いちゃって。そんなに感じていたんだ」
「オフィスで視慣れていたけど、こういう場だと、また違った趣があるよね」
「ほら、松井ちゃん。もっと近くで見ていいよ。これがマゾ女の淫乱性器。なんなら写メ撮っとく?」

 ずり下ろされたジーンズから覗く剥き出しの股間を、みなさまに突き出した体勢で見世物になっている私。
 浴びせられる好奇の視線と無遠慮なご感想。
 向けられるレンズと嘲笑。
 視られていることでより盛んになってしまう、粘膜からの分泌液。

「あなたって、本当に何を命令されても従順だし、辱められるほど感じちゃうのね?見事なヘンタイぶりだわ」
 絵理奈さまが真面目なお顔でしみじみとおっしゃいました。

「もしもあなたが異性愛者だったら、間違いなくセクハラ男どものアイドルになれたでしょうね。陰の仇名は、サキュバスか公衆肉便器だろうけれど」

 さりげなく右手の指で、腫れ上がった私の肉芽をサッと撫ぜた絵理奈さま。
「はうっ!・・・」
 大きな声が出そうになり、必死に口をつぐむ私。

「チーフがロープもお持ちだったら、自縛ショーなんてどうでしょう?こないだお客様からのリクエストでショールームでやったとき、けっこう盛り上がりましたよ。直子の自縛、手慣れていたし」
 里美さまが私の股間から視線を外しておっしゃいました。
 私に何の余興をやらせるか、の議題に戻ったようです。

「ああ、ロープなら、7、8メートル位の麻縄が一、二本入っているはずだけれど」
 お姉さまがソファーのほうに向かわれながらおっしゃいました。
「あ、でも言っとくけれど、このバッグはあたしのじゃなくて、直子の私物だからね。中身のほとんどは直子があたしと出会う前から持っていたエロ道具ばかりだから」

「うん。ロープもあるわ。直子のからだを人知れず長年虐めてきた、年季の入った麻縄ロープ」
 ソファーのところでバッグを覗いただけで、すぐにお答えになるお姉さま。
 私を取り囲む輪が解けたのに、どなたからもお許しがないのでまだマゾマンコ突き出しの姿勢を取っている私を、松井さまが不思議そうなお顔でじーっと見つめています。

「はいはーい。ワタシたち、ロープがあるなら、ぜひナオちゃんにやってもらいたいお仕置きがあるんだけれど」
 雅さまが、おっしゃりながら私のリードを上向きに引っ張ってくださったので、股間突き出し姿勢の解除を許されたと判断し、上体を起こしました。

「前にネットの動画で見たんだけど、これはけっこうツラいんじゃないかなー、なんて言っていたんだよね、ほのか?」
 リードの持ち手をほのかさまに渡される雅さま。

「あ、はい。わたしたちだと絶対無理と思うけれど、直子さんなら出来るかもしれないね、って雅さまと言っていました」
 お酒が入っても、お言葉遣いも居住まいも、はんなり優雅なほのかさま。
 そんなほのかさまの手に、私の首輪に繋がるリードが握られていると思うと、ゾクゾク疼いてしまいます。

「ここなら充分スペースもあるし、みんなでゆったり見物出来ると思うな。自縛と違ってナオちゃんも飲み食い出来るし、視てるだけで飽きてきたら、みんなで自由にちょっかいも出せるし」
 雅さまってば、すっかり乗り気。

 ロープを使うお仕置き。
 自縛ではなくて、たぶん他の人の手による緊縛でもない。
 私がひとりでやらされ、みなさまがゆっくり見物も手出しも出来る・・・
 とあるひとつのプレイが、頭の中に浮かんでいました。

「へー。たまほのが興味持ったお仕置きなんだ?それはあたしもぜひ見てみたい。どんなの?」
 
 お姉さまも乗り気なので、私がやらされるのは、どうやらそれに決定のようでした。


三人のミストレス 08


2017年5月28日

三人のミストレス 06

 布地を幅5センチ位づつ、丁寧に折り返していきます。
 
 一度めくり上げたら自然には元に戻らないパツパツなチュニックの裾。
 そして、一度めくり上げたらパーティのあいだ中、元に戻すことは許されないであろうと覚悟していました。
 なので、少しでも見映えを良くしておきたくて、だらしなくズリ上げるよりキレイに折り返すことにしたのです。

「へー。あたしのときより、ずいぶんと大胆なローライズになったのね」
 おへその少し下くらいまで布地を折り返して両手を離しました。
 露になった私の生々しい下腹部に、絵理奈さまの刺すような視線を感じます。

「外性器の寸前までベルトラインを下げちゃったんだ。前貼りもしていないのね」
 その部分を表す名詞に堅苦しいお言葉をわざとらしく使われる絵理奈さま。
 呆れたような薄い笑みを浮かべたお顔とも相俟って、自分がとても非常識な格好をしていると思い知らされ、みじめな気分が増してしまいます。

「裾で隠れているとは言え、そんなジーンズ穿いて夕方の人混み歩いてきて、恥ずかしくなかったの?」
 絵理奈さまが、咎めるような口調でおっしゃいました。

「そ、それは、恥ずかしかった、です・・・」
 お答えしながら粘膜が蠢くのがわかりました。
 絵理奈さまのお言葉の侮蔑的なニュアンスに、あられもなく反応してしまう私のどうしようもないマゾ性。

「ふーん。やっぱり恥ずかしいんだ?そのわりには、今あなた、自分で裾を捲り上げたのよね?」
 薄く笑みを浮かべつつ、窓辺のほうへお顔を向けた絵理奈さま。
「ねえ、ちょっと。そこのメイドさん?」
 唐突にマツイさまにお声をかけられました。

「あ、はい?」
 飲み物のテーブル脇でこちらと、イベントショーでの私の痴態を延々と映し出している壁のディスプレイとを交互に気にされていたマツイさまは、ビクッと小さく肩を震わせてから、こちらを向きました。

 無言の笑顔で二度三度手招きされた絵理奈さまに従い、こちらに近づいてこられるマツイさま。
 そのあいだに絵理奈さまは私の正面から離れ、私が座っていた椅子を代わりに私の手前に置き、その脇にお立ちになりました。

 不安そうなお顔のマツイさまに艶然と微笑まれ、傍らの椅子を勧められる絵理奈さま。
「ちょっとここに座って」
「えっ?あ、はい・・・」
 勧められるまま戸惑いがちに腰を下ろされるマツイさま。

 私はと言えば、松井さまの髪を飾るメイドカチューシャを真上から見下ろす形。
 つまり、腰掛けたマツイさまのお顔の真正面に、私の下腹部があることになります。
 それも息がかかりそうなほどの至近距離。
 両膝が崩れ落ちそうなほどの羞恥が全身を駆け巡りました。

 正直言って、それまでオフィスで連日のように辱めを受けていましたから、会社のみなさまの前ではしたない姿になることに、段々と慣れっこになっていた感じもありました。
 でも今、目の前にいらっしゃるかたは、ついさっきまで一面識もなかった、このお店の可憐な従業員さま。
 それも、女子大生さんとご紹介されましたから、自分と同じくらいか歳下のかた。

 そんなおかたの目前に、スジの割れ始めさえ見えちゃいそうな、無毛剥き出しの恥丘をご命令されるままに突き出している、みじめ過ぎる私・・・
 絵理奈さまからのお言葉責めとも相俟って、単純な羞恥や屈辱、背徳とも言い難い、ある種、新鮮な被虐感にゾクゾクしていました。

 マツイさまは、目の遣り場にお困りのご様子で、うつむきがちながらもチラチラと、目前の赤裸々な素肌へと上目遣いの視線を送ってきます。
 その羞じらいを含んだ視線が却ってもの凄く気恥ずかしく、かろうじてジーンズ地で隠された部分の粘膜がキュンキュン熱を帯び、ヌルヌルの汗を分泌しているのがわかりました。

「どう思う?こんなジーンズ」
 絵理奈さまがマツイさまに尋ねます。
「どう、って言われましても・・・すごい、ですね」
 当惑されたお声のマツイさま。

「すごい、ってどんなふうに?」
「えーと、なんて言うか・・・セクシー、って言うか、えっち過ぎ、って言うか・・・とんでもないですね」
 ピッタリなお言葉がみつからない、という感じで考え込まれたマツイさまですが、もはやうつむきがちではなく、視線をしっかり私の下腹部に向けて、眩しそうに見つめてくるようになっていました。

「穿いてみたい?」
 さっきのお言葉通り、とんでもない、というふうに首を左右に振るマツイさま。
「まさか。こんなすごいの、どこで穿くんですか?下着を穿いたとしたって、下着が丸出しじゃないですか」

 冗談めかすように笑いながら否定されたマツイさま。
 ただ、笑ったことで何かがふっ切れたのか、さっきまでの羞じらいが嘘のように消え、まるで微生物の観察でもするような興味津々の瞳で、まじまじと私の無毛な丘を凝視し始めました。

「それにしてもキレイなパイパン。ツルッツルなんですねぇ・・・」
 思わず零れてしまったような、マツイさまの独り言っぽいつぶやき。
「そうよね。毛穴のプツプツが全然見えないもの。これで生まれつきじゃなくて、脱毛エステなんだって」
 絵理奈さままで中腰になって、私の下腹部を容赦なく凝視してきます。

「あたしもイベントのモデルするためにずっと剃っていたんだけど、ハイジニーナって、してみるとけっこう気持ちいいのよね」
 絵理奈さまがおからだを起こしながらおっしゃいました。

「手術の後、担当のナースさんが笑いながら教えてくれたの、下半身見てびっくりしちゃったって。でも手間がひとつ省けてラクだったって」
「理由を話したら納得していたけれどね。あれからあたしもハイジニーナ派になって、今エンヴィに通っているのよ」

 エンヴィというのは、シーナさまのご紹介で私に脱毛施術してくださったエステサロンです。
 ということは、絵理奈さまも今、パイパン状態なのかな?
 施術のときに私がしたような格好にされている絵理奈さまを想像すると、キュンと疼いてしまいます。

 同時に、私を取り囲む人たちの中から、今の絵理奈さまのパートナー、綾音さまのお顔を探していました。
 綾音さまは、お酒のせいなのか頬をほんのりピンクに染めたとても艶っぽいお顔で、嬉しそうに私たちのほうを眺めていらっしゃいました。

「あたしみたいな仕事だとムダ毛の処理は必須。これから秋口まで水着の仕事も多くなるしね」
 絵理奈さまがマツイさまにご説明されるのを、他のかたたちも興味深そうに聞き入っておられます。
「ハイジニーナだと前貼りも貼りやすいから、夏のあいだはヘアーレスで通すつもりなんだ」

 そこで一呼吸置いた絵理奈さま。
 私を取り囲むように、立っていたり座っていたり、思い思いの格好でくつろいでいらっしゃるみなさまをグルっと見渡しました。
 マツイさまが私の目の前に来られてから、リンコさまたちの傍に退かれていたしほりさまに向けて手招きされ、しほりさまが私の近くに戻られました。

 それをご確認されてから、絵理奈さまがマツイさまに向けて、お話をつづけます。
「でもこの人はね、本業がモデルでもグラビアアイドルでも何でもなくて、普段は近くの高層ビルで働いている、アパレル会社のOLなの」

「なのにこんなにツルツルで、しかも、二度とヘアが生えてこない永久脱毛処理までしちゃったらしいのよ。なぜだと思う?」
 マツイさまに尋ねられる絵理奈さま。

「なぜって、わたしに聞かれましても・・・」
 私の下腹部を凝視しつつ、考え込まれるマツイさま。

「しほり?あなたが言っていた例のアレ、やってみせてよ」
 絵理奈さまが傍らのしほりさまにおっしゃり、しほりさまがニッコリうなずかれました。
「おーけー。わたしも久しぶりだから、なんかキンチョーしちゃう」
 とてもそうは思えないルンルンなお顔で、私の目の前に立たれたしほりさま。

「ナオコ?」
「はい?」
 真正面からじっと睨むように私を見据えたしほりさまのお顔が、クイッと顎を前に突き出すように動きました。

 その瞬間、心臓がビクッと跳ねて、ああやっぱり、と観念する私。
「あっ、はい・・・」
 それからおずおずと両手を上に挙げ始めます。

 決して逆らうことは出来ない、みなさまから私への決め事。
 両手のひらが後頭部で重なったとき、腕の動きにつられて折りたたんだチュニック裾もせり上がり、おへそまで剥き出しになりました。
 更にボレロの前合わせも大きく左右に割れ、薄布一枚越しのおっぱい先端までがみなさまの前で露になっていました。

「へー。本当に言っていた通りするのね。よく躾けられていること」
 からかうような絵理奈さまのお言葉。
 何が起こったのかわからない、というお顔で、瞳をまんまるにして私を見つめるマツイさま。

「今わたし、心の底からゾクゾクしちゃった。これすると、なんて言うか征服感?みたいな、得も言われぬサディスティックな感情が湧き上がってくるのよねー」
 しほりさまがとても愉しげにおっしゃり、私の全身を舐めるように見つめてきます。

「何て呼ぶのでしたっけ?そのポーズ」
 絵理奈さまが私に尋ねてきました。
「あ、はい。あの、えっと、マ、マゾの服従、ポーズ、です・・・」

 今日初めて会ったマツイさまの前で、自分の恥ずかしい性癖である、マゾ、という自己紹介の言葉を自ら口にしなくてはいけない、ほろ苦くも甘酸っぱい屈辱感。
 マツイさまのギョッとされたようなお顔が被虐を更に煽ります。

「ああ、そうだったわね。それであなたは、ここにいる人全員から、今の指示をされたらそのポーズを取ることになっているんですってね?」
 嘲笑混じりの冷やかすような絵理奈さまの口調。
「はい・・・」
 今すぐにでもここから逃げ出したいと思う一方で、これから更に何をされちゃうのか、淫らな期待にキュンキュン咽び泣く私のマゾマンコ。

「そういうことなのよ」
 今度はマツイさまに語りかける絵理奈さま。

「この人はね、外で裸になったり、みんなが視ている前で恥ずかしい格好にされることが大好きな、根っからのヘンタイマゾ女なんだって」
「それが会社の人みんなにバレちゃったから、毎日このジーンズよりももっといやらしい格好にさせられて、嬉しそうにオフィスで勤務しているそうよ」
「バスト丸出しはあたりまえ、その姿で来客にお茶を出したりもしているんですって」

 呆気にとられたように私と絵理奈さまをキョロキョロ交互に見遣るマツイさま。
 確かに絵理奈さまのおっしゃる通りなのですが、こうしてマツイさまのオーバーなリアクションを見せられると、オフィスでの自分がしていることのアブノーマルさを、あらためて思い知らされます。

「それは、えっと、イジメ、とかではなくって、ご本人もご納得の上で、されているのですか?」
 絵理奈さまと私、どちらに聞けば、という感じで首を左右に振りながら尋ねられるマツイさま。

「もちろんイジメとかパワハラとか、そういう陰湿なものじゃないわ。みんなちゃんとしたオトナの社会人ですもの、そんな子供じみた真似はしないわよ」
 可笑しそうに微笑んだ絵理奈さまが、私の股間を指さしてつづけました。
「この人がそういう性癖で、それで嬉しがるのがわかるから、させてあげてるのよ。ほら、ここを見れば一目瞭然でしょ?」

 私の両腿付け根付近を僅かに覆っているジーンズ生地は、一目見てそれとわかるほどグッショリ濡れて、色落ち気味なインディゴブルーの布色が黒色に近い濃紺色へと変色していました。

「ね?こんなジーンズ穿かされているってだけで、こんなに濡らしちゃっているのよ?メイドさんが目の前に座ってからは、お漏らししたみたいに濡れシミがどんどん広がっていたわ」
「見られたがりのマゾだから、自慢の女性器を隅から隅までみんなに見せびらかせたくて、ヘアも全部取っちゃったんでしょ?おかげで愛液垂らしまくり」

 不意に背後からリンコさまがお口を挟んできました。
「本当、直子って濡れやすいよね。イベントのときのアイテムも、ボトムは全部、クロッチのところがベチョベチョに濡れそぼっていたもん」
 ミサさまと並んで椅子に腰掛けられたリンコさまがおっしゃった後、持っていたグラスのワインをクイッと飲み干されました。

「ウォーキングしながら濡らしちゃうなんて信じられない。歩きながら感じちゃっているわけでしょ?あたしには考えられない。そんなんじゃプロのモデルには到底なれないわね」
 絵理奈さまの蔑んだお声。

「うちらはそれを知っていたから、ショーのときに下着も前貼りもさせずに、ずっとノーパンでやらせたんだよ。前貼りに濡れジミが目立っちゃうと途端にエレガントさがなくなっちゃうから」
 リンコさまの嗜虐的な笑顔の横で、ウンウンうなずかれるミサさま。

「そういうわけで、今日はあたしと、こっちのしほりのために、こちらの社長さんが、じっくりこの人のニンフォマニアっぷりを愉しむ場を作ってくださったの。今日はそういうパーティなのよ」
 マツイさまに向けてニッコリ微笑まれた絵理奈さま。

「さっきも言ったみたいに、この森下直子っていう人は、その場にいるすべての人の命令に絶対服従することが一番の悦びだって躾けられている、みんなのおもちゃ、マゾペットなんだって」
「もちろん今夜はその中に、つまり命令する側の中にメイドさん、あなたも入っているの。あなた、そいうのって興味ない?」

「へっ?・・・いえ、あの、えっと・・・」
 突然、予想もされていなかったでしょうご提案を振られ、一瞬固まったマツイさま。
 でもすぐにお顔をお上げになり、高揚されたご様子でお言葉をつづけられました。

「でも面白そうですね、わたしも実は、こんなコスプレとかしちゃうくらい萌えアニメとか大好きで、学校でもその手のサークルに入っているんです」
「まさかそんな人と三次元で会えるなんて・・・露出癖のあるマゾペットなんて、えっちな妄想が膨らんじゃって、すっごく興味あります」
 つぶらな瞳が好奇心に爛々と光り始めるマツイさま。

「えっ、本当?うちらと話が合いそうじゃん」
 コスプレ、というお言葉にすかさず食いついた、我が社のコスプレ大好きユニット、リンコさまとミサさま。

「コスプレの話は後で好きなだけしてもらうとして、あなた、えーっと、ごめんなさい、お名前、何だっけ?」
「あ、はい、松井です。松井宏美」
「あーそうだった。松井ちゃんね。松井ちゃんは、このマゾ女に何させたい?」
「何させたい、ですか?うーん。急に言われても・・・」

 そのとき、階段のほうからチーンとベルのような音が鳴りました。
「あ、新しいお料理が上がってきたみたいです。ちょっとごめんなさい。持ってきますから」
 あわてて立ち上がろうとされた松井さまのお顔が、私の下腹部スレスレまで接近しました。

「あっ!」
 という松井さまのお声とともに吐息が恥丘にかかり、
「あぁんっ!」
 と感じてしまう、ふしだらな私。
 名残惜しそうに、お料理用エレベーターのほうへ駆け寄る松井さまのお背中。

「はいはーい。松井ちゃんがリタイアだったら、ワタシがリクエストしていいかな?」
 松井さまがお席を外されたことで少し緩んだ空気の中、雅さまの明るいお声が響きました。

「ほら、ワタシあんまりオフィスにいないからさ、ナオちゃんのえっちな姿、ぜんぜん拝めてなかったんだよね。ほのかから話聞くだけでさ」
 ほのかさまと連れ立ってフラフラと近づいてこられる雅さま。
 お顔がほんのり火照って、けっこうご酩酊のご様子。

「みんなの前で裸でバレエ踊ったとか、ひとりえっちさせたとか、ランチタイムのカフェでブラとパンツ脱がさせた、とかさ。ワタシ、そういうの聞いてウズウズ羨ましくて仕方なかったんだ」
 ほのかさまったら、そんなことまで雅さまにご報告されていたんだ・・・

 マスキュリンなハンサムレディの雅さまと清楚を絵に描いたようなほのかさまが、どんなお顔で私の噂話をしていたのだろう、と想像すると、なぜだかとても淫靡な気持ちになってきます。

「アユミの頃以来、そんな遊びともずっとご無沙汰だったからさあ、ワタシもほのかと一緒にいろいろ考えてきたんだ、ナオちゃんの虐め方」
 もはや仲睦まじさを隠そうともせず、嬉しそうにおっしゃる雅さま。
「ナオちゃんは、アユミよりも羞じらいが強そうだからさ、虐め甲斐がありそうだよね」

 普段と変わらない明るくフレンドリーな雅さまの口調なのですが、視線やお言葉の端々に、仕留めた獲物をわざと指先でもてあそぶような嗜虐的なニュアンスが感じ取れました。
 ああん、雅さままで・・・

 マゾオーラ全開な直子を目前にすると、誰もが無性にエス心を駆り立てられて、もっともっと虐めたくなっちゃうみたいなのよね・・・
 以前、シーナさまがおっしゃっていたお言葉を思い出していました。

「間宮部長がそうおっしゃるのでしたら、メイドさんが何か思いつくまで、お任せしますわ」
 絵理奈さまが嬉しそうにおっしゃり、一歩退かれました。
 代わりに私の目前に立たれた雅さま。
 アルコールのせいなのでしょう、普段よりトロンとした艶っぽいまなざしで、私の全身を眺めてきます。

「最初から全部脱がせちゃっても面白くないから、ジワジワといきたいな。両手縛って抵抗出来ないようにして。何か紐かなんか、ないかな?」
 雅さまの問い掛けに逸早くお応えされたのは、お姉さまでした。

「そうくると思って、ちゃんと用意しておいたわよ」
 ソファーに置いたバッグの中からスチール製の手錠を取り出されるお姉さま。
「あれって、来るときに直子が提げていたバッグじゃない?」
 リンコさまのお声に、あっ、と驚く私。

「へー。ナオコって、自分を虐める道具をいつも肌身離さず持ち歩いているんだ。ずいぶんと意識高い系のマゾなのね」
 しほりさまのからかうようなお声に、みなさまがアハハと笑います。
 松井さままで、お料理をテーブルに並べながら、そのお背中が小刻みに震えていました。

「さんきゅ」
 お姉さまから手錠を渡された雅さまが、私の背後に回りました。

 後頭部で組んでいた両手に雅さまの手が触れ、そのまま背中側に下ろされて後ろ手にされます。
 手首にひんやりとした金属の感触。
 カチャン、カチャン。
 剥き出しのお尻のすぐ上あたりで、後ろ手のまま施錠されました。

「ふふーん。いい感じ。これでナオちゃんは、ワタシに何をされても抵抗出来ないのよ?」
 私の正面に戻られた雅さまのイジワルそうな薄い微笑み。
 おもむろに右手が私の胸元に伸びてきます。

「ああん、み、雅さま?・・・」
 チューブトップの胸元にかかった雅さまの右手が、そのまま無造作にズルッと布地を引き下げました。


三人のミストレス 07