2024年6月1日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 06

「じゃあ次は上半身ね。スカーフを解いてセーラーのファスナーも下げて自分の両手で前を開いて、このかたたちに直子のやらしいおっぱいも視ていただきなさい」

 お姉さまも彼女たちの側に回られ、三対一で対峙する廃校の校庭。
 明る過ぎる陽射しの中で露出魔の人みたく自らセーラー服をはだけて広げて、極小水着のおっぱいを晒せというご命令。

「スカーフ解いたら襟から抜かないで垂らしっ放しにしておきなさい。そういうだらしない格好のほうが直子にはお似合いだから」

 スカーフを解こうと結び目に手をかけた私をからかうみたいに、お姉さまから追加の晒し者指令。
 ビクッとして止まっていた指を再び動かしてハラリと解けたスカーフ。
 解いたスカーフはそのままに、ご命令された手順通りにセーラー服のファスナーを下げてからおずおずと左右に開きました。

「うわっ、エロっ、すごっ…」

 開き切った途端にお声を上げられ絶句されたのはメガネの彼女さま。

「…あ、ブラも一応着けてたんだ…」

 レンズはこちらに向けたまま驚きのご表情でお独り言のようにつぶやかれたのはポニーテイルの彼女さま。

「えっ?それってどういう意味?」

 小さなお声もお聞き逃されないお姉さまのお問いかけに、ポニーテイルの彼女さまが慌て気味にお応えされます。

「えっ、あ、いえ、ただこっちの人、服着ているときも布越しに乳首の位置が丸わかりだったから、ノーブラなのかな、と思ってたっていうだけで…」

 なぜだかご恐縮気味なポニーテイルの彼女さまに、にっこりと笑顔を返されるお姉さま。

「ああ、そういうことね。こんなインナーじゃ着けていてもいなくても大して変わらないって言うか、むしろ着けているほうが却ってそこに注目して欲しいみたいでいやらしいと思わない?」
「あなたが服越しでも乳首の位置がわかったっていうのは、この子の乳首がずっといやらしく尖りっ放しっていうことだから、それこそ直子がこの状況に興奮しっ放しっていう何よりの証拠よね」

 お姉さまのご説明にうんうん頷かれるおふたり。

「それじゃおふたりに、直子のやらしく尖らせた勃起乳首をさらけ出して直に視ていただきなさい。その紐ビキニをちょっと横にズラせばすぐに飛び出すでしょ。セーラーは肩脱ぎにして閉じないようにするのよ」

「えっ?あ、は、はい…」

 お姉さまの畳み込むようにご容赦無いご命令に私の膣奥がヒクヒクっと潤みます。
 まずセーラーの襟ぐりから両袖までの布地を背中側にはだけ、両肩を剥き出しにしました。
 これでもうセーラー服は二度と閉じてはくださいません。

 それから小さくて薄い涙型の布片を突き破るように尖らせている自分から視て右胸先っちょの突起に目を遣ってから前を向きます。
 眼前には好奇につぶらな瞳を輝かせたおふたりの視線とカメラのレンズ。
 この数日間、お外で乳首を晒すことなど日常茶飯事だったのに、やっぱり見知らぬ第三者さまからの視線があると恥ずかしさの質が格段に違います。

 乳暈までをギリギリ隠した布地から上へと伸びる細い肩紐と素肌のあいだに人差し指を滑らせ、肩紐をクイッと外側に引っ張ります。
 乳首に布地が擦れる感触がして、それこそポロリという擬音が聞こえそうなほどに勢い良く右乳首が飛び出しました。

 吸い寄せられるように視線が集まるのがわかります。
 視られたことでますます血流が集まり、ますます硬く大きく背伸びしてしまう私の右乳首。
 手持ち無沙汰となった両腕を後ろ手に回そうか、と思ったとき、お姉さまからまたもや追い打ちのご命令。

「何をもったいぶっているの?さっさと左の乳首も出して両方しっかり視ていただきなさい。お客様を待たせるんじゃないのっ」

「は、はい…ごめんなさい…」

 左の肩紐も同様にズラすと左の乳首も勢い良く飛び出し、同様にますます尖ってしまいます。
 両乳首をみなさまにさらけ出してから、両腕を後ろ手に組みました。
 隠せないように手錠を掛けられているイメージが頭の中に広がっていました。

「見てよこのえっちな勃起乳首、あなたたちに視られてまたひとまわり大きく硬く尖っちゃったみたい。視てもらえるのがよっぽど嬉しいのね」

 お姉さまがからかうようにおっしゃいます。
 スカート捲り上げっ放しで無毛な恥丘を晒し、セーラー服はだけっ放しで両乳首までお外の空気に触れさせている恥ずかし過ぎる私の姿を、顔から足元まで何度も舐めるようにご覧になっていたメガネの彼女さまが、横に立たれたお姉さまのほうへ、なぜだか不思議そうなお顔を向けられました。

「さっきから気になっていたんですけど、この人、直子さん?この人って満遍なく日焼けしてるんだけど、白い日焼け跡がどこにも無いんですよね。乳首の裾野まで綺麗に焼けてるし、下半身も……普通に日焼けしたら、水着跡とかが胸周りや腰周りに残ると思うんですけど…」

 メガネの彼女さまがお言葉を選ぶように慎重に考え考えご自分のご意見をお姉さまに伝えられました。
 それを聞かれていたお姉さまのお顔がなんとも嬉しそうにほころばれます。

「あなた、いいところに気がついたわね。その理由はね、別荘に着いてからここ数日間、直子は毎日ほとんどを全裸で過ごしているからなのよ。朝も昼も夜も、インドアでもアウトドアでも」
「全裸で早朝と夕方に近くの広場に犬とお散歩に行ったり、庭に全裸で目隠し放置されて色んな人からイタズラされたり、昨日の夜なんか庭でのバーベキューディナーでお尻に花火突っ込まれていたわ」
「あ、でも言っておくけどここらへん一帯は、この小学校跡地も含めて全部、別荘の所有者さんの私有地なのよ。だから直子も心置きなく全裸生活を愉しめてるってわけ」

「そんな感じで真っ裸の全身に毎日太陽光を浴びちゃっているから、直子のからだも満遍なく日焼けして、からだで唯一白い素肌が残っているのはいつもしているあの首輪裏の首周りだけ」
「だから今、首輪外すとそこだけまっ白な日焼け跡が鮮やかに残っているの。まるで天然の首輪でもしているみたいに」
「ここでならまあいいけれど、東京に戻って日常の社会生活に復帰したとき、どうするつもりなのかしらね」

 まるで他人事のようにご愉快そうに笑われるお姉さま。
 私の社会生活はお姉さまの会社でのお仕事なのですけれど。
 日焼けが引くまで人前に出るときはずっとチョーカーを着けて誤魔化すしか手は無いとは思いますが。

 お姉さまのお話にご興味深げにお耳を傾けられるおふたり。
 そのあいだ中もずっとポニーテイルの彼女さまが向けられるレンズが私の恥ずかしい出で立ちを撮りつづけていらっしゃいます。

「そうそう、昨日はね、この先にある有名なショッピングモールに別荘の管理人の人とかと一緒に数人で直子を連れ出したの」

 興が乗られたのか、愉しそうにお話をつづけられるお姉さま。

「さすがに街中で全裸ってわけにはいかないから薄物だけ着せてね。それでフードコートとか駐車場とか人がいっぱい集まっている場所でいろいろ恥ずかしい命令をしたの。お尻出せ、とか、おっぱい見せろ、とかね」
「この子って人目が多いほど興奮して乱れる性質だから面白かったわよ。フードコートの野外テーブルで下半身丸出しにさせたり、人がバンバン行き交っている通路なのにミニスカートのノーパンで穴の空いたポケットに突っ込んだ指でアソコを直にまさぐらせたり」
「人目があるのに性欲がどうにも抑えきれない、っていう直子の葛藤の表情がゾクゾクくるのよ。今日もここにあなたたちが居て視てくださって、とても感謝しているの。そうよね?直子?」

 唐突に振られて一瞬戸惑いましたが、お姉さまのお話で昨日の自分の行ないをあらためて客観視したら、今更ながらその破廉恥さにマゾ度が急激に上がっている今の私からは、自虐的な台詞がスラスラと口から出てしまいます。

「あ、はい。わ、私のはしたなくふしだらで、は、恥ずかしい裸を視てくださって、本当にありがとうございます…」

 言っているそばから、極狭ショーツの股のところに溜まってどうにか持ち堪えていた恥ずかしいおツユが遂に決壊し、左右の内腿を一筋二筋ツツツーっと滑り落ちていきました。
 滑り落ちる雫を目ざとく見つめられるおふたりの視線。

 驚かれたようなお顔から呆れられたような侮蔑気味のお顔に変わっていかれるのが、とくにメガネの彼女さまのご表情から読み取れます。
 この女になら何をしてもいいのかも、という空気がこの場に漂い始めているように感じています。

「へー、直子さんて本当にとんでもない変態さんなんですね。確かに直子さんのおっぱいって、下のほうがまあるくぼてっと重そうで、それなのに乳首は上向きで大きくて、全体がマシュマロみたいにやわらかそうで、思わず触りたくなっちゃいますもんね」

 すっかり積極的になられたメガネの彼女さまが、そうおっしゃってからニッと薄い笑顔をその童顔に浮かべられ、私とお姉さまを交互に見ています。
 その嗜虐を秘めた冷たい笑顔は完全にSなお顔で、Sの素質がお有りになるらしいメガネの彼女さまから私は完全に見下されたようでした。

「触ってみる?」

「いいんですか?」

 事も無げにおっしゃるお姉さまと嬉しそうなメガネの彼女さま。

「いいんですかも何も、あなたが触りたいって思うなら直子に拒む権利なんて一切無いのよ。あたしと一緒のときの直子は他に誰が何人居ても、その場で最下層の慰み者レズ便器にならなければいけない、そういうSMな間柄なんだから」
「そう言えば昨日も途中で寄った古本屋さんでご高齢の店主さんと連れのご婦人に生おっぱいをしつこく揉まれていたわよね。あれも気持ち良かったでしょう、直子?」

「あ、はい…」

「だったらこのかたたちにもお願いしなさい。直子がそのえっちなおっぱいをどうされたいのか」

「は、はい、どうか私のふしだらなおっぱいを強く乱暴に揉みしだいてもてあそんでください。乳首も捻ったり引っぱったり潰したり、ご自由に痛くしてください。私は痛いほど気持ち良くなるヘンタイですから」

 ずいぶん年下の方々から虐められると思うと、どうしようもなくからだが疼き、自分の素直な願望がすんなり口から出ていました。

「だってさ。そういうことだからご自由にどうぞ」
「あ、それから直子に、さん、なんていう敬称は一切不用だからね。年下だからって遠慮しないで呼び捨てにして。そのほうが直子も悦ぶし、さっきもいったようにこの場で直子は最下層のマゾドレイなのだから」

「そういうことなら触らせてもらおーっと」

 メガネの彼女さまが後ろ手妄想手錠な私の前に進み出て、私の左おっぱいめがけて右手を伸ばされます。
 私の顔を見てスッと細くなったまなざし、間髪を置かずその右手五本の指が私の左おっぱい肉全体にむんずとめりこみます。

「はぅんっ!」

 その強烈な刺激に思わず淫声をあげてしまう私。
 メガネの彼女さまの右手はそのまま乱暴に結んで開いてをくりかえされています。

「ちょっとヤバいって、この感触。やわらかくって超気持ちイイ。ねえ、直子ってバスト何カップ?」

 お姉さまからのお言いつけを即座に守られて呼び捨てになられるメガネの彼女さま。
 年下の高一女子さまから呼び捨てにされ、ゾクリともう一段性感が上がってしまう私。

「あーっ、あんっ、し、Cの、な、70です、んぅーぅっ!」

 左おっぱいを執拗に揉みしだかれながら息も絶え絶えにお答えします。
 カップもアンダーも低めに言ってしまったので、お姉さまが瞬間ギロリと私を睨みました。

「ほら、あなたも遠慮してないで触ってみない?」

 取り憑かれたように私の痴態を撮影されているポニーテイルの彼女さまにお姉さまがおやさしくお声をかけられます。
 一方で今の状況に夢中になられているメガネの彼女さまは、うわっ、凄く硬くて熱くなってる、とかおっしゃりながら、私の左乳首を引っ張ったり捻ったり。
 その不器用でご遠慮の無い荒々しい愛撫が私には新鮮で、グングン快感がせり上がって来ています。

「あ、いえ、わたしは…」

 ポニーテイルの彼女さまがお顔を真っ赤にされて少し後退られます。
 それでもレンズは私に向けてしっかり撮影は続行されて。

「ちぃちゃんも触らせてもらいなよ。すっごくやわらかくて、でも乳首だけはすっごく硬くて熱くてヘンな感じだから」
「それに近くで見るこの人の悶える顔と声がすっごくやらしくてえっちで面白いよ」

 ポニーテイルの彼女さまは、ちぃちゃん、て呼ばれているみたい。
 メガネの彼女さまからの援護射撃で後退られたぶんだけお戻りになり、カメラを構えられたまま今度はジリジリと私のほうへと近づいてこられるポニーテイルの彼女さま。

「こんな機会ってそうは無いから、演劇部なら何事も経験してみなきゃ」

 お姉さまの励ますようなお言葉が決定打となり、ポニーテイルの彼女さまが左手をおずおずと私の右おっぱいに伸ばされてきます。
 カメラも向けたままなので近づかれたぶん、私のおっぱいがドアップで録画されていることでしょう。

 ポニーテイルの彼女さまの左手が私のおっぱいに触るか触らないかのところでピタリと止まり、そのまま私の顔を思い詰めたようなお顔で見つめてきます。
 メガネの彼女さまが奔放に捻り潰される私の左乳首への甘美な痛みに顔を歪めながら、ポニーテイルの彼女さまを見つめ返します。

「あの、本当にこういうこと、好きでしているんですか?脅されてるとか何か弱味を握られて仕方なくとかではなくて…」

 小さなお声ですがご真剣なお顔できっぱりと尋ねられます。
 ポニーテイルの彼女さま、とても真面目でお優しく正義感の強いご性格のかたなのでしょう。
 今、眼の前でくり広げられている非常識な痴態が未だに信じられなくて、どうしても確かめずにいられなかったのでしょう。

「はい、全部私がして欲しいことなんです。それをお姉さまに頼んでしていただいているんです。だからどうぞご遠慮なさらずに直子をいろいろ辱めてください」

 私も真摯に正直にお答えしたのですが、ポニーテイルの彼女さまが生真面目過ぎるぶん、私の異常さ変態さがより鮮明に浮き彫りとなり、却って私の被虐感も増してしまいます。
 ポニーテイルの彼女さまは私のご返答に一応ご納得されたらしく、寸前で止められていた左手を私の右おっぱいに密着させてくださいました。

「わ、本当にやわらかい…」

 右手のカメラのレンズをご自身の左手下の私の右おっぱいに向け、思わず感嘆のお声をあげられたポニーテイルの彼女さま。

「でしょでしょ。揉んでると手のひらが溶け込んじゃいそうだよね」

 メガネの彼女さまのご感想に促されるように、ポニーテイルの彼女さまの左手がぎこちなく動き始めます。
 左おっぱいへの乳首をも含む乱暴な蹂躙と、右おっぱいへの遠慮がちにやわらかな愛撫。
 ふたつの異なった快感がおっぱいから全身へと駆け巡り、膣奥の粘膜にキュンキュン蓄積されていくのがわかります。

「…んんっ、んぅぅーっ、あんっ、あぁんっ、ぬぅぅーっ…」

 我慢しようとしているのにどうしようもなく漏れ出してしまう私の淫ら声。
 メガネの彼女さまが相変わらずお手を激しく動かしながら、冷たい瞳で私の顔を見つめています。

「だいぶ暖まってきたみたいだから、もうすぐね。あなたたち、悪いんだけれどちょっと重点的に乳首を虐めてやってくれない?強く引っ張ったり潰したり、指で小刻みに弾くだけでもいいから」

 お姉さまからのお願いに即座にご反応されたのはメガネの彼女さま。
 左乳首を指でギュッと摘まれ、引っ張ったと思うと乳首を摘んだままおっぱい全体が揺れるほど上下左右に揺さぶられたり。
 指と指のあいだに乳首を挟んだままおっぱいを揉みしだかれたり、急に爪を立てられて乳首の側面をカリカリひっかかれたり。

「んんぅん、あんっ、だめだめっ、それいいっ、ああぁぁーーんっ!」

 ポニーテイルの彼女さまは右乳首の側面に人差し指と中指を添えて、その指をテンポ良く交互に動かして乳首を弾きつづけています。
 まるでピアノのトリルのよう。
 絶えず転がされつづける私の右乳首はますます熱く硬く尖り、その心地良い快感におっぱい全体が包まれます。

「ああんっ、いいっ、あんあんっ、もう、もう、それ以上されたらっ、あんっ、イっちゃいそうっ…」

 はしたないのでお聞かせしたくないのにダダ漏れてしまう私の淫ら声。
 左右の乳首からの異なった快感が胸の奥でひとつに交わり、お腹を抜けて両腿の付け根付近を強烈に疼かせつづけます。
 弄られてもいない膣奥がジンジン痺れ、波のような気持ち良さが波紋のようにからだ全体へと広がります。

「あーんっ、だめだめだめーっ!んんぅぅぅ、いいぃぃぃーーーっ!!!」

 立ったままの下半身がビクンビクンと二度三度大げさに跳ねて、極狭ショーツから溢れ出た愛液がだらだらと内腿を滑り落ちています。
 私、見知らぬ女子高生おふたりに生おっぱいを弄られただけでイかされてしまいました。
 膝から崩れ落ちてしゃがみ込んでしまうような醜態は晒さずに済みましたが、凄まじい快感の余韻がからだ中を駆け巡っていました。

「これが俗に言う乳首イキね。おっぱいへの刺激だけでオーガズムに達しちゃう、上級ドマゾだけが出来ちゃう高度な変態ワザ」
「そう言えばここに来る前に寄った温泉宿でも営業中のフロントで、綺麗な若女将さんにおっぱいだけ弄られて、男女含めて数人の従業員さんの目の前で呆気なくイキ果てていたのよ、この直子っていう変態さんは」

 ご冗談めかしてご陽気におっしゃるお姉さまなのですが、私のおっぱいから手を離されたおふたりはただただ唖然。
 私から一歩二歩退いた場所で肩を寄せ合い、イッたばかりでまだハアハアしている私の顔を呆然と見つめるばかり。
 ポニーテイルの彼女さまは右手のビデオカメラの存在も忘れられてしまわれたようで、だらんと伸ばされた右手の先で土の地面を録画されているようでした。

「ひょっとしてあなたたち、女性が本気でイっちゃっている姿を見るの、初めてだった?」

 からかうようなお姉さまのお問いかけにも、おふたりはお顔を紅潮させて恥ずかしそうにうつむくばかり。

「あなたたちの年ならマスターベーション、ひとりえっちくらい経験済みでしょ?」

 いたずらっぽく微笑むお姉さまに、ますますお顔を赤らめられてうつむかれるおふたり。
 しばらく笑顔でお応えを待たれていたお姉さまでしたが、急にハッとしたお顔に変わられて慌てられたようにお言葉を足していかれました。
 
「ごめんなさいね、ノーコメントなのは無理もないわよね。今日たまたま会っただけの見知らぬ女から急に、オナニーしているのかなんて聞かれても余計なお世話で答える筋合いはさらさらないものね。これはあたしのデリカシーが欠けていたわ。本当にごめんなさい」

 深々と頭をお下げになるお姉さま。
 おふたりもまだ少し困惑されているようですが、火照ったお顔を上げてお姉さまを見ています。
 ポニーテイルの彼女さまが右手のビデオカメラの存在にあらためて気づかれたのか、慌てて私にレンズを向けてきました。

「だったら直子をさっさと素っ裸にひん剥いて、直子のからだで女の子が気持ち良くなれるノウハウをいろいろレクチャーしてあげる。でもまあ直子は特別に感じやすい変態だから、あまり参考にはならないかもしれないけれどね。でも絶対面白い見世物にはなるはずよ」

 お姉さまがフレンドリーにおっしゃると、おふたりにも笑顔が戻りました。
 チラッとご自分の腕時計を見られたお姉さま。

「もう一時前か。あなたたち二時から部活って言ってたわよね。時間は大丈夫?」

 お姉さまがお尋ねになるとお応えくださったのはメガネの彼女さま。

「あ、二時集合って言っても、いつも、とくに上級生とかはダラダラ遅刻して集まって雑談とかしているだけですから、三十分くらいは遅れても大丈夫です。ここから学校まではチャリで飛ばせば15分くらいですし」

 メガネの彼女さまのご説明をポニーテイルの彼女さまが補足されます。

「通し稽古は顧問の先生が来る三時過ぎからの予定になってたしね。それに、ここから学校まではほとんど下り坂だからチャリも飛ばせるんです。逆に来るときは上り坂で大変だったけど」

 ポニーテイルの彼女さまが明るく笑われると、メガネの彼女さまがまとめられます。

「だから二時頃にここを出れば楽勝です。わたしたちもその面白い見世物っていうのをぜひ見てみたいので、よろしくお願いします」

 今度はおふたりのほうがお姉さまに頭を下げられます。
 いつの間にか生真面目だったはずのポニーテイルの彼女さままで積極的になられているご様子。
 
「それじゃあ、あそこに直子を虐めるのにぴったりな面白そうな物があるから、あそこに移動しましょう」

 お姉さまが校庭の金網寄りの一画を指さされながら、ニヤッと笑われました。


2024年5月25日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 05

「そういうことなら、あたしたちもお弁当持ってきているからさ、みんなでランチタイムにしない?食事って大勢で食べたほうが美味しいし」

 明るく振る舞われるお姉さまのツルの一声で見知らぬ同士のお食事会があっさり決まり、庇の下のベンチ横にお姉さまご持参のシートを敷いて車座になって座り込み、ピクニックランチが始まりました。

「飲み物もたっぷりあるから、遠慮しないでどんどん飲んでね」

 お姉さまのお声にご反応されたのはポニーテイルの彼女。

「助かります。コンビニで飲み物も買ったんだけど歌うと喉乾くからじゃんじゃん飲んじゃって。菓子パンに飲み物無しはキツイなーって思ってたんです」

「あそこの水道、飲めるのかなー、なんて言ってたよね」

 すぐそばに、たぶん手洗いや校庭への水撒き用として腿くらいの高さに立っている、いかにも古そうな錆だらけの水道の蛇口を指さされて笑うのはメガネの彼女。
 笑顔になられると一層あどけなさが強調されます。

 幸いプラコップもたくさん入れておいてくださったので、まずはおのおのの好きな飲み物を入れてカンパーイ。
 私たちのお弁当は基本的に一昨日夜、名塚先生にお出ししたサンドイッチ類と具材は同じでしたが、クーラーボックスに入れていたぶんしっとりひんやりしていて、暑い陽射しの屋外で食べるといっそう美味しく感じられます。
 菓子パンふたつづつの女の子たちもご自分のを召し上がれた後、勧められるままにお手を出され、美味しい美味しいとパクつかれていました。

 そんなリラックスしたランチタイムの最中にお姉さまが巧みな話術で聞き出された情報。

 メガネの彼女が幼少期にこの近くに住んでおられ、うんと小さいときには、すでに廃校だったこの校庭でその頃のお友達と一緒に遊んでおられたそう。
 その当時は自由に出入りが出来て、別に管理されているようなご様子も無かったとのこと。
 ポニーテイルの彼女とメガネの彼女は小学校からのご学友で、メガネの彼女がここのご近所から別の町にお引越しされたのは小学校ご入学の前。
 中学では同じ学校に通ったものの三年間別々のクラスだったので徐々に疎遠になってしまったこと。

 高校ご入学で同じ部活に入られたことで再会され、急速に仲良しが復活されたこと。
 メガネの彼女がここのことをふと思い出され、ポニーテールの彼女を誘ったらすぐに乗ってこられて春以来、学校が休みの日に月2、3回はここに忍びこんでいるとのこと。
 ここに来るようになって自分たち以外の人に出会ったのは、お姉さまたちが初めてだということ、などでした。

 主にお話されているのはお姉さまとポニーテイルの彼女。
 私とメガネの彼女は相槌を打ったり、同意を求められてお返事したり程度ですが雰囲気は和気藹々としています。
 ただ、ときどき彼女たちおふたりの視線が私の首輪をチラ見してこられます。

 お姉さまとふたりだけにしては多すぎるなと思えたサンドイッチやフルーツもキレイに食べ尽くされました。
 恐るべし高校部活女子のご食欲。
 2リットル以上もあった飲み物も底が見えて、みなさまがまったりまどろむ頃。

「ごちそうさまでした。サンドイッチもメロンもすごく美味しかったです。ひょっとしてどこか有名なお店で買ってきたんですか?」

 お礼を言ってくださったのはポニーテイルの彼女。
 うんうんとメガネの彼女も頷かれています。

「ううん。あたしたちが泊まっている別荘の管理人さんの手作り。でもそんなに喜んでもらえたらあたしたちも嬉しいなあ。バッチリ伝えておくね」

 お姉さまが満面の笑みでおっしゃってから、ちょっとイタズラっぽいお顔に変わられます。

「ご馳走した代わり、って言ったらズルいけど、あなたたちの歌、もう一度聞きたいな。すっごく綺麗だったから今度は間近で」

 屈託ないお姉さまのリクエストに、えーっ!とハモられ、みるみる赤くなって照れ笑いを浮かべられるおふたり。

「あなたたち演劇部なんでしょ?だったらいずれお客さんの前で歌うことになるじゃない。場馴れしなきゃ。あたしたちが一番最初のお客さんになってあげる」

 励ますようにおやさしくおっしゃるお姉さまのお言葉に、おふたりで急遽コソコソなにやらご相談。
 まとまったみたいで、おふたりともその場に立ち上がられ、ポニーテイルの彼女がお一言。

「だったら、お礼の意味も込めて一番だけ、やります」

「おーけー」

 お姉さまが即答されパチパチパチと大きな拍手。
 もちろん私も一緒にパチパチパチ。

「んーーーー…」

 最初にソプラノのハミングで音程を取るようです。
 私の予想に反して高いほうのソプラノはメガネの彼女でした。
 そこにポニーテイルの彼女の、んーーー、という低めのハミングが綺麗にハモりました。

「ざーあいん、くなーばいん、るーすらいんしゅてぃん…」

 ハミングが途切れると唐突にお歌が始まります。
 主旋律はメガネの彼女、そのたぶん三度下をポニーテイルの彼女が綺麗にハモっていきます。
 近くで聞くとおふたりのお声それぞれに艶があり、ぴったりと寄り添って進んでいく感じ。
 知らずにまた遠くの青空に目線を走らせているうちにワンコーラスがあっさり終わってしまいました。

 パチパチパチ…
 お姉さまと私で渾身の大拍手。

「素晴らしー、バラスーシ。ねえねえあなたたちって絶対音感とか持っているの?」

 お姉さまがご興奮気味にお尋ねになります。

「あ、ふたりともそんなの無いと思いますけど…」

 照れたようにお顔を紅潮させられてお応えになるポニーティルの彼女。
 しばしの満ち足りた沈黙の後、メガネの彼女がポツンとおっしゃいました。

「お姉さんたちはモデルさんとかタレントさんだったりするんですか?」

「なんでそう思ったの?」

 お姉さまが否定も肯定もされず、逆にフレンドリーに聞き返されます。

「だっておふたりともお綺麗だし、こっちの人は首輪なんかしちゃって普通ぽくないし、そのバッグの中にビデオカメラが見えたから、後から撮影隊の人なんかも来て何かこう、そういうビデオの撮影でもするのかなー、なんて」

 メガネの彼女がときどき宙に目を泳がせられながら、考え考えお言葉を紡いでいます。

「綺麗って言われて嬉しいんだけれど、残念ながらあたしたちはタレントとかじゃもちろんなくて、近くの別荘に遊びに来ているただの観光客」
「でもここでこの子をモデルにしてビデオを撮ろうかなと思っているのは当たり。あたしが撮るんだけどね、ただのプライベートな趣味として」

 お姉さまがバッグからビデオカメラを取り出されながおっしゃいます。
 カメラのベルトを右手に嵌められてレンズを彼女たちに向けながら、唐突に大きなお声をお出しになりました。

「あー、失敗したーっ!さっきあなたたちが歌ってくれたのも撮っておけばよかった。いい旅の思い出になったのに…」

 照れ笑いを浮かべられる彼女たちを撮影しつつ、悔しそうなご表情を作られるお姉さま。

「ねえ、申し訳無いんだけど、もう一回だけ歌ってくれない?」

 本当に申し訳無さそうにビデオカメラを嵌めたままの右手と左手を合わせられ拝むような仕草。
 おふたり、しばしお顔を見合わされ戸惑ったようにされていましたが、すぐに、

「いいですよ。誰かに見られていたほうが緊張感があって練習になるし、わたしたち、人前に出てこその演劇部員ですから」

 ポニーテイルの彼女が笑いながらあっさりおーけーしてくださいました。

 もう少し明るいところで撮ろうと庇から出て青空の下、お姉さまのレンズがおふたりを真正面から狙われています。
 庇から出ると太陽燦々、校庭特有のお砂混じりな土の上に二対二で向き合います。
 さっきみたいにハミングからお歌へと入られ、美しすぎるハーモニーが青空へと消えていきます。
 さっきよりも一層お声に艶が増しているみたい、と思っているうちに一番が終わり、私たちは盛大な拍手。

「ありがとう。この夏の素敵な思い出がひとつ増えたわ」

 お姉さまはカメラを構えられたまま右腕の手首付近に左手を打ちつけて拍手されていました。
 あれだと拍手の音が大きく録音されてしまうし、手ブレもひどそう。

「あなたたちって、ハモりもピッタリ寄り添っているみたいで、歌っているときも頻繁に視線交わしててすっごく仲良さそうなんだけど、ひょっとして普段から百合なご関係なのかしら?ガールズラヴ的な意味の」

 お姉さまがカメラを下ろされ、イタズラっぽいお顔になられておふたりに尋ねられます。
 おふたりとも一瞬、虚を衝かれたようなお顔になられ、すぐにおふたりとも頬が赤く染まりました。

「ち、ちがいます!」
「そんな感じです」

 おふたりの声がほぼ同時に重なりました。
 大きなお声で、ちがいます!と言い放ったのはポニーテイルの彼女。
 普通のお声で、そんな感じです、とおっしゃったのはメガネの彼女。
 ポニーテイルの彼女のほうだけ、まだお顔が上気されています。

「あれー、意見が割れちゃったねー。でもまあ深く追求はしないであげましょう」

 お姉さまがご愉快そうにおふたりを眺められ、こうつづけられました。

「あたしたちはね、レズビアンなの。あたしとこの子はね、心もからだも深ーく愛し愛され合っているの」

 なんて嬉しいお言葉。
 でも彼女たちおふたりのお顔は、呆気に取られたような驚愕のご表情。

「あ、でも誤解の無いように言っておくと、この子はこう見えてちゃんと成人しているからね。今日のこの格好はすごく幼く見えるけれど、ここの、学校っていうシチュエーションに合わせて着せたコスプレだから。ちゃんと大人の女性同士として愛し合っているの」

 相変わらずの笑顔で明るくおっしゃるお姉さま。

「へー、そうなんですか…」

 ポニーテイルの彼女がお独り言のようにポツリと返されます。
 おふたりの私たちを見るまなざしが驚愕から好奇心の側へと徐々に移り変わられているような気がします。

 このとき私は、お姉さまがこのおふたりを巻き込まれて私を辱めるおつもりだな、と察しました。
 見知らぬ年下の女性たちの前で、という状況に、私の被虐心がムラムラ疼き始めています。

「それに加えてあたしたちはSMの関係でもあるの。あ、SMって知ってる?」

 お姉さまがお尋ねになると、メガネの彼女さまがおずおずとお応えくださいます。

「虐めたり虐められたりするえっちな関係のことですよね?…縄で縛ったり鞭でぶったりして…」

 何となく恥ずかしそうに言いづらそうにお応えくださるメガネの彼女さま。
 ポニーテイルの彼女さまのほうは、ポカンとお口をお開けになって、未だ信じられないというご表情。

「そう、正解。じゃあ、あたしとこの子、どっちがM、エムのほうがマゾっていう虐められる側なんだけど、どっちがMだと思う?」

 フレンドリーなお姉さまのお尋ねに、おふたりとも無言で私のほうを指さされました。

「だって首輪なんて着けちゃってるし」

 なんとなく上から目線を感じさせるメガネの彼女さまのつぶやき。

「正解。でもね、SMの関係には愛が必要なのよ。ただのいやがらせみたいに相手の嫌がることして虐めるのはただのイジメ。SMっていうのは相手のして欲しいことを愛情込めて察してあげて、お互いに気持ち良くなることが重要なのね」
「Mの人っていうのは、痛いのだったり恥ずかしいめに遭わせられるのが好きだったりするんだけど、それをよく理解してあげて、Mの人が自分でもコントロール出来ないどうしようもない願望を一番気持ち良く感じるような状況に追い込む感じで采配するのが、Sの人のほうの醍醐味であり快感でもあるのよ」
「そんな感じだからあたしたちは…」

 お姉さまの立板に水のご説明がふと途切れ、ビデオカメラを右手から外されたお姉さまがポニーテイルの彼女さまに近づかれて、そのカメラを手渡されます。

「あなた、センス有りそうだからこのカメラでこれからあたしたちがすることを撮影してくれない?使い方わからなくても録画ボタンはもう押してあるから、あなたの思った通りにレンズ向けるだけでいいから」

「あ、大丈夫です。わたし、よく舞台稽古も撮っているし、このカメラってママの、あ、いえ、母親が使っているのと同じメーカーみたいだから」

 突然、撮影役にご任命されたポニーテイルさまが照れ笑いされながらも、レンズをこちらに向けて液晶モニターを覗き込まれます。
 レンズが正しくこちらに向いていることをご確認され、お姉さまがやおら私を抱き寄せてくださいました。

「だからあたしたちは、こんなことも…」

 おっしゃってから私の顎に右手を添えられ、私の唇をご自分の唇で塞がれたお姉さま。
 お姉さまの長い舌が私の口腔に侵入してこられ、私の舌が捻じ伏せられます。
 同時にお姉さまの両腕に私の背中が締め付けられて、息も出来ないほど抱きすくめられます。

 数秒間の熱いくちづけが離れて、私の口からはよだれがダラダラ。
 セーラー服の白い布地を汚してしまいました。
 構わずにつづけられるお姉さま。

「それから、こんなことも出来るのよ」

 抱擁の状態から一転して、私から一歩退いたお姉さまの右手が一閃。
 パチンパチンと小気味良い音を響かせて私の左頬、右頬への往復ビンタ!
 一昨日に名塚先生からいただいた強烈ビンタほどではありませんでしたが、かなりの本気ビンタでした。

「キスもビンタも、この子がして欲しいと思っているからしてあげるの。そうよね、直子?」

 あっさり私の名前をバラしてしまわれるお姉さま。
 久々に名前を呼ばれて、なぜだかビクンと震えてしまう私。

「は、はい…」

 お姉さまに必要とされていることが嬉しくてニヤけてしまいそうな顔を無理矢理引き締めて、殊勝そうにうつむいて応える私。
 好奇心で目を爛々と輝かせているメガネの彼女さま。
 固唾を呑んで、思い詰めたようなご表情でビデオカメラの液晶モニタを覗かれているポニーテイルさま。

「あら、ちょっと引かれちゃったみたい。そんな深刻なことじゃないのよ。あたしたちはこれで愉しんでいるのだから」
「この子は甘いキスも、ほっぺたやお尻を思い切りぶたれるのも、どちらも大好きなのよ。もちろんやっているあたしもね」
「だからこの子には飴と鞭は通用しないの。飴も鞭も、辛いお仕置きだって全部がご褒美になっちゃうから」

 あくまでフレンドリーなお姉さまが、主にポニーテイルさまに向けて語りかけていらっしゃいます。

「そうだ、びっくりさせちゃったお詫びとして、あなたたちにこの子の裸、見せてあげようか?」

 今度はメガネの彼女さまに向けてニヤニヤ笑顔でご提案されるお姉さま。

「えーっ、そんなこと言って、次はわたしたちの裸も、なんて言われても嫌ですからねー」

 メガネの彼女さまがご冗談のように返されます。
 メガネの彼女さまはどんどんノッてこられたようなご様子。

「ううん、そんなこと絶対に言わないわ。なぜならこの子、あ、ちゃんと紹介していなかったわね。森下直子っていうんだけど、直子は誰かに自分の恥ずかしい姿を視られるのが大好きだから。今だって恥ずかしい格好になりたくてなりたくてウズウズしているはずよ」

「へー、露出願望もあるヘンタイさんなんだー」

 お姉さまがメガネの彼女さまのお顔を笑顔で見つめられ、うんうんと嬉しそうに頷かれています。
 お姉さまとメガネの彼女さま、すっかり意気投合されちゃったみたい。
 本名の姓までバラされて私の恥ずかしさも一段ヒートアップ。

「そうよね、直子?」

 お姉さまから同意を求められて思わず、は、はい、とお応えしてしまう私。

「だったらちゃんと自分でおふたりにお願いしなければ駄目じゃない。私の恥ずかしい姿をどうぞじっくり視てください、って」

 左頬に本気ビンタを頂きながら叱責される私。

「は、はい…よ、よろしければどうぞ、私の淫乱でだらしないからだを思う存分隅々までご覧になって、ヘンタイとさ、蔑んで笑ってください。お、お願いします…」

 いやらしくへりくだった言葉を自分で口に出しながら、マゾマンコの奥がキュンキュン疼いています。
 私、見知らぬ年下の高校一年生女子の方々の慰み者になってしまうんだ…

「淫乱てわかるよね、いやらしくてどスケベなこと。まったくこの直子は、命令しているあたしのほうが恥ずかしくなるくらいのど変態なんだから」

 苦笑いなお姉さまと、好奇のまなざしに嗜虐的な色が混ざりつつあるメガネの彼女さま。
 ポニーテイルさまはただただ食い入るように液晶モニタを覗かれています。

「それじゃあまず手始めに、自分でスカートを捲り上げて、ど淫乱な直子の下半身がどんな状態になっているのかを視ていただきなさい」

 私にご命令くださると同時におふたりにもご説明を加えられるお姉さま。

「この子のアソコってスゴイのよ。まあ視てもらえばわかると思うけど」

 お姉さまに促され、自分のプリーツスカートの裾を両手で掴み、ソロリソロリと持ち上げていく恥ずかしさ。
 やがて両手が自分のおへその上まで持ち上がると、どこから取り出されたのか木製洗濯バサミをおふたつ差し出されるお姉さま。

 これでスカートの裾をウエスト部分に留めて、捲り上げっ放しな状態にしなさい、という意味でしょう。
 ご命令通り洗濯バサミを取り付けた後、自然と私の両手が自分の後頭部にいってしまいます。

「うわっ、凄いちっちゃいパンツ…それに毛がない」

 すぐに素直なご感想をお口に出されたのはメガネの彼女さま。
 ポニーテイルさまも食い入るように液晶モニタを覗き込まれてから、お顔だけ上げられて実物と見比べていらっしゃいます。

 恥丘丸出しでかろうじて割れ始めからが隠されている私のマゾマンコ。
 もし後ろを向けばお尻の穴さえ丸出しです。
 必要最低限のお仕事しかしてくださらない水色のブーメランショーツさま。

「そうね。本当に破廉恥な下着だこと。その他に気がついた点はない?」

 お姉さまが本当に嬉しそうにメガネの彼女さまにお尋ねになられます。

「内腿の付け根のところだけパンツが大きく濡れて湿ってるみたい。ほら、布地の色がそこだけ濃くなってる」

 ズバリ的確なご指摘を突き付けてこられるメガネの彼女さま。
 好奇心丸出しなおふたりから浴びせられる熱視線に、私のだらしないマゾマンコはしとどに濡れそぼってしまっています。

「なんで濡れているのかはわかるわよね?こんなに恥ずかし過ぎることをやらされているのに、この子はそれが気持ち良くて愛液を膣奥から滴らせているの。本当にとんでもなく変態な見せる子ちゃんなのよね」

 五十嵐さまが角田さまに私を紹介されたときに付けられたニックネーム。
 お姉さまからのお言葉責めでますます広がる私の恥ずかしいシミ。
 お姉さまに呆れられ蔑まされ、性懲りも無く更にどんどん感じてしまう、私の円環の悪循環…


2024年5月18日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 04

 ここでお姉さまからハイソックスを穿くことを命じられました。
 ほとんど裸のからだを屈めてソックスを穿きます。

 ふくらはぎの三分の二くらいまで隠れる白いハイソックスを右、左と穿いていきます。
 下着というか水着というかインナーが布極小の超えっちな感じですから、白ソックスを穿くと妙にそこだけ学生度というか健全度が増して、ますます超えっちな感じになりました。

「セーラー服着るんなら靴下も三つ折りにしたほうが、より雰囲気が出るんじゃないかな?」

 お珍しく角田さまがご意見を述べられ、みなさま、それもそうだ、と即採用。
 五十嵐さまの手で足首のところまで三つ折りに折られ、女学生度がますます増して、えっちさに一層の磨きがかかります。

 卑猥なインナー姿から一転して、その上に着るのは清楚なセーラー服。
 かぶって着るものもあるようですが、そのセーラー服は前面の真ん中にファスナーが隠れていて、前開きで着る着脱が楽な仕様。

 私は中学、高校とブレザーだったので、制服としてのセーラー服を着たことはありません。
 記憶に残っているのは高校のとき、やよい先生、今はバーのママさまで当時はバレエ教室で私の担当講師だった百合草やよいママさま、としたえっちなロールプレイング遊びでコスプレしての学園調教ごっこでしたから、セーラー服イコールえっちなイメージのほうが大きい感じ。
 今回もこれからそうなりそうですけれど。

「あたし中学セーラーだったからさ。今でもまだ覚えているもんだね、三角タイ」

 膝上10センチくらいのプリーツスカートを穿いてから、スカーフはお姉さまが綺麗に結んでくださいました。
 お姉さまのセーラー服姿、ぜひ拝見したいです。

 すっかり身なりが整うとみなさま一斉に、あらかわいい、一気に幼くなったね、まあ二、三年前までは高校生だったんだし、等々ご感想の嵐。
 お姉さまが私の姿を満面の笑みで眺めながらおっしゃいます。

「ここまで可愛いと髪もいじって、もっと可憐にしてあげたくなるわね」

 椅子に座らされ、お姉さまの手が私の髪に触れてきます。

「うーん、三つ編みおさげにするにはちょっと長さが足りないかな。でもまあ上のほうから編み込んでカチューシャみたいにしたらもっと子供っぽくなってより可愛いかも」

 お姉さまが側頭部の髪の毛を弄り始め、ゴムやヘアピンを駆使されて、ものの数分で前髪ハラリの編み込みカチューシャ風が出来上がったようでした。

「確かに可愛いけどさ、一気にジェイシーまで若返ってかなりロリめでヤバくない?あんな水着を下に着せてるんだから、どうせセーラーもすぐにはだけさせちゃうんだろうし」

「見た目が幼くなった分ハンザイくささが増したよね。今だって首輪だけ違和感バリバリで、この子の不幸な結末しか見えない感じ」

 五十嵐さま中村さまの順で、半分からかうみたいに率直なご感想。
 寺田さまが笑いながら私の目前にクラシカルな装飾の施された手鏡をかざしてくださいました。

 鏡に映るのは、編み込んだ髪の毛で前頭葉の後ろめをカチューシャのように飾った軽い前髪な童顔の女子。
 首から下は可憐なセーラー服姿なのですが、首に巻かれたくすんだ赤い首輪がすべてをぶち壊していました。
 首輪をしていることでユーカイとかラチカンキン、ミセイネンインコウとかの単語がパッと頭に浮かび、ハンザイの匂いがプンプンします。

「いいのよ。どうせ誰に見られるわけでもないし、これから行くところにもぴったりな雰囲気じゃない。ご期待通りにハンザイくさい映像をたっぷり撮ってくるわ」

 お姉さまが余裕の笑顔でご意見をまとめられます。

「ここまでしたら足元も茶色のローファーで、ってなるけれど、さすがにそんなのは無いわよねぇ」

 お姉さまが笑顔のままおっしゃると、すかさずお応えになる寺田さま。

「あ、でも焦げ茶色のサンダルならあるよ、クロックス。あれなら見た目もローファーぽくない?出かけるときまでに出しといてあげる」

 いつの間にかお席を外されて厨房に通じるドアの向こうに入られていた中村さまが、大きな箱を提げて戻られます。

「はい、これがランチのお弁当。サンドイッチとフルーツだからクーラーボックスに入れといた」
「目的地も私有地内で自販機とかコンビニは無いから紅茶と緑茶の大きめなペットボトルも入れといた。少し重たいかもしれないけど」

 お姉さまのお足元に大きめなクーラーボックスが置かれます。

「それじゃあ寺ちゃん、車借りるね。イギリス車、運転するの初めてだから楽しみ」

 お姉さまがおっしゃると寺田さまが苦笑い。

「いやいや、ミニはとっくに買収されてて今はドイツ製だから」

「あ、そうなの?イギリス車だから右ハンドルじゃないの?」

「いやいや、輸出仕様車。そんなこと言ったらエミリーのドイツ車だって右ハンドルじゃない」

 おふたりで私にはワケの分からない会話をされて大笑い。

 お姉さまはボートネックでルーズフィットなスカイブルーのチュニックに黒のスリムジーンズ姿で、何やら詰め込んだ小さめなトートバッグを肩から提げられ右手にクーラーボックスを持たれ、私はスマホとローター一式だけを入れたポシェットをセーラー姿に斜めがけにして正面玄関へ。
 みなさまがぞろぞろと玄関まで見送ってくださいます。

「直ちゃんのはそれね」

 寺田さまのお言葉で足元を見ると焦げ茶色のサンダルがご用意されていました。

「確かにローファーに見えないこともないわね」

 おっしゃりながらお姉さまも裸足に真っ白なスニーカーを履かれました。

「ゆっくりふたりで愉しんでくるといいよ」
「あっちで撮った動画も楽しみにしてるから」
「さっきメールがあって、こっちに着くのは三時くらいになりそうだって」

 みなさま口々のお見送りのお言葉を背中に受けつつ快晴なお外に出ます。
 正門ではなく建物の裏手にある駐車場のほうへ。
 あらためて考えると駐車場に入るのはここに来て初めてでした。

 お車10台は優に駐められそうな長方形に舗装された一画。
 でも白線とかは引かれておらず、それでも整然とお車が前向きに並んでいます。
 お姉さまのお車、昨日乗ってきた五十嵐さまのお車、昨日の朝ジョセフィーヌさまのお散歩のときに出くわした寺田さまが運転されて名塚先生が同乗されていたお車。
 少し離れたところには、白くて可愛らしい感じのお車とスポーティな感じの大きなオートバイも駐められています。

 お姉さまは、昨日寺田さまと名塚先生が乗られていたオレンジ色で可愛い感じのお車に近づかれ、リモコンをピッ。
 お車のヘッドライトが瞬いてから後部右のドアを開けられ、お荷物を積み込みました。

「ほら、直子は助手席に乗って」

 お姉さまに促され助手席へ。
 私がシートベルトしているあいだ、お姉さまが眼前の計器類とにらめっこされていましたが、やがてどこかのボタンを押すとピッと電子音がしてブルルンとエンジンがかかりました。
 同時に何やら賑やかな音楽が耳障りではないくらいの音量で車内に流れ始めます。

「ボン・ジョビね。名塚先生、彼らの大ファンなんだって、あのお年で。この車には彼らのアルバムが全部入ってて、ドライブ中はボン・ジョビしか流れない、って寺っちが笑っていたわ」

 ボン・ジョビさまがどんな人?バンド?かまったく知らない私にとってはお役に立たない情報をお姉さまが教えてくださり、お車が滑るように走り始めます。
 半分開けた車窓から晩夏の陽射しと山間の爽やかな風。
 どうやら昨日ショッピングモールへ向かった道順と同じルートを辿るようです。

 お車内ではえっちなイタズラとかはまったくされず、今朝話題になった、先週ここを訪れたピアノのお上手なM女さま、私のピアノの先生でもあった大貫ゆうこさまに関するご質問責めでした。

 私が中学校の頃、実家のお庭で母たちと水着パーティをしたときにベージュの紐ビキニを着られて恥ずかしそうにしていたかた、高三の頃、そのかたのご自宅にレッスンで伺ったら恥丘まで見えるウルトラローライズジーンズでお出迎えしてくださったかた、とご説明すると、あ、その話なら聞いたことあった気がする、とお姉さまがおっしゃってくださいました。

 高三以降、ゆうこ先生、この呼名が一番しっくりくるので、こう呼ばせていただきます、のご印象が私の中で希薄になってしまったのには理由がありました。

 ゆうこ先生の音楽関係のお仕事がお忙しくなってしまい、東京へお引越しされて少し経った頃、確か梅雨が明けるかどうかの頃だったと思います。
 休日のリビングでまったりしていた私に夕飯のお買い物から帰ってきた母が、少し興奮気味に声をかけてきました。

「ねえねえ直ちゃん、この写真の女の人、大貫先生じゃない?」

 見せられたのは写真週刊誌の見開きページ。
 そこには、当時人気のあった男性アイドルグループのおひとりと、目のところに黒く目隠し線の入った妙齢の女性がスーパーかコンビニかで仲睦まじくお買い物する隠し撮り写真と、どこかのマンション入口へ肩寄せ合って入っていく横顔の写真がありました。

 その記事には、スクープ!人気アイドル、忍び逢うお泊り愛、なんていう見出しで、そのマンションは写真の女性作曲家が住んでいるところであり、その女性はアイドルグループの次の新曲の作編曲を手掛けることになっている、なんてことが書いてありました。

 なんでも母はお昼頃、見るともなしに点けていたテレビのワイドショーでこの記事が紹介されて興味を持ち、お買い物のときにわざわざ書店さんに寄って写真週刊誌を買ってきたそうです。

 母はなんだか自分のことのようにウキウキして、ゲーノー界はすごいわよね、なんて言ってはしゃぎ気味でしたが、私は大ショックでした。
 私も、ゆうこ先生がそのアイドルに曲を書くらしいということは学校の芸能通のお友達から聞いていたし、写真に映る女性が着られている七分袖のチュニックは私にも見覚えのあるものでした。
 写真の女性はゆうこ先生に間違いありませんでした。

 母には気落ちを悟られないように気を遣いつつ夜、自分の部屋でひとりになってから落ち込みました。
 裏切られた気持ちでした。
 東京に行った途端に、そんな芸能人とチャラチャラされて、という妬みのような反感もあったと思います。

 でも考えてみればゆうこ先生は一度は男性とも結婚されているし、レズビアン一筋というよりはバイセクシャルなのでしょう。
 ご自分でも女性に対するときはM、男性に対してはSとおっしゃっていたし。

 それでもこの仕打ちは私にとっては裏切り行為であり、とてもがっかりしました。
 ゆうこ先生とした、めくるめく夢のようなSMごっこが全部汚されたような気持ちでした。
 そんな感じで、私にとってのゆうこ先生とのあれこれは完全に過ぎた思い出と化し、私の中でゆうこ先生の存在感がどんどん希薄となっていったのです。

 たまに名塚先生の作品を読み返したときにお顔とお名前を思い出す程度。
 その頃は、その作品をどなたが書かれたかなんてことはまったく気にしていなかったのですが。

 だから今日、ゆうこ先生と立花レイカさまとのご関係がつづいていて、レイカさまのマゾペットのようなこともまだされていると知れて、すっごく嬉しくなりました。
 音楽の世界でご活躍されているようなのに、ちゃんと昔からのえっちな性癖も持続されているのが私の知っていたゆうこ先生らしくて。
 
 名塚先生の作品を教えてくださったゆうこ先生の近況を、名塚先生の別荘で聞くという偶然に、不思議なご縁を感じると共に世間て案外狭いなとも感じます。
 百合草ママさまのお店にも行かれているようなので、いつか再会出来るといいな、と思っています。
 
 そんなようなことをお姉さまにご説明していたら、お車が見覚えのあるところに出ました。

 昨日ショッピングモールへ向かう途中にあった、延々つづいていた森林が突然途切れ、草ばかり生い茂る平地。
 しばらく進むと、昨日私が、お寺か神社かな、と思った木造二階建ての大きめな建物が見えます。
 その道向かいの草ぼうぼうな空き地にお車が駐められてエンジンを切ると、ボン・ジョビさまの威勢の良い音楽もプツンと切れました。

「あの建物のところへ行くのですか?」

 お姉さまにお尋ねします。

「そう。ずいぶん前に廃校になった小学校跡なんだって」

 お姉さまがバッグの中を覗き込みながらお応えくださいます。

「なんだか廃校後に土地の権利関係とかがややこしかったらしくて、長年色々揉めた後なぜだかうやむやになって、ここらへん一帯を買い取ったったときに、学校も一緒にタダで付いてきたらしいの」

 お姉さまが笑いながらご説明してくださいます。

「校舎とか建物内の管理は新たに契約した別の人がやっているらしくて、整備してドラマや映画のロケにときどき貸し出しているらしい。アダルトビデオの撮影とかにもね」
「名塚先生はなんたって土地の所有者のおひとりだから、その関係者の敷地への出入りはもちろん自由、っていう話だったわね」

 お荷物の整理が終わったらしくトートバッグを手に取られたお姉さまがお車のドアを開けられます。

「直子のポシェットもあたしのバッグに入れといてあげるから、直子は手ぶらで着いてきなさい」
「今ちょうど12時だから、ピクニックみたく校庭でランチしてから、ふたりでゆっくり愉しみましょう。小学校跡ならブランコとか低い鉄棒とかもあるでしょうし」

 意味深なことをおっしゃいつつ、クーラーボックスを持たれて草むらをのんびり歩かれるお姉さまと手ぶらの私。
 太陽はほぼ真上に来ていますが爽やかなそよ風も吹いているので、蒸し暑さはほとんど感じない、まさにピクニック日和。

 お車で走ってきた道路を越えて、草だらけの道なき道を建物の正門らしきほうへと近づいているとき、そよ風に乗って女性のコーラスらしき可憐な歌声が小さく聞こえてきました。

「…りーすらい、りーすらい、りーすらいぅをー、りーすらい、あぉふでるはーいでん…」

 このお歌は、確かシューベルトさまの野ばら…
 でもメロディが三拍子だからウェルナーさまのほうかな…

 正門が近づくにつれてハッキリ聞こえ来る心地よいメロディ。
 伴奏なしのアカペラで、私の知っている日本語の歌詞ではなく、どうやら原語、確かドイツ語のようです。
 声量はそんなにないけれど、透き通るようにきれいなソプラノ二声のハーモニー。
 歌っているのはどうやらおふたりの女性のようです。

「…りーすらい、りーすらい、りーすらいぅをー、りーすらい、あぉふでるはーいでん」

 馴染のあるメロディの余韻が青空に溶けて、しばらく無音がつづきました。
 そのあいだも正門方向へ歩を進めていると、んーー、という綺麗なハミングが聞こえてきて、すぐに同じお歌の歌い出しのハーモニー。
 どうやらもう一度聞かせていただけるみたい。

 お姉さまがバッグからビデオカメラを取り出され、ゆっくり歩きながら撮影を始められます。
 レンズを向けているのは正門の方向。
 このメロディが流れている景色を記録として残したいと思われたのでしょう。

 綺麗…
 晴れ渡った青空に吸い込まれていくような歌声が心地よく、思わずお空を見上げてしまいます。
 いつまでも聞いていたい感じ。
 お姉さまはと見ると、カメラは正門に向けたままお顔を心持ちお空に上げられて、歌声に耳を澄まされながら目を瞑っていらっしゃいました。

「なんか先客が居るみたいね」

 私のほうを向かれたお姉さまが嬉しそうにおっしゃいます。

「女の子ふたりみたいだし、これは面白いことになるかも」

 イタズラっぽく笑われるお姉さま。
 校門と思われる閉ざされた正門までやって来るあいだ中、ずっとそのお綺麗な歌声が聞こえています。
 お姉さまはお歌の区切りのよいところでカメラを下ろされ、再びバッグにしまわれました。

 正門には錆だらけだけれどご立派な鉄製で横開きの大きな門があり、ぴったり閉ざされています。
 関係者以外立入禁止、と太字で書かれた大きめのプレートが門の中央にドーン。

 そのまわりを敷地を囲んで低めで目の粗い金網が巡らされているのですが穴だらけで、優に人ひとりが通れるくらいの穴がいくつか空いていました。
 門のものものしさの割に人の出入りに対しては寛大みたい。
 その正門の前に、学生さんが好んで乗られそうなカラフルに洒落た自転車が二台停められていました。

 お姉さまは頑丈そうな正門脇にある人ひとりが通れるくらいの通用門ぽい鉄製のドアを律儀に鍵で開けられ、小学校跡の敷地内に入られます。

「ほら、一応ここの鍵も預かってきたからさ」

 照れたように笑われるお姉さま。
 つづいて私もそのドアをくぐります。

 敷地内、たぶん校庭だったと思われる部分は、どなたかがたまにお手入れをされているらしく雑草もまばら、ちゃんと地面が見える校庭然としています。
 校庭の片隅には幾つか高さの違う鉄棒や、三基のブランコ、ひとつは片方の鎖が切れていましたが、や、ぶら下がって遊ぶ雲梯みたいな器具も見えました。
 
 自分の目線を十メートルくらい先の校舎の入口であろう庇に覆われた一画に戻すと同時に、三番まで歌われたメロディの最後の一節が青い空に吸い込まれていきました。

「あ、ここって入っちゃいけなかったですよね、ごめんなさい、すぐに帰ります」

 庇のほうから知らない女性のよく通るお声がしました。
 あらためてそちらを見遣ると庇の下に置かれたベンチから慌てて立ち上がられ、こちらへ向かって大きくお辞儀をされるふたつの人影がわかりました。
 その人影たちがタッタッタとこちらに駆け出して来られます。

「管理の人ですよね?ここ、昔よく来てて遊んでて、ふと思い出して急に来たくなって、ごめんなさい。あ、金網に穴開けたのは誓ってわたしたちじゃありません。すぐに出ていきますんで…」

 学校指定らしい、半袖で下は膝までの短パンなえんじ色のお揃いジャージを身に着けた学生さんぽい女の子おふたり。
 おひとりは、私と同じくらいの背格好で活発そうなくっきりしたお顔立ちのひっつめ髪なポニーテイル。
 もうおひとりは、ポニーテイルの子より少し背が低く、耳出しのマッシュ気味なショートヘアに淡いグレーなボストン風セルフレームのメガネがよくお似合いな、お勉強出来そうなタイプ。
 
 おふたりともお顔のタイプは違いますが小顔でお目々パッチリ、まだあどけなさも残る美人さんたち。
 私たちに焦って喋っておられるのはポニーテイルさんのほう。

「いやいや、そんなに焦らなくていいから。あたしたちは管理人でもなんでもなくて、一応ここの持ち主の許可を得てここにピクニックしにきただけだから」

 あくまでフレンドリーに見知らぬおふたりをなだめられるお姉さま。

「それよりもあなたたちの歌声、すっごくキレイだったわよ。こう、青空に透き通って透明に溶け込んでいく感じで。あなたたちって合唱部か何か?」

 おふたりに安心感を抱かせつつ、なおかつ話題を拡げていく話術。
 お姉さまってば、こういうの本当にお上手で羨ましくなります。

 あっさり打ち解けられたおふたりからお姉さまが聞き出した情報によると、おふたりは近くの高校に通う一年生で演劇部所属、次の文化祭でご披露する劇で、おふたりがアカペラで歌われるシーンがあるとのことで練習されていたとのこと。
 
 今日は土曜日で学校はお休みだけれど、午後二時から部活の通し稽古があるので、早くからここに来て練習されていたそう。
 お昼も途中のコンビニでおのおの菓子パンを買われてここで済まされる予定で、その後自転車で学校へ向かわれるつもりだった、ということを安堵したお顔でスラスラとご説明くださいました。