2024年9月15日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 13

「あ、帰ってきたね。意外と早かったじゃん」

「あたし今頃、直子は倉島さんと泡まみれになってグッチョングッチョンにヤられてると思ってたんだけどね」

「新顔のM女相手でも直子はネコなんだ?」

 みなさまの失笑を誘う会話は、五十嵐さま、お姉さま、中村さまの順です。

「直子たちはまだ仕事があるから、アルコールはダメね。でもとくに直子は先生にあんなに責められて喉カラカラなんじゃない?これでも飲んで一息つきなさい」

 お姉さまのご指示でお姉さまと里美さまのあいだに座らされた私たち。
 お姉さまの隣に私、その隣に倉島さまで里美さま、の前に大きめなスポーツドリンクのペットボトルがそれぞれ置かれます。
 いただきます、と手に取って口をつけたが最後、一気にゴクゴクゴクと半分くらいまで飲み干してしまいました。
 倉島さまも美味しそうにゴクゴク飲まれています。

 そこへ厨房ホールのドアが開いて、寺田さまがお姿を現わされました。
 丈が短く胸元も大きく開いたバスローブのようなものを羽織られ、ウエストを緩く紐で結んでおられます。
 その下は、あれ?素肌?

「ふうーっ。カレーの仕込み、やっと終わった。突然9人分の仕込みなんて野球部のマネージャーにでもなった気分。みんな、今日の晩ごはんは想定外で準備していなかったからカレーだけだから。ごはんもたっぷり炊くしパンとフルーツもあるし、みんな好きなときに好きなだけ食べて、あとはアルコールでごまかして」

 大きなお声でそれだけおっしゃった寺田さまは、私たちのテーブル真向いのお席にどっかりと腰を落ち着かされ、缶ビールをプシュッと開けてゴクゴク飲み干されます。
 大きくはだけた胸元からたわわなおっぱいの丸みが半分くらい覗いています。

「あ、うち寺っちが作ったカレー大好物だからラッキー」

 お気楽なご感想を述べられたのは五十嵐さま。

「寺っち、今日はお疲れだねー。寺っちのいやらしいヨガリ声がこっちにまでガンガン聞こえてたよ。先生、ノってるみたいだね」

 中村さまがからかうようにおっしゃると、お疲れ気味なお顔で応えられる寺田さま。

「そうなのよ。さっきの直ちゃんの達磨縛りで先生の創作意欲に火が点いちゃったみたいでさ。時代物を始めっちゃって、女囚の折檻だ、身体検めだ、後ろ手縛りでイラクサ責めだ、肥後ずいき挿れろ、ってやらされて…まあ、アタシも気持ちいいから良いんだけどさ」

 寺田さまったら、あの後もあるじさまから執筆のためのモデルとして折檻を受けているみたい。
 だからあのバスローブの下は今でも裸で、そう言えば両手首やチラチラ見える二の腕両方にクッキリ縄痕が付いていらっしゃる…
 羨ましいと言うか、恐ろしいと言うか…

「あ、あなたが倉島さん?ようこそいらっしゃいませ。へー、これまた可愛らしい子じゃない」

 缶ビールを一缶飲み干されて二缶目を開けたときに、今気づいたというようにお声掛けされる寺田さま。
 バスタオル一枚のおからだをビクンと震わされ、おずおず立ち上がられた倉島さま。

「あ、はい。倉島麗子と申します。このたびはお招きありがとうございます。予定よりも早くお邪魔してしまって申し訳ありません。これから、えっと、数日間、よろしくお願いいたします」

 大げさにお辞儀をされバスタオルが外れないかとヒヤヒヤしましたが、無事再び着席されます。

「それであなたは、この直ちゃんに憧れているのね?」

「あ、はい」

 寺田さまが色っぽいニヤニヤ笑顔で私を見つめます。
 私は今さっき聞いたことで、あるじさまと全裸の寺田さまとのあれこれを妄想してしまい意味もなくドギマギ。

「でもほどほどにしておいたほうがいいかもよ、アタシが見たところ直ちゃんて天性の筋金入りな変態さんだから」

 私と倉島さまに向けてパチンとウインクされた寺田さまの艶っぽさに私はズッキュン。
 倉島さまは、そんなこと知っています、とでも言いたげに澄ましたご表情で私の裸を熱っぽく見ています。
 無言で私たちの様子をご覧になられていた寺田さまが気を取り直されるように缶ビールに唇をあてられ一口飲まれた後、みなさまを見回されておっしゃいます。

「そういうことで、いつまた先生からお声がかかるかわからないから、今夜のアタシは食事当番が出来ないってわけ。だからみんなよしなにやってね。晩ごはんの時間見計らってスイッチやコンロの火を点ければだいたい一時間ほどで出来上がる手筈にはなっているから」

 アタシの話はこれでおしまい、とでもおっしゃるように、お隣の中村さまに笑顔で何事か話しかけられる寺田さま。
 お話が一段落するのを待っておられたかのように、私にお話を振ってこられたのはお姉さま。

「そう言えばさっき里美から聞いたのだけれど、明日から来るシーナさん主催のご一行、ジャクリーンと小野寺さんはわかるけれど、あたしの知らない人まで直子のことは知っているって、どういうことなのよ?」

 問い詰めるようなからかっているような、全体的にイタズラっぽい雰囲気なお姉さまのご口調。
 お姉さまってば早々と、少し酔っ払われているかも。

「あれ?それで、えっと誰が来るんだっけ?」

 お姉さまの天然ボケに即答される里美さま。

「はい。シーナさんと艶美の小野寺さん、それにエステティシャンをやっておられるという若い女性がおふたり。あとセレクトショップをやっておられる店長さんと、そこでネイルアートを担当されている、確か小野沢さんとおっしゃる女性。それにわたしとレイコと運転手の本宮さんが飲み会に出席したメンバーでした」
「あとふたりくらい当日増えるかもしれないということと、アンジェラさんはご多忙でご欠席、ジャクリーンさんは一日遅れて参加される、とのことでした」

 エステティシャンをやっておられるおふたりとは、私の陰毛を施術していただいたとき、インターン扱いだったリナリナトリオのうちのどなたかおふたりでしょう。
 セレクトショップの店長さまというのは、私が裸コートで冒険した最後にシーナさまが連れてってくださった西池袋のお店の店長さまである古泉純さま、そこでネイルアートをご担当されていたのは、確か小野沢桜子さまというお名前だっだはず。
 あれ?でもこの裸コートのお話もお姉さまにはお話したような気もするけれど。

「ジャクリーンさんは別として、M女ぽいのはレイコしかいないみたいだから、レイコは覚悟しておいたほうがいいわよ、っていうお話でした」

 里美さまのご説明が終わり、みなさまがお姉さまにご注目されます。

「そうそう。そのセレクトショップの店長ていうのは何者なのよ?」

 わざとらしく問い詰めるように怒った演技をされるお姉さま。
 やっぱりお姉さま、愉しんでいらっしゃる。

「前にお話ししたと思いますけれど、お姉さまと知り合う前に、シーナさまに裸コートを見抜かれて連れて行かれた西池袋のセレクトショップの店長さまです。営業中の昼間のショップで丸裸にされておっぱいとアソコの土手にスキンアートを施されるところをご来店されたお客様にたくさん視られたっていう…」

 弁解している最中、我ながらとんでもなく破廉恥なことをしていたな、と思います。
 あれから古泉さまにも小野沢さまにも会っていませんが、今出会ったらどんな気持ちになるのでしょう。

「はいはい、何だか聞いたような覚えもあるわね。でも倉島さん、直子ってこういう女なのよ。誰にでも見せちゃって誰にでも弄らせちゃうど淫乱ど変態娘。まあ、男が死ぬほど苦手だってところに救いはあるけれど…」
「昨日だって、高校生の頃、年上のピアノの先生と乳繰り合ってたっていうのを聞かされたし、その先生は今でも立派なM女さんで先週ここで虐められてたっていうじゃない。まあ類は友を呼ぶっていうか、直子の周りにはドスケベと変態ばかりが集まってくるの」

 そこでワイングラスの白ワインをクイッと飲み干されたお姉さま。

「まあ、あたしもそのひとりで、おまけにネトラレぽいらしいからあまり気にしてないけれど倉島さん、直子に憧れるのもほどほどにしておいたほうが身の為よ。一歩でも間違うと即、人生破滅しちゃうからね。お友達は選びなさいよ」

 そこまでおっしゃってお姉さまが妖艶に微笑まれ、お話が終わります。

「はい。わたしはまだまだ直子さまの足元にも及んでいませんから、直子さまから性の愉しみ方やマゾヒストの真髄をどんどん学び取りたいと思っています」

 またまたリアクションに困ることをおっしゃてくださる倉島さま。
 ふと目を上げると五十嵐さまがビデオカメラをこちらに向けています。
 お姉さまは角田さまと、寺田さまは中村さまと本宮さまとご雑談、里美さまはスマホを弄っておられます。
 時刻は午後5時を過ぎて、まだ倉島さまのバスタオルを剥ぎ取ろうとするかたは、どなたもいらっしゃいません。

 倉島さまからの熱い視線を乳首付近に感じつつ、しばし過ぎ行く手持ち無沙汰な時間。
 中村さまが静かに席をお立ちになられ厨房のほうへ行かれたと思ったら、すぐに大きめのトートバッグを手に戻られました。
 あれはジョセフィーヌさまのお散歩セット。
 そのトートバッグがテーブルの上にドンと置かれます。

「そろそろ時間だから仕事の引き継ぎを済ませちゃいましょう。倉島さんに直子から説明してあげて」

 トートバッグを指差しつつの中村さまのご指示に、はいっ、と思わず立ち上がってしまった私。
 つられて倉島さまもビクッと小さく震えた後、おずおずと立ち上がられました。
 みなさまのご注目が集まる中、倉島さまと向き合います。

「えっと、お仕事というのはジョセフィーヌさまのお散歩です。あ、ジョセフィーヌさまというのは、あるじさま、名塚先生が大切にされているワンちゃんの女の子で、ゴールデンレトリーバーというフワフワなご犬種で、とても賢いワンちゃんさまです」
「朝の8時前と夕方の5時半頃から毎日二回、ここから歩いて10分くらいの広場までご一緒にお散歩して、そこでフリスビーとかで30分くらい遊んで差し上げる、というのがお仕事の内容です」

 他に何か付け加えることあったかな、と思いながら倉島さまのお顔を見ると、なんだか嬉しそう。

「わたし、ワンちゃんとかお猫さまとか何かペット飼ってみたいなって思っていたんです。実家では親が嫌がって飼えなかったから。中でもゴールデンレトリーバーって頭良いんですよね?気になっていた犬種だったからとても楽しみです」

 涼し気な瞳をキラキラ輝かせてワクワク顔の倉島さま。
 
「まあ、そんな感じね。今日の朝まで直子にやってもらっていたんだけど、明日の朝から帰るまでは倉島ちゃんにお願いするわ。で、これから直子に付いて行って段取りを覚えてもらうと」

 中村さまが何やら褐色のお飲み物をクイッと傾けられた後おっしゃって、急にイタズラっぽいニヤニヤ顔になられます。

「でも、肝心なことを教えていないんじゃない?」

 中村さまがからかうように私に尋ねられます。

「えっ?」

 ただただ戸惑う私。

「散步のときのM女の格好のことよ」

 中村さまが全裸の私をしげしげと見つめながらイタズラっぽくおっしゃいます。
 あっ、と、うろたえる私。
 今の私の姿を見れば、倉島さまも薄々お気づきとは思いますが…

「あっ、あのう…それで、お散歩のとき、あるじさまはジョセフィーヌさまでM女はペットですから、ペットの格好は基本、生まれたままの姿です…」

 申し訳無い気持ちで倉島さまに告げます。
 倉島さまの肩が小さくビクンと震えます。
 あわててつづけます。

「あ、でもこの辺り一帯はあるじさまの私有地なので、一般の人はどなたも入ってこられません。現に私の滞在中もお散歩中にお身内以外のかたには一切会っていませんし、ジョセフィーヌさまもリードを着けずにご自由に走り回られておられますから、裸でもまったく安全です…」

 弁解がましくお散歩の安全性を力説する私。

「でも露出大好き見せる子ちゃんな直子にとっては、視てくれる人がいないのが不満だから、必要以上にジョセとイチャイチャしては全身をジョセの足跡だらけにして毎日帰ってきてたんだよね?」

 ビデオカメラのレンズをこちらに向けられた五十嵐さまから、からかうように決めつけられて、私はあまりの恥ずかしさでみるみる赤面。
 倉島さまも驚いたように私を見ています。

「直子の見解は基本的に合っているわ。それで直子は倉島さんをどう指導するのかしら?」

 中村さまがイジワルっぽく真面目なお顔で私に詰問されます。
 そのとき私は理解しました。
 みなさまは、私の手で倉島さまのタオルを剥ぎ取ることをご期待されているんだ、と。

「麗子さん?ちょっと失礼します…」

 私の右手が倉島さまの胸元に伸び、倉島さまが胸元を押さえられるより一瞬早く、私の右手がバスタオルの折り目を掴んで、そのままスルスルと剥ぎ取りました。

「きゃっ!」

 ひと声叫ばれた倉島さまが、遠ざかってゆくバスタオルを恨めしげにご覧になりつつ、すかさずヴィーナスの誕生ポーズ。
 おっぱいを庇っている右腕から零れ落ちている右乳首はしっかりと尖っていました。

「おおっ、必死に隠しちゃって、初々しいねえ」
「今じゃ何もかもおっ広げな直子とは大違い」
「それにしても倉島ちゃんて肌、白いよねえ」
「肌の白い人って陽焼けすると赤く染まっちゃって痛々しいんだよね」

 みなさまがご勝手なご感想を述べられる中、里美さまだけがワザとらしく怖いお顔をお作りになり、首を左右にゆっくり振られます。
 それをご覧になられ、観念したようにゆっくり両手を頭の後ろに持っていかれる倉島さま。

「ふうん、里美もちゃんと躾けているじゃん。どう?倉島ちゃんの伸びしろは?」

 お姉さまが嬉しそうに里美さまに尋ねられると…

「有望だと思いますよ。直子の域までいくのはまだまだですけれど」

 ここにいるみなさま、私がリアクションに困るコメントしかしてくださいません。
 そうしているあいだにお姉さまのお綺麗な顎が私に向けてクイッと上向きに動かれ、私もすかさずマゾの服従ポーズ。

「うわっ、一気にこの場が性奴隷市場みたいに艶かしくなっちゃった」

 五十嵐さまがお独り言みたいにそうつぶやかれると、中村さまが茶化すようにその後をつづけられます。

「ねえねえ、寺っちも裸になって同じポーズでそこに並んでみてよ。見比べてみたい」

 そんな破廉恥なご提案に嬉々としてノられる寺田さま。

「おっけー」

 スルスルっとローブを脱がれて一糸まとわぬお姿で私の横に並ばれました。

「うわっ、何て言うか、壮観だね」
「うん、ビフォアアンドアフターって言うか、使用前使用後みたいな…」
「M女ってこういうふうに進化していくんだね」
「寺っちの肌のあちこちに残っている縄の痕が淫靡…」
「みんな思わず虐めたくなるからだだよね…」

 みなさまお好き勝手なご感想を述べられています。
 
 真っ白いおからだで本当に恥ずかしそうにポーズを取られる倉島さま。
 全身陽に焼けて、何もかもさらけ出して、それでもやっぱり恥ずかしい気持ちのままポーズを作る私。
 視たいなら視ればいいわ、とでもおっしゃりたげに自信満々で淫猥な陽焼け跡と縄痕を魅せつけられるようにポーズをお取りになられる寺田さま。
 確かにM女の行き着く先は、こんな進化を遂げるのかもしれません。

「で、そろそろ時間だから、M女デビューの倉島ちゃんを生温かく送り出しましょう」

 中村さまが茶化すようにおっしゃったとき、大広間のどこからかトゥルトゥルと電子音のような音が小さく響きました。

「あ、内線、先生からだ」

 寺田さまがいち早くご反応され、厨房近くの壁に掛かった電話機に全裸のまま取り付かれました。

「あ、はい、寺田です、あ、はい、はい、あ、えっと、直子、いえ、オナ子は午後に帰るはずだったのですがまだいまして、これからジョセフィーヌの散步です、新しいM女が予定外に今日来まして、散步のレクチャーも兼ねて…あ、はい、アタシは全然大丈夫です、あ、はい、すぐに馳せ参じます…」

 ご従順な下僕のように受け答えされるご様子と、そのダイナマイトボディとのギャップがアンビバレントな寺田さま。
 私もお姉さまと、名塚先生と寺田さまのようなご関係になりたいなと、ふと思います。

「聞いての通り、アタシは先生の下に戻るから、あとはよしなにね。解放されたらまたみんなと飲むからね」

 それだけ言い残されて寺田さまは全裸のまま奥の通路にそそくさと消えていかれます。
 取り残された真っ白と陽焼け肌、ふたつの全裸。

「そろそろ出発だから、おめかししてあげましょう」

 中村さまがご冗談ぽくおっしゃり、まずふたりの首輪にそれぞれ麻縄に似たリードが取り付けられます。
 先端は持ちやすいように輪っかになり、ふたりとも股間の下20センチくらい余る長めのリードです。

「それから直子にはこれね」

 今朝方着けられたネコミミカチューシャとキツネさんの尻尾プラグ。

「今はさすがに浣腸はしないであげるけど、絶対に抜いては駄目よ」

「はうっ、んーっ!」

 カチューシャをかぶせてくださった後、なんの準備もしていなかった私の乾いた肛門に無理矢理プラグを捩じ込まれる中村さま。
 少し痛かったけれど、それを嬉々として飲み込んでしまう私のお尻の穴。

「それで、あなたにはこれを貸してあげる」

 五十嵐さまが倉島さまに手渡されたのはハンディビデオカメラ。

「散步のあいだ、直子が色々恥ずかしいことをすると思うけれど、倉島ちゃんはそれをしっかり目と映像に焼き付けて、一歩一歩立派なM女に近づきなさい」

 お姉さまが真面目なお顔で倉島さまにおっしゃると、倉島さまもうんうんと神妙なお顔で頷かれています。
 
 時刻は夕方5時半ちょっと前、仲良く首輪とリードにサンダルだけの全裸、あ、私はネコミミとアナルプラグも着けていますが、なふたりは、みなさまに見送られてお外へと放り出されました。


2024年9月9日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 12

 里美さまに手を引かれてお車から降りてきた女性は、黒いアイマスクをさせられ、首に細めの黒い首輪、足元の白いサンダル以外の衣類は身に着けていませんでした。

 アイマスクでお顔の半分は隠れてしまっていますが見たところまだお若い感じで、襟足までのショートカットにスレンダーな体躯。
 小ぶりながら形の良い乳房にスラリとしたお腹、両腿の付け根にはあまりお手入れをされていないように見受けられる密度の薄い陰毛が逆三角形に翳っています。
 何よりもまったく陽焼けしていない全身の青白い素肌が、この数日、陽焼け肌を見慣れた目には妙に艶かしくて淫猥に感じます。

「あれ?あなたたちって、明日からの予定じゃなかったっけ?」

 お姉さまが里美さまに訝しげにお声がけ。

「はい。その予定だったのですけれど、この子がわがままを言い出しちゃって…」

 すっかり車を降りられたその彼女は、右手は里美さまに握られたまま、左手を股間に添えて隠しつつ、うつむかれています。
 目隠しをされたままですから周りの状況などまったくわからず、その上からだは全裸なのですから、さぞかしご不安かつ恥ずかしいことでしょう。

「木曜日に顔合わせも兼ねてシーナさん主催の飲み会をやったんです」

 私たちの目前、一メートルくらいの位置で裸の女性と手を繋いだ里美さまがご説明をつづけます。
 五十嵐さまと角田さまに加えて、いつの間に戻られたのか中村さまも加わられ、おふたりをグルっと取り囲まれています。

「そのときに運転手の本宮さんも参加されていて、本宮さんが、前日にチーフたちをここまで迎えに行くんです、って言ったら、この子が、直子さまがいるんですよね?直子さまも一緒ですよね?って」
「ひと目でもいいからどうしても直子さまに会いたいから一緒に前日に連れて行ってくれ、って言い出して、シーナさんが、そこまで言うなら行けばいいわ、M女が途切れないから先方も退屈しないでしょう、って許可が下りて」
「面識ない子をひとりで行かせるわけにもいかないのでわたしが付き添いで来たんです」

「ふうん、この子って里美が新しく雇ったバイトの子よね?そこまで直子に憧れているんだ…」

 お姉さまがその彼女の白い素肌を値踏みでもするように上から下まで眺めながら、嬉しそうにされています。
 私は、新しいバイトの子なんだ、でも私のことを知っているんだ?と何も聞かされていなかったことに少しの憤りを感じつつも、その髪型や佇まいにそこはかとない既視感を感じていました。

「あ、かなちゃんは、里美は知っているよね?去年もあたしたちと来たし」

 お姉さまが中村さまに尋ねられると、

「うん。あなたたちの中ではけっこうM女弄りのうまい、ノリのいい子だなと思ってた。こっちの裸のお嬢ちゃんは新顔よね」

 そうお応えされた中村さまも、彼女の素肌を舐めるように見つめられています。
 彼女の青白い素肌は全身がほんのり薄桃色に染まり、両乳首も精一杯背伸びするように尖り勃ち、この理不尽な状況にも彼女が性的興奮していることを如実に顕しています。

「目隠し取ってあげるから、ちゃんと教えた通りみなさんにご挨拶なさい。ほら、レイコの両手はそこじゃないでしょ?ちゃんと言い付け通りにしなさいっ!」

 里美さまが繋いでいた手を離されると、すかさずその手をおっぱいの前に持っていって隠されようとされる彼女。
 お尻へのビンタと共に、それをビシッと窘められる里美さま。
 彼女の両手がおずおずとご自分の後頭部に上がっていかれ、両腋までも露わにしたマゾの服従ポーズ。
 腋毛の処理も若干甘めです。

 彼女の背後に回られた里美さまが彼女のアイマスクを外されようとしています。
 その真正面に私、彼女のアイマスクがゆっくり外されます。

「あっ、直子さまっ!」

「あっ…」

 ふたり同時に声を上げていました。
 私の理由は思いがけなく、まさしく見覚えのあるお顔だったから。

「わ、わたしは倉島麗子というえっちに虐められることが大好きで、直子さまのような素敵なマゾヒストになってみなさまの慰み者になりたい女です…本日はお招きいただきましてありがとうございます…まだまだ至らない点も多々あるとは思いますが、みなさまのご指導ご調教のほど、よろしくお願いいたします…」

 ほんの数ヶ月前、セルフボンデージのレクチャーで倉島さまはお客様、私は緊縛モデルのM女として出会い、そのときはクールな見た目ながら熱心で頭の良さそうなかただな、くらいにしか思わなかった、私と同い年の大学三年生の女性。
 その倉島麗子さまが、マゾの服従ポーズで恥ずかしそうに頬を染めています。

「へー、あなた、直子に憧れているんだ?ただのドマゾな直子の何にそんなに惹かれるの?」

 五十嵐さまが混ぜっ返すようなニヤニヤ笑いでお尋ねになります。

「そうですね…ご自分の欲望に真摯で貪欲なところ、です。あと、やられていること、やらされていることはとんでもないのに、直子さまがやられると可愛らしくてチャーミングに見えるところ…ですかね」

 私の瞳をまっすぐ見つめて頬を赤らめながら、私のほうが気恥ずかしくなるようなお言葉をくださった倉島さま。
 そして唐突に、私がまだノーズクリップを着けっ放しな豚っ鼻であったことを思い出しました。
 うわっ、恥ずかしい…でも突然外すのもヘンだし、お許しももらっていないし…

 急激に赤面しつつうろたえていると、みなさまが会話されているあいだにお車を駐車場に移動されていた本宮さまが、徒歩で静かに戻っていらっしゃいました。
 つかつかとお姉さまの前まで来られて、お辞儀をひとつ。

「これはひとつご提案なのですが、今日ここまで走ってきた感じで、高速は上りも下りもかなり渋滞していました。上下ともどこかで事故があったようで」

 本宮さまがお姉さまに、お仕事のご報告のように事務的にご説明を始められます。

「今日は土曜日ですし天気もいいことに加えて事故処理ですから、夕方過ぎまでこんな感じがつづくと思われますので、たとえば4時頃にここを出たとしても、ご自宅に着くのは9時近くになるかと」
「逆に夜の8時9時に出発すれば2時間くらいで東京に着くと思います。だから差支えなければ出発を夜まで伸ばされたほうがよろしいかと」
「もちろん渡辺さまに何かご予定があって何時までに帰りたいというご要望があれば善処はいたしますが…」

 本宮さまのご提案を黙って聞かれていたお姉さまが笑顔でご返答。

「別に帰ってからの予定なんて無いし明日は日曜だし、あたしは帰れれば夜中でも夜明けでも何時でもいいわよ。本宮さんにお任せ」

 お姉さまのお言葉を引き継がれたのは中村さま。

「だったらこの子、倉島さんだっけ、に直子の仕事の引き継ぎも出来るじゃん。ジョセの散歩。倉島さんも少しのあいだだけど憧れの直子と過ごせるし」

 こうして私たちの数時間の滞在延長が決まりました。

「運転手さんが来てくれたから、これで心置きなくお酒が飲めるわ」

 お姉さまの嬉しそうなお言葉。

「新しく来たM女志願の子も可愛らしいし、うちらももう一泊させてもらおっか?」
「いいんじゃない。明日は日曜だし」

 五十嵐さまと角田さまもお顔を見合わせて嬉しそう。

「寺っちに新しいお客様がみえたことを知らせきゃ。夕飯の用意も想定外だし」

 中村さまは思案顔で玄関口に向かわれます。

「直子は軽くシャワーしてから広間に来なさい。倉島さんも汗ばんでるみたいだから直子と一緒に行くといいわ。直子、倉島さんにここでの心構えとか、軽くレクチャーしてあげなさい。あんまり長湯はしないように。そうね、15分くらい見当で広間に戻ること」

 お姉さまにそれだけ言い渡され、お姉さまは里美さまとご一緒に玄関口に消えていきます。

「…こ、こんにちは…」

「こんにちは…」

 数か月ぶりの再会に、ふたりぎこちなくご挨拶。
 ふたりとも首輪とサンダルだけの全裸で、おまけに私は鼻の穴を上に引っ張られた豚っ鼻。

「こんな顔でごめんなさいね。ついさっきまで辱めをいただいていたから…」

「いえいえ、とてもチャーミングですごく似合っています」

 リアクションに困るお応えをくださる倉島さま。

「えっと、バスルームはこっちにあるの…」

 会話がつづかなくて、無言のまま木立に立ち入っていく全裸の女性ふたり。
 私が先に立ち倉島さまが少し遅れ気味になったとき、倉島さまから含み笑い交じりのようなお声がかかりました。

「直子さま、お尻にも尻尾付けてもらっているんですね?」

「えっ?」

 あわててお尻に手を遣ると、柔らかくて短い紐のようなものが。
 焦って紐部分を引っ張るとスポンと抜けたのは小さめ細めのアナルプラグ。
 立ち止まってしげしげと見ると、紐状のところはピンクに近い肌色の柔らかいゴム製でクルンと丸まっています。
 つまり豚さんの尻尾。

 さっきの達磨縛りのとき、どなたかがイタズラ心で挿入されたのでしょう。
 確かにあのときは全身性感帯でしたが、事後でもそれが挿入されているのがわからないくらい、私のお尻の穴って拡がっちゃっているんだ…
 その尻尾を隠すように左手に握り、地味にショックでしばらく無言で歩きます。

「あの、里美さまのところでバイトされているのですよね?いつから始められたのですか?」

 無言に耐え切れなくなって、私のほうから当たり障りのない会話を始めてみます。

「えっと、お盆開けた頃からですね。毎日じゃなくて週二、三回くらいです。配送のお手伝いとか在庫品の確認整理とか」
「お店に新しい麻縄をひとりで取りに行ったときに、私が大学で被服学科を専攻しているって言ったら、だったらうちの店でバイトしてたら就職先もすんなり決まるかもよ、って愛川さまに誘われて」

 いくぶん陽の翳った夕方間近ながら晴天の芝生を並んで進む全裸なふたり。

「暇なときには下着姿や裸で自縛の練習とか、新しいえっちなオモチャのモニターとかもやらされています。でも、直子さまにもう一度会えるかもしれない、っていうのがバイトをしている一番の理由です」

 倉島さまがまたまたリアクションに困るようなお言葉をおっしゃったとき、例の全面ガラス張りシースルーバスルームの前までたどり着いていました。
 ふうん、やっぱり里美さまはもう倉島さまと、ヤるべきことはヤッているんだ…

「なんなんですかこれっ!丸見えじゃないですかっ!」

 呆れたように大きなお声を出された倉島さま。

「この別荘のあるじさまのご趣味だそうです。ここでM女を虐めて、それをみなさまで眺めたり」

 苦笑交じりに説明する私。
 こんな屋外バスルームを初めて見せられたら、そういうご反応になるのはあたりまえです。

 ガラスのドアを開けて中に入り、ふたりまず首輪を外します。
 私はこれでやっとノーズフックからも解放されました。
 倉島さまが、私のそこだけ真白く残る首輪の陽焼け跡を眩しそうに見つめています。
 タオル類はひとり分しか用意されていないので、それを持ってふたりで浴室に入ります。

 最初のシャワーは倉島さまに譲り、私はそのあいだに髪が濡れないよう上にまとめています。
 少しうるさく感じるシャワー音の向こうから倉島さまのお声が聞こえてきます。

「あのう、この別荘のあるじさまって、どんなかたなんですか?怖いけれど偉い女性のかた、とは聞いているんですけれど…」

 里美さまってば、お姉さまと同じご説明をされているんだ、と思います。
 教えて差し上げても良いけれど、それではちょっとつまらないかな?でも同人小説を書かれている倉島さまなら先生のこともご存じで、感激されるかもしれないし…
 少しのあいだ考えてから、やっぱり教えて差し上げることにします。

「倉島さんは、百合薔薇学園サーガ、っていう小説シリーズ、ご存じ?」

「あ、はい。名塚毬藻先生ですよね。わたし、あの中の、かなり昔のお話ですけど古本で読んだ鬼百合と姫小百合っていうお話が大好きで…」

 ああ、やっぱり、と私も嬉しくなります。

「その名塚先生がここのあるじさまです。ふだんは品があっておやさしいかたなのですけれど、執筆中はお人が変わられるので覚悟されていたほうが良いかもしれません」

 あるじさまの本気ビンタの痛みを思い出しながら、ぼやかした感じでアドバイス。
 シャワーを交代して、私はシャワー、倉島さまはソープでからだ洗い。

「あのう、直子さま?」

 全身を泡だらけにされた倉島さまがおずおずと語りかけてきます。
 はい?と久しぶりのシャワーを気持ち良く浴びつつ応える私。

「直子さまはわたしの憧れなのですから、わたしに丁寧語は不要です。なんなら上からの命令口調でもいいですし、名前も、倉島とか麗子とか呼び捨てにしてください」

 今まで言われたことのない懇願に困惑する私。

「そんなこと言われても…同い年みたいだし、私のほうこそ、直子さま、なんてなんだかこそばゆくて…」

「いいえ、これは譲れません。直子さまはわたしのアイドルなんですから」

「だったら私は、麗子さん、って呼ぶね。それで出来るだけ普通に会話するから、それで許して」

 同い年のM女志願な女の子にもマゾっぽく許しを乞うてしまう私。
 そんな感じに少しだけ打ち解けたふたりは、背中の流しっこなど軽いボディタッチはあったものの、濃ゆいまさぐり合いなどはしないままシャワーを終えました。

 そのあいだに、倉島さまはこの滞在中にあるじさまによって陰毛を剃られ、パイパンを維持するためにエステの施術を受ける計画があることが聞き出せました。
 浴室を出て、いざからだを拭こうと思ったとき、バスタオルも一枚しかないことに気がつきます。

 バスタオルもまず倉島さまに譲って、倉島さまがおからだを拭く姿をボーっと眺めていたとき、違和感に気づきました。
 最初に出会ったとき、宙を衝くように尖り切っていた両乳首が今はひっそり。
 それどころか、恥ずかしがるように奥まで引っ込み凹んでいるんです。

「あ、これですか…」

 目を丸くして見つめる私の視線に気づかれたのでしょう、倉島さまがバスタオルを私に手渡しながら恥ずかしそうにお言葉をつづけます。

「わたし、陥没乳首なんです。刺激されるとムックリ起き上がるのですが、普段はこの通り引っ込み思案なまま…」

 初めて見た気がします。
 あ、でもしーちゃんもそんな感じだったかもしれない…
 興味津々で倉島さまのおムネを凝視しつつ首輪を嵌めると、倉島さまもつられて首輪を嵌め直します。
 そのとき少し、イタズラ心が湧きました。

「ねえ、麗子さんのおっぱい、少し触ってみてもいい?」

「あ、はいっ!どうぞご自由に。直子さまに触っていただけるのでしたら光栄です…」

 パッと頬を紅潮させられる倉島さま。
 両乳首も心なしかヒクッとご反応された気がします。

 向かい合って両手を倉島さまの両乳房にゆっくり近づけていきます。
 皮膚の感覚がぶつかり、ちょっと固めながら手のひらにちょうどいいサイズの滑らかな脂肪の感触。
 そのまま両手をゆっくりニギニギすると、みるみる洞窟から乳首がせり上がってきました。

 ムックリと勃ち上がった乳首をすかさず逃さず指のあいだに捕まえて、ギュッと挟むと、あんっ!またギュッと挟めば、あんっ!
 目の前の倉島さまが眉根にシワを寄せて切ないお声を上げています。
 その悶え顔が可愛くてしばらくのあいだ、あんあんあんあん喘がせていたのですが、ふと、早く戻ってくるよう言い渡されたことを思い出します。
 パッと両手を離し、洗面台に放置してあったノーズフックと豚さんの尻尾を掴みます。

「バスタオルは麗子さんが巻いていいから。急いでみなさまのところへ戻りましょう」

「ああん、そんなのずるいです。わたし濡れちゃいました。最後までシてくださいぃ」

 倉島さまが甘えたお声でおねだり。

「早く戻ってこいっていうご命令でしょう、バスタオル巻いて、早く行きましょう」

 後ろ髪を引かれる思いで魅力的な誘惑を断ち切ります。

「あれ、バスローブとかは用意されていないのですか?」

「ここではM女は基本全裸なの。麗子さんは来たばかりで慣れていないから、まずバスタオルを巻いて様子を見ましょう。大広間でどうなるかはわからないけれど」

 きっとみなさまの目前に出るや否やどなたか、たぶん里美さまに没収されてジロジロじっくり、全身くまなく視られしまうとは思いますが。

 胸から下を真っ白いバスタオルで隠した倉島さまの手を引いて、バスルームを出る私は首輪とサンダルだけの全裸。
 さっきよりもまた少し翳った芝生を早足で進み木立を抜けて正面玄関へ。

 扉に鍵は掛かってなく、重々しい外開きの扉を開けた途端にハッと息を呑まれる倉島さま。
 初めて足を踏み入れた人ならどなただってそうなるでしょう。

 壮麗な沓脱を超えてお洒落な室内履きに履き替え、もう一枚の観音開きを超えて大広間に着いても、倉島さまは唖然とするばかり。
 豪華な大広間の一画に、いささか不似合いな庶民的な服装をされたみなさまがたむろっておられます。
 ほとんどのかたはTシャツかスウェット姿、一番フォーマルぽいブラウス姿なのは運転手の本宮さまだけ。

 みなさまが囲まれるテーブルには色とりどりの飲み物とおつまみが並び、どうやらアルコールが始まっているようです。
 もちろん本宮さまだけは飲まれていないのでしょうが。