2024年1月1日

彼女がくれた片想い 07

 結論から言うと、その日それ以降の彼女の尾行は出来なかった。

 トイレの個室を出てすぐに向かいの空き教室に入りトイレの出入りを監視していた。
 と言っても、どうせ休み時間中は出てこないだろうと高を括り、チャイムが鳴るまでの監視がおざなりになっていたことは否めない。
 スマホをチェックしたりノーパンが気になってジーンズのジッパーを少し上げたり下げたりもしていた。

 次の講義開始のチャイムが鳴り再び辺りが静けさに包まれて5分10分、いっこうに彼女は出てこない。
 15分を過ぎた頃に、これはおかしい、それともひょっとして2回戦に突入しているのかも、と考え、再びトイレへ忍び込むことにした。

 トイレの出入口ドアをそっと押して中を窺う。
 中はもぬけの空。
 5つある個室のドアはすべて内側に開いていた。

 束の間途方に暮れた。
 いつ見過ごしたのだろう?
 でもすぐに思い当たる。
 油断していた休み時間中に出ていったのだろうと。

 尾行のための変装用小道具まで用意していた身としては残念ではあったが、すぐに仕方ないと諦めもついた。
 結局私のミスなのだから。

 それよりも先程のトイレ内での彼女の一部始終である。
 衝撃的だった。
 その興奮はまだ私のからだを奥底からしつこく疼かせていた。
 そのまま家路につき自分の部屋に戻ってから、彼女が洩らした一字一句を思い出しつつ遅くまで自慰行為に耽った。

 次の体育の授業の日、私はひとつの決意を心に秘め、黒い膝下丈スカートを穿いて臨んだ。
 いつもより早めに人影まばらな更衣室に入り、彼女がいつも着替えをするロッカー脇の物陰でまずショーツを脱ぐ。
 もちろんスカートは穿いたまま素早く脱いだショーツをバッグに隠し、間髪をいれずアンダースコートを穿いた。

 穿き終えた後にいつもの自分の着替え定位置に戻り、ゆっくりと着替えを続行する。
 ブラウスを脱いでウエアを被り、スカートを脱いでスコートを着ける。
 これで私も彼女とお揃いだ。

 そうしているあいだに更衣室が賑やかになってきた。
 着替えをほぼ終了している私は近くにあった椅子に腰掛け、ゆっくりとテニスシューズに履き替えている。
 両脚を幾分大きく広げてスコートを無駄に翻し、中のアンダースコートを周囲に見せつけるような格好になって。
 誰にも気づかれない秘めやかな恥ずかしさ。
 その高揚感にゾクゾク感じていたら彼女が現われた。

 いつものように隅のロッカー脇、さっき私がショーツを脱いだ場所、に陣取った彼女はバッグから着替え一式を取り出し、一つ一つ確認した後に着替えを始める。
 
 濃いベージュ色の薄手のジャケットを脱いだ後、七分袖で淡いピンクのニットの袖から両腕を抜いて頭から抜く。
 間髪を入れずテニスウエアを被って上半身は終了。
 本日のブラはピンクで背中にこれといった痕はなし、というのは、シューズの紐を整えるフリをしながら凝視していた私の見解。

 つづいて下半身。
 少し背後をキョロキョロしてから彼女は完全に背中を見せる。
 茶系でエスニックな柄の膝下丈スカートに両手が差し入れられ、ショーツがスルスルっと下げられる。
 今日も長めのスカートを穿いているということは、今日も授業の後はノーパンで過ごすつもりなのかもしれない。

 それから彼女がアンダースコートを手にし、これから脚にくぐらせようと屈んだ刹那、私はどうにも我慢が出来なくなってしまった。
 彼女に本当のことを伝えたら彼女はどんな反応を示すのか?
 幾分サディステイックな衝動とともに、それが知りたくてたまらなくなったのである。

 自分でも思いがけないほどからだが自然に動いていた。
 すっかり着替えの終わった私は彼女と私の間にいる数人の女子を掻き分け、背中を向けている彼女の前に立つ。
 どうしようかと少し迷ったが、背中を向けた彼女の左肩甲骨辺りを右手の人指し指でチョンチョンと軽くつついた。

 彼女は屈んでアンダースコートをずり上げている途中だった。
 彼女のからだが一瞬ビクンと震え、アンダースコートは中途半端なまま両手を離してこちらに振り返る。

「それ、下着の上に穿くもの」

 小声でもちゃんと意味がわかるように滑舌は良くしたつもりだ。
 彼女は瞬間、呆けたような顔して、えっ!?と絶句した。
 無言で私の顔を見つめながら言葉の意味を吟味しているようだ。

「アンスコは下着を隠すためのもの。だから下着は脱がなくていい」

 そう追い打ちをかけると、あっ!と大きな声を上げて見る見る顔が赤く染まっていく。

「あっ、あっ、そ、そうなのっ?」

 私が告げた言葉の意味を完全に理解したらしい彼女は、羞恥に身悶えるように顔を歪めてうろたえている。
 顔全体をバラ色に染め、目尻には今にも零れ落ちそうな涙まで溜めて。
 膝まで上げたアンダースコートはそのままだ。

 私に指摘された後の彼女の狼狽ぶりが演技だとは思えない。
 どうやら彼女はアンダースコートの何たるかを本当に知らなくて、その行為をやっていたらしい。

「そ、そうなんだ、教えてくれてありがとう…」

 とても小さな声でつぶやいた彼女をすごく可愛いと思った。
 同時にサディスティックな気持ちももう一段階加速して、余計な一言を追加してしまった。

「でも、したくてしているなら、それでもいいと思う」

 授業後にノーパンになることも知っているから、という意味を持たせた皮肉だが、言い過ぎたかな、とも思い、私はそそくさとラケットを持ってその場を離れた。

 テニスの授業中、私はソワソワ落ち着かなかった。
 ショーツを脱いでアンダースコート一枚ということは、下着を常時丸出しで授業を受けているのと同じこと。
 他の人にはわからないけれど、している本人にはその認識となる。
 からだを動かしてスコートが派手に翻るたびに、得も言われぬ恥ずかしさが下腹部を襲い、濡れにくい私でも秘部の奥から粘液がジワジワ潤み出ているのがわかった。

 彼女はと見ると、彼女も今までとは違っていた。
 いつもなら無邪気にコートを駆け回っていた彼女が、今日はなんだかモジモジ恥ずかしげ、しきりに自分の下半身を気にしている。
 ということは、あの後彼女は下着を穿き直さずにそのままコートに出てきたのだろう。

 テニス授業を受けている者の中で彼女と私だけが恥ずかしい下着丸出し状態。
 その事実がなんだか嬉しかった。

 授業後の着替えでは、さすがに彼女をジロジロ観察することは躊躇われた。
 話しかけてしまった手前、彼女も私を意識しているだろう。
 なので彼女から見えない場所に陣取ったため、アンダースコートを脱いだ彼女がショーツを穿き直したのかは確認出来なかった。
 その代わり私が、スカートを着けてからアンダースコートを脱ぎ、そのままのノーパン状態でその後を過ごした。

 三限目の授業前の教室で、彼女がわざわざ私のところまで来て律儀に再度お礼を言ってくれた。
 私はそんな彼女がますます好きになったけれど、ねえ今あなたもノーパン?って問い正したかったのも事実だ。


2023年12月24日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 19

 「…きなさい、ほら、着いたわよ、お勤めの時間よ…」

 どなたかのくぐもったお声とともに頬を軽くペチペチと叩かれる感触で意識が戻ります。
 束の間の、ここはどこ?私は誰?状態はお約束。
 ここはまだお車の中で、私はぐっすり眠りこけていたよう。
 起こしてくださったのはお姉さまでした。

「広場に着いたのよ。もう5時半過ぎだからジョセが散歩に向かっちゃってて、あたしらと同時くらいにここで鉢合わせたの」

 お姉さまがご説明くださりながら、私の首輪にリードを繋いでくださっています。
 と、私の胸元を見るといつの間にかエプロンは外されて、首輪とサンダルだけの全裸に剥かれていました。

「今はかなちゃんがジョセの相手してるから、早く行っておあげなさい」

 お車は広場の入口脇に駐められていて、お車の中には私とお姉さましか残っていません。
 まだ半分寝呆け頭ながらも中腰になった私のお尻をパチンと叩かれ、首輪のリードを引っ張られて車外に連れ出されました。

 幾分陽が翳ったとは言え夕陽の熱気がまだ残る高原の夕暮れ。
 この辺りはゲリラ豪雨には襲われなかったらしく、水溜りも見当たらず木々も芝生も青々と乾いたまま。
 時折心地良いそよ風が素肌を撫ぜていきます。

 広場の東屋がある場所から少し離れた芝生を中村さまがゆっくりこちらへ歩かれてきます。
 どうやら木立から東屋へ戻られる途中みたい。
 今朝方私が東屋のテーブル下の簀子の上に置いたジョセフィーヌさまお散歩用のバッグを片手にぶら下げています。

「ジョセのうんちはもうワタシが埋めといたから。ジョセは今パトロール中、程なく戻ると思う」

 おっしゃりながらお姉さまと私の前までいらっしゃった中村さま。
 ジョセフィーヌさまのお散歩グッズバッグを私に差し出してきます。

「はい、タッチ交代。それでこれはジョセ用のおやつね」

 バッグと一緒に中村さまから渡されたのは、わんちゃん用の一口ビスケットの袋。

「今回はペーストのおやつはナシ。今夜は屋敷の庭でバーベキューディナーするから直子もジョセといつまでもイチャイチャしてないで、早めに切り上げて戻ってくること」

 水道でシャベルを水洗いしつつ中村さまがつづけられます。

「もっと人数が多いときはここでやるんだけど今日は6人だし時間も押しちゃったから。それに庭のほうが準備も後片付けもラクだしね」
「ジョセも勘付いてるみたいだから早く帰りたがるはず。ディナーのあいだにゆっくりイチャイチャすればいいよ」

 からかうような笑顔で中村さまがおっしゃり、洗ったシャベルをタオルで拭ってタオルごと私に差し出してきます。
 それらを受け取ってバッグにしまい、他の方々は、と辺りを見回すと、五十嵐さまは角田さまを被写体に広場のあちこちで写真を撮られていました。
 お姉さまはいつの間にか私の傍らを離れ、広場の入口近くにしゃがんでお背中を向けていました。

 何をされているのだろう?と考えていたら、木立の奥からジョセフィーヌさまが私たちに向けてまっしぐらに駆け込んできました。
 まず中村さまに纏わり付かれ頭をワシワシと撫でられています。

 しばらくそうされた後、傍らにいた私と目が合ったもののプイとそっぽを向かれ、タッタッタと芝生の中央付近まで駆け出されるジョセフィーヌさま。
 お散歩の時間に遅れたことに怒ってらっしゃるのかな?お名前を呼んで私も後に付いていったほうがいいのかな?なんて考えていたら、急にまたUターンして戻っていらっしゃいました。

 私の足元まで来られるとやおら、私の首輪に繋がったリードの持ち手をガブリ。
 そのまま力任せに引っ張られトットットとつんのめる私。
 強い力で首輪を引っ張られ、前のめりに歩き出した私の剥き出しなおっぱいがブルンブルンと大袈裟に跳ねています。

 そのままいつもフリスビーをする広々とした空間までリードを引かれて連れて行かれます。
 これでは本当にどちらが飼い主でペットなのかわかりません。

 私がバッグの中からご愛用の青いフリスビーを取り出すと、ジョセフィーヌさまはやっとリードの持ち手からお口を離してくださいました。
 ブランと戻った縄状ロープのリードが尖り始めた左乳首を軽く弾いて、ビクンと感じてしまいます。

「あんっ!」

 と、一声悶えて顔を上げると、お姉さまがまたいつの間にか私の傍らにいらっしゃっていました。
 両手にピンクのゴム手袋をお嵌めになり、右手になにやら草の束を握られて。

「ほらこれ、摘んどいてあげたわよ」

 私の目の前に差し出されたのは見紛うこと無きおぞましきイラクサさまの草束。
 青ジソに似た青々とした葉がまばらに茂る20センチくらいの茎を4、5本の束にして、一括りにした持ち手のところにはご丁寧にウエットティッシュが白く巻かれています。

「今回はペーストのおやつはナシなんでしょう?ジョセが構ってくれなくて刺激が欲しくなったら使うといいわ」

 ジョセフィーヌさまに強引にリードを引かれたことでマゾ心に小さく火の点いた私を見透かすみたいに目を細められた笑顔で、芝生に置いたバッグの上にその草束をソッと置かれたお姉さま。
 その横にはおまけみたいに、ドライブ中の雨宿りで私が下と上のお口で味わった栄養ドリンク剤の空き瓶も。

「だけどまあほどほどにして、早めに帰ってきなさいね」

 ついでみたいに付け足されたお姉さまは踵を返され、スタスタとお車の方に戻られます。
 私はそのあいだ中イラクサさまに目が釘付けで、一昨日あるじさまからいただいた、そのもどかしくも意地の悪い甘美な苦痛に思いを馳せていました。

 やがて遠くでお車のドアを閉じるバタンバタンという音が数回響いた後、エンジン音が遠ざかっていきます。
 これでこの広場にはジョセフィーヌさまと全裸に首輪リードの私だけ。
 ジョセフィーヌさまはブンブン尻尾をお振りになり、私の右手のフリスビーと私の顔を交互に見ています。

「それではジョセフィーヌさま、運動のお時間です。フリスビーを一緒に楽しみましょう」

 まるでご主人さまのご子息と遊ぶ召使いのようなへりくだった気持ちで、ジョセフィーヌさまに語りかける私。
 フルネームを呼ばれて益々ブンブン尻尾をお振りになるジョセフィーヌさま。

「ジョセフィーヌさま、いきますよ。はい、フェッチです」

 はい、の後に思い切りバックスイングして、フェッチです、という号令と一緒にフリスビーを放り投げます。
 捻ったからだを戻すとき剥き出しの両乳房も左右に思いっきり暴れています。
 ジョセフィーヌさまはフリスビーめがけてまっしぐら。

 ジョセフィーヌさまのお姿を目で追いかけながらふと考えます。
 今の私の状況。

 人っ子ひとりいない山中の夕暮れに芝生広場で首輪とサンダル以外素っ裸の私が他人様のワンちゃん相手にフリスビー遊び。
 おっぱいもお尻もマゾマンコも丸出しなのに少しの不安も感じていないばかりか、超リラックスしている私。
 普通に都会で日常生活をしていたら絶対に味わえない気分と体験です。

 裸を視てもらいたいというマゾの露出症的な快楽とはまた別の、普通に野外で裸でいることの自然回帰的な開放感。
 俗に言う裸族への沼に嵌ってしまいそう。

 そんなことを考えていたらジョセフィーヌさまがフリスビーを咥えられて一目散に戻ってらっしゃいます。
 フリスビーを受け取りジョセフィーヌさまの頭をワシワシ撫ぜながら左手に握ったご褒美のビスケットを差し出します。
 私の左手にジョセフィーヌさまの鼻先が当たり生温かい舌で掌がペロペロ舐められます。

「よーし、もう一回です、ジョセフィーヌさま」

 そんな感じで3回4回とフリスビーに興じますが、私には段々と良からぬ欲求が。
 掌をジョセフィーヌさまに舐められるたびに、あのペーストを自分の秘部に塗りつけてジョセフィーヌさまに舐められる、気絶しそうなほどのめくるめく快感が体内によみがえるのです。
 でも今はペーストが無いので、その快感は望めません。

 私がなんとなく気落ちしてしまっていることにジョセフィーヌさまも勘付かれたのでしょうか。
 6度目のご褒美が終わって私の掌から離れたジョセフィーヌさまがそのまま後肢立ちになられ、私に覆い被さるように身体を預けて私のお腹を舐めてきました。

「いやん、くすぐったいー」

 一瞬腰が引けたものの、その反動で思わず前屈みになる私。
 ジョセフィーヌさまのお口との距離が縮まり、私のおっぱいまで舌が届き、左右のそれを入念に舐めてくださっています。

「ああんっ…」

 ペースト無しでも舐めてくださるんだ…
 汗はうっすらかいているので塩味が気に入ったのかな…
 なんて考えながら芝生にお尻を突いた私は、いつしかジョセフィーヌさまに押し倒される格好に。

 仰向けに横たわった私を四本肢で跨ぐ形に覆い被さったジョセフィーヌさま。
 私のからだを踏まないように器用に肢を動かしながら顔もからだも、おっぱいも下腹部もペロペロペロペロ舐めてくださっています。

 尖った乳首を舌で転がされるとビビッと電流が走り、うぅーんと身悶えてしまいます。
 やがて下腹部の裂け目から透き通った粘液が滲み出し、ジョセフィーヌさまはすかさずそこへと舌を這わせます。

「はぁぁんっ!」

 尖った肉芽が転がされ、思わず大きな淫声が迸ります。

「そう、そこを、もっとぉぉ…」

 仰向けの両脚の膝を立て180度近くまで広げ、その部分を誇示するようにジョセフィーヌさまに差し出す私。
 でもジョセフィーヌさまはその部分にはそれ以上ご興味を示さず、私の広げた両膝のあいだにポツンと横たわるリードの持ち手を咥えられました。

 その途端に思い出したのが昨日、初めてのお散歩帰りの玄関先での出来事。
 ジョセフィーヌさまが咥えられた持ち手に繋がるリードの太くてザラザラした感触が私の股間に食い込む股縄のような陵辱。
 すかさず私は仰向けなからだを反転し、ジョセフィーヌさまに背を向けてしゃがみ込む体勢なります。
 お尻の後方にリードを咥えたジョセフィーヌさま。

 私の首輪からからだ前面にピンと張り詰めた縄状リードが股間で直角に折れ、ジョセフィーヌさまによってグイグイ引っ張られます。
 撓んでは張り詰め撓んでは張り詰め、腫れた肉芽ごと潰されては緩み、食い込んでは離れをくりかえす蹂躙。

「あんっ、いたいぃ、いいっ、いいぃぃーっ、もっとぉぉ…」

 苦痛のほうがより勝るような快感なのに頭がボーッとしてきてどんどん気持ち良くなってきます。
 股間への緩急出鱈目でランダムな刺激でも、快感が着実に下腹部の奥底に蓄積されています。
 ああん、もっとぉ、もっと刺激を…

 知らず知らず目の前のバッグの上に横たわる草束に右手が伸びていました。
 これで素肌を嬲れば更なる苦痛が訪れるはずですが、更なる苦痛はより大きな快楽に変わるはずです。

 茎の束を手に取り目をつぶって胸に近づけます。
 触れたか触れないかという刹那、左おっぱいにチクンとする刺激が広がります。
 今すぐにでも草束を放り出したいのですが、逆に自暴自棄のような感情の高まりで草束を左おっぱいから右おっぱいへと押し付けるように擦り付けました。

「あーーっっ、いっつぅーーー!」

 葉っぱたちが滑る感触に一瞬遅れて、素肌の皮一枚下からジンジンウズウズ痺れくる無数の痛痒い疼痛。
 瞬時に両乳房への刺激が許容を超え、右おっぱい上を通り過ぎた草束は芝生上に放り投げられました。
 同時に両おっぱいを乱暴に鷲掴む私の両手。

 思い切り掻き毟りたいけれど赤く爛れてしまうから駄目。
 僅かに残った理性がお姉さまのアドバイスを思い出させます。
 だから決して爪は立てずに乱暴に揉みしだきます。
 シクシク疼く両方の乳房をむんずと掴み、人差し指と薬指のあいだに逃した勃起乳首をギュウギュウ押し潰します。

 ふと気づくと下半身への刺激は失くなっていました。
 ジョセフィーヌさまは私がイラクサさまの草束に手を伸ばしたのをご覧になって、とばっちりは御免とばかりに避難されたのかもしれません。
 少し離れた芝生にゴロンと寝そべって、私の痴態を横からぼんやり眺めていらっしゃいました。

 それならと、私の左腕が眼の前の栄養ドリンク剤の空き瓶を掴みます。
 右手は腕まで使って両乳房を激しく擦りつつ左手は躊躇なくズブリと両足の裂け目へ。
 もちろん飲み口の細いほうからです。

 しとどに濡れた粘膜は空き瓶を難なく呑み込み、底を握って抽送運動開始。
 継続的にもどかしく苛んでくるおっぱいへの疼痛とチュプチュプ音を立てて粘膜を摩擦する硬く冷ややかな感触にどんどん昂ぶる私。
 芝生に左頬を埋めて腰だけ高く突き出した顔面支点の四つん這いで昇天間近。

「ああん、いいっ、いいのー、もっともっとぉーっ!!」
「いくっ、いっちゃうっ!あんっ、ジョ、ジョセフィーヌさま、イッてもいいですかっ、イッてもいいですかぁーっ!」
「もっとかきまわしてっ!めちゃくちゃにっ!ああーいいっ、いくぅ、いくぅ、いいーーーーくぅーーーっ!!!」

 頭の中に無数の星が弾け飛び、やがて真っ白になるほどの快感。
 意識も弾け飛び、束の間気を失なったと思います。
 気がつくと芝生の上にうつ伏せで突っ伏していました。
 さっきからハアハアとうるさいのは自分の呼吸でした。

 おっぱいはまだしつこくシクシクと疼いていますが、いつになく深く充実した快感の余韻を感じていました。
 屋外で何の不安も無く生まれたままの姿で自慰行為に耽るという行為は、子供の頃から憧れていたものでした。
 お尻がムズムズするなと思ったら、ジョセフィーヌさまが舐めてくださっていました。

 全身のあちらこちらがまだヒクヒクと痙攣している中、なんとかからだを起こし一息つきます。
 からだを弄り始めた頃よりも太陽が少し翳っていますが、一体どのくらい時間が経ったのかはわかりません。
 ジョセフィーヌさまは入口近くの東屋の屋根の下で私に視線を向けてブンブン尻尾を振っておられます。
 もはやフリスビー遊びは切り上げて早く帰りたがっていらっしゃるのは一目瞭然でした。

 バッグからバスタオルを取り出し全身を軽く拭ってから、私も後片付けを始めます。
 私を慰めてくださった栄養ドリンクの空き瓶さまの中には、乳白色に濁った粘液が瓶の三分の一くらいに生暖かく溜まっていました。
 遠くの芝生まで飛んでいたイラクサさまの草束も一応怖々拾い、東屋のテーブルの上に、空き瓶さまは水道で洗ってバッグへ。

 ひと通りの片付けを終えて私が肩にバッグを提げると、ジョセフィーヌさまが私のリードの持ち手を再びパクリと咥えられます。
 でも今度は強引に引っ張るようなことはされず、私の四、五歩先を私に合わせたペースで歩く形で帰途につくジョセフィーヌさまと私。
 首輪に繋がったリードをジョセフィーヌさまに引かれている私は完全にご主人さまの下僕ペットでした。

 最初こそゆったり歩いてくださったジョセフィーヌさまでしたが、お屋敷が近づくに連れて段々と早足になっていかれました。
 帰路の三分の二くらい過ぎた頃には走っていると言っても良いくらいグングン首輪が引っ張られます。
 それでなくても山道の上り坂ですから、私はハアハア肩で息をつきながら従います。

 とうとう我慢しきれなくなられたのか、お屋敷の門が見えるとジョセフィーヌさまはお口に咥えられたリードの持ち手をポロリとお離しになられ、全速力で敷地内に駆け込んでいかれました。
 ギターの弦みたいに張り詰めていたリードがブランとお腹に戻り、息を切らせた私もトボトボ敷地内に入ります。

 玄関へとつづくアプローチにはどなたもおらず、木立越しの芝生側で何やら物音がしていました。
 木立の向こう側がぼんやり明るく照らされているように見えるのは、何か明かりを灯しているから?
 さっきよりまた少し薄暗くなった夕暮れのせいか、そこはかとなく幻想的です。

 みなさまがバーバキューの準備をされているのだな、と察した私は、玄関には向かわず木立を抜けて芝生のお庭のほうへ歩を進めました。

「ああ、帰ってきたのね。結構早かったじゃない」

 お屋敷のほうから何やらカートを押してきたお姉さまが気づかれてお声をかけてくださいます。
 お姉さまったら、一昨日に温泉旅荘さまからいただいた紫色寄りの青い浴衣をお召しになられ、優艶に微笑まれています。
 足元にはひと足お先に到着されたジョセフィーヌさまがブンブン尻尾を揺らしてじゃれつかれています。

 今朝方お洗濯物が干されていた一帯にテーブルや椅子が置かれ、カートに載せたお料理がいくつかすでに運ばれているみたい。
 お洗濯物の物干し紐に小洒落たデザインのカンテラがいくつも吊るされて、その灯りが暗くなり始めた夕暮れを淡く照らし出しています。

「今日はあんまり汚れてないのね。でも汗まみれだからチャッチャとシャワーしてきなさい。もたもたしてたら先に始めちゃうからね」

 芝生に置かれたコンロの脇にカートを置かれたお姉さまがこの位置からも内部が丸見えな例のシースルーバスルームを指差されます。
 お姉さまが押されていたカート上にはステンレスの串に刺されたお肉やソーセージ、とうもろこし、各種お野菜などが並んでいて、いかにもこれからバーベキューという感じです。
 私が肩から提げていたバッグはお姉さまが引き取ってくださいました。

「はいっ」

 私もなんだかワクワクしてきて元気よくご返事し、首輪から垂れたリードをブラブラ盛大に揺らしながらいそいそとバスルームに駆け出しました。


2023年10月9日

彼女がくれた片想い 06

 隣室の来客が立ち去った後もしばらく物音ひとつしない静寂がつづいた。
 私は端の個室の壁に向いて、蓋を閉じた便座の上にそっと腰掛け聞き耳を立てている。
 幸いなことに尿意も便意も感じていないので、ゆっくりとお付き合い出来そうだ。

 壁の向こうで彼女が今、どんな姿なのかを想像する。
 3番めの個室の彼女にひとりの時間を邪魔されたのは明白であるから、その間にトイレ本来の目的を済ませたのかもしれない。
 そうであれば、便座の上でショーツを下ろしたままなのか。
 私が見咎めたように彼女の着衣がコンビメゾンであったならば、オールインワンゆえ上半身ごと脱がなければならない。
 そうなると彼女は上半身も下着姿ということになる。

 そんな風に想像を逞しくしていたら、端の個室からカタンという小さな音が聞こえた。
 3番めの彼女が去ってから二分も過ぎた頃だった。
 それからカサコソと衣擦れの音。
 彼女はまだ脱衣していなかったようである。
 その用心深さがこれからの展開に期待を抱かせる。
 私は便座の蓋からそっと離れ、中腰になって端の個室の壁に左耳を密着させた。

 どうやら彼女は立った姿勢で衣服を脱いでいるようだ。
 衣擦れの音が始め上の方から聞こえ、だんだんと下がっていく。
 下の方でコツコツと小さな音がしたのは、脱いだ衣服を足元から抜いて完全に脱ぎ去ったのだろう。
 
 やはりオールインワンだったようだ。
 ひょっとすると今日のこの行動は計画的で、彼女はトイレで裸になるためにワザと不自由な、上下ともに脱がざるを得ない構造の衣服を選んだのかもしれない。
 そんないささか彼女に失礼な妄想がふと浮かんだ。

 少しの間を置いて上方で小さくパチンと響いたのはブラジャーのホックを外した音。
 また少しの間を置いて下方でコツンコツンと小さく響いた足音はショーツをも脱ぎ去った音に思えた。
 そして何より私を驚かせたのは次の瞬間だった。

「…脱ぎました…」

 押し殺したようなか細い彼女の声が聞こえて来たのである。

 彼女は誰かと会話している。
 おそらくスマホでであろうが、これで脅迫者の線が一段と濃厚になってきた。
 その後長い沈黙がつづき、やがてまた彼女の押し殺した声が聞こえた。

「…はい…」

「…恥ずかしいです…」

 テレビ電話機能で送信しながらの行為なのだろうか。
 その割に相手の声が一切聞こえて来ないのは、彼女がインカムを使用しているからと考えればいいのだろうか。
 いずれにせよ彼女がこの薄い個室の壁の向こうで全裸になっているのは確実と思えた。
 その割に身体をまさぐるような物音は聞こえてこないな、と思った矢先、再び彼女の押し殺した声が聞こえてきた。

「…だってそれは、この間やよい先生が綺麗に剃り上げちゃったからじゃないですかぁ…」

 押し殺しながらも甘えるような媚を含んだ声音。
 ゾクゾクっとしながら完全にしゃがみ込んで、左耳を壁に痛いほど押し付ける私。
 何かを手にしたようなカタカタッという小さな音がしてから、今度は少し明瞭な声が聞こえた。

「…ち、乳首にください…」

 えっ?何を?

「…痛い、痛いですぅ…」

 それと同時に身体をまさぐるようなワサワサした音と、ンフゥーッという押し殺した溜息がしばらくつづいた。

 私は混乱していた。
 彼女がつぶやいた、やよい先生、剃り上げちゃった、乳首にください、痛いです、という科白が頭の中を渦巻いていた。
 その間も彼女の押し殺した悩ましい溜息が途切れ途切れにつづいている。

 やよい先生って、その先生は女性?脅迫者は女性?いやいや名字っていうことも有り得るし、UFO研究で有名な矢追という姓の聞き間違いということも…
 剃り上げちゃった、というのは陰毛を指しているはずだから、つまり彼女は今パイパンなのだろうか?
 この間というのは、今週の体育後に目撃した鞭の痕、先週末に行われたかもしれないSMプレイ疑惑のことなのだろうか?
 痛いって、テレビ電話で物理的に相手に苦痛を与えることは不可能だし、彼女が自分で自分を痛くしているということなのか?

 頭の中をクエスチョンマークがグルグル飛び交うにつれて、私の下半身はどんどん熱くなっていく。
 ジーンズに包まれていても、その一番内側が中の方から濡れてくるのがわかるほどに。
 彼女の押し殺した吐息は切なげにつづいている。

 そして数分間ほど自分の上半身をまさぐったであろう彼女がつぶやいた、相変わらず押し殺した科白で、私はすべてを理解出来た気がした。

「…やよい先生の指をください…指を直子のオマンコに挿れて滅茶苦茶に掻き回してください…」

 おおよそ清楚に見える彼女には似つかわしくない女性器の俗称をはっきり口にしたことにも驚いたが、その後につづいた物音が強烈だった。
 彼女の懇願に自分ですぐに応えたのだろう、プチュプチュクチュクチュ、どう考えても卑猥な音が聞こえてくる。
 十分に濡れそぼった女性器を指で愛撫抽挿蹂躙する自慰行為の音。

 声は極力押し殺しているようだが、粘液を掻き回す音は押し殺しようが無い。
 激しく掻き回せば水音も激しくなる。
 それにつれて押し殺している吐息、溜息もより激しくなってしまう。

「…んふぅーーっ、んぐぅぅーーーーっ…」

 最初に彼女と遭遇したときに聞いたような押し殺しきれない嬌声が聞こえ、しばらく沈黙。
 達したのだろうか?
 壁越しにハァハァハァハァという荒い彼女の息遣いが聞こえてくる。
 しばらくしてそれも収まり本当の静寂が訪れたと思ったのだが…

「…あぁんっ、またぁ…」

 彼女の少し大きめな声とともにプチュプチュクチュクチュが再び始まる。
 いつの間にか私も、ジーンズのボタンを外しジッパーを下ろし、露わになったショーツの上から自分の陰部をそっとまさぐっていた。

「…もっと、そうそこ、そこを…」

 彼女に合わせて自分を慰めながら考える。

 彼女はこの行為を嫌がってはいない、むしろ愉しんでいる。
 脅迫の線は薄いのではないか、つまり自発的な行為。
 だとするとテレビ電話の線も薄れ、これは彼女の独り芝居、妄想に没入しての密やかな自慰行為なのではないか。
 恥ずかしいです、も、痛いです、も彼女の妄想の中で自分に課した行為がフッと言葉に出ただけで、実際には彼女の頭の中では妄想の相手と絶えず会話をしている。

 やよい先生は女性でおそらく実在の人物、そして妄想の相手。
 男性であれば、指をください、ではなくもっと具体的なそのものズバリをねだるであろうから。
 ということは彼女はレズビアン?
 陰毛を剃り上げられてパイパンとなっていることもおそらく事実だろう。
 自宅ではなくこういった日常のパブリックな場所、誰かに気づかれるかもしれないスリリングな場所での行為が好みなのであれば、体育後のノーパンの意味も理解出来る。
 つまり彼女は、あんな顔をしてかなりアブノーマルな性癖の持ち主ではないのか。

「…んふぅーっ、あんっ、いいっ、んんーーっ…」

 彼女はだいぶ声を抑えきれなくなっている。
 私もかなり昂ぶっていた。

「…ああっ、いいっ、いいっ、んぐぅぅーーーっ…」

 一際低く唸るような彼女の押し殺した咆哮。
 その後ハァハァハァと息を荒くしている。
 オーガズムを迎えたようだ。

 私もほぼ同時に同じ状態に達した。
 左耳を壁に押し付けしゃがみ込んだままジーンズを膝まで下ろし、ショーツの上から腫れたクリトリスを思い切り摩擦して。
 口を真一文字に結び、絶対に声を漏らさないと覚悟を決めて。
 彼女と一緒に昇り詰められたことが無性に嬉しかった。

 徐々に収まっていく彼女の息遣い。
 私もまだ肩が大きく上下している。

 と、そのとき唐突に三限めの終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
 すぐにトイレ内にも教室から解き放たれた廊下の喧騒が聞こえてくる。
 彼女の密やかな禁断の時間も終わりを告げた。
 トイレのドアを開くバタンという音がふたつつづき、個室のドアを閉じる音がそれにつづく。
 トイレ内の足音やおしゃべりも騒がしくなっていた。

 どうしようか迷っていた。
 おそらく彼女は休み時間が終了し次の講義が始まるまで個室から出てこない。
 あの日のように静けさが戻ってからそっと退散するつもりだろう。

 それに付き合って私も彼女と一緒に立て籠もり、一緒に個室を出るのも面白いと思った。
 彼女が自慰行為をしている間中、隣の個室に誰かがいて一部始終を聞かれていたと知ったら、彼女はどんな顔をするだろうか。
 でもそれは現実的ではない。
 私は今の所、彼女との関係性を変化させる気はないし、休み時間中ふたつの個室が閉じたままなのは大迷惑だ。

 現実的には、休み時間中の喧騒に紛れて私が先に退出し、尾行を続行するのがベストと判断した。
 学校のトイレの個室で人知れずオーガズムに達した彼女が、どんな顔で日常に復帰し、どんな風にプライベートを過ごすのか。
 学内に残るにしても学外に出るにしても、まだ三時前、時間はたっぷりある。
 四限の自主休講が決定した。

 そうと決まれば急がなくては。
 ショーツが濡れそぼっているので、このままジーンズを穿き直すのは気持ち悪い。
 幸いトイレ内はドアの開け閉めやおしゃべりで騒がしいので、私は音を立てることを気にせずにジーンズを脱ぎ去った。
 
 それから濡れたショーツも脱いで小さく畳みフェイスタオルに包んでバッグへ。
 最後に濡れた陰部をトイレットペーパーで丁寧に拭った後、ジーンズを穿き直す。
 これで私は、今から帰宅までノーパンで過ごすことになってしまった。
 体育後の彼女とお揃いである。

 最後に捨てたトイレットペーパーを盛大な音を立てて水洗に流し、普通にドアを開けて個室を出た。
 一番端の個室のドアは相変わらず固く閉ざされている。
 外ではふたりの学生がトイレ内に並んで個室が空くのを待っていた。